中央環境審議会動物愛護部会 第45回議事録

1.日時

 平成29年8月29日(火)13:30~15:30

2.場所

 三田共用会議所 大会議室

(東京都港区三田二丁目1番8号)

3.出席者

 新美 育文  中央環境審議会動物愛護部会長

 浅野 明子  臨時委員    打越 綾子  臨時委員

 太田 光明  臨時委員    金谷 和明  臨時委員

 木村 芳之  臨時委員    武内 ゆかり 臨時委員

 田畑 直樹  臨時委員    藤井 立哉  臨時委員

 水越 美奈  臨時委員    山﨑 恵子  臨時委員

 山口 千津子 臨時委員    脇田 亮治  臨時委員

4.議題

(1)動物愛護管理法の施行状況について

(2)動物愛護管理行政の課題について

(3)その他

5.配付資料

資料1   動物愛護管理法の施行状況について

資料2-1 動物愛護部会(第44回)資料4に対する主な指摘事項

資料2-2 動物愛護管理をめぐる主な課題について

資料2-3 動物愛護管理をめぐる主な課題(資料集)

資料3   今後の審議会等のスケジュール(イメージ)

6.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、第45回中央環境審議会動物愛護部会を開催させていただきます。

 本日は、所属の委員、臨時委員、17名のうち13名のご出席をいただいておりますので、規定の定足数を満たしており、今回は成立しております。

 続きまして、配付資料の確認をさせていただきます。

 まず、冒頭に一部訂正があります。第45回の議事次第を1枚めくっていただきまして、動物愛護部会委員名簿で、真ん中辺り武内先生、准教授となっておりますが教授の誤りでした。申し訳ありませんでした。訂正させていただきます。

 それでは、資料の確認をさせていただきます。議事次第、第45回部会資料の先程の委員名簿の裏に配付資料一覧がございます。こちらにあるものとして、資料1、1ページから16ページまで、資料2-1、17ページから20ページ、資料2-2が26ページまで、資料2-3が44ページ、最後、資料3、スケジュール等が1枚、紙でついております。

 それから、委員の皆様につきましては、先程の配付資料一覧の下に書いてあります、施行状況に関する調査結果というものを、つけさせていただいております。また、各委員の先生には、法律集という水色の冊子も置かせていただいております。今申し上げた二つのうち、施行状況に関する調査結果につきましては、ペーパーレスの関係で傍聴者の皆様にはお配りしていませんけど、後日ホームページにアップしますのでそちらで見ていただけたらと思います。もし、落丁等ありましたらご連絡ください。

 それでは、開会に当たり、局長の亀澤よりご挨拶申し上げます。

【亀澤自然環境局長】 大変お世話になっております。本日は大変お忙しい中、動物愛護部会にご出席をいただきまして、ありがとうございます。

 動物愛護管理法につきましては、平成24年に改正されまして、来年の9月で施行後丸5年を迎えることになり、そろそろこれまでの施行状況について振り返ってみる時期になっております。本日の部会では、法律に基づきます基本指針における施策別の取組状況につきまして、これまでの点検結果と今後の取組方向をまとめておりますので、それについてご報告し、ご意見をいただきたいと思っております。

 それから、前回の部会の際に、動物愛護管理行政をめぐる主な課題ということで、事務局なりの整理をご説明いたしました。その際に幅広くご意見をいただきましたが、今回はその時いただいたご意見も踏まえて再整理しておりますので、それについても改めてアドバイスをいただきたいというのが議事の二つ目でございます。

 本日もまた限られた時間ではございますが、忌憚のないご意見をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【事務局】 ありがとうございます。

 なお、局長と審議官は、所用により途中退席させていただきます。あらかじめご了承ください。

 それでは、この後の議事進行につきましては、新美部会長にお願いいたします。

【新美部会長】 それでは、早速議事に入らせていただきたいと思います。暑い中、お集まりいただきましたけれども、今日も集中してご審議いただけたらと存じます。

 本日の議題でございますけれども、先程、局長からご案内ございましたように、報告案件が2件ございます。できるだけしっかりと、かつ要領よく議事を進行したいと思いますのでご協力をよろしくお願いします。

 それでは最初に、議題の1となっておりますところの動物愛護管理法の施行状況について、事務局からご説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

【事務局】 

 それでは、まず1ページをご覧ください。動物愛護管理法の施行状況についてということで、これまでの取組みにつきまして、環境省の取組みを基本的な指針に照らし合わせてどういうことをやってきたかということを、今から説明させていただきたいと思います。

 それでは、2枚目以降、基本指針の項目に従いまして、簡単にご説明をさせていただきたいと思います。

 まず、1番の普及啓発でございますが、今まで取組状況といたしましてイベントを実施したり、ポスターを配布したりしております。それから適正飼養譲渡講習会ということで、そこに書いてございますように、25年~29年については、16自治体、22回、開催をしております。そのほか、ホームページあるいはモデル事業などで、いろいろ一般にわかりやすく動物愛護管理法を含め、普及啓発をしてきているところでございます。

 下の一般市民と書いてある下から二つ目の丸でございますが、動物愛護管理法の認知度が50.7%、それから、飼い主による終生飼養の責務の認知度は、35.5%から72.7%というように多くはなっております。それから、適正飼養の関係で、去勢・不妊は犬猫ともにパーセンテージは多くなっていっているところで、引き続き関係団体と連携しまして、いろいろ取組みを進めていきたいと考えているところでございます。

 それから、普及啓発の二つ目、3ページになりますが、ガイドラインの作成など、そのあり方についても検討をすると。それから、学校動物についても同様な配慮が行われるように検討をすることということで、これにつきましては、モデル事業の中で、小学校でのふれあい教室の実施や子供向けテキストの作成などをしております。引き続き、適正飼養管理や動物のストレスを減らすためのガイドライン作成についても、検討をしてまいりたいと考えているところでございます。

 続きまして、4ページでございます。適正飼養の推進による動物の健康と安全の確保というところで、不妊去勢措置の推進あるいは安易な飼養の抑制等、終生飼養の徹底が行われることによって、引取り数あるいは返還数等々について、良い方向に向かうように殺処分率の更なる減少を図るということを基本指針の中で書いておりますが、それについては先程も申しましたが、適正飼養講習会あるいは譲渡講習会をかなりの数やってきておりまして、ホームページでそういう犬猫についての収容動物検索情報サイトも開設をしてきているところでございます。

 それから、モデル事業の一環として、所有者不明の犬猫の不妊去勢、マイクロチップの装着、広域譲渡の推進、ミルクボランティア等ということもやってきておりますし、引き続き、自治体による動物収容・譲渡施設の整備事業への補助金は環境省のほうから出させていただいて、動物愛護センターの事業の足しにしていただいているところでございます。

 それから、犬猫の引取り数というものが41.8万頭から11.4万頭、殺処分率につきましては、94.4%から49.2%というように減らしてきているところですが、更なる減少をするようにいろいろ施策を講じていきたいと考えているところでございます。

 次に、5ページですね。同じく適正飼養の推進による動物の健康と安全の確保というところで、虐待や遺棄について防止を徹底的に図ることということで、取組状況としましては、ホームページで虐待事例を紹介したり、そこに書いてございますように、都道府県あるいは自治体に通知をお送りして、それから警察庁との連名ということで、その右のポスターも自治体に配布をしております。

 それから、担当者研修も開催をさせていただきまして、イギリスから講師を呼んで、動物福祉の観点の話などを自治体職員向けに行っているということでございます。

 このような取組みも引き続き、自治体職員への知識研修の技術の習得に向上に努めていきたいと考えているところでございます。

 続きまして、6ページの動物による危害や迷惑問題の防止でございますが、住宅密集地などにおいて、飼い主のいない猫を生み出さないような取組みを推進するということで、モデル事業として関係団体で地域猫活動やTNR、猫の不妊去勢ということをやってきております。

 そこの表は、不妊去勢手術を助成している自治体数ですが、こうした取組みも進んでいるということで、来年度以降に所有者不明の猫対策についてもガイドラインを作成して、全国の自治体に配布して進めていきたいと考えているところでございます。

 次に、7ページでございますが、同じく、動物による危害や迷惑問題の防止ということで、特定動物について、その右側にあるようなパンフレットを作りました。それから、サファリパークや動物園の安全マニュアル作りなどを進めていただくよう自治体宛に通知を出しているところでございます。また、地方自治体による特定動物の飼養保管に対する立入検査もそこに表にしておりますような数字で進められているということで、今後、またこういうものも解消できるように、適正飼養対策あるいは特定動物に関する問題に取り組んでいきたいと考えております。

 続きまして8ページですが、所有明示措置の推進ということで、マイクロチップの普及ですが、パンフレットなどで普及啓発を図っておりまして、モデル事業でもマイクロチップ、所有明示の推進ということで5自治体でやらせていただいているところですが、現在までに、公益社団法人日本獣医師会の調べですが、犬猫、その他も含めまして約150万頭、マイクロチップを装着したという実績がございます。引き続き、こういうものが進むように取り組んでいきたいと考えているところでございます。

 次に、5番の動物取扱業の適正化ということで、取組状況といたしましては、第一種動物取扱業者に関する通知を出して、自治体で適正に対応していただきたいというようなことをしておりますところと、犬猫の幼齢個体を引き離す時期については、現在調査をしております。

 第一種、第二種動物取扱業の登録、届け出につきましても少しずつ増えてきているところです。また、対面説明につきましても30分以上かけるような事業者も増えてきているところです。こういうような取組みも含めて進めていきたいと考えているところでございます。

 それから、もう一つ、動物取扱業の適正化、引き続きになりますが、環境省の動物愛護管理室の職員が関係団体で開催するシンポジウムなどで、動物愛護管理法の遵守について講演を実施したり、自治体の取組み、監視、指導ができるように強化することも言われておりますので、自治体を対象にした研修会を毎年1回5日間程度、所沢の研修所でやっており、単年度100名ぐらいの方が参加されて、技術や、いろいろなことを身に付けていただいて、持って帰って自治体で取組みを進めていただくというようなことをさせていただいております。立入検査などもその円グラフにありますように、計画的あるいは随時であってもいろいろやられているということで、そういう取組みも進むように引き続き進めていきたいと考えているところでございます。

 引き続き、6番は変わって説明させていただきます。

【事務局】 引き続きご説明させていただきます。

 それでは、11ページをご覧ください。実験動物の適正な取扱いの推進というところでございます。基本指針のほうに、講ずべき施策ということで1番、2番と書いておりますが、こちらの部分につきましては取組みが終わっているものもございますし、取組みにかかっているものもございます。取組状況の一つ目として、「実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準」というものがございまして、その解説書を今、環境省で作成しているところでございます。こちらにつきましては、平成27年度から環境省内に研究会を設置して検討してきたところであり、本年中を目途に解説書を作成する予定としております。作成した解説書につきましてはホームページの掲載、または冊子という形で外向けに出していきたいと思っております。

 また、右側の四角をご覧ください。動物実験関係者向けの講義について、動物実験関係の業界の前向きな取組みに環境省も協力するということで、外部検証の人材育成研修講習会及び実験動物管理者等研修会に環境省から職員を派遣して説明をさせていただくというような取組みも昨年度させていただいており、今年度も引き続き行っているところでございます。

 また、下の丸のところですけれども、「実験動物」の取扱いに関する各国の制度について調査をしておりまして、資料が膨大になっております。そのため、委員の皆様にお配りさせていただいている参考資料に掲載しておりますので、後程ご覧いただければ幸いです。

 また、下側をご覧ください。国は、定期的な実態把握を行うこととなっておりまして、環境省では、平成28年度に環境省が実施している業務、いわゆる環境省のほうから動物実験を外注などして行っている機関等が5機関ございます。こちらには、環境省内の機関もございます。そこで、この5機関につきまして、実際に出している基準の遵守状況というものを調査させていただいており、結果につきましても環境省のホームページで公表させていただいているところでございます。

 今後の取組みとしましては、引き続き、国際的な規制の動向等の情報の収集を図るとともに、関係機関の実験動物の遵守状況について定期的に実態把握を行っていきたいと考えております。

 それでは、次のページをご覧ください。12ページです。産業動物の適正な取扱いの推進でございます。講ずべき施策としましては、産業動物の飼養等のあり方の検討であったり、産業動物の性格に応じた動物の愛護管理の必要性に関する普及啓発、または、災害時の産業動物の取扱い等について、関係省庁が協力して検討することになっております。

 取組状況でございますが、OIE(国際獣疫事務局)の指針(コード)策定等につきまして、農林水産省を中心にですけれども、関係省庁とともに対応させていただいているところでございます。また、産業動物の動物福祉に関して関係省庁の担当者と打ち合わせを実施しております。特に、昨年度、OIE(国際獣疫事務局)のほうから、PVS(獣医組織能力)評価ということでOIE(国際獣疫事務局)の職員が実際に日本に来て、動物愛護管理だけではなく、畜産関係、食品衛生の関係とか全体も含めて査察がございました。そこにつきましても、環境省のほうでは、動物愛護管理関係の現状等について実際にご説明させていただき、関係省庁と対応させていただいたところでございます。

 今後の取組みとしまして、引き続き関係省庁と連携しつつ対応していくこととしております。

 また、参考をご覧ください。飼養管理の一般原則ということで、これは環境省で作成しています「産業動物の飼養及び保管に関する基準」というものございまして、これにつきましても、今後、関係省庁と連携しながら改定も含めて、検討していく予定としております。

 畜種毎の対応というところをご覧ください。OIE(国際獣疫事務局)の指針の策定・改正というところで、矢印の上に、公益社団法人畜産技術協会等と書いてありますけれども、この公益社団法人畜産技術協会のほうで検討会等を開いて、「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」というものを平成21年から策定・改正しているところでございます。こちらにつきましても、公益社団法人畜産技術協会を中心に普及・啓発を実施していただいているところでございます。

 次のページをご覧ください。13ページです。災害時対策というところをご覧ください。こちらのほう、講ずべき施策としましては、まずは、体制の整備を図る、体制の整備に向けた調整をする、所有者の責任の徹底に関する措置の実施を推進する、広域的に対応する体制の整備を推進する、と。この4項目が挙げられております。

 環境省の取組状況についてご説明いたします。まず、平成25年の6月に、東日本大震災を踏まえて、「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」を作成いたしました。この後、防災基本計画の修正、いろんな知見等がありまして、追記をしたり、改正をしたりしてきたところでございます。

 この下側を見ていただければと思うのですけれども、地方自治体の取組みとしましては、地方自治体の動物愛護管理推進計画、地域防災計画に反映・記載され、適宜、地方自治体においても更新されているところでございます。また、飼い主責任による同行避難につきましては、昨年度の熊本地震の対応状況を勘案する限り、かなり普及してきているような状況でございます。また、一次対応上、いわゆる震災が起きたときに重要な区市町村の対応や避難所への震災者の受け入れ、広域支援のあり方にはいまだ課題がございます。

 これを踏まえまして、今後の取組みとしまして2点、環境省では進めております。1点目は熊本地震の対応経緯を今レビューしておりまして、対応記録集を作成するとともに、災害対応での課題を抽出しているところでございます。

 2点目は「「災害時におけるペットの救護対策ガイドライン」の改訂等に係る検討会」、もうこれは、1回目を既に開催しているところでございますけれども、実際にガイドラインの改訂に向けて特に広域的支援体制の整備などについて検討を行い、こちらにつきましては、今年度中にガイドラインの改定を目指しているところでございます。

 それでは、次のページをご覧ください。14ページ、15ページと人材育成という項目がございます。先程ご説明しているとおりではございますけれども、本日ご出席の委員の皆様のご協力もいただきながら、国や地方自治体等の職員を対象に、さまざまな講習会、研修会を環境省で実施してきているところでございます。

 今後の取組みとしましては、動物愛護管理行政の状況や最新の知見を鑑み、特に、地方自治体の業務で求められている知識や技術を的確に支援できるような現状の講習会や研修会を拡充していくことを考えてございます。

 15ページをご覧ください。こちらのほうは、2番、3番とございます。2番のほうは、動物愛護推進員制度が十分に機能するよう、国や地方公共団体に対して情報提供や技術的助言を着実に実施するということになっております。

 取組状況としましては、四角で囲ませていただいておりますけれども、現状としては、動物愛護推進協議会数は、このような状況になっております。また、動物愛護推進員の皆様の人数もこのような状況になっております。今後の取組みとしましては、引き続き、地方自治体に対して、毎年度、動物愛護管理行政事務提要というものを発行させていただいておりまして、今年度につきましても9月の上旬には公表する予定としておりますけれども、こちらのほうに動物愛護推進員制度の普及状況、いわゆる数値ですね、どういう自治体でどういうふうにやっていますよというものが載りますので、こういうものにつきまして、引き続き情報提供していきたいと思っております。

 3番をご覧ください。こちらのほうは、国及び関係地方公共団体等における官民の連携事業推進することということになっております。

 取組状況としましては、動物愛護関連の行事の開催、来月末に行われる動物愛護週間中央行事や環境省主催で6月にやりましたエコライフフェアですとか、来月末に行われる動物感謝デーなど、関係団体の皆様と一緒にさまざまな行事に参加させていただいているところでございます。また、各業界の皆様から講演等の依頼がございまして、そちらにつきましても対応させていただいているところでございます。

 今後の取組みとしましては、引き続き、現状の取組みを推進していくとともに、関係団体とのよりよい連携事業について検討を進めていきたいと考えております。

 それでは、16ページ、最後の10番をご覧ください。調査研究の推進です。先程説明がありましたけれど、1番、国は、犬や猫と人間が密接な社会的関係を構築するための幼齢の犬猫を親等から引き離してもよい適切な時期についての科学的知見を充実させることについて対応を求められております。

 取組状況としましては、平成25年度から29年度まで、「犬猫幼齢個体を親兄弟から引き離す理想的な時期に関する調査」というものを、現在も実施させていただいているところでございます。詳細につきましては、犬猫購入者約9,300人に攻撃性等に関するアンケートを依頼し、今、解析を進めているところでございます。

 今後の取組みとしましては、解析結果について有識者の委員の方々から聴取しながら、幼齢個体を親等から引き離す時期と問題行動の関係を科学的に評価し検討していきたいと思っております。

 2番につきましては、マイクロチップの関係ですので、4番の説明ということで割愛させていただきます。

 3番につきましては、諸外国の制度、科学的知見に関する文献について情報収集を行うことということになっております。

 取組状況としましては、今年度、イギリスとドイツの法制度等の調査を実施させていただいたところでございます。特に、ドイツにつきましては、平成29年の4月に動物愛護管理室の職員2名が現地に行きまして調査を実施させていただいたところでございます。

 今後の取組みにつきましては、後でその他というところでスケジュールのご報告をさせていただく中に載っているのですけれども、動物の飼養基準に向けての検討等に資する情報の収集を行っていくことが1点目でございます。

 2点目は、先程、説明がありましたけれども、動物虐待等科学的評価研修会を平成29年の9月に開催する予定でございます。

 3点目につきましては、本年度中にイギリスについても現地調査を予定しておりまして、引き続き情報収集をしていく予定でございます。

 事務局からの説明は以上でございます。

【新美部会長】 どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明につきまして、ご意見、ご質問のあります方は名札を立てていただきたいと思います。

【太田臨時委員】 すみません。

【新美部会長】 太田委員。

【太田臨時委員】 細かいですが8ページ。犬猫販売業者における対応状況という真ん中の点線の四角で囲ってありますけども、犬の13.3%、猫が33%です。この分母はわかりますか。あるいは実数がわかったら教えてください。

【事務局】 すみません。今すぐ数値が出てきません。後程ご報告させていただきます。

【太田臨時委員】 何となくその隣に表があって、その割合からすると、その割には猫のほう実数は増えてないので、その質問をしているのですけど、お願いします。

【新美部会長】 よろしいでしょうか。

【太田臨時委員】 はい。

【新美部会長】 ほかにございましたらよろしく。では、山﨑委員、お願いします。

【山﨑臨時委員】 二つほどございまして、一つは、11ページの実験動物の適正な取扱いの推進というところでございますが、以前からもともと動物愛護管理法の中に3Rの原則は入っております。ここで、実験動物の飼養管理・保管に関する基準とか苦痛の軽減というところは文言として入っておりますけれど、3Rの中の非常に、やはり一番大切な部分の代替法のことが何も入っておりません。基本的には、科学者の間では、実験のプロトコールをつくるときには代替法を検討するということが常識になっておりますが、代替法の有無を本当にどこまで徹底して検討して、そして、動物実験を減らすというような努力がなされているかというのが、ややファジーになっていることで、これが法律にどう書き込まれるかどうか全くわかりませんけれど、代替法ということを実験動物の適正な取扱いの中に、3Rの一つでございますから、入れていただきたいと思います。今日、傍聴にも代替法学会のメンバーの方々が来られておりますので、ぜひその辺りは検討していただきたい。

 もう一つは、人材育成のところで、動物虐待等科学的評価研修会の開催となっていますが、具体的にはこれは、ちょっと個人的に関心があるだけなのですが、どういう形のものをやっておられるのか、どういう、例えば講師の先生でどんな方を対象にやられるものなのか、少し詳細がもしわかれば教えていただきたいと思います。

【新美部会長】 それでは、事務局のほうから、2点についてよろしくお願いします。

【事務局】 すみません。それでは、2点目のほうから、ご説明させていただきます。動物虐待等科学的評価研修会を本年度から環境省主催でやる予定になっております。こちらにつきましては、対象は地方自治体の獣医師職員を対象としてやる予定としております。中身につきましては、動物虐待関係等に知見をお持ちの先生方にお願いをして講義いただく予定となっておりまして、実際、先日、公益社団法人日本動物福祉協会でやられているような内容と似たような形でやっていこうということで考えています。まだ、予定ですので完全に決まってはおりませんけれども、そのような形でやっていこうと考えております。

 1点目の3Rの件ですけれども、法律に記載されるか否かというのは、事務局のほうでコメントするのは非常に難しいところではございます。ただし、関係省庁とも、3Rにつきまして、実際、実態調査という形でホームページのほう、環境省に限らず他省庁も、自分たちが所管している動物実験施設というところの調査なり何なりというのはやっていますので、そういうところでフォローできればいいのかなと思っております。

 すみません。太田委員からご質問いただいていた調査の件です。太田委員、ご説明させていただいてもよろしいでしょうか。先程のマイクロチップの調査の件の母数です。こちらは、皆様にお配りしている参考資料の121ページから、第一種動物取扱業に関するアンケート調査結果ということで、また改めて見ていただければと思うのですけれども、犬のほうは571です。571分の「している」と答えてくださったのが76ということになっております。猫のほうは667です。667のうち「マイクロチップをしている」と回答してくださったのが220ということです。調査手法につきましては、郵送調査ということで、大体1,000ぐらいの販売業にそれぞれ送りさせていただき、ご回答いただいたものについて統計をとらせていただいたというもので、こちらはホームページにも載っておりますし、今後この調査結果につきましても、また審議会の資料として載せさせていただきたいと思っております。以上でございます。

【新美部会長】 太田委員、よろしいでしょうか。

【太田臨時委員】 結構です。

【新美部会長】 どうもありがとうございます。ほかにご質問、ご意見がございましたら。

 では、どうぞ。水越委員、お願いします。

【水越臨時委員】 ここで質問すべきかどうか、ちょっとあれなんですけども、適正飼養講習会、適正譲渡講習会、私のほうも講師を依頼されて何度か講師をしたこともあるんですけども、毎年、実施されていますが、やっぱり希望される自治体ということで、講師からしても何か、いつも同じような自治体が手を挙げているなと思うところでもあります。これ、やはり全国的にそういうことをやっていただきたいなというような希望がございます。同じようにその講師につきましても、やっぱりその講師の選定というようなところをもうちょっとつまびらかにというか、明らかにしていただきたいなというのが私の希望です。また、内容に関しましても、適正飼養、譲渡というような名称になっておりますが、基本的には自治体の希望というところが大きいようなんですけれども、かなり飼養や譲渡とは異なった講習会を希望されるようなところであるとか、また、対象の自治体によって職員さんのみ、また、動物愛護推進員の研修会に利用するとかなり幅広いものになっているように思います。幅が広いほうがいいのか、ある程度かなり形が決まったほうがいいのか、それは本当に検討すべきところだと思うんですけども、毎年実施されているものですので、環境省のほうとしては、どのように、今後、適正飼養、譲渡講習会というのを進めていくように思っていらっしゃるのか、ちょっとそのところをお聞きしたいというふうに思います。

【新美部会長】 それでは、今の点、よろしくお願いします。

【事務局】 ありがとうございます。今ご指摘がありましたように、かなりもう25年からずっと適正講習会をやらせていただきまして、ただ、やっぱり偏りがあるのは事実ですし、自分のところに財源がないからこれを利用して自分のところでやりたいものをやるというようなことも行われているのは事実ですが、少しでも自治体に有効に使っていただきたいということで、ある程度希望が出た自治体には、なるべく採択をさせていただくような形で進めさせていただいておりますが、だいぶ年数も経過しておりますので、過去の経緯も含めまして、少し環境省のほうの方針で、どういうふうに今後進めていくべきかということを内部できちっと方針を決めさせていただきながら、今後、どの自治体でどういうことをやっていくかということを進めさせていただきたいと考えております。

【新美部会長】 ありがとうございます。よろしいでしょうか。

 ほかにご質問、ご意見。どうぞ、打越委員、お願いします。

【打越臨時委員】 9ページ、動物取扱業の適正化のところですけれども、先程、第一種動物取扱業者の登録数及び第二種動物取扱業者の届出数については年々増加しているというふうにさらっと済ませていらっしゃいましたけども、第二種動物取扱業が増加するのは、ボランティア団体がきちんと法的なものになろうというので、増加するのはよくわかることなんですが、第一種動物取扱業が増加するというのは、よく動物取扱業者に対する規制を厳しくすることによって、悪質な業者は淘汰されていってほしいというのが多くの人々の願いだと思うんですね。また、さらに生体販売などに対しても厳しい目が注がれていると、昔ほど単純においしい事業ではいられなくなっていると思うのですが、それが増えている。確かに、かなり増えているなと思うところは、訓練や保管、トレーニング、そういったものが増えているのかなとも思うのですが、その内訳やそれからペット取扱業というものが構造的にどんなふうに変化しているかなど伺えたら、それに応じて今後の法律改正のウェイトの置き場所も変わってくるかなと思いました。多分、統計はありますよね。お願いします。

【新美部会長】 では、よろしくお願いします。

【事務局】 販売は、ほとんどそんなに増えてないです。保管とか貸し出しとか訓練というのが、ここ3年ぐらいの間に少しずつ増えてきているというのが実情です。犬猫以外も当然登録をしなくてはいけないわけですし、そういうような実態が把握できるようなアンケートというか事務提要の作り方も含めて、日本における第一種動物取扱業が健全化できるように、いろいろデータ情報の収集を進めてまいりたいと思います。

【新美部会長】 よろしいでしょうか。

 ほかにございましたら、どうぞよろしくお願いします。特に、ございませんでしょうか。(なし)

【新美部会長】 それでは、執行状況についてのご報告、以上にさせていただきたいと思います。

 では、続きまして、動物愛護管理行政の課題につきまして、事務局からご説明をよろしくお願いします。

【事務局】 では、ご説明をさせていただきます。資料2-1をご覧ください。これは、前回、3月に開かせていただきました第44回の部会で、資料4といたしまして、動物愛護管理行政をめぐる主な課題とキーワード(たたき台)というので大きく五つ、「飼い主責任」、それから「動物取扱業が求められる役割と今後のあり方」。そして、「行政機関が果たすべき役割、民間との連携のあり方」。それから4番目として、「社会的規範としての動物の愛護及び管理の考え方」。最後に5番目、「人と動物が共生する社会の将来ビジョン」ということで、それぞれ幾つかのキーワードをお示ししました。また、その下に斜字で書いておりますのが、口頭で私からご説明をさせていただいた内容です。

 それに対して、皆様からいただいたご意見がその右側の部分でして、これは、主なテーマごとに括って入れさせていただいております。この部分はあまりご説明はいたしませんが、1番の飼い主責任については、適正飼養とは何かという部分に随分ご意見があったのと、逆に、2番目の動物取扱業に関しましては、多々課題はあると思うのですけども、ご指摘があったのは動物園の話題のみでございました。それから、3番目の自治体の部分。それから、4番の考え方と5番の将来的なあり方、こういったところには、たくさんのご意見をいただいたと思っております。

 これをベースにいたしまして、資料2-2のほうをご覧ください。これが前回の部会でのご議論、それから、施行状況等を踏まえまして、課題として考える事項を抽出させていただいたものです。これは、ある程度文章になっておりますけど、まだまだ途中のものでございますので、今後の議論を踏まえて課題を整理していきたいと思っております。この資料2-2と2-3の補足資料を使いましてご説明をさせていただきたいと思います。

 1番の飼い主責任のあり方につきましてですが、「適正飼養」とは何かということで、これについては、その基本的な考え方を整理すべきでないかというご意見が幾つかあったかと思います。これについては、所有者が適正な保管・飼養をしてないことに起因して、動物の健康及び安全が保持されていないこと、さらには、生活環境の保全上の支障等が生じている事例がございます。この「適正飼養」を確保するためには、適正な飼養・保管についての基本的な考え方について整理する必要があるのではないか。また、この適正飼養については、家庭動物ペットだけでなくて産業動物、実験動物、動物園動物にも通じるものでなくてはいけないといったようなご指摘があったと思います。これは、法第7条の第1項におきましてそのヒントとなる考え方が書かれているのかなと思います。

 続いて、2つ目の適正飼養を飼い主に浸透させるための手だてというのは何があるのかということについて、適正飼養を確保するための具体的な手法の理解が進んでないことがなかなか広まらない一因ではないか。法律の第7条第7項に基づきまして環境大臣が、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」と、その解説書を作成しております。これらは、皆様のお手元の法令集の中に入れさせていただいておりますけども、これを一般の方向けにわかりやすくまとめたものをガイドラインとして作成していく必要があるのではないか。また、作成する場合には、どのような内容とすべきかといった辺りもポイントになってこようかと思います。また、その際に、前回ご意見がございましたけども、適正な行為のみならず、何が不適正なのか、やってはいけないことを具体的に例示していってはどうかといったこともご指摘がありました。また、この不適正な飼養に関して、近隣住民の受忍限度を超える生活環境の支障を生じさせる、あるいは迷惑をかけるような飼養管理については、未然に防止する、あるいは速やかに支障を除去することが必要不可欠だと思いますけども、こういったものに対しまして、飼い主のモラルだけでいいのかどうか。それに加えて、飼い主の適正飼養を如何に確保していくのかというところが一つポイントになってくるかと思います。

 それから3番目が、多頭飼育等の適切でない飼養の予防対策ということで、適正な飼養が確保できないことによって、生活環境の保全上の支障等をもたらす。いわゆる多頭飼育崩壊等というのは、今、各地の自治体で問題になってきておりますが、こうした飼い主に対しては、前回のご意見でもございましたが、社会福祉等の専門家の協力が必要なケースが多いとの指摘がございます。適正な飼養を確保するために、どのような社会福祉・施策との連携方策が考えられるのか。現状把握、未然防止・再発防止のための考え方の整理、あるいは具体的な対応策を講じるための仕組み、人材育成等の体制整備のやり方、これも多々課題があるかと思います。

 次のポツでございますけども、動物による深刻な生活環境の支障を引き起こしている飼い主ですとか、あるいは、動物虐待の状態で動物を飼養管理している飼い主等について、再発防止のための抜本的な解決に向けてどのような対策が考えられるか。具体的に言いますと、その人から動物をある意味、保護といいますか、取り上げてしまう、あるいは飼育ができないようにしばらく制限をかけてしまうということができないのかどうかといったようなことが含まれた意味の表現でございます。

 その次に、災害等における適正飼養のあり方ということで、これは、災害時に人の避難行動に動物の適正飼養をどのように融合させていくべきか。また、犬猫以外の動物において、災害時における適正飼養のやり方をどう考えるか。今、犬と猫の同行避難というのはよく言われておりますが、例えば、爬虫類ですとか、大きな動物ですとか、そういったものを災害時にどうするのかというのは、少し議論が欠けているのではないかとご指摘があったかと思います。これら部分につきましては、先に補足資料のほうをご覧いただきたいと思います。

 27ページから、実際は28ページをご覧ください。28ページの上のほうは、一般社団法人ペットフード協会のデータでございますが、平成22年から28年の犬と猫の推定飼養頭数の変遷でございます。これでいきますと一般社団法人ペットフード協会の推定では、22年から28年の間で、大体、犬の飼養頭数が200万頭ぐらい減少しているという数字になってきております。一方、下のほうは厚生労働省の狂犬病予防法での登録の件数でございます。ここで同じ時期を比較しますと、こちら実は20万頭くらいの減少にとどまっているということで、狂犬病の登録のほうは100%の補足はできてないということは以前から指摘されておりますが、減少の仕方がだいぶ数としては違ってきているのかなというのがございます。実際はこの間ぐらいの数字になるのかもしれません。

 それから(資料番号の)4が、家庭動物の飼養及び保管に関する基準の一般原則の部分の全文と、共通基準でどういうことを書いているのか項目名をお示ししております。この四角の枠の中は動物愛護管理法の第7条に書いていることでございます。この共通基準の中では、動物の健康・安全の保持、生活環境の保全、それから、適正な飼養数、繁殖制限、動物の輸送、それから、人畜共通感染症、逸走防止、危害防止、緊急時対策、これは災害時の対策ですが、こういったことが実は家庭動物の飼養及び保管に関する基準の中で結構詳しく書かれていて、この基準の解説書まであるんですけども、おそらく、これらが一般の方には存在が知られていなかったり、わかりやすく目に見えるようになっていないということが一つ課題としてあるのではないかなと思っております。

 29ページの下のほうは、これは、法律の附則に基づく施行状況調査として、実際に自治体に実施させていただきまして、2度にわけた調査のうち、前半のアンケート結果がもう返ってきているのですが、そちらの調査で生活環境被害に関して自治体に対して住民から苦情があったケース、これは複数の住民から苦情があったケースですが、これが全国で2,000件余りあることが分かりました。その内訳としましては、騒音と悪臭、それからその他が多いのですが、その他とは、実は、その大部分が猫のふん尿の話でございますので悪臭の発生と結構共通しているかもしれません。その苦情はどういうところに来るかというと、9頭以下の飼育頭数で、かつ一般の飼い主に対して多々クレームがきている。一般の飼い主の飼い方がよくないということで苦情が届いているといった状況でございまして、その理由としては飼い主の知識が欠如しているというのが一番多いといった結果になっております。

 ただ、これは速報値でございますので、細かく分析していくとまだ数字は変わる可能性はございます。次回の審議会の時にはもうちょっと精度を上げたものでご報告したいと思いますが、今回は取り急ぎ参考としてお示しをさせていただいております。

 では、続いて22ページにお戻りください。続いては動物取扱業に求める役割と今後のあり方。上のほうは規制でございます。動物取扱業者のこの飼養管理基準は、実は、哺乳類、鳥類、爬虫類に共通でございまして、かつ多様な形態、犬猫の繁殖ブリーダーから動物園等の展示業者まで同じ基準を使っています。このため、適正飼養の確保の更なる徹底に向けて、動物の種類や業の種別に応じて、基準の更なる細分化・明確化、数値基準という言い方もされたりしますけれども、そういったものが必要との指摘がございます。この動物取扱業者が遵守すべき飼養管理基準をどのようにやるべきなのかというところは、一つのポイントになろうかと思います。

 それからもう一つは、動物取扱業者に法律の遵守を徹底するためには、自治体による法律の施行における課題は何かということ。つまり報告徴収・立入検査、勧告・命令、業務停止・業の取消し等の違反行為の抑止・是正のための適正な執行に係る課題は何か。これが、また、多様な業種・業態、これもペットショップ、ブリーダーから動物園、訓練施設まで非常に多岐にわたりますので、それぞれにおいて法の遵守を確保するための課題は何かというところがあろうかと思います。これは、昔から非常に活発に議論されてはなかなか決め手に欠ける部分かもしれませんけども、確実に前に進める点は何があるかというところは論点かと思います。

 それからもう一つが、動物取扱業の主体的な取組みをどう促進するかということで、規制だけではなくて業のほうから自主的にいろいろ改善していただくべき部分です。そもそも動物取扱業がその事業に応じた果たすべき社会的役割は何なのかという部分ですね。これについても考え方を整理する必要があるのではないかと思われます。例えば、下に※印で書いておりますが、ペットショップで仮に生体販売をするということであれば、それは、家庭での飼養のより理想的なあり方をモデル的に展示していく、新しく犬を飼おうとする方が、具体的な適正飼養のイメージが持てるようなやり方でお示しをしていくということが役割ではないかとか、いろいろそういった部分で社会の中で果たす役割もあるんだろうと思います。

 23ページ、もう一つのポツのほうは、今後は動物取扱業者、あるいはその業界団体が事業に応じた社会的な役割を果たしていくためには、まず、優良な事業者を奨励して、その活動を促進していくべきではないか。また、その事業者、業界団体がどのような自主的な取組みを促進していくべきなのかというところもあろうかと思います。先程の基本指針の点検のところでも、業の健全育成という部分については、あまり環境省は書くことがなかったのですけども、この辺りの業界の健全な育成、あるいは自主的な取組みも一つの課題になってこようかと思っております。

 これについて、また先程の資料のほうにお戻りいただきますと、30ページのところをご覧ください、補足資料です。30ページが動物取扱業の現状等についてです。先程、打越委員からご質問ございましたが、近年、販売業はそんなに増えてはいないのですが、この展示とか訓練とか譲り受け飼養業、つまり老犬ホームとか人間に対するいろいろなサービス業の展開と同じような分野が、今、増えてきております。

 それから、31ページの上段の部分は、動物取扱業に対する規制の構造を記したものです。

 31ページの下段の部分は、いわゆる基準の明確化というところで、この動物愛護管理法の施行規則第8条、非常にざっくりまとめて書いてありますが、これは、実は、全業種に共通の基準となっておりまして、その下に、「第一種動物取扱業者が遵守すべき動物の管理の方法等の細目」という告示が設けられています。よく話題になるのが施設の数値基準と繁殖制限になりますので、右のほうに抜粋して書いておりますけども、こういう定性的な表現となっております。これにつきましては、23年のこの審議会の前身の議論の時に、小委員会を設けて議論していただきまして、その時に、「数値基準は可能な限り科学的根拠を持つ現状より細かい規制の導入が必要であり、専門的な知見を持つ有識者で構成する委員会において議論すべき」ということで、これは、いろいろな方のご意見を聞いているとまとまらないままずっと議論が続くので、純粋に科学者による会議で1回案を作りなさいというのが当時の審議会のご指摘としてございます。

 32ページをご覧いただきますと、これは、幼齢規制の関係でございます。現状については、今、調査中ということで申し上げました。この間に、社会化ということが大事だという考え方も出てきたと思います。その32ページの下のほうは、主なペット関連産業団体と団体間協議体ということで、実は、いろんな業界団体がたくさんあるのですが、その方々が集まって、いろいろな取組みをされているものが幾つかございます。

 一つは、ペットとの共生推進協議会、普及啓発、情報収集ですとか、一般の飼い主への情報提供発信ということで、シンポジウムなどを開催されていると思います。

 その右側が犬猫適正飼養推進協議会。これは、業のほうに特化をされまして、ブリーダーとかオークション、ペットショップでの適正な飼養管理方法、繁殖方法、そうした部分に対して具体的なものを提案して、犬猫の生涯を通しての福祉向上を目指すということで取組みを今開始されたところというふうに聞いております。

 左下のほうが、一般財団法人ペット災害対策推進協会。災害時のペット対策の部分に役割を果たしていこうという部分で、関係団体の皆さんと組織されています。それから、右下がマイクロチップの普及啓発について、公益社団法人日本獣医師会を中心としてAIPOという組織が構成されておりまして、ここにあるような取組みをされております。このほかにも幾つかあるかと思いますけれども、既に業界団体の中でも集まっていろいろな取組みが始まってきているということの紹介でございます。

 続きまして、もとに戻っていただきまして23ページの中ほど、行政機関が果たすべき役割、行政機関と民間の連携のあり方をご覧ください。一つは、自治体による犬猫の引取りの話でございます。この法律は、住民生活の安全や公衆衛生の確保の観点から自治体による犬猫の引取り義務を規定していると考えております。つまり、動物の愛護と管理で言えば管理の部分でございますが、前回の改正で、所有者から引取りを求められた場合に終生飼養の趣旨に照らして引取りを拒否できる規定が定められました。当該規定の運用につきましては、その引取り拒否がやや過度な面があるのではないかということで、遺棄等の違反行為につながる事例とか適正飼養が確保できない飼い主に生活環境の支障が生じる事態が引き起こされているとの指摘もございます。人の生命・身体・財産に対する侵害及び生活環境の保全上の支障の防止を前提として所有者からその犬猫の引取りを求められた場合と、所有者が判明しない犬猫の引取りを求められた場合の各々について、引取りのあり方をどう考えていくべきかというところが一つ課題としてあるのではないかと思います。

 めくっていただきまして24ページ、今度は自治体による犬猫の譲渡と殺処分のあり方でございます。自治体は引取りを行った犬猫について、法律でも「殺処分がなくなることを目指して」譲渡等を促進するということが前回の改正で努力義務として入ってきておりますが、引き取った犬猫については、動物の愛護及び管理の観点から、法の目的を全うするためには譲渡せずに殺処分、安楽殺を行なわなければならない場合があるということについて、自治体や専門家の指摘がございます。このような中で、実質的に譲渡は増やしていくのですが、殺処分を減らしていくためには、どのような現実的な方策が考えられるのかというのが一つございます。

 それから三つ目、これも前回にご意見いただきました。地域の実情を踏まえた対応・自治体の施行体制のあり方ということでございまして、法律の遵守の徹底におきまして、自治体の執行体制の強化や取組みの効率化をどのように図るべきか。また、自治体ごとの事情が大きく異なる。都市型か農村型か、あるいは気候が温暖か寒冷か、あと、所有者不明の犬猫の多寡等にもよりますけども、こうした各々の解決すべき課題は多様であり、かつ解決するための政策手法についても住民ニーズや関係者の状況等に多様な選択肢があることから、法令で一律に規定するのではなくて地域の実情に応じた自治体の取組みを促進することが重要な部分がある。つまり、自治事務であるということと、一方で全国統一的な最低限の取組み、ナショナルミニマムと申しますか、そういった部分を確保することが必要でもございます。地域住民との関係が密接である動物愛護管理行政の推進に当たってどこまで国が担うべきか。つまり、国が決めるのがよいのかというところも一つの課題としてあるかと思います。

 その次の一番下でございます。これは都市部における適正飼養の確保、それと環境の確保が必要ではないかということで、東京などの都市部の自治体において、犬猫と一緒に利用できる公共の空間があまりないといった部分のあり方についても、考え方の整理が必要ではないかというところのご指摘でございました。これも今後の課題になってくるかと思います。

 25ページの最後が、学校での動物愛護管理教育のあり方。実際に動物とふれあう活動の意義が認められる一方で、学校飼育動物に対して適正でない飼育管理が行われている場合もあるとの指摘もございます。学校における適正な飼養管理の確保を前提として、学校でどのような動物愛護管理教育を行っていくのか。そのあり方をどう考えていけばよいのかというのも課題ではないかと思われます。

 これも補足資料をご覧ください。33ページからになります。33ページは直近の数字、引取り数、殺処分数、譲渡数などの数字でございますが、めくっていきまして34ページ、上のほうは引取り数の変遷を示しております。引取りに関しては、狂犬病予防法に基づく抑留も勘案した数字になってございますが、昭和49年には犬猫合わせて125万頭を引き取っていた時代が、今は11万4,000頭ということで非常に大きく減少してきております。

 34ページ、これも以前からお示しをしている円グラフでございますが、犬も猫も所有者不明(野良犬・野良猫や迷子の犬猫など)のものが85%前後ということで、飼い主からよりも所有者不明のものの引取りが多くなっています。犬で成熟個体が多いというのは、狂犬病予防法で積極的な捕獲があるからということと、猫のほうは積極的な捕獲はないのですが軒下で生まれた野良猫の子猫などが持ち込まれるケースが多いということで、幼齢の個体が多いというような傾向になってきております。

 35ページのほうは、引取りに関する第35条の規定でございます。時々、誤解があったりもしますが、第35条1項が飼い主や所有者からの引取りの規定で、これは前回の改正で引取り拒否の規定が設けられました。引取り拒否できる具体的なケースについては施行規則第21条の2で書いておりまして、業者の方から引取りを求められた場合、また、繰り返し引取りを求められた場合などが示されており、こういった場合に自治体が引取り拒否をしているということになっております。ただ、この施行規則の中には、ただし書きがございまして、生活環境保全上の支障の防止がある場合はこの限りではないということなので、繰り返し求められた場合でも、ここで引き取らないと生活環境の被害が出るという場合には引き取らないといけないということになろうかと思いますが、そこの運用がうまく行ってないのではないかというご指摘があったりいたします。

 2項のほうは、所有者不明の犬猫の引取りに関してでございます。これについては、実は、附帯決議が前回の改正の時に環境委員会から出されておりまして、ここでは地域猫のことを書いておりますが、なお書き以降に、「駆除目的に捕獲された飼い主のいない猫の引取りは動物愛護の観点から原則として認められないが、やむを得ず引き取る場合には」という表現になっております。原則として認められないがやむを得ず何とかの場合は、という書き方は、行政文書としてよくあるもので、この文章からは、引き取ることは可能だと読みますが、実際はこの付帯決議がきっかけとなって、引取りを今行っていらっしゃらない自治体もございます。

 35ページ下段も速報値ですので今後数字が変わってくる可能性がございますが、所有者、占有者の判明しない、飼い主がいるかどうかわからない犬猫について引取りを拒否することがある自治体、全部で115ぐらいが対象でございますが、そのうちの35自治体が犬でも引取り拒否がある。猫では、その倍の67自治体であるということで、こういう状況で引取り拒否が行われております。

 それから35ページ上段、引取りを行った犬猫は殺処分がなくなることを目指して譲渡の努力をするということになっていますが、これは先程、譲渡の部分で申し上げたとおりでございます。

 めくっていただいて36ページは、返還・譲渡数の推移と殺処分数の推移です。

 37ページ、これは殺処分の分類等についてということを考えておりますが、前回の改正で殺処分がなくなることを目指して譲渡しましょうということになり、環境省では「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」を立ち上げまして、殺処分をできるだけ減らし、最終的にはゼロにすることを目指すということを打ち出しました。ただ、これは、直ちに殺処分をやめましょうということではなくて、みんなで、社会のいろいろな主体が協力して、殺処分が行われなくてもよいような社会をつくり上げていきましょうというプロジェクトだったのですが、「殺処分ゼロ」という言葉に注目が集まり、国民の非常に高い関心を集めて一定の状況改善を見る一方で、さまざまな課題とか弊害が発生しているとの指摘がございます。

 先に右側の下を見ていただきますと、現在、自治体で「殺処分ゼロ」を何らかの施策の目標にしているもの。これが、46自治体ございます。その自治体に聞きますと「殺処分ゼロ」は目標にすべきではない。「殺処分ゼロ」の対象範囲を明確にしてほしいといったようなご意見がございました。

 今度その左下のほうでございますが、従来一律だった「殺処分」の定義。これ①、②、③と分けておりますが、①は譲渡することが適切ではない、治癒の見込みがない病気ですとか、非常に攻撃性が強くて人が飼うのは困難といったような動物。つまり安楽殺を検討せざるを得ないような個体と②番がそれ以外での殺処分。③番が引取り後の病気等での死亡と三つに分けた時に、この②番の部分と①番の部分ではある程度扱いは変わってくるのかなという部分があろうかと思います。

 ここには書いておりませんけど、昨年、RSPCAの方にお話を伺った時も、イギリスにおいては、ノーキル、殺処分ゼロは政策にはしていないと。理由は妥当ではないからだと。なぜならば、病気の重いものとか、攻撃性が強いものをずっと飼い続けている行為自体が虐待だからだということをおっしゃっておりました。このことについてはアニマルウェルフェアに配慮した考え方を少し取り入れていく必要があろうかと思います。

 37ページでいつも使っているフロー図です。

 38ページの22番の方は、先程の引取り数の数字を書いております。下の23番をご覧ください。これは、先程のより1年古いデータになりますけども、ブロック別で、関東だけ北関東と南関東に分けておりますが、この中で、飼い主からと所有者不明の犬猫の引取り数について、成熟個体、幼齢個体の内訳別にグラフを作っております。一番右端のグラフの上側、地域別の幼齢犬の引取り数の内訳を見ていただければと思いますが、所有者不明のこの幼齢の個体というのは、ほぼ野良犬の子どもとみなしております。つまり南関東である東京、千葉、埼玉、神奈川ではもう野犬の子どもというのはほとんどいない。つまり野犬があまりいないということだと思うのですが、北関東と南日本、西日本に行きますと、まだまだたくさんいるという状態でございます。その下の猫の方を見ますと、実は、犬が突出しているところは、猫が引っ込んでいる傾向があろうかと思います。こういうふうな形でグラフを見てみますと、都市部の東京都などや北日本と南日本とでは、特に野良犬に関しては、置かれた状況が大きく異なるということも、データから読み取れるところかと思います。

 少し長くなりました。また戻っていただきまして、25ページをご覧ください。社会的規範としての動物の愛護及び管理の考え方、4番のほうに参りたいと思います。これは、非常に多様な価値観を整理しないまま進めますといろいろ混乱がある、動物に対する考え方の把握・整理が必要ではないかというところです。日本と西洋の動物観の違い、日本の中でも非常に多様な動物観を持つ方がいらっしゃるので、いろいろな意見があるんですよということを整理することが必要であろうと思います。

 それから、その下に※印で書いておりますが、動物愛護管理法の基本的な指針におきましても、この社会的規範としての動物愛護管理の考え方を国民的な合意の下に形成していくことが必要であると書かれております。その際には普遍性と客観性の高いものであること。それから、我が国の風土や社会の実情を踏まえたものであることということが指摘を受けております。

 その次は、前回もご指摘ございましたが、アニマルウェルフェア。これはもうグローバルな考え方でございますけれども、様々な解釈のもとに日本においても浸透しつつあるのではないか。グローバルスタンダードとしてのアニマルウェルフェアについて、正確な理解がないまま普及した場合に、いろいろ混乱を招くおそれがあるのではないかなというところがございます。その歴史的な、歴史というか、理念、制度、運用等に加えて、その背景となった考え方も踏まえまして、このグローバルスタンダードとしてのアニマルウェルフェアについて正確な理解が必要ではないか。その上で、アニマルウェルフェアに係る課題及び留意点、これは、つまり日本で適用する場合にどういう課題があるのかという部分も整理していく必要があろうかというところを考えております。

 その次は、家庭動物と産業動物、実験動物等の取扱いということで、動物愛護管理法では産業動物や実験動物の取扱いに特化した詳細な規定(業規制等)は設けられておりません。国民の関心の多くは家庭動物、これは前回ご意見もいただきまして、とりわけ、犬猫の取扱いに集中しておりますが、国際的には産業動物や実験動物についての取組みが進められております。各国における動物に対する考え方等も踏まえまして、今後、家畜等の産業動物、実験動物、それから動物園動物の取扱いについて、どのような部分に焦点を当てて取組みを進めるべきなのかというところも、一つポイントになろうかなと思います。

 あわせて、次の5番目のほうも続いてご説明しますが、「人と動物が共生する社会」の将来ビジョン。ここに書いてあるこのビジョンが必要ではないかということを、前回、少しご議論いただきましたけども、この「人と動物が共生する社会」についての具体像を取りまとめることが実際できるのだろうかとか、また、それを取りまとめることと、今後の動物愛護管理の取組みをさらに進めていく上での有効性というのは、実際どうなのだろうかというところも一度そこに立ち返って、議論をしなければいけないかなと思っております。

 一番下には、多様な主体の果たすべき役割、それから科学的・客観的なデータの収集と情報共有というのが、全ての検討する上でのポイントになってくるというふうに考えております。

 最後です。補足資料のほうは、39ページ以降にいろいろな考え方の整備を検討しております。これらについては、特に自治体に聞いたというものではございませんので、ここではご説明しませんが、参考としてご覧ください。

 長くなりましたが、説明は以上となります。

【新美部会長】 どうもありがとうございました。非常に多岐にわたる課題を列挙していただいてご説明をいただきました。

 ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問がございましたらどうぞ。では、打越委員、その後、田畑委員、お願いします。

【打越臨時委員】 意見もたくさんあるのですけど、その前に、質疑の内容が1番になったり5番になったり、議論があちこちに行くと、私たち、付いていくのも大変なので、もし可能であれば、話題が1番から5番まである中で、順番に意見のある人に発言を促すようにしていただかないと、何かもう頭が混乱しそうなのですが、会長、いかがでしょうか。

【新美部会長】 そうですね。多岐にわたっていますので、どこかというのは、特に相談していませんが、一つ一つというのも何ですから。

【打越臨時委員】 大きな1番ごととか。

【新美部会長】1の辺りと2の辺りを少し集中して、まず、1から、では、ご意見、ご質問ということでしていきたいと思います。

 飼い主の責任のあり方についてでございます。どうぞ、山口委員。

【山口臨時委員】 飼い主の責任のあり方の囲いの二つ目のところに、「適正飼養を飼い主に浸透させるための手立ては何か」というところのポチの二つ目のところでお話もあったと思いますけれども、どうしても飼い主のモラルだけでなく飼い主の適正飼養を確保するのに、今の頭数ではとても無理という場合、その動物の飼育の頭数を規制するということも法律の中にうたっていかないと、なかなかその頭数、今の法律では没収はできませんので、その頭数をそのままそこに置きながら、適正飼養を指導していっても、なかなか改善ができていかないというところがあると思うんですね。

 実際に、今までのケースの中で、動物の愛護及び管理に関する法律ではないのですけれども、生活環境汚染ということで、犬の多頭飼育をしていたところについて、周りの住民に裁判を起こされて、裁判所命令によって犬は2頭までと。26頭いたのですが、2頭までという規制がかけられた事例があります。

 私が知る限りは、規制がかけられたのはほかにもあるかもしれませんけれど、はっきり私が耳で聞いたのは、判決文も持っておりますけれども、それだけなんですけれども、実際にもう既に裁判でもそういう事例が出ていますので、動物の愛護及び管理に関する法律の中で、それを入れていくことは不可能ではないと思うのですが、それもご検討いただけたらなと思います。

【新美部会長】 じゃあ、どうぞ。

【打越臨時委員】 今のに関連してなんですけれども、これは恐らく多頭飼育に関わって、不適切飼養だけではなくて多頭飼育のところだと思います。

 22ページの資料の、事務局も勇気を持って書いてくださっていると思いますが、ネグレクト等が増えている場合に、再発防止のための抜本的な解決に向けて、どのような対策が考えられるかというところに、例えば、その飼育の禁止のことなどを考えられないのかということを、事務局が口頭でおっしゃったと思いますけれども、私も、すぐ法律に入れ込めるかどうかは別として、その飼育禁止命令という仕組みを検討していくというのは真剣に考えるべきだと思います。

 私も法学部の人間ですので、すぐ他の法律との整合性とか、日本ではそういう仕組みがないといって、ついつい法律系というのは法律としての整合性を大切にしてしまうところがあるんですが、しかし、その多頭飼育によって、本当に近隣に大変な迷惑をかけていて、不衛生な厳しい状況でも10年も20年も暮らしているとか、あるいは、野犬や放し飼いの犬に住民が餌をやっているせいで、子どもの通学路が非常に危険であるとかいったように、非常に大きな問題が発生していると思います。多頭飼育を放置することで公共の福祉に反するような問題事例が出てきているということを考えれば、やはりここは国民の本来の生活の安定を守るという観点からも、法律の仕組みを考えていくべきだと思います。動物愛護の観点から、動物がかわいそうだから飼育禁止命令を出しましょうというのが、ペット愛好者の思いかもしれませんけれども、そういうルートから攻めるのではなくて、やはり、公共の福祉をきちんと実現するために、法律の仕組みをきちんと考えていく。そして、裁判所の命令を出すための仕組みを考える。そのためには、どんな課題があるかとか、どんな論点を乗り越えなきゃいけないかということを、やはり行政法関係の学者の先生をきちんとお招きして、そこに力を入れて新しい仕組みも検討する、そういう時期に来ていると私は思いますので、山口委員の意見に賛成です。

【新美部会長】 ほかにご意見、今の点について。どうぞ。

【山﨑臨時委員】 アニマルホーダーに関しては、これは日本だけではなくて世界各国津々浦々どこに行っても出てくる問題でございまして、アニマルということがつくのでいろいろと四苦八苦なさっていると思うのですが、ホーディング、ごみ屋敷も含めてホーディングという言葉は、現在精神科の診断マニュアルの中では正式な一つの障害、病気として入っています。DSM5という精神科の診断基準、これはアメリカの精神医学界が発行しているものですが、今、第5版のファイブの中に入っています。

 病気をつくり過ぎだという批判もある専門書ではございますが、その中にホーディングというものは、やはり病理があるということが書かれているので、これは動物問題というよりも、私、多分、前回でも発言したと思いますが、タスクフォースとして、やはり人間の福祉、それから環境汚染の専門家、また自治体的に言えば、保健士さんや精神保健福祉士とか、それからあと、消防など、いわゆる環境関連の人たちなどを全て含めたタスクフォースが必要でしょう。既にこれはアメリカでもいろいろな自治体でホーディングタスクフォースをつくっています。事例が出るたびにタスクフォースが集まって介入を検討しながら、最終的にはホーダー自身の引受人は誰にするかというような自己責任のもとに、その人に任せるのではなくて、法的にその人に後見人をつけたりするというような事例もございます。

 というのは、実はホーディングというのは、ほぼ再犯率100%なのです。ですから、取り上げて、さあやめましょうということでは解決にはなりません。それで、3年たって行ってみると、また同じ状況になっているということですから、この場合、動物愛護管理法そのもので、もちろん飼育頭数の管理をするということは、非常にいいことだと思いますけれど、最終的には、本当に自治体レベルで解決に導いていくためには、もう少し学際的な、他部署を全部ネットワークとして使ったような対策を練らないと、対応することはできない問題であると思います。

【新美部会長】 ありがとうございます。ほかに。どうぞ。

【浅野臨時委員】 浅野です。

 今、多頭飼育の話が出たのですが、例えば、長野県とか山梨県は、10頭以上届け出というふうになっていますけど、それによって、適正飼養が広まったのかどうかという調査も、したほうがいいかなと思います。それで、多頭飼育に限らない問題だと思うんですね。不適正飼養って、必ずしも10頭以上飼っているからというだけではなく、1頭でも非常に不適正な飼養をしている方もいますので、ちょっとその多頭飼育というのにあまり限定しないで、不適正飼養については見ていったほうがいいかなと思います。

 それと、飼育禁止とか飼育停止は、ぜひ私も認めてもらいたいなと思うところなのですが、やはり飼育禁止にしたり、取り上げたり、停止した場合に、受け皿を用意する必要がありますので、その動物を適正に預かっておく施設というのを用意しなくてはいけない。今の行政の動物愛護センターは、昔は特に殺処分していたことも多かったので、長く快適に過ごせる環境ではないですので、そこをどう整理し、どうボランティアの方に頼んでいくか。それで、そのときに、なぜ動物にそこまで費用や手間をかけるのかという根拠が、やはり日本の場合、動物それ自体を守るというのが明確になっている法律でもないですので、その辺りの根拠、動物にとっての適正飼養が一生どうやって、終生確保されていくかという視点を入れる根拠と、その受け皿を、それも考えた上で、飼育禁止とか停止を考えていく必要があるかなと思います。

【新美部会長】 ほかにご意見はございますでしょうか。はい。どうぞ。

【打越臨時委員】 今、浅野委員がおっしゃってくださったとおり、多頭飼育といっても、50頭、100頭のいわゆるホーダーではなくて、そんなにお金もないのだけれど保護してしまって、少しずつ数が増えている人が多いと思います。そして、10頭以下のところでいかに手を打つかというのが、実は多頭飼育対策では一番大事なはずで、要は、100頭も飼っていてというと、マスコミで、メディアで騒がれるので私たちも印象に残りますけれども、例えば、高齢者で十分に体力と資力のない方が、既に5頭、6頭、それが9頭、10頭になり出すときに、自治体の担当者がきちんと説得できるか、そこが大事だと思うのですね。なので、福祉的ケアが大事という意見については、山﨑委員と全く同感であるとともに、そうではなくて、10頭以下の段階で早期発見、早期解決する対策を考えるべきだと思います。飼い主を説得するときに、だってこのままだったら保健所に連れていかれたら殺されちゃうんでしょとか、私が餌をやらないと生きていけないんだというような、そういう人たちの心理も配慮した上で、自治体の獣医師職員が飼い主を説得するスキルが必要だと思うのですね。

 早期発見、早期解決のためにも、自治体職員はひるむなということと、それから、どうしても獣医師職員さんたちで生活衛生とか食品衛生と人事、ぐるぐる回っていますけれども、動物愛護関係に関して飼い主を説得する立論、そういうのは事務職のほうが得意だったりするのですけど、そういう関連の研修も必要なんじゃないかなと思っています。

 以上です。

【新美部会長】 ほかにございますか。はい。どうぞ。

【金谷臨時委員】 東京都の金谷です。

 今の多頭飼育問題で、各自治体の動物愛護相談センター等の関わりのお話がございましたので、私からも一言申し上げます。

 東京都におきましても、やはり、多頭飼育問題で様々な事例等が発生しております。その際に、動物愛護相談センターは、もっと関わりを強く持っていくべきだろうというようなお話もありますし、そういう関わりを持てる場合もありますし、限界のようなものもあって、なかなか関わりが持てないという場合もございます。

 その際に、職員による説得のスキルのお話もありましたが、やはり動物行政の担当者だけではなくて、実際にやるのは地域の区市町村、保健所等の福祉部門の方々とか、それから、精神保健の担当の専門の職員の方々とか、場合によっては保健師の方、そういう方々との職種との協力関係というのが必要になってくると。そういうのがなければ、実際にはなかなか解決いたしません。

 それから、センターで引き取るにしても、やはり、今の法律のままでは、飼い主が手放すということの意思が明確に示されなければ、私どもが勝手に持っていくというようなことは当然できませんので、動物行政だけでは現時点においては限界がございますので、やはり、そういう専門の社会福祉や、それから精神保健の部門とも連携できるように、我々もいろいろなアプローチはしているのですけれども。是非、全体の体制として国のほうにもそういうバックアップをしていただけるような、後押ししていただけるようなことを、ご検討いただきたいと思います。

【新美部会長】 ほかにご意見がございますか。

 今の社会福祉、あるいは精神科との連携ということになりますけれども、制度として考えると後見制度しかないのですよね、現在では。それが動くかどうかという問題はあると思うんですよね。ですから、今、これで精神保健の後見制度に入ったときも、結局は後見人が何をやるかというと基本的には財産管理ということになるので、動物の問題をどういうふうに扱えるのかというのは、法律自体は非常に不明確になります。その辺も踏まえて、アイデアないしは方向性というのは非常に大事なことだと思いますけれども、制度として考えるときにどういうふうに切り分けていくかということ。

 どうぞ。

【打越臨時委員】 多分、今、金谷委員がおっしゃったのは、そこまでの権利の話というよりも、自治体の福祉部局の担当者や、あるいは地域の中の民生委員との連携ということで、自治体の中のいろいろな行政対応、関係者の協働というレベルの意図であったと思います。成年後見制度にまでも行くというときは、本当に最後に所有権をどうするという話だとは思うのですけど、それ以前に、自治体の担当部局の壁を越える仕組みをどうすべきかが論点であったのだと思います。ただ、ケースワーカー、生活保護のケースワーカーであるとか、あるいは、障害者の担当窓口の職員の仕事ぶりというのは、一番忙しい獣医師職員のさらに数段上の忙しさというのが、ケースワーカーの仕事でありまして、それをリアルに獣医師職員が実感しているかというと、何人もの職員と付き合いますと、やっぱり、生活保護のケースワーカーの仕事の大変さを分かっておられないように思います。ケースワーカーは事務職がつきますので。私の弟子もたくさんやっていますので、日々愚痴を聞いていますけれども。そこの連携をするための仕組みを自治体の中でつくるとともに、本当に問題が起きてからどう解決するかというのとともに、起こさせないための情報収集、届け出制の話などもありましたけれども、そこも忘れてはいけないのかなと思っています。

 成年後見制度の活用は大事だというのは、もう私も本当にそう思ってはおりますけれども。

 以上です。

【新美部会長】 いや、今の話は要するに、強制的に引き取る手段がないということからいくと、それを認めるんだということだったら成年後見制度しかないでしょうと。財産管理の問題ですからね。それを視野に、武器としてといいますか、行政手段としてないまま連携しろというと、ただ単に一緒にやりなさいというだけになってしまうので、どういう行政手法を用いるのかというのは考えておかなければいけない。垣根を取り除いて総合的にやらなきゃいけないというのは、もうまさにそのとおりですけれども、自治体の行政手法としてどういうものを用意してできるのかということは、少し考えておく必要があろうかということです。

 ですから、今言ったように極端な場合には、成年後見制度しか今はありませんよと。そこまで行かなくてもいいようなものが何かあるのかと。行政として考えるときには、そういうことも少し押さえておく必要があるだろうと思います。これは、そういう視点を少し考えておく必要があるだろうということだと思います。

 はい、どうぞ。

【山﨑臨時委員】 恐らく、そこまで行く前の話で、社会的な認識を覆していくという意味では、例えば、環境省がいろいろと啓蒙シンポジウムとかをやってこられましたから、そういった、いわゆるシンポジウムやイベントのような形で、例えば、虐待問題もそうですけれど、動物虐待と人間の暴力の連動性とか、それから、アニマルホーディングの人間の精神的な病理の部分など、そういったものを扱うシンポジウムか何かをやって、いわゆる、PSWの方など、そういったところでお話をしてくださる人材を見つけて、その関係の方々や動物関係の方々を一堂に会して、まず社会的に、なるほどね、手をつながないとこの辺はまずいよねというような認識をつくり、それをメディアにどんどん取り上げていただいて、まずは社会的認識のベースをつくるということで、みんなの考え方を少し変えていくのでいいのかなと思います。

 それと、取り上げるということは非常に難しいですけれど、もう少しレベルを下げたところで、前回の法改正の検討会の中で出た一時避難というか、例えば、非常にひどいときには、一時的にお預かりをさせていただくというような形で、法律に何か文言を入れていく事も必要でしょう。それで、この一時避難制度を使って、金銭的問題、預かりをどこでする、誰がする、などということに関しては、アイデアとしては海外などの事例では、RSPCAなども含めて実施されていることがあります。いわゆる関連組織などで、一時的に法律に触れた飼い方から、動物を引き離すことが必要なのですが、私どもがお預かりしますよと言ったときには、法的解決がつくまでは動物は係争物件になるわけです。犬でも猫でも、片づくまではそのように扱わなければなりません。所有者は、法律違反者ですから、私どもがお預かります、と引き離す方は言わなければなりません。でも、お預かりしたホテル代は、あなたがずっと法的争いが片づくまで払うのですよと伝えます。要するに、元の所有者が預かり料を預かった側にずっと払わなきゃいけないという制度をつくると、実は非常に早くギブアップしてくれるという、所有権放棄をしてくれるのです。で、それをしてくれれば、譲渡などに簡単にのせられるものはのせて、どんどん処理をしていくことができるというような具体的な解決策という道もなきにしもあらずだと思います。

【新美部会長】 ほかにいかがですか。

 今の例でいきますと、誰が違法であるという認定をするのかという手続の問題も考えないとまずいですよね。例えば、似たような例は、違法駐車している場合にはレッカーで運んでいって保管料を取りますよね。あれは、少なくとも警察官にそういう権限がある。そういうようなシステムを、では、動物愛護の中に持ち込めるかどうかということですよね。そうすると、そういうシステムがどこまで機能するのか。そういうことも議論しなければいけないだろうと思います。

 はい、どうぞ。

【打越臨時委員】 小さな点ですけれども、全く別のところです。飼い主に浸透させるための手だて、21ページの「家庭動物の飼養及び保管に関する基準」や、その解説書を一般の方向けにわかりやすくまとめた適正飼養のガイドラインを作成する必要があるのではないかというところなのですが、これは動物愛護管理室の思いもわかるのですけれども、実は、ペットを飼っていると、民間の市販のノウハウ本というのはすごくたくさんあって、とてもいい本というのは既にたくさん売られています。きちんと動物を飼おうと思う人は、もう多分、必ずその本を買わないと。私も昔はたくさん買いましたし、雑誌などもよく読みました。問題なのは、そういう本を読まない人、読もうともしない人たちではありますので、ガイドラインを作るのは、いろいろな分野で大事ですけど、一般の方向けの本をわざわざ環境省が作らなくても、これはいいかなという気はします。その分、読まないような人たちをどう説得し諦めさせるかのスキルを教える、そういうガイドラインだったらいいかもしれません。自治体の担当者の多頭飼育者や不適切飼養者に向き合ったときの対応策ガイドラインであれば、絶対的に必要だとは思います。

【新美部会長】 ほかに、いかがでしょうか。

【木村臨時委員】 細かいことでもよろしいですか。

【新美部会長】 はい、どうぞ。

【木村臨時委員】 2点ほどあります。1点は、適正飼養、所有者明示、迷惑行為全部に関係することですが、悪い事例として猟犬の問題があると思います。猟犬に関することが全体の中からは抜けている、放置されていると思います。働く犬については、盲導犬、警察犬等は、それぞれの基準で飼われていると思いますが、猟犬については全く放置された状態で、不適切な実態が目につきます。猟区場の近くに住む人への迷惑行為が後を絶ちません。それから遺棄も毎年報告されています。猟期が終わって3月になると遺棄された猟犬が山を下りてきてトラブルを起こし、住民からの苦情で収容される。猟犬の飼育、猟区での使用に関して確実な所有者の明示、マイクロチップの装着と登録の義務化が必要と思います。それから、適切な取り扱いを定めて守らせること、狭い日本で犬を放していいという事が大体おかしいと思いますが、猟犬には何か規制をかける必要があるのではないかと思います。

 それから、もう1点は、適正飼養するためのルール作りはいろいろとあると思いますが、不適切な飼養、不幸な飼育状態、しいては不幸な個体を作らないための予防的な方法があると思います。飼育を始める前に適正飼育講習会受講が、意外に効果があると感じられます。行政単位で小さく始めても効果があります。特別な費用もかかりません。ただ規則を作るだけで大きな効果が期待できます。新たに飼育者となる人はそれなりの知識を持って新しい家族の一員を見つけに行く。そうすると、犬種、個体の性格、年齢も選べますし、それから、動物愛護センターでの譲渡犬の紹介もできますし、非常によいと思います。何か飼った後の規制でなく、犬猫を飼いたい人が飼う前に飼育前の講習を受けなければいけませんよというような法的な網をかけることを提案させていただきます。

 以上です。

【新美部会長】 ありがとうございました。

 今の点は、いろいろなところから指摘されておりますので、引き続き少し議論をきちんとしていったほうがいいのではないかと思います。

 ほかにございますか。時間の都合もありますので、飼い主責任については、もしも後で再度問題指摘がございましたら、メールベースなり何なりで事務局に出していただければ、検討の俎上に載せていきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 それでは、続きまして、動物取扱業に求められる役割と今後のあり方について、ご意見、ご質問。

 はい、どうぞ。

【田畑臨時委員】 田畑です。前回出席できなかったので、17ページの動物園等への対応策ということで、こういうご意見があったようですけれども、少し補足をしておきたいというふうに思います。

 確かに、SNS等で外国からの動物園に対する批判というのはたくさん載っていますけれども、では動物園とは何かみたいなところをちゃんと範囲を決めておかないと、これは、かなり違反になるかなという気がしています。

 私、公益社団法人日本動物園水族館協会の理事もしておりますので申し上げておきますと、日本に今、動物園とつくのは300とも500とも言われているわけですね。その中で、我々公益社団法人日本動物園水族館協会に加入している動物園水族館は151園館ですが、我々は我々の中でいろいろな基準をつくって対応していますけれども、それから外れた動物園をどうするのかというのは、非常にこれは大きな問題だろうなというふうに感じます。ですから、少し補足をさせていただきました。

 それから、動物園動物というのは、やっぱり、それなりに独立した存在になってくるのだろうなと。野生動物でもない、ペットでもない、産業動物でもない、それから、実験動物でもないというようなところで、やっぱり動物園動物というのは、それなりに定義をして、それなりの適正飼養のガイドラインみたいなのは、考えていく必要があるだろうと思っています。

 先般、7月ですけれども、外国の講師を頼みまして、ワイルド・ウェルフェア、要するに野生動物の動物福祉はどう考えたらいいのかという講演会を、公益社団法人動物園水族館協会で持ちました。非常に目からうろこみたいな事項がたくさんありました。ぜひ、環境省と協力しながら、公益社団法人日本動物園水族館協会としても、我々の動物園動物はいかに適正に飼養していくかということについては、協力していきますたいと思います。

 以上です。

【新美部会長】 どうもありがとうございます。実情についてきちっと説明していただけたかと思います。

 ほかにご意見、ご質問ございましたらどうぞ。はい、どうぞ。

【山﨑臨時委員】 田畑委員がおっしゃったように、ワイルド・ウェルフェアのGeorgina Allen女史が、昨年は環境省のRSPCA研修で動物園動物の講習をやってくださいまして、今年は公益社団法人日本動物園水族館協会のお招きで講習会をできたということで、大変、彼女自身が高く評価しておりましたので。ただ、田畑委員がおっしゃったように、実は、昨今、例えば江ノ島まで抜けてしまうというような、公益社団法人日本動物園水族館協会から抜けていってしまって、ちょっと言葉は悪いですけれど、だからやりたい放題になるのだよという感覚の展示施設が非常に増えているようです。で、その中には、恐らく、動物園というよりも、例えば、もうハリネズミカフェだの、猛禽類カフェだの、そういった実際にはカフェと名がついていても、飲食業としての登録をせず、それこそペットボトルのお茶を出して、ただ動物をさわらせるというような展示業的な登録をしているところが非常に多いわけですよね。

 ただ、これは公衆衛生上、やはりどういうふうに対応するべきかというのは、恐らく動物愛護管理法の問題だけではなく、厚生労働省のほうでも人獣共通感染症管理の観点から、やや厳しく見ていく必要があると思います。特に、公益社団法人日本動物園水族館協会から離れている団体の中には、極めて不適切なふれあい活動をやってしまっているところもたくさんあります。幼少動物に服を着せて抱かせて、子どもにでも抱かせて写真を撮ったりなど。これは動物にとっても、それから、実際にそれにさらされる子どもたちや一般市民にとっても、決して安心・安全な状況ではございませんので、その辺の展示業と、いわゆる、公益社団法人日本動物園水族館協会に入っている動物園との差別化というのはどういうふうにやっていくのかというのは、恐らく一番いいのは、きちっとした展示の基準というものを公益社団法人日本動物園水族館協会と環境省でつくり上げて、そして、それをできる限り法律の中に盛り込んでいくことでしょう。それができれば、恐らく一般の動物取扱業と同じような取り締まりというものができるのではないかなというふうに思います。

【新美部会長】 ありがとうございました。

 今のご指摘、非常に大事だと思いますので、是非、いわゆる人と動物、後には、つまり人と動物のふれあいといっても、どういうふれあいなのかということをしっかりしないと、展示業というもののあり方もきちんと議論できないかと思いますので、その辺は今のご指摘を踏まえて検討の課題にしていきたいと思います。

 それとの絡みで、先程ご報告があったように、第一種動物取扱事業者の多様性といいますか、多様化が出てきているということも、少しきめ細かな対応ということを要求しているのではないかと思いますので、この点も少し確認をして、今後の議論の材料にしていきたいと思います。

 ほかに、ございますか。

 はい、どうぞ。

【水越臨時委員】 先程の事務局の説明の中に、販売の時の説明を30分以上かけるショップが増えてきたということで、それは、それなりにすばらしいことだと思うのですけども、そのショップをちょっとのぞいたりすると、やはり、手元に犬や猫がいると、話を聞いているんだか聞いていないんだかというか、もう本当にそれがもう、特に、手元にいる犬・猫のほうにやはり興味があってというようなところがあるので、説明をするということが義務になったというのは、非常にすばらしいことだとは思うのですけども、先程お話があったように、買う前というか、本来であれば、それこそそういう講習を受けてから、またその犬や猫は別日に取りに来ていただくであるとか、本当にそういう仕組みがあったほうが、実際その30分の説明というのが生きてくるのかなと、はたから見ていて非常に思います。

 あと、もう一つ、ここの2番のところにあるように、多様な業態について、一律の基準になっているというところなのですけども、本当に多様な業態、特に、ショップというか繁殖業というところで、確かに、新しいおうちに来てからどうするかというのも適正飼養の非常に大きな問題になってくると思うのですけれども、やはり、おうちに来る前の状況というのも行動学的に見ると、やはり将来的な性質であるとか、そういうものに大きく影響します。でも、それは8週齢という週齢問題だけではないと、私は感じておりますので、そういった意味で、なかなか細分化すると、今度はその自治体の職員が監視したりするのは大変だということは非常によくわかるのですけれども、やはり基準というのは同じではないと。飼い主の手元に来る前というところにも、できれば注目をしていただければ。飼いやすいという言い方は、私は、あまり好きではないのですけども、でも、そういうような犬猫に飼い主もめぐり会うことができるというように思います。

【新美部会長】 ありがとうございます。他にもあろうかと思いますが、まだ論点がたくさん残っておりまして、この点につきましても、後で追加して事務局までご意見をいただけたらと思います。

 では、3番目の行政機関が果たすべき役割、それから、行政機関と民間の連携のあり方について、この論点についてご意見、ご質問ございましたらお願いします。

 はい、どうぞ。

【打越臨時委員】 殺処分に関わる問題ですので、これまでとても触れにくいとされてきたところですけれども、環境省の事務局が用意した資料を見たときに、自治体の側が殺処分を避けることで、過度に引取りを拒否してしまう問題があるのではないか、また、譲渡に不適切かもしれない、あるいは、そのまま生きながらえさせるのが適正とは限らない動物であっても、とにかく殺処分ゼロというところで、かなり板挟みになっている問題というのは、もう随分指摘されているところだと思います。

 この問題を乗り越えるというのは、大きな重要な課題だと思いますので、このように資料をまとめてきた、まず事務局の勇気を私は認めたいと思います。

 その上で、私も、だから殺処分は必要、ある意味、公衆衛生の観点からも必要だというふうに考えている立場ですが、ただし、その殺処分をするときに、多くの人たちがそれで心を痛めるのは、やはりその殺処分の仕方が、例えば、冷たいものであったりとか、あまりにも味気ないものであるということが、やっぱり人々の心を傷つけているのだろうと思います。そういう意味では、動物の安楽死の手法というのを真剣に考えなければいけない。これは自治体の獣医師職員だけではなくて、民間の獣医師会が引き受ける部分も出てくると思うんですね。

 某自治体ですけれども、例えば、民間の獣医師に安楽死を頼もうとすると、獣医師の動物病院のイメージが悪化するから引き受けたくないというような反応をされたことがあったというのですけれども、一番苦しまないで、きちんと命を絶つことができるのは獣医師、しかも臨床の獣医師だということを思えば、私は、民間の獣医師会がもっと真剣にこの問題に、各都道府県で検討してほしいと思っています。

 それとともに、自治体の職員が殺処分を減らすための未来に向けた決意というのでしょうか。やはり、その1頭1頭の命を本当に悔しい思いで絶つのだというその決意と、だからこそ安楽死への配慮というものをどう考えていくかが大事だと思います。これを殺処分ゼロと言っている限り、議論が始まらないんですね。ゼロならば安楽死の方法も考える必要もないし、民間獣医師会に頑張ってもらう必要もないし、ただゼロという数字ばかりが評価されることになってしまいますので、ここはタブーを乗り越えられたらと強く思っています。

【新美部会長】 ほかにご意見はございますでしょうか。はい、どうぞ。

【金谷臨時委員】 殺処分ゼロに取り組んでいる自治体が非常にたくさんあるということで、東京都もその一つでございます。ただ、東京都につきましては、従来から東京都の動物愛護管理推進計画に基づきまして、まずは、そのセンターに入ってくる、引取りだとか、保護・収容する動物を減らす、それはまずは飼い主の責任をきちんと徹底して、捨てたりとか、逃がしたりとか、みだりに繁殖したりという、そういうことはまず減らしていくと。

 それから、入ってきた動物については、できるだけ元の飼い主に返すとか、元の飼い主が見つからない、手放したと、そういうものについては、できるだけ譲渡をすると。その結果として、致死処分となるものを減らしていくということで取り組んできておりました。従来は、殺処分ゼロということをあえて標榜していなかったのですが、この度、昨年の12月に都民ファーストの新たな東京に向けた「2020年に向けた実行プラン」を策定いたしまして、その中で、この殺処分ゼロということを重要な政策課題の一つとして設定したところでございます。

 ただ、従来、殺処分ゼロと言っていなかったというのも、今までお話にありましたように、センターに収容されている間に自然死してしまうものもありますし、それから、動物福祉の観点から殺処分せざるを得ないもの、必要なものというものがあるんですね。ということで、そういうものが当然ゼロにはできないということがありましたので、この度のその実行プランにおいては、この動物福祉の観点から行う殺処分、これは必要なものと。それから、途中で自然死してしまうもの、収容中に死亡してしまうもの、こういうものを除いてゼロを目指していくということに、今取り組んでいるところです。

 そのために、例えば、昨年度は、犬では、28年度はその他の殺処分というものはゼロで達成しております。それから、猫では94匹になっております。それ以外に、収容中死亡とか、動物福祉の観点から致死処分せざるを得なかったものというものは当然あるのですけれども、こういうものを、その他の部分をできるだけ減らしていくために、今後、例えば小さい子猫で、譲渡が難しいとか、人工的な保育をするとかが難しいもの、それについては、ミルクボランティアさんに譲渡を進めていくとか、そのほかにも譲渡事業の普及啓発で、例えば譲渡PRイベントを行うとか、それから、譲渡を一層促進していくというような取組みを行うことによりまして、このような殺処分をさらに減らしていくということに、今取り組んでいるところです。

 東京都の取組みにつきましてご紹介を差し上げました。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ほかにご意見、ご質問ございますでしょうか。はい、どうぞ。

【打越臨時委員】 今のは、東京都の取組みだと思うのですけれども、1,300万人の人口がいて、動物愛護ボランティアもたくさんいて、協力してくれるところがたくさんある自治体の事例を全国の模範にしてしまうと、問題があると思います。圧倒的に気温が暖かくて、もうどんどん野犬が生まれて、その野犬を捕まえることに苦労している自治体であるとか、どんなに頑張っても子猫がどんどん生まれて、子猫の殺処分数がいまだに数百頭、千頭を超えている自治体もたくさんあるわけですよね。そういったことを考えたときに、もちろん努力していくことは大切ですし、自治体の獣医師職員だって誰も殺処分したいなんて思っていないと思いますけれども、東京都としての見解だけでなく、やっぱり、全国動物管理関係事業所協議会の、つまり全国のあり方として、本格的に議論していかなくてはいけないと思います。そのためにも、私はタブーを乗り越えようとする環境省の姿勢を評価したいと思います。

 また、それに関連して、先ほど、2番の時に言えなかったのですが、動物取扱業者の第一種と第二種をまとめて資料に入れたというのは、私はすごく重要なことだと思います。このうち第二種動物取扱業、譲渡してくれるボランティア団体が、自治体から引き出してくれることによって、自治体の担当者は大いに助かっているところがあると思うのですが、だからこそ、そのボランティア団体のほうが手一杯になっていても、精神論でうちだったら引き受けられると言ってどんどん持っていって、結局、第二種動物取扱業者の保護団体が多頭飼育状態になってしまっているときに、その飼育状況に対して自治体の担当者が厳しいことを言えないんですね、お世話になっているから。本当は第二種動物取扱業者として、あなたのところの飼育方法では、もうこれ以上、譲渡なんかしませんと言えなくてはいけないのですけど、そこが殺処分ゼロを掲げて一生懸命頑張ってくれていて、そこにお世話になっているからこそ厳しいことを言えないという悪循環が今生まれていると思うのですね。だから、この2番のところで、第一種動物取扱業と第二種動物取扱業をまとめてどう業者規制していくかと書いているのは非常に重要だと思います。善人のボランティアと悪人のビジネスというふうに分けるのではなくて、きちんと自治体が監視指導していかなくてはいけない対象であるという書きぶりにした、逆に、頑張っている場合には、ボランティア以外でもビジネスでも頑張っている人たちがいるという書きぶりにしたことは、大事だと思います。そういう意味では、第二種動物取扱業者に対して、自治体が毅然と対応できるかというのも、殺処分問題に関わってくる大きなテーマだと思います。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 それでは、この問題もまだまだあるかと思いますけども、時間の都合で次の課題のほうにご意見賜りたいと思います。4番目の社会的規範としての動物の愛護及び管理の考え方、これは非常に抽象論の程度の高い議論、抽象度の高い議論ですし、なかなか、一定方向がばきっと出るとは思いませんけれども、どうぞ、様々な観点からのご意見を賜れたらと思います。

 はい、どうぞ。

【山﨑臨時委員】 一つだけです。昨今、非常に私、鼻についてきていることがございます。アニマルウェルフェアという片仮名語です。動物福祉と正式に訳すことができる、言語的には片仮名で使わなくてもいいところは日本人として日本語を使いたいと思いますので、アニマルウェルフェアという言葉は、すなわち動物福祉というふうに言っていただきたい。昨今、動物愛護団体やテレビ番組などで、やたらアニマルウェルフェアという片仮名が連発されているのは、非常に不愉快に思っております。

【新美部会長】 日本語で書けるものは書いたほうがいいというご意見ですね。

 ほかに、ご意見、ご質問ございましたら。ここで出たのは動物愛護というのと、ウェルフェア、福祉というのとはどういう関係あるのかとか、いろいろな含みがあってこういう言葉を使ったのだと思いますが、動物に対する考え方をどうしたらいいのかという観点でご議論いただけたらと思います。

 はい、どうぞ。

【打越臨時委員】 アニマルウェルフェアという片仮名の言葉がひとり歩きしてしまうというのは、結構大きな問題であると思います。昔であれば、一般の人たちが情熱や思いを文字にして、世界に発信することができなかったわけですけれども、今は、誰でもブログや、ツイッターや、SNSを通じて情報発信ができてしまう。それで、一緒に頑張ろうねという、その共鳴の思いを求めて、アニマルウェルフェアという言葉を使ってしまう傾向があると思います。

 でも、やはりその言葉をそれぞれが情熱だけで使えば、もう議論の前提が崩れてきますので、私は、一つ思うのは、やはりもっと勉強していただきたい。アニマルウェルフェアは、動物愛護管理室がまとめてきた資料のとおり、畜産動物とか、実験動物の世界のほうから始まってきている問題だと思うんですね。それをもし勉強していこうと思ったら、本当に自分たちの食品の選び方であるとか、薬の問題であるとか、もっと幅広く勉強しないと、無責任に畜産動物はかわいそうとか、実験動物ってひどい目に遭っているのでしょうなんていうような議論が広まることが、動物愛護を越えて社会の公共政策を混乱させてしまうと私は思うんですね。

 ところが、例えば、産業動物や実験動物の問題に触れようとすると、当事者から見ると、寝た子を起こすなというか、触れてほしくないということもあって、これまで動物福祉、愛護ではなくて動物福祉の議論にさえ、当事者があまり乗ってこなかった経緯がある。そこにも問題があると思うんですね。ですので、産業動物や畜産動物の問題に関しても、いろんな当事者を巻き込んで、きちんと一般の人たちに勉強していってもらうようなシンポジウムなども、積極的にやっていってほしいなと思っています。

 以上です。

【新美部会長】 ほかに。どうぞ、山口委員。

【山口臨時委員】 ここで、やはり動物愛護と動物福祉の問題が、ここの考え方のところでクローズアップされると思うんですね。愛するというのは、百人百様の愛し方がありますから、人それぞれの愛し方があるわけで、間違った愛し方もあれば、気まぐれな愛もありますので、そうしますと、動物自身が苦しんでしまう、かつその間違った愛し方によって多頭飼育の崩壊も、多頭飼育も、要は好きだから、かわいがっているから、どんどん集めて、結局は周りに迷惑をかけているということにもなりますので、愛するというのではなく、自分中心の主観的な動物愛護ではなくて、もう日本も、そろそろ動物福祉、相手の動物が、今、何を必要としているか、そのニーズを満たす「福祉」への変換が必要では。それが私は社会的規範につながると思うんですね。最後のところには、「人と動物が共生する社会」というのがありますけれども、やはり相手のことを考える、相手のニーズを満たすよう努力するということは、人に対しても同じように言えることで、動物の福祉と人の福祉、その心は、やはり一緒だというふうに思うんですね。人と動物の共生というのであれば、やはり愛護、百人百様の愛し方のある愛護ではなく、福祉ということに、もう立ち位置を決めていかざるを得ないのではないかなというふうに思います。そうしますと、法律の名前も、愛護ではなく、福祉のほうに変えていくほうがすっきりすると思いますし、かつ実験動物の関係の方々も、それから、もちろん動物園動物の方々も、それから、産業動物の方々も福祉と言えば、すとんと落ちてくるものがあると思うんですね。人によって愛し方が違うという愛護よりも福祉のほうが、自分たちのやらなければならないこと、社会的規範がはっきりするというふうに思います。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ほかにございますでしょうか。これも、今後ますます、さらに深めた議論になると思いますので、一応、今のご議論を踏まえていきたいと思います。

 それじゃあ、これもまた後でご意見があれば、事務局までご連絡いただきたいと思います。

 つながるところになるかと思いますが、人と動物の共生する社会のビジョン、将来ビジョンということで、これについてご意見がございましたらお願いします。

 これは、将来ビジョンをどういうふうにまとめられるかということで、どんなふうに考えていったらいいか、今の愛護か福祉かという議論とも絡むと思いますので、少しざっくりとしたところでもいいですけども、方向性がありましたら、どうぞよろしくお願いします。

 はい、どうぞ。

【打越臨時委員】 本体のほうではなくて、横書きのほうの資料の43ページですね。43ページの上の段と下の段と両方に関わるところですけれども、ネガティブな負の状態を解消する取組みから、前向きに理想はどういうものなのかを議論しようというのは、もちろん、なかなか時間の余裕がないとできないことだとは思いますけれども、こういう発想も非常に必要だと思います。

 いろいろな立場の人たちが、それぞれ連携することが必要だということも書いてありますので、もう、まさにそのとおりだと思います。合意形成と、情報共有が最初でしょうかね。知識も情報もちゃんと共有できること、また、議論をして合意形成を図ろうという努力をする、そういう場をつくること。また協働作業、多様な関係者の協働をつくっていくというのは、別に動物政策に限らず、普通の医療政策の、例えば地域医療の話であっても、環境保全の話であっても、あるいは若者の社会での雇用や支援でも、どんな公共政策でも、情報共有と合意形成と協働というのは必要なことだと思います。ところが、そういう当たり前の議論よりも、この犬を助けるか助けないか、殺処分するか否か、この飼い主が困った状態で迷惑だという議論にどうしてもなってしまうのですが、情報共有、合意形成、協働というものを議論していく、そういう必要があると思います。

 そうなったときに、多分、やはり中心になってコーディネートをするのは、自治体の担当部局になってくると思うんですね。国レベルでのそういうコーディネートも必要でしょうけれども、各都道府県、あるいは政令市などの自治体によるコーディネートの能力、これが問われてくると思います。まだその段階ではなくて、適正な飼い方、例えばシェルター・メディスンであるとか、譲渡のときの基準を見極めるとか、そういうのも必要とは思いますけれども、自治体職員のコーディネート能力をやっぱり高める。先程、説得の能力のスキルと言いましたけど、動物とは直接関係ないこともできるようになっていっていただきたいと思っています。

【新美部会長】 ありがとうございます。ほかにございますか。はい、どうぞ。

【山﨑臨時委員】 今年の初めに環境省にもお連れしたのですけれど、カナダで非常に有名な動物の福祉の科学の専門家をしておりますFraser博士という方が、ブリティッシュコロンビア大学におられますが。Fraser博士がお話をなさったときの動物福祉活動の変遷のところが非常にここに当てはまるなと思います。それは、動物福祉の運動というのは、もともと英国なんかで初めてマーチン法ができたのが1822年ということで、虐待防止というのが一番の目的であったと。ところが、それから戦後の世界においては、ペットを飼う人が増えてきたので適正な管理をしようという、要するに、飼い方指導とか、どうやって適切に動物のお世話をしたらいいかということが、動物福祉運動の主流になってきたと。

 それで、今は、動物福祉運動の第三の波が来ていると博士は言われました。それは、まだまだ周知徹底されていないけれど、例えば、殺処分頭数に我々がフォーカスをしている間に、今現在の人間の営みで、高層ビルの窓や電波塔に当たって死んでいく渡り鳥が、もう毎年毎年億単位でいると。あるいは、オイルタンカーが座礁して、そこで死ぬ海洋生物が億単位でいると。そういった時代であるから、人間の営みそのものが動物の世界にどういうインパクトを与えていくかということを、もう少し総合的に考えるという時代になってきて、これが未来の動物福祉ではないかということをFraser先生がおっしゃっておりました。壮大な構想ではありますけれど、やはり環境省としては、こういった波の中枢に多分おられると思うのです。あらゆるところに、やはり環境の関連の問題を抱えておられるから、そういう意味では、法律とはまた一つ離れたところで、環境省として動物と人間の共生って一体どういうことなのかということを、再度、社会に知らしめる大きな役割を担えたのではないかなというふうに感じます。

【新美部会長】 ありがとうございます。

 ほかにご意見はございますでしょうか。これは、先程もありましたように、非常に大きな課題、問題だと思いますので、さらにご意見賜って、今後の議論の一つに据えていきたいと思います。

 時間も参りましたので、今日ご議論いただくのはこれぐらいにしたいと思います。

 最後の議題のその他について、環境省から何かございますでしょうか。

【事務局】 45ページの今後の審議会等のスケジュール(イメージ)、資料3というものをご覧ください。

 この動物愛護部会自体は、本日8月29日、次が年末ぐらいを予定しておりまして、これで、さらに今日いただいた意見、あるいは、自治体にアンケートをしておりますそのアンケート結果も含めて、もう少し精査したものをお出しして、また議論をさせていただきたいと思います。

 それから、既に幼齢規制調査の評価につきましては、中間評価として来月ぐらいを目途に、中間評価を考えておりまして、最終報告的には、また年末ぐらいを目途に報告をさせていただきたいと考えております。

 それからもう一つ、災害時におけるペットの救護対策ガイドラインということで、既に8月2日に第1回目を開催しまして、熊本地震の対応を含めまして、今、ペット救護ガイドラインの改定ということでさせていただいていますが、ペットを救うだけではなくて、被災した方が、ペットを連れていらっしゃる方をどういうふうに救護できるかという観点から進めなければいけないのではないかということで、動物を救うのもそうなんですが、やはり、そういう人間の議論を含めてさせていただいているということで、それを年度内にまとめようと考えているところでございます。

 それから、マイクロチップにつきましては、今後、今、モデル事業なんかを進めさせていただいておりますが、今後、さらに詳細な検討をしまして、専門家の議論なんかを進めていきたいということで、まだ少し先の未確定の要素が多いということになっております。

 それから、動物の適正な飼養基準ということで、今の基準については、犬猫を対象にしたものが中身は多いということですが、先程からご意見が出ているように、ゾウと犬は一緒にはならないですし、そういうことも含めまして、動物別にどういうものを基準として設けていったほうがいいかということを、今後検討させていただきたいと考えているところです。

 それから、人と動物が共生する社会の実現ということで、先程から出ておりますように、所有者不明の犬猫対策、多頭飼育対策ということについて、一般の人向けのガイドラインというよりは、打越委員が言われたようなものについても、どういうものがいいかということを検討していきながら進めさせていただきたいということで、今、イメージ的に考えている環境省としての進め方は以上でございます。

【新美部会長】 ありがとうございます。今後のスケジュールということでご紹介いただきましたが、何かご質問、コメントがございましたらお願いいたします。

 はい、どうぞ。

【太田臨時委員】 このマイクロチップは、先送りということですか。

【事務局】 いや、検討を今から進めるということで、先送りではありません。

【太田臨時委員】 法律の施行後5年を目途として検討という、この意味がよくわからないのです。

【事務局】 制度設計も含めて、いろいろやらなくてはいけないことが多くございまして、すぐには決められないので、今は情報収集等をして、いろいろ検討していますので、先送りというよりは、取り組んでいるという環境省の認識ではございます。

【太田臨時委員】 気長く取り組んでいくということですね。

【事務局】 はい。

【太田臨時委員】 わかりました。

【新美部会長】 よろしいでしょうか。

【事務局】 5年たったらできるというのは、もう今から取り組んでいくというような、そういう考え方です。

【太田臨時委員】 わかりました。

【新美部会長】 そうですね。登録制度なんかを整備するのに、相当時間が必要ですから、今からやってもそれくらいかかるかもしれないと。

【事務局】 こちらで検討すべきこともあるのですが、実は、法律がどうなるかによって全然組み立てが変わってくるということもありまして、そこを今、見極めなければならないところです。

【新美部会長】 ほかに。どうぞ。

【藤井臨時委員】 これから法律の改正が議員立法でどうなるか、ちょっとわからないと思うのですけれども。今日出た議論の中でも、動物の取扱いに関わる事業者の規制とか、そういう部分に関しては、動物福祉とか、アニマルウェルフェアに基づいて適切にやっていくということになると思うのですけども。今の法律の目的には、動物の愛護に関するもの、そういう気風を招来するということもあって、規制法と理念法が混然一体というふうな形になっておりますので。もし「動物福祉に基づいて適切に管理をしていくということ」と「動物を愛護する気風を国民の中に醸成していくということ」について、法律の改正の中で、議員の先生方の中でもご議論いただく機会があれば良いというふうに考えています。

【新美部会長】 ありがとうございます。それは、今後の議論の中で随時取り込んでいくことになろうかと思います。

 あと、ほかに、この今後のスケジュールについてご質問、ご意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

 それでは、以上で本日の議論は終了ということになろうかと思います。どうも、長時間ご協力ありがとうございました。

 では、事務局に進行をお返しいたします。

【事務局】 委員の皆様におかれましては、ご多忙のところ、長時間にわたりご議論いただきましてありがとうございました。

 以上をもちまして、本日の部会は閉会といたします。ありがとうございました。