中央環境審議会動物愛護部会(第10回)議事録

1.日時

平成17年9月21日(水) 午前10時00分~午後12時07分

2.場所

環境省 第一会議室

3.出席者

林 良博 部会長
青木 人志 委員      今泉 忠明 委員
大槻 幸一郎 委員 大矢 秀臣 委員
奥澤 康司 委員 藏内 勇夫 委員
清水 弟 委員 菅谷 博 委員
中川 志郎 委員 中川 李枝子 委員
信國 卓史 委員 兵藤 哲夫 委員

前島 一淑

委員

松下 倶子

委員

南川 自然環境局長 泉 総務課長

東海林 動物愛護管理室長

4.議題

(1)
特定動物、動物取扱業等に係る改正法の施行等の在り方(骨子案)について
(2)

その他

5.配付資料

資料1 特定動物に関する基準等(骨子案)
資料2 動物取扱業に関する基準等(骨子案)
(各種飼養保管基準等)
資料3-1 動物の所有者の明示に関する措置要領(骨子案)
資料3-2 犬及びねこの引取り並びに負傷動物の収容に関する措置要領(骨子案)
資料3-3 家庭動物等及び展示動物の飼養及び保管に関する基準(骨子案)
参考資料1 ヒアリング日程及び対象団体
参考資料2 検討スケジュール
参考資料3

外来生物の適正な飼育に係る「環境省自然環境局長談話(平成17年9月15日)

6.議事

【事務局】 それでは定刻となりましたので、中央環境審議会動物愛護部会を始めたいと思います。
 まず、本日の委員の皆様のご出欠についてご報告いたします。
 本日、現在13名の委員がいらっしゃるんですけれども、今1名見えられまして、ほか1名の方がちょっと遅れるという連絡が入っております。規定によりまして部会は成立しております。今回欠席という連絡が入っているのは丸山委員です。
 それでは林部会長、よろしくお願いいたします。

【林部会長】 委員の皆様おはようございます。それではただいまから第10回になりますが、動物愛護部会を開催いたします。
 ここでは議事に先立って、南川自然環境局長からごあいさつをいただく予定でしたが、大臣ブリーフが入っているというお話ですので、ここに到着され次第ごあいさついただくということにいたしまして、事務局から本日の配付資料について確認をいただきたいと思います。

【事務局】 それでは配付資料の確認をいたします。資料といたしましては、中央環境審議会第10回動物愛護部会という資料。ここに本日の大体の資料が添付されております。それと第11回及び第12回動物愛護部会についてという資料。それと座席表になっております。もし資料に不備がございましたら事務局までお申しつけ願います。

【林部会長】 よろしいでしょうか。資料に不備がございましたら、どうぞおっしゃってください。
 それでは、これから議事に入りますが、その前に、今後の検討スケジュールについて改めて確認させていただきたいと思います。お手元の資料の100ページにあります参考資料2をごらんください。これは前回の会議でご了解いただいた資料を再掲したものですが、今回は各種政省令等の骨子案についてまずご議論いただくとともに、26日、それから27日、2日間続けてでありますが、関係団体のヒアリングを行います。その後、本日のご議論及びヒアリングで関係団体から出されたご意見を踏まえて、各種政省令等の素案を作成し、10月13日の部会でご議論いただく予定であります。よろしいでしょうか。そのような予定でやらせていただいてよろしいでしょうか。

【前島委員】 資料どこにあるのかな。

【林部会長】 100ページです。お手元にあります。あらかじめお配りいただきました100ページに参考資料の2として検討スケジュールがございます。よろしいでしょうか。
 それでは議事に入りたいと思います。まず議事の1、特定動物、動物取扱業に係る改正法の施行等のあり方についてであります。検討すべき事項がたくさんありますので、特定動物に関する基準、動物取扱業に関する基準、その他の基準の三つに大きく分けてそれぞれ順番に検討を進めてまいりたいと思います。
 では最初に、特定動物に関する基準について事務局からご説明いただきます。

【東海林動物愛護管理室長】 それではお手元の資料に従いまして資料1についてのご説明をさせていただきます。
 まずは特定動物に関する基準等ということでございます。ちょっと資料多岐でございますので、15分ぐらいお時間をいただきましてご説明をさせていただきたいと思っております。
 それでは3ページをご覧いただきたいと思います。
 特定動物、いわゆる危険な人に危害を与える動物ということになりますが、これが全国一律の規制になりました。この関係で今回検討事項が二つございます。まずは指定種、これは政令で指定されてございますが、これの点検。それからもう一つの検討課題が許可基準の策定ということになります。国として許可基準を定めるということでございます。
 前回のご審議を踏まえまして、以下の考え方で作業を進めたらいかがかなということでございます。
 まず対象種でございますが、状況の変化に伴って必要となる点検・整理を行うことといたします。平成12年に制定されてからまだ5年余ということでございますので、状況の変化に伴う必要最小限の点検・整備を行うという考え方でございます。
 2点目にあるように、規制に当たっての主な観点でございますけれども、逸走等による危害の発生防止という当該規制の趣旨を踏まえまして、飼養施設からの逸走等の防止が図られるような規模の向上、こういったものを制定する基準としたいということになります。
 それから規制の水準でございますけれども、まず類似の制度として外来生物法がございますけれども、これとのバランス。あるいは過去10年間、20年間における特定動物の飼養に起因する事故の発生状況。これを踏まえた適切な水準をするという考え方があると思います。
 3ページ目、2番以降の、主なポイントと課題でございますけれども、時間の関係上、骨子案そのものをご覧いただきながら概要についてご説明させていただきたいと思います。
 ちょっと飛ぶんですが、6ページをお開きいただきたいと思います。
 これが政令で指定されております特定動物の新旧一覧になります。向かって左側の欄が現行政令で指定されている種類でありまして、約150属、650種が平成12年に指定されてございます。これについて必要な点検・整理を行ったということでございます。結果として7種類ほど追加をしたらいかがかなという案を考えてございます。この7種の選定に当たりましては、一番右側の欄にありますけれども、政令で指定されている650種以外に、各自治体でそのほかの特定動物、危険動物の種を条例で指定してございます。この中で、全国レベルで危険度からいって指定する必要性があるのかないのか、あるいは飼養実態があるのかないのか、こういうことを勘案して、結果としては7種類を候補種として選択させていただいたものでございます。
 この政令指定種の選定の考え方につきましては、平成12年に中川志郎先生に座長になっておまとめいただきましたけれども、専門委員会を設けまして、指定の考え方をまとめてございます。ごく簡単にご披露しますと、二つの要件、動物がまず危険であるかどうか。これは攻撃性がある、あるいは毒を持っているかといったような条件になりますけれども、定められた動物が危険であるかというところと、それからもう1点、日本において飼養実態があるか輸入される可能性が高いかどうか。この2点で指定してございます。世界にはかなり危険な動物たくさんございまして、飼養実態、あるいは飼養の可能性を踏まえませんと、それこそ星の数ほど危険動物というのは指定しなければいけなくなりますので、そういった二つの要件を重要な要素として選定しているということになります。その結果、この7種類を今回の候補種として挙げた次第でございます。7種類のうちの下段の方のサソリ、あるいは毒ぐもの類については、これは外来生物法の規制を受けている種でございますけれども、外来生物法が施行された結果、こういった種についても以前なかったと思われていた飼養実態があることが判明しましたので、政令指定種として追加したらどうかと考えたものでございます。
 それから7ページ目でございますけれども、許可の適用除外規定でございます。基本的には特定動物であって、飼養又は保管をしているようなものはすべて許可を得なければいけないというふうになりますけれども、その規制の趣旨からして、非常災害の場合、あるいは国又は地方公共団体の行政の職員が職務として動物を保管する場合、この場合については適用除外にすべきだろうということで、適用除外事項としてここに掲げました。もちろん獣医師が診療のたびにペット病院で飼養・保管する場合というのも適用除外事項として入れてございます。
 それから8ページ以降が許可基準ということになります。カテゴリーとしましては、飼養施設の規模、構造、管理の方法、いわゆる施設環境の基準等。それから動物そのものに対する管理の方法、飼養の方法。このカテゴリーでカテゴライズしまして許可基準を整理してございます。今回は骨子案でございますので、非常に簡単な項目だけ掲げさせていただきました。今日ご議論いただいて、いろいろご意見をいただいたあとで、10月13日の動物愛護部会のときには文書化して素案という形にまとめたいと考えております。
 基本的には先ほど申し上げましたように、逸走防止を図ることによる被害防止を主眼にしておりますので、それをどう図るかという内容で、そういった観点から基準を定めております。ただそうはいいましても、650種の種というのはかなり多様でございまして、哺乳類から鳥類、爬虫類まで、あるいは節足動物というものがございますものですから、施設の規模・構造をおり型施設ですとか、擁壁式施設とするか、あるいは水槽型施設とするか、類型別にまず分けて、その規模・構造をどうしていくか規定します。その上で、そういった施設類型タイプがどういった領域の動物に適用されるのかという当てはめをするという形式で許可基準の案を構成してございます。
 実は、これは今年の6月から施行された外来生物法の許可基準を参考に定めさせていただいたものということになってございます。
 それから10ページ目になりますけれども、ここには取扱基準の骨子としての識別措置をここに掲げてございます。哺乳綱、鳥綱、爬虫綱、くも綱とございますけれども、原則としてマイクロチップを基本として識別措置を行う。ただし幼齢な固体ですとか、あるいは非常に数が少なくて、識別措置を講じてあってもだれの所有のものなのか明らかにわかるというものについては、わざわざこういうことをする必要はないかと思われますので、こういった場合には適用除外をして、脚輪ですとか、入墨ですとか、そういった措置を適用するという考え方をとったらどうかということで提案させていただいております。
 11ページ目以降は、参考資料になりますけれども、これらの骨子案を検討するに当たって参考となる資料をおつけさせていただきました。
 簡単にご説明したいと思うんですが、平成16年3月末現在、危険動物つまり特定動物の飼養の許可件数は、このように約4万件弱ということになってございます。哺乳類、鳥類、爬虫類。爬虫類の数が非常に多くなっていますけれども、実際はこれは食用といいますか、薬品用のマムシの飼養数がかなり出ております。
 それから2番の方に指定種として7種類候補種を挙げさせていただきましたけれども、挙げさせていただいた7種類につきまして害性の程度、それから飼養実態、これは可能性も含みますけれども、それの簡単な表をつけさせていただきました。害性はA、B、C、Dの四つの観点で評価しておりまして、毒性、物理的な圧力、殺傷力、攻撃性向について記号で示してございます。このA、B、C、Dの詳細につきましては12ページにございますけれども、それぞれの要件についてこういったランクで評価をしているということになっています。
 それから13ページ、14ページはこの7種類のうちの主なものについて、一体それらがどういう動物なのかという簡単な説明資料をつけさせていただいております。ジャガランディとスナドリネコはねこの一種であり、サソリはキョクトウサソリ、それからクモの類はセアカゴケグモということになっております。
 それから15ページでございますけれども、現在外来生物法に基づきまして、37種類の種が特定外来生物に指定されてございます。結果としてでございますけれども、サル3種類、それからカミツキガメ、タイワンハブ、この5種が今、政令で指定されている特定動物と重複しているところでございます。両方とも逃げ出すことによる被害の防止という観点から指定してございますので、何らかの形で事務の簡素化、合理化を図るためのこの重複種の整理というものを図る必要があると考えている次第でございます。
 それから16ページ目に、平成12年に中川志郎先生におまとめいただいた特定動物選定の考え方が述べてございます。先ほど申し上げましたように、大きく言いますと二つの条件があって、まず、動物の危険性。これがA、B、C、D、すなわち、毒性、殺傷力、物理的な圧力、攻撃性向。これで評価した動物の害性と、それから飼養実態、あるいはその可能性という利用点で評価していますということでございます。
 それから17ページになりますが、これは私どもが自治体から報告を受けている資料をまとめさせていただいたものなんですが、主だった危険な動物、特定動物による昭和54年からの人身事故の発生状況をまとめさせていただきました。死亡に至る事故は非常に少なくて、大半は引っかかれた、かみつかれたというような、あるいは刺されたというような事故事例が中心になってございます。
 それから18ページ、最後になりますけれども、識別措置でございます。原則マイクロチップでコントロールしてはどうかなというふうに考えておりますけれども、外来生物法の識別手段と基本的に同じような考え方で案を作成しているところでございます。ただし、適用除外として、その他の識別手段も認めることというような整理をしてございます。
 以上、雑駁ではございますが、特定動物の指定種についてと、それから許可基準等について、これの骨子案ということでご説明させていただきました。

【林部会長】 ありがとうございました。ただいまのご説明に何かご意見、ご質問ありませんか。
 今日ここでいただいたご意見、そして来週のヒアリングを踏まえて、事務局で次の素案づくりをしていただくことになりますので、どうぞご意見、ご質問等いただきたいと思います。今泉委員、どうぞ。

【今泉委員】 ちょっとお尋ねします。プレーリードッグとか、アフリカのネズミですとか、病原菌を持っているやつがいますね。あれは厚生省の方の許可基準というか、そこでストップされるわけですかね。

【東海林動物愛護管理室長】 はい、そうなります。

【奥澤委員】 2、3ちょっと質問をさせていただきたいと思います。一つは、3ページの一番下に、許可の適用除外の規定の一番最後の部分ですが、他法令の許認可手続を受けた飼養又は保管ということで、今もお話が出ておりましたけれども、外来生物法の中で規制を受けていて、許可の制度がある、しかもこの法の目的の中にも人の危害防止という同じ趣旨の目的があるということで重複を避けると。こういう趣旨だと思うんですが、確認なんですが、それは要するに許認可だけではなくて、当然その許可に伴いまして、日常的な保管管理の監視であるとか、その担保するための諸々の方策も含めて、この適用除外したものについてはトータルとしてそちらの方で完結するという趣旨で理解していいのかということが最初です。

【東海林動物愛護管理室長】 ご指摘のとおりということになります。ちょっとご説明させていただきますと、動物愛護管理法の特定動物、規制の目的は、人の生命、身体、財産、これの安全を守るということになってございます。外来生物法の規制の目的は生態系被害の防止、生物多様性の保全というのもあるんですが、その被害については人の生命、身体も含まれております。しかし一方で財産に係る被害の防止もあるといったように、似通っているようでいても観点が違っておりまして、そういった関係上、それぞれの法律からそれぞれの法律の観点に従って別々に指定すると。次に、別々に指定されますので、結果としてダブるものがある程度生じてくる可能性があります。現在5種既にダブっているわけなんですけれども、それについては、実際の規制というもので考えますと、逃げ出さないことによる危害防止というところでは、規制の形態が実際上は非常に似通ったもの、あるいはその包含関係に整理されるものになりますので、そういった二重規制的なものについては、事務の簡素化合理化というものを図るために、事実上といいますか、行政の運用上は、何らかの整理が迫られるということになります。そこで、こういった適用除外を設けていくということになろうかと思います。
 それで、奥澤委員からご指摘がありましたように、じゃあ適用除外で外れた場合に、環境大臣が外来生物法に基づいて、カミツキガメとかについて、指導監督まで含めて環境省を軸にすべて事務を行うのかと、そういうご質問かと思うんですけれども、これは基本的にやっていかなければならないことと考えております。実は10月1日から環境省の組織体制ががらりと変わりまして、地方環境事務所というのが新しくできることになります。今までは、事実上の組織として地方事務所というのがあったんですけれども、今回は地方支分部局として各地方ブロックに地方環境事務所が置かれまして、人員的にも予算的にもかなりの拡充が図られております。また来年度以降も、拡充を図りたいという強い意思を持って臨んでいるところでございます。こういった組織を活用しまして、カミツキガメを含む特定外来生物の飼養許可、あるいは飼養管理というのをしっかりとやっていきたいというふうに思っている次第です。

【奥澤委員】 続けてちょっと申しわけないんですが、今のところに関連しまして、7ページの資料の下から3分の1程度のところにある、外来生物法に基づく飼養等の許可を受けた場合というところの括弧書き中で、管轄の都道府県知事にその旨を通知したものに限るとして、通知という行為があります。通知ですから、国の方から自治体にご連絡いただくということなんだろうと思うんですが、この趣旨はその役割分担に従って考えますと、重複規制を避けるための情報提供をしていただくと、こういう理解でよろしいんでしょうか。

【東海林動物愛護管理室長】 実はこの通知は申請者から自治体の方に通知していただく行為なんですが、カミツキガメの例をとりますと、カミツキガメは特定外来生物ですので、環境大臣の許可ということで、環境大臣が責任をもって飼養許可については指導監督していくということになります。ただその場合、カミツキガメを自治体の行政区域内でだれがどこで飼っているかという情報が一切自治体の首長には行かないということになります。これは環境大臣が面倒を見るからいいんだという割り切りもできるんですが、地震ですとか、非常災害時のことを考えますと、お互いにある程度の情報は共有しておいた方がいいという私どもの判断、あるいは自治体さんからのご意見ご要望がございまして、許可自体は取らなくてもいいけれども、どこでだれが飼っているかという情報というのは何らかの形で自治体の方に行くような仕組みを持ってはどうかということで、外来生物法の許可を取っていますよ、ですから動愛法の許可は取らなくていいんですね、というような通知をする仕組みの検討を進めているところでございます。

【奥澤委員】 これは申請者にさせる方がいいのか。許可を与えた国の方からその許可の時点でしていただくのがいいのか。ちょっとその辺はまだわからないところなんですが。すみません、続けていいですか。あと2点だけちょっと。
 3ページ目のところの、2の(1)の[3]の部分の基本的な指定種の考え方ですが、この飼養実態とか飼養可能性、これは先ほどの前回の指定のときにもこういう十分な配慮をされたということですけれども、この飼養可能性の考え方は制度上あり得ないということが前提なんでしょうか。例えば外来生物法ですと、愛玩飼養の場合なんかは、指定の段階では経過措置がありますけれども、それ以後の話というのは基本的には許可出ない形になりますよね。そういうものがあり得ないという前提なんでしょうか。
 それからもう1点は、長くなりますので、一言だけ。先ほど許可基準のご説明をいただいたんですが、これは当然外来生物法との整合性を取るということで、同じような形の基準になっているということは十分理解できるんですが、外来生物法の場合には、国が一元的に事務処理をしておりますので、余りそういう心配はないのかもしれませんが、前回にも申し上げましたけれど、動物愛護法の場合には各自治体が実際の事務をやるということで、現行各自治体が持っている条例で規定している基準に比べると、やはり抽象的な表現になっている部分が多いという印象を受けます。前回もお願いしましたけど、基準はこれでもよろしいかと思うんですが、実際の運用に当たって自治体間の差が出るとか、あるいは担当する職員によって差が出るとかというようなことがないような配慮を、あわせて、ご要望させていただきたいと思います。以上です。

【東海林動物愛護管理室長】 まず1点目でございますけれども、この特定動物では愛玩目的以外にも動物園や水族館で飼う場合も想定してございますので、基本的に特定外来生物で指定されているものでも動物園や水族館においては飼養実態があり続けるであろうと考えております。
 それから許可基準の具体性、詳細性の件につきましてのご指摘は、おっしゃるとおりかと考えております。できるだけ現在自治体でやられております規制の内容、基準の内容、そういったものをしんしゃくして、いろいろな解釈通達なり、そちらの方で工夫していきたいと思っておりますが、ただちょっと私どもが今悩んでおりますのが1点ございまして、各自治体で規制の基準の強弱にかなりばらつきがございます。今条例でそれぞれに規制しているものですから、非常に強い規制をしているところもあれば、それなりの必要最小限の規制にとどめているというところもあります。外来生物法とも整合性を取りながら、その辺のバランスをとりながら、どのレベルにそのターゲットを置くかということを考えていかなければいけません。ただ、今非常に厳しい規制を取られているところについては、各自治体で何らかの特別な上乗せの措置を取らない限りにおいては、こちらの基準の点がそちらよりは手ぬるいといいますか、内容的にちょっと補充しなければいけないところが出てくるという結果になる可能性が非常に大きいんではないかなと思われます。これは非常に難しくて本当に悩んでいるんですが、厳しいところについては必要以上に厳しい規制を全国一律にかけているというふうになりますし、また緩いところになれば今の厳しい規制について移行措置をどういうふうに考えていけばいいのかということでまだ悩んでおるということでございますけれども、関係自治体さんといろいろと連携を取りながら、調整しながら、模索していきたいなということでございます。

【奥澤委員】 今度、国がスタンダードになるわけですから、逆に言うと自治体間で差がなくなって統一基準になるということで、ある意味好ましいことなんだろう。それで、今厳しいところはもしかすると、機械的に言えば緩和したような形になるかもしれませんが、要は逸走防止ということの担保が図れればいいのだと思います。先ほどお願いしたのはそういう意味ではなくて、要するに同じ基準にのっとってやるのに、担当者によって、あるいは自治体によって、その運用にばらつきが出るようなことがあってはならないので、その辺の配慮をお願いしたい、こういう趣旨でございますので誤解のないように。

【藏内委員】 ただいまの基準が逸走防止の措置をしたいということでありますが、皆さんご理解いただいていると思いますけれども、あくまで動物愛護精神というものを尊重する中でそういった適正な取扱いをやっていただきたいとお願いしておきたいと思います。
 それから識別措置でございますけれども、これはマイクロチップ注入の実際の対応につきましては、全国平準化した受入れが確保されることが大事だろうと思います。そこで、この施行前に技術習得の研修等を、専門家、あるいは動物園、水族館等の関係者の協力を得て対応を図っていただくことをお願いしておきたいと思います。

【東海林動物愛護管理室長】 マイクロチップ注入による識別措置の技術習得の件でございますけれども、非常に重要な手続かと思います。私どももできるだけそれが進みますように、来年度の予算要求でもってそういった部分を盛り込んでおりますので、できるだけ全国津々浦々こういう体制が速やかに整うよう努力していきたいと思います。

【兵藤委員】 私のところでは動物病院を町でやっているんですけど、よく地元の警察から、カミツキガメの保管を依頼されるという話を聞きます。7ページの保管の適用除外というところに、警察の責務についての保管が出てくるんですけど、今のようなカミツキガメが警察に持ち込まれた場合、動物病院に持ち込まれた場合に、それはどういうふうに解釈すればよろしいでしょうか。大変元気なカミツキガメでございまして、診療には当たらないのでございますけれども。

【東海林動物愛護管理室長】 そうですね。7ページ目の黒ぽつの下から4つ目のところで、獣医師が診療のために飼養又は保管する場合、と。これが適用除外規定になってございますけれども、ご意見伺いまして、検討させていただきたいと思います。

【林部会長】 診療等というふうにすればいいのかもしれませんね。
 ほかにご意見、ご質問ありますか。信國委員。

【信國委員】 この法律のあるいは外側の話になるのかもしれませんけれども、一応逸走防止ということが主なんで、それは当然のことだろうと思うんですけれども、逸走した場合の措置についての何か責務みたいなものは、例えば速やかにどこそこに通報しなければいけないとか、そういうようなことはどこかに入るのでしょうか。

【東海林動物愛護管理室長】 今回の骨子案は本当にポイントだけちょっと書かせていただいたものですので、信國委員のご指摘を踏まえまして、10月13日の審議会には、何らかの形であらわれるようにちょっと工夫をしてみたいと、こういうふうに思います。

【林部会長】 ありがとうございます。ほかにご意見、ご質問ありますでしょうか。はい、大矢委員。

【大矢委員】 今の逸走の問題ですけれども、外来生物法では逸走した場合の規定がありますので、きちんとした形がやっぱりいいのではないかなと思います。

【林部会長】 ほかにいかがでしょうか。はい、菅谷委員。

【菅谷委員】 あとで説明があるのかわかりませんけれども、識別措置の話で原則マイクロチップと出ています。今、マイクロチップも各社といいますか、互換性のあるのとないのとあります。行政の先端にその読取機を置くということですけれども、いざ逸走した場合に、それを整理する回復マイクロコンピューターのようなのがないと、はっきりいって役に立たない部分があるんじゃないかと思います。ちょっと聞いたところ、何か環境省さんで予算頑張るよというような話もあるんで、ぜひその辺頑張っていただかないと、実態的に役に立たない部分が出る。先ほどちょっと東海林さんが触れましたけれども、予算のことがちらっと出たんですが、その辺お考えでしたらちょっと教えてください。

【東海林動物愛護管理室長】 申しわけございません。ページが飛びますが、58ページ、59ページをご覧いただきたいと思います。私ども菅谷委員からご指摘いただいた事項は非常に重要な検討事項だと思っておりまして、どのように対処すればいいのか、いろいろ検討を進めているところでございます。59ページに表を掲げましたように、マイクロチップにつきましても、脚輪につきましても、あるいは鑑札にしましても、それぞれの情報の管理主体というのが多種多様といいますか、複数あるという状況になってございます。マイクロチップでご説明するのがわかりやすいかと思うんですが、マイクロチップ等ちゃんと使ってその番号がわかっても、この個人情報を一体だれが管理するのか、どこに問い合わせればわかるのか。今はそれが結果としてすぐにはわからない状況になっています。つまり北海道に問い合わせたらいいのか、沖縄県に問い合わせたらいいのか。47都道府県、全部問い合わせしないと最終的にはわからないという恐れがございます。ただし、それぞれ許可の情報がかなり絡む個人情報でございますので、それをどこかの機関が吸い上げて管理するというのはなかなか現実的に難しいかなと思っております。ですから今環境省の方で考えていますのは、58ページにありますように、このマイクロチップ等の個人情報というのはどこのデータベースに入っているのかというのがわかるような情報源情報データベースを、環境省の方で全国規模で一元的に整理したらどうかなというところで、今関係団体、関係省庁と調整を始めようということを考えています。これについての予算要求を来年度の概算要求に盛り込ませていただいているというところでございます。

【林部会長】 よろしいでしょうか。ほかにご意見ございますか。
 本日、委員の中でご欠席の丸山委員ですが、丸山委員からの方は、この事項に関しては次のようなご意見をいただいています、海外から輸入される動物については、国内に存在しない微生物や寄生虫の保有や癒着が想定できる。思わぬ疾病が国内に蔓延するなど被害が生ずる可能性があり得るものである。よって動物の輸入については慎重に取り扱うべきだ。先ほどの今泉委員からのお話とちょっとかかわりますが、こういったご意見をいただいています。
 次回は、委員の方、どうしてもご欠席されるときはこういう形で前もってご意見いただいておけば披露させていただくことができます。
 ほかにご意見ありますでしょうか。大体ご意見、ご質問いただいたということでよろしいでしょうか。

(な し)

【林部会長】 それでは事務局におかれましては、きょうの論議と、それからヒアリングもありますが、これを踏まえて10月13日の部会までに素案を作成していただきたいと思います。
 ここで南川自然環境局長がおいでになられましたので、ごあいさつをいただきたいと思います。

【南川自然環境局長】 どうも南川でございます。本日は朝からありがとうございます。私のところ国会が始まりましてばたばたしておって申しわけございません。きょう私から一つぜひ先生方にお願いしたいと思っておりますのは、きょうの資料の一番最後のページなんでございますけれども、私の方の談話ということで、あちこちに今お願いをしておる件でございます。最近テレビを見ておりますと、やたらにヘビが逃げたとか、サソリが逃げたとかいう話が出ます。ある意味でテレビ向きのニュースなのかもしれませんけれども、非常に困惑をしております。これ外来生物と書いていますが、国内生物であっても同じなんですが、やはりペットとして飼われていたものが、ほとんどの場合飼えなくなって捨てられてしまうということで、いろんなところで大変な騒ぎを起こしております。やはり私どもとしては一度それを飼ったんであれば、最後まで飼っていただくということが当然その飼い主の責任だと思いますし、それができないような人が飼うのはおかしいと思うところでございます。したがいまして、いろいろ規制はしようと思いますけれども、規制できることできないことございますし、やはり最後は持ち主の責任に訴えなければいけない部分が多ございます。したがって、私ども今週末に予定されております動物愛護フェスティバルなどでも、強くこの点を訴えてまいりますけれども、ぜひ今日ご参加の先生方、皆さんこの分野の先頭に立つ方でございますので、ぜひいろんな機会を通じて、そういった動物をペットとして最後まで責任を持って飼うということについて、いろんなところでぜひ考え方を広げていただければと思う次第でございます。なかなか、役所として規制で対応できない部分が多いものですから、私ども広く訴えてまいりますが、ぜひ先生方の協力をお願いしたいと思うところでございます。どうぞよろしくお願いします。

【林部会長】 ありがとうございました。
 それでは続きまして、動物取扱業に関する基準について、事務局に説明いただき、論議したいと思います。お願いします。

【東海林動物愛護管理室長】 それでは、お手元の資料の21ページ以降をご覧いただきたいと思います。
 今回、動物取扱業の法改正によりまして、届出制から登録制に変わってございます。こういった改正を踏まえまして、検討事項が三つございます。登録の基準の作成。それから登録業者であることが顧客にわかるような標識の提示、あるいはその様式。それから動物取扱責任者の選任方法、あるいは自治体の研修方法。この三つになってございます。
 前回8月6日のご審議を踏まえまして、この三つの検討に当たっての基本的考え方といいますか、主な観点は四つございます。取扱業の全般的な底上げ。一部の悪質な業者の是正を図るとともに、取扱業界全体の全般的な底上げが図られるような基準を考えていきたい。2点目としまして、施設を持たない動物取扱業の適正化。今回の法改正により施設要件が外されまして、ネット販売だけで取扱いをやる業者も規制の対象になってございます。こういった施設を持たない業者についてもその適正化が確実に図られるようにすると。このほかにペットシッターといいますか、犬等の出張販売業というようなのもここに入ります。それから生活環境の保全上の支障の防止。これまでは動物の健康と安全を守る観点からだけ規制をしておりましたが、鳴き声、臭い等によって周りに迷惑をかけている動物取扱業があるということで、こういった生活環境の保全上の支障の防止の観点からも規制が図られるということでございます。それから人的体制の充実。動物取扱責任者の充実でありますけれども、こういった制度を活用しまして、ペット販売店等における人的体制の充実が図られるようにするというところが四つの考え方でございます。
 時間の関係もございますので、こちらの方も実際に25ページ以降の実際の骨子案を見ていただきながら、説明をさせていただきたいと思います。
 25ページ以降が、登録の拒否及び遵守基準の骨子案ということになってございます。現在届出制を敷いておりますけれども、現在、届出制度の遵守基準がございます。給餌、給水をしっかりやるとか、清掃管理をしっかりやるとかいったような基準が既に設けられてございます。ここに掲げました骨子案は現在の届出基準、これを基本的に踏襲しまして、登録制に強化された改正法の趣旨を踏まえてさらに内容を拡充したり、改善があった事項を追加したということになってございます。カテゴリー的には先ほどの特定動物の許可基準と同じでございまして、施設関係の規模の向上、あるいは管理方法、それから動物そのものの管理事項ということで、カテゴライズして一部書いてございます。
 右の欄と左の欄に、「拒否基準」、「遵守基準」というふうに二つ基準が掲げてございますけれども、これは登録制になったことで基準が二つに分かれるということでございます。拒否基準と申しますのは、これに適合しないと登録申請そのものを受け付けないという基準で、遵守基準というのは登録を受け付けたあとに取扱業者の方に守っていただく基準ということでございます。であるがゆえに、拒否基準に掲げておりますのは、事前に典型的なチェックが可能で、または登録をしてからでは悪影響の回避が基本的に行いがたい事項、という観点から整理されてございます。
 まず、「飼養施設の規模及び構造」でございますけれども、届出基準つまり現在の基準等と変わったところを中心にご説明をさせていただきたいと思います。(施設の種類)は現在の基準でも触れられておりますけれども、これをかなり明確な形で具体的に整理してございます。業務実施に必要な機能空間の配備ということで、保管空間、清浄空間、汚物等集積空間、こういったものを必ず備えていなければいけない。あるいは必要な設備として飼料保管設備ですとか、上水道清浄設備、こういったものを備えておかなければいけないと。そういうふうに具体的に業務の実施に必要な施設の種類を明示してございます。
 それから(規模等)に関しましては、現在の届出基準とほぼ同じでございますけれども、日常的な動作が容易に行える規模の確保というところで整理してございます。
 それから(構造)でございますけれども、こちらの方は現在の基準をもう少し詳細に内容の拡充をしてございまして、基本的には安全で衛生的な構造が確保されるような要件というものを明示させていただいております。
 それから、こういった飼養施設をどういうふうに管理していくかという「管理の方法」でございますけれども、これも現在の届出基準、これを基本的に踏襲してございますが、定期的な清掃及び消毒の実施をしていくという内容で構成しております。
 それから今度は動物そのものの「取扱いの方法」になりますけれども、こちらの方につきましては、右の欄の販売方法の[1]、[2]、このあたりは届出基準つまり現在の基準にない、あるいはかなり内容が具体的に限定したものということでございます。現在でも社会化の必要性というものがうたわれておりますけれども、離乳期を終えてないような幼齢の動物については基本的に販売しないようにしましょうという制限を明示してございます。それから[2]の方は、動物の状態の目視確認でございますけれども、これは特に実際に動物を飼養保管してないようなネット販売業者に対して有効に機能するものというふうに考えておりますけれども、自分が動物を飼っていても飼ってなくても、基本的に顧客に売る段階においては、事前に動物の状態を直接または間接的に目視確認した上で大丈夫だということを確認してから売るべきであるという内容の基準でございます。
 ネット販売についてのいろいろな問題が掲げられてございますけれども、買う方が動物を見ずに売るということもありましたけれども、売る方もまたどんな動物が売られるのか、顧客の手に渡るのか、確認をしないで売ってしまうというところが大きな問題点として掲げられておりました。こういったところを是正するための基準というふうになっています。ただし、ここについては動物が健康であることを証明するのは非常に難しいということになりますので、下痢をしてないですとか、四肢が麻痺してないですとか、皮膚病にかかってないですとか、あくまでも目視確認できる、そういったものについて状態を確認するということを想定しております。
 それから[3]の方は、説明責任を徹底するための基準でございます。これは現在の基準にもございますけれども、内容を拡充してございます。特に犬等につきましては、遺伝性疾患、これは1年とか2年とか時間を経てから出てくるというちょっと厄介なしろものなんですけれども、こういったものを防止することが急務になってございます。あらかじめ子犬とか子ねこの段階で遺伝性疾患というのはわかりにくいかと思いますので、せめてその親兄弟、その血統の中で遺伝性疾患の発症歴があったのかどうか。これをわかる範囲内で情報を共有し合うということで、遺伝性疾患を激減させることができるんじゃないかなというふうに考えている次第です。基本的にはこういった病歴も含めまして、顧客に対する適正な飼養方法、あるいは動物の状態に関する情報をきちんときめ細かく提供すると。販売者としての説明責任を果たすということが必要になってこようかなというふうに思っております。
 そういった意味で、ちょっと飛びますが、29ページ目の右側の欄の一番上に(広告)として内容がございますけれども、各ペットショップ等におかれましては、犬ねこを売る場合が多いわけですけれども、このワンちゃんはねこちゃんは、何月何日に生まれてワクチンの摂取はしていませんというような情報が提示されています。この辺の情報もあわせて充実していくということが必要なんではないかなというふうに考えている次第です。きちんとした情報開示によって適正化を図っていこうという考え方でございます。
 それから27ページ目は(飼養施設における飼養保管方法)ということでございます。かなりの数掲げてございますけれども、基本的には動物の健康と安全を確保するために給餌、給水をしっかりやる。あるいは病気にかかったら適切な治療をするといったような内容でございまして、給餌、給水、飼養環境管理、あるいは休息及び運動等の確保にかかる動物の健康と安全の確認にかかる基準が現在の届出の基準を踏襲した形で掲げてございます。
 それから28ページでございます。(輸送方法)になりますけれども、こちらの方は現在の届出基準でもありますが、内容を拡充させていただいています。特に[2]と[3]になりますが、必要に応じた空調設備の配備等による生理生態等に適した温度等の環境管理の確保。あるいは輸送中の動物の状態の確認ということでございます。エアコンのないような施設で普通の荷物と混載して、炎熱下で、あるいは寒い中運んで、動物がダメージを受けているといったような問題についても報告されているものですから、こういったものを防ぐために、必要に応じて、こういった状況管理ができるような設備で運ぶ、あるいは動物の状態を確認できるようにするという内容を盛ってございます。
 それから29ページになりますけれども、これは先ほどご説明しました適切な情報開示による取扱業界全体の適正化を図っていく流れの中の話でございますけれども、まず(広告)の[3]ですが、顧客等に対して動物に関する誤った理解を与えるおそれのある事項等の掲載の制限。これは現行の基準にない、新たに設けた基準でございます。
 それから(体制)でございますけれども、特に(体制)の[3]なんですが、仕入及び販売等の動物の取引きに関する記録台帳の整備と保管。それから一番最後の(その他)の[5]違法業者等の動物の取引きの禁止。つまり、仕入先をすべて明らかにする。未登録業者によるそういった違法な取引きを規制するということで、全体の適正化が図られていくというふうに思っている次第でございます。
 それから(体制)につきましては、動物取扱責任者の1名以上の配置。あるいは知識及び技術を有した職員の配置ということを通じまして、人的体制の拡充というものを図っていただきたいと思っている次第でございます。
 それから30ページになりますが、登録標識です。動物の飼養保管施設を設置した業務、それからペットシッターや出張訓練のように飼養保管施設を設置しないで業を行う場合、この二通りがあるわけでございますけれども、施設を設置している場合には事業所に掲示しておいていただく、施設を設置しない場合には事務所とそれからその本人、つまりペットシッターですとか、出張訓練者ですとかの胸元に標識を提示していただいて、動物取扱業者であることがわかるようにしていただきたいと考えている次第でございます。
 それから31ページ、動物取扱責任者の選任及び研修でございますけれども、基本的には事業所ごとに1名以上の職員、それも常勤の職員で一定以上の知識や技術を有していると認められる者、こういった方を選任していただきたいというふうに思っております。この知識、技術の評価に関しましては、主に三つの要件、実務経験、学歴、あるいは資格、こういったもので判断できるんじゃないかなと考えている次第です。それからこういった方々は法律の規定に基づきまして、自治体が開催する研修を受講しなければいけないんですが、この研修会の受講回数については、1年に1回以上、半日程度の内容でやってはいかがかなというふうに思っているところです。
 それから32ページになりますけれども、これは軽微な事項に関しては逐次変更を届け出ていただくというような必要はないだろうということで、現在もこういった措置を設けておりますけれども、これを踏襲した内容でございます。
 それから33ページ以降は、骨子案を検討していただくときに参考となる資料をつけさせていただいております。簡単にご説明しますと、販売や保管、貸出し、訓練、展示、こういった5業種が取扱業にはございまして、現在のところ約1万6,500件もあるという状況になっております。
 34ページを見ていただきますと、わずかずつ毎年この係数というのは増えているという状況になります。この1万2,000余の施設でございますけれども、平成14年度の実態を見ますと、約1割の施設、12%の施設が何らかの改善指導を自治体から受けているという状況になっておりまして、35ページ目にありますけれども、そういう12%の中に、ごくまれでございますけれども非常に悪質な事例があって、勧告命令まで至っているというものもあるという状況でございます。
 それから36ページになりますけれども、これは世論調査の結果ですけれども、国民のうちの8.4%の方がこういった動物取扱業者から被害等を受けているという結果が出てございます。こういった状況がございまして、届出制から登録制に規制強化がなされたということになります。
 それから37ページ目でございますけれども、幼齢な動物の取扱いについての考え方でございますけれども、販売についての主な問題点を3点ここに掲げております。まずは、幼齢であるがゆえに、飼養環境の変化ですとか輸送等に対する耐性が低い。それから社会化。犬、あるいはねことしての教養が身についてないがために、社会化が十分になされてないままで販売されると、将来問題行為を起こすおそれが非常に高くなる。それから今度は3点目の飼い主にとっての話でございますけれども、給餌給水ですとか、排泄に手間がかかるために、飼養が必要以上に困難で、三日坊主ではないですけれども、早々と飼養をあきらめてしまう人も増えるのではないかという問題が掲げられてあります。
 こういった問題点に対処するために諸外国では、いろいろな規制が設けられてございます。日本動物福祉協会の資料から抜粋したものですが、アメリカでは犬とねこについて8週齢以上でなければ販売してはいけないという基準になってございますし、イギリスとオーストラリアについては、犬についてだけですが、8週齢という基準が設けられてございます。8週齢つまり56日ということでございますけれども、これは今の実態に合わせていいますと、38ページ目になります。これはサンプリング調査で調べたものなんですが、どれぐらいの日齢で、ペット販売店に実際に犬、ねこが仕入られているかというところを見ますと、犬についていえば60日未満で売っているというのが、51%、9%、1%を足した61%。約6割が日本のペット販売店では約8週齢、ちょっと超えていますけれども、約8週齢以下で売られているという現状となっているというところでございます。
 39ページ目は、この間に一体どういうふうに変化するのか、わかりやすいように写真をおつけしたんですが、写真ではちょっとわかりにくいかもしれません。
 それから40ページ目でございますけれども、各ペットショップではやはり現在でも動物の状態の確認は販売する前にやっておりまして、確認期間を設けているというペットショップが87%。それからこの確認に当たって相談できる獣医師等がいるというペットショップが98%ということになります。
 それから、いろいろな情報の開示提供というところでは、41ページ目以降になりますけれども、現在、販売員が説明をしているのは99.7%、ほぼ100%が説明をしているということになっています。各ケージにも、41ページ下段につけましたように、こういった情報をこと細かにつけていろいろ注意喚起をしているというペットショップがあるという状況です。小さいうちはどのぐらい大きくなるのかもわからないものですから、大きくなるとこれぐらいになるものなんですよと、そういった情報も必要な情報と考えられているということでございます。
 それから42ページになりますけれども、輸送の実態でございます。基本的に輸送手段としては鉄道、飛行機、陸運、この三つがございますけれども、鉄道に関しては原則手回り品としての同乗輸送が中心になっております。飛行機は手荷物としての輸送または貨物便による輸送でございます。ただいずれの場合も気温や気圧等は客室とほぼ同じに保たれた貨物室に保管されておりまして、方法についてもIATA国際航空運送協会の基準を遵守しているということでございます。陸運に関しましては2種類ございまして、専門業者による輸送、あるいは宅配便等の業者、この二つによってやられているということになってございます。諸外国では、やはりIATAを含めまして、輸送の細則基準というのを定めております。かなり細かく定めておりますが、基本的に骨子案に掲げました空調設備、あるいは輸送中の動物の状態の確認、こういったものについては何らかの形で言及されているという状況になってございます。
 それから44ページになりますけれども、現在のペットショップの人的体制というところで、動物関係学校卒業者のいる店舗数は約66%ということになっておりますし、社内研修というのも約9割近くの店でやられているという状況になってございます。
 45ページ目になりますけれども、こういった状況を反映して、獣医師という国家資格を初めとして、民間資格としても愛玩動物飼養管理士ですとか、家庭動物販売士ですとか、こういった民間資格が最近かなり増えてきているという状況になってございます。
 各自治体では主任者制を敷いているところがございますけれども、主任者制を敷いている自治体では、年に1回以上研修のようなものをやっておりまして、大体半日ぐらいでやっておられるところが多いというところでございます。
 それから最後、46ページになりますけれども、いろいろな記録簿をつけていくというところが、動物愛護の観点からも、あるいは直接な目的ではないのですが感染処理法の観点からも、非常にこれから重要になってくるかというふうに思います。こういった記録簿をつけているペットショップというのは現在のところ50%ということになっておりますけれども、仕入、販売、あるいは動物の状態についての記録簿については、基本的にこれからはすべてつけていただくということが、動物愛護の観点、動物愛護を進める上でも非常に重要なことですので、重要なんじゃないかなというふうに考えている次第でございます。

【林部会長】 ありがとうございました。
 それでは論議に移りたいと思います。ご質問、ご意見ございますか。はい、青木委員、どうぞ。

【青木委員】 25ページ、骨子案の下の方にあります拒否基準の(規模等)ということについてちょっと確認をさせてください。
 先ほど奥澤委員がおっしゃったことと実は趣旨としてはほぼ同じなんですが、要するに拒否する基準がばらばらにならないというのがとても重要だということだと思うんですが、取り扱う動物の種類及び最大取扱数に見合った規模及び構造というのは、最終的には何らかの形で数値化されるようなものをイメージしてよろしいんでしょうか。

【東海林動物愛護管理室長】 すべてについて数値化できない部分もあるかと思うんですが、できる範囲内で数値化して、対応がばらばらになることを避けたいと思っております。

【大矢委員】 2点お伺いしたいんですが、まず第1点は、33ページの動物取扱業の対象となるところですけれども、実は最近私のところに入った情報で、マニアの人たちが1年に1回展示販売会を行っているという情報があるんですね。そういう方たちの取扱いをどこでどう線引きしていくのか。それがこの基準の中にないということがあると思います。
 それからもう1点、41ページの業者の説明責任のところなんですけれども、どうしてもこういう委員会等では、犬、ねこが中心になってきております。先ほど局長からのお話もございましたけれども、現在カミツキガメの逸走等が非常に大きな問題になっている。販売店が、爬虫類等はどういうふうに飼ったらどのぐらいの大きさになるとか、それから原産国でどういうものを食べているとかというようなきめ細かい説明責任をして、本当に飼えるのかどうかの確認をしてから販売するというのがこれから大事になってくると。それから小さいトカゲなんかですと、子供たちが自分の小遣いでというケースが出てきていると思うんですね。やはり未成年者の購入についてはそういう特殊なものはやはり親の責任としての許可がなければ飼えないというようなところまで、踏み込む必要もあるかもしれないということを考えております。

【松下委員】 今の大矢委員のご発言に少し関連しているかと思うんですけれども、あらかじめお送りいただいた資料を拝見していたのと、それから局長の先ほどのお話を伺いまして感じましたことをちょっと発言させていただきます。
 顧客はペットショップに行って、第一印象というか、かわいいとか、きれいだとかというような印象で動物を買う場合が多いと思うんですね。飼おうとする動物についてあらかじめ学習をしておくということはほとんどないのではないか。その結果邪魔になったり大きくなり過ぎたりとして放してしまうというのが、先日来問題になっていたような事件になるんじゃないかと思うんです。それで局長のおっしゃったことを徹底するためには、やっぱり販売業者も一種の教育的活動を担うというふうにしていただくことが必要じゃないかと思います。九十何%のお店の人、ほとんどが説明をしているというデータを今ご説明いただきましたけれども、売るための説明というような感じも時々ございます。それで責任者には研修があるというふうにおっしゃいましたけれども、その中に、いかに顧客に対して説明をするのかというような方法も含めた項目が必要じゃないかと思います。もう少し言いますと、ペットショップの中に飼養相談コーナーといったようなものがあって、知りたいことをそこに行ってゆっくり聞けるというようなことも、子供たちにとってとても必要なことじゃないかと思うんですね。日曜、土曜などにペットショップに行ってみますと、非常に混んでいるので、相談をするということがなかなかできないので、そういう相談コーナー、あるいは相談員といったようなものまで設けることによって、教育的な活動ができるのではないか、そして研修の中に、どういうことどのように伝えるかという方法論まで含めていただくことで、命を大事にするということにつながる教育になるのではないかと感じました。以上でございます。

【信國委員】 33ページに新たな業種・業態がつけ加えられたのが出ておるんですが、一方、この厳守基準にしろ拒否基準にしろ、全体に業種横断的といいましょうか、取り扱う動物も横断的です。他方、この新しく入った業態の中には従来と違う動物を扱うものあったり、業としての活動の違いがある。そこらをどう縦糸横糸で整備されるのかというのがあるんじゃないかと。もう一つ、こういうのは基本は業としてやっているということですから、やっぱり大部分の方はきちんとやっておられると思います。きちんとやられる源というのは、業であるからにはお客さんの目というのがやっぱり非常に重要なんだろうと。いわゆるペットショップみたいなのをベースに考えますと、これは動物もそこを通過していくというようなことなんです。ところが新しく入れられた中に、例えば乗馬施設みたいなのがありますけれども、これはむしろ繰り返し同じお客さんが利用するということで、監視の目は当然のことながらよく行き届いておると思います。だからそういうことを考慮しますと、こういうものを入れて、やたらと従来の基準を何が何でも適用する必要もないのではないか。例えば乗馬施設等を何で業として規制の対象にするのか。特段の問題が出ているなら、やっぱりそれは対象にしなければいけないんだろうと思いますし、もちろんその中には動物を扱うにふさわしくないような人がいるのかもしれませんけれども、特段の問題がないとするなら、既存の活動が行われているものが大変なコストをかけなければ継続できないというようなものになってはおかしいんではないだろうか。そういう面では、例えば乗馬施設というようなお話になりますと、扱う動物も大型の動物になるわけで、現在の基準の中の、例えば糞尿処理等についての基準が、今のままではちょっと当てはめられないんじゃないか。そのほかもあるのかもしれませんけれども。そういう面で、やはりその業態によってよく目の行き届くものと、ともするとお客さんの目をごまかしてといいましょうか、うまくやろうという、何か少し性質の違うものがあるんじゃないか。そこらについての取り扱いを適正に行わないと、かえって規制のための規制みたいなことになっておかしいんではないかと。
 それからもう一つ、研修ですが、毎年半日程度、それはそれで一つの体系としては基本になろうかとは思うんですけれども、一方で、民間団体のいろいろな活動の中に、そういう資格の要件として定期的な研修等を入れているような場合もあるんじゃないかと思います。むしろそういう研修も逆にうまく活用した方が、動物愛護法全般の話をするよりは、その業界団体の特に問題となる部分を我がこととして研修できるので、実効性は上がるのではないだろうか。毎年半日取られるというのがどの程度の負担になるのか。また逆に毎年毎年研修を開催する側も、何を研修としてその内容に盛り込むのかなど、苦労される面もあるんじゃないだろうかと。そこら何もかも行政がやるということよりも、むしろ利用できるものは利用するというような考え方もあってもいいのではないだろうかという気もいたしますんで、よろしくお願いします。

【林部会長】 ほかに。一応ご意見いただいてからまとめてお話いただければと。中川委員、どうぞ。

【中川(志)委員】 先ほどの局長の話、それから大矢さんや松下さんの話とも関係するんですけれども、これは基本的に非常に重要なことだと思うんですね。それで許可基準とか、そういう一つのメルクマールをつくると、それをクリアすれば飼えるという、それが前提になってしまう危険があるんですよね。実際には我々が飼育できる動物というのは5,000年から1万年ぐらいの家畜化の歴史があって、人間と動物の共生の歴史みたいのがずっと続いてきたグループと、全くそういう歴史を持たない野生でずっと生きてきたものと、全く同じというのはかなり問題だと思うんです。したがって、先ほどの危険動物のグルーピングというのが行われて、僕はあれはあれで正しいと思うし非常に重要なことだと思うんですけれども、ただ危険動物にしても、こういう条件を満たせば飼えるということになると、飼う方が前提になってしまうおそれがある。危険動物、いわゆる本来の野生動物というのは、わかっていないことが余りにも多い。したがって、原則としては飼うことはできないので、例外的にこういう措置をすれば飼えるんだという、そういうことだと思うんですね。ですから、その部分は周知させる必要があるんじゃないかという気がするんですね。それに関連していうならば、先ほど大矢さんもおっしゃったけれども、例えば犬、ねこのように人間との共生の歴史が極めて長くて、内容が非常にわかっているというものと、そうではない、初めて日本に入ってきたとか飼った経験が日本ではないというようなもの、そういうものに対しての経験というのが果たして1年でできるのかという問題があると思うんですね。したがって、家畜としての歴史、人間との共生の歴史がある動物と、そうでない動物というものはやっぱり別に考えないといけないんじゃないかと。したがって、そこらあたりは今回の取扱業者の研修というものでも同じようにやっぱり考えなきゃいけないんじゃないかなと、そういう気がしています。
 それからもう一つ、先ほど話に出ましたけれども、幼齢動物の話もそうなんですが、動物を飼う場合に、人の都合というか、人の論理と飼われる側の動物の都合というのがあると思うんですね。動物が動物としてハッピーでなければ、それを飼っている人間がハッピーになれるはずがない。だとすれば、その動物がハッピーであることの原則、生物学的な原則というのが当然あると。その生物学的な原則を果たさずに人間の都合だけで動物を飼うというのはやはり原則的にはまずい。そこら辺のところは今度相当突っ込んだ内容をこの規制の中に盛り込んでいただいたので、そこら辺りの原則のところも少しはっきりさせた方がいいのではないかなというふうに思います。以上です。

【菅谷委員】 まず権原というところですが、法律に基づく自己の管理施設であることが許可の前提条件のようですが、係争中や不法占拠の施設等があるものと思われます。所有権や賃借権など公的に証明できない事例については、施設が整っていても許可がなされず、相手の生活権を奪うことにもなり、第一線の職員がトラブルに巻き込まれたり、悩むことと思われますが、如何でしょうか。

【兵藤委員】 3点ばかりお願いいたします。幼齢動物の件ですけれども、支障がなければ56日、8週齢というやつは、危険率が非常に高いということは承知しています。危険率というのは死亡率ということです。社会性をつけるのにもやっぱりこれぐらいの日数はどうしても必要ではないかと思われるんですけれども、努力規定みたいのであれば、国民、あるいは消費者の教育のためにも、幼齢動物って漠然とではなくて、やっぱり日にちを入れたい。このあたりではもう少しいろいろなことで研究しなければいけないんでしょうけれども、そういうふうに思われます。
 もう1点、乗馬施設ですけれども、乗馬施設の件につきましては告発例等もございまして、大半の乗馬クラブについては素晴らしい環境の中で素晴らしい営業をしていることは私も乗馬をやっていまして認めておりますが、一部非常に劣悪な扱いをした例がありまして、私も告発例を一つ持っております。ほかにも告発をしている例がございますので、この乗馬施設、いわゆる時間貸しみたいなことで、不特定多数の方たちと触れ合う場合については、やはりこれでよろしいんじゃないかと僕は思っております。
 それから動物扱業とはならない方、あるいはNPOや動物福祉関係、あるいは感情に負けてたくさん動物を集めてしまっているところが、とても問題が多くなっています。あるいはコレクターという人たち。これは業でないものですから、先ほど大矢委員からも業でない人たちの取扱いをどうしようかという問題が出ています。この業ではない部分についても動物愛護の精神を逸脱したものが見受けられることがありますので、このあたりをひとつ何とかうまく包括したかたちにできればなというふうに思っています。以上です。

【中川(李)委員】 ちょっと一つ伺いたいんですけど、私の周りで聞いたことなんですけど、悪徳ブリーダーというのがいて、本当にただただ生むために犬を何匹か山奥で飼っていて、その犬の末路が非常に悲惨だということを聞いておりますけど、それはどういう範疇に入るんでしょうか。

【林部会長】 その話は承知している方もあると思うんですが、33ページの販売、保管、貸出し、訓練、展示とありますですね。その中で一番捕捉しにくいのが、先に信國委員からもありましたけれども、みんなの目につかないブリーダーなんですよ、実は。これをどこで引っ掛けるかといいますと、ここでは一応販売のところに入っております。しかし、実際にはペットショップは皆さん見えるわけですけれども、ブリーダーは見えない。こういう問題をどうするかというのはどこかでまた論議しなければいけないというところがありますね。
 ほかにご意見がなければ、これまでのところのご質問、あるいはご意見に対してお答えいただければと思います。

【東海林動物愛護管理室長】 かなりたくさんございましたので、場合によって漏らしたらご指摘いただきたいと思います。
 まず、どんな業界、業種が動物政扱業の規制対象に当たるのか。基本的に二つの考え方を持っております。一つは社会性があること、もう一つは継続反復していることと考えてございます。この社会性というのをもう少しわかりやすくいいますと、不特定多数の国民を相手にやっているということと置きかえてもいいんじゃないかと思っています。継続反復というのは、例えば犬が生まれた場合に一生のうち1回ぐらい有償で売ってもそれは業ではありませんよ、と。それが毎年たとえ1匹でも継続して10年も20年も続くようであれば、それは業になりますという意味で、継続反復性というものが評価されます。ただここは難しいのは、どれぐらいの継続反復なのかというのがなかなか最初からわかりませんので、二つのそういう考え方でもってケース・バイ・ケースで判断させていただいているというところになっています。そういった意味で、ブリーダーというのは目に見えないから捕捉しにくいところもあるんですが、基準の骨子案のところでも示させていただきましたように、ペットショップが仕入先の台帳をきちんと記録して、無登録のブリーダーとの取引というのは基本的にいけないということですと。ということにすれば、そういうところは底上げが図られていくのじゃないかなと思っております。
 それから、説明事項に関しましては、確かに犬、ねこに限らず爬虫類いろいろなものがありますけれども、ここは10月13日の素案作成までに爬虫類を含めまして、どんな説明事項が必要なのか整理してまとめておきたいと思っていますが、未成年者の購入につきましては、これは個々人の権利を制限する話になりますので、これは基準の範疇というよりは、むしろ必要であれば法律のレベルでご議論いただくことだなというように思っております。
 それから松下委員からお話のありました、動物取扱業者もいろいろな教育活動をすべきだというところのご指摘はもっともというふうに考えております。ペットショップだけではなくて、動物園、水族館、いろいろな動物取扱業者がいるんですが、ペットショップに関して言えば、今それぞれ二つの組織団体が行動をとってございます。日本鳥獣商組合連合、それから全国ペット交流協会。この二つの団体がありまして、大体1万ぐらいのペットショップがあるうち、それぞれ構成員数が1,000から3,000ぐらいといったところなんですけれども、こういった団体が自分たちの力で業界全体をよくしていこうという動きをまさに今始めているところでございますので、環境省としてもできる限りのことをやっていくというところで対処していけるんじゃないかなというふうに思っております。
 それから信國委員からご指摘のありました、業種、業界の違いを反映した基準、あるいは必要以上の水準を超えた規制というところの話なんですけれども、これもごもっともでございます。環境省というとどうしても規制するばかりの省庁と思われがちなんですが、例えば今回の規制というのは、悪質な業者をなくすというところと、それからあとは業界全体を適正化していく、いいものにしていくというところ、これはこの基準によるのか、あるいはいろいろな業界団体と連携してやっていくのかという手法はいろいろありますが、これらがこの動物取扱業の行政の一つの課題ではなかろうかなと思っております。こういったことを認識しながら、10月13日までの素案作成につきましては、業種、業界の違いが今まで以上に出ますように、あるいは規制の水準が適切なものになりますように、検討を進めていきたいというふうに思っております。
 それからもう1点ご指摘いただきました研修でございますけれども、今回議員立法で動物取扱責任者制度ができたんですが、実はちょっと一般の方は資格制度のように誤解されがちで、私どももいろいろな質問を受けているんですが、これは実は資格制度ではございませんで、動物担当者を定める仕組みであると。まずそこから始めたんだということを立法者の方々からご指摘を受けているところでございます。といいますのが、この規制ができた趣旨といいますのが、ある動物取扱業者のところに行政の方が指導に行っても毎回対応する人が違って、聞いている聞いてない、一体だれに言えばいいのかわからない。情報がうまく外部に伝わらないという問題があったものですから、とにかく自治体の指導を受ける窓口担当者を決めてくださいと。それが動物取扱責任者ですと、そういう視点になってございます。であるがゆえに、まず責任者を選任していただいてから研修をするという仕組みになっております。ですから研修も、動物の飼養方法を教えるというよりは、その時々のトピックを伝達するというところが中心的な内容になるんじゃないかなというふうに考えています。例えばSARS、鳥インフルエンザ、こういったものも起きていますので、動物の取扱いにはいろいろな意味で気をつけてくださいというふうに、その都度その都度、動物取扱業者の登録先になっている自治体の方から必要な情報を伝えていただくということが研修の主な内容になるんじゃないかなというふうに思っております。動物の取扱いに関しては毎年毎年のように新しいことが起きていますので、やはり毎年のように研修をしていかないといけない。毎年のように動物取扱業者に伝えるべき行政情報、あるいは動物の生理生態、いろいろな知見に関する情報もありますものですから、毎年半日程度の研修が必要なんではないかなと。研修というほどのものではないのかもしれませんけれども、法律上研修という言葉を使っていますので、研修と言わせていただきますけれども、そういう仕組みにしている。そういう仕組みを考えていったらいいのではないかなと考えている次第でございます。
 それから菅谷委員からお話のありました必要な権限の所持がございますけれども、確かに現実には係争中のものとか、いろいろな問題があるかと思いますが、他法令でも、例えば私どもの環境省で所管しております自然公園法のいろいろな許認可でも、基本的には自己所有の施設であるとか、例えば公園で何か展示販売をやる場合には占有許可を取っていますとか、必要最小限の権限を確認するということは許認可上必要としているところでございますので、いろいろと運用に当たっては難しい問題もあろうかと思いますけれども、必要最小限の権限を証明していただくような仕組みを設けたいというふうに思っているところでございます。
 それから、アニマルコレクターに対しましては、これは法改正の議論の中でいろいろ自民党、公明党、民主党さんに、いろいろなご意見が寄せられたというふうに記憶しております。ただこれに関しましては、基本的に業ではないということで整理されておりまして、現在の制度で多頭飼育による迷惑防止の勧告制度というものがございますし、それから虐待・遺棄をした場合には罰則が適用されるという禁止規定がございます。確かに多頭飼育者について、何らかの捕捉する届出制みたいなものを考えてはいかがかというご意見が出たことも記憶しているんですが、結果、各党の結論としましては、とりあえずは虐待・遺棄の禁止規定、あるいは鳴き声や臭いで迷惑を近隣に生じさせた場合には知事の勧告制度がございますので、これの適切な運用というもので、とりあえず対処していくことが適当ではなかろうかというふうにご判断されたんじゃないかなというふうに考えております。

【林部会長】 はい、ありがとうございました。

【青木委員】 補足して一ついいですか。

【林部会長】 一言どうぞ。

【青木委員】 すみません、ちょっとおくれての補足質問で恐縮なんですが、今回、動物取扱業に飼養施設等を持たないインターネットによる販売業者なども入れると。こういうようなことで実際そのように資料でご説明はされているわけですが、法律の登録の拒否という第12条の中には、この基準に照らすまでもなく、例えば成年被後見人であるとか、そういった形で登録を拒否できるものと、基準に照らして初めて判断されるものがあります。そして基準のところを今我々は議論しているわけですが、当然これは施設中心の基準ということになるわけで、インターネット関係の施設を持たない人については、差し当たりこの基準によって登録が拒否されるというような事態はあり得ないと考えておいてよろしいのでしょうか。それとも実際には動物にはさわらないけれども、例えば動物取扱責任者というのを置いてないからというような形で拒否するというようなこともあるのか、ちょっとイメージが湧きづらいので、実際行政の現場の方はお困りになる問題であり得ると思うんですが、いかがでしょうか。

【東海林動物愛護管理室長】 拒否基準として幾つかの事項を考えてございますが、まずインターネット、施設を持たないインターネット販売業者、これを例にとってご説明するのがわかりやすいかと思うんですが、インターネット販売業者について指摘されていた問題点は三つぐらいあったかと思います。まず一つは、動物の状態を確認しないで、不健全な状態の動物を顧客に売ってしまうという問題。それから顧客が確かに動物が飼えるかどうか確認をしない、あるいはきちんと動物に関する情報を伝えないで売ってしまうという問題、これが二つ目。それから三つ目は、輸送の仕方が非常に不適切な事例が多いというところの三つの問題が述べられていたというふうに記憶しております。最初の二つについては、拒否基準として考えたいという骨子案になってございます。輸送方法につきましては、登録をしてからでもいろいろ改善できる余地があるというところで、こちらの方は遵守基準ということで整理していいのではないかなというふうに考えてございます。顧客に売ってしまってからというのは、説明が不十分だとか間違っていた、あるいは病気の動物を売ってしまったからといって、確かに形式上は取り戻すことができるんですが、現実にはやはり病気の動物であっても、いったん受け取ってしまったら1日でも2日でも飼えば情が移ってしまいますから、取り返しとか、取りかえとかというのは不可能だ。つまり影響回避が困難な事項だというふうに思われ、こういったものについては遵守基準として是正命令を出せない、出しにくい事項になると思いますので、事前にチェックをすると。基本的にはそれをきちんと登録段階で取扱業者に宣言をしていただくといいますか、しっかりと確認していただくというような手続でやるのが適当ではないかなというように思っております。

【青木委員】 ちょっとまだよくわからないんですが、骨子案という形で本日の資料にあるものにプラスして、インターネット等による販売業者などについては何かプラスアルファーの基準をつくるというご趣旨なんでしょうか。

【東海林動物愛護管理室長】 26ページでございますけれども、動物の取扱い方法、一番下の欄になりますが、これちょっとわかりにくいかもしれないのですが、左の欄に販売方法等と書いてありまして、遵守基準(右欄の販売方法等[1]~[6])に適合した販売方法等に関する実施計画の作成とございます。ですから、これは販売業者全体の話なんですが、[1]から[6]の基準というのは、なかなかこういった問題が起きてしまってからでは悪影響の回避というか、是正がしがたい事項ですので、登録をしていただくときに、この[1]から[6]の基準については間違いなく遵守しますというような業務計画といいますか、実施計画といいますか、それを付けていただいて、これを守れないような業務内容であれば登録を拒否するということで拒否基準という位置づけにしたいというふうに考えている次第です。

【青木委員】 すみません、ちょっとしつこくて申しわけないんですが、例えばその[2]に販売・貸出し業者における販売・貸出し時における動物の状態の目視確認というのがありますが、そうだとすると、要するに見ないで売るということはできなくなるというような、ドラスティックな形だと理解していいのでしょうか。

【東海林動物愛護管理室長】 まさにそれをねらいとして掲げさせていただいた基準であります。普通のペットショップであれば常時ケースの中で状態を確認していますので大丈夫だと思うんですが、自分で飼養施設を持たないペット販売業者については遠隔地に多分あるかと思いますので、自分が直接見に行くか、あるいは責任あるだれかに委託をして見ていただいて確認するということになります。

【青木委員】 わかりました。

【前島委員】 すみません。どうも東海林さんの話を聞いていると何か心配になってきたんですが、動物取扱責任者の責任なんですが、私は少なくとも動物取扱業に関する基準を、その企業の中で実施させる権限を持った、責任を持っている人というふうに理解していたんですけれども、どうも今の話を聞くと、全然別のことであって、この責任はこのペットショップならその経営者の責任であると。ということになるんでしょうか。要するにこの基準はすべて経営者を相手に書かれる文書になってくるんでしょうか。

【東海林動物愛護管理室長】 基本的にはそういうことになります。経営者だけとは限らないと思うんですが、動物取扱業の登録の申請者が、つまり業を行おうとする者が登録をして、遵守基準を守らなければいけないというものということになりますので、何か違反をした場合に責められるのはだれかと考えた場合には、業の登録をした登録申請者、事業者ということになりますので、あくまでも事業者中心にいろいろとこういった基準の遵守というものが図られていくということになります。

【林部会長】 よろしいでしょうか。随分ご議論いただきました。本当に動物のことをよく知っている方は、例えばブリーダーなんかそうなんですが、この中には自分の育てた子犬や子ねこを新しい持ち主のところに譲るときにちゃんと手紙をつけるというような、日本ではありませんけれども、そういう本当に良心的な方もおられますので、こういう方は8週前に相手に渡すなんてことは絶対にしない方がいる反面、全くそうじゃない方がいるといううわさもありますので、今回ここで論議していただきます拒否基準にいたしましても、遵守基準にいたしましても、全体としての最低のところを守るということです。そのためにはどうしても数値が必要なところがあるのではないかとの御意見が、先ほど青木委員とそれから兵藤委員からありました。例えば青木委員からいいますと、最大取扱数に見合った規模というのは数字でないとやっぱりはっきり客観化された基準にならないのじゃないかということがあり、兵藤委員からは8週なら8週という言葉がないと幼齢だけでは何が幼齢かという全体的な基準がはっきりしないと。ここは次回までに少しお考えいただきたいところでもあり、また事務局の方でお考えいただいておくことではないかなと。登録の拒否基準、あるいは遵守基準の中で数値が必要になってくるところということですね。これは現在理想的な数値を出して果たして実行されるかなという問題がありますので、段階的にもしやっていくとすればどういうやり方があるのかということも当然論議していただくことが必要になってくるかと思います。それでは、今日の論議を踏まえて10月13日までに素案を作成いただければと思います。
 それではこれで最後になりますが、動物の所有者の明示に関する措置要領。犬及びねこの引取り並びに負傷動物の収容に関する措置要領。家庭動物等及び展示動物の飼養及び保管に関する基準。これは随分長いんですが、これについてご説明をお願いいたします。

【信國委員】 ちょっとすみません。先ほどの数値のところでそのとおりだろうと思うんですが、一方、例えば21ページの生活環境の保全上の支障の防止というところで、例えば臭いというなのが出ているんですが、これは例えば悪臭防止法で既にいわば一般的な意味での数値があるもの。こういうものは基本的にはそちらに準拠すると、こういう考えでいいんですよね。

【林部会長】 そうだと思います。

【信國委員】 何かこのために上乗せとか何とかというやつは現実的ではないと思うんで。

【林部会長】 そのとおりですね。それじゃあよろしいですか。

【東海林動物愛護管理室長】 資料3-1から説明させていただきます。53ページ以降をお開きいただきたいと思います。
 まず動物の所有者の明示に関する措置要領でございますけれども、時間も押していますので手短に説明させていただきたいと思います。
 平成11年度法改正で、基本的に動物については所有者を明示しましょうという規定が努力規定として設けられました。それで今回の法改正で、危険動物つまり特定動物については、許可の規制の中で識別措置、これが義務づけられたということでございます。対して一般の愛玩動物はどうかというところで、基本化するにはまだ時期尚早であるというところで、差し当たっては自発的な取組を推進するような手立てを講じようということで、今回環境大臣がガイドラインを策定するという仕組みが今回の法改正で設けられたところになってございます。
 今回新規に策定するガイドラインということになりますけれども、基本的には案の骨子に掲げましたように、所有者明示の意義及び役割ですとか、それから装着すべき識別器具に関する基本的な考え方等、あるいは動物の健康及び安全の保持とか、あるいはそれを進めていくための関係行政機関等の責務といったものを規定する内容で考えたいというふうに思っているところでございます。
 このガイドラインの適用対象動物は、所有者の明示の意義及び役割に照らしてみて、家庭動物、展示動物、それから規制対象動物、特定動物ですね、これに限定されるんではないかなというふうに考えてございます。
 それから55ページ以降は前回おつけした資料なんですが、マイクロチップによる犬の個体登録システムの流れ。それから56ページ、57ページ目はこれも前回おつけした資料なんですが、いろいろな個体識別手段がございますので、それをここに載せていただいております。それから58ページ目、59ページ目は、先ほど菅谷委員からのご質問で説明をさせていただきましたので省略させていただきます。
 59ページ目の下段から60、61ページ目は、マイクロチップと入墨と脚輪について今現在どういったようなコード体系が整備されているかというところを整理させていただきました。マイクロチップについてはISO規格で世界標準が定められております。それから脚輪については、鳥獣法で環境省の方でコードを定めておりますけれども、基本的にこれにならう形で、こういうふうに作っていったらいいのではないかということであります。それから入墨については、シェパード犬協会でこういう体系をとっておりますので、これを参考に体系の整備をしたいというふうに思っております。
 それから61ページの下段になりますけれども、最近マイクロチップを埋め込んだので飼い主の元に返ってきたという報告がぽつぽつと散見される状態になってきております。
 それからちょっと急ぐようですが、63ページ目は犬及びねこの取引き並びに負傷動物の収容に関する措置要領です。これは既にできているものでございまして、今回の法改正に合わせて次のところを改定するというところになっております。主な改定事項でございますけれども、犬ねこの引取り措置。これ基本的に自治体は義務として引き取らなければいけないんですが、この義務規定が設けられた背景といいますのが、昭和40年代後半当時、そのころは多数の野良犬野良ねこがいたと。いろんな問題、被害、公衆衛生上の問題が発生したことを背景として、緊急避難として位置づけられたものということになっております。ですからこれは減少していくことになると常に言われておりますので、こういった趣旨が徹底されますような指導助言というものをやっていく必要があるんじゃないかなというふうに思っております。何回か継続して犬ねこの引取りを保健所にお願いに来る方が少なからずいらっしゃると。こういう方については義務だからといってただ単に引き取るだけじゃなくて、きちんと指導すべきじゃないかということで考えています。それからマイクロチップを埋め込んだ犬ねこが増えてきておりますので、これの措置状況についての確認をする。あるいは今、狂犬病の予防法も入れますと年間四十数万頭の犬ねこが引き取られていますけれども、残念ながら98%近くが殺処分されています。2%のみが新しい飼い主に引き取られるわけですけれども、これの改善を図るために、保管期間をできるだけ長くして、新しい飼い主の募集を呼びかける事業を展開してまいってはどうかなというふうに考えております。ただ、どこの保健所もあるいは屋内センターも収容力に限りがありますから、まず引き取って収容された犬ねこについては、家庭動物としてペットとしての適性を備えているかどうか、適性評価をした上で、適性を備えたものについては飼い主を探し、あるいは保管期間も長くすると。適性のないものについては非常に残念な話なんですが、処分を前提に考えていくという方法を取らざるを得ないんじゃないかなというふうに考えております。こういった事業を展開する上においては、動物愛護推進員、あるいは動物愛護団体との必要に応じた連携ですとか、あるいは実際に譲渡に当たっては、率先垂範ということで、譲渡後についてはマイクロチップ等の埋込み等個体識別装置、あるいは不妊去勢というものをしっかりとやっていただくということが大事じゃないかなというふうに考えております。
 それから負傷動物については、今でも引き取りましたら各自治体では治療をきちんとしておるんですが、これが措置要領上明確に規定されておりませんでしたので、規定したらどうかというふうに考えています。
 64、65ページ目がこの現行要領と追加・変更事項の対応部分を整理させていただいたものであります。
 それから67ページ目は、先ほど申し上げました犬ねこの引取り数の推移でございまして、殺処分率は、少しずつは改善されていますが、まだまだ高い状況になってございます。
 68ページ目は、東京都の例なんですが、犬ねこの引取りの内訳、犬に関しては非常に改善されてきておるんですが、ねこについては、黒く塗ったところ、拾得者からの引取りというのは基本的に野良ねこが産んだ子ねこが中心になっております。子ねこであるがゆえになかなか譲渡に適さないものが多くて、殺処分されているのが多いという現状です。それから収容日数もなかなか収容力に限界がありますので、3日から4日というところが半数ぐらいを占めているという状況でございます。新しい飼い主をできるだけ探すように、環境省の方では各自治体と連携しながら、譲渡支援データベース・ネットワーク事業をやっております。インターネットを通じて行政界を超えて新しい飼養者を探そうというものでございます。ただこれはやみくもに渡せばいいというものではございませんので、先ほど申し上げましたように、マニュアルをつくって、まず動物の適性を評価する。適性と認められた動物については新しい飼い主探しを効率的に行うということをここで行うと。それから新しい飼い主希望者が見つかった段階においては、今度は飼い主の適性の評価も必要でございますので、きちんと譲渡講習会を行って、飼い主としての適性が認められた者に対して、犬ねこを譲渡するという仕組みになろうかと思われます。
 それから71ページ目は不妊去勢手術の実施状況。(2)は動物愛護に関する世論調査の内閣府の世論調査の結果でございます。
 それから72ページ目は動物愛護推進員の方に協力を得る上で、動物愛護推進員の方がどのような活動をされているかというアンケート結果でございます。
 それから73ページ目は、今マイクロチップがいろいろなところで普及啓発されておりますけれども、犬ねこについては今現在約3万件ぐらいが普及しているというところになってございます。
 それから79ページ目は、最後になりますけれども、家庭動物及び展示動物の飼養及び保管に関する基準でございます。これも既にできている基準でございまして、平成14年と平成16年にそれぞれ改定されてございます。今回の法改正に伴って必要な事項をまた再度改定するということになっております。改定の主なポイントでございますけれども、79ページ目の中ほどに掲げましたように、全部で5点ございます。学校飼育動物、これを飼養及び保管するに当たっての配慮事項の充実。学校ですと、休日の扱いですとか、あるいはいろいろな動物を一緒のところで飼う場合が多いですので、その辺の配慮が必要になってまいります。それから動物の愛護もさることながら、動物によって迷惑を受けている方、これも多数いらっしゃいます。こういったものの管理をしっかりしていただいて、迷惑防止を図っていただくための対応事項、こういったものを充実する方法を図っていこうという考えでございます。それから虐待の行為としましては、今は法律上、給餌給水を怠ること等による衰弱、これが一つの理由として掲げられてございますけれども、これ以外にも傷病のみだりな放置ですとか、みだりな殴打や酷使、こういったものも虐待に当たるおそれの高い行為として考えられますので、家庭動物、あるいは展示動物の基準の中でこういった趣旨を明確化していってはどうかというふうに考えております。
 それから最後になりますが、感染症でございますが、人畜共通感染症、動物由来感染症、いろいろな言い方がありますが、先日の審議会でご指摘いただきましたように、だれが加害者でだれが被害者ということはないだろうと。特に動物愛護関連の世界ではというご指摘がございましたものですから、今回、人と動物の共通感染症と表現の適正化を図りたいというふうに考えている次第でございます。以上です。

【林部会長】 ありがとうございました。ご質問、ご意見ございますでしょうか。

【藏内委員】 マイクロチップによる所有者責任がこれで随分進展するなと思っております。そこで地方公共団体による法第35条による引取りと36条の負傷動物の収容、ここで個体情報の読み取りをすること。それから今いろいろな団体が既に情報登録をやっているわけですから、こういった紹介事務等、あるいは引取り動物を譲渡する際のマイクロチップを注入しなさいということについては、ガイドライン等できちっと明記をしていただけたらと思います。それからもう一つは、このマイクロチップというのは今回特定動物で、あるいは外来生物法で、法令に明記することができたわけでありますけれども、理想としては、やはり家庭飼育動物全般にこういったものが規定されていくべきだと考えています。できればこのマイクロチップの個体識別、あるいは登録管理の推進については、国の方でモデル事業といいますか、地区を指定されて、事業を起こしていただけると随分推進していくんじゃないかと思います。

【林部会長】 ありがとうございました。ほかにご意見、ご質問ありますでしょうか。よろしいでしょうか。

(な し)

【林部会長】 それではこれにつきましては、また10月13日に論議になることになるかと思いますが、大体時間が来ておりますけれども、次に議事の2について、何かございますか。特にありませんね。委員の皆様からも特にその他ということで特別に何かおっしゃりたいこと等ございませんか。

(な し)

【林部会長】 よろしいでしょうか。それでは以上をもちまして、本日の動物愛護部会の議事を終了したいと思います。
 それでは次回の日程等について事務局から連絡をお願いいたします。

【東海林動物愛護管理室長】 林部会長を初めといたしまして、委員の皆様方におかれましては長時間にわたりご審議いただきましてありがとうございました。
 次回の日程なんですが、お手元に第11回及び第12回動物愛護部会という2枚つづりを事前に配付させていただいております。非常に頻繁な会議でお手数をかけて申しわけないんですが、9月26日、27日、両日とも午後になりますが、関係団体からのヒアリングを開催させていただきたいと思っております。それで場所について、実は第11回は第1会議室、ここを予定しておったんですが、会議の都合上、日本自転車会館の方に変更になりましたので、よろしくお願いしたいと思います。火曜日の方は、この近くになるんですが、経産省の別館の第944会議室になっております。このヒアリング、それから今日いろいろといただきましたご意見を踏まえまして、10月13日、午前中になりますけれども、それまでに素案を私どもの方で鋭意まとめたいというふうに考えている次第でございます。

【林部会長】 予定につきまして、何かご質問ございませんか。それでは2日間にわたって大変ではありますが、どうかよろしくお願いいたします。
 ほかにございませんか。

(な し)

【林部会長】 それでは以上をもちまして、本日の動物愛護部会を閉会いたします。ありがとうございました。