中央環境審議会動物愛護部会動物愛護管理のあり方検討小委員会(第14回)議事録

1.日時

平成23年5月23日(月)午前10時00分~午前12時15分

2.場所

環境省第一会議室

3.出席者

林委員長、青木委員、井本委員、臼井委員、打越委員、浦野委員、
太田委員、小方委員、加隈委員、斉藤委員、渋谷委員、永村委員、
野上委員、山口委員、山崎委員、渡辺委員、
渡邉自然環境局長、森本審議官、田中総務課長、西山動物愛護管理室長ほか

4.議題

  1. (1)動物取扱業の適正化
  2. (2)東日本大震災における被災ペットへの対応状況
  3. (3)その他

5.配付資料

資料1
制度の見直しに関する議論の経過
資料2
今後の予定について(案)
資料3
小委員会における「動物取扱業の適正化」に係るこれまでの主な意見
資料4
被災ペット対策について
参考資料1
制度の見直しにおける主要課題
参考資料2
被災ペット対策関係資料
参考資料3
動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針
(平成18年環境省告示第140号)(抜粋)等

6.議事

【事務局】 ただいまより第14回の動物愛護管理のあり方検討小委員会を開催させていただきたいと思います。今日は磯部委員、水越委員の2名の方が欠席でございます。以上、18名中16名ご出席ということで、本あり方委員会は成立しているということをご報告いたしたいと思います。
 それでは配付資料についてのご確認をさせていただきます。資料の1から4、参考資料の1から3。山口委員提出資料となりますが、これは口頭にさせていただきますので、資料はございません。
 今回の委員会の資料とこれからご議論いただく議事録につきましては、後日、環境省のホームページでもアップさせていただきますので、ご確認いただければと思います。
 それでは、具体的な議事に入りたいと思います。林委員長、よろしくお願いいたします。

【林委員長】 皆様、おはようございます。早速ですが、第14回動物愛護管理のあり方検討小委員会を開催いたします。
 議事に先立ちまして、渡邉局長よりご挨拶をいただきます。

【渡邉自然環境局長】 おはようございます。大変忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございます。3月に東日本大震災が起きて、甚大な被害がもたらされました。被災地の皆さんに心からお見舞いを申し上げると同時に、被災された方々がそれぞれの地域の暮らしを取り戻すことができますように、一緒に願っていきたいと思います。
 環境省も被災地支援に向けて全力でいろいろな取り組みを進めてきています。その中で、被災ペットの救援も重要な課題というふうにとらえてやってまいりました。
 全国の動物愛護団体や獣医師会で、被災後すぐに緊急災害時動物救援本部を立ち上げて動き出していただきました。今回の東日本大震災では非常に広範囲にわたった被害がもたらされたわけですが、それぞれの地域で都道府県や地元の団体が、現地でのペットのための救援の本部を立ち上げるという動きもありました。環境省は、緊急災害時動物救援本部や現地の救援のためのネットワーク体制と連携をとりながら、これまで取り組んできたという経緯でございます。
 また、福島原発周辺の警戒区域に残されたペットの救援という問題も非常に難しい問題としてございます。5月10日から警戒区域に住民の方が一時立ち入りを開始し、順次住民の方の一時立ち入りが進められています。そういった住民の方の一時立ち入りと連動する形で、残されたペットの救護・収容という取り組みを動かすということで、福島県だけではなくほかの都道府県にもご協力いただき、緊急災害時動物救援本部の構成メンバーの方々や住民の皆さんにもサポートいただいて連携のチームをつくり、一時立ち入りと連動したペットの救援・回収、また放浪しているペットの保護・収容などの取り組みも動き出しているところです。
 この間、ここにお集まりの皆さんに、いろいろな形でご支援やアドバイスをいただきました。心からお礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
 今日は、この東日本大震災への対応状況や被災ペットの対策についてもご報告をさせていただき、振り返って反省すべき点、今後の取り組みで改善していくべき点、強化していくべき点などについても、皆さんからご意見をいただけたらというふうに思います。
 前回3月2日に小委員会を開催させていただき、その後に震災が起きて2カ月ほど間があく形になりました。これまでの議論をもう一度振り返ってご確認いただいた上で、今後のこの制度見直しの進め方についてもご相談をし、ご意見をいただければと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。それでは、議事に入ってまいりますが、前回の小委員会から随分時間が経ち、何を論議していたか忘れてしまったぐらいなのですが、まずその辺を整理していただき、もう1回きちんと思い出そうということが一つの目的です。小委員会を開催できなかったために、この後のスケジュールがどうなるのかということも非常に大切なことですので、まず最初に事務局からご説明いただき、皆様のご意見をお聞きしたいと思います。
 また、今回は大震災が起こりましてから初めての小委員会ですので、東日本大震災への対応について、環境省と緊急災害時動物救援本部の両方からご説明を受けて、反省点は反省点として論議したいと思います。
 それでは、事務局から最初の点についてご説明いただきます。

【事務局】 資料1をご覧ください。資料1では、これまでの動物愛護管理の制度の見直しに関する議論の経過をまとめています。これまでは、「動物取扱業の適正化」についてヒアリングを挟みながら8回にわたって議論をしてまいりました。どの回でどの項目について議論したかをわかりやすくまとめておりますので、今後、議事録の確認などをする際にご活用いただければと思います。
 続きまして、資料2。今後の予定について。
 次回は6月24日に予定されていますが、7月の1回と合わせて2回で、これまで行ってきた「動物取扱業の適正化」に係る議論の総括を行いたいと思います。震災前の予定では、中間取りまとめをすることになっていましたが、中間という時期ではなくなってしまいました。しかし「動物の取扱業の適正化」については何らかの取りまとめが必要だと考えていますので、2回の議論をして取りまとめをしたいと思います。
 その結果の報告書のようなものをパブコメにかけたり、国民の意見を伺っていきたいと思っております。その後、中央環境審議会動物愛護部会を1回挟みまして、8月から9月にかけて、残りの項目を議論していきたいと思います。
 参考資料の1の方に、この小委員会で議論されるべき主要課題の一覧がありますが、1の「動物取扱業の適正化」については、残り2回で総括をし、残りの2番以降9番までについては8月から9月で議論をしていただきたいと考えております。
 10月には取扱業も含めた小委員会としての報告書について議論していただき、その報告書案をパブリックコメントに付す。11月にはもう一度、パブリックコメントの結果を踏まえて「小委員会報告書(案)」について議論していただき、最後に中央審議会動物愛護部会で報告書について議論するということを考えております。
 続いて資料3。すべての意見は網羅されていないと思いますが、これまでの意見を非常に簡単にまとめています。方向性が何となく見えている項目もございますが、例えば5番、幼齢動物の販売日齢。6番、繁殖制限措置。8番、業種追加の検討(動物の死体火葬・埋葬業者)。9番、業種追加の検討(両生類・魚類販売業者)。14番、動物取扱責任者研修の緩和(回数や動物園水族館・動物病院の扱い検討)。これらについては若干意見の対立が見られるものもございますので、両方の意見を書いたような形になっております。
 「動物の取扱業の適正化」に係る取りまとめについては、当然これよりもう少しボリュームのあるものを考えております。今後の予定についての資料の説明は、以上となります。

【林委員長】ありがとうございました。ただいま事務局の方からお示しいただいた内容につきまして、ご意見、ご質問がございますか。予定が当初考えていたよりもタイトになってくるということで、それに伴って変更がございます。どうぞ、永村委員。

【永村委員】 今のご説明の中で、「動物取扱業の適正化」をめぐるこの中間取りまとめ案を、パブリックコメントにおかけになる日程をおっしゃいましたでしょうか。ちょっと聞き漏らしたかもしれません。10月ということですか。

【事務局】 その前に、7月の小委員会16回目で「動物取扱業の適正化」について、議論の総括2回目をやりたいと考えていますが、動物の取扱業の部分だけで、一度パブリックコメントをしたいと考えています。

【林委員長】 そういうことですけど、よろしいですか。どうぞ。打越委員。

【打越委員】 3月2日までの小委員会では、過去のヒアリングの経緯とか委員の発言を、非常にボリュームたくさんにまとめた資料をみんなで改めて読み返して、本当にたくさんの論点が出てきたところだと思います。
 今日配られた資料3を見ると、それがかなり圧縮された形でまとめられている。復習だからこそ圧縮してあるというのはその通りだと思います。例えば7つめの飼養施設(犬猫のケージの大きさ等の具体的数値規制の検討)の項目を見ても、「数値的な規制に根拠がない」というご意見、これはあの委員がおっしゃっていたというのは覚えていますし、アンモニア臭云々というのを言っていたのは、私なので覚えているところです。
 ただ、前回までの議論を見ると、ガイドラインを委員の中でつくるべきであるとか、もっとたくさんの意見があったと思います。時間もない中で広げ過ぎた論点全てを検討できないということで、圧縮してやっていくというのが現実的に仕方ないとは思うのですが。
 資料3は主な意見と書いてありますが、これが主な意見であったという断定はできないと思います。むしろ環境省の事務局側で論点を拾って、このぐらいに絞らないと検討できないのではないかと、すなわち自分たちで拾って絞ったという環境省原案のような形で出していただいて、それに賛成する反対するというスタイルで検討していく方が段取りとして正直なのではないかと思います。
 何を言いたいかといいますと、やはり2カ月間あいて、細かい議論については少し勘が鈍っているところだと思うのです。ですので、圧縮して主な意見としてまとめるのではなく、環境省側として検討したい意見として提示するのが正直なやり方になるのではないかなというふうに思います。意図はおわかりになるでしょうか。

【林委員長】 どうぞ、室長

【西山動物愛護管理室長】 今までこの小委員会では、環境省というか事務局の方では、特に意見を出さないというか、小委員会の委員の審議にお任せするという立場をとってきました。今日の資料も事務局の方でまとめたというつもりはないのですが、今後の進め方については、また考えさせていただきます。
 今日のこの資料3の意図は、前回まですごくたくさんのご意見をいただいて、項目によっては、方向性が少し見えているところもありましたが、多くの項目は意見が分かれたままです。方向性が見えているように見えても、委員の方一人一人によって非常に思いが込められて、似ているけれども違う意見というのもたくさんありましたので、前回までの資料では、主な意見といいつつ数十ページに及ぶような資料になっていました。しかし、前回から日も経っていますし、まずは大体の議論の流れを確認をするということで、かなり圧縮というか、絞った形で資料をつくらせていただきました。このように進めるというよりは、今回は議論の主な流れを思い出すためというつもりで資料をつくりました。

【打越委員】 他意はなくつくられたとは思っていたのですが、ただ今後まとめていくに当たっては、委員のすべての思いを汲むのは無理ですし、徹底的に愛護を進める方から、法律の改正にブレーキをかける方まで、全体の流れから見て極端な意見は、切っていかなくてはならない場面が必ず出てくるだろうと思います。
 そうなったときに、委員の中には、この答申、答案では納得できないという主張を最後まで貫かれる方もいらっしゃるかもしれない。ですがそれはそれ、やはり最終的には、今回は議員立法ではなくて政府提出法案でいくという話になったからには、右から左から批判が来ることを覚悟の上で、環境省がある程度案をまとめていかないとまとまらないのではないか。そういう意味で、いざというときは自分の意見がカットされることを私は覚悟していますという意味で発言させていただきました。以上です。

【林委員長】 ほかにこの意見をどうぞ。まず加隈委員、そして野上委員。

【加隈委員】 少し違うことを少し考えていたので、もし議論がありましたら先にどうぞ。

【林委員長】 では、野上委員の方から先にどうぞ。

【野上委員】 打越委員のご意見に賛成なのですが、これはパブリックコメントにかけるときに、どういう議論でどこに論点があり、それぞれの意見の対立があったかとか合わない部分があったかということも明確にして、一般の方々の意見を聞くようにしていただきたいと思います。変にすり合わせてしまうのではなくて、意見が合わないところは、あくまでも明らかになるような形でパブリックコメントにしていただければと思います。
 次の話題になるのですが、今後のスケジュールについて、よろしいですか。

【林委員長】 ちょっと待ってください。今の打越委員と野上委員のご意見について、委員長として申し上げますが、この小委員会は中央環境審議会動物愛護部会のもとにあるわけですが、審議会がそもそも何のためにあるかということを考えますと、環境省が原案をつくるためのものではありません。つまり、ここで審議会のちゃんとした意見を我々がまとめるということであれば意味がありますが、ここで論議していることは、小委員会の意見を出してもらって、それをまとめるということです。もちろん環境省で、動物愛護に関する責任機関としてきちっとしたお考えをお持ちだと思いますが、もしあり得るとすれば、委員長がまとめるということだと思います。
 パブリックコメントに書ける内容は、野上委員がおっしゃったように、あまり丸めない方がいいという意見に私も賛成です。対立しているところは対立しているという点で、パブリックコメントに出す形としては適切ではないかというふうに考えていますが、打越委員そういうことでよろしいですか。
 ほかに、このことについてご意見ありませんか。なければ、先ほどの野上委員のスケジュールについてお願いします。そして、加隈委員どうぞ。

【野上委員】 8月から9月のスケジュールのことですが、非常にたくさんの検討課題があり、どれも前回の法改正から積み残しになっている重要な部分を含んでいます。これを3回でやるのはかなりきついのではないかと思いますので、もう少し回数を増やすとか何らかの工夫をして、時間がとれるようなスケジュールにしていただきたいと思います。

【林委員長】 もう少し回数を増やしていただきたいというご意見ですが、いかがですか。

【西山動物愛護管理室長】 もともと議論を始めていただくときに、検討すべき課題がたくさんあり、かなり厳しいタイトなスケジュールを組んでいたのですが、ここへ来てまた時間が少なくなってしまったということもあります。一方で、今のところ、法律の改正の必要があったときに、来年の国会に提出するという目標は変えておりません。緊急性を要する課題もたくさん含まれておりますので、それを延ばすようなことは今のところ考えていません。
 そうなったときに、内々に委員の先生方のご都合を聞いても、それほどたくさん集まることはできないということもありまして、回数を増やすというよりは、少し優先順位をつけて、緊急性の高いものを優先してご議論いただく方が現実的かなと思っています。

【林委員長】 そういうことでよろしいですか。では加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 同じく、8月、9月の予定についてですが、配付された資料2についてご質問させていただきたいと思います。関係者ヒアリング[5]に、自治体も入っているのですが、3月2日の小委員会で地方自治体のヒアリングが既に行われたと思います。最初に配られていたスケジュールの方でも3月中に自治体等(ヒアリング)をやった後は、その後で自治体等の議論が出てくるのですけれども、それに際して自治体のヒアリングは特にその後はないように思いますので、これは追加して行うということなのかどうかということをお聞かせいただければと思います。

【林委員長】 はい、事務局どうぞ。

【西山動物愛護管理室長】 今後の予定、ヒアリングをどなたからお聞きするかということについては少し精査したいと思っています。現時点で自治体と書いてあるのは、8月、9月に書いてあるのが当初から予定されていたもので、自治体の収容施設、引取り、殺処分の話なども出てきますので、自治体から、と考えています。
 3月に行った方は、逆に追加というか、今までの取扱業の議論の中で規制を例えば強化したときに、自治体側の体制がどうかということを心配するご意見がたくさん出されましたので、自治体の方から実情といいますか、仕組みが変わったときの体制も含めて正直なところをお聞きするために、急遽3月にお呼びしたということでございます。

【林委員長】 よろしいですか。先ほどの野上委員のご提案と絡むのですが、回数を増やせないとすれば、例えば、次回6月24日は、午後1時から3時に予定されています。ちょっと3時間はきついですが、2時間半はいかがですか。

【山崎委員】 3時間やってください。3時間やりましょう。

【林委員長】 私は、3時間は体がもたないのではないかと思います。できたら30分ぐらい延ばすということにしていただきたい。できる限り、そのときに時間を延ばしていただきたい。山口委員、どうぞ。

【山口委員】 私も回数についての意見です。やはり皆さんとてもお忙しいので、日にちをたくさんとることは、かなりスケジュール調整が大変でいらっしゃると思います。時間を1時間でも2時間でも、真ん中に休憩をとっていただいて続けていただく方が議論はまだできるのかなというふうに思います。ヒアリングがあって、その後また議論しなければならないですよね。それと、これだけのことについてそれぞれ関係者ヒアリングをすべてするとなると、本当に3回ではとてもできないと思いましたので、時間を延ばしていただくことを提案したかったのです。

【林委員長】 できる限りのところでは、ご検討いただくことにいたします。ほかにご意見はありませんか。よろしいですか。では本件につきましては、ここまでといたします。
 続きまして、大震災関係ですが、まずは、環境省からご報告をいただきたいと思います。

【西山動物愛護管理室長】 震災対応について、簡単にご報告させていただきます。
 環境省の動物愛護管理室では、3月11日以降、事実上ほとんどの力を震災対応に充ててまいりました。当初は交通の事情というのもあったのですが、小委員会も2カ月ほど間をあけてしまって、申し訳ありませんでした。
 今までやってきたことを簡単にご説明しますと、3月11日の午後に地震が起きました。その当日中に、まず日本動物愛護協会に連絡をしました。これは動物救援本部の事務局をいつも務めていただいているということで、救援本部の事務局としてご連絡をし、今回の災害に対しましても連携・協力をよろしくお願いしますというご連絡をしています。
 資料4、ゴシック文字は環境省が行ったこと、それ以外が普通の文字になっています。
 ここに書いてありませんが、当日中にもう一つご連絡をしました。関係する全自治体に対して、動物愛護管理法に基づく特定動物、危険な動物が逃げ出したりしていたら、すぐにご連絡をくださいというお願いの連絡を自治体に対してしています。結果的には、これはありませんでした。
 それから、3月14日に、「緊急災害時動物救援本部」が今回も立ち上がりました。
 (財)日本動物愛護協会、(社)日本動物福祉協会とありますが、この直後から日本動物福祉協会は公益社団法人になっております。それから(公社)日本愛玩動物協会、(社)日本獣医師会。この四つで阪神淡路大震災のときの経験をもとに、緊急災害時動物救援本部として東京に事務局を常設していただいています。何か災害が起こると、現地に立ち上がる現地本部に対して支援するという仕組みをつくっておりまして、中越地震、有珠山の噴火のときなどにも非常に有効に機能したと考えております。
 今回は災害の被害が非常に深刻で、かつ範囲が極めて広かったということで、現地本部が県ごと、市ごとに立ち上がったところもありますし、まだ立ち上がっていないところもあります。今のところ、宮城県、仙台市、岩手県、福島県については、現地本部が立ち上がっております。
 3月14日に、政務官名で関係15団体に対しまして、被災動物の保護などに対する協力要請の文書を発出しております。15団体につきましては、参考資料2に出てくると思います。参考資料2は、震災関係について、起こった順番、なるべく時系列的に資料を並べたものをつけておりますので、後でご参考までにご覧ください。
 それから、少し飛びますが、環境省としてすぐできることは何かということを3月中に考え、必ず被災地で必要になる動物用のケージとか、それを覆うテントのようなものを昨年度の予算で購入しまして、被災地に配付しております。
 4月には、東京の緊急災害時動物救援本部に動物愛護管理室の職員1名を派遣しておりました。
 4月の中旬以降は、今回の震災の中でも特に原子力災害、福島第一原子力発電所の事故に伴う動物の救出の方に力を注いできました。具体的には、動物の保護ができるための調整が主だったのですが、福島第一原子力発電所から20キロ圏内の「避難指示区域」、後に「警戒区域」になりますが、そこについては動物の持ち出しや動物保護のための立ち入りというのが当初全く認められないという時期が続いておりました。4月半ばに「警戒区域」になり、法的に罰則を伴う立入禁止になると「住民の一時立入り」というステージが生じるので、その住民の一時立入りに伴って、住民が自分の犬や猫を救出することに限って認める可能性があるというようになってきまして、それをベースに調整を続けてきました。
 4月28日からの5日間、福島県の方で警戒区域内の実態調査等を実施しています。環境省の職員も同行しておりますが、5日間調査を行いまして、この間に、犬を27頭、猫2頭を緊急保護、救出しております。
 住民立入りに伴う保護については、結果的には、住民の方が一時立入りのときに確保というか、自宅の前につないでおいていただいたり、ケージ、キャリーケースに入れておいていただいた動物については、保護して救出します、行政が持ち出しますという仕組みになりました。
 その最終調整もあって、5月7日からは、動物愛護管理室の職員1名を原子力災害現地対策本部に派遣しています。
 その指揮系統というか、仕組みなのですが、参考資料の2の1枚をめくっていただいて、1枚目のところに概略図が書いてあります。原子力災害に限って言いますと、左から二つ目、原子力災害対策本部というのが東京にあり、総理大臣が本部長になっております。
 東京には、その下に原子力被災者生活支援チームというのが3月末にできておりまして、経済産業大臣がチーム長となっている。ここで全体の警戒区域なり、福島県第一原子力発電所周辺のルールというか、立ち入りの可否とか、そういった話をしています。
 一方で、現地には、原子力災害対策本部のもとに、原子力災害現地対策本部というのができておりまして、そこで具体的な判断、現場に即した判断を行っていたり、住民の立ち入りの実施主体となっていたりということになります。
 現在、警戒区域の中に入るためには許可が必要なのですが、その許可権者は市町村長、その場所場所の市町村長なのですが、許可を出していいかどうかという判断を原子力災害現地対策本部でやっている部分がありまして、原子力被災者生活支援チームと原子力災害現地対策本部と、調整を続けてきたということになります。
 最終的には、住民に確保をしていただいた住民の犬・猫について行政が連れ出しますという形になりました。
 住民の一時立入りは5月10日から始まっておりまして、10日に川内村、12日に川内村の残りと葛尾村、それから、資料には間に合っておりませんが、昨日22日に田村市で住民立入りが行われておりまして、それに伴う犬と猫の救出作業も行っております。
 昨日の田村市では犬2頭と猫8頭が救出されており、本日、また持ち出しのために立ち入るのですけれども、それも加えますと今までにこの仕組みでは、28頭の犬と猫が救出されているということになります。
 今後、住民の立ち入りが本格化し、箇所数も増えてきます。対象世帯数の多い市町村も出てまいりますので、まずはこの認められたやり方で、確実にたくさんの動物を救い出すことに全力を尽くしたいと考えております。以上です。

【林委員長】 これはまとめてご質問やご意見をいただくことにして、山口委員から、緊急災害時動物救援本部からのご報告をいただきたいと思います。

【山口委員】 それでは、私ども日本動物福祉協会は緊急災害時動物救援本部の構成団体だということで、発災から今までの活動をご報告させていただきます。
 常に環境省と会議等をともにしながら活動をしてまいりました。私自身も被災地にたくさんの獣医師等の知り合いがおりますので、発災直後からメールが届くかはわからないが、大丈夫でしょうかということも含め、動物の状況を聞くメールを出させていただきました。
 大停電も起こっておりますので、なかなかお返事は届きにくかったのですけれども、本当に皆さんご自身も被災されているにも関らず、備蓄してあったフードやいろいろな物資等を持たれて被災地、避難所を回られたりしているということでした。ご自分のところ(動物病院)も水に浸かって、1階はもうだめというところもありますし、下の段のケージはだめでも上の段のケージは使えるというところでは動物のお預かりをしてくださったり、本当に現地は発災直後から動いておられました。
 私たちもできるだけそういうところ、実際の現場の活動をとにかく支えたいということで、緊急災害時動物救援本部では、3月14日に緊急会議を招集いたしました。本来の緊急災害時動物救援本部の活動というのは、現地救援本部を人・物資・お金の面で支えるということですので、物資を輸送しました。ただ物資の輸送に関しては、たくさんのご寄附をいただいたにも関らず、ガソリン不足と道路の寸断でかなり痛手をこうむりました。なかなかお届けができなかったという苦しいことがありました。しかし、東京からは無理でも新潟からは行きやすいということがございましたので、新潟にお願いして、新潟から物資を運んでいただくという工夫もいたしました。
 ご支援のためには情報収集は欠かせませんので、いろいろな角度からいろいろな方を介して現地の情報を収集いたしました。主に福島県から避難されている方が多かったのですが、東京及び東京近郊に避難されてこられた方がたくさんいらっしゃいます。都内でも避難所がかなり開設されております。東京都の避難所の中には、別室で犬・猫等が預かれるという場所もありましたし、一方で、ご親戚の家とか、アパートをお借りされた方の中でペットはだめですよと言われて、どこか預かっていただけないかというお声が上がりましたので、3月15日から同行避難されてきた動物を、緊急災害動物救援本部としてお預かりすることを始めました。
 3月17日には、なかなかお送りできなかったペットフード等、支援物資をお送りすることができ始めました。3月18日には、とにかくたくさんの方が同行避難されてきておられますので、預かる場所を確保しない限りお預かりがなかなかできないということで、東京都獣医師会にお願いし、一時預かりをしていただけるという本当にありがたいお申し出をいただきまして、300人以上の先生方が手を挙げてくださっておられます。おかげさまで、それ以降続いて横浜市、川崎市、神奈川県、埼玉県の一部の有志の先生方、千葉県でも有志の先生方が、動物を一時預かりしてくださっておられます。それ以外にもご家庭から、「うちの子が亡くなった後、動物はいないんだけれども、一時預かりだったらできる」というふうなお申し出もたくさんいただいておりますし、トリマーさんや動物取扱業の方からも「お預かりできます」というお申し出をいただいており、一部、その方々へ既にお預かりをお願いしております。
 おかげさまで、現在では、約150頭の犬や猫がそういう形でお預かりしていただいております。既に飼い主様のところに帰った動物もおりますし、残念ながら、将来の生活の設計が立たないということで、所有権を放棄するというふうになった動物もおりますけど、所有権放棄された動物は、現在のところ新しい飼い主が既に見つかっております。
 各自治体の救援本部が立ち上がっていないところでは、一緒に会議に参加させていただき、できるだけ早く現地の救援本部を立ち上げてくださいとお願いに行きました。
 福島県内でも、大きな避難所のところでたくさんの方が同行避難されています。でも中へは入れていただけないということで、車の中で飼育管理されている方が多かったのです。ところが新潟県のときに、車中で寝泊まりしていてエコノミー症候群で亡くなられた方がいらっしゃいました。車中は寒いときはさらに寒いですし、これから暑くなるという時期では熱中症で動物が亡くなってしまうという怖さがありますので、それを含めて、車中ではなく、建物の中がだめであればせめて外にペットハウスのようなものを立てて、そこで預かって飼い主さんが基本的に世話をする。そして物資、医療等のお手伝いは救援本部、各自治体の獣医師会がやるというふうな形はとれないかということで、実際にケージ、テント等をお送りして、ペットハウスを建てていただいているところもあります。
 東京都の避難所では別室を用意してくださっています。新潟県の方にもたくさんの方が避難しておりますが、新潟県の方は避難所の前にペットハウスをコンテナハウスで建て、そこに動物を保護し、飼い主さんが基本的に世話をして、獣医師会の先生方がそのお手伝いをするという形になっています。東京都にしても新潟県にしても、既に被災経験がありますので、今までの経験を生かしていち早く同行避難ということを謳っておられます。
 同行避難してこられた方が仮設住宅に入ったとき、仮設住宅から「ノー」と言われてしまえば、また行き先をなくしてしまいますが、相馬市がいち早く仮設住宅を建てるような話を耳にいたしました。かつ相馬市長とお知り合いの獣医さんをたまたまちょっと知っていたものですから、その方を通して、相馬市長宛に、仮設住宅でのペット飼育を認めてくださるようお願い状を出しました。それ以降、順次、仮設住宅での動物飼育を認めてくださるよう、いろいろな自治体にお願い状を出していっております。
 新潟県の中越大震災のときには、すべての仮設住宅でペット飼育がオーケーになりました。1割強の方々が飼育されていたことと、ただ飼っていいということではなく、迷惑をかけないように規則をつくって飼育管理を促した事実が記録集にきちんと残っておりますので、その記録集のコピーを添えて各自治体に提出しております。
 おかげまで相馬市の方は、期間限定で仮設住宅でのペット飼育をオーケーとしておりますし、岩手はいち早く県としてオーケーを出しました。仮設住宅ではこういうふうに飼ってくださいと当然のことのように県として出しておられますので、陸前高田市もオーケーですし、いろいろな仮設住宅で動物飼育をすることがオーケーにとなっております。
 緊急災害時動物救援本部としましても、今後もたくさんの動物を救うために、実際に預かることもいたしますし、各地方の救援本部やいろいろな団体をお金の面でもご支援したいと思っております。物資もですが、大型のケージがなかなか手に入らないということもありまして、さらに募集をかけて、それを皆様のところにお配りしたいというふうには思っております。
 それから、一時帰宅につきましては、環境省とともにできるだけたくさんの方に連れ戻していただきたいということで、実は私、昨日は福島で田村市の一時帰宅のお手伝いをしておりました。昨日は、東京都の方がその捕獲や20キロ圏内に入るお手伝いをしてくださっております。地方自治体も、順次獣医師及び捕獲する方々、トラック等を提供してくださっています。先ほど、室長様からの説明に頭数がございましたけれども、あの防護服を着て家に入れば、自分の飼い主でもあれを見てぎょっとして猫が逃げてしまうということもありますので、行ったけれど捕まらなかったケースも結構あり、そのときには、捕獲器をかけてきております。昨日、ちょうどうまく飼い主さんが帰って探しているところに東京都の職員が捕獲器を仕掛けておりますので、今日、捕獲された動物も順次20キロ圏内から出されるはずだというふうに思っております。
 順次というのが6月ですと随分期間がかかりますので、できるだけ早く、飼い主の帰宅を待たずに、どんどん20キロ圏内から動物を保護できたらというふうに思っております。
 とにかく、被災地に物資が足りないなどと言わせてしまうことがないように、4トントラック、2トントラックと手配できる限りのことをいたしました。各自治体の拠点に物資は行きましたが、問題はそこから先です。拠点から先の必要なところへ配るという、そのきめ細かい作業が行き届いていなかったのではないかという反省はあります。どうしたら、せっかく届いた物資を必要な方に必要な量をお渡しできるか。そのきめ細かい作業が、ぜひとも必要だというふうに思っております。
 それから自治体によって、反応や対応が違ってきているということがございます。既に防災計画の中に緊急災害時の場合どうするかということを入れていらっしゃる自治体と、まだそこまで考えていらっしゃらなかった自治体とで、差が出てくるのだろうと思います。ただ未曾有の大震災なので、同行避難の訓練をしていた仙台市の方がおっしゃっていましたが、ずっと避難訓練をしていたにも関わらずパニックになってしまって、せっかくしてきた訓練がなかなか生かされていないのではないか、ということでした。
 それでも訓練していたところについては、自治体の仙台市の職員がやはり早いうちに避難所を回られております。情報をとるためと物資を届けるために、職員自らが避難所を回っておられました。今の法律では、指針ということで緊急災害時のことは入っておりますが、法文にはなっておりません。正式に法文の中に細かいマニュアルまでは入れられないとは思いますが、緊急災害時のときにはどう対応するかという動物救護を、動愛法の中に謳い込んでいただきたい。そのもとで各自治体のマニュアルをつくっていく。法律の根拠がなく自治体も超法規で動かなければならないとなると、なかなか動きにくいことがあるのではないかと思いますので、法律に謳い込みプラス救護システムを立ち上げ、自治体、獣医師会、民間団体をまとめて国がリードしていくというふうになればありがたいなというふうに思います。
 それから今回、地震直後からすべての被災地で、多くの動物愛護団体の方々が本当にたくさん動かれました。動物のことを思って活動されてこられたのですが、それぞればらばらに動かれたり、一部連携されたりして動物が保護されました。保護されたけれども、その動物たちがどこから保護されたかがわからないゆえ、飼い主さんが家へ帰ったら動物がいなくなっていたということで、飼い主が探されている行方不明の動物の数がとても増えています。仙台市あたりでは、市の動物愛護管理センターに200件以上の行方不明動物の一覧表が出ているということですので、もとの飼い主にできるだけ戻れるような保護のルールもつくらないと、せっかくの飼い主と動物の絆が絶たれてしまうこともあると思います。先ほどの法律に入れてマニュアルをつくり、救護システムの中で動物愛護団体の役割分担をしてシステム化する。どんな震災が起ころうが、噴火が起ころうが、洪水が起ころうが、システムのもとですぐ救護活動が行えるというふうな方向に持っていかないと、今回のような大震災が起こった場合、事が止まってしまうように思います。
 最後に、今回は海外からのご協力がとてもたくさんございました。海外からのご支援、お金をたくさんいただいております。物資もかなり届いております。海外からのご支援にこたえるような動きをどんどんしないといけませんが、世界中の方々が日本の動物のことを心配してくださっているということを、お知らせしたいと思います。
 動物愛護管理法の中では、ペット動物だけではなく、虐待のところの項目では牛・馬・豚、みんな挙がっておりますので、農業動物も含めて考えていかなければならないことだなというふうに思います。そのためには、環境省単独ではなく、省庁すべて関係するところと連携していただけたらと思っております。以上です。

【林委員長】 はい、ありがとうございました。
 それでは、環境省そして緊急災害時動物救援本部の震災後の活動報告をいただきましたので、ご意見あるいはご質問ございませんか。はい、山崎委員どうぞ。

【山崎委員】 先ほど山口委員が強調された、動物がいなくなってしまうということに関しては、具体例がたくさんあります。実際に現場を回った対策本部の方で、犬を連れて逃げる途中で、「とにかく預かりましょう」といってどこかの愛護団体が連れていったけれど、愛護団体の連絡先をもらっていなかったというケースがあります。あるセンターでは、小さい子供が「僕の犬を連れていかないでください」という紙を持って座っていたなど、恐ろしいような現実的な話がたくさんあります。
 保護をしていらっしゃる方は、多分悪気はないとは思うのですが、とにかく「そこにいる動物を救え!」というシュプレヒコールのもとで先走って動いてしまう。挙げ句の果てに、緊急時災害対策本部が何もやっていないから私たちがするのだというコメントがネットなどに載ってしまうようなことに関して非常に遺憾に思います。この点は、やはり委員の皆様方にぜひ社会啓蒙をしていただきたい。そのあたりは、一番これから難しいことじゃないかなと思っています。それから、アメリカの大きな愛護団体に対し、「日本ではとても里親を探せない規模になってしまったから、アメリカに犬を送っていいか」というような参照をした関西の方の団体もございます。その情報はアメリカの愛護団体を通して私の方に入ってきておりますが、それに関しては、「全然困っていないから、日本国内で動物の行き先等を見つけられるので結構でございます」というお返事はしております。多分こういった形で入ってこない情報も、たくさん海外にプライベートなところから流れていると思います。そのあたり、やはり日本の社会でどうやってそれに対処するかというのが、今後の課題になるかなというふうに感じております。

【林委員長】 野上委員、そして渡辺委員。

【野上委員】 山口委員の、今のご説明の最後の方のいろいろなご提言に全く賛成します。動物愛護管理法の中に緊急時の動物救護対策について入っていないので、それを根拠づける必要があると思います。またそれに基づき、今ある四種の動物の飼養管理基準、「家庭動物」「展示動物」「実験動物」「産業動物」の飼養保管に関する基準にも、緊急災害時に対して動物をどのように救護するかを、きちんと明記していく必要があると思います。
 今回は、非常にいろいろな対策の遅れがありまして、救える動物がたくさん救えなかったという現実は、もう紛れもない事実だと思います。やはり法的な後ろ盾がないことが大きな問題であったかと思いますので、今回の動物愛護管理法の改正の中の議論の一つに、新たに入れてもいい事項ではないかというふうに思います。
 緊急災害時、特に福島の原発事故という異常な事態において発生した問題があります。一つはペットを同行して避難できるかということ、それから、同行できずに置き去りにせざるを得なかったという問題、この二つを分けて考える必要があると思います。
 一つ目は同行避難の問題ですが、原則的には、飼い主は動物に対して責任を持ち、終生飼育するという責任があるわけですから、できるだけ避難所に同行してもらいたいわけです。しかし、避難所に動物を連れていけるかどうかということが市町村のレベルでほとんど認知されていなかったわけです。多くの避難所では、動物の避難所がないために、車の中や外に置いたり、あるいは人に預けたりというふうに大変苦労されたということがあります。国は県に情報を出しますが、県から市町村に対して情報の伝達のルートがあまりうまくいっていないところが今現在もあるように思います。ですので、こういう緊急時には、国から直接市町村に情報を発信できるようなシステムも必要ではないかと思います。
 避難所においては、そもそも最初から動物を飼えるようなスペースをつくるべきということを、市町村に周知徹底していただきたいと思います。
 二つ目は、仮設住宅です。仮設住宅についても同様で、これは今までの被災の経験があるわけですから、そういうものを生かしていただきたい。
 三つ目は、公営住宅の問題。公営住宅が結構あいているのでペットを同行していきたいという方々が多くいらっしゃいますが、原則として公営住宅はペット禁止がほとんどです。公営住宅に一生いるわけでもないですし、半年とか1年2年の期限のある住宅だと思いますので、そういうところには臨時的にペットと一緒に行ってもいいというような方針を国の方で定めていただければというふうに思います。
 さらに、どうしてもペットを同行できない場合には、一時預かりが必要ですが、これも速やかに情報を収集し、全国に呼びかけて、一時預かりができる場所を探し、その情報を提供するということが必要であったわけです。
 いろいろな支援の仕方はありますが、一番重要なことの一つは、やはり情報の提供ということです。一時預かりができる場所をできるだけ呼びかけて、その情報を収集し、それをホームページ等で掲載していただければ、その情報をもとに愛護団体や愛護関係者が避難所を回って、こういうところで一時預かりできますというような活動ができたと思います。それは今でもできるのですが、なかなか進んでいないという問題があります。
 やむなく手放さなければいけない場合に各地の動物シェルターに収容されるわけですが、この動物保護センターに今は空きがあります。昔は殺処分が非常に多かったために、センターの収容スペースがなかったわけですが、現在は全国の自治体のセンター等に結構空きがあります。そういうところに、一時的に預かってもらうということもできるはずです。このような情報を自治体間のネットワークを使って速やかに受け入れるような体制をつくってもらいたかった。今からでも遅くはないかもしれませんが、そういうことをやっていただければというふうに思います。
 同行避難の問題ですが、福島原発の事故が発生してからどうしても緊急避難ということで動物を置き去りにした方々がたくさんいらっしゃるわけです。この動物をどうするかについては、先ほどもお話がありましたが、いろいろな愛護団体が入ったということもありますし、確かにばらばらでいろいろな問題がその後生じているということを聞いています。
 今までも動物愛護管理法について議論していましたように、愛護団体が登録制になっていれば、きちんとした愛護団体に対して行政が信頼をもって依頼したり、協力関係を継続できたはずです。これも少し手遅れではあったと思いますが、動物愛護団体の登録制は、今回の法改正の中で必ず入れていかなければいけないことだというふうに思います。
 そして、置き去り動物については、避難指示区域の場合には、飼い主の方々が通って世話をしていた方が結構いらっしゃったわけですけれども、警戒区域になってからは立ち入りできなくなりました。速やかにそこから脱出させなければいけないわけですが、それについてもなかなか物事が進まず、現在に至っているかと思います。
 これは原子力発電の事故とか、放射線の問題とかがいろいろあって、単なる動物愛護の観点から進められないということは十分わかりますけれども、やはり情報を発信し、救出方法についてできるだけ多くの人たちの知恵を集め、緊急的速やかに一刻も早く救い出せるような方法をとっていく必要があるかと思います。以上です。

【林委員長】 はい、ありがとうございました。それでは、渡辺委員。

【渡辺委員】 山口委員にちょっとお伺いしたいのですけれども、先ほどご報告いただいた中で、飼い主との再会のチャンスを絶ってしまうような団体の活動があるというのは私も聞いていました。けれど、これからこの被災動物に関して、私たちは長いスパンで関わっていかなければならないわけです。そうしますと、どうしても地元の獣医師とか団体とか、個人ボランティアの方たちとの連携が必要不可欠ではないかと思います。そういったものは考えていらっしゃると思うのですが、そのことについてちょっと伺わせてください。

【山口委員】 緊急災害時動物救援本部の方としましても、保護された方の動物がいつ、どこで、どういう動物を保護したというような一覧や写真が全部出せれば、もとの飼い主さんのところに戻る一助にもなるかと思いますが、高齢者の方の中にはネットは見られない方々もたくさんいらっしゃいますので、どうやったらそういう方々に情報をお届けできるかなということもあります。
 もちろん私ども緊急災害時動物救援本部では、地元との連携を重要視しておりますので、獣医師会、自治体とは常に話し合いをしております。やはり国として先ほどの法律に基づいてシステムをつくり上げた中で、自治体は自治体の中で愛護団体も一緒に活動する。岩手県の方では、現地の救援本部の中に県獣医師会、動物愛護団体が10団体でしたか入っていて、一緒になって活動をして、愛護団体の方でもたくさんの動物を預かっておられ、その愛護団体から信頼をおける家庭での預かりも進めてられているということです。今後、国と自治体との連携、自治体の中での連携という流れをつくっていくということで、先ほど野上委員の方から登録制ということが出ましたが、動物愛護団体も大きなシステムの中で役割分担をしながら協力していくことは、必要なことだろうと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。それでは、打越委員、そして太田委員。

【打越委員】 山口先生、現場のさまざまな情報を教えていただき、ありがとうございました。専門家の方、現場の方がどれだけ現地でフルに知恵と体力を使って活動していらっしゃるかというのが伝わってきたところで、ある意味すごく月並みな質問になってしまうんですけれど、伺いたいことがあります。
 先生のお話を伺い、例えば動物救護システムを法に入れていくこと、情報発信のシステムを法律に入れていくこと、愛護団体の登録制、そういった形で法改正に入れていくことを紡ぎ出すのが小委員会での私たちの役割なのだと感じました。しかし、そうした委員としての立場と関わりなく、一国民としてどういうメンタリティを持てばいいのか。救援本部が立ち上がって、例えば義援金を寄せようかなとか、ペットフードを送ろうかなというふうに思った方から、ホームページ等を見ても、義援金は現時点では既に相当集まっている。ペットフードも多分たくさん集まっているけれど、なかなか運搬そのものが大変である。先ほど野上委員の話でも、全国のセンターで一時的に受け入れられるのではないかと私も思うのですが、実際にそれをしようと思ったら連絡して運搬をする必要がある。ベストの方法にたどり着くのに、実際には現場の負担がいっぱいだというような状況のときに、我々は何ができるのか。
 結局、救援本部も息の長い支援をというふうに書いてあるので、今、慌てて次々と義援金を入れても、また銀行口座が混乱するとかフードがいっぱいになるくらいだったら、確実に覚えていて1年後とか、半年後に必ず入れるというふうした方がいいのか。そういう義援金は多分、救援本部を勇気づけるためにもなるしペットたちを救うためになると思うのですが、被災地以外のところでも虐待事件とか、多頭飼育の崩壊は起きている。被災地に義援金を寄せるのがいいのか、それとも例えば日本動物愛護協会とか、日本動物福祉協会の組織基盤をしっかりしていただくために、義援金としてではなくてそういうところの会員になるとか、ほかの多頭飼育崩壊の問題について、意識を忘れないようにした方がいいのか。長期的なタイムスパンや多くの場所で問題になっている課題に対し、一国民として、今、どういうふうに関心を持ったらいいのかとずっと感じていました。
 義援金を送ろうと思って救援本部を見たのですが、今はなかなか大変そうだなと思ったので、とりあえず日本動物愛護協会の終身会員になってみました。こんなふうに、どうしたらいいのかという思いを、現場で頑張っていらっしゃる方の目線から、「一般の国民にはこうしてほしい」ということがあれば、伺いたいと思いました。

【林委員長】 両方ともやっていただきたいわけですけど。山口委員、どうぞ。

【山口委員】 どうしてくださいとは言えないですが、ただ私たち緊急災害時動物救援本部の方では、自分たちが動くことにかまけて、ホームページでの情報発信が十分ではなかったという反省があります。もっともっとホームページ等で、細かく今どんなことをやっているということを情報発信すれば、それを読んでいただいた方々の方から、ではこれをしよう、寄附をしよう、物資を送ろうということが、もっと判断していただきやすくなったのかなと思って、それは反省材料なのです。今でも少しは改善しようとして、ホームページは努力したのですが、それでもまだ足りないと思います。
 ただ、この緊急災害時動物救援本部にしても、今回の広域甚大な被害から考えれば、これ自体も長期化しますから、慌てて保護した動物に関して1カ月で息切れしましたというわけにはいきません。もとの飼い主に戻るまで、あるいは新しい飼い主さんが見つかるまで、しっかりと保護しなければなりませんし、「保護って何?」ということを考えないと、動物だけを集めて健康管理もできないようでは保護した意味もない。本当にもとの飼い主、新しい飼い主に行くまで、しっかりと飼育管理をしなければいけない。それには、お金も、人も、物もいるわけですから、それも支援しなければいけない。
 一方で毎日、被災地から離れているところでもいろいろな事件が起こります。ですから、それにも対応しなければいけない。ですから、本来的にはご自分の住んでいらっしゃるところでどういうことが起こっているのかということは、常に頭に置いておいていただきたいし、震災のことは震災のことで頭に置いておいていただきたいと思っております。
 阪神大震災のときでも、新しい飼い主探しのときに、全国から手を挙げてくださる方がいらっしゃり、とてもありがたかったのですが、「どんな子でもいい、かわいそうな子なんだから送ってよ」というふうに言われたことがあります。私たちは、「震災で被災して、大変な目に遭った子だからこそ、今度こそ幸せになってほしい」と思っておりますので、新しい飼い主さんはやはり幸せにしてくれる飼い主を選びます。物ではございませんので、「どんな子でもいい」とおっしゃる方にはお送りすることはやはりできません。そういう方々には、「お近くのお住まいのところでも、手を差し伸べるのを待っている動物たちがたくさんいます。ぜひそこから救ってください。その動物たちを迎え入れてください」というふうにお願いしておりますので、ご自分のお住まいのところの事情はよく頭に入れていただくということは、ありがたいことだと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。

【打越委員】 確認です。被災地のペットたちの問題に関しては、今、慌てるよりも、一般国民は長期的な関心を持つ。逆に自分の身の回りやその市町村エリアでの現実に今発生している事件に関しては、長期的というよりもむしろしっかりと今の現実を見る、というスタンスでいるのがいいということでしょうか。

【山口委員】 はい。

【林委員長】 そういうことですね。両方とも重要です。どうぞ、太田委員。

【太田委員】 今回の大災害の混乱した中で、3日目に救援本部が立ち上がり、現在、大きな活躍をされていることに対して、私たち業界としても感謝申し上げます。
 この資料によりますと、救援本部に現在3億5000万円ほどの義援金が集まっているそうですが、大口の寄附に対して寄附控除の対象団体ではないために、税金の控除が受けられません。今回、あるペットフード会社が2100万円ほどの寄附をしました。これは、残念ながら日本赤十字の方に回ってしまいました。私たちの会員の中でも、大手のペットショップで200万円、300万円ほどの義援金を集めている会社もあります。今回はもちろんこの救援本部に寄附しますけれども、次回、寄附控除の団体としていただくと、もっとたくさんの寄附が集まるのではないかなと考えています。ご検討をお願いいたします。

【林委員長】 ありがとうございました。これは、ぜひとも検討していただきたいことですが、どんどん意見・ご質問をいただきたいと思います。加隈委員、そして永村委員。

【加隈委員】 今回の震災の被害に関するペットの報道を観て、少し時期がたってから始まったなという印象がありました。もちろん、人的なものが優先されるのは人間社会ではしょうがないという部分がありますし、特に、原発の地域の問題というのは、かなり人的な管理の問題が大きく関わってくると思っております。ペットの次に多く報道されたのは産業動物で、牛や豚の給餌、給水がストップしてしまったということでした。もちろん震災の地域でも多くの飼料輸送の問題、停電の問題で、既に被害が出ているということは聞いておりましたけれども、さらにいうと、避難のときに畜産動物が多数その場所に残っていて、その動物たちが、言葉は悪いですけれども見殺しになるという状況になりました。多くの動物たちが苦しんで死んでいったということがかなり報道にも出て、いろいろなところで情報も流れたりしているのを見ますと、日本の国というのは、このように動物を扱ってしまう国なのかというふうに、対外的にも見られてしまうのだろうなと思います。
 もちろん、今回の震災は類を見ない甚大な被害をもたらしたものであるわけですが、その中でやはり動物愛護管理法だけではもちろんカバーし切れないいろいろな問題があって、農林水産省の方の主に担当になっているかとは思います。でもやはり動物愛護管理法の中に、愛護動物としてこれらの家畜動物がすべて入っていて、給餌、給水をやめるということは虐待になり得ると言っているので、彼ら動物たちが苦しんでいて、このままで置いておいていいのかと、多くの国民が心を痛めました。法改正に際しては、産業動物の飼養管理基準が昭和からずっと手つかずで置いておかれていること関しても、特に農林水産省の所管の部分と併せてでもいいと思いますが、動物たちの苦痛について考えないといけない。
 もちろん私はすべて避難させられることができるとは思っておりませんが、普段からの飼養管理プラス、苦しみの末にということは一番よくない。これは、動物福祉の考え方になりますけれども、この苦痛を少しでも短くできなかったかなということに関して、今後、何らかの形で具体的に検討を進めていければと思っております。これは意見ですが。

【林委員長】 はい、永村委員。

【永村委員】 私も震災直後に立ち上がった緊急災害時動物救援本部の活動には大変、心から敬意を表するものであります。また、最終的に何名かの委員がおっしゃっておりましたけれども、末端まで、例えばペットフードが必要とされているところまでなかなか回っていかなかった。これはひとえに、道路とかガソリンとか、物理的な事情があるのだと思います。
 ただ、今ほど議論がございました一時預かりの問題とか、飼い主に戻るまでどういうふうに飼育をしていくかとか、こういった諸々の問題につきましては、おっしゃるとおり確かに法律の中に組み入れていくということ。これもそういった活動を行うための根拠として大事だとは思うのですが、極めて緊急を要し、またかなり超法規的なことが必要な事態においては、まず国と県との連携、もっと強くいうと、相当国が優位に立った立場で、県なり自治体に指令、命令ができるような法体系になっていたい。例えば国がイコールの関係で県にご相談を持ちかけるような形でやっていると、時間がかかるばかりで、この間の宮崎の口蹄疫のときも、言葉は悪いのですけれど、一方的に国が的確な指示を出していれば、30万頭近い家畜を殺す必要がなかった場面がたくさんあったという気がするわけです。環境省へもお願いをしたいのは、そこまでの法体系を動物愛護の中に組み込むというのは難しいと思いますが、何らかの法律的な裏づけをつくると同時に、やはり環境省、国からの指示が各自治体隅々まで行き渡るような、例えば、予算の裏づけなどのシステムづくりがないといけない。法律と動物愛護団体のボランティア活動に依存する今の形態では、次の震災が起きてもまた同じことを繰り返すという気がいたします。

【林委員長】 ありがとうございました。山崎委員、どうぞ。

【山崎委員】 今後の取扱業等に関して、法律でどう扱うかという中に緊急時の対策というのをどう組み入れていくかということは、すごく大事なことになると思います。
 逆に言えば、ショップさんや、訓練所さんなど、宮城でも大きな訓練所でたくさん預かっているところがあります。むしろ今回、全く紙面に出てこなかった施設もある。動物園施設とか、学校動物、恐らく学校動物は全滅していると思いますが、その子たちに関して、全滅でなければどういう情報が出ているのか、どこを探しても出てこないのです。
 アクアマリンふくしまは、20万匹魚が全滅いたしました。もちろん千年に一度の災害と言われていますけれど、実際にたくさんの動物を飼育をする場面においては、取り扱う責任者の一つの法律的な義務として、万が一の場合は安楽死も含めて何をしなければいけないか。たしかWSPAは家畜などの動物に関して、緊急に避難させられない場合には、安楽死のようなルールが決められているような気がしますので、それを含めて緊急時対策を飼養者管理義務の中に入れていくというのは、一つの考え方ではないかなと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。そういうお話が出ましたので一言申し上げたいのですが、私は動物愛護部会長の立場として、この小委員会で今度の法律改正のことを検討しております。今回の震災の中で検討に生かせるものはぜひ生かしたいということですが、私たちが対象とする動物というのはペット、展示動物、実験動物、産業動物など、人の所有する動物の中では虫類以上というのが対象になります。
 今回の震災でどの動物に対して最も対応が早く、初期の動きがどのくらい的確だったかということで言いますと、日本動物園水族館協会が一番早く動きました。3月18日に彼らが全体に送った文章を見ますと、3月17日までの1週間の間で、例えば先ほどおっしゃったアクアマリンふくしまの中で生存している動物のことがあります。残念ながら魚はろ過式で、一旦止まってしまうと直ちに死んでしまうのですが、低温にも耐え、古代魚は生き残ったのです。セイウチとかアザラシ、それからウミドリなどについても生存していましたので、それを大変な道路の中でも救出して、鴨川シーワールド、あるいは葛西動物・水族館、上野・多摩動物園等に移しています。こうしたことを見ても、今回一番幸せだったのは展示動物だったのだろうと思います。
 次に動いたのがペットへの対応ですが、緊急災害時動物救援本部は今回立ち上がったというものではなく、もともとあるものです。1996年に、私も「ヒトと動物の関係学会」の会長としてこの立ち上がりに関係しましたが、阪神淡路大震災の教訓を生かしています。
 ただ残念ながら、幾つかの地震のときには有効に働きましたけど、今回の動きの中では、この緊急災害時動物救援本部は残念ながら仕組みとして有効に働かなかったと考えています。
 なぜ働かなかったのかと言いますと、広域であるということと、東北3県が全体的に見ると、動物愛護についてまだまだ意識が低い地域だということが大いに関係しています。
 一つの例を挙げます。間違っていないと思うのですが、阪神淡路大震災のときに、救援のためのボランティア、あるいは後の里親で、この三つの東北の県は全く手を挙げなかったところです。後からよく調べますが、私の知る限りそうだと思います。三つの県はそういう意味では、かなり動物愛護という点では遅れている地域に当たると思います。
 特に福島では、ボランティアに対する受け入れが遅れたということがあります。打越委員に日本動物愛護協会の終身会員になっていただいたとのことで大変ありがたいですが、こういう広域の中で、緊急災害時動物救援本部が有効に働かなかった理由の一つは、日本の愛護団体が1995年、1996年当時から現在まで、あまり大きくなっていないんです。
 その証拠に、今回緊急災害時動物救援本部の中核にいる人たちは、あの16年前の人たちとほぼ同じで、ただ単に16年間年をとっただけで元気がなくなっているだけで、それは悲惨です。一番先に私のところに情報をくださったのは、ペットフード会社とか、家畜の飼料会社、ペット用品などの業界です。顧客がずっといますから、動物がどこでどういうふうに飼われていて、どういう状況になっているかという情報を持っているのです。
 もう一ついうならば、緊急災害時動物救援本部は4団体が中心になっていますが、4団体の中で三つの県の中にきちんとした支部を持っていたのは、日本獣医師会だけです。ほかの愛護団体は、日本獣医師会に比べたらですけども、根っこがなかった。だから情報が入ってこない。こういう状況の中で、少なくとも日本動物園水族館協会が1週間の間にやったことが、ペットに関してできなかったということです。
 その後は、環境省からも4月1日には人を派遣していただき、緊急災害時動物救援本部の方も随分頑張っておられますが、情報のとり方をみても、最初から世間では一般になっているフェイスブックを有効にすぐさま使うなどの工夫が足りないし、私の知る限り、最初の1週間、2週間というところは、ホームページもなかなか更新されないという状況でした。大体、情報をどうやってとっているのかなと思うくらいでした。情報はとりに行かないととれないわけですし、もう既にインターネットでいろいろな情報をとれる状況にもなっていますから、それが有効に働かなかったということもあります。
 緊急災害時動物救援本部はこれから長丁場になりますので、仕組みを変えて、4団体中心というのではなくて、もっといろいろなところを入れてもいい。どうして4団体になったかというと、一番大きな組織である日本獣医師会を中心にしなかったからです。といいますのは、日本獣医師会は職能団体、医師の技量で、獣医師を守るといいますか獣医師をサポートするという使命が基本的にありますから、中心になるのはそぐわない。当時、財団法人は唯一日本動物愛護協会しかなくて、あとは社団だったですから、日本動物愛護協会に中心になってもらおうといういきさつで、財団法人や社団法人である団体で、4団体を中心に置いたのですが、このような広域で、しかも阪神淡路のようなある程度先進的なところでないところで起きた災害がこれからも起きることは十分に考えられるわけです。ですので、社団法人、財団法人、公益法人でなくても、法律で登録制がいかなくても緊急災害時動物救援本部として認めていく。認めた加盟団体以外が現地の救援に行くと、直ちに警報を発すというふうにしたらいいと思います。
 福島県が民間の協力を求めない理由の一つは、愛護団体と称して犬猫を盗んでいった者がいる、特に立派な犬を盗んだという話です。本当かどうかというのは後からきちんと調べなければいけないのですが、そういう不信感を持たせないためにも、緊急災害時動物救援本部がしっかりした形をとらないといけない。ペットフード会社やペット用品等の会社も、阪神淡路大震災の16年前に、企業の社会貢献だということをあまりいわれなかったのです。今はもうCSRというのはどこの企業でもやっていることですので、民間企業でもどんどん動物救援本部、つまり環境省を中心として、環境省兼市町村を中心としたそういう公的な機関と同時に、民間機関が二人三脚でやらなければいけないと思います。
 その体制を今年の秋に向ける。これは長丁場になりますから9月に向けて、大きく緊急災害時動物救援本部を変えていくべきだと私は思っていまして、近々申し入れようと思っています。
 ただこの間、本当に大変な中で、緊急災害時動物救援本部に携わっておられる方々、それから環境省の方々がご尽力された。また、地方自治体の方々も頑張ってこられたということについては、動物愛護部会長として心よりお礼申し上げたいというふうに思います。

【太田委員】 ただ今、委員長より民間団体の協力が必要だというお話がありました。今回非常に暗いニュースが多い中で、ペットに関して一つ明るいニュースがあったのでご披露させていただきます。
 皆さん、ご存じかと思いますが、津波によりましてイルカが約2キロほど離れた田んぼに残されたそうです。宮城県の行政が混乱して対応できなかった中で、私どもの会の役員が海に放したそうです。日本では話題にならなかったのですが、10日ほどしてイギリスで大きな話題になり、イルカを食べる日本がイルカを保護して海へ放したということで海外のマスコミの大きな話題になったそうで日本に入ってきました。そのニュースを、日本のマスコミが大いに取り上げたそうです。
 たまたまその本人は当時80頭ほどの犬を預かっていたそうです。そのニュースにより、また犬がたくさん集まってしまい、200頭ほどの犬を現在預かっているそうです。ただこれは個人がやっているために、いい面と悪い面がある。ある面では勝手にやっているとか先走っているというような批判もあるんですけども、本人は一生懸命やっています。
 その中で、私たちの会としても何か協力できないかということを聞いた結果、お金とフードと施設はあるという。そこはドックランをやっていたので、ドックランをつぶしてプレハブを4棟ほど建てて預かっているそうです。ただ、成犬を預かるために「プロの手」が必要だという話がありました。
 当会としても人手を今回派遣しておりますが、民間でも一生懸命やってくれている人もおります。特に今回、法改正で、動物取扱業は非常にけしからんという意見もたくさんありますが、ほとんどの人はまじめにやっておりますし、私たち取扱業は施設を持っておりますから、これを機に施設を有効に使っていただきたい。次回はまたその辺も検討していただけきたいと思います。

【林委員長】 では、順番に浦野委員、そして打越委員、そして青木委員。

【浦野委員】 今回の東日本大震災では、おそらく先ほどの山口委員の発言から始まって、それぞれの領域ごとにかなりアクティブに動いたのではないかと思います。我々、実験動物領域も当然のことながら、3月11日以降かなりアクティブに動いています。
 私は今、国動協(国立大学法人動物実験施設協議会)の会長をやっているので、国立大学を束ねる立場と、別の組織体では公私立大学を束ねる立場から、それぞれの組織体の中での被害状況をいち早くチェックして、同時に時間をかけて、我が国はどういう方向で実験動物領域を持っていたらよかろうかという近未来的なことも含めて、検討を重ねている最中であります。
 幸いなことに、実験動物領域では、今回の災害に対してはそれほど大きな被害は受けなかったということが段々分かってきましたが、もし実験動物領域で大きな被害が起きた場合は、ご存じのように実験動物は人間がつくり出した動物で、あるいは一部遺伝子を組み換えてしまっているという動物なので、それが野に放たれたら大問題になるわけです。そういうことがあってはならない。
 もう一つ、人間の健康が実験動物からたくさんの情報を得ていますが、そういう情報を得られる状況をずっと維持し続ける必要がある。そういう意味では、ライフラインというのは非常に重要なポイントになるのですが、その辺も含めてどうなっているか、どう対応したらいいかというのは逐次考えなくてはならない問題です。申し上げたいのは、それぞれごとに、対応策を先も含めて練っているという状況かと思います。
 ちょっと話を戻しますが、この委員会で、今回の東日本大震災を法律の中で見直すべきかどうかというのは大いに考えなくてはいけないと思います。これは法律なので、我が国の動物のすべてにかかっていくルールなわけです。したがって、適切な法律をこれから当然のことながら考えていかなくてはならない。
 その中に東日本大震災の教訓を当然のことながら入れていかないといけないと思いますが、きちんと入れていくためには、現状をしっかりと把握し、分析することが非常に大切だと思います。しかも狭い領域で分析するのではなくて、非常に広い視野に立って分析する。かつこれは人間との関わりを大きく持った法律なので、人間との関わりの中でどういうふうに位置づけていったらよかろうかと、総合的な判断をして法改正していくべきだと思います。
 そういう意味では、今日の最初のこれからのスケジュールを見せてもらった場合、とてもこのスケジュールでは、今回の東日本大震災の大きな貴重な教訓を入れ込むだけの余力はないと思います。中途半端な形になってしまう危険性を帯びる。ゆえに、今度、委員会で東日本大震災をきちんとやっていくためには、もう一度、根本的に委員会のスケジュールから始め、この委員会のメンバー構成でいいのかということも含めて、改めて考える必要があろうかと思います。しっかり、どっしりと腰を据えて議論すべき案件だと思います。

【林委員長】 ありがとうございます。打越委員、どうぞ。

【打越委員】 また少し話は違うのですが、ずっと救援本部の話が続いていましたので、環境省のむしろ事務局の方にお話を伺いたいというふうに思います。
 この間、動物愛護管理室がさまざまな軋轢の中で、何とかして被災した動物たちを仮設住宅へ入れさせてあげたいとか、福島原発の警戒区域に置き去りにされたペットを救い出したいとか、おそらく委員に勝るとも劣らぬ情熱で頑張っていらしたと思います。
 そのことに関連して伺いたいのは、先ほどの参考資料の2の対策本部の概略図全体のところです。以下、せっかくなので我々も知りたいと思うので、話せる範囲で教えていただければと思います。
 先ほど原子力被災者生活支援チームなどのところで、ペット置き去り問題に関わってくるところとおっしゃっていたと思うのですが、全体の組織の中でどんなふうに動かれて、どこが動きにくくて、どうやって突破していったか、政策的な立案の流れというのでしょうか、そのあたりは多分、政治的なところでここがうるさくてなかなか詰まったとかというと、ほかの省庁の大臣の批判になってしまうかもしれないので、話しにくいところかもしれないですけれども、差し支えのない範囲で、行政組織内でどんなふうな議論がなされて、どこを突破していったのか、そのプロセスを我々委員は知っておきたいなというふうに思ったのが1点です。
 それから、もう1点。今、浦野委員がおっしゃったとおり、やはりスケジュールにちょっと無理がある。2時間を3時間に延ばしても無理があって、例えばヒアリングの後に、本当にどこかで合宿するような形はどうか。夏休み期間は大学の先生方は時間を空けていますし、本当に時間をとらなければいけないのではないかなというふうに思っています。
 いずれにせよ1点目の方だけ、行政組織内部のプロセスについて伺いたいと思います。

【林委員長】 では、青木委員、どうぞ。

【青木委員】 すみません。授業の関係で12時に退出しなければいけないので、先に発言させていただいてよろしいでしょうか。すみません、打越さん。
 冒頭に打越委員がおっしゃった問題、それから永村委員がご発言になったことは曖昧なところがあると思うので、少し確認をさせていただきたいと思います。
 パブリックコメントの件です。皆さんのお手元の第1回小委員会の資料がありますが、資料の7を見てください。第1回小委員会の資料の7の2ページ、3ページに、当初示されたスケジュールがございます。座長や事務局の方も含めて、ちょっとご確認いただきたい。当初のスケジュール(案)のプロセスを確認しますと、2ページの左上に2月中に中間取りまとめ報告というのがございます。これは中央環境審議会動物愛護部会に小委員会が中間取りまとめを報告するという当初の予定だったのです。そして、右下の方を見ますと、3月から、つまり小委員会が愛護部会に報告をした後、その中間取りまとめをパブリックコメントに付して法制局と検討することになっています。
 それから、前倒しされなかった部分はどうなっているかというと、3ページをご覧いただけるとわかるように、小委員会が小委員会報告書というのを案の段階で小委員会内部だけで議論をして、小委員会が報告書を作成して、それを愛護部会に報告をして、しかる後にパブリックコメントにかけると、こういうふうになっています。
 これは手続として大変適正だと思います。つまり、法律の附則第9条で法律の見直しの責任を負っているのは政府であり、私どもは環境大臣に向かって意見を述べることができる立場です。我々の意見を受けて、政府あるいは環境省がどのような法改正をするかということを自ら考え、それに対してパブリックコメントを納税者や国民が述べるとこういう手続だと思います。ただ、今日配られた新しいスケジュール(案)、資料の2の裏を見ると、10月に小委員会(案)を議論する。そして、10月に小委員会(案)をパブリックコメントに1カ月かけるとなっている。つまり、これを文字どおり読みますと、小委員会が部会に報告する以前の小委員会の案の段階で既にパブリックコメントにかけるということになる。特に最初の適正化の問題ですね。さらに残りの部分も案を議論して、ようやく最後に部会に案について審議を求めると。つまり小委員会が、我々がパブリックコメントを求めると、こういうふうに読めるわけですが、これはちょっとおかしいのではないかというふうに私は思います。
 むしろ、動物の取扱業の適正化については、小委員会の報告書を早くつくる。そして、それを動物愛護部会で報告をして承認する。しかる後に環境省が主体になって、パブリックコメントにかける。こういう手続であるべきではないかと思います。そして、残りの部分はもう1回遅れて小委員会が案を作成して、それを報告書として部会にかけて、部会へ報告されて承認された後に、環境省がそれに基づいてパブリックコメントをかけると、こういうことではないでしょうか。
 それとも、こういうような小委員会段階でパブリックコメントを求めて、小委員会の案に反映するということが、中央官庁の審議会の実務上はよく行われていることなのか。これは、私がもしかしたら知らないだけかもしれないので、その辺を含めて確認をさせてください。以上です。

【林委員長】 これについてお答えいただけますか。最後の小委員会の件です。

【渡邉自然環境局長】 小委員会と部会とパブコメの順番についてはいろいろなやり方があります。審議会に諮問をして答申をいただくときに、部会から小委員会に審議を依頼しておりますので、小委員会の方でまとめていく。部会を開かないという形も中にはあります。少なくとも小委員会で案を取りまとめていく。それは小委員会に依頼をされたことなので、小委員会としての案を取りまとめて、ここの考え方はその取りまとめたものについて広く意見を求めて、その意見を受けてもう1回小委員会でも議論をした上で、最終的に部会で答申案についてご議論もいただいてまとめていこうという、こういうスタイルも環境省の審議会で諮問して答申をいただくケースとしてたくさんある進め方になっています。
 どのような順番でいくのが一番いいのかというのは、その案件ごとに考えて決めていくことがいいので、私たちの案はこんな形でいったらどうかということなのですが、ここについては今日いろいろいただいた意見もあり、時間をもっとたくさんとった方がいいという話もありましたし、12月までの一番いい進め方というのは、私たちの方でも精査してみたいと思いますが、こういうやり方もあるということでご理解いただきたいと思います。

【青木委員】 そういうやり方があるということは、単に私が知らなかっただけということだと思いますが、先ほど来、どちらが主体なのか、もう少し職責の所在をはっきりさせたらどうかというのが打越さんの冒頭の問題提起だったと思います。それぞれお考えのある方は、やはり自分の責任の所在をはっきりさせて、自分の意見が違う場合は違うと書いてあった方がいいと、野上先生のおっしゃったことはそういうことではないかと思います。そういうふうにきっぱり分けて主体は誰なのかというものであればいいですが、小委員会と事務局は一体なのか一体ではないのかはっきりしない形で曖昧にいくのは、不満が残る形になり得ると思うので、私が冒頭の最初に示された案の方が、手続上はすっきりしていていいというふうに思いますのでお考えください。以上です。

【林委員長】 パブリックコメントを誰がやるのかという問題だけですね。おそらくパブリックコメントは、実際の雑務的なことは環境省にやっていただくわけですが、基本的には小委員会がパブリックコメントを求めているという形なのではないかと、私は理解しています。後の部会との関係もそうですが、部会は、この小委員会にほぼこのことについては全権委任しています。ここの小委員会で決めたことは、もう部会の意見になる。最初からそういうつくり方をしてありますので、一心同体なのです。
 ただ、そうはいっても、部会の方の委員の方でここにおられない方がおりますから、その方にきちんとご説明をしなければいけないという意味で、部会に1回上げますけれど、この小委員会がパブリックコメントを求めるというスタンスだろうと思います。あくまでも、この小委員会イコール部会であり、部会の意見として審議会の方に上げていきますけれども、実質ここがやっているということです。

【青木委員】 一言だけ追加なのですが、今回は基準の改正という、具体的なものとちょっと違う、全体として将来どうあるべきかという大きなビジョンを求められています。ここがうまく行っていないとか、割と多様なものの意見を述べるわけです。我々は選挙で選ばれているわけでも何でもありませんから、民主的正統性がない専門家という位置づけを自覚すべきだというふうに私は思っておりまして、やはりそれは部会から通じて指示が出たものだとしても、基本的には環境省の方がもう少し前面に出てパブリックコメントを出した方が筋としてはいいのではないかと思います。我々は専門家としてはこう考えましたと報告をした後は、むしろ政治の世界の責任になるのではないかという気がします。

【林委員長】 ただ、最終的にこれを立法化するときは、国会で審議してやるわけです。これは環境省の中の審議会が部会に命じて設置した小委員会の中で取りまとめたものですから、これのまま決まっていくということはまずあり得ないわけです。

【打越委員】 私も見落としていて、青木委員のおかげで気がついたのですけど、やはりパブリックコメントは小委員会が求めるものではないと思います。私たちは審議会の委員であって、どんなに議論をしても最終的に採用されないことはあり得る話で、採用するかしないかは結局、政府、民主的な手続で選ばれた組織が責任を持つもので、環境省の事務局が環境省案という形でパブリックコメントを出すのがいい。そもそもパブリックコメントという仕組みができたものというのは、公的な権力を持っている組織が、勝手に政策を決めていく、法律を決めていくということはなくて、そこに国民の声を反映しましょうという仕組みなわけです。今回この小委員会は専門家集団の、専門家としての答申を出すというのが仕事であって、その専門家としての答申に、国民の世論を背負った人が意見をいうのはいいのですが、小委員会がパブリックコメントを求めて、国民の意見を反映させてではなくて小委員会の意見を受けて環境省が原案をつくって、そこにパブリックコメントを求めるというのが、本来のパブリックコメントのあり方だと思いますので、むしろ座長の考えと私は違う意見であります。

【林委員長】 環境省が環境省の原案を持つために、この小委員会が僕はあるのではないと思っていますが。はい、どうぞ。

【渡邉自然環境局長】 失礼します。これはほかの審議会の答申をいただくときも一緒ですが、審議会の答申をまとめるに当たってのパブコメなので、例えば、国立公園を指定するという新たな規制を伴う決定をするときは環境省がパブコメをしますけれど、審議会の答申をまとめるに当たっての意見なので審議会が広く意見を求める。事務的にはその審議会の事務局である環境省の方がその作業を行うというのが、審議会の答申のときのパブコメのいただき方ということであります。

【林委員長】 よろしいですか。はい、どうぞ。

【打越委員】 そういうことであれば、仕方ないとは思うんですけれども、小委員会の報告書をパブリックコメントしなければいけないのかと思ったときに、必ずしも必要なのか。かなり負担と時間のかかるものですので、小委員会の案はもう十分に表に出していて、どの委員が何を発言しているというようなことも表に出ていくところなので、本当は小委員会のパブリックコメントよりも、環境省の方で出す原案に国民から直接審判が下るという方がいいのではないかと思っています。とはいえ、小委員会の答申をパブリックコメントに課すということであれば、それは小委員会が出すという形になると思います。

【林委員長】 どうぞ、青木委員。

【青木委員】 今の局長のご説明ですが、つまり当初の案はそういう形ではなかったのを今回、変えられたという理解でいいわけですか。当初の案は部会に報告した後にパブリックコメント。報告してしまえばこちらとしては報告書を書いて出してしまったわけだから、パブリックコメントを受けてもどうすることもできなくて、それは環境省が自らの政策形成のためにやるとしか理解できないのですが、当初の案と今回の案は変わっているのでしょうか、同じなのでしょうか。

【林委員長】 私の理解では、小委員会がやるか部会がやるか、いずれにしても環境省ではないという理解です。前の案も部会にあがっていますが、部会はあくまで審議会の中の一つですから、そこがやっているわけです。スタンスは違わないという私の理解ですが、いかがでしょう。

【渡邉自然環境局長】 林委員長のおっしゃるとおりの考え方であります。

【林委員長】 どうぞ。

【永村委員】 私は最初におっしゃった打越委員の意見に賛成です。例えば、この小委員会の責任で、両論併記も含めてパブリックコメントに出すということになれば、全員がどういう責任を負うのか私もちょっとわかりませんけれども、少なくとも小委員会では専門家としてのいろんな委員の意見をここで披露していただいて、それぞれの項目について両論併記のあるパブリックコメントは、環境省のご判断で構わないと思います。こういった専門家の意見があるので、我々としても甲乙つけがたい、パブリックの意見を聞きたいと、こういう意味のパブリックコメントを求めるのはいいと思いますが、小委員会としてパブコメをやるというのは、やはりおかしいのではないかなという気が私はします。

【林委員長】 どこがおかしいんですか。それがよくわからないのですが。

【永村委員】 基本的にこの上の動物愛護部会というのは、環境大臣から諮問を受けているわけでしょう。大臣がおまえたちの意見を聞きたいという意味で部会に諮問されているわけで、部会はそれに対してかくかくしかじかこう思いますという答申を出されるわけです。そのもとになる専門的な議論をここでやりなさいと、こういうわけでありますから、少なくともここで出た意見というのは、最終的な愛護部会に行って、愛護部会から大臣にこうではございませんか、こうだと思いますと、こういう答申が上がるわけです。それをベースに環境大臣が、では部会なり小委員会の意見はこうだけれども世間一般の国民はどう考えているのかというのを、さらに聞きたいのがパブリックコメントだと思います。

【林委員長】 そういうパブコメもあると思います。今、ここで提案されているのはそうではないパブコメで、極端に言ったら、ここから上がっている答申を皆さんどう思いますかということをやるかやらないかは、私たちの知ったことではなく、環境省が決められることだろうというふうに思っています。そういうパブコメをやるとすればです。

【加隈委員】 すみません、専門ではないのですが、一応、第1回のときの委員会の資料の方で、動物愛護部会の決定として、22年7月の部会で最後に小委員会の決議は部会長の同意を得て、動物愛護部会の決議とすることができると明言されています。そこの意味では部会長のご判断によって、ここで出たものをそのままイコールとして愛護部会のものに使えるということかと思ったので、それはそれでいいのかなと思っているんですけども、パブリックコメントが小委員会に対してやられるのであれば、それをその後もう一度11月中に議論というところがあるので、これに間に合って何かが出てくるのかちょっとわかりません。それも含めて委員会で考えるということなのかどうか、それもあるのかなというくらいに思っているのですが。

【林委員長】 そうですね。はい、どうぞ。

【太田委員】 先ほどこの件について最初に永村委員の方から質問があり、そのときに環境省の方では7月にパブコメを行うという話でした。私は、その7月にやるのが「動物取扱業の適正化」に係る規制強化の前倒しのパブコメと判断しました。最初の予定通り、2回目のパブコメを10月に行うと判断したわけですが、7月にパブコメを行うとさっきお話があったと思います。その辺はいかがですか。

【渡邉自然環境局長】 7月までに「動物取扱業の適正化」についての議論、総括というのが2回ありますので、ここ1年近くにわたって議論してきていただいた一つの塊について、一度幅広く国民の皆さんからも意見をいただいて、それを最終的に小委員会のまとめに反映させていければと思います。
 したがって、7月で小委員会の動物取扱業に関する議論はもうおしまいということではなくて、そこまでの成果を総括して、広く国民からも意見をいただいて、最終的なまとめに生かしていければというのが7月の時点でのパブリックの意見の求める趣旨です。
 秋以降、最終的なまとめに当たって、小委員会として今度は残りの課題も含めて全体の議題について小委員会としての報告をまとめていくわけですが、取扱業のところも含めて全体として小委員会でご議論いただいたことについて幅広く意見を聞いて、それも生かして小委員会としての最終的な整理をしていくという形で考えたいということで、こういうスケジュールにさせていただいています。
 小委員会と部会をどう使っていくかというのは、これが唯一のやり方ではないとは思いますが、いずれにしても審議会の答申をまとめていく上で、審議会として幅広くたくさんの人の意見を聞いて、それも最終的なまとめに生かすというような趣旨であります。小委員会と部会の位置づけの仕方はいろいろなパターンがあると思いますが、ここは小委員長であり、部会長である林委員長とも相談しながら、この辺の手順については、最終的にこちらの方でも精査してみたいというふうに思います。よろしくお願いします。

【林委員長】 時間が大分過ぎました。野上委員、どうぞ。短くお願いします。

【野上委員】 このパブコメを2回やることに、私は賛成です。というのは、この動物愛護法の問題は非常に幅広く多くの人々が関心を持っており、そういう世論に押されてこの法改正も行われているという現実があります。やはり政策立案や決定の過程に、一般の市民、あるいは動物に関心のある方々が参加するという機会はなかなかないわけですから、こういうパブリックコメントの制度を広く活用することが、民主主義的な手続の土台の一つであると思いますので、やっていただきたいと思います。
 それから、最後に一つ。緊急時には非常に正しい情報発信ということが求められます。誤った情報発信をしますと、やはり誤った結果になってしまいますので、できるだけ正しい情報を収集する仕組みをつくる必要があると思います。そのためには、日ごろから情報を集める努力が必要です。今回、畜産動物については、一体どこでどういう畜産動物が飼われているのか、ほとんど把握されていなくて、それが非常に問題になりました。
 例えば、畜産動物も多頭飼育ですが、届け出制というものはなく、農業共済が把握しているという状態ですけれども、この農共も被災しまして、全職員が避難していたりして、なかなか実態把握ができないという問題がありました。ですので、畜産動物についても、公的に把握できる仕組みが必要だなと痛感しました。
 さらに、実験動物と学校飼育動物についても同じように、やはりどこで、どういう動物が飼われているのかさえわからなければ、情報を収集することもできないわけです。ですから、災害対策は日ごろからの備えがあってこそ十分機能するということを考えますと、今回は、細かいところは議論しなくてもいいですが、大きなところで実態把握ができる仕組み、そして、それを正しく緊急に情報を伝えるべきところに伝えていける仕組みをつくりたい。それだけで、かなりの成果を得られるのではないかというふうに思います。

【林委員長】 ありがとうございました。

【渡邉自然環境局長】 東日本大震災の対応について、いろいろな角度からご意見をいただきましてありがとうございました。制度的な位置づけなりシステムづくりをきちんとしていくことが大事だというようなことも含め、いただいたご意見も受けて、こういった震災時における被災、ペット対応の方策について、私たちの方でも改善、強化をしていけるように取り組んでいきたいと思います。
 委員長から、いろいろな意味で動きがなかったというご指摘もあったわけですが、今回の震災は従前のものと比べると圧倒的にいろいろな意味で違いがあります。広い範囲にわたり、原発の問題があり、津波の被害もあり、比較にならない面もたくさんありました。
 私は宮城にも入りましたが、こういう被災ペットの対策に当たる保健所自体が被災して機能しなくなってしまった。県や市の自治体はそれぞれ制約がある中で、かなり懸命に動いてくれたというのが、私たち環境省として、自治体に対する思いであります。
 緊急災害時動物救援本部も、従来の災害と比べて違う難しさがある中で、いろいろな形で現場に入って動いていただき、改めてお礼を申し上げたいというふうに思います。
 ただご指摘がありましたように、課題もありました。課題が改善できるようなシステムづくりなり、もっとたくさんの人が連携して協力できる体制をどうつくっていくということについても、引き続き皆さんからご意見をいただいて、よりしっかり対応できるような仕組みをつくっていくよう動いていきたいなというふうに思っていますので、どうぞ、そういう面でもよろしくお願いしたいというふうに思います。

【林委員長】 ありがとうございました。それでは、事務局から次回のことをご案内いたしたいと思います。

【事務局】 それでは、次回小委員会のお知らせをいたします。次回の小委員会は6月24日になります。13時から15時までの2時間ですけれど、先ほどのご意見にもございましたとおり、時間等についてはもう少し検討したいと思っております。
 場所は、港区新橋にあります航空会館で今回は実施したいと思いますので、委員の皆様におかれましては、ご都合のほどよろしくお願いいたしたいと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。それでは、これで本日の小委員会を終了したいと思います。事務局の方にお返しをいたします。

【事務局】 林委員長、ご進行どうもありがとうございました。各委員の皆様におかれましても、ご貴重な意見をいただきまして、本当にありがとうございました。
 また、傍聴席の皆様、今日はかなりきつい席でご窮屈だったと思いますけども、ご進行に当たりまして、ご協力いただきましてどうもありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、第14回のあり方小委員会を閉会させていただきます。
 皆様、どうもありがとうございました。