鳥獣保護管理のあり方検討小委員会(第1回)議事録

開催日時

平成25年5月13日(月)15:00~16:53

開催場所

境省第一会議室(中央合同庁舎5号館22階)

出席者

議事

【事務局】 定刻になりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会鳥獣保護管理のあり方検討小委員会を開催させていただきます。本日は、委員11名のうち9名が出席しており、「中央環境審議会議事運営規則第8条第5項において準用する中央環境審議会令第7条により」による定足数を満たしておりますので、本委員会は成立しております。
 次に、配付資料を確認させていただきます。お手持ちの議事次第裏面に配布資料一覧がございます。資料1-1、鳥獣保護管理のあり方検討小委員会の設置についてでございます。資料1-2、鳥獣保護管理のあり方検討小委員会の運営方針についてでございます。資料2、鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置についてでございます。資料3、鳥獣保護管理の現状と課題でございます。資料4、鳥獣保護管理のあり方検討小委員会における今後の検討の進め方(案)でございます。
参考資料としましては、1が鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律、2が特定鳥獣保護管理計画の作成状況、3が狩猟鳥獣の変遷、4が国指定鳥獣保護区の位置図、5がニホンジカによる生態系への影響、6が狩猟及び有害捕獲等による主な鳥獣の捕獲数、7が狩猟免許所持数の推移、8が平成24年度「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」の概要、9としまして鳥獣保護管理に係る人材登録事業、10がイノシシの保護管理に関するレポート、11が関東山地ニホンジカ広域保護管理指針に係る対策実施体系となっております。
 配付資料に不備がございましたら、事務局のほうにお申しつけください。
 それでは初めに、伊藤自然環境局長よりご挨拶を申し上げます。

【伊藤自然環境局長】 環境省自然環境局長の伊藤でございます。委員の皆様方におかれましては、ご多用中のところ本小委員会にご出席を賜り、誠にありがとうございます。また、平素より鳥獣保護管理を初めとする自然環境行政へのご理解、ご協力をいただき、改めて御礼を申し上げます。
 さて、現在シカ、イノシシなどの野生鳥獣による自然生態系への影響や、農林水産業への被害が深刻化しております。一方、狩猟者の減少や高齢化などにより、鳥獣保護の担い手不足が大きな課題となっております。こうした中、先般鳥獣保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について環境大臣から中央環境審議会に対して諮問を行いまして、3月26日の中央環境審議会自然環境部会におきまして、鳥獣保護管理のあり方検討小委員会を設置し、ご議論いただくことについてご了解をいただきました。
この問題につきましては、非常に国民的な関心も高く、特に国会におきましては、環境委員会はもちろんですけれども、委員会等々でも連日のようにこの問題が取り上げられております。こうしたことは、事態が深刻化しているということの証左でもあると思いますし、また今後の対策に対するさまざまな意味での期待ということも高いのかなと、こういうふうに考えている次第でございます。
後ほど今後の議論の進め方につきましてもお諮りすることとしておりますけれども、現地調査や関係者からのヒアリングなども含めて、小委員会における濃密なご議論をお願いしたいと考えております。そして適切な鳥獣保護管理行政が推進できますよう、委員の皆様方のご指導を賜りますようお願い申し上げまして、冒頭の私からのご挨拶とさせていただきたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

【事務局】 小委員会を構成する委員につきましては、3月26日に開催されました自然環境部会において決定されております。本日は第1回の小委員会でございますので、私のほうから委員の皆様をご紹介申し上げます。
 石井信夫委員長でございます。
 尾崎清明委員でございます。
 小泉透委員でございます。
 佐々木洋平委員でございます。
 染英昭委員でございます。
 磯部力委員でございます。
 坂田宏志委員でございます。
 羽山伸一委員でございます。
 三浦愼悟委員でございます。
 なお、汐見明男委員と福田珠子委員におかれましては、本日ご欠席でございます。
 本委員会は、臨時委員5名、専門委員6名、計11名の委員を部会長より指名いただいております。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、この後の議事進行につきましては、石井委員長のほうにお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。

【石井委員長】 石井です。それでは、ただいまから平成25年度第1回「鳥獣保護管理のあり方検討小委員会」を開催したいと思います。私自身は、この諮問にありますシカやイノシシ、特に問題になっているものについて現場で仕事をしているということは少なくて、むしろ外来生物の仕事が多いのですけれども、したがって委員の皆様方にこの問題に関して忌憚のないご意見、あるいは現場の経験などを提供していただいて、活発な議論を進めていきたいと思います。
 早速議事に入りたいと思います。
 まず議題1と2ですけれども、議題の1、鳥獣保護管理のあり方検討小委員会の設置について、それから議題の2、鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について、これについては自然環境部会で決定及び諮問されている事項ですので、二つあわせてまず事務局から説明をお願いします。

【事務局】 野生生物課鳥獣保護業務室の山本でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは資料1-1をまずご覧ください。3月26日の自然環境部会で決定された内容でございます。自然環境部会の下に鳥獣保護管理のあり方検討小委員会を置くこととなっております。この小委員会ですが、検討すべきことがあるときに設置し、終了したら廃止をするという形で、テーマに沿った形で設置、廃止をするものという位置づけです。
今回の小委員会ですが、テーマとしてはここで二つ記載をしております。一つ目は鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置についてということで、今回諮問をさせていただいている内容でございます。それから二つ目は、鳥獣の保護を図るための事業を実施するための基本的な指針の見直しについてということで、まずは講ずべき措置についてまとめていただいて、その後法改正などが行われるとすれば、恐らくそのまま基本的な指針についても見直しをする必要が出てくるということで、連続した審議をお願いするということで、これについてもあわせてテーマとさせていただいております。この小委員会の決議は部会長の同意を得て自然環境部会の決議をするとすることができるとされております。
 資料1-2の運営方針について簡単にご説明をいたします。1番目の会議の公開についてですが、この会議は原則として公開でございます。その中でも今後公開することによって公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合などについては、非公開とすることができるということとなっておりますけれども、現時点では公開を想定しております。
 また、必要な制限を課すことができるといったような規定もございます。場所の問題で人数が入れないということが考えられます。
 出席については、委員は基本的には代理出席はなく、ご本人での出席でお願いいたします。
 会議録については基本的には作成をして公開をしていく予定です。確認をさせていただいた上で公開の予定でございます。
 続きまして資料2もあわせてご説明をさせていただきます。これが本小委員会でご議論をいただく内容でございます。鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置についてということで、昨年の11月29日に諮問をしております。本諮問案件は同日付で当時の野生生物部会、今は自然環境部会に統合されておりますけれども、その部会に対して付議がなされております。それから3月26日の自然環境部会で、詳細検討についてはこの小委員会で行うということが確認をされております。
内容ですが、鳥獣の保護及び狩猟の適正化につき講ずべき措置について貴審議会の意見を求めるとしており、諮問理由といたしまして、先ほど局長からのご挨拶でも申し上げましたとおり、シカ、イノシシ等の野生鳥獣の生息域拡大及び個体数増加に伴って、希少な高山植物など自然生態系や農林水産業への被害が深刻な状況となっているということ。一方で、鳥獣捕獲の中心的役割を果たしてきた狩猟者については、その減少及び高齢化が著しく、鳥獣捕獲の担い手不足が大きな課題となっているということでございます。そのため、鳥獣の保護管理に携わる人材の育成、及び将来にわたって適切に機能し得る鳥獣保護管理体制の構築を図る必要があるとされております。
 また、近年の改正で平成19年4月に施行された改正法の附則の中で政府はこの法律の施行後、5年を経過した場合においてこの法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとするとされておりまして、平成19年から5年が経過をしておりますので、検討を行うということでございます。
 事務局からの説明は、以上です。

【石井委員長】 ありがとうございます。事務局から説明がありましたように、会議及び会議録は原則公開とされていますので、本日の委員会も公開で行います。会議録は後日事務局で作成して、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開するということになります。議事要旨を作成する場合は、事務局が作成したものを委員長である私が了承した上で公開することを、あらかじめご了承願います。また、会議資料につきましても公開となります。議題の1と2の今ご説明していただいた内容について、ご意見、ご質問がありましたらお願いします。

【佐々木委員】 いろいろ幅広い議論になるのだろうと思いますが、議論の中で例えば環境省以外の省庁に関わってくる問題が出てくるだろうと思います。その場合の対応についてはどうなのでしょうか。要は農水省や警察庁に関する部分の対応が可能なのかどうか、ぜひそういう部分への対応もあるべきではないのかと思います。

【事務局】 必要に応じて出席いただいて、ご説明をいただくということはあると思います。

【石井委員長】 ほかにはいかがでしょうか。
この小委員会は、いろいろ議論をして、最終的には、必要な今後講ずべき措置をまとめて報告書をまとめるのが一応アウトプットになっているようです。そういうことを踏まえて今後の議論を進めていきたいと思います。
 ほかよろしいですか。

(なし)

【石井委員長】 なければ、次の議題に進みたいと思います。
 それでは、次は議題の3、今日の中心ですけれども、鳥獣保護管理の現状と課題について、事務局より説明お願いします。

【事務局】 鳥獣保護業務室松本と申します。よろしくお願いいたします。
 私のほうから議題3、鳥獣保護管理の現状と課題につきまして、資料3でご説明をさせていただきたいと思います。
 お手元の資料3と同じものを前方のスクリーンで表示してございますので、お手元の資料と併せてご覧ください。
 (p.1)まず、鳥獣保護法の概要をご説明させていただきます。鳥獣保護法の沿革でございますが、明治6年に鳥獣猟規則が制定されたのが始まりになります。当時の規制につきましては、銃の規制が対象ということで、銃猟の免許鑑札制、銃猟の期間が10月15日~4月15日まで、それから日没から日の出までの銃猟の禁止、人家が密集している場所での銃猟の禁止、ということが明治6年で既に決められていたところでございます。
 その後明治25年に狩猟規則で、対象の猟に網猟とわな猟が追加をされ、捕獲を禁止する保護鳥獣という考え方が盛り込まれて当時15種が対象に指定されました。この後大正7年に狩猟法が全部改正をされております。この段階で保護鳥獣という考え方、守るべき鳥獣を指定するということから発想が逆になり、狩猟鳥獣として狩猟ができる対象を指定するという大きな考え方の変換がございました。概ねこのときの改正で現在の鳥獣保護法につながる骨格が完成したものと言われております。この後昭和25年に狩猟法の改正が行われまして、鳥獣保護区制度の創設や、保護鳥獣の飼養許可という制度が導入されております。
 右側になりますが、昭和38年に狩猟法が鳥獣保護及び狩猟に関する法律に改称されております。ここで鳥獣保護事業計画制度の創設などが盛り込まれ、鳥獣を保護するという考え方が法律上明確化されたということでございます。
 平成11年に、鳥獣保護法の改正が行われましたが、ここで特定鳥獣保護管理計画制度が創設され、また、国と都道府県の役割というのも法律上も明確に規定されるようになったということがございました。それから平成14年にはさらに法律のひらがな化ということで改正がなされたわけですが、このときに指定猟法禁止区域の制度の創設ですとか、捕獲鳥獣の報告の義務、これも適切な管理を行うために必要であるということで、報告の義務というものも設けられております。直近の大きな改正は、平成18年に行われたわけですが、この際に網猟とわな猟の免許の分離、それから鳥獣保護区の保全事業の実施などが盛り込まれております。
 平成19年には、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律の制定に伴い、捕獲許可の権限が市町村に委譲されるということが行われました。
 (p.2)続きまして、鳥獣保護法の体系を簡単にご説明申し上げます。まず法律の目的としましては、鳥獣の保護を図るための事業の実施、それから鳥獣による被害の防止、猟具の使用に係る危険の予防を行うことにより、鳥獣の保護及び狩猟の適正化を図り、これをもって生物多様性の保全や生活環境の保全、それから農林水産業の健全な発展に寄与をする法律となっております。体系としましては、左側は計画ですけれども、まず国が鳥獣保護事業計画の基本指針というのを策定しております。これを踏まえ、各都道府県で鳥獣保護事業計画をつくり、鳥獣の保護管理を行います。
さらに、これは任意の計画ではありますが、特定鳥獣については個々の種ごとに保護管理計画をつくるという管理が、現在行われております。また、実際の鳥獣保護管理の手段としまして、右側にありますように、まず生息環境の保護・整備ということで、鳥獣保護区の指定を行っています。また、鳥獣の捕獲の規制ということで、まず赤字が国の役割になりますけれども、狩猟鳥獣の指定や狩猟制度の管理、また特に保護を図るべき鳥獣の捕獲の許可、希少鳥獣と言われているものの捕獲の許可は国が行います。青字が都道府県の役割ですが、狩猟制度の運用、それから有害鳥獣捕獲における捕獲の許可等の運用を行っているということでございます。それからその他、生息状況の調査や放鳥獣、傷病鳥獣の保護等という役目も都道府県のほうで行っていただいているところでございます。
(p.3) 次に、鳥獣の保護管理及び狩猟に関する制度につきまして、簡単にご説明させていただきます。狩猟と許可捕獲についてご説明をさせていただきます。まず鳥獣保護法でございますが、狩猟と許可捕獲を除き、野生鳥獣の捕獲は原則禁止をしているという法律であるということをご承知おきいただきたいと思っております。この許可捕獲ですが、有害捕獲ですとか個体数調整、また学術研究の目的等で捕獲する場合につきましては、都道府県知事の許可が必要でなっております。
狩猟とは、狩猟鳥獣を定められた猟法、定められた期間で捕獲するというものです。一定のルールのもと、狩猟者の裁量で自由に捕獲ができる部分があるという形の捕獲になります。また、許可捕獲には、いろいろなパターンがあるのですが、主たるものとしましては有害捕獲と個体数調整が挙げられます。有害捕獲につきましては、農作物等の被害防止のために都道府県知事等の許可を受けて捕獲を行うことができるというもの、また、個体数調整につきましては、特定鳥獣保護管理計画で定めた特定鳥獣の数を調整するために、同様に知事等の許可を受けて行うことができる捕獲ということになっております。
 (p.4)続きまして、特定鳥獣保護管理計画についてご説明申し上げます。この計画につきましては、著しく増加または減少した野生鳥獣の地域個体群につきまして、科学的知見を踏まえ、明確な保護管理の目標を設定し、対策を実施していくという計画になっております。計画の狙いとしましては、地域個体群の長期にわたる安定的な維持です。策定主体は都道府県知事となっておりまして、対象についてはニホンジカやイノシシなど、地域的に著しく増加している種、もしくはクマ類等地域的に著しく減少している種、こうしたものの地域個体群を対象に計画が策定されております。
この計画の内容を見ますと、達成に向けて三つの柱を盛り込んでいただくようにしております。個体数管理は、計画に掲げられた目標設定を踏まえた適切な捕獲や、地域の実情に応じた狩猟制限の設定などを通じて個体数の調整を図っていくというもの。生息環境の管理ということで、鳥獣の採餌環境の改善などによる生息環境の保全や整備を行っていくというもの。被害防除対策として、防護柵の設置や、追い払い等の被害防除対策を実施するというもの。このような三本の柱によって計画を推進していくということにしております。
右側の黄色い四角内ですが、特定鳥獣保護管理計画、通称「特定計画」と呼んでおりますけれども、この計画を策定することによって狩猟の特例措置ということができるようになっております。代表的なものを挙げますと、まず捕獲ができる期間を延長することができる。それから捕獲の制限の緩和ということで、例えば1日に1人が捕獲できる数を緩和する、現在のくくりわなの直径は12cm以下という決まりを緩和するというようなことができます。また特例休猟区制度ということで、休猟区においても一定の範囲の中で特定鳥獣の捕獲ができるということで、狩猟特例措置を設けることができることになっております。
平成24年12月現在で、特定計画につきましては、ニホンジカ、イノシシ、ニホンザル、ツキノワグマ、カモシカ、カワウの6種類について、延べ124計画が作成されているところです。
 (p.5)狩猟の制度につきまして、簡単にご説明申し上げます。狩猟につきましては先ほど申し上げましたとおり、法定の猟法により狩猟鳥獣の捕獲を行うというものを狩猟と位置づけております。従いまして狩猟鳥獣以外の鳥獣の捕獲はできません。また、その狩猟を行うためには、狩猟免許を取得した上で、狩猟をしようとする都道府県に登録をすることが必要となっております。法定猟法は、銃器によるもの、網によるもの、わなによるものがございます。
それから狩猟鳥獣ですが、大正7年に狩猟鳥獣の指定が行われ、その後時代時代のニーズを反映しまして増減をしております。平成6年には、例えばアライグマやミンクといった外来種も、一部狩猟鳥獣に指定をしております。また平成19年にはカワウを追加しており、今日の時点で49種、鳥類29種、獣類20種が狩猟鳥獣として指定されております。また狩猟免許の所持者につきましては、平成22年度の統計で約19万人となっております。
右側、狩猟の免許の種類ですが、これは法定猟法で捕獲を行う場合には、この免許が必要ということで、網を使用する猟法には網猟の免許が、それからわなを使用する場合にはわなの免許が要ります。また装薬銃を使用する場合には第1種の銃猟の免許、空気銃を使う場合には第2種の狩猟の免許が必要となります。
それから狩猟鳥獣の捕獲ができる期間ですが、狩猟期間は法律で10月15日~4月15日、北海道については9月15日からと定められております。さらに別の規定により、実際に狩猟鳥獣の捕獲ができる期間が制限されており、北海道以外の区域では11月15日~2月15日、北海道では10月1日~1月31日までとなっております。ただこの期間につきましても、先ほど申し上げた特定計画をつくることで延長ができるという仕組みがございます。
 (p.6)続きまして鳥獣保護区でございます。鳥獣の保護の見地からその鳥獣の保護のために重要と認める区域を鳥獣保護区に指定をすることにより、鳥獣保護区の中では狩猟が禁止されているほか、特別保護地域では一定の開発行為を規制することで鳥獣の保護を行うという制度でございます。特別保護区域内での開発行為の規制という部分でございますが、具体的には工作物の新築等、水面の埋立、干拓、木竹の伐採等が許可が必要な行為となっております。また、特別保護指定区域におきましては、さらに植物の採取、火入れ、たき火など、人の出入りも含めて許可が必要な行為が定められております。なお、平成24年11月1日現在で、国指定の鳥獣保護区は82カ所、58万5,000ha、都道府県指定は3,759カ所、3万2,000haが指定されているところです。
 (p.7)続きまして、鳥獣保護管理及び狩猟における現状と課題についてご説明させていただきます。資料7ページからご覧いただければと思います。こちら、ニホンジカとイノシシの分布です。イノブタを含んでいます。分布を表したものですが、図の緑のところは1978年にも生息し、2003年にも生息をしていた、つまり昔からいて今もいますというところです。一方、赤のところが1978年のみ生息、つまり昔はいたけれども、今は分布がないというところ。それから茶色のところでが2003年のみ生息していたところで、緑のところから茶色のところに分布が拡大していることが分かるかと思います。メッシュの数でいうと、25年の間でニホンジカが約1.7倍に、イノシシは生息しているメッシュが1.3倍に拡大しているという状況になっております。
 (p.8)次にニホンジカによる生態系への影響でございますが、ニホンジカが森林の樹木の樹皮を環状に食べてしまうい、樹木が枯れ森林が衰退しております。また地表に生えている植物を過度に食べてしまうことで生態系が単純化していくというようなことが起こっております。写真の上は同じ場所で撮影したものですけれども、2002年から2008年の間に樹木の剥皮が行われ、ササが大規模に枯れるというようなことが起こっております。
 (p.9)また国立公園、全国に30ございますが、そのうち20の国立公園で生態系への影響が深刻になっているという状況です。順に知床国立公園の樹皮を食べるシカ、秩父多摩甲斐国立公園の下層植生のなくなった広葉樹林、霧島錦江湾国立公園では園地内にもシカが出入りをしております。それから大台ケ原、吉野熊野国立公園ですが、こちらでも被害がないところ、被害を受けているところで大きな差が見られるところでございます。屋久島でも同じように下層植生の喪失が起こっております。
 (p.11)続きまして、農林業被害の関係でございます。まず鳥獣による農作物被害の状況ですが、農作物の近年の被害総額は、200億円前後で高止まりをしており、そのうち獣類の被害が約8割ということで、グラフの下の方ですが、やはりシカ、イノシシの被害が占める割合が多いということでございます。
 (p.12)また、森林の被害でございますが、平成23年度のニホンジカやクマ類等による被害の面積が都道府県で9,000ha、そのうちニホンジカによる食害や剥皮の被害というものは6~7割を占めるということで、シカが大きな問題を引き起こしているという状況でとなっております。なお、統計の資料については、注書きでご説明しておりますけれども、平成23年度に大幅に伸びておりますが、北海道での統計のとり方に変更があったということで、大幅に数字が伸びております。また平成22年度については、震災の影響で被害が把握できていない点が一部あるということで、そうしたことも含めた値ということで、ご理解いただければと思います。
 (p.13)こうした被害の対策につきましては、鳥獣による農林水産業等に係る被害の防止のための特別措置に関する法律というものがございまして、ここでの対応も進められているところでございます。法律の目的は、鳥獣による農林水産業に係る被害の防止のための施策を総合的かつ効果的に推進し、農林水産業の発展及び農山漁村についての振興に寄与するというものでございます。農林水産大臣が被害防止施策の基本指針を作成し、この基本指針に即して、市町村が被害防止計画を作成することとなっております。平成24年4月末現在で、都道府県と協議中のものを含めて、1,195市町村で計画がつくられております。
具体的な措置としましては、まず権限の委譲ということで、本来鳥獣保護法上の捕獲の許可の権限は都道府県知事にあるわけですが、市町村自らで被害防止のための捕獲を行う場合については、市町村に捕獲の許可の権利を委譲することができるということになっております。また財政面での支援としましては、特別交付税の拡充ということで、駆除等の経費の交付率が5割から8割へ拡大されておりますし、補助事業による支援も行われております。
この補助事業の中では捕獲や追い払い、侵入防止柵の設置、食肉処理加工施設をつくるというようなことに対して財政上の措置がされております。農林水産省の予算ですけれども、鳥獣被害防止総合対策交付金ということで、平成24年度に95億円、25年度予算でも95億円が計上されております。また平成24年度の補正予算としましても、鳥獣被害防止緊急捕獲等対策ということで129億円が計上されているところです。また人材確保の面でも措置がございまして、鳥獣被害対策実施隊をつくることができるようになっております。これは平成24年10月末の時点で521の実施隊がございます。民間の隊員の方については非常勤の公務員という扱いになりますし、狩猟税の減免措置を受けられます。また当面の間でございますが、銃刀法の銃所持許可時の技能講習免除といった措置も講じられているところです。鳥獣保護法、鳥獣被害防止特措法が連携をして、鳥獣の保護管理から被害対策を進めているということになっております。
 (p.13)国と地方の連携、行政間の連携、それから狩猟者、地域の方々、専門家の多様な主体の連携が重要ということで、両方の法律がそれぞれ基本指針同士で整合性を持ちながら、鳥獣保護法では鳥獣管理全般を行うための計画として、都道府県がつくる鳥獣保護事業計画、また特定鳥獣保護管理計画がございますし、被害対策を中心に行っている鳥獣被害の特別措置法につきましては、市町村のほうで被害防止計画がつくられてございます。それぞれの地域への計画も整合をとった形でつくることで、より効果的な取組を進めていくこととなっております。
 (p.14)続きまして鳥獣の捕獲数でございます。特定計画や被害の防止の特措法などの取組を行うことで、まずニホンジカにつきましては平成12年から10年間で捕獲数が2.6倍、平成22年はまだ暫定値ではございますが、36万3,000頭の捕獲が行われております。グラフの下の青いところが狩猟によるもの、それから赤いところが許可捕獲、有害捕獲と個体数調整によるものです。現在、全体的に捕獲数が増えているのですけれども、特にこの許可捕獲の割合が、この10年間で34%から57%に増加しております。
 (p.15)イノシシの捕獲数でございますが、こちらも全体に増加している傾向になってございまして、特定計画の制度ができて以降、また特措法が施行されて以降、増加しているということで、この10年間で約3.2倍にとなっております。
 (p.14)ニホンジカに戻りますけれども、グラフの中に緑の線を入れてございます。こちらは農作物の被害額ですが、捕獲数は年々伸びている一方、被害のほうも減っていないという状況でございます。
 (p.15)イノシシにつきましても、捕獲数については増えておりますが、被害については非常に高どまりしております。
 (p.16)捕獲数につきましては、年々シカもイノシシも増加しているわけですが、その捕獲の主要な担い手である狩猟者の方々は、先ほど資料の中で平成22年度に19万人と申し上げましたとおり19万人となっております。全ての皆さんがイノシシとシカといった獣類の捕獲をされているということではもちろんないのですが、19万人の狩猟者の方で獲っていただいている、その数が2~3倍に増えているという状況でございます。
ただその狩猟者の方々については、この10年を見ますと、21万人から19万人ということで少し減ったという感じではあるのですが、この40年間の推移を見ますと、6割以上減っているという状況でございまして、1970年では53万人おられた狩猟免許の所持者の方々が、2010年には19万人にまで減っております。ただグラフからわかりますとおり、わな猟と網猟の制度を分けた以降は、わな猟の免許の所持者の方については増加しております。また、狩猟免許をお持ちの方の年齢構成を見ますと、2010年では60歳以上の方が約64%を占める、約19万人の狩猟者のうち12.2万人の方が60歳以上ということで、狩猟者数については減少また高齢化をしているという状況でございます。
 (p.17)こうした課題の解決に向けての環境省の取組を、ご説明させていただきます。資料17ページをご覧ください。鳥獣による被害が高どまりしている中で、狩猟者の方々の減少、高齢化が進んでいるということで、環境省としましても捕獲の担い手の確保や鳥獣保護管理に携わる方の人材育成、効率的な捕獲技術の検討など、対策を実施しているところでございます。
 具体的にはまず狩猟者の減少、高齢化が続く中で、捕獲の従事者を増やしていく必要があることから、狩猟者の方だけではなく、農家の方を含めた被害を受けている方々や、民間の事業者の方の参画を促していく必要があるということで、新たな担い手の育成に向けたフォーラムの開催や、地域ぐるみの捕獲の推進を行っているところでございます。
 また、効果的に捕獲を進めていくための技術と体制の検討・普及として、地域の特性に応じた大規模かつ効率的な捕獲手法の検討や、個体数の推定精度の向上・計画への反映必要な捕獲数の目標設定等、きちんと捕獲していくための技術や体制をつくっていくということで取り組んでおります。具体的には大型の囲いわなや高度な射撃技術の実証、鳥獣保護管理に関する人材の登録事業、自治体の職員の方々を対象にした研修などを行っているところです。また、都道府県域を越えて広域に分布している鳥獣の対応ということで、広域協議会の設置や広域の保護管理指針の策定も行っており、カワウでは2地域、ニホンジカで1地域、ツキノワグマでは1地域で広域指針の策定等に関し取組の支援を行っております。また国立公園等につきましては、生態系の被害を減らすということで、環境省自らがニホンジカ被害の防止に向けた取組を進めているところであり、被害防止柵の設置やニホンジカの捕獲、それから生息状況の調査などを行っているところでございます。
 (p.18)環境省の取組について、具体的にご説明させていただきたいと思います。まず担い手の確保の推進に向けて、鳥獣捕獲の担い手となる若手の狩猟者を育てたいということで、狩猟免許の取得を促すセミナーを全国8カ所で開催いたしました。昨年は約1,500人に参加いただき、6割の方が40歳代以下でございました。参加した方々のご意見を聞きますと、狩猟のイメージがよくなったとか、参加後の狩猟免許取得を希望するというふうにアンケートにお答えいただいた方が6割、7割いらっしゃったということで、一定の効果があったものと思っております。
 また、地域ぐるみでの捕獲を推進していくということで、平成23年9月に基本方針を改正しております。この中で、狩猟免許を持たない方でも講習を受講していただき、かつ免許所持者の監督のもとで、わなによる捕獲を行う場合の補助者として、鳥獣の被害対策にも参加をしていただくという仕組みをつくっております。こうした取組を推進するために、全国13カ所にモデル地区を設定して、地域ぐるみの捕獲を進めるための体制づくりや、捕獲補助者の技術の向上を進めているところです。
 (p.19)また、効果的な捕獲を推進する取組として、鳥獣保護管理の専門家によるサポート体制の整備を行っております。これは人材登録事業ということで、鳥獣保護管理プランナー、捕獲コーディネーター、調査コーディネーターの登録事業であり、こうした方々の情報を広くホームページ等で発信をしております。
 また、鳥獣行政担当の職員を対象とした研修も行っております。特定計画の研修や、先進事例に関する研修会を、平成10年から実施しているところです。また、昨年度からの取組でありますけれども、特定鳥獣保護管理の検討会を設置いたしまして、特定鳥獣の保護管理の考え方や、課題、効果的なモニタリングの方法や最新の対応事例などについて、種毎に整理をして、「保護管理に関するレポート」として取りまとめを行い、都道府県に技術的な助言をするということで情報提供をしているところです。また技術面につきましては、効果的に捕獲をする、その手法の検討を行うということで、メスジカを選択的に捕獲する囲いわなや、閉鎖車道を活用して車両で移動しながら捕獲・回収を行うような捕獲の手法の検討・実証も行っております。
 (p.20)次に、広域的な取組の支援でございますが、広域的に分布する、または移動する鳥獣の保護管理を進めていくために、協議会の設置や広域指針の作成、カワウについては一斉の追い払いなどを行っております。また、白山・奥美濃地域のツキノワグマの計画、それから関東山地のニホンジカの計画、関東ブロックと中部・近畿ブロックでのカワウの協議会の設置や指針の作成というところで環境省としても支援をしているところでございます。
 (p.21)また、国立公園におきましても自ら被害の防止対策を進めております。下が秩父多摩甲斐国立公園での樹木へのネット巻き、南アルプスでの植生の防護柵でございます。右の上の黄色い枠の中が知床での囲いわなの設置で捕獲事業を行っております。またその下は吉野熊野国立公園ですが、シカの生息状況の調査も行った上で、対策を講じていくという取組を進めており、自然公園法に基づく生態系維持回復事業を使いながら、ニホンジカの被害の防止に向けた取組を積極的に展開しているところでございます。
 (p.22)最後になりますが、こうした課題それから課題への対応に向けた環境省の取組を行っておりますが、ニホンジカ、イノシシなど野生鳥獣の生息域が拡大しており、希少な高山植物の食害や、森林内の樹皮はぎなど、自然生態系への影響や農林水産業への影響は深刻化しているという現状がございます。一方、捕獲の主たる担い手である狩猟者の減少、高齢化ということが起こっております。
 こうした中で、鳥獣保護管理に携わる人材の育成、それから将来にわたり適切に機能し得る鳥獣保護管理体制の構築が急務であるという認識のもと、今回諮問をさせていただいたところでございます。
 今後の進め方については、後ほど議題4の中でご説明させていただきますが、本小委員会でご議論いただき、パブリックコメントを経て報告書を取りまとめていただくこととしております。その上で自然環境部会で答申をしていただくということで、時期としては秋以降を考えております。
 資料3の説明については以上でございます。

【石井委員長】 ありがとうございます。それではただいまのご説明について、何かご質問、ご意見がありましたら伺いたいのですけれども、かなり内容的にも多岐にわたりますので、まずは最初にご質問から受けたいと思います。何か説明の中で不明な点などありましたらお願いします。

【佐々木委員】 猟友会です。今それぞれ説明があったわけですけれども、ちょっと気がついたところだけ質問というか要望を申し上げたいと思います。
 まず第1点は、1ページ目に鳥獣保護法の歴史が書いてあります。当時、乱獲によって保護体制に入ったということ、それですばらしい成果をおさめたというのはご案内のとおりでございますが、今はちょっと状況が違ってきたのではないのかなと思います。保護法という考え方というよりは、管理をするという部分も入ってもいいのではないか。この法律を鳥獣保護管理法という形の方が今、ベターではないのかなという思いがいたします。
 それから次のページです。鳥獣保護区について、今シカの保護区も含めてこれだけあるわけですけれども、特にシカは本当に被害の根源になっておりまして、どこの保護区も大変な状況です。保護区をなくせということではなく、今環境省でもそれぞれ指導してそこで有害捕獲をしてもいいという話は聞いておりますが、現実、現場では県はなかなかこれに取り組めないというような状況でございますので、根っこをきちっとした上で体制をとらないと、保護地域があるということが芳しくないことになると思います。
 それから、これは環境省とは違うのですが、鳥獣特措法、2ページですけれども、先ほど以来、今の被害の状況も広域的になってきたということで、この特措法についてはご案内のとおり市町村が対象になっておりまして、市町村がもう現状では対応し切れないという状況もございます。あるいはまた財政的な部分も含めて大変だという声が聞こえております。
県が被害防止計画を立てて、そして県が特にシカやイノシシ、特定鳥獣について駆除をする、あるいは個体数調整をするというような仕組みを講じる時期に来たのではないのかなという思いがします。市町村は市町村で一生懸命やっています。しかし市町村の財政基盤によって対応がまちまちになっているというところに、我々狩猟者の立場からは違和感が感じられるという状況にございます。
 それからこの担い手育成、18ページでは、環境省もいろいろフォーラムをしたり担い手のためにいろいろな事業をしていただいているのは本当に感謝を申し上げます。大変好評であります。ただ問題は、銃に限って言いますと、銃を所持するためにはまずは警察に行って申請書をいただかなければならないわけです。ところがその申請するための欠格要項というのがございます。これは申請するだけです。まだ免許を取ったわけではない段階でです。一つは人的な欠格条項、人的というと随分幅広いわけです。危険性があるのではないかとか、そういうのがわかるのかどうかわかりませんけれども、銃の悪用をするのではないかとか、そういうものをまず調べる。それから猟銃を所持するための欠格条項というのがございまして、行動とか知能とかそういうものも、この人は悪用するのではないかとチェックもするのです。
あともう1点は、銃あるいは弾の保管です。これも実際に申請時点で、まだ試験も通っていない時点で、銃の保管庫や、ロッカー、そういうものが全部そろっていないとだめだと。ですから、いくら自分が銃を持ちたいといっても、ほとんどの人はもう嫌だ、面倒だと、8割ぐらいの人がやめてしまうのです。だからこういう欠格要項が免許を取る前からあるということ自体が、今の銃所持許可制度に問題があると思うのです。
 ですから、この辺から解決しないと、本当に皆さん方が一生懸命やっても、やっぱり根っこはその辺にある。確かに銃の安心安全は当然でございますけれども、その辺も考える必要があるのかなというふうに思います。
 まだまだいっぱいありますけれども、ちょっと思いついたところだけ申し上げました。以上です。

【石井委員長】 最初に何か質問があればというつもりで先ほどお聞きしたのですが、テーマごとに話をしたほうがいいかなとも思いましたが、今の佐々木さんのご意見を聞いて、やはり一人ずつ全体についていろんな点をお話しいただいたほうがいいなと思いましたので、今日は最初なので、いろいろな観点からご意見をいただければいいかなと思います。今のことについては特に何かありますか。事務局から。

【事務局】 ご意見としてお受けいたします。

【石井委員長】 ということで、全体通してお気づきのことから適宜ご発言いただければと思いますけれども、いかがでしょうか。じゃあ質問からお願いします。

【染委員】  7ページでありますが、分布域はこのように拡大しているというのがよくわかる図になっております。ただ全体の議論をやる上においては、先ほど農作物被害や林業被害等がありましたように、定性的な問題だけじゃなくて、定量的にしっかりベースを捉える必要があるのではないのかという感じがします。
このメッシュ図でこう拡大したということを言われても、では一体どの程度本当に拡大しているのかというのはよくわからないです。だから生息の分布のみならず、要は個体数がどれだけ推移しているのか、そのようなきちっとした科学的な見地から把握した数字が明確に示されるべきではないのか。それに伴っていろいろな被害がどうであるとか、いろんな問題が議論できるのではないかと思います。できればそういう数量的な面もお示しいただけたら、大変ありがたいなと思っておりました。
 それともう1点は、さらに10、11ページになりますと、農作物被害の状況、あるいは森林被害の状況すが、仕事の関係上、森林被害はよくわからないのですが、農作物というのは例えばこの20年間を振り返ってみますと、農業の総生産額というのは大体2分の1ぐらいまでどんどん減ってきているのです。ということを考えますと、逆に野生鳥獣による農作物被害額というのは、200億円程度で横ばいになっておりますが、割合から見ると、農業総生産額に対する被害比率という意味では、どんどん逆に増えているのではないか、200億で横ばいだというのは、過小評価になりかねないような言いぶりではないのか、もともと積み上げた被害金額のとり方の問題等もいろいろあるのかもしれませんが、横ばいですという程度の話じゃなくて、農作物被害がもっと増えているというようなことを明確に言う必要があり、そのためのバックデータ的な表を準備すべきではないのか、という感じがいたします。まず質問的には2点であります。

【事務局】 まず1点目、定量的に個体数を把握すべきではないかということでございますけれども、なかなか個体数の推定というのは難しい課題で、これまでずっと難しいと申し上げてきました。ただ、現在いろいろと試行しておりまして、この小委員会のどこかで、試行段階のものでどの程度のものになるかわかりませんが、推移なども含めて少しご提示ができないか、今努力をしているところですので、少々お待ちいただければと思います。
 それから2番目の農業被害、農作物被害の評価をどう受け止めるか、どう考えるかということでございますが、この点につきましては、農林水産省ともご相談をして、また今後少し検討してみたいと思います。

【石井委員長】 個体数に関しては、数年前にまとめたものがありますね。推定法にいろいろ難しい問題はあるかもしれません。そういうのを整理していただければと思います。

【事務局】 もう少し検討を加え、作業を進めているところですので、どこまで言えるかはまだちょっとはっきりしないところがございますけれども、今後お示しできるようにしていきたいと考えております。

【石井委員長】 それでは三浦委員、お願いします。

【三浦委員】 これからの討論の方向性が決まるようなので、少しこれだけでいいのかなといった話をさせていただきたいと思います。イントロダクションから鳥獣法の沿革を説明していただきまして、確かに基本的に鳥獣法というのは、産業振興法を色濃くまとっているということは言えると思うのです。それで一つは農業被害の軽減と、もう一つはかつてあった毛皮獣の収獲といったような、そういう要素を強く歴史的には持ってきたわけです。
そのような枠組みの入れ物の中に狩猟者を入れていって、これまで推移してきたわけです。この枠組み自体は全部変えなければいけないのかと言えば、必ずしもそうではないことはイエスとしても、ただその入れ物に入れていた担い手たちが少なくなったからということで、新たにそれの中に一生懸命もう一度入れようじゃないかという方向の議論だけで、果たして済むのかどうかということは、考えておかなければいけないのではないか、そういうところは今回のこの検討委員会では果たして対象になっているのだろうか、ということを、まずちょっと率直な印象として挙げたいと思うのですが、いかがでしょうか。

【事務局】 先生ご指摘の点は、まず狩猟者という今の枠の中で、そのままそれを増やしていくということを考えていくのかどうか、それともまた別の枠組みで考えるのかというようなご指摘、ご質問ということでよろしいでしょうか。狩猟者を増やすということはもちろんですけれども、ご指摘のそのままでいいのかと言われると、そこにはかなり疑義があるという状況かと思いますので、そこも含めてご検討をいただきたいと考えております。新たな枠組みも含めて幅広くご検討、ご審議をいただければと思っております。

【石井委員長】 とりあえずそれでよろしいですか。

【三浦委員】 その調整が、従来のものが今後も持続可能かどうかというところで考えていくと、軸の一つはそこにやっぱり焦点がないといけないのではないかという、そういう問題提起です。

【小泉委員】 第1回目なので、それぞれの委員の方々の思いと同時に、全体をどのような方向に導いていくかを議論することが大事なのではないかと感じています。あまりにも初回からホットスポットのところにはまり込んでしまって、どこかが手落ちになってはいけないのではないかと感じています。
私は去年生物多様性国家戦略の改定に携わらせていただきました。そのときに、これからの鳥獣の保護管理の進め方、あり方というのはある程度論議されて、示されていると思います。国家戦略の169ページと170ページにそれが書いてあります。今日ご説明いただいた部分も、この中に書き込まれているものもたくさんありますが、書き込まれているにもかかわらず対応がなされていない部分というのもあります。科学的、それから順応的管理とうたいながら、それは被害と生息状況のモニタリングによって支えられるものだと述べられているにもかかわらず、残念ながら今日お示しいただいた資料というのは、もう10年前の分布図というようなことになっています。
 捕獲体制は大変大きな問題だと思います。三浦委員からもご指摘いただきましたし、佐々木委員からもご指摘いただきました。特定計画は環境省、被害防止計画は農林水産省と、2省にまたがっていて整合性をとるようにと述べてはいるものの、どのような整合をとったら、地域、地方にとっての管理の前進になるのか、これはもう少し突っ込んで議論されるべきではないかなと思います。
先ほど佐々木委員から市町村は被害防止計画を立てるものの、実行するのも大変で、やはり県がリーダーシップをとるべきではないかというような、特定計画と被害防止計画の整合性といいますか、統合を示唆するような意見もあったと思います。省庁の縦割り行政は仕方ないとしても横の連携をどうとるか、というのがこの鳥獣保護管理のあり方の一つの議論になってくるのではないかと思います。初回ですので一般的な話をさせていただきました。

【羽山委員】 あり方検討会なので、今後のあり方についての議論の、私なりのポイントを3点挙げさせていただこうと思います。
 今ご説明いただいた内容をつらつらと思い返しているのですが、特に22ページでの整理というのが現状を的確に示されているのだろうと思います。ただ、これらの問題点は、平成11年の法改正による特定鳥獣保護管理計画の制度創設時に、既に全く同じことが言われていたし、それを解決するために科学的・計画的な制度をつくろうということで、特定計画制度が導入されたのだろうと思います。しかし、結果的にはそれが思うように成果を出せていないで現状に至っている。ですから、ここで書かれていることは、もう以前から明らかであったし、それが顕在化し、現実のものとなって、より深刻化したと、そういう認識が最初に必要なのだろうと思います。ですから、この15年の間に何が足りなかったのか、そこの点についてきちっと整理をした上で、これからの議論が必要じゃないかというふうに考えています。
 これまでやってきたことは、17ページにまとめていただいておりますので、これが非常によくわかりやすくなっておりますが、先ほど3点と申し上げた1点目は、もう既に他の委員の方もおっしゃいましたけど、1番目の捕獲の担い手問題、これをどう確保していくのか。つまり捕獲数も伸びているにもかかわらず、個体群を安定化、あるいは低減もさせられない。この現状は人が足りないからだと、この認識は間違っていないと思うのですが、じゃあそれをどうするかというところで、私の議論のポイントは、やはりこの対応方向のところで、民間事業者等の参加促進、つまり業としての捕獲の担い手という位置づけは今までの制度の中にはあまり取り込まれていませんでしたので、ここに力点を置いた議論、あるいは制度設計というのが必要ではないかなというふうに思います。
 それから2番目です。この広域管理の考え方というのは、やはり特定計画制度を導入したときに、これは県だけが担い手になればいいのかというところでさんざん議論があったと思います。当然、動物は都道府県をまたいで移動しますので、こういった広域管理という考え方はかつてからあったと思うのですけれども、とりわけ国立公園との絡みもあって、国の関与をどうするのか。あるいは地域の広域連携といっても、じゃあ仕切り役として県同士が話し合えば済むのか、そういう次元のものは今まで何度かありましたけども、やはりなかなか前に進んでいかない。こういうことを考えていきますと、やはり国としての関与、あるいは国自身が特定計画をつくれる制度の必要性、こういったものは今回の議論の中でぜひ検討していただきたいなというふうに思います。
 それから最後の3点目、これが私自身としては一番重大な問題だと思っておりますけれども、平成11年の法改正で特定計画制度を導入したときには、科学的・計画的な管理、つまりマネジメントをやるのだということでした。先ほど、どなたかもおっしゃいましたけど、鳥獣保護法というのは基本的には規制法です。ですから、捕獲してはいけない、あれをやっちゃいけないという許認可だけの行政の中で発展してきましたけど、動物が増えてきた以上は、これまさに管理法にならなきゃいけない。マネジメントをしなきゃいけない。そのためにはマネージャーが必要だというのは、平成11年にさんざん国会で議論があって、衆参両院の附帯決議にまでなっています。
しかし結果的には15年たって、その専門性をもったマネージャーが都道府県に配置されている例は極めて少ない。ここが私は最大の問題点だと思いますので、今のような行政の仕組みの中で、そういう人材をどうやって確保して配置していくのか。既に大学ではここ何年かで相当数の教育拠点ができましたけれども、せっかく育ててもそれの受け皿がない。このような状況の中では、残念ながらまたこれから先同じことの繰り返しになるのではないか。つまりマネージャーの確保、ここを新たなあり方の中で、ぜひ重点的に議論をお願いしたいというように思います。以上です。

【佐々木委員】 今何校か大学から要望が来ております。というのは、ある大学ではサバイバル学科を創設する、ある大学では狩猟学を資格としたい、そうなると今の所持許可という発想では、そういうことはあり得ないわけですから、免許制度にしてもらいたいという要望がございます。私は今、その辺をいずれ銃刀法の改正になると思いますが、免許制度を導入しようと思っています。中身については省略させていただきます。

【石井委員長】 特に事務局のほうからは、よろしいですか。

【坂田委員】 今のグラフなり情報を見せていただいた中で、大きく変わっているのは、有害捕獲、許可捕獲と狩猟による捕獲で、この5年の中ぐらいでシカもイノシシも、狩猟の捕獲を許可捕獲のほうが上回ったということです。
この鳥獣保護法の経緯の話を聞いても、もともとが行政と住民との関係から言えば、捕りたい住民が許可を得て捕らせてもらうというのが今までの制度で、現行の法律もそういう制度だと思います。ですから、今は許可捕獲ということになっていますけども、実際に許可捕獲で捕れた頭数のどのくらいが、実は個人が自分のために許可を得て捕ったのではなくて、市や町、県から頼まれた、あるいは国から頼まれたのもあるかもしれませんけど、公共のために捕らないといけなかった捕獲です。
今数字はわからないとしても、私なりの感覚では恐らく公共の目的のために頼まれて捕ったものが多いというふうに思うんです。その部分が非常に大きくなっているという意味で、今までのご意見の中にもありましたけど、今までの法律の捕りたい人が許可を得て捕るという部分、この捕獲は必要だと思いますけども、現実に大部分は、公共の目的で捕獲をしなければならないけども、頼まれたから個人として許可を得て捕っているという部分だと思います。
その辺で、例えば今のルールにしましても、所持許可にしましても、個人が捕りたいから自分のために捕るための所持許可の制限なり、あるいは狩猟をするときの制限と、公共的な目的のために必要に応じて国民全員とか、あるいは地域住民が全員でお願いしてそれを引き受けて捕獲をされる方に課せられる義務も違うと思いますし、その権限も違ってくると思うので、その部分が今までなくて、今後必要な制度の部分ではないかなというふうに思います。
実際に市の事業や県の事業で何頭とったみたいな数字が大体わかります。何のためにとった許可なのか、個人のために捕ったものなのかということは、ある程度はわかると思うのですけれど、恐らくは公共的な目的のほうが多くなってきているのではないかというふうに思っています。
 もう一つ、狩猟のフォーラムとか、いろいろな部分で捕獲が必要なことが紹介されるようになり、特に被害がなくて動物を殺すということについてあまり分からない人はなるべく殺さないほうがいいと思われると思いますけど、その部分についてだんだんと理解も進んできています。環境省にしても都道府県、市町村にしても、そういうことに対する理解をしていただくように、いろいろな形で情報公開なり提供なりをされていくところで、だんだん皆さんの理解は深まってきたと思うのですけども、ただ捕獲することについての理解は深まってくる中で、もう一つ次の段階があると思うのです。
実際に捕獲することは、いざやってみるとそんなに簡単なことではなくて、結構難しくて、費用もかかれば苦労もあります。今までは捕りたい人が捕りたいという気持ちもあるし、世の中の役に立てばいいという気持ちもあって、割と比較的安上りで捕獲できてきたという部分はあると思いますけれども、さあ担い手になってくださいというときには、実際に本当にどれだけの訓練なり経験が要って、どれだけの捕獲ができるようになるか、どれだけの費用を払えば捕獲ができるようになるかということについて、よく把握して制度を決めていくことが重要なのではないかなと思います。
 といいますのは、安上りにできることだけを求めたらいいのではなくて、やはり危険を伴うものですから、安全に適切にそれをやっていただく必要もあると思います。その部分では単に安ければいいというものではありませんので、その意味でのきちんとした形で捕獲に従事できる、そういうような考え方が必要かなと思っております。以上です。

【磯部委員】  初回ということなので、ちょっと感想的なことを申し上げます。最初にご説明のあった法制度の沿革を見ていたら、私も平成11年の改正から関わっておりまして、大分時間がたったという感じをもちますと同時に、既に諸先生がご指摘のとおり、基本的な問題はもうそのときに、十数年前に十分告知されていたというか、想定されていたことを思い出しました。
つまり、既にそのときに、それまでの単に危険な行為について禁止をしておいて、それを特定の場合に解除するという意味での許可制が妥当する時代ではなくなって、もう少し包括的にマネジメントするというか、管理をしていく方向も出ていたと思います。その後十数年の間で、ある意味ではよくやってきたと言えばよくやってきたのかもしれないのですが、基本的・構造的な話は変わっていなくて、そのことはすでに皆様のご指摘のとおりだろうと思うのです。いよいよ構造的な変化が深刻になってきて、これまでの制度の延長ではもはや済まないのではないかというご趣旨のことを、諸先生それぞれご専門の立場からおっしゃっていたのだろうと思います。
 私は法律が専門なものですから、基本的に発想が受け身でございまして、本当に法制度を変える必要があるのかどうかというとき、まずこれまでの法制度が前提としてきた現実の社会実態のほうが根本的に変化してしまったというのならば、そういう社会の実態に乗っかっていた法制度のほうも、やはり根本的に変化せざるを得ないのだろうと思います。仮に法制度としてはよくできていたのだとしても、前提となる社会の枠組みのほうがもう変わってしまったときには、法制度でいくら工夫してみても空振りだということになるのだと思います。
それに対して、法制度的な枠組み自体には、例えば狩猟者の法的な位置づけとかいうようなこと自体に問題があるわけではなくて、ただ高齢化の進行や過疎化も進行によって狩猟者が減ってきてしまったから、すこし手を打って、現行法制度がうまく機能するようにしなければいけないという話なのだろうか。この辺はちょっとデリケートだなと思っておりまして、それをご質問しようかと思ったのですけど、事務局も答えようがないかもしれません。
つまり現行制度は、狩猟の自由というものを前提にいわゆる許可制をとっているわけですね。高齢者は狩猟をやりたい人がいっぱいいることを前提に、ただし勝手にやられては困るから一応相対的に禁止しておいて、資格のある人にだけこの禁止を解除して許可をするという仕組みです。これはやりたい人がいっぱいいるからこそ成り立つ仕組みで、そのやりたい人がいなくなってくると、前提がくるってしまう。
ほかの例を言えば、例えば昔は銭湯、つまり公衆浴場という商売は需要がたくさんあったから、いっぱい営業者がいて、営業の許可制というものが成り立ったわけですが、しかしどんどん内風呂が普及すると、需要が減ってしまい、営業が成り立たなくなってしまう。そうすると純然たる自由営業だとは言っていられなくなって、他方で銭湯がなくなると困る人もいるわけですから、そこに今度は公益性が出てくるわけで、一種の公共施設のようになって、行政が補助金を出したり、あるいは行政自ら直営で風呂屋を設置管理しなければならなくなるかもしれない。つまり世の中が変わったら、行政の役割も変わることになります。
言いかえれば、狩猟をするということが、もはや自由の問題ではなくて、一定の公共的なサービスという側面を持ってきたということなのかもしれない。そうだとしたら行政としても、お金もかけて対応しなければならないというところまで来ているのならば、確かに現行法の仕組みを、もっと抜本的なところで考え直す、つくり直すようなことも必要なのかなという気がしてきます。ほんとうにそこまで来ているのかどうかというのは、まだ私としてはいまひとつ確信できていないのですが、事務局としては今回そこまでやる気がおありなのだろうか、ちょっと伺っておきたいなと思います。
 あともう1点は質問なのですけれど、鳥獣保護法という法律は、これは単純に環境省の所管で、共管の法律ではないですよね。他方で農業被害との関連での特別措置法となると、これも共管法ではなくて農水省の所管法なのですね。そこで、両者が連携をしますという、図面の上できれいに連携が書かれていて、資料の12ページから13ページの辺りですけど、これの実際の運用の評価については、うまくいっているという評価でよろしいのか、それも運用レベルでの話と制度としての評価の話と、両方あるかもしれませんけれど、これももう数年たっているわけですから、評価のようなものができるのならば、ぜひ伺いたいと思います。

【事務局】 それでは1点目ですが、先生方何人かおっしゃっていただいているように、実態上は捕獲というのが、もうかなり公共的なものになっており、農林水産業ということであれば、業の問題なのかもしれませんけれども、特に環境省の立場から言えば、国立公園などの自然景観や、動植物が被害を受けていて損なわれてしまうというところまで来ているということで、社会も変わっていますけれども、法制度自体も今、しっかり考えていかなければいけない、ここが考えどきだろうというふうに思っておりますので、ぜひ、抜本的なというお言葉をいただきましたけれども、そういった方向でのご審議をいただきたいと思っております。
 それから鳥獣被害防止特措法と鳥獣保護法の関係で、実態上はということですけれども、環境省と農水省という本省レベルということでいきますと、まだ比較的顔も見えておりますし、近くでお話をし、頻繁に調整をするということはできていると思っております。ただ若干心配なところとしましては、都道府県の中では、鳥獣保護法は環境部局が担当しているところが比較的多く、農林水産省所管の鳥獣被害防止特措法は農水部局で受けているということで、県の中での調整というところになりますと、県によってかなり状況は違っているように感じられます。
 県によってはそこをしっかり一体のものとして捉えて、鳥獣保護法と被害防止特措法の中で出てくる予算等をうまく組み合わせて使っているという県もあると認識しております。一方、なかなかうまく整理できずに、ばらばらで動いているという実態もあるように見受けられます。市町村となると、市町村は鳥獣被害防止特措法だけがおりていきますので、そういう意味では比較的シンプルなのかもしれませんけど、都道府県のところが少し二つパラレルになっている場合もあるのではないかなという認識です。

【尾崎委員】 私は普段鳥にかかわっていますので、獣でなくてよかったというくらい、かなり深刻な状況ではないかと思います。ただ鳥のほうでも、もちろんムクドリとかヒヨドリとかカワウなどでは、さまざまな農業や漁業への被害、あつれきを生じています。先ほどおっしゃったように、管理というような観点をもう少し取り入れないと、ただ増えたから狩猟して減らすということでは、なかなか対応し切れないと特に鳥のほうでは思っています。
獣と違って、鳥の場合は猛禽やそのほかの天敵もありますので、そういったものを活用していくというような管理の方法もあります。また、農作物の被害を減らすという意味では、農作物と鳥とを分けるような、これは当然農業のほうの対応になってくると思いますけども、そういった仕組みによって、鳥を撃って減らさなくても被害をコントロールしていける場合もあるのではと考えております。
 もう一つ細かことではありますけれども、鳥類標識調査を環境省から委託を受けてやっている関係で、年間数百件の捕獲許可証申請に関わっておりまして、これかなり大きな仕事の一つになっています。近年先ほどおっしゃったように地方自治体に権限が委譲されたものもあって、従来であれば一本でよかったものが、幾つにも分けて許可証の申請をしなければならなくなったということもあります。その場合、それぞれの地域の担当者にこの標識調査や、学術研究目的のための許可申請に関する判断というのが難しいということがあって、手間暇がかかってなかなか許可がおりないというような実態も幾つかのところで出ています。鳥獣保護法の中に学術研究目的の捕獲が入っていますが、同じ鳥獣を捕獲するものではありますけ れども、狩猟のため、あるいはポピュレーションのコントロールのためというものとは目的が違うものが一つのところに入っていることによる、少し難しい部分が出てきているのかなと感じています。

【石井委員長】 特にはよろしいですか、ご意見を伺ったということで。ほかには。お願いします。

【染委員】 先ほどは質問だけでしたので申し上げるのですが、今の特定計画の策定、制度の仕組みをつくったときに関与した先生方もおられるということですが、大変立派な計画がつくられていると感じておりますし、この4ページの計画達成のための三本柱ということで、個体数管理、生息環境管理、被害防除対策という三本柱を当時打ち出したということも大変大きな流れをつくったものではないかと思っております。
 ただ、どなたかからもご発言がありましたように、それから15年間で何が変わったのかということを明確に把握しながら、今後の対応を考えていかねばならない。やはりこういう三本柱は、これを総合的にやることによって、極めて効率的なことができるというのも確かだと思いますが、やはり時代の流れによって、できることとできないことがでてきているのではないかと考えております。
例えば被害防除対策等については予算措置等、先ほど紹介がありましたように、かなりの措置がとられ、市町村段階なり農家段階でかなりやられていると思います。またこういう流れの中で市町村段階なりボランティアやNPO法人の参画も得て、例えば生息環境管理もかなりやられている面もあると思っております。
ただ依然として、農作物被害等は減らないという状況を考えますと、この15年間、地域の住民あるいは地域の農業者の減少なり高齢化、これが極端に進行したということではないかと考えております。過疎地が一つの典型でありますし、限界集落も一つのモデル的な崩壊の事例であります。そう考えると、この三本柱の中で生息環境管理は極めて重要だと思いますが、なかなかでき難いという状況も生まれているのではないか。やるにも人がいない、また人を動員してまとまって何か対応をやろうと思っても、なかなか人も集まらないという状況にあるのではないか。そうなると、最後の頼みの綱は、一番最初に書いてあります個体数管理、これについてかなり重点的にやらないといかんのかなと感じております。
 そういう目で、この17ページの課題への対応方法というところで見ていきますと、2番ぐらいに、効率的な捕獲を推進するための云々と書いてありますが、ここに書いてあるのは基本的に現在の枠内でできること、それを多少改善してやることに限られているんじゃないかと考えます。いろんなことをやろうと思って、今いろんな規制、制度の仕組みのがんじがらめの面があるんだと思うのです。それではなかなかうまくいかないような面もかなりある。そこをどうにか動かしていかなきゃならないのではないかと思います。
これは環境省だけではできない問題かもしれませんが、そういう面まで、今回はきちっと手を突っ込まないと、今の趨勢として被害が増えている、あるいは生息環境といえども、先ほど写真がありましたが、ますますひどくなっていっているという状況が改善できないということになるのだと思いますので、ぜひともその辺を深掘りしていただいて、一体何をやるべきなのかということを、ご検討いただきたいと思っております。

【石井委員長】 そろそろ、まとめに入りたいと思っておりますが、特にいかがでしょう。
 私も少しだけ意見を言うとすると、現行の鳥獣保護法というのは、今ちょっと話が出ましたけど、鳥獣保護区という制度はあるけれども、生息環境管理というのを本当にどうやったらいいかについては、非常に手薄だと思います。要するに要許可行為、それが幾つか決まっているだけで、それ以上のことについては仕組みがないと思います。
 それで、鳥獣保護法が理想的に、どのようなことをやる法律であるべきなのか、国家戦略にも照らして、今の制度ではこういうところが足りないということをどこかで整理する必要があるなと思って聞いていました。シカとイノシシの問題がどうしてもクローズアップされますけれども、この法律はいわゆる普通種と言われる鳥獣を扱う法律なので、そういう視点からも、本当はどういう制度であってほしいのか、今までは捕獲規制制度というところが中心でしたけど、そうでない、全体を管理するような法律になっていくべきだと、すごく難しいと思いますけど、そんなふうに思いました。
 要望としては、平成11年に特定計画制度が入っていろいろやってみたものの、うまくいかなかったということになっています。これは相手も難しいというか、シカとかイノシシというのはそう簡単に対応できるような生き物じゃないので、一生懸命やったけど、ある程度やむを得ない面もあったのかなと。だけど関わる人材、専門家が不足しているというのが決定的に大きいと思います。そういうことも含めてうまくいかなかったとしたら、何が問題だったのかということを、もう少し議論の中で資料とか用意していただいて、明確にしていただければと思います。
 それで、今日の話は全国的にこうだという話ですけど、地域地域でうまくいっているといったらいいのか、先進的な事例はあると思います。それを少しピックアップしていただいて、こういうやり方をしてうまくいっているところもあるみたいなのがあれば、紹介していただきたいと思います。今までこういう対策を環境省はしていますというご紹介があったのですけど、もう少しいろいろやっているという話はあると思いますので、一覧というか、そういうものがあると状況がもうちょっと見えてくる。
 本当はいろいろやらなきゃいけないのだけれど、まだまだ不足しているとか、そうでないとかが見えてくるので、あまり無駄な作業はする必要はないと思いますけれども、取組一覧みたいなものとか、それから繰り返しになるけど先進的な事例、そういうのを紹介していただければと、議論を聞いていて思いました。とりあえずそんなところですけど、ほかに。

【羽山委員】 先ほど特措法のお話が出ましたので、それについて私の今の考えを述べさせていただきます。これもぜひこの会でご検討をいただければというテーマの一つです。
 15年前の特定計画制度を導入したときに、一番問題になっていたのは予算です。その予算の裏づけについてはなかなか解決しませんでしたけども、この特措法で12ページのところに書いてありますように、例えば昨年度は補正予算が入りましたので、総額200億円以上のお金が全国の市町村に交付されているわけです。
ですから、これが科学的・計画的にきちっと使われて、そしてそれで効果が出せるというような効果検証がやられていれば、この予算を恒常的に確保していくというようなことが枠組みとしてできるのだろうと思いますが、残念ながら特措法に基づく約1,200の被害防止計画、全て見たわけではありませんけれども、ほとんどの例がきちっとした科学的な効果検証がされていないと私は思います。
せっかくこれだけの予算がありながら、これをきちっと運用できるような枠組み、これはその下の13ページにあります鳥獣保護法の特定計画制度がしっかりしていれば、市町村の被害防止計画に対してきちっとした目標を示せる、あるいは効果検証ができるということになると思うのですが、残念ながら現行法の鳥獣保護法では市町村の位置づけがほとんどありません。もちろん、両制度は連携するとか計画を整合させるとかという文言は法律にありますけども、実態としてはまだまだ不十分だろうと思います。先ほど事務局がおっしゃったように、地域によって非常に違いがありますので、一般論としては申し上げられませんけれども、多くのところではまだまだここが十分機能していないとなりますので、ぜひ鳥獣保護法の改正ということが視野に入っているのであれば、市町村との位置づけ、あるいは先ほど申し上げた国の位置づけ、こういったものを明確化して、しかも特措法との連携をさらに強化できるような枠組みが必要じゃないかなと思います。

【石井委員長】 ありがとうございます。私もこの12ページの何百億というお金が一体どのように使われているかという内訳を、できたら知りたいなと思いました。今のご指摘は重要だと思います。ほかには、よろしいでしょうか。大体そろそろ議論を終わりたいと思うのですが、よろしいですか。

(異議なし)

【石井委員長】 ありがとうございます。それでは今いろいろご意見いただきましたので、これを踏まえて次回以降、さらに議論を深めていきたいと思います。
 次に議題4に移りたいと思います。今後の検討の進め方ということで、事務局から説明をお願いします。

【事務局】 では、今後の検討の進め方につきまして、ご説明申し上げます。
 資料4をご覧ください。本日第1回の小委員会を開催させていただきまして、いろいろご意見いただいたところでございますが、今後6月10日に2回目の小委員会、それから6月中にもう一度、3回目の小委員会を開催していきたいと思っております。その後は7月以降になりますが、4回目、5回目、必要に応じて回数を増やすということもあるかもしれませんが、委員会を開催し、秋以降に報告書の形で取りまとめをしていきたいと考えております。報告書の取りまとめに当たりましては、パブリックコメントを行うことを予定しております。
 また、本日いろいろご意見いただきました地域の実態ですとか、さまざまな状況を把握するためにも、現地調査を予定しております。1回目は5月の下旬に知床、また2回目は6月11日火曜日に丹沢での調査を予定しております。また関係団体のヒアリングを第2回の小委員会の中で行いまして、今ご意見いただいた自治体、特定計画をつくる都道府県の関係の方や、実際に市町村の現場で取り組まれている方々などからのご意見などをお伺いできるような場を設けたいと考えております。以上でございます。

【石井委員長】 ありがとうございます。今のご説明で何かご質問、ご意見ありますでしょうか。

(なし)

【石井委員長】 よろしいですか。特にないということであれば、この議題について、基本的にこの案で進めていってよろしいかということをお諮りしたいと思いますが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【石井委員長】 それでは、この進め方に沿って議論を進めていきたいと思います。
 それでは以上で本日の議題は終了いたしました。何か特にこの場でご意見をということはございませんでしょうか。

(なし)

【石井委員長】 それでは特にないということですので、星野審議官からご挨拶をお願いしたいと思います。

【星野審議官】 大臣官房審議官で、自然環境局を担当しております星野でございます。本日はそれぞれのお立場から今後の鳥獣保護管理のあり方について貴重なご意見をいただきまして、ありがとうございます。事務局からご説明したとおり、鳥獣保護の現状、そして課題をご紹介させていただいて、さらに検討すべき事項についてご指摘いただいたところでございます。
 ただいま、今年の秋に報告書を取りまとめるというスケジュールをご紹介させていただいてご了解いただきました。これから知床、丹沢の現地調査、さらには関係団体からのヒアリングを含めて、さらに何回か小委員会を開かせていただきまして、秋には報告書の取りまとめをさせていただきたいと思います。その結果を含めて鳥獣保護管理の行政を一層促進させていきたいと思っておりますので、少し長丁場になりますけれども、よろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。

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