中央環境審議会動物愛護部会動物愛護管理のあり方検討小委員会(第25回)議事録

1.日時

平成23年12月21日(水)午後3時01分~午後5時42分

2.場所

環境省第一会議室
(千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館22階)

3.出席者

林委員長、磯部委員、井本委員、臼井委員、打越委員、浦野委員、太田委員、小方委員、加隈委員、斉藤委員、渋谷委員、永村委員、野上委員、水越委員、山口委員、山﨑委員、渡辺委員
渡邉自然環境局長、小林審議官、上河原総務課長、西山動物愛護管理室長ほか

4.議題

  1. (1)「動物愛護管理のあり方について(案)」にかかるパブリックコメント等について
  2. (2)「動物愛護管理のあり方検討報告書(案)」について
  3. (3)その他

5.配付資料

資料1
動物愛護管理のあり方検討報告書(案)
資料2
「動物愛護管理のあり方について(案)」にかかるパブリックコメントの集計結果
資料3
自治体からの意見の概要
資料4
関係省庁からの意見(委員限り)

6.議事

【事務局】 定刻になりましたので、これから第25回動物愛護管理のあり方検討小委員会を開催します。
 まず、委員の出欠について、本日は青木委員がご欠席でございます。18名中17名の出席で、委員会は成立していますことをご報告申し上げます。
 続きまして、事務局から1点、ご連絡で申し上げます。環境省の人事異動で新しく自然環境局の総務課長に、上河原献二が就任しましたのでご報告申し上げます。
 続きまして、本日の会議の資料についてご確認をさせていただきます。
 資料4を委員限りの資料とさせていただきます。また、野上委員から、委員限りでございますが、資料をご提出いただきました。
 また、本会議の資料と議事録につきましては、後日、環境省のホームページで公表をさせていただきます。
 最後にカメラ撮りされる方局長のあいさつまでとさせていただきます。
 それでは、ここからの進行につきましては、林委員長によろしくお願いします。

【林委員長】 ただいまから第25回動物愛護管理のあり方検討小委員会を開催いたします。開催に先立ちまして、渡邉局長からごあいさついただきます。

【渡邉自然環境局長】 ありがとうございます。昨年の夏以降、今日で25回目ということで、大変数多い開催を重ねていただきました。途中3月、東日本大震災もありました。そういった大震災も挟んで議論を重ねてきていただいたことに、改めて御礼を申し上げます。
 昨年夏からおよそ1年、動物取扱業の適正化に関する議論をしていただいて、その後虐待の防止から災害時の対応を法律に位置づけること等、後半部分の議論をしていただきました。その後半の取りまとめた内容については、パブリックコメントを行いまして、12月7日まで意見を受け付けてまいりました。5万件を超える意見を頂だいいたしました。
 また、この動物愛護管理の制度について現場で施行を担う自治体の皆さんからもご意見をいただく機会を設けました。
 本日は、パブリックコメントでいただいた意見、そして、自治体からいただいた意見も、皆さんにご紹介した上で、これまでの議論を最終的に取りまとめる形で、「動物愛護管理のあり方検討報告書」取りまとめの議論を行っていただけたらと思っています。
 現在、動物愛護管理の制度の見直しに向けて、与野党において検討が進められつつあります。この小委員会でまとめていただく報告書を生かした形で、今後の与野党の議論が進められていくことになろうかと思います。そうした重要な位置づけ、重要な役割の報告書になりますので、本日、最終の取りまとめ方、どうぞ、ご審議のほどよろしくお願いいたします。

【林委員長】 ありがとうございました。本日の動物愛護管理のあり方検討小委員会ですが、先程言いました25回、ということは、昨年の8月から前回まで24回論議を重ねてきたということでございますが、この25回目で、報告書を取りまとめたいと思いますので、どうぞ委員の皆様、ご協力のほどお願いいたします。
 それでは、局長の話にございましたように、後半部分の動物愛護管理のあり方検討報告書(案)についてのパブリックコメントの結果と、それから自治体、関係省庁からのご意見、これは事務局からご説明いただきます。

【事務局】 それでは、資料2をご覧ください。「動物愛護管理のあり方について(案)」にかかるパブリックコメントの集計結果でございます。
 意見件数としましては、ファクス、メール、郵送の内訳が記載されてございますけれども、合計で5万5,795件ご意見をいただきました。意見1件につき複数の方が名前を書かれたケースがありますので、意見提出者数につきましては、5万5,922名になっております。
 全体といたしましては、およそ何らかの規制強化をすべき。新しい制度を導入すべきというご意見がほとんどでありましたが、一部、現行のままとすべきというご意見が多く見られた項目もございました。多頭飼育の適正化、実験動物の取扱い、犬のマイクロチップの義務化、犬猫の不妊去勢の義務化、飼い主のいない猫の繁殖制限、以上の項目につきましては、規制を強化すべきというご意見の他に、現行のままでよいのではないかというご意見が比較的多く見られました。
 続いて、中身について簡単に、幾つかご意見をご紹介します。
 2ページ目、1.虐待の防止につきましては、所有権をはく奪して、保護するような規定を設けるべきというご意見、また、環境省が窓口になって、情報を一元化すべきというご意見をいただいております。
 また、一定の条件を前提に、裁判所の許可状によって、私権の制限を行えるように規定すべきなどといったご意見もいただいているところでございます。
 続きまして4ページ目、1.(2)取締りの強化及び罰則規定の見直しに関しまして、道路交通法違反摘発と同じく監視員制度を設置し、民間委嘱制度を設置すべきといったご意見をいただいております。
 また、虐待の定義に関しましては、定義として加えるべき行為としてさまざまなご提案をいただいております。飼養放棄に等しい長時間にわたる放置ですとか、動物が排せつ物の上で寝ているとか、さまざまなケースについて、これは虐待として定義に加えるべきということで、ご意見をいただきました。
 続きまして、6ページ目、1.(3)闘犬等になりますが、原則禁止すべきというご意見に加えて、動物取扱業の登録を義務化すべきというご意見、また、闘犬のガイドラインを策定すべきというご意見をいただいております。現行のままとすべきというご意見につきましては、2件いただいております。
 また、7ページ目、2.多頭飼育の適正化につきましては、届出制の導入ですとか、ガイドラインを導入すべきなど、規制をしていくべきと、強化していくべきというご意見が約2万8,000件になっております。
 一方で、8ページ目になりますけれども、現行のまま、自治体の条例等に任せるべき、また、何頭飼育するかは飼い主の権利である。このようなご意見が約1万2,000件と他の項目に比べると現状維持のご意見を多くいただきました。
 続いて、9ページ目の3.自治体等の収容施設ですけれども、こちらも何らか具体的な基準をガイドラインとして示すべきであるというご意見を多くいただいています。
 また、設備や業務等の一般国民への公開の範囲や方法につきましても、全国統一の基準を設けて、誰もがいつでも見学できるようにすべきというご意見をいただいています。
 殺処分の方法につきましては、麻酔薬を使用すべきというご意見が多く見られました。特に幼齢・老齢動物、負傷動物については、少なくとも麻酔薬を併用した殺処分とすべきというご意見をいただいております。
 続きまして、10ページ目になりますけれども、引取り規定に関して、安易に行うべきではないと、現状の「引き取らなければならない」という規定に関して、何らか書き直すべきというご意見をたくさんいただいております。
 また、11ページ目にまいりますと、譲渡活動に関して、自治体に義務付ける等、さまざまなご意見をいただいております。
 また、動物の収容につきましても、今よりも長くすべきというご意見を幾つかいただいております。
 続きまして、12ページに、その他の意見として、愛護動物の飼養に関しては許可制度を導入すべきという意見もいただいております。
 続きまして、13ページの4.特定動物ですけれども、飼育を禁止すべきですとか、どこにどのような特定動物が飼育されているか情報公開すべき。また、飼育状況の報告義務を課すべきといったご意見をいただいております。
 続きまして、14ページの5.実験動物の取扱いですが、届出制等を導入すべきという意見も含め、何らかの規制を強化すべきというご意見を約2万4,000件いただいております。また、これには実験動物生産業者も動物取扱業の登録対象とすべきというご意見も含まれます。
 15ページにまいりますと、3Rを推進するための窓口を設けるべきと、また、同じ動物実験を繰り返さないため、データベースを作成すべきといったご意見をいただいております。
 続きまして、16ページにまいりますと、届出制を導入すべきでないというような、現行のままとすべきというご意見として834件いただいております。中身を見ていきますと、届出制を導入するとしても妨害行為から動物実験を守ることを担保する措置が講じられていることが不可欠であるというご意見、また、煩雑な書類が増えることは研究の発展の妨げになるというご意見をいただいております。また、自治体職員等の部外者が実験施設に立ち入ることは、施設の衛生管理上、絶対に行うべきではないというご意見をいただいております。
 文科省、厚労省、農水省によるガイドラインが適用されない機関に対しては、日本学術会議によるガイドラインがこれらの機関の自主管理体制を補完しているというようなご意見もいただいております。
 続いて、実験動物生産業者は動物取扱業者の登録対象に含めるべきではないということに関しましても、実験動物は、遺伝学的、微生物学的さらに飼育環境の観点から極めて高度なレベルで制御されているので、ペットショップ等と同様の位置づけをすべきではないというご意見をいただいています。
 続きましては、18ページ目にいきますと、代替法の活用と使用数削減は義務化すべきではないということに関しまして、3Rの原則が守られていない実験は現状では認められておらず、代替法や使用数の削減度合いは実験によって異なっているため、一元的な義務化は不公平を産むというご意見をいただいております。
 19ページ目に、現在の仕組みの充実と検証が重要ということで、平成17年の改正以降、確実に動物愛護の理念が浸透し、よく管理された中で動物実験が行われていると、この対応について、その成果を冷静にまた客観的に評価することは、時期尚早であるというご意見をいただいております。
 続きまして、20ページ目、21ページ目に、実験動物に関するその他のご意見をいただいております。継続的に動物愛護部会の「実験動物小委員会」で継続審議すべき、米国のAAALACに相当するような組織を設立し、集中管理的なスタンダードを作って認可していくという方向が望ましい。また、実験動物施設に獣医師の設置を義務づけるべきといったご意見をいただいております。
 続きまして、22ページ目の6.産業動物の取扱いにまいりますけれども、基本的に「五つの自由」の概念は、動物愛護管理法に明記すべきというご意見、また、それは法律ではなくて、告示に盛り込み反映させるべきというご意見をいただいております。
 また、飼養、管理、移動やと殺に関する基準を定めるべき。バタリーケージ禁止といったご意見もいただいているところでございます。
 一方で、23ページ目、法律に記載されると、拡大解釈されて動物実験が制限され、研究の進展の妨げとなる可能性があるというご意見もいただいております。
 続きまして24ページ目、7.罰則の強化につきましても、基本的には強化すべきとのご意見が多くなっておりました。具体的に、このような形で引き上げればよいのではないかというご提案をいただいたところでございます。
 また、25ページ目、8.(1)犬のマイクロチップの義務化については、義務づけるべきというご意見が約3万7,000件ですが、現行のままとすべきというご意見も6,775件いただいております。現行のままとすべきという理由の一つとして、一般人が保護した場合には目視では不明であるということが挙げられております。
 また、続きまして、26ページ目その他として、獣医師以外の者による施術に関して反対のご意見と賛成のご意見の両方をいただいております。
 また、27ページ目、8.(2)犬猫の不妊去勢の義務化については義務化すべきというご意見が約1万8,000件に対して、現行のままとすべきというご意見が約2万9,000と多くなっております。理由として、犬や猫の品種・血統の保存の弊害となるというご意見をいただいております。
 続きまして、29ページ目、8.(3)飼い主のいない猫の繁殖制限につきましては、取組みを強化すべきという意見が約2万3,000件と多くなっておりますが、現行のまま、また、官民協働で地域の問題として解決していくことが必要というご意見も640件いただいているところでございます。
 また、30ページの8.(4)学校飼育動物および公園飼育動物の適正飼養につきましても、基本的には規制、強化していくべきと。中には学校での飼育は原則禁止として、それなりのマンパワーを有している学校のみに飼育を許可すべきという意見もいただいているところでございます。
 続きまして、32ページ目の8.(5)災害対応ですけれども、何らか法律に書き込むべきというご意見がすべてでした。具体的には、避難所・仮設住宅における飼育体制の整備ですとか、同行避難を明記すべきというご意見をいただいております。
 また33ページ目、8.(6)実施体制への配慮につきましては、民間団体、ボランティアの活用も検討すべきと、また引取り手数料を自治体の運用費に充てるべきとか、そういった財源の確保に関するご意見を幾つかいただいているところでございます。
 34ページ目以降に、その他のご意見として、どこにも分類されないような意見を記載しております。  また、動物取扱業の部分に関しては既にパブリックコメントを実施しておりますが、その動物取扱業の部分に関して再度寄せられたコメントを34ページに掲載しております。動物取扱業が取り扱う対象動物に両生類・魚類を加えるべきとか、親から引き離す日齢は8週以上とすべきといった、前回のパブリックコメントでいただいたご意見と同じような内容を再度いただいているところで、特に、後半部分の報告書を踏まえた新しいご意見はありませんでした。
 パブリックコメントの集計結果については、以上になります。
 続いて、資料3自治体からの意見の概要を紹介させていただきます。斉藤委員より自治体からご意見を伺った方がいいとのご提案がありましたので、環境省自然環境局総務課長名で、依頼して意見を集めたところでございます。全体を通じて見ますと、自治体の監視体制という観点からのご意見が多いように思われます。
 一つ一つ見ていきますと、(1)深夜の生体展示規制に関しましては、監視体制の確保という観点から対象となるものを犬、猫の販売業に限定すべき、犬、猫の幼齢動物に限定すべき、また、犬、猫に限定すると、現場での指導が混乱するので、逆にすべてにしてはどうかというご意見をいただいております。
 また、施行に当たっては、十分な準備期間を設けるべきというご意見、深夜の監視が困難なので、現行のままとすべきというご意見もいただいています。
 続きまして、2ページ目にまいりますけれども、(2)移動販売につきましては、自治体にも飼い主や動物病院などから苦情が寄せられ、対応に苦慮している現状があると。このような観点からも、取扱いを確実に把握できるような制度を検討すべきであるというご意見をいただいております。また、業態がさまざまなので、定義を明確にすべきというご意見、イベントが終わった後の指導が難しいという状況があるので、一定期間廃業届を提出させないようにすべきというご意見などもいただいております。
 続きまして、(3)対面販売・対面説明・現物確認の義務化ですけれども、こういった規制は必要という意見がある一方で、3ページ目をご覧いただきますと、対面販売等の遵守状況を確認するためには、新たな監視制度や監視方法を策定する必要があって、実質困難なので、インターネット販売を全面禁止した方がよいのではないかというご意見をいただいております。
 (4)犬猫オークション市場に関しては、実態把握及び監視体制の整備に十分な準備期間を設けるべきというご意見をいただいております。
 (5)犬猫幼齢動物を親等から引き離す日齢については、具体的数値を掲げて強制力のあるものにすべきというご意見、また問題行動を原因とする安易な飼育放棄の防止にもつながるというご意見をいただいております。
 4ページ目をご覧いただきますと、一方で、幼齢動物の日齢の確認方法を明確にする必要があると。また、そうした日齢判定が困難であることから、事業者による自主管理、自主規制を充実させる方向が望ましいというご意見もいただいております。
 また、(6)犬猫の繁殖制限措置につきましても、繁殖回数の確認方法を明確にする必要があると。また、そういった繁殖状況の確認は一般的に困難なので、業者による自主規制のためのガイドラインを策定すべきというご意見をいただいております。
 (7)飼養施設の適正化に関しましては、自治体が指導する際の根拠となるという観点から数値を設けるべきというご意見を多くいただいております。  また、客観的な数値の測定に当たっては機器の購入などが必要なので、こちらについても予算措置が必要であるというご意見をいただいております。  続きまして、5ページ目の(8)動物取扱業の業種追加の検討ですが、追加されると業務過多となり、監視の実効性に乏しいので、追加すべきではないという全体にかかるご意見をいただいています。
 6ページ目につきましては、(8)(1)動物の死体火葬・埋葬業者ですが、反対のご意見が多く、その理由を見ますと、他法令も関係してきて、統一的な業務区分の整理ができていない、動物愛護管理法以外の法規制で行うべきとなっております。
 続きまして、8ページ目になりますけれども、(2)両生類・魚類販売業者についても動物取扱業に含めるべきではないというご意見を多くいただいております。こちらも監視が困難であるという点と、他法令で取り締まるべきというご意見をいただいております。
 続きまして、(3)老犬、老猫ホームにつきましては、業種登録は必要というご意見の他、多頭飼育者として規制すべきではないか、保管業に含めるべきではないかというご意見をいただいております。
 (4)動物の愛護を目的とする団体につきましては、ガイドラインを示すべき、届出制、資格的な基準を設定すべきであるというご意見をいただいております。
 続きまして、(5)教育・公益目的の団体につきましては、必ずしも登録は必要ない、ガイドライン程度の規制でよいのではないかというご意見をいただいております。
 (9)関連法令違反時の扱いにつきましては、基本的に賛成という意見もございますが、違反しているという事実の確認が難しいので、その確認ができるシステムづくりが必要であるというご意見をいただいております。
 (10)登録取消の運用の強化につきましては、取消後の動物の処遇について検討すべきという意見、また、取消・停止に関する指針を示すべきという意見をいただいております。
 11ページ目の(11)業種の適用除外ですけれども、こちらも対象外にすべき、すべきでないと、両方ご意見をいただいております。
 (12)動物取扱責任者研修の緩和につきましては、非常に多くのご意見をいただいております。回数や時間など、自治体が柔軟に対応できるようにすべきというご意見、研修の内容について、国が研修会のその資料、テキストを作るべきというご意見をいただいております。
 12ページ目になりますと、講習時間、実施回数について具体的なご提案をいただいております。一方で、研修内容を業種ごとに細分化することは反対であると、細分化したことによって、逆に実際に負担がさらに増えるというご意見もいただいております。
 (13)販売時説明義務の緩和につきましては、緩和することは適当ではないというご意見の他に、業界団体で、販売時の説明についてのパンフレットを作成して、自主的な取組みを促してほしいというご意見をいただいております。
 続きまして、14ページ以降は後半部分へのご意見になります。警察との連携については、さらなる協力体制の構築が必要というご意見をいただくともに、環境省から警察庁に対して、さらに協力を依頼すべきというご意見をいただいております。
 また、行政の一時保護ということに関しましては、受け入れ態勢の整備、保護した後の動物の収容の問題という観点から困難であるというご意見をいただいております。
 続いて、15ページ1(2)取締りの強化及び罰則規定の見直しに関しましては、こちらも環境省と警察庁の連携がさらに必要であると、また、警察官の動物愛護管理部署への職員派遣など、そうした連携強化が必要であるというご意見をいただいております。
 1(3)闘犬につきましては、伝統・文化行事を禁止すべきではないというご意見と基本的に禁止すべきというご意見、両方いただいております。
 16ページ目の2.多頭飼育に関しましては、明確な指導に苦慮しているので、指標となる基準の提示が必要であるというご意見をいただいております。
 また、仮に届出制を導入する場合、化製場法との整合性を図ることが必要というご意見をいただいております。
 また、17ページ目につきましては、3.自治体等の収容施設の基準設定に当たっては、財政措置を検討してほしいというご意見をいただいております。
 一方で、自治体の方でも、具体的な基準があれば、財政上予算がつきやすくなる、予算要求をしやすくなるというご意見もいただいております。
 続きまして、18ページ目、引取りの関係のご意見をいただいております。「引き取らなければならない」を「引き取ることができる」等の文面にすることが望ましい等、様々なご提案をいただいております。また、飼い主に対する説得は、安易な動物遺棄に結びつかないか疑問があるというご意見もいただいております。
 続いて、19ページ目の4.特定動物ですが、輸送ルート・休憩場所の通報はすべて必要ないというご意見を始めとして、基本的に規制緩和をすべきというご意見が多なっています。また、咬傷事故を起こした犬に関してですが、飼い主等の周辺情報の公表は社会的制裁としても行き過ぎというご意見もいただいております。
 続きまして、20ページ目、5.実験動物の取扱いですけれども、こちらも両方のご意見をいただいていますが、職員による監視指導は、高度な専門的知識を求められるため、困難であるというご意見をいただいています。
 6.産業動物の取扱いにつきましては、関係業界、団体等の調整なども必要なので、農林水産部局において対応すべきというご意見をいただいております。
 7.罰則の強化につきましては、強化すべきであるというご意見をいただいています。
 21ページ目になりますが、8(1)犬のマイクロチップの義務化は、狂犬病予防法の整合性を図るべきというご意見を多くいただいています。
 また、22ページ以降8(2)犬猫の不妊去勢の義務化、8(3)飼い主のいない猫の繁殖制限などについて、両論、さまざまなご意見をいただいています。
 23ページ目の8(5)災害対応につきましては、同伴避難を明文化してほしい、広域連携を推進すべきというご意見をいただいております。
 続きまして、委員限りですが、資料4にまいります。資料4につきましては、事務局で、関係省庁の意見も伺った方がいいと判断しまして、電子メールで意見を聞いておりますので、委員限りという取扱いにさせていただいております。
 実験動物の関係で、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省からご意見をいただいております。マイクロチップの関係で、農林水産省からご意見をいただいております。また、闘犬等に関しまして文部科学省から、学校飼育動物の部分に関しても文部科学省からご意見をいただいておりますので、ご確認をお願いします。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。パブリックコメントについては後半部分、それ以外については、前半部分も含んでご説明いただいておりますが、いかがでしょうか。ただいまのご説明に、ご質問、あるいはご意見ございますか。

【浦野委員】 パブリックコメントについてなんですが、どこの部分ということじゃなくて、全体についてご質問です。2万何件とか、件数が多い割には、出ている意見が極めて少ないと思われる部分が結構あると思われますが、集計しているときに、その辺についてコメントとしてございませんか。

【事務局】 内容が同じで、名前だけ違うようなものが多く見られました。

【林委員長】 よろしいですか。それ以外に。

【打越委員】 私は、今回は自治体の担当者から集まった意見のほうを重点的に読んできました。今後、法改正をしたとして、その後、現場でどう生かされ得るかというのが重要になると思いましたので。
 その自治体の担当者から集まってきた意見を見て、賛否両論あるにせよ、自治体の担当者が、とても熱心に現場の意見を寄せてくれているなと思いました。これだけ大量の資料を書くのは、その担当者にとっても、かなりの負担になったと思うのですが、それでもなお、やはり伝えなければいけないという現場の自治体の担当者の思いが伝わってくる意見の概要であったと思います。
 ただ、意見を見ますと、どこの自治体とは書いていないからわからないですけれども、自治体によっては、恐らく担当者の個人的な見解もあって、非常にバリエーションが多い意見になっていて、規制強化すべきだという意見の一方で、現状のままでよいという意見があるので、そのまま報告書にまとめるとしたら、結局、両論併記で変わらないのでしょうけれども、それにしても、やはり一つ一つ丁寧に拾っておく必要があるのではないかと思います。
 例えば、特に多く見られて、私が気にかかったのは、やはり警察との連携に関してです。自治体の担当者が大変に歯がゆい、警察にせっかく相談しても、なかなか協力が得られない、事件性がないというふうに言われてしまうということを非常にくやしく思っていらっしゃるのだろうなというのが伝わってきました。また、今回、マスコミでも騒ぎになった事件では、動物虐待の兆候があった、なかったという話が出ていますので、私たちとしてみれば、動物のために動物虐待はやめてほしいというところなのですが、やはり国民の安全を守るために、環境省としても、また、自治体の担当者としても、我々専門家委員としても、警察を動かすための世論を形成していく必要があるのではないかと思いました。
 それから、同じく目立ったのは、行政での一時保護は困難という意見です。例えば、多頭飼育の崩壊であるとか、動物虐待があったときに、とりあえず助けてやりたいが、自治体の側で預かれないのかという話に関しては、軒並み困難というようなお返事が戻ってきたことに関しても、自治体の担当者の方を消極的だといって批判しても、何も始まらないわけでして、実際に財政措置が足りないとか、あるいは所有権の問題があるとか、後になってから所有者から返還を求められる可能性があるなどと書いてあるのを見ますと、やはり自治体の担当者も怖いのだろうなと感じました。そう思うと、もし、こういうものを前向きに検討していくのであれば、我々委員も、自治体の担当者の背中を押してあげなきゃいけないんじゃないかなと思いました。まだまだたくさんあるんですけれど、一旦切りまして、他の方もご意見あると思いますので。

【林委員長】 他にございますか。

【斉藤委員】 自治体の意見をまとめていただきまして、ありがとうございました。私も、それぞれ読ませていただいて、なるほどなと思うことがたくさんありました。特に動物取扱責任者の講習は、非常に困っているなという感じが強くいたしまして、質を落とさない状況の中で、柔軟な対応ができるようなことが必要かなと改めて思いました。
 それから、業種の追加については、必要なものは追加するということは必要であるというのが現状で、まだ、もう少し議論が必要だということについては、もう少し様子を見た方がいいのではという意見もあったかと思いますけれども、いずれにしろ、業種の追加については、導入に当たって監視体制なり、予算、人員、そういう部分での十分な時間的な配慮をしていただきたいということが強くあったかなと思います。
 それから、政省令の改正について、早い段階で行っていくということに対して、少し余裕がないという意見が、私のところへも、幾つかのところからありまして、もう少し政省令の改正についての十分な内容の検討と現場として該当する自治体の意見を聞きながら、施行に当たっては少しその分についても余裕をいただきたいなと感じました。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。

【打越委員】 動物取扱業の方まで、復習して議論してよいのであれば、動物愛護のあり方検討報告書(案)の中で、深夜販売については、実務の実行者の負担を考えて、実効性を考慮して、犬、猫に絞るべきという報告書になっているのですけれども、自治体の担当者の方のご意見を見ると、本当にばらばらです。犬、猫に限定してほしいと深夜の生体販売について意見もあるのですが、動物取扱業に関しての意見の三つ目で、犬、猫に限らず、すべての動物にしてくれた方が、むしろ現場が混乱しないと。例えば、犬や猫は夜8時までに下げなければいけないけれど、ウサギは残しておいていいとなると、かえって混乱するのではないかという自治体からの意見がありましたので、報告書の方、犬や猫に絞るべきと結論を出してよいのか、むしろ全部哺乳類とした方がよいのではないかと思いました。かといって、そこに両生類とか、鳥類、そういうものまで入れろと私は思っていませんが、哺乳類だけはと思います。

【林委員長】 ありがとうございます。太田委員、ちょっとお聞きしたいのですが、犬猫以外のものを、犬猫はやめて、それ以外のものを展示するというのは、現実的にあり得ますか。例えば、夜8時以降。

【太田委員】 ペットフードの委員会のときに、同じような意見があったと思います。とりあえず、犬猫に絞って、一番問題の多いところを検討しようと、細かいところも本来やるべきですけれども、まず問題になっているのは犬猫なので、そちらをしっかりやっての方が、現実的かなと私は思います。

【野上委員】 この深夜販売については、行政の方がおっしゃるとおりだと思うんですけれども、実際に深夜販売で、今、問題になっている業者は、エキゾチック・アニマルをたくさん展示している業者なんですね。犬猫を禁止したら、恐らくそういうエキゾチック・アニマルをどんどん販売するだろうということが見てとれるわけです。ですから、一つの穴をふさいだら、他のところがまた肥大化していくということにならないように、できるだけすべての動物を対象にすべきだろうと思います。
 それから、パブリックコメントでなくて、自治体のご意見についてですが、全体を見ますと、自治体の仕事が増えることについて、かなり拒否反応があって、今でも大変だというような意見が多いようですが、その場合であっても、人員と予算が適正につけば、やれますよということだと思います。そうしますと、やはりきちんと後ろ盾となる法律ができて、基準ができて、これをしなければいけないということになれば、当然、予算と人員は必要になるわけですし、そのことによって、動物行政が強化されていくことになるわけですね。ですので、そのあたりのことを自治体の方々も認識していただきたいと思います。
 それから、財政的手当についてです。動物愛護管理法の第35条に、犬猫の引取りについて、国が補助をするという条文がありまして、これはまだ生きている。これに基づいて、数年前から国が施設整備に半額補助を行っているわけですから、そういうところも利用して、手だてを考えていけば、自治体の負担はかなり解消されるのではないかと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。斉藤委員、いかがですか。ここの生体展示の時間規制、犬猫に限らず、すべての生体、現場での指導が混乱するというのは、実際には、多くの自治体、そういうお考えになりますか。これは一つの意見ですけれども。

【斉藤委員】 そうですね。済みません。その部分については、今まで犬猫ということを中心でやっていますので、どうかなという、意見を申し上げることができません。

【打越委員】 今の犬猫だけを分けるかという話なのですけれど、先程、太田委員のご指摘であった意見と、私はちょっと違いまして、ペットフードの場合には、そのフードの成分であるとか、動物の生態であるとか、そういったものが全部関わってきますので、あらゆる小動物のフードまで、今、現時点で調べ切れないという考慮もあると思うのですが、店頭で動物を販売していることに関しては、犬猫だけを限定した方が、やりやすいかというと、私はむしろ一律の方が、担当者としては負担が少ないだろうと思います。「限定する」の意味が、全く別次元の問題ではないかと思います。
 それから、先程野上委員が、自治体の担当者の負担が増えることに拒否反応があるけれども、法改正できちんと制度づければ、そこに予算がついてくるというご主張がありましたが、自治体の中の予算編成のメカニズムと国の法制度は、決して連携しているものではありませんし、自治体の中には、その自治体の政治行政のメカニズムがあると思います。ですので、法制度で決めたら、あとは自治体で予算がついてくるかというと、決してそんな話ではないので、法制度で強化して、自治体の担当者頑張れと言うだけでは、やはりざる法になるだけではないかと私は懸念します。
 もう一回話を戻しまして、もう一つ、自治体の担当者からの意見で意外だったのは、犬猫の幼齢動物を親から引き離す日齢や週齢のところであります。これについては、私自身もあまり積極的に、例えば、8週齢を進めるべきだという立場の人間ではありませんので、場合によっては、最低水準の45日を義務化するぐらいでよいのではないかという立場の人間なのですが、自治体の担当者が数値規制すべきだということを掲げている意見を寄せてきたのは、ちょっと意外でありまして、これが本当に自治体のごく一部の意見なのか、それとも担当者としてみれば、やはりとにかく数値をある程度厳しく作ってほしいというのが自治体の担当の実情で、自治体の担当者がそれでやる気があるというのであれば、それは導入しても悪くはないのではないかと思います。
 ただし、問題は日齢、うその帳簿があった場合にどうやって見抜くかという問題は出てくると思いますので、このあたりも自治体の意見、これはごく一部の自治体の意見なのか、担当者の何となくできている相場感なのか、そのあたりも伺ってみたいと思います。

【林委員長】 恐らくこれはわからないだろうと思います。自治体の全体の意見の中で、どのくらいの意見を占めているのかというのは。
 ただ、今回、我々が用意しているのは、45日齢、7週齢、8週齢、いずれも数値化された三つの案です。自治体の方々が、そういう数値規制が必要だという意味では、小委員会と大体一致していると思います。
 しかし問題になるのは、どうやって見分けるのかということについては、残念ながら、現時点で有効な方法がないというのも、ほぼ共通した認識だろうと思います。
 たとえそうであっても、数値化することによって、一定の効果が恐らくあるだろうというのは、これまでの私たちの論議だったろうと思いますが。
 他にご意見ありますか。

【永村委員】 今、打越委員からお話があったことに関連をするのではないかと思いますが、野上委員がおっしゃったシェルターの2分の1補助で云々と、これも確かに大変大事な補助事業だと思いますけれども、全般的な今回の法律改正に関連して、私なりに思いつくまま、自治体が仕組む事業ではなくて、環境省自らが、国全体でいろいろな団体が活用できるような補助事業をやっぱり仕組まないと、この法律は動いていかないと思います。
 例えば、今、いろいろなNPO団体、ブリードレスキュー等々、いろいろな方々が、新しい飼い主探しの活動をやっておられますけれども、これについても、何らかの形で国が支援できるような、えさ代とか、通信費だとか、輸送費だとか、治療費とか、その一部を何か補助できるようなことが考えられないかと思います。
 あるいはまた、8週齢になるのか、7週齢になるのか、分かりませんけれども、当然、子犬の販売というのはかなりペットショップで落ち込むわけで、売れ残りがどんどん増えると思います。その売れ残りが増えた場合は、やはり一定の訓練をするなり、仕付けをするなりという形で付加価値をつけて、新しい飼い主に買っていただくというようなことも必要になろうかと思いますから、その場合は、ペットショップで、いろいろな係り増し経費が生ずる場合の一部負担をするとか、あるいはオークション市場の健全化とか、透明性に関して申し上げますと、やはりブリーダーをオークションとして教育をするための、例えば、研修会をやるとか、その中で交配計画とかということを指導するとか、あるいは一部の方々の協力を得て、遺伝病の調査、要は遺伝病の浸潤状況というようなものを、これはDNAの分析でできるわけですけれども、それに協力するような方々には、調査協力費を払うとか、そういった補助事業です。
 それから、シェルターの先程整備費の話がありましたけれども、ハードだけではなくて、シェルターの中で飼養する、維持する期間を延ばすということになれば、やはりえさ代とか、人件費とか、ソフト面の費用もかかるわけで、これもやはり予算措置を講ずるべきではないかと思います。
 それから、動物園とか、実験動物の施設、こういった施設につきましては、やはり周辺住民との交流、相互理解を深めるための対話集会とか、見学会とか、そういうことをやるための費用、こういったものを活用できるような総合的な、何十億、何百億を超えるのかもしれませんけれども、是非とも法律の施行にあわせて、環境省の方でお考えをいただきたい。
 それから、一つ追加いたしたいのは、オークションとのトレーサビリティとの関連で、オークション市場におけるマイクロチップ装着については、一部助成するとか、こういったこともご検討の視野に入れていただきたいと思います。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。私は委員長として、パブリックコメントの結果と、それから行政各関係省庁の意見をお聞きして、ほぼ予想どおりのご意見であったと感じました。といいますのは、パブリックコメントについていえば、この小委員会が、より規制を強化していく方向での問いかけをしている中で、それに対して賛同なさる方が多いのは当然のことで、一般的に言いますと、やっぱり現状でよいという意見をくださる方というのは、ほとんどいないですね。それにしては、よく意見をくださったものだと思います。行政の方はそうじゃなくて、さっきから打越委員もお話しされていましたけれど、実際に担当されていますから、実現可能性を非常に考えながら、ご意見をくださっている。
 ただ、行政の方は、公務員ですから、口が裂けても、仕事がしんどくなるから、そんなことやりたくないとは言えないんですよ。大変だということは、ご意見ににじみ出ますけれども、本当に実現可能性を考えると、一番大きな問題は、人員なり、それから予算なりというものがこれより動物福祉を高める方向に動こうとした場合に必要になってくるわけで、本当は小委員会として、これは議員立法で法律改正が行われる筋なものですから、その議員さんたちがこの改正案を通すのだったら、そのときに一緒に予算的措置もちゃんと通してもらわないと、整合性がとれません。
 そういうことは、本当は小委員会として申し上げていいのではないかと思います。議員立法になりますけれど、これまでの慣習から言いますと、全会一致で成立しておりますので、与党だけではなくて、野党も当然ながら論議に加わってくるわけですが、そういったときに、今、永村委員がおっしゃったように実現可能性を考えると、予算措置は非常に重要だと感じたところです。

【打越委員】 予算措置の話、もちろん議員さんたちにそういう話をするのは、私も反対ではないのですが、今までのような、例えば、普及啓発のための印刷費とかとは、やはりけた違いの予算になりますので、林委員長がおっしゃったとおり、パブリックコメントで寄せてくださった方々は、本当に熱心な方々ですが、では、これが国民のバランスよい世論を反映しているかというと、決してそうとは限らない状況だと思います。けた違いの予算を国会議員が通すほどに、この議論が成熟しているかというと、私は決して簡単ではないと思っています。
 それと例えば、施設補助のための事業費の予算であれば、国の方で予算を何とか作って、自治体に補助を出していくというのはあり得ると思うのですが、ここで一番問題になるのは人員、マンパワーでありまして、自治体の職員の人件費は、環境省が補助でつけるものではありません。新たな獣医師資格を持っている職員の採用人数を増やし、そういう人たちを、食の安全などの一般の公衆衛生の部門ではなくて、犬や猫などの動物愛護管理の方に人員を回すかというようになりますと、本当に個々の自治体の人員カットのご時世の中で、マンパワーを増やすというのは、実はかなり厳しい。そう思うと、せめて自治体の担当者の負担を減らすためには、やはり基準であるとか、数値であるとか、そういうものを明確に作っていくことが自治体の担当者の負担を減らすのではないか。だから、動物がかわいそうな状態だったら保護しましょうという法律ではなくて、こういう状況になったら、劣悪な環境だと数値で出せますと。
 そういう意味では、飼養基準の数値がなかなか出せない。永村委員や、太田委員の中から、動物種によって、大きさが違うからというご意見がありましたけれども、私はずっとアンモニア臭の濃度の話をしているわけですが、何か一つでも、数値なり、基準なりを明確にすることが、自治体の負担を減らすのではないかと思います。つまり、予算措置だけでは、自治体の担当者のマンパワーを増やすことには全くつながらないという問題があると思います。

【林委員長】 おっしゃるとおりですね。本当に困難ですけれども、例えば、アンモニアのことでいうと、どこか自治体の意見にもありましたけれども、測定しないと値が出ないので、その測定する機械すら買えないという現状だと。それでは空論になってしまうので、せめてそういう改正案を本当に通すのだったならば、大した予算ではないわけで、そういうのはつけていただくとか、単に議員さんたちが票のために法律改正をするというような観点じゃなくて、実現可能性を考えた法改正を望みたいというぐらいのことは、私たちが言ってもいいのではないかと。そういう意味です。

【野上委員】 動物行政については、自治体の職員の人材育成ということが非常に重要だと思います。そういう能力のある職員がなかなかいないというか、いてもすぐに転勤等で変わってしまう。実際に人員がいないというよりも、能力が足りないがために、業務を実行できないということもあります。ですので、一つの専門職として、動物愛護担当職員を規定し、例えば、そこの部署に5年はいるとか、ある程度の裁量権を持たせる、そのような実効力のある制度を作ることが必要かと思います。
そもそも、現在、動物行政の現場は、獣医師にとって、魅力ある職場かどうかということです。私のところに寄せられた情報では、あまりにも犬猫の殺処分がつらくて、ノイローゼになったり、辞めてしまったという獣医もたくさんいます。動物の法律が、きちんとよりよいものになって、多くの市民の支持を得られ、そのことによって、この職場が魅力あるものになり、人材が確保されていくようになるわけですね。そういう意味でも、この法律をきちんといいものにして、行政の方々がやりがいのあるような仕事にしていくということが、この人員の問題の解決の一つではないかと思います。
 それから、動物行政の予算につきましても、やはり私たちは納税者であるという視点から見るわけです。税金を払っている立場からすると、どこにお金を使ってほしいかということは、国民として意見を言う権利があるわけです。これだけパブリックコメントで、動物の愛護を強化してほしいという多くの意見がある、世論があるということは間違いのないことです。これが政策にきちんと反映されないとしたら、それはかえって行政の怠慢であると思います。
 私は、この法律をきちんとよりよいものにしていくということが、動物行政の強化にとっても必要ですし、世論の支持を受けて広げていく意味でも必要不可欠な土台であると思っています。

【林委員長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。大体ご意見をいただいたようですが。
(な し)

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、続いて、今日の中心的な課題であります、動物愛護管理のあり方検討報告書(案)について、論議を行いたいと思います。この案では、両論を併記としていた一部の項目については、これまでの論議を踏まえて、一定の方向性を打ち出す形をとっております。ここを中心的に論議していただきたい。と同時に、それ以外のものでも、お気づきの点は、是非論議していただきたいと思うのですが、まず、事務局からご説明をいただいて、そして、論議を行いたいと思います。

【事務局】 それでは、資料1をご覧ください。基本的には、前半部分の動物取扱業の報告書と10月以降の議論の報告書をつなげたという構成になっておりまして、そこから変更を加えた箇所について説明していきます。
 2ページ目をご覧ください。こちらの修正箇所は、深夜の生体展示規制に関するものですけれども、深夜の生体展示規制につきましては、環境省として、先行して、省令改正で対応したいと考えておりますので、その先行して改正する内容にあわせて修正しております。
 続きまして、5ページ目になりますけれども、両生類・魚類販売業者に関しましては、規制の対象とすべきとの意見、また、販売時の説明責任だけでも課すべきとの意見があったが、動物取扱業に含めるのは時期尚早との意見が多かったと、ここは若干方向性を出す形にしております。
 続きまして、次の老犬・老猫ホームにつきましても、これは先行して政令改正で対応したいと考えておりますので、その内容に沿った修正を加えております。
 続きまして、6ページ目の181行目は、正確に記載しました。
 187行目の小中学校を消したのは、後ろの方で、学校飼育動物と出てきますので、ここは専門学校などで飼養される動物の取扱いに特化した記述にしたということでございます。
 7ページ目の動物取扱責任者研修の緩和につきましては、工夫が必要という認識が共有されたと結論づけた修正を行っています。
 続きまして、8ページ目の修正につきましては、8ページ目の(1)行政による保護等、(2)取締りの強化及び罰則規定の見直しは、従来からの方針をより明確に打ち出した修正としております。
 ただ、281行目の(3)闘犬及び闘牛につきましては、伝統行事として社会的に認容されている事例を考慮すると一律に禁止することは適切ではないということで方向づけた形にしております。
 続きまして、9ページ目の多頭飼育の適正化に関しましても、自治体における条例等に任せるべきとの意見が多かったということで、方向づける形としております。
 それ以外につきましては、基本的には、従来の方向性をより明確に打ち出すような修正を加えておりまして、ただ、13ページ目のマイクロチップの施術に関する意見につきましては、現状、マイクロチップの装着が、獣医師法に基づく診療行為であって、獣医師しか行えないということに関して、もうちょっと強調して書くべきであるということで、こちらは中央環境審議会動物愛護部会の藏内委員からもご意見をいただきまして、このような形に修正しております。  また、最後の14ページ目の災害対応で、自治体間で協力して、広域的に対応する体制についても検討すべきというご意見につきましても、動物愛護部会の委員からご意見をいただいておりまして、加えさせていただいております。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。それでは、これからこの報告書(案)について、ご意見、ご質問等をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【山﨑委員】 深夜販売の文言に関しまして、「という意見もある」が消えて、「実効性を考慮すると犬や猫に絞るべき」となっているところに関しては、少々私どもの議論とは違っていた気がいたします。両方の意見が出ています。先程この点に関してはいろいろご意見もありましたけれど、野上委員がおっしゃったとおり、実際問題として、24時間営業に近いような状態でやっておられる業者の中に、むしろエキゾチックといろいろな動物を展示しているという問題性が発覚いたしておりますので、これは別に犬猫に絞るべきというようにするべきではないと思うのです。
 もし、あえて絞るべきという言葉を入れるのであれば、という意見もあるということを生かしておいていただきたいと思います。ちなみに問題になっているような業者は、今年の初めに幾つか訪問した際に、犬猫に加えて、マーモセット、猛禽類、ミニ豚、ウサギ、それから、その他の猿類、リス等が展示してありましたので、このような文言になってしまうと、むしろそういったショップの状態というのは悪化するような気がいたします。

【林委員長】 今、ご意見があったのは、41行目ですね。ここについて、他の方のご意見は。

【加隈委員】 文言として、ちょっと前も含めてなんですけれども、項目についてですが、私はここの生体展示規制についてが、対象業種として販売だけに限っていない書き方を今はされているように思うので、前回のときに政令の案の中では、販売に絞るかという意見も多数だったと思うのですが、それとはここの結論がちょっと違っているのかなと思って、別物として、また考えるのかどうかが疑問ではあるのですけれども、とりあえず私の意見としましては、やはり段階を踏むということでの実効性を踏まえますと、一番問題になっていることが、犬猫の幼齢動物という部分が大きかったと思いますので、それの販売ということになります。こちら、販売されるものは、普通幼齢動物がほとんどになりますので、まず、そこで基本的には販売業者が対象になりますが、同時に他の業種、展示等であっても、幼齢動物は深夜の規制があってもいいのではないかと思いましたので、そのような中身をちょっと絞り込むということを、意見としてはあります。
 もう一つ、文言として、行の33行目で、睡眠時間が深夜展示により不足と書いてあるのですけれども、33行目ですね。これは休息時間とした方がいいのではないかと思います。睡眠かどうかというのは、またちょっと別の問題になりますが、休息となりますと、例えば、人が過度に関わらないとか、音を気をつけるとか、そういうことも含めて、休息を与えるということができますので、休息とすることを提案したいと思います。

【林委員長】 ここは休息に直すということですか。前段におっしゃったことは、どこをどう直すという、これからご発言いただくところは、具体的に例えば、山﨑委員の場合には、犬猫に絞るべきであるというのを、これを削除しろと、こういうご意見ですよね。そういうことですね。

【山﨑委員】 絞るべきではないと私個人は思って、そういう議論もございましたので、もとの言葉の方がいいのではないかと。

【林委員長】 ここの線を消したのをとってくださいという。加隈委員のおっしゃったことはどこですか。

【加隈委員】 具体的には、37行目には、購入者の利便性というように、ここにだけ販売業を意識した書き方になっているので、もし、それが全般的に言えるのであれば、生体展示規制を販売業者に関する規制とするということを、例えば、28、29行目の頭に入れる。それでよいかということもあるのですけれども、ここで37行目に、突然、そういうことだけが出てきているのは、ちょっとうまく直せないのですが。

【林委員長】 深夜の生体展示規制というタイトルの中に、実際には、これを規制する必要があるというのは、34行目に書いてあるのですね。
 しかし、37行から38行には、購入者の利便性を制約することは許容されるとの意見が強かったということで、それの補足のようなことを言っているわけですけれども。

【加隈委員】 そうしましたら、私のここでの意見としては、41行目で、実効性を考慮すると、犬や猫の幼齢動物に絞るべきであるというように、ちょっとそういう提案になりますので、山﨑委員の意見と全然違ってしまいますので、また、他の方にもご意見を出していただければと思います。

【林委員長】 41行目を犬や猫に絞るべきではなくて、犬や猫の幼齢動物に絞るべきと、こういう意見ですね。

【水越委員】 私は、今、加隈委員の意見に、申し訳ないのですけれど反対です。というのは、幼齢というように入れてしまうと、何カ月齢までであるとかと限定しないと、幼齢というのはいつまでかというような議論にまたなってしまうのではないかと思うのですね。ですから、実際の対象というのはほとんど幼齢であるので、ここにあえて入れる必要はないのではないかと思います。

【野上委員】 今の話は、取りまとめ報告書案「動物取扱業の適正化について」の(3)対面販売、現物確認の義務化に関連しています。展示を禁止することによって、その展示時間以外は、直接対面したり、現物確認できない。すなわち、展示禁止の中に販売禁止も含まれるという考えでよろしいかを、一つ確認していただきたいです。
 それから、もう一点は、39行のところですが、犬猫以外のことですけれども、今回パブコメにかかった法律施行令の一部を改正する政令案の、(3)(5)に、「夜間に犬猫以外の動物を展示する場合であっても、展示施設内の照明の照度を落とす、静穏を保つ等の措置を講じること」と入っているわけですね、既に。その他の動物についても、配慮しなさいとはっきり書いているわけですから、ここで39から40行を削る必要はないと思います。むしろその他の動物についても、政令案に書いてあるように、配慮すべきであると、そして、接触をしないということを入れればいいだけの話ではないか。その方が、この政令案が生かす形になると思います。

【磯部委員】 内容に関することではなく、議事進行の方法について伺いたいのですが、今後の議論の仕方は、一体どういうようにすればよろしいでしょうね。今日の議論は、この資料で見え消しになっている箇所に限るのか、すべてについて議論の蒸し返しもありなのか。
 思うに、やっぱり今の時点で、気がついた重要な論点は出しておいた方がよいとは思うのですけれど、すでに一応文書ができているわけなので、本当に出発点に戻ってしまうような議論は、自粛するべきだろうと思います。
 ただし、この文章が最終的に表に出ることになるわけなので、例えば、文章が日本語としてちょっと変だとか、この箇所とこの箇所は整合的でないとか、そういう指摘も必要だろうとは思うので、ちょっとその辺について、あらかじめ委員長の方で、ちょっとルールを決めていただけたらと思います。

【林委員長】 まず、これまでの論議に戻るようなことはやめていただきたいと思います。なぜかというと、24回も論議をしてきたことが元に戻ってしまうからです。
 ただ、ここで24回の論議をもとに出したもので、その後に見え消しで変えている部分がありますね。これについては、集中的に意見をいただきたいということで、もし、文章として、前後のつじつまが合わない、論理性がないとかというので、何かお気づきの点があれば、そこは是非ご指摘いただければ、それに従って文章を直す。最終的なまた細かい直しは、是非お任せいただきたいと思っているのですけれども、今のうちに、これでは論理性が担保できないよというご指摘がありましたらいただきたいのですが、少なくとも内容的に、この24回の論議の前に戻るというのはやめていただきたいと思います。ということでよろしいですか。

【打越委員】 では、前に進むということで、動物取扱業のところ、先程の犬猫の話は、ちょっと自治体の意見を受けてというところで、ちょっと復習、戻ったとは思うんですけれども、動物取扱業の話は置いておいて、その後の部分の報告書の文書に力点を置くべきなのかなと思っています。
 それで8ページ目が、虐待に関して、あるいは9ページ目が、多頭飼育の適正化に関してのところになるのですけれども、先程の自治体の担当者の意見もたくさんあったので、我々の委員会で十分議論できたところではないのですが、警察との連携のことを少しだけ加えてもいいのかなと思いました。
 例えば、8ページの271行から272行なのですが、「また、自治体の動物愛護部局に司法警察権を有する職員を配置して取締りに当たらせることが有効であるとの意見があったが」、ここに警察との連携について入っていましたね。でも、もう少ししっかり書いてあげてもいいのではないか。つまり、自治体の担当者の司法警察権云々という話は、愛護団体からたくさん出てきますけれども、実際に実現可能性という点も、それから、公権力という点からしても、決して簡単な話ではないので、司法警察権の方が長く書かれているので、そうするぐらいなら、警察との連携や、警察の関心喚起であるとか、そっちの方を重点的に書いた方がいいのではと思いました。

【林委員長】 警察との連携等により、対応すべきだと、もっと強くしているんですが、それをもう少し強く言った方がいいということですね。

【打越委員】 要は警察との連携により対応すべきというのは、今でも当たり前の話なんですよね。そうじゃなくて、警察が積極的になってくれないという声が多かったので、警察に積極的になってもらうための工夫をというような意味です。つまり、連携すべきなのは、今でもそうなので。

【林委員長】 この小委員会では動物の愛護及び管理に関する法律の中身を話しているので、私たちが警察に対する要望の仕方が限定されるんですよね。そこはどういう言い方がいいのかですが、まずは、警察との連携等により対応すべきというのは、より連携を強化するとか、そういうふうに、現状よりも連携を強化するというくらいのことを我々の方から言うことはできるのですけれど、警察に、ああしろ、こうしろというのは、ここではできないお話なんです。そういう旨の文章でいいですか。

【打越委員】 そうですね。

【磯部委員】 8ページに飛んでよろしいですか。

【林委員長】 お気づきの点は是非おっしゃってください。

【磯部委員】 その前に7ページの(14)ですが、許可制の検討というところで、登録制から許可制に強化する必要性の検討とあるところです。冒頭の「許可か登録かという名称に関わらず」という箇所について、「かかわらず」を漢字で書くなら、この字ではないですよね。平仮名で書くか、あるいは拘泥の「拘」という字を書くか。
 さらに文章としても、「現在の登録制度は」から始めて、「実質的には許可制として位置づけられるものと考えられることから」と続け、そこで「許可か登録かという名称にかかわらず、実質的な規制の内容に」とした方が、文章としては意味が分かりやすいのではないかと思います。
 それで8ページでございますけれども、警察との連携という論点について、どのように書くかというのは難しいのですけれども、今、打越委員は、273行のところをご指摘になりましたけれども、その前に261行に出てくるんですよね。「自治体における動物愛護管理担当部局と警察間の連携強化」。書くならここのところで、連携の強化ということがどういうことか、現状でどこがうまくいかないのか、どうしたらよいのかということについて、より的確な表現でもう少し書き込むということには賛成です。ただし、どのように書けばよいかということについて、今ここで何か申し上げる自信はございません。
 それから、その少し後の266行から267行にかけて、「一般国民の行為に対して公権力が介入することについては慎重であるべきである」という表現があります。しかし、これは当たり前のことでありまして、だれも公権力が軽率に介入すべきだなどと言っていないわけですね。動物を飼う資格のないような、動物を虐待しているような人間に対して、それをやめろと言うことが、行き過ぎた公権力の介入であって、そういうことはあってはならない公権力の介入になると認めるかのような表現を、わざわざここで書くことはないだろうと思います。こういう表現は要らないのではないかなと思います。

【林委員長】 266行、267行、これ2行、全部取ってしまっていいですね。

【磯部委員】 それから、これは先程の自治体のアンケートの中で、一時保護というのはとても無理だというお話の紹介がありましたが、おそらくそれに対応した記述なのだろうと思うのですが、確かにこの消極的な意見は、いかにも自治体現場から返ってきそうなリアクションであって、無理もないのかなとは思いますが、前にお話を伺っていた実態の話としては、要するにはっきりと近所の迷惑になっているという場合ならともかく、単に動物の鳴き声などが聞こえて、なにかひどい状態なのではないかというだけでは、犯罪捜査として摘発するということではなくて、行政的な調査手続や改善命令、禁止命令のような行政手段を法定することが必要なのではないかという話があったと思います。もちろんいきなり命令権限が難しいのだとしたら、立入調査権限を法定するだけでも大分違うのではないかと思います。もちろん犯罪として摘発して、警察に通報して、立件してもらって刑事手続にもっていくということを頑張るべきだと書いてはあるのですけれど、それ以前に、行政的な措置がとれるようにするべきなのではないか。被害にあっている動物を全部一時保護しなければならないのだとすると、確かにそれは勘弁してくれという話にもなるのかもしれないのですけれど、とりあえず、そういう尋常ならざる事態を承知した行政が、刑事手続の前に立入調査に入ることができるぞという規定が、現行法でははっきりしないので、そういう司法手続とは別の行政的な調査権限というものを法定することも考えていいのではないかと思います。そういう根拠規定を置くということは、これは著しき公権力の介入でも何でもないわけなので、検討の価値はあるだろうと思います。

【林委員長】 では、そこの方でお伺いしたいのですが、266行と267行を削除しますと、上のところとのバランスを取らなければなりませんが、また、264行からですけれども、「また、虐待を行った者に対して、飼育禁止命令をかけられるような仕組みを導入することを検討する必要がある」と、こう言っているのですね。これは飼育禁止命令をかけられるような仕組みということで、ここに対して公権力があまり過剰に入ってはいけないよというニュアンスで、この下の文章があるので、そのバランスを考えると、今、磯部委員がおっしゃったことは、上の264行、245行も考えないといけないということになりますね。

【磯部委員】 そうです。申し上げたかったのは、飼育禁止命令の是非に関して、両論あったのは事実ですし、積極論もあったけれど、慎重論もあったのですから、そう書けばいいわけなのであって、積極論をとるとそれがいかにも、いたずらな公権力の行使の介入になりうるとまで評価する必要はないという意味です。両論あったと書くべきだろうと思っただけです。

【林委員長】 それはすっきりしていますね。

【打越委員】 今のところの関連なので、磯部委員もおっしゃっていたんですけれども、「飼い主の所有権は何があっても絶対的なものというわけではない」というのが、青木委員も、磯部委員も、私も、渋谷委員も、要は法律系の委員がみんな同じように言っていたところだと思います。明らかに非常に動物が残酷な状態で置かれていて、周辺に迷惑をかけている時まで、そういうわがままな人を守るための概念ではないのだということであったと思います。飼育禁止命令を出したいんだけどということは、確か山﨑委員がすごく熱心におっしゃっていて、そうは言っても、それは難しいというような法律系の委員からの一斉の反応だったと思うのです。
 そういった議論の中身を踏まえて、ここに書いておくべきことは、263行ですね。「緊急時に動物の一時保護を可能とする規定を設ける」というのは、結局、そういうところで、いざという場合には、飼い主が何があっても、そこで我がままを言って、踏ん張り続けるのを許すものではないというところだったと思いますので、飼育禁止命令云々だけで、公権力が云々というところを書くよりは、飼い主が所有権を例えば主張したとしても、それは必ずしも絶対ではなくて、動物の健康や、その周辺環境の管理ということから見れば、場合によっては、その緊急保護もありえて、それが決して法律違反ではないし、裁判になって、返還請求がきたって、裁判で負けるものではないんだよということを書くことが、自治体の担当者の背中を押すのではないかと思います。

【磯部委員】 まさにそういう趣旨でございまして、私有財産とか所有権とか、そういう議論をする人に対しては、動物を虐待することはもはやいかなる意味でも正当な権利の行使ではないのであって、権利の濫用であるといっても良いし、そういう議論をすれば十分対抗できると思います。そういう表現を使っていただいてよいのではないかと思います。

【林委員長】 磯部委員と打越委員のおっしゃった方向で変えたいと思います。

【野上委員】 次の闘犬及び闘牛のところですが、284行目、「との意見もあった」という部分が消されているんですけれども、実際、パブリックコメントでは、闘犬を禁止、規制すべきだという賛成意見が2万4,000件ありました。現状のままでいいというのは、わずか2件しかない。暴力団廃止条例を適用しようというのが3件あるのみです。この意見は、委員限りの資料で見ると、文部科学省が言っている意見をそのまま採用しているわけです。文部科学省の意見だとすぐに採用されて、国民の2万4,000件の意見は採用されないというのは、おかしいのではないかと思います。

【林委員長】 これは別に文部科学省の意見をそのまま反映したわけではないと思います。
 それから、先程言いましたように、2万何千の賛成の意見とは別に200万ぐらいの現状でいいという人だっているわけかもしれないわけですよ。だから、そういう貴重なご意見があったということは参考にすべきですが、多い意見を採用するというのがパブリックコメントの目的ではないと思います。この小委員会の中でこのように直した方がよいという意見が多かったからで、文部科学省の意見を入れたということでは決してありません。またパブリックコメントを軽視したという意味でもないということです。

【山﨑委員】 それに関して、文章の訂正に関する提案ですけれど、今、野上委員がおっしゃったように、実際に文化、宗教といえども、進化するものであって、たとえばもはやコロッセオで殺し合いは行っていないという意味では、我々が進化を遂げるという観点から禁止するべきという意見も、かなり委員会の中では出たと思いますので、との意見もあったというのは、そのまま生かしていただいたらよいと私は思います。
 と同時に、286行の「登録の徹底、行事後の獣医師による」の云々という文章の「行事後の」というのは必要ないと思います。行事の最中でもそれは必要です。行事後というのは全部とって、「獣医師による適切な監視、治療、アフターケア等に関する基準の設定」などというように直していただければ適切ではないかなと思います。現に神事の中で足を折った馬が何十分も放置されて、ブルーシートをかけたままということも、つい最近ございましたので、行事後ではなくて、やっている最中であっても、獣医師による適切な監視、治療、アフターケアに関する基準の策定というのが非常に重要だと思います。

【林委員長】 ここは286行の「行事後の」、これだけをとればいいということですか。

【山﨑委員】 はい。それから、治療の前に「適切な監視、治療、アフターケア等」というふうに直していただければいいと思いますが、いかがでしょうか。

【林委員長】 つまり、事後だけではなくて、事前の表現を含むということですね。これは全体的な流れからして、これまでの論議にそごをきたすものではないと考えますけれども、よろしいですか。

【山口委員】 闘犬のところですが、山﨑委員の意見だったと思うのですが、土佐犬は、パブリックコメントといいますか、自治体の意見にも、伝統だと述べられているところが結構あったのですが、ピットブルによる闘犬は伝統の中にはたぶん含まれていないとおもうのです。山﨑委員が確か、土佐犬以外の闘犬を禁止すると分けてはどうかという意見があったと思うのですが、その辺のところは一切書かれていませんので、その辺もやはり入れるべきではないかなと思います。

【林委員長】 この闘犬にしろ、闘牛にしろ、いろいろな動物がいるわけですけれども、細かいことまで書いていくと、物すごく長くなってしまうわけで、ここは闘犬目的で飼育されている犬を飼育許可制にすべきとの意見があったということで、暗にピットブルとかですね。そういったものについての注意喚起しているのですが、ピットブルはよくて、土佐犬はどうなのかというと、土佐犬もかなり非常に危険なものがいますし、一々挙げていくというのも、ちょっとしんどい話なので、特定の犬種名を出すということは、ここではしていないということです。

【永村委員】 デンマークでは10犬種程度が飼育禁止になっています。

【山口委員】 特定の犬種の飼育という意味ではなくて、闘犬をするということに関して、土佐犬の闘犬とそれ以外の闘犬に分ける。実際、現状でも、北海道の条例では、土佐犬以外の闘犬は違反になっているのですね。ですから、そういう分け方を確か山﨑委員がおっしゃったと思うのです。

【林委員長】 それについては他の方、論議は前に戻らないという原則にしていますが、いかがでしょう。

【水越委員】 それに関してですが、この283行目には伝統行事として社会的に認知されている事例を考慮すると、と書いてあるのですけれども、伝統行事は文化として残すべきという意見でもあったのが、おっしゃられるような土佐犬によるものだと思うので、考慮するではなくて、伝統行事として社会的に認知されている事例については、という方が、適切ではないか。
 つまり闘牛であるとか、闘犬であるとかということを、社会的に認知されているものというのは確かにあって、それについては、いいのではないかという意見なのだと思うのですね、ほとんどの方は。なので、この考慮という言葉ではなくて、事例については、一律に禁止することは適切ではないというのは、それは私としても賛成です。

【林委員長】 今のご意見は、妥当かなという感じがいたします。なぜかというと、これから始める行事は、伝統行事ではないですからね。そういう意味では、同じようであって、同じではないことで、事例についてはですか。

【水越委員】 はい。事例については、一律に禁止することは適切でないという方が、適切じゃないかなと。

【林委員長】 よろしいですか、そういうことで。それ以外のご意見はいかがですか。

【山口委員】 済みません。少しまとめてお話ししてもよろしいでしょうか。自治体の収容施設の部分の10ページです。330行の「制度上も終生飼育の責務に照らして引取りを求める特段の事情がないと認められる等一定の場合には引き取らないことができるようにする」となっているのですが、確か自治体の意見でも、引き取らないことができるという規定にすると、かなりいろいろな問題が起こるのではないかという意見が結構あったと思うのですね。ですから、そういう意見も確かにありましたから、意見もあったというように書いていただけたらなと思います。

【林委員長】 これはこれまでの論議でこういう文章になっているのですが、特にこういうご意見は、斉藤委員だったですか。どなただったですかね。出されて、大体委員の皆様の同意があって、こういう文章になったと私も記憶しているのですが、どうだったですかね。これについて、ご意見がある方はおられますか。

【打越委員】 その議論の流れはちょっと思い出せないのですけれど、私はやはり引取りは義務の状態のままでよいのではないかと思います。最終的には、自治体の担当者が、不幸な犬や、猫たちの責任を持つという、要は自治体に責任を持たせるということが義務づけの意義だと思いますので。ただし、もちろん引き取らなくてよいような、きちんと飼い主を説得するというのは、それはそれで当然必要なことですが、条文は変えなくてよいのではと思っています。

【山﨑委員】 そのときの議論は、私個人の意見しか思い出せないのですが、私は、真のシェルターというものが、各コミュニティに一つなければ困ると言いました。突っ返したところで、その人がではその犬を道端に捨てたらどうするのか。あるいは非常に虐待的な飼育方法を続けたらどうするのかということで、最終的には人間のためではなくて、動物のためには、引取りというものがなければならないという意見を言ったのを覚えております。

【斉藤委員】 条文については、私自身は、現状のままでいいと思っております。前回、前の表現は違った形で、理由がある場合に引き取るというような表現だったのですけれども、行政が判断するのは非常に難しいのだという中で、では、できない場合にはというようなご意見があって、こんな表現になったと思うのですけれども、私も、できたら山口委員と同じように、もう少しやわらかい表現にしていただければと思います。

【林委員長】 この引取りについてのところは、もし、現状でいいということであれば、ここを全部削除してもいいわけなんですね、極端にいえば。この表現であるべきだということがあれば、是非、どうぞ。

【野上委員】 この表現でいいと思います。既に自治体の条例で制限を設けている例がたくさんあります。「やむを得ない理由があると認めるときには、これを引き取るものとする」という表現で、東京都、横浜市、大阪府、福岡市、岡山県、千葉市、北九州市等が、このように条件をつけて、既に条例で定めています。ですので、この書き方でよろしいのではないかと思うのですけれども。

【林委員長】 野上委員の方からそういうご説明があったのかもしれません。ちょっと今、記憶がはっきりしませんが。

【渋谷委員】 以前の議論のときには、私は義務という表現は残すけれども、正当な事由がある場合、もしくはやむを得ない事由がある場合という条件を加えた方がいいのではないかという意見を出していたと思います。
 それで今、条例であるからいいというお話がありましたけれども、法律では、義務と書いてあるところを、条例でそれを緩和すること自体、条例が合法的かどうかという議論も残ると思うのですね。ですから、法律レベルで解決した方がいいと思います。

【打越委員】 私は先程山口委員がおっしゃったとおり、「いざという場合には引き取らないという可能性もある」という意見でいいのではないかと思います。「引き取らないことができるようにするべきである」とまで、私たちの委員の中で合意はできていませんので。

【野上委員】 今、渋谷委員がおっしゃった、自治体が条例で、主に、東京とか、横浜とか、大阪府とかの大都市で、定めているのは、法律の権限を逸脱している、ある意味、違法だということでしょうか。

【渋谷委員】 違法かどうかは、動物愛護管理法の条文の解釈によることになりますし、最終的には裁判所が決めることになると思うのですけれども、その可能性は全くないとは言えないと思っています。

【野上委員】 でも、恐らくこの条例を定めるときは、環境省に照会してやっていると思うのですね。なぜ、こんなに多くの自治体がこういう規定を設けたのか、ちょっとその説明がつかないのではないかと思うのですけれども。

【林委員長】 こういう問い合わせは、実際に環境省にきて、また、そういうことでいいのではないかというご指導をされた経緯というのは何かありますか。環境省として。  一般的に各地方自治体がこういう条例を定めるときには、すべて細かいところまでも環境省に照会があるのですかね。

【西山動物愛護管理室長】 ご相談がある場合は多いですけれども、この件については把握しておりません。

【打越委員】 今の野上委員の質問への回答になるかもしれないんですけれども、渋谷委員がおっしゃったとおり、状況によっては、法律違反で、無効な条例とされる可能性はあると思います。
 例えば、実務で運用している限り、やはり現場で必ず裁量はありますから、これは引き取るか引き取らないかというので、押し問答になったりして、いろいろあるのは、法律であろうが、条例だろうが、現場の裁量に任されている部分があるのですが、もしも大都市で犬や猫を持って来た人が、非常に我がままな人で、条例に基づいてその大都市の自治体の担当者がうちでは引き取りませんといったときに、その犬や猫を持ってきた人が、あの自治体の対応は間違っていると、裁判所に訴えて、法律上は引取りの義務があるとして、自治体の担当の判断は法令違反であると訴えた場合には、多分裁判で、自治体の側が負けるのではないかなと思いますね。つまり、そのように裁判で訴えられたときに、その条例が持ちこたえるかというと、微妙だと思います。

【林委員長】 おっしゃるとおり、私もそういうことがあり得るかなと思い始めました。

【野上委員】 そうしますと、このような自治体がやってきている努力、一生懸命、犬猫の引取りを減らして、殺処分を減らしていこうとして、努力していることは無になってしまいますね。
 あくまで、やむを得ない理由があると認めるときはというふうに条件がついているわけです。ですから、すべて拒否することはできると言っているわけではなくて、やむを得ない理由というのを、恐らく自治体によってさまざまだと思いますけれども、一定の制限を設けて、できるだけ動物愛護管理法の趣旨に添うように、犬猫の殺処分を減らしていこうということで、こういう条例ができていると理解されます。

【打越委員】 だからこそ、現場の裁量というのがあって、法律の条文で杓子定規に現場では行動できないはずですので、そういうところで一々裁判にならなければ、そういう自治体の努力というのが積み重ねられていくのだと思います。
 ただ、今、現時点で、我々が議論すべきなのは、この報告書の文言をどうすべきかであって、犬猫の引取りについては、場合によっては、引き取らないことができるようにするべきであるというように、我々の委員会で言い切ってよいのかというと、必ずしもそうとは限らないので、山口委員が最初におっしゃったとおり、引き取らないことができるようにすべきであるという意見もあったということをしっかり明記しておけばよいのではないかと思います。

【林委員長】 これはいろいろな書き方があるのですが、するべきであるという書き方、現在、そうなっているのですが、という意見があったという書き方も当然ながらできるわけですが、他に発言されていない方で、どなたか別のご意見ありますか。  よろしいですか。ここまでのご意見ですと、穏やかなのは、するべきであるという意見があったということになりますが、そういうことでよろしいですか。  それでは、ここをそう変えたいと思います。

【山口委員】 済みません。まだもう少しあるのですが、12ページの9.罰則の強化のところです。法人重課とか、そのあたりは書いてあるのですけれども、個人のところについては、現状でも先進的な外国法と比較しても遜色がないという意見もあったということが書かれていますが、それと同時に、現状では、他人の動物を殺傷すれば、器物損壊罪を使われると、せめて、器物損壊罪を適用しなくてもいいように、それと同等、あるいはそれ以上の罰則をつけるべきではないかという意見もあったと思うんです。そこの部分もやはり、そういう意見があったということも入れていただけたらと思います。

【林委員長】 この殺傷に関する罰則については、ここはもうお変えになられたようですけれども、私の記憶では、磯部委員、青木委員がおっしゃったことで、これはこのとおり、そういう意見があったということでいいのですが、その他、動物取扱業に関する各種の罰則についても、その強化を図るべきとの意見があったという、これは全部まとめて書いているのですけれども、その中で特に今、山口委員のお話は、もう少し、ここは細かく分けて書いた方がいいということですか。

【山口委員】 特にこの器物損壊罪ということに関しては、一般の方々も、なぜ器物なのと、新聞に載るときも、他人の動物を殺した場合、器物損壊罪で警察が捜査しているということが載ったりして、かなりの方が、命は器物いうことで、とても疑問に思っていらっしゃる方が多いです。せっかく動物愛護管理法があるにもかかわらず、器物という形で表現されるのは、やはり動物愛護管理法がないに等しいような扱いを受けていると思いますので、その部分もそういう意見があったということは、やはり書いていただけたらというように思います。

【林委員長】 他の委員はいかがでしょう。

【野上委員】 私も山口委員の意見に賛成です。諸外国の法律と比較して遜色がないという意見もあったということが書かれていますが、イギリスですとか、アメリカですとかは、文化的にも、制度的にも、全然システムが違うわけですね。査察員制度があったり、アニマルポリスのような仕組みがあったり、あとは保安官ですとか治安判事でしたっけ、とにかく簡易にすぐに裁判を起こして、即決で解決できるような仕組みが非常に広く普及しているわけで、日本のように、全く警察が取り合ってくれない、起訴されても有罪に至らないというような社会とは全然違います。ですので、やはりここは、罰則をもっと引き上げるべきであると、それが抑止効果になるという意味で、今、山口委員がおっしゃったことを入れていただきたいと思います。

【林委員長】 これは上の方に、依然として虐待等が多く見られる状況であることから、罰則の強化を検討すべきだということも言っているのですね、まず最初に。ここのところは、殺傷に関する罰則についてはと限定しているのですね。その他のいろいろなことは、諸外国と違うところはそうなんですが。  例えば、殺傷だけに関して言った場合に、この中で論議があったのは、物すごく高く引き上げてしまう。例えば、個人が懲役10年であるとか、個人であっても、1,000万円とか、法人の1億円に近いものにしろということに対して、現状の殺傷に関することだけの罰則で見てみると、遜色がないよというご意見だったので、ここを紹介しているわけです。それ以外のことで、器物損壊罪等とのことは、これは実は適用しているのは、動物愛護管理法よりも、そっちの方が原告にとって有利になることが多いから、そっちを適用しているだけの話で、こっちが引き上げられた場合には、そういうことがなくなるという便宜上のことだと私は理解しているのですが、そうではないですか。器物損壊罪を適用しているのは。

【山口委員】 結局は、現状では、器物損壊罪の方が、罰則が高いからそれを使っているわけで、それを適用しなくていいようにしたいというのは同じなんですね。  ところが、上で罰則を強化検討すべきであるということで、この下の方、殺傷罪に対する罰則についてはというように、下の3行は規定しておりますので、特に器物損壊、損壊ということは、殺傷が主なものですから、そこで「現状でも先進的な外国法と比較して遜色がないという意見もあった」とここで切ってしまうのであれば、ではそれでいいのかというようになってしまいますので、そこで器物損壊罪についての意見も入れていただけたらいいかなと思います。

【林委員長】 ご意見わかりました。いかがですか、他の委員の、それを入れておくということは、いかに殺傷罪が、我が国の法律の中において低いかと、動愛法における殺傷罪の罰則がいかに低いかということの象徴ではないかというような意味合いでここに入れるということですね。よろしいですか、それは。  よろしければ、それを入れさせていただくということで、どういう文章にするかは、お任せいただきたいと思います。

【山口委員】 今度は13ページの犬猫の不妊去勢の義務化のところなのですけれども、443行目、「飼い主の繁殖させる権利を奪うべきではない」というように言い切ってしまっているのですが、権利を奪うべきではないと言って、繁殖して、どんどん生ませては、捨てている。遺棄にも値しているわけですけれども、そういう方の権利を奪うべきではないと言い切るべきかどうか、私はやはりそういう意見もあるのであれば、その見え消しの意見があったというのは、やはり生かすべきではあると思います。不妊去勢手術をしていないがために、どれだけの動物が捨てられて、自治体の犬はどんどん減っているのに、猫が全然減らないというのは、ここにも原因があることですし、その次の飼い主のいない猫の繁殖制限においても、外で餌をやっている動物の不妊去勢手術についても、ここはしっかり書くべきだろうなと思います。

【林委員長】 これは飼い主一般に対して言っていることではないのです。その飼い主の上にかかっている言葉を見ていただくと、繁殖に対する適切な理解を持ち、適正な飼養している飼い主なのですよ。この飼い主の権利を奪うべきではないと言っているわけで、一般の飼い主全般の権利を奪うべきではないなんて、全然そういうこととは、趣旨が違います。ということなのですが、いかがでしょう。

【打越委員】 もめるかもしれない、実験動物や産業動物の話になる前に、虐待や行政の保護や多頭飼育の話のところで確認させていただきたいのですが、これは報告書の文章というよりも、先程委員長がおっしゃった言葉で、耳に残ったのですけれども、当初、この小委員会が設置されたときには、関係省側で法律の条文を作って、内閣法制局審議して、閣議に法案を出す可能性も検討しているということが議事録に残っていたのですけれども、先程の委員長の話ですと、これまでと同様、議員立法でいくという話がありました。
 恐らくそういう話が出てきたのには、いろいろな経緯があると思うのですけれども、確かに非常に価値観が多様で、中央省庁の一部局がすべてをまとめるには大変だろうというようには思うのですけれども、やはり議員立法でこれまで作ってきたということもあって、動物愛護管理法、法律としては非常に形のいびつなものになっています。議員さんたちがどんなに情熱があっても、行政の法制度や現場の細かいところまで踏まえて、筋の通った法律の条文に仕上げるというのは、決して簡単なことではないのです。現時点の動物愛護管理法は、その法律の構造がどうもいびつだというのは、プラスアルファの意見として事務局にメールでお送りしたところです。
 今回、この報告書の虐待のところとか、多頭飼育の適正化のところに関しては、定義を明確にする必要があるというような言葉が何度も出てきまして、概念を明確に、提言を明確にというのが出てくるのですけれども、報告書でここまでしか踏み込めなかったとして、それを議員立法に任せた場合に、一体議員さんたちがどこまで的確な法律の条文を作れるだろうかと思うと、ちょっと心配なところがあるなと思っています。それは専門家として、動物の取扱いに関する知識が云々というよりも、現場の自治体の担当者の実働を意識した、明確な法律の条文に仕上げることができるかと考えたときに、政治家というのは、そういう現場の実働能力を育てられている人たちではなくて、多様な価値観や利害関係に配慮するという能力はもちろん議員の皆さんはお持ちなのですけれども、現場で運用のことまで含めたときに、混乱が生じない法律の条文を作り上げるという点では議員というのは不向きなのではないかと思うわけです。
 そういう意味では、この報告書で、定義や概念を明確にする必要があると書いてあるところに、私は全く異存はないのですけれども、議員立法でやるのであれば、そのあたりが非常に不安で、どんなふうにこれから先、対応していくのか。ここに毎回議員さんが傍聴してくれていれば、これまでの議論の経緯を細かいところまでわかって分ってくれるでしょうが、そこを非常に危惧しておりますので、そのあたりをちょっと伺っておきたいと思います。

【林委員長】 今のご質問は審議官がお答えいただけますか。

【小林審議官】 確かにこの法律をどういう形でやるのか。内閣提案の法律ということも視野には入っておりましたが、ここでの議論を伺うにつれて、非常にある種の判断、政治的な判断を伴うような箇所も幾つかあるかなということで、また、議員側も積極的に対応を提起されたいというありがたいお話もありまして、もともとが議員立法でもございましたので、議員立法でやっていこうというのが、今の大きな流れになっております。
 その場合に、せっかくここで、本当に長い時間をかけて、また、幅広い議論をしていただきましたので、私どもとしては、これを是非生かしてやっていただきたいということで、議員立法になりますので、内閣の法制局がチェックするわけではなくて、むしろ委員の、これも法制局が法律の条文としてはチェックをし、作成するということになりますが、我々はそれを支える舞台として、しっかりその作業に入っていきたいと思っております。といいますのは、それを具体的に施行するのは、また、私どもの仕事になりますので、そういう意味で、しっかりワークする法律にするということで、しっかりお手伝いといいますか、下作業をやっていくと、こういうつもりでおります。
 また、ここでも野党、与党あるのですが、とりあえず与党の始まりましたチームの責任者からも言われていますが、是非、委員会の報告もしてほしいし、多分、お手を煩わせることになるのかもわかりませんが、直接話も聞きたいというお話もございますので、そういう中で、しっかり反映していただける機会というものも作ってまいりたいと思っております。

【打越委員】 本当に心強いご返答だったと思うので、環境省の皆さんのお力を本当に信じて、託したいと思うのですけれども、どうしてもやはり政治主導のご時世ですので、官僚があまり政治家に向かって、生意気口もたたけないご時世になってきていると思うのです。そういう意味では、林委員長を含めて、また、委員のこのメンバーも適宜引っ張り出してきて、政治家との協議の場で、委員がこう言っていると、委員は皆さん学識経験者ですから、政治家と比べて立場が下というわけではないので、くれぐれも細かい現場でワークするとおっしゃいましたけれども、そういう法律改正にもっていってほしいと。それを期待して、定義を明確にする必要があるとしか書いていない、この抽象的な報告書を、私は認めたいと思います。

【林委員長】 これが議員立法になりますと、確かにワンクッション入るのですね。25回の論議に、私たちの目の前には、毎回、局長以下環境省の方々がご出席になられて、こういう論議をしてきましたから、これは言葉どおりのことは当然のことながら、この案の行間に込められた思いというのも、分っていただいているのですが、もう一つ、ワンクッション入ると、議員さんたちが、そもそもこの小委員会の答申などを気にしないよと言われたら、そうなってしまいますよ、本当に。
そういうことにはならないように、今、審議官からお話がありましたように、議員立法でされるときに、この小委員会の論議を最大限踏まえた上で、改正案を検討していただきたいと環境省から働きかけられることに期待したいと思います。さらにそれだけではなく、この25回論議したことは、今後に残りますから、ほぼ5年の検討会において改正今回、達成できなかったことが改正蓄積として非常に大きく効くのではないかと思っています。委員の皆様が25回も論議されたことが、まるで意味がなかったということは全然ないと、むしろ、非常に意味があったと思っています。これは委員長としての感想です。

【太田委員】 今、委員長から25回やってきた意義というお話がありましたが、今回、約1年半にわたって、この議論が進められてきました。この1年半の間に、現場では、多くの変化が現在見られています。
 一つは、日齢問題に関してですが、私たち業界8団体では、45日を目指してきました。しかし、水道の蛇口とも言えるオークションでは、40日規制ということを今までしてきました。前回の法改正のときには、40日に満たない売買があったので、前回、5年前に、40日以上にしようという1段階据えました。今回のこの法改正の中で、40日でもだめだと、45日まで持っていこうよという私たちの働きかけ、JKCの働きかけによりまして、オークション連絡会協議会では、45日以降と最近決めましたので、これも小さな一歩かもしれませんけれども、自主規制が働いたのかなと思っています。
 今回、第2回目の小委員会のときに、子犬は15万頭のうち7万頭が、流通段階で死ぬというご意見がありました。それに対して、今年の春、環境省が、実態調査をしていただきまして、その結果、流通段階での死亡率は、犬は1.6%という数字が出されました。私の店の資料でも、大体その位と考えております。これはジステンパー、パルボ、一番大きな伝染病がほとんどなくなったというのが大きな原因です。
 また、社会化に絡めても、最近、私たちが販売した子犬が、動物病院、あるいはペットショップでも、今までは3回のワクチンが、必ず効くまで外に出さないようにという指導をしていましたが、最近は1回打ったら、よその犬と接しさせなさいと、社会化を進めなさいという指導が、販売でも、動物病院でも進んできました。これもこの委員会の一つの成果と考えています。
 昨年の日本の犬の生産は、上位10犬種のうち、9犬種までが室内犬です。外で飼う犬はわずか1犬種しかいません。それほど年々室内犬が増えています。室内犬を飼うに当たって、飼育者の一番の問題点は、トイレの仕付けが問題になっています。これはいつ飼ったら、一番トイレを早く覚えるかというのは、私たち業界の長い経験からして、50日ぐらいから飼うのが、トイレの仕付けが一番早いと。現在、子犬は流通段階では、40日以上と言っていますけれども、平均すると、44日で親から離して、販売するまでに約10日間かかっています。44日で離して、2日間の目視をして、10日間を足すと、約60日になります。私は、現在の子犬の流通過程の日にちは、子犬のためにとっても、また、飼い主のためにとっても、室内犬のトイレの仕付けという点では、一番いい時期かなと考えます。
 以前のように、子犬が小さいから死亡率が高い、だから8週齢という意見もありましたが、先程言いましたように、非常に死亡率も下がっており、また、子犬の発育もよくなっておりますので、8週齢が科学的根拠がないとは申しませんが、是非、次のときには、環境省が音頭をとって、社会化に関しての実験調査をして頂き、社会化に関しては何日が理想なのか、みんなが納得できるような数字を示していただければと思います。
 インターネットオークションが、今現在1社がされていましたが、これも世論の高まりにより、今年いっぱいでやめるそうです。移動販売につきましても、都市部ではほとんどなくなりました。これもやはり1年半の議論の成果かなと私は考えています。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。本当に社会化というのは、この委員会は、論議を戻しませんけれども、三つの案を提示し、しかも数値化することにしました。今まで数値目標は出していませんでしたから、それを議員立法でちゃんと取り上げていただけるかどうかは、議員さんたちのお考えですが、この委員会としては、三つをちゃんと数値として出したということはかなり大きいと思います。今、太田委員からお話がありましたように、これは科学的に、恐らくもっともっとデータを重ねないと、しかも品種によって、かなり差があるということは、容易に想像できることで、相当な労力が今後とも必要なんだろうと思います。是非、そういう研究も、あるいは研究だけではなくて、あるいはいろいろな経験ですね。それが環境省の方で蓄積していただけるよう要望したいと思います。

【渡辺委員】 ただいまの林委員長の方から、5年後もあるのだというお言葉をいただいて、非常に心強く感じております。
 5年前の会議を傍聴した身からしますと、今回の1年以上かけた会議に対して人々の関心度が高いというのを実感しました。このパブリックコメントで寄せられた数もそうですし、意見の内容もそうです。特に今回、パブリックコメントの「その他」の意見の中にも、虐待防止法を制定すべきとか、意見募集の文章が難しいといった、これから先を見据えたご意見がたくさんありました。今後の参考になるものがたくさんあると思いますので、これらをすくい上げていただきたいと思います。
 それから今、お話のありました、子犬を親から離す日齢というのは、以前に山口委員もおっしゃいましたように、今回、8週齢を逃してしまうと、また、5年待たなければいけない。今回は必ず8週齢を通さなくてはいけないと思っています。
 それから、もう一つ、あり方検討報告書の案の中の飼い主のいない猫の繁殖制限のところ、13ページです。繁殖制限というのは、イコール不妊去勢手術ですので、不妊去勢手術の必要性ということを、この文章のどこかに入れる必要はないのかなと、ちょっと疑問に思いました。
 以上です。

【林委員長】 内容的には、不妊去勢の未処置により、猫が増える事例が全国的に見られているということで、そこが大きな問題だということは、内容的にはここに書かれているとおりなんですけれども、もし具体的に、こういうようにした方がよりよいというご提案があったら、是非おっしゃってください。

【水越委員】 今後、科学的データの蓄積が非常に重要だという委員長の意見に賛成いたします。
 そこでなのですが、先程の太田委員の意見で、55日齢が一番トイレの仕付けができるというのは、これは全く科学的ではないと私は思っています。やはりトイレの仕付けというのは、ほとんど学習によるものでありますので、それこそ適切な環境にあれば、新しい家に行ったときに、既にトイレの仕付けができている。それはいくら家庭に行く前の期間が長くてもできると私は感じておりますので、その時期を超えるとしにくいというのは、新しい飼い主に行く前の環境の問題ではないかというように考えます。
 この私の意見も科学的なものではありませんので、そういった意味でも、これから科学的なというか、データを蓄積する研究や、調査のために、先程助成というお話もありましたけれども、そういうことも今後していっていただきたいと切に願っております。

【林委員長】 ありがとうございました。ペットは人との関係性で成り立っている動物ですので、人側のペットに対する対応の仕方によって、これも時代によってかなり変わってくる。さっきの太田委員からもありました。ほとんどが室内飼いになってきているというだけでも、どうしたらいいのかということが違ってくるので、そういうことも考慮して、今後、是非知見の集積というのをお願いしたいと思います。

【野上委員】 今日配付させていただいた資料についてですけれども、これは日本小動物獣医師会が、会員獣医師の方々に行った幼齢動物の取扱いについてのアンケート結果です。この獣医師会は、会員が今5,000人くらいいるそうですけれども、761通の回答が寄せられています。この獣医師会は、臨床の獣医師さんで、実際にペットを日常的に診察している方々です。この方々の意見によりますと、幼齢動物の販売は悪いと思っている方が97%いる。幼齢動物を親から引き離す日齢として、最低何日以上が好ましいと思われますかという質問に対しては、一番多いのが60日で、371人。次が90日で103人。50日が84人、56日が79人という結果で、56日以上がよいとする意見が81.3%もあります。
 しかも、親から早くから引き離すことによる悪影響はあると答えている方は99.2%もあるわけです。このアンケート調査について寄せられたさまざまな意見は、とても多岐にわたるもので、いずれこの小動物獣医師会のホームページで公開されると思いますけれども、実際に現場の獣医師さんたちがこのように幼齢動物の親から引き離す日が早いと、弊害があるということを認識しているわけですね。この意見は非常に重要な意見であるかと思いますので、今後、議員立法においても、こういうことを考慮していただきたいと思います。
 あと2点意見としてあるのですけれども、一つは、実験動物のことです。今回、実験動物の施設を登録制、届出制にすることについて、実験動物業界の方々が反対をして、さまざまな意見書を出しているところです。これに対して、両論併記になっているのは当然と思いますけれども、一つ、ここで考えていただきたいのは、国が所轄する動物実験施設は、何百億円ともしれぬ国民の貴重な税金が投じられているわけです。それがどこでどのように行われているか、国は実態を把握せず、自主管理というものに任せたままになっています。国民の側から見ると、実験施設は完全なブラックボックスです。本来、動物実験を所轄する役所は、適正な実験が行われているか、3Rが実施されているか等を管理、監督する立場でありながら、実態把握をする仕組みづくりにさえ反対するのは、もう言語道断といいますか、職務怠慢としか思えません。
 このような役所の姿勢には、やはり「由らしむべし知らしむべからず」という考えが横たわっているように思います。すなわち、国民は無知であってほしいと、真実は知らないでほしいと、その方が好都合だからという考えです。
 実験の専門家集団が必ずしも社会的問題に対処できるとは限りません。いわゆる原子力村が、日本では原発事故が起こらないと宣伝していながら、事故は起こりました。農林水産省がBSEは日本では起こらないといっていましたが、発生しました。いずれも根拠のない盲信です。何か大きな事故が起こらないと、システムを変えようとしない日本という国の不幸の一つが、この動物実験問題ではないかと考えています。
 実験者たちは、規制を設けると、研究が阻害されると主張しますが、これも説得力がありません。規制が何もない日本では、規制を設けることは、研究者の意識を向上させ、適正な飼育管理につながるはずです。
 先程太田委員がおっしゃったように、この小委員会で議論したこと自体によって、動物業界が、非常にいろいろな改革を進めているというお話がありました。恐らく動物実験についても、ここで議論をしたから、あるいはするからこそ、文部科学省が実態調査をしたり、指針の遵守を命じたりしているわけですね。議論さえするなということでは、世の中の状態を変えることはできません。そのようにここで議論することによって、動物実験の業界の方々が現状でいいのかと、社会はどう思っているのか。もっと厳しい目で見られているのではないかということを十分認識して、謙虚に反省していただきたいと思います。
 当初、実験業界の方々は、議論さえするなという要望書を出していたわけで、これは全く国民を愚ろうする意見だと思います。
 既に動物実験施設の実態把握については、1999年のときから議論され、2005年の議論でも先送りされ、そして、今回に至っているわけです。さらに5年後に先送りしろというのは、一体どういうことかと思います。動物実験というのは、グローバルなスタンダードで、世界的に統一基準で行われるべきものです。
 例えば、化学物質については、日本は国際的動向を踏まえて、予防原則を取り入れるなどして、化学物質の審査及び製造等の規則に関する法律を既に改正しています。生態系の維持についても、生物多様性の条約の決議に従って、外来種対策は、予防原則を導入しているわけですね。そういうように、ある部分については、やはりグローバルスタンダードでいくということを言っているわけです。
 しかしながら、この動物実験の適正化については、あるいは動物福祉の推進については、OECDや、OIE、FAOとか、さまざまな国際機関が指針を作っているのに、それを全く無視していいものでしょうか。先進国ではすべて法規制があるのに、日本だけはいつまでもここで反対しているというのは、本当に見苦しいといいますか、みっともないことだと思います。
 今回の議論で両論併記になったということは、事実ですけれども、十分これを機会に、多くの人々が動物実験について考え、言っていっていただきたいと思います。
 次に、3番目、13ページの(4)の学校飼育動物、ここで見え消しが2カ所入っているのですけれども、この箇所は、文部科学省の非公開の意見をそのまま取り入れています。つまり、学校飼育動物については、教育委員会等に助言を行う。文部科学省が所轄するんですよというように文言が変えられているのですね。それはおかしいのではないかと思います。小中学校というのは、地方自治体立、市町村立とかがほとんどですけれども、そういう地方自治体が、自分たちの地域における動物の飼育実態について、関与したり、地元の動物行政が関われるような仕組みというものを必要としているわけでして、これをすべて文部科学省の所轄側に持っていくというのは、ちょっと問題ではないかと思います。
 動物行政は、学校飼育動物について、どのように関与すべきかということを、ここに1行つけ加えていただいたらいいのではないかと思います。
 今のところ一応これで。

【林委員長】 ありがとうございました。

【斉藤委員】 13ページの(2)です。犬猫の不妊去勢の義務化というところで、先程、山口委員が言われたところですけれど、「奪うべきではない」ということで切っているわけですね。その後の中で、「動物愛護管理法によって義務づけるという手段をとるほど国民に利益をもたらすものではない」という、「国民に利益をもたらすものではない」という表現が、私たち行政として、今でもそうですけれども、今後も不妊去勢というのは、最重点指導事項として、飼い主さんにも指導していきます。その結果として、今までの処分頭数がかなり減ってきたという事実はあると思うのですね。
 この奪うべきではないというところで切ったので、445行目を全部削除していただいて。

【林委員長】 444行以下ですね。

【斉藤委員】 またのところを、「犬猫の不妊去勢措置は動物愛護管理法によって義務づけるという手段をとるのではなく、飼い主への普及啓発、繁殖制限にかかる」そういうように表現を直していただければ、ありがたいと思います。

【林委員長】 わかりました。これは妥当なご意見だと思いますので、そういたします。

【浦野委員】 今、野上委員が、実験動物に触れたので、少しだけ話しますが、まず、議長が、議論の蒸し返しはしないということで、今日最初の約束事としてあったので、一切議論の蒸し返しはしないということで、私は発言しませんでした。それに対して、今の野上委員の発言は、議論の蒸し返しに当たると思いますので、ルール違反と判断します。したがって、私は、野上委員の意見に対して反論する気は全くありません。
 つぎに、先程打越委員が指摘した点ですが、昨年の本委員会の最初の段階で質問しましたが、今回の動愛法の改正については最終的にどのような方法で決めるのでしょうかという私からの質問に対して、当初は閣法で決めますと言い切っていたのが、いつの間にか、議員立法になってきました。今日の話だと、議員立法で改正することが決定しているようなので、そうなると、この委員会としての意見をかなりきっちりと議員に対して説明していただかないと、議員の方々が要らぬ誤解を招くというか、判断を間違う危険性があると思われます。かつ、もう一点指摘させていただくと、環境省で所管する動物愛護管理法であるにもかかわらずなかなか環境省の考えが見えてきません。一体環境省はどういうふうに考えているのかなと思います。特に、実験動物領域については環境省の考えが全く示されておらず、そのことで、議員立法で動愛法改正が進められた場合に、議員に対して環境省単独で説明されると、我々の考えがキッチリと議員に対して伝わるのか否か、私ははっきり言って不安に思います。
 今日の資料として、文部科学省と各省庁の意見が出ておりますので、他省庁の意見もきちっと把握した上で、あるいは議員に説明するときには、他省庁等の意見、あるいは他省庁そのものを呼んでいただく。あるいは先程打越委員が言われたように、我々の専門家の一部でもいいので、呼んでいただく、要はきちっと理解し、判断してもらうということが必要じゃないかなと思うので、その辺、是非検討していただきたいと思います。

【林委員長】 そろそろ終了に近づいていますので、短くお願いいたします。

【山﨑委員】 具体的な提案です。当初から産業動物も、実験動物も、学校動物も、すべていわゆる動物愛護管理法のもとの愛護動物というくくりで、実際に虐待を防止するための範ちゅうに入るべしという考え方で、13ページ、(4)の学校飼育動物に関しまして、先ほど野上委員、ご指摘ありましたけれど、ここだけ文部科学省が登場するというのは、ちょっと不自然な感じがいたします、学校動物が非常に悪い状態にあるという場合は、当然、動物行政に地元の住民が訴え、直接手が入るということは当たり前のことだと思っておりますので、この行に関しましては、462行「必要に応じて文部科学省等を通じて」というのを全部削除していただいて、「仕組みづくりが必要であり、教育委員会に助言等を行う必要がある」というようにすっきりさせていただきたいと思います。

【林委員長】 これは文部科学省等を通じてって、通じなきゃいけないみたいな感じになっていますが、教育委員会に直接お話ししてもいいわけですよね。どうなんでしょう、これは。省庁の問題、何かあります。文部科学省を通じなきゃいけないのかなということなのですけれど。

【山﨑委員】 あるいは、教育委員会、学校等にとしておけば、地元の学校等で気がついた住民の通報等があった場合には、直接そこに、例えば、職員がご指導に伺う等、そういった情景を例えば考えることもできるので、それは可能ですか。

【林委員長】 いかがでしょうか、これは。何か。
 それは産業動物の場合の、農林水産省との関係とよく似た関係があるだろうと思うのですが、この学校飼育動物は、指導要綱の中に書かれているものですから、文部科学省が定めたのですね。

【小林審議官】 今のご指摘ですと、要するに現場に助言が届くということが必要であるということが書かれているということで、そのルートとして、何か啓発的なものを使っていただくということであれば、別にだれがということがないのかもしれませんし、環境省が直接何か要請するとか、仮にするとすれば、文部科学省を置いてというのも、あまり自然なことではありませんので、政府部内で相談してやるということかと思いますので、そこも特定されている意味がない、要は助言は届くようにするということをおっしゃっていただいているのかなと理解しておりますが。

【山﨑委員】 記録に残っておりますけれども、随分昔の話ですが、確か、文部科学省に、動物園動物のことで、動物の動物園においての飼育の問題の質問状をメディアが持っていったときに、文部科学省の担当者の方が、動物園は文部科学省の管轄ですが、個々の動物の愛護になりますと、これは環境省さんですと、はっきりおっしゃった事例もございます。

【林委員長】 そのとおりですね。その方向で、動物愛護は動いていますけれども、ここは例えば、必要に応じて、関係機関に助言を行う必要がある。この中に文部科学省が含まれたっていいわけでしょう。関係機関といえば、学校も、教育委員会もみんな入りますから、そういう文言でいかがですか。では、そういうことに。

【小方委員】 教育用の実習の動物というのは、どの範ちゅうに入るのでしょうか。実習に使う動物ですね。これは多分実験動物とはまた違うと思うのですが。

【林委員長】 それは前の方に、専門学校等という記述があったと思います。6ページの教育・公益目的の団体というところですね。

【打越委員】 5時半に近づいてきたので。27日が予備日というように設定されていたと思います。それで委員の先生方の中には、年末は厳しいとおっしゃる先生もいらっしゃるのかもしれないのですけれども、もし可能であれば、例えば、国会議員と、この小委員会の委員の懇談の場とか、設置できないだろうかと思いまして。そんなに国会議員さんも暇ではありませんので、難しいことなのかもしれないですけれども、恐らくもう委員が揃える日というのは、本当にこれから先、なくなってくるのかなと思うと、一応27日予備日に空けていたというのは、貴重な1日かな私は思っていますが。ざれ言かもしれませんけれども、最後に。

【渡邉自然環境局長】 党とはご相談をしてみたいと思うのですけれども、今日も与党の方のワーキングの会合がありました。年を明けてから、党としてのいろいろな議論を進めていきたい。その中でまずは委員会でまとめていただいた報告書の内容は、事務局からもしっかり聞きたいということとあわせて、やはり専門家の立場の方、いろいろな立場の方からも、ご意見を伺っていきたいというのは、今日も大きな方針として示されています。それは与党のみならず、野党でも同じような形になっていくと思いますので、そういったいろいろな場面で、直接専門的な立場から意見を言っていただくような場面が作っていけると思います。私たちからも、こういう議論があったということを党にお伝えしていきたいと思います。

【林委員長】 年明け以降ですね。そういうことを積極的に作っていただけるということですので、どうぞよろしくお願いします。

【小方委員】 今、ご説明いただいた教育・公益目的の団体ですね。ここで専門学校などということで、全部入る。大学もすべて入る形でよろしいのですね。

【林委員長】 そうですね。特に専門学校のところが、一番抜けていた経緯から、専門学校等となっているのですが。
 よろしいですか。

【小林審議官】 時間が押してまいりまして恐縮でありますが、実は、政省令に係る部分は、この後、部会にも挙げていただくということがありまして、大体整理をしていただいたと思っています。
 一番最初に議論がありました2ページの深夜の生体展示のところにつきまして、議論の帰すうは出ていて、あとは委員長とご相談してということかとは思っておりますが、規制の対象となる動物がどこまでかというところにつきまして、確認的に申し上げているのですが、事務局が示したのは、犬猫に絞るべきということになっているのですが、ここは哺乳類とか、鳥類まで広げるべきだという意見、犬猫に絞るべきというのがあったということでしょうか。
 もう一つは、さっきも議論が出ておりまして、ここに取締り等の実効性を考慮すると、事務局案で書かせていただいたのですが、先程自治体の現場では、両論あるという話がありましたので、そこをあえて書かない方が適当かどうかというような。

【林委員長】 それをはっきりさせます。これまでの24回の論議を踏まえると、まず、犬猫は絶対的にやらなきゃいけないという、そういう共通認識はあると思うのですね。ですから、ここは規制の対象というのは、動物については、段階的にやっていくということで、まず犬猫からというように書けば、ここの犬猫だけという形ではない扱いにできないかと、私は先程考えて、それを皆さんに申し上げる前に他のところに移られたものですから、そういうことでよろしければ、そういう扱いにさせていただきたいと思いますけれども、よろしいですか。

【打越委員】 私は両論併記で、最初から犬猫以外を含めるべきです。

【林委員長】 両論併記をする場合は、これは人数の問題がありますから、どっちが多かったのかということを、ここでは問題にした方がいいと思うのです。

【打越委員】 犬猫に絞るべきという意見の方が多かったという感覚ではないので。

【林委員長】 犬猫から始めていくということについては、これは僕はこの中の約4分の3以上か、もっとだったと。それは別に我々挙手なんかしてもらう必要はないのですけれども、全体の流れからすれば、そうです。それをやはり強弱をつけておいた方が、ただ、こういう意見もあった、こういう意見もあったじゃ、僕は答申としては、非常に弱いものになると思いますけれども。

【打越委員】 それであれば、他のところも、ほとんどが両論併記であります。

【林委員長】 そんなことないですよ。言い切っているところは結構ありますから。今日もお認めいただいたところで。

【打越委員】 私としては両論併記がいいという意見です。

【林委員長】 私としては、先程言いました、段階的ということで処理したいと思いますが、よろしいですか。

【野上委員】 繰り返しになりますが、政令のところでは、既に他の動物にも配慮するということを書いているのですから、ここにそのことは入れておいた方がいいと思います。あたかもそういう議論がなかったかというような感じでは、非常におかしいです。かなりの方々が、やはり他の動物についても意見を述べていますので、そこのところは明確に残していただきたいです。

【林委員長】 わかりました。そうすると、書き方に注意しますけれども、どうすればよろしいのでしょうか。それに対しての動物に対する分類群についてはという、ここちょっと分類群と言わなくてもいいわけですね。
 「取締り等の実効性等を考慮すると犬や猫を優先すべきであるが、他の哺乳類、鳥類、爬虫類についても、規制すべきという意見があった」というぐらいにしましょうか。そうすると、強弱がはっきりしますので。
 まず、犬猫については言い切るということですね。他のところについていえば、そういう意見があったというようにいたします。そういうことでよろしいでしょうか。よろしければ、そういう扱いに。審議官、それでよろしいですか。

【小林審議官】 はい。

【林委員長】 ちょっと5分オーバーしてしまったのですが、もうよろしいですね、この論議は。
 それでは、随分25回の長きにわたって、委員の皆様どうもありがとうございました。
 事務局にお返しいたします。

【事務局】 それでは、林委員長並びに各委員の皆様、本日も熱心にご議論いただきまして、どうもありがとうございます。
 また、改めまして、昨年の夏以来、本日まで長い期間にわたるご意見、改めまして御礼申し上げます。
 最後に、局長からごあいさつさせていただきます。

【渡邉自然環境局長】 冒頭に申し上げたようなことで、今日入れて25回、1年半近く議論を重ねていただきましたことに、本当に改めて御礼申し上げたいと思います。
 この動物愛護の制度、過去の改正でも、その都度、その時点で、日本の社会の中で合意が得られる範囲で、一歩一歩階段を上ってきたのではないかなと思います。今回の見直しでも、そういう意味で、合意が得られるところから、ステップを踏んでいく。また、前進していくことができたらと思います。そのための貴重な議論をしていただけたと思っています。
 今日も議論がありましたけれども、この仕組み、実際、現場で苦労して、動かして、担っていくのは自治体の皆さんということで、これからその制度の見直しの作業をしていく中で、現場で本当に機能するような仕組み、あるいは制度だけではなくて、人員とか、予算の問題も出ました。そういったことも含めて、現場がうまく動くような形にする。そこはすごく私たちとして大切にしていきたいなと思います。
 25回の議論の中で、非常にいろいろな立場の人が参加をして、異なる立場の皆さんが、一つのテーブルに着いて、本当に率直にいろいろな意見を言っていただきましたし、特に激しく深い議論もしていただきましたけれども、そういった議論を通じて、本当に多岐にわたる課題でしたが、その課題について、改善の方向性を示していただきましたし、論点を明確にしていただいた課題もあったのではないかなと思います。そういう意味で非常にこの制度の見直しを一歩階段を上っていく上で、意義深い議論をしていただけたと思っています。
 運営に当たった委員長を始め、委員の皆さんに本当にお礼を申し上げたいと思います。
 25回にわたって、毎回熱心に議論を聞いていただいたオブザーバーの皆さんに、本当にありがとうございました。お礼を申し上げたいと思います。
 今後の作業とすれば、今日いただいた意見を受けて、最終の報告書を委員長のもとで仕上げていくということで、事務局もそういった作業に一生懸命当たっていきたいと思います。
 それを受けて、今日もお話をしました。私も、25回の最初から参加させていただきましたので、始めるときに、閣法も視野に置いて、この審議会で議論を固めていっていただきたいということでスタートしました。議論を進めていく中で、先程審議官から申し上げたようなことで、いろいろな対立した論点が残されていて、そういった部分について、政治的な判断も加えていく必要もある。与野党どちらも大変熱心に議論をしていただいているということも受けて、今後、議員立法の方向で与野党の検討も進んでいくということになりますけれども、ここで議論していただいたことを、私たち事務局とすれば、しっかりと伝えていくようにしたいと思いますし、先程あったように、直接専門家の皆さんの意見を聞いてほしい。あるいは環境省だけではなくて、関係省庁の意見も聞いてほしいという議論があったということはしっかり私たちから、党にも伝えていきたいと思います。
 小委員会は、最終の報告をまとめていただいたわけですけれども、このプロセスは続いていきますので、今後、さまざまな場面で引き続き皆さんのアドバイスをいただければということをお願いして、クロージングに当たってのあいさつとさせていただきます。本当に皆さんありがとうございました。

【事務局】 これをもちまして、動物愛護管理のあり方検討小委員会閉会させていただきます。どうもありがとうございました。