中央環境審議会動物愛護部会第34回議事録

1.日時

平成24年11月6日(火)午後3時00分~午後5時20分

2.場所

環境省 第1会議室
(千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館22階)

3.出席者

林部会長、青木委員、臼井委員、太田委員、藏内委員、斉藤委員、佐良委員、菅谷委員、山﨑委員、
伊藤自然環境局長、上河原総務課長、田邉動物愛護管理室長他

4.議題

(1)
虐待のおそれのある場合及び引取りを拒否できる場合について
(2)
その他改正法に係る基準等の案について
(3)
特定動物の許可基準について
(4)
その他

5.配付資料

資料1
不適正な多頭飼育に起因する「虐待を受けるおそれがある事態」及び法第35条に基づく引取りを求める相当の事由がないと認められる場合について
資料2-1
第一種動物取扱業及び第二種動物取扱業に関する基準等について(素案)
資料2-2
第一種動物取扱業者と第二種動物取扱業者の基準比較
資料3
特定動物の飼養保管基準について
資料4
特定動物の飼養又は保管が困難になった場合における措置について(素案)
参考資料1
動物取扱業者等に関する自治体アンケート調査
参考資料2
第二種動物取扱業に該当する飼養頭数の下限値と主な対象動物類について(例示)(案)

6.議事

【事務局】 定刻になりましたので、第34回動物愛護部会を開催いたします。
 事務局から、1点、おわびのご報告をさせていただきます。本動物愛護部会では、毎回、参加希望の方から傍聴申し込みをいただき、抽選等により傍聴者を確定しているところですが、今回、傍聴申し込みいただいている方に、傍聴券を発送する際、一部の傍聴者の皆様に過去の傍聴券を一緒に送付してしまいました。皆様方には大変ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ありませんでした。おわび申し上げます。
 続いて本日の委員の皆様のご出欠の状況について、ご報告をさせていただきます。本日は、磯部委員、北島委員のお二方のご欠席のご連絡をいただいております。委員11名中9名のご出席で、部会は成立していることをご報告申し上げます。
 次に、配付資料につきましてご確認をさせていただきます。本日は、資料1から資料4まで、参考資料2部、委員限りの資料3部になります。資料に不備等ございましたら、事務局までお申し付け願います。
 また、本日の資料、議事録につきましては、後日、環境省のホームページにおいて公表されますことを申し添えます。撮影につきましては、議事が始まるまでといたします。ご了承下さい。

【林部会長】 それでは、ただいまから第34回動物愛護部会を開催いたします。まず、議事1でございますが、虐待のおそれのある場合及び引取りを拒否できる場合について、事務局からご説明いただきます。

【事務局】 それでは、資料1につきまして説明させていただきます。
 資料1ですが、今回改正されました動物愛護管理法におきまして、第25条につきましては、今まで勧告・命令が生活環境の影響がある場合に限定されていたところでございますけれども、新しく虐待を受けるおそれがある場合について、多頭飼育の現場において不適正な状態がある場合については、勧告・命令ができるという規定が追加されております。また、35条の引取りの義務規定のところでは、一定の場合について引取りの拒否ができるという場合が追加されております。
 この2点につきましては、細かい部分については環境省令で定めるという形になっておりまして、その部分について、各自治体のアンケート調査の結果等も踏まえまして、事務局で案を作成させていただきました。特に(1)の虐待を受けるおそれのある事態については、今回の諮問の7番にも関係する事項でございますので、ご議論いただきましてご意見をいただき、反映させていただければと考えている次第でございます。
 ではまず、(1)の虐待を受けるおそれのある事態について説明をさせていただきます。
 まず基本的な考え方でございますけれども、多頭飼育を行っていること自体が問題なのではないのですが、多頭飼育に起因する場合について、比較的やはり動物虐待のおそれがあるような事態が生じる可能性があるということも踏まえまして、そういった事態が生じることをできるだけ未然に防ぐために必要なタイミングで行政の指導に入る。法的権限があるものとしては、勧告ですとか命令といったものも行えるようにするということが基本的な考え方でございます。
 勧告・命令というのは、自治体のアクションとしては起こしにくいものではございますが、できる限りそれが行いやすいよう、客観的・具体的な事態を設定することが必要であると考えております。
 ただ一方で、多頭飼育の場合については、行政間のトラブルや、実際のやり方によっては、飼育崩壊や飼育放棄という形で、最終的な動物のことを考えた場合、動物に対して悪影響になるという事態も想定されますので、その部分については、勧告・命令を行うに当たっても慎重な配慮が必要という点は考えられるかと思っております。
 参考資料1をあわせてご覧ください。こちらが、今回の審議会に先立ちまして、全国の自治体にアンケート調査をさせていただいた結果でございます。
 7ページ以降が、虐待のおそれのある事態についての関係でございます。7ページの問7では、生活環境の影響の具体的事例について、自治体から聴取をしたところでございますけれども、そこでは、飼育環境の悪化ですとか不適正な繁殖について、多くの意見をいただいているところでございます。
 さらに10ページ目以降で、実際に虐待を受けるおそれがある事態として具体的に規定してもらいたいものがあるかという質問をさせていただいたところ、治療を怠っている場合ですとか、昼夜を問わず犬の異常な鳴き声が出ている状態ですとか、不適正な飼養が行われているような事態など多く意見をいただいているところでございます。
 ただ、この問題については、虐待と虐待のおそれとの区別が難しいところでございます。また一方で、一般住民の飼養状況が対象ですので、現行の規定では立入りということが法的に認められているものではございませんので、事態について外部から見られるかどうかということが一つ鍵になってくるという部分もございます。
 そういった部分も検討した結果、今回、事務局案としては、五つの事態を規定したらどうかということで案を出させていただきました。
 まず[1]、[2]は外から把握しやすいという観点から定めさせていただいたものでございます。一つはやはり鳴き声がやまないという状態、頭数によっては継続的に続く場合があると思いますが、昼夜を問わず鳴き声がやんでいない状態ですとか、あるいは特に犬等ですと、鳴き声によって通常の鳴き声ではない鳴き声ということもありますので、そういった異常な鳴き声が続くというような状態が継続していて、不適正な飼養状況が想定されるような事態。[2]につきましては、悪臭ですとか、あとは衛生動物が大量発生をしていて、不衛生な飼養環境が想定されるような事態といった場合については、外見上からは虐待を受けるおそれがある事態として考えられるのではないかと考えております。
 さらに[3]、[4]は、それぞれの個体の状況でございますけれども、場合によっては、外飼いですとか、あるいは散歩ですとか、そういった状況においてこのような事態が見受けられる、外から判明するという場合も想定されます。実際、そういったものが発見された場合については、勧告・命令の対象としてもいいのではないかというものでございます。一つは、給餌・給水が一定頻度行われていないような状態で、栄養不良のような個体が見られる事態、あるいは爪が異常に伸びている、体表が著しく汚染されているなどの適正な飼養が行われていない状態が判明して、それが長時間続いているように見られるというような状況でございます。
 最後の[5]は、なかなか外部から判明しづらいという部分ではございますが、実際のところ、多頭飼育に関する問題、自治体からの聴取等、アンケートの結果等も踏まえましても、繁殖が定時的に継続的に行われていて、結局、飼養者のキャパシティを超えてしまっている状態が一番事態として深刻化する傾向があります。そういった意味で、繁殖制限措置が講じられていなくて、なおかつ譲渡等によって飼養頭数を削減するという努力が行われていないような状態で、また引き続き繁殖によって飼養頭数が増加しているような事態というのは、虐待を受けるおそれがある事態として考えられるのではないかと考えているところでございます。
 なお、このような事態が生じた場合に、即座に勧告・命令をするということではございませんで、場合によっては適正な飼養が行われているけれども、一時的にそういった事態が生じている可能性もありますので、まず担当職員による改善指導を行っていただいて、その指導に従わないですとか、あるいはなかなか中を見せてくれない、要するに現状確認ができないような状況で、その状況を指導等により改善が望めない場合については、虐待を受けるおそれがある事態として勧告・命令等をするという手続を踏んでいただくということが適切ではないかと考えております。
 いずれにしても、このような事態が発生した場合には、自治体において指導をいただいて、それで改善すればわざわざ法的な根拠に基づいた権限を用いなくてもいいのですけれども、まずそういった指導の端緒としていただくという意味合いが一つ大きいのかなと考えているところでございます。
 続きまして、裏の(2)引取りを求める正当な事由がないと認められる場合に移らせていただきます。
 こちらのほうでございますけれども、まず、これまで35条におきましては、引き取らなければいけないという形で、引取りを求められた場合は、法的義務として引取りが義務づけられていたところでございます。
 しかしながら、そういった場合について、飼養者の判断の是非を問わず引取りを原則として行っている自治体もあれば、飼養者に一定の指導等を行って、それでもやむを得ない場合について引取りを行っている場合と、実際上はさまざまな状況になっているところではございます。そういった部分で、やはり今回、改正法におきまして、終生飼養の原則というものが飼養者の努力義務として位置付けられたところでございますので、それを反映する形で、終生飼養の原則に照らして問題がある場合については引取りが拒否できるというものが規定されたところでございます。
 一方で、35条のそもそもの目的は、生活環境の支障の防止という観点でございますので、明らかに生活環境に支障が生じるという場合についてまで引取りを妨げるものではございませんので、その原則については改めて明記をさせていただくという形が適切ではないかと考えているところでございます。
 自治体のアンケートは、参考資料1の20ページ以降にございます。実際の問10では、引取りを求められた場合にどうしているかというような、自治体の現状について伺ったところでございます。引取条件も特に定めず原則引取りを行っている自治体もかなりございますが、一方では、繰り返し引取りを求められた場合ですとか、動物取扱業者から引取りを求められた場合、あるいは所有者が不明確である場合、さらに22ページにいきますと、新しい飼い主を探す努力がされていない場合、さらに老齢、病気等を原因とする場合等につきましては、多く引取りを拒否しているというところでございます。
 そういった実態を踏まえまして、今回、五つの案を定めさせていただきました。まずは繰り返し引取りを求められた場合については、拒否をしても構わないのではないかと考えているところでございます。回数につきましてはいろいろご意見もあるかと思いますので、具体的に定めるべきか、あるいは自治体間の判断に委ねるべきか、また調整をさせていただきたいと思いますけれども、基本的には度重なる引取りについては、場合によっては拒否できる事項として挙げて構わないのではないかと考えております。
 2番目は、子犬、子猫の引取りについて、繁殖制限措置を講じるよう自治体の指導に応じないような場合について、当然ながら、子犬、子猫を産むこと自体を妨げるものではないのですけれども、それが結果として飼養できないという状態である場合については、やはり繁殖制限をするべきだということが努力義務でも掲げられておりますので、そういった指導に従わない場合については、場合によっては引取りを拒否できるという形で構わないのではないかと考えているところでございます。
 3番目でございますけれども、前段のほうが自治体からの意見でよく出てきましたけれども、高齢化や病気を持って、最終的に場合によっては安楽殺という処置もありますけれども、そういったものを自らあるいは獣医師さんにお願いするという形ではなくて、自治体にそれを任せてしまうという事態が生じているところでございます。終生飼養という観点は、最終的に犬猫が苦しんでいる場合については、その対応についても、自分が飼い主の責任として行うべきものでございますので、そういった理由を持って引取りを求めるというのはちょっと違うのではないか、終生飼養の原則に反しているのではないかというものでございます。さらに、終生飼養が困難であるとはとても認められないような理由で引取りを求める場合、飽きたですとか、世話が面倒ですとか、そういったものについては引取りを拒否できるという形が望ましいのではないかと思っております。
 さらに、これは自治体の意見として多かったのは、あらかじめ何らかの飼い主探しをしていない場合については、飼い主探し自体が自治体の義務なのではありませんので、それはまずは飼い主さんがやっていただくべきことでございますので、そういった取組をしていない場合についても対象とすべきと考えております。
 また、この部分につきましては、地域の実情に応じていろいろ別に条件をつけるということを考えていただいても構わないかと思いますので、別にその条例規則等で定めた場合については、引取りを拒否できるという、バスケットクローズ的な規定を設けさせていただいております。なお、最終的な条件として、生活環境の保全の支障を防止するために引取りが必要と判断される場合については、1から5の場合についても引取りをするべきだという原則からその限りではないということを規定しております。場合によっては、法律に定める取扱業者からの引取りであっても、あとは子犬、子猫の引取りであっても、ここで拒否してしまうと最終的に周辺環境に捨て犬、捨て猫という形で影響がある事態も考えられなくはないですので、そういった事態が生じかねない場合については、まずは生活環境の保全という観点で35条が設けられておりますので、その部分について配慮いただくということが必要ではないかと考えているところでございます。
 まず資料1については以上でございます。

【林部会長】 ありがとうございました。それでは、何かご質問、ご意見あればいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

【青木委員】 資料1の虐待を受けるおそれのある事態についての規定案の[3]について、事務局のお考えを確認したいと思います。
 [3]は、給餌・給水が一定頻度で行われておらず、栄養不良等の個体が見られる事態という規定案でございますが、法律の規定する動物虐待罪の規定との関係が、細かいことですけれども、恐らく実際には問題になるだろうと思います。改正法の44条の2項には、愛護動物に対しみだりに給餌もしくは給水をやめ、衰弱させるといったことが構成要件で書かれているわけで、それとの関係が問題になる。規定案の書きぶりは、一定頻度で給餌・給水が行われていないという客観的な事態をまず要素1として確定して、それにプラスして、栄養不良等の個体が見られるという要素2とでもいいましょうか、二つの要素が見られて初めてこの[3]を満たすと読むのか。それとも、栄養不良等の個体が見られる事態があって、それにより給餌・給水が行われていないと推定される場合を含むと読むのか。給餌・給水の少なさが推定されるだけの場合は基本的にはだめで、給餌・給水が一定頻度で行われていないことと、栄養不良の個体がいるという二つの要素が確認できた場合に限り[3]に該当するという理解でいいでしょうか。

【事務局】 ありがとうございます。基本的に、やはり44条第2項との関係性というのはかなり難しいところではございますけれども、青木委員がおっしゃるように、栄養不良の個体が生じた時点で、概ね給餌・給水が適切に行われていないだろうという類推はできるとは思います。ただ一方で病気の場合ですとかそういった形で栄養不良のように見える場合も想定されるところではございますので、栄養不良だけのような状態が見られるというだけですと、両方の場合が対象となってしまうということも鑑みまして、給餌・給水が一定頻度行われておらずという、上の一つの要素を加えたところでございます。ただ、そういった個体が見られた場合については、まずそういった状況を見て自治体がその飼養者さんのところにいく、あるいは飼養者さんの状況を見るという段階において、一定程度、いわゆる病気個体なのか、病気でなくて飼養者の怠慢等による、事情によってできない場合もあるかとは思いますけれども、そういった状況かどうかというものを確認していただくという二段階ステップを踏んでいただく必要はあるのだと思います。ただ、当然ながら、自治体の状況によっては飼養者さんからそういうことを拒否されるという場合もあるので、そういった場合については、一定程度を類推をするという形もやむを得ない部分もあるのではないかと思っているところでございます。
 そこの部分は、結局、自治体に酷な部分も正直なところあるところですので、そもそもこういった背景も含めてここまで書くのはいかがなものかというのも一つの見解としてはあるかとは思いますが。

【青木委員】 説明ありがとうございました。ワーディングの違いによって、本当に微妙な差異があるような気がするのです。なので、一つの考え方は、先ほど私が言いましたように、給餌・給水が一定頻度で行われておらず、かつ、栄養不良等の個体が見られる事態と、こういう考え方がありますよね。二つの要素が両方認定されて初めてこれに当たるんだと。それからもう一つの読み方は、給餌・給水が一定頻度で行われておらず、その結果として栄養不良等の個体が見られる事態と読む。因果関係上の原因を特定しているが、その原因が本当にあるかどうかまではこの段階で確定していなくても推定されればいいという趣旨なのか、その辺を、最終的に書くときに、ある程度明快にしておいたほうが混乱しないような気がいたします。
以上です。

【事務局】 その場合においては、例えば栄養不良の個体が見られて給餌・給水が一定頻度行われていないと想定される事態とか、そういった書きぶりのほうが後者の場合はいいということでございますか。

【青木委員】 ええ、そんな気がします。

【林部会長】 そうですね、そういうことですね。

【青木委員】 ええ、そういう趣旨です。

【林部会長】 よろしいですか。ほかに。

【青木委員】 もう一つ、今度は引取りを求める相当な事由がないと認められる場合について、改正法第35条1項ただし書きです。法律の条文自体は、環境省令で定める場合にはその引取りを拒否することが「できる」としています。そもそもこの規定自体が必要的拒否ではなくて任意的拒否ですよね。環境省令が定める場合があったとしても、拒否しなくてもいいということは法律自体が明言しているわけですが、上記の場合であっても生活環境保全上の支障を防止するために引取りが必要と判断される場合にあってはその限りではないというのも、一応、環境省令に書くという、こういうお考えですか。

【事務局】 青木委員がおっしゃるように、「できる」規定でございますので、それぞれの事例があっても必ず拒否しなければいけないというものではございません。ただ、一方で自治体からいろいろご意見がありましたのは、拒否できる場合をそのまま書いていただくことによって、こういった場合で拒否しなかった場合については、いろいろな方面から、拒否しなかったではないかといった形で批判を受ける可能性がかなりあると。結局のところ、本当は生活環境の保全上、非常に不可欠なのだけれども、そういったものが引き取れなくなることによって、場合によっては生活環境の悪化が非常に懸念されるということがあるということは多く指摘をいただいているところでございます。
 ですので、そういう意味でできる規定なのに入念的なものではございますけれども、そういう自治体の判断について後押しをするためにも、こういった規定が必要なのではないかということで規定を設けさせていただいている次第でございます。

【青木委員】 わかりました。

【林部会長】 念を入れているということですね。
ほかにございますか。よろしいですか。
 ないようでしたら、本件についてはこの形で、これは後からもご説明はありますが、パブリックコメントにかけるということですので、よろしいでしょうか。

(はい)

【林部会長】 ありがとうございました。
 それでは、議事2に移りたいと思います。その他、改正法に係る基準等の案について。これも事務局からご説明をお願いいたします。

【事務局】 資料2-1、2-2、参考資料1及び2を用いて説明させていただきます。
 前回の部会におきまして、第一種動物取扱業者・第二種動物取扱業者につきましては、骨子案についてご議論いただいたところでございますけれども、前回の議論も踏まえまして、今回、実際の基準の案についてまとめさせていただいたところでございます。前回、骨子と変わらないところについては、簡単な説明で省略させていただきたいと思います。
 まず、資料2-1の(1)犬猫等販売業についてでございます。改めてアンケートをとらせていただきまして、犬猫等販売業のボリュームについては確認させていただきました。参考資料1のところにございますけれども、現時点において犬猫の販売業者数、全国で1万7,000件余りという状況でございます。そのうち繁殖を行っているもの、繁殖業者と考えられるものは9,000件という形でございます。ですので、100自治体以上ある中で92自治体の回答の中で、しかも把握している範囲でという形でございますので、ボリュームとしてはこれよりも若干多い、それぞれ2万件ですとか1万近い数があるというような実態がわかってきたところでございます。
 犬猫等販売業の範囲でございますけれども、前回も説明させていただいたように、これについては犬又は猫という形に限定するという形で、前回もご了解いただいたところでございます。
 安全計画の記載事項でございますけれども、[1]、[2]は既に法律に定めているところでございまして、それに加えまして[3]におきまして、幼齢の犬猫の実際の飼養、保管、繁殖及び展示方法について計画等で示していただくことによって、具体的にどういった活動をするかということを明確にしていただくということを考えているところでございます。
 3.の基準のところは、少し前回は簡単な書きぶりにしておりましたけれども、具体的には、やはりまず一番重要なのは現行の基準に合致した計画を立てていただくことが重要でございます。上乗せして厳しい計画を定めていただくことは当然構わないかと思いますけれども、計画のほうが基準を下回るということでございますと、その時点で法令遵守が疑われるところでございますので、計画自体は、基準には少なくとも適合しているということがまず大原則でございます。
 さらに計画ではございますが、例えば、どういった活動をするかについては、より明確かつ具体的であることが自治体の判断上も必要だと考えております。
 さらに、販売の用に供することが困難になった犬猫の取扱いが、終生飼養の観点から適切であることでございます。今回、終生飼養の原則が明示されましたので、最終的な取扱いが犬猫の終生飼養、場合によっては譲渡という形で、新しい飼い主の元での終生飼養というものも適切な取扱いだとは考えておりますけれども、そういう意味で殺処分という形ではなく、しっかりと最後まで生を遂げていただくという形の取り扱いになるということが適切であるというように、三つの基準を定めさせていただいたことでございます。
 実際には、上の米印にありますように、獣医師との連携ですとか、具体的な譲渡先、あるいは他の販売業者・愛護団体等との連携でございますとか、あるいは実際の飼養方法については、販売に供するまでの間、45日から49日、最終的には56日という規定が設けられておりますけれども、それまでの間、親と引き離さない形で基本的には飼養していただくですとか、夜間展示はしないですとか、そういったものが計画に盛り込まれる形で考えております。
 なお、具体的な計画の実例につきましては、実際のその販売業者さんができるだけ円滑に移行できるように、その規定例について、より詳細なものについて、環境省で示させていただく予定にしております。そういった部分についても明確にするという形で、なお書きを書かせていただいたところでございます。
 続きまして、2ページ目でございます。犬猫等販売業者におきましては、計画の策定以外に帳簿の記載と報告が義務づけられております。このルールにつきまして、前回もご説明させていただきましたけれども、少し法令等を精査しまして、若干変更を加えております。前回は、取引状況台帳と一緒にするという形で説明させていただきましたけれども、同じ個体を扱っている状況でありますと、1点加えれば説明確認実施状況記録台帳も統合できるということでございますので、その部分も含めまして、幾つか項目を追加させていただいたところでございます。
 この中の6)、7)、8)につきましては、前回の骨子案から追加させていただきました。6)番は取引状況実施台帳に書くべき事項で、前回の骨子案のところでは漏れていたものでございまして、法令遵守状況についてでございます。後ほどの特定動物の基準の関係でもございますけれども、やはり法令遵守状況で、特に特定動物について許可を得ているかどうかというのは、確認において重要なものではございますけれども、そういった部分でも、今回は犬猫ですので、実際、特定動物は関係ないですけれども、そういったことも含めて、やはり法令遵守の状況というのはちゃんと取引の際に確認していただくというのが重要であることから取引台帳に載っておりますので、その部分を、取引台帳をしないかわりに、この部分については書いていただくということが必要だと考えております。
 この前は抜けておりましたけれども、販売の担当者名ということは、実際の責任関係を明らかにする上でも必要だと考えております。
 最後に、8)説明及び確認の実施状況につきましては、これを盛り込むことによって説明と確認台帳を帳簿に統一できますので、8)を入れる形で三つの台帳を全部統一した形で帳簿として記載してはどうかと考えているところでございます。その帳簿につきましては、記載の日から起算して5年間保存するという形で規定をしております。
 現行の動物愛護管理法の中では、電子的方式のことについては例外規定を設けていなかったところでございますけれども、今回は個体ごとという形で、かなり帳簿の数が多くなりますので、そういった部分について、適切に保管いただくためには電子台帳というものも認めるべきだと考えておりますので、今回は電子的方式により記載、そして保存する場合についても、立ち入り等で速やかに見られるような状態であれば構わないという形にしていただければと考えているところでございます。
 先日、議論がありました犬猫以外の販売をする者についての扱いでございますけれども、これにつきましては、やはり個体ごとではないということで、現行の帳簿そのものを記載するというのはなかなか難しいというご意見をいただいたところでございます。ただ、現行の取引状況台帳や、説明実施状況を確認する台帳におきましても、販売先については明記をするという形に様式上はなっております。ここの部分については、販売先の明記等についてより明確にするという形で、犬猫以外の販売をする者についてもそこの部分を徹底させるという形で、少しその細目等について、いわゆる様式だけで書いてあるという形ではない形に変えさせていただければと思います。それによって、帳簿等の記載事項とほぼ一致したような状況、販売の扱いについては状況が把握できる形になると考えているところでございます。
 [5]は、前回もお話しさせていただいたように、根拠となる書類を取得していればそれの保存にも努めるという努力義務を設けているところでございます。
 定期報告につきましては、年度終了後、60日以内に行うという期間を今回は明記させていただきました。さらに報告事項については、基本的には法に定める4事項でございますけれども、[3]、[4]につきましては、ただ1年の合計値だけを示していただくと、都道府県がそのデータをもって異常値というのはなかなか判明しづらいと考えておりますので、月ごとの数字をまとめてその年度終了時点に報告するという形にさせていただければと考えております。
 いずれにしても、報告様式を明確にさせていただくことによって、そこは各事業者さんが迷わないように、しっかり明確にできるような形にできればと考えているところでございます。
 続きまして、(2)現物確認・対面販売の部分でございます。先日もご説明させていただきましたように、この部分については、哺乳類、鳥類、爬虫類、全ての動物取扱業者が扱う動物を対象としております。ただ、先日もご説明させていただきましたように、パブコメ等で鳥類、爬虫類業者さんから、前回の動物愛護管理のあり方検討小委員会の中でもかなり意見をいただいたところでございますので、この部分につきましては、パブコメもしっかり配慮して最終的な決定はさせていただきたいと考えておりますが、現時点におきましては、事務局では、三つの類を対象としているところでございます。
 対面販売の例外については、前回ご説明させていただいたように、現物確認が必要であれば対面販売はできるだろうということでもございますので、対面販売の例外は現時点では設けません。この部分につきましても、またパブコメの結果で、これは是非配慮すべきだということがありましたら、改めてその例外規定について検討させていただきたいと思っております。
 情報提供項目については、イロハニホヘトと並んでいるのは、これは18項目の部分でございまして、そのうち、カの部分につきましては、今回、法律において、繁殖を行った者というものが明確にされたところでございますので、その部分について改めて、生産地とこれまでさせていただいていたものについて、繁殖を行った者の氏名又は名称及び連絡先という形にしております。場合によっては、輸入先の名称及び連絡先を書いていただいたりですとか、譲り受けたものについてはその譲受先の名称及び連絡先等を記入いただいて、できるだけトレーサビリティを確保するということに変えるということが必要なのではないかと考えているところでございます。

【林部会長】 はい。ここまでのところで何かご質問は。

【臼井委員】 私は電子的方式というものがよくわかっていないのですけれども、今現在ですと、これは後で書き換えられてしまう可能性ということはないのでしょうか。

【事務局】 そこは、台帳であっても結局何か、紙自体の偽造というか書き加えを妨げられるかというとそうではないものですので、電子的であれば容易かというと、現時点においては、台帳と電子的情報とで差がすごくあるということではないということではないと思います。
 一般的に台帳等については税の関係もあって、やたらめたら書き換えるということになると、逆に言うと脱税の疑いをされるものではございますので、一般的にそういったものについて書き換えるという行為は、あまり想定はしていないのですが、書換えのしやすさの差であると考えているところでございます。

【臼井委員】 例えば、書いたものですと、後から書いたものというのは、筆跡が変わっていたり筆圧が変わっていたりペンが変わっていたりして、容易に変えたなということがわかるかと思いますが、パソコンの電子的な場合には、わかりにくいかなと思うのですが。

【事務局】 一方で、パソコンの場合は、ファイルというものは必ず製作日というものが記録されるものでございますので、そういうものまでも偽造するソフトがないとは言えないですが、基本的に何かファイルを、変更したらその変更日が全部明示される形になりますので、疑いがある場合はそこを確認すれば、書換えについては事実上は確認できると考えます。

【林部会長】 ありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。どうぞ。

【太田委員】 現物確認・対面販売の件ですが、一番最後に説明された、情報提供の項目のカの項目ですが、これは今までは生産地等ということで、生産地を書くという形になっていたと思います。
 今回、繁殖を行った者の氏名又は名称及び連絡先、トレーサビリティをしっかりするということで繁殖者名を書きなさいということに関しては私も賛成ですが、業界の今までの慣習、習慣といいましょうか、流通の過程は、繁殖者の犬を、地方の地元の業者が犬を集めて、オークションに出し、それをペットショップが買って販売するということが、現在の流れです。その中で、繁殖者の氏名、連絡先ということを明記したときに、今とは大分違った形になります。もちろんトレーサビリティのためには大事なことなのですが、例えば、現在、仕入れて売るまでに、平均15日から20日かかっています。仕入れて、1日2日で販売するということはないわけです。仕入れてすぐに、お客さんが買われて、餌を食べないから繁殖者に直接電話で聞こうというのはわかるのですが、15日、1カ月過ぎてお客さんからいきなりブリーダーに電話が入るということになってくると、ブリーダーは、買った人の名前はわかりません、今までの流れとは違いますので、現場は混乱してしまうのではないかなというような感じがします。あくまでも販売後はペットショップが責任を持って飼育指導していますので、繁殖者の名前を書くのは結構ですが、連絡先までを18項目の中に入れるというのは、ちょっと現場はしんどいかなという感じがします。

【事務局】 基本的には、今回、特にブリーダーに対して連帯責任としてより飼養管理を徹底していただくという趣旨の中で設けられたものでございまして、名前を書くというだけのものもあると思いますけれども、最低限の場合であっても登録番号ですとか、そういったものは必要になるのではないかと考えております。特定されないと、単純に名前だけですと、必ずしもその者が特定されませんし、今、太田委員がおっしゃったように、実際飼われてからすぐに何かという事態も想定されますが、特に遺伝性疾患ですとか、後々生じる場合についてはすぐにはわからないかと思います。それをトレースするということ、それはブリーダーさんにとってもそういった原因が生じたことがわかれば、その後々繁殖において考慮するということが当然考えられると思いますので、そういった部分を含めてということも考えますと、やはりと繁殖者名だけを記載事項にして特定されないという場合があるという状況は難しいのではないでしょうか。これまでの議論も踏まえますと、やはり何らかの形で、少なくとも電話番号ではなかったとしても、その動物取扱業の登録番号ですとかの形で登録されて、何らかの形で飼い主さんが把握できる、最終的には確認できるということが必要だと考えて、確実なものは連絡先ではないかという意味で案を示させていただいたところでございます。

【太田委員】 現状、遺伝性疾患などに関しては、もちろんブリーダーの名前が入っていれば、直接電話できますが、現状は、売ったペットショップが中に入って先方に連絡して苦情の解決に当たる、またはお客さんからその場で、電話をしてもらうというのが今の流れです。この形で行くと、いきなりお客さんからブリーダーに電話が入ること自体、問題の解決になるのかなという心配もしています。
 先ほど動物取扱業、ブリーダーの登録ナンバーも書かなくてはいけないということでした。もちろん、ほとんどの業者は登録ナンバーを取っていますが、業としていないブリーダーもいます。その方は登録ナンバーを取っていません。業の定義が曖昧なものであったと思うのですが、該当しないブリーダーがいるのです。それが現状ですので、その辺も考慮すると、私は難しいのかなという気がします。

【林部会長】 それはどのくらいの頻度であるのですか。多い場合は確かに手間になりますが、非常にまれなことであれば、それほど手間でもないかなという気がするのですが、いかがでしょうか。

【太田委員】 これは業界の流れになってしまうのですけれども、ブリーダーの方が血統書を申請するときに、例えばJKCの血統書ですと、JKCに入会して、犬舎登録という屋号を取らなくてはいけません。そうすると、1頭2,100円でできる血統書が、最初は2万円近く掛かります。そのために、たまに産ませた人が、その取り扱っている業者の名前で申請するということはまれにあります。そのような複雑な問題も絡んできますので、できれば、この繁殖を行った者の氏名、ここで切っていただいて、それで切っておけば名前が入っていますから、遺伝性疾患に対する今後の対応は十分できます。連絡先に、電話番号等が入ると、話が販売店を素通りしてしまうのではと心配しております。
 先ほどの登録を取っていない人の比率ですけれども、正確な資料はありませんが、あっても2、3%くらいかなという感じはします。

【林部会長】 この件で、ほかに意見がある方はおられますか。

【佐良委員】 例えば、ブリーダーさんの氏名を入れ、例えば何県何市くらいまでは入れられたらいかがでしょうか。直接連絡を入れてブリーダーがびっくりしてしまうようなことがあるとすれば、そこのところに何か質問なり苦情なりあった場合には取扱いのペットショップを経由してくださいみたいな、そういうことを書かれたらいかがでしょう。
 道の駅で売っている野菜だってちゃんと氏名が書いてありますし、どこの農協で、道の駅で買ったから、ここへ聞けばこれがわかるとかなりますので、野菜はもちろん生き物ですけれども、もっともっと血の通った私たちと同じ動物ですから、そのぐらいの責任を持って繁殖して、何も言われないぐらい自信を持ったものを売っていただきたいと思います。ですから、変なブリーダーを擁護するためにならないように、これをしていただきたいと私は思います。

【林部会長】 佐良委員のご意見は連絡先もきっちり書いたほうがいいということになりますか。

【佐良委員】 電話番号までは入れなくもいいです。

【林部会長】 はい。いかがですか。

【事務局】 電話番号までということではなくてよいかと思いますが、何らかの形で、場合によっては、中間であるペットショップが倒産してしまったりですとか、連絡がつかなかったりするということもゼロではないかと思いますので、そういう意味で、氏名ですとか、そういった形で特定されることによって、少し努力が必要になるかもしれないですが、その努力をすることによって、最終的にはブリーダーさんに行き着くことができるということは、最低限必要なのかなと思います。それは登録番号であっても構わないですし、場合によっては連絡先を書いていただく、うちは問題ないです、ぜひ連絡してくださいということで、連絡先を書いていただく形でもいいですし、そこのトレースできる範囲での住所等という形でもいいという形であれば、その意味での連絡先という形も対応可能かなとは思いますけれども、その範囲であればどうでしょう。

【太田委員】 最悪倒産した場合ということを想定したようですが、仮に倒産してもオークションには伝票が残っていますので、追跡することは可能です。ブリーダーを確認するということは。できれば、今、佐良委員がおっしゃったような形でおさめていただくと現実的かと思います。

【事務局】 細かい範囲については、再度事務局のほうで確認させていただきます。基本的にその連絡先ということが電話番号そのものではないということで整理させていただければと思います。

【林部会長】 そうですね。この趣旨は、トレーサビリティをちゃんと担保するものであればいいということですね。
 ほかにご意見ありますか。どうぞ。

【山﨑委員】 質問なのですが、それから、最後の具体的に、販売業者までの間に中間業者が何軒か入った場合は、どのように書類は作成されることになりますか。

【事務局】 基本的には、中間業者全てを書類に書けという形ではなく、中間業者については業者間で把握をしている状態になると思います。飼い主さん自体は、ペットショップさんと今回繁殖者情報が把握できると。
 全部わかればいいのかもしれないですが、飼い主さんにとってどこのオークションを経由したかという情報が重要かというよりは、やはりどこの親かを確認できるようなことと、一番売買の責任を持っているペットショップさんの販売責任という部分だと思いますので、その二者が少なくとも説明上は、情報として考えられるということを想定しています。
 別に業者間では、説明義務事項がございますので、オークションを経由している場合にはオークションにおいて一定程度の説明がされているという形のものでございます。この規定は業者間の取引には適用されませんので、そういう範囲でございます。

【山﨑委員】 ありがとうございました。今の説明で十分理解したのですが、例えば、私がペットショップに行って、かわいいわんちゃんを買ったとしますね。そうすると、買ったお店で繁殖者はわかりますよね。それから、繁殖者の方がどなたかということがわかった場合、購入した場所で飼い主がこの繁殖者にお話を伺いたいといった場合は可能なのですか、書類に繁殖者のお名前が書いてあることによって、例えば、その友人から犬をもらい受けた場合にこの書類がついていれば、質問が可能ということですか。「繁殖者の方はこの方ですから」と、中間対応としてペットショップに連絡すれば細かくわかると思いますとか、あるいは、その繁殖者の方はこの方ですと教えていただいた場合、繁殖者に連絡すれば、この日に生まれたそのときの犬で、このペットショップで買ったのですがと質問した場合には、完全におわかりになるのでしょうか。

【事務局】 今回の規定は、いわゆる繁殖者さんに絶対回答をしなければいけないという義務まで課しているものではございませんが、そういう意味で、繁殖者さんには、場合によって、繁殖者責任がここに明記されますよということは覚悟いただくということは一つあると思います。
 太田委員からお話があったように、ペットショップさんが仲介に立って確認をする場合もありますし、場合によっては、繁殖者さんに直接、細かい情報について確認いただくということもあると思います。そこは今回は売買において、少なくとも名前が明示されるから、生んだからもう後は知りませんよということではなく、後々最終的な飼い主さんからこういった事態があって親・兄弟どうですかとかそういったことについて確認いただくと。その情報というのは、逆に言うと、繁殖者さんにとっても重要な情報だとは思いますので、そういう意味での確認はいただくということが明記されることによって、場合によってはそういう事態も想定されることを認識いただくことは必要だと思います。

【林部会長】 はい、どうぞ。

【佐良委員】 一番いい犬の購入の仕方というのが、ペットショップにいる単独の犬を見るのではなく、本当でしたら、自信のあるブリーダーさんでしたら、ペットショップにこういう犬がいますよという情報だけ置いて、どうぞ欲しい人は見に来てください。親兄弟やどういう形で繁殖をさせているということを全部見せて、そこまで自信を持っているブリーダーさんに犬を販売してもらいたいと思います。
 やっぱり同じ兄弟でも全然違う性格もいますし、そして、その性格の犬がそこの家族に合うかどうかというのをブリーダーさん自体も見たいと思います。そのかわりをしているのがペットショップの皆さんで、対面販売ということをなさっているとは思いますけれども、先々そのように直接、親兄弟、繁殖場を見て、それで購入するようなときが来ると思いますが、そういう前提で徐々に、まず繁殖者の名前、それから何県何市ぐらいまでは、最初は緩い形で、それから少しずつ細かい情報を載せていくように、徐々になさっていったらいかがかなと私は思います。

【林部会長】 はい、これはそのようにどんどん変わっていけばと思いますが。

【菅谷委員】 犬猫のペットショップからブリーダーにどのぐらいの期日で、どこの誰に販売しましたという情報が伝わるのですか。それがないと、ブリーダーのもとへ、突然電話がかかってきても、本当に自分で繁殖させた犬猫であるのかどうか分からないのではないでしょうか。飼い主からブリーダーに直接電話がかかってくるというのは、お褒めの言葉よりも、前回の部会で犬種ごとに特有の遺伝的疾患が出る場合もあるという話を委員から紹介がありましたけれども、そういう事態のほうが多いのではないかと思うのです。そうすると、犬猫の販売店とブリーダーのどちらに責任があるとの問題が起きることはないのでしょうか。生き物の取引はその時点の状態で選択されもので、私は販売者責任は重いものと考えますが生育環境が変わればそれなりのリスクがあることと思います。
 今回はブリーダーにも相応の責任を担わせることとなるため、販売先の情報をブリーダーにも速やかに提供すべきと思いますが如何でしょうか。

【林部会長】 トレーサビリティというのは、逆もまた真で、ブリーダーにとってみたらすばらしい飼い主に売られたというか、引き取られたということは、もちろん望ましいわけで、それはどうなっているのですか、太田委員。

【太田委員】 先ほど山﨑委員から、ブリーダーのほうに直接電話するという話がありましたが、お客さんからすると、親を見たいとか、兄弟を見たいという気持ちは当然です。最近特に多いのは、母親に会いたい。母親のうちに行きたいというお客さんは増えています。その場合には、私たちも先方に、お客さんがこのように望んでいるので、よろしいですかということを確認して、行って会ってもらうということは最近増えてきました。
 この前、私も驚きましたが、ゴールデンレトリーバーをたまたま4匹オークションで買いました。血統書には、それぞれ登録ナンバーが入ります。子犬を購入した3人の飼い主が登録ナンバーで兄弟犬である事を確認し。3人がブリーダーのところへそろって会いに行きました。
 後日ブリーダーから、買った人が3人そろって会いに来ましたという話をされまして、たまたまハッピーな親子の再会となりましたが、現在は情報、特にインターネット情報は簡単に検索できます。問題があったときには、販売したペットショップがしっかりと中に入って苦情対応をして、ブリーダーにもしっかり今後そのような犬を繁殖させないようにシステムづくりをオークションがしなくてはいけないという話をしているところですが、急にはいきません。段階的に見ていただければというのが私の気持ちです。

【林部会長】 自分が繁殖した犬猫がどこに売られたかということについて関心持っているブリーダーは結構いますか、それともほとんど関心はないですか。

【太田委員】 ブリーダーは、例えばオークションで高く売れればいいというだけではありません。自分が生ました犬を多くの人が欲しがる、手を挙げてくれる、それがブリーダーの生きがいです。そうしますと、ブリーダーによっては、あんな業者に買われちゃって犬がかわいそう。そういう表現の仕方をする人もいます。ブリーダーの本当の気持ちは、自分がいいものをつくって、みんなに評価してもらう。そして良い飼い主に渡ってかわいがってもらうというのは基本です。決して、手放したらどこへ行っても関係ないということではありません。

【林部会長】 はい、どうぞ。

【事務局】 先ほど、佐良委員からご指摘があった購入者の情報ですけれども、販売者は、ある意味ほとんどが登録業者ですので、それを公にする責任というのはありますが、飼い主さんの情報というのは、個人情報であるものですから、飼い主の了解なしにそれをブリーダーに全部伝えてしまうというのは、問題が生じてしまうのかなと思っております。
 ですので、そういう意味で、そこの関係性についてブリーダーの連絡先も明らかにするので、それで、何らかあった場合、ブリーダーさんに直接聞いてくださいね、そのかわり、ブリーダーさんにいきなり行ってもらうと困るので、買った飼い主さんの情報をお伝えしますねということをあらかじめ説明いただくということであれば、それでも構わないですし、そのお願いができていないのにもかかわらず、もう飼い主さんの情報を全部ブリーダーさんに渡しましたというのは、ちょっと個人情報の取扱い上問題かと思いますので、最悪やはりそこはブリーダーさんがいきなり電話がかかってきてもどこどこのペットショップで買ったということがわかれば、当然それは把握できるので、そこの部分はそのような可能性も含めて、やっぱり販売する側としては責任、そちらのほうが責任は重いと思いますので、そのような方向での覚悟はいただくということかなと思ってございます。

【林部会長】 おっしゃるとおりですね。今回の改正は動物取扱業の責任をきっちりさせたわけですけど、将来的には飼い主責任を明確にする必要があると思います。動物の飼育者は、その動物の幸せを願うブリーダーに対する責任もありますので、ブリーダーに対して個人情報を開示するのが望ましいと私は思いますけれども、それは次回の改正以降の話になると思います。今のところは、飼い主の個人情報を、勝手にブリーダーに許可なく教えるということではないかなと思っています。
 他にありますか。よろしいですか。

(はい)

【林部会長】 次の5ページからですか。

【事務局】  (3)の第二種動物取扱業の部分に移らさせていただきます。
 前回、いわゆる公園展示の部分については、詳細な情報をお示ししましたけれども、譲渡団体については、まだアンケート結果が整っていないということでお示しできませんでしたが、今回参考資料1の3ページ以降にアンケート結果をお示ししております。ここにおいて、把握できる範囲というのは、都道府県等で動物愛護センター等で譲渡活動をやっていて、その譲渡活動をやるに当たって譲渡団体を登録させるという制度を持っている自治体さんがかなりありますが、そういった登録制度を背景として団体の状況が判明しているという場合に限っております。その範囲でも一定程度、約100の団体が該当するのではないかという回答をいただいているところでございます。
 規模的にはどういったものがあるかというのが、問6の部分でございます。多いところですと、100頭以上の単位で行っているところもございますし、10頭以上というものは結構な数でございます。100のうち半分近くはやはり10頭以下、特に少数頭数かあるいは不明という形になっておりますけど、一定程度かなりの規模で飼養して譲渡活動を行っている団体があるという状況でございます。
 こちらのほうでも全ての団体について現時点では把握をできるような状態ではございませんので、こういった状況であるということをご参考にいただければというところでございます。
 第二種動物取扱業の範囲につきまして、資料2-1に戻りまして説明させていただきます。前回も説明させていただきましたように、やはり預かりさんですとか、パピーウォーカーのような個人飼養の部分までを規制の対象に入れて、そこの飼養環境までも登録させるということは目的としておりませんので、あくまで居住部分と明確に区分できる場合に限り、少頭数毎に個人にその飼養保管を委託する場合を除くという形で考えております。この少頭数が何頭か、個人が何かということはより明確にさせていただきたいと思っております。
 対象につきましては、譲渡、保管、貸出し、訓練、展示を行うものでございます。先日、青木委員からもご指摘があったように、政令に定めるものの省令で定める部分については、まず競りあっせん業については、非営利という形での取扱いが想定されませんので、規定しません。さらに、譲り受けて飼養する者につきましては、譲り受けないで動物を購入して飼養する者で、たくさん飼っている場合と、ほぼボランティアでたくさん譲り受ける場合で、ボランティアで譲り受ける後者のほうが法的に規制が必要かというと、そうではないところでございますので、譲受飼養について非営利で行っている者、いわゆる老犬・老猫ホーム的な活動を非営利でやっている飼養者についてまで届出するというものではないので、ここの部分については、別に省令では、現在のところは定めないという形で考えております。
 [3]の飼養頭数の下限値でございますけれども、こちらのほうはア、イ、ウという形で三つに分類することを案として示させていただきました。
 参考資料2をあわせてご参考いただければと思います。
 なかなかどこまで区切るかというのは難しいところではございますけれども、基本的に哺乳類、鳥類については、大型・中型・小型で、爬虫類については、その飼養の困難性といった部分と、実際の飼養実態等も含めまして、中型・小型という2分類に分けているところでございます。哺乳類につきましては、ウマやウシやシカなどの同型のものについては、3頭、鳥類もダチョウですとか、大型の猛禽類ですとか、そういったものについては、3羽以上のものについては、対象とするという形でございます。
特定動物については、記載の範囲にとどまらず、頭数で3頭以上の場合については、届出の対象とする形で考えております。
 中型につきましては、概ね1mから50cmの間という形で考えております。具体的に申しますと、犬や猫や猿やタヌキやキツネのような哺乳類、あるいはアヒル、ニワトリ、ダチョウのような鳥類、さらに、爬虫類については、大型も含めてヘビ、イグアナ等については、中型以上に見直しまして、10頭以上の場合について対象とする予定でございます。
 それ以外については、小型類としまして、50頭、50羽以上を飼養している場合について対象とするという下限値を考えております。
 複数ある場合については、下の分類に依拠するという形で考えておりまして、例えば、牛は2頭で、犬は8頭という場合については、合わせて10頭で中型の範囲になりますので、届出の対象とする。ただ、牛1頭、犬5頭とか、合わせて中型の分類以下の場合については、対象としないという形で整理をしたいと考えております。
 割合ですとか、そういった形で考えることもあり得るのですが、そうすると、かなり計算が面倒になって、自治体もかなり苦慮すると思いますので、そこは頭数のみで整理する形を考えております。
 適用除外につきましては、既存法に書かれております35条のほかに、国や地方公共団体が関係法に基づく業務として行っている場合を適用の除外とするという形で考えております。
 ここは他省庁とともに現在精査をしておりますので、例示という形にさせていただいておりますが、例えば、警察法に基づきます遺失物の保管や警察犬の訓練等、あるいは動物検疫所や税関等において動物を保管する場合、さらに、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律や絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律等の業務に伴って希少種を保護する場合、それ以外に例えば国税の差し押さえですとか、業務上やむを得ず動物を取扱う場合等については、列記する形と考えさせていただいております。この部分については、別途関係省庁と調整をさせていただきます。
 続きまして、届出の方法でございます。
 現状の法では、イロハニホヘの部分まで届出事項として明記されているところでございます。それ以外に、既存の第一種動物取扱業の並びで事業の開始年月日と飼養施設の権限につきましては、これは飼養を行うに当たって必要最低限の事項と思いますので、届出事項として加えさせていただいております。
 その場合、添付書類の法人等におきましては、やはり法人がしっかりしているかどうかという登記事項証明書、設備そのものの見取図や平面図や周辺の見取図等を添付書類として加えるのが適切だと考えております。
 様式については、別に定める形と考えております。
 [5]は技術的な話でございますけれども、変更の届出につきましては、下限値を下回る場合については、規制の対象から外れることになりますので、そこは届出いただくと、あるいは廃業届けをしていただくという形になりますし、それ以外の施設の規模については、多少の規模の増減については、届出していただくという形は免除してよろしいのではないかと考えているところでございます。
 続きまして、3.第二種動物取扱業の遵守基準のところでございます。こちらのほうは諮問の5番目の関係でございます。少し長くなりますので、整理の観点から、第一種動物取扱業者、第二種動物取扱業者について基準の比較をさせていただきました。その部分については、資料2-2をご覧いただければと思います。
 資料2-2の左側に書いてあるものが現行の第一種動物取扱業者の基準でございます。真ん中がその対象の条項番号でございます。
 それより条項番号の隣に細い欄で○、×、△というものが記載されているかと思いますけれども、こちらのほうは、左側の第一種動物取扱業者の基準について、基本的にそのまま義務として適用すべきと考えるものについては○を、努力義務等で規定すべきというものは△を、もうこれは第二種動物取扱業者のほうについては盛り込まなくてもよいだろうと考えるものについては×を記載させていただいているものでございます。
 量が多いので、簡単に説明させていただきます。場合によっては、この部分については、後ほど、この部会終了後にお気づきになった部分がありましたら、そこでもご意見いただくという形にさせていただければと思います。今この場で全部確認するというのは難しいかもしれませんので、よろしくお願いします。
 まず最初は、適正な取扱いを確保するための必要な事項、基本的な事項でございます。
 土地の権限等については、当然ながら、最低限必要な事項ですので、これは義務化するべきだと考えております。
 飼養管理の方法について、現状施行規則第8条で、親等からの引き離しですとか、説明義務ですとか、ワクチン接種ですとか、そういった分について販売業者、貸出業者について説明方法を明確にさせて、遵守基準を規制しているところでございますけれども、それについては、後ほどあわせて説明させていただきますが、譲渡に当たっても一定程度の説明は必要と考えておりますし、あとワクチンとか、治療を行った場合には、証明書をちゃんと付記していただくというのが、その後の、譲渡後の飼養にも重要な情報だと思いますので、その部分については、義務づけて、それ以外の部分については、当然義務づけられない部分でございますので、除外するという案を考えております。
 動物取扱責任者ですとか、重要事項の説明者の職員等につきましては、設ければ、当然望ましい事項ではございますけれども、現行法では、動物取扱責任者の必置、必ず置くということは、法律で定められている事項でございまして、それは第一種動物取扱業者に限定されるというところでございますので、その部分については、法で義務づけられていない事項でございますので、省令等で義務づけるということは考えにくいのかなと考えております。
 顧客の説明等については、譲渡の際も専門の説明員がいれば、それはそれにこしたことはないのでございますけれども、そこは営利性と非営利の違いもございますので、そういったところまで義務づけるのは、ちょっと過剰ではないかと考えているところでございます。
 続きまして、飼養施設の部分でございます。前回の議論でも一定程度にとどめるべきだというご意見はいただいたところでございます。必要最低限の設備を必ず置くということにして、それ以外の部分については、努力義務という形にすればよいのではないかと考えているところでございます。
 事務局としましては、ケージや給水、消毒、清掃あるいは餌の保管場所については、当然、動物の適正飼養の観点からは必要であると考えておりますので、それについては、必ず置いていただくという形で考えております。
 それ以外の照明ですとか、動物の死体の一時保管場所等については、努力義務としてもそこまで、いわゆる非営利のところに明記するものではないのではないか。特に照明については、基本的に販売あるいは展示という行為を念頭に置いているところでございますので、義務として規定する必要はないのではないかと考えております。
 排水や洗浄、廃棄物集積等、空調設備については、当然あれば動物にとっては望ましいものでございますけれども、こちらについては努力義務という形で、今回の規制導入の最初に当たっては、第一種動物取扱業と比べてそこのレベル差をつけるということが適切でないかと考えているところでございます。
 それ以外の飼養管理につきまして、2ページでございますけれども、清掃、管理がしやすいですとか、あと耐水性といったものについては、そういったものがあれば望ましいところではございますけれども、今回の規制においては、そこまでを必須とすべきものではないのではないかと考えているところでございます。
 続きまして、第8条の遵守基準でございますが、まず、第8条第1項第2号にあります、いわゆる販売業者が離乳等を終えたりですとか、輸送の体制ができた場合において販売ができるという規定でございますが、今回これについては、新しく45日、49日、56日という規制が設けられたところでございますが、この規制については、譲渡活動まで適用させてしまいますと、譲渡をする子猫をもらったときの、年齢もわからないというところもございますが、なかなか譲渡ができない、そこでかなりの間、飼養しなければいけないという場合も想定されるところでございます。できれば、子犬・子猫にとっても幼齢で販売しない方が適正だという規制でございますので、守っていただきたい事項ではございますけれども、ここの部分については、可能な限りという範囲で努力義務とすべきではないかと考えているところでございます。
 それ以外の夜間展示ですとか、目視の確認ですとか、そういった部分については、主に営利性を念頭に置いたものでございますので、今回は義務として外してはいかがかと考えております。
 後は、説明事項についてでございますけれども、やはり譲渡という場合については、なかなか生年月日とか、不妊去勢の状況等について、必ずしも判明できていない状況があるかと思います。特に不妊去勢の状況等については、手術痕もなくなって、実際のところ、もうわからない状態になっているということもありますので、基本的な事項でございます飼養、保管に適した飼養施設の構造及び規模ですとか、適正な給餌、給水の方法等について、あるいは関係法令については、当然ながら説明いただくところでございますが、それ以外のところについては、判明している場合については、説明することが望ましいという事項としまして、一定程度営利の場合とは差をつけるべきだと考えているところでございます。
 あと、それ以外に説明の状況について台帳保管というものが、先ほども説明させていただいたとおり、第一種動物取扱業者に義務づけられているところでございますが、台帳保管等については、今回第二種動物取扱業者においては、基本的には見送るという方向で今整理させていただいているところでございます。
 続きまして、4ページ、5ページのほうでございます。
 4ページの上から3番目の部分については、台帳保管の部分でありますので、こちらのほうは、いわゆる確認等は努力義務として必要かと思いますけど、台帳保管までは義務づける事項としては、除いております。
 さらに、ケージ等について、材質の部分でございますので、この部分については、努力義務としては配慮すべきでありますけれども、必須という形ではないのかなと。あわせまして、5番の5ページの上のほうにございます、休息等ができる設備等については、当然ながら、動物にとっては望ましいことではあるかと思いますけれども、必要な場合にということでもございますので、こちらのほうは努力義務という形に整理させていただければと考えております。一番下の社会化の部分は、先ほどと同じでございます。
 続きまして、6ページ、7ページでございます。
 6ページ、7ページの部分で、まずは保管業者、訓練業者において感染性の病気ですとか、そういったもの、顧客の動物の取扱いについて示されたものでございますけれども、基本的にこれは顧客と書いてありますように、営利をまず念頭に置いたものでございますので、今回は除くという形で考えております。
 その下の見学者等の扱いについても、営利の展示行為を念頭にというふうに想定しております。
 さらに、長時間展示につきましては、当然ながら、動物にとっては望ましい事項とは考えておりますが、なかなか公園展示等で、非営利であって、公園が自由に入れるという場合について、もう夜間展示できないという形にしてしまうと、まず公園の形態そのものを変えていかなければいけないという場合がございます。動物にとっては当然望ましい状況ではあるかと思いますけれども、これを義務とするのは難しいのかなというふうに考えておりますので、今回は努力義務とさせていただきたいと考えております。
 貸出しにおける、展示方法や撮影の利用等についても、これは営利を前提とした部分だと想定しますので、場合によってはあるかもしれませんけれども、ここまで義務づけるものではないのかなと考えております。
 続きまして、7ページの巡回の部分、巡回の状況確認は当然必要かと思いますけど、台帳保管までは義務づけない形で考えております。
 後は疾病の関係ですとか、目視確認につきましても、こちらのほうは、当然ながら動物にとっては望ましいのですけれども、こういったものを全て義務づけますと、譲渡活動等なかなか難しくなってくる部分もございますので、努力義務とするべきかと考えております。
 8ページの主に輸送の部分でございます。原則として、確実に固定する等の部分については、当然ながら義務だとは思いますが、常時監視ですとか、規模ですとか、自由な行動とか、そういった部分については、なかなか営利と同じような基準を設けるというのは難しいのではないかと考えておりますので、今回はそこの部分については、まずは基本原則である確実に固定して衝撃、転倒を防止したりですとか、清潔は保つという部分のみを義務化するという方向ではいかがかと考えております。空調施設についても同様でございます。
 輸送の際の休憩や運動時間等についても、同様にこれは必要に応じてという部分でございますので、基本的には努力義務でよいのではないかと考えております。
 夜間の引渡しにつきましては、これは前回の夜間展示規制で設けられたものでございまして、基本的には営利に限定して構わないのではないかと考えております。
 食べ物を与える行為についてですけれども、常時監視を行うことは難しい場合もございますので、そういったことも想定して努力義務としては設けるべき行為と考えております。
 一番下の広告は、これは営利に限定して構わないかと思います。
 最後の10ページでございますけれども、こちらのほうは販売や仕入れに関わるものでございますので、あるいは動物取扱責任者に係るものですので、非営利の取扱いについては、こちらのような基準は設けなくてもいいのではないかと考えております。
 以上でございます。

【林部会長】 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。ご意見、ご質問ありますか。
 はい、どうぞ。青木委員。

【青木委員】 緻密なお考えをしていただきましてありがとうございます。
 私の聞き漏らしかもしれないので、ちょっと確認をしたいのですが、資料の2-1の5ページは、第二種動物取扱業の範囲の[3]にア、イ、ウとございます。そして、アの大型動物の括弧の中の説明と、イの中型動物の括弧の中の説明は、特に訂正等なさらなかったのですが、まず、このとおりでいいのですね。こういう原案ですよね。
 そのときに、大型動物のほうの書きぶりが、「牛・馬・豚その他それと同等以上の大きさを有する哺乳類、鳥類及び特定動物」となっていて、中型動物のところが、いろいろな「その他それと同等以上の大きさを有する哺乳類、鳥類、爬虫類」となっているのですが、これはこの書き方でいいのですね、間違いではないのですか。

【事務局】 正確に言いますと、特定動物を除くというのがあるかとは思いますけれども、爬虫類であっても特定動物であれば、上のカテゴリーに入るということでございます。

【青木委員】 そういうことですか。では、大型、牛・馬・豚その他それと同等以上の大きさを有するという形容詞は、哺乳類と鳥類にだけかかっているのですか。

【事務局】 すみません。ちょっとわかりづらかったかと思いますけれども、そういうことでございます。

【青木委員】 そのためにわざわざ「及び」が入れてあると。

【事務局】 そうです。正確に言うと、哺乳類及び鳥類並びに特定動物というのが法令上は正確な書きぶりだと思います。

【青木委員】 そうですね。少なくとも大型動物というカテゴリーの中にそのようなのを入れると、小さくても特定動物は大型動物だというのは、大変常識に反する感じがします。また、法律条文上のワーディングで、「A、B及びC」といったときは、A、B、Cが全部並列というのが普通の理解だと思いますので、説明された趣旨には読めない気がします。その点もちょっとお考えいただいたほうがいいかなという気がします。

【林部会長】 括弧の位置は再考したほうがいいという気がします。といいますのは、鳥類には取扱いが難しいダチョウがいますが、括弧に入れるのは鳥類まででしょうか。

【事務局】 そうですね。少なくとも今の部分について、誤解もありますので、大型動物括弧、鳥類までで括弧を閉じて、及び特定動物というのが適切と考えております。

【林部会長】 ほかにはございませんか。
 ウのそれ以外の動物というのは、つまりは大型と中型以外のということになりますか。それと特定動物も除きますけれども。この中型動物の10頭というのは、過去の例から言うと、法律的に出てくるのは何でしたか。

【事務局】化製場等に関する法律です。

【林部会長】 そうですか。大型の3頭、それ以外の50頭は別の法律に出てきているのですか。

【事務局】 大型については、特に牛・馬等については、化製場法等では、1頭という形で規定はされているのですけれども、その通り1頭までを届出対象としてしまうと、適正飼養の観点から規制としては、過剰ではないかと考えております。2頭ならいいのか、3頭がいいのかというのはございますし、ヤギなど4頭で規制をしている制度もありますが、平均的に何頭、数字で規制しているときに、1から、その次は3とか、10とか、30、50とかいう切り方がありまして、そういった過去の規制手法も参考にして、規定させていただきました。1頭ですと、神社等で神馬という形で見せている場合もございます。当然ながら大型のほうが飼いにくいことは飼いにくいのですが、適正飼養という観点から考えると、ある程度一定のボリュームということは必要でありますので、3頭としております。50頭については、モルモットですとか、かなり小さな動物も対象としますので、ちょっと30頭という犬・猫の3倍程度というと、すぐに上限を超えてしまうような状況ということもありますので、かといって、3桁というのはちょっとそこまで行かないと適正飼養が難しい状態になるかというと、そこはやはりある程度、量があれば届出ていただくということもございましたので、50頭という数字を設けているところでございます。

【林部会長】 一つ教えていただきたいのですが、ヤギ、羊はどこに入るんですか。中型になりますか。

【事務局】 体長1m以上でありますので、今の参考資料2にありますように、カテゴリーとしては、かなり広いものがございますが、豚、羊、ヤギまでという形になります。

【林部会長】 わかりました。いかがでしょう、他にご意見はありますか。

【菅谷委員】 ミニブタだとか、ミニホース、これも入るのですか。

【林部会長】 ブタにはいろいろなサイズがありますね。

【菅谷委員】 種類じゃなくて、大きさで規定するのですか。

【事務局】 いや、正直なところ、定義をしていれば、かなりどんどん広がってくるところがありますので、どうしても迷う場合については、基本的には体長およそ1m以上又は50cm以下というところで判断し、自治体で迷う部分については、環境省で判断していかなければいけないと思っています。豚でも、豚は大型だけど、ミニブタはどうなのかですとか、いろいろ例としてはあるかと思います。基本的には、その種ごとになっていると思いますし、そこはそのような形で整理していきたいとは考えております。

【林部会長】 ミニブタも対象動物類の中に入っていれば、そこで対応するということですね。犬もとても大きいのもいますけれども、これは中型ということですね。
 いかがでしょう。何かご意見、ご質問ありませんか。どうぞ。

【斉藤委員】 先ほどのご説明の中で、飼育台帳については設けないというお話だったのですが、施設にこのような基準を設けていく、それから、立入りも行政としては何かあったときには入るということになるかと思います。そうしたときに、どのような動物が現在飼育されているか、その動物がどういう形で譲渡されたのかという、何か把握できるような台帳が、あったほうがよいのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。

【事務局】 台帳をどこまでというところは、必ずしも全部今あるような台帳を全部義務付けるというのは、かなり煩雑ではないかというところがございます。
 当然ながら、立入りということが想定される中で、一つは、許可基準で頭数があるのにもかかわらず、実際の頭数がわからなくなってくるというのは、実態として都道府県の管理が難しい部分もあるかもしれませんので、場合によっては、数の把握台帳ぐらいは記載を義務付けることは、その飼養施設の管理状況だとか、それぞれの日々の餌やりの状況とか、そういったところまでは求めないにしても、一つの考え方としてあります。

【斉藤委員】 犬でもいろいろな種類があります。同じ種類でも、例えばダックスがいたとして、犬を特定するというのは非常に難しいのですけれども、何かあったときには、狂犬病予防法などの法律の中で指導するときに、その動物が実際にそこにいたんだということがわかるような台帳のような記録があったほうがよいと思います。そういうものを考えていただければと思います。

【事務局】 そのような意味では、現行の第一種動物取扱業者の先ほど話題にもなりましたけど、取引台帳のもう少し簡素版のようなものを、いわゆる出入りがわかるような台帳だけは記載していただくというのはあるのかなと思いますが。そこの部分はご意見をいただければということで対応を考えたいと思います。

【林部会長】 よろしいですか。

【斉藤委員】 はい。

【林部会長】 ほかに、いかがでしょう。

【佐良委員】 資料2-2の1ページです。3段目、動物取扱責任者が第二種動物取扱業者でもいたほうがいいとは思うのです。例えば、咬む犬を譲渡してしまったとか、そういうこととかあった場合、あるいは何かもっと別なことがあった場合に、やはりある程度責任者というものがいないとまずいと思いますし、それが何らかの事故が起きて全部逃げ出してしまっただとか、そのようなときは、責任者を置いておけば、知らないと逃げるわけにはいかないでしょうけれども、責任者がいないと何事が起きても責任者がある程度の責任をとりますよとしておかないと、まずいのではないかなと思うのです。

【事務局】 当然ながら、動物取扱責任者という形を置ければより望ましいのですが、ある意味で、今回届出制度ではございますので、個人であれば個人、あるいは法人であれば代表者が一義的には責任を負う、届出という意味での責任を負う者にはなっております。何か違反行為があれば、第一義的にはそこが責任を負わなければいけないという形でございます。
 動物取扱責任者については、先ほども説明させていただきましたように、第一種動物取扱業では法律で義務づけなければいけないという形になって、法律でその義務づけの可否を書いているところではございますので、現行法ではなかなか片方では法律で書いてある一方で、片方はもう省令で義務付けるというのは法律の形の趣旨から難しいと考えて、今回は設置義務の部分については、省令で書きづらいと考えたところでございます。
 いずれにしても、佐良委員のおっしゃっているような、責任を持つ者というものは届出の時点において明確になっている形にはなります。

【林部会長】 ほかにいかがでしょうか。

【山﨑委員】 今のご説明のとおりだとは思うのですが、盛り込まないのではなく、努力義務のところでは、×を△にする。その辺はいかがでしょうか。

【事務局】 その責任者とある人であるとですね、多分やるかやらないかで自治体が判断しなければいけないところのもので、行為であると比較的努力義務になじむのですけれども、ちょっと難しいとは思いますが、いずれにしても検討させていただきます。

【動物愛護管理室長】 ここで言う責任者は、ある一定の資格、あるレベルを求めているものだと思いますので、そこまではこの第二種動物取扱業には必要ないのではないかという趣旨で考えていただければいいのではないかと考えます。

【林部会長】 よろしいですか。動物取扱責任者というのは、一定の何かの資格を持っているという、そういう者であるということですね。

【事務局】 そうです。ですので、山﨑委員の考えを踏まえると、いわゆる規則第3条、今回の第2号の書きぶりをそのまま使うのは難しいかと思いますので、場合によっては、動物の取扱いに対してちゃんと責任を持つ者をしっかり明確にしてくださいという、明確にするよう努めることということを新たに別の規定として設けるということは、一つ考えとしてはあるのではないかと考えます。法人の代表者となっていますが、実質上、形式上の代表者で、動物の実際の取扱いをする人は全然別にいるというような状況があるときに、代表者でも当然いいのでしょうけれども、別に動物、その団体の中の常に動物を見ている人というのを、できれば設けてくださいというのを規定にして入れるということは、一つ案としてはあると思います。

【林部会長】 よろしいですか。ほかに、いかがでしょうか。

【山﨑委員】 第二種動物取扱業者については、今回のこの改正の中でとても重要な部分だと、大変うれしく思っています。そこで、この第二種動物取扱業者の方たちが何らかの形で台帳をもう持って、管理していらっしゃると想定される部分がありますので、台帳については、第一種動物取扱業者と別の台帳を考えていただきたいと思います。よろしくお願いします。

【事務局】 そこは既存の持っている台帳が使えるように、活用できるように、過度な負担にならないようにという部分も含めて台帳の設け方については、検討させていただきたいと思います。

【林部会長】 はい、ありがとうございました。よろしいでしょうか。
 ほかにご意見がないようでしたら、これについては、ここで終わりたいと思いますが、よろしいですか。

(なし)

【林部会長】 議事の3、特定動物の許可基準について、まず事務局にご説明をいただきます。

【事務局】 それでは、資料3をご覧ください。
 特定動物の飼養保管基準につきましては、今回の法改正とは関係がないのですが、今年度に入りまして、許可施設で飼養保管されていた特定動物による人の殺傷事案が複数発生しております。こうした事案を受けて、都道府県等から聴取した内容を基に発生の要因となった事項を特定し、同様の事案の再発を防止するために関係規定を見直す必要について検討会を設けて検討をしてまいりました。
 また、そのほかの課題についても、同時に検討してまいりました。この検討結果を踏まえて、環境省として関係規定の改正を行いたいというものでございます。
 検討会の中で出た意見として、これは今回の省令改正では対応できない部分になりますので、長期的な検討課題になりますけれども、特定動物については、適切な飼養環境の確保が一般個人では困難な場合が多いことから、特定動物の飼養者に関する資格要件を定めることですとか、動物園等の権利を確保する仕組みの構築について意見がございました。ここで紹介させていただきます。
 それでは、それぞれの事案につきまして、要因と対策案について説明していきます。
 一つ目、秋田県で起きたクマ牧場の事件でございます。ヒグマが6頭逸走しまして、従業員2名が死亡、ヒグマは警察の立会いのもと、猟友会により施設内で射殺処分される事案が発生しました。
 要因の一つ目として、申請者が飼養実態を把握しておらず、当該動物の飼養管理を従業員に任せきりとしていたということが挙げられます。
 対策としては、飼養管理の責任者を明確にすることですとか、管理体制を明確にすることを挙げております。
 具体的には、現状の規則内でも主な取扱者というものを申請することになっておりますけれども、これを責任者に変えまして、特定動物の飼養管理について責任の所在を明確にする、また、責任者以外に飼養管理を行う者がいる場合には、その名称及び管理体制図を提出させる。定期保守点検や日々の見回り方法についての飼養管理計画書を別途提出させるといった対策を考えております。
 続きまして、2ページ目に参りますけれども、要因の二つ目として、繁殖制限措置が適切に行われておらず、過剰な飼養頭数となっており、また、飼養頭数の把握がずさんで台帳上の記録変更が適切になされておりませんでした。繁殖制限措置については、現行規定上も規定がございますけれども、こちらをより具体化する修正をしてはどうかと考えてございます。不妊去勢措置や同種雌雄個体の隔離等といった文言を加えて書きぶりをより具体的にするということでございます。
 また、個体識別措置につきましては、現行基準でもマイクロチップの装着ですとか、個体数の増減に係る届出などが既に定められておりますので、現行基準の適切な運用ですとか、そういったことに関するマニュアル作成などを通じて、さらなる法令遵守の徹底を促していくということでございます。
 続いて、3ページ目に参りますけれども、要因3として、飼養施設内、檻の内側に生じた雪山により、ヒグマがこれを登ることで壁面を越えて檻の外に逸走しました。この対策としては、擁壁式の施設基準がございますけれども、ここに、「雪や風雨による飛来物等の堆積等により、特定動物の逸走を容易にする事態が生じていないこと。」という一文を加えたいと考えております。
 また、今回、直接的な原因とはなっておりませんでしたけれども、施設の老朽化や破損等ついても、行政当局から改善するよう指導がされておりました。ただ、施設側の対応としては、応急処置的なものにとどまっていたということを踏まえまして、以下の基準を追加したいと考えております。檻の柵のさびや金網の破れ等の経年劣化による飼養施設の破損により特定動物の逸走を容易にする事態が生じていないか、飼養施設の状況について週1回以上は、確認すること。また、屋外における擁壁式施設の場合にあっては、雪や風雨による飛来物等の堆積等により特定動物の逸走を容易にする事態が生じていないか、一日1回以上は、確認すること。また、飼養施設に損傷が認められた場合には速やかに補修すること。
 続きまして、4ページ目に参ります。今年の4月、茨城県のペットショップで、アミメニシキヘビが施設内で逸走しまして、その従業員1名が死亡したという事例がございました。要因の一つ目としては、この飼養施設は、木材と強化ガラスでできており、構造上は外側から中の様子が確認できるものでありましたが、ガラス面が壁に向けられていたため、結局は見ることができなくて、扉を開けたところ、突然襲われたのではないかと推測をされております。
 この要因を踏まえた対策としては水槽型施設にあっては、開口部を閉じた状態であっても、外部から特定動物の飼養状況が確認できる状態にあることを追加したいと考えております。
 この点につきましては、後ほど、毒蛇の事件についても紹介しますが、これらの飼養・保管をする際の安全対策としても、非常に有効な手段として機能するのではないかと考えております。
 要因の二つ目は、通常の点検管理や給餌は昼間に2人で行っていましたが、今回、事故に遭ったときは、夜間に1人で見回りを行っていたということでございました。複数で確認することが理想ですけれども、個人で飼養・保管している場合もありますし、動物園では既に1人で作業を行う手順が確立されているような場合もございますので、むしろ一人で作業を行うほうが安全であるという意見もございましたので、確認の人数につきましては、通達等による注意喚起にとどめてございます。
 また、施設のアプローチに際しては、人に慣れている個体であればなおさら注意を払う必要があるという意見も検討会では出てまいりました。
 続きまして5ページ目に参りますけれども、毒蛇類の無許可飼養事案が平成20年と今年の4月に発覚をしております。これらについては、いずれもその飼養者自身が咬まれて、医療機関に搬送されたことによって発覚したというものでございます。
 要因の一つ目としては、毒蛇類は比較的コンパクト、小型なものが多いものですから、小型の施設で飼養可能であり、無許可の個人飼養が潜在的に存在すると考えられます。極めて対策が困難な事案と言えます。
 対策としては、現行法でも動物取扱業者の遵守基準において販売等の相手方が、動物の取引に関する関係法令に違反していないことを聴取し、違反が確認された場合にあっては、動物の取引を行ってはならない旨が定められております。こうした規定を踏まえて、これをより徹底するよう、通知で注意喚起していくというものでございます。
 また、特定動物の頭数の増減があれば届出が必要となっておりますので、販売者が販売してその数が減少した場合は、届出を徹底するよう通知等で注意喚起していくというものでございます。
 続きまして、6ページ目をご覧ください。今年の9月、熊本県内の動物展示施設において、チンパンジーのショーの終了時に、客席間の通路にいた女性研修員にチンパンジーが飛びかかるという咬傷事故が発生しました。
 要因としては、チンパンジーのこの個体は10歳を超えており、ショーには適さない年齢に達していたという指摘がございます。チンパンジーで10歳程度であれば、群生活に適した上下関係を誇示するための行動を発現するという見解があるにもかかわらず観覧者の安全確保等について、引き綱をつける等の十分な安全対策が徹底されていなかったということが考えられております。
 対策案としまして、現状、動物のショーなど、展示目的の特定飼養施設外飼養が特例として認められているところですけれども、一方で、その間であっても取扱者の立ち合いですとか、逸走防止措置を講じる必要がございます。その特定動物の利用目的の達成のため、やむを得ない場合であって、あらかじめ届け出ている場合には、その施設外飼養の禁止規定における例外がさらに認められてございます。
 本件では、そもそもこの届出がなされていなかったということもございますけれども、仮に届出がなされていたとしても、特定動物の特性を踏まえると危険防止措置が不十分であったということが考えられます。よって、届出の受理、この例外措置の届出の受理に当たっては、危険防止措置の妥当性について、可能な限り専門的な知識を持つ第三者の意見を求めるなど、この措置について、より厳格な確認を行うとともに、届出受理後には、法33条に基づく立入検査の頻度を上げるなど、より強化した監視を行う必要があると考えております。
 続きまして、7ページ目に参りますけれども、その他の問題点ということで、猛禽類について長期間、おりの中で飼養していると、健康を損なう症例が報告されております。これらの治療として、飛行が必要になる場合がございますので、この特定動物の施設外飼養の例外の中で、獣医師の治療の必要があるとして、診断書によって認めた行為というものを加えてはどうかというものです。その場合であっても、必ず足に猛禽用リードですとか忍縄を装着して、近隣住民の安全を確保できる範囲に飛行範囲を限定する条件で認めるというものでございます。
 8ページ目、9ページ目につきましては、特定動物の規制の対象となる動物というのは、非常に多種にわたりまして、自治体でも個別の動物の扱い方ですとか、許可に当たってどういったことに留意していけばいいのか、なかなか判断が難しいという声が、実際に自治体からも聞かれるといった状態になっております。
 [1]番から[4]番まで、解釈にかかる部分ですとか、事例を挙げておりますけれども、こうした自治体の判断に、今後、助けとなるように、環境省としてガイドラインの作成を検討していくということですとか、あと9ページにございますように、自治体向けの講習会を実施してはどうかと考えております。
 ガイドラインに関しましては、自治体向けであったとしても、実際にその特定動物を飼育する方にとっても参考となるようなものになると思います。

【林部会長】 特定動物の飼養保管基準について。資料3に基づいてご説明いただきましたが、ご質問、ご意見ございませんか。

【佐良委員】 ちょっと伺いたいことがあるのですが、アライグマは、何になるのでしょう。

【事務局】 特定動物にはなっておりません。

【佐良委員】 中型になるんですか。

【林部会長】 特定動物には指定されていないわけです。

【佐良委員】 1mより小さいと…。

【林部会長】 特定動物は基準がありまして、人間に危害を加える恐れがある動物です。

【事務局】 特定動物は人の生命、身体又は財産に危害を加えるおそれのある動物として指定されている動物になります。大型な象ですとか、あと猛獣、ライオンですとか毒蛇、大蛇ですとか、そういったものが含まれています。

【事務局】 先ほどの大型・中型・小型というのは、あくまで第二種動物取扱業の話で、今回、別の話ということです。

【林部会長】 それでよろしいですか。

【佐良委員】 はい、結構です。

【菅谷委員】 はい。よろしいですか。

【林部会長】 どうぞ。

【菅谷委員】 少々本論からはずれますけど、毒蛇だとか、象だとか、チンパンジー等の
特別な動物の飼育者に対する自治体職員の指導はかなり困難と思われます。この間も象による不幸な事故が起こりました。例えば動物園に対する指導といっても、相手は飼育のプロで指導にあたる自治体職員よりも知識・技術共に豊富です。先進国で動物園法がないのは、我国だけと言われているわけですから、いつまでもこういった現行法の枠内で象やチンパンジー等のいわゆる動物園動物を規制しても形式的で効果は薄いものと思われます。そろそろ動物園法の制定について、ご検討をはじめられるよう是非お願いをしたいと思い ます。

【林部会長】 そのことは、資料3の最初の前書きがあります。一番下に書いてあることが、大体そういうことに相当することです。長期的な検討課題にするということです。例えば最初に論議したヒグマの話にしても、これはいわゆるクマ牧場と言われているところで、残念ながら、飼育している人が、動物園の飼育係のようなものではなくて、片手間にやっているというよりも、アルバイト的にやっているというような格好でなされていたことが大問題です。3ページ目の飼養又は保管の方法で、檻がさびていないか、金網が破れていないかを点検するということは、ちゃんとした動物園であれば、週1回以上は、もちろん点検しています。屋外のコンクリートで囲われた擁壁施設は、雪国であれば一晩で雪が積もって動物が逸走できる状況が起きるわけです。台風が来襲して飛来物がちょうど梯子みたいな状態で擁壁施設内に落ちたりすると、すぐ逃げ出すことができます。こうした状況は一晩でも起きることですから、一日1回以上、きちんと確認するような施設でないと困るという、そういうことですね。
 いろんな事例があります。どうぞ。

【藏内委員】 今、説明を受けたのは、この特定動物を商売として管理をしている人たち、あるいは個人で飼育をしている人の事故ですけれども、例えば災害とか、いろいろな事故で、こういった特定動物が逃げ出したとした場合には、どういう通報といいますか、周りの住民を守るために、仕組みになっているのか、よければ教えていただきたいのですが。

【事務局】 法律上、そういった規定は動物愛護管理法の中にはないのですが、多くの自治体において、警察に通報するといった規定があると聞いています。

【藏内委員】 これ、特に周りに住宅等が密集しているようなところは、害が出る可能性が高いわけです。ですから、そういったところも、ぜひ何らかの形で、いわゆるこういった特定動物を管理する人の責任として、私は明記をしておくべきではないかと思います。

【事務局】 資料の9ページに、ガイドラインの素案として項目を挙げておりますけれども、逸走・遺棄等の事故対応につきましても、今後、環境省で、ぜひその対応ぶりの模範となるようなものの作成を検討してまいりたいと考えています。

【林部会長】 そういうことでよろしいですか。
ただ、心配なのは、蛇、毒蛇などというものは、どのような狭いところでも飼えて、ひそかに飼っている人がたくさんいまして、それは取締まりというのは難しいのですね、これは。そういう人が必ず、毒蛇が逃げ出したなどといって届けるとは限らないので、そういうこともあるということを前提にしながら、我々、考えておかないといけないということがあります。ただ、特定動物については、クマなんか飼っていると、ほかの周りの人が、すぐさまわかるのですけど。爬虫類、鳴き声も出さなければ小さく、大きな蛇でも、とぐろを巻くと小さくなりますから、そういう状態で飼っている人がいるのは、必ず届けてもらうような方向に誘導することは必要ですね。これは厳しくすればするほど、届けなくなるという、恐らくそうなりますから。だからといって、甘くすればいいというものでも、もちろんないのですが、そういう性格のものであるということも承知しておいたほうがいいかなと思います。

【山﨑委員】 8ページ、9ページ、読ませていただきました。そして、9ページの特定動物飼養関連に関するガイドライン素案の中に一つ、今、委員がおっしゃった災害時対応等をつけ加えて、ご検討願いたいと思います。お願いいたします。

【林部会長】 災害時の対応ですね。
 いかがでしょうか。これも可能であれば、ぜひ。

【事務局】 はい、検討させていただきます。

【林部会長】 ほかにいかがでしょう。
何しろ650種もいますので。斉藤委員、いかがですか。これは自治体の方は、担当されたときに特定動物、650種全部覚えているなどということはあり得ないわけで、やはりこのガイドラインをつくるというのは、やはり望ましいことですね。

【斉藤委員】 そうですね。それとまた、自治体の講習会を今後されるということで、できるだけ早くこの講習会等もやっていただいて、全ての習性、生理も含めたものですね。許可の基準だとか、施設の構造的なことは、許可をするので、現地へ行って、指導をしますが、その動物をどう管理するとか、その動物の習性を含めた指導ができることが、本当は大事かと思うので、ぜひこういう講習会、専門的な知識が得られるようなもの、それから、先ほどのガイドラインも、参考に、自治体職員もするような形で指導ができればと思います。

【林部会長】 はい、ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょうか。
この特定動物も当然ながら、動物の愛護及び管理に関する法律のもとにある動物、哺乳類、鳥類、爬虫類ですので、ガイドラインとかマニュアル等を作成される場合に、動物たちの福祉に配慮したような書きぶりにしていただくといいのかなと、私は個人的には思うのですが、いかがでしょうか。特定動物といえども、基本的には愛護の対象動物であることを忘れないでいただきたいということです。ぜひお願いいたします。
 ほかにありますでしょうか。よろしいですか。

(なし)

【林部会長】 次、もう一つありますね。

【事務局】 それでは資料4の説明に参りたいと思います。
 こちらは今回の法改正に関連する部分でございます。今回、法改正によって、第26条の特定動物の許可の申請をする際に、特定動物の飼養又は保管が困難になった場合における措置に関する事項も、申請しなければならなくなりました。と同時に、その許可基準として、この特定動物の飼養又は保管が困難になった場合における措置に関して、基準に合致していないと許可をしてはならないという規定になったところでございます。
 1.基本的な考え方として、この措置が、人の生命、身体又は財産に対する侵害を防止する上で不適当とならないこと。また、基準としては今回の法改正で書き込まれたわけですけれども、従前より、基準としては明確になっていなかったものの、申請事項としては「様式上」これについても記載することとなっておりました。その具体的な内容として、幾つか自治体に確認したところ、研究機関や動物園などへの譲渡、若しくは殺処分。これらに限られておりましたので、この現状に配慮するものとしております。
 そして、2.規定案としましては、当該措置が次のいずれかに該当すること。イ 譲渡先名又は譲渡先を探すための体制。ロ 殺処分(イの措置を行うことが困難な場合であって、自らの責任においてこれを行う場合に限る。)と。
下に米印(※)として幾つか注意事項を挙げておりますけれども、譲渡先を探すための体制とは、申請者が所属する団体や購入した動物販売業者等との協力関係があることを想定。
 イの措置を行うことが困難な場合としては、引き続き継続して飼養している場合、あるいは、飼養者の死去等によりやむを得ず当該特定動物の譲渡を受けた場合等を想定。なお、許可申請時にロの措置を明記した場合であっても、引き続き譲渡先を探すこと又は譲渡先を探すための体制の整備に努めること。としております。
 以上です。

【林部会長】 いかがでしょうか。この規定案でありますように、当該措置が次のいずれかに該当する。イとロということです。特に、よろしいですか、これで。

【山﨑委員】 このクマ牧場の事件のときに、あそこのクマがその後どうなるのだろうということをたくさんの人が心配したり、あるいは都内にすごい先生がいらっしゃいますけれども、特定動物、飼い主が亡くなったり、あるいは逃げたのを捕まえたりした後、どのようになるのだろうと、現状がなかなかわからないので、意見を出すのは難しいのですけれども、この譲渡先というのは、なかなか決まらないというのが現状なのでしょうか。その辺を少し説明していただけますか。

【事務局】 そうですね。秋田の事例に関しましては、まだ受入先が決まらなくて、県が助成をして飼育を続けていると聞いております。

【林部会長】 ということ。残念ながらそういうことですね。
 ほかによろしいですか。

(なし)

【林部会長】 よろしければ、この素案の形で、これもパブリックコメントにかけるのですね。パブリックコメントにかけていただくということで、よろしいでしょうか。

(はい)

【林部会長】 ありがとうございました。
 それでは、議題の4その他があります。

【事務局】 基本的に今回審議いただきました資料1、資料2-1、資料3、資料4につきましては、今日いただいた意見も踏まえまして修正の上、事務局からパブリックコメントをかけさせていただきます。可能であれば、来週の早い段階にパブリックコメントを開始して、次回の部会までにその結果をお示しできるようにしたいと考えております。
 特にその資料2については、駆け足でご説明させていただいたものですから、もし事後的にお気づきな点がございましたら、今週の早い段階で意見をいただきましたら、こちらのほうでも検討させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【林部会長】 いつごろまでですか。

【事務局】 木曜日までにいただければと思います。

【林部会長】 それでは木曜日までに、ご意見がある場合は、おっしゃっていただきましたら、それも検討していただけるということですので、どうぞよろしくお願いいたします。

【事務局】 事務局から1点、次回の日程について、ご連絡いたします。12月21日、金曜日、午後3時から、会場は本日と同じ環境省第一会議室を予定しています、日程調整をよろしくお願いいたします。

【林部会長】 それでは、本日の議事は全て終了いたしました。以上をもちまして、第34回動物愛護部会を閉会いたします。ご協力ありがとうございました。