中央環境審議会動物愛護部会(第9回)議事録

日時

  

平成17年8月4日(木)午後2時00分~午後4時29分

場所

  

環境省 第一会議室

出席者

林 良博 部会長  
青木 人志 委員 今泉 忠明 委員
大槻 幸一郎 委員 大矢 秀臣 委員
奥澤 康司 委員 清水 弟 委員
菅谷 博 委員 中川 志郎 委員
中川 李枝子 委員 信國 卓史 委員
兵藤 哲夫 委員 前島 一淑 委員
松下 倶子 委員  
 
南川 自然環境局長 泉 総務課長
東海林 動物愛護管理室長 黒田 審議官

議題

(1)

動物愛護部会の所掌等について

(2)

動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第68号)の公布について

(3)

同改正法の施行等の在り方について

(4)

その他

配布資料

資料1 中央環境審議会議事運営規則
資料2 動物愛護管理法の改正概要
資料3 諮問書、付議書
資料4 検討スケジュール(案)
資料5 実験動物小委員会の設置について(案)
資料6 実験動物小委員会の運営方針について(案)
資料7 法改正等に伴い策定等が必要となる主な政省令等
参考資料1 動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(平成17年法律第68号)

議事

【事務局】 それでは時間になりましたので、中央環境審議会動物愛護部会を始めたいと思います。
 まず、本日の委員の皆様のご出欠についてご報告いたします。
 本日は、委員16名のうち、現在14名の方が出席しております。規定により部会は成立しております。欠席していますのは藏内委員、丸山委員です。
 それでは林部会長、よろしくお願いいたします。

【林部会長】 承知しました。それでは、ただいまから第9回動物愛護部会を開催いたします。
 議事に先立ちまして、南川自然環境局長からごあいさつをいただきます。

【南川自然環境局長】 皆様、お暑い中本当にありがとうございます。私、先月の二十日に自然環境局長を拝命いたしました南川秀樹でございます。よろしくお願いいたします。それまでは2年余にわたりまして、廃棄物リサイクルの担当部長をしておったわけでございますけれども、実は、元来が官房関係が長かったこともございまして、例えば省庁再編のときの窓口の担当課長もしておりました。この動物愛護関係でございますが、元々私自身は仕事として取り組むのは初めてでありますけれども、今回の前の動管法の改正のときに、自民党の中でどこでこの問題を取り上げようかというときに官房におりまして、そのときにいろいろ相談をして、結局じゃあ環境部会で受けとめて改正をしようということでいろいろ動いたことがございます。また、省庁再編のときにおきましても、総理府という役所において、どこにも事実上属さないというのは好ましくないというご議論があったときにも、野生生物との行政との接点も大きいだろうという議論をして、現在のような所掌になったということもございます。それだけに、この行政をぜひ、環境行政の中でしっかりと位置づけたいという思いは人一倍強いものがございます。したがいまして、環境行政の、特に自然環境の中の単なる1つの分野ということではなくて、大きな他にもかかわりのある1つの大きな大事な分野だと思って取り組んでまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 この動愛法でございますが、ご承知のとおり、今国会で改正をされたところでありまして、6月の終わりに公布をされました。内容につきましてはご承知と思いますけれども、動物愛護管理施策を総合的に進めるための計画制度をつくる。また、動物取扱業の適正化を図る。それから個体識別措置を行う。また、動物を科学的な利用に供する場合の配慮事項の充実と、そういった課題を幅広く取り上げているところでございます。必ず、将来的に動物愛護管理施策の一層の充実に資する意味ある改正だというふうに認識をしているところでございます。公布の日から1年以内に施行されるわけでございますけども、その施行の前には地方公共団体にもいろいろやっていただくことがあるということでございまして、それに間に合う形で準備をぜひ進めていきたいということでございます。
 今日からでございますけれども、この改正法の施行のあり方についてご審議をいただきたいと思っておりますので、ぜひ委員の皆様から忌憚のないご意見を賜ればと思うところでございます。この行政、ぜひ一生懸命やってまいりますので、皆様のご支援をよろしくお願いします。どうもよろしくお願いいたします。

【林部会長】 ありがとうございました。実は本日、冒頭に局長からのごあいさつがあるということで、私、ネクタイを先ほどしておりましたのですが、東海林室長からはクールビズを徹底させているからネクタイをとってもいいんだと言っていただきました。黒田審議官に至っては、大臣室に入るときはネクタイをして入ったら入れないという話ですので、どうか委員の皆様方もとっていただいて結構です。もししていてもいいんですね。

【事務局】 職員はしないことにしていますので、ぜひ。

【林部会長】 どうぞカジュアルな形で今後ともいただければと思います。
 それでは、続きまして環境省の幹部職員の方々に異動がございましたので、事務局からご紹介をお願いいたします。

【事務局】 前回の部会以降、幹部職員等の異動がありましたのでご紹介させていただきます。
 ただいまあいさつを申し上げました南川自然環境局長です。
 次に、黒田大臣官房審議官です。
 次に、泉自然環境局総務課長です。

【林部会長】 ありがとうございました。
 それでは、議事に入る前に事務局から配布資料について確認をお願いいたします。

【事務局】 配布資料の確認をさせていただきます。
 まず、中央環境審議会第9回動物愛護部会という冊子、これには資料1から資料7が添付されております。それと、別冊になりまして動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律という冊子、それと「愛情はたっぷりと責任はしっかりと」という改正動愛法のパンフレット、それと座席図が配布されておりますのでご確認ください。もし、資料に不備がございましたら事務局までお申しつけ願います。

【林部会長】 よろしいでしょうか。資料はございますでしょうか。
 それでは議事に入らせていただきます。このかがみにありますように議事の第1番でありますが、動物愛護部会の所掌等について、事務局よりご説明いただきます。

【事務局】 それでは、資料に基づきまして説明をさせていただきます。左端をとめておりますこちらの資料の2枚めくっていただきまして、資料の1、中央環境審議会議事運営規則についてご説明をさせていただきます。座らせていただきます。
 第一条、会議の招集、会議の招集については会長が委員に通知をすることになっております。
 また、第二条として会長、会長は議長として議事を整理をするということになっております。
 第三条は専門委員としまして、専門委員は会長の承認を得て意見を述べることができるとされておりまして、この第一条から第三条につきましては、部会長に準用という形で、動物愛護部会についてもこのような形で進めていただくという形になっております。
 第四条の部会でございますが、この審議会に、次に掲げる十三部会を置くということで、13番目のところに動物愛護部会、当部会が規定されてございます。こちらの所掌事務については、別表に動物の愛護及び管理に係る重要な事項に関することと所掌が定められております。
 次に第五条でございますが、諮問の付議、これは後ほど内容を説明させていただきますが、中央環境審議会の会長がそれぞれの案件に応じまして部会に付議することができるという形になっております。
 さらにページをめくっていただきまして2ページ目、こちらの方の第六条でございますが、部会の決議が会長の同意を得て審議会の決議とすることができるということが規定されてございます。
 第七条は先ほどの準用規定でございます。
 第八条、小委員会としまして、本日、また後ほどご説明させていただきますけれども、部会が必要に応じてその定めるところにより、小委員会を置くことができるという規定がございます。また、第二項としまして、小委員会に属するべき委員、臨時委員、専門委員は部会長が指名をするということになっております。また、小委員会に委員長を置き、部会長の指名により委員長を定めるという規定になっております。また、小委員会の決議については、部会の定めるところにより部会長の同意を得て、部会の決議をすることができるという規定がございます。
 あと専門委員会ときまして、第十条、会議録でございますけれども、本部会の会議録については、会議の概要を記載した会議録を調製しなければならないという形になっておりまして、これにつきましては環境省ホームページ等で公開されることになっております。
 また、最後の雑則十一条でございますが、第二項としまして、部会の運営に必要な事項は部会長が定めるという形になっております。
 以上でございます。

【林部会長】 ただいまのご説明に何かご意見、ご質問ございますでしょうか。よろしいですか。

(了承)

【林部会長】 それでは次の議事、議事の2、動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律の公布についてでございます。
 ご承知のように、動物愛護管理法は議員立法により改正されまして、6月22日に公布されております。それでは、事務局より改正されました動物愛護管理法の概要等についてご説明いただきます。

【事務局】 では引き続きまして、4ページをお開けいただいて、資料2について説明をさせていただきます。
 動物愛護管理法の改正概要についてでございます。
 まず、Iとしまして動物愛護管理法の改正の経緯について、かいつまんでご説明をさせていただきます。動物愛護管理法は、昭和48年の9月に議員立法で「動物の保護及び管理に関する法律」として制定されております。さらにその後、平成11年の12月に議員立法により改正され、名称を「動物の愛護及び管理に関する法律」に改正されまして、この段階で動物取扱業の届出制が導入されております。
 この11年12月の法改正によりまして、施行後5年、ちょうど平成17年に当たりますけれども、これを目途として、施行状況について検討を行い、必要に応じ所要の措置を講ずる旨の附則と課題等をお示しいただいた附則決議をいただいております。
 (2)としまして、各党における改正案の検討についてご説明をさせていただきます。平成11年の改正の附則・附帯決議に基づきまして、自由民主党、公明党、民主党では小委員会やワーキングチームなどが設けられ、意見交換を行いながら法改正の検討が進められてきておりました。3党につきましては、社民党、共産党とも協議され、共同で同法の改正案を取りまとめられ、国会に提出されております。審議を経まして、平成17年6月15日に成立、6月22日に公布の運びとなっております。
 2番としまして、動物の愛護管理のあり方検討会についてです。一方、私ども事務方、環境省としましては、自然環境局長のもとに懇談会を開きまして、「動物の愛護管理のあり方検討会」で施行状況ですとか課題についての調査、検討を進めていただき、各党における検討にご協力を申し上げてまいりました。
 ではIIの改正法の概要についてご説明をさせていただきます。
 大きく4点、その他を含めますと5点について、今回の改正の内容が記載されております。
 まず、基本指針及び動物愛護管理推進計画の策定でございます。基本指針に関しましては、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するため、動物愛護管理施策に係る理念ですとか、中長期的にわたる目標、その達成手段等を内容とする基本的な指針を環境大臣が定めることとする措置が改正法に盛り込まれております。
 また、この基本指針を踏まえまして、都道府県が動物愛護管理推進計画を定めるというような形になっております。現在、この長期計画につきましては、東京都を始め、数カ所の自治体でおつくりいただいているというふうにお聞きしておりますので、これについて、すべての都道府県でおつくりいただくというようなものでございます。
 続きまして、2の動物取扱業の適正化でございます。現行動物取扱業につきましては、届出制ということになっておりまして、これに基づいて不良な、よろしくない業については、勧告、命令等を行ってきているところなんですけれども、改善が見られない悪質事例が存在していたということと、全体的にペットショップ等の施設や管理の水準の向上が必要であるという実態がございましたので、まず現行の届出制を登録制に移行し、悪質な業者について登録及び更新の拒否、登録の取消し、さらに業務停止の命令措置を設けることとした登録制を導入したことでございます。
 また、動物取扱業者については登録された業者であることをきちんと動物をお買いになる一般の方々にお示しいただくという意味で、氏名、登録番号などを示した標識を、わかりやすい、見やすいところに掲示をするよう義務づけるものでございます。これによりまして、いわゆる消費者の方の適正な選択に資するものと考えております。
 続きまして(2)「動物取扱責任者」の選任及び研修の義務付けでございます。動物取扱責任者をまず選任していただきまして、その方々については都道府県等の行う研修を義務づけるものでございます。
 次に、5ページ目に移っていただきまして、(3)動物取扱業の範囲の見直しでございます。これについては、従来、現行施設を持って動物に関する業を行うという方々が動物取扱業として規定されてきたところですが、この施設を持ってというところをなくしまして、施設を持たないまでも、動物に関する業を行っている方々について対象とさせていただくものでございます。これによりまして、インターネットによる販売等の業の追加がなされることになります。また、「動物触れ合い施設」ですけれども、これは従来展示施設の中に含まれてきたところではあるんですが、これが含まれるということを明確化するために、範囲の見直しを行ったというものでございます。
 (4)としまして、生活環境の保全上の支障の防止というものがございます。鳴き声ですとか臭いなどの生活環境の保全上の支障を防止するための基準の遵守の義務づけ、これについては現行上、このような基準というのは動物取扱業の基準の中には盛り込まれてございませんでした。これについて義務づけをしまして、動物取扱業の適正化のための措置が盛り込まれたというところでございます。
 次に3番、個体識別措置及び特定動物の飼養等規制の全国一律化がございます。
 まず、(1)としまして、動物の所有者を明らかにするための措置、これについては現行法令上も動物の所有者の努力規定として定められていたところでございますが、今回、新たに具体的内容を環境大臣が定めるという定めになりまして、この所有者明示を一層推進することとされております。
 (2)としまして、人の生命等に害を加えるおそれがあるとして政令で定める特定動物、いわゆる危険動物の規定でございますけれども、動物の危険性には地域差がないということでございますが、現行制度は必要に応じた条例規制でございまして、また各自治体における特定動物の危害防止対策には相違があったという現状がございまして、この特定動物による危害等防止の徹底を図るために、都道府県または政令市の長の許可を必要とする全国一律の規制が盛り込まれたところでございます。(3)と(2)が逆になりましたけれども、その許可に当たりましては、その責任の所在等を明らかにするために、あわせて個体識別措置が義務づけられたところでございます。
 4番としまして、動物を科学上の利用に供する場合の配慮が盛り込まれてございます。これにつきましては、動物を教育、試験研究または生化学的製剤の製剤の用、その他科学上の利用に供する場合においては、現在その利用に必要な限度においてできる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないという規定がございます。環境大臣は、この方法についてよるべき基準を定めることができるとされているところでございます。
 今回の改正に当たりましては、この苦痛軽減に関する配慮事項に加えまして、科学上の利用の目的を達することができる範囲において、できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用すること、またできる限りその利用に供される動物の数を少なくすること等により動物を適正に利用することに関する配慮事項が追加されまして、国際的にも普及、定着しております動物実験に対する配慮事項の、いわゆる3Rの原則、代替法の活用(Replacement)、使用数の削減(Reduction)、苦痛の軽減(Refinement)が明記されたところでございます。この追加された2項目については、動物実験に関する配慮事項としての性格が強いものでありますので、動物愛護管理法におけるよるべき基準については従来どおり、苦痛軽減に関する配慮事項についてのみ策定する仕組みとされております。
 5、その他としまして、[1]学校等における動物愛護の普及啓発。教育等が行われる場所の例示としまして、「学校、地域、家庭等」と場所が明示されたものでございます。
 [2]としまして、動物由来感染症の予防。動物の所有者の責務規定として、動物由来の感染症の予防のために必要な注意を払うように努めることという文言が追加されてございます。
 [3]としまして、犬ねこの引取り業務の委託先。これは現行の法令にも「等」でお示しされていたものでございますけれども、動物の愛護を目的とする団体が委託先になり得るということが明示されたということでございます。
 [4]としまして、罰則が引き 上げられております。愛護動物に対する虐待等について、罰金を30万円以下から50万円以下に強化したものでございます。
 また、[5]としまして、この改正法案の施行後5年を目途としまして、必要に応じて必要な措置を講ずる旨の検討条項が設けられております。
 最後に、施行日でございますけれども、公布の日、6月22日から1年を超えない範囲内において政令で定める日と定められております。
 以上でございます。

【林部会長】 ありがとうございました。改正法、その改正の経緯と概要についてご説明いただきました。何かご質問、ご意見ございませんか。よろしいでしょうか。
 はい、どうぞ信國委員。

【信國委員】 あるいはあとで説明があるのかもしれませんが、施行の日というのは、何か今原案があるのでしょうか。1年を超えない範囲内においてなんですけど。

【東海林動物愛護管理室長】 施行の日ですけれども、これは政令で定めますので、これから政府内で検討して定めるということになりますけれども、私ども環境省、事務局としましては、現時点では来年の6月1日ぐらいを目途に調整を進めたいというふうに考えております。
 その理由としましては、前回の平成11年の法改正も、公布の日から約1年後ということで施行されておりますけれども、前回の法改正に匹敵するかなりの周知期間が必要な内容であるというところで、約1年後にしたいという考え方でございます。

【林部会長】 よろしいでしょうか。ほかにございますか。

(なし)

【林部会長】 ないようでしたら、次の議事に入りたいと思います。議事の3は、同改正法の施行等の在り方についてでありますが、事務局から2つの点についてご説明いただきます。
 まず、法改正の施行との在り方については7月21日に環境大臣から中央環境審議会会長に対して諮問がなされました。また、これを受けて同会長より動物愛護部会長に付議されたということをまずご報告いたしますが、この内容について、この諮問の内容と検討スケジュールについてご説明をいただきます。
 もう一つは、実験動物の飼養保管基準についてでありますが、その内容が技術的に高いものであり、専門性が高いと考えることから、中央環境審議会議事運営規則に基づいて、同部会に実験動物の小委員会を設置し、検討を進めていくことが妥当ではないかと考えております。つきましては、実験動物小委員会の設置及びその運営方針も含めてご説明いただきたいというふうに思います。
 それではお願いいたします。

【東海林動物愛護管理室長】 それでは、お手元の資料の6ページをお開きいただきたいと思います。ごあいさつがおくれましたけれども、動物愛護管理室長の東海林でございます。引き続き、よろしくお願いしたいと思います。
 6ページの資料なんですが、諮問書でございます。時間の関係もございますので要点だけかいつまんでご説明させていただきますけれども、7月21日に環境大臣から鈴木中環審会長に改正動愛法の施行等の在り方についてということで諮問されたものでございます。諮問文の後ろから3行目になりますけれども、動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律の施行等の在り方に関して、別紙に掲げる項目に係る貴審議会の意見を求めるということになっております。
 その根拠条項としては、実は3つほど書いてございますけれども、環境基本法、それから改正動愛法、それから現行の動物の愛護管理法、この3つでございます。諮問事項が、7ページ、8ページを見ていただきますとおわかりいただけますように15項目ございます。相関連するもの、相関連する事項については、動愛法に定められております法定諮問事項、これは必ず審議会に諮問しなければならないという法定諮問事項以外の事項についても、相関連するものについては包括的に諮問をさせていただいているというものでございます。その結果、3つの法律に基づく諮問ということになっております。環境基本法に基づく諮問と申しますのは、重要な施策については審議会に諮問できるという包括的な規定がございますので、動愛法に定める法定諮問事項でないものについては、これに基づいて諮問させていただいているということになります。
 諮問理由の方を読ませていただきます。より一層の動物の愛護管理の推進等を図るため、平成17年6月22日に動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律が公布されたところである。当該改正法においては、環境大臣による基本指針の策定及び都道府県による動物愛護管理推進計画の作成について定めたほか、動物取扱業について、その対象範囲の拡大、登録制の導入、動物取扱責任者の設置等の措置を講ずるとともに、特定動物の飼養又は保管について、これは危険動物でございます、条例による規制措置に代えて許可制を導入する等の規定、動物を科学上の利用に供する場合、実験動物でございますけれども、この場合の配慮事項を充実する規定等が設けられたところであり、当該改正法の施行に必要となる政省令、基準、基本指針等の検討を総合的に行う必要がある。
このような状況を踏まえ、またペットとしての動物の飼養に対する志向の高まり等、昨今の動物の愛護管理を取り巻く諸情勢の変化を踏まえ、動物の愛護及び管理に関する法律の適切な施行等の在り方について、貴審議会の意見を求めるものである、ということになってございます。
 諮問事項は1番から15番まで、7ページから8ページにかけて掲げられてございますけれども、基本指針ですとか、動物の所有者明示の措置要領ですとか、それぞれ掲げられているところでございます。それぞれの事項につきましては、資料7に基づきまして、追ってご説明させていただきたいと思っております。
 それから、9ページにつきましては付議でございます。中環審の規則に基づきまして、鈴木会長から林部会長の方に付議されているというところでございます。
 それから、10ページ目をお開きいただきたいと思います。全体の作業検討スケジュール、これを簡単にまとめさせていただいた図でございます。先ほど信國委員からご質問がありましたように、事務局としましては、施行は6月1日を目途に政府内で調整を進めていきたいというふうに考えてございます。そう考えた場合に、各省令ですとか基準ごとに求められている作業スケジュール、いつまでにやらなければいけないのかというところが若干異なってございます。それとご検討いただく内容は15もあるということで、多数あるいは分野的にも多岐にわたるということでございますので、3つにグルーピングして、施行までに必ずやらなければならない事項、それからそうでないもの等がございますものですから、3つにグルーピングして作業を進めていくこととしたいというふうに考えてございます。
 まず一つは、特定動物関係と、動物取扱業関係の政省令でございます。これについては、日程的に施行までに政省令等を踏まえて、各自治体において関係の条例の改廃作業を行ってもらわなければいけないということになってございます。6月1日施行と仮定しますと、この条例を改廃していただく議会というのが、多分2月議会ということになりますので、関係の政省令は12月から1月にかけて、遅くとも1月ぐらいまでには公布、告示をしなければいけないということになろうかと思われます。
 それから、実験動物の飼養保管基準の改定に関しましては、これは実際の条例規制と直接リンクするものではございませんので、6月1日の施行までに告示をすればよろしいんじゃないかなというふうに考えてございます。
 それから、一番下段の基本指針でございますけれども、これはできるだけ速やかにつくるべきものではございますけれども、諸般の事情を考慮して、改正法の施行後、速やかに策定を行うというタイムスケジュールではいかがかなというふうに思っているところでございます。というように、3つにグルーピングして進めていくことにしたいというふうに考えております。ですから、諮問を今日させていただいておるわけでございますけれども、答申の方は3段階に分けてご答申をいただくということになろうかと思われます。
 あとはこの政省令、特定動物、それから動物取扱業関係の政省令でございますけれども、こういったタイトなスケジュールで行わなければいけませんので、既に3回分の部会の日程をセットさせていただいております。今日8月4日、それから2回目が9月21日、それから3回目が10月13日ということになります。順番に、今日はフリートーキングをいただきまして、この結果をもとに9月21日は骨子案なり基本的考え方、これをご議論いただく。それからヒアリングを経まして、10月13日には素案をご検討いただきまして、それから一般の国民の方々のご意見をいただくというパブリックコメントの手続に入りたいというふうに考えているところでございます。
 それから、このヒアリングでございますけれども、このように日程的に非常にタイトでございますので、部会を開催しがたいというふうに考えてございます。林部会長とも相談をさせていただいているところでございますけれども、林部会長を中心に懇談会といいますか、ご都合のつく方々にお集まりいただいて、関係業界、関係団体の方々からヒアリングをいただくということにさせていただきたいというふうに考えている次第でございます。
 それから、先ほど林部会長の方からご説明がありましたように、実験動物の飼養保管基準に関しては、内容が非常に専門的で技術的でございますので、別途に小委員会を設けて検討していったらどうかというふうに考えているところでございます。これにつきましてもヒアリングですとかパブリックコメントを含めまして、施行までに作業を整えるということで考えております。後ほど詳しくご紹介しますけれども、同時並行的に文部科学省等関係省庁でも、動物実験、実験動物の扱い方ではなく動物実験そのもののあり方に関するガイドラインを検討すべく、現在作業中、検討中であるというように聞いているところでございます。
 11ページに移りますけれども、実験動物の小委員会を設置するとした場合の設置の(案)、それからその運営規則の(案)をまとめてございます。審議会規則に基づきまして、実験動物の基準の見直しを検討する小委員会を置きまして、その決議は部会長の同意を得て動物愛護部会の決議とすることができるとしたらどうかという設置についての(案)が資料5、11ページでございます。
 それから12ページが、設置するとお決めいただいた場合の会議の運営の仕方でございますけれども、会議の公開の仕方と記録のまとめ方について、案をまとめさせていただいたものでございます。原則的に公開で行うと。ただし、特段の事情がある場合には、非公開とすることができるというところでございます。それから、会議録については発言内容を正確に記載した会議録をつくりまして、一般にホームページ等を通じて公表してはいかがかという運営方針でまとめさせていただいてございます。
 以上、資料6までの説明にかえさせていただきます。

【林部会長】 ありがとうございました。それでは、基準等の策定に関する全体的な検討スケジュール、これは後ほどご意見、ご質問をお伺いすることにいたしまして、まず最初に実験動物の小委員会を設置することについてご了承いただけるかどうかお諮りします。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【林部会長】 どうもありがとうございました。それでは、事務局からご説明いただきました実験動物小委員会の運営方針については、部会長として事務局案どおり決定するということにしたいと思います。
 続いて、設置は今お決めいただきました実験動物小委員会に所属する委員について、これを中央環境審議会議事運営規則に基づきまして、私から指名をするということになっておりますので、指名させていただきたいと思います。それでは、その資料の配布をお願いいたします。
 ここにございますように、実験動物小委員会委員案、部会委員から私を含めまして3名、それ以外に専門委員6名の方ですね、専門委員として入っていただきたいという、そういう案でございます。
 ここで案に記載されています部会委員の方々につきましては、大変お忙しいとは存じますが、何とぞよろしくお願いしたいというふうに思います。また、動物愛護部会、本部会の委員でない方々については、あらかじめ事務局から各委員のご了解をいただいているというふうにお聞きしています。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【林部会長】 それでは、続きまして小委員会の委員長でありますが、これも中央環境審議会議事運営規則によれば、部会長が指名するということになっております。委員長は動物愛護部会の私が兼任させていただきたいというふうに思っておりますので、それでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【林部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、実験動物小委員会関係につきましてはこれで終わりにいたしまして、その前にご説明いただいております基準等の……。どうぞ。

【青木委員】 青木でございますが、今、この実験動物小委員会の設置及びこの委員の顔ぶれについて、特別、私、異議があるものではないんですが、実験動物小委員会の設置についての3のところで、実験動物小委員会の決議は部会長の同意を得て動物愛護部会の決議とすることができるという規定がございますが、林部会長がお兼ねになることとこの規定の関係、問題にならないかということ、ちょっと気になるんですが、いかがでしょう。

【林部会長】 これは私の理解では、いいと思っていたんですが。

【東海林動物愛護管理室長】 結論から申しますと、特に規則上支障はないということになろうかと思われます。人格が違うというところで1つ切り分けて整理しているところでございます。

【林部会長】 よろしいですか。ここの2つを混同しないようにやりますので、ご了解いただきたいと思います。
 それでは、続きまして先ほどの基準等の策定にかかわる全体的なスケジュールに戻りますけれども、先ほどご説明いただきました資料の4に、かなりタイトな形で示されておりますけれども、これについてはご意見、ご質問ございますでしょうか。本日は2名のご欠席を除いて14名ご参加ということですが、これから毎月、9月とそれから10月、その後については12月になるかと思いますが、パブリックコメントを挟んで、一番委員の方々のご出席になられやすいところを選んではいただいているとは思うんですが、それ以外に日程的な問題だけじゃなくて、全体的な組み方等について何かご意見、ご質問ございましたら、どうぞおっしゃっていただきたいと思います。いかがでしょうか。それではこのスケジュールでやらせていただくということでよろしいですか。

(異議なし)

【林部会長】 はい、ありがとうございました。
 それでは、続きまして法改正に伴い、策定等が必要になる政省令、これについて事務局よりご説明いただきたいと思います。

【東海林動物愛護管理室長】 それではお手元の資料の13ページ、資料の7、法改正に伴い策定等が必要となる主な政省令等、お開きいただきたいと思います。
 7の説明に入る前にちょっと申し上げさせていただきますけれども、日程的に非常にタイトな形でやらせていただきますので、委員のご都合によってはご欠席ということもあろうかと思われます。ご欠席された場合には、事前あるいは事後に私ども事務局の方で林部会長と相談しながらご説明とご報告に上がらせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 資料7の方ですが、これは資料7をまとめた趣旨でございますけれども、フリートーキングのための材料ということで、事務局なりにまとめさせていただいてございます。15項目諮問事項といいますか、政省令ですとか基準があるわけなんですけれども、この15項目の政省令とこの検討作業を進めていくに当たりましてのポイントですとか、あるいは方向性、そういったものを今日ご議論いただきたいというふうに考えている次第でございます。繰り返しになりますけれども、その議論を踏まえまして、次回は骨子案ですとか基本的考えをまとめさせていただいてご議論いただく。あるいはその次々回はそれを踏まえまして素案をまとめさせていただきまして、パブコメに入るというふうな手順で考えております。
 この資料7なんですが、結構ページ数が多いんですけれども、基本的にはどのような政省令といいますか、基準等をつくらなければならないのかというご説明と、それからその基準とか政省令をつくるに当たって、主な検討課題としてどのようなことが考えられるのかという2項目を中心にまとめさせていただいたものでございます。ジャンル別にローマ数字のIからIVになりますけれども、特定動物関係、動物取扱業関係、各種飼養保管基準等関係、基本指針関係ということで、4ジャンルに分けまして構成をさせていただいております。
 では14ページから特定動物、いわゆる危険動物といっておりますけれども、こちらの方からご説明させていただきたいと思います。
 先ほどご説明させていただきましたように、必要に応じた条例規制という危険動物、特定動物の規制から、全国一律の法律に基づく規制ということになりまして、あわせて個体識別措置が義務づけられたところでございます。
 この結果、策定または改定が必要となる政省令としましては、まず4つございまして、指定種、これは政令になりますけれども、どのような動物が危険動物、危害を与える動物として指定すべきかということでございます。これは5年前に政令が定められまして、現在約650種の危険動物が指定されておりますけれども、これの点検を行っていただきたいということでございます。
 それから2点目は許可基準でございます。条例規制から、今回法律に基づく規制になりましたので、許可のための基準として飼養施設の構造ですとか規模ですとか、あるいは管理方法、これに関する許可基準を策定する必要が生じてまいります。
 それから3点目としましては、個体識別措置、逃げ出した場合等のその責任の所在を明らかにするために、個体識別措置が義務づけられるわけでございますけれども、どういった動物にはどういった個体識別手段を講じたらいいのかというような基準を策定していただく必要がございます。
 それから、ちょっと技術的な話になりますが、許可の適用除外規定、緊急避難行為として保護収容を行う場合など、例えば熊が逃げた、ライオンが逃げたということで行政機関が特別に保護収容を行う場合がございます。こういった場合の除外規定、こういったものを定める必要が生じてまいります。
 それでは、主だったこの4つの作業を進めていくに当たっての、主だった検討課題でございますけれども、16ページをお開きいただきたいと思います。
 主に、検討課題としては3つ掲げてございますけれども、まず1つ目の課題としては規制対象となる種の追加の必要性でございます。現在150属、約650種の危険な動物、危害を与える動物が政令で既に指定されてございます。それに対しまして、各自治体ではそれぞれの地域の状況に応じて、その政令指定種では足りないということで、若干上乗せ横出し規制をしてございます。それが表の「条例による現行規制種」ということで、右肩の欄に掲げたものでございます。こういった政令指定種以外の種についても、全国レベルで規制する種として規制対象種に組み入れる必要があるのかないのかというところをご検討いただく必要があろうかと思われます。
 それから、18ページをお開きいただきたいと思います。課題の2つ目でございますけれども、現在の規制実態を踏まえた、特定動物の性質、飼養目的等に応じた飼養施設等の基準や個体識別手段のあり方。
 特定動物と申しましても、ライオンですとか猿といった哺乳類から、カミツキガメといった爬虫類まで、たくさんの種類がございまして、その対応はさまざまということになってございます。そういった性質ですとか、あるいは飼う目的、動物園で飼われている場合もあれば、一般の方がペットとしてご自宅で飼われている場合もあると。こういう飼養目的に応じた基準のあり方というものを検討する必要があろうかと思われます。
 ご参考までに、特定外来生物法の許可基準の抜粋をつけさせていただきました。実は、特定外来生物法も危険を防止するという目的がございます。生態系被害、農林水産業被害を防止するという目的のほかにも、危険を防止するという目的もございまして、特定外来生物というのが指定されてございます。これの許可基準なんですが、こちらの方もたくさんの動物がございますものですから、18ページから19ページにかけて見ていただくとおわかりいただけると思うんですが、おり型施設ですとか擁壁式施設ですとか、これは天井がないやつと思っていただければいいです。移動用施設ですとか人工池沼型施設ですとか、各飼養保管施設のものをそれぞれに累計しまして、累計区分ごとに許可基準をつくっているというところでございます。この許可基準を、19ページの中ほどより下の方を見ていただきますと、カミツキガメについてはおり型、擁壁式、移動用、こういったものを適用するといったように、類型区分した上で、その類型区分された許可施設の基準を各動物種ごとに当てはめていくといったような許可基準のつくり方、構成の仕方をしてございます。いろいろ、これは技術的なところも含めてなんですけれども、こういったところを参考にしながら、あるいは今自治体で条例規制をやっているわけなんですけれども、そういった許可基準を参考にしながら実態に合った許可基準をつくっていく必要がございます。
 それから21ページになりますけれども、個体識別の手段になります。首輪、刻印、刻印というのは入れ墨とも言いますけれども、足環ですとかマイクロチップですとか、現在いろいろな個体識別手段がございます。図解したのは22ページになりますけれども、各動物種に応じて、あるいは飼養目的に応じて、これも適切な手段を選んでいく、それを許可基準としていくという必要があろうかと思われます。
 それから23ページ、課題の3つ目になりますけれども、特定外来生物法というものが今年の6月から施行されてございます。危険防止の観点から指定された特定外来生物、これの飼養規制との重複の整理も必要になってまいります。
 24ページに、現在、特定外来生物として指定されている37種の一覧表を掲げてございます。実はこの37種類のうち5種類が現在政令で指定されております特定動物とダブって、重複してございます。タイワンザル、カニクイザル、アカゲザル、それから爬虫類ではカミツキガメとタイワンハブ、この5種類になってございます。特定外来生物法の許可は環境大臣による許可、動物愛護管理法の特定動物の許可は知事または政令市の長の許可ということで、許可主体こそ違いますが、許可の内容については一応包含されるといいますか、同じでございますので、二重規制にならないように、この辺の整理をどうしていくかといったところも自治体の方のご意見を聞きながら調整していく必要があろうかというふうに考えてございます。
 それから25ページ、今度は動物取扱業、ペットショップですとか動物園、水族館関係の規制の方に移らせていただきます。
 現在、届出制なんですが、今回の法改正によって登録制ということで、かなりの規制内容の充実が図られてございます。この結果、策定が必要となる事項に関しましては3つほどございまして、登録の拒否及び遵守基準、動物取扱業の登録申請をしていただくわけなんですが、その申請書を受け取る審査の段階で要件に当てはまらない場合には拒否すると。登録をしないという拒否基準、それから登録をした後にこういったものを守らなければ勧告命令あるいは取り消しの対象になりますよといった遵守基準、この2つの基準をつくる必要がございます。これは新規に策定になります。
 それから、登録業者であることが一般の国民の方にもわかりますように、そういった便宜を図ることができますように、登録を受けた業者は標識を掲げなければいけないということになってございます。この標識の様式を定める必要がございます。
 それから新たな措置として、動物取扱責任者制度というものができてございます。これは各事業所ごとに責任者を置いて、自治体が行う研修会の受講が義務づけられるというところになってございます。この責任者に受けさせるべき研修の内容と、これに関する基準の策定を新規に行う必要が生じてまいります。
 27ページになりますけれども、これらの検討を進めていくに当たりまして、主な検討課題としては2つ考えられようかと思います。
 まず、現在の実態あるいは自治体の事務執行体制を踏まえた、実効性の高い登録の拒否及び遵守基準のあり方でございます。現在、届出を受けている動物取扱業施設は全部で1万6,530施設ございます。1つの事業所でペットホテルもやり、ペットの販売もやりというふうに2つやっている場合がございますので、延べ数にすると2万3,000余ということになってございます。内容的には販売業、ブリーダーとペットショップ、これが半分を占めておりまして、保管業、ペットホテル、それから貸し出し訓練、展示業というのは動物園、水族館になりますけれども、といったものが主なものになってございます。
 それで、28ページ以降になりますけれども、現在も、届出制なんですが、遵守基準というのが定められてございます。ちょっと長いので個別の説明は省略させていただきますが、28ページ、飼養施設の構造、第2条ですね。それから29ページ、第3条動物の管理の方法、こういったようにハード面とソフト面に分けまして整理、生態に合った施設というのをどういうふうに維持していかなければいけないのか、あるいは給餌、給水方法をどうしていかなきゃいけないのかといった基準が定められてございます。こういったものを参考にしながら、届出制から登録制に強化されたわけですから、その趣旨を十分に踏まえて、よりよい登録の拒否ないしは遵守基準といったものを検討していく必要が出てまいってございます。
 それから31ページになりますけれども、課題の2つ目としましては、ペット販売店、動物園、あるいは施設を持たないインターネット販売、出張訓練、こういったように非常に多様な業種・業態がございます。こういった多様な業種・業態に対応した登録の拒否基準、遵守基準、これを策定することは無論なんですが、このほかにもこういった多様な業種・業態に対応した登録標識の内容ですとか掲示方法、あるいは責任者が備えるべき知識等のあり方、これについてもご検討いただく必要があるんじゃないかなというように考えてございます。
 主な取扱業者の種類でございますけれども、31ページの表に掲げてございます。アンダーラインを引いたところが改正法により、今後新たに規制対象に組み入れられることとなる業者でございます。施設要件が外されてございますので、販売業者に対しましては施設を持たない、取り次ぎですとか代理のみを行うインターネット販売、それから動物を預かる場合ですけれども、美容業者ですとかペットシッター、それから出張訓練業者、あるいはふれあいを目的とする乗馬クラブですとかアニマルセラピー業者、こういったものが主だった業種としては該当することになるというふうに考えられます。
 現在、自治体でも上乗せ規制ということで登録制を引いているところがございます。東京都では動物取扱主任者制度というのを敷いておりますけれども、講習会を開いておりまして、主任者講習会に関しましては3時間、感染症の予防ですとか業者の守るべき事項、あるいは法令に関する講習会を開いてございます。それから、登録を受けた業者については資質向上のための講習会をあわせて開いているというところになってございます。
 それから32ページになりますけれども、鳥取県も同様に登録制を敷いておりますが、掲げるべき、掲載すべき標識というのはこのような様式で定めているというところになってございます。
 33ページ、各種飼養保管基準の関係でございます。
 まず1点目が所有者明示措置の要領でございますけれども、法改正によりまして大きく分けまして個体識別措置というのは危険動物、特定動物については義務づけ、それから、その他の一般的な愛玩動物についてはできるだけ自発的取り組みを推進しましょうということで、ガイドラインを環境大臣がつくるということになりました。この環境大臣が定めるガイドライン、動物の所有者の明示に関する措置要領、これを新規に策定する必要が生じてまいってございます。
 34ページになりますけれども、その策定に当たっての主な検討課題として2つございます。まず、所有者明示措置の必要性の普及啓発でございます。平成15年の世論調査の結果でございますけれども、犬とねこに所有者明示を実施している割合は2割から3割ということになっておりまして、約7割から8割の方が明示をしていないということになってございます。明示をしていない方にその理由を聞きましたところ、基本的に家の中で飼っている、あるいはつないで、係留して飼っているから明示する必要がありませんというふうに答えた方が約7割を占めるということになってございます。ただ、つないでおっても、家庭内で飼っておっても万が一の場合には逃げ出す恐れがある。特に地震ですとか、いろんな災害時のことも考えますと、決してつないでいる、家庭内で飼っているから明示の必要性がないというものではなかろうというふうに思われます。
 それから課題の2つ目としましては、こういった個体識別措置、例えばマイクロチップを例に取り上げてございますけれども、ペット病院等における個体識別技術の普及ですとか読み取り体制、リーダーの配備ですとか識別ネットのネットワーク化等の整備、これが課題として掲げられようかと思います。マイクロチップによる犬の個体登録システムの流れをフローチャートにまとめてございますけれども、まず最寄りのペット病院で埋め込んでいただけるような体制が必要である。埋め込んでいただいたからにはそのデータを、個人情報に注意しながらきちんと管理していただく、あるいは検索できるようなデータの管理機関が必要になる。もし逃げ出した場合、迷子になった場合には都道府県の動物愛護センターですとかペット病院とかに保護収容されることが多いと思うんですけれども、こういったところできちんとデータを読み取って、それから情報を検索できるようなシステムが必要になってくるということになろうかと思われます。病院での打ち込み体制、データの管理体制、それからセンターですとかペット病院での保護収容への読み取り体制、こういったものを整備していく必要が課題として掲げられてございます。
 それから36ページになりますけれども、犬ねこの引取り等の要領でございます。ちょっと説明が長くなるかもしれないんですが、犬とかねこ、この引取りを求められた場合には、行政機関が求められた場合には、動物愛護管理法に基づきまして、必ずこれを引き取らなければならないこととされております。それから負傷動物、公共の場、道路ですとか公園ですとか、ここで負傷動物を見かけた場合、あるいはその通報があった場合には、またこれも自治体は引き取らなければいけないという義務が動物愛護管理法によって課されてございます。これに基づきまして、動物愛護管理センターですとか保健所等、こういったものが設置されて、この業務が行われているといったところでございます。
 現行法におきましては、この引取りですとか負傷動物の通報があった場合の措置に関して、その場合に自治体はどう対応しなければいけないのかというガイドラインを環境大臣が定めることとされてございます。総理府時代に、既に昭和50年4月にこの要領が定められてございます。これを今回の改正法の趣旨を踏まえて、改定する必要が生じているというところでございます。
 主な検討課題としましては、37ページ以降になりますけれども、2つございまして、この10年、20年間の社会状況の変化によりまして、終生飼養の徹底というところが動物愛護の観点から推し進められる必要性というのが高まってまいっております。この終生飼養の徹底等を踏まえた適切な引取りのあり方、これが必要になってきてございます。引取り場所と生存の機会の付与、主なポイントは、ここの2つに分かれるかと思いますけれども、昭和50年当時はかなりちまたに野良犬、野良ねこがあふれていたものですから、できるだけ積極的に引取るというところで、引取り場所はできるだけ多くということになってございます。逆に今、それが野良犬、野良ねこが減ってきている状況で、安易な飼養を招いているといいますか、引き取っていただけるから不妊、去勢をしないで、それで毎年のように子犬、子ねこを産ませて、飼えないからといって行政機関に引き取っていただくということがある。まれな事例でございますけれども、決してそういう事例がないわけではございません。安易な飼養を招きかねないということで、この引取り場所をどうしていくか。あるいは、それとあわせまして、確かに引取りは義務になってございますけれども、それを思いとどまっていただく、あるいは新しい飼い主を探していただくといったもの、そういったことによる生存の機会の付与というものをどういうふうに考えていくのかといったところが課題になってございます。
 データは現在つけてございませんけれども、平成15年度ベースで狂犬病予防法に基づく飼養を入れますと、犬ねこ全部あわせて44、5万匹が全国で引取られておりまして、残念ながら飼い主のところに戻った、あるいは新しい飼い主の手に渡ったというのが2%足らずということになってございます。ただ、38ページのフローチャートを見ていただきますとわかりますように、現在、この辺の飼い主探し、これが有効に動きますように、環境省で昨年度からデータベースネットワークを活用した返還及び譲渡事業のホームページを活用した、こういったプログラムというものを自治体と協力しながら開発しているところでございますけれども、収容された動物の中には目もあいていないような子ねこですとか、とても、どう考えても飼養を継続できないものもございますので、こういったものについては残念ながら殺処分という状況になっているところでございます。そういった意味で、必ずしも引取られたもの45万匹が、100%飼い主の元に返ったり、あるいは新しい飼い主を探したりとすることはできないかとは思われますけれども、このパーセンテージを少しでも上げていくといった努力が必要になってきているところでございます。
 それから、昨今マイクロチップを中心とした個体識別措置というのが大分普及してまいりまして、これに対応した体制というものも必要になってきてございます。先ほどの説明とダブりますけれども、残念ながら現在、マイクロチップリーダー、これを備えた自治体というのはごく一部の自治体に限定されているという状況になってございます。
 それから41ページでございます。家庭動物の飼養保管基準と展示動物の飼養保管基準でございます。これにつきましては、家庭動物は平成14年、展示動物には平成16年に改定されたばかりでございますけれども、今回の法改正を踏まえまして、所要の改定を行うという必要が生じてまいってございます。
 42ページに掲げさせていただきましたけれども、今回の法改正によりまして動物の種類、習性等に応じた適正な飼養等の推進、感染症の予防に関する注意の徹底、個体識別措置のより一層の推進、学校、地域、家庭等における普及啓発の推進、特定動物の管理の徹底、こういった事項が盛り込まれてございますので、所要の改定を行う必要が生じてございます。
 ご参考までに、平成14年に改定されました家庭動物の基準を42ページから掲げてございますし、それからちょっとページが多くなりますけれども、48ページからは展示動物の基準を掲げてございます。
 それから、56ページをお開きいただきたいと思います。実験動物の飼養保管基準になります。今回の法改正によりまして、いわゆる3Rの原則、代替法の活用、使用数の削減、苦痛の軽減、これがすべて盛り込まれたということになってございます。現時点では苦痛の軽減に関する事項のみがありまして、よるべき基準をつくっていたというところでございます。この苦痛の基準のよるべき基準につきましては、環境大臣が定めるということとされておりますし、それからもう一つ、実験動物の飼養保管の仕方、これにつきましても定めることとされてございます。この2つの基準を重ね合わせた、盛り込んだものとしまして、昭和55年に実験動物の飼養及び保管等に関する基準というものが定められてございます。これを今回の改正法を踏まえまして改定する必要が生じてまいってございます。
 主な検討課題としては2つございますけれども、57ページになります。3Rの原則が規定されたことに象徴されますように、実験動物、こういったものへの福祉に対する要請というのが非常に高まってきてございます。これはあくまでも動物実験の必要性を認めた上での実験動物の福祉でございますけれども、こういった高まり等を踏まえた苦痛の軽減及び飼養保管方法に係る一般原則、こういったものの充実が課題として掲げられてございます。
 58ページに、今どういうように実験動物あるいは動物実験行政というのが役割分担されて行われているのかというのを模式的に示した図をつけさせていただきました。動物実験行政と動物愛護管理行政というものが、概念的には2つ、別のものがございまして、動物愛護管理行政の方ではありていに平たく申しますと、実験動物を適切に飼養保管しているか、きちんとえさとか水を与えているか、適切なおりで飼っているのか、あるいは実験が終わったときに安楽殺処分をしているのかどうかというところを中心に、実験動物の配慮事項をまとめているというところでございます。対しまして、動物実験の方は科学研究のその推進と。こういったものを踏まえながら、実験というものが適切に科学的に、適切に行われているのかどうかというところを指導されているというところになってございます。基本的に、実験の方に内在されるものとして実験動物の福祉というものがございますので、現在、関係行政、関係省庁の方々にお願いして動物実験の適正化という中に実験動物の福祉の向上も内在化、盛り込んでいただいて各動物実験施設を具体的に指導していただいているという状況になってございます。畜産動物の状況をちょっとごらんいただければ、披見していただければこのような図式になっていることがおわかりいただけるんじゃないかと思います。
 55年にできました実験動物の飼養及び保管等に関する基準というのは59ページからになってございます。
 それから、これに対しまして、実験そのものに対するガイドラインとしましては、62ページになりますけれども、文部科学省さんの方で通達という形で昭和62年に出してございます。それを参考までにつけさせていただいております。
 それから64ページになりますけれども、課題の2つ目としましては実験動物の飼養保管又は科学上の理由に係る当事者自身による同基準の遵守、セルフコントロールの徹底方策のあり方でございます。動物実験の適正化のあり方につきましては、昨年の7月に日本学術会議から提言がなされてございます。その抜粋が64ページ、65ページでございます。この提言につきましては、関係の行政機関を含めまして、動物実験に関する方々の間で一定の合意形成が図られていると聞いております。このような状況をしんしゃくしまして、実験動物の適正な飼養保管方法、こういったもののあり方を普及させていくための方策について検討する必要が出てまいってございます。
 この提言の要点につきましては、65ページに鍵山先生の資料に基づきまして簡単な模式図をつけさせていただきましたけれども、何らかの形で動物実験に関する統一的な、かなり公的なガイドラインをまずつくると。これには動物愛護管理法に定められている飼養保管基準が反映されているというところでございます。これを各実験施設、試験研究・教育機関に遵守させるのは直接という方法もありますけれども、専ら動物実験等の専門家によって構成される第三者評価システム、つまり、専門的なものについては専門家でなければ評価できないといったような考え方に立ちまして、ピアレビューシステムでやっていってはどうかというところが、この学術会議の提言の基本になってございます。こういったセルフコントロールのシステム、これを踏まえました実験動物の飼養保管基準の普及のあり方と、あるいはその内容のあり方を検討する必要が課題として掲げられてございます。
 それから66ページをお開きいただきたいと思います。説明が長くなって恐縮なんですが、これで最後でございます。基本指針になります。今回の改正によりまして、国が基本指針をつくって、それに即して都道府県は推進計画をつくるという措置が定められました。これによりまして、国としては、環境省としては基本指針、動物の愛護及び管理に関する施策を総合的に推進するための基本指針を策定する必要が生じてまいってございます。全く新規に、今回策定することになるんですが、課題としては67ページ以降に掲げましたように2つございます。まずは我が国の社会風土に適した動物の愛護及び管理に係る理念の整理でございます。
 ちょっとあと先になるんですが、先に70ページをごらんいただきたいと思います。日本と欧米の動物に対するものの考え方の違いというのを、非常にティピカルにまとめさせていただいたものでございますけれども、仏教的なその動物観とキリスト教的な動物観というところの違いと象徴的には言うことができると思うんですけれども、日本の場合には動物と人間は輪廻転生といいますか、生命的には平等で、連続的な存在ととらえがちであると。対して欧米の方は別の生命体で、ある意味、人間が管理すべきものであるというような考え方が強いというように言われています。その結果でございますけれども、動物に対する態度としましては、日本は情緒的、あるいは放任的な性格、対して欧米では合理的といいますか、操作的な性格が強いというように言われております。こういった日本ならではの動物観といいますか、動物に対する態度を踏まえた、我が国ならではの動物の愛護管理のあり方、こういったものを整理していく必要があるんじゃないかなというように考えている次第でございます。
 それから、70ページの下の図になりますけれども、なかなか動物愛護管理行政というのは、まだまだ成熟の域に達していないというところもございまして、社会的ルールとしての動物の愛護管理と、民間ベースといいますか、個人的な思いですとか行動としての動物の愛護管理というものが、ちょっとまだ峻別されていないといいますか、整理されていないところがあるかに思われます。こういった意味で個々人の思いとしてやっていただく動物の愛護管理と、法律による規制を始めとした、そういったものによって、社会的ルールとして行政ベースで対応すべき動物の愛護管理というのは、どこからどこまでなのかというような整理もまた必要になってくるというように思われます。
 ちょっと戻りますが67ページ、68ページ、69ページ目には、これ総理府におかれましてまとめたものなんですが、昭和54年に動物愛護審議会というものがございましたけれども、そちらで動物愛護管理のあり方について審議会ベースでご議論いただいて答申をいただいたものをご参考までにつけさせていただきました。こういったものを参考にしながら、我が国の社会風土に適した動物の愛護管理のあり方、理念の整理といったものをやっていただければというように考えている次第でございます。
 それから71ページになりますけれども、基本指針には具体的な施策の種類ですとか目標、こういったものを掲げる必要も生じてまいります。動物を取り巻く諸情勢の変化等を踏まえた中長期的な課題の整理を、各具体的な施策の集合体として表現していく必要がございます。行政計画というものの考え方にはいろんな考え方があるんですが、行政計画のポイントといいますか、要点は、簡単に言いますと目標や方向性の明示、それからそれを達成するための手段ですとか手順、それの明示あるいは体系化、この2点にあるというような言われ方を一部の方では指摘されております。こういったものを踏まえながら、計画、基本指針にどのような事項を盛り込んだらいいのかというのを、現在5つの自治体で、既に動物愛護の長期計画ができておりますけれども、こういったものを参考にしながら考えていく必要があるということになってございます。
 それから74ページ、最後になりますけれども、少し技術的な話になりますけれども、基本指針と都道府県が策定する推進計画との体系的整合性の確保、これをどうしていくかというところも検討対象になろうかと思われます。具体的に言えば、計画の策定時点というのをどういうふうに合わせる必要があるのかないのか、あるいは何年計画にして、何年でローリング、改定をしていくというような仕組みを考えていくのかというところが考えられようかと思います。
 これで資料7の説明を終わらせていただきますが、今ご説明させていただきました検討課題は、事務局なりにまとめました主なものに限られてございます。当然、抜けですとか漏れ、あるいはその細目的な課題については割愛されておりますので、ぜひそういったものを補完していただくといった意味でもご議論いただければ、と同時に15項目の諮問事項、これをこの作業を進めていく上でのポイントや方向性について、ご検討いただければありがたいというように思ってございます。

【林部会長】 ありがとうございました。60ページを超える資料7でありましたが、大変よくまとめていただきました。
 それで今日の論議はもうこれが主な対象になると思うんですけども、どこからでも結構ですので、この法改正に伴い策定等が必要となる主な政令、省令等でありますけど、どうぞ今日はカジュアルな論議をしていただければというふうに思います。いかがでしょうか。
 はい、中川委員。

【中川(志)委員】 先ほどの特定動物関係ですけども、これは国が定め、各地方自治体が地域性、あるいは地域特性に応じていろんな種類を入れていったという、その経緯が先ほどの一番右の表に出ていると思うんですね。この問題は非常に重要で、地域性というふうに一概にいえない、要するにその条例をつくるときに、たまたまその県なり市の中にそういう動物がいて、これを規制しなきゃいけないということで、やむを得ず新たに挿入したという例が結構多いんですよね。ということは、そのときは地域性だったけど、どこの地域でも起こり得る可能性というのを秘めていると思うんですよね。ですから、そういう意味では今回のように危険動物というのが、昔は、我々が考えたころはかみつくとか、どのくらいの殺傷力があるとか、そういうことを一生懸命考えたわけですよね。しかし、今やそういう物理的な殺傷力みたいなもの以外にも、いろんな点で問題があると、危険だというようなことも含まれていると思うんですね。特に有毒物質もそうだし、災害のときにどうするかという問題も含めると、結構これは大きいと。
 それからもう一つは、野性の動物が多いわけですけれども、この種の同定をだれがするかという、この問題も、実はここに挙がっている猿の種類なんか、恐らくほとんどの人はできないんじゃないかと思うんですよね。しかし、そのときは、その動物がたまたまその地域にいるから入れているわけですよね。したがって、僕は特定動物というのは、種で次々に指定していくという形よりは、大きなネットをかけて、それでその中で処理していった方がいいんじゃないかと。これはよく欧米がやっているイルカ動物については6カ月の検疫とかいう、ああいう大くくりでかけてしまうという、そういうものに類した、大きな網をかぶせるという形の方が妥当なのではないかなというふうに思いますけれども。

【林部会長】 はい、信國委員どうぞ。

【信國委員】 個体識別で、35ページの図の中に識別データの管理機関というのが書いてありまして、その前の説明のところではむしろ個体にどうやってつけるとかという話がありますけれども、まさにこの管理機関をどうするか。これ、マイクロチップを埋め込んだ動物、特定動物として、いわばいろんな規制の対象にするのか、あるいは犬だとかねこみたいに、むしろ、いざというときの所有を明確にするというような使われ方だとか、そこによって違うと思うんですけれども、やっぱり全体とすれば、その管理機関をどうするかというのは結構重要な問題なんだろうと思うんですね。ですから今、各条例等で地方自治体でやっておられるというのが、場合によってはそういう管理体制は、かえって物事を難しくするのかもしれない。むしろ全国的には、ぽんと網がけをやることの方が全体としてはすっきりするんじゃないだろうか。特に、動物の移動性が広範囲になっているというようなことを考えると、そこを社会的な1つの仕組みとしてどう置くかというのは非常に重要な問題なんじゃないか。当然、片一方にはその技術的な問題、あるいはコストの問題等あると思うんですけれども、そういう面でのデザインというのは非常に重要なんじゃないかと思いますので、そういう面から見た検討というのをぜひお願いしたいと思いますけれど。

【東海林動物愛護管理室長】 ご指摘の点、おっしゃるとおりというふうに事務局の方でも認識しております。ただ、なかなか現実的にそれをこなしていく上で難しい局面もございまして、例えば特定動物、危険な動物、これの許可は各都道府県、あるいは政令市の長の許可になるわけですけれども、この許可事務を全うさせるといいますか、完遂させるための措置として個体識別措置が義務づけられておりますので、許可主体がそのデータは基本的に管理すべきものというふうに整理されることになるんじゃないかと思います。となりますと、そういったデータの管理は基本的には各都道府県、政令市で各個別に許可台帳の整備のようなものと一緒のようなイメージでやっていただくということになってしまいまして、ご指摘されますように、ほかの県に逃げてしまうともとの県を探さないとデータベースに当たれないですとか、あるいは国の方では何を聞かれても一切わからないという状況になってしまう恐れもございます。
 そこで、ちょっと今、私ども事務局なりに考えておりまして、できれば来年度の予算要求を含めて事業に結びつけていきたいなと考えておりますことに、情報源情報のようなものを、例えば私ども動物愛護管理室の方が中心になって関与していくといいますか、取りまとめていくということも考えられるんじゃないかなというふうに考えてございます。つまり、犬を見たら何番と書いてあったと。この何番というのは、どこのだれそれという情報まではわからないけれども、この何番という情報のありか、データベースのありかといいますか、名称はわかるというような体制ぐらいは基本的に、一元的にどこかで、ナショナルベースで整備しておかないと、この個体識別措置というのは、動物愛護の観点からはなかなか有効に機能していないんじゃないかなというふうに考えている次第でございます。まだ今検討中でございますので、次回あるいは次々回までに内容が少し明らかにできるようでしたら、資料としておつけして、またご説明させていただきたいというふうに思っております。

【林部会長】 そうですね、今中川志郎委員と、それから信國委員のお話をお聞きしていて、どうしても一元的な管理が必要な部門というのはあるような気はいたしますね。ちなみに、この個体識別の、先ほど中川委員のことと含めて、個体識別は私は圧倒的に今はマイクロチップが優位だろうというふうに思うんですが。なぜかというと、思うのは日本では普及率が0.3%ぐらいですかね、犬ねこのレベルで。0.8までいっていますか。ドイツなんかは30%を超えていると思います。しかし、例えば10年後とか20年後を考えたら、これは私の意見ですけど、DNAの方がよっぽど先進的だと思います。その理由はまず動物を徹底して傷めないということです。マイクロチップを入れるということによって、大きな動物はほとんど傷めていないんですけども、しかし、小さい動物は相当負担になる可能性はありますから。それから飼い主の不快感といいますか、飼い主は動物に何か入れられるというのは嫌う恐れがありますが、それもない。DNAは、今、僕が想定しているのは血液とは限らなくて、例えば毛とか、そういうものを想定しているわけで、哺乳動物の場合は毛であり、鳥類の場合は羽であったりするわけですけど、これはその場にいなくても鑑定できる。今鑑定するとき、どうしているかというと、犯人を特定するとき、犯人が例えば犬とかねこを飼っている犯人だと、必ず毛を持ち歩いているらしいんですよね。そこに落ちている毛を徹底的に捜して、その毛からその犯人を特定していくというようなやり方が今できているぐらいですから、例えば逃げ出した動物がどこかを通って、毛とか羽とか、爬虫類の場合うろこになるんですかね、わかりませんけども、そういった痕跡で鑑定できるというメリットがあります。
 それから、先ほど中川志郎委員の話ですけど、これ多くの人は種がわからないんですよ。DNA判別だとわかるんです。種まで特定できるという。それから親戚関係も特定できる。つまり、子供ができていた場合、それが子供かどうかといったようなこと。それから大きく言えば、外国から輸入してきたようなものは、どこの出身地かというのを特定できる可能性があって、ある程度だれかがうそを言っていてもそれを特定してしまうということができる。それから、もう少し大きく言うと、将来的に膨大な科学的データ、アーカイブを集積することができるというようなことまで考えている方が、20年後を考えたらDNAの方がいいと思っているんです。ただ、現実に予算的な問題とか、もう既に動きがあるものとか、そういうことを考えていくとマイクロチップということもあるかと思いますけれども、どちらを重視するのかというのは、この中でも少しは論議されたらおもしろいんじゃないかなという気はして、お二人のご意見をお聞きしていました。
 今日は初めてですから、できたら全委員からご発言をいただきたいというふうに思っているんですが、いかがでしょうか。
 大矢委員。

【大矢委員】 大矢でございます。先ほど中川委員のおっしゃいました特定動物の種の、どこまで本当にその種そのものがわかるのかということも含めてなんですけれども、例えばこのリストの中に、広島だとか愛媛で指定しているコドコドなんていう動物があるんですね。果たして動物園界の方でもコドコドを現実に見た方がいらっしゃるかどうか。これ、中南米の方のネコ科の動物なわけですけれども、そういうところまで果たしてやっていかなきゃいけないのか。
 それからもう一つ、特定外来生物の関係で、基本的にペットとして飼ってはいけないということになっているわけですね。その飼ってはいけないという法律がありながら、それを特定動物として、こういうふうに施設をすれば飼えるみたいな、そういう法律の矛盾をつくらないような形にしていかなければいけないんではないかな。もちろん、特定動物については動物園等は飼育ができるという許可を得れば飼養できるということになっているわけですけれども、ややもすると、それが家庭動物の中に入り込んでくるという部分を注意しなければいけない。
 それからもう一点、個体識別の問題ですけども、今部会長がマイクロチップの問題をおっしゃいましたけれども、9月1日から厚労省の方で輸入の届出制度が始まります。すると、日本の国内に入ってきた家伝法とか狂犬病予防法を除いたそれ以外の動物については、すべてサーベイランスができるようになってきている。その中である種のものについて、やっぱりマイクロチップを入れることがこれからは必要ではないかな。そういうことも含めて、この中でよりよいものを検討していって、個体識別を一層強化していく必要があるんではないかなと、そんなふうに思います。

【林部会長】 ありがとうございました。
 いかがでしょうか、ほかの委員。兵藤委員どうぞ。

【兵藤委員】 犬ねこ等の引取りの委託先の、民間委託先ということになるんですけども、非常に難しい面がございまして、終末に殺処分するところが非常に非難を浴びる。動物愛護管理法の啓発と、そこのところが非常に難しくて、本来的には途中手放した方、あるいは余りいい飼い方をしていなくて連れてくる方に非難が向くべきところなんですけども、国民性なんでしょうか、情緒的なところがあって、個人的な運動家が終末処理をするところに、非難を向ける。だから、動物愛護、愛護と言って、それを普及するのはいいんですけど、反面、そこのところをしっかり何かフォローしておかないと、社会的なルールがうまく形成できないんではないかということです。連れてくる人が悪いんであって、終末処理にかかわる人に非難が向けられるのは気の毒なことです。今までずっと私たちが末端で働いていまして、ここのところは大変やっぱり気になるところなんですね、やっぱり。そこのところは非常に注意しながら、私たちがどうこれを守ってあげるかというところが、大変、私、気になっているんですけれども、そのあたりはこの中で反映していきたいなというふうに思っています。

【林部会長】 続いて、松下委員どうぞ。

【松下委員】 今、動物愛護ということで、兵藤委員の方からお話がございましたが、動物愛護という言葉がとても美しいために、かわいがるということがとても大事になってしまっています。かわいいとなると飼ってしまって、それが育っていって家族にちょっと危害があるというと、今度はもう、すぐ矛先を変えてどこかよそに処分してしまうとか捨ててしまうとか。そういうのはちょっと行き過ぎなんじゃないか、愛護という言葉が走りすぎているんじゃないかと思っておりましたんですけれども、70ページに日本と欧米を比較してみての動物と人の関係ということが書いてございまして、なるほどと思いました。そして、69ページのところに動物愛護に関する教育というのが、幼児のころからきちんとなされなければいけないと書いてございますけれども、私は動物の専門家ではないんですが、子供たちが命を大切にする、それは人も動物も同じ、ということをしっかりと身につけて育っていってほしいと願っております。ですから、適切な年齢期に合った教材、それから教育の機会をきちんと体系的につくっていく必要があるんじゃないかと思うんですね。そして、商売上珍しい外来のペットのようなものについては、かわいいとかきれいだとかという、そういう判断だけじゃなくて、やはり生態とか習性とかいうものをきちんと学んだ上で、資料にもありますように最後まで責任を持って飼育するということを考えながら、ペットを持つという方向に教育活動が行くことを願っております。

【林部会長】 ありがとうございました。
 青木委員、どうぞ。

【青木委員】 今の松下委員のご発言に連続することになろうかと思うんですが、私も愛護という言葉はやや誤解を招きやすい言葉だというふうに常々思っておりまして、そのような発言を公の場でしていることもございます。恐らくは、私自身の意見では愛護よりさらに一般的な原理として、畏怖であるとか畏敬というような言葉であらわされるべき大きな価値があって、その下に、例えば家庭内で飼養されている、ペットという言葉が好きか嫌いかという問題がありますけれども、一般にペットと呼ばれている動物については愛情というような発現形態があり、というふうに、いわば価値に序列があって、大きな価値は畏怖、畏敬だろうというふうに私自身は実は思っています。ただ、この審議会に付議されていることは、恐らく現行の、今回の法改正を受けて何をすべきかという非常に具体的なことを聞かれているわけなので、事務局の方々が毎回、非常に充実した資料をつくってくださっているようで、そのご努力に感謝と敬意を持ちつつ、あえてお願いしたいのは、本来はこの法律ができたときにどういう経緯でできたかというその立法資料が非常に充実しているのが一番望ましいことだと思うんですね。そして、その立法資料の中に、これこれこういう発言を受けてこういう条文ができたんだというような根拠があれば、だからこの規制、細かな基準がこう変わるべき必然性があるんだという議論ができるんだと思うんですね。ただ、なかなか政治過程の中にはそう簡単に公開できない、あるいは記録に残っていない部分もあろうかと思います。どうも日本の国会の議論は外国の動物法関係と比べてみますと、議事録などもそんなに充実していないという印象を私持っていますが、充実していないなりに残っているものを折あるごとに関連するものがございましたら出していただきたいと、こういう希望を持っております。一般的な希望ですが以上です。

【林部会長】 この部会の方は今日お話しいただいていること、これからお話しいただくことは、小委員会も含めて完全公開していくというふうにしておりますが、先ほどおっしゃったところで、わかる範囲はぜひ、この経緯のところで、もし付け加えることができましたらお願いいたします。
 他の委員の方はどうでしょう。じゃあ、前島委員、そして大槻委員と。

【前島委員】 私は実験動物をずっとやってきた者でありますし、あちらこちらで同じことを言っている、また同じことをしゃべるのも気が引けますけれども、昭和55年のこの実験動物の基準のときの最初からの執筆委員の一人でありました。当時はそれこそ四面楚歌なんていうものでなくて、それは研究者だけでなくて、はっきり申しまして、当時総理府の所管でしたが、総理府の役人の方自身が何でこんなものをつくるんだというような、大変な時代だった。それに比べて、今はもう研究者の方も基本的には密度のあるのを認めるということになっています。それで、そう考えますと、今青木先生が言われたように、この小委員会が今の法改正、見直しについてどうするかということだけを考えれば、非常に実験動物の基準の改正というのは簡単といいますか、スムーズにいくと私は思っております。それこそ、余りやることはなくて、非常に気が楽だったんです。ただし、あの前の基準のときには解説書がついていました。それで恐らく、今度も解説書が出てくるんだろうと思います。そのときに、どこの法律もそうですけれども、拡大解釈する方と、非常に厳密といいますか、極端に厳密に狭く解釈する方がおられて、そういうことの説明が私は非常に大事だと思っております。それで、その背景にあるのはやはりこの法律がなぜ出てきたかということです。特に実験動物で言えば、動物実験では考え方のような説明、あるいは、今この法律にはどこにも書いていないけれども、情報公開ということがもう基本になっているわけですから、そうすると当然そこで動物実験計画の審査のようなことがあれば、その資料をどこまでどうやって公開するか、透明性を高めるかというような解説が私は必要だと思います。そうなってくると、またやはり昭和55年と同じように意見が百出して、解説書の方が大変な作業になるんじゃないかと。この半年でできるかいなというような危惧を持っております。
 最後に、動物実験と動物愛護飼育管理をここではうまくきれいに、クリアカットに書いていただいたんですが、やはり動物実験を考えない実験動物なんていうのはないわけですから、やはりそれを余りクリアカットにするわけにいかない。というのは、実験動物飼養及び保管等に関する基準の中に、動物実験にかなり踏み込んだ解説書を入れないと実際にうまくいかない、何のために解説書をつくったかわからなくなるように私は思っています。それが勇み足だと言われるかもしれませんけど、やはりそれを入れないとと思います。それで、今、飼養及び保管等とあって「等」というのが実は安楽死のことであるような説明もままされるんですけど、私は安楽死のことだけではないと思うんです。実際に動物実験をするということについての基本的な考えを解説書に埋め込む必要があると私は思っています。もちろん、委員長は林先生ですからこれ以上は申し上げません。

【林部会長】 ありがとうございました。
 それでは大槻委員どうぞ。

【大槻委員】 行政の立場から申し上げたいんでございますが、今日のご説明の一番最後に指針という欄が出てきます。実は県レベルでも、各種事業実行のためにいろいろ行動計画をつくる前座にこういう指針類を整備するわけなんでございますが、ややもしますと、その指針づくりで物事が終わっちゃうというようなことがよくあるんでございます。とりわけ、こういう計画づくりとか指針づくりの必要性というのは、今前島先生もおっしゃいましたが、相当、歴史的沿革の中における動物に対する物の見方、考え方に関わるところが大きいのではないかと。私は直感的に、多分この動物に対する考え方の原点には迷惑性から始まった話があるんじゃないかと思います。しかし、その問題をどんどん詰めていくと、先ほど青木先生からお話がありましたように、愛護から畏怖までという、人間の人生観、生活観というところまでステージを上げていかないと、こういう問題は解決しないというような中で、保護、管理という両面の法律に至ったのだと思います。そういう意味で、多分議論を相当詰めていただくのは、今日一番最後にあった指針の中の、各都道府県がこういう計画をつくってほしいという省レベルでの物の見方、考え方の部分で、これを相当詰めて、まず時間をとった中で皆さんの意見をいただくことが必要です。それを各地方行政の中で反映するためには、多分47都道府県の特性を考えなければなりません。いろんな歴史的沿革の中で動物に対する、愛護に対する物の見方、考え方というのも、多分地域によって相当差があるんだろうと思いますね。今日お出しいただいた、各県が現在持っている計画がございます。この計画の構成も保護、管理というような視点がどうも中心になっておりますけれども、いかに規制していくかという面での分野が色濃く出る地区も多分あるんだろうと思います。そういう意味での指針づくりに当たっては、地域の特性を頭に置いたものをどう入れていくかということをお忘れなきよう、議論を十分詰めていただきたいというのが、行政側のまず要望でございます。
 それと、かなりテクニカルになるんですが、さっきマイクロチップの議論がございました。私、現状を十分承知しておりませんが、その手法論には2つの大きな流れがあるようだと伺っておりますが、今後この手法を普及するに当たって、その規格の統一などの話が、マイクロチップ業界にもそのリーダーの業界にもあるようでございますので、今後行政としてそれをどう統一化に向けた考え方でいくかというような点も大切じゃないかと思っております。よろしくお願いします。

【林部会長】 ありがとうございました。
 はい、奥澤委員。

【奥澤委員】 私も行政の立場ということで参画させていただいているんですが、今の大槻委員さんのとはまたちょっと視点を変えて、もう少し実務的なレベルでちょっと意見というか要望させていただきたいと思うんです。
 今回の法改正で、私ども行政の立場から見て一番大きな部分というのはやっぱり法制度での一元化ということで、例えば動物取扱業、あるいは特定動物の実務的な規制、あるいは指導のあり方が法の中で一元化されたということが大きな特徴かと思っているんですね。前回の改正のときには、やはりそれまでに各自治体がかなり先行して、いろいろな制度を設けておりましたので、逆に、その点に非常に配慮をしていただいて、それまでのその自治体それぞれの規制が、ある程度自由にフレキシブルにできるような配慮をしていただいたということで、結果として、非常に地域ごとによって内容が違っていたという状況があります。今度はそういう意味では全国一律の対応という形になってくるんだろうと思うんですが、ただ、結局その許可にありましても、あるいは取り扱いの登録にありましても、実務を担うのは、やはりそれぞれの自治体ということになろうかと思います。今まではそれぞれの地域ごとの制度でしたので、その運用あるいは解釈等々、それぞれの自治体ごとに工夫を凝らした運用をさせていただいて、結果として、規制あるいは指導を受ける営業者の方等々は非常に苦労されていたんだろうと思うんですが、問題は今度、次回以降、具体的な案が出てくるんだろうと思うんですが、問題はそれが全国一律に統一的に運用できるような配慮が必要だと思います。これはもちろん登録や許可を受けられる方の立場もそうでしょうし、実際の自治体の担当職員がその運用に当たって判断に迷うようなことというのは、一番現場としては混乱することになります。そういう意味では、必ずしも政省令という形にとらわれなくても結構だと思うんですが、先ほど前島委員さんの方から、これはまた全然別の分野での話ですが、解説書みたいなものが必要だというお話もありましたけれども、やはり行政の分野の事務につきましても、方法論はいろんな形が考えられるんだと思いますけれども、せっかくの法改正ですので、それが全国統一的に混乱なくできるような配慮、これをぜひともお願いしたいなと思っております。

【林部会長】 ありがとうございました。
 清水先生どうぞ。

【清水委員】 私は今、外来生物のことをいろいろ取材しているんですが、たまたまアライグマを調べていまして、鎌倉で話を聞いていましたら、その特定外来生物法というのは農業への被害と、それから人の生命に対する被害だけを見ていて、人の財産の被害は見ないんだというんですね。アライグマの場合は家に住みついて、屋根を破ってしまったり天井に住みつくことがあるけれども、それでは対象になりませんということを言われたといって、おかしいなと思っていて、今度特定動物の方が、たしか財産が入っていたような気がして、今さっき確かめたんですが、確かにこちらには入っているわけですね。ところが特定動物の中にはアライグマは入っていないと。アライグマは極めて危険であって、何で入っていないのか、ちょっとわからないですね。たしか北海道は条例で入れているような気がしたんですけど、この中には入っていないので、あれは移入種問題として入っていたんだと思うんですけれども。そこにはフェネックとプレーリードックとアライグマが入っているはずなんですが、そのたぐいの扱いをどうするのかというのが非常に疑問です。また、保健所とか動物愛護センターみたいなものがあるんですが、そういうところへアライグマなどが持ち込まれても、まず処分してくれないというんです。もともと犬ねこのためにということで、犬ねこのことに関しては非常に強くつくられているんでしょうけども、アライグマというのは狂犬病を媒介することがあり得るので、本来、その狂犬病予防法でつくられたはずの犬ねこの引取りということとリンクすれば、アライグマは当然適用があるんではないかということをいうんですが、実際問題としてほとんど引取ってくれないと。それを獣医さんのところに持ち込んで、安楽殺していただくというのがとても手間どるというお話をしていました。今の特定動物、外来生物関係では困っているのはカミツキガメとアライグマの処分が非常に難しいということです。さっき兵藤さんもおっしゃっていましたけれども、そういうことは余り見たくないとか話題にしたくないのかもしれませんが、その最後のところをどうするのかというのをやっぱりちゃんと考えておかないとうまくいかないと思います。また、特定動物の関係で、特定外来生物との矛盾というか、重なっている部分をどうするのかという議論がありますけれども、外来生物法で指定されたら、直ちに、じゃあ特定動物から外すのかということには簡単にならないと思うんですね。もっと実効がある方法でどうやっていけばいいのかというのを、指定すればそれで終わりというんじゃなくて、そこまで含めて考えていく必要があるんじゃないかということを現場の人たちから盛んに言われまして、そういう問題をやっぱり何か言っておく必要があると思って、一言言わせてもらいました。

【林部会長】 ほかにご意見、どうぞ。
 信國委員。

【信國委員】 この間の合同部会のときに林部会長も発言されておられましたけれども、こういう形でいろいろ行政の関与等、深まっていくわけですけれども、これだけのきめ細かいいろんなことを実効あるようにする場合に、とても行政の立場といいますか、行政の目だけではどうしようもない部分があるだろうと思います。先ほど、終末までちゃんと飼うという話がありましたが、実は私この間、飼っていたねこが、これもともと野良ねこなんですけれども、病気で亡くなりまして、いわゆる犬ねこの葬儀屋さんにお願いしましたら、それでいろいろお金がかかるので、むしろ、例えば高速道路のサービスエリアに、一番看護が必要なときに捨てに行くような人たちがいるというような話をしておられました。そういう例を考えると、とてもこれは行政でやる話じゃなくて、むしろその各地方自治体の基本指針なんかにも入っておりますけれども、広い意味での動物愛護団体、あるいは団体だけじゃなくて、いわゆる法律の中にも愛護推進員という制度があるようですけれども、そういう名称にこだわらないで、やはり一般的な意味での市民の積極的な監視の目であるとか、そういうものを誘導するというようなことが一方でないと、なかなか外枠はできても中身は伴わないんじゃないか。どうしてもその基本指針その他を決めるのは行政の立場なんで、行政の部分だけが強調されがちなんだろうと思いますけれども、むしろ基本的には行政だけではやり切れないので、そういう社会的な力というものをどうやってこういうものに取り込んでいくのかという視点が非常に重要になってくるんじゃないか。こういういろんな基準等のものをつくればつくるほど、日常的にそれがとり行われているかどうかというのは、一般の市民の人の参加があってできるんだろうと思いますので、そういう視点での整理もぜひ盛り込んでいただきたいなと思います。

【林部会長】 それでは大矢委員どうぞ。

【大矢委員】 今の信國委員のご意見について、一言申し上げておきたいんですけれども、動物愛護団体、それから動物愛護推進員の方々、そういう資格の人や団体が何でもかんでも引取れというような話が往々にして出てきますので、ぜひ、その終末にどこに持っていくか、その仲介はもちろんするということは大事だろうと思いますけども、それをどうするかという最終的なことをきちっと行政なり地方自治体なりで議論して場所をつくっておかないと、またとんでもないことになってしまうんではないかなと、その懸念を一言申し上げておきたいと思います。

【前島委員】 終末処理という言葉は非常にどぎついんですが、そのことについて一言私も意見を申します。
 動物の処分方法、はっきり言えば殺すということなんですが、処分方法の基準、私、その執筆委員も努めていたんですが、そこで書かれているのは、基本的にはだれが安楽死させるかというのは、それは所有者だということがはっきり書いてあるわけなんです。そうして、もちろん具体的な技術的なことになると、一般の例えば中学生が飼っているねこをあなたの責任で殺しなさいといって、本当に殺せるわけではないので、やはりそこで経験のある人に依頼するということです。ただし、そのときも解説書には、例えば実際に経験があるということになると、開業獣医師などに依頼するわけですが、そのときに原則としては所有者もそこに立ち会うべきじゃないかというような解説書が書いてあるんですが、そのことについては実はほとんど啓蒙もされていません。基準をつくったけれど、それは私たちの責任かもしれません。総理府の時代の責任かもしれない。基準があって解説書があるけれども、それすらほとんど出ていない。だけど、やはり飼い主がもっと責任を持つ、基本的には終生飼養なんだと、特にペットだったら。だけれども、いわゆる自治体が引取って処分するというのも、あるいは本来はやるべき問題ではないんじゃないかと私は思っております。じゃあ野放しにしていいかという問題は別ですけれども、やはり自治体もそういうことについては処分の基準を、もう一度、場合によってはもう少し文書を改正することもあり得るかと。むしろ自治体もそういうときに、一般住民に指導といいましょうか、アドバイスということを言って、臨床獣医師に持っていけばお金が多分かかると思いますけれども、そのくらいの出費や責任、あるいは動物を殺すときのつらさとか、そういうようなものを私はもっと、特にペットの場合には所有者に要求していいと私は思っております。

【林部会長】 そうですね。ほかに。
 今泉委員、どうぞ。

【今泉委員】 今泉と申します。細かいことはいろいろあるんですが、1つだけ、この動物取扱業者に研修をさせるというのがありますね。この数時間の研修で、どのくらい効果があるものかと。ないよりはあった方がいいと思うんですが、火事取締責任者というのがありますね。でも火事になると真っ先に逃げちゃったりね。どのくらい効果があるのかなと。実際はどうなんでしょうか。ちょっとその辺伺いたいと思います。

【東海林動物愛護管理室長】 今、手元に詳細な資料は持っておらないんですが、各自治体で上乗せ規制として、現在、登録制を敷いたり、その動物取扱責任者のような仕組みを上乗せ規制として設けている自治体がございます。こういった自治体とそうでない自治体で、不適切な取扱業者が減っているのか減っていないのかというのを私どもでまとめさせていただきましたけれども、目覚しいとは言えないですが、一定のやはり不適切な業者を減らす効果は取扱責任者制度によってもあったという結果が出ておりました。ちょっと数字を持っておらないんで申しわけないんですけれども。

【林部会長】 どうですかね、菅谷委員どうぞ。

【菅谷委員】 先ほど大槻委員、奥澤委員から行政の立場の話があったんですが、第一線の人たちの研修をぜひお願いしたい。特に第一線の監視員は他の業務との併任が殆どです。大きな転換期でもあり、今後の自治体間の業務格差を生じないよう尽力を願いたい。ここでどんな細かな規制をつくってみても実効性を伴わないと意味をなしません。市町村合併で、行政が広域化しており、対応の難しい面もあります。この度、業界を指導し、自主規律を高めるとか、また推進員制度の拡充等、今なかなか難しい面もあるようですが、今の時代ですから、もっと当該業界団体を含めた民間組織を活用する方策も考えていくべきと考えます

【林部会長】 ありがとうございました。大体ご意見をいただいたようですが。
 中川李枝子委員は、もしございましたらお願いできますか。

【中川(李)委員】 ちょっと気になっていたのが、この講習会の時間が1時間、1時間で本当に大丈夫なのかしら。それから、ある程度面接ぐらいやって、その人柄も見てもらいたい。私がこういう審議会に出ているという話をしますと、周りの人たちがまず言うのは、ペット業者を取り締まってくれということと、それから飼い主の、やっぱり責任なんですね。愛護なんていうことはもう二の次になってしまって、それよりも市民レベルとして、本当にちゃんとした考えでもって動物を飼って全うしてもらいたいということなんです。平凡な人たちの願いはもうそれなんです。無責任な飼い主の、例えば散歩、とても私たちは迷惑しているんですけど、深沢というところはなぜか犬を飼っている人が多くて、犬関係のショップがいっぱいあるんです。それで、ちゃんとやっている人もいればそうでない人もいて、非常にばらつきがあります。アルバイトで犬の散歩をしている人もいるんだそうです。そういう人たちはどうもマナーがよろしくないということでして、非常に評判が悪いんです。何かその辺も一般の人たちの犬やねこに対する考えというものをちゃんと教育していただきたいなと思っております。なるべく、少し罰則でもつくってもらいたいというのが私たちの考え、希望なんです。よろしくお願いいたします。本当に無責任な人多いんです。

【林部会長】 散歩をする業者も動物取扱業になるんですかね。ドッグウォーカーというのは。考え方は職業として成立しますか。

【東海林動物愛護管理室長】 詳細についてはちょっとこれから勉強させていただきますが、ペットを預かってそれなりのことをやるというのは、基本的に保管といいますか、預かり業というところで見ているところでございます。施設要件が今回なくなりましたので、そういった、ただ預かるといった意味で、本当に営利を目的として業として散歩業というのをやっておられるんであれば、業の対象になる可能性が非常に高いということで、その辺はちょっと勉強させていただきたいというように思っております。

【中川(李)委員】 それから、今こういう暑いとき、炎天下を平気で犬を連れて散歩している人がいるし、ああいう人を見ると、ちょっとあなた裸足でそこを歩いてごらんなさいと言いたくなるんですけど、そういう常識がないんですね。だから本当にみんな、本当の気持ちでペットをかわいがっているのかどうかしらと思っちゃうんです。やっぱり教育が大事ですね。それから、やっぱり周りの意見では、動物園や何かの行儀の悪い観客を何とかしてくれとよく言われます。もっと動物園や水族館の人たちは、何か権威を持って教育していいんじゃないかと。そういうのを私たちは言っておりますけど。ちゃんとしているお客さんもいるんですけども、時々とんでもない人がいて、やっぱりそういう人たちをきちっと指導するような方がパトロールしていてもいいんじゃないかしらと、そういうことも考えております。

【林部会長】 基本的には、私たちこの部会の役割はもう既に6月22日に公布された、改正されたこの法が実効性あるようにするための省令、政令等をいかに定めるかということであると思うんですが、先ほど何人かの委員からもお話ありましたけども、どういうふうに具体化していくかということを考えると、この愛護という名前については青木委員からも意見がありましたが、やはりこの法律の性格、心としては、動物虐待防止法というのが1つあって、これがいかなる人間であろうとも虐待をしてはいけないと。暑い炎天下、散歩させるのも虐待かもしれません。保管の仕方が非人道的な仕方であれば、これは虐待と。そういうところを一つ一つきっちり実効性のあるような形で、散歩についてはなかなかできないかもしれませんが、できる範囲の中での虐待をさせないということを、この法律を実りあるものにしていくために最低限必要だと思います。恐らくこの20世紀の後半から今世紀に入って、自然が特に傷んできているものですから、また人間の営みによって自然が傷んだことに対する反省から、動物に対しても、もう少しきっちりした接する態度が求められていて、もともとこの法律というのは、人の心の中には踏み込めないものだというふうに理解しておりますが、しかし一方でそういう自然等の関係性で、いろいろ心を悩まされる人が多くて、それが法律という形になったときにこういう愛護という言葉が使われたんだろうという経緯を考えますと、それを具体的にどうやっていくかと言えば、ここの中にも「その他」のところで随分教育的なことがこの法律の中に盛り込まれていますよね。だから、これは行政が直接やるというよりも、むしろ学校と地域と家庭が、基本的には自主的な活動の中で具体化されることが中心になるだろうと思います。それをどうやって行政的にサポートしていくのかという、そこもあわせて、この法律ができた経緯を考えて、どうやって具体性を、実効性を持たせるものとして、いろいろな規則あるいは政令、省令等で生かせるかということになろうかというふうに理解しております。あと予定している時間、まだございますので、どうかほかの委員の方々のご意見お聞きになられて、こういうふうな作業をしていく前提としてお考えを、きょうはカジュアルにお聞かせいただければということで、もうしばらくございます。どうぞ、ご意見いただければと。
 中川志郎委員どうぞ。

【中川(志)委員】 非常に難しいのは、地方自治体が判断をして登録を受けつける、あるいは更新を拒否するとかいう、その許可基準、施設基準みたいなものは、どうしてもつくらざるを得ないわけですけども、これは最初に我々が、例えばその危険動物なんかについての基準みたいなのをつくったんですね。30年前ですけど。猿はこれとか熊はこれとかいうことで、かなり時間をかけてつくったんですよ。例えばそのボルトの太さはこのくらいで、サイズはこのくらいで、給水はこういうふうにやらなきゃいけないみたいなものを長々とつくったんですよね。それで、それが解説書の付表としてつけられたんですよ。それはあくまでも我々が参考資料として解説書の中につけたものですけれども、それ以外に量的な基準、数的な基準というのは、ほかになかったんですよね。そうすると、我々はミニマムとしてつくったんですけども、一番高いところの基準のようにとった人もいて、その許可基準が非常にぶれたわけですよね。したがって、今後つくるときには、やはり今回はもうあれから30年経って、地方自治体の方々もこういう行政に随分なれてこられたと思うんで、先ほど奥澤さんもおっしゃいましたけども、実際にその地方でその許可、あるいは取り消しなどを実際に担当される方々の意見も実際に聞かれて、それで具体性のある基準というものをやった方がいいと思うんですね。この前、危険動物については、定性と定量の中間ぐらいのをつくられたんですけども、あれだとやっぱり許可基準として機能するにはいささか個人差というか、その判定する人のぶれが非常にあるような気もします。ここらあたりはやっぱり今度の改定では、地方自治体の判断をする当事者が比較的ぶれが少なくて判断できるようなもの、これは難しいんですけども、そういうものをつくり出すという、そういう努力は必要かなというふうに思いますけども。

【青木委員】 先ほど、私発言しましたときに、松下委員のご発言との連続性ということで、やや大きな畏怖であるとか畏敬という大仰な言葉を申し上げて、そのあと国会での議論、立法資料というものを、なるべく充実した資料を参考資料としてほしいというふうに申し上げましたが、どちらかというと、私の言いたかったのは後者でありまして、今中川委員がおっしゃられたことと関係して、私も同じような感想を持っております。法律学の立場から言いますと、告示という基準の提示の仕方がどの程度その法規範としての強い性質を持つのかというのが、ややわかりづらい感じが私などはしておりまして、私は行政法学の専門家ではないので自信を持って言えないんですが、行政法の本などを見ると告示の中には法規範性を持つものもあるし、そうとも言い難いものもあるとされています。つまり、いろんなものが告示という形式で公示、公に示されているという状況であるわけですね。ですから、今までもこの基準というのはずっと告示されてきているわけですから、果たしてそれは実際に、現実の生きた法としてどのくらい機能しているのかということを、私などはまず知りたいというふうに思います。そして、それが機能している、していない、それぞれの場合において、じゃあ今回の法改正で何が変わったか、次はどうすべきなのかという具体的な議論をする必要があるというふうに考えます。
 そして、先ほど中川委員がおっしゃったことと重複するんですが、都道府県によっては既に、例えば登録制といういわば国の法より上乗せした規制を条例レベルでやっている例があるということであれば、それの実態、実際にそれが例えば登録取り消しであるとか登録拒否というようなことが条例で規定されているのであれば、その実務はどうなっていて、どんな問題があったのかということを、ぜひ情報としては知りたいと、そんな印象を持ちます。
 以上です。

【林部会長】 ほかに。
 どうぞ、大槻委員。

【大槻委員】 今の登録関係で、県行政の中にちょっと類似した案件が結構出てくるんですが、要件を満たした場合には、登録しなければならない。そういうような書きっぷりになっていくと思うんですけども、ぜひ気をつけていただきたいのは、先ほど委員からいろいろ出ましたように、悪徳業者、経済的うまみを求めてこういう分野に入ってくる方の裏に、結構、犯罪履歴を持っている方が結構います。許可しなければならないというその建前論で許可したあとに、結構そういう方々が悪徳の延長でやるケースが多いもんですから、ほとほと困ったあげく、ほかの犯罪履歴がある場合には何年間登録は受け付けないとかを条例の中で入れたケースがあります。そういう意味で、この登録拒否の基準の中にどこまで入れるかの検討はいると思います、法律学的にもね。そこの先入観を持って、規制という視点から検討をいただきたいというふうに思います。

【林部会長】 ほかにご意見ございますでしょうか。今の大槻委員のお話は大変重要なところなんですが、この今度の法律の改正の1つに、例えば特定動物、これは危険な動物に対して、これに対して何も対応していない地方自治体が何県、3県残っているんですね。これは動物の福祉とか愛護とか、そういう観点じゃなくて、人の危害を防ぐためのものですから、最低限すべての都道府県で整備すべきことだった、それがなされていない中で、やはり今回の法改正という動きが起こってきたんだろうと。これについては、国全体での統一基準をつくるということが、特定動物関係では今回の大きなポイントになっていますので、そこを達成されると。これまでよりも相当前に進むだろうということが期待できるわけですが、そういう意味では今度の法改正が何のためになされたのかということは、前提として知っておいた方がいいだろうと。
 はい、どうぞ。

【青木委員】 今の林部会長というより、むしろその1つ前にご発言なさった大槻委員のご発言の質問なんですが、今おっしゃられたことは、今回の法改正で第12条の1項2号では、例えばこの法律又はこの法律に基づく処分に違反して罰金刑以上の刑に処せられ、その執行あるいはまた執行を受けることがなくなった日から2年を経過しないものについては登録が拒否できるというような形で、法レベルで一定の要件が決まっているわけですが、それを超えて何かというご趣旨のご発言なんでしょうか。

【大槻委員】 今の法律の条文のところ、頭に置かないで申し上げましたが、法の中で1つの制約がありますよね。ところが今までこの法律に基づく違反者に対しては当然だけども、その参入した事業体は全く異質のところから入ってくるケースが多々あります。そういうときの事前予防策もひっくるめて、何か考えておく必要があるんじゃないかというような意味合いで申し上げています。

【林部会長】 ほかにいかがでしょうか。
 はい、大矢委員どうぞ。

【大矢委員】 以前からインターネットの問題がいろいろ出ていると思うんですけれども、今回インターネット販売の方も登録制ということになるわけですけれども、つい最近、幼齢犬がインターネットで売られて、東京から四国の方に転送され、飛行機の関係で航空会社が1便乗せおくれて、向こうについてから翌日死んでしまって航空会社にクレームがついているという事態が発生しています。その後のことはどういうふうになっているか、ちょっと私確認しておりませんけれども、そういうことも含めて、この裏側がわからないインターネットというものに対して、どう対処していくのかということも検討しなければならないと思います。私は動物輸入業者協議会の事務局長としてここに座らせていただいておりますけども、全国にペット業者、日本鳥獣商組合連合会等、きちっとした団体の中の加盟会員がいらっしゃいます。そういう方たち、きちっと公になっている方たちと、そうでない見えない部分の方たち、その辺を今後どう対応していくのか。先ほど中川委員が悪徳業者という表現を使われましたけれども、全部一律で動物商をくくってしまうのかどうか、その辺のところ、十分慎重にご審議をいただきたいということをぜひお願いしておきたいと思います。

【林部会長】 大体ご意見をいただいたようですが、ほかに。
 今泉委員どうぞ。

【今泉委員】 最後、悪徳業者ですか、ただそういうのを押さえ込もうとすると、どんどんどんどん隠れてもぐってほかにいきます。もうちょっとうまい方法を考えた方がいいんじゃないですかね。ちゃんとしている人をもっと優遇するとかね。抑えれば抑えるほど地下へもぐっていきますから、その辺、何かもうちょい知恵を出した方がいいかなと思いました。

【林部会長】 そうですね。はい、どうぞ。

【兵藤委員】 結局は、私たちのレベルアップだと思いますね。動物の社会性についても、あまり小っちゃいのは飼うものではないんだという私たちの消費者のレベルの高さというのは、私たちがこれからつくっていくものだと実は思っていまして、悪徳業者の方は自然に沈んでいくんだというような、そういうことは私たちがこれから頑張らなきゃいけないんではないかと思っています。この改正についても、大変たくさんの改正点が出てきまして、何とかこれを実らせたいというふうに思っております。これは厚い周りの応援があって、ここまで改正点ができたと思いますので、一般の国民の意見もこれからくみ上げると思いますし、それに従って一つ一つ実効性のあるものを、ちょっと時間かかると思うんですけども、教育的啓蒙も含めた啓発事業を特にやって、一つ一つ長い時間の中で解決していくものではないかなというふうな感想を受けております。
 以上です。

【林部会長】 はい、ありがとうございました。それでは大体ご意見をいただいたようですので、きょうのお話、いただいた内容を踏まえて、政省令等の基本的な考え方を検討して、次の部会までどうか事務局でおまとめいただきたいと思います。
 それでは議事の3にその他が残っておりますので、これについて事務局からお話いただきます。

【東海林動物愛護管理室長】 スケジュールにありましたヒアリングの日程につきましては、林部会長と相談しながら日程を決めまして、また追って各委員の先生方のところにご連絡申し上げたいと思います。
 それから、ご報告事項なんですが、当然、この政省令等を検討するに当たっては、各委員からご指摘がございましたけれども、自治体の方々のご意見も踏まえなければいけませんし、また改正法の取りまとめに当たって、いろんな関係団体の方々ご協力くださいましたので、こういった方々のご意見も踏まえなければいけない。愛護団体ですとかペット業界ですとか、動物園水族館協会ですとか、いろいろございます。自治体の方々、愛護団体、あるいは関係業界の方々とは、私ども事務局の方で適宜、説明会ですとか意見交換会をこれから開かせていただきたいというように思ってございます。結果につきましては、必要に応じて、こういった場を通じましてご報告申し上げたいというふうに思ってございます。

【林部会長】 よろしいでしょうか。それでは以上をもちまして、本日の動物愛護部会の議事を終了したいと思います。
 次回、先ほど日にちはおっしゃっていただいたんですが、時間等、日程について事務局から連絡事項をお願いいたします。

【東海林動物愛護管理室長】 長時間にわたりましてご審議いただきましてありがとうございました。
 次回の日程ですが、9月21日、水曜日になります。10時から12時半まで。また次々回は10月13日、木曜日になりますけれども、10時から、同じく12時半までを予定しております。場所等の詳細につきましては追ってご連絡をいたします。次回の部会では、今日のご議論、ご意見を踏まえまして、基準等の政省令等の基本的な考え方、あるいは骨子案といったものをご提示できるよう、検討を進めてまいりたいと思っております。
 本日はどうもありがとうございました。

【林部会長】 それでは、以上をもちまして本日の部会を終わります。
 ありがとうございました。