中央環境審議会自然環境部会(懇談会) 議事要旨

開催日時

平成23年9月5日(月)10:00~12:00

開催場所

経済産業省別館 825号会議室

議事

  1. (1)三陸地域の自然公園等を活用した復興の考え方について(諮問)
  2. (2)検討の進め方について
  3. (3)その他

議事経過

諮問事項と今後の検討の進め方について、事務局が資料に基づき説明を行った。
なお、主要な発言は以下のとおりである。

部会長:
東日本大震災からの復興の基本方針を基に論点整理すると以下の通り。
  1. (1)基本的考え方の整理
    1. [1]国立公園の概念(特別に概念を拡大するのか)
    2. [2]森・里・川・海のつながりに関する具体的な中身
    3. [3]民間とのパートナーシップ
  2. (2)三陸復興国立公園そのものの構想
    1. [1]既存施設の再整備
    2. [2]長距離自然歩道の新設
    3. [3]農林水産業との連携・エコツーリズム
  3. (3)環境モデル地域(公園区域外も含めて考える)
    1. [1]森・里・川・海のつながりを通じた自然共生社会
    2. [2]再生可能エネルギーの活用方策
    3. [3]リサイクル資源を用いた自然環境の創造
  4. (4)モニタリング・環境教育
    1. [1]現況調査・モニタリング
    2. [2]ジオパーク構想との連携
    3. [3]その他の文化政策との連携
委員:
東日本大震災からの復興の基本方針は自然環境の観点が薄い。大震災とその後の自然環境の変化は、自然が元の姿に戻ろうとしているとも言える。それぞれの場所で利用保全計画を立てることと、調査・モニタリングが重要。持続可能な利用を図る上で、地域と情報共有し議論するためのデータを取ることが求められる。
委員:
蒲生干潟は浸食されたが、砂が供給されやすい位置にあることから地形の回復が期待できる。特に今後しばらくの間、大きく地形が変化する可能性がある。蒲生干潟のモニタリングでは、砂の増減・ボリュームがわかるモニタリングを実施してほしい。それによって、蒲生干潟の今後のあり方を議論できると思う。
委員:
森・里・川・海のつながりの考え方を踏まえ、水、物質などの循環という考え方を国立公園の視点で取り入れることが重要。循環の空間的な基本単位は流域。流域という概念を考慮しつつ、指定範囲を決めていくのかどうか。従来の景観、地質に視点を置いた国立公園指定の範囲がかなり違った形になっていくのでは。再編に当たって、生物多様性基本法、生物多様性国家戦略などの法律などで、どの部分に基づくのか明確にしていく必要がある。
委員:
三陸復興国立公園として、従来の自然公園区域をどのように再編するのか。区域指定できない部分をどう位置づけるのか。森・川・海の連環は重要な場所だが、区域指定するのか。人間活動との共存の仕方などは、各地域の特性が違うので、どういう枠組みでやるのか。ガレキを活用した公園整備に当たって、地域にメリットをもたらすことができないのか。海洋保護区の概念も含めて考える必要がある。
委員:
再編にあたり国立公園指定の原点が問われる。初期の国立公園は景観、生物、利用の観点で作られた。国立公園は、景観の美しさをわかりやすい形で評価したことを、地元が追認したものである。前回の議論を見ていると、利用について少し及び腰に思える。初期の国立公園は利用も重視していて、国民に価値を共有してもらうためには利用が必要。今回の国立公園設定の趣旨は、復興、産業などでこれまでの国立公園とイメージが異なる。根本には何を持ってくるのか。そもそも復興、産業は国立公園が担わなければならないものではない。広い意味の観光は欠かせない。
委員:
短期、中期、長期的と、いくつかに分けて考えることが必要。モニタリングについては、被害直後の今の状況を調べないと、その後の変化が正確に把握できない。他省庁との連携がどのようにできているのか。環境教育については、文科省や農水省など考えられるが、三陸海岸、復興に対しての考え方を整理するのが課題。
委員:
国立公園の利用は、観光、エコツーリズムなど、外や内外からの利用がほとんどだった。今回は、持続可能な地域の人々の暮らしや生産活動が、国立公園の維持管理、生物多様性に大きく貢献するという視点が、新しい国立公園の考え方、姿勢になるのではないか。農林水産業を持続可能にすることが、公園の維持管理に貢献するということを、農林水産省と整合をとる。今までの保護、規制ではなく、利用していくことのあり方の整合をとって、50年、100年という長期にわたって取り組むべき。
委員:
東南アジアでは里地里山イニシアチブへの期待、日本が打ち出すモデルへの期待が強い。一つの環境モデル地域としての提示をやってほしい。民の力を活用する仕組みが、今のところ見えない。ボランティアや寄附をどういう形で結集するのかという視点を入れてほしい。自然災害のアーカイブは、先を見据え、参考になるものを作ってほしい。
委員:
被害状況など、他の防災計画や土地利用と連携するためにも、地図化する必要がある。森・里・川・海の議論は重要だが、震災との兼ね合いがはっきりしない。復興国立公園の議論のなかで唐突にでてきた印象。津波という自然かく乱が、連環にどのような影響をもたらしたのだろうか。災害からの復興と言えば、火山関係が既に取り組まれている。生物多様性や植生遷移、避難する防災場所の確保、学校移転、両立の仕組みなど、国立公園での整合や地域の復興を含めて参考になるのでないか。
委員:
地域再生計画の観点では、早く家を建てたいが規制があって、思うようにいかないという話を聞く。地域によって被害のレベルが様々である。これらのことから、きめ細かい復興計画が必要。また、復興計画を策定する時には、流域の状況や、地盤沈下のレベルなどを見極めることが必要。地盤沈下したところは、今後藻場、干潟等への変化も考えられ、モニタリングが必要。ジオパークの観点で、津波の遺構を保存していくことが重要。
委員:
復興ということで、公園概念として大きく踏み出している。それは時代の流れに合っている。世の中の資源性が変化しているなかで、守り方や利用の仕方が変わってきている。制度的にどのようにサポートするかが重要で、公園計画、管理計画、事業とどのように結び付けるかが重要。地域指定をどうするかという点では、三陸沿岸は内陸との結び付きが強いので、ネットワークという概念を入れて、地域指定と同時に考えていく必要がある。

問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-3581-3351)

課長
上杉 哲郎(内線6440)
課長補佐
田村 省二(内線6443)
専門官
佐々木 真二郎(内線6445)