中央環境審議会動物愛護部会動物愛護管理のあり方検討小委員会(第24回)議事録

1.日時

平成23年10月31日(月)午後2時00分~午後4時53分

2.場所

三田共用会議所大会議室(港区三田2-1-8)

3.出席者

林委員長、青木委員、井本委員、打越委員、太田委員、加隈委員、
斉藤委員、渋谷委員、永村委員、野上委員、水越委員、山口委員、
山﨑委員、渡辺委員
渡邉自然環境局長、小林審議官、田中総務課長、西山動物愛護管理室長ほか

4.議題

  1. (1)動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令案等の概要について
  2. (2)「動物愛護管理のあり方について(案)(「動物取扱業の適正化」を除く)」について
  3. (3)その他

5.配付資料

資料1
動物の愛護及び管理に関する法律施行令の一部を改正する政令案等の概要
資料2
動物愛護管理のあり方について(案)(「動物取扱業の適正化」を除く)
浦野委員提出資料
実験動物と動物実験に関する意見書
<委員限り>野上委員提出資料
実験「動物」の福祉、動物「実験」の適正化
<委員限り>
動物愛護管理の制度の見直しに関する主な要望書等一覧
<委員限り>
動物愛護及び管理に関する法律の改正について(要望書)
全国動物管理関係事務所協議会

6.議事

【事務局】 定刻となりましたので、第24回動物愛護管理のあり方検討小委員会をこれから始めたいと思います。
 本日の委員会の委員の皆様方のご出席の状況につきまして、磯部委員、臼井委員、浦野委員、小方委員の4名の方のご欠席の連絡をいただいています。加隈委員と打越委員については、若干遅れるということでご連絡が入っています。現時点で18名中の13名ということで、委員会は成立していることをご報告をさせていただきます。
 また、本日はオブザーバーといたしまして公益財団法人動物実験中央研究所理事の鍵山直子様にご出席をいただいています。ご助言を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。本日は資料1、資料2、そのほかに委員提出資料といたしまして浦野委員の提出資料、野上委員の提出資料です。なお、野上委員の資料につきましては、委員限りとさせていただきます。
 委員限りの資料を除く委員会の資料及び、議事録は後日、環境省のホームページで公表されますことを申し添えさせていただきます。
 それでは、これからの進行につきましては、林委員長のほうにお願いしたいと思います。

【林委員長】 それでは、ただいまから第24回動物愛護管理のあり方検討小委員会を開催いたします。
 議事に先立ちまして、渡邉局長からごあいさつをいただきます。

【渡邉自然環境局長】 ありがとうございます。第24回目になりました小委員会、ご出席いただきましてありがとうございます。
先週、25日に、夏以降、後半の議論ということで、虐待の防止から災害時の対応に至るまで、後半の議論の取りまとめについてご審議をいただきました。最後、その他の部分についても何人かの方からご意見をいただいて、今日は、その後半の部分について、動物取扱業を除くさまざまな論点について、パブリックコメントを求めるための案、その取りまとめのご議論をいただければと思っています。
そして、前半、議論していただいた動物取扱業の適正化に関しては、前回、ご報告したような形でたくさんの意見をいただきました。そこでいただいたご意見と、今日、まとめていただく後半部分についてパブリックコメントを求めて、そこで得られた意見と合わせて、全体の小委員会としての議論の報告書(案)について、これは後日、12月にまた日程調整をして、改めてご議論をいただければと思っています。
また、動物取扱業の関係で、これまで小委員会の議論の中で改善の基本的方向について共有できた項目、その中で急ぐべき項目で法律によらないで政令・省令で対応可能なものについては、できることはできる段階からやっていこうということで、政令・省令の改正の手順を動かしていければと思っておりまして、その内容についても、今日、ご報告をして、ご意見をいただければと思っています。政令・省令の改正についてもパブリックコメントを求めることになっておりますので、後半の議論についてのパブリックコメントと政令・省令の改正についてのパブリックコメントをあわせて並行して求めることができたらと考えております。ご審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、最初に事務局のほうから今後の方針について説明をいただきたいと思いますが、よろしいですか。では、局長からお願いいたします。

【渡邉自然環境局長】 ただいま少し申し上げたようなことで、まず、今日の小委員会なのですけれども、今日のメインは8月以降、虐待の防止から始めていただいた後半の議論について、パブリックコメントを求めるための報告書(案)を、今日、ご審議いただいて取りまとめていただけたらと思っています。それと、あわせて前半の議論の部分、つまり動物取扱業で議論された課題の中で、具体的には深夜の販売、それからオークション市場、老犬・老猫ホームにつきましては、この小委員会でも基本的方向については共有できたと考えています。それらの部分については法律にはよらず政令・省令の改正で対応可能なのではないかと事務局として考えまして、政・省令の改正で対応できるところは動き出そうということで、その中身についても、今日、ご報告をして意見をいただければというふうに思っています。
 今日の小委員会での議論を受けて、11月に、これも1カ月かけまして虐待の防止から災害時の対応までの後半部分の議論の報告書(案)について小委員会としてパブリックコメントを行いたいと思います。その際、後半部分と関連して動物取扱業の適正化について、追加的な新しいご意見があれば、それも合わせてパブリックコメントで提出していただけたらと考えています。
 もう一つは、動物取扱業に関連して、深夜販売、オークション市場、老犬・老猫ホームについての政令・省令の改正案について、これは環境省としてパブリックコメントを行うということで、二つのパブリックコメントを並行して11月に行うことができたらと思います。12月に動物愛護部会と小委員会を、できれば同じ日に開催したいと思っておりますけれども、動物愛護部会の方でも小委員会の取りまとめについて意見をいただくということと、政令・省令の改正案について諮問・答申をいただくということを予定できればと思います。そして、あわせて小委員会のほうでは、前半、後半合わせて、つまり、動物取扱業の部分とそれ以外の部分と、それぞれいただいたパブリックコメントの意見も踏まえた最終的な報告書について、小委員会でご審議して取りまとめていただくということで今後のスケジュールを進めていければと考えておりますので、ご審議をお願いできればと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ただいまの局長からの今後の予定について、ご質問あるいはご意見はありますでしょうか。そのような方向で進めさせていただいてよろしいでしょうか。
(な し)

【林委員長】 特にご意見がないようですので、このような形で進めさせていただきたいと思います。
 それでは、続きまして、先ほど、これも局長からお話がありましたけれども、動物取扱業の適正化で論議いただいた内容の一部は、概ねここで合意を得ておりますので、法改正に先立って、それに先行して規制を導入するということについて、環境省からご説明いただきたいと思います。それでは、お願いいたします。

【事務局】 それでは、資料1を説明させていただきます。
 先ほど委員長、局長よりご説明があったように、動物取扱業の適正化の部分につきまして十分なご議論をいただいたところでございまして、また7月28日から1カ月間、パブリックコメントをさせていただいたところでございますけれども、その事項について、その中で、まず法改正を伴わないでできるような事項。罰則の強化ですとか、そういった部分については、また別途、法改正という形になるかと思いますけれども。それと、パブコメとか委員会の議論で、概ね規制を導入する方向で一致したものについて、事務局でそれぞれ今回の動物取扱業の適正化についてまとめられた諸議論を精査させていただきまして、両方を満たすものについてピックアップさせていただいたものでございます。
ピックアップさせていただいた結果、動物取扱業への追加の部分で、いわゆる動物オークション市場、そして老犬・老猫ホームといわれる、ここでは老犬・老猫ホームというよりも動物を今後、終生飼養するという目的で譲り受けて飼養する施設というふうな定義のさせ方をさせていただいておりますけれども、それについて法律第10条に規定します動物取扱業に追加するということ。さらに夜間展示の禁止、深夜販売の禁止というような表題で議論させていただいたかと思いますけれども、この場合、営業時間そのものを禁止するというのはなかなか難しいと考えておりますので、今回は夜間の展示行為について規制をするという形での規制方法を考えさせていただきました。いずれにしても、これらのものを措置するために、動物の愛護及び管理に関する法律の施行令の方、それから施行規則、そして動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目、告示でございますけれども、この三つについて以下の案で改正するということについてご意見を賜ればと思いまして、今回、資料を用意させていただきました。
 では、2.内容について、ご説明させていただきます。
 まず、(1)オークション市場の動物取扱業への追加についてでございます。こちらの方は、先ほど説明させていただきましたように、法第10条第1項に規定する動物取扱業に動物のオークションを行う事業者を追加するものでございます。追加につきましては、施行令の改正になります。
 単に追加するだけではございませんで、追加した場合には、当然、追加した業種に従った遵守基準あるいは細目を設ける必要がございます。特に、オークション市場を動物取扱業とする際に追加すべきと考えられる事項について、以下4点を挙げさせていただいております。
[1]ございますけれども、こちらの方は、オークション市場によっては、前日に動物をまず持ってきてもらってオークション市場の会場で一旦保管をして、翌日の競りでそれを展示するというようなやり方をとっている場合もございますので、そういった場合については、保管という行為については当然ながら現行の飼養施設基準ですとか、そういった形で保管をする行為に対して設けられた基準に従うべきということでございます。
[2]でございます。議論の中でやはりトレーサビリティーという話がよく出てまいりましたけれども、その中で一つ問題となっているのが、動物取扱業でないような業者が入っていって、結局、動物取扱業に課せられた責務を果たさないという状況があるのではないかというご意見をいただいているところでございます。そういったご意見も踏まえまして、競りを行う場合には、競りに参加する事業者については、これは当然、基本的には売り手も買い手も双方でございますけれども、双方が動物取扱業の登録を受けているということを確認する。また、それ以外の動物の取引に関する関係法令に違反しないようにということを聴取して、もし違反しているような事項が確認された場合には競りに参加させないということを義務づけるものでございます。
[3]でございます。トレーサビリティーの観点から申しますと、動物愛護管理法に従うということでございましたら、当然、説明義務というものがございます。当然、説明義務を行うというのは動物取扱業者の責務でございますけれども、そういった部分がちゃんと果たされているという部分をオークション市場の事業者の方もちゃんと確認をするということが必要だろうということでございます。
 [4]、これがトレーサビリティーの肝かとは思いますけれども、当然、説明義務の場合に、説明する事項について確認して、それを書面で交付するという形になっております。当然、そのやりとりが通常の取引であれば動物販売業者と買い手の側で交わされることになっておりますけれども、それがちゃんと交わされていない、あるいはオークションの中で簡素化されているという場合に、一番、トレーサビリティーが欠ける可能性があると思います。ですので、こういった書類について、今までの規定でございましたら販売業者と動物を買った側が交わせばいいのでございますけれども、写しをちゃんとオークション市場で管理していただく。これは当然、5年間という形で保存していただく、ということによりまして、万が一、買い手の側で確認ができないような事態が生じた場合に、写しをオークション市場でも確認できるという状態にすることによってトレーサビリティーの確保を図りたいというふうに考えているところでございます。
 続きまして、(2)でございます。老犬・老猫ホームの動物取扱業への追加でございます。先ほど説明させていただきましたように、いわゆる老犬・老猫ホームといわれているものの中にはさまざまなものがございます。一般的には保管業という形で、長期預かりという形でやっている事例が非常に多いということではございますが、この場合は動物の所有権がペットの飼い主さん側にある場合ではございませんで、動物の所有権がホーム、いわゆる事業者側に移った場合を対象とすることにしております。移らない場合については、当然ながらペットホテルと同様で、その点は保管業という形で現在でも管理されているところでございます。これについて、施行令の改正により動物取扱業に追加するものでございます。
 基本的に、老犬・老猫ホームにつきましては動物を終生飼養するという行為になりますので、そこの施設について、ちゃんと飼養基準に合致しているという通常の保管業と同様の基準が、当然ながら老犬・老猫ホームに適用されるということになります。さらに、最終的に飼えなくなったりとかというような形で、かなり劣悪な環境で放置されてしまうという事例もあったと聞いておりますので、まずは、ちゃんと譲り受ける場合に、必ずしも老犬・老猫ではなくて若い成犬でも飼えなくなって譲り受けるという可能性は否定されないところでございますので、原則として去勢施術、不妊施術などの繁殖制限の措置を講じて受け取ること。当然、終生飼養するという形でありまして、その後、繁殖する目的というのは考えられないものでございますので、それは的確に措置していただくと。どうしてもやむを得ない事情で、そういった措置が講じられていない場合については、譲り受けた後に速やかに措置を講じるということにしております。当然、繁殖能力がもうなくなっているような状態であれば、その必要はないかと思います。
 さらに、業の廃止の場合に、今までも一般的にちゃんと譲り渡しができるような措置に努めるようという努力規定が設けられているところでございますけれども、老犬・老猫ホームにつきましては、できる限り、飼い主の事情によって異なる部分はあるかと思いますけれども、元の飼い主に譲り渡せるときにはちゃんと戻してあげるという規定を設けてもいいのではないかと考えているところでございます。
 続きまして、(3)犬及びねこの夜間展示の禁止に関してでございます。まず、夜間の時間でございますけれども、今回の規定では午後8時から午前8時までという形で案を提示させていただいております。午後8時につきましては、審議会の中でも、概ね、その時間帯でよいだろうという意見をいただいているところでございますけれども、基本的に、日本、小さな国でありますけれども、日の入りの時間というのもかなり差があるところでございまして、確実に夜になる時間という時間でも午後8時という時間は適切だろうと考えております。
 朝方の方でございますけれども、これについては、一般的な業態の開業時間、例えば動物園等でも朝8時半から開園しているようなところもございますし、そういった部分ですとか、必ず朝になる時間帯ですと朝6時とか、そういう部分もありますけれども、そこら辺は一般的な業務の開始時間を考慮したという部分と、あとは全体で今回の基準を見ていただくと総展示時間というところは設けられていないのですけれども、これは、いろいろご意見をいただいておりまして、総展示時間、一定の時間をなかなか示せないところがございますので、少なくとも12時間という部分については管理のもとに置いて、あとは休憩措置を必ず設けることによって総展示時間も制限するという形で考えたいと考えておりますので、午前8時という時間を設定させていただきました。
 さらに対象でございますけれども、今回は犬及び猫に限定しております。こちらのほうは、いろいろなご意見をいただいております。全体にするべき、動物に差はないのではないかということもいただいておりますけれども、まず個体数の多さ、これは一つの観点でございます。また、販売時における接触の多さ。爬虫類等でございますと、なかなか販売時に何回も触れたりですとか、そういったことが頻繁に行われていることではないですけれども、犬及び猫については、抱いたりですとか、そういう販売行為に当たっての接触が非常に多いであろうという部分。あとは、これは一定の基準はないのですけれども、動物に与えるストレス度合いですとか鳴き声等の周辺への影響等、諸々を考慮いたしまして、まずは犬及び猫について限定して規制の対象とするという案を考えさせていただきました。
 この場合の遵守基準については、以下のとおりでございます。まず、当然ながら、犬及び猫の夜間の展示を行わないこと。これは、営業をしなければいいということではなくて、ショーウインドウ等でずっと展示していれば、それも入るという形でございます。
 対象業者ですけれども、販売業者、貸出業者、展示業者を対象としております。ですので、例えば猫カフェみたいなようなものも含みますし、あとは動物園であっても、ナイトズーとかで犬及び猫を対象としているというところは少ないかと思いますけれども、犬及び猫を対象としたナイトズーというものがございますれば、それも対象となるという形でございます。これは、特段、販売業者だけを規制するということに有意義な回答が得られなかったものですから、こういう形で三つとも規制の対象としております。まず、飼養施設、この場合は、飼養施設と展示施設が同じ場合にあっては展示施設も含む形ではございますけれども、照明の照度を落とす、静穏を保つ等の環境を維持して、顧客または見学者等が施設内に立ち入らないようにするという形でございます。
 3番目は、この場合は、もしかしたら展示に含むという概念もあるかとは思いますけれども、施設には入らなくても顧客の要望に基づいて当該飼養施設から引っ張り出してきて顧客に見せるという行為を念頭に置いたものでございます。[1]に含まれるという解釈もありますので、もしかしたら[1]に最終的には一致する形になる場合もあるかとは思いますが、少しわかりやすくするという観点で、販売時とか貸し出し時に説明のためと称して飼養施設から引っ張り出してきて、また店頭で展示に類する行為をさせるということも規制の対象にすべきだと考えております。
 ただ、いろいろな議論はあるのですが、引渡し、譲渡しという、もう最終的な契約の段階で渡すという行為まで規制するのは、やはり販売行為の規制に当たるだろうと考えておりますので、それについては除くという形にしております。ですので、事前に日曜日とかにペットを見ていて、購入、引渡しだけ別の日の深夜にあるという場合については、これは限定的に認めてもよいのではないかと考えているところでございます。
 総展示時間につきましては、必ず、長時間展示を行おうと考えている場合には、途中に休憩時間を設けることということを義務規定として入れる形としております。
 それ以外についてでございますけれども、それ以外についても展示施設内の照明の照度を落とすですとか静穏を保つという形で、当然、夜行性であっても、夜、別に明るい中で展示をすれば夜行性に反するという部分はございますので、そこら辺は展示環境にできるだけ配慮した形で、夜間の展示として適切な展示をしていただくという努力義務を設けさせていただきました。
 さらに、当然ながら、地方公共団体でそういったものを規制する場合には、営業時間という部分が把握されていないとなかなか規制ができないという形になりますので、現在、動物取扱業の登録という中での申請事項には営業時間というものが含まれておりませんけれども、これを追加させていただきます。それによって、地方公共団体が申請の時点で、この営業所の営業時間が深夜であるということが容易に判別できるように規定を設けさせていただいております。その場合には、施設がちゃんと夜間の区別ができるかというようなところも審査基準として入ってくるという形になります。
 さらに、[2]といたしまして、営業時間が深夜のほうに変わる場合に限定して、夜間の営業時間の部分に限って営業時間を変更する場合には、変更の届出も必要という形で規定させていただいております。
 最後になりましたが、施行期日でございます。現在のところの案では、来年の6月1日を予定しております。これは、現在の作業を進めていきますと、今年末か来年頭に政令案及び省令案が公布される予定でございます。そこから半年程度ということで、6月1日を案として考えております。なお、老犬・老猫ホームですとか動物オークションで現時点で営業している場合については、施行から1年間については登録を受けたものとみなして営業ができるという規定を設けております。これは、前回の改正と同様の形でございます。
 老犬・老猫ホームにつきましては、現在、法制局等と議論しているところなのでございますが、定義として保管業と一緒なのではないかという疑義をいただいているところもございまして、そこを整理して最終的に政令改正にするか別の形で対応するかということは、まだちょっと決着ができていないところでございますので、もし、そこで政令改正の必要はないという形になりますと、今回のパブコメでは(2)の部分については除かれる可能性があることをあらかじめご承知おきください。
 以上でございます。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に何かご意見は。
 どうぞ、打越委員。

【打越委員】 遅れてきて、すみませんでした。意見を述べさせていただきます。
 まず、オークション市場の動物取扱業への追加と基準というところですけれども、プロとプロが取引する場所なのだから格別な厳しい基準とかトレーサビリティーを確保すべきという点に関しては賛成です。
 次に、老犬・老猫ホームの件なのですけれども、今、最後に、所有権が移るものとそうでないものの区別がうまくまとまらないとどうなるかわからないというようなご説明があったと思うのですけれども、とりあえず所有権が移ったものというふうにして考えたいと思うのです。その場合の施行規則及び取扱業者細目の改正のところで、当該事業者が遵守すべき基準として以下の事項を定めるというふうに書いてあるのですけれども、[1]の不妊・去勢施術というか、全体として法的に繁殖制限というような話が出ているから、まだよいのですけれども、[2]、例えば、廃業する場合には、できる限り、元の飼い主に戻すというのは、法的な観点から規制すべき内容なのかどうかが微妙だなと思いました。
というのは、もし[2]を載せるのであれば、他にも例えば、契約について誠実に対応することとか、元の飼い主とかに予想外に早く死亡した場合には報告することとか、入れた方がトラブルにならなさそうなことというのは、それこそたくさんあるのではないかというふうに思います。そうした中で、[2]、元の飼い主に返すということだけが、わざわざここで取り上げなくてはいけないものなのかと。[2]を入れるのなら、もっといろいろなものを入れなくてはいけなくなるのではないか、そういうふうに感じました。
 また、所有権が移っている事業でありますので、飼い主が新しい老犬・老猫ホームのオーナーに移っているものなので、わざわざ、元の飼い主に返せというのが正しいことかどうかもわかりませんし、例えば、お年寄りなので本当に犬や猫を飼えなくなった人に関しては、元の飼い主に返すよりは善良な新しい飼い主を探す方がずっとよいという可能性もありますので、[2]については入れなくてもいい、あるいは入れるなら、他のものも入れたほうがいい。また、元の飼い主に返すのがよいかどうかはわからないということで、ここの基準に関しては、どこまで定めるかは難しいかと思います。そういう意味では、細目とか規則のほうを見ても、廃業のときに動物取扱業者がどうするということは逆に余り書いていないですね。普通のブリーダーとかペットショップについても書かれていないのだから、ここだけ入れるのも、またバランスがどうかなと思いました。入れるなら全部、細かく作った方がよいかと思います。
 最後に、(3)犬及びねこの夜間展示の禁止のところで、内容に関しては基本的に異議はないのですけれども、犬及び猫に限定したということだったのですが、私はウサギやハムスターなど、特にウサギに関しては犬や猫と同じような大きさで非常に精神的にももろい動物だと聞きますし、哺乳類は一緒に入れてあげてもいいのではないかなと思います。ペットフードのように、中の成分まで含めて、きっちり調査しなければならないというものであれば、とりあえず現実的には犬及び猫だけにするというのもあり得ますが、販売に関しては、ウサギは見るからにわかるもので、事前の調査が要るものではなく、入れてあげたいなと思います。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ほかに。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 まず、2点、質問なのですけれども、オークション市場のところの[2]、動物の取引に関する関係法令に違反していないということですが、この関係法令とは、今まで議論された関税法、外為法、種の保存法等を含んでいると解釈してよろしいでしょうか。
 それから、もう一点は、今回の政令改正には含まれていないのですけれども、公園動物については、今回の取りまとめの中で、本来、動物取扱業に入っているべきものであったけれども、過半数以上は登録されていないという現実があるということが指摘されています。これは、改めて、公園動物については動物取扱業であるということを明確にする必要がないのかどうかということです。
 それから、3点目に追加しますと、今、打越委員が言われた件につきましては、動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目第5条6のイの中に、既に、廃業する場合には、できるだけ譲渡等に努めることという項目が入っていますので、これが適用されるものというふうに思います。
 以上です。

【林委員長】 ご質問のところは、すぐお答えいただけますか。

【事務局】 関係法令遵守義務について、既存の施行規則、細目にも一般的な販売業者については課されるところでございまして、それは当然ながら動物に関係する法律ですので、外来生物法ですとか種の保存法ですとか鳥獣保護法ですとか、そういったものが含まれるという理解でございます。ただ、外為法まで入るかというと、外為法はすごく広うございますので、必ずしも定義上は、動物に関するところ、当然、ワシントン条約に関するところがございますが、現行法例の解釈上で、そこまで関係法令という形でやった場合に入るかどうかは、解釈として少し微妙かなと考えております。今回の新しい罰則の関係法令規定で、それがちゃんと明示的にされれば、当然、それは関係法令と定義されるものでございますので含まれ得ると思いますけれども、そこは解釈上、微妙かなと考えているところでございます。
 公園の部分につきましては、当然ながら展示に当たる行為でございますので、少なくとも新しい業として公園を入れるという趣旨のものではないと考えております。ただ、解釈の問題として、現在、公園の部分について営業に当たらないかどうかという部分で自治体によって解釈も分かれているところではございますので、全部含めるということであれば、現行の法令解釈を通知というレベルでやる際に、ちゃんと公園も登録の対象に含んでくださいねという形でやるべき趣旨のものだと考えておりますので。今回は、あくまで法令改正を伴うものというもので列挙させていただいておりますので、そういった形の対応になるかと思っております。

【渡邉自然環境局長】 後半の公園の飼育動物の関係は、2番目の後半の議論の中にも出てきて、登録対象であって徹底を図るべきというような内容で案ができていますので、そこでまたご議論いただければなと思います。

【林委員長】 それでは、ほかに。
 どうぞ、渋谷委員。

【渋谷委員】 老犬・老猫ホームに関してなのですけれども、動物を譲り受けて飼養する事業者と書いてありまして、これが定義になると思いますけれども、事業者というものをもうちょっと明確にしないと、里親行為を活動的にやっている人たちが含まれるのか含まれないのか、はっきりしないような気がしますので、もう少し明確化が必要かなと思いました。

【林委員長】 山口委員、どうぞ。

【山口委員】 今、打越委員から、既に取扱業者の細目の中にあるというお話がありましたが、オークション市場の動物取扱業への追加の部分でも、実際にテレビ放映されたときに、ワクチン接種を会場でやっていらしたのです。会場でワクチン接種しても、そこでの病気が移ることを防ぐわけにはいきませんので、そういう意味でワクチン接種についてもこの中に入れていただきたいなと思うのですが、既に細目の中にワクチン接種は言葉としては入っているのです。ただし、いつやるということ、ワクチン接種してからどれだけの期間を置いてからということは書いていないのです。ですから、オークション市場の動物取扱業への追加の部分だけではなしに、細目の部分をもう少し触ったほうがいいのかもしれないなということが考えられると思うのです。

【林委員長】 今のお話は、例えばオークションだけに限らず、ワクチネーションをいつの時期にやるべきかとかという。例えば、オークション市場ではなくて、ほかのところに持っていくときだって同じことになりますね。

【山口委員】 影響を及ぼしていると思うのです。

【林委員長】 この話はここの論議でない方がいいかもしれませんね。今は、ここの中でどうすべきかというところだけに絞ったほうが。

【山口委員】 はい。オークションでも、ワクチンを打ってから出すようにと。それから、トレーサビリティーということであれば、マイクロチップはこれから後の議題に出てくると思うのですけれども、ここでもそれが言えると思うのです。
それから、2番目の老犬・老猫ホーム、この名前自体でちょっと混乱するような気がするのです。先ほど、ご説明の中にも、老犬・老猫でなくても所有権放棄をする方がいらっしゃる、それを引き取って、これはお金が絡むか絡まないかは別にして、引き取って飼育管理されたり譲渡されたりしているところはあるということで、老犬・老猫ホームという項目の名前を少し変えたほうがいいのではないかなというふうに思います。

【林委員長】 どういうふうに変えたらいいですか。もう、最終段階に来ているので、具体的な対案があればおっしゃってください。ワクチネーションは、ここではなく、ほかのところでまた論議します。老犬・老猫ホームの名前が悪いのだったら、どういう名前がよろしいですか。

【山口委員】 動物引取業としてはどうなのですか。

【林委員長】 動物引取業ですね。ちょっと、これは漠然とし過ぎませんか。大丈夫ですか。動物引取業。

【山口委員】 ただ、ここでは、その範囲を犬、猫と一応、限っていらっしゃいますよね。それと、老犬・老猫ホームとすると、後ろの細目の改正のところで、[1]、原則として不妊・去勢施術をしてあるものを譲り受けることとありますが、高齢動物で、とても麻酔をかけること自体が怖いというふうな状況の動物を引き取るときに、自分のところでやることも怖いですけれども、していないとならないとなると、そういう動物は宙に浮いてしまうということがあると思うのです。[2]も、できる限り元の飼い主へとありますが。飼えないから引き渡したわけで、それをまた、元の飼い主へ渡して動物が幸せになるとは思えないし、引き取れる状態であるとは思えませんので、ここは少し考えたほうがいい、削ったほうがいいような気がします。

【林委員長】 これについては、また後から整理していきます。今までいただいたご意見以外の何かご意見はありますか。
 どうぞ。

【太田委員】 オークションについて一部補足させていただきますけれども、先ほど説明の中で[1]の競りをするまでの間の動物の保管ということで、前日、集荷して、翌日、競りにかけるというお話がありましたが、現状は、日本では14のオークションがありますが、13のオークションでは前日に集荷するということはしていません。市場はお昼から始まりますので、それまでに集荷して、夕方、終わったら、買った人、売る人が持って帰るというのが現状です。
 それと、[2]の競りの参加事業者についてですが、動物取扱業の登録を受けていることを確認するというふうになっていますが、現在、オークション加入に関しては、動物取扱業の保管の写しを添付するという形で全員が登録業者で構成されております。無登録業者がオークションに参加するということはありません。

【林委員長】 わかりました。実情はいいのですが、これ、何か変えなくてはいけないところはありますか。

【太田委員】 いや、私はこれでいいと思います。ただ、誤解されるといけないので、ちょっと説明しておきます。
 それから、3番目の18項目の責任ですが、業者間では、その半分の9項目の説明が必要です。9項目については、現在、オークションの伝票にすべて記入する項目になっておりますので、現状でこれはクリアできると思います。
 4番目の5年間保存に関しても、各オークションでは、血統書が後から来るために取引を残さなくてはいけないということで、伝票は残っております。あと、税務署からの取引の状況の確認とかということがありますので、現在、5年間の取引の状況は残されておりますので、現状では、そんなに問題はないかなと思います。
 ただ、[1]の現行の施行規則及び取扱業細目の基準ということですが、ペットショップの販売とオークションでの取り扱いは一部違いますので、その辺をすり合わせをする必要があるかなと思います。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。  ほかには、いかがですか。井本委員。

【井本委員】 (3)の犬及びねこの夜間展示の禁止等。[4]のところですが、長時間連続して展示を行う場合に云々とありますが、これは[1]に犬及び猫の夜間展示を行わないこととなっていて、これが、もし夜間のことを指しているのであれば展示は行えないということになりますし、夜間のことを指していなければ(3)の中に入っていていいのだろうかという気がします。もちろん、こういう行為は必要だとは思うのですけれども。

【林委員長】 これは、犬、猫に限って、ここの(3)があるから[4]はなくてもいいということですね。そういうご意見ですね。

【井本委員】 ええ。結局、何を指しているのか、よくわからないということもあります。

【林委員長】 これまでご意見をいただきましたが、他になければ、いかがでしょう、順番に、ここで、ある程度、結論を出していくことの方がいいかなと思っていますが。
 まず、老犬・老猫ホームは、これを動物引取業、あるいは、ここで言うならば犬・猫引取業になりますかね、ここだけで言えば、と言ったほうがいいのではないかというお話ですが、いかがでしょう、これは。
 どうぞ、打越委員。

【打越委員】 山口委員の老犬・老猫という表現では逆に定義が狭いのではないかというのは、おっしゃるとおりだと思うのですが、動物引取業というふうに言うと、例えば、保健所などに持ってこられた動物たちの譲渡の手伝いをしている方とか、いろいろなものが入ってきてしまうかと思います。引取業ではない方がいいかなというような気がいたします。

【林委員長】 必ずしも老犬・老猫でない場合も起こり得るのですよね。
 山﨑委員、どうぞ。

【山﨑委員】 私、これの議論のときに発言を自分でしたかどうか、ちょっと今、調べていないので思い浮かばないのですけれども、そもそも老犬・老猫ホームという概念は基本的には終生飼養の路線上に乗りませんので、私は、それこそサービスドッグを含めて、いわゆる引退後も家庭で飼われる、つまり老犬ホームとか老猫ホームというものは、あくまでも例外的なものであって、基本的には一般家庭に引き取られる譲渡事業をするべきだという意味では、法律にこの言葉が入ってしまうと、それを何か大きなものが容認してしまうという危険性を感じているので、先ほど山口委員がおっしゃった言葉には賛成なのです。
 それと、もう一つは、渋谷委員がおっしゃった譲り受けることの定義、これの難しさは、必ずしも老犬・老猫ではなくて、いろいろなものが飼えなくなったらあるだろうと思います。それを引き取るというところで、お金を取って引き取っているという形態と、それから寄附をいただいて引き取っているという形態とあって、そこを区別はできないのでしょうけれども、実は、そこが非常に抜け道になっております。それが非公式ななりわいになっているような裏の方々、要するに、愛護団体と名乗っているけれども、実際には、それがなりわいになってしまっているような方々をどういうふうにここに組み入れるかというのは、とても難しいと思います。

【林委員長】 終生飼養はもちろん原則ですが、現状でも動物を飼えなくなった場合に公的機関が引き取っているわけですから、引取りというのは起こり得ているし、また今後とも起こり得るだろうという前提ですが。さて、こういう事業を営んでいる人たちの範囲をどう決めていくかということを考えたときに、やはりネーミングというのは非常に重要だろうとは思いますが、今考えていても、前へ進まないような気はしますが。
 どうぞ。

【加隈委員】 老犬・老猫ホームという言葉をもし使うのであれば、老犬とは、老猫とはという定義を同時にしておかないと、はっきりすることができないなというふうに思っております。そして、一方で、もし、では老犬・老猫にこだわらずというか、絞らないということであれば、逆に、他のものと区別が難しいですがという、そこの問題をもうさわらなければ無理のような気がするので、どちらかかなというふうに思いました。

【林委員長】 野上委員、どうぞ。

【野上委員】 名前のことですけれども、例えば、終生飼養保管施設というのではどうでしょうか。年をとってだけではなく、若くても終生、飼養するという意味です。愛護団体の中でも終生飼養のために引き取っているところもあります。愛護団体自体、登録制にしようということなのですけれども、それと区別するのであれば、やはり終生、死ぬまで飼養して保管する施設という意味ではないかと思います。

【林委員長】 大変いい案をいただきましたが、いかがですか。なるほどと思います。
 山口委員、どうぞ。

【山口委員】 終生飼養とおっしゃいますけれども、海外の団体でも、一応、終生飼養を目指していても、その中でも、引き取るときに、とてもよい人がいれば、終生飼養ではなくて、その家庭に引き取っていただいて家庭で最後までを過ごさせるというところもあるのです。ですから、施設での終生飼養という、動物が、本当によい家庭が見つかるのであれば、その方が幸せですので、そこをちょっと考えないといけないのではないかとなと思います。

【林委員長】 ここで問題にしているのは、終生飼養しますといって業を営もうとしている人たちをまな板に乗せるということですから、もちろん、おっしゃるようなことはあるわけですけれども、施設の取り締まりをきちんとしようということを言っているわけです。ですから、そこに限って、ここは論議した方がいいので、そのときに老犬・老猫ホームよりも終生飼養保管施設ですね。
 どうぞ、山﨑委員。

【山﨑委員】 終生飼養保管施設という概念は、外国語の、特にアメリカとかイギリスなどではサンクチュアリーという名前で実際に運営をされているところがあるのです。最も有名なのは、テキサスA&Mの獣医学部に隣接した老犬・老猫・老動物のいわゆる実験動物センターなのです。そこは、普通に引き取って飼育をして高齢の動物を研究していくというものなのですけれども、引取りに対しては小動物1頭当たり、終生飼養のために250万ぐらいのお金を取っています。だから、そういうふうに成熟したものがない中で、どういうふうに定義していくかというのはすごく難しいのですけれども、成熟したものを、例えば、日本にはないけれども、ある事例から持ってくるとすれば、確かに野上委員がおっしゃった終生飼養保管ということはありであろうと思います。ただ、それを社会的に啓蒙していく努力と、それは一体どういうものなのかということを説明していかないと、いたずらに多頭飼育者を増やすだけになってしまうというふうに思います。

【林委員長】 ですから、そういう施設を、もう今の段階から、ある程度、規制をかけるといいますか、そこに動物取扱業への追加の目的があるわけですから。
 どうぞ、打越委員。

【打越委員】 概念が変わってしまうかもしれないのですけれども、シェルター業というような概念でまとめられないかなというふうにちょっと思いました。動物愛護団体等も含めて。シェルターという言葉自体が非常にあいまいな定義ではありますが、今、山﨑委員がおっしゃってくださったサンクチュアリーも、ある意味、シェルターであり、それから、もしも、もっと新しいよい飼い主が見つかるなら、ほかの方に譲渡した方がよいということを考えてもシェルターで。シェルターが、本当に緊急的、一時的なものから長期的なものまであるというような形であればいいかなというふうに思いました。野上委員の終生飼養保管は私も賛同するところなのですが、保管業というのがあって、今回、譲渡するとかしないとかというのが関わっているので、保管という言葉が入ったほうがいいのかどうかが難しいなというふうに思いました。法律に余りあいまいな言葉は入れないほうがよいに決まっているのですけれども、ただ、シェルター業というようなものは、これから先、ペットを飼う人、それから高齢化して飼えない人が出てくるという中では、そこで全体を取りまとめられないかなとちょっと思いました。

【林委員長】 そうですね。事務局から、先ほどからご意見をいただこうと思っていました。どうぞ。

【田中総務課長】 すみません。議論を少し整理する意味で申し上げます。
 今、事務局から最初にご提案を差し上げている(2)のところの老犬・老猫ホームという用語自体は、別に、これは、例えば政省令に出てくるというイメージで書いているものではなくて、今までの議論でこういう議論をしていたので、それを便宜タイトルにしていますということです。
それで、政令にどう書くかということになってくると、とりあえずは、ここに動物を譲り受けて飼養する事業者と書いていますが、こういうような説明を何かつけて政令に規定することになりますので、例えば、シェルター業だとか終生何とか保管業とか、そういう名称がいきなり政令に出てくるものではないということなので。でも、便利なので、事後、例えば指針だとか何だとかで使う可能性はありますので、議論いただくことは有益だと思いますけれども、政令は、どちらかというと、きちんと中身について説明をして、そういう事業者ということで特定することになると思います。
 その際に、当初のここでの議論は、他の方から依頼を受けて終生なら終生飼養するという事業を行うことについて、どうかという議論だったものですから、そういう範囲で書いていますが、今、いろいろご議論いただいているような、例えば、公的な施設から譲り受けて飼うような愛護団体については別のところでまた議論がございました。これを、もうまとめてしまって、ここに載せるかどうかというのは、一つのご意見だと思いますので、ご議論いただければいいと思いますが、当初、念頭に置いていたのは、そうではない事業主体について考えていたというようなことでございます。
 それから、老犬・老猫のところは、とりあえず書いているものですので、定義を打って政令で何か限定する意図ではございませんので、念のため申し沿えます。

【林委員長】 ありがとうございました、すっきり整理していただいて。しばしば、この小委員会では、そういう間違いが起きるのです。私たちは法律をここで作っているわけではないと何度も申し上げているのですが、どうしてもそういうふうになってくるところがありまして。ここは中身を論議していただいているわけで、最終的にどういう文言にするかどうかというのは、また次の段階。ただ、今、いただいた終生保管あるいは終生飼養保管とか、シェルターはちょっと誤解を招く言葉かなと思います、シェルターという言葉は別にひとり歩きしているものですから、いろいろありますけれども、そういうご意見が出たことはとてもよかったと思います。内容的に、よろしいですね、ここは。
 それから、もう一つ。これは打越委員からいただいたのだけれども、犬と猫だけではなくて、ウサギもこの機会に入れていただいたらどうかと。これは内容的な問題なのですが、これはいかがですか。ウサギだけではなくて、モルモットもとおっしゃいましたっけ。

【打越委員】 (3)の話ですね。ウサギもと言いましたけれども、哺乳類、できれば及び鳥類。鳥も夜は寝る動物だと思いますので、哺乳類及び鳥類の夜間展示の禁止にできないかなというふうに思います。ただし、例えば、動物園のフクロウなんかは、またちょっと話が違うかもしれませんけれども、やはり基本的に動物取扱業者は哺乳類及び鳥類を夜間は禁止してほしいと私は思います。

【林委員長】 というご意見が出たのですが、山﨑委員、どうぞ。

【山﨑委員】 確かに、そうだと思います。最近、ウサギが第3のペットと言われていまして、ウサギの専門店が非常に増えております。犬・猫だけではなくてウサギオンリーの大きなペットショップとかもございますから、そういった意味では哺乳類でしょうね最近、ペットショップをいろいろ見て回ったら、ミニブタからサルまでいろいろなものがございまして、哺乳類というふうなまとめの方がいいかと思います。

【林委員長】 恐らく、これは理屈で反論されてくるとした場合、哺乳類、鳥類はいいのですが、哺乳類の中にも鳥類の中にも夜行性の動物がいるのです。犬・猫ももともと夜行性だったけれども、長い飼養期間の間に家畜化の結果、かなり人間と同じような生活になじんできているという実態があるものですから、犬・猫だと余り問題は起きないのですが、いろいろな動物が出てくると、この動物は夜行性ではないかとかなんかという話になってくるということがあります。
 どうぞ。

【打越委員】 であるならば、例えば、科学的な見地から夜行性と認められる動物は除くということを入れておいて、全面的、哺乳類、鳥類禁止。その判断は、自治体の獣医師の先生であれば、基本的に判断できるのではないかと思いました。

【林委員長】 これは一つのお考えですが、どうぞ、加隈委員。

【加隈委員】 少し別の観点が入るのですけれども、今の内容に関して、販売に関しては夜間展示の禁止という話がかなり中心的に出てきていたと思うのですけれども、貸し出し展示ということに関して、余りこの場で議論をした記憶がなくて、今回のパブリックコメントの中で猫カフェとか具体的な形態として出てきて、「ああ、それがあったな」と実は気づかせていただいた部分があります。それで、もともと想定していたものが比較的弱い幼体といいますか、幼齢の動物をかなり中心的に考えていた部分がありまして、正直申し上げますと、今の夜行性という部分に関しましても、成体になると人間と暮らしている中で生活時間というのはずれてくるのが当然という部分も、その個体だけ見てみてもあるはずですので、総合時間で見ますと、これはまだ12時間展示することもできてしまう、そこが抜け道ではあるのですけれども。
成体についても同様に貸出し、これは恐らくメディアの出演とか、そういうものも含まれてくると思うのですけれども、それとか触れ合いに関して、特に猫カフェという形態が都市部でかなり多いのですが、これが禁止になるとほとんどの業者は無理だろうなというふうに思う次第で、そこを排除してしまっていいのだろうかと。そこは、ある程度の時間の縛りとともにあれば、できるような気もいたします。本当の夜間というと「それは」とちょっと思ってしまう部分がどうしてもあるのですけれども、8時まででいいのかなというのは、いささか。皆様が、その点に関して、どういうご意見なのだろうかというのをちょっと伺えればと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ここでは二つのことをおっしゃっていただいているのですが、朝8時から夜の8時ですから12時間、これについては、先ほど井本委員もご質問されましたけれども、[4]のところで長時間連続して展示を行う、だから12時間、何しろ休ませないようなことはしないでくださいねというのが[4]の意味であって、だから犬・猫であっても、そういう気遣いをしてくださいということがここに書いてあるので、それでこれはクリアしているのだと思うのですが、もう一つは、本当に夜8時だと、確かに、ある種の業種、猫カフェがそうでしょうが、これを8時で営業をやめさせることになるのです。これをどうするかという問題。
 どうぞ、山﨑委員。

【山﨑委員】 今、加隈委員がおっしゃったことで、ちょっと私も一つ伺いたいのですけれども、貸出しとか貸出し展示ということを一つの言葉としてとらえたときに、興業というのはどういうふうにとらえるのでしょうか。要は、例えば、最近では、実は、野生動物よりも、むしろ犬・猫の芸当でサーカスとかをやっていますし、あとメディアのさまざまな番組で、特に幼齢動物などを登場させてスタジオ撮りをするようなものもたくさんございますが、それを貸出し業者さんの貸出し展示とした場合には、これは相当大きな波及効果があるなと思います。そもそも、そういうところが想定されているのかどうかということを、むしろ環境省のほうに伺いたいと思います。

【林委員長】 今の加隈委員のご質問からしますと、これは12時間ですから、例えば昼の12時から夜の12時まで営業している12時間と、それから朝8時から夜8時までの12時間と、動物に対する負担というのは本当に違うのかというところはどうなのでしょうか。私は、動物の種類によっては、それほど負担は違わないと思っているのですけれども。
どうぞ、井本委員。

【井本委員】 恐らく、そのときは犬と猫ということで負担の問題があるのだと思います。種によっては、それは当然、違ってきますから。だから、哺乳動物でというのであって、特に犬・猫とか何か。やはり犬・猫を特に注意するということについて必要かなという気がします、文言としては。

【林委員長】 野上委員、どうぞ。

【野上委員】 深夜販売は、動物を保護するだけではなくて、社会の公序良俗といいますか、深夜に動物を取引するようなことはやめようではないかという意見もあったはずなのです。ですので、そういう意味では現在の案でいいのではないか。  それから、やはり犬や猫に限らず、哺乳類、鳥類までとするということがいいと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 そのときに具体的に今、加隈委員が問題提起されているのは、ある種の非常に明快な業種がその業を営めなくなる可能性が出てくるということについては、いかがですか。

【野上委員】 想定されるのは猫カフェだと思いますが、猫カフェ自体がいろいろな問題があって、感染症が発生していたりパルボがはやったりということで、余り好ましくない形態であるわけです。ですので、この機会に、そういう業態をもう一回見直すという意味でも、8時ということでいいのではないかと思います。

【林委員長】 他の方々のご意見は、いかがでしょうか。

【永村委員】 今さら言ってもしようがないことかもしれませんけれども、一般の飼い主も、例えば、夜8時過ぎに主人が帰ってきて、私の近くでも夜の10時、11時にワンちゃんを連れて散歩している人はたくさんいれば、朝の5時、6時に起きて犬の散歩をしている人もたくさんいる。8時から8時ということが、諸外国にもこういう例があるのかどうか知りませんけれども、ある見方によってみれば非常に滑稽なことを我々は法律で決めようとしているということだけはテープに残していただきたい。

【林委員長】 他に意見はいかがでしょうか。
 私も、今、永村委員が言われたことに非常に近い感覚を持っていますけれども。ちょっと、やり過ぎなのではないかという。
 打越委員、どうぞ。

【打越委員】 飼われた後に、飼い主のライフスタイルに合わせてというのは、もちろんあるところだと思います。ただ、やはりこの8時という規定をしなければ、9時、10時まで展示される子たちを救うことはできないのであって、すべての利益を取るというのが無理であるならば、やはり8時、9時に販売する子たちをきっちり救うために、私は8時の規制に賛成です。

【林委員長】 加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 私は、どちらかといえば、総合の展示時間という部分が重要であるというふうに思っておりますので。ただ、今回、夜間展示を禁止するということについて、議論の中心は販売業者にあったと思うので、こういう意見がいいのかちょっと正直わかりませんけれども、まず手始めに販売業者、これは幼齢動物が主体であるということもありますので、まずは販売業者という考え方はどうなのだろうとちょっと思いました。

【林委員長】 ほかの方々は、よろしいですか。  どうぞ、青木委員。

【青木委員】 私、この問題が議論されたときに、とりあえず犬・猫だけでいいのではないかという素人感覚の意見を述べました。この小委員会では、動物あるいは動物行動学にお詳しい方々がいっぱいいらして、科学的に皆さんの意見が一致するならば、それが一番いいと思う。ただ、科学的によくわからないときは、社会常識に従うしかなく、犬・猫はよく寝るなという井本委員の発言があったので、私は、それで、とりあえず犬・猫からでいいのではないかということを申し述べました。
 今、この段階になって、やはり哺乳類、鳥類までというご意見が結構たくさん出てきているようなのですが、私自身は正直なところ、よくわからないのです。その辺のところの福祉に関する侵害度といいましょうか、動物がどのくらいストレスを受けるかということがわかりません。ただ、すべてを完璧に最初から規制し尽くすことはできないし、5年ごとに見直しをして、こうやって一歩一歩進んでいるということもあるので、まだ私は犬・猫でもとりあえずいいかなという感じを持っています。
 以上です。

【林委員長】 太田委員、どうぞ。

【太田委員】 今、加隈委員から販売業者の立場でというお話があったので、一言、言わせていただきます。
 午後8時から午前8時の間と書いてありますが、12時間というと相当長いような気がするのですけれども。現状では午前8時から開いているペットショップというのはほとんどありません。大体10時くらいから始まって8時か9時までが一般的です。前回、法改正のときに、5年前になりますが、あの当時は、まだ夜間の販売業者がいなかった。あっても1件か2件で、まだ社会問題にはなりませんでした。この5年間で増えました。命あるものを真夜中の2時、3時まで売るべきではない。私たちの業界でも夜8時が自主規制のラインで、深夜に小さな子犬を販売するのはやめようよというのが業界の姿勢です。さっきおっしゃったように、確かに猫カフェとかいろいろな問題がありますが、あくまでも幼齢動物、特に犬・猫に関して、私は今回、議論になっているので、これだけにある程度絞ってやってもいいのかなと思います。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 野上委員、どうぞ。

【野上委員】 前回も申し上げましたが、夜間展示販売をしている業者というのは非常に限られています。しかし、この業者は犬・猫のみならず、さまざまなエキゾチックアニマルを同時に多数展示したり販売している業者として全国的に有名で、かつては種の保存法違反等で摘発された業者でもあるわけです。ですから、そういう問題が余りにもひどいということでメディアをにぎわしたり苦情が多数寄せられてきたという背景をまず考えていただくと、ここはやはり犬・猫だけではなかったのだということです。8時がもし早過ぎるのであれば9時でもよろしいかと思いますけれども、ほかの動物についても、とにかく余りにも異常な深夜販売は絶対に規制しなければいけないということだと思います。

【林委員長】 なかなか、これは意見がまとまりそうにないのですが。私も委員の1人として申し上げるとするならば、これは、確かに本当に真夜中に営業するというような状態は動物のためにも人のためにもよくないと思うのですが、例えば12時間という総量規制を朝8時から夜8時で設定するよりも、多くの業界が営業している時間を踏まえるならば、朝10時から夜10時の12時間はそれほど問題はないのではないかと思います。営業している方たちにとって余り問題にならなくて、動物に対して12時間。ただ、12時間でも、その間に適切な休憩をとるという、この[4]は非常に重要な項目であるのではないかというふうに思うのですが。長時間連続して展示を行う場合には、その途中で展示を行わない時間帯を設けるという形で、休ませるということです、12時間の間でも、これが重要だろうなと思うのですが。
さて、動物の種類について言えば、先ほどもお話がありましたように、夜行性の動物を除く哺乳類、鳥類というふうにしたときに、何の問題が起きるかと今、考えているのですが、余り多くの問題は起きないかなという感じもするのですが、いかがでしょう、この辺は。よく全体の実態を知らないのですが、いろいろなところで、もちろん販売している方だけではなくて、いろいろな展示等のことも含めてと思うのですが。
山﨑委員、どうぞ。

【山﨑委員】 先ほど来から猫カフェがちょっと話題に上っておりますけれども、最近では既にウサギカフェも登場しておりますので、そういう意味では、法律を先に先行でやっていくか、それとも、とりあえずここで我慢しておこう、そして、ああ、やはりだめだったねといって、また次に持っていくかという話になるのではないかというふうに思います。いずれは、そういう方向に向かざるを得ないという流れは確実にあります。
 もう一つ、ちょっと記録のために私も発言をしたいのですけれども、先ほど永村委員がおっしゃったことに関して、確かに私ども人間は非常に自分と生活をする動物に自分たちのわがままを押しつけております。私も、仕事が忙しい方でございますので、早朝の新幹線に乗るときには朝4時に犬を叩き起こして「早く飯を食え」というようなことをしばしばやっておりますが、それと、全く飼い主もなくガラスの箱に入れられて不特定多数の人間に見られるという生活とは全く違うということを申し上げたいと思います。

【林委員長】 いかがでしょう。
 どうぞ、局長。

【渡邉自然環境局長】 今日の一つ目の議題は政令・省令の改正ということで、小委員会の議論を受けつつ、これは環境省、事務局として、役所として、今までの議論を受けて政令・省令をこんな形で改正したいということで、ここは役所の責任でパブリックコメントを実施しなくてはいけないという部分かなと思っています。犬・猫の夜間展示の禁止等についても、今までもいろいろな議論があったし、パブコメでもいろいろな議論があって、私たちとすれば、林委員長に何度かご指摘いただいたように、今回で全部一気にということではなくて、階段を一つずつ上っていくということが重要かなと思っています。今までの議論及びパブリックコメントでいただいた、ここも対象についてもいろいろな意見がパブコメでもありましたけれども、私たちとすれば、大方、意見が、犬・猫は必要だ、特に深夜の販売は規制すべきだというところでは一致していたので、まずは、そこの階段を上っていくということで、今回の改正で、もう一遍、政令・省令の改正ということで改めてパブリックコメントをしますので、できれば事務局としては犬・猫を対象にして夜間の展示の規制で。
午後8時というのも、実は、前回の中間報告のときにも午後8時という数字を出して意見を聞いて、いただいた意見は、それに賛同する意見が多かったものですから、それを基本に、もう一遍、政令・省令の改正という形にしてパブリックコメントの意見をいただいて、それでもって最終的にどういう改正にするか判断していけたらなというふうに思います。いただいた意見は、私たちの方も参考にして、最終的に政令・省令の改正案のパブコメの中で、少し表現を工夫できるところとかがあれば改善をした上でパブリックコメントに持っていけたらなと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 今日、論議している中で、私もそうなのですけれども、ちょっと後出しじゃんけん的なことを言うのは本当はよくないことで、8時という確かに数字を私も覚えていますが、そういう数字が出たときにきっちり話しておくべきだったと。例えば、日本のいろいろなところで業界が活動しているのは、やはり朝の10時からなのです。それで10時まで活動するということが結構多いわけで、そういう意味では、8時から夜の8時というのは、これは何か文部科学省の初等中等教育的な考え方ではないかなという感じがしてならないのですけれども。こんなことを言ったら、叱られるかもしれませんが。ともかく、もう少し、これは論議して。まだ一致していませんので、詰めていきたいというふうに思います。
 それでは、時間がまた押し迫ってまいりましたので、次のところに進みたいと思いますが、今日の中心的な課題は、前回、動物取扱業の適正化を除いた後半の部分について、課題ごとに主な意見を整理していただきました。本当に事務局、ありがとうございました。
        それでは、それをもとに作成された後半部分の取りまとめ、これはパブリックコメントにかける文書のもとになるわけですが、これについて論議を行ってまいりたいと思います。事務局より、ご説明いただきます。

【事務局】 それでは、資料2をご覧ください。
 前回、主な意見として上げられていなかったところを中心に説明したいと思います。
 虐待の防止につきましては細かく三つの小見出しに分けまして、(1)行政による保護等につきましては、虐待が生じる前に未然に相談できる体制を整えるとともに、虐待が疑われる場合に対象となる動物を緊急的に保護することを可能とすべきではないかとの議論があったと。ここに係る現実的な対応としては、優良な対処事例の集約と情報共有、問題事例の受付窓口の明確化ということを担当部局と警察間の連携に加えて新たに入れております。
 また、(2)罰則規定の見直しにつきましては、虐待の処罰は抑止効果という観点から重要であると。その実効性を高めるためには、動物虐待罪の構成要件をより明確にする必要があると。また、虐待という用語につきましては、第44条2項と1項、3項の関係を整理する必要があるという書きぶりにしております。
 ページをめくっていただきまして2ページ目に行きますと、ここは新たに加えておりますけれども、今まで明確に位置づけられていない行為を例示して明確に規定することにより、罰則規定をより具体的にして積極的な摘発を促すこと、動物虐待行為の処罰を確実に進めることが必要であるとしております。
 闘犬等に関しましては、ほとんど変えておりません。
2.多頭飼育の適正化ですけれども、勧告や措置命令を発動しやすくすべきと。そのために何をするかというと、発動要件を明確化すること、また不適正な取り扱いや虐待を防止することを目的として発動させやすくすることと書いております。また、その下、56行目以降につきましては、勧告、措置命令に従わない場合について、現場における対応、行政や民間団体の支援によって改善する方策も同時に必要というふうに表現をわかりやすくしております。また、ここの部分につきましては、61行目から、自治体における条例等に任せるべきとの意見と、また63行目、届出制を導入すべきであるとの意見もあったと二つの意見を記載してございます。
3.自治体等の収容施設については、69行目、指針のような形で基準を示すことによって各種収容動物に対して適切な飼養管理を行うよう促すべきであるとしております。
 また、ページをめくっていただきまして3ページにつきましては74行目、収容施設における設備や業務等の一般国民への公開の範囲や方法は、現在も各自治体のルールに基づいて行われているところであり、自治体ごとの判断に基づいて的確に実施されるべきとしております。また、最後、犬猫の引取りに関してですけれども、84行目以降、現在でも飼い主に対する説得がなされているところであり、制度上も正当な理由がある場合に限って引き取るようにすべきと。また、返還や譲渡等も重要であることから、これらのプロセスについても規定することを検討すべきとの意見があったと記載しております。
 また、4.特定動物につきましては、前回いただいたご意見を踏まえて、冒頭に、基本的に一般国民が安易に飼育すべきではないとの観点から、一律の禁止は困難であるとしても、基準の強化等により的確に飼育を行える者だけが責任を持ってその飼育を行えるようにすべきとの意見があったと書いております。また、災害時でも適切な飼養管理を継続することができなければならないということも記載してございます。また、これに伴って移動時の通知の話を最後に書いております。
 続きまして、4ページ目になりますけれども、5.実験動物の取扱いにつきましては、現在の仕組みの充実と検証が重要であるとの意見があったとしておりまして、また127行目、届出制を検討する必要があるとの意見があったということで、ここは二つの意見を同等に並べております。
 また、間違いがありまして、134行目は実験動物生産業者になります、これを動物取扱業の登録対象に含めるべきではないとの意見があったと。136行目以降が、前回いただいたご意見をもとに新たに書いております。動物種によっては実験動物と愛護動物の両方で扱われるため、これらは基本的に飼養管理方法が異なるものではないことから、動物取扱業の登録対象とすべきとの意見があったとしております。
6.産業動物の取扱いにつきましては、5ページ目の動物愛護に配慮した取組を付加価値として販売促進につなげている事例もあるということを新たに加えております。
 最後については、「五つの自由」に関する規定の概念を理念や基本原則のような形で盛り込むべきとの意見が大勢であったとしております。
 また、7.罰則の強化につきましては、最後の部分、殺傷罪に対する罰則については、現状でもイギリスの動物福祉法と比較して遜色がないという意見もあったと。また、取扱業に関する各種の罰則についても、その強化を図るべきといった点を新たに加えております。
 また、8.その他のマイクロチップの義務化につきましては、このページの一番最後、普及率向上のために獣医師以外の者にも施術の道を開くことが有意義という意見を、新たに加えております。
 また、最後のページになりますけれども、災害対応のところで、自治体等が災害時に行うべき動物愛護に関する措置については、自治体の裁量によって地域の実情に応じ、動物愛護推進計画や地域防災計画上での動物救護や迷子動物対策等を推進するための根拠として、動物愛護管理法に基本的な事項を規定すべきであると。また、一番最後に、動物取扱業者が販売時に説明すべき事項に災害時の避難や準備について加えるべきではないかとの意見もあったことを加えております。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 本日、ご欠席になっておられる浦野委員から意見書がお手元にあると思いますが提出されていますので、これについても事務局からご説明いただきたいと思います。

【事務局】 お手元に浦野委員提出資料ということで6ページにわたる資料をいただいておりますけれども、是非とも内容について読み上げてほしいということで読み上げ用にもうちょっと短くしたものをいただいております。ただいまから浦野委員提出資料について私のほうから、それを説明するものを読み上げさせていただきます。
まず初めに、本日の第24回動物愛護管理のあり方検討小委員会を欠席し、かつ、このような形で私の意見を申し述べさせていただきますことを深くお詫び申し上げます。個人的な事情ではありますが、去る10月8日に突然に大動脈解離を発症して熊本大学医学部附属病院に緊急入院し、その後、絶対安静の状況で入院加療を続けて現在に至っています。そこで、大変に申し訳ありませんが、実験動物と動物実験に関して以下の意見を申し述べさせていただきます。なお、私の意見の詳細は参考資料をご覧ください。
1.我が国における自主管理の仕組み構築のための経緯について。自主管理の礎を築いたのは、今をさかのぼる約24年前で、その頃から我が国の動物実験については自主管理の道を歩み始めたと言えます。ご存じのように、その後、現在の自主管理の形を整えたのは2006年に動物愛護管理法、実験動物の飼養保管基準、文部科学省等による基本指針及び日本学術会議のガイドラインが制定され、そして、これらを踏まえて自主管理体制が構築されたことによります。
2.実験動物施設に対する外部からのチェックシステムについて。各機関で行われている動物実験に対する外部の目線によるチェックについては、外部評価あるいは第三者評価システムにより、当該機関以外の第三者の、かつ実験動物に関する専門的な視点からチェックが行われているところです。そして、これらの外部評価の結果は、大学関係では文部科学省の基本指針に従い、適宜それぞれの機関ごとにインターネットの利用、年報などの方法で公開しています。
3.自主管理制度を日本全体に周知・徹底することについて。第一に、実験動物施設の所在等は、文部科学省等の所管省庁及び日本実験動物学会等の関連学会や協会によってそのすべてが把握されています。第二に、これに基づきすべての実験動物施設を対象にして自主管理体制を周知・徹底していくことが重要ですが、この場合、普及のスピードには機関ごとにかなりの温度差が生じています。そこで、このような事態を解決するために、実験動物の専門家が指導助言することによる初心者教育及び日本実験動物学会のホームページ上のEラーニングコンテンツ「動物実験の実践倫理」を公開し、だれでもいつでも我が国の法規制と自主管理、実験計画の立案と審査、課題と対応について学べる仕組みを構築して周知徹底を図っています。
4.実験動物施設が適正であるかの審査の内容について。実験動物を飼育及び実験するための施設が適正であるか否かを審査する内容及び審査員は実験動物学の知識と技術と経験を有する専門家により行われることが必須であり、それ以外の人による審査は不可能です。
5.東日本大震災における実験動物領域の被害状況について。東日本大震災のような震災発生時の実験動物関係については、実験動物の飼養保管基準の逸走時の対応及び緊急時の対応に基づき、それぞれの機関内規定で定めてあります。これにより、東日本大震災発生時には、飼育室さらには施設の外に動物が逸走するような国民生活に被害を及ぼすような事例は1件もありませんでした。また、関連する実験動物組織との間で被害状況の把握と連絡が行われ、救援活動も行われ、さらに大学関係は所管の文部科学省への報告等も行われました。
6.動物愛護管理法において実験動物と動物実験については、現状の自主管理を今後も推進すべきとの見解について。2006年に新たに構築された自主管理の仕組みは国際的にも認知されており、自主管理体制の普及、周知は実験動物領域の専門家やそれぞれの省庁によって着実に進められ、その実効性を担保する第三者評価制度も所管省庁の指導の下で構築され、情報も適宜公開され、また研究者集団も自主管理体制を評価してともに推進しており、動物実験の適正な実施は格段に進展しています。
以上から、今回の動物愛護管理法の見直しにおいては、実験動物関係は見直す理由や必要は全く無く、むしろ、現状の自主管理体制を今後も着実に推進していくことが重要であり、これにより、我が国の実験動物を用いた科学研究が欧米と互角に行っていけると判断します。
以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。それでは、これから資料2に基づいた論議をしていきたいと思いますが、前回もバージョンアップされる前の資料に基づいて論議をいただいておりまして、残っていたのは最後のその他でありましたけれども、順番に1番からもう一度見直していただきたいというふうに思います。
それで、これは前回と同じように一つ一つやっていくというよりも、問題があるところを、あるいはご質問のあるところをおっしゃっていただいて、そこについて論議をして、また次のところに移るという形でいいと思いますが、まず、永村委員からどうぞ。

【永村委員】 このペーパーには具体的に載っていないんですけれども、今日配っていただいた局長さん宛の全国動物管理関係事業所協議会、この要望書がございますけれども、私もこの要望に多少沿ったご意見をどこかで申し上げたんですが、項目に特定した意見ではないんですけれども、何らかの新たな予算措置、今、環境省のほうでシェルター、ハード事業についてはつくっておられるわけですけれども、この協議会の要望にもあるように、まず人的な担当職員の確保というようなところに対する財政措置、それから、今回いろんな議論になっております、例えばトレーサビリティに関する、これは農産物についてはいろんなところで予算措置をやっておりますけれども、何かペットのトレーサビリティをより強化できるような事業に対する何らかの助成措置、それから、今、NPOの方々が一生懸命やっておられる新たな飼い主を探すための譲渡に必要ないろんな経費がやっぱりかかると思うんですけれども、こういったことにも何か使えるような、もちろん事業主体の審査は大事でありますけれども、何らかの財政予算措置、これが必要だということをどこかその他のところで一行入れていただけければ大変ありがたいと思います。

【林委員長】 それに対してもパブリックコメントを求めるという意味ですね。

【永村委員】 そういうことです。

【林委員長】 これは、ぜひともお願いいたします。
それでは、これから論議してまいりたいと思いますが、野上委員から、委員限りという資料もいただいていますので、今日はまず実験動物から、これでパブリックコメントにかけてよろしいかどうか論議したいと思います。
どうぞ、野上委員。

【野上委員】 実験動物に入る前に、今の予算措置の問題ですが、既に犬、猫の譲渡については地方交付税ということで予算措置がされています。こういうことになぜ予算がつくようになったかというと、これは要するに世論があるからです。多くの人々の、動物のためにもっと行政が動いてほしいと、そのために公費を使ってほしいという声があるからこそ、予算もつくのであって、これは動物愛護管理法の改正がそれだけの世論を動かしていく力を持っているかどうかにかかっているというふうに思います。
 では、動物実験と実験動物のことですけれども、今回ちょっと資料を作ってみたので、ご覧下さい。実験動物の福祉というのは、実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準に基づいて環境省が所轄しているわけです。対象は、飼養されているすべての実験動物を対象としています。しかし、どこで、どのような実験動物が飼育されているかは不明です。このことは環境省のアンケート調査によって、実験施設を有する団体3,800にアンケートをしたけれども、有効回答数は26%だったということになっています。
この場で繰り返し浦野委員や鍵山さん等が言われているのは、動物実験の適正化の問題です。それについては指針があると。公費、税金が投入されている研究機関に対しては、三省が指針を作っていると。しかし、それ以外の省庁には指針はないわけで、それはどうなのか。この指針の根拠になる、その助成金については、法律があるわけです。補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律という法律に基づいて、研究機関がガイドラインや指針等について適切に遵守していない場合には、助成金を停止するというものです。しかし、これは何も動物実験に限ったことではなくて、あらゆる指針や省令、そういうものについて言っていることです。ですから、今回の文案の中で「関係法令に違反した場合には、研究費の配分の停止や論文の不採用等により社会的失墜を招く」と書いてありますが、これは動物実験に限ったことではなく、あらゆる問題について適用されるわけです。  先日も、研究者が研究費をプールしていて不正に流用していたということで、文科省が調査して57の機関に不正が発見されたということが大きく新聞で報じられていました。こういうようなことは、やはり調査する、調べてみなければ出てこないことなんです。現在、動物実験施設については、外部から本当に実験関係者以外の社会的な公的な目でチェックするという仕組みがない、そのためにさまざまな不適正な事例が埋もれているというふうに考えられます。
 ですので、今回、浦野委員とかがおっしゃっていることは、かなり極端な意見であって、自分たちのところがしっかりしているからといって、日本全国津々浦々すべてきちんと適正に行われているかどうかということは判断できません。
 この資料の一番最後の方に、環境省基準の遵守状況が不明で、三省の指針も適用されない機関というものはたくさんあると記しておきました。例えば、民間企業ですと、製薬会社。製薬会社は恐らく1,000から2,000件ぐらいあると思われます。そのほか化粧品会社も1,000件ぐらいでしょうか。あと食品添加物あるいは農薬等、そういうような生活に関わる、化学物質に関わる分野の会社は多数実験施設を持っています。また、民間の検査や分析機関、特に化学物質の毒性評価についての機関については、ほとんどの基準の遵守をはかるためのツールがなかなかないと思います。
 また、動物病院等で論文発表ですとか、個人的な関心による実験の実施等についても基準の遵守を周知徹底するのは難しい。さらに、実験動物生産販売業者は、社団法人日本実験動物協会加盟社以外はほとんど実態不明です。その他として、解剖実習ですとか、いろんな含まれない部分があります。また、試験研究をしていないという会社の中には、それを外部に委託しているということもあります。実験をしているという行為よりも、実際に実験動物がどこでどのように飼育されているか、そういうことについては実態が不明であるということが非常に多いと思います。
 また、前回、私が申し上げたことですけれども、第三者制度、これは鍵山さんもおっしゃっていますが、あくまで実験関係専門家による第三者評価制度であって、実験動物の福祉や実験動物の行動学的な観点、動物福祉の観点から見た専門家が外からチェックするという仕組みはありません。ですので、いわゆる社会的な第三者ということとは違うと思います。
また、ぜひ意見を入れていただきたいと思うのは、祖父江先生がおっしゃっていた言葉ですけれども、「自主管理をする以上は、情報をできるだけ公開して一般国民の批判を受けるという形が有効である」とおっしゃっていました。こういう意見が実際の研究者から出ていることも重要であると思います。私たちの調査では、情報公開は非常に不十分であると考えています。
 それから、3Rの原則及びその周知徹底ですが、現在、3Rの中で実験動物の苦痛の軽減については義務になっていますけれども、使用数の削減と代替法については配慮事項になっています。非常に弱い状態です。これは、同じように義務としていくべきであろうと思います。そのことによって3Rの原則というものが平等に等しく評価されるべきであると思うわけです。
 それから、議題は届出制と登録制ということでしたので、届出制等というふうに直していただきたい。実際、既に条例等で届出制をして立入調査を行っている自治体もあります。そういう自治体で何か問題が起こっているかというと、全く起こっていないわけです。ところが、自治体の職員が立入調査をすると、実験の目的の達成に関わる場合に、判断が困難である、従って実効性の確保が困難ではないかというように断言されている。けれども、当然、自治体職員が行う立ち入りは、環境省の実験動物の飼育及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準の遵守状況をチェックするわけです。これは、自治体の職員がほとんど獣医師であるということの観点から見て、判断が困難であるとは到底思えません。ですので、「実験等の目的の達成に支障を及ぼす行為の範囲」云々という言葉は、余計な言葉であるので、これはぜひ削除していただきたいと思います。
 一応、実験については以上です。

【林委員長】 今、野上委員から資料2の4ページ目の128行から131行のこの4行は、これは事実に基づかないと、だから削除してほしいという意見があったんですが、基本的にこのパブリックコメントにかけるときは、出た意見は、双方の意見をきっちり取り上げるということにしておりますので、これを削除することができるかどうかということについては、かなり難しいと思うのですが、いかがでしょうか。

【野上委員】 この取りまとめ案の文書も議論の一部分を述べているだけであって、すべてを採用しているわけではありません。ですので、祖父江先生の意見は載っていないわけです、ここに。ですが、この関係法令に違反した場合に云々というのは載っている。これは、あくまで公費を、税金を使っている研究者についてのみが対象であって、それ以外の研究者については関係がないわけです。それなのに、これをもってあたかもすべての動物実験研究者についてお金、研究費が出なくなるとか、社会的信用の失墜を招くという書き方になっています。そのようなことはあり得ない。現に違反した研究者の名前だって公表されないんですからね、こういう大げさなことを書かないでいただきたいです。

【林委員長】 今、この128行から131行ではなくて上のほうですね。113行から121行の間にかなり詳細に書いてあるんですが、これは削除したほうがいいんじゃないかと、そういうご意見というふうに思いますが、これはいかがでしょうか。
 鍵山さん。

【鍵山氏】 前回の委員会で出た意見は、それがどうあろうという評価はともかくとして、ここに載せるんだというふうに学んだので、そういう意味では、そうですね。

【林委員長】 いや、相手を誹謗中傷したり、全く事実に基づかないものは載せません。

【鍵山氏】 そうですね。それで、5.実験動物の取扱いに関して、私は、これ、大変よくまとめていただいたというふうに考えております。文言についてコメントがございますので、それだけ申し上げます。
 まず、最初のパラグラフ、113行から始まりますが、ここで出てくる「飼養者等」ですとか「研究者」、こういった言葉は基本的には実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準等に出てくる用語、あるいは動物実験基本指針の用語に合わせたほうがいいのではないかということで、それが合っていないので環境省の方にはメールでもって提案させていただいています。最初の行の113の「飼養者等」というのは、恐らく「管理者等」であろうというふうに考えます。
 それから、環境省の基準のそもそも名称が、これ、間違っているので直していただきたい。飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準でございます。
 それから、その下の方に「研究者についてみれば」とありますが、そのところは要るかどうかわからないけれど、その下2行ぐらいのところ117行に「研究者にとって」と書いてありますが、これは基準の用語からいたしますと「実験実施者」となりますので、これは合わせたほうがいいんじゃないかなというふうに考えました。
 それから2番目、122行から始まるところなんですが、野上委員もおっしゃったんですが、「外部からのチェックができていない状況であり」ということですね。前回の委員会で、このことが議論されまして、内容的にはこういうふうな漠然とした言い方ではなくて情報公開が進んでおらず、社会的透明性に不十分な点があるというふうなことのご指摘が、そういうことなんじゃないかというご指摘がありましたので、外部からのチェックができていないというよりは、今申しましたような言葉で明確に内容を書かれた方がいいだろうと。
 それから、136行から始まるパラグラフですが、その2行目、137行目に「基本的に飼養管理方法が異なるものではないことから」というふうに書かれておりますが、これは恐らく動物愛護管理の基本原則を共有するということではないかと思うんです。飼養保管基準は、動物の範疇ごとにできているので、大事なのはやっぱり動物愛護管理法の基本原則のところであろうと思うので、そこを直していただいたらいかがかなと思います。

【林委員長】 共有しているので、動物取扱業の対象、ともに登録対象にすべきという、そういう流れですね、文章的に。

【鍵山氏】 はい。そのようなロジックなら理解できます。

【林委員長】 そういうロジックです、私の理解では。
確かに今おっしゃったところは、間違いも含めて訂正していきたいと思いますが、これについてご意見があるかどうかの前に、先ほどの野上委員からのご意見と足して、鍵山さん、どうでしょう。115行目の「現在のこの仕組みは」から118行目の「実効性を持って遵守されている」はちょっと全体からするとバランスが悪いので、削除したほうがすっきりすると思いますが。

【鍵山氏】 私も実は同感でございます。環境省に提出したものの中では、それを削除したらどうかということを申し上げましたが、ちょっと長くなりますので省きました。

【林委員長】 これは、先ほどの野上委員がおっしゃったこととも合うので、115行の途中から118行の最後の「遵守されている」までは、これは削除してください。「この自主管理体制においては、不適切な事例や問題点がほとんど見られないことに加え、第三者評価制度」という続きになります。

【鍵山氏】 はい、結構です。

【林委員長】 今のご意見と私が申し上げた訂正点について何かご意見がありますか。

【野上委員】 議題の中には、実験施設の登録・届出制と、それから3Rの実効性について、もとから議題に入っていました。まさにこの3Rの実効性を高めることが、非常に大きな実験動物の福祉にとっての課題ですけれども、それについての記述がこのパブリックコメントにかける文案に全くないのは、非常に不適切だと思います。いろんな団体からの要望書とかにもあったと思いますけれども、3Rを平等にする、配慮ではなくて義務にしてほしいということは前回から議論されてきたことですので、それについて少なくともそういう意見があったことを明記していただきたいです。

【林委員長】 そういう意見があったという明記ですね。これは私も明記したほうがいいかなと思います。そういう議論、確かにありました。承知しました。よろしいですか、それで。
どうぞ。

【加隈委員】 もしかしてポイントがちょっとずれてしまうかもしれないんですけれども、実験動物の取扱いの部分に関して、実際の議論の場面で、OIEのガイドライン等の世界的な動きということを私、何度か申し上げていて、実験動物と、あと産業動物もなんですけれども、国際的な要求事項のようなものが今出てきているということについて、少し説明があってもいいんじゃないかと。このパブリックコメントの中に入れるのがむしろそぐわないのであれば抜いていただいても構わないんですけれども、というのも、例えば獣医学の教育カリキュラムはOIEの動きもありまして、今年度からかなり積極的に文部科学省とともに、実際に動物福祉とか、そういう部分を強化するという形で動き始めていますので、ある程度このような動きがあるということで実験動物や産業動物については入れていただいてもと思いました。
 ちょっとついでなので申し上げますと、産業動物の中で、これは野上委員から前に指摘が出たんですけれども、五つの自由ということを単独で取り上げて書いてあってもやっぱりわからないんじゃないかと思いますので、これは一つの考え方であって、これを完璧に実現するという考えではないんですけれども、それを目指すという考え方として、そういうものがあると具体的に入れるのであれば、内容の説明は要るんじゃないかと思います。

【林委員長】 恐らくここのところは余り長くできないので、3Rも内容を説明できないんですよね、五つの自由も。だけどすぐ調べたら出てくる、ウィキペディア等何でもいいんですけれども、のであれば、ここには書かないということにしたいというふうに思っていますけれどもいかがでしょうか。用語を全部一つ一つ説明しているとえらく長くなりますので。
 それで、今のOIEのことについては、確かに論議になりました。OIEの実験動物の基準は、流れから言うと、産業動物の五つの自由に関する規定の概念のところで書くというのは一つの手ではないかと思うんですが、どうですか。

【鍵山氏】 書くとすれば、国際ガイドラインを勘案するというくらいの程度だと思うんです。というのは、OIEは、その一つなんですが、昨年、今年にかけて国際ガイドラインの見直しを行っていると。今日も実はジュネーブでその会議をやっているところなので、個別に書きますと、ちょっとそれは厳しいのではないでしょうか。

【林委員長】 国際的なことにどこかで触れるという今のご意見ですね。これは今回の見直しの論議の中でも重要な一つの方向性ですので、加隈委員のおっしゃったところは何かの形で入れたいというふうに思いますが、そういうことでよろしいですか。
 ということでありましたら、実験動物と、それから産業動物はこれでよろしいですか。

【野上委員】 産業動物のところでは、国民の食生活と深く関わっているのでコストが増加するというところを削除していただきたいです。147行目です。というのは、産業動物の飼養及び保管に関する基準には特に罰則はなく強制力もなく、意識の高い人たちがそれを忠実にやっていこうということですけれども、それによってコストが高くなるかどうかということは、管理者の選択の問題であり、消費者の選択の自由でもあるわけです。家畜福祉を向上させて価格が高くなったとしても、そのようなものを買いたいという人だっているわけです。だからといって、それが広く国民全体の経済負担の増加になるようなものではないと思います。
さらに、日本は既に肉類の50%以上は輸入しているわけです。そして畜産動物のえさとなる穀物などは10%の自給率しかない。ということは、日本の基準が高くなっていくということは、相手国に対してそれを求めることもできるということで、かえって輸入食肉の質の向上に寄与したり、国民の利益となるような側面もある可能性があります。実際にEU等はそういう観点から家畜福祉法を強化して、輸出国の中国等に動物福祉基準を作るように要望しているわけです。それに従って、中国も今動物福祉基準を作ろうとしている、これは実験動物についても同じでして、中国が実験動物の輸出国であるからこそ、一生懸命やらなければいけないということになっているわけです。
そういう意味で、先ほどの国際的な問題、この産業動物も実験動物もまさに国際的な流れの中にある問題であるということをここできちんと明記していただきたいと思います。また、食生活でコストが上がるというのは余りにもちょっと大げさな言い方ではないかと思いますので、ここは表現を変えるか削除していただきたいです。

【林委員長】 これについては、ちょっと永村委員の意見を求めたいですね。

【永村委員】 今、野上委員がおっしゃった対外的な輸入問題あるいは輸出問題、要は貿易問題と絡めて、この動物の福祉のコードを云々するという議論は、ちょっとここでは、そういう論点は立ち入る必要は私はないと思っていますが、少なくとも動物一匹あるいは一頭当たりの例えば飼養面積でありますとか、いろんな具体的な飼い方にかかる基準というものを非常にきちんと設定すれば、少なくともそれに伴ってコストが増加するというのは、これは明らかな事実でありますから、仮にこういった基準を守っている者が、守っていない者に対して非常に優位に評価されるというような風潮になりますと、やっぱりそこはちょっといびつになるという意見があったわけですから、これは残しておいていただきたいと私は思います。

【林委員長】 これは、こういう意見が確かにあったのは私も記憶していますので、残すべきですね。表現そのものはいかがですか。

【野上委員】 具体的な数値基準にかかるといっても、現在そういうのは存在しないわけです。環境省の産業動物の飼育及び保管に関する基準自体がもう20年も前のもので、紙1枚に全文が収まる短いものです。具体的な数値基準などは存在しないのに、そういうものがあると困るというような言い方は、かなり矛盾していると思います。
 それから、既に農林水産省はアニマルウェルフェアに配慮した飼養保管指針というのを作っています。それを恐らくは参照してやることになると思いますけれども、それがあったからといってコストが上がるということは全くない、現実的に、今そうですよね。ですから、やはりこれはちょっと言い方が大げさだと思います。

【林委員長】 これは、産業動物の福祉をより高めることによって飼養管理コストが高まるという、そういうことですね。だから、その途中の「国民の食生活と深く関わっている」とか、こういうことなんかも言わなくてもよいのではないですか。

【永村委員】 余計なところです、それは。とっていただいていいです。現に社団法人畜産技術協会で一定の基準的なものを検討しているというのは私も理解しております。少なくともそういった基準を作ることによってコストが増加することだけは事実ですから、そこは書いておいていただきたいということです。

【林委員長】 もう少し適切な表現に変えるということでよろしいですか。 山﨑委員、どうぞ。

【山﨑委員】 コストが上がるということが事実ということを否定する必要はないとは思うのですが、コストが上がるから社会的に支持が得られない可能性があるということはあるのでしょう。もう一つの意見としては、同時に福祉面での改革が実施されている商品のコストを関係なく選択するという、選択肢が現在与えられていないという点が問題でしょう。そのために一般国民に対して、例えば認知度を上げる、あるいは、情報を提供する必要性を感じるという両面をここに出していただいたら大変ありがたいです。

【永村委員】 そうであれば、「社会的な支持が得られない可能性がある」と、これちょっと言い過ぎかもしれません。ここは削除していただければいいかもしれません。

【林委員長】 わかりました。そうなるように変えさせていただきます。
加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 すみません、また別のところではあるんですけれども、言葉としてなんですが、今の産業動物の取り扱い145行目「動物愛護に配慮した取組」という言い方で、産業動物も一応動物愛護管理法の中で取扱うということで愛護といってもいいとも思うんですけれども、何となくちょっと畜産の業界のほうで動物愛護という言葉を使っているかなという、ちょっとこのときに私いなかったので、こういう言葉を使っていたかどうかの確認をしていただければと思ったんですが、もう一点、ちょっと戻るんですが136行目、実験動物のところでも、最後「実験動物と愛護動物」という言い方になっているんですが、ちょっとこれウサギの話とかが出たのは記憶しているんですけれども、愛護動物として飼養管理方法というものを具体的に言っているわけではなかったと思うので、むしろ虐待とか、そちらのほうとして罰則があるものとして愛護動物という言葉をこっちで使っているのかどっちかなと思ったので。

【林委員長】 これは、先ほどもう鍵山氏からこうした方がいいという提案がもう出ていますので、そういうふうに直します。

【加隈委員】 すみません、聞き逃しておりました。

【林委員長】 それで、今のところで言うと、確かに5ページの145行目の「動物愛護に配慮した取組」と、これやっぱり産業動物なんかの場合、動物愛護という言葉を使わないですね、動物福祉ならわかりますけれども。そういうふうにいたします。

【加隈委員】 すみません、それでちょっと追加なんですが、今の実験動物と産業動物のところは関連省庁との整理というかをしていただいてはどうかという意見は時々出ていたように思うんですけれども、そういうことは特にここで、関連省庁との整合性といいますか、それはここで必要なければ。

【林委員長】 それは常にやっています。これは、パブリックコメントで聞くようなものでもないですね。
 どうぞ。

【山口委員】 前回もお願いしたんですけれども、産業動物のところ152行目『「五つの自由」に関する規定の概念を、動物愛護管理法もしくは「産業動物の飼育及び保管に関する基準」に』というふうに出ているんですが、皆さんの意見の中でも五つの自由というのは、動物愛護管理法の中にある動物全体にかかるようにということがあったと思いますので、1項目立てて五つの自由については、産業動物の中にもちろん入れてほしいんですが、もっと上の段階でこの動物愛護管理法すべてにかかるように1項目立てていただけたらというふうに思うんですが。

【林委員長】 たしか山口委員、前もそうおっしゃっていましたね。これは、私、別に産業動物だけが五つの自由ではないわけで、おっしゃるとおりですね。これ、どこで書きますかね。一番最初の虐待のところかな。虐待のところの中に入れるかどうかですかね。
どうぞ。

【田中総務課長】 これ、後半部分のパブコメ案なので、こういう形になっているんですが、最終的な報告書にするときには、恐らく今おっしゃったようなことも含めて総論的なところが出てくると思うんですね。そこではおっしゃったようなことも書かなきゃいけないと思うんですけど、ここに産業動物のところに特に書く必要がなければ、もう今は書かないでそっちに任せてしまうというやり方もあると思いますし、議論の出発点がここだったのでやはり一言ここにもあったほうがいいということであれば、ここにも置いておく、そこは委員の皆様方のご意見次第かなというふうに思います。

【永村委員】 今、課長がおっしゃったように、総論の部分で全体にかかるような書きぶりをされるんであれば、今ここに出ていますと、産業動物だけがなんかこれを、ちょっと重過ぎるので、できればそうしていただきたいと思います。

【林委員長】 そういうことでよろしいですか。ただ、特に産業動物と実験動物のところでいうと、産業動物のところでは国際的な基準というのはかなり論議になりましたから、これはここで、ペットのところではそんな話にはなっていませんので、産業動物で特に問題になったのは国際的な基準というところだったと思います。それは残しますけれども、五つの自由はもっと上位のところで扱うということですね。

【山口委員】 もう一つよろしいですか。前にちょっとさかのぼってもよろしいですか。

【林委員長】 前というのは、ちょっと待ってください。これで実験動物も産業動物もよろしいですか。
どうぞ、それでさかのぼってください。

【山口委員】 前の闘犬のところなんですけれども、闘犬の42行目からですと、「闘犬など動物同士を闘わせる行為については、伝統行事として社会的に認容されている事例を考慮すると一律に禁止することは必ずしも適切ではないことから」という書きぶりなんですが、委員全員がこの意見ではなかったと思うんですね。禁止も含めて考えていたと思いますので、「適切ではない」と言い切ることはパブコメにかけるときにミスリードすると思います。ですから、はっきりと禁止を求める声もあったということで両論併記にしていただけたらというふうに思います。

【林委員長】 どういうふうに書いたらいいですか。確かに、私はこのとおり適切でないと思っているんですけれども、確かに禁止すべきだという意見もありましたので。
どうぞ。

【山﨑委員】 おっしゃったように禁止すべきであるという意見もあったが、現状であってはそれも困難である云々というような書き方で両論併記をされたらいかがかと思います。

【林委員長】 そういう書き方で皆さん、よろしいですか。いいですね。では、これについては、闘犬については終わります。
 それから、虐待の防止は最後に残しまして、多頭飼育の適正化、自治体等の収容施設、これは論議いただいたことを踏まえて、また微調整をしていただいています。特定動物もそうですし、ちょっと飛びますが5ページの7.罰則の強化も、これは最後にいただいた青木委員のご意見もここに入れていただいていますので。
どうぞ。どこですか。

【永村委員】 特定動物のところの3ページの102行目「これらは全ての同種の『イヌ』の範疇に入り交雑可能なため」という、この交雑の議論は出なかったような気がするんですが、ありましたか。

【林委員長】 交雑というか、すべてイヌなんだという論議はありました。

【永村委員】 それはもちろんしたんです。ただ、交雑するから犬種指定が難しいという論理にはならないんで、ここはとっていただいたほうがいいと思うんです。

【林委員長】 なるほど。「イヌの範疇に入るため」でいいのかな。

【永村委員】 そうです。

【林委員長】 そうですね。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 今の特定動物のところですが、山口委員も私も申し上げたことですけれども、特定動物の飼養基準に動物の生理・習性・生態にかなった施設であることというものがないために、非常に小さな檻に監禁しておくだけという、動物福祉に反するような飼育方法が多々見られるので、そういう意見があったことをぜひお忘れなく入れていただきたいと思います。
 それから、ほかの件もよろしいですか。まず、虐待のところは最後でしたか。一番最初、虐待について。

【林委員長】 それが一番最初ですね。

【野上委員】 これ、いいんですか。

【林委員長】 その前にここは全部片づけます。

【野上委員】 では、それはやめまして、多頭飼育の適正化について、53行のところですね。「発動させやすくするような措置及び関連法の適用を検討すべき」と、ここに「関連法」という言葉を入れていただきたい。現実には、動物愛護管理法では対処できないので狂犬病予防法とか化製場法とかを使って自治体がやることがしばしばありますので、ここにも関連法の適用ということを入れていただきたいと思います。

【林委員長】 これは、よろしいですね。確認しておきますけれども、関連法という言葉を入れることは、「関連法の適用を検討すべきであるとの意見があった」と、こういうようになるわけですね。よろしいですか。

【永村委員】 関連法の適用を検討すべきというのはおかしい文章ですね。

【林委員長】 確かに。これは、だから関連法の適用を検討すべきだというのは、そもそもパブリックコメントになじんでいるんですかね、どうなんでしょうか。そういうふうに皆さんにお知らせすることは、必要でしょうか。

【野上委員】 現状では、何か法改正をしないと、関連法でしか対処できないということがあるということを言いたいわけなんですね。

【林委員長】 そうなんです。だけど、それはここの法律改正の問題ではなくて、関連法の適用をしましょうという要望ですね。

【野上委員】 適用することで勧告や措置命令をより発動させやすくすることを検討すべきであると。

【永村委員】 それは、関連法を適用するかどうかは、検察なり司法当局の判断によるところなんで、検討課題ではないと思うんですよ。

【野上委員】 わかりました。では、一番最後のパラグラフで。

【林委員長】 一番最後というのは、多頭飼育ですか。

【野上委員】 はい、多頭飼育です。

【林委員長】 63行ですね。

【野上委員】 「自治体における条例等に任せるべきとの意見があった。一方で」の後に追加して入れていただきたいのは、「多頭飼育の問題は全国的に発生しており」という言葉を入れることです。以下、「それに起因する問題を未然に防止する観点から動物愛護管理法に多頭飼育については届出制を導入すべきであるとの意見もあった」というふうにして、全国的に発生しているという事実を入れていただきたい。
それから、多頭飼育は一定頭数、すべてではなくて10頭、20頭という議論もありましたけれども、「一定頭数以上の多頭飼育については届出制を」というふうに限定していただきたいというふうに思います。

【林委員長】 一定頭数以上の多頭飼育者についてはということですね。つまりすべてを届出制にするのではないという、限定したいということなんですね。

【野上委員】 そうですね。

【林委員長】 そういう論議だったですね。それはよろしいですね。  加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 すみません、ついでのところで、前の議論のときには、多頭飼育は何頭からということをちょっと大分時間をくって議論した記憶があるので、せっかくパブリックコメントということで皆さんの意見を聞けるのであれば、具体的に数値を何頭、何頭、何頭の意見があったというふうな書き方にしていただいて、そうすると皆さんがそれは少ない、多いとかというのは聞けていいかなとちょっと希望があります。

【林委員長】 確かに、ここでその論議はありましたので、一定頭数。

【永村委員】 その頭数を仮に具体的に書かれるのであれば、その頭数がなぜそういう基準として選ばれたかという根拠が全くわからないという意見も入れておいてください。なぜ10頭なのか、なぜ20頭なのか、その根拠が非常にわからないという意見も併記していただきたい。

【林委員長】 となると、どんな書き方になるのか、だんだんわからなくなっちゃう。
 どうぞ、青木委員。

【青木委員】 虐待の防止というのは最後にとっておくのですが、今言ってもいいんですか。

【林委員長】 では、もう言ってください。

【青木委員】 わかりました。自分自身の発言に関係しているところを順番に申し上げてよろしいでしょうか。
まず、1.虐待の防止の36行目、1ページの一番下の行です。ここの「飼育放棄(同条第3項)」とありますが、これはやはり法文の言葉遣いどおり「遺棄」というふうに直さないといけないと思いますので、ぜひここは直していただきたいと思います。

【林委員長】 承知しました。

【青木委員】 それから、5ページ目、164行目あたりの意見について、私が申し上げた意見を書き加えてくださったということでありがとうございます。ただ、私はこのように確かに申し上げたんですが、イギリスであるかどこであるかということは、いわばどうでもいいことで、パブリックコメントにかける文章としては、先進的な外国法とか、そういう表現にしていただいたほうがいいというふうに思います。

【林委員長】 これも承知いたしました。

【青木委員】 それから、もう一つは、前回ちょっと時間がなくて、私、渋谷委員のご見解を確認したかったけれどもできなかったところがあるので、もし可能ならばいま確認したいんですが、3ページ目の84行目からのパラグラフですが、「引取りに関して正当な理由がある場合に限って引き取るようにすべきだ」とあります。これは、渋谷委員がおっしゃったご意見で、私もそういうのをパブコメにかけてもいいんじゃないですかということを前回申し上げました。ただ、この問題については、いろんなご意見があるところだというふうに仄聞(そくぶん)しています。現在、引取りを求められたときは、これを引取らなければならないという法文になっているけど、実際の自治体の窓口では、結構思いとどまるように説得をしているという状況ですよね。いろんな書きぶりが最終的にはあり得て、「引取らなければならない。ただし、正当な理由がないという場合は引取りを拒否できる。」とするとか、あるいは、「正当な理由がある場合は引取らなければならない。」とするとか、あるいは、「正当な理由がある場合に限り引取らなければならない。」とか、書き方には微妙なグラデーションがあると思うんです。あえてそのあたりをあいまいにしたままパブコメにかけていろんな意見を集めるというのも一つのやり方かと思うんですが、もともとこの意見をお出しになった渋谷委員はこの書きぶりでいいのかどうかということを、ちょっと確認をさせてください。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。最後のところは渋谷委員から、3ページの84行から88行までの間、この書きぶりでいかがでしょうかということなんですけれども。

【渋谷委員】 私は、それほどこだわっていないんですけれども、これでいいかなと思っております。とにかく、判断するという要素がどこかに加わればいいなと思っております。

【青木委員】 ありがとうございました。

【林委員長】 ほかにいかがでしょうか。もう最初から最後まで通して残っている個所の論議をしてください。
渡辺委員、どうぞ。

【渡辺委員】 罰則の強化のところに飼育禁止を入れていただくことはいかがでしょうか。

【林委員長】 飼育の禁止というのは、どこにどういう形で。たしか渡辺委員はそういうご意見をおっしゃったのは承知しているんですが。

【青木委員】 私はここに入れてはいけないという意見です。というのは、以前も申し上げたとおり、「罰則」というのは「刑罰」ということですが、飼育禁止は刑罰ではないことははっきりしているんです。そのような新しい刑罰を作るのであれば、刑法を改正して刑罰の種類を増やさなきゃいけないということになりますから、少なくとも「罰則の強化」という項目の下におくのは法律上は無理だと思います。

【林委員長】 行政的な措置はこれ以外にもありましたね。 どうぞ。

【青木委員】 イギリスなんかでは裁判所がこの命令を多分出しているんですね。だから、そういう意味では非常に難しいんです。行政庁がやっているわけではなくて、裁判所が判断してそういう命令を出すという形で、日本の制度ではほとんどないものなんです。DV加害者に接近禁止を命じる制度とかはあったと思いますが。では、事務局に。

【田中総務課長】 ちょっと場所は違うのですが、どうしても入れたほうがよいという意見が大勢だということであればですけれども、1ページの1の(1)に行政による保護等とありまして、ここも一番最後チャレンジングではあるんですけれども、直接的な保護の仕組みを行政的に考えてはどうかという意見を入れておりまして、その並びで将来的に何らかのそういう行政的な措置、そういうたぐいの措置も検討すべきではないかという意見があったということは、同じく行政上の措置として書くことはできるのかなという感じがいたします。

【林委員長】 これについては、そうですね。ここでの論議は多数じゃなかったんですね。

【山﨑委員】 これは、1回目の法改正からずっと課題として日本全国津々浦々の愛護団体がかなり陳情している課題でございますから、それがずっと続いている限りにおいては、恐らく私ども、言うのはやめませんので、将来的に10年、20年先になっても必ず飼育禁止という命令を誰かが出すということを目指しておりますので、どこかに入れていただきたいと思います。

【林委員長】 それに対して、それはおかしいという意見もあったんですよ。だから、それについても両論併記ですね。

【山﨑委員】 そうです。ですから、両方を明記していただいて結構だと思います。

【林委員長】 そういう扱いでよろしいですね。
 どうぞ、水越委員。

【水越委員】 犬猫の不妊去勢の義務化のところで、185行目の「不妊去勢の義務化により、繁殖に対する適切な理解を持ち」の行ですが、確かにこういう意見はあったとは思うのですが、「奪うべきではない」というところで切ってしまうと、非常に違和感を感じます。というのは、やはりこういう意見もあったというようなことでの書きぶりであれば問題ないと思うのですけれども、ここの「ない。」というところで丸をつけるというのは非常に違和感を感じます。というのは、今までの法律の中でもやっぱり避妊去勢はできるだけしなさいよという話がありますし、また、繁殖は動物取扱業に含むというふうになっていますので、こういう意見もあったというような書きぶりに変えていただけませんでしょうか。

【林委員長】 これはそれでいいと思いますが、よろしいですね、皆さん。権利を奪うべきではないという意見があったということでよろしいですね。
 どうぞ、野上委員。

【野上委員】 虐待の防止のところですが、行政による保護、それから2が罰則規定の見直しというところですけれども、その間に(2)として取り締まりの強化という項目を入れていただきたいと思います。つまり、一番大事なのは、虐待を取り締まるという対策が非常に弱いということで、そこは結構議論があったと思います。 また、当初の議題の中にも入っていた司法警察権のことが書かれていません。地方自治体の職員に司法警察権の付与をするということについては、「都道府県の中に専門家を置き、法律的な理解を得て現場に行くことは有効」という意見が、たしか斉藤委員からも出されています。ですので、それは業務内容の変化等で難しいという意見もあったけれども有効だという意見もあったということを、きちんと残していただきたいと思います。これは将来の課題でもあると思いますので。

【林委員長】 これは、2、3行になるかと思いますけれども、今回そういう論議があったことは事実ですので、入れておいていただくと将来の論議につながるということでしょうか。そうですね。
 どうぞ、山﨑委員。

【山﨑委員】 学校動物のところですが、実験動物のところと同じように、ここは「学校等に助言等を行う必要がある」で終わっておりますけれど、実験動物のところでも愛護動物の基本原則を共有しているというような、要するに同じ法律のもとでは飼育管理等が確保されなければいけない動物であるという文言を入れていただきたいと思います。確か意見としては、学校動物の飼育管理に関しては、現場の飼育管理というのは、いわゆる普通のペットの飼育管理や業者の飼育管理と同じようなものを求めるべきであるという形で話が進んでいたと思いますので。

【林委員長】 これは、そういうことでよろしいですね。
 どうぞ、野上委員。

【野上委員】 今の、学校飼育の追加ですけれども、前回の委員会では、学校飼育についてはやはり何か実態把握をする届出のような仕組みが必要ではないかという意見が大勢であったと思います。けれども、それが今回、この案文では消えていますので、それをきちんと書き込んでいただきたいと思います。

【林委員長】 調査を行うということですね。

【野上委員】 そうですね。調査できるような仕組みを作ると。
それからついでに、行政の収容施設についてです。

【林委員長】 2ページから3ページにかけて。

【野上委員】 88の追加です。犬猫の引取りについてですが、飼い主が持ってくる犬・猫については説得したり、いろいろ啓発普及できるんですけれども、現実的には所有者不明の犬・猫の引取りの方が、飼い主が持ってくる場合より2倍も多いということがあります。所有者不明の犬・猫の引取りに関しては、まず「遺失物法等の整合性を図って、所有権確認のための公示を行うこと等により返還率を高める」ということを入れていただきたいと思います。というのは、86行目「引取りの後に自治体が行う返還や譲渡等も重要である」と書いてありますが、この返還というのはあくまで所有者不明の犬・猫の返還であって、飼い主から引取ったものをまた返還するということはあり得ないわけです。ですから、所有者不明の犬・猫については、やはり元の飼い主に戻すという努力をしないと、殺処は減りません。そもそも環境省の基本指針で引取数半減計画というものを打ち出していて、全国の自治体がそれを実行しているわけですから、殺処分の減少にかなうような施策であるということをここに明記していただきたいです。

【林委員長】 それは重要なことですので、このところで所有者不明の犬、猫について記述するということにしたいと思います。
 ほかに、あと5分ぐらいしかないんですが、その他、マイクロチップの義務化から、これは、ここで前回論議していただく時間がなくて、お帰りになられてからご意見をいただいたものを参考に事務局でまとめていただいていますが、何か訂正すべきところ、あるいは追加すべきところがありますでしょうか。今、学校飼育動物についてはお話が出ましたし、犬猫の不妊去勢の義務化についてもご指摘がありましたけれども。
 どうぞ。

【野上委員】 災害対応、一番最後のところです。災害対応のところで追加して意見を入れていただければということですが、動物の救護という場合に、犬や猫だけに限らないはずです。人が飼育する動物のすべてに及ぶ災害時の動物救護対策とするべきであるという意見があったことを是非入れていただきたいです。具体的には、学校飼育動物や公園飼育動物や動物取扱業の施設で飼育されている動物、実験動物、産業動物等、すべてについておのおの基本的な救護のあり方が必要であるということを書いていただきたいです。

【林委員長】 これは、私もそう思うんですけど、論議しましたか、ここで。

【野上委員】 私は、すべての動物を対象とする救護であるべきだという意見は言いました。

【林委員長】 そうあるべきなんですが、例えば産業動物の場合は農林水産省との関係とか、そういったところでなかなか今も現実的には動いていないところがあるんですよね。

【野上委員】 それは努めることにしておいて、一応は含まれているんですよぐらいでいいのではないでしょうか。具体的な救護のあり方は、それぞれ全然違うと思うので。ただ、動物愛護管理法でカバーしているんですよということがわかればいいと思います。

【林委員長】 ここでは、実際には犬、猫とは書いてないんですよね。災害時における動物の取り扱いについて明記しているということで、これを読むと、災害対応のところは、犬、猫に限って書かれているようには見えてないんですが、それをさらにはっきりさせるために。

【野上委員】 はい、そうです。今回の東日本大震災でも学校飼育動物や公園飼育動物は見捨てられているわけですから、そういうことも含めて入れていただきたいです。

【林委員長】 そうすると、それの書き方としてはこうなりますか。一番最後の7ページの217行のところに「およそ8割の自治体が地域防災計画等に災害時における動物の取扱いについて明示している」のですけれども、これは動物じゃなくて、ここはペットなんですよね。ペットしか決めていませんでしょう。ほかの動物について8割の自治体が防災計画を持っているんですけれども、ペット以外の動物については、これがないからそれが必要だという、そういう脈絡になりますよね、文章の流れとしては。

【野上委員】 現実にはペットしか対象にしてないので、見捨てられる動物が多かったということです。

【林委員長】 そうなんですね。

【野上委員】 「おのおのの飼育動物に対する救護」とかというふうにすればいいかもしれないですが。

【林委員長】 そうですね。それは、環境省としてはいかがでしょうか。これは、ここの文はどのように扱ったらいいか。
 今、野上委員は、飼養動物全般ということですね。野生動物までは含まないでしょう、ここは。

【野上委員】 はい、そうです。

【渡邉自然環境局長】 ペットだけではないということは何らかの形で触れて、具体的にどれとどれとどれという例示の出し方とか、そこはちょっと表現を最終的なパブリックコメントの案のときに少し最終的に委員長と相談して整理できればと思います。

【林委員長】 承知しました。ということでよろしいですね。  山口委員、どうぞ。

【山口委員】 どれぐらい出たかというのはちょっと覚えていないんですが、マイクロチップの義務化のところで、せめて全国一律に今すぐが無理であるのであれば、せめて繁殖販売される犬のトレーサビリティのこともありますので、そこからマイクロチップを入れていくということはどうかという意見があったように思うんです。そういう意見は書かれていないので、水越委員もあったというふうに言ってくださっていますので、そういう意見を入れていただけたらというふうに思います。

【林委員長】 どこにどういう形になりますかね。マイクロチップを普及させる方法ですよね。

【山口委員】 そうです。

【林委員長】 ここでは「マイクロチップ自体の小型化など普及率を向上させる取組が重要である」と書いてあるんですが、マイクロチップ自体の小型化だけじゃなくて他の意見ですか。

【水越委員】 たしか普及というよりも、議論の中でマイクロチップの義務化に関してはいわゆる鑑札等の狂犬病予防法との整合性が必要であるので、そこは難しいとは思うけれども、トレーサビリティという点で販売されるような子犬や子猫にマイクロチップを義務づけることでマイクロチップの普及を進めていったらどうかというような意見があったと思います。

【永村委員】 今、水越委員がおっしゃった前段を私申し上げたんですけれども、販売される子犬にまず打っていけば普及していくという議論と。

【水越委員】 普及ではなくて、やはりそこから義務化を始めると。マイクロチップの義務化というのは、そこから始めたらどうだというような意見だったと思います。

【永村委員】 ただ、小型化していくとか、物理的にマイクロチップが犬にとって抵抗がなくなるというような、これは一つの普及の大きな前提だという議論と、どういうルートから始めるかという議論は全く別だと思うんです、私は。法律議論とはなじまないと思います。

【水越委員】 そういう意見があったと思います。

【林委員長】 法律になじまないことをここに書くかということなんですね。だって、それは売るときの話でしょう。だから、マイクロチップを法律的にすべての犬を義務化すると、これは一つの論議なんだけれども、売る犬にマイクロチップをつけなさいというような話は。

【永村委員】 むしろ、あったとすれば、今、子犬の付加価値をつけるために、いわゆる商売される方々が付加価値をつけるための手段としてマイクロチップを打つのが非常に増えていると。

【林委員長】 今、流行していますよ。

【永村委員】 現状を話ししたのかもしれません。

【林委員長】 それは、それで進められていることですからいいんですけれど。
 どうぞ。

【太田委員】 マイクロチップの普及に関して以前も発言しましたが、現在、オークションで年間約40万頭が流通しています。ここでマイクロチップを打てば普及率は高まるという、発言をしました。
現在問題になっているのは、マイクロチップの大きさが、太さ2ミリ、長さ8ミリ、これが大き過ぎるので小さい子犬に打つには大分抵抗があるという発言をしましたら、前回、浦野委員がモルモットにも打っているという話を聞きました。先ほど鍵山先生にお伺いして、チップの大きさを伺いましたが、もっと小さくて子犬に抵抗がないというのであれば、私はオークションのすべての経由の犬を打つということは可能だと思います。これに関して、ペットの保険会社がぜひ打ってくれと、個体識別がこれだとできるというんですね。そうすると、保険会社も少し負担が出来ると言う話もありました。2年ぐらい前に環境省にもチップの大きさについて提案もしましたが、検討したいという話を伺っておりますので、ぜひその辺話を進めていただければ。

【林委員長】 だから、その話はどんどん進めていただいていいんですが、それを法律の中で義務化するとか、そういう話とはまた違う話なんで、マイクロチップを義務化するという話と、戦略として例えば付加価値を高めるためにチップを打たれるとか、あるいは保険会社、例えばここで論議するとしたら、例えば犬は保険に必ず入りなさいと、保険に入ることを義務化するとか、そういう話のところを法律に盛り込むというのならまた別ですけれども。
 どうぞ。

【山﨑委員】 いわゆる狂犬病予防法云々と同じようなレベルでの義務化という話ではなくて、恐らく、今、議論がかみ合っていないのは、法律になじむのはトレーサビリティという観点であれば、トレーサビリティを確保するために商売品に関してはこういうマークをつけなさいという法律の流れでやればできると言う点が出ていないからだと思います。いわゆる畜犬登録絡みの義務化というのは難しい。ですから、今議論がちょっとかみ合っていないなというふうに思います。

【林委員長】 だから、法律になじむほうで論議してくださいと言っているんです。

【山口委員】 シンガポールでは、最初は販売される動物にマイクロチップを打つことが義務化だったんですよ、法律で。それから後全部に広げたということですので、販売される動物のみに義務化ということもあり得ると思うんですけれども、法的に。

【林委員長】 それは、私は法律のことは明るくないので、ご意見を頂きましょう。。

【青木委員】 合理的な根拠があればできるんじゃないでしょうか。渋谷委員にも一応聞いてください。

【渋谷委員】 同じ意見です。納得できる理由があれば可能だと思います。

【永村委員】 今、個体識別をするための方法論というのはマイクロチップ以外にたくさんあるわけですね。それぞれのメリット・デメリットに関して科学的にきちんと整理されていない限り、マイクロチップだけを販売される子犬に義務化するというのは非常におかしいと僕は思います。

【林委員長】 トレーサビリティはかなり重要なことですから、そのうちの一つの手段ではあるけれども、マイクロチップを義務化することが、それですぐできるかどうかということについて言えば、まだ論議は煮詰まっていないんじゃないかというふうには思いますけれども、いかがでしょうか。

【山口委員】 今でも国際的にはペットパスポートなどでマイクロチップによって個体識別されているわけです。国際的にはそれで個体識別するというふうに認められているわけですから、その辺の国際的な動きとやはり関連して考えてもいいんじゃないですか。

【永村委員】 現在、我々も海外に出す犬、これは全部マイクロチップでやっていますけれども、国際的に認められた手段、恐らく最大公約数だと思うんですよ、マイクロチップというのは。それと各国すべてがマイクロチップを義務化しているという議論とはちょっと別なんで、それは日本に持ってきてすぐ義務化というのは、ちょっと議論がかみ合わないと思います。

【林委員長】 例えば、特定動物についてマイクロチップを入れるとか、これは非常に合理性があるんです。また理屈が立つんです。すべての飼い犬、飼い猫を対象としてトレーサビリティでマイクロチップだけを推すというのは、果たして今の時点で合理性があるかどうかですね。その論議はしていないです、実はここでそこまで突っ込んだ論議は。こうしたら余計売れますよとか、そういう話はいろいろお聞きしましたけれども、そういう話ではないわけですから。
 よろしいですか、これはこのままにするということで。マイクロチップの義務化。
 さて、ほかに。どうぞ。

【斉藤委員】 3ページの85行ですけれども、先ほど少しお話がありました「制度上も正当な理由がある場合に限って引き取るようにする」という、引取りの法文のことを踏まえて言っていることだと思うんですけれども、正当な理由というのが行政の立場でも、どこまでが正当なのかということ、それから、この委員会の中でも正当な理由の範囲というのが余りはっきり議論されていないのではないかと思います。 確かに、安易な引取りを防止することの制度については、今後も検討して、できるだけ安易に引取られないような形には持っていかなくてはいけないと思うんですけれど、正当な理由というのが、はっきり規定されていない中で入れていくというのはちょっと難しいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

【林委員長】 これは、確かに正当な理由について、ここで幾つかのお話がありましたけれど、それこそ正当な理由についてパブリックコメントでいろんな皆さんの意見を聞くというのも一つの手ではないかなということ。先ほども青木委員から少しこの書きぶりをどうしたらいいかということが問題になっているのは、その面もあるんですけれども、こういう形でパブリックコメントにかけることについて、まさにやっぱりここのところは書きぶりの問題なんだと思うんです。
 それで、だからこそ、渋谷委員に感想を求められたんじゃないかなと思うんですが、いかがですか、こういう書きぶりで皆さんにパブリックコメントをかけることについて、正当な理由についても我々委員の中で余り深まっていないのに出せますかという斉藤委員のご意見ですけれども。

【渋谷委員】 正当な理由というのは簡単な言葉で、でもわかりにくいことがあると思いますけれども、実際の行政ではいろいろな理由をつけていろいろな交渉がされているという事実があると思うんです。その累積がありますので、それを法文の前提として具体的にしていくというイメージなんですけれども、正当な理由が何かというのは非常に難しい問題だと思うんです。引き取った後に最終的には殺処分されてしまう可能性もあるわけですから、どのような場合に引き取って、どのような場合に引き取らないかの判断というのは非常に難しいと思いますけれども、今後は行政がそれを前向きに行っていってほしいと思うわけです。

【斉藤委員】 何が正当かどうかということについて、行政の中で判断するというのは、非常に難しいと思います。全体として引き取られている数が二十何万頭いる、その中で本当に正当というふうに判断できるものがどれだけあるかというのが、非常に難しい。例えば人に危害を及ぼして、これはもう飼うことが難しいんだと、これは確かに正当かなと思いますし、それから逆に動物取扱業で業としてやるべきことをやらなくて行政に持ち込むのも、これは逆に言えば正当じゃないなという気もいたします。その間のそれ以外のところがたくさん現実的には何万頭として持ち込まれるわけです。
そういう現状と、こういう言い方を明確にするというのはちょっとかけ離れているんじゃないかというのが、行政の立場で言うとあります。確かに正当なものも理由がしっかりとしたもので行政として引き受けたい、これはもうそのとおりだと思うんですけれど、ただ現実は、何万頭という部分は、正当と言えるかどうかという部分も含めていろんな理由の中で持ち込まれているわけです。そこのところをどうかなということを私自身は疑問に思っています。

【小林森本官】 その裏側をいって、一定の場合には引き取りを拒むことができるようにするというような言い方であれば、もう少し明確になるんでしょうか。

【斉藤委員】 確かに、何かの理由のときには、これこれこういうときには引取りを拒むことができるというような、ある程度限定されたものであれば、そういう規定であればいいかなと思います。

【林委員長】 先ほど青木委員がおっしゃっときのグラデーションをいろいろある中の一つの選択肢として、そういうふうに斉藤委員がお考えだということはかなりいろんな行政で担当されている方も同じでしょうか。
どうぞ。

【青木委員】 私が、もともとこの議論を出したのは、渋谷委員の御意見を後押ししただけなのです。そのたびに斉藤委員は行政の立場から正当な理由は判断しづらいということを繰り返しおっしゃっていたものですから、やはり両論がわかるような形にしていただくのが私はいいと思います。
 以上です。

【林委員長】 では、先ほど審議官がおっしゃったような形に変えさせていただいて、パブリックコメントにかけたいというふうに思います。
 それでは、もう時間が、どうぞ。

【野上委員】 すみません。最後のほうの8.その他の(3)飼い主のいない猫の繁殖制限のところです。平成21年度の犬猫の殺処分数23万という数字なんですけれども、この殺処分される数の半分以上は飼い主がいない猫が産んだ子猫、まだ幼い子猫であるわけです。ですから、ここはなぜこれが問題なのかということの前段階として、やはり殺処分の数を減らすには、飼い主のいない猫の繁殖制限が非常に必要であるという理由を書いて、しかし、それがなぜ難しいかというと、飼い主がいないために誰も繁殖制限できない、しない、お金を出さないからだという問題を書いてはいかがかというふうに思います。

【林委員長】 今ここに書いてある前ですね。

【野上委員】 (3)の前文としてですね。

【林委員長】 ここに書いてあることは、かなりいろいろ数としての中でも難しい問題があるところが出てきているものですから、こうなっているんですが、そもそものところがわからないと、この飼い主のいない猫の問題はわからないという意味では、確かに。

【野上委員】 もし、この問題が解決すれば一気に殺処分数は半分に減るわけですから、ここが非常に要である、殺処分を減らすための要であるということを書くことで多くの人が関心を持って、パブリックコメントも意見を出しやすくなるのではないかと思います。

【林委員長】 どういたしましょうか。

【永村委員】 絶対反対という意味ではありませんけれども、それぞれの項目について、これは、よって立つ環境なり理由なり背景を書きますと、すべての項目について膨大な資料になるんじゃないんですか。

【林委員長】 だけど、野上委員のおっしゃったことをどういう文章にすれば簡単に説明できるかですね。例えば、「一方で地域猫活動の内容が正確に理解されず、言葉だけがひとり歩きして給餌や不妊去勢の未処置により猫が増える事例などがある」という、この行よりも、依然として捨て猫が減らないような現状があるとだけ書いておいてもいいような感じがするんですよね。

【野上委員】 そうですね。猫の苦情はすごく増えていますし、やはり地域の問題なので、ここをしっかりと書くことが、地域問題の解決につながると思います。

【林委員長】 だから、ここの197行から198行の「一方で」というのは要らないと。それで、依然として給餌や不妊去勢の未処置により猫が増える傾向があるというぐらいに書いておけば、それで今、野上委員がおっしゃったことは、それで達成していますでしょう。こうすることで、むしろ逆に1行減るんですけど、全体的に。  よろしいですか、そういうことで。
地域猫活動が成果を上げているが、しかしながら依然として給餌や不妊去勢の未処置により飼い主のいない猫が減らない、あるいは増加しているという傾向が全国的に見られるということでいいんじゃないですか、内容的に。

【野上委員】 殺処分数を減らすには、こういう活動が重要であるがというところの前文はどこかに入らないでしょうか。

【永村委員】 事実関係ですけれども、猫の殺処分頭数も年々減っているんでしょう。

【野上委員】 いや、猫は余り急激には減っていないんですね。犬はどんどん減っているんですけれども、猫、特に飼い主のいない猫は増えているというか、減らない。

【林委員長】 わかりました。その1行減らしたところだけ1行もかからないですけど、足します。
どうぞ。

【山﨑委員】 前文にわざわざ入れるよりも野上委員の意向をここに、この同じ文章に、依然として給餌や云々と猫が増える事例などもあり、殺処分頭数が減少していない現状があるというような書き方で加えてしまうというのでどうでしょう。

【林委員長】 殺処分というのを加えるということですね。
 どうぞ。

【井本委員】 もう一度マイクロチップに戻っていただきたいんですが、5ページの180行のところ、「狂犬病予防法における犬の登録との整合性が必要である。普及率向上のために」というのは、先ほど太田委員が言われたような意見も載せないわけですから、これ以下の、普及率向上のための云々というところは必要ないと思います。

【永村委員】 そこは、僕はどうしても入れていただきたいんですけど。私が書いた意見です、これは。

【林委員長】 獣医師以外の人間が必要だというご意見ですね。そういう意見があったということ。「との意見があった」というのが必要だという意見があったんですね。

【井本委員】 そのときに反対意見を言わなかったようで申し訳ないですが、向上のためにはそれはそうかもしれませんが、それに伴う危険性も考えておかなければいけないということはありますね。

【永村委員】 だったら、それをつけ加えてください。

【林委員長】 普及率向上のために獣医師以外の者にも施術の道を開くことが有意義との意見があったが、一方で、その危険性も指摘する意見があったと、こういうことでしょう。

【井本委員】 そうです。それでいいです。

【加隈委員】 (4)の学校飼育動物なんですけれども、204行目「学校で飼育されている動物は」で始まって、最後206行目「学校等に助言等を行う」となっているんです。それで、議論の時間が割と短かったと思うのですが、そのときは学校飼育動物というくくりで確かに議論を行っていて、主に対象として獣医師会の手引きが作られている幼稚園、小学校、盲・聾・養護学校というあたりを中心に考えていたかと思うんですけれども、このようにもしパブリックコメントで出てきますと、学校というのはかなりいろんな意味で使われる言葉ではありまして、学校飼育動物というと、何となくイメージするものがあるんですけれども、例えば中学、高校以上の学校、専門学校の議論も出ましたし、それと、もともとの基準の方には福祉施設等ということで、多分この中には保育園が含まれるのかなというふうにも思いまして、そうしますと、文部科学省じゃないなとなってきますので、そこら辺、どこまでというのを少しはっきり書いていただけるといいのかなと。実際には、保育園とかいろいろあるよねという話は何度も出てきてはいるので、そこまで膨らますのであれば、ちょっとそこを配慮した書き方にしていただけるといいかなと思いました。

【林委員長】 そうですね。ここの学校でというのは、初等中等教育の指導要綱に、学校で動植物を飼育しなければならないことになっていたのか、それとも今のお話のように幼稚園・保育園、専門学校まではここに入れるかどうかという問題はまだもう一つあるんですね。専門学校であると、もっと高等教育のほうとの絡みになって、初等中等教育の範囲を超えてしまうということなんですが、この論議はどこでしましたか。

【水越委員】 議論の中でそういう論議はありました。そのときにもやはり専門学校でも、学校法人等をとっていない、いわゆる各種学校というのもたくさんございます。そういうところですと、文部科学省では引っ掛かってこないのではないかというような意見があったと記憶しております。

【林委員長】 これは、論議があったことは、ここの中に入れておけばいいわけですから、広げて記載することにいたします。
 文部科学省ではなく文部科学省等にすれば、広がります。

【山﨑委員】 確か、動物系の専門学校に関しては、登録業種に新たに含めるという議論の中で出てきたと思います。

【林委員長】 私もそう思うんです。だから、ここでは専門学校まで入れないほうがいい。ただ保育園・幼稚園については論議はありますので、これは文部科学省等にいたします。
 では、そういうことで、他にもうご意見がないようでしたら、事務局へお返しいたします。

【事務局】 それでは、事務局の方からご連絡を1点差し上げます。次回の小委員会の日程です。次回は12月21日に、場所は環境省で予定しています  それでは、各委員の皆様方、鍵山様、貴重な意見をどうもありがとうございました。これで第24回の動物愛護管理のあり方検討小委員会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。