中央環境審議会動物愛護部会(第4回)議事録

日 時

  

平成14年3月22日(金)午後2時~3時35分

場 所

  

三田共用会議所 第四特別会議室

出席者

竹内 啓 部会長  
池田 隆政 委員 今泉 忠明 委員
小川 益男 委員 杉山 公宏 委員
関  哲夫 委員 兵藤 哲夫 委員
前島 一淑 委員 松下 倶子 委員
山下 喜弘 委員  
小林 自然環境局長  松原 審議官
神田 動物愛護管理室長     岡部 室長補佐
  

議 題

(1) 「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(素案)」に関するパブリックコメントの実施結果について
(2) 犬及びねこの飼養及び保管に関する基準の見直しを含めたペット動物の飼養及び保管に関する基準(「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」)の答申案について
 

配布資料

動物愛護部会名簿

資料1  「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(素案)」に関するパブリックコメントの実施結果の概要について
資料2 家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(答申案)
参考資料1  動物の愛護及び管理に関する法律について
参考資料2 犬及びねこの飼養及び保管に関する基準 外
 

議 事

【神田動物愛護管理室長】 それでは、定刻になりましたので中央環境審議会動物愛護部会を始めさせていただきたいと思います。
 まず、本日の委員の皆様のご出席の状況についてご報告申し上げます。所属委員数15名のうち現時点で9名のご出席がございます。山下先生は現時点でご出席されておりませんが、出席予定でございます。現時点で出席者が所属委員総数の過半数を上回っておりますので、本日の部会は成立しております。
 それでは、竹内部会長、よろしくお願いいたします。

【竹内部会長】 それでは、座ったままで失礼いたします。部会長を仰せつかっております竹内でございます。
 これから第4回の動物愛護部会を開催いたします。議事に先立ちまして、本日は小林自然環境局長がお出ででいらっしゃいますので、ごあいさつをちょうだいしたいと思います。

【小林自然環境局長】 環境省自然環境局長の小林でございます。今回、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準について、お忙しい先生方にご審議いただきましてありがとうございます。本日ご議論の結果、ご答申いただければ大変ありがたいと思っています。
 この基準案につきましては、パブリックコメントも行いまして、きょうご説明申し上げますけれども多くの方々からご意見をちょうだいしております。我が環境省に動物愛護の行政が移ってまいりまして、スタートの緒となるようなご審議であったかと思います。
 実は現在生物多様性国家戦略を進めております関係で、私はごあいさつを申し上げましたら退席をさせていだきますけれども、ぜひ本日はご答申を願えればと思ってございます。
 それで、今ちょっと申し上げました生物多様性国家戦略、これからの自然保護行政、動物愛護行政を進めていく上での基本になる考え方をまとめる戦略でございますが、この中でもペットのことについて言及をしております。ペットとして飼育されている動物が遺棄され、また逃亡などによって野外に出ていくことで生態系への影響が非常に大きいという認識が、この中では書かれてございます。その上でペットが野生化しまして生物多様性に影響を及ぼすことをまず防止するために、影響が懸念される生物の輸入の抑制を図らなくてはならないという必要について、この戦略の中では述べているところでございます。飼育動物の管理を徹底するということについても、方向性として国家戦略の中ではお示ししているということで、非常にこれからの行政の中で動物の保護管理という管理の面での考え方が大きなウエイトをだんだん占めてくる、そういう行政分野になっているかと思います。
 そういうことで、さきにもご審議いただきましたけれども、ペットですとか観賞用に持ち込まれている動物に対して、適切に所有者が管理をしなければならない。そのための普及啓発活動も行政として進める必要があることなど、それからまた販売を行う事業者にも適切な飼養管理というものをしっかりと動物を飼う人に説明する義務があるということ、そのような法律に書かれたことなどもこの戦略の中でうたいまして対応をしているところでございます。
 そういう意味で徐々に自然保護行政と動物愛護行政が関わりを持って、いろいろな意味でこれからの行政が進んでいくよう、我々としても決意を新たにして取り組んでいきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いを申し上げたいと思います。また繰り返しになりますけれども、審議会でいろいろとご議論いただいた点を感謝申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。ありがとうございます。

【竹内部会長】 どうもありがとうございました。
 それでは、議事に入ります前に事務局から配付資料について確認をお願いいたします。

【岡部室長補佐】 それでは、配付資料の確認をさせていただきます。まずお手元に配付しております資料の1枚目が議事次第になっております。その次のページが部会委員の名簿となっております。その次が資料1となっておりまして、1枚目がパブリックコメントの実施結果の概要についてまとめております。2枚目以降がその実施結果ということで1ページから34ページまでございます。資料2が家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(答申案)ということで1ページから6ページまでございます。次に参考資料1と参考資料2につきましては、第2回部会、第3回部会と同じものをつけておりまして、参考資料1は動物の愛護及び管理に関する法律についてということで1ページから7ページまでございます。参考資料2につきましては、現行の基準でございます犬及びねこの飼養及び保管に関する基準等の資料を載せております。これは1ページから8ページまでございます。

【竹内部会長】 どうもありがとうございました。何か過不足ございますでしょうか。もし足りないものがございましたら、どうぞご遠慮なくお申しつけいただきたいと思います。
 それでは、早速議事に入りたいと思いますが、ただいま局長のごあいさつにもございましたように、この1年間私どもは、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準をどのように見直すかという作業をしてまいりました。そして、その討論の結果をもとに、広く皆さんのご意見をいただこうということでパブリックコメントを1カ月間実施させていただきました。そのようなことも勘案をしながら、本日の原案ができている次第でございまして、どうぞ十分にご審議をいただきたいと思いますが、まず議事の1は、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の案に関するパブリックコメントの実施結果についてでございます。これに関しましてはこの前の部会におきまして、その実施の予定をどのようにするかということについて事務局からご説明があったところですが、それが実施されまして、その結果がまとまっているようでございますので、資料をもとにご説明いただきたいと思います。

【神田動物愛護管理室長】 それでは、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(素案)」に関するパブリックコメントの実施結果の概要について、ご報告申し上げます。
 お手元の資料1をごらんください。まず、意見の募集方法でございます。1.意見募集要領にございますとおり、また先ほど部会長の方からもご説明いただきましたとおり、「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準(素案)」について、去る2月15日から3月14日まで丸1カ月間、電子メール、ファックス、郵送のいずれかの方法で意見提出をお願いしたところであります。
 なお、このパブリックコメント実施の告知につきましては、他の例に倣いまして環境省のホームページ及び記者発表により行ったところでございます。その結果、資料に記載のとおりでございますが、合計227通のご意見をいただきました。そのうち7割以上、167通が電子メールによるものでございまして、以下ファックスが39通、郵送が21通となってございます。お寄せいただきました電子メール、ファックス、手紙のほとんどは1通に複数のご意見を含んだものでございまして、いただいた意見の数という観点で見ますと、総計で627件に及んでいるところでございます。
 それらの意見の内容別の内訳につきましては、資料1の2.(2)意見の概要に一覧として取りまとめでございます。基準の各項目に対し、おおむね満遍なくご意見をいただいたところでございます。その中でも特に今回基準案の新規の項目、あるいは新たな内容が盛り込まれた部分に、多くの意見をいただいた傾向があると思います。飼養開始前の責務を打ち出しました、第3の飼養及び保管に当たっての配慮に関するものが46件ございました。また、第6、ねこの飼養及び保管に関する基準のうち、ねこの室内飼養に関するものが50件、さらに第7、学校、福祉施設等における飼養及び保管に関するものが46件となっているところでございます。
 続きまして、いただいた意見の概要とそれら意見に対する考え方をまとめておりますので、この資料に基づきまして概要をご説明させていただきます。なお、先ほどご説明いたしましたとおり、お寄せいただきました総意見数は627件となっているわけでございますけれども、それらの内容には同趣旨、あるいは共通のものがありますので、取りまとめに当たりましてはそれらをまとめてございまして、結果341件の意見として本資料ではまとめているところでございます。また、これらのうち57件の意見は、今回のパブリックコメント募集の対象外の意見などでございました。本資料につきましては、さらに精査の上、できるだけ早い時期にほかのパブリックコメントの例と同様に、環境省ホームページに掲載することにより公表する予定であることを申し添えます。
 まず、1ページ目の基準全体についてでございます。主な意見としましては、基準の実効性に関するものでございまして、基準にとどまらない規制、罰則などの要望、また、基準の周知徹底の必要性を要望するものがございました。これらにつきましては、本基準自体は動物愛護管理法第5条に基づき、動物の所有者などの努力義務、努力目標を定める性格のものでありますことから、違反時の罰則などを定めることは困難でございます。しかし法の趣旨である飼い主の責務の自覚と実践による適正飼養の推進を図る上で、ご意見にあるとおり、基準決定後は広く国民に浸透させることが大変重要であり、関係機関、関係団体と協力しながら積極的に普及啓発を図っていく考えでございます。
 また、基準を具体化してほしい、との意見もございました。同様の趣旨のご意見は基準の各項目でも多くいただいたところでございます。本基準自体は広く適用可能とする必要があるという性格がございまして、どうしても標準的事項を示すにとどまらざるを得ないと考えております。
 基準に基づきまして、具体的なケースでどのように留意していくか、基準をどう理解したらいいかというような解説につきましては、基準策定後、作成する予定としております普及啓発資料などにおいて、今回のパブリックコメントの結果も参考にしながら説明、公表をしていく考えでございます。以下の各項目で多くいただきました同様の意見についても、そのように対応していく考えでおります。
 続きまして、基準の対象についてでございます。この中の意見では、家庭動物等ということで今回はつくっておりますけれども、そういった飼養目的別の基準ではなく、法第27条に基づく愛護動物全部を対象とすべきという意見がございました。しかしながら愛護動物といたしますと、法律上は占有されている動物をすべて対象とするということでございまして、畜産用の牛ですとか豚ですとかそういうものが含まれることになります。そもそも動物愛護管理法では、人間生活の中において動物をそれぞれの役割に応じて適正に利用していくことを前提としているものでございまして、飼養動物のそれぞれの利用目的に応じて、適正な飼養保管の確保を図るための基準を作成するということにつきましては、同法に照らしまして妥当なものであると考えているところでございます。
 続きまして、第1、一般原則でございます。一般原則のうち、「動物の本能、習性及び生理を理解し」という部分につきましては、そのご趣旨はご理解、ご支持いただいた上で、本能という用語についてその修正のご意見を幾つかいただいてございます。幾つかの修正の案をいただきましたけれども、他の基準における用例、かつ、より明確にするという意味で、本能を生態と修文しております。以下、本基準においては本能を生態と修正したところでございます。
 また、一般原則への意見、飼い主の依頼に基づく獣医師による安楽死につきましては、この部分以外にも繁殖制限の部分、あるいは譲渡等に関する部分で規定すべきというようなご意見がございました。しかしながら、現時点ではこのことを基準化するということにつきましては、獣医師を初めとしまして広く社会的な合意ができている状況とは言えないと考えております。今後の国民的コンセンサスの動向を見きわめながら、さらに時間をかけ検討すべき事項と考えているところでございます。
 続きまして、第2、定義につきましては、さまざまな角度から対象の拡大、定義の方法のご意見をいただいたところでございます。しかしながら、今回の基準の見直しの基本方針でございます犬、ねこを含めたペット動物等の飼養保管の基準の見直し、策定という趣旨を踏まえまして、現時点で基準として適当な用語によるという観点から、基本的に原案のとおりとさせていただきました。ただし、情操涵養及び生態観察のため飼養されている施設の将来的な広がりの可能性を踏まえまして、後ほど案のご説明の中で触れさせていただきますが、一部修正を行っているところでございます。
続きまして、第3、飼養及び保管に当たっての配慮につきましては、多くのご意見をいただいたのは先ほど申したとおりでございます。その内容は基本的には規定の趣旨につきご支持いただく意見がほとんどでございました。特に野生動物の飼養に対する慎重論が多く、基準の性格上禁止などの規制に踏み込むことはできませんけれども、やはりその重大性、影響の大きさに関する周知徹底が重要であると認識した次第でございます。
 ご意見の中には野生動物の飼養をする上で危険性を有することに配慮すべきという趣旨のものがございまして、それらを踏まえまして案の中に、「人に危害を加えるおそれのある種が含まれていること」を追加しております。これも後程ご説明をいたします。
 それから、共通基準でございますが、所有者の明示に関する意見では、規定で例示をいたしましたマイクロチップの安全性についての疑問が寄せられております。この点につきましては、国内外において動物の個体識別法として実績のある方法であると私どもは承知しておりまして、この点の普及啓発が今後重要であると考えておる次第でございます。
 健康及び安全の保持、生活環境の保全、適正な飼養数につきましては、さまざまな具体的な配慮事項にかかわるご提言をいただいておりますが、最初にご説明いたしましたとおり、基準に基づき具体的な飼育のケースで必要となってまいります留意事項等につきましては、基準策定後、作成する予定としております普及啓発資料などにおきまして、いただいたご意見も参考にしながら解説していくという考え方でございます。
 繁殖制限につきましては、繁殖制限を適正に推進すべきとの観点から多くの意見をいただきました。それらを踏まえまして、まず虐待、迷惑飼いなどのさまざまな問題の原因となっている、劣悪な環境下での多頭飼育を排除するため、終生飼養にさらに条件をつける意味で「適切な飼養環境及び終生飼養の確保」と修文いたします。終生飼養の前に「適切な飼養環境及び」という言葉を加えたわけでございます。さらに、安易な譲渡の見込みを排除するため、「見込まれる」という言葉を除きまして、「自らの責任において可能である場合」に修文してございます。これらはいただいた意見に対応したものでございます。
 続きまして、動物の輸送、動物に起因する感染症、逸走防止、危害防止、緊急時対策につきましても、さまざまな具体的な配慮にかかわるご提言をいただきましたが、これらの対応につきましては、今後作成する普及啓発等の資料において、いただいたご意見も活用させていただくということを考えておる次第でございます。
 続きまして、犬の飼養及び保管に関する基準でございます。この中では、路上糞害防止を求める意見がございまして、この点については原案の中に盛り込まれていたものではございますけれども、明確化のため基準案中の「汚物」について「ふん尿その他の汚物」といたしまして、ふん尿が汚物に含まれていることをわかりやすく修正をいたしてございます。
 また、放し飼い防止の観点だけではなくて、危害を加えるおそれのない場合には放し飼いを進める内容を盛り込むべきと、そのような趣旨のご意見がございました。しかしながら、放し飼い防止の規定は危害防止の重要性から、特に犬について設けられた経緯がございまして、意見にございますできるだけ自由な環境下で飼育するということを全く否定しているものではなく、危害防止の観点から必要な場合ということで規定しているものでございます。また、現行の基準に比べ、さらにいたずらにけい留を求めているものではない趣旨を細かく規定することで、明らかになっているものと考えてございます。
 続きまして、第6、ねこの飼養及び保管に関する基準につきましては、大変多くのご意見をいただきました。総じてねこの登録を求める、あるいは不妊、去勢等繁殖制限措置を求めるなど、管理の徹底に関するご意見が多くなっていると考えております。そのうち、ねこの健康と安全の保持のための屋内飼養に関するご意見につきましては、先ほど最初に触れましたように、50件と最も関心を集めたところでございます。そのうちおおむね半分が、屋内飼養を義務化するなど強化すべきであるというものでございまして、残りの半分が、屋内飼養を強制、あるいは基準に盛り込むべきではないというものでございました。
 まず屋内飼養についての義務化というご意見でございますけれども、これも先ほど来、ご説明している部分と重なりますけれども、本基準は飼育者、飼養者の努力義務の目標を定めるものでございます。その範囲内で基準を設定するという立場で申し上げると、義務化というのは困難であると考えてございます。また、ねこの飼養方法につきしては、地域の状況、特性も勘案する必要がございます。地域の状況を踏まえまして、飼い主の責任において動物の健康、安全の保持、人への迷惑防止等を勘案しながら基準に照らし、屋内飼養を含めた中で適切な飼養保管方法を選択すべきものと考えているところでございます。
 また、屋内飼養の基準に反対の立場のご意見では、その理由として、ねこの危険回避につきましては飼い主の個人的な問題であること。また、屋内飼養しないねこへの虐待を招くおそれがあること。また、ねこの健康を害し習性に反することなどを挙げられておられます。しかしながら、動物愛護管理法第5条につきましては、これも再三ご説明しておりますけれども、所有者、占有者に対し動物の健康及び安全の保持を求めているところでございます。そのための基準として策定される本基準においては、当然通常考え得る動物の危険回避も含まれているものと考えております。また、本基準により一律に飼い主に対し屋内飼養を義務づけていないことは案のとおりでございます。さらにねこの屋内飼養につきましては、国内外で既に実績のある飼養方法と理解してございます。これが適切に行われれば、健全な成長及び本来の習性の発現に相反するものではないことは審議会でのご議論のとおりと理解しているところでございます。
 したがいまして、これら双方のご意見を総合的に勘案させていただければ、屋内飼養については、健康、安全の保持の上で有効であるということでそれに努めつつ、一律に適用すべきものと規定していないこと、また、地域の特性、周辺環境を勘案し、飼い主の責任において動物の健康、安全の保持、さらに周辺環境によっては人への迷惑防止等を勘案しながら、最も適切な飼養保管方法を選択すべきものとしている本基準案は妥当なものと考えたところでございます。
 続きまして、第7、学校、福祉施設等における飼養及び保管でございます。これにつきましても多くのご意見をいただきました。当該施設等における動物飼養の期待感、あるいはその前提となるべき適切な飼養管理に関し少なからず関心が集まっているものと考えた次第でございます。この中には基準の厳格な適用を求めるご意見がある反面、基準の内容自体は是認しつつ、厳格な適用でこれら施設での動物の飼育が敬遠されることのないよう、基準適用の猶予と配慮を求める意見がございました。さらに適正な飼養が望めないとして、飼養自体に反対されるご意見もありました。
 これらの意見に関しましては、再三申し上げましたとおり、本基準は所有者の責務に基づく努力義務の目標を定めるものでございまして、一律に強制するものを目的とするものではないこと、学校における適正な飼養の重要性を踏まえまして、それが動物の愛護や管理の観点からも配慮されるよう各管理者の判断により適用することが可能な性格を持つ基準であると考えております。ただし、愛玩動物あるいは伴侶動物の所有者に求められている基本的責務について、これらの施設で飼育される動物のみ特別に猶予するということについては、必ずしも合理性があるものと考えておりません。
 なお、学校における動物の飼養に関しましては、既に現行の規定の範囲内で、愛玩動物に準じ飼養保管に関しよるべき基準が適用されているところでございますので、基準の猶予等については現実的には意味がないと考えております。また、本基準は動物を飼養する場合の動物愛護管理の観点からの基準でございまして、飼養するかどうか、どういう目的で飼われるかという判断につきましては、各施設にゆだねられている性格のものでございます。
 ただし、各施設における使用目的に照らしやや厳格にし過ぎた点があったという判断をしましたことから、ご意見の趣旨を踏まえまして、素案では「飼養に当たる者以外の者から食物を与えられ」とあるものを、「飼養に当たる者以外からみだりに食物を与えられ」と修正いたしまして、正当な理由と管理のもとに行われる給餌、餌やりについては可能であるように読み込めるようにいたしたところでございます。
 「その他」につきましては、基準に関するその他の意見をまとめたものですが、その中に、馬などその他の動物に関しても犬ねこのような項目を立て規定を設けるよう要望するご意見がございました。犬ねこ以外の家庭動物等につきましては、現時点では個別基準策定の必要性は犬ねこほど高いレベルにはないものと考えております。また、共通基準をもとに、個々の飼養者がそれぞれの種への具体的な適用によって飼養の適正を確保していただくことが可能であると判断しているところでございます。種類ごとの固有の留意事項を基準に盛り込むべきかどうかについては、その必要性、今後の飼養の実態を踏まえまして今後の検討によるべきものと考えておる次第でございます。
 最後に今回のパブリックコメントで意見募集の対象であった基準に関するもの以外の意見をまとめたものでございます。これらについては、それぞれ動物愛護管理に関係するものでございますけれども、今回の基準に反映することができないものでございまして、今後の動物愛護管理行政を進めて行く上で一つの参考とさせていただく考えでございます。
 なお、このうちの意見で68件と多いものがございますが、これは同じ文面の電子メール、これは電子メールですのですべてコピー、転送と見られますものが、寄せられたものでございます。ほとんどオーストラリアからのものでございまして、内容は記載のとおり野生動物のペットとしての輸入、飼養の禁止を求めるものです。しかしながら、明らかに本基準の性格について誤解された方の情報に基づいているものと考えられます。本基準により野生動物の飼養を認めることになるというような誤った理解がもとにあるようでございますが、本基準は言うまでもなく現行法制度の範囲内で規定されるものでございまして、法を超えるものではない、そのような中で、逆に野生動物の飼育に慎重な内容であることは、これまでのご議論のとおり明らかでございます。野生動物に基準で触れたこと自体をもって野生動物の飼養を勧めるまたは認めるということとご理解されたようでございます。このような誤解が今後生じないよう、本基準の普及啓発の必要性を痛感したところでございますし、今後十分配慮が必要と考えた次第でございます。
 以上、パブリックコメントの実施結果の概要についてのご報告といたしたいと思います。報告の中でご説明いたしましたとおり、これらの意見につきましては基準に反映させたもののほかにも今後の基準解説資料の作成の段階で、もしくは普及啓発の段階で、あるいは基準以外のものについても動物愛護管理施策を進める上で参考の1つとさせていだく考えでございます。
以上でございます。

【竹内部会長】 どうもありがとうございました。ご報告にございましたように大変たくさんのご意見が寄せられたということは、いかにこの問題についての関心が高いかということでございますので、これは委員の先生方にも今までいろいろとご苦労いただいたかいがあったということではないかと思います。同時に今お聞きになっておわかりのように、これだけ数の多いまた非常に種類の多いご意見に対して、事務局で大変きめ細かく分析、検討していただいたご苦労に、私はこの場からお礼を申し上げたいと思います。大変貴重なご意見もたくさんごさいましたけれども、中にはただいまのご報告でおわかりのように、今回のこの基準というのはどのような法律の中で、どのような枠の中でつくられるのかということについてのご理解が必ずしも十分ではなかったために生じた誤解に基づくご意見もあったようでございます。そのようなものについても的確にコメントをしていただけているように感じます。
 特に再三出てまいりましたけれども、本基準は法第5条でいうところの、飼い主の努力目標を定めるものです。このようなものを前提にしてこの基準をつくっているというところが、どうも十分ご理解いただけなかった向きが大変多いようでして、それが法律を根本的に変えるようなご意見にまで通じかねないというところがあったように思いました。この辺も今回のようなお答えで十分理解していただく必要がある部分だと思います。
 そこで、ただいまのご報告についていろいろご意見をいただきたいんですが、大変多岐にわたっておりますので、この仕分けをしていただいた項目を一つずつ取り上げながら、ご意見あるいはご質問いただくことにしていきたいと思います。
 まず、コメントの件数について何かご質問がございますか。先ほどご報告があったとおりで意見の提出数と意見数というものを分けてございますけれども、意見数としては随分たくさんあったということになります。よろしゅうございますか。
 よろしければ先にまいります。まず、基準全体についてという部分ですね。この部分については何かご質問がございますでしょうか。あるいはご感想でも結構です。どうぞお願いします。

【前島委員】 これは結局解説書をつくるという前提で考えればよろしいんですか。それとも解説書については今後検討すると。

【竹内部会長】 前回の部会でも出てまいりましたけれども、いずれ解説書という名前になるかどうかはわかりませんが、先ほど事務局が再三繰り返しておられました啓発用の資料を検討せざるを得ないだろうと思います。今回はあくまでも骨格を示すということになりますので、この中では一つ一つの動物ごとには書いてないわけですね。書き出すと大変細かくなる。ただ、共通の部分としていろいろなものを取り上げて書いているわけでして、具体的なことはとりあえず、解説書というものをこの次の作業として考えざるを得ないだろうということになっておりますが、環境省としてはいかがでしょうか。

【神田動物愛護管理室長】 今、部会長の方からご説明いただきましたように、名前の方はまだ未定でございますけれども、基準をまず理解していただく。それから、基準の適用に必要な情報をできるだけ盛り込んだ資料をつくることは、今年度は無理でございますが、来年度検討していきたいと考えてございます。

【竹内部会長】 ありがとうございました。来年度はあと10日でまいりますので、決して遠い話ではないと思います。

【松下委員】 この基準全体の4にあります、国民に周知徹底のことです。今啓発資料をおつくりいただくということでしたが、どのような年齢層の方々、どのような対象の方々に対してかということはまたご検討あるかと思いますが、私は青少年の活動にかかわっている者といたしまして、ぜひこのような基準を子供たちが理解しやすいような資料をおつくりいただいて、学校等でも徹底できると良いと思います。また是非青少年団体等の地域活動の中でこのようなものがプログラムの中に組み込まれるようにしたいと思っております。今子どもたちの生き物に対する態度等について、いろいろ問題が起こっておりますことも、小さいうちから動物とのつきあい方について自然な形で習慣として身につけると大分防げることも多いのではないかと思いますので、ぜひこれをそういった子供たち向きのもの、テキストのようなものを添えていただけるとうれしいと思っております。

【竹内部会長】 ありがとうございました。確かにそうですね。何条、何条というのは結構ですけれども、これは子供さんにはもちろん無理な話ですし、書き方にしても、別に漫画がいいとは申しませんが、しかし、今の若い人たちのセンスにあったような媒体を使って普及啓発というのは大事かもしれませんね。

【神田動物愛護管理室長】 ご意見のとおりでございまして、そういうものを子供さんたちにわかっていただくための普及啓発資料は、実は過去につくってございまして、「ペットの気持ち」という名前のイラスト、漫画の資料をつくってございます。そういったことも今後ともやってまいりたいということと、それから、この旧基準自体も含めて、まだまだ国民の皆様に周知されているとは言えないと考えております。今回新しい基準として生まれ変わるということを機会にぜひとも力を入れて、またお子さんたちにもわかりやすい資料も考えながら、力を入れてやっていきたいと考えております。本当にご趣旨のとおり頑張ってまいりたいと思います。

【竹内部会長】 ありがとうございました。そのように非常に多様性を持った普及啓発活動を考えていらっしゃるというように、理解しておきたいと思います。
そのほか、ただいまの基準全体についてのところでございますか。

【兵藤委員】 保護施設、いわゆるNPO及び法人格を持った保護施設というのが現在ございますけれども、そこのところは基準の中で触れないところなんですね。法律でもそこのところは触れられていないところですけれども、やはりたくさん動物間の感染等がございまして、テレビでよく疥癬だらけの犬が映し出されています。ここのところは基準でもないし、占有権でもないだろうし、管理者でもないし、家庭動物でもないところが、私たち現場でやっていますとかなり問題があるのですが、このような保護施設は、基準には入ってこないわけでしょうか。

【神田動物愛護管理室長】 所有、占有がまず前提となりませんと、この基準自体は全くの空振りとなります。と申しますのは、所有者、占有者の責務に基づく基準でございますので、所有、占有のところを外れている動物との関係をこの基準に盛り込むのは法律を超えてしまいますので、これは無理だと思います。所有、占有の関係が明らかな状態(保護施設、もしくはシェルターでしょうか)。そのようなところで飼育されている動物については、この定義では直接は該当しないと思います。その辺を救うために、今回の基準では準用の規定が最後にございます。この目的以外で飼養される犬ねこに関してはこの基準を準用することになります。ですから、そのような中で、基本的にうたわれている動物の健康、安全の保持等については、適用され得るものだと思います。

【兵藤委員】 そのような施設はこの基準に準ずるものと考えてよろしいということでしょうか。

【神田動物愛護管理室長】 その所有、占有が明らかである場合においては、準用されることが可能かと思います。

【兵藤委員】 占有はもちろん入りますね。いわゆる身寄りのない犬やねこたちをいっぱい集めてきて、会をつくってそこでやっている。そうすると、占有権が出てきますから。

【神田動物愛護管理室長】 そうであれば、共通基準あるいは犬ねこの基準がございますけれども、それが準用される。準用されるということは基準が適用されるということになります。

【兵藤委員】 ここで人間と動物との感染症の文言が出ていますが、動物対動物の感染症のものにはちょっと力が弱いかなと思います。具体的に言いますと、疥癬という病気が多頭飼育のために蔓延してきているということについては、どこに入るのでしょうか。けがとか疾病とかというところに入ると解釈すれば、この文言の中に入ってくると思いますけれども、それはあくまでも少ない家庭動物の中の疾病とかけがというような理解をしますと、多頭飼育の中の動物間の感染については、少し文言が弱いかなと思われるんですけれども。

【神田動物愛護管理室長】 その辺は主たる対象とそれ以外ということで少し差があるかもしれませんが、基本的には健康の保持というところで含まれていると考えておりますし、今のご意見を踏まえて、必要な事項については留意事項として解説書の中に入れることは可能かと思います。

【竹内部会長】 ありがとうございました。結局、占有あるいは所有されているわけですから、動物同士の病気がうつるといっても、動物がそれを自分で制御するわけにはいかないわけで、やはり占有者あるいは所有者、いわゆる管理者がうつされる側の動物の健康管理といいますか、衛生管理という観点から責任を持つということになるのではないでしょうか。

【兵藤委員】 ここは法律で届出制とか許可制とか、そういうことでくくってほしいと実は思っているんですけれども、きょうの基準とはまた話が別になりますけれども、ひとつぜひご留意いただいて、どこかに書いておいていただけるとよろしいかと僕は思っております。よろしくお願いいたします。

【竹内部会長】 また法律全体の見直しももちろんないわけじゃないでしょうから、そのときのお話ですね。

【兵藤委員】 はい、わかりました。

【竹内部会長】 ありがとうございました。そのほかに。

【杉山委員】 特別質問ではございませんがこの基準が答申されましたらば、先ほどもご発言がありましたが、全国民すなわち年齢を問わず、日本のすべての方に周知徹底、普及啓発を図ることがぜひとも必要だということで、私は毎回協議会とか、動物愛護推進員とかいう言葉を述べて、また強調しておるところでございます。この徹底は動物愛護の基本となると。このことを強調しておきたいと思います。以上です。

【竹内部会長】 ありがとうございました。ご意見に多分ご異存はないと思いますが、そのほかいかがですか。よろしければ先にまいりましょうか。
 それでは、基準の対象ですね。この部分については何かご意見ございますか。これはここでもさらに検討し、煮詰めてきたことですから、特段ご意見はないのではないかと思いますが、よろしゅうございますか。
 それでは、第1、一般原則にまいりたいと思います。これにつきましても、先ほど来ご紹介がありましたように、少しこの第5条の枠を変えるようなお話があったりいたしましたけれども、先回のこの部会のご意見、さらにはこのパブリックコメント、この辺を全部含んだ形で、本能という言葉を生態という言葉に変えたという部分がございます。実はいろいろと事務局でも調べてくださったのですが、この生態で恐らく言いあらわしたいところは全部出せるのではないかということで、このようにさせていただいたという経緯がございます。いかがでしょうか、この一般原則についてご意見ございませんでしょうか。
 ないようでございますから、それでは先にまいりまして、第2、定義にまいります。この定義のところですが、これは拝見しておりましても、例えば愛玩動物という言葉と伴侶動物、あるいはコンパニオンアニマルという言葉を両方書いたために、その違いはどのようなものかという話も出たわけですけれども、これは要するにどちらがどちらというには定義が難しい。ですから、人によって、あるいは場合によって、同じ動物であってもペットと言う人もあるだろうし、それからコンパニオンアニマルと位置づける、あるいは言う人もあるだろうというところで、あくまでもこれは理解としてはペットすなわち愛玩動物、あるいは伴侶動物すなわちコンパニオンアニマル、そのどちらかのそういう名前で呼ばれている動物というように大きく理解したらいいのではないかという考えでまとめたことと思います。その辺については、ご意見ございませんでしょうか。
 よろしければ先にまいりまして、飼養保管に当たっての配慮でございます。この辺も先ほどご紹介がありましたように事務局で大変よく整理をしていただいております。事務局側のコメントとして、右側の欄につけてくださいましたご意見で、大体こちらの部会として検討してまいりました皆さんのご意見もそこでカバーされているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 その辺までのところで、事務局として念押しで伺っておきたいところは特にございますか。

【神田動物愛護管理室長】 先ほどの説明の中で触れさせていただきましたが、飼い主の申し出による安楽死というものに関しては、大きな課題だろうと考えております。ただし、先ほど申し上げたとおりでございまして、現時点でよるべき基準とするには、ややまだ議論不十分というふうに考えております。どちら側のものをどちらと言うつもりはなくて、やはりまだ二分されるぐらいのご意見があり得るもの、必要性という意味でご意見もあろうと思いますし、また慎重論という形でご意見もあろうことかと思っておりまして、まだ時期はわかりませんけれど、またご議論をいただく場が別の場であるかもしれないと考えてございます。

【竹内部会長】 ありがとうございました。おっしゃるとおりだと思いますね。この安楽死の問題はその人の哲学の問題もあるでしょうし、生命観の問題もあるし、あるいは宗教観もあるし、ある程度一致した考え方を得るということは大変難しいだろうと思います。この中で安楽死に絡めて獣医師という言葉が出てまいりますが、獣医師の中でも安楽死に対する考え方は随分違いますので、おっしゃるとおり、これは避けては通れない問題で、これからの議論が必要だろうと私も思います。
 これは旧法で定められた基準の一つに、ご存じのように動物の処分に関する基準がございまして、私もその作業をさせていただいた人間の1人なんです。処分というのは安楽死のことですが、これは産業動物を入れたものですから安楽死という言葉は非常に入れにくくなって処分になりました。どのような場合に処分をしていいか、あるいはするべきか。これはやはり規則とか法律で決められるものではないという結論になりまして、したがってそれは飼っている人の責任においてやらなければならない。その場合にどういう方法であれば理想的な安楽死であるか、動物に対する苦痛が最も軽いかという技術的な問題に絞らざるを得なかったという討議の経緯もございますので、これはまた時代が変われば変わっていくということもあります。機会を見て検討をしなくてはいけない問題であろうと思います。
 特段そこまでで何かご質問、ご意見がなければ先にまいりまして、第4の共通基準です。これについてはいかがですか。
 それでは、先にまいりまして健康及び安全の保持に関するご意見についてです。
 それでは、ないようですから先にまいりまして、生活環境の保全です。本当にいろいろなご意見があって参考になりますね。
 ないようですから繁殖制限について、これは一部修文をするということについて、先ほどご紹介があったとおりでございますが、後ほどまた原案のところでご披露があろうかと思います。よろしゅうございますか。
 それではないようですから、動物の輸送についていかがでしょうか。
 続いて、動物に起因する感染症についていかがでしょうか。
 続いて逸走防止、危害防止等に関する部分。先ほど事務局の方でご提案を申し上げましたコメントでよろしゅうございますか。
 では、緊急時の対策についていかがでしょうか。
 それでは、続いて第5、犬の飼養及び保管に関する基準についてです。その中の全般的な部分、それから放し飼いの防止、けい留、しつけ訓練等、この辺も前回もご議論いただいたところでございますので、大体みなさんのご意見はまとまっているかと思います。
 それから、譲渡又は引取りのところです。
 それでは、少し先に行きまして、第6、ねこの飼養及び保管に関する基準でございます。これについてはもう事務局からご紹介がありましたとおり、大変たくさんのご意見が寄せられたわけですね。特に室内飼育といいますか、屋内飼育に関しては賛否両論に分かれているところでございますが、これは検討会でもご検討いただき、またこちらでもいろいろご意見をいただいたと思います。もちろんその場その場のいろいろな条件、個人的な理由、そういうものでどちらがいいかと、あるいはどちらにしたいかというご意見があろうかと思います。したがいまして、ご意見がいろいろ出てくるかと思いますけれども、大きく考えてねこの安全とか、そういう点から考えるとやはり屋内飼育を大いにこの際進めようではないかというようなご意見だったと思います。それに対していろいろ反論もあったようでございますが、先ほどご紹介があったようなまとめ方をしていただいたというところです。これについてはいかがでしょうか。
 特段ございませんか。特に屋内飼養のところですね。この屋内飼養のコメントに関して、事務局に伺いますけれども、先ほど最後にご紹介があったように、同じような回答が組織的に送られてきたということはないのでしょうか。

【神田動物愛護管理室長】 幾つかございました。署名形式で連名の上、ファックスをいただくという形のご意見がございました。ちょっとその内訳は持ってございませんが、幾つかといいますか、まとまってきております。

【竹内部会長】 特段ご意見あるいはご質問ございませんか。
 それでは先にまいりまして、繁殖制限等ですね。それから、譲渡又は引取りについてはいかがでしょうか。
 特別ないようでしたら、先にまいりまして、第7、学校、福祉施設等における飼養及び保管です。これについては先ほどご紹介がありましたように、多少組織的と思われるようなご意見もあったようですが、決してこれはご承知のように皆さんの人気投票といいますか、投票で何かを決めるということではありませんので、一つの意見をたくさんコピーをして送ってこられても、だからといってその意見が強いという評価を特にするものでもないと思いますので、事務局では冷静にそれに対処してくださったと思います。
 それではないようでございますので、その他についてでございます。
 特別ないようでございましたら、先に進みまして、今回ご意見を求めている事項とは違った問題についてのご意見ということで、これはきょうここでご議論いただくことではないと思いますが、これからこの法律、あるいは法律をさらに実施するためのというか、それが実行に移されるために必要な基準をつくったり、あるいは解説をつくったり、いろいろな段階でまた利用させていただけるご意見だろうと思います。
 それでは、今のところ全部振り返りまして、先ほど言い忘れたというような部分がございますでしょうか。

【兵藤委員】 学校あるいは福祉施設の管理者の件ですけれども、これは学校長及び施設長のことでしょうか。それとも直接担当している方でしょうか。

【神田動物愛護管理室長】 学校の関係者、文部科学省のご説明をお聞きしますと、公立学校の場合は、動物施設を管理するという定義でいきますと学校長さんということになるようでございます。

【兵藤委員】 そうですか。それともう一つよろしいですか。ねこの飼養基準のところで、ねこの所有者等、この「等」というのは何を差しているのでしょうか。

【神田動物愛護管理室長】 基準の本体の所有者「等」は一番最初に定義してございますが、所有者または占有者です。

【兵藤委員】 わかりました。ありがとうございました。

【竹内部会長】 よろしゅうございますか。そのほかないようでしたら、これでパブリックコメントについてのご説明とご質疑を終わりたいと思います。これは言うなれば議事と書いておりますが報告事項のようなものでございます。
 それでは、本日の本題でございますが、議事次第の(2)犬及びねこの飼養及び保管に関する基準の見直しを含めたペット動物の飼養及び保管に関する基準(「家庭動物等の飼養及び保管に関する基準」)の答申案についてでございます。これが非常に長いのは、ご承知のように、この作業の最初にしっかりと名前を決めることが困難だったためにこのような形でずっと続いておりますが、本日ご答申をまとめていただければ、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準ということになると思います。
 それでは、資料をもとに事務局からご説明をお願いいたします。

【神田動物愛護管理室長】 それでは、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の答申案につきまして、ご説明させていただきます。資料2をごらんください。
 本案につきましては、先の部会、2月に行われました部会でご審議いただきまして、基本的にご了承いただきました素案をもとにしてございます。内容に大きな変更は加えてございません。主な変更点といたしましては、先回の部会でご指摘のあった点、さらに先ほどご説明をいたしましたパブリックコメントに基づきまして修正を加えた点などでございます。そのほか基準としての形式整理上の必要性で行った用語の統一等、細部の変更を加えたものとなってございます。また、提示させていただきました本答申案につきましては、地方自治体、都道府県、政令市、中核市に対します意見聴取、意見交換、あるいは関係省庁との調整の結果をも踏まえたものとなってございます。資料に基づきまして主な変更点についてご説明をいたします。
 まず、第1、一般原則でございますが、素案では、これは先ほどご説明いたしました「動物の本能、習性及び生理を理解し」とあったうちの本能につきまして、今回案では本能を生態に変えまして、「動物の生態、習性及び生理を理解し」と修正しております。この点については先の部会でもご指摘がございまして、パブリックコメントでも意見があったところでございます。同様の修正は第3の1及び第3の2で行っております。
 また定義の(2)(3)において、「情操の涵養及び生態観察のため学校、福祉施設等で、あるいは学校、福祉施設等において」とあったものにつきまして、情操の涵養及び生態観察のため飼養される施設というものが今後さらに他の施設への拡大することも考慮しまして、幅広く読むことを可能とするために学校、福祉施設等の施設の例示を省略いたしてございます。
 さらに第3、飼養及び保管に当たっての配慮の2でございますけれども、これもパブリックコメントの実施結果概要でご説明しましたように、その中の中段ぐらいですが、「飼養の中止は容易でないこと」の後に新たに、「人に危害を加えるおそれのある種が含まれていること」を追加してございますます。法第16条に基づき政令で指定されておりますいわゆる危険動物はすべて野生動物であることを踏まえたものでございます。
 次に第4、共通基準の3、生活環境の保全(1)(2)についてでございますが、これもパブリックコメントを踏まえたものでございます。それぞれ汚物とのみ書いてあったものを本案のとおり、「ふん尿その他の汚物」としてございます。この用例につきましては施行規則の用例に倣ったものでございます。
 さらに5、繁殖制限の部分でございます。これもパブリックコメントの結果を踏まえたものでございまして、終生飼養の確保の前に「適切な飼養環境」を加えまして、「適切な飼養環境及び終生飼養の確保」としてございます。素案では終生飼養の確保だけでございました。これは先ほどもご説明しましたとおりでございます。劣悪な環境下において行われる終生飼養を排除することを明確にするよう修正いたしました。あわせまして、安易な譲渡の見込みを排除するというような観点から、素案では「自らの責任において可能であると見込まれる場合」とあったものについて、見込まれるを削除しまして、「自らの責任において可能である場合」と修文してございます。
 また、同ページの7につきましては、タイトルを根拠条文であります法の第5条2項に則しまして、「動物に起因する感染症の疾病にかかる知識の習得等」といたしまして、「さらに正しい知識を持ち」の前に、新たに「動物販売業者が提供する情報その他の情報をもとに、獣医師等十分な知識を有する者の指導を得るなどにより」と加えまして、法に基づく知識習得のための基準として明確にしてございます。
 参考までに、動物販売業者が動物を販売する場合には、感染症に関する知識の情報を提供することという義務を動物販売業者に課しております。それの見合いとして飼い主の方にもそのことをうたうという趣旨でございます。
 また、逸走防止等につきまして、等の部分でございますが、さきの部会においてご指摘のあったように、「自らが速やかに捜索し」というものがあったのを、「自らの責任において速やかに捜索し」と修正してございます。
 続きまして、第6、ねこの飼養及び保管に関する基準のうち、3の繁殖制限において、素案においては「努めること」とあったものでこざいますが、これが共通基準の繁殖制限の部分で、「原則として講じること」とされているものと整合していないと、さきの部会においてご指摘があったところでございまして、これを「原則として措置を講じること」という形で統一してございます。
 さらに、第7、学校、福祉施設等における飼養及び保管の2の部分でございます。これもパブリックコメントの実施結果の概要の部分でご説明いたしましたとおり、「食物等が与えられ」という部分について、その前に「みだりに」と、みだりにという意味は正当な理由なくということでございまして、飼養の目的に照らしまして、正当な理由と管理のもとに行われるものについては可能であるようにしたところでございます。
 以上、家庭動物等の飼養及び保管に関する基準の答申案について、前回ご審議いただいた素案からの変更点をご説明いたしました。よろしくご審議のほど、お願いいたします。

【竹内部会長】 ありがとうございました。参考資料の方には触れる必要はありませんか。簡単にちょっとご紹介をお願いします。アンダーラインが引いてあるものですね。

【神田動物愛護管理室長】 参考資料については前回どおりでございますけれども、アンダーラインの意味は法律改正によった部分という意味で旧法動物の愛護及び管理に関する法律から変更された部分に下線が引いてあります。下線が引いてある意味は、この新しい基準を考える上で改正法の趣旨を考える意味で、その条文が参照されることになるだろうということで便宜的に引いた下線でございます。

【竹内部会長】 ありがとうございました。このようなものはパブリックコメントを決めるときに、ホームページを見れば載っているわけですね。要するに何にのっとってコメントを求められているかということについての誤解がいろいろあったようですけれども、その法律全体を見て、そのうちの例えば第5条の範囲の中でこの基準をつくるんだよという、そういう説明というのはコメントを求める上で出ていたのでしょうか。

【神田動物愛護管理室長】 私どものところでパブリックコメントするときに、環境省のページの中に動物愛護管理のページというのを用意してございまして、その中でこの見直しがあるということについて見ていただけるような形にしてございます。動物愛護管理のページの方にすべての情報といいますか、すべての法律、政令、規則を載せてございまして、その概要も書いてございます。それが一目で全部、今回説明したような形でわかりやすくなっていたかという点については、やや足らなかったところもあるという気はいたします。

【竹内部会長】 ありがとうございました。それでは、ただいまご説明がありました案について、どうぞご質問いただきたいと思いますが、何かご質問ございますでしょうか。
 これはそう長くありませんので一つ一つ切りません。全体について、既にこちらで大分ご検討いただいたことをもとにつくられておりますので、問題のあるところだけおっしゃっていただけたらと思います。
 今のご説明をお聞きになりましておわかりのように、今までこの部会、あるいは検討委員会、それぞれでご検討いただいたことをもとに今まで案をつくってきたわけですが、加えて、先ほどご紹介のあったパブリックコメントの中からも、皆さんのお考えを取り込めるような形で、大幅な修正というものではありませんけれども、表現形を変えることによってそういうご意見が少しでも反映できるよう修正が加えられたと理解しております。何かございませんでしょうか。

【山下委員】 資料1、2、これ全体でよろしいですか。

【竹内部会長】 家庭動物等の飼養及び保管に関する基準について、本日我々は答申を求められているわけでございますので、その答申の案でございます。これが本日お認めいただければ答申として出ていく、後ほどご説明があるような手順で出ていくことになりますので。

【山下委員】 第5の6のところでございます。犬の譲渡の話でございますが、社会化が十分に図られた後に譲渡するように努めなさいというところですが、これは努力条項なんでございますけれども、これは海外でもやはり犬が譲渡される月次というんですが、生後どれくらいたったものが譲渡されているのかわかりませんが、要するに業界との商慣行といいますか、売られるまでの期間をむしろ延長するということをこれは言っていると理解したらいいのでしょうか。

【神田動物愛護管理室長】 まず対象なんですけれども、これは犬をすべて対象としているわけではございませんで、最初の基準の定義のところにあります、基本的に愛玩動物または伴侶動物として家庭等で飼養保管されている動物ということでございます。ですから、いわゆる業として飼養保管されているものは対象とは違うことになろうかと思います。業としての場合は動物取扱業というもので別途、別の条項に基づく法の基準がございますので、そこで仕分けられているということでございます。これは一般的に普通の家庭の飼われている犬を対象にするということと、おおまかに考えていただければと思います。

【竹内部会長】 取扱業者の場合、日本では一般の商慣行として割りに早く子犬なり、子ねこなりを分けるわけですね。大体もう35日とか40日ぐらいで分けてしまう。ところが、海外の先進国では2カ月半から3カ月というのが普通なんです。以前に取扱業者の基準をつくるときにも、その問題が出てまいりました。やはり海外と同じように2カ月半とから3カ月と明記するべきだというご意見もあったように聞いておりますけれども、ただ、それでは日本の取扱業がもたなくなるという問題もあって、その日にちを明記しなかったと。ただ、そこにも今の社会化の問題がありますので、単にワクチンを打って病気に対して安全にしておけばいいというだけではなくて、その社会化の前の段階であれば譲り渡す、買い手に対して社会化について十分に情報をあげるというか、教育をしてからやりなさいよということがたしか書いてございますね。そういう考えが一方にあって、今度は家庭で飼う場合ですけれども、この場合も趣旨は同じです。できるならば海外と同じように社会化がある程度済んだ段階で分けるのが一番望ましい。
 ですから、ここの場合はあくまでも努めることですけれども、できればこれは商売ではないわけですから、個人が個人に渡す場合には、できれば社会化が十分済む大体3カ月ぐらいまで飼って、兄弟間の付き合い、親とのつき合い、それから人間とのつき合いというものをある程度覚えてから譲るようにしてくださいということがここに書いてあるというところで、基本路線は非常に近いんですけれども、商売とは離れていますので、もう一歩踏み込んでいるという感じではないでしょうか。

【兵藤委員】 少し教えていただいていいですか。取扱業には社会化という文言が入っているわけですか。

【竹内部会長】 基準には入っております。

【兵藤委員】 今、犬がほしいというと、もうほとんどペット屋さんに行くしかないですね。動物を買う側にも問題がございまして、小さい方がいいという考え方を改めないとこれは直らないのではないかと思われますので、この社会化のことについては少しピーアールをどこかでイラスト入り漫画ですか、先ほどおっしゃいましたけれども、十分社会化が済んだものの方が、人間にとっても犬のためにとっても良いということをどこかに入れてほしいと思います。飼う方が小さいのを好む風習を改めさせていかなくてはいけないのではないかと思うのですが、これはまた私たちの運動の中の一つに取り込まなくてはいけないのではないかとも思っているのですけれども、いかがでしょうか。

【竹内部会長】 そうですね。これは先ほどの一応解説書という言葉を使って言えば、そういうところにはもちろん盛り込まなくてはいけないところでしょうし、社会化と言われても実際のところ何のことだかわからないという方もたくさんいらっしゃるわけで、その辺の普及啓発は、おそらく一番大事な部分でしょうね。要するに社会化が十分にされた犬であれば人間の手に負えなくなるというのは非常に少なくなるわけですから。放してしまうとか、そういうことも非常に少なくなる。手に負えなくなって放してしまうのも随分多いと思いますから。そういう意味で、よく言われているように、どうも日本の犬は言うこと聞かないと。外人が飼っている犬は非常に言うことを聞くという話がよく出ますけれども、そこの基本になるものの一つがおそらく社会化の問題なんでしょうね。これは犬を実際に飼育したり育成したりしている人たちにとっては、社会化というのは非常によくわかっていることなんですが、まだちょっと一般には十分理解されていないかもしれませんので、おっしゃるようにこれからの活動として、ことに推進員などの活動方針の中にも、ぜひこういう問題を盛り込んでいった方が良いのではないかと思います。
 そのほかには何かございますか。特段ご質問がなければ今ご説明いただいた原案でということになるわけでございますが、ご異論ございませんでしょうか。
(な し)

【竹内部会長】 特にご異論がないようでございましたら、お示しいただいた原案をこれは適当な原案であると考えまして、中央環境審議会の会長に報告するようことにしたいと思いますが、よろしゅうございますか。
(異議なし)

【竹内部会長】 ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。それでは、これから基準がどのようになるかという筋道のところを簡単に事務局からご説明ください。

【神田動物愛護管理室長】 今お話がありましたように、基準が中央環境審議会の会長にご報告いただきました後、中央環境審議会の方から環境省に答申という形でこれをいただくことになります。環境省といたしましては、この答申をいただいた後、環境省告示という手続に入るわけでございまして、その手続をできるだけ早く行いまして、4月内のできるだけ早い時期に告示に持っていきたいと考えております。

【竹内部会長】 ありがとうございました。それでは、そのような手続で進めさせていだきます。何回にもわたりまして、この部会でご審議をいただきまして、まことにありがとうございました。
 それでは、これでこの件が落着ということになるわけでございますが、最後に松原審議官がご出席でございますので、ごあいさついただきたいと思います。

【松原審議官】 御礼を申し上げます。先ほど部会長の方からもお話がありましたように、答申案のタイトル自体がまだ固まらないという形でご検討をお願い申し上げました。委員の先生方、それぞれご熱心にご発言をいただきまして、おかげ様でかなり従来のものと新しい部分にアグレッシブにチャレンジできる基準案ができたのではないかと思っております。
 本日のご意見の中でも、特に私ども大きく宿題として受けとめましたのは、これをどのように周知を図って現実の飼い主の行動に結びつけていくのかということでございます。必ずしもこれは行政として従来から余り得意な分野ではございませんけれども、私どもなりに、解説書というと非常に分厚いものでございますけれども、恐らく今回の文章の中にいろいろな思いが込められておりまして、それぞれのケースに応じて相当具体的にかみ砕いた実践的なものを国民に提供していく必要があるだろうと思いますし、その結果、分厚くなってしまってはみんな読んでくれない、見てくれないということになろうかと思いますが、いろいろなチャンネルを通じましていろいろ工夫をしてまいりたいというふうに思っております。
 本日ご審議にご参画いただきました委員の先生方、動物に関しましてそれぞれ各界を代表していただいている皆様方でいらっしゃいますので、また周知措置につきましてお気づきの点等がございましたら、私どもの方にご指摘をいただければと思っております。私ども一生懸命取り組んでまいりたいと思っております。
 今回の審議会のシリーズは、とりあえず本日の会合をもって一休みといういことになるわけでございますけれども、まだまだ残されている課題が多くございますので、またそう遠くないうちにと申し上げて、ある程度私どもの方で今もいろいろと勉強を進めておりまして、蓄積しつつあるところでございますので、また難しい議題になるかもしれませんけれども、次の機会にお願いをすることになるかと思います。その節はよろしくお願い申し上げるところでございます。どうも長い間ありがとうございました。

【竹内部会長】 どうもありがとうございました。大変心強いお言葉をいただきまして、恐らくこの間ご審議いただきました成果が、環境省のご支援、ご努力でこれから実るということも遠くないと思いますので、大いに期待をしたいと思います。
 それでは、以上をもちまして本日の動物愛護部会を閉会いたします。委員の先生方には大変お忙しい中をご審議いただきましてありがとうございました。また、ご出席いただきました関係者の皆様方、大変ありがとうございました。今後ともこの動物愛護問題にぜひご協力、ご支援くださいますようにお願いいたしまして、閉会いたします。どうもありがとうございました。