中央環境審議会自然環境部会自然公園のあり方検討小委員会(第5回)議事録

開催日時

平成16年 3月29日(月)13:01~14:59

開催場所

経済産業省8階 827号会議室

出席委員

(13委員 )

渡 辺 修 委員長
安 達 瞳 子 委員
磯 部  力 委員
岩 槻 邦 男 委員
柏 原 英 朗  委員
川 名 英 子 委員
熊 谷 洋 一 委員
瀬 田 信 哉 委員
立 花 直 美 委員
服 部 明 世 委員
速 見  了 委員
森 本 幸 裕 委員
和里田 義 雄 委員

議  題

(1)自然公園法のあり方検討の具体的方向性について
(2)関連法制度の動向について(報告)
  ・外来生物対策をめぐる動向
  ・景観法案と自然公園制度の関わり

配付資料

資料1 自然公園のあり方について(中間取りまとめ) (案))
 参考資料1    中間整理票
 参考資料2  自然公園制度及びそれに関連する主な動向に関する年表1~3
 参考資料3 各国立公園の指定、主な区域拡張等の経緯
 参考資料4 自然公園のあり方懇談会名簿及び懇談会の経緯
資料2-(1) 移入種対策に関する措置の在り方について(答申) 平成15年12月
  2-(2) 第159回国会 特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する
法律案参考資料
  2-(3) 景観法案の概要
資料3 今後の検討の進め方(案)

議事録

午後 1時01分開会


○国立公園課長
 それではお待たせいたしました。予定の時刻になりましたので、中央環境審議会自然環境部会自然公園のあり方検討小委員会を開催させていただきたいと存じます。
 本日の出席者数でございますけれども、所属委員15名のうち、現在のところ12名の委員のご出席をいただいておりまして、定足数を満たしております。本日の小委員会は成立ということでございます。なお、大澤委員と岡島委員におかれましてはご欠席と伺っております。また、栢原委員は若干遅れてご出席と考えております。
 それでは、会議が始まります前に、お手元にお配りした資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第の次の2枚目に配付資料一覧という紙がついているかと思います。
資料1としましては、自然公園のあり方について(中間とりまとめ)、ホッチキスでとじた資料でございます。それから、資料2といたしまして、2-(1)、2-(2)で、移入種対策に関する措置の在り方について(答申)、冊子でございます。もう一つは、特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に係る法律案参考資料、これも冊子が2-(2)ということでついてございます。
それから、2-(3)といたしまして、景観法案というタイトルのついたカラーのホッチキスとじの資料がございます。最後の1枚紙ですが、資料3としまして、今後の検討の進め方(案)というものがございます。
 配付資料は以上でございますけれども、特に不足等ございましたら事務局の方に御連絡いただきたいと思います。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、渡辺委員長、どうぞよろしくお願いいたします。

○渡辺委員長
 それでは、ただいまから第5回の自然公園のあり方検討小委員会を開催いたします。
 前回は平成14年の7月でございましたから、小委員会としては1年9カ月ぶりの開催でございます。その間、私どもは懇談会という形で議論をお願いしてまいりました。皆さん方も懇談会のメンバーでいらっしゃいますから、経緯についてはご案内のことと思います。
 8回にわたって懇談会を開いてまいりました。きょうは、一旦議論に区切りをつけまして整理する会議と理解しております。そのまとめにつきまして、活発なご意見をちょうだいしたいと思います。
 本題に入ります前に、小野寺自然環境局長に大変お忙しい中をご出席いただきました。ごあいさつをお願いいたします。

○自然環境局長
 こんにちは、小野寺でございます。委員各位におかれましては、ご多用の中、年度末にご出席いただきまして、まことにありがとうございます。
私、先週末からちょっと風邪気味でして、ついに鳥インフルエンザに感染したのではないかと(笑)喜んでおりますけれども、ちょっと渦中に巻き込まれましていろいろ忙しい思いをしていますが、危機管理と自然環境保全がかかわるということでは、なかなか得がたい経験も一部させていただいております。
恐らく今月いっぱいで一旦は京都が片づくので、落ちつくとは思いますが、実際は感染ルートその他について何も分かっておりませんで、後がどうなるのかというのはちょっとよくわからないところがありますが、環境省の分担するところは、自然環境局の野生生物課で受けておりまして、特別にチームをつくって力を入れてやっております。
少し整理をできるだけ早い機会にして、まとめて発表するなりしたいと思っております。
 さて、本題でありますけれども、委員長からご紹介があったように、かなり長い時間この検討をしていただきました。委員会としては久しぶりでありますけれども、実質的な議論は1年半にわたってしていただいたと思います。
私がこの検討をお願いするときに、懇談会の第1回目に申し上げたのではないかと思いますけれども、かなり伝統のある行政なものですから、いろいろなことが少し入り組んでいてすっきりしない形で現状があって、かつ今の世の中の動きとずれが生じるような形で国立公園その他という我々の中核的行政があるのではないかということがその問題意識でありまして、一方、事務方はどんどん忙しくなっていきますから、ついその日暮らしに追われて、頭の中でもう一度その全体的な整理ができていない嫌いがあるというのが、我々がこの話を始めて、小委員会、懇談会にお願いした出発点だったと思います。おかげさまでかなり精力的に議論をしていただいて、一番整理できたのは多分事務局の頭の中ではないかと思っていますが、毎回何とかそのテーマについてはくくって、整理法を次回冒頭でご説明申し上げるということを繰り返してきて、それが蓄積して今に至ったと思っています。
本当に骨太の体系の方針をつくるという意味ではまだちょっと時間が足りないし、力も足りないことがあると思いますけれども、とりあえず個別に起きている現象をできるだけものに即して見るという形の1年半というのは、かなり意味のある検討の時間をお蔭さまで送らせていただいたと思っております。
 ただ、同じやり方というのは、事務局もそうですけれども、委員の中でもちょっと飽きがくるというのは恐らくあるんじゃないか、もういいかげんにしてくれという部分もきっとあると思いますので、とりあえずここで中間報告という形で、今我々の持っている力といいますか、考え方の中で一たんくくらせていただきまして、もちろん問題はもうちょっと深いし幅広いですから、ここから先、委員の皆様には多分おつき合いいただくことになると思いますけれども、少し形を変えてもう少し別の方針でこの検討をさらに深めていきたいと考えております。そういう意味では、前回の今までのを振り返ったこと、あるいはきょう要約案をお示しするということを、完全ではありませんけれども、次につながるということでちょっとお許しいただいて、次以降につなげてまいりたいと思います。
 私はまだ幾つかこの後も会議その他がありまして、残念ながらすぐ退席しなければいけませんけれども、お礼と今後のお願いと、今日の議論をさらにまとめていただくということをお願いしてあいさつにかえたいと思います。よろしくお願いいたします。

○渡辺委員長
 ありがとうございました。 それでは、これから本日の議事に入らせていただきます。自然公園のあり方検討の具体的方向性につきまして、事務局から説明をお願いします。

○国立公園課長
 それでは、資料1の説明に先立ちまして簡単に趣旨説明をと思っておりましたけれども、実は今の局長のあいさつでほぼ本日の検討の趣旨、またまとめの趣旨も尽くされたかと思います。
8回の懇談会と1回の九州への現地視察を終えまして、非常に幅広い課題についてご議論をお願いいたしました。
最初は、始める前から、これは1年では済まない、もっと2年、3年かかる内容だといったご指摘もありましたので、そういう意味ではまだ本当にアウトラインしかなぞれていないのかと思います。
また、これからご説明します中間とりまとめの案につきましても、まだまだ未消化の点が多々あると思っておりますが、まず一旦整理して、次に結びつける課題をまた洗い出すといった気持ちでまとめてみましたので、よろしくご議論のほどをお願いいたしたいと思います。
 それでは、担当の方から資料説明をさせていただきます。

○事務局
 それでは、お手元の資料1の内容につきましてご説明いたします。
 資料1ですが、表紙のところに1から5までの全体の構成が示してございます。このうち、2の自然公園をめぐる現在の社会状況につきましては、今後の検討課題を絞り込むに当たりまして、自然公園本体だけではなくて、その社会的な背景や動向を踏まえるべきであるという考えから、国際的な動向、国内の主な社会動向、それから自然環境に関わりの大きな動きについて、主な事項を概説したものでございます。
また4のところでございますが、これは今後さらに議論を深めていただくというよりは、むしろ行政の側で順次対処していくべきと思われる事項について整理したものです。
最後の5の、特に方向性を具体化すべき課題のところについては、専門家の方々のご意見も賜りながらさらに詰めていく必要があると考える事項を整理したものでございます。
 それでは、本文の説明をさせていただきますけれども、分量がかなり多くなっておりますので、ポイントを絞ってご説明申し上げます。
 1枚めくっていただきまして、「はじめに」というところがございます。(1)の経緯につきましては、懇談会を設置するまでの経緯を簡単に整理したものでございます。また、その下の(2)の今までの懇談会における議論の概要というところは、ハード整備とソフトの面に分けまして、今まで扱いました概要を文章化したものでございます。
今まで懇談会を8回開かせていただきましたが、その期日や議題、ゲストにつきましては、参考資料ということで巻末に載せさせていただいております。
 次の大きな2番ですが、自然公園をめぐる現在の社会状況というところです。国際的な動向としまして、まず地球温暖化対策についてまとめさせていただきました。
-現状につきまして、第1段落、第2段落のところで整理しております。特に自然公園にかかわりのあることといたしまして、下の方にありますが、積雪量の減少によってシカの分布域が拡大しているようなこと、あるいはスキー場の稼働日数が減っているようなこと、そういった目に見える現象について関連事項ということで記述しております。
 1枚めくっていただきまして3ページの方になりますが、生物多様性条約の締約国会議についても触れております。2002年に第6回会議が開かれまして、外来種に関する指針原則が決議されているということ、それから、今年になりますが、第7回会議の中で2010年までに山岳の生物多様性の損失を減少させることを最終目標とする、そういった作業計画が採択されたことについて記述しております。
 その下の[3]の世界自然遺産でありますが、平成5年に我が国では白神山地と屋久島が登録されておりますけれども、一昨年からそれに続く動きがございまして、知床、小笠原諸島、琉球諸島の3地域が世界自然遺産の登録基準に合致する可能性が高い地域ということで選出されました。そういった一連の流れについて触れております。
 [4]の世界公園会議、これは余り知られていない会議でありますが、世界の国立公園や保護地域について動向を知る上で重要な会議となっております。昨年この会議が行われまして、陸地景観と海洋景観が結びついた保護地域のシステムが世界的につくられることなどを行動計画に位置づけております。そういったことについて記述しております。
 次に(2)の国内の主な社会動向ということですが、まず総合規制改革のことについて取り上げております。平成13年12月に第一次答申が出されておりますが、自然公園についても言及がされておりまして、そこに若干書かせていただきましたが、そこで言われたことについては、法律の制定なり改正を通じて実施に移っているという面について記述しております。
 [2]の構造改革特区ですが、次の5ページの方に「自然公園に関するものでは」とございますけれども、権限委譲や許可基準の緩和について、自然公園に対する特区提案というのが幾つかございました。イベントの際の行為とかについて特区制度として特例制度をとっていることなどについて、ここで記述しております。
 3つ目に、地方分権及び地方財政の悪化ということで、一つまとめをしております。近年、住民や地域の視点に立った行政システムに変革させるということを目的にしまして地方分権への取り組みが各方面でされておりますが、そういったことに加えて、景気の悪化などによって地方財政がかなり悪化している。その結果、国立公園の管理のあり方についても関係自治体によって再検討が進んでいるということについて記述しております。
 [4]で観光立国の実現について触れております。我が国の観光立国の基本的なあり方について懇談会の報告書がまとめられておりますけれども、それに沿って行動計画が作成されておりまして、自然公園関係では、6ページの上の方になりますが、国立・国定公園の利用基盤の整備とか、エコツーリズムの推進、あるいはインターネット情報の多言語発信といったことがここで記述されているところであります。
 続く(3)自然環境に関わりの大きな動きということで、まず生物多様性の保全ということを取り上げております。最初に、平成14年に新生物多様性国家戦略が策定されたということについて記述しております。
また、2つ目の段落では、外来生物対策についてということで、審議会答申が出されたこと、それから法律案が今国会に提出されていることについて触れております。それから、一番下の行になりますが、自然再生の動きということで、こちらにつきましても自然再生推進法が施行されるまでの流れについて記述いたしまして、自然公園法においては保護施設の中に自然再生施設というものを位置づけたといったことについて記述しております。
 次の[2]の景観重視の潮流というところであります。自然公園は、自然景観の保護と利用促進を図る制度ですけれども、今までの取り組み内容について触れ、それから公共事業における対応状況についても述べておりますが、その上で、国立公園の担当部局が実施する事業で、自然景観や自然環境への配慮が足りないと批判される例が見られたといったことについて触れております。
 [3]の自然環境の持続的な利用というところでは、エコツーリズムをめぐる動き、それから国立公園内で、利用調整地区制度や風景地保護協定、あるいはグリーンワーカー事業といったことを関連事業としてこの中で紹介させていただいております。
 8ページの下半分のところから、大きな3番として、自然公園制度の経緯と今後の方向性というものをまとめております。(1)で自然公園の過去の経緯と果たしてきた役割ということで整理していますが、[1]の自然公園制度の歴史的な経緯というところは、第7回の懇談会のときに事務局の方から説明申し上げました中身について、次の9ページの終わりのあたりまで、約1ページほどに圧縮した形で記述しております。なお、自然公園の経緯につきましては、年表を参考資料の方にもつけておりますので、後ほどご覧いただければと思います。
 9ページの下のところですが、[2]として、様々な視点からの評価ということで幾つかまとめております。(a)として、風景及び生物多様性の保全といたしまして、これも第7回の懇談会で整理した中身に沿って、風景と生物多様性の保全に関する自然公園の役割ということを記述しております。それに加えまして、ちょうど10ページの真ん中辺のなお書きのところですけれども、自然公園制度によって風景が守られている安心感ですとか、国の宝を有しているという自尊心といったことが制度によって与えられるということ、あるいは世界に向けたショーウィンドー的な意味合いがあるといったことについても記述させていただきました。
 その次の(b)のところですが、野外レクリエーションなど利用の場の提供ということで、これも第7回の懇談会で整理した中身について記述しておりますけれども、次の11ページのところで最後に「このように」と書いていますが、自然公園は、活用されることで環境教育や自然学習の観点から大きな効果を生み出すものである、そして国土や自然を愛する心を育む場として重要であるといったことについて記述しております。
 その次の(c)の多様な評価ポイントというところですが、これは(a)、それから(b)のところに述べました保護と利用の役割のほかに考えられる評価のあり方として、懇談会の場でいただいたご意見を中心に整理したものです。利用者の満足度が把握できる尺度を検討した上で、それに沿った評価をしてはどうか。それから、時代の変遷に応じて評価軸や評価手法の見直しを行ってはどうか。そういった事項を4つほどここに整理させていただいております。
 次の(2)の今後の自然公園の目指すべき方向性というところです。ここの記述は、懇談会でいただいた意見を中心に大きく4つの項目に組み立てをしたものです。[1]の国際的な視点や社会経済動向への配慮というところでは、自然公園制度の今後の方向性を検討するに当たりまして、地球規模の生物多様性確保や世界に向けた日本らしさの演出、そういったグローバルな観点が一つ。それからもう一つは、少子高齢化社会の到来や情報通信網の充実といった社会経済的な流れ、そういったことを踏まえることが必要であるということについて整理しております。
 [2]の保護と利用の重心の置き方、景観の創造、自然再生というところですが、ここでは各自然公園の有する自然環境の特性や社会条件は多様であって、公園ごとにその特性なり発揮すべき役割が異なる。そのために、生物多様性を重視する地域と公園利用を重視する地域を区分してメリハリをつけた管理を行っていくことが必要である。そういった事項について整理しております。
 次に13ページの方には[3]としまして、自然公園の外部や他の公共事業等との関係性と書いておりますけれども、自然公園の管理の充実に対して国民の方々からの理解を深めるためには、公園を保護することによって生じる公園外への恩恵、あるいは公園内に対する予算で公園外に及ぶ効果、そういった公園内外の関係性を分かりやすく伝えていく必要があるだろうといったことについて記述させていただいております。
 その下の[4]の保護管理の体制強化と役割分担というところですが、ここでは国立公園の管理体制、それから普及啓発、調査研究、自然環境データといったソフト関係の予算について一層充実させていく必要がある。それには、国と地方自治体だけではなくて、関係団体や事業者も含めて業務や所要経費の分担のあり方を検討しまして、それに基づいて実施に臨むことが適当と思われるということをここで記述しております。
 14ページから、大きな4番の今後の自然公園制度の運用において留意すべき事項について整理しております。
 (1)の自然公園の保護管理に係る技術・手法というところですが、公園の保護管理において、守るべき核心地域と利用する場所を明瞭に分けて地域に応じたコントロールやインタープリテーションを行うこと。それから、行為規制については、公園ごとの地域特性を的確に反映できる手法を検討すること。利用施設についても、過剰利用の解消に必要な施設量を整備するだけではなく、入り込み者数の制限などによって保護と適正利用の両立を図ること。そういったことについて整理しております。
 (2)の専門家及び地域住民・NPOの意見の反映というところですが、自然性の高い自然公園で事業化する場合に、地域の状況を把握している専門家の意見を事業に反映させるようなシステムを構築すべきとしております。
また、地元調整などのプロセスの明確化、それから従来の公園行政の基本スタンスとのすり合わせといったことにも留意する必要があるとしております。
 15ページの(3)の制度の運用に必要なデータ類の整備、情報提供というところですが、ここでは、公園ごとに関係データや情報を入手し、関係者とともに共有できる仕組みが必要であること。それから、データを集めるに当たっては、戦略をもって収集するように留意することなどについて整理しております。また、地域特有の事情を踏まえた住民の知恵的な情報、それから施設の維持補修等の伝統的な技術といった知識データは、データベース化し全国的に利用可能とすることで一層有意義なものになるのではないかということについて記述しております。
 15ページの下のところから、大きな5番ということで、特に方向性を具体化すべき課題、これからまだちょっと議論が必要な課題ということで、5項目ほどに分けて整理いたしました。
 (1)の役割の多様化を踏まえた制度のあり方というところですが、自然公園の本質を見誤ることなく役割を発揮していくためには、社会の動向に合わせて対症療法的に対処するばかりではなく、10年、20年先を見すえて自然公園の役割を見定め、それに沿った制度のあり方を検討しておくべきであると考えております。そのためには、今までの自然公園制度の経緯、それから最近の社会情勢、多様化する国民の要望、それらに対する自然公園の対処や理想的なあり方といったことを踏まえた上で、今後の制度の方向性について具体化しておく必要性があるとしております。
 (2)の自然景観及び生物多様性の確実な保全を図る計画手法、管理手法及び整備手法というところです。自然公園の風景の保護と利用を着実に行うには、段落の2つ目のところに「具体的に」と書いておりますけれども、公園計画のあり方、管理計画の策定手法の柔軟化といったことについて検討した上で、風景理論の整理も必要と整理しております。また、生物多様性に関しても、当該公園にとって重要な動植物や生態系に配慮した保護規制の充実、特に海域における保護と利用の強化に向けた計画手法、管理手法のあり方について検討が必要と整理しております。さらに、こうした計画論、管理技術論も踏まえつつ、自然公園の特性に応じた各種施設の整備手法、整備技術に関する検討も必要としております。
 (3)ですが、国、地方自治体及び民間の役割分担及び連携のあり方というところです。地方分権の流れの中で、自然公園制度についても、それによる利点・弊害ともに顕在化してきております。
そのために、それらを検証した上で、民間も含めた今後の役割分担及び連携のあり方を整理して、国立、国定、都道府県立自然公園の性格や今後の方向性を踏まえた管理の役割分担、それと自然体験プログラムの展開等における官民の役割分担といったことを検討する必要があるとしております。また、これらの検討に伴って費用負担の問題が生じますので、自然公園の保護管理及び整備に関する費用負担の基本論を押さえた上で、必要な受益者負担及び利用者負担について方向性を出す必要があるとしております。
 (4)の自然体験、整備技術、利用者指導など専門的人材の育成であります。自然公園の管理には、官民の役割分担と連携が求められるわけですが、専門的な技量を要することも非常に多くございます。
人材の育成・確保がどうしても必要になってくるということで、例えば核心地域において専門知識をもって地域との交流を図れる者、あるいはインタープリテーションなどのソフトを利用者に提供する者、そういった人材が今後の自然公園管理に不可欠であるということで、その育成なり運用について方向性を定めて有効な施策を打ち出すとしております。
 最後の(5)ですが、自然公園の価値評価・存在意義の明確化とそのPRということで、自然公園についての理解・認識はまだ十分とは言えないということで、自然公園施策の展開にはPRを幅広く行っていくことが不可欠であります。それには、国内からの来訪者、外国人旅行者、地域住民といった対象に応じた広報の内容、それからその方法について具体的な方向性を定めた上で有効な施策を打ち出していくべきであるとしております。例として、外国人旅行者への里山など日本の風景の魅力の伝え方などを挙げまして、調査研究の必要性についても若干記述しております。
 以上が本文でございます。資料は、その後ろに参考資料ということでつけておりますが、中間整理表、これは今まで各懇談会で整理させていただいたものですが、施策における対応状況につきまして、ちょっと見づらいですけれども、それぞれの中間整理表の中に網かけの形で加筆させていただいております。
 それから、中間整理表の後にA3の横長のものを折り込んでおりますけれども、自然公園制度に係る年表。これは、自然公園制度の流れを中心とした形に再整理したものでございますが、第1回、それから第7回の懇談会に出させていただいたものを修正したものでございます。
 最後に、裏表になっておりますが、懇談会の委員名簿、それから懇談会の経緯についてまとめさせていただきました。
 以上、資料1の説明でございます。

○渡辺委員長
 ありがとうございました。
 大分駆け足でのご説明だったのですが、ただいまの資料1に関して、ご質問、それからさらにご意見がありましたらお伺いしたいと思います。はい、どうぞ。

○栢原委員
 詳しく読ませていただいたわけではないので、失礼な意見になるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。10ページに、様々な視点からの評価の(a)の続きで、中ほど、「なお、こうした直接的な価値に加え、我が国固有の風景が守られているという安心感や、すぐれた風景や貴重な動植物・生態系など世界に誇る国の宝を有している自尊の気持ちを国民に与える効用がある」等々、非常に幅広く見ていただいたのは大変心強く思いますが、それに関連して次のページで、多様な評価のポイントというところで、自然公園の評価をするときに、自然公園を訪れる利用者の満足度と、今度は自然公園の中に限ってしまっているというところが少し残念なところで、もっと幅広く自然公園の価値を評価できるようなことを考えていただいた方がいいのではないか。前半では非常に幅広く見ておられて、後半の実際それを評価するところは限定的というところがちょっと気になりました。以上でございます。

○渡辺委員長
 何か起草した側からお話があれば。

○事務局
 おっしゃる通りでございます。満足度ということについては、懇談会の場では訪れる方の、という話がありましたけれども、確かに前に書いているのは非常に広い範囲で書いておりますので、そういったことも含めて、どういった尺度があるのかということについて検討させていただきたいと思います。

○渡辺委員長
 ほかにいかがでしょうか。はいどうぞ、磯部委員。

○磯部委員
 ちょっと前提的なことなんですが、これまでの経緯は承知しているつもりですけれども、中間まとめをとりまとめるこの文書のねらいというか性格なんですが、もっぱら内々でといいましょうか、環境省内部で今後こういう点を議論していこうという覚えなのか、これを用いて対外的に、これは他省庁などと今後の法律改正だとか予算の獲得などに直接、間接に結びつけて使っていくものなのか、あるいは広く国民に対して、社会に対して自然公園制度へのより深い理解を求めて大いにPRに使っていこうとか、そういうねらいまで持つものなのか、ちょっとその重点の置き方によって、我々がきょう、例えばこの文章表現についてもっと一言一句気を使ってやっていくべきなのか。
 もし、基本的に内側の文書なら、今ここでそんなに神経を使わなくても、今後どうしようかという話に集中すればよろしいのかなと思うので、ちょっとその基本的なところを伺いたいと思います。
 ついでにですが、例えばということで申し上げたいのですけれども、11ページの下から12ページにかけて、(2)今後の自然公園の目指すべき方向性で、[1]とあって、国際的な視点や社会経済動向への配慮。この一節などは、ごった煮的に何でもかんでも入っていまして、間違いはないのですけれども、自然公園制度のあり方を今後考える場合に、国際動向にも社会動向にもいっぱいいろいろ考えなければいけませんねというだけだとすると、ちょっと何か物足りないといいましょうか、いろいろなことが入り過ぎていて、何が大事なのかがかえってよく分からない、ちょっとそういう印象を持つんですが、その先の15ページから16ページにかけまして、大きな5の(1)で、特に16ページの上の方のここで生きてくるんです。
 先ほどごちゃごちゃと書いてあったことが、実はそういうごちゃごちゃに余り短期的に対症療法的に対処するのではなくて、もっと本質的なことをきちんと考えておくべきだという文章として生きてくるので、わかったのですけれども、そうだとすると、本当に本質を見誤ることなくというのだったら、10年、20年どころか、50年、100年だろうと思うのですけれども、ではそれは一体何なのかというあたりがもっとバシッと出ているのならそれなりの迫力はあるんですけれども、本質と書いてあるだけで、確かにまだ議論はそこに及んでいないのかもしれないんですが、このようなことが、最初に申し上げたように、もしこの文書を使って広く社会に訴えていくというものだとすると、もう少し気を使って文章表現した方がよさそうですし、あるいはそうでないということならば、今のは単なる感想にとどめるということになります。

○渡辺委員長
 ありがとうございました。課長、どうぞ。

○国立公園課長
 どうもありがとうございます。まさに磯部先生のおっしゃるようなことを考えながらまとめていかなければいけないなと思っていましたが、結論だけ言いますと、今回、今日のこのまとめの作業というのは、おっしゃった中では1番目の部類。まだあくまでも中間的であり、また検討も形を変えながら続ける必要があって、もちろんこのあり方小委員会の目的は、最終的には2番目なり3番目なり、まさに施策に結びつけ、あるいは社会的な動きを起こしていくということを目指すべきだと思っておりますけれども、現在のところはまだその一里塚のような状況でありまして、まさに今の具体的なご指摘のあったようなところをもうちょっと整理して、まさに的を絞るような話も何度かこの1年間の議論の中でいただいてきたと思うのですが、まだきょうの段階では、そういう的を絞り、あるいはプライオリティーをつけるという一つ前の段階だと思っておりますので、まさに問題点の整理、それから、これからさらに掘り下げるべき課題の列記といった形にさせていただければと思っております。

○渡辺委員長
 ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。

○川名委員
 先ほどの局長のごあいさつの中で、自然公園のあり方は今曲がり角に来たというお話があったと思うんですけれども、今までやってきた自然公園行政のあり方も立派だったと思うんですけれども、今回のこの検討と前のあり方と変わったところは何なんですか。私から見ると、今までやってきたことの強化であり、拡大であり、もっと悪く言うと延長でありという感じがするんですが、何か大きく変えたところが……。
 もちろん、社会的な動向に合わせるなどと書いてありますけれども、今までだって合わせていないことはないんだと思うんですけれども、それを教えていただけますか。

○渡辺委員長
 ありがとうございました。どうぞ。

○国立公園課長
 局長の話したことを私なりに理解しておりますのは、いろいろな形で70年やってきましたと。その70年の間、決して全く同じことだけを一途にやってきたというのではなくて、いろいろな形に状況に合わせて、ある意味ではうまく立ち回ってきたところもあったりして、川名先生がおっしゃってくださったように、いろいろ考えながらやってきたというつもりであります。ただし、これは別の見方をすると、例えば最初は小さかった温泉旅館が、お客が増えたり、お客の動きが変わるのでどんどん建て増しをして、ちゃんと対応してきたと。
 だけれども、その旅館に入ってみると、何か迷路みたいに廊下がくねくね曲がっていて、なかなか目的の部屋にたどり着けないといったことが往々にしてあるわけですけれども、それと同じようなことが我々の行政もちょっと気をつけていないと、ある部分で風景の保護というのをやってみたり、一方、今回生物多様性ということで、もう少し生態系とか野生生物という方にも踏み込んでいったという関係を時々整理していかないと非常に見通しが悪くなるのではないかということで、そこを称して、そういうことをする時期に来たということを曲がり角と言ったんじゃないかなと私は理解しております。ですから、それでは全部今までのものを取っ払って新しく建て直すのか、それともそこまでしなくてももう少し見通しがよくなるようにするのかというあたりは、ちょっと両方考えながら議論していくのかなと考えておりますが。

○川名委員
 では、今までの方向と基本的には同じなんですか。

○国立公園課長
 ですから、方向が幾つもあるのかもしれないんですが、その辺を交通整理して、そういう意味では全く捨てて180度違う方に行くというのではないと考えております。

○渡辺委員長
 ほかにいかがでしょうか。この大きな柱立て、1は「はじめに」、2は現在の社会状況、3が自然公園制度の経緯と今後の方向性。どうでしょうか。今後の方向性、あるいは4、制度運用において留意すべき事項、最後は特に方向性を具体化すべき課題と。後半かなと思いますが。はい、どうぞ。

○速水委員
 先ほど磯部委員がおっしゃられたことと少し関係するんですが、今読ませていただいて、全般的に中の話あるいは中に対しての自分たちの足元をもう一度見つめようという話だと思うんですが、感じとして私は、多分今後国立公園が国民にとってどういうものなのかというよりは、国民が国立公園をどのように扱っていくべきなのか、あるいはどうやって関係していくべきなのかというところを何か今後つけ足すのかなという感じを何となくとらえていたわけです。そこを、今言われた4だとか、5の部分に関して、少しずつそういうものが触れられてはいるなという感じはするんですが、もう少し国民が、トータルな国民がどうするかという話とともに、それぞれ国立公園の中で、例えば管理の問題だとか、いろいろなところで少しずつそういうものが書かれてはいるにしても、もう少し積極的にそういう意識のある人たちを使っていこうというところまで踏み込んだものがあっていいのではないかなと思っております。
 少し異なった例であります。例えば私、個人的に自分で林業経営をしているんですが、もう50年ほど前と比べると驚くほど若い人が、「勤めさせてくれ」とか「研修を受けさせてくれ」と、経営の方がなかなか楽じゃないのでお断りするのがほとんどですが、こんなに言ってくるのかと思うほど、林業に対してお話があるわけです。それを思いますと、国立公園の管理のところをいろいろな形でサポートする仕組みというのをうまくつくれば、多分、人手の問題とか、例えば夏場の問題とか、いろいろな問題が国立公園というのは潜在的にあると思うんです。
 つまり、管理が行き届かないのをどうしようかという話が潜在的にあるような気が僕はするんです。そういうものを解決していくというのは、そういう国民が国立公園に対して何をすべきかというところをいろいろな視点から書き込んでいくと、いろいろな仕組みがもう少し見えてくるのではないかなという気がしました。
 もう一つ、同じような話で、国立公園の厳しさというのは自分の土地ではないというが大半だということで、すごく厳しいところがある。しかし、基本的には国の一論ですが、例えば森林だけにおきましても、民地、市町村あるいは県、あるいは個人という所有が結構あるわけです。
 そういう国立公園内の森林をどうしていくべきかみたいな話というのは、あえて書いてしまわないと、ほとんど意識なく我々は日常的に管理しているわけですが、多分言われれば、それなりのものというのはわかってくるような気がします。その辺、特に森林の問題というのは背景としての問題だとか、この間も長崎を視察したときにも、周辺の森林地というのは手入れされていない。これが10年前ですと、森林は黙っていても手入れされていくんですから、昨今では言わない限り、あるいは政策的に何らかの方針を打っていかない限り、そういう国有林以外の森林というのはまず手入れされていかないととらえておかないといけないと思うんです。その辺は随分変わっていますので、その辺の視点。その二つです。

○渡辺委員長
 ありがとうございました。

○国立公園課長
 今のご指摘のようなお話は、今後の課題として、もう少し突っ込んでいく課題のところで検討の対象にできればと思っております。よろしくお願いいたします。

○渡辺委員長
 はい、瀬田委員。

○瀬田委員
 環境省の人には時々お話をしているんですけれども、審議会の先生にも少し聞いていただきたいなと思うのは、私はある大学の観光学部で、7年くらい観光あるいは環境という話をしてきたんですが、一番初めに「国立公園の名前を書いてみなさい」と言うと、実はほとんど書けないんです。観光学部の人ですら書けないということで、日光とか上高地と書く人もいます。それから、国立公園というと代々木公園と書く人とか、(笑)広島の原爆ドーム、長崎の平和公園と。なぜかと考えたときに、どうもテレビで出てくる、昔であればメーデーは代々木公園発、それから内閣総理大臣が行くところだから広島原爆ドーム、平和公園というふうにどうもなっているところがありました。一番名前が正確に書けるのは、実は釧路湿原という国立公園で、これは地名ではなくて、ある意味では湿原という実体が入っているからだろうと思います。ほかのところは秩父多摩とか、あれは今は甲斐が入りますけれども、富士箱根伊豆とかというふうに地名が羅列されていると、どうしても途中が抜けてしまったりしています。
その典型的なことを一つお話ししたいと思ったのは、初めには秩父多摩と書き、それから中部山岳と書いた学生がいました。それから、28の国立公園のスライドなりいろいろなことをパンフレットをつけたときに、2回目ですけれども、彼は実は伊豆大島の出身なんです。
 そして、伊豆大島は国立公園だと知らなかったと書いたんです。ほかのところの国立公園の名前は幾つか書いていたのに、富士箱根伊豆という国立公園、あるいは伊豆大島が国立公園になっているということを知らない。そして、彼自身は「多分私と同世代の人間は知らないと思います」と書いてあるんです。それは何なんだろうと実は思ったわけですが、一つは、国民一般の人たちが正確に国立公園の名前を知らないという、これは市民感覚と申し上げておきますが、もう一つは地域感覚。少なくとも閉鎖的な島である中で国立公園に三原山などがなっているにもかかわらす、自分のところに国立公園があると思わないという意識というのは、きっと家族の中でもそんな話はないだろう。どうも、「そう言えば、小学校のときに三原山に登ったときに看板があったような気がします」としか思っていないということなんです。
 もう一つ申し上げるならば、これはずっと自然公園のあり方と書いてきているんですが、あるいは自然公園だから、面積は減らさないで、それをまだ拡大する傾向の方がいいんじゃないかと。実は国立公園というものと自然公園というものの意識が非常に混沌としていると、一般の人たちはそう思っているのではないだろうか。私が前から申し上げているのは、国立公園と国定公園、それはその時代の成立、昭和32年の成立、あるいは25年から琵琶湖なり佐渡弥彦なり日田英彦山という3つがふえていくという歴史背景が余りここに書かれていないのではないか。
すなわち、先ほど20年、30年、場合によれば50年、100年と考えるとすると、もっと歴史的な背景を踏み込んで書いた上で、少子高齢化であってもいいですし、都市化の中での国民の自然公園あるいは国立公園の持っている役割、特に国立公園は世界に対してコメントすべき、あるいは責任を持つということが、この前から風力発電の中でもいろいろと私は申し上げたと思いますけれども、自然公園と国立公園の意識の違い。今のところは3つの段階を持っている、国立公園、国定公園、都道府県立公園ですから、環境省が公園というエリアで言えば、それを死守しているとも言えるわけですけれども、そこは少し性格を変えた、ある意味で言えばミニ国立公園ではないものにしていった方がいいのかどうかという議論をしていただければと思います。
なぜならば、もう国立公園に対するフィーバーといいますか熱意は地域には余りなくなって、それを世界遺産というスーパーナショナルパークという面で一時期必死になったわけであります。何となく国立公園というものを降り積もったちりの中から一生懸命はたき出してもう一回世界遺産というものに変えようという地域の意識だとすれば、もう一度国立公園というものを磨き直す必要があるのではないだろうか。そのためには歴史的な背景を見ていただきたい。
 それはなぜかと言えば、幾つかの連名の連記式の公園になった。例えば、大山と隠岐と全く違う2つのものを、地政的といいますか、近距離にあるので大山隠岐という名前をつけ、その中に三瓶山なり島根半島なりという小さなエリアをいろいろとくっつけたというか、拾い上げたわけです。
それと同じようなことは、霧島に対する霧島屋久であり、その間に桜島があったり指宿があったりするというふうにくっつけていった一つの時代、これは国立公園の面積なり国立公園の数を限定するというところを林野庁なりと約束をしてきた時代というのがありましたけれども、そこをもう少し、根源的に考えてみる必要があるのではないかと思います。

○渡辺委員長
 ありがとうございました。何かありますか。

○国立公園課長
 まず前半の方のお話ですけれども、確かに市民的な感覚と地域における感覚で、ちょうど私、実は一昨日ですが、霧島屋久国立公園――霧島国立公園というのは、日本で最初の国立公園に瀬戸内海と雲仙とあわせて3つなったわけですけれども、その70周年の記念式典というのが地元で開かれて行ってまいりました。町長さんなどは日ごろから国立公園を持っている町ということでいろいろ観光施策も含めた形でご尽力されているわけですが、その町長さんからして、今回の記念式典は、必ずしも派手に観光客を集めるということではなくて、地元の方々に集まってもらおう、そして地元の方々もかなりの人は観光業に携わっているのだけれども、ほかに農業の人もいるし、いろいろな仕事をされていて、必ずしも国立公園のことを意識していないんじゃないか、これを取り戻すのが70周年の霧島のポイントだということでそういう式が行われたわけです。確かにおっしゃるとおりでありますし、まずそういう地元でどうやっていくかということがあって、それからもう一つ全国レベルで市民的な話という両方の面で、広報戦略というんですか、我々のサイドからもどのように働きかけていくかというのは大きな課題だと思いますので、今回のレポートではちょっとそういう宿題という形で書かせていただいたつもりでございます。
 それから、歴史的な話のところを踏まえた今後の方向というのは、まさにこれからの自然公園のあり方なり役割の肝になるところですので、瀬田委員のご指摘は、いろいろな意味で我々も感じるところはあるわけですけれども、これもかなり頭を整理して、いろいろなことを考えていかないと、まさに先ほどの建て増しをして、名前が長くなって、区域も広がった国立公園をどうするかといった話なので、重い課題として宿題にさせていただければと思っております。

○渡辺委員長
 ありがとうございました。
 私も自然環境局で仕事をしたことがあるんですけれども、なるべく国立公園の数はふやさない方がいいという申し合わせがあって、無理してくっつけたという経緯は実は初めて聞きました。この70年間の時代の移り変わりというのは、そういう面にもあらわれているのではないか。
 だから、国立公園、国定公園、都道府県立公園という自然公園の体系そのもの、あるいはそれぞれの生態系なり風景なりを保全しながら、より広く皆さんに知ってもらって利用してもらうという立場から、そういう枠組み自体を見直した方がいいという今のご意見は大変貴重ですから、ここに入れ込んでいただいたらと思います。
 それから、冒頭の磯部委員がおっしゃった、これは基本的には内々の整理の資料だということでいいと思いますが、速水委員がおっしゃった国民の立場から、国民の視点、国民に何ができるかという視点、あるいは今の瀬田委員のお話とか、追加すべき視点とか見方とか項目があれば、ぜひこの機会に各委員からご意見を承りたいと思うんです。服部委員。

○服部委員
 私は再三申し上げているので、またかと思われるかもわからないのですけれども、先ほどちょっと川名委員のおっしゃったことに関連するんですけれども、自然公園の発足当時の自然景観ないしは風景地の保護の利用というのが基本ベースにあった。にもかかわらず9ページの上の方に、「原始的景観ないし自然生態系そのものの保護という価値を前面に置いた」という記述が入っている。
これは保護と利用の域を、言葉じりから言うと逸脱しているのではないか。だから、自然公園か、国立公園か、自然環境の保全か、そういうことで今回制度を見直すについて、守備範囲をどのように置くのか。保護と利用を前提とするのか、あるいは保全まで前提にするのか。自然的景観あるいは自然生態系の保護というところまで広げるのか。あるいは、その管理の手法についても、12ページによりますと、下の方の「また」と書いてあるところに、「自然風景と調和した集落景観の美しさや文化的な意義を世界に向けて発信する」ということになると、どういうところをどうするかという守備範囲と、それからその中で行われている自然的環境と人為的環境との範囲も含めて守備範囲をもう少し考えて、それを統括する自然公園の枠組みとは何かというところを押さえてもらっておいた方がいいのではないか。
 私自身は、自然環境保全法よりも自然公園法の方が制度として定着しているというか、あるいは認知度として高いので、こちらの方で自然環境全体をもう少しきちんと枠組みを考えるといったことをここのところで考えてもらえたら良いのではないかなという気がしております。以上です。

○渡辺委員長
 ありがとうございました。 何かありますか。いいですか。

○国立公園課長
 現状認識としましては、まさに風景地の保護と利用という非常に大きな漠とした目的を言っておりますけれども、今までの歴史、指定の実態、管理の内容を見ていくと、まさに原始的な景観から道なり集落を含む景観までを守備範囲として自然公園制度というのは育ってきたというか、できてきたと思っております。
 それを、服部先生ご指摘のように、他の制度との関係をどのように見ていくかということは依然として整理すべき課題として残っていると思いますけれども、逸脱しない範囲で最大限のところをカバーしてきていると思いますので、それを原点として、その中をどのように整理していくかということではないかと私は考えております。

○渡辺委員長 
 ありがとうございました。 ほかに、こういう視点、事項が抜けているのではないかということがあればご指摘いただきたいと思いますが。森本委員、どうぞ。

○森本委員 
 ちょっと小さいことかもしれないんですけれども、今後の自然公園制度の運用において留意すべき事項というので、幾つか保護管理に関する技法とか手法とか、あるいは管理手法、整備手法、それから5番の、特に方向性を具体化すべき課題というので、自然景観及び生物多様性の確実な保全を図る計画手法、管理手法及び整備手法などについて記載があるんですけれども、実はこれまで全然議論がなかったことなんですが、いわゆる生物多様性の保全を考えるときにライトポリューションの問題というのが実はあるということが時々指摘されていまして、特にヨーロッパなどではここ数十年、50年以上かの間の膨大なモニタリングデータによると、昆虫の数も種類も桁桁違いに減っているという話があって、これは非常に広域にわたるライトポリューションであるという話があるんですけれども、自然公園地域の保護を図る手法として、今までは特別区であるとか、改変に関する話であるとか、あるいは景観に関する取り組みというのがそれなりにあったわけですけれども、生物多様性という話になってきたときに、道路の密度がいわゆる原生的な動物相に及ぼす影響であるとか、あるいはライトポリューションの問題とか、新しい問題が出ているというのがあって、そういったことに対する規制であるとか制度が今はうまくない、全然打ってはいないんじゃないかと思っていまして、割合学問的にも、科学的にも新しくわかってきた知見に対して柔軟に対応して、管理手法とか計画手法というものにそういった話を結びつけていく。
ライトポリューションの場合はいろいろな規制であろうかと思いますけれども、道路密度などになってくると、もうちょっと、土地利用計画など、国立公園制度の範囲を出てしまうのかもしれないんですが、いろいろな問題が起こってくるのかと。当面どういうアウトプットが出るかということは別にして、あるいは基礎的な研究というのも必要になるんじゃないかなという印象があります。

○渡辺委員長
 いいですか。
 ほかにいかがでしょうか。はい、どうぞ。

○熊谷委員
 若干広げ過ぎている点で、何人かの委員の方のご意見と全く同じ感じはしております。また、最初のころにも申し上げたかと思うのですが、国立公園が国民にとって、概念としてわからないのも一つなんですが、実体として、例えば我々でさえ自然公園の地域に入ったときに、いつ、どこから国立公園の中に入ったのか、分からない。ましてやここは普通地域なのか特別地域なのかわからない。あるいは特別保護地区なのか。何となく、そう言えば看板があったような気もする。こういった状況ですから、いつ公園外に出たのかもわからない。そういうことがもう少し明確になってこない限り、いくら概念を国民に理解させようとしても、これは無理な話です。実体がわからないのではしようがない。これが一番問題かなと私は思います。
もし実体がわからないのであれば、国立公園などという公園という言葉を変えてしまうとか、そのくらいまであり方としては考えなければいけないと思っています。
 そこで問題は、国立公園法制定時の、明治憲法下での非常に規制の強い、つまり人の土地へ網をかぶせて、私権に制限を加えるということを基本にしてできている公園ということです。すなわち規制を中心にしている公園システムだと思っています。
したがって、今回も規制緩和に対しては一応対応できるのですけれども、普通地域でどのように景観を形成していくかとか、新しく創造していくかということに対しては、よほど抜本的に考え方を変えないと、つまり環境省の中でのものの考え方自体を変えていかない限りうまく対応できないと思っております。例えば、国立公園の中か外かがわかるようにするのであれば、公園内であったら、普通地域であっても集落や、そこの自然の風景をどのようにつくり上げていくかとか、あるいはどのように特徴づけるかというデザインコードみたいなものがあるべきで、それを環境省が示して、それに基づいて公園内の集落とか、あるいは建物なり、森林の手入れなどをきめ細かくやる必要がある。逆にそれができれば、だれが見ても、ここからは国立公園で、非常に手厚く風景なり環境をきちんと誘導しているということになろうと思います。
その手がかりの一つが多分、現在の自然再生になると思います。再生事業というのは、そこが国立公園の中であるとか特別な地域であるから再生しているということですから、そうすれば、再生されている部分は国立公園だという認識ができますし、同じように、公園の中はそれなりに、ただ規制をかけるだけではなくて、どういう形へ持っていくかという指針なりコードを絶対つくらないと、多分今後もうまくいかないと思います。
 国土交通省、昔の建設省は、町中でいろいろやってきましたけれども、今、環境省側の自然までテリトリーを広げようとしています。ですから、それに対して環境省は、もう少しはっきりと自然環境での扱いを提案していく。規制官庁から事業官庁に、ある程度そういう権限をもう少ししっかりと環境省自体が身につけて、かつて公共事業化した自然公園事業をもう少し予算を増やしていくとか、そういうことをしないと、いつまでたっても同じことの繰り返しになるんじゃないかなという気がしております。以上でございます。

○渡辺委員長
 ありがとうございました。
 ちょっと中途半端ではありますけれども、まだ議題の2番目が残っておりますので、こうさせていただきたいんです。今日いろいろご意見があって、なお十分お述べいただけなかった部分、それから欠席委員もいらっしゃいますので、この原案をお送りして、それについてのご意見を、4月9日というと10日ほどありますから、4月9日までに皆さんからご意見をちょうだいして、それをもとにこの中間取りまとめの案を修文したいと思います。
これは、あくまでも内部用の資料だという前提で修文をさせていただきたい。皆さんの今日のご意見、それから後ほどメモでお出しいただくご意見をこの案に反映させる。それに当たりましては、大変恐縮ですけれども、事務局と私にお任せいただければありがたいと思います。そんな方法でまとめてよろしゅうございますか。
(異議なし)

○渡辺委員長
 ありがとうございます。それでは、そのように処理させていただきまして、次の関連法制度の動向についてのご報告を事務局からお願いしたいと思います。どうぞ。

○生物多様性企画官
 それでは、外来生物法案を担当しております上杉と申しますが、私の方から説明したいと思います。
 資料2-(1)と2-(2)の冊子を2部ご用意させていただいておりますが、まず審議会からいただいた答申の方から簡単にご説明したいと思います。資料の真ん中ほどにカラーページがございますが、それの次に21ページに、「外来種対策に係る検討の背景」ということで、経緯を簡単にまとめた紙がございます。まずこれをご覧いただければと思います。21ページになります。
 外来種の問題につきましては、国際的にももちろん問題視されておりまして、生物多様性条約の中におきましても、こういう生態系等に脅威になるような外来種について、ちゃんと対処しましょうということが位置づけされております。国際的に見ますと、この生物多様性条約の具体的な中身につきましては条約上は明らかにされておりませんで、この扱い方について締約国会議の方で議論がされてきた経緯がございます。それで、平成12年5月の第5回締約国会議では中間指針原則、それから平成14年4月の第6回締約国会議で指針原則ということで、法的に言えば拘束力のあるものではございませんが、対処すべき考え方について国際的にも一定の方向性が示されているという形になってございます。
 国内での動きでございますが、右側の一番上に総合規制改革会議というのがございます。これは、むしろ規制緩和をどうしようかという方が中心の会議でございますけれども、外来種の問題については、社会的に見てもしっかりしたルールがない分野であるということで、制度化をきちんと考えるべき分野という位置づけがここでなされております。さらに、左側の2番目の欄になりますけれども、平成14年3月の新・生物多様性国家戦略におきましても、生物多様性保全上、外来種の問題は生物多様性保全上に与える3つの危機のうちの一つである、第三の危機であるという位置づけがなされておりまして、そういう問題にしっかり対処していこうということが決定されております。
 こういう国内外における流れを受けまして、昨年の1月に中央環境審議会の野生生物部会に移入種対策小委員会が設置されまして、昨年1年間議論がなされてまいりました。それで、昨年12月に審議会の方から「移入種対策に関する措置の在り方について」答申をいただいたという流れになってございます。
 次のページを見ていただきますと、答申の概要イメージという1枚の図がございます。外来種による被害の顕在化ということでございまして、例えば沖縄ですとか奄美大島にハブの退治ということで導入されましたマングースが、実はハブを余り食べずに、むしろそこにいる在来の希少な野生動物を捕食してしまっている。そういう意味では、絶滅の恐れを増してしまっている。
そういう問題が顕在化してきている。あるいは、例えば北海道などが中心でございますが、ペット利用として導入されたアライグマが野外に放たれてしまって農林水産業に被害を出しているという問題。あるいは、これも同じようにペットで、一つの例としてはカミツキガメというカメが、外見からも凶暴なイメージなんですけれども、下手をすると指が食いちぎられてしまうかもしれない、そういう人の生命・身体にも影響を及ぼすような問題があるという具体的な問題点がいろいろ挙げられてきているという状況にございます。
 こういうことを踏まえまして、審議会の答申では、措置の基本的考え方として大きく3つの観点が言われてございます。1つは侵入の予防ということ、2つ目が早期発見・早期対応ということ、3つ目が防除(影響緩和)ということでございます。侵入の予防は、水際できちんと、入ってくるのを抑えよう、あるいは野外に移出することを抑えようということでございますし、もしも出てしまった場合には、早目に対処することが最も効果的な対処方針であるということ。それから、既に野外へ出てしまっているものがいますので、それについてはちゃんと影響を抑えるような措置をとっていくといった中身でございます。
 侵入の予防を具体的に図るためには、悪影響を及ぼすようなものなのかどうかという判定をする仕組みをしっかりと整備していくこと。それから、水際で輸入制限ということで、ちゃんと規制をかけていくこと。あるいは国内でいろいろな利用をするに当たって適正な管理が行われるようにしていくことといった中身が位置づけられております。
 また、早期発見・早期対応といたしましては、しっかりと調査し、問題が生じた場合は緊急的に出ていけるようにするということ。それから防除については、計画をつくって、関係者が集まってきちんと実施していく体制づくりをしていくことが重要であるということが位置付けられております。
 また、一番下に枠がございまして、国立公園など固有種が多く生息する地域における特別な管理ということが位置づけられております。これは、水際でなるべく防ぐわけでございますが、国内で見れば、生物再生保全上重要な地域というところについては、国立公園等と重なる部分が多いわけでございまして、そこについてはきちんとした管理ができるようなことを考えていかなければいけないということが位置づけられております。
 以上が答申の概要でございます。
 続きまして、資料2-(2)の方に移りまして、今のような答申を踏まえまして、政府の方で「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律案」ということで、この3月9日に閣議決定いたしまして、10日に国会の方に提出した法律案でございます。
 付せんの張ってあるページを見ていただきますと、右側の方のページでございますが、「法律案の概要」という1枚紙がございます。まず、法律の目的でございます。この目的の枠の真ん中の行の最後の方からちょっと見ていただければと思いますが、「特定外来生物による生態系、人の生命若しくは身体又は農林水産業に係る被害を防止する」ということでありまして、先ほどの答申でもございましたように、被害が及ぶのは大きく3つの視点があるということで、その3つの視点、生態系、人の生命・身体、農林水産業の観点から対処すべきものをきちんと管理していこうということでございます。
 まず、全体的にどういう施策をとっていくかということにつきましては、特定外来生物被害防止基本方針というものを閣議決定いたしまして明らかにするということにしております。その上で、大きく縦に3つ分かれているかと思いますけれども、先ほどの3つの視点での被害を及ぼすような外来の生物につきましては、特定外来生物ということで政令で指定いたしまして規制対象にしていくということにしております。具体的な規制の中身でございますけれども、一番左の欄の真ん中でございますが、飼養、栽培、保管又は運搬については、主務大臣の許可を受けた場合以外は禁止になるということが1点でございます。それから、輸入できる者は許可を受けた者だけということでございます。それから、実際にちゃんとした許可を受けて管理がされているかどうということが追跡して確認できるようにという趣旨で、個体識別措置等を講じるような義務を課すということにしております。それから、被害が起こる場合というのは、野外に放たれてしまった場合であるということになりますので、野外へ放すこと等について禁止するという形での規制がかかってまいるわけでございます。
 その下の欄でございますけれども、実際にマングースの例にございますように、既に野外に出て被害を及ぼしてしまっているものがございます。そういう特定外来生物に当たるようなものについては、国のほか、地方公共団体、あるいはそのほかの民間の団体の方などの参加も得つつ、具体的に防除を実施していく。捕獲したりして取ってしまうということをやりますけれども、そういった体制づくりをしていくような枠組みが定められているということでございます。
 真ん中の欄でございますが、未判定外来生物というものがございます。これは、国内にはまだ入ってきていなくて、どういうものかよくわからないんだけれども、生態系等に係る被害を及ぼす疑いがあるというものが非常にたくさんあるわけでございまして、そういうものについて未判定外来生物という指定をいたしまして、新たに輸入しようとする人がいた場合には、届け出をしていただきまして、主務大臣の方で特定外来生物に該当するかしないかという判定をするという仕組みをつくってございます。判定が終わるまでの間は輸入を制限し、問題がある生物ということになりますと、特定外来生物に指定し、結局輸入制限をかけていくという形になっております。問題がないという判定をされれば、特に規制されないものという位置づけになるという中身になってございます。
 このほか、どういう種であるかという判定については、税関の方でチェックをするということになりますので、特定外来生物の種名等について証明書を添付していただく、あるいは調査研究の充実とか、普及啓発などの条項をつけているという中身でございます。
 以上が法律案の概要でございます。

○渡辺委員長
 景観法はいいですか。

○国立公園課長
 では、一旦ここでちょっとやっていただいてからにさせていただきます。

○渡辺委員長
 ただいまの移入種対策関係、新しい法案が3月10日に出たそうですけれども、ただいまの説明に対してご意見、ご質問があればお願いいたします。お願いします、森本委員。

○森本委員
 2つあるんですけれども、1つは、言葉の使い方を私たちはこれからどうしていったらいいかということで、最初は「移入種」ということで私たちは理解していたんですけれども、何か「外来種」に変わってしまったみたいで、僕としては不満なんでけれども、「移入種」を使ってはいけないのかどうかということと、それから「帰化種」という言葉はもう使わない方がいいのか、その辺、関係省としてのご見解を聞きたいというのが一つあります。
 もう一つは、植物とか動物とかのリストがございますね。これに関しては、これは未定稿と考えていいのか。とりあえずこれで、これからもっと調べて一応充実するというのか、特に僕などは緑化工学会で常に聞かれるんです、この植物を使っていいんですか、悪いんですかと。毎週のようにそういう話が来たりするんです。そのときに答え方が難しいんです。
 まず、緑化工学会としては一応ガイドラインを出していまして、使う場所によって気をつけなさいということで、特別地域ならもう一切使うなという指導はしているんですけれども、そういったことに関して、植物種に関するデータベースといったものをつくっていく方向にあるのかどうか、この辺をちょっとお聞かせください。

○渡辺委員長
 お願いします。

○生物多様性企画官
 まず、最初の用語の点でございます。これは、実は審議会の答申名も「移入種対策」ということで、言葉としては「移入種」を使ってございますが、審議会の小委員会の中で実は用語について議論が相当ございました。これは、この答申の資料の3ページの「問題に係る基本認識」というところで、その議論の結果が実はここにまとまって書いてあるわけでございますが、結局、「移入種」という用語ではなくて、この答申の本文の中身では全部「外来種」という用語を使うように整理するということに審議会ではなっております。
その趣旨でございますけれども、生物学用語上、「移入」という言葉自体が、自分で動いて入ってくるようなものも入ってしまうのではないか。その意味では、あくまでも人為的にもたらす問題点というものを対処すべき事柄とすれば、「外来種」という言葉を使いましょうという趣旨でございまして、ただし「外来」という用語ではあるけれども、外国からだけではなくて、言葉としては国内の違うところから入ってくるようなものも含めて使いましょうという整理がなされております。そういう意味では、法案の方も「外来生物」ということで、「移入」という言葉は使っておりません。ただ、法律の方は、なかなか国内の移動を見るのが難しい、規制区域と実際に分布しているところをどう仕分けしていくかという意味で非常に難しい部分があるものですから、実際上は海外から来るものだけを法案は対象にしているという関係になっております。
 特に、緑化工学会の方とは何度か意見交換をさせていただいておりまして、例えば緑化材で使っているようなものをどう扱うかについては、法律上規制になる・ならないという指定をしていかなければいけませんので、本当にそういう必要性があるものについては指定していくということになるわけですが、現実にいろいろ使う際に問題がありそうなものについて、なるべくいろいろ配慮していただくということについては、ぜひやっていただけないかなという点と、例えば種子の供給体制みたいなことについて、現実的な問題点がいろいろあるのではないかという話を実際にさせていただいておりまして、例えば造園学会の中でも検討を深める動きが今出ているということで、我々としてはそういう動きをフォローしていきたいと思っています。
 それで、リストにつきましては、答申の資料集の後ろの方に少しリストアップしたものを載せてございますけれども、これはまだ当然暫定的なものでございまして、これから我々としても具体的な外来生物のリスト化についてはしっかりやっていきたいと思っております。

○渡辺委員長
 ほかに。どうぞ、磯部委員。

○磯部委員
 法律学の観点から見てもなかなか興味深い部分が幾つかあって、これは法制局協議などは順調だったのかどうだったのか、伺いたい気がしますけれども、新しく判定という制度ですが、この判定というものの法的性格は何なのか。禁止の解除なのか、単なる認識の表示なのか、そういう議論はまた後で専門的な業界でやればいいかと思うんですけれども、判定を大臣がするのですが、その手続といいましょうか、十分にリーズナブルな情報に基づいて判定しているのかというあたりに関しては、法律条文上は何もないようですけれども、どんなことをお考えなのかということをちょっと伺いたい。
 ついでにもう一つ。戻りますが、4条、5条ですが、これは飼養は禁止されるとして、学術研究目的以外の主務省令で定める飼養というのは、例えばどんなことがあるのか。とりあえず、その2点だけ教えてください。

○渡辺委員長
 どうぞ。

○生物多様性企画官
 一つ法的な性格の点につきましても法制局の見解ということで少しお話しさせていただきますと、あくまでもこの法律上の目的、ターゲットは特定外来生物という被害を及ぼすものである。これについてきちんと管理しないといけないというのが法律の一番の効果でございます。
未判定外来生物につきましては、むしろそういう特定外来生物に当たるかどうかについて判定するということでありますので、むしろ6カ月間という期間の間に該当するかどうかを主務大臣として判定するという趣旨であります。そういう意味で言いますと、法制局の方から見ますと、むしろそこ自体は規制というよりは留保しているに過ぎないと。本来は、全知全能で全部わかっていれば、そもそもこの程度は要らないはずで、特定外来生物だけリストアップすれば済むはずだろうというのが法制局の考え方ということでございます。
 判定のプロセスでございますが、第2条の3項に、特定外来生物を制定するに当たっての立案について書いてございまして、「生物の性質に関し専門の学識経験を有する者の意見を聴かなければならない」ということで、行政側で一方的に決めるのではなくて、あくまでも専門的知見に基づいて指定していくという位置付けになっております。これは、先ほどの未判定外来生物も同様に、指定するのであれば、こういう専門家の意見を聴かなければいけないということになります。
 それから、第5条の第1項、「学術研究の目的その他主務省令で定める目的」の中でございますけれども、例えば、ここで位置付けられる中身としましては、動物園で行っている展示のような、教育目的のようなものが一応想定されているということでございます。

○渡辺委員長
 よろしゅうございますか。
 ほかにいかがでしょうか。
 それでは続いて、景観法案と自然公園との関わりについて、お願いいたします。

○事務局
 それでは続きまして、資料2-(3)にございます景観法につきまして、法案の概要についてご説明させていただきます。
 本法律案でございますけれども、我が国の都市・農山漁村等における良好な景観の形成を図るために、良好な景観の形成に関する基本理念及び国等の責務を定め、景観計画の策定、景観計画区域及び景観地区等における良好な景観の形成のための規制誘導、あるいは景観整備機構といったものの支援の仕組みを持っている法案でございます。
 環境省としては、良好な環境の創出・保全を通じて良好な景観の形成に貢献するため、国土交通省、農林水産省との共同で法案を策定いたしまして、今国会に提出しているところでございます。実は国交省が中心になって法案を策定したものでございますけれども、昨年末に国交省の方からご相談を受けた経緯がございます。時間もなかったのでございますけれども、急遽検討したわけでございますが、景観法案自体が国土全域を対象としているということから、国立公園や国定公園と関連するということは十分想定されるという認識のもとで、積極的に自然公園行政との連携・協力に関する規定を定めようと考えた結果でございます。
 景観法案の提出の背景について簡単にご説明いたしますと、近年、景観に関する意識が高まりを見せておりまして、現在500近い地方公共団体が自主条例として景観条例等を定めているようであります。しかしながら、良好な景観の整備・保全に関する国民の共通の理解が十分にないということですとか、既存のそういった自主条例に法的な裏づけが十分にないということから、規制的な手法にも限界があったということでございます。このため、景観に関する基本理念、国民・事業者・行政の責務を定めて、良好な景観形成のための規制ですとか、支援措置等の仕組みを創設したものでございます。
 環境省としては、従来より自然公園を中心にいたしまして自然景観の保護と適正な利用の推進に努めてきているところでございますけれども、景観法に基づく施策に関係省庁として連携いたしまして、より一層良好な景観の形成に貢献したいと考えたところでございます。
 景観法案の概要につきまして簡単にご説明いたしますと、法制定の意義といたしましては、次の3つがございます。1つは、繰り返しになりますけれども、景観を整備・保全するための基本理念の明確化というところがございます。この基本理念の中には、良好な景観は、美しく風格のある国土の形成と潤いのある豊かな生活環境の創造に不可欠で、国民共通の資産であり、現在及び将来の国民がその景観を享受できるよう、その整備・保全が行われる必要があるといったことですとか、あるいは良好な景観というものは、そもそも地域の自然、歴史、文化などと人々の生活、経済活動との調和により形成されるものであり、適正な制限のもとにこれらが調和した土地利用が必要であるといったことですとか、あるいは地域の固有の特性と密接に関連するものといったことから、地域住民の意向を踏まえて、それぞれの地域の個性及び特性の伸長に資するよう、多様な形成が必要といったことが基本理念として定められております。
 国あるいは地方公共団体等の責務といたしましては、国は、例えば良好な景観の形成に関する政策を総合的に策定する、あるいは良好な景観の形成に関する啓発及び知識の普及等を通じて国民の理解を深める。一方、地方公共団体は、この法案におきましては主体的な役割を果たすことになりまして、良好な景観の形成に即し、国との役割分担を踏まえながら、自然的・社会的諸条件に応じた施策を実際に策定していくといったことが挙げられております。ポイントの3つ目といたしましては、まさに法案の骨格になります景観形成のための行為規制、支援措置等の仕組みの創設ということになっております。
 具体的に規制誘導等の仕組みがどのようなものになっているかということでございますが、大きな仕組みといたしまして、市町村等による景観計画の策定ということがございます。この法案におきましては、市町村または都道府県が景観行政団体として景観計画を策定することになります。景観計画では、良好な景観を形成する必要がある地域を景観計画区域として指定いたします。景観計画区域内においては、良好な景観形成のための手段として、最も緩やかな規制誘導措置としては届出・勧告を基本とする形になっておりますが、そういったもの、あるいは公共施設等の整備における景観形成への配慮、あるいは関連法での特例措置などが規定されてございます。また、法文上、景観計画は、環境基本法に基づく環境基本計画などとの調和ですとか、自然公園に関係する場合には、自然公園法に基づく公園計画への適合が求められることになってございます。
 規制誘導措置につきましては、先ほども申し上げましたけれども、例えば建築物の増改築等に対して届出・勧告による緩やかな規制誘導が基本になってございます。その他、景観計画区域内に景観上重要な建造物や樹木を景観重要建造物や景観重要樹木として指定しまして、行為規制により積極的に保全するということも可能になってございます。あるいは、より積極的に景観の形成を図る地区につきましては、景観計画区域内に限らず、都市計画に景観地区というものを定めまして、建築物等の建築を許可制にするということも可能になってございます。
 公共事業の実施における配慮といたしましては、景観計画区域内の道路とか河川あるいは都市公園といった公共施設を景観重要公共施設として位置づけまして、景観計画に規定される景観形成の整備方針に沿って整備するということが求められることになります。
 関連法での特例措置といたしましては、同様に道路法とか河川法など景観重要公共施設に関する許可基準の他に、国立・国定公園が重複する場合には、自然公園法における行為許可についても、景観計画に定められます規制誘導の基準を自然公園法の許可基準に取り込んでいくことにより連携強化するといった特例措置を設けております。
 続きまして、景観協議会あるいは景観整備機構といったことに若干触れさせていただきたいと思います。景観協議会と申しますのは、景観計画区域の良好な景観形成のために必要な協議を行う場ということで、景観行政団体や景観重要公共施設の管理者、あるいは地元の関係機関、住民など、行政と住民が共同して協議会を組織し、取り組みを推進しようということがございます。
 景観整備機構については、先ほどご説明いたしましたけれども、景観重要建造物といったものの管理や土地の取得などを行って、NPO法人等による景観形成の取り組みへの参加を促進するということでございます。あるいは、景観計画のための届出・勧告といったものとか、そこまではやらないまでも、景観計画区域内に景観協定といったものを土地の所有者などと地元の住民の間で合意いたしまして、建築物のデザインに関する基準など、より緩やかなルールづくりを進めていくといった仕組みも用意されてございます。
 資料の2ページ目、3ページ目に景観法案と自然公園法との関わりを簡単に記述させていただいております。自然公園の場合は、ご承知のように、温泉地など、自然公園法に基づく集団施設地区といった利用拠点ですとか、あるいは公園の中に集落地を中心に、自然公園区域に重複して景観計画区域が指定されることが想定されるわけでございます。
自然公園は、自然風景地の保護を目的とした制度でありますけれども、そういった場所が非常に重要な利用拠点であるとか、自然の風景と調和した集落景観をつくっていく必要があると環境省としても判断いたしまして、先ほど、従来から申し上げておりますような自然公園と連携・協力が図られるように、法案上、措置をしてございます。
 この法案自体は今国会に提出されておりまして、今後の審議を経まして、16年度の早い時期、5月ごろと伺っておりますけれども、制定される見込みでございます。法施行後は、国立・国定公園の利用拠点や集落地等を中心に景観計画が作成されるということが想定されますので、自然公園法に基づく公園整備や建築物等の許可に際して、公園管理者、国立公園の場合は環境省、国定公園の場合は都道府県ということになりますが、連携・協力を図ってまいりたいと考えております。
また、こういう自然公園内における連携・協力に係る具体的な措置のあり方を検討するために、この法案の提出に際して、景観形成事業推進費というのが国土交通省の方で予算要求されております。そういったものを要望しながら、具体的に連携・協力の形というものを検討していきたいと考えてございます。
 簡単でございますが、説明を終わらせていただきます。

○渡辺委員長
 ただいまの説明について、ご質問、ご意見があればどうぞ。はい、どうぞ。

○磯部委員
 これも大変興味深い法律ですが、形式的なことですと、国土交通省所管の法律なんですか、それとも環境省も共同所管なんですか。

○事務局
 国土交通省、農林水産省、それから環境省の共同所管になります。

○磯部委員
 それで、とりあえず重複する場合などのことは分かったのですけれども、もっと景観というものがいわば全国的に法律上の利益として正面から承認されて、それは都市的な景観もあるだろうし、自然的な景観もあると。その点は、非常に一般的に景観というものが確立する契機になり得ると考えていいんでしょうね。極めて狭い意味での有名なスポット的な景観の保護だけにしか使えないのか、もっと広く使えるのかと考えた場合に、かなり広く運用されていく可能性があると考えてよろしいんだろうと。
 そうした場合、この景観協議会の仕組みだとか、協定方式を多用するとか、そのような仕組みはほぼ我々が考えようとしている自然公園の今後の新しいあり方などとも非常に重なってくる考え方だと思いますので、そういう意味で歩調はぴったり合っていると考えていいのか、若干微妙なずれがあったりすると、今後やりにくいこともあり得るかなと思いまして、その辺の感触をちょっと、微妙な質問ですけれども。

○国立公園課長
 それでは、微妙だということでございますので、私の方からお答えします。
まず最初の方、この法律で言っている景観というのはどの範囲なのかということなんですが、その辺、これは非常に面白くて、良好な景観というのが法目的に明記されているんですけれども、何が良好な景観かとは一つも書いていないし、主務省庁サイドでの議論の中でも、あえて決める必要はないと。なぜならば、これはまさに先ほど500の自治体が景観条例というものをそれぞれ違ういろいろな思惑でもってつくっていると。それの下支えをする法律でもあって、まさにボトムアップ型なんです。それを決めていくのは、すべて実際の景観計画の中でそこの景観の良好な景観を決めていくとか、この景観協議会というところで議論していくとかという仕組みになっているので、そういう意味では非常に幅広く使えるのではないかという感じがいたしております。
 第2点として、まさにそれではそれに対して自然公園法、国立公園の世界がどう対応するかということで、きっかけからいきますとやや受け身というか、国交省が先に提案してきたという形でしたから、私どもから仕掛けたというところには至っておりませんでしたけれども、そこについては、まさに磯部委員ご指摘のように、2つの面があります。これを大いに使って我々が今までここでご議論いただいたようなことも実現していけるのではないかというのが一つ。
 もう一つは、さはさりとて、自然公園、国立公園として昔から風景・景観をいろいろな規制や事業でやってきた。それと、異物が入ってきてコンフリクトが起きるのではないかという心配と両方ありまして、これもかなり議論しましたが、結論からいきますと、今やこういう地方の時代であり、地元地域があっての国立公園ということを考えると、乗った方がいいだろうといった話になりまして、むしろ、うまくこれを使っていけば、今までの国立公園行政で足りなかったところを地域との協力で補っていく、あるいはよりよくしていくということもあります。
 それから、マイナス面の懸念につきましては、いろいろな協議制度、あるいはこの協議会等の調整のメカニズムを持っておりますから、そこの中でむしろ十分地元と議論していけばいいではないかということで、私どもも大いに乗っていこうということにした経緯がございます。

○渡辺委員長
 ありがとうございました。
 どうぞ、立花委員。

○立花委員
 全然具体的なイメージがわかない法案なんですけれども、建築基準法ですとか、いろいろな建築にかかわる法律は、大体単体規定で、かなり明快な部分を持っていると思うんです。例えば総合設計制度ですとか、多少その地域と単体の建設にかかわる問題というのも今大変批判を浴びながら進行していますけれども、ある意味では景観上とんでもないものが法律上認められているというケースも多々あるわけです。ここでの議論からは外れるのかもしれませんけれども、どうすればこの法案が実効力を持って、今500余りの各自治体、部分的にもいろいろな景観条例あるいは街づくりに関しての自主的なものはたくさんあるわけですけれども、それを超える力の何を期待して、どうしてこれをつくることが今出てくるのかというところをぜひもう少し知りたいと思いましたのと、具体的な条文がないので全くわからないのですが、それができているのでしたら、ぜひとも勉強してみたいと思います。

○渡辺委員長
 お答えの前に、ぜひ外来生物と同じように法案の参考資料があれば、後ほどで結構ですから。

○国立公園課長
 そうですね。失礼しました。お配りします。

○渡辺委員長
 では、どうぞお答えをお願いいたします。

○事務局
 具体的などこかの事例というのは今のところ持ち合わせていないのですが、先ほど500の条例があるということで、当面は、国土交通省の方から聞いておりますのは、そういった条例に法律上の根拠がない、薄いということで、強く指導ができないという弊害もあると聞いております。そういったことの裏づけとなるといいますか、そういったことで一つ法律を定めたと。必要があれば勧告などもしていくといったことがこの法律ではできるということがあると思います。
具体的には、まだ法案ができた段階で、今後政令ですとか、施行規則とか、そういったことを定めた段階で詳細がわかってくると思うんですが、例えば自然公園の場合には、建築物の高さなどを定めるわけですけれども、そういった自然公園からいいますと建物の一つ一つを13メートルという高さで判断してきているわけですが、そこを町全体として、場合によっては13メートルということにこだわらず、基準を緩めるという形で、むしろ町並み全体を統一していく。そういった計画が定められた場合には、自然公園の基準に取り込んでいくといったことで、地域が主体的に、あるいは環境省との協議の上で具体的な計画が定められれば、現在の自然公園法の運用も柔軟に対応していくということが、我が方の立場から言えば考えられるというところでございます。

○立花委員
 景観規制ですとか、景観を考えた上での法律上の一番難しい点は、今言われたような高さ制限13メートルというのはある意味で形態規制になると思うんですけれども、形態規制をしたからといっていい景観ができるわけではないというのはもう既によくみんなが承知していて、単純にはなかなかいかないということがいっぱいあるかと思うんです。しかも、それは先ほど来、今日の最初のあり方懇談会でもそうなんですけれども、問題は人が生きるという状態に対しての根本的な発想の矛盾の争点を突かれているところにあるということを、なかなか解決の糸口は難しいですけれども、今私たちは突きつけられているんだという気がしております。
ですから、東洋的発想といいますか、日本の風土をどうやって守っていくのかという問題と、もう既に人の生活は制度的な利便性に満ち満ちておりますから、これを手放すことはできないということの一つ一つの具体的なところでぶつかるわけです。それの一つ具体的な問題というのが景観の上にリアルにあらわれてくる問題で、色彩一つ取り上げても、何かの色を決めればいいとか、モードをつくればいいとかという問題ではないわけです。
ちょうど日本語、標準語をつくり、あるいは地方それぞれに固有の言葉を持っているのと同様に、それぞれの土地の文化をどういい状態に維持していけるように国家的にサポートできるかということが最も大事だと思うんですけれども、この景観法案がその力になっているであろうということをぜひ期待したいと思います。
○渡辺委員長
 ありがとうございました。
 はい、どうぞ。

○国立公園課長
 まさに、おっしゃるような話だと思います。これは国交省が最初に考えたと言いましたけれども、それに農水省が加わり、環境省も加わったと。
 そういう意味では、この地域の目線で共同してやりましょうと。それぞれの持っている別々の公共事業も、そこの景観計画に合わせていろいろなことをやっていく。ただし、まさにそれをどのようにするかというのは、先生がおっしゃるように一番難しい、色にしても、形にしても、大きさにしても難しいことなので、そこは地域で十分議論して決めましょうと。その議論が整った場合には、例えば今まで国立公園だったら全国一斉に13メートルとかやっていたのを、そこの地域の特例をつくりましょうといった話ですので、その成果がどのように出てくるかはまた見ていかなければいけないと思うんですけれども、ちょっとおもしろいそういう新しい仕組みではないかと思っております。

○渡辺委員長
 それでは、もう1項目残っております、先ほど中間とりまとめについてご議論をいただきました。またメモをいただいた後で整理させていただくのですけれども、これから先は、冒頭の局長のご挨拶にありましたように、今までのような懇談会という形と少し変わった形で、残された課題について特化した専門的な議論を重ねていったらどうかと思っております。その辺のことにつきまして、事務局の方から説明をお願いします。

○国立公園課長
 それでは、最後に資料3という1枚のペーパーをつけさせていただきました。今、委員長の方からも全体の総括的なコメントをいただきましたし、冒頭に自然環境局長の方からも申し上げました。
また、先ほどの議題1のご議論の中で、今回は一応中間のとりまとめということにしますけれども、それはあくまでも検討過程の一つのメモランダムのようなものであると。それを受けて、これからの進め方ということでご提案をさせていただきたいと思っております。
 今回のとりまとめの中では、特に方向性を具体化すべき課題、これは5項目ほどありましたが、今後とも専門的なお立場からの議論を少し重ねていただいて、我々も勉強していきたいと思うんでございますけれども、それを例えばまた3つぐらいに大ぐくりをすると。ただ、大ぐくりした場合に、これも再三ご指摘をいただいているように、往々にして総花的になりがちなものですから、そのあたり、少し我々としましても、またご意見をいただいて、本当に掘り下げるべき課題を絞り込んでいく作業が必要だと思うんですが、例えばここに書いてある(1)~(3)のようなくくりの中でまた絞っていったらどうかと考えているわけでございます。
 それから、検討方法ということで、真ん中から下の方に書いてありますが、この小委員会の下に懇談会という形をつくっていただいたわけですけれども、おかげさまで8回の懇談会を通じて非常に活発かつ自由にご議論いただいたという成果があったと思いますので、枠組みとしては引き続き懇談会形式でやっていきたいということが1点でございます。
ただ、より問題点を絞って検討するということになりますと、ある程度ワーキンググループ的に小グループにしてやった方がいいんじゃないかということから、分科会の設置ということを考えたいと思います。
さらに、その場合に、この懇談会、小委員会の委員の先生方に加えまして、もし必要があれば、それぞれのテーマに詳しい専門家の先生も加わっていただく形で、例えば1つのグループ数人ぐらいということでやったらどうかということでございます。ただ、いずれにしましても、幾つの分科会をつくるのか、どういう名前で何をやってだれがメンバーでやるのかということは、ちょっとまだきょうはご提案するところまで来ておりませんので、今後順次検討したいと思いますが、つきましては各委員からのご意見、ご希望等も聞かせていただいた上で、最終的に委員長、座長と事務局とで協議しまして、また必ずしも一斉にということではなく、順次準備の整ったものから発足させるというやり方でお願いできればと考えております。さらに、また検討の節目あるいは状況に応じまして、懇談会の全体の会合ですとか、あるいは今日のような小委員会ということで時々進行会議をし、あるいはまとめをしながら進めていただこうと思っています。最後に、仮に小グループ形式にしたときに、それぞれの分科会の構成メンバーというのは一応決める必要があると思っているんですけれども、せっかくこれまで全体的なご議論をいただいておりますので、メンバー以外の委員も自由にご出席いただいてご議論いただけるような形で、少しそういうソフトな運営ができればいいなと考えております。この辺、あわせてご意見があれば、今日もしくはまた後日いただければと思います。
 あとは、期間は特に今一つ一つについて決める必要はないかと思いますが、一つの課題を設定したならば、長くても1年ぐらいである程度結論を見ながらやっていきたいと考えております。
 以上でございます。

○渡辺委員長
 ありがとうございました。
 何かご質問はありますでしょうか、今後の検討の進め方について。どうぞ、岩槻委員。

○岩槻委員
 さっきの中間とりまとめとも関わりがあるんですけれども、私は中間とりまとめのところでは発言しませんでした。それは、これまでの懇談会の内容を非常に包括的にうまいぐあいにまとめていただいているので、まとめとしては特に申し上げることがなかったんですけれども、そこで議論されていることを伺っていて、皆さんも同じような感覚をお持ちだと思うんですが、このこれまでに議論していたことがすべてパーフェクトに実現できるのだったら余り問題ないと思うんですけれども、限られたマンパワーと予算の中で何が実現できるかという、懇談会でもそういうことを余り考えなかったということかもしれませんけれども、そういう検討をしなかったから今日のような議論が多少出てきたということだと思うんです。
 ですから、その意味では、個々の問題を詰める詰め方というのを分科会方式で検討されることも必要だとは思うんですけれども、それと並行して、何を最初にやらなければいけないか、生物多様性でいいますと、10年や30年じゃなくて50年、100年先を考えないといけないんですけれども、それと同時に長期的な視点に立ってきょう何をやるのかということが見えてこないと、議論も具体的になってこないと思うんです。
 そういう意味では、すべてを網羅したものの中から何が重点的にやるべき課題なのかということを拾い上げるということも、こういう全体的な会議の中で必要なのではないかという気がするんです。

○渡辺委員長
 ありがとうございました。
 他にいかがでしょうか。 それでは、特にないようですから、この辺にしまして、どんな分科会か、一応ここに3つほど挙がっております。今日既にいただいたご意見あるいはこれからいただくご意見でまた中間取りまとめの中身が少し変わるかもしれませんが、大体こんな感じで、今日ご出席の委員の皆様には、特に自分はこの分科会に所属して議論をしたいというご希望がありましたら、先ほどの4月9日までにメモをいただくということをお願いしていますけれども、そのときにあわせてご希望もお聞かせいただければありがたいと思います。
その上で、最終的な分科会の構成ですとか、具体的な段取りについては、事務局からお知らせするようにいたしたいと思います。よろしゅうございますか。
 それでは、ちょうど時間になりましたので、今日はこの辺で閉会とさせていただきます。
 大変ご協力ありがとうございました。
 

午後2時59分閉会