中央環境審議会 自然環境部会(第33回)議事録

日時

平成28年12月26日(月) 14:00~17:00

場所

三田共用会議所 第四特別会議室

出席者

石井  実  部会長

佐藤 友美子 委員

山極 壽一  委員

磯部 雅彦  臨時委員

江﨑 貴久  臨時委員

尾崎 清明  臨時委員

小泉 武栄  臨時委員

小泉  透  臨時委員

小菅 正夫  臨時委員

佐々木 洋平 臨時委員

下村 彰男  臨時委員

白山 義久  臨時委員

中静  透  臨時委員

中村 太士  臨時委員

深町 加津枝 臨時委員

二宮 雅也  臨時委員

三浦 愼悟  臨時委員

宮本 旬子  臨時委員

磯崎 博司  専門委員

議事

14時00分 開会

○司会:定刻となりましたので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会を開催いたします。

 開議に先立ちまして、本日の出席委員数をご報告いたします。本日は、所属の委員25名のうち17名のご出席をいただいておりますので、本部会は成立いたしております。

 それでははじめに、自然環境局長の亀澤よりご挨拶を申し上げます。

○自然環境局長:本日はお忙しい中、自然環境部会にご出席をいただきまして、大変ありがとうございます。午前中の小委員会から引き続いての先生方には長丁場となり大変恐縮でございます。

 さて、本日の部会では、諮問案件2件を予定しております。一つは、議事の1にありますけれども、奄美群島国立公園の新規指定についてでございます。奄美大島をはじめ、八つの島から成る奄美群島は亜熱帯照葉樹林に覆われておりまして、アマミノクロウサギやアマミヤマシギなど、固有種や希少種が分布する多様で豊かな自然環境を有する地域でございます。このたび地元調整も整いましたので、34カ所目の国立公園として新たに指定することについてお諮りしたいと思います。なお、今回の国立公園の新規指定により、日本で5地域目となる世界自然遺産を目指す奄美大島、徳之島、沖縄島北部、これはいわゆるやんばる地域でございますが、それと西表島の4島、それぞれにつきまして遺産登録に必要な条件が整うことになります。本日は、世界自然遺産の推薦をめぐる状況等につきまして、議事の2としてご報告を申し上げます。

 審議案件の二つ目につきましては、議事の3になりますが、バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書に対応した国内措置のあり方についてです。この補足議定書は、2010年に愛知名古屋で開催されました生物多様性条約のCOP10にあわせて開催をされましたカルタヘナ議定書の締約国会議で採択をされたものでございますが、ごく近い将来に発効する可能性もあり、環境省といたしましても、できるだけ早期に締結できるよう関係各省間で作業を進めているところでございます。本件につきましては、昨年11月の審議会への諮問以降、遺伝子組換え生物等専門委員会において検討いただいてまいりました。本日は、この専門委員会でまとめていただいた答申案についてご審議いただきたいと考えております。

 以上のほかにも、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置など、何点か報告事項を資料として用意しております。

 本日も限られた時間ではございますが、忌憚のないご意見をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○司会:それでは、報道関係の方によるカメラ撮りはこれまでとさせていただきます。よろしいでしょうか。

 委員の皆様のお席にございますマイクでございますけれども、ご発言の際にはマイクスタンド中央のボタンを押していただきまして、ご発言が終わりましたら、またボタンを押していただいて電源をお切りいただくという要領でご発言をお願いできればと思います。

 それでは、これからの議事進行につきましては石井部会長にお願いしたいと存じます。石井部会長、よろしくお願いいたします。

○石井部会長:皆さん、こんにちは。部会長の石井でございます。大晦日まで1週間足らずという、文字どおり年末のお忙しい中、お集まりいただきありがとうございます。

 本日は、審議事項が2件、報告事項が4件ということで長丁場になると思いますが、どうぞよろしくお願いします。

 本日の部会は公開で行いますので、報道関係者や傍聴者の方も同席しております。また、会議録は後ほど事務局で作成し、本日、ご出席の委員の了承をいただいた上で公開することとなります。議事要旨につきましては、事務局で作成したものを私、部会長が了承した上で公開することをご了承いただきたいと思います。また、会議資料につきましても公開でございます。

 なお、本日、議事の3として、バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書に対応した国内措置のあり方についての答申案についてご審議いただきます。こちらにつきましては、遺伝子組換え生物等専門委員会において議論を重ねていただき、本日の答申案を取りまとめていただいたものでございますので、これまでの議論をご報告していただくという観点から、私、部会長が承認した上で、同専門委員会の磯崎委員長にご出席していただいております。本日はどうもありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、最初の議題でございます。こちらは諮問案件になりますが、(仮称)奄美群島国立公園の新規指定について、事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局(小林専門官):環境省国立公園課の小林です。どうぞよろしくお願いいたします。

 資料は、皆様のお手元に配っております資料1-4に沿ってご説明いたします。また、区域図もご用意しておりますので、あわせてご覧いただければと思います。

 それでは、説明を始めさせていただきます。

 まず、この奄美群島の位置でございます。九州本土の南と沖縄島の間にありますのが、奄美群島になります。ユーラシア大陸との分離や、地殻の隆起・沈降、また海水面の上昇・下降、こういった経緯によって形成された島々から成っております。

 このような島の成り立ちを反映して、奄美群島には、加計呂麻島、請島、与路島を含む奄美大島、このほか、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島の八つの有人島から成っております。そして、奄美大島で言えば固有・希少種が住む亜熱帯照葉樹林が広がる森があり、また、与論島では沖合1キロに及ぶ広大なサンゴの海が広がるなど、島ごとに異なる自然風景が様々あるというのが大きな特徴の一つでございます。

 奄美群島の現状の自然公園の指定状況でございますが、主に海岸沿いが自然公園に指定されております。奄美群島の海岸景観やサンゴ礁の景観が、その風景の評価の対象となっており、現在は「奄美群島国定公園」として指定されております。この中で注目していただきたいのは、特にこの奄美大島と徳之島の内陸部でございますが、亜熱帯照葉樹林が広がる森が現在は自然公園には指定されていないという点です。このような奄美群島を、今回、国立公園に指定することについてお諮りするに至った背景についてご説明させていただきます。

 先ほど申し上げましたとおり、昭和49年には国定公園に指定されておりましたが、国立公園指定に向け動き出す契機となったのは、平成15年の世界自然遺産の関係です。このときに、世界自然遺産の候補地として、奄美大島や徳之島が候補地に選定されました。世界自然遺産になるためには、国内法によって保護担保措置が講じられていなければならないという条件があり、それでは国立公園に指定してはどうかという話が出てきました。一方で、平成19年には、これまで自然公園としての評価対象にはなっていなかった亜熱帯照葉樹林を国立公園の指定を視野に評価すべきではないかという提言をいただいております。平成21年には、では奄美地域をどういった形で考えていくかということで、国立公園はどうかという話が出てきておりまして、平成22年に新規の国立公園をどこにするかというような総点検事業を行ったときも、この奄美地域が国立公園の候補地として抽出されております。こういった背景も踏まえまして、地元とともに検討を進めてきた結果、本日、この審議会でこの国立公園の指定についてお諮りするという運びになりました。

 では、国立公園の指定を目指している奄美群島にはどのような自然の風景地が広がっているのかということについて、項目ごとに簡単ではございますが、ご説明させていただきます。

 まず、地形でございますが、大ざっぱにざっくりと分けますと、高島と低島という形で、奄美大島や徳之島は比較的古い地層から構成されておりまして、山がちで、山地が多くて起伏が大きいのが特徴でございます。一方で、喜界島や沖永良部島、与論島は、比較的最近の琉球石灰岩が覆っているような場所でございまして、比較的平らな低島で、海岸線の出入りが少ないというような形です。一部、この徳之島の南側については、こういった琉球石灰岩から広がるような形になっておりますが、大ざっぱに分けるとこういった高島と低島というような形になっております。これらの島々の海岸沿いには、世界的北限のサンゴ礁が発達しているというのがこの地形の特徴になっております。

 そして、この地形を覆う地被についてが、次のスライド、植生でございます。ここには多様な自然環境がありますので、例えば低地帯にはアコウだったり、ガジュマル、それから西表島に次いで国内で2番目の大きさとなる奄美大島のマングローブ林、それから海浜植生が見られるほか、奄美大島や徳之島の内陸部には、スダジイなどを優占種とする亜熱帯照葉樹林が広がっております。この亜熱帯照葉樹林の特徴としては、この大部分が二次林であるということです。

 自然植生としては奄美大島が大体6%、徳之島が3%程度で、これは全国の平均としても低い値となっております。殊に自然度が高いとは決して言えないのですが、この照葉樹林が広がっているような場所でございますが、次のスライドでございますけども、ここには貴重な生き物が生息しているというのが特徴です。この奄美地域の旺盛な再生、森の再生産力もありまして、概ね30から40年程度で、少なくとも見た目にはもとどおりの森に戻るというような形や、それから、地域の方々の過剰な開発を抑制して、自然の容量内で利用してきた知恵ということも多かったと思うのですが、こういうふうに二次林として人の手が入っているにもかかわらず、希少種や固有種が多く、生物多様性が非常に高いというのがあります。アマミノクロウサギだったりとか、アマミヤマシギだったりとか、貴重な生き物が奄美群島の形成過程を背景に独特の進化を遂げた、生態系豊かな場所であるということがポイントの一つになっております。

 歴史・人文・産業という形でございますが、島という限られた土地におきましては、人々の暮らしというのは必然的に自然とかなり密接なものになっております。自然と近いということが、島の文化でしたり、信仰、生活に非常に深く関わってきていると。そういった中で、例えば集落の背後には神が降り立つ山があって、海の彼方には神々が住んでいる理想郷があったりとか、それから、周辺の山で林業や農業をして、海においては魚をとったりとか、川においてもエビをとったりとか、そういうふうに自然と一体となった生活が営まれているということが大きな特徴の一つになっております。

 このような奄美群島でございますが、それでは現在、利用はどうなっているかといいますと、こちら入込者数でございますが、一番多くは奄美大島に人が来ております。大体、今42万人程度、それから次が、徳之島が13万人程度でございます。そのほかの島々は記載のとおりでございますが、大体7月とか8月の海がきれいだということもありますので、夏休みの利用が多いですが、比較的年間を通じての利用の入込者数は平準化しているというのもございます。

 どういった利用がされているかといいますと、ここも様々でございまして、例えば景勝地を巡ったりとか、亜熱帯照葉樹林の散策を行ったり、それからダイビングをしたりとか、グラスボートに乗って海中の景観を探勝したりとか、海水浴、最近ではナイトツアーとか生き物の観察なども行われているというような状況でございます。

 以上が奄美群島の自然の状況でございまして、このように奄美群島には、固有種が分布する亜熱帯照葉樹林の生態系であったりとか、干潟・マングローブ林の生態系であったり、河川生態系、それからサンゴ礁の生態系、リアス海岸、カルスト地形、人と自然の関わりというような、この島々の成り立ちを反映して、島ごとに特徴が異なる多様な風景を有しているということが、これは我が国を代表する優れた自然の風景地であると。そのため国立公園に指定しようと今回考えているわけです。

 そして、この奄美群島国立公園の考え方として特徴的なのが大きく二つございます。一つが、生態系を風景地の核として捉えているということでございます。もう一つが、人と自然の関わりを重要視していることでございます。従来の国立公園の考え方で多かったのが、どちらかというと視覚的な見た目での大風景地、それから、人為を排除したような、まさに自然がつくり上げたダイナミックな、自然の風景地というのが主な国立公園の評価対象ではございましたが、この奄美においては、たとえ人の手が入っていたような二次林であっても、そこで育まれてきている生態系、見た目だけではなくて、生き物の息吹を感じることができるような、五感で感じるような風景、生態系を自然の風景地として捉えていこうと。それから、そういった自然というのは決して自然だけではなくて、島の人々の生活とともに関わりながら成り立ってきたものであると。その島の人々の生活、関わりというのもこの国立公園の考え方としては重要なものだとして捉えていきたいというのが、この奄美群島国立公園のポイントとなるような考え方でございます。

 次のスライドでございますが、このような考え方をもとに、これらの風景、景色に及ぶ範囲だったり、従来の国定公園の区域、照葉樹林の範囲だったり、希少種・固有種の分布密度をベースに、地域の方々と一緒に考えてきたのが、この国立公園の区域でございます。陸域が約4万2,000ヘクタール、海域が約3万3,000ヘクタールとなっております。ここまでが国立公園の区域の案でございます。

 続きまして、この国立公園の区域に基づきまして公園計画というのを定めていきたいと考えておりますが、まずは保護規制計画でございます。次のスライドでございますが、これが保護のためのゾーニングで、いわゆる陸域に関しては5段階ございまして、特別保護地区から普通地域まで、海については普通地域と海域公園地区という形でゾーニングを行っております。

 1枚目のスライドでありますように、奄美大島と徳之島においては、人の手が入っていると言われている、この比較的人の入っている奄美におきましても、わずかに残されてきた自然林、それから、人の手が入っても、今は高齢な、その後、手が入らなくて林齢が高くなっているような森林においては、希少種の分布密度も高くて、生き物の生息地としても重要な場所で、国立公園のコアとなるべき場所でございますので、特別保護地区でしたり、第1種特別地域に指定して、厳重に自然の保護管理をしていこうという方針でございます。

 一方で、先ほど申し上げたとおり、人と自然の関係性というのも重要視しておりますので、全てにおいて人の手を排除するのではなくて、希少種がいるような場所であっても二次林的な場所で人の利用も想定できるような場所においては、これまでどおり農林漁業と調整を行いながら、この自然の保護と人々の生活というものの両立を図っていこうというような場を第2種特別地域でしたり、第3種特別地域、普通地域に指定をしようとしております。

 次のスライドでございますが、喜界島、沖永良部島、与論島においては、それぞれがまた特徴的な島ごとに自然の風景地が広がっております。例えば喜界島においては、年間2ミリほどという世界的に見ても速い速度で隆起しているサンゴ礁の島でございまして、海岸景観でしたり、海岸段丘を保護の対象にしております。沖永良部島においては、琉球石灰岩のカルスト地形や鍾乳洞など、そういったところや海岸部分を保護の対象にしております。与論島においては、ここは海域ですね、サンゴのリーフから成る内側の海については熱帯魚、風景としても優れておりますので、サンゴ群落でしたり、海岸からの景観を保全していこうということで、海域公園地区を大幅に900ヘクタールほど設定しております。ここまでが保護のゾーニングの説明でございます。

 続きまして、利用の計画でございます。まず、利用施設計画についてですが、奄美大島、徳之島では、国立公園指定、世界自然遺産への登録という中で、今後どのように利用させていくか、地元でも議論が進められているところではございますが、まずは、現在、既に整備され利用されている施設を中心に、国立公園の利用の施設として執行することを想定しながら、公園計画に位置付けようというのが、まずは今回の基本となるところです。例えば亜熱帯照葉樹林を眺めることができる展望台、園路それから、海を眺めることができるような場所、照葉樹林内を散策できるような歩道湯湾岳の登山の道、それから、車道については既に整備されている主要な道路におきまして、この公園内の移動でしたり、利用施設を行き来できるようなところを、公園の利用道路としても計画に位置付けていこうというものでございます。

 喜界島、沖永良部島、与論島においても考え方は同じでございまして、既に施設が整備されているところを、まずは公園計画にも位置付けていこうということを基本としまして、その中で海岸景観を楽しめたりとか、海を楽しめるような場所について、園地だったり、野営場、車道、歩道を計画に位置付けていこうというのが、利用施設計画の全般的な考え方でございます。利用については、今後も地元の議論を踏まえながら、今後の公園計画の変更等で随時対応していきたいと考えております。

 続きまして、名称についてです。既存の自然公園の名称、こちらも”奄美群島”国定公園であるということ、それから、今回指定対象となる島々における各種計画でも「奄美群島」と呼んでおります。地元調整の中でも、奄美群島国立公園の指定という形でこれまで行ってきたことからも、わかりやすさ、国立公園の代表性、地元の理解を踏まえ、この国立公園の名称は「奄美群島国立公園」が適切ではないかという形で今回の案に含めさせていただいております。

 そして、その次のスライドでございますが、今回の奄美群島国立公園の指定に伴いまして、既に指定されていた奄美群島国定公園は解除するような形で、国立公園の区域に含めていきたいと思っております。一部、既に資質が失われたような場所などは国定公園から国立公園に移る際に削除はしておりますが、基本的にはこの国立公園にスライドしていくような形を考えております。

 最後に、パブリックコメントの実施結果でございます。10月~11月の30日間行いまして、約80通で、整理した件数としては約230件の貴重なご意見をいただきました。主な意見としては、地元の産業との調整、それから外来種対策、そういったものに対してのご意見をいただいております。意見の内容、回答、その方針については参考資料1にまとめておりますのでご覧いただければと思います。

 以上で、簡単ですが、奄美群島国立公園の指定についての説明になります。よろしくお願いいたします。

○石井部会長:はい。ありがとうございました。

 それでは、ただいまの奄美群島国立公園(仮称)に関する説明ですが、新規の指定についてということでございます。委員の皆様からご意見、ご質問等を受けたいと思います。それでは、小泉透委員からお願いいたします。

○小泉(透)委員:ありがとうございます。奄美群島の地史的な成立、それから、日本における生物史のことを考えると、今回、奄美群島が国立公園になるということには全く異論はございません。ただ、これから国立公園としてどのように管理していくのか。例えば生物多様性国家戦略、それから、これからの国立公園に求められるイメージ、そういったものを照らし合わせながら、奄美群島が持つ魅力と同時に現在抱える問題、それと、もう既に一部は既存の事業の中で対応していると思いますけれども、問題解決のための対応方針ないしは対応している実績というようなものもあわせて説明していただけるとありがたいなと思います。それらの内容はパブリックコメントの中に盛り込まれているのかもしれませんけど、たくさんあり読み込めませんでしたので、要約して説明いただければと思います。以上です。

○石井部会長:それでは、下村委員お願いいたします。

○下村委員:私も国立公園に指定することに対して全く異議はなくて、むしろこれからのことで少しお伺いしたいと思います。

 一つは、今日は公園計画の話も出てくるのですが、ご説明にもあったとおり、かなりタイプの違った国立公園で、いろいろ柔軟に対応する必要があると思うのですが、管理計画について、特に地元との連携などを考えたときに、管理計画の中で進めていくというような方針も出てきてはいますので、あわせて進めておられるのかどうか、そのスケジューリングをお伺いしたいのですが、意見としては、できるだけ早目に管理計画を充実して進めていただいたほうが良いというのが一つです。

 それから、もう一つ、これはあまり既往のルートがないのでなかなか難しいのかもしれませんが、計画に関わらせていただいたときに、やっぱり道路で動くときに、かなり奄美のよさというのが把握しにくいところがあって、おそらく旧来、船を使われていたんだと思うのですが、アプローチだとか何かを含めて、海沿いに囲い込まれたスペースがあって、そこを船で移動しながら人依存の生活が成り立ったのではないかと思います。今回、そういう人との関わりだとか何かもかなり大きなテーマになっていて、いわゆる公園計画の移動、線的なルートとして、船ってこれからかなり重要だと思うのですが、これを公園計画に入れていくというのはなかなか難しいのかもしれませんが、その辺りについて何かお考えになっているようなことがあればお伺いしたいと思います。2点です。

○石井部会長:ありがとうございました。それでは、小菅委員お願いいたします。

○小菅委員:動物の生息に関する表現ですけども、資料1-1の別添のところに、17ページ以降ですけども、地区の内訳書ということが書いてあって、地区の概要ということが細かく、この地区はこうだというのが書いてあるのですが、それらにアマミノクロウサギだとか、トゲネズミだとか、いろんな種について書かれてあって、この地域は「生息地・生育地」であるという表現とか、「重要な生息地」だとか、「生息地」だとか、「生息が確認されている」だとか、「多く見られる」だとか、そういう表現が何か混在してるんですよね。これもしかしたら、その動物の生息状況によって使い分けているのかどうかということを教えていただければと思います。

○石井部会長:ありがとうございます。それでは、三浦委員お願いいたします。

○三浦委員:私も天然記念物、国立公園の指定には賛成でありまして、この地域に生息する野生動物の存続可能性が高まったと思うわけですね。それで、もう少し詳しく見ていくと、例えばアマミノクロウサギは、奄美大島と徳之島にいます。それから、トゲネズミはアマミノトゲネズミと、それからトクノシマトゲネズミは別種として現在認識されて記載されるようになったのですが、その点で言うと、徳之島のこの国立公園の構成ですね、特別保護地区と第1種特別地域と、それから第2種特別地域といったような、アマミノクロウサギは、ある程度の攪乱というのも大変重要な要素だと思うのですが、特に徳之島の、この指定地域がこの中に含まれているトゲネズミや、それからアマミノクロウサギについて、分布域をどの程度担保しているか、その辺りのことをわかっていたら教えてください。

○石井部会長:ありがとうございます。それでは、尾崎委員お願いします。

○尾崎委員:鳥類のことで確認します。計画書の6ページのところに、ハミヤ島というのが出てきますが、私は聞き慣れなくて、普通「はんみゃじま」と言っていると思います。この点についての確認が一つと、それから、今回の指定の区域の中に、与路島のたしか東側だったと思いますが、そのハミヤ島、あるいはハンミャ島が入っているのかどうか確認をお願いします。

○石井部会長:ありがとうございます。それでは、江﨑委員お願いいたします。

○江﨑委員:ありがとうございます。今回、雄大な自然というだけではなくて、人々の暮らしと関わり合ったということでおっしゃられていたんですけれども、区域図ありますよね。この区域図というところで、そういう人と密接にという部分で、第3種地区というのがそういう部分かなと思うのですが、その森として人の手が加わったという意味ではすごくよくわかるのですが、例えばここのスライドの写真の中にあるような、人と自然との関わりという、この丸で囲んである写真の中に、例えばお祭りなんていうのが写真であります。この部分について、例えばそういう事例として、この区域図の中にこのような場所が入っているのかどうか教えていただいてもよろしいでしょうか。

○石井部会長:ありがとうございます。それでは、6点ほどですね、6名の委員の方からご質問等がございました。それでは、事務局から回答をお願いいたします。

○事務局(小林専門官):ご質問、ご指摘、ありがとうございます。

 まず、小泉透先生からいただいた、今後の管理していくことと今ある問題、それから、どう解決していくのかについてですが、奄美群島国立公園においては、生態系の管理というのを非常に重要視しているというのはご説明させていただいたとおりでございます。そういったときに、どのようにこの生態系を保全していくかは一つ大きなキーになってくるんですけども、その中で問題点としては、例えば外来種の問題がございます。外から入ってきている生き物が、希少なウサギなどに与える影響が大きいと、国立公園として評価している風景、生態系が失われてしまいますので、これをまず解決するというのは非常に重要なテーマだと考えております。既に外来種対策は、マングースの除去についても対策は進めておりますし、ノネコの対策も地元と一緒に進めているところでございますので、引き続き重要なこの問題と、それから対応方策として考えていきたいと思っております。そのほか、これからの利用の観点といえば、生態系に人が多く入ってくることに対して、それはどうなのかというご意見もいろいろあると思いますので、その利用のあり方についても現在、地元と一緒に、例えばエコツアーに限定するとか、利用の規制も考えたらどうかなども含めて考えているところでございます。その辺りもこれからの議論の中や調査を踏まえて、公園計画に反映できるものは反映し、今回指定して、これで全てではなくて、これからよりよいものをどんどんつくっていければなと考えております。

 それから、管理計画のスケジュール等はまた後ほどご説明させていただきたいと思っております。

 小菅先生からのご指摘いただいたような形で使い分けているというよりは、一般の方にも指定書、計画書にも親しんでもらおうという趣旨で、文章の流れや表現のわかりやすさを重視した表現にしている部分がございます。しかし、いろいろな使い分けをすると誤解を招くのではないかというのは当然あるかなと思います。午前中の小委員会の際にも、表現のあり方についてご意見をいただいておりますので、表現の仕方について、こちらとして整理させていただき、誤解のないような形で、かつ、わかりやすい形にはなるよう、工夫していきたいなと思います。

 それから、ハンミャ島が公園区域に入っているのかということですが、国立公園区域案の中に入っております。第2種特別地域に指定予定としております。

 それから、江﨑先生からいただきました区域案の中に、お祭りなどの文化的な場所が含まれているかどうかについてです。集落や田んぼなど人の生活関係のところは、例えば普通地域に入っていたりしますが、本日は現地の保護官も来ておりますので、詳細な部分については後ほどご説明させていただきたいと思います。

 三浦先生からいただきました、徳之島のネズミやウサギのエリアがきちんと保護担保できているかということでございますが、基本的に、生き物の分布密度も区域の基本的なベースとして考えております。生き物なので多少の移動というのを考えてしまうと、本当に全てが全てこの国立公園の区域の中におさまっているかというと、絶対大丈夫ですというのはなかなか難しいところですが、分布密度に合わせて調整の中でゾーニングや区域を考えておりますので、そこはある程度きちんと対応した、まずは計画書に、区域図、計画になっております。

 続いて、現地の保護官からも説明いたします。

○事務局(鈴木自然保護官):奄美自然保護官事務所の鈴木と申します。

 管理計画のスケジュールにつきましては、来年度以降、策定に着手することになると思います。

 それから、船での移動、海から見たときのというご質問につきましては、今現在のところ、海から見たとき、海から見て陸の景観を楽しむというようなありようが、今現在、一般的ではないという状況ではありますが、今後の管理計画なり、利用に関する検討の中でそういったものも挙がってくれば、そうしたことも積極的に推進していくということは想定されると思います。

 次に、尾崎先生からありましたハンミャ島の表記のことですけれども、国土地理院の地図では「ハンミャ島」という表記になっていますけれども、瀬戸内町の役場のほうから、地元のほうでは「はみやじま」というように呼んでいるというご意見がありましたので、この指定書でも、それにあわせて「ハミヤ島」という表記にさせていただいております。

 それから、人と自然の関わりということでの、例えばお祭りの場所ということでは、龍郷町の秋名集落で行われるショチョガマ、あと平瀬マンカイというのが国指定の重要無形文化財にもなっているような、この奄美大島を代表するお祭りを行っている集落がありますが、そういった集落が、その周辺の田んぼと集落、あと、お祭りを行う海沿いの岩場、そのセットで普通地域に指定されております。そのほか、伝統的な集落の形態が残っているような集落ですとか、そういった場所に使われているサンゴの石垣が含まれているような集落も一部、普通地域に含まれておりまして、例えば喜界島の阿伝集落ですとか、加計呂麻島の幾つかの集落がそういった普通地域に含まれております。以上です。

○石井部会長:どうもありがとうございました。

 事務局からご説明がございましたけれども、ご質問された委員の皆さん、よろしいでしょうか。では、お諮りしたいと思います。

 奄美諸島国立公園の新規指定について、諮問に添付された指定書及び公園計画書並びに変更書のとおりとすることにご異議ございませんでしょうか。

(異議なし)

○石井部会長:それでは、本件については適当と認めることといたします。どうもありがとうございました。

 続きまして、2番目の報告案件に参りたいと思います。只今の件に関連した報告案件でございますが、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産推薦について事務局からご報告をお願いいたします。

○事務局(松永専門官):環境省自然環境計画課の松永と申します。よろしくお願いします。座って説明させていただきます。

 まず、奄美大島や徳之島等の世界遺産の推薦に当たりまして、世界自然遺産とは何かということについて、ご存じの方も多いとは思いますが、改めてご説明したいと思います。

 世界遺産に関しましては、世界遺産条約に基づいて登録されるものです。世界遺産条約は、顕著で普遍的な価値を有する遺跡や自然地域などを人類全体のための遺産として保護、保全し、その国際的な協力等の体制を確立することを目的としています。世界遺産全体としては、世界で1,000件を超える地域が指定されています。その中で自然遺産は約200件ほどです。国内の自然遺産地域は、1993年に世界遺産に登録されました屋久島と白神山地、そして、知床と小笠原諸島の4地域になります。

 世界遺産として登録されるための条件としましては、以下の三つが挙げられます。まず、世界遺産として顕著で普遍的な価値を有すること、自然遺産に関しては、生態系ですとか、地形・地質、そして景観や生物多様性といった評価基準を満たしているかどうかということが評価をされます。そして、次に完全性を満たしているかという点で、顕著で普遍的な価値を示す十分な規模と必要な要素を持っているかどうかということが評価されます。そして、最後に、それらの価値が将来にわたって守られるかどうか。これは国内の法律でしっかりと担保されるとともに、しっかりとした管理計画に基づいて管理がされているかどうかが評価されます。

 今回の奄美大島等を含む世界自然遺産地域の推薦についてですが、正式な資産名は、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島になります。

 この地域の世界遺産としての顕著で普遍的な価値は、主に二つの点を評価しています。まず、一つ目は、生態系の基準としまして、大陸から分離をして、小島嶼、小さな島が成立する過程において、地史を反映した独自の生物進化が見られること。そして、次に、生物多様性の評価基準で、国際的にも希少な固有種に代表される生物多様性保全上重要な地域であることを、この世界遺産としての価値として評価をしています。

 共同推薦省庁は、環境省と林野庁になります。

 世界遺産登録に向けたこれまでの経緯について、少しご説明をいたします。先ほど、国立公園指定に当たっての経緯においても触れられましたが、2003年に専門家による「世界自然遺産候補地に関する検討会」というものを設置いたしました。この場で、3地域の世界自然遺産候補地が選定をされています。そのうち、「知床」「小笠原諸島」はそれぞれ2005年、2011年に世界遺産として登録されていまして、残る奄美大島等を含む地域について、国が責任を持って管理することのできる国立公園等の保護地域の指定等の準備が進められていたというところになります。その後、2013年に、この場にも出席していただいている宮本先生や尾崎先生などもご参画いただいた自然遺産候補地科学委員会を設置するなど、必要な準備を進めてまいりました。そして、今年に入って各島における保護担保措置が整ってきたことから、推薦に向けて動き出したものになります。

 次のページの模式図に関しては、琉球列島の古地理と生物の動向を表したものになります。かつては、この地域は大陸の東端に位置して、大陸と共通の陸生生物相を有していました。その後、沖縄トラフという溝ができ、さらにはトカラ海峡や慶良間海裂といった重要な海峡の形成に伴って、各島が異なる時期に大陸から分断いたしました。大陸では、共通の祖先種を持つ陸生生物が絶滅をして、奄美大島、徳之島及び沖縄島などには、遺存固有的な陸生生物相が形成をされ、さらに、それらの島が海水面の上下動などの変化に伴って分離・結合が起きて、生物の分布がさらに細分化されて、島嶼間の種分化が進行しています。さらには、西表島には、その後、氷期の海面低下時にヤマネコが進入するなど、台湾や大陸に比較的近縁な種が多いという生物相を有していて、この地域を一体的に捉えることで、この地域の生物進化の様子を把握することができるという状況になっています。

 それぞれの島の所在する市町村と面積についてですが、合計で約3万8,000ヘクタールほどの推薦区域と、2万5,000ヘクタールほどの緩衝地帯を有しています。

 主な法的な保護担保措置としては、国立公園や森林生態系保護地域等が挙げられます。

 次のページに、世界遺産推薦区域を表した地図を載せております。緑色の場所が推薦地で、黄緑色の箇所が緩衝地帯になります。推薦地は、主に国立公園の特別保護地区と第1種特別地域に指定しており、緩衝地帯は、国立公園の第2種特別地域を指定しております。

 それぞれの島における保護担保措置の指定のことを少し振り返ってみたいと思いますが、西表島の国立公園区域に関しましては、今年の4月15日に大規模な拡張を行いました。当初の国立公園の特別保護地区の面積から特別保護地区と第1種特別地域を合わせた面積が大幅に拡大しています。

 さらには、ほんの3カ月前ではありますけれども、やんばる国立公園が新規指定されております。

 そして、今回の奄美群島国立公園(仮称)の新規指定が位置付けられるということになります。

 さらに、国内での保護担保措置、地域指定のほかに種単位での保全の強化も行っております。種の保存法に基づく国内希少野生動植物種に、この一年ほどで、この推薦地域に生息する多くの種を中心に新しく追加指定を行い、保全の強化を図っております。

 次のページですけれども、こういった保護担保措置だけではなくて、今、実際の世界遺産地域をどのように管理していくかについてですけれども、管理機関として、環境省、林野庁、文化庁、鹿児島県、沖縄県に加えて、地元の各市町村にも入っていただき、地元で地域連絡会議という、地元の関係者の方々にも参画をいただいた中で情報共有をしながら合意形成を図り、管理をしていく体制、そして、有識者の先生方から成り、科学的なデータに基づく順応的な管理を進めていく科学委員会という、この二つの会議体制を運営しながら管理を行っております。主な管理の施策としては、希少種の保護・増殖ですとか外来種対策、そして適正利用やエコツーリズム推進等を、この二つの会議の場を利用しながら、今後、より充実した管理を目指して進めていくことになります。

 最後に、今後の世界遺産登録に向けたプロセスですけれども、明日、「世界自然遺産候補地地域連絡会議」を開催いたします。これに関しては、各自治体の首長に出席いただいて、今後の世界遺産の推薦スケジュールですとか管理の考え方について承認をしていく場になります。そして、来年の1月中には、ユネスコ世界遺産センターに世界遺産の推薦書を提出して、来年の夏から秋頃にかけて世界遺産委員会の諮問機関であるIUCNによる現地調査及び評価を予定しています。そして、その翌年の2018年の夏頃に世界遺産委員会で世界遺産の登録の可否について審議されるというスケジュールになります。説明は以上です。

○石井部会長:ご説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまのご報告ですけれども、ご意見、ご質問等がございましたらお願いいたします。それでは最初に尾崎委員、お願いします。

○尾崎委員:ここで話すべきことかどうかちょっとわからないのですが、世界遺産の名称が、当初の「奄美琉球」という名称から四つの名前になって、複雑になり少し覚えづらい名前になりました。いろいろ理由があることは承知しておりますけれども、今回、国立公園の名前が西表石垣国立公園、やんばる国立公園、それから奄美群島国立公園という名前が出てきたわけですので、世界遺産の名称もそれに合わせるようなことはできなかったでしょうか。例えば沖縄北部でなくて、「やんばる」という名前が入れられないのかなというのが正直な感想です。

○石井部会長:他はいかがでしょうか。中村委員、お願いいたします。

○中村委員:一つは、スライドで説明があった際に、推薦地と緩衝地帯という、この二つに分かれておりましたが、知床のときに、当初、我々もコアとバッファーみたいな、そんな議論をしておりました。しかし、遺産委員会かIUCNか、もしくはユネスコから、そうした指定はしていないとの意見を聞いたような覚えがあるので、これについて今、世界遺産区域というのは、こういった二つのMABで設定されたようなコアとバッファーの議論をやっていくのかどうかをお聞きしたい。あとは、先ほどの国立公園の指定の際も、マングローブや海域とのつながりの重要性を何か議論されていて、そこでは40%ぐらいの海域は国立公園に含んでいたような気がしたのですけど、今回のこの推薦区域に海域が含まれていないというのは、これは陸域からの問題も含めて大丈夫なのかなと思ったものですから、その辺の理由をお聞かせください。

○石井部会長:ありがとうございます。それでは、三浦委員、お願いいたします。

○三浦委員:私も中村委員の質問に関連して、一つは、世界自然遺産としてのクライテリアとして、地球の地史だとか、それから生物進化の舞台といった基準が入っていて、これをそのまま上げていくと、当然のことながら当該地域は世界自然遺産としてふさわしいものであろうと考えられるのですが、その一方で、先ほどまでの議論で、今回の国立公園の指定については、人間の生活と自然との関連といったようなところにウエイトを置いているのですが、そこのところの整合性というのが果たしてとれるのかどうかということと、もう一つは、やっぱり重要だと思うのは、この件については、中村委員も質問したように、生態系保護地域と重なるような、一部はコアにしながら、一部はバッファーにしながらといったようなことで、実際にこうやって利用も可能なといったような領域を設けていくということと、今回の国立公園指定というのは非常に何といいますか、関連で提起されていると理解したのですが、このことがどこへ行ってしまうのかというのがちょっとよくわからないなと。自然遺産という方向性と、その生態系の一部利用ということと、どのように住み分けるのかがちょっとわからない。

○石井部会長:ありがとうございます。引き続き、宮本委員、お願いいたします。

○宮本委員:資料の後ろから三つ目ですけれども、希少野生動植物種の保全の強化というところで、最近かなりたくさん追加指定をなさったようですが、これがこの世界遺産センターへの推薦書の提出に十分な量だったのかというお考えでいらっしゃるのか、それとも、さらに追加指定が必要だとお考えになっているのか、お聞かせいただければありがたいと思います。

○石井部会長:ありがとうございます。それでは、小泉透委員、お願いします。

○小泉(透)委員:ありがとうございます。資料の世界遺産地域の保全・管理というところに、その保全・管理をする体制が示されているのですが、科学委員会の下にワーキンググループがありまして、奄美と沖縄というふうにして、その地域によってワーキンググループを設置するというようになっていますけれども、果たしてこれはそれでいいのかなという気がします。ワーキンググループというのは、科学委員会が考えるべきで、もう少し専門的な立場から個別のテーマについて検討を行う作業部会だと理解しておりまして、そういう意味でいくと、その右側の主な管理施策に書かれた課題がワーキンググループの課題になっていくのではないか。これらは、確かに地理的には奄美と沖縄とちょっと離れてはいますけれども、両方とも同じ、同質の問題を含むのではないかというところで、あえて奄美と沖縄とワーキンググループを分ける必要はないのではないかと考えます。ご検討いただければ幸いです。以上です。

○石井部会長:ありがとうございます。それでは、小菅委員、お願いいたします。

○小菅委員:やっぱり保全の強化と管理のところですけども、この地域の両生類は非常に特異的な進化を遂げてきている種がたくさんおりますが、両生類というのは、本当に要求される生息環境の狭い動物群だと思います。ですから、これはもう気がついたらあっという間に失われてしまうという危険性を非常に強く持っている種群だと思うので、これについてはやっぱりきちんとした域外保全をやっていくべきだと私は思っています。そこで、現時点で、これらの種の域外保全計画がどの程度進んでいるのか、将来どこまで行うのかということを含めて教えていただければと思います。

○石井部会長:ありがとうございます。他はいかがでしょうか。それでは、山極委員お願いいたします。

○山極委員:ご存じのように、島の保全というのは、海岸線から一番標高の高いところまで植生を保全するというのが非常に重要なことです。屋久島も世界自然遺産になるときに、海岸から亜高山帯まで連続した植生が残っているということが非常に重要なこととして定義付けられました。この地図を見ますと、確かに緩衝地帯を含むと海岸線まで残されておりますが、言うなればコア地域に関しては海岸線まで達してないわけですね。この辺りは指定の際に何か言われる可能性があると思うのですが、きちんとした説明ができるのかどうかお伺いしたいと思います。

○石井部会長:ありがとうございます。他はよろしいですか。それでは、今、7名の委員の方からそれぞれご質問等ございましたので、事務局から回答をお願いいたします。

○事務局(松永専門官):ありがとうございました。最初から一つずつご説明をしていきたいと思います。

 まず、尾崎先生からいただいた名称の件ですけれども、これはどうしても我々ではグリップできない部分もありまして、ユネスコから今回の世界遺産の登録推薦に当たりまして、より地域を正確に表した名称をという意見、ご指摘いただきましたので、それに従って島の名前を列挙しているという形になります。やんばる地域ということも国内ではありますけれども、より明確にというユネスコからの指摘を尊重して、島の名称を列挙しているというところでございます。

 中村委員からご指摘のあったコアとバッファーの位置付け、特に知床のときには、当時、コア、バッファーという形で呼びながら、今はA地区、B地区という形で、両方とも遺産地域として取り扱われているところではありますけれども、その後、世界遺産委員会の中でバッファー地域の重要性というものが議論としても増してきています。その中で、近年では、バッファーゾーンを設定したほうがいいだろうという話になっておりますので、今回、推薦地に加えてバッファーゾーンというものを設定したという経緯があります。もちろんバッファーゾーンだけでは不十分な場合もありますので、例えば外来種対策、マングースの対策などは、バッファーゾーンにとらわれずに、奄美大島では全域ですとか、やんばる地域でもSTラインというように呼ばれているマングースの北上防止柵が設置されていますけれども、そういった地域よりも北側の地域全体で行うなど、必要な対策は周辺地域でも行っていきたいと考えています。

 そして、海域に関しては、世界遺産としての価値というものが、どうしても世界遺産としての評価基準に該当するかどうかという、少し狭い範囲で評価されてしまうというところがあります。今回の世界遺産としての価値は、主に陸生の脊椎動物、固有種、希少種を対象としておりますので、世界遺産としては陸域のみを対象としています。海域に関しては、国立公園が海域も含めて設定されておりますので、国立公園等の枠組みでしっかりと保全を進めていければと思っております。

 続きまして、三浦委員からの人の生活との整合性、生態系の一部利用を世界遺産の中でどのように考えているかについてですけれども、これも先ほど奄美群島の国立公園の指定の際に少しご説明させてもらいましたが、具体的にどのように今、生き物を見せるとか、森林の中を歩くといった利用の仕方が良いのかということについて、現地が主体となって議論をしています。世界遺産登録がなされれば、観光客の皆さんも非常に多くなると思いますので、そういったことをしっかりと想定をしながら、急いで、とはいえ確実な安定したルールがつくれるように議論をしていきたいと思っております。

 そして、次に宮本委員からの種の保存法に関する種指定が十分かどうかというご意見についてですけれども、補足があれば希少種室からいただければと思いますが、今年の2月にケナガネズミやトゲネズミといった今回の世界遺産の価値の根幹を有するような、非常に固有性の高い種又は島ごとに種分化しているような重要種について種指定をしています。必要最低限の部分に関しては、ある程度網羅していると思います。ただ、それ以外の種でも、もちろん重要な種がいると思いますので、一気にというわけにはいかないですけれども、今後も順次、必要に応じて種指定をしていければと思っております。

 そして、次に、小泉(透)委員からのワーキングが地域別ではなく、課題別、施策別に設定されるべきではないかというご意見についてですけれども、ここに記載している会議、検討の場だけではなくて、保護増殖検討会やマングース対策のための検討会など、必要な課題別の、既に運用して、機能している会議の場がありますので、そういった会議と横の連携をしっかりととって、世界遺産の管理としても有効に機能させていければと思っております。

 そして、次に、小菅委員からの両生類の域外保全の見通しですけれども、両生類に関しては、基本的には生息数がほかの保護増殖事業を行っているような種に比べると多い部分もありますので、まずは域内保全を優先的に考えて、マングース等の対策を重点的に進めている状況だと認識しています。マングース対策等が奄美大島等ではかなり成果を上げておりますので、2011年ぐらいまでに、そういった希少な両生類に関しても生息数はかなり回復してきているというような報告も得られております。

 そして、最後に、山極委員からの海岸線から山頂まで保全するべきではないかというご意見ですけれども、西表島を除いて実際に海岸線から十分な保護担保がとれている場所は、今回の推薦区域には含まれていないという状況になります。これはどうしても原生的な環境、もしくは人の手が入ってから随分時間がたって、樹齢の高い森林を主な推薦区域として設定したためということもあります。そして、奄美大島ややんばる地域、徳之島に関しては、海岸線に近いところには、人家が点在しておりますし、その周辺はかなり人の手も加わって、人の生活の中で維持管理されているという側面もあります。そんな中で、どうしてもゾーニング的には難しい部分があったというところです。ただ、今回の推薦地域、緩衝地帯だけではなくて、先ほども少し申しましたけれども、その周辺地域も含めて必要な管理の対策は行っていきたいと思っています。以上です。

○石井部会長:希少種推進室から補足等がございましたらお願いいたします。

○事務局(番匠希少種保全推進室長):希少種保全推進室の番匠です。

 種指定について、宮本先生からご意見をいただきました。種指定について、どこまで行けば十分かというのは何ともはっきりとは言えないところですけども、この奄美地域、さらには沖縄地域というところで、まだまだ指定されていない希少種、大事な絶滅危惧種がいると認識しておりまして、現在も毎年、この地域も含めて調査をしてきているところです。順次、必要に応じて指定を進めていきたいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

○石井部会長:域外保全の話もございましたが、これについてはいかがでしょうか。

○事務局(番匠希少種保全推進室長):はい。域外保全につきまして、小菅委員からご意見をいただきましたが、域外保全について、現在、日本動物園水族館協会などの協力もいただいて、徐々に域外保全の種を全国的に増やしてきているところです。なかなか一遍にあれもこれもとはならないところがありますが、徐々に増やしていく中で、奄美や沖縄の種につきましても、特に両生・爬虫類も含めまして、地元の方とも相談して、生息状況を勘案して進めていくということを考えていきたいと思います。

○石井部会長:追加でございますでしょうか。小菅委員お願いします。

○小菅委員:両生類は本当に水辺だけじゃなくて、その周りの環境だとかが変化すると、本当にあっという間に生息数激減ということになっている例が結構あると思います。私、北海道ですから、エゾサンショウウオについて毎年調査行っておりますが、そこにいたものがあっという間にいなくなるということを経験しております。ですから、本当にいつからやるということを今から決める必要はないかもしれないけど、どこかの時点でやるということは意識してないと、もう手遅れになったら終わりですからね。特に世界遺産、小笠原の際にもしつこく言いましたが、世界遺産に登録された場所で種が絶滅するなんていうことがあったら、これは国の恥だと思います。そうならないように安全対策をとっておくというのは必要だと思うので、ぜひそういうことを常に頭の片隅にでも置いといていただけたらと思います。

○石井部会長:それでは、三浦委員お願いします。

○三浦委員:私の質問は、今回の国立公園の指定ということと自然遺産の指定という方向が必ずしも一致していないのではないかということを言ったわけで、決してそのことは悪いことではなくて、自然遺産指定については、陸域の野生動物を中心にしながら、これは網羅的にやっていただくということと、今回、指定要件の中で人の生活と自然との関係を大切にしていこうという国立公園の新しい展開を盛り込んでいるわけですね。そのことは決して悪い話ではなくて、MAB等の生態系保護地域のようなものも将来的には、そういう側面も多面的に取り入れながら保護地域を増やしていくという方向をお願いしたいということを言ったつもりです。ありがとうございます。

○石井部会長:それでは、山極委員お願いします。

○山極委員:屋久島の場合は、実は海岸線というのは、もともと特別保護地区や第1種ではなかったんですね。第3種、第2種、それを格上げして、しかもあれは民地でしたから、国有林ですらなかった。それをわざわざ自然遺産に繰り入れたのにはそれだけの理由があったわけです。もちろん屋久島は1,900メートルを超える高い山があって、垂直分布というのはとりわけ重要だったからですけれども、この幾つかの島で人々の生活がそこではあるからとか、あるいはそこの地域がまだ保護地域に格上げされてないからとかいうことを理由に、今それを無視するというよりは、今後そういうことも考慮しながら保護地域を増やしていく。先ほどの三浦委員のご意見とも重なりますが、そういうことを少しお考えになったほうが、つまり動物の移動、植物の移動というものを今後考えていかなければならないと思います。それは個々の生物の移動経路だとか、分布域ということをできるだけ細かく配慮しなければならない、今の研究や調査が十分ではないわけですから、今後可能性のあるものとしてできるだけ担保しておくというのが配慮として必要ではないかということを申し上げたかったわけです。今後配慮していただければありがたいと思います。以上です。

○事務局(岡本国立公園課長):国立公園課でございますが、今いただいたご意見も踏まえて、今後の公園計画も順次見直していくということになりますので、いただいたご意見はまた十分に考えていきたいと思います。ありがとうございます。

○石井部会長:ありがとうございました。それでは、よろしいでしょうか。中静委員、何かございますか。

○中静委員:質問というよりはお願いですけど、今回の連絡調整会議のメンバーは非常にたくさんの市町村になるということです。しかも四つぐらい部会に分かれるというようなことで、それぞれの市町村と、それから全体の連絡調整会議のやり方というのは非常に難しくなると思います。白神の経験ではそうですけれど、ぜひともリーダーシップをとっていただいて、上手にまとめていっていただきたいと思います。最初に掛け違えてしまうと、長く掛け違えることがあるので、どうぞよろしくお願いいたします。

○石井部会長:事務局の方でご配慮のほど、よろしくお願いいたします。

 それでは、次に参りたいと思います。次は諮問案件でございます。バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書に対応した国内措置のあり方の答申案について、事務局からご説明をお願いいたします。

○事務局(清家補佐):自然局総務課の清家と申します。よろしくお願いします。座って説明させていただきます。

 議事の3につきましては、まずは資料3-1ということで、この国内措置のあり方の検討の経緯について簡単にご説明をさせていただきたます。このバイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足議定書、以降、名古屋・クアラルンプール補足議定書と呼ばせていただきたいと思いますけれども、に対応した国内措置のあり方につきましては、昨年の11月11日の第28回の自然環境部会で諮問をさせていただきまして、その後、諮問に先立って設置されておりました遺伝子組換え生物等専門委員会の場で議論をしていただきまして、今年の8月3日に答申案を取りまとめていただきまして、その後、10月27日~11月25日までパブリックコメントを実施いたしまして、本日その答申案についてお諮りをさせていただくということでございます。

 下に米印で書いてございますけれども、この遺伝子組換え生物等専門委員会におきましては、この補足議定書の国内措置に関するものに加えまして、現行法のカルタヘナ法の施行状況の点検についてもご議論をいただきまして、こちらにつきましては8月30日に開催させていただきました、自然環境部会(第32回)でその報告書について報告させていただいたところでございます。

 以上が経緯でございまして、おめくりいただいて、資料3-2ですけれども、こちらで大もとになるカルタヘナ議定書と、それから今回、国内措置について検討する補足議定書の報告、概要をご説明させていただきます。

 まず、上のカルタヘナ議定書でございますけれども、こちらの遺伝子組換え生物による生物多様性への悪影響を防止するための措置として、締約国に措置の実施を求めているということで、具体的には、遺伝子組換え生物の輸出入に係る事前の通告あるいは同意の手続ですとか、あるいは遺伝子組換え生物によるリスクの評価、リスク管理といったことを締約国に求めており、平成15年に議定書が発効し、我が国も平成15年にこれを締結しております。締結に当たりましては、我が国として、担保法として、遺伝子組換え生物を使用等する場合の事前承認手続などを内容とするカルタヘナ法を平成15年に制定をしているところでございます。

 この遺伝子組換え生物による生物多様性への悪影響の例としては、例えばということで参考事例を三つ書かせていただいておりますけれども、在来生態系への侵入による影響ですとか、あるいは交雑が起きてしまうことによる影響ですとか、あるいは遺伝子組換え生物が有害物質を産生するような場合の影響ですとか、そういったものが考えられるところでございます。

 このカルタヘナ議定書で遺伝子組換え生物による生物多様性の影響を防止するための基本的な枠組みというのはもう既にでき上がっているところでございますけれども、この議定書の交渉過程でほんの一部分、その「責任と救済」という部分については、議定書の中で議論が収束せずに積み残し課題になったということで、その部分を補足する議定書として採択をされましたのが、この名古屋・クアラルンプール補足議定書でございます。こちらは、平成22年10月に名古屋で開催されましたCOP10とあわせて開催された、カルタヘナ議定書の第5回の締約国会合で採択をされたものでございます。

 補足議定書の内容は、端的に申し上げると、この赤字で書いているところでございますけれども、国境を越えて移動する遺伝子組換え生物によって損害、これは具体的には生物多様性への著しい悪影響が生ずる場合と規定をされておりますけれども、この損害に対して対応措置、対応措置は具体的には生物多様性の復元などですけれども、をとることを要求するという内容でございます。

 この補足議定書は、現在のところは未発効でございますけれども、既に36カ国が締結をしておりまして、発効要件が40カ国の締結から90日後となっておりますので、近い将来、発効する可能性があると見込んでいるところでございます。

 具体的に、この「対応措置」の内容、どういったことが想定されるかということですけれども、参考でまた幾つか書かせていただいておりまして、一部は、冒頭に書かせていただいている回収などは既に現行法でも措置できるところですけれども、例えば有害物質の除去ですとか、あるいは失われてしまった生育環境、生息環境を整備するですとか、あるいは人工増殖、再導入、そういったことが「対応措置」の具体的な内容としては想定をされるところでございます。

 おめくりいただいて、資料3-3、こちらは答申の概要でございますけれども、その後の資料3-4に答申の本体を付けさせていただいておりますので、本日はこの答申の本体のご説明をさせていただきたいと思います。

 資料3-4、おめくりいただいて3ページ目です。第1、背景というところでございまして、少し先ほどの説明と重複しますけれども、補足議定書採択の経緯ということで、2000年1月に採択をされたカルタヘナ議定書では、生物多様性への悪影響を防止するということを規定しているところですけれども、このカルタヘナ議定書の第27条では、その第1回締約国会合の後4年以内に、カルタヘナ議定書採択時に合意に至らなかった「責任と救済」に関する制度、すなわち遺伝子組換え生物が国境を越えて移動することによって生物多様性の保全及び持続可能な利用に損害が生じた際の責任と救済に関する国際的な規則と手続を作成する作業を完了するよう努めることが規定されております。これを受けまして、2004年からマレーシアでのCOP-MOP1から交渉が開始されまして、6年後、2010年10月に名古屋で開催されましたCOP-MOP5におきまして、この補足議定書が採択をされたという経緯でございます。

 補足議定書の概要でございますけれども、全体としては、条文としては21条文から成っておりまして、(1)のところに用語というのがございますが、二つ、今回の国内措置を考えるに当たって重要な用語がございまして、一つ目が(ア)に規定しております「損害」でございます。「損害」とは、生物多様性の保全及び持続可能な利用への悪影響であって、次の要件を満たすものということで、要件二つ書いてありまして、一つは、測定・観察することができる影響であるということ、二つ目は、「著しい」悪影響であるということで、悪影響の中でも程度が高いというものを「損害」とこの補足議定書は定義をしているところでございまして、この著しさを評価する指標として、(a)から(d)のような指標が規定されているところでございます。

 それから、もう一つ重要な定義といたしましては、おめくりいただいて、4ページ目の上から7行目、(ウ)「対応措置」ということですけれども、実際にその損害が起きたときに求められる対応措置としては、次のことのための合理的な措置をということで、(ⅰ)状況に応じて、損害を防止し、最小限にし、限定し、緩和し、又は他の方法で回避すること、また(ⅱ)といたしまして、次の優先順位により措置をとることを通じて生物多様性を復元することということが「対応措置」の具体的な内容として規定をされているところでございます。

 この補足議定書が各締約国に求められている具体的な措置の内容というのが、4ページ目の下の(3)の対応措置(第5条)というところでございますけれども、まず、(ア)締約国は、適当な管理者に対して、損害が生ずる場合には権限のある当局に対して報告をして、それから損害を評価して、適当な対応措置をとることを要求しなさいということが締約国に求められております。(イ)として、その権限ある当局、権限ある当局とは政府側のことですけれども、当局自体も損害を引き起こした管理者を特定して、損害を評価し、とるべき対応措置を決定すること、あるいは(ウ)ですけれども、そういった対応措置がとられない場合に損害が生ずる可能性が高いという状況のもとにおいては、管理者は、当該損害を回避するための適当な措置をとることとが規定をされているところです。

 それから、具体的に締約国に求められている義務として、(カ)として、5ページ目の上から3行目ですけれども、その管理者に対して対応措置をとることを要求する権限の決定に対して、しっかり国内法で救済措置を定めなさいということで、これは実際には訴訟で訴えるとか、あるいは不服審査をするとか、そういう手続ですけれども、そういうことを国内法でしっかり規定をしなさいということが書いております。

 (4)で、その他として幾つかの規定が置かれておりますけれども、中心になるのは今申し上げたような対応措置をとるということが各締約国に求められているところでございます。

 翻って、現行の我が国のカルタヘナ法の概要ですけれども、それが5ページの3ポツの「我が国における遺伝子組換え生物等の使用等の規制」というところですけれども、我が国では、カルタヘナ議定書を国内担保するカルタヘナ法が2003年6月に公布をされまして、カルタヘナ議定書が我が国について効力を生じた2004年から施行されているところです。

 このカルタヘナ法では、遺伝子組換え生物の使用等に関して、主務大臣による事前の承認を義務付けて、生物多様性を損なうおそれのある影響が生じないというふうに評価できる場合にのみ使用を認めることによって、生物多様性の保全を図っているところでございます。また、主務大臣、これは環境大臣あるいはその他の関係大臣ですけれども、主務大臣は、遺伝子組換え生物等を使用した者に対して、その遺伝子組換え生物を回収すること、あるいは使用を中止すること、それを命ずるということは現行法のもとでもできるということになっております。

 第2、ここからが、今回、補足議定書の実施を図るために講ずべき措置についてということですけれども、まず、基本的な方向性といたしましては、補足議定書の実施を図るために講ずべき措置は、生物多様性の確保の観点から遺伝子組換え生物等の使用について規制をしている現行のカルタヘナ法で担保をするということが適当であるとされております。その際、この現行のカルタヘナ法の体系も踏まえて、措置のあり方を検討する必要があるとも指摘いただいているところでございます。

 2段落目、補足議定書の実施を図るために講ずることが締約国に義務付けられている措置は、具体的には、先ほど挙げさせていただいた(ア)~(ウ)及び(カ)という、この四つですけれども、このうち、(ア)~(ウ)については、先ほどと繰り返しになりますけども、現行法でも遺伝子組換え生物を回収したりとか、あるいは使用を中止したりということを命ずることはできると規定されているところです。

 おめくりいただいて、2行目の「一方で」というところですけれども、一方で、その現行法の中止あるいは回収を命ずることができるという規定においては、生じた損害を「復元」するというような措置については、これは命ずることが困難であるということで、現行のカルタヘナ法が国内担保措置としては不十分であり、この復元措置について措置を講ずる必要があると考えられるというようにご指摘いただいているところでございます。なお書きといたしまして、補足議定書の3条の6は、これ締約国に、その損害に対応するための国内法を定めるに当たっては、国内法で基準を定める、用いることができるということで、締約国に一定の基準の定め方については裁量を認めているということが指摘されているところでございます。

 それから、(カ)、この部分については、我が国には、もう既に行政不服審査法、あるいは行政事件訴訟法、国家賠償法が存在しておりますので、新たな措置を講ずる必要はないというご指摘をいただいているところです。

 2ポツ、これが「損害」についてでございますけれども、「損害」について、これは、補足議定書は先ほど申し上げたとおり、測定・観察できる悪影響であるということで、かつ著しい悪影響であるというように規定をしているということでございます。それから、「損害」が発生した場合には、生物多様性影響の防止の場合と異なって、その管理者には復元措置ということが命じられる可能性があるという負担を負うことになりますので、そのことにも配慮する必要があるということでございますし、あとは、国内担保に当たっては、やはり管理者にとってある程度予測可能で、明確な形で損害の範囲というのを規定しておく必要があるということ、さらに、「影響を測定し、又は観察することができる」というためには、実態としても、ある程度生物多様性に係る状況が把握されているということが必要であるとご指摘いただいています。

 「これらのこと」からというところですが、復元措置の対象となる「損害」の範囲については、生物多様性の保全を目的として現行法の下で保護されている地域や種の観点から、限定的に考えることが適当ではないかと、そしてその際には、新たに設ける措置と現行法で定められている規制との間のバランスも考慮する必要があるとご指摘いただいているところです。この地域や種の観点から限定するという議論の過程では、海外の例も参照していただいて、例えばEUで同じような形で損害の対象が限定されておりますので、それを参考にしつつ、こういったご指摘をいただくということに至ったものでございます。

 なお書きといたしましては、補足議定書自体は国境を越えてくる遺伝子組換え生物を対象にしている議定書でして、これは大もとのカルタヘナ議定書も全く同じですけれども、他方で、海外から入ってくるもの、あるいは国内に起源を有するもの、いずれについても遺伝子組換え生物であれば、生物多様性に与える影響というのは同じで、そこに扱いの違いを設ける合理的な理由はないということから、下から3行目ですね、国内に起源を有する遺伝子組換え生物によった損害についても新たに設ける措置の対象とすることが適当であるということで、ここは現行のカルタヘナ法と同じ整理で今回の国内としても考えるべきであるとご指摘いただいているところでございます。

 最後、7ページ目ですけれども、3ポツ、措置命令の対象者につきましては、これは補足議定書の第3条の2は、遺伝子組換え生物などの適法な使用によって生じた損害についても補足議定書が適用されるという旨が規定をされております。

 この点、現行のカルタヘナ法は、遺伝子組換え生物の違法な使用者に対してのみ回収を命ずることができるというような規定を設けておりまして、今回の命令の対象になる復元の措置ということについては、現行法の回収の措置と同等あるいはそれ以上の負担になるという可能性が高いことに鑑みれば、やはりその復元措置の対象は、違法な遺伝子組換え生物等の使用がなされた場合に、その違法な使用者に対して命ずるということが適当であるというように、これは現行法の整理との関係でも指摘をされているところですので、その上で、適法な使用によって損害が発生した場合などについては、これは措置を命ずることができないという場合ですので、政府が自ら実行可能で合理的な範囲で復元措置を講ずる必要があるというご指摘をいただいているところでございます。

 最後、4ポツ、「対応措置」についてですけれども、こちらは生物多様性の「損害」はその内容・程度がさまざまであることから、損害が生じた場合に求められる「対応措置」の内容も、個別の事案に応じて判断されることが適当ということではございますけれども、例えばということで、生育・生息環境の整備ですとか、人工増殖、再導入などが想定をされるということでございます。ただし、補足議定書が「対応措置」を「合理的な措置」というように定めていることや、実際に遺伝子組換え生物を使用された方が損害に与える寄与度もさまざまであるということを踏まえまして、「対応措置」の内容は、実行可能で合理的なものとすることが適当であるというご指摘をいただいております。

 「なお」ということで、政府はその「対応措置」の内容については想定される内容などを対外的に提供するよう努める必要があるというご指摘もいただいているところでございます。

 以上が答申案でございまして、それから最後、資料3-5、こちらがパブリックコメントの結果についての資料でございますけれども、去る10月27日~11月25日までの間、この答申の案につきまして、パブリックコメントを実施させていただきました。意見の提出件数としては18件で、整理した意見としては22件ございまして、多くは遺伝子組換え生物等専門委員会の中でご議論いただいた論点について、答申のとおりでよいという意見、あるいは少しそうではないといった意見のほか、あと、現行のカルタヘナ法についてのご意見ですとか、その他幾つかご意見いただいておりますけれども、細かい説明はここでは割愛をさせていただきたいと思います。こちらからの説明は以上です。

○石井部会長:ありがとうございました。

 冒頭でもご紹介しましたように、本日は遺伝子組換え生物等専門委員会の磯崎委員長に御出席していただいておりますので、補足がございましたらお願いいたします。

○磯崎委員長:ありがとうございます。今、清家さんに主だったところを大体説明していただいたのですが、少し重なるところもありますが、委員会として考えていた一番中心的な事柄が、この名古屋・クアラルンプール補足議定書との関わりでの議論で報告をまとめるということで、それ自体が諮問内容でしたので、報告書はそこに絞られた形で今日のような提出になっています。ただ、委員会の場では、必ずしもこの補足議定書の射程の事柄だけではなくて、それ以外の事柄や、それから、一般的な組換え改変に関わるような事柄、又は、先ほども少し触れられましたが、現行のカルタヘナ法の枠組みに関わるような事柄など、それらも最初は議論をしています。それを前提とした上で、最終的にこの補足議定書に対応するための措置ということで議論をまとめてきています。

 その過程で、例えば先ほど清家さんの説明で、報告書の5ページの上のほうの(4)ですが、これも議定書の中では、各締約国に対して義務的な内容ではなくて、任意的な内容で検討ができるということですが、これらについても議論をしています。4番の項目についても、特に現行の民法その他関連規定の中でカバーされているところがあって、新設の必要はないだろうという形で議論をした上でこの表になっています。特に、報告書だと、後半の6ページから7ページにかけての2番、3番、4番の三つの項目ですが、一番ベースにあるのは補足議定書が定めている「損害」の定義、それから、とらなければならない「対応措置」の定義、この二つに基づいています。その中から出てきたこととして、重大な著しい損害ということであると想定できる場所で保護区域に指定がされている場所、そこを考えるという整理になっているのですが、保護区域でない場所でも起きるのではないかという議論はされています。ただ、その点に関しては、既に片方で有害性のある、又は危険性があるかどうかということを許可申請して、利用行為が許可されるという許可プロセスが片方にあるということで、もし問題があるとすると、許可制度のほうに問題があるから損害が起きる。それに対しては、許可制度のほうでカバーできるのではないか。そこで、現行の許可制度との関連で大きな問題が実際に生じるというときに、そういうデータあるいは具体的事例が出た場合に考えるということでもいいのではないかということで、保護区域としてされている場所に絞るという形がとられています。それから、もう一つが2番目と3番目のポイントに関わる内容です。

 4番目ですが、これも既に説明されましたように、もっと厳格な対応措置ということも片方であるのですが、これも議定書のほうで合理的で適切な措置という規定が係っているということで、現行の2本のその他の法令との関連性でこのような形になっています。

 今の時点で、大体そのような追加をさせていただきたいと思います。

○石井部会長:どうもありがとうございました。

 それでは、ただいまのご説明でございますけれども、委員の皆さんからご意見、ご質問等を受けたいと思います。いかがでしょうか。

 この部会では、第27回のときに委員会を設置させていただいて、そこから磯崎委員長をはじめ、精力的にご議論いただいたということでございます。第32回を開催した8月ですけれども、一度この施行状況の検討についてご報告をいただいております。さらに今回は、パブリックコメントを実施した後ということで今回の答申案が出てきたわけでございます。いかがでしょうか。それでは、中静委員お願いいたします。

○中静委員:質問ですけれど、今の磯崎先生のお話でよくわかったのですが、パブリックコメントにも損害の範囲に農作物という議論があって、それは確かにここに書いてある回答のとおりかなとも思うのですが、例えば今、地域品種みたいな農作物がありますよね、地方が一生懸命やろうとしている、それは愛知ターゲットの中にも一部含まれるような内容があって、そういうものに対しての議論がありましたらお願いします。

○石井部会長:磯崎委員、お願いします。

○磯崎委員長:その点は、今触れられていた前回の報告書あるいは前半の報告書ですが、カルタヘナ法そのものの射程との関わりで、特に米であったり、今指摘された郷土のさまざまな伝統野菜とか、それらとの関連での指摘もされて、議論はしたのですが、それについてもカルタヘナ議定書そのものの射程と、それから現行のカルタヘナ法で、いわゆる生物多様性に対する損害ということですので、限られた場所で、耕作目的で品種改良されたりしたというものについては、現在の時点では対応を考えなくていいのではないかというので、そのような形で今回の補足議定書の議論のときもそれを受けた形で議論は進められてきました。

○石井部会長:よろしいでしょうか。ほかはいかがでしょうか。それでは、中村委員お願いします。

○中村委員:分かっていないので教えていただきたいのですけど、この6ページにある「損害」が発生した場合は、復元措置をとらなくちゃいけないと書いてありますが、その「損害」を発生した領域とこの復元措置を命ぜられる可能性のある範囲というのは、基本的に対応した関係にあるのか、それとはまた別の話になるのか、それを教えていただきたいと思います。

○石井部会長:これも磯崎委員長でよろしいですか。お願いします。

○磯崎委員長:損害が発生しているというのは、生物多様性の状態に対して悪影響が出ているところを言いますので、大抵は重なることが多いのですが、ここで起きた何らかの原因が動いていって、ここで発生という場合は、その発生している場所になります。ですから、現在の答申の枠内ですと、日本の、特に自然保護関連の法令のもとで、保護区設定がされている場所、そこで損害が生じているかどうか、それが判断基準になって、その原因がどこかで起きているかどうかということについては触れていません。

○石井部会長:中村委員、よろしいですか。

○中村委員:それをどこで発生しているか触れていないときに、その管理者は復元措置を命ぜられる可能性があると書いてありますが、そういうことが可能なのでしょうか。僕がよくわかってないのかもしれませんが。

○磯崎委員長:その発生した場所で、特に今回の法改正で行うべき措置が復元措置ですので、その場所で行うことになります。それ以外の事柄は、実は既に現行法でもう回収しなさいとかということは、あるいはその行為をしばらくやめるとか、そういうことは既に現行法で行われています。新しいことが実際に起きた場所で、その場所の復元、生物多様性を復元する、その行為をそこで行うということですので、現行で行われている、あるいは現行で求められる行為にプラスで現場での復元が求められるということです。

○石井部会長:よろしいでしょうか。他には特にないでしょうか。

 それでは、お諮りしたいと思います。バイオセーフティに関するカルタヘナ議定書の責任及び救済に関する名古屋・クアラルンプール補足規定書に対応した国内措置のあり方について、ご提案のように答申するということでご異議ございませんでしょうか。

(異議なし)

○石井部会長:はい。どうもありがとうございます。

 それでは、本件につきましては適当と認めることといたします。ありがとうございました。

 次に参りたいと思います。

 報告案件でございます。絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置について、まず、事務局からご報告をお願いいたします。

○事務局(番匠希少種保全推進室長):希少種保全推進室の番匠です。

 私から議題4について説明をさせていただきます。よろしくお願いします。

 議事の4につきましては、現在、種の保存法の改正も視野に入れまして、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置について、野生生物小委員会で審議をいただいているところです。この内容につきまして、簡単にご紹介をさせていただきたいと思います。資料は4のシリーズをご覧ください。

 まず、資料4-1ですけども、種の保存法の概要になります。この辺りは皆様ご存じの方多いとは思いますが、左側に国内希少種の保護のことを書いております。右側が国際種、外国産の希少種の保護という部分です。この両方を、この種の保存法で規定をしております。国内種につきましては、環境省でつくっておりますレッドリストに基づきまして国内種を指定して、指定した種の捕獲や譲渡しを禁止するという内容になっております。国際種につきましては、ワシントン条約や二国間渡り鳥等保護条約、こういったものに基づいて、国際種の指定をしまして、その譲渡し等を禁止することによって、国際種を守るというような仕組みになっております。

 今回の絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存につき講ずべき措置についての概要については、資料4-2をご覧ください。資料4-2の1ページ目が全体概要になります。背景に3点ございます。また、それに対応して講ずべき措置の(1)から(3)、この3本の柱にプラスして(4)でさまざまな、若干細かい点につきましても記載をしておりますので、それを(4)に書いております。この柱の3本について、これからご説明をさせていただきます。

 次のページから3ページにわたって、この3本の柱のペーパーを付けております。一つ目が、我が国に分布する絶滅危惧種保全の推進でございます。まず、現状、背景といたしましては、現在、我が国のレッドリストでは、3,596種、絶滅危惧種が選定されております。現在300種、新規指定ということで野生生物小委員会などでも審議をいただいて、順次、追加指定をしてきております。現在175種、さらに、来月施行される種を含めますと200種をやっと超えたというような状況になっております。

 多くの絶滅危惧種があるわけですけども、その中には二次的自然に依存している種というのもございます。こういった種、絶滅危惧種の中でもかなり多い割合となっておりまして、その保護、さらには生息環境等の維持というのが課題になっております。

 この二次的自然に分布する種、例えば昆虫類だとか淡水魚類などありますけども、こういった種について、業者等による大量捕獲の危機というのもあります。さらに、こういったこと、こういった種を守るには、積極的に保全対象として、人の働きかけを維持するための支援が必要というような状況もございます。ただ、国内種に指定をして、こういった種を守ろうということで、現在、種の指定、どんどん進めてこういった種も対象にしていこうというところですけども、実際指定をしますと、捕獲の規制、譲渡の規制、そういった厳しい規制がかかってまいります。そうすると、調査研究や環境教育に支障を及ぼす。例えばちょっと捕まえて子どもに見せるというようなこともできないということになってきますので、なかなかこういった種は現行の規制対象種とするのは無理があるのではないかというご意見を多数いただいているところです。

 また、こうした種につきましては、生息環境が守られれば増殖率が非常に高い種が多いということで、捕獲・譲渡し等の規制が必ずしも最重要というわけではないという場合がございます。こうしたことで、下にあります講ずべき措置の概要というところをご覧いただければと思いますが、こういったことを現在検討しております。

 現行は捕獲・譲渡を原則禁止ということですけれども、今回考えておりますのは、商業目的での業者による大量捕獲等のみを抑制することができる制度改正を検討するということで、例えば自己用でちょっと少数捕ったりすることについては特に規制をかけないで、そのかわりその業者が根こそぎ捕っていってしまうことについては厳格に規制をすることを考えております。これによりまして、二次的自然に分布する種も積極的に保全対象とすることができるのではないかということで、こうした検討を進めております。

 次のページが2点目になります。動植物園等と連携した生息域外保全等の推進でございます。現状、課題ですけども、現在も動植物園の協力を得て生息域外保全、野生復帰の取組を実施しております。代表的な例としては、ここにありますようなツシマヤマネコやムニンノボタンというようなものがございます。

 ただ、この動植物園を、特にこういった種の保存に対しての役割を認めるような制度は存在しておらず、むしろ動植物園の自主的な努力、自主的な考えによって、こういった取組をしていただいているというのが現状でございます。ですから、こういった取組を継続したり、発展させたりというときに、かなり支障というかハードルがあるとお聞きをしております。

 また、動植物園の間で繁殖のために個体を移動する際、特に動物の場合は、血統管理のために譲渡が必要ですけれども、許可手続が必要であり、毎回それをするというのはかなり煩雑であるということで、さらに進めるためにも手続の緩和が必要と考えております。

 また、先ほどご説明しましたとおり、絶滅危惧種、非常に数が多く、生息域外保全が必要な種は増えてきております。こういった種の生息域外保全を政府の力だけで実施するのは限界がありますので、動植物園等と密接に連携した取組を促進するという制度が必要ではないかと考えております。

 講ずべき措置の概要のところをご覧いただきますと、まず、適切な施設及び能力を有する動植物園等を認定する制度を創設したいと考えております。こういった認定された動植物園につきましては、積極的な連携を図るとともに、譲渡し等の規制緩和を通じて、域外保全をさらに推進したいと考えております。

 下の表にありますように、飼育栽培の計画を作成していただいて、それを環境省が認定をするという手続を経まして、この認定された動植物園間については自由に血統管理のための移動などをしていただいて、域外保全を進めていただくことを考えております。こういったことで、生息域外保全や、さらには動植物園等を通じた普及啓発等のより一層の促進を図りたいと考えております。

 3点目が、最後のページ、国際希少野生動植物種の流通管理強化です。国際希少種ですけども、希少性から高額で取引されているものが多くございます。適法に輸入された個体については、現在、登録した上で、登録票とあわせて譲渡しを行うという制度になっております。この登録されている個体が例えば死んだりして占有しなくなった場合については、登録票の返納が義務付けられていますけれども、実際に返納されてくる数を見ますと、返納しない場合が少なくないと推察されております。さらに、未返納の登録票を違法に入手して不正に利用する事件も発生しているところです。

 そこで、この流通管理強化を図るために、現行の登録制度、この講ずべき措置の概要の上半分のようになっておりますが、これに新たに登録票に有効期限を設定したい、生きている個体について有効期限を設定したいと考えております。これによって、例えば今所有しているのが死んだ後に別の個体に付けるというようなことが防げると考えております。さらには、個体識別措置を導入したいと考えております。これは、いわゆるマイクロチップだとか、鳥類だと足環になるかもしれませんが、そういったような個体識別措置をして、登録票と個体を1対1でしっかりと対応させるということをしたいと考えております。

 さらに、ここには書いておりませんが、先日、ワシントン条約の締約国会議でも問題になりました象牙に関して、日本は事業者管理によりまして象牙の管理というのを進めておりますが、この象牙の事業者管理制度の強化につきましても、この流通管理強化と一体で図っていきたいと考えております。こうした内容を盛り込みました答申の案が現在、パブリックコメントにかかっておりまして、それが資料4-3になります。この4-3については詳細な説明は省略をさせていただきますが、こういった形で現在、パブリックコメント、国民の皆さんのご意見をお聞きしているという状況ですので、また、時間があればご覧いただいて、ご意見があればお寄せをいただければ幸いに存じます。

 今後のスケジュールですけども、資料4-4にスケジュールがあります。これまであり方検討会、さらには野生生物小委員会でご審議をいただいてまいりました。現在、12月13日からパブリックコメントを実施しておりまして、1月11日までの予定でパブリックコメントを終了する予定です。

 このパブリックコメントの対応を含めまして、1月30日に予定されております野生生物小委員会で答申をいただきたいということで予定をしておりますので、以上、資料4の関係についてご報告をさせていただきます。ありがとうございます。

○石井部会長:ご説明ありがとうございました。

 それでは、ただいまのご報告につきまして、ご意見やご質問がございましたらお受けしたいと思います。それでは、深町委員からお願いします。

○深町委員:方針の二つ目の動植物園等と連携した生息域外保全ということで、こういうことはとても大事だと思いますけれども、動植物園等ということで、含まれているかもしれないですが、地域の小さな自治体に行きますと、動物園とか植物園とか、しっかりした施設があるわけではなくて、文化系の文化資料館だとか郷土資料館とか、そういったところにしっかりした専門家がいたりして、展示も、特に二次的な利用が大事ということであると、植物とか動物の知識だけではなくて、どう人とか暮らしと関わっているかという観点からのいろんな視点とか教育や普及も大事だと思うのですけれども、そういう意味で、対象とする施設が、どこでもいいというところまではよくないと思うのですけれども、かなり間口を広げて、小規模でも大事だなというところもしっかりと含めていくことが大事だと思うのですが、その辺はいかがでしょうか。

○石井部会長:まずはご意見、ご質問をお受けしたいと思います。小泉透委員、お願いします。

○小泉(透)委員:ありがとうございます。私も深町委員の質問に少し似ていますが、鳥獣保護管理法に関連して、都道府県によっては鳥獣保護センターというような施設を設置しているところがありますが、そういった施設と、ここで述べられている動植物園等という位置付けとどのように関連するのか教えていただければと思います。以上です。

○石井部会長:ありがとうございます。中静委員、お願いします。

○中静委員:関連するのですけど、植物園等で絶滅危惧種などを生息域外保全で行っているのですが、結構たくさんの個体が産地不明のまま保全されていて、それが結構大きな問題になっています。どこからとってきたのかわからない状態で、それも希少種が保全されているケースがある。そういう問題をどうするかということは結構大切です。この認定制度をつくるのであれば、そういうものの管理をどうしていくかということも、きちんと踏まえた認定制度にしていただきたいなということです。

○石井部会長:ほかはいかがでしょうか。それでは、3点、いずれも動植物園等との連携の辺りですけれども、事務局から何かご意見等がございましたらお願いします。

○事務局(番匠希少種保全推進室長):動植物園について、3人の先生からご質問、ご意見をいただきました。

 まず、動植物園等となっていますけれども、この「等」は、例えば水族館であるとか、昆虫館というのもありますし、様々な絶滅危惧種、分類群がありますので、それぞれいろいろ飼育をされているところがあると思います。例えば淡水魚を飼っているところも色々な名前であると思いますので、そういったところが基本的にはこの「等」に全て入ってくると考えております。その中で、具体的に文化系や郷土資料館のようなお話、さらには鳥獣保護センターというようなお話がありましたが、特に園、館の名前でこの対象となる、対象とならないということではなくて、目的が、いわゆる絶滅危惧種、希少種をしっかり飼養栽培されていると。そこに責任を持って取り組んでいただく体制があったり、施設があったりというところが一番の主目的ですので、そういったところが最低でも1種とか、しっかり飼養栽培されているのがまず前提になるのかなと思います。そういったところにつきましては、特に名前がどうだからということではないということで考えております。

 さらに、中静先生から、植物園の絶滅危惧種についてお話がありました。確かにおっしゃっているような部分はあります。ここで考えているのは、どちらかというと、認定のときにはそういったものを対象とするのではなくて、しっかりと産地がわかっていて、しっかり生息域内保全とも関わりつつやられている生息域外の取組というのを認定していくことを考えており、認定の部分につきましては、そういったしっかりしたものを認定していくという考えになっております。現在ある産地不明のものをどうするかはその施設毎の問題もあるので難しいところはありますけれども、こういった制度を運用する中で、しっかりした域外保全の取組というのが割合として増えていくということを期待したいと考えております。

○石井部会長:ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは、小泉武栄委員お願いします。

○小泉(武)委員:業者による大量捕獲や販売を禁止するというのが出てきており、以前、高山植物などですと、大量にとっているのを見つけた人が地元の警察に通報したりして、地元の方が待っていて捕まえたりしたのですけど、なかなか難しいですね。実際、環境省が警察権を持っているわけではないですので。これは、実際に実効を保つためには、国立公園のどこか入り口辺りにしっかりとここは禁止区域ですとか、これは捕ってはいけないということをきちんと書くなり、何か対応しないといけないような気がするのですけども、その辺はどう考えているか教えてください。

○石井部会長:追加のご意見等なければ、引き続き事務局からお願いします。

○事務局(番匠希少種保全推進室長):はい。ありがとうございます。実際に、いわゆる現場で大量に採取をしている人を捕まえるというのはなかなか難しいというご意見も、まさにそのとおりで、私も目の前で逃げられたことがあるのですけど、そういった困難さがある一方で、この種の保存法というのは、指定した種については、保護地域だけではなくて全国一律で係ってくる制度ですので、この商業目的での大量捕獲を抑制するということは、基本的に商業目的での販売も抑制するということを考えています。いわゆる譲渡規制を付けることができますので、保護地域だけでは現場で捕まえなければいけないところを、その販売する根っこ、例えばインターネットに出品すれば、もうそれで摘発することができるということで、そういった面で、種の保存法で指定することでの効果というのは、この販売という面では非常に大きいのかなということを考えております。

○石井部会長:よろしいでしょうか。それでは、この案件は報告事項ですので、ここまでとさせていただきたいと思います。

 それでは、引き続きまして、次第では5と6となっている報告でございます。生物多様性国家戦略2012-2020の達成に向けて加速する施策について、それから、生物多様性条約第13回締約国会議について、この2件を一括してお願いしたいと思います。では、事務局からご説明をお願いします。

○事務局(中尾生物多様性地球戦略企画室長):生物多様性地球戦略企画室の中尾と申します。着席してご報告させていただきます。

 まず、2020年愛知目標の達成を目指す関係省庁の「加速する施策」についてのご報告でございます。こちらにつきましては、資料5-1になります。

 経緯としまして、COP12に、生物多様性条約第12回締約国会議において決定された愛知目標の中間評価では、目標達成に向けて進展はあるものの、今後さらなる取組の必要があるとされました。これを受けて、13省庁から成る生物多様性国家戦略関係省庁におきまして、愛知目標の2020年までの達成に向け、現行の国家戦略の着実な実施に加え、平成28年度の環境基本計画(生物多様性分野)の点検において、当該自然環境部会でご審議いただき、その後、中央環境審議会全体としてご指摘いただいた今後対応すべき課題を踏まえて、今後一層加速させる具体的施策を取りまとめました。これにつきまして、11月24日に公表しておりますので、簡単にご報告をさせていただきます。

 1枚めくっていただきまして、内容としては大きく三つから成ります。この課題につきましても、こちらの部会で先生方にご審議いただいたものと同じでございます。

 一つ目は、生物多様性の主流化に向けた取組の強化。ここにつきまして、生物多様性国家戦略の中から、特に加速すべき取組というものを関係省庁により抽出しているのでございますけれども、新たなものも含めております。これにつきましては、国立公園満喫プロジェクト、そして、農林水産省が中心になっているものですけれども、国連が日頃の生活の中で生物多様性により行動を行っていくという、My行動宣言という取組がございますけれども、これのさらなる促進につながる農林水産関係のアクションの普及・啓発を新たに取り組むということで計上しております。

 また、大きな二つ目の項目でございますけれども、生物多様性保全と持続可能な利用の観点から見た国土の保全管理と生態系サービスの利用、ここにつきましても二つ新たな取組というものを掲げてございます。一つは、防災・減災や持続可能な社会づくり、グリーンインフラ等の観点も踏まえた自然再生の取組の推進でございます。もう一つ目は、気候変動の影響への適応、地域づくりへの生態系の機能の活用等の中で、持続可能で魅力ある国土づくりや地域づくりを進めるグリーンインフラに関する取組を推進するとしまして、適切な国土利用・管理に資する生態系の活用のあり方を検討するため、活用手法や効果測定手法等の調査研究を推進するというものを盛り込んでございます。

 そして、三つ目の大きな事項としまして、野生生物の保護管理と外来種対策の加速というものをまとめてございます。詳細につきましては、この後ろのほうに全体をまとめておりますので、お時間があるときにお目通しいただければと思います。

 引き続きまして、六つ目の本日の報告事項であります、生物多様性条約第13回締約国会議、カルタヘナ議定書第8回締約国会合及び名古屋議定書第2回締約国会合の結果について、ご報告させていただきたいと存じます。こちらにつきましては、資料6-1をご覧ください。

 これらの三つの会議をまとめまして、今回から国連生物多様性会議、そして開催地、年号という形で呼ぶということを全体でまとめておりまして、今回は国連生物多様性会議メキシコ・カンクン2016が12月4日~17日にメキシコのカンクンで開催されました。日本からは、関環境副大臣が閣僚級会合などに出席したほか、一連の会議に関係各省の担当者が出席しております。

 閣僚級会合では、生物多様性の保全及び持続可能な利用の主流化について閣僚間で議論や経験の共有が行われ、「カンクン宣言」が採択されております。

 これに引き続き、本会議では、「とりわけ農林水産業および観光業における各種セクターへの生物多様性の保全および持続可能な利用の組み込み」を主要テーマとして、生物多様性の主流化を含む広範な事項について議論され、37の決定が採択されております。カルタヘナ議定書の会合では締約国から提出された国別報告書などに基づき議定書の実施状況や課題などについて議論され19の決定が、名古屋議定書会合では名古屋議定書の実施に関する事項について議論され14の決定が、それぞれ採択されております。

 1枚めくっていただきまして、主な成果について簡単にご説明させていただきたいと思います。まず、「カンクン宣言」でございます。詳細の和訳につきましては別添という形で添付させていただいております。環境省からは関副大臣が参加し、日本の「エコツーリズム推進法」に基づく取組や「国立公園満喫プロジェクト」について、観光業のテーマに関するラウンドテーブルで発表させていただいております。これらを通じて、「保全と利用を好循環させる仕組みづくり」の重要性を主張しております。またこの機会に、日本を含む9カ国・団体から、2020年の愛知目標達成に向けたイニシアティブの表明がなされました。このイニシアティブの表明につきましては、事前に条約事務局の呼びかけに応じた各国が提出したものの中から特に、今回この会合において発表していただくにふさわしいものとして、条約事務局から、カンクンにおいて依頼をされまして、急遽表明がこの9カ国・団体からされたものです。この中で、日本からは関副大臣から、生物多様性日本基金を通じた地球規模での取組の強化と、先ほどご報告をさせていただきました国家戦略中間評価を行った上で取りまとめた一層加速させる施策の実施、さらに、多様な主体で構成される「国連生物多様性の10年日本委員会」による2020年に向けたロードマップの策定とその実施について表明をさせていただいております。

 さて、生物多様性条約第13回会合の本会議の成果です。まず、愛知目標の達成に向けた進捗について、前回の締約国会議でも評価がされているのですけれども、その後、新たに収集された情報に基づきまして、追加的な進捗状況の確認というものがされております。これにつきましては、前回の締約国会議から大きな変化はなく、進捗はしているけれども、さらなる強化が必要であるということが結論となっております。これを受けて達成に向けた努力をさらに強化することを締約国に求める内容の決定が採択されております。

 また、条約及び生物多様性戦略計画の実施を強化する戦略的行動として波、農林水産業及び観光業を含むさまざまなセクター内及び複数のセクターにまたがる主流化に向けて、ステークホルダーの関与などにより努力を強化することを締約国に強く求めることとなりました。

 この中で、先ほど申し上げました生物多様性の10年日本委員会における取組の経験を踏まえ、取組多様なセクターによるプラットフォームを通じた主流化のための活動強化、取組業界全体の企業の取組を強化する観点からの事業者団体の重要性、地方自治体の参画と取組強化のための地方自治体ネットワークの有用性といった内容を、我が国からの提案により決定に盛り込まれております。

 上記のほか、合成生物学の潜在的な便益と悪影響の考慮事項や検討枠組、遺伝資源の塩基配列情報と条約実施に関する検討プロセス、あるいはIPBESによる評価の活用、国別報告書のガイドライン等の決定がなされております。

 また、カルタヘナ議定書の第8回締約国会合におきましては、実施状況の確認というのが行われたのですけれども、特筆すべき事項としまして、約半数の締約国のみしか国内の施行体制がないということでございます。これにつきましては、当然のことながら施行ができることを求めるという決定がなされております。

 また、名古屋議定書の第2回締約国会合の中でも、締約国の中で国内措置を実際に実施している国というのは2割程度に限られているということが確認されております。これにつきましても、既締約国に対しても名古屋議定書の効果的な実施に向けて制度の構築等を進め、その情報を各国に共有することを求められる決定がされております。

 1枚めくっていただきまして、では、日本の貢献・取組はいかようであったかということでございます。まず、日本は第10回締約国会議をホストした際に、生物多様性日本基金及び名古屋議定書実施基金を設立し、途上国に対する取組に対しての支援を行っております。これを継続してきており、各国から評価する、あるいは感謝する声が広く聞かれております。

 また、日本は議長国であった期間、議長を務めていたのですけれども、その後初めてアジア太平洋地域を代表する幹事会メンバーを今回は務めてまいりました。このため、今回の会合に向けて、前回の締約国会合からこのカンクン会合の終了に至るまで、地域代表として会合がスムーズに進むように、あるいは地域の意見が取りまとめられるように努めてきております。

 このほか、いずれの議題につきましても積極的に議論に参加し、時にはオピニオンリーダーとして貢献してまいりました。

 これら以外に特筆すべきものとして二つございます。一つは、国連生物多様性の10年の日という形で、丸一日、サイドイベントを開催しております。こちらにつきましては、本日、会合にご参加いただいております経団連自然保護協議会の二宮会長にもご参加いただき、取組について具体的な内容をご発表いただいております。これによりまして、この国連生物多様性の10年に国としていかに取り組むのかという例を各国に対して示すことができました。

 また、今回、本会議の中で、「自然との共生に関する双方向性対話」というものが行われました。これについては、世界から5名の有識者が条約事務局で選ばれまして、発表がされております。その中で、本日ご参加いただいております中静先生から、自然との共生に関する取組について、科学的な観点から日本の経験をご発表いただき、共有をしていただいております。

 その他、ボリビア開発計画省の次官の方、そしてウガンダのバトゥア発展連合組織の方、バチカン国の国務省長官、そして国連人権高等弁務官組織先住民問題特別報告官という4名の方々がお話をされました。中静先生のお話は、特に、参加国全ての国、全ての方々がこの自然との共生が自分と関係があることだということを感じていただける内容であったと考えております。この場をお借りして、二宮会長や中静先生に対してお礼を申し上げたいと思います。

 その他の事項といたしまして、情報になるのですけれども、次回の第14回締約国会議はエジプトで2018年に開催されます。また、第15回締約国会議は中国で2020年に開催されます。さらに、第16回締約国会議はトルコで、多分2022年になると思いますけれども、開催するということが決まっております。

 以上、簡単ではございますが、ご報告にかえさせていただきます。

○石井部会長:ご報告ありがとうございました。それでは、せっかくですので、お名前が出た二宮委員と、それから中静委員から何かコメントがございましたらお願いしたいと思いますが、何かございますでしょうか。

○二宮委員:私どもも、今回ちょうど経団連自然保護協議会が創立25周年ということで、去年策定された地球的規模の課題、SDGsが世界共通の認識としてまとまったわけですから、これを達成するためにも愛知目標をきっちりとやり切ることが大事だという観点で、今回25周年記念として特別な、助成事業を行うことをその場で発表させていただきました。私が印象に残ったのは、中間報告では進んでいるものもあれば、まだ不十分なものもあるという状況なわけですけれども、やはり皆さんが2020年にはまだ4年あるじゃないかと、やればできるんだと、我々はできますということを皆さん口々に言っておられたのが非常に印象に残った次第です。以上です。
○石井部会長:ありがとうございました。中静委員、何かございますでしょうか。

○中静委員:私は滞在時間が非常に短かったので、全体の印象はあまりございませんが、例えば自然との共生に関する双方向対話というものはどうして出てくるかということを思うと、やはりそのSDGsの中で、生物多様性がどのように関わっていくかということに世界的な関心があるんだなと思いました。簡単ですが、以上でございます。

○石井部会長:ありがとうございました。ご報告いただきましたこの二つの案件でございますけれども、ご意見やご質問がございましたらお願いします。三浦委員、お願いします。

○三浦委員:教えていただきたいのですが、今いただいた報告の中で生物多様性の主流化に向けた取組の強化ということです。その中で、伝統文化食などの生態系サービスを活かして地元経済の活性化ということに私は賛同いたします。そして、これに関連して配られている資料が国立公園満喫プロジェクトとありまして、国立公園のブランド化を図るという意味がいまひとつよくわからないのですが、そしてこの資料を見ますと、質の高いホテルの誘致、大手ディベロッパーに個別に要請といったようなことや、ビジターセンター等の公共施設の民間開放といったようなこと、これは指定管理制度か何かのことを意味しているのかどうかよくわかりませんけど、いずれにしても、これは国立公園の枠組みとしては、例えばゾーニングをどのように図っていくか、計画をどうつくっていくのかという方向と、必ずしもなじむのだろうかということが少し心配なのですが、この点いかがでしょうか。

○石井部会長:国立公園満喫プロジェクトについては後でご説明いただけるようなので、お待ちいただいてもよろしいですかね。ほかはいかがでしょうか。それでは二宮委員、お願いします。

○二宮委員:カンクン宣言ですけれども、別添1で記載されている、この裏面の我々は以下を約束するというところの2番目、この「生物多様性の価値を国家会計や報告の制度に組み込むこと」とされているわけですけれども、これに対する対応というか、国家会計、会計に組み込むのであれば、その会計の基準がどうなのかとか、報告制度ということであれば、そのあり方や位置付けということが当然論議されなければいけませんし、今後の方向性として、こういったものが企業の企業会計とかですね、報告制度の規定化というような、そんなことまでも方向性として規定されるものなのかどうかというところを少しお話しいただければと思います。

○石井部会長:では、続けて白山委員、お願いいたします。

○白山委員:ありがとうございます。この生物多様性条約とIPBESの関係というのは、いわゆる気候変動枠組条約とIPCCとの関係とほぼ同じだろうと思いますが、少なくとも花粉とそれからシナリオに関してはアセスメントレポートが何とか出ています。IPBESで苦労している立場として、どのくらいそれがこのカンクンの会議でインパクトがあったのか、少しお聞かせいただけるとモチベーションにもつながるので、ご説明いただければと思います。よろしくお願いします。

○石井部会長:ほかはいかがでしょうか。それでは、二宮委員と白山委員のご質問ですけれども、事務局から回答がございましたらお願いします。

○事務局(西山生物多様性施策推進室長):生物多様性施策推進室の西山と申します。カンクン宣言の中で、生物多様性の価値を国家会計や報告の制度に組み込むことというのがありますけれども、これはカンクン宣言も締約国会議の決定事項自体もそうですけども、それ自体で何か締約国ですとか、あるいはそれぞれの国の企業なり経済界に何か義務を課すというものではなく、そういう方向性のもとに、それぞれの国に適したやり方を考えていってくださいというような、考えていきますというような宣言になっております。我が国の場合は、まだ制度的に組み込むという段階まではいっておりませんので、今後、我が国に適したやり方を経済界の皆様とも、よくご相談しながら考えていきたいと思っております。

○事務局(中尾生物多様性地球戦略企画室長):続きまして、白山先生のほうからお尋ねがありました、IPEBSの関係でございますけれども、IPBESが創設されて以来、ずっとこのIPEBSとこの生物多様性条約、さらに生物多様性条約の下にある、科学技術助言補助機関会合との関係について議論してきておりまして、現在の形としては、IPBESを非常に尊重するということは皆さんもう共通認識になっています。その上でIPBESと生物多様性条約の下の科学技術助言補助機関会合とはうまく住み分けし、作業が重複してはいけないということが意識されています。

 今回、この花粉のアセスメントの取扱いについては、IPBESの報告を基本的になぞる形で、その上で政府等は何を行っていくのかということが議論の中心でございました。さらに、IPBESの報告書の中でデータが不足されているとされた地域、アフリカ、アジア、オセアニア、そして南米ですけれども、それらについて、より科学技術的なキャパシティ構築の支援が必要だということと、実際にデータ収集していかなくてはいけないということが決定の中に盛り込まれています。IPBESの成果を政府としてどう受け止めるのかということを議論して、それを活かすということが決定されたと理解しております。以上です。

○石井部会長:小泉透委員、お願いします。

○小泉(透)委員:花粉のお話が出ましたので、追加で伺わせていただきたいと思ったのですが、私のところはあまりきちんとした情報ではないですけれども、送粉系に関して有志国連合というような感じのグループができたといって、フランスやルクセンブルクなどが入ったと伺っておりますが、どういったことを目指されているのか、それから日本はどういうスタンスなのか、もし、情報がありましたら教えていただけますか。

○石井部会長:事務局から回答をお願いします。

○事務局(中尾生物多様性地球戦略企画室長):すみません。その有志国連合のお話は、先ほど、日本もしましたと申し上げましたコミットメントの中で、フランスから突然出てきた話でして、会議の場では特にご説明等がなくて、こちらでまだ把握し切れていない状況でございます。生物多様性条約の閣僚級会合に関するウェブページに情報が掲載されているのではと思われます。

○石井部会長:よろしいでしょうか。それでは、三浦委員からのご質問もありましたので、その回答も盛り込みながら、国立公園満喫プロジェクトについてご説明をお願いしたいと思います、よろしくお願いします。

○事務局(笹渕専門官):国立公園課の笹渕と申します。よろしくお願いいたします。

 議事次第に記載はございませんが、資料でお配りしている国立公園満喫プロジェクトについてご説明をさせていただきます。

 三浦委員からのご指摘への回答も踏まえてご説明させていただきますが、まず、国立公園満喫プロジェクトについてですけれども、今年の3月に政府全体の観光ビジョンが策定され、現在約2,000万人の訪日外国人観光客が日本に訪れておりますが、これを2020年までに4,000万人に倍増するという目標を掲げております。この中で様々な取組を進めていこうということで、10個の取組が柱として掲げられ、整理されました。その中の一つに、国立公園を世界水準のナショナルパークにすることが掲げられておりまして、政府としてもかなり野心的な目標で、2020年までに訪日外国人観光客を2倍にするという大きな目標を掲げる中で、各取組を積極的に進めていかなくてはいけないのですが、特に官邸では、文化財と国立公園に注目しています。国立公園は世界に発信していくブランドになっていくべきだということで、国立公園は英訳するとナショナルパークなので、世界水準のナショナルパークへと言っても、そもそもナショナルパークではないかというご指摘はあるとは思いますけれども、日本の国立公園はあまり海外の方に認知されておらず、国立公園に行くために日本に訪れる外国人はあまりいないのではないかと思います。我々のPRの不足もあるのかもしれませんが、日本のナショナルパークを海外の方に認識していただき、国立公園を目的地に日本を訪れてくださる方を積極的に増やしていきたいという思いがございまして、国立公園満喫プロジェクトを進めているところでございます。

 以前、5月24日の自然環境部会の場でも進捗状況についてご報告をさせていただいておりますけれども、その後の動きということで、現在の進捗状況について改めてご説明させていただきます。5月24日以降、国立公園の満喫プロジェクトとしてモデル的に進めていく8公園を選定し、その後、各地域でそれぞれの公園ごとに地域協議会を立ち上げ、地域の関係者のほか、関係自治体、観光協会の方々、あるいは関係省庁の出先機関も含めて地域協議会に参加していただき、どのように国立公園を変えていくのか議論していただいております。その議論の結果をステップアッププログラムという計画にまとめる作業を進めてまいりました。スケジュールとしては、このステップアッププログラムを年内に各公園で策定するというスケジュールで進めておりまして、先週までにほぼ最後の協議会が開催されて、その場で了承されたもののほか、一部現在調整を進めているというものもございますけれども、年内に全て完成する見込みになっております。

 ステップアッププログラムの内容ですけれども、例えば、阿寒の国立公園では、新たにルールを作って原生的な自然を積極的に利用していこう、また、新たな利用の場所をつくっていこうということで、阿寒湖でマリモを観察するツアーなどを考えています。阿蘇くじゅう国立公園では、草原が特徴的ですので、草原を活用したサイクリングコースの設定など、各国立公園の魅力的な自然をしっかりと捉えて、それをどのように体験していただくのかということを各地域協議会で議論し、ステップアッププログラムにまとめております。

 資料右側の「世界水準の「ナショナルパーク」に向けたブレークスルー」についてですが、こちらは各ステップアッププログラムの中にも含まれておりますが、これまで国立公園で実施できていなかった大胆な取組を国立公園の中で積極的に進めていこうということで、我々が考えている主な例を四つ挙げさせていただいております。一つはご指摘のあった質の高いホテルの誘致でございますけれども、これは国立公園だけに限らず日本の観光地において圧倒的に足りていないと言われているのが、質の高いホテル、上質なホテルで、海外の富裕層の方に泊まっていただけるような上質なホテルが全然足りていないということです。今までの国立公園の利用者の方々を否定するわけではございませんが、利用者の幅を広げるため、今までの利用者の方にももちろん楽しんでいただきつつ、今までは自分たちのレべルにあったホテルがなかったため国立公園に来なかった人たちにも来ていただけるようにしようということで、国立公園の中に上質なホテルを積極的に誘致していこうと。ただし、新たに大規模に開発をしていくというよりは、小規模でラグジュアリーなものや、大きな改変を伴わないものなど、国立公園にふさわしいものができないかと考えております。

 次に、ビジターセンター等の民間開放ですけれども、この国立公園満喫プロジェクトの議論の中でも、自然の風景地で眺めの良い場所がたくさんあるが、そこでゆっくりとお茶を飲みながら、休みながら風景を楽しむような場所がない、ゆったりと時間を過ごせるような場所がないというご指摘をいただいております。眺めの良い場所にあるビジターセンターや展望台などは大体公共施設で、そうした場所で民間事業者にカフェを開いてもらう、また、新たに国立公園の公共施設の利用のサービスを拡大していこうという議論をしているところでございます。

 次に、自然の質を向上させるための新たな仕組みの導入ですけれども、先ほど申し上げた、民間カフェの導入などの新たなサービスの拡大に伴い、利用者からも利用料をいただき、さらなるサービスの向上に使っていきたい。あるいは利用者だけではなくて、先ほど申し上げたホテルやビジターセンター、民間のカフェの事業者の方々に国立公園の中で事業ができるというのは、やはり国立公園の自然がしっかり守られているからということを理解していただき、民間事業者の方々からもご負担をいただいて、さらにサービスを向上していく、そうした好循環の仕組みをしっかりとこの機会につくっていきたいと考えております。

 次に、景観の磨き上げと利用の環境の整備についてですけれども、国立公園の中、あるいは国立公園に行くまでのルート上で、国立公園の自然公園法だけでは対応できないことも、自治体と連携し条例などをつくり、まちなみ景観などを改善していこうという取組や、あるいは、国立公園は昔ながらの観光地がたくさん含まれていますけれども、観光ニーズの変化により、ホテルなどが廃業して廃屋になっている場所が散見されます。せっかく国立公園の中で魅力的な一等地にあるのに、廃屋などで魅力が失われているところもありますので、これを機にそういった廃屋の撤去をできるところから進めていきたいと考えております。ここでは四つの項目を例として説明させていただきましたけれども、各公園において、こういったことができそうだというものをステップアッププログラムに記載していただいております。

 資料右下の「国内外への強力な情報発信」についてですけれども、先ほども申し上げたように、海外の方に日本の国立公園をあまり認識していただけていないのが現状です。先ほどご説明した取組は、はじめてから実際に効果が出るには少し時間がかかると思っておりますので、まずは日本の国立公園にはこうした魅力があるということを、海外の方にプロモーションしていくことが、まず手始めに大事なことだろうと思っております。ですので、様々なメディアと連携して海外への広報を実施したり、あるいは民間企業の方々と国立公園オフィシャルパートナープログラムを締結して、一緒に情報発信を行っていきたいと思っております。

 先日、インスタグラムの公式アカウントを開設し、英語と日本語で国立公園の現場のきれいな写真を海外の方に向けても発信するという取り組みを進めております。

 現在、このような形で国立公園満喫プロジェクトを進めさせていただいておりますが、こちらの部会でも、随時ご報告をさせていただきながら進めていきたいと思っております。まずは、今年中に策定するステップアッププログラムに基づいて、年明け以降、具体的な取組を進めてまいりますけれども、さらに、今後は選ばれた8公園だけでなく、今度34公園になりますけれども、国立公園全体にこうした取組を広げていきたいと考えておりますので、引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

○石井部会長:ご説明ありがとうございました。まだ少しだけ時間が残っておりますので、ご意見やご質問をお受けしたいと思います。三浦委員、質問に対する回答は先ほどの説明でよろしいでしょうか。

 それでは、磯部委員お願いします。

○磯部委員:資料が1ページにまとまっているので書き切れないのかもしれませんけども、資料にガイド付きエコツアーや民間カフェと書いてありますが、サイエンスカフェというところまで視野に入れるとすれば、人材育成が非常に重要で、ガイド育成のための講演をするなど、そうした人材を育成するという視点をぜひ大切にしていただきたいと思います。

○石井部会長:続いて佐藤委員、お願いします。

○佐藤委員:資料に書いてあることがそのままではないと思いますけれども、大手ディベロッパーや大手事業者というのが少し気になるところで、それでは地域の良さというのはどのように引き出すのかと。人材もそうですけど、やはり地域にお金やノウハウが落ちないと意味がないと思います。ですので、大手、大手ということではなくて、地域で頑張っている人たちに目が行くような、その人たちが努力して良いものをつくっていくような、そうしたストーリーにしていただければ嬉しいと思います。よろしくお願いします。

○石井部会長:いずれもコメントだと思います。ほかはいかがでしょうか。それでは、コメントについてご意見がございましたらお願いします。

○事務局(岡本国立公園課長):貴重なご意見をありがとうございます。磯部委員からご指摘いただきました人材育成でございますけれども、まさにそれが大事だと思っておりまして、今回の予算の中でも、もちろんハード部分の予算とソフト部分の予算と組んでおりまして、特に国立公園利用推進室では、従来からもガイドの養成事業を行ってきておりますけれども、今回、インバウンドに向けた人材育成ということで、特に地域の方々にいかにうまくその地域の本当の宝を引き出しながら伝えていただけるようなガイドが必要だと考えております。また、それが地域の経済に好循環になるような形でできればとも考えております。これは単にガイド技術ということだけではなくて、プロモーションであるとか、管理運営、マネジメントを含めた話だと思っておりまして、環境省だけではなかなかうまくできない部分は観光庁のほか、地域のDMOという観光協会を大きくする組織を各地につくることになっておりますけれども、こうした組織とも連携をしながら進めていきたいと思っております。

 佐藤委員からもご意見をいただきまして、ありがとうございます。特にここで大手と書かせていただいておりますのは、質の高いホテルの誘致ということで、全ての施設をそのようにしていくわけでは決してございません。国立公園に一つでも富裕層が宿泊できる施設があれば長期滞在につながってくるだろうと考えておりまして、その長期滞在が、例えばガイドを使っていただくとか、じっくりと公園の中で楽しんでいただくことに繋がると思っております。その中で、お金を使っていただければ、地域全体への波及につながる一つの起爆材になるのではないかと考えております。ですので、あくまでも地域での好循環が第一でございますので、地域ごとにつくっている協議会において、これからも様々なご意見をいただきながら、その地域が国立公園であるからこそ経済が成り立っていくという好循環を目指していきたいと思っております。ありがとうございます。

○石井部会長:ありがとうございました。時間が参ったようでございます。

 以上で、本日予定しておりまして案件の審議は終了いたしました。審議へのご協力、どうもありがとうございました。それでは、進行を事務局にお返したいと思います。

○司会:石井部会長、ありがとうございました。委員の皆様、長時間にわたりご審議いただきまして、ありがとうございました。

 本日配布の資料でございますけれども、郵送をご希望の場合には、お手元の用紙にご記入をいただきまして、机においていただければ、後日、事務局から郵送させていただきます。

 本日の部会は以上で終了となります。本日はどうもありがとうございました。

16時57分 閉会

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