鳥獣保護管理のあり方検討小委員会(第7回)議事録

1.日時

平成25年11月6日(水)9:30~12:06

2.場所

環境省第2・第3会議室

3.出席者

(委員長) 石井 信夫
(委員) 尾崎 清明 小泉  透 染  英昭
高橋  徹 磯部  力 坂田 宏志
福田 珠子 三浦 愼悟
(環境省) 星野自然環境局長
奥主審議官
江口総務課長
中島野生生物課長
堀内鳥獣保護管理企画官

4.議事

【事務局】 時間になりましたので、中央環境審議会自然環境部会鳥獣保護管理のあり方検討小委員会を開催させていただきます。
 定足数の確認でございますが、本日、委員11名のうち9名が出席し、「中央環境審議会議事運営規則第8条第5項」による定足数を満たしておりますので、本委員会は成立しております。
 配付資料の確認でございます。
 1ページ目に、議事の表題がありまして、次は名簿です。
 資料1としまして、「鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について」です。
 以上ですが委員の皆様には、「答申(素案)」を参考として配付しおあります。
 本委員会の資料及び議事録は、後日、環境省のホームページに掲載いたしますことを申し添えます。
 それでは、石井委員長、よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 皆さん、おはようございます。ただいまから平成25年度の第7回鳥獣保護管理のあり方検討小委員会を開きたいと思います。
 本日は、「鳥獣保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について答申(素案)」について議論を行うこととしております。
 まず、事務局からご説明いただいた上で、項目ごとに区切って順番に議論していきたいと思います。
 それでは、さっそく議事に入りたいと思います。
 議題1、答申(素案)について、事務局からご説明お願いします。

【事務局】 おはようございます。事務局から説明をさせていただきます。
 資料は本日一つでございます。それと、委員のお手元には、事前に照会させていただいたものからの変更点がわかるような形で、参考に配りしておりますので、そちらも必要に応じてご覧いただければと思います。
 それでは、1枚めくっていただきまして、まず、目次で簡単に全体の構成をご説明させていただきます。
 最初に「はじめに」ということで、全体的な検討を進める上での考え方や経緯をまとめております。
 2番目の「鳥獣管理をめぐる現状と課題」では、今、鳥獣の生息状況がどうなっているか、被害はどうかという現状と課題を示しております。
 3番目の「鳥獣管理につき今後講ずべき措置」では、今後こういった方向で変えていくべきであるとか、新たにこうしていくべきだというような考え方をまとめて整理しております。
 それでは、中身に入ります。
 1ページ目、「はじめに」です。
 最初、我が国の鳥獣行政は数度目の重要な転換点にあるということで、今回いろいろとご議論いただいている中で、そういった方向だったかと思いますので、冒頭にそのように書いております。
 どのような転換点かといいますと、これまでの制度においては、狩猟を適正かつ安全に行うこと、被害対策等のための捕獲を適正に行うことと、捕獲にかかる規制をコントロールすることによって鳥獣を保護することというのが基本であったということです。
 他方、最近の被害、ニホンジカ、イノシシなどの種が急速に個体数を増加させ、分布を拡大させているということで被害も大きくなっているということを、20行目ぐらいに記載しておりますけれども、これからの鳥獣行政は種によっては、従来の保護のための施策から被害対策のための積極的な個体群等の管理を実現するための施策への転換が不可欠であるということで、こういった転換点にあるということでございます。
 26行目からは、今回の検討に至った経緯ということで、前回の改正法の施行後5年であるということなどをお示ししております。
 ここで、本小委員会を設置して詳細検討を行うとともに、自然環境部会においても広範な検討を行い、本答申を取りまとめたということでまとめております。自然環境部会については、これまで一度ご説明をしてご意見をもらっているということと、これから12月、1月の部会の中でご議論いただくことにしております。
 検討にあたっての基本的こととして、鳥獣法制を見た上で、特に緊急を要するニホンジカやイノシシの個体群管理に焦点を当てて議論を深めたということで、これが鳥獣管理全てではなく、今回かなり特化して議論していただいておりますので、生息環境管理などのほかの鳥獣保護の考え方、または鳥獣管理における感染症対策などについては必要に応じて検討を継続することを期待するという点を記載しております。
 次に、鳥獣管理をめぐる現状と課題です。
 鳥獣の生息状況ですけれども、我が国の鳥獣の状況としましては、一つは第4次環境省レッドリストを昨年公表いたしましたけれども、そこで哺乳類34種、鳥類97種が絶滅危惧種として掲載されており、第3次のレッドリストからは概ね掲載される種の置かれた状況は横ばいということで、絶滅のおそれという観点からの事実を記載しております。
 一方で、シカ、サル、イノシシなどの中大型哺乳類やカワウの個体数や分布は増加、拡大をしているということ。
 それから、環境省の方で公表し、今回の審議会の中でも資料としてご提示いたしましたニホンジカ、イノシシの個体数の推定結果について記載をしております。シカについては、シミュレーションの結果も記載いたしました。
 それから、(2)鳥獣による被害の現状ということで、近年の増加傾向、被害の拡大傾向についての記載をしております。
 最初に、農作物の農業被害、また林業被害、それから次のパラグラフでは、特にニホンジカによる生態系被害の深刻さといったことをお示ししております。
 また、生物多様性総合評価報告、いわゆるJBOといっているものですけれども、この中でも、今後この50年間で進行しつつある損失のうちで不可逆的な変化を起こす可能性があると考えられるものとして、シカの個体数増加、分布拡大による森林植生の破壊の影響ということが挙げられていて、深刻であるということです。
 それから、次のパラグラフは生活環境被害について。列車、自動車事故にとどまらず、森林が持つ水源涵養機能、国土保全などの公益的機能の低下といったこともお示しをしております。これらは今後さらに甚大なものになっていく、激堪なものになっていくということが予測されるということでございます。
 次の3ページですけれども、狩猟免許所持者の推移ということで、ここでは狩猟免許所持者が年々減少している状況ということをお示ししております。鳥獣捕獲の主たる担い手である狩猟免許所持者が最近40年間で6割以上減少しているといったことがございますので、それを記載しております。
 次に、(4)で鳥獣保護法等の制度運用の現状と課題ということで、今、制度的にはどういう状況かということでございます。まず、鳥獣保護法では、基本的には都道府県が事務を行っているということです。
 また、次のパラグラフでは、平成11年に特定計画制度が設けられて、総合的な管理、科学的・計画的な保護管理が行われているということで、現在、6種、124計画が全国で策定されているということでございます。
 この特定計画については、制度ができて都道府県による努力によって一定の成果は上がっている。例えば捕獲数で言えば、シカ、イノシシ、それぞれ41万頭、39万頭ということで、この10年間で約3倍と2倍に増加している。さらに、その中でも、狩猟による捕獲数を、許可を受けて行う捕獲数が上回っているという状況をお示ししております。
 しかし、こういった状況ではありますけれども、多くの都道府県で個体数を減少させるには至っていないということ。また、被害も低減している状況にはないということでございます。この原因としては、目標設定の方法や目標達成の手段に課題があるということが考えられます。
 中身としましては、例えば目標達成の手段としての捕獲については、一般狩猟や被害対策として行う捕獲に期待をするといった計画が多くて、個体群管理に本当に必要な捕獲が十分進んでいないという場合があるということです。これまで以上に、計画作成者であり、目標達成に責任を有する都道府県の実行力の発揮が求められるということを示しています。
 その次にお示ししているのが、鳥獣被害防止特別措置法です。平成19年に施行され、現在、1,331市町村が被害防止計画を策定して対策を行っているという状況でございます。
 この計画は、鳥獣保護上の事業計画や特定計画と整合を図るということになっておりまして、計画上の整合は図られているものと思われますが、実際の対策を進める上で都道府県と市町村の連携がまだまだ十分ではないといったようなご指摘もありましたので、ここでお示しをしました。
 次に、ここから鳥獣管理につき今後講ずべき措置というところに入ってまいります。これまでご議論いただいた項目に概ね沿った形でまとめております。
 1つ目の鳥獣管理の充実というところですけれども、こちらは考え方を整理したという意味合いが強くなっております。
 捕獲を規制して鳥獣を保護するということが鳥獣行政の基本であった時代から、積極的に捕獲をしていかなければいけない現在では、鳥獣保護法が果たす役割も大きく変化をしているだろうということでございます。
 特に平成11年に創設された特定計画制度では、法律上、その対象となる鳥獣の保護を図るため特に必要がある場合に計画を作成するということとなっています。
 一方で、現状では、被害が非常に大きな場合、当該鳥獣の保護だけに注目をするのではなく、当該鳥獣によるさまざまな被害を防止するための管理が必要となっておりまして、実態としてもそういった意識で管理が行われていることが多いという状況にあります。
 こういったことから、従来の捕獲規制とその解除による鳥獣の「保護のための管理」という考え方から、積極的な管理に転換をしていくという必要があるのだろうということでございます。
 それに伴って、特定計画、鳥獣保護事業計画、また、その指針である基本的な指針の位置づけや、名称、内容についても変更の必要があるかどうか検証を行うことが重要といったことをまとめております。
 また、用語の使い方ですけれども、この答申の中では、こういったニホンジカ、イノシシなどの個体数の著しい増加により生態系、農林業に深刻な被害を与えている鳥獣の積極的な管理を指す場合に、「鳥獣管理」という言葉を用いております。
 (2)で関係主体の役割と連携をまとめております。
 鳥獣管理には多くの関係者が関わっているということがございます。国としても環境省が鳥獣保護法で、農林水産省が鳥獣被害防止特措法を所管して、それぞれ基本的な指針を定めて制度設計や運用を行っている。都道府県は鳥獣保護法に基づいて鳥獣保護事業計画をつくり、必要に応じて特定計画をつくるということになっている。市町村は、特措法に基づく被害防止計画をつくって、被害防止のための取り組みを行っているということです。
 鳥獣による被害対策についても、例えば農業者が農作物を守るという観点や、道路や鉄道の管理者が交通事故防止のために行う、国が国立公園、国有林における生態系被害を防止するために行うといったような場合がございます。このように、多くの関係者が携わっているという状況がございます。
 例えば、一つの捕獲を取ってみても、農業被害のための捕獲であったとしてもそれが生態系被害対策に役立つということもありますし、その逆ももちろんあるということです。単純な役割分担というのは難しいですけれども、役割を整理した上で連携体制を構築していくということが重要であろうということでございます。
 ここで鳥獣管理の役割をまとめるに当たって、ア、イ、ウという形で個体群管理に関する役割と被害防除に関する役割、生息環境管理に関する役割等、これら三つをバランスよく実施するというために、その三つそれぞれについて役割分担の整理を行っております。
 ただ、先ほどもお示ししましたように、今回の答申では個体群管理に焦点を当てているということで、被害防除や生息環境管理の役割については基本的な考え方を示すことにとどめているので、今後、必要に応じてその他の二つについても詳細な検討をすべきということでございます。
 まず、アの個体群管理に関する役割でございます。
 個体群管理に関する役割としましては、一般狩猟としての捕獲、それから、例えば農林業者などがみずからの事業を円滑にするために行う自衛のための捕獲、それから生活環境・生態系等の公益を守るための捕獲の大きく三つに分けております。これらの捕獲というのは、いずれも相互に関連し合って、全ての捕獲は個体群管理に貢献するということでございます。
 自衛のための捕獲については、農林業自体がもともと公益的機能を持っているということや、最近のニホンジカなどの個体数がこれだけ増加している状況、また、中山間地で過疎化、高齢化が進んでいるというような状況では、公的な支援の必要性はますます高まっているということでございまして、役割としましては、原則として市町村と被害を受ける者が連携して行うということをお示しをしております。
 ただ、さらに、中山間地における鳥獣の出没は生活環境被害にも関連が深いということで、集落の住民も含めて協働で取り組むということが有効であるということでございます。
 それから、公益を守るための捕獲については、これは基本的には守るべき公益の性格に応じて、原則として行政が主導で行っていくものであろうということでございます。
 生活環境被害対策のための捕獲については、市町村が中心となって、住民、必要に応じて警察とも協力をして実施するということです。
 また、生活や生態系などの被害対策のための捕獲であれば、その保全・管理に責任を有する者がその周辺の関係する者と連携・協力して実施するということでございます。
 それから、都道府県について特に付記をしておりますけれども、都道府県は鳥獣保護事業の実施者であり、特定計画の策定者であることから、個体群管理の目標を設定して、それぞれが実施する捕獲全体の調整を行うとともに、それぞれの捕獲情報に基づいて、目標達成のために必要な捕獲を主体的に実施することが適当であるということで、それぞれいろいろな者が捕獲していますけれども、それらをちゃんと見た上で、さらに必要な捕獲は実施することが適当とお示ししました。
 国についても改めて書いております。
 個体群管理について、都道府県などの取り組みだけでは対策の効果に限界があると考えられる場合、また、広域的な観点から必要な措置を考える場合には、広域的な観点から必要な措置を取るものとするということでございます。
 特にニホンジカは国土の相当部分において個体数の急激な増加が見込まれますので、全国的な管理目標、管理方針を設定して、各都道府県の取り組み状況の評価、必要な提言・助言を行う、指導を行うなど、取り組みの強化が不可欠ということでございます。
 国の役割は改めて、次の(5)でも述べております。
 被害防除に関する役割ですけれども、これは原則として保護すべき対象の管理者が行うということでございます。被害防除のための鳥獣の誘因防止などは地域ぐるみで行うことが必要なので、行政のイニシアチブ、調整などが重要ということでございます。
 また、被害防除は個体群管理にとっても重要で、適切に行えば、個体数、餌付けしているような状態を押さえるということにもなりますので、そういった観点でもしっかり都道府県は市町村に指導・助言を行うということは重要だということでございます。
 生息環境管理に関する役割ですけれども、鳥獣がある程度の広がりを持って生息をしているということで都道府県が主導的に行うという必要があるだろうということでございます。
 ただ、いろんな分野に関わる鳥獣管理はそのためだけを目的として行うといったものではなく、それだけでは難しいということで、関係の行政機関、土地所有者などと調整を図って、長期的な展望を持って取り組みを続けることが重要ということでまとめております。
 (3)から具体的な施策に関係する措置ということになります。
 まず、効果的な捕獲体制の構築が対象でございます。
 ①としまして、鳥獣の捕獲などを専門に行う事業者を認定する制度の創設でございます。
 これまで以上に一部の鳥獣については捕獲圧を高めて個体数を望ましい水準まで低下させるということが重要ですので、安全かつ効果的に捕獲を行う仕組みをつくっていくことが重要であるということです。
 従来の捕獲体制だけでは対応が難しい場合も出てきているかと思いますので、一定の技能と安全管理体制を有する団体を鳥獣の捕獲などに専門性を有する事業者として認定をして、安全性を確保した上で業務の円滑な実施・効果的な捕獲を促進する制度を創設することが効果的だということでございます。
 その事業者は、例えばその高度な捕獲技術を持って効果的な捕獲を実施したり、地域密着型で捕獲を推進したりというようなタイプが想定されます。また、モニタリングや計画策定・評価にも関与していくことで、地域の鳥獣管理の担い手となるということも期待したいということです。
 そのため、事業者の要件としては、鳥獣管理に関する知見、安全管理体制、捕獲実績を有しているということや、実際の従事者に対しての研修などを求めていくということを考えております。
 鳥獣管理の専門家の配置も促していくことで、鳥獣管理の担い手として育成していくという観点も大事だろうということでございます。
 次のページです。
 こういったことを踏まえて事業者認定をしていく中では、うまく捕獲が促進されていくように、これまで個人で対応してきたもの、捕獲許可の申請手続や、報告義務など、個人の責任が軽減されるように事業者としてしっかり責任を持っていくということ、違法行為に対しても事業者として責任を持ってもらうということを考えていくということになります。
 また、ここは留意点としてしっかり記載をしておく必要があると思ってお示しをしておりますけれども、こういった事業者認定の仕組みを創設するということがこれまでの捕獲体制を否定するということではないということです。
 これまでの捕獲実績は十分評価をしなければいけない、されなければいけないものだと思いますが、一方で、これから数をたくさん捕っていかなければいけない、全国的には現状の倍以上の捕獲を必要とするということを考慮しますと、これまで個人に負担がかかっていた部分を軽減してくということで、効果的な捕獲体制を構築することを目指すものということでございます。
 ということで、既存の狩猟者団体、一般的には猟友会かと思いますけれども、一定の要件を満たして事業者認定を受けるといったことも期待をしたいということでお示しをいたしました。
 また、事業を実施する際、その場で活動してきた狩猟者がいる場合に、その活動に十分配慮して連携・協調していくということが実際の効果的な捕獲のためにも重要ということを記載させていただきました。
 さらに、以降は個人の免許や資格に関してまとめたものです。
 現時点で、議論をいただいたポイントではありますけれども、一般狩猟を前提とした制度、狩猟免許が許可捕獲にも活用されているといったことや、個人の専門的な能力を認定する仕組みも必要ではないかというご意見がありましたので、今回、ここは最終的な整理ができたわけではございませんけれども、引き続き検討が必要であるということで課題を示しております。
 2で農林業者がみずから行う被害防止のための捕獲についてということで、ここも何度かご議論をいただいたポイントでございます。
 わなによる捕獲について、手続の簡素化を行っていくということについて議論いただきましたけれども、この捕獲自体、手続の簡素化は被害防止のための捕獲の推進には寄与するけれどもさまざまな課題があるといったことをご指摘いただきましたので、今後、安全管理のための仕組みづくりなどをしっかり検討した上で、関係者とも調整をして、引き続き検討していくといった結論をお示ししております。
 それから、3としまして、わな猟免許、網猟免許の取得年齢の引き下げということで、現行、二十歳の免許の取得年齢について、より一層捕獲を推進していくという観点で、適切な年齢まで引き下げていくということも検討していきたいということでございます。
 (4)としまして、計画的な捕獲の推進についてお示ししております。
 先の(2)のところで、県の責任ということをお示ししておりますので、都道府県がみずから捕獲をする事業を位置づけていくことをお示ししております。
 国、都道府県、特に全国的に被害が甚大となることが予想される種について、都道府県または国の機関が個体群管理のための捕獲事業を実施する場合に、一定の条件下で当該事業における捕獲等にかかる規制緩和等を行っていくということです。
 例えば捕獲許可の手続を不要とすることや、鉛弾を使用していない場合など十分な条件を付けた上で規定の捕獲個体の放置の禁止を緩和するということや、夜間に捕獲を行うことが効果的な場合に、安全管理を厳格に行えることを条件として夜間の銃猟を認めていくということも考えていくべきだろうということでございます。
 ただ、夜間の銃による捕獲については適正な方法で実施しないと危険性が高いことや、捕獲効率が結果的には下がってしまうということもあるので、慎重に行うべきだということもお示ししました。
 それから、計画的な捕獲の推進に当たっては、捕獲技術の開発・普及の重要性ということもご指摘いただいたと思いますので、その重要性やその際の関係法令も合わせて検討していくべきだというご意見をお示ししております。
 (5)で国の取り組みの強化ということをお示ししました。
 鳥獣行政は原則として都道府県の自治事務となっておりますけれども、都道府県による個別の対応だけでは追いつかない鳥獣種があるということで、国が指導力を発揮して、当該種の鳥獣管理を推進するということが不可欠であろうということです。
 国が状況や取り組みに関する評価をした上で、結果を公表して提言・指導を行うということを次のページに書いております。
 都道府県に対して取り組みを促していく、必要に応じて国みずからが調整して、協力・連携体制を構築するといったことの重要性をお示ししております。
 その際の役割分担です。国と都道府県の調査の役割分担、費用の分担についても検討は必要であろうということです。
 さらに、全国的に被害が深刻化しているような鳥獣、都道府県に管理捕獲を推奨するような鳥獣については、国が全国的な捕獲目標を設定するなど、管理の基本的な方針を定めて全国的な取り組みを促すということ。
 全国的な重要性ということを考えれば、予算を含めて、都道府県任せにするということではなくて、国としての予算確保・配付も検討すべきといったことがございます。
 また、国立公園・国指定鳥獣保護区などの国が管理する地域については、しっかり国としてもみずから対策をとっていく必要があるということです。
 それから、国が許可権限を有する希少鳥獣については、近年、局所的な問題、被害があるような事例もありますので、国が計画を策定できるような制度も検討していく必要があるだろうということです。
 (6)としまして、科学的な鳥獣管理の推進をまとめております。
 ①としましては、専門的知見を有する専門家の育成・活用ということで、都道府県などで鳥獣管理の専門的知見を有する職員の配置が必要であるということが再三指摘されておりましたので、こちらでお示しいたしました。
 具体的には、研修プログラムの充実や、事例の定期的な提供を行っていくということや、人材登録事業の活用、これは現在環境省が実施している人材登録事業の活用拡充も視野に入れて鳥獣管理の技術を認定するような仕組みというものも重要であろうということです。
 それから、鳥獣保護員についても、ここで実態を調査した上で、その役割、求められる資質などについて改めて整理をして、今後、必要な見直しを行っていくことも必要であろうということです。
 ②といたしまして、効率的な情報収集、評価指標の確率・普及でございます。
 やはり効果的な鳥獣管理を行うためには、モニタリングの重要性というのはここで改めてお示ししております。
 次の10ページですけれども、特に捕獲情報の収集のシステムや、調査の効率化、簡便な分析方法の提供など、方策を検討するということの重要性をお示ししました。
 国としても、全国的な調査手法を統一していくということで、全国の取り組みの推進状況、進捗状況の把握に努めていくということも期待しております。
 (7)で、一般狩猟の促進ということでお示しをしました。
 やはり数を捕獲していくという中で、一般狩猟による捕獲というのは非常に重要であるということです。
 狩猟者の減少、高齢化が続いていますけれども、ここの維持・拡大といいますか、できるだけ減らさないような手だてというのも考えていく必要があるだろうということです。
 そのためには、最後21行目からですけれども、狩猟の社会的役割についての普及・啓発や、手続の利便性の向上、経済的負担の軽減など、狩猟者の確保をする方策を検討していく必要があるということ、また、狩猟者個人個人の捕獲技術の向上を図るといったことも重要であろうということなどをお示ししております。
 (8)は、国民の理解を得るための取組の推進でございます。
 これは、ここまでお示ししているように、今後、多数の捕獲を行っていかなければいけないということで積極的な管理を実施していく中で、やはり国民の理解・協力といったことが非常に重要になってくるであろうということです。特に捕殺を伴うということで、十分な理解、丁寧な説明が必要であるということと、捕獲した鳥獣の可能な限りの活用、食肉などとしての活用も推進しつつ、まず捕獲の必要性といったことをしっかり説明をしていきたいということでございます。その際には、また、科学的な根拠や視覚的な表現を用いてわかりやすく説明をするといったことも重要であろうということです。
 (9)で、人と鳥獣の関係についても前回ご議論いただきましたけれども、改めて考える時期に来ているだろうということで、ここでお示ししております。
 一般の人にとっては鳥獣は暮らしから遠い存在になってきている一方で、被害は深刻化しているということです。こういった状況の中で、人と鳥獣がどういう関係をつくっていくべきか、将来的な課題として検討を深めていく必要があるだろうということです。
 これ自体は鳥獣の関係だけを議論するということではなくて、里山地域の居住地化など、日本の国土全体のことでもありますので、広範な議論をしていく必要があるだろうということです。
 その他、最後でございますけれども、個別の話としまして、一つは鳥獣の鉛中毒被害への対応、これから数をたくさん捕っていかなければならない中で、非鉛弾の使用の推進について議論が必要であろうということです。
 公的な捕獲については可能な限り非鉛弾の使用を進めるということと、今後、さらに猛禽類などの鉛中毒に関するモニタリング調査など、しっかり影響の把握に努めていくということでございます。
 それから、②としましては、狩猟制度の円滑な運用ということで、現在の制度で実際に見直しが必要な場所もございますので、そういったところは適宜見直しをしていくということです。
 それから、鳥獣保護法における外来鳥獣の扱い、こちらも前回ご議論いただきましたけれども、外来生物法に基づく特定外来生物も狩猟鳥獣に指定されているということで、外来生物法に基づく防除と鳥獣保護法に基づく捕獲の役割の整理など、取り組みを推進するに当たって必要な整理があればしていく必要があるだろうということで、ちょっと先に向けた課題ということになるかと思います。
 ④としましては、海棲哺乳類による被害対策ということで前回ご指摘をいただきまして、特に今回は捕獲体制について議論をしてまいりましたけれども、これは基本的には陸上の、陸棲の動物に対しての対策を主としております。なかなか海棲哺乳類に適用できるような話でもないということでございますので、ここは改めて検討していく必要があるということでお示ししました。
 まずは全体のご説明をさせていただきました。

【石井委員長】 ありがとうございました。それでは、順番に議論していきたいと思いますが、答申の素案ということで、まず中環審の自然環境部会、そこで議論して、それでパブコメにかけるその元になる文章です。

【事務局】 部会はパブコメの後になります。

【石井委員長】 では、まずはパブコメのための素案ということですね。中身について一堂に会して議論をするのは今日が最後の機会ということになりますので、なるべくここでまとめるようにしたいと思います。字句修正とかそういうのは必要になるかと思いますが、できるだけ内容に関する議論をなるべく中心にやっていきたいと思います。
 それでは、まず、順番にということで、1の「はじめに」と2の「鳥獣管理をめぐる現状と課題」、この部分についてご意見をお願いします。

【三浦委員】 よく書けていると思うのですけれども、(2)の中に入れるのが適当かどうかわからないのですが、2ページの下の段に、生物多様性のことが出ているのですけれども、全体として総合評価報告があって、生物多様性国家戦略のことも入れて、森林植生の破壊の影響というのを挙げているわけですけれども、適正な管理を通じて国家戦略に貢献するのだということを、ここの「めぐる現状」か、「はじめに」ではないかもしれませんが「はじめに」か、いずれにしても国家戦略の中に今回のものが位置づけられているという流れの方がいいと思うのです。

【事務局】 ありがとうございます。国家戦略は一番上位にあるものですので「はじめに」の方がいいかもしれませんので、そちらの方に記載をする方向で具体的な案は検討させていただきます。

【三浦委員】 管理がそれに資するのだということ、戦略につながるのだということをやっぱりちゃんと位置づける必要がある。

【染委員】 2ページの鳥獣による被害の現状で、農林水産業被害のところに触れているのですが、金額と、営農意欲を失う、あるいは年間9千haの林業被害とか、これは文章的にはこういうことなのかなと思うということですが、やっぱり鳥獣害被害によるものはこの被害額や、この被害額にあらわれていない面では例えば耕作放棄地の増加などがかなり出ているのです。ですから、その辺をもう少し強調してほしいという感じがするのですが。
 それは具体的に、例えば果樹などは植えた途端に、まだ若木のうちにシカに食べられてしまって、では、再び植えるかというと、やっぱりコストがかかるから「もうやめた」というような話になってしまう事例がかなり出ているのですよね。そういう意味で、もう少し強調できないかという意味合いです。

【事務局】 そういった方向で少しここに加筆をさせてください。

【坂田委員】 先ほどと同じような意見ですが、もう一つは、国全体で被害対策費を、市町村から、都道府県から、農水省から、かなり支払っているにも関わらず被害額が200億円ということですで、もし被害対策をしなければもっと被害は深刻になるはずです。結局、農業被害に関しても、国民全体で払っているコストが200億円だけではなく、対策費プラス被害金額が国民全体のコストだというような形で書くのがいいのではと思います。ただ、その額がわかるかどうかというところですけれども。

【事務局】 コストが大きいということについて、国の予算ということであればわかりますが、都道府県、市町村まで全体額となるとなかなか難しい面もあるので、うまく工夫をしてどこかに加えたいと思います。

【三浦委員】 うろ覚えなのですが、放棄地についても、問題なのは、定住意欲さえなくしているといったような統計が、たしか農水省ではなかったかと思いますが、だから被害問題が営農意欲だけではなくて、耕作放棄地の増加や、定住意欲さえ奪っているといったようなことがあります。

【福田委員】 ほとんど同じようなことなのですが、耕作放棄地もそうですが、山でも、今は間伐主体でやっているからいいのですけれど、皆伐して植栽をしたときに、新芽から食べられてしまって、荒地になってしまって、それで、砂漠化してしまうのです。
 そのことを、この2ページの「森林が持つ水源涵養や国土保全等の公益的機能が低下する」ということ、この中に、防災というようなこととして入れていただけたら、言葉としてはわかりませんけれど。そういうことも意欲をなくすものの一つにあるのではないかと思います。

【石井委員長】 森林に関しては、再造林ができないとか、そういうことですか。

【福田委員】 植えても食べられてしまって、植えても植えても、新しいものから食べてしまって砂漠化になってしまった場所が奥多摩にあるのです。それは今ちょっと保全しましたけれども、そういうところは、私は東京都では一か所しか知らないのですけれども、ほかのところでも可能性としてはあるのではないかと思うのです。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。1と2のところですが。
 それでは、具体的な文案は事務局の方でまず検討していただくということにして、大体、今、伺ったようなご意見は取り入れていく内容かなと思います。
 それでは、次に移っていきたいと思います。よろしいでしょうか。

(はい)

【石井委員長】 それでは、次なのですけれども、3ですね。鳥獣管理につき今後講ずべき措置、これも(1)と(2)。(1)の鳥獣管理の充実と(2)の関係主体の役割と連携、この部分について、ご意見をお願いします。

【坂田委員】 これまでの議論の中で、個体数管理に重点を置いていくということはその方向でいいと思いますし、そうでなければなかなか順番には進めていけないと思います。
 それで、6ページ前半のイについては、被害防除に関する役割の中で行政がイニシアチブを持つことが重要である理由に、一つは対策を地域ぐるみで行うからということ、もう一つは、行政が行う個体数管理と被害防除はやはり連携して行うべきことであると思いますので、イの被害防除に関しても個体数管理なり、捕獲と連携して調整して組み合わせてうまく行う必要があります。捕獲を実施する者というのは被害防除との連携をきちんと取らないといけないし、個体数管理をする者としては、被害防除との兼ね合いを考えて個体数管理をしなければならないというところがあると思います。
 それで、ウに関しても、先ほど、森林の更新に阻害があったりということがあります。ですから、生息地管理に関しても、個体数管理をする者や捕獲をする者は、生息環境の管理に配慮しながら個体数管理のプランをつくらなければならないというところがありますので、特に個体数管理と捕獲の推進に重点を置いて議論するというところですけれども、その部分と被害防除や生息環境管理に関連する部分があって、そこを押さえて個体数管理をきちんとすることで被害防除や生息環境管理にきちんと貢献するんだという部分を記すのがいいのではないかと思います。

【事務局】 そのような方向で。個別にそれぞれイとウにそれぞれ書くというイメージでしょうか。それとも、最初の個体数管理に焦点を当てているというところでしょうか。

【坂田委員】 私は、個体数管理や捕獲の重要性や関連性をきちんと示すためには、イやウの部分でも言及した方がいいのではないかと思います。

【事務局】 わかりました、ではそのような方向で記載します。

【染委員】 5ページ40行目に「全国的な管理目標や管理指針を設定し」という表現があるのですが、別のページでは、管理目標ではなくて捕獲目標という表現が使われていたように思うのですが、これは何か使い分けをされていますか。
 別のページというのはどこか後ろの方にありましたよね。

【三浦委員】 6ページと9ページにある。

【石井委員長】 6ページの何行目ですか。

【染委員】 6ページの上から5行目です。まず、9ページの6行目に「全国的な捕獲目標を設計するなど」とあります。別に意図していないのであれば、統一した方がいいのではありませんでしょうかということを聞いたのです。

【事務局】 整理して検討します。

【三浦委員】 染委員のご指摘のところは5ページの「全国的な管理目標」ですね。全国的な管理目標という意味がちょっとわからないのですが、一律に平方キロを全体化していくとか、そういう意味ですか。これは、やはり「全国的な視点から」ですよね。管理目標や管理方針、全国的な管理目標は多分ないと思うのです。
 それで、やはり、地域個体群や、地域ブロックの単位で公益性を持ったような管理目標や管理方針を決めていく必要があると思うのです。

【染委員】 管理目標というと、おっしゃるように、かなり中身のあるお話かなとも思うのですが、今までの議論では、そもそも日本全体でどのぐらい捕獲すべきなのかというようなものさえ明確にされていないのが、明らかになってきた実態ではないかと思います。
 ですから、まず、捕獲の目標は全国単位で明確にしていただきたい。それを都道府県別にちゃんと配分する。それで、整合性が取れた捕獲が実際に行われたかどうかというのをチェックする体制を環境省がちゃんと引くというのが重要ではないのかと私は思っているのです。

【石井委員長】 三浦さん、今のことについて。

【三浦委員】 私は広域や各県の調査の実情、それから集落の実情を見ていて、そこまでツールとして成熟しているのか、個体数の把握が県域を超えながら、かなりの精度を持って把握できているレベルにあるのかどうかというと、そこまで成熟していないのではないかという気がします。

【坂田委員】 今の議論に関連して、やはり私の考えとしては、全国的な管理目標や管理方針というのは、本当に捕獲頭数などがはっきりわかって、このぐらいの規模が必要だということがわかれば、当然それを管理目標にすべきだと思いますし、そうでなくても、都道府県の支援に関してこれだけのことをする、あるいは全体の捕獲従事者なり、捕獲に従事する事業者をどのぐらいの規模で用意するように頑張るとか、いろんな形の管理目標や管理方針があると思いますので、それは今の段階では具体的な方向は示されてはいないし、どんな管理目標がふさわしいかは、まだ議論が必要なところだと思いますが、そのような例えば今言われた捕獲の数値目標、これができるかできないかということは、それこそ研究成果なり、研究開発の段階で、できるものをきちんとやっていけばいいと思いますので、その範囲の中で、やはり全国的な指針なり、目標というのは必要なのではないかなと思います。

【石井委員長】 この問題に関連して、いかがでしょうか。
 ここで全国的な管理目標といったときに、日本全体で100万頭以下にするとか、そういうことをイメージされるような書きぶりだと違うかなと思います。染さんのご意見はそんなような感じだと思います。
 トータルで100万頭以下になっているからいいでしょうというようなことにもなってしまうので、やっぱり実際は、地域地域でここはこのぐらい、ここはこのぐらい、そのトータルが結果として100万頭以下なら100万頭以下になるということだと思うのです。なので、そういうことが読めるような書きぶりにしてください。
 三浦さんは全国的な視点からとか、そういうことをおっしゃっていたけれども、何か、全国的な管理目標というと確かに日本全体で何頭というような、密度はすべからく平方キロ何頭以下にすべきという誤解を招くと思うのです。それは誤解だと思うのですけれども、書き方の工夫かなと思いますが、いかがでしょうか。

【染委員】 明確な目標設定をしていただきたいということなのですよね、管理をするためには、目標も何もなくてできるのですかという話です。

【石井委員長】 数字は必ずどこかに出てくると思います。ただ、それは北海道では何頭とか、そういうことでいかないと、こちらとこちらを足してこの数になったからという、そういうことはないと思いますけれども、そういう誤解を招くかもしれないということです。

【事務局】 そのような方向に向けて努力をするということは書かせていただきます。三浦先生がおっしゃるように、なかなかまだ成熟していないという部分もあるのですが、成熟させるべく努力をしていくというところも必要だろうと思いますので、そういった視点で少し書き方を工夫させていただきますが、基本的にはおっしゃるご意見の方向でお示しをするように、修文を考えます。

【石井委員長】 都道府県によってばらつきがあるというところで、やっぱり国の役割があるのだということだと思います。

【福田委員】 そのことなのですけれども、シカなどの動物は、県をまたいで移動したりするわけですよね。ですから大きな、ある程度の塊として、縦でやるのではなくて、隣の県と隣の県という風に横のつながりでやってもらわないとうまくいかないのではないかと思います。

【石井委員長】 ほかには、いかがでしょうか。今のことに関連しても、ほかのことでも結構です。
 今は6ページの20行目までのところを議論しています。それと、また時間を見て戻ることもあり得るということにして、先へ進みたいと思います。
 それでは、3.の6ページからですけれども、(3)効果的な捕獲体制の構築、それから(4)計画的な捕獲の推進、この二つの項目についてご意見をお願いします。
 これは8ページの34行目までのところですね。ここについてご意見をお願いします。

【三浦委員】 1点は今のことに関連しているのですけれども、7ページの10行から11行なのですが、環境省のシミュレーションによると、今後、少なくとも全国的には現状の倍以上の捕獲が必要とありますが、この意味もまたわからないです。国土保全上必要なのか、被害防止上必要なのか、個体群のトレンドを減少させるためなのか、そこのところをちゃんと言わないと。

【事務局】 おっしゃるとおりですね。ここは趣旨としては、少なくとも現状維持するためでも倍ぐらいの捕獲は必要だということだったので、減らしていこうと思えば、個体数を減らすためには倍以上の捕獲が必要ということなので、あまり先ほど言ったように具体的な個別の場所の目標とはちょっと違いますけれども、全国的な、総量として概ねという趣旨でございましたので、ここは加筆をいたします。

【三浦委員】 それから、もう一点ですが、これは中心的に議論してきたこれまでの総括の部分が「事業者認定の創設案」ということで、これはこれでいいのですけれども、事業者が持ち得るツールとして、本当にこれで十分なのだろうかと思うわけです。
 何が掲げられているかと言えば、免許制度の区分というか、そういうものと、それから捕獲許可をスムーズにするという制度上の問題と、あと、取り得るものとして夜間発砲が記載されています。それらではたして捕獲事業者が新たなツールを獲得してこの事業に参加していけるインセンティブをつくれているのか、書き込みとして十分だろうかという意見です。

【石井委員長】 何か、例えばとかというのはありますか。こういうことも書き込めないかとか。

【三浦委員】 やっぱりサイレンサーでしょうか。あと、大型の捕獲わな。夜間発砲も検討すべきであると書かれているのだけれども、それで見合うような捕獲の可能性が果たして技術的に可能かどうかというのが私はちょっと。書き込みとしては検討項目を挙げてもらうということは重要なのではないかなと思います。

【染委員】 すみません、少し関係して。この新しい制度を創設すること自身は周辺事情から見て、そういうことなのかなと思うのですけれども、ただ、この認定事業者でしかできないことがわからないのですよね。この文章、全体的に。要は、認定事業者には、今おっしゃったような話かもしれません。こんなメリットがあるのだと、だから積極的に認定事業者になった方がいいのだというようなことがわからない。
 それと、従来の特措法に基づく自治体、あるいは大日本猟友会が何かグループを形成して猟をやるようなときに、それがこの認定事業者にならないといけないのか、ならなくていいのか、あるいはそういう人たちはもう前提としてこの認定事業者と見なされるのか、その辺がよくわからないのですよね。
 だから、何のために認定事業者制度をつくり、その認定事業者しかできないことをつくろうとしているのか、あるいは従来の自治体なり、猟友会のやっていることも認定事業者なのだということにするのか、どちらなのかがわからない。
 私としては、従来の自治体も猟友会がつくるようなグループでやるのも、それはもう頭から認定事業者とみなしますよというようなやり方もあるのだと思うのですが、どのように認定事業者を区切るのか。
 だから、メリットがわからないから、認定事業者というのは一体どのような人たちにするのだというのが、何となく全体的にわからないのですよね。言葉の上では「高度な捕獲技術が求められている効果的な捕獲や地域の課題に即応した地域密着型の捕獲が想定される」と書いてあるのですが、これを制度化するのか。いや、今までお出しになったポンチ絵にはそう書いてあるのですよね。
 でも、それは認定事業者でしかできないことにするのか、あるいは従来の自治体でもできるのですよとおっしゃるのか、それを明確にしないと、何のための認定事業者制度なのかというのがよくわからないなという感じがします。

【坂田委員】 私の理解ですが、今の話で言えば、これまでの捕獲、全体の捕獲総量を上げていかなければならない状況の中で、これまでの捕獲は減らすわけにはいかないですし、これまでどおりのことはこれまでどおりきちんとやっていきましょうと。あるいは、もしできるのであれば、これまでの一般狩猟の枠も増やしていきましょうということですよね。
 その中で、もう一つここでは、それとは別にプラスアルファで計画的な捕獲事業をするようにしましょうということではないかなと思うのです。
 それで、これまでのここの議論でも私自身はあまりきちんと理解していなくて、磯部委員にいろいろと指摘をされて、ああそうかと思ったことなのですけれども、これまでのことはこれまでできちんとやっていく。
 例えば警察の方に来ていただいてお話しされたとき、やはり安全基準上、狩猟していただく上で守っていただかなければならないルールなり、規則があるということは十分理解できましたし、それで、ただ、従来やっていることの規制緩和ではなくて、新しい枠組みでの捕獲事業もできるようにしようということだと思うのです。
 そうすると、これまでのことはきちんと確保して今までどおりきちんとできるようにするということと、一つは全く別の事業、別の枠組みの公益的な捕獲を行うルールをつくるのだというところで、当然、人としては今までの狩猟団体の人がそれに参画するのもいいし、いいことだと思いますけれども、ルールとしては、従来のことはきちんと確保した上で新しい捕獲の枠組みをきちんとつくる。
 ただ、そのときの条件は、規制緩和だけではないと思うのです。別のルールなので、条件的には厳しいことを求められる部分もありますし、事業管理者としてどのように管理しなければならないかというのは、やはり事業者が行うためには厳しい枠組みがある部分もあれば、逆にその分、融通が利く部分もあるということで、全く違う枠組みで、何か今までやっていることの規制緩和ではないということでなければならないかなと今は思っています。
 やはりこの問題、必要なことは、一つは捕獲というある程度危険性もあることに従事してもらうために、国民が安心して任せられる人という条件がまず必要ですし、今メリットという話がありましたけれども、その事業自体が、事業者としてはきちんとやりさえすればきちんと事業として成り立つと。当然従事者の生活もあると思いますし、事業全体として継続的に実施できるという、国民、頼む方からしての安心なり、あとはもう一つ、効率もあると思いますけれども、頼む方として効率や安全面や安心と、それと事業者として本当にそれがきちんとできるかということが回っていくかということの二つを確保するところが重要ではないかと思います。

【事務局】 ありがとうございます。今、坂田先生がおっしゃったように、基本的に今までやっていただいているものは、それを継続して、むしろ拡大をしていっていただきたいということと、さらに、今まで行っていた中でも、個体群管理のための許可捕獲として行っていたようなものは、この事業者が実施しやすくするようなことになっていくのかなと。
 被害対策のための捕獲はどちらとも言えるとは思いますけれども、狩猟の部分はぜひ狩猟としても増やしていくことを目指していただきたい、許可捕獲で行っていた部分の一部はこの事業者に行っていただくようなことをイメージしておりまして、新たな体制・仕組みをつくっていくことで、安心・安全に行ってくれることを世の中にわかるような形にしていく。
 今までの体制でも猟友会で十分取り組んでいただいていた部分ではあるのですが、事業者の認定をするという形で、そこを法律的に保証するというようなイメージで、法的にもきちんとした団体が行ってくれていますよということが、今まで以上に明確になるのではないかなと、これまで行ってきた方々に対してもそこを保証していけるのではないかというのが大きなポイントと思っています。
 そのように考えると、実は認定事業者でしかできないことというのはあまりなくて、夜間銃猟は都道府県が実施する場合に認定事業者が実施者となって行うということで、認定事業者になっていただかないとできないという、今のところはそのような仕組みで考えておりますけれども、新たな制度として、まず、そのような能力なり安全性を確保しているということを保証していくということを法律で整備をした上で、実際にメリットや、行っていく上でどのようなことが必要であるかということについては、ほかの法令も含めて、そこは改めて検討・調整をしていくということかなと思っております。
 鳥獣保護法の枠の中では、今ここで出てきているような狩猟免許の個人の免許制度の手続の簡素化などといったことがお示しできているわけですけれども、それだけで十分ではないというお話があれば、また改めて見直していくということになるのかなと思っております。

【小泉委員】 先ほど認定事業者の説明が読み上げられた時に、35行目のところ、「想定される」で終わってしまったのですが、実は、私はここで一番大事なのは地域で管理を完結させるということだと思います。全国的に非常に個体数が多いけれども、ローカルスケールできちんと対策できる体制をつくりましょうということが大事なのだと思います。
 それから、もう一つ、実は36行目に書いてある認定事業者が鳥獣の生息状況等のモニタリング、それから計画策定・評価に関与するということで、鳥獣管理の担い手となるということが期待されるという部分が非常に大事なのだと思います。
 ローカルスケールでは、捕獲する人は捕獲するだけというような発想では問題は解決しないと思うのです。捕獲はしたが問題がまだ残っているのであれば、どのような捕獲をしたら問題は解決するのかを評価して改善しなければならないのです。そういう体制を、ローカルスケールでもっと充実させよう、その中核的な役割を認定事業者に位置づけようということではないかと思います。
 そういう意味でいくと、認定事業者は捕獲が主体にはなりますけれども、捕獲すればいい、捕獲技術があるというだけで事業者になるということではないと思います。
 モニタリング、それから評価・改善というような部分を担当する人と一緒にチームを組んでPDCAサイクルを回すというような活動が大切なのだと思います。
 ですから、(3)の効果的な捕獲体制の構築、これは内容としては間違ってはいないのですが、「地域」や「鳥獣管理の担い手」という言葉に込めた思いがもっと強調されていていいのではないかと思います。
 ②においても、地域ということは地域ベースで考えましょうということは変わりませんし、③では、若い人に地域を担ってもらおうというイメージがあるわけですから、ここの(3)の表題をもう少し思いの強さを反映するようにご検討いただきたいと思います。
 以上です。

【石井委員長】 今の点について。

【事務局】 今のご指摘だと、(3)の効果的な鳥獣管理体制の構築に加筆するようなイメージでしょうか。

【小泉委員】 はい。もっと強く、地域の鳥獣管理の担い手を育成するという思いがもっと前面に出ていいのではないかなと思います。
 (3)の表題は、これはこれで大変よくできていると思いますし、問題があるというわけではないのですけれども、もっと思いを前面に出すために表現を考えていただければと思います。変えなければいけないというものではありません。

【尾崎委員】 8ページの20行目の辺りですね。「捕獲個体の放置禁止の緩和」という言葉がありまして、これに関しては二つ問題があるかと思います。今、小泉さんからお話があった計画的、評価とかというところで、心配されるのは、捕獲したけれども、極端な場合、死んだことの確認をしなくて、あるいは死んだ個体を確認して、雄だとか雌だとか、年齢だとか、そういうこともチェックしないで放置してしまうというようなこともあり得るのかなと思うのです。やはりそこはきちんとそのようなことがないようにするべきだと思います。
 それと、もう一つは、これは次の検討事項になると思いますが、10ページに「捕獲した鳥獣を可能な限り食肉等として活用するように努める」というような、命を育むというのですか、そういう言葉があるのですが、それと、ある意味で矛盾することになってくるのでそこの整合性というのでしょうか、条件をもうちょっときちんとした方がいいのかなと思います。

【事務局】 そこの点は少し、単純に放置の規制緩和ということではなくて、さまざまな条件の中で緩和をする、効果的であるけれども、ほかに影響が少ないですとか、あとは食肉として下までおろしてくるまでにコストがあまりに高いですとか、労力もかかって現状ほとんど不可能であるというようなことですとか、いろいろ条件はあるのかなと思いますので、もう少し検討させていただいて、その辺り、ある程度限定的に書いているつもりではあるのですが、もう少し強めるかどうか、少し検討させていただきたいと思います。

【染委員】 さっきの話の続きなのですが、要は、整理としては従来の捕獲体制ですね、自治体であるとか猟友会がグループを組んでやるとか、そういうものはそういうものとして、その上乗せの制度・仕組みでこの認定事業者制度をつくるということでしたら、やっぱり、例えば7ページの一番上のところに書いてあるような、これまで捕獲従事者個人が対応してきた捕獲申請の手続とか報告義務とか、こういうものは別に上乗せした認定事業者だけでなくてもいいと思うのです。
 従来の自治体なりなんなりのそのような体制についても、このような手続の簡素化というのは必要ではないかと思うのです。そのような意味で、先ほどこの認定事業者制度に含まれるかどうかという問題は極めて重要な問題だと思います。
 ですから、何度も言って恐縮ですが、本当にこの認定事業者にしかできないことと、もう少し幅広く捕獲しやすい体制をつくってやるというのが重要ではないかと思うのです。

【事務局】 すみません、先ほどちょっと回答が漏れていた部分、自治体や猟友会がこの事業者にそのままなるのかならないのかということだったのですけれども、そのままということではなくて、先ほど許可捕獲の部分は事業者がかわってやっていくということも十分考えられるというお話をしましたけれども、例えば実施隊については、隊には格がないので、実施隊を持つ市町村が認定を受けるということも十分考えられるでしょうし、猟友会の方々の団体として、グループとして認定を受けていただくということは十分考えられると思います。
 自動的にということは制度上難しいかと思いますけれども、十分あり得るということと、今までの捕獲許可の申請手続、これまでやっていたものについての緩和ということでいくと、結局のところ、今、その自治体での捕獲というのは市町村が市町村として許可を受けてそのほかの方々が従事者になるという形で、実質的にはもうそのような形でやられています。猟友会の方も基本的には、主に市町村が許可を取って、実施者・従事者として猟友会の方々が入って捕獲隊としてやっているという、実質的にはそういう形になって、随分簡素化はされているのではないかと思います。

【石井委員長】 よろしいですか。

【小泉委員】 銃器を使って捕獲する場合に最も考えられなければいけないことは安全だと思うのです。そういう意味で、事業者を認定するということは、6ページの38行目に書いてありますけれども、安全管理体制というものを強く事業者に求めていくということが非常に大事なのだと思います。
 捕獲許可の規制緩和というのは進められるべき部分もあると思いますが、それは常に安全を担保しなければ、安易に進めるべきではないと思います。安全が確保された上での規制緩和ではないかと思います。

【坂田委員】 今のお話の中で、安全が確保された上でならばどのようなことができるか、メリットとして、事業者として何をお任せできるのかというところなのですけれども、ちょっと大ざっぱな話で、捕獲するに当たって、特に銃猟だと時間の制約、場所の制約があります。今の中で、もし時間の制約と場所の制約がなければ、もっと効率的に、あるいは必要なところで捕獲できるというようなところは当然あります。
 あと、もう一つは、合意の制約というようなところがあり、例えばわなを設置するにしても、鉄砲で捕獲するにしても、もしその地域の中で10人中9人はぜひここで捕獲をしてほしいと思っていても、10人中1人がこれはやめてくれというようなことがあった場合、今の状況ではなかなかそこでできない。当然、今のルールというのは、狩猟した人が狩猟する、許可を取りたい人が許可を得て捕るという仕組みですから、そう無理にできない、むしろ個人の目的であればそれをやってはいけないということになると思いますけれども、計画に基づいてこの地域でこれぐらいをきちんと捕りましょうということであって、ぜひそこでの捕獲は必要ということになってくると、合意をどのぐらいの条件で、というところはすごく難しく、その裏づけがなければ安心して捕獲に従事はできないと思うのです。
 その辺のところをどのぐらい具体的に書くかは別だと思いますけれども、ただ、そういうこと自体は、やはり国民全体が本当に安全で安心して任せられるという担保がなければならない。ある意味では、多少の反対を押し切ってでも捕獲を実施しないといけないという状況は多々あると思うのです。個人個人、いろんな意見の方がおられますから。
 その意味では、やはりそこに従事される方にどのぐらいの社会全体としての担保があるかということが重要だと思いますので、そういう意味でも、この仕組みの効果ということを考えたときに、合意の制約というのは、これは銃刀法の範囲になりますけれども、近所の人なり、奥さんなりがこの人に鉄砲を持たせないでくださいと言えば、それでなかなかもう鉄砲の更新ができないというような状況になりますけれども、もしこのような状況だったら事業者としてそこに参画できるかというと、それこそ鉄砲を持った商売の人が、近所の人からのクレームがちょっとあっただけで業が成り立たなくなるということでは誰も参入できなくなると思いますので、その辺りのところは、事業者として参画するには結構ハードルが高いのはそのような部分もあるかなと思います。

【石井委員長】 よろしいですか、何か。

【事務局】 今いただいたご意見、捕獲に合意していなくても、この事業者だったらよしとしてくださいというのは明示するのは難しいと思うのですが、ただ、そういった問題の解決にこの事業者の認定の仕組みが役に立つのではないかとは思うのですよね。
 ですから、間接的な効果ということは十分あると思いますし、もし、この後、それを明示的に書いていかなければどうもうまくいかないというような状況が出てくれば、そこは法的であったり、何か公的な形でしっかり書いていく、示していくということは必要かなと思います。まずはこの事業者という制度ができれば公的な意味が強く出てくるので、説得をするといったことにはプラスに働くのではないかなと思います。

【磯部委員】 私は、今回のこの文章はそれなりによくまとまっているなと思っております。
 認定事業者制度というのは今回の一つの目玉でしょうし、今までになかった制度として導入されるというのは結構だと思うのですが、これまでのご質問やご意見を聞いていると、やはり従来は存在しなかった制度を新たに導入するだけに、鳥獣保護法という現行の条文の体系を考えますと、一体どの箇所に、どのように書いていくのかなという興味が湧いてきます。この点は、専門的な検討が必要だと思いますが、事務局でもおそらくまだ詰めて考えてはおられないのだろうと思うのです。
具体的には認定事業者による事業の円滑化、統一化に関連してどういう制度にするのかという辺りですが、従来の狩猟免許体系は、基本的に個人を対象にしたものですよね。集団に対する狩猟免許というものは今までの概念ではないわけですが、こんどは、団体として、認定事業者として認定すると、今までのものとは異なる形態の狩猟ができるという仕組みをそこに乗せるわけですから、これらを整合的にきちんと制度化するのはなかなかチャレンジングな課題であるように思います。
 だから、今日出たようなご意見に対しては、今後の法制的な詰めが必要なのだろうなという感想を持ったと申し上げておきます。

【高橋委員】 皆さん、どうもご苦労さまでございます。よろしくお願いをいたします。
 これまでもこの事業者認定制度については、猟友会としての意見を述べさせていただいたところでございます。
 それと、捕獲頭数については、現状の捕獲頭数ではだめだということで、ここ5,6年でございますが、国会議員の先生方にも鳥獣議連として関わっていただいて、こういった事柄、狩猟制度のあり方、規制緩和等々についても、ずっと大日本猟友会として議論をしてきたところでございます。
 それで、今回、このあり方検討委員会という会から猟友会をご案内させていただいて、参加させていただき、当然、これまでの6回の検討委員会のご意見についても、大日本猟友会にもフィードバックをさせていただいて、総務委員会で議論をしてきたところでございます。
 それで、猟友会としても、事業者認定制度について10月30日に総務委員会で6点の事柄についてまとめさせていただいて、今日は最初の報告会、取りまとめということでございますので、皆さんにもご意見をいただき、我々もいろんな勉強もさせていただいたところでございますが、6点についてご報告をさせていただきたいと思います。
 まずは、猟友会が有害捕獲を実施するプランを主体的に練って提案をすることが必要であるという意見、それとある支部には市の厚い捕獲報奨金制度というのがございます。支部組織を県猟友会から独立する構想も他方で生まれている。猟友会から離れてもやっていけるような市町村のやり方を排除するためにも、猟友会がプランを提案する必要がある。
 3点目でございますが、登録狩猟者と捕獲専従者の差異があるにも関わらず一緒に抱えることの矛盾と、その解決策を一緒に考えることの矛盾がございます。
 4点目でございます。鳥獣被害防止予算を使えないことになっている県の立場とその予算を使える市町村の立場は違う。県もその予算を使えるようにするべきである。また、県と猟友会との調整は可能であるが、市町村と猟友会の調整はなかなか難しいものがございます。
 5点目でございます。農水・環境・警察の三省庁の統一した鳥獣被害対策を求めていくことが必要になっている。
 それと、6点目でございますが、環境省の提案する認定事業者制度については、猟友会会員が移籍して事業会社の構成員になるなど矛盾した点、または不明な点が多い。
 この6点のご意見があったところでございます。
 したがいまして、我々の審査の結果でございますが、環境省が提案する事業者認定制度については反対をしていくということでございます。
 それではいけませんので、我々大日本猟友会としては、今後の有害捕獲体制の姿、あるいは農林事業者の要請する捕獲数を捕るために、どのような体制が考えられるのかなどについて各都道府県猟友会からしっかりプランを出してもらい、総務委員会で検討を進める、その取りまとめたものを環境省に提案して鳥獣法改正の中に反映をしていただきたい。こういったご意見がございましたので、皆さんのご意見と少し異なるところがございますが、ご意見として申し上げさせていただいておりますので、よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 一つは今、検討中の答申の中でここをこう書きかえるべきだとか、そういうことなのか、あるいは猟友会の意見としては一応そういうことを表明したいということなのかというところなのですけれども。

【高橋委員】 今の段階でこのプランを見たときに、書きかえるという話よりも、この認定事業者制度が今回の大きなテーマ、目玉でもあるということは我々猟友会もしっかり認識をしております。
 しかし、大日本猟友会という10万5,000人の会の中での一つの委員会の考え方でございますので、そこはもう環境省の方に我々としては投げかけさせていただいて、ここをどういった整理をするのかは、もう省庁の方にお任せをすると、委員会での取りまとめのところについては、私どもは認定事業者制度については反対でございますので、取りまとめのところについては、我々は参加することはできないということでございます。

【事務局】 ご意見ありがとうございます。ご意見は十分承っていきたいと思います。今後、この事業者の認定制度をつくっていく中で、しっかりと猟友会の方々との調整をさせていただきたいと思っておりますし、今日のご意見も十分踏まえた形で制度を考えていくということは、こちらとしてもしっかり対応させていただきたいと思っております。
 この委員会の取りまとめについては、委員長とのご相談かとは思いますけれども、今日、多くの委員のご意見としては、事業者の認定制度については前向きな方向と思っておりますので、この方向で取りまとめさせていただいて、あわせて仕組みづくりについて継続してしっかりと猟友会のご意見を聞きながら検討させていただきたいと思っております。

【星野自然環境局長】 この答申の3の中にも書かれておりますけれども、猟友会がこれまで果たしてきている役割、それから今後の鳥獣対策、ひいては鳥獣の管理、個体数の管理、それに果たす大きな役割を我々は十分に意識しているところでございます。
 ただ、高橋委員も言われたように、今回の大きな目玉がこの認定制度、これによってさらに捕獲を増やしていきたいと我々は考えております。猟友会としても今後の体制のあり方、被害対策のあり方についていろいろご検討されていると聞いており、今回、残念ながら総務委員会では現在の案に反対だというご意見をいただいたわけでございますけれども、きっと目指すべき、望ましい鳥獣の管理のあり方は、被害ができるだけ少なくなって、一般的な狩猟も行われるし、国・県、そして市町村による適切な個体数管理・捕獲も猟友会の協力を得ながら、また、一部の地域ではこの認定された事業者の協力を得ながら進める、そのような形が将来望ましい姿ではないかなと我々は思っております。今回パブリックコメントにかけ、部会でご議論いただいて、最終的に答申をいただきましたら、それを受けて必要に応じた法改正、また法改正だけではなく、さまざまな取組を進めていくわけでございまして、今後猟友会でいろいろ検討される方向性も含め、猟友会とは今後とも十分な意見交換をさせていただいて、まさに国民にとって、将来の日本にとって望ましい形で鳥獣の管理が進んでいくように、そういう方向で我々も努力したいと思っておりますので、その点はまた猟友会の皆さんにも環境省の考え方ということでお伝えいただければありがたいと思います。

【石井委員長】 今の件に関連して特にということはございませんでしょうか。
 現状の捕獲ではいろいろ不十分なところがあるので、プラスアルファの捕獲を確保していくための制度の一つとしてこのような認定制度というのを考えてみた。実際にどのような法的な仕組みになるかというのは、これは意見として、答申として出ていくわけですが、実際の仕組みづくりのところで、何か今まで協力してもらっていたことができなくなるとか、そのようなことはないように詰めていただければ、そんなに大きな問題はないのかなと私は思いましたけれども。それは何か関係者で十分詰めていただいて、具体的な制度にしていっていただければと思います。
 この委員会の大勢の意見というか、一応の総意としては、現状書かれているような制度を考えていこうということで合意できるのかなと思いますが、よろしいですか。

【高橋委員】 正直なところ、この取りまとめのところで事業者認定制度を入れていくということになると、私自身、先だって、今日の会に退席をさせていただきますということで大日本猟友会の佐々木会長にお話を申し上げたところなのですが、昨日、会長は退席はならぬと、この意見を述べてということでございましたので、慎重に扱ってほしいということと、もう一つは、先ほどお話を申し上げましたように、平成19年からずっと自民党政権、そして民主党政権の折に、与党、野党を問わず、委員の先生方に我々の狩猟現場の声をしっかり届けさせていただいて、捕獲圧を高める方法、あるいは狩猟制度の見直し等々についてずっと議論をしてきた途中でございます。
 経緯があるわけでございまして、その取りまとめをしていくときのこの段階でこういったお話が出てきましたので、若干、大日本猟友会の組織の今までやってきたことと、この会の認定制度について、しっかり情報等が入っておりませんでしたので、その部分が大日本猟友会としての詰めができていませんので、現段階ではこういった意見を述べさせていただくことにしないと、組織としての体制が今後構築できませんので、総務委員会での取りまとめということで申させていただきましたので、あとは先ほど、委員さんからも、どういったメリットがあるのか、いろんなご意見もございました。我々もそういったことの危惧をしております。
 しかし、先生方がお忙しい中でこういった委員会に出席をしていただいて、熱心にご意見もお聞かせいただきましたし、我々自身も情報としていろんな情報をいただきました。あとは、委員長さんにお任せをして、そして環境省の方にも議連の先生方からもいろんな意見が多分入っているはずでございますので、その辺をしっかり取りまとめていただいて、要は、捕獲圧を高める、あるいは先ほど局長さんがお話しになりましたように、現在の猟友会の組織と新しい組織がぎくしゃくならないように、しっかりした組織として編成ができるように、ぜひ仕組みを考えていただけたらと思います。
 以上でございます。

【石井委員長】 それと、もう一つ、今の問題に関連してなのですけれども、8ページの(4)の計画的な捕獲の推進というところですが、うっかりしていたのですけれども、どのような議論になったかなと思って。
 前々回の委員会の論点の4に当たるところなのですけれども、議論した中に、指定鳥獣管理捕獲事業(仮称)というのが出てきましたよね。
 何か、今の特定計画とは別の計画みたいなことを考えたらどうかというお声だったと思うのですが、ここにはそういうことが書かれていなくて、多分、認定事業者という制度ができると、その人たちにどのようなメリットがあるかというお話も少しありましたけれども、特定計画とは別の捕獲事業ですか、捕獲計画というものができて、それを担っていくというような、そういう進められ方だと思うのです。
 そこのところが、(4)のところでは、こういうことができるようにするというようなことがいろいろ書いてあるのですけれども、その仕組みを使って本格的な捕獲事業みたいなことを、多分、予算の裏づけというのを考えてやっていくということが今の文章では読めないと思いました。
 なので、もう少し、法定計画になるのかどうかは微妙なところだと思いますけれども、そういう特定の種に関する捕獲事業を行っていくということをもう少しはっきりと書いてもらいたいと思います。

【事務局】 意図しているところは、今、委員長がおっしゃったとおりですが、表現としてはちょっと曖昧になっています。16行目、17行目のところで、都道府県、または国の機関が個体群管理のための捕獲事業を実施する場合に、一定の捕獲にかかる規制緩和を行うということを法定にしたいと考えていて、そのためには事業計画、特定計画よりも、もう少しブレイクダウンしたような捕獲事業計画というようなものをつくってもらうことを意図しております。隠れている形になっているので、表現の仕方を少し工夫させていただきます。

【石井委員長】 とにかく、今後、そのような捕獲事業というのは必要だということがどこかにきちんと書いてあって、それをやるときにはというふうに続いていくようにしてもらわないと、何かちょっと今だと割と漠然とした形で書いてあるのでわかりにくいなと思いましたので、そこは書き加えていただくか、何かお願いしたいと思います。
 ほかには、いかがでしょうか。今の(3)と(4)のところについては。
 よろしいですか。

(はい)

【石井委員長】 そうしたら、ここまでの議論は、とりあえずここで終わりたいと思います。ここで一回休憩を挟むことになっておりますので、10分の休憩ということで、35分に再開したいと思います。

(休憩 午前11時25分)
(再開 午前11時35分)

【石井委員長】 それでは、再開したいと思います。8ページの(5)国の取組の強化と、それから(6)科学的な鳥獣管理の推進、ここについてご意見をお願いします。

【小泉委員】 先ほど、休憩前の石井委員長の指摘と同様です。私は第5回で出た指定鳥獣管理については8ページの(5)、36行目から38行目に書かれている部分、国は特定計画でも対応し切れないものについては、より強い指導力を発揮するのだというようなことはもっとはっきり書いた方がいいなというふうに思っています。それだけです。

【事務局】 分割して書かれている形になっていまして、国が指導力を発揮して管理を推進すべき鳥獣を指定して管理方針を出していくのだ、捕獲方針を出していくのだということを(5)に書いていて、その実施については(4)に書いてあるということになっているのですが、ちょっと理解しづらいようなので表現を考えます。

【石井委員長】 ここのところは確かに「鳥獣管理を推進する」としか書かれていないので、具体的にこういう手法を使って、こういう手順で、というのが書けるところは書いた方がいいかなと。

【事務局】 具体的には、この次のページの5行目の、さらに(4)で示したような「深刻化しているような鳥獣については、国が捕獲目標を設定するなど」ということで、ここで基本的な取組方針をつくっていくべきだということで、この「さらに」のところが先ほどから出ている捕獲事業に関連する部分となっております。

【石井委員長】 どうですか、お願いします。

【三浦委員】 9ページ、6行目と7行目については議論していたので、修正をお願いしたいと思います。それから35行目に鳥獣保護員を書き込んでいただいているのですけれども、これはまだ何もしない状況になっているので、少なくとも認定事業者の協力みたいな文脈で積極的に参加するような方向に促していったらいかがでしょうか。

【事務局】 加える方向で、少し考えさせていただきます。具体的に地域の捕獲事業であったり、管理の事業に参画していくということを促していく、まずは努力目標的に記載ということになってしまうと思いますけれども、そこは加筆をするようにしたいと思います。

【石井委員長】 そのほか、いかがでしょうか。

【染委員】 (6)の2なのでありますが、「効率的な情報収集や評価手法の確立・普及」、表題はこういうことなのかなと。
 最初の2行ちょっとで効率的・効果的な情報収集や評価方法の確立が求められていると。その内容は2行目からですよね。その2行目からというのは、「捕獲情報を収集するシステムの開発・運用や生息状況調査の効率化、情報の簡便な分析方法の提供等についての方策を検討する」と、これで全て網羅しているのですか。
 というのは、何か先ほどのお話にも、そもそも全国的な捕獲目標の設定とか、そういうこと自身がまだ成熟していないようなお話があって、要は、これは既存の取れる情報を取るようなシステム開発というように見えるのですよね。
 そもそも、いわゆる調査研究的なものが必要なのではないかという感じを今日の議論でも受けたのですが、そういうことは予算が絡むから書けないということで書いていないのか、あるいは積極的に書いていただいて予算の確保に努力していただきたいと思うのです。

【事務局】 まずは10ページ目の2行目、情報の収集・調査手法、これの調査など、少なくとも情報を集めてくるということについてできるだけ簡素化したり、方法の提供をしていくということ。
 その後で、「都道府県ごとの個体数推定等を促進し」ということで、集めてきた情報をもって個体数推定などを推進していくということで、手法自体は、ある程度、今、坂田先生のところの研究も含めてできてきていると思っています。一番足りないのはやはりそこにインプットする情報だと認識しておりまして、そのような趣旨でまず情報を集めてくるということについて重要性を書き、それをもとに個体数推定などの推進をして、全国的な状況も把握していきましょうということで、趣旨としてはご指摘のところも入れているつもりではあるのですけれども、不十分でしょうか。

【石井委員長】 ここに書いてあることとは別に、調査研究をしていくべきだというのがどこかにあった方がいいような。どこかに書いてあれば別なのですけれども、これは今でもいろいろ出てくるような情報を、あるいは少しお願いすれば出てくるような情報をどのように整理していくか、収集していくかということになりますけれども、それとは別個にもっと基本的なことを研究するとか、そういうこともどこかに書かれてもいいのかなと、科学的な鳥獣管理の推進というところですね、ということだと思いますが。

【事務局】 捕獲技術の開発ということでいくと、8ページの31行目のところに書いてあるのですが、もう少し広い観点での調査研究ということでいくと、少し足りない部分があるかと思いますので、2で拡充するか、新たに項目を立てるかどうか、少し検討させていただきたいと思います。

【石井委員長】 (5)のところに国がやることということでは書いてありますね、確かに。分布や個体数の調査とかということは書いてあったような。
 ほかに何か一般的な調査研究ということで必要なことは何かあるような気はするのですけれども、適切な鳥獣管理をしていくというところで、それは誰がやるとか、そういうことは明示できないので、どこかに一言つけ加えておく必要があるかなと思います。

【尾崎委員】 9ページの30行目のところにある研修プログラムですけれども、これは、今、環境省が研修センターで行われているようなものを想定されているのですか。それとも、何か新規にというお考えでしょうか。
 それともう一つ、鳥獣保護員に対する研修プログラムというのは実際に今あるのでしょうか。

【事務局】 ここでお示ししているのは、研修所でも一つ野生生物研修というのがございますし、あとは予算事業として特定計画に関する都道府県の職員に対する研修とか講習会というようなこともやっていますので、幾つか想定をしているものがございます。
 鳥獣保護員についての研修というのは、現時点ではやっておりません。

【尾崎委員】 といいますのは、県職員の方や何かは、私は研修会も出たことがあるのですが、非常に在任期間が短くて、もちろん研修されることでいろいろなプラスがあると思うのですけれども、次々と新しい方になっていくように思うのです。
 一方、鳥獣保護員というのはかなり長くやっておられる方が多いと思いますので、そこの底上げというか、レベルが上がるとツールとしてはすごく重要なことになるのかなと思って、何かそういう基準というのでしょうか、あっていいかなと思ったのですけれども。

【高橋委員】 前回も鳥獣保護員の制度についてお話をさせていただいたのですが、ここに「十分に機能を発揮することができる見直しを行う必要がある」ということで書いていただいておりますので、見直しをしていただきたいと思うのですが、その中でも、幾つか現在の状況なのですが、たしか鳥獣保護員さんは年に一度、高知では集まっていただいて研修会を行っております。
 それと3点なのですが、権限のあり方について検討してほしい。権限を強化すれば、今、単独なのですが、複数制、補助員をつけるとかという、例えば違法わなを撤去するのに、複数制であれば、もっと権限があれば行動しやすいのではないかと思いますので、複数制の提案をしたいと思います。
 それともう一つは、報酬等についても見直しをする必要があるのではないかと思いますので、この3点を協議、たたき台として議論に加えさせていただきたいと思いますので、要請をしておきたいと思います。

【石井委員長】 ほかには、いかがでしょうか。
 それでは、次の項目に移りたいと思います。
 次、(7)一般狩猟の促進、それから(8)国民の理解を得るための取組の推進、(9)人と鳥獣の関係についてという部分です。ご意見をお願いします。

【高橋委員】 (7)の23行目でございますが、「経済的負担の軽減」とここに書き込みがございますが、前回の会議で、狩猟税のことについてもご意見を出させていただいたのですが、この経済的負担の軽減、この書き込みは狩猟税のことも含めてと理解してよろしいでしょうか。

【事務局】 ご指摘の点は、今すぐには難しいですが、ご意見をいただいたことを踏まえて、それも含めて検討していくということになるかと思います。あとは、ほかには事務手数料を都道府県が負担しているというようなこともあると聞いておりますので、そういったことも含めてということです。
 ご意見は含まれているとご理解いただきたいのですけれども、ただ、すぐにということではちょっと難しい面もございます。

【小泉委員】 10ページの25行目、「狩猟者の捕獲技術の向上を図る必要がある」というところは、狩猟者の捕獲技術の向上を支援する必要があると書いては、どうでしょうか。
 担当する法律が違いますが、技能講習制度が導入されたときに、射撃場が片方でどんどん減っている状況で高い技能だけを求めていくというのはブレーキとアクセルを同時に踏んでいるようなものではないかという指摘がありました。
 ここのところはブレーキを踏んではいけなくて、アクセルを踏んで捕獲技術の向上を図っていかなければいけないので、技術の向上を支援するという姿勢が必要なのではないかと思います。ちょっと字句の修正になりますけれども、ご検討いただければと思います。

【高橋委員】 せっかくの機会でございますので、射撃講習のところなのですが、我々が直面しているのは、平成26年度に向けて女性ハンターを増やしていきたいということで、高知県にも現在女性ハンターが十数人いるのですが、その方たちの仲間の呼び込みをしたいということで、女性ハンターだけを集めて一度会合してみたいと思うのですが、その折に、高知にも射撃場が3カ所あるのですが、トイレを考えたときに、果たしてこれで女性ハンターにおいでいただいて射撃技能講習をするときに、このトイレでいいのかというのが大きな問題になっているのです。
 先だっても射撃講習があった折に、そのときも射撃場の持ち主の方ともお話をしたのですが、トイレを改修するということになりますと、当然、合併処理の浄化槽を入れてということになりますと数百万円というお金がかかってくるわけで、しかし、それを今の狩猟者が減った中で、当該施設の管理者に負担をしてくださいということにもなかなかならないので、我々としては県を通じて、国にそういった支援を要請してみたいと思うのですが、現状としては、そういった状況があるということも一つ申し上げておきたいと思います。
 以上です。

【石井委員長】 ほかには、よろしいでしょうか、(7)、(8)、(9)ですけれども。
 それでは、先に進みたいと思います。これで最後ですね。
 (10)その他というところですが、四つ項目があります。これ全体について、どこからでも結構ですので、ご意見をお願いします。

【磯部委員】 細かい話で恐縮ですけれども、(10)の2で、「狩猟制度の円滑な運用」というタイトルの下に3行書いてあって、実はこれだけ読むとよくわからないのですけれども、これは読む人が読めばわかるのでしょうかね。
 少々気になるのは、制度が古くなったから問題なのだということなのか、それとも制度ではなく運用が悪いという問題なのか。タイトルは運用となっているので、法制度そのものというよりは運用の仕方のことなのかなと思うのですけれども、文章を読むと「時代の変化に即して適切な制度となるようにする」ということですので、そうだとしたら、いったいどんな問題であったろうかという質問です。
 それから、ちょっと言い遅れてしまったのですけれども、さっきの(8)と(9)のところで、別に質問するほどのことでもないような気もするのですけれども、(8)で国民の理解を得るための取組を推進する必要があるということと、(9)で、それとは独立の項目で、「もう一回考え直そう」と書いてあるということは、何かこれまでの鳥獣保護の考え方を、根本的に変えていく必要があるというような、何か別のことを言っておられるのですか。
当初は(8)のなかに、その一環としてまとめて書いてあったような気もするのですけれども、あえて(9)を起こして、この点は将来的な話題として考えていくのだとすると、具体的にどのようなことを念頭に置いておられるのかという疑問が起きて来ます。違和感ではないのですけれども、少し不思議な感じもしましたので、申し上げました。

【事務局】 まず、(8)と(9)についてですが、(8)の方は、今回、答申案としてまとめているものを推進するための国民の理解ということで、直接的に鳥獣管理についての理解を求めるというところをまとめております。
 (9)については、ここの鳥獣管理という枠から少し超えるものというイメージで、里山のあり方や国土の中での自然等ということで、少し大きな課題になっているので、(8)の流れで書くよりは、例えば自然環境部会の方でもしっかり今後、これを課題として取り上げていく可能性も含めて検討していただく必要があるのかなということで、分けています。例えば生物多様性国家戦略の中での議論など、鳥獣管理の枠の中では議論できない部分として分けてみました。

【磯部委員】 了解しました。

【事務局】 ありがとうございます。それで、狩猟制度の円滑な運用ですけれども、かなりの部分は運用で、運用をしっかりしていくということでいいと思っているのですけれども、具体的な例が一つあるのは、例えば狩猟免許を取り消すときに、法律違反で罰金刑以上の刑を3年以内に受けていないことを確認しなければいけないのですけれども、その情報については最近個人情報の扱いが厳格になったということもあって、法務の当局からもらえないというようなことが起こっており、情報をもらうためには法律の中に書いていなければならないということがあります。起訴するところまでは情報はわかっても、その先どういう刑になったかという情報がもらえないというようなことがあって、ここはやはり制度面での担保が必要な状況になっているということがございます。念頭にあるのはその一つなのですけれども、それ以外にも今後具体的にこういった形で出てきて、世の中の変化ということもあるのかなと思うのですけれども、それによって制度を変えなければいけないという場合にはそれも含めてということです。3行ではなかなかわかりにくいと思いますけれども、ここは随時対応していきますということです。

【磯部委員】 それは、法務省の側が、役所同士の関係で聞いてもそういう対応になるということなのですか。

【事務局】 はい、そうです。

【磯部委員】 何か変ですね。でも、問題はわかりました。

【坂田委員】 そういうことをわかりやすく書く方が良いのではないですか。

【事務局】 書こうかなとも思ったのですけれども、審議会で議論していただくということよりは、実際には事務方で整理することかなと思いまして。

【石井委員長】 ほかに、いかがでしょうか。
 それでは、大体、ここら辺で議論は。

【坂田委員】 今、(8)と(9)のところのことで、多分(8)で言わないといけないのは、被害が深刻になってその対策が必要だということ、コストも要るし、ということを国民に理解してもらう必要があるという部分ですね。
 あともう一つ、後半にあるようなことは、何といいますか、感謝の気持ち、命をいただくことで感謝の気持ちを育むということは、これは(9)に入るようなことではないかなと思います。
 実質的に本当に予算がかかったり、能力が必要であったり、あとは実情を知っていなければ反対する意見も出そうだという部分に関しては、やはり、これは国民の理解、現状を共有して理解を求めていくという、本当に実質的なことで理解を求めていく部分と、その関係を議論していく部分、これが分かれていないので、タイトルを見ると、そのように分けた方がいいのではないかなと思います。

【事務局】 ありがとうございます。そうすると、(8)に書くことがあまりなくなってしまうような気もするので、統合することも含めてもう一度こちらでも検討させていただいて、また、ご相談したいと思います。

【石井委員長】 (8)は、とにかく今やらなければならないことについて国民の理解を得るためにどうするかということで、(9)の方は、この先、日本の自然をどのような方向にもってきたいと皆が思うかや、人と自然の関わりを考えていかなければいけないという、先ほどの整理ですよね。

【事務局】 そうですね。

【石井委員長】 という感じなので。

【事務局】 そのような先ほどの整理でいくと、今、鳥獣管理に関してやらなければいけないことということでいくと、命をいただくというか、捕殺を伴っているから、こういう視点で普及啓発をしなければいけないということでいくと、(8)と(9)の分け方では分かれてはいるのですけれども。
 予算が要るか要らないかというところは特にここには入っていないです、もともとの分け方としては。この分け方はちょっとわかりにくいでしょうか。

【坂田委員】 何か、感情なり、信念の部分と具体的に数字を挙げて説明する部分は違うのかなと思いました。

【事務局】 ここでは、感情的なところもきちんと説明していくということも今すぐに必要なこと、鳥獣管理のために必要なことということで整理をする、今のところはそのような整理にしております。
 (9)については、感情移入ということより、もう少し鳥獣管理という枠を超えて広い観点で議論をしていくということで分けています。今のところはそういう分け方です。

【磯部委員】 それはよくわかっておりました。ですから、(8)と(9)を分ける意味はあると思います。
 ただ、(8)で一応ちょっと思想的なことというか、物の考え方の基本に関わること、人と鳥獣の関わり方に関する基本を一応述べた上で、(9)で、さあ本当は、今度は仕切り直しだと、もう一回改めて考えるのだというと、何か別の価値観を持たなければいけないのだと言っているような読み方もできるので、必要な語句は繰り返していただいてもいいとは思うのですけれども、一応、当面のことと将来的なことと、長期的なこととの分け方はわかりましたけれども、場合によっては、何か繰り返しがあってもいいのだろうと思います。

【事務局】 わかりました。もう一度工夫をしたいと思います。

【石井委員長】 ほかに、よろしいでしょうか。全体を通じてでも結構ですが。
 特によろしいでしょうか。

(はい)

【石井委員長】 それでは、意見交換はここまでということにしたいと思います。
 それで、幾つか修正の必要な点が出てきていると思います。文章も少し加えるようなことがありますので、とりあえず私と事務局の方でたたき台というか、案をつくって、パブコメ前に皆さんに目を通していただいて、確認してパブコメを実施するということでいきたいと思いますけれども、そういうことでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【石井委員長】 では、そういう手順でお願いします。
 それでは、以上で、本日の鳥獣保護管理のあり方検討小委員会の議事を終了します。
 ご協力ありがとうございました。あとは事務局でお願いします。

【事務局】 本日は熱心なご議論をありがとうございました。本日のご議論をいただきまして、内容を踏まえまして事務局で答申案を修正の上、委員長の了解を得てパブリックコメントを実施したいと思います。
 次回の小委員会ですが、1月15日(水)、14時を予定しております。環境省第1会議室で行いますので、ご出席の方をよろしくお願いいたします。
 なお、本日の資料はお持ち帰りいただいても構いません。ドッチファイルは机の上に置いたままお帰りいただいて結構です。
 本日は、どうもありがとうございました。これをもちまして、小委員会を閉会いたしたいと思います。