中央環境審議会動物愛護部会第1回実験動物小委員会議事録

1.日時

平成17年10月3日(月) 午後3時30分~午後5時13分

2.場所

虎ノ門パストラル 新館6階 ヴィオレ

3.出席者

林 良博 委員長
清水 弟 委員      前島 一淑 委員
池田 卓也 委員 浦野 徹 委員
鍵山 直子 委員 柏木 利秀 委員
篠田 義一 委員

山口 千津子

委員
南川 自然環境局長

東海林 動物愛護管理室長

4.議題

(1)
動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第68号)の施行等の在り方に関する諮問並びに中央環境審議会動物愛護部会実験動物小委員会の設置について(説明事項)
(2)
実験動物の飼養及び保管等に関する基準の改定について(審議事項)
(3)
その他

5.配付資料

資料1-1 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第68号)の施行等の在り方に関する諮問書等
資料1-2 実験動物小委員会の設置及び運営方針
資料1-3 検討スケジュール
資料1-4 中央環境審議会議事運営規則
資料1-5 実験動物の飼養及び保管等に関する基準の改定について(動物愛護部会(8/4)資料の抜粋)
資料2-1 実験動物の飼養及び保管等の適正化に関する法規制の仕組み
資料2-2 実験動物の飼養及び保管等の適正化に係る昨今の動向
資料2-3 実験動物の飼養及び保管等の実態
資料3 「実験動物の飼養及び保管等に関する基準の改定」の基本的考え方(案)
参考資料1 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第68号)の概要
参考資料2 実験動物の飼養及び保管等に関する基準
参考資料3 家庭動物等の飼養及び保管に関する基準
参考資料4

展示動物の飼養及び保管に関する基準

6.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、中央環境審議会動物愛護部会実験動物小委員会を始めたいと思います。
 まず、本日の委員の皆様のご出欠についてご報告いたします。
 本日は、委員9名全員ご出席されており、中央環境審議会運営規則による定足数を満たしておりますので、小委員会は成立しております。
 本日は、第1回目の小委員会ですので、開会に先立ちまして、事務局より委員の先生方のご紹介をさせていただきます。
 まず、本小委員会の委員長には、8月4日に開催されました動物愛護部会において林動物愛護部会長が指名されておりますので、ご紹介申し上げます。

【林委員長】 よろしくお願いします。

【事務局】 続きまして、池田委員でございます。
 浦野委員でございます。
 鍵山委員でございます。
 柏木委員でございます。
 篠田委員でございます。
 清水委員でございます。
 前島委員でございます。
 山口委員でございます。
 あわせまして、環境省の出席者を紹介いたします。
 南川自然環境局長でございます。

【南川自然環境局長】 よろしくお願いします。

【事務局】 東海林動物愛護管理室長でございます。
 それでは、林委員長、よろしくお願いいたします。

【林委員長】 それでは、ただいまから第1回の実験動物小委員会を開催いたします。
 最初に、南川自然環境局長からごあいさつをいただきます。

【南川自然環境局長】 どうも、皆様、自然環境局長の南川でございますが、本日はお忙しいところ、ありがとうございます。
 この動物愛護管理法でございますが、今年の春に法律が改正されまして、6月22日に公布されました。来年の6月1日の施行を目途に、現在いろんな形の準備を進めておるところでございます。
 林委員長にお世話になりながら、いろんな省令とか、必要なものを今決める準備をしておるところでございます。
 その間にも、ニュースになっておりますけれども、本来管理者がしっかり管理すべき動物が逃げてしまう、そして、非常に、ある意味で半ば、少し軽いタッチなんですけれども、マスコミで取り上げられて、その管理の悪さが話題になると。そういう残念なことが幾つかあったわけでございます。これはこれで危険動物の処理の問題、管理の問題として別途対応すべきでございますし、また、そのほかにもいろいろと、この問題は大変身近なだけに、その関係するところも多うございます。私ども、逐次、来年の法律の施行に向けて準備をしていきたいと思っておるところでございます。
 それで、きょうの小委員会でございますが、これはさまざまな、来年6月1日の施行までに準備すべきことの中で、動物の実験についての指針をつくる、指針の告示をつくるということでございます。
 動物の実験の問題につきましては、さまざまな要請がございます。国際的にはReplacement、Reduction、Refinementということで、3Rの原則というものがあるようでございますが、我が国ではこれまでのところはそこまでいきませんで、できるだけ動物に苦痛を与えない方法でその実験を行うんだというふうにだけ、法律にもあったわけでございます。
 今回の法改正の中で、その3Rを取り入れまして、読み上げますと、「科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり、代わり得るものを利用すること」、また、「できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により動物を適切に利用することに配慮するものとする」ということが加わったわけでございます。
 これを受けまして、私ども、文部科学省、厚生労働省と分担しながら、その配慮事項についての指針をつくっていきたいと考えているところでございます。
 これを今日お願いいたしますのは、そのうちの実験動物の飼養保管に関する指針の扱いでございます。現在のものもかなり工夫しておりますけれども、必ずしも今日的には即していない部分が多いと思います。ぜひ、皆様の活発な議論を期待したいと思うところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、議事に入りたいと思いますが、その前に事務局から配付資料について確認をお願いいたします。

【事務局】 はい。それでは、配付資料の確認をさせていただきます。
 まず、中央環境審議会動物愛護部会第1回実験動物小委員会という議事のついた資料、それとヒアリング対象団体という資料、それと中央環境審議会動物愛護部会実験動物小委員会の日程調整についてという資料、それと座席表になっております。それとともに実験動物小委員会の指名に係る通知書を一式置かせていただいておりますので、ご確認をお願いいたします。もし資料に不備がございましたら、事務局までお申しつけ願います。よろしいでしょうか。

【林委員長】 よろしいですね。

(了承)

【林委員長】 それでは、議事に入りたいと思います。
 まず、議事の1、随分長いタイトルですが、動物の愛護及び管理に関する法律(平成17年法律第68号)の一部を改正する法律の施行等の在り方に関する諮問並びに中央環境審議会動物愛護部会実験動物小委員会の設置についてであります。
 これについて、事務局より説明をお願いいたします。

【事務局】 それでは、お手元の厚い冊子の方の資料、3ページをお開けください。概要についてご説明をさせていただきます。
 まず、5ページ目には、動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律の施行等の在り方に関する諮問書をおつけしてございます。これは、今年の6月22日に公布されました、改正されました動物愛護管理法の関係に当たりまして、この法律を適正に運用していくために環境大臣が中央環境審議会会長への諮問をしたものでございます。
 次のページでございます。3行目になりますけれども、動物を科学上の利用に供する場合の配慮事項を充実する規定が今回の法改正で設けられておりますので、この施行に必要となる政省令、基準、基本指針等の検討を総合的に行う必要があるということで、審議会のご意見をいただければということで諮問させていただいたものでございます。
 この動物愛護管理法の改正につきましては、動物取扱業の規制の強化ですとか、特定動物の法律の許可制、一元化というものがございますけれども、そのほかに実験動物の飼養保管基準の関係が出てきてまいります。
 (別紙)の以下のところに、今回お諮りをしております項目をお示ししてございます。
 次のページに移っていただきまして、14番の項目、これが今回こちらの小委員会の方でお諮りいただきたいと思うものでございます。現行法、動物愛護管理法第5条第4項及び第24条第3項の規定に基づき、環境大臣が定める実験動物の飼養及び保管等に関する基準等について、これについてお諮りいただくというものでございます。
 次のページには、さらに中央環境審議会の会長から動物愛護部会長である林先生の方に付議されたものでございます。これによりまして、この案件につきましては動物愛護部会の方でお諮りいただくという形になります。
 さらに資料の1-2をお開けください。実験動物小委員会の設置と運営方針についてご説明させていただきます。
 これは平成17年8月4日の第9回動物愛護部会の方で小委員会の設置をお認めいただいたときのものでございます。
 まず、小委員会の設置といたしまして、動物愛護部会のもとに実験動物小委員会を置くということでございます。これは実験動物に関しましては、非常に技術的に専門的に詳細なものになりますので、この部会のもとにこの小委員会を設置した上でご検討いただくというものでございます。
 2番としまして、実験動物小委員会の責務というか任務がお示ししてございますが、実験動物の飼養及び保管等に関する基準の見直しの検討ということで、設置をお認めいただいたというものでございます。
 また、3としまして、「実験動物小委員会の決議は、部会長の同意を得て、動物愛護部会の決議とすることができる」ということで、この小委員会の位置づけが明確になってございます。
 それ以降、小委員会の運営方針をお示ししてございますが、小委員会は原則として公開されておりまして、また次のページに移りますけれども、会議録につきまして作成・配付をさせていただきます。その際には、会議録は委員の先生方の承認をいただきながら委員に配付する、またそれについては、調製が済みましたものについては環境省ホームページへの掲載等、公開に付されることになります。
 では、次のページ、資料1-3、検討スケジュールでございますが、左側の事項のところに、今回中央環境審議会の方に諮問いたしました内容を大枠でお示ししたものでございます。この中で、今回の小委員会でお諮りいただきたいというところは、下から2行目のところ、実験動物の飼養保管基準(告示(改訂))のところでございますが、こちらの方を見ていただければと思います。8月4日の動物愛護部会で設置をお認めいただきまして、本日が小委員会の[1]基本的考え方の検討になります。また、きょうは基本的な考え方としまして骨子案までお示しさせていただきまして、ご検討いただければと考えております。
 次が10月26日の午後、これは関係団体等からのヒアリングという形になります。次が今後の予定でございますが、3回目、素案を検討していただいて、12月の終わりまたは1月の初めあたりに、この検討いただいた素案をパブリックコメントの方にかけまして一般国民の皆様からもご意見を頂戴し、年明けに答申案をご検討いただくということを考えておりまして、最終的には来年の6月、改正法の施行にあわせまして告示をしていくというようなものでございます。
 また、備考欄にお書きしてお示ししてございますが、この私どもの方の作業とあわせまして、文部科学省さん等の方で動物実験のガイドライン策定をご検討されているというようにお伺いしております。
 続きまして、資料1-4でございますが、12ページでございますが、これは中央環境審議会の議事運営規則をお示ししたものでございます。
 今回設置とお認めいただいた小委員会につきましては、13ページの小委員会、第8条のところにお示ししてございます。「部会は、必要に応じ、その定めるところにより、小委員会を置くことができる」ということで設置されたものでございますが、第2項としまして、「小委員会に属すべき委員、臨時委員又は専門委員は、部会長が指名する」ということで、今回お集まりいただいている次第でございます。
 また、3項の、「小委員会に委員長を置き、部会長の指名により、」ということで、林委員長にお座りいただいているところでございます。
 また、第4項、「小委員会の決議は、部会の定めるところにより、部会長の同意を得て、部会の決議とすることができる」ともございます。
 この5項につきましては、会議の招集第1条あるいは会長の第2項、こういったところで規定中「会長」とあるのは「小委員長」と読みかえるということで、これらのものについて、小委員長の任務、権限等について定めさせていただいているものでございます。
 続きまして15ページの方には、これは中央環境審議会の各種部会をお示ししておるものでございまして、動物愛護部会は一番下の段になります。
 続きまして、資料1-5、実験動物の飼養及び保管等に関する基準の改定ということで、この小委員会設置をお認めいただいた動物愛護部会における資料を抜粋したものをおつけしております。概要としましては、今回の法改正におきまして、いわゆる実験動物の福祉の向上としまして国際的に普及・定着しております、いわゆる3Rの原則が法律上明記されたところでございます。一つのR、苦痛軽減に関しては従来から明記されたものでございますが、ほかの2事項、実験動物の代替法の活用ですとか飼養数の削減については、配慮事項として今回新たに明記されたところでございます。
 動物愛護管理法におきましては、よるべき基準ということで、従来から苦痛軽減に関する配慮事項についてのみ策定する仕組みとされております。
 また、現行法においても、実験動物について、やはり動物の健康安全の保持、動物による人の生命等に対する危害や迷惑の防止といった飼い主責任の徹底、あるいはこれに対する行政指導等を行う上に当たっての基準として定めることができるとされておりまして、これに関してご審議をいただくという形になります。
 その下の改定が必要となる事項としまして、今回ご審議いただく内容は告示としての実験動物の飼養及び保管等に関する基準、実験動物の飼養保管に当たってのよるべき基準としての基準の改定でございます。
 次の16ページにはご参考までに現行法令の条文抜粋、あとは改正法の条文抜粋をつけさせていただいております。
 以上でございます。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に、委員の皆様から何かご意見、ご質問ございますでしょうか。

(なし)

【林委員長】 よろしいでしょうか。スケジュールも含めて、ご説明いただきました。
 それでは、ご質問、ご意見等ないようですので、続いて議事の2、実験動物の飼養及び保管に関する基準の改定について、お願いいたします。
 まず、それでは、事務局から、実験動物の飼養及び保管等の適正化に関する法規制の仕組み、昨今の動向、実態及び実験動物の飼養及び保管等に関する基準の改定の基本的考え方についてご説明いただきます。お願いいたします。

【事務局】 はい。それでは、資料2-1、17ページをお開けください。
 実験動物の飼養及び保管等の適正化に対する法規制の仕組みについてご説明させていただきます。
 まず、ご承知のこととは思いますが、改めて動物の愛護及び管理に関する法律における実験動物の関係についてご説明させていただきます。
 現行法、動物の愛護管理に関する法律の第24条に、動物を科学上の利用に供する場合の方法と事後措置についての定めがありまして、そのガイドラインとして実験動物の飼養保管基準が定められてございます。
 なお、動物愛護管理法上の規定につきましては、動物の愛護の観点から定められたものでございまして、動物実験の必要性ですとか、方法の科学的妥当性の評価に関する規定は、現在もございません。四角囲みの中が現行法令の該当部分でございます。
 注釈のところにもなってございますが、このたびの法改正によりまして、現行法規定されております苦痛軽減に関する配慮事項に加えまして、科学上の利用を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法にかわり得るものを代替法の活用、できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること、飼養数の削減、低減というような、動物を適正に利用することに関する配慮事項が追加されてございます。
 おさらいになってしまって恐縮でございますが、実験動物の飼養保管等に関する基準でございますが、この24条とともに動物の健康と安全の保持、所有者の責務を定めた第5条の規定に基づくガイドラインになってございます。
 このため、実験動物の導入に当たっての配慮ですとか健康・安全の保持、実験等の実施上の配慮と終了後の措置、危害防止等の定めがございます。
 また、このほか、今回のご審議いただく事項ではございませんが、動物の処分方法に関する指針としまして、動物を殺す場合の方法を定めた第23条に基づくガイドラインが定まっております。これによって、できる限り動物に苦痛を与えない方法を用いるということが定められております。
 次の18ページをお開けください。横の図になってございます。
 これは現在の我が国における実験動物の飼養等の適正化と、動物実験の適正化に関する管理体制を簡単に模式したものでございます。左側の流れの中には動物実験の関係行政、例えば文部科学省さんあるいは厚生労働省さんといったところがあるかと思いますけれども、こちらの方の行政の範疇の中で動物実験の適正化が図られております。また、実際的な行為規範としまして、各種法規制あるいは通知というようなもので直接的な指導・監督がなされており、各動物実験の施設においてはこれを守っているという形になっているかと思います。
 一方、右側の動物愛護管理行政の方でございますが、これはあくまでも実験動物の福祉の向上を目指すものでございまして、配慮事項としまして、先ほど来ご説明申し上げております動物愛護管理法、あるいはそれに基づく飼養保管基準が定められております。
 この実験動物の福祉の向上につきましては、実際、動物実験を管理するというようなところにこういったものの遵守の協力依頼をさせていただき、そして普及啓発を進めていくというような形になってございます。
 続きまして、現在の状況でございますけれども、19ページには大学等における動物実験についての昭和62年の文部科学省国際局の局長の通知についてお示ししてございます。こちらの方の通知は、動物実験の適正化に関する通知になってございまして、学術審議会の当時の学術資料部会、こちらの方のご報告を受けて文部省の学術国際局長から各国公私立大学長にあてた通知というふうにお伺いしております。なお、こちらの方でも動物実験が有効適切に行われるために、実験の指針、各施設の、あとは機関ごとの実験の指針、委員会の整備、あとは職員への指針の周知徹底を依頼したというようなものとお聞きしております。内容につきましては、次のページから実際の全文をお示ししてございます。
 また、参考2としまして、各大学における指針の策定例としまして、北海道大学における例をお示ししてございます。
 続きまして、資料2-2、24ページをお開けください。
 実験動物の飼養保管等の適正化に係る昨今の動向についてご説明をさせていただきます。
 繰り返しになって恐縮ですが、今回の動物愛護管理法の改正に当たりまして、実験動物の部分がどのように変わったかということでございます。動物を科学上の利用に供する場合の配慮事項の拡充が図られたということになります。実際の表現ということになりますと、苦痛軽減に対する配慮事項に加えまして、科学上の利用の目的を達することができる範囲内において「できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること」、「できる限りその利用に供される動物の数を少なくすること」という形での配慮事項も追加され、いわゆる3Rの原則が明記されるということになりました。
 括弧書きの話でございますけれども、この追加された2事項については動物実験に関する配慮事項、実験そのもののお話の性格の非常に強いものでありますので、動物愛護管理法におけるよるべき基準においては、旧来どおり苦痛軽減に関する配慮事項にのみ策定する仕組みにされております。
 改正法の抜粋、該当する部分についてお示ししております。この第7条は、先ほど来申し上げております、現行法第5条の所有者の責務に言及した部分でございます。今回法改正された部分ですけれども――すみません、失礼いたしました。下線を引いてございませんが、申しわけありません。第2項のところの「感染性の疾病について正しい知識を持ち、その予防のために必要な注意を払うよう努めなければいけない」ということで、予防のために必要な注意を払うようにということで、一歩踏み込んだ表現になってございます。
 次のページ、25ページの第40条ですが、この動物を殺す場合の方法、ここについては、特段、改正はございませんでした。
 次の第41条のところで、動物を科学上の利用に供する場合の方法としまして、今回、先ほど申し上げた内容が追加されたものでございます。
 2項、3項、4項については、特段、所要の改正以外の特段の改正はございません。
 次のページ、26ページをお開けください。ここから、関係省庁・団体の取り組み、あとは日本学術会議の提言についてご紹介をいたします。
 まず、文部科学省さんでいらっしゃいますけれども、科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会のライフサイエンス委員会のもとに、動物実験指針検討作業部会が6月22日に設置されたとお聞きしております。この設置された目的、こちらの方でのご検討の内容は、動物の愛護及び管理に関する法律の改正を踏まえ、適切な動物実験の進め方、基本的な考え方を示す指針の検討についてのご検討が進められていると承っております。ですので、現在、文部科学省さんの方では動物実験の適正化、そして私どものこの小委員会の方では実験動物の福祉の向上についてご検討いただくという形になろうかと思います。
 また、関係団体の動きとしましては、次にご説明いたします日本学術会議の提言を受けまして、統一ガイドラインの策定や第三者評価機関の設立に向けて意見交換が行われているとお伺いしております。
 この日本学術会議のご提言ということですが、昨年の7月にこちらの方から、「健康・疾病問題の解決と人類の幸福増進に不可欠な動物実験が、広く社会の理解と支持を得て行われるようにするために成すべきことに関する報告」という形で提言されております。この提言におきましては、実験動物の飼養保管あるいは実際の実験をされる当事者自身による同基準の遵守、いわゆるセルフコントロールの徹底を図る方策としまして、動物実験の統一ガイドラインの策定、第三者評価システムの構築等の必要性が提言されて、関係各位に広く呼びかけられたものでございます。
 次のページには、これは参考としまして、現在、文部科学省さんの方で行われております動物実験指針検討作業部会第1回目の資料から、抜粋させていただいたものでございます。位置づけとしましては、先ほどのとおり、科学技術・学術審議会 研究計画・評価分科会 ライフサイエンス委員会のもとに、作業部会の一つとして設置されております。目的は、先ほど申し上げた動物愛護管理法の改正等を踏まえた適切な動物実験の進め方、基本的な考えを示す指針の検討について行うことを目的とされております。委員としましては、勝木主査のもと、次のページでございますけれども、この先生方でご検討をいただいているということでございます。
 今回、この小委員会の委員としてご指名をされました浦野先生、篠田先生、山口先生もこちらの方の作業部会の方でご検討いただいているということでございます。
 次のページからは、日本学術会議の第7部報告、こちらの方の全文をおつけしてございます。
 続きまして、資料の39ページ、資料2-3、動物実験の飼養及び保管等の実態についてご説明させていただきます。
 実験動物の販売数、これは平成13年度の社団法人日本実験動物協会さんの調査によるものでございますが、1年間に約1,000万匹、ほとんどがマウス、ラットでございますが、このような動物が実験用の動物として販売されております。また、その下の方には、各研究分野で主に使用される実験動物の種類等をお示ししてございます。
 では、次の40ページをお開けください。これが各研究機関、大学等における実験動物の飼養及び保管等の現状をお示ししたものでございます。
 この資料は、今年の8月に、全国の大学あるいは実験動物を取り扱うと思われる製薬会社、医療関係会社、実験動物の生産会社、研究所等を対象にして行ったアンケート調査の結果でございます。全体の調査票の送付数は887件、回答総数が914件、うち動物実験を行っている施設からの回答数は578件でございました。調査票送付数より回答者数が上回っておりますのは、大学につきましては複数回答がございまして、約9割の回答率と推定されております。また、製薬、医療関係会社、実験動物生産会社等ではほとんど10割の回答率をいただいたところでございます。また、有効回答数は質問事項によって若干の差がございますので、それぞれの質問項目にそれぞれ有効回答数をお示ししてございます。
 まず、(1)としまして、動物実験実施上の配慮としまして、3Rに関する実際の実験動物の飼養保管等と実験等に関しての動物の取り扱いを反映させるためのガイドライン、これはどれぐらい策定されているかというようなものでございますが、策定済みあるいは近々策定予定というものと合わせますと、80.5%の実施率でございました。また、策定していると回答をした施設等のうち、そのガイドライン等の項目の決定状況についてお伺いしたところ、実験に対しての苦痛軽減の適正化というものが96.9%で、非常に高い項目の設定状況でございます。また、安楽死の適正化に関しても9割を超えております。
 実験動物の数の適正化については88.1%、これも約9割と言えるかと思います。ただ、動物を用いない方法、代替法の検討については64.3%という形になってございます。
 次のページをお開けください。
 次の41ページには、実験動物あるいは実験動物倫理委員会とお呼びされているところもあろうかと思いますが、3Rの履行状況について調査・審査するいわゆる委員会の設置状況でございますが、設置済みと設置予定を合わせますと85.8%、設置なしの場合は14.2%ということで、これも86%の施設において設置されているということが実態としてわかった次第でございます。
 また、その下の方ですけれども、その委員会の責務、任務としまして、設置していると回答した施設のうち、実験計画の審査・承認・調査を実施している施設についてお伺いしたところ、実施予定を合わせますと、96.1%の施設・大学等について、このような任務をしていらっしゃるということになります。
 続いて、42ページでございます。
 42ページでは、また、このように実験計画の審査・承認・調査を実施していると回答をいただいた施設のうちで、ガイドライン等においてどのような規定をされているか、あるいは審査・調査内容はどのようなものかということをお伺いしたところ、苦痛の軽減の適正化は95.9%、安楽死の適正化は93.1%、実験に用いる動物数等の適正化85.4%の施設が規定しておりまして、3Rに関する規定については90%の、高い方から85%までの間、このような施設について実施されておりました。
 また、動物を用いない方法、代替法の検討については70.4%、やはり先ほどの傾向と同じようにちょっと低めではございますが、7割の施設についてこのようなことが実際行われております。
 続いて、(3)研修でございますが、各施設において実験動物関係者等における3Rの内容を含む研修につきましては、現在実施しているものと実施予定を合わせますと62.0%でございまして、6割以上の施設でこのような研修が行われております。
 次の43ページでございますが、その研修の内容でございます。研修内容に動物愛護管理法を含む施設、こちらは94.1%、実験動物の飼養保管等の基準を含むのは90.8%、処分方法に関する指針を含むのは80.9%としまして、おおむね8割以上の施設で研修の中に動物愛護管理法の内容が含まれているものという形になります。
 (4)、実態の最後になりますけれども、動物愛護管理法等認知の割合でございますが、これはお聞きしたアンケートの回答される方の、おおむねで結構ですのでお答えくださいというふうなものでお答えいただいたものでございます。結果としまして、動物愛護管理法の法律、飼養保管基準、処分方法に関する指針、これらを知っている人のおおむねの割合、ほぼ全員が知っていると回答していただいたところは47%から55%、半数程度知っているというのが34から38%、ほとんど知らないというところが11から16%でございまして、この11から16%について動物愛護管理法、関係法令を含めまして、これから普及啓発等を進めていく必要があるという形になります。
 続いて44ページ、こちらの方から、今回、実際のご審議をいただく実験動物の飼養及び保管に関する基準の改定の基本的な考え方をお示ししたものでございます。案でございます。
 改定の背景と必要性でございますが、この実験動物の飼養及び保管に関する基準、策定されましたのが昭和55年、約25年が経過してございます。その間、実験動物の福祉に関する理念が国内外で普及・定着してきております。また、今回の法改正によりまして3Rの原則が法律上明記されたということを受けまして、自主管理を基本とした実験動物の福祉の仕組みづくりに向けた動きが、先ほどご説明したように実際の動きとして具体化してきております。
 また、これとは別になりますが、この動物の飼養及び保管に関する基準というものは、この実験動物のほかに家庭動物の飼養保管の基準、展示動物の飼養保管の基準、そのほかに産業動物の飼養保管の基準という四つそろってございますが、このうちの二つ、家庭動物の飼養保管の基準は平成14年、展示動物、特定動物等を含む展示動物の飼養保管基準の改定は平成16年に行われておりまして、これらの改正内容と整合性を確保するということも必要とされてきております。
 今回の改正案の主なポイントでございますが、大きく5点ございます。
 まず1点目が、基準の構成、項目立ての整理をさせていただきたいというものでございます。
 資料がちょっと前後いたしますけれども、50ページをお開けください。参考としまして、お示ししてございますけれども、左側の方に改定案、これからご検討いただく項目立てで、右側の方に現行の項目立てをお示ししてございます。これらの項目立て、見ていただくとおわかりになりますとおり、非常に現行法令では整理をされていてすっきりしておるのですが、その分、書き込みが薄いというようなところ、現在になってみると出てくる場合もあろうかと思います。それでこの改定案のような項目立てとして、一般原則、提示、第3としまして共通基準、第4として個別基準、家庭動物も展示動物もこのような項目立てになっておりますので、これにあわせて書き込み、充実していただくということをご検討いただければと考えております。
 また、資料を戻ってしまって恐縮ですが、44ページにお戻りください。
 (2)としまして、「実験動物の福祉」に係る基本的考え方の充実。これは先ほど来ご案内してまいりました動物愛護管理法の改正によりまして3Rが明記されております。ですので、こういったものを受けまして基本的な考え方を充実していくというふうなものでございます。
 (3)ですが、先ほど申しましたように今回の基準を含めまして、普及啓発をさらに一層進めていかなければなりません。そういうわけで、委員会の設置ですとか、細目の策定、ガイドライン等の策定等によりまして、この実験動物の飼養及び保管に関する基準、これらの普及啓発をさらに進めていくというものでございます。
 (4)としまして、各種配慮事項の追加の部分がございます。この実験動物の飼養保管基準、現行の基準についても非常に漏れなく項目が網羅されているのでございますが、25年経過いたしまして、ほかの家庭動物、展示動物の方とあわせまして、動物の記録管理の適正化や人と動物に共通する感染性の疾病に係る知識の修得等、施設廃止時の取り扱い、実験動物生産施設における繁殖方法等についてこの項目を追加した上で内容を膨らませていくということが必要かと存じます。
 (5)としまして、現在もこの項目ございますけれども、各種配慮事項の内容について、さらに充実をしていくというようなものでございます。
 4点ございまして、[1]としまして、導入時の順化順応方法などの飼養保管の方法の充実、広さ、温度等の飼養環境の点、あるいは衛生的・安全的な構造に関する施設の構造等に関する点、3点目としまして、逸走及び飼養者の危険防止に係る施設の構造・強度などの危害等の防止に関する点、4点目としまして、休憩時間の確保や適切な温度管理に関する輸送時の取り扱いに関する点。以上でございます。
 45ページから、今回ご検討いただきたいということになっております実験動物飼養保管等の基準の改定案の骨子について、お示ししてございます。
 左側の欄については、改定基準を構成案としまして、項目立てをお示ししております。真ん中の現行の基準のところには、現在の基準の中の該当する部分をお示ししてございます。一番右側には追加・変更事項としまして、どのような観点での改定をすべきかという点についてお示ししてございます。
 まず、今回の飼養保管基準の改定に当たりまして、上の丸でございますけれども、実験動物の福祉の向上に対する要請の高まり等を踏まえた「実験動物の福祉」に係る基本的な考え方の充実。一般原則として現在もあるのですが、これに関して実験動物の福祉の向上に関する考え方を、さらに書きぶりを充実していただくというような点でございます。
 また、普及啓発のところでございますが、上から二つ目の丸、実験動物委員会の設置ですとか、本基準の細目に関する指針の策定等、これらの措置によりまして、本基準の適正な普及啓発を推進していくという点でございます。
 大きなご検討をいただく点としては、この2点について、やはり今回の法改正に関係しましてご検討いただくことになろうかと思います。次のページ以降にもございますけれども、上の丸については異種または複数の動物を飼養または保管する場合の組み合わせの考慮、また、導入に当たっての配慮としまして、順化順応を図るための措置の実施。
 次の施設の構造等としまして、いずれも実験等に支障を及ぼさない範囲内という限定がございますが、日常的な動作が容易に行うことができる広さ・空間の確保ですとか、適切な温度、通風、明るさ等が保たれる構造設備の確保、また衛生状態の維持管理が容易な構造、突起物による障害を受けることがない構造の確保、こういった内容について充実していくというようなものでございます。
 また、教育訓練等としまして、実験動物管理者等に対する教育訓練の実施について、さらにここに書き加えていくというようなものでございます。
 続いて47ページでございますが、こちらの方からは危害等の防止についてご検討いただく内容についてお示ししてございます。右側の一番上の丸印でございますが、飼養者と実験実施者の安全確保措置の実施としましてどのようなことを書き込んでいただくのか、あるいはどのような必要があるのかというような点でございます。
 また、現在も、現行法の中では余り書き込みとしては充実されていないかもしれないのですが、二つ目の丸でございますが、動物が逸走しない構造と強度の確保ですとか、施設の日常的な管理と保守点検の実施、定期的巡回による動物の数と状態の確認の実施というふうな、当たり前と言えば当たり前のことでございますが、内容として盛り込むという点でございます。
 また、従来、今まで規定されておりませんでしたけれども、有毒動物の飼養及び保管、これらを実験動物に使う場合、救急医薬品の確保や処置体制の整備について内容を盛り込んでいくというようなものでございます。
 また、現在も逸走時、動物が逸走した場合の措置に対して事故の防止に努めるという記述がございますけれども、この動物、特に危険な動物が逸走した場合に、行政機関等に対する連絡と捕獲の実施について書き込みをするというようなものでございます。
 また、緊急時対策としまして、緊急時に関する計画の作成と周知をあらかじめ行っていただくというような内容をつけ加えるというものでございます。
 4と5、人と動物の共通感染症等に係る知識の修得等、これは現在内容項目がございませんので、これについて書き加えていくというようなものでございます。
 また、今回、この、人と動物の共通感染症、従来、人畜共通感染症あるいは動物由来感染症というふうな状況に応じまして、いろいろと使われてきた内容でございますが、動物愛護管理法のこの中では、人と動物の共通感染症ということで表現ぶりをあわせさせていただきたいと考えております。
 また、現在も項目立てとしてはございませんが、既にされている内容ではございますけれども、記録台帳の整備や危険な動物に係る個体識別の実施について記述を加えさせていただくというものでございます。
 次の48ページに移りますが、輸送時の取り扱いの中で、現在、第3の2としまして、(1)から(4)まで項目記述がございますけれども、これに加えまして、必要に応じた休憩時間の確保や適切な温度や湿度等の確保についてさらに記述を充実させていくというようなものでございます。
 また、現行の基準にはない項目でございますが、施設廃止時の取り扱いとしまして、施設廃止されるような場合にあっては、他施設への譲り渡しによる有効利用や、殺処分しなければならない場合にはその場合における苦痛軽減の実施についてさらに内容を充実、書き込みをしていくというものでございます。
 続きまして、49ページになりますけれども、これは個別基準の中に入りますけれども、1としまして実験施設、2としまして実験動物の生産施設に関する記述がございます。現行も第8としまして(1)(2)というふうな内容がございますけれども、これに加えまして、幼齢・老齢動物の飼養制限や繁殖回数の適正化あるいは購入者に対しての動物の状況等に関する事前説明の実施、こういったことをつけ加えさせていただくということを考えております。これらの内容につきましては、家庭動物、展示動物等を含めて、このような書き込みがされているものでございます。
 第5として、準用と適用除外ございますが、これは現行どおりとさせていただきたいと考えております。
 次のページには、先ほどご説明させていただいた項目立て(構成)の対照表をお付けしてございます。
 また、51ページからは参考資料をお付けしてございますが、参考資料の1が改正法の概要、参考資料の2が実験動物の飼養及び保管に関する基準、53ページになりますが現行法全文をお載せしてございます。
 さらに、先ほど来、家庭動物と展示動物の基準にあわせて記述を膨らませますというお話をさせていただきましたが、参考資料3としまして、56ページから家庭動物等の飼養保管に関する基準、これをお付けしてございます。
 また、参考資料4としまして、61ページからは展示動物の飼養及び保管に関する基準全文をお付けしてございます。
 資料についてのご説明は、以上でございます。

【林委員長】 ありがとうございました。
 それでは、この議事の2は審議事項でございますので、委員の皆様からご質問、ご意見、その審議事項ということを踏まえていただければと思います。いかがでしょうか。どうぞ、鍵山委員。

【鍵山委員】 審議事項ではございませんで、1カ所間違いが見つかりましたので、ご訂正をお願いしたいと思うのですが、26ページの下半分に図がございます。そのタイトルといたしまして、「日本学術会議動物実験研究連絡委員会提言」と書いてありますが、正しくは「日本学術会議実験動物研究連絡委員会」でございますので、これはご訂正をお願いしたいと思います。

【林委員長】 そうですね。
 ほかにございますか。随分、大部のものでありましたが、44ページには基準の改正、改定の基本的な考え方がまとめてございまして、改定案の主なポイントもここに書かれているところであります。それからあとは、改定案の骨子、項目立てというふうに続きますが、これらの改定案を作成するに至った前提あるいは関連資料がその前、あとはその後につけてございます。いかがでしょうか。どうぞ、ご意見。前島委員。

【前島委員】 何か余り皆さん発言しそうもないので伺いますが、前の基準策定のときにはむしろ、基準よりもずっと膨大な解説書が同時にできていたのですが、今回はこれは基準の改定だけで作業をおしまいにするのでしょうか。

【林委員長】 では、室長からお願いします。

【東海林動物愛護管理室長】 はい。前回の基準策定のときには前島先生深くかかわっておられましたので、私どもも過去の経緯、随分勉強させていただいたつもりでおります。確かに前回は基準の改定をまず最初に議論されまして、途中で基準の策定自体の議論を一時ペンディングして、詳細な指針、それの検討に入って、それができ上がってからまたフィードバックする形で、基準の策定作業に取りかかったのじゃないかなと思っております。
 今回ですが、この改定案をご答申、おまとめいただきましてから、詳細な解説書といいますか、技術的な助言書といいますか、そちらの方の作業に入りたいというように考えてございます。
 なぜ、今回は前回と違ってそうするのかという理由でございますけれども、基本的に改定すべきポイントが、前回と違いまして技術的な事項といいますか、そこに限定されておるのではないかということ。それから、各追加あるいは変更すべき事項というのが既にいろいろな知見がありまして、家庭動物の基準でまとめられたもの、あるいは展示動物の基準でまとめられたもの、あるいは国際的にもいろんな知見がまとめられたもの、そういったものがほとんどではないかと思われますので、詳細まで検討しないと、この基準レベルのポイントとしてまとめられないものではないというようにちょっと考えられたものですから、そういう形にさせていただきたいと思っております。
 ただし、ご議論いただいた上でどうしても詳細に立ち戻らなければいけないようなものがあれば、また、それはそれで十分に検討させていただいてというように考えております。

【林委員長】 よろしいでしょうか。前回の論議が非常に深かったものですから、それは今回に生かされているということで、足りない分はもちろんつけ加えていくということになるかと思うのですが、いかがでしょうか。どうぞ、浦野委員。

【浦野委員】 今回の動物愛護管理法改正で、法律の方では実験動物の福祉ということをうたい、動物実験といったら自主管理という線がはっきり出たと思うのですが、現在の基準そのものは、例えば48ページに書いてあるような、実験等の実施上の配慮ということで、一部、動物実験に踏み込んで記載されていると思います。
 この基準の改正案を今後考えていくときに、動物実験についてどの程度踏み込んでいくかというのは、恐らく個々のところで議論の対象になるかと思いますけど、少なくとも現行基準に書かれていることよりも、何ていうか、こういうのを削除するということなく、原案ではそれをもう少し膨らますという方向にいっているかと思いますが、そういうふうに理解してよろしいのでしょうか。

【東海林動物愛護管理室長】 はい。確かにその48ページのところの現行基準で言います第5の1のところ。ここの部分については非常に総括的に書いてありますので、非常に項立てが読み取れないところもあるかと思うのですが、実験の方に踏み込んでいるような表現でもあり、そうはいいながらも、あくまでも実験動物福祉の範疇におさまっているという解釈もできるのじゃないかと思われます。
 ただ、先ほど説明させていただきましたように、あくまでもこの基準というのは基本的に実験を視野に入れながらも実験動物の適切な扱い方あるいは苦痛の軽減措置について定めるというものでございますので、まず基本はということですけれども、そういったところが今回の法改正を踏まえてさらにまた整理をされると思いますので、そういったことを踏まえながら、この現行基準の現行の表現を、多少これから変えなければいけないところは次回の委員会までに検討してまいりたいと思っております。
 ですから、この資料ですと、現行の基準がその真ん中の列にございまして、それから一番右側の列には、現行の基準では足りなかったり不足していたりする追加・変更すべき事項といいますか、ポイントを書いてございますけれども、今日のご議論を踏まえまして、次回の小委員会までには現行の基準の表現のところは、何もないところはそのままというわけじゃなくて、またそれなりに改正法の趣旨を踏まえて適宜修文をさせていただきながら追加・変更すべき事項をさらに加えた形、素案をまとめて、またご審議いただければというように考えております。

【林委員長】 よろしいですか。

【鍵山委員】 とても立派な骨子をつくっていただいて、ありがとうございました。まず、一般原則の方からちょっと意見を言わせていただいてよろしいでしょうか。

【林委員長】 はい。

【鍵山委員】 やはり一般原則のところでは、ご説明の中で他の基準との項立て等、整合性というご説明もございましたけれども、逆に私は、やはり他の動物カテゴリーとは違う、実験動物基準としてのアイデンティティーといいますか、それを飼養保管に関するアイデンティティー、これを盛り込んでいただきたいということと、それから、法改正で、いずれにしても自主規制ということをこれからも続ける、徹底するということであれば、その今言いました実験動物のアイデンティティー並びに自主規制を徹底するという観点からの飼養保管の基準ということを、私はこの骨子案を拝見したときにそういう視点で読みましたのですが、やはり具体的に申しますと、一般原則のところに現行の基準といたしまして、こう長い文章がございます。この中には飼養保管ですか、その部分と、それからあと、科学上の利用に供する場合の実験動物の飼養保管、これが一緒に書かれているのですが、そういった実験動物としてのアイデンティティーを充実させるためには、この辺はむしろ二つに分けて、ちょっと充実させるといいますか、そのような考え方も、もしかすると必要ではないかと。
 同時に、自主管理を徹底させるということであれば、飼養保管に関する機関としての自主規制ということは、機関の責任、法律ではなくて、行政機関ではなくて機関の責任ということが表に出るわけですね。すると、やはり機関の責任の明確化をするということやら、それから、ご説明のありました実験動物委員会の立場、これは定義にも関係ありますけれども、これらも見直しがあれば、より飼養保管における自主管理という自主規制というものがもっとはっきりとするのではないかと感じております。
 以上です。

【林委員長】 ありがとうございました。ほかにご意見、よろしいでしょうか。今日いただいたご意見をもとに、また次に生かすという形でいきたいと思いますので。前島委員、どうぞ。

【前島委員】 私だけぺらぺらしゃべっているのはよろしくないと思うのですけれども、発言します。先ほど自主規制でという報告だと浦野さんが言ったと思うのですが、例えば、先のアンケート調査を見ると90%以上の回答率です。計算の仕方でいろいろ回答があるとは思いますが、ほとんどが実質的に自主規制されているのだと考えられます。私はもうこれで十分で、こうすべきであると書かなくても、私は昭和55年の実験動物基準で、ほとんどいいように思うのです。
 それで、ちょっと余分なことを申し上げますと、55年の基準策定時の委員で、少なくとも外見上ぴんぴんしているのは私1人でありまして、もうほとんどが亡くなられ、あるいは実験動物の世界から離れられた方です。それで好き勝手なことが言えるのですが、やはり今考えてみますと、自画自賛で申しわけないけれども、あの当時よく踏み込んで、あれだけの基準と解説書を書いたと思います。恐らく今後、この実験動物福祉の考えは、さらにどんどん、あるいは、ある一定の方向に向かっていくと思うのです。そうしますと、平成5年から6年にかけてのこの委員会が、後で何もしなかったじゃないかとか、あるいは、夢のないような書き方で終わったと評価されることが無いように望みます。要するに現行の法律から一歩も踏み出さずに記述が終わるということは、私は何となく残念に思います。東海林さんはどうも反対だというような顔もされたような気もするのですが。
 また、話が飛んで申しわけないですが、私は宇宙開発関係の昔のNASDA、今のJAXAの動物実験委員会の実質的な委員長をやっています。宇宙実験に関する動物実験についての研究計画について、実験動物福祉との観点からの評価をしています。実際には、米国のNASAともいろいろ相談し、連絡をとりながら作業を進めています。
 そうしますと、日本の動物実験委員会あるいは研究者の意識の中で一番欠けているのは動物実験の倫理的エンドポイントのことだと私は非常に強く感じます。つまり、エンドポイントというのは動物実験をいつ終えるかということです。中には、論文を書いたときが実験のエンドポイントであるなんていう方がいるのですが、そうじゃなくて、倫理上から考える動物実験のエンドポイントというのは、ある動物実験のデータが得られれば良い、例えば癌の末期の研究をするにしても必ずしも動物を死ぬまで観察しなくてもいいという発想です。ある段階までデータ収集が進めば実験を終えることができるならば、そこをエンドポイントとはっきり認識して、実験計画書に書いておくということが非常に大事です。NASAと話をしていると、彼らはそう言うのです。
 例をもう少し具体的に申せば、例えば癌の移植実験で、癌細胞をマウスに接種すると、癌はどんどん大きくなります。当然周辺の神経が圧迫され、動物にとってそれは非常な苦痛です。そうすると、最後の段階まで研究者としては見たいと思っても、その研究計画の目的に合うデータが得られるところまで行ったのならば、そこで実験を打ち切ろうという考え方です。むしろ、実験計画書にそういうことをはっきり書くことが、安楽死の方法や麻酔薬をどう使うかということよりも、動物実験における本当の意味の苦痛軽減となると思うのです。
 私は、その意味では、昭和55年度の基準は、そこには触れていなかったと批判していいと思います。まだ今の日本の研究者は、ほとんどそれに触れていないのです。動物実験委員会の審査内容を聞いても、そこのところは余り熱心に議論はどうもされていないように思うのです。
 そういう意味で、私は、もし、新しい実験動物基準に載せるのだったら、倫理的なエンドポイントについて、考え方だけでもいいから、きちっと触れておくことを提案します。苦痛軽減というのは、単に鎮痛麻酔だけじゃないと触れておくことがいいと思います。
 それから、さっき事務局に基準作成の姿勢を質問するような発言があったのですが、私の理解では、この委員会がそれを決めるのであって、もし基準を作るのならこうやろうじゃないかと提案するのが私たち委員の責任だと思っています。現実問題としては、ご苦労ながら環境省の方にいろいろな素案をつくっていただくのは当然と思いますが、私たちの姿勢としては、ここでそういう議論を提案することだと思っています。
 どうも、余分なことを言いました。

【林委員長】 はい。この動物愛護管理法の規定というのは、あくまでもその動物愛護の観点から定められているということで、そのもとでの政省令をどう扱うかというのは、この観点は決して外さない、軸を外さない。
 実際にこの科学的な妥当性、実験そのもののですね。これについてはこの法の範疇ではないと。それはだけど、非常にボーダーのところにあるものについては、今先生おっしゃった、どこで実験を打ち切るべきかといったようなものは文書として、具体的なものでここの動物愛護の観点からは、これはやっぱり極めて重要だと。しかし、実験を規制するもの、そこにまで入り込んでいるものではないという、ちょうどボーダーのところまで来ているものであれば、私はここで取り上げる必要があることだと思うのですが。
 全体的に先ほど事務局からお話しいただいた、ずっと、非常に丁寧にご説明いただいたのですが、この現行の基準というのは、これ、今日お手元にありますから、改めて思えば非常によくできているんですね、ある程度。これはもう、この現行の基準を出された方々は非常に高いレベルの研究者が中心になってやられたということのあらわれだと思うのですが、ただ、29ページから、日本学術会議第7部の報告が何ページかありますけども、これを見ていただきますと、過去25年間の間に、そうではあるけれども幾つかの問題がある、と。しかし問題もあるというところを指摘されているわけですね。この指摘されているところを私たちは日本学術会議も一つの国民の声を代表した、しかもかなり学術に責任を持った会議だと思っていますので、そういったすぐれた意見については、今回の法改正の折に政省令に生かしていくという立場。
 これと同時に、もう一つ私から見ると、事務局がよくやっていただいたと思うのですが、平成17年8月、つまり1カ月ちょっと前ですけども、このときに実施されたアンケート調査の中に幾つか、やはり今度の改定の中に生かすべきところがあるんですね。例えば、よくよく見ますと、全体的には非常にいいのですけども、内容は、40ページの輸送の適正化というのが38%という答えが出てきていますね、それから施設に関して施設の規模とか構造の適正化60%。これは60%もあるという見方もできますけど、見方によっては60%しかないという見方もできるわけで、こういったところは今回の余り大きな改正を、私から見ると原案としてはされていないのですけど、その中にやはり生かされているというふうに見えるんですね、この改定案の骨子の45ページからずっと続くところは。そういったところは、やはり今回の改定の中で、過去25年間を見ていて、やはりやるべきところだと。ただ、もうちょっと根本に立ち返るところの、しかしこの枠をはみ出さない範囲、つまり、動物愛護の観点からというところでもちろんつけ加えるところがあれば、この委員の方々からどうか今日お話しいただいて、次、また論議いたしますけれども、今日お出しいただいておければ、余り時間はありませんけれども、できたら、大変、次につながる論議になるのではないかと、委員長としては思います。
 いかがでしょうか。どうぞ、浦野委員。

【浦野委員】 さっき、私の意見をさらに発展させると、実験動物の福祉云々のことを検討する委員会と同時にやはりこの基準そのものもある程度動物実験に踏み込んでやっていくべきだろうと。ただし、踏み込み方が問題があって、少なくとも自主管理で行こうという姿勢は決まったわけですから、その自主管理を適正にやっていくための枠組みぐらいは基準で少しうたってもいいのかなと。例えば、委員会の設置、その役割等を少し明記するということがあってもいいのではないかと思いました。
 それから、例えばこの定義の部分についても、この基準全体についてこういうことをやっていくときの責任の所在というのが余りはっきりしていないような気がします。自主管理で行くということは機関ごとにちゃんとやっていこうというあらわれだと思いますが、その場合、じゃあ、最終責任を含めた責任者は一体だれなんだということになると、恐らく機関の長であろうと。そうすると、機関の長と、それから、さっき言った動物実験委員会の役割、それから位置づけ等をある程度明確にしておかないと、その辺がはっきりしないのではないかと思いますし、この後で教育ということもうたっていくわけですが、じゃあ、だれが、どこが責任を持ってやっていくのだという、その意味でも、責任の所在というものをある程度はっきりさせていくべきだろうと思いますので。例えば、機関の長ということを定義でうたい込むとか、まずはする必要があるのではないかと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。ほかにご意見。どうぞ、篠田委員。

【篠田委員】 動物愛護管理法の改正にかかわった者といたしまして、我々研究者の立場として、この間、昭和55年、先ほど前島先生がお話しくださったように、あの時点でつくられたものを研究者はある意味で自主管理という形で動物実験を適正化する努力をしてきたわけです。
 ご存じのように、法律が日本にはなくて、動物実験が野方図に行われて動物を苦しめているというふうなことが内外の動物実験反対派から言われ続けましたけれども、実際は我々研究者かなり努力をしてインターナショナルなスタンダードに到達するぐらいまで来ていると理解をしてはいたのですが、なかなか一般の方にご理解いただけるような努力が足らなかったわけです。
 それで、前回、実は、この動物愛護管理法の改正に当たって環境省はアンケートを実施してくださったのですが、そのときの回答率が余りにも悪かった。これは我々研究者として動物実験を自主管理しているのだと申し上げた立場としては、とても心もとない気がしたのですが、今回、十分な理解があって、前回の場合はいろいろ問題があったのですが、今回は9割近くが回答したということが一つ、非常に我々としてはほっとしたという気がいたしました。それは、ある意味では現状を物語っていると理解しています。
 ただ、先ほどもどなたかからご指摘があったように、この内容を見ますと、当然守られて100%であるべきものがないというようなところがありますので、そういう点では今後まだ足りない部分があると思うのですが、動物愛護管理法の改正に当たって3Rをどうしても入れるべきだという立場を研究者はとってまいりましたけれども、先ほど配られた冊子の中でご説明がありましたように、やはりその動物愛護管理法の性質上、実験動物の福祉ということを基本として考えるという立場と、それからもう少し細かい科学的な動物実験の問題点を考えるというのは、やはり動物愛護管理法には少しなじまないと私自身思ってまいりました。
 そういう意味で、この部分は、もっと科学的な専門家がその適正の問題を議論して社会に対して保証するシステムをつくらないと、やはりこの動物愛護管理法の枠組みでやるのは非常に難しいのだろうと思います。そういう点では、今、文科省、そして、できれば厚労省あるいは農林水産省というところが今後動物実験の科学的な側面についてのガイドラインを今つくるという作業をしておりますので、そちらの方でその部分はしっかりと確保していくという立場、先ほど事務局からご説明があったようなその二つを原則的に分けるというのは本来難しいわけでありますけれども、できる限り分けて議論していくという立場をこの委員会も是非おとりいただきたいと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。
 その件に関しては、常に、例えば文科省で設けられています委員会は明日予定されているとお聞きしていますけれども、そことは連絡をこの委員会レベルでとりたいと考えていますし、文科省の方も環境省がやったこのアンケートについては大変関心を持っておられて、委員会としてこれはお聞かせいただけないかというお願いがありましたので、事務局の方に、これはもう既に、明日やっていただけませんかと依頼申し上げたところで、それ以外にも私たち委員長同士の話し合いというのも公的な形でやっていきたいということで、ある意味では、この動物愛護管理法の改正の精神をより多く生かすためには二人三脚で協力しながらやっていこうと考えておるところでございます。
 ほかにご意見ございませんか。清水委員、そして、その次に山口委員。

【清水委員】 さっきのアンケートですが、ちょっと素朴な疑問ですけれども、実験施設が八百八十幾つという数字を、これ、ずっともう、10年以上同じ数字だったような気がするのですが、常にこのぐらいの数字で出ていて、どういう範囲なのか、どこに届けがあるのか、ちょっと、どういうふうにつかまれたかよくわからないのですけれども。私の理解では、学術会議のガイドラインが出たときに、最近は医学系だけじゃない、いろんな分野で動物実験をやるようになったことによって、余りそういう実験になれてないというか、実験をやるに当たっても非常に格差が出てきていると。それが統一ガイドラインが必要な一つの理由であるという説明を聞いていまして、実際に私立の大学であるとか何かで幾つかそういう不祥事になって問題になったことがあったりして、そうすると、実験をやっている施設そのものは、数はもっとふえているのではないか、あるいは減っているところもあるかもしれないのですが、どういう基準で、法律的なものはないとしてもそのこの887というのを押さえてらっしゃるのかというのをちょっと教えていただきたいのですが。

【林委員長】 はい。これ、どうやって調べられたかを。

【事務局】 はい。この887という数字でございますけれども、これは文部科学省さんの方、あるいは関係省庁――厚生労働省さん、農林水産省さんの方にご協力をお願いしたというのが1点と、関係団体、実験動物に関係する団体・学会等にご協力をお願いして、これだけの数を出させていただいたものでございます。
 ですので、今までそのような数であったということでございますけれども、今回この文科省さんあるいは関係省庁さんのご協力をいただいておりますので、例えば大学であればその大学、1カ所、本部にお送りしたということになっておりますので、今まで八百幾つが増減していないというのはちょっと、今回はそれとの比較・整合はとっていないものですから、今回はこうでございましたという説明になってしまうわけですけれども。

【林委員長】 よろしいですか。

【東海林動物愛護管理室長】 ちょっと補足させていただきます。
 いろんな団体でやっている調査票の母数というのは大体800から900ということだと思いますけれども、今回はそういったご指摘も懸念されておりましたので、基本的に大学に関しましては、1大学、全大学に出したというところで、各大学の判断で一つの回答としてまとめていただけるところはまとめて出していただき、内容的に違うところは複数の回答をいただいたということになっております。結果として複数回答がありましたので、大学の方の回答率は9割をちょっと超えるぐらいだろうというふうな数字になっておるのですけれども。そういった意味では、何となく数字が、今までのいろんな関係学会でやられていたアンケート調査の調査票総数とダブっているように見受けられるかもしれませんけれども、そこは今回、それとは別に、全く新規にやり直したとお考えいただいてよろしいかと思います。

【林委員長】 ありがとうございました。それでは、山口委員、どうぞ。

【山口委員】 今まで先生方のおっしゃったことで、本当に私も、なるほど、そのとおりだと思っていることはいろいろあるのですけれども、まず一つ、今の数の問題ですけれども、実際に動物実験されているすべての機関にこのアンケートが行っているわけではないと思うのですね、事実上は恐らく。それプラス、策定の予定なし19.1%、ガイドライン等の策定の予定なしというのがどんな分野に19.1%が多いのか、そのあたりもちょっとお聞きしたいところですね。
 もうちょっと続けさせていただいていいですか。それから、やはり私もこれだけ回答率が90%だ、80%だ、70%だとおっしゃっても100%ではないというところで、さらに輸送の場合とか40.8%だとか38.0%だとか、やっぱりこれは100%に持っていくようにこの基準をつくっていかざるを得ないと思うのですね。
 それと、この機関内の自主管理の枠組みをつくるとか、本当に責任の所在をはっきりしていただかなければ困りますし、教育をだれがやるということも大切ですけれども、一つその機関内の前に、どういう機関にこの基準を徹底させるのか。機関内での徹底の方法とかはこの基準には書かれるのだろうとは思うのですけれども、この基準を日本にある動物実験をしている機関に徹底させることをどのようにするかということも考えていただきたいと思います。
 それから、確かにこれは実験動物の福祉であって、動物実験の技術的問題はここでは話し合わないということは理解しておりますけれども、実際実験中であれ、その動物の福祉は配慮されなければならないことではございますので、分けにくいという点はあるかもしれませんけれども、実験中の動物についても、それから、浦野先生が少しおっしゃった部分でも、全く、一切踏み込まないというのではなく、どこまでかというのは難しいとは思いますけれども、ある程度まで踏み込んで表現していただけたらいいと思っております。
 とりあえず、今は、先ほどのご質問もございますので、切らせていただきます。

【東海林動物愛護管理室長】 はい。まず、アンケート調査の対象ですけれども、先ほど申し上げましたように、文科省さんのご協力を得まして全大学に出しましたので、回答をいただけなかったところは別として、大学の方はすべて調査をしたというようにお考えいただいてよろしいかと思います。
 一方で、製薬、医療関係会社、実験動物生産会社ですが、これにつきましてもほぼ漏れがないんじゃないかと思っております。といいますのは、今までのいろんなリスト、それから今回もこれで間違いないかどうか、漏れがないかどうかというのを、各関係学会・団体にさらに入念的に確認した上で出しましたので、それでも1,000に一つですとか、100に一つですとか、そこのところは確かにおそれはあると思いますけれども、基本的にほぼ網羅される格好でやったものであろうというように思っております。
 それで、その上で、ご質問の、ガイドラインをつくっていない、委員会をつくっていないというところの、つくっていないところの内訳でございますけれども、ざっくりと傾向分析しましたところ、各機関による差はほとんどないという結果になってございます。

【林委員長】 よろしいでしょうか。どうぞ、池田委員。

【池田委員】 今回の事務局からご提示いただいた案について、既に改正された他の基準等と整合性を取る必要があると考えます。同時に、学術会議の提言にも述べられているように日本の国内法の未整備がために生じる危機感を勘案すると、国内だけでなく世界に対する視点があっても良いかと思います。
 既に山口委員あるいは浦野委員も同様の視点でお話をされていました。既に日本の実験動物の福祉に関しては、かなりの部分で諸外国と比較しても遜色ない、あるいはそれ以上のレベルに達していると考えます。従って動物福祉の実践を担保する項目を基準に盛り込んでも、実際には余り問題にならないと思っております。
 それからもう一点は、先ほど東海林室長が、今後基準の解説書を作るお考えを表明されましたが、そうすると、最終的に解説書も含めて、どこを落としどころにするかということも考慮し、動物福祉の実践を担保するための手段を基準に盛り込まないと、結果として整合性がとれなくなると思います。この点も委員会での配慮事項かと考えます。

【林委員長】 わかりました。では、柏木委員、そして鍵山委員。

【柏木委員】 一つ二つちょっと、主にブリーダーの立場からお話をさせていただきたいと思うのですが。
 一つ、実験動物委員会、結構なことだと思いますし、ご存じのように日本実験動物協会では模擬調査ということで、外部の第三者の先生方にお願いをして、ブリーディング・ファシリティーの調査というふうなことも現実に始まっているわけですけれども、一方では、今、池田委員の方からもお話がございましたけれども、インターナショナルに見たときに必ずしもこういうシステムでないと担保できないのかということを考えておかないと、少人数で大変貴重なラインを維持し、研究者の方々にご提供しているところは仕事をやめなさい、あるいは、そのラインはそういうことができるところにもう譲りなさいということになりかねない。この点においても、リプレイスメントの案を考えておかないと、実験動物の重要性あるいは人類のサイエンスに対する貢献みたいなものを考えたときに、それが根幹にあるわけでございまして、その辺のところ、本末転倒にならない形で論議が進むことを期待したいと思います。
 もう一つはちょっと技術的なことですけれども、現行の基準においても、実験動物生産施設というのが何か突如出てきて、骨子と同じような内容のことが書いてある。これを読みますと、この法制立ては実験動物の生産施設に関してここだけ読めというふうにも読めなくはない法制立てになっていると、大変ありがたいことだと言うブリーダーもおりますけれども、この辺のところの整理ももう少ししておかないと、何をどうしろということだということがわかりにくい。わからければ普及啓蒙もできないということになりますので、この辺はご配慮いただきたいと思っています。以上です。

【林委員長】 わかりました。では、鍵山委員。

【鍵山委員】 44ページの、そちらの方の右の欄に輸送時の取扱いとして丸がついて、必要に応じた休憩時間の確保というのが書いてあるのですが、ちょっとこれの意味がわからなくて、どういう意味ですかというのが1点と。それからあとは、そういうのは輸送中の動物を観察という、例えば犬とか猿とか豚ですよね。そういうことがうたわれてもいいのじゃないかと思いました。それが第1点。
 実は三つあるんですよ。第2点目は、事後措置というところがそのページの下にございます。現行の文書に麻酔薬または頸椎脱臼等によってというくだりがあるのですが、この辺のところに関しましては、もう国際的なガイドラインが大分進んでおりまして、例えば頸椎脱臼というのはある条件つきのアクセプタブルになっているので、まあここらはちょっと整合性をとった方がいいのではないかと感じましたので、2点目。
 それから3点目、45ページの右のその丸がついている一番上。これは本当は柏木委員の発言になるべきじゃないかと思うのですが、私から代わって。丸がついて幼齢・老齢動物の飼養制限、繁殖回数の適正化、これはほかのところとの、ほかの基準との整合性であろうと思いますが、この繁殖の定義が、自然交配であれば、そうだろうと思います、オーケーだと思いますが、例えばモデル動物と、繁殖すべき年齢の間で最も既に病態が出てきて繁殖できないというケースがございます。そういうときには、現実問題としては体外受精とか、胚移植でむしろそういう系統を救っているところもありますので、そういうことを含めますと、一概にこういった表現は不適切とは言わないのだけども、余り適切ではないのかなと感じます。以上です。

【林委員長】 前島先生。

【前島委員】 ここの会議でよく調査数の問題が出てくるのですが、調査というものは別に全部を把握しようと思ってやったわけじゃないと私は理解しています。全例調査をやれというのは、私にはほとんどナンセンスだと感じます。豆が煮えたかどうか全部食べてみなければわからないかという問題と同じだと私は思います。
 それから、最初にも言ったのですが、浦野さんから責任を明確にしろとか、あるいは提案がいろいろ出てきましたが、本当は委員が、それだったら私はこのことをこう書くといって事務局へ案を送るのが筋だと思います。
 少なくとも55年に実験動物基準を作ったときは、いろんな意見が出ると、最後は、じゃあ次の会までに自分のだったらこう書くという案文を持ってこいという宿題が出ました。こうやるべきであるとかここで言われても、委員の認識と環境省の担当者の認識の間にずれもありますし、いろいろな誤解もあるので、文章を書いて出していただくと非常に助かると思います。ただし、日程的にもう時間がないと言われればおしまいです。
 どうも、長くすみません。

【林委員長】 次回までどんどん出していただく分には、問題ありませんので。

【浦野委員】 弁明させてもらえば、既に、私というか我々の考えはもう環境省さんの方に活字にして全部提案してあります。先ほど僕が言った意見を全部、既に活字として提案してありますので、それをご検討いただけたらありがたいです。
 それから、骨子についてもう少し踏み込めば、これも各論になって恐縮ですが、例えば治療行為について触れていないところ、幾つかまだあるのですが、今日のこの会議でどこまでそれを議論するのかわからないので言いそびれているのですけど、次の会でもまた少し触れていくのでしょうか。それとも、きょうで終わらせるのでしょうか。

【林委員長】 それは、治療行為というのは実験動物……。

【浦野委員】 例えば病気になった動物がいたときに、治療をできるものは治療をする、と。それは例えば獣医学的な方法を用いるとか、そういう踏み込んだ表現になっていくのですが。要は、委員会の進め方として、今日はどこまでやるのでしょうかという。

【林委員長】 今日は、少なくとも事務局でおつくりいただいたこの改定案を基本にして、これをどう膨らますかという、あるいはどこをどういうふうに、ここは要らないのじゃないかという論議をある程度大きくやっていただいておいて、実際にこれをあれするのは、次のヒアリングが26日ですから、委員会そのものはもっと後になります。そこまで相当時間はあると言えばあるのですが、そこでそれで全部、その委員会で決めてしまうということにならないと間に合わないのですか、どうですか。後から、後ろの方のあれが詰まっていると思いますので。

【東海林動物愛護管理室長】 そうですね。繰り返しになりますが、11ページをお開きいただきたいと思うのですが、今日、この基本的考え方・骨子案で、林委員長がおっしゃられましたように、大きな枠組みのあり方、あるいは、もう少し具体的に言えば盛り込むべき、改定すべき事項ですとかポイントですとか、それの過不足あるいは方向性といったものをある程度ご議論いただいた上で、10月26日には関係団体から、こういった、またこれも大枠と事項の過不足が中心になろうかと思いますけれども、具体的なご意見をヒアリングという形でいただくと。今日のご議論と、それから26日のヒアリング結果、これのご意見を踏まえまして、素案、成文案、文書化したものですね、それを3回目の小委員会ではご議論いただけたらいいのではないかと思っております。
 3回目の日程につきましては、今日、日程調整の紙をお手元に配らせていただきましたけれども、皆さんご都合のよいときで、11月中旬から12月の頭ぐらいまでの期間でご都合のよろしいときに3回目の委員会を開かせていただきたいと思っております。
 そこでご議論いただいて、また、そこで所要の修正とかあるかと思うのですけれども、それを委員長とご相談させていただきながら適宜やらせていただいた上で、中間報告的な感じで12月中旬ぐらいに予定しております動物愛護部会に素案の報告をさせていただいて、パブリックコメントに入ってはいかがかと思っている次第でございます。

【林委員長】 よろしいでしょうか。3回目の小委員会である程度の結論が出ないと、もう1回そこでやらなきゃいけないことになりますが、例えばそのときに具体的な文書でここをこうするということがこの小委員会で、その場で原案があったとしても、決まれば、それはそれで完成すると思っていますが。そのためには、非常にきっちりとしたものを用意しておいていただく必要があろうかと思います。よろしいでしょうか。それは具体的には出すのに、第4回の小委員会をやるのは日程的には不可能でしょうか。

【山口委員】 そうしますと、具体的なことを今日もどこまで細かいことを言っていいのか、大まかで言っていいのか、どういう進め方なのか、ちょっと頭に、わからなかったものですから。そうしますと、皆さん多分、細かいポイントは持ってらっしゃると思うのですよね。もうちょっとここを直してほしいというところは、現行についても。その分を、このヒアリングを聞いて、それをここで今、皆さんがお話ししたことについてというだけでは、皆さんまだ話し足りないことが結構おありだと思うのですね。それぞれが書いて環境省に、ヒアリングの前にでも直後にでもお渡ししてもよろしいのでしょうか。

【東海林動物愛護管理室長】 多分、かなり具体的、細目的な部分になりますと、文書化したものがないとご議論しにくいというところもあるのではないかと思います。
 例示的に言えば、先ほど主語といいますか、責任をとる主体がちょっと不明確な部分があるというご指摘でございましたけれども、これは今日お示ししたのはポイントなので、たまたま主語を省略しているといった結果、その辺があいまいになったということじゃないかと思っております。
 そういった意味で、26日のヒアリングが終わりましてから、それのご意見を踏まえまして、林委員長とご相談しながら、早急に成文化といいますか文書化したものをまとめたいと思っています。
 それで、第3回目の小委員会に先立ちまして、かなりの時間的余裕を持って成文案を文書化したものをまとめさせていただいて、事前に各委員のお手元にお送りして、それで十分にそれぞれにご検討いただいてから3回目の小委員会に臨んでいただけるようにというように考えております。

【山口委員】 そうしますと、それをいただいたもので訂正、ここに追加とかいうことを先に環境省の方にお願いをして、小委員会のときにはそれが訂正になったものが上がる可能性があるのですか。

【林委員長】 いや、それはそうならない可能性もあります。つまり、その訂正が原案として適当でなければ、だから、いただいたもの全部訂正していたらものすごいことになりますから、そういうことではありません。

【山口委員】 ええ。

【林委員長】 ただ、いただいたものはもちろん、論議に何とか生かせるような形をいたします。そういうことでよろしいですね。
 ほかにご意見、ちょっと予定の時間を過ぎておりますが、なければ、今日はここまでにさせていただきたいと思います。
 それでは、そうですね、もう一つ議題、議事の3、その他は何かございますか、ここで。委員の方々。事務局としてはありませんね。
 よろしいですか。議事の3、その他は特になければ、これは今日はなしということにしたいと思います。

(なし)

【林委員長】 それでは、以上をもちまして、本日の実験動物小委員会の議事をすべて終了いたします。
 では、次回の日程等について、再度、事務局からご連絡いただきます。

【東海林動物愛護管理室長】 ご審議いただきまして、ありがとうございました。
 次回は26日水曜日になりますけども、2時から4時まで環境省の第一会議室でヒアリングを予定してございます。
 ヒアリング団体はお手元に配りました全部で5団体ということで、各界、各関係団体からご意見をいただこうと思っております。
 それから、第3回ですが、日程調整させていただきまして、11月中旬から12月の頭にかけてご都合のよろしい日ということでセットしたいと思います。
 先ほどの繰り返しになりますけれども、今日の資料も1週間近く前に、3日、4日前には少なくともお手元に届くようにお送りさせていただいたのですが、その第3回目の資料につきましては、特に10日ですとか2週間ですとか、ちょっとはっきり申し上げられないところもあるのですが、十分に成文案についてご検討いただける時間的余裕があるように、事前にお送りしたいと考えてございます。
 どうもありがとうございました。

【林委員長】 それでは、どうもありがとうございました。