中央環境審議会動物愛護部会(第23回)議事録

1.日時

平成20年7月8日(火)午前10時01分~午前11時37分

2.場所

虎ノ門パストラルホテル アジュール(新館6階)

3.出席者

林部会長、青木委員、伊藤委員、今泉委員、太田委員、大矢委員、奥澤委員、藏内委員、佐良委員、菅谷委員、永村委員、兵藤委員、前島委員、松下委員、 丸山委員、桜井自然環境局長、黒田審議官、奥主総務課長、植田動物愛護管理室長ほか

4.議題

  1. (1)ペットフード小委員会(仮称)の設置について
  2. (2)動物愛護管理基本指針の点検(報告)
  3. (3)その他

5.配付資料

資料1-1
愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律について
資料1-2
諮問書、付議書
資料1-3
ペットフード小委員会の設置について(案)
資料1-4
ペットフード小委員会の運営方針について(案)
資料1-5
検討スケジュール(案)
資料2
動物愛護管理基本指針の点検(進捗状況)について
参考資料1
中央環境審議会議事録運営規則
参考資料2
愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(平成20年法律第83号)
参考資料3
動物愛護管理基本指針

6.議事

【事務局】 定刻となりましたので、中央環境審議会動物愛護部会を始めます。
 まず、委員のご出席について、ご報告いたします。
 本日は、1名ご到着が遅れていますが、14名ご出席されておりますので、規定により部会は成立しています。
 続きまして、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきます。
 中央環境審議会第23回動物愛護部会と書いてございます資料、委員名簿。資料1-1から資料1-5、資料2および別表と参考。参考資料1、参考資料2、参考資料3でございます。
 資料に不備がございましたら、事務局までお申しつけいただければと思います。
 なお、委員の先生方には、前回議事録案も配付しておりますので、後ほどご確認いただき、訂正等がございましたら事務局までご連絡ください。
 それでは、林部会長、よろしくお願いいたします。

【林部会長】 はい、承知しました。
 それでは、ただいまから中央環境審議会動物愛護部会を開催いたします。
 議事に先立ちまして、桜井自然環境局長からご挨拶をいただきたいと思います。

【桜井自然環境局長】 おはようございます。自然環境局長の桜井でございます。本日は、早朝から動物愛護部会にお集まりいただきまして、大変ありがとうございます。
 日ごろから動物愛護行政につきまして、委員の先生方に多大のご助力をいただいております。この場を借りまして厚く御礼を申し上げたいと思います。
 前回の動物愛護部会で、ペットフードの安全確保に関する法律の検討状況について報告をさせていただきました。このペットフードの安全確保につきましては、昨年のアメリカでの事故に端を発して、日本国内ではペットフードの安全確保に関する規制がないことから、新たに環境省と農林水産省で法律を導入しようということで検討してまいりました。3月にこの法案を国会に提出し、全会一致で6月11日に成立をしたところでございます。今後、この法律の施行という段階に入ってまいります。
 内容につきましては、事務局からご説明申し上げますが、施行に関して重要な部分は、ペットフードの安全確保に関する基準とか規格というものになってまいります。この基準・規格につきましては、この中央環境審議会と農林水産省の農業資材審議会、それぞれのご意見を伺いながら設定していくということになっております。
 本日はその第一歩として、この基準・規格の検討をどのように進めていくかということについて、ご審議を賜りたいと思っております。
 また、あわせまして、平成18年10月に定めた動物愛護管理基本指針につきまして、指針制定後の実施状況について点検をいたしましたので報告をさせていただきます。これにつきましても、忌憚のないご意見をいただければと考えております。
 以上、簡単ではございますが、最初の挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

【林部会長】 ありがとうございました。
 それでは、事務局から動物愛護部会の委員の異動をご紹介いただきます。

【事務局】 それでは、ご紹介いたします。  前回まで委員としてご就任いただいておりました信國卓史委員におかれましては、6月11日付でご退任され、同日付で永村武美委員がご就任されましたので、ご紹介申し上げます。

【林部会長】 ありがとうございました。永村委員、一言お願いいたします。

【永村委員】 ジャパンケネルクラブの永村でございます。よろしくお願いいたします。

【林部会長】 それでは、議事に入りたいと思います。
 議題の一つ目は、ペットフード小委員会、これは仮称でありますが、この設置についてです。
 まず、事務局からご説明いただきます。

【動物愛護管理室長】 環境省の動物愛護管理室長、植田でございます。今回もどうかよろしくお願い申し上げます。
 今回の議題は部会の中にペットフードの小委員会を設置していただくという案でございます。局長からご説明したように、ペットフード法につきましては、今国会で成立いたしました。この法律に基づいた審議をどのように進めていくかにつきましては、最近の情勢をご紹介したうえで詳細を説明させていただきたいと思います。
 一つの情勢としては、ペットに対する関心が本当に高まっているということでございます。ペットの飼養数で申しますと、2,500万匹にも達したという推計がございます。これは、未成年者の数が今2,400万人でございますので、それを上回ったという状況にあります。さらに、質的な面で申し上げますと、ペットを家族や子供のようにかわいがる方が増えてきております。それに伴い、動物そのものの取り扱いを適正に行うということは勿論ですが、ペットフードほかペット用品やペット保険など、いわゆるペット産業も関心を呼ぶようになってきている状況にあります。このような情勢の中で、人間の食の安全とも比較して論じられてきたペットフードの安全を、きちんと確保するということが、動物愛護の観点からも極めて重要になっていると感じております。
 もう一つは、この法律の制定につきましては、農林水産省と環境省とが共同で法案をつくって提出をしたということです。農林水産省が飼料全体を、そして環境省が動物愛護を所管していることから両方にかかわるということで、両省で提出をし、両省が共同して所管、運用していくという、これまでにない極めて画期的な法律だと思っております。動物を扱う省庁は他にもありますが、獣医の関係も所管をされている農林水産省と我々環境省が協力し合い、関係団体等との連携も深めて進めていくということが、このペットフード法では極めて重要ではないかと考えている次第です。
 そこで、どのように審議をするかといいますと、両省には中央環境審議会と農業資材審議会というのがございまして、この二つの審議会の意見を聞いて、基準・規格を決めるということになっております。そのため、それぞれの審議会に、さらにもう少し専門的な分野の先生方も加えたような形で小委員会をつくりまして、小委員会同士が共同で開催をして、議論をするというのが効率的ではないかと我々は考えております。
 したがいまして、この中央環境審議会の動物愛護部会の中にも、ペットフードを専門に検討する小委員会を作ることをご提案させていただきました。
 詳細をご説明申し上げますので、よろしくお願いします。

【事務局】 ペットフード法を担当しております、荒牧と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、資料に沿いまして説明をさせていただきます。資料1-1、「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律について」をごらんください。
 まず、経緯でございますが、前回の2月の部会におきましても若干ご説明いたしましたように、昨年3月、アメリカでメラミンが混入したペットフードが流通したということで、多くの犬、猫が死亡した事件が発生いたしました。
 6月には、その同様のペットフードが輸入され、国内でも流通していたことが判明したことも踏まえ、昨年8月、有識者による研究会を設置いたしまして、11月には法律の導入が必要であるという方向性の取りまとめをいただきました。
 ここまでが前回お話ししたところかと思いますが、先ほど局長からもお話しいたしましたように、今年の3月に第169回国会に「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」案ということで、提出をいたしまして、先月6月11日に成立、18日に公布してございます。
 2番目の法律の概要でございますが、2ページ目のポンチ絵をごらんいただければと思います。
 法律の目的としましては、愛がん動物用飼料、いわゆるペットフードの製造等に関する規制を行うことによって愛がん動物用飼料の安全性の確保を図り、もって愛がん動物、いわゆるペットの健康を保護し、動物の愛護に寄与することを目的とするとしてございます。
 大まかな概要を申し上げますと、国で愛がん動物用飼料、ペットフードの製造の方法と表示についての基準、それから成分についての規格を設定しまして、その基準または規格に合わないものについては、製造、輸入等を禁止する。それ以外につきましても、有害な物質を含む飼料が出回りました場合には、その製造を禁止することは勿論のこと、廃棄や回収の命令ができるようにしているということでございます。
 製造業者及び輸入業者につきましては、営業としての届け出をしていただくということと、販売業者も、小売りは除きますけれども、卸までは帳簿を備えつけて、製品の流通経路がわかるような形をとってございます。
 これが6月18日に公布されたということで、公布日から1年以内で施行ということになっておりますので、これから規格・基準を設定して、施行に間に合わせるようにしていきたいと考えております。
 3ページ目は、中央環境審議会に関係する条文でございます。先ほどもご説明いたしましたとおり、愛がん動物用飼料の製造の方法もしくは表示に関する基準、あるいは成分についての規格を設定、あるいは改正、廃止をしようとするときは、農業資材審議会及び中央環境審議会の意見を聞かなければならないということになってございます。
 また、有害な物質を含む愛がん動物用飼料が出回るなどという、規格・基準に入っていないことで急遽対応しないといけないような場合でも、農業資材審議会と中央環境審議会の意見を聴いて、これの製造、輸入または販売を禁止することができるということになってございます。
 法律の詳細につきましては、参考資料2に添付してございますので、後ほどごらんいただければと思っております。
 資料1-2に参ります。中央環境審議会に対しまして、鴨下大臣よりの諮問が7月2日付で発出されてございます。
 内容としましては、愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(平成20年法律第83号)第5条第2項の規定に基づき、同条第1項の愛がん動物用飼料の基準及び規格の設定について貴審議会の意見を求めるということでございます。
 これの裏面をご覧ください。鈴木会長から林部会長に、中央環境審議会から動物愛護部会に付議するということも同日付で出されております。
 1年以内という短い期間の中で、成分の規格ですとか、あるいは製造方法の基準、表示の基準といったものを設定していくことになるのですが、内容につきましては、極めて専門的なものでございますので、私どもとしては、本部会におきまして、小委員会の設置をご提案したいと思っております。
 参考資料1中央環境審議会議事運営規則というものをご覧いただければと思います。こちらの2ページ目に、小委員会の設置についての規定がございます。読み上げさせていただきます。
 第八条 部会は、必要に応じ、その定めるところにより、小委員会を置くことができる。
 2 小委員会に属すべき委員、臨時委員又は専門委員は、部会長が指名する。
 3 小委員会に委員長を置き、部会長の指名により、これを定める。
 4 小委員会の決議は、部会の定めるところにより、部会長の同意を得て部会の決議とすることができる。
 5は読みかえの規定でございます。
 これを踏まえまして、ペットフードに関しての小委員会の設置ということで案をご用意いたしました。資料1-3に戻っていただければと思います。
 こちらも読み上げさせていただきます。
 中央環境審議会議事運営規則(平成13年1月15日中央環境審議会決定。以下「議事運営規則」という。)第8条の規定に基づき、次のとおり決定する。
 1 動物愛護部会に、議事運営規則第8条の小委員会として、ペットフード小委員会を置く。
 2 ペットフード小委員会は、以下についての検討を行う。
 (1)愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律第5条に基づく基準規格の設定、改正又は廃止に関する事項。
 (2)愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律第7条に基づく愛がん動物用飼料の製造、輸入又は販売の禁止に関する事項。
 3 部会に設置する小委員会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は、部会長が指名する。
 4 ペットフード小委員会の決議は、部会長の同意を得て、動物愛護部会の決議とすることができる。
 次は、資料1-4、ペットフード小委員会の運営方針についての案でございます。こちらにつきましては、本部会と同様に、会議を原則公表とすることと、代理出席は認めないこと、議事録についても作成し、原則公表をするといったことを書いてございます。
 最後に、資料1-5をご覧いただければと思います。今後の検討スケジュール(案)でございます。本日の部会でペットフード小委員会の設置をご了承いただけましたら、今後、基本的には3回にわたって小委員会を開催したいと思います。
 まず、第1回目は8月下旬、あるいは9月に入る可能性もございますが、その基準・規格の考え方、設定項目についての方向性をご審議いただきまして、10月には基準・規格の案についてお示しできる形にしておきたいと思っております。
 先ほども条文にございましたように、この基準・規格につきましては、同時に農業資材審議会の方にもご意見をお伺いすることになってございますので、小委員会は農業資材審議会と同時の開催という形をとらせていただきたいと考えております。
 各会議にお示ししますたたき台につきましては、専門家による愛がん動物用飼料委員会が作成することを考えております。愛がん動物用飼料委員会は、形の上では農業資材審議会の下に設置したいと思いますので、農林水産省が事務局ではございますが、勿論環境省も参加して作成いたします。これを両審議会の方にお示しして、ご議論、ご審議いただくという形をとっていきたいと思っております。
 その後、案についてご了承いただきましたら、パブリックコメントをかけまして、12月、あるいはもう少し延びる可能性もございますが、3回目の小委員会で答申をいただくということを考えてございます。
 その後、製品の規制等に関してのことでございますので、国際的にもWTOの通報等行政上の手続が必要となりますので、周知期間も考えますと、6月のぎりぎりまでお時間をいただくことになるのではないかと考えております。
 私の方からは以上でございます。

【林部会長】 ありがとうございました。  ただいまの説明につきまして、ご意見、ご質問ございませんか。

【永村委員】 ペットフード小委員会と愛がん動物用飼料委員会を同時に開催するということでしょうか。

【事務局】 愛がん動物用飼料委員会は、たたき台を作る検討会のような形になりますので、順次、小委員会の前に開催させていただいて、その案を公開の場である小委員会と農業資材審議会の同時開催の場でお示しをするということを考えてございます。

【永村委員】 わかりました。

【林部会長】 ほかにいかがでしょうか。特にございませんか。

【兵藤委員】 特にございません。

【林部会長】 はい、承知しました。特にございませんね。

(なし)

【林部会長】 では、小委員会の委員は部会長の私から指名することになっておりますので、本部会の委員から何人かを選ばせていただき、なおかつ、新たに委嘱する専門委員の方にも入っていただきながら進めてまいりたいと思います。こういうことでよろしいでしょうか。

(了承)

【林部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、ペットフード小委員会の設置につきましては、事務局から示された原案どおりご了解いただいたということにしたいと思います。
 それでは、議事次第の2に移ることになりますが、これにつきましては、先ほどもご説明ありましたように、動物愛護管理基本指針の点検についてということでございます。
 まず、事務局からご説明いただきます。

【動物愛護管理室長】 2番目でございます。動物愛護管理基本指針の点検のご報告をさせていただきたいと思います。これは初めてでございます。といいますのは、動物愛護管理法の法律改正は平成17年で、施行は平成18年6月でありました。それを受けまして、環境省では動物愛護管理基本指針を平成18年10月に作成いたしました。
 その中に、この基本指針をきちんと推進するために、毎年環境省が点検を行って公表するということが決められておりました。審議会のご意見をいただくことは、基本指針の中では書かれておりませんが、審議会の先生方の専門的なお立場からご意見やご指導をいただければと思います。今回、平成19年度に実施したことを中心にまとめましたが、中には着実に、関係の方々、団体の方、関係省庁の方と一緒になって努力をした成果が少しずつ出ている分野もありますが、勿論、すべてが順調に行っているわけではありません。基本指針に書かれてはいるけれども、これから検討を始めるというような分野もあります。そういったことを改めて反省をするといった意味も含めまして、点検をやったつもりであります。
 審議会の先生方には、是非この内容につきまして、ご意見をいただければと思います。
 詳細を説明いたします。

【事務局】 動物愛護管理室の村上と申します。
 資料2に基づきましてご説明させていただきます。資料2につきましては、右肩に資料2と書いてある資料と、A3の別表の資料と、右肩に参考と書いてあるカラーの資料の3部構成になっております。順次、この資料をご覧いただきながら説明をいたします。
 まず初めに、参考資料3の動物愛護管理基本指針をご覧いただければと思います。こちらが平成18年10月に策定されております基本指針でございます。この中の第2の「今後の施策展開の方向」の2の「施策別の取組」に、(1)から(10)まで、現状と今後取り組むべき施策の方向が掲げられております。資料2につきましては基本的にこの順番に沿ってまとめてありますので、この順でご説明させていただきたいと思います。それでは、資料2に戻ります。
 こちらは、平成19年度に環境省や関係団体、関係省庁で行われた取組ですとか、平成20年3月に一般市民のアンケート調査を実施した結果に基づきまして取りまとめたものです。
 「普及啓発」の環境省等の取組というところからご説明させていただきます。
 動物愛護週間、適正飼養の推進、マイクロチップの普及の推進、改正動物愛護管理法の周知などに関するポスター3種、パンフレット3種及びリーフレット1種を新たに作成し、都道府県、指定都市及び中核市や、関係団体等の方に計約96万部を配布しております。なお、以後、「関係自治体」とは、都道府県、指定都市及び中核市を指し、平成19年度末時点では99自治体が該当いたします。
 動物愛護週間期間中に、東京都、台東区、動物愛護団体等と協力して、上野恩賜公園においてシンポジウムや屋外イベント、動物愛護管理功労者大臣表彰等の動物愛護週間中央行事を開催したほか、全国97の関係自治体が143の動物愛護週間地方行事を開催しております。
 政府広報テレビ・ラジオ、インターネットテレビ番組及び環境省ホームページ・広報誌等において、動物の愛護と適正な飼養に関する普及啓発を実施しております。
 国際会議(人と動物の関係に関する国際会議)や関係学会(日本動物実験代替法学会)において講演などを行い、わが国の動物の愛護及び管理に関する取組を国内外に周知しております。
 続きまして、現状・進捗状況になります。こちらの方は参考と書いてありますカラーの資料の1ページ目とあわせてご覧いただければと思います。
 環境省による一般市民を対象としましたアンケート調査において、「動物愛護管理法」の認知度が約71%に増加しております。この調査は、本年3月にインターネットにより実施したもので、サンプル数は無作為抽出した2,146となります。
 また、上段の資料で昭和61年から平成20年までの棒グラフが出ておりますが、昭和61年から平成15年までの調査に関しましては、内閣府が世論調査ということで実施したものです。これらは対面の面談方式での調査ですので、若干、調査の方法は異なっております。
 下の図に参ります。動物愛護管理法の主な規定に関する認知度について、平成15年の調査と同様の内容でお聞きしたところ、その内容を「知っている」と答えられた方が各項目大幅に上昇しているという状況でございます。
 なお、今後、アンケート調査というところでご説明させていただく場合は、このアンケート調査を参照しているということになりますので、御承知おきください。
 それでは、資料2に戻ります。「適正飼養の推進」という項目に入ります。環境省等の取組としましては、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」の一部を改正し、警察犬や追い払い犬などの放し飼いに関する規制を緩和しております。
 関係自治体の担当職員や動物愛護推進員等を対象とした「動物の適正飼養に関する講習会」を全国の3カ所で開催いたしまして、計397名が参加しております。
 続きまして、平成20年度の地方交付税の積算基礎に都道府県等における動物の収容等に要する経費、具体的にはエサ代・ワクチン代で計3.5億円を追加いたしております。
 現状と進捗状況の方に参ります。こちらの方は参考の2ページ目とあわせてご覧いただければと思います。環境省による一般市民を対象としたアンケート調査におきまして、犬ねこの不妊・去勢措置の実施率が、犬で約40%、ねこで約80%にそれぞれ増加しております。
 次の項目に参ります。「犬ねこの引取り数・殺処分数の減少」でございます。こちらの方は、参考の3ページ目とあわせてご覧いただければと思います。
 現状・進捗状況でございます。関係自治体の収容施設における犬ねこの引取り数は、平成16年度に比べて約12%減少しております。具体的には平成16年度約42万頭であったものが平成18年度で約37万頭ということで、約5万頭の減となっております。
 なお、基本指針では、今後10年で引取り数を半減するという目標を掲げているところでございます。
 続きまして、元の所有者等への返還や新たに飼養を希望する者への譲渡等の推進により、返還・譲渡数は約14%増加しております。具体的には、平成16年度返還・譲渡数が約2.9万頭であったものが、平成18年度は約3.3万頭に上昇しております。
 続きまして、引取り数の減少や返還・譲渡数の増加により、殺処分数も年々減少しております。加えまして、殺処分率も約91%に減少しております。
 参考の3ページ目をごらんいただければと思います。こちらの上段に、犬・ねこの引取り数の推移というものを図にしております。これは統計があります昭和49年度からの年次変化を表したもので、殺処分数と殺処分率ともに減少している状況でございます。
 加えまして、下の表の方で、全国の犬・ねこの返還・譲渡率の推移というものを同様の年次変化で記載させていただいております。引取り数は上段で申し上げましたように年々減少しておりますが、返還・譲渡数の方は逆に増加しています。したがって、率に換算しますと、かなり返還・譲渡率が向上している状況にございます。
 続きまして、資料2の「適正譲渡の推進」という項目に参ります。環境省の取組としましては、関係自治体に収容された迷子動物や譲渡動物をインターネット上で検索できる「収容動物データ検索サイト」というものを平成18年度からインターネット上に掲載しております。こちらには、平成20年6月末現在で36自治体が参画しております。
 関係自治体の担当職員を対象とした「動物の適正譲渡講習会」については、全国2カ所で開催し、自治体の担当職員の方154名が参加しております。これは、自治体の収容施設に収容された犬やねこの譲渡をどのように推進していくかという内容の講習会になります。
 民間団体やボランティアと連携した収容犬の譲渡の推進に関するDVDを作成し、上記講習会等で活用するとともに、関係自治体等へ配布しております。
 現状・進捗状況につきましては、先ほど申し上げたとおり、全国の返還・譲渡数が約14%増加しております。
 次の項目は、「ペットフードの安全性の確保」でございますが、先の議題で説明がありましたので、割愛させていただきます。
 続きまして、「動物による危害や迷惑問題の防止」でございます。環境省の取組としましては、特定動物の選定基準等のあり方検討のため、資料収集及び各種調査、有識者のヒアリング等を実施しております。
 現状・進捗状況としましては、特定動物として、全国で約37,000頭が飼養許可を受けております。こちらについては、表3として、法改正前後での飼養許可状況の推移を掲載させていただいております。
 全国における犬の咬傷事故件数が約12%減少しております。こちらは平成16年度が6,067件だったものが、平成18年度で5,315件ということでございます。
 次は、「マイクロチップ等による所有明示(個体識別)措置の推進」という項目でございます。
 環境省の取組としましては、都道府県獣医師会等の協力のもと、開業獣医師、関係自治体の担当職員等を対象としたマイクロチップの埋込に関する技術講習会を全国4カ所で開催して、計218名が参加しております。
 マイクロチップの普及推進に関するポスター及びリーフレットを作成し、関係自治体及び関係団体等に約27万部を配布しております。こちらは再掲になります。
 続きまして、現状・進捗状況でございます。こちらは参考の4ページ目とあわせてご覧ください。
 アンケート調査におきまして、犬ねこの所有明示措置の実施率が、犬は約44%、ねこは約26%にそれぞれ増加しております。こちらは4ページ目の表4と参考の方にグラフで表示してあります。
 続きまして、動物ID普及推進会議(AIPO)へのマイクロチップの登録数が、平成18年度末で63,000件だったものが平成19年度末で131,000件に増加しております。
 参考の4ページ目をご覧ください。下の段にマイクロチップの登録数の推移を掲載させていただいております。平成17年度末で1万件程度だったものが、その後データベースの統合等もあったのですが、平成18年度で6万件、平成19年度で13万件、先月末の速報値ですと15万件程度と、急激に伸びている状況にございます。
 資料2に戻ります。続きまして、「動物取扱業の適正化」でございます。環境省等の取組としましては、動物販売業における販売実態等について、環境省と全国ペット小売業協会が共同で、動物販売業者に対してのアンケート調査を実施しております。
 続きまして、全国ペット小売業協会及び都道府県等に対して、ペット販売時の表示・説明等に関する業者の法令遵守の徹底を依頼しております。
 現状・進捗状況でございますが、こちらは参考の5ページ目とあわせてご覧いただければと思います。動物愛護管理法の改正により、動物取扱業の登録施設数が法改正前後で約1.6倍に増加しています。これはインターネット等の通信販売やペットシッターといった業種が新たに登録を要する業種となったことに伴うものと考えられております。
 続きまして、5ページ目で、「実験動物の適正な取扱いの推進」でございます。現状・進捗状況としましては、改正動物愛護管理法及び「実験動物の飼養並びに苦痛の軽減に関する基準」の告示を踏まえ、文部科学省、厚生労働省、農林水産省がそれぞれ策定しました動物実験等の実施に関する基本指針や、日本学術会議がとりまとめた「動物実験の適正な実施に向けたガイドライン」によって、「3Rの原則」や実験動物の飼養保管基準の遵守を推進しております。
 続きまして、「産業動物の適正な取扱いの推進」でございます。こちらは、農林水産省さんの取組でございまして、平成19年4月に検討会を立ち上げるともに、検討会に採卵鶏及び豚の分科会を設置し、アニマルウェルフェアに対応した家畜別の飼養管理指針作成の検討に着手しております。
 続きまして、「災害時の対策」でございます。こちらは関係団体等の取組でございますが、平成19年7月に発生した新潟中越沖地震において、新潟県、新潟県獣医師会、新潟県動物愛護協会が中心となりまして動物救済本部を設置し、負傷動物の救護や資金及び物質的な支援等、被災動物及び飼い主への支援を実施されています。
 また、災害時における動物の救護や特定動物の逸走防止及び捕獲等の措置の迅速な実施のため、マイクロチップ等による所有明示措置の実施及び普及啓発を推進しております。こちらは、再掲でございます。
 現状・進捗状況としましては、全国の76自治体におきまして、災害対策基本法に基づく地域防災計画の中で、災害時における負傷動物の救護、迷子動物の捜索、動物対策本部の設置等の動物愛護管理に関する事項を明記されております。
 続きまして、「人材育成」でございます。
 環境省の取組としましては、関係自治体の担当職員等を対象に、動物愛護管理業務の遂行に必要な専門的知識の習得を目的とした「動物愛護管理研修」を開催し、自治体の担当者の方、計88名が参加しております。また、前述しましたような各種講習会を別途開催しております。
 現状・進捗状況は参考の6ページとあわせてご覧いただければと思います。まず、地域における動物の愛護や適正な飼養に関する指導・助言や講習会の講師等を行う「動物愛護管理推進員」につきましては、37の関係自治体で2,187名が平成20年3月末現在で委嘱されています。
 関係自治体や地域の獣医師会、関係団体、市町村等からなる「動物愛護管理推進協議会」は、全国で26協議会が設置され、35の関係自治体の方が参画しています。こちらの方は、例えば都道府県の設置される協議会にその県内の中核市が参加されるといったような形で、協議会数と参加自治体数が若干異なっている状況にございます。
 参考の6ページの上段に推進員の委嘱と協議会の設置状況につきまして、図で掲載しております。左側は、動物愛護推進員の委嘱状況です。委嘱を実施している自治体数が棒グラフ、実際の委嘱数が線で記載されておりますが、それぞれ着実に増加している状況でございます。また、右側の方が推進協議会の設置状況でございますが、同様に毎年増加している状況でございます。
 続きまして、資料2の「調査研究の推進」でございます。
 環境省の取組としましては、動物愛護管理に関する各種文献等の収集・整理に着手しております。また、各種会議等を通じて、関係自治体、獣医師会、関係業界団体、関係学会等との連携の強化を図り、科学的な知見等に基づく施策の展開を推進しております。
 続きまして、「動物愛護管理推進計画の策定」の項目でございます。こちらは冒頭で申し上げました基本指針の10の施策別の取組には含まれておりませんが、各都道府県が原則として19年度中に動物愛護管理推進計画を策定することとなっていますので、その策定状況を取りまとめたものです。A3の別表をご覧ください。別表の見方について、先にご説明をさせていただきます。
 左の方から、策定の年月日、次の欄には策定の際にパブリックコメントを募集したか否かについてチェックが入っております。それ以降、普及啓発や適正飼養の推進による動物の健康と安全の確保等、1から10の項目が掲載されておりますが、これは基本指針の「施策別の取組」に対応したものになっております。
 それぞれの項目について、各推進計画に記載がございます場合は丸、記載がない場合は空欄になっております。
 それでは、資料2の方へ戻らせていただきます。平成20年6月末までに、44都道府県がパブリックコメントの実施や検討会の設置等により、地域の多様な意見の集約や合意形成の確保を図った上で、「動物愛護管理推進計画」を策定しております。まだ策定されていないのは滋賀県と岡山県と沖縄県ですが、3県ともできるだけ早くということで、年度内の作成に向けて頑張っておられます。
 それぞれの計画は、動物愛護管理基本指針に即しまして、動物の愛護及び管理に関する普及啓発や適正飼養の推進、動物取扱業の適正化、実験動物及び産業動物の適正な取扱いの推進など、地域の実情を踏まえた具体的な目標や取組を明記しています。
 犬ねこの引取り数・殺処分数の減少につきましては、42都道府県が具体的な数値目標を明記されております。こちらの方は、先ほど申し上げましたとおり、基本指針で引取り数を半減するという数値目標を掲げております。今のところ、推進計画にその数値目標の記載がないのが兵庫県と愛媛県になっております。
 動物愛護管理推進員につきましては、新たに17県が委嘱を予定しております。現時点では、先ほど申し上げたとおり、22都道府県が委嘱済みでございます。動物愛護管理推進協議会につきましては、新たに15県が設置を予定しております。こちらの方は、現時点では23都道府県が設置しております。
 最後になりますが、参考の6ページ目の下段の表に、今申し上げました推進員と協議会の設置状況の図をつけております。黄色のところは既に委嘱済みであったり、設置済みであったりするところ。水色のところが推進計画により、今後、委嘱や設置を行うことになっているところ、紫のところがまだ予定のないところとなっていますので、今後また大幅に委嘱や設置が進む状況だと思われます。
 事務局からは以上でございます。

【林部会長】 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの報告に何かご意見、ご質問ございませんか。
 今回は基本指針に基づいて、各地方自治体が立てられた推進計画も含めて点検を行うということで、非常に大切な作業をしていただいたわけですが、いかがでしょう。

【兵藤委員】 犬・ねこの返還・譲渡についてちょっとお尋ねしたいのですが、手元に返還・譲渡について分けた数字がございますか。あるいは、資料としてありますか。

【林部会長】 返還と譲渡の割合ですね。

【兵藤委員】 はい。一緒になった資料は統計がとられていますか。

【事務局】 統計では分けておりますが、すぐ手元にはございません。

【兵藤委員】 そうですか。返還と譲渡というのは、違いますよね。返還というのは飼い主のもとへ返すことで、譲渡というのは新しい飼い主を見つけるということ。ねこと犬とは大きな違いがありまして、ねこの返還というのはほとんどない。ゼロに近い数字だと思います。一方、犬の方は極めて飼い主が出てくるということで、返還・譲渡を一緒にしますと、性質は全く違いますのでここでは非常に読みにくい数字になってしまう。今後もし統計的にとっていくのでしたら、それぞれ数字をしっかりとっていただくことによって方向性が見えてくると思いますし、殺処分数の減少につながる指針になると思いますので、是非、今後ひとつよろしくお願いいたします。

【林部会長】 ありがとうございました。貴重なご意見だったと思います。
 ほかにいかがでしょうか。どうぞ、丸山委員。

【丸山委員】 別表に関連することです。呼び名は多少違うかもしれないですけれど、各自治体で愛護センターがつくられていないところは幾つくらいあるのでしょうか。わかれば教えていただきたい。
 また、施策の上で関連してくるだろうと思うので、愛護センターがあるかどうかについても、こういう表に一緒に載っているとわかりやすいです。

【林部会長】 お答えいただけますか。推進計画を進めるに当たっての中核的なセンターがあるかどうか。

【動物愛護管理室長】 数はにわかにはわかりかねるので、また後で調べてご報告申し上げます。
 まだ愛護センターという名前になっていない自治体も確かにございます。ただ、自治体には、いろいろな事情や状況、地域の実情等があり、それに応じて、そういう名前でなくても頑張っておられるところもあります。

【林部会長】 はい。ほかにいかがでしょう。松下委員、どうぞ。

【松下委員】 初歩的な質問で恐縮です。指針が推進されて、特に普及啓発はいろいろな形で進んでいるように見受けられましたが、動物愛護の心というのは、なるべく年少のころから育成することが大事かと思います。この普及啓発のいろいろな取り組みの中には、何か学校で青少年のための計画が入っているのか、あるいは地域の取り組みの中に子供たちのための計画が入っているのかといったことについて、おわかりになる範囲で教えていただけますか。
 もう一つは、動物愛護管理推進員という方たちが非常に増えていますが、具体的にどういうところでどのような活動をしていらっしゃるかを教えていただけたらと思います。
 以上です。

【林部会長】 それでは、お願いします。

【事務局】 まず1点目の、計画の方に学校教育との連携というような形でどのように記載があるかというところですが、44すべての都道府県で、学校教育との連携について記載がされております。
 2点目の推進員の活動については、過去にどのような活動をされているかといったことを調査したようでございます。それによりますと、主な活動としましては、地域の方々への飼い方指導のようなものですとか、動物愛護センターのようなところで講習会等が行われるときに講師として参加していただき、飼い方の講習をしていただくといったような活動が主になっていると伺っております。

【林部会長】 よろしいですか。
 太田委員、どうぞ。

【太田委員】 動物愛護推進協議会の件ですが、現在、自治体で設置が進んでおります。このメンバーについては、前回の法改正では各行政単位で、地元の獣医師会、愛護団体、動物取扱業者を含めて協議会を設置するようにというお話があったかと思いますが、現在、動物取扱業者は、ほとんどこの推進協議会のメンバーに入っておりません。現在約3万人の動物取扱業者がおりますし、飼い方に関してペットショップは大きな役割を果たしておりますので、是非、動物愛護管理推進員として動物取扱業者も少しずつでも取り入れていただけたらと思います。いい人材がいないと言われれば仕方がないですが、一生懸命地元で頑張っている人もおりますので、是非お願いします。

【林部会長】 ありがとうございました。
 青木委員、どうぞ。

【青木委員】 別のことで質問いたします。動物取扱業の適正化という項目ですが、恐らく前回の法改正で最も議論があり、一つの目玉改正だったと思います。そして、届け出制から登録制に移行したことに伴い、行政的に介入することが非常に強力にできるようになったというところがポイントだと思うのです。例えば、登録拒否ができるとか、あるいは登録の取り消しができるとか、改善命令ができるというような、さまざまな措置が新法に盛り込まれたわけです。登録数が増えているということはわかりますが、実際の運用実態として、具体的に登録拒否を行ったケースはどのようなもので、どのくらいあるのかということが、資料として蓄積されるととてもいいと思います。これは現場の方にとっては、最も肝が据わった対応を迫られるストレスフルなものだと思うのですが、折角作ったからにはやはりそこが動くかどうかということが重要かと思います。そういった点を含めて、もし資料等あればお願いしたいですし、もしなければ整備をお願いしたいということで発言させていただきました。
 以上です。

【林部会長】 どうぞ。

【動物愛護管理室長】 今現在、具体的な数字としては無いのですが、登録に際して拒否というか、最終的には登録をしなかったという例もあると聞いております。また、登録したものについて法律に基づいた指導を検討したり始めたというところもあるように聞いております。これはまた、次の点検もありますのでまとめていきたいと思います。
 最近、専門家の方を含めいろいろな方面から、法律として決めたからにはきちんと指導しなければいけないと言われています。特に言われているのは、ここに書いておりますような、登録業者なのに表示の掲示がないとか事前説明をしていないというようなところで、いろいろな情報がこちらにも寄せられておりますし、県の方にもあるようです。そこで、県と連絡をとり合ってやっていきたいと思いますし、改めて、業界の方にももう一度周知徹底をしてもらうようにはしております。
 さらに申し上げると、取扱業の中では、インターネットの業者とか移動販売の業者に違反を行う業者が多いというような指摘もあります。一方で、自粛に向けた取り組みを関係団体でされているといったような動きもあります。今回そういったことの全貌を調べるということまではできませんでしたが、そういった情報を今後も入手、あるいは情報交換をして、できるだけ適正なものにしていきたいと思います。けれども、まずは、県の方で取扱業者を適正に指導できているかどうかについて、もう少し念入りに実態を把握していくところから始めようと思っております。よろしくお願いします。

【林部会長】 ありがとうございました。
 今のご指摘も大変重要で、どんな場合に登録を受け付けないのか、あるいは登録を取り消すのかということについて、各都道府県での事例を環境省がまとめられるとわかりやすくなると思います。つまり、一定のスタンダードができ上がっていくと思いますので。できましたら、次回はそれを出していただきたいと思います。
 ほかにいかがでしょうか。藏内委員、どうぞ。

【藏内委員】 マイクロチップに関することでございます。資料の4ページの表5を見ていただきますと、平成18年が62,000頭、平成19年が13万頭と1年で倍増をしております。これは、環境省がいろいろな手だてでPRに努めている成果だと思っています。
 この増えている中身ですが、一番大きな要因は、ペット販売業者さんがマイクロチップを埋め込んで売っているということがございまして、それが大きなウエートを占めているということを聞いております。
 冒頭、20歳以下の人間は2,400万人、ペットは2,500万という話がございましたが、2,500万からすると、まだわずか0.5%しかないという数字でございます。そこで、是非、この委員の皆さん方にお願いであります。いろいろな手だて、あるいはいろいろな団体等で声かけをしていただき、推進をしていかないと、これ以上の伸びというのはなかなか難しいと思うからです。まず、太田副会長さん。ペットを販売されるときに、「マイクロチップを埋め込んでお買いになった方がいいですよ。」と声掛けをする運動をやっていただければ、大きな影響があるのではないかと思います。また、犬の登録数の多いジャパンケネルの永村理事長に委員になっていただきましたので、是非、ご協力をいただければ、大きく推進できるのではないかと思います。皆さん方の知恵をかりて、もっと大きく推進できるように努力をしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

【林部会長】 ありがとうございました。このまま倍々ゲームをしていただくと、平成22年には100万頭を超えるのですが、100万頭といっても2,500万のうちの本当にわずかです。恐らく、ドイツの30%が一つの最初の目標ではないかと思いますので、是非お願いしたいと思います。
 どうぞ、兵藤委員。

【兵藤委員】 先ほどのマイクロチップの件ですが、法の整備を是非していただきたいと思います。厚生労働省の範囲になりますが、狂犬病予防法の一部改正で、一生に1回登録をすると鑑札を出しています。このときにマイクロチップに変えるという法改正をしていただければ、つまり、新規登録から入れていけばそう抵抗なくいけるのではないかと思います。
 動物病院をやっている者としては、法の整備がないので、なかなか推進できません。説得するにも、法整備があれば一挙に進みます。とはいえ、全部の犬やねこに入れろということになりますと、これはまた大変な議論になりますので、まずは、初期の登録の際に鑑札のかわりにマイクロチップを入れるよう改正されればと思います。これが一つ。
 もう一つ、地方交付税の使い方につきまして、指導なり何かしていただきたいと思うのです。実は捨てられてくる動物たちは、今、年寄りの犬がとても多いのです。本来は、かかりつけの先生のところに行って麻酔を打ってもらう、つまり、自分の犬は自分で責任をとるというような指導をしなければいけないと思うのですが、実際は、立てなくなった動物たちを飼い主が自治体に預けています。そのため、死んでいく動物の保護管理施設にこの地方交付税を使ってほしいと思います。非常に冷たい床や、濡れた床で死を待つ犬はまだ沢山います。是非、このお金で床暖房を入れたり、上から温かい赤外線を照射してあげたりして、3日後、1週間後に処分をしていくというようにして欲しいです。ワクチンもいいですが、ワクチンを打つような犬は、この頃の犬の収容ではあまり来ません。また、若い子の場合は譲渡に行けます。年取った犬たちが死ぬまで温かいところで過ごせるように地方交付税が使われるようにご指導をしていただきたいと思います。今年からできたことですので、今後どうやって使われていくかについて非常に注目しています。またお教え願いたいと思っております。

【林部会長】 ありがとうございました。
 太田委員、どうぞ。

【太田委員】 先ほどもマイクロチップの普及率がまだ低いというお話がありましたが、年間、約100万頭の犬・ねこが売買されており、そのうちの50万頭がオークション経由だそうです。オークションで販売する場合、全部にマイクロチップを入れて売ったら、1年間で50万頭登録できます。但し、経費の点とか、マイクロチップそのものが大き過ぎて抵抗があるとか、いろいろ議論もありますが。また、個体識別については、保険会社がとても乗り気だそうです。このような状況もありますので、この動物愛護部会で、マイクロチップの普及小委員会のようなものをつくって、具体的に話を進めるのも一つの方法ではないかと思います。
 また、先ほど動物取扱業の登録取り消しについてお話がありましたけれども、昨年、国民生活センターに、動物の売買に関して1,500件の苦情があったそうです。この前、委員の方に伺ったところによると、数社の会社で苦情の約3分の1を占めているそうです。ですから、その数社は思い切って取り消しをしていただければ、相当苦情も減るし業界全体のレベル向上に繋がると思います。一生懸命まじめにやっている業者は、同じように悪い目で見られるという不満もありますので、もっと法律の運用を厳しくやっていただいた方がいいと取扱業者の1人として考えております。
 以上です。

【林部会長】 ありがとうございました。
 佐良委員、どうぞ。

【佐良委員】 動物取扱業者だけではなく、多頭飼育の人たちの把握、頭数の把握をしていただきたいと思います。
 ごみ屋敷には犬・ねこが沢山いて、そういうところで飼われている犬やねこたちは、実は被害者であるにもかかわらず、みんなから邪魔者扱いにされています。そこで、地域や家の環境に応じて飼育できる頭数の制限などをしたり、多頭飼育者に対して指導したりすることが必要ではないかと思います。
 また、そういう多頭飼育者の登録制もお願いしたいと思います。

【林部会長】 ありがとうございました。  ほかにいかがでしょう。大矢委員。

【大矢委員】 推進計画のことでお伺いします。この整理表の中には各都道府県の見直しについての年度数はございませんけれども、指導の方ではおおむね5年となっています。大体、全部5年ぐらいで来ているのでしょうか。
 それが1点と、もう一つ、それぞれその実施の概要を公表するとありますが、環境省そのものとしては、その辺の指導といったものをどのようにお考えでしょうか。

【事務局】 見直しの件については、今すぐ数は出てこないのですが、多くのところで見直しを行うという記載はございました。指導の方は、これから随時行っていきたいと考えております。

【大矢委員】 私は、実際に策定にかかわってきました。非常に短い時間の中で、これだけ膨大な計画を立てましたので、抜けている部分や、実際にそこまで踏み込めるのかなという部分がかなり出てくると思います。それを今後どう整理していくのでしょうか。それから、環境省として重要課題、つまり、犬・ねこの不妊・去勢・返還、それからマイクロチップの問題、それらに順番をつけて、ある程度、上位のものは常に把握をしていけるような方式をお願いできればいいと思います。

【林部会長】 よろしいですか。では、お答えいただきます。

【動物愛護管理室長】 推進計画は今回初めて都道府県で作られ、このような形で整理をさせていただくのも初めてでしたので、時間もかかってしまいました。我々としては細かいところも把握していきたいと思っています。
 ただ、やはり前提として、指針のところにも書いておりますように、地方自治体がそれぞれの状況に応じて、それぞれの工夫で、減点方式ではなくてプラスアルファで、自治体独自の先進的な施策を作ることはいいことと思っています。
 しかし、明らかに、全国のレベルにもう少し追いつくべきではないかというようなところについては、こちらとしてもお願いを今後ともしていこうとは思っております。

【林部会長】 ありがとうございました。
 この策定の年月日を見ますと、東京都は去年の4月にもう策定しているのですね。ですから、ほかの都道府県は、一から全部考えるというのが大変な場合は、東京都の推進計画をある程度横目で見ながら、自分の県に合った推進計画を立てられたというように理解しています。2番目に早かったのは確か宮城県ではなかったかと思いますが、伊藤委員、いかがですか。各地方自治体でこういう計画を策定されたときに、各都道府県の特徴をどのように出されるかということに、何かお考えというのはありますでしょうか。

【伊藤委員】 やはり地域の特性をよく把握した上で作っていくべきだと思います。宮城県は比較的その辺の把握が早期にできておりましたので、19年の12月ということで、地域の特性に合った形で策定ができたということでございます。

【林部会長】 ありがとうございました。
 ほかにいかがでしょう。まだ、ご発言になっていない委員の方も含めて、もしありましたら。どうぞ、永村委員。

【永村委員】 地方交付税に約35,000万円の一応積算基礎として経費を追加されておりますけれども、各都道府県でどの程度これを事業化されたかというのは調べておられるでしょうか。

【動物愛護管理室長】 まだ、これからであります。今まさにいろいろ作業を進めているところも多くございます。

【永村委員】 わかりました。

【林部会長】 ほかにいかがでしょう。
 これからまだまだ調べていただくことはありますけれども、この別表は大変優れた表だと私は思います。基本指針を環境省が出され、それに基づいて各都道府県が定めなければならないとされている推進計画を一覧にしますと、地方の事情があるにしろ、やはり何とかしてもらいたいなということが一目でわかります。そういう意味では、大変すぐれた形の法律を作って頂いたと思います。ほかにご意見ありませんか。よろしいですか。

(なし)

【林部会長】 よろしければ、私の方からこの推進計画について、環境省が各都道府県に指導される立場にもありますので要望を申し上げたいと思います。地域によっていろいろな事情があるにせよ、この別表の整理表を見ていただきますと、まだ計画を策定されていない県は三つあります。上から順番に行きますと、滋賀県は7月に策定予定でもうすぐだということです。それから、岡山県は11月策定予定。それから、沖縄県が来年の2月ですか。恐らくこれは、向こうからの回答に基づいて表を作られたのだと思いますが、この三つの県につきましては、できるだけ早く策定に向けた努力をされるべきであると環境省としておっしゃっていただきたいと思います。
 それから、先ほども話が出ましたが、兵庫県と愛媛県は、犬・ねこの引取りと殺処分の削減について数値目標が出されていません。この二つの県には「べき」というまで強い言い方ではありませんが、この数値目標を出していただきたいというお願いを是非環境省からおっしゃっていただけないかというお願いであります。いかがでしょうか。委員の皆様方、そういうことでよろしいですか。

(了承)

【林部会長】 それでは、そろそろ意見も出尽くしたようですので、このあたりで事務局からどうぞ。

【動物愛護管理室長】 先ほどの宿題といいますか、動物愛護センターという名前であるものとないものでありますけれども、名前がついているのは、99自治体のうち55、ないのが44ということでありますので、五、六割のところではそういう名前をつけているということでございます。

【林部会長】 ありがとうございました。
 では、委員の皆様、よろしいでしょうか。どうぞ、前島委員。

【前島委員】 時間が少し余っていそうなので伺いたいのですが、この別表のところで、(6)の実験動物の適正な取扱いの推進。「3Rの原則」の周知徹底。全部、丸がついているのですが、これは具体的にはどういうようなことで丸がついているか、もしわかったら教えていただきたいのですが。

【事務局】 こちらの方は、推進計画に動物実験施設への指導や普及啓発等を今後進めていきたいといった趣旨の記載があるところについては丸をつけております。

【前島委員】 ありがとうございました。実は、動物愛護団体も含め、あるいは行政、中には文科省や農水省なども含め、いろいろな啓蒙活動をした結果、今はもう、3Rということについて何もしないという研究機関は、少なくとも大学や企業あるいは公的な研究機関ではもうないだろうと私は思っているのです。
 一つだけ例を申しますと、私はJAXAという宇宙関係の、宇宙の動物実験関係の研究計画の審査の副委員長をやっておりますが、そういうことは、数年前までは審査をするというだけでクレームをつける研究者が随分沢山いたのですが、今では審査をすることについてクレームがつかないだけでなく、宇宙で動物実験をしますから、国際的な関心が非常に強いので、日本の法律では入っていない魚類や両生類についても、全部、委員会でチェックします。二、三年前までは法律がないのだからおかしいというようなクレームがありましたが、去年くらいからはそういう異議申し立てというものがなくて、意見を言えば全部受けてくれるようになってきております。
 こんなことをいうと混乱のもとになって、法律あるいは動物福祉団体の方から検討しろということになるかもしれないですが、動物実験の一番の問題は、生まれる前のいわゆる受精卵の扱いとなっております。ご承知のとおり、今いろいろな遺伝子診断あるいは治療に未熟な細胞を使っていますが、それが個体かどうかということについて、多くの大学の動物実験委員会が悩んでいるのです。日本の法律では、あるいはイギリスでも、妊娠期間の2分の1を超えないときには、それは個体とは認めないということは、みんなよく知っているのです。知っているけれども、やはり、動物実験委員会の中、特に、遺伝子工学とか胚操作などをやっているところでは、かなりそれが問題になっています。
 もっと具体的に言いますと、例えば、ハムスターは受精が始まってから生まれてくるまで15日と数時間なのです。恐らく、私の知っている動物の中ではハムスターが一番早いと思います。このように成長が早いので、一日のうちでも午前と午後ではその成長が違う。そういうことになると、生まれるまでは個体でないのだと言っていいのだろうかと、実際に研究している方が随分悩んでおります。
 時間があったので余分なことを申しましたが、ここで私が言いたかったのは、この3Rの普及というようなことは、もう、この表から削ってもいい状況ではないかということです。どうも失礼しました。

【林部会長】 ありがとうございました。
 ほかによろしいですか。

(なし)

【林部会長】 よろしければ、以上をもちまして本日の動物愛護部会の議事をすべて終了いたします。ご協力、ありがとうございました。
 それでは、事務局にお返しします。

【事務局】 林部会長を初めまして委員の皆様方には、ご出席いただきましてありがとうございます。
 これをもちまして、本日の部会を終了させていただきます。ありがとうございました。