中央環境審議会動物愛護部会動物愛護管理のあり方検討小委員会(第2回)議事録

1.日時

平成22年9月15日(水)午後4時00分~午後6時30分

2.場所

環境省第一会議室
(千代田区霞ヶ関1-2-2 中央合同庁舎5号館22階)

3.出席者

林委員長、井本委員、臼井委員、斉藤委員、打越委員、浦野委員、太田委員、小方委員、加隈委員、渋谷委員、永村委員、野上委員、水越委員、山口委員、渡辺委員、鈴木自然環境局長、渡邉審議官、田中総務課長、西山動物愛護管理室長ほか

4.議題

(1)
関係者ヒアリング(動物愛護団体)
(2)
その他

5.配付資料

資料1
ヒアリング調査の実施について
資料2
動物との共生を考える連絡会代表 青木貢一 説明資料
(別紙)「ストップ!ペットのネット販売移動販売」
資料3
動物愛護管理法を見直す会代表 藤村晃子 説明資料
資料4
公益財団法人どうぶつ基金理事長 佐上邦久 説明資料
資料5
NPO法人しっぽのなかま代表理事 佐藤陽子 説明資料

6.議事

【事務局】 定刻となりましたので、ただいまから、第2回動物愛護管理のあり方検討小委員会を始めたいと思います。
 本日は、青木委員、山崎委員がご欠席でございます。あと、磯部委員が急用のためご欠席でして、18名中15名の方がご出席でございます。規定によりまして、小委員会は成立しております。
 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。議事次第、委員名簿、資料1から資料5まででございます。
 なお、本日ヒアリングをしていただきます佐藤陽子様より、先ほど、右肩上にshippo No.1と書かれた資料がございます。これは大変恐縮なのですが、傍聴の皆様方には、準備が整わなかったので、配付はございません。あしからずご了承願います。
 今までの資料の中で、何か不備がございましたら、お申し付けください。
 それでは、林委員長、よろしくお願いいたします。

【林委員長】 承知しました。18中15名の委員に参加していただいて、大変ありがたいことだと思います。
 それでは議事に先立ち、鈴木局長からごあいさつをお願いします。

【鈴木自然環境局長】 今日はお忙しいところ、お集まりいただきまして、本当にありがとうございます。折りしも9月20日から動物愛護週間が始まっていまして、先般、12日には中央行事のシンポジウムも開かれまして、委員の皆様も何人かの方にはご参加いただきまして、本当にありがとうございます。この後、18日には屋外の行事もございます。また、地方でも250以上の行事が行われるというふうに聞いております。
 そういう中で、やはり動物愛護をどういうふうに進めていったらいいかということについては、多くの方に非常に強い関心を持っていただいているというふうに思っております。今日、明日、動物愛護団体の皆様と、それからペット業界の皆様にお越しをいただきまして、それぞれご意見を述べていただくということでございます。第1回目でご議論いただきました主要課題のかなりの部分が話題になると思いますので、それぞれ質疑等、活発に行っていただきまして、議論が深まることをお祈り申し上げております。どうぞよろしくお願いいたします。

【林委員長】 今日は、お手元に資料がございますように、4つの団体から30分ずつ、内訳は大体ご説明を10分間、残り20分間で委員の皆様から質問、あるいはご意見をいただくという形で、全体で約2時間で終わるということを予定しておりますので、遅くとも18時5分には終わるということになります。
 それでは、説明される方は、そのことを十分お考えの上、30分の持ち時間ですので、もちろん8分で説明していただいて、22分で質問を受け付けていただいても結構ですので、どのような形で配分されるかは、その団体でお決めいただければというふうに思います。
 まず、最初に動物との共生を考える連絡会代表の青木さんから、ご説明ください。

【青木貢一氏】 青木でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、私どもの連絡会に所属する団体と個人は、ペットショップ等で動物を展示して販売することに、基本的に反対の立場であります。そのことを最初に申し述べておきます。展示販売禁止ができないのであれば、やむを得ないということで話をさせていただきます。
 深夜販売。別紙にある年齢換算表のとおり、生後2カ月の子犬、子猫は、人間の3歳児に相当しています。それ以下であれば、よちよち歩きの赤ちゃんと言えます。そのような幼少ペットの深夜販売は、深夜にペットショップ等から家庭へ移動することによって、生活環境や世話する人の激変など、ストレスをかけ過ぎるだけでなく、睡眠時間の短縮を招くことになります。当然、禁止されるべきであります。
 次に、販売時間。過度に客に触れさせることや、不特定多数の人間から見られ続けることのストレスを減らすため、30分程度の休息時間を数回設定し、休ませる必要があります。さらに、過度な騒音、強烈な照明、点滅を繰り返す明り、不適切な温度管理や換気、不十分な世話などがあれば、さらなるストレスとなるので、改善しなければなりません。それにつれて、販売時間も制限されるべきです。販売時間は、幼齢な子犬・子猫にとって、店頭での販売時間が短ければ短いほどいいに決まっていますので、数時間以内が理想です。
 次に、移動販売です。一時的なイベント会場や路上などでの販売は、狭小ケージ内に長時間閉じ込めていたり、会場によって風雨の影響、寒冷や暑熱の影響、換気不十分の影響、雑踏での騒音の影響など、ペットが過大なストレス下に置かれていることから、動物福祉上の問題があります。さらに販売時に新たな飼い主に必要な説明をしていない。購入後に連絡がとれないなどの対応が不十分であることなどがあり、購入トラブルがたくさんあります。ですから、移動販売は禁止すべきであると思っております。
 それから、次にインターネット販売。インターネットの通信販売では、ペット購入代金を支払ったのに、ペットが届かない。掲示されたペットと違うものが届けられた。購入したペットが病気であったり、障害があった。
 対面販売でないために、直接ペットの状況をチェックできないし、さらに販売時に必要な説明がない。
 購入後、病気等のトラブルが生じても、連絡がEメールのみで、話し合いができない。あるいは、話し合いを受け入れてもらえないなどのために、泣き寝入りを余儀なくされた。
 購入後のトラブルに、たとえ連絡できても、のらりくらりで誠意ある対応をしない。これも泣き寝入りの一つになります。
 購入後、連絡しようとしたが、ウェブサイトが削除されていた。また、その住所や電話番号が存在していなかった。
 ということで、インターネットの通信販売は禁止すべきです。このことは、お手元の別紙資料の中にありますように、一般社団法人全国ペット協会等と協力して、キャンペーンをやっております。
 次に、犬猫幼齢動物の販売日齢。このことについては、ちょっと私の気持ちを含めて話させていただきたいと思います。
 今年の7月16日、ペットショップライフという雑誌の座談会で、この問題についての議論があり、私は、曖昧な発言をしてしまいました。その後、気になるので、私が所有する本を調べましたら、下記のように文献がありました。これは別なところに項目がありますので、後で見てください。
 特に、この夏に入手したロイヤルカナンが発行した獣医師向け雑誌ベテリナリーフォーカス(犬と猫の行動学)と、9月11日に送られてきました「犬を殺すのはだれか ペット流通の闇」のタイトルでAERAの太田さんが書かれた本でございます。この本も、このことについて記述がありますので、読んでいただければと思います。
 獣医学関連の雑誌については、ベテリナリーフォーカスのみしかチェックしておりません。それ以外の雑誌については、残念ながら今回はチェックしておりませんが、多分、いっぱいあるのではないかなと思っております。
 さて、改めて犬の成長について申し述べてから、話させていただきたいと思います。犬の発育段階は、第1期(新生子期)、第2期(移行期、過渡期)、第3期(社会化期、社会適応期)、第4期(若年期、少年期)、そして成年期となっています。新生子期は、生後2週齢までで、移行期は生後2週から3週齢、社会化期は4週齢から12、あるいは14週齢、若年期は性成熟を含み個体差によって6~12カ月齢になっております。それ以降は、成年期となっています。
 この行動学的な視点からチェックさせていただきますと、社会化期に入って、6週齢までに人との接触があることが重要であります。その後、成犬に特有な幾つかの行動が始まってきます。それで、特に6週齢から8週齢は、母犬や兄弟とのじゃれあいから、咬み加減などを学ぶ大切な2週間であり、重要な時期とされています。犬同士の関係や、人やほかの動物との接触を通して、良好な関係がつくられるだけでなく、犬としての自覚や社会性を身につける重要な時期です。そして、8週齢ぐらいから、行動の良し悪しを教えることができ、しつけ教育を開始できるようになります。
 このことからも、あるいは文献上からも8週齢が過ぎてからが良いとされております。文献については、以下のように、私のところにある文献は、これだけのものが見当たりました。
 それから、移行抗体免疫等からの視点ということで、話させていただきます。誕生後、初乳を飲むことによって、母体の持つ免疫抗体が新生児に移行し、感染を抑制して健やかに成長します。これには、母親が適切なワクチン接種を受け、十分免疫を有していることが条件となります。初乳からの防御抗体は、子犬自身の免疫系が作動し始めるにつれて、初乳から抗体が低下していきます。そして、12週齢ぐらいで消失します。生後2カ月前後に最初のワクチン接種をし、そして3カ月齢ぐらいで再接種することが推奨されています。母体からの抗体が残っていればいるほどワクチン接種しても、その効果が削がれてしまうので、さらなる追加接種が必要となります。
 こういうことで、私の病院に来院する子犬のワクチン歴を調べますと、早期に接種されているのが多く、母体からの抗体残存期間と重なるため、追加接種が余計に必要となっております。このことは、ワクチネーションプログラムの混乱を招いていると思っております。
 よって、8週齢時にワクチン接種してから、新しい飼い主の元に行くのが良いとされております。
 これらのことから、ブリーダーは、誕生から8週齢までの間、犬の社会性のみならず、対人関係を良好なものにし、病気もなく、健康にするために、丁寧で頻繁な世話をし、十分なハンドリングをする必要があり、その責任は重いものがあります。
 さらに、全く別な視点から、自治体に引き取られて殺処分される犬の中には、若年齢のものがかなりおり、その理由に犬の行動問題(攻撃性など)で、飼い主が飼育を諦めたと聞いております。この中には、犬が社会性や咬みつき抑制が身についていないためではないかと考えられるものが、相当数いるのではないかと思います。このことについては、太田さんの本にも記述があります。
 このことの事実関係については、今後、環境省と自治体が連携して調査してくださるよう、お願いしたいと思っております。
 猫については、誕生から8週齢までの間、多くの人間の接触が重要視され、社会性などについては犬ほどの記述がないが、概ね犬と同様に8週齢以上になってからが、新しい飼い主の元に行くのが良いとされております。
 これらのことから、幼齢ペットの子犬や子猫を親兄弟から引き離すのは、8週齢以上になってからが良いのです。今年の7月の初めに、IAHAIOの国際大会がスウェーデンのストックホルムで開催されまして、その報告会が明治大学で9月4日にありました。この報告会に参加した1人が、この7月にドクター・イアン・ダンバーのドッグトレーニングキャンプ、この名前が正しいかどうかわかりませんが、そのダンバーのプログラムに参加したときに、そのドクターダンバーが、いまだに日本では8週齢以下の子犬を平気で販売しているのは極めて問題であり、動物福祉の後進性を示しているので、恥ずべきであろうということをおっしゃっていたということを聞きました。
 次に、ペットショップ関係者の多くは、飼い主のニーズとして、幼齢犬を欲しがっているので、これに応えるのが良い、あるいは、45日齢を超えると売れなくなっちゃうというなどの言葉は、残念ながらプロとしては情けないと言わざるを得ません。ペット販売関係者が、談合で口裏を合わせ、大挙して8週齢反対を唱えるのは、動物福祉を無視することになり、慎むべき行為であると思っております。この際、ブリーダーとペットショップ等の健全化に向けて、この8週齢以上をきっちり守っていただきたいものです。
 繁殖制限措置。犬は、超大型犬から超小型犬などの大きさが様々で、また犬種もいろいろあって、それぞれによって検討するべきで、一律にすることはできません。お産の態様は、正常分娩、異常分娩、帝王切開などがあり、分娩が安産なのか、正常だけども時間がかかり過ぎたり、胎児が多過ぎて負担がかかり過ぎるものなどがあります。骨盤(産道)狭窄や過大胎児などで帝王切開するものもあります。過大胎児や逆子の難産、死産や異常出血、そして遺伝性疾患で異常を持つ子などが産まれてくることがあります。
 ということで、初回交配は、身体的な成長を待ってから、2回目の発情以降に行うこと。毎回の発情での交配は、母体保護のため禁止する。最終の交配は、別紙の年齢換算表から判断するのと、それから母体の状態が良好であるならば、正常分娩を繰り返している小型犬では8才齢まで、大型犬は6才齢までとする。この年齢については、異論、反論があるので、さらに考慮が必要であろうと思っております。
 それから、帝王切開は3回までとする。異常分娩や遺伝性疾患を持つものは、避妊手術をして妊娠させないようにする。猫は犬に準じますが、販売目的以外は、不慮の妊娠を避けるために、避妊手術をするべきです。
 繁殖したペットの信頼を高めるためにトレーサビリティ、つまりブリーダーの名前や住所をちゃんと明記すること。それから、血統書の信頼を高めるために、マイクロチップを挿入した上で販売すること。それから、ここに記載はないのですが、繁殖を終えた動物、母犬についてのその後というものが、全く見えませんので、この後についてのご検討を加えていただければなと思っております。
 それから、飼養施設の大きさについてですが、数時間ごとに散歩や運動場に出せるなら、床面積は足を伸ばして横になれ、高さは頭がぶつからない大きさであればよいでしょう。数時間ごとの散歩等ができずに、長時間閉じ込めるのであれば、寝床と遊び場、そして食器と給水器、猫の場合はさらにトイレ容器が置けるスペースがあること(最低でも体長の2倍×5倍以上)、高さは、犬または猫が立てる高さがあることが望まれます。しかし、猫については、1.5メートル以上の高さが必要で、上下に移動できるように段々をつけることが望まれます。
 ということです。以上でございます。どうもありがとうございました。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、早速、ご質問、ご意見を頂きます。どうぞ、永村委員。

【永村委員】 ジャパンケネルクラブの永村でございます。前回は欠席をいたしまして、大変失礼いたしました。
 今、青木さんが雑誌の座談会で何か非常に曖昧な発言をしてしまったというようなことを冒頭におっしゃいましたが、私がたまたま入手した資料のことであるとすれば、例えば青木さんは、8週齢につきまして、「シンボル的な表現であるというのはわかる。動物行動学に関する文献を調べても、8週齢に限定して記述しているものはない。さまざまな文献でも、これらの期間については曖昧であり、幅のある書き方になっている」と、こういうふうにおっしゃっている。この部分が曖昧だったということだったんでしょうか。

【青木貢一氏】 そのとおりです。そこは本当に気になるものですから、改めて文献を整理してみたということなんです。

【永村委員】 わかりました。第2点といたしまして、座談会の司会が、「英国や米国は、ペット先進国とも言われている。その背景には、日本はまだ遅れているという認識があるように感じるがどうか」と聞いています。これに対して、そのとき青木さんは、「私はそういう見方をしたことはないが、確かに飼育方法には差があった。しかし、今では日本の飼養形態が屋外から屋内へと移ってきた。変化しているということは、日本が先進性を持っていることの表れであると思う。獣医学では遅れをとっていたが、近年はレベルが十分近づいた感もある。そういう意味では、日本は勉強熱心だろう」と。ここでは先進性ということをおっしゃっている。今日は、ダンバー博士のおっしゃった後進国と言われないために云々と。どうもそこのおっしゃっていることが、いずれがご本心なのか、ちょっと私も理解できないんですが。揚げ足をとるつもりはありませんけれども。

【青木貢一氏】 後進性については、動物福祉の部分について、こういった事件や何かが起こっているということを含めて、一番本当にポイントになるのは、8週齢以下の幼齢動物を平気で売っていること自体が、その動物福祉の後進性を表しているというふうに理解をしていますので、その部分については後進性があるというふうに申し上げたいと思います。

【永村委員】 8週齢という一つの制限、規制を法律的につくっていない国はたくさんありますね、ヨーロッパに。私、まだつくっている国の方が少ないという理解をしているんですけれども。そういった国は、すべからく後進性であると、こういうふうな判断をしてよろしいんでしょうか。

【青木貢一氏】 法律があるのが、我々としては理想なんですが、じゃあ、そういう国は、8週齢以下がどんどんペットショップとか、販売店を通じて売られているんだろうかという実態は、私は、実はよく知りませんので、ここにいる福祉協会の山口先生とか、ほかの方にその部分についてはお聞きになっていただければと思っています。

【林委員長】 どなたかその辺の事情に詳しい方はいますか。追々これについては、お話していただくことにして、時間が限られていますので、次にご質問のある方はいますか。どうぞ、打越委員。

【打越委員】 青木先生のお話は、いずれも私も賛同するところで、なるほどなと思って伺っていました。どう考えても、例えば移動販売とかインターネット販売というのは、リスクがある。それは別に動物に限らず、例えば掃除機を買うとか、冷蔵庫を買うとなったときに、やはり見てから買う方がいいというのは、消費者の普通の感覚だと思うんですね。であるにも関わらず、どうしてこういうルートで買う人がいるんだろうというのが、すごく不思議に思われて、青木先生がいろいろ見聞きした事例で、ある意味、消費者として不十分な判断をしているのかなと思うのですが、どういう人がこういうルートで買っていってしまうのでしょうか。

【青木貢一氏】 具体的には、一人一人のチェックをしているわけではありませんが、推論しますと、一つの信頼則といいますか、画面を通じて売り出されているわけですから、その画面にある動物が、間違いなく届けてもらえるであろうという、その信頼のもとに取引が起こっていると思うのですね。それが覆っているために、こういう問題が起きていると思っています。
 だから、信頼関係があるかないかの問題だけじゃないかなと思いますが。ただ、常識がないといえば常識がないのかもしれませんけど。

【林委員長】 ほかにどうぞ。はい、臼井委員。

【臼井委員】 すみません、教えていただきたいのですが、今、売られている中で、深夜販売が行われて、実際に販売されている頭数とかの統計があれば、教えていただきたいのですが。

【青木貢一氏】 残念ながら知りません。

【林委員長】 それはまたほかで出てくるかもしれませんので、とりあえず青木さんは知らないということですね。
 それでは、浦野委員、どうぞ。

【浦野委員】 一つ教えてください。青木先生の説明で、大体問題が多いなということは十分にわかったのですが、例えば、深夜販売、販売時間、移動販売、インターネット販売、いずれもこの活字を見る限り、問題が多いなと思います。例えば、全く見方を変えてみると、深夜販売、販売時間、移動販売は、ペットそのものへの愛護の点で問題が多いなと思いますが、このインターネット販売は、愛護の問題というよりも、むしろ事務レベルの問題かなというふうに思うのですよね。そうすると、深夜販売、販売時間、移動販売で過度に客に触れさせることが問題であるとか、時間が問題であるというところを解決する一つの手段としては、むしろインターネット販売を適切に実施することによって、前段の問題が全部クリア、全部というか、かなりクリアできるのかなという気もするのですが、その辺はどうでしょう。

【青木貢一氏】 やっぱり生きている動物なので、その動物の動いている動画があればまだしも、直接触れるかどうかというのは、非常に大きな情報源です。その動物が、どういう性格をしているかなんていうのはわからないでしょう、インターネットだけでは。やっぱりその辺は、対面販売で、直にその子犬なり子猫なりを見て、購入するべきであろうというふうに思っています。

【浦野委員】 ただ、その前段の指摘で、過度に触れさせることが大きな問題だという。それをある意味推奨してしまうのではないでしょうか。つまり、インターネット販売は、今言った、例えば動画を見せるとかいうことでクリアできるのであれば、それが適正にできるような仕組みを構築すれば、むしろインターネット販売の方が動物を、ペットに対する愛護ということでは、すぐれた手法かなという気もするのですが。

【青木貢一氏】 子犬・子猫についてそういうふうで、当然、幼齢動物に対して、触り過ぎているとか何かというのであれば、それは販売店側で、ちゃんとチェックすべきで、それ以上はやめてくださいとか言うことを、注意していなきゃいけないと思います。
 ですから、幼い動物の性格的なものや、あるいは動きなどをチェックするのは、動画だけでは絶対、得られないのではないかなと思います。ですから、その辺で、実際に対面をして、なおかつ店員から説明を十分聞いた上で購入するというのが、当たり前の姿じゃないかなというふうに思っております。

【永村委員】 インターネット販売と通常言われている、非常に杜撰な売り方については、私も反対ですけれども、例えば、アメリカのような大変広い国で、通信衛星を使いまして、中古車の映像を映して、全く遠隔的に競りをやる。あるいは、畜産農家が、牛を買ったり、豚を買ったりするときに、そこに映像を写して、遠隔地で売買ができるというようなシステムが現にあるんですね。ですから、浦野さんの発言に関連して申し上げますと、きちっとした個体の識別、物の識別というのができて、あとのフォローアップもきちっとできれば、なかなかこのインターネットの売買を否定する根拠というのは、乏しくなるのではないかという気はします。

【林委員長】 私もちょっと意見を申しますと、インターネット販売の場合、動物がどんな劣悪な状況で飼育されているかというのを隠すことができますし、良いところだけ見せるということができますので、劣悪な環境で動物が飼われることを助長したり、そういう業者が存在することを助けるというところに、もう一つの問題点がおそらくあるのだろうと思います。確かに遠隔地であっても動物が得られるというのは、なかなかいい方法の一つではあるかもしれません。しかし、やっぱりペットショップを監視するのは、一般の客であり、ブリーダーを監視するのはペットショップであるというような形で、直接的な監視が効かなくなるという恐ろしさがあるのではないかと私は理解しています。
 ほかにこの件で、どうぞ、井本委員、そして太田委員。

【井本委員】 大体のところは青木先生と同意しますが、資料で幼齢動物の販売日齢のところの最後の方に、飼い主が手放した若齢動物の攻撃性だとか、そういうことが書かれていて、今後、環境省と自治体が連携して調査くださるよう、お願いしたいというふうになっていますが、せっかく先生のところは大きな団体なのですから、その辺の調査をご自分たちでされるということはお考えにならないのでしょうか。むしろデータは早く集まるだろうという気がして仕方ないのですが。

【青木貢一氏】 自治体と関係省庁の関係が、より密接な関係を持ってもらうということも必要だろうと思います。我々サイドでそれが可能であるならば、今後の一つの課題としてやってみようかという気持ちはあります。実際にやれるかどうかは、各団体にお任せするしかありませんので、私個人では言えないです。

【林委員長】 それでは、太田委員、どうぞ。

【太田委員】 現場の意見を申し上げます。インターネットの販売には二つの方法があります。一つは、ネットでブリーダーが直接販売する方法です。質の良い子を飼主が目視をしてから飼う方法。これならば問題ないと思います。今、問題になっているのは、インターネットの仲介業者です。インターネットで仲介をして、仲介業者が目視をすることなく、ブリーダーから直接送らせるという方法です。仲介業者は現物確認をしていません。ここに問題があります。
 電気製品とか決まった商品であれば、定価がありますから、おおよそ推測がつきますが、残念ながら、犬猫に関しては非常に質の良いもの、悪いものの差があり、中には、10倍ぐらいの、仕入れの差もあります。非常に質の悪いものが、インターネットを通して消費者へ送られるという例はたくさんあります。
 もう一つの問題点として、インターネットに関しては、現在、運搬方法が確立されておりません。現在、運搬には、飛行機と宅配便しかありません。飛行機に関しては、比較的短い時間で済みますので、負担は少ないですが、飛行場は限られていますので、ほとんどが宅配便扱いになります。宅配便は、前の日、夜8時に営業所へ持って行き、翌朝8時に        
 営業所で引取ります。特に夏、冬は子犬に対して、大きな負担となります。前回の法改正では、運搬に関しては、空調車で運ぶ事と明記されていますが、現状は空調のないトラック便で運搬されています。これがインターネット販売での大きな問題点です。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、山口委員、そして野上委員と、今回はこれでよろしいですか。

【山口委員】 インターネット販売のことですけれども、実際、私共には結構苦情が来ておりますので、ブリーダーさんだったらよいとか、そういう話ではありません。ブリーダーさんのところから、直接顔を出して売れないような、いろんな問題がある子も平気で出します。ネットだとその写真がその子の写真かどうかもわからない、かつ、どんな飼育管理しているかもわからない。そして来たら、ノミだらけのガリガリだったという事例が、実際にあります。それから、ブリーダーさんのところで競りをやっていて、100円で競り落として、来たら、もう病気だらけの子だったということで、電話が入ったりします。インターネット販売で買われた方の相談を受けている中には、はっきり言って犬を飼う資格がないと思うような方も、多々いらっしゃいまして、買う方も買う方、売る方も売る方ということがかなりあります。
 実際に、きちんと飼われているからといいましても、家族を迎え入れるには、猫でも犬でも相性というものがあります。やはり、その相性が合わなくて、結局、お互いが幸せになれないということがあるんですね。会わないでそれは決められるわけではありません。そういういろんなもろもろの苦情が、私どもの方に入ってきます。それを未然に防ぐには、インターネット販売というのは禁止すべきであろうというふうに思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、野上委員、どうぞ。

【野上委員】 8週齢問題のことですが、ペットショップに行きますと、産まれた日付が書いてあって、確かに8週齢くらいだと書いてありますけれども、実際、見ますと、本当は6週齢くらいではないかと。非常に小さく感じる犬がたくさんいますね。ですので、その生年月日が本当なのかどうかということを確認できませんと、8週齢規制というのは意味をなさないように思います。
 ですから、確実にその生年月日、何月何日に産まれたということを証明できる仕組みが必要だと思いますが、それについては、何かお考えはございますでしょうか。

【青木貢一氏】 これはトレーサビリティになりますので、この辺はきっちりと仕組みの中に組み込んでいただける法律とか、あるいは法律に準ずるものの中に、そういった規定を加えていただくしかないなと思っています。

【林委員長】 トレーサビリティをしっかりさせるということですね。
 すみません、時間的に言うと、ほぼ30分となりましたので、特になければ、これで青木さんからの説明と、それに対する質疑を終わりたいと思います。
 それでは、青木さん、どうもありがとうございました。
 続きまして、動物愛護管理法を見直す会の代表でおられます、藤村さんの方から、ご説明いただきます。どうぞよろしくお願いします。

【藤村晃子氏】 一般社団法人日本動物虐待防止協会、動物愛護管理法を見直す会代表をしております藤村です。
 私は、動物病院の獣医師でもなく、専門家でもないので、あくまでも民意という立場からのお話になるかと思いますが、よろしくお願いいたします。
 今回、項目に関しまして、1カ月もない間で、書類を急いでかき集めてつくりましたので、不備などもございますかと思いますが、大体、意見の方を、資料の方にまとめさせていただきましたので、こちらの方を参考に、よろしくお願いいたします。
 最後の方に、ドイツの法律を和訳したものをつけさせていただきました。ドイツは、殺処分ゼロの国です。その国を、もしよろしければぜひ参考にしていただいて、とにかく殺処分を減らすことを目的として法整備がされることを、私たちは願っております。
 海外から私は日本に帰ってきまして、日本の置かれているペットの問題がとても深刻であるということを感じました。率直に申しまして、今、申し上げましたように、日本の殺処分数はかなり多いということです。収容施設に注ぎ込まれる年間費用は、約57億円。どうしてこのような多額の税金を投じても、殺されるペットが多いのでしょうか。生かすための57億円だったら文句はありません。ただ、毎回毎回殺されるために、これだけの金額が税金から捻出されるということに、多くの消費者は納得がいっていません。無責任な飼い主が多い、無責任な悪徳繁殖業者が多い、愛護法の規制が曖昧という側面が問題なのかというふうに思っております。
 また、これは私一人の意見ではなく、現在、当協会に送られてくる2万名以上の署名に裏打ちされている意見だというふうに思っております。
 前回の傍聴を聞きまして、驚いたことが二つほどありました。一つは、愛護法を改正する必要がないという意見です。これだけの数が殺されて、57億円がつぎ込まれているのに、改正の必要がないという意見に理解が全くできません。
 もう一つは、ペットの競り市を業に入れるという意見です。野菜や魚も競りをやっているのだから、ペットの競りも自然ではないかというような意見だったかと思いますが、小委員会の中でも、ペットが野菜のように売られているというような言い方をする人もいますが、野菜の方が、私はよほど品質管理がされているというふうに思っております。
 例えば、魚の市場で競りが行われている築地市場では、消費者へ安全な魚を届けるために、市場衛生検査所が設けられています。食品衛生や都条例などに基づく監視指導や、試験検査を行い、違反食品や不良食品は市場に入れない、市場から出さない、市場でつくらないといった品質管理の徹底化が図られています。
 こうした管理を行うためには、食品の安全確保のため、各食品の細菌汚染実態調査などを行うほかに、日常の監視指導や試験検査の中で得られた情報やデータをまとめ、業務に反映させ、専門知識や技術水準の向上に努めているように図られています。当然ながら、それにかかる費用は莫大なものになります。
 話を戻しますと、現在の収容施設は、先ほども申しましたように、57億円も年間かけられています。そこには無責任な飼い主や悪徳繁殖業者から持ち込まれる犬や猫であふれかえっているからです。正直申しまして、ペットの競り市が生み出す膨大なペットの数と、その廃棄にこれだけのお金が使われているのに、まだ競り市を業に入れるという信じられない意見に、耳を疑います。そこで、また監視のために、金額を国民から捻出させるのでしょうか。
 資料にもお配りしましたように、大手ペットショップは、こちらは生体販売以外の金額も含まれていると思いますが、売り上げは年間100億円を超すところもあります。そのような企業の企業形態を守るために、国民がなぜそこまで税金を払わなければならないのでしょうか。国民意識から申しまして、考えが多少ずれているとしか言いようがありません。
 それでも、まず初めにやるべきことは、悪徳業者を排除し、年間の捨てられる数を減らし、1匹でも多くの命を救うことに力を尽くすことこそ、健全な営業、健全な社会と言えるのではないでしょうか。
 ペットの競り市を反対する理由はもう一つあります。それは魚市場にしかり、野菜市場にしかり、オープンで行われている一方、ペットの競り市といえば、閉鎖的で関係者しか立ち入れないようになっています。この閉鎖的な体質は、いち早く改善していただき、ペットオークションでない方法で、消費者が安心してペットを購入できるトレーサビリティの徹底化をお願いしたいと思います。
 近年、ペットの価格破壊が進み、ブリーダー崩壊が相次いでおります。先週の土曜日も、ペット業者から私どもの方に連絡があり、50匹にも及ぶペットをどうにかしてほしいという相談を受けました。その業者は、従業員の話によりますと、まじめに最初はやっていましたが、競り市を利用するようになり、ペットを産ませていけばお金になることから、だんだんと感覚がずれ、その日暮らし、自転車操業になり、ついには大量生産するようになったといいます。結果、借金が膨らんでいったといいます。
 ペットの競り市という独自のやり方は、まじめなブリーダーの感覚さえも麻痺させてしまう側面があるのだと、私は思いました。もし競り市が存在しなければ、あくまでも仮定の話ですが、流行犬種を追いかけることもなく、自転車操業になることもなく、50頭の犬を放出することもなく、今でも健全な経営を行うことができていたのかもしれません。
 経済用語では、悪貨は良貨を駆逐するという言葉があります。まさにこの言葉がぴったりと当てはまると思いました。トレーサビリティの問題もあります。買ってから歩けなくなった犬も、数多く見てきました。競り市に持っていって売ることが、生産者側の販売責任まで薄れさせてしまうのではないかというふうに感じております。それでも取扱業に入れるという感覚が理解できません。
 行政は、今なお、日本にどれだけのパピーミルがいるのか、とんでもないペットショップの規制さえもままならない状態です。競り市を監視する人員が、行政側に本当に確保できるのでしょうか。監視の目がない競り市など、これだけ問題視されているのに、危険ではないでしょうか。
 ペット販売の問題として、さらに今もありましたように、深夜販売があります。なぜ深夜に犬を売る必要があるのでしょうか。今回の改正では、禁止にしていただきたいというふうに思っております。それが当協会会員全員の願いです。当会には、滝川クリステルさんや浅田美代子さんもいらっしゃいます。ほか、国会議員、行政書士、動物病院獣医師、動物保護団体で構成されていることをつけ加えさせていただきます。
 提出させていただいた資料のほうにも、時間規制としては、夜8時から朝10時は販売しない。チェック体制、組織づくりを図る抜き打ちの立入検査を行うという意見も出されています。移動販売に関しては、全面禁止。ペットの競り市も禁止。その前に、動物愛護部会や小委員会で法改正の話し合いが行われるときは、販売業者と保護団体は区別して考えてほしい。しっかりと判断してほしいという意見が、多く出されました。
 インターネット販売では、実物を見ないで買う行為は禁止。説明もないまま、子犬をペットショップで抱かせて、衝動買いを誘う行為は自粛する。繁殖する方は、国家試験を設けるという意見も提出されています。
 繁殖というのは、だれにでもできる行為ではありません。目が見えない、耳が聞こえない、走れない犬を産むことをやめさせるために、ブリーダーに国家試験制度を設置し、遺伝病を産ませないシステムをつくる必要があるのではないでしょうか。日本の獣医師の先生には、病気の犬を防ぐこうした意見に、特に賛成してほしいというふうに願っております。
 8週齢のワクチンリスクも深刻です。人間でも、たばこを吸っても影響が出ない人もいます。お酒を飲んでも影響が出ない人もいます。でも、二十歳というラインが一定として決められています。そういう感覚で8週齢というラインを引くことは、いけないことなのでしょうか。
 また、法律を曖昧な表現のままにしておくのではなく、むしろ道路交通法のように、規制の網を細かく設置し、違反者からはしっかりと罰金を徴収し、とにかく捨てられる犬の譲渡率を上げる活動に役立ててほしいというふうに願っております。
 ほかにも多くの意見が出ましたが、別紙として環境省に先ほど提出させていただきました。
 最後に、日本の国は、常に世界にいいものを届けてきました。車でも、新幹線でも、食べ物でも良い物をつくってきたと思います。その安心と信頼が、日本ブランドとして世界に受け入れられ、認められ、今日の日本経済を支えているのだと思っております。それは日本人の誇りでもあります。しかし、ペットに関しては、真逆を行っています。海外では、日本にペットを売るな、ペットの市場で虐待繁殖を行っていると、私自身、批判されたことも何度もありました。
 よい物づくりをしてきた日本という国を汚さないでほしいです。これは国家の損失に関わるというふうにも思います。しっかりとした愛護法をつくり、規制を行い、ペット愛護世界一と言われる国になってほしいと思うのは、全国民の願いだと思っております。
 最後に、ペット問題を本に書くときに、商売を優先するペットショップの姿勢だとか、売れ残った子犬が殺されているなどと書くと、ペット業界の人に呼び出され、訂正文を強要されるというのは本当でしょうか。それが本当なら、言論の自由を奪う行為であります。売れ残った犬が殺されていないという証明を持ってきた上で、反対意見を述べるのならまだしも、ただ事務所に作家を呼びつけ、または記者に対し電話で脅し文句を言う行為が、もしあるとしたら、これは大変なことであります。
 私は、こうしてヒアリングで呼ばれましたので話しておりますが、何らかの圧力や危害が加えられないように、お願いいたします。
 お時間になりましたので、一度ここで終わらせていただきます。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、早速、ご質問あるいはご意見ありますでしょうか。
 どうぞ、打越委員。

【打越委員】 熱意のあふれるお話をありがとうございました。ご提案になっている競り市とか、ペットオークションを業として入れるのは、とんでもないことではないかというふうなお話で、多分、ここにいらっしゃる委員の先生方、みんな非常に懸念しているところだと思いますけれども、そういったようなオークションを、場をつくっているような団体があるわけですね、業者と言わずに。その団体をもし取り締まろうと思うのであれば、逆に販売業者というふうに、法の中に入れて、販売方法としては、これは禁止というふうにした方が、取り締りの根拠ができる。今のままだと、見えないところでやっていると、何だかよくわからないことをやっていて、どう見ても倫理的におかしく見えることなのに、それを取り締まる法律が、逆にないということになるのではないかと。
 そういった意味では、こんなやり方をしているのは許せないというのを、業者として入れないのではなくて、むしろそういうものも取り込んだ上で、そういう手法は禁止というふうに明文化していく方が、より実効力があるかなと思いますが、いかがでしょうかというのが1点です。
 それから、もう1点、今、お話しにはならなかったのですけれども、あらかじめ資料を事務局からいただいておいたので読んできて、とてもおもしろいなと思ったところがあるので、ぜひ伺いたいところがあります。資料の6ページ、7ページに、移動販売の形式と、動物保護団体の譲渡の違いというものが、実は線が引きにくいとか、引きにくくないということが問題になっています。移動販売による無責任な販売を規制したくても、移動販売を禁止するなら、動物保護団体の譲渡も似たようなものじゃないかというふうな言い方で反論されてしまう。そうした反論のせいで移動販売が規制できないのはおかしいんじゃないかという趣旨で書いていらっしゃるようで、これは本当に重要なご指摘ですね。そうした議論を封じるべく、例えば保護団体が譲渡会をする場合には、自治体などがここで譲渡会をすることと決めて、そして、許可を受けた保護団体が、届け出を出して所定の場所で譲渡会をやるのがいいんじゃないかと書いてあるんですけれども、これはとても良いことなのではないかと。自治体の現場の手間は、ちょっと増えてしまうかもしれませんけれども、それなりに大きなスペース等がありますから、そういった形で、行政と民間の協働ができるような、そういう仕組みができたらいいなと思いました。とてもおもしろかったので、ご指摘させていただきました。
 行政と民間の協働を促すという意味で、もう一つご指摘させてください。会の皆さんが求めていることが、3ページに1から7まで列挙してありますね。これは本当に全くもってそのとおりだなというふうに思うんですけれども、自治体の行政の担当者からしてみると、これだけ言われると、それが全部できないことを逆に後ろめたく感じたり、あの団体は苦手だという気持ちを持たせてしまうかもしれない。そう思うと、強い理想をはっきり明言していくのとともに、これだけ情熱を持っている団体が、どうやって現場の行政と連携していけるか、そういうふうなことを何か考えていらしたら、お聞きしたいと思います。長くなりました。

【藤村晃子氏】 ありがとうございます。まず最初に、業に入れて取り締まるといったところなんですけれども、実は、そういった意見も私たちの会の中でありました。ただ、前回の法改正で、インターネットオークションが同じような考え方で業に入ったかと思います。
 しかし、今、現実はどうでしょうか。インターネットオークションという見えないところで、全く監視が行き届いていない中で、本当に動物取扱業に登録されている人たちだけが活用しているのか、そうじゃないのか、そういったものが全く見えなくなってしまったというのが一つあります。
 1回、業に入れると、それを禁止することは、とても難しいと思います。なので、今、インターネットオークションを業に入れたことによって、ペットが1円から売られるようにもなってしまいましたし、そういった危険性も反対側にははらんでいるので、ここは慎重に考えていただきたいというふうに思っております。1回、ペットオークションを業に入れてしまったら、世界からどんなふうに見られるのかということも考えてほしいですし、そこに本当に動物愛護の環境省ですとか、各地方自治体が管理、取り締まって、魚市場のように徹底してやることができるのか。私は不可能だと思っております。
 もう一つ。行政と連携して活動していくということなんですけれども、いろいろな団体では、最近、もちろん行政と連携をしまして、各収容施設のところから、今こういった犬が来ているけれども、引き取れないかというような連携、サポートをとりながら、少しずつ譲渡率を上げております。
 しかしながら、余りにも捨てられる犬が多過ぎて、今日50匹保護したら、また明日50匹といって、どんどん保護団体だけが治療費を払い、莫大なお金と時間を使って、保護している状態なんですね。そういったことをなくすためにも、出す、生産する側の規制もかけてほしいというふうに思っております。

【打越委員】 ありがとうございました。

【林委員長】 永村委員、どうぞ。

【永村委員】 幾つかご質問したい前に、一つだけ、私のスタンスをはっきりさせておきたいと思いますけれども、まず今回の改正に当たりまして、その基本となるべきことは、まず本当にその現行法の運用の実績として、今の法律がどれだけ効果が上げているのか、上げていないのか。ここをやはり前回の小委員会でもどなたか、そういったご意見をおっしゃっておりましたけれども、ぜひ事務方に分析・評価、これをきちっとしていただきたいと私は思います。
 そういう意味で、先ほど藤村さんがおっしゃいましたけれども、ドイツの方で、この8週齢の規制を法制化している。ドイツだけでもいいのですけれども、その摘発した事例があるのかどうか。2万5,000ユーロとかという大変な罰金をとられるようでありますけれども、法律を施行してから、あそこで幾つか罰則の対象となる事項がありますけれども、適用された例があるのか。その場合に、どういうふうに週齢を確認したのか。ここはぜひ事例があれば教えていただきたいと思うわけです。
 裏側には、本当に生年月日までトレーサビリティをやろうと思えば、これは畜産の世界では数年前に起こったBSEを契機に、トレーサビリティをやっていますけれども、国が莫大なお金をかけて、それはめちゃくちゃなお金をかけて、牛1匹1匹の行く先をトレーサビリティのシステムに乗せていますけれども、本当に日本で産まれる子犬を、きちっとしたトレーサビリティの対象にするとなった場合、どの程度のお金がかかるのか。人的な資源も莫大だと思います。したがって、ひとつ事務方にはそれをお願いしたいと思います。
 それから私、藤村さんのサイトを拝見して、中身が大変充実した、素晴らしいサイトだと思いました。その中で一つ、8週齢とも関係がありますけれども、8週齢を超えないと社会性がなかなかできないという典型的なものが、咬むという行為だと思いますが、この行動学では大変著名なペンシルベニア大学のサーペル博士がやられたサーベイ、33犬種、5,300頭、1犬種当たり最低45頭、これで犬種毎を調べてアンケートでどれだけ咬むかという調査をされました。それが出ていました、おたくのサイトに。まず、他人を咬む犬種、トップから言いますと、ダックスが20.6%、チワワが16.1%、オーストラリアンキャトルドッグが9.6%、ボーダーコリーが8%、ずっと書いてあります。
 それから、飼い主を咬む。これはビーグルが7.9%、7.9%というのは対象となった頭数のうち7%が咬んだという意味だと思いますが、飼い主を咬んだトップがビーグル、次はダックス、チワワ、ジャックラッセル、こういった順です。
 それから、ほかの犬を咬んだ犬。これは秋田犬が29%、ピットブル、ジャックラッセル、こういった調査の結果を出しておられました。
 私は、これはアメリカの調査でありますから、日本よりかなり社会化をされた子犬が、それぞれの飼い主の手元に渡っているという前提に立った場合に、これだけ大きな犬種の違いがあるということと、8週齢に焦点を当てた社会化。どちらが実際の犬が咬む行為に関して、強いインパクトがあるのか。最終的に、これについては、サーぺル博士は、犬種間の差が大きいというのは、小型犬に対しては、咬まれても大したことがないから、ブリーダーがそこを気にしないで、ブリーディングをした結果、そういった咬む部分の形質が残っているだろうと、こういうような分析をされている。したがって、私は、いろんな犬種が西洋を中心に数百年の改良の歴史がある中で、この数十年間、動物愛護というのは、いろんな国で進んできたと思うんです。ドイツでも千九百七、八十年。この数十年間でそういった何百年もの間、改良されてきた犬種を、簡単にブリーダーの教育によって遺伝的に凶暴性を除くということは、なかなか難しい。
 しかし、この社会性と比べて、こういった犬種間のものについても、やはり藤村さんのところでは興味を持っておられるわけで、この点についても、私は8週齢との関係でもっと議論をしていただきたい部分だと思っています。
 それから、最後、コストについて、一つだけお尋ねしたいのですが、先進国のドイツで、ティアハイムのことが、先ほどちょっと出た、AERAの太田さんの本に出ておりましたけれども、最初に2001年に50億円を投資してつくったと。その後、毎年8億円のコストがかかると。その結果、毎年二、三千頭の犬が新しい飼い主のもとに引き取られると。これを日本全体で似たようなものを、やはりつくった方がいいとお考えでしょうか。

【藤村晃子氏】 ありがとうございます。そうですね、私は、日本も殺処分ゼロになってほしいです。これは医療行為としての尊厳死を別にして、殺処分ゼロになってほしいというふうに思っています。それを実現化するには、まず捨てる犬が余りにも多過ぎてできないという現実もあります。
 この捨てられる犬の数を減らせば、そういったふうに全部譲渡、里親にするということは、私は日本でも可能だというふうに思っております。また、そういうふうにしていかなければいけないというふうに、社会的責任もあるのではないかというふうに思っております。

【林委員長】 よろしいですか。ほかに、どうぞ、太田委員。

【太田委員】 先ほどペットオークションを業として認める必要がどこにあるのかというお話がありました。前回、私もそのような発言をしましたが、誤解もあるようですので補足させていただきます。
 現在、日本では流通の約4割がオークション経由です。命あるものをオークションにかけるということは、非常にけしからんというのは、皆さんの気持ち、私も十分わかるように努力しておりますが、オークション即、悪だという発想はいかがかと思います。私もオークションに出入りしておりますが、オークションの発達している地域は、犬の質が高くなります。決して悪い業者だけがオークションを利用しているわけではありません。オークションに参加することによって、いい犬は高い値がつく事を認識します。そうなってくると、質の悪い犬は、誰も買いませんから、オークションの会員から自然と除外されていきます。
 現状はオークションが、大きな影響を与えますので、例えば幼齢問題、遺伝性疾患に対しても、オークションで規制しレベルを上げるのが、一番いい方法だと思います。オークションの会員は、全員が動物取扱業者です。プロが見て、良い子犬を作り、良い子犬を売る努力をしています。オークションに出品できない質の悪い業者の子犬が、ネット販売等に流れます。
 先ほどオークションの閉鎖性という話がありました。私の参加しているオークションでは、今までも、愛護団体の幹部、環境省の前室長、議員の先生、獣医師会幹部にも見ていただき、悪いところは直そうという努力もしています。
 オークションを業に入れるのはとんでもないという話がありましたが、問題が多いからこそ業に入れて、指導していくという方が現実的だと思います。
 先ほどインターネットペットオークション業者を業に入れたから、問題が起きているとの話がありましたが、インターネットペットオークション業者は、現在、業としては入っていません。これは確認してください。

【藤村晃子氏】 ご指摘どうもありがとうございました。それでは、当協会でペットオークションを見学したいといった場合は、させていただくことは可能でしょうか。

【太田委員】 ええ、私、話もしますけれども、ぜひ見ていただいて悪いところがあったら、指摘して直していくとそういう努力はしております。

【藤村晃子氏】 わかりました。では、当協会でペットオークションの見学に、ぜひ申し込みたいと思いますので、ご協力のほど、よろしくお願いします。
 あと、もう一つ、ご相談したいんですけれども、ブリーダーを国家試験にするという意見はいかがでしょうか。

【林委員長】 それについては永村委員もご意見がおありでしょうけど、わたしの意見を申し上げれば、日本は車にしても何にしても、すばらしいものをつくり続けてきたのに、どうもペットは、特に犬のことをおっしゃっているのでしょうけれども、劣悪なものしかつくっていないということですね。その絡みだと思いますが、残念ながら、日本は犬の遺伝病が多発していることは、これは大変問題であるとわたしも思います。
 たとえば独立行政法人家畜改良センター十勝牧場のような国の牧場が設置されたのは、日本人の食料をきっちり守るために、優秀な家畜を国が保持して、その子孫を各農家に配布するという国策があったからですが、残念ながら、ペットはそういう立場になかったんですね。
 ところが近年、多くの国民がペットはもう家族の一員だというような状況になってきて、おそらく国がもっと関与しようということで、環境省に動物愛護管理室ができ、法律も整備されてきた経緯があります。
 ですから、今後いろんな形でもっと国が関与していくことが必要だということにはなりますが、様々な資格がある中で、ブリーダーを国家資格というのは、階段で言うと、かなり高いステップにあるよう思いますので、当面はなかなか難しいかと思います。

【永村委員】 関連して、私もご意見申し上げますけれども、いわゆる産業動物の世界の議論も、恐らく数カ月後に出てくると思いますけれども、その産業動物についても、やはり動物愛護の視点に立った、何らかの飼育ガイドラインというものが必要だろうということについては、産業界、生産者もある程度のこれはやむを得ない、こんなめちゃくちゃな飼い方をしちゃ、やっぱりいかん。健康的な飼い方をした家畜の方が、はるかにすばらしいと。食べてもおいしいと、極端な話ですね。
 そのブリーダーに資格を与えるということは、これは非常に難しい。おそらく世界じゅうでブリーダーに資格を与えている国はないと思います。また仮にあるとしても、特定の任意団体の登録協会が、この人はブリーダーにふさわしいから、ある程度の資格をあげましょうというのは言えるんでしょうけれども、押しなべて国全体のブリーダーに国家資格を与えるというのは、ちょっと意味合いが違うのではないかと思います。
 先ほど林委員長がちょっとおっしゃったので、遺伝病に関して、ちょっと私どもの取り組みをお話ししますと、5年前から繁殖に使う雄犬のDNA型を全部登録させることにしています。現在、約15万頭のデータベースがございますけれども、時には、この犬は血統書に書いてあるとおりの犬ではないのではないかというクレームが来た場合は、その当該犬の口内粘液からDNAを採取して、それと登録してあるDNAと合わせて、父親とその子どもの鑑定をして、確かにこの子である。いや、この父親の子ではないという鑑定をしています。年に数件、こういった問い合わせがあります。
 そういった、データベースがあるものですから、14の犬種につきまして、1犬種当たり100匹、これは飼い主の同意を得て、考えられる遺伝病について、かなり分析をしました。特定の犬種にどういう病気が、どの程度出現しているか。これは私どもが巷で聞くような、ダックスには何が多い、プードルには何が多いという、週刊誌的な数字がいっぱい出ています。私どもが分析をした結果、個人情報ということもあって、出してくださった方の了解を得ていないのでまだ公表できないのですが、巷で言われているよりはるかに日本の犬の遺伝病の出現率は低い。
 ですから、私は非常にうがった見方をしますけれども、ベンチャー企業として、この遺伝病のチェックをするといううたい文句で、どんどんいろんな企業が、タケノコみたいに出てきていますけれども、要は儲けんがかなということで、愛犬家の心配、これをあおっているんじゃないかと。ちょっと話がそれましたけれども、ということです。

【林委員長】 そうです。この辺は、ぜひデータが必要です。例えば研究者の中でも股関節形成不全なんかのパーセンテージを調べている人がいますので、それはやっぱりどこかでちゃんとしたデータで話した方がいいですね。

【藤村晃子氏】 すみません、一言よろしいでしょうか。私は、動物病院で看護師をやっておりました。最初は、動物病院で働いたときは、交通事故や病気になった犬が来るのかと思っていました。しかし、来た犬は、ほとんど目が飛び出したりだとか、股関節不健全とか、遺伝による病気がすごく多かったことに、すごくびっくりしました。私は、動物病院で働いていて、遺伝病がものすごく日本は多いなというのが実感でした。あくまでも個人的な意見なので。

【林委員長】 これはデータに基づいてお話ししましょう。
 太田委員、どうぞ。

【太田委員】 遺伝性疾患に関して、来週、ジャパンケネルクラブと私たちの会と合同で、ブリーダーを集めて遺伝性疾患に関しての勉強会を行います。オークションの会員を中心に勉強会をしています。遺伝病を出さないために。遺伝性疾患の犬は、例えば半年遡ってブリーダーが責任を取ると決めたオークションもあります。
 このような改善努力をしていることも、知って欲しいと思います。

【藤村晃子氏】 わかりました。近親交配をさせるような人が、オークションを利用しないことを心から望みます。

【林委員長】 それでは、もう一方、どうぞ。

【山口委員】 質問ではないのですけれども、先ほどドイツでは、殺処分ゼロとおっしゃったので、ちょっとお話しさせていただけたらなと思います。7月に行ってきたばかりなのですけれども、本当にドイツではかなりの割合で新しい飼い主を見つけられておりますし、かなりの期間広いところで、きれいに飼育管理されていて、感心をして帰ってきました。ただ、攻撃性のすごく強い犬、それから予後不良の病気の犬については、安楽死はしていらっしゃいます。ですから、ゼロではないということと、それから、攻撃性のことで言いますと、ドイツでは、闘犬は法律で禁止になっております。かつ危険犬法があります。危険犬法ではカテゴリー1と2に分かれていて、土佐犬も1に入っていますけれども、1に分類されている犬は、シェルターに入っても譲渡ができないというふうになっていると、バイエルン州の獣医局の方にお話を伺ってきました。
 比較すると、まず日本では闘犬は、東京都、神奈川県、福井県、石川県、北海道以外は、合法的にまだまだあちらこちらでやられております。そして、先日も、土佐犬による咬傷事故がありましたよね。毎年のように人が咬み殺されたりという事件があります。ですから、まずは、そういう攻撃性を持つような犬を繁殖することを防ぐ意味でも、また闘犬は最たる虐待だと思っておりますので、まずその辺のところを禁止して、安楽死せざるを得ない動物をなくしていくことも、必要だと思うんですね。だから、単純比較する前に、それをつけ加えて言っていただけたら、ありがたいかなというふうに思っています。

【林委員長】 この件については、特定犬種をどうするかという論議が、おそらくあると思いますので、そのときまたお願いいたします。
 それから、先ほどいろんな外国の例で、どうなっているか調べていただきたいという話がありましたので、もしわかる範囲内でお調べいただければと思います。
 それから、遺伝病に関しては、厚生労働省で山根日本獣医師会会長を座長にして、遺伝病の検討会を開催された経緯がありますので、そのときの資料も、もしあれば用意しておいていただければと思います。
 ほかはよろしいでしょうか。ほぼ30分過ぎましたので、藤村さん、どうもありがとうございました。
 それでは、3番目になりますが、公益財団法人どうぶつ基金の理事長でおられます佐上邦久さんにお願いいたします。

【佐上邦久氏】 初めまして。公益財団法人どうぶつ基金の佐上と申します。
 私どもは、1988年に創立されまして、現在、日本で唯一の動物愛護を行う公益財団法人でございます。普段、何をやっているかと申しますと、耳先カット猫の不妊手術というのを進めておりまして、TNR活動を中心にやっているんですけれども、TNR済みの可視化のために、耳先カットをやっており、耳先カットは愛され猫の印ということで、やっております。誤解のないように申し上げておきますが、一般的なファッションとして断尾、断耳には断固反対しております。
 ということで、お話を進めていきたいと思いますが、まず、結論から申し上げまして、今回、議題に上がっておりますすべての規制には、数値化が絶対に必要であるというふうに申し上げたい。なぜならば、地方行政において、今年の2月5日でしたか、環境省から通知が出されたネグレクトは虐待であるというような、いろんなことが書かれたネグレクトの例、事細かく書いてあります。これで私たちは、悪徳業者を、あるいは悪徳な飼い主を排除できる、あるいは法的に何とかできるだろうと思って、喜んでおりましたが、実際のところ、つい最近、昨日、今日起こった事件なんですけれども、この写真を見ていただきたいです。7月に行政が指導に入った関西のブリーダーのつい先週写してきた写真です。
 ご覧のように、7頭がケージにぎっしり詰め込まれておりました。関西の行政が7月に行った時点で、この状態を確認しましたかと聞きましたところ、「見ました」と。これは環境省から地方行政への2月5日の通知にあるケージ内で動物を過密に飼育しているという例に当てはまらないのかと聞きましたところ、関西の某大都市の地方行政、動物愛護管理室の職員、彼は獣医師です。この写真の状態を見て、「一つのゲージに何匹以上が詰め込み過ぎでだめなんですか、2匹だったらいいんですか、3匹だったらいいんですか、簡単に虐待と結びつけていいのか」とおっしゃいました。
 この施設には、このような状態で200匹以上の犬が飼育されていたんですが、それについては「200匹は多いから、もうちょっと減らしなさいよと口頭指導はしてきましたよ、佐上さん」とこのようにおっしゃいました。
 それで、このことを今日発表しますよと、ここでというふうに、私は地方行政のその職員本人に言いました。彼は、「どうぞ、発表してください」と。そして、「私からのお願いも伝えていただきたい。ぜひ数値化していただきたい。やはり行政が一つの個人、あるいは業者を告発、あるいは告訴にもっていくというのは、大変なことである。大変な責任を伴う。そこで、数値化という数字があれば、簡単にできます。私たちは私たちで辛いんだ」というお話でした。
 このような事例は、すべてのところで当てはまると思います。ですので、まず結論から申し上げて、数値化が必要であるということを申し上げておきます。
 それから、業及び、これはシェルター、動物愛護団体のシェルターもなんですが、すべて登録、今、業としての動物取扱業というのは登録制になっておりますけれども、免許制、あるいは許認可制にしていただきたいというのが、私の考えでございます。
 といいますのは、関西のこれも某県で起こった、非常にマスコミにも取り上げられた事件ですけれども、3階建てのビルを5階に建て増しして、多頭飼育をしていて、虐待に近い状態であったんですけれども、すぐに廃業届を出したそうです。次の週に奥さんが、開業届を出すと。登録制は、こういうことが可能なわけですね。ですので、厳しく資格のある人間かどうかということを、許認可制にしていただきたいというふうなことが、まず最初の考えであります。
 それから、先ほどちょっと話題になっておりました、移動販売と譲渡会についての話なんですけれども、実は、今回アンケートをとったのがあるんですけれども、それと別に、実際にシェルターを運営されている方、あるいは里親探しに協力されている人たち数組の運営のトップの方たちに、私自身がヒアリングしてまいりました。その結果、譲渡会はなくなってもいいから、全面的に禁止していただきたい。譲渡会なんかなくなっても、私たちには幾らでも里親を探す方法はありますと。それよりも、今のこのひどい状態をなくすために、私たちがそれを折れるならば折れて、いわゆる移動販売が禁止できるなら、ぜひそうしていただきたいというのが、100%の意見でした。私の知る限りではありますけれども。
 ということで、それと、今回、この会に出席させていただくに当たりまして、インターネット上でアンケートをとりました。アンケートの対象は、この資料1というのを見ていただきたいんですけれども、まず私どものメーリングリストに入っておられる方とか、何らかの形で私たちにコンタクトをとってこられて、メールアドレスがわかっている方に参加を呼びかけ、その中から、その人たちにアンケートに参加してくださいという広報を、ネット上で広げていただきました。
 そうしましたところ、実質、3日足らずの中で、932通の有効回答を得ることができました。その結果に基づいて、民意というのはいかなるものか、この委員会、あるいは動物愛護部会というのは、大臣の諮問機関で、民意をいかにくみ上げるか、そのためにつくられた機関だと存じております。そのためには、私個人の意見を申し上げるよりも、民意をいかにくみ上げていただくかという意味合いをもって、このアンケートをとらせていただきました。
 まず、対象となった方の立場というところなんですけれども、動物愛護に関係する方が、やはり半数ぐらいいます。動物愛護ボランティアスタッフが16%、保護犬や猫などの里親になっているという方が32%、動物取扱業者の方は1%いらっしゃいました。その他は51%、この51%というのが、いわゆる民意、一般人と、とらえてもいいかなとは思いますが、ただ、私どものホームページに関心を寄せていただいている方ですので、動物愛護に強い関心を持たれているという傾向はあるというもとに、ご覧ください。それで、女性が88%、男性が12%。やはり女性が非常に多いです。
 動物取扱業の規制は、数値化すべきであるというのが97%。動物取扱業は免許制にすべきだというのが99%。深夜販売が、当然規制すべきだというのがありまして、20時までというので合計しますと、90%になっております。19時までで76%という数値が出ております。
 それから、子犬の販売時間、これは6カ月未満という子犬の設定をしております。82%の方が、1日合計4時間、2時間ごとに1時間の休憩というのを望んでおられる。6カ月以上に関しましては、1日6時間、3時間ごとに1時間の休憩というところまでで90%ですね。そういう数値が出ております。
 移動販売に関しましては、全面的に禁止というの85%。屋外での移動販売を禁止2%、厳しい条件つきで許可12%、今のままでいいというのが1%でした。
 それから、インターネット販売に関しても、ネットで紹介して、受け渡しは必ず対面でするというのが26%。ネット販売は全面禁止73%、これで99%になります。
 それから、幼齢動物の販売に関しては、8週齢というのが以下で99%になっておりまして、一番多いのが13週91日、これが49%でした。私、しまったなと思ったのは、91日を最高の日数にしていたということでございます。恐らくこれは6カ月にしたら、6カ月が49%になっていたんじゃないかなという想像をしております。
 それから、繁殖制限についてですが、2年に1回、一生で4回というのが72%です。普段暮らす飼養施設2m2以上というのが、これは柴犬が一生飼育される場所という注釈をアンケートにはつけておりますが、ここには書かれておりません。これが98%になっておりますね。一番多いのが7m2、27%の方が7m2、規制に反対というのは2%です。
 展示売り場での飼養施設というのが、ご覧のように、2m2というのが一番モードに来ております。それから温度についても、ここには、今回の議題には書いていませんが、聞いてみました。15~28度、これが92%になっております。
 それから、飼養に必要な職員の最低数。これは1日8時間労働ということで、注釈としてはトイプードル等のトリミングが必要な犬という場合で想定してくださいということで、書いております。88%の方が、親犬5匹に1人は必要という回答を得ております。
 それから、まずそもそもの話として、展示して小売りする業態自体に無理があるので反対という方が70%。繁殖は一般人も含めて免許制にするべきだ、83%。一般の飼い主に不妊を義務づけるべきだ、59%。繁殖業を全面禁止すべきだというのが34%です。これは非常に次の質問に対しての答え、ペット業界の方、JKCの方によく聞いておいていただきたいんですが、ブリーダーと聞いて、あなたが連想するイメージ。動物が好きな優しい人10%、悪徳ブリーダー80%、犬を愛している人たち12%、命よりお金が大事な人たち77%、反社会的組織の関係者が多い25%、純血種の血統、伝統を守ろうとする責任ある人たち35%、こういう結果が出ております。この結果をもとに、話を進めていきたいと思います。
 まず、これを見た業界の人たちは、ただでさえ儲からない商売なのに、こんな数値規制までされたら、ますます赤字だ、つぶれてしまう。何としても数値規制には、業界を挙げて反対したい。あるいは、幼齢動物の日数にしても、できればなしにしたい。あるいは、40日程度で手を打ちたいと、そのように考えているのではないかと思いますし、この数字を見れば、何だ、私たちは社会でこういうふうに思われているんだと。反社会的組織のメンバーの方が多いという。実際に私もそういう方が関わっている現場を幾つか目にしたこともありますけれども、そればかりではないということも、もちろんわかっております。
 ただ、命よりお金が大事77%、悪徳ブリーダー80%、これが民意だということをよく肝に銘じていただきたいと思います。
 そうなると、どうしても、ペット業界対動物愛護団体や民意、一般人、あるいは何もしてくれない行政対動物愛護団体という対立が予想されるんですけど、これは明らかにあります。間違いなく動物愛護団体の人たちは敵だと。業界の人は敵だと、そういうふうに考えていると思います。
 ただ、私が思いますに、この真の動物愛護国家を実現するたるめには、こんなことを言っている場合じゃないわけでありまして、この対立構造を解きほぐして、ともに協力し合って殺処分ゼロを目指し、動物に優しい、世界から尊敬されるような国になれるということが重要なわけで、今こそこの場を利用して、みんながいい方向に向かっていかなければならないというふうに考えておるわけでございます。
 私自身は、どうぶつ基金というのは五つのゼロということを言っておりまして、殺処分ゼロ、しがらみゼロ、交通費ゼロ、報酬ゼロ、それから天下りゼロという、こういうことを標榜しておる団体でございまして、そういう中で、どういうふうにすればいいのかということを考えていくわけですけれども、業界自体が、今なぜこういう悪徳ブリーダーが増えるようになったのかということをまず考えていかなければならない。まず、よく数十年から二十年前にペットショップで見られた光景の中に、2匹飼いなさいよと。2匹飼って繁殖すれば、えさ代もかせげるし、産まれた子は私たちが引き取って売ってあげるよというような、安易な素人ブリーダーを増やすようなことをしてきた。その結果、供給過剰になってしまうという形です。それで、儲からない業界になってしまいました。私自身は、もともと無報酬で、先ほども言いましたようにこの仕事をやっておりますが、もともとはビジネスの世界の人間でして、いかにお金を儲けるかということを一生懸命考えている人物でございまして、そういう立場からも、今回、この解決方法というのを考えさせていただきました。
 まず、儲からないということはよくないことであるというふうに、私は考えます。業界が儲からないから、むちゃな繁殖をしたり、無理なことをする。あるいは競りでたたき売るというような業態になってしまう。こういうことはよくない。業界が、あるいはこのブリーダーという業がなくせないのならば、それに関わる人たちが、ちゃんと食べていける業態に変えていく必要があると思います。
 参考資料2というのが、動物愛護をコンセプトとした地域再生事業の構築についての提案書というのがございます。これは非常に長いので、帰りの電車の中ででも、読んでいただければと思いますが。結局、こういうことでございます。大都市近郊の地方において、夫婦が600万円程度の年収を得ながら暮らしていけるような業態を考えようじゃないか。これをすることによって、限界農家やそういう問題、あるいはお年寄りしかいない村の問題、そういうことが全部解決できるんじゃないかという提案でございます。大変長いので、一度ぜひご覧になっていただいたらと思います。
 そういう私どもとしては、何もかもいけないんじゃなくて、こういうビジョンを持って、一緒に変えていきたいと。そのためには数値化が必要であるし、その数値化の具体的数値については、この民意を反映していただきたいと、そのように考えております。

【林委員長】 ありがとうございました。ご質問、ご意見はいかがでしょうか。どうぞ。

【浦野委員】 数値化ということについてお尋ねしたいのですが、数値化するということは大変わかりやすいし、判断もしやすいので、いい方法だと思いますが、いざ数値化しようとするそのときは、大変難しい問題でもあると思います。例えば、ケージサイズが出ていますけど、どのくらいのケージサイズが、その動物の愛護、すなわち動物にとっていいのかということを数値化するときに、どんな方法で、何を指標にして、その数字をはじき出すのか。そのときに、人間の見た目は、これはとても数値化できる根拠にはならないと思うんですが、実際の方法、あるいは指標としてどのようなことをお考えでございますか。

【佐上邦久氏】 科学的根拠ということについて、幼齢動物の件についても、あるいはケージのサイズについても、さまざまな意見があり、これだというのはなかなか見つからないというのが現状だと思うのですね。そんなときこそ民意を反映されるというのが、一番適切な方法ではないかと私は考えた上で、このアンケート結果を提示させていただいたわけです。

【浦野委員】 民意というのは、この数字で出ていますが、この民意が一体何を根拠に、そのお一人お一人が考えたのかは、ここには出てこないのですが。すなわち、見た目だけで判断していいのかということにもつながるんですけれども。

【佐上邦久氏】 見た目だけとは違うと思いますよ。この民意というのは、動物を飼っておられる方が多いと思います。そして、一緒に生活される中で編み出されたいろんな経験的な数値であると思うので、それが見た目だけで判断しているんじゃないかというのは、ちょっとおかしいんじゃないでしょうか。

【浦野委員】 見た目というのは、その人間の見た方からの側で…。

【佐上邦久氏】 いや、人間が見たのではなくて、一緒に生活した生活者として。

【浦野委員】 そうすると、動物の何かを指標にして、その方は判断されていると思うんですが、その辺も少し探っていただけると、我々としてはありがたいなと思います。

【佐上邦久氏】 今回、非常に短期間だったのですけれども、その辺のこれはボタンを押して決めることで書いてあるんですけれども、932名の中から、コメントがすべてつけられております。それで、これ実は今日つけようかと思ったんですけれども、A4用紙300枚を超える資料になりますので、これは皆さんの意見はすべてホームページ上、私どものブログ上で公開しておりますので、ぜひご参照ください。

【林委員長】 ドイツで鶏のケージ、バタリー式のケージですね、それの大きさが、現在の大きさは憲法違反だということで、連邦裁判所が判決を出したことがあります。そのときは、科学的に家畜の行動学をやっている研究者は、ヨーロッパにはたくさんいますから、そこでは鶏についてはどうだ、どの動物についてはどうだという、これは一定の根拠がありますから、それをもとにされたら、より強力な武器になるのかなというふうには思いますね。
 それから、ストレスをはかるのは、おそらくそのときに実験したのは、コルチゾールの値など、いろいろストレスの指標になるものがありますから、それを計ったり、いろんな方法を使っていますので、それも参考にされたらいいと思います。
 どうぞ、臼井委員。

【臼井委員】 大変膨大な資料をまとめられて、すごいなと思います。一つ、その母集団の932名についてお聞きしたいのですが、これはどのように選ばれたのですか。

【佐上邦久氏】 ここにも書いておりますが、動物基金にコンタクトをしていただいた方、実は「命つないだワンニャン写真コンテスト」という環境省後援で、環境大臣賞も下付きいただいている写真コンテストがあるんですが、そこに応募いただいた方のメールアドレスが一番多いです。そこから皆さんが、ブログ上で広げていただいたという形です。
 母集団の内容については、動物愛護ボランティアスタッフ16%、犬や猫などの里親になっている32%、この32%がうちの写真展に出していただいた方だと推測できます。その他は、いろんなブログに散らかって、50%以上の方が、いわゆる一般人。ただし、動物愛護については、非常に興味お持ちの方だとは思います。

【臼井委員】 そうしますと、本当に愛護にとても熱心な方と、それからそうでもない一般の方という、そのバランス的には、この母集団としてはどんなふうにお考えですか。

【佐上邦久氏】 この母集団としては、偏りは当然あるとは考えておりますが、どちらかというと、関心のある人、あるいは、それから動物愛護の推進について、反対をする立場の人というのは、まず考えられるのは、やはり業界の関係の方、残りのサイレントマジョリティについては、余り意見を持っていないんじゃないかなというふうには、僕は思っていますけれども。

【臼井委員】 そうすると、法律というのは、民意とおっしゃっていますが、その声の大きい人のものだけではなく、その民意もとても重要だと思うのですけれども、サイレントの方々のものでもあるかなとは思うんですね。

【佐上邦久氏】 もちろんそうですね。

【臼井委員】 ちょっと言い方が悪いのですけれど、それはどういうふうにして偏っていないかを、アンケートについてそういう検定をなさるのですか。

【佐上邦久氏】 偏っていると思います。ただ、偏っているとは思いますけれども、今回、動物愛護団体の意見を聞きたいということでしたので、この動物愛護を考えている方たち気持ちという…。

【臼井委員】 熱い想いですね。

【佐上邦久氏】 熱い想いじゃなくて、どのように考えている、僕も非常に興味がありまして、僕が、いや、それはドイツ並みに6m2、最低必要だろうとか言っていいのかなと、非常に思いまして、これはやっぱりみんなの声、動物愛護団体の代表としては、動物愛護を思っている人たちの声を届けるべきだと思って、このアンケートをあえて、資料を提出させていただきましたので、もちろん偏りはあるという、動物愛護団体としての立場、動物愛護団体を支援してくださる立場の人たちの意見です、これは。

【臼井委員】 ありがとうございました。

【林委員長】 そういう意味では、国民全体の民意ではないということですね。

【佐上邦久氏】 もちろんそうです。

【林委員長】 わかりました。
 どうぞ、打越委員。

【打越委員】 前半のところだけじゃなくて、お話を聞きながら、ちょっと後ろの方の資料を大急ぎで読ませていただきまして、29ページ目以降、ちょっと興味深いことが書かれているなと。これは、佐上さんの名前で最後まとめてあるので、佐上さんのご意見であると思います。29ページ以降ですね。上から二つ目の段落のところに、<現状の動物愛護の問題点>に、最大の問題点は、動物愛護活動そのものが、アマチュアリズム化していることだというふうに書いてあったり、あるいは、29ページの下から4行目、資金不足、周囲の無理解、行政の非協力などをうまくいかない理由として挙げる団体が見られるけれども、外部に責任を転嫁するとは、むしろプロフェッショナリズムとしてはよろしくないのではないかというご意見が書いてある。
 それから、30ページ目の上の段落には、行政批判をしていれば、動物愛護活動家としてのアリバイがつくれるというような姿勢が見受けられると。行政だったら、どんなに悪口を言っても言い返してこないだろうという感じで、自己陶酔しているのもおかしいんじゃないかと書いてある。
 それから、31ページ目の下から13行目あたりからですけれども、繁殖業者の現場を、ブリーダーとかの現場を見ることなく、業界イコール悪、そういうようなイメージだけで語っているのも、問題なのではないかというふうに書いてありまして、その他、さっと読んだところですけれども、その動物愛護活動のアマチュアとプロフェッショナルというのは、どういう基準なんだろうかと。例えば、知識を持っているか持っていないかというだけでなくて、佐上さんとしてみれば、その精神構造のようなものに踏み込んでいらっしゃるので、法改正の場面でこの動物愛護活動そのものについても考えていかなければいけないと思うので、そのアマチュアとプロフェッショナルとはどう違うのか教えていただきたいと思います。
 それと、もう一つだけ。アマチュアとプロフェッショナルという議論に関して伺います。引き取った犬や猫に対する自治体による致死処分について、皆さんは殺処分とおっしゃりますけれど、担当者が殺したくて殺しているわけではないので、私は致死処分という言葉をなるべく使うようにしています。安楽殺とは言わずに、安楽死と言うわけですし。その致死処分についてゼロを目指すのは、もちろん大切ですけれども、現状において、そう簡単にゼロにできない。どんどん持ち込まれてくるという状況で、民間団体がもし現場の行政と協働しようと思った場合に、致死処分についてどのような姿勢で臨むのがいいのかなというのが、私は悩んでいるところなのです。ですので、それがアマチュアとプロフェッショナル、民間団体のアマチュアとプロフェッショナルで違うのか。そもそも佐上さんの、その基準等を教えていただきたいというふうに思います。

【佐上邦久氏】 よろしいですか。まず、アマチュアリズム、プロというのは、一般的な考えとしては、お金が儲かっているか、儲かっていないかというのが、プロ野球の選手とアマチュアの選手の違いであるというふうには思いますが、この場合、私たちが使ったのはそういう意味では全くございません。私も一切報酬をいただいておりませんし、天下りもやっていないというのは、先ほど申し上げたとおりで、無報酬で働いております。
 ただ、ここで言われるアマチュアリズムとプロフェッショナルの違いというのを端的に申し上げると、実現可能なビジョンを持って動いているかどうかだということだと説明させていただきたいんですが。

【打越委員】 実現可能なビジョンを持っているということが、逆に言うと、余りにも高い理想を持っているような団体は、アマチュアリズムだということになるのでしょうか。

【佐上邦久氏】 いえ、違います。私どもは、常日頃から、殺処分ゼロを目指しておりますし、私たちの使命は、殺処分ゼロですと、私のシャツの背中にも書いてありますけれども。殺処分ゼロに向かう過程に当たって、どのようにすればそれが実現可能なのかというビジョンを提言できるかどうか、そこだと思うんですね。反対意見を述べられる方というのは、代案が必要だというふうに、私たちは考えております。代案を持っているかということが、アマチュアとプロの違いだというふうに思っておりますので、一つの提案として今回、この資料を提出させていただいた次第でございます。

【林委員長】 いただいた資料の一番最後(35ページ)ですけれども、ここに「情の先行する部分については、適当に割り引いてお読みいただければ幸いです」と、こう書いてある。ここに書いておられるのは、おそらく情と理があって、その情と理のバランスをきちっととっているのが、プロフェッショナル。あるいは、現実と、それから理想をきっちり考えておられる、そういうのがプロフェッショナル。だけど、佐上さん自身も、時には情の方が先行してしまうことがあるから、こう書かれたのだろうと思いますが。

【佐上邦久氏】 正直申し上げまして、すべて情ですよ。私たちの動かすものというのは。ただ、情だけでは通らないのが常ですから。情ですよ、100%、情です。

【林委員長】 わかりました。永村委員、どうぞ。

【永村委員】 佐上さんが、資料の後段で地域の活性化のために、この動物愛護村をつくろうと提案をされていますけれども、これは全く国の補助金なんかは必要ないという前提で、このプランをおつくりになったのでしょうか。

【佐上邦久氏】 これをよくお読みいただいたらわかるのですが、国に補助を求めない。ただ、行政に求めるのは、協力的な体制。例えば廃村の家でありますとか、廃校の校舎、そういうものを無料で、あるいは低家賃で提供していただきたいというふうに書いております。

【永村委員】 なるほど、わかりました。それと、33ページの一番下の[4]のところですけれども、一つの家庭で二、三頭の飼育は十分に可能だと。つまり毎月二、三万の副収入源が生じますと。これは先ほどおっしゃった、いわゆるペットショップが販売した先に、あなた、2頭飼いなさいよと。1匹だけじゃなくて…。

【佐上邦久氏】 これを全部ちゃんと読んでいただきたいんですが、これは限界集落等を設定しておりまして、まずブリーダー団地のようなものを作成する。その上で、地域のおじいちゃん、おばあちゃんで、収入は別に年金があるから必要ないやという人に、しっかりとした管理のもとで普段の飼育を、こういうえさをやってくださいということが可能なんじゃないかと言っているんです。

【永村委員】 わかりました。

【林委員長】 それでは、井本委員。

【井本委員】 これは佐上さんに対する意見じゃなくて、事務局にお願いしたいんですが、32ページに佐上さんも書いていらっしゃいますが、殺処分頭数はじりじり減っているという。場所によっては待たなきゃいけないという、そういうところもあるわけです。ですから、やっぱり冷静に議論をするためには、30年ぐらい前、あるいはもうちょっと前からで結構ですが、定時的に各地方公共団体でどのぐらい減っているかというのを、数字で見せていただければ、やっぱり随分違うと思います。
 かなりぐっと減っているところと、そうでもないところの差は、どこにあるんだということを検討すれば、かなりいいヒントが得られるというふうに思います。

【林委員長】 そうですね。殺処分数は、皆さん、持っておられる資料で言うと、第26回中央環境審議会動物愛護部会のときの動物愛護管理基本指針の第3回点検について、図表をいただいていますが、これは小委員会の皆さんも持っておられるのでしょうかね。ここには全国の殺処分数の30年間分ぐらいのグラフがあります。さっき日本動物虐待防止協会の方が、28万6,000頭というのを出しておられますけど、これは27万6,000頭の間違いだと、おそらく思います。違いますか。

【野上委員】 それは28万6,000頭です。当会では過去10年間、各自治体のアンケート調査をしまして、平成20年度はそういう数字です。犬については、毎年2万頭くらいずつ減少しています。ですので、あと5年くらいで、もう本当に少なくなるというふうに予想しています。

【林委員長】 私もそう思います。そうすると、環境省の方でおまとめいただいている数字の方が違っていることになります。犬と猫が平成20年は27万6,000頭になっているんですよ。ちょうど1万頭の違いなんですよ。これは後から調べておいてください。

【野上委員】 それは環境省が引き取り犬を中心にしていまして、私たちの調査は捕獲犬も含めているんですね。法律が違うためなどで、自治体で一緒にしているところと分けているところがあって、その混乱がまだ生じているわけです。昔はもっとその差がひどかったです。

【佐上邦久氏】 最後に一言よろしいでしょうか。最後、一番言わなければならないことを言っておきます。繁殖場それから小売店から消費者に至るまでに、15万匹産まれたものが、7万匹に減ってしまうという現状。それが安売りの価格破壊の原因になって、最後は殺処分にされるというような現状もあり、それから、このアンケートの中に、一般人にも繁殖を規制すべきであると。今、ロサンゼルス市なんかでは、不妊・去勢を義務づけていますが、こういうことをすることによって、業界は確実に需要が、その業界から犬や猫を手に入れるだけしかなくなるわけですから、約200万頭の需要があるわけですから、2,400万頭と言われていますので、犬・猫の一生を12年と平均して、確実に殺処分に協力をゼロに向けて、動物愛護団体と業界が手に手をとって、あるいは行政がやっていくことによって、大変いい状態になる。みんなウィンウィンの関係になるということをつけ加えておきたいのと、先ほども特にお耳に痛いことをあえて申し上げましたジャパンケネルクラブの方や、ペット協会の方に申し上げました。やくざと思われている、あるいは命よりお金が大事な人たちと思われているブリーダーというイメージはどうだというのは、そういうのが80%あるわけですよね。
 実は、私自身の話を少しいたしますと…。

【林委員長】 短くお願いします。

【佐上邦久氏】 短くやります。うちの父親は不動産屋でした、10歳のときに。私、今50歳なんですが。不動産屋というだけで、友達に悪徳不動産と、そんな不動産屋じゃないんですけど、そういうふうに言われました。こういう業界ではいけないと思ってください。ぜひ一緒に協力して、変えていきたいと思っておりますので、いがみ合うことなく、一緒にやりましょうということを。

【林委員長】 ありがとうございます。では、加隈委員。

【加隈委員】 ちょっとコメントみたいになってしまうかもしれないのですけれども、最初の方のお話で、ケージでの密飼いというところで、農水省の方で、鶏ですとか、ほかの一般的な産業家畜に関して、ガイドラインの検討というのはなされてきていると思うんですが、産業家畜と違って、どうしても犬・猫で同じような研究としてやるということが、非常に難しい点が既にあると思います。なので、ご提案として、民意で評価するというところは、一つのおもしろいポイントだとは思うんですね。この法律が、動物主体としての、動物の福祉を守ろうとするのか、それとも人間がどう感じるかというところに主体を置くのかということは、一つの論点じゃないかと思っているんですけれども、動物のことを考えたら、動物のことを調べなければ、やっぱりきちんとした数字は出せないと思うので、先ほど林先生がおっしゃったような、生理的なものとかをきちんと調べていくことが必要になりますが、そうなると、こういう状態ではどうなのかということを、まず調べるという。その動物たちをまずストレス下に置くということをやらないといけない。
 産業家畜ではそれをやってきているという経緯があるんですが、それでも数値でばしっと客観的な評価として出していくことに対しては、どう思われますでしょうか。

【佐上邦久氏】 私は、客観的な評価というのが、非常に曖昧で、議論百出だと思うので、それよりも一般にいつも飼っている人が、動物が幸せに飼われている状態というのは、どういう状態かということを示すために、このアンケートを提出させていただきましたので、こちらの方が重要視されるべきだと思っております。

【加隈委員】 確かに、一般の人がどう思うかという部分は必要です。あと獣医師とか現場の人がきちんと評価をできるような体制で…。

【佐上邦久氏】 これは現場なんですよね。一般の人が犬を飼っているということは現場そのものじゃないですか。

【加隈委員】 その部分に関しては、良いご提案だと思いますが、母集団については、多分、もう少し広げていくことが必要だなと思いました。

【佐上邦久氏】 はい、今後やっていきたいと思います。

【加隈委員】 ありがとうございました。

【林委員長】 では、太田委員。

【太田委員】 3ページの中ほどに、15万匹が流通過程で7万匹に減ってしまうとあります。これは安売りされて、価格破壊、最後は殺処分となっています。その8行目ぐらい下に、15万頭、農水省という数字が入っていますが、私たちにはこの数字は全く考えられないのですが。

【佐上邦久氏】 これは農水省からの数字でございます。20年度ぐらいだったと思います。

【太田委員】 農水省はこういう数字を出さないと思います。

【佐上邦久氏】 出しておりますよ。

【太田委員】 環境省が先日出した流通過程では、流通外は約2%というような数字がありましたよね。私たち現場では、この辺が実感です。これも調べておきましょう。確認してください。

【林委員長】 では調べていただきますようお願いします。それでは、どうも本当にありがとうございました。

【佐上邦久氏】 ありがとうございました。

【林委員長】 それでは、最後はNPO法人しっぽのなかま代表理事の佐藤さんですね。お願いいたします。

【佐藤陽子氏】 茨城県に在住しております、しっぽのなかま代表の佐藤陽子です。よろしくお願いいたします。
 犬・猫の保護活動を続けてきて17年になります。平成15年度からは、委託業者として、動物指導センターに業務を行い、現在に至っております。
 主な業務内容は、犬・猫、最近は、カミツキガメというのが警察からよく出てくるようになりました。これの依頼を受けて、市町村、警察、動物病院などに依頼要請のあったところに出向いていって、センターまで運んで収容するという作業と、あとセンター自体が7台の車を使って、毎日収容してくる犬たちも含めて、その犬たちの給餌、給水、清掃、その管理と、3日間の収容期間を過ぎました犬・猫たちのガス室での致死処分、遺体確認をしました後、焼却をする作業を行っております。
 保護活動をしていながら、今日、お手元にお回ししました資料の写真のように、ガス室に入れなければいけなくなりまして、助けられずに、ガラス戸1枚向こうで、ばたばたと苦しんで死んでいく犬たちを見て、何もしてやれない自分が、いつも犬に謝って、それしか、ごめんさないと言ってやること、それだけしかできない自分が、情けないといつも思っております。
 ガス室で命を絶たれる、年間約30万匹近い犬や猫はもちろんですが、毎日その作業に当たっている作業現場には、何千人、何万人の人間が苦しみながら、それをやっているということを皆さんに忘れてもらわないようにしていただきたいと思っております。
 一日も早く、世の中が処分ゼロの世の中になるように、切に願っております。今日は、動物愛護法の適正化という案件ですので、こちらに出されました深夜販売について、私は深夜販売は全面的に廃止していただきたいと思っております。犬や猫の習性から考えても、照明の下で深夜に人目にさらされていることは、小さな犬や猫の大きな負担になると思っております。
 販売時間ですが、販売時間は、10時から7時ぐらいまでが、短いには越したことがありませんが、そのぐらいが望ましいと考えております。月齢によって休憩時間を考慮しながら、子犬、子猫の幼齢期の性格形成とか、健康のことなども考えて、重要なことではないかと考えております。
 移動販売ですが、店舗を持たない移動販売というものを、私は田舎の方にいて、見たことがありません。ただ、言葉から聞いて、犬・猫たちは、ストレスがかかるんだろうなということとか、購入後のトラブルなんかも出るんじゃないか。そういうことから考えまして、移動販売はやっぱり全面的にやめてほしいです。
 次に、インターネット販売ですが、命をインターネットで取引するというのは、全面的に禁止してほしいと思っております。インターネットは、遠くから購入する場合もあると思うので、その輸送面ですか、先ほど飛行機か宅配便というお話がありましたけど、飛行機ならともかくとも、宅配便なんかでは、とにかく暑いとか寒いとか、着いたときにもう死んじゃうほど衰弱しちゃうということが考えられるのではないでしょうか。そういうことからも考えて、インターネット販売は、私は全面的に廃止をお願いしたいです。
 犬・猫の幼齢の販売日数、幼齢動物の販売日数ですが、8週を過ぎてから、販売が望ましいのではないかと考えます。ワクチンが2回以上打てるぐらいであれば、買われていった先でも、すぐ死んじゃったとか、1日や3日で死んじゃったとかというお話をよく聞きます。そういうふうなこともなく、動物病院との関わり、そういうふうなことも利点があると思っております。これは、ですから8週齢以上ということです。
 繁殖制限措置ですけれども、年1回、5歳ぐらいまでの繁殖が限界ではないかと思っております。産むことについて、限界はこの年齢じゃないんでしょうが、その後のこの繁殖に使った後の母犬、母猫をどうするかということが、大きな問題だと思っております。私のように、保護活動の方を長くやっておりますと、もう8歳にも9歳にもなるととにかくぼろぼろになってきちゃって、歯はないわ、目は白内障というと、助けても、とにかくもらってくれるというか、送り出すところがなく、なるべく若いうちに、5、6歳のうちに次の生活できる場のところに、譲り渡すことをお願いしたいと思います。
 飼養施設のケージの大きさとか、そういうのですが、これは犬の大きさなどによって、違ってくるとは思います。ただ、トイレをしたときに、逃げ場があるとか、遊べるスペースとか、時間によって運動させられる、そういう場所があれば別ですけど、ちょっと何時間かだけ、少し狭いけど、そこに入っていて、あとはお散歩を待ってとはいかなくても、少し動ける、そういうふうなことができればあれですが、きっとペットショップの業界の方では、そういうことは無理なんじゃないのかしらと思います。
 それと、私が一番問題にしたいのは、ペットショップで売っていたり、繁殖犬を置いているブリーダーのところでは、ケージをみんな重ねて、2段にも3段にもしておりますけど、あれを禁止にしてもらいたいと思います。上にいる子が、がたがたやっていたのでは、下にいる子はたまらないんじゃないかなと思うんです。万が一、重ねるようなことになる場合は、別な段を一つ、何かをつくって、そのケージの上、直じゃなく、その台のまた一つ上に置くというような、そういうふうな方法というのは、考えられないんでしょうか。
 ここに挙げられました幾つかの点以外に、先ほどから問題のオークションの件、それも今後の問題点としてお話し合いをしていただかなければならないと思っております。動物取扱業が国家試験などのライセンス制になれば、ペット流通の大元になる業者の皆さんが、心身とも健康な動物を世に送り出して、なお一層の責任と誇りを感じていただけることと思います。そして、生態や歴史、遺伝病などの専門知識を備えたエキスパートだけが、この業界に入れるというような誇りも持っていただきたいと思っております。近い将来、ライセンス制の導入なども検討していただきたいと思っております。
 私からの意見です。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ご意見、どうぞ渡辺委員。

【渡辺委員】 毎日のセンターでの業務、お疲れさまです。ありがとうございます。佐藤さんが、センターの現場でご覧になっていて、明らかに業者からの犬や猫であろうと思われるような、例えば、同犬種がまとめて連れてこられたりとか、明らかにこれは何回も繁殖した後の犬や猫であろうとか、あるいは、不用となった猟犬ではないかと推測されるように犬、そういうケースはどれくらいありますでしょうか。

【佐藤陽子氏】 どのぐらいと言われて、年間どのぐらいとかっていうお答えはできませんが、私がセンターの中にいて、結局、ブリーダーらしき人とか、同じ犬種、小型犬、もうぼろぼろ、歳も結構いっている。そういうふうな犬たちが、持ってこられましても、事務所の方で、私たちが全然違う建物の方で事務手続が済まされて、犬だけが私たちが管理している場所に来ますので、持ってきた人とのお話はできません。ただ推測するだけですが、もともと捨てられたところから保護されてというか、捕獲されてきて、これはブリーダーで使われていた犬だなとかわかる場合があります。自分が譲り受けてきまして、トリミングをしたり、避妊手術をいざしようと思いますと、結局もう切った跡があります。また切っちゃったら、それはかわいそうなことになっちゃいますので、獣医師さんも悩むんですけど、結局、開けてみるしかわからないので、開けてみますと、子宮も卵巣も残っておりまして、それでこれは帝王切開の傷だったということがよく多いんです。それから判断して、ブリーダーが使っていた犬だとわかります。
 それとあと、飼い主が死亡したとかで、20匹、30匹、多いときは60匹ぐらい来たこともあります。そういうふうにして、飼い主死亡だとか、何かの事情でブリーダーから持ち込まれましても、私たちが直接その方たちとお話をするということではないので、結局、センターの職員の人から、ブリーダーをしていた人とか何かというのを聞くような、そんなふうな状態で、はっきりした理由がわかりません。

【林委員長】 よろしいですか。
 じゃあ、水越委員、どうぞ。

【水越委員】 現場からの話ということで、非常に興味深く聞かせていただきました。この繁殖制限措置のところで、その繁殖犬の犬・猫をその後どう扱うのかというところがあって、実際、私事ですが、最近、同犬種まとめて遺棄されて、その1匹を引き取ったばかりなんですけれども。やっぱり、ここの部分、私もすごく重要だなというふうに思っているんですが、個体識別を、これも本当にもっともだと思いまして、終生飼育にする体制づくりこそ、何よりも重要だというふうにお書きになっているんですが、具体的にというか、どういうふうにするといいんじゃないかなというふうに、現場の立場で思うか、お聞かせいただきたいと思います。

【佐藤陽子氏】 結局、ブリーダーというか繁殖場にいる犬たちは、1匹、1匹をマイクロチップか何かで個体識別をして、結局、何回出産したとか、何歳になったとか、そういうふうなことをきちんとデータにしまして、もう5歳、6歳ということで、そういう老犬の部類に入ってくるその子たちを、早目に譲渡団体や何か一般の方にでも、今結構、年配の方たち、ひとり暮らしというか、お寂しい人たちか何かは、若い子をあげられませんので、年配の人たちに引き取ってもらうとか、そういうふうな何らかの方法で、その子たちの生きていける道というか、そういうふうなことを考えないと、結局、それはもう即、使用済みになったら、処分場に来るという、それだけしかあれがないので、処分ゼロを目指してとは申しましても、今の現行での法律では、なかなかそういうわけにはいかないと、私は思っております。

【林委員長】 野上委員、どうぞ。

【野上委員】 業者からの引き取りということなんですが、私たちの会で調査したところ、かなりの自治体が、業者から引き取っているんですね。引き取る際に、業者かどうかを確認していますかという質問をしたところ、していない自治体もかなりありました。業者であると確認していても、引き取っている自治体もあります。その際に、業者から引き取るべきかどうかという問題が生じてくると思います。
 先ごろ、尼崎で毎年50頭ずつ、業者の売れ残りの犬を行政が引き取って、殺処分していたという事例がありますし、これは全国の自治体で起こっていることなんですね。ですので、業者の、いわゆる不良在庫というか、繁殖ができなくなった犬ですとか、遺伝的な障害を持っていて売れないとか、病気になったとか、そういう犬を行政が引き取ること自体がどうなのかという点について、ご意見をお聞かせいただきたいと思います。
 それから、もう1点は、そういう動物でも引き取って世話をして、新しい飼い主を探そうという動物愛護団体の方々の、本当に並々ならぬ努力もあります。しかし、その愛護団体の中には、きちんと世話できないで、問題を生じているところもあります。
 例えば、動物愛護団体も登録制にして、きちんと基準を守りながら、適正飼養して、譲渡していくということも考えられるんですが、動物愛護団体も登録制にすることについては、どのようにお考えでしょうか。この2点について、教えていただければと思います。

【佐藤陽子氏】 最初のご質問ですけれども、繁殖の終わった犬たち、それを引き取らない、今日も私、実は地元のセンター、自分が行っておりますセンターに、課長に電話をして、今日、こういう会議に出るんですけれども、そういう質問が来たら、どういうふうにお答えしましょうかということを電話で聞きました。そうしましたら、今は引き取っていないというふうな答えでした。その課長は、4月から新しく来た方で、センターは早いと1年、長くいても2年、3年という感じで、もう異動していっちゃいますので、その異動になる度に課長がかわると、すぐやることが全然変わっていっちゃうんです。
 ですから、じゃあ今年の4月から課長が来たんですから、4月から引き取らないというふうになったんですかと言ったら、よく話を聞いて、特別な事情がない限り、引き取らない方針にしておりますというような、今日の課長のお話でしたけれども、それじゃあ、そういうことが今まであったんでしょうかと言ったら、ありませんということでした。それに、引き取らなかった子を、じゃあ野原に捨てられちゃうんじゃないんですか、それをまた捕獲が行って捕まえてくるというふうな、多分、繁殖に使って、もういらないと思って、センターの方へ出そうと思っている業者の方が、またセンターに断られたと言って連れて帰って、お食事を与えたり、産んでくれる子たちにお水やえさもろくにやらないのに、その不用なワンちゃんたちにえさをやって、ちゃんと面倒を見るなんて、とてもとても考えられませんので、途中で捨てちゃいますでしょうって言いましたら、それにはお答えはなかったですけれども。
 ただ、ボランティアの仲間でも、結局それを引き取るのはおかしいと言う人もいます。あと、引き取るお金をもっと高くしろという人もいます、引取料を。でも、高ければやっぱり捨てちゃいます。
 それと、引き取らなければ、結局、野たれ死ぬか、もういい加減使われて、よれよれしてきた子たちが捨てられるんですから、私にはちょっと、それは自分ではとても、ガス室の方がまだ何分間かの苦しみで、まだいいのじゃないかというような。私は、引き取って、何とかできれば安楽死にしてほしいですけれども、そういうふうに引き取ってやってほしいと、私個人は考えております。
 それともう一つの愛護団体の登録制には賛成です。うちにもたくさんの犬がおりますけど、県の条例に基づく届け出はしております。それでも、きちんとそういうふうに決まった方が、悪いところはなくなりますので、それにはそうしてほしいと思います。

【林委員長】 よろしいですか。
 ほかにいかがでしょう。打越委員と臼井委員から。

【打越委員】 今の佐藤さんが、前半の質問、業者からの引き取りをどう思うかということについてお答えになったところに、本当に私も、そのとおりだというふうに思います。ターミナルケアというものを一番大事だと考えて、それでこういった業務に関わっていらっしゃるんじゃないかなというふうに思います。そういった辛い覚悟をしてくださる方がいることで、行政に収容されている犬とか猫の最後の福祉が保たれるのかなと思っておりますので、頑張っていただきたいとそれだけお伝えしたいと思いました。

【佐藤陽子氏】 ありがとうございます。

【林委員長】 では、臼井委員、どうぞ。

【臼井委員】 ちょっと教えていただきたいのですが、とても大変なお仕事で、ありがとうございます。皆さん、人間の方ですけれども、お仕事をなさった後のケアみたいなのは、何かシステムとしてあるんでしょうか。

【佐藤陽子氏】 何もないです。何もしておりません。

【臼井委員】 行政側で、そういうケアをなさっているようなところはあるんでしょうか。人間に対してのケアは。

【佐藤陽子氏】 その辺はわかりません。野上さんの方がお詳しいかも。うちの方では、それは全然ありません。私どもも全然、私自体、うちの作業員には、何もしておりません。

【林委員長】 宮崎の口蹄疫にたくさんの人が支援に駆けつけたんですけど、そのときの支援者や畜産農家に対する精神的な手当というのは、非常に重要じゃないかと言われていますけれど、おそらく、そういう辛いことを経験されている方に対する何らかの精神的な支援を検討する必要があるのではないかと思いますが、いかがですか。

【佐藤陽子氏】 それは一日も早く、安楽死にしてほしいと思っておることです。

【林委員長】 ほかによろしいですか。
 それでは、加隈委員、どうぞ。

【加隈委員】 今の点についてなんですけど、私もそこはすごく気になっていたところを指摘していただいてよかったと思ったのですが、行政の方も含めて、その業務に携わる方のストレスというか、ケアすべきという部分は、かなりあると思います。海外のチャリティー団体でそういう業務をやっているところは、人をローテーションにするとか、そういう人たちに対しての特別休暇とか、カウンセリングの体制をしっかり持っているところはありますので、これは全国でどういうふうに、今なっているのかというところを、ぜひ何か資料なり調査なりがあれば、知りたいなと思いました。

【林委員長】 そういうことですね。

【佐藤陽子氏】 最後に一言。委託業務でも、今は入札式なものですから、お金のたたき合いということで、結局、安い業者じゃないと、その仕事をもらえず、別な会社が来ます。なので、結局、無理をして、今年はやめよう、今年はやめようと思うんですが、やっぱり入札が近づくと中にいる犬や猫のことを考えてしまって、ほかの人にはとても任せられないというので、つい無理をして、安い金額になってしまうため、働いている者たちも、週に1回ぐらいの休みしか与えられません。それと、元日でも何でも、365日の仕事なので、もう少し働いている作業員に、少しゆとりのあるお休みや何かをしてあげたいといつも思っております。

【林委員長】 ありがとうございました。

【野上委員】 それについてちょっと。

【林委員長】 どうぞ、野上委員。

【野上委員】 茨城県のように、外部に委託して、業者の方々にやってもらおうという自治体が結構増えています。そして現実に、いろんな部分、部分については、外部委託をしている自治体もとても多いです。しかも、今、自治体の人が少ないとか、やり手がないとかで、全部嫌なものを外に委託してしまって片づけようという方向になっています。それなので、私は犬・猫の引き取りですとか、収容、処分に関しては、きちんと国が一定レベルの水準でいけるような基準をつくり、またそこで働く人たちも守られるような仕組みをつくっていかないと、このまま外部委託が進んだ場合、さらに今よりも悪くなる可能性もあるということを危惧しています。
 ですので、ぜひその点は、佐藤さんからも発言していただきたいと思います。

【佐藤陽子氏】 わかりました。

【林委員長】 ありがとうございました。
 ほかにはよろしいでしょうか。今日、4件をご説明いただきましたけど、佐藤さんもおっしゃった動物のストレスの問題については、おそらく余りにもひどいので、これは動物に聞かなくても、彼らが大変だということがわかる状況というのはたくさんありますが、もっと多くの人たちの理解を求めていくためには、先ほど言いましたように、ある種の科学的な裏づけが必要だと思います。
 今、思い出したのですが、宇都宮大学に青山さんという准教授がおりまして、彼が動物の、特に家畜の移送などのいろいろな種類のストレスについて、研究している方です。おそらく日本では第一人者だと思いますけど、こういった方もおりますので、機会があれば小委員会でお呼びして、お話を聞けたらなと思います。
 ほかにご意見は。では、小方委員、どうぞ。

【小方委員】 今お話を伺っていまして、過去のつたない経験を申し上げます。私、大分昔ですが、アメリカの動物病院におりました。そのときに全く所得のない方が動物を連れてこられていたんですね。診療費はどうするんだろうと思いました。きちんと費用をいただいているんですね。これはどうしてですかとお聞きしましたら、所得のない人こそ、動物が必要なんだ。それを補助するのはボランティア、そしてもう一つは、行政がやっているんですよというようなことを言っていました。その病院を通して私が本を買うときには、動物の治療のために貢献をなさっているということで、本の価格まで安くなっていました。
 こういう考え方というのは、実に理想的なんですが、この前、そこの病院の方が来られたので、今、ああいう形というのは、現在も続いているのか聞きましたら、いや、財政的に大変で、だんだんあの制度が下火になっていますと言っていました。したがって、さっき佐藤さんのおっしゃったように、いろんな人がケアするのに、小さなグループの人ではなかなか難しいと思います。努力なさった方には、何らかの大きな組織がバックアップしていく体制が本当に豊かな国づくりにつながっていくんじゃないかなと感じました。

【林委員長】 どうぞ、斉藤委員。

【斉藤委員】 私、行政の立場で一言お願いというか、行政の中でも、いろんな枠組みの中で、かなり最近は一生懸命やっているところがたくさんあるかと思います。ぜひ、電話でやるとかじゃなくて、しっかり冷静に、それぞれの意見を交わしながら、やっぱりお互いにいろんな枠の中でも目指すところは、一致しているんじゃないかと思っているんですよね。だから、ぜひ冷静な議論をしながら、私たちもいろんな意見を聞いて、行政の立場で聞きながら進めたいと思っていますので、よろしくお願いしたいと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 それでは、今日はここまでということで、最後に局長より、ご挨拶をお願いします。

【鈴木自然環境局長】 どうもありがとうございました。今日は本当に熱心にご議論いただきまして、予定の時間を少しオーバーしてしまいましたが、今日ご指摘いただいて少し調べるようにというお話を幾つかいただきましたので、少し時間のかかるものもあろうかと思いますが、第4回以降、順次できたものからご説明させていただこうというふうに思います。明日また、ヒアリングで大変恐縮でございますけれども、またどうぞよろしくお願いいたします。

【林委員長】 どうもありがとうございました。
 それでは、事務局にお返しいたします。

【事務局】 それでは、ヒアリングで今日おいでいただきました皆様と委員の皆様方、熱心なご審議、ありがとうございました。これをもちまして、本日の動物愛護管理のあり方検討小委員会を閉じさせていただきます。ありがとうございました。