遺伝子組換え生物等専門委員会(平成28年度 第3回)議事録

1.日時

 平成28年8月3日(水)10:00~12:00

2.場所

 経済産業省別館11階 1115会議室

3.出席者

(委員長) 磯崎博司

(臨時委員)大塚 直、五箇公一、柴田明穂

(専門委員)明石博臣、穴澤秀治、大澤 良、鎌形洋一、佐藤 忍、山口照英

(関係省庁)外務省高畠課長補佐、財務省米澤専門官、文部科学省伊藤専門官、

厚生労働省下位調整官、石川主査、農林水産省大島課長補佐、

農林水産省鈴木室長、吉尾課長補佐、経済産業省小林課長補佐

(環境省) 亀澤自然環境局長、植田野生生物課長、清家課長補佐

曽宮外来生物対策室長、立田室長補佐、平山移入生物対策係長

4.議事

○曽宮室長 それでは、予定の時刻となりましたので、中央環境審議会自然環境部会遺伝子組換え生物等専門委員会第3回ですけれども、開催させていただきます。

 本日の専門委員会でございますが、参考資料の2ページにあります平成27年8月24日付の自然環境部会決定、遺伝子組換え生物等専門委員会の運営方針についての1に基づきまして、一般傍聴の方も含む公開の会議となっております。議事録についても、委員の皆様に御確認をいただいた上で公開となりますので、御承知おきをいただければと思います。

 それでは、本日の審議に先立ち、亀澤自然環境局長より御挨拶を申し上げます。

○亀澤局長 皆さん、おはようございます。本日は大変お忙しい中、この専門委員会に御出席をいただきまして、大変ありがとうございます。

 今年1月の開催から半年以上経過をいたしましたけれども、その間に先生方の御協力を得まして、カルタヘナ法の施行状況の検討に関する報告案を取りまとめ、パブリックコメントも経まして、本日最終案をお示しできる段階になりました。今月末には自然環境部会のほうに報告をしたいと考えておりますが、これまでの御指導に改めて感謝を申し上げたいと思います。

 今日の会議では、前回から議論をお願いしております名古屋・クアラルンプール補足議定書に対応した国内措置のあり方につきまして、基本的な方向性をまとめていただこうと考えております。補足議定書の国内担保に関わる現状や論点に関しまして、事務局からの説明を踏まえて、今後の国内措置のあり方について御意見をいただければ幸いでございます。

 本日も限られた時間ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。

○曽宮室長 本日は伊藤委員が御都合により御欠席ですけれども、10名の委員に御参集をいただいております。

 私は事務局の曽宮でございます。よろしくお願いいたします。

 当省の幹部職員に異動がございましたので、御紹介だけさせていただければと思います。

 先ほど御挨拶申し上げました自然環境局長の亀澤でございます。

○亀澤局長 亀澤です。よろしくお願いします。

○曽宮室長 それから、野生生物課長の植田でございます。

○植田課長 植田です。よろしくお願いいたします。

○曽宮室長 それでは、早速議事に入らせていただきますが、まずはお手元にお配りした資料の確認をさせていただければと思います。

 議事次第の次に配付資料一覧がございます。議題関係資料としては、資料1から6までございますけれども、通し番号を振っておりますけれども、資料1から4の束、ホチキス止めと、それから、資料5、6の束、2つの束に分かれております。

 議題1関係としましては、資料1、そして、前回資料3-3でもございますけれども、補足議定書の条文がございます。それから、資料2としてこれも前回お示ししました補足議定書の担保に係る諸外国の制度、それから、資料3として国内担保に関わる現状、それから、資料4として論点整理の案ということになっております。

 それから、議題2の関係でございますけれども、資料5としてこれまで御議論いただきましたカルタヘナ法の施行状況の検討についてという資料と、資料6として施行状況の検討に関する意見募集の実施結果についてという資料がございます。

 それから、議題関係の補足資料といたしまして、議題1関係としまして、補足資料1から6、それぞれございます。それから、参考資料として参考1から4までございます。もし資料に不備等ございましたら、事務局のほうにお申し出いただければと思います。

 それでは、以降の進行は磯崎委員長にお願いしたいと思います。磯崎委員長、よろしくお願いいたします。

○磯崎委員長 おはようございます。

 先ほど局長からも話がありましたが、今日の議題は、議題1でバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任、救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書、それに対応する国内措置のあり方ということ。この委員会は、今日で3回目、昨年の11月9日と、それから、今年の1月22日です。その両方を使って、主に国内のカルタヘナ法、その施行状況について議論をしてきています。それについては議題2のほうでまとめた報告書等についての説明があります。

 議題1のほうですが、前回の会合で、この名古屋・クアラルンプール補足議定書、その概略、それから、既にほかの国などでとられている対応状況、そして、それを前提として考えられる課題や問題点などまで議論をしています。今回はそれを前提にして、具体的な現状、課題、論点について議論をしたいと考えております。

 それでは、早速その議題1についてですが、先ほどの資料1から4に基づいて、まず事務局から説明をお願いいたします。

○曽宮室長 資料が4つほどありますけれども、資料1につきましては、これは名古屋・クアラルンプール補足議定書の署名時の仮訳ということでございますので、詳細の御説明については割愛させていただきます。この訳については、より詳細に精査しつつあるということだけ申し添えておきます。

 それから、資料2につきましても、これも前回御説明をさせていただきましたので、ここも簡単に御説明をいたしますけれども、諸外国の制度ということで、11ページ、EU、英国、ドイツとそれぞれについて諸外国の制度ということで調べております。国内措置の名称、それから、損害の定義といったところについては、EUについては環境損害についてそこにお示ししたような定義をされているということで、米印のところで生物多様性の損害は、保護された種及び自然生息地に対するものと運用されているといったところだとか、あと、その2つ下の対応措置の定義といったところについては、そこにお示ししているような形で記述がなされております。この辺りについても、前回ちょっとお話をしておりますので、あとの御説明については割愛をさせていただければと思っております。

 それで、資料3のほうに移らせていただきます。

 13ページということでございますが、ここの現状は大きく1、2、3ということで、補足議定書に義務づけられている事項とカルタヘナ法の現状ということが1、それから、2ポツとして損害についてどういう法体系になっているのか等々をお示ししたいと思います。それから、3点目としては想定される対応措置の例ということで、この3つでございますけれども、まず1つ目の補足議定書で義務づけられている事項とカルタヘナ法の現状ということでございますけれども、13ページの下のほうでございますが、補足議定書によって締約国に義務づけられている主な事項ということで、①のところで、損害が生じた場合に適当な対応措置を求めること、それから、②として、対応措置がとられないと損害が生ずる可能性が高い場合には、管理者が損害を回避するための適当な対応措置をとるということと、それから、③として対応措置の要求に関して、管理者に救済措置を求めるということになっております。

 次のページ、14ページでございますけれども、一方で、現状のカルタヘナ法の概要といったものがここに書かれておりますが、ここら辺は先刻御承知のとおり、遺伝子組換え生物等を使用しようとする場合は、第一種使用等、それから、第二種使用等に分かれてそれぞれ承認・確認をとっていくと。それから、違反者については、措置命令の規定があるといったところでございます。

 その措置命令の中身ですけれども、14ページの下のほうでございますが、現行カルタヘナ法の措置命令ということで、第一種使用等につきましては、第10条で、第4条1項に違反をした場合は回収その他の必要な措置を、それから、第7条、これは承認をとったけれどもその後の環境の変化だとか知見の充実によって特別の事情が生じた場合ですけれども、その場合は使用等の中止その他必要な措置を命ずることができることとなっています。それから、第11条第1項に規定する者が事故を伴ったときですけれども、応急の措置をとっていないと認めるときは応急措置を命ずることができるということになっております。

 それから、第二種使用ですけれども、第14条第1項で、第12条と第13条第1項に違反をしたとき、この場合は拡散防止措置その他の必要な措置をとることを命ずることができ、また、第14条第2項においては、科学的知見の充実によって遺伝子組換え生物等の拡散を防止するため緊急の必要があると認めるに至ったときは拡散防止措置を改善するための措置その他必要な措置を命ずることができることとなっております。それから、第15条1項、これは事故等ですけれども、同項の応急の措置をとっていないと認められるときは応急の措置をとるといったことが規定を既にされています。

 それから、15ページのところですけれども、続きまして、譲渡の際に情報提供等をしなかったといった場合ですけれども、その場合においても、生物多様性影響が生ずるおそれがあると認めるときは、回収その他の必要な措置を命ずることができることとなっております。それから、最後は輸出で、第27条、第28条の規定に違反をして輸出した場合は回収その他の必要な措置といった措置命令がとれるようになっているということになります。

 続きまして、1-4ということで現行カルタヘナ法の措置命令と補足議定書の関係ということで図をつくっておりますけれども、現行法の法違反に対する措置命令ということで、主に第一種使用違反と第二種使用違反、それから、譲渡等における情報提供義務違反といったことがあります。また、補足議定書が求めている対応措置といたしましては、損害を防止、回避、最小限、限定、緩和、復元、こういったところがございます。このうち、現行の法律の使用中止命令、回収命令等において、損害を防止、回避、最小限、限定、これらのことについてはカバーをされているだろうと考えております。ただし、復元、すなわち損害が発生する前の状態、また、これに最も近い同等の状態に戻すこと等ですけれども、この復元ということと緩和措置の一部については、現行法ではカバーされていないのではないかと、そういうふうに考えています。

 続きまして、16ページでございますけれども、損害についてということで、生物多様性に係る影響の例としては、そこの絵に描いてあるように、在来生態系への侵入による影響、それから、在来種との交雑による影響、それから、有害物質の産出等による影響、大体こういったところが考えられます。そして、補足議定書は、損害というのは、これらの影響のうち測定・観察できる著しい悪影響であると定義をしているところでございます。

 一方、EUの環境責任指令にいう損害はどういうふうに定義されているのかといったところを御参考までにお示ししますと、生物多様性に関する損害を保護された種及び自然生息地に対するものとしており、ここでいう保護された種及び自然生息地といったものは、具体的にはEU鳥類保護指令だとかEU生息域保護指令に基づき保護された種及び生息地とされているようでございます。

 17ページにいきますと、こちらは我が国において生物多様性の保全に係る現行の法体系ということで、特に地域と種を保全する、そういうことを規定している法律といたしましては、自然環境保全法、これは自然環境保全地域等を指定しておりますけれども、それから、自然公園法、これは国立公園などを指定しております。種の保存法、これは生息地等保護区と希少野生動植物種などを指定していると。それから、4つ目としては鳥獣保護管理法ということで、鳥獣保護区等を指定しております。

 それぞれの法律について、どういう規定があるのかといったところが次からお示しをしておりますけれども、自然公園法などにおいては、特別保護地区、これは動物を放つ行為や植物の植栽などの規制についてのみここでは御説明をいたしますけれども、特別保護地区の中では、木竹の損傷、それから、動物の捕獲・殺傷等が規制をされております。

 それから、次のページ、18ページですけれども、自然環境保全法においては、原生自然環境保全地域の中では、植栽、動物を放つことなどが規制をされています。それから、自然環境保全地域の特別地区の一部でも、そこに記しているような規制がされています。

 それから、下の鳥獣保護管理法につきましては、国指定鳥獣保護区の中の国指定特別保護地区におきまして、鳥獣に害を加えるおそれがある動物入れること等の規制の仕組みがあるということを言っております。

 それから、次のページ、19ページでございますけれども、これは種の保存法の生息地等保護区ですけれども、それについてもそこに記されているような規制がございます。

 19ページの下のほうは、それぞれの今申し上げた保全に係る地域がそれぞれどういった面積であるのかといったところをお示ししておるところでございます。

 それから、20ページでございますが、これは先ほどまでは地域に着目した御説明をしておりますけれども、これは種に着目して指定をしている例ということで、種の保存法の国内希少野生動植物種、これが全部で175種指定をされております。

 それから、20ページの下のほうになります。想定される対応措置、それの例というものをここで挙げてございます。これにつきましては、現行法で対応可能な行為も含めておりますけれども、左の上からいきますと、遺伝子組換え生物等の回収をするということと、その下としては、劣化した生育環境・生息環境の整備、それから、左側の一番下では、悪影響を受けていない地域に生育・生息している同種の導入といったもの、それから、右上としては有害物質の除去、それから、右下としては人工増殖・再導入の実施などがあるかなというふうに思います。

 最後、21ページですけれども、EU環境責任指令にいう対応措置といったことで、これは遺伝子組換え生物等に起因をした損害が生じた例というのは承知をしておりませんけれども、多少類似した例といたしまして、エストニアにおいてサケとイシガイの生息域として保護されていた流域への損害が生じたケースというものがありまして、これについて、当該工事を行った事業者にサケの産卵等に適した約490メートルの長さのサイトの設置というのを義務づけられた例があるということでございます。

 資料3については以上でございますが、資料4、今の各種情報に基づきまして、論点を整理させていただいたものになります。

 まず、これも大きく3つに分けております。基本的な方向性、それから、損害についてどう考えていくのか、それから、3点目としては対応措置の対象者及び内容ということでございます。

 まず、基本的な方向性でございますけれども、補足議定書の実施を図るために講ずべき措置というものは、カルタヘナ法で担保することが適当かどうかといったところについてご議論いただければというふうに思います。

 それから、現行カルタヘナ法は補足議定書にいう対応措置のうち復元措置、一部の緩和措置を含みますけれども、以外は既に担保していると考えてよろしいかどうかといったところでございます。

 それから、2点目の損害でございますが、これは3つポツがありますが、国内担保に当たって、損害の範囲といったものをどのように考えるべきかということですけれども、補足議定書上、下の米印の1ですけれども、測定し、または観察することができるものであって、かつ著しい悪影響であるというふうに定めております。責任及び救済の観点から損害の対象を限定しているということです。

 それから、2点目のポツですが、損害の範囲を決定するに当たって、生物多様性の保全を目的とする先ほど資料3の中で御説明申し上げた各種国内法のもとで保護されている地域、種を参考にすることは適当かどうか。米印の2、3が関連といたしまして、EU環境責任指令の例を挙げております。地域及び種の観点から限定しているということと、米印3としては、我が国では多様性の保全を目的とした法律で先ほど説明したような指定がされているということです。

 それから、3点目のポツですが、補足議定書は海外起源の遺伝子組換え生物等のみを対象としておりますけれども、国内担保に当たっては、国内起源の遺伝子組換え生物も対象とすべきかということでございます。米印4ですけれども、カルタヘナ法の議定書は海外起源のものを対象としていますけれども、現行のカルタヘナ法は国内起源の遺伝子組換え生物と区別なく規制の対象としているということでございます。

 それから、最後3点目、対応措置の対象者及び内容でございますけれども、復元などを命ずる対象ですけれども、違法な遺伝子組換え生物等の使用者に限定すべきか。適法な使用者によって損害が発生した場合、政府はどのように対応するかという論点でございます。これは現行カルタヘナ法では、違法な第一種使用等については回収命令をすることができる旨を、違法な第二種使用に関しては、拡散防止措置命令をすることができる旨を規定しています。

 それから、最後、どのような対応措置が考えられるかですけれども、補足議定書は、対応措置とは合理的な措置であると定めているというのが注釈として書かせていただいております。

 以上が事務局からの説明となります。

○磯崎委員長 ありがとうございます。

 主に資料3と4で、資料3が関連する背景の説明で、論点というのが資料4になります。資料4ですが、今、論点整理でまとめていただいたんですが、資料3との関係ですと、議論する際も参照しながら御覧いただくといいと思うんですが、資料4の1番は資料3の1ページ目にある議定書の義務設定とどう対応しているかという形ですし、1番の2つ目の黒丸は15ページの下にその議定書の義務と現行カルタヘナ法の対応というので書かれている事柄です。

 それから、2番目の損害ですが、損害の範囲ということでは、資料3の16ページで損害の範囲について書かれてあって、EU等の方向性も考えながら、いわゆる特に保護対象とされるようなゾーン設定がされているということについては、資料の17から19ページで、そういう場所を考えたときの実際の場所が資料3の今のところで書かれています。

 それから、3番目のほうですが、具体的な対応措置、特に緩和、復元ということで20ページの下に考えられる対応措置というのを挙げてあります。これら両方を参照しながら論点について議論をしていきたいと思います。

 整理の仕方はほかにあるという意見も出るかもしれないですが、とりあえず、まず資料4の論点整理の1番、基本的な方向性、このポツ2つですが、この整理の仕方について何か疑問や質問、御意見がありましたらお願いいたします。

 1番目のこの検討でも最もベースになるところですが、現行のカルタヘナ法に基づいて対応を考えるということです。それから、既に資料3の15ページの下の図で整理してあるように、緩和と復元という措置については、現行法で特に第14条の下で、その他の措置命令を出す際なんですが、その他で復元とかまで読めるかどうかです。その他の措置のところで、回収などと性格の違う復元のような措置をその他で読むというのは難しいだろう。したがって、ここについては新たな規定が必要ではないかという整理になります。今の2点のところ、よろしいでしょうか。

 それでは、基本的な出発点と方向性については、これで考えるという形で了解されたと思います。

 はい、どうぞ。

○柴田委員 神戸大学の柴田です。

 どこで発言すべきか少し迷っていたところがありまして、後のほうでもう少し具体的になるかと思うんですけれども、少し一般的な私の考えをこの時点で申し上げさせていただいて、また、具体的にコメントさせていただきたいと思います。

 まずは、この名古屋・クアラルンプール補足議定書─これから補足議定書と略しますが─に関する国内実施、国内担保の議論がここまで来ているということについて、大変感慨深いものがあります。私は2006年から2010年までこの補足議定書の交渉に日本政府代表団の一員として関わらせていただきまして、各省庁から担当者の方が来られて、現場でこの環境条約は例えば気候変動枠組条約とか、それから、名古屋議定書などと比べても、きちんと各条文について各国代表団がしっかり精査をしながら交渉が進んだ、そういう意味では大変よくできた条約になっております。

 したがって、各条文には日本が懸念を有していたがゆえに各国との交渉を経て日本の意見が反映されている部分がたくさんありまして、そういう意味では、この補足議定書に関する国内担保はそれほど難しくないであろうということで、現場の代表団も意見が一致して採択に合意したと、そういう経緯があります。そういう意味では、6年たってしまいましたけれども、ここまで実施に関する議論が進んできているということについては、関係の方々の御努力に敬意を払いたいと思いますし、私自身も感慨深いものがあります。

 当初からこの補足議定書はカルタヘナ法を中心にして担保しようということで議論はしておりました。したがいまして、1と2、問題ないんですけれども、他方でカルタヘナ法だけでは多分なくて、関係する一般法の動向も実は考慮しながら中心的にはカルタヘナ法で担保していくと、そういう議論だと思います。後ほど議論が出てくるかもしれませんが、例えば補足議定書の第12条などは、これは具体的な義務を課しておりませんので、今回の議論の対象にはならないんですけれども、しかし、条約上には民事責任との関係という条文が規定されております。

 その民事責任に関する特に第2項なんですが、資料1の原文を私は見ておりますけれども、第12条第2項、これは恐らく今、先ほど室長のほうから説明はありましたが、訳が精査されているということで、幾つかもう少し承認の際には直したほうがいいと思われる訳があるんですが、この第2項は「民事責任関する自国の国内法において、以下に関するような物的及び人的な損害について手続を定めるために」と書いてあるんですが、これ実は、原文では「with the aim of」ということで、「定めることを目指して」という大変弱い規定ではあります。それがちょっと日本語では十分その弱さが出ていないんですけれども、そういうことを目指して次のことのいずれかを行うという規定になっております。

 これも特に日本として問題になる規定ではなくて、既に関係の民法等で対応ができていると思いますが、しかし、今後この第12条に関する履行状況なども締約国会議が開かれますと、審議の対象になりますので、第12条については民法で十分対応できていると、そういう多分説明を対外的にはしていくんだと思います。そういう意味で、第12条及びその民法に関わる部分で担保しているというような説明。

 それから、第3条の第4項と第5項なんですが、事業者が対応措置をとらなかったときにどうするかということが規定されております。とらなかった場合には、行政府がかわって対応措置をとることができるというふうに書いてありまして、第5条の第4項と第5項に規定がありまして、事業者が対応措置をとらなかった場合に政府がかわりに措置をとることができると。とった場合には、その事業者からかかった費用について求償することができるというような規定になっております。

 この部分も政府に対する具体的な義務が規定されておりませんので、今回の議論の中心にならないことは私もよくわかっているんですが、他方でこの議定書上、こういう行政府がかわって対応措置をとることができるという権限があるということ自体は条約上求められておりますので、権限があるということを対外的に説明する必要があります。恐らくこの辺りは行政代執行法などの関連する一般国内法で対応することになっていると思いますが、また後で説明をいただきたいと思いますが、こういう意味でカルタヘナ法が中心ではあるけれども、補足議定書全体を見た場合には、一般国内法も関わっていて、対外的にはそうした他の国内法での担保がされているという説明が必要な部分もあるということは、一応心にとめておく必要があるかと思います。それを前提にカルタヘナ法を中心に担保していくということにつきましては、私も賛成しております。

○磯崎委員長 事務局から何かありますか。

○曽宮室長 いえ、特に。

○磯崎委員長 ほかの法令あるいは行政代執行法とかもところどころ説明がされていることがありますので、最終的なまとめで今、柴田委員からの指摘が読み込めるような形になっていればいいのかなと思います。

 ほかにこの1関係ではよろしいでしょうか。

 それでは、2番目ですが、ある意味でこの検討での一番中心的な論点になります。損害の定義あるいは損害の範囲で、それを補足議定書が定めている具体的な措置をとらなければいけない場合の条件として定めている文言も含めて考えて、どのような対応を日本国内で考えるか、対象をどのように考えるかというその論点につながります。この損害に関連してはいかがでしょうか。

○鎌形委員 これ遺伝子組換え生物に関してのいろんなものが想定されるんですけれども、議論されているときにちょっとリアリティが欠けますよね。どんなものであれば、どんな対応措置があるかというのは、かなり生物種や組換え体や何かで異なるはずで、もちろん個別に何かを定めるべきだとかいう意味じゃなくて、環境省の皆さんのほうで想定されているものが一体何なのかというのは、ちょっと説明がもっと十分していただいたほうがよろしいんじゃないかと思いますけれども。

○曽宮室長 対応しているもの。

○鎌形委員 はい。例えば損害が生じた場合というときに、組換え生物が例えばどういうものが実際に今後出現し得るものなのかという国際的な情勢も踏まえた上で、非常に仮想的なものからリアリティのあるものまでいろいろとあると思うんですけれども、そこら辺がもう少しわかると、よりイメージができるのかなと。

○曽宮室長 それは、なかなか具体的には、現時点で例えば幾つか事案が既に起こっているのであれば今の御質問にお答えしやすいかなと思いますけれども、何が想定できるのかというのは、ちょっと今の状況ではなかなか難しいかなと思います。客観的に既に承認されて、あるいは申請をされようとしているもので多いのは何かとか、あるいは第二種使用の中でどういうものが多く実験されているかとかであればまだお答えできるのかもしれませんけれども、ただ、多いからといって、当然それぞれが持っているリスクというのはまた違ってきますので、今の段階では何を具体的に想定するのかというのは、なかなか難しいかなというふうに思います。

 関係省庁の中でこの国内担保措置を考えていく中で、どういったもので頭の体操をしていくのかといったことについて、毒素を出す動物だとか、そういうものがもし仮に生じたらどうなのかとか、そういったことについて議論をしたことはありますが、ただ、それをもってすぐさまそれが具体的に想定をされているものかというと、そこは必ずしもそうではないかと思います。

 だから、リスクそのものとしては、損害について資料3の6ページのほうにある遺伝子組換えの植物が在来生態系に侵入をして、そこにある生物多様性が著しい悪影響を及ぼされた場合とか、交雑、それから、有害物質でそこの生態系が完全に崩壊をしてしまうとか、そういった例とかを念頭に国内措置としてどういう対応があるのかということについて考えたということでございます。その結果として15ページの対応措置の例のような対応があるのではないかということでお示しをしているということでございます。

○鎌形委員 結構です。大丈夫です。要するに測定・観察できる著しい悪影響、そういうことを想定したときにどういったものが実際に組換え体生物をイメージすれば、よりきちんと理解できるか、あるいは一般の皆さんがそれを理解できるかという辺りで何か例があったほうがいいのではないかなと。しかし、その例を出すことによって、むしろそれだけが一つのイメージとして固定されてしまうという懸念があるので、私もそれはにわかにこれですというふうなお答えを求めているわけではないんですが、微生物から、植物から動物まで多々ありますので、環境影響評価というのは、ものによっては極めて難しいという状況の中で、よりリアルなものにどんなものがあるのかなというのをお聞きしたかったということだけですので、結構です。

○佐藤委員 では、ちょっと関連していいですか。 今、このスライドの6のところなんですけれども、我々生物多様性影響評価を実際に現場でやっていて、具体的にここにある3つの侵入と交雑と有害物質の影響というようなことを具体的に考えて、それを測定・観察できるというふうな科学的な手法で評価できていると思っていますが、この次の著しいというのがちょっとわからないなと。我々はそれが科学的に優位であるか、優位でないかということは見ていて、優位ならあるということで、そこに著しいというような概念はちょっとないのかなというふうに思うので、この著しいというのをどう考えるかというところをちょっとお聞かせいただきたい、御意見をいただけたらなと。

○曽宮室長 補足議定書上の定義といたしましては、署名時仮訳の資料1の2ページの下のところに書いてありますが、これは具体的、定量的にどこからやっぱり著しいかというのは、これもやっぱり当然なかなか難しいとは思うんですけれども、2ページのところですね。3の著しい悪影響は、次の要素に基づいて決定をされるということで、a、b、c、dと書いていますけれども、合理的な期間内に自然の回復を通じて是正されることがないと。一旦崩れると、自然に放っておいてもなかなかもとに戻ってこないと。合理的な期間戻ってこないという長期的または恒久的な変化といったもの。それから、bとしては生物の多様性の構成要素に悪影響を与える質的または量的な変化の程度、これもかなり抽象的なことではありますけれども、あと、生物の多様性の構成要素の物品、サービスを提供する能力の低下だとか、あとはd、議定書に定める範囲内で人の健康に及ぼす悪影響といったところが一応著しいということになっています。

 あとは、やはり個別に判断をせざるを得ない場合が大部分であるかなというふうに考えていますが、一応メルクマールとしてはこういったことをもとに考えていくべきだろうというふうに想定をしているところです。

○農林水産省(鈴木室長) すみません。関係省庁のほうから、私ども農水省もこの議論には関係省庁の一つとして加わらせていただいた際の議論として若干御紹介したいと思うんですが、先生方御承知のとおり、現行のカルタヘナ法というのは、遺伝子組換え生物等についての事前の予防的措置としてリスク評価を事前に課しているわけであります。したがいまして、入り口のところでがっちりとした科学的な評価をし、しかも、それが生物多様性影響のおそれのあるかないか、ある場合には承認しないという形にしておりますから、ないことを前提とした科学的な評価をがっちりやっているわけであります。

 したがって、こういった著しい悪影響が生じる事態というのは、どういう事態を想定するかといった議論のときに、我々農水省の立場とすれば、それはむしろこういった承認プロセスを経ないような未承認のものが仮に入ってくるとか、あるいは国内においてそういったものが漏出するとか、そういったようなことを想定して、こういう措置が多分必要になってくるのではないかと、そういう議論をさせていただいた経緯がありますので、参考までに御紹介いたします。

○磯崎委員長 今のところは鈴木室長からも話があったように、許認可、そもそものところでの環境影響評価と、それから、損害が起きた際の損害の大きさその他を判断する際の評価項目という時間的な違いと、それから、目的の違いで整理ができればと思います。

 それと、補足議定書の先ほどの2ページ、第2条の第3項なんですが、いわゆる法的基準が定められているのではなくて、法的基準を達成するためのインディケーター、指標が定められてます。この指標をどのように使うかは、各加盟国が具体的な場面でどのようにして、それぞれの国内法で対応するかということです。ただし、勝手に基準の中身を決めてはいけない。少なくともこの第3項にあるa、b、c、dに基づいたこれらを指標として判断できる基準にしないといけない。これは先ほどの損害の発生、損害を評価する際の基準として考えることができると思います。

 あと、先ほどの鎌形委員からの発言との関係ですと、起き得る事態の想定については、事務局案では、資料3の15ページの下に整理されています。特に縦の左側の欄なんですが、違法行為を前提とした対応措置となっています。これも先ほどの議論と同じなのですが、カルタヘナ法のもとで承認・確認が出されていて、それに対する違法行為が行われたもので、その違法行為から発生した損害ということになっています。ですから、ここも論点にはなるんですが、違法行為でないものまで、違法性がない場合であっても、いわゆる無過失責任的なものまで課す必要があるかどうか。それに対して、事務局案では無過失責任ではなくて、違法行為があった場合の違法行為に対する行為者責任と、そういう位置づけで整理がされています。その辺も含めてですが、何か御意見、質問がありましたら。

○柴田委員 違法行為者責任のところは恐らく3のところで出てきますので、またそこで少し発言をさせていただきたいと思いますが、損害の範囲及び定義につきましては、今、委員長から御説明があったように、現行のカルタヘナ法はリスクがあるかないかを判断するための基準がある。リスクは多分ゼロであるというふうに言える科学者は誰も多分いらっしゃらないと思うので、0.01%であったとしても、それが発現してしまった場合の対応を考えるというのがこの補足議定書なので、そういう意味では、リスク審査における基準とそのリスクが発現してしまった後の損害の著しさを図る基準というのは恐らく違うものであろうというまず整理に私も賛成をいたします。

 その上で、この補足議定書の損害の定義を国内で担保するときに、今回の御提案の多分みそは、この丸の2つ目なんだと思います。損害の範囲を決定するに当たって、生物多様性の保全を目的とする各種国内法で保護されている地域等を参考にして、この著しさを認定していいかと、そういうふうな担保の方法で問題ないかということかと思います。

 これにつきましては、注の1、2、3等で説明があり、まず、1番目のその説明では、測定及び観察できること、及び著しい悪影響であるということで、損害の対象が限定されているというと何かあれですけれども、明確化されているということだと思いますが、そういう明確化された損害について、例えばEUなどでは保護地区及び特定の種に限定をして、それを守っていこうというような実施の仕方が実際にはされていると。恐らく日本もそれは参考にしながらやらせていただこうということだと私は理解いたしました。

 その上で、注3のところでなぜそういう発想ができるのかということで、日本としては特に守っている地域及び種については、それらが重要な地域であり、重要な種であるから、それらに対する影響は著しい悪影響だと認定をして、したがって、そこで損害と認定するという発想だと思います。この発想は、私は理屈が通っていると思っておりまして、その方法は、まず国内法上は多分あり得る方法だと思います。

 では、問題は補足議定書上それが許されているのかということで、国際法の解釈になりますので、この部分につきましては、結論は大丈夫であろうということなんですけれども、どういうふうに読むかといいますと、多分2つありまして、1つは恐らくここが重要なのは、第3条の第6項ですね。第3条の第6項は、これ実はすごく最後までもめた条文でありまして、EUがこの文言を挿入できなければ、この補足議定書は合意できないというところまでこだわっていた条文でありまして、何が書いてあるかといいますと、損害に対応するための基準を各国がつくっていいという規定なんですね。これはまさにEUは、自国の国内法上、特定の地域及び種などについて影響がある場合に、この補足議定書を担保できるようにしか実施できないということが事前にわかっていたので、彼らはこれを挿入して、今のまさにEUの指令ができているといいますか、EUの指令で担保できているという説明ができるようになっているように条文を要求したと、そういうふうに理解をしております。

 したがいまして、日本もこの第3条第6項を引用して、日本国の基準として日本の国内法で保護されている地域及び種に対する影響が著しい悪影響であると、そういう基準を日本としてつくって、それで担保していると、多分そういう説明になるんだと思います。

 その際に、EUがこれを要求したもう一つの重要なポイントというのは、そもそも生物多様性影響を判断するにはベースラインがなきゃいけないんだと。そのベースラインがないところで悪影響がある、ないという話をしても意味がないので、そのベースライン、つまり現状の生物多様性の状況というのがしっかり把握できているところというのは保護地域であって、そこであれば悪影響があったかどうかというのははっきり認定できると、そういう考え方に基づいておりまして、合理的だと私も考えております。

 それを踏まえて、では第2条の第3項で実際に著しい悪影響はこのa、b、c、dの要素を踏まえて検討してくださいというこの第2条第3項の要素との関係はどうかというのが最後のハードルになるわけですが、この部分も実は日本語で読みますと、少し出てこないんですけれども、英語を見ていただきますと、悪影響の要素というのは「such as」というのが実は英語では書いてありまして、「例えば」なんですね。例えば次のような要素に基づいて決定されるというふうに書いてありまして、aからdはもちろん考慮していいし、それ以外の考慮もあっておかしくないと、そういう例示の要素になっております。

 したがいまして、先ほど申し上げたような特に日本として重要であると認定する地域及び種に対する著しい悪影響であるというのがいいとして日本は組み込んでいるというのは許されておりますし、それに加えて、aからdを適宜、これは多分具体的な現場における判断だと思いますが、aからdを参照しながら著しい悪影響を判断すると、多分そういう理屈だと思いますので、国内法上、理屈が通っているとともに、補足議定書上の要請にも応えられているというふうに私は考えております。

 最後の3つ目のポツ、海外から来たものだけを補足議定書は対象にしているけれども、国内起源のものも対象にすべきかというところは、これはもう補足議定書の問題ではなくて、国内法としてどう対応するか。恐らく国際法を念頭に置くならば、補足議定書ではなくてWTO法とか貿易関係の多分条約などの関連の国際義務との関係が問題になるかと思いますけれども、基本的には海外からのものだけを対象にするというのは、国内法上及び国際法上も難しいのではないかというふうに思っていますので、国内起因の遺伝子組換え生物等も対象にすべきであると私は考えております。

 以上です。

○磯崎委員長 2番の各項目について、それぞれちょっと細かい法的根拠も含めて意見を述べていただきました。

 そのほか。はい、大塚さん。

○大塚委員 今、柴田委員に大変詳しくお話しいただいて、大変ありがたかったですけれども、一つ確認させていただきたいのは、3とも関係してしまいますが、損害であるということになった場合に、復元ということとの関係が問題になってくるわけですが、これは日本のカルタヘナ法の今までの法律の規定との関係で、損害という概念と復元を命ずるかどうかということが実際にかなり密接に関係してきますが、ここは補足議定書の中では必ずしもその2つの対応というのはそんなに明確ではないと思いますが、この点に関してはどういうふうに補足議定書との関係で考えたらいいのかという問題があると思いますので、国際法の先生に御議論をいただくとありがたいんですけれども、いかがでしょうか。

○磯崎委員長 もうちょっと具体的に御質問いただけますでしょうか。

○大塚委員 すみません。生物多様性影響というだけじゃなくて、生物多様性損害ということになった場合に、著しい悪影響というと、さっき言っていただいた測定し、または観察することができるということも加わっているわけですけれども、今御議論がございましたように、地域または種の観点から限定するということで、それに対処しようとしているわけですが、それとは別に今回の日本法における特有の問題ということになると思いますけれども、復元という今まで入っていなかったものを入れるというところが結構大きな問題になってくると思うんですけれども、それに関しては、損害があるから復元をするんだという対応関係になっていくと思いますが、この点は補足議定書との関係では、特にどういうことになるのかなと。問題が全くないのかどうかという辺りを御議論いただけるとありがたいという趣旨でございます。

 それは日本法であればいいということだと基本的には思っているんですけれども、その点、確認をさせていただきたいという趣旨です。

 今までカルタヘナ法では復元のところが入っていなくて、このスライドの5にあるように、中止と回収のところしか入っていなかったので、緩和は一部入っているというふうになっていると思いますけれども、復元のところが入っていなかったので、ここが新しい対応措置として入ってくるということを考えなくちゃいけないということですけれども、これが損害の概念と結びつけて、損害であれば復元が必要だということを考えていくことになると思うんですけれども、その点は補足議定書との関係では特に問題はないですねということを確認させていただきたかったという趣旨です。

○柴田委員 よろしいでしょうか。

 柴田ですが、実は大塚先生の今の御指摘は結構大事なポイントでありまして、最終的なカルタヘナ法の修正案を見ないと、この部分はどういうふうになってくるのかなというのが実は私もわからないという意味では、先生と同じ関心を持っております。

 先ほどからも繰り返していますように、カルタヘナ法というのはあくまでもおそれがあると、悪影響のおそれがあるということで、防止のための措置をとるためであって、回収等も必ずしも影響がなくても措置をとらなければいけないということになっています。影響があろうとなかろうと、承認していないものが出ていれば回収しなければいけませんので、これはもう影響がなくてもやらなきゃいけないという意味では、やはり基本的に防止のレベルでの国内法だというふうに理解しております。

 今回はいずれにしても、その防止が役に立たなかったという前提で損害が出てしまったという場合に備えての新たな法整備をされているということで、その場面については、同じく損害が出て、しかし、回収だけで済む場合もあると思うんですね。損害が出て、もう中止をしなさいというだけで済むこともあると思うんですね。したがって、損害が出た後の対応措置の中身としては、復元措置のみならず回収であるとか中止であるとかという措置もあり得ておかしくないはずなんです。

 ですので、カルタヘナ法を改正された際に、新たな改正案の中で定義がされる損害が出たという状況を念頭に置きつつ、回収も封じ込めも、かつ復元もできると、多分そういう制度になるんだろうなと私は実は想定しておりまして、そういうふうになっていれば、今の大塚先生の御懸念といいますか、御関心は多分クリアされていくのではないかなというふうに私は思っております。

 確かに説明の仕方がそこの部分だけ抜けているので、今回はそこの部分を担保しますと。それだけをやりますというふうに聞くと、確かに「あれ、どうかな」と思うんですが、恐らくそこだけをやるというのではなくて、既にもうできているものは引き続きそれを念頭に置きながら、損害ができたときにもそれができるという体制をとるのではないかと私は想定しておりますけれども、その辺りの確認を多分していただけないかというふうに私はお聞きをいたしました。

○曽宮室長 具体的な法律の条文については、まだまだこれから精査をしていかないといけない状況ではありますけれども、ただいまの御指摘、大塚先生と柴田先生の御指摘も踏まえながら、具体的に考えていくということになるかと思います。

○磯崎委員長 大塚さんの質問のところなんですが、補足議定書の条文だと、第2条の第2項のdのところで、ここは今、柴田委員からも指摘があったように、dの(1)と(2)で対応を大きく分けていて、復元は(2)のほうで出てきますので、(1)の対応措置のジャンルと(2)の対応措置のジャンルは区別がされています。日本の国内法でもこのdの(1)と(2)の区別のような形で、恐らく資料3の15ページの図は考えているのではないかと思います。

 それと、今の第2条第2項dを受けて、第5条の1に締約国に対する義務づけ規定があって、第5条第2項は権限のある当局が具体的に何をやるかが書かれています。それで、第3項は管理者が何をやるべきかを定めています。このように、損害が発生して、それをどうやって評価するか、どんな措置をとるか、それについて国は何をやるか、権限のある当局は個別に何をやるか、そういう事態に管理者、使用者などは何をすべきかという形で、3つそれぞれ違う視点から書かれていますので、先ほどの第2条と第5条とで損害があった場合に対応してどんな措置をとるのか。その場合、復元という措置が第2条に書かれていて、第5条の1、2、3に基づいて、それぞれが対応すると、議定書上はそういう整理になっていますので、それに国内法がうまく対応しているかどうかという整理で見ていけばいいかなと思います。

 大塚さん、よろしいですか。

○大塚委員 はい。

○磯崎委員長 そのほか、この損害の範囲、対象という論点ではいかがでしょうか。

 恐らくなんですが、国内法上、特に生物多様性の価値があるとして区域設定されている場所で、そこから考えるという発想に対しては、それ以外の場所で起きたらどうするというような懸念があるんだと思います。それについて先ほど柴田委員から説明があったように、議定書の定義や考え方で、それに基づいて日本国内で基準の設定の仕方、それから、先ほどのインディケーターのとり方を含めてですが、それとEUがとっている国内措置などと比較して、同じようなことが日本でもとることができる。そうすると、国内法令上の保護対象区域以外の場所では、先ほどのそもそもの防止のための許可設定の段階で、それ以外の区域では起きるような状況がないレベルで法制度が動いている。したがって、そこで行われた違法行為を前提として損害を考えていくと、そのような形になっているのだろうと思います。

 それでは、それ以外のところで起きた場合、それから、違法行為でない場合については、次のポイントのところで、結局違反者が見つからない場合も含めてになりますが、それから、合法行為でちゃんと厳しく事前評価をした上で承認を出した行為から問題が生じた場合にどうするかということに関わります。先ほどのそれ以外の場所だったり、違法行為ではないことから起きた生物多様性損害についてはどう対応するのかについては、この2番目の論点のところで議論ができると思います。今のところを含めて、それでは、3番目の論点、対応措置というここについてはいかがでしょうか。

 はい、どうぞ。

○大塚委員 ここに書いてあるように、違法な組換え生物等の使用者等に限定するということでいいと思っているんですけれども、その場合に適法な使用等によって損害が発生した場合に、政府が対応するということは割と明確にしていただいたほうがいいかなということをちょっと申し上げておきたいと思います。多分補足議定書との関係でも、適法な使用によって損害が発生した場合、例えば不可抗力とかということがあると思いますけれども、地震とか津波で何か漏れてしまった場合とかがあると思いますけれども、そういう場合に政府が対応するということは、少なくともこの会議でははっきりしていただいたほうがいいということを一つ申し上げておきたいと思います。

 それから、関連して質問で恐縮ですが、この米印の5に書いてあるところですけれども、適法な第二種使用等に関しての拡散防止措置改善措置命令と、それから、違法な第二種使用等に関する拡散防止措置命令は、これは具体的にどういうふうに違うかというのは、条文だけだとあまりはっきりしないんですけれども、そこは説明していただけますか。

○清家課長補佐 まず、違法な第二種使用等の拡散防止措置命令のほうは、既に法律上定められている拡散防止措置命令がとられていない場合に、その措置命令をしっかりとりなさいという命令になるかと思います。

 適法な場合のほうは、むしろ新しく何か科学的な知見が明らかになって、その法律上定められた拡散防止措置では足りないということが明らかになった場合に、プラスアルファでさらに拡散防止措置を改善して、適切な形でとりなさいという命令になるかと思いますので、そういう意味では、違法な場合にはあくまで法律で定められたことをしっかりやりなさいという命令になり、適法な場合には、定めていなかったけれども、新しく知見が加わったので、こういう措置をとりなさいという命令になるかと思います。

○大塚委員 そうすると、何か適法な場合のほうがやらなくてはいけないことが多いようなふうにも聞こえるんだけれども、そういうことでいいんですか。

○清家課長補佐 それはあくまで適法の場合には、何か法律で拡散防止措置を定めていた時点でわからなかった新しい知見が明らかになった場合とかという場合が限定されていますので、かなり例外的な場合の措置というふうに理解しています。

○大塚委員 わかりました。

○磯崎委員長 今の発言ですが、3番の最初の丸印について、政府はどのように対応すべきか。これを明確に政府が責任を負ってするということをある程度明確に書くべきだということです。

 そのほか、どうでしょうか。3番の論点について。

○柴田委員 今の点、ちょっと国内法的な発想になっているので、やはり補足議定書が何を求めているかというのが多分前提で、それをどう国内法をうまく利用してと、多分そういう順番ですので、補足議定書のほうは先ほど委員長のほうからも御説明があったとおり、損害が出た原因行為が違法であるか適法であるかということを問うていません。損害が出れば対処しなければいけないということでありまして、もちろん因果関係は、あるLMOとの因果関係がなければいけないとかということは書いてありますけれども、原因行為の適法・違法は関係ありません。

 したがって、損害が出れば対応措置をとらなければいけないというのが締約国にかかっている義務です。

 それをカルタヘナ法が前提としている適法の場合には、ここまでしか要求できなくて、違法な場合にはさらにもう少し進んだ措置ができるというものをうまく利用して、今回も復元措置というさらに厳しい措置を違法な場合に限って対処するというのは、その部分についてはいいんですけれども、適法の部分が抜け落ちているというのは、これは補足議定書を担保したことになりませんので、何らかの説明が必要であると。その一つの説明の仕方が先ほど大塚先生の御質問に対する委員長の多分まとめで、つまり行政が責任を負うという方法を日本はとったんだということで担保しているというのが一つの方法だと思いますが、この補足議定書は、やはり基本的にLMOというのは商業利用されているわけであって、そこから利益を得ている者がいるということで、それにまつわる損害について政府が責任を負うという発想には立っておりません。

 したがって、当初から行政責任法じゃないかとか言われたことはあるんですけれども、それはずっと否定されてきたわけでありまして、これを一般に汚染者負担原則と言います。汚染をした者が責任を負うべきだという発想に立っておりまして、したがって、ある特定の場合には政府が責任を負うというのは、補足議定書の哲学からすると、少しそれをそれた形で対応しているという場合ですね。

 確かに承認をしたものから損害が出ている場合には、その承認をしたという意味で政府が責任を負うというその理屈はよくわかるんですけれども、他方で、補足議定書はそういう前提には立っていないということを一応申し上げておきたいと思います。

 この承認をした場合には責任を負わすことができないんじゃないかというのは、実は違うところで議論になっていまして、具体的には補足議定書の第6条の免責のところなんですね。第6条の免責は第1項と第2項がありまして、先ほど大塚先生から御指摘があったように、天災とか戦争などは免責してあげていいと。つまりこれは対応措置義務がそもそもかからないわけであって、ある意味、政府もやらなくていいわけですね。モラルの問題としてやるかどうかは別にして、補足議定書上、要求されていないと。他方で第2項は、国内法においてその他の免責事由を規定していいというふうに書いてあります。実際、交渉の途中では、この第2項の中に具体的な例示があったこともありまして、その中の一つとして政府の承認を得ている場合には、事業者には責任を課さないと、そういう規定が免責規定として、言葉を変えると適法な場合を免責させるという議論もありました。

 そうしますと、もし今のような適法の場合を第6条2項を使って免責しているという発想になりますと、そもそももう免責ですから、対応措置義務がかかっていないという整理になりまして、政府としても諸状況を判断してやってもいい場合にはやるけれども、やる義務は補足議定書上ないと、多分そういう整理になりまして、汚染者負担原則、汚染者は負担していないんですけれども、しかし、いたし方ないということで汚染者負担原則にも外れずに、そういう場合にはもうしようがないねと、そういう国内法のあり方というのがもう一つの多分考え方としてあるのかと思います。

 どちらをとるかというのは、かなり政策判断になるかと思いますので、この辺りはまた今後の議論を聞いていきたいと思います。

○磯崎委員長 先ほど整理していただいたのと同じように、議定書条文との関連で日本が今、事務局レベルで考えている案についてのバックボーンです。ただし、要するに議定書が求めているぎりぎりのところは確保しているけれどもということではもちろんあるんですが、法的に問題は生じないだろうということです。

 そのほか、いかがでしょうか。どうぞ。

○大塚委員 柴田先生にお伺いすることで申し訳ないんですけれども、第6条の2項は政府の責任も負わないことにすることができるということになってしまうんですか。適法な行為の場合についてということになりますけれども、そういうことになってしまうんですよね。

○柴田委員 すみません。2人の国内法と国際法の議論は、ほかの方々がいいかもしれません。基本的にこの第6条が念頭に置いているのは事業者責任、事業者に対応義務を課すかどうかということの免責事由ですので、私の理解では、事業者に対応措置をかけなくてもいいと、そういう場面を想定しております。他方で、補足議定書は免責をされた事態についてどう政府が対応するかということは、ある意味書かれていないということですので、そこの部分についてどういう対応をするかというのは補足議定書と離れて対応することというのはもちろんあり得るかと思います。

○大塚委員 それで、さっきの私の発言は特に変えることはしませんが、やはり政府が適法な行為の場合で何か問題が起きた場合においては、対応するということは少なくともこの会議では明らかにしておいたほうがいいと思います。

○磯崎委員長 今のこの会議の場で、政府がちゃんと対応するということを確認していると考えますが、もしそうではなくて、行政が責任を負うより前に事業者に全責任をという考え、あるいはそういう意見がありましたらお出しいただければですが、どうでしょうか。

 今の点も含めてなんですが、3番について今議論していますけれども、3番に限定せず、この論点整理の全体についていかがでしょうか。

○大澤委員 柴田先生にばかり質問ですみません。教えていただきたいんですけれども、結局LMOを承認しましたと。いろんな委員会で承認して、最後は大臣承認をしているといった場合で、それに対して予期せぬことが起きたときには、一般的に他の外国でもそれはやはり行政責任ということになるんでしょうか。要するに承認をとったんだから、国が責任をとる、どっちが一般的なのか。ちょっと他の国のことはわからないので。

○磯崎委員長 それは国際法というより、最初のほうでちょっと説明しました無過失責任を法律上設定するか否かということになるかと思います。ですから、現行法上、合法な行為、許認可が必要な場合は全ての必要な許認可をとっていて、設定されている条件とかも対応していて、それに基づいて操業している場合で何らかの事故が発生したりした、その際に違法行為があったか否かにかかわらず責任を負わせるという制度があります。特殊な事例になるので、油濁の場合であったり原子力の場合であったり放射性物質とかです。今回のケースで法的には当然可能なんですが、このケースの場合で無過失責任という制度を導入する必要があるかと、それが論点だと思います。

○農林水産省(鈴木室長) ちょっとよろしいですか。

 今ちょっと現行のカルタヘナ法を見ていまして、若干ちょっと確認をさせていただきたいと思うんですが、現行のカルタヘナ法では、ちょっとお手元に今日は条文が出ていないので恐縮ですけれども、第10条第2項でいわゆる第一種使用等の承認を得たような生物についても、特別な事情が生じた場合において生物多様性影響を防止するための緊急の措置が必要と認めるときには、その使用をしている者あるいはそういう開発者とか、そういった者に対して使用等を中止すること、その他必要な措置をとることを命ずることができる規定がございまして、承認のプロセスを経たものが全く開発者に責任がないかというとそうではなくて、一定の責任はしっかり課していると。多分論点となりますのは、ここのいわゆる復元、そこまで求めるかどうかと、そういう法律上の整理かと思います。

○磯崎委員長 ここは先ほどの大塚さん、それから、曽宮室長からも説明があったとおり、適法な場合で、その後新しい状況があると、新たな条件をつけたりすることができるということです。

○柴田委員 先ほどの御指摘は、実は重要なポイントでありまして、行政のカルタヘナ議定書に基づくリスクの審査の能力、キャパシティが日本のように安心できる国であればいいんですが、そうじゃない国が圧倒的に世界には多くて、実はこの補足議定書も先進国というよりも、行政のキャパがないような途上国にとってうまく運用されるような条文にしていこうと。そうしますと、途上国からしますと、どれだけ頑張ったんだけれども、やっぱりわからないと。承認したけれども、やっぱり損害が生じてしまったという場合に、行政は承認したから、行政が責任を負ってくれよというのは、それは困りますというのがやっぱり世界のどちらかというと常識であります。

 その部分は、実はEUもそうでして、EUの基本法の中に汚染者負担原則は書かれていますので、そこはもう動かせない原則なんですね。したがって、EU法も日本とは違って基本的に事業者に責任を課されると。ただ、いろんな条件が満たされる場合には、もう最後の求償の部分だけはしなくていいよねとかというのはありますけれども、基本的にはやっぱり事業者に一旦は責任を負わせるという発想になっています。

○磯崎委員長 そのほか、いかがでしょうか。全体的にでも構いません。

○大塚委員 確認のために申し上げておくだけですけれども、柴田先生のおっしゃるとおりなんですが、さらにEUの環境責任指令は、この11ページにあるように、特に修復措置だからといって何か区別しているわけではないので、今私が申し上げたこととか、ここで出ている案というのは、EUとはちょっと別の道を行くということになるのかなと思います。、そういう意味で管理者の責任、使用者の責任を少し限定する方向で対応しようとしているということにはなると思います。

○磯崎委員長  そのほかはいかがですか。

 この段階で、今の論点整理の資料4、あるいはそのほか、今回と前回議論した内容、それとの関わりで何か特に御意見がないでしょうか。もし今の時点で、この論点整理との関わりで意見がないようでしたら、次に進みたいと思います。ここまででは、1番の基本的な方向、それから、2番の損害の対象と範囲について、それと3番のとるべき対応措置、その中には1と2、2と3でそれぞれ関連しているような内容も幾つかあったんですが、方向としては、この論点整理の資料4に書かれてある内容で、現行法を前提にして、損害の範囲は、特に法令で保護対象地域がされている場所で生じる損害で、それが測定可能で著しいという定義に該当するものとすることです。それから、対象とされる対応措置の中で違法行為を前提として事業者に対して回復を含んだ措置については、現行法にある措置と、それから、復元という措置は位置づけが違います。先ほどの補足議定書でも位置づけを変えているということですので、それに対応した法改正が必要であるという前提です。違法行為でない、あるいはそのほかで生じるような問題がもしある場合は、行政の責任でそれに対応することとし、その際、事業者に対して無過失責任的な対応はとらなくても可能であると、そういう方向性です。この点で何か別の御意見がありますでしょうか。よろしいでしょうか。

 というのは、そうすると、事務局でまとめた案がありますので、それでは、それを配付していただいて。

○曽宮室長 今から、バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書に対応した国内措置のあり方についての答申の素案というのを配られていただきます。

 簡単に御説明をさせていただければと思います。

○磯崎委員長 それでは、お願いします。

○曽宮室長 開いていただいて目次がありまして、第1と第2に分かれております。第1は背景でございまして、採択の経緯だとか概要、現行の規制というものについて書かせていただいています。第2、これがいわばコア、核になる部分になるかと思いますけれども、補足議定書の実施を図るために講ずべき措置についてということで、今の資料4の論点整理に沿った形で、1として基本的な方向性、2、損害について、3、措置命令の対象者について、4、対応措置についてといった形でまとめさせていただいています。

 具体的に第1の背景につきましては説明を割愛させていただきますけれども、3ページ、4ページに記載しております。

5ページの下のほうから基本的な方向性ということで書いております。

 まず、1ポツですけれども、かいつまんで申し上げますが、まず、1番目としてはカルタヘナ法で今回の補足議定書については担保することが適当であると。1段飛ばしまして、下のほうですけれども、第1のところの説明の後からいろいろ書いてありますけれども、各種義務等の記載がありますが、それに関して現行法で規定されている部分もある一方で、次のページ、6ページでございますけれども、復元の部分ですね。緩和の一部も含めますけれども、復元のための措置ということは、現行法では命令することは困難であるということでございますので、現行カルタヘナ法では国内担保措置は不十分ですので、この復元措置について、措置を講ずる必要があると考えられるということでございます。

 それから、(カ)の部分です。これは国内法における救済措置に関する部分ですけれども、それについては行政不服審査法等が既に存在していて、新たに措置を講じる必要はないということと、あと、一番下のところで損害の判断基準等については、各締約国に一定の裁量が認められているということを記載しております。

 2ポツの損害でございますけれども、補足議定書上は、測定し、または観察することができる著しい悪影響ということでございますので、1段目の下のところとして、損害の範囲はある程度予測可能で明確なものとすべきと。実態として、ある程度生物多様性に係る状況が把握されているということが必要であるだろうと。したがって、3段目でございますけれども、損害の範囲については、生物多様性の保全を目的とした現行法の下で保護されている地域や種の観点から限定的に考えることが適当ではないかと。その際には、現行法の規制とのバランスも考慮する必要があるということでございます。

 それから、なお書きのところにおきましては、これは海外起源か国内起源かによって扱いを異にする合理的な理由、これがありませんので、この現行カルタヘナ法においても、両者を分けた制度としていないということで、新たに設ける措置の対象とすると。国内起源か海外かに問わずと、新たに設ける措置の対象とするということでございます。

 それから、3点目、措置命令の対象者でございますけれども、これは補足議定書は適法使用によって生じた損害についても補足議定書が適用される旨を規定しておりますが、基本的には復元措置の対象として、法の中で捉えるものに関して、違法に遺伝子組換え生物を使用したものなどに限定するということで適当であると。適法の使用等によって損害が発生した場合など、使用者に措置を命じることができない場合は、政府が自ら復元措置を講ずることなどを検討すべきということで記載をしております。

 それから、4点目の対応措置でございますけれども、個別の事案に応じて判断されることは適当ですけれども、例えば復元措置の内容としては、生育・生息環境の整備、人工増殖や再導入などが想定されると。ただし、対応措置については、合理的な措置と補足議定書も定めておりますので、命ずる対応措置の内容というのは、実行可能で合理的なものとするのが適当ということで、素案として今お示しをしたいと思っております。

 説明は以上になります。

○磯崎委員長 今の資料で、5ページの前半までは事実関係の説明ですので、議論の内容としては5ページの後半からということになります。ここに書かれてある内容についてですが、今日の今までの議論を含めて、文字上の問題も幾つか出てくるかと思いますけれども、いかがでしょうか。

 先ほどからの議論との関係ですと、最後の7ページの4番のすぐ前の文章ですが、これが先ほど後半で議論していたように、もう少し明確に行政がということを記すべきであるという発言がありました。ここでは必要に応じて検討するというような書き方ですので、恐らくここをもう少しはっきりというような意見は先ほど既に出ていたかと思います。

○大塚委員 今、委員長がおっしゃっていただいた点ですけれども、一つの修文の仕方としては、「必要に応じて」を「合理的な範囲で」か何かにしていただいて、「こと等を検討すべきである」は「こととすべきである」にしていただくと、検討はもうこの審議会で検討しているじゃないかと思うので、また検討するのかなという感じがいたしますので、「こととすべきである」にしていただけるとありがたいというのが私の意見です。

○曽宮室長 今言った方向で少し調整をさせていただければと思います。

○大塚委員 関連してもう一つ、同じ観点からなんですけれども、6ページの2の損害についての5行目のところですけれども、「国内担保に当たって」というところから始まっている文章ですが、損害の範囲は、これは管理者にとってある程度予測可能で明確なものとすべきであるという意味だと思うので、政府は予測可能かどうかは関係なしに対応していただくということだとすると、ここの誰にとってかというのは、前の文章を読むと管理者だと思いますけれども、ちょっと明確にしていただいたほうがいいかなと。ですから、別に文章の趣旨を変えるつもりはないですが、明確にしていただいたほうがよろしいと思います。

○曽宮室長 補足の文言については具体的に検討させていただければと思います。

○大塚委員 もう一ついいですか。これも別に趣旨を変えるつもりはないんですけれども、はっきりさせていただくと多少ありがたいかなと思うのは、生物多様性影響という言葉は条文にも出てきているので、この損害と生物多様性影響がどういう関係にあるかということを多少はっきりさせていただけるとありがたいかなと思っていて、例えばですけれども、この2の損害についての3行目のところですけれども、「損害が発生した場合には、単なる生物多様性影響がある場合と異なり」とかというような言葉を入れていただくと、現行法での生物多様性影響と今回、生物多様性を損なうということとの関係が少しわかるかなと思うので、別にほかのところでどこか生物多様性影響と今回の生物多様性を損なうという損害との関係をどこかに明確に書いていただいても別に構いませんが、ちょっとその2つの関係が多分国民にはわかりにくいと思うので、どこかにはっきりしていただくとありがたいかなということかと思っています。

 以上です。

○佐藤委員 今のに関連して、生物多様性に影響があるということと損害があるということは全く違うことだということだと思うんですね。影響がある場合はあり得る。それは今の限られた種とか限られた場所以外のところで影響になることは起こり得るけれども、それと損害は違うんだということだと思います。

○大塚委員 そういうことで結構です。

○磯崎委員長 はい、柴田さん。

○柴田委員 今の大塚委員の御提案なんですが、全て賛成しておりまして、一番最後の7ページのところは、「必要に応じて」ではなくて「合理的な場合には」というような修文だったと思うんですが、ちょっとやっぱりそれでも私は弱いと思っていまして、先ほどのお話ですと、もう行政がこの補足議定書上の義務を負うということですので、やらなければいけないと。合理性は、復元措置は内容に係りますので、そういう意味では、「場合については、政府が自ら合理的な復元措置を講ずることとすべきである」と。多分合理的はそちらのほうの復元措置の内容のほうに関わる形にされたほうがいいのかと思います。

 ただ、先ほどの免責の可能性というのは、もう一度政府内で考えていただいて、ちょっと別の方向もあり得るかと思いますので、またそれはそれで御検討いただければと思います。

 それから、戻りまして5ページの辺りから、先ほども議論が出ていたんですが、5ページの下から3行ぐらいのところで、現行カルタヘナ法で対応措置のうち、防止、回避、最小限、限定、緩和はできるんだと書いてあるんですが、しかし、カルタヘナ法はあくまでも悪影響の場合にできることしか書いていないので、損害が出た場合にもできる、当然ではあるんでしょうけれども、そういう意味では、例えば下から2行目のところの「「対応措置」のうち」の前に「損害が発生した場合にも「対応措置」のうちの「防止」「回避」「最小限」「限定」「緩和」に係る行為は当該規定に基づいて命ずることが可能にすべきである」と。多分ここも何かの措置をとらなければいけないと私は思っていますので、それも一つ御検討いただければと思います。

 そして、6ページの上から6行目ですね。「(カ)に関しては」というところで、その次なんですけれども、確かに先ほども申し上げたとおり、補足議定書上、義務ではないんですが、権限を行使するというのが第5条の第4項と第5項です。対応措置をとらなかった場合、これは全部違法の場合を今念頭に置いていますけれども、対応措置をとらなかった場合には行政がとって、後から求償すると。ここもやはり担保しなければいけないんだと思います。権限があるということを説明しなければいけないと思いますので、第5条第4項、第5項については、例えば行政代執行法などを通じて担保できているとか、担保するとか、そういう形で言及をつけ加えていただくのが一応補足議定書全体を担保しているということを説明する上では丁寧かなというふうに考えます。

 以上です。

○磯崎委員長 そのほかの方では、いかがでしょうか。

○大塚委員 さっきの政府の措置のところ、私も柴田先生に賛成ですので、ありがとうございました。

○磯崎委員長 今の段階で5ページの下ですね。これは、先ほどの影響と損害が違うということ、あるいは影響は個別の許可設定のところで使われていて、損害はそれとは別に後で生じる事態であってというような、それが現行法の中でもわかるような書き方にという意見です。それから、6ページの上のほうで、(カ)だけではなくて、行政がとるべき責任というのをもう少しわかるように書き加えるという点、それから、2番の損害というところでは、管理者にとって予測可能、明確という切り分けがわかるようにという指摘、そして、最後7ページ目ですが、4のすぐ上の行政的な対応について明確に、特に実行可能、合理性はとるかとらないかではなくて、措置の内容ということがわかるようにという点です。

 それと、柴田委員からは同じように行政との関わりでの免責のあり方について、この文章でいいんですけれども、免責のあり方について、ある一つの方向だけしか出てこないような書き方ではなくて、それについては行政サイドでもう少し検討してほしいということです。文章上、それ自体はここでは限定するような文言にはなっていないですが、それを忘れないようにという指摘です。

 今のような指摘のそれ以外で、いかがでしようか。ほかにはよろしいでしょうか。

 そのほか、もしなければ、先ほど室長からも回答がありましたように、細かな文章上の修正については、今この場ですぐにというのも難しいところがありますので、今日あるいは前回の議論を前提にした上で、テクニカルなところを含めて修正案を準備したいと思います。その修正案の取りまとめの方法については、もう一つの報告書、カルタヘナ法のこれまでの実施状況に関する報告書案の取りまとめと同じようなやり方を提案したいと思います。

 具体的には、今日出されました指摘と修正すべき箇所、それを前提にして事務局でまとめてもらって、私と相談の上で答申案の原案をつくって、その原案を委員会の皆さんにお諮りしたいと、そういうやり方です。ですから、もう一度このタイプの会合を開くという形ではなくて、原案をまとめて、それをメールベースでコメントいただくという形で、それの全体を集めた上で、この委員会としての最終答申案というのを作成したいと、そういう提案です。

 なお、これももう一つの報告書案と同じですが、答申案はパブリックコメントに同じように付されます。パブリックコメントから得られた指摘や情報など、それについての修正をこれも先日行っていたようなメールベースで行い、パブリックコメントの後の最終案についてお諮りするということです。

 ただし、もしなんですが、可能性としては、パブリックコメントなどにおいて非常に重要な論点が残っているということ、それが明らかになった場合には、この委員会を開催するということも可能性として残しておきたいと思います。そのようなやり方でこの補足議定書、そして、それに対応する国内措置についてのこの委員会の最終案をまとめるということですが、それでよろしいでしょうか。

 どうぞ。

○大澤委員 それで私、結構なんですが、ちょっと訳とかが先ほど一番最初に言われていたように、議定書の訳そのものがちょっと乱暴だったり、日本語としておかしいなという部分があるときに、この答申にも少し反映してきちゃう部分がありますけれども、それも事務局で適切な訳になるという理解でよろしいですか。

○曽宮室長 ちょっとその辺り、もし何か御意見を具体的にお伺いして、それをちょっと具体的に反映、要するにこの訳というのはもう国会で一旦出て、それを変えるにはちょっとまた別のきちんとした手続が必要ですので、ちょっとそこが反映できかねる部分もあるかもしれませんけれども、できるだけ先生の意図を酌むことができる部分は酌みながら、ちょっと具体的に調整をさせていただければと思います。

○大澤委員 わかりました。

○磯崎委員長 それでは、先ほどのような形で対応したいと思います。ちょっと時間が押していますので、1の議題について今のような形で整理をしたいと思います。

 それでは、すみません、急ぎまして、議題2について、資料5、6でお願いします。

○曽宮室長 資料5、6、大部でございますけれども、これは事前に十分いろいろと御検討していただいたものでございますので、詳しい説明は割愛させていただければと思います。

 資料5について、施行状況の検討についてということで、これでセットさせていただきまして、8月30日、自然環境部会のほうにこれについては報告をさせていただきたいと思っております。

 資料6のほうですけれども、これはさまざまなパブリックコメントをいただいておりますけれども、それに係る回答等でございます。これについても、事前にお目通しもいただいているかと思いますので、これについても詳しい説明は割愛させていただきます。

 資料の説明としては以上とさせていただきます。

○磯崎委員長 これについては、今月に入ってから電子ファイルでこれらを送付して2回確認をとっていますので、特段の御意見がなければ、この形で自然環境部会へ報告が行われます。

 それでは、以上で今日の議事は終了いたしました。事務局へお返しいたします。

○曽宮室長 本日は長時間にわたり、熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。

 委員長の御発言のとおり、本日の御意見を踏まえて、事務局として関係省庁の先生方と検討させて、セットをしていただければと思っております。恐縮でございますけれども、さらに御対応のほどをよろしくお願いいたします。

 事務局からは以上でございますが、委員長、ありがとうございました。

 最後ですけれども、植田野生生物課長に閉会の御挨拶をさせていただければと思います。

○植田課長 もう室長が申し上げたとおりでございます。本日は答申に向けた方向を御議論いただきまして、お決めをいただいたというふうに理解をしております。今後この修正案のほうを事務局で委員長と相談をさせていただいて作成いたしまして、また、委員の皆さん方に御意見をいただくという形で進めさせていただきたいと思います。引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 本日はありがとうございました。

○曽宮室長 ありがとうございました。

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