第12回環境省独立行政法人評価委員会 国立環境研究所部会会議録

日時

平成18年7月25日(火)10:30~12:26

場所

中央合同庁舎5号館厚生労働省専用第15会議室

議題

(1)
平成17年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価について
(2)
平成17年度独立行政法人国立環境研究所財務諸表及び積立金の繰越承認について
(3)
その他

配付資料

資料1 平成17年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価結果一覧
資料2 平成17年度独立行政法人国立環境研究所業務実績評価書(構成案)
資料3 今後の予定
参考資料1 独立行政法人評価委員会関係基礎資料
  • 環境省独立行政法人評価委員会等委員名簿
  • 環境省独立行政法人評価委員会の運営方針について
  • 部会の議決をもって委員会の議決とすることができる事項について
  • 独立行政法人国立環境研究所の業務実績に係る基本方針
  • 中期計画
  • 関連法規
参考資料2 平成17年度財務諸表に係る質問事項等について
参考資料3 平成17年度業務実績報告書
参考資料4 平成17年度業務実績報告書資料編
参考資料5 平成13、14、15、16年度独立行政法人国立環境研究所業務実績に係る評価結果一覧
参考資料6 平成13、14、15、16年度独立行政法人国立環境研究所業務実績の評価書
参考資料7 平成13、14、15、16年度独立行政法人国立環境研究所業務実績に係る各位委員の評価結果一覧
参考資料8 平成17年度財務諸表
参考資料9 平成17年度事業報告書
参考資料10 平成17年度決算報告書
参考資料11 監査報告書
参考資料12 独立行政法人国立環境研究所に係る積立金の繰越承認について
参考資料13 国立環境研究所パンフレット

出席者

委員   石井紫郎部会長、北野 大委員、小池勲夫委員、坂本和彦委員、佐和隆光委員、高木勇三委員、高月 紘委員、西間三馨委員、長谷川雅世委員、丸田恵美子委員、三橋規宏委員
環境省 大臣官房 桜井審議官
総合環境政策局 岸本総務課調査官
室石環境研究技術室長
篠木環境研究技術室長補佐
国立環境研究所 大塚理事長
西岡理事
仁井理事
村川企画部長
柏木総務部長

議事

【室石環境研究技術室長】 おはようございます。定刻になりましたので、まだ、お2人、御出席と御連絡のあった委員もお見えになっていませんが、時間でございますので、ただいまより環境省独立行政法人評価委員会の第12回国立環境研究所部会を開催いたします。
 本日の議題に入る前に、人事異動がございましたので御紹介をさせていただきます。
 7月20日付で、国立環境研究所の企画総務担当理事として仁井理事が御就任されております。
 それと、私でございますけれども、7月19日付で環境技術室長に就任いたしました室石でございます。どうかよろしくお願いいたします。
 それでは、これ以降の議事進行につきましては石井部会長にお渡しいたしたいと思います。よろしくお願いします。

【石井部会長】 それでは議事に入ります。
 最初の議題、平成17年度の独立行政法人国立環境研究所の業務実績の評価であります。
 前回の第11回の部会におきまして、国立環境研究所から業務実績の報告をいただきまして、それを踏まえて各委員の皆様に評価をお願いしておりましたところでございます。各委員からの評価結果の提出状況及び、本日、準備された資料について、事務局からまず説明を願います。

【室石環境研究技術室長】 まず、評価シートの提出状況でございますけれども、12名の委員の皆様方全員からご提出がございました。
 それで、今日は主に資料1でご審議を頂くという事になりますので、まず資料1で御説明をいたします。この非常に大きい、A3の大きな資料でございます。この中に、この項目、それぞれそろっておるわけですが、ちょっと1枚おめくりいただきまして、2ページ目で御説明をいたします。これの繰り返しになりますので、2ページ目を例に挙げてご説明をいたします。
 事項別評価と書いてございまして、I-1、効率的な組織の編成ということで見出しが書いてございまして、まず、平成16年度業務実績の事項別評価という事で、今回、17年度の評価ですが、16年度の評価がどうだったかという事がまずわかりますように、評価がA、Bなどのどれに当たったかを書きまして、コメントが挙がっております。その下に委員名と、S、A、B、Cのランキングと評価コメントという事で、今年度の評価としてご提出いただいたものをそこに書かせていただいております。
 一番下の方に、17年度業務実績の事項別評価というのがありますが、これは結局、次の部会でおまとめいただくという事に向けまして、今日は、その空欄になっております所に、鉛筆なりで、評価がどこに該当するかとか、あるいはメモとして、こんなコメントを新たに思いついたという事があれば、メモ的に空欄をお使いいただいてご活用いただければというふうに思っております。
 それで、この資料の順番ですが、必ずしも大事項、中事項、小事項と、きちんと並んでいるというよりは、ご審議いただきやすいように並び換えをさせていただいております。つまり、大事項の評価は中、小事項を評価した後でないと出来ませんので、一番小さい事項で読んで頂く順に並べた後に、その一つ上のとりまとめの事項に戻るというような感じで順番を並べさせていただいておりますので、この資料の順番に議論をいただければ自然とまとめがされて上の事項に上がっていくというような形になります。そういう順番で並べさせて頂いておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
 資料1については以上でございます。
 それで、そのほか、資料2以降、そろっておりますけれども、評価書(案)、資料2ということで、これは本当に全く空欄で挙げさせて頂いておりますが、これについては、今日のご議論を踏まえまして、また準備させて頂きたいということで、項目が挙がっております。資料3は、また後ほどご説明いたしますが、今後の予定でございます。
 それから、参考資料が並んでおりますが、参考資料1が独立行政法人評価委員会関係基礎資料ということで、ちょっと注が書いてございますが、会議終了後、回収させていただくということになっています。参考資料2が、財務諸表に係る質問事項ということで、委員の方からご質問がありましたところについて並べさせて頂いております。
 それから、既にこの辺はご覧いただいている資料ばかりですが、業務実績報告書、参考資料3。その資料編が参考資料4。参考資料5が業務実績の評価結果一覧ということで、これまでの各年度の評価を挙げさせて頂いておりますので、御参考にと思います。参考資料6が、各年度業務実績の評価書。これも各年度、過去の様子ですので、御参考にして頂ければという事です。参考資料7も業務実績に係る各委員の評価結果一覧です。参考資料8が17年度の財務諸表。参考資料9が17年度の事業報告書。参考資料10が、17年度の決算報告書。参考資料11が監査報告書。参考資料12が積立金の繰越承認について。後は、参考資料13としてパンフレットをつけさせていただいております。
 以上、申し上げました資料につきまして、もし過不足等がございましたら事務局におっしゃっていただければそろえますが、いかがでございましょうか。
 以上です。

【石井部会長】 資料に欠落がなければ、早速、議事に入りたいと思います。
 ただいま説明がございましたように、この評価項目というのは、大きなくくりの中に中ぐらいのくくりがございまして、またその中にそれぞれ小さな項目があるという形になっておりまして、例えば資料1の1ページで御覧頂きますと、時計数字のI、これは中項目ぐらいになるのでしょうか、大項目ですか。その下に小さな1、2、3、4、5という、算用数字で書いたものがございます。評価の順序としては、この小さな項目の評価を順次積み重ねていきまして、そして大きな項目、時計数字のIIに戻って総合評価をいただくと。これを大きなII、III、IV等についても続けてまいりまして、最後に総合評価ということになりまして、全部で29項目あるんだそうでございます。というわけで、限られた時間の中で、効率よく評価をする為に、資料の作成がそういう風に出来ておりますが、まず小さな項目でずっと評価していくと。それがその通りの順番で、この資料の1が綴じ合わされているという事でございまして、一番左側のページの欄を御覧頂きますと、時計数字のIのところが9ページという事になっておるのは、2、3、4、5、6、7、8と行って9へ行くということで、欠落なく小さな項目から大きな項目へという評価が進められるという事になっております。
 ということで、この順序に従ってやってまいりますが、その際、S、A、B、C、Dの5つのランクのどれにそれぞれ相当するのかという事について、最終的な結論を出す必要は必ずしもございませんが、概ねの方向ぐらいまでは出して進めてまいりたい。そして次に、昨年の評価との比較も念の為行いまして、そして、今回の評価に盛り込むべき内容、コメント等についてご意見を頂く。そして、それを積み重ねていくという形で最後の総合評価までたどり着きたいという風に考えております。
 ということで、早速、入らせていただきます。
 まず、2ページ目でありますが、これが効率的な組織の編成という物であります。
 昨年も、実はたしか、こういう風にやらせて頂いたと思いますが、大方の評価が一致しているが、少数の方からそれと違う評価がなされている場合には、まず最初にその少数の委員からのご意見を頂戴致しまして、そして、それを前提に議論をして頂いて、全体の評価をどの辺に持っていくかという事を議論していただく。これは、全員同じ評点の場合もございますし、1人しかない場合もある。あるいは5と7みたいな形で拮抗している場合もあるし、9対3というような場合も、いろいろございますので、それぞれ数の問題では無くて、実質的なご判断の根拠になっていることを伺って、ここで議論しながら評価をとりまとめていくと、そんな形にして参りたいと思います。
 ということで、早速、I-1でございますが、ただいまのやり方で申しますと、私がまず何か言わなければならないと、こういう風になっている訳であります。こういう事は余り言っては何なんですが、全員、同じ点というのは、知らない人が見ると信憑性が薄いようにも見えますので、わざと辛目につけておいてアクセントをつけたという委員長としての配慮も無い訳ではございませんので、私はこのBという採点に固執するつもりはないということを最初に申し上げておきます。
 実質的なことを強いて言うとすれば、実は、第2項目で書いておいたことがここでも気になるということでありまして、流動研究委員になっているけど、研究員ですね。3ページ目のコメント欄の一番上の行、流動研究員の急増ぶりが気になると。業績も、その人たちの仕事に負っている部分がかなりあるとすれば、一体それが健全な組織という形で、あるいは効率的な活用であると言えるのであろうかという疑問を呈したということでありまして、この辺について研究所側から何らかのご意見を賜りまして、私が納得すれば、全体としてAでよろしいかなと思っております。いかがでございましょうか。

【大塚国環研理事長】 今の石井先生からの御指摘については、私の方からお答えさせていただきたいと思います。
 流動研究員の急増との御指摘がございますが、ご承知のとおり、人員の定数というのは厳密に規定されておりまして、常勤職員数は、第1期の中期目標期間の期初が274名で、期末が246名、それから任期付きにつきましても、期初が28名で期末が2名となっておりました。そのような大きな縛りがございましたので、17年度の中では、いわゆる組織編成を変える事も、常勤の研究者を増やすことも非常に難しい事でした。私どもも、もちろん常勤研究者が中心的に研究を担っていると認識しておりますけれども、どうしても業務の都合上、流動研究員に頼る部分が起きたというのが正直な所でございます。
 それから、先生がご指摘の、流動研究員を増やして、そのことが論文を増やすことの一つのテコになっているのではないかというご指摘については、私自身の認識に少し違う所がございます。もちろん若い研究者が多いですから、論文を書いて頂くのは大変結構なのですが、私どもの研究全体を見渡しますと、今日また違うご議論があるかもしれませんけれども、研究論文を書くことも非常に大事な研究の一つであるとしても、政策貢献等のこともきわめて重要と考えております。流動研究員の方は多くの場合、それぞれの研究テーマが決められているというか、ある大きなプロジェクトの中の、あるパートをお願いするという事も多いわけです。少なくとも私自身は、流動研究員の増加と論文数の増加を結びつけて考えるというような事はしておりませんでした。そのような事でよろしいでしょうか。

【石井部会長】 ありがとうございました。
 私、最初に申し上げたとおりでございます。Bに固執つもりもございませんので、全体としてはAという事で先に進ませていただきます。

【大塚国環研理事長】 ただいま、私は、17年度に限定してお答えさせて頂いたのですが、17年度は先生方から色々御指摘いただいたことを、今年度からの第2期にどのように具体化するかに非常にエネルギーを費やしたつもりでございます。その点について、もし時間があれば、またご説明させて頂きたいと思います。先生の御指摘についても、そういう中で具体的にさせて頂きたいと思っております。

【小池委員】 今、理事長が言われたことで、いわゆる流動研究員と任期付きの研究員の場合、論文を書くことも大事ですけれども、その施策的な方で頑張って頂きたいというお話でしたけれども、今まで環境研の人たちのあれを見ていますと、大学に出る人が結構多いのが割合とほかの国研に比べると特徴だと思うのですけれども、やはり今、大学の場合、かなり業績主義というか、論文がないとなかなかアップライ出来ないという状態ですね。それで、そういう施策的な方を頑張っていただくときに、その先はどうなるかということをある程度考えて頂かないと、なかなか若い人たちは、じゃあ、そうしてどうなるかということがありますので、多分それは両方の面があると思いますので、その辺もお考えいただければよろしいと思います。

【石井部会長】 ありがとうございます。よろしいですか。

【大塚国環研理事長】 今、小池先生からのご指摘、全くそのとおりだと思います。多少、分野により、あるいは昨年度までの名称を用いますと、重点特別研究プロジェクト等の内容によって、多少凸凹がどうしても出てしまうのですけれども、それぞれの流動研究員を採用しているセクションで、できる限り研究、オリジナルな意義のある研究ができるような仕事を割り振るわけです。たとえば、モニタリングが中心になるような研究分野でも、流動研究員を採用する必要があります。今、ご指摘いただいたことは、私どももそれぞれの研究ユニットのチーフも理解していることではありますが、今後とも留意していきたいと思います。どうもありがとうございました。

【石井部会長】 ほかに何か、ご意見はありますでしょうか。
 特にありませんようでしたらば、それでは、先ほどから繰り返し申し上げている様に、I-1については、総合的にAということで進ませて頂きます。
 次のI-2についても、先ほど申し上げたとおりでありまして、これも結論的には同じ評価になる訳であります。私の考えではそうなる訳ですが。特にご意見、ありますでしょうか。
 なければ、これもAというで進ませていただきます。
 次に、I-3、財務の効率化という項目でありますけれども、これにつきましては、議論に入ります前に、研究所側から追加的な説明をしたいという御要望がございますので、まず、それをお願いいたします。

【仁井国環研理事】 理事の仁井でございます。この財務に関しての補足説明をさせて頂きたいと思います。
 この補足説明をさせていただくきっかけでございますが、これは直接この項というよりは、次の次に出てまいりますI-5、業務における環境配慮の所で、高木先生から、ESCO事業に関しては所期の成果を挙げていないのではないだろうかと。金銭的な説明も含めて整理しろといったご指摘をいただいております。このご指摘を受けて、ESCO事業に関わる環境面、費用面、全体として整理したというのがこれでございます。
 整理の結果そのものについては資料に沿って申し上げますけれども、この作業をきっかけに、今後、心しなければならない反省すべき点というのは幾つかあるなと思っております。反省すべきところは反省し、今後の教訓としたいと思っておりますし、また全体としてESCO事業を見るというきっかけのコメントを与えていただいた高木委員に心から感謝する次第でございます。
 まず、今、資料お配り申し上げましたので、それに沿ってご説明いたします。
 ESCO事業の概要、(1)のところはちょっと飛ばさせてください。
 具体的な中身といたしましては、空調負荷の削減、冷房負荷の高効率化、ポンプ、ファンのインバーター化。それから、地下水の上水への一部利用。こういったものを組み合わせてESCOとしてエネルギーを節減する、CO排出を節減する経費についても、とんとんプラスアルファに持っていこうという計画でございました。いわばその結果が、これは7月スタートの3/4年でございますので、平年化されておりませんけれど、左側にございますが、それぞれの要素ごとの削減見込み額と実際に削減した額でございます。ESCOというのはパッケージで評価する物ですので、全体としてそれなりになっていれば、個々の凸凹は余り気にする必要はないという部分はあるのですが、大きい要素として、4、地下水の上水への利用というところが、削減見込額1,600万、削減実績額400万となっております。ここは数字の問題というよりも、いわば2カ月間、トライアンドエラーしたけれど、結局この手法について今後も続けることが困難であるというところに至っております。
 (4)のところを見ていただきたいと思いますが、ここでの計画としては、新たに井戸を掘って地下水を採取し、それを浄化し、上水し、水道事業から供給される水道とブレンドとして所内の水道用水需要を賄うと。それによって水道料金の節減を図るというものでございます。
 地下水の浄化については、当然のことながら、水道法に基づく水質基準も満たしておりますし、専用水道としての法的な手続も経て、通常の利用では何ら問題ないという状態でございますが、実際のところ、各研究棟で使われているミジンコの飼育といった所にトラブルを生じております。いろいろ私どもの所内で調べたわけでございますけれど、結論的には、この水を用いてミジンコの生育に支障がないようにするためには、膨大な設備投資、一つは浄化というプロセスがあるでしょうし、あるいは、独立した配管をそのためだけに作るといったようなことになるかと思いますが、いずれにしても費用対効果は合わないということで、2カ月ほどトライして、地下水の上水への利用を取り止めております。これはESCO事業者としては要件を満たす、水を供給している、いわば利用者側の問題としての話でございますので、当初お約束したESCO事業者への支払いを、これをもってそこの部分を△にすることができないというものになります。
 その結果としての環境面、それから費用面の問題ですが、ページをおめくりいただいて、グラフで表示してございます。左側の別紙1、これはエネルギーの削減状況、COの削減状況。要素はいろいろ凸凹はあるのですが、トータルとして見ると、所期の成果を挙げているという言い方ができるかと思います。
 右の方に別紙2がございます。これがお金の面での評価、光熱水費という形で評価してございます。下の17年度の光熱水費の総削減額と書いてございますのが、財務諸表等に計上しております光熱水費でございまして、削減額3,600万という額でございますが、ここではESCO事業のいわば外枠、新規に出てきた事業のナノ実験棟という部分がありますので、ESCO事業に限って、ESCO事業の評価期間で比べたものが上のものでございます。ESCO事業導入前の光熱水料費4億1,000万余に比べまして、ESCO事業導入後の光熱水費3億6,200万余ということで、ESCO事業の枠組みの中での削減額4,600万余という部分でございます。ESCO事業に関してのサービス料、ESCOサービス会社への支払いが、右にございますように、5,904万3,000ということですので、いわば削減額を上回っている。金銭面でいえば持ち出しになっているということでございます。
 私ども、ご指摘を頂きこのような整理が出来たわけです。整理をすればさほど難しい話でもないので、何でこんなことが最初からわからなかったんだと言われて、ちょっと言葉に窮するところはあるんですが、もともとこういう事業を選定するときに、こういうトラブルの回避が何かできなかったものだろうかという気持ちもあります。それとともに、研究所として、地下水でミジンコが死んだ、生育がうまくないということを受けて、それへの対応は全所的にしかるべき対応をしていたわけですが、それがESCO事業全体にどう影響するかといった視点で、全体として環境面、費用面という形での把握、認識という対応はしていたわけですが、全体としての視点にかけていた。ずさんだと言われれば、甘受せざるを得ないと考えています。
 そういった認識の問題もありまして、実績報告のまとめ方についても、こういったトラブルの要素をきちんと言及して書くべきではなかったかといった気がいたします。いわば一面的な報告であったような気がします。これは現時点での、私レベルで気づいたところでございますが、こういったことがありましたので、少し組織的に議論して、今回の一連のプロセスで、今後の教訓とすべきところをきちんと把握して対応していきたいと思っております。
 なお、今後の対応でございますが、1ページ目の一番下に書いてございますように、上水にブレンドするという意味で地下水を掘った、井戸を掘ったわけでございますが、その井戸につきましても、従来から不足している水生生物の飼育水槽用の水、あるいは実験圃場の灌漑用水といったところが不足気味でございました。そういったところに、これは大して配管でのコスト増はないと聞いておりますし、また、メダカの生育環境としては問題ないということも確認しておりますので、そういう形で、有効利用を図っていきたいと。また、エネルギー関係についてはより効率を上げる形で、なるべく当初の意図に近づけるような努力をしていきたいと思っております。
 私からの補足は以上です。

【石井部会長】 どうぞ。

【佐和委員】 ESCO事業というのは、そんなに1年で元をとれるものではないんじゃないんですか。つまり今後何年かにわたって、この効果は意識していくと。ですからESCOサービスという事業をやった当該年について、こういう比較してどうのこうのというのはちょっとおかしい気がするんですけど。

【仁井国環研理事】 ESCO事業一般としては、当然そういうところはあるかと思いますが、今回の費用的な面でのロスに関しての要因というのは、新たに井戸を掘って、それを浄化して上水の一部として使うと、こういう構想だったわけですね。そこのところでの水というのが、各実験棟に分散しているミジンコの飼育、人間には問題ないとしても、ミジンコの飼育には適さない水であったという事ですので、ここの部分については今後も変わらないと考えています。

【佐和委員】 それは最後におっしゃったことで、その前に、3ページ目の上のグラフを用いて、これは予想外に効果が乏しかったというような表現をなさったかと思うんですけども、それは考え方としておかしいのではないかなというふうに思うんです。

【石井部会長】 この年度、要するに17年度の予算として考えた、この削減数に達しなかったという、そういうご報告ですね、これは。

【仁井国環研理事】 一般的なESCO、先生がおっしゃるところだろうと思います。ただ、今回の場合は、予定していた基本の手段というのが、用途に適応しない、あるいはこちら側の都合でその用途に使うことを止めたということでございますので、いわば今後6年間契約という中での大きい要素がこれからも欠落しているという、ある種、構造に響く話かなというふうに私どもとしては認識しています。

【佐和委員】 こういうESCOというのは、一般に初年度はかくがくしかじかのサービス料をとられたと。そうすると、次年度からは徐々に漸減していくものですよね。

【高木委員】 私の方で質問させていただいたわけですけど、なぜ質問させていただいたかと言いますと、私、昨年の実績報告書でESCO事業への取り組みが書かれていて、なかなか先駆的な、前向きな取り組みだなと、環境への配慮とともにコストの削減という両方が狙えるという、非常に前向きな取り組みだなと思っておりましたのですけども、それがいかがになったかなという期待を持ちながら実績報告書を拝見したわけです。ところが、実績報告書には簡単な、二、三行の文章しかなくて、かつ、いろいろ他のデータを見ていますと、どうも所期の目的は、この第1年度においては達していなかったのではないかなと。
 もちろん、佐和先生がおっしゃるように、私も単年で必ずしも評価すべきでないと思っています。ではどうするべきかというと、初期の成果を単年度から上げているのであればよろしいのですけども、単年度から挙げていないのであるならば、成果を上げるように、どういうふうな取り組みをこれから国立環境研究所としてしていくべきなのかと、その辺の分析がされているかどうか、ここのところが一番重要なわけです。実績報告書を見る限りでは、全然その辺のところについて顧みようというのを感じないわけです。これ、実績報告書としては、僕はとんでもない記載だと思っているのですね。
 といいますのは、5月ぐらいに作られているはずですから、その5月の時点で、このESCOについて初年度の状況は、明らかに評価できるような段階になっているわけですよね。それを何も書かずに、実績報告書が作られている。これがとんでもないというふうに思っているのですけども。
 今回ご報告いただいたところも、状況はこれでよくわかったのですが、今後どうされていくのか。地下水の問題は非常によくわかりましたけれども、もう一つ、削減実績額が当初の予定を達していないのに冷房設備の高効率化の部分があるわけですね。ここのところで約1,000万の削減予定額の開きが出ている。ここのところについて、なぜ実績が少なかったのか。今後、ここのところを改善に持っていける可能性があるのかどうか。この辺のところの言及までしていただけると、ありがたかったかなと思うんですね。
 私は個人的には、コストが多少かかった場合、所期の削減の達成しなかった場合には、環境負荷の減少というところとのパフォーマンスと、どういうふうに考えるかなというところであろうと思いますし、そこのところでコストの方がパフォーマンスより上回るということであるならば中止という線も考えられるかと思いますが、削減されていること自体は事実なので、その辺のところも捉えてどういうふうに判断するかということではないかと思います。その辺のところまでいろいろ言及していただくと、すばらしい実績報告書になったのではないかと思います。

【仁井国環研理事】 率直に申し上げまして、コメントいただいてから、環境面、費用面、とりあえず現状を整理しようということで、このペーパーを整理して、今日に間に合わせたといったところでございます。
 地下水については、せっかく掘った井戸について、こういう有効利用の仕方があるよねというのがあるのですが、ここら辺の、今、見込額とギャップのあるような部分、これはESCO事業トータルとしてはパッケージで見てどうのという部分はあるのですけど、いわば、さらに効率を上げる余地の期待できる部分だと思いますので、そこら辺については私どもとしても事業者側と議論いたしまして、まさにエネルギーを効率化する、COを減らすと、そういうところに向けて協議を進めたいと思います。今の時点でもう少し、この見込みを、大まかでも係数でということに関しては、もう少し時間をちょうだいしたいと思います。

【石井部会長】 ちょっと伺いますが、この冷房施設の高効率化というのは、地下水を使わなくなったということとは関係ない。

【仁井国環研理事】 独立しています。

【石井部会長】 独立している問題ですか。これは原因が何かということは、大体、同定できているわけですか。

【柏木国環研総務部長】 冷房設備の高効率化で効果が十分上がっていないというのは、要するに冷房負荷が少なかった。要するに、冷房を強くやらなければいけない場面が少なくて、これの出番が少なかったというようなことでございます。ですから、冷房負荷が高まるような事態であれば、この機械が使えて効果が発揮できるという、そういうものです。

【石井部会長】 全体としては安上がりだけど、目減り分が小さくなったと、そういう分析結果ですか。
 それからもう一つ、地下水の利用、上水にブレンドして使うというのは、およそ全部やめたということですか。

【仁井国環研理事】 そうです。

【石井部会長】 ミジンコのところだけ別に真水、それは出来ない。

【仁井国環研理事】 配管の分離が出来ないという。

【石井部会長】 それからもう一つは、この地下水を利用する為に井戸を掘った、あるいは掘り直したか、何かなさったのですね。

【仁井国環研理事】 はい。

【石井部会長】 そのコストが別にあるわけですね。

【仁井国環研理事】 そのコストは、いわばESCOのサービス料という形で、6年間にわたって支払わざるを得ない。それはこちらの責で、言葉を悪く言えば勝手に使わないという事なので、ESCO事業者側の責にする訳にはいかなくて、その初期投資を回収する部分については、ESCO事業費、これからもその部分については支払わざるを得ないわけです。

【石井部会長】 その数字はこの表の中に、どこか表れているのですか。

【柏木国環研総務部長】 いえ、表れておりません。一応この地下水の関係ですと、井戸を掘削した費用、それを維持管理していく面と、両方コストがございます。後者の方は、もう井戸を使わないということになりましたので、そういう意味では700万円ほどかかっていた維持管理部分はESCOサービス料から差し引かれることになります。

【石井部会長】 さっきメダカに使うとおっしゃった。地下水はメダカに。ということは、メンテナンスはやっぱり要るのではないですか。

【柏木国環研総務部長】 いや、今はですね、あ、メダカですか。

【石井部会長】 つまり、全然使わなくなったのか、それとも部分的にはブレンドはやめたけど、その地下水は地下水として何かお使いになる。それは、その井戸のメンテナンスのお金は要るわけです。

【仁井国環研理事】 すみません。説明が稚拙で申しわけないのですが、いわばESCO事業の枠内としては、上水にブレンドとして上水の使用料を減らすというのが、これがESCO事業の枠内で、それについてはある意味でもう止めたということです。それから、井戸自身はもう既にありますので、ESCO事業の枠外として、せっかく掘った井戸の水は、ESCOの事業の外で私どもが所として圃場なりメダカなりに使うと。そこはまたそこで、ポンプ費用等はありますけれど、新たに井戸を掘って確保するよりは効果的だと、それはそういうことです。

【石井部会長】 ESCO事業はそうでしょう。枠を取ればね。だけど、研究所全体の財務の効率化であるとか、環境配慮という点では…。

【仁井国環研理事】 おっしゃるとおりで来年あるいはこのESCO終了時については、契約上のESCO事業としての評価と、外枠でこういう有効利用した部分も含めた形で、少し整理してご説明申し上げたいと思います。

【石井部会長】 現在の時点では、まだ、そこのところの総括をする段階までに至っていないと。

【仁井国環研理事】 至っていません。まだ、現実に使用というのは今年度からの話になりますので。

【石井部会長】 佐和先生、そんなところでよろしいですか。

【三橋委員】 ちょっと関連して質問をさせてください。
 ESCO事業の契約の中で井戸を掘ったお金が700万ぐらいかかりましたと。そういう事ではないのですか。

【柏木国環研総務部長】 すみません。井戸を掘った関係は、約7,000万ぐらいであります。それを6年かけて返していくことになりますけども、それと合わせて、毎年の運転管理コストみたいなのが700万ぐらいになるということです。

【三橋委員】 ESCO事業の契約をする場合、成果主義でやるのが普通ではないのですか。7,000万かけて井戸を掘っちゃって、その効果があるかどうかは判らない訳でしょう。そのミジンコの問題も出てきた訳ですから。普通は、そのESCO事業というのは、節約できたコストの中からESCO代を払うという契約をするんだろうと思うのですけれどね。そういう契約ではなかったですか。

【仁井国環研理事】 大枠の契約としてはそういう契約なんです。要するに、上水にブレンドして一般の職員用の水にも何の水にも使う。その水の水質として一般上水用では何ら欠陥があるわけではない。ただ、ミジンコの生育に対してはうまくないと。あえて言えば、ユーザー側が自発的に使うのを止めてしまったということなので、使っていて結果として効率が悪かったのなら、それはESCO事業者側のやり方が悪かったというので、そちら側の責で持っていけるんですが、いわばこちら側が勝手に使うのを、ブレンドするのを止めたという構造なものですので、そこの部分のところは、いわば補償額といったようなものを引き出せるものではないというふうに承知しております。

【石井部会長】 難しいですね。エスコ事業をエスコ事業として独立に評価するのか、財務全体の効率化という大きなどんぶりの問題として評価するかということかなと思うのですが。

【仁井国環研理事】 ですから、ぜひお願いしたいのは、少なくとも省エネルギー、脱COという、そこの部分についてのパフォーマンスは、素直に発現できている別ということについてはご理解を賜りたいと存じます。

【高木委員】 先生、私は両方の側面から見ざるを得ないのではないかと思います。

【仁井国環研理事】 5番でのコメントでしたが、やはりお金との絡みでしたので、3のところでお話しさせていただく筋だろうと思い説明させて頂きました。

【石井部会長】 わかりました。
 高木委員の貴重なご質問の結果、なかなか大変な問題が見つかったという事でありまして、我々の全体の評価も少し、ここで考え直さなければいけないのかとも思うのですが。
 もう1人、小池委員もBをつけていらっしゃいますね。I-3。

【小池委員】 これは書いているとおりですね。Bというのが通常と。ですから、Aはそれを超えているという。Bの場合は目標どおりということでBと書きました。

【石井部会長】 高木委員がこのご質問をなさったのは、I-5に関するご質問だったわけですね。

【高木委員】 そうです。

【石井部会長】 これが、一生懸命やったんだけれども、ミジンコのせいで微塵と砕けちゃったと、こういうわけなので、どういうふうに評価したらいいのかという別の問題がありますが。いかがでしょうか。今度はさっき言ったことと逆になりますが、Aをおつけになった方、この際、ちょっとやっぱり考え直そうという委員がいらしたら、ご発言いただければと思います。

【佐和委員】 僕もBをつけた。

【石井部会長】 いやいや、I-3の問題で、3人おつけになって、佐和先生は今、意見を伺いましたから。

【佐和委員】 いやいや、全然違うのです。ミジンコのところは関係ない。

【高木委員】 私は先ほどESCOに関して、財務の効率化という観点からも評価した方がいいのではないかというふうに申し上げたのですが、それは変わらないのですけども、取り組みについて、必ずしも総て成功するという話ではないわけでして、多少もくろみが合致しないということは出ていたとしても、これは致し方ないと思うんです。むしろ、私は、ESCOという新規な取り組みに取り組んだことは、個人的には非常に評価しております。たまさか1年のところを見たところで、所期の目的を挙げていないということについて、これは評価できないと言えると思うのですけれども、気になっているのは、今後どうなるのかという所ですね。今後、先行きが暗いという事であるならば、今回の評価においてもかなりの影響を与えると思いますし、必ずしも暗くないんだ、明るいんだということであるならば、今回の評価に少なくともマイナスの影響は与えないのかなというふうに思うところなんですが。どうも、先ほどの仁井理事のお話からすると、今後についてまだ十分分析に至っていないという事の様である様ですが。

【石井部会長】 ちょっと私の言い方も混乱して申し訳ございませんでした。とりあえず、I-3についてご議論をお願いしたいと思っておりまして、I-3については、3人の方がBをつけていらっしゃるということでありましたが、井戸を掘ったとか、さまざまなあれで、要するに財務の効率化としてエスコに取り組んだのはいいんだけれども、実際の財務の効率化という観点で見た場合に、どういう評価をするかというのがI-3の問題だと思いますので。私は不明にして、そのエスコの問題のことに気がつきませんでしたのでAをつけたのですが、それでよかったのかなという迷いは、正直言って持つに至ったということなので。

【佐和委員】 僕は全然ESCOには関係ないことを申し上げているのです。14、15、16年のときから、外部資金の獲得金額が約1割減っているのですね。手元に資料がないのでわかりませんが、14、15、16は割と比較的に順調に伸びていったのに、がくんと落ちていると。それから、自己収入総額もまたかなり減少しているという点を指摘して、ただし、中期目標がひとまず達成されているということでBをつけました。

【石井部会長】 それはわかっているのです。ですから逆に、Aをおつけになった先生に私は今、伺っているんです。

【三橋委員】 このI-3の評価については、あくまで当初見込みとの比較ということで評価をするということであれば目標達成をしていると。過去よりも少なくなっている、いろいろな事情があると思いますけれども、それはそれなりの事情があってそうなっているわけで、その中での自己収入を増やしていくということについては評価していいということで、私はAをつけています。

【石井部会長】 ありがとうございました。
 特にAをおつけになった先生でご意見がなければ、自分は評価を変えるつもりはないというふうに理解してよろしいでしょうか。
 そうすると大変難しいところですが、一応今までの原則からいうとAということになるのかもしれませんが。これはもちろん最終的な評価ではなくて、概ね今日はこんなところでということで、また次回に議論を継続したいと思います。気持ち、AダッシュかAマイナスぐらいにしておいていただきます。
 では、次に、施設の運用であります。これは高木委員のコメントと評点、それから森本委員もBをつけられているということで、何かコメントをいただきましょうか。

【高木委員】 私の方で、具体的に書いておりますのでコメントさせていただきます。
 前回のここでも申し上げましたけども、効率的な施設運用というところでは、スペース課金制度を目玉にされておるのですけども、マージナルな段階に入っているのではないかというのが私の見方でありますし、そのコメントを申し上げたときに、国環研サイドもそれに同調されるような感を受けたのですけども、その辺のところは今回のデータを見ていましてもはっきりしているのではないか。そういうことからしますと、SあるいはAという評価はし難いなというところでBにしたということでございます。

【石井部会長】 ありがとうございました。何か特に。

【柏木国環研総務部長】 今、高木委員がご指摘になった件でありますけども、おっしゃるように研究所自体、建物が分散配置されていますので、そういう意味で、スペース課金制度だけで全体を最適配置といいますか、スペースを最適配分するというのはなかなか難しい。用途にもう限られてしまう。ですから、空いていたところに違う研究系の人が入るというのはなかなか難しい。そういう意味では、全体的に最適化するというのは、この制度だけでは難しいという風に私は思っております。
 ただ、我々がその中でやってきましたのは、毎年度、空きスペースを登録していただいて、課金をかけるということで登録のインセンティブが出てくる訳でありますけども、その中で出てきたスペースについて、例えば組織編成、16年度以前、いろいろご報告しておりますけども、黄砂研究チームですとか、GOSAT研究チームだとか、必要に応じて、そういった組織編成をしなければいけない。あるいは研究職員も増員をしてきたということがありまして、それらに対するスペースの配分という意味では有効に機能してきたのではないかと思っております。
 研究所全体のスペースの有効利用というと、確かに言い過ぎの面はあるかと思いますけども、今、申し上げたような、研究の状況に応じて必要なスペースを最小限確保するという意味では、この制度は機能しているのではないかと思っております。
 それから、高木委員のおっしゃった空きスペース、再配分のスペースがどんどん減っているということでありますが、実は17年度は174平米しか再配分しておりませんけれども、一方で268平米は留保して18年度の組織編成に使うということで、別個取っておったということで、そういう意味で17年度は再配分のスペースの量が少なかったという事情があるということはご理解いただければというふうに思います。
 それから、石井部会長からもスペース課金制度について、どういう見直しをされているのかというようなご指摘でありますが、私どももできるだけ、これは研究計画などによって、必ずしも無理やりにスペースをひっぺがすというわけにはまいりませんけれども、不必要なスペースを確保されるというような状況がないように出来るだけしていきたいと。そういう意味では研究者からも意見を聞きまして、今回、改善をしております。
 改善点は3点ございまして、これはそれぞれ研究者からの要望なども踏まえまして講じたものでございます。第1点目は、課金単価について平米当たり2万円だったのを1万円に引き下げております。これは、課金額を下げたということでありますが、実際上は2万円ということで、これまで単価設定しておりましたけども、1万円分についてはユニットの方に還元して有効活用していただくということでやっておりましたので、ユニット単位で見れば、実質的には1万円の課金単価であったということであります。ただ、個々の研究員から見ると2万円ということなので、その辺の負担を解消しようということで1万円にしたということであります。
 それから2つ目は、徴収した課金の使途が必ずしも明確ではない。基本的には研究基盤整備に充てるということで、8,000万、9,000万出てきたものについて、研究基盤整備ということで、研究機器等の購入に使っていただくということでやっておりましたけれども、具体的に、徴収した課金がどの研究機器に替わったのか、購入に貢献したのかといったことが必ずしもはっきりしないということもありますので、そういうことをきちっと明示して研究員の理解を頂くようにすると。
 それから3点目ですけども、使用スペースの不均衡の是正と。課金は経済的インセンティブをつけるということでありますので、予算を持っているところは、そういう意味では非常にスペースを確保する余力があるという事でありますが、その結果、必ずしも有効に利用されていない面もあろうかと思いますので、それについてはスペースの利用状況を調査、インスペクションして、お金の面だけでなく、実態上、改善すべき点は改善するような方向で制度の運用をしていきたいと。そういう事で、今年度から新制度のもとでスペース課金制度の運用を行っているという事でございます。
 以上です。

【石井部会長】 ほかに何か、ご発言、よろしいでしょうか。
 特にないようでしたらば、これもAマイナスぐらいの所で本日は進めていきたいと思います。
 なお、先ほどから特にメンションしませんでしたけども、コメントとしてどういう事項を組み込んでいくかということにつきましては、事務局で十分ご発言をメモしておいていただきたいと思います。
 なお、私のところのコメントは、スペース課金については若干疑問を呈し、Aにしているのは、それとは違うところのポイントで評価していると。しかし、その他にスペース課金制度そのものを評価していらっしゃる委員ももちろんいらっしゃるという事で、観点が違う訳であります。その辺をどうするか、コメントとしてどう扱うかは、これからの研究所がこのスペース課金制度についてどういう構想を持っていらっしゃるかにも関わりますので、十分事務局で整理しておいて下さい。
 それでは、先ほど大分議論してしまいましたが、I-5でありますが、これは珍しく全員Aでございますので、Aということで進ませていただきます。結果はともあれ、ESCOに取り組んだのは大変よいということで、先ほど高木委員からのご発言もあったわけでございまして、環境研究所である以上、当然だとはいえ、優れた成果をお出しになっているということであります。
 次にI-6は、3の財務の効率化というところで評価をいたしましたので、ここは独自の評価をしないで、I-7に移ります。業務実績の事項別評価、業務運営の進行管理というところであります。
 佐和委員、Bをつけていらっしゃいましたが、特に何か付け加えることはございますか。

【佐和委員】 やはり研究計画という策定のところに問題があると感じたわけで、もう少し前向きな計画の、例えばと書いていますが、外部者の意見を参考するとか、過去数年間の研究業績を見ての軌道修正など、そういったことを、よりいいものに変えていこうという努力が余り認められないという意見であります。

【石井部会長】 ありがとうございます。
 私も似たような、ちょっと書き方が違いますが、昨年、提起した疑問について、今年どうなさったのかということが、報告書の中からは十分読み取れなかったというコメントでありますが、特に何か、これについて。

【西岡国環研理事】 お答えいたします。
 まず私ども、外部評価委員会からいただいた意見につきましては、かなり充実した回答を行い、対応した研究の見直しをやっているという話をさせていただきたいと思います。
 通常、毎年、外部評価委員会をしますと、20人ぐらいの先生方から、一つのテーマにつきまして二、三の質問が参ります。それを全部書き並べまして、それに対して研究所はどう対応するのかということを所内で担当部署に出しまして、1週間以内にそれに答えろということで答えてもらいます。それを今度は私も含めました幹部で、この対応でいいんだろうかということを確認し、そして修正を加えながら、またきちんとした文書にいたしまして外部評価委員会に戻しております。そして、さらにもう1回御意見をうかがいます。そして、こういうぐあいに研究を直しましたという形で、外部評価委員会の方々のご意見に対してきちんと対応し、研究の修正をしております。
 第2は、それは通常のことだろう。新しい計画に対してどうするんだという話があるかと思います。これは今回、特に昨年度は、18年度からの第2期中期計画をどう立てていくかという段階でありましたので、それを自分たちだけでやるのではなくて、外部評価委員会の方々に都合3回にわたりまして問いかけ、御意見をいただいております。
 最初に、1年前に大体こういうことでやっていきたいんだということを問いかけまして、自由にフリーディスカッションをしていただきました。それを取り入れまして、年度のおしまい、大分固まってきたときに、もう一度、外部評価委員会にお願いいたしまして、そこできちんとした固めた案にして、さらに今年度に入りまして、それを御了承いただいたという形で、その間、多くのご意見をいただいたものをなるべく盛り込むことにしております。
 それからもう一つ、石井委員長からのご指摘に、基盤的研究領域について研究計画が作成されていなかったということについてもご意見を頂いている所でございます。本件私どもも非常に重要に考えておりまして、18年度にこの御意見を十分取れ入れました。18年度の計画については、本日は言う場所ではないのかもしれませんが、私どもは、例えば選択と集中だとか、それから、挑戦と継続といった言い方になりましょうか、必ずしもプロジェクト的なものをやるだけではなく、我々は国の機関として継続的に問題を発掘し、かつ方法を開発し、新しい研究の方向を定めていくという仕事があると思っておりまして、今回、基盤的研究領域についても、明快な研究計画を立てることとし、新しい中期計画には、基盤領域におきましても研究計画の記載がございます。
 基盤研究領域といいますのは、まず、新しい問題は何かということを発見するということもございますし、さらには手法の開発、新しい科学技術はどういうぐあいに向いているんだろうかということをよく押さえてほしい。それから、人材を育成してほしい。この3点が基盤領域の課題だと我々は考えておりまして、それにつきまして、基盤的領域の中で検討しました。そして、やはり基盤的であろうとも、そこでの中核的なプロジェクトは何かということを、1あるいは3題ぐらい挙げて、それに向かってやっていくということを18年度には設定いたしました。
 以上のように、とかく環境の問題は独りよがりになってはいけないところが非常にございますので、私どもといたしましては、外部評価委員会の意見を十分に取り入れてやっていくというスタイルを堅持していきたいと考えております。
 以上です。

【石井部会長】 ありがとうございました。
 私のコメントについては、今、十分対応がなされているという御説明がありましたので、それで氷解いたしました。佐和委員、いかがですか。

【佐和委員】 外部評価委員会の意見を研究計画を反映させていらっしゃるということで、私の提起した問題もお答えいただいたものと思います。

【石井部会長】 ありがとうございます。それでは、これはAとして先に進ませていただきます。
 ということで、今までの小項目の評価をずっと通算してまいりますと、若干Aマイナス点的な項目もございましたが、全体としてはAとして今回はよろしいかなと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、そのようにして先に進ませていただきます。
 次に、大きなIIに入るわけでございますが、II-1-(1)環境研究の充実というところでございますが、三橋委員、何かコメントがおありでしょうか。

【三橋委員】 ここに書いてあるとおりなんですが、国立環境研究所は非常に高度な研究をしているわけですけども、特に地球環境問題というのはいろんな形で、政策へのアプローチとか、そういうことが重要になってくると思うのですね。そういう点で、やはり社会人文科学系の研究者の協力が、ここでの研究の中で今後ますます重要になってくるのだろうなということなので、その辺をもうちょっと強化するような方向で研究を進めてほしいなと思っています。

【石井部会長】 私も、実は評点はAですが、同じようなことを書いておりますので、何か、西岡さんの方から。

【西岡国環研理事】 私の方からお答えさせていただきます。
 現状から言いますと、いわゆる学部の印からいいまして、社会科学あるいは人文科学系といいますのは5人でございます。経済が3人、法学が1人、国際関係が1人おりますが、そういう状況でございます。それから、この社会科学系をさらに充実することにつきましては、この委員会でもございますが、外部評価委員会からも強く要望されているところでありまして、私共、それに対して非常に前向きに取り組みたいとは思っております。
 ただ、何度も申しますけれども、人の枠は予算で縛られておりまして、なかなか人の入れかえができないという状況がございました。また、これはマトリックス型の人事管理をやっておりまして、それぞれの系の枠というのはある程度決まっていた部分もございますので、そういうところがネックにはなっておるわけでございますけれども、今回そういう枠を外しまして、言ってみれば理事長の意向で、強くこの社会系の人をもっと集めていこうではないかという方向で考えております。
 ただ、私どもの仕事自身が、いわゆる融合の部門が非常に大切でして、もちろん経済、法学等々の方々に入っていただいて、いわゆる自然科学の部門と融合してやっていただくという方向を目指しておりますが、また逆に、現在、社会科学的なところにいろいろと手を伸ばしております工学あるいは農学等々、そういった自然科学の人材も少々トレーニングをいたしまして、そういう方向に向かすということも同時に考えていきたいと考えております。
 また、人の話だけではなく、枠として社会科学系の情報あるいは共同研究を入れたいということもございまして、東大が旗を振っております、持続可能学、COEにも参加し、教育しておりますし、あるいはIHDP関係のグローバル・カーボン・プロジェクトについても、国際的に参加して進めておるというところでございます。
 ついでにもう一つ申し上げますけれども、全所的なプロジェクトといたしまして、長期ビジョン研究、環境問題を長期にどう見ていくかといった研究を始めた所でございますが、こういったところにも研究者が参加致しまして、そういうセンスを養うと同時に、こういうところに、ぜひ社会科学系あるいは人文系の方を入れていきたいということで募集中でございます。
 以上です。

【石井部会長】 ありがとうございました。
 マトリックス構造との関係をお触れになりましたが、それは人文科学系の人はマトリックスの原則を適用しないこともあるという、そういうことですか。

【西岡国環研理事】 そういうことではなくて、今、申しました、18年度からは、社会科学系の枠はこれしかないよというようなものをなくしまして、理事長主導で、社会科学をどんどんとろうではないかという方向を明確にしたということでございます。

【石井部会長】 何か、ご発言ありますでしょうか。
 それでは、ここは一応Aということで進ませていただきます。
 次に、重点研究分野でありますが、これも佐和委員が費用対効果の問題をご指摘ですが、大学が良すぎるということもある。

【佐和委員】 費用が少な過ぎる。

【石井部会長】 そうそう。大学にいた人間から見ますと、国環研は大変うらやましいなと思ったこともないわけではないということだけは、国環研関係者に一度ぐらいは申し上げておきたいなと。
 逆にと言ったらおかしいけど、Sをおつけになった西間委員がいらっしゃいますが、何かコメントはありますか。

【西間委員】 管理運営では、国環研は分が悪かったようですけど、私はそちらはよくわからないので、研究の方をじっくり見たのですけど、国環研のいろいろな研究の展望がかなり、私なりに把握できて、重点項目のつけ方もいいし、中身も随分おもしろいデータがたくさんあるので、自分の得意分野の疫学のところの考察にでも、いろいろ使える基礎データが実にたくさんあるということで、これはすばらしいと。いろいろ運営上の問題はあろうとしても、結果がよければすべていいという、研究の成果が実にいい研究をしていると私は思いましたので、Sをつけました。

【石井部会長】 総合的に点をならしますとAになりますが、ただいまのコメントはしかるべく言語として組み込んでいただくよう、事務局にお願いしておきます。
 それでは次に、II-1-(3)-ア、重点特別研究のプロジェクトであります。これについては、森本委員がBをここではおつけになっているということで、何か。ご欠席ですか。そうすると佐和委員と西間委員と、先ほどの顔ぶれと全く同じことになりますので。
 佐和委員は、費用対効果というのは、ここではむしろ中身のことをおっしゃっていますか。

【佐和委員】 確か私の記憶ですと、外部評価委員会の各重点領域の採点で、3.幾つかとか4.幾つかという点数からすると、地球温暖化については、確か一番点数が、小数点以下のところでの違いですけれども、高かったかと思うのですが、私なんかが外部から見ていると、いわゆるAIMモデルへの依存度が余りにも高過ぎて、それをもう一歩踏み出したような、場合によっては定性的と言ってもいいかもしれませんが、そういう分析とか、政策提言につながるような研究が不十分だと思うのですね。しかも、これも使っているお金を見て、昨年か何かに私、余りにもその膨大さに呆れ返った記憶があるんですけども、その割にはということでございます。

【西岡国環研理事】 私がそちらに近いものですから、地球温暖化の研究でのいろんな発表で、つい、AIMのモデルの話をいたしますけれども、全体といたしましては、最近はむしろ物理的な結果が政策に非常に影響を及ぼすという状況に、私はなっていると思っております。その物理的な影響といいますのは、今日の新聞にも載っていましたけれども、例えば、北方洋の氷が溶け始めたとか、そういう話がございます。
 今、私どもの研究の中で、そういう面でインパクトがあるのが、例えば2100年までのスーパーコンピューターを用いたシミュレーションですね。これが非常に今、政策決定にも役に立つものになっております。あるいは、私どもで吸収源の問題をやっておりますが、どこまで一体地球が吸収できるか。非常に大きな問題ですが、私どもで、窒素・酸素比を測るということで、概ねの地球吸収量、特に生態系の吸収量を推算したのですが、そういうところが今一番、ある意味では、政策の中核になりつつあるなと私は思っております。
 しかしながら、今、佐和委員のおっしゃったことは、いわゆるAIMだけに頼ることなく、もう少し政策的な意味での定性的な分析をやるべきではないかということで、私は、おっしゃるように社会科学でちょっと手薄なところもあって、十分でないところはあるかと思います。
 しかし、ご承知のように、例えば久保田というのがおりますが、今、適応策というのが非常に問題になっておりまして、彼女は国の交渉団の中で、そういう分野を受け持って、現状で何があるかということを分析して、それを国の委員会に報告して、今後どういう方向で行くかということを検討しておりますし、あるいは亀山の方は、国際政治の観点から、この問題をどう取り扱うかということについての多くの著書等々も書いておるということもありまして、そういうことを核にして、私ども、今ご指摘のあったような形にだんだん持っていきたいと思っております。

【佐和委員】 適応策の具体例を一、二、挙げていただきたい。

【西岡国環研理事】 今、適応策は、具体的に言いますと、地球全体、どこが一番バルネラブルであるかという話から始まるんですけども、それはかなり工学的な話があります。今、適応策と、それから抑制策のバランスをどう持っていくかということもあります。それから、国際的な問題としては、適応策の方は、まず途上国が割を食うということがありますから、公平性の問題が非常に論議になりまして、そのあたりが現在のUNFCCCの交渉の中で、いろんな言い方でされているものですから、それを整理していこうということがあります。
 日本の観点から言いますと、適応策などというのは非常にアジアに向けてのODA的な意味でも、非常に重要なポイントになってきているのではないかと思っております。

【佐和委員】 かなり社会科学的なんですね。

【西岡国環研理事】 そうですね。そういう観点からやっていきたいと思っております。

【石井部会長】 ありがとうございました。
 次の項目でも、佐和委員は同じような問題を提起しておられるので、ただ今のお答えでよろしいですか。

【佐和委員】 はい。

【石井部会長】 それでは、重点特別研究プロジェクト、Aということで先に進ませていただきます。
 次のイ、政策対応型調査研究、ここでは、佐和委員には今お答えいただきましたので、坂本委員、特によい点を挙げておられますが、何かコメントはありますでしょうか。

【坂本委員】 これは循環型社会形成推進、環境対策に関する調査研究ということで、これは、確かこの中期計画が始まった頃、立ち上がって、当初の3年までぐらいは、2年目まではほとんど、本当、何か出来るのかなという感じで見ていたものが、3年目ぐらいから結果が出てきて、前回のときにも幾つか、私は質問したんですが、かなり政策対応型ということで打ち出して、当初は見えなかったものがきちんと成果が出てきたということで、ここに書いてあるとおりの評価でございます。

【石井部会長】 ありがとうございました。
 それでは、総合評価Aということで先に進ませていただきます。
 次がウであります。基盤的調査研究。ここでは、Bをつけているのは私だけですので、説明しますと、ここに書いてあるとおり、奨励研究の課題数が減少していることが気がかりだと。それから、「基盤的調査研究」の枠の中で「将来の重点特別研究プロジェクトに発展させるべき研究」の奨励を行うというのは、果たして適当なポリシーか。つまり、基盤的調査研究というものと、重点特別でやっていくべきものとは、シーズと展開の関係になるものなのかという、これは一種の質問なんですが。これについて何か、簡単にお答えいただければ。

【西岡国環研理事】 西岡が答えさせていただきます。
 今、その「か」ということに対して、我々はそうであるという答えをしたいと思っております。といいますのは、私ども、いわゆる政府の周辺機関であるということがありまして、やはりいつも政策を念頭において、先を見た研究を進めていかなければいけない。これが大学との違いといいますか、大学は普遍的に、どういう問題があろうと一般的なところをきちんと押さえていくということがございましょうが、そういうのとちょっと性格が変わっているかなと私どもは思っております。
 そういう面で、先ほど挑戦と継続ということを申し上げましたけれども、やはり挑戦を続けるための補給部隊といたしましての基盤部門が、きちんと先を見て、手法的にもきちんとしたものを開発し、かつ人を育てていくという役目を持ってございます。出来たら、その中から新しい種が出てくるのは、それは手法の意味もございますし、あるいはテーマといった意味もあるかと思いますけれども、そういうプロセスで、私どもは全体を構成しているということを申し上げます。
 それから、奨励研究の課題数が減少しているということでございますが、確かに減少しておるのですけれども、これはちょうど奨励研究も数年続けた後、フォローアップの調査をいたしました。これは、それぞれやった人に、どういう形であなたのは論文になりましたかとか、あるいは、そのことが次の研究にどうフォローされましたかということを調べる。それから上司からのヒアリングで、それが役に立ったかということを調査いたしました。結果といたしましては、例えば奨励研究、大体200万から300万ぐらい、若い人を中心に与えるわけですけれども、確実に0.74本といいますか、1本弱の論文は出ておると。口頭発表はもちろん、2本ぐらいをやっているということがございました。
 そういうことを踏まえまして、ユニット長の評価といたしましては、90%のユニット長が、今のやり方をもう一度モデファイしなければいけないとしても、この奨励研究というのは役に立っているだろうということでございます。
 しかしながら、その評価の中では、だんだん多くなってきたものですから、もう少し競争的雰囲気をきちんとするべきではないか、もう一度締め直して、ある程度、絞った形でやっていく必要があるだろうということで、奨励研究の課題もやや絞った形にしております。

【石井部会長】 これはそうすると、手を挙げた人は多いけれども、政策的に絞ったんだと、競争的環境を作るために。そういう意味ですか。

【西岡国環研理事】 そうです。

【石井部会長】 基盤的調査研究というのは、言葉は似ているけど、大学における基盤研究とは違うものだと理解しておられるようですが、具体的に何か、ここから重点特別研究プロジェクトに発展したという実例があったら。1つでも結構ですので。

【西岡国環研理事】 幾つか例を挙げさせてもらいますと、まず、奨励研究はたくさんあるものですから、その幾つかは新しいプロジェクトの一つの要素にはなっております。むしろ私どもといたしまして、奨励研究よりもう少し大きい特別研究の方が、そのプロジェクトの玉ではないかと思っておりますけれども、今回2件、終了したものがございまして、一つは有害化学物質の生態内高次メモリー機構の解明と、それに基づくリスク評価手法の開発という話でございますが、これが新しいリスクセンターのプロジェクトに入ったとか、そういう例がもう一つございます。もう一つの例は、感受性要因に着目した化学物質の健康影響評価も同じくプロジェクトに入りました。これが言ってみれば、次の種を育てたというものになるかと思います。
 もう一つ、これは特別研究の評価の例でございますけれども、湖沼における有機炭素の物質抽出というのをずっと続けてやっていったのが、今度、琵琶湖賞をもらうということもございました。こういう奨励研究あるいは特別研究が、確実に次の世代のものに機能していると私どもは判断しております。

【石井部会長】 いや、だから、基盤の方。

【西岡国環研理事】 すみません。奨励研究だとか特別研究というのは、主として基盤研究領域が行う研究でございます。

【石井部会長】 はい、わかりました。それでは、Aということで進ませていただきます。

【小池委員】 環境研の場合、基盤領域というか、どこの分野に属しているかという、デュアルで属しているというシステムをとられているんですけども、この基盤分野だけに専任でやられている方というのは、全体の研究者のどれぐらいの割合がいるのですか。

【西岡国環研理事】 数え方によりますけども、今、半分半分です。プロジェクトが100人、基盤の領域におる者が100人です。

【小池委員】 その場合は、基盤のところにいる方は、先ほど言った重点とか、そういうプロジェクトとは直接は関係しないでやられていると。

【西岡国環研理事】 18年度の話になってしまうのですけれども、プログラムは4つございます。それに対して基盤の領域は6つございます。そことの関係は、プロジェクトの方で、こっちでもやっておいてほしいよというような研究がありまして、それは関連研究と称しておりますけれども、そういう形で、基盤で立てて、お互いに入れ子になってやっているという状況でございます。
 だから基盤の方から言いますと、そういう研究もありますし、あるいは、その分野特有の、自分たちで解決できるような問題について委託を受けてやるものもございますし、あるいは今の奨励だとか特別研究で、長期的をにらんでやる研究もあります。そういうミックスで基盤の方は進んでおります。

【石井部会長】 そうすると、重点のプロジェクトの方に属しておられる100人の方というのは、専らそのプロジェクトの研究をなさっている。基盤はなさらない。

【西岡国環研理事】 ええ。選択と集中がございまして、できる限り集中してやっている。では、実際問題として、ご承知のように研究者でございますので、もう5時以降は自分の好きなことをやるというのも、もちろんそれもありでございます。

【石井部会長】 それでは、Aということで進ませていただきます。
 次は知的研究基盤です。これは全部Aですので、評点もAということになります。
 次が研究の構成。佐和委員何か。

【佐和委員】 これは今までと同じ問題ですね、バランスを欠いている。そういう意味です。

【石井部会長】 わかりました。そうすると、先生が先ほどおっしゃったことで共通のコメントになるのだろうと想像致しますので、特になければAとして進ませていただきます。
 次が、研究課題の評価・反映ですが、佐和先生、同じような…。

【佐和委員】 これは同じようなものではなくて、ここは外部評価委員会の評価が結構3点台のものが、どこに出たのか、手元の資料ではわからないのですが、3点台のものが二つ、3つあるということですね。必ずしもよくないと。これは今後の研究計画に真摯に反映していただきたいという、そういう要望でございます。

【石井部会長】 何かコメントありますか。

【西岡国環研理事】 おっしゃる通り、私どもどうしても3が普通だというと、ちょっと上いっているのではないかと自分で思ってしまうのでございますけれども、それではいけないのでして、特にそういうところにつきまして、先ほど申し出ましたように、外部評価委員会からいただいた意見につきましては尊重して、対応したつもりでございますので、さらに強化して、いい方向にいければと考えております。

【石井部会長】 18年度に真摯に反映されるということを期待してということで、進ませていただきます。
 次は成果の普及について、坂本委員と三橋委員がBをおつけになっていらっしゃいますが、何かコメントありますでしょうか。

【坂本委員】 私が書いたのは、そこに書いてあるとおりなのですが、これと同時に、ポスドクとか、非常勤研究員が増えている。その一方、彼らが次のステップを踏むためにいろいろなことを考えなければいけないと同時に考えた場合は、果たしてどうなのだろうかというような感じで、研究の質とそれからモチベーションを維持し続けるものを考えてほしいと前のところで書いた、Bという形にしたものと同じことで、ポスドクを2回ぐらいやってくるぐらいなると、ポスドク崩れではないけど、なかなかその後のステップを踏む人となかなか踏めない人が出てきてしまうようなところを何か考えられないだろうか。やはりその意味では、業績を上げていくための工夫と同時にやっていただきたいと、そういう意味で書いてございます。

【三橋委員】 私がB評価にしているのは、ここに書いてあるように、一般国民にもっと知ってもらうためには、さらに易しく成果を解説して、全国紙の掲載率を高める努力が必要だというふうに書いておきました。
 国環研では最近、非常に重要で意味のある研究成果は出てきているわけですけれど、それを普通の言葉で、できるだけ一般紙の記者に解説してもらって、納得させて、それを全国紙に掲載する努力というのは、これから非常に必要になってくると思うのですね。だから、そのためのやり方はいろいろあると思うのですよ。例えば、私など新聞社出身の人間から言えば、部長クラス、単に環境をやっている社会部長とか科学技術部長ということではなくて、経済部長とかデスクとか、そういうような人たちに何らかの機会で集まってもらって、これは非常に重要なのだという話をするような機会を作るとか、そういう形で、新聞記者の中でもどうしてもやはり国環研の研究成果は特殊扱いされている可能性があるのですね。だから、それを今や一般ニュースとして非常に重要なのだと、人類の将来にも非常に、特に温暖化の問題などは大きな影響を与えるのだと、新聞の編集局の幹部に知ってもらう機会というのをぜひ作って、掲載率を高めてほしいなと。専門誌とか何かに載ったよということだけだとインパクトは弱いような感じがするのです。最近のいろいろないい報告とか、シミュレーション結果などは、うまく話せば、非常に一般紙、全国紙でも載せるのではないかなと私は思っているのですけれどね。

【石井部会長】 この成果の普及という項目は何を評価するのかということが、そもそも問題というか、委員によって少し理解が分かれているわけで、三橋委員がおっしゃったようなものと、もう一つは、例えば先ほどの坂本委員の欧文紙への発表が少ないのが問題ではないかとおっしゃったのでは、問題が違うわけで、これはどちらかというと、前者を問題にする項目なのですかね、普及というのは。

【室石環境研究技術室長】 一般向けと専門家向けの両方の意味をもっています。

【石井部会長】 両方ある。昨年のコメントは、研究成果が形となって表れてきたと考えられる。評価できるが、今後も引き続き国民への普及のための取り組みの強化を期待するという、かなり両方を対象にしているわけで、一応これは両方とも評価対象にするという観点として持っていくという理解で進めたいと思います。
 今、配っていただいたのは何ですか。

【西岡国環研理事】 研究成果ということで、もしご質問がありましたらということで用意をしております。

【石井部会長】 ではそういうことで。この後の活用・促進とか、広報、啓発等の項目にいろいろ関係あると思いますので、それではまとめてここでご説明いただきましょうか。

【西岡国環研理事】 この絵は、昨年、総合科学技術会議に報告したときの絵でございます。私の研究成果の普及をどういう観点からやっていこうかということで絵が描いてございますが、今、お話のありました、例えば研究成果と言いますのは、論文の形になったものと、多分真ん中にある、我々の成果ではないかなと思っています。この研究成果の中には、例えば形としては論文、あるいは知的所有権の問題、特許の問題、それから人の中に集まっている知恵とか、それからデータというのがあるかなと思っておりますが、それをいろいろな形で普及を全体としてやる。一つの戦略といいましょうか、そういうものを書いたものでございます。紫で書かれているのは、その対象、オーディエンスでございますけれども、そこに向かって我々はどういう活動を今やっているかということでございます。
 今、まず第一のご質問の中で、研究の学会の発表というのがどこに入るのだろうかということでございますが、それは下の方の研究コミュニティに対する一つの協力、あるいはアウトプットのアウトリーチの形態ではないかなと思っておりまして、そういう面から論文というのも、そこに入れているいということでございます。それだけでなく、それを通じまして、大学との共同研究等々をやっているということがございます。
 それから、特に地域社会、市民へのPRでございますが、今、三橋委員からマスコミに関する話がございました。私ども、これはやや手薄だと思っておりまして、今後、最初にいただいたようなやり方を強めていきたいと考えております。
 後ほど、特許の件で民間企業とのタイアップがどうだという話がございまして、ご意見の中には、そんなにまだ進んでおらないではないかという話がございましたが、これにつきましても共同研究を42やっています。排ガス等々との関係も自工会と共にやっているということをございます。
 それから、左の方にいきますと、我々の研究結果はどういうときに一番政策反映できるかということでございますけれども、やはり環境省の機関として、環境省だけではございませんけれども、種々の行政の中で反映させていくというのがメーンのパイプでございますが、形式的には審議会等への専門家の参画ということになりますが、実はそれ以前に、毎日毎日電話がかかってきまして、例えば、ある基準を作りたいけれども、そのあたりの科学的なバックグラウンドはどうなっているのかという問い合わせが、それぞれの研究者に企画を通じて入ってくるのが多くありまして、そういう形で我々の研究成果をやっております。
 さらに、ここにごみゼロ社会の挑戦とあります。これは総合科学技術会議でつくりましたものですが、そういうところの中で、言ってみればそこのチームのエンジンとなって、原案を作っていくという形での貢献をやっているということでございます。
 あといろいろな意味でのデータであるとか、自分たちの知恵、知識をきちんと科学の評価をするということに使いたいということで、IPCCの報告書等々もございます。さらに左上には、一般的な話でございますけれども、施設公開をやりまして、3年ぐらい前は施設公開をしても何百人ぐらいしか来なかったのですが、昨年は3,000人のお客様に来ていただきましたし、今年は5,000人になんなんとする方々が来るということで、こういうところに非常に力を入れているという状況であります。
 右は公開シンポジウムで、これはまさに研究の成果をみんなに聞いていただこうということもやっていると。概ね研究成果につきまして全体像ということでちょっとお話をさせていただきましたけれども、既に皆さんの質問をちょっと先取りしたところもございます。

【石井部会長】 ありがとうございました。それぞれの研究項目、評価項目に関係があると思いますが、何かご質問ございますでしょうか。
 特にないようですので、進ませていただきます。II-1-(5)[1]ですが、お二人の方がBをつけていらっしゃいますが、それぞれ別々のところで問題について、少し問題点を感じていらっしゃるということですが、全体としてはAとして進ませていただいてよろしいでしょうか。
 次に、活用促進の方になります。19ページ、II-1-(5)の[2]であります。小池委員、何かございますか。

【小池委員】 ここの項は評価が特許とか、そういう知的財産権の話だと思ったのですけれども、ずっとデータを見せていただいている限りは、着実には続けられているけれども、そんなに飛躍的にという話は、私はないというふうに見ました。
 ただ、国環研は、経産省とか、そういうところの研究と違いますので、ここをあんまり頑張ってやられる必要はないと思いますので、その点は余り気になさらないでください。

【石井部会長】 高木委員、何も書いておられないですが、何かありますか。

【高木委員】 今、小池先生がおっしゃったこと、あるいは各先生のコメントと全く重なるようなものですので。

【石井部会長】 そうですか。国環研にとって、この項目はそんなに本質的ではないというコメントもございましたので、ではこれは一応Aということで進ませていただきましょう。クレームがあったらどんどんご遠慮なくお願いいたします。
 次が、研究活動に関する広報、啓発でございますが、これはむしろ積極的なSの評価がお二方からありますので、これをどういうふうに全体の評点の中に組み込むかという問題があろうかと思いますが、丸田委員、何かいかがでしょうか。

【丸田委員】 先ほどもおっしゃられたように、一般公開で大幅に来所者が増加した。いろいろ見ていきまして、いろいろ地道な、相当な努力が見られたと感じましたので、Sをつけることにしました。

【西間委員】 この国環研が実質的に国立であるし、かつ研究施設であるという大きな束縛の中で、これだけの広報啓発活動をやっているということは実にすばらしいということでSにしました。

【石井部会長】 ありがとうございました。どういたしましょうか。今日は一応Aプラスぐらいで。それぞれの委員におかれては、次回までの間にお考えをお決めいただきたい。先ほどのAのマイナスについても同様でございます。
 次がII-1-(5)普及、成果の活用促進というところでありますが、佐和委員どうぞ。

【佐和委員】 この5あたりの一連の質問の意味内容は、かなり委員によって取り違えられていると思うのですね。例えば、一つ前のII-1-(5)[1]で、坂本委員が、特に欧文紙への発表論文が減少しているのが問題だということでBをつけられていると。そして三橋委員が、全国紙への掲載率をもっと高めるべきであるという観点からBをつけておられる。見方が違うのですね。その次の、II-1-(5)の[2]を見ると、ここで私は環境儀の作成は評価に値すると。実は今問題となっている項目のところで、石井先生が、環境儀を高く評価してと。それで私が今度は、率直に言って研究員1人当たりの論文数が少な過ぎる感が拭えない。個人差が大きいものと推察されるが、抜本的な取り組みが望まれると。それと、ここには書かなかったですけれど、少なくとも欧文紙に関しては、17年度が過去5年間で最低なのですね。ですから徐々に伸びていくのが普通かと思うのですが、特に16年度に比べれば激減、2割ぐらい減っている。このあたりは何か特別な理由か何かあるのでしょうか。

【石井部会長】 何かコメントありますか。

【大塚国環研理事長】 丁寧に精査したわけではないのですけれども、多分時間を遡りますと、昨年の前半からさらにそのちょっと前ぐらいが、先生のご指摘のターゲットにあたる論文を書き上げる時期と思います。私の考える理由は二つあります。一つは、5年単位で多くのプロジェクトが動いておりまして、その収束段階で、まとめ等々にかなりのエネルギーを費やしたことです。もう一つは、次期のプログラムの具体的な検討にかなりの時間を割いたことがあったかと思います。それだけで説明のつくことではないかもしれませんが、オリジナルペーパーを書く時間が少なかったのではないかと私は感じておりまして、この点については研究者とも議論し、早くキャッチアップするようにしたいと思っています。

【佐和委員】 それぞれ、どうも質問の意味の解釈が違っていて、Bが適度にばらついてくれたということはよかったのではないかなと思いますけど。

【石井部会長】 今のII-1-(5)というのは、要するにその下の枝番号の[1]、[2]、[3]ですね。ページ数で言うと18、19、20ページの3つを総括してII-1-(5)という中項目の評価をするところでございまして、そして[1]、18ページのところで、私はまさにその問題を提起したわけでありまして、坂本委員と三橋委員の評価の観点が少し違うということでありましたが、両方でしょうということでありますので、両方それぞれが一面ずつご指摘があったと、こういう理解で進めてまいりまして、同じ問題がこのII-1-5、21ページの(5)のところでも表れた。そういうことであります。ということで、結果としては[1]から[3]までを総合いたしますとAになると。

【高月委員】 私はそういう意味で、先ほどのところで一つBをつけて、それを引きずって、ここをBにしたわけですけれども、先ほど西岡理事から配っていただいたこの資料で大体納得したところなのですけど、どうも、先ほどのところも特許の数だけで評価するようなところがあって、もう少し地道な調査研究をやっておられ、なかなか特許などに結びつかないと思われますが、そういうところがどういうところに、特に政策的なところに反映されているか。その辺がもう少し報告書で読めるようにしていただくと、我々もこの成果がここに生かされているのだろうなと、まさに成果の活用が、そういう見える形にしていただくとありがたいなと、こういうことですね。

【石井部会長】 ありがとうございました。
 それではII-1-(5)のところはそれでよろしいでしょうか。
 そこで今度はII-1-(1)から(5)までの中項目を総合いたしまして、II-1という大きな大項目とも言えないですが、より大きな項目の総体評価をするということになります。
 佐和委員のコメントは今まで伺っているのと基本的に変わらないという理解でよろしいですね。それから、西間委員のご意見も同様のご趣旨であるということでございますので、全体としてAということになろうかと思いますが、よろしいでしょうか。
 それでは、先に進ませていただきます。大分時間が押してまいりました。
 それでは、II-2-(1)環境情報提供システムEICネットホームページに関することでございます。これは大変Sが多い項目でございます。一つぐらい奮発してもよろしいかと思うのですが、Aをおつけになった方で、いや、それはやっぱりだめだ、甘過ぎるというご意見があればご遠慮なくおっしゃっていただければと思いますが。
 それでは、十分に理由は成り立つと思いますので、これは単純な多数決ではなくて、実質をとってSにさせていただきましょう。
 次に、II-2-(2)であります。これは逆にBが入っているという項目であります。高木委員は評価してらっしゃるのですね、評価してBをつけている。

【高木委員】 過去4年間の利用状況の実績から、AではないよなということでBにさせていただいたということなのですが。

【石井部会長】 そう高くは評価できないよと。

【高木委員】 この場合には。

【石井部会長】 では、Aのマイナスまでいくかどうかわからないのですが、マイナスなりAダッシュなりということで。
 次が、II-2-(3)であります。これはAでよろしいですね、奮発するほどの数でもない。
 次のII-2であります。つまり、II-2-(1)から(3)までの3つの枝項目をまとめて評価するということでありますが、これはAでよろしゅうございますか。どういたしましょうか。Aが3つですが、一応Aプラスぐらいで考えておきましょう。
 では次に、大きなII、今までのということになります。三橋委員のご意見は尤もでありますが、ならしてAということになろうかと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、次に3でありますが、これは済んでいるということですね。
 次がIV-(1)施設設備に関する計画というところであります。私だけがBをつけておりますが、ここに書いたとおりで、計画の策定の「策」の字は政策の策です。私が誤記したのかもしれません。あるいは秘書が打ち間違えたのかもしれません。体系的な老朽化対策計画の策定を昨年の評価で求めたが、実行されたでしょうかという質問があって、ちょっとその辺が気になることでBにしてあるのですが、いかがでしょうか。

【柏木国環研総務部長】 18年度、次期中期、第2期の中期計画ということでありますので、それ以前の第1期の中期計画でも、この施設整備に関する計画を立てておりましたので、同様に現在あります施設の状況、故障とか修理の利益なども含めてデータをよく精査しまして、そのうちで第2期の中期目標期間中に対応すべきもの、そういったものを保守、保全すべきものということで計画は作ってございます。

【石井部会長】 そうですか。例えば、国立大学でありますと全国に100近くあって、いろいろな大学が老朽化対策で大きな声を出すのですが、それを全部応じていたら文教予算は全部吹っ飛んでしまいますので、なかなかうまくいかないという問題があるわけですが、国立環境研究所については、そういう問題は余りないと。本省に言えば大体もらえると。

【大塚国環研理事長】 全く問題がないとお感じになられると困りますので、一言申し上げたいと思います。第3期科学技術基本計画にも、つくば研究学園都市全体の問題点として、特に老朽化の問題が指摘されています。
 私どもも含むそれぞれの独法、筑波大学もですが、それぞれが老朽化対策に必要と査定した額と、各府省経由で充てられている額との間に、五、六割ぐらいの違いがございます。環境研も含めて、十全な施設水準を維持するためにはもう少し必要だろうというのが認識なのですが、現実的な対応として不十分ながら進めているのが実状です。ただし、国立大学よりは若干いいかもしれません。なお、ただ今、部長から説明がありましたように、5年先までの計画、少なくとも研究に大きな支障が生じることのないような計画を作っている、ということでございます。

【石井部会長】 たまたま私、昨日、筑波大学に行ってきましたけど、相当気の毒な状態。それよりはましというか、そういうことなのでしょうか。
 では次に進ませていただきます。IV-(2)の人事であります。これは私と三橋委員がBですが、三橋委員、何か。

【三橋委員】 任期付研究員の多くは例えば大学への転身とか、そういう仮の宿り的な形で来ている人などもいるのではないかなと推測するのですけれどね。やはり実力のある任期付の研究員に、将来は国環研の柱になってもらうような人もいると思うのですよね。そういう人たちを繋ぎとめるというか、自分は国環研でずっとやりたいなとか、そういうインセンティブも必要なのではないかなという感じがするのですね。臨時でちょっと調達しておくというのは感じだと、ぐあい悪いなということです。

【石井部会長】 私も全く同じ問題を懸念していたわけで、任期付研究員制度、もちろん必要であり、結構なのですが、テニュアトラックといいますか、こういう条件が満たされたら次へ進め、そしてさらに常勤もなれるというようなテニュアトラックをやはり示すことが、研究員のモラルを高めることにも繋がるわけでありまして、それについて昨年、既にこうした方がいいというコメントが複数あったのですが、これについてどのような検討がなされたか、ちょっとご説明いただきたい。

【大塚国環研理事長】 最初に、私が申し上げたこととやや重なるかもしれないのですが、昨年17年度は第2期の計画を作る年でしたので、17年度としては大きな変更はできませんでした。
 ただ、昨年度だけでも任期付き研究者で大学へ出た者が5名、国際機関に就職した者が1名いたのですが、ほかの5名は内部でパーマネントへ移行いたしました。もちろん公募という形をとったのですが、結果的に国環研の任期付き研究者5名が国環研のパーマネントになったということです。
 それから、多くの委員の先生方からご指摘いただいているテニュアトラックの件でご説明します。第2期の研究計画の基本的な原案が、昨年12月から今年の1月にかけてつくられ、その作業が終わった段階からは、テニュアトラックに関する制度設計を最大のテーマとして所内で議論を続けてきました。
 テニュアトラックの原則がそのまま生きるかどうかという微妙な問題もありますので、はっきりした数字で示すのは難しいのですが、基本的なテニュアトラックの制度をつくりました。一番わかりやすい例を一つ挙げさせていただきます。これは非公務員化したことに非常に関係するのですが、この4月からNIES特別研究員という職種を設けました。これは基本的に任期付研究員と同等の資格を付与いたします。かつての公務員宿舎に入れないとか、私どもが手を出せない若干のことはあるのですが、原則的に任期付研究員と同じ扱いをしようということです。この研究員としては、国環研でのポスドクを中心に採用したいと思っています。ただし、その前提でポスドクの採用を行ってきたとは言い難い点もございますので、今年既に公募を始めているNIES特別研究員5名については、必ずしも国環研のポスドクに限らず、もう少し広い範囲から新しい人材をとろうと思っております。NIES特別研究員には、十分仕事をしていただければパーマネントに移行する、そういうプロセスを広く取りたいと思っております。制度的にも、場合にはよってはNIES特別研究員が公募せずにパーマネントに移行できる措置もとれる規定を、この4月から発効させた次第です。基本的に先生方のご指摘を具現化する方向で、テニュアトラックをうまく機能させたいと思っております。

【石井部会長】 ありがとうございました。

【佐和委員】 よくテニュアトラックと言われるのですが、アメリカの大学のように、すべての大学が同じような制度を導入していれば人は動きやすいのですね。ところが、特定の研究機関、あるいは大学のみがその制度を導入したら、任期が切れたら出ていこうと思っても出ていく所がないということがあって、なかなかそれは維持することが難しいし、逆に言えばなかなか落ち着いて研究もできないということで、それと唯一、ご存じだと思うのですが、京都にある総合人間…、何でしたっけ、あそこは、数字は正確でないかもしれませんが、6年間かなんかの全員任期なんですね。そうすると、ちょっと優れた人は6年間の任期中に研究を投げ出して、どこかの大学に変わるのですね。逆にいい人が来てくれないと。非常に40に行きそうな人をつかまえて、6年間の任期で来てくれといっても、なかなか来てくれないということで、むしろ非常に大変な矛盾を抱えていると。私ども外部評価委員がやっていまして常に感じていますので、その辺は十分慎重にお考えいただきたいと思います。

【石井部会長】 ご注意ありがとうございました。まさにおっしゃるとおりで、本当にいい人が来てくれないとか、途中でさっさと抜けられてしまうという問題に直面して、テニュアトラック制を真剣に考える所が徐々に増えていきまして、少し時間が経てば、アメリカのように普遍的というところまでいくかどうかわかりませんけれども、かなり広い範囲でそういうものを真剣に考えるようになる、まさにそうするためにも、各研究機関で考えていただき、実行に移していただきたい。試行的な形であれ、意味があると思いますので、ご説明を伺って私の疑問は解けました。ということでございますので、三橋委員のご指摘も似たようなことだったと思いますので、一応人事に関する部分はAということで進めさせていただきます。
 次はその他の業務運営でありますが、例によって私だけか。これは印象批評でしかないのですが、その場しのぎが随分重なっているのかなというご苦労のあれをそのまま率直に書いただけの話でありまして、特に悪気はございませんので、Aということでよろしいかなと思ってございます。
 ということで、最後にぐるっと回って、総合評価が一番最後にあります。西間委員が全体としてS評価でありますが、今までの流れでありますと、ここでもAということになってくるのかなと思いますが、いかがでございましょうか。西間委員、特に何か。

【西間委員】 いや、大勢に従います。

【石井部会長】 わかりました。時間の関係で急ぎまして、先ほども途中で申しましたように、昨年度のコメントを十分参照しながら議論するということができませんでしたけれども、一応今日の大まかな評価というのを一通り終えました。
 ということで、これは皆さん持って帰っていいわけですね。あるいは後で送ってもらうとか。次回の会議までの間に、本日の仮の結論、評点について考え直すべき点があるかどうか、あるいはコメントとしてぜひこういうことは入れておいた方がいいのではないかというようなお考えがございましたならば、事務局に適宜ご連絡をちょうだいできればと思います。
 ではこの議題今日のところははここで一応終わりということにいたしまして、次の議題に参ります。
 議題2、平成17年度の財務諸表及び積立金の繰越承認についてということであります。ではご説明お願いします。

【室石国環研技術室長】 参考資料2をご覧いただきたいと思います。参考資料2につきましては、森本委員より「損益外減価償却相当額」の主な具体例、これはご質問がございましたので、それについては資料のとおりご回答させていただいておりますので、お読みいただければ思います。
 それから、高木委員から消費税に係る表記の方法と、それから、損益外減価償却累計額の当期減少額の表記の方法についてご意見をいただいておりますので、このご意見については国立環境研究所からご説明をさせていただきます。

【仁井国環研理事】 担当しております国環研の仁井でございます。まずは財表の内容につきましてご意見賜りましたこと、高木委員初め皆さんに厚く御礼申し上げたいと思います。中身2点ほどございます。1つは、消費税の未収、未払いについて、B/S上、両建てでするか、相殺でするかという話、それから、減価償却累計額の表記の話でございます。減価償却累計額の表記の話につきましては、まさに表現整理ということで委員のご指摘のとおり、来年度以降措置させていただきたいと思います。それから、消費税の両建て、あるいは相殺、会計の流儀としていろいろあるようでございますが、少し勉強した上で先生のご意見も踏まえて、しかるべき対応させていただきたいと思います。

【石井部会長】 消費税勘定について、高木委員、ご意見、何かコメント。

【高木委員】 いえ、特にはありません。

【石井部会長】 それでは、あとはその他ということでありますが。

【室石国環研技術室長】 その他でございますが、今後のスケジュールでございます。資料3をご覧いただきたいと思います。今後の予定が書いてございますが、8月3日木曜日に部会等による評価報告書原案の作成、それから、各委員への原案送付、意見等取りまとめ、原案修正、委員の再配付を行いたいと思っております。それまでの間に部会長とよくご相談いたしたいと思っています。
 それを踏まえまして、18年8月8日に次回の第13回の国環研部会をまた午前中、環境省の第一会議室、これは21階にございますけれども、そこで開きたいと考えております。最後、*にありますように、そこで取りまとめさせていただきますれば、8月末までに評価結果を総務省と国環研に通知するという段取りになっております。

【石井部会長】 それでは何かご発言なければ、これで閉会といたします。本日はどうも長い間ありがとうございました。