中央環境審議会動物愛護部会 動物愛護管理のあり方検討小委員会 (第19回)議事録

1.日時

平成23年8月31日(水)午前9時30分~午前12時17分

2.場所

三番町共用会議所1階 第2~4会議室
(千代田区九段南2-1-5)

3.出席者

林委員長、青木委員、井本委員、臼井委員、打越委員、浦野委員、
太田委員、小方委員、加隈委員、斉藤委員、渋谷委員、永村委員、
野上委員、水越委員、山口委員、山崎委員、渡辺委員、
渡邉自然環境局長、小林審議官、田中総務課長、西山動物愛護管理室長ほか

4.議題

  1. (1)自治体等の収容施設
  2. (2)犬猫のマイクロチップの義務化
  3. (3)犬猫の不妊去勢の義務化
  4. (4)飼い主のいない猫の繁殖制限
  5. (5)その他

5.配付資料

資料4-1
自治体等の収容施設について
資料4-2
自治体における犬・猫の引取り等の業務実施状況
資料4-3
「犬又はねこの引取り業務に当たっての参考事項」の送付について
資料5
犬猫のマイクロチップの義務化について
資料6-1
犬猫の不妊去勢の義務化について
資料6-2
犬・猫の引取り等手数料及び不妊・去勢手術助成
資料7-1
飼い主のいない猫の繁殖制限について (一部委員限り)
資料7-2
住宅密集地における犬猫の適正飼養ガイドライン
資料7-3
猫の保護(愛護)及び管理に関する要網等の概要
<委員限り>資料7-1表2-5-12
改善が難しい事案における対策の障害とそれに係る具体的な事情の例
<委員限り>
野上委員提出資料
  1.  多頭飼育問題の新聞記事(朝日新聞)
  2.  行政の施設(市町村の引取り・一時保管場所)(茨城県)
  3.  犬猫の一時保管に関するアンケート(茨城県)
  4.  犬猫の引取り依頼書(業者)
  5.  犬猫の引取り依頼書(個人)
  6.  犬抑留所(福井県)

リーフレット、犬や猫の殺処分を減らし無くそう

<委員限り>
渡辺委員提出資料
  • 資料1~3は第18回配布資料を参照。

6.議事

【事務局】 定刻になりましたので第19回動物愛護管理のあり方検討小委員会をこれから始めたいと思います。
 本日は、委員の皆様、昨日に引き続きまして、早朝からご出席いただきまして、どうもありがとうございます。
 しばらくの間、事務局のほうで進行を務めさせていただきたいと思います。
 本日は、委員18名のうち磯部委員がご欠席でございまして、17名の出席でございます。過半数を超えておりますので、本日も小委員会は成立いたしましたことをご報告申し上げます。
 続きまして、配付資料でございます。昨日からご参加いただいている方につきましては、昨日と引き続き同じ資料でございます。資料1番から7番、また委員限りで3種類の資料がございます。野上委員、渡辺委員からのご提出資料、また事務局からの資料の3枚となってございます。
 本日の委員会の資料並びに本日の議事の発言につきましては、後日、環境省のホームページでも公表させていただきます。
 それでは、ここからの進行は林委員長のほうにお願いいたします。

【林委員長】 それでは、ただいまから第19回動物愛護管理のあり方検討小委員会を開催いたします。
 議事に先立ちまして、渡邉局長からごあいさつをいただきます。

【渡邉自然環境局長】 ありがとうございます。
 皆さん、おはようございます。昨日の午後から2日連続しての開催にも関わらず、また、大変、皆さん、お忙しい中、ご出席いただきまして本当にありがとうございました。
 今日は、昨日からの続けての議論ということで、8月3日に行いました自治体の方からのヒアリングをも受け、自治体の収容施設について、加えて犬猫のマイクロチップや不妊去勢の義務化の件、そして都市部の地域猫の状況を改善していくための飼い主のいない猫の繁殖制限の課題、こういった課題について、ご議論を昨日に引き続いて行っていただければというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ただいま、局長からお話がありましたように、今日は四つの内容について論議いただきます。最初の自治体等の収容施設、これには1時間を当てたいというふうに思います。残りの三つを30分ずつ、これは犬猫のマイクロチップの義務化30分、犬猫の不妊去勢の義務化30分、飼い主のいない猫の繁殖制限30分というふうに進めてまいりたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(はい)

【林委員長】 それでは早速、事務局からご説明いただきますけれども、その前に、昨日の最後の内容でございました罰則の引き上げについて、昨日、お帰りになられてから青木委員が少し調べられたというふうにお話をお聞きしていますので、最初に、そのことをお話しいただいて、今日の議題に入りたいと思います。

【青木委員】 皆さんのお時間をいただきますので、なるべく私自身の評価というより参考になる事実ということを申し上げます。
 昨日の小委員会では、もう少し緻密な法の施行後の変化の点検という側面をもうちょっとちゃんと重視しようではないかと、こういうご意見があったと思います。そして、この指摘は繰り返し、この委員会でいろいろな場面で出ていると思います。そういう見地から、罰則について点検ということができる資料が既に我々に提示されているかどうかということを考えますと、我々が委員としていただいている資料の中で、辛うじて動物虐待罪関連、現行法44条の運用状況については、多少の事実を資料に基づいて指摘できると思いますので、それを参考までに最初に申し上げさせていただきたいと思います。
 まず、資料としましては、以前、冊子体でいただきました動物の遺棄・虐待事例等調査報告書という、これは恐らく山口委員なども関与してお作りになったのではないかと思いますが、平成21年度の資料に、動物の保護及び管理に関する法律及び動物の愛護及び管理に関する法律の違反人員という、こういう一覧表がございます。これに基づいて考えますと、現行法の規定形式がほぼ完成したのが1999年の前々回の改正ということになります。そして、2005年の改正は、ご存じのとおり、動物虐待罪と動物遺棄罪についての罰金だけが引き上げられました。ですから、本当は2段階の変化を追わなければいけないのですが、実は、2005年以降の裁判資料がどうなっているかということがよくわからないので、罰金3万円だった動物虐待罪が動物殺傷については最高懲役1年までいったということで、最も大きく法定刑が劇的に変わった1999年改正の結果、裁判実務あるいは検察実務がどう変わったかと、これについて分析する必要があると思います。
 そうしますと、確かに、量的な意味での変化はあると思います。例えば、99年の改正が施行された後の変化ということを見るときは、2001年を境として受理件数とか起訴件数を見るということになりますが、数字を数えますと、2001年、平成13年から2008年、平成20年までの8年間に起訴された被告人の総数は98人ということになっております。その一方、動管法が施行された1974年から2000年までの27年間、この27年間は動物虐待罪の法定刑の上限は罰金3万円だった時代ですが、その27年間で起訴された被告人の総数は84名なのです。つまり、99年改正後の8年間で起訴された人数のほうが、それ以前の27年間よりも多いということになりますので、法定刑の引き上げが量的な意味での一定の効果を持ったということは間違いない。ただ、それが十分な変化であったかどうかということについては、評価はいろいろだろうと思います。これが一つです。
 それから、質的な意味の変化ですが、法定刑が大幅に変わりましたので、当然、言い渡すことのできる刑罰の幅が広がりました。そして、恐らく、皆さんのご関心は、懲役刑が入ることによって、どのような裁判所の判断に変化があったかと、こういうことだと思うのです。これも資料が完全にそろっているわけではないのですが、2回の報告書が出ておりますが、それを見ますと、2001年以降、罰金刑がもちろん多く、それは大体10万円から30万円の罰金刑なのですが、動物殺傷罪については判決で懲役刑が言い渡された裁判例も七つか八つぐらいあります。ただ、それのほとんどは執行猶予がついております。ですから、事例を見ますと極めて悪質で、恐らく、こういうのを処罰することについては、動物愛護に関心のある人であるかどうかを問わず、みんな、相当、これはひどいと納得できるだろうと思われるものであっても、例えば懲役6月執行猶予3年というような判決が出ていることが多いのです。ですから、検察実務には多少の影響があるということは言えるだろうと。しかし、現在の裁判所の実務、昨日、磯部先生が「相場」という言葉をお使いになっていましたが、これは立法上の相場と裁判官が言い渡す宣告刑の相場と両方あると思いますが、相場という点では、例えば懲役1年の実刑判決で執行猶予がつかないというような判決をどんどん出すというところまでは現在いっていないと。このことを考える必要があろうかと思います。
 それから、もう一つだけ、ついでに申し上げますと、恐らく現在、最も世界で完備された動物保護法は、2006年のイギリスのAnimal Welfare Actという動物福祉法だと思います。そこには幅広く動物福祉を害する犯罪類型が規定されているわけですが、最も典型的な動物に不必要な苦痛を与える罪に対する法定刑の上限は51週を超えない禁錮刑というふうになっておりまして、51週というのは、ほぼ1年ですね。ですから、法定刑の水準からすると、懲役1年というのはAnimal Welfare Actとほぼ同じぐらいにまでいっていると。ですから、むしろ運用のほうに大きな違いがあるということです。ただ、運用の違いも、刑事訴訟法が違うのです。ですから、実体法である法定刑を変えたからといって、イギリスのように例えば年間何百件、あるいは1,000件近くの動物虐待関連の、あるいは動物福祉法違反の起訴が行われるということは、日本では制度上あり得ないということになりますので、実体法だけで考えてはだめで、手続法の大きな違い、それから裁判所の位置づけといいましょうか、裁判所の身近さといいましょうか、そういった問題も考えなくてはいけないということを考慮に入れた上で、皆さん、意見をまとめられるのがいいと思います。
 以上です。長くなりまして、失礼しました。

【林委員長】 ありがとうございました。大変参考になります。何か、このことについて、直接、ご意見はありますか。よろしいですか。

(はい)

【林委員長】 お話頂いたことは、今後、検討していく上で参考になると思います。
 それでは、本日の内容に入りたいと思います。
 自治体等の収容施設について、事務局からご説明いただきます。

【事務局】 それでは、資料4-1をご覧ください。
 自治体等の収容施設についてとありますけれども、内容的には三つのパートに分かれております。(1)収容施設の基準と(2)犬猫の殺処分方法の検討、そして(3)犬猫の引取りルールについて、この三つについてご議論いただきたいと考えています。
 現状としまして、収容施設ですけれども、自治体におかれましては動愛法の業務に基づく犬・猫の引取りや処分等を行っており、これらの収容施設を複数有しております。これに関しましては、資料4-2に、どういったものがあるか、数的なものに関して調査したものがございます。自治体によっていわゆる動物愛護センターというものを持っているところと持っていないところがあって、また、保管は、動物愛護センターを持っているところは、ほぼ、そういったところで保管しているのですけれども、引取りに関しては愛護センターではない保健所で引取ったりですとか、複数の施設で引取りを行っているというようなことが全体的な傾向としてあると考えております。現在は、これらの施設に関する基準は存在しておりません。また、こうした施設の一般市民に対する公開の状況ですけれども、すべて公開している自治体もあれば、一部のみ公開、また譲渡・返還希望者のみに公開している自治体などがございます。
 続きまして、(2)犬猫の殺処分方法の現状ですけれども、引取り等により収容した犬・猫のうち、返還、譲渡等ができず、さらに一定の保管日数が過ぎれば殺処分されてしまうという現状がございます。この一定の保管日数ですけれども、これも資料4-2に自治体ごとの保管日数を調査したデータを掲載しております。自治体の中でも、また引き取った犬・猫によっても、保管日数というのは変わってきているものと思います。殺処分につきましては、「動物の殺処分方法に関する指針」に基づいて、できる限り動物に苦痛を与えない方法によって行われております。具体的な方法につきましても、資料4-2に示しております。環境省のほうで数えましたところ、薬品のみで行っているところは犬が10の自治体、猫が11の自治体、残りは炭酸ガスのみを行っている場合と、炭酸ガスと、また状況に応じて動物の種類によってガスと薬品を併用している場合、そこはほぼ同数ということになっております。なお、殺処分数につきましては、年々減少しております。直近のデータは、平成21年のデータですけれども、犬・猫を合わせて23万頭ということになっております。
 続きまして、(3)犬・猫の引取りルールになりますけれども、引取りに関しては動愛法の第35条第1項及び第2項に規定されております。法の条文の抜粋は、その下にございます。また、具体的な方法につきましては、告示で「犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」というものを示しております。また、資料4-3になりますけれども、「犬又はねこの引取り業務に当たっての参考事項」という事務連絡を平成21年2月に出しておりまして、これで安易に、または何度も自治体の愛護センター等へ所有する犬・猫の引取りを求める、いわゆるリピーターに対する先進的な取組を整理して自治体に紹介しているということでございます。資料4-3の2ページをご覧いただきますと、窓口で、引取りはあくまでも緊急避難措置であって今後はやめてくださいというようなことを啓発すると、そういったことが書かれております。
 また、引取り手数料につきましては、それを徴収することによって悪質なリピーターの引取りを減らすという効果がある一方、遺棄が増加するという懸念もございます。引取り手数料につきましては、ちょっと資料が異なるのですが、資料6の5ページ目以降に自治体の引取り手数料が幾らかという一覧をつけてございます。
 続きまして、資料4-1の2ページ目の真ん中より下の 2.主な意見のところにいきますと、(1)収容施設の基準につきましては、愛護団体からは適正飼育、公開等について全国一律の基準を設けるべきという要望がなされております。また、(2)殺処分方法につきましては、すべて薬品による処分とすべきというふうにされております。一方、殺処分方法について、前回のヒアリングでは、山梨県からの意見としては、薬品による処分の場合、職員の数や精神的負担が問題となりますと。また、動物が暴れた場合、薬品を投与するために保定する行為が動物にとって苦痛となるとともに、職員の安全確保が困難となるおそれがございます。また、(3)犬猫の引取りルールに関して、法第35条、資料4-1の2ページ目の上のほうにありますけれども、「犬又はねこの引取りをその所有者から求められたときは、これを引き取らなければならない。」と、「ならない」というふうな書き方がされておりますけれども、これを自治体側で断れるような条文とすべきではないかという意見が出されております。
 続きまして、資料4-1の3ページの3.主な論点ですけれども、(1)収容施設の基準を考える場合に、収容施設の中でも収容直後の一時的な留め置きや譲渡先を探すための長期的な収容などさまざまな目的の施設があって、それぞれ目的に応じた施設基準を、作るとすれば、作る必要がありますと。また、施設基準を示す場合、自治体の財政事情も考慮すると、まずは拘束力のないものとする必要があるのではないか。また、施設の公開基準が必要なのかと。地域によって事情も異なりますので、自治体ごとの事情も考慮する必要があるのではないかと。
 (2)殺処分方法につきましては、殺処分される動物の肉体的・精神的苦痛を軽減する観点から、処分量の多寡や各個体の特性等に応じて方法を使い分けることが必要。また、科学的・技術的な進展も踏まえることが必要。一方で、これらの処分を行う職員の精神的負担を増やさない配慮や安全確保の検討が必要ですと。
 また、(3)犬猫の引取りルールに関しましては、既に自治体でもさまざまな取組が行われておりますけれども、これに関して、更なる対策がありますかと。また、やむを得ず引取りを求める立場には、どのように配慮すべきか。また、現在でも窓口での指導・啓発など、引取りを減らすよう取り組んでいる自治体もある中、法律で書かれている条文を変えて自治体の裁量で引取りを断れるようにする必要があるのかといったところをご議論いただきたいと思います。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、早速、ご意見を。打越委員。

【打越委員】 自治体の収容施設ということで、行政の現場に関わるところですので、幾つか意見を出したいと思います。
 まず、ここに書かれている、例えば飼養基準とか適正飼育とか公開について、何か全国一律の基準を設けるのはいいのですけれども、自治体の行政をこうしなければならないと義務づけしようと思ったら、法律の条文に定まっていなければ義務づけはできないはずです。地方自治体がそれぞれ自立的に判断をするという地方分権が保証された時代ですので、法律に乗せない限りは義務づけというわけにはいかないと思います。ですので、法律の条文でいくか、それとも政令、省令でいくかということの最初の判断が重要になってくるかなと思います。実際には、すべてを義務づけというのは難しいのかもしれないなと思うと、政令、省令レベルになってくるのかなと。拘束力のない基準を示すというのが、今できる精一杯のことなのではないかと考えています。
 その上で、施設の基準と公開等についてなのですけれども、まず、施設の基準を示す云々という話ですけれども、これまで私たちは動物取扱業者の飼養基準とか施設の基準について大分議論をしてきて、なかなか数値を盛り込みたくても盛り込めない、あるいは動物種によっていろいろ違うというので大分苦労してきたところであります。ただ、ある意味、自治体に関して、そういった話が進められなければ、全国の自治体の担当者は財政事情等があって苦しいところだとは思うのですけれども、「だって、自治体の保護施設だって、あんなに汚いじゃない」と言われてしまったら動物取扱業者の指導もできないわけでして、そういった意味では、「隗より始めよ」と言いますので、自治体の側で何かの模範的な施設基準のようなものを作っていく努力が必要なのではないか。自治体も国のレベルでも、そうやってこそ動物取扱業者に厳しい物言いができるようになるのではないかと思います。そういう意味では、何らかの基準を作っていきたい、前々から私はアンモニア臭の話を何度もしているのですけれども、何らかの基準を作っていきたいと感じます。それが施設基準です。
 もう1点は、公開についてです。公開というのが、実は何を指しているのか。いつでも、誰でも出入り自由という公開なのか、それとも事前に例えば取材申し込みをして、あるいは見学申し込みをしたら職員が付き添って案内するという形なのか、公開の概念がちょっと分かりません。それがまさに自治体によってばらばらというところだと思うのですけれども、もしも例えば公開を基本的に望ましいものとする場合には、どのような公開を望ましいとするかというのを、この委員会で話し合わねばならないとに思います。その上で、もし職員がついた上できちんと見学案内をするというのであるならば、私は全面的にすべての自治体はすべての施設を見せる仕組みを整えていくべきだと思います。
 もちろん、不衛生であったり、また、ある意味、動物愛護団体の中にも、かなり感情的な言葉を平気で自治体職員の前で、「こんなのアウシュビッツじゃない」「職員って怠慢ね」なんていう言い方をする愛護団体がいますけれども、そういう人たちも教育した上で自治体の側の情報を外に出していく。そうしないことには官と民の協力は始まらないと思いますので、何がしかの方法で一般の人が施設のすべてを見られる、それが望ましいと、私は表に出すべきだというふうに考えています。斉藤委員などが自治体の立場を一番代弁する立場だと思うのですけれども、神戸市の動物管理センターがえらく汚かったときに、公益社団法人日本動物福祉協会の阪神支部の皆さんが現場に入って現地を見て、そこから協働が始まったと聞いておりますので、見学可能とすべきと思います。長くなりました。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ほかに。水越委員、そして、野上委員。

【水越委員】 収容施設等の基準について、私も基準があったほうがいいというふうに思っております。というのは、今後、法律なんかでも譲渡の推進であるとか殺処分数を減らすというようなことを言っていますが、ほとんどの今のセンターというのは処分の施設になっていて、ほかの施設がないところが多いと。そうすると、譲渡の推進も何もできないということがあるのではないか。また、今回、東日本大震災等、そういうような災害が起こったときにも、保管の施設がないというのはなかなか大変なことであると、福島なんかがそうだと思うのですけれども、というふうに感じております。そういう意味で、保管の施設というところの基準等が実際にあるといいなというふうに思っております。
 これは、収容基準だけでいいのでしょうか。殺処分のほうも述べていいのでしょうか。

【林委員長】 どうぞ。

【水越委員】 では、殺処分方法の検討については、愛護団体がおっしゃることは感情的には理解できるのですけれども、麻酔ガスによる処分というのも、例えば1頭ずつならいいのですけれども、多数、複数ということで実際やっておられるところがありますが、そうなると、それが本当に安楽死なのかというのは非常に疑問になるところであります。
 あと、もう一つ。私は、アメリカのシェルターで殺処分の現場にいたことがあるのですけれども、職員の、ここに書いてあります精神的な負担というのが非常に大きいのとともに、そこで1日30頭から50頭の処分がされているところで、そのうち犬で攻撃性があって注射をするのが大変なものというのが1日、大体1、2頭、あるいは3頭ぐらいおりました。日本を考えますと、まだ地域によっては野犬が多いようなところがあります。そのような野犬に対してアメリカのように1頭1頭、静脈注射をすることが実際可能かどうかということが、非常に問題点としてあると思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、野上委員、どうぞ。

【野上委員】 今の動物の収容施設ですが、私は、これまで九州から北海道まで何十という処分施設を見てきたのですけれども、地域格差が非常に大きいというふうに思います。そういう意味でも、行政のほうで一律の運営基準をつくる必要があると思います。
 委員限りの資料でお配りしている資料のご説明をさせていただきたいのですが、添付の資料の一番最後のほうに行政の施設(市町村の引取り・一時保管場所)というカラーの写真の資料があります。茨城県では保健所での引取りがなく市町村で引き取って一時保管しています。そして、動物指導センターが車で収集して集めていくわけですが、市町村における収容の実態はこのような劣悪なものです。市町村自体に動物愛護の窓口もありませんし専門の部署もありません。このような形で犬や猫が引き取られ、センターが収集に来る間に何日もたっている、その間、放置されて袋詰めのまま水も餌もないですとか、あるいは衰弱死して死んでしまうということが起こっています。
 これについては、茨城県も市町村に対してアンケートをとっていまして、この資料の裏側がそうなのですけれども、多くの市町村が保管場所が施設の中になくて戸外にあるですとか、ケージさえもないと答えています。この写真では、すべて犬の捕獲おりを猫の保管のケージとしていて、猫専用のものがないというようなことがあります。このように市町村レベルでも犬・猫の引取りが行われ、そして保管されているのですが、このようなところについても、市町村に委ねられている部分についても、やはりきちんとした行政の収容基準を作る必要があると思います。
 環境省の今回添付の資料で計算してみますと、全国の自治体で犬猫を引取り保管している施設は、犬が518、猫が455施設あります。多くの自治体が犬抑留場ですとか保健所で一時保管していて、北海道では保健所で殺処分も行われています。市町村の保管場所では、とにかく施設の快適性というものがほとんど考慮されていないわけです。特に、子犬や子猫、あるいは老犬、老猫については、体温調整ができないということがありまして、簡単に夏は熱中症で脱水死したり冬は凍死したりするということが起こっています。また、給餌・給水は土曜、日曜はないというところも多いです。行政の施設で給餌・給水が行われず死んでしまうとか熱中症で死んでしまう、あるいは感染症で死んでしまうということがいろいろなところから情報として寄せられていますので、やはり行政の施設をきちんと改善して、先ほど打越委員がおっしゃったように、行政の施設自ら模範となるような形にしていただかないと、なかなか動物愛護の啓発普及を全国に広げていくということは難しいのではないかと思います。
 さらに、犬・猫の保管や殺処分を実際にとり行う職員のことですけれども、職員の方々に基本的な知識がないということが多いです。獣医師の方はいらっしゃるのですけれども、実際に現場で働く職員の方々、現業職員の方々について、動物愛護法令のきちんとした教育ですとか研修制度がないというふうに思います。そういう意味でも、職員のレベルアップを図っていく必要がありますが、きちんとした施設の基準がないと現場の職員のレベルアップも図れないであろうというふうに思います。
 この資料の次のカラーの写真は福井県の犬抑留所です。福井県には愛護センターがありませんので、こういう施設でずっと保管され殺処分されているわけです。殺処分の方法について、私どもは注射による麻酔薬の投与による安楽死が好ましいと思っています。現に、例えば新潟県などは、かなり大きな県ですけれども、ガス室はありませんで、すべて麻酔薬の注射による殺処分をしています。ですから、そういう自治体が現にあるということを考えていただいて、新潟県から情報をお聞きになるのがよろしいかと思います。もう既に実施できている自治体もあるということです。
 それから、動物愛護センターは、今後、譲渡を進め啓発普及の場所としていくという意味でも、動物愛護センターが市民のモデルとなるようにしていく必要があると思います。そのためにも、施設を公開するということは必要であると思います。公開とは何を意味するかということですが、私は、むしろ公開というよりも市民参加の場所にしていく必要があるのではないかと思います。啓発普及の場所であれば、当然、一般の市民や地域の住民がそこに参加して、いろいろな行事を一緒にやったり、あるいは譲渡活動を推進していくために協力していく場所になっていくことが好ましいと思います。
 また、現実に動物の譲渡ですとか、あるいは保管のケア、そういうものは、なかなか税金でというか、行政の職員だけではきめ細かく対応できません。新潟市などでは、たしか愛護団体の方々が日常的に収容施設の動物のケアに参加して、ブラッシングをしたり散歩をさせたりしながら譲渡に適する犬・猫を選んでいくという活動に協力していると聞いています。そのような意味で、動物愛護センターが地域に開かれたオープンな場所として、住民と一緒に動物愛護を担っていけるような場所としてやっていくことが好ましいと思います。そのようなことを推進していくためにも、施設基準はきちんと法律で定めるほうがいいのではないかという意見です。
 以上です。

【林委員長】 今、収容施設と犬・猫の殺処分方法、主に、この二つについてご意見をいただいていますが、これからいただくご意見は、今のご意見の繰り返しではなくて、それに対する反対、あるいは賛成であっても別の視点からこういう意味で賛成だとか、そういうふうに重複のないようにしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 まず、斉藤委員から、どうぞ。

【斉藤委員】 それでは、実際に自治体の職員として仕事をしている立場で、お話をします。
 施設につきましては、それぞれいろいろな施設がございます。例えば、長野県でいえば私のいる動物愛護センターがあり、それから保健所でも収容しております。引取りは保健所でやっておりますので、長野県の場合ですけれども、保健所にも収容施設があります。他県の状況でも、動物愛護センターで引取りをやっている場合もあるし、先ほどお話があった市町村でも、これは多分、珍しいのではないかなというふうに、ちょっとわかりませんけれども、例としては少ないのではないかと思いますけれども、市町村でもやられているところがあるということで、いろいろ施設の目的によって構造も違うということです。それから、法律改正がされて、かなり保管する日数も長くなってきています。何十年も前の話で、かなりたくさん犬がいて保護しているときには、かなり短い時間でやっていた時代もありますし、まだまだ動物愛護ということを推進していないときには、そういう時代もありました。
 国からの通知の中でもあるように、できるだけ譲渡する機会を与えるという、新しい飼い主を見つける機会を与えるということは確実に全国で行っています。ただ、確かに、施設の構造がついていけていない部分は私もあるかというふうに思います。実は、私も数年前に保健所におりましたけれども、実際に保健所の中も、例えば、湿度が高かったり、冬はかなり気温が下がりますので、冷暖房がきいているわけではありませんのでストーブをつけたり、いろいろ工夫をしながらやる。構造的に予算をかけて、例えば、二ますあったのを広くして成犬も入れるようにするとか、それから床に暖房が入るようにヒーターを入れるとか、そういう改築をしたこともございます。
 それから、たしか設備についての環境省のほうで補助が出るようになっていたと思います。その辺の利用がどれだけあるか、わかりませんけれども、そういうものを利用しながら改善をしていくということは私も必要と思います。
 基準については、法律で決めるというよりも、それぞれの今の実情の中で、行政の中での連絡する会もありますので、そういう中で議論して、ある程度、ガイドラインみたいなものをつくるか、国のほうで通知が出ている中で、「犬及びねこの引取り並びに負傷動物等の収容に関する措置」ということが平成18年1月に出ていますけれども、その中でかなり細かく触れているかなというふうに思いますけれども、施設については、構造等が適正な施設及び方法によって保管するという言い方で措置の中には書いてありますが、確かに具体的ではない。この辺を、こういう部分をこうするほうがいいのではないかというような、もう少し具体的な内容を詰めて示していくということも方法かなと思います。
 それから、公開のことにつきましては、私どものセンターはいつでも公開しておりまして、誰が来ても見ていただけるようにはなっておりますけれども、保健所も今はよく新しい飼い主の方が、犬が欲しいといって来ておりますので、常時、大体、見に来ています。情報の公開というのは、県のレベルでいえば、一つは個人情報の保護の条例があります。それから、公開の制度が各県ごとにあるはずです。公開をしてくれということであれば、その中で判断をするというのが一般的です。施設のことについては情報公開制度の中で県が判断をすることと、施設の長、そこを管理しているセンターであればセンターの長が公開をするかどうかという判断をすると県の中では示されています。だから、公開を一律に何か国のほうで示していくということは、私は少し違うのではないかと思います。各県の公開の制度の中で考えるべきであると思います。ただし、先ほど、どなたかがおっしゃったとおり、私は、県の施設でありますので、基本的には県民の方にはオープンにするというのが原則で、よほどの事情がない限りは公開しないということはないはずなので、個人情報とかいろいろな制限はありますけれども、基本的な方向は公開していくというような方向だろうと思います。ただ、それを一律に考えるのはどうかなと思っています。
 それから、処分方法ですけれども、現実的には、私たちのところもそうですけれども、炭酸ガスでやるのが主体ですが、薬品ももちろん使っています。子猫の場合は特にです。それから、ガスの場合も、犬をやる場所と猫を入れるもう少し小さなものがあります。ガスの濃度をきちんと調整をしながらいくということです。処分は、指針が検討されて、国のほうからも、たしか出ていたかと思いますけれども、それによって日本獣医師会でも解説をするものが出ていました。その中で炭酸ガスの方法についても触れておりますので、そういうものを学術的に検討した上で、さらに改善する部分があるとすれば、それは改善をして、よりよい方向にいかなくてはいけないだろうと私も思いますし、苦痛を与えないような方法でやるべきだろうと思います。ただ、一律に薬品であることが本当に苦痛を与えない方法かどうかというのは、私自身は疑問に思っていますので、そういう部分は学術的な裏づけがあった議論をしっかりやらなくてはいけないと思っています。

【林委員長】 ありがとうございました。
 斉藤委員のところは公開されているとのことです。県民の施設であるから県民に公開するのは当然だということなのですが、一般的に収容施設というのは殺処分施設と併設してある場合が多いと思いますが、殺処分するところも見せていますか。

【斉藤委員】 私どものところは、別にあります。保健所が管理している処分施設が県内にあります。確かに、幾つかの条件はあります。でも、全く見せないということではなくて、例えば、撮影をするとか何かの目的だとか、そういうときは、それぞれの所属、保健所なら保健所の長が判断することですけれども、すべて公開していないということではないです。

【林委員長】 私の知る限り、産業動物の場合は原則公開していないと思うのですが、これは永村委員がよくご存じではないですか。

【永村委員】 条件つきでは、いわゆると殺の現場というのは公開はしていると思います。ただ、一般の方々に全くフリーに「どうぞご覧ください」というようなところは、まず皆無だと思います。

【林委員長】 条件というのは、かなり厳しい条件なのですか。

【永村委員】 職員が立ち会うとか。

【林委員長】 立会いの下ですね。わかりました。
 どうぞ、その続きを。

【永村委員】 今、収容施設の基準というところの議論に限定して申し上げたいのですけれども、野上委員がお配りになった資料の中には、市町村では、例えば階段の下だとか駐車場に保管をしていますとか、こういう事例もあるわけです。仮に、そういったものを全部押しなべてひっくるめたものに対する施設の基準というものを国が法律の中に盛り込んだ場合、私は、必ず予算的な裏づけも法律でちゃんと担保しますよというようなことを書かない限り、幾ら法律で書いても、とても。例えば、1棟当たり何平米、これも犬の大きさにもよるのでしょうけれども、面積だとか、あるいは温度条件だとか換気だとか、いろいろな施設の基準というものがあると思うのですけれども、何を一体、基準として決めるかによって必要なお金が大変たくさん出てくる。
 また、所管でいうと、環境省と厚労省の所管が末端ではかなり分かれているのではないかという気がするのですが、それぞれ、どちらの省がどういうふうに予算を要求して、どう対応していくのか。要は、金の裏づけがないとなかなかできない、基準の設け方によっては。そこを無視して議論しても、ほとんど意味がないと私は思っています。

【林委員長】 まず、打越委員が先に手を挙げておられたので。そして、野上委員。

【打越委員】 先ほどの野上委員の意見に追加的な議論で、公開というのを行政と民間の協働の場にしていくべきだというご意見に全く100%賛同で、それに関するところで追加の意見をしたいと思います。
 つまり、今、永村委員もおっしゃったとおり、施設の基準を義務づけするようなものを法律でつくっても、予算の裏づけがなければできないでしょうし、恐らく法律として通らないだろうと思うのです。しかし、施設で非常に不衛生な、あるいは目を覆いたくなるような状況で保管されている動物たちをどうやって救っていくのか、どこから自治体の施設の改善の突破口を開くかと思ったときに、それは、私はやはり公開にあると思います。公開というのは、誰でも立ち入り自由という意味ではなくて、きちんとした形でよその目が入る、自治体職員以外の人の目が入るという手法から各現場で改善方法を考えていくのが、実は一番の近道なのではないかと思うのです。
 そうなったときに、これは収容施設の条文ではないのですけれども、動物愛護管理法の第38条に動物愛護推進員の存在が書かれています。動物愛護推進員の仕事というのをこうやって見ますと、ある意味、外部での普及啓発、行政の普及啓発に協力することというのが動物愛護推進員の主な仕事のような形に位置づけられていますけれども、第38条2項の漢数字の一、二、三、四のところに、さらに例えば加えて、自治体の収容施設に関して意見を述べること、ただし、意見は雑多ばらばらにやってきて職員にクレームを寄せるのではなくて、そういう協議会の場などで意見をまとめて収容施設の改善に向けて意見することというふうに、ある意味、行政の味方となって活動するだけではなく、行政にメスを入れる役割も動物愛護推進員の中に入れていったらいいのではないか。
 幸い、動物愛護推進員、当初はなかなか委嘱が進まなかったということですが、今現在、全国では2,500人以上が委嘱されているという環境省からのデータもありましたし、また、委嘱されている人は獣医師や動物愛護団体、多分、大手の動物愛護団体さん等だと思いますけれども、ある程度、現場を踏まえて冷静な議論のできる人たちがいると思いますので、動物愛護推進員に思い切って収容施設に関する何か役割を与えるような、そういう条文なら入れ込んでもいいのではないかというふうに思いました。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 野上委員、そして、加隈委員。

【野上委員】 予算の問題ですが、これまでいろいろ施設を改善されてきている地域では、やはり住民の声があって、それが議会等で反映されたり、行政が施策を受け入れて改善されてきているわけです。住民の声が起こるということは、住民が現場を知っている、あるいは参加できる、そういう情報公開があって、いろいろな意見が出て、世論が形成されて施策が変わっていくということになりますので、やはり市民参加ですとか情報公開というものがまず前提にあると思います。
 それから、既にある財源も活用できるはずです。例えば、狂犬病予防関係で、ちょっと予算は違うのですけれども、市町村の犬の登録料というのが1回当たり3,000円です。この予算は全国規模で見たら何十億とかの単位になっているはずですし、登録料は少なくとも市町村においては財源にできるお金だと思います。
 さらに、犬・猫の引取り手数料。今、ほとんどすべての自治体が手数料を有料にしていますし、返還時の手数料もあります。そういうものも使えるはずです。それから、譲渡についても、譲渡の際に犬1匹当たり1,000円とかをいただいて、そのお金を施設の改善に充てている自治体もあります。ですから、これは、行政のほうがやる気があって工夫すれば、かなりできるお金だというふうに思います。

【林委員長】 それでは、今度は加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 少し重なる部分もありますので、手短に。一つは意見としてですけれども、施設の基準に関しては、動物取扱業のほうで施設の基準を決めていくのであれば、それを守れるものが行政のほうにないとまずいのではないかということで、基本的には同じようなものを目指すということを進めていただきたいなと思います。その場合に、例えば保健所とか、末端というか、各地、あまりにもたくさんの場所に保管場所を置いているために管理が行き届かないということであれば、それを何かシステムの部分で変えて、施設に頼らないという工夫も各自治体でしていただきたいというふうには思います。
 さらに、獣医師に対して安楽死方法の教育というのは、恐らく十分ではないのではないかと思います。よく、町中の獣医さんが安楽死をしたがらないということも聞きます。恐らく行政の方でも同じではあるとは思いますけれども、苦しませずに殺す方法というのは必要だと思いますので、その部分の教育や普及というものを獣医師会等でもさらに進めていただく必要があると思います。

【林委員長】 今までの意見で繰り返しが多いのですけれども、どうぞ、あまり繰り返しにならないようにしてください。

【山崎委員】 先ほど水越委員がおっしゃった、アメリカでは動物看護師がやっているという事例に関してですが、日本でも看護師の国家資格化という形で少しずつ話は進んでいますが、それではなくて、看護師ということに突出せず、いろいろな事例を見ると、いわゆる安楽死ができる資格というものは、もっと幅広くとらえられているところもあります。例えば、英国では、RSPCAのインスペクターもみんな薬やボルトガン等を持って歩いていますから。ただ、その研修を受けなければいけないということで、ライセンシング制度があります。それをこの法律で決めるということはできないのですけれども、方法としては、今、加隈先生がおっしゃったような形でライセンシング制度が将来的にはできるかということも一つ考えです。
 それから、もう一つは、安楽死の話が大分出てきまして、今、町の獣医さんがなかなかしたがらないという点や、それから苦しみを減らすために科学的にもっといろいろ探らなくてはいけないという長野の斉藤先生のご意見等を踏まえて申し上げますと、安楽死というのはそもそも何かという定義をする人間は獣医師しかいないのです。獣医師の団体が、安楽死に関連したマニュアルや基準等の作成やそれに関連したはっきりとした立場を示すこと等が出ていないということが一番の問題なのではないでしょうか。それがベースとして出ていれば、町の獣医さんや行政の獣医さん、将来ライセンシングをするとすれば、それを取得した方々の基盤ができ上がるわけです。AVMAは安楽死の委員会を持っていますし、5年ごとにマニュアルの改定を行っています。ですから、定義と安楽死の基準というものを本当にはっきりさせるべき時期が来ていて、これは、この委員会の外の専門家がやらなければいけない、獣医師会というところで今後やっていかなければいけない早急な課題だと思います。

【林委員長】 わかりました。これは、また実験動物のところでもお話ししようかなと思っていましたが、今、日本ではいろいろな言葉があって、「安楽死」という言葉をむやみに使い過ぎているというところがあります。それから、ここでは「殺処分」という言い方をしていますが、最近は「安楽殺」という言葉も日本語として出てきていて、ヒューマンキリングですね、その辺の整理はちょっと必要かなと思っています。いずれにしても、おっしゃったことはよくわかりました。
 小方委員、どうぞ。

【小方委員】 今の安楽死という言葉、要は死の問題です。これは、私も教育をやっていまして、あるいは診療をやっていまして、非常にデリケートな問題を経験しております。そして、これは獣医師の中でもいろいろな葛藤が出てきますし、いわんや、それ以外の人にそれを依頼するということは非常に難しい課題が出るのではないかと思います。その根底には、欧米とは違うものの考え方、例えば、宗教観、文化背景、そういったものがございます。ただし、今おっしゃったように、だからといって何もしないのではなくて、そろそろきちんとしたものをつくっていくということが必要な時期に来ているのではないかなと思います。

【林委員長】 ありがとうございます。恐らく、これは、獣医師会が中心になってこういう作業をやっていただいたほうがいいと思うのですが、今日の話に戻しますと、収容施設の基準、いろいろな目的の収容施設があります。長期の場合もあり短期の場合もあるのですが、それぞれの目的に応じた施設基準を示す必要があるかという件に関しては、多くの方が示す必要があると。ただ、それが強制力のあるものなのか、そうでないのか。つまり、望ましい基準という形で出すのかどうかということなのですが、これの作業もそんなに簡単にはいかないわけで、そもそもが、僕は、これなんかも、犬・猫に関していえば、一番経験を持っておられるのは獣医師会ではないかと思うのです。
 ところが、この間の話では、獣医師会そのものが、例えば動物病院で、どのような期間であれ、預かる基準というか収容する基準を持っておられないという話だったわけで、動物病院の中に全国一律でこういう基準であったほうがいいというようなことはなくて、各獣医師の判断に任されているわけです。そういう意味では、これは簡単には出てこないような気がするので、専門家にお願いするという、望ましい基準、それを強制するかしないかは別として、その検討は、まず、皆様の意見を聞いている限り必要ではないかというふうに思いました。何か、ご意見はありますか。

【山崎委員】 どんどん話がずれてしまって大変申し訳ないのですが、安楽死の基準はJAHAのほうではあります。

【林委員長】 恐らく、基準は、ここに持っている人はいるし、また、ある団体で持っているのは、ほかにも私の知る限りありますけれども、統一した、日本獣医師会というような一番中心になるようなところで深く論議はしていないという、そういう意味でおっしゃったのだろうと思うのですけれども。
 山口委員、どうぞ。

【山口委員】 基準を作ることは、皆さん、前にお話しくださった方の意見と同じですので省きますけれども、前に、動物取扱業のときに、おっしゃったように専門家委員会をつくってやるということでしたので、それと合同でやっていただければいいかなというふうに思います。私どもは、犬の引取りのルールのほうで議論すべきかと。ここまで踏み込んで、いいのですか。

【林委員長】 先ほどから、1番目と2番目しかお話が出ていなくて。大体、これは皆様の意見が大体出そろったと思うのですが、引取りのルールは、まだされていません。

【山口委員】 いいのですか。

【林委員長】 どうぞ。

【山口委員】 引取りのルールなのですけれども、愛護団体のところで今は「引き取らなければならない」、それを「引き取ることができる」というふうにやってほしいという意見が出ているという件です。今は、「引き取らなければならない」という条文ではあるのですが、実際に自治体ではいろいろ話をして、あなたはもう少し、こういうふうに改善したら飼い続けられるのではないですかというふうな意見も言っていらっしゃるわけですよね。そういうことが今の条文でもできるということですし、私は、やはり自治体は最後の砦だというふうに思うのです。人をかみ殺した土佐犬等、闘犬に使われていた犬等を全部、自治体のほうも嫌だと断るということにしたら、その犬はどこへ行くかということを考えれば、最後の砦ということでなければならないと思うのですが運用で引き取らなければならない項をどんどん減らしていく。ただ、もう少し飼えるでしょうというときも、トレーナーさんを紹介するとか、その後のケアを、追跡をやりながら、家庭できちんと飼い続けられるような方策をとっていくことで減らしていけるのではないかなというふうに思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それ以外のご意見はありますか、引取りルールについて。はい、どうぞ、渋谷委員。

【渋谷委員】 今の第35条の引取りについては、所有者から引取りを求められたときは、「これを引き取らなければならない」というふうに規定されているだけで、ほとんど無条件で引取りをしなければいけないように読むこともできるのです。今、実態は、そうではなくて、いろいろな指導をしたり理由を聞いたりして、それで実際に行っているというのは、僕から見ると条文と実態が合っていないような気がするのです。
 ですから、今、文末を「しなければならない」というのでなくて努力目標的に変えるという案も出ていましたが、僕としては、文末は「しなければならない」というのはそのまま残しておいて、例えば「正当な理由があると認められるような場合には引取りをしなければならない」というような形で変えたらいかがかなと思いますが、いかがでしょうか。

【林委員長】 具体的なお話でした。ご提案は山口委員のお話とは合いますね、ほかに、これとは違うご意見というのはありますか。よろしいですか。

(はい)

【林委員長】 そういたしましたら、大体、論点としてここに上げていただいています収容施設等の基準、そして殺処分、引取りルール、これについて終了したいと思いますが。
 はい、どうぞ。

【野上委員】 私も、条件つきでルールを決めるということ、今の渋谷委員のご意見に賛成です。本日の資料4-3で、環境省の「犬ねこの引取り申請書」のサンプルをつけていただいています。この資料は、引き取る際に、できるだけ飼い主側から細かい情報を手に入れて、それを新しい飼い主につなげるときに役立つようにということで作られているわけです。こういう書式に各自治体が改めていただきたいのですが、当会で各自治体にアンケート調査をしたところ、こういう書式を採用しているところは、まだ非常に少ないです。旧来の、もう昔から、何十年も前からの引取り依頼書は、今回、私のほうで付けさせていただいた引取り依頼書のサンプルが4点ほどあります。こういう形で、ほとんど理由も聞かず、その個体についての詳しい情報もなく漫然と引き取っている自治体がまだ大部分です。ですので、条文に条件をつけるということによって引取りのあり方を改善していくことができると考えています。どうしてもやむを得ない事情がある場合に限りとか、本当に正当な理由がある場合に限りというように条文を変えたほうがよろしいかと思います。

【林委員長】 基本的には、渋谷委員と同じご意見だということですね。
 青木委員、どうぞ。

【青木委員】 別の論点なのですが、事務局に確認をしたいことがございます。話は前に戻るのですが、行政の収容施設に関する基準のあり方という議論をしておりましたが、現行の環境省告示に「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」というのがございます。そして、そこでは所有者または占有者が家庭動物をどのように保管するかという基準があって、第3共通基準というところに若干、施設についての基準が一般的な形で告示されているのです。現在の運用上、行政の引取り施設、保管施設には、この基準は適用されないという考え方で今、行政実務は行われているのか。そうだとすれば、新しい基準をつくるか、告示レベルで何かをするという前提に立てば作るという話になりますし、もともと、これはもちろん当然適用されているけれども、あまりにも漠然としているからちょっと何とかしなくてはいけないというのだったら、今の形だとしたら行政に限らず家庭動物等の飼養及び、保管に関する基準全体を変えるという議論になると思うので、どちらの議論をすればいいのかというのを教えてください。

【林委員長】 いかがでしょう。今の基準で漠然とし過ぎているというところが問題ではないかと私は理解していたのですが、いかがですか。

【西山室長】 基本的には、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」は、そういう動物を飼う者、飼う施設全部に適用されるということで、行政にも適用されているという認識でおりました。

【林委員長】 ということで、これは共通した考え方で論議していただいていいのではないかと思います。

【青木委員】 これは、この委員会で言うべきことかもよくわかりませんけれども、要するに、何をどの範囲で改善するのかということがちょっとごちゃごちゃになってしまって、今の我々のしていた議論は、行政に特化した何か基準を作れという前提で、皆さん、お話になっていたと思うのです。でも、既に一般的に適用されているものがあるという認識であるならば、それを別々にするのかという議論もしなければいけないということになるかと思います。
 以上です。

【林委員長】 そうですね。むしろ、ご意見の中には、行政に模範的な形をつくってもらって、そうすれば、ほかのところもそういうことでレベルが上がるのではないかというような趣旨のご発言もありましたので、それを分けるか分けないかというのは、まだ意識的には話していませんけれども、あり得ますね、論議としては。承知しました。
 どうぞ、井本委員。

【井本委員】 今までとは意見が全然違うところで、ちょっとお話を聞きたいと思います。資料4-2からの引取り業務のところがありますが、そこに処分の致死方法がいろいろ書いてあります。恐らく、致死方法については、これを記入するのは自治体に任せられたから、こういうことになったのだろうとは思うのですが、よく見てみますと「薬品による安楽死」と書いてあるところがあります。この文言は、ちょっとイメージができないのです。薬品というのは、物によっては非常に危険なものもあります。この中で一番具体的に書いてあるのは西宮市で、普通、我々が安楽死をやっているのもイメージできるような形で書いてある。ところが、中には、そうではなく非常に危険だろうと思われるようなものも書いてあったりするので、もし、今後、こういう調査をやられるのであれば、かなり具体的なものを書いていただいたほうが議論できるだろうというふうに思います。
 それと、歴史的に見て、炭酸ガスによって安楽死されているのは、今までは年間1,000頭以上の安楽死をしなければいけない施設が多いと思います。1,000頭以上となりますと1日3頭以上ですから、それを薬品でというのが実際上、可能かどうかという問題も考えていかないと、地方自治体としては困ってしまうだろうという気がします。

【林委員長】 そのことは先ほども出ていたのですが、確かに、薬品による殺処分というのはあまりにも漠然とし過ぎていて、これを具体的にわかるような形にしていただくと良いですね。薬殺といっても、これも広過ぎますね。できたら使った薬品の名前、静注なのかどうかということまでもわかるような形、そういうことを一覧表にしていただくと大変ありがたいということはあります。
 よろしいでしょうか。では、これで1番目の話は終わりにしたいと思います。
 それでは、続きましてマイクロチップ、これを、最初にご説明いただきます。

【事務局】 資料5をご覧ください。犬猫のマイクロチップの義務化ということです。
 動愛法では、第7条3項に所有明示の努力規定がございます。第7条3項につきましては、下の四角の中に抜粋しております。この規定に基づく告示を示しておりまして、「動物が自己の所有に係るものであることを明らかにするための措置」というものがございます。この中で、家庭動物に装着する識別器具として、首輪、名札、マイクロチップなどが示されております。
 これらの措置の実施率でございますけれども、資料5の3ページをご覧いただきますと、インターネットの調査では、犬が青い線、猫がオレンジ色の線で、増加傾向にあります。直近では、犬は58%、猫は43%。ただ、内閣府のほうで実施した、これは対面による世論調査で、点線のグラフになりますけれども、これでは犬は36%、猫は20%にとどまっているという現状でございます。
 また、所有明示の方法別になりますけれども、所有明示をしている中でマイクロチップの割合というのは直近では7.8%でございます。また、マイクロチップにつきましては、特定動物については既に義務化されております。マイクロチップの登録数につきましては、現在、45万頭となっております。
 続きまして、資料5の2ページ目の2.主な論点になりますけれども、・(普及率が増加傾向にあるが、現時点では高いとはいえない中)特定動物以外の家庭動物等にマイクロチップの義務化は必要か。・仮に、義務化が必要であると考える場合、誰(業者か所有者か)に義務づけるのか、費用負担をどうするのか、いつからの装着となるのか、また現在、動物ID普及推進会議というところでデータ管理をしておりますけれども、こういったシステムで運用可能なのかということになります。また、・狂犬病予防法との整理が必要になるのではないかということで、資料5の5ページ目に狂犬病予防法の抜粋を入れております。狂犬病予防法では登録が義務づけられておりまして、平成21年度末時点で688万頭が登録されております。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、早速、マイクロチップについてご意見をいただきたいと思うのですが、最後の5ページ目に狂犬病予防法を参考資料として付けていただいております。10年以上前に厚生労働省は、私の知る限りは、マイクロチップを鑑札の代わりというか、まず鑑札と併用する形でやろうとした時期があるのですが、その当時は日本獣医師会が全体として意見がまとまらなかったというか、賛成と反対が完全にまとまらないという状況であって、それで残念ながらできなかったというのが、もう10年か、もっと前になりますね。ところが、今、ほぼ日本獣医師会のほうはマイクロチップについては意見が統一されつつあるのですけれども、先ほどのインターネットの調査、これは、昨日もインターネット調査は信用できるのかどうかという話がありましたけれども、この件については、大体、飼い主の意見分布というのは、ほぼこの感じかなという感じはしますが、依然として、どちらかというと反対あるいは反対の方が合わせて40%を超えているというか、6対4ぐらいの関係というのは、まだ日本国内ではあるのかなという感じはあります。こういうのを前提とした上で、マイクロチップをどうしていったらいいのかということについて、ご意見をいただければと思いますが。
 加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 すみません。ちょっと質問なのですけれども、昨日から出ているインターネット調査の母体というかサンプルは、昨日の話だと自由に希望者が答えた調査のような印象も受けてしまったのですけれども、そうではなくて、恐らく、かなり全国的にバランスをとった形での調査なのかどうかということを確認したいのと、あと、もう一つ。あとの不妊・去勢のほうにも出ていましたけれども、電話調査が数十件というのがあるのですが、この集団はそれぞれどういう内容、地域とか、それを少し教えていただきたいのですけれども。

【林委員長】 では、今、お答えいただけますか。

【事務局】 インターネット調査につきましては、年代と男女比に偏りがないような形で実施しております。ですから、例えば、特定の年代からどんどん回答が集まってしまうかもしれないですけれども、特定の年代、ある年代である数に達したら、そこでその年代は打ち切って、それぞれの年代が均等になるように、また男女比も同じになるような形で集計をしています。電話調査につきましては、今はデータを持っていません。

【林委員長】 ありがとうございました。
 渡辺委員、そして、水越委員、そして、打越委員。

【渡辺委員】 東北の大震災のときにも飼い主さんとペットが離れてしまって、マイクロチップの有用性をすごく感じました。ただ、よく一般の飼い主さんの方が心配をされるのは、長く言われていることですが、本当にマイクロチップを入れたら、全国、どこでも、どの自治体でも、どの動物病院でもちゃんとスキャニングできるのかということです。あと、もう一点は、東京都の収容動物情報などをよく見ますが、そこにマイクロチップありというふうに書かれている場合があるのです。マイクロチップがあるのに、なぜ飼い主がわからないのか。それは、番号がきちんと飼い主の名義で登録がされていないということらしいのですが、そこまで徹底させない限り、幾らマイクロチップを入れても意味がないのではないかと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 水越委員。

【水越委員】 意見なのですけれども、狂犬病予防法の鑑札の義務というのが別にあります。マイクロチップが全頭義務なった場合には、鑑札等々との整合性というか。狂犬病予防法で鑑札もつけなければいけない。それで、動物愛護管理法ではマイクロチップをつけなければいけないというと、両方の普及が共倒れになってしまう危険性もあるのではないかと危惧をいたします。ですので、全頭義務になった場合には、狂犬病予防法との整合性をとっていかないといけないのではないかなというふうに思います。
 ただ、動物取扱業の話は終わりましたが、動物取扱業の話の中であったトレーサビリティー、そこの部分で、いわゆる販売される子犬や子猫にトレーサビリティーの一環としてマイクロチップを入れるという義務を課すということに関しては、私は賛成であります。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 打越委員、どうぞ。その次に永村委員。

【打越委員】 さっきのインターネット調査のところで、年代と性別がバランスよくなるようにという話だったのですけれども、どういう母集団に聞いているのかということのほうが大事で、どうやって実際にやるのかの段取りを詳細にうかがえますか。これは、もう、ほかのところにも全部関わってくるところなので。内閣府の1年に1回やっている世論調査というのは、あれは無作為抽出で、全国でかなりアンケート調査として適正なやり方のはずなのですけれども、これはどういう段取りなのかを伺いたいのが1点です、まず。

【林委員長】 どうぞ。

【事務局】 大手検索サイトにモニターとして登録されている方で、答えるとポイントがもらえるような形になっております。

【打越委員】 だとすると、特別に愛護意識があるとかないとかという色合いはないかもしれないのですが、しかし、インターネットを利用してさまざまな新しい情報を得たり、そういうものにかなり関心のある人たちの回答だということなのですね。わかりました。
 別件は、先の方のご意見があってからでいいです。

【林委員長】 それでは。今、出ている意見と同じ意見。

【永村委員】 若干、関連はします。
 まず、十数年前、厚生労働省のほうが鑑札による登録をマイクロチップに代えてもいいと、こういう判断をされたという事実が、現在でも、それが生きているのかどうかです。いずれにしても、マイクロチップを義務化するとすれば、狂犬病とセットでなければ、なかなか、鑑札でも今は50か60パーセントぐらいの割合だと思うのですが、普及に拍車をかけることはできないと思います。それが一つ。
 それから、もう一つは、現在、私どものジャパンケネルクラブの中でも、タトゥーを実施できる者に対して特定の資格を与えて実施をしております。先ほど山崎委員のほうから薬物による薬殺、安楽死が諸外国では獣医以外でできると、こういうお話がありましたけれども、私は、獣医師以外でもマイクロチップの施術ができるようなことができれば、もっともっと飛躍的にマイクロチップは普及すると思います。そういうことも、ぜひ検討していただきたい。
 以上です。

【林委員長】 臼井委員、そして、打越委員もですね。

【臼井委員】 今の永村委員のご判断なのですけれども、私は、マイクロチップはちょっと大きいと思うのです。ですから、獣医師以外の方がやりますと、細菌学的にちょっと危険があると思いますので、これは獣医師に特化した方がいいと思っております。

【林委員長】 打越委員、どうぞ。そして、太田委員。

【打越委員】 先ほど水越委員が動物取扱業者の間で回るトレーサビリティーを確保するための義務づけならば賛成だというふうなお話があったと思うのですが、要は、マイクロチップの義務を国民に課すというのは非常に大きなことで、それによって何かが守られたり、何かが尊重されるというのが余程のものでなければ、やはり義務づけというのは難しいのではないかと。そう思ったときに、狂犬病予防法で予防接種をしているのは、国民の健康で狂犬病が蔓延しないためという国民にとって非常に重要な利益があるわけですけれども、マイクロチップを義務化しなければならないのかと思ったときに、一体、それで何が守られるのだろうかと。例えば、飼い主とペットがいざというときに、別れたときに会えるようにというのももちろんマイクロチップのメリットだとは思うのですけれども、それを国が絶対的に守らなくてはいけないものなのかというと、決して、私は、国が公的な権力を用いて飼い主とペットのつながりを守らなければいけないような利益ではないというふうに思いますし、あるいは逆に、猫なんかに被害があったとか犬にかまれたときに、例えば加害者の特定をなんていうようなことがあるかもしれませんけれども、それだとマイクロチップは読み取りリーダーのところに持っていかない限り、どこの犬だか猫だかはわからない、外部から見てわかるものではないわけで、そういった場面の特定に使えるわけでもないと。ただ、業者からのトレーサビリティーというので品質の保持という点で意味があるというのは、本当に水越委員の言うとおりだとは思うのですけれども、では、今、既に飼っている犬や猫、すべてを公的な権力で義務づけして何か守らねばならないものがあるのかといったときに、私はそうは思わないので、マイクロチップの義務づけについては反対する立場です。

【林委員長】 ありがとうございました。非常に明快なご意見でした。
 太田委員、どうぞ。

【太田委員】 資料5の3ページのマイクロチップの登録数は、この5年間で飛躍的に大きく伸びておりますが、伸びた原因は、もちろんAIPOが努力した結果ですが、最大の原因は、私は、ペットショップの大手がマイクロチップ入りの子犬を販売するようになった。それが大きな原因だと思います。これだけ大きく普及率が伸びても、現状は2%ぐらいの普及率かなと思います。東日本大震災でも、もっとマイクロチップが普及していれば、多くの犬たちが早く家へ帰れたのかなと思います。そういう点では、マイクロチップの普及は必要かと思います。
 前回の法改正でもマイクロチップの義務化について大きな議論となりましたが、実用化しませんでした。私は、その最大の原因は、さっき臼井委員がおっしゃったようにチップが大き過ぎること。現在、チップの太さが約2ミリ、長さが8ミリ、1円玉ぐらいの大きさですが、その注射針はもっと太いわけで、あの注射針を見ると一般の飼育者はちょっと躊躇をすると思います。もっとマイクロチップを小さくしてほしいという提案を、私、2年ほど前に環境省のほうにもお願いしました。チップは小さくできないのかという話をしたところ、環境省のほうでもって検討しますという事でした。マイクロチップの業者を呼んで、見積もりをすることも可能との事です。現在、本屋さんでも本の万引きを防止の為でマイクロチップが入っているために、レジを通るとチェック出来る小さなマイクロチップがあるということですので、ぜひチップを小さくしていただいて、普及率が高くなる前に、受入れ体制を作ってほしいと思います。
 先ほどのトレサビリティーという話がありました。オークションでは現在年間40万頭ぐらいが流通しています。このオークションで全部マイクロチップが打てないかということを業界の中で話をしたことがありました。年間40万頭を一気にできますと、マイクロチップは早く普及します。普及に協力したいとペット保険会社から申し入れがありました。個体識別は保険会社が望むところです。しかしチップが大き過ぎて、小さい子犬に打つにはかわいそうです。オークションで流通する子犬に打てるぐらいの小さなマイクロチップができれば、私はマイクロチップは大いに普及すると思います。また、普及すべきと思います。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ほかに。山口委員、そして、野上委員。

【山口委員】 私もマイクロチップは義務化ができればというふうに思っていますけれども、犬のほうは、先ほど、皆様もご意見出されたように、狂犬病予防法とリンクさせないと、狂犬病予防法による登録の意味でマイクロチップを位置づけないと普及が難しいだろうと思います。登録は年1回ではなしに、最初に1回だけになっていますので、それでも最初の1回打てば、15年たてば大体の犬は登録されてしまっているというふうになると思いますので、ぜひぜひ、狂犬病予防法との関連のところを推進していただきたいなと思います。
 それから、リーダーの件なのですけれども、今のところ、各自治体に入ってきた動物については、リーダーで読んでくださっていると思うんです。ところが、警察のほうで預かる動物も最近は増えていると思いますので、できれば、私は警察署のほうにもリーダーを配置していただければと思います。開業獣医さんはもちろん持っていらっしゃると思うのですが、ぜひ、警察のほうにも配備していただけるようになったらいいかなというふうに思います。

【林委員長】 それでは、野上委員。

【野上委員】 業者が販売する犬・猫についてのトレーサビリティーができることは、非常にいいと思いますが、しかし、本当に買った動物にマイクロチップリーダーを当てて、生産者の情報を得ることができるシステムになっているかどうか。例えば、買った子犬が病気であるとか、遺伝病であったときに、その生産者がだれであって、その生産者に対して直接連絡ができるようなシステムとなり得るのかどうかについて疑問があります。
 それから、もう1点は、マイクロチップは、本当に自分の犬や猫がいなくなって、必死に探したいという飼い主にとっては非常に有効ですが、大体ずぼらな飼い主にはほとんど意味がないと思います。保健所で保護された犬にマイクロチップが入っていても、登録情報がなかったという例があります。引っ越しした、あるいは譲渡した、転々としたというような場合に、ずぼらな飼い主がそういうものを全部フォローしていくわけはありませんので、それをすべての飼い主に、今、義務化するということは行き過ぎではないかと思います。
 さらに、義務化ということになれば、罰則がないと実効性がないと思うんですけれども、そのようなことを、議論できる土壌があるかどうかについては疑問に思います。
 以上です。

【林委員長】 大体意見が出そろったようですが。浦野委員、どうぞ。

【浦野委員】 マイクロチップは、例えば実験動物領域のマウス、20グラムとか30グラムとか、小さいのですけれども、あそこへの応用ということも検討されているので、恐らく調べれば、大分小型化しているのではないかなと思います。
 それと、林委員長に質問なんですが、数年前に獣医師会でマイクロチップの検討があったときに意見がまとまらなかったと。

【林委員長】 10年以上前の話しです。

【浦野委員】 そのときの理由というのは、何だったのでしょうか。

【林委員長】 これは幾つかあるのです。一つは、まず、あの当時のマイクロチップは、もっと大きかったということもありますが、そういったものをすべての犬に打ち込むことについて、本当に犬の福祉から考えて妥当かという意見がありました。
 二つ目は、国民総背番号制に対する反発というのが人間ではあるんですけれども、それによく似た形で、そういうふうにどこかが情報を一元化して持つことのメリットもあるわけですけれども、今度逆に言えば、プライバシーの問題からいうと、デメリットもあるわけで、そういうことに対する慎重論がありました。
 それから、もっと大きな理由は、これはちょっとあまり言いたくないんですけれども、どこの業者から入れるかで、変な対立があったということは事実です。

【浦野委員】 そうすると、科学的な根拠ということでは、大きさというところが犬に対して苦痛を与えるという観点から、獣医師という立場で問題視されたと。

【林委員長】 そうです。それから、獣医師は、犬の代理者ということを考えたら、犬に人権があるかどうかはともかく、総背番号にすることについてどうかというようなことです。

【浦野委員】 わかりました。

【林委員長】 それは科学的かどうかは別として。大体そういう理解ですが、それでいいですね。
 それで、先ほど、永村委員からの、それでは、今、厚生労働省が狂犬病予防法との関係でマイクロチップをどう考えているのかということですが、私は、詳しい情報は知りません。ただ、推測はできるんです。推測はできると言いますのは、そもそも狂犬病予防法が今日の日本に合っているかどうかという論議があります。つまり、狂犬病がない国で、狂犬病予防注射を義務化していない国がヨーロッパのほうにありますので、なぜ日本が義務化を継続しなければならないのかという論議です。予防注射には、必ず副作用というのがあって、それで亡くなる犬もかなりいるわけで、そういったメリット・デメリットを考えた場合に、狂犬病予防注射そのものが義務として行わなければならないかどうかというのは、専門家の間では意見が分かれていると思います。しかし、厚生労働省としては、日本は海に囲まれて隔離されているとはいえ、どこから狂犬病が入ってくる可能性があるかわからないということもありますし、それからさらに、最近、アライグマが全国的に野生化して増えているものですから、もし狂犬病が入った場合には、大変なことになりますので、厚生労働省としてはこの法律は残しておきたいと考えているのではないかと思います。
 ただ、ここでまたマイクロチップで義務化というのを出すと、そもそも狂犬病予防は必要なのかという、そういう論議が起きるおそれがあるので、私は厚生労働省としては、今、黙っていたほうがいいと思っているんではないかと勝手に推測しています。環境省のほうで、どういうふうに厚労省とは話されているかもしれませんけれども、私はそう思っています。

【太田委員】 先ほどの説明で、一つ追加させていただきます。今、野上委員からマイクロチップとブリーダーとのつながりが疑問だという話がありましたが、現在、オークションでは1頭ごとに伝票を作っております。そこでマイクロチップの番号を書き込めば、ブリーダーと直接つながってきますから、後の追跡は可能になります。
 それと2年ほど前に厚生労働省から犬の登録をマイクロチップでできないかという話がありました。マイクロチップによって個体識別と登録が一緒に出来れば行政の仕事も簡潔化できるのではないかと考えます。やはり狂犬病は大きな病気なので、いざ入ったときに、対応ができるためにも、どこに何の犬を飼っているかという確認はしなくてはいけないかなと思います。
 以上です。

【林委員長】 大体ご意見いただいたようですが、よろしいでしょうか。これについては、義務化賛成、反対というのが非常にきっちり分かれているといいますか、両方の根拠も含めてご意見をいただいたということであります。
 もし、よろしければ、この論議はここまでにいたしまして、次、資料6の犬猫の不妊去勢の義務化について論議してまいりたいと思います。
 まず、最初にご説明いただきます。

【事務局】 資料6-1をご覧ください。犬猫の不妊去勢の義務化について、動愛法では、第37条に、所有者がみだりな繁殖を防ぐための措置を実施すること、都道府県等が引取りに際してこうした措置が適切になされるよう助言指導することについて努力規定が設けられております。また、動愛法の第7条4項に基づき定められた「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」では、原則として去勢手術、不妊手術等のその繁殖を制限するための措置を講ずることというふうにされてございます。
 また、2ページ目、3ページ目には、犬・猫の不妊去勢措置に対するインターネットのアンケート調査があります。この調査では、不妊去勢措置の実施率は増加傾向、犬では現在44%、猫では83%という状況になっております。3ページ目では、なぜ不妊手術をしていないかという理由を聞いた結果がございます。
 また、資料6-2につきましては、各自治体で実施している不妊去勢手術の助成金というものをデータとして入れてございます。
 主な論点としましては、・義務化の必要性、・仮に義務化が必要であると考える場合、だれがやるのか、費用負担はどうするか、いつからかと、・今後の施策をどのようにしたらいいかということでご議論いただきたいと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、この内容について、ご意見いただきたいと思います。
 打越委員、どうぞ。

【打越委員】 先ほどのマイクロチップと同じ立場でありまして、それよりも犬・猫の不妊去勢手術は、より一層望ましい、繁殖を望まないのであれば、不妊去勢手術の必要性を普及啓発することは大変に望ましいと思うのですが、しかし、法律で義務づけるものかというと、私はそうは思わないという意見です。
 根拠は先ほどと同じように、国の公権力で義務づけるほどの法的な利益を守るものではない。むしろ、飼い主の意識を高めていくほうが大事だと思うからです。

【水越委員】 ほぼ打越委員と同意見なんですけれども、ちょっと追加の部分で。私はだから不妊去勢の必要性について、販売時説明の義務のところに、不妊去勢ということをできるだけやりましょうと、そういうような一文を加えるというようなことを提案いたします。
 もう一つ、やはり、先ほどの施設基準のところでも、そういう話がありましたが、不妊手術に関して、国民に義務化を言う前に、いわゆる愛護センターから譲渡される犬・猫に関して、不妊去勢手術ができるように、これもいきなり義務化というのは各都道府県も難しいと思うので、それは重々承知なんですけれども、行政に対して、できれば不妊去勢手術をしてから譲渡をすると。ペットは不妊去勢をして飼いましょうという普及を、そういうところから実施をしていくということが望ましいのではないかというふうに思います。長野県さんでは、既に不妊去勢手術をしてから譲渡をするということをやっておりますので、不可能ではないのではないかというふうに思っております。

【打越委員】 今の水越委員のセンターで出す犬猫の不妊去勢手術の義務化というのに追加ですけれども、これは委員長や獣医師会の皆様に伺いたいんですけれども、長野県がセンターで不妊去勢手術をして譲渡ができている背景には、職員がペーパー獣医師ではなく、きちんと臨床の技術を持つように研修を続けているというのが1点であるとともに、それを民間の獣医師会が認めているという要素があるのではないかというふうに思います。公的な機関から譲渡される犬や猫が非常にたくさんいるときには、それを全部例えば、行政が不妊去勢手術してしまうと、ある意味、民間獣医師の利益を奪うというような形で、民間の獣医師会がそういうものにあまり理解を示さないというような話を聞いたことがあります。現在は変わってきているのかもしれませんけれども、せめて行政から出てくる犬や猫は、快く民間の獣医師会も認めてもいのではないかと思うんですが、そのあたり、実際のところはどうなのでしょうか。

【林委員長】 これは井本委員とか臼井委員からお答えいただきたいので、私の理解では、かなり獣医師会ではあちこちで頑張ってやっているんではないですか。

【井本委員】 獣医師会が反対したというふうにうわさはよく聞くんですが、具体的に何々獣医師会が反対しているという話を聞いたことがありません。
 私は、行政から譲渡する場合には、やっぱりそれは避妊手術をした形で譲渡すべきだと思います。ただ、問題はしっかりとした手術をしてくれないと困るということです。ペーパー獣医師ではないといっても、それは日常的にそれを頻繁にやっていればいいのですが、疑問を感じるような手術をされると、それはかえって後で迷惑をこうむるということもあるわけです。
 それから、私は、不妊手術の義務化については、反対をします。というのは、今、小型犬にどんどんなっていますね。それが正常な小型犬であれば安全に麻酔がかけられますが、そうではないケースもいっぱいあるわけです。それを一律に義務化されては、麻酔事故は今まで以上に起こることになると思います。それからフレンチブルなどの短頭種がはやっていますが、非常に麻酔をかけにくい犬種があります。そういうことを無視した形で、こういうのを一律に決めるというのは反対です。これはマイクロチップも同じで、今のマイクロチップを埋めると猛烈に痛いものですから、少なくとも私は麻酔をかけるときにマイクロチップを埋めるということは勧めるのです。中型犬以下や小型犬あるいは中型犬でも柴犬をはじめとする日本犬にマイクロチップを埋めますと、痛みによって飼い主との関係が非常に悪くなることがあります。これは数日で解決する問題ではなくて、何カ月もそのことが引きずるという問題が実際に起こります。よって、こういうタイプのものは、あまり義務化しないほうがいいだろうというふうに思います。

【林委員長】 恐らく、そういう変なうわさが立ったのは、ボランティアでやりなさいというような話があって、ボランティアを強制することに対して獣医師会は反対したんではないですか。やはり、これはボランティアでやることではないと、私も思います。それはそれなりのやり方を、ちゃんとルールを作って、各地方自治体と取り決めをしながらやっているのが多いんではないかという理解ですけれども、そういう理解でよろしいですか。
 それと、もう一つ、私も個人的な意見を言わせていただきますけれども、犬及び猫の繁殖制限ということを言うと、私は飼い主には、繁殖させる権利があると思っています。その権利を行使するかしないかは、飼い主のどのぐらい繁殖についてのきちんとした理解を持っているかによってあるわけですけれども、私は実際に私の飼っている犬を自分で繁殖させました。これは反復性がないですから、動物取扱業ではないと思っていますけれども、一度子供をとった経験があります。そういう意味では、その権利を奪う義務化というのは、いかがなものかと思っています。
 以上です。どうぞ。

【山崎委員】 一つ質問なのですけれども、行政から譲渡する犬・猫に関しては、不妊去勢を100%実施することというのは、果たして法律に書き込めるのかどうかということを伺いたいんです。それに加えて、もし、そうであれば、先ほど井本委員がおっしゃったような問題はどう回避するか。
 ご参考までに、いろんな国を見ていくと、各自治体も様々な工夫をしてやっているのですが、例えば、一つのところでは、前倒しでお金を取っています。要するに、譲渡料に加えて不妊去勢料を取ってしまって、獣医師から証明書を持ってきたら、そのお金を返すというような制度を持っています。その地域から外に引っ越してしまって、別の自治体の獣医師に手術をしてもらったら、その証明書を持ってきてくれればいい、獣医師の診断書をちゃんとくれれば、お金は送金しますよというような制度をとっているところもあります。また地元の獣医師会との協定を使っている例もあります。これは同行避難をうたっている東京都の23区のうちの16区ぐらいでも、その中で別個獣医師会と協定ありと書いてあるところがたくさんあります。同行避難での協定というのは、恐らく預かりとか、応急措置とか、そういうことだと思うのですけれども、獣医師会との協定でなにかをするというのもあり得ると思うのです。日本ではないのですが、譲渡した動物を動物病院にまず回すというところもあります。要するに、譲渡先のセンターから連れていかれないのです。あなたは何月何日に、どこどこの動物病院に迎えに行きなさいという形で動物を渡します。そうすると、その人のご自宅のそばの動物病院にシェルターから動物が行って、不妊去勢手術をした後で飼い主がそこに引取りに来ます。そのお金は実はシェルターのほうが動物病医に払っているのです。その獣医師会の獣医師にしてみれば、ある意味、お客さんもそこで回ってくるというようなメリットもある。ですから、ボランティアを強要することはできないけれども、実際に運用面で、行政が本当に100%やろうと思えば、いろいろな工夫をお考えになったほうがよいのではではないかと思います。

【林委員長】 これは最初のところはご質問だったですね。行政が可能であるかどうかという、これはどうなんでしょうね。
 斉藤委員。

【斉藤委員】 私たちのセンターは、平成12年4月にオープンしたんですけれども、最初から不妊去勢、犬も猫も譲渡する動物については不妊去勢をすべてして出すということを前提にして施設も作りましたし、職員も配置しました。オープンする前には職員も研修をし、今現在、県の職員に複数獣医師がいますので、きちっとしたオーソドックスな方法でやっております。
 それには、それなりの施設がないと、今の愛護センターでは、多分施設的に準備もできていないし、難しいセンターが多いと思いますので、一律に行政にそれを広めていくということは、難しいというふうには思います。
 私たちのやっている理由としては、やはり不妊去勢の啓発をするということです。行政としても、それをやりながら、必要性とか、そういうものをPRしていくと、それが一つ大きな理由です。行政から出ていった犬からさらに無用に繁殖といいますか、また保健所に戻ってくるようなことがないように、生まれた子犬・子猫が出てくるようなことがないような、そういうことも、処分頭数を減らすという意味でやっています。
 ちなみに平成12年に長野県の管理所で処分する頭数が1,900ぐらいあったんですね。現在、長野県内で210幾つですから、かなり、そういう意味では、自分たちの自負ということもありますけれども、効果があるんではないかというふうには、思っています。
 それから、マイクロチップも入れています。今、犬・猫で譲渡する分については、マイクロチップも入れています。それも啓発をするという意味合いで、それなりの実費の手数料はいただいておりますけれども、やっております。

【林委員長】 現在やっていらっしゃるということですね。
 どうぞ、加隈委員。

【加隈委員】 行政からの譲渡のものについては進めるということは同意なんですけれども、恐らく一般の獣医さんでもかなり獣医さんによって、どの時期に手術をすべきかとか、するべきか、すべきでないかというのは、かなり広い意見が聞かれるようで、飼い主さんもかなりそれによって混乱するということを聞いたことがあります。獣医師は行政でもあっても、一般であっても、特にもらい手がつかないであろうとか、この人には繁殖ができないだろうという場合、一般の方であれば、よほど勉強をしてとか、専門知識があってという、そういう意気込みがある方だったら別ですけれども、そうでない方にむやみな繁殖を勧めないということを施策としても入れていっていただく必要があるのかなと思っています。
 また、技術に関して、早期の不妊手術がまだ日本ではそれほど広まっていないかと思いますので、そのあたりはまた専門の部分で検討を進めていただきたいと思います。
 ただ、欧米と違って、まだ日本ではシェルター、特に行政から子犬・子猫のときにもらってくるというところが多いわけではないかと思いますので、実際に飼い始めたり、それから一般の町なか、あるいは特に猫に関してはそうだと思いますけれども、たくさんのまだ犬や猫が繁殖をしてしまっている、準備もなく、欲しいというだけで、一般の飼い主がしてしまう繁殖というのは、ある程度、教育によって抑えていくという対策も必要だと思います。
 以上です。

【林委員長】 渡辺委員。

【渡辺委員】 今、年間約24万頭の犬・猫の殺処分があることを考えると、それから不妊去勢手術のメリット・デメリットを考え合わせますと、手術は必要だと思います。
 ただ、アメリカのカリフォルニア州ロサンゼルス市では、もう3年ぐらい前になりますが、特定の疾患がある場合、あるいは繁殖に使う場合など以外は、不妊去勢手術は義務化されました。でも、そのときに特にニュースにならなかった理由というのは、ペットの不妊去勢手術がもうあまりに一般常識というふうに一般飼い主の間に浸透していたからだと聞いています。
 日本は、いきなりロサンゼルスと比べて、だから同じようにしようというのは難しいとは思いますが、義務としては難しくても、一層の推進のための啓発の部分は、是非ともプロである獣医師、一般飼い主、それから自治体、すべてが協力していくべきだと思っています。

【林委員長】 野上委員。

【野上委員】 今日、委員限りの資料でお配りしているカラーのリーフレットの中ほどに、私どもの会で調査したデータをグラフにしてあります。行政の施設で殺処分される犬・猫のうちの子犬と子猫の割合ですが、子犬は25%、子猫は78%で、子猫の殺処分数が圧倒的に多くなっています。この中でさらに飼い主が持ってきた子猫と、それから飼い主不明の子猫についても調べているんですけれども、飼い主が持ってきた猫の70%が子猫です。ということは、飼い主が不妊去勢をしていなくて、飼えなくなって持ち込んでいるということが、猫の殺処分数を引き上げていることになります。
 ですので、もし義務化ということであれば、行政が犬・猫を引き取る際に、特に子犬と子猫を引き取る際に、飼い主に対して親犬猫の不妊去勢を義務づける。2度、3度と持ってくる飼い主に対しては、ある程度のペナルティーを科すとか、そういう措置によって、特に子猫の殺処分数を減らす効果があると思います。
 しかし、全国で2千万匹という犬・猫すべてについて不妊去勢を義務づけると言うのは、ちょっと無理ではないか。犬・猫の殺処分を減らすという観点から取り組む施策として、行政の引取りの際に義務付けることが適切であるというふうに思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 太田委員、どうぞ。

【太田委員】 先ほど水越委員のほうから販売時に不妊去勢を説明したほうがいいのではないかという話がありましたが、前回の法改正によりまして、販売時の18項目の説明責任の中に不妊去勢をしっかり説明することという項目が入っておりますので、一言言わせていただきます。
 今、子猫の数が多いということでしたけれども、現在、猫は8割が去勢されているということです。これは非常に世界的に見ても高い数字ではないかなというふうに思います。ただ、猫が、現在殺処分のうちの半分を子猫が占めているということは、ほとんどが地域猫が大きな比重を占めていると思いますので、この地域猫の避妊をいかに進めるかが殺処分の数字を大きく減らすことができるんではないかなと思います。地域猫の避妊をいかにやるかということを真剣に考えていかなくてはいけないと思います。

【林委員長】 大体ご意見いただいたようなんですが、よろしいですか。皆様のおっしゃっている内容は大体方向性としては同じではないかと思います。何といっても、殺処分数を減らすための工夫を考えながら、この問題について取り組んでいく必要があるという、大変ですけれども、行政で、既に斉藤委員のお話ではやっていらっしゃるところがあります。ところで野上委員がおっしゃった、子猫とか子犬を安易に捨てようとする飼い主に対して何らかの注意をされるとか、そういうことはいかがなんでしょうか。

【斉藤委員】 直接、引取りをするのは保健所がやっておりまして、保健所の窓口でそういう今の不妊去勢の義務ということではなく、啓発なり、指導はしています。それから、各市町村で、不妊去勢の補助制度があります。これこれこういうような補助制度があるから、こういうのを利用したらどうですかというようなことも含め、地域の動物の関係の団体、愛護会とか、そういう方の猫のことを一生懸命やっている方を紹介して、そして相談に乗ってもらうとか、そういうことを使いながらお願いをしています。

【林委員長】 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。この件については、ここまでとして、最後の飼い主のいない猫の繁殖制限、これも繁殖関係なんですけれども、これについてご説明いただきます。

【事務局】 資料7-1をご覧ください。動物愛護管理法では、動物所有者等の責務、第7条。多頭飼育者の周辺の生活環境保全に係る措置義務、第25条。犬及び猫の所有者の繁殖制限の職務、第37条など、猫を含む動物については所有者等による管理を原則としております。しかし、猫に所有者の管理が及んでいない事例があることは社会的にある程度認識されてきているところでありまして、近年、都市部を中心に飼い主のいない猫がみだりに繁殖し、生活環境の被害や近隣トラブルが生じる例が見受けられます。他方、これらの問題について、地域住民が合意のもとに猫を管理する自主的に取り組むなど一部の取り組みが成果を上げています。こうした取り組みは地域猫活動というふうに言われておりまして、環境省でもガイドラインの中で紹介しております。この地域猫活動については、資料7-2の16ページ以降に記載されております。
 また、資料7-1の2ページ目、3ページ目は一般市民を対象にしたアンケート調査で、飼い主のいない猫に対する評価の内容などを聞いております。
 また、4ページ目以降につきましては、都道府県等に対する飼い主のいない猫に関するアンケート調査で、具体的に都道府県にどのような猫に関する苦情が届いているのかですとか、そういった苦情に対する対策としてどのようなものを都道府県がとっているのか、また、どういった対策が有効であったかという内容になっておりまして、こちらについては取りまとめて、都道府県のほうに既に配布をしたところでございます。
 また、最後、表の2-5-12というのが出てきますけれども、こちらについては、実際名が具体的に出てきますので、委員限りというふうにさせていただいております。
 また、資料7-3については、市町村などの自治体で設けている猫の管理に関する条ですとか要綱、そういったものを調査した一覧を掲載しております。
 主な論点としましては、・引き続きこういった地域猫活動などの取り組みを推進していけばよいかと、新たな対策はあるか、ということでご議論いただければというふうに思います。

【林委員長】 いかがでしょうか。資料7に基づいてご説明いただきました内容について何かご意見はございますか。
 打越委員、どうぞ。

【打越委員】 恐らくこれについては、法改正に向けての議論というのとはちょっと違ってくるのかなと。非常に重要な政策で、自治体の担当者の背中を押していく、そういう世論を作っていく、バックアップをしていくことが大事だとは思うんですけれども、法改正に向けての議論というよりも、これ全般に自治体の現場でどう運用していったらいいかという、そういうフランクな議論をしてよいのでしょうか。

【林委員長】 はい、結構です。

【打越委員】 わかりました。では、それに合わせて論点整理して、また手を挙げます。

【林委員長】 ほかにいかがでしょうか。
 山口委員。

【山口委員】 打越先生が後でどのようなお話をしてくださるかなんですけれども、実際に携っている者からの意見を言わせていただきますと、とにかく地域猫という言葉が先走りし過ぎて、ごはんをあげているだけの人も地域猫という形で、どんどん、どんどん数を増やしていて、社会問題になっているという現状があります。ですから、外でえさをあげている方たちについては、もう不妊手術は義務化というふうに、あと、予算措置をどうするかということも義務化にすれば入ってくるとは思うんですが、徹底した不妊手術をする以外、この数を減らすことはできないだろうなと思っているんです。それを進めるために、何か不妊手術をしなさいと言える根拠のものを、こういう中に入れておいていただけないと、なかなか指導しても、「いいんです、いいんです」と指導をお聞きにならない方がどんどん猫を増やしてしまうということがあるということ。あと、前の話に戻ってしまうんですけれども、意見を全然お聞きにならないということから言いますと、飼っていらっしゃる方も多頭飼育者で、どんどん増やしていらっしゃる方についても、不妊手術をさせたいのに、これは自由なんだからということで、手術をされません。一般的な義務化ではなくて、その辺のところを何とか食いとめる手だてがないかなというふうに思います。

【林委員長】 山口委員はそういう活動をされているから、ちょっとお聞きしたいんですが、地域猫活動をされている方は、飼い主のいない猫の繁殖制限について、積極的に協力される、それに反対される方もいるんですか。

【山口委員】 一部の方は、不妊手術自体がいまだに自然ではないという方がいらっしゃるんですが、ほとんどの方は賛成だと思います。ただし、お金的な面がカバーされればしたいと思っていらっしゃると思います。

【林委員長】 実態として、各市町村、自治体で相当取り組みは広まっているんでしょうね。いわゆる地域猫と言われる猫に対する不妊去勢手術の費用を自治体が持って、ボランティアと共同してやっておられるかどうかは別として、どうなんでしょう。
 斉藤委員、どうぞ。

【斉藤委員】 まず、不妊去勢の補助というのは、私どもの県内でも幾つかの市町村が補助を出すことはしています。地域猫の活動と市町村が不妊去勢の補助をするというのは、ちょっとまた別で、市町村によっては飼い主さんに不妊去勢手術の一部を3,000円とか2,000円とかという補助をするという制度のところもあります。
 地域猫は、私どもの県でも政策として取り組んでおりますし、私たちのセンターの中でも年間の県の予算を使いながら、地域猫の不妊去勢手術をしております。
 地域猫の場合は、ボランティアで地域の中にしっかり世話をしてくれる方がいて、そして毎日、朝、夕方、清掃をしたり、そういう方がいることが前提です。その周りの地域にも了解を得る。例えば公園の猫についてやるということになれば、その公園の管理者、それから周りの地域の住民の皆さんにも了解を得て、認知されることがまず大事です。不妊去勢をするのは、前提ですので、それをやりながら、管理するというボランティアさんを増やしていくということです。
 猫の苦情については、非常に対応することが難しくて、やはり不妊去勢をするような、先ほどのお話ですけれども、金額的になかなかできない方もいるので、各市町村を紹介しながら、何とか自分でも出していただいて、どうですかという話をすることがよくあります。
 その問題を解決する一つとして、地域猫というのは有効であるというふうに思います。私たちの県内でも、最初の頃よりもかなりいろんなところで、90から100カ所ぐらいに、それぞれボランティアの方がいて管理をしていただいています。確実に3年間ぐらいすると、大体外にいる猫は何らかの形で数が減りますので、感染症とかいろいろ理由はあるかと思いますけれども、その間までは、しっかり管理する。地域の猫の苦情とか、そういうものを減らすという効果はかなりあると思います。
 これをどう広めていったらいいか。それにはまずボランティアさんの理解があったりということで、何か法の中でできることがあるのかということは、ちょっと私も、まだわかりませんけれども、方法論としてはよい面がたくさんあるかなと思います。

【林委員長】 打越委員、どうぞ。そして、その次、井本委員。

【打越委員】 先ほど、山口委員がおっしゃったとおり、私、地域猫という言葉が逆に先走っているんではないかということを、最近は結構懸念しておりまして、特に今回配られた資料をあらかじめ読んできて、非常にやっぱり厳しいなというふうに思いました。決して安易に頼れない手法だと。
 というのは、具体的事例の例、委員限りの資料のほうを読んでも、あるいは統計的にまとめられた資料7-1の11ページのほうの資料を見ても、当事者が意見を聞かないとか、非常に感情的になっているとか、行政の指導に耳をかさないとか、あるいは周辺住民が結局猫がいる限り嫌だと言い続けるとか、あるいはさらに地域猫のいる良い地域なんだっていって、周辺から猫をそこに捨てにくる人が逆に出てしまうとか、もう本当に次々と課題が出ていて、これこそ法律で議論のできない地域ごとの多様な取り組みが必要なものなのだなということを実感しています。
 大事なのは、ボランティアさんの話も斉藤委員がなさっていましたけれども、最終的に住民のいろんな意見をコーディネートしていく行政職員の覚悟がどれだけあるかというのが、もちろん民間の大手の福祉協会さんがかなりの部分を背負い込んでやっているような活動もあるとは思うんですけれども、最終的に現場で行政が本気で動いているか否かというのが、言うことを聞かない人たちに対して大きな威力を持つと思うんです。なので、やはり、自治体の担当職員がその地域に本気で関わる覚悟があるか。二、三年で人事異動してしまったら、もう僕知りませんというような話では済まないと思いますし、また、一の努力をして、一の成果を得るというような、あるいは十の努力をして、十の成果を得るという発想では無理で、多分、10の地域の信頼を得るための努力をして、1やっと成果が得られるというのが、こういう活動だと思います。そういった意味では、自治体の担当職員さんに、こういった問題をもっと真剣に議論してもらうような研修とか、あるいは環境省からの発信や、我々委員の研修講師として頑張らなければいけない分野が多いのではないかなと思っています。

【林委員長】 では、井本委員、どうぞ。

【井本委員】 地域猫の活動は市の職員と獣医師会とボランティアがしっかりとした組織を作って、お互いに連携しながらやらないといけないということが前提です。
 同時に、今、各地方自治体で不妊去勢に対して補助をかなり出していますが、横浜では野良猫に対しても同じように補助を出しています。そういう状況にならないと、この運動は発展していきません。それをやりながら、なおかつ、私の場合は青葉区ですが、青葉区猫との暮らしを考える協議会というものを立ち上げて活動していますが、何重にもそういうシステムを持ちながらやっていかない限りは、この話の類いの運動は進展していかないわけです。
 ですから、言葉だけが先走るというのは、これはもう仕方ないことですが、そういうシステムをどうやって作っていくかという知恵は法律上では絶対出てこないところですので、それは別の形でサポートするということだと思います。

【林委員長】 井本委員にお聞きしたいんですが、確かに地域猫活動みたいなものが始まったのは横浜が元祖ですね。黒澤さんだったでしょうか。

【井本委員】 黒澤さんです。

【林委員長】 今、どうなっているんですか、横浜では問題はおさまっているんですか。それとも継続していますか。

【井本委員】 黒澤さんは磯子区で始められたのですが、横浜のように都市になってきますと、まず野良犬が減って、その次に野良猫が話題になってきます。そのタイミングで、我々はこういう活動を始めたわけですが、立ち上がっていない区もあります。しかし、例えば、黒澤さんが磯子から次に西区に転勤したら、西区で似たような組織を立ち上げてというふうに、転勤をうまく利用していけば、それはやれないことはないわけです。ですから、その辺はアイデアというか、考え方次第ですね。それから、その人たちの人柄、賛同する仲間が同じ職員の中にどれだけいるかとか、そういう問題だと思います。

【林委員長】 不妊去勢手術も伴うことですから、先ず行政、それから獣医師会、そしてボランティアの参加、これは今、地域で絆づくりなんていろいろ言われているでしょう。ちょうどいい材料を提供しているんではないかと思います。
 どうぞ。

【井本委員】 この問題をやっていて、一番問題は、人手とお金です。人手はボランティアさんがしっかりやってくれるということでいいのですが、お金の場合には、初めのうちは行政がお金を出しますが、そのうち3年ぐらいしたら引き上げていきますので、それまでにどうやって寄附を受けるシステムを作っていくかということです。

【林委員長】 ありがとうございます。
 ほかにご意見、どうぞ、水越委員と野上委員。

【水越委員】 すみません、ちょっと話が少し戻るかもしれないんですけれども、今、地域猫の話をしていますが、野良猫というか、地域にいる猫が繁殖して、それで殺処分される子猫の数が多いというのは本当に大きな問題だと思います。
 これらはいわゆる野良猫の問題なのですけれども、実際問題として、飼われている猫が外に出ていって繁殖に貢献するということもあると思います。では室内飼育を義務化するかというと、ここもすごく難しいところで、私も実際、猫を飼っていますが、野良猫をならして飼育している子は、やはり短い時間ですがどうしても外に出てしまうというのがあります。なので、ちょっと現実的かどうかということをまた議論しなければいけないかもしれないんですけれども、いわゆる飼育されている猫、特に外に出てしまう猫に関して不妊去勢を義務化する、あるいは登録をする、そうすることで、いわゆる野良猫と飼い主がいない猫と飼い主がいる猫ということをきちんと区別して、飼い主のいる外に出る猫に関しては不妊去勢を義務化するということが、法律であるとか、そういうことでできるのか、できないのか。
 また、犬の場合には狂犬病予防法があって、登録ということがありますが、猫の場合には狂犬病予防法から外れていることで、今まで登録ということがされていませんでした。でも、今回の震災を見ても、飼い猫か飼い猫ではないのかわからないというのが、猫の場合は多いと思うんです。そういったときに、登録ということがあると、飼い猫か飼い猫ではないかというようなことも区別することができるのではないかと。なので、猫に関しては、議題にはないんですけれども、登録ということと、あと、外に出ている猫に対しての不妊手術の義務化というようなことは可能かどうかということを議論をしてもいいんではないかと思いました。

【林委員長】 次、野上委員です。

【野上委員】 先ほどの資料に基づいて、もう一度申し上げたいんですが、行政に持ち込まれる猫のうち70%は飼い主不明の猫です。このことは、動愛法第35条の引取りの中で、飼い主が持ってくるものと飼い主以外の人が持ってくるものとを区別しているので、私どもの会で分けてアンケートをしてわかったところです。しかも飼い主不明の猫のうち、子猫の殺処分数が実に84%です。ということは、行政が殺処分している2009年度の23万頭のうちの半分以上が飼い主のいない子猫であるということになります。ですので、この子猫の数を減らせば、自治体の殺処分数はさらに大幅に減っていくわけです。
 しかし、現在の法律では、動物に対して、動物の所有者または占有者の責務ということは、いろいろと法律で飼い主に対して定めているんですけれども、飼い主のいない猫について、あるいは犬・猫以外でもいいんですけれども、それをどういうふうに扱うかについては明確な規定がありません。えさをやっている人は占有者なのかと、あるいは野良猫に不妊去勢している人は占有者なのかというと、そうではないという意見も多いわけです。
 ですから、これは法律で定めるかどうかは別として、飼い主のいない愛護動物について、どうするかという規定を考える時期が来ているのではないかと思います。
 ちなみに、不妊去勢の補助金を出しているところは、県レベルではほとんどというか、まずなくて、すべてが市町村レベルで出しているわけです。ということは、これは市町村の問題であって、まさに地域の住民の問題であるということを意味しています。
 ところが現実には、先ほども申し上げましたように、市町村には動物愛護の担当の窓口がありません。大体ごみの処理ですとか、生活衛生に関係する部署が片手間にやっているわけで、きちんとした情報も知識もないのが一般的です。ですので、都道府県は、さらに市町村と密接に連携をとって、不妊去勢ですとか、室内飼育ですとか、適正飼育について、周知徹底を図るというような連携体制を作っていくことが必要ではないかと思います。それが飼い主のいない動物についてのガイドラインのようなものの中に明確に位置づけられてほしいと思います。
 それから、もう一つの問題は、人間のえさに依存しない犬と猫は、鳥獣保護法では野犬と野猫というふうに定義されていまして、有害駆除ですとか、狩猟の対象動物としてされているわけです。現実に鳥獣保護法で狩猟されたり、有害駆除されている犬や猫が大体四、五百匹は全国でいるわけです。これは数は少ないですけれども、愛護動物として定義されている動物が鳥獣保護法では狩猟動物になっている。特に殺処分の方法については、野犬・野猫は安楽死等の措置がないわけですので、このあたりの整合性が必要ではないかと思います。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ちょっとお聞きしたいんですが、特に野良猫も地域猫も、それから飼い主がいても外へ出かけている猫で、問題なのは、猫はハンターですから、希少種をかなりハンティングしているんではないかという危惧です。それは生物多様性の保持の上から、どの程度、外に出て、特に地域猫と野良猫が問題なのかというのは、何かデータはありますか。環境省全体として。生物多様性保全の上から見た地域猫、あるいは野良猫の問題の深刻さという現状把握ですか、そういうのはどうなんでしょう。

【西山動物愛護管理室長】 事例で言いますと、ヤンバルクイナという希少種がいる沖縄本島のやんばるの山村ですとか、ヤマネコのいる西表島のある竹富町ですとか、対馬市、小笠原などでは、非常に深刻な問題が起こっていまして、そのために市町村のほうで、最近奄美でもできましたけれども、猫を管理する条例をつくって、完全な登録制にするなどしている例はあります。

【林委員長】 都会でも結構いろいろ小鳥、あるいは昆虫類でも希少な動物がいると思うんですけれども、そういうのは実態把握というのは、ヤンバルクイナとカツオドリとか、小笠原の希少鳥類についてはよくわかっていますけれども、ほかのところは、そういう問題というのはあまりないんですか。かなり猫は相当有能なハンターですので。
 どうぞ、山崎委員。

【山崎委員】 ハンターであるという被害という話の延長線上で、ハンターであるというだけではなくて、相当感染症の巣窟になっているという意味では、公衆衛生上、例えば、人獣共通という観点だと狭いかもしれませんけれども、実際に愛護動物を飼育している飼い主さんにとっては、相当な脅威となるということは言えると思います。
 私が住んでおります東京都の北部のあたりですと、結構悪性な白血病の猫たちが非常に多く、大体子猫を保護すると、多くがFeLV陽性という状態です。そういう意味での管理というのは、法律でするのは非常に難しいという議論が巡っていますので、私も法律で例えばこれを義務化しよう、あるいは管理しようということが、どこまでいけるかというのはわからないのですが、もし、何か例えば繁殖制限をするということやり始めたとすれば、ワクチネーションや繁殖制限を両方やらなければいけないと思います。同時に、先ほど、前の議論のときに井本委員がおっしゃったような、手術の質というのも非常に問題になってまいりました。安かろう悪かろうというか、大量で手術をなさっているような団体で、傷口が開いてしまったなど、結局、捕獲して手術をしたけれども、その結果として現場に戻ってからのたれ死んでいたというような事例もございますし、それから手術をしたという証をとりあえず耳にくさび型を入れたり、タトゥーとかいろいろ案はございますけれども、実際にやっていないところでは、二度三度あけられてしまった猫がいたりするそうです。そういう管理の面をどのように検討していくかということも大きな問題です。先ほど、水越委員の事例の中では、飼い猫ということがありましたが、実際に自分の猫が知らないうちに手術をされていて訴訟になったという事例などもあるので、猫の管理というのを運用面でどうするかというのは非常に難しいと思います。

【林委員長】 飼い主のいない状態の動物について、これはいろいろ考えていくと、結構大変かもしれませんけれども。
 どうぞ、局長。

【渡邉自然環境局長】 先ほどの林委員長からの野生生物、あるいは生物多様性への影響はどうなっているのだということと、今、感染症のお話もありましたけれども、野猫・野犬が捕食するという影響もありますし、野生動物に感染症が移っていくという心配も各地であって、例えば、対馬ではツシマヤマネコに猫エイズウイルスが感染した例というのも、実際出てきているということで、野生生物の生息地として重要なところでは、野猫との関係、野犬との関係というのは、割と重たい課題になっていて、先ほど、室長から紹介したように、各市町村で条例を作って登録制度を持ち込んだり、不妊去勢を導入をしたりと、いろいろ工夫をしつつ、小笠原でも野猫を減らす、譲渡も積極的に導入をして、東京都の獣医師会の全面的な協力で野猫を捕獲して、さらに東京まで運んで譲渡に回すというような努力も、それぞれの地域ごとにかなり工夫をして、野生生物、あるいは生物多様性に野猫・野犬が与える影響を減らしていくような努力というのは、割と重要な課題として各地で取り組みが動き出しているという状況かなと思います。

【林委員長】 どうぞ、打越委員。

【打越委員】 先に考えていたことがあったんですけれども、猫と生態系の話が出たので、ちょっとだけ追加ですけれども、猫だけでなくて犬も今後大きな問題になってくるのではないかと。愛犬家が犬連れで山に入るというようなことがあって、その際に結構ノーリードでというようなことが増えてきていて、私の住んでいる軽井沢町でも国有林内のかなり奥まったところまで犬を連れて散歩というのが問題になってくるだろうと思うので、生態系の話になったら、実は猫だけではなくて犬もルール化が必要ではないかと、今、追加的に思いました。
 話をもとに戻していいですか、生態系以外の話に。
 先ほど水越委員が外飼いの猫は不妊去勢手術を義務づけするなど、きめ細やかな運用ができないか、それを法律にできないかみたいなお話があったと思うんですけれども、やはり、かなりきめ細かな話になってくるので、法律で定めるというのはとても難しいところで、それこそ、その地域ごとの自治体の条例というものをもっと活用して、よく動物愛護団体の皆さんも5年に1度の法改正のときには一斉にいろんな意見を寄せていらっしゃるんですけれども、私はもっと自治体の条例というものの可能性に関心を持ってもいいんではないかというふうに思います。
 ですので、水越委員の話などは、条例などで議論をもっていけたらいいなと思うんですが、その際に、条例で決めようと思うと、よくネックになるのが、条例は法律の範囲内でという議論なんです。法律で定められていないものを勝手に条例がつくるのは法律違反になるかもしれないんで、だめなんですというような議論がよく出てきて、しばしばそういう議論は、自治体の職員さんのほうが、保身というか、言い訳のような形で使う。それは犬や猫の動物愛護管理行政に限らず、例えば、災害時の弱者保護とか、教育であるとか、児童虐待とか、あらゆる部分で法律の範囲外の条例はできないんですよと言って、自治体職員のほうがあきらめるような言い方をすることが多いんですけれども、もはや地方分権の時代であるということと、法律に書いていないことは何も条例で定めてはいけないという意味ではなくて、法律では定め切れないところを補完するという位置づけを考えるべきだと思います。
 国の側が、例えば総務省とか環境省とか厚労省が、そんな勝手な条例をつくられたら困ると言い出すとか、つまり、条例を作ったときに、その条例が違法かどうかという訴訟にならない限り、最終的に条例が使えないという話にはならないわけです。そういう意味では、多分、こういう問題に関して自治体が、もちろんあまりにも社会通念に反するような条例を作ったら、それは全国的な整合性からして困るという議論もあるかもしれませんけれども、現場できめ細やかな対応をするためのルールを各自治体が作ることに関して、総務省や環境省が非常に厳しく圧力をかけてくるということは、なかなかないと思うんです。今の皆さんの姿勢を考えると。そう思うと、条例が法律の範囲内でというふうに書かれてあることは、決して大きな壁ではなくて、その地域に合ったルールを作っていく、その条例の中で、例えば、外飼いの猫は不妊去勢手術を義務化するとか、あるいは逆に補助金をつけるとか、何かいろんな仕組みを自治体ごとに考えていく、そういう議論があっていいんではないかと思いました。

【林委員長】 ありがとうございました。
 どうぞ、青木委員。

【青木委員】 今の打越委員が条例に期待するというご意見を述べられましたが、国のレベルでは、これはもう皆さんご存じのとおり、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」では、かなりきめ細かいことが既に猫の飼養に関して書かれていて、ちょっと読みますと、例えば、「ねこの所有者等は、疾病の感染防止、不慮の事故防止等ねこの健康及び安全の保持並びに周辺環境の保全の観点から、当該ねこの屋内飼養に努めること。屋内飼養以外の方法により飼養する場合にあっては、屋外での疾病の感染防止、不慮の事故防止等猫の健康及び安全の保持を図るとともに、頻繁な鳴き声等の騒音又はふん尿の放置等により周辺地域の住民の日常生活に著しい支障を及ぼすことのないよう努めること。」と。「ねこの所有者は、繁殖制限に係る共通基準によるほか、屋内飼養によらない場合にあっては、原則として、去勢手術、不妊手術等繁殖制限の措置を講じること。」と、こういうふうになっているんですね。
 これは前回、この基準を改正するときに、猫は室内飼養とせよというようなパブリックコメントを出したら、非常に強い反対論がたしか寄せられて、一部の方には猫を室内だけで飼うということには非常に強い反発があるので、一旦そのパブリックコメントにかけた案が戻って、原則はやっぱり室内で飼ってくれと。ただし、一部外に出すこと自体は告示レベルで禁止はしないと、こういうところに落ちついたという経緯があったように記憶をしています。
 ですから、今回、国のレベルの何らかのルールを考えるのであれば、この告示をこのままでいいのかということを見直すか、見直さないかと、こういう議論をすべきなんだろうと思います。
 以上です。

【林委員長】 所有者がいない猫について、ここで扱うべきなのか、扱うべきでないのか。そもそも動物の愛護及び管理に関する法律の対象は、所有者がいる動物しか、前提にしていないと思うんです。そうでない動物をどう考えるのかということだろうと思うんです。

【青木委員】 おっしゃるとおりで、ちょっと私、必要な論点がずれていたことはおわび申し上げますが、家庭動物という定義は、別に所有者がいるかどうかとは、ちょっと違う観点から規定されているようなので、今のご指摘を受けて、さらに言うならば、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」の中に何らかの、今、野良猫とか地域猫とか、いろんな呼ばれ方をしているものを入れるかどうかと、こういう議論になる可能性はあろうかと思います。
 おわびを兼ねて、以上です。

【林委員長】 加隈委員。

【加隈委員】 今のお話を受けてという部分がありますけれども、実際に活動をされているところでは、飼い猫なのか、野良猫なのかという区別をつけるのが非常に難しいということが問題になっているかと思いましたので、例えばですけれども、今の基準の中などに屋外に出す猫に関しては必ずマイクロチップとか識別できるものを装着することを義務に、読めばそのとおりかもしれないんですけれども、より外に出す猫に関しては、もし、飼育者が明示されていなければ、それは野良猫としてしまうというふうなこともどうなのかなと、ちょっと思いましたので、そのような規定も検討してみてはどうでしょうか。

【林委員長】 そうですね。実際、飼い主がいるか、いないかということの判別はどうするべきかということで言えば、そういうことですね。
 どうぞ、山口委員。

【山口委員】 先ほど、委員長がおっしゃった言葉の中で、動愛法では飼い主のいる猫を対象というふうにでしたが。

【林委員長】 飼い主のいるというか所有者がいる動物を前提としているということです。つまり、この中で、動愛法が扱っている動物は哺乳類から爬虫類まであるわけですが、その中の基本的に野生動物は、飼い主がいない場合に対象にしていないということなんです。

【山口委員】 総理府の時代に、たしか動愛法でいう猫に関しては、飼い主のいる、いないに関わらずという判断が出ていると思うんですけれども。

【林委員長】 それはだれが出したんです。

【山口委員】 総理府が出したと思います。

【林委員長】 そうすると、その項目がないとおかしいですね。これは全部、所有者はこうしなければいけないというような文章ですから、所有者がないものについてはどうしたらいいのということになってしまう。

【山口委員】 だから、その判断を昔の業務提要でしたか、あの中に総理府としての返事を書いていらっしゃるのが1ページあったと思いますので、もう一度、ちょっとそれを見直してみたいと思います。

【林委員長】 動愛法の理念の中で、動物は命あるものという、その動物とは何かというと、哺乳類から爬虫類までですから、その中で野生であれ、飼育下にあるにしろ、動物そのものの命の尊さは理念としては述べているわけですけれども、具体的にああしろ、こうしろという話になってくると、野生状態の動物を対象にして文章はつくられていないというふうに理解できるんです。

【山口委員】 ただ、警察のほうの判断も、たしか虐待等で野良猫が虐待されたときも一応動愛法でいっているのだと思うんですけれども、ですから、飼い主のいる、いないに関わらずという判断だと思います。
 それから、一つお聞きしたいことがあって、私、ちょっと法律のほうは詳しくないもので、占有者という要件を教えていただけたらなというふうに思います。

【林委員長】 所有者と占有者の違いですか。

【山口委員】 はい。所有者、占有者と言える要件はどういうものがあるのかということを教えていただけたら。

【林委員長】 占有者は所有者とどう違うのか、どういう要件があれば占有者ということになるのかということですが、「又は」となっていますから、所有者と占有者というのは違う概念なんですね。占有者の場合は、オーナーではないわけですね。しかし、その動物を事実上占有している状態にあるということでよろしいですか。

【青木委員】 今の山口委員のご発言は、林委員長との応答を含めて、先ほど、私が問題にしました家庭動物等の飼養及び保管に関する基準というのは、林委員長がおっしゃるように、確かに所有者、占有者がいる動物しか関わっていないと。だから猫をどうしなさいという部分については、この基準ではいわゆる野良猫は対象になっていないということなんだと思うんです。ただ、動物虐待罪については愛護動物ということで猫が入っていますから、それは占有の有無に、所有者のいる、いないに関わらず、犯罪の対象になるということで、どの部分を言っているかによって範囲を違うということになると思います。
 それから、もう一つ、今、気づいたので、先ほど私の発言を訂正しておきますと、家庭動物というものの定義そのものの中に、家庭等で飼養保管されている動物というようなことが書いてありますので、やはり、そこからも家庭動物というのは愛護動物とは違う概念で占有者がいるということになるんだと思います。
 もう一つ、山口委員が最後におっしゃった、どこがそもそも占有者なのかという判断は、これは非常に一般的、抽象的にしか答えられないような気がします。実際にえさやりをやっている人、どこまでいったら占有者なのかと。あるいは地域猫活動をして、氏名をちゃんと掲示して、ボランティアでやっている方は占有者なのかというふうに問われると、なかなか一般的に、この人はそうだよ、この人はそうではないというのは答えられないように思います。実際、もうちょっときめ細やかなことは、むしろ渋谷委員あたりがご存じだったら、ご発言いただけるといいと思います。

【渋谷委員】 占有者の概念が非常に難しくて、やはり、場所を提供しているかであるとか、えさを与えているか、また、その頻度であるとか、そういうもろもろの諸事情を見て、およそ飼育者もしくは管理をしているというふうに認められる人は占有者になってくるという判断でいいんだと思うんですけれども、実際の裁判とかになってきますと、本当にいろいろな事例がありますし、具体的なこの事案はどうなんですかと聞かれても、すぐ即答できないような難しい問題だと思います。

【林委員長】 よろしいでしょうか。
 もうそろそろ終わりますけれども、短くご発言ください。

【太田委員】 今の件は、資料7-1の上に9行目ぐらいに、これは環境省の見解といえば、そうかもしれませんけれども、書いてあるような気がするんですけれども。

【林委員長】 どういうことですか。

【太田委員】 資料7-1の飼い主のいない猫の繁殖制限について、上のほうに、今の件に関して見解が述べられていると思うんですが、いかがでしょうか。

【林委員長】 飼い主がいない猫については何と書いてありますか。今、所有者及び占有者がいない動物というか、野良猫ですが、猫については何もどうしろということは書いていないんです。

【太田委員】 上から3行目に、「猫の所有者の管理が及んでいない事例があることは社会的にはある程度認識されてきている」ところである。

【林委員長】 そうです。認識としてはそうなんです。だけど、この猫に対してどうしなさいということについては、何か書いてありますか。

【太田委員】 「近隣トラブルが生じる例が見られる。」

【林委員長】 だから、これも認識です。こういう状態があるということの状況説明ですね。だけど、そうしたら、それに対してどうしましょうというのは、今のところないので、それで飼い主のいない猫の繁殖制限について何か1項加えるか、加えないかということを、今、論議しているわけです。

【太田委員】 私は、この文章のとおりでいいような気がするんですけれども。

【林委員長】 だから、文章というと、飼い主がいない猫は、恐らく行政が対応せざるを得ないんだろうと思うんです、飼い主がいないわけですから。だから、そのときに行政にどういうふうな繁殖制限を含めて何か明文化していくかどうか。実際には繁殖制限をやっておられる、実態としてはとられているわけですね。先ほども斉藤委員のお話に関して言えば。それから、行政だけではなくて、多くのところでは、地域猫の中には野良猫も含まれているんでしょうか。行政と、それから獣医師会とボランティアが共同して取り組みに当たっているという、そういう実態はあるということですね。これは別に法律に基づいたものではないですね。ここで話題になっているのは、今の活動をどんどん頑張ってくださいということは、ご支援すれば、私はいいんではないかと思っているんですけれども、それ以上に何か、例えば、動愛法の中にこういうことを書き込むとか、そういうことが必要かどうかという論議をしているわけですけれども、先ほどからの話では、こういうことを書き込めというのはありましたか。

【渋谷委員】 具体的に詳細に書くというのは、まだ難しいかもしれませんけれども、一応、今、これだけ現実に猫の活動が行われているわけですから、何らかの地域の猫の理念であるとか、目的であるとか、指針であるとか、そういうものを示して、一つ条文を置いて、それに対して行政が協力することができるみたいな条文が1個あるといいのかなという気がしているんです。

【林委員長】 それは、いわゆる地域のという言葉を使うと、地域猫がひとり歩きしているというお話だったんですが、山口委員だったか、所有者及び占有者のいない猫についての行政の関与ができるような一文を加えたらどうかという。

【打越委員】 私はそれを法律ではなくて条例というものに期待したい。なぜならば、東京都の中でも、例えば品川区とか世田谷区のような住宅地もあれば、大分郊外が広がっている練馬区までありますし、ましてや東京都と長野県では全然違う。そうすると、関与の仕方も、地域猫のスタイルも、そもそも一般の飼い主たちの犬や猫への姿勢も違うので、先ほど、ちょっと山口委員と林委員長の間ですれ違っていた議論は、実際にはすれ違っていなくて。動物愛護管理法は、すべて犬や猫をみんな含んでいると思います。ただ、林委員長がおっしゃっていたのは、結局、義務とか権利という話になったら、人間のことしか規定はできないわけで、飼い主なるものを規定するしかできていないのが実態だと思いますので、ただ犬や猫全体として愛護し、衛生上管理しなければならないという目的が第1条に入っている限り、あとは本当にいろいろな自治体の政策的なアイデアを支えていきたいと 私は思います。

【林委員長】 よろしいでしょうか。大体こういう意見で。どうぞ。

【野上委員】 実際に飼い主のいない猫の殺処分は行政がやっているわけです。犬・猫の殺処分数の半分以上は飼い主のいない猫が産んだ子猫であるということで、それが多くの負担になっていることを考えれば、先ほどの議論にあった行政の収容施設のところを、もし基準ができることになったら、行政はできるだけ飼い主のいない猫を減らすように努めるものとするとか、そういう書き方で基準なりで明記していけば対応できるのではないかと思います。
 あと、細かい具体的な施策は、それぞれの市町村や地域がやっていくことではないかと思います。

【林委員長】 概ね大体こういうご意見が多かったということで、今日は終わりにしてよろしいでしょうか。
 もし、なければ、これで今日の議題についてはすべて終了します。

【事務局】 委員長、どうもありがとうございました。
 それでは、事務局から1点ご連絡申し上げます。次回の小委員会の日程でございます。予定としては、関係者のヒアリングを予定していますけれども、9月27日、28日、この両日を今のところ予定してございます。また、詳細につきましては、委員の皆様方にご連絡申し上げたいと思いますので、日程についてよろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【林委員長】 それでは、お返しいたします。

【事務局】 それでは、委員の皆様、今日は朝から多くの課題につきましてご議論いただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、第19回の小委員会を閉会させていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

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