中央環境審議会自然環境部会(第12回)議事録

開催日時

平成21年7月9日(木)11:20~12:20

開催場所

都市センターホテル 3階 コスモスホール

出席委員

(27委員)

有路 信 臨時委員
岩熊 敏夫 臨時委員
大澤 雅彦 臨時委員
河田 伸夫 臨時委員
川名 英子 臨時委員
熊谷 洋一 部会長
小泉 武栄 専門委員
小林 寛子 専門委員
桜井 泰憲 臨時委員
佐藤 友美子 臨時委員
鹿野 久男 臨時委員
篠原 修 臨時委員
高橋 佳孝 臨時委員
高村 典子 臨時委員
田中 正 臨時委員
田中 里沙 臨時委員
土屋 誠 臨時委員
中川 浩明 臨時委員
中静 透 臨時委員
中村 太士 臨時委員
西岡 秀三 臨時委員
野田 節男 臨時委員
浜本 奈鼓 臨時委員
速水 亨 臨時委員
原   重一 専門委員
森戸 哲 臨時委員
鷲谷 いづみ 委員

議題

  1. 開会
  2. 報告
  3. 議事(諮問案件)
    小笠原国立公園の公園区域及び公園計画の変更について(再検討)
  4. その他
  5. 閉会

配付資料

○報告関係

資料1
自然公園法及び自然環境保全法の一部改正について

○議事関係

資料2
小笠原国立公園の区域及び公園計画の変更案の概要
資料3
小笠原国立公園 指定書及び公園計画書(案)
資料4
小笠原国立公園の区域及び公園計画の変更案に関する説明資料
資料5
小笠原国立公園の公園区域及び公園計画の変更に関するパブリック・コメントの
実施結果について

議事録

午前11時23分 開会

○国立公園課長補佐 大変お待たせいたしました。定刻でございますので、ただいまより中央環境審議会自然環境部会を始めていただきたいと思います。
 本日の出席委員数のご報告をいたします。本日は、所属39名の委員の先生のうち、27名のご出席をいただいておりますので、本部会は成立いたしております。
 続きまして、本日のお手元にございます資料の確認をさせていただきたいと思います。資料ですが、議事次第、委員名簿、資料1、自然公園法及び自然環境保全法の一部改正。資料2、小笠原国立公園の区域及び公園計画の変更案の概要。資料3の冊子、小笠原国立公園指定書及び公園計画書(案)。資料4、小笠原国立公園の区域及び公園計画の変更案に関する説明資料。資料5、国立国定公園のパブリック・コメントの実施結果についてでございます。
 もし資料漏れ等ございましたら、事務局までお申し出ください。
 それでは、議事に入ります前に、自然環境局黒田局長よりごあいさつを申し上げます。

○自然環境局長 合同部会に引き続きまして、自然環境部会ということで、どうぞよろしくお願いを申し上げたいと思います。
自然環境部会の関係では、本年2月に中央環境審議会からの答申をいただきまして、それを足がかりとして、合同部会でも少し触れましたが、自然公園法と自然環境保全法の一部改正ということで、今国会に法案を内閣提出法案として提出をしたところでございます。5月末に参議院で全会一致をもって可決されまして、既に成立をしたところでございます。この法律は来年の4月を一応見込んでおりますが、その施行に向けてこれからいろいろな準備をしていきたいと思っておりますが、この法改正も、先ほどもお話ししましたCOP10を控えての、我が国、国内での生物多様性の確保のための施策の充実の、非常に重要なステップを刻めたと、こういうふうに考えておるところでございます。
 そうした中で、本日でございますが、小笠原国立公園の公園区域、それから公園計画の変更ということでご審議をいただきたいと思います。小笠原固有の生態系の保全強化を図っていこうと、こういうものでありまして、これも先ほどお話しいたしました世界自然遺産の登録の推薦に向けて、非常に重要な中身になるわけですが、それだけではなくて、世界的にも海域の保全というのが非常に大きなテーマになっております。この海域保全の動向を踏まえて、海域の公園区域を大幅に拡張するというような、海域の保全、あるいはその適正な利用の推進というものに目を向けた区域、あるいは公園計画の変更というものをご呈示させていただきますので、どうぞまたいろいろな視点からのご意見、ご指導をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○国立公園課長補佐 それでは、これよりの議事進行につきましては、熊谷部会長にお願いいたします。熊谷部会長、よろしくお願いいたします。

○熊谷部会長 かしこまりました。それでは、ただいまから中央環境審議会自然環境部会を開催いたします。
 本日の部会は公開で行いますので、報道関係者や傍聴の方も同席しておられます。会議録は後ほど事務局で作成いたしまして、本日ご出席の委員の了承をいただいた上で公開することとなります。
 なお、議事要旨につきましては、事務局で作成したものを、私、部会長が了承した上で公開することをご了承をお願いしたいと思います。
 また、本日の会議資料につきましても公開となります。
 それでは、まず初めに報告事項がございます。自然公園法等の改正につきまして、事務局より報告をお願いいたします。

○国立公園課長 それでは、国立公園課長の神田から、簡単に自然公園法及び自然環境保全法の一部改正について、ご報告を申し上げます。
資料1でございます。合同部会におきまして行われました生物多様性をめぐる最近の動向について、あるいは先ほどの局長のごあいさつの中でかなり触れさせていただいておりますので、ポイントのみご報告を申し上げます。
 昨年10月に当部会に自然公園法の施行状況を踏まえた必要な措置について諮問いたしまして、その後、小委員会を設けていただき、5回にわたる小委員会の審議を経て、答申をいただいたところでございます。それを踏まえて、記載のとおり国会における審議をいたしまして、先ほどお話がございましたとおり、5月27日に可決成立をしたところでございます。6月3日に公布ということになってございます。
 改正法の内容でございます。これにつきましても、合同部会のほうで触れておりますけれども、自然公園における生物多様性の充実を図るため、海域公園地区制度の導入、生態系維持回復事業制度の創設、特別地域等における規制措置の追加、公園事業施設における監督権限の強化に関するものにつきまして、審議会からいただきました答申に沿いまして、それぞれ制度化させていただいたという内容でございます。
 施行につきましては、公布後から1年以内ということですけれども、来年4月を目途に、今、予定をしているところでございます。
現在、その施行に向けまして、それぞれ海域公園地区制度、あるいは生態系維持回復事業制度を施行後速やかに活用しまして、現在の自然公園等の課題について、積極的に取り組んでいくというような考え方でおるところでございます。
 以上で報告を終わります。

○熊谷部会長 ただいまの報告事項につきまして、ご質問等ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。

(なし)

○熊谷部会長 特にないようでございますので、それでは、審議に入りたいと思います。
 本日の審議事項は、小笠原国立公園の公園区域及び公園計画の変更についてでございます。
 諮問書の朗読は省略させていただきます。
それでは、事務局から内容の説明をお願いいたします。

○国立公園課長補佐 国立公園課の総括課長補佐をしております中山と申します。4月まで現場でレンジャーをしておりまして、今日はご説明をさせていただきたいと思います。座ってご説明いたします。
 小笠原国立公園の公園区域及び公園計画の変更ということでございましてご説明いたします。この国立公園の概要でございますが、位置は東京から南に1,000キロ余りのところでございまして、亜熱帯の島々、東京都小笠原村に属する島々でございます。アクセスは船で、6日に1便しかございませんけれども、東京から25時間半かけて、1泊2日で行くところでございます。
 面積は6,629ヘクタールございまして、区域は小笠原の群島というものがございまして、聟島列島、父島列島、母島列島の3つに分かれております。また、そこから少し離れたところの西之島、北硫黄島、これらの大部分が小笠原国立公園になっているところでございます。
 ちなみに、この南側に硫黄島と南硫黄島がございまして、南硫黄島のほうは原生自然環境保全地区に指定されております。
 小笠原国立公園は、沿革でございますが、小笠原諸島は戦争が終わってからしばらくの間、アメリカ軍に占領されておりまして、昭和43年に日本に返還されております。その後、47年に国立公園の指定をしておりまして、その後、全体的な見直しは行っておりません。
 小笠原国立公園の自然風景の概要でございますが、1つは、変化に富んだ島しょ景観、それから地球史を語る地質、それから一度も大陸とつながったことのない「海洋島」という言葉がございますけれども、海洋島における独自の進化を遂げた生物相と生態系、そして周辺の海域に生息する多様な生物が魅力となっています。
 まず、代表的な景観を見ていただきたいのですが、これ奥にある大きな島は、最も大きな島で父島でございます。このあたりに集落がございまして、人が住んでいまして、大きな湾がございまして、ちょうどここが南島、沈水カルストの島でございます。ここに小さな白いところが見えますが、これは沈水カルストの典型的な状態でございます。
 それから、これが母島でございます。母島を南のほうから見ておりまして、ずっと列島になっているのがわかります。
 それから、これが聟島でございます。聟島もやはり列島になっております。
 これが、父島やその周辺の地形でございますが、今なお浸食が続いておりまして、非常に高い海食崖がございます。ここにちょうどハート型になっていて、ハートロックと通称呼ばれておりますが、300メートルくらいの高さがございます。
 それから、これが南島の沈水カルストの中でございます。
海食崖でございますが、ぼこぼこしているのがわかると思いますが、これが枕状溶岩と言いまして、海底火山の噴火によってできるもので、ボニナイトという、世界中でも大規模に露出しているのは小笠原くらいしかないと言われている岩石の露頭でございます。
 植生でございますが、これが父島列島の植生でございまして、父島は岩がごつごつしていて、植物がぼそぼそ生えているような感じではございますが、これは植物の中身となると、乾性低木林と申しまして、固有種率が80%を超えるという、非常に固有性の高い林になっておりまして、南が母島でございますが、逆に母島は雲霧がかかりまして、霧が深くかかりまして、湿った感じの植生になって大木が増える。これ湿性高木林と呼んでおりますが、そういった林が発達しております。
 植物につきましては、固有種が多くございまして、ムニンツツジ、野生株はもう1株しか残っておりません。それから、ムニンノボタンやアサヒエビネといったもの、マルハチというのは非常にたくさんあるのですが、木性のシダになっております。
 動物につきましては、鳥類は固有種が多くございまして、固有種がメグロ、それから固有亜種がノスリ、アカガシラカラスバト、ほかに数種類の固有亜種がございます。
 それから、ほ乳類はオガサワラオオコウモリ1種しかございません。
それから、昆虫類はこのイトトンボを含めて、多くの昆虫類が多様に分化しております。
 また、先ほどのお話にもありましたが、カタマイマイ、この陸産貝類については、非常に多くの種類を生じております。
 周辺の海域におきましては、北太平洋の三大繁殖地の1つとなっているザトウクジラが、毎年冬になると来遊し、ゴールデンウイークの頃までに子供を産んで育てて、ベーリング海に帰っていきます。これは、一部が沖縄のほうに行っていて、沖縄と小笠原の間を行き来したりしているという状態でございます。
 それから、イルカ類、ミナミハンドウイルカやハシナガイルカといったイルカが根づいております。イルカと一緒に海で泳ぐこともできます。 
 それから、アオウミガメにつきましては、やはりこれは世界で代表する四大生繁殖地の1つということになっております。
 また、サンゴについても種類が多くございます。
 それから、周辺海域では海鳥類が非常に多くございまして、これはアホウドリが一度絶滅して小笠原にいなくなったのですが、最近飛来しております。オナガミズナギドリやクロアシアホウドリなどは数も非常に多いです。
 それから、一方でこういった海洋島でございまして、特殊な固有なものが非常に多いのですが、やはりほかの島しょと同じように、外来種に悩まされているのも現実でございます。有名なのはこのノヤギでございまして、植生を破壊してしまい、場合によっては土砂流出も引き起こすというものでございます。
 また、アカギという木でございますが、これは沖縄にもございますけれども、小笠原では競合する種類がなく、非常に増えている種類でございます。
 それから、ノブタやネコもおります。ネコも海鳥類を食べたりするということで、外来種の扱いになります。
 それから、オオヒキガエルやグリーンアノールは、昆虫類を食べるということで、小笠原の生態系に影響を及ぼしているということがあります。
 真ん中はちょっと気持ち悪いんですが、ニューギニアヤリガタリクウズムシと言いまして、多く陸産貝類を食べている様子なんですけれども、陸産貝類を減らしているということでございます。
 見直しのポイントとしましては、海洋島の独自の生態系に着目して、陸域の公園区域を拡大、保護を充実していくということでございます。それから、海域の公園区域の拡大、保護の充実、適切な利用の推進ということでございます。3つ目が、外来種の対応ということで考えております。
 ポイントの1つ目でございますが、ご説明いたします。バックに出ている写真は、兄島の乾性低木林でございます。いろんな色、緑色なのですが、濃淡がついていていろいろな物があるのが分かると思います。公園区域の変更でございます。
 先ほどの地図と同じなのですが、父島列島がございまして、このお話をさせていただきます。父島列島、ちょうどこの部分に人が住んでいるのですが、赤く囲われている部分につきまして、これが拡張区域でございます。そして、[5]のマークがついている黒い線の部分が削除する部分でございます。これが拡張する部分の山でございます。
 それから、これはちょうど[4]になりますが、北袋沢というところでございまして、父島に大きな川が流れておりまして、この川のほとりになるところでございます。ちょっとマングローブチックなところなのですが、マングローブではございません。
 それから、削除する部分、二見港でございます。この部分が埋立地になっておりまして、この部分を含めて普通地域を削除することにしております。非常に利用頻度が高い港湾でございますので、削除したいと思っております。船だまりになっておりまして。
 母島でございますが、母島はちょっと父島の南にございまして、父島は人口2,000人ほどですが、母島は400人ほどの島でございます。ここの計画でございます。やはりここは赤いところを拡張しております。母島は元々ここに人が住んでおりますが、沖村集落というのがありまして、元々こちらにも人が住んでおりまして、ここは公園区域から外れておりましたが、今回、今現在は人が住んでおりませんので、拡張させていただくことにさせていただきたいと思っています。このような状態が、ちょうどここに人が住んでいたということでございます。これら、父島、母島を合わせまして陸域の面積は6,436ヘクタールから6,629ヘクタールに、193ヘクタールの増加ということでございます。
 次に、公園計画の中身の変更、いわゆる格上げについてご説明させていただきます。保護規制計画の変更ということで、まず有人島でございます父島、母島以外の島々全域を特別保護地区に変更したいというふうに考えております。ここが父島でございまして、父島列島が全体でございます。
 母島でございまして、母島列島、こういった小さな属島がございますので、ここを特別保護地区にするということでございます。
 特にこの兄島、大きな島なのですが、真ん中に普通地域がございまして、こういった島々をすべて特別保護地区にすると。
 それから、聟島列島についても、戦前には人が住んでおりましたので、一部に第2種特別地域がありますが、それらについても特別保護地区にいたします。
 それから、南側にある北硫黄島についても人が住んでいたので、第2種特別地域がございますが、特別保護地区にいたします。
 これが聟島列島の状態でございます。ヤギがいましたので少し植生が荒れておりますが、希少昆虫や陸産貝類はいまだに健在でございますので、特別保護地区にしたいと思っております。
 それから、これが兄島の乾性低木林でございます。
 それから、これが母島属島の姪島と妹島でございます。
 これが北硫黄島でございまして、このような非常に高い、700メートルほどある高い山のような島になっております。
 こちら西之島。これが西之島の元々の部分でございまして、これが火山活動で20年ほど前だったと思いますが、噴火してできた新しい場所でございます。公園計画の公園区域設定の後にできていますので、この地域は現在、普通地域になっておりまして、ここを特別保護地区にいたします。
 保護規制計画の変更ということでございますが、これが父島でございます。この赤い範囲が格上げの範囲でございまして、黒いほうが後でご説明します格下げのところでございます。
[1]のところがこの東平というところで、ここは乾性低木林とヒミツバキの林が発達しております。ちょっと白っぽく見えるのがヒメツバキの花でございます。今ちょうど満開のところで、それから[2]のところでございますが、[2]の左側の第一種特別地域に格下げする南袋沢の風景でございます。
 それから、特別保護地区にする衝立山のあたりでございます。亜熱帯特有の森林が広がっております。
 それから、母島でございますが、母島はすべて格上げということになっております。[4]のところがワダンノキという木本化したキク科の、本来草であったものが木になったものですが、そういったものの群落等も見られる森林でございます。
 それから、[5]については、南崎というところでございますが、こういった小笠原特有の、多少母島の中では乾燥した林になっております。
 次に、海の話をさせていただきたいと思います。海につきましては、公園計画の区域を変更いたしまして、通常ここに変更前はこの汀線、海岸線から1キロメートルの範囲を普通地域にしておったんですが、クジラ類の重要な生息地であり、かつ観察の場、ホエールウオッチングとか、ドルフィン・スイミングが盛んでございますので、そういう場所を、海域を公園区域に編入するということで考えております。そのため、父島列島、母島列島、聟島列島の周辺を5キロメートルの範囲で青い斜線の部分でございますが、ここを公園区域に編入したいというふうに思っております。
 西之島、北硫黄島につきましては、利用はございませんので、それから、急に深くなっておりますので2キロメートルにしてございます。
 先ほどのザトウクジラは、大体繁殖を150メートル程度の水深のところで行いますので、このような範囲にさせていただいたということでございます。大体150メートルの深さの範囲でございます。
 それから、海中公園地区について指定を追加、または拡張させていただきたいと思っております。
 5番のところは、現在、海中公園地区があるところを拡張するもので、宮之浜、釣浜というところで、現在も利用の多いところでございます。
 それから、[1]、[2]、[3]、[4]については、この追加をさせていただきます。
 この製氷海岸の海中公園地区、1番というところだったのですが、ここちょっと見えづらいのですが、ここにこういうふうに港のわきでありながら、大きなサンゴの群集がございまして、単一の群集でこういうものとしては、日本でも1番、2番という方もいらっしゃるくらい大きなものでございます。
 これがちょうど潜ったところのスギノキミドリイシというものでございます。
 それから、下の段のほうは南側の海中公園地区のサンゴの様子でございます。
 それから、あわせて係留施設の施設計画を落とすことにしております。このダイビング船がアンカーを投錨するということで、それでサンゴが壊れるのを防ぐために係留施設を置きます。どんなものかというと、ちょうどここにロープが見えますが、これがブイで、これが海に沈んでおりまして、これを船にひっかけて、アンカーを、錨を使わずに船をとめることができる施設ということでございます。こういったものを計画的に整備していくつもりでございます。
 母島列島についても、この青の部分でございますが、海中公園地区を3カ所指定するとともに、係留施設を整備いたします。母島のほうが面積が広うございます。
 これが海中の様子でございます。テーブルサンゴ等が見られ、多少南になりますので、サンゴの発達もよく、テーブルサンゴ等が多く見られるところでございます。また、外洋ですので、こういったマンタとか、サメなんかも見られます。
 ポイントの3つ目でございますが、外来種への対応ということでございます。外来種への対応の1つとしては、外来種が非常に多く繁茂しているところにつきましては規制を緩和し、公共の、国や東京都の仕事として外来対策をするのみでなく、民間の方々もできるようにということで規制を緩和したいというふうに考えております。それが3番、4番の部分でございます。
 これがその状態でございます。この赤い丸がついているところでございますが、これはモクマオウが繁茂しておりまして、緑色ではございますけれども、ほとんどが外来種になっている部分でございます。この4番の一部でございます。
 これは3番のところに繁茂しているギンネムという外来種でございます。
 もう1つの外来対策として、実際に事業として駆除施設を整備していくということで、柵などを整備しておりますので、そのための計画を変更します。
 現在、父島列島と母島列島に自然再生施設というものが整備されておりますが、聟島列島や西之島、火山列島にも同じものを整備するということでございます。
 現在、これが母島で整備したものでございまして、柵がございます。これはネコがカツオドリを捕食したりしますので、ちょうどこの写真のこちら側になりますが、右側になりますが、こちら海鳥類の繁殖地になっておりまして、カツオドリや右側の上のオナガミズナギドリの繁殖地でございますが、そこを守るために造った柵でございます。
 父島では、アカガシラカラスバトの繁殖地をネコが荒らしているということがございまして、そこを柵で囲うという計画を進めているところでございます。
 また、このグリーンアノールにつきましては、グリーンアノールの下側に、ちょっと暗いんですけれども、オガサワラシジミというチョウがございます。チョウやトンボといった、それからカミキリムシなど昆虫類を補食して生態系の変化を及ぼしていると。
 また、固有ハナバチ類も食べますので、植物にも影響があるということで、外来対策として捕獲を実施しております。
 また、あわせて施設計画として、このようなフェンスを設けまして、グリーンアノールが入れないようなふうなものを造っておるところでございます。これは上の赤いものは粘着トラップでございます。 
 それから、利用施設につきましても変更いたします。利用施設の変更については、先ほどお話をした係留施設のほかは、基本的には使っていない計画を削除するということでございます。 
 また、今回拡張や、それから今まで別の施設の附帯施設として整備したものを位置づけるということで、この青のところの2カ所の追加を実施いたします。
 また、こちらは父島の歩道及び車道でございます。赤いのが車道でございますが、整備の予定のない区間を削除し、公園計画を拡張する部分については区間の追加をするということで考えております。また、実態のあるものについては、実態に即して変更するということでございます。
 それから、母島につきましても同様でございます。今、既にあるものについて、拡張区域とか、それからほかの付帯で整備されたものを追加いたしまして、整備の性格のないものを削除いたします。母島の歩道についても同様でございます。
 変更案としましてのまとめとしましては、先ほど来ご説明したとおりで、陸域の拡張を193ヘクタール、海域の拡張については、沖合の1キロメートルから5キロメートルないし2キロメートルということでございます。
 保護規制計画の変更としては、一番大きなものとしましては、黄色のところで変更後の面積を出しておりますが、特別保護地区を2,945ヘクタールから4,934ヘクタールということで、国立公園に占める特別保護地区の割合は74.4%になります。この割合は、日本の国立公園すべての中で一番高い特別保護地区率になります。 
 また、海中公園についても1.7倍に増やすということで、面積的には1.7倍、箇所数は7地区増やすということで考えております。
 最終的な絵姿は、父島と母島でございますが、このような形になります。ほかの属島はすべてオレンジ色になっておりまして、父島と母島はこんな感じになるということで、ちょうど乾性低木林の兄島、東平から、それから南側のこの希少な生物の生息地として重要なところが緑色になると。こちらも同じように重要な森林についてオレンジ色になる、特別保護地区になるというような形で、最終的に計画を変更させていただきたいということでご議論をお願いするところでございます。
 以上でございます。

○熊谷部会長 ありがとうございました。

○国立公園課長補佐 申しわけございません。1つ、もう少しございました。

○熊谷部会長 はい。

○国立公園課長補佐 パブリック・コメントをこの審議会に先立って実施しておりまして、意見の提出件数は6件。中に38件ほどの意見がございましたので、ご報告させていただきます。
 この意見の中身としましては、空港の建設に配慮すべきとか、野羊山と言いますが、この格下げ部分についての格下げをするべきではないという意見とか、オオコウモリがいる生息地、集団ねぐらが国立公園になっておりませんので編入すべきといったような区域に関する意見がございました。
これらについては、例えば空港は、地元や関係者と協議する中で、ご了解を得ながらやっているものでございますので、その辺についてはご理解いただくということでお願いするのと、オオコウモリについては、また別途、別の方法で担保していきたいというふうに考えておるところでございます。海中公園地区につきましては、端的に言いますと、もっと広くしろというお話でございまして、これらにつきましては、先ほどお話のあった法改正も踏まえまして、海域公園地区の指定の際に、また検討していきたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、利用施設に関する意見について、ほとんどがこちらの誤り、地名とか、そういったものに対する誤りに対するご指摘でございまして、それについては反映させていただいているところでございます。
 以上でございます。

○熊谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局からの説明について、ご質問、ご意見をお願いしたいと思います。どうぞ、ご発言のおありの方、ネームプレートをお立ていただければと思いますが、いかがでしょうか。
 それでは、中静委員、お願いをいたします。

○中静委員 先ほどの世界遺産の時の管理計画として、もう少し広い海域を管理計画の中に含めるということだったと思うんですけれども、その部分の区分けといいますか、そういうものは特には設ける予定ではないということでしょうか。

○熊谷部会長 それでは、計画課長からお願いいたします。

○自然環境計画課長 遺産の管理計画の対象区域というのを推薦書に添付する管理計画の中で明らかにしようと思うんですけれども、その範囲は、今ご説明した国立公園の海域を拡張する範囲に合わせて、管理計画の対象区域というふうにしていきたいと思っています。

○中静委員 特に国立公園の法律上のそういう区域というふうなものでは、これは公園区域も入れるということですか。

○自然環境計画課長 はい。国立公園区域の海域の普通地域になるという関係でございます。

○熊谷部会長 ほかにいかがでしょうか。土屋委員、お願いいたします。その後で桜井委員、お願いいたしたいと思います。

○土屋委員 海中公園地区の件についてご質問させてください。パブリックコメントの中で、もっと拡大すべきであるという意見があったということですけれども、今回これだけ拡大することについて、こんな根拠でこれくらいの広さにするのだという質問を受けるとすると、どんな説明が可能なんでしょうか。

○国立公園課長補佐 よろしいでしょうか。今回、海中公園地区の場所を選ぶに当たっては、小笠原というところは、非常に網羅的なサンゴ礁のデータの少ないところでございますので、長年地元で研究をされていた方々何名かにヒアリングをいたしまして、大体の場所をつかむとともに、それからこの地域でダイビングをずっとやっておられるダイビングショップのオーナーの方々に意見をたくさんいただきまして、それで大方の形をつかみました。その後、概ねこの辺が重要というところについては、個別に調査をさせていただいたところでございます。
今回、意見の中で出てきた箇所につきましては、例えばこの映っている図面の5番のところの右側のほうの海域とかそういったところでございます。その中でもご意見等はいただいていたのですが、どうしても優先順位的にはそういった方々のご意見としては低かったということがございまして、調査の範囲をそこまで広げずにいたこともありまして、今回は見送ったところでございます。
 先ほど申し上げたとおりで、今後、海域公園地区ということになった場合には、新たに調査をかけて拡充していきたいと思っていますので、そういった段階で拾っていきたいと思っております。
 以上でございます。

○熊谷部会長 はい、どうぞ。土屋委員、お願いいたします。

○土屋委員 小笠原の場合は、現段階ではあまり大きな問題にならないとは思うのですけれども、持続的な利用ということを考える場合には、どの程度の範囲を保護することによって、より長い間良い形で利用できるかという根拠は、ある程度求めなければいけないと思っております。いつも沖縄と比較してしまいますので問題かもしれませんけれども、科学的な話ができれば、もっと説明しやすいのではないかと思いますのでご検討ください。

○熊谷部会長 はい、ありがとうございました。それでは、桜井委員、お願いをいたします。

○桜井委員 恐らく小笠原だけを見るのではなくて、世界地図があればいいと思うんですけれども、ここはいわゆるミクロネシアから一連のつながった地形の中での一番北に位置するんですけれども、そうしますと、海の問題を扱う場合に、これは多分、日本魚類学会で今、生物多様性に関連して、魚類相の調査をやられておりますけれども、類似点が非常にミクロネシアとあるんです。それの一連の流れの中で、小笠原をどう位置づけるかというようなことも考えていかないと、もしかしたら、これ海域を私、知床で3キロメートルにしたときの経験から言わせてもらいますと、5キロメートルにした根拠は一体何なんだと。そのときに、ホエールウオッチングだけとか、あるいはカメだけでは、とても耐えられないなという気がするので、やっぱり無脊椎、それから、魚類相も含めて、何らかの形でこの海域、この小笠原の特性を売り出せるような、あるいはそれに対して管理計画を作れるような仕組みを作っていかないと、また宿題が来て苦労するという、何か非常に心配、私が関わらないのでいいのかもしれませんけれども、非常に心配な部分があるので、この辺をもう少し肉づけをされたほうがいいと思います。
 以上です。

○熊谷部会長 ありがとうございました。では、公園課長、お願いいたします。

○国立公園課長 先ほど少しご説明の中に入っておりましたけれども、海域、今回かなり積極的に、クジラだけの理由かというお話だったんですけれども、まずはその点を手がかりに、大きく公園区域を拡大するというような案にさせていただいております。法改正もございますし、今後、海域をどのようにしていくか、公園としてどんなふうにしていくか、生物多様性の観点も含めて、十分に調査の上、評価をして、制度の運用をしていかなければいけないと思っております。したがいまして、ご指摘の点も含めて、今後、調査、評価をさらに進めていきたいというふうに考えております。

○熊谷部会長 それでは、佐藤委員、そして篠原委員の順でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○佐藤委員 きょうのお話の中には観光客というか、小笠原にどれだけの人が訪れるかという話がなかったと思うんですが、世界遺産、特に自然遺産に登録されると、非常に人の興味を引いて、人数が増えるというデータがこれまでも出ていたと思います。今回、使われていない施設も結構あって、その辺の改編ということもあるわけですけれども、実際どのくらいの人たちを対象にこういう施設を考えるかとか、その辺きっとお考えがあると思うんです、世界遺産にしようということですので。その辺を少し教えていただけたらというふうに思います。

○熊谷部会長 事務局、お願いいたします。

○国立公園課長補佐 現在、小笠原諸島、小笠原国立公園の年間の利用者数は、大体2万人を切ってしまっていて、1万9,000人とか、1万8,000人くらいを毎年推移しているような感じでございます。
 冒頭で申し上げたとおり、小笠原というところは船でしか参れませんので、大体6日間の行程を必ずとらなければいけないということになります。ですから、総宿泊数とか非常に多くなるという傾向がありまして、割とお客さんはそれでも来られていて、かつ長期間いらっしゃるので、ダイビングとか、ホエールウオッチングとか、船を使ったり、ガイドを使って、ガイドさんと一緒に山に行くといったようなツアーが盛んに行われています。
 それで、そういった1万9,000人程度のお客さんに対応するということがまず1つございますのと、あとは、東京都さんで空港のこともご検討されているので、そういったことも考えなくてはいけないと思うんですが、現在は、例えば南島というところでは、人数制限をして、そのピークをカットするとか、石門というところでも同じようなことをやっていますが、そういった試みもしておりまして、また父島南部の森林地帯についても、やはりガイドつきでないと入れないような形でルールをつくっておったりしまして、そういった形でコントロールを上手にしながら、お客さんに対しては満足度を高めていくということで考えているということでございます。

○熊谷部会長 よろしいでしょうか。

○佐藤委員 はい。

○熊谷部会長 では、篠原委員、お願いいたします。

○篠原委員 国立公園の話ではないんですけれども、激戦地になった硫黄島がありますよね。だから、それについては環境省はどんなふうに考えているのですかというのをちょっと聞きたい。北硫黄、南硫黄が出てきたので。何か特別には考えていないのですか。自然の観点からかな。

○国立公園課長 ご説明の中でもう尽きてしまっているところもあるんですけれども、公園区域としては、当初の47年10月の指定でございますけれども、そのときから南硫黄島だけは外して、小笠原から北硫黄島まで公園にしたということもありまして、国立公園の対象としては、今後とも考えられないのかなというふうに思っております。

○篠原委員 何でそんなことを言ったかというと、大分前ですけれども、ドイツの炭鉱地帯に行って、デュイスブルクだったと思いますけれども、完全に炭鉱とか、鉄工所で破壊したんだけれども、その後の植生回復のことをずっとモニタリングでやっているんです。そういうことは、全く硫黄島では考えないのかなと思って。これはかなり学術的には貴重な話になるのではないかと思うんですけど、いかがですか。徹底的に破壊されたわけでしょう。

○熊谷部会長 局長、お願いいたします。

○自然環境局長 1つは、戦跡との関係ということですと、沖縄に沖縄戦跡国定公園というのがございまして、例えば、礎の丘ですか、ああいうところがずっと指定されていますが、それは戦跡であるという1つの歴史と、やっぱりベースは自然環境、すぐれた自然環境、景観があるということで、合わせ技でございます。
 硫黄島に関しましては、激戦地という歴史もありまして、例えば、南方の海洋性の鳥は結構珍しいものがいたりという実態はあるようでございますが、基本的に今も自衛隊が常駐しておりますので、基地の島とこういうことでございまして、先ほど公園課長から話がありましたとおり、自然公園制度であそこの保全を担保するというのは、なかなかすぐには難しいだろうと思っております。
 一方で、そういうふうに相当改変がされて、今もそういう使われ方をしておるところでございます。私どもの取り組みでは、生態系の変化というものを長期的に追っていこうということで、モニタリングサイト1000という、今、1,023カ所、いろんなタイプの生態系を取り出して腰を据えて見ていこうということでございます。
 今のところその1,023に硫黄島は入れておりませんけれども、そういうところに、例えばすべてが高山帯でモニタリングをするということではなくて、湿地であったりいろんなタイプがございますので、今後そういう個々のモニタリングをやっている中で、ドイツのそういう事例についても私どもも勉強させていただいて、どういうふうにするかということは検討していきたいと思いますし、ひょっとしたら防衛省が何かやっているかもしれないということですので、そちらのほうとも話をしてみたいと思います。

○熊谷部会長 よろしいでしょうか。それでは、大澤委員、お願いをいたします。

○大澤委員 ちょっと全体的なことについてご質問したいんですが、先ほどのサンゴ礁のデータについても非常にデータが少ないと。それで、ダイバーの情報なんかをベースにその場所を決めたというふうなお話が1つありました。
 それから、外来種が非常に問題になっていて、今も駆除作業を一生懸命やっているんだというようなお話、それから、南島なんかでは植生が観光客の踏みつけで相当退行しているというようなことで、それを復元するような措置をしているというようなお話です。
 それから、今後、例えば世界遺産になったりしたときに、父島なんかでも結構、戦跡が林の中に残っていたりして、そういうところを見学するようなツアーとか何とか、そういう形でガイドつきで入り込むなんていうことも、屋久島なんかの例を考えますとありそうな気がするんです。集落跡なんかみんな結構ガイドつきで見て歩くなんてツアーがあったりして、そういういろんなことを考えると、今後、小笠原自体の自然のモニタリングというお話はあるんですけれども、それ以前のインベントリの段階の情報も、非常に希薄なような感じがするんです。
ですから、もし世界遺産にして、その後もきちんと管理をしていくというようなことを主張するんだとすると、やっぱり調査研究の体制をどういうふうに確立していくのかというようなことが問われる可能性もありますし、その辺についてはどの程度体制を充実させていくというようなことを考えておられるのか、もしお考えがあればちょっとお聞きしたいんですけれども。

○熊谷部会長 いかがでしょうか。公園課長からまずお願いしたいと思います。

○国立公園課長 科学的な小笠原のインベントリ、生物自然環境関係をしっかりと不足の部分があるようだからやれというような話だと思います。体制がまず大事だというお話だったと思いますけれども、これにつきましては、合同部会のほうで世界遺産の管理の関係で、科学委員会というようなことを考えていくというものと、当然、国立公園は重要な保護担保措置でございますので、それと連係してといいますか、もちろん一体でございますので、そちらの仕組みにおいて、当然、世界遺産の保護担保措置である国立公園の管理というものに生かすような方向を考えておるところでございます。
 それから、先回りしてといいますか、関連で申し上げますと、やはり今後、世界遺産等々、登録等々で、利用状況が変わる、増えるというものに対して、やはり懸念があるということだと思うんですけれども、それにつきましても、今回の公園計画の変更、区域の変更というのは、逆にそれの先回りをして、その保護措置の準備をすると。もちろんそれをきちんと管理するためには、先ほど最初に申し上げましたような、科学的なモニタリングに基づく管理というものを充実しなければいけないというのもついてまいりますけれども、まず今回の公園計画の変更については、そのスタートということで、その後それに引き続きまして、委員ご指摘のような科学的な知見の収集をする体制づくりというのも早速考えていきたいというふうに考えております。

○熊谷部会長 よろしいでしょうか。それでは、鹿野委員、お願いをいたします。

○鹿野委員 ありがとうございます。今回の公園計画の変更はものすごく保護の強化が図られる計画になって、大変、遺産に向けての勢いがつきますし、国立公園そのものとしても、すごくいい公園になるのではないかなというので、まずもってここまできたことに敬意を表したいと思います。
 質問が1つと、お願いが2つあるんですが、質問は、小笠原って実は民有地が多いですね。兄島とか属島の小さい島なんかも民有地が結構あるんですが、今回、それを全部特別保護地区にしている。今後その民有地との調整をどう図っていくのかというのが質問でございます。
 それから、お願いは、まず第1点は、せっかく5キロメートルにまで海域を含めて公園区域を増やしたのですが、依然として公園区域、公園面積というときに、海域の面積を算定していないんです。これから海域の保護対策がどう進んでいったかというあたりになってきますと、海域の面積というのは、そういう数字的な主張としても重要だと思いますので、ぜひ海域についても、面積まで参考でもいいですから入れていただきたい。
というのは、今回は5キロメートル、知床は3キロメートルです。石垣は2キロメートル、瀬戸内はべったりという形ですから、そういういろんなタイプが違うわけです。ですから、そういうことの中で、海域の保護対策が進んでいくというのを表すためにも、ぜひ何らかの形、面積、数字で表していただきたいと思います。
 お願いのもう1点は、せっかく海域がすごく広がったんですが、新しく法改正して海域公園地区制度というのができました。多分、来年施行ですから、そこに向けて何らかの作業があると思いますが、ぜひ今回広げた中で、今回はサンゴに着目して海中公園地区、従来の制度をとったと思いますが、例えば先ほど来出ていますボニナイトという岩、これが陸上だけでとまっているわけがないので、海の下にまで多分続いているはずです。そういうことからすると、サンゴだけに着目するのではなくて、海底のほうの地形だとか、地質だとか、その他の生物もあると思うんですが、そういったものに着目して、今後、海域公園地区というのを是非増やしていっていただきたいと思います。
 以上でございます。

○熊谷部会長 それでは、最初の民有地のご質問についてお願いをしたいと思います。

○国立公園課長補佐 最初の民有地にでございますが、ちょうどこれが緑色のこの地図ですけど、緑色の部分は国有林になっておりまして、委員のご指摘の民有地は、例えばこういう白抜きになっている部分がそうでございます。
 いろいろ経緯がございまして、まず1つが、小笠原は父島、母島以外の島には人が住んではいけないことになっております。これは小笠原振興開発特別措置法とかの関係で、小笠原村長がそれを決めることができることになっておりまして、現在それらの島々については、法的に住むことができない、無人島であるという現状だけではないということです。
 そこの土地については、全筆調査をいたしまして、どなたが持っているかも確認しておりますけれども、実は、例えば弟島は東京都が持っていたり、公有地も多くて、相当所有者は少ない、ないしはもう行方不明になってしまっているような方々が多いというのが現実です。
 一方、問題なのが父島と母島でございまして、こちらのほうは、こういった部分にやはり白いのが残っております。ここの部分につきましては、もともと東京都さんのほうで鋭意買い上げをずっと進められていて、相当数が公有地化が既にされております。残る民有地についてはどうするかということで議論はあったのですが、そこについても既に島を離れて、全く戻ってくる可能性もない方々が多うございまして、そこについては、小笠原村のほうでも恐らく特段問題はないだろうということで、今回指定に踏み切ったわけなんですが、現在も鋭意、東京都さんが民有地の買い上げを進めておりまして、そういった対応も含めて対応していけるというふうに思っております。
 以上でございます。

○熊谷部会長 ありがとうございました。それでは、小泉委員、お願いをいたします。

○小泉委員 1つ質問と、もう1つお願いがあります。1つは、特別保護地区が広がったのでとてもいいと思います。その中で、外来種対策ということで、一部の第1種特別地域が第2種特別地域に格下げになっているんですけれども、その理由が、ギンネム等の外来種が非常によく、どんどん入ってしまっているということで下がっているんですけれども、実は外来種対策の今後の見通しについて、ちょっとお伺いしたいと思うんですけれども、このまま要するに外来種がどんどんどこまでも広がっていくのか、あるいはある特定の場所でストップしてもうこれ以上入らないのか、そのあたりの見通し、これからの世界遺産のこととか、いろいろ大事になってくると思うんですけれども、今、入っている外来種の分布とか何かから考えて、この後どんなふうになっていくか、ちょっとその見通しを伺いたいというのが1つです。ちょっとそれだけ先にお願いしたいと思うんですけれども。

○熊谷部会長 では、事務局からお願いいたします。

○国立公園課長補佐 外来対策についてでございますけれども、今日、世界遺産の話もございましたが、世界遺産を登録していくために、保護担保措置の充実ということで、国立公園の格上げ拡張というのが1つ大事なんですが、一方で先生ご指摘のとおり、そういった問題もございます。
 そこで、推薦に先立ちまして、管理計画というものをつくって提出することになるんですが、それに付帯の資料として、3年間のアクションプランというものを設けることになっておりまして、非常に種類が多うございますけれども、それぞれの外来種について、そのアクションプランの中で、当面の処法箋を整理させていただいているところでございます。
 例えば、ノヤギについて申し上げると、現在、兄島、弟島、父島に分布していると言われておりましたが、ここ数年間の努力で、兄島においては根絶、弟島では半減以下というふうになっておりまして、着々と駆除しております。これは東京都さんの事業でございます。
 環境省の事業では、ノブタ駆除をやっておりましたが、弟島では根絶を、試験的に捕っていたら根絶してしまったということなんですけれども、いなくなってしまいまして、しっかりそこは根絶できたということで、そういったことで、着々とそれぞれできるものはできるところからやっているという、そういった状態で進めているところでございます。

○熊谷部会長 お願いいたします。

○小泉委員 もう1つお願いの話なんですが、先ほど大澤委員からも話があったんですけれども、この小笠原諸島は、ある意味生態系、非常に多様性に富んでいます。極端に言えば、島ごとに非常に違うし、島のそれぞれの場所で非常に違いがあるんです。多分、違いがあるというのは皆さんご存じだと思うんですけれども、なぜこんなに違うのかという点は、必ずしも明らかになっていないと思うんです。
 さっき大澤さんがおっしゃったんですけれども、やっぱりこの辺をこれから保護だとか、それから世界遺産でいろいろツアー客が増えていくときに、やっぱり脆弱性の問題とか、いろんなものに絡んできて、ここは比較的大丈夫だけど、ここはもう全部絶対立ち入りしては困るとか、いろんなタイプがあると思うんです。その辺を多分考えていかないと、これから何か問題が出そうな気がするんですけれども、その辺の調査計画というんですか、今後やっぱりそこを明らかにしていかないと、少し問題が生じそうな気がするんですけれども、そのあたりはどんなふうにお考えなのか、何かありましたらお答えをお願いしたいんですけれども。

○熊谷部会長 では、事務局お願いいたします。

○国立公園課長補佐 小笠原の島々それぞれで全く状況が変わるのはおっしゃるとおりでございまして、この国立公園の指定、それから遺産の推薦の検討に当たりまして、まず島ごとにそれぞれすべての島について、生物相のインベントリを整備いたしまして、あわせて既存の資料、それから現地調査も踏まえて、GISのデータをつくって分析をしております。その成果を公園計画にも適応しておるんですけれども、そういったことで調査をしてきたということでございます。
 現在、先ほどお話をした世界遺産の管理計画の中では、島ごとに管理の方針を立てることにしておりまして、委員ご指摘のとおり、島ごとの特殊性をとらえながら、その生態系の管理をしていきたいというふうに考えているところでございます。

○熊谷部会長 いかがでしょうか。ほかにございますでしょうか。桜井委員、それではお願いいたします。

○桜井委員 簡単なことなんですけれども、実はこれ海域を5キロメートルにしたときに、陸域についてはかなり精密な等高線とか書いていますけれども、水深が全く書かれていないというか、いわゆる5キロメートルになったときに、大体水深200メートルくらいと言われていますけれども、実際にはかなり深いところも含まれると思いますので、できればこの国立公園の変更図の全域の海域を広げた場合には、水深の等深線を入れていただければと思います。それによってちょっと判断ができますので、よろしくお願いします。

○熊谷部会長 では、公園課長、お願いいたします。

○国立公園課長 ご指摘のように今後、呈示をするようにしたいと思います。先ほどの鹿野委員からありましたような海についてのデータをきちんとまとめて呈示するという話と共通性があるかなと。やはり海に対して今後、重点的にやっていくという方針でございますが、中身をしっかりと詰めて、データも呈示して、今後とも対策を講じていきたいというふうに考えております。

○熊谷部会長 いかがでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。ほかに何かご質問、ご意見があればお伺いいたしますが、もしよろしければ、時間の関係もございますので。

(なし)

○熊谷部会長 特にございませんようですので、それでは、小笠原国立公園の公園区域及び公園計画の変更等についてにつきましては、適当と認めることにご異議ございませんでしょうか。

(異議なし)

○熊谷部会長 ありがとうございました。
 それでは、異議なしということでございますので、本件については適当と認めることといたします。
 以上で本日の質問事項についての審議を終了いたしました。ご協力ありがとうございました。
 それでは、事務局にお返しをいたします。

○国立公園課長補佐 長時間の審議ありがとうございました。それでは、最後に事務局より何点かご連絡申し上げます。
 本日、配付の資料につきましては、郵送をご希望の委員の方は、お手元の用紙にご記入いただければ、事務局から後日郵送させていただきます。
 また、本日お車でお越しの委員におかれましては、受付で無料駐車券をご用意しておりますので、お声かけをしてください。
 なお、引き続き午後1時から自然公園小委員会に出席される有路委員、川名委員、熊谷部会長、小泉委員、小林委員、鹿野委員、速水委員、原委員におかれましては、簡単でございますが、昼食のほうのご用意をしておりますので、こちらの部屋でお席のほうに用意させていただきますので、お召し上がりいただけるようお願いいたします。
 事務連絡は以上でございます。本日はどうもありがとうございました。

12時25分 閉会

問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-3581-3351)

課長    上杉 哲郎(内線6440)
課長補佐  中山 隆治(内線6443)
係長    青柳 信太(内線6449)