鳥獣保護管理のあり方検討小委員会(第6回)議事録

1.日時

平成25年10月16日(水)14:00~16:44

2.場所

経済産業省別館108会議室

3.出席者

(委員長) 石井 信夫
(委員) 尾崎 清明 小泉  透 染  英昭
高橋  徹 磯部  力 坂田 宏志
羽山 伸一 福田 珠子 三浦 愼悟
(環境省) 星野自然環境局長
奥主審議官
江口総務課長
中島野生生物課長
堀内鳥獣保護管理企画官

4.議事

【事務局】 時間になりましたので、第6回中央環境審議会自然環境部会鳥獣保護管理のあり方検討小委員会、を開催させていただきます。
本日の出席者でございますが、小泉委員が少し遅れると伺っておりまして、委員11名中10名の出席であり、「中央環境審議会議事運営規則第8条第5項」による定足数を満たしておりますので、本委員会は成立しております。
続いて、配付資料です。お手元の配付資料の1ページ目をめくってください。資料1が個体群管理を安全かつ効率的に行う仕組み・体制の構築について、資料2が【論点8】人と鳥獣の関係について、資料3が【その他論点】鳥獣の鉛中毒被害への対応について、資料4が鳥獣保護管理のあり方に関する主な論点(案)、資料5が鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置についてです。
資料の不備がありましたら、事務局にお申しつけいただければと思いります。本小委員会の資料及び議事録は、後日環境省のホームページにおいて公表されますことを申し添えます。
撮影等については、ここまでとさせていただきますので、もしカメラがあるようでしたらご退出ください。それでは石井委員長、よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 皆さんこんにちは。今日は台風が吹き荒れましたけれども、小泉委員が少し遅れられる以外は、ほぼ皆さんおそろいということで、よかったと思います。それでは、これから平成25年度第6回鳥獣保護管理のあり方検討小委員会を開催いたします。
本日は、前回に引き続いて鳥獣保護管理のあり方と講ずべき措置について議論を深めていくということにしております。論点ごとに事務局から説明をいただいて、それからその上で議論をするということにしております。
議事の①は、前回小委員会から継続して検討するもの、それから議事の②から④については、今回新たに検討する論点になっています。それから議事の⑤として、前回までに議論していただいた論点も含めて、全体について幅広く意見をいただくということにしております。最後に答申の目次(案)について検討するという順番で議論を進めたいと思います。次回11月6日はその答申(案)を議論してパブコメにかけるものをつくるということですので、中身に関する自主的な議論というのは、今日でできるだけ詰めておきたいと考えています。
それでは、議事に入りたいと思います。まず議題①、個体群管理を安全かつ効率的に行う仕組み・体制の構築について、事務局より説明をお願いします。

【事務局】 鳥獣保護業務室、松本でございます。よろしくお願いします。
お手元の資料1をご覧ください。個体群管理を安全かつ効率的に行う仕組み・体制の構築についてということでございまして、2点、ご議論いただきたい点を挙げてございます。1点目は、前回の小委員会におきまして、委員の先生方からたくさんのいろいろなご意見をいただいたところ、まだ結論としてまとめ切れていなかったものについて、改めて引き続きの検討をお願いしたいというものでございます。2点目は、新しくご議論いただきたいということで説明をさせていただきたいと思います。
一つ目が囲いわな・箱わなによる捕獲に係る規制緩和についてです。前回の第5回小委員会におきまして、農林業者が被害防止を目的に事業地内で行う囲いわな・箱わなによる捕獲の規制緩和についてご議論をいただきました。わなによる捕獲の規制緩和につきましては、農林業者自らが行う被害防止のための捕獲を進めるという点には寄与するものではありますけれども、規制緩和については複数の委員の先生方から慎重な意見をいただいておりました。
具体的なご意見を裏面参考に挙げてございますが、狩猟免許を持たない方が捕獲許可を受けずに設置したわなは、人身被害などの安全面での対策やその確保が難しいというご意見、狩猟免許・捕獲許可ともになければ、違法なわなの取り締まりや捕獲情報の把握ということも難しいのではないかというご意見、それから餌づけを伴うわなの設置を安易に行うと、その餌により逆に鳥獣をおび寄せてしまって被害を拡大するおそれもあるというご意見をいただいておりました。また、クマ類の混獲やニホンザルの群れの全頭捕獲といった、鳥獣保護管理上の問題が生じるおそれがあるというご意見をいただいておりました。
その一方、こうした安全性の確保などにつきましては、わなの設置場所を事業地内に限定することや講習を義務づけること、また、わなの取り締まりや捕獲情報の報告については、わなの設置を例えば事前の届け出制にするなどということで対応が可能ではないかというご意見もいただいておりました。
こうした意見を踏まえまして、わなによる捕獲に係る規制緩和につきましては、囲いわなや箱わなによる捕獲の実態把握や、安全管理のための仕組みづくり、関係者との調整等、まだ多くの課題があるということで、引き続き慎重に検討を行うという形で、今回の小委員会としてまとめさせていただきたいと考えております。
2点目はわな・網猟免許の取得年齢の引き下げについてでございます。農林業被害の防止のための捕獲の推進に向けて、地域の捕獲に従事する若い方を増やすという観点、また例えば農業高校の生徒さんが、在学中に免許を取得できるということ、それから地域ぐるみの捕獲に関わる若い方々の狩猟免許の取得をしやすくするという観点などから、わな猟と網猟に限り、現行20歳としている狩猟免許の取得年齢制限を18歳に引き下げることを検討してはどうかと考えております。以上の2点につきまして、ご議論をよろしくお願いします。

【石井委員長】 ありがとうございました。それではご質問、ご意見がありましたら、お願いします。

【福田委員】 わなの狩猟免許の取得年齢の引き下げについてですけれど、引き下げのことではなく、私が伺いたいのは、地域ぐるみの捕獲に携わる若者の狩猟免許取得等が可能になるようとありますが、とるための教習や、そのような勉強をする制度というものはあるのでしょうか。

【事務局】 狩猟者の育成に向けた講習につきましては、各都道府県で行われているものや、猟友会で実施されているものなどございますので、そういうものを活用いただいて、免許試験を受けていただいているというのが実態と理解しております。

【福田委員】 今までもそういうものがきちんとあって、1カ月とか2カ月とか講習を受けると、免許を取る資格ができるということになっていたのですか。

【事務局】 免許を取る資格という意味では、講習は義務づけではないのですが、講習を受けられてから試験に臨まれる方が多いと聞いております。また期間も1カ月、2カ月ではなくて、それほど長い時間ではないのです。免許試験に先立ち講習を受けていただくというのが一般的かなと考えております。

【福田委員】 受けなくてもいいわけですか。

【事務局】 はい。こうした講習を受けなくても免許試験自体は受験することはできます。

【福田委員】 わかりました。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

【染委員】 一つ目の規制緩和の問題ですが、私の理解ではこの規制緩和の問題は、やはり議論の前のほうであったいわゆる国、都道府県、市町村あるいは農業者等の役割分担と密接に関係ある問題なのかなと思っておりました。そういう中で、やはり役割分担、今回かなりそれが明確にされてきたわけでありますし、特に農業者に対する期待として一定の役割を果たすこと、いわゆる自衛のための捕獲などにおいてきちっとした役割を果たしてもらいたいというような流れにしているのではないかと思うのですが、そういう中で、それなりの役割と責務を果たすということになれば、その人たちが取組やすいような形にしていくというのが、極めて重要ではないかと思っております。そういう意味で、囲いわな・箱わなによる捕獲については、確実に自分の事業地の中ではできるという問題ではないかと思っているわけであります。
しかしながら、ここにお書きになっておりますように、専門家の方々から安全性の問題であるとか、混獲の問題等について大変慎重なご意見が出ておるということで、今までこういう安全性の問題、混獲の問題できちんとした調査がなされ、一定の方向づけがなされていないということ自身が、極めて遺憾な問題だと思っておりますが、現にこういう心配があると言われれば、それはそういうことだと理解するほかないわけでありますが、やはり結論的に、引き続き慎重に検討を行うというならば、なるべく短期間で調査なりをきちんとやって、その混獲をどのように避け得るのか、あるいは安全性もどのように確保するのか、その辺を明確にするような、そういう調査をきちんとした上で、早急に結論を出すことをやっていただきたい。その上で規制緩和に向けてしかるべき手を打っていただきたいと思っております。
要は、役割を期待されてもやる手だてがほとんどないということでは、なかなかこれは難しい問題じゃないかと思っております。現に農業者の方々の数は、どんどん減っている中で、一定の役割を果たせと言われても人手も足りない、なかなかその辺のことに振り向けるべき時間もないというようなことになってしまいますので、ぜひともこの辺はきちっと環境整備という意味で、その辺のことをやっていただきたいと考えております。

【事務局】 ありがとうございます。議論に必要な情報、実態や、新たな安全管理の仕組みの案など、十分ご提示できない部分があったかと思います。環境省としましてもその辺りをきちっと調べて、さらにこの議論を深めていけるように、今後準備をし、改めて規制緩和についてのご議論をいただく場を設けたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

【三浦委員】 私はとること自体は賛成なんですけれど、この捕獲行為と最終的に殺処分していくという行為がセットにならないで、わなでとることだけが主流になってしまうと、やはりとった後に放置するわけです。そのままに放置してしまうといったようなことで、例えばカナダとかロシアは国際的な人道的わな基準というのがあって、とったら速やかに処分することがセットになっているわけです。そのことがないまま、わなにかかったままままで放置されてしまうことが頻繁に起こる可能性があるので、そういうことがないような、要するに止めさしがきちんと行えるといったこととセットにしながら、進めていく必要があるのではないかと思います。

【高橋委員】 皆さんご苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。
今日の箱わな等についてもう少し慎重に時間をかけて考えていくという結論には、大日本猟友会としては了としたいと思います。
というのは、箱わなは、ご存じのように基本的には餌を入れて、誘い餌を周辺にまくわけです。そんなに複数の頭数をとれるわけでなく、呼び込みをするわけです。箱わな自体にかなりの重量がありますので、そんなに山奥に入れるわけではございません。住宅近くに置く場合もかなりあると思うのですが、そういったときに箱わなは、イノシシ等々を住宅地に呼び寄せることにもなります。
それに加え、イノシシもシカも当然学習能力があるわけで、先ほど他の委員さんからもお話がありましたが、やっぱり地域と一体となって捕獲をするということでないと。今、猟友会がいろんなところで地域を巻き込んで、被害対策協議会のようなものをつくって、農業者も巻き込みながら、JA、猟友会といったところが一体となって、地域の捕獲作戦を行っております。やはり狩猟免許を持たずに、自衛のためということで箱わなの捕獲規制を緩和してしまうと、逆に今までの機能が分裂して、うまく機能しなくなるおそれがあると思います。
そこで、この考え方について少し時間を置いて考えていこうということについては、当然我々猟友会としては、非常にありがたい結果だと考えております。環境省も現場をもう少し調査をしていただいて、今後早急にということですが、規制緩和するにはするなりの時間的なものも見ていく必要があると思いますので、ここ1~2年、そういった状況も見ながら、規制緩和については考え方を打ち出してほしいと考えております。
それと、平成23年度に国会議員による議連の中で、この問題についても協議をした議事録が残っています。大日本猟友会の総会でもこの話題が出て、ここについては猟友会としては飲むわけにいかないという結論を出して、議事録も環境省にお出しをしています。猟友会としてのそういった方向性も出ていますので、総会での意見を尊重していただいて、今後も進めていくようにお願いをしたいと思います。
以上でございます。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

(なし)

【石井委員長】 ほかはよろしいでしょうか。では1については、制度としては現状維持ということですけれども、少し実態把握や仕組みづくりを検討していただいて、なるべく早いタイミングで引き続き検討するということかと思います。
それから2番目については、特に異論はなかったと思います。

【坂田委員】 私は、高校生ということであれば、例えばアライグマの捕獲などについては、十分にできそうな気はしますが、16歳ではなくて18歳の意味はなんでしょうか。

【石井委員長】 ほかの制度との並びなどもあったりするのですか。

【事務局】 なぜ18歳かというところに、これといって明確な根拠をお示しできるわけではないのですが、一般的に就職をする機会が18歳の方が多いということですとか、責任能力ということでいくと、わなによる事故というのもございますし、そういったことから考えると、一般的に受け入れられやすいのが18歳ではないかなということです。ほかとの並びをきれいに取っているということではなくて、鳥獣の狩猟免許という観点で、鳥獣捕獲をするということの意味といいますか、捕獲をして殺してしまうということを考えると、ある程度成長していて、就職も一般的にする方が多い年代がよいのではないかということでお示しをしております。

【尾崎委員】 たしか標識調査、学術調査等での捕獲許可も20歳からだと聞いており、私が関わっている標識調査で、若い人も調査をしたいのだけれども、年齢制限でできないということがある。今回網猟に限ってということであれば、網を使う学術調査も同じ年齢になるのでしょうか。確認をしたいと思います。

【事務局】 一般的に捕獲許可を出す場合、原則として狩猟免許を持っている方を対象にすると、指針で定めておりますので、20歳以上の方しか許可が出ていないということがあるのだと思います。今回、仮に免許の取得年齢を引き下げることになった場合、18歳、19歳でも網の免許をお持ちの方がいらっしゃれば、許可が出る場合もあろうかと思います。

【事務局】 明確に許可をとるときの年齢が法的で決まっているわけではなくて、一般的に狩猟免許の年齢を参考に使っているということです。学術研究の捕獲に、必ずしも狩猟免許が必要だということではありません。

【石井委員長】 学術捕獲の許可をもらうときの年齢制限というのは、特に決まっていないということですか。

【事務局】 特に決まっていないです。都道府県の中には、概ねの年齢を示している場合はあるかと思いますけれども、法律で決まっているというわけではありません。

【坂田委員】 高校生がやるということであれば、18歳になってからでなければ許可が出ないということになると、高校卒業間際にしかできないという話ですね。ある程度わなでとろうと思ったら、それなりに練習が必要で、仮に高校で、わなでとれるようになって卒業させることを念頭に置くのであれば、1年ぐらいは免許所持期間があって、自分でやってみてということになるかと思いますので、もしそうなら少し検討が必要かなと思います。
それと、先ほどの農家の人がやるというところの話の中で、やっぱりきちっとデータを検証して、規制緩和が効果的であればしたほうがいいと思いますけど、実際に免許を取っている所持者の数は、わな免許に関しては今上がっていますよね。免許の所持者は増えているけども、恐らく私の認識では免許の所持者は増えているけども、捕獲できる人の数は増えていないというのが現状だと思いますので、恐らく規制緩和をしたら獲れるということだけではないと思いますので、年齢を引き下げて免許は取ったけれども、逆に就職してしまったらもうそれこそ取る機会はなかったりするかもしれませんので、その辺がちょっと気になったことですけど、個人的には、16歳であっても高校生であればきちっと教えるべきことを教えたら、正しくわなを運用してもらえるようになるのではないかなと考えますが、また検討していただければと思います。

【事務局】 ご意見も踏まえて、検討させていただきます。まとめ方としては、年齢の引き下げを検討するということでまとめさせていただいて、実際の年齢をどうするかというところは、また法律的なところも含めて検討していきたいと思っております。また、わなは免許を取ったからといって、とれるわけではないというところについても、きちんととれる形をつくっていくということについて、承っていきたいと思います。

【磯部委員】 ちょっと発言のタイミングが悪くて申しわけありませんが、1番のところの最後の文章表現について、「引き続き慎重に検討を行うことにする」というのは、この種の役所の文書の表現としては、かなり否定的に「やらない」というメッセージに読まれてしまわないでしょうか。先ほどからのお話を聞いていますと、いろんな課題があるから丁寧に綿密に考慮すべきことを考慮して、データに基づいて検討するというようなご趣旨のようです。もしそうだとすると、ここは少し修飾語を変えたほうがよろしいのではないかと思います。これだけ読むと本当に「もうやりません」と、かなりはっきり読めるのではないでしょうか。

【事務局】 報告書の書き方については、また次回までにご相談したいと思いますが、考え方としてはやめるということではなくて、いろんな課題をいただいていますので、そこについてさらに議論を深めていただいた上で、結論を検討いただくということです。「やりません」という意思表示をするものでもないですし、議論しませんということでもないということで、まとめをさせていただきたいと思っております。

【石井委員長】 ほかにはよろしいでしょうか。

(なし)

【石井委員長】 それでは次の議題に移りたいと思います。
次の議題からは今回新しく検討する論点ですが、議事の2、論点8 人と鳥獣の関係について、事務局から説明お願いします。

【事務局】 論点8は、人と鳥獣との関係についてということで、これまでの論点を議論していく中でも、しっかり国民に理解をしていただくということの重要性や人と鳥獣の距離がどうあるべきか、といったことについてもご意見をいただいておりましたので、一つ個別の論点として設定をしております。
まず現状と課題でございますけれども、今後、これまでの議論でもわかるように、鳥獣の種類によっては、今から被害対策、農林業や生態系被害対策として多くの捕獲を行わなければいけない、積極的な管理を実施していく必要があるという状況にございます。このため、効果的な対策の実施に向けて、体制をきちんととっていくということや、これから制度を改正していくということ、予算も必要でしょうけれども、それを確保していくためには、鳥獣管理の意義について国民に理解をしてもらって協力を求めていくという必要があるというのが、一つ目でございます。
もう一つとしては、人と鳥獣との関係、距離ということですけれども、もともと古来より鳥獣を狩猟して利用したり鑑賞したりといったことをしてきておりますけれども、都市化や過疎化の進行によって、多くの人にとって鳥獣は非常に遠い存在となっているということがあります。一方で、中山間地だけではなくて、最近では地方都市においても鳥獣による生活環境被害、先日もサルが出てけがを負わせるというようなこともありましたけれども、そういったことも深刻化しています。身近なものではない鳥獣が、いきなり出てきて被害を及ぼすというようなことが起こってきているということで、今後こういった中で人は鳥獣とどのような関係をつくっていくべきか、将来的な課題として改めて考えていく必要があるのではないかということを、現状と課題として挙げております。
検討の方向ですけれども、ここはできれば多くのご意見をいただきたいところでございます。こちらで示していますこととしましては、最初の文章は今ご説明したところと同じですけれども、一つ気にしなければいけないこととしては、必要な捕獲とはいえ捕獲して殺してしまうということになりますので、嫌悪感を抱くという人も出てくるのではないかと思います。こういったことを乗り越えていかなければいけない、しっかり理解をいただかなければいけないという状況になっていきますけれども、具体的にどういったことをしていけばいいのか、どういった工夫が必要なのかといったことについて、ぜひアイデアをいただきたいと思っております。
例として挙げておりますのは、これまでのご議論の中でも出てきたかと思いますけれども、鳥獣管理の必要性の普及啓発ということで、鳥獣の側からだけではなくて幅広く国土保全ですとか、自然環境の保全全般ですとか、水資源の確保のために必要であるとか、生活を維持していく、安全を維持していくためにも必要であるとか、多面的な観点での普及啓発ということを図っていく必要があるのではないかということがございました。また、被害について科学的なデータをしっかり整理して、それに基づいて情報発信をしていくということは、ご意見として出てきていたかと思います。また、視覚に訴える写真などで見せていくといった工夫もあるのかなと思います。また、子どもたちの世代からということでいくと、学校教育現場でどういった教育、教材を提供していくかなどについて、ぜひご意見をいただきたいと思っております。
(2)で、人の暮らしの中での鳥獣との関係ということですけれども、これまではここに挙げている、①は狩猟して肉や毛皮を利用するということ、有害鳥獣として捕獲したり追い払ったりといったこと、傷病鳥獣として救護をすること、愛玩のために飼養、飼育をするということ、伝統的な祭礼行事などに利用するということ、バードウオッチングやエコツーリズムなどで鑑賞するといったことがございました。
ただ、近年積極的に行われているのは、この②の有害鳥獣の捕獲や追い払いということでして、①については旧来の形、本当に肉や毛皮を利用するための狩猟というのは減少していると思われますし、傷病鳥獣の救護ということでいくと、やはり感染症などの懸念もあるので、積極的に拡大するという方向かどうかというと、また難しいところがございます。また、④番目の愛玩のために飼養する、これは現時点でメジロ1種類、そのための捕獲というのも非常に限定的に認められておりますけれども、方向としては廃止するという方向で検討が進められているところです。
こういったことを考えますと、多くの国民の方々の一般の暮らしの中では、鳥獣との接点というのは非常に少ないということがございます。これを積極的に改善していくべきなのか、またそれがそうすべきだとして可能なのかどうかといったようなことについて、ぜひご意見をいただきたいと思っております。
説明は以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。ここは特に今回こうしたいという方針があるということでもないのですけれども、重要な問題だと思いますので、いろいろご意見をいただければと思います。質問も含めていかがでしょうか。

【高橋委員】 現状と課題の中に、2行目ですが、「効果的な対策の実施に向けた体制整備、制度改正及び予算確保等」と書いてございます。それで、5行目には「古来より暮らしの中で、鳥獣を狩猟して利用したり、鑑賞したりしてきた」ということだと思うのですが、こういったことによって、狩猟税というのが創設されていると思います。狩猟税の減免について、私は高知県で知事さん宛てに少し狩猟税が安くならないものかということをご相談させていただいたことがあります。
高知県では、非常にシカやイノシシの被害があるのですが、知事が車座座談会ということで、各地を回って20~30人の地域の方をお招きして、いろんな県政の課題をお聞きする会を行っています。そこで、イノシシの駆除に参加している方が手を挙げられて、「知事さんよ、わしら狩猟税1万六千何百円も払って一生懸命イノシシをとるが、これは何とかならんかよ」という、率直な質問をされたようです。早速知事は何とかならないかということで、帰って部内の中で協議をした中で、ご案内のように一定税率として総務省で16,500円と決められており、知事が勝手に減免するわけにはいかないというお返事だったように思います。
狩猟税は従来からの制度なので、狩猟税そのものを見直す必要があるのではないか。我々大日本猟友会の会員は、入会したときはほとんどが趣味猟として皆さん、今の年配の方も入っているのですが、もはや今は各県の市町村から有害捕獲をしてくださいということで、責務のような形になって、積極的に有害捕獲に関わっています。今は趣味の領域ではございません。環境省にも捕獲頭数の実績が報告されていると思うんですが、毎年毎年1割強の捕獲頭数をあげているというのは、会員さんは減っても、しっかり有害捕獲を行う、あるいは国の制度の実施隊等々をつくってきました。それに加えて報奨金等々もありますので、積極的に農業者あるいは林業者、中山間の地域の方を守るためには、猟友会が率先して有害捕獲をしなければならないということで、全く今は趣味の猟でなくなっています。
税制なので、なかなかこの場で議論するのもどうかとは思いますが、一定税率というのを各都道府県の知事さんの裁量で変えられるように、あるいは各県によって被害の状況も違うと思うので、各市町村でいただいた交付税を何に充てるのか、それぞれ市町村で資金の運用を図っていますので、狩猟税そのものを全国統一でなく、各都道府県でそれぞれの知事さんの裁量で減額できる制度を、今はそこをしっかりつくり変えていくというところに、我々は環境省としてもぜひ動いてほしいと思います。
例えば高知県の知事が16,500円を半額にすると言ってもなかなかそれができないところに一つは問題があると思います。それと、ご案内のように実施隊に入れば、狩猟税が半額になる制度はあるのですが、少し調べてみますと、半額になる方とならない方に、結局不公平感ができる関係で、各市町村で足並みがうまくそろわないのでわざわざ半額になる制度を利用せずに、従来の狩猟税をお支払いして、それぞれの隊員同士の融和を図るというような部分があります。実施隊という制度があって半額になる制度があるので、そこを積極的に利用してくださいといっても、なかなか利用しづらい面もあるので、それなら逆に狩猟税を各都道府県で一定減免できる仕組みをつくることを、こういった機会に皆さんに申し上げさせていただいて、環境省からも農林水産省、あるいは総務省と協議もなさって、狩猟税を見直す事を提案致します。そして、こういった場で発言があったということをぜひお伝えしていただいて、議論をしていただきたい、深めていただきたいと思いますので、これは要望しておきたいと思います。

【事務局】 おっしゃるように地方税法は総務省の法律ということになりますので、今の時点でお答えをするということは難しいですけれども、そういったご意見があったことは何らかの形でお伝えしますし、今後検討の材料とすることを考えております。

【三浦委員】 論点8を少し遡った議論ということで、お許しいただくとして、将来に対する課題という射程で考えてみると、やはり日本人と自然との関係をどうしていくのかという基本的な問題になっていって、これは生物多様性国家戦略とも非常に関わっていて、里山が衰退しているということ、都市化が自然と人間との距離をどんどん大きくしている。もう1点重要だと思うのが、外来種をどうしていくのかという問題があるだろうと思います。
ここのところは人の暮らしの中で、鳥獣との関係で6番目、バードウオッチングとかエコツーリズムだとかアニマルウオッチングをやっていくにしても、今の都市化されている小中学生、今度高校の教科書も少し変わるかもしれませんけども、生物多様性そのものに接する機会というのは、教えるほうも人がいないといったこともあって、非常に寂しくなっていく状況です。その中で、それでも⑥のこういうものを推進していくとか、非常に重要だと思うのは、今のペットのほとんどが外来種でありまして、これはどこかの国から持ってきている。またそれを離してしまうといったことがあり、外来種がどんどんペット化していることがいいのかどうなのか。我々日本人は昔からそれなりに野鳥を飼うといった文化を持っており、これについてはかすみ網と商業的な利用の制限ということで、昭和30年代以降、大きくかじを切って、全体として今残っているのはメジロで、これも廃止の方向でといったことになりつつある。そうすると愛玩のために飼養するとかペットだとかといった概念が、ほとんど外来種に置き変わっていくといったことで、果たして本当にいいかどうかというのが、やっぱり一つのターニングポイントになりつつあるのではないかと、私自体も思うわけです。
そういったところで、一挙にもう一度元へ戻すということじゃなくて、里山のほうでこれまで伝統的に飼われてきたものの幾つかの種類は、少なくとも減っている傾向にはないわけで、野鳥の会も含めて広い議論といいますか、そういうものをもう一度提起し直し、かつてよく飼われていたものについて、あえて種名を言えばウグイスやヤマガラだといったものについて、一定のルールがある前提だとは思うんですけれども、果たしてこのままでいいのかというところは、もう一度提起し直す意義というのはあるのではないかなと思います。

【石井委員長】 今のことについて、何かコメントありますか。

【事務局】 確かに昭和32年の審議会答申以降、愛玩飼養のための捕獲許可はだんだん厳しくなってきており、今に至っているということですので、もしこの後、別の形も検討していくということになると、十分な議論とルールの問題が重要かなと思いますので、今日もここにいらっしゃる先生方からご意見をいろいろいただきたいと思います。

【高橋委員】 環境省の方にお聞きしたいのですが、昭和38年に法改正した鳥獣保護員の制度については、もうかなりの年数がたっています。私自身狩猟に関わって、いろいろな部分でこの制度の見直しをしていくべきだと思うのですが、今の鳥獣保護員の制度についてどんな認識を持っておられるのか。不備な部分があるのなら今後改善をしていこうとしているのか、人数、報酬、あるいは権限等について現場ではかなりいろんな意見が出ていますので、この際、環境省から鳥獣保護員の制度の現状についてのお考えがあれば、少しお聞かせをいただきたいと思います。

【事務局】 鳥獣保護員制度については、この審議会の場でもいろいろとご意見をいただいております。ただ実態上の運用については、基本的には都道府県の事務の中で行われておりますので、かなり多様な状況にある、県によってもかなり独自の運用をされているということは承知しておりますので、今後の制度について検討していくということになると、環境省としては都道府県の実態とご意見を広く聞いた上で検討していく必要があるかなと思いますけれども、今回そこについて十分な分析をできるほどの収集ができているという状況ではございませんので、今後の課題としていただいておきたいと思います。

【高橋委員】 この鳥獣保護員の制度こそ、やはり環境省としての基本的な指針というか、方向性をしっかり持って各都道府県を指導していくということでないと、鳥獣保護員に任命をされた者は、非常に大きな責任を持って委員としての働きをするわけで、鳥獣保護員さんは今ほとんどが各都道府県の猟友会の会長さんが推薦をして、それを県で認定をしていくという制度だろうと思うんですが、報酬にしても各県ばらばら、権限についても各県ばらばらでは、やはり保護員さん自身、任命を受けても本当の働きというのが十分に機能していないと思いますので、この際各都道府県の鳥獣保護員の制度のあり方を、各県から情報収集をして、一貫性のある制度の構築を、基本的な部分は環境省で定めて、それを各都道府県が実施をするという形になるのが一番いいと思うので、そのことも一つ提案をしておきたいと思います。各県の状況等も調べていただいて、検討していただきたいと思います。

【尾崎委員】 愛玩鳥のことで、三浦委員がおっしゃったようなウグイスとかメジロとか、そういったものの飼育が可能になる方向は、私はあまり賛成しません。というのは、こういう愛玩の鳥に関しては、基本として飼育下で非常に簡単に繁殖できて、それを代々飼えるようなものであるのがいいと思います。そうしないと、どうしても野外から次々新しいのをとってきて飼うことになるので、やはり野生鳥類の生態に、インパクトを与え続けることになります。残念ながら日本産の鳥類は、簡単に飼育下で増えるものは少ないというか、ほとんどいないのです。判断の基準としては、あくまで野外からとり続けなくても済む種類で愛玩鳥にすべきで、それは残念ながら日本産にはあまりないというのが現状かなと思っています。
それから言葉のことですけども、検討の方針の1のところで、「今後シカ等については多くの捕獲を含む」という、この「多くの」は、多分「多くの捕獲」じゃなくて「捕獲を含む多くの積極的な管理」という意味だろうと思うのですが、「多く」がたくさん捕まえるということにもし力点があるのであれば、このままですけれども、そうではないのかなと思いました。

【事務局】 ここは、たくさん捕獲をしなければいけないという趣旨なので、表現を「多数の捕獲」ということにしております。前回、数についてのシミュレーションをお示ししたように、かなりの数をとっていかなければいけない状況にある、国民の皆さんの理解を得るということでいくと、そこが特に難しい部分かなと。コストもかかるだろうということで、そこに力点を置いた形の表現にさせていただいております。

【尾崎委員】 わかりました。このままでもいいのか、あるいは「多数」「多くの」と、私が勘違いしないような書き方をしていただいたほうがいいかなと思いました。
それから2番の暮らしの中での鳥獣との関係の中に、あえて書いていないのかもしれませんが、研究対象みたいなものも入ってくるかなと思います。それから鑑賞する中に、必ずしも鑑賞はしないけども、生き物と共存しているという共存の考えというんですか、そういうようなものも入ってくるのかなと思いましたので、ちょっとつけ加えさせていただきます。

【福田委員】 1の最後のところですけれども、学校教育現場における教材の提供とありますけれども、この教材を提供していただいても、使うところが環境教育とか、そういうことをきちんとやっていかないと、提供されただけで使い勝手が全く悪いというか、総合学習のちょっとの時間とか、地域の産業のちょっとの時間とか、そういうところでボランティア頼みでやるというのが今、すごく多いんです。ですから、ここで言う話ではないのかもしれないんですけども、これがあるんだったらきちんとしたそういうカリキュラムの中に入れて、それこそ小学生ぐらいからやっていかないと、なかなか理解が進まないのではないかなと思います。
それから(2)①の、狩猟して肉や毛皮を利用するというところ、なんですけども、先ほど三浦先生もおっしゃったので伺いたいのですが、捕獲して今は埋めてしまうとか、そのまま放置してしまうのですよね。それで、実は私たち女性の林業家が集まって、皮をどうにかしたいなと思っていろいろとやってみたんです。いろいろなところに聞いてみたら、奈良でそういうところがあるというので聞きました。そうしたら、奈良は武具の会社というのがあって、そこに問い合わせをしたら、一定量がないから輸入をしているというのです。私たちもそれはそうかということで、次のところにまた聞いてみましたら、とにかく一定量があれば皮のなめしもしてくれるけれども、一定量がなければだめだという話になったのです。そうすると、せっかくシカがたくさんいて、困った困ったというので、撃って何かに使いたいと思っても、結局そういうことで使われないということになってしまうのですけれど、それはどうにかならないのでしょうか。

【事務局】 活用をしていく、推進していくという方向については、まずは報告書の中には今のご意見も含めてお示しをしていきたいと思います。今こうすれば活用できるということではないですけれども、方向として。

【羽山委員】 2点あります。一つはこの検討の方向の1、2、両方に関わる話ですけれども、動物園の役割というのが、今後も重要になってくるので、これを加える必要があるなと思います。例えば学校教育現場を挙げていただいているのですけれど、学校に行く子どもたちの数よりも、動物園の入園者数のほうがはるかに多いので、野生動物に関する最大のメディアは動物園であり、その認識が必要です。一方で動物園に関わる法的な位置づけはほとんど何もない。ですからやはり社会的な使命を果たしていただくということも、どこかできちっと位置づける必要があると思います。
それから2点目が、(2)の③、傷病鳥獣の話ですけれど、これは下の説明では感染症等の懸念が指摘され、先ほどのご説明だと今後縮小の方向というような受け止めをさせていただきましたけれど、「傷病鳥獣」という言葉自体、もういいかげんやめていただきたいのです。動物を救護するというのは、古事記にも出てくる人間の行為なので、これを仮にやめましょうと決めたところで、それで問題は解決しないと思うのです。
それから、この救護に含まれる中身というのは非常に多様で、例えばタンカーの座礁事故みたいな大規模災害のときは、は国際条約で救護が義務づけられていますし、希少鳥獣の救命救急というのは、これはもう絶対的にやっていかなければならないことです。だから何でもかんでも一くくりにして、しかもそれが感染症の懸念があるというのは、確かにそのとおりですけれど、感染症の懸念というのはむしろ特出しにすべきことで、今鳥獣法を管理法にすべきだという主張もしてきましたけれど、管理の中の非常に大きなテーマが感染症対策なので、むしろ人と鳥獣との関わりという整理であれば、これからは共通感染症の問題は欠かせない位置づけだと思います。
特に台湾で狂犬病が出ましたので、今までは家畜が中心の話でしたけれども、高病原性鳥インフルエンザも含めて、やはり人と動物との関わりというのは共通感染症の問題でありますし、むしろここではワンヘルスという考え方を明確に打ち出したほうがいいんじゃないかなと思います。

【事務局】 傷病鳥獣について、感染症だけを特出しして書いてしまっているのは適切ではなかったなと思います。
傷病鳥獣については、今回は十分な議論はここではできておりませんけれども、前回の基本指針を改定するときに、傷病鳥獣のあり方を今後検討することという宿題をいただいておりますので、それはまた別途機会を設けてしっかりと議論をしていきたいと思います。また感染症の重要性についても、どこかで改めてと考えております。

【染委員】 この項目は、人と鳥獣の関係ということで、多分かなり理念的なお話をされているんだと思うのですが、(1)で、要は今後、積極的な管理が必要となるということで、普及啓発の問題や科学的なデータの収集・発信の問題等でくくっているのでありますし、(2)はある意味じゃ個別の鳥獣とのおつき合い的なお話をまとめているのです。
やっぱり今の人と鳥獣の関係は、極めてシビアな状況にあるというのは、先ほど三浦先生からもお話が出ましたように、日本全体が高齢化、過疎化している中で、里地・里山の扱いが全くできていない。明確な思想も何もなくなってしまったという状況だと思うのです。かつては農業者が里地・里山を、まさに自分用のものをとる、工作の対象としても考えておりましたし、地域住民の方も、例えば薪炭をとるとか竹材を利用するとか、あるいはそこで出てくるいろんな食用の野生の作物を利用するとか、そういうことで極めて密接に里地・里山を利用してきたと。それが結果として、動物と人間とのすみ分けというものができてきたという世界があるんだと思います。それができなくなったから、現状の極めてシビアな関係が起きてきている。では、里地・里山の管理をどうするのか、それは動物の生息環境の管理をどうするんだということを、ある意味では国民の理解も得ながら、あるいは国民の理解を得た上で、従来の、まさに昔々から続いてきた里地・里山の管理が全くできなくなってきているような状況で、それを取ってかわるような新たな仕組みを、何らかの形で構築できるのか。それは多分、農業とかそういう分野だけではなかなかできがたいようなことだと思うのです。
ですから、それは日本のこの国土という環境を全体として見て、どのように扱っていくのかという問題意識のもとに、そういうところの里地・里山の管理、いわゆる動物の生息環境の管理、それを一体的に考える新しい人為的な管理体制みたいなものをつくっていくという意欲のもとに、方向づけをやっていただかないと、これは全く解決できない問題じゃないのかなという気がいたします。それは(1)に入るのか、(1)(2)の中に入られないで、別の話なのかよくわかりませんけども、何せそういう方向づけが必要ではないのかなという感じはいたします。

【石井委員長】 よろしいですか。ほかにはいかがでしょうか。
これは報告書にまとまっていくのですけれど、そこでこれからこういう方向に向かうべきだというようなことは、多分あまり書けなくて、その結論を出していくのは、また別のところで十分な議論が必要だと思いますので、そういう問題があることを認識して、これからできるだけ具体的に書いていただければと思いますけれども、とにかく検討をすべき重要な問題として、日本の自然をこれからどうしていくかということ、どうなっていくかというところで、人と鳥獣との関係を改めて考え直さなければいけないという問題提起をするということなんだろうと思います。
私も一つだけ三浦さんのコメントにつけ加えさせてもらいますが、尾崎さんのご意見は、飼育するものは、飼育下で繁殖が容易なものに限るべきだというのは、一つの基準だとは思いますけれども、もっと原理的に考えれば、サステナブルであれば野生からとり続けるということも、一つの考え方で、それは哺乳類の場合はそのようにしているわけなので、鳥の場合はそういうことはできないというのは、どちらかというと趣味の問題と考えることもできると思います。昔からずっと在来種を飼って、いろんなことで楽しんでいたというのは一つの文化で、それをなくしていくというのは、文化多様性の喪失だと思うのですけれど、社会的にそれが合意されるのならそういうことなのかなと私は思います。
ただ、ここで(2)の一番下のところに「④は廃止する方向で検討を進めている」というのは、事実としてはそうですけれども、その根拠はもう少し改めて考え直して、メジロの場合は、やっぱり違法なことが横行するとか、それから外来メジロ、在来メジロだといって、結局外来種の問題になっているとか、そういうことがあったから、あれはもう縮小の方向でいきましょうということではありますけども、一般的に愛玩のための在来種の飼育というのがいいことなのか、悪いことなのかというか、一つの選択肢として検討することはできるかなと、そのぐらいに考えて、結論的には多分そんなに、じゃあこれから外国からペットを輸入するのをやめて、そこら辺にいる鳥をどんどん捕まえて飼うのを奨励しましょうということには、多分ならないと思いますけれども、原理的なところからどうあるべきなのかというのを、一度考え直してみるのは必要かなと思いました。
そういったところで、この論点についてはよろしいでしょうか。

(異議なし)

【石井委員長】 それでは、次に移りたいと思います。
続いては議事の3番ですが、その他論点、鳥獣の鉛中毒被害への対応について、事務局から説明をお願いします。

【事務局】 それでは資料3について、ご説明させていただきます。【その他の論点】の鳥獣の鉛中毒被害への対応についてでございます。
まず1番目の現状と課題ですけれども、北海道などの水辺域において、鉛散弾を摂取した水鳥や山野に放置されたニホンジカの残滓から、鉛ライフル弾の破片を摂取した希少猛禽類などに、鉛中毒被害が発生したことから、平成14年の法改正において、指定猟法禁止区域制度を創設し、都道府県知事が水辺域などにおいて鉛散弾の使用の禁止区域を設定するとともに、捕獲した鳥獣を野外に放置してくることを原則として禁止しております。
その後、環境省といたしましては、それ以降、都道府県などに対しまして、猟期の前に非鉛弾の使用の喚起や指定猟法禁止区域等における監視、水辺域の鉛弾全面規制に向けた非鉛弾の普及の推進及び関係市町村や狩猟関係団体への周知徹底などを定期的に周知してきたところでございます。
そのような中で北海道におきましては、減少したものの依然として鉛中毒被害が発生している状況でございます。また、北海道以外の地域におきましては、平成18年度より環境省が鉛中毒事故実態を調査するために、傷病鳥獣として保護収容された猛禽類や水鳥の個体の分析を実施しております。過去5年くらいは年間11~24の検体について分析しておりまして、これまで全国9県において毎年3件~7件の鉛暴露の事例を確認しております。この鉛暴露というのは、ワシ類鉛中毒ネットワークの暫定判断基準を採用しているのですが、鉛中毒症としての明らかな症状を表す前のレベルの鉛の汚染の状況を指しております。鉛中毒症のレベルと判断された個体は、まだ今のところ確認していない状況でございます。
このような中、今後、全国的にニホンジカの個体数が増加して、捕獲事業を拡大することで捕獲数が増加していくと考えられますが、そのような中で非鉛弾の使用を進めていくことは重要な課題となります。一方で、非鉛弾の製造や供給の体制が整っていないなどの課題があるため、関係者の理解を得て非鉛弾の普及を図る必要があるということも課題になっております。
2番目の検討の方向ですけれども、ニホンジカ等の捕獲数が今後増加していくことに伴い、猛禽類等の鉛中毒が発生することを防止するために、鳥獣捕獲などを専門に行う事業者に対しては、可能な限り非鉛弾の使用を求めていく、論点3で議論しておりました事業者のことですが、非鉛弾の使用を求めるとともに、指定鳥獣管理捕獲事業において、放置の禁止の適用を除外するという話を論点4でしておりましたけれども、その場合は原則として非鉛弾の使用を条件とすることとする、また今後の課題として、引き続きモニタリング調査を実施して、鉛弾による影響の適切な把握に努めるという方向性かと考えております。ご意見いただければと思います。
以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。それでは鉛中毒被害の問題について、何かご意見があればお願いします。

【羽山委員】 先ほど平成18年から鉛中毒事故実態の調査というので、年間何個体ぐらい調査されているとおっしゃったのですか。

【事務局】 年によって違うのですが、最近は年間11~24個体を確認しております。

【羽山委員】 これは、救護された個体で死亡した個体ですか。

【事務局】 死亡した個体だけでなく、生体もあります。

【羽山委員】 例えばアメリカで鉛散弾の規制をかけるときは、エビデンスが必要だということで、各州単位で100羽単位の水禽類を解剖して、これは狩猟された個体ですが、例えば何ppm以上の個体が何羽、何%出たらなど、そうやって疫学的な調査をもとに、規制をかけていったという歴史があります。やはりそういう実態の把握をしないと、具体的な根拠として、規制される側の方もなかなか納得できないでしょうし、環境への影響もはっきりわからないので、そこはきちっとした調査が必要なのではないかと思います。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

(なし)

【石井委員長】 よろしいでしょうか。それでは特にないようでしたら、次に移りたいと思います。事務局からもよろしいですかね。

【事務局】 資料4で、今までお示ししている論点を使って、ご説明をさせていただきます。
資料4の4ページをご覧いただけますでしょうか。
その他の論点として、先ほど個別のご議論をいただいた鉛の話と、あと狩猟鳥獣の定義の整理、狩猟制度の円滑な運用ということで、もともとお示しをしておりました。ここについては、個別に資料を準備しておりませんので、この既存の資料を参考に配らせていただいております。狩猟鳥獣の定義の整理につきましては、もともとお示しをしているのは、狩猟鳥獣は持続可能な捕獲を前提としているけれども、外来種、特定外来生物も指定をされているという状況にあるということで、今後それをどう整理をしていくべきかということについて、ある程度方向性をお示しすることを考えておりました。
ただ一方で、外来生物対策における狩猟の役割といったところも重要かと思いますので、現時点では外来生物法に基づく防除と、狩猟鳥獣として捕獲されていたり、あとは狩猟ではなく許可捕獲として捕獲されたりという、二つの法律で捕獲されている現状がある中で、今後それをどうしていくのかということについては、外来生物対策の中での議論というのも重要ではないかなと考えております。もしここでご意見がございましたらいただき、今後の検討の参考にさせていただきたいと思っております。
また、二つ目、最後の【その他論点】で挙げております狩猟制度の円滑な運用につきましては、これについては実際に運用している都道府県から情報収集をした上で、実際に必要な改正内容などを検討していきたいと思っております。具体的に挙げているのは、今ここに示しているように、鳥獣保護法違反に関する刑の確定情報の入手を法律に規定していかなければいけないことがありますが、進め方として、ここでご意見をいただくというよりは、実態を把握していくことで対応を考えていきたいと思っております。
その他論点については簡単ですけれども、以上でございます。

【石井委員長】 ありがとうございます。それでは資料4の4ページのところにある、狩猟には二つ目の項目ですか、これについてご質問、ご意見があればお願いします。

【羽山委員】 狩猟鳥獣の定義の整理ですけれど、これは本末転倒のような気がします。つまり外来種をもっともっと捕獲を促すために、狩猟鳥獣に外来種が入ってしまっているから、そもそも論の狩猟鳥獣の定義を変えましょうという、そういう論理ですよね。これはいかがなものかと思うので、そうではなくて、外来種は積極的に管理しなければいけないのだとしたら、例えば狩猟シーズンだけが問題なのではないので、例えば新たに外来種というものを鳥獣法で定義をして通年にわたって狩猟と同じような捕獲が可能にできるとか、それが本来目的とすることなのではないかなと思います。
一方で、ノイヌとかノネコが今、狩猟鳥獣に入っているんですけれど、これは区別がつかないので、これは長いこと言われている話ですけども、現実問題これは動物愛護管理法ですとか、それから狂犬病予防法ですとか、ほかの法律で適切に管理しなければならないわけです。ですから、そういうものに関しては、むしろ狩猟鳥獣ではなくて、ほかの法令でも対応しなければいけないし、それも狩猟鳥獣とは別立てで、鳥獣法に位置づけるなら位置づけるということが、本来のあり方ではないかなと思います。

【坂田委員】 狩猟鳥獣の定義で気になるのは、捕獲等がその生息の状況に著しく影響を及ぼすものではないものというところです。狩猟鳥獣が何のためにあるのかの目的とか背景よりも、普通に狩猟する人が思うのは、狩猟鳥獣というのは、登録すればとっていい鳥獣のことでしょうというだけだと思いますので、僕はその意味では法律の中のルールですから、やっていいこととやって悪いことさえはっきりしていればいいということで、最初の法律の定義をわかりやすいように変えたほうがいいかなと思います。

【事務局】 かなり本質的な問題だと思います。外来生物法と鳥獣法との役割分担の話もありますし、また鳥獣法の中に外来鳥獣を位置づけてとなると、外来鳥獣との関係、外来生物法との関係がどうかといったこともございますし、ここで簡単にこういう方向でということは難しいのかなと思います。今後引き続き検討していきたいと思います。

【石井委員長】 同じことですけれども、結局、現行制度、鳥獣法に狩猟鳥獣と書いてあって、その定義もそうですけど、今の制度でいろいろ問題が出てきている、使いにくい場面が具体的にあるということが並べられていないと、この問題を解決するために定義を変えるのがいいのか、制度を変えるのがいいのかというのが考えられるので、問題点の整理をもう少し具体的にするというのが必要な一つのことかなと思います。まだここではそこまで具体的になっていないので。

【三浦委員】 狩猟鳥獣とはゲームで、制度的に種を変えてきているのですけれど、保護事業計画との関連でいうと、狩猟鳥獣は基本的に固定されていいような気がします。
鳥獣保護事業計画の中でモニタリングして、少なくなっているものに対しては手当てしていく、僕は本質的にはそういうことではないかと思います。ゲームというのは、やっぱり資源性とか伝統性とか、それから両方にもよりますけれども、それなりのおもしろさみたいなのが要素としてはあるわけです。それは変えないまま、日本の国のゲームとしては、そのようにしていいのではないでしょうか。
その他の中に要素として外来種が入ってきているから、今は入れてしまっているけども、入れざるを得ない側面も否定しませんけれども、狩猟鳥獣に加えることによって非常にスムースになるといった側面があるのだけれども、基本的にゲームはこうですよという格好で、普遍的とは言えないけども、100年ぐらいは固定しているのではないかな。少しは変わるかもしれませんけれども、そんなに変えていいものではないのではないかなという気がします。

【石井委員長】 それは定義ではなくて、種を。

【三浦委員】 そうです。

【石井委員長】 種を固定するということですか。

【三浦委員】 そうです。でも、そうしたらまた種を定義してしまう、それはできないということになる。

【石井委員長】 そのほうがいいということですか。

【三浦委員】 わかりません。

【石井委員長】 そのほかの意見はありますか。

【羽山委員】 少し違う論点を提案したいんですが、今までの議論はほとんど陸生動物というか、農林業被害に対応する管理をどうするかというのが、主要な議論だったのですけれども、いわゆる水産被害に関する問題というのが、今回はほとんど議論できなくて、これはその他の論点として明記していただけないかなと思います。
ただ、水産被害でいいますと、鳥類で言うとカワウが一番大きな問題ですが、これは特定鳥獣にもなってガイドラインもできましたし、あと水産庁も被害対策のための予算を組んだり、そういった形で対応されてきたのですけれども、海獣類、特にアザラシの仲間に関しては、ほとんどそういった対応が進んでいなくて、しかもトドの場合は適用除外ですから、水産庁サイドで対応されておりますけれども、アザラシ類に関しては水産庁でも被害対策のための枠組みなり予算なりも特に持たれているわけではないし、これからこの問題というのは、年々深刻化することが予想されていますので、ぜひ新たな論点として、被害対策と適切な管理を加えていただければと思います。

【事務局】 今回その議論を深めるということではなくて、そういったことを今後検討するべきであるということを、まとめに記載をするということでよろしいでしょうか。

【羽山委員】 その他の論点の並びとして、位置づけていただければと思います。

【事務局】 わかりました。ありがとうございます。

【石井委員長】 随分と気になるところがあると思いますが、今議論をお願いしているのは、資料4の4ページです。【その他の論点】の議論をしていなかったところを議論しています。ここについて特にほかになければ、次の議題で全体についてもう一回立ち戻って議論をしたいと思いますけど、そういうことでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【石井委員長】 それでは、議事の5に移りたいと思いますが、休憩を1回挟むということでしたね。一旦休憩を取りたいと思います。15分の休憩を取りたいと思います。再開は15時45分からということにします。

(休憩)

【石井委員長】 それでは続いて議事の5です。鳥獣保護管理のあり方に関する論点、全体に関する意見交換、これを行いたいと思います。資料4を使って、前回までに議論していただいた論点も含めて、全体について幅広くご意見をいただきたいということです。
それでは、どこからでも結構ですのでお願いします。

【尾崎委員】 たびたび言葉の問題ですが、論点の全てに、「必要があるのではないか」という書き方をしてありますが、全てにこの表現はどうかなと。「必要がある」でいいのではないですか。なぜ「あるのではないか」という表現になっているのでしょうか。

【事務局】 この資料は参考として配付をしておりまして、議論をする前の版をそのまま残しております。それぞれの具体的な方向性については、これまでの小委員会の中でペーパーをお示ししていますので、よろしければお手元の前回の資料なども見ていただければ、疑問形ではなくこういう方向で行くべきだということでお示しをしています。この資料はまさに議論のたたき台で、表現について途中途中でご意見をいただいた部分もあえて直さずにそのままお配りをしております。それぞれのペーパーの中で直している部分もございますので、ご容赦いただければと思います。

【石井委員長】 これが、そのまま答申に書かれるということではないということですね。

【事務局】 もちろんです。

【高橋委員】 論点3の課題で、2ページの上段に書いてございますが、少しこのことについて猟友会としての立場でお話をしておきたいと思います。
文面を見てみますと、「私的な捕獲(狭義の狩猟)以外の捕獲を推進するためには、従来の狩猟者に加え、新たな捕獲従事者を創出する必要がある。現状は個人による捕獲を原則とした制度であるが、鳥獣捕獲を専門に行う事業者を制度化し、必要に応じて規制緩和を行うことも検討する必要がある。」となっております。規制緩和も当然必要だと思います。
新たな捕獲従事者というのは、どういった組織を持って成り立つのか、つくっていくのかということが、しっかり見えていませんが、我々猟友会としても、今回のこのあり方検討委員会を開催し、いろんな情報、あるいは前会長さんの議事録等々を見て、私も途中から参加させていただいたのですが、当然猟友会が現在狩猟登録者105,000人の登録があるわけでございますが、その会員をもって都道府県に県猟友会をつくり、そして大日本猟友会という組織をつくっており、都道府県のそれぞれの会長さんが出て、年に一度、総会等々で議論をして、現在の有害捕獲と、国あるいは県、市町村の指導による有害鳥獣の被害についての推進を行ってきたところです。
新たな一つの組織をつくるということになりますと、高知県の場合を申し上げて恐縮なんですが、三嶺であったり、黒尊であったり、それぞれシカが非常に多く生息するところには、市町村で実施隊という組織をつくり上げて、あるいはその中の10人、15人、20人というメンバーで構成をして、随分と高知県では捕獲頭数も実績を上げています。高知県の場合、年間3万頭とってくださいというのが高知県の要望なんですが、24年度の捕獲頭数が1万5,800数頭です。それで22年、23年、24年と毎年2,000頭ずつ捕獲頭数が伸びています。
それともう一つ、国の一つの指標を見てみましたら、大体22年から23年までがプラス9万6,000頭で、総数が79万9,000頭、約80万頭とっています。それから23年から24年にかかって、ここが6万6,000頭で、24年の捕獲実績が86万6,000頭、かなり会員数は減りながら、あるいは狩猟者の高齢化が言われる中で、猟友会としての組織の有害鳥獣の捕獲実績が伸びています。それで、新たな捕獲従事者を創出をするといっても、恐らく猟友会の中から何人かを選出するということになると思うのですが、選出をするということになると、経験を積み、専門的な知識を持っている方を選抜するわけですので、誰が選抜をするかということになると、各地区の猟友会長さんが当然個人的にも、あるいは全体の把握をしていますので、各地区の猟友会長さんが推薦をするということになると思います。
一つの組織が今ある中で、そういった銃の免許を持っている方を選抜して新しい組織をつくるということになりますと、二つの組織ができることにもなります。幾つかの組織をつくって、捕獲頭数を上げるということについては、問題ないと思うんですが、我々大日本猟友会の、この間総務委員会を行った中でも、今の狩猟制度の中で、まだまだ国として規制緩和をしてみたり、あるいは猟友会が動きやすい、それから成果が上がる、そういったいろんな事柄があるのではないか。それをまず行ってもらって、その中で、今言う新しい組織をつくるのであれば。猟友会として銃を持った一つの組織がある中でなお今の捕獲頭数では足りないのでこういった制度も必要だと思いますというような投げかけをしていただかないと、年度途中でこういったことが実施されるということについては、大日本猟友会という一つの組織の中では、混乱を来すおそれが私はあると思います。
もう一つは、実績が上がっているということをしっかり評価もしていただきたいし、趣味の領域が今言う有害鳥獣捕獲という責務になっているといったらいけませんが、中山間地域を守る、農業者を守る、林業者を守る、そのためには猟友会が先頭になって、こういった有害捕獲をするということが、今盛んに言われていますので、そのことには十分我々猟友会としても応えていますので、そういったこともしっかり踏まえていただいて、もしこういったものをつくるのであれば、ある程度の施行年月日を、何年か猶予するとか、あるいはこのことについて、来年度に向けてそういった大日本猟友会という組織があるんで、その組織に投げかけていただいて、そこで一定議論もしながら、組織をつくっていくということにならないと、新たな組織をつくっても機能しなかったら、絵に描いた餅になると思うので、私はそういった懸念をしますので、猟友会としての総務委員会での議論は、そういった意見が非常に多くあったということもつけ加えさせていただいて、環境省の皆さんの方向性とは若干異なる部分がありますが、猟友会としてはそういった考えであるということを、改めて申し上げておきたいと思います。
も高知県の場合、中山間地域の農業者、林業者を守るということになりますと、現場に行きますと、本当に植えたばかりのヒノキであったり、杉であったり、そういったものがシカに食い荒らされて、意欲さえ失っている、そういった現状をそれぞれ猟友会の会員さんもみんな共有しています。そして高知県では年間プラス2,000頭ずつ捕獲していることは、非常に至難のわざなんです。相手も生き物なので。しかし我々は趣味の猟を捨てて、今有害鳥獣捕獲に果敢に取り組んでいるという現場の状況があるので、そのことをしっかり踏まえていただきたいと思いますので、あえて申し上げておきたいと思います。よろしくお願いをいたします。

【事務局】 今、ご指摘いただきました事業者を認定する制度、仕組みでございますが、ご議論いただいておりましたのは、必ずしも猟友会とは違う組織をつくるということではなくて、事業者という形で法的に認定をし、法律上のいろいろな規制緩和もセットで対応していく仕組みをつくっていくということをご議論いただいたと思っておりますし、その方向で取りまとめたいと思っております。
その対象になる方については、猟友会というグループとして認定を受けるということも当然可能性としてはあると思います。それ以外の形で手を挙げている方を排除するということはもちろんなかなか制度的にはできないと思っておりますけれども、現状猟友会を中心にされている捕獲や自治体を中心にされている捕獲等々に、支障を及ぼすような制度設計というのは本末転倒であり、それで捕獲が逆に減ってしまうというのは意味がないと思いますので、その辺りは配慮しながら、その認定の要件や、講ずべき規制緩和の内容ということは、しっかり考えていかなければいけないと思っております。

【石井委員長】 ほかに全体に関して、今のことでも結構ですけれども、ご意見お願いします。

【小泉委員】 ただいまご指摘あった点と多少関係するかと思いますけれども、論点3について、2ページ目に認定事業者に期待されるイメージは、当然捕獲技術が前提になるわけですけれども、それに加えて計画を立てモニタリングを行い、地域の鳥獣保護管理の担い手として機能することです。
PDCAサイクルのDoだけでなくPlanとCheckもカバーするという意味で新しい捕獲技術者のイメージだと思います。この点をもう少し意識しながらご検討いただければと思います。私も決して既存の猟友会の方々の努力と、その実績を無視するものではありませんけれども、現在新しいイメージも求められているということが大切なのではないかなと思います。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

【三浦委員】 議論のまとめとして、繰り返し言っているのですけれども、先ほど高橋さんがご指摘の鳥獣保護員というのは、法律に書かれているせっかくの制度なので、これの再構築を考えていただきたいと思います。法律上、人を定義しているのは、ここにあるわけですから、鳥獣保護事業者の推進の補助員として扱われているということですが、先ほどもご指摘のように、やっぱり保護管理の指導とか、地域の管理の主体になっていく人間として、つくり直していくという作業が必要ではないかなと思います。
それで、78条の2項に鳥獣保護員のことに関するものですけれども、生息状況に関する定期的調査といったような、たしか特措法によって加えられている項目が存在しています。これも今のところ市町村で非常勤で払うといったやり方ですが、両方の法律が出し合うような格好で、何とか地域主体というか、管理の核となる人間をもう一度創出し直してもらうという作業が、この鳥獣法の骨格の部分として、私は重要だと思います。

【石井委員長】 事務局からは特にいいですか。

【羽山委員】 私も鳥獣保護員というのは、とても見直しが必要な制度であるし、専門性を期待する職員として位置づけられるべきだということは異論がありません。ただ、あくまでも位置づけが、これは非常勤職公務員ですので比較にはならないかもしれませんけど、消防組織で言うと消防団の育成に当たるわけで、当然消防組織であれば消防署があって、消防士さんがいる。そういう防災計画に基づいて、その方々が現場で活躍するというような、そういう仕組みになっているわけですけれど、残念ながら鳥獣法の場合は、消防署や消防士さんに当たる方が、明確に位置づけられていない。特に専門性がきちっと位置づけられていない。ここが一番大きな問題で、これはもう何度も今まで法改正のたびに附帯決議に記された背景もありますけれども、ここを抜本的に改正しないと、先ほどの捕獲の専門事業者の認定制度も、全て瓦解しかねないというところだと思います。
ですから、論点7の上の丸、専門的知見を有する者の活用が最大の論点であると私は思います。例えば農業分野で言うと、農業普及組織というのがあります。かつては必置資格で普及員さんというのがいましたけど、今は普及指導員という形で、必置は外れて、一方で国家資格になったわけです。そうすると、県にとってはもちろん技術的な普及という、一定のスキル以上の方を配置するというメリットもありますけれど、こういう専門の資格を持った方を配置することで、国からの交付金対象になる。そうやってある程度財政的にも支えようというような仕掛けも持っていますし、今では普及組織の中で、かつて専技さんと呼ばれた、専門的な技術を持った方々の集団がありますけれども、今ではこういうところで鳥獣の被害対策が国家資格の分野にもなってきていますし、ですから、特措法以降、農作物被害対策についての技術的な体制というのは、徐々にはできてきているのかなと思います。
一方で、特に個体群管理に関わる鳥獣法の担当官の方々、ここについての一定のスキルをきちっと評価して、そういう方々を配置するという制度は、もう鳥獣法の中で位置づける以外方法がないと思いますので、ですから今回の改正ではぜひそこに踏み込んでいただきたいと思います。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
最初に申し上げたように、次回は答申案を議論していただくということで、その中身についての突っ込んだ議論は、今回で大体終わりにしたいということです。別に議論を打ち切るというつもりはありませんけども、もしこの時点で何かぜひ意見を言っておきたいということがあれば、お願いしたいと思います。

【高橋委員】 現状について、猟友会の立場で、少し現場の声を皆さんにもお聞きいただきたいのですが、近年やはり高齢化が進んでいるということで、若い方あるいは会社を定年された方も、ふるさとで農業をやられているということで銃を持って有害捕獲に、あるいは自衛のために等々で、銃の試験を受けられる方がおられます。
しかし、非常に合格率が低いというのが現状なんです。狩猟免許については、例えば正しいのはどれか、あるいは適切なのはどれかとか、そういう設問なんで、比較的10人受ければ8人、9人は合格するんですが、警察庁の銃の試験というのは、70点が合格点ですけれど、適切なのはどれか、適切でないのはどれかとか、非常に設問も長いもので、なかなか設問を理解するのに時間がかかって、しまいまで行き着かずに全問答えられなかったということで、せんだって調べてみましたら、大体昨年の4月は合格率が9.1%、それから20%、多いときで50%なんですけれど、試験問題が複雑化して、せっかく銃を持って捕獲に参加しようという意識はあるのですが、3回、4回受けても通らなかったら、これは何回受けても無理なのでやめてしまおうかという方もおられるのが現状です。
それともう一つは、今年の8月に銃規制等々の通達が、警察庁から各都道府県の警察に送られているのですけれど、やはり規制の強化ばかりです。例えば、装弾実包して山に入るということについては当然違反となります。また、あるいは国道であったり県道であったり、裸銃を持つこと等々についても当然違反の対象になるので、そういったことが規制になるのですけれど、山の奥に行って、農道であったり林道であったり、そういったところであっても裸銃を持ってちょっと道を渡ると、そのまま違反として検挙されて、検挙されれば8月の通達を見れば、即違反として刑事罰あるいは取り消し処分となる、そういった通達が出ているんです。
その辺を環境省、農林水産省、警察庁とも、違反は違反ですけど、猟友会員は有害捕獲に協力しているわけですので、例えば車で駐車場違反をしたら1点とか、スピード違反で何点という制度があるんですけど、そのように今の国土保全のあり方や国費の支出のあり方等を考えれば、もう少し柔軟に対応することによって、銃の所持者をしっかり育成し、育てていく。各県の猟友会は安全狩猟に対する知識を広めるために講習会等をしっかり行っているので、警察庁もその辺を同じ目線で、違反は違反として厳しく取り締まる中で、運用についてもう少し柔軟な対応ができないだろうかというのが各地区の猟友会の声であります。なかなかそういった声を皆さんにお聞きいただく場がございませんので、あえてここでお話をさせていただいたのですが、なぜ会員が減るのに、こんなに厳しくするのかというのは、率直な考えですので、その辺も皆さんにお力をいただいて、柔軟な対応ができればもっと若い狩猟者も、あるいは年配の方でも狩猟に関わり、今の日本の国土の環境あるいは中山間地域をしっかり守る役割が果たせるかと思いますので、お力添えをぜひいただくよう、お願いをしたいと思います。
以上でございます。

【石井委員長】 議事録にはちゃんと残りますので、伝えていただくようにお願いしたいと思います。
それではいかがでしょうか。ほかには。

【坂田委員】 実際に捕獲していくのに、いろんなパターンで違反を取られることがあると思うのです。例えば単なる不注意で、守れるところを守らないからというのもあると思いますし、一方で、どうしても相手が獲物を本当にとろうとすると、あるいは住民に対する危害を防ごうということで、違反は違反なんですけれど、その部分で本来できることをしたら効率よく、かつ、より安全に捕獲ができたりという部分においては、規制の緩和というのは、非常に僕は重要だと思うのです。
その中で、例えば路上から撃ってしまうなどの違反で銃の許可の取り上げになっている部分が多いと思いますけれども、その辺の違反事例を警察はまとめられて、講習のときとかも割と丁寧に話していただけるので、実際にどういう違反で捕まっていて、そういう違反は防げないものなのか、それは銃を持っている人の注意で防げるという部分もありますし、そもそもその基準なり判断基準をちょっと検討するだけで、法の目的、安全性の確保などの部分に反すことなく、ある程度融通をきかせる部分もあるかなと思いますので、そういう検討が必要ということです。やはり全体に規制の緩和を求めていくとすれば、そのためにどれだけ安全を確保のための努力をしているかとか、そういう研修や人選からしてあると思いますけども、そういう責任、もし何かあったときの責任のとり方などをきちっとしていかない。ただ捕獲しないといけないから、規制を緩和してくれというだけでは、なかなか難しいと思いますので、その辺のバランスの中で、新しい事業者なのか、今までの猟友会の中できちっとした事業者になっていくという部分あるいは今のままでもできている捕獲班の人たちはいっぱいあると思います。今のままでできている捕獲班の人は、そのままそれを登録してもらうというだけで、今までよりも規制が緩和されて、適切な捕獲活動ができるという形になっていくかと思います。今のは所持許可の試験のことだと思いますけれど、そうではなくて、従事してもらう人に求められることをきっちりとした上で、だから規制の緩和をしても大丈夫なんですよという、その辺の説明はやはり被害が多いところで見回っていても、ちょっと鉄砲を持っているだけで不安を覚えられてというような状況が、その辺の説明の材料をきちんと用意しておかないといけない、それをきちっとすることで不必要なといいますか、理屈に合わない規制はなるべく緩和してもらえるという方向に動いてもらえると思います。

【磯部委員】 今のご議論に関連して、ちょっと発言したいと思います。銃砲の所持や取り扱いに関する規制を緩和せよというお話なのですけれど、そこのところはよほど注意深く表現しないと非常に誤解を受けるし、また反対が予想されるわけです。もう少し一般化して申し上げたいのですけれど、この資料4という文書は、このまま答申になるわけでもないし、いまの段階で文章表現に関してあれこれ言うことではないということはよくわかるのですけれど、全体にわたって「規制緩和」という言葉の用い方に関して、もう少し注意が必要ではないかということを、申し上げておきたいと思います。
もともと規制緩和という言葉は、非常に使いにくい言葉で、きわめて多義的で曖昧ですから、何らかの制度を非難するときに、非常に都合よく使えてしまうというところがあります。一般に多少安全性を犠牲にしてもいいから、もうすこし柔軟に規制を緩和してもよいのではないか、というような言い方は、とても実現が難しくて、普通はそれだけでは通らないと思います。もしも安全性という点ではちっとも変わらないのに、不合理な規制があるから、その部分を合理的に改善せよ、ということだけならば、そういう趣旨のときに、あえて「規制緩和」というような曖昧な言葉は使わないほうがいいのではないのかと思います。
おまけに今回の鳥獣保護法の関係は、単純な規制強化論と規制緩和論がせめぎ合っているわけではなくて、もっと総合的かつ積極的な鳥獣管理という新しい管理概念のほうが主たる概念であるはずです。管理というのはもっと複雑な総合的なものですから、規制的な部分も含みますが、そうでない部分もいっぱい含んでの規制ですから、単純にプラスマイナスのような印象がある規制強化とか規制緩和というような表現はむしろ使わずに済ませて、中身を丁寧に書いていかれたほうがいいのではないのかなと思います。

【坂田委員】 今までの大きいポイントが、今までは個人的な捕獲や自衛的な捕獲に対して登録をしてもらったり許可を出したりして捕獲してもらうという中でしたが、そうではなくて公益的な捕獲が必要なので位置づけようというのがここの議論の一番大きいところだと思います。そのための銃の所持許可については、例えば銃刀法には枠組みがいろいろあり、狩猟と標的射撃と有害捕獲が恐らく一つのくくりで、そのためには例えば消音器は使ってはだめだというようになります。公益的な捕獲に関しても、そのくくりの中に入って銃刀法の中で位置づけられるのか、それとも公益的な捕獲だからということで全く別に位置づけられるのか。目的と社会的な役割が全く違うと思いますから、それはどのように扱われるんでしょうか。

【事務局】 そこは、これからの警察庁さんとの相談といいますか、もう少しこちらの制度を詰めた上で、不都合なところやこれに沿った形での銃刀法の取り扱い方法について、相談できることはしていくということで、現時点ではまだ具体的な運用が固まっていませんので、まだできていませんが、いずれにしても相談はしていきたいと思っています。

【坂田委員】 その中で一つ気になるというか、そういう捕獲の中でよくある場面というのが、例えば住宅地のすぐそばで発砲しないといけない。これというのは被害が出るのは当然田畑なり住宅地です。動物が昼間だったら山に行くのですけれど、結局そこで被害を出す動物を捕獲するということは、割と住宅地の近くで弾を撃たないといけないという部分は多いと思う。
その部分でやはり違反の原因になる、違反でなくても違反に近づかないといけないところに立たされる場合はあります。そのときに発射制限だとかいうところが、一つは鳥獣保護法の中では住宅の近くで撃ってもいいのか、悪いのかみたいなところと、あと住宅の近くで撃つということは、住宅に住んでいる人はうるさいと感じますので、もしそのような場では消音器が使えて音が出ないのであれば、捕獲効率だけではなくて皆さんに理解してもらいながら、捕獲活動を進めていく部分でも、消音器なり、議論の中では夜間の射撃ということもありました。
当然、被害を出す大型の動物が夜中に出てくるわけですから、夜中撃ちませんよということは、多分理解しにくい人も多いと思います。ただ、一方で夜中にパンパン大きい音を鳴らすということは、それについても理解しにくい人もいると思いますので、そういう意味では、もし本当にそういう装置なり機械があるのだったら、絶対みんな、夜でも昼でも鉄砲の音は小さいほうがいいですし、少なくとも安全な人、信頼できる人が扱っている限りは、鉄砲の音は小さいほうがいいと思いますし、住宅の近くでも安全なら撃ってもらったほうがいいと思うので、その辺のところでも捉え方なり位置づけが、銃刀法の中でもどう位置づけられるかと、公益的な、みんなのためにやっている捕獲ということが鳥獣保護の中でも銃刀法の中でもどう位置づけられるかで、その効果なり、従事していらっしゃる方への期待なり、従事していらっしゃる方の気持ちなりも、社会としてどう捉えているのかなということで変わってくると思いますので。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。

【小泉委員】 規制緩和というお話だったのですけれども、効率のよい捕獲で大事なのは動物の行動に合わせて最良の捕獲方法を選択することです。最良の捕獲方法が法制度の規制により実施できないのであれば緩和しましょう、という柔軟な態度が必要だと思います。動物の動きに応じて状況は変わりますので、ある時は捕獲時間の規制が障害になり、ある時は捕獲器具の規制が問題になると考えた方がよいと思います。現時点で一律に決めない方がよいと思います。これから、さまざまな場面がどんどん出てくると思います。
ですから、前回の委員会でも言いましたが、論点7の中に捕獲技術の開発を推進するという一言を入れることによって、さまざまな状況に対応したさまざまな捕獲技術、革新的な捕獲技術を開発する姿勢を明確に示していただきたいと思います。

【石井委員長】 それではよろしいでしょうか。いろいろと意見を言っていただきましたので、それを踏まえて答申案をつくっていただければと思います。
それでは、議事の⑤についての議論はこのぐらいにしまして、次に議事の(2)答申の目次(案)について、説明をお願いします。

【事務局】 資料5をご覧ください。鳥獣保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について答申の目次(案)としてお示しをしております。
1で「はじめに」ということで、検討の経緯や背景といったことを記載いたします。2で「鳥獣管理をめぐる現状と課題」ということで、3番につながるような現状の認識と課題についてお示しをしていきたい。中身としては生息状況についてと被害の現状、狩猟免許所持者の推移、それから法律の制度運用の現状と課題、ここは鳥獣被害防止特措法との関係も含んで記載をするということを考えております。その他全般というのは、書いていく中で漏れたものがあればと考えております。
3番目が主たるポイントになります。鳥獣管理につき今後講ずべき措置ということで、これまで議論いただいてきた内容を、項目としてはほぼそのままということになりますが、最初に鳥獣管理の充実ということで、規制による保護から、種によっては積極的な管理へということをお示しするつもりです。
(2)としては関係主体の役割と連携ということでご議論いただいたことをまとめていくということ。(3)は効果的な捕獲体制の構築ということで、先ほどお話しいただいたような事業者認定の話なども記載をしていきたいと。(4)は計画的な捕獲の推進ということで、前回ご議論いただいた都道府県などが実施する公的な捕獲の制度を創設するという内容について記載をしていく。(5)は国の取組の強化ということで、これは(2)の関係主体の役割と連携とは別な形で特出しで記載をしていきたい、強調していきたいと思います。
それから(6)で科学的な鳥獣管理の推進ということで、先ほどからもご意見をいただいているような中身についても、ここの辺りで記載ができればと思います。それから一般狩猟の促進ということで、個人による狩猟についても可能な限り促進していくということを考えております。それから今日ご議論いただいた国民の理解を得るための取組ということでまとめていきたいと思っております。それからその他も今日ご議論いただいた内容でございます。
あわせて、今後の作業スケジュールについてもご説明をさせていただきます。今日までのご議論をまとめて、次回が11月6日ということで、あまり日がございません。ということで、10月中には答申案ということで、事務局としての案を委員の皆様に事前送付をして、事前にいただけるご意見については可能な限り調整をしていきたいと考えております。そして6日にパブリックコメントにかける案として、答申案を提示しまして、そこでもご審議をいただきたいと思っております。その後、7回の小委員会の審議を踏まえ、必要な修正、調整を行うという目標ですけれども、11月半ばから12月半ばにかけて、パブリックコメントを実施する予定でございます。
それから、ご案内をしているかと思いますけれども、1月15日、これがこのテーマとしては最終と考えておりますが、第8回鳥獣保護管理のあり方検討小委員会ということで、最終回の開催をさせていただきたいと思っております。ここではパブリックコメントを受けた修正案について、最終的な審議を行っていただき、その結果をもって中央環境審議会の自然環境部会で最終の審議をいただいて、答申としていただくという予定で考えております。
説明は、以上でございます。

【石井委員長】 ありがとうございます。実際の答申案ができてこないと、なかなか意見も難しいと思いますけれども、何か今のご説明についてご質問、ご意見があればお願いします。

【羽山委員】 この目次の並びですが、2番で現状と課題を整理するということであれば、まず問題意識として鳥獣による被害の現状を述べた上で、鳥獣の生息状況と対策の現状を述べて、ギャップがあるということを示さないと、今回なぜ3番の講ずべき措置が必要かというのが、インパクトを持って説明できないのではないかなという気がしましたので、これは中の書き方がどうなるかわかっていない段階でのお話ですけど、そういう示し方のほうが、私はわかりやすいなと思いました。

【事務局】 書きながら流れを、検討させていただきます。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。お願いいたします。

【羽山委員】 注文ばかりで恐縮です。特に3番については、今までほかの法令との関わるような議論が随分あったかと思うのですけれど、例えば典型的なのは銃刀法の問題ですけど、書き方としてはやはり今後の鳥獣管理にとってほかの法令に関わることでも、これはもうぜひやるべきだ、それがなければ一歩前に進まないというような強い意思表明をしていただきたいなと。今回これで本当にそれができるか、できないかが問題ではなくて、もうここはぜひとも必要だという書きぶりにしていただければなということで、これは要望です。

【事務局】 今おっしゃった他法令の関係で、どうしてもやるべきだということは、羽山委員の中でイメージされているのは、どれでしょうか。

【羽山委員】 例えば、今まで消音器の話はさんざん出てきましたけども、これは鳥獣法では書けないわけです。鳥獣法で対応できるような話ではないわけです。

【事務局】 ただ、対応できる話でないのとともに、その有効性についてどこまで明確化できているか、それを求めていくほどの根拠を、現時点で今回の審議の中でこちらとしても示しているわけではないですし、十分な議論ができたとは思ってはいないのですが。

【羽山委員】 ですから、今までやってこなかったことについてデータがないのだったら、エビデンスをはっきりさせ、さっきの小泉さんの発言とも関わるかもしれませんけど、そういうものを積極的に検討していこうというのは書くべきだと思うんです。今すぐに銃刀法の改正が必要だという議論ではなくて、これまで検討の遡上にものってこなかったようなことだけれど、既にいろんなところで提案が出ているようなことが今回随分議論されたし、それからいろんな関係団体とか自治体からも出てきたと思うのです。そういうことについては可能な限り、とにかくやっていこうという姿勢は見せるべきじゃないかなと、そういう意味です。

【石井委員長】 明確にこうすべきだという方向性を書けなくても、こういう問題が議論されて、今後きちっと調査をして、方向性をはっきりさせる必要があるというふうなことは、少なくとも書けると思います。

【小泉委員】 さっき言ったことの繰り返しになります。銃刀法の中でもで試験研究の場合は例外規定を設けています、同様な措置は火薬取締法の中でもあります。鳥獣法の中にも技術開発という枠を設けて、その中でさまざまな関連法規と調整をするというような姿勢があっていいのではないかと思います。
まずは試験研究、学術技術開発という枠の中で、消音器の使用に柔軟に対応必要があるのではないかと思います。

【坂田委員】 答申の目次の整理のことについてですけど、今の3番の(1)~(8)までは、この論点に対応しているということですよね。思ったのは少なくとも論点1は、今までの許可なり登録の捕獲から公的な捕獲なりマネジメント、管理をしていくということを位置づけるという、これはどちらかと言えば現状認識と課題の提示じゃないかなという気がするんです。論点2についても、これもし役割分担を明確に規定しようといって具体的に規定の内容が出てくるのであれば講ずべき措置になりますし、それがなくて役割分担をしないといけませんねというところであれば、現状認識と課題の中かなと思うのです。
だから、現状認識と課題の中には、やっぱり転換の必要がある現状認識を、課題のところで1回示すべきだと思いますし、その具体的な内容が、多分論点3とか4とか5とか、後になっていくことかなと思うので、現状認識と課題の提示というところと、具体的に講ずべき措置というものの分け方は、そういう分け方かなと思いました。

【事務局】 これも含めて検討させていただきますけれども、ある程度転換をしていかなければいけないということでいけば、その転換自体も一つの講ずべき措置ということも考えられるかと思います。
ここで明記をするということを、新たに書くということでいくと、講ずべき措置と整理するという考え方もあるのかなと思っておりまして、一般的な答申のまとめ方との関係もありますけれども、ここから派生して、例えば法律の改正が出てくるようなことがあるものについては、できるだけ講ずべき措置のほうにまとめておくほうがわかりやすいのかなと思います。それもご意見を含めて、検討させていただきます。

【石井委員長】 ほかには。

【小泉委員】 講ずべき措置ですので、誰がいつまでにということが大切になってくるかと思うのですけれど、この辺も書き込みますか。

【事務局】 そこは案を見ていただいてから、ご意見をいただきたいと思います。
概ね、そこは意識をして書けるところは書いていくということと、さらに法制度全体で対応する場合もありますので、その場合は誰がというよりは、法律全体がということもあると思いますので、全てに対して主語があるかどうかというと、そこはまた別の問題かなと思いますが、そこは意識をして考えたいと思います。

【石井委員長】 とにかく、この3のところは、もうこういう方向を目指して、こういう措置をとっていく必要があるということをできるだけ具体的に書いていくということです。それがはっきりしているものについて、ここに集めて書くということです。
ほかにはいかがでしょうか。

(なし)

【石井委員長】 特にぜひということがなければ、今日の議論はこのくらいにしたいと思います。
それでは以上をもちまして、本日の小委員会の議事を終了したいと思います。ご協力ありがとうございました。あとは事務局でお願いします。

【事務局】 お疲れさまでした。長時間ありがとうございました。本日は熱心なご議論、本当にありがとうございました。
次回の小委員会ですが、11月6日水曜日、9時半より環境省第2・第3会議室で行いますので、ご出席、よろしくお願いいたします。なお、本日の資料ですが、そのままお持ち帰りになってもよろしいし、そのまま置いてお帰りになってもよろしいです。また、次回は同じように提示いたしますので、よろしくお願いします。
本日は本当にどうもありがとうございました。これをもちまして本日の委員会を閉会いたします。