中央環境審議会自然環境部会議事要旨 (第14回)

1.開催日時

平成23年10月26日(水)13:30~16:30

2.開催場所

経済産業省 別館9階 944会議室

3.議事

1.
話題提供

(1)
三陸地域におけるエコツーリズムの取組
(2)
市民参加による干潟調査の取組
2.
三陸地域の自然公園等を活用した復興の考え方(骨子)について
3.
その他

4.議事経過

 話題提供者から三陸地域におけるエコツーリズムの取組と市民参加による干潟調査の取組について説明があり、続いて、三陸地域の自然公園等を活用した復興の考えた方(骨子)について、事務局が資料に基づき説明を行った。
 なお、主要な発言は以下のとおりである。

委員:
公園としての新しさは何か。どのように新しさを入れるのか。新しさについては、[1]時代の要請による風景評価の変化、[2]復興に貢献すること、が考えられる。今後の三陸復興国立公園の位置付けとしては、[1]既存の制度の中で位置づける、[2]新制度を創設する、[3]復興という特別な公園として位置付ける、の3通りが考えられる。公園の資源性や楽しみ方が変化してきている。従来からも評価されてきたが、より文化、歴史、生活といった文化的景観を評価してゆくべき。また、協働型管理の観点では、三陸復興公園の利用方針を環境省が示すべき。協働型管理体制における事務局と費用をどうするか、公園外との連携をどうするかという視点も重要。
委員:
東北の職人の技を施設整備の中で生かしていけないか。資材も面白いものが東北にはある。東北ならではの文化を自然と同じように伝えていけないか。うまく使うと、コストをかけずに整備できる。
委員:
国立公園として、地域とどこまで関わるのか。国立公園の仕組みや制度は、地域の魅力を伝えるプラットフォームとしてどこまでやれるのか。それを使って、地域再生や地域活性化を行ってゆけるのか。田野畑村のエコツーリズムの取組は、国立公園と同じ枠組みの中でできれば、国立公園の規制や利用を超えて、マネジメントという視点で活用できる。民間とのパートナーシップという視点を超えたプラットフォームとしての魅力を国立公園制度の中に入れることができれば、新しい視点になるのではないか。
委員:
国立公園の選定要領はおおざっぱに書かれていることから、今回どのようにこの基準に当てはめようとしているのか伺いたい。「森・里・川・海のつながり」については、どのようにつながっているのかということをもっと具体的に書くことで、重要性がよくわかるし、公園をどのようにしていくかという議論にも役立つ。森から海に至る縦のつながりだけでなく、岩場と干潟と藻場、森と草原のような横のつながりもある。
部会長:
議論を整理すると、国立公園の概念としては、[1]国立公園の概念を変え、新たな基準を作る、[2]復興に貢献するために他の公園とは違う特区的な取り扱いをする、[3]従来の基準の中で解釈する、という3つの考え方がある。森・里・川・海のつながりについては、栄養分の流れのみでなく、木材などの物質・食べ物の地産地消のような、分断された循環を取り戻す、という観点もあるだろう。エネルギーの地産地消という観点では、再生可能エネルギーと反するのではなく、協調するということも考えられる。山の自然に手を入れることと、海の自然再生をセットで考えることが必要。
委員:
今後再び震災が起きた際にどうするのかという、防災の視点が少ないのではないか。避難時に、国立公園が活かされなくていいのかという問題もある。
部会長:
地域におけるレジリエンスの強化や自然共生社会が求められている。日常ではレクリエーションに供され、非常時は減災に役立つ国立公園が必要。
委員:
森と海の関係は地域によって観点が違う。三陸ではどのようにとらえるのかということを地域の人から聞く必要がある。東北は製材工場が大規模化してきたので、地域の木材を使う仕組みがない。イギリスのナショナルトラストでは、小さな製材所を生かすことで、材料の地域性を徹底している。また、国立公園においては、最初から森から海のつながりの連続性を価値として認めてきたものはなかったので、新しい視点となる。これまでの基準の中で読んでいくのか、基準を変えるのか。
委員:
新「三陸復興国立公園」という名称の「新」は今までのものを否定するように感じる。「新」ではなく、リバイバルすべきものもあるのではないか。本来、国立公園は国民が楽しむためのものであり、それにより自然が財産であるという認識を国民が持っていくというようになるはず。冒頭のところには国民のために国立公園があるということをしっかりと書くべき。また、オートキャンプ場は水や下水道があり、災害時に役に立ち、平常時・非常時の両方で使える。国土交通省と連携して取り組んでほしいが、車を運転しながら景色が見られるシーニックバイウェイを整備することも重要と考える。
部会長:
国土交通省の三陸縦貫自動車道との連携を図ったらどうか。
委員:
もう少し歴史文化といったスピリチュアルなものが公園の考え方に入るとよい。環境教育や防災というだけでなく、自然への賢い対応の仕方につながる。海辺の土地の利用の仕方を賢いものに変えていくという時に、避難路や避難場所の準備が必要となるが、歴史的な鎮守の森などの考え方が参考になるのではないか。また、生態系サービスのプラスの面だけでなく災害の面も踏まえた、新たな環境教育、防災教育に役立つ事例がたくさんあるので、活用できるとよい。
委員:
国立公園は生物多様性保全の場として期待されている。愛知目標の中でも保護地域の重要性が定められ、保護地域の代表である国立公園は国際的にも重要である。このため、国立公園は国全体の視点、国際的な視点で管理していくことが必要。関西広域連合や九州広域連合が地方環境事務所の事務の移譲を受けたいという話があり、地域の思いが重要というのもわかるが、国として、またグローバルな視点からの管理が大事。
部会長:
愛知目標との関わり、海洋保護区についても整理してほしい。
委員:
民俗学の視点で見ると東北の文化は厚みがある。復興の考え方を見ると、文化面がやや弱い気がする。東北ならではの色合いを出すことが必要。また、エコツーリズムが自然体験を重視し過ぎている感があるが、文化的活動を検討すれば良いと思う。農林水産業との連携について、漁業が大きく書かれているが、焼き畑や水田づくりといった農業が入ればエコツーリズム活動として良いと思う。海洋保護区については、東北で漁業者が既に自主的に取り組んでいる保護活動を考慮した上で区域を考えてゆけるとよい。
委員:
田野畑村の取組から思うのは、まずは復興しないことには、自然環境保全ができないと感じた。自然とともに生きる知恵のようなものが失われてきているので、同じ形ではないかもしれないが、もう一度作り直してゆくことが大事。また、被災の体験の継承も国立公園のコンセプトにする必要がある。三陸復興国立公園の構想において民間とのパートナーシップが掲げられているが、若者の視点を取り入れられると良い。また、幅広く企業から支援を集めていく活動をすることで、全く違う分野から新しいものが生まれる可能性があり、地域の活力につながっていく。
委員:
東北地方の人口が減少していく中で、どのように地域を活性化していくべきかが課題であり、そのことを考えるべき。民間とのパートナーシップは、単なるCSRではいけない。企業の事業そのものと密接に結び付いたパートナーシップでないと意味がない。
委員:
三陸地域は地震と津波で大きな被害を受け、防災教育が大切であることを認識したはず。それにとどまらず、自然環境教育をしっかりやってはどうかと思う。日本の教育では自然の仕組み、成り立ちを学習する機会が乏しい。国立公園を訪れても短時間で終わり、自然体験する機会がない。自然の中で、知的な楽しみをするような国立公園作りをやっても良い。復興、観光地の回復には大事。
部会長:
自然の恵みがこれまでは強調されてきたが、脅威もふくめ、二面を見せることが必要。
委員:
海の観点からの位置付けを言うと、東北の海は日本で一番生産性が高く、それを前提に経済と産業が成り立っている。森・川・海が隣接し、沿岸のリアス式海岸などの地形があることで、多様な生物がいて、漁業が成り立っているという大事な場所。地域社会は様々あるため、一律に国立公園をかぶせずに、地域にとって必要なものをしっかり踏まえながら取り組んでいく。岩手県と宮城県には、大学の研究所や自治体の博物館が数多くある。これらも活用してはどうか。
部会長:
東北大学、東京大学、岩手大学が、確か三陸に新しく研究所を設置すると聞いている。そういうところと連携できるとよい。
委員:
国立公園の概念を変えることが要請されている気がするが簡単ではない。復興への貢献ということで、特区の考え方でやるべきものなのか、従来の国立公園の考え方から脱皮しないといけないのか、それとも活用しないといけないのか、これは大事な問題。復興や産業に結果的に役立つことはよいが、国立公園の基本は風景、景観であろう。何でも担えるが、第一の目標は余暇をベースに生活の余裕、豊かさを保証すること。結果的に、生物多様性の保全、産業振興、復興につながったとしても、それを掲げてやることにはなりにくい。国立公園の原点を尊重したうえで適用すべきであり、評価の仕方をしっかり見極めることが大事。
委員:
自然公園を守るには、生物多様性、持続性、ホットスポット的に守れるものに網を掛け、地域を固定化すること、土地利用的に固定化していくということであったと考える。今回は震災を受けた教訓から防災に取り組む中での国立公園はどうあるべきか。国立公園をうまく使えば、復興を支援できるのではないか。将来の復興の姿を健全で、かつ脆弱でないものにすることができるのではないか。その時、公園化の網掛けも固定的なものではいけない。フレキシブルな利用、見直しができるものにする。基本的な考え方は、国立公園だけではなく、国土管理そのものの問題であり、他の国土問題と関連して、水・物質のネットワークだけではなく、人間活動のネットワークも含めて、どのように結びつけていくのか。その中で国立公園のエリア付けの役割、公園化のメリットは何なのか。指定しない地域の人間活動の活発なところとも関連付け、国土全体としての持続性などと結び付けてゆくことは重要。
委員:
基本的なコンセプトとして、「自然への畏敬」をテーマにしてはどうか。これは、自然そのもの、生態系を含めての視点だけではなく、人間と自然の干渉のところが私たちが住んでいるところであり、その中で、どのように自然を敬いつつ、生きてきたのか。災害があって、生活が自然の恵みで支えられているのがわかった。自然と人の営みをどう勉強するのか。国立公園というと美しいものであるが、それ以前に、自然と人間の関連、自然との付き合いを象徴するようなものになればよい。
委員:
復興の考え方とあるが、どこを復興のゴールとするのか見えない感じがする。風景が復元すればいいのか。生態系が復元すればいいということなのか。生態系によって自然が再生する速度が違い、また、人々の暮らしの再生の速度が違う。日本の象徴的な海、里地、里山が接近する陸中海岸国立公園にあって、短中長期的に、生態系の移り変わりを基本的考え方の中にもう少し入れる。移り変わっていく生態系の中で、人々の生活の営みや第一次~第三次産業の上に文化が蓄積され、風景になっていく。それをどこまで復興して、国立公園の中で形にするのか。それには内側に住む人の国立公園の利用、保全への関わり方について盛り込むべきである。
話題提供者:
津波の被害は個別の事象で一様ではなく、再生の過程も一様ではない。その中で、人の手を加えて自然再生を進める必要がある場所も出てくると考える。自己修復力が高い場所もある。もちろん、一次産業の復興が重要で、一次産業が復興しないと、国立公園にしても絵に描いた餅になる。一律に考えるのではなく、みんなで知恵を出し合って考えてゆくべき。
事務局:
今後の整理のポイントとして感じたことを整理する。
森・里・川・海の連続性というつながりに着目した、豊かな自然環境の保全・再生の象徴的な取り組みを進めていくことが大事。それは、愛知目標に対して、具体的な姿を一つ見せていくことにつながる。
国土の脆弱性を強化して、地域の合意が得られたところについては、自然再生を進めていくことも検討してゆく必要がある。
三陸復興国立公園の中で、人と自然が共生する一つのモデルを出す役割も重要。自然に根差した文化、生活や営みなどを国立公園の保全・活用に積極的に位置づけしていく。その中で、地域に固有な文化、知恵や材料や技術といったことを積極的に生かしていく。
人が住んで暮らしている公園なので、防災に配慮した公園、地域のレジリエンスを高める土地利用ということを踏まえた公園とする。
利用の面では、点と線の利用であったところから、地域と連携した利用を広げる中で、一次産業の振興に結び付けていくような公園の利用を進め、利用の中で、防災、災害、自然への畏敬の念を学ぶという、人と自然の関係を見つめなおす場となる国立公園となることが大事。
国立公園の周りとの結び付き、ネットワークを大切にした開かれた国立公園としての展開を図る。
復興も時間をかけて動いてゆき、人々の考え方も動いていく中で、国立公園もフレキシブルに進化してゆくという考え方が大事で、段階的な取り組みが必要であり、短期中期長期という目標像を示していくことが求められている。
こういった取り組みを支えていく仕組みとして、環境省も努力していくが、様々なセクターの力を集めるための協働型管理を進めていくためのプラットフォームづくりを地域と一緒に考えてゆけるか、連携できるかが、各省連携も含めて大事。
特区の話とか、基準を変えるかということについては、今の考えとしては、様々な復興の取組が円滑に進む仕組みが大切であるし、過去の国立公園の積み重ねを捨てるのではなく、指定にあたって必要があれば選定基準を見直すことも、国立公園の概念をどう広げてゆくかという観点で考えたい。

5.問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-3581-3351)

課長
桂川 裕樹(内線6440)
課長補佐
堀上 勝(内線6419)
専門官
佐々木 真二郎(内線6445)
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