中央環境審議会動物愛護部会動物愛護管理のあり方検討小委員会(第23回)議事録

1.日時

平成23年10月25日(火)午前9時30分~午後0時08分

2.場所

環境省第一会議室
(千代田区霞が関1-2-2中央合同庁舎5号館22階)

3.出席者

林委員長、青木委員、磯部委員、井本委員、臼井委員、打越委員、
太田委員、小方委員、加隈委員、斉藤委員、渋谷委員、永村委員、
野上委員、水越委員、山口委員、山﨑委員、渡辺委員、
渡邉自然環境局長、田中総務課長、西山動物愛護管理室長ほか

4.議題

  1. (1)「動物取扱業の適正化について(案)」にかかるパブリックコメントの集計結果について
  2. (2)これまでの主な意見(「動物取扱業の適正化」を除く)
  3. (3)その他

5.配付資料

資料1
「動物取扱業の適正化について(案)」にかかるパブリックコメントの集計結果
資料2
動物愛護管理のあり方検討小委員会おけるこれまでの主な意見(「動物取扱業の適正化」を除く)

6.議事

【事務局】 それでは、委員の皆様方がそろいましたので、ただいまより第23回動物愛護管理のあり方検討小委員会を始めたいと思います。  まず、本日の委員の皆様のご出欠について、報告いたします。本日は浦野委員がご欠席です。現時点で18名中17名が出席されていますので、規定により小委員会は成立しております。
 次に、オブザーバーとしてご出席いただき、ご助言を賜ります方をご紹介いたします。公益財団法人実験動物中央研究所理事の鍵山直子様です。
 続いて、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、資料1、2の2点になっております。資料に不備がございましたら、事務局までお申しつけ願います。
 また、本小委員会の資料及び議事録は、後日、環境省のホームページにおいて公表されますことを申し添えます。
 それでは、林委員長、よろしくお願いします。

【林委員長】 おはようございます。それでは、ただいまから第23回動物愛護管理のあり方検討小委員会を開催いたします  議事に先立ちまして、渡邉局長からごあいさつをいただきます。

【渡邉自然環境局長】 おはようございます。第23回目の小委員会、お忙しい中をご出席いただきまして、ありがとうございます。
 去年の8月から先週まで、合わせて22回の、議論を重ねていただいて、当初、掲げた課題プラス災害時の対応という課題も含めて、一通りのご議論をいただきました。今日は、昨年の夏から1年間議論をして、中間取りまとめをした動物取扱業の適正化に関してパブリックコメントを行いましたけれども、寄せられた意見について整理をした内容について、まずはご報告を申し上げたいと思います。
 同時に、いよいよ、この小委員会として、全体の取りまとめの議論に入っていただければと思っておりまして、今日は、この夏以降に議論をしていただいた、虐待の防止から災害時の対応まで、それぞれの項目について、取りまとめに向けた議論を行っていただけたらと思っています。限られた期間の中でのご審議ということになりますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

【林委員長】 ありがとうございました。それでは、渡邉局長からもお話がありましたように、今日は、全体の取りまとめということが中心になりますが、最初に、事務局から、「動物取扱業の適正化について(案)」のパブリックコメントの概要をご説明いただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

【事務局】 では、事務局から、資料1について、説明させていただきます。
「動物取扱業の適正化について(案)」のパブリックコメントの集計結果でございます。ご報告が大分遅れましたことをお詫び申し上げます。  先日、前回の委員会の方でも、ご紹介させていただきましたように、パブリックコメントは、全体で約12万件いただいております。意見の件数の総数が12万1,828件で、意見提出者数の方が12万2,484件と差がありますが、意見の提出に当たって、同じ意見を連名で出された場合がございますので、意見件数と意見提出者数に差が出ております。この点ご承知おきいただければと思います。
 では、個別の内容について、簡単にご説明させていただきます。まず、(1)深夜の生体展示規制に関してでございます。それぞれについて、全体の件数を横に提示させていただいております。ただ、個別意見の件数までは、大変申し訳ありませんが、12万件という数がありましたので、なかなか全部の意見が何件という集計をする作業までは、ちょっと手が回らないような状態でございましたし、必ずしもパブコメは、意見の件数が問題なのではなくて、意見の内容が問題ということでございますので、あくまで件数については、ご参考値として考えていただければと思います。
 深夜の生体展示に関しましては、賛成が約5万5,000件で、反対が100件ほどいただいております。一つは、生体展示を禁止すべきという話で、20時以降という意見が非常に多かったところですけれども、それ以外に、時間帯として18時までとすべきですとか、22時以降にすべきですとか、いろいろなご意見をいただいているところでございます。
 あとは、総展示時間については、1日6時間以内にすべきから、8時間以内にすべきという意見。休息時間を1時間ごとに設けるべきですとか、2時間ごとに設けるべきですとか、さまざまな形でのご提案をいただいたところでございます。
 反対の方の意見としては、夜にしか購入ができない方に配慮すべきですとか、あとは、夜行性の部分について、夜行性の動物についてはどういうふうに対応したらいいかという部分について、幾つかご意見をいただいているところでございます。
 特に、意見の反対・賛成に関わらず、特出しさせていただきましたけれども、規制対象について、犬・猫に限らず、全般にするべきという意見も多くいただいておりますし、あとは、は虫類は対象から除くべきという意見もいただいております。動物種によっていろいろ差異があるので、まず先行して犬・猫から実施すべきという意見もいただいておりますし、あとは、幼体のみの規制という、生体の動物種の年齢層での規制対象に絞るべきではないかという意見もいただいているところでございます。
 次に、4ページ目に移らせていただきます。(2)移動販売の関係でございます。移動販売の関係は、規制強化に賛成、禁止すべきという意見もいただいておりますけれども、それについて4万4,000件ほど、一方で現行のままとすべきというのが100件ほど。その他で150件ほどのご意見をいただいているところでございます。
 圧倒的に多かったのが、移動販売を禁止すべきという部分についての意見が、非常に多かったところでございます。ここに、意見の理由は、縷々書かせていただいておりますけれども、例えば基準は決めても監視が難しいのではないか、あるいはトレーサビリティーの確保について非常に困難であるのではないかというような意見ですとか、そもそもイベント販売という業態がなかなか適正な管理が難しいのではないかというようなご意見をいただいているところでございます。
また、それ以外にも、ワクチン接種の義務化ですとか、あとは場所、時間、回数を絞った許可制とすべきなどのご意見をいただいているところでございます。
一方で、反対のご意見としては、イベント会場での販売形態というのが、特には虫類を扱っている業者さんの方々が多かったと思うんですけれども、有用な形態であると。そういう意味で、イベント販売というのをこれからも残してほしいという趣旨からのご意見をいただいているところが多かったところでございます。
あとは、遠方の方とかで、そういうイベントの機会がないと入手が困難であるという部分があるのではないかという意見があります。ですので、移動販売そのものの現行規制について、新たな規制を設けるべきではないというご意見と、あと、特には虫類を対象から除くべきではないかというご意見をいただいているところでございます。
続きまして、6ページ、(3)対面販売・対面説明・現物確認の義務化でございます。こちらの方、義務化に賛成の意見、あるいは、インターネットの動物売買を禁止すべきも含めてですけれども、そちらの方は、ご意見を6万件ほど。義務化には反対であるという意見を136件いただいております。その他に30件ほどのご意見をいただいているところでございます。
こちらの方ですけれども、インターネット販売において、トラブルが多いのではないか、あるいは、確認が難しいのではないかという意見と、あとは、道義的に、命あるものを、ワンクリックのようなインターネット販売で行うべきではないではないかという意見が、多くを占めているところでございます。
一方で、対象としては、犬・猫に限定するべきではないかですとか、あとは、は虫類については扱う業者が少ないという現状がある中で、インターネット販売を禁止してしまうと入手が非常に困難になるのではないか。
また、業者の側も、規制により売ることが難しくなるし、それによって、現在、売られているような生体が放棄されたりする可能性があるのではないかというような意見もいただいているところでございます。
7ページ目の方に、反対の意見についてですけれども、具体的な細かい意見が多かったものですから、できるだけ抽出するという意味で書かせていただいたところでございます。いただいている中では、やっぱりネットの手法の問題ではないのではないかという意見が、多かったところでございます。そもそもの販売の契約とか、そういった観点からの問題ではないかという意見をいただいているところでございます。また、非常に不便になるというようなご意見もいただいているところでございます。
その中で特殊な意見としては、ネット販売については、やっぱり、現在の状況からすると、完全に禁止は難しいのではないか。そのかわりに、ネット販売について、特別な許可制度を設けると。ちゃんとしたネット販売を行えるという証明を満たすために、その許可制度を設けるべきではないかという意見も、複数いただいているところでございます。
続きまして、9ページ、(4)犬猫オークション市場の関係でございます。こちらの方、オークション市場の導入に賛成という意見が約5万8,000件、一方で、導入反対という意見が約1万5,000件、その他で400件余りのご意見をいただいているところでございます。賛成のご意見は、トレーサビリティーの確保が、自主管理では難しいのではないかというご意見と、一方で、オークション売買を禁止すべきだというご意見も、かなりいただいているところでございます。
一方で、オークション売買を今すぐに禁止するのは、流通形態上、難しいので、暫定的な措置として規制を、動物取扱業の追加という措置をとるべきではないかというご意見もいただいているところでございます。
一方では、反対のご意見としては、現時点で、オークション市場が、既に動物取扱業者以外が入会できるような形式ではないですとか、一定程度の自主管理がされているところであるという部分から、あえて法規制をさらに加える必要性はないのではないかという意見を、多くいただいているところでございます。
続きまして、11ページ以降ですけれども、(5)犬猫幼齢動物を親等から引き離す日齢についてでございます。こちらの方は多様なご意見をいただいておりましたので、年齢別に区分しております。8週齢未満の犬・猫の販売を規制すべきというご意見は、4万3,295件、何らかの規制を設けるべきというご意見が1万9,099件。こちらの方は、56日ですとか、60日ですとか、70日ですとか、あるいは3カ月というご意見ですとか、種によって変えるべきというようなご意見もいただいているところでございます。45日未満という数値が適切ではないかというご意見を3万1,408件、自主規制に任せるべきというものを2,464件、現行基準のままとすべきというご意見を1万2,500件、その他、2,778件いただいております。
8週齢未満を規制すべきということについては、既に科学的なデータがあることですとか、あるいは、欧米諸国で8週齢という規制を行っているという部分についてのご意見が多かったところでございます。
それ以外の規制を設けるべきという部分については、さまざまなワクチンの効果ですとか、あるいは、8週齢でも不十分ではないかという部分から、それぞれ数字をご提示いただいているところでございます。
45日未満を対象とすべきというご意見については、8週齢だと経費がかかるという部分と、社会化という点から考えれば、6週齢で十分ではないかというご意見ですとか、あとは、長く親元に置き過ぎると、乳を吸うときに子犬が親の乳を歯でかんだりするので、親犬が子犬に攻撃を加えたりする可能性があるのではないかというご意見を、幾つかいただいているところでございます。
あとは、自主規制に任せるべきという部分では、8週齢規制は、それでも科学的根拠に乏しいのではないかという部分ですとか、あるいは、自主規制の範囲をもう少し、現行の40日から延ばすのは構わないけれども、法規制ということは必要ないのではないかという意見をいただいております。
現行基準のままとすべきという部分については、一律の規制というのが困難ではないかという部分が一番多かったところでございますけれども、それ以外に、免疫力を考慮すべきですとか、あとは、中型犬以上だと、50日を過ぎてしまうと、親ももてあますような状況になってしまうので、必ずしも長期に親元に置いておくというのが適切かどうかというご意見などをいただいているところでございます。
続きまして、(6)犬猫の繁殖制限措置、13ページになります。こちらの方ですけれども、繁殖制限に賛成というご意見を5万7,474件、反対というご意見を3万4,753件、その他を1,940件、いただいているところでございます。賛成のご意見の中では、多いのは、やはり母体への影響ですとか、パピーミルという状況について、懸念する声としていただいているところでございます。
具体的な制限の数値としては、さまざまなご意見をいただいておりまして、一生のうち1回までという厳しいご意見から、5回、6回というご意見をいただいています。それ以外にも、繁殖の期間としては、まず1歳以上にするべきですとか、5歳以上は交配してはならないですとか、それぞれ具体的なご意見をいただいておりますし、あとは、遺伝病の出る確率が高い交配は禁止すべきというご意見も、多くいただいているところでございます。
一方で、反対のご意見としては、業界の自主規制で問題ないのではないか。あるいは、品種の違いですとか個体差により異なるので、一律の規制というのは難しいのではないか。あとは、実際に繁殖制限措置をして、それでも産んでしまった子どもというのはどうなってしまうんだという懸念の声ですとか、そういった意見をいただいているところでございます。
続きまして、15ページ以降ですけれども、(7)飼養施設の適正化に関してでございます。こちらの方、数値規制に賛成というご意見が約4万件、反対というご意見が約3万4,000件、その他を2,000件ほどいただいているところでございます。
賛成のご意見として代表的なものは、ガイドライン等では地方自治体が適正な指導ができないですとか、明確な数値規制がないと、取り締まりが困難であるという意見をお送りいただいております。
具体的なご意見としては、ここに列記させていただいているように、ケージの上にケージを重ねないですとか、管理する人員について、10頭につき一人以上とするですとか、ケージについては、その広さを適切なものにするべきですとか、臭気規制ですとか、散歩をさせるべきですとか、多種多様なご意見をいただいているところでございます。
一方で、数値規制に反対というご意見については、一律の規制が困難であるという意見が多かったですけれども、それ以外に、必ずしも広ければいいというものではないのではないか。躾の問題とかも考えなければいけないのではないかというご意見をいただいているところでございます。
続きまして、17ページ以降でございます。こちらの方は、(8)動物取扱業の業種追加の検討でございます。全体的なご意見もいただいておりますけれども、時間の関係上、個別の部分についてのみ、ご紹介させていただきます。[1]は、動物の死体の火葬・埋葬業者の関係でございます。こちらの方、取扱業に加えるべきというご意見が3万8,000件ほど、加えるべきではないというご意見が81件、その他569件の意見をいただいております。
加えるべきというご意見は、埼玉県の事件等を例に挙げまして、動物の死体の扱いについても、遺族の心情等を考慮するべきであるという部分と、一方で、火葬・埋葬業で、大気汚染ですとか、そういう部分のトラブルがあるのではないかと。あるいは、そういう不安があるというご意見を中心的にいただいているところでございます。
一方で、加えるべきではないというご意見としては、動物愛護管理法の目的上、ふさわしくないのではないかというご意見と、あとは、都道府県が業務過多で大変な状況になるので、生体の取り扱いに集中させるべきという意見をいただいております。
その他にも入れてしまっておりますけれども、動物愛護管理法にふさわしくないという部分で、動物愛護管理法ではなく、別の法律を立てるべきではないかという意見も、かなりいただいているところでございます。
続きまして、[2]両生類・魚類販売業者を追加するべきではないかというご意見でございます。こちらの方については、加えるべきというご意見を3万6,519件、加えるべきではないというご意見を2万7,134件と、両者とも多くのご意見をいただいているところでございます。 加えるべきという意見は、生態系の影響が大きいのではないかという部分が非常に多かったというふうに見受けられます。
一方で、加えるべきではないという意見は、国民感情の問題ですとか、現状では問題ないのではないかというご意見と、生物多様性に関する問題を議論するのであれば、外来生物法で規制すべきではないかというご意見をいただいているところでございます。その他に1,224件のご意見をいただいております。
続きまして、19ページ、[3]老犬・老猫ホームにつきましてでございます。こちらの方は、取扱業に追加すべきというご意見は3万6,000件ほど、すべきではないというご意見は22件、その他で978件いただいております。動物取扱業とすべきという意見は、適正な飼養がなされていない例があると聞いているので、それはちゃんと加えるべきではないかという意見が多かったということでございます。
取扱業とすべきではないという部分は、所有権が移っていれば、飼養の規制で可能ではないかという部分のご意見があったところでございます。それ以外で、その他の意見が多かったんですけれども、老犬・老猫ホームは、動物愛護管理法になじまないのではないかという意見を多数いただいております。その理由としては、そもそも終生飼養が原則であるところを、それに反するというか、終生飼養しないで、最終的にはホームに預けるという行為自体を動物愛護管理法で認めてしまうというのは、いかがなものかという趣旨のご意見であります。
次に移りまして、20ページ、④動物の愛護を目的とする団体でございます。こちらの方は、取扱業者に加えるべきというご意見は3万1,393件、加えるべきではないという意見は446件、その他として1,647件のご意見をいただいているところでございます。加えるべきという意見の中には、別の扱いをすべきというものも合わせて、集計させていただいております。そちらの意見の方が全体としては多かったようには見受けられますけれども、登録制でない形であっても、何らかの規制をすべきという意見が多かったというふうに見受けられます。その中には、適正でない管理をしているところもあるのではないかですとか、あとは、寄付金を集めているのであれば、ちゃんと活動報告や会計報告が義務づけられるような形をするべきではないかなどのご意見をいただいております。
一方で、反対のご意見としては、普及啓発をしているような団体は、そこまで規制は必要ないのではないかというようなご意見をいただいているところでございます。
続きまして、21ページ以降ですけれども、⑤教育・公益目的の団体についてです。こちらについても、加えるべきというご意見を2万1,273件、加えるべきではないというご意見が65件、その他1,690件のご意見をいただいているところでございます。
規制すべきというご意見の中には、飼育環境が劣悪であったり、適正な管理をされていない場合があると聞いているので、そこの部分はちゃんと規制するべきだという意見ですとか、あとは、盲導犬、警察犬の育成施設も登録制にするべきではないかなどの具体的なご意見もいただいているところでございます。
加えるべきではないという意見としては、そもそも家庭の飼養と同一ではないのかというようなご意見もいただいているところでございます。 続きまして、22ページ、(9)関連法令違反時の扱いについてです。こちらの方は、もうほとんどの方が法規制すべきという形で、4万1,872件が規制すべきと。理由はないんですけれども、反対すべきという方が7件ほどのご意見をいただいております。それ以外に12件のご意見をいただいているところでございます。
こちらの意見は、当然規制すべきではないかという点ですとか、あとは、他人の名前、代表者の名前を変えたりして、新たな申請をするようなことを規制するべきではないかというようなご意見もいただいておりますし、具体的な対象法として、悪臭防止法、騒音規制法やワシントン条約違反、狂犬病予防法違反などのご意見をいただいているところでございます。
続きまして、23ページ、(10)登録取消の運用の強化についてでございます。こちらの方は、運用を強化すべきという意見を4万5,493件、現行のままという意見を8,200件、その他として527件のご意見をいただいております。特に運用を強化すべきという部分については、現行で実効力が伴っていない部分が多いのではないかという意見が多かったというふうに見受けられます。登録拒否の部分を厳格にすべきですとか、あとは、二度の勧告で取り消しすべきというような具体的な事例もいただいております。
現行のままとすべきという部分については、主には、法の不備ではなく、適正な運用の問題ではないかというご意見をいただいているところでございます。
24ページ以降でございます。(11)業種の適用除外に移ります。動物園・水族館の適用除外についてですけれども、適用除外に賛成というご意見を9,748件、反対というご意見を2万5,689件、その他51件のご意見をいただいております。適用除外に賛成というご意見は、特に社団法人日本動物園水族館協会に加入している加盟園館については、加入時に当たって、慎重に審査をされているので、それで要件を満たしているのではないかですとか、公益性や特殊性の観点から適用除外にすべきですとか、犬・猫とはちょっと扱いが違うんじゃないのかなというご意見をいただいているところでございます。
反対というご意見は、動物園・水族館の中には、適切な管理が行われているところが見られるんではないかですとか、いずれにしろ、第三者の監視は必要ではないかというご意見をいただいております。
続きまして、(12)動物取扱責任者の研修の緩和についてでございます。こちらの方、緩和に賛成というご意見は2,458件、反対というご意見は2万8,403件、その他6,686件ほどいただいております。
緩和に賛成というご意見では、一般の動物取扱業者とは別ではないか。特に、動物園・館については、実際、研修の講師をしていたりするような状況があるので、同じに扱うのは難しいのではないかというご意見もいただいております。
一方で、緩和すべきではないという部分については、緩和された業種は、逆にそのことによって意識が弱まってしまうのではないかという点について、懸念されるようなご意見ですとか、そもそも研修の中身について細分化するべきだというようなご意見もいただいております。その他としては、研修の方法として新規登録時や更新時だけでいいのではないかですとか、研修時間について配慮してほしいというようなご意見もいただいております。
続きまして、25ページ、(13)販売時の説明義務の緩和についてでございます。緩和に賛成というご意見が6,642件、反対というご意見が2万7,949件、その他3,150件の意見をいただいております。
緩和に賛成という意見は、一律にやるべきではないという意見を多くいただいております。こちらについては、具体的な例を一つだけ入れさせていただいております。反対というご意見は、小動物の方が、より扱いを注意すべきではないかという部分ですとか、業者の説明不足が原因とする不適正な飼い方がまだ非常に多いところであるので、そのような規制緩和は難しいのではないかというご意見をいただいているところでございます。
続きまして、26ページ、(14)許可制の検討に関してでございます。許可制を導入すべきというご意見が3万7,062件、現行のままが16件、その他13件というご意見をいただいております。導入すべきというご意見は、登録制でまだ十分な規制措置が行われていないのではないかという部分で、ちゃんと規制を強化すべきではないかという意見が多数を占めているところでございます。
一方で、現行のままとすべきという部分については、許可制ということが意味があるのではなくて、運用が重要ではないかですとか、十分な検証をすべきなどのご意見をいただいております。
最後ですけれども、27ページ以降は、その他という形で多くの意見をいただいておりますので、簡単に数が多かった意見についてのみ、ピックアップだけさせていただきます。
特に、殺処分をなくすべきというご意見は、非常に多かったように見受けられます。あと、それ以外に、行政上の、現在の登録については、閲覧が可能という形にされていますけれども、その部分について、公表制度を設けるべきですとか、登録条件に財産要件を加えるべきですとか、あと、マイクロチップの挿入を義務づけるべきというご意見。あるいは、メディアに対するご意見ですとか、シェルターを整備すべきというご意見ですとか、さまざまなご意見をいただいているところでございます。
長くなりましたが、以上でございます。

【林委員長】 ありがとうございました。パブリックコメントの概要をご説明いただきましたが、何かご意見、ご質問はありますか。動物取扱業の適正化に関してのパブリックコメントです。
環境省が実施されたパブリックコメントで12万というのは、一番多いんですか。それとも、これまでもこういうのはあったんですか。

【西山動物愛護管理室長】 非常に多かったんですけれども、数だけで言うと、1番ではないと思います。外来生物法のときのブラックバス等をどうするかということに対して、非常にたくさんのご意見をいただいたりしています。

【林委員長】 ありがとうございました。はい、どうぞ。

【打越委員】 環境省の皆さんは、取りまとめ、本当に大変だったと思います。まずはお疲れさまでした。それと、何か疑義があるというわけではなくて、これだけたくさんの意見を寄せてくださった方々のためにも、我々、委員は、そのパブリックコメントを見て、どう思ったかを表明して、お返ししなければいけないと思うので、思ったところを述べたいと思います。
 この小委員会では、非常に闊達な議論がなされて、皆さん、早口でまくし立てて、たくさん議事録が残るほど、多様な側面で議論してきたと思うんですけれども、パブリックコメント、たくさん集まったというふうにも聞いていたんですけれども、改めて、ここまで多様な意見が集まったということに、パブリックコメントをやってよかったなと感じました。
 それから、それぞれ、いろんな観点があると思うんですけれども、賛成・反対それぞれ論拠があるんですけれども、寄せられた意見というのは、例えば、動物愛護、動物福祉の観点、それから業者の営利とか、自主規制に関する観点、それから、動物愛護を主張する人、あるいは業者とは関係なく、そもそも一般住民として、衛生管理をきちんとしてほしいというような観点から寄せられている意見、それから、自治体の現場のことを考えて、運用とか実務のことを考えて、議論が出ている部分。そして、消費者がどういうふうにするか。消費者が、自由に選択できるようにすべきなのか、それとも身勝手な消費者を抑制すべきなのか、それはまた、賛否両論ありましたけれども、こういった幾つもの、私が整理したところ、五つぐらいになるかなと思ったんです。それぞれ賛否両論あるようですね。
 いずれも、基本的に、この検討会の議論で、大体、そっちの流れになっているものに反する内容ではなくて、基本的に背中を押してくださっている内容だと思いますので、最終的なところは、このご意見、また丁寧に読み込んで、私たちもひるむことなく、法改正に突き進んでいいんじゃないかと思いました。それは、不必要なものまでという意味ではないですけれども、毅然と自分たちの意見を出していっていいのだと思いました。 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。ほかに、いかがですか。
 はい、どうぞ。

【臼井委員】 細かいことなんですけれども、12ページ、上から5行目をご覧いただきたいんですが、「長く親元に置きすぎると、歯が生えてきて、親犬が子犬に攻撃をするようになる」という文章がございます。またその下の方にも、「中型犬以上では生後50日を超えると動きが活発になり、親犬ももてあましていやがる様子が見られる」というふうな記載がございます。動物行動学的に考えますと、これは、子犬が人間社会で生活しやすいように、あるいは、犬として生活していくために必要な知恵を教育しているのであって、こういうような、単に親犬が子犬を攻撃しているんだ、邪魔がっているんだというふうな解釈をされているのがまだ世間に広くあるのだなということで、行動学的な立場としては危惧しております。

【水越委員】 すみません、今の補足なんですけれども、こういう状況が出ているというのは、恐らく飼育環境が狭過ぎるからだと思います。なので、飼育環境という、飼育の設備というのもありますけれども、それとあわせてやっぱり考えていかないと難しいというふうに思っております。

【林委員長】 そのとおりですね。ほかに、何か。
 どうぞ、野上委員。

【野上委員】 このパブリックコメントの制度というのは、まだ、すべての人々に周知徹底されているわけではありませんで、実際的には、インターネット等ができる人に限られ、しかも、その開始から1カ月しかなく、周知する時間も非常に短いものであると思います。そういう意味では、まだまだすべての国民が意見参加できるという制度にはなっていないと思いますが、しかし、これだけ多くの意見が寄せられたということは、かつてなかったことです。環境省のほかの委員会、たとえば鳥獣保護法の委員会などは、まず議論もほとんど行われず、議事録も委員の名前も公開されずというような形で、かなり不活発で、一般の傍聴も非常に少ないというのが現状であると思います。他方、この動物愛護管理法の改正につきましては、この小委員会を24回も開き、活発な議論が行われ、委員の名前もすべて公表されて、議事録で公開されている。今は議事録がちょっと滞っているのが問題ですけれども、そういう意味で、多くの人々にこの問題を知っていただいて、一般の世論が起こってきた。そういう結果であると思います。
 こういうものが、本当は本来の政策を決定するための手続のあるべき姿であるわけです。ですので、パブリックコメントを今回、動物取扱業者のみならず、全体的な課題についてもう1回やるということですので、それについても、大いに期待したいと思います。  各種のパブリックコメントで、私もたくさんの意見を出してきたのですけれども、それが実際採用されたり、反映されることは、非常に少ないというのが、これもまた日本の現状でもあります。多くのさまざまな意見があり、多様な角度から、さまざまな人が行政の施策に参加して意見を述べるという制度、これこそまさに民主主義の土台であるわけですから、このような多様な意見が寄せられたことを、十分この小委員会でも還元させて、取りまとめにも反映されるような形になってほしいと思っています。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。とても積極的なご意見をいただきました。もう1回、パブリックコメントを行いますので、今日はそれについて論議いただきます。動物取扱業の適正化のパブリックコメントについて、もうよろしいですか、ご意見としては。
 はい、どうぞ。

【太田委員】 パブコメの総数ですが、12万何がしということですが、前回、8月のパブコメが終わった時点で、この小委員会では、総数が10万5,000位との事でしたが、今回発表されたその差の約1万2~3,000はなんであるのか伺います。あと、このパブコメの内容については、厳粛に受けとめなくてはならないと思いますが、両論併記された賛成・反対、多様な意見はあると思いますが、この委員会の中で、一つの方向性がつけられたものが、このパブコメの中でいくつもの項目に渡って、大きな数字の差があるということに関しては、それが国民の意見といえば意見ですが、ちょっと、びっくりしたというか、異様というか、そういうところを感じています。
 以上です。

【林委員長】 それでは、お答えいただけますか。最初の部分ですけど。

【西山動物愛護管理室長】 パブコメの総数なんですけれども、以前、お伝えした10万数千というのは、推定値なのです。メールと郵送とファクスでいただいておりまして、メールの方は自動的にカウントされるんですけれども、郵送とファクスについては、郵送はそのまま、ファクスは、打ち出した紙で箱に詰めていって、一箱何通で何箱というようなことなどから推計した形が、10万数千通です。
 今回の12万というのは、1通1通、郵送もファクスも全部数えた集計の結果ということで、今回の方が正確な数字になります。

【林委員長】 はい、どうぞ、加隈委員。

【加隈委員】 2点、意見というか、一つは、ご質問なんですけれども、まず、パブリックコメントの全体としまして、数字は、ご説明にもあったとおり、ある程度、参考にしか見ない方がいいかなというのが、こういう物の見方だと思っているんですけれども。やはり、意見がある人ほど出すのであって、それが国民全体としての意見の集約になっていると考えてはいけないとは思っているところなんですけれども。
 これがどのくらいの国民全体の反映になっているのかということの参考までなんですけれども、この調査の提出者の男女の比率、あるいは年代の比率というものというのは、集計結果がもしありましたら、大体でも結構ですけれども、教えていただきたいと思います。
 続けて、意見としまして、細かいところだけ少し申しておきますと、最初の深夜の生体展示規制の中に、2ページあたりなんですけれども、夜行性の動物について、昼間の販売を規制すべきとか、また、夜行性である猫は対象から除いて、深夜はやっていいことにすべきといったことがあるんですけれども、これは、動物の行動や生理から申しますと、この夜行性というのは、ある程度、生理的に変わってしまい得る部分ではありますので、必ずしも、その動物の本来の習性ということと展示の時間というものは合致するものではないかなと思っておりますので、恐らく、総合的な展示時間というものも加味するべきかなというふうに思いました。
 最初の方のご質問、もしわかりましたら、お願いします。

【林委員長】 いかがでしょうか。

【事務局】 パブコメの方では、年齢というものですとか、男女の別というのは、特段、要求する記載事項ではございませんので、名前から多少は判断できるのかもしれないですけれども、そこの部分は分析はしておりません。分析できないものでございます。特段、男女の別、年代の別に関わらず、広くご意見をいただくものでございますので、そういう趣旨でご理解いただければと思います。

【林委員長】 よろしいですか。はい、どうぞ。

【打越委員】 先ほど野上委員から、なるべくパブリックコメントを法改正に反映していくことを考えるべきだというご意見があって、私もその通りだと思います。そこで、こういったパブリックコメントを反映するならば、どうしたらいいんだろうと。一つ一つ意見を言って、これは反映、反映しないというような話になるのかもしれないんですけれども、規制強化に賛成、反対というところは、例えば、規制強化することにすれば、規制強化に賛成と書いた人たちの意見は反映されたことになると思うんですけれども、そうじゃなくて、個別に考えるとするならば、この最後のその他という27ページ、28ページというのは、丁寧に拾ってみてもいいのではないかなと思いました。そこまでのところは、賛成、反対、それぞれあるんでしょうけど、最終的には、どっちかを切らなきゃいけなくなるんですが、このその他のところを見ますと、私たちがあまり考えていなかったようなことも載っていたりするわけですね。例えば、動物取扱業の登録に年齢制限を設けるべきとか、それから、悪質な業者をもっと公表するべきだとか、ここまで真正面から意見として出てこなかったなと思います。
 それから、例えば大型インコ、オウムは、本当にどうなのか、私は知らないんですけれども、ここまでがっちり、特定の動物を書いてきているとか、それから、28ページの一番最後、規制の強化が決まった際に、それに伴う犠牲が出ないような配慮をお願いしたいという意見がありますね。滑り込みで繁殖したり、営業を続けられなくなった業者が、犬・猫を処分するといったようなことがないようにしてほしいというのも、これは施行に向けての配慮事項ですが、思い切って規制強化するならば、こういう話も出てくるでしょうし、昨日、夜遅くにファイルで送っていただいたものなので、私も丁寧に読み切れていないんですけれども、反映させるということは、やっぱり、我々が丁寧に読むということではないかと思います。

【林委員長】 どうぞ、山﨑委員。

【山﨑委員】 一つ気になっていることなのですが、賛成、反対ということではありませんが、特に、動物取扱業に関して、自主規制というご意見がたくさん出てきます。例えば、実験動物のときにも、日本学術会議がガイドラインを作っている云々というお話がございましたけれど、自主規制に対して、業者さんの側からの自主規制に関するご提案というものが全く見えないのが、少し気になりました。
一つだけ、その他の意見の中で、28ページの最後の方に、「血統書の法規制を望む」というふうに書かれておりますけれど、少なくとも、犬や猫などに関しましては、特に販売価値を上げるためには、血統書というものが非常に大きな役割を果たしているわけでございますから、引き離す年齢、それから繁殖制限、それから飼育施設等に関しましては、血統書発行機関が、血統書の発行の条件として自主規制として非常にシビアな管理をしようと思えばできるということなのです。そういったご意見が、いわゆる反対側から全く出てこなかったということに対して、少し私としては疑問を感じます。もう少しこういう形でやったらどうかというご提案をいただければよかったなと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 加隈委員のご発言についての意見ですが、パブリックコメントというのは、性格上、ある政策や施策を決定することについての議論ですので、それに関わる人々が意見を出すのが普通で、一般の無関心の人たちは、意見を出さないわけです。ですから、何らかの形で、関係者が意見を言うわけですが、今までいろいろ、各種パブリックコメントの結果を見ていますと、やはり規制に反対する側の人たちが、そういう規制をされては困るということで意見を出すのが圧倒的に多いようです。しかし、この動物愛護の問題については、動物に思いやりのある人たちとか、愛護する人たちは、直接、自分に利害関係があるわけではないわけですね。一方、業界の方々は、自分たちの営業に関わる問題なので、必死に意見を出すわけです。ですので、今回、直接、自分の利益に関係のない動物愛護という問題について、一般からこれだけ多くの意見が寄せられたということは、一つの意味があるのではないかと思います。
 ちなみに、九州電力の原発について、電力会社によるやらせメールというのがありました。業界が、自分たちの利益のために多数の意見を動員するということは、よくあるわけなので、そういう点も加味しなければいけないと思います。
 それから、先ほど打越委員が言われた、その他の意見についてです。確かに、今回の議題にないことでも、いろいろ考えなければいけない課題が山積みになっています。このその他の意見については、今後、政省令で対応できる部分が多々あると思いますので、そういう中で検討していっていただければというふうに思います。

【林委員長】 ありがとうございました。よろしいですか。 はい、どうぞ、小方委員。

【小方委員】 たくさんのコメントを拝見しまして、いつも教育をする側としまして、我々、動物の専門家に教育しているんですが、この内容の中には、当然のことながら、若い、これからの人たちのために、きちっと教育の中に導入していく。例えば、根幹になりますが、動物愛護精神、それは何ぞやということですね。あるいは、虐待という言葉もしばしば出てきます。しかし、それは、わかる人たちには、こういったものですよということを、きちんと教えていくステップにも、これからつなげることが必要なんではないかなと、そういうふうに思っております。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、今日の本題に入ってまいりたいと思いますが、よろしいですか。

【打越委員】 次のパブリックコメントをやるときに、これは、もしかしたら、業界側も、それから動物愛護団体側もあったと思うんですが、これが意見書のひな形ですというふうにして、インターネット等のホームページに載せて、この意見書のひな形に沿って、賛同していただける方は、どんどん送ってくださいというような、支援というか、あおりというか、そういう動きが非常にたくさん見られました。
 それはそれで構わないんですけれども、同じひな形で、名前を変えて全部送ることによって環境省のサーバーをパンクさせるのであれば、例えば、同じひな形であるならば、そこに名前を書くことで、件数としてカウントするなどの事務的な手続をすれば、今回のように、云万件というのがばらばらに来なくて済むんじゃないかなと思って、ちょっと、そういう工夫があってもいいのではないかと思いました。

【林委員長】 パブリックコメントは、名前を書いてもらってはいないわけですね。

【事務局】 全部記名になっております。先ほど、打越委員がおっしゃられたようなものについては、意見としては1件で、今回、意見提出者が複数となっている部分がありますので、そういう形で反映させていただいているということです。

【林委員長】 なるほど。だから、特にたくさん来たから、大変だったということでもないということですか。

【打越委員】 つまり、同じ内容かどうか、多分、全部一つずつ見なきゃいけないと思うんです。そうすると、毎回、その1、その2、その3、その4と書いてあるんだけれども、やっぱり同じだというのが、きっといっぱいあっただろうと思うと、その一つのひな形のところの下に名前を、例えば100人、署名じゃないですけれども、そういうふうな形の提出もありとするというふうにしないと、同じものでも100通、全部チェックしなきゃいけないというのは、やっぱり負担になるのではないかと思いました。

【林委員長】 偶然同じものが出てくる場合もありますので、大変でなければ、これでいいんじゃないかなと私は思いますが、いかがでしょう。よろしいですか。
(はい)

【林委員長】 それでは、時間が、あと1時間40分ぐらいですか。今日の本題であります「動物取扱業の適正化」を除く部分について、資料2がございます。これについて、まず、事務局からご説明いただいて、論議いただきたいと思います。

【事務局】 それでは、資料2をご覧ください。「動物取扱業の適正化」を除く部分のこれまでの意見ということで、8月以降に行われた議論で出されました主な意見について、取りまとめてございます。
 最初に、虐待の防止についてですけれども、一つ目と二つ目につきましては、虐待の定義に関わることで、虐待という言葉のその定義、また、その虐待という行為の定義をすることによって、一般国民に対して普及啓発するという観点からも、そういったことは重要であるというご意見がございました。
 また、次ですけれども、司法警察権の付与については、地方公共団体職員の業務内容の変化や量の増加を考慮すると、まだまだ、警察との連携を強化する方法を推進していくべきではないかという意見がございました。
 また、動物同士を闘わせる行為については、伝統行事として、社会的に認容されている事例を考慮すると一律に禁止することは困難であることから、開催者を明確にして、動物取扱業の登録を受けさせることや、獣医師による適切な治療等のアフターケアに関する基準の策定などによって、内容の透明性を確保する取組が必要であるというご意見がございました。
 続きまして、多頭飼育の適正化ですけれども、二つ目になりますが、行政が緊急的に避難させる即時強制のような手法につきましては、基本的人権や所有権の侵害が懸念されるというご意見がございました。
 また、実際に問題が起きている事例に対して、地方公共団体による勧告や措置命令をより発動させやすくすべきではないかという意見がございました。
 ページをめくっていただきまして、問題が起きている事例に対して、行政による勧告や措置命令が行われるだけでは意味がなくて、動物の飼養状況や周辺の生活環境を改善する、要は現場の改善が必要であると。そのための方策も必要であるというご意見もございました。
 また、最後ですが、地域性が反映される問題であるので、地方公共団体における条例等での対応を進めていくべきではないかという意見がございました。
 続きまして、自治体等の収容施設でございますけれども、地方公共団体は、動物取扱業者への指導を行っている立場であることに鑑み、収容施設の基準をしっかり設けるべきであると。
 二つ目ですけれども、基準の設定に当たっては、実際の収容施設も、目的によって、その収容期間、また収容状況が様々であることや、また地方公共団体の財政事情も考慮したものとすべきという意見がございました。
 また、収容施設の公開基準についての議論がありましたけれども、これは各地方公共団体ごとの判断に委ねるべきではないかという意見がございました。
 次の二つは、殺処分の方法についてですけれども、科学技術の進展を踏まえつつ、適切な手法を使い分ける必要がある一方で、実施する自治体の職員の精神的負担の低減や安全確保についても配慮する必要があるのではないかと。
 また、具体的な殺処分方法に係る基準については、社団法人日本獣医師会等において示されるべきではないかという意見がございました。  最後は、犬・猫の引取りに関する法第35条の書きぶりですけれども、正当な理由があると認められるような場合には引取りをしなければならないというような、条件を付して引取りを行うような書きぶりとすることを検討すべきという意見がございました。
 続きまして、特定動物についてですけれども、移送時に通過する都道府県等への通知という手続の緩和については、過去の逸走事例など、実績に問題がなければ、緩和しても差し支えがないということでございました。
 続きまして、特定動物のリストの件ですけれども、ページをめくっていただきますと、その危険性の判断については、専門性の極めて高い分野であるため、有識者で構成される委員会での議論が必要という意見でございました。
 また、危険犬種についての規制ですけれども、その犬種の分類の問題ですとか、そもそも、個体の性質、飼い主の飼育方法に寄るところが大きいため、犬種指定による規制は困難であるという意見でございました。
 また、最後に、咬傷事故の抑制については、飼い主等の周辺状況を公表することは、再発防止につながるのではないかという意見がございました。
 続きまして、実験動物の福祉ですけれども、自主管理が基本として適正化を図っているところであり、既にその関係法令や指針に違反した場合は、研究費の配分停止や論文が不採用となるなど、研究者によって非常に甚大な不利益を伴うことであるから、実効性を持って遵守されていると。
 また、問題点が見られないのか、第三者評価制度も運用され始めたところであるから、現在の仕組みの充実と、時間をかけた検証が重要であると。
 一方で、実験動物施設については外部からチェックができていない状況、また、問題があったとしても、表面に出てきていないだけとの心配がある。また、文部科学省、厚生労働省、農林水産省が策定したガイドラインが適用されていない施設もあるといったことから、届出制も有効であるという意見もございました。
 仮に届出制を導入した場合、その実験の目的の達成に支障を及ぼさない範囲の行為なのかについて、自治体では判断が困難であることが想定され、実効性の確保が困難ではないかという意見でした。
 また、実験動物の、これは生産施設のところですけれども、いわゆるペットとは、飼養管理方法が異なることから、動物取扱業の登録の対象に含めるべきではないというご意見がございました。
 続きまして、産業動物の福祉ですけれども、快適性に配慮した家畜の飼養管理を行うことは、生産性の向上につながりますので、既に取組が行われている現場もあるということでした。
 また、産業動物の福祉は、国民の食生活と深く関わっていて、規制を強化すると、国民の経済負担が増加する可能性があるということで、まだ社会的に支持がないのではないか。
 最後に、その「五つの自由」の概念を法律、または「産業動物の飼養及び保管に関する基準」に理念のような形で入れることが必要であるという意見がございました。
 罰則の引き上げについては、全体的に、これは罰則の強化は必要というご意見でございました。
 最後に、その他として、また五つ、項目がございますけれども、一つ目は、犬のマイクロチップの義務化ですけれども、マイクロチップは、さまざまな利点もありますが、チップの大きさなどの点で抵抗感があるということで、普及率がまだまだ低いと。
 また、仮に導入するとしても、狂犬病予防法における犬の登録との整合性が必要。
 法律で義務づけるほど、国民にもたらされるメリットが明確ではないということでございます。
 続きまして、犬猫不妊去勢の義務化ですけれども、こちらも、飼い主への普及啓発を推進していくことが、非常に重要なことではあるけれども、法律で義務づけるという手段をとるほど、国民に利益をもたらすものではないというご意見がございました。
 また、飼い主には繁殖させる権利もあるので、奪うべきではないというご意見もございました。
 続きまして、飼い主のいない猫の繁殖制限ですけれども、「地域猫活動」と呼ばれる活動成果が見られる事例もありますが、その言葉がひとり歩きしてしまって、逆に、給餌や不妊去勢の未処置により、猫がみだりに増える事例もあると。こういった取組は、引き続き、地域の実情に合った対策を、地域住民や行政担当者によって行っていくべきであるというご意見がございました。
 続きまして、学校飼育動物、公園飼育動物ですけれども、学校で飼育されている動物は、過去の例によれば、不適切な管理による死亡や虐待の対象となりやすいので、行政が実態を把握できるシステムが必要。また必要に応じて、環境省から、文部科学省に対して助言等を行うべきである。
 公園飼育動物に関しては、観覧料聴取の有無に関わらず、動物取扱業の展示に該当するものとして、登録対象とすべきであるというご意見がございました。
 最後に、災害対応につきましては、地域防災計画上での動物救護や迷子動物対策等の位置づけ等について推進する仕組みとなるよう、動物愛護管理法に規定すべきというご意見でございました。
 また、動物愛護推進員の委嘱や、動物愛護推進協議会の設置などの項目は、現状でも法律にありますので、今後とも、さらに関連づけて、民間団体との協力体制を築く仕組みを築いていくべきであるというご意見がございました。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。これから論議いただきますが、これは次のパブリックコメントに向けて、ここで論議していただくための素材を、これまでの主な意見を事務局として取りまとめていただいたものです。
 それで、ここに書いてあることと同じことを言わないでくださいね。書き方に不適切な表現があったり、あるいは、実際に発言として出たにもかかわらず、それはよく調べてはいただいているつもりですけれども、ここに抜けている意見があったりすれば、それをおっしゃっていただければと思います。
 それでは、順番にまいりたいと思いますが、虐待の防止については、いかがでしょうか。虐待の防止については、何度か意見をいただいた場合がありましたね。 野上委員、どうぞ。

【野上委員】 この意見のまとめをいただいたのが昨日の夜でして、一つ一つの言葉について今までの議事録等を見直して、もう1回きちんと言える時間的余裕がないので、それはまた改めて機会を設けていただければと思います。
 今、気がついたところでは、この虐待の防止の中に、虐待の定義も含まれているようです。虐待の定義は別のところで、防止とは別に議論したと思いますが、この中に、虐待の定義の明確化も入っています。そうなりますと、当然、罰則ともリンクしているので、もしできれば、虐待の定義と同時に、罰則についても、同時にというか、同じくくりで持ってきていただいた方がいいのではないかなと思います。

【林委員長】 これは何ページですか。ページを打ってありませんが、後ろに罰則についてありますね。

【野上委員】 罰則の引き上げがありますね、はい。それから、言葉のことですが、地方公共団体というのと、都道府県等という言葉が出てくるんですけれども、地方公共団体の中には市町村も含まれていますが、中核市を除く市と町村には動物愛護の窓口がなくて、実際に何もやっていないわけです。ですので、これをもう少し明確化して、動物行政を所轄する自治体ですとか、そういうふうに書いていただいた方がいいのではないかということです。
 それから、闘犬については、もし、闘犬ということを禁止できないのであれば、少なくても、闘犬目的で飼育する犬は、危険犬種にするとか、特定動物の問題とも共通しているので、そこに入れていただければいいと思います。
 闘犬については、動物取扱業の展示なりの登録をさせるべきであるということですが、非公開でやっているものであっても登録させるべきではないかというふうに思います。 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。ちょっと先に確認したいんですが、この資料2について、今日だけで論議し終わるということではないですね。

【事務局】 来週は、報告書(案)という形で。

【林委員長】 それではこれを最後まで終えてしまう必要がありますね。わかりました。
 それでは、そういう進め方をしたいと思います。磯部委員、どうぞ。

【磯部委員】 今の野上委員の発言と同一方向の意見なのですけれど、虐待の防止という項目が、一つの縦割り的な項目としてあり、そのほかに、例えば多頭飼育の適正化の二つ目の欄ですけれど、法律学的な観点からすると、緊急的な措置がとれるかどうかというような話は、縦割り項目ではなくて、横断的な、より一般的な話であるわけです。虐待の防止と、罰則の引き上げというものはリンクしているわけであって、そういう項目として総論的な論点としてあった方がわかりやすいように思います。しかし、おそらくパブリックコメントで聞くときには、やっぱり縦割り的に各論的な項目を立てて聞いていかないといけないのでしょうね。一般的な制度について意見を聞いても、なかなか難しかろうと思います。ですから、こういう項目単位で述べていくのでいいのですが、その中でも可能な限り相互の連関について整合をとるといいますか、あまり矛盾のないようにしていただきたいと思います。
そういう意味で、まず虐待の防止の項目に関しては、虐待とは何ぞやということを明確にするということがまず必須でありましょうけれど、さらに、要するに虐待は放置しないんだという一種の基本ポリシーをきちんと打ち出せるかどうかが問題だろうと思います。
虐待というものは、いろんな場面で起こり得るわけです。虐待の防止の3番目の項目のところで、地方公共団体への司法警察権の付与は、なかなか難しいかもしれないということで、警察との連携でいくという方が実際的であろうとは思います。けれども、ここで言う、警察に連絡して、協力してもらって、取り締まるというのは、要するに、犯罪として摘発して、しかるべき処罰を加えるということですよね。そういうことが行われれば、それが一種の見せしめ効果をもって、将来の虐待防止につながるという間接的な効果は期待できるのですが、しかしこの警察との連携の上に立った処罰というのは、基本的に既に起こってしまった虐待行為に対して、いかに制裁を加えるかという話にとどまります。 それに対して、適正化の2番目の項目は、とにかく今、そこに虐待の実態がある、事実があるというときに、それを止めさせるために強制的・権力的に介入する話であって、これは犯罪の捜査とは違うわけで、行政的な即時強制にほかなりません。これは司法の措置ではなくて行政的な措置なんですね。それをいかに制度化し、的確に運用するかということは、やはりもっと一般的に考えられていいはずであって、たしかに多頭飼育の適正化が典型例の一つであるとは思いますが、それだけに限られる話ではないわけで、もうちょっと一般的に位置づけてよいのではないかというのが、私の意見です。
さらに、この多頭飼育の適正化のところの2番目に置かれている表現が、即時強制の使用が考えられるが、基本的人権や所有権等の侵害が懸念されるというふうに書かれると、素直に読むかぎり、やっぱりこれはだめだなという印象になってしまっております。しかしほんとうにそういう趣旨だとしたら、私は意見としては反対でありまして、要するに、即時強制しなきゃならないようなひどい事態にすでにあるのならば、それはもはや所有権であれ基本的人権であれ、正当な権利の行使とは言いがたい事態であるわけですから、権利の侵害を心配する話ではないわけです。正当な権利を侵害するような行政の介入があってはいけないことはいうまでもないのですから、この表現はちょっとミスリーディングなのではないのかなと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。はい、どうぞ。

【打越委員】 私も、まず今の最後の磯部委員のご意見は、ずっと言っていたところで、そこの壁を乗り越えようという立場の人間ですので、磯部委員のとおりだと思います。
 その他幾つか言葉ということですので、先ほど野上委員が、地方公共団体と都道府県という言葉がごちゃごちゃになってるという話だったんですけれども、それに加えて、地方公共団体という言葉まで出ていまして、例えば、虐待の防止の3つ目の黒ポツの1行目には「地方公共団体職員」、しかし3行目には「地方自治体における担当部局と」というふうに書いてありますので、これはどちらに統一するかという話になると思いますけれども、地方公共団体というのは、地方自治法上の正式な呼び名ではあるんですけれども、それだと、逆に言うと、実は普通地方公共団体とか、特別とかがあったりして、扱いにくくて、地方自治論などの授業では、地方自治体という言い方のほうが、一般的な都道府県、市区町村を指す、通常、社会的に使われる言葉というふうにして、利用しているので、地方自治体の方がいいんじゃないかなというような気がしないでもありません。
 それから、同じく虐待の3つ目の黒ポツの、例えば、先ほどもありました司法警察権の付与と書いてあるところも、こんな大げさな言葉にすると、かえってわかりにくくして、また具体的な話に結びつかなくて、ここで出ていたのは、強制的な立入権限は与えるか否かというような話だったと思うので。それから、その下の方の基本的人権とか、そういう大上段に構えた法律的な大きな概念を持ち出すよりも、より具体的な表現で、制度や運用に結びつく表現の方がいいのではないかと思いました。そういう箇所を幾つか探して、また修正の意見を上げたいと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。ほかに、いかがですか。はい、どうぞ。

【渋谷委員】 虐待の定義についてなんですけれども、44条に罰則がありまして、1項に殺傷行為、それから2項に虐待行為、3項に遺棄があるわけなんですけど、ここでは、1項と2項があいまいだというふうにされていますけれども、これまでの議論で出てこなかったかもしれませんけど、遺棄についても、あいまいな点があるのではないかなと思っておりますので、できましたら、1項、2項、3項それぞれ、定義の明確化が必要かどうかを図っていただけたらと思いますが。

【林委員長】 そういうふうに、ここのところを改めておくということですね。
磯部委員、どうぞ。

【磯部委員】 先ほど言い忘れたことを一つ追加で申し上げます。基本的な問題を書いている項目だと思われるのが、多頭飼育の適正化の最初の項目でして、これも結局は、現在の動物愛護管理法の保護法益が、はっきりしていないという問題であるわけです。動物の命の保護ということが、制度の直接の保護法益となっているかどうかが、はっきりしていないために、結局は、周辺に住んでいる人間が、動物の鳴き声や何かで迷惑を受けることによって、初めて行政が介入できる。動物を直接助けるためでなく、迷惑を受けている周辺の住民の生活環境利益を守るために介入するという仕組みですよね。この点について、動物の愛護という基本理念に忠実に、動物の虐待の防止それ自体がストレートに保護法益なのだから、虐待の事実があるならば強制的な立ち入りをして、即時強制という行政措置によって動物を保護するということができるようにするという話が、論理的に一貫していると思うのです。そのことを先ほど申し忘れましたので、つけ加えさせていただきます。

【林委員長】 ありがとうございました。虐待の防止、いかがでしょうか。 はい、どうぞ、渡辺委員。

【渡辺委員】 市民が、これは虐待ではないかという現場に遭遇したときに、通報をして、その通報がちゃんと警察なりセンターなりに届いて、これは動物愛護管理法に係るというふうに判断されて動いていただくというのが一番望むところなのですが、それに関するのはどの部分にあたるのでしょうか。

【林委員長】 恐らくそれについては、虐待の防止の3番目の「地方自治体における動物愛護担当部局と警察官の連携」によりこれを強化していくということだと思います。警察がこの問題について、動物愛護管理法に基づいて何らかの動きをしてくれることを期待するのがここの文章ではないかと思うんですが、そういうことでしょうか。

【磯部委員】 今、委員長が言われたようにも読めるのですけれど、それだけではなく、市民の通報のしやすさというようなことをおっしゃっているのでしょうか。それとも、市民の通報を受けたあとの、その後始末のことをおっしゃっているのでしょうか。

【渡辺委員】 通報のしやすさももちろんですけれども、通報した後に、きちんと現場に行っていただくなり、動物愛護管理法に照らし合わせて判断していただくなり、それがスムーズに行なわれることを、通報した人は望んでいますので、その部分が安心できるようにと書いていただければありがたい思います。

【林委員長】 ほかに、はい、どうぞ。

【小方委員】 こういった虐待、あるいは学校の教育の中もそうだと思いますが、最近、動物を飼う人の側、この方たちが、多様性はあるんですが、常識の範囲の多様性であればいいんですが、明らかに医学的に正常から逸脱したととらえられる人たち、です。こういった人たちに対応する場合には、行政の動物愛護担当部局、あるいは警察だけでは、なかなか対応できない。私もそういった経験がございますので、そういったところを今後、どうやっていくかということも考えていただくとよろしいのではないかなと思いますが。

【林委員長】 具体的には、どういう書き方を望んでおられるわけですか。

【小方委員】 例えば、ある虐待行為があり、これを見つけた人が警察に連絡して、対応していただきました。しかしながら、警察が判断できない。行為をした人は、これは虐待ではありませんという。明らかに、虐待なのに、虐待ではありませんと相手がいう時どう判断するかということですね。

【林委員長】 そこで、この先ほどの三つ目の、各地方自治体における動物愛護担当部局、これはもう動物愛護に関する判断はできるわけですから、そこと警察が密接に連携してという、ここはそういう書き方になっているのですが、それでよろしいですか。
 はい、どうぞ。

【渋谷委員】 今の、虐待を警察に届出て、警察が断るという事案はよくあると思うんですけれども、そのとき、虐待がないのか、虐待行為だと思えるんだけど立証ができないのか。むしろ後者のことが多いような面もあるんじゃないかと思うんです。ですから、人の殺傷の場合には立証はしやすいんですけれども、動物の殺傷については、なかなか立証することが難しいというのが一つの問題として残っているんではないかと思っています。

【林委員長】 確かにそうですね。どうぞ。

【野上委員】 虐待の苦情について、不適正飼養も含めてですが、当会で調査したところ、いろんなところに苦情が寄せられているんです。単に動物行政だけではなくて、消費者センターにも行きますし、市町村や区役所ですとか、そういう一番身近なところにたくさん寄せられます。しかし、そういうところでは対応できないというで、しばしばそこで放置されたり、たらい回しにされてしまうということがあります。やはり、虐待の苦情、あるいは不適正飼養の苦情を受け付けるところはどこなのかということを明らかにする。それからもう一つは、やはり市区町村の役割についても書き込んでいければいいなと思います。

【林委員長】 そうですね。その苦情、虐待等についての受付窓口を明確にするということになりますか。どうぞ。

【山口委員】 虐待の定義のところなんですけれども、法文には細かいことまでは書けないのかもしれないんですけれども、それに付随するような例示でいろいろ挙げていっていただけることによって、これが虐待か、虐待でないかという判断基準ができると思います。今はあいまいなだけに、警察官が行っても、うんと首をかしげたりすることになると思いますので、法律の中で、法律とうまく連携するような形で、いろんな例示を挙げていくことはできないのでしょうか。法律の専門家の方々に、ちょっとお聞きしたいんですが。

【林委員長】 そうですね。この小委員会は、法律の文章を作成することまではやりませんが、ぜひお答えいただければと思います。

【青木委員】 今の山口委員のご質問ですけれども、44条の2項「愛護動物に対し、みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待を行った者」と、この書きぶりは、まさに代表的な例示を挙げているということだと思います。ですから、例示ができないということはなくて、なるべく明確にするために、例示を増やすというのは、法文の明確性を増して、取り締まりをする側の基準を明らかにするという意味と、もう一つは、国民の行動の自由といいましょうか、予測可能性を確保するという意味からも、望ましいことではあると思います。あとは立法技術上、どこまで上手にできるかということだと思います。

【林委員長】 わかりやすくご説明いただきました。それでは、この「みだりに」とか、そういう言葉ではない、きちんとした形にしていくということですかね。

【山口委員】 もうちょっと、いいですか。虐待の防止で、先ほどから、多頭飼育の適正化も虐待の防止に入るというお話が、いろいろ出てきておりましたけど、学校での飼育動物、公園飼育動物の適正飼養についても、防止につながるということになりますので、この虐待防止の大枠の中に分けて、項目分けをして、多頭飼育の適正化もその中に入れていくという分け方をした方がわかりやすくないでしょうか。

【林委員長】 それはパブリックコメントをするときにということですね。

【山口委員】 はい。

【林委員長】 はい、どうぞ。

【青木委員】 今、山口委員がおっしゃられたことは、恐らく磯部委員がおっしゃられたこととかなり同じようなことだと思います。私も、磯部委員が真っ先におっしゃったことと重なっちゃうところがあるんですが、虐待行為があったときに、裁判所あるいは警察、検察でどのようにそれを事後的に処理するかという問題と、虐待行為を事前に、なるべく抑止する、あるいは早い段階で防止するためにどのように行政的介入をするかということが区別されずに書いてあると、書き方としてはあいまいになってしまうと思います。ただ、それをあまり細かく厳密に法律的にやると、今度は、パブリックコメントにかけるときに、法律的に厳密な知識がない人には、何を聞かれているかわからないので、的外れな答えが返ってくる可能性があります。この辺のバランスの問題かという気がします。

【林委員長】 ありがとうございました。そこは最後の段階で、きちんとさせていきたいと思います。 はい、鍵山氏。

【鍵山氏】 虐待、あるいは、みだりにという言葉が、今、使われているんですが、私が思いますに、例えば、一晩、動物にえさをあげなかったといったときに、ある動物に対しては、これは虐待行為とみなされるかもしれないけれども、また、実験動物の場合は、場合によっては、それは科学的に合理性があるのかもしれないというわけで、動物愛護管理法の中で、一概に虐待の具体的なことをなかなか書きにくいと思います。そういうことで、動物の範疇ごとに、適切な飼育方法として、実験動物とか、何動物とかというものが設けられていると解釈しますので、その辺は、あまり踏み込んだ記載というのはいかがかなというふうに思います。以上です。

【林委員長】 どうぞ、山﨑委員。

【山﨑委員】 今の延長線上で、先ほどからちょっと、お聞きしようと思っていたことは、伝統行事という言葉が登場いたしましたが虐待の定義の中で、その伝統行事というものとのバランスをどうとるかという点です。例えばスペインの法律では、闘牛というのは一応免除的な取り扱いということになっていますけれど、じゃあ、伝統行事であれば、これは闘犬だけではなくても、この間もお話ししたように、さまざまなものが、日本全国津々浦々ございますが、それが仮にみだりに傷つけるというものから除外されるということを、基本的な理解として受けとめるべきなのか、それとも、伝統行事であっても、いわゆる動物に対してかような苦しみを与える行為というのは、やはり虐待であると定義するのかというのは、これは恐らく議論として、今回手をつけなくても、ずっと未来永劫出てくるものだと思いますので、それをどう考えたらよいのかということです。

【林委員長】 それは、それを皆さんがどう考えておられるかということを聞くために、パブリックコメントをやるわけですから、論議は未来永劫に続くでしょうね。
 ほかに、いかがでしょう。
 虐待の防止は、全体に絡んでいるので長時間論議いただきましたが、そろそろ次に移ってよろしいですか。
(は い)

【林委員長】 次は、多頭飼育の適正化、ここで何かつけ加えるところ、あるいは、こういうふうに訂正した方がいいことはありますでしょうか。はい、どうぞ。

【野上委員】 多頭飼育の取りまとめの中で、届出制にするべきではないかという議論を明記していただきたいと思います。この最後の段落ですね、地域性が反映されるので、地方公共団体における条例等の対応で進めるべきではないかという意見のほかに、届け出制にという意見も多くありました。既に五つくらいの県で条例を定めていますが、これは本当に悪質な事例で、こじれにこじれて、持て余して、ようやく最後にできた条例です。 しかし、同じような事例があるにもかかわらず、未だに条例ができない自治体もたくさんあります。ですので、自治体の中には、やはり、法律で自治体が動けるような根拠を作ってほしいという意見もあるわけです。
 多頭飼育は、動物行政あるいは関わる人たちを非常に疲労困ぱいさせる、また労力も資金も無駄に使わせてしまう行為でもあります。これは防止の観点からも届出制にすべきではないかという意見がいろいろ出ていたわけですので、その意見を是非入れていただきたいと思います。

【林委員長】 ほかに、これまで出ていた意見で漏れているようなことがあれば。よろしいですか。また後からおっしゃっていただいても結構です。昨日、初めて見られていることもあるでしょうから、ずっとお読みいただいて、またお気づきになったら言っていただければと思うんですが。
 次は、自治体等の収容施設。これは数値基準とか、いろいろ論議いたしましたけれども、あそこでの論議のいろんなご意見がここに集約されているかどうか。いかがでしょうか。ここには殺処分のことについても書かれています。
 野上委員、どうぞ。

【野上委員】 上から2番目のところですが、財政事情云々というところがありますが、これは既に、譲渡を進めるために、施設を改善することについては環境省の方で予算をとっている。10年くらいの予定で、毎年、1億円くらいの予算が、既に手当されていると思います。財政事情はもちろん考慮すべきですけれども、そういう方向で財政は確保されているところもあると思います。
 それから、3番目の収容施設の公開に係る基準ですが、これは公共の施設ですので、原則として、すべて公開されていて、自分の犬が行方不明になったというような場合には、必ずそこに訪問して探すわけです。ですので、ここでいう公開とは、殺処分の公開ということではないかと思います。
 確かに、殺処分を公開する必要性があるかどうかについては、動物行政の判断でよろしいかと思いますが、収容施設の公開という言葉はちょっとおかしいのではないか。もともと公共施設として、原則としては公開されているものなので、この言葉はおかしいように思います。
 それから、施設内で実施される殺処分の方法については、ここにできるだけ苦痛のない方法をとることが原則であるということを明記していただきたいと思います。
 それから、具体的な殺処分手法については、現在の動物の殺処分方法に関する指針において、「社会的に容認されている通常の方法による」という言葉があったかと思いますが、そうではなくて、やはり科学的な、合理的な理由に基づいて、できるだけ動物に苦痛のない方法をとるということを明記していただきたいと思います。
 それから、最後の犬猫の引取りについてですが、これは法第35条の1項と2項に分かれていまして、1項は、飼い主が処分してほしいといって持ってくる犬・猫、第2項は、飼い主不明の犬・猫を第三者が持ってくるときにこれを引き取るというふうになっています。第1項については、この合理的に理由がある場合に限り、引き取るという条件をつけるのはいいと思いますが、第2項については、自分の犬であっても、拾った犬であるかのように装って持ってくるということもあり得るわけです。現実に、引取り数の3分の2くらいは、飼い主不明の犬と猫ですから、この第2項についても、引き取ったときの状況とか、みだりに引き取らないようにするということを、制限をつけるような書きぶりにしていくことが必要かと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。これは、ずっと上から順番にご意見をいただいたわけですが。
ほかにご意見はありますか。どうぞ、磯部委員。

【磯部委員】 公共施設だから公開が原則と言われた点ですが、実際にはどういうことなのでしょうか。公共施設の定義にもよりますし、また公開とは、何をイメージしているかにもよります。税金でつくられた施設だから、誰でも、そこでどんなことが行われているか見学できるはずだということならば、たしかに原則はそうかもしれないのですけれど、公共施設にも色々なものがあるわけであって、たとえば刑務所のような施設は、公共施設ではありますが、常に誰でもいつでもふらっと入っていけるように公開されているかというと、そうではないわけですよね。もちろん一定のルールの下に見学することはできるわけですけれど、誰でもいつでもオープンというわけではない。ですから、ちょっとこの文章は何をねらっているのかがよくわからない。殺処分の公開ということが、当然なのだとも言いがたいような気がいたしますけれど、そもそも何をねらいとした文章なのか、もう少し精査した方がよいのではないかと思うのですが。

【林委員長】 先ほど野上委員が言われたように、殺処分が適正に行われているかどうか、その施設を監視したいというような動きもあるものですから、そういうことの絡みでの表現だと思います。しかし、磯部委員がおっしゃったように、国のお金で出ているからすべて公開すべきだとは思わないし、また、そうなっていないんじゃないですか。例えば、動物実験施設や屠殺場もそうですけれども、基本的に、みんなにお見せすることがいい場合と悪い場合があって、それはちゃんと、一定の基準が作られているはずだと理解しています。収容施設の公開というのは、例えば、収容施設が、あまりにも動物にとって快適じゃない状況にあるということも含めて監視すべきではないかと。殺処分だけじゃなくて、そういうことも含まれているんじゃないかというふうには考えたんですが、それはいかがでしょう。
 今の野上委員のご意見は、殺処分を明解にしたい、そこを明確にしたような書きぶりにした方がいいということになりますか。

【野上委員】 この収容施設というのは、犬や猫が行方不明になったりした場合に捜しにいく施設です。基本的には、自分の犬や猫を捜したいという人たちなどは、誰でも行けるものになっているんですね、既に。ですから、何をもって公開と言っているのか。既に公開されているのに、どうなんだろうということですね。それで、言うならば、恐らく殺処分の方法が非常に残酷であるので、それをもっと一般に公開して、人々の監視の目を高めていく必要があるのではないかということでこの文脈があるというのであれば、それを明記した方がいいということです。
 現実に、幾つかの自治体では、積極的にでもないですけれども、殺処分の、もうガス室の中まで、殺されて息絶えるところまで見せている自治体もある。それによって、逆に、非常に教育的効果があって、こんなかわいそうな目に遭わせるんだったら、もう終生飼いましょうというふうに、飼い主の意識が変わるというところもあるので、前向きの意味もあります。

【林委員長】 確かに何でもかんでも公開するという意味ではないわけですけれども、そこをもうちょっとはっきりさせた書きぶりにした方がいいかなと思います。
 それから、その次の文章ですけれども、これはもちろん、殺処分は、その動物の苦痛を軽減するというか、できる限り動物に苦痛を与えないということですが、ここに書かれているのは、殺処分される動物の肉体的、精神的苦痛を軽減する観点からというものでは、ちょっと弱いということですか。先ほどのご意見は。

【野上委員】 現在の指針には、これに加えて「社会通念上、容認される手法で」というのが入っているんですね。これがあるために、非常にあいまいなものになってしまうので、そうではなくて、より科学的な、アメリカ獣医師会などが出している、もう少し、最新の科学的根拠に基づく動物に苦痛のない方法に、常に従っていくということを明記していただきたいということです。

【林委員長】 科学技術の進展を踏まえつつ、適切な手法をというふうになっているんですが。

【野上委員】 科学的知見を踏まえて、日本獣医師会等にとなっているので、それは、その原則をきちんと指針の中に明記し、それの詳細については、解説書なりを日本獣医師会が担うということについては、よろしいかと思います。

【林委員長】 わかりました。ほかには、いかがでしょう。はい、どうぞ。

【打越委員】 ちょっと、質問なんですけれども、動物愛護管理法を何度も読んでいると思っても、読んでいないものだなと思ったんですが、動物愛護管理法の35条の第6項、国は都道府県等に対し、予算の範囲内において、政令で定めるところにより、第1項の引取りに関し費用の一部を補助することができるという、この項目の存在意義がちょっとよくわからなくて、補助することができるというふうに、わざわざ定めなきゃいけないのかなと思うと、別に予算がつけば、ここの条文になくても、国が奨励的な補助を出すということは、別に問題はないのか、それとも……。しかも、費用の一部を補助するというのは、引き取りに際し補助するというのがよくわからなくて、これは一体どういうことなんだろうなと思います。それが例えば、先ほど野上委員が言った、収容施設の改善の補助が云々とかおっしゃっていたと思うんですけど、実際として、これはどういう条文で、何に補助を出しているのか、出していないのかを、ちょっと興味を持ったんですが。

【林委員長】 それは、どうぞ、室長から。

【西山動物愛護管理室長】 第35条の6項におっしゃる条文があって、政令で定めるところによるというふうになっていて、それは施行令の第2条なんですけれども、特定の施設、収容施設、殺処分施設又は焼却施設の設置に要する費用の額のうち、補助対象事業費の2分の1以内の額について行うものとすると。現状では、法律に基づく補助というのは、これだけなんですね。その実態として、平成21年度から、自治体に対して、施設整備に対する2分の1の補助金という制度があります。
 もう少し詳しく言うと、今年度、23年度からは、その半分が交付金の扱いになっていて、都道府県が設置する施設の費用については、交付金の方から2分の1を確保し得るという形になっています。予算上は、今年度からは補助金ベースで5,000万円、事業費ベースで1億円分の補助金が確保されています。逆にいうと、残りの2分の1は自治体が用意しなくてはいけないという仕組みになっています。

【打越委員】 せっかくなので、例えば、その予算の使い道とか、どういった自治体で、どのように使われているのかというのを聞ければ。それが、今後とも、そういう形で政策が行われた方がいいということであれば、きっとそういうパブリックコメントの意見が集まってくるでしょうから、そのあたりの実際のところも表に出してもいいのではと思うんですが。

【西山動物愛護管理室長】 平成21年度から、毎年、幾つかの自治体で、2分の1の補助金を用いています。政令上は施設の種類しか書いていないんですけれども、今やっている補助金の仕組みについては、殺処分される動物を減らすための施設の改善といいますか、生きている間できるだけいい環境で犬・猫に過ごしてもらったり、あるいは、新しい飼い主を見つけるためのスペースを新たに設けるとか、そういったことを中心に、補助金を活用するようにしています。ただ、今年度については、地震、大きな災害がありましたので、その被災動物を収容する施設に優先して配分しようということで、自治体にも呼びかけておりまして、まだ配分されていないんですけれども、その方向で調整中です。

【林委員長】 加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 すみません、ちょっと、違うところかもしれないんですけれども、最後の項目で、引取りについてはというところの書きぶりという点なんですけれども、これはもともと、35条の第1項は、求められたときはこれを引き取らなければならないというふうに定めていることを、正当な理由があると認められるような場合にはと、そういう意見が多分、出ているかと思うんですが、このときの正当な理由というのは何だろうというのを少し考えていると、逆に判断が難しいなというふうに思ったので、例えば、この文を、「引き取ることができる」というふうに、そういう意見も出たような気も、ちょっと、あるのですが、そういうふうにしてしまったときには、何か問題があるでしょうか。つまりは、自治体の方が、引き取らなくてもいいのでうちは引き取りませんと言えるようになってしまえるということにはなるんですけれども、それによって、具体的に、野良犬、野良猫が増えるとか、そういう問題につながるかというと、別の部分で、どこか補償というか、別の部分の強化をすることで対処ができるような気がするので、そのようなことはどうかということです。

【林委員長】 この問題に関しては如何でしょうか。

【永村委員】 私も詳しくはわかりませんが、いわゆる、一般の市民が、自分たちの環境をうろつくような犬がいて困ると、野犬が。仮に、それは狂犬病にかかっている可能性とかが否定できないとすれば、狂犬病の予防というような趣旨が、そこにかなり含まれているんじゃないかという気がしているんですけれども、いかがでしょうか。

【林委員長】 この条文の意味合いですね。私の理解では、不適切な飼い主のもとで非常に虐待されている動物が、そのまま劣悪な状況で飼育され続けるよりも、地方自治体が引き取って、これは適切に殺処分する方がいいという考え方ではないかと思います。
 それから、今言われた、飼い主側の方を考えてみても、本当は飼い主の責任かもしれないけれども、かみつくなど手に負えない状況で、飼い主が、ずっとその不幸な状態にい続けることを避けたいという、いろんな飼い主側の止むを得ない事情があって引き取るべきものは引き取るべきだという、そういう考え方が基本に、これまであったんではないかと思うんですが、今回、本当にいいかげんに持ってくる人を避けるために、ここを、何々しなければ、引き取らなければならないといった条件ではなくて、引き取ることができるという、たしかそういう論議も、僕の記憶ではありました。どうしましょうか、それは。
 はい、どうぞ、山口委員。

【山口委員】 そのときにも、私、最後の砦だと言った記憶があるんですけれども、それで渋谷委員が、正当な理由があるときはというふうな条件をつけたらと言われました。今でさえ引き取らなければならないとしているけれども、皆さん、これは、あなたはまだ飼えますよとか、いろいろ条件をつけて、引き取らないようにしていらっしゃる自治体もあるわけですよね。ここで引き取ることができるとしたら、やはり殺処分数を減らさなきゃならないとすると、人をかみ殺した犬でもうちは引き取りませんということが可能になったわけで、そうしますと、かなりの傷を負わせる犬があったりとか、土佐犬で死者が出たりというふうなことがあった場合は、これは断られた場合、その子たちがどうなるのかということの怖さがあると思います。

【加隈委員】 現在でも割と、行政の部分では一緒にしてしまっているかもしれませんが、一応、分けているかと思うんですけど。狂犬病予防法での捕獲というものと引き取りというもので、その捕獲というのは、飼育者がいないということかと思います。

【山口委員】 捕獲とは違って、人をかみ殺した犬というのは、近所からのいろんなことを言われますから、放すというより、自治体に持ってくるという、飼い主の引き取りということになると思うんです。

【加隈委員】 危険な動物という感じなんですね。

【山口委員】 そうですね。捕獲ではないと思います。

【加隈委員】 それは何か別の部分というか、引き取ることができるというのは、言い方だけで、むしろ正当な理由があるという判断というのが、逆に難しくなってこないかなという危惧をしているんですね。これは正当じゃないという判断の基準というものはどうなるのかなというところが気になったんです。

【林委員長】 青木委員、どうぞ。

【青木委員】 渋谷委員から、もし補足があれば、おっしゃっていただくのがいいと思いますが、今、加隈委員がおっしゃっていることは、正当な理由がある場合に限り引き取らなければならない、あるいは、正当な理由があれば引き取らなければならないという書きぶりにすると、かえってわからないんじゃないかということですね。しかし、正当な理由ということに関しては、例えば現在の行政の窓口で、引き取らないということにしている理由を洗い出して、ある程度、最大公約数的な、こういう場合は正当と認めていないんだというのを洗い出して、それを法律の条文じゃなく、もうちょっと下のレベルの、省令とかそういうところで列挙をするというような形で、多少は改善できるものだと思います。
 そして、同じことを心配するのであれば、引き取ることができるとした方が、もっと不明確度は増すような気がするので、「正当な理由がある場合は引取らなければならない」とすることを、この委員会として、パブリックコメントにかける段階で、止めておこうという議論には、私自身は反対です。渋谷委員の提案をとりあえずパブリックコメントにかけてみてもいいんじゃないでしょうか。

【斉藤委員】 今、言われた正当な理由というのは、非常に難しいかなと思います。あくまでも、離れた犬を保護するのは、抑留と言って、行政がやらなくてはならない仕事ですので、犬の場合は行政が保護するわけです。飼い主がいて、引き取りを希望する場合は、当然、行政としては理由を聞いて、できるだけ終生飼うようにというような指導をします。どこも今、やっていることと思いますが、こういうところにお願いする手もあるとか、いろいろな指導をしています。
 正当な理由ということでは、今、持ち込まれている中で、例えば病気になってどうしても飼えないとか、家庭の中でいろんな事情があって、例えば引っ越しをしなければいけないとか、今の飼育状況の中で、いろんな状況で、飼えないから持ってくるという事例が、かなり多いです。  自治体でも、全国の処分状況の数字を見ていただくと、かなりの差があります。何千頭までやっているところもあります。そういうことも考えて、確かに正当性というものを明確にして、これとこれは引き取る、これは引き取らないということが明確になればそのような方向もあるかもしれませんが、現状では、現実的には難しいのではないかと思います。

【林委員長】 山﨑委員、どうぞ。

【山﨑委員】 パブコメを求める観点から言えば、正当な理由があると認められる云々という言葉が一番妥当だということは、私も理解しておりますけれども、加隈委員がおっしゃった、正当な理由を定義するのは、非常に難しいというお気持ちもわかります。しかしこれは実際には、引き取らなければならぬというネガティブなとらえ方をしてはいけないということであろうと思います。動物虐待防止をする法律であれば、愛護センター、あるいは行政の一つが、真のシェルターであるか、それとも制限つきシェルターであるか、その定義をまずしなければいけないのだと思います。どのような地域社会の中でも真のシェルターというのは、先ほど山口委員がおっしゃった、最後の砦として必要です。そこの真のシェルターというのは、ハードルをなるべく低くするということが、一番の重要な存在意義なのです。結局のところ、正当な理由は何か。社宅に入れるようになったからもう飼えない。これが正当な理由ではないと拒否した場合、その犬はどうなるかといったら、闇から闇へ葬られたり、あるいは、道路に放され、山に放されるという危険もあるでしょう。あるいはどこかで、引き取ってくれるような多頭飼育者に渡されるという危険性もあるという意味では、例えば、引取料を高くしたりとか、それから、引き取るための条件を高くするというのは、これは決して、人間に制裁を加えるという理論で成り立たせるべきものではなく、動物を保護するという理論から成り立たなければならないものです。本当にそれに対応するためには、むしろ、出口の方の殺処分頭数を減らすとか、殺処分の方法をもっと吟味していくとか、そういった形で対応しなければいけないことであり、入口の問題というには、むしろ動物側に立ったら、我々が、通常、常識で思うことよりも、全く逆なのではないかというふうに思っています。

【野上委員】 正当な理由という条件をつけた方がいいと思います。それは、今、自治体がほとんど理由を聞かずに引き取っているところも結構ありまして、理由を聞くことによって、どういう事情で飼えなくなったかということが、ある意味、統計上、出てくるわけです。そうしますと、行政としても、対策をしやすくなる、というメリットがあります。それは、飼い主不明の犬・猫についても同様です。
 それから、2番目には、引き取った犬や猫をどうするかということですけれども、これは今、山﨑委員がおっしゃったように、まさに、これから動物の収容施設はシェルターにしていく必要があると思いますので、そういう意味で、引き取った後にすぐに殺処分する施設ではないということを明らかにしていく。
その意味で、動物愛護管理法の第35条の第4項に、「都道府県知事等は、動物の愛護を目的とする団体その他の者に犬及びねこの引取りを委託することができる」と書かれていますが、この部分をもう少し補強しまして、「都道府県知事等は、引き取った犬・猫を飼い主に返還又は新たな飼い主への譲渡を促進するために、動物の愛護を目的とする団体その他に委託する、あるいは協力を求めることができる」とする。これによって、シェルター運動を推進していく力になるのではないかというふうに思います。

【林委員長】 大体、この辺で、もう論議はいいと思うんです。これはこのままにいたします。どうぞ、短くお話ください。

【打越委員】 引き取る、できる、できないの問題ではなくて、先ほどの第6項、第1項のところを見ますと、第1項の引取りに対して、費用を補助すると書いてあって、でも、実際には引取りの補助ではなくて、処分とか、譲渡とか、そういうもののための補助をしているわけですよね。だとすると、実は、第35条の上に書いてある犬及び猫の引取りということしか法律の条文に入っていないのがいけなくて、自治体の業務として、例えば引取り・処分・譲渡というような形の項目にして、引取りに関する条文、それから処分に関する条文というのを、35条か、あるいは35条の2にしていくか、それとも、38条、39条と増やしていくか。要は、引取りという条文しかないのが問題なのであるというふうに思うんです。
それをさらに深めると、第4章 都道府県等の措置等という見出しになっているわけですが、この章は都道府県の措置の話だけが出ているわけではない。同じ第4章の中には、第38条の動物愛護推進員や、第39条の協議会の話まで入っていて、行政側が、住民に対するサービスというか、提供するものとしての措置以外のことも書いてあるので、そういう意味では、この自治体等の収容施設という話からスタートしましたけれども、第4章都道府県等の措置等ではなくて、都道府県に限らず、政令市なども含まれるわけですが、自治体の業務に関するというような章の見出しにして、そして、引取りだけを条文にするんじゃなくて、処分とか譲渡というのも、短い条文でもいいから入れていけば、自治体の業務だなということになってくるんじゃないかと思います。
そういう意味では、さらに、第35条の前の第34条、動物愛護担当職員のことには、ある意味、動物愛護担当職員がこの業務に大きく関わってくるわけですけれども、動物愛護担当職員の説明は、前の章の中で、周辺環境の整備とか、管理のために担当しなきゃいけないという項目の中に入れられているわけです。でも、だから、動物愛護担当職員の条文に関しても、ここに置いておくのがいいのか、それとも、第4章の方に入れていた方がいいのか、その項目立て自体が、今までの、ただ自治体の行政は引き取りをするだけということが意識された体制になっていると思うので、ここを少し動かせないかなというふうに、今、思いました。

【林委員長】 これは、今までの論議にないところまで入ってきているので、どうするかという問題なんですけど、少なくとも、ここのところは、正当な理由があると見てもらえるような場合にはと入れたこの真意は、動物の終生にわたる飼育を、やっぱりきちんと促すということですから、このままの形でパブリックコメントに書けるということにしたいというふうに思います。
 今、打越委員がおっしゃったことは、これまで論議していない部分も入っているんですが、これはどうしましょう。パブコメのところで聞くというようなことになりますかね。どうなりますかね。どうしたらいいですかね。

【打越委員】 すみません、パブコメに間に合うかどうかは、まだ来週、少しその報告書のところ、時間があると思うので、今言った第4章というものの項目立てをどうするのか、それから、引取りという条文しかないところをどうするのかは、私も考えて、環境省事務局あてに送りますけれども、もし可能であれば、善処していただきたいと思います。

【林委員長】 わかりました。では、そういうことで。
 次は、特定動物です。これもご覧いただいて、これまでの論議の意見集約がなされているかどうか。いかがでしょうか。
 最後の咬傷事故の抑制について、飼い主等の周辺情報を公表することが再発防止につながるのではないか。こういう意見は、確かにあったという記憶はあるんですけど、これはプライバシーとか、そういうことの問題はないんですか。

 はい、どうぞ。

【青木委員】 今、委員長がおっしゃったことですけれども、プライバシーとの問題、つまりどのように公開できるか、公表できるかという問題は、当然、あると思います。ただ、それ以前に、咬傷事故というと、典型的には犬のかみつき事故ですよね。そうすると、そもそも、これは特定動物の話なのかという、疑問がありまして、項目の置き場所も気になります。つまり、一定の危険犬種を指定して、それを特定動物と同じ扱いにすべきだという、ここの部分は、まさに特定動物という定義をどこまで広げるかという問題ですから、まさにこの項目の下にあっていいと思うんです。おそらく咬傷事故の問題は、それとセットになっているもので、これだけを独立して入れると、特定動物の問題の中で咬傷事故の問題を扱うことに何か違和感があるのです。

【林委員長】 そうですね。ここはちょっと、一般的な咬傷事故のことではないということの絡みで、危険犬種の話の絡みで書かれていると考えた方がいいのかなと思いますが。
 はい、どうぞ。

【加隈委員】 文章としましては、このままの形だと、やはり犬の話が突然出てくるんですけれども、現状では特定動物に入っていないので、やっぱり、その前置きとして、犬について特定動物に入れるかどうかとか、犬種について入れるかどうかという話があるけれどもということについて、コメントをいただきたいと思います。

【林委員長】 そうですね。どうぞ、山口委員。

【山口委員】 この議論のときに、基準をもう一度見直して、許可の基準を高くしていただいてというお話をさせていただいたと思うんですけれども、その項目もパブリックコメントの中に入れていただけたらと思うんです。特定動物によるいろんな問題が起こっている中で、やはりあまりにも飼える許可の基準が低過ぎて、誰でも飼えるような状態、許可ももらわずに飼っている人も多いわけですけれども、やはり、本当に飼えるかどうかということを判断してもらうためにも、基準のレベルを上げるということを、項目の中に入れていただけたらと思います。

【林委員長】 はい、どうぞ、打越委員。

【打越委員】 この中で、主な意見ということでリストアップされているので、委員の意見の中で多かったのは、実際には無理かもしれないけれども、本来、特定動物、野生動物とか、飼い切れなくなるような動物は、一般の人が飼養するべきではないという意見が、大分出ていたと思います。もうできることならば禁止してもらいたいという意見もあったと思います。それは、委員会全体の意見ではないにしても、かなり多く、批判的な意見は出ていましたので、パブリックコメントに出すときには、やっぱり、そういう意見もあるのだということを表に出していいのではないかと思います。

【林委員長】 この前段階ということですね。ほかに。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 今の打越委員の意見に追加ですが、専門委員会の議論が必要ということについて、動物種としての危険性についての専門家だけでは不十分と思います。やはり、社会的なルールですとか、管理の仕方等についても問題があって事故が起こるということはあります。例えば、動物園とか、サファリパークとか、そういうところでしばしば事故が起こったりしますね。ですので、動物の種類の専門性だけではなくて、今、どういう動物が、どういう事故を起こしているかというような、社会的な側面についての検討も、是非、ここに加えていただきたいというふうに思います。

【林委員長】 ここで各分野のと言っているのは、動物の専門分野だけではないという意味だと理解しているんですが。おっしゃるように動物のことだけの専門委員会では不十分だというのは、私もそう思います。そういうふうに読めないでしょうか。各分野というのは、各動物の有識者じゃなくて、各分野は、動物学もあれば、もっと社会学的なこともあるんじゃないかなというふうに。

【野上委員】 ただ、その前文で、「危険性、毒性、殺傷能力等の判断について専門性が高い」と書いてあるので、どうしても、そういう分野に限られてしまうように読めてしまうんですね。

【林委員長】 こことの整合性をとるということですね。

 井本委員、どうぞ。

【井本委員】 この一番最後のポツの咬傷事故の抑制についてというところですが、特定動物の項目に入っているから、つなげて考えることができるのですけど、これは事故の抑制というふうにした方がいいのではないかと思います。というのは、咬傷事故となると、咬むということが表に立ちますから、どうしても犬に結びついてしまいます。そうすると、話がまた違ってきます。ここでは、特定動物ですから、あらゆることが想定できますので、事故の抑制についてはというふうにされた方がいいだろうと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。ほかに。よろしいですか。
 ちょっと先を急ぎますが、今日、すべての項目を終えてしまわないと間に合わないのですが。
 次は、実験動物の福祉。よくおまとめていただいていると思うんですけれども、いかがでしょうか。
 はい、どうぞ。

【鍵山氏】 時間がないみたいなので、単刀直入に意見を言わせていただきます。3ポツのところですが、実験動物施設についてはという文なんですが、その次に、外部からのチェックができていないというところから、その3行下ですか、そのパラグラフの下から2行目、「これらの意見や」、ここまでは必要ないと考えます。理由ですが、まず、外部からのチェックができていない状態にある、表面に出てこないというふうに書いてありますが、これはヒアリングのときにご説明いたしましたが、日本は、動物愛護管理法、それから指針、ソフトロウ、そういったもので、外部検証を規定しているわけですから、このような説明をあえてここに書く必要はないであろうと。
 それから、その次に、また、文部科学省とございますけれども、それらの省が策定したガイドラインが適用されていない施設もある、と書かれていますが、これに関しましても、ヒアリングでご説明いたしましたが、確かにそのとおりだと。例えば、経済産業省の施設や何かがありますね。しかし、それは、日本学術会議の横断的なガイドライン等を用いまして、社団法人日本実験動物学会がきちんと説明・指導しておりますので、施設があるかどうか、あるという部分に、ここで一々書く必要はなくて、ここのところは要らないだろうと。
 であるから、私は、「実験動物施設については、」一番下の行に飛びます、「地震等、災害時の実態を把握するために、各自治体が届出制を検討する必要がある」ということであれば、これは私は、受け入れてもいいのではないかと。一つの考え方ですから。
 この災害時の問題ですが、前回のこの小委員会で取り上げられたというふうに伺っておりますが、実験動物の者が、あいにく、そのときにはいなくて、説明できていないと思うんです。ちょっとそこのところを言わせてほしいんですが、日本は、自主管理をしていると。それが功を奏して、動物施設が飼育を実際に把握している。だから、災害時に、人で言うところの点呼、こういうものができた。それで、被害の迅速な把握と復旧対応ができたということです。それが、いろいろ関係団体のネットワークの中でもってなされたと。それから、動物にとってのライフラインであります、えさとか、エネルギーとか、物資のことはどうだったかということも、ちょっと説明したいんですが、飼料、水、それから床敷きに関しましては、その動物施設間のネットワークができておりますので、支援体制があったと。それで自らの設備が、備蓄の状態がはっきりしているから、これができたわけで、そういった裏には、協議会の連携等がありました。
 それから、エネルギーも当然、足りなくなった。枯渇した。空調が停止する、そうすると、衛生管理、実験動物、SPFといいますが、そういった衛生管理も危機に見舞われた。それに関しては、インベントリというか、動物がどれだけいるのかというのを把握しているから、じゃあ、最少数の殺処分で、そのSPFの状態を維持するということが、迅速にできたということです。
 それから、救援物資の輸送に関しましては、社団法人日本実験動物協会等が支えになりまして、きちんとなされています。そういったことが、既に論文とか、セミナーの形で公表されている状況になります。ですから、学会、協会、そういったものが稼働しているということをちょっと、説明しておきたいと思います。

【林委員長】 そのことは、1ポツのところに、自主管理についてはなされているという意見がありますので、これはこれでいいんです。問題は、ここにいろんな異なる意見があった中で、間違い部分があるかどうかというところを、今、ご指摘いただきたいんですが、3ポツのところは確かに、外部からチェックができていない状況にあることからという文章だと、全部の施設が外部からのチェックができていないということになるんですが、これはどうなんですか。
 はい、どうぞ。

【打越委員】 私は鍵山氏がおっしゃるとおり、カットしてもいいのではないかと思うんです。というのは、たしか深夜営業の規制の話のときに、夜しか買いにいけない飼い主は云々みたいなところまで踏み込んで書いたら、そこまで書かなくもいいんじゃないかという話があったと思うんですね。ので、その実験施設については、事故時、災害時のためにも、自治体が把握する必要があるから届出制を作るべきだという意見があったというぐらいの表現で十分なのではないかと。逆に、本当にそう思うという人か多く集まれば、またそれはそれで、議論していけばいいのかなというふうに思いました。

【林委員長】 ありがとうございます。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 この部分を書く必要がないということではなくて、ここで議論されたことを書くのが、この委員会のとりまとめの趣旨なので、鍵山さんの意見のみを書くということにはなりかねると思います。
 外部からのチェックという意味ですけれども、私たちが外部という場合は、一般市民とか、社会に対しての、公的なチェックという意味です。ですので、研究者の仲間だけでやっている身内のチェックという意味ではなくて、社会に公開できるようなチェックです。そこまでも含めているかと。それはなされていないでしょうということが議論されていたかと思います。
 それから、ガイドラインについても、例えば、ガイドラインが適用されない施設も多々あるということも議論にあったと思います。実際に、例えば製薬会社ではどうなっているのかとか、あるいは、高校レベルとか、農業高校のようなところの実習とか、教育的な実習とかについても、どうなのか。文部科学省は、大学のみを対象としているけれども、それ以外はしていないというようなお話もありましたので、まだまだわからない部分がたくさんあるということです。
 実際に、実験動物施設を届出制にしている兵庫県の条例などを見ますと、そういうところも地方自治体がすべて網羅していて、そういう対策に寄与しているという事実がありますので、その部分は、はっきりとここに明記していただきたいと思います。
 それから、4番目、届出制を導入した場合に、審査のための立ち入りを実施した際にというようなことが書いてありますが、どこの自治体でも、動物行政は、獣医師がやっています。こういう立ち入りをやっている自治体においても、獣医師が見ていて、実験施設が適正であるということを示しているわけですね。そういうことが社会に公開されれば、その周辺の住民も安心するわけです。
 ですから、鍵山さんのご意見は、何か実験者の内部だけの話であって、一般国民ですとか、行政の公的な組織とか、近くの住民とかのことを全く考えていないというふうに思います。自主管理が悪いと言っているのではなくて、自主管理は大いにやっていただきたいですが、それが社会に見える形になっていない。不透明である、情報公開もなされていない、そういう問題が多々あるからこそ、不信感を持って見られているということを認識していただきたいと思います。
 それから最後の、実験動物はペットとは違うということなんですけれども、鍵山さんは、前回のヒアリングで、生産者団体は16で、そのうちさらに三つぐらいに絞られるというようなお話でしたが、社団法人日本実験動物協会の加盟者は、恐らく30とか50とか、何十もありますし、ここに入っていない業者も幾つもあるわけです。私たちは、すべての動物を飼育している、しかも多頭飼育している施設については、基本的に実態が把握されて、きちんとした管理がなされるべきであり、またその情報は、地域の住民や行政に対して把握されるべきであるというふうに考えています。ですので、実験動物の繁殖業者は届出から除外する、登録から除外するというのはおかしいと思います。

【林委員長】 ここで論議していただきたいのは、いろんな意見があったことは全部書くんです。だから、これは書くんですが、そこに事実誤認がある場合は訂正しなければならないということなんです。
 どうぞ。

【打越委員】 であるならば、届出制のことは届出制で短く書いて、実験施設を住民等に公表する、公開する必要があると考えるというふうな意見にして、この3つ目の黒ポツは、二つに分けた方がいいのではないでしょうか。野上委員の中では、つながっているのかもしれないんですけれども、とりあえず、届出制という制度をつくるという話と、情報を表に出すべきという話を分けて、論点を整理した方がいいのではないかと思います。

【林委員長】 これは別の問題もあるけど、ここは届出制で、地方自治体に把握されているということで、外部に全面的に公開するという話とはちょっと違うんだと僕は理解しているんですが、むしろ、そういう外部評価が入りやすいような仕組みのためにという意味ですから、ここは全部、届出制のところと絡んでいる論議だったという、それ以上の論議は、僕はなかったと記憶していますけれど。

【打越委員】 野上委員や渡辺委員は、やっぱり近くに住んでいて、住民として知りたいというようなことを大分はっきりおっしゃっていたと思うので、届出制で、とりあえず自治体が把握していればいいという以外の意見も出ていたかなと私は思って、分けたらどうかと言いました。

【林委員長】 じゃあ、加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 3点目に関しては、外部からのチェックができていない状況であるというのが、なかなか根拠がはっきりしない部分でもあったりしますが、恐らく、ガイドラインには、動物実験委員会などを作って、その中に外部の委員を入れるようにするというふうなものが通常ですが、それがきちんと遵守できているかということに関して、問題がまだあるようだということを、1点目から3点目にかけて、少しまだ、現状では十分ではないということは、はっきり言ってもいいのかなと思いました。
 それと、最後の点なんですけれども、対象に含めるべきではないという意見と、含まれた方がいいという意見が、両方あったというふうに記憶しておりますので、もしほかの部分と同じように、両側の意見を載せるということであれば、両側の意見を載せた方がいいのかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

【山﨑委員】 今の文言を、私も提案させていただきたかったのですが、産業動物と同様の、いわゆるペットとは、飼育管理方法が異なるという点に関しては、これと全く違う意見を、私、申し上げた記憶がございます。同じ愛護動物として、実験動物のウサギと、食べられるウサギと、それから、私どもがペットとして飼うウサギとでは、そのウサギの苦痛を感じる、いわゆる感性とか、そういったものは異なるわけではございませんので、その根本的なところを押さえるという飼養管理方法は異なることはないのです。基準というものは、一定というか、登録を必要とするというふうに、私は思っております。

【林委員長】 ここは、まず実験動物の福祉のところは、一番上に、自主管理なら、ある程度、実効性を持って遵守されているという発言に対して異論がある方はいなかったと思いますが、外部からのチェックが十分に機能していない状況であるという意見があったことも事実です。それについて、事実誤認がないかをここで確認していただくということで、恐らくこの辺は両方の意見を併記すべきだと思います。産業動物とか実験動物はペットと全く異なるという扱いをすべきだという意見もあったし、また、いや、それはそうではないという意見もありました。これは両論併記で書かないとまずいかなという感じはしていますが、よろしいでしょうか、そういう扱いで。
【野上委員】 一番上の項目についてですが、「関係法令や指針等に違反した場合には、研究費配分の停止や論文が不採用になる。これは研究者にとって非常に重大な不利益である」というところですが、確かにそうではありますが、実際には、このような分野で行われる動物実験はむしろ少ないわけです。教育用とか、あるいは製薬会社ですとか、あるいは毒性試験ですとか、さまざまな分野で研究費の配分とも論文とも関係のない部分での実験が多々あるわけです。ですから、これは国が研究費を出している一部分はそうではあっても、すべての実験については、そうではないという、この限定を入れていただきたいと思います。

【林委員長】 よろしいでしょうか。ここは、そういう扱いで。
 どうぞ、青木委員。

【青木委員】 今、お話を伺っていて、この部分については、両立しない見解があるということがわかりづらいことが問題かなという気がするんですよね。確かに、1番目のポツと3番目のポツは、それぞれ違うお立場の方がおっしゃったことで、それぞれの方は、このようにおっしゃったということだと思うんですね。だから、それぞれ反対の方が、そこは間違っているからと言いあっても多分きりがないでしょう。それは両方とも確かに私は聞いたと思うので、書きぶりとしては、それが合っているかどうかではなく、その人はそう考えたということがわかるようにするということが、両論併記の場合は重要でしょう。だから委員会全体として、この1番と3番をみんなで共通見解として持ったということではないんだということがわかるようにすれば、少しはいいかなという気がします。以上です。

【林委員長】 はい、わかりました。

【鍵山氏】 これまでの議論に参加していないので、ちょっと私の把握がよろしくないかもしれないけれども、ただ、今日、お話を伺っていて、若干、事実に対する誤認があると思ったので、それを正す意味で、発言をさせていただきました。

【林委員長】 事実と全く反していることは、個人の方がそうおっしゃったとしても、これはパブリックコメントにかけるべきかどうかというのは、いかがでしょう。全く間違っている点があればのお話で。

【鍵山氏】 例えば、社会から見える形にすると、それは届出制だけではなくて、ほかのあり方があると。それで、日本の場合は自主管理であるから、所管省並びに把握している団体が数を把握しているから、地震のときにすぐ対応がとれたと。それは事実でございます。
 それから、あとは動物実験委員会に、研究者方がそうやっているというふうに考えられたのは、それは大間違いで、確かに外部委員を入れろということは書いていないけれども、その他の識見を有するということで、外部委員を入れているところもあると。
 それから、外部検証でありますけれども、アメリカは、外部検証は、一般市民のような方を入れているというふうに、この間、ご発言があったのですが、そうではなくて、やはり専門家だけの集団でもって、専門家が外部検証をやっているということも違うなと思って伺っておりました。以上でございます。

【林委員長】 すべての施設が外部からのチェックができていない状況であるというのは、これは事実じゃないと思うんですね。ちゃんと外部評価委員も入れているところもあるし、入れていないとこもあるというのが事実ですね。

【鍵山氏】 日本の法令では、外部委員を入れろとは書いていない。ただし、レイパーソン、素人を入れろということを書いてあるから、そういう対応をとっております。

【林委員長】 書き方はちょっと、難しいんですけれども、先ほど言われたように、こういう意見については、全体の合意がなっていないということをはっきりわかるような書きぶりをした方がいいという青木委員のお話で、これはそういうふうにさせていただきたいと思います。 ただ、意見が複数の方から出ている内容である場合には、これは一つの意見として、パブリックコメントにかけた方がいいだろうということですね。 よろしいですか。
(はい)

【林委員長】 それでは、産業動物の福祉ですが、これはいかがでしょう。
 はい、どうぞ。

【永村委員】 1ポツのところなんですけれども、社団法人日本草地畜産種子協会会長の信國卓史さんが、ここはヒアリングの対象だったと思いますが、信國さんの引用としては、家畜にとっては、いいような状況に置いておかないと、生産性もむしろ下がってしまうから、全体として、かなりの部分、動物が健康に飼われているということには、大半の生産者が留意していますよと。そういう点だったと思うんです。ですから、最後の、特に取り組みが行われている現場もあるという書き方は、非常に限定的になっているので、強いて書けば、さらに動物愛護的な要素を取り入れた飼養管理を一つの売り物といいますか、それをプラスの要素として生産をしている農家も一部あると、こういう表現にしていただければ、ありがたいと思います。

【林委員長】 そうですね、わかりました。
 ほかのところは、よろしいですか。何しろ、家畜の場合は、なかなか認知度が低いというところがあるものですから、最後にこういう表現で普及啓発を、より進めていく必要があるというようなご意見があったと思います。
 どうぞ、加隈委員。

【加隈委員】 この実際の会議のときに不在だったんですけれども、2つ目のポツのところで、飼養基準の設定などによって規制を強化することは支持を得られないのではないかというふうに書いてあるんですけれども、実際には、社団法人畜産技術協会は飼養基準というものを既に策定していて、法的縛りがあるわけではないかもしれませんけれども、それは、既に行われているということは、どこかに入れてもいいのかと思います。

【林委員長】 そうですね。ほかに。はい、どうぞ、野上委員。
【野上委員】 「飼養基準の設定によって、規制の強化は社会的支持が得られていないのではないか」というところですが、これは間違っているのではないかと思います。飼養基準というのは、既に、もう環境省の飼養基準はあるわけですよね。これが20年ぐらいたっていて、非常に時代に合わないものになっているので、より社会的な要請や、現実を反映させた飼養基準を再設定しようということになっているわけですから、ここで社会的な支持が得られていないのではないかというふうに結論づけるのは、間違いではないかと思います。
 それから、家畜については、この一番上なんですけれども、既に取組が行われている現場もあるというのが、正しい認識ではないかと思います。というのも、現在、農水省がパブコメにかけている畜産物の品質基準の改定ですが、それを見ますと、さらに、肉の量を増大させるとか、あるいは脂肪交雑、霜降り肉の状態を増やすとか、そういう方向に進んでいる側面もあるわけです。そのように、経済効率一辺倒で進んできた結果、家畜に加重の負担がかけられている。そして、死ぬ寸前、今回の震災のときで報道されていましたように、もう極限まで太らせて、これ以上太らせると死んでしまうという極限で出荷するというようなことが、新聞にも書かれていました。つまり、そういうような生産効率追求主義が、家畜の健康や福祉を阻害している面があるということを、やはり、きちんと明記していただきたいと思います。

【林委員長】 これは、ここのところとは別に、そういうご意見があったことは記憶していますので、つまり、こういうことですね。一言で言うと、家畜が、経済効率重視ということで飼育されているために、動物の福祉、家畜の福祉が損なわれている危険性があるというか、そういうことですね。そういうご意見は、ありました。

【野上委員】 それが基本認識で、これを改定しようということになっているわけですから、そこのところははっきり書いていただきたいです。

【林委員長】 山﨑委員、どうぞ。

【山﨑委員】 現時点では、社会的な支持が得られていないのではないかという、このポイントに関しましては、議論を思い浮かべれば、現時点では、社会的な教育なしには、支持を得ることは難しいのではないかという事であったと思います。要するに、情報がないために、高いお肉か、安いお肉かといったら、それは安いお肉の方がいいという人が多いであろうけれど、情報が入った時点ではどれを選ぶかということに関しては、まだ未知数であるというような議論もあった記憶がございますので、どういうふうに文言を変えるか、ちょっと私もわかりませんが、例えば、「社会的な教育なしには」でどうでしょう。それぐらいしか今は考えられませんけれども、その点が、やはり欠けているのではないかなと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。これは、この辺でよろしいでしょうか。今日は、次の罰則の引き上げまでの論議で終了したいと思います。
 罰則の引き上げにつきましては、最初に論議いたしました、虐待の防止との絡みもありますが、全体的には、罰則の強化ですね。そうでなくて、罰則の強化は、必要ないというご意見はありましたか。どうぞ。

【青木委員】 私、これについては、林委員長から時間をいただいて、ちょっとコメントをさせていただいたことがあるので、結論だけをもう1回言いますと、一般的に、罰則全体を強化するということを大きく問われても、なかなか答えづらいです。一般論としては、刑罰が重くなれば、抑止力が上がることは確かですので、これ自体が間違っているとも言いづらいですね。
 ただ、私は、動物殺傷罪の懲役1年という法定刑の上限は、少なくとも、イギリスの2006年動物福祉法に比べても、遜色のない重さまで達しているし、それから、裁判所の裁判例を見ても、必ずしも、そんな上限まで適用していません。ひどい事例だと思うのも、裁判所は、そんなに重い刑を科していません。それは裁判所が悪いという議論はあると思うけれども、今のところ、裁判所はその程度の認識であるということを考えると、まだまだ、1年としておけば、十分それより重いものを科せる土俵は確保されているということもあるので、殺傷罪については、現行のままでもいいのではないかという意見を持っています。ただ、後の方の法人重罰とか、そういうことについては、検討してもいいだろうという意見です。以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。私もその記憶はありまして、このご意見も入れさせていただいた方がいいんではないかと思います。 ほかには。はい、どうぞ、野上委員。

【野上委員】 具体的な懲役や罰金だけではなくて、行政処分としての罰則についても、あわせて引き上げるべきであるという意見があったと思いますので、その部分も書いていただきたいと思います。

【林委員長】 そうですね。たしか、その記憶はあります。
 ほかに。これはこれでよろしいですか。この辺で。
(はい)

【林委員長】 ということで、本当に申し訳ないですが、今日、私の不手際もありまして、その他は取り残すことになってしまいました。どうぞ。

【山口委員】 申し訳ございません。ただ、この中に挙げられていなかったことで、産業動物の方に、「五つの自由」の概念を入れようというふうに書かれているんですけれども、この「五つの自由」の概念を、もっと上の段階で、原則といいますか、法律全体にかかるような形でという意見があったと思いますので、それは入れていただけたらなと思います。
 それから、多頭飼育のときに、厳しくするとか、基準とか、何頭以上は登録するとかというお話とともに、その対応する仕組み作りも考えなければ、実際に対応できないというお話もあったと思いますので、その仕組み作りのことも、入れていただけたらなというふうに思います。  それから、特定動物の基準の強化といいますか、これは何もオリを「しっかりせい。」という意味ではなくて、動物福祉の観点から考えれば、今の基準では不足ですので、動物福祉に十分配慮した基準にすると、特定動物をペットとして飼うのは難しくなるということなので、特定動物の動物福祉の観点からの基準強化ということをお願いしたいと思います。

【林委員長】 はい、では、どうぞ。

【渡邉自然環境局長】 ありがとうございました。今日は、その他の前までご議論を進めていただいたということになりましたので、できれば、事務局の方で少し検討してみようと思いますけれども、次回の小委員会では、今日、議論いただいたところは、報告書の(案)という形で、皆さんにご議論いただけるようにしたいと思いますし、その他の部分についても、できれば、大きい点で何かご意見があれば、事前に事務局に寄せていただいて、そういうのも加味して、あわせて報告書(案)という形で用意して、それをベースにご議論いただけるようにできればと思いますので、事務局で、そういう準備ができるかどうか検討した上でいきたいと思います。いずれにしても、その他のところで大きい意見等ありましたら、次回の小委員会までに事務局にメールなどでお知らせいただければと思います。よろしくお願いします。

【林委員長】 ありがとうございます。ぜひ、ご意見を事務局へお送りいただきたく思います。そういうことでよろしいですか。
(は い)

【事務局】 次回の小委員会は、10月31日、14時から16時30分に開催する予定です。会場は、三田共用会議所大会議室となっております。
 林委員長を始め、委員の皆様におかれましては、ご多忙のところご出席いただき、ありがとうございました。これをもちまして、本日の動物愛護管理のあり方検討小委員会を閉会いたします。