中央環境審議会自然環境部会 温泉小委員会第12回 会議録

1.日時

平成23年12月26日(月)15:00~17:05

2.場所

経済産業省別館1014会議室

3.出席者


4.議題

  1. 温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)(案)について
  2. その他

5.配付資料

6.議事

【事務局】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第12回温泉小委員会を開催いたします。
 委員の先生の皆様方には、お忙しい中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
 本日でございますが、委員の石村委員、岡島委員、佐藤信幸委員、佐藤友美子委員、敷田委員、滝戸委員、藤野委員につきましては、ご都合により欠席とのご連絡をいただいております。
 本日は8名の委員の先生方にご出席をいただいておりますが、中央環境審議会令第7条の規定によりまして、本委員会の開催並びに議決に際しましては、委員及び臨時委員の過半数の出席が必要とされております。本日は、委員と臨時委員5名のうち、2名のご出席となっておりまして、過半数を満たしていない状況でございます。事前に日程調整をさせていただきました際には、最多の出席となる日程としておりましたけれども、決定後にご都合がつかなくなったとのご連絡をいただいた委員がおられます。
 本日の議題としましては、小委員会としての議決をしていただくというものではございませんので、本日は正式な小委員会ではございませんけれども、懇談会というような形で記録に残させていただくという形で進めさせていただきたいと思います。
 それでは、議事に先立ちまして、自然環境局総務課長の上河原総務課長よりごあいさつを申し上げます。

【総務課長】 11月に前任の田中の後任としまして参りました、総務課長の上河原でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、年末のお忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 昨年6月に規制・制度改革に関する対処方針が閣議決定されまして、その中で地熱発電のための温泉の掘削に関しましては、温泉法における掘削許可の判断基準の考え方を策定しまして、ガイドラインとして記述することとされております。
 また、昨年9月には、新成長戦略実現に向けた経済対策が閣議決定されまして、その中でガイドラインの策定時期としまして、23年度中を目途にするということにされたところでございます。
 環境省では、かねてから地球温暖化対策を進めていく中で、再生可能エネルギーが重要だというふうに考えております。さらに、本年3月の原子力発電所の事故に伴いまして、さらにその再生可能エネルギーの導入の情勢が増しているものと考えます。
 そして、現在、その再生可能エネルギーの導入目標に関して、再検討が行われているところでございますが、環境省といたしましては、省エネの推進、そしてまた再生可能エネルギーの推進が大きな柱であることには変わりないというふうに考えております。
 先般立ち上げた検討会では、これまで5回の会合を開催し、ご熱心にガイドラインの内容についてご議論いただいたところでございます。そして、この場では温泉保護の立場の方、そしてまた地熱開発の立場の方がともに議論をしていただく貴重な機会になったのではないかというふうに考えております。
 本日、机上に配付させていただいておりますガイドライン案は、検討会の座長をやられる田中委員に取りまとめていただいたものでございます。
 さらに、本日のご議論を踏まえまして取りまとめられるガイドラインにつきましては、パブリックコメントを行う予定としております。
 環境省といたしましては、このガイドラインの策定を踏まえまして、地熱発電などの再生エネルギーの導入と、そしてまた温泉資源の保護の両立を図っていきたいというふうに考えております。
 どうぞ本日も忌憚のないご意見をいただければ幸いでございます。ありがとうございました。

【事務局】 それでは続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 まず、一番上に議事次第でございます。議事次第をめくっていただきますと、資料1として、温泉小委員会の委員名簿を配付させていただいております。五十音順、敬称略で書かせていただいております。
続きまして、資料2としまして、ガイドラインの策定についてということで、1枚紙で簡単な概略をご説明しております。
続きまして、次は資料3ということで、ガイドラインの本体ということになります。
それから、このガイドラインの本体が長いのでございますが、一番最後に参考資料としまして、規制・制度改革に関する最近の動きということで、温泉法関係になりますが、3本の規制改革に関する事項について、参考資料として書いております。3ページ分でございます。そちらが参考資料ということでなっております。
 過不足は大丈夫でございましょうか。
(なし)

【事務局】 ありがとうございます。それでは、続きまして、以降の進行につきましては、小委員長にお願いしたいと思いますので、下村小委員長、以降の進行方についてよろしくお願いをいたします。

【下村小委員長】 皆さん、非常に年末のお忙しい折に、慌ただしい折にお集まりいただきまして、ありがとうございました。
 後で詳細は事務局のほうからスケジュールのご紹介があると思いますが、これだけ押し迫った時期に開かねばならない、いろいろなスケジュール上の理由があるようですので、今日、ご討議をお願いしたいというふうに思います。
 これまでの経緯につきましては、先ほど総務課長のほうからご紹介がありましたけれども、このエネルギーと環境との問題というのは、ここずっと我が国で非常に大きな重要な課題であったわけですが、3月の震災以降、そこが特に促進されてきたのだというふうに思います。
 環境省さんのほうでは、こちらの温泉法に関わる温泉地下水への影響の問題と、それから自然公園の風致、景観上への影響というか、大きくは二本立てで検討されているというふうに伺っております。今日ご審議いただくのは、この温泉法に関わる課題についてご審議をいただくというようなことでございますので、ある程度、限られているというか、地熱発電全体をどうするかという大きな課題というわけではありませんで、それにも関わってはいきますけれども、まずは温泉の保護と公共への福祉増進という目的に沿って、有効にちゃんと活用できるか、持続的に活用できるかというような観点から、ご審議をいただければというふうに考えております。
 後ほど、そのガイドラインを事務局のほうから説明をいただきまして、そこからご意見を賜ってまいりたいというふうに考えておりますので、ぜひ忌憚のないご意見をお願いをしたいというふうに思います。
 それでは、議事に従いまして進めてまいりたいと思いますが、一つ目というか、今日は主にその議題が中心でございますけれども、温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)(案)について、事務局からご報告をお願いいたします。

【事務局】 それでは、順次資料に従って説明をさせていただきます。
 まず、1枚紙でございますが、資料2というのをご覧いただければと思います。こちらに、温泉資源の保護に関するガイドライン(地熱発電関係)の策定についてとございます。こちらは、まず平成22年6月に規制・制度改革に係る対処方針についてという閣議決定がございまして、この中で、温泉法における掘削許可の判断基準の考え方を策定し、ガイドラインとして運用するように通知するということが閣議決定されております。こちらは平成22年度中に検討を開始いたしまして、結論を得次第、措置するということになっておりました。
 それから、同年9月に、新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策というものが閣議決定されまして、こちらでガイドラインとして運用する期限につきまして、平成23年度中を目途にするということで前倒しがされております。
 さらに本年11月には、政府のエネルギー規制制度改革アクションプランというものがエネルギー環境会議の決定ということで策定しておりまして、この中におきましても、温泉法における掘削許可の判断基準の考え方の策定、温泉審議会の構成員のあり方の見直し、掘削許可の対象の明確化といったものが対象として挙げられております。
 次に、閣議決定等への対応でございますが、このガイドラインの策定につきましては、これまで平成23年度に、これはちょっと長い委託事業の名前でございますが、「平成23年度地熱発電施設における自然公園の風致景観上の支障並びに温泉資源・地下水に及ぼす影響の検討事業」という委託業務の中で、地熱資源開発に係る温泉地下水への影響検討会というものを開催しております。
こちらは平成23年7月1日に第1回を開催いたしまして、以降、5回までの検討会を終えております。この中では、温泉事業者の方々、地熱の開発側の方々、それから学会の方々からのヒアリングなども含めまして、さまざまな方からのご意見をいただいた上で、最終的にガイドラインの案として、素案としてまとめていただくということになっております。5回目でまとめていただいたということになります。
 そのほか、この5回の検討会とは別に、9月には海外の現地調査ということで、ニュージーランド、それから10月には国内の現地調査として、福島県にあります柳津西山地熱発電所をそれぞれ訪れまして、関係者の方からいろいろはお話を伺ったということでございます。
 また、今後の予定でございますが、本日12月の中央環境審議会温泉小委員会の後に、年明け1月から2月でございますが、パブリックコメントの実施を予定しております。また、この結果を踏まえまして、3月にもう一度その結果等のご報告のために温泉小委員会を開きまして、期限であります平成24年3月末までにガイドラインとして通知をするということを予定しております。
 1枚めくっていただきまして、ガイドラインのねらいでございますけれども、まず一つは、地熱発電の開発・運転の各段階における掘削等について、温泉法における許可または不許可の判断基準の考え方を示すというものがねらいでございます。
 具体的には、掘削行為等における温泉資源の影響を判断するために必要な資料と、それに基づく判断の方法をあわせて示すこととしまして、もう一つあわせて、実際の判断に当たりまして、既存の地熱発電開発に係る調査・研究結果・成果を踏まえまして、地熱温泉資源に関する各種のモデルの構築と、それに基づくシミュレーションなどが有効である場合があるということが考えられますことから、現在稼働している地熱発電所一帯を対象として、これは具体的には、先ほどの柳津西山の地熱発電所の周辺でございますが、シミュレーション等を実施しまして、それらの結果についても記述をしております。
 また、関係者に求められる取組として、温泉事業者、地熱事業者双方によるモニタリング、情報公開の重要性、協議会等の設置によるパートナーシップの構築の重要性についても言及をしております。
 また、このガイドラインのねらいといたしましては、許認可権者であります都道府県がガイドラインを参考に、温泉法を適正に運用することによりまして、判断の早期化に資することが期待できるというふうに考えております。
 それでは、続きまして、ガイドラインの本体でございますけれども、こちらについてご説明をさせていただきたいと思います。
 まず、温泉法に基づく掘削の許認可でございますが、こちらは都道府県知事が自治事務として行っておりますので、本ガイドラインの位置づけとしましては、一義的には、都道府県の温泉行政担当者の方が許認可等の事務を行うに当たって、参考となるように国から示すものということになります。
 また、環境省では、平成21年3月にも温泉資源の保護に関するガイドラインを策定しておりまして、本ガイドラインはその分冊という位置づけになります。分冊とした経緯などにつきましては後ほどご説明いたしますけれども、基本的な考え方は、21年度版ガイドラインを踏襲したものとなっております。
 それから、念のためでございますが、本ガイドラインは、温泉法の手続についてのガイドラインということになりますので、実際の地熱開発に当たりましては、例えばアセス法ですとか、地域によりますけれども自然公園法、森林法、そして電源立地に関する関係法令等、多数ございまして、そういった手続が別途必要となりますけれども、ガイドラインの中では、そういう他法令のことについては言及をしておりません。
 それでは、まず1枚めくっていただきまして、目次でございますけれども、本ガイドラインの構成としましては、第一の基本的考え方として、策定の背景、本ガイドラインのねらいを書いております。続いて、第二として、地熱資源や地熱発電の仕組みの解説、第三として、具体的な掘削許可の判断基準の考え方について記載をしております。
 先ほど申し上げましたとおり、本ガイドラインは都道府県の担当者向けのものでございますけれども、第四としまして、この法律上の許認可以外の部分で関係者に求められる取組を記載しております。これは地熱開発が法律上の手続だけでは円滑に進まないこともあると思われるため、温泉事業者、地熱開発事業者、さらに地方自治体の果たす役割についてもここで言及をしているものでございます。
 全体としてボリュームがございますので、以降、要点を絞ってご紹介をさせていただきたいと思います。
 まず、1ページ目でございますが、第一基本的な考え方としまして、本ガイドラインの策定の背景を記載しております。
 先ほど申し上げましたとおり、温泉資源の保護に関するガイドラインは、平成21年度に策定したものがございます。この21年版ガイドラインについては、主に浴用・飲用への利用を目的とした温泉の掘削を対象としておりまして、地熱発電の開発のための温泉の掘削につきましても、対象としてはとらえておりますけれども、具体的な対応につきましては、当時の知見ではなかなか言及することが困難であったということで、これを除いた構成となっております。
 21年度版ガイドラインの策定の後ですが、我が国の温暖化対策として、2020年の温室効果ガスを1990年比で25%削減するといったような目標が示されまして、それを実現するために、環境大臣の試案、試みの案ですが、試案であります中長期ロードマップが公表されました。この中で、エネルギー供給分野では、地熱発電の発電量を現在の3倍に増加させるといったような目標も示しているところでございます。こうした目標については、東日本大震災を受けて、今後、変更される可能性がございますけれども、現時点の状況として、そのようなことを記載しております。
 続きまして、2ページ目に行きまして、規制制度改革についての記述をしております。先ほど概要版でもご説明いたしましたけれども、昨年の6月に規制・制度改革に係る対処方針が閣議決定されまして、この中で、再生可能エネルギーの導入促進に向けた規制の見直し、これは自然公園・温泉地域等における風力・地熱発電の設置許可の早期化・柔軟化ということになっておりますが、こちらが規制・制度改革事項とされまして、その対処方針の一つとして、地熱発電の開発のための温泉の掘削等について、温泉法における掘削許可の判断基準の考え方を策定して、ガイドラインとして運用するように通知するということが決まりました。
 これにつきましては、本日配付させていただいております資料の最後につけております参考資料を一旦ご覧いただければと思います。一番後ろについてございます。
 それでは参考資料でございますが、一番上についておりますのが、6月のものなんですけれども、その表の中にあります対処方針というところをご覧ください。白丸で地熱発電ということになっておりますが、そのすぐ下のポツのところで、温泉法における掘削許可の判断基準の考え方を策定し、ガイドラインとして運用するように通知するということが定められております。
 続いて、その下は、掘削許可に当たって、周辺の源泉所有者からの同意書の取り扱いなどについて書いております。
 さらに、先ほど小委員長からもお話がありましたが、国立公園の関係で、過去の通知の見直しですとか、傾斜掘削についての考え方についての対処方針が定められております。こちらがまた別途検討をしているところでございます。
 また、風力発電との共通事項として、下のところに「○共通」というふうに書いてございますけれども、その中では、開発可能地域のゾーニングや許認可手続の標準処理期間の明示なども含まれております。
 こうした幾つかの施策を実施することによりまして、地熱発電の設置許可の早期化、柔軟化を進めようとするものでございます。
 それでは、一旦、また2ページ目の中段に戻っていただきまして、続く昨年の9月でございますが、「新成長戦略実現に向けた3段構えの経済対策」が閣議決定をされました。ガイドラインの策定時期が前倒しされまして、平成23年度中を目途に通知するということにされております。また、本年11月には、エネルギー環境会議におきまして、エネルギー規制・制度改革アクションプランが策定されまして、この中でも重点事項として、23年度中のガイドラインの策定が求められております。先ほどの参考資料にも、その内容をつけておりますので、後ほどご覧いただければと思います。
 このような背景のもとで、温泉資源の保護を図りながら再生可能エネルギーの導入が促進されるよう、本ガイドラインを策定するということになっております。
 なお、時期的な問題、それから利便性等の問題から、今回分冊ということでつくらせていただくことになっております。
 続きまして、2ページ目の下のところで、本ガイドラインのねらいについてでございますが、先ほど申し上げましたとおり、本ガイドラインでは、温泉資源の保護を図りながら再生可能エネルギーの導入が促進されますよう、地熱発電の開発の各段階における掘削、これは各段階といいますのは、調査段階における調査井の掘削ですとか、地熱発電の開始に当たっての生産井の掘削、さらに生産井の追加や還元井の掘削といったような各段階でございますが、これについて、温泉法における許可または不許可の判断基準の考え方を示しているということでございます。具体的には、各段階に実際されます、掘削行為等による温泉資源の影響を判断するために必要な資料と、それに基づく判断の方法を示しております。
 こうしたことによりまして、各都道府県による温泉法に基づく許可申請が必要かどうかといったような判断や、実際の許認可手続の早期化が期待できるというふうに考えております。
 また、本ガイドラインが対象とする発電施設としましては、現在稼働している商業用の地熱発電所に相当する規模、具体的には八丈島の地熱発電所が現在のところ国内では最も小規模な事業用の地熱発電所ということになりますけれども、この規模は、このガイドラインでカバーいたしまして、個人や旅館による自家発電用の掘削ですとか、いわゆる温泉発電用の掘削につきましては、21年度版ガイドラインで対応しつつ、こうした小規模な地熱発電の新たな技術開発等の行方にも今後注目してまいりたいと考えております。
 今後、各都道府県の担当者が、本ガイドラインを参考に、温泉法における許可の運用に当たることを期待しておりますけれども、参考にするに当たりまして、何点か留意点がございます。
 一つ目は、地域の温泉資源等の状況を考慮することが必要であるという点でございます。
 温泉資源への影響を判断するために必要な資料は、地質構造や温泉の開発状況に応じまして、異なることが想定されますので、地域の温泉資源の状況に応じて、本ガイドラインで示す資料に加えて、さらに資料を収集する、あるいは本ガイドラインで示す資料の一部を省略するといったような対応が求められるケースが考えられます。
 2点目としては、本ガイドラインは、現時点での知見に基づき作成したものであるという点でございます。環境省では、引き続き、温泉資源に関する各種調査を実施いたしまして、また、都道府県の温泉担当者の意見を伺いながら、21年版ガイドラインとともに、少なくとも5年度ごとに総点検を実施するとともに、随時、そのガイドラインの更新を図っていく予定としております。
 本ガイドラインの取りまとめを契機としまして、地熱発電と温泉資源の関係について、関係者間での理解の共有が進められまして、また、今後の科学的な議論が一層展開されるといったようなことを期待したいと考えております。
 続きまして、4ページ目以降が、第二として、地熱発電の一般的概念について記載をしております。これは現在、地熱発電所の立地がない都道府県においても、将来的に地熱開発が行われるということも考えられることから、基本的な事項について各都道府県の理解を深めていただくといったような意図がございます。
 4ページ目にあります概念図では、特に温泉資源と地熱資源が、真ん中にあります帽岩と書いておりますが、キャップロックとも申しますけれども、水を通しにくい層がございまして、この上下に温泉資源と地熱資源が分かれるといったような考え方があることから、地下における熱水の循環の様子をわかりやすく示したものでございます。特に地熱発電に使用した後の熱水を地下に戻すことを還元といっておりますけれども、諸外国では、地熱発電の開発の初期のころには、こうした地下還元が行われていなかったことから、河川水の汚染ですとか、大規模な地盤沈下が起こった場所もございます。日本では商業利用されております地熱発電所では、いずれもこの地下還元は行っております。概念図では、典型的な例ではございますが、地下に還元されました熱水が再び温められて利用される循環の様子についてもわかるように書いております。
 続いて、5ページ目から6ページ目にかけましては、地熱発電の仕組みについて記載しております。蒸気でタービンを回して発電するという仕組みは、火力発電でも原子力発電でも同じでございまして、何を使って蒸気を得るかという違いだけになります。また、地熱開発のための許認可に当たりましては、井戸の種類ですとか、各種のモデルなどの専門的な知識も必要となりますので、6ページ以降で、本ガイドラインの中で使用する地熱発電についての専門用語についても解説をしております。
 この専門用語の解説が、8ページまで続きまして、9ページ目からは、我が国の地熱資源の状況、それから開発ポテンシャルについて記載をしております。  まず、特徴としまして、温室効果ガスの排出が少なく、地球温暖化防止に有効であることや、我が国では数少ない国産のエネルギー源であるということが挙げられます。また、表1を見ていただきますと、地熱の資料量としましては、日本は世界で第3位ということがわかります。ただし、この数字は、いわば賦存量といいますか、埋蔵量といいますか、としてのものでございまして、例えば地形が急峻であるなどの理由で、開発できない部分も含めて、この数字ということになっております。
 その下の表2でございますが、こちらは環境省の地球環境局が取りまとめました導入ポテンシャルの表になります。地熱発電には、通常150度以上の熱水・蒸気が必要となりますけれども、この表で一番下の段に、53度から120度までの導入ポテンシャルも記載されておりますのは、蒸気を得る手段としまして、沸点が低いアンモニアやペンタンといったような物質を触媒にしまして、沸騰させて水蒸気を発生させて発電させると、そういったような方法についてのポテンシャルを示したものでございます。
 こうした技術は、バイナリー発電というふうにも言われておりますが、先日、環境省の実証実験で、新潟県十日町市にあります松之山温泉において、既存の温泉の熱を利用しましたこのバイナリー発電、温泉発電でございますが、施設が完成しまして、実際の運転に入っております。
 また、10ページ目に表を載せておりますけれども、下のほうの円グラフのほうで、こうしたポテンシャルにもかかわらず、日本では地熱発電の発電設備構成比でございますが、0.2%程度ということになっているというのが現状として記載をしております。
 続きまして、11ページ目からが、第三として、地熱開発のための掘削許可に係る判断基準の考え方というものを記載をしております。
 ここでは、まず、温泉の湧出を目的とするか、湧出が見込まれる掘削を行う場合に、この温泉法に基づく許可申請が必要であるということを明らかにしております。したがいまして、例えば明らかにここで掘っても温泉の湧出がないというような場合には、許可申請の対象にはならないということになりますけれども、湧出が見込まれる場合には、掘削許可の申請が必要となるというような基本論が書いてございます。
 また、地熱開発に係る特徴としまして、段階を経て掘削が行われていくこと、それから段階が進むにつれて得られる情報が精緻化するといったことを紹介しております。
 その後もモニタリングデータの蓄積などから、地熱系概念モデルにより正確な影響判断ができるようになるということや、通常は地熱の資源量評価のために行われます数値シミュレーションについても、将来的にモニタリング結果とあわせた温泉への影響予測の手法へと発展していく可能性についても言及をしています。
 また、掘削の許可に当たりましては、既存の温泉に対する影響として、例えば湧出量の減少や温度の低下などが考えられるところでございますが、これらはいずれも公益を害するおそれがある場合の例示とされておりまして、温泉の掘削であっても、地熱の掘削であっても、当該掘削が公益を害するおそれがあるかどうかといったようなことについて判断を行うといったような考え方は従前と同じでございます。
 次に、温泉法では、掘削の許可等の処分を行うに当たりまして、1件ごとに審議会の意見を聞かなければならないこととなっております。これは、これらの処分がいずれも専門的科学的な判断を要するために、処分の適正を期する必要があるということによるわけでございますが、そのため、各都道府県の審議会などにおきましては、従前から地学、医学、薬学、法律学などの学識経験者を含む適切な委員構成を確保する必要があるとされてきたところでございますが、地熱開発についての処分の適切を期すために、既存温泉への影響等を技術的・科学的見地から判断できる専門家の参画を検討することが望ましいと考えております。具体的な参画の方法につきましては、委員として参画をしたり、あるいは専門委員としての登用、それから必要に応じた意見聴取などが考えられると思います。
 また、審議会の開催につきましては、各都道府県でこの掘削の許可申請ですとか、そういった申請件数によりまして、年に1回から6回程度となっております。定期的な開催となっている都道府県も見られますけれども、審議会の開催につきましては、受益者である申請者からの手数料収入との関係もございますけれども、行政手続法の趣旨からいたしますと、適切な時期に適切な回数を開催するということが望ましいと考えております。
 最後に、掘削中に既存温泉への影響等が見られた場合の対応としまして、掘削許可に当たり必要に応じて、温泉法第4条第3項の規定に基づく条件づけ、これは例えば影響が見られた場合に調査を実施するとか、そういったような条件づけをすることが可能でございます。個別の状況によっては、当該条件の変更を行うことによって、既存温泉への影響を回避することが考えられますので、そういったことも判断基準の考え方にあわせて記載をしております。
 続きまして、12ページの中段のところでございますが、2としまして、「地熱開発のための調査について」記載をしております。地熱開発のための調査は、主に既存資料の調査、地表の調査、坑井掘削による調査がございます。
 まず、既存の文献ですとか、周辺の温泉調査の結果をもとに、地表調査として、それから地質の調査、物理探査などを行い、最後に、実際に熱水を噴出させるという調査を行った上で、地熱発電所として十分な蒸気量があるかなどを判断していくということになります。このため、地熱開発の有望地とされている場合でも、噴出試験の結果によっては開発ができないと、断念するといったようなケースも当然あり得ます。
 こうした地熱開発の段階ごとに行われる調査内容につきましては、折り込んだA3でございますが、14ページの表3のほうにまとめておりますので、後ほどご覧いただければと思いますが、左から右に進むような感じで、調査から実際の生産井の掘削、それから発電所の運転開始後の段階といったような形になっております。
 一旦戻っていただきまして、続いて13ページでございますが。13ページ目からは、「温泉の生成機構分類と地熱開発による温泉影響の可能性」について記載をしております。
 温泉の起源や熱源が深部の地熱貯留層を関係している場合には、地熱開発の規模によりますけれども、温泉に影響があらわれる可能性がございます。
 まずは温泉の生成機構や開発対象とされる地熱貯留層との関係の解明が必要となります。本ガイドラインでは、温泉帯水層と地熱貯留層の関係を五つのパターンに分けまして、それぞれの影響の可能性について記載いたしましたけれども、温泉と地熱貯留層の関係を把握するためには、各種の探査の情報やモニタリング調査の結果を加味して、総合的に考える必要がございます。また、実際には、この五つに明確に分類されるというわけではなく、これらが複合した形態が多々存在するということにも注意をする必要がございます。この分類につきましては、先ほどの裏面になりますが、15ページに表4としてまとめてございます。このような分類で考えております。
 続きまして、16ページ目以降のご説明をさせていただきます。16ページ目から26ページ目までを使いまして、地熱開発の各段階ごとに行われる調査の内容、その調査によって得られる情報、そしてその情報をもとにした温泉資源への影響を判断する方法を、具体的には表5-1から表5-5ということでまとめてございます。
 また、先ほどから申し上げておりますが、地熱開発の進め方につきましては、必ずしもこのパターンどおりに行われるわけではないということですので、本ガイドラインで示すのは、いわば典型的な例ということになりまして、また同じ開発段階でありましても、最初の掘削とその後の掘削とでは、情報量に大きな差があることもありますので、そういった注意も必要ということになります。
 温泉資源への影響を判断する方法としましては、各段階に共通なこととしまして、まず、掘削許可申請がありました地熱井と温泉帯水層の関係について検討するに当たりまして、地熱概念モデル等によって当該地熱井と温泉帯水層の状況、どのようなタイプかといったようなものを予測しまして、両者間に影響する可能性を示すデータがある場合には、すなわち地熱貯留層と温泉帯水層の間に何らかのつながり、これは裂かですとか、熱の伝導などが考えられますが、何らかのつながりなどがあることが予想される場合があるか、ないかといったようなものをまず判断いたします。
 続きまして、その影響の程度等を判断するために、まず周辺の既存の掘削が行われている井戸、これは温泉の井戸とか、地熱の井戸とか、いろいろございますので、そういった掘削井の中からモニタリングしている井戸、モニタリングをしている坑井を対象に、今回掘削申請がありました井戸との類似性、こちらは水位ですとか温度、化学成分、地質的な条件と、それから三次元的な距離で判断をすることにしておりますが、類似性を持っている井戸をピックアップいたします。この時点で、あまりにも三次元的距離の異なる坑井は、検討の対象から外れることになりますけれども、そうしたピックアップした井戸の中から、最終的に類似性のある既存掘削井のモニタリング結果から、周辺の温泉への影響が出ているかどうかと、具体的には、自然変動から逸脱するような変化がモニタリング結果としてあらわれていないかといったようなことを検討しまして、最終的に当該掘削が既存の温泉に影響を与えるかどうかといったようなことを判断するというのが、一般的な考え方になります。
 また、検討の順番としましては、概念モデルからモニタリング結果という流れになっておりますが、実際には、都道府県の担当者が、申請者が提出した申請書類の中にモデルが構築されているか、モニタリングデータがあるか等を確認して収集いたしますので、審議会においては、例えばモデルによって地熱貯留層と温泉帯水層にあまり関係がなさそうだということが予想されましても、モニタリングデータがあるのであれば、そちらも参考に見ましょうというようなことになることは想定できます。
また、モデルがないけれどもモニタリングデータならあるといったようなケースがあるかもしれませんし、あるいはどちらもないというようなことも考えられますので、そういった状況に対応するために、一旦26ページをご覧いただきたいのですが、フロー図をつくっておりまして、このフロー図におきましては、まず資料の収集というのは都道府県の義務として行いまして、その下に、三つの基礎資料、モデルによる判断、モニタリングデータによる判断といったようなものを考えております。その三つを、この中で一応同列に扱いつつ、判断の順番としましては左から右に移っていくといったようなことを想定しております。  いずれにしても、都道府県としましては、手持ちの資料で判断するということになりますけれども、地熱開発に当たりましては、モデルの作成が行われまして、地熱井におきましてはモニタリングデータがあるというのが普通ということが考えられますし、一般の温泉におけるモニタリングの重要性につきましては、21年度版ガイドラインでも言及をしておりますので、こうしたケースを各段階における共通で一般的な考え方として、それぞれの各段階での判断の考え方として記載をしております。
 それでは、また一旦、16ページのところに戻っていただきまして、説明させていただきます。なお、各段階の影響を判断する方法の欄の冒頭には、「これまでの判断状況に加えて」という一文を入れておりまして、その前段階までに得られたさまざまなデータが、温泉への影響判断のために活用できるということを意図した書きぶりとしております。
 また、「新しい地熱井掘削の申請が行われる場合には、都道府県はそれらの資料収集に努力しなければならない」というふうにも記載をしておりますけれども、これは地熱開発が段階が進むにつれて、情報の精緻化が進むということを前提に、審議会において、より科学的は判断が行われるように、都道府県の担当者としても最新の情報収集に努めていただきたいという意図がございます。
 こうした資料については、開発サイドでもあります申請者が用意するものでございますので、申請者の協力というものが前提となりますけれども、通常の掘削、また温泉などの掘削申請におきましても、都道府県が必要と判断した資料の提出を求めている状況がございますので、そういったものと変わりがないものというふうに考えております。
 16ページの下のところでは、まず広域調査段階における掘削の例としまして、構造試錐井を挙げておりますが、括弧書きで温泉の湧出が見込まれる場合というふうにしております。これは構造試錐井は地温ですとか地質を調べるための掘削でございますので、通常は温泉の湧出が見込まれないといいますか、お湯が出てきてしまって困るような場所で行われることが多いので、こうした表現としております。
しかし、中には非常にレアケースだと思いますけれども、例えば温泉の源泉が近くで構造試錐を行うといったようなことも考えられますので、こうした場合の判断方法についても記載をすることといたしました。なお、掘削許可が要らないと判断された場合で、例えば万が一ですが、掘っている途中に予期せぬ湧出があったような場合でございますけれども、これについては直ちに埋め戻すといったようなことについて、事前に都道府県の担当者と取り決めを決めた上で行うと、そういったようなことも考えられると思います。
 次に、18ページ目からは概査段階ということで、構造試錐井に加えまして、観測井の掘削のケースを取り上げております。どちらとも温泉の湧出を意図するものではないので、通常は温泉の掘削許可申請の要らないケースが多くなると思いますけれども、この場合でも、場所によりましては、温泉の湧出が見込まれるようなことが考えられますので、そういった場合には許可申請をするということで書いてございます。
 続いて、20ページ目でございますが、20ページ目からは精査段階ということで、試験井の掘削が加わります。この試験井は熱水を噴出させる目的で行われますので、この場合には、すべて温泉法の掘削許可申請が必要となってまいります。また、この段階まで来ますと、これまでの判断情報に加えまして、調査が進展することなどによって、温泉帯水層と地熱貯留層との関係を参考に、より高度な影響判断を行うことが可能になってくるものと思われます。
 続きまして、22ページ目からは、発電所建設段階としまして、生産井の掘削が加わります。実際に発電所が建設できるかどうかは、試験井による調査の結果次第ということになりますけれども、この段階になりますと、これまでのモニタリングデータも蓄積されておりますし、地熱貯留層の資源量評価のためのシミュレーションも行われることが多いので、将来的にはシミュレーションの範囲を周辺の温泉地まで広げて、温泉の影響を判断する材料とすることも可能となってくることが期待をされます。現時点では、まだまだ一般的ではなく、このシミュレーションにつきましては難しい面もございます。
 24ページ目からでございますが、こちらは発電所の運転開始後の掘削について取り上げております。地熱発電は、1本から複数の生産井を使って発電を行っておりますけれども、地熱資源の減衰や、スケールといいますけれども、管に酸化鉄ですとか炭酸カルシウムなどによる結晶が付着しまして、流量の低下などが起こることがありますので、補充のための生産井を掘削する場合がございます。地熱発電が安定的に推移している限りでは、このような状態が続くことになりますので、データの蓄積・更新が行われまして、シミュレーション結果もより正確なものになってくると思われますので、最新情報に基づく温泉資源への影響判断ができることになってくると考えております。
 以上のように、各段階ごとに得られる資料や、正確さが異なりますけれども、一般的なフロー図としては、先ほど示しました26ページに、この一般的なフロー図ということで示しております。
 先ほどもちょっとご説明しましたが、一番上が各都道府県における資料収集がありまして、その下に基礎データがある場合、モデルがある場合、モニタリングデータがある場合といったような状態を想定しております。審議会では、それらのデータをもとに科学的な検討が行われることになりますけれども、検討の優先順位としては、左から右に進んでいくといったようなことを想定しております。検討の結果、影響を与えるデータがあるかないかといったようなことによって、審議会としての判断をしていくということになります。
 最後に、27ページからでございますが、こちらで関係者に求められる取り組みについて記載をしております。
 本ガイドラインは、地熱開発のための温泉の掘削等について、今後都道府県が本ガイドラインを参考に、温泉法における許可制度の運用に当たるといったことを想定しているものでございますけれども、温泉資源の保護と地熱開発の共存は、都道府県による温泉法の運用のみで実現されるものではなく、当事者である温泉事業者、それから、地熱事業者の関係者による各種の取組が不可欠と考えております。
 まずは、温泉事業者、地熱事業者によりますモニタリングの重要性を挙げております。こちらが(1)ということになります。
 地熱開発による温泉への影響を判断するためには、温泉や噴気のモニタリングデータのみならず、地熱貯留層の動態ですとか、観測井などから得られる温泉・地下水の水位、河川の水位、降水量に関するデータ、周辺での土木工事における地形の改変の状況など、さまざまな情報を総合して判断する必要があると考えております。
 また、これらのモニタリングデータにつきましては、事後の予測を行うためのモデルや数値シミュレーション構築の基礎データとしても活用されることになります。地熱貯留層や温泉、双方の周辺域におけますモニタリングは、地熱貯留層からの圧力伝播の有無ですとか、範囲の拡大を早期に発見して、温泉や噴気に影響が及ぶ可能性について判断する上で非常に重要なデータとなり得ますし、モニタリング結果により、温泉に影響が確認された場合や、影響が及ぶ可能性が高い場合には、その原因を究明するとともに、地熱発電のための生産量や還元量を減量する、そういったことや掘削位置を変更するといったような対策に反映させられるということも考えられます。
 具体的なモニタリングの手法につきましては、温泉のほうにつきましては21年度版ガイドラインの別紙として記載をしておりますけれども、温泉についてのモニタリングの項目としては、温泉の湧出量、温度、それから水位が挙げられます。
 また、温泉資源の状況を的確に把握するためには、都道府県や市町村等の自治体及び温泉事業者等が協力し合いながら、地域の温泉資源保護対策、有効利用を推進するためのデータ収集を行うことが重要と考えております。
 これらのモニタリング結果を集積することで、都道府県による掘削等の許可・不許可の判断、掘削等の原則禁止区域の範囲や規制距離などの設定の見直しに活用することも可能となると考えております。なお、掘削等の制限につきましては、21年度版ガイドラインにも記載してありますけれども、各都道府県ごとに地質の状況ですとか、温泉の利用状況が異なりますので、地域の実情に合わせたものとする必要があります。審議会等の意見を聞いた上で実施することが望ましいということを考えております。
 次に、こうしたモニタリング結果の整理と各種調査情報の共有化と情報公開に努めることが重要と考えております。こちらの部分については、2番に書いてございますが、こうした情報の共有化を行うために、地熱発電事業者、温泉事業者及び関係する市町村などの第三者を加えた場を設定しまして、定期的に開催することが考えられます。
 こうした情報共有・情報公開の場として、本ガイドラインでは協議会としておりますが、地熱開発と温泉事業が共存・共栄するために、協議会等において地熱開発に伴う温泉や噴気への影響に関する検証結果、地熱発電の現状報告と将来計画の説明・報告等を通じまして、関係者間の合意形成を図っていくことが重要と考えております。
 こういったことについて、(3)について記載をしております。例えば掘削を伴わない広域調査の段階でありましても、調査目的と調査内容、今後の坑井掘削の調査スケジュール等の情報を事前に関係者と共有しまして、調査結果に基づく地熱開発の継続・中止などの対処方針を明らかにすることで、その後の関係者相互の信頼醸成に役立つといったことが考えられると思います。
 また、関係者間で密接なパートナーシップを構築することで、地熱開発に関する協議がスムーズに進展することが期待をされます。具体的には、地域の地熱資源のカスケード利用といっておりますけれども、例えば、最初に地熱発電に利用しました熱水を、次に温泉として利用したり、さらに温度が低下したものでも、ビニールハウスの保温に使用したりといったような段階的な有効活用といったカスケード利用をしたり、温泉地と地熱開発地点の中間地点に観測井を設置するといったような保護対策も考えられます。また、さらには温泉資源への影響が生じた場合の対応についての事前の合意形成などについての協議を行うといったような場として利用することが考えられます。また、相互理解を進めるためには、協議会の場を利用して、例えば温泉と地熱開発の科学的な関係を内容とするセミナーの開催等をするといったようなことも考えられると思います。
 こうした協議会などは、地熱資源開発の過程のなるべく早い段階から設置することが望ましく、その設置に当たりましては、地元自治体の果たす役割が非常に大きいというふうに考えているところでございます。
 こちらまでが本文でございますが、29ページ目に、協議会の体制の構築例を示しております。地域ごとに最適な形があると思われますので、必ずしもこうしたこの図に書いてあります体制がベストということではございませんけれども、役割や考え方の参考になればというふうに思っております。  30ページ目には、備考としまして、地熱資源開発に係る温泉・地下水への影響検討会にご参画いたしました委員の先生方の名簿と参考文献を記載しております。
 続きまして、31ページ目からでございますが、こちらは地熱資源の開発に係る地下の流体モデル・指標の構築と再現性の検証結果を掲載しております。
 この検証では、国内の既存の地熱発電所3カ所を選定しまして、各地域において行われました地熱開発の各ステージの調査結果と、構築されました地熱系概念モデルの状況及び地熱開発が温泉に与える影響を調べるための温泉モニタリングの概要について取りまとめております。そのうち、福島県にあります柳津西山地熱発電所につきましては、数値シミュレーションを、通常、地熱の資源量の調査に使われますが、これを温泉帯水層の部分まで拡大して構築しまして、地熱発電に伴う地熱流体の生産・還元が温泉に影響を与える場合には、どのような現象としてとらえ得るかといったようなものを検討をしたものでございます。
 調査の手法ですとかデータは、かなり専門的な内容になりますので、飛ばしまして、49ページにまとめの部分がございますので、49ページをご覧いただければと思います。
 49ページのまとめの部分でございますが、地熱開発のための各種の掘削が温泉帯水層に影響を与える可能性を説明するに当たりまして、地熱の貯留層と温泉帯水層の関係を地熱構造モデル、地熱流体流動モデルを、許可を判断するための指標の一つとして考えるということが適切であるといったような結果になっております。
 次に、モニタリングについてでございますが、今回対象としました3カ所では、各地域とも開発段階より温泉のモニタリングが実施されておりまして、これまで観測されました温泉モニタリングの傾向からは、温泉の減衰等の影響は報告されておりませんので、これは各地域とも運転開始の段階で、地熱流体流動モデルなどによって予想したものと整合性があるということが考えられる結果となっております。
 また、柳津西山地熱発電所の近傍にあります西山温泉でございますが、地熱開発によりまして、一時的に温泉の湧出量が増加した可能性が指摘された事例がございますけれども、これは具体的には、還元井から戻される熱水によって、この温泉の湧出量が増えたという事例でございましたけれども、これについては、温泉モニタリングデータをもとにした対策によりまして、現在その問題は解消されているということになっております。
 こうした結果から、長期の温泉モニタリングによる対策については、問題が生じた場合でも有効であるというふうなことが考えられます。
 そして最後でございますが、今回の数値シミュレーションモデルを用いた検討では、温泉の湧出量の変化には地熱流体の生産・還元に伴って引き起こされる温泉帯水層の圧力変化などと関係があることが示されておりますので、これらの変化を適切にとらえまして、季節の変化ですとか、表層の人為的・自然環境的な構造の変化などと区別する手法が、温泉モニタリングとして重要であるということが考えられるということになっております。
 なお、地熱開発における現在の数値シミュレーションモデルにつきましては、地熱の資源量評価のために開発された手法をもとにしておりますので、これを直ちに温泉影響予測に用いることはできないわけでございますが、温泉影響予測等に使う場合には、改めてデータの解釈方法ですとか、適用方法、数値シミュレーションモデル化の手法などの構築が改めて必要になってくるということになっております。
 今回の数値シミュレーションモデルでは、モニタリングデータ等が十分蓄積されました既存の地熱発電所とその周辺の温泉地における状況がうまく再現できるか、うまく説明できるかといったような検証を行ったわけですけれども、解析対象とする現象を絞り込んだ上で、これに観測データを適切に反映させることで、地熱貯留層の生産還元が温泉帯水層に与える応答を計算できる可能性が示されたといったところまでが、今回の結論ということになります。
 将来的には、温泉変動を適切にとらえるモニタリング手法が提案されまして、その手法で観測された有意な影響を温泉変動予測を目的として提案された手法で構築された新たな数値モデルで再現するということで、地熱貯留層と温泉帯水層とのつながりを評価しまして、これを将来予測する、あるいは対策に活用するといったような可能性が考えられるという結論が出ましたので、将来的に温泉影響を判断するツールになり得るといったようなことで、ガイドラインの別紙という位置づけで掲載をしているものでございます。
 大変長くなりましたが、ガイドラインの内容の説明については以上でございます。

【下村小委員長】 説明をどうもありがとうございました。いささか長目にはなりましたが、非常に重要な課題ですので、丁寧に説明をしていただきました。
 それで、質疑に入ります前に、先ほどご紹介がありましたけれども、このガイドラインは、地熱資源開発に係る温泉地下水への影響検討会という委員会での審議をベースに作成をされて、そこで随分ご検討されたというふうに伺っています。この小委員会のメンバーの数名の方も関わられておりますし、座長には田中委員が務めていただいておりますので、田中委員から何か補足ですとかコメントがありましたら、お願いをしたいと思います。

【田中委員】 どうもありがとうございます。私はこの検討委員会の座長を務めました田中です。座ったままで失礼いたします。
 先ほど事務局のほうからご説明がございましたように、この検討委員会は、5回開催しておりますが、検討委員会のメンバーは、先ほどの案の30ページに記載してございますけれども、地質学、資源学、温泉学、地熱学、法学、それから地下水学という、それぞれの専門の先生方が委員に入っておられます。
 5回の検討委員会の間に、温泉事業者と地熱事業者、関連する学協会の代表の方、それから井戸掘削の作井業者、そういう関連する人たちからのヒアリングを行いました。それから、現地視察としまして、ご説明にありましたように、ニュージーランドでの地熱開発、国内の柳津西山温泉を視察しました。
 このガイドラインの中身は、先ほどご説明していただいたようなものですが、特に心がけたところは、このヒアリングから出てきた皆さんのご意見をかなり取り入れたということです。ヒアリングから出てきたキーワードとしては、情報の公開が非常に足りない。それから、合意形成ができないということ。それからもう一つは、都道府県での許可の判断をする上で事務的な迅速化が行われていないということが出てきました。
 そういう中で、いかに温泉と地熱関係者が合意を得て、共存共栄していくかということで、今言ったキーワードについて、できるだけ現行で行われている内容のものについて、わかりやすく取りまとめようとしたというのが、このガイドラインのスタンスということになると思います。
 内容につきまして、ただいまご説明いただいたような内容ですけれども、よく新聞などで、地熱開発がなかなか進まないと言われています。これは温泉事業者側からの反対があってできないという情報が出てきますけれども、ヒアリングをやった限りでは、必ずしも何が何でもだめだというのではないということです。情報がきちんと公開されて、相互に理解が深まれば、共存共栄というのは可能であるというようなお話も大分伺いました。このガイドラインによって、そういう方向に進んでいただければというふうに思っているところです。
 簡単ですが、以上でございます。

【下村小委員長】 どうもありがとうございました。
それでは、先ほど事務局からもご説明がありましたとおり、ガイドラインは温泉法に係る問題を扱っているということと、掘削許可に都道府県が大きく関与するというか、知事の許可が必要になりますので、その判断に際して、ある程度の指針を与えるというようなことで作成されたものということをベースに、ご審議をいただければというふうに思います。
 それでは、ご質問、ご意見がある方は、また札を立てていただくような形で。最初にざっとまずお伺いをして、それで事務局のほうから答えていただくという形にしたいというふうに思います。
 いかがでしょうか。何かご質問あるいはご意見がございましたら、お寄せいただきたいと思います。
 それでは、前田委員。

【前田委員】 医学のほうの前田でございますけれども、何点か教えていただきたいことがございます。
 まず最初に、本当にこの地熱エネルギーというのは、公表値のとおり、炭酸ガスの排出の少ないエネルギー資源なのか、というのは、ちょっと素人的ではありますけれども、その点は疑問でございます。なぜならば、この深度二、三キロ以上とか、そういった熱水とか蒸気を利用するためにとりますと、使用後排湯という使用した後のお湯のほうには、高濃度の硫化水素とかメタンとかアンモニアなどのガス成分とか、高濃度のヒ素、ホウ素、フッ素などがやはり含まれると。それをまた還元層に戻すということであれば、これは完全にクリーンじゃないのではないかというふうに思われるということです。
 そして還元層、図では、キャップロックの下のほうに描いてありましたけれども、実際には、キャップロックの上になることもやっぱり考えられるということもございますので、そういった場合には、やはり地下水などの影響も大きいのではないかというふうに、まず考えられるということで。その地下浸透制限とか、あるいは吸い込み圧とか、採取量、あるいは掘削の工数などの利用制限なども考えなくていいのだろうかというような疑問点が一つございます。それが第1点でございますけれども。
第2点目でございますけれども、このガイドラインの中には、今使われている温泉の現場では、温泉台帳というのがあるのですけれども、こういった蒸気の台帳みたいなものはないのです。それに関しまして、一括した総合的な台帳みたいなものが必要ではないかというふうに考えております。それで、総括的な自然環境保護ができるのではないかというふうに考えております。
 第3点目でございますけれども、これはこちらのガイドラインでは、もし温泉地への深刻な影響があった場合には、差しとめとか中止とか取り消し、そして、もし悪影響があったときの賠償責任とか、あるいは国がどの程度関与するか。つまり、事業所がもしつぶれてしまったとか、倒産してしまったというような場合、あるいは移転した場合には、国がかわってその賠償にも与えられるかというような問題がございますでしょうし、こういった補償規定というのが欲しいというふうに思われます。
 さらに、少し細かいところでございますけれども、表4のA3の用紙がございますけれども、1から3、ちょっとわかりづらいところがありまして、1から3の小温泉地、小から中の温泉地、あるいは4から5が中から大温泉地というふうに想定されるのですけれども、日本のどのあたりの温泉を指すかというのは、具体的なところがもしわかれば教えていただきたいというふうに思います。
 それから、その前のページあたり、あるいはその次のページあたりですが、用語の説明があるのですけれども、ちょっとわかりづらい点もございまして。この場合には、温泉水は、その温泉法の定義で言っているのか、あるいは熱水ということも使われているとか、あるいは浅部地下水というような、そういった意味の違いがちょっと明確じゃないんではないかというふうに考えております。
 それから、これが第5点目ぐらいになると思うのですけれども、この図の中で、表4の(4)のところに、高温(マグマ)蒸気型温泉というのがございますけれども、この場合に、不透水層がないということなんですけれども、この不透水層がないというような構造が本当にあるのかどうかというのは、ちょっと地質の専門の人に聞いたのですけれども、ちょっと疑問であるということがありましたので、またそれを説明していただきたいというふうに思います。
 また、今の4のようなマグマに直接関わるような場所で地熱開発をすれば、これは視察されてきたと思うんですけれども、アイスランドでは、火山爆発などを誘発する危険性があるんではないかというふうなことも考えておりますので、この場合にはどのような対策をとるのかということもがございます。
 あとは、熱の問題がございますので、六つ目ぐらいになるのでしょうか、たくさん申し上げてすみませんが。温泉の温度というのは150~250度というふうなことを考えまして、それをもしとってくるとすると、やはり周りの温度を下げてしまって、実際には周辺の温泉地に影響が及ぶ可能性がないんだろうかということがとても心配になることでございますので、実際のモニタリングの中では、西山温泉のところではなかったというふうにおっしゃられるんですけれども、現場の中では、例えば八丁原発電所の近くの筋湯温泉というところがございますけれども、運転開始から25年で、自噴泉が19本から2本に減って、湧出量も減少したというようなことも聞いておりますので、そういったことに対してはどういうふうな対応をされるのかということを教えていただきたいと思います。  たくさんありましたけれども、以上でございます。

【下村小委員長】 事務局のほうで書きとめていると思いますので。続いて、石川委員、お願いします。

【石川委員】 私も何点か、ちょっと長いんですけれども、あります。まず、このガイドライン案の流れとか、モニタリングの手法、それから関係者間の合意形成という、この辺の28ページに書いてあったような、こういう基本的な考え方については、私も了解をできるんですけれど、やはり今回、ようやく温泉小委員会で、この地熱問題がようやく来たという感じなんでしょうか。これまで私も長く地熱のことを見てきて、こういう作成のやはり前提になる基本精神みたいなところでひっかかることがあります。
 まず一つは、確かにご時世がご時世ですので、温泉熱も含めた総合的な地中熱を開発利用をしていこうという、これはとても大切なことだと思います。ただ、何かあたかも今まで全然使っていない未開発のエネルギーを、今度はようやく自然エネルギーとして使うんだぞ、というようなニュアンスがどうも感じられます。やはりはっきり申し上げて、日本の地熱、この熱エネルギーをある意味では温泉地として、温泉の入浴や飲泉や、そういうことが大半だったとは思いますし、熱エネルギーとしての利用のありようはとても少ない量だと思いますけれども、既に温泉地として長い間、地域住民や国民の健康、保養資産としてすでに長く利用してきたわけです。
 2番目に、やはり現在では日本の温泉地ということは、非常にやはりインバウンドの価値も評価をされておりますけれども、国内、海外も含めまして、言うまでもありません、観光資産として大きな経済的な価値をやっぱり持ってきたわけです。
 3番目に、この地熱をそうやって利用してきたところは、やはりそこに長い歴史的、文化的な資産が形成されてきたという、これはやはり温泉文化としての日本の誇りだと思うんです。
正直申し上げまして、検討会でもいろいろ海外を視察されたかもしれません。私もアイスランドやニュージーランドなどへ行きましたけれども、ご承知のとおり、別にそこに今も息づく古くからの豊かな温泉文化がふんだんにあるというようには、残念ながら思えないわけです。アイスランドなどは、ジュール・ヴェルヌの世界みたいな地底世界ですから、そこはやはり非常にひっかかります。
そういう意味では、逆に経済的な費用を温泉地または既に温泉地として利用してきた、その経済的資産価値も、やはりきちんと対価として考えた上で、どのようにこの自然エネルギーのもっと有効的または未開発の分野を利用していくのかという観点がぜひ欲しいというふうに思います。
 4番目ですが、ここが一番残念なんですが、過去の教訓に、どのように地熱開発の事業者の方が学んだのかという点がひっかかります。このガイドラインの案には、28ページのところで、先ほどご指摘ありましたように、合意形成、パートナーシップということがあります。これは非常にその精神はよしとしたいのですが、ちょっとこの間の検討会の環境省さんでも公開しているヒアリングの第2回資料の中に、これは九電さんと日本地熱開発企業協議会さん、そこでのヒアリング資料の中の4番目、温泉への影響監視に当たって、温泉側に要望したい事項というのがありましたけれど。ここには、例えば八幡平、大沼の地熱発電所と澄川の地熱発電所のことで、温泉が地熱発電所の影響を受けると信じ込んでしまって、科学的な検証すら受け入れようとしない態度を改めていただきたいというように。何か昔これ、私も聞いたような気がするのです。温泉地の反対は何か非科学的だというような、こういう古い二十数年前の論調がいまだに残っているようで、今度はせっかくモニタリングを共同で行っていくという、これからの望ましいありように、やっぱり何かひっかかっていくのではないかなというふうに感じます。
 それから、今日出されたガイドライン、それに関しまして、ガイドラインで三つの柳津西山、それから澄川と霧島の大霧、これでいろんな例があって、温泉モニタリングで影響がなかったというふうに書かれていますが、具体的に本当に温泉地側のデータがどうなっているのか。
例えば44ページには、これは澄川地域で温泉モニタリングの例で、これはAは大霧ですね。ですから霧島ですよね。ずっと影響はないというふうに、例えば下のほう、付図6、大霧の場合のAではありますが、現実には、既に地元の方たちが長く指摘しているように、西郷隆盛も利用したという宮崎側の白鳥の温泉地は枯渇して、恐らく補償をもらったかどうかはわかりませんけれど、非常にもう温泉文化の上でも大事な温泉地は見る影もありません。
 それから、大霧発電所があったあの辺にある金湯とか銀湯とか、随分それは小さな温泉場ですけれども、そういうのも今は既にないわけですよね。何かもっと細かい、むしろ、そういう細かい温泉地の周辺への影響例も指摘した上で、いや、それを上回る公共の利益があるというのでしたら、またそれもわかるんですけれども、それが記されていないわけです。
 それから、これはまだ、いまだに謎ですけれど、この八幡平の澄川地域においても、これは90年の初頭に、日本温泉協会でもずっと視察をしたりしたわけですが、私どもが行っても、もうトロコ温泉や銭川温泉、すべて軒並み温泉の水位の低下、自然湧泉の枯渇、今さら私が言うまでもないことなんですが、そういう影響がずっとあったわけです。何かそういうのをもう少し反映された上で、今日の、新しく仕切り直すというのは、あればいいんですが、ちょっとやはりそういう温泉地例のデータがないというのは残念です。
 それから5番目は、先ほど前田委員がおっしゃられていましたが、やはり地熱開発の費用対効果ということをもっと精査すべきではないかなというふうに思います。環境負荷のことは前田委員がおっしゃられましたけれども、大体、2.何年から5年単位で、常に補充井をつくっていかないといけないわけですよね。
私も長野県の温泉審査部会で、長野県の小谷村のNEDOさんがやった例を、これは今回のガイドラインの先行型みたいなものなんですが、小谷村さんも非常に協力したいということなので、もちろん許可になりました。現実に数十億円を投資して、それで現実の発電量と、一体それを何に使っている程度なのかということを見ると、非常にもったいないということが温泉の審査委員の中で印象としてありました。こういう、もう少し総合的、一方では個別的にもっと精査をすべきではないかなというふうに思います。
 それから、6番目なんですけれども、本当は温泉利用者、国民はどのようにですね。ようやく新聞・メディアではこの地熱の問題が言われておりますけれども、これに対してどう見ているのかということは、私も一つの温泉利用者の立場と関わっていて気になります。それは言うまでもなく、一つは景観形成、景観情緒という、温泉文化に与える影響です。これはもちろん、個別で解決できる問題も多々あると思います。
 特にデリケートなのは、温泉の成分組成、湧出量や水位の低下というのが直接の問題だけでなく、性質の変化にまで及ぶ例が、少なくとも過去にはあったということです。これも古い例ですけれども、岩手県の滝ノ上ですか、これも非常に変わりましたね。先ほど前田委員さんがおっしゃられた筋湯温泉も以前の温泉ではなくなって、全部代がえですね、地熱開発のところから出た還元用の温泉を利用しているというふうになっちゃっているわけですから。これを利用者である立場から、皆さんがよしとするのか、しないのか。こういうあたりも、もっと環境省なり、温泉小委員会では目を配っていく必要があるのではないかと思います。
 最後ですけれども、ガイドラインの一番直接の問題として及ぶ温泉法に係る問題で、許可するかどうかの判断基準にかかわってきます。現実に、掘削申請を全体的にもっともっと緩やかにしろというふうになるのかは、これは本当にケース・バイ・ケースですので、これはそういう時流に乗らないとけしからんぞというふうになるのは、ちょっと別の問題ではないかなというふうに実感をしています。
 特に問題なのは、斜め掘りです。もし、そうまでして国立・国定公園地域の外から景観を配慮してということならば、それはむしろそういう影響自身をどのように解消していくのかということをむしろ正攻法に考えるべきだと思いますし、もしこれが温泉法の通常の掘削申請に斜め掘りを許すならば、これは非常に大きな問題が、現在の各都道府県で行われている距離規制が無意味になりかねません。距離規制の範囲はもちろん同意の条件ではありませんが、斜め堀りを大規模に認めたら、ほとんど意味がなくなってしまうということを慎重に考えるべきではないかと。地熱だけを例外化すると、ちょっと違ってくるのではないかと思います。
 長くなりましたけれども、以上です。

【下村小委員長】 かなり質問が出てまいりましたが、ほかに何かございますか、関連することが。
 とりあえず、では一度お答えをしていただきましょうか。
 かなりアセス法の問題、全体の問題とも絡むようなご質問もあって、切り分けはなかなか難しいのだと思うのですけれども、事務局のほうからお答えいただければと思います。

【事務局】 それでは、全体的にお答えが十分かどうかあれなんですが。まず、前田先生のほうからいただきました地熱について、クリーンなエネルギーではないかということでございますが、おっしゃられるとおり、還元水などについても、確かに重金属が含まれているといったようなことは、これまでも指摘をされているところでございます。
一方で、還元水に戻した熱水によって明らかな影響があったといったようなところが、まだ明確にはなっていないということもあると思いますので、強調しておりますけれども、今後ともモニタリング等の結果を踏まえまして、どのような影響があり得るのか、どのような影響が実際に出たのかといったようなことについては、目を光らせていきたいと、そういうふうに考えております。
 また、温泉台帳の件についてもご指摘がございましたが、こちらについては、各都道府県ごとにまとめておりますが、様式や内容についても、今のところ統一したものはございませんので、時々都道府県のほうからも要望がございますけれども、どのように整備していったらいいかといったようなことについては、こちらも都道府県からの意見を聞いて、今後の検討をまた継続していきたいというふうに思っております。
 また、温泉地への影響があった場合の賠償的なものでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、温泉法の事務につきましては、地方分権一括法以降は都道府県が自治事務として行うというようなことになっておりまして、以前は機関委任事務ということで、国が本来行うべき事務を県がかわりに行っていると。上級庁として国があったわけですけれども、現在はそういう形ではなくなっておりますので、直接何らか影響があった場合のこの賠償責任というようなものは、あるとすると、国というより都道府県ということになりますけれども、今回のガイドラインの中では、なかなかそこまでの言及というものはしておりませんけれども、一つには、先ほども第4のところでご説明した運営協議会といったような場で、これは実際に今、既存の発電所でもそうだと思いますけれども、影響があった場合にどういった対策をとるかといったようなものも、その中で当然話し合いが行われるというふうに考えております。
 それから、表4のそれぞれの温泉地がどこに当たるのかというのは、なかなかここというのも特定が難しいとは思うんですけれども、典型例としては、今すぐ事例をお示しできませんので、また調べた上でご回答を差し上げたいと思います。
 また、同じく表4の(4)についても、キャップロックがないところがあるのかということなんですが、実際にまだキャップロックの形成が十分ではないというところはあるというふうに聞いておりますけれども、具体的にここにつきましても、ここの地域がそれですといったようなところは、今ちょっとすぐにお答えできる材料がございませんので、こちらもまた後ほどお答えをさせていただきたいと思います。それに伴って、火山の爆発のおそれといったようなそういう影響についても、調べてみたいというふうに思っております。
 また、八丁原の近くにあります筋湯の事例などもご紹介いただきましたけれども、こちらについてはおっしゃるとおり、確かに温泉事業者の方からのヒアリングなどでも、実際に影響があって、湧出量が減った、あるいは枯渇をしたというような事例の紹介は、ヒアリングなどでもございました。
ただ、なかなか現時点では、諸外国の例のように、双方が納得ずくで確かにこの地熱の影響であるといったようなコンセンサスといいますか、合意がまだ日本では事例としてはなかなか得られていないということで、まだこのあたりのことについては、やはりよくわからないといったようなところがあるかと思います。そういった面からでも、モニタリングの継続的な実施ということが、こういった解決に非常に重要になってくるのではないかというふうに考えているところでございます。
 それから、石川先生からご指摘がありました、温泉がこれまで果たしてきました国民の健康・保養などの役割、観光面としてのインバウンドの価値、文化的な資産といったようなものは、本当にご指摘のとおりだと思います。費用対効果といったようなものは、非常に重要だと思いますけれども、なかなか今回のこのガイドラインの守備範囲といいますか、とりあえず各都道府県の担当者が、掘削申請があったときにどう考えるかといったようなものをメーンにしておりますので、非常に大所高所のご意見だと想いますので、環境省として今後温泉行政を推進していく上で、ご意見を参考にさせていただきたいというふうに思っております。
 また、地熱事業者の方のヒアリングでのご意見、それから温泉事業者の方々からのヒアリングでのご意見、なかなかこういう言い方も失礼ですが、これまでいろいろ対立軸というような感じで、おもしろいように取り上げられてきたようなこともございますけれども、ヒアリングを通しまして、先ほど田中先生からもお話がありましたけれども、前に比べると、非常に歩み寄りといいますか、双方の意見を聞こうと。極論としますと、昔は地熱発電は温泉に影響しないと、いや、影響するというような議論だったと思いますけれども、最近では、やはり共存・共栄の道があるのではないかといったような観点からのご意見というのも多くいただきましたので、このあたり、非常に今後とも双方の理解が進んでくるということを期待しておりますし、環境省としてもそういうようなご意見ですとか、共存・共栄の道を探っていくといったようなことを基本的な姿勢にしたいというふうに思っております。
 それから、実際に枯渇した温泉地、大霧とかの周辺であるのではないかと。それから、例えばそういう小さな温泉地がなくなっても、より大きな公益というようなことがあるのであれば、別として、そういった事象も取り上げるべきではないかというご意見でございましたが、こちらもご指摘はごもっともだと思っておりますので、環境省としても、今後そういった事例の収集には努めてまいりたいと思っております。また、原因の究明といったようなものも、中には例えば温泉地の原因で、組み上げ過ぎで枯渇をしたという事例もあるかもしれませんし、真に地熱の影響で湧出量が減ったりといったようなことも、今後モニタリングデータなどを通じて、そういったデータの収集というものは続けていきたいと思いますし、都道府県や実際の温泉事業者の方々に対しても、そういうような自らの財産を守るという意味も含めまして、モニタリングのデータをとっていただきたいと、そういったことは21年版のガイドラインでも強調はしておりましたけれども、今回もヒアリング等でモニタリングの重要性といったようなものは、再三双方からご指摘をいただきましたので、そのようなことをぜひお願いしたいというふうに思っております。
 石川委員の費用対効果につきましても、やはり開発サイドの問題ということもあるかもしれませんが、なかなかガイドラインの中では、こういった費用対効果のところまで言及するということはなかなか難しいというふうに思っておりますけれども、こういったことについても、やはり開発事業者サイドとしてもボランティアではございませんので、十分そういう費用対効果といったものは勘案されるのではないかというふうには考えております。  また、国民が温泉に対して持っているイメージといいますか、感情、そういったものは確かにこちらも十分把握しているというわけではないかもしれませんが、今後このガイドラインについて、パブリックコメントなども予定をしておりますので、その中でどのようなご意見をいただけるか。また、ガイドラインとしてどこまで反映させられるかということは、先ほど申し上げましたこのガイドラインの守備範囲という点がございますので、なかなかすべてというわけにはいかないと思いますけれども、今後の温泉行政を推進していく上で、非常に参考になる意見をいただければというふうに思っております。  また、最後になりましたが、こちらとしましては、掘削申請に当たりまして、このガイドラインをもって何がしか今までのやり方を変えるという意図は全くございません。温泉の保護を図るといったような温泉法の精神はそのままでございますけれども、このガイドラインで明らかにしましたのは、どういう場合に掘削申請が要るのかと、そういったことを中心に書いておりますので、このガイドラインをもって何か手続の変更ですとか、考え方の変更はないというふうに考えております。
 また、斜め堀り、コントロール掘削につきましても、主に国立公園の観点から、別の検討会が今審議をしておりますので、そういったところと連携をとりまして、温泉につきましてもぜひといいますか、やり方等についても考えていきたいというふうに考えているところでございます。

【下村小委員長】 前田委員から、もう一つ、言葉の統一というか、温泉水とか熱水とか、何かそういう問題も出たと思うんですけれども。

【事務局】 失礼いたしました。用語の定義などにつきましては、十分注意したつもりではございますけれども、改めてここら辺がおかしいとかということがありましたら、後ほどまたご意見、確認をさせていただきたいと思います。

【下村小委員長】 今の質疑のやりとりを踏まえまして、さらに委員の方からご意見、ご質問等ございませんでしょうか。  それでは、交告委員、お願いします。

【交告委員】 前田委員のお話の中にも、石川委員のお話の中にもあったんですけれど、前田委員のお話の中に、還元井から温水が出るんだけれど、それがまた温泉に使われているという前提の発言がありましたよね。つまり、ダーティーかクリーンかという問題で、還元井から出た水が再び温泉で使われる可能性があるので、必ずしもクリーンと言えないんじゃないかと。それから、石川委員のご意見の中に、どこかの温泉で、結局還元井から出てきたものを使ったので、泉質が変わってしまったというご指摘があったと思うんですけれど。もし間違いだったら訂正していただきたいんですが。
これはちょっと私の頭に今までなかったことで、私は還元井というのは帽岩を貫いて下まで行くものだというふうに理解しておりました。もしそうじゃなくて、帽岩の上というか、よくわからないんだけれど、要するに温泉水層の中に排水されてしまっているとすれば、それは多分、「もう一回地表の川とかそういうところに流さないで、地下に流すことにすれば、環境保護のためにはそれで一応満足だ」という考えで行われていた時代の産物じゃないかという気がするんですけれど。それは今後はもう許されないんじゃないでしょうか。
要するに、現在では圧力維持のために還元することが大事だという新しい観点が加わっているので、今後は温泉法4条の温泉源の保護の要件、つまり湧出量とかそういうものに影響を及ぼすおそれがあるかどうかという、その判断のところで、帽岩の上で排水すると泉質に影響が出るのであれば、還元井は必ず帽岩を貫いて温泉水の下の熱水層のところまで行っていないといけないことにして、そこはちゃんと許可のときに見ることにしないといけないんじゃないかなという気がするんですけれど。

【下村小委員長】 ありがとうございました。ちょっと現状認識の話も含んでいると思うんですけれども、事務局のほうで、何か今の還元井を戻す位置に関して、把握されていることというのはございますか。

【事務局】 還元井の位置につきましては、こちらでいろいろ調べた限りでは、両方あるというふうに思っております。帽岩の上部で戻す場合もありますし、下で戻す場合もあるということで、両方あり得ると思います。
また、それについて、温泉の泉質が変わったかどうかといったようなことについても、最終的にはモニタリングの結果などで考えていかなければならないと思いますけれども、このガイドラインで書いてあります柳津西山の事例としては、一旦還元井で熱水を戻したところ、圧力が高まって温泉の湧出量が一時的に増えたという事例があったというふうに聞いております。これは還元井による熱水が影響を与えた事例だというふうに理解をしております。
これの場合の解決方法としては、この影響を与えた還元井を使うのをやめて、また別の還元井による地下還元を行ったと。その結果、影響がおさまっているというようなことがありますので、対策としましては、そういった影響があった場合に、異なった深さとか場所に戻すといったようなことも対策としては考えられると思っております。

【下村小委員長】 それでは、前田委員、何かありますか。

【前田委員】 前田でございますけれども。先ほどの還元井を戻す場所なんですけれども、例えば地下1,000メートルから起こしますと、100気圧ぐらいできっとはい出てくると思うんですが、それを戻すとすれば、低温でございますし、熱を奪った後ということで、学者さんの間では200気圧ぐらいになるんじゃないかというふうなところで、戻す圧力が非常に高い。費用対効果の問題もあるんでしょうけれども。
それとプラスして、地下の水脈破壊とか、地質構造破壊などがそれでも進むんじゃないかと。そうすると、それこそ地震とかそういったことで、やはりモニタリングなどは絶対に必要だし、それを公開していただけなければというふうなことが感じます。

【下村小委員長】 シミュレーションがなされるというような、だんだんそれも精緻になってきているということと、情報公開というようなことに関しては、しっかりガイドラインのほうには書き込まれていますので。交告委員ご指摘のように、状況が以前よりは明確になって、あるいは問題が出たときの対処というものも、はっきりしてくるのではないかとは思います。
 ほかに何か今のやりとり、全体的なことで結構ですが、を踏まえまして、委員のほうからご意見、さらにご質問でも結構ですが、ございますでしょうか。

【交告委員】  すみません、もう1点だけ。私、温泉地下水検討会に出ていたにもかかわらず、専門家の方のご説明が多分素人なのでよくわからなかったと思うんですけれど、結局、生産井で抜いたら、それをまた還元井でもとに戻してやるということについては、圧力を維持するという意味があるというふうに、私は思い込んだんです。
でも、今の事務局のお話だと、帽岩の上に出した場合でも、それでも圧力は維持されるということなんですかね、両方あり得るということは。つまり、還元井の口を帽岩の上に上げておいても、下のほうの圧力は大丈夫だと。
要するに今、逆に湧出量が増えちゃった例もあるというふうにおっしゃっていて、それは15ページの表の下から二つ目ぐらいの段落のどこかに書いてあることなのかもしれませんが。そういうこともあるのかもしれませんけれど、基本的に何か生産井で帽岩の下から抜いていったら、下のほうは減るばっかりなので、やはり上から戻してやって補わないと、圧力はどんどん減るような気がして、素人にはそのように思えるんですけれど。帽岩の上に出しても大丈夫なんですか。

【事務局】 やはり、開発地にかなりよるところがあるようでございまして、一般的に諸外国の例でもちょっとご説明しましたが、ニュージーランドですとかの初期の地熱開発では、還元をしないで、そのまま河川に流していたということで、それが今、恐らく、恐らくといいますか、それが原因で地盤沈下といったようなことが広範に起こったというようなことが、これは科学的に知られているというふうに言われております。
 一方で、日本の場合は、明らかに地熱の熱水のくみ上げ過ぎで、そういった事例があるというのは、まだちょっと科学的には証明されていないという状況だと思いますけれども、地熱開発を行う場所での資源量といいますか、熱水の量などによって、その還元したものがまた循環して下に潜り込まないと、サスティナブルでない状態のものもあるというふうに考えられます。
現時点では、その還元した水がトレーサー調査などで明確な形で、どうも資源量として戻ってきていないという調査結果もあるようでございます。その場合は、今、交告先生がおっしゃったとおり、今、とりっ放しのような状態になっているかと思うんですが、それは今のところ、発電量の減衰みたいなものは一部あるかと思いますけれども、まだ致命的な状況にはなっていないと。ただ、今後、モニタリングなどを続けることによって、最終的に地熱発電所が立地している場所で、どれだけの発電ができるのかといったようなことを突き詰めていくというようなことになっていくかと思います。
 最終的には、くみ上げ過ぎであれば、温泉もそうですけれども、地熱も持続的に発電ができないということになってしまっては、これは元も子もないということですので、地熱の事業者にとっても、どのぐらいの揚湯量が持続可能であるのかといったようなものを探りながら、余裕があれば増やしますし、余裕がなければ下げていくといったようなものは、今後のやり方になるのかなというふうに考えております。

【下村小委員長】 まだまだ知見で不明なことも多い領域だというふうに思います。最初に、前提として事務局からもご報告がありましたとおり、このガイドラインそのものも、現時点での知見の中で、最大限温泉を守っていくと、温泉資源を守っていくためのガイドラインだというふうにご理解をいただければと思います。ですから、5年ごとに少なくとも総点検をしていくということですので、今のような問題に関しても、新たな知見が出てくれば、またこの中に反映させていく必要もあろうかというふうに思います。
 甘露寺先生、どうぞ。

【甘露寺委員】 幾つかあるんですが、まず一つは、私も本職じゃないんです。だけど、いろいろこの報告書は難しいんですよね、すごく、まずね。それで、これを各県に持っていったときに、やはり我々分析法をつくった時、研修会みたいなのを皆さんを集めてやっていますので、そういうような研修会というか何というかわかりませんけれども、この内容の説明を専門的にいろいろ担当の方にするというような、そういうお考えがあるのかどうか。それが第1点なんですよね。
 それから、第2点は、今、下村先生がおっしゃいましたけれども、要するに、これは全体の滑り出しの中の滑り出しみたいなものだと僕は理解しているのです。それで、53万キロワットを170万キロワットにするという、そういうのは、3年ほどでできるわけがないし、何十年とかかると思うのですね。今まで40年、50年かかって、53万しかいかないわけです。ですから、そういうことを考えると、これは僕なんかは滑り出しの滑り出しであると。
 生産井も還元井も数は増えるでしょうし、下に戻す量も、取る量も、すごく多くなるというようなことを考えれば、これは当然、今、下村先生がおっしゃったように、そのステップ、ステップでいろいろやっていかなきゃいけないということだろうと、僕はそういうふうに考える。
だから現時点では、これはこれで、ガイドラインという形で、まとめていく。だけど、実態は何年もかかる。かなり長いスパンを考えないと、僕はできないだろうと思うし、その間のまたいろんな社会情勢も変わってくるということもあり得るということが、僕自身はそういうふうな考えでおります。
 以上でございます。

【事務局】 ありがとうございました。最初にご質問のありました都道府県に対する研修といいますか、説明でございますが、こちらは年度が改まりまして、予定をしております。予算も若干、そのように確保しておりますので、こちらのガイドラインの普及啓発といったようなものを来年度に進めていくという予定にしております。

【自然環境整備担当参事官】 私のほうから、ちょっと補足的に発言をさせてもらいますが。まず、今、甘露寺先生のほうから滑り出しのさらに滑り出しというお話がありました。確かに地熱開発は、従前もそうなんですが、リードタイムが非常に長く必要です。それまで、今日お示ししているガイドラインについても、中で示しているように、そのリードタイム中に行われるそれぞれ掘削の必要な井戸の種類がいろいろございまして、これについて温泉法上の認可を与えるにはどうかというところを今回一生懸命、そのガイドラインで一生懸命やっているというと変なんですが、ガイドラインで明らかにさせていただいたということだと思います。
 それから、先ほど来お話のある帽岩の話につきましても、この調査の段階で掘られます、いわゆる地質調査のための井戸、これらをもって、まさに地べたの中がどうなっているかを調べると。これがわからないと、まして帽岩があるのかどうかもわからないということですから、まずその調査を、そのエリアで監視するかどうかというのは、温泉法の許可ではないので、調査に必要な井戸ということについて、それが進むことによって、その地域で有望な資源量があるのか、帽岩があるのかないのか。それから、先ほどお話のありました、たまりきりのガスなのか、それとも供給されて圧力の低下が少ない蒸気なのかというようなことも、ある程度わかるというふうに聞いておりますので。調査段階をスピードアップというと変ですが、推進していく上で、スピードの底をはかるということが重要な話なんだろうと思います。
 何もわからない中で、先ほど事務局のほうからも説明しました、影響のあり・なしで反対・賛成ではいけないなというふうにも思っておりまして、そこはつまびらかにした上で、守るべきは守り、使うべきは使うということなのかなというふうに考えております。
その意味では、確かにご指摘いただいたように、まさに滑り出しのまさにさらに滑り出しということであろうとは思います。ただ、冒頭、委員長のほうからもお話がありましたが、保護も念頭に、エネルギーも何とかしていかないとという中でのガイドラインでございますので、そこは我々としても肝に銘じて進めていきたいというふうに考えております。

【下村長委員長】 それでは、ほかにご意見があるようです。桑野委員、それから甘露寺委員の順で。

【桑野委員】 私は、温泉地に暮らしておりまして、八丁原もすぐそばなんですが、実は、温泉地でありながらも、地熱発電のことは限られた温泉地の地域としてとらえていた部分が今までありました。本当に恥ずかしい話なんですが。今、再生可能エネルギーの可能性、また3・11以降、これは国民もそうなんですが、私たち温泉地の現場も、この地熱発電を考えるようになったと。
その中で、やはり物を考えていくときには、ガイドラインというものが必ず必要だと思うので、そういう面では、この契機に、ここに書いていらっしゃるように、地熱発電と温泉資源の関係者というのが、先ほどから出ていますように、いや、影響ある、影響ないということで、何十年も来た歴史があると思います。
 でも、今ヒアリングのお話の中では、情報公開のことや、あと合意形成のこと、その重要性のお話がございましたが、私は今の段階で、ほかの温泉地も、また国民も、こういうガイドラインができることによって、やっと議論といいましょうか、現状がわかり、その上で考えていけるのではないかと。
 ここで科学的な議論がなぜ必要かというのは、従来のような考え方だけではなく、やはり本当に実際どうであったか、過去の経緯も含めて、そして今やっているモニタリングも含めてということだと思っておりますので、その意味では、このガイドラインが今始まりになっていくのではないかと思っております。
 その一方で、段階的にいろんな調査をしていくと、情報の資料を集めたりも含めて、公開していく、その中心が都道府県になってくると思いますが、16ページにも、都道府県はそれらの資料収集を努力しなければならないという言葉があります。
 都道府県というのは非常に大きな役割を担うという中で、この説明会というのももちろんあるかと思うんですが、努力しなければならないという言葉というのは、本当に努力するんでしょうかという、一般的に私どもは努力というのは、努力しますで終わるんですけれど、非常に大きな位置を占める都道府県が、今回の地熱発電に関して、またこのガイドラインで書かれているようなことに関して、しっかりとやるというような覚悟を持ってやってもらいたいような思いでおりますので、その言葉というものをちょっと思いました。
 あと、もう1点なんですが、国民というのは非常に何かが始まると、一気にスピードを持ってそちらに向くと思います。その中で検証していくというのが、地熱発電は非常に時間がかかるものなんですが、このガイドラインに関しては、今現時点で書かれているということでありましたら、本当にこの5年ごとでいいのかと。今年度に関して書かれているのが5年という年数というのが、私は専門家でないのでわからないんですが、本当に適正であるのかということを、お尋ねしたく思っております。
 以上です。

【下村小委員長】 それでは続けて田中委員。

【田中委員】 このガイドラインに直接ということではないですけれども、地熱も温泉も、いわゆる天然資源ですよね。自然資源というものです。こういう自然資源の管理をどうしていくかということが、今世界的に注目されているものでして、共有財というような、コモンズという考え方がございます。
 2009年のノーベル経済学賞は、このコモンズについて現地調査をして、どういう管理の仕方が成功しているかということを研究したエリノア・オストロムという女性の方です。ガバニング・ザ・コモンズという本を出していますが、それがノーベル経済学賞の受賞対象になったものです、簡単にいいますと、要するに、そういう自然資源を必要としている側が利害を調整する役割を担ったり、またはその規則(ルール)をつくっている。そういう形の管理をしているところは、共有性のある資源というものをうまく管理しているということです。端的に言えば、そういうことです。自然資源ですから、地域によっていろんな条件が違いますけれども、そういう地域条件を考慮して、自治的または奉仕的な組織があるところでは、コモンズをうまく管理していると、そういうことのようです。
 まさしく温泉と地熱との関係というのも、そういう関係にあると思うんです。今、桑野委員からも、それに関連するような発言がございましたけれども。これから共存共栄していく上では、少し考え方を変えて、そういう方向にこれから持っていくということが必要ではないかと思います。
 このガイドラインも、ある意味そういう方向性を目指したところがあるというようにおとりいただければと思います。
 以上です。

【下村小委員長】 時間が来ておりますので、よろしければ答えていただいて、おしまいにしたいと思いますが、委員の方、よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、前田委員。

【前田委員】 先ほど答えていただいたんですけれども、協議会が都道府県のほうでされるということなんですけれども、先ほど答えていただいた中に、責任を規定するということがきっと出てくると思うんですけれども、そういったことはこちらから申し入れて、要は、何か事が起こったときに賠償しなさいよというようなことは盛り込んだものになるんでしょうかということです。それとも、都道府県の勝手ですよというような形になるんでしょうか。

【自然環境整備担当参事官】 ガイドラインでは、そこまで踏み込んでおりません。あくまでも温泉法によるところの許認可の考え方を示そうということで。この第四の求められる取り組み等というのは、許可を与えるだけで済まない部分があるわけです。今、田中先生のほうからも、コモンズのお話がありましたけれども。そこのところがやはり重要なんだろうなということがあって。
なおかつ、これはやはり今まで、言ってみれば、開発サイドも住民の方々も、そういう場所がない中で、わからない中で不安だけが大きくなって、対立軸が発生するというようなこともあるので。確かに地熱発電所に限らず、あらゆるものがそうだと思うんですが、来たときに対立するというか反対をしてみるとか、内容がわからないからいろいろ言うというようなことになるんですが。それがために必要なこういう場所を設けましょうという提案といいますか、そういうことですので。
補償がどうなるか、補償するのか否かということは、協議をしていく中でつくっていっていただくんだろうなと。それが信頼の醸成にもつながるんだろうなという、期待を込めてここに書いているということでございます。

【下村小委員長】 桑野委員からのご質問を。

【事務局】 それでは続きまして、桑野先生からのご質問、ご意見でございますが、都道府県については、21年版ガイドラインの中でも、例えば周辺の休止井などを使って、モニタリングを県としてもぜひ実施してほしいというようなこともガイドラインには書き込んでおります。
 今回、特に県への努力をお願いしたいというようなことを書いておりますけれども、そこは県としても、最新情報に基づいて、温泉資源の影響があるかないかといったようなことを判断するのが、自治事務として行っている以上の県の義務ということでございますので、そこの点では、お言葉にもありましたとおり、覚悟を持ってというようなことはおっしゃるとおりだと思います。
 県のほうからは、環境省のほうも、日常的にいろいろな事例の紹介ですとか、技術的なサポートというのはやっておりますので、今後とも都道府県からのご照会ですとか、解釈などのサポートについては、環境省も一生懸命努めていきたいというふうに思っております。
 また、見直しの期間でございますが、5年という期間につきましては、日進月歩の状態もあろうかと思いますので、必ず5年後にということではございませんので、一区切りとして、今、大体法律の見直しなども5年を目途にやっているケースが多いということで、また21年度にできましたガイドラインについても、5年ということにしておりますので、目安として5年というふうに書いておりますけれども、必要に応じて検討の期間を短くしたりとか、そういったことは考えられると思っております。

【下村小委員長】 どうも熱心なご議論、ありがとうございました。あくまで、やはり温泉法に基づく温泉井の掘削許可に関わるガイドラインですので、どうしても限定される部分が出てくると思います。ただ、そこの範囲で、先ほど言ったのは、温泉法の趣旨をしっかり遂行できるように進めていけるようなガイドラインという形にしてまいりたいというふうに思います。
 委員の中からご指摘があって、まだちょっと残されている課題もあります。例えば、言葉の精査の話ですとか、表4に関わる実質的にどうなのかというような問題等もありますし、あと、たくさんご意見をいただいておりますので、そういったご意見を多少なりとも表現の中に組み込めないのかといったような問題はあろうかと思いますので、そこにつきましては、私、委員長と事務局で、後ほど整理をいたしまして、その上でパブリックコメントにかけさせていただきたいというふうに思います。
 よろしゅうございますでしょうか。
(異議なし)

【下村小委員長】 では、この件はお認めいただいて、パブリックコメントにかけさせていただきたいと思います。
 ちょっと時間が過ぎましたが、議題、その他とありますが、事務局のほうから何かございますでしょうか。

【事務局】 ありがとうございました。それでは、改めまして、下村委員長と相談させていただきまして、細部を詰めた上で、パブリックコメントという形に進めさせていただきたいと思います。まだ正確な何日からというのは決められませんけれども、大体30日程度、パブリックコメントをかけまして、その結果を取りまとめた上で、再度、この小委員会にご報告をさせていただいて、最終的に3月末の都道府県への通知というような段取りで進めさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

【下村長委員長】 その他はよろしいですね。

【事務局】 はい。

【下村小委員長】 今説明がありましたように、3月をめどにパブリックコメントの意見をまた集約いたしまして、それを含めて、本小委員会でご議論をいただいて、正式に取りまとめるというような手順にしたいと思います。
 次回の小委員会の日程につきましては、別途、委員の先生方のご都合を伺って調整をさせていただきます。
 それでは、本当に年末の押し迫った時期に、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。
 本日の小委員会、これで終了とさせていただきたいと思います。
 事務局のほうにお返しいたしますので、連絡事項がありましたらお願いします。

【事務局】 それでは申し訳ありません、本日ちょっと遅れましたけれども、官房の審議官の小林審議官が駆けつけておりますので、一言、終わりに当たりましてごあいさつをさせていただければと思います。

【大臣官房審議官】 担当の官房審議官をしております小林でございます。今、小委員長からもごあいさつがございましたように、本当に押し詰まったお忙しい中で、また大変今、注目を集めている課題でございまして、これについてのご審議を賜りましてありがとうございました。
 今日ございました幅広いご指摘を少しでもより整理した形で、まだパブコメがございますので、そこでまた幅広いご意見を聞いて、最終的にしっかりしたものにまとめていければいいと思っております。
 また、委員長からもちょっとご示唆がありましたが、必ずしも今回のガイドラインに含まれない、かなり幅広い、あるいはこれからの方向を示唆するようなご指摘も随分あったかなということで、我々もこれを大きな課題として、ますますいろいろ取り込む必要があるというようなことを感じた次第でございます。
 本日は本当にありがとうございます。

【事務局】 それでは、本日は本当にありがとうございました。お手元の資料につきましては、それほど量はございませんが、もし郵送等をご希望でございましたら、置いておいていただきますと、ご住所までお送りいたしますので、置いておいていただければと思います。後日郵送させていただきます。
 本当にありがとうございました。

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