中央環境審議会動物愛護部会 動物愛護管理のあり方検討小委員会 (第18回)議事録

1.日時

平成23年8月30日(火)午後1時00分~午後3時30分

2.場所

三番町共用会議所1階 第2~4会議室
(千代田区九段南2-1-5)

3.出席者

林委員長、青木委員、磯部委員、井本委員、打越委員、
浦野委員、太田委員、小方委員、加隈委員、斉藤委員、
渋谷委員、永村委員、野上委員、水越委員、山口委員、
山崎委員、渡辺委員、
渡邉自然環境局長、小林審議官、田中総務課長、西山動物愛護管理室長ほか

4.議題

  1. (1)多頭飼育の適正化
  2. (2)産業動物の福祉
  3. (3)罰則の引き上げ
  4. (4)その他

5.配付資料

資料1-1
多頭飼育の適正化について
資料1-2
多頭飼育の現状
資料2
産業動物の福祉について
資料3
罰則の引き上げについて
  •  資料4~7は第19回配布資料を参照。
<委員限り>
事務局提出資料
<委員限り>
野上委員提出資料
  1.  多頭飼育問題の新聞記事(朝日新聞)
  2.  行政の施設(市町村の引取り・一時保管場所)(茨城県)
  3.  犬猫の一時保管に関するアンケート(茨城県)
  4.  犬猫の引取り依頼書(業者)
  5.  犬猫の引取り依頼書(個人)
  6.  犬抑留所(福井県)
  7. ALIVE 家畜福祉リーフレット、命にやさしい生活を、食卓から始めよう!
<委員限り>
渡辺委員提出資料

6.議事

【事務局】 定刻となりましたので、これから第18回動物愛護管理のあり方検討小委員会を開催したいと思います。
 これから事務局の方でしばらくの間進行を務めさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。
 まず初めに、本日の委員の方の出席の状況でございますけれども、臼井委員が本日はご欠席となってございます。全員で18名中17名ということで、過半数を超えていますので、本日も小委員会は成立していますことをご報告申し上げます。
 続きまして、事務局の方から1点、ご連絡でございます。先週の8月26日、環境省の人事異動がございました。審議官が異動しましたので、ご紹介申し上げます。
 新しく就任しております小林正明でございます。

【小林審議官】 小林でございます。よろしくお願いいたします。

【事務局】
 続きまして、本日の会議の資料の確認をさせていただきます。
 明日も会議がございまして、明日の分と合わせてセットをさせていただいてございます。本日の資料としましては、1から7番になります。委員限りの資料は、野上委員の方からの資料が1点、渡辺委員の方からの資料が1点、あと事務局の方の資料が1点ということになってございます。
 また、本日の会議でございますけれども、この資料並びに本日の議事録につきましては、後日、環境省のホームページで公表させていただきます。
 それでは、この後は委員長に議事の方をお願いいたします。

【林委員長】 それでは、第18回動物愛護管理のあり方検討小委員会を開催いたします。
 最初に、自然環境局の渡邉局長よりご挨拶をいただきます。

【渡邉自然環境局長】 大変お忙しい中、第18回目になります小委員会にご出席いただきまして、本当にありがとうございます。
 この小委員会でおよそ1年議論をしてきました動物取扱業の適正化に関して、議論の総括を行っていただいて、7月末から約1カ月間、パブリックコメントを行いました。8月27日が締め切りでございました。これから集計という段階ですけれども、メールだけで5万件を超えていて、ファクスや郵送の分を加えますと、大変たくさんのご意見を頂戴したという形になっています。非常に関心が高いということがあらわれているのかなというふうに思います。
 この動物取扱業の適正化に関しましては、このパブリックコメントでいただいた沢山のご意見を整理した上で、改めてどんな対応をしていけばいいのかということで、この小委員会でも改めてご議論をいただければと思っています。
 今日、明日と2日連続しての小委員会になりますけれども、8月3日にヒアリングという形で産業動物の関係、そして地方自治体からのヒアリングを行ったところです。そのヒアリングも受けて、多頭飼育の適正化、産業動物の福祉、自治体の収容施設の問題といったことを中心に幾つかの議題を加えて、2日間にわたってご審議をいただければというふうに思っています。
 どうぞ、よろしくお願いいたします。

【林委員長】 ありがとうございました。
 本日の会議、小委員会ですが、前回のヒアリングを踏まえまして、多頭飼育の適正化、これに1時間、産業動物の福祉について、これも1時間、残り30分を罰則の引き上げに当てたいと思います。そういう時間をある程度お考えいただきながらご発言いただきたいと思います。
 それでは、一つ一つ進めてまいります。事務局から説明をいただきます。

【事務局】 それでは、資料1-1をご覧ください。多頭飼育の適正化について。
 都道府県等を対象として実施したアンケートにより、平成18年、19年度の2カ年における多頭飼育に関する苦情についてまとめています。資料1-2にアンケート結果をつけてございますけれども、延べ1,775件の回答がありまして、全体の7割が飼育頭数20頭未満の例ですけれども、飼育頭数50頭以上の事例も少数見られております。苦情の内容については、周辺の生活環境の悪化や生命・身体・財産への危害の恐れといったものが多くなっております。
 続きまして、それに対する行政の対応ですけれども、このアンケート結果につきましては資料1-2の2ページにございますけれども、大半が口頭による指導となっておりますが、一部勧告や命令など法令による対応に発展した例も少数はあるというところでございます。この勧告・命令につきましては、資料1-1の1ページの下の四角の中で囲ってあります動物の愛護及び管理に関する法律第25条に基づく勧告と命令ということになっております。
 続きまして、資料1-1の3ページの方に飛びますけれども、前回のヒアリングを踏まえて、主な意見としては、前回山梨県に来ていただきましたけれども、勧告や措置命令の制度が有効活用できた。環境省令に規定されている「周辺地域の住民の日常生活に著しい支障を及ぼしていると認められる事態」について実際の事案に応じた適用が可能となるよう基準が必要。この省令につきましては、2ページ目の上の四角の中に抜粋を載せております。また、続きまして、山梨県の方では、多頭飼育の届出に関する条例を制定していまして、条例で定める届出制は、適正飼養に努めさせるという意味での抑止的な効果はあったということで、これに関しては、3ページの下の参考法令の中に、山梨県の条例の抜粋を掲載しております。また、最後の意見としまして、告発して刑罰を受けることよりも現場の状況が改善されることを優先する必要があるということを前回のヒアリングでおっしゃっておりました。
 また、(2)愛護団体等。これは第1回の小委員会の資料にも付けておりますけれども、その要望書の中から主な意見を抜粋しております。犬猫あわせて10頭以上は、登録もしくは届出。行政による立入調査権限の付与。行政による助言、指導、勧告等をより迅速化して周辺環境の悪化や動物虐待等の未然防止。こういったことが必要ではないかという要望が愛護団体から上げられております。
 続きまして、3.主な論点としましては、・届出制等の導入の検討。条例によって既に導入している自治体もございます。ここに五つ、環境省で調べた限りでは五つの自治体で導入しているということが把握できております。また、化製場等に関する法律に基づく許可制もございます。この化製場等に関する法律につきましては、2ページ目の真ん中とその下に法律と政令の抜粋を掲載しております。また、・導入した場合、対象となる動物の種類及び数をどこまでとするのか。最後に、・行政による適正飼養の確保(勧告・命令規定は既に存在。現場の改善のため、行政の権限をどこまで拡大することが可能か具体的な基準が必要か)。
 これに関しましては、4.参考法令の5ページ目に、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の抜粋を入れております。これに関しては、第19条の4に規定される措置命令を出した場合において、それでもまだ状況の改善が見込まれない場合ですとか、緊急に支障の除去等の措置を講ずる必要がある場合については、市町村長が自らその支障の除去等の措置の全部または一部を講ずることができるという規定の抜粋を掲載しております。
 事務局からの説明は以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 先ほども事務局からお話がありましたように、委員限りということで、野上委員、それから、渡辺委員から資料が出ておりますが、これについて、野上委員、まず簡単にご説明いただけますか。

【野上委員】 では、私の方から資料の説明をさせていただきます。
 この資料集の後ろの方にありますのは、新聞の記事でして、朝日新聞社が2008年に、全国の自治体に多頭飼育についてどのくらいの苦情があるかということを調べたもので、大きな記事になりました。非常にたくさんの多頭飼育に関する苦情が行政に寄せられていて、動物愛護団体や行政や地域の住民が大変困っている、これは社会問題であるということで記事にしています。
 その次は、多頭飼育の崩壊ではないのですけれども、非常に増え過ぎてしまった動物を行政が処分しているという実態を報じた新聞記事です。
 その次は、犬の引取り依頼書ですが、これは明日の行政の収容施設の問題にも関係してくるのですけれども、こういう動物業者の施設でブルセラ病ですとか、そのような感染症が発生しまして、結局のところ飼いきれなくなって、行政に引き取ってもらうという事実を示しています。
 その次は、個人の方々がどのような理由で行政に犬や猫の引き取りを依頼するかという資料で、その後のカラー写真の方は、明日の行政の収容施設に関しての議論の中で、また改めてご説明させていただきたいと思います。
 以上です。

【林委員長】 それでは、引き続いて、渡辺委員もご説明いただけますか。

【渡辺委員】 お時間をちょっとだけ頂戴します。
 3枚つづりの資料を提出させていただきました。それぞれ写真が出ておりますけれども、最初の例は、犬が3年間室内のケージの中で放置されていた例です。食料と水だけは与えられていたものの、周りに人がいない状態です。もちろんケージの外に出ることもなく、ふん尿を吸った毛玉を体にまとって、それはもうコチコチの石のようになって、取り外すのはギブスを外すような作業だったということです。最初の写真がシーズーで、二枚目の写真がシェルティーです。
 2番目は、女性が自宅でシーズーを多頭飼育していた例です。寂しいからという理由で、最初は数頭だったのが、あっという間に増えて65頭にまでなりました。ここは私も直接行ったのですけれども、既に動物愛護団体の方が入った後でしたので、においとかはそれほどひどくはなかったです。本人ともお会いしましたところ、そんなに変な人には思えませんでした。けれども、この後、私の知り合いの新聞記者に紹介して、実際取材してもらって、彼女が多頭飼育の例などをよく研究されている医師や研究者のところにも行ってお話を伺いましたら、前回の会議で山崎委員もおっしゃっていましたように、これは病気であるとのことでした。海外では、そういう過剰な多頭飼育というのはカウンセリングが必要であるとの認識があり、プロの手によってのみ解決できることであるが、日本ではなかなかそういう認識がないということを、非常に残念がっておられたという記事でした。自治体の方たちの手だけではなかなか解決できる問題ではないので、何らかの研究をこれから重ねていく必要があると思います。
 また、こうしたケースには、動物愛護担当職員や、地域の動物愛護推進員との連携を望みます。そして、これらの例に限らず、場合によっては警察が介入してくれることも必要だと思います。警察に相談しても、警察官の方が動物の愛護及び管理に関する法律をご存じないことも非常に多いので、その辺の広報というようなことも必要ではないかと思います。
 以上です。ありがとうございました。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様のご意見あるいはご質問をいただきたいと思いますけれども、山崎委員、どうぞ。

【山崎委員】 この問題は、今、渡辺委員がおっしゃったように、動物愛護管理法で解決できることは極めて限られていて、山梨県の条例の事例が出ておりますけれども、こういった形、それから頭数制限をするというぐらいしか、多分この法律の中ではできることはないと思います。
 ただし、法律という域を超えてちょっと発言をさせていただければ、環境省なりが例えば厚労省などと協働で、この問題は日本全国47都道府県、また世界各国でございますので、人間の医療関係者や福祉関係者を、どうにかしてチームエフォートに巻き込むようなシンポジウムなりタスクフォースなりという方向性を、近い将来に出していただきたいと思います。厚労省経由で、例えば日本社会事業大学等の先生方を巻き込んで、ワーカーさんたちがまずどうやってこういう問題に対応するかと。現場のワーカーさんたちのお話を個々に聞きますと、やはり生活保護を受けておられる、しかしながら猫を大量に飼っておられて、入院などのときにどうやってお世話をさせるものかというようなご相談の電話を、私ども個々に、恐らく山口先生などもそうだと思いますけれども、いただくことがございます。個々には対応できますけれど、大きな流れとして、例えばソーシャルワークとか人間の福祉の分野の中で、動物問題は依然としてお犬様、お猫様が好きな人の領域という、ちょっとB級的な扱いを受けておりますので、そうではなく、人間の福祉に関わる問題であり、場合によってはそのものに対する精神医療相談や、今後のいわゆる後見人制度等をつけなければ解決しないものだという意識を社会にどう広げていくかという、そういう方向性を何らかの形で見出していただきたいと思います。
 極端な例では、例えば感染症に飼育者本人がかかっていたり、敗血症を起こしかけていたり、アメリカの事例などではノミ・ダニに食われて神経痛を起こしていたというような事例もございますので、人間の福祉と医療をどうやって介入させるかという手段は、法律の域を超えたものだというふうに感じております。

【林委員長】 野上委員。

【野上委員】 多頭飼育の問題というのは、本当に全国各地で発生していまして、しかもなかなか解決ができなくて、山梨県の例などは30年も続いているわけです。ここに係る地域住民の迷惑、それから行政の労力、そして愛護団体の疲労困ぱい、こういうものを全部総体的に考えますと、非常にその損失が大きいわけです。ですので、これに対して二つの方法を提案したいと思います。
 一つは、多頭飼育を届出制にするということです。先日のヒアリングで、山梨県の行政の方が、届出制は抑止力にはなるということをおっしゃっていました。ここまで悪質でこじれる事態に至る前に、かなりの部分を抑止できるだろうということで、各自治体がやっているように、10頭以上の飼育者については事前に届出制にする。そして行政が、いろんな情報が入った段階で、その都度改善指導をして頭数を抑制していくこととか、飼育環境を改善できるような仕組みを制度として作っていくことが必要ではないかと思います。
 もう一つは、もう既にこじれてしまった、今、山崎委員がおっしゃったような、本当に病的な多頭飼育者については、別途ほかの対策が必要であろうと思います。動愛法でできることとしましては、やはり法的な強制力といいますか、そこに至った段階で飼育頭数の制限、例えば50頭を一人で犬を世話するというのは常識から考えてもできないわけですので、50頭以上になったならば、罰則を科すとか、あるいは引き離すとか、そういう措置ができないかと。それから、敷地の制限です。狭いアパートの一室等で猫を50匹飼っている、そういうようなところについても、この面積でこの頭数は到底適正飼養は不可能でしょうということで、具体的な規準を作って、そういうもののもとに行政が改善指導をできるようにする。それに従わない場合には、ある程度罰則ですとか、動物の所有権を剥奪はできなくても、一時的に引き離せるような状況に持っていける制度を作っていければいいのではないかと思います。現在の第25条の罰則が非常に弱くて、罰金20万円ということですけれども、この罰則についても、あわせて引き上げる必要があると思います。
 それから、犬の多頭飼育者のほとんどの方々は、狂犬病予防法による登録注射をしていません。また、化製場法ですとか、騒音規制法とか、いろんなほかの関連法がありますので、関連法についてもきちんと遵守していただくということを、その規準の中に設けていったらいいのではないかと思います。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、山口委員、そして、次に斉藤委員ですね。

【山口委員】 私の方は、山崎委員がおっしゃったことも野上委員がおっしゃったことも賛成です。けれども、所有権剥奪というのは難しいというふうに野上委員はおっしゃったのですが、繰り返さないためには、やはり必要であろうと思うのです。10頭以上は届出制あるいは登録制になるのか、何頭かというのも考えないといけないと思います。10頭以上でいいのですが、9頭でもとんでもない飼い主もいるわけです。9と10でひっかからないという方もいますので、頭数だけではなしに、先ほどおっしゃったように、早期介入できる基準というものが必要だろうなと思います。早期介入できる基準があれば、その基準をもってして、改善をさせて、罰則も科せるというふうにすれば、1頭でも2頭でも、適切な飼育管理ができない人はできない。ですから、その人たちを早く改善させて、動物を苦しみから早く救う。あるいは近隣への迷惑も及ぼさないようにするということができる法律にしたいというふうに思います。
 それから、今の法律では「近隣の苦情があれば」なんですけれども、山の中で多頭飼育している例は結構多いものですから、そういうところでは近隣の苦情が出てこないのです。出てこないけれども、すさまじい飼育管理をされておりますので、その辺にも手を入れられるように早期介入できるような基準をつくって、それを実際に適用できるようにシステムを作らないといけないのかなと思います。

【斉藤委員】 それでは、今日の資料の中で、長野県でも届出制度になっているということで、全国で5県ですがあるという、その一つに入っているということで、私からお話をしたいと思います。
 この動物愛護管理法を受けて、各県で、山梨県の条例の文も出ておりますけれども、例えば長野県で言いますと、動物の愛護及び管理に関する条例というものが、これは平成21年10月に施行されております。その前にも飼い犬の関係の条例があったわけですけれども、新たに出たということになっています。その内容でありますが、飼い主の遵守事項というのが決められております。つないで飼いなさいとか、その他環境に配慮するとか、そういう諸々の犬についての飼い方といいますか、そういうものが載っていて、それを守れない場合は措置命令を出すことができるということです。ですから、それをまた守らない場合には、罰則が当然それについてくるということです。
 各県でも条例がありまして、多くは大体このような内容のものと思います。全部は見ておりませんけれども。東京都のを見ても、飼い主の遵守事項があって、立ち入りができて、それに対して指導ができると。そして、例えば立ち入りを拒否したりする場合にも罰則規定があります。ですから、こういうものに基づいて、頭数は別にしましても、何か問題があれば、飼い主に対して指導をしていくという、そういう体制にはなっております。
 それで、長野県の場合は、過去にも幾つかの多頭飼育を含めていろいろな問題がありまして、届出制をこの際に入れましょうということで、犬猫合わせまして10頭以上を飼育している飼い主さんについては、届出をいただくことになっております。メリットは何かということになりますけれども、届出制ですから、許可とはちょっと違いますけれども、届出をいただくと、基本的はその施設を見に行く、それから頭数の状況に応じて事前に問題が発生する前に確認ができる。そういうこともあるかと思います。それから、例えば10頭以上が届出ということになると、10頭以上にならないようにするということもあるかもしれません。それから、立ち入るときに、住居部分はもちろん立ち入るとはできないのですけれども、届出されている飼育場所、例えば室内のこの部屋とこの部屋というような形で飼育場所は図面で届出をされるわけですが、その届出される場所については、基本的には飼養施設として立ち入りができるということになります。そういう意味では、しっかりとした届出をいただくということはプラスかなと思っております。
 これを全国に一律に届出制を法の中に入れていくかどうかということですが、まだ各県でこのぐらいの状況である。それから、法の中でも遵守事項がしっかりと各飼い主さんにもあって、それに対して措置命令なりができる体制の中で届出制をしていくという流れであれば、対応ができるのではないかと思います。けれども、今の状況では、それぞれ各県で行っている条例の中にそういう制度ができておりますから、その中でしっかり届出制をするなり、指導をしていくということが、現状の中ではいいのではないかと考えております。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。打越委員。

【打越委員】 論点が非常に議論しにくくて、宿題として事前に資料を渡されている時点から、これは何を議論したらいいのだろうかというのを悩んでいました。というのは、野上委員や渡辺委員が非常に残酷な風景の写真を用意してくれたわけですけれども、不衛生であるとか、飼養基準が悪いというような話は、動物取扱業者に限っての話としてではありますけれども、飼養施設の問題でこれまで大分議論してきたわけです。実はそこがポイントで、業者であろうが、一般の飼い主であろうが、飼養施設の環境がここまでひどかったらダメとか、ここまでは許容範囲よというところが、これまで何度議論してきても、その数値基準を定めるという合意ができていませんし、そこがクリアされると、この問題は大分改善されるのではないかと思います。だから、飼養施設の劣悪さの問題を除いて多頭飼育の問題を議論するというならば、今、ここで議論すべきなのは何だろうかというのが、私はなかなか整理ができないのです。
 それとまた、非常に残酷な事例があるというのをアピールしていただくのは、もちろんもうわかってはいることではあるのですけれども、法改正で何を入れ込むのかということに論点を絞らないと、議論をしだしたら、こんな残酷な事例がある、こんなひどい事例があるということで議論していても仕方がないと思います。となると、議論はやはり登録制、例えば10頭以上の登録制をするかしないか、それに賛成か反対か、賛成であるならその根拠、反対であるならその根拠ということで、法律の中に登録制を入れることの是非に議論を当てるとか、そうした議論こそしなければならないと思います。また、参考資料の中の愛護団体さんが示してくれていることですけれども、行政側の強制的な立入権限を認めるか否か、あるいは勧告等のあるいは指導等の頻度を高めていくような形で行政側の権限を増やすか否か、そこが残された論点なのかなと。とにかく、飼養施設の問題は決着が全然ついていないのですけど、その話をし始めたら、今までも結論が出ていなかったと思うので、論点を絞った方がいいのではないかなと思います。
 もう1点あるとするならば、先ほどから議論が出ているコレクターやホーダーの精神的な問題があるので、総合的な人間の問題としての取り扱いが必要だという趣旨を動愛法の中に入れ込んでいくかが論点になると思います。つまり、飼い主ケアも動愛法の対象範囲であると入れ込んでいくか否かも議論のポイントなのではないかと思います。
 ただ、そうした話になると、ケースワーカーや生活保護の問題を所管しているのは厚生労働省さんだと思いますので、環境省の審議会だけでは、どうにも足りない。自治体の担当者はどちらかというと、狂犬病予防法であるとか、厚労省が所管している法律の部分に大分影響を受けていると思いますので、その辺のところを議論しないと、人間側・飼い主のケアを法的な概念として入れていくかどうかという議論が進まないかなと思います。
 ですので、多頭飼育の現場がどれだけかわいそうかということを議論しても、今は仕方ないのではないかと思います。

【林委員長】 今までの論議をまとめますと、こういうことになると思うのですが、この動物の愛護及び管理に関する法律は、これは別に動物取扱業者だけではなくて、すべての国民に対する法律ですので、愛護とそれから管理、両方の義務と権利があるという中で行われていることですが、この多頭飼育については、先ほどから二つの意見が出ていると思うのです。
 一つは、動愛法の中でこれをきちんと何らかの形で明示するということ。それから、斉藤委員は、現状の動愛法でも、5自治体が条例を制定して、その中できちんと処理しているところがかなり出てきているので、ほかの自治体について言えば、これからその自治体の事情に応じて対応が可能なので、私が聞いた限りでは、少なくても今回、特にこの多頭飼育で動物愛護及び管理に関する法律を変える必要はないのではないかというご意見ではなかったかと思うのです。
 そういうご意見で、この飼育条件については、恐らくまた別の問題になってくるので、例えば1頭しか飼っていなくても、飼い主が家の中で物すごく虐待に当たるようなケージで飼っていたらどうするのという、そういうことも問題なわけで、それはまた全然別の問題ですから、今、少なくとも常識的に考えて、10頭以上飼育しているような状況の中で、この動物の愛護及び管理に関する法律の中に多頭飼育ということを何らかの形できちんと入れるかどうか。そこが今、問題になっているのだろうというふうに理解していますが、よろしいですか、そういうことで。
 では、ほかに何か。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 現在の法律でも、第25条に、周辺環境への悪影響という条文が入っているわけです。多頭飼育に起因する環境問題として、ちゃんと法律の中に入っています。ですから、ここの部分を少し強化すればいいのではないかというのが、私の意見です。
 しかも、残酷とか、かわいそうとかとおっしゃっていますが、それだけではなく、非常に不衛生であるとか、さまざまな関連法に違反しているということも問題なわけで、地域の住民からの苦情が多いということを忘れてはいけないと思います。どこかの県の条例では、一人の苦情ではなくて、周辺の住民の複数の苦情があった場合には、行政が立入調査をするということを定めているところもありまして、客観的な基準に基づいて行政は行動しようとしていると思います。
 それから、動物取扱業者については飼養基準というものがありますが、個人の飼い主については家庭動物等の飼養及び保管に関する基準というのがあります。この家庭動物の基準の中に、多頭飼育についての規定があるかというと、ないわけです。ですから、恐らくは個人の飼い主の適正飼養については、今後、この家庭動物等の飼養及び保管に関する基準も改正していく必要がある。そのあたりで押さえていきながら、どうしても対処できない、これだけ自治体や周辺の住民が困っているケースがあれば、法律で何かその対策をとらなければいけないのではないかということが問題意識としてあるわけです。
 以上です。

【林委員長】 それでは、打越委員。

【打越委員】 今の野上委員のご意見には賛成です。家庭動物の飼養基準のところをしっかり作っていこうということであれば、それはもうまさに法律ではなくて、政令なり省令なりの改正ということになりますけれども、多分そういうところまでもある程度踏み込んで議論してよいのだとは思いますので。つまり、法的な仕組みでどうやってこの問題を解決していくか、やっぱり論点を絞っていくべきだと思います。
 ちなみに先ほど言いそびれましたけれども、私はその登録、届出というのを法律で規定するのがいいのかどうかというのは非常に悩ましいというふうに思います。斉藤委員がおっしゃったとおり、もちろん全国の都道府県なり政令市なりが積極的になれば作れるものだと思いますので、むしろ各都道府県・政令市でそういう住民の世論というのを高めていくことが一番、最終的には問題を解決するのではないかなと。その国の法律で10頭以上登録というふうにしたところで、その地域の住民の飼い主としての熟度が低いままでは、行政担当者だけが孤立する。そういう意味では、この委員会として、各自治体でそういう仕組みがあった方がいいのではないかという発言をすることには大いに賛同なんですが、では法律に入れるかというと、非常に悩ましいと思っています。

【林委員長】 それでは、浦野委員、どうぞ。

【浦野委員】 論点にも出ているのですけれども、化製場等に関する法律という別の法律があって、それを見ると、特に犬がダブってくるのですが、犬について飼養する場合は、この化製場等に関する法律で許可を受けなければならないと、許可制になっているわけです。だから、こういう飼養することについて、法律の先生方のご意見を伺いたいのですが、二つ以上の法律で縛るということがあり得るのだろうかと。片や許可制になっていると。いまひとつ、どういうふうになるかわかりませんが、届出・登録制という別の形での縛りというのはあり得るのでしょうか。

【林委員長】 これは磯部委員、青木委員にお答えを頂きたいと思います。磯部委員から。

【磯部委員】 ちょっと一般論でしかお答えできませんが、同一の規制対象物、この場合は動物ですが、に関して、それぞれの法律目的に沿って異なる規制対応をとるということは、それ自体は別に問題はないだろうと思います。ただ、そのダブりぐあいが内容的に不合理であるというようなことがあれば、それは立法政策として整理が必要だろうとは思いますけれども、それぞれ法目的が違うのだという説明が恐らくされることになるだろうと思います。

【林委員長】 そうですね。法目的によって、それはあり得るということで、非常に明快なお答えです。
 よろしいですか。浦野委員。

【浦野委員】 ただ、この化製場等に関する法律というのは非常に古い法律で、現在に即しているかどうかはちょっと疑問のところがあるのですが。飼養ということだけで見ると、犬を10頭なら10頭以上飼養するときに、そのことだけでやっぱり二つの法律が重なってしまうというふうに判断できるのですが、それ以上は読みようがないというか、もう飼養する場合は届出、あるいは許可を受けなければならないというふうになってしまうと思うのですが。

【磯部委員】 そうです。

【浦野委員】 それは、もうそれはそのとおりということですね。はい、わかりました。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 論点になるべく即した部分に関しての意見なんですけれども、要望として出ている犬猫合わせて10頭以上という具体的な数を、もし検討の中に入れるのであるとすれば、実効性を考えた場合に、犬猫合わせて10頭というのは、ちょっとラインが低過ぎるかなというふうに思っています。犬ないし猫が、もちろん繁殖制限の部分と同時に議論されると思いますけれども、仮に生まれてしまうと、一度に5匹は生まれたりするわけです。犬も猫も飼っているという方もいらっしゃるという中で、10頭というところからいちいち立入調査ということを入れるのは、実効性が保証できないかなというふうに思います。
 もちろん、極端なケースに集中して対策をとることがいいのかという疑問はあるのですけれども、もしそういうふうであれば、数を入れるのだとすれば、例えば犬だけ猫だけで10頭、もしくはもう少し多数のところからまずやってみるということでもいいのかと思います。ただ、もしこれを導入するのであれば、やはり行政が確認するという立入調査をするなどのものとセットにしておいた方がいいのかなというふうに思っています。
 ただ、ちょっと、この届出制を既に導入されている県というのが、具体的に問題が起こったところや、あと飼育頭数の点や人口の点で必ずしも多いわけではない地域ですので、東京都など大都市圏でこれが実際に行うというのは、なかなか全国一律で行うのはまだ難しいのではないかと思うので、かなり慎重にいろいろなほかの部分のバランスをとった上で、というのは飼養施設の規準ですとか、繁殖制限の規準ですとかとあわせてちょっと検討することかなと思います。
 結論ではないのですけれども、数に関してだけ、そのように意見を述べさせていただきます。

【林委員長】 今のご意見ですけれども、既に条例等であるのは、こどもは除くというふうになっているのです。大体あとは3ページ目を見ていただければわかるのですけれども、山梨県の条例では「生後91日未満のものを除く」と。だから、こどもが生まれてもすぐさま10頭以上になって問題が起きるということはないと思われます。
 はい、どうぞ。

【永村委員】 10頭をめぐる議論の中で、もちろんこどもを除くというのはごく当たり前というか、当然の考え方だと思うのです。今の化製場法上の10頭というものも、そもそもどういう根拠でつくったかというのも非常に今となってはわからないのですけれども。また、各県の条例で10頭とおっしゃっているのも、どういう根拠でそれをお決めになったか私はわかりませんけれども、一口に10頭と言いましても、わずか2~3キロの犬種から、50~60キロの犬種まで非常に多様なわけですね、犬は。だから、そういう非常に多様なものを、ただ数値さえ決めれば、どんどん規制が強化されて正常化できるのだという、非常に単純な形で、ただ10という数字を決めさえすればいいという考えには、ちょっと私は抵抗があります。犬種によって非常に違う。それは飼い主の負担だってめちゃくちゃ違うと思うのです。そこをどういうふうに考えるかも議論すべきだろうと思います。

【林委員長】 あんまり面倒なというか、複雑なものはつくれませんが、確かにこの一番先に紹介されています20頭未満のところが7割ですか。だから、問題は20頭以上のところがかなり問題になるだろうと思うのですが、この頭数で法律の中に届出制等の導入を明記するかどうかですね。そこは、恐らく山口委員が言われた「近隣の迷惑」というのは、場所によってはなかなか迷惑が出てこないけれども、動物にとっては非常に虐待状態になっている可能性があるのを防ぐためにも、予防的にこういう届出制を入れておいた方がいいのではないかというご意見に近かったというふうに思うのですが。
 山崎委員、どうぞ。

【山崎委員】 頭数というのは、多分お互いにいろいろと立ち位置が違うので、なかなか議論をしにくい観点だと思うのですけれど、繁殖もあり、それから愛護関係者の中にはいわゆる通過的に一時預かりで、一時的な避難として成犬を、例えば10頭ぐらい自分の家で、本当に1週間ぐらいお預かりしたいとかという方も私の周りにいたりしますので、そういうふうに考えると。ちょっと私は今、一生懸命古くなったコンピュータをかき回して探しているのですが、どこのだかは覚えていません、申し訳ないですが、日数がついている法律もあるのですね。要するに、何頭以上を、例えば半年以上続けて飼うとか、50日以上続けて飼うとか、そういう場合には届出をしなければいけないというような、日数制限をつけているという法律が確かどこかにあったと思いますので、そういう両方向から攻めていくという考え方もありかなと思います。

【林委員長】 磯部委員、そして、打越委員、どうぞ。

【磯部委員】 これまでのお話を整理するつもりでの発言をしたいのですが、整理にならないかもしれません。
 現行法の25条の規範としての力があまり強くないので、その延長線上に、もっときっちりとしたルールにしようという方向で考えるならば、一定数以上の頭数、それが10頭か20頭かはちょっと別にして、ある頭数以上の多頭飼育をすれば、それが、どんなに良心的な飼育者であっても、一種の潜在的な社会的危険性、他人に迷惑をかける潜在的な危険性が常にあるといえるでしょうから、それが顕在化しないように、行政は必要な規制ができるという仕組みなのだろうと思います。だから、それを一層強化する方向で考えるならば、例えば20頭を基準とするならば、すでに潜在的危険性はあるわけですから、きちんと届出義務を課し、さらに立入調査あるいは報告聴取に応じる義務なども課すことができるだろうと重います。そして周辺住民からの苦情など、現実にトラブルが生じた場合には、改善勧告などの行政指導から始めて、状況に応じて必要な是正命令などの力的な権限を付与し、さらに違法行為に対しては罰則を用意しておくということになります。つまり一定数以上の多頭飼育は、もはや単なる個人のペットの飼い方というの問題を超えて、一種の客観的な危険状態を現出しているわけだから、警察的な取り締まり対象としてそういう法的な仕組みを用意することは、法理論的には無理なくできるだろうと思います。
 もちろん基準の立て方の問題は残っているわけで、いくら潜在的な危険性のあることだから届出をしてくださいといっても、それが例えば3頭以上飼っていたら届出をしろという基準であるとすれば、社会常識的に考えてちょっとおかしいと思いますけれど、20頭というような基準ならば、十分合理性があるといえるのではないかと思います。10頭でもいいかもしれませんが、これだと、ペットの好きな方がすぐ超えてしまう数のような気もしますね。いずれにせよそういう客観的な危険性というものを重視した上での、基本的に警察的な秩序維持的な安全確保的な規制という方向が、一つ見えると思います。
 他方で、お話の中に出てくるもうひとつの問題はたとえ10頭以下であっても、動物を飼う責任感のない、能力のない人がいて、そういう人は1頭でも2頭でも虐待をしてしまうかもしれない。そういう意味では、頭数とは別に動物を飼うということには一定の責任が伴うから、そこに遵守すべき事項というものがあることを明確化するという方向の議論も十分可能だろうと思います。
 こちらの問題に関しては、先ほどの潜在的な社会的危険防止ということとは異なり、法益としては、ストレートに動物の虐待防止ということになるのだと思います。そこには飼い主の精神的な疾患に対する配慮というような論点もあるかもしれませんが、そうなりますと、途端に問題がひどく難しくなりますので、いまはその点には触らないことにしますが、そもそも動物の虐待の未然防止というような観点から合理的な必要性のある規制を設けることは、それなりに意味があると思います。そういう場合は、おそらくいきなり飼い主に対する行政命令とか罰則適用という話にはならなくて、まずは勧告などの行政指導が行われることになるのかと思います。
 それから、これとは別に、先ほど条例がいいのか法律がいいのかという問題がありましたけれども、全国一律の法律と地域性の問題があると思われます。最初に述べたような客観的な社会的危険性を有する多頭飼育に対する規制としては、全国に適用される一律の基準を法律で規定するのがよかろうかと思うのですけれど、そこから先の個人的な飼い主の適正飼育、遵守事項の監視というような法目的に立っての行政介入は、あるいは地域性のある問題なのかもしれません。大都市の過密な環境でペット飼う場合とそうでないところでは、規制の必要の度合いが随分違うとも言えるかと思いますので、そこは条例に任せることにして法律ではその根拠付けだけを書いておくというような方法もあるかと思います。
 ちょっと大ざっぱな話で、話していても気が気ではないのですが、やはり大きく分けてその二つの方向があるように思います、ということでございます。

【林委員長】 ありがとうございました。
 では、打越委員の後にお願いします。

【打越委員】 届出制の話ではないのですが、非常に悪質な多頭飼育の場で、問題が解決できない、行政職員がなかなかすぐに動けない壁は二つあったと思うのですね。一つは所有権の問題。どんなに悪質な飼い方をしていても、飼い主に所有権があると、その所有権の壁が、緊急保護をするような形で対応ができないという最大の壁だったと思うのです。適正に飼っていなくても、その人のものだからといったら、それが絶対に金科玉条になっている。ここを実は突き崩せれば、大分変わってくるのではないかと。
 例えば親権というのは民法の中でもとても重要な概念だと思うのですけれども、児童虐待で子供の安全が守れないというときには、緊急避難でその児童を保護することが行政の権限として認められているわけです。人間の子供と犬や猫を一緒にするとまた立場が違う人からご批判を受けるかもしれませんけれども、犬や猫であっても、余りにも不適正な飼い方をされている場合には、例えば所有権を乗り越えるような緊急避難というような仕組みを法律の条文の中に入れれば、何かあったときに取り上げるぞということが言えるようになる。登録制にするか否かよりも、法律というものがチャレンジしなければならないのはそういうところなのではないかと思います。権利を制限するという、所有権の問題と緊急保護のような概念を、例えば25条とか、あるいはほかのところに入れることができるか否かというのを私は考えます。
 あともう一つは、法律ではないのですけれども、自治体の担当者から、告発して刑罰を与えることよりも、現場の状況を改善することが大切であるというような議論があったときに、これは大分前のヒアリングになってしまうと思うのですけれども、例えば100匹とか200匹の犬や猫がいたときに、では例えば緊急避難という仕組みができたとして、それをどこで保護するのかと。民間の愛護団体が入ってくれているといっても、各家庭で緊急避難的に、例えばもしも所有権を飼い主が手放したとしても、100頭、200頭をどこで保護するというのが問題になると。逆に言うと、そんなに残酷な状態で飼育されているならば、逆に致死処分を厳然とその場でできるかどうか。実は犬や猫にとってみれば、死の概念よりも、そういうような状況で飼養されている方が私は残酷なことだと思います。もし自分の猫がそんな状態にせざるを得ない状況が長引くのであったら、一刻も早くむしろ致死処分してあげたいと。保護する先がないというのが行政担当者さんがおっしゃっていたことで、では逆に、緊急避難ですぐに致死処分ということができないのでしょうかというふうに聞いたら、世の中の世論がそうなっていないと。そういうときに殺すと、残酷だというふうに行政側にクレームがやってくると。本当に悪質・劣悪な状況になってしまった犬や猫に対して、日本の国民の動物愛護の精神が「殺さないで助けろ」という観点しかないところに問題があると私は思ったので、そういう意味では、いざというときに緊急避難のときの致死処分というのが、むしろ動物の福祉の観点からは認められていいのではないか。それは安易に捕まえて殺せという意味ではなくて、処分できないゆえに、保護できる場所がないゆえに、救い出すことができないという問題の壁を乗り越えられないのではないかと思います。
 以上、所有権の問題と、それから多頭飼育のもしも緊急避難で保護された、あるいは所有者が所有権を放棄した後に保護した犬や猫たちの取り扱いについて議論するのが問題の解決につながってくるのではないかと思います。行政の立入権限等を強化するというのも、もちろん一つの手法だと思いますが、実際には、業務のあり方の中でそこだけを権限強化しても、問題の解決にはなかなかつながらないのではないかと思います。
 以上です。

【林委員長】 所有権の問題については非常に重要な問題なんですが、これは今回の改正のところでは重過ぎるといいますか、準備ができていないということがありますので、次回以降にぜひ考えていくべき問題だろうと私は思います。
 といいますのは、この所有権について言えば、別に多頭飼育だけの問題ではなくて、1、2頭飼っている人、これが圧倒的に多いわけですけれども、そこでの問題の方がむしろ件数からしたら多いのです。そういったことは、本当に所有権の問題をどう考えるのかと、幾つかの準備をしなければならないということがあります。それから、殺処分についても、日本人全体の考え方については非常に広い意見分布がありますので、これもやっぱり将来的に考える必要がある問題であるという認識で、今、ここでお話をしているのは、多頭飼育をどのような形で今回の改正で扱うかという、25条との絡みになりますが、あるいは一方で、先ほど斉藤委員がおっしゃったように、各地方自治体は着実に条例等で整備していっている現状もあるので、自治体の事情に応じて、今後ともそれを進められることを待つのか、そのどちらかしか、今のところは考えようがないのですけれども。そういう流れです。
 磯部委員、どうぞ。

【磯部委員】 一言だけよろしいですか。所有権の話なのですが、先ほど私が述べた整理で言えば、前半部分のかなり客観的に地域住民に迷惑がかかっている状態で、そういう社会的危険の存在を前提条件にするならば、これはもはや所有権の適正な行使の限界をはるかに超えて、典型的な権利の濫用ということになるでしょう。いくら自分の所有物だからといって、他人に迷惑をかけてまでその所有権を行使することはできないわけなのですから、その権利濫用に当たる部分について、それを規制することはまったく問題なかろうと思います。家の中で1頭や2頭のペットをいじめている場合の飼い主所有権の話とは、同じ所有権といってもちょっと性質が違いますので、それは可能だと思います。

【林委員長】 わかりました。
 永村委員、どうぞ。

【永村委員】 先ほどのアンケート調査の中で盛んに言われております悪臭だとか鳴き声だとか、周辺住民に大変悪い影響が出るから頭数規制をしようという話ですけれども、この中にも一部、かむとか徘徊するとか、私はその頭数にこだわられるのは非常に今から先の議論に、また危険犬種というようなものが議論になるかと聞いておりますけれど、例えば数頭飼っているだけでも、例えば非常に管理に細心の注意が要るような犬もいるわけです。とにかく、もう何でもかんでもいいから一つの数字を決めてしまえばそれでいいという考え方よりも、先ほどどなたかがおっしゃいましたけれども、複数の苦情を訴える方がおれば、何らかの行政が関与して解決を図らなければいかんというような、そういった結果に基づいていないがアクションが起こるような法律の方が、私は実態的だという気がします。そういうことを条例か何かで定めていただければいいのであって、その数字を一つ決めることが問題の解決に非常に大きく貢献するという考え方には、私は先ほどから非常に賛成しがたいということを申し上げているわけです。

【林委員長】 それは一つの考え方ですね。つまり、問題が起きている。幾ら多数でも問題が起きない飼い方をしていたら、問題ではないのではないかと、こういうことでしょうか。それは一つの考えではあります。
 よろしいですか、ほかにご意見は。野上委員、どうぞ。

【野上委員】 少なくとも犬については、登録制というのがありまして、市町村がすべてその情報を持っているわけです。それについて都道府県との情報共有を図り、少なくとも犬については登録制をもっと周知徹底させて、10頭以上の登録についてはきちんと実態把握できるようにすることは可能であると思います。それは狂犬病予防法との関連性を今後強化していく必要があるということになります。
 それから、もう一つ、今年の6月に、ヒトと動物の関係学会というところで、多頭飼育についてのシンポジウムが行われたわけですが、そこで奈良県の行政の方がこのように言っています。「数名の職員が1年以上拘束され、数千万円にものぼる経費を要して、個人の不始末を行政がしりぬぐいした結果となった」と。つまり、1件の多頭飼育があるだけで、これだけ多くの行政が負担を被っているという現実です。その結果、行政がやるべきほかのことができなくなっているわけです。栃木県の業者のケースでは、行政の立入調査の書類だけでもこんな厚いファイルが3冊もある。それでも全く改善できないという現状があります。だからこそ、これを変えたいということで議論していく必要があるというふうに思っています。

【林委員長】 おっしゃったとおりで、この問題で多くの行政に携わっている方がほかのことができなくなっているというぐらい大変な状況にあるということ。この事態は何とか今回の法律改正の中でも改善する必要があると、こういうことですね。
 山口委員、どうぞ。

【山口委員】 打越委員が今の家庭動物等の飼養及び保管に関する基準を改善すれば、それが適用できるというふうにおっしゃったのですけれども、一般の自治体の職員の方の多くの声は、やはり基準は原理原則、あくまでも基準ということで、今の基準はなかなか罰則とリンクしていないから、それを適用してもなかなか守ってもらえないと言われます。だから、改善するのであれば、それを言い替えて、本当に実際に使えて、罰則ともリンクするような形でやらない限り、なかなかそれを守らせることができないのではないかと思うのですね。

【林委員長】 罰則のことはこの次の部分でお願いします、後から出てきますので。

【山口委員】 はい。また次の話なんですけれども。それと、先ほど野上委員がおっしゃったように、行政はやはり後始末行政ほどお金がかかる。予防行政ほどお金と人手も時間もかからないということを言いたいと思います。

【林委員長】 わかりました。それ以上の同じことの繰り返しはやめてくださいね。
 今、出てきているのは、法律の中で何らかの改正を、強化を行う必要があると。そのときに、頭数をもし挙げるとすれば、10頭という話と、それから20頭という話も出てまいりました。それから、頭数はいろんな犬種によって、あるいは猫か犬かによって違うので、これはむしろ頭数を定めるという以外のやり方で、苦情について機敏に厳しく対応できるような状況を作った方がいいのではないかというようなことと、今回の法律改正の中では何も行わないけれども、各自治体の条例等が整備されてくるのを期待するという、こういうご意見等が出ていると思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

(はい)

【林委員長】 それでは、この多頭飼育の適正化については、ここまでといたします。
 次は、産業動物の福祉について。これも事務局からご説明いただいて、皆様のご意見をお聞きしたいと思います。

【事務局】 それでは、資料2をご覧ください。産業動物の福祉について。
 まず、現状のご説明です。動愛法では、産業動物のみを対象とした規定はなく、第7条第1項、下の四角の中に抜粋してありますけれども、ここに人の所有又は占有下にある動物の適正な飼養・保管等に係る規定がございまして、これが適用されている状況でございます。この同条第4項に基づき、「産業動物の飼養及び保管に関する基準」、これは昭和62年に出された告示がありますけれども、これが定められてございます。殺処分に当たっては、第40条第2項に基づく「動物の殺処分方法に関する指針」、これは平成7年の告示になりますけれども、こちらが適用されているという状況でございます。
 また、前回のヒアリングでご説明していただきましたけれども、社団法人畜産技術協会等によって畜種別の「アニマルウェルフェアの考え方に対応した家畜の飼養管理指針」が策定されたところであり、これに基づく業界独自の取り組みが期待されるところでございます。
 続きまして、2.主な意見 にまいりますけれども、前回のヒアリングで出た意見としては、家畜を快適な環境で飼うことは、生産性の向上にも結びつくものであり、現場は既に努力していると。このような状況において「5つの自由」を法律で義務づけることは、現場から反発が出る恐れがある。例えば除角は一時的に苦痛を与えるが、一方で除角しないことによってかえって群飼育をした場合の牛の間の闘争が激化するといったメリット・デメリット、不慮の事故に遭うことをどうとらえるのかといったことを総合的に評価する必要があるというような意見が出てまいりました。
 続きまして、(2)愛護団体等。こちらも先ほどと同様、第1回の小委員会の資料で出した要望書の中から抜粋した意見でございます。こちらは、産業動物の福祉の確保のために、動物福祉の基本である5つの自由に基づいて飼育管理すること。バタリーケージ、ストール等の使用禁止といった要望が挙げられてございます。
 続きまして、3.国際的な動向 ですけれども、EUではEU指令としてAnimal Welfareに基づく飼養管理の方法が規定され、EUの各国はこれに基づき、法令・規則等を制定。一方、アメリカ、カナダ、オーストラリアでは、生産者団体や関係者が独自にガイドラインを設定して、そのお触れを運用しているというところでございます。続きまして、OIE(国際獣疫事務局)でございますけれども、アニマルウェルフェア章に輸送やと殺に関するコード、コードと呼ばれておりますが、基準が存在すると。ただ、ブロイラーや肉牛の飼養管理に関するコードはまだ検討中の段階でございます。
 4.主な論点 としましては、(1)産業動物は畜産物の生産に寄与するなど国民の消費生活と深く関わり、その法制度上の扱いによっては国民に経済的な負担が生じるため、広く社会的な支持なしに施策を進めることは困難。(2)としましては、現在の産業動物の飼養及び保管に関する基準、告示ですけれども、これを改訂できる箇所はあるのか。また、(3)家畜福祉の基準原則である「5つの自由」の理念を何らかの形で位置付けることが可能か。ということが論点になるかと思います。
 5つの自由は、資料2の2ページの下に記載しております。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 追加はございませんか。
 このパンフレットがありますね。これは野上委員からですか。では、これについて、何かご説明ありますか。

【野上委員】 先日のヒアリングのときに、畜産動物の実態を一般の消費者が知らないということを申し上げたわけですが、私どもの方では、こういうリーフレットを作りまして、畜産動物の福祉について理解をしてほしいということとか、畜産問題は環境問題等とも深く結びついているということで、一般用のリーフレットをつくっておりますので、ぜひ委員の皆様にも見ていただければと思います。
 続きまして、意見もよろしいですか。

【林委員長】 はい。

【野上委員】 続きまして、ちょっと意見も言わせていただきます。
 現在の動物愛護管理法の中に、産業動物の基準はあるのに、条文上では定義がないという状態になっています。やはり一般の法律のように、法律の冒頭に動物の定義を置き、さらにその動物の飼養目的についての定義を置く必要があると思います。現在、家庭動物、展示動物、実験動物、産業動物、特定動物についてそれぞれ基準があるわけですが、産業動物のみについて、条文の中に定義がないわけです。ですので、この法律の冒頭に動物の定義を置き、それから飼養目的ごとに基準を置くことを定める。まずは、その分類の定義をすることが必要であると思います。
 次に、5つの自由についてですが、この5つの自由は、何も家畜の福祉に関する原則に限定されるものではなくて、動物福祉、人が飼う動物のすべてにわたって適用される原則であるというふうに理解されると思います。したがって、法律の条文の中に、動物福祉の原則として、例えばこのように書いたらどうかと思います。「動物福祉とは、動物の習性や生態への理解に基づく適正飼養によって動物の幸福を図ることをいい、具体的には、動物にとって十分で適切な水とえさがあること、快適な飼育環境であること、疾病・障害等は治療されること、恐怖や苦悶にさらされないこと、正常行動ができることを言う」と。これはごく当たり前のことで、5つの自由を条文に明記したからといって、いろんな産業が阻害されるということは到底考えられません。ですので、さまざまな国際的な動物に関する基準の中に導入されているわけです。
 この意見のまとめの中に、動物福祉を導入すると、産業の阻害になるという意見があります。しかし、これは、かなり時代遅れな意見ではないかというふうに思います。例えばヨーロッパではBSEとか口蹄疫などの家畜の疾病が猛威を振るったわけです。鳥インフルエンザもそうですが。それによって計り知れない経済的な打撃を受け、これまでの集約畜産の飼育方法について大きな反省が起こり、家畜をより健康的に、福祉に配慮した飼育方法にしようということが国際的な議論の舞台となってきました。それに基づいて、EUの法律も改正されましたし、OIEの動物福祉原則が宣言されたわけです。
 2004年にOIEの総会で採択された家畜福祉の原則は、このように言っています。「畜産動物の福祉の改善は、生産性と食の安全を改善する可能性がしばしばあり、したがって、経済的な利益を生み出すことは可能である」と。つまり、家畜福祉は産業の阻害になるのではなくて、産業の向上に寄与するということを言っているわけです。
 これまでの畜産業は、目先の利益のみを追求して、目先の最大利潤の追求のために動物の福祉を犠牲にしてきたわけですけれども、その結果として、さまざまな疾病が起こってきた。それによる莫大な経済的損失も引き起こされた。日本でも既にBSEや鳥インフルエンザ、口蹄疫に次々と見舞われているわけですし、これからもそういうものが起こらないという保証は全くありません。そういう反省に立てば、家畜をより自然な状態で、健康に配慮して、動物福祉にかなうように飼うということは、決して産業の利益に反するものではないと思います。ですので、安易にそのような記述を入れていただきたくないなというふうに考えています。
 以上です。

【林委員長】 どうぞ、永村委員。

【永村委員】 幾つかありますけれども、私も、5つの自由のうち、その大半は、一般の畜産に関係する生産者であれば、できるだけこの自由を尊重して飼った方が、生産の効率も上がるし、経済性はむしろ上がるという発想には立っていると思います。ただ、最後に支出の方が多くても、とにかく福祉を重視して飼わなければいかんという、そういうばかな生産者はどこにもいないわけで、それには一定の限界はあるということを、まず一つ、申し上げなければいかんと思います。
 それから、今、野上委員がおっしゃった中で、福祉をきちっとやりさえすれば、いろんな伝染病から家畜を守れるというような発想は、それはちょっと。非常に極端な例は別ですよ。非常に劣悪な、温度管理も悪い、えさも十分にやらない、そんな非常に劣悪な環境で疾病になる可能性というのは非常に高いでしょうけれども、例えば鶏を非常に広い野っぱらに自由に飼って、ミミズも掘らせて、鶏にとって非常に快適な環境で飼えば、きっとこれは問題ないんではないかとおっしゃっても、今、鳥インフルエンザは、ご承知のとおり、野鳥がウイルスを持ってくるだろうというのが定説でありますから、できるだけ外部の鳥とは接触させないような飼い方をしないと、鳥インフルエンザからは守れないと。こういった問題もあるわけで、衛生疾病問題とこの5つの自由の問題は、あまり絡めて議論しますと、迷路に入る可能性があるという気がします。

【林委員長】 どうぞ、青木委員。

【青木委員】 野上委員のご発言で、ちょっと私が聞き逃したか、理解しづらかったところの確認なんですが、野上委員のおっしゃったことの中に、産業動物の飼養及び保管に関する基準にだけ定義が欠けているから定義をすべきだと、こういうようなご趣旨のご発言があったと思うんですが、産業動物の飼養及び保管に関する基準の第2定義というところには産業動物の定義というのがありまして、「産業等の利用に供するため、飼養し、又は保管しているほ乳類及び鳥類に属する動物をいう。」と。一応、産業動物の定義はあるように私には思えるんですが、これでも何か、どこが不足しているというご意見なのか、それをちょっと補足でご説明いただきたいと思います。

【野上委員】 それは産業動物の基準の中に定義があるということですよね。法律の中にはないわけです。ですから、法律の中に産業動物という言葉を入れて、その基準の位置付けをするということを申し上げたつもりだったんですが。

【青木委員】 わかりました。それで、ついでにもう一つ、今の話とは関係がないことで、気づいたので念のために発言しておきますと、資料2の1ページで現状というところがあって、事務局でご説明いただいた資料ですが、上から5行目あたりに、「殺処分に当たっては第40条第2項に基づく『動物の処分方法に関する指針』が適用される。」という記述がありますが、たしかこの指針は、現在、「動物の殺処分方法に関する指針」と表題を改めたものだと思いますので、その辺は正確な名称に直していただいた方がいいと思います。
 以上です。

【林委員長】 それはおっしゃるとおりですね。

【西山動物愛護管理室長】 平成19年の改正で、環境省告示105号で「動物の殺処分方法に関する指針」に変えられています。

【林委員長】 今日ご用意いただいている資料に非常にわかりやすくまとまっていますが、いずれにしましても、この昭和62年の総理府告示の第22号、産業動物の飼養及び保管に関する基準で、改定できる箇所があるかどうかということ。もう一つは、先ほど野上委員はこういうふうに入れたらいいのではないかと。つまり、動愛法の中に産業動物を定義しつつ、5つの自由を入れると。こういうご提案でしたね。そういう案が出ていますが。
 どうぞ、加隈委員。

【加隈委員】 前回の委員会でもご紹介いただいたように、海外の動向も最近調べている中で、OIEのガイドラインというものは、日本がやはり守っていかなければならないだろうというふうに考えられるものの一つで、これは各国もそれなりの対応を考えているというところではありますけれども、実際に、今、産業動物に関しては、日本ならではの特殊な事情というものもあって、それはスペースがとにかくないという部分として、例えばアメリカである程度の基準を設けたとしても、恐らくその基準を守ろうとしてスペースを広げるとかは、アメリカでは容易にできると思うのですが、日本ではそこが難しい部分ではあるということが非常に難しい。ただ、一方で、産業はなければならない部分ではありますので、そのまま海外で用いられている方法を入れるということにあまりこだわらないのも一つかなというふうに思います。
 ちょっと話がぼんやりしてしまいましたので、論点に沿ってという部分に関してですと、まずはその基準に関して、昭和62年の基準は非常に安全面ですね、動物の管理という思想が非常に強く出ていることと、危険防止ということが非常に強く出ていて、やはり動物自体のニーズを満たすという部分があまり入っていなくて、これはほかの基準に比べますと、かなり手落ちというか、少ない、不足しているなという印象が非常に強い部分ですので、この基準に関してまず変えていただきたいなというふうには思っています。
 もう一つは、法律の中に入れるかということなのですけれども、実験動物が、前回の法改正で3Rのコンセプトが法律の方に入ったということによって、かなり実施者の方での動きが活発化したというところがあります。この産業動物も、恐らくいきなり法律や行政からの基準でどんどん決めていくということではなく、業者が自主的により活発に動くためには、やはり法的な根拠として、法律の中に5つの自由という、言葉はまた非常に誤解を招きやすい言葉ですので、このような内容としては法律に入れていただきたいなと思います。
 前回のヒアリングも少し議事録で確認させていただいていますけれども、自由というのは、放牧して、野に放つということではないのですが、どうしても日本人の感覚としては、野にいるのが自由みたいな感じに考えてしまいますけれども、その部分は、動物のニーズを満たしていこうという、あるいはその動物をなるべく苦しめないようにしようという部分は、この動物愛護管理法以外の法律では、家畜に関する法律ではなかなか入ってこない部分だと思いますので、ぜひ入れることを検討していただきたいと思います。

【林委員長】 今のご意見のうち、最初の方は、総理府告示、これが昭和62年の場合にはむしろ産業者の立場で書かれているので、この動物福祉というものをきちんと入れた形に少し書き直したらいい。具体的な提案、どこをどうしろという提案はおっしゃらなかったですけれども、そういうことですね。
 2番目については、先ほど野上委員の方から提案がございました、法律の中に産業動物という言葉を入れて、そしてなおかつ、実験動物については3Rだったんですけれども、産業動物についてはこの5つの自由の中身を法律の中に入れていくというご提案でした。それと近いというふうに考えてよろしいですか、加隈委員。ということですね。

【林委員長】 それ以外に、何かご意見、ご質問はありますか。
 山崎委員、どうぞ。

【山崎委員】 前回のヒアリングのときに、犬・猫ならまだしも、産業動物に対して5つの自由というのはなかなかちょっと大変というご意見を専門家の方からいただいたんですけれど、それに対して、私どもの理解をしっかりとしておかなければいけないのは、そもそも5つの自由は、産業動物の福祉を守るためにできたものだということです。これは1965年、英国のブランべル委員会が、産業動物の実態が余りにもひどいということで、特別に委員会として産業動物の実態を改善するために作ったルールですから、むしろ我々が今度は犬・猫とかそういった動物に拝借しているという、そういう流れがある中で、産業動物が何か置いてきぼりをくらってしまったというのは、やはり私どもがしっかりと自覚しなければいけないことだと思います。世界で最も古い動物愛護法であります、英国のマーチン法も、1822年でしたか、にできたのは、産業動物のためだったんですね。犬・猫よりも、牛・豚・馬が酷使されていて、あの飼い方はどうだろうというところで、動物愛護法そのものが始まったわけですから、産業動物が何か依然として乗り遅れてしまっているという実態はどうであろうという、ちょっと基本的な概念ですけれど、そこに立ち戻って、我々は考えなければいけないんではないかというふうに思います。

【林委員長】 ありがとうございます。
 打越委員、どうぞ。

【打越委員】 産業動物の飼養及び保管に関する基準について、もう少し具体的にしていくということであれば、それを議論することには賛成です。ただし、ごくごく一般的な消費者としての感覚で申し上げますと、私はこの「5つの自由」という言葉がどうもなかなか好きになれないというか、何でヨーロッパで使われている言葉を日本で使わなければならないのかと。「何とかからの自由」という表現は、外国語で、英語であれば“Freedom from”という表現はあるところなんですけれども、また、動物愛護団体の人々の間では大分定着した概念であるとはいえ、日本国民の中から見れば、9割以上の人が、この表現はどうも日本語らしくないというか、どうもなじみが薄く、賛同を集めにくいのではないかと思うのです。むしろ大事なのは、飢えや渇きを与えない、あるいは不必要な苦痛を与えないことという表現にして、実際はこういう問題があるんですよと訴えていくので良いのではないでしょうか。5つの自由の概念や用語を入れていきたいという議論の仕方ではなくて、産業動物も適正に取り扱うための条件を、外国の概念を借りてくる言葉ではなくて、日本人の言葉で作っていって、もっと一般の消費者にきちんと適正に残酷でない方法で育てられたお肉を食べましょうと主張していっていいんではないかなというのです。というわけで、私は昔からこの5つの自由という表現にどうも違和感を感じている次第です。正直に言いました。

【林委員長】 ありがとうございました。
 確かに、私も少し違和感がある表現があったりしているので、先ほど永村委員からのご指摘の、また、加隈委員からもありました、自由というと野原に放すことが自由ではないかというのが日本人にはやっぱりありますから、これをこのまま書くというのはいかがなものかというのはありますね。
 どうぞ。

【山口委員】 ちょっとお知らせまでなんですけれども、環境省が毎年、動物愛護週間のときにパンフレットを作っております。その2年前に作成した「めざせ!満点飼い主」というパンフレットの見開きの下に、5つの自由ではなくて、それを、先ほど加隈委員がおっしゃった、動物の「ニーズ」という形で既に書き込んであります。ですから、ニーズということだと、ぴんとくるのかなというふうに思います。

【林委員長】 それで、ご意見としては、これはどこかに入れた方がいいということですか。

【山口委員】 はい。私の意見は、繰り返しはいけないと思ったもので、言いませんでしたけれども、私はやはり原則にこのニーズを入れていただけたらと思っております。

【林委員長】 どこに入れるんですか。法律そのものに。

【山口委員】 法律そのものの原則のところに入ったらなというふうに思っています。

【林委員長】 ほかにご意見はありますか。
 どうぞ、打越委員。

【打越委員】 今の意見につけ加えるのならば、つまり、そういう形で、私たち日本人になじみやすい言葉にして、法律や基準に入れていく。それを守れないときに罰則を付けるとか、守る義務を課するのは、今の段階ではまだ難しいんではないかと。実際に、例えば肉の値段が上がったら、消費者の消費行動に影響を与えるというような問題が出てくると思いますので、義務化、罰則の付加は難しいと思うんですが、一般の国民にわかりやすい表現にして、動物なんだから、ちゃんとえさをあげましょう、きれいなところで飼いましょうという、もっとわかりやすい表現で、ある意味、努力目標というか、法律で言うと前文に当たるような、理念のような形で、入れ込んでいくことで、広く世論に訴えていくのが第一歩になるんではないかなと。そうしてこそ、日本に根づく議論になるんではないかなと思っています。

【林委員長】 本当はこの法律は、哺乳類から爬虫類までを対象にしていまして、産業動物と言われようと、実験動物と言われようと、何と言われようと、この中に入っているんですね。それに対する対応としては、かなり高い理念がもう既に打ち出されてはいるんですが、とはいえ、実験動物にしては、前回、3Rが入ったことが随分よかったというご意見もありますし、産業動物でこの5つの自由を日本語的にして入れるということに意味があるかないかという、そういう論議をここでさせていただいているわけですけれども。
 青木委員、どうぞ。

【青木委員】 今の議論の連続に私の感想を補足しますと、前回、ヒアリングを行った際に、現場の畜産業者の方には大変抵抗が多いだろうというご意見を伺ったわけですが、私がそのとき理解したところでは、その自由というのが、動物を主体とした権利のように響く言葉であろうから、そこが引っ掛かるのであろうというふうに私自身は理解をしました。だから、そこが大きな問題だとしたら、ニーズといっても動物側から語ることになるわけで、動物側のニーズを人間が守る義務というか、人間側がそれを大切にする義務という語り方をしないと、なかなか抵抗は大きいのかなというふうに私自身は感じました。恐らく少しずつ皆さんのおっしゃったことと関連していると思いますが、若干違う観点なので、つけ加えました。
 以上です。

【林委員長】 動物のニーズを人間が守るという。

【青木委員】 人間側のニーズ。

【林委員長】 そう、人間側の義務ということですね。すると、恐らくこれは産業の発展と、動物の福祉ということの調和の中でということになりますね。
 それがかなり重要で、オール・オア・ノンの話で、畜産をつぶしてしまえとか、それから、あるいは逆に、もう動物の福祉なんか考えなくてもいいんだという、両極端はないんですが、日本が今到達しているのは、間違いなく、動物側の要求を満たしてあげれば、いい畜産製品ができるというところまでは、もうかなり前から来ているんですけれども、もう一歩踏み込んで、欧米のように、動物の最低限必要なことを守る、いかなる業であっても守る、我々は必要があるんではないかという、そういう脈絡の中で、今回、この課題が出てきているんだということだと思いますが。大体、意見は出尽くしたようですが。
 はい、どうぞ、野上委員。

【野上委員】 この産業動物は、人間が飼っている動物の中では最も数が多いわけです。日本では現在、牛は120万頭、豚が1,600万頭、鶏が7億羽くらいが飼育されています。これだけ膨大な数が飼育されているのに、これらの動物に対しての健康や福祉について、法的な根拠が全くないというのは、非常におかしな状態であると思いますので、ぜひ今回の法改正で、その部分の手当をしていただきたいと思います。
 一つ、福島原発で、警戒区域に指定された地域では、農家の方々がこぞって避難されたんですけれども、そこで残された家畜の問題がありました。そのときに、一体、どこの農家でどのような種類の家畜が何頭飼われているのかという実態が果たして把握されていたのだろうか。農家に対して、行政の方が実態を把握していて速やかに、適切な指示をしていれば、あれほど手遅れにはならなかったのではないかというふうに思います。実際のところ、産業動物については、飼育頭数を届出ですとか、登録する制度はないと聞いています。誰がそれを把握しているのかといいますと、農業組合か、家畜共済か、そういうところが把握していて、それをもとに農水省が畜産統計等で頭数を出ているんだそうです。
 このような災害があったり、鳥インフルエンザですとか、口蹄疫のような大規模な伝染病、あるいは今後起こり得る人畜共通感染症、高病原性の鳥インフルエンザ等ですね、そういうものが発生したときに、果たして、現在のような状態でいいんだろうかという疑問を持ちます。
 また、周辺に住んでいる住民の方々も非常に不安であると思います。私どもの会には、近所に大規模養豚場ができるとか、大規模養鶏場ができて困るというような情報もしばしば寄せられるところです。地域の住民が、そういう大規模畜産施設について全く情報がないという問題もあると思います。ですので、環境省は、廃棄物とかふん尿の処理とかの法律について、幾らか関わっているとは思いますが、農水省とも連携して、できるだけ実態把握をするような仕組みを今後作っていっていただきたいと思います。
 それは動愛法の範囲ではないのかもしれないんですけれども、とにかく実態把握をしないことには、危機管理の対策として常に手遅れになってしまうというふうに思います。
 以上です。

【林委員長】 斉藤委員。

【斉藤委員】 実態把握というお話がありましたけれど、自治体が、今の鳥インフルエンザ問題の中で、何羽飼養している施設がどのぐらいあるかというのを全く知らないということは多分ないかと思います。農家がどのぐらい、どこにあるかというのは、地域に各家畜保健衛生所がありますので、家畜伝染病予防法に基づいて、例えば牛や豚については血液を採取したり、いろいろな検査もしたり、それは日常的に家畜保健衛生所がやっている仕事です。だから、実態が全く把握されていないということはないというふうに私は思います。
 それから、確かに動物愛護管理法には家畜も含まれるわけですから、飢餓とか、えさをやらない、水をやらないというのは、これは全く法の中に入ってくる話であると思います。今の農家が、家畜のそういう、福祉とまで言っていいのか、そういう部分も抜きにして飼養管理をするということは、私が見ていてもあり得ないんではないかなと思います。
 ただ、頭数の問題だとか、鶏を室内の中で多数飼っているとか、ある面では、福祉の面で行動が制限されている部分を見れば、確かに問題点はあるかなと思います。その中でどう動物愛護管理法の中に、極端な話だけで進めるのではなくて、現実的なものを踏まえた中で、本当に動物愛護管理法の中に記述することが、現状、必要であるかということは、方向としては間違いなく必要なことだと思うんですけれども、それを記述することが必要であるかということは、現実を踏まえて議論をする必要がもう少しあるんではないかと思います。

【林委員長】 現場をよくご存じの斉藤委員から、こういうお話がありました。今回の法改正では、これは私個人の意見ですが、ぜひとも産業動物について、もう一つ、やっぱり前に進んだ方がいいというふうに思っております。
 その理由の一つは、この今日いただいた資料2の最後の4ページ目にありますように、まず3ページ目からいくと、アニマルウェルフェアの認知度というところで、知らないという人が82%なんですね。これはやはりひいき目に、ちょっと差し引いて考えた方がいい。日本人は控えめですので大体知らないと答えます。かなり知っていても、これはアンケートに答えるときの一つの特徴で、完璧に知っていると、「知っている」と言うんですが、例えば半分ぐらいしか知らないときには、「あまりよく知らない」という、こういう特徴がありますから、これはあまり真に受けない方がいいんですが。問題は最後のページのところで、アニマルウェルフェア反対の理由で、46%、これは384人ですから、そのうちの46%になると思うんですが、「家畜なので、そこまで気にする必要はないと考えるから」とか、それから、その次の44%、「動物に対する福祉は過剰な価値観と考えるから」、こういう状況がまだありますが、日本の大勢ではないですね。
 といいますのは、アニマルウェルフェア賛成の方が853と多いわけで、そういう意味では、日本の全員がこう考えているんだったら大問題なんですけれども、やはり一定の層だけがこう考えているというふうにみなした方がいいと思うんですが、この動物の愛護及び管理に関する法律は理念法の側面という面も持っていますので、ここでやっぱり産業動物まで含めて動物福祉の理念を、今、この時期により高めるという意味で、何らかの形で入れる方がいいではないかというふうに個人的には思っていますが、皆様からのご意見も何かそれに近い意見かなと思います。
 どうぞ。

【打越委員】 二つあります。座長の思いには共感するので、その話は後半することにして、このアンケートの話で、こういう反対理由、家畜なんかに価値を認めなくていいと書いてあることが非常に悲しいというようなお話だったんですけれども、実はこれはパブリックコメントに関しても、インターネットに関しても当てはまるところなんですが、この手のアンケートに、どういうふうにしてだれが答えるかと思ったときに、動物愛護団体と、そのまま動物愛護団体の勢いに飲まれたら嫌だと思う、例えば業界の関係者であるとか、多分、そういう人たちが結構結集したのではないかと予想するのです。アンケートを実施した場合に良くある話しとして、インターネットのアンケートというのはあてにならないというのが基本でして、関心のある人だけが賛成か反対かを組織的に、あそこに意見を書いてねとやるわけです。今回、九州電力の問題で、大問題になりましたけれども。ですので、そんなに気にしなくてよいのではないかと。
 ただ、実感として、やっぱり知られていない概念であると思います。なので、例えば一歩進めたいということであれば、文言を改正するのもありではないかと思います。例えば、改めて産業動物の飼養及び保管に関する基準を読みますと、実は文章中にかなり動物の福祉に関するようなことも書いてはあるんですよね。一般原則を読みますと、「管理者及び飼養者は、産業動物の生理、生態、習性等を理解し、かつ、愛情をもって飼養するように努めるとともに、責任を持ってこれを保管し」と書いてあるのは、もうまさに5Freedomsの概念がもう実は結構入ってはいるわけです。
 ところが、その語尾を見ると、「飼養するように努めるとともに」、あるいは「人の生活環境の汚損を防止するように努めること」。あるいは産業動物の飼養及び保管に関する基準の第3産業動物の衛生管理及び安全の保持の最後のところなどは、使役で動物を使う場合には、「虐待の防止に努めること。」全部努めること、努めることと書いてある。
 実際にさほどはっきりした罰則を適用できるような客観的な基準がない場合は、何々しなければならないという語尾にしたところで、結論としては、大して政策的な効果としては何も変わらないわけです。ただ、努めること、努めることという表現が、例えば消極的であるならば、ここを少し踏み込んで、虐待の防止をしなければならないとか、愛情を持って飼養しなければならないとか、汚損を防止しなければならないという表現に変えてもいいのではないか。もう今から20年以上前の基準であるならば、そのぐらい踏み込んでもいいんではないかと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ほかにご意見はありますか。大体、こんな感じでよろしいでしょうか。

(はい)

【林委員長】 それでは、この産業動物の福祉については、ここまでといたします。
 残りは、先ほどからもちょっと話が出ているんですが、罰則の引き上げについて。これは罰則の引き上げではなくて、罰則の引き下げというご意見をいただいても、もちろん根拠があればいいわけで、罰則に関することを論議いただきたいんですが。
 まず、事務局からご説明いただきます。

【事務局】 それでは、資料3をご覧ください。「罰則の引き上げ」について。
 まず、現状ですけれども、動愛法では、一番重いものでも、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金となっているものが、愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者。
 続きまして、五十万円以下の罰金となっているものが、愛護動物に対して、みだりに給餌又は給水をやめることにより衰弱させる等の虐待を行った者。愛護動物を遺棄した者。
 続いて、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金として、これは特定動物に関して、許可を受けないで飼養又は保管した者など、特定動物関連の規定に違反した場合が並んでおります。
 続いて、三十万以下の罰金として、登録を受けないで動物取扱業を営んだ者など、動物取扱業関連の違反した項目が並んでおります。
 続いて、どんどん軽くなっていくという状況になっております。
 2.主な意見として、これも動物愛護団体からの要望書に書かれている要望事項を抜粋したものです。動物虐待罪を、「器物損壊罪」と同等とすること。法人罰金に1億円を導入することということになっております。
 ページをめくっていただいて、2ページ目に、3.参考法令として、刑法の抜粋として、器物損壊罪の部分を抜粋しております。他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金、もしくは科料に処すると。
 続きまして、愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律、いわゆるペットフード安全法と言われておりますけれども、こちらに関しては、愛がん動物用飼料の製造の方法等についての基準、成分規格に合わないものを製造等した場合。また、有害な物質を含む愛がん動物用飼料を製造等した場合。有害な物質を含む愛がん動物用飼料用等の廃棄等の命令に違反した場合。こうした場合に関しては、1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金。法人の場合は、1億円以下の罰金に該当するというような法律もございます。
 その下につきましては、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律。こちらも販売もしくは頒布する目的で、特定外来生物の飼養等をした場合。幾つかの場合を書いてございますけれども、これらに関しては、個人の場合懲役3年以下もしくは300万円以下の罰金、法人の場合1億円以下の罰金に該当するものという規定がございます。
 以上になります。

【林委員長】 ありがとうございました。
 これについては、先ほどから幾つか意見が出ておりますが、いかがでしょうか。今回の法改正で、罰則の引き上げ、あるいは引き下げ、何かお考えはありますか。先ほどの山口委員のお話しは、この中に入ってくるわけですね。
 ほかにありますか。野上委員。

【野上委員】 動物虐待罪を器物損壊罪と同等とするということですが、これは実刑の方を懲役3年ということで、罰金を器物損壊罪と同じく30万円に下げてほしいということではありません。恐らく罰金の方も、現在、100万円ですが、これはもっと引き上げる、少なくとも300万円ですとか、それくらいに引き上げていく必要があるというふうに思います。
 この罰則の引き上げについての前提として、動物虐待の定義については、今後、議論されるんでしょうか。

【事務局】 9月の末に議論する予定です。

【野上委員】 では、虐待について、現在、殺傷と、それからいわば衰弱死させるという飼育怠慢と、二つに分かれているわけですが、殺傷の方と同時に、飼育怠慢の方についてもやはり実刑をつけると。罰金は100万円に上げるというくらいにしていかないといけないと考えています。
 それから、動物取扱業者の議論のところでもありましたが、動物取扱業者の不正な無登録営業が30万円というのは、いかにも低過ぎると考えます。これは動物取扱業について、もっと強い規制をしないと、無登録営業というようなものがはびこるのではないかというふうに思います。
 それから、動物取扱業の標識を掲げない者が10万円以下ですが、標識を掲げない業者は、私たちの調査では非常にたくさんいるというふうに認識しています。これについても、もっと過料というか、罰金を上げて、動物取扱業者が適正に営業されるように望みたいと思います。

【林委員長】 この間、磯部委員から、罰則は広く言って、刑法罰と、そうでない、例えば登録取り消しのような行政対応の仕方があるということでご説明いただきました。
 まず、罰金の方から、あるいは懲役といった刑法罰的なところからいっていますが、これは、今、野上委員からの提案がありましたが、最初の大枠からしますと、一番厳しい罰則が、現在、1年以下の懲役、または100万円以下の罰金となっておりますが、これを3年以下の懲役または300万円以下の罰金に、これは外来法で既にもう特定外来生物による生態系等についてはそういうことになっていますので、それと合わせてはどうかというご意見です。
 この大きな枠組みの中で言うと、ここで恐らく二つの意見があると思うんですが、今の1年以下の懲役、または100万円の罰金という、この現状でいいと。それから、さっき言いました3年、300万という引き上げ。引き下げというのは恐らくないと思いますので、その二つのどちらかということになると思うんですが、これは同じであれば問題はないですけれども、罰則をこういうふうに引き上げるということについては、かなり強い根拠というのが必要になるんでしょうか。これは磯部委員へのご質問なんですけれども。

【磯部委員】 その罰則の相場といいましょうか、どの辺が適正かという判断につきましては、それはまさに専門家の世界でありまして、ちょっと私は専門性がありません。むしろ、事務局のこれまでの立法作業などを踏まえて、実務上どういう議論が必要なのかということを伺った方がいいかと思います。

【林委員長】 自然環境局では、もう既に外来生物法で300万円、3年というのはつくられたんですよね。

【田中総務課長】 すみません。具体的な罰金の額ですとか、それから長期刑であればその年数ですとか、この辺につきましては、かなり専門的、横並びもありますけれども、そういうものを他法令と見ながら、これは法務省と相談をしていく必要がありますので、委員の方々のご議論は、そこまでご議論していただいても結構なんですけれども、方向性について、ぜひ示唆をいただければ、それをもとに、今後、また法務当局といろいろご相談をさせていただくということになろうかと思います。

【林委員長】 非常にわかりやすいご説明でした。
 青木委員、打越委員。

【青木委員】 今の事務局のご発言があったので、具体的に何年がいいとか、そういう議論に踏み込まないでいいんだと思うんですが、それ以前に、若干の問題点の整理というのをしておきますと、仮に刑法上の器物損壊罪と動物愛護管理法上の動物虐待罪の法定刑を一緒にすると、要するに、動物虐待罪であろうと器物損壊罪であろうと同じ法定刑になるので、どちらにも同じ処分が、刑罰が科し得ると、こういうことになるわけですね。
 今はどうなっているかというと、刑法の方が法定刑が高いので、器物損壊罪で起訴・処罰した方が、理論的には重い刑罰を科すことができる。ただ、資料にもありますように、器物損壊罪の構成要件の中に他人のものであることが要求されておりますので、動物は現行法上は物ですので、他人の動物を虐待して、例えば殺したとします。そうしますと、これは器物損壊罪にも当たるし、同時に動物愛護管理法上の動物虐待罪にも当たって、理論上は恐らく二つの犯罪が成立すると理解するのが、一番すぐれているだろうと思います。ただ、二つの犯罪が成立しても、これは刑法上、観念的競合といいまして、別に法定刑が2倍になるわけではないんですね。抽象的に犯罪名が2つついたとしても法定刑の上限は同じだから、恐らく検察官は重く処罰したいときは器物損壊罪で起訴すると、こういうことになるんだと思うんです。
 問題は、さっきも言いましたように、器物損壊罪は他人の財物に対する侵害、財産罪ですから、自分の犬・猫を例えば虐待して殺してしまった場合は、そもそも刑法上の器物損壊罪は成立し得ないんですね。そうなると、自分の所有物である犬・猫を例えば虐待して殺傷したときに、現在の法定刑では不十分かどうかと。こういう議論をするのが恐らく議論としては適切ということですね。どうしても器物損壊罪と同じぐらいの高さにしないと不十分だという議論なのか、あるいは器物損壊罪でやれるようなケースで、罪名が器物損壊であるのがおかしいという議論なのか、その辺の根拠ですね。なぜ器物損壊罪と一緒にしたいのかと。その根拠を問うということが、理論上は重要なことかと思います。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 むしろ、この罰金1億円は器物損壊罪と同様にするのか、それとも、特定外来生物法でも、法人の場合は1億円なんですよね、これは。次の2ページ目にあります。ですから、ただ、ここでの論議は、今、非常にわかりやすく青木委員の方からお話しいただいたんですが、動物の愛護及び管理に関する法律のもとで、一般の方が、あるいは業者の方でも、自分が持っているときは自分の所有物になりますから、それはどちらでも同じなんですが、器物損壊罪を適用できない場合に、現状の動物愛護法に基づいた規定になりますが、それが1年以下の懲役または100万円以下の罰金を頂点とするような、この罰則では少し緩いんではないかというご意見に近いのは、野上委員のご意見だったということで、よろしいですか。

【野上委員】 器物損壊罪並みにするという意見の根拠は、自分の動物であろうが、他人の動物であろうが、同じ命ではないかということですね。器物損壊の方が適用されるのは、そちらが単に罰則が重いからという理由ではおかしいということで、同じ命として扱うのであれば、同じだけの刑罰にしないとおかしいということが1点です。
 それから、特定外来生物法では業者に対して1億円ということなんですが、業者というのは非常に大量に取引をしていて、もし業者のところで、万が一、特定外来生物が逃がされたりしてしまった場合に、その後始末といいますか、それを捕獲したり、あるいは既に生態系に大きな侵害を与えてしまった後に大変な費用と労力がかかるということで、特に業者に対しては重い罪になっていると思います。やはり業者というのは、それだけ大量の動物を取り扱い、社会的責任も大きいので、個人よりは業者に対しては重い罪、重い罰則を科すべきではないかというふうに思います。

【林委員長】 打越委員、そして、浦野委員。

【打越委員】 法人罰金に1億円というところで、ペットフードに関して、非常に経済的な観点から、大企業に関して罰金1億円というのはわかるんですけれども、この罰則の引き上げの問題を、今日、今、議論しても、非常に分散化してしまうんではないか。これから先、ほかのもの、例えばマイクロチップを義務化するのかしないのかとか、不妊去勢手術をどうするかという、その政策論にこれから先踏み込んでいくのに、その前に罰則の議論をしても、あまり意味がないというか。
 田中課長がおっしゃったように、全体としての方向性をというようなことになると、もうあまり本当に議論する意味がない。一つ一つ、やっぱり上げるとか下げるとかという議論になると思うので、その全体論をするにしたって、もうちょっとほかの議論をやってからの方がより意味があるんではないかと思うと、あとまだ30分、議論の時間が残っているならば、何となくどんよりした議論を続けるよりは、私は自治体の収容施設とか、明日に迫っている問題はかなりいろんな議論がありそうな気がするなというふうに感じるんですけれども。

【浦野委員】 打越委員とかなり似ているんですが、罰則については、事務局、あるいは環境省に僕は幾つかの疑問があるんですが、現行法のこの罰則について、点検、評価した痕跡が全くないと。すなわち何が問題なんだと。ここで議論する限りは、現行法で何か問題があるから議論するというスタンスならまだ理解できるんですが、それが全くない。主な意見で、一部の愛護団体の意見が出ていますが、言われたから議論しているというレベルの表現の仕方なので、僕は議題とすること自体が現時点ではおかしいと思います、これは。

【林委員長】 太田委員、どうぞ。

【太田委員】 浦野委員と意見はほとんど同じですが、罰則の引き上げをする根拠です。現在、法律が守られていない。違反をしても、罰金が少ない。だから、上げようというのであれば、私もわかります。
 前回の法改正で、営業取り消しができるという厳しい法律になりました。それが現在、営業取り消しはこの5年間で1件とか2件と聞いております。やっぱり現行法をしっかり対応していただいて、悪い業者にはやめていただく。前回の法改正で、私たちは、これで悪質業者はいなくなると喜びましたが、5年前とほとんど変わっていません。消費者生活センターの苦情の多くは、一部の悪質業者の苦情と聞いています。その苦情の業者だけを取り締まるだけでも、私は業界がよくなると思います。まじめな業者が残れるように、法すれすれの仕事をしている業者は早くやめてもらって、早く取り消しをしていただきたい。現行法をしっかり対応していただくことがまず大事だと思います。
 外来生物法の関係からして、違反者には、大いに罰金を上げて、悪質業者を排除していただくというのが大事かと思います。しかし、まじめな業者が、罰金が高くなることによって、ちょっとした違反がお店を閉めるというようになっては困ると感じます。
 以上です。

【林委員長】 そもそも罰則の引き上げという問題が出てきたのは、今、まさに太田委員がおっしゃったとおり、5年前とほとんど、そういう意味で悪質な人たちは変わっていないんではないかという思いがあるからです。だから、この罰則の強化は、悪質な人を取り締まるための強化です。善良な人が対象になるはずがないんです。だから、そういう意味では、悪質な業者がまだ依然として存在していることに対するいら立ちというのが国民の中にあって、それに対して引き上げましょうという意見があると理解しています。
 どうぞ。

【太田委員】 先ほどの多頭飼育の中でもあったんですけれども、資料1-2の5ページの資料ですが、この2年間ぐらいでは動物取扱業の事例は減っているんですね。一般消費者が約8割以上占めていると。前半ではほとんど動物取扱業者の問題が多かったと思うのですけれども、ある面では、この数年、動物愛護管理法の趣旨が徹底されてきたというところは感じます。
 ただ、例えば資料1-2の5ページの25番ですね、これは狂犬病予防法違反でもって摘発されました。23番も化製場法違反で摘発されました。両方とも動物愛護管理法違反ではないんですね。動物愛護管理法がありますので、私はしっかり動物愛護管理法の中でもって対応していただきたいなと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 渋谷委員、どうぞ。

【渋谷委員】 以前に、過去数年間の刑事処罰がされた統計という資料が配られていたと思うんですけれども、それはごく数件、ほんのわずかあるだけだと記憶しているんですね。それは本当に犯罪に値する人がいないから、少なくてよかったのかという問題ではなくて、実際には処罰するべき人がいるんだけれども、警察や裁判所の司法機関が動いてこなかったという現状があるんではないかと思うわけです。
 一つ、以前、徳島県の行政の方からヒアリングしたときに、警察がなかなか動いてくれなかったみたいな報告を受けたように記憶しているんですが、そのときには、罰金の刑が20万とか、低い額なので、なかなか動きにくかったみたいな意見があったように記憶しているんです。ですから、一つには、罰則を少し高目にして、警察も動きやすくしてあげるというようなことで後押しをしてあげるということも必要なんではないかなと思っております。

【林委員長】 ありがとうございました。
 山口委員、どうぞ。

【山口委員】 先ほど私が言ったことが、この中に入っているのかなと思ったら、入っていませんでしたので、すみません。飼育の権利を剥奪する、飼育禁止はやはり予防の意味からも、継続して虐待が続くのを防ぐからも必要です。今は罰金を払ったらまた飼い続けることができますので、それを防止する意味からも、この飼育禁止というのは難しいと弁護士さんからは結構言われるんですけれども、それでもやはりこれがあると、随分防止ができるのかなというふうに思っていますので、ぜひ審議の中に入れていただけたらなというふうに思います。

【林委員長】 青木委員、そして、磯部委員、どうぞ。

【青木委員】 あまり議論しても意味がないんではないかというご意見ももっともなところがあるのは、少なくともどういう犯罪に対してどういう刑罰を科すかという、その犯罪類型についての議論なしに法人は1億円といっても、賛成と言うことも反対と言うこともできないというのがありますので、やっぱり刑罰だけ取り出すというのはちょっと、議論としてはあまり効率がよくないという気がします。
 それから、二つ目の、今、山口委員がおっしゃっている、先にもおっしゃった、「飼育禁止という刑罰」はちょっと理論的には大変難しいと私も思っています。それはなぜかというと、日本は刑罰の種類は刑法という法律で、一般法で決めていて、もう限定されているわけですよね。だから、裁判所が刑罰として科す何らかのものに、例えば飼育禁止というのを入れようとしたら、それは刑法を改正しなければいけないというふうになるのであって、恐らくそういう飼育禁止という処分を科せるのは、裁判所ではなくて行政処分ではないかという気が私はするんですが。その辺は、もし磯部先生、コメントがあれば、いただきたいという気がします。

【林委員長】 お願いいたします。行政処分かどうか。

【磯部委員】 正直に申しあげて、それはとてもハードルの高い議論だろうと思います。現行法で多少似ているのを探しますと、ストーカー規制法というのがあります。あれはストーカー行為に刑罰を科すのではなくて、たとえばその人に100メートル以内に近づいてはいけないというような禁止をすることができるのですが、これは理論的にも実務的にも、とても難しいことはおわかりになると思います。だから、本当に実効的な飼育禁止をかけようと思ったら、あなたは虐待を繰り返したから、もはや動物に近づいてはいけませんという行政的な禁止命令を科した上で、違反がないかどうか、絶えずウォッチしていなければならないということになるわけで、たしかに非常に興味深い課題でありますが、理論的実際的なハードルは高いなという気が直感としていたします。
 一般論として、罰則の引き上げを論ずるのが難しいとおっしゃるのはよくわかります。むしろ皆さまの関心が、動愛法の規制の実効性確保のためにどんな方法があるかということを体系的に考えることにあるということであるならば、罰則ももちろん一つの有力な手法ではありますが、それだけではないわけで、むしろ行政が、例えば地方自治体の現場では一番何に困っているか、どういうことをやりたいのかという話をむしろ先に議論すべきかなと思います。
 そういう意味では、罰則だけの議論はしにくいのですけれど、しかし、同時に刑罰というものは、相場感云々という話しとは別に、おそらく一つのシンボリックな意味もあるわけですね。環境省所管の動物関係の法律の中に、すでに「3年、300万」という刑罰の実例があるのだから、その最高限度に近いものがこの動愛法にも入っているということ自体に、一つの象徴的な意味合いがあるわけですね。刑事司法の実務からいえば、刑罰の最高限度を重くしさえすれば、警察や検察がびしびし適用してくれるかというと、むしろ逆にあまり重い罰だから、そう簡単には適用できないということもあり得ますので、そう簡単ではないだろうと思います。なお、先ほどの器物損壊罪との対比の問題ですが、問題の本質は、刑罰の重さではなくて、動物に対する罪は、器物損壊というような財産に対する罪ではないはずであるということですよね、今、皆さんがおっしゃりたいことは。器物損壊罪が守ろうとしている法益は財産権なのであって、財産を侵害した人間を罰しているわけですが、いま我々が問題にしているのは、そういう話しではないわけですよね。人の物か自分の物かという話しでもなくて、動物の命を大事しないやつが、そのことの故に罰せられるべきだということですよね。そうだとしたら、むしろ理屈としては別の、器物損壊罪より懲役刑の程度が少し軽いのだとしても、動物虐待罪をそれとして独立に罰することが筋が通るということになると思います。
 それから、外来生物法の刑罰が重いということですが、これもまた特定外来生物にかみ殺される国産の動物がかわいそうだとか、そういう話ではなくて、ここではもう、それ自体はかり知れない価値を持っている生態系そのものを守ることが、大事なのであって、生態系の環境的な価値を侵害するというそういう意味ではきわめて重大な犯罪に対する刑罰なのですから、自分の飼っている猫をいじめる行為の処罰とかという話とは、筋がだうぶ違うのだろうと思います。もっとも、産業動物に対していいかげんな扱いをした者も適用対象になるというふうに考えると、相場として「3年、300万」ぐらいはあっていいと直感的には思いますけれど、この辺はまさに法務省協議などを通じて決めていかなければならないのだろうと思います。
 そういう意味で、この刑罰論は、一つの象徴的な意味をもつ論点として、やはりそれなりの意味はあるかなというのが私の意見です。

【林委員長】 ありがとうございました。私が申し上げたかったことをすっかりおっしゃっていただきました。
 恐らくこういう刑罰の中には、抑止力といいますか、生命をみだりに殺傷する者、人間以外の動物であれ、これに対して、これは非常に大変なことなんだよと知らしめる効果です。もちろん今の罰則、1年間の懲役または100万円以下の罰金でも十分抑止力になっていると思うんですが、外来生物法のことにも、まさに磯部委員がおっしゃったようなことも生まれていますので。私は生態系全体の破壊と、本当に命をみだりに絶つということと、どっちが高いとか低いとかっていうものではなくて、やはり同じように大切にするものだという世論があるのだと思います。
 はい、どうぞ、山崎委員。

【山崎委員】 今、磯部委員のご意見を聞いて、ちょっと飼育禁止は無理かなと落胆をしたんですけれど、実際に動物に関連したこの法律の中では、罰金が幾らかとか、実刑判決が下るかというよりも、必要な罰則というのか、それとも、規則というのか、ちょっとどういうふうに定義したらいいのか、私は法律の専門家ではないのでわからないんですけれど、例えば動物虐待に関しても、アメリカの幾つかの州なんかにおきましては、未成年者の動物虐待に関しては強制的なカウンセリングを受けさせるとか、それからホーディングに関しては、いわゆる監督者、あるいは後見人をつけて、要するに再犯率が100%ですから、後見人をつけるとか、そういった裁判所命令が下るようになっています。
 それから、登録業者も、例えば違反をしたら罰金がある。だけど、再登録では何年待てばできるというふうになっていますけれど、その間、例えばアメリカなんかの法律ですと、登録業者で、かつ罰金を払わざるを得ない、登録取り消しになった者に関しては、その者がいかなる権利を持つ業態でも、その者が関わっているものはすべて登録ができなくなるとか、そういった、いわゆるその罰則にまつわる周りのお堀を固める部分というのが、動物の場合、非常に重要だと思うんです。
 あと、関連法に違反した者が登録できるか、できないかとか、特に難しいのは、狂犬病予防法と愛護法の関係だと思うんです。狂犬病予防法、それは確かに飼い主さんの中で、すみません、ちょっと怠っていますという、数頭の方はたくさんおられると思いますけれど、これが組織的に、例えば訓練所等でたくさん、30頭、40頭を飼っていて、狂犬病予防法の登録をしていないところというのは、これは全く別ですから、そういう場合には、ではそれだけのものは登録に対してどう反映させるのかとか、そういった関連づけを、罰則を引き上げる、引き上げないというよりも、そういった外堀固めをどうやっていったらいいのかということを常に私は疑問を持っています。

【林委員長】 どうぞ、磯部委員。

【磯部委員】 今の補足ですが、山崎委員のご意見を聞いていていつも思うことなのですが、アメリカ法英米法の世界ではその通りであって、判事さんが実に柔軟に、犯罪を犯した人間に対して、刑務所に入れる代わりに何か社会的な奉仕せよとか、そういう意味のある判決をする仕組みになっているんですけれども、ドイツ伝来の我が国の刑事法の仕組みは、先ほど青木先生が言われたとおりで、厳密な罪刑法定主義でして罪と刑が法定されていて、それをはみ出すことは基本的に許されざることなんですね。それが前提ですけれど、ただし、その動物取扱業の人が虐待をしたとか、適正飼養しなかったという場合にはそれに応じた刑罰を科すだけではなくて、それにプラスして、一定期間は取扱業の登録をできないことにするという制裁を科すことは、これは十分あり得ます。そのような例はいくらでもあるわけで、例えば風俗営業法に違反行為をした人は、その人の名前では少なくとも一定期間は登録できない。もっとも奥さんの名前に名義をかえてやってしまうというような脱法行為もあるのですけれど、そういう規制例はありますしあるいは公職選挙法、では、重大な選挙違反をした人は何年間か立候補ができないという制約を受けるなど、そういう例はありますので、それにならうことは可能です。
 ただ、業者ではなく普通の市民が動物を虐待したとか、あるいは無責任な多頭飼育をしたということを理由に、もうあなたは少なくとも一定期間は動物を飼ってはならないという禁止ができるかというと、それがさっき申し上げたとおり難しい話になるわけで、さっき言ったストーカー行為の禁止やDVの禁止などと同じような難しさがあるわけですね。犯罪が起きてからの処罰ではなくて、犯罪が起こらないように未然防止するための行為規制というものが、少しずつ始まってはいますけれど、なかなか難しい問題が多いのです。

【林委員長】 ありがとうございました。
 法体系が違いますから、その論議をここであまりしても意味がないと思います。

【山崎委員】 登録に関して、質問させていただいてもいいですか。と思うのは、先ほどおっしゃった、まさに奥様さんの名前で登録するかもしれないという、例えばそのループホールに対して、法律の中で、その者の利権が関わっているいかなる団体、法人、個人とも登録はできないというようなルールづくりというのは可能なんですか。

【磯部委員】 それは立法技術の問題だろうと思います。過剰な規制にならないかという批判もあるかもしれませんけれど、バランス感覚の問題だと思います。

【林委員長】 それは家族まで禁じることはできるんですか。

【磯部委員】 要するに、違反行為をして欠格事由に該当することになり、本人はもう営業許可をもらえないという場合に、家族であれ誰であれ、他人の名義を借りて許可を得ることはもちろん禁止されているわけですが、実態はいたちごっこみたいなものだと聞いたことはあります。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ほかに、はい、どうぞ、野上委員。

【野上委員】 今まで刑法のお話があったんですが、民法の方でもできることはあるのではないかと思うんですけれども。今までに動物問題で適用された例ですと、仮処分ですとか、差し押さえですね、動物を差し押さえる。それから、仮処分をして飼い主から引き離すとか、実際の判決でも、あなたの飼える頭数は2頭までですよというような判決が出た例もあると聞いているので、民事法の方でできることはないでしょうか。

【磯部委員】 民事訴訟の場合には、問題の人物を相手取って、誰が原告になって争うかが問題になりますが、今おっしゃったイメージですと、例えば隣人が、その隣人の動物虐待行為で迷惑を被っていてというようなことでしょうか。

【野上委員】 差し押さえの場合は、恐らく借地とかで動物を飼育していて、借り賃を払っていないので、動物を財産とみなして差し押さえるとかですね。それから、仮処分の場合は、たしか緊急避難的な措置、この飼い主とずっと一緒に置くと、動物が死んでしまうというようなことであったのではないかと思うんですけれども。それから、飼育禁止の方は、恐らく近隣迷惑で、大家さんなりが訴えて、裁判になったのではないかというふうに思います。

【山口委員】 今の2頭までというのは、うちがちょっと関わったことがあるものですから、ご説明させていただきますと、うちが訴えたわけではないですが、大家さんがたくさんの犬を飼っていらしたんですが、下の店舗の方たちが迷惑を被っていて、環境汚染で何度も警察と保健所に言っていらしたんですが、なかなからちが明かず、裁判に訴えて、それで2頭までしか飼ってはいけないというふうに裁判官からの話があって、その残りの動物の保護・収容がこちらに回ってきたものですから、その辺のところは聞いているんです。

【磯部委員】 わかりました。そういうことならば、隣人が迷惑な不法行為をしているわけですね。そういうときは、発生した損害につき賠償を払えというのが普通ですけれど、その行為自体をやめろという差し止めを求めることも、それは十分あり得ますが、しかしよほど被害がはっきりしていることが必要ですね。つまりその隣人の行為によって侵害された自分の生活利益が、きちんとした権利とか法的利益と言える場合はよいと思いますけれど、ただ、隣人が動物をいじめていて、かわいそうで見ていられないという程度の不利益であるという主張だとすると、いまの法感覚では、なかなか裁判官は対応できないかもしれないですね。

【山口委員】 その被害というのは、天井が糞尿で腐って、上から犬とごみが一緒に下のお家に落ちてきたケースなものですから。

【磯部委員】 それはもう立派な不法行為……。

【林委員長】 それとは違いますね。わかりました。
 大体、今日はこの辺までにしておきたいんですが、特に今日中に何かおっしゃっておきたいことがありますか。よろしいですか。

(はい)

【林委員長】 それでは、明日のことについて、事務局からご説明ください。

【事務局】 それでは、事務局から1点だけ、ご案内させていただきます。明日の会議の時間等の確認でございます。明日の会議は、本日と同じ、この場所におきまして、9時半から予定しております。
 なお、その際ですが、資料は今日の資料をまた使いたいと思いますので、お持ち帰りになる方は、また明日、お持ちいただくようにお願いいたします。
 また、傍聴の方におかれましても、明日また会議にご参加される方は、今日ご使用になりました資料をお持ちいただくようにお願い申し上げます。
 以上でございます。

【林委員長】 ここに置いていくことも可能ですね。

【事務局】 可能です。

【林委員長】 はい、承知しました。
 それでは、お返しいたします。

【事務局】 それでは、林委員長並びに委員の皆様、今日は議論、どうもありがとうございました。
 これをもちまして、本日の議論を終了させていただきたいと思います。
 傍聴の皆様も、どうもご参加ありがとうございました。
 では、これで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。

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