第8回環境省独立行政法人評価委員会国立環境研究所部会会議録

日時

平成18年1月24日(火)13:31~16:29

場所

経済産業省別館825会議室

議題

(1)
独立行政法人国立環境研究所の中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直しについて(報告)
(2)
平成16年度における環境省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果についての意見について(報告)
(3)
独立行政法人国立環境研究所役員報酬支給基準の改定について
(4)
次期中期目標について
(5)
次期中期計画について
(6)
その他

配付資料

資料1 独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について
資料2 独立行政法人国立環境研究所の中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直し案
資料3 平成16年度における環境省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果についての意見について
資料4 独立行政法人国立環境研究所役員報酬支給基準の改定について
資料5-1 次期中期目標の素案
資料5-2 次期中期目標素案と現行中期目標等との対比表
資料6 次期中期計画の考え方について
資料7 今後の予定
参考資料1 環境省独立行政法人評価委員会国立環境研究所部会委員名簿
参考資料2 独立行政法人国立環境研究所中期計画(平成13年度~平成17年度)
参考資料3 中期目標・中期計画策定に係る法則法の規定について
参考資料4 関連法規

出席者

委員

石井紫郎委員、小池勲夫委員、坂本和彦委員、高木勇三委員、高月 紘委員、西間三馨委員、長谷川雅世委員

環境省

大臣官房
桜井審議官
総合環境政策局
田村総合環境政策局長
宇仁菅環境研究技術室長
篠木環境研究技術室長補佐
国立環境研究所
大塚理事長
西岡理事
飯島理事
村川主任研究企画官
柏木総務部長

議事

【宇仁菅環境研究技術室長】 定刻になりましたので、ただいまから環境省独立行政法人評価委員会第8回の国立環境研究所部会を開催いたします。
 本日はお寒い中、ご出席いただきましてありがとうございます。本日は委員12名のうち、現在5名ご出席になっております。それから、高月委員が雪の関係で30分ぐらい遅れるということでございます。坂本委員も30分かそれ以上遅れるという連絡が入っております。最終的には定足数7名に達するということをご報告申し上げます。
 それでは、以降の議事進行につきましては石井部会長にお願いいたします。

【石井部会長】 それでは議事に入ります。
 最初の議題は、独立行政法人国立環境研究所の中期目標期間終了時における組織・業務全般の見直しについてということでございます。資料1及び2によりまして、事務局から簡単に説明をお願いいたします。

【宇仁菅環境研究技術室長】 それでは、資料1と2を使いまして説明をさせていただきます。
 その前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。(配布資料の確認) それでは、資料1につきまして、前回、8月でございますが、評価委員会以降の状況についてご説明しつつ、内容を説明させていただきます。
 昨年8月の独立行政法人国立環境研究所における中期目標期間終了時の組織・業務全般の見直しに関しまして、評価委員会でご議論をいただいたところでございます。ご意見を踏まえまして、環境研究所の組織・業務全般の見直し案を作成いたしまして、8月31日に総務省に提出をいたしております。その後、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会におきましてヒアリングですとか、あるいは事務局との調整などを行った結果、資料1にありますような、標題が「独立行政法人の主要な事務及び事業の改廃に関する勧告の方向性について」という文書がございますが、このような文書として11月14日付で環境大臣あてに通知がなされました。
 資料1でございますが、表紙の裏に、これは各独立行政法人共通のものかと思いますが、簡単に見ていただきますと、真ん中あたりですが、当委員会においては、貴省所管の独立行政法人国立環境研究所について、主要な事務・事業の改廃に関して鋭意検討を重ね、今般、勧告の方向性の指摘事項として別紙のとおり取りまとめましたということが書いてあります。今後、貴省において当該指摘を踏まえて見直しを進めていただき、本年中に予定される政府の行政改革推進本部の議を経た上でその内容を決定し、これに基づき新中期目標・中期計画の策定を行っていただくものであります。その際は、本勧告の方向性の趣旨を最大限生かした見直し内容にしていただくとともに、今後の行政改革の方針を踏まえ、中期目標期間中達成すべき水準をできる限り定量的・具体的に定めていただくようお願いしますということが書いてあります。
 めくっていただきまして裏側でございますが、2行目以降、具体的な一般管理費、事業費の削減・効率化目標を示すということですとか、業務の質の向上についても極力客観的・具体的な目標とすると。一層質の高い効率的な業務運営を目指すようお願いしますという要請事項が書かれております。
 それから、少し飛びまして下から4行目、当該法人及び貴省独立行政法人評価委員会の取り組みを注視させていただき、必要な場合には、政府の行政改革推進本部に意見を述べるとともに、独立行政法人通則法に基づく勧告を行うこととしております。引き続き、ご協力いただきますようお願いしますという表紙がついております。
 それから、次のページに別紙といたしまして、これが国立環境研究所についての文書、事務事業の改廃に関する勧告の方向性というものでございます。
 第1を見ていただきますと、研究の選択と集中という項目がございます。国立環境研究所の研究規模に見合った分担関係を踏まえるなど、関係機関との連携のあり方も視野に入れた業務の見直しを前提として研究の選択と集中を図るものとする。質が高くて全国的な観点から必要とされるものを厳選し、明確にした上で優先づけを行うといったようなことが書かれております。さらには、選択と集中と対する考え方について政策との関係を明確にしつつ、実現する具体的手法及びプロセスとあわせて中期目標または中期計画に明確に示し、業務の合理的かつ効率的な取組を助長するということでございます。それから、下から2行目ですが、環境情報の円滑な提供の観点から、研究成果等の提供のあり方にさらなる工夫を凝らすものとする。
 第2といたしまして、業務運営の改善ということでございますが、この項目につきましても、2行目ですが、国立環境研究所の各業務を最も合理的に説明し得る指標を明確に定める。あるいは、その下ですが、基盤的・先導的研究であっても、大学との違いなど、国立環境研究所の役割・任務との関係を明らかにする。客観性が担保された評価の仕組みを構築し、その結果について明らかにする。こういった指摘をしております。最後のところですが、間接経費の削減についても図っていくということでございます。
 第3といたしまして、非公務員による事務・事業の実施の項目がございます。これは昨年8月も大分議論をしていただきましたが、国立環境研究所の事務・事業についても非公務員が担うものとするということでございます。
 その次のページ以降は、この総務省に設置されております政策評価・独立行政法人評価委員会の指摘に当たってという、コメントといいますか、意見がつけられております。
 ここも簡単に見ていただきますと、まず3番ですが、次の点を強調したいとした上で、1点目は個々の事務・事業の見直しについて、民間にできることは民間、地方にできることは地方に委ねるという基本的な考え方のもと、見直しが実効あるものとなるように努力を期待する。
 2点目は非公務員化についてでございますが、研究開発・教育関係法人については民間・大学との人事交流促進等により、その他の法人についても柔軟な勤務形態の導入等により、効率的かつ効果的な業務運営や組織の活性化が期待でき、有効な改善策であると認識しているということでございます。
 3点目は、法人の統合のあり方についてということでございますが、他の法人について統合を指摘されているところもございますので、こういった項目が入っております。
 この文書は独立行政法人全体についての意見でございますが、その次以降は報道資料ということで、これは関連資料、ご参考資料でございます。昨年の11月の指摘によりまして、例えば、昨年においては24法人を対象として見直しを行った結果、20法人に整理・統合するとか、あるいはほとんどの独立行政法人を非公務員化するといった内容の指摘をしているということでございます。
 めくっていただきまして、下に3と書いてあるページでございますが、そのときとちょっと時点がずれておりますので、この時点では網かけの部分が昨年の見直し対象法人24法人、白のところが一昨年の見直し対象法人の32法人について整理をした表でございまして、めくって10ページの一番下を見ていただきますと、国立環境研究所が一番下にございまして、環境省の国立環境研究所につきまして、勧告の方向性の内容としては非公務員化ということが書かれております。
 以上が資料1でございますが、続きまして資料2を説明させていただきます。
 資料2は、今度は環境省から提出した、指摘事項を踏まえた見直し案というものでございます。先ほどの資料1、あるいは別紙におきまして、総務省評価委員会から勧告の方向性というものを受けたわけですけども、これを踏まえました見直し案というものを環境省から返したという形になっております。この内容につきましては、先ほどの別紙に当たる部分とほとんど同じでございますが、若干変わっておりますのは第1の研究の選択と集中というところでございますが、最初の二つの段落がこちらで付け加えた文章でございます。環境研究の推進の重要性ですとか、あるいは現在策定作業中ですが、科学技術基本計画におきましても、重点4分野の一つとして環境分野が位置づけられていることから、研究所の重要性はますます高くなっているという文章を付け加えております。
 第1の3つ目の段落以降、こうした状況の中で、環境研究の中核的機関としての機能と使命を果たすためというのがございますが、ここは実はほとんど同じ形で返しております。指摘を受けた方向性について、一応、環境省としては了解するという趣旨でございます。そういった方向で今後、中期目標・中期計画を検討していく意思ととっていただければと思います。
 以上が資料1と2の説明でございます。

【石井部会長】 どうもありがとうございました。
 ただいまの資料1及び2、そして、それに関する説明等につきまして、何かご質問、ご意見等がございましたならばお願いします。

【宇仁菅環境研究技術室長】 ちょっと1点、言い忘れました。
 こういうやりとりをした後、最終的には、平成17年12月24日でございますが、政府の行政改革推進本部におきまして、こういった各省から出てきた見直し案について了解するということになったわけでありますが、その際にも、中期目標期間中達成すべき数字をできる限り定量的・具体的に定めたものとするよう積極的に取り組むということを条件として、見直し案を了解するといったこと、あるいは、主務大臣、当該における独立行政法人及び総務省の政策評価・行政法人評価委員会から必要に応じ説明を求め、所要の措置を要請するとした上で、各省から同じような見直し案を受けたわけでございますが、その提出された見直し案が了承されたということでございます。
 そういった独法についての見直しを含め、行政改革全体の方針を行政改革の重要方針というタイトルでまとめまして、同日付で開催されました閣議で決定されております。
 以上、追加のご説明でございます。

【石井部会長】 ただいまの最後の追加的説明も含めまして、ご質問、ご意見等がございましたら。
 こういうものを踏まえまして、後の議題でございます中期目標の設定をするということになりますので、また改めてそのときに振り返ってご質問なりご意見なりがあろうかと思いますが、特にございませんようでしたならば先に進ませていただきます。
 次の議題2でございます。平成16年度における環境省所管独立行政法人の業務の実績に関する評価の結果についての意見についてという、この標題がついたものに関する議題でございます。
 では、まず説明をお願いします。

【宇仁菅環境研究技術室長】 資料3でございます。
 これは平成16年度の業務の実績に関する評価の結果について、この評価委員会でも取りまとめていただいておりますが、それに対する意見を総務省に設置されております政策評価・独立行政法人評価委員会が意見としてまとめたものでございます。
 これも簡単に説明させていただきますが、最初のところ、当委員会は貴委員会から通知のあった独立行政法人環境再生保全機構、それから、独立行政法人国立環境研究所における、それぞれの16年度業務実績の評価結果ついてに関して、別紙のとおり意見をとりまとめましたのでよろしくお願いしますということが書かれております。環境省で所管しております二つの独立行政法人につきまして意見をまとめたものでございます。
 少し飛びまして、裏側ですが、2ページの真ん中あたり、括弧書きの下でございますが、中期的観点をも踏まえた業務の在り方の検討に資する指摘、効果的・効率的な法人業務運営の観点からの主要な事項に係る指摘等に重点を置いて、二次的、横断的な評価を行い、必要な意見を取りまとめました。本意見について、その具体化が着実に図られることを要望いたしますといったことですとか、今後、貴委員会におかれましては、独立行政法人評価に対する国民の期待に応えられるよう、その厳格性・信頼性の向上に向けて、当委員会が示した「2次意見」、「評価における関心事項」、「財務評価等の関心事項」の活用、貴委員会の評価結果、それに対する当委員会の意見についてのフォローアップを適切に行う等々、その終了時の見直し、中期目標期間終了時の見直しを視野に入れた評価が行われることを要望しますといったことを書いております。
 それで、具体的にはその次の3ページからの別紙になるわけでございますが、16年度の業務実施につきましては、環境研に関する特別の意見というのはございませんで、1枚目はほとんど環境再生保全機構に関する意見でございますが、その下に所管法人共通というものがございます。ここが関係してくるわけでありまして、何点かの指摘がなされております。ここの中では、めくっていただいて4ページの二つ目の文章が関係してくると思いますが、「財務内容の改善」「業務運営の効率化」に関する事項において、業務運営の効率化に関する目標数値の達成状況について財務諸表等の勘定科目等との関係や費用全体の削減状況を踏まえた評価が行われていない法人があるとか、あるいは中期目標等の主要な業務ごとの財務状況を把握した上で評価が行われていない法人が見られた、これらの法人について、業務運営の効率化の達成状況を財務諸表等の勘定科目等との関係や費用全体の削減状況を踏まえた評価、主要な業務ごとの財務状況を附属明細書のセグメント情報等で明らかにした上での評価を行うべきである、こういった指摘をしています。
 あと、5ページ以降は参考として、評価の取組が顕著な独法評価委員会ですとか、積極的な取組姿勢が顕著な独法について、参考例とするようにということで提出されております。
 以上、資料3の説明を終わります。

【石井部会長】 ありがとうございました。
 要するに、平成16年度の業務評価を昨年の夏に行って、総務省に通知したわけでありますが、それに対する、いわばコメントというようなものがこの資料3として提示されているわけでございます。
 国環研に対する評価については特段のコメントはなく、両法人に共通する問題として幾つかの指摘があるわけでございますが、これは本部会には関係あるのですか。例えば二つありますよね。勘定項目との関係や何とかを踏まえた評価が行われていない法人があったとか、主要な業務ごとの評価が行われていないケースがあるということでありましたが、これはどうだったんでしたか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 これも、一応環境省といいますか、両法人共通ということでありますが、特に環境研でということではないかと思いますが、こういうことを留意してお願いしますということかと思います。

【石井部会長】 この所管法人共通というのは、これは環境省主管法人共通という、二つが該当する。ということで、これについても当部会は特に留意すべきものはないというふうに理解してよろしいということですね。
 何か、ご質問、ご意見、ございましょうか。

【小池委員】 4ページ目の一番下のところに人件費の抑制ということが書いてありますけれども、これに関しては、今後の議論の動向も踏まえて必要な評価を行うべきであると書いてあって、まだはっきりしたことは言われていないわけですね。ですけれども、その一番最初のところに書いてある「公的部門全体の人件費を抑制することとし」というのは、これはするということで、それのやり方に関して考えなさいということなんですか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 この人件費につきましては、恐らく中期計画の中で議論になるかと思いまして、次回以降、その議論をしていくことになると思いますが、この文書が11月に出ております。その後の12月に、先ほど少し触れましたが、行政改革推進本部決定、あるいは閣議決定で、行政改革の重要方針が決められております。その中で、実は国家公務員全体を5年間で5%削減するとか、そういったことが決められております。それとの並びといいますか、同じように独立行政法人についても今後5年間で5%以上の人件費削減を行うことを基本とした取組を行うということが決められております。したがいまして、その線に沿って今後検討していくということになるかと思います。

【石井部会長】 非公務員化のメリットが、ではどういう形で残るのかというのは気になりますが、この際は触れないでおきましょう。
 ほかにございましょうか。
 それでは、先に進ませていただきます。議題の3でございます。これはかなり特殊な問題ですが、独立行政法人国立環境研究所役員報酬支給基準の改訂についてということで、概要について事務局から説明を受けます。

【宇仁菅環境研究技術室長】 資料4でございますが、独立行政法人国立環境研究所役員報酬支給基準の改訂についてでございます。
 これも独立行政法人の通則法でございますが、評価委員会は意見を申し出ることができることになっておりますので、本日、出させていただいたものです。
 内容につきましては、昨年ですか、本年度ですけども、国家公務員の給与法が改正されまして、指定職の俸給法が改訂されております。それに伴う役員報酬支給基準の改訂ということでございます。
 それで、めくっていただきまして、5ページ以降に役員報酬規程と、改正を行うところでございますが、変わったところは、ずっとめくっていただきまして、9ページ以降、横長になりますが、新旧対照表がついております。それで、10ページをごらんいただきますと、常勤役員の俸給月額がございまして、下に線を引っ張っているところが改訂部分ということでございます。若干減っておりますが、そのような改訂を出しております。
 以上でございます。

【石井部会長】 これは報告ですか、承認事項じゃないですね。

【宇仁菅環境研究技術室長】 意見を申し出ることができるということです。

【石井部会長】 意見を申し出ることができると。何かご意見、ございましょうか。

【高木委員】 今回の改訂そのものは公務員ということになりますので、特段、問題はないと思います。今後の考え方について教えていただければと思うんですが、非公務員型になったとした場合に、今後、こういった俸給についてはどのようになるのか。恐らくドラスティックな変更というのは、行うのも余り好ましいものではないと思いますので、実際には行われないというふうには思うんですが。さりとて、総務省で非公務員型、非公務員型と一生懸命言っているわけですので、ではこの辺のところ、人件費の考え方もきちっと整合性をとることが本筋ではないかというふうに思います。ちょっとそのような質問をさせていただく次第ですが。

【宇仁菅環境研究技術室長】 もし必要でしたら、環境研の方から補足していただければと思いますが、ご指摘のとおり、非公務員化されますと、直接、国家公務員の給与が適用されるということにはなりませんので、環境研究所で給与規定を定めて、別な基準を決めようと思えばできるわけです。しかし実際には、余り大きくかけ離れた基準はなかなか作りにくいのではないかと思っているところでございます。

【高木委員】 特段、総務省とか、それの考え方を示されていないとですね。

【宇仁菅環境研究技術室長】 それは特に、非公務員については示されておりません。

【石井部会長】 人件費全体について、さきほど報告がありましたように、指摘があるわけですから、結局、役員報酬についてもそれに準じた形で使われることになるだろうというぐらいのことしか分かりません。
 一つ質問なんですが、非常勤役員というところに監事と書いてあるだけなんですが、国環研は、現在、非常勤の理事はおられないですね。

【篠木環境研究技術室長補佐】 非常勤は2名おられまして。監事は2名いらっしゃいまして……。

【石井部会長】 いや、それはここに書いてあるんだけど、理事が書かれいていないかは、これでしょうか、ねという質問なの。つまり未来永劫、非常勤理事というのは置かないつもりでこれはできているんですか。

【篠木環境研究技術室長補佐】 理事については通則法で定められておりまして、常勤、非常勤というものについて、必要があって置くことになった場合は、その都度、この規程自体は研究所でつくる規程になりますので、それに対応して規程を設けていくという形になると思いますが。

【石井部会長】 通則法では非常勤の理事を置くことができるぐらいの規程でしたか。

【桜井大臣官房審議官】 通則法ではなくて、独立行政法人国立環境研究所法、通則法を受けた法律がございますが、そこで、研究所に役員として長である理事長及び監事2人を置くと。それから、研究所に役員として理事2人以内を置くことができるという形に今はなっております。ですから、この他に非常勤理事を置くということになれば、そこの法改正が必要になってくるだろうと。

【石井部会長】 法律では置かないことになっている。

【桜井大臣官房審議官】 置かないというか…。

【石井部会長】 つまり、理事2人っていうのは常勤。

【桜井大臣官房審議官】 そこは、ですから、その2人は常勤とは書いてありません。

【石井部会長】 書いていないですよね。監事も非常勤とは書いていないですね。

【桜井大臣官房審議官】 そうです。監事2人を置くというふうになっています。

【石井部会長】 そうですね。事実上、今、監事さんは非常勤の方がお2人。

【桜井大臣官房審議官】 はい。

【石井部会長】 ということは理事についても、非常勤の理事2名のうち1名非常勤で、論理的にはあり得る。この法律の読み方として。

【桜井大臣官房審議官】 はい、多分、そこはあり得るだろうと。

【石井部会長】 だけど、そんなことは考えられないから、この規程は監事についてだけ書きましたと、そういう理解ですか。

【桜井大臣官房審議官】 はい。

【石井部会長】 私が知っているケースでは、国立大学法人で、監事、理事を通じて常勤に使ったり、非常勤に使ったり、それは年度とか、あるときに任期が切れて、次の人事を行うときに、今まで常勤だったものを非常勤にするとか、割と変動があるんですね。ですから、理事について非常勤のことがおよそ想定されていないというふうな、いささか、大学と比べると奇異に感じたので質問しただけの話で他意はございません。2人のうちどちらかを非常勤にしろなんていうことを言うつもりではありません。
 ほかにございましょうか。

【長谷川委員】 つまらない質問で申しわけございませんが、これ、改正案で少しずつ減額がされているんですけども、これは何かパーセンテージといいますか、根拠というのは何かございませんでしょうか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 これは、人事院勧告に基づいて、まず国家公務員の給与法が改正されております。それと横並びといいますか、同じ割合でこちらの基準も改訂をしたということでございます。

【石井部会長】 さっき指定職を具体的に念頭に置いているとおっしゃったのですが、その指定職のどこに位置づけられるというような、何と横並びにするかというランキングの問題は、どこがどういうふうに判断するんですか。

【篠木環境研究技術室長補佐】 平成13年に独立行政法人になったときに、役員の報酬規程については個別に定める必要が出てきました。そのときに研究所の方から、指定職俸給表の何号俸というのがあるんですけども、その何号俸に相当する職として理事長、それから何号俸として理事、監事については何号俸相当職の単価を使って日割り計算をしたということをこの評価委員会にも諮らせていただきまして、それについてその基準が妥当なのかどうかをご議論いただきました。その結果、妥当であるということで、今ずっと継続しています。

【石井部会長】 そうすると委員会が判断を変えない限り、これで、横並びの対象は固定しているということですね。

【篠木環境研究技術室長補佐】 そうですね。はい。

【石井部会長】 分かりました。最初のころ存じませんでしたので、失礼いたしました。
 ほかにございましょうか。
 それでは、次の議題に入りたいと思います。これが本日の、いわばメインの議題ということになりますが、次期の中期目標の中身を議論するということは大変重みのある仕事でございます。したがって、一体どのぐらいの時間ないし回数をかけて議論をしていくのか。いずれにしても年度末には、この目標に対応した中期計画を国環研でお立てになって、それをこちらで承認するという手続がございます。したがって、その前提となる中期目標の審議というものもタイムリミットが非常に迫っているということでございますので、そういった日程をまず委員の方々に頭に入れていただいた方がよかろうかと思いますので、そちらについてまず説明をしてほしいと思います。

【宇仁菅環境研究技術室長】 それでは、資料7をごらんいただければと思います。今後の予定という1枚の資料を配付しております。
 まず先に、今後の日程についてご説明をいたします。
 この後、2月7日に次回の国立環境研究所部会を予定しております。ここにおきまして、中期目標の審議取りまとめ、中期計画案の審議を予定しております。その後、3月10日でございますが、第10回の部会を予定しておりまして、中期計画の審議取りまとめとなっております。その下になりますが、独立行政法人通則法に基づきまして、3月1日までに環境大臣は中期目標を国環研に指示する必要がございます。それに基づきまして、環境研究所の方は中期計画を作成し、大臣に提出するということになっております。これは通則法あるいはその関連施行規則によりまして、年度が始まる30日前までに中期計画を提出するということになっておりますので、こういう日程になります。
 その下ですが、3月31日、年度内に環境大臣は中期計画を認可するということになります。この中期目標の指示、あるいは中期計画を認可するのが環境大臣の役割になっておりますけども、それぞれにおいて評価委員会の意見を聞いた上で行うという法律上の規定になっておりますので、2月7日と3月10日、本日もそうですけども、3回にわたりましてご意見をお伺いした上で、こういった手続を進めていきたいと考えております。
 スケジュールについては以上でございます。

【石井部会長】 資料7に書かれているとおりでございまして、具体的に言えば、中期目標に関しては今回と、次回の2月7日に予定されている第9回だけということに相なりまして、ここで決めませんと、次の計画の審議に入れないということでございます。しかも、3月の一定の期日までに計画の審議も終わることにしますと、目標をまず終えてから、さて次回に計画、というわけにもいかないので、次回にはまず目標を審議し、それで上げたらば直ちに次の中期計画の審議に入るという綱渡りの審議をせざるを得ないということに相なります。ということで、だからどうだというわけではないですが、少なくとも申し上げられるのは、本日の会議が16時30分までという、誠に異例ながら3時間の時間をとらせていただいているというのは、専らこのような日程を念頭に置いているからでありまして、本日、大いに議論をいただきまして、次回に、つまり2月7日の会議には目標の審議を続行し、さらにそれを最終的に取りまとめるというところまで行かなければならない。そういうふうに取り運びたいと考えておりますので、ひとつよろしくお願い申し上げます。
 ただ、何も16時半まで審議をしなければならないということでもございませんので、審議の状況によりましては早目に切り上げることも不可能ではないかと思います。その辺は議論をやってみなければ分からないということでございますので、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは事務局から説明をしてもらいましょうか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 それでは、資料5-1と5-2がございます。5-1が中期目標の素案というタイトルでございます。5-2が、横長でございますが、対比表をつくっておりまして、左から現行の中期目標、それから真ん中が、この評価委員会で取りまとめていただきましたのですが、4年間の成果・実績に対する暫定的な評価というコメントがございますので、それを書き入れております。一番右の欄が新たな中期目標の素案でございまして、見比べられるように作ったつもりでございます。それで、字が小さくて恐縮ですが、この資料5-2を使いましてご説明をさせていただければと思います。
 まず1ページ目、これは現行の目標にはないんですが、前書き的なものを入れておりまして、第1期の総括的な話を書いています。
 ちょっと飛びますけども、真ん中あたり、第1期の中期目標期間においては、環境研究を推進するために必要な主要学問分野に応じた研究領域をいわば縦糸とし、長期的な視点からの基盤的、先進的な研究を進めるとともに、社会的要請が強く研究の観点からも大きな課題を有しているテーマについては、各研究領域の成果を活かしつつ分野横断的な取り組みを確保するため、横糸としてプロジェクト方式及び政策対応型調査・研究センターを採用する、いわゆるマトリクス型の組織構成を採用したということでございますが、この組織編成については、評価委員会でも効率的かつ機動的な研究の推進に寄与したという評価がなされています。それが1点でございます。
 それから、2点目としまして、1期の期間について、全体の評価はこれからまたお願いしないといけないんですが、例えばということで例示をしておりますが、総合科学技術会議の調査によりますと、競争的研究資金獲得額という指標がございまして、研究者1人当たりの獲得額の金額が、他の研究独法と比べまして2倍以上引き離してトップになっているという状況でございます。このことは、研究レベルの高さを証明しているのではないかと考えております。それと、競争的な研究環境の構築などの研究マネジメントの優れた取組が評価されていると考えております。
 こうした中で、今後ますます多様化・複雑化していくことが見込まれる環境問題に的確に対応するために、民間を含めた内外の機関との活発な研究交流や人事交流の促進、職員の採用・雇用における自由度の増加等により、研究所全体の研究能力をさらに高める観点から、非公務員が担うものとするという記載をしております。これは非公務員化に対応した部分でございます。
 それから、第1が目標の期間でございまして、18年度から5年間でございます。
 それから、第2としまして、国民に対して提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項でございます。これは一番左の欄を見ていただきますと第3になっておりまして、現行の中期目標では第3番目に書いてある事項でございます。実は、法律上の規定でも順番としては第2としまして、後ろに出てまいりますが、業務運営の効率化に対する事項というのがございまして、これが今の目標では第2になっておりますが、これは順番を変えまして、今回の新たな素案では、第2に業務の質の向上に関する事項をもってきております。これはまず研究所としての大事な業務がどういうものか挙げた上で、その業務を効率的に運営するにはどうしたらいいかという順番の方が分かりやすいのではないかと考えまして、順番を入れかえております。
 その第2ですが、第1期中期目標に掲げた基本理念に沿って、引き続き業務の一層の充実を図るとともに、これまでの研究課題の見直しを通じた研究業務の最適化が求められる。新たな課題に対して果敢に取り組むことが必要だということでございます。
 それから第2、目標期間においては、環境政策や社会的要請に応える目的指向型の研究に一層の重点化を図るということに加えて、先導的・基盤的な、長期的な視点で取り組むべき研究活動が一体となって進められることが重要であるということを書いております。この辺はこの評価委員会での評価コメントをもとにして書いております。
 次に3ページですが、「次に」ということで、我が国における中核的機関としての機能と使命を果たすため、研究の実施体制、関係機関の得意分野やキャパシティを考慮した連携・分担のあり方を検討の上、研究の選択と集中を図る。その際、国環研自らが戦略的に実施すべき、質が高くて全国的な又は国際的な視点から必要とされるものを厳選し、明確にした上で優先順位づけを行うということでございます。この辺は資料1あるいは資料2で示しましたような、総務省の評価委員会からの指摘を受けて返した、環境省からの文書を参考にして書いております。要は研究の選択と集中を図っていきましょうということかと思います。
 その下でございますが、環境情報の提供も研究業務と並んで重要な柱であり、これまでの高いアクセス水準に満足することなく、一層不断の努力を重ねることが必要である。ここは評価委員会からの指摘を受けて書いたところでございます。
 以上が前書きに当たる部分でございまして、その次に、1番目の重要な業務であります環境研究に関する業務でございます。
 (1)として戦略的な環境研究の推進という項目でございます。ここでは、5行目以降で、学際的かつ総合的で質の高い環境研究を進め、自ら主体的に関与することが求められる環境研究を選択して重点的に取り組む。具体的には、環境基本計画、あるいは科学技術基本計画、これらの基本計画、いずれも現在策定作業中でございまして、年度内にも決定される予定でございますが、こういった基本計画を参考にしたり、あるいは「環境研究・技術開発の推進戦略について」、これは3月の答申予定で、現時点では審議会において検討中のものでございます。こういったものが推進を求めている分野、あるいは環境省等の環境政策から求められている分野を踏まえて、持続可能な社会の実現を目指して特に推進すべき4つのプログラムを選択し、資源を集中させることといたしております。
 それとともに、予防的・予見的な観点から環境研究に取り組むことにより、新たに発生する重大な環境問題に対し、原因究明、対策立案等において科学的観点から迅速に貢献できるよう、先導的・基盤的研究について最上位の水準を保つように努めるということも引き続き行っていくということでございます。
 最後、「さらに」ということでございますが、国際的な環境問題にも対応するために、研究活動の国際化、環境技術の国際交流などに取り組むこととしております。
 それで、現在の目標におきましては、一番左側ですが、(2)として重点研究分野というのがございましたが、これは今回削除しておりまして、(2)の研究の構成に飛んでおります。第2期の期間中に取り組むべき研究の構成は次のとおりとするということでございます。
 [1]として、重点研究プログラムでございます。10年先のあるべき環境や社会の姿及び課題を見越して、環境研究所が集中的・融合的に取り組むべき研究課題として4つを設定しております。その次の別表に掲げるとございますが、本日まだ別表はおつけしておりません。申しわけありませんが、次回つけたいと思っております。別表に掲げる中核研究プロジェクトを中心に重点的に予算と研究者の配分を行う。それぞれの方向性、到達目標の達成を図ることとしております。
 その4つのプログラムの一つ目が、地球温暖化研究プログラムでございます。この地球温暖化問題につきましてはご存じのとおりでございますが、人類の生存基盤に関わる最も重要な環境問題の一つであると。あるいは、17年2月に京都議定書が発効いたしましたので、目標達成計画の確実な実施による排出削減約束の達成が当面の重要課題であるということでございます。
 それで、将来の社会経済システムを温暖効果ガスの排出の少ないものへと変革することを目指して、50年あるいは100年後の中長期までを見据えた温暖化対策の検討を進め、その道筋を明らかにしていく必要があるという、プログラム全体の説明がございます。
 そこで、第2期の期間におきましては、現在から将来にわたり生じる温暖化の影響及びそのメカニズムを的確に把握し、長期的気候安定化目標、それに向けた世界、日本の脱温暖化社会のあるべき姿を見通し、費用対効果、社会的受容性を踏まえて、その実現に至る道筋を明らかにするための研究を実施するということでございます。
 それから、6ページに参りましてイでございますが、循環型社会研究プログラムでございます。これが2つ目の重点研究プログラムのテーマでございます。これにつきましても、最初に現状の説明がありまして、循環型社会形成推進基本計画策定あるいは各種リサイクル促進法が制定・施行され対策が進んでおりますが、依然として最終処分場の受入可能量が逼迫しており、廃棄物の発生抑制、適正処分、循環資源の再使用・再生利用を促進する必要があります。このために、資源採取、生産、流通、消費、廃棄等の社会経済活動の全段階を通じて、資源やエネルギーの利用の面でより一層の効率化を図り、健全な物質循環をできる限り確保するため、環境への負荷を少なくするとか、循環を基調とする社会経済システムを実現することが重要である。あるいは、この循環型社会への移行というのは国際的にも重要な課題になっているということでございます。
 そこで、この第2期の期間におきましては、廃棄物の処理・処分や資源の循環的利用が適切な管理手法のもとで、国民の安全、安心への要求に応える形で行われることを担保しながら、科学技術立国を支える資源循環技術システムの開発、国際社会と調和した3R推進を支える政策手段の提案、循環型社会の近未来の具体的な姿を提示し、そこへの移行を支援するための研究を実施するとしております。
 それから、3番の重点プログラムは、環境リスクの研究プログラムでございます。これにつきましても、化学物質の排出移動量届出制度の導入ですとか、土壌汚染対策法の成立等の関連法制度が整備されておりますが、市場に流通している化学物質について、有害性や暴露、環境残留性に関する情報が不足している。化学物質の特性に応じてライフサイクルの各段階で様々な対策手法を組み合わせてリスク管理を行う必要があるということでございます。
 さらに、PCBをはじめとするPOPs等の未処理のいわば「負の遺産」、アスベスト問題、ナノ粒子等々、様々な環境問題はまだ解決しているとは言いがたい状況であるということでございます。
 そこで、第2期期間においては、階層的環境動態モデル、各種環境計測技術によって得られたモニタリング情報を活用した暴露評価手法を構築する。また、内分泌かく乱作用や、生理、神経系、免疫系への影響、環境におけるナノ粒子等の粒子・繊維状物質の生体影響等に関する知見をさらに充実させる。生物多様性消失等の生態学的な視点に基づく影響評価手法の提示、環境政策における活用を視野に入れて、環境リスク評価手法の高度化に関する研究、関連情報の蓄積、提供を行う。あるいは環境リスク評価の実施等の実践的な課題に対応する。こういった研究を実施していくということでございます。
 重点プログラムの4つ目でございますが、アジア自然共生研究プログラムでございます。我が国と地位的・経済的に密接な関係にあり、かつ今後の急速な発展が見込まれるアジア地域を対象として、その環境を保全し、自然共生社会を構築していくことは、我が国の環境安全保障及び国際貢献の観点から、また地域全体の持続可能な社会の実現のためにも重要であることから、この2期の期間におきましては、これらの地域での大気汚染・広域越境大気汚染、陸域・沿岸域・海域を対象とした持続可能な水環境管理、大河川を中心とした流域における生態系保全管理に関する研究を行うことによりまして、国際協力によるアジアの環境管理と自然共生型社会構築のための科学的基盤を確立し、政策提言を行うための研究を実施するとしております。
 以上が重点プログラムに関する部分でございます。
 左側と比較しましてまた少し飛びますが、ずっと下に行っていただきまして、9ページになります。[2]としまして基盤的な調査・研究活動でございます。ここでは先見的な環境研究に取り組むとともに、新たに発生する重大な環境問題、長期的、予見的に対応すべき環境問題に対応するために基盤的な調査・研究、創造的・先導的研究及び手法開発の充実に努めることとしております。
 [3]が知的研究基盤の整備でございます。ここでは、地球環境の戦略的なモニタリング、データベースの構築、環境標準試料等の作製、環境試料の長期保存、こういったことを実施いたします。さらに、我が国における環境測定等に関する標準機関としての機能も確保するということでございます。
 以上が研究に関するコアの部分かと思うんですが、それに関連する事項といたしまして、新しく(3)と(4)が加わっております。
 (3)は競争的環境の醸成でございます。これは先ほど申しましたように、既に競争的な研究環境がかなり行き届いているということですが、さらに質の高い研究を確保するため、競争的な環境の醸成に努めるということでございます。具体的には、競争的な外部研究資金を積極的に確保するということで、第1期の期間中の年平均額と同等程度またはそれ以上を確保することを目標にいたします。そのほか、研究所内においても所内公募と評価に基づいて運営される所内公募研究制度を引き続き実施するなど、競争的な研究環境を充実させるということでございます。
 (4)が国際共同研究、国際研究協力・連携の推進ということでございます。ここの中では、第2期の期間終了年度である22年度末の協定研究実施数を、第1期中期計画の終了年度である17年度末の実施数から1.5倍に増加させるという目標を掲げております。
 (5)が研究評価でございます。ここは、項目自体は現目標にもあるんですが、現在、取りまとめ中の科学技術基本計画ですとか、関連の研究評価に関する色々な方針を参考にしまして、付け加えております。最初の10ページのところは、評価結果を適切に、予算、人材等の配分にフィードバックすることにより、研究を重点的、効率的に行うことにつなげるという好循環を生起させる。「このため」として4つほど挙げておりますが、所内の評価、外部専門家の評価によります適正な研究評価の実施とその公表。2点目として、研究結果を資源の配分などの業務運営に的確に反映させること。3点目として、研究の直接の結果とともに、アウトカム、得るべき成果ということになりますが、それについても評価をする。
 評価の方法に関しましては、科学的、学術的等々の観点から合理的な手法を定めて各業務を総合的に評価する方法を設定する。また、基盤的、先導的研究におきましても、上記の観点から国環研の役割を明確にして客観性のある方法で評価を行い、結果を公表することとしております。この最後のところは、総務省とのやりとりの中で書いておりますことを引用しております。
 それから、現目標では、成果の普及というのがございますが、これは後で出てまいりますので少し飛びまして12ページに参ります。2番としまして、2つ目の重要な業務でございますが、環境情報の収集・整理・提供に関する業務でございます。
 ここは現目標を参考にしまして、引き続き充実を図っていくということでございます。「具体的には」ということで、インターネット等を介した総合的な環境情報提供システムの運用を引き続き行う。あるいは、少し飛びますが、環境の状況を目に見える形で提供することが可能な環境国勢データ地理情報システムを引き続き構築していきます。これらの情報提供に当たっては、利用者との双方向的コミュニケーションの充実にも努めることとしております。
 それから、その下の3番としまして、新しく研究成果の積極的な発信と社会との良好な関係の構築を関連業務として付け加えております。
 その1番目が研究成果の提供等ということですが、研究活動・成果の積極的な発信に努める。その際、専門的知識を持たない主体に対しても、わかりやすく正確に説明できるよう、インタープリテーション機能(翻訳・解説機能)の強化に努めることとしております。
 それから、その下の(2)、研究成果の活用促進として、産学官交流の促進、環境省が開催する各種諮問会議への参画を通じて、研究成果の活用促進に努めるということでございます。また、知的財産の管理を専門とする部門の整備も挙げております。
 その下の(3)、社会貢献の推進という項目を新たに設けております。ここの中では、成果が政策立案への反映等を通じて社会に貢献するように努める。具体的には、一般国民を対象とした見学会の積極的な実施と対応、普及啓発及び環境教育への取り組みを一層進めることですとか、職員の各種審議会等への委員参加の延べ人数について、第1期の期間中よりも増加させて研究成果の政策への反映に努めるということを挙げております。
 その下になりますが、第3としまして、業務運営の効率化に関する事項でございます。順番が入れ替わって、今までは第2となっていた事項ですが、今の案では第3としております。
 1番としまして、戦略的かつ機動的な組織の編成ということですが、ここは基本的に現在の目標をそのまま参考にしてつくっております。
 それから、次の14ページに参りますが、2番として人材の効率的な活用の項目でございます。ここについても、最初の部分は現目標と同じですが、以下の点について配慮・検討するという文を付け加えておりまして、非公務員型の独法としてのメリットを生かした柔軟な採用や人事交流の推進、多様で多才な個々の研究者が意欲と能力を発揮できる環境の形成、研究者のキャリアパス及び併任制度のあり方、多様な雇用形態の人材間の調和・維持といった点について配慮・検討するということでございます。ここのところは、そのすぐ左の欄にありますように、評価委員会での暫定的な評価コメントを参考にして付け加えております。
 それから、3番としまして財務の効率化の項目がございます。ここについては具体的な目標を挙げておりまして、3行目、一般管理費については毎年3%以上、その他の業務経費について各年度1%以上のそれぞれ削減を目指すとしております。
 それから、15ページに参りたいと思いますが、4番としまして効率的な施設運用でございます。ここは現目標を参考にしてつくっておりますが、活用状況を的確に把握し、稼働状況に余裕のある施設がある場合には、その有効利用を図るなど適切な措置を講ずるということでございます。
 それから、5番としまして、情報技術等を活用した業務の効率化という項目がございます。ここは新しく付け加えた部分でございまして、これは政府全体で電子化を進めておりますが、その一環として、こういうことを目標に掲げることが求められております。主要な業務・システムの最適化を実現するために以下の事項に取り組むということですが、監査ですとか、刷新可能性調査なるものを実施して、必要があれば業務・システムに関する最適化計画を策定するということを盛り込んでおります。
 それから、6番に参りますが、業務における環境配慮でございます。これは現目標にも同じ項目がございまして、これを参考にして書いております。
 16ページに参りまして、新しく付け加わった部分としまして、最後のところですが、業務における環境配慮の成果を毎年度とりまとめ、環境報告書として公表するということでございます。
 それから、7番に参りますが、業務運営の進行管理でございます。ここは現在の目標をそのまま参考にして作成しております。
 第4に参りますが、財務内容の改善に関する事項を書いております。ここでは、現目標を参考につくっておりますが、下から4行目あたりですが、受託収入(競争的な外部研究資金及び受託業務収入)でございますが、国環研としての主体性を保つため、国環研の目的、使命に良く合致した資金であるか否かを吟味した上で、その確保に努め、というのを付け加えておりまして、確実な運営に努めることとする。
 それから、先ほどと若干繰り返しになりますが、17ページになりますが、特に競争的な外部研究資金については第1期と同程度またはそれ以上を確保するという目標を掲げております。
 第5としまして、その他業務運営に関する重要事項でございますが、施設及び設備に関する計画、それから、2番としまして人事に関する計画でございますが、人事のところでは、非公務員型のメリットを生かして多様な人材の採用・活用を図るために人事制度の見直しを行うこととしております。
 駆け足でございましたが、現時点では素案ということでご検討いただければと思います。

【石井部会長】 ありがとうございました。
 ここで国環研側から、こういう目標が仮に指示されたとすれば、どんなような中期計画を策定することが見込まれるかといったような概要といいますか、基本的なコンセプトと申しますか、そんなものについてのあらましをお伺いすることになっているのでございますが、大変大部にわたる長い説明を聞きましたので、ここだけは確かめておきたい、というような技術的なご質問がございましたならば、ちょっとここでそれをお受けいたしまして、それが済んでから、今申し上げたような国環研のご説明を承る方へ進みたいと思いますが、いかがでございましょうか。何かちょっとわからなかったとか、これはどういうことであるかというような技術的なご質問をちょっとお受けいたします。

【高月委員】 前の中期目標のときの順番を第2と第3を入れ替えられた。非常にすっきりしてよくなったと思います。というのは、前のとき、いきなり業務の効率化というのが出て大分議論をやったと記憶しておりますが、そういう意味では、先に業務が来て、後でその効率化という話が来るのは非常にいいと思うんですが、それはいかがでしょうか、独立行政法人の法律の方で、あの順番が最初にあったからかなり固執してやったというような気がするんですけども、今回の場合、それを入れ替えても特に問題はないんでしょうか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 参考資料におつけしておりますが、ご指摘のとおり、法律では順番が逆ですが、これはもう前例がございまして、産総研におきまして入れ替えた中期目標を既につくっておりますので、問題ないかと思っております。

【長谷川委員】 技術的などうか分からないのですが、ちょっと違和感があるところがございまして、10ページの(3)競争的環境の醸成のところなんですけれども、競争的環境というところで、資金の確保のことが非常に述べられておりまして、後の財政面のところでも言われているんですけれども、以前の中期目標のときには競争的といいますか、知的研究基盤というのは非常にサブスタンスといいますか、中身のことが言われておりましたところに、何か急に資金の確保のことが言われておりまして、何となく違和感があるんですが、これは評価のところで、ほかと比べて非常に資金の確保が高かったというようなことがあったのを踏まえて、ここに書かれたのかもしれないんですが、何となくここにこれがあるのが私は違和感があるんですが、他の先生方はそんなことはございませんのでしょうか。

【石井部会長】 いかがでしょうか。これをここに入れた真意といいますか、気持ちを説明してください。

【宇仁菅環境研究技術室長】 少し説明が足りなかったかもしれませんが、どういう研究を行うかということにつきましては、その前の(2)のところで一応言い尽くしているのではないかと考えております。それから、後の(3)から(5)までは、それに関連する研究をより進めるため、あるいはその質を高くするためにこういうことを行っていく必要があるんじゃないかというつもりで、関連する項目を3つばかり挙げたということでございます。
 ちょっと資金のことが強調され過ぎかもしれませんが、趣旨としましては、例えば科学技術基本計画でも、全般的に競争的資金については引き続き増やしていこうということも指摘されておりまして、それは最終的には研究の質を確保するということが目的だと思っております。そういった目的でこの部分においても、そういった環境の醸成が必要ではないかというつもりで入れたわけでございます。

【石井部会長】 私が言うのも何なんですが、ここの研究に関する業務、つまり1.の下位区分として(1)戦略的な云々、(2)が研究の構成、(3)が今ご指摘の、競争の問題なので、(1)のところは、戦略的な研究をやるというわけではなくて、戦略的推進だと思われますので、これは多分「環境研究の戦略的推進」というふうに書いた方がいいと思うんですね。つまりやり方の問題です。(2)がそのコンテンツということになるわけです。(3)でまた競争的環境でやりますということになって、その辺が、コンテンツが一遍来てまたやり方の問題に戻っているので、ちょっとここのところ、この後の国際的云々というやつもそうなんですが、少し順番を入れ替えるなり何なり、その辺の整理をすると、資金の問題だけじゃないというのが、もうちょっと表に出てくるかなと感じます。つまり競争的な環境、これは様々な意味があるわけで、お金だけでなくてスペースの問題もそうであるし、人事でどれだけのことができるか分かりませんが、待遇の改善とか優遇とか、いろんなこともある。あるいは任期制を作るとか、様々なものが考えられるわけで、そういうコンテンツと、やり方、進め方の問題というのを分けると、ちょっとその辺が分かりやすくなるのかなというふうに思います。これは後でご議論をいただきたいと思います。

【小池委員】 私もやはり10ページ目の(3)と(4)なんですけれども、これはいずれも数値目標的な取り扱いで書かれていますね。なるべく、今、数字目標を入れろというプレッシャーはあると思うんですけれども、安易に数値目標を書くというのは、私は余りいいことではないなと思っています。特に(4)の場合は、これは結局、国際共同研究を推進して17年度の実施件数より1.5倍増やすという約束というか目標を掲げて、これは結局予算を伴うものなんでしょうか、その形とすると。競争的資金の場合は、皆さん、努力して外からお金を取ってくるのでいいんですけど、この国際的共同研究とかそういうのは中の問題がかなりありますね。ですから、それを書かれるのはいいんですけども、余りここで数値にこだわる必要はないような。先ほどの委員長が言われたようなコンセプトで書いていくんだとしたら、ちょっとその辺が違和感があったのでコメントします。

【石井部会長】 要するに自信があるからここに書いているんだ。競争的資金なんかは自信満々、断トツ1位だからこれぐらいは行くだろうと。これは後で中期計画のお話の中でちょっとコメントをしていただければと思います。
 ほかに何かございましょうか。
 それでは先に進ませていただきますが、ちょっとここで5分ばかり休憩をとった方がよろしいかなと思いますので、その後、国環研の方からお願いいたします。

(休憩)

【石井部会長】 それでは再開したいと思います。
 先ほど申し上げたように、国環研の方からお話を承りたいと思います。よろしくお願いします。

【大塚理事長】 どうもありがとうございます。
 国環研におきましても、次期の中期期間中にいかに研究を展開するかということにつきましては、評価委員会のご意見を踏まえながら、随分多くの時間とエネルギーを投入して考えてまいったつもりです。
 先ほど石井先生からお話がありましたように、具体的な中期計画案は次回の評価委員会に提示させていただく予定ですが、本日はその大きな考え方であるとか、今までの経緯につきまして、飯島理事と西岡理事から説明させていただきます。どうぞ忌憚のない意見をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【飯島国環研理事】 ちょっと字が小さくて申しわけございません。これまで環境研究所でどういう検討をしてきたかということを年表でまとめてみました。実は、今中期計画の真ん中2003年ぐらいから内部では議論を始めたんですが、2004年、一昨年の3月、約2年前になりますが、研究評価委員懇談会と書いてあります、これは外部の専門家による国立環境研究所の研究評価の委員会でございます。ここで非公式にどんなことを次期中期期間で取り組んだらいいだろうかという、研究の中身の話についての懇談を行いました。その中で、懇談会の専門家の先生方からお話がございましたキーワードとして、持続可能性への取り組み、環境研究の指針、あるいは安全・安心への対応、社会科学との一層の融合、これは一つの例でございますが、いろいろと忌憚のないご意見をいただきました。
 その後、所内で、領域長、部長クラスで検討会を発足させまして、一応これまでの議論を主要研究課題・組織面検討課題という形でレポートをまとめました。これは我々は「WHAT」と「HOW」と言っております。要するに何を研究するのかということと、どのように研究するかという、「WHAT」と「HOW」に分けて検討課題を提出しております。このときから、1年前でございますが、環境省とも意見交換を開始したところでございます。その後、昨年になりまして、4年間の業務実績をこの独法評価委員会で評価をしていただくとか、あるいは見直しについて審議していただく、その直前の段階になりまして、所内で研究経営戦略懇談会という、レベルは先ほどの領域長クラスでございます。ここは公式に物事を決めるということでなくて、いろいろと自由な議論ができるようにということで発足させました。
 その後、この独法評価委員会の国環研部会あるいは評価委員会等で、先ほど申し上げました16年度の業務実績あるいは中期計画の4年間の実績評価あるいは見直しの方針等についてのご議論をいただいておりまして、それを踏まえまして昨年9月から「WHAT」と「HOW」につきまして、それぞれ具体的な検討を行いました。
 その間、総務省における見直し、総合科学技術会議の方針、あるいは環境省における環境基本計画の検討という中でキーワードを掲げておりますが、選択と集中、安全と安心、重点4分野、人材育成などが挙がっております。この間、「WHAT」についての具体的な詰めを行いまして、中期計画に向けての作業としまして、12月には、先ほど言いました外部の国環研の研究評価委員会に、どういうことを考えているかという報告をしております。1月からは、まさに、今これから議論をお願いしているところでございます。
 次期中期計画の構成はどうなるかということなんですが、これは先ほどご説明いただきました中期目標等に対応するものでございますが、この青字で書いてある項目は、法律上、決められております。順番につきましては先ほどございましたように、1と2を逆転させまして、1に「WHAT」を、2に「HOW」をという書き方をしているところでございます。あと、3、4、5、6、7、これは法律でこれらの項目が定められているということでございます。
 それから、次に、「WHAT」を中心に中身の話に入らせていただきます。

【西岡理事】 それでは、中期計画の基本的な考え方ということでお話ししたいと思います。
 まず、自分たちの使命がどういうことであるかということをきちんと認識しようということです。持続可能な社会形成という方向を示しことと、我々の力はどこにあるかということの認識からは科学的、技術的基盤を政策に提供するのが役目であること、それから仕事への取り組み方として学は際的・総合的という私どもの得意とするところを発揮していきたいということで考えております。
 真ん中の四角に書いてございますように、国内外の環境政策決定に貢献するということがあります。さらに、様々な環境問題への発見、解決、未然防止等々で、長期的には人類の発展を支えるというような高い目標を設定しています。我々の売りといいますのは、やっぱり高い専門性、これは常に磨いておかないといけないところでありますが、それから使命感、これは非公務員化ということがあっても、我々は公として、人のため、世のために頑張っていこうという志でございます。さらに、先を見ていこうということ、それから、みんな幅広く見識をたくわえておこうということがベースにあります。
 それでページの中身に入っていくわけでございますけれども、先ほどご指摘がありましたように、環境研究の戦略的な推進ということです。「戦略的」というのは先に明確なターゲットを定め、そこに向かってのはっきりした道筋を持って効果的な研究を進めていこうです。我々の研究所の目標でございますけども、まず自分たち主体的にどう行動するかということが一つあります。それからもう一つは、他機関との連携・協力、これを高めて効率的に仕事を進めていこうということがあります。
 自分たちが主体的にやるということには2面あり、これらを両面作戦で遂行したく存じます。一つは世界の重要課題を選択し、そして資源を集中していこうということです。しかしながら同時に、このキーワードだけで我々の研究所はやって行こうと思っておらない。環境の問題というのは何時どんなものが出てくるか分からないところがございますし、この重点化された研究だけではカバーできないところも沢山ある。言ってみれば環境問題に関してのセーフティネットのような役目も、我々の任務として非常に重要だと考えております。ですからこの両面作戦です。
 重点化につきましては、温暖化、循環型社会、環境リスク、アジア共生といった4つのプログラムにまとめました。
 プログラムというのは、環境課題はとても5年ぐらいでは解決できないものがほとんどです。ここにあるもの、みんなそうですが、それだったら、もう少し遠く10年以上を見通して、それをふまえて今一つ一つ片づけていかなければいけないものは、どういうものがあるかといった道筋をはっきりさせながら研究を進めていこうということで設定したものであります。現在の第一次中期計画の研究構成というのは、研究プロジェクトが単位となっておりまして、比較的すぐの問題を対象にし、割と小粒になったんですけども、もう少し大きくまとめて、しかし、きちんとその中で計画的に一歩一歩進めていこうという考え方でこれを構成しております。
 一方、この潜在的、緊急に生じるもの、例えばアスベストといった問題に対しても十分応えられるような体制を作っていこうということで、基盤的研究を平行した進める、これが基本的な研究の構成であります。さらに、我々は手法をちゃんと磨いておかないといけないし、先を見た研究にも手を打っておかなければいけない。それに対しましては先ほど中期目標にもございましたけれども、所内の競争的な資金等々を獲得し、あるいは外の競争的資金を獲得したりして進めていきたいと思っております。
 日本全体、あるいは世界全体から考えまして、我々が得意とし、かつやらなければいけないことは、他の大学・研究所との連携においても先導してやりたいということで、内外の研究機関、地方環境研究所、大学、企業等の効率的な連携・推進を積極的にやっていこうと考えております。
 以上が、研究構成の根幹でございますけれども、戦略的な推進ということで、やはり今後、環境問題がどういう形で動いていくだろうか。そして、その中で我々が研究者としてやらなければいけないことは何だろうかといったことを常に把握しながらしっかり方向づけようということで、ビジョン研究といったものも要るだろう。その方向づけのもとに、先ほどの選択と集中ということで4つを取り上げ、しかしながら、それだけでは足りないところを、この6つの基盤研究領域あるいは3センターでしっかりと押さえていこうという、この2つの組み合わせになっております。
 選択されたプログラムにつきましては資源を重点的に配分する。この資源の配分は、そうは言いながらもおおむね半分ぐらいになるのではないかなと思っております。それから、こちらの基盤的な研究についても高い水準を維持していこうとやや欲張っています。こうした総合的な形全体が重要であると考えております。
 では、その重点プログラムをどうやってそこに絞り込んだのかということでございますが、これは話せば長くなってしまいますけれども、基本的には健全な資源環境こそ人類の安全保障の基盤であるという考え方から構成しております。既にといいましょうか、環境変化が幾つも顕在化しております。この中でも人間活動の拡大によって、そもそも資源が大分枯渇してきた。それから、グローバリーゼーション等による固有の自然の喪失等もある。化石の燃料依存の技術によって、温暖化のことでございますけれども、生存基盤全体の危機がある。あるいはバイオ・ナノテク等の科学技術進歩から来る未知の影響、これはリスクとの共存です。さらに負の遺産等々。こういった問題がありますがそれに対応して、環境研究にはどういうことが要請されているかということで挙げています。大きく分けてみますと、こういったことがあるのではないかということをベースに我々は研究を絞り込んだわけであります。
 まず、長期プログラムで取り組むべき内容は何かいうことで、まずは温暖化研究が挙げられています。このあたりは皆さん方に説明することはないと思いますが、当研究所の総合力を生かした幅広の取り組みをしようとしています。次の循環型社会についてはモノのフローといったところに注目したものですが、もちろんストックに関係しますし、技術だけではなく、安全性からの評価や社会的な誘導策を検討していこうとしています。
 環境リスク研究は化学物質だけでなく、バイオ・ナノテクなどの技術進歩の問題、あるいは、最近では遺伝子組み換えの問題、あるいは侵入種の問題が出ており、それらまで広げての環境に及ぼすリスクについての研究です。この3つはこれまでもいろいろ言われたことですが、もう一つ大切な課題として、自然共生というものがあります。我々は、今、日本というよりもアジアの自然がどうなっていくか、環境がどうなっていくかということが、今ももちろん重要になっておりますけれども、多分次の重要な研究課題ではないかということを想定し、重点プログラムを組んでいます。、アジアについてはこれまでも言ってみればパッチワーク的に取り組んでいたわけでありますけども、それをまとめて取り組んでいこうということで、アジアの自然共生研究を進めたく計画しています。
 もう一つの基盤的研究があります。先ほどの絵の下に書いてありまして、縦じゃなくて横に縫い取ったところがあります。これが基盤研究です。その一つは安全・安心を保障するための研究。これは例を挙げておりますが、これまでも毒ガスや砒素の問題、アスベスト被害、その他いろいろ出てきます。あるいは都市域の大気汚染もまだなくなっていないということがございますので、こういうことについてもきちんとやっていこう。それだけでなくて、我々の力を養成するという面では、すぐには政策に影響するものではないですけども必要な研究も有り。人材育成やあるいは試料の確保等々もここでやっていこうと考えております。
 政策に比較的近いが研究の要素がキーとなる業務も沢山ありまして、温室効果ガスイベントリの整備、GEOSSに対応する地球観測連携拠点、大気環境被害のコホート調査あるいは化審法を支える毒性データ整備も進めていかねばならない。これはそれぞれのセンターでやっていく。そして、さらにビジョン研究もやっていく。
 次にこれらの研究の単位ということです。重点プログラムの中に中核研究プロジェクトといいまして、温暖化なら温暖化の中に重点的な中核プロジェクトが4つあります。そこに研究資金として投入する。しかしながら、それら中核プロジェクトだけでは大きな課題を遂行できないので、関連研究プロジェクトという名で、いろんなプロジェクトを同時に走らせようということを考えております。
 これ以外では、それぞれの領域で、それぞれの専門でできるようなプロジェクトはそこでやってもらうし、あるいは横断的にビジョン研究もやっていきたい。これによって内部の力を強めていくための研究という具合にカテゴライズしております。
 例えば温暖化研究のプログラムにつきましては、先ほど申しましたように、10年以上のプログラムの中で、特に強いもの、必要とされるものを、しかもそれらを連携を持ってやっていく。お手元にないのでちょっとこちらを見ていただきたいのですけれど、これは一つの例で、温暖化プログラムの一番上のページだけ、ちょっとイメージを見ていただこうで持ってきました。温暖化の問題を解決するためには、まず、長期変動のメカニズム、あるいはそれこそ炭素収支はどうなっているかというのを観測する必要がある。2つの中核研究プロジェクトで地上の観測のプログラムとGOSATという衛星を使った宇宙から全球の炭素収支をやろうというプロジェクトが進んでおります。こういったところでしっかりと状況を押さ、その次がそういうデータを踏まえて、あるいはモデリングの技術によりまして、将来の温暖化はどうなるかという予測をする。そして、それがどういう影響をもたらすかといったことをやり、その状況を踏まえた上で対策を打っていく。対応のシナリオをつくり、国際的な動向を踏まえながら、どうやったら低炭素の社会を作れるかといったことを研究する。これを4つの中核研究プロジェクトとして重点研究プログラムを構成する。1つのプログラムに大体4つぐらいの中核研究プロジェクトを想定しております。
 関連プロジェクトといいますのは、それだけではなくて、例えば温暖化に関しては古環境の復元といったものもあるじゃないかとか、あるいは今、チベットに出かけて炭素収支計測やっている。これも全部温暖化に関連するものとして、それぞれ関連を持ちながらやっていく。それだけではなくて、データの整理といったこともやらなければいけないということ。大体これ全部で重点研究プログラムを構成しております。
 2番目の重点研究プログラムは循環型社会研究プログラムでございますが、ここではまず、全体の社会における生産消費システムがどうなっているだろう、将来どうなるだろうか。そして、それを危険性、有害性といった観点からどう評価して管理していくか。その廃棄物処理の具体的な技術的対策をどうやっていくか。技術的対策ではなくて政策的な部分も含めてどうやっていくか。それから、いわゆる国際的な循環の問題に対して、どういう形でそれを進めていくかといった、3Rといったものも対象になっています。
 環境リスクプログラムでは、今まで化学物質リスクということでやっておりましたが、もう少し大きく環境リスクというもので考えたいということ広げています。まず化学物質が念頭にありますけども、暴露評価の手法をもう少し確認したい。あるいは、今度は感受性要因といいますのは、子供等々、あるいは子供になるまでの過程において非常に影響を受けやすいということがありますので、この辺に注目してやっていこう。それから、ナノ粒子・ナノマテリアルの健康影響評価。それから生態学的リスク問題ですけれども、このあたりが多分重要になってくるということで、これを取り上げております。
 最後の4つ目のプログラム、これはまだグループと言ってプログラムの小振りのものです。まだ第1段階でございますけども、アジアの大河川流域、中国あるいはメコン等々が念頭にありますけども、そういったところの流域管理。それをやるためのデータベースをしっかりやっていこう。それから、最終的には、そこで何か政策提案できるようなものにしたいということを考えております。これはこの5年ではまだ、いろんなデータ整理におわれるのではないかなと考えております。
 以上、内容についての説明を終わります。

【飯島国環研理事】 これは2号業務の環境情報の収集・整理・提供で、ここにありますメニューは、これまでのメニューと同じでございますが、評価委員会からご指摘いただいたとおり、これをさらに一層充実させていこうと。特に利用者からの双方向の情報のやりとりということに意を尽くしたいと思っております。
 次の、業務運営の効率化、これはいろいろございますが、我々が検討している中で特徴的なものを紹介させていただきます。
 まず、非公務員型独法としてのメリットを生かすということで、何ができるかと考えた部分がございます。1つが任期付職員制度の改善とございますが、現在、任期付職員につきましては、法律によりまして、若手育成型というのは例えば5年の任期を決めますと1回限りということなんですが、この制限を撤廃したいと思っています。若手に限らず、研究テーマ型ということにして、最長5年の任期付研究員制度を導入したいと思っております。
 それから、2番目でございますが、国家公務員の場合は非常勤職員というのは、法律上、日々雇用という形態になっておりますが、これを原則、1年の契約職員に変えたいと思っています。原則1年契約ですが、複数年契約という道も開きたいと思っています。
 3番目でございますが、キャリアパスの明確化。この評価委員会でもご質問がございましたが、流動研究員という名称は撤廃したいと思っております。任期付研究員やこれまでの流動研究員に当たる研究系契約職員、こういった方々の中から優秀な方はパーマネントの採用の道を開こうということを制度化していきたいと思っています。
 4番目には、女性研究員の数がまだまだ国立環境研究所は諸外国と比べて少ないので、採用を促進していきたいと思っています。
 もう一つの数値目標になります財務の効率化でございますが、予算の経済的執行、一層の経費削減というのは当然でございますが、これまで、現行の中期計画では業務費を毎年1%削減しようという目標だったんですが、今回は、毎年度業務経費は1%以上、そして、特に一般管理費については3%以上の削減を目標に掲げたいと思います。これにつきましては、毎年度予算を決めるときに、業務費の1%削減、一般管理費の3%削減を予算の数字の上に反映させていきたいと思っております。
 それから、先ほど出てまいりました競争的な外部研究資金については同等程度以上とするとございますが、これは今期の中期計画では年平均4%以上毎年増やすということでしたが、これにより現在は断トツのトップに立っているということなので、この状況を維持させるということを目標として掲げたいと思っています。
 それから、昨年の評価で唯一Bをいただいた業務における環境配慮でございます。これにつきましては、幾つか数値目標を掲げたいと思っています。
 まず、環境負荷の少ない物品の購入、これは100%調達というのは従来どおりでございます。
 それから、温室効果ガスでございますが、現在の目標は13年度比、総量ベース7%以上減でございますが、この目標については、第一約束期間のもとの数値でございますので、次の中期計画期間中に変わることはないと考えられます。既に7%削減の見込みがございますので、私どもはさらにその2倍である14%減という目標を掲げたいと思っています。
 それから、電気・ガスのエネルギー使用量でございますが、これは、現行計画では12年度比、単位面積当たり10%以上減の目標でしたが、これも2倍の20%以上減という目標を掲げたいと思っています。
 上水使用量も現在10%減に対し、30%減という目標を立てたいと思っています。
 それから、問題になっている廃棄物の減量化でございますが、これは現行の中期計画では数値目標を立てておりませんでした。それが16年度の廃棄物の発生量が増えているということで、改善のご指摘をいただいたわけでございますが、今回は具体的な数値目標を立てるということで、16年度比、総量ベースで処理・処分廃棄物の25%以上減、それから、燃やすごみは40%以上減の目標を考えています。また、循環資源、すなわちリサイクルに回るものについても削減を図ることとしますが、数値目標についてはリサイクルに回るものを外して、処理・処分しなければならない廃棄物について25%減、可燃物について40%減の目標を掲げたいと思っております。
 以上でございます。

【石井部会長】 ありがとうございました。
 何か技術的なことについて、ご質問ございますでしょうか。

【小池委員】 任期付きの雇用を若手からプロジェクト別に変えるというお話でしたけども、これは、任期付きの場合は人件費の中に含まれる任期付きかということが一つと、それからあと、5年たった後はどうなるのかということで、その後はどういうふうに運用されるというふうに考えていますか。

【飯島国環研理事】 ここで言っております任期付職員というのは、これまでの常勤職員としての任期付職員ですから、財務省で人件費としてカウントされる任期付職員ということでございまして、従来は任期付研究員法のもとで運用されていましたが、先ほど申し上げましたように、その法に基づくと5年で1回きりで終わってしまうということで、基本的には、この3月で5年たつ方たちを引き続き任用することを可能にしたいということです。
 それから、小池先生のご質問は、次の5年の後はどうなるのかということだと思いますが、次の5年の後は、基本的にはキャリアパスの明確化という中で、その中で優秀な人についてはパーマネントへの採用をしたいと思います。

【石井部会長】 関連してついでに伺いたいんですけど。その次の項目に非常勤職員と書いてあるんですが、これはいかなる基準、あるいは定義といいますか、週30時間以内とか、そういう形式な基準でしておられるんでしょうか。

【飯島国環研理事】 非常勤職員という名称は国家公務員時代の呼び方でございまして、ご指摘のように、パートタイマーの方もいますが、大多数は毎日出勤される常勤的非常勤職員です。毎日出勤していても、国家公務員法上は日々雇用という形の非常勤職員になります。これは本人にとっても不安定な雇用形態と思われるので、今後は1年の契約職員という形にしたいと思っています。

【石井部会長】 分かりました。他に何か。

【坂本委員】 幾つか、今、聞いた話と、それから、先ほどの中期目標と必ずしも一致していないかなというのが、例えばアスベスト絡みのところは、例えば基盤研究の方で、それが重点何とかというところに出てきたり、そしてアスベストについては、ある意味では相当程度のものがここに掲げられていて、むしろそこにおいて暴露影響とかそういったものよりは、その後、行政的にどういう進め方がもっとあるべきだったかというような話も入ってこないといけないんだと思うんです。そういう視点が見えないかなということ。
 それからもう一つ、温暖化のところで、温室効果ガスについては非常にいろいろ書いてあるんだけれども、今、非常に不明確なエアルゾルの関係についてはなくて、これはもっと先に行ったら出てくるのかというような気がするということ。
 それからもう一つ、ナノマテリアルについては経産省絡みのプロジェクトは知っているかと思うんですが、そういったものの意識、いわゆる国レベルで見た資源の集中という意味では、そことの切り分けがどういうふうになっているのか。
 それからもう一つは、国立環境研究所の中に、いろいろな地環研とか大学とかと連携してやっていくという話があって、これは非常に結構なことなんですが、それと同時に、今、どういう名前になったか、公害研修所も国立環境研究所の中に入っているかと思うんですが、そういったものをうまく活用して地環研との連携をしつつ、かつ、前にも申し上げたんですが、底上げを図るような話も同時にないといけないのかなという気がいたしました。
 ちょっと今、気がついたところを数え上げたということですけど。

【石井部会長】 大分、実質論的な問題になりましたので。次回、議論になることがかなり含まれていると思いますので、西岡さんのご判断で、現在答えられることだけ。

【西岡国環研理事】 アスベストにつきましては、これは環境リスクの面からも捉えられるんですけども、現在、前にアスベスト処理研究をやった者だとか、生理的な影響を研究した者とかが集まりまして、既にチームができて取り組んでおります。それは環境リスクプログラムか基盤研究のどちらのカテゴリーにも入ります。先にお話ししたセーフティネットといったところのカテゴリーに入れるのに、ちょうどいい例であると思っております。先ほどの重点の中だと、多分、環境リスクの中でも取り組めるような問題かなと思っております。
 それから、ナノマテリアル研究の切り分けにつきましては、これは産総研だとか、それから、私どもの研究所と、あと二、三の研究所が集まりまして、言ってみれば研究のコンソーシアムをやって、私どもは生体リスクの研究を主としてやるという共同作業で現在進めております。
 それから、地環研との関連でございますけれども、これはむしろ良くやっているというお話があったものですから申し上げることもないかと思いますけれども、毎年の集まりだとか、所長の集まりだとかございますけれども、もっと実質的には研究費のうち地方環境研究所で手当てしにくい旅費を融通いたしまして、こちらで研究を共同でやったり、向こうでやったりということも定常的に進めております。
 研修につきまして、研修所はいまは私どもの中にはありません。

【坂本委員】 あれは環境研ではなくなった。

【西岡国環研理事】 ええ、なくなっております。また、1回入って、1回また出て。

【坂本委員】 そうですか、失礼しました。

【西岡国環研理事】 エアルゾルにつきましては、温暖化の一部に入って、組み込まれています。エアルゾルは一方、アジアのブラウンクラウドの話になりまして、そちらの方でも取り組もうかということで考えています。

【西間委員】 最後の、業務における環境の配慮ですけども、これはB評価ということで、これはかなり無理して、この数字を出したのではないかと思うんですけれども、現実的に我々の研究環境というのは、研究補助員が非常に少ない中で、個人が相当な時間を使って、そして辛うじて他国と対等に競争しやっているという、この事実は否めないと思うんですね。それで、なおかつここで光熱水費をこれだけのカットをするというのは、研究者にとっての環境が余りいいものではないというか、快適な職場環境をかなり阻害する要素になるのではないかと思うんですね。ですから、例えばB評価であっても、B評価よりももっと大事なのは研究、その前のことをやることが大事ですから、ここはもうBはBでもいいから、余り無理な数字は出さない方が私はいいんじゃないかと思うんですけれども。現実問題として。

【石井部会長】 それはちょっと結論的な話…。

【西間委員】 いや、まだ先の話ですけど、だから余りこういうことは…。

【石井部会長】 ちょっとそれに関連して伺いたいのは、このエネルギーの節約は単位面積当たりでやっているわけですね。冷暖房とかはそれでよく分かるんですが、研究所のアクティビティーが高まればエネルギーの消費量は増えるわけですよね。この切り分けはどういうふうに考えておられますか。

【飯島国環研理事】 エネルギーについては既に昨年の評価の段階での目標達成等を申し上げたように、個々の研究者の研究環境を損ねる形でエネルギーを抑えようとしているのではなくて、ハードの省エネ技術で、トップランナーを走っているという自負を持っております。それによって既に10%削減しておりますし、次の5年間では20%削減できるだろうと。さらに温暖化研究プロジェクトで提案されているように、2050年に7割~8割削減というのは、とてもそれだけではできないと思いますが、少なくともハードの省エネ技術でトップランナーを走っていて、20%削減はできるだろうという自負を持って、この数字を挙げております。

【西間委員】 つまり、技術でこれはカバーするのであって、決して電気を消して回るというものではないと。職員に相当な負担になるのですね、この光熱水費の制限というと。とにかく夕方になると、はい私もう削減のために帰りますというような、極端に言えばそんなことになってしまって。この辺は豊かな方が私はいいと思うので、ぜひ技術的なところで削減をしていただくと。

【飯島国研理事】 実際に効果があるところは技術的なところだと思います。ただ、電気を消して回るようなソフトの対策も重要と考えており、特に廃棄物の場合は個々の職員の自覚によるところが非常に大きいものですから、そこは相当厳しいことも言って、廃棄物発生量の25%減を達成したいと思っています。

【石井部会長】 研究そのものに必要な電気とか、そういう熱源というのは別に計算しないとおかしいのではないか。どういうふうになっていますか。それは全部込みですか、今メーターは。

【飯島国研理事】 エネルギーは全部込みです。基本的にはエネルギーセンターで一括して供給しておりまして、そこでコントロールしようという考え方でございますので、送電のエネルギーロスをなくすことと、それから初めのエネルギーを作るところでの技術開発、新しい技術の導入という形で投資する。もちろん費用は掛かるのですが、それは前回ご説明しましたように、ESCO事業という新しい方式で一遍にはお金は掛けられないけれども、5年、6年かければ、そのお金が捻出できるという、そういう新しい契約方式を採用して、新技術を導入しているところであります。

【石井部会長】 これはまた、次回にでもゆっくりご議論していただいて、お話を承れれば幸いです。ほかにございますでしょうか。

【高月委員】 研究の方向性というか、ここで言えば業務の方向性について言うと、今回重点として4つのものに絞り込まれたわけですけれども、今までのやり方ですと、例えば、かなり細かいと言ってはおかしいのですが、いろいろ具体的な名称を挙げた重点研究があって、かつまた政策対応型の研究というのもあって、そういうものを今回の場合は全部統合したような形で4つに絞り込まれたと思うのですけれども、その辺の判断というのはどういう経過になったのかということと。それから前にありました、例えばオゾン層の問題とか、あるいは生物多様性の問題とか、あるいはディーゼルの技術の問題とか、各々やっておられた研究プロジェクトで、そこで研究をやっておられた方々がいきなり、その研究ではなく違う研究をやれと言ってもなかなか難しいと思いますので、その辺をどう上手くすり合わせて次の重点の方へ移っていくか。その辺の見通しも全体の枠組みとして、若干ドラスティックといっては言い過ぎですけれども、そういう4つに絞り込まれた経緯がどういうこと出てきたのか、もうひとつ説明していただければありがたいと思います。

【西岡国研理事】 これまではどういう形でやったかといいますと、6つのプロジェクトというのがありまして、それから2つの政策対応センター、2つの基盤的センターということでやっておりました。2つの政策対応センターというのは、化学物質リスクと循環型の2つがあったのですけれども、今回の大きな基本的な考え方として、一体その二つだけが政策対応だろうか、いや、そうではないのではないかということがあります。例えば温暖化というのは物すごく大切な政策対応研究なのだけれど、それが政策対応といっていないのはおかしいのではないか。確かに環境リスク、それから廃棄物は政策からの緊急の要請がある、そして温暖化、この3つは避けて通れない大きな政策対応であろう。だから、研究の構成全体をまず政策対応型に大きく変えよう。そうすればわざわざ政策対応型センターなどという必要はないということです。 それにアジアを入れまして、まず4つの大きな切り込み隊長を集める。だけど、それだけでいいのだろうと皆さん多分お考えだと思います。特に当研究所については、理研のように一つプロジェクトが済んだらそれで解散だというところじゃない。国民の環境の安全・安心を常に監視し守ってくれるのが環境研究所だ、と国民が期待しているはずだと勝手にこっちは思っているわけです。それならそれもカバーしないといけない。だから縦4つと横に1つということで考えている。これを我々の全体戦略としており、そういうわけで、このような形になっています。
 ここの重点研究プログラム4つの絞り方については、総合科学技術会議等々でも検討があり、環境省でも重点と考えているということもありまして、そんなに違っていないと思います。
 アジアにつきましては、これまで、先ほど申し上げましたようにパッチワーク的にみんな出かけて色々なことをやっているのですけれども、これは我々の国に大気や海流の関係で物理的に直接関係することもありますし、それから、いろいろな意味での日本が環境を旗印にしていろいろな外交をしていくというときにも、やはりやっておかなければいけないかなということで、いってみればちょっと次のタマぐらいの大きさで構成されています。
 今期やっている重点特別研究プロジェクトは、大体そこに発展的に吸収されていますし、ほかに継続が必要な研究については所内研究資金での遂行が考えられています。研究者としてもそれほど大きくは変えていない。しかしながら私がここで申し上げたいのは、いつまでもだらだらとやるな、もう少し中核研究プロジェクトに絞り込んでやってくれということで構成しているということです。

【高月委員】 ちょっともう1回。ということは、かなり政策的な研究にシフトしていったと見ていいのでしょうか。

【西岡国研理事】 政策という言葉を、目の前の行政からの要請と狭く解釈していただきたくないことがあります。純粋に科学的との対照としての政策対応です。大学と研究所の差は何かといいますと、やはり我々は環境省のもとで今までやってきたし、これからもそういう形だろうと考えますと、言葉としての政策、これは広い意味でとらえる。今の行政のニーズに対応するだけではなくて、さらにもっと世界を大きく見たり、先を見たりして考えていくという意味での政策でございますけれども、それに向かっていくということを大きな旗印にしていいのではないかなと思っています。

【高月委員】 わかりました。

【小池委員】 今のことに関連してもう一つ、いわゆる4つ研究プロジェクトを立てられていて、それからあと基盤研究領域というのが6つあって、形とするといつのときにも、先ほど大体半分半分ぐらいの形で、人ですかね、それともお金ですか。

【西岡国環研理事】 両方です。

【小池委員】 資源、両方ですね、それを配分すると。形とすると、その間での流動性というのはかなり確保しておいて、今の4つ研究プロジェクトというのはいずれもかなり、5年で終わるものではないと。10年以上の長期を目指している。ということは、次も多分こういう形では続くだろうと。ただ、その中で取り上げる、コアになるのは5年くらいでしていきたいと。そうすると人に関しても、そういう形で動いていくと考えてよろしいのですか。

【西岡国研理事】 基本的にそう考えています。5年くらいで、交代する必要はないのですけれども、固定するわけではなくて、まず5年たったらまず仕事自身を見直す。中核研究プロジェクトと言っている分については、多分5年位で収まりがつく。次に温暖化で新しい物が出てきたら新しい物を立てて、そこにまた人を入れ替えてやっていこうということで、一応5年単位で人をフィックスしようと考えています。
 先ほど私、資源半分半分と言いましたけれども、結果として半分半分になるのです。基盤については競争的資金をたくさん取ってきてくれ、交付金は我々が重点と思う物に比較的たくさん与えてやっていこうという具合に考えております。それが重点的なものかなと思っております。

【小池委員】 その場合、結局これは研究者個人の選択に任される。例えば、いや私はお金がなくても基盤で結構ですという方は、基盤で頑張ると。研究のテーマ、あるいはよりお金があった方がいいという人はプログラムに移ることもあると。そういう形で基本的に流動するのは研究資金だけという形になるわけですか。微妙な話ですけど。

【西岡国研理事】 今ちょうど、まず仕事を確立しているところです。基本的に今回の次期に向けては、我々がやらなければならない仕事は何かということを、経営側からも幾つか、こういうところでやってはどうかという話を最初しました。幸いのことに所員の皆さんも検討をかなり進めておりまして、自発的にそれではこういうプログラムを組もうじゃないかということを相当討論を重ねまして、結果としていい中核プロジェクトにまとまった。やり方としてはトップダウンとボトムアップでうまくいったのではないかと考えております。
 もう一つ、基盤の方でしっかりやっていきますよという人は、それなりの評価がなされるべきです。お金はなくても時間を使っている。時間といいますのは国民から与えられた時間を使っているわけで、それはそれなりの評価をしなければいけないと思います。そういうことで、ではどういうことをやりたいかという希望を取りましたら、大体人数として半分半分くらいになりました。

【石井部会長】 このお話を承り、かつ質問をお受けしているのは、中期目標を審議するためでございましたが、どうも現場の話になると、皆さん非常に燃えてらっしゃって、どんどん話が深みに入っていくようなので、ちょっとこの辺で打ち切らせていただきます。中期計画につきましては、次回しっかりとご議論いただきたいと思っております。
 ということで、元に戻りまして、先ほど説明がありました中期目標につきましてご意見、むろんご質問も承りたいと思います。何か順番つけますか。なくてもいいか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 そうですね。別に。

【石井部会長】 どこからでも。

【宇仁菅環境研究技術室長】 はい、そうですね。

【石井部会長】 私からちょっと一つだけ。これは、日付は2月末日になりますか、目標。目標というのは日付がないものなの。

【宇仁菅環境研究技術室長】 はい。2月末、あるいは3月1日という基準がございますので、そのあたりになります。

【石井部会長】 3月に出るはずの答申がどこかに書いてあったので…。3ページの下から3行目ですね。中央環境審議会の答申が3月と書いてあるので、こっちの日付との関係で、平仄を合わせていただくよりしようがないですね。

【宇仁菅環境研究技術室長】 わかりました。答申の予定という形にします。

【高木委員】 選択・集中という難しい注文をどういうふうにこなされるかなと思っていまして、なかなかうまく切り分けていらっしゃるのではないかなと思っているのですが、先ほどもちょっと話題になっていました重点研究プログラムに関してですが、このうちのアジア自然共生プログラムという形で取り上げられた重点研究プログラムなのですが、アジアという形で切り取られるということですと、極めて外交というイメージが沸くのです。確か外務省の外交政策の中で、アジアは一つの重点地域として挙げられているわけですが、私、外務省の外交政策をよく見ているわけではないので、反対に教えていただければと思うのですが。自然共生という観点は必ずしも入っていなかったのではないかという記憶がありまして、低開発国の基盤整備という話はありましたけれども、自然共生という形では確かなかったのではないかなと。そうしますと、これは環境省としてのアジア重視という方向性の中での、ある意味での独自の目標ということなのかどうか。ちょっとその点をまず確認させていただきたいというのが1つです。
 それから、全く質の異なる意見として申し上げさせていただきたいのですけれども、業務運営の効率化というところのまとめ方なのですけれども、第1期の中期のときから感じておったのですが、研究部門と管理部門、この辺のところが混在した形で、業務運営の効率化というところをまとめられておられるのです。そのために管理部門についての意見というのは非常に申し上げにくかったのです。マネジメントを実際におやりになられるときに、研究部門についてのマネジメント、管理部門のマネジメントというのは全く異なるものが展開されると言えますし、したがって効率化という観点から図ったときも、全然違うような視点でもって取り組まなければいけないと言えると私は思っているのです。そういった意味で、今回まとめられた業務運営の効率化のところで、改めて研究部門についての話と管理部門の話と、これは切り分けてお作りいただくのはどうかということ。これは意見ということでございますが、前者は質問ということでよろしくお願いいたします。

【宇仁菅環境研究技術室長】 1点目についてご説明をさせていただきますが、アジアという切り口といいますか、地域についてですけれども、この資料の中では一言だけ簡単に出てくるのですが、先ほど部会長からもご指摘のありました、3月答申予定でございますが、環境研究技術開発の推進戦略について今作成中でございます。これは一つには科学技術基本計画の中でも環境分野が重要だとし、環境分野の中でも特に重要な課題ですとか、重点的に投資すべき課題というのを今選定中でございます。そういったものの中に反映させるためにという目的もありまして、中央環境審議会で検討していただいているのですが、その検討の中でもアジアでの共同研究が非常に重要であるということが今盛り込まれつつあるところでございます。それはやはり温暖化ですとか廃棄物ですとか、そういった分野は特にそうなのですが、1国だけではなくて全体で考えていった方が解決に結びつくのではないかということもありますし、あるいは広域的な越境大気汚染、そういったものも既に協力して酸性雨を測定する枠組みはありますが、そういったものの解決にもリーダーシップを発揮すべきであるということを指摘しております。あるいは水にしても生態系にしても、日本がリーダーシップを発揮すべきであるというトーンで、今検討中でございますので、そういったものを受けて一つの柱としているという状況でございます。
 管理部門のことについては、宿題とさせていただきたいと思います。今の案では、少しだけ経費節減というところは一般管理費をどうだとか、そういったことが書いてありますが、もう少し分けて全体的に書くべきではないかというご意見だと思いますので、それは検討させていただきたいと思います。

【高木委員】 前者の話について、このように理解しておけばよろしいですか。必ずしも現時点において、外交政策の中で、このような観点からの取組が盛り込まれているわけではないけれども、環境省として、このような観点からの取組も提言していきたいと。そのような方向性の中で国環研の中期目標の中に、アジア自然共生というものを盛り込まれたと、このように理解すればよろしいですかね。

【宇仁菅環境研究技術室長】 外交といいますと、まさに日本国全体の外交という意味ではそのとおりだと思いますが、必ずしも余りうまくいっていないとか、そういうこともあるかと思いますけれども、我々としては環境分野、あるいはその中の研究ですとか技術開発といった点では、長期的には非常に重要であると考えております。

【石井部会長】 私から言うのも何なのですが、これは外交とは違った次元の問題だと我々は理解しておいた方がいいのではないか、と思います。それは自然共生型の社会の形成というのが一つの重点分野といいますか、領域の問題として前から挙がっているわけですね。国環研に関しては、それをアジアという形で選択と集中をするということであって、裏でどういうふうに繋がっているか私は存じませんけれども、それは問題にしなくてよろしいのではないかなと思っているのですが、どうですか。

【田村総合環境政策局長】 今の部会長のお話で結構なのですが、強いて今の高木委員の問題意識でいえば、例えば今、日中韓の環境大臣会合がございますけれども、日本、中国、韓国の間で環境大臣会合を非常に熱心にやっております。これは大臣レベルだけではなくて事務レベルも含めて3カ国における環境政策全般をわたってやっておりますし、先ほど担当室長が申し上げたように、例えば酸性雨とか黄砂とか、まさに環境に関係する問題は多々あるし、何といっても隣にいる国々同士ですから、東アジアという認識が私どもかなり強く持っていることも事実でございます。ただ、やはり環境問題は地球環境、東アジアだけの問題ではない、まさにおっしゃるように全体の問題ですから、当然アジアということと自然共生ということをくっつけて一つのプログラム化したというのは、確かにいろいろな議論はあるところだとは思いますけれども、今申し上げたような中央環境審議会の環境研究技術開発推進戦略小委員会においても、アジアという観点はかなり言われております。自然共生という大事な観点もありますから、そこら辺も含めてこんな形を一つの、別に政策とか外交政策上の課題ということでもないのですけれども、そんな背景がある中でこういうものを取り上げたということでございます。

【小池委員】 2ページ目から3ページ目にかけて、これはかなりうまく、先ほど評価の方で選択と研究の集中ということと、キーワードをそれぞれ入れていかなければならないということで、かなり苦労されていると思うのですけれども、いわゆる目的指向型、これはプロジェクト研究ですね。それとあとは長期の基盤研究というのが前段に出てきて、その後に国環研としての得意分野とか、それで選択・集中を書いてあるのですけれども、ちょっとこの書き方が、やはり前の方は環境政策や社会的な要請に応えると書いてあって、後ろの方は国環研として戦略的に実施すべきと書いてあって、これは比較的同じようなことを言っているのだけど、内容は切り分けをしているのですね。なかなかこれは、さっと読むと理解し難いところがあるのですけども。前の方は分かるのですけれども、後ろの方は、これは選択と集中というのは、その前段で書かれたことに関しても全部選択・集中ということが入ってくるのか。それとも、長期的なものとか基盤的な整備というのは選択・集中からは外れるのか。これを読むと両方にかかってくるようにも読めるのですけれども、そこはどういうふうに読めばよろしいでしょうか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 やや、別々の文章をくっつけたという所ですが、選択と集中というのは全体にかかっていまして、2期の研究業務については全体として選択・集中を図っていくということでございます。これはどちらかというと外部からの指摘がありまして、それに応えていく必要があると思っています。言われたからというのではなくて、言われていることはもっともなので。しかしながら、それでもう集中をした後、残りの所はやらなくていいかというのではなくて、やはり選択・集中をしながら基盤的なところも一方でやっていくという、そんな形になっております。

【石井部会長】 中期計画の方に落とした場合に、どういうふうに受けとめられていくか、もし西岡さんの方で補足説明があったら簡単にお願いします。

【西岡国研理事】 まだ中でのすり合わせが十分ではないのかもしれませんけれども、私としては、1つは選択・集中によって、6つの重点特別研究プロジェクトを4つの重点研究プログラムにまとめた。数を減らして4つのプログラムでかなり選択・集中を図る。しかし、先ほど申しましたように、それだけで皆さんが満足かというと、総合科学技術会議や世の中は選択・集中ということを言っておられますけれども、果たしてそれだけでいいのだろうかという疑念がありまして、選択と集中にならない部分も我々はやはりカバーすべきではないかということで、セーフティーネットという言い方を私自身はしているのですけれども、そういったところにもちゃんと目を配ろうじゃないかということで基盤研究を形成しています。だから所全体が選択・集中という形ではありません。

【田村総合環境政策局長】 室長の気持ちをもうちょっときちっと言いますと、今の西岡理事の話とほぼ同じでございます。要するに、基本的にはこれまで6つのプログラムがあって、2つの政策対応プログラムがあって、いわゆる8つみたいな形になっていた。それをきちっと、先ほどの説明もそうでしたけれども、それを4つに絞って、そしてまさにそこの6つ+2つを4つにしたというところが選択・集中の最大の眼目でございます。といって基盤研究も非常に重要でございますから、これを軽視するつもりは全くないのですけれども、選択・集中のことから言えば、全体というか、むしろ6つと2つを4つにしたというところが選択・集中というところの最大の眼目でございますから、ちょっと表現でおかしなところがあれば直したいと思います。

【小池委員】 私も環境研がやられているいわゆるプログラムのところと、それから基盤のところをきちんと切り分けるというか、それを両方並列させてずっとやっていくというのは、非常に特徴的でいいことだと思いますので、なるべくそれがこれに上手く出るように、ちょっとこれだとどっちにも取れてしまって、全部集中と選択を迫られるような書き方にも読めますので、多分今おっしゃった6つのやつを4つに絞ったのだと、それで選択・集中をきちんとやりましたということが、これで読み取れれば、私はそれで十分ではないかと思います。

【石井部会長】 前文のところで、少しそこのところを工夫していただく余地があるのかもしれませんね。この選択・集中を図る、またその際、云々と、こういうふうに来ているのですが、この基礎的なとか、あるいは継続的な調査、試料収集が必要なものについては、一々それを言う必要はないと思いますけれども、長期的な課題についての我々の取組はこれと並行してとか、どういうふうに言うかは別にしまして、何か一つそこに頭が出ていると、今の小池委員のご指摘にもフィットすることになるかもしれない。

【長谷川委員】 話を元に戻して申し訳ないのですけれども、さっきのアジアのところで、アジアの自然共生というときに、どの範囲までアジアをカバーされるのかなと最初のプレゼンテーションのところから思っていたのですが、先ほどのご説明ですと、やはり東アジアに重きを置いてというふうに考えていた方がよろしいのでしょうか。ただ、去年のG8サミットのときも、やはりアフリカが貧困の問題で視野に入っていたり、ミレニアム・デベロップメント・ゴールのことを考えますと、アジアといってももう少し大きく考えた方がいいのかもしれないし、アジアと言い切ってしまっていいのかという気もするのですけれども、割と長期のことを考えるときには、もっと幅広く考える可能性はないのでしょうか。

【宇仁菅環境研究技術室長】 対象範囲につきましては、今回の資料では具体的ではありませんので、次回また、今回は別表がついていませんので、別表とか、あるいは研究計画の方で明らかにしたいと思います。すべてをカバーしてあらゆる環境問題に対応するというのではなくて、やはり幾つかの、先ほどありましたが、中核研究プロジェクトなり、関連研究プロジェクトということで課題を絞りまして、それを5年間でやっていくということかと思っております。それから範囲がどうかということですが、途上国援助全体で考えますと、アジアだけではないというご指摘もあるかと思いますが、環境研が行う研究の対象としましては、例えば5年間で、もっとかかるかもしれませんが、今後5年間でアジアでのデータベースを作るとか、あるいは共同研究のベースを作るとか、そういったことに取り組むべきではないかと考えております。

【石井部会長】 アジアは文字の上では今回出さないと。それが選択・集中の一つの表われだと、そういう理解でよろしいですか。

【田村総合環境政策局長】 東アジアか、西アジアというのもありますから、アジアということで。

【石井部会長】 アジアはアジア。それはそれでいいのだろうと思います。問題はアフリカを付け加えるかどうかという話でしょうけれども、そこはやはり選択・集中のところに効いているという感じかなと思います。

【西間委員】 重点項目の中のリスクのところなのですけれども、ここを読んで私が気になるのは、疾病との関係が非常に希薄ではないかと思うのです。というのは私は臨床をやっていますので、最近の例えばアレルギーを中心とした多くの疾患というのは、遺伝的要素よりも環境的要素で病気が発症してくるというのは明らかなので、世界的にどうやっても、どういう環境が悪くなっているのかというのは、世界の共同治験でも未だにつかまらないという状況なのですね。ですから、ぜひともここのリスクのところでは、12ページ、13ページに書いてあるようなインタープリテーションというか、翻訳解説機能というところ、これは一般の人たちに国環研はこういうことをしていますよという広報的なことを書いているのですけれども、実際にもっと必要なのは、我々のような臨床、疫学をやっている人間に、こういう環境リスクがありますという、この辺の通訳がぜひ欲しいと思うのですね。そうすると国環研の機能が、私たち多くの医療関係者に重要だと分かるようになるのですけれども。僕の勉強が足りないのかもしれないのですけれども、国環研でのいろいろなデータを我々が疾病がこれだけ増えてきた、これは恐らく環境が大きな影響を及ぼしているだろうと言いながら、どれと具体的に言えなくて、未だに大気汚染だとか、食べ物だとか、寄生虫だとか、その辺のレベルでうろちょろしているわけですから、ぜひ何かその辺の強化を目標の中に、臨床もしくは疫学に寄与できるデータを提供するような研究、これをぜひ入れていただきたいのですけれども。

【石井部会長】 問題なければぜひ入れていただいて。

【オブザーバー】 担当の白石がお答えします。臨床というか、影響ベースの話が出発点になっておりまして、その中で感受性要因を解明していこうというプログラム構成になっていますので、今まで分からなかったような、今、先生がおっしゃったようなことに関して何らかの研究成果を出していこうというのが、環境リスクプログラムの中の中核にというのが、そういった位置付けになっています。それを研究しているだけではしようがないので、7ページの一番下に書いてありますけれども、実際にそういったリスク環境情報を研究ベースの情報もありますし、他の情報もありますので、そういったものを蓄積あるいは提供を行うということをプログラム全体としては考えています。ですから、先生の言ったことは頭に入っています。

【西間委員】 頭に入って、研究計画の中にも組み込むと。

【オブザーバー】 そういうことです。実際的に、そういった情報に関しては総合的に発信していこうというのが、プログラム全体の構成になっています。

【西間委員】 ただ、全般的にずっと読んでいて、疾病というのは余り出てこないのですね。何が健康に影響を及ぼすのかなという感じで、ばーっと書いてあるのですけど、しかし、もろに環境が疾病を発症させているという、その辺のニュアンスをもう少し強めた方がよりいいのではないかと思うのですけど。研究のある程度橋渡しをするようなデータ提供というのが、国環研にあった方がいいんじゃないかなと。

【大塚国環研理事長】 まさにご指摘はよく分かるのですが、一つは本当に私たちのキャパシティとかかわりますし、それから厚労省系の研究所との分担という問題もあります。多少の暗黙の岐路がありまして、ただ、本当に最近の鳥インフルエンザとか、環境に関わる問題が数多くどんどん出ているのは確かです。なので、これは今の時点で、5年の計画の中で、先生がおっしゃっているような形では出せなかったのですが、今後本格的に本当に研究しなければいけない課題だと思っております。ので、今、白石から話があったように、ご指摘の趣旨は本当に私どもも分かっているつもりです。が、多分、先生のご指摘はこのようなテーマをストレートに言うと、その辺に集中しろということではないかと思うのですが、それについてはやや不足かなと思います。
 ただ、疫学についてというのは元々非常に大事な分野として重視研究しておりまして、現在でも特に大気汚染関連の研究のための絡みということでオフィスを作ろうと考えています。この研究をやっておりますが、それは環境省からの委託で行っておりやっているのですけれども、それについて今日は具体的な説明は出ませんでしたけれども、健康環境研究領域でしっかりやっておりまして、今日お見せした重点ではない部分でも、疫学はやっているつもりでございます。

【石井部会長】 中期目標の中での表現の改善によって、何かもうひと味つけられる工夫が可能ならば、ひとつ考えていただきたいと思います。他にございますでしょうか。

【高月委員】 10ページのところになるかと思いますが、研究評価というところですが、これとあと業務の効率化と繋がる話になるかと思うのですけれども、先ほど高木委員からも話がありましたように、業務を評価しようとするときに、事務的なところと研究部門とあると思うのですが、我々どうしても委員としては研究評価というのをかなりやらないといけない立場にありますので、そのときに、以前からもちょっとお願いしているのですが、この研究プロジェクトにどれくらいの予算と人材が投じられたのかということが、毎年聞かせていただくと、いつも最後に西岡理事が、この研究にはこれだけのお金ということで明らかにしていただいたのですけれども、それがもう少し分かりやすい形で出ているような目標というか、計画の方になるかもしれませんが、そういう形でやっていただけると、それによって、ここにありますような評価から後ほどの人材とか予算の配分とかにまたフィードバックさせるとか、そういうところに繋がっていくのと思うのです。この辺がいつも見えにくいところがありますので、そこのところの改善を少し、目標の方にも見やすく書いていただけると有り難いなという気がいたします。ちょっと要望に近い意見ですけれども、お願いしたいと思います。

【石井部会長】 目標に書くのが適切か、計画に書くのが適切か、その辺はもうちょっと環境省と国環研でご相談していただきましょうか。他にございませんか。
 最後に、私から幾つか質問させていただきます。プログラムという言葉、今度初めてですよね。今までプロジェクトという言葉が使われていました。それについての説明がちょっと前文か、あるいは研究のwhatのところに、あるいはhowの方なのか、よく分かりませんが、うまく書き込まれると、前期といいますか現在進行中のものとの違いといいますか、進歩、改善がより一層生きてくるのかなということが一つです。
 それから、細かいことは別にいたしまして、最後の方の業務のところなのですが、16ページの7、業務運営の進行管理というところに、監査という言葉が一つも出てこないというのが、ちょっと気になる。これは実を言うと私の個人的な経験で、某国立大学と大学共同利用機関法人の非常勤監事をやった経験から申し上げることなのですが、監査にはむろん会計の監査がありますが、これは恐らく会計監査法人がきちんとやることに独法ではなっているはずですよね。ですからこれはよろしいとして、大きく分けますと監事による監査と、もう一つは研究所内部の内部監査と両方あるはずでありまして、内部監査の体制がきっちりしているかどうかが、やはり一つの大きな分かれ目になるのかなと。大学などでも定員が少ないとか、いろいろな関係で、なかなか専任の内部監査組織を作るまでには至っていない大学が多いのですが、たまたま私が監事をやっていた大学では、そこの理解が深くて監査室というのを作ってくれました。ですから、そういう内部監査がきちんと行われる。しかも、その内部監査の組織が監事による、その監査の手伝いもするということによって、監事監査も非常に効率よくといいますか、非常にうまくいくという関係に私はあるように思うわけです。国環研が直ちに内部監査の独自の組織を作るほどの人的リソースを持っているかどうか分かりませんけれども、兼任であれ何であれ、何かとにかく内部監査というものも、ひとつ考えていただきたい。
 それからまた個人的な考えですが、大学によって、小さい大学では監事が二人とも非常勤というところがあって、多分国環研と同じような感じだと思うのですが、見ておりますと、私の場合にはたまたま、私は非常勤ですが、常勤の監事の方がおられまして、その二人でいろいろ分担したり共同したりしてやってきた経験からいいますと、二人とも非常勤というのは非常に大変です。二人とも非常勤の監事しかいない大学は、何をどうやって監査していいかすら十分わからないという状況にあります。そういう問題がある。国環研が直ちに一人は常勤にしなさいとか、そういうことを私は申し上げるつもりは全然ないのですけれども、現在の監事監査にしろ内部監査にしろ、もう一つきちんと体制を整える方向に向かって努力していただくことが必要なのではないかなと思います。これは先ほど研究の管理と業務の普通の一般管理の評価なり何なりは全然違うというお話がありましたけれども、まさに一般管理業務の監査というのは非常に大事だと思いますので、そこのところを一工夫お願いできればと。目標にどういうふうに書いたらいいのかというのはお任せしますけれども、そんな感じがいたします。もう時間でございますので、私の意見はこのくらいにしておきます。
 ということで、もう16時25分になりましたので、できればなるべく早く切り上げたいなと思っておりましたが、なかなかそうはいかないわけで、もちろんこれは当然の結果でありまして、非常にご熱心な、かつ鋭いご指摘、ご意見等があったからこそ、こうなったわけでありまして、これによって次回の会議の負担が、私は軽減されたであろうと思っております。ということで本日はこれくらいにしたいと思いますが、局長がずっとご出席でしたので、ごあいさついただきます。

【田村総合環境政策局長】 本日の中期目標を中心としたご議論、大変ありがとうございました。1点だけご報告申し上げたいのは、独立行政法人国立環境研究所法、法律でございますけれども、ご議論いただきまして非公務員化ということが決まりましたので、今は独立行政法人国立環境研究所法におきまして特定独立行政法人にされているのはご承知の通りなので、この条文を削除する必要があります。法律改正事項でございますので、今、説明しているところでございまして、何とか2月の上旬には閣議決定をして、この通常国会に独立行政法人国立環境研究所法の改正を提案したいと思っております。中期計画というのが来年の4月1日から新しく始まるわけでございますから、それまでに何とか通したいと思っております。環境省今回は7つ法案を抱えております。なるべく早く出し、通過させていきたいと思っておりますので、この際ご報告をしておきます。

【宇仁菅環境研究技術室長】 今日は、いろいろとご指摘ありがとうございました。できるだけそれを反映させて、次回、中期目標の資料として提出したいと思いますが、もし今日ご発言以外にご意見等ありましたら、恐れ入りますが、来週月曜日の1月30日までに、追加の意見、質問等お寄せいただければ大変ありがたいと思います。
 次回は、追加的にいただいたご意見と、今日いただいたご意見をもとにまた資料を作って、ご検討いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【石井部会長】 それでは、これにて閉会させていただきます。どうもありがとうございました。