中央環境審議会自然環境部会 自然公園のあり方検討小委員会(第2回)議事要旨

開催日時

平成14年1月16日(水)13:00~17:00

開催場所

環境省22階第一会議室

議題

 

(1) オブザーバーよりの報告聴取及び質疑

 

(2) 中間答申骨子案及び自然公園法の一部改正事項について

議事

主要な発言は以下のとおり。

(1) オブサーバーよりの報告聴取及び質疑
 1. 「国立・国定公園における蝶類の生息状況と保護対策について」
 

 

大阪府立大学大学院教授 石井実 氏

 

 

委      員 原生林のような場所はそういう地域としての保全がなされているが、それでもチョウの住み良い環境は減っているのか。
オブザーバー 植林が進み、本当の意味での原生林は減少している。さらに林道や砂防ダム等の影響で、森の中で住み易い環境は失われている。
委      員 管理によりチョウは守れるか。
オブザーバー 絶対という訳ではない。モニタリングと合わせて考えるべき。
委      員 ギフチョウはローカリーティーが重要で、違う地域との交配種ができたことがローカリーティー喪失を招いている問題がある。その点をどう考えるか。
オブザーバー 同種のチョウであっても遺伝的な違いもあり、他の地域に放すことの是非については難しい問題。
委      員 増加したレッドリストのチョウには、「共通の環境を好む」等、何か傾向はあるか。
オブザーバー 里山、採草地、水田環境、薪炭林等を生息地とする種が多い。そのような環境での植生管理状態が変わったことによるのでは。
委      員 「自然公園、国立公園・国定公園とチョウ」というテーマと、今回の法律改正の関係はなにか。
事  務  局 今回の法律改正で、「特別地域での動物の捕獲」を規制するという部分があり、その例としてチョウを選んだ。二次的な自然地域については、協定制度や管理団体指定制度等他の制度も考えていきたい。チョウ以外にはサンショウウオ等も考えている。
 
 2. 「米国国立公園のバックカントリー利用の状況と日本の国立公園制度への提言」

横浜国立大学教授加藤峰夫氏

 

 

委      員 自然公園で入園料をとるアメリカでは、管理責任の問題がないのか。
オブザーバー 入園料のとるとらないに関係なく、管理者責任は問われる。利用者、社会に十分な情報提供をして、自己責任を認識させるような対応が大事。
委      員 入園規制を行う場合、適正収容力はどう出すのか。
オブザーバー NGOの協力を得て利用情報や利用体験をモニタリング調査で収集し、適正収容能力数の決定は公園管理者が行う。予約の受付はアメリカの場合、NGOが行う。罰則規定の執行は管理当局が行う。適正収容力の出し方は、混み具合の合成写真を作り、ボランティアやビジターに見せ、その反応を見てどの程度が適正か判断しているようだ。
委      員 visitor experience を日本で行った場合の具体的な人数や費用等の試算は。
オブザーバー 答えになるかはわからないが、研究している例が知床、日光国立公園の尾瀬地域の二ケ所ある。後ほど斜里町長や事務局から話があるかも。日本の国立公園を管理する人数は、アメリカに比べて少ない。が、国有林が多いため、管理者の密度は高い。林野庁と協力体制が整えば環境省職員の人数を増やさなくてもなんとかなるのでは。
委      員 地権者の権利義務の整理とその明確化について、詳しい説明をいただきたい。
オブザーバー 地権者の権利義務については、つめられていない。今後環境省で利用調整を行うとすれば、自然保護のための規制、権利と義務だけでなく、利用に伴い生じるトラブルを、誰がどのように責任持つかということについてその地域の人々との間で、整理しないといけない。
 
 3. 「知床国立公園の今後のあり方」
  

斜里町長午来昌氏

 

 

委      員 指導員や監視員が不足しているとのことだが、指導員が多いと具体的にどのような効果があるか。
オブザーバー 少ないといったのは環境省自体のレンジャー数のこと。それを現場でフォローしているのは、各種団体、公園指導員、林野巡視員やボランティア。しかしその連携はまだまだなので、リードする核としての機能を斜里町では環境省の出先に期待したい。
事  務  局 知床国立公園は非常に原生の高い国立公園で、環境省レンジャーは3名いる。斜里町や自然トピア財団には、公園施設の管理、パトロール、情報提供に非常に力を入れていただいている。従来環境省所管地がないため環境省が直接整備をすることはなかったが、今後モデル的な原生公園として、環境省も力を入れ、現在地域で検討委員会をつくり、公園のあり方について検討している状況。
委      員 町長の考えを実現するには、今回の話の中では利用調整地区ということが一つある。利用調整をするとなると、カヤックのようなもので出入りする方法と、漁船が番屋まで連れていく方法があるが、その調整をどのようにしていこうと考えているのか。また生物多様性の保全という観点から、原始河川でサケの人工養殖を行い、単一子孫になっていることをどう考えるか。
事  務  局 サケの多様性の問題は、漁業との問題もあり難しい。
オブザーバー 今までも、今後も、地域の生活は河川や海の自然環境が守られ、その恵みよって成り立つ。これ以上知床が荒れないよう、地域の連携を密にしながら、現場の生産や観光客利用の面で考えれば、適正利用を図ることが重要。厳しい規制のあるエリアと、ある程度規制があるが利用可能な地域とを明確に分けて対応していきたい。サケの問題に関しては、それに生活の糧を求めている人もいるため、最小限の利用は認めていかざるを得ない。
事  務  局 環境省は、町長から要望のあったことすべてを、今回の法改正で全部解決できるとは考えていない。法整備により法的に措置できること、地域住民との協力の中での話し合いでできること、土地所有者との協力関係を結ぶ中でできること、それらが実際の行政の中で複合的になされていくことにより解決の方向に向かうと考える。利用調整区域を指定する場合のシーカヤックや漁船の問題、サケの問題についても、協議や調整が必要だが、制度的に手段を持ち、具体的な地域の環境保全に対応していきたい。
委      員 斜里町、道、国は国立公園におけるそれぞれの関係はどうなっているか。また自然トピア財団は国立公園の保全管理に関してどういう位置づけか。
オブザーバー 斜里町は公園指定以来、知床を守っていくため苦慮してきた。斜里町立自然センターを設置して、自然トピア財団をつくり、野生鳥獣の調査研究や、観光客に対する地元の対策のあり方等を、環境省の出先や支庁、道庁と連携をとりながらやってきている。それらは知床を大事にしようとする共通の理解があってはじめてできたこと。現地の問題に対し、自然公園法が強ければもっと確実なことができるし、もっと軽くすれば地域的にオープンにできる。こういうすみわけを明確にしていただきたい。
 
 4. 「里山など身近な自然の保全にかかるNGOの役割の重要性や課題」
  

財団法人日本自然保護協会吉田正人氏

 

 

委      員 深い自然教育という表現の「深い」に何か特別な意味はあるか。
オブザーバー 自然体験の中には、比較的自然環境に影響の大きなものもある。自然に影響の少ないかつほかでは得られないような体験を「深い」自然体験としている。 
 
(2) 中間答申骨子案及び自然公園法の一部改正事項
 
委      員 中間答申骨子の構成について何か意見はあるか。
委      員 全体の流れはよい。環境教育や研究ということは中間答申には入れないのか。
事  務  局 最後の部分に、「総合的に」と言うことで書き加える。
委      員 生物多様性に対する環境省の取り組みを明確に書くべきでは。基礎的な調査の必要性とその成果を生物多様性の視点から明確にし、規制の必要性の根拠にしたらどうか。
委      員 今の意見は、事務局で答申案作成の参考にされたい。
委      員 中間答申には最初に、自然を楽しむという自然公園のあり方を書いて欲しい。
委      員 私も同意見。あるべき姿の一端は書いて欲しい。また利用や楽しみ、環境教育についても書いて欲しい。
委      員 自然公園制度の目的や持つべき機能といった、委員会でコンセンサスがえられていることを、「はじめに」にいれることにしたい。ほか課題で抜けているものはないか。
委      員 自然公園のあり方からは外れるが、山間部から海までを繋ぐ河川について、生物多様性の観点からふれておく必要性はないか。
事  務  局 生物多様性については、具体的国家戦略の策定作業がすすめられている。その答申事務局案にはその点を詳細に書く予定。河川については、国土交通省の河川局とも協議を行い、関係者が一帯となって保全がすすめられるように調整中。
委      員 中間答申は、生物多様性の国家戦略とあまり重複しないようしたほうがよい。
委      員 利用調整地区や自然再生事業等を自然公園の中に導入していく際に、調査体制が個別具体的に必要なのではないか。 また自然風景地、二次的自然風景地という言葉の出所はどこか。
事  務  局 調査の必要性は認識している。中間答申事務局案にも書いている。自然風景地という言葉は、自然公園法の目的のなかからの言葉。里山、二次林など、人為的な管理を必要とする自然環境を、二次的自然風景地とここでは呼んでいる。
委      員 事務局案のII番、III番は、同じものが繰り返されているのでは。
事  務  局 IIの部分は包括的に広く記載し、IIIはその中で緊急度が高いものについて書いている。
委      員 IIには「これは是非」と、この小委員会で出たものを、IIIには緊急的に措置すべき事項や総合的に検討すべき課題で法制化したいものを入れてはどうか。
委      員 IIを幅広い課題の整理にあて、IIIで受けるところを丁寧に書くというやり方もあるが。
委      員 その方がよい。IIは広げておいて、IIIでは緊急性の高いものに絞っては。
事  務  局 原案ではIIは、生物多様性保全の観点から検討した自然公園の課題。それと離れた部分については、IIには入れないという整理。
委      員 自然公園の課題がたくさんあって、その中で国家戦略に関係する緊急な課題だからこれだ、という書き方ではどうか。役所の方法では世間的には通用しないのでは。環境教育等は生物多様性の基礎として必要なので、多くの方に自然体験をしてもらえるよう、少し整理する必要がある。
委      員 環境教育は必要。レンジャーも、NGOとともに、ビジターをつれて現場を歩いて環境教育をするといったことも、生物多様性にかかわってくる。風景は生物1つ1つでなく全部をトータルに一緒にしたもの。そういう意味では自然公園のあり方の課題の中にかかわってくるので、環境教育も中間答申に入れた方がいい。
委      員 諮問書を見直してみると、自然公園のあり方について審議会の意見を求めるとのことなので、事務局では生物多様性保全の観点は深くないと思っているのかもしれない。第II部は考えられる自然公園の課題を拾い、具体的な措置事項をIIIで拾っては。
委      員 次回の委員会までに、いろんな意見を事務局でまとめてもらってはどうか。委員:事務局のほうで、今日の意見を採り入れた案を作っていただいて、事前に配布願う。
事  務  局 早めにファックス等で送付する。


問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(大代表03-3581-3351)

  課長  田部(内線6440)
  自然公園法改正準備室  渋谷(内線6445)

 

資料の公開について

  * 中央環境審議会自然環境部会自然公園のあり方検討小委員会での資料は、請求があれば公開する。
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