鳥獣の保護及び管理のあり方検討小委員会 (第13回)議事録

1.日時

  平成28年2月26日(水)10:00~16:06

2.場所

  フクラシア東京ステーション D会議室

3.出席者

  (委員長)      石井 信夫

  (臨時委員)     小泉  透    染  英昭

  (専門委員)     磯部  力    坂田 宏志    佐々木 洋平

             三浦 愼悟

  (環境省)      奥主自然環境局長

             亀澤審議官

             奥田野生生物課長

             川上総務課長

             東岡鳥獣保護管理企画官

4.議事

【事務局】 予定の時刻になりましたので、中央環境審議会自然環境部会鳥獣保護管理のあり方検討小委員会を開催させていただきます。

 私、本日進行を務めさせていただきます、環境省自然環境局野生生物課鳥獣保護管理室の澤と申します。よろしくお願いいたします。

 本日の出席数ですけれども、小泉先生がまだいらしていないようですけれども、ご出席と聞いております。小泉先生も含めまして、7名出席いただいておりまして、臨時委員5名中3名の出席をいただいております。中央環境審議会により定足数を満たしておりますので、本日の小委員会は成立しているとご報告させていただきます。

 出席者のご紹介でございます。開会に先立ちまして、事務局より本日ご出席の委員の皆様をご紹介させていただきます。

 まず、本小委員会委員長の石井先生です。

 続いて、順にご紹介さし上げます。

 磯部委員。

 坂田委員。

 三浦委員。

 染委員でございます。

 佐々木委員でございます。

 小泉委員でございます。

 続きまして、環境省の出席者をご紹介させていただきます。

 亀澤審議官でございます。

 奥田野生生物課長でございます。

 川上総務課長でございます。

 東岡鳥獣保護管理企画官でございます。

 本日の小委員会ですが、午前中は前回ご議論いただいたテーマごとに、関係団体の方をお呼びしており、そのヒアリングを予定しております。午後はヒアリングを踏まえまして、主な論点の記述の考え方等々についてご意見賜りたいと思います。

 資料の確認でございます。まず、お手元に座席表、それと本日の議事次第、配付資料の一覧がございます。それから、今日午前中に使う資料でございます、関係団体等ヒアリングに関する資料の一式。そのほかは午後で使用いたしますので、午後の開始の際に改めてご案内申し上げます。今現時点で足りない資料があればご指摘ください。午後の資料は午後のほうで確認させていただきます。それと、本小委員会の資料及び議事概要は後日環境省のホームページにおいて公表されますことを申し添えさせていただきます。

 それでは、まず、環境省大臣官房審議官、亀澤よりご挨拶申し上げます。

【亀澤審議官】 本日は年度末のお忙しい中、小委員会にご出席をいただきまして大変ありがとうございます。本日の会議では、鳥獣保護管理事業に関する基本指針の見直しに向けてテーマごとにご議論いただくことを予定しております。

 まず、午前中は、基本指針の内容に関連して、さまざまな取り組みをされている方々からのヒアリングを予定しております。各団体の方々からご意見、ご提案をいただいた後、それぞれの時間内で質疑の時間もとりたいというふうに考えております。

 また、午後は、基本指針に盛り込まれている幾つかのテーマごとに、環境省として論点と考えられる事項を資料として用意しておりますので、午前のヒアリングの内容も含めまして委員の方々から幅広くご意見をいただきたいというふうに思います。

 本日のヒアリング結果、いただいたご意見につきましては、事務局として取りまとめの上、次回会合で基本指針の具体的な見直し案として文章化したものをお示ししたいというふうに考えております。

 本日は、お昼を挟んでの長丁場になりますけども、忌憚のないご意見をいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

【事務局】 では、議事を進めさせていただきたいと思います。

 テレビ・カメラの撮影はここまでとさせていただきます。

 この後の議事進行につきましては、石井委員長にお願いいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

【石井委員長】 皆さんおはようございます。引き続き、議事の進行を務めたいと思います。

 ただいまから、中央環境審議会自然環境部会鳥獣の保護及び管理のあり方検討小委員会を開催したいと思います。

 今日はそれぞれの分野の関係団体から意見聴取をして、質疑を行った後、午後になりますけれども、事務局から主な論点の記述の考え方、それから、各都道府県からの意見などについて説明をいただくということになっております。

 それでは、議事の一つ目ですけれども、関係団体等ヒアリングということで始めたいと思います。

 まず、一つ目のヒアリングですが、神奈川県自然環境保全センター研究企画部長兼自然保護公園部長の山根さんから、情報収集システム、それから、捕獲事業の関係についてご意見をいただきたいと思います。

 それではどうぞよろしくお願いします。

【神奈川県自然環境保全センター】 おはようございます。ただいまご紹介いただきました、神奈川県の自然環境保全センターの山根でございます。日ごろより本区への鳥獣行政等に多大なるご協力、ご支援いただきまして誠にありがとうございます。この場をかりて御礼を申し上げさせていただきます。

 私のほうからは、神奈川県で行っていますニホンジカ管理の現状を踏まえまして、その課題についてお時間をいただいて若干ご紹介したいと思います。

 神奈川県でございますけども、丹沢山地、皆さんご存じかと思いますが、東京から2時間ほどの距離にあります大きさ約4万ヘクタールほどの小さな山塊でございまして、国定公園とそれから県立の自然公園に指定されているところでございます。そういった場所でございますけども、丹沢では過去に3回のシカ問題を経験しております。

 1度目は、戦後の乱獲による地域個体群の絶滅の危機でございます。そのため、各地と同様にシカ猟が禁止されましたが、その時期ちょうどスギやヒノキの拡大造林等がありまして、活発になったということで、一時的に広い草地が出現しまして、餌が豊富な状態になったということも重なったこともありまして、シカの個体数が急激に拡大して、そして、植林地の苗木にたくさんの被害が起こるという事態が起こりました。これが2度目のシカ問題になります。

 このシカ問題に対して県は、戦後の絶滅の危機ということがありますので、保護ということも考えまして、シカ柵の設置を行ったり、猟区と保護区の設定、そういった事業を進めまして、一旦はこのシカ問題は収まったわけですけども、80年代になりまして、再び林床植生の退行が始まりまして、90年代から山の高いところに設定されています保護区を中心にシカが高密度化し、自然植生等への影響が非常に強まったということがあります。さらに、山麓部での農林業等への被害も拡大するということで、2000年前後がピークであったと思っています。現在もそういった問題は継続しております。

 そういったことを受けまして、2003年、平成15年から国の法改正等を受けて、特定計画として、神奈川県のニホンジカ保護管理計画をスタートしております。

 その後、県では自然再生等の観点からさまざまな大きな調査をしておりますけども、この結果も踏まえて県を主体とするシカの管理を始めまして、2次計画にはさらに取組を強化し、この時期からは通年の管理捕獲やメスジカの捕獲といった問題、さらにそういった実施状況を受けまして、平成24年からは第3次の計画を進めるという形になっております。

 この3次計画策定時点の推定の生息数でございますが、3,000から5,500頭と推定しておりまして、3次計画の捕獲は、この上限の5,500頭の頭数をベースに進めております。

 この特定計画策定後の捕獲状況でございますが、2次計画以降は大体年間1,500頭、大体メスが6割から5割というような状況になっておりまして、3次計画にはさらに強化しまして、2,000頭前後の捕獲を継続しております。これは、先ほど言いました基数の見直しとかシカの密の低下がまだ十分じゃないということもありまして、3次計画には捕獲の強化を行っております。

 このスライドは、平成26年に環境省等のお力もかりて、階層ベイズ法を使いまして生息数を推定した結果でございます。個体数は2006年以降、先ほど申し上げましたように、管理捕獲の強化の成果が現れまして、減少傾向に変化しております。

 その先の推定でございますが、現行と同じ捕獲率で捕獲を続けますと、大体50%以上の確率で、今から大体5年後の2022年には個体数が半減するということで、捕獲の手を緩めることなく進めていく必要があるということがわかってまいりました。

 今、全体の個体数の捕獲の成果をお示ししましたけども、神奈川県の丹沢では、丹沢山地の中を約50ほどの管理ユニットという区画に区切りまして、それぞれで密度等モニタリングして、特に県が中心に取り組んでいる場所は、密度が高い場所や植生の劣化、シカの影響が強い場所を中心に捕獲に着手しました。

 左側の図で緑色っぽいところが県が特に中心にやっているところになりまして、ちょっと薄い緑色が猟区になっております。この図には幾つか印がついてありますが、そこでの個体数、生息密度の変化を示したものが右の図になりまして、大体高密度の地区の大半で3次計画に入りまして、大幅な密度の低下が確認されております。なお、この密度は区画法による方法での推定になっております。

 こういった取組の成果の一つとして、このスライドは東丹沢の堂平というところで、管理捕獲が1次計画以降捕獲を継続的に実施してきた場所の状況でございます。

 左側が、2004年5月の春先に芽吹いた時期に撮った写真でございますが、この時期木々は緑でございますが、治山事業はかなり前から取り組んでいるにもかかわらず、斜面はほとんど土色ということで、草がシカ等に食べられてむき出しの状態になっております。その後、この地域では管理捕獲を継続的に実施するとともに、土壌保全の対策だとかそういったものも並行して行った結果、10年後にはご覧になるように下草は非常に豊富に回復しているという状況になっております。

 次に、計画の推進体制でございますが、全体のシカの対策につきましては、県庁のほうで有識者や利害関係者等を交えた鳥獣総合対策会協議会のほうで取りまとめ、協議・評価しておりますけども、県が管理しますシカ管理に関しましては、私が所属する自然環境保全センターを中心に、丹沢の中腹から大体、山の高い保護区や国定公園の特別地域を中心としたエリアを担当する形で進めております。

 ここでは、全体の計画の策定や評価という部分で、小泉先生にも委員を務めていただいているニホンジカの保護管理検討委員会という組織を設けまして、そこで助言・指導を受けながら、評価等も受けながら計画を進めております。

 計画につきましては、毎年実施計画を作り、前年度の実績と年次計画を策定しながら、PDCAサイクルで回すことになっています。また、山麓部の農林被害を中心とする場所に関しましては、地域ごとに地域の鳥獣対策区議会というのを設けまして、ここで計画と実績を評価して毎年評価すると、そういったプロセスで進めております。

 実際の計画と見直しでございますが、ここでは、先ほど管理ユニットと申しましたが、概ね管理ユニット単位に生息状況やシカの影響についてモニタリングをするということと、そして、県の管理捕獲で捕獲した捕獲情報をここで収集しております。これに関しては、後ほど申しますけれども、委託という形式をとっておりますので、その中の仕様の中に具体的にどういった情報を集めるということ、実施内容や捕獲の地点、それから、捕獲個体の年齢、体重、質、妊娠状況等をこの写真にありますように調べております。そうしてその結果を、先ほど申しましたけども、科学委員会等で検討・評価をいただきまして、これを年次実施計画、さらには5カ年単位の次期特定計画へ反映すると、そういったPDCAサイクルのPとCの部分を回しているという形になっております。

 実際の捕獲でありますけども、冒頭に申し上げましたように、山全体でいろんな問題が起こっておりまして、そういったことで、立地や被害内容に応じて丹沢全体の実行体制を段階的に構築してまいりました。当初は、既に狩猟だとか、いわゆる有害と言われる山麓部の許可捕獲がございましたが、そこに中標高域を中心としたいわゆる組猟や巻狩りといわれる適地の部分につきましては、県委託の、県猟友会に委託しています管理捕獲という形で進めております。

 さらに、丹沢はそれほど高い山でございませんが、非常に急峻な山であること。それから登山者も非常に多いということで、そういった捕獲が困難な場所、それから、なかなか諸事情で捕獲の調整が難しかった空白域につきましては、県に配置しましたワイルドライフレンジャーという捕獲を専門とする職員による捕獲を行うという形で全体の実行体制をつくりまして、そこで全体をカバーする形の捕獲を行っています。

 ワイルドライフレンジャーと県の猟友会の関係でございますが、最初に県猟友会の管理捕獲が始まりましたが、その後ワイルドライフレンジャーというものを配置した中で、ワイルドライフレンジャーを、先ほど言いましたように捕獲困難地等での、特に捕獲を手法等も検討しながら取り組んでおります。また県猟友会に委託している管理捕獲についても指導・監督するという業務も行っております。

 実際の管理捕獲の状況でございますが、ここに示しますように県が委託という形をとっておりますので、ユニット単位で捕獲量を指定する形で実施については計画的な捕獲を実施していただいております。

 ワイルドライフレンジャーでございますが、先ほど申しましたように、保護管理や狩猟の専門的知識、技能を要する職員ということで、平成24年配置時には3名でございましたが、その後、平成26年から5名ということで進めております。大体年間180から、今年は非常によくて240頭以上ということで、特にこの写真にありますように山稜部での遠距離射撃や少人数での巻狩り、また忍び猟といった形で捕獲の実績を上げております。

 最後のパーツでは、今日のヒアリングの中で指定管理事業等に係る課題ということで二つお話をさせていただきたいと思います。

 一つは、人材育成関係でございます。これまでの丹沢での取組の経験を踏まえまして、人材育成に関しては、一つは行政人材の育成、もう一つは捕獲実施事業者の育成・確保という問題があると思います。行政人材に関しましては、計画の策定や実際の事業の運営に関しまして、専門的な知識や経験を持った人材を研修だとか資格または人事ローテーション等を通じて、かなり専門性が高い仕事もありますし、事業者との関係もありますので、そういったものを継続的に育成・確保していく必要があると。

 もう一つは、科学的な管理を進めていく必要がありますので、情報分析や技術開発、またはいろんな調査会社等、また捕獲会事業者と外部連携ができるような、そういった人材の配置が必要になってくると思います。

 この事業では非常に自然環境分野ではあまり例のない、大きな予算を持続的に投入する必要がありまして、事業の困難性や成果の見えにくさといったものを幹部だとか財政当局あるいは議会にしっかりと、丁寧にわかりやすく説明していく必要があるからでございます。

 また、捕獲事業の者に関しましては、今までは猟友会等による有害捕獲だとか狩猟という形で捕獲というのが進んできました。しかし、対象エリアが非常に広範囲にわたりますので、地元との調整だとか遠隔地での捕獲等の現場の管理といったもの、さらにはなかなか巻狩り等だけでは捕獲が難しい場所もございますので、柔軟な捕獲技術といったものも必要になってくると思いますので、そういったものに対する情報提供とか、研修といったことの支援というのが必要になってくるのではないかと思います。

 また、レンジャーのように、捕獲を専門とするような技能集団の場合は、その捕獲だけではなくて調査経験といったものも持った人材の確保・育成というものもあります。また、捕獲が進みますとどうしても個体数が減っていく中で、捕獲圧を維持して、低密度を維持していくということも必要になりますので、そういった中でこういった事業を継続しながらこういった人材を確保していくということも今後課題になっていくのではないかと思っております。

 最後になりますけども、指定管理鳥獣捕獲等事業でございますが、私どもの経験の中では、三つ課題があるのではないかと思っております。

 一つは、既存事業とのすみ分けでございます。市町村の許可の捕獲事業とか、狩猟等との調整の問題。それから、先ほども申しましたけども、特に神奈川県で問題になっておりますのは、捕獲困難地や遠隔地での事業推進でございまして、こういった場所でできるような事業者を持続的に確保したり、また、現在のワイルドライフでの捕獲は宿泊捕獲ということもやっておりまして、そういったことに対応できるような施設も含めた環境整備というのが必要になっています。

 さらに、事業が進みますとどうしてもシカがとれにくくなるとか、そういった問題も起こってくる中で、目標達成やその効率性といったものに関する事業評価もあります。それから、正確な情報をとりまして今後の管理や計画の改善に向けて情報収集をしっかりしていくということも必要だと思っています。

 もう一つは、さらに、事業者の確保や指導監督という部分でございますが、今後こういったものが事業化されていくと、競争性の確保というものがあって、資格や格づけというのがあるかとは思うのですけども、適正な事業推進をするに当たっては、単にシカをたくさん獲ればいいということだけでなくて、安全管理や地元その他とのトラブルの防止といったそういったバランスのある事業推進というのが求められると思いますので、そういった点でも今後留意していく必要があるのではないかと思っています。

 神奈川県では今後、新しい法に基づいた事業推進をしていくことになるかとは思いますけども、現行のシステムを十分に評価しながら、今後もしっかりとシカ管理に取り組んで、先ほど写真でお見せしたように自然再生という大きな枠組みの中でもシカ管理を位置づけておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

 以上、簡単ですけども、ご紹介させていただきました。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 それでは、今説明いただいた内容について、ご質問、ご意見があればお願いします。

【小泉委員】 説明どうもありがとうございました。何回見ましても堂平の自然植生の写真は大変印象的で、感動的でありました。二つお伺いしたいと思います。

 一つは、指定管理鳥獣捕獲等事業が実施される中で、今後いわゆる鳥獣保護区というのをどういうふうな性格づけにしていくか。特にシカの管理との関連で鳥獣保護区というのはどのように考えていくか、方針がありましたら教えていただきたいと思います。

 もう1点は、人材育成に関してです。最後から2枚目のスライドに、行政人材と捕獲事業実施者ということで、それぞれスペシャリストの方向が示されているかと思いますけれども、もう一つやはり、行政と捕獲事業の間をコーディネートする、いわゆる行政のセンスもあり、それから自ら捕獲をする技術もあり、そして科学者としてのセンスもあるという、いわゆる欧米のワイルドライフマネジャーというものが恐らく求められているのではないか。この辺の人材育成についてお考えがありましたら教えていただきたいと思います。

【神奈川県自然環境保全センター】 1点目については、私ではなかなか答えづらい質問でございますが、神奈川県のほうではツキノワグマ等ほかの希少な動植物もこの山の高い特別保護地区を中心に生息しておりまして、大体そのエリアが鳥獣保護区等とも重なっている部分多いと思いますので、シカの管理とは一線を画す形で今後も引き続き運営していくことになるのではないかと思っております。

 ただ、この鳥獣保護区については、シカの継続的な捕獲を続けて、非常に低密度で維持していくというような管理を引き続きやっていく場所であるという形での取り扱いになってくるのではないかと思っています。

 それから、2点目の人材育成について、今お話があった点についてはちょっと時間の関係で省略しましたけども、このスライドにちょうど黄色く円を描いて示してありますけども、両方をつなぐような、補完する、官民の専門人材というのは必須だと思っております。

 神奈川県でこういった管理ができてきた経緯というのは、ここに委員としておられます三浦先生をはじめ、丹沢をめぐる調査研究の積み重ねや、その後の試行錯誤といいますか、管理に対する試行錯誤、長年の経験がございましたので、そういった中で、また、そういった人材も多少県庁の中にもおりましたので、そういったことの積み重ねだと思っております。そういったことで、特にこの二つをつなぐ中間のコーディネート人材というのは今後非常に重要になってくると思っております。ありがとうございます。

【石井委員長】 ほかにありませんか。

 三浦先生。

【三浦委員】 幾つかお伺いしたいのですが、最後のスライドの中にあったその実施事業者の確保と指導監督ということで、競争性の確保とあるのですが、この意味はどういう意味なのか。

【神奈川県自然環境保全センター】 やはり、これは県の事業として推進しておりますので、どうしても外部の事業者には一定のルールの中で事業を委託するという形になります。特定の決まった事業者に偏らない委託のルール沿った形での執行が求められていますので、そういった意味での公平性といいますか、競争性といいますか、そういった視点でございます。

 ただ、実際にはなかなか現在こういった事業を推進できる事業体というのがあまりありませんので、現在それほど大きな問題になっておりませんけど、今後はいろんな事業者が出てこられて事業推進されていくということを想定する中で、資格だとか格付けとか評価というのが非常に重要になってくるのではないかということで書かせていただきました。

【三浦委員】 そうすると、これ人材育成というよりも団体育成ですか。そういう意味ですか。

【神奈川県自然環境保全センター】 そうですね。私どものほうにすれば事業者の確保という視点なのですけども、そういった視点でも同じかと思います。

【三浦委員】 それから、基本的に聞きたいのは、個体群の管理をやるに当たって、専門部隊といいますかワイルドライフレンジャーと、それから管理捕獲ということなのですけれども、一番後、一般の狩猟がありますよね。その三つの構成部分の中で丹沢のシカの管理にどの部分が一番寄与してきたのかということをちょっとお伺いしたいのですけれども。

【神奈川県自然環境保全センター】 ここにいろんな狩猟の主体別の図を示してございますけども、全体に占める狩猟の割合も非常に高うございまして、大体500頭から700頭前後の捕獲を占めているということで3分の1程度になります。以前はほとんどが狩猟主体であったということでございます。

 県が取り組んでいますのは、そういった部分を補完する事業として、先ほど言いました特別保護地区だとか、山の高いエリアをカバーして取り組んでおりますけども、そういった形で今後もそういった役割分担といいますか、それぞれの機能を生かした形でシカ管理というのは進めていく必要があるのではないかと思っております。

【三浦委員】 お聞きしたいのは、丹沢の国定公園地域の高標高域での生態系の保全というのがかなり重要な、水源林を確保するといったようなところが大きいと思うのですけども、それにどういう人たちが貢献してきたのかというところで。

 今のプレゼンで伺えるのは、ワイルドライフレンジャーによる高標高域での、先ほど小泉委員も指摘しているように、生態系が復元してきているということに、どういう捕獲が貢献してきたのかというのを聞いているのですけれども。

【神奈川県自然環境保全センター】 先ほどの植生の回復に関しては、鳥獣保護区であって、狩猟等ができなかったということもありますので、下層植生の回復に関しては、今のいわゆる県主体の管理捕獲、植生回復目的と申していますけども、そういった管理捕獲がかなり貢献してきたと思っています。

 逆に管理計画の見直しに当たっては、やはりゾーニングの見直しといいますか、そういったことも含めた中で、こういった管理を展開してきたということでございます。

【三浦委員】 これ最後にしますけど、先ほどのちょっと話で出てきた丹沢の中に猟区があるわけですよね。猟区というものが全体のシカ管理の中でどういう役割を果たしてきたのかということをちょっとお聞きしたい。

【神奈川県自然環境保全センター】 猟区に関しては、あまり具体的なデータがとられてございませんが、1990年代の調査で見ますと、猟区内というのは比較的植生の劣化が少なかったということで、持続的な捕獲が行われていたということが非常に植生の保全だとか自然環境の保全には貢献してきたのではないかと思っています。ただ、その後、猟区での捕獲が減ったり、いろんな問題もありまして、そういったエリアに関しても植生の劣化といった問題が最近は起こっております。

【三浦委員】 最近、どれぐらいの頭数が猟区でとられているのですか。

【神奈川県自然環境保全センター】 ここにありますように、狩猟全体では600とか700頭前後の数字があって、猟区での捕獲については今手元に数字がございません。申し訳ございません。

【石井委員長】 時間の関係で少し先に進みたいのですが。

 染さん、1点短く、すみません、お願いします。

【染委員】 時間がないみたいなので1点だけ。最後から2枚目のスライドで、人材の継続的育成確保おっしゃっていますが、現在この行政人材のほうは、どのような資格なり職種なり試験区分の方を採用し使っているのか。まさにこの継続的育成という意味で今後何が必要なのか、そこだけ一言だけでも。

【神奈川県自然環境保全センター】 現在特別な職種を充てているわけではございません。現在は、私どもの保全センターでは森林関係の職種の技術系の職員が、この業務に配置されて担当しています。そういった方がたまたまいると、そういったところに行って仕事をするケースもございますし、また、事務の方も来られてしっかり勉強されてこの事業に対応しているというのが実情でございます。

【染委員】 今後、何か必要なことはありますか。

【神奈川県自然環境保全センター】 このほかにもいろんなニホンザルだとか外来生物とかいろいろな問題がございまして、この分野での専門人材というのを置くことは、今後の管理にとっては非常に重要なことじゃないかと私自身は考えております。

【石井委員長】 よろしいですか。

(なし)

【石井委員長】 すみませんが先に進みたいと思います。

 それでは、お二人目ということですけれども、公益財団法人日本獣医師会の野生動物対策検討委員会委員長の鈴木さん、それから、事務局長の古賀さんに傷病鳥獣救護の関係についてご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【日本獣医師会(鈴木)】 日本獣医師会から参りました鈴木と申します。

【日本獣医師会(古賀)】 日本獣医師会事務局長古賀でございます。

【日本獣医師会(鈴木)】 それでは、一つの次期基本指針の論点になっているということで、傷病鳥獣の問題につきまして、日本獣医師会としての、言わば公式見解というようなところでお話させていただきます。

 まず、本題に入る前に経緯をちょっとご説明させていただきたいというふうに思います。獣医師会、獣医師というのは動物の命を救うという、そういうような形の中で一般には理解されているのですけれども、多様化する野生鳥獣の問題ですね、これを踏まえまして、この小委員会の委員でもある羽山先生が前期の委員会の委員長としてさまざまな問題の解決に取り組んでこられました。例えば、傷病鳥獣救護のあり方については、生物多様性を保全することを第一義とすると。それから、外来生物に関しては、安楽殺処分という考え方を明記したということです。それから、人獣共通感染症の問題、それから鳥獣被害対策、鳥獣の資源的活用ということでジビエの問題ですね。こういうことにも獣医学は関わる必要があることを、前期の羽山先生のもとに議論をされてとりまとめられてきた経緯がございます。

 私はその次の委員長を仰せつかりまして、その議論を引き継いでいます。言ってみるならば、以前の委員会で議論されたことを踏まえて、今ある生息環境とか社会情勢の変化、これは激変とも言える変化があるかと思うのですけども、それらもきちんと踏まえて実効性のある考え方、そして対策を具体的に提示することを目指しております。

 それから、これからちょっとお話ししますけれど、救護の問題に関しては、さまざまな不整合な部分がやはり出てきてしまいました。そういう問題をきちんと整合性をとるというようなことを考えながら議論を進めてきました。

 例えば、私たち獣医師の問題として、どんな不整合があるかというと、一つは人獣共通感染症対策との関わりです。これは我々、獣医学の中では非常に重要なテーマなのですが、その中で野生動物との安易な接触は危険性が増すという現実があります。そのため、このように「弱っている動物を見かけても触らないで行政に連絡してください」ということをコメントされている行政の獣医師がいるということになります。

 一方で、救護に関してはどういうことになっているのかというと、これです。これらも行政による広報なのですけれども、傷病鳥獣の受付、問い合わせ先等を説明しています。ご覧になっていただければ分かるように「見つけた方が次の場所まで搬送お願いします」。こちらもそうですね、「保護された方が動物病院へ搬送してください」というようなことが書かれています。言ってみるならば、前の公衆衛生的な観点からいくと、手を触れるなと言っている一方で、この救護の場では同じ行政が「保護した方ご自身で搬入してください」と言っているわけで、獣医師会内部でもちょっと整合性がとれないという問題が出てきてしまっています。

 そのようなことを踏まえて、私たちはずっと議論を進めてまいりました。これは、後で古賀事務局長がご説明されますけれども、まだ獣医師会の中でも議論が残っていて、いろんな傷病鳥獣の考え方についての疑義があります。

 ですので、今回はここで示した原理・原則論をお話しますけれども、細かな線引きにつきましては、環境省、それから今回ここに列席されておられる委員の先生方にお任せしたいと思いつつも、今までのさまざまな不整合を踏まえた原理・原則として取り入れて頂きたいと、私たちはここに示す3点を整理しています。

 まず、やはり生物多様性保全への貢献が第一義であるということです。ただし、第一義というのはプライオリティーの問題であって、他の意義で、生命の慈しみですとか臨床技術の向上、それから環境モニタリング、こういう意義を否定するものではないということです。

 それから次に、「さらに」ということになります。もしかしたら、「さらに」というよりも「ただし」という言葉にしたほうがいいかもしれませんが、救護の展開により生じ得る他のリスクとのトレードオフ、これに十分に留意する必要があるということです。

 他のリスクとしては、先ほど申し上げましたような感染症の問題。それから、市民が野生鳥獣を飼う場面が生じ得るという点です。基本的にはメジロなどの問題で、野生鳥獣を個人で飼うということは縮小させる方向に向かっておりますが、救護に関してはどうしてもボランティアとして市民に飼っていただかねばならない側面も出てきます。こういうことも起こり得るということですね。あるいは、外来生物だとか、個体群管理、鳥獣害対策ということで駆除、あるいは個体数管理の対象となっている個体を救護すること。今はもうほとんど行政ではそれに対応することはなくなってきているのですが、やはり持ち込まれるとなかなか門前払いもできないというようなこともあるという不整合。これらの問題との「トレードオフ」にはちゃんと留意していただきたいということです。

 あと、生物多様性保全だとか、保護管理にかかるコストパフォーマンスの問題にも留意する必要があるということです。

 先ほど申し上げましたように、細かな線引きということに関しては、ここにおられる委員の先生方、環境省のご判断にお任せしたいというふうに考えておりますけども、我々としてはこの3点ですね、少なくともこの3点はきちんと整理をするような形で、現場での混乱ということが起こらないような方向にしていただきたい、と考えております。

 4月に公表予定なのですけれども、我々がやっている論議をまとめた報告書が出る予定です。これはその中で書かれているポンチ絵で、ちょっと複雑なので、今日これを詳しく説明している時間はないのですけども、言ってみるならば、今お話ししたように救命を主眼した救護と、保全生物学的な救護、言わば生物多様性に貢献する救護、これらの役割分担と整理が、いま非常に曖昧な状態になっていることが示されています。先ほど申し上げましたような感染症対策ということでも、どっちつかずで、現場に混乱を招くような状態になっているということになります。

 ですので、まず、私たちはこの曖昧な部分をきちんと整理して、救命を主眼とした救護、それから保全生物学的な救護というようなものを、それぞれの意義や留意点を明らかにして、将来的にはこれを連携させて共存・共同できるような体制をつくりたいということを考えております。

 それから同時に、現段階では何年後という明確な時期は定められないのですが、どういう問題をどう解決していったら良いのかという点で、このような課題解決のためのルートマップをつくっております。このスライドもちょっと細かな記載が多く詳しく説明している時間はないのですけれども、今どういう議論が行われているのかを示したものです。こちらが現在、まさに日本獣医師会として議論している部分になります。行政の働きかけ、法律の見直しなどの検討を通じ、先ほど申しましたような救命の部分、それから生物多様性保全への貢献ということで新しい考え方を提示したいという議論の内容となります。

 一方、今回のヒアリングの場での基本指針に関する議論とは、ここにしめされている国で行われる検討という部分に相当します。基本指針や保全戦略の見直しなどとの関わりから、国として救護方針の統一というようなこと、この議論が、今まさにこの小委員会の場で行われると私たちは認識しております。これはどういうことなのかというと、日本獣医師会と国とが、問題意識を完全に共有しながら同時進行で、いま救護の問題に取り組んでいると認識しております。

 最後のスライドになります。日本獣医師会としての現状認識と決意ということでまとめさせていただきます。日本獣医師会は基本的な活動指針として、「動物と人の健康は一つ、そしてそれは地球の願い」を挙げております。これは人と動物の健康ということで、個体レベルの話というふうに捉えられる可能性もあるのですが、実はこの健康を守るための基盤として、個体の基盤として「環境」というものがある。個体の健康を守るには、やはり「環境の健全性(environmental health)」というものが不可欠となりますので、環境の健全性との関わりも含んだ考え方となります。獣医師会の基本指針というのは個体レベルのことを言っているように見えますけれど、実はこの環境の健全性ということも含めた上での議論を進めているということです。それを踏まえてのことなのですけども、今までも申し上げましたとおり、国と日本獣医師会ではまさに共通する論点のもとで検討が進められているということになります。

 それから、「保全医学の観点を含めた野生動物対策のあり方」ということで、先ほど申し上げましたとおり今年の4月、現時点ではまだ公表されていませんが、これだけ分厚い報告書が提示される予定です。この中で、先ほどご紹介した方向性やルートマップを提案する予定でおります。さらに、感染症に関しては防疫対策を施した救護センターの設計や図面、あるいは今日も話題となる鉛中毒の問題、そういうようなことにも深く言及しているということで、是非とも4月に発刊予定しております報告書を、ご参照いただければというふうに思います。

 3番目になります。次期基本指針で、日本獣医師会と共通する考え方や方向性、言うなれば、国としてこの小委員会の場で行われている議論と、いま獣医師会の詰めている議論とで共通する方向性や考え方が次期の基本指針に盛り込まれるのであれば、その社会的な浸透と実質化に向けて、獣医師会としては国と連携し最大限の努力を払う準備が整えられているということになります。また、発刊予定の報告書には、そのための基本的かつ具体的なかなりの情報が整理・提示されております。すなわち獣医師会としては、国との連携的協働の決意を、それを推進するための諸情報とともに持ち合わせているということになります。ちょっと駆け足になりましたけれども、日本獣医師会としての考え方の説明を終わらせていただきます。

 あとちょっと古賀事務局長から説明を。

【日本獣医師会(古賀)】 それでは、獣医師会の中のことを申し上げます。獣医師会では、特に小動物の診療獣医師を中心としてこういった傷病動物救護に携わる方がいらっしゃいます。このような獣医師は、地域の方々が搬入してくる動物を、社会に窓を開きながら対応しており、社会の一般の方々がどういうようなことを考えて傷病鳥獣を動物病院に連れてくるかということを斟酌しながら、救護活動を実施しているということでございます。その中で先ほど鈴木先生にご説明いただいたように、日本獣医師会が保全医学に基づく野生動物への対応ということの検討を始めました。

 タイトルのスライドの次なのですけど、これまでの経過がございますが、平成23年に保全医学の観点を踏まえた野生動物対策のあり方という、中間報告を出しています。検討の開始が21年ですから、2年間検討して中間報告を出したということです。この4月に公表する予定ではありますが、平成28年になってもこれが中間報告のまま公表されない状況にあります。

これまでも少しずつ私どもの保全医学に関する考え方を出してきたのですが、野生動物の救護に携わる獣医師が総論として総体的に全般的にまとめられた今回の中間報告を読み込むと、今までと傷病鳥獣救護の方針が違うのではないかと不安を持っている方々がいらっしゃって、その方々と意見を調整するのに時間がかかっているということでございます。獣医師がそう危惧を持っているということは、社会的に救護対象となる動物を運んでいらっしゃる方々の気持ちも踏まえてということだと思います。そういう中でこれだけの時間をかけて、この4月にようやく公表にこぎつける予定ということでございます。

 内容につきましては、先ほど鈴木先生がご説明されたように、基本的には国と問題を共有しながら、その問題についての解決方法をこれまで検討してきたということでございます。具体的な内容についてはこちらの方で指針が決められるということになるのでしょうが、その指針に基づく施策がそれぞれの現場におりたときにそこで混乱をもたらさないようにぜひ地方の獣医師会、それから獣医師と自治体の方々がうまく連携をできるような体制を整備していただきたいというのが私どものお願いでございます。

 以上でございます。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 少し時間が押しているのですけれども、手短にご質問、ご意見をお願いします。

【小泉委員】 報告ありがとうございます。私は、先ほど報告ありました野生鳥獣の管理とそれから救護の問題は大変よく似ているというふうに理解しています。基本的な取組、それから基本的な考え方の議論がなされないまま、既存の勢力に過度に依存してきたと。今やっとここを何とか改善していこうという雰囲気になってきたことを大変喜ばしく思います。

 一つ質問です。獣医師会では、これから獣医師会がオーソライズする野生鳥獣獣医師というようなものを制度の中に取り入れて認定していくというような取組が必要なのではないかというふうに感じましたけれども、この辺どういうふうにお考えか。

 もう一つは、獣医師会は今日は救護の問題を取り扱っていただきましたけれども、私は野生鳥獣管理の全般にもっと深く関わっていただきたいというふうに考えておりました。「時に応じて獣医師よ、銃をとれ」というふうに個人的見解ですけれども申し上げたいと思います。すみません。

【日本獣医師会(鈴木)】 認定ということに関しても、獣医師会というよりも野生動物医学会の中で認定専門医制度というのをつくっておりまして、その中で野生動物管理、それから動物園の獣医師、それから先ほど話しました救護というような、それぞれの分野で、人間のお医者さんの認定医制度に近いような形で、認定専門医制度を進めております。獣医師会とはまたちょっと別の動きになるのですけども、今回の話も含めて、野生動物医学会と日本獣医師会、これから連携を深めることは非常に重要なことだと思いますので、うまくその辺を連携させていければと考えております。

 まさに、ご指摘のとおり、幅広く野生動物管理のみならず、救命のみならず、希少種の保護、それから、管理、生物多様性の保全というところで活躍していきたいと考え決意している所存でございます。

【日本獣医師会(古賀)】 専門医制、認定医制ということにつきましては、獣医学の中でもいろいろな分野がございまして、外科であるとか、内科であるとか、皮膚科であるとか、眼科であるとか、そういった分野で関連する学協会が先ほど鈴木先生が説明された野生動物医学会と同じように、専門医制なり認定医制なりを既に実施していただいております。獣医師会としてはこれらの学協会の間の調整役を果たすべきとも考えますが、いずれにしても今後、獣医師会がいかにその専門医制度、認定医制度、この野生動物のことも含めて関わっていくかということにつきましては、大きな検討課題だなというふうに認識しております。

【坂田委員】 今までのお話の中で、方向性として個体の救命を主眼とした救護と、それと、保全医学的な救護と、そういう二つの考え方が目指すものというか、ポイントになるかなというふうに思いますけども、もうちょっと、もしよろしければ具体的にこれの違いですね、対象種が違うのか、従事する人が違うのか、やるべきことが違うのか。この辺りをよろしければ。

【日本獣医師会(鈴木)】 個体レベルの救護というのは、基本的には臨床系の獣医師の方が対応するという側面が多くなるかと思います。ただ、それをどういうふうに生物多様性の保全に結びつけていきますかというと、やはり個体がオンリー、ただ助けるだけというよりも、その個体を助けるという行為そのものだけではなく、それから派生するさまざまな情報ですね、それを蓄積して、解釈して、社会に還元するというような動き。これが伴わないと生物多様性の保全というようなこと、それから先ほどお話しした保全医学的な救護というところで結びついていかないのではないかと考えております。

 ですので、まずは小動物の臨床を含め、臨床系の先生が対応することになりますけど、その上で統合的に情報を集積する、モニタリングする、それを解釈するというような、先ほど小泉先生がおっしゃったような統合的に野生動物を診られるような獣医師、そういうような位置づけのもとに先ほど申し上げたような認定専門医制度というのも充実させながら、将来に向けた対応をしていきたいと考えているところです。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょう。よろしいですか。

(なし)

【石井委員長】 それでは、決められた時間になりましたので、どうもありがとうございました。

 それでは、次に移りたいと思います。

 次は、3番目ということなのですけれども、公益財団法人日本野鳥の会の室長、葉山さんから、鉛製銃弾と愛玩飼養などのことについてご意見をいただきます。よろしくお願いします。

【日本野鳥の会】 スライド等は使いませんので、座らせて発表させていただいてよろしいでしょうか。

【石井委員長】 はい。

【日本野鳥の会】 日本野鳥の会自然保護室の葉山と申します。今日は、3点ほど意見を申したくてまいりました。

 一つ目ですけれども、鉛弾の使用禁止に関してでございます。昨年の11月に私どもの団体で環境大臣宛に出した要望書のリリース資料をつけておりますけども、その中で要望しましたことが今度の指針の方向性となればと考えております。

 一つは、狩猟鳥獣害対策における鉛弾の使用を禁止する方向で進めていただきたいということでございます。昨年の5月から、改正法が施行されまして、第二種特定鳥獣管理計画の策定や、指定管理鳥獣などの事業が進められて、今後、猟銃による管理捕獲等が全国的に増加するということが考えられます。このことは、野外において鉛弾の全国的な使用の増加、特にそれが野外に残存するということを引き起こす可能性が非常に高いと思います。

 北海道では、鉛中毒に対するオジロワシ、オオワシの死亡固体が多いことから、平成16年から狩猟期に原則として鉛弾の使用を禁止されております。

 めくっていただいたところに、これは環境省の釧路自然環境事務所の発表資料ですけれども、オジロワシ、オオワシの収容個体、その中に鉛中毒個体、あと鉛に暴露している個体、こちらの推移が書かれております。確かにオオワシに関しましては、特にこういう規制が進んだ状況で道内では鉛中毒の検出数が少なくなってきているように見受けられます。

 しかし、これは条例で規制しておりますので、実は北海道の場合、道外から来られるハンターが鉛弾を使用するということが継続しているようで、平成26年からはエゾシカを捕獲する目的での鉛弾の使用を禁止という措置がとられております。そういう意味では、全国的に鉛弾の使用の禁止の方向性が必要なのかと思っております。

 現状では水鳥の鉛中毒防止のために一部禁止区域が設定されておりますけども、これは水鳥を対象にしたものであります。現在、オジロワシ、オオワシは北海道が生息の中心でありますけども、北海道で2003年にクマタカの鉛中毒が検出されております。本州でも2012年に諏訪市で、これは高圧電線に当たって感電死したクマタカですけれども、その胃の内容物から大量のシカの毛が確認されております。鳥獣保護管理法では捕獲した死体の放置は禁止されておりますけれども、重いシカの死体の場合、利用されない部分が放置されるというケースが多いかと思います。猛禽類は筋肉をちぎって丸飲みしますので、そういうことでこういうふうに鉛中毒になる可能性が高いと思われます。

 前回の小委員会のときに環境省のほうで現状のモニタリングを続けられているというお話でしたけれども、それに加えて当面行政、都道府県が行う指定管理鳥獣捕獲等事業においては、鳥獣の放置という場合に限定せずに鉛弾の使用を禁止することをお願いしたいと思います。

 また、業として捕獲を行う認定鳥獣捕獲等事業者の捕獲においても鉛弾の使用を禁止するということ。一般の狩猟の場合は銃の交換ですとか費用的な負担も増えることから、これは順次進めていくような方向性が必要かと思っております。

 あと鉛中毒の検査のほうですけれども、めくっていただいて長野県のホットライン、これはクマタカの死体からシカの毛が出たということのファクトとしてここにつけておりますけれども、これを載せるに当たって長野県の鳥獣の担当の方に確認をしたとき、長野県でもまだ予算要求段階ですけれども、来年から猛禽類の斃死個体の鉛中毒の検査の強化のための予算要求をしているということです。ぜひ国においても鉛中毒の拡散を防ぐための対応を行っていただきたいと思います。

 次、資料2という、右肩に書いた、めくっていただいたところですけれども、愛玩飼養目的での捕獲禁止について述べたいと思っております。

 前回のこの委員会でも、方向性は廃止の方向だということだと思いますけれども、ぜひ愛玩目的の捕獲は廃止すべきであり、鳥獣保護管理法施行規則第5条にある捕獲の目的から愛玩飼養の目的を削除していただきたいと思っております。

 理由はこの下に書いております第11次の基本指針にも書かれているとおりなのですが、特にその他特別な事由を目的とする場合のところに書いてある鳥獣は本来自然のままに保護すべきであるという理念にもとるのみならず、鳥獣の乱獲を助長するおそれがあると。これは、実は昭和53年の自然環境審議会の考え方をそのままずっと踏襲しているもので、1950年代の7種の愛玩飼養から、やっと2007年にメジロ1種になり、2011年の指針の際に、原則捕獲を認めないということになっております。現状として、もう捕獲を認めている都道府県というのはごくわずかで、前回の小委員会の資料でも捕獲飼養数の減少が明らかであるということが出ておりますので、時期としてもうメジロの愛玩飼養捕獲に関しては目的から除外する時期だと思っております。

 あわせて、この後、メジロが高齢化していけば、どんどん飼養数は死亡するに伴って減っていくはずです。そのことをぜひ追跡するために、使用許可の更新事務の徹底を指針の中で確認していただきたいと思います。現状、20歳、30歳を超えたメジロというふうに、ずっと飼養許可が更新されている実情があります。生物学的に30歳を超えるメジロがいるとはとても思えないと考えております。

 次ですけれども、傷病鳥獣の捕獲に関してなんですけれども、傷病鳥獣の保護についてはいろいろな、個体の保護だとか、そういうふうな問題と鳥獣愛護の精神に関しての問題とかいろいろあると思いますけれども、ここで1点、こちらのほうから指摘しておきたいのが、傷病鳥獣の捕獲というのは9条に基づく捕獲だと思われます。ところが、先ほど獣医師会の方からもお話がありましたように、傷病鳥獣を見つけた人が収容先まで持っていく、もしくは獣医師のところに持っていくというケースがあります。一般市民により捕獲そのものが行われて、その後、行政の手に委ねられている場合が多い。各都道府県の指針を見ましても、見つけたら鳥獣保護委員なり、行政の職員に連絡して捕獲してもらいなさいというふうに制度上は書かれているのですけれども、それが行われていないという実情があるかと思います。

 一方、環境省のほうで現在進められている傷病鳥獣の救護のあり方として、鳥獣の保護に該当する種の場合は行政が対応する。その他、一般鳥獣や管理の該当種に関しては、民間の対応の方向性でというふうなお話を伺っております。この対応には、捕獲の許可のあり方や飼養の報告、飼養の更新の徹底や個体の追跡確認が適切に行われないと違法飼養を助長するおそれがあると思います。こちらに関しては、指針の中で改めて整理をお願いしたいと思っております。

 最後ですけれども、これは意見ではなくて、できましたら一回この委員会でも議論していただければと思います。ちょっと著作権の関係でお配りはできなかったのですけれども、1月22日付の埼玉新聞に実はスズメが肩に乗って、そのまま家族の一員になったという報道があります。ネットでもちょっと出ているかと思いますけれども、スズメが交通整理をしていた老夫婦の肩に乗って家までついてきて飼われていると。時期的には11月なのですけれども。この記事自体は読むとほほえましい話題なのですが、これに対する県のコメントがありまして、「スズメは鳥獣保護法によって保護されているけれども、狩猟期間内であれば適切な方法で誰でも自由に捕獲することができ、期間を過ぎてからも飼養することが可能だ」というふうなコメントが出ています。

 これが結構、物議を醸しまして、その中でちょっと問題になったものが、一つは、法定猟法以外の方法で、狩猟期間内に狩猟可能区域で狩猟鳥獣を誰でも自由に捕獲できる、自由狩猟というのでしょうか、この考え方が果たしてこれでいいのかと、上記による狩猟鳥獣の捕獲の場合、飼養許可がなくてもその後、飼い続けることができる。これは多分、野生鳥獣は無主物であるという考え方とか、猟区の考え方、乱場の考え方ですか、そういうものに関係すると思いますけれども、一度整理していただければと考えています。

 以上です。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 それではご質問、ご意見、お願いします。

【三浦委員】 愛玩のための飼養を目的とする捕獲等についての禁止というのは、これは廃止の方向ということで、私も了解しますけれど、野鳥の会としては鳥類を愛玩飼養するということについてはどう考えているわけですか。

【日本野鳥の会】 少なくとも、人間が増殖できないもの。例えば、ペットで飼われている鳥でございます。例えばジュウシマツとかカナリアとか。ああいうものというのは人間が、要は飼育、繁殖の技術が確立していて、そこから供給される。要は野外から供給されるものではないということ。そこは認められるのかなというふうに考えています。

 あと和鳥、日本の鳥の小鳥の場合、飼育繁殖の技術というのが、江戸時代などは少しあったみたいですけれども、今はほとんどないというのが現状で、そういうものを野外からとってきて飼うということ自身は問題ありかなというふうに考えております。

【三浦委員】 あえて一つコメントするとするなら、ペット化する過程の中で、ドメスティックに繁殖が可能になるというのは、歴史的な経過の中でそういうことが起こってきたわけですよね。

【日本野鳥の会】 多分それは9条の研究の目的で、そこを明らかにして捕獲というふうなことが必要なのかと思っております。

【佐々木委員】 どうもご苦労さまです。鉛問題なのですが、私も本当に心を痛めております。そういうことでいろいろな意見が一応出ておりますので。ただ、先ほど北海道での云々という話がございました。確かに平成16年から銅弾ということで、今は5年前から、所持しておっても違反ということになりました。

 そんなことがあって、特に我々も徹底して、内地から北海道に行く人に対しては、絶対に持っていかないようにということで、今、その辺は重々やっているつもりです。今はほとんどなく、この五、六年はないと思うのですが。そういう流れの中にこのオジロワシを見ても、必ずしも激減をしたとか、そういう状況ではない。必ずしもライフル弾だけじゃないと思います。

 そこでちょっとお伺いしたいと思うのですが、実際に私も見たことがありますが、本当にライフルの弾がオジロワシに入っていたと。どういう状況になって、オジロワシに入っていた鉛の弾が、どういう製品に由来するものなのか。鉄砲玉の成分なのか。鉛を使っている製品というのは結構あります。大きく言えば、自衛隊の大砲が使っています。他に例えば、釣りの鉛おもりとか。そういうものもしっかりと分析をされて、我々もそれを今、仕事として一部していますけれども、はっきりしてもらわないと全て何でも鉛と言えば銃と結びつけるのはいかがなものかと考えています。

 もう1点。私ももう何百と獲っていますが、いまだかつて、ライフル弾が体内に残っていることは1頭もございません。ほとんど貫通しています。そういうことで見たことはない。1回だけありました、背中を通って残っていた。そう簡単に体内に、筋肉の中に残るということはほとんど考えられないので、その辺も含めて、ぜひ調査されて、我々も本当に心を痛めているのです。何とかしてこれを防止しようということを考えておりますので、その辺も具体的に調査されてご報告願えれば大変ありがたいと。

 以上です。

 もし何か意見があったらどうぞ。

【日本野鳥の会】 ありがとうございます。猟友会さんのホームページも鉛中毒についての啓発をしていただいて、本当にありがとうございます。

 実際、オジロワシ、オオワシに関しては、食べるものは肉質なわけですから、体内から鉛が出てくるということは、鉛弾由来だと考えるのですが、少なくとも水鳥に関して、以前、非常に問題になっていますが、水鳥は消化を助けるために砂粒を飲み込む時に、水辺にあった小粒の散弾を飲み込むこともありますし、釣りなどに使われるおもり、そういうものもありますので、そこは複数の要因が関連しているのかと思います。

 あと、私ども獣医師ではないので、いろいろな行政等の報告を読ませて判断しておりますけれども、昔、西日本におりました時に、向こうのほうはシカの体格が小さいのか知りませんけれども、シカの狩猟に大粒の散弾を使う場合もございます。確かに違法に捨てられたシカの死体から、鉛の散弾がたくさん出てきたのは目撃しておりますので、そういう懸念もあろうかと思っております。

【佐々木委員】 今の大粒散弾、これはまさにそのとおりだと思います。そこで、今度のいわゆる認定事業についても大粒散弾は禁止しております。あれがまた一般狩猟、あるいはその他についても自粛させております。

 これは何かというと、そういうものがありますが、事故防止のためにやっておりますので、ご理解ください。

【日本野鳥の会】 ありがとうございます。

【石井委員長】 ほかにいかがでしょうか。

 一つ、三浦さんの質問に関して伺いたいのですが、先ほどの増殖技術があるものについては認めてもいいのでないかという見解ですが、それは日本に海外から野生鳥もしくはそれに近いものがいろいろ入ってきて、飼養されていますけれども、それについては野鳥の会としては原則禁止すべきだというようなことを考えていて、それを公表されているのかというところを確認したいのですが。

【日本野鳥の会】 野生鳥獣に関しては、例えばキュウカンチョウという飼い鳥がいますけれども、あれは原産地はタイとかベトナムのほうなんです。野外ではほとんど見かけることがないくらい減少しています。なぜ減少したかというのは、ペットとして輸出するために捕獲したというふうに言われています。

 このような例もあるように、基本的には海外でも捕獲による影響というのは非常に大きいと思いますので、原則的には慎むべきだと考えています。多分、輸出入に関しては、今のところ会としましては、ワシントン条約のルールの原生的な適用をということを述べております。

【石井委員長】 わかりました。

 どうもありがとうございました。

 それでは、次のヒアリングにいきたいと思いますが、4番目です。一般社団法人猟用資材工業会専務理事、早坂さんから鉛製銃弾のことについてご意見をお願いします。

【日本猟用資材工業会】 皆さん初めまして。一般社団法人日本猟用資材工業会、早坂と申します。私どもの団体はこういうヒアリングに呼ばれるのは非常に珍しいことでございまして、大日本猟友会さんには非常にお世話になっている団体でございます。

 私どもの団体は、日本におきます猟銃の製造メーカー、それから散弾実包の製造メーカー、それと鉛散弾とか、そういった部材をつくっているメーカー。鉛散弾につきましては、日本に3社ございます。散弾だけつくっているわけではございませんが、一応メインとしては散弾をつくっている会社がございます。それから、海外から輸入して国内の銃砲店に販売しております商社です。そういったものが約16社、私どもの団体のメンバーとして構成されております。

 今回、会場後ろのほうにサンプルとして鉛の弾、それから現在流通しております非鉛の弾というものを一応持ってきております。ご興味がある方は、ぜひ見ていただければ。違いは何かと言われると非常に難しく、1時間、2時間では説明できないところもございますけれども、皆様の正しいイメージということで、実物を見ていただければと思っております。

 それでは、まず、全体的な流れでございます。今かつて50万人おりました狩猟人口が現在約10万人ちょっとでございます。平成26年の警察庁の統計ですと、10万7,000人ぐらいがライフル銃、散弾銃合わせの所持者数でございます。これは大日本猟友会さんの所持者の数とはまた別に、ほかに射撃の人口もございます。今年の所持者数は10万人を切ると、約9万8,000人ぐらいになるんじゃないかと今、警察庁のほうから報告をいただいております。

 ただし、今、狩りがあるとか、いろいろ若い世代がちょっとなぜか狩猟のほうに目覚めている方もいらっしゃいまして、30歳代の所持者数がちょっと増えているというところが新しい傾向かなと思っております。

 今日、皆様のお手元のこの生産・出荷状況というのは、私どものメーカーがつくりまして、各全国の銃砲店に販売した総数が載っております。これはライフル実包は含まれておりません。散弾の実包だけでございます。一応、単位は千発でございますので、かなり皆様のイメージとは違った量になっているのではないかと。

 トータル数と散弾実包というのは、射撃用も含めて4,200万発出ておるような形でございます。狩猟弾としては176万1,000発が大体。これは粒数に関係なく、これが出ております。販売された数量でございます。各メーカーが銃砲店さんに卸していった数量でございます。これが全部使われたかどうかということではございませんので、ご覧のとおり、平成15年から10年間の数字を見ていただいても、かなりの数減っております。ということは、狩猟人口も減っているということ。それと反比例して、今度は有害鳥獣の被害も大きくなっているということも一つ関連性があるかとは思います。

 ライフル実包につきましては、100%海外からの輸入品でございます。ということで、詳しい数字はなかなか統計的に難しいところもございますので、今回は発表させていただきませんけれども、鉛も含めまして、銅も含めまして100%輸入でございます。

 そのほか、ライフルにつきましてはご自分で、火取法が許す範囲で、自分で弾をつくることができます。自分の威力に合わせた弾というもの。要は弾頭を鉛から銅に変えてつくり変えるということもできるわけです。普通の方が部材を銃砲店さんから買って、火薬を買ってつくるだけで、あと、一般の方がこのライフル実包ですとか、散弾実包を海外から輸入するということは非常に至難のわざです。というか、法律的にほとんど難しいところがございます。

 私どもは武器等製造法、それから火薬類取締法、これは経済産業省の管轄でございます。まず一つ枠がはめられております。それから、警察庁関係で鉄砲のほうに関しましては、銃砲刀剣類等取締法でかなり枠がはめられている、そういう業界でございます。この中で法律に適合した資材というものを、各銃砲店さんを通してハンターの方々に届けているというのが状況でございます。

 今現在、鉛弾は従来からのもので、イメージとしては一発の石を鳥に向かって投げるよりも網を投げたほうがとれやすいという、そういう考え方です。粒の中にたくさんの散弾群の中に獲物が入っていくような形で鉄砲を撃つと。なかなか難しい作業だと、射撃弾ですけれども。シカとか遠くにいる動かないものについては、ライフルというもので強く一発で大きい獲物を倒すというのが一つの目的で、それぞれ用途が全然違ってきております。やはり道具でございますので、用途ですとか、使う環境によって大分物が変わってくるというのが一つございます。

 それで、先ほどからいろいろと鉛のものについて……、今回、私どもは鉛害とかそういうものにつきましては今回はコメントせずに、猟用の資材ということでご説明をさせていただければと思っております。

 従来の鉛というのは、やはり比重が非常に高い鉱物でございます。可塑性というか、融解温度も低くて、非常に柔らかい。加工もしやすいということで、比重が大きいということは、弾として発射された時、質量と速度の二乗に比例してきますので、より遠くに飛ばせる。それから、当たった時の威力が大きいということは確実に獲物を落とせるという形でつくられています。

 それから、現在流通している非鉛の弾の素材なのですけれども、まず一つスチールがございます。鉛よりも比重が当然ながら小さいです。ということは、同じ火薬量を使って発射しても飛距離が出ない、それから威力がない。そういうことで、なかなかそれをカバーするために、じゃあ速度を上げましょうといいますと、火薬量を上げるだけではなかなか速度というのは出ませんで、後ろにございます散弾実包を見ていただきますと、押し縮めている。圧力をかけていかないと速度というのは出ないものでして。そうすると非常に高い薬室という弾が入っていくところの部分に、非常に高圧な圧力がかかって危険性も出てきます。

 あと硬度が高いために、銃口を発射するときに非常に高い圧力になりまして、銃口の破裂ですとか、変形とか、そういうことを、1回でなる場合もありますし、何回か撃ってなる場合、これは実験データがございますので、求められれば私ども非鉛の読本には書いてございますので、公開できるとは思っております。そういった意味で、鉛から出ていくというのはなかなか難しい状況でございます。

 ただ、実際アメリカとかでもどんどんスチールの装弾というのは出てきておりますが、やはりその性能をカバーするために、どんどん弾が大きくなっている。弾が大きくなっているというのは、弾をたくさん使って薬量を大きくするということは、弾の大きさがどんどん大きくなっていくという傾向もございます。

 それから、スズの合金もございます。加工もしやすいのですが、あまりにも軽くてなかなか威力的には非常に難しい。銅の素材もございます。重量とかその辺は非常に十分なのですが、非常に単価が高くて加工も非常に難しいというところです。それからタングステン。タングステンも非常に高価な材料でして、一つの材料から削り出すということは非常に難しいので、パウダー化してそれを焼結させるとか非常に難しい。これを開発するには、大分、三菱マテリアルさんとミーティングを重ねてトライアルをやって、製品化したという経緯もございます。こういったものが実際、流れております。

【石井委員長】 恐縮ですが、時間がきましたので、手短にまとめていただけると助かります。

【日本猟用資材工業会】 わかりました。一応、今映っているものが現在、流通している非鉛の散弾とライフル実包の頭です。こちらでございます。

 こういった銃を使ってやっていきますと。こちらが散弾を発射したときの、私どもの高速度カメラで撮ったやつです。イメージとして、すぐに散開するようなイメージですが、実は紡錘状の形になっておりまして、ずっと先まである程度の塊で飛んでいきます。これが6メートル先とか、10メートル先。20メートル先での散開度というふうになっておりまして、なかなか皆様のイメージとはちょっと違った形だと思っております。

 なかなかこの時間内でいろいろとこの道具につきましての説明というのは非常に難しゅうございますけれども、何かあとご質問がございましたらと思います。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ご質問ありましたらお願いします。

【小泉委員】 大変興味深い報告ありがとうございました。

 2枚目のスライドで出荷量の説明がありましたけれども、ほとんどが輸入品であると。

【日本猟用資材工業会】 これは出ているものは国産品でございます。

【小泉委員】 輸入品の割合が非常に高いのですね。

【日本猟用資材工業会】 こちらは射撃用とお考えください。

【小泉委員】 いずれにしても散弾銃、それからライフル銃は全部輸入品だというお話がありまして……。

【日本猟用資材工業会】 ライフル弾は100%輸入です。こちらにある射撃の輸入のものですね、こちらにつきましては95%ぐらいは射撃の弾でございます。1回の輸入量が非常に多うございますので。ほとんど鉛の、狩猟用の散弾というのはあまり含まれていない、非常に数が少ないというふうに思っていただければと思います。

【小泉委員】 ありがとうございます。伺いたいのは、恐らく日本のマーケットサイズは世界的に見ると極めて小さいのではないか。したがって、日本で規制を行った時に、それに適合した弾が外国の製造元からきちんと入ってくることが可能なのか。場合によってはもう弾すら入ってこないという事態が生じてしまうのではないかというふうに思うのですけれども、この辺いかがでしょうか。

【日本猟用資材工業会】 実際、今現状で、ここにご説明した弾というのは、ほとんど国産で、私どもが開発したものでございます。表面硬度を低くして、ビッカース硬度、少し柔らかいスチール装弾、これも製造に非常にコストがかかる。それから、タングステンのやつも比重とかそういうものにつきましては、全く鉛と同等品で、銃に影響を及ぼさない。これも非常に開発等お金がかかると思うのですけれども、なかなか単価的に、また製造的に非常に難しい。スチールのほうがまだいいのですが、今度、性能ということについては非常に問題がある。

 海外から調達することも可能ですけれども、特にライフル実包とかにつきましては、アメリカの銃規制という言葉が出た瞬間に、アメリカのマーケットが物すごい勢いで動きます。日本のマーケットというのはほんの数%のマーケットですので、ほとんど現状では、オバマさんの規制という言葉が出た瞬間に日本に入ってこなくなります。もちろん、あと火薬が入ってこないと思います。それから部材も。

 ですから、大分、北海道でご苦労されている、撃ちたくても、もう部材がなくなって撃てないとか、そういうこともございます。ですから、本当は国産化をして私どもメーカーで生業がございますので、そういうところで生活している者が、そういうことで製造していければそれにこしたことはないのですが、なかなか難しい状況というところでございます。

【小泉委員】 ありがとうございます。

 以上です。

【日本猟用資材工業会】何かございますでしょうか。

【石井委員長】 ほかにいかがでしょう。よろしいですか。

【日本猟用資材工業会】 私どもも環境につきましては、WFSという環境団体がございまして、世界の銃器メーカー、私どもと同じようなメーカー団体がたくさん入っているところで加入しておりまして、そこでの情報収集というのを行っているのですが、今のところ大きい動きというのはなかなかないのが現状です。今年も来月にそういうフォーラムがございますけれども、その報告を聞いてもあまり変化がないので、必要とあれば何か資料とか見つけていきたいとは思っておりまして、現状の素材につきましても、研究開発ということを重ねて、ご提供できるような体制にしていければと思っております。

 ただ、今のところ、鉛にかわるものというのは、なかなか難しい。意外と暴露しなければ安定しているというところもございますので、それにかわるものというのはなかなか難しい。これからの私どもの課題でもございます。

 以上でございます。ありがとうございました。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 それでは5題目ということですけれども、一般社団法人大日本猟友会会長、この委員会の臨時委員でもいらっしゃいます佐々木さんから、狩猟鳥獣・狩猟制度のことについてご意見をお願いします。

【大日本猟友会】 よろしくお願いします。ペーパーはありますけれども、時間の関係上、簡単に説明させていただきます。4点ほどの提案でございます。

 1番は、狩猟及び狩猟者の役割といいますか、そういうものについての私どものいろんな考え方を申し上げたいと思います。先ほども話があった狩猟者が高齢化や、あるいは減少しておるということで、大変ご心配をかけております。一応、国や県のいろんな担い手のためのご指導をいただいて、わなとか、あるいは先ほどあった若い銃猟ハンターも増えてきておりますので、あと二、三年たてば、ある程度歯どめが効くのかなという感じを持っております。特にシカ、イノシシ等については、年間100万頭ぐらい獲っております。そういう高齢化の中にも100万頭獲っていると。特に有害駆除についてはこの五、六年で3倍の捕獲数になっているという状況でございます。今後とも目標に向かって達成をするために貢献しなければと心新たにしております。

 そこで、提言といいますか、考え方を申し上げたいと思うのですが、わが国の鳥獣の管理体制ということを考えた時に、有害捕獲と、これは許可狩猟です。これが中心です。狩猟というものがあくまでも趣味の範疇であると。確かに趣味の部分があります。私はこの考え方についてどうしても理解ができないわけであります。

 法律ではご案内のとおり、狩猟期間というのが明確になっておるわけでございます。10月15日から4月15日。北海道は9月からですけれども、なっています。これはなぜかというと、言うまでもないのですが、ちょうど5月、6月、7月等については繁殖期であるとか、子育てとか、鳥獣のまさに重要な保護の部分があるわけです。そういうことで、極力狩猟期間中に個体数を調整すると。これは当たり前のことであると思いますが、現状はそうなっていないというところに私は非常に疑問を持っている一人でございます。

 ぜひ狩猟期間中にしっかりと個体数調整をして、それでも被害が生ずるという場合は、当然ながら有害捕獲によって、許可捕獲によって対応しようということだろうと思います。今度、環境省もいわゆる認定事業者制度というのを導入されます。これは個体数調整なわけでありまして、そういう意味においても、ぜひ狩猟期に行うということを明確にしていただきたいと思うし、なお、それ以上の被害が出た場合は、当然、有害駆除と。ですから、狩猟時期、あるいは場所を環境省の場合は国、県ということ。有害の場合は市町村ということですので、そういうすみ分けというものをしっかりとつくっていただきたいと、これが第1点であります。

 2点目は、モニタリング。先ほどちょっとあったのですが、日本の特にイノシシ、シカについては、戦前はあのような状況で、乱獲によって絶滅の危機を迎えたわけでございます。戦後、一転して保護政策をとった。これはまさにそのとおりだと思います。しかしながら、どんどん保護、保護といっておる中で、行き過ぎた保護政策、これが国民の保護思想になったと。この辺は非常に反省すべきものだろうと思います。

 これはなぜかというと、モニタリング調査というものが明確になっていないわけです。何頭いるのかということも含めて、国民にしっかりと示す必要があったと。それができなかったことによってこのような状況が、大変な状況になったと、こういうことが言えるのではないかと思います。いずれにしても、これからは正確な生息頭数というものをしっかりと把握をするということで、もっとモニタリングというものをしっかりと国が行う、あるいは県が行うと。

 実は、統一もされてないのです。全国統一にもなっていないのです、このモニタリング調査については、シカ等については。北海道は全然別な考え方で、これもいかがなものかと思います。同時にまた、都道府県と市町村でも、これまた違うというような状況がございます。この辺をしっかりと統一したものを考えていただければありがたいなと思います。これからまたまたでいいわいいわととっておったら、いずれ戦前のような状況になりかねない。いつなるかわかりませんので、しっかりとモニタリング調査をして、国民に示して、そして適正な生息になるまでしっかりと捕獲をしていくということになるのだろうと思います。

 我々もどのようにしたら正確な生息調査ができるのかということで、今世界的にもなかなかこれは確立させていないわけですけれども、4月ぐらいにはぜひ発表をしたいと思います。かなり正確な数値が出る方法を考えつつございますので、いずれ発表する機会があると思います。

 そういうことで、何とかしっかりとしたモニタリング調査をお願いしたいということが第2点目。

 第3点目は、今の野生鳥獣の管理体制といいますか、保護管理をするために、省庁だけでも6省庁、7省庁ぐらいの法律であったり、関係するわけであります。そうしますと、どうしてもその連携というのが必要だと思うのですが、なかなか実際は省庁間の連携も非常に少ないというふうに思います。その連携、例えば現場でいいますと、環境省は個体数調整、農水省は有害、同じことなのです。現場では同じなんです。だけどもそういう違ってくるというようなことであっては、非常に混乱を招く場合があるということで、そういったことも含めてきちんとしたものにしてもらいたい。

 また、いろんな大学であったり、学識経験者なり、皆さんいろんないい意見が出ているんです。それをどうやってその辺にやるのかという、そういう仕組みもない。あるいはまた我々のような民間団体。今日は野鳥の会の方がおみえですけれども、昔は非常に保護団体と狩猟団体が背中合わせと、非常に残念な時期を迎えたわけでありますが、今はいろいろと情報交換したりするようにしています。そういうことも含めて、アメリカなどでは大体ほとんど事務所は一緒です、保護団体と猟友会というのは。そういう形での連携が必要だろうと。

 そういう意味を含めて、そういう全体をカバーするような官学民といいますか、そういうものの組織をつくってはどうかと。野生生物管理云々とか、仮称ですけれども、そういうものをつくって、年に1回、2回、協議する場をつくっていただきたい。そうすることによって、本当に野生鳥獣の保護の管理というものがしっかりしたものになるのではないかなと思って、これ提案でございます。お願いしたいと思います。

 次に4点目は、鳥獣保護員なのですが、大変鳥獣保護員の仕事ももともと鳥獣保護の方でやっておったのですが、それでもどんどん県によっては減っております。そしてまた報酬もどんどん減っていると。

 これは、実は報酬等は狩猟税から今まで出しておったわけです。これもまたどういうものなのか、狩猟税というのは目的税なので、それを鳥獣保護員の報酬に充てるということ自体がいかがなものかと思うのですが、どんどん会員が減る、会費が減るということで、非常に苦労されているように思われます。今度は保護管理員というふうになると思いますが、そうしますと、この狩猟の部分にまで入ってくるのかなと。もうそうなったら本当に大変だと思いますし、いずれにしても、県自体も大変財政が窮迫しておりますので、その鳥獣保護員の財政支援をお願いしたいということと。

 我々、大日本猟友会は狩猟指導員ということで配置をしております。大体70人に1人ぐらいの割合で狩猟指導員を配置しておりますが、なかなか我々も、前は幾らかの報酬等もやっておるのですが、今は無報酬でいろいろやっていただいております。特に今わなの事故が非常に多いんです。銃のほうは大分、皆さんいろんなことをやる。わなはなかなか難しい。今、件数にしたら大体4割ちょっとがわなの事故であります。ですから、そういう人に対する指導というものが必要だと思うのです。

 ですから、何か適正狩猟指導員といいますか、大日本猟友会で行っている狩猟指導員等、そういうものを、お金をいただきたいというのではなくて、何か国の方でこういうことでお墨付きをいただいて指名していただけるような、そうすることによって指導員は一生懸命努力するだろうというふうに思いますので、その辺も含めて狩猟指導員の対応についてもお願いをしたいと。

 以上です。ありがとうございました。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 それではご質問、ご意見お願いします。いかがでしょうか。

 第1点目のことなんですけれども、このご提案では、指定管理事業と有害鳥獣捕獲事業とそれから一般の狩猟ですか。実施時期、実施場所を明確に区別するということが書いてあるんですけれども、こういうふうにしないと、どういう問題が起きる、あるいは起きているというふうにお考えなのか。そこを伺いたいのですが。

【大日本猟友会】 全国、全部一緒とは言えませんが、ちょっとうちの岩手県の例を申し上げますと、今年から正式にいわゆるこの指定管理鳥獣捕獲等事業が始まるわけです。その前段として去年もやっておるわけですが、どうしても有害駆除、要するに岩手県猟友会が有害駆除も市町村のをやっておると。それとまた同じ時期に、例えば指定管理鳥獣捕獲等事業をやるというふうになりますと、同じ人が同じ時間にやるわけです。どっちがどうなるんだと混乱を招くのです。ですから、有害は5月で10月にはもうやめましょうということで市町村にお願いしてあります。

 でも、なかなかその理解がもらえない場合があります。11月もやるんだということもあります。そうなると、指定管理鳥獣捕獲等事業に参加しようと思っても、その地域の人は参加できないことになります。

 ですから、すみ分けをして、いろんな団体がいれば別なのですが、岩手県の場合はそういうことで、岩手県猟友会が両方請け負っておるということでございますので、そのすみ分けをしっかりしないと混乱を招くということになろうかと思います。

【石井委員長】 一つの問題はわかりました。

 ほかにいかがでしょうか。特によろしいですか。

(なし)

【大日本猟友会】 ありがとうございました。

【石井委員長】 どうもありがとうございました。

 それでは、6番目、最後のヒアリングをお願いしたいと思います。米原市の経済環境部林務課の主任の日下部様から、市町村の立場で地域ぐるみの鳥獣対策についてご意見をお願いします。

【米原市経済環境部林務課】 米原市役所林務課の日下部と申します。今日は米原市のほうで行っておりますニホンジカの捕獲について簡単に説明させていただきたいと思います。ちょっと座って説明させていただきます。

 まず、米原市は滋賀県にありまして、琵琶湖の東部に位置しています。北は長浜市、南は彦根市や多賀町に面していまして、東は岐阜県と隣接しています。人口は4万人で総面積の63%が森林となっています。米原市の北部に位置しています伊吹山は、日本百名山の一つでして、山頂部のお花畑は天然記念物に指定されています。しかしながら、数年前からシカによる食害が顕在化していまして、貴重な植物群落が損なわれて問題となっています。

 また、南に位置しています霊仙山は隣の多賀町とまたがって位置していまして、路網が十分でないことから捕獲の空白地帯というふうになっています。そのため、シカの生息密度が非常に高く、不嗜好性植物が繁茂しています。さらに市の最北端に位置しています国有林では、多雪地域で、これまでシカの密度が低い地域とされていましたが、一部では剥皮被害が確認されまして、潜在的に被害が深刻化しているというふうに考えています。

 今日はこの伊吹山、霊仙山、国有林の三つの地域にスポットを当てまして、シカ捕獲の取組を紹介したいと思います。

 まず、シカの生息状況ですが、滋賀県全体では4万7,000から6万7,000頭生息していると推定されていまして、このうち米原市と隣の長浜市で構成する湖北地域では、約1万1,000から1万6,000頭生息していると推定されています。生息密度としましては、1キロ平方メートル当たり22から31頭となっております。左下の図は、この湖北地域の糞塊密度の推移を表しています。右肩上がりで増えていまして、平成21年度ころから急速に糞塊密度が上がっています。

 次に、右の図をご覧ください。こちらは滋賀県内のメッシュ別糞塊密度を表していまして、赤く表示されているところが糞塊密度が高いというふうになります。米原市はこの辺りになるのですけれども、南のこの地域が霊仙山の辺りでして、県内で最も高い糞塊密度というふうになっております。

 左上の写真は霊仙山の山頂付近で、昼の3時ごろに撮影したものです。8頭のシカが写っているのですが、このように日中でも多くのシカが目撃されています。左下の写真は霊仙山の林内の写真でして、剥皮被害が散見されていますし、真ん中の写真は不嗜好性植物のイワヒメワラビが大群落を形成しています。

 右中央の写真は伊吹山の山頂のお花畑の回りの部分ですけれども、シカの大規模な沼田場が確認されています。

 右下の図は同じく伊吹山のシカ道のある場所でして、この黄色い点線部分が草本の根がある部分なのですが、10センチから20センチの土壌流出が発生しています。

 次に、第二種特定鳥獣管理計画の概要について説明させていただきます。当面の目標としましては、平成22年度の推定生息数4万7,000から6万7,000頭を平成28年度末までに半減させるというふうになっておりまして、最終目標は1キロ平方メートル当たり4頭で8,000頭となっております。当面の目標に向かいまして、年間捕獲目標は1万6,000頭、うちメスは6割の9,600頭となっております。米原市はこのうちの1,500頭というふうになっております。

 こちらのグラフは米原市内のシカの捕獲数の推移を表しています。平成22年ごろまでは約200から400頭の間で推移していまして、捕獲目標1,500頭とはかけ離れた状態となっておりました。平成23年からは対策を強化しまして、少しずつ目標に近づいてくるようになりました。平成28年度には1,485頭まで増えまして、概ね捕獲目標を達成しています。これまで米原市では捕獲の担い手として地域の猟友会に完全に依存してきたわけなのですが、その猟友会の高齢化が課題となっております。

 こちらの面グラフは猟友会の年代別の従事者の数を表しています。面グラフの全体の推移に着目していただきますと、従事者数は微増の傾向にあることがおわかりいただけるかと思います。平成23年から狩猟免許取得の補助制度を始めましたので、そのことが影響しているというふうに考えています。年代別では近年20代の従事者も現れましたが、折れ線グラフで表しております平均年齢は上昇傾向で、少しずつ高齢化が進んでいる状況です。

 米原市では近年、捕獲数が増加傾向にありますが、今後さらに捕獲圧を高める必要がありまして、また、持続的な捕獲の実施や捕獲の空白地帯での取組、猟友会の高齢化など、捕獲体制の課題は山積みだというふうに捉えております。そうしたことから、当市では新たな捕獲体制の整備を始めております。

 まず一つ目に、こちらは従来からの取組ですが、猟友会さんによる伝統的捕獲ということで、巻き狩り猟やくくりわな等を中心に捕獲の多くを担っていただいております。

 二つ目に、実施帯を中心としたわな捕獲です。特措法に基づきまして、市職員と民間隊員、22名による実施隊を編成しております。AIゲート等の大量捕獲技術を導入しまして、わな猟を進めています。また、狩猟免許を有しない従事者容認事業による地域ぐるみの捕獲を行っております。こちらにつきましては、狩猟免許を持っている実施隊の監督下で狩猟免許を持たない地域の方が補助者として捕獲作業に従事していただくというようなものになっております。

 三つ目に、高標高域・奥山での広域管理捕獲となっております。シカの生息密度が高い地域、捕獲が進んでいないような鳥獣保護区や市町村界等で県事業による捕獲が行われています。霊仙山では県内の猟友会員による捕獲隊を編成しまして、山腹を中心に巻き狩り猟が始まっております。また伊吹山では、専門的・職能的捕獲技術者による流し猟式誘引狙撃が行われております。

 四つ目に、森林管理署と連携した捕獲です。捕獲の空白地帯となっている奥伊吹国有林では、捕獲を新たに始めるために平成28年度から侵入・捕獲状況等をリアルタイムで把握できるICT等捕獲技術を導入しようというふうに考えております。この捕獲では、森林管理署の職員の方に補助者となっていただきまして、捕獲活動に参加していただくというような計画となっています。

 もう少し詳しく地域ごとの取組を説明させていただきたいと思います。まず、伊吹山の取り組みですが、シカの基本的な情報を得るために、GPS首輪やライトセンサスなどによる調査を行いました。その調査結果を踏まえまして、捕獲方法を複数の方法を選択して試行的捕獲を実施し、捕獲効率の検証を行って効率的な捕獲を検証しようというふうに計画しました。

 この図はGPS首輪を装着して、各個体の行動圏を図化したものとなっております。9頭のシカに首輪を装着しまして、色の違いが個体の違いを表しています。山頂はこの辺りになります。県境がこの中央の1点鎖線になりまして、右側が岐阜県となっております。シカは山頂から低標高域まで大きく季節移動をしていることがわかりまして、行動圏面積が最大でありましたのは、このIB04の紫のメスの個体で、約11キロ平方メートルでした。

 季節移動には大きく分けて二つの系統があることがわかりまして、一つは山頂から3合目付近に移動するものと、もう一つは岐阜県側に移動するものがありました。こちらの図はGPS首輪を装着した個体の日平均の標高と米原市気象観測所の積雪深の変化を表しています。下の棒グラフが積雪深でして、上の折れ線が標高を表しています。積雪があるときには標高を下げて、融雪とともに標高を上げていることがおわかりいただけるかと思います。そうしたことから、シカが下りてきた積雪期に越冬地として利用している3合目付近を中心に試行的捕獲を行うこととしました。

 試行的捕獲では、複数の捕獲手法を一定の人口数の範囲で行いまして、捕獲効率の計算値を算出しました。捕獲方法は、箱わな、立木囲いわな、小型囲いわな、流し猟式誘引狙撃を選択しました。捕獲効率を算出した結果、最も高かったのは立木囲いわなで、次いで小型囲いわな、流し猟式誘引狙撃となっております。当地域はもともと捕獲の空白地帯であったことから、スマートディアが生じにくい方法である囲いわなや流し猟式誘引狙撃は捕獲効率を継続的に維持できるというふうに考えております。

 これまでの試行的捕獲を踏まえまして、平成27年度からは実施隊と地域ぐるみによるわな猟を進めております。また、滋賀県事業において流し猟式誘引狙撃がスタートしました。

 平成27年度の捕獲実績としましては、現時点で83頭の実績となっておりますが、メスの割合が45パーセントと低いことから、さらなる捕獲圧の強化が必要だと考えております。

 次に霊仙山での取り組みについて説明させていただきます。霊仙の課題としましては、同じくアクセスが悪く、捕獲の空白地帯となっておりまして、特に山頂付近のシカ密度が極めて高い状態となっております。こうしたことから、地域ぐるみの捕獲推進モデル事業によりまして新たな担い手として補助者を養成し、農地周辺での捕獲を進めることとしました。また、滋賀県事業によりまして、県下猟友会員による捕獲隊を編成し、山腹を中心に巻き狩りがスタートしました。

 霊仙山での地域ぐるみの捕獲について紹介させていただきます。

 計画では、地域住民の協力を得るために、まずは農地や集落周辺で地域ぐるみの捕獲を進めることとしました。方法は、シカを群れごと捕獲するために囲いわなを選択し、誘引効果が高まる冬期にシカが利用しやすい針葉樹林内を中心に捕獲を進めることとしました。このことは結果的に、高標高域から季節移動した個体も捕獲できるかもしれないというふうに考えていました。

 平成24年から26年の3カ年の実績としましては、25人の補助者を養成し、囲いわな15基を導入しまして、シカ139頭を捕獲しました。霊仙はシカの密度が高く、また不嗜好性植物が繁茂しているために、餌付けの誘引効果が非常に高かったというふうに分析しています。

 こちらは3カ年事業の最終年度として、事業成果を検証するために地域の方へのアンケート調査を行いました。シカの生息数、目撃数、農業被害について、「増えた」「減った」「変わらない」「わからない」の四つの項目でアンケートを行いました。いずれの項目も、増えたと感じた人よりも減ったと感じた人が多く、事業の効果について、一定の評価が得られるというふうに考えております。

 一方、生息数及び農業被害については、変わらないと回答した人が多く、今後も継続した対策が必要であるというふうに考えております。

 次に、右の図では、事業に協力いただいた補助者に対しまして、事業の継続性について質問しました。今後も事業を継続し、さらに協力したいと回答された方は、全体の75%を占めていまして、事業の継続について地域の理解を得られたというふうに考えております。

 3カ年のモデル事業は平成26年度で終了したわけなのですが、このアンケート結果を踏まえて、今年度も地域ぐるみの捕獲を進めているところです。

 次に、国有林での取り組みについて説明させていただきます。

 アクセスが悪く、捕獲の空白地帯となっておりまして、剥皮被害などが確認されております。平成25年12月に環境省、農林水産省から発表された抜本的な鳥獣捕獲強化対策においては、国有林における新たな捕獲技術の提供・普及を図るというふうにされております。

 そうしたことから、国有林での捕獲を始めるに当たって、シカの生息状況を把握するために米原市の実施隊と森林管理所職員による合同調査を実施しまして、ライトセンサスを行いました。当地域はゲレンデの草地になっておりまして、大きな群れが確認されました。シカは森林域では二、三頭の群れで行動しますが、開放地では集団で行動するということから、当調査も同様の結果となっております。調査を踏まえまして、市と森林管理署で捕獲の必要性を再認識するとともに覚書を締結しまして、平成28年度からICT等の捕獲技術を導入し森林管理署の職員が補助者となっていただいて捕獲活動に参加するというようなことを計画しております。

 まとめになりますが、当市では新たな捕獲体制の試みでありますとか捕獲の空白地帯での取り組みについて試行錯誤しながら進めております。事業を進める中では、例えば捕獲効率が低下したときに別の方法を選択するなど、フィードバック管理が重要であると考えておりまして、今後もモニタリングを行いながら、捕獲を進める必要があるというふうに考えております。

 以上で当市の捕獲の説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

【石井委員長】 ありがとうございました。

 それでは、質問、ご意見お願いします。

 お願いします。

【小泉委員】 どうもありがとうございました。捕獲体制ということでお話しいただきましたので、この点に関して2点教えていただきたいと思います。

 1点は、改正鳥獣法との関係です。ご存じのように鳥獣法が改正されまして、指定管理鳥獣捕獲等事業と、それから認定鳥獣捕獲等事業者の制度が創設されたわけですけれども、米原市で、特に前者の場合は滋賀県との調整というふうになるかと思いますが、この点どのように制度を利用・活用していこうというふうにお考えなのか教えていただけますでしょうか。

【米原市経済環境部林務課】 指定管理鳥獣捕獲等事業とか認定事業者の事業については、滋賀県内では始められているのですが、米原市では行われておりませんで、先ほど申し上げました霊仙山での広域管理捕獲につきましては、それとは別の農水省の事業を使って事業を進められています。霊仙山についてはもともと捕獲の空白地帯であったことから米原市のほうではなかなか手つかずの状態でありましたので、県に要望して捕獲が進められたというふうになっております。

 一方、伊吹山のほうについては、流し猟式誘引狙撃を県のほうで進めていただいているのですけれども、こちらは米原市のほうのわな猟も進めておりますので、事業が重ならないように事業期間であるとか実施区域を調整しながら進めております。

【小泉委員】 ありがとうございます。もう一つは、最後にお示しいただきました順応的管理です。

 これは私の個人的な見解を申し上げて申し訳ないのですが、現在のシカ、イノシシの管理の中で、問題になっているというのは、実はPDCAサイクルというのが回っていなくて、PD、PDの繰り返しになっているのではないか、それがきちんとした事業の進展につながっていないのではないかというふうに考えています。

 この点から、米原市の場合どのようにチェックをし、その結果をアクションとしてプランに結びつけているのか。アンケートの報告をいただきましたけども、もう少し詳しく教えていただけますでしょうか

【米原市経済環境部林務課】 こちらのアンケートにつきましては地域の協力が得られたかどうかとか、引き続き協力をしていただけるのかどうかとか、そういった視点を踏まえて実施したものになっておりまして、モデル事業が平成26年度で終わりましたけれども、引き続き27年度も協力を得ながら進めているところです。

 チェックについてですけれども、具体的には捕獲効率を中心にしようというふうに思っておりまして、一つの捕獲方法を進めていくと最初は効率が高くても途中で変動する可能性があるというふうに考えておりますので、そうしたことを常に把握しながら、捕獲効率が下がれば、次の方法を選択する必要があるというようなことをPDCAサイクルの中で説明させていただいたつもりでいました。

【小泉委員】 ありがとうございます。捕獲効率を目的というふうにお話になったと思ったのですが、すみません、ちょっと私見をまた述べさせていただきますと、捕獲効率は個体数を反映する数字であるというふうに一般に理解されています。これは害虫ですとか、水産資源の場合はそうなのですが、シカの場合、捕獲手段に対する警戒心がどのぐらい高いかということがもう一つ関わってきますので。シカはいても、その方法に対してひっかからないよというシカが多くなってしまうと捕獲効率は下がってしまうというようなちぐはぐな状況が生じてしまいますので、もうちょっとマルチな指標を使ってはいかがかと思います。すみません、ちょっと。

【石井委員長】 お願いします。

【三浦委員】 市町村でシカの管理を進めていくということは、非常に大変だと思うのですが、その点で2点ほどお聞きしたいのですけれども。

 一つは、これは先ほどちょっと言っていらっしゃいましたけど、農水の事業と組み合わせる、特措法と組み合わせてやっているかどうかという点と、それから、フィードバック管理を進めるに当たって非常に質の高い基礎的なデータを集めていると思うのですけれども、これをやっているのは一体どなたがやっているのかということですね。市町村の中でこれに対応しているのかどうかということ、この二つ、お聞きしたいのですけれども。

【米原市経済環境部林務課】 一つ目の農水事業等につきましては、県の広域管理捕獲なんかは農水事業のほうの都道府県広域管理捕獲一斉事業というのがありまして、その枠組みを使って実施されております。また、農水省のほうの交付金事業では、捕獲機材等の購入ができますのでそういったものを購入しまして実施隊が活用しているというようなことで捕獲を進めております。

 二つ目の調査等モニタリングですけれども、24年から26年の3カ年につきましては県からの補助金を受けまして委託を進めていましたので、そういったデータを基に行っております。

【三浦委員】 両方とも米原市それ自体じゃなくて、県の主導の中で米原市が動いたという格好なのですか。米原市それ自体は県の指示のもとでやっているということですか。

【米原市経済環境部林務課】 そうではなくて、財源が県のものであって、主体は米原市と。

【三浦委員】 そうですか。

【米原市経済環境部林務課】 はい。

【三浦委員】 後半のやつは、これは一体全体、どこへ委託を出しているんですか。委託事業だとお金もかかったんだろうと思うんですけれども。

【米原市経済環境部林務課】 野生動物保護管理事務所です。

【三浦委員】 わかりました。どのぐらいの金額なのですか、これ。

【米原市経済環境部林務課】 3カ年でして、初年度が900万……、ちょっと記憶が曖昧なので。

【三浦委員】 まあ、そのぐらいのレベルで。

【米原市経済環境部林務課】 はい。

【三浦委員】 わかりました。

【石井委員長】 よろしいでしょうか。

(なし)

【石井委員長】 それでは、予定のヒアリングというのはこれで終了です。

 ここで一旦昼休憩とりますので、午後は13時からここで再開したいと思います。

 それじゃあ、事務局お願いします。

【事務局】 ありがとうございます。

 事務連絡させていただきます。午後の審議にも参加いただく委員の皆様にはお弁当を用意しておりますので、事務局よりお受け取りください。お手洗いは会場を出て突き当たりです。喫煙室は、会場を出てエレベーターホールを抜けた右手になっております。昼休み中、この会議室は施錠をいたしませんのでご協力をいただきますようお願いします。

 あと、傍聴者の方々につきましては、申し訳ございませんけれども一度貴重品を持ってご退出いただきまして、午後の会議開始までに改めてご参集ください。どうそひとつよろしくお願いいたします。

(休憩)

【事務局】 それでは、時間となりましたので、午後の部を始めさせていただきます。

 出席者についてですが、磯部委員、小泉委員におかれましては、午前中のみのご出席と承っております。午後はご退席されておりますので、ご了承ください。

 あと、環境省の出席者ですが、審議官の亀澤は午前で退出いたしまして、かわりまして自然環境局長、奥主が参っております。奥主をご紹介させていただきます。

 資料の確認でございます。午前中の部で使った資料の資料2、今日の午後、使用する予定の資料がつけてございます。資料を順にご説明いたします。議事2で用いる関係資料で、資料2-1、2-2、2-3-1に別添が1、2、3、4とついています。その次、資料2-3-2、資料2-4-1、資料2-4-2がカラーのパワーポイントの資料になってございます。資料2-5、資料2-6-1、2-6-2、資料2-7、資料2-8-1と来まして、次が資料2-8-2がまたカラーのパワーポイントの資料となっております。資料2-9-1、2-9-2、そして2-10、これで本編の資料が全てでございます。

 その次に、大きなクリップでとめております参考資料がございます。かなりボリュームがありますので、ちょっとご紹介は差し上げませんが、基本的には都道府県アンケートをとらせていただいた基本指針の構成に関する各県さんのご意見と、議事に沿った基本指針の抜粋という組み立てになってございますので、順次、テーマにあわせてご確認いただければというふうに思っておるところです。

 もし、足りない資料等、お気づきの点があれば事務局のほうに言っていただければというふうに思います。各参考資料の番号ごとに仕切り紙を入れておりますので、それを見ながらご参照いただけるかと思います。

 それと、午前中の部でヒアリングの際に、神奈川県、山根部長への委員からのご質問の中で、猟区の入猟者数、それから捕獲数についてのご質問をいただいたのですが、先ほどお電話いただきまして、26年度の数字をお伝えしますというふうに賜っておりますので、申し上げます。

 神奈川県の中で三つ猟区がある。その三つの合計として、平成26年度入猟者数は464名でしたと。捕獲数は131頭でしたと。一部の猟区で十分な入猟者が確保できなかったがために、やや少ない目の数字になったであろうというふうにコメントをいただいているところです。以上、ご紹介でございました。

では、ここからの議事進行につきましては、石井委員長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 それでは、午後の部を始めたいと思います。少しさみしくなってしまいましたけれども、よろしくお願いします。

 議事次第の二つ目で、現行の基本指針の修正の方向性についてという議題です。

 具体的な基本指針の中身に入っていきたいと思います。

 まず、事務局から説明をお願いします。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 それでは、資料2の枝番がついている資料について、説明を申し上げます。

 まず、資料2-1をご覧ください。これは、基本指針の大きな構成上の修正の考え方をまとめたものになります。1ポツですが構成の整理と文章量の削減ということで、資料2-2のほうを見ていただきますと、基本指針というのは大きく四つの事項で構成されています。I番、II番、III番、IV番で構成されていまして、IとIII、資料2-2のほうを見ていただきたいと思いますけれども、IとIIIの事項につきましては、項目と内容の重複が見られております。特にIの部分というのは、鳥獣保護管理事業の体制や考え方、トピックとなるべきような事項を記述しておりまして、IIIのほうについては都道府県が策定する鳥獣保護管理事業計画に記載すべき個別制度の運用などをまとめております。

 ですので、このIとIIIで重複している部分というのは、個別制度の運用の部分はIからIIIのほうに移行してIIIのほうでまとめて記述すると。Iの各項目につきましては、資料2-1の2ポツ目に書いてあるとおりに、Iの部分というのは前回策定後から5年間の社会的変化と審議会での議論、今後生じる課題というものを中心に記述をして、構成も資料2-2の上の図にあるとおり、現在12の項目からなっているのですが、それは資料の上の図のとおり六つの項目にまとめたいと考えております。

 IIIの各項目につきましては、これは法定事項でございますので、項目の改変は行わないで、Iと重複する部分はまとめて記載をしたいと思っております。

 ちなみに、資料2-2の下の図の資料3と書いてあるのは、これは訂正がございまして、資料2-3というのが抜けております。申し訳ございません。全て、資料3、資料4と書いているのは、資料2-3、資料2-4ですので、申し訳ございませんが訂正をお願いいたします。

 今回、ご議論いただきたい論点というのが、前回の鳥獣小委で整理をしました論点ということになりまして、それが資料2-1の2ポツにある資料2-3から2-10に関することについて、今回の論点としてご議論いただければと思っております。資料2-2の裏を見ていただきますと、そこはIIとIVの事項でございますが、これは鳥獣法の改正に伴って、昨年度基本指針の改定で追加した事項ですので、構成の大きな変更はしないと考えております。

 それでは、本日のメーンテーマである論点に移りたいと思います。

 資料2-3-1は、説明者を交代します。

【事務局】 鳥獣保護区の指定に関する記述の主な論点に関しては、野生生物課の計画係長の桝からご説明をさせていただきます。

 一言で言いたいことを申しますと、特に森林鳥獣生息地の保護区において指定の必要性などを改めて点検をして、その場に合った形での制度の適用などがなされるよう促せないかというところでございます。

 資料を順に追って説明をさせていただきます。

 1番目、基本指針における主な記述箇所でございますが、鳥獣保護区の指定に関する記述は、基本指針の中のIIIの第二の3に鳥獣保護区の指定区分と指定基準が、その次の4に特別保護地区に関する規定がございます。お手元に基本指針の冊子があると思いますけれども、具体的に言うと31ページのところになります。

 31ページを開いていただくと、その下段のほうに、鳥獣保護区の指定区分及び指定基準と書いてございます。現行の規定では、鳥獣保護区の種類ごとに、最初に「森林鳥獣生息地の保護区」について記載され、森林に生息する鳥獣を保護するため、大規模生息地の保護区を除き、森林面積がおよそ1万ha、北海道に当たっては2万haごとに1箇所を選定し、面積は300ha以上になるよう努めるものとするというふうにございます。

 ページをめくっていただきまして、32ページ目ですが、大規模生息地の保護区については1箇所当たりの面積は1万ha以上とすると。これは、行動圏が広域に及ぶ大型の鳥獣などの鳥獣相を保護することを目的としています。

 その他、集団渡来地、集団繁殖地、希少鳥獣生息地などの保護区に関して基準上の説明がありまして、さらに33ページのほうで特別保護地区のほうの指定の基準というか説明が、それぞれ同じように各鳥獣保護区の種類ごとに記載をされているというような状況になってございます。

 ここで一回資料に戻りたいと思います。

 2番目の経緯のところです。この鳥獣保護区の制度創設の経緯についてですが、昭和25年に戦後の荒廃期に、非常に高い狩猟圧があったということで、その狩猟鳥獣を保護することを目的に、このとき初めて鳥獣保護区の制度が創設されています。続いて、昭和38年に特別保護地区の制度が創設されました。昭和25年に創設された鳥獣保護区が、特別保護地区の制度に移行して、これまでいわゆる禁猟区と呼ばれていたものが鳥獣保護区に移行しました。このときに、都道府県が一定の密度と面積ごとに鳥獣保護区を指定するための基準が定められました。今、申し上げたような森林面積が概ね1万haごとに1箇所という基準です。

 この時点で現行の体制ができたというふうに考えておりまして、この現行の体制が今、2016年ですので、約50年間このままの状態で続いているという状況であると考えています。

 昭和52年になりますと、鳥獣保護区の指定区分が創設されまして、これまでの鳥獣保護区は、今申し上げた森林鳥獣生息地の保護区に該当することとなり、その他、集団渡来地の保護区、集団繁殖地の保護区など七つの区分が創設されました。

 ここで、別の資料をつけておりますので、1枚めくっていただいて別添1をご覧ください。指定状況ですが、①森林鳥獣生息地の保護区が都道府県の指定のみで1,961箇所、約177万haと、数も面積も一番大きい状況になっております。その下が②大規模生息地の保護区となっておりまして、これも比較的規模が大きいものとなっています。その他のところは、集団繁殖地とか集団渡来地とか、希少鳥獣生息地とありますが、これらは希少な鳥獣の保護とか、あるいは国際的な渡り鳥ネットワークの保護とか、そういった重要性もあって、これらの保護区に関しては、特に国指定では最近増えている状況です。

 続いて、もう1枚めくっていただきまして別添2のところですが、先ほどの指定基準でも触れましたが、森林鳥獣の生息地の保護区は大規模生息地の保護区と密接な関係がありまして、基本指針の記述を見るとこの資料に示した概念図で整理できるのではないかなと考えています。

 大規模生息地が、いわゆるストックというか供給源になっていて、周辺に1万haごとに、北海道だったら2万haなのですが、1箇所、繁殖拠点を設けるというような、そういう感じです。特に戦後、その直後、シカ、イノシシはほとんどいなくなったような状況のときに、面的に広くこれらを回復するために、どうしたらいいかと考えたときに、やはり1万ha、1箇所ごとにちゃんと狩猟が行われない場所を設定して、日本国土全体、面的に広くシカ・イノシシを含めた狩猟鳥獣を回復していくというような考え方があるのではないかなというふうに考えています。

 資料の本編のほうに戻らせていただきます。

 3番目の課題のところです。特に近年はイノシシ、シカなどの特定の鳥獣が大幅に増加して、生態系や生活環境、農林水産業への被害が深刻化しているという状況です。狩猟者が大きく減少して、鳥獣を取り巻く状況も大きく変化しています。自治体においては、地域から鳥獣保護区の解除や縮小の要望が出てきて対応に苦慮しているというような状況です。

 地域の方々の同意が得られないから、鳥獣保護の更新ができないため、そのまま終了してしまう、期限で終了してしまうというような、受け身の対応が最近目立ちつつあるのかなと、日々の業務で感じております。

 森林鳥獣の生息地の保護区には、これを実際によく見ると、イノシシとかニホンジカを保護することを主目的とするような、必要性が乏しくなったものとか、指定の目的が不明確な鳥獣保護区が見られるのではないかと、一方で感じております。

 これは一例ですが、3枚めくっていただいて別添4をご覧いただきたいのですが、ケーススタディをしてみたのですが。イノシシとかシカを主目的とする森林鳥獣生息地の保護区というのが意外とありまして、一番上の事例1ですけれども、結構これは全国的に赤、つまりシカの密度が高い地域で、シカが保護対象の一つ、又はメインになっているような鳥獣保護区があったりします。名称は伏せて、仮にK鳥獣保護区と書いてありますけれども。

 その下のところの鳥獣保護区も、同じ鳥獣保護の位置図と、シカの密度と植生図と並べて書いておりますけれども、これも全国的に高密度のところで、なぜか植林地を中心に指定されている、カラマツの植林地を中心に指定されているようなものがあったりします。

 ただ、よく見てみると、これも植林地で、温泉街の後ろにあったりして、実はイノシシ、シカを守る鳥獣保護区ですということですけれども、温泉街の裏で静穏を保つための目的というところが実は核心なのではないかと推測されるようなものがあったりします。

 ここでまた本編に戻っていただきまして、こうした状況を懸念して、特に森林鳥獣の生息地の保護区の状況を踏まえて、3番の記述の主な論点のところですが、このような森林鳥獣生息地の保護区のうち、シカ、イノシシがたくさんいるのにそれを保護する目的をしているというように、既に指定の必要性が失われ、または、指定の効果が乏しくなったものについては、その対応を検討することを都道府県に促すことによって、対応が促進されるような基本指針の書きぶりを検討したいというふうに考えております。

 例えば、今申し上げたような例も含めて、対応の方向というのはどういうものが考えられるかというと、一つは例えば特例休猟区です。これは、いわゆるシカやイノシシを獲ることはできるけれども、他のものは休猟のような形にするものです。特例猟具使用禁止区域のような、静穏を保つためならば銃を使ってはいけない区域にするというのも一つの手ですし、こういった他の制度の移行とか、あるいは解除するという選択肢もあると思います。

 その他、鳥獣保護区を維持するということもありまして、他の指定区分の集団繁殖地とか、そういったものに変更する。つまり、イノシシ、シカは当然いるけれども、他の森林性鳥類、キツツキとか、いろいろいるわけですけれども、そういったものを目的とする保護区だということを明確にするというような形で、計画書を見直して鳥獣保護区の位置づけを見直すというような対応もあると思います。

 受け身的に、地域の同意が得られないから終了してしまうとかということではなくて、県がちゃんとそれぞれの森林鳥獣保護区の中身を点検して、そこにふさわしい制度は一体何なのかというのをしっかりと考えていただく。積極的な対応を県のほうから提案をして、地域と相互に納得できるような流れをつくっていけたらと思います。それは、やはり指針の中で、こうした点検をしっかり促していくというような方向性を形作ることによって、県全体にわたってそういうような対応がなされていくのかなというふうに考えております。

 この資料の説明は以上です。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 続けて、資料2-3-2をご覧ください。

 こちらは、鳥獣保護区の管理に関する論点でございます。この2ポツを見ていただきますと、鳥獣保護区の管理の観点としましては、生息環境の管理についての論点があると考えております。

 参考資料3-1の最後のページのところに、鳥獣保護区の指定管理等の調査ということについての記述がございます。そこに書いてあることというのが、指定管理等を適正に行うためには、鳥獣の生息状況、生息環境、被害等の調査を行うものとすると記述されていまして、その調査結果を鳥獣保護区の保護に関する指針ですとか、保全事業の実施などを鳥獣保護区の管理に活用することについての記述というのは、現時点ではございません。

 こういった調査について、鳥獣保護区の管理ですとか保全事業、保全事業というのは鳥獣法の中で鳥獣保護区の指定後の環境変化により、鳥獣の生息環境が悪化した場合に、生息環境改善のために行うものを保全事業としておりますけれども、そういった管理のための事業がつながるような記述をするべきではないかと考えております。

 また、その下のポツの鳥獣保護区の調査でございますけれども、こういった調査においても、特別な技術が不要な調査というものは、安全性を配慮しながら、地域住民や住民の、保護に関心のある方たちに協力してもらうとか、そういった市民やNPOなどの民間団体と連携して、市民参加型の調査手法とか、そういったものについて記述すべきではないかということが考えられると思っております。

 なお、参考で参考資料の3-2に、鳥獣保護区の管理についてという参考資料をつけております。これは、現在、国指定鳥獣保護区において、どういうような管理をしているかというものをまとめたものになります。

 実際、国指定鳥獣保護区になりますと、参考資料3-2の2番、(1)通常管理としては職員などが巡視をしたり調査をしたりとか、その裏のところで(2)保護鳥獣に影響を及ぼすような鳥獣や動物の除去、予算事業でグリーンワーカー事業というものがございまして、そういったもので水草を除去したりとか、シカの捕獲をしたりとか。先ほど申し上げた、法律に基づく保全事業、こういったものも11箇所で実施されていると。

 その実施状況というのが、その次のページの鳥獣保護区における生息環境悪化要因と対応状況ということで、現在の国指定鳥獣保護区において、どういうものが生息環境悪化の要因となっているか。それらの悪化に対して、どのような管理、例えば法律に基づく保全事業ですとか、グリーンワーカー事業というものがございますので、そういったものによって悪化の要因に対して対応をしているということをまとめております。

 そういった中では、シカについても、自治体と連携して捕獲をしたり、直轄で保全事業をやったりというような形で、現在、対応しているというような状況でございます。

 それでは、資料の2-4-1に戻っていただきまして、資料2-4-1というのが、狩猟や狩猟鳥獣に関する記述の論点でございます。

 参考資料4-2に、狩猟関係の基本指針の記述をまとめて記載をしておりますので、そういったものもあわせてご覧いただきながら、見ていただければと思います。

 資料2-4-1の2番の主な論点でございますけれども、かなり重複しているポイントがある。狩猟は鳥獣の管理に重要な役割を果たしているとか、安全確保や法令遵守が求められるとか、狩猟者の育成・確保が重要である。そういった趣旨の記述が全部を通じて繰り返し見られるということで、重複箇所につきましては、そういった科学的で計画的な保護、管理の観点で、共通の事項ですのでまとめて記述する。制度の運用の部分は、各制度の部分で記載をしていくということで考えております。

 この、狩猟と狩猟鳥獣に関する記述の主な論点としましては、1ポツ目、指定管理鳥獣等の管理の強化が求められていると、そういったことを踏まえて、管理の観点からの記述の見直しを行う。2ポツ目は、狩猟による捕獲というものは、捕獲に関する一定の知識・技能・適正が求められる一方で、狩猟者登録を行った者の自由な意思で行われるという点で、許可による捕獲や事業による捕獲とは異なります。そうした点も踏まえつつ、被害が深刻化している現状を考慮して、狩猟制度に基づく捕獲も管理への貢献が期待される重要な一つのツールであるということを記述できればと思っております。

 これは、参考資料4-1をご覧ください。参考資料4-1というのが、狩猟制度に関する都道府県のアンケートの抜粋が記載をされております。こういった都道府県のアンケート結果を見ましても、狩猟鳥獣の追加指定、こういったものを狩猟鳥獣にしてほしいですとか、狩猟鳥獣の捕獲規制に関して、こういったものを撤廃してほしいということで、都道府県、自治体からも、こういった狩猟制度を使った管理への貢献ということに関する意見が載っております。

 なお、この鳥獣に指定するとか、規制の廃止の議論につきましては、基本指針の答申後、狩猟鳥獣の見直しという観点で、また諮問をして、中央環境審議会の野生生物小委で別途審議をするということになります。

 次に、3ポツ目、狩猟鳥獣の定義について、上記を踏まえた実態に合わせた記述の変更を行うということで、狩猟鳥獣の定義の見直しを検討すべきではないかと考えております。

 これが、資料2-4-2をご覧ください。資料2-4-2の上の図を見ていただきますと、左側に法律上の現在の位置づけが書いています。狩猟鳥獣というのは、希少鳥獣以外で、その捕獲等が当該鳥獣の保護に著しい悪影響を及ぼすおそれのないもので、あと、その下の部分というのが、法律上の位置づけはないのですけれども、実態上、評価しているもの。生物多様性の確保への悪影響。例えば、捕獲をすることで群れを分裂させて、生態系の被害が拡大したりとか、他の鳥獣の錯誤捕獲による影響があるとか、そういうものは実態上、審査をしている。

 また、社会への悪影響。社会的・経済的に著しい悪影響を及ぼすもの。無計画な捕獲による農林水産業ですとか、生活環境への被害の増加とか、そういったものについては、実態上評価しているものについては今回の基本指針の見直し時に明確化してはどうかと考えております。

 この上の図の赤い枠のちょっと外に出た部分、捕獲を推進すべき鳥獣という記載がございます。しかし、この捕獲を推進すべき鳥獣については、狩猟としては捕獲によってその数を減らしていくということが期待されているにもかかわらず、この狩猟鳥獣の要件としては、その鳥獣の保護に著しい悪影響を及ぼさないことが要件となっているということで、これらにつきましては、特にその下の図を見ていただきますと、特に捕獲を推進すべき鳥獣については、法律の位置づけが、現在の保護に著しい悪影響を及ぼすおそれがないかということの要件を、将来、法改正のときなどに、この黄色い枠で囲まれたところ、当該鳥獣の計画的な管理に著しい悪影響を及ぼすおそれがないかと、そういった観点で見直しができないかということを、今後考えていきたいと思っています。

 ただ、今回の見直しは法改正ではなく、現行の基本指針の見直しとしては、ここの部分というのは狩猟行為によって、その生息状況に著しい悪影響を与えるほど捕獲などをされるものではないという解釈をして、種ごとに判断していくしかないと思っております。

 この資料2-4-2の裏をご覧ください。狩猟鳥獣の現在の記載と変更の論点でございます。変更の論点のところを見ていただきますと、狩猟鳥獣の選定の考え方というのは、対象となる種の狩猟資源としての価値、生息状況、繁殖力等の生物学的な特性、地域個体群の長期的な動向、農林水産業の被害の程度。そういったものに加えて、実態上、評価していた生物の多様性の確保の側面というものを追記して、その要件としましては、実態上、現在の狩猟鳥獣の指定のプロセスでございますが、1)地方公共団体や狩猟者などの要請を踏まえ、狩猟の対象となり得ると認められるもの。要するに、狩猟のニーズがあるかどうかということ。それから、2)ですけれども、狩猟鳥獣とした場合に当該捕獲が、①当該鳥獣の保護、②生物の多様性の確保、③社会的・経済的な側面のいずれかの観点でも、著しい影響を及ぼさないものという記述にしてはどうか。実際、この②と③というのは、現在、基本指針には書いていないのですが、実態上、考慮して評価してきたというもので、それを今回明確化したものになります。

 また、その鳥獣の管理の強化が求められていることを踏まえ、狩猟鳥獣の管理に貢献し得るものとして位置づけた上で、狩猟鳥獣の見直しを行うこととするというような変更をしてはどうかと考えております。

 それでは、資料2-4-1に戻っていただきまして、そういった変更と、前回の鳥獣小委のときに、三浦委員から指摘があった最後のポツのところ、放鳥事業に関してその必要性や効果などの把握に努め、それらを踏まえた地域の実情に応じて、その実施内容などについて見直すことが必要ではないかということを考えております。

 この放鳥事業の実態というのが、参考資料4-1の5ページ目に、これは都道府県の事業として放鳥事業を実施した実態が記載をされております。これに、各都道府県のアンケートによりますと、現在、平成26年度でキジにつきましては27県で2万1,000羽が放鳥されていると。ヤマドリについては5県で1,030羽が放鳥されているという状況になっています。

 これらの放鳥獣の事業に関して、都道府県の認識を聞いたところ、それがその前のページの表裏になりまして、都道府県の認識を聞いてみると、例えば最近狩猟税が減収によって、放鳥獣事業というのは減少傾向にありますということ。この放鳥効果については、あまりその効果がわからない、見えないというような認識を持っているという状況でございます。

 現在の基本指針の放鳥獣の記述というのが、参考資料4-2の4ページ目に記述がございまして、放鳥獣に関する取扱いが書いていまして、例えばこの真ん中の(エ)になると、特有の生態系を有する島嶼であって、生態系保護上悪影響を及ぼすおそれのある場合には放鳥しないこと。また、病原体の伝搬などにより、悪影響を及ぼすおそれのないものであるとか、地域個体の交雑を防止するために、地域個体群に含まれる個体を放鳥すると、こういうような記述が、現在もございます。

 こういったものについて、さらなる見直しが必要かどうかということを検討していく必要があると考えております。

 それでは、また資料の2-5に戻りまして、次は鳥獣の捕獲の規制等に関する記述の主な論点でございます。この管理のための捕獲や、捕獲の規制につきましては、鳥獣の保護、違法捕獲、錯誤捕獲の防止、安全の管理、農業者自ら行う捕獲等の推進など、論点が多岐にわたって記述されておりまして、総論的な記述は置かれていなくて、分散して記載されています。記載内容が参考資料5-4のところに書いておりますので、そういった記述もご覧いただければと思います。

 なお、許可基準につきましては、例えば有害鳥獣捕獲許可の目的、それから個体数調整の目的で、一応書き分けてはいるのですが、内容が重複している箇所もございます。こういった重複箇所の修正につきましては、統合して記述をする。捕獲に当たっての一般的な考え方というのは、Iのところに集約してまとめて記載をして簡素化を図りたい。

 あと、鳥獣による被害防止の目的での捕獲に関して、予察捕獲ということについて、かなり詳細な記述がされていまして、例えば基本指針の冊子のほうの45ページを見ていただきますと、予察捕獲について半ページ分くらいいろいろなことが書いております。これは、おそれの段階で捕獲の許可を出すということで、かなり慎重な記載をしております。これは、被害が予見される場合も、本法の許可対象となり得るということを示している趣旨ですので、都道府県が地域の実情を踏まえて適正に実施されるように、現在も、実態として慎重に都道府県等で許可をしていただいているという現状も踏まえ、エッセンスだけ基本的な基本指針の中で記載をしてはどうかと考えております。

 資料2-5、(2)農業者自ら行う捕獲についての主な論点でございますけれども、例えばこれは参考資料5-1、捕獲の規制の都道府県アンケート結果の1ページ目を見ていただくと、これは都道府県のわなによる錯誤捕獲の対応体制について、記載が出ております。この記載を見ますと、錯誤捕獲について、各都道府県で多くの場合は把握ができていないという場合が多いというような状況にある。それを1枚めくっていただいて、農林業者が自ら行う捕獲の推進に関する課題というところで、どういう点を都道府県のほうで懸念しているかというと、捕獲の危険性に対して、例えば錯誤捕獲をした場合ですとか、止めさしを行う場合、そういったことについて安全性の懸念を感じていらっしゃる場合が多い。そういうような都道府県の認識がある。

 そういったことも踏まえまして、資料2-5に戻っていただきまして、(2)のところですが、捕獲に伴う安全及び錯誤捕獲のおそれが少ないことが担保された中での許可基準の柔軟な運用について、記述する必要性があるのではないかと考えております。例えば、現行基準においても、住宅などの建物の中においては、錯誤捕獲ですとか、人の生命身体に対する危険のおそれが少ないということを鑑みて、小型の箱わな、つき網を用いて、または手捕りによる捕獲を行う場合には、狩猟免許を受けていない者に対して許可できるという運用をしております。

 これらについて、農林業地においても、小型の箱わなですとか、そういったものを使う捕獲を行う場合については、狩猟免許を受けていない者に対しても許可できる運用と、そういうものが考えられるのではないかと考えております。

 次にいきまして、資料2-6-1、鉛中毒対策に関する記述の論点でございます。現在の記述というのは、参考資料6-2のところに基本指針で、鉛中毒についてどういう記載がされているのかというのが記載をされております。

 この中でも、制度の運用について個別に言及されている他、指定管理鳥獣捕獲等事業に関しては、捕獲した鳥獣の放置をする場合については、非鉛弾を使用すること。また、捕獲数の増加に伴って回収できなかった捕獲個体の採餌のよる猛禽類等の鉛中毒の被害を防止するという旨が記載されておりまして、指定管理鳥獣捕獲等事業については可能な限り非鉛弾を使用するよう努めるというような記載がされております。

 現行の基本指針には、野生鳥獣の鉛製銃弾由来の鉛中毒の状況などの現状を把握・分析する考え方は示されていないという現状でございます。

 この論点としましては(1)モニタリング体制の整備についての記述を考えておりまして、前回の鳥獣小委でもご報告したとおり、先ほど日本野鳥の会の方からの発表もございましたが、北海道では鉛中毒の症例というのは、かなり上がってきているのですが、本州以南の鉛中毒の症例事例というのは、我々としてもあまり確認できていない。そういう現状を踏まえまして、鉛製銃弾由来の鉛中毒が生じる原因というのは、水鳥と猛禽類で違います。水鳥については、鉛の粒を水鳥が誤飲することで発生するということですので、水鳥の糞便から鉛汚染状況を検査する方法を検討する。

 これは、次のページの資料2-6-2に、今年度、環境省で実施している試験的な調査について記述をしております。資料2-6-2を見ていただきますと、鳥インフルエンザで、現在、水鳥の糞便のモニタリング調査をやっております。このサンプルを鉛中毒調査にも活用するということで、この糞便サンプルから鉛濃度というものを検出できないか確認をしまして、検出された場合はDNA分析により糞便を排出した鳥獣種は何なのか。また、鉛の同位体分析により鉛の由来が、鉛弾なのか、釣りのおもりなのかということがわかりますので、そういったものを把握することを試みるということを、今年度、試験的にやっております。

 こういった調査を通じて、水鳥の鉛による汚染状況というものを把握し、この試験的調査で水鳥の鉛で汚染されているようなホットスポットというものがないかとか、そういったものを把握できればと考えております。

 資料2-6-1に戻りまして、次は②の猛禽類ですけれどもシカ捕獲で死亡した、残渣を食べるときに鉛の破片もあわせて摂食する場合が考えられます。この猛禽類の鉛中毒の状況を直接捕獲することで把握するのは、なかなか難しい。希少獣の場合はなかなか数も少ないということもございますし、直接捕獲することで、希少鳥獣の場合は影響が出る可能性もあるということで難しいと考えております。

 そういったことも踏まえて、指標種となり得るような普通種がいれば、そういった普通種の汚染状況から鉛の汚染状況を推定する手法ですとか、猛禽類の生息地周辺における重機の、鉛の使用状況から、その地域でのバックグラウンドとしての汚染状況を推定する手法とか、そのような影響を把握するために有効な手法を検討する必要があるのではないかと考えております。

 (2)の鉛製銃弾の規制に関する事業や制度についての記述でございますが、これにつきましては、各都道府県のアンケートが参考資料6-1についております。

 参考資料6-1の都道府県アンケートを見ますと、非鉛製銃弾を使用することについてのアンケートをしていますが、非鉛製銃弾のコストが高くて、捕獲事業を発注する場合に支障となると考えている都道府県が44の回答のうち21、半分くらいの都道府県が捕獲事業の支障になり得るのではないかと。また、非鉛製銃弾が木材に残留すると製材の際に製材所の機械が破損するというおそれがあるというのが13、4分の1くらいの都道府県で、そういったことを非鉛製銃弾を使う場合に懸念をされているという状況があります。

 また、資料2-6-1に戻っていただきまして、そういった都道府県の認識も踏まえて、また鉛製銃弾の使用状況、汚染状況を踏まえて、鳥獣保護管理法で用いることのできる制度、現状としましては、多数の水鳥の飛来地となる水域、また大型猛禽類の重要な生息地については、積極的に指定猟法禁止区域制度の活用を図るということが考えられるのではないかと考えております。

 この指定猟法禁止区域というのは、前回の小委員会でもご説明したとおり、現在、北海道全域、北海道以外の区域でも9万4,000haの地域が指定をされているところでございます。

 (3)非鉛製銃弾に関する情報の普及についての記述でございますが、銃弾の硬さの違いによる跳弾の懸念ですとか、性能についての誤解や、実際そういった点があるのかどうか。また、鉛製銃弾と比較した場合の問題が指摘されております。今日は、銃の資材工業会の方も、そういった指摘はされていたかと思います。そういったことについて、きちんと情報を整理した上で、非鉛製銃弾の性能ですとか調達方法について、情報の普及を検討するということが考えられるのではないかと思っております。

 次が、資料2-7をご覧ください。これは、情報基盤整備に関する記述でございます。基本指針の中では、参考資料7-2で、どういったことが記載されているかというのが、まとめて記載をされております。

 この記述内容につきましては、科学的な情報基盤の総論として、科学的な知見に基づいて計画的に進めていくことが必要ですとか、モニタリング、事業実施計画の評価が不可欠、そういった記述が繰り返し見られる。制度運用についても、生息状況の情報把握、動向を把握して評価を行うというような記述が繰り返し見られるということですので、こういった順応的な管理の考え方は重要ですが、ある程度まとめてしまう。Iの第3のところでまとめて記述をして、個別の課題で必要なところは、具体的に記述をしていく。

 記述の主な論点としましては、1ポツ目、評価の考え方を記述して、鳥獣の捕獲に際して収集すべき情報項目について各制度の運用の箇所に個々に記述をする。

 指定管理鳥獣につきましては、捕獲に関する既存の情報、これまでも集めていた種類や位置や数に加えて、新たに捕獲効率や目撃効率の算定に必要な情報についても、全国共通の規格で統一して収集する情報として記述をする。これらにつきましては、環境省が新たに整備する捕獲情報システムにおいて収集してはどうか。これらについては、狩猟、許可、事業、それぞれ情報の制度はめり張りをつけて区別をする。

 指定管理鳥獣の評価につきましては、これらを情報収集で集めたものを基礎情報として、各都道府県の評価の必要性にあわせて、必要な情報を集めて実施してはどうかと考えております。

 次に、資料2-8-1、人材の育成・確保に関する記述でございます。これは、参考資料8に主な基本指針の記述が記載をされております。これの記述の主な論点としては、人材育成・確保については、繰り返し記載されているような箇所がございます。また、研修の内容に関しても、記述に重複が見られるということで、現行の基本指針では技術者の育成プログラムを、どういった形で行うかというのが、体系的ではないということもございますので、重複している箇所につきましては、まとめて体系的に記述すべきであろう。研修の実施の場については、行政者向けと、例えば認定事業者の民間向けと分けて、それらをまとめて記述をして、その項目について共通すべき項目ですとか、地域の実情に応じて設定するというものを区別して記述をすべきではないか。

 見直すべき主な論点としては、資料2-8-2をご覧ください。現在、鳥獣の保護・管理に関する人材育成というのはさまざまなところでやられていて、民間としては大学の学位ですとか、民間講座とか民間資格があったり、行政としては環境省などにより研修を受けて、体系的に専門的な知見を習得していただくということがございます。

 この真ん中に書いてある、環境省が専門家を登録して、地方公共団体を紹介する人材登録事業がございますが、この人材登録事業を通じて、例えば民間であれば、今日の神奈川県のお話も出てきましたが、そういった事業を第三者的にコーディネートする、プランナーですとか調査コーディネーターとか、そういったものがあるとともに、鳥獣の保護の現場の認定事業者、それからそれらを発注する、調整を行う行政職員、それぞれ求められる知見が異なってきますので、それぞれに必要な資質を整理して、人材登録事業について大学の学位ですとか、民間の資格保有者の要件・単位を、人材登録事業に必要な要件を満たしている。そういうような要件や単位を補完するということをして、現在の民間の人たちを積極的に人材登録事業に登録して、人材登録事業の質を高めていくことですとか、登録者数を増やしていくということを目指していく。また、そうした方々が民間で活用される、認定事業者などで活用されることで、相乗効果を上げていけるのではないか。

 行政職員のほうにつきましては、専門的な知見を有する職員として活用されるように促していく。そういうようなことを考えていきたいと考えております。

 資料2-8-1に戻りまして、こういった見直すべきものの論点としましては、各主体が行う育成の方向性について、求められる技術者像は、ある程度共有しながら、行政と民間とで求められる資質は異なるということに鑑みて、それぞれ求められる資質を整理して、行政ですとか民間で、そういった方々が活用されるように促していくと、そういうようなことも記述できればと思います。

 また、捕獲の担い手に関しましては、狩猟のすそ野を広げていく普及の取組、それから認定事業者などのプロの捕獲をする方々、そういったものの育成というのは区別して記載をしていくと。そういう方を育成していくということを記述してはどうかと考えております。

 次に、資料2-9-1をご覧ください。傷病鳥獣救護に関する主な論点でございまして、参考資料9-1-3に、基本指針の記述が記述されております。主な論点としましては、傷病鳥獣救護については、そもそも絶滅のおそれのある種を含めた鳥獣の、野生復帰などによる生物多様性の保全への貢献というもの。それから、環境モニタリングへの活用などの考え方が重要である。

 野生鳥獣の野生とは、山野などにいて、専ら野生鳥獣を捕食し生育している状況を指しております。こうした野生生物については、生と死が繰り返すことで成り立っているのが生態系ですので、本来、野生鳥獣の死も、生態系を構成する一要素である。そうしたことも踏まえまして、人と野生鳥獣との関係の中で、野生鳥獣に対して敬う気持ちを持つこと。生命の共感の考えというものがございます。

 傷病により保護を要する野生鳥獣、弱っている生き物を助けたいという、そういうものを救護するということは、もともと人道的な行為として行われてきたということもあり、鳥獣保護思想上も、生き物を大切に思う気持ちからなされてきた側面というものもございますので、そういった傷病鳥獣救護に関する基本的な考え方を整理した上で、目的や手法の明確化、情報収集の一元化というものを記載したらどうかと考えております。

 鳥獣の管理を行うことが必要な種以外を優先するなど、収容すべき目的、意義は明確化する。大量死や異常な行動をとる個体など、生態系の異常把握につながる情報収集を進める観点から、情報収集・把握の一元化に努める。

 また、地域住民の参画などによる普及啓発という観点では、終生飼養ですとか、リハビリテーションなどに携わるボランティアのネットワーク体制の中での位置づけというものを明確にして、行政が関与する中で、そういった方々が研修等を通じて育成を図り、行政の指導監督など一定の関与の上で民間による積極的な取組を推進することの必要性を記述してはどうか。

 最後の丸ですけれども、鳥獣保護センターというのは、現在、傷病鳥獣救護以外にもさまざまな目的が、役割があるのではないかということで、計画的かつ科学的な鳥獣の保護及び管理を推進するため、鳥獣保護管理、各種調査研究、環境モニタリング、環境教育のための機能も持たせる点について記述してはどうかと考えております。

 次、資料2-9-2、愛玩飼養の目的の捕獲に関する記述でございます。この基本指針の記述は、参考資料9-2-2にまとめて記述をしております。

 参考資料9-2-1を見ていただきますと、愛玩飼養捕獲に関する情報というのが、変遷が最初の1ページ目に書いております。昭和25年に狩猟鳥獣を飼養するなどの飼養許可制度が始まりまして、最初はメジロ、ホオジロ、ウソ、マヒワなど7種に限定される。昭和53年に審議会の答申の中で愛玩のための飼養目的での捕獲については、廃止することが望ましい。昭和54年には種類は5種に限定され、昭和55年には4種に限定され、1世帯1羽となる。平成元年には、飼育には保有許可証や装着許可証(足環)が必要となると。平成11年には、メジロ、ホオジロの2種に限定され、1世帯1羽となる。平成19年にメジロのみとなりまして、1世帯1羽ということで、平成23年の基本指針におきましては、愛玩飼養目的の野生鳥獣については知事の特別な事由が認められる場合を除いて、原則許可しないということになっております。既に許可を得て飼養しているものは、毎年の登録票の更新にて、そういった許可証などを照合して確認をするというようなことになっております。

 この資料の7ページを見ていただきますと、愛玩飼養の捕獲についての現状について書いておりまして、47都道府県のうち、愛玩飼養捕獲については「許可しない」と、もう既に鳥獣保護管理事業計画で明記しているのは40都道府県。残りの7都道府県につきましては、原則許可はしないが条件つきで許可をするといった対応になっております。

 現在、前回の基本指針の改定から許可がされている事例というのは、平成24年で7羽、2件ございまして、平成25年につきましては2羽、1件のみということになっておりまして、その許可された事例を見ますと、野外に出て自然観察ができない身障者の方ですとか、そういった方に限定されて許可をされているとなっております。

 飼養につきましても、新規の飼養許可は原則認めず、以前から飼養していた個体の飼養のみ認めているということになります。

 次の、8ページ目を見ていただきますと、都道府県のアンケートを見てみますと、全体の9割が愛玩飼養捕獲を許可していないというような状況で、現在としてはかなり限定的になっている状況でございます。

 資料2-9-2に戻っていただきまして、愛玩のための飼養の目的の捕獲については廃止の方向で検討を進めている。実態上、我が国の中で許可がされている実態というのは、大分少なくなっている。なくなりつつあるというような状況でございます。

 一方で、これまでの議論の中で、野鳥の愛玩飼養の慣習というものが古くからありますが、愛玩のための飼養の対象が、これが禁止されてしまうと外国産の鳥獣や狩猟鳥獣などに限定されてしまうということについて、これまでも中央環境審議会の議論の中でも問題提起がされておりました。そうしたことを踏まえて、制度上、野生鳥獣に関しては外来鳥獣、狩猟鳥獣のみが愛玩飼養の対象となることについて、鳥獣を愛でることの意味、そういった歴史的な観点、動物福祉的な観点、また、外国から鳥類が連れさられてしまうということは、国外の生物多様性にも影響があると。国内外の生物多様性の確保も含めた、動物を飼養することのあり方について、全面的に廃止する前に、そういった総合的な検討というものが、まずは必要ではないかということを記載したらどうかと考えております。

 次、資料2-10でございますけれども、鳥獣の保護管理の体制に関する記述の主な論点として、参考資料10-1に体制整備に関する記述、参考資料10-2に計画体系に関する記述が記載されております。また、その鳥獣保護管理事業の実施体制に関する事項の中に、鳥獣保護センターなどを記述しております。

 主な論点としまして、重複箇所につきましては、まとめて記載するということ。それから、計画体系など、一部わかりにくい点があれば、そういったものをわかりやすく記述していくことを考えております。

 記述の主な論点としましては、先ほども出てきましたが鳥獣保護センターの位置づけというのが、傷病鳥獣の救護にとどまらず、科学的、計画的な鳥獣保護管理の拠点として位置づけがなされるよう、記述の方向性を検討してはどうかと考えております。

 すみません。長くなりました。以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。

 それで、質疑というのは、今説明していただいた内容がいろいろあるので、資料の2-3から2-10まであったのですけれども、一つずつ進めていこうかと思います。

 何か全体に関することで、ご質問とかありますか。特によろしいですか。

(なし)

【石井委員長】 なければ、論点は2-3からなんですけど、まず、最初に資料の2-1に関して、何かご質問、ご意見があれば。全体の構成についてですね。お願いします。

 とにかく、この基本的な指針は厚くて、どこを見ると何が書いてあるかと、目次はありますけれども、とにかく分量が多いので、これは読む人は大変だなと前から思っていたのですが。重複箇所を整理していくということと、あとは、次の資料2-2になりますけれども、Iのところについては、少し項目をまとめて書くという方針で、それは基本的にはというか、そういうふうにしていただくのはいいかなというふうに思いました。

 いかがでしょうか。資料2-1については、特によろしいですか。

(なし)

【石井委員長】 今、もう資料2-2についてもちょっと触れましたので、2-2についてもご意見とかご質問があればお願いします。

 特に大丈夫でしょうか。

(なし)

【石井委員長】 最後にお話があるかと思いますが、この委員会はあと2回ですね。次のときに、今日議論したことに基づいて基本指針の原案が出てくると。そこでは、もう大分、形になっているということで。そこで修正の必要なところについては意見を言っていただいて、4回目のときには、もうこれで審議会ですか、そちらのほうに出すものとしてよかろうというゴーサインを出すということに。そういう手順で進むということです。

 ですから、何か大きな構成に関するご意見ですとかということについては、できればもう今日、言っていただくというのがいいということです。

 実際できてみないとわからないところもありはしますけれども、一応そういう手順で進んでいくということです。

 いかがでしょうか。私も何か全部理解して、これでいいかなという自信も、少しまだないんですけど。とりあえず、こういう構成でまとめていただくということでよろしいですか。

(異議なし)

【石井委員長】 そうしたら、個別の論点に入っていきたいと思います。

 まず、資料2-3の関係ですが、鳥獣保護区に関する記述の主な論点というところです。資料の2-3-2ですね。ここは資料2-3関係をまとめて議論したいと思います。ご意見、ご質問いかがでしょうか。

【坂田委員】 保護区の指定の考え方ですけれども、今後の方針としても、例えば何ha当たりに何百ha、1万ヘクタール当たりでしたか。二、三百ヘクタールの保護区を設定しましょうというような目標設定があると思いますが、実際にその保護が必要か必要でないかというのは、やっぱり生息状況によって変わってくることですし、面積当たりに必ずしも必要かという状況ではなくなってきているというのが、今までの話だったと思いますけれども。

 実際にその検討の方針なり方向性の中で、イノシシ、シカ以外の鳥獣を保護することを目的とするとか、目的を変更していくというふうなところではありますが。

 ただ、実際には保護区といったからには、とにかく狩猟の場合だと特定の種以外を捕獲してはいけないというか、そういう部分じゃなくて、全部の鳥獣種にその狩猟のことはかかりますよね。そういうようなことも考えると、面積当たりに本当に保護区が必要になるのかどうか。むしろ、その必要性に応じて、生息状況に応じてということになる、そういう考え方に変えていかないといけないのではないかなと思ったりはします。

 その辺りは、どうでしょうか。

【事務局】 ご意見ありがとうございます。

 確かにおっしゃるとおりだと、我々も実は思っていますが、鳥獣保護区について個別に必要性を判断していくという点検を行うということになると、森林鳥獣生息地の保護区で面積あたりの箇所数を定めていることとやっぱりバッティングしてくるというか、ちょっとそりが合わなくなってくるのかなというふうに思うところがあります。ちょっとそこの面積要件のような点を含めて、どうしていくか考えていきたいと思っています。

 ただ、その面積要件というのは慎重に考える必要があって、完全に外してしまうと、そのショックでみんな解除されてしまい、保護ができなくなるというような極論のような状況は防がないといけないとも、同時に思っています。

【坂田委員】 鳥獣保護区の設定のときに、実際は狩猟の保護区の対象になりますけど、実際には許可捕獲ではシカ、イノシシ、許可のある限りは幾らとってもいいわけですよね。そのあたりがやっぱり説明のときに、保護区に指定するということはシカとイノシシを保護するんだろうと。

 本当のことを言えば、きちんと許可捕獲で捕獲はできるわけですし、もしかしたら指定管理鳥獣捕獲等事業でも捕獲できるかもしれません。その辺がうまく説明ができていないために、保護区にするのは反対ということになっている可能性もあると思いますし。

 その意味で、狩猟のときはなるべく捕りたいということだったら話は別ですけれども、狩猟以外の方法で、シカ、イノシシに対する対策はきちんとする上で保護区にするとかというような説明の仕方なり、あるいは事業と重ね合わせて、もし、他の鳥獣の保護が必要な場合だったら、シカ、イノシシに対しては、きちんとそのケアをした上で保護区を継続するというような、そういう説明の仕方なり対策の打ち方もあるとは思いますので、その辺のところを説明のときに理解していただくのも一つのポイントかなと思いました。

【石井委員長】 今のご質問に関連して、この面積要件ですね、何かもともとこの数字を出した時の根拠になるようなものはあったのでしょうか。

 例えば、愛知目標ですか、概ね国土の何パーセントかを保護区に指定するとか、そういう数字もあったりしますけれども、そういうものとの関連とかということで、何か。

 この面積要件ができたのは、愛知目標よりも前ですけれど、そういう根拠があったのかなと。それで、なかなか難しいとは思いますけれども、ある程度、生態学的な根拠みたいなものがある数字でないといけないのかなと思いました。

 それは何か、昔はあったのでしょうか。

【事務局】 根拠は、実はまだ探し切れていない状況です。

 これは、昭和39年、最初の設定当初からあったもので、当時は1万2,500ヘクタールごとに1箇所とされていて、それが昭和47年から1万ヘクタールに1箇所という状況になっているというところまでは把握しております。「鳥獣行政のあゆみ」という昔の資料を見ても、事務次官通知でいきなり面積がこうなりましたと書いてあるだけで、その根拠というのは、わからないようなのが現状です。

 面積基準の話を、これから、いろいろご指摘もいただいて考えていく際には、当然何らかの考え方があって、こうしましたというような説明ができるようにする必要はあると思います。

【石井委員長】 最終的にというか、次の基本方針のときに、こういう数字を入れないという選択肢も一応あったりはすると思うのですけれども。もう少し、何か根拠のある数字に置き替えるとか、そっちのほうがいいと思うんですけれど、さて、そういう数字を何がいいかと言われても、ちょっとすぐには思いつかないんですけれど。私もちょっとうっかりしていて、そういえば、この数字ってどこから出てきたのかなと、今、気がついたところなので。前からあるのは知っていたんですけれど、少しうっかりしていました。

 何か三浦委員、コメントはありますか。

【三浦委員】 都道府県のアンケート調査の結果は、各都道府県とも、これについては苦慮しているというか。委員長の指摘のとおり、あまり機械的にやっていくことは、もちろん保護区が都道府県だけではなくて、国指定がきちんとしているということをベースにして、都道府県がそれに乗っかるという構図ができ上がっていれば、私は基本的にいいのではないかなというふうには思っています。

 ただ、箇所数と面積要件で、外向きに対してはこれぐらいの保護区があるといったようなことが、鳥獣行政の中で、そこのところを、価値がそこにあるのかというところからは、少し時代的にも変わりつつあるのではないかなというふうに思っていて。保護区というのが、本当に名実ともに保護区である必要があるところを、もちろんあると思うのですけれども、そこはベースにしながら、面積要件だけを目標にしていくということからは、少し変わりつつあるのかなという感じはしているんですけれども。大したコメントじゃなくてすみません。

【石井委員長】 結構、よく考えてみると根本的な問題で、次の資料の2-3-2に「生息環境の管理について」ということが出てきますよね。これは割と書き方を考えなきゃいけないと思うのですが、理想的には地域ごとの生物多様性、保全戦略みたいなものがあって、それぞれの自治体なり都道府県なり、この地域については鳥獣ということですけれども、在来種の個体群を保全する上で、もちろん捕獲ということは、シカ、イノシシは別にして、行わないと。同時にハビタットの保全というのも図っていくと。

 それは、1箇所1箇所の配置とか面積とか連続性とかということも考えて、それでちょうどこの地域については鳥獣保護区という制度を使って保全を担保していくということが適当であろうというようなことがあって、鳥獣保護区の位置が決まってくる、面積も決まってくるというのが理想だと思うのですよ。そこにどうやって、この基本指針の書き方で近づけていけるかなというところですね。思いつきみたいなコメントで申し訳ないんですけど。

 昔の鳥獣保護区は、とにかくここでは野生鳥獣を捕らないでくださいねといって、どんな木を植えてもいいし、林業をやってもいいし。もちろん林業というのは共存できるやり方がありますから、あっても差し支えないとは思うんですけれど。現代的な保全の考え方というものに、どうこの鳥獣保護区制度をうまく乗せていくかということを考えて記述を考える。

 その中に、多分面積要件も、もし何か本当に適当な数字があれば、入れたほうがわかりやすいし指定もしやすいと思うのでいいと思うんですけど、さて、各1万平方キロ当たりに、とにかく1箇所ずつというのは、結構現場では無理が出てくる。そこの折り合いをどうつけるかというのが難しいかなと思います。

 そういうことを考えながら、何か記述を考えていただくということですかね。

 ほかに。

【事務局】 やや、補足的な話にもなりますけれども、1万ヘクタール当たり1箇所という基準に対しての今の鳥獣保護区の指定状況を見ると、北海道以外のところでは、それに合わせる形でほぼ達成しているという状況です。北海道については、北海道独自の数値基準になりますが、やや基準よりは少ないという状況になっています。

 鳥獣保護区のうち、特別保護地区については、さまざまな行為規制がかかっておりますけれども、それ以外の単なる鳥獣保護地区については狩猟にだけ規制が係っているということで、保護区といっても他の制度の保護区とは若干考え方が違うとおもいます。

 鳥獣保護区は、主に狩猟だけについて取り扱っているという点で、保護区を考える際に、切り離して考えることができるかなと思っています。

 数字の要件を変えるかどうかは、これからの議論だとは思いますけれども、鳥獣保護区の制度自体は、シカ、イノシシだけをターゲットにしているわけではなくて、さまざまな種をターゲットにしているものです。そのため急にその数字を大きく変えてしまうと、今ある鳥獣保護区のあり方が大きく、がらがらと変わってしまうこともあり得るので、我々としては、変えるにしても慎重に考えたい。ただ、現状では1万ヘクタールごとに1箇所という、かちっとした書き方がされているので、もう少し自治体が動きをとれるようにはしつつ、変えるのであれば慎重に変えていくということが、今、あり得る方法かなというふうに思っています。

 ただ、我々もここについては、強くこういう文章にしていきたいというところまでは議論が進んでいないものですから、いただいた議論を踏まえつつ、慎重に検討をしてまいりたいと思います。

【石井委員長】 私もいろいろ言いましたけれど、結局、保全戦略とかというのが法定計画になったり、法定計画でしたっけ、自治体のものは違うのかな。

【奥田野生生物課長】 努力義務規定として法定になっています。

【石井委員長】 努力義務規定ですかね。鳥獣保護区になったときの、環境の改変の仕方に一定の制限が、今はかかっていないですけど、特別地区以外はかかるようになるような、そういう制度になったときに考えるようなことで、確かにおっしゃるとおり、今ここの数字だけ変えるとかということは、慎重にしたほうがいいなというふうには思います。

 理想的なところとか、将来を見据えて、書きぶりを少し工夫できることがあったらするのがいいかなということです。

 ほかにはいかがでしょうか。2-3-1と、それから2-3-2にも入っていますけれども。いかがでしょうか。

 今の話の続きで言えば、資料の2-3-2の鳥獣保護区の管理のところで、生息環境の管理についてというのは、もう少し調査をして、ハビタットの管理ということが、とにかく義務というふうには法的になっていませんけれども、とても重要な保護というか、保全を考えたときに重要なことなんだということがわかるような書きぶりにしていただくというのは、お願いしたいと思います。

【坂田委員】 同じところに関してですけれども、経緯として鳥獣保護区のもともとが、狩猟鳥獣を保護することを目的にということで、当初はやっぱり狩猟したい鳥獣を減らさないように保護区にして、そこで維持するというのが、当初の考え方だったと思うんです。今は、狩猟資源の確保ということだけではなくて、生物多様性の保全とか、生態系の保全とかという意味合いが強くて、そういうところでとり過ぎないようにとか、そこでは狩猟をしないようにということになっていると思いますけれども。

 今、出てきました生息地の管理とか、そういうことになってきますと、もし仮に鳥獣保護区の中でシカが多過ぎた場合、シカが多いということになりますと、下層植生がなくなって、ほかの鳥獣の保全とか、生物多様性の保全に差しさわりが出てくる。イノシシについても、どうかわかりません。あまり多過ぎるとバランスを崩すという観点があるとすれば、そうすると、鳥獣保護区にしていると。そこで、シカ、イノシシが増えているのであれば、それを解除するのも一つの方法ですし、他の鳥獣を保護しないといけないので解除はしないけれども、やはりシカ・イノシシ対策をそこできちんとやるということが、恐らく地元の人なり、保全という意味でも、皆さんが納得できる方向になるかなと思いますので、その調査とか、生息環境の保全ということもあると思いますけれども、そのもう一つに、きちんと増え過ぎた鳥獣に関しては、管理をきちんとやると。

 それが、鳥獣保護区の今の、狩猟鳥獣を増やすということが目的の保護区から、生物多様性とか生態系のバランスを維持するための保護区だと。それに当たっては、ある程度の面積、そういう場所をつくりたいということはあり得ることではないかなと思います。

【石井委員長】 ほかにはよろしいですか。

(なし)

【石井委員長】 事務局のほうでも、特に確認することは。よろしいですか。この2-3に関しては。

(なし)

【石井委員長】 それでは、次の論点に移りたいと思います。

 あともう一つくらいやってから休憩を挟みたいと思いますが、資料2-4に関しては、狩猟及び狩猟鳥獣に関する記述ということですけれども、これについてはいかがでしょうか。

 前回は、ここは結構議論があったところかと思います。

【三浦委員】 ここは、大きく論点が二つあって、一つは、現行の狩猟鳥獣の概念ですよね。これは、表現上はどうするんでしたか。現行の狩猟鳥獣の定義としては、どうするんでしたか。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 資料2-4-2の。

【三浦委員】 ええ、そうそう。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 裏の部分の記載に変更したいというふうに考えております。

 狩猟鳥獣についての変更の考えは。

【三浦委員】 表現上は、どうするんでしたっけ。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 法律につきましては、資料2-4-2の下の図を見ていただきますと、捕獲を推進すべき鳥獣につきましては、本来捕獲を推進して減らしていくことによって、さまざまな被害を減少したいということがあるのですが、今の法律上は、「捕獲等がその生息の状況に著しく影響を及ぼすおそれのないもの」という要件がございますので、それらが計画的に減らしていくということが、狩猟鳥獣では認められていないという整理になっております。

 それらの整理につきましては、将来的には、資料2-4-2の黄色く囲まれた部分ですけれども、当該鳥獣の計画的な管理に著しい悪影響を及ぼすおそれがないというような観点で、将来的に法律の改正も含めて見直しをしていく必要があると思っております。

 これは、今回基本指針の見直しですので、ちょっとこの部分は、今回いじれないので、法律の施行から5年で法律の見直しをやることになっておりますので、その中で将来的には、この黄色い部分は見直しを検討したいと。

 今回、狩猟鳥獣を指定する際の要件について見直しをしたいということで、この裏の部分、実態上、狩猟のニーズがあるかとか、生物多様性の確保で問題がないか、社会的・経済的な側面で問題はないかということは、実態上も評価しておりますので、そういったことを今回の基本指針の改定の中で明確化したいというのが、今回の改正のポイントと考えております。

【三浦委員】 黄色い部分については、これはわかるんですけれども、今回の文章上としては、この1)、2)の。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 管理を推進すべき鳥獣につきましては、現在、法律上、その捕獲等が「その生息の状況に著しい影響を及ぼすおそれのないこと」ということになっておりますので、狩猟行為では、その生息状況に影響を与えるほど捕獲されるものではないという解釈をして、そういうものであれば、管理をすべき鳥獣についても指定をし得ると考えておりまして。裏のページの変更の論点の最後のパラにも、管理の強化が求められていることを踏まえ、狩猟を鳥獣の管理に貢献しうるものとして位置づけた上で、狩猟鳥獣の見直しを今後やっていきたいと記載をしたいと考えております。

【三浦委員】 それが一つですよね。

 新たな定義は加えないということで、この裏側のものを入れてということですよね。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 狩猟鳥獣の選定のものを明確化している。若干、現行の部分でも、「個体数の抑制が期待できるもの」と「著しい影響を及ぼすおそれのないこと」、若干、矛盾している記述もございますので、そういった点を、現行の、実際どういう形で狩猟鳥獣を選定しているかという実態にあわせて整理をしたということでございます。

【三浦委員】 わかりました。

 それからもう1点、これは、前回私が言ったので、アンケートをとっていただいてありがとうございました。放鳥事業に関してですね。

 それで、各自治体でやっている取組で、キジの数が2万1,000羽ということで、かなりのサイズだと思うんですけれども、一方で、多くの自治体が共通した状況を報告していると思いますけれども、一つには、放鳥をしたものが、これは随分前から同じことが繰り返されているわけですけれども、放鳥の効果があることに対して疑問があるということですね。

 それから、養殖業者が廃業しているというのは、複数の都道府県で見られて、確保することが困難になっているという状況がもう一つあると。

 それからもう1点は、全体として鳥獣行政の中での、やっている県は、これに対して2万1,000羽ですから、キジに対しても。それなりの多大なコストがかかっているという、3点が指摘できると思うんですね。

 そういう点で言うと、この他にも生態系に一定の飼育個体を、もう一度戻すというか放すということが適切かどうかといったようなことから、私はやっぱり原則的には放鳥事業に関しては、撤退を促していくというか、そういう方向の取りまとめをしていくべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 参考資料4-1の5ページ目の、放鳥獣の数が少し間違っているのがあります。先に訂正をさせていただきます。

 平成24年度のキジの、一番最後の行の鹿児島県が「2万5,000羽」になっています。これは「2,500羽」の間違いです。

 都道府県のアンケートにも出ておりましたが、狩猟税が減収にあると。今の放鳥獣の実態は、平成26年度の数を記載しておりますが、認定事業者ですとか、対象鳥獣捕獲員は免税、それから有害捕獲に関わっている実績のある方の減免措置、狩猟税が2分の1になるという措置については、平成27年度から措置されるということで、各都道府県で大幅に狩猟税が減少をしていく中で、各都道府県においては、平成27年度、この放鳥獣事業が減少していくという可能性があります。

 そういった中で、今回、これまでも基本指針の中で、生態系の影響ですとか、病原体の伝播などを、悪影響を及ぼさない。または地域個体群の影響を踏まえた放鳥獣をやっていきなさいということを記載しておりますので、もう少しその辺の実態を各都道府県で把握をしていただいて、どういう影響が出ているのかというのを、実態としてはもう、どんどん減っていく状況にありますので、そういったものをきちんと各都道府県のほうで把握をしていただく必要はあると考えております。

【石井委員長】 基本指針だと、放鳥獣については何ページになりますか。

 もう既に書いてありますね。地域個体群間の交雑を防止するというか、遺伝的攪乱というのを、とにかく起こさないように考えるということが書いてあると、実質的にはほとんどできないような気がするんですけど、やっているところというのは、ここをきちっと踏まえてやっているのかなというのが気になりました。

 ちゃんとその地域の地域個体群が大きい県だったら幾つかにひょっとして分かれたりすると。それは放鳥する場合にはその地域個体群の鳥がファウンダーになって、しかも、放すものについては遺伝的多様性についても配慮して放鳥するならしてくださいみたいなことにすると、実質的に非常に難しくなるので。そういう形でだんだん縮小に、だんだんか急かわかりませんけれども、縮小に向かうような記述をするといいかなと思いました。

【三浦委員】 私の論点は、放鳥する自体に少し問題があるのと、それから、都道府県の力点がこの放鳥獣事業にとってウエートが結構大きいと、やっているところはですね。都道府県の担当者が本腰を据えて大きな業務の一つとしてやるべき対象かどうかと。むしろ違うんではないかなと、現在の状況は、というところに私の論点はあります。

【佐々木委員】 この問題は、私から言うのはいかがなものかなとは思いますが、放鳥事業は資料で言うと、登録税とか、そういう前に昭和30年代ですか、先人が狩猟税と、放鳥事業をやるためにわざわざ会に対して何がしかの金を出して狩猟税を創設、狩猟税じゃないのですが、そういう経緯があるんですね、歴史的に言えば。猟友会が自ら税金を払って放鳥をやろうというようなことで、これが始まったと聞いております。

 しかし、実際、今、我々が携わっておりますけれども、はっきり言って三浦委員もおっしゃったとおり、なかなか実態が非常に検証が難しいわけでありまして、どれだけ効果があるかといったら、我々が大体放鳥をしているうちに、例えばカラスが来て、20羽、仮に放鳥したら、半分はカラスにやられちゃうと。放した時点で、もうそういうようなんですね。ですから、カラスの駆除とか、そういうものをやって改めてやるというようなこともありますので、それから生き延びるというのは、大変なことになるのだろうと思います。時期の問題等もあります。

 日本の場合は、放鳥の育成期間というのは非常に短いので、例えばベルギーなんかですと、2年ぐらい訓練をして、大きな国営の養殖場で、実際に犬を入れたり猫を入れて訓練をして放すんです。ですから、非常に効果が出ているんです。ですが、実際は日本の場合は中小企業の本当に小さい養殖業者が管理していることで、なかなか自然に溶け込むというのは難しいのだろうと思います。今後もはっきり言って、期待はできないんじゃないのかなと思います。

 そういう意味では、こういう機会に検討するに値をするのではないのか、どうも私から言うのは言いづらいのですが、実態がそうだというふうに考えております。

【石井委員長】 ここのところは、今いろいろ出たご意見とも関連するんですけれども、残すにしても、少し簡略化して、非常に意義のある放鳥みたいなのはするのは実際は難しいのだと。方向性としては、なくしていくというようなことを考えて簡略化した記述は、全くこれは消してしまうというのは、先ほどと同じような感じで難しいかもしれませんので、簡略化した記述にしていくと。ただし、要点は外さないで記述していくということを検討したらどうかと思います。

【坂田委員】 多分、放鳥獣だけじゃなくて、ほかのところでの記述でもちょっと、例えば傷病鳥獣なんかもちょっと同じようなことがあるかもしれませんけれども、ここでは昔からの流れで「以下の事項を盛り込むこととする」ということで、盛り込みなさいと、ここには書いてありますよね。これは、もし環境省のほうなり国で絶対盛り込んでくれということであれば、この記述でいいと思いますけども、例えば、したほうがいいかもしれませんよとか、都道府県で考えてやってくださいよというところであれば、「盛り込むこととすると」いうことではなく、これは本当にやめなさいということがわかれば、やめるべきであればやめなさいと書けばいいと思いますけども、都道府県判断でよくやってもらったらいいことということであれば、盛り込むこととするというところじゃなく、何も書いてなくても、もし、ぜひ、これがいい事業なので、地元の要望も強いし、うちの県はやるという県はやったらいいかもしれませんし、そこまでではないということであれば、特にこの記述さえなければ、無理に考えついてやることもないと思いますので。

 最初に文章が結構多くて、それで膨大になって読みにくいとかというようなことも指摘されていましたけども、実際にはあったらいいなとか、やってみたらいいんじゃないですかというようなぐらいのところが割と「努力すること」とか「盛り込むこと」とかというふうに書いてある部分が非常に多くて、実際にはどこの都道府県もほとんどそれをやっていなかったり、そのとおりいっていないところがあると思いますので、もしできるなら、そういうどっちかわからないとか、判断がつきかねることは、なるべく割愛していく方向のほうが、読む人も、都道府県の方も作業しやすくなるんではないかなと、私はそういうふうに思います。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 鳥獣保護法の法律をお配りさせていただいておりまして、それの3ページ目に「鳥獣保護管理事業計画の中で記載すべきこと」というものが記載をされております。第4条第2項第3号に鳥獣の自己増殖及び放鳥獣に関する事項ということで、法律上、鳥獣の放鳥獣に関する事項は法律上記載をしなきゃいけないということになっておりますので、先ほどのご指摘を踏まえて簡略化して、より影響ですとか、効果をきちんと把握した上でやっていただくような記載をしてはどうかと考えております。

【坂田委員】 例えば、一言、実施しない場合は実施しないと記載すると書いてあるだけで、なるほどそういう選択肢もあるのかということがわかると思いますけども。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 そうですね。三浦委員からもそういうものをもう少し検討すべきではないかというご説明もありましたので、特に気をつける観点だけを明記して、必要に応じて実施するということが各都道府県でご判断いただけるような記載を検討したいと思います。

【石井委員長】 ほかにはよろしいですか。

【染委員】 ちょっと質問なのですが、2-4-2のペーパーの社会への悪影響の評価ということの中の一番下の四角で「無計画な捕獲による農林水産業・生活環境への被害の増加」、これはどういう意味合いですか。単純な意味ですか。「無計画な捕獲による」というのがよくわからないので。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 ニホンザルですとか、カワウですとか、そういう群れをつくる鳥獣について、何も考えずに捕獲をしてしまうと、群れが分散化することによって被害が拡大したりする可能性もあるので、そういった点も考慮する必要があるのではないかということでございます。そういうものを想定しております。

【佐々木委員】 サルの場合、確かにいろいろな捕獲方法によっては分散して、また、ハーレムをつくっちゃうということはあります。逆に、わなによっては、その群集全て、ハーレムを全部一気に捕獲をしちゃうと、そういう捕獲方法もあるわけですよね、全滅数に達すると。そういうことに対しては、逆にどうなんですか。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 今、ニホンザルについての特定計画作成のためのガイドラインの見直しをしておりまして、それは群れごとに加害性を考慮して捕獲をしなさい。群れごと農業地に入り込んで、全ての個体が非常に加害性が高いというものは全頭捕獲をすべきですし、特定の個体が加害性が高いということであれば、特定の個体を選択的に捕獲するとか、そういう群れごとの管理をしっかりしましょうということを、ニホンザルについてはまとめておりますので、そういったきちんと群れの状況、加害性を把握した上で捕獲を進めていく必要があると考えております。

【佐々木委員】 もう1点、アンケートの中にニホンザルを狩猟鳥獣に加えるような要望が出ているのですが、この辺はどう考えていますか。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 個別の種につきましては、基本指針の改訂後、狩猟鳥獣の見直しの諮問と答申を考えておりますので、それらについては別の審議会の中で審議をしたいと思っております。

【石井委員長】 では、よろしいでしょうか。

(なし)

【石井委員長】 基本指針の書き方については、2-4-2の変更案ということで、一応この場では、なんて言ったらいけないかもしれませんが、このような書きぶりに変更するということにして、その他についてはご意見を踏まえて記述の仕方をご検討いただければと思います。

 ここで、それでは次に移る前に一旦休憩を挟みたいと思います。

 少しゆっくりめに議論したので、この後はスピードアップを図りたいと思います。

 3時に再開します。

(休憩)

【石井委員長】 それでは再開したいと思います。

 論点5番目ということになるのかな。資料2-5、捕獲の規制等に関する記述の主な論点というところから進めたいと思います。

 ご意見、いかがでしょうか。

【三浦委員】 2-5で予察捕獲があって、それで予察というのが各自治体で、市町村でそれまでに起こっている被害の継続みたいな格好で通常予察が出されますよね。それ以外の予察の推測根拠というのは、ある自治体はありますか。

【事務局】 非常に難しいご質問で答え切れるかわかりませんけど、基本的に予察というものの歴史の一番最初のころを探し切れていないのですけれど、記録を見ていくと、鳥獣の被害がある場合に許可を出すというようなスキームがもとで、被害が出ていなければ許可しないような、そういうかなりきついめの運用をした場合に、やはり現場に合わないということで、被害のおそれがあるときにでも当然鳥獣法はそこを対象にしますよというのを運用しなければならなかったというのが始まりのようです。

 ただ、そうは言っても、被害があるおそれがというのはこれからのことなので、ルーズに運用しようと思ったらいくらでもできてしまうというところもあって、そのバランスをとるために、今のようにかなり丁寧な記述をしているというところがあります。

実際の運用は、これは都道府県というよりも市町村の運用になっていて、私は直接ヒアリングをしたことはないんですけれども、運用上はかなり市町村が予察表を、カレンダーのようなものなんですけれども、つくって運用しているのは見たことがあります。

 では、その予察のあり方を科学的に何か評価をして、予察表とかカレンダーみたいなものをつくったかというと、そうではなくて、恐らくかなり経験則によるところが大きいだろうなというふうには感じているところです。

 それ以上詳しい予察の運用実態を調べたことがないので、これ以上のことは申し上げられないんですけれども。

【三浦委員】 本来であれば、これは予測ですから、根拠となっているのは経験則じゃなくて、例えば、その市町村でのどういうものをつくっていくかと、作物の種類だとか、それから、そこにすんでいる鳥獣の分布や生息数というので、こういう被害が出る可能性があるというのが通常の、通常のというか、サイエンスと言えばそういうベースですよね。本来はそういうところを軌道修正を促していくというのが指針の役割じゃないかと思うんだけど、どう思います。

【事務局】 引き続き私のほうからお答えします。

 まず、基本指針のここの部分は捕獲許可の基準に関する部分のことで書いてあって、なので、ここの基本指針のまず役割の第1点は、現に被害が出ている場合だけではなくて、おそれのあるケースも当然、捕獲許可の対象になるよという、そこの法律上の位置づけをちゃんと書いてあげなきゃいけないということと、あと、予察表のつくり方とか、考え方をある程度書いていくというところは必須だろうなと思っています。

 今、先生がご指摘のように、僕が経験則と言ったのはちょっと語弊があったのかしれないですけれども、私が見たことがある予察表は、やはり、地域のつくっているはずの作物に合わせて、一緒に書いてあるのを見たことがあって、この時期、この地域はミカンをつくっていて、これだとミカンに被害を与えるヒヨドリが来る可能性があってというような、そういうカレンダーになっていましたので、恐らく地元レベルでは、現場レベルでは、単純な経験則というよりも、自分たちでつくっている作物の実態に合わせてつくってはいるはずです。なので、現場レベルでは、そういう運用をしているんだろうなとは思ってはいますが。

【三浦委員】 だから、指針の精神としては予察をして、予察の捕獲をやっているわけです。そうしたら、その捕獲というのは、どういう意味があったのかというのが、予察をやって効果があったのかどうなのかといったようなところへ誘導していく、全体として言えば、フィードバックの管理をやるようにという指針をつくっていこうじゃないかという話なので、そういうところへ誘導していくということが必要なんじゃないかなというふうに思っています。

【事務局】 ありがとうございます。ご指摘のとおりかと思います。決して予察捕獲は、特に意味がないので削っていきたいというつもりではなくて、基本指針で書くには詳細過ぎると思ったので、ご指摘の点も踏まえた要点をきっちり書いて、予察の意味について、もう少しはっきりわかるように書きたいという趣旨でこう書いておるところですので、ご意見を踏まえてつくらせていただこうと思います。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

 染委員は、(2)のところについては、特にご意見はありませんか。

【染委員】 総論的なお話はこの前申し上げましたので、これは例示的に一つのことをお書きになっていますが、なるべく幅広く検討していただくようにお願いしたいと思います。

【石井委員長】 できるだけ柔軟な適用ができるような書きぶりにということですね。

【染委員】 はい。

【石井委員長】 その点についてはいかがでしょうか。

 記述していただいたのを見て、またご意見をいただくということになると思います。

 どうぞ。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 今後の方向性につきましては、農業者自らが行う捕獲については、ある程度の柔軟性が必要だとは、我々としても認識はしておりますが、それで事故が起こったり、錯誤捕獲などの影響が出るということがないようにしていく必要があると、各都道府県のアンケートの中でもそういったご指摘もございますし、そういったことは我々としても図る必要があると思っておりますので、そういった錯誤捕獲のおそれが少なくなるように、そういった担保をとる場合には、どういうことがあり得るかということで、今回、例示させていただきましたが、そういったことを我々としても検討していきたいと思っております。

【石井委員長】 よろしいでしょうか。

(なし)

【石井委員長】 それでは、次の2-6の論点に移りたいと思います。鉛中毒についてですが、いかがでしょうか。

 特によろしいですか。

 事務局のほうで準備いただいたのは、(1)と(2)のような技術を考えているということですね。水鳥と猛禽を分けて記述するということと、2番目はどうやってまとめたらいいですかね。法律で使える制度の活用のあり方を記述すると。できるだけ問題が起きないような制度の使い方を考えていくというようなことを記述するということだと思いますが。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 現状としては、指定猟法禁止区域という制度がございますので、そういった制度を積極的に水鳥の状況ですとか、猛禽類の生息地について(1)のモニタリングの結果を踏まえて、そういったものの制度の活用を積極的に図るという方向で検討できればと思っております。

【石井委員長】 この問題については、一方で鉛弾の使用を全面的に禁止してほしいというような意見もあるわけですから、その狙いとするところが、できるだけ確保できるような記述というか、制度の運用の仕方、少なくともそれについては考えていただくということかと思います。いきなり禁止というのは難しいかと思いますので。

【佐々木委員】 さっきもちょっと申し上げたのですが、鉛中毒、本当に大変だなと思っていますが、認識は同じですが。すぐ何かと言えば、散弾であれ鉛弾だということなので、調べて、例えば、さっきも申し上げたのですが、これはライフル弾だ、散弾の鉛だと、あるいは釣りの鉛だとか、その他もろもろあるわけですけれども、例えば釣り用の鉛は多分、合成だと思うんです。

 ですから、もし、その成分を今まではかったことはあります。その中に入っている成分について分析したことはありますか。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 北海道の研究所のほうで、そういった同位体分析をして、鉛弾由来なのか、釣りおもり由来なのかということがわかるということを聞いておりますので、今年度、鉛中毒の水鳥の糞便のモニタリングをやっておりますけれども、そこで鉛が検出された場合は、同位体分析も行って、どういった由来かというのをきちんと調べたいと思っております。

【佐々木委員】それから、渡り鳥の関係はどうでしょうか。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 渡り鳥につきましても多くは水鳥ということだと思いますので、今回の糞便調査の中で、そういったものも含まれると思っておりますので、そういった中で、まずは今年度試験的に汚染状況が本当にあるのかどうかというのは、しっかり調べた上で、来年度、どういうようなモニタリングをするべきか、適切なモニタリング手法についても検討した上で、きちんと科学的に把握をしておきたいと思っております。

【佐々木委員】 わかりました。よろしくお願いします。

【坂田委員】 このモニタリングに関しては、先々は都道府県でモニタリングをしてもらおうという考え方でしょうか。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 現状においては、まずは環境省のほうで、こういった調査はやる必要はあると思っておりますが、例えばサンプルの収集とか、そういったものについては、各都道府県の、実際、鳥インフルエンザのモニタリング調査も各都道府県のご協力をいただいておりますので、必要なご協力をいただきながら、まずは環境省で試験的にやってみて、もし、もう少し全国的にやる必要があれば、各都道府県に今後お願いすることもあると思っております。

【坂田委員】 意思决定をするためのモニタリング調査ということを考えると、例えば見込みによっても重点を置く場所が違うと思うんです。例えば影響がないということをはっきりさせるためには、非常に鉛弾を全国の中で一番たくさん使っているような場所で、影響がないと言えば、全体的に影響がないということになると思いますし、逆だったとしたら、ほとんど使っていないようなところでも影響があるという証拠が出れば、これは影響があるという方向に意思決定がしやすくなると思いますので。やはり、モニタリングの量とか、どの場所で、どのぐらいのモニタリングをして、どういう結果が出たら、こういう判断ができるかという、サンプリング計画とか、その辺りが結構重要になるかなと思いますので、また、よろしくお願いします。

【石井委員長】 私も似たようなコメントなんですけれども。やっぱりこれ、できるだけ早く実態を明らかにして、どちらの方向に進んでいくかという判断をしなきゃいけなくて。いつごろまでに、調査をするということだけでは不十分で、スケジュール的にどのぐらいまでに結論を出して、このこととこのことははっきりさせて方針を決めていくというふうなことも、どこかできちっと述べていただくということが大事だと思います。調査しますといって、ずっと何年も同じになってもいけないと思いますので。

 鉛については、よろしいですか。

 そうしたら、次の論点に移りたいと思います。

 情報基盤整備に関する記述というところですが、いかがでしょうか。

 特によろしいですか。

 全体に簡略化は図りますということが一つですね。

 どうぞ。

【三浦委員】 ちょっと教えてほしいんですけど、保全基礎調査は、哺乳類を対象にしてはもう行わないですか。中型はどうしているんですか、サル以上は……。サルも指定鳥獣じゃないですもんね。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 指定管理鳥獣、ニホンジカとイノシシについて、なるべく必要な情報を集めていくことを考えておりまして、あと、指定管理鳥獣の候補である種、サルですとかカワウについても、できるだけ指定管理鳥獣と同等レベルの情報を集めていきたいと思っております。

【事務局】 保全基礎調査との関係ですが、今ここに書いていることを調整するつまり、我々でやろうとしている情報収集システムの設計の段階で、基礎調査を実施する生物多様性センターと調整はしましたが、やはり保全基礎調査が哺乳類、鳥類を含めて広く調査しているのに比べて、これは指定管理鳥獣と、それから指定管理鳥獣捕獲等事業の評価をするための指標を設計するという観点で、とても細かく詳しく聞くものになる予定です。なので、そこはちょっと違うんじゃないだろうかということで、多様性センターが行っている保全基礎調査と別枠でというか、区別して、指定管理鳥獣については、より詳しい情報を集めていくのだという方針を打ち出そうと思っているところです。

 具体的にどこが詳しくなっていくかというと、今の鳥獣保護管理法の中で法律上報告してくださいと言っている項目が、何をとりましたか、どこでとりましたか、あと、それが何頭・何羽でしたかということを聞いているんですけれども、それだと個体数推定をCPUE、SPUEも計算できないので、各都道府県が既に狩猟者アンケートで把握しているような捕獲努力量に関する数字とか、目撃数とか、そういうのも集めることにしている県が多い。それを今回システムとかを使って、全都道府県が同じように情報を集められるような枠組みをつくれたらいいなと思っているというようなことをここに方向性として打ち出しておこうという趣旨です。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 補足ですけれども、自然環境保全基礎調査というのは生物多様性センターでも、そういったまとまった予算をとるのは難しいということで、本年度からクマとマガンについての情報を生物多様性センターで集めているということで、その辺はどういった鳥獣の種類を集めるかというのは、我々の鳥獣室と多様性センターで役割分担しながら集めていこうと思っております。

【三浦委員】 心配なのは、捕獲を通じた情報なので、捕獲ができない場所だとか、していない地域だとかといったような情報が網羅できないんではないかというところをちょっと心配しているんですけれども。

【事務局】 今のこの書き方がポイントしか書いていないので、語弊があるのかもしれないですけど、指定管理鳥獣の評価をするために、いろんな情報でもって評価しなければならないはずなんですけれども、その中で捕獲に関する情報だけを今ここ切り離して議論をしているものなんです。

 なぜそこだけ特記して書いたかというと、法律に基づく報告というのがある中の捕獲した種、位置、数というものなので、それに加えて、せめて都道府県が行っているアンケートぐらいの中身ぐらいは各都道府県共通したフォーマットで報告してもらいたいなという気持ちがあるというのをここに書いている。

 もちろん、それ以外に、例えば、糞塊の調査、密度指標に関する調査とか、あと被害の実態にある調査とか、そういうもろもろの情報を別に不要だと言っているわけではなくて、いろんな指標がある中の捕獲に関する情報は、いろんな流儀があって、いろんな情報が調べられている中で、一定の情報の規格化をしたいなということだけ、ここに書いてあると思っていただければと思います。

【三浦委員】 カモシカなんかはどうします。

【事務局】 まず、ここは指定管理鳥獣としか書いていないのですが、そのほかの鳥獣の報告様式も少し見直そうと思っていて、せめて、いつ出かけたかぐらいは、つまり捕獲努力量に当たるものはとろうと思っています。それがカモシカとかクマとか、サル、カワウみたいに特定計画の捕獲に特化したような様式を、今つくっていないというだけなんです。

 今、指定管理鳥獣は、各都道府県さん、ほぼ全都道府県が気にかけていることなので、法律上、今回指定管理鳥獣というのを設けたので、それについては、より詳細な情報をとりませんかということです。カモシカは指定管理鳥獣ではないので。

【三浦委員】 そういう野生動物の情報が欠落していくというか、だから本来であれば、大きく変わりつつあって、カモシカなんかはシカが多くなっていて、現在、どこにいるのかといったようなのが、多分、非常にダイナミックに変化していく、シカのほうも変化していくだろうしといったようなところがあって。その記録はモニタリングのベースになっていくようなものなので、お金がないのはよくわかりますけれども、よくわかるというか、そうだったらいけないなとは思いますけれども、ちょっと残念だなと思います。

【事務局】 ここの書き方がよくないのかなと少し思い始めました。今ここに書いている指定管理鳥獣については、捕獲の既存の情報に加えて鳥獣の保護管理において全国共通の規格で統一収集する情報を書いていきたいと書いているんですけど、これは今の鳥獣保護管理法の中で捕獲した鳥獣についての報告は、常にあらゆる鳥獣で求めています。それは指定管理鳥獣だろうが、特定鳥獣だろうが、一般の鳥獣だろうが、全てなんです。それは変えずに、指定管理鳥獣だけより詳しく法定報告時の情報はとりたいということを言っているので、そのほかの鳥獣について、情報は減らしましょうということを言っているわけではないんです。より緻密に情報がとれるものは丁寧にとっていきたいのだということをここでは書かせていただきたいなと思っています。

【石井委員長】 ですから、今の基本指針の63ページのところに、一般的な事業計画の中で、生息の状況の調査に関する事項というのがいろいろ書かれていて、少しここの書き方が漠然としているので、実態としてはあまり情報収集していないというふうなことがあるとすれば、もうちょっとしっかりいろんな他県との比較ができるとか、そういうフォーマットをそろえるとか、そういう情報の収集を、言ってみれば、全ての鳥獣についてしてくださいというようなことを、今でも書いてあると言えばあるのですけれども、もう少し具体的に何をやってくださいというようなことを書いてもらえるといいのかなと思いました。

 そういうものの一つにカモシカとかが入ってくることかと思います。

【染委員】 私からもお願いですが、指定管理鳥獣に加えて指定管理鳥獣候補、これは特に農林水産業被害等を及ぼしているものについては、確実に指定のためのデータの収集をできるような体制を組み、そういうデータを集めていただきたいというふうに考えております。

【石井委員長】 よろしいですか。

【事務局】 候補というと、多分、今話題になるのは、例えば、サルとかカワウとかということだと思いますので、基本的な方向性として示すということと、あと、具体的なシステムをつくるというプロセスの中で、システムをつくるというのは、かなり大規模に予算を要するものになっていまして。なので、まだ指定されていないサルとカワウについて、このシステムに乗せられるかどうかという、システムの開発側の技術論があります。なので、今この部分をどういうふうにクリアしようかというのは、請け負ってもらっている会社さんと相談しているところなので。方向性としては期待はできるんですけども、予算を要するものになっていますので、そこの部分はご理解いただきたいと思います。

【石井委員長】 ほかはよろしいですか。

(なし)

【石井委員長】 それでは、2-8です。人材の育成・確保に関する論点ということですが、ここはいかがでしょうか。

 大きくは行政の職員と民間の技術者というところを区別して、それをはっきり求められる資質ですか、そういうことをわかるように記述するということかと思います。

 特によろしいですか。

(なし)

【石井委員長】 では、事務局の提案の線に沿って記述を考えていただければと思います。

 では最後の論点です。資料2-9、傷病鳥獣救護に関する、それと愛玩飼養ですね、ここに関する論点について、いかがでしょうか。

【三浦委員】 各自治体での拠点になっている鳥獣保護センターですけれども、ここの業務の中で期待しているというか、その地域の地域保護管理をやっていく、そういう拠点として機能しているところと、それからあと、傷病鳥獣の拠点として機能しているというのは、全国的に見ると、内容というのは環境省は押さえていますか。どういう性格なのかと。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 各都道府県の鳥獣保護センターがどういう目的で、どういう事業をやられているかというのは、体系的には整理しておりません。ただ実態としては、今の基本指針の中で傷病鳥獣を前提とした書きぶりにしているというところもございますので、そういった傷病鳥獣が事業の中心となるようなセンターが多いと認識しておりますが。

福島県ですとか、あと神奈川県等、鳥獣の保護管理全般に関するセンターも幾つかあると承知していますので、そういった全般的な適切な計画的、科学的な鳥獣の保護管理ができるような拠点施設になるような記載ぶりにしていきたいと思っております。

【石井委員長】 ほかはいかがでしょう。

 この傷病鳥獣については、事務局のペーパーの基本的な考え方というのは、大体このような内容で適当かなというふうに思っています。鳥獣法の中で行う傷病鳥獣救護というのは、あくまでも野生個体群の保全という観点から意味のあることをやっていくと。午前中のプレゼンでもありましたけれども、生物多様性の確保という観点から傷病鳥獣救護を位置づけるということだと思います。

 ただ、とにかく傷ついているものを助けたいという気持ちを、それが一方であるわけですから、そういう一般の人たちの受け止め方というか、そういう受け止め方に対しては、きちっとした説明が、救護の意味づけと説明というのが重要だと。それも普及啓発ということで書いてありますけれども、説明の仕方を、かなり長くなくてもいいと思うのですが、きちっとした書き方にして、都道府県の職員の方たちがそれを見て、一般の人たちに説明ができる、そういう考え方の整理がとても重要だというふうに思います。

 それから、ボランティアの役目というのを、もう少し活用するということが書いてありますが、基本指針の中でどのぐらい書くのかなということなんですけれども、さっき野鳥の会のご指摘にもあったように、民間に任せてしまうと、勝手なことといったら語弊がありますけれども、いろんなケースが出てくるので、そこは法律上の義務とか、それから、趣旨に反するようなことが行われないようなチェックというのをどこかで確保するということも書いておく必要があるかなというふうに思いました。

 とりあえず、そんなところですけれども。

 どうぞ。

【三浦委員】 ちょっとお聞きしたいなと思うのですけれども、各都道府県の鳥獣センターの横断的な横の連絡会議みたいなもの、これはないんですね。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 今はないです。

【三浦委員】 そういうのを環境省のほうとして全体としてどういう方向に行くのかといったような、調整できるわけではもちろんありませんけれども、でも、そういう方向性みたいなものを、交流していくといったような必要性はないのでしょうか。

 例えば、午前中にあった鈴木先生の獣医師会についても、まだ過渡的な段階だと思うんですけれども、全体として、どういう方向で鳥獣センターといったようなものが、どういう部門の役割を果たすべきなのかというのが、都道府県には鳥獣センターは結構あちこちで整備されてきていると思うんですけれども、そういうこともやっていく必要があるような気がするんですが、いかがですか。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 鳥獣保護センターが計画的かつ科学的な鳥獣の保護管理の拠点ということであれば、それは各都道府県で連携してネットワークをつくっていくことが重要だと思いますので、実態としてはなかなかそこまでのセンターは少ないような現状にあるとは思いますので、そういったセンターを各都道府県に頑張ってつくっていただきながら、そういったものの情報交流とか共有というのは環境省でもやっていくことは考えていきたいと思います。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

 あと基本指針には、そんなに長々と書く必要はないかもしれませんが、これは結構考え方の、前からそういう考え方でやっていたということもあるかもしれませんけれども、現場ではいろんな考え方があるみたいなので、とにかく環境省の基本指針に基づいている考え方というのをきちっと説明をして周知させるということが、この基本指針がどうかというのとは別に、多分必要になるぐらいの大きな問題だというふうには思います。

 ですから、今の三浦さんのご意見とも関係しますけれども、別にそういう討議の場を設けるとか、あるいは説明資料をつくるとか、そういうことを考えていただく必要がある問題かなというふうに思います。獣医師会は報告書を出すみたいですけれども、そういうものと並行して、そういう資料を準備していく必要があるかなと思いました。

 あとは、実際に記述を見て、また意見を言いたいと思います。

 ほかにはいかがでしょうか。

 どうぞ。

【坂田委員】 実際に各都道府県で、私の知っているところだと、鳥獣保護センターとかがあるのではなくて、民間の開業されている獣医師さん等にお願いをして、行政のほうにそういう連絡があればというところも多いんじゃないかと思うのですけれども、その中では積極的に参加されたい獣医師さんもおられれば、やっぱり、いや、それはいろんな事情で、私たちの仕事じゃないし、やるべきじゃないのかと思っていらっしゃる方もおられると思うんです。その辺りの、今の実際の都道府県の、結局、傷病鳥獣の保護をするという事業がある中で、どういうふうに持ち込んでこられる方に対応しておられるかというようなことは、きちっと把握した上で、方針を考えられたほうがいいのではないかと。

 多くの場合がなるべく構わないで、そっとしておいてくださいよと。人と動物との距離は適切な距離ですから、治して放すということよりも、そっとしておくことを勧められているところが多いんではないかと思うのですけれども、その辺の実態も踏まえて、方針を示されたほうがいいのではないかなというふうに思います。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 今、坂田委員からご指摘いただいた点、前回の12月の1回目の小委員会の資料で各都道府県にアンケートをさせていただいておりまして、例えば救護対象種を限定しているかというのは38の県で今限定していて、限定していないのが6県あるですとか、あと、救護に関するボランティア制度があるというのが19県あると。ないのが25県あると。ボランティアにお願いしている内容というのが、リハビリが15、終生飼養が11という形で、1回目の資料で、そういった点を紹介させていただいております。

 先ほど、三浦委員から鳥獣センターの実態について把握しているのかということで、すみません、この資料にありました。鳥獣保護センターについては、22県で、各都道府県で鳥獣保護センターを持っておりまして、その業務内容を見てみますと、傷病鳥獣救護が22、終生飼養が14、鳥獣保護管理計画までやっているのが1つだけ、あと救護個体に関する情報収集、モニタリングが8、鳥獣保護管理に関する調査研究が2、展示解説が8、そういった状況になっております。

【石井委員長】 少し細かいことなのですが、現在の基本指針の20ページのところに、傷病鳥獣の取扱いとありますが、1の一番最後のところに「収容すべき鳥獣の種の選定を行う等により」というふうに書いてあります。この間、羽山さんもちょっと言っていたんですけれども、この種は助けるけど、この種は助けないみたいな選別になってしまって、対象外は門前払いみたいな運用がされていると。私はそれもちょっと問題だと思ってですね。

 傷病鳥獣救護の一つの機能というのは、むしろそっちのほうが大きくなると思うんですけれども、野外で何が起こっているか、あるいは希少動物の場合だったら、そこからいろんな情報がとれるわけです。普通種でも一定数を定期的に集めるというようなことで、情報収集の材料というか、もとになると思いますので、種の選定を行うとかという書き方は、かえって誤解を招くのではないか。例えば、「種及び個体の選定を行う」とかそういうふうにして、特に種にこだわらないで、割と柔軟な、収容するかしないかという判断ができるような書き方にしておいたほうが、かえって意味のある収容、場合によっては救護ということができるかなと思いました。

 ほかはよろしいですか。

(なし)

【石井委員長】 あと、全体を通して何かあったら伺いたいですけれども、いかがでしょうか。

 失礼しました。愛玩飼養についていかがでしょうか。

【三浦委員】 この書きぶりで、私は基本的にいいのではないかというふうに思います。

 それで、午前中に野鳥の会の方から説明いただきまして、かつての日本の愛玩飼養というか、商業的なマーケットが成立していて、密猟も横行し、それから、過度の捕獲圧も、野生の特に鳥類には加わっていたのだろうというふうに実態としても思います。それを大きく軌道修正してきて、ここに至っているわけですけれども。やはり一方では、海外からさまざまな鳥類が入ってきて、それで鷹猟のタカとか、テレビで紹介されるフクロウの喫茶なるものがあって、あのフクロウは一体どこから来ているのかといったようなことが一つにはあって。

 あと、もう一つは、私が危惧するのは、人間と自然との関係というか、それから野生動物の状態もかつてとは大幅にこうやって変わりつつある中で、一方では、狩猟しといったようなことが行われる中で、人間と野生動物の関係というのは、あまり固定させるというか、愛玩飼養を全面的に禁止していくというのは、これからの問題だとは思うのですけれども、人と野生動物の関係を固定化させていくということは、もう少し柔軟であってもいいのではないかなというのが、私見ですけれども。

 そういう点で、歴史的な観点だとか、鳥類を愛でる面だとか、国内外の多様性の問題だとかといったようなことを、こういうことを書いていただくということは、私自身は賛成というふうに思います。

【石井委員長】 いかがでしょうか、ほかには。

 私も三浦さんとほぼ同意見です。

【坂田委員】 別かもしれませんけど、例えば、取締上のことを考えたりすると、傷病鳥獣であれば、飼って、しばらくあれして野生復帰するのかどうかあれですけれども、捕まえて飼育していいわけですよね。逆にそうじゃない飼養は捕まえて飼育するのは一切だめということになると、この辺は多少なりとも捕まえたものをどこか怪我しているとか、弱っているとかということであれば、いやいや傷病鳥獣ですと言えば、それで捕まえて飼育することがオーケーになるのかどうなのか、その辺りはなんかちょっと。午前中の野鳥の会の方でしたか、何かそういう問題提起をされておられたかと思いますけども。

 その辺で取締上もそうですし、考え方としても、傷病鳥獣をしばらく飼育して放すのはよくて、愛玩飼養は一切だめだというのは、どうかなと疑問が私には生じましたけど。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 今、傷病により保護を要する鳥獣の保護の目的の捕獲につきましては、許可対象者につきましては、国、地方公共団体の職員や鳥獣保護管理員、その他特に必要と認められる者ということになっておりまして、本日も獣医師会の方からの発表にもありましたとおり、そういった傷病鳥獣を救護する際に、一般の方が多く関わるべきか、人獣共通感染症の問題ですとか、鳥のひながいたときに、それを人が持っていっていいのかとか、そういう生態系への影響とか、そういった観点からしますと、行政職員ですとか、ある程度、行政が関与した中で、そういう講習を受けて許可を受けたような方々に限定していくほうが望ましいのではないかということも考えております。

 今回、傷病鳥獣救護の中で、そういった問題提起もございますので、救護する方、それを飼うことについても、きちんと獣医師の方々の関与を受けた中で、きちんとコントロールされた中で、そういうものを続けていくことが望ましいのか、その辺をもう少し議論した上で、愛玩のための飼養という部分も関わってくると思いますので、そことあわせた検討をしていきたいと思っております。

【石井委員長】 よろしいでしょうか。

(なし)

【石井委員長】 すみません、うっかりしまして。

 それでは、最後の論点です。2-10、鳥獣の保護管理の体制に関する記述の論点ということですが、ここについてはいかがでしょうか。

【三浦委員】 ここでやはり重要だと思うのは、役割を変化させてきているという、実態としてですね。鳥獣保護管理員、これの位置づけが鳥獣保護センターとともに、より明確にされていいのではないかなというふうに思います。これは佐々木委員も要望もあると思いますけれども、お金の問題がありますけれども、私は鳥獣保護管理に大きな役割を果たす、そういう人材だというふうに思いますので、その位置づけをもう少し環境省のほうで明確にしていく必要があるんじゃないかなというふうに思いますけど。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 現状としては、鳥獣保護管理員の役割というのが狩猟取締、鳥獣保護区の管理、生息状況に関する調査、普及啓発、また、鳥獣の保護管理に関する助言・指導、環境教育の推進という位置づけがなされております。

 現在、鳥獣保護管理員につきましては、現在の規定は第10次鳥獣保護事業計画における総数と同様の人数という記載がございまして、10次鳥獣保護事業計画での鳥獣保護管理員をもう大体3,000人ございまして、現在は平成25年度で2,936人ということで、ほぼ規模的には変わっていないという状況、規模も維持できているという現状がございます。

 鳥獣保護管理員につきましては、現状としてはそういった体制がとれてはいるんですけれども、現在の活動内容で何か支障が出ているのかというのを、もう少し我々のほうとしても把握をさせてもらって、必要があれば、なかなかそういったものについて国で支援するというのは予算的に難しいと思うので、自治事務の中で今活動している部分が、国指定鳥獣保護区以外はそういうものがあると思いますので、現状としてどういう課題があるかというのは精査をしていきたいと思います。

【三浦委員】 私、実態的に言って、やっぱり第一種、第二種の鳥獣の管理保護と、この計画に参画していくような人材である必要があると思うんです。それで3,000人近くいまして、都道府県で割り算すれば、60人以上ぐらいはいるわけです。そんなにたくさんは一つの都道府県で、北海道なんかは必要だとは思いますけれども、一般的に見ると、そんなに要らなくて、もうちょっと地域割にして、市町村を越えたような格好で、被害状況の把握だとか、と、時と場合によっては捕獲をどう進めていくのかといったようなこと等、かなりの権限を持って活動できるようなといったような位置づけを積極的にしていく必要があると思うんです。その辺り、いかがですか。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 こういった制度上の仕組みもございますし、あと、環境省で専門家を登録する人材登録事業の中で捕獲コーディネーターとか、鳥獣保護管理プランナーとか、そういったものもありますので、どういったものが自治体の方が使い勝手がいいのかというのは、ちょっと語弊があるかもしれませんけれども、というのもありますので、そういった実態も踏まえながら、どういう制度がいいのかというのは考えていきたいとは思います。

【石井委員長】 ほかは。

 三浦さん、よろしいですか。

【三浦委員】 歴史的には違法捕獲の取り締まりというところが重点できているわけですけれども、少し時代が変わってきて、積極的に保護管理の前面に出ていくというねそういう役割を果たすような人を、県でブロックで言えば、60も100人も必要かどうかということと、ある程度ジョブになるような人材で、どうでしょう、その半分以下でいいのではないかなと。本当に実態的に働ける人であることですね。そういう位置づけと、そういう人を選べるような仕組みをぜひお願いしたいというふうに思っています。

【坂田委員】 鳥獣保護管理員さんの仕事ですけれども、実際にやっていらっしゃる方で、法律名で言うと、鳥獣の保護管理及び狩猟の適正化ですね、そこの部分の仕事がやっぱり大きいと思います。

 実際に限られた、月に何日分かで、そんなに多くない報酬で、皆さん頑張っておられると思いますけれども、実際に違法かもしれないわながあるというような話が来たときには、鳥獣保護管理員さんがそれを確認して、実際に猟をやっている人間じゃないと、それが適正なのか不適切なのか判断できないところなり、そういうところがあるのと、県の機関でも人手のこともありますし。そういう一つ一つ違反の可能性があったり、何かのトラブルが発生したときに、それを見て、法律とある程度照らし合わせて、行政職員と相談して、どういうふうに違法なわなを仕掛けたのが誰かとか、あるいは警察がもしそれを違法だということで調書とかをとり始めると、そこで鳥獣保護管理員さんがそこの知見をもって所見を述べたりして。いろいろとそれでまた、大概ほかの仕事があったりする中で、そこでとらているというようなところもあると思いますけれども。

 実際に狩猟の適正化というのは重要なファクターになって、これから狩猟者をもっと頑張ってもらおうということになると、恐らくその仕事もかなり増えてくるのではないかと。新しい人がどんどん入ってくると、自分は悪気はなくても、知らず知らずのうちに違反状態になっているというようなこともあったりして、その辺をある程度、指導していただいたり、違法になる前に注意していただいて、それを避けて、免許の取り消しとか不本意なことにならないようにという部分でも役割は多くなってくると思いますので。その辺の実態と必要な業務量と求められることを検討して、それでどうするかという意見でもないですけど、でもそういう実態もあるということで。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。予定の時間になりましたので、そろそろまとめたいと思いますが。

 1点だけ、今日の論点ではないですけども、42ページの学術捕獲のことですけれども、この時点で言うのが適当かどうかとも思いましたが、⑦の捕獲等又は採取等後の措置というところの2)です。これは私が気がついたときには、もう入っていたんですけれども、個体識別のための指切り、ノーズタッグは、やらないこと、行わないことというふうに書いてありますけれども、実態としては、例えばネズミの指切りによるマーキングとかは認められていたりします。

 問題は、だから、鳥獣の生態に著しい影響を及ぼすような措置をしないという辺りにあると思いますが、指切りは著しい影響とまでは言えないので、事実としてもちょっと違ったりしますので、ここの書き方をもう少し一般性のある書き方に考えていただければと思います。

 ほかには。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 事務的な修正がございまして、資料2-4-1で事務的な修正なのですが。2ポツの(3)の3ポツ目の「狩猟鳥獣の定義」というふうに書いております。これは実は狩猟鳥獣の選定の考え方でしたので、すみません、この「定義」というのは「狩猟鳥獣の選定の考え方」と修正させていただきたいということと、あと、その文章中に「資料3-2」と書いてありますが、これは「資料2-4-2」の間違いでございます。この部分を訂正させていただければと思います。

【石井委員長】 すみません、もう一回言ってください。

【東岡鳥獣保護管理企画官】 資料2-4-1の2ポツの(3)の3ボツ目のところに「狩猟鳥獣の定義について」と書いておりますけれども、「狩猟鳥獣の定義」のというのは「狩猟鳥獣の選定の考え方」の間違いでしたので、すみません、「定義」というのをこの文章中のものは「狩猟鳥獣の選定の考え方」ということで訂正をさせていただければと思います。

 あと、その文章中に資料3-2と記載がございますが、資料番号を間違えておりまして、資料2-4-2の間違いでございます。すみませんが、訂正をさせていただきます。

【石井委員長】 それでは、ほかには特によろしいでしょうか。

(なし)

【石井委員長】 それでは、この辺りで今日の審議を終えたいと思います。

 次回は4月から5月中の開催を予定しているということです。事務局から日程調整のご連絡があるというふうに思います。

 そのほか、事務局から何かありますでしょうか。よろしいですか。

 それでは、最後に、奥主自然環境局長からご挨拶をお願いします。

【自然環境局長】 午前中の審議は欠席させていただきまして、申し訳ございませんでした。

 本日は本当に午前、午後と長時間お忙しい中、委員会の審議にご参加いただきまして、本当にありがとうございます。

 本日は私も午後聞かせていただきましたけれども、それぞれのお立場から今後の鳥獣保護管理のあり方を考える上で、非常に貴重なご意見をいただくことができました。本当にありがとうございます。

 委員長のほうからもありましたように、次回、基本指針の案を今日いただいたご意見を踏まえながら、案というものを次回ご提示させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 本日は本当に長時間ありがとうございました。

【事務局】 長時間にわたるご議論、ありがとうございました。

 これをもちまして、本日の鳥獣の保護管理のあり方検討小委員会を閉会いたします。