中央環境審議会動物愛護部会第31回議事録

1.日時

平成24年9月6日(木)午前10時00分~午後12時00分

2.場所

 環境省第一会議室
(千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館22階)

3.出席者

林部会長、青木委員、磯部委員、臼井委員、太田委員、藏内委員、斉藤委員、佐良委員、菅谷委員、山﨑委員、伊藤自然環境局長、上河原総務課長、岡本調査官、西山動物愛護管理室長他

4.議題

(1)
動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第79号)の公布について
(2)
警戒区域に取り残された犬猫について
(3)
その他

5.配付資料

資料1
動物愛護管理制度の見直しについて
資料2
動物愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成24年法律第79号)概要等
資料3
改正法に係る政省令等改正検討スケジュール(案)について
資料4
改正動物愛護管理法と政省令事項
資料5
警戒区域内における犬猫の保護活動の進捗状況
参考資料1
動物愛護週間ポスター
参考資料2
動物愛護週間中央行事チラシ

6.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、第31回中央環境審議会動物愛護部会を始めます。
 本日の委員の皆様のご出欠についてご報告いたします。本日は、北島委員からご欠席の連絡をいただいております。現時点で11名中10名が出席されていますので、規定により部会は成立しております。
 また、8月10日付で幹部職員の異動がありましたので、ご紹介させていただきます。自然環境局長の伊藤でございます。
 また、本日は所用により欠席しておりますが、大臣官房審議官には星野が新しく就任しております。ご報告申し上げます。
 次に、配付資料の確認をさせていただきます。本日は、資料1から5までございまして、資料1が「動物愛護管理制度の見直しについて」、資料2が「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律概要」、資料3が「改正法に係る政省令等改正検討スケジュール(案)について」、資料4が「改正動物愛護管理法と政省令事項」、資料5が「警戒区域における犬猫の保護活動の進捗状況」。
 また参考資料1、2として、動物愛護週間のポスターと動物愛護週間中央行事のチラシを配付させていただいております。資料に不備がございましたら、事務局までお申しつけください。
 カメラ撮りされる記者の方がいらっしゃいましたら、伊藤局長の挨拶終了時までとなります。ご了承ください。
 それでは林部会長、よろしくお願いします。

【林部会長】 それでは、ただいまから第31回動物愛護部会を開催いたします。
 議事に先立ちまして、伊藤局長からご挨拶をいただきます。

【伊藤自然環境局長】 8月10日付で自然環境局長を拝命いたしました伊藤でございます。よろしくお願いいたします。本日、ご臨席いただきました委員の皆様におかれましては、日頃から動物愛護管理行政の推進に格別のご支援とご協力をいただいていることにつきまして、厚くお礼を申し上げます。本日も、大変お忙しい中、動物愛護部会にご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 私は、8月10日付で自然環境局長を拝命いたしましたが、元々は昭和54年に当時の環境庁に入庁いたしました。それ以降、自然環境行政につきましては、平成16年の4月から1年間、自然環境局の総務課長時に、前回の動物愛護管理法の改正に携わらせていただいた次第でございます。ここに来て、今回の改正の最後のところも担当させていただいた訳ですが、非常に政策を推進していることで、前回は前回なりに非常に大変だったのですが、今回も非常に大変だったであろうことをつくづく思った次第でございます。
それから、この8月10日に自然環境局長を拝命する前は、2年間、廃棄物リサイクル対策部長を務めておりました。ご承知のとおり3.11以降、大量の瓦礫の処理の問題、それから放射性物質によって汚染された廃棄物の問題等々ございました。そういった問題に取り組んでまいった次第でございます。今回、8月10日付で自然環境局長を拝命いたしまして、動物愛護管理行政を始めとして、また新たな課題にしっかり取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。
本日、ご報告させていただく動物愛護管理法の改正につきましては、委員の皆様方に大変ご尽力をいただきまして、この審議会で1年半にわたるご審議をいただきました。その結果を踏まえまして、国会議員の先生方にも、半年以上にわたる議論を重ねていただきまして、取りまとめていただいたということでございます。この法律につきましては8月28日の衆議院の環境委員会に委員長提案で出されました。
その日の内に衆議院の本会議で全会一致で可決され、即座に参議院に送付されて、またその日の内に参議院の環境委員会で審議が行われ、全会一致で委員会を通り、その翌日の8月29日に参議院の本会議で全会一致で可決成立したということで、国会史上を見ても非常に異例な形で最終盤にぎりぎりに成立を見たということでございます。これは非常にこの法律が皆様方始め、様々な多くの皆様方の後押しのお陰かといいましょうか、与野党問わず、この法律は絶対に今国会で成立させなければいけないのだと、このようなことが背景にあっての、異例な形で成立をしたものと考えております。本当に関係者の皆様方に深く感謝を申し上げます。そして、この法律は昨日公布されたところでございます。
この改正法を受けまして、環境省としましては、関係の政省令や動物愛護管理基本指針の改正に向けまして、速やかに検討を開始したいと考えております。自治体による条例制定の期間も見据えて、関係政省令の公布を行わなければならないと。また、改正法の普及啓発にも力を入れて、円滑に施行されるように備えていきたいと、このように考えている訳でございます。
この中でも、多くの事項が中央環境審議会の意見を聞いて定めなければならないと、このようにされております。また、このような法律に基づき意見を聞かなければならない事項だけでなく、その他の政省令事項、あるいは今後の改正を受けた施策の進め方につきましては、この中央環境審議会動物愛護部会の十分なご議論をいただきながら進めてまいりたいと、このように考えている次第でございます。
そこで、この後の議事の中でスケジュールの案につきましてもご説明させていただきたいと思いますが、とりわけ年度内は、より頻繁にご審議をいただけなければならないと、このように考えております。どうぞよろしくお願いをしたいと考えます。
本当にこれからも十分なご議論をいただき、しっかりとこの動物愛護管理行政を進めていきたいと思っておりますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。本日は、どうもありがとうございました。

【林部会長】 伊藤局長、ありがとうございました。
 それでは、議事の1、動物愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律の公布についてに移ります。最初に事務局から、この経緯と改正法の概要をご説明いただいて、その後ご質問を受け付けます。よろしくお願いします。

【西山動物愛護管理室長】 動物愛護管理法につきましては、改正法を形にしていただくことができました。動物愛護部会の委員の皆様、動物愛護管理のあり方検討小委員会の委員の皆様、本当にありがとうございました。25回に及ぶ動物愛護管理のあり方検討小委員会の開催ということで、その間、動物愛護部会も何回も開催しまして、大変ご熱心にご議論をいただきました。にもかかわらず、その後の今年に入ってからの経過報告が非常に不十分で大変申し訳ありませんでした。言い訳になりますが、今回議員立法ということもあって、なかなか当方からお伝えできる状況にならなかったということと、お伝えできる状況になってからは大変なスピードでいろいろなことが動いてしまったということがありまして、事後報告的になり大変申し訳ないのですが、改めて経緯と、それから改正法の概要について説明させていただきます。
 資料の1をご覧ください。動物愛護管理法、動管法という形で昭和48年にできた法律、議員立法でできた法律でございます。その後、平成11年と平成17年、2回の改正が行われておりまして、今回3回目の改正ということになります。いずれも議員立法という形で行われております。
 当初、総理府が所管していたのですが、平成13年の1月、省庁再編で環境庁が環境省になるタイミングで環境省の所管になっております。前回平成17年の改正のときに、施行後5年を目途に見直しを行って、必要があれば法改正を行うというような附則がつけられております。平成17年法の施行が平成18年ですので、5年後は平成23年、昨年に当たるのですが、平成22年の春頃から、すぐにでも改正に向けた議論を始めるべきだという意見が高まりました。深夜販売だけでもすぐにでも禁止すべきではないかとか、あるいは平成22年の春に埼玉県内の山中に動物の死体が捨てられてしまい、それは動物の火葬埋葬業者の方が捨ててしまったという事が起こりまして、そのようなことも動物愛護管理法の中で検討すべきかどうかというご意見もいただきまして、少し前倒すような形で平成22年の夏ごろから具体的な見直し作業に入っていただきました。
 中央環境審議会の動物愛護部会、この部会を平成22年の6月、7月と開かせていただいて、そこで「動物愛護管理のあり方検討小委員会」を設置することを決めました。8月10日から小委員会を開催しております。小委員会のメンバーは18名ということで、部会の委員から小委員会にも出ていただいている方もいらっしゃいますし、小委員会の委員、今日は何人かこの会場にお見えの方もいらっしゃいますが、それぞれ立場によってこの問題は意見が非常に分かれることが予想されていました。それはその立場を守るためというよりは、立場によって動物にとって何がいいかということが、多少分かれるケースもあり得るということが考えられましたので、いろいろな分野、動物行動学の専門家ですとか、獣医さんですとか、動物愛護団体、それから動物に関連する業界、そして法律そのものの専門家など、いろいろな分野からできるだけ複数名ずつご参加いただくという形で、18名のメンバーになりました。
 25回開催した訳ですが、一昨年の8月から昨年の12月まで1年4カ月位になりますが、震災による中断も途中ありましたので、実質1年強の間に25回ということで、本当に毎回熱心なご議論をいただきました。昨年の12月に「動物愛護管理のあり方検討報告書」としてまとめておりますが、この報告書はもちろん、その議論そのものが日本の動物愛護行政に関して大きな財産になるものと思っております。本当にありがとうございました。
 小委員会での議論は、動物取扱業に関わる部分とそれ以外の部分と大きく二つに分けて行いまして、それぞれについて取りまとめてパブリックコメントも実施したのですが、特に前半の動物取扱業の部分については、12万件を超える大変多くのご意見をいただきました。パブリックコメントは多数決ではないので、数の勝負ではないのですが、大変な関心をいただいている事柄であるということを改めて痛感したところであります。
 12月に報告書をまとめまして、主な論点は「別紙」の裏面をご覧ください。動物愛護管理のあり方検討小委員会、あるいは報告書での主な論点でございます。これは大分絞って書いておりますが、当初、平成22年の夏の時に事務局の方で何を検討していただくかということを考えました。前回平成17年の改正の直後からずっとですが、さらに法改正をすべきではないか、改正すべき点があるのではないかという意見を非常にたくさん、多くの項目でいただいておりまして、今回はその意見の中で、検討すべきという意見の多かった事柄につきましては、その規制強化ありきとかではなくて、本当にどうあるべきかというのをとりあえず全部検討はしていただきたいということで、項目を挙げさせていただきました。大きな項目だけで、最初に35ぐらいをお示しすることになったかと思います。この件に関する最初の部会、それから最初の小委員会では、事務局からの要検討事項の説明だけで、たしか1時間半ずつ位かかってしまったと記憶しておりますが、裏面に書いたような項目がありました。
 このうち、深夜の生体展示規制、それから動物取扱業への動物オークション市場、老犬・老猫ホーム的な業の追加につきましては、政省令の改正という形で措置済みでございます。今年1月に公布して、6月1日から施行されております。
夜間展示につきましては、夜8時から朝8時までは犬猫の展示は基本的にしないでくださいということにしまして、ただし、猫カフェのような大人の猫が自由に歩き回れる状態で展示されているような場合には、夜8時から夜10時までの間は2年間施行猶予して、どうすべきかを検討すべきとするということになっております。
それから、動物愛護管理のあり方検討小委員会の中でも意見が特に分かれた点が二つあります。犬猫幼齢動物を親等から引き離す日齢につきましては、小委員会の中でも、業界が今努めてくださっている自主規制にしばらく任せるべきという意見と、数値規制をすべきというところでまず分かれて、数字を入れるべきという方の中にも業界が目指している45日齢にして、ただし確実に守らせるべきであるというご意見、それから科学的根拠のある7週齢とすべきというご意見、そして欧米等で規制事例のある8週齢とすべきというこの意見に完全に分かれていた状態です。
 今回、報告書をまとめるに当たって、項目ごとにできる限り結論、または方向性を出すという方向でまとめていただいてはいるのですが、幾つか両論併記という項目が残っております。
 もう一つが実験動物の取扱い、これにつきましては「動物愛護管理法でも動物実験施設を届出制にするなどして、把握ぐらいはできるようにすべきである」という非常に強い意見があった反面、「前回の改正で3Rの配慮事項が法律に書き込まれて、それに基づいて、それぞれ基準やガイドラインを作って自主管理を始めているところですので、それをもうしばらく検証すべきである」という、これまた非常に強いご意見も出されまして、ここも両論併記という形になっております。
 表に戻っていただきまして、3番の国会等での議論ところですが、そのようなことで12月に報告書をまとめまして、今回も議員立法でお願いすることですので、報告書を踏まえた形で各党の方でご議論をいただいて、1月、2月ごろから与党が先行する形で、各党で議論をいただいて、6月からは与野党間の実務者協議という形で、これも頻繁に合計9回開かれました。8月20日に内容的に合意が得られまして、その後、大変なスピードで進んだことについては、局長から話のあったとおりでございまして、8月28日、先週ですが、衆議院の環境委員長から提案されまして、翌29日の参議院の本会議で、全会一致での可決によって成立をしました。
 昨日、9月5日に改正法について公布されているところです。施行については、1年以内で政令の定める日ということですが、それぞれの法律を施行する側の自治体の体制整備なども考えますと、大体1年後ということになろうかと考えております。
 その改正法の内容について資料2をご覧ください。1枚目の裏表が法律の概要でございます。3ページ目からは法律の案、どこをどう改める、どこを追加するということがずっと書いてありまして、その後半、25ページから附則を載せております。35ページから、新旧対照表をつけさせていただいております。今回は、時間の限りもありますので、主に「概要」を基にご説明させていただきます。
 まず、動物取扱業につきましては、平成11年の改正の時に届出制に、平成17年の改正の時に登録制になっております。今年になってその政令で5業種から2業種が追加されておりまして、7つの業種というか業態について登録が必要になっていました。これを許可制にするなどして、さらに規制を強めるべきではないかというかなり大きなご意見がありまして、これは小委員会の中でもあったのですが、そこについては、許可制は単純に登録の規制を強化すると許可制になる訳ではなくて、意味合いが変わってきますし、現在の動物愛護管理法の登録制というのは実情、許可制に近い、登録の拒否も取消しもあるような仕組みになっておりますので、登録制のままで中身を考えた方がいいのではないかというのが、小委員会の報告書取りまとめでして、与野党協議等の中でも同じような議論がありました。許可制にすべきというご意見もあったのですが、結果的には登録制のままで一部規制を強化していこうということになっております。
 ただ、1番の(4)にありますが、「第二種動物取扱業」を新たに創設することになりました。これは動物愛護団体などのうち、専用のシェルターを有してたくさんの動物を扱っているようなところについては、営利性がなくても動物愛護管理法でも把握しておくべきでしょう、ただし、それは営利目的でやっている業等の登録とは少し扱いを分けるべきでしょうというのが、小委員会の中でもそのような結論になっておりましたが、今回の改正の中でも、第二種動物取扱業として、そのようなところは届出制にするということになっております。
 その対象につきましては、今後決めていくことになりますが、営利性はないが動物をたくさん扱っているようなところが届出制になるという事でございます。これまでの登録の対象だった業種につきましては、基本的に扱いは変わらないのですが、第二種ができた関係もあって、「第一種動物取扱業」ということになります。
 その中で特に犬や猫の販売業者、特に繁殖業のところで問題が起こっている事例があるのではないかという意見が非常に強くて、繁殖業を含む販売業については少し特別な扱いをしましょうということになっております。(1)のところですが、第一種取扱業の内の犬猫等販売業者については、まず健康安全計画を策定して、守っていただくことですとか、あるいは、獣医師等と今も連携していると思われますが、より連携を深めるということを法律の方にも書き込んでいくということがありました。
 それから、[3]と、それから[5]、それから(2)の[1]も少し関連があるのですが、いわゆる繁殖にもう役立たなくなってしまったものですとか、あるいは売れ残ってしまったものについてどうなっているのかということが、前から言われておりまして、調査をすると、その結果から不適切に処分されているものは、ほとんどないという結果が出るのですが、そのことを確認するためにも、少しその辺が書き込まれています。販売が困難となった犬猫等の終生飼養の確保ですとか、あるいは所有状況の記録報告などをしていただくことによって、自治体の方も管理しやすくなるということになっております。
 [4]のところが、先程も意見が分かれたということでご紹介しましたが、犬や猫を社会化等の為に親からしばらくの間、離さないほうがいいということは、認識は一致してきたと思うのですが、前回の改正の時に、環境省告示の細則に適切な期間も親兄弟から離さないことが書き込まれているのですが、そこに、その適切な期間とは何日、何週なのかと数字を書き込むというのが、今回の改正の大きな一つのポイントになっておりました。与野党協議の中でも大体、小委員会の時と同じような議論がありまして、結果的には、少しわかりにくい形かもしれませんが、本則の方には56日(8週間)を経過しない犬猫の販売の為の引渡し等の禁止ということが書き込まれておりますが、附則の第7条になりますが、附則の方に施行後3年間はこれを45日と読み替えて、3年たったらこれを49日と読み替えると。本則にある56日にいつするか、すべきかどうかというのは、その間に調査・研究をさらに進めて、科学的根拠を得て考えましょうという仕組みになっております。
 ここで強調しておきたいのは、この結果というのが、「現時点で56日が本当はいいことが明らかなのに、諸般の事情に配慮してそうしない」ということではないということです。ここについては、与野党協議の中でも最後まで結論が出せなかったところでございますが、具体的には8月16日、第8回の実務者協議のときに改めて専門家からヒアリングを行いました。麻布大学の菊水健史先生と、それから動物愛護管理のあり方検討小委員会の山口千津子先生に来ていただいて、改めて話を聞いた上でこのような結論になったのですが、そこで言われたのが、56日というのがどうもよさそうだが、日本において56日がいいという科学的根拠は、残念ながら現時点であるとは言えないということをはっきりさせた上で、49日については科学的根拠があると言えるということをもとに、こういったことになっています。
 45日から始まるというのは、確かに激変緩和的な意味合いがあるのですが、49日にするというところまでは、根拠を持って決められると。その先は現時点では決めにくいところがあって、そこはここ数年間の間にしっかり調査・研究をさらに進めて、49日でいいのか、56日にすべきなのかということを考えましょうということになっております。
 調査・研究につきましては、動物実験(生体実験)をするのは難しいと思われますので、結局、その7週齢の根拠になっているサーペル博士のC‐barqと呼ばれている方法。動物の由来と、それから性質というか性格の情報をとにかくたくさん蓄積して、解析をしていく方法を強化・拡充していくしかないのかなと考えておりますが、これにつきましては環境省を主体に進めるということになっておりますので、何日がいいのか、何週間がいいのかというのを、科学的根拠をもってお話しできるように、ここ数年間の間に努力したいと考えております。
 それから、(2)の[2]ですが、ここはいわゆるインターネット販売に対応する規定になっております。深夜販売と並んで動物のインターネット販売も、直ちに禁止すべきではないかという非常に強い意見もあったのですが、小委員会の中でも動物のインターネット販売の何が悪いのかというと、ネットを使って動物を紹介することが悪いのではなくて、一度も売る人買う人が対面しないで、動物も確認しないで売買が成立してしまうことによって、いざ届いた時に初めて動物を見て、思っていたのと違うというトラブルが多いということが問題だということでしたので、対面説明、現物確認を義務づける。売買が成立する前に義務づけるということがよいでしょうと。これは小委員会のまとめの通りの改正になっております。
 それから、(3)ですが、これは他法令、特に動物の譲渡し等に関するところの他法令に違反した人が、動物愛護管理法では、これまでは特別な扱いはありませんでした。具体的に言いますと、ワシントン条約に掲載されている、日本で言うと種の保存法の国際希少種のようなものを不正に輸入し販売した業者さんが,動物取扱業としてはまだ営業している、できていると。法律上、別にそれはとがめられていないというところが問題ではないかということに関して、対象となる法律は絞られていますが、関連法令に違反した人は登録の拒否ですとか、取消しの事由に当たりますということが追加されています。
 (4)は、先程申し上げたとおりでございまして、大きな2番の多頭飼育の適正化でありますが、これは今までも法律の第25条に、他の周辺に迷惑をかけているような飼い方については、勧告命令の対象となりますというのがあったのですが、どのような場合かというのが必ずしも具体的に示されていなかったので、今回、騒音ですとか、悪臭ですとか、毛の飛散ですとか、そういった具体的にイメージしやすい例示を書き加えております。
 それとともに、今までのこの25条では、周りに迷惑がないと勧告命令はできない形になっていたんですけれども、近くに住居がないとか、そういう事情で周りには迷惑を特にかけていないけれども、多頭飼育が起因して動物そのものにダメージというか、虐待的な状況になっているというケースについても、勧告命令の対象として今回、追加されています。
 それから、例えば10頭以上飼っている人は、個人であっても届出の対象にすべきかどうか。法律ですべきかどうかという話も議論もあったのですが、これはその何頭以上が多頭飼育に当たるかというのは、自治体によって非常に状況が違う。飼われている周りの環境も違うでしょうし、そこは自治体毎に判断したほうがいいのではないかということで、条例で届出制度を創設することができるという形になっています。ちなみに、今回の法律全体としまして、枝番のようなものが多くついております。条項が大分追加されているのですが、それによって条がずれていくのではなくて、枝番で対応しています。これは平成17年の改正法の、例えば「第10条の動物取扱業」とか、「第26条特定動物」とか、「第44条の罰則」とか、そのような条番号が、内容と結びつきがされているものなので、そこを変えてしまうよりは、法律的に美しいかどうかは別として、枝番で「何条の何」というところはなるべく変わらないようにという配慮がされていると聞いております。
 裏面に行っていただきまして、犬猫の引取りのところ、いわゆる第35条のところですが、ここが今回の改正の中でもかなり大きなポイントの一つになっているところです。これも小委員会の議論のとおりになったのですが、引取り、今までは所有者から求められれば引き取らなくてはならないとなっていたのですが,引取りを拒否できる事由を明記することになりました。例えば、動物取扱業者さんから毎年持ち込まれるとかいうことについては、拒否できる場合があるということになりました。
 さらに細かいところ、事由につきましては、これからまた省令等で決めていくことになると思うのですが、例えば個人であっても不妊・去勢の努力もせずに、毎年持ち込むような方ですとか、そのような場合には、引取りが拒否しうるようになりました。
 それから、「引き取られたけれども殺処分されない犬(猫)」というものを、今以上にどんどん増やしたいということ、思いを込めて引き取った犬または猫の返還・譲渡に関する努力規定も明記されました。ここで実は殺処分がなくなることを目指してというような文言が入っておりまして、ここにつきましては、いろいろなご意見があろうかと思います。動物保護管理法が施行された昭和49年に、犬猫合わせて122万頭ぐらい殺処分があったところ、平成22年度では20万頭余りということで、100万頭以上減らしてきてはいます。まだ20万頭というのは、また大変な数字なのですが、この100万頭減らしたところについては、評価すべき、評価されるべきことではないかと思っておりまして、これはこの今までの旧第35条の仕組みに基づいて、各自治体がそれぞれ努力・工夫をしてきた結果だと思っておりますので、それを否定する訳ではなくて、状況も変わってきましたので、結果的に引取り数、殺処分数が非常に少なくなっているところが出てきたり、大変減らしてきていますが、まだまだ数としては多いところがあったりというところがあって、今しばらく、今までの法律に基づいて引取り数を減らしていきたいという自治体もたくさんあるのですが、これは「目指して」ということで今回、書き込まれることになっています。
 4番の災害対応、これは当初のたくさん並べた検討事項の中に入れていなかったところですが、昨年の東日本大震災の時に動物の対応が、必ずしも十分うまくいかなかったという反省も踏まえて、検討課題になったものです。いざ大きな災害が起こったときに、現場で行政の方が見るのは、恐らく動物愛護管理法関係の文書ではなくて、災害対策基本法に基づく地域防災計画、あるいはそれに関連するマニュアル類だと思うのですが,動物愛護管理法の中でも何ができるか、何かできないかということで、一つには都道府県の定める動物愛護管理推進計画の中に、災害が起こったらというようなところを追加するということ。それから、もう一つは、動物愛護推進員の活動として、災害時の対応協力について追加するということになりました。
 その他のところですが、法目的、それから基本原則第1条、第2条のところですが、ここに少し「心」の部分がさらに書き加えられています。当たり前過ぎて書いていなかったようなところも含めて、今回改めて明記することになりました。特に基本原則の方は、もともと産業動物などで言われている「五つの自由」というのを動物愛護管理法に書き込むべきではないかというご意見があったのですが、それに対して、五つの自由というのは、産業動物に限ったことではもちろんなくて、動物全体について配慮しなくてはいけないことですし、ただ動物全体に対象を広げると、その五つの自由それぞれ具体的に余り書くと、「哺乳類にとってはいいけれども、爬虫類にとっては必ずしもよくない」等、そういった状況もありますので、五つ並べるのではなくて、その心の部分を基本原則のところに書き込むという結論になっております。
 それから(3)も、これも当たり前の話なのですが、終生飼養、それから適正な繁殖に関する努力義務、所有者の責務として第7条に加えられています。
 それから(4)は、今年の春、秋田県の八幡平クマ牧場で起こった事故なども踏まえて議論がされたのですが、特定動物を飼養する場合に、その許可に当たって申請する時に飼えなくなってしまったときにどうするかというのを、はっきり考えて書いておくべきということが言われました。実際にはクマ牧場、八幡平の場合には27頭のクマが残されて、その行き先で秋田県が苦労されているということになります。殺処分というのは、法律的には許される事ではあるのですが、実際には許してもらえないような形もあったりしますので、そのような「実際にできるか」ということも含めて、事前に考えておく。例えばどこかの動物園や類似の施設に、いざというときは譲渡すということを、あらかじめ話をつけておくとか、そのようなことを考えてくださいという心で、第26条に少し追加されています。
 それから、推進員制度につきましては、さらに、強い監視員的なものをつくるべきではないかというご意見もあったのですが、これについては、今ある推進員制度を拡充していくべきという結論になっています。
 (6)のところは、獣医師さんが動物虐待ですとか、不適切に殺されたと思われるもの、動物の死体等を発見した時には通報するようにという規定を設けています。
 罰則については、全体的に強まっています。一つには、第44条のところに例示が追加されています。今までネグレクトの方の例示があっただけなのですが、そこをもう少し具体的に書くことになりました。それから、罰則そのものも全体的に強化されておりまして、例えばみだりな殺傷等については、1年以内100万円以下というところが、2年以内200万円以下になっております。
 これにつきましては、他の法律、同じ位の重さの罪の場合に、どういった罰則がかかっているかというのを専門の方々で検討していただいき、引き上げられるだけ引き上げたというのが実情だと思います。
 内容については、以上ですが、ここに書かれていない、つまり形にならなかったところとしまして、実験動物についてですが、これは各党内の協議、それから与野党協議の中でも意見が分かれたところでして、やはり届出制すべき、把握だけはすべきという意見があった一方で、現在の自主管理を検証すべきという意見も、それぞれ強く出された結果、今回は、3Rの配慮規定が入った前回の改正法を変えずに、しっかりとその自主管理を続けていただき、何らかの方法で全体、全容が把握できるようなことは考えたいと思っておりますが、法律そのものは、ここの部分は手がつけられていません。
 7番については、附則に書いてあるところですが、施行日は公布の日から、公布の日が9月5日になりましたが、1年以内の政令で定める日から施行ということで、およそ1年後ということになろうかと思います。
 それから、附則の第3条から第12条に、経過措置について書かれています。先程申し上げた8週齢、56日と書くけれども、45日から始めて49日に変えるというようなところも含めて、経過措置が幾つか設けられております。例えば登録、今回結果的に登録制は登録制で変わらなかったのですが、前回、5年前の改正で登録制になって、登録は5年ごとに更新ということになっておりますので、大体前回の改正のときに登録した業者さんは、ちょうど更新を終わったころなんですね。それについて法律が変わったのでまた新たに登録ということではなくて、それは登録しているものと、新しい法律でも登録しているものとみなすということになっています。ただし、その犬猫の健康安全計画ですとか、今回新たに加わっている部分については、届出という形でしてもらえれば登録されているという形でみなしますということになりました。
 最後に7番の(3)マイクロチップの装着につきましては、動物愛護管理のあり方検討小委員会、動物愛護部会の中でも推進は今までどおり進めるべきだが、現在の普及率、3%に満たない位の普及率を考えると、もう少し普及を目指してから、義務化については考えるべきということになりました。この件については、与野党協議の中で、それでも義務化すべきではないかという意見もあったのですが、結果的に今回の改正ですぐに義務化ということではなくて、まずは普及を目指すと。将来的な義務化を視野にというか、義務化に向けて普及に努める。それから技術開発、マイクロチップの小型化ですとか、リーダーの方ですとかも含めた技術開発に努めると。
 それから、マイクロチップの場合登録をしないと意味がないものですから、登録を受ける側の体制整備についても、ここ数年間の間で努めると。その結果を踏まえて、次の改正の時に考えるというようなことが附則の第14条に書き込まれました。
 以上、長くなりましたが、経過と概要のご説明でした。

【林部会長】 ありがとうございました。
 それでは、ご意見あるいはご質問ございましたら、どうぞ。いかがでしょうか。

【斉藤委員】 それでは、日齢のことで、質問といいますか、お願いといいますか、この45日で次が49日でということですが、56日という報道等が最近あって、愛護センターという名前があるせいでしょうか、このことについて幾つか問い合わせがあります。どうしてこうなったのかとか、かなり疑問の声も聞こえています。このことの内容を、なぜこのような日にちを設定をしたのか、わかりやすく、今後のお話だと思うのですが、説明をして、動物取扱業者の皆さんには、特に理解をしていただくことが必要ではないかと思います。
 そのためにどうしたらいいか、今、わかりませんが、特に都道府県の職員が、今度は説明するということも当然必要になります。そのためにしっかりとした根拠と理由を是非、情報提供をしていただく。また、都道府県の職員に対しても、情報提供ができる場というのですか、説明していただけるような機会を多く設けていただいて、進めていただければありがたいと思います。それが一つ、要望でございます。
 それから、もう一つ、第一種と第二種ということで、先程、説明をされましたが、第二種というのが、私としても、なぜ第二種として分けたのか、業としてやるということですが、後ろの方を見ても、分かりにくかったので、できたらそのところを第一と第二種に分けた理由と、第二種の内容をもう少し具体的に教えていただければありがたいと思います。

【西山動物愛護管理室長】 日齢、週齢のところの説明については、確かに、最初に聞いて分かりにくいところがあると思いますので、うまく分かっていただけるような説明の仕方について、こちらも考えていきたいと思います。
 第二種につきましては、今まで登録の対象になってきた業については、まず、業として行われていること、というのがあって、その業の判断が社会性を持っているとか、反復継続性があるとか、営利性があるとかいうことを総合的に判断してそれぞれ決めるということで、若干、自治体毎にも、何を対象とするかというところでばらつきがあるのではないかという意見が、昔からあったりしているのですが、いずれにしても営利性というのは一つ大きな判断基準になっていると思われまして、先程も言いましたように、営利性が全くなくて実費を取っているとか、実費も取らず、犬猫の譲渡活動をしているような団体がたくさんありますが、その中で大きな専用の施設を持って、100頭ぐらい犬猫を飼って、中にはその周りの住民の方は、よく思っていないようなところもあったりします。あるいは、動物の専門学校などで、自ら動物を飼って、所有しているところもあったりします。そのようなところで、適切な飼養が行われていないのではないかというご指摘もいただいたりしておりましたので、そういう今まで登録の対象になっていなかった部分について、明らかに営利性がなかったり、動物を使ってお金を得たりしていないところについても、動物愛護管理法で把握はしておくべきではないかということで、取扱業的なものに追加したほうがいいのではないかという意見があって、一方で、そういったところを販売業ですとか、繁殖業ですとか、展示業などと同じように扱うのは、適切ではないのではないかという意見もあって、そこは動物取扱業の仲間に入れるけれども、登録制とは扱いを分けて、とりあえず把握ができて行政指導もできるように届出制にしましょうということになりました。

【斉藤委員】 今の第二種の届出制ですが、一般的に届出制があると、それに立入りとか行政的な措置ができるようなことも、あると思うのですが、ここのところもそういうものがつけ加えられるのでしょうか。

【事務局】 届出制ですので、取消しとかはありませんが、届け出た事業者の方が場合によっては不適正な取扱いをしているということであれば、立入検査ですとか、報告聴取ということはできる形になっております。

【林部会長】 ほかに。どうぞ。

【蔵内委員】 災害対応で、動物愛護管理推進計画にその飼養管理の施策を定めると、こういうことが盛り込まれました。大変よいことだと思います。前の審議会、この部会の中で、東日本大震災を踏まえて、単県ではなくて広域で、隣接する県が連携をして動物救済に当たったほうがいいと、こういったことを申し上げました。
 この度九州地区の知事会において、この災害救済という項目の中で、主要5項目の中に動物救済という項目が正式に盛り込まれました。ご報告をしておきたいと思います。

【林部会長】 ありがとうございました。青木委員、どうぞ。

【青木委員】 先程の斉藤委員の日齢についてのご発言と関わる質問といいましょうか、要望といいましょうか、そういう発言をしたいと思います。
 日齢をどう設定するかというのは、ご説明のあったように大変議論が分かれて、そして私のような動物の専門家でない者には、ほとんど口出しのしようがない問題で、ただ聞き役に徹するという結果になった訳です。そして、ただ今回の規定方式を見ると、規定に至るまでの経緯はともかくとして、この法律の文言を見ますと、56日がいいとやっぱり判断しているとしか思えないように私には読めます。
 というのは、この冊子体資料2の28と下にページ数が打ってある附則の第7条3項ですね。ここに詳しいことが書いてある訳ですが、2項、3項ですね。56日を3年間は45日と読み替えておき、そしてさらにその後、いろいろなことを調べた上で、この法律施行後5年以内に検討して、その結果に基づき、速やかに別に法律に定める日、つまり56日にする日ということですよね、を定めると、このようになっていますよね。
 ですから、やはり今の段階で法律が56日がゴールとしては望ましいと考えていて、しかもなるべく早くそうしたいという文言になっているという事実はある訳ですから、斉藤委員のおっしゃったことは、56日の根拠を説明しろという。説明できるようにしてくれというところに、私には重点があるように、我々、斉藤委員に聞かないと分からないところもありますが、思うので、ここは少し説明を要するかなと思いますので、お考えいただきたいと思います。
 以上です。

【西山動物愛護管理室長】 おっしゃるとおりだと思っておりまして、その議論の経緯、先程ご説明した議論の経緯からすると、49日という根拠は今ある。56日というのは、どうもいいと思われるが、残念ながら現時点で根拠があるとはいえないという状況ですと、本来でしたら56という数字を入れていいのかどうかというところを考えなくてはいけないと思うのですが、そこは一方で56日、海外の事例なども参考にして56日がいいのだと。そうすべきであるという強いご意見もあって、かなりの踏み込んだ判断で本則の方に56日が入っているというのが実情でございます。
 56日を目指してというような、確かに法律上、附則の上では書いてあるのですが、心としては56日が本当にいいのかどうかということも含めて、ここ数年間の間にしっかり調査・研究・情報集積を進めたいというところが本音でございまして、そこは環境省を中心に全力を尽くしたいと思っておりますので、56日がいいのかどうかというのは、その調査・研究の中で出てくる話ではありますが、現時点でこう書いてあることの説明については、少し説明振りをこちらも考えたいと思います。

【林部会長】 どうぞ。

【青木委員】 今のご説明自体には異を唱えるつもりはないのですが、解釈論的な説明の部分をしっかりしていただきたいということですね。今後、調査の結果、例えば56日まで慎重にならなくても、49日で十分なんだという根拠が十分蓄積するのであれば、それは立法論として法をまた変えましょうというだけの話かと思います。特に行政の現場の方は、法に基づく行政をやる訳ですから、その法の規定していることの根拠、解釈論的な根拠ですね、そこを強調してほしいというのが私の趣旨でございます。
 以上です。

【林部会長】 ありがとうございました。
 この件について、私の考えも少しお話ししたいと思います。私たちは動物愛護管理のあり方検討小委員会で検討し、この部会から三つの日にち、45、49、56日を盛り込んだ答申を行いましたが、法改正において三つの日にちを生かしていただいたのは、大変ありがたいことだと思います。ただ、一般の人に分かりにくいというのは、斉藤委員のおっしゃるとおりで、分かりやすく言えばこういうことではないかなと思います。
まず一つは、45日という案を出しましたが、三つの案の中で明らかに45日は短過ぎるという判断をこの法律は下したのだと思います。ただ、いろいろな状況が現実には存在しますので、49日または56日に至るまでの激変緩和策といいますか、3年間の猶予期間を定めているという意味で、成熟した形になっているのだと思います。また青木委員がおっしゃるように、法律には56日と明記されました。これは私の全くの個人的な感想なのですが、諸外国にも56日という数字があり、これまで56日を目標に運動してこられた方々にとって、これはどうしても譲れない数字としての歴史的な経緯がありますので、理念法としての動物愛護管理法に書き入れたのではないかと思いますが、改めて法改正が行われない限り、49日として法の運用が行われることになります。
室長がお話しされているように、科学的な根拠が未だはっきりしていない現状があり、私たちも、きちんとした科学的根拠に基づいて、この三つの数字を出したという訳では決してないのです。しかし、そうだからといって、いつまでも日数を定めないでいると、各地方自治体による指導ができないという不幸な実態が改善されませんので、ひとまず子犬のことを考えて、今回の法改正で日数を明記していただきました。しかし、子犬にとって49日や56日は十分ですが、逆に母犬の負担が大きいのではないか、また生涯一緒にいる飼い主との関係を考えたら、49日や56日は遅すぎるのではないかなど、不確定なことが多いので、そこの検証もやはりきちんとした形でなされる必要があります。
 今回の法改正の素晴らしいところは、日本において不確定な事柄を科学的に解明する必要があることを明らかにしたことです。ある犬種においては、56日は必要だという犬種においては、56日を指定する。総合的にみて49日が適切な犬種においては49日のままにする。そもそも全ての犬を一括りにしていますが、子猫からライオンぐらいまでの大きさの違いもあり、発達の違いも相当考えられる動物を同一の基準で括ることに無理があるといえば無理があります。それを解消するために、今回の法改正が行われたとすれば、すばらしい知恵だなと感心したところなのですが、これは全く私の印象です。
 太田委員、どうぞ。

【太田委員】 今回の動物愛護管理法改正では、動物愛護のあり方検討小委員会を含めて30回近い会議でしたが、動物取扱業の一人としては毎回被告席に座っている気分でした。今回の法改正は、動物取扱業の適正化が大きな議題でした。
 これは見方を変えると、不適正な業者が多いから法改正をしようという事だと思います。ほとんどの業者は真面目に努力しておりますが、ほんの一部の業者が目についてしまい、業界全体が悪く見られているという面もあったかと思います。
 今回議論の中心となった日齢に関してですが、45日、7週齢、8週齢、3論併記は小委員会でも結論は出ませんでした。最終的には、政治が判断するということで、4党協議の場で議論していただきましたが、こういう文面に決まったことに関しては、私たち業界も5年後にこのような議論がもう一度起きることがないように、業界がさらに自主規制をして、業界のレベルを上げていくことがまず一番大事なことかと考えています。
 今回日数が明記されたことにより、自治体の担当者も動物取扱業者に対する指導がしやすくなりましたので、一つの前進と思います。
 前回の5年前の法改正のときには、40日に満たない子犬の販売もありましたが現在は45日近くまで進んでいます。5年後には49日ということで、段階的に進めていくことは、子犬にとっても飼い主にとっても共にハッピーになると思います。良い子犬を販売する事が私達の使命ですので、しっかり自主規制をさらに進めていかなくてはならないと考えています。
 以上です。

【林部会長】 はい、ありがとうございました。
 菅谷委員、どうぞ。

【菅谷委員】 確認したいのですが、第6条の災害対応の中の、動物愛護管理推進計画に入る対象動物は、ペット動物だけではなく牛馬等も入り、動物の種類は問いませんよということなのでしょうか。

【西山動物愛護管理室長】 動物愛護管理推進計画は、法律の第6条にもともとあったことで、対象自体が変わる訳ではないのですが、もともと対象が絞られている訳ではありませんので、都道府県毎の判断によって愛玩動物以外のことを入れることもできるということだと思います。

【菅谷委員】 今回の東日本大震災の動物救援対策の教訓として、平時からこういうものをきちんとやっていくというのは大変大切だということを改めて感じました。今、緊急災害時動物救援本部で問題になっている牛等の産業動物については前回、林部会長からいまだ相当数の牛が警戒区域等にいることの紹介がありましたが、対象動物が曖昧ですと、例えば義援金募集の趣旨からみて配分等で非常にやりにくいという状況がでてきます。首都圏直下型地震の発生等巨大地震の発生が予測されているなか、広域災害時に、各都道府県の動物愛護管理推進計画が、対象動物をはじめバラバラでは困るし、最低限の基本的事項については、既にお考えのこととは思いますが、国によって統一性が図られるべきものと思います。また、産業動物と愛玩動物での救援対策は、動物愛護の理念は同じでも実際の救援活動ではかなりの違いがあり、所管する省庁間の連携が大切と思います。

【林部会長】 はい、お願いします。

【西山動物愛護管理室長】 先程のお答えの一部訂正なのですが、対象が決まっていないというよりは、産業動物が入っていると考えていいと思います。第5条の国がつくる動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本的な指針の中に、産業動物は対象として入っていて、第6条の動物愛護管理推進計画はその基本指針に即して作ることになっておりますので、推進計画の対象にも産業動物は入っていると考えられます。
 推進計画そのものは都道府県毎に作っていただくのですが、昨年の震災の経験を踏まえて、その記録集ですとか、災害対応のマニュアル集みたいなものは、今年度中に動物愛護管理法の改正とは別に並行した作業で作りたいと考えておりますので、その中で、産業動物をどう扱うかについても検討はしていきたいと思っています。

【林部会長】 はい、ありがとうございました。よろしいですね。
 はい、山﨑委員、どうぞ。

【山﨑委員】 山﨑でございます。この1年を振り返りますと、今日の日を迎えられたこと、たくさんの方々のご努力の結果と、参加している一員としてじくじたるものがあります。質問が一つとお願いが一つあります。
 質問は、第22条の3、獣医師等との連携の確保、この第22条の3は、「等」が一杯あるのですが、犬猫等販売業者は、その飼育又は保管をする犬猫等の健康及び安全を確保するため、獣医師等との適切な連携の確保を図らなければならない。と書いてありますが、この獣医師等の等にはどういう方たちが含まれるかという質問が一つです。
 それからもう一つ、この第二種動物取扱業ができたことに関して経緯と目的は理解いたしました。ただし、この大震災など振り返りましても、この動物愛護センター以外で、民間でシェルターを第一種の業としてなさっているところと、あるいはボランティアでなさっている第二種になる活動の実態とがあります。そうしますと、現状では、一般の国民の善意の気持ちが、実はきちんと動物救済につながらない、あるいは募金箱の配置ですとか、募金の回収、寄附を集めるときに領収書などないので、全部善意で出してみたものがどうなってしまったのかわからない、あるいは本当に動物救済に使われたのかわからないと、それが第一種の業なのか、第二種の業なのか、一般の方はなかなか分からないと思いますので、これは官民力を合わせて動物愛護の法律にのっとって進める活動事業だと思いますので、環境省で、この点について、届出制ではありますが、もう少し一般の方たちが分かるような指導、管理をお願いしたいと思います。

【林部会長】 はい、どうぞ。

【西山動物愛護管理室長】 まず、後の方ですが、第二種取扱業の対象につきましては、今後、省令等で定めていくことになりますので、その時にもいただいたご意見にも配慮させていただきながら考えたいと思っています。
 それから、最初の方の獣医師等との連携の部分、第22条の3のところですが、これはそもそも今でも業者さんは獣医師等と連携していると思われるのですが、例えば、週齢、日齢規制とともに生年月日をどう証明するかというようなことの時に、獣医師さん、出生証明を出すのは立ち会わないとだめらしいのですが、それに代わるようなことが何か獣医師さんに絡んでできないかとか、あるいは繁殖業の現場で個人の所有する犬猫に対して手術的なことも含めて行われている例があるのではないかということも含めて獣医師さんとの連携、動物を普通に飼うのではなくて、繁殖の手助けをするとか、あるいは病気を治すとかいうことについては、どうしても専門的な知識と経験が必要になってきますので、そこは獣医師さんにお願いする部分を多くすべきであろうというところなのですが、ここで等というのは、飼われている犬や猫の数を考えますと、獣医師さんの数的に、物理的に厳しい面が、全部カバーするのはあるでしょうということで、獣医師に準ずるような人、例えば、動物看護師さんですとか、そういった方々も想定しています。
 ですので、動物看護師さんは、将来的に資格がはっきりと国家資格になっているとかいうことになってくれば、ここにそういった方々が加わってくるということは、議論の中では想定されていました。

【林部会長】 はい、よろしいですか。
 はい、どうぞ。青木委員。

【青木委員】 時間をとらせていただいて大変申し訳ないのですが、先程私、自分でした質問というか、発言に誤解があったことに今気づきましたので、お詫びかたがた訂正をしておきたいと思います。
 林委員長からお答えをいただいた日齢の件ですが、附則の第7条で、3年間は45日と、その後、49日をいつまで49日と読み替えるかを後で定めると、こういうことになっていて、本則の56日に変える日を定めるという文言の形式ではない訳ですが、私は先程それが56日というのを定める法律を決めるというような言い方をしてしまったので、それは誤解ということになりますので、お詫びをします。

【林部会長】 ありがとうございました。
 磯部委員、どうぞ。

【磯部委員】 今の点は、青木委員が言われた通りで、したがって、もう補足する必要はないかと思いますが、今回の日齢に関する45日、49日および56日の整理は、いわば職人芸的な見事さで整理されていて、法律専門家として敬意を表したいと思います。
 要するに、現実に規制的な効果を持つ規定は、まずは45日であって、それがいずれ49日になるというところまでは決まっているけれど、そこから先は、一種の目標値として56日という値が設定されていることになる。そのことは条文の規定上明らかなのだけど、そこは目標値であって、当然に直ちに規制的効果を持つ訳ではないということは、十分説明をなさったほうがいいかなと思います。
 このように今回の法改正は、総じて、動物愛護管理のあり方検討小委員会の議論を着実に反映できたという印象があります。つまり見送り事項が少なくて、各論点につきほぼそれなりに着実に条文に結びついているという意味で、大いに評価したいと思っております。
 1点だけ質問なのですが、少し細か過ぎるかなと思うのですが、第25条で、いわゆる動物取扱いの業者ではないのだが、多頭飼育などをしていて、周囲に迷惑がかかっているというような場合に一定の措置がとれるように規定がおかれていますね。特に具体的な迷惑の状況に関して説明的な記載が入ったこととか、3項で、特に周辺に迷惑をかけるというわけではないのだけれど、明らかに動物虐待的なことがあるのではないかという場合に、何かできないのかという要請に対応するのが第25条3項ですよね。そのような事態が生じていると認めるときは、期限を定めて必要な措置をとるべきことを命じ、または勧告することができるようになりました。細かいことを言うと、これは論理的には「勧告」が先で「命令」が後だと思うのですが、条文上の表現の順序はこれでいいのでしょうか。ほかのところでは全部、まず勧告を置いて、勧告に従わないときは命令をするというふうに二つの項目で書き分けているのに、ここは省略してしまったのかなという気がいたします。が、それはともかくとして、いわゆる立入検査権限が、動物取扱業者に対しては、明文でおかれているのに、この第25条関連では書いていない。書いていない以上、やはり虐待のおそれがあっても立入検査はできないということであると読めるのですが、この辺については何か議論があったのでしょうか。

【林部会長】 はい、どうぞ。

【事務局】 まず命じ、または勧告のところでございますが、ここは第1項とは異なりまして、虐待のおそれがあるということで、可及的速やかに措置を講じなければならない場合が想定されるものですから、勧告を飛ばしても命令ができるということを想定して、命じまたは勧告という形で、勧告しないでも即座にもう措置命令をかけられるという建て付けになっております。そのような規制例は他にもあると聞いております。
 立入検査等につきましては、第25条の対象は、一般私人を中心に考えておりますので、一般的に業の登録を受けているとか、あるいは多頭飼育の届出をしているという私人ではございませんので、そのような意味で、一定の規制がもともとかけられている訳ではないので、立入検査ですとか、報告聴取という規定を設けにくいというものではございます。
 そういう意味で、自治体さんにとっても、実態が即座に把握できるかというところは、やはりここの規定を設けたとしてもまだハードルはあるとは思いますが、明らかに郊外で周りに住宅等がない場合に多頭飼育をしていて、かなり犬の鳴き声が激しいですとか、そのような意味で虐待と疑われるような場合について、できるだけそういったことを救済する手段を設けたいという趣旨と考えております。

【林部会長】 よろしいですか。はい。ありがとうございました。
 そろそろ次の議題に移りたいと思うのですが、よろしいですか。
(はい)

【林部会長】 ありがとうございます。
 それでは、引き続いて、今後の予定などについて、事務局からご説明いただきます。

【事務局】 資料3と資料4をご覧いただければと思います。
 今回、改正法ができましたが、当然ながらご覧いただくとわかりますように、政令、省令に委ねられている事項が多くございます。
 資料4にございますように、事細かに説明する時間はないので省略させていただきますが、全体で50近く、項目数で言うとあるような状況でございまして、その中でも、特に網かけがされているところにつきましては、法第43条にございますように、審議会でその意見を聞くことという形で法定されている事項でございます。その部分についてのみならず、先程伊藤局長から話がありましたように、全ての事項についてご意見を伺いたいと事務局では考えているところでございます。
 これ全部ということでございますと、一遍に進めるということが非常に難しいと我々も考えておりまして、また、ご承知かもしれないのですが、前回の動物愛護管理のあり方検討小委員会で議論させていただいた部分の中で、省令等で定めるべき事項、飼養施設の基準ですとか、あとは繁殖制限をどうするかですとか、そのような部分については、法律では書かず、飼養管理基準ですとか、飼養保管基準の業者の基準の方に検討として積み残されている部分もございますので、そこについても検討いただかなければいけないということもありまして、法律はできたのですが、今後ご検討すべき事項は盛りだくさんという状況でございます。
 資料3の方に、今回スケジュール案という形で、今後の議論について、当方で案を作成させていただきました。
 まず、本日9月6日に、今後のスケジュール等も含めて改正法についてご説明させていただいたところでございますが、まず10月早々に、自治体関係者あるいは今回規制を直接受けることになる事業者さんからヒアリングの機会を設けたいと考えております。
 これは、規制を受ける又は実施する立場の者、対象者から実際の細目についてどのようなあり方をとったらいいかということについて、ヒアリングをしたいと考えております。
 それを受けまして、10月中、10月後半を今予定しておりますが、まずはどちらかと言うと、事業者関係のこと、第二種動物取扱業の範囲ですとか、犬猫等販売業者という形で今回計画を立てたり、報告をしたりしなければいけないという規制が加わりますので、その部分について、どのような規制を設けたらいいかということについて、第33回で、第34回の方では、どちらかというと、自治体に関係する、虐待のおそれのある場合という、今回新たに基準として定められた部分ですとか、引取りの拒否できる場合について、省令で事例を明記するという形になっておりますので、そこの部分について議論していただきたいと考えております。
 あと並行して、先日の前回の部会でもご説明させていただきましたが、現在、特定動物について見直しの作業を始めているところでございまして、来週にも第1回特定動物見直し検討会を開催させていただくところでございます。その検討会の議論の進捗状況にあわせて、10月の後半には特定動物のリストについて、11月には特定動物の許可基準、今回いろいろな事件も起こったことも踏まえた見直すべきかどうかについての許可基準についてのご議論もしていただきたいと考えているところでございます。
 一旦、そこでまとめさせていただきまして、パブリックコメントをかけたいと考えております。対応を分けるのは、特に申請等に係る部分や事業者の範囲等につきましては、まずそこを定めないと自治体の方で条例等が策定できないということもございますので、まず優先して申請、どのような形で届出をするのかですとか、どのような形で計画を出すのかですとか、あとは規制の対象となる特定動物や第二種動物取扱業がどのくらいの範囲なのかということは、できれば今年中に省令等を全部公布したいと考えています。その為、これらについて、11月に一旦取りまとめてパブリックコメントをかけたいと考えております。
 12月以降については、5年を目処に見直すということになっております基本指針の改定の作業を開始したいと思っております。12月の部会では、今回前半の部分の取りまとめとともに、基本指針の改正方針ということもご議論いただきたいと考えております。
 資料3の裏になりますが、年を明けて1月、2月以降、先程お話しさせていただきました、その事業者の遵守基準に係る部分についてご議論をいただきたいと考えております。
 ただし、この部分につきましては、動物愛護管理のあり方検討小委員会でも、専門委員会で議論を踏まえてという、かなり細かい部分ではございますので、そのような意味では、別にまず専門委員会を設けて、そこで議論を踏まえた上で、部会にお諮りするという形ができればと今のところは考えているところでございます。
 それともあわせまして、基本指針とその他積み残しになっていた省令部分を合わせて3月に再度改正を行うという2段階になるものと現状では考えております。
 先程、ご説明させていただきましたように、法の改正は公布から1年以内という形でありますので、9月冒頭というのが一般的かと考えております。もう少し早く施行するということも制度上はできるのですが、これだけ検討事項がございますし、我々環境省で省令等を公布した後、各自治体で条例を作っていただいて、その後、周知徹底ということも進めていかなければいけないものですから、そのような意味で、かなりこのスケジュールでもぎりぎりな状況ではあると思っておりますので、そのような意味で、目一杯公布からの一年間を使って作業をさせていただきたいと考えているところでございます。

【林部会長】 はい、ありがとうございました。
 ただいま事務局からご説明いただきましたが、大変なスケジュールですが、何かご質問、ご意見ありますか。いかがですか。
 もう小委員会ではなくて部会がこんなに頻繁に行われるというのは、なかなか珍しいですね。よろしいでしょうか。
(はい)

【林部会長】 それでは、ご了解いただいたということで、次の議題に移ってよろしいでしょうか。
(はい)

【林部会長】 はい。次の議題は議事の2になりますが、警戒区域に取り残された犬猫についてでございます。
 これも事務局からご説明いただきます。

【事務局】 それでは、事務局からご説明します。
 この議題、警戒区域内における犬猫の保護活動の進捗状況は、先月行いました前回の部会でも進捗についてご報告させていただいたところです。福島県の職員の方に現地の状況のご報告をいただくとともに、環境省としても今年度の取組みの方向についてご説明させていただいたところです。
 本日は、前回の部会以降、取組みを進めましたので、その部分について、資料5を使いましてご説明をさせていただきます。
 警戒区域内の犬猫の保護活動につきましては、今年度も、福島県を中心して、住民の依頼や、目撃情報から保護活動を継続しているところです。
 また、その保護した動物につきましても、福島県内の2カ所のシェルターを活用し、保護、収容しています。また、保護、収容した動物については、できるだけ飼い主の方に返還、また新しい飼い主の方への譲渡活動を続けているところです。
 一方で、警戒区域の中にはまだ動物がたくさん残されているのではないかという情報もございます。やはりそうしたことにもまだまだ対処していかなければならないということで、再度どのぐらい犬猫が生息をしているのかという生息状況調査を行いました。
 7月31日から8月9日まで住民の方からの依頼や、目撃情報のあったところに自動的に動物が通ればカメラのシャッターがおりるような自動撮影の手法をとり、今は警戒区域は4つの町になっていますが、そこに合計で44カ所の自動撮影のポイントを設定しまして、そこに10日間カメラを回したところ、どの位の動物がいるのかということを調査いたしました。
 その結果、犬猫合わせまして約数十頭まだ確認ができているという状況です。
 また、去年の5月からの住民の一時立入りの際に、住民の方からまだ警戒区域の中に動物が取り残されているという申し出をいただいているところですが、その情報についてのフォローアップが十分にできていないところがございまして、ここでもう一回改めて住民の方がどういった状況にあるのか、例えば、住民の一時立入りした後に、例えば幸いに動物が帰ってきたのか、それとも亡くなってしまったということを事実確認できたのかとか、また、まだ見つかっていないが保護してもらいたいのかといった意向を確認した方がいいのではないかということで、8月16日から8月31日にかけて、環境省と福島県または福島県動物救護本部で、その一時立入りされた方で動物が戻った方は除きましたが、約1,000名以上の方に個別に電話を差し上げて、状況はどうなっているかを緊急に調査いたしました。
 その結果、再度保護依頼をお願いしたいという方が332人いらっしゃいました。まだまだ要望もあるということで、早急に一斉の保護活動を考えています。
 この取組みは遅かったのですが、それはなぜかと申しますと、今の二つあるシェルターでは十分に収容出来ないということで、ようやく7月26日に、200頭程度入れるシェルターが完成して、準備が整ったというところで、9月7日から約1カ月間をかけて目撃情報のあったところ、要望のあったところを中心に犬猫の一斉の保護活動を行っていきたいと考えています。
 保護の状況につきましては、次回以降の部会の中でどの位の動物が保護できたのか等について、またご説明したいと考えています。明日からこのような一斉保護活動を行うということをご報告させていただきます。
 以上です。

【林部会長】 はい、ありがとうございました。
 ご質問、ご意見ございますか。
 9月7日、明日からですね。10月2日まで一斉保護活動をされるということですが、はい、どうぞ。佐良委員。

【佐良委員】 うちの犬とか、うちの猫を探してほしいというご依頼がある場合はいいのですが、あったとしても、うちの近くのボランティアの方から聞いた話ですが、「うちのポチを保護してほしい、探してほしい」という依頼があり、その人は捕まえたんです。捕まえて依頼主に「おたくのポチがいましたよ」と言ったら、「ちょっとお待ちください。お父さん、ポチ、まだ生きていたんだって」「ええっ」という話でした。犬がいないと寂しいので、既にペットショップで、避難所では大きいのは飼えないから、小さい犬を買ってしまいましたと、そのような事例もございます。非常に人間はひどいです。
 それで、結局シェルターに保護されますよね。飼い主がそのような状態で飼育を拒否した場合はどうなりますか。

【事務局】 前回の動物愛護部会の中でもたしか大きい犬の方がシェルターに管理したものについての割合だとか等の扱いについては、どうなるのかとお聞きしたかと思います。
シェルターに入っている犬猫の約半数は、飼い主がわかっている状況ですので、シェルターを管理しています獣医師の方から、動物の状況を伝えるとともに、引き取っていただきたい旨の電話連絡をしているところです。
 この次には、東京でも、日野にシェルターをつくり、福島の動物を収容管理している訳ですが、例えば飼い主さんとの契約というような形で、いつまでここに保管していくような契約行為をとる。ただ口頭だけでなくて、そういった文書のやりとりを通して、飼い主さんたちに責任を持ってもらう、責任を持って飼えなければ次の方に預けてもらうなど、動物たちの為に飼い主として何をすべきかということをご説明して、取組みを進めていきたいと考えています。

【林部会長】 よろしいですか。どうぞ。

【佐良委員】 これは取りとめのない話になるかもしれませんが、何とか動物と一緒にもう一回暮らしたいが、自宅は警戒区域で住めない。今、住んでいるところは動物の飼育が禁止である。そういう方たちをバックアップしてあげるような、そのようなグループにも、ご協力も得られるような、そういう動きも、お忙しくてそんなことを申し上げられないとは思うのですが、できればそのような手助けもしてあげられたらいいのになと思います。

【林部会長】 どうぞ。

【事務局】 ありがたい意見だと思いますので、是非とも返還、譲渡だけでなくて、例えば、一時的に預かっていただけるようなホストファミリーなどの取組みも進めていきたいと思います。今日、参考資料として1枚チラシを配らせていただきましたが、動物愛護ふれあいフェスティバル、これは毎年動物愛護週間9月20日から26日ということで、全国各地の自治体においても、動物愛護に関する普及啓発の事業をやっていますが、このチラシは東京で行うイベントですが、そこにおいても新しい飼い主を見つけるような譲渡の取組みも行っていきたいと思いますので、佐良委員からお話のありました、できるだけ広範囲な、ご理解いただけるような取組みを進めていきたいと思っております。
 何かの機会があれば、またご協力いただけると大変助かりますので、よろしくお願いいたします。

【林部会長】 はい、ありがとうございました。
 ほかにございますか。よろしいですか。
 もしこれでよろしければ、この議題ではないところで、議事の2は終わりたいと思いますが、それでは、それ以外のことで何かありましたら、どうぞ。

【太田委員】 6月1日から深夜販売が規制されました。約3カ月たちましたが、法改正の効果が大きく出ていると現場では感じています。
 ペットショップでは、子犬の在庫をリアルに伝えるために、ホームページに全ての在庫が載っています。最近、深夜販売のお店の在庫が法改正後大幅に減りました。大幅に減ったということは、販売頭数が減ったということです。
 全国的に深夜販売の営業時間の規制に付いては、100%近く守られていると思います。ただ現場に一部の混乱も見られます。一つの事例として、8時を過ぎて、例えば15分ぐらいまで説明がかかってしまった、それが愛護団体の方より行政に苦情が入り指導があったという報告を受けております。
 今回の法改正の深夜販売禁止は、夜の2時、3時まで売るのは好ましくないというのが主旨であって、15分、20分過ぎる事は法律的には違反かもしれませんが、やはりデパート等でも蛍の光の音楽が鳴って、すぐにお帰り下さいという訳にはいかないと思います。その辺、現場でどう対応していいのかという意見が当会にも多数上がっています。それだけみんなが真剣に考えている結果だと思いますが、販売に当たっては、18項目の説明をするのに大分時間がかかってしまいます。
 そうしますと、10分、15分遅れてしまう事もあります。急ぐあまり販売、説明責任が十分に果たせなくなっては困ります。生体は8時前に売って、餌のやり方とか、犬具とか、用品については、その後説明している。だから、時間がやや過ぎてしまう事もありますので、その辺も考慮していただきたいと思います。
 以上です。

【林部会長】 詳細なご報告ありがとうございました。夜の8時というのは、ラストオーダーなのか、閉店なのかというのは、是非よくお考えいただいて、ご指導いただければと思いますけども。
 よろしいですか。ほかに何か。はい、どうぞ。

【山﨑委員】 猫カフェについては、最後まで動物愛護部会で協議させていただいたのを思い出すのですが、その後、ヤギカフェですとか、鳥カフェですとか、最近テレビでよく出ていますし、ヤギカフェは私も渋谷なので行って見てまいりましたが、今後は、どんどん現状を法律が追いかけていくという形なるので、この猫カフェばかりではなくて、他の動物たちのカフェのこともまた考えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

【林部会長】 はい、ありがとうございます。
 たしか渋谷にはヤギカフェがあるのですよね。何かありますかね。そういうことも考えていただくということで、よろしいでしょうか。
 他には何かありますか。
 よろしいですか。ちょっと雑談をさせていただきたいと思いますけど、最近、週刊文春、そしてNHKのクローズアップ現代なんかでお迎え現象について随分報道がありました。このお迎え現象というのは、つまり亡くなる人の枕元に立って招いてくれる訳ですが、そこに亡くなられたお父さん、お母さんとか、友人だけではなくて、ペットがお迎えに来るというのは結構あるということが分かってきて、これは環境省の関係の国立環境研究所の所長をされていた大井玄先生が中心になって大規模調査をやられた結果のようですが、その調査の結果では、約4割の人がお迎え現象を経験していると、約4割の人のお迎え現象を経験した人の約9割は安らかに亡くなられていると、これまでですとお迎えというのは、死を間近にした精神活動の一種の衰えといいますか、幻覚ではないかということで解釈、あんまり重視されていなかったのですが、むしろそう考えるよりも、人間が不安、死ぬということに対する不安を解消する一種の積極的な生理現象ではないかという解釈も成立されておりまして、これは今後ともずっと研究されていくことですが、私が一つ申し上げたいのは、ペットがいるということで、これまでペットについては、あんなものどうでもいいという人もいたのですが、そういうことでも貢献しているとすれば、大変社会的にも重要な存在かなということと、もう一つ、こういう調査というのはなかなかやりにくい調査だと思うのですよね。ペットに関する今度の法律の改正で、やっぱりある程度科学的なデータをきちんと集めることが重要だということを法律が保証したようなもの、今回の法律はそうしなさいと言っているような法律になっていますので、構造的に、是非環境省におかれましては、この調査活動といいますか、科学的な裏づけを得るための活動は進めていただけたらと思います。
 よろしいでしょうか。
(はい)

【林部会長】 それでは、私の方は、この議事を終了させていただきたいと思います。どうもご協力ありがとうございました。
 事務局にお返しいたします。

【事務局】 次回の部会の日程につきましては、10月上旬にヒアリングを予定しておりますが、日時につきましては、決まり次第、追ってご連絡差し上げます。
 これをもちまして、本日の動物愛護部会を閉会いたします。