中央環境審議会自然環境部会議事要旨 (第10回)

開催日時

平成19年7月25日(水)13:00~15:30

開催場所

三田共用会議所 大会議室 Room D・E
(東京都港区三田2-1-8)

議題

諮問事項
[1]
尾瀬国立公園の指定及び公園計画の決定について
[2]
日光国立公園(尾瀬地域)の公園区域及び公園計画の変更について
[3]
国立公園事業の決定及び廃止について

議事経過

諮問事項すべてについて審議がなされ、それぞれ適当であるとの結論に至った。
なお、主要な発言は以下のとおりである。
 

[1] 尾瀬国立公園の指定及び公園計画の決定並びに日光国立公園(尾瀬地域)の公園区域及び公園計画の変更について

委員:
ニホンジカの食害に対して、具体的にどのような対策をとるのか。湿原植生よりも、光環境の悪い林床植生の方が食害の影響を受けやすいため、優先的に対策をとることが必要。
事務局:
当地域のシカの生息数や移動経路、被害状況の把握に努め、効果的な対策を進めたい。これまでの調査で明らかとなったシカの侵入経路上での捕獲など、尾瀬への侵入を防止するための具体的対策を進めることにしている。
委員:
指定・拡張に伴い、当公園の管理体制を今後どうしていくのか。
事務局:
環境省職員の増員はすぐには難しいが、充実させていきたい。
委員:
当地域の観光についてどのように考えているか。また、現在の国立公園の地種区分は、主に農林業に対応したものであり、観光利用のあり方に対応したものではない点が問題。
事務局:
日光国立公園から分離することにより、均質な自然環境・利用形態を持つ国立公園になる。この点を踏まえ、観光や利用のあり方を関係者とともに考える場を設け、全国の国立公園のモデルにしていきたい。
委員:
当地域に分布していない植物が含まれているので、指定植物を見直すべき。見直しの検討や希少植物の分布調査はどの程度実施したのか。
事務局:
日光国立公園の指定植物を使っているため、過不足がある。できる限り早く見直したい。
委員:
地球温暖化や外来種、シカなどの問題は、国立公園だけで考えても国立公園の中を守れない。生態系の問題として、広域で捉える視点が重要。
委員:
会津駒ヶ岳など現地を視察した。見渡す限り人工物が見えない、本当の自然に触れられる場所であり、国立公園にふさわしい場所と感じた。
 尾瀬沼の施設はよく整備され一定の水準に達しており、本公園全体のトイレや施設を同様の水準にすることが緊急の課題である。
 檜枝岐村は、国立公園のターミナルとしてふさわしい拠点になるよう、手だてを施す必要がある。
委員:
尾瀬では1950年代、70年代、90年代の3回、学術調査が行われているが、この20年ごとの調査ではシカによる食害や植物の実態が把握できないし、データもあまり活用されていない。継続的なモニタリングが必要であり、環境省には調査のプランニングに積極的に関わって欲しい。
委員:
至仏山では過去に小規模な植生復元をしているが、計画的に行われていないという側面がある。今回、植生復元施設を公園計画に位置づけるのであれば、モニタリングも含めて計画的に実施して欲しい。
 日帰り利用や軽装の利用者が見られるなど、利用実態の変化が大きい。施設の配置など、このような利用者への対応をきちんと考えて欲しい。
委員:
尾瀬ヶ原にヤマメが放流されていることは、生物多様性保全の観点から問題があるため、漁業者や住民にきちんと説明できるような環境省の考え方を示して欲しい。
委員:
日光国立公園から分離する理由や分離の要件をもう少し明確にする必要がある。また、地元の市民やボランティアを含む官民の管理体制を本公園でモデルケースとして作るなど、管理体制について検討して欲しい。
委員:
今回拡張する地域は、昭和46年にこの審議会で国立公園の区域として拡張しようと決めていた。それが三十数年ぶりにやっと実現できることに感謝する。この区域は国立公園としての資質は十分あると思う。
 尾瀬は、日本の国立公園の中でも様々な面で先鞭を着けてきた地域である。道路建設よりも自然環境保全が優先するということや、ゴミの持ち帰り運動、ゴミ箱を置かない運動、植生復元などは、尾瀬から始まり、それが全国の自然地域に波及していった。尾瀬国立公園として独立するのであれば、このような過去の経緯の上に、環境省、関係機関、地元も含めて、新しい尾瀬国立公園としての一歩を踏み出していって欲しい。
事務局:
尾瀬国立公園の分離・独立は、この場所だけではなく、全国の国立公園の管理運営の充実につながるものでなければならない、そういう役割があると考えている。
 「国立・国定公園の指定及び管理運営に関する提言」においても、多様な主体の参画によって、それぞれ共通の目標とパートナーシップをもって国立公園の管理運営を行っていくことが提言されており、尾瀬がその先進的地域となるように、モデル地域として、今年度から取り組んでいきたい。ご指摘いただいた点は、その中でできる限り反映させていきたい。
 ヤマメの放流についても、尾瀬は様々な意味で先進的かつ注目を浴びてきた地域であるため、生物多様性の保全という観点から影響の有無についてしっかり関心を持っていきたい。問題があれば、その解決について関係機関と協力して取り組んでいきたい。
委員:
(欠席委員からの文書の報告)田代山、帝釈山、会津駒ヶ岳、尾瀬沼を視察した結果、合わせて国立公園にする価値が十分にあると判断した。特筆すべきは、会津駒ヶ岳の高山植物の豊かさ、池塘群のすばらしさ、人工的なもののない自然が広大に残っている点。
 看板が雪で傷んでいるので、大自然にふさわしいデザインのものに統一して欲しい。田代山のトイレは清潔でなく、改良が必要。
 大清水~一ノ瀬間にマイクロバスを運行させることはできないか。登山者の分散につながり、木道や歩道に与える負荷が軽減される。また、一方通行の区間を設け、新しい国立公園のあり方の1つとして発信できないか。
事務局:
施設整備や入山までのアプローチ方法、エリアごとの利用方法などについては、新しい国立公園像を検討していく中で、広く公園関係者の意見を聞きながら検討していきたい。

[2] 国立公園事業の決定及び廃止について

委員:
施設計画で説明のあった植生復元施設が今回事業決定案件としてあがっていないのはなぜか。
事務局:
今回審議する事業決定については、既存の事業を整理するものであるので、現在事業決定を行っていないものは含めていない。今後、事業執行する際に改めて審議会案件として取り上げる。
委員:
歩道や宿舎など事業数が減っているものがあるがなぜか。
事務局:
歩道については、これまで複数の区間で事業決定していたものを利用の形態に合わせて統合する等の整理を行ったことによる。また、事業決定を行っていたが執行が見込まれない事業については事業決定を行わない。その他、別の事業の付帯施設として整理したものもある。
事務局:
今回諮問する案件は新しく事業を執行しようとするものではない。公園計画の変更に伴い、現在日光国立公園の一部として事業決定しているものを尾瀬国立公園の事業とするために、日光国立公園の事業を廃止し、尾瀬国立公園で事業決定するものである。
委員:
宿舎については、場所によって寝るスペースが非常に狭いところもあるので、適正な宿泊者数を算出して決定して欲しい。
委員:
現在の尾瀬の木道をみると、湿原の真ん中を真っ直ぐに設置しているものが多い。今回尾瀬が新たに国立公園として指定されるにあたり、例えば新たな経路を考えたり、利用者の楽しみを誘導するような新しい公園利用のあり方を考えて欲しい。
事務局:
委員のご指摘の通りと考えている。公園の適切かつ新しい利用について考えることは大切と認識している。公園計画で全体方針を考え、管理計画で見所や見せ方などを含め合理的なデザインを考えなければならない。尾瀬で全国の国立公園の新しい利用と管理の先頭をきりたい。

問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-3581-3351)
課長
神田 修二(内線6440)
課長補佐
則久 雅司(内線6442)
課長補佐
伊藤 淳一(内線6443)
専門官
千田 純子(内線6445)<公園計画関係>
係長
坂口 隆(内線6447) <公園事業関係>
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