中央環境審議会自然環境部会議事要旨 (第9回)

開催日時

平成19年6月29日(金)13:00~15:40

開催場所

三田共用会議所 大会議室 Room D・E
(東京都港区三田2-1-8)

議題

諮問事項
[1]
西表国立公園の公園区域及び公園計画の変更について
[2]
丹後天橋立大江山国定公園の指定及び公園計画の決定について
[3]
若狭湾国定公園の公園区域及び公園計画の変更について

議事経過

諮問事項すべてについて審議がなされ、それぞれ適当であるとの結論に至った。
なお、主要な発言は以下のとおりである。

[1] 西表国立公園の公園区域及び公園計画の変更について

委員:
於茂登岳とその北東の桴海於茂登岳の周辺区域は絶滅危惧種等が集中しており、レッドリストを見直す課程においても特別に重要な地域だと認識されているが、この地域における地種区分の設定根拠は何か。
事務局:
植生に加えて動物や昆虫類の生息状況、植林地等が含まれる場合は利用との調整などといった観点から地種区分を決めている。
委員:
指定書及び公園計画書には植生等の記述があるが、絶滅危惧種に関する記述が全くない。これらについて記述をするなど配慮して欲しい。
事務局:
極力記載できるようにと考えている。不十分な点、情報等を整理し、計画書に盛り込めるよう努めていきたい。また、指定区域のみならず、絶滅危惧種の重要性をPRするという観点からも、対応していきたい。
委員:
最も知名度が高いことから一般の方が保護すべきと考えるであろう白保地区が第2種特別地域である理由は何か。石垣島という観光地が新たに国立公園に編入されることは、国立公園の普及啓発や環境教育の良いチャンスであるから力を入れて欲しい。名称に石垣が入ることは住民への啓発にもつながるので「西表石垣国立公園」で良いと考える。
事務局:
白保を著名な場所とさせているのはアオサンゴを中心としたサンゴ群集であることから、海域を海中公園地区に指定する。陸域は単独では特別保護地区という評価はできないが、貴重なサンゴを有する海中公園地区の保全という観点から、第2種特別地域に指定し、海域と共に保全を図っていく。また、今回の指定は、20年前の釧路湿原国立公園指定以来の大規模なものであるから、指摘されたことも踏まえて、当該公園のみならず、国立公園全体のPRに努めたい。
委員:
西表のみならず石垣にも保全すべき優れた生態系があり、そこが国立公園であることを住民や観光客に認識してもらうという意味で「西表石垣国立公園」という名称に賛成する。  農林漁業の規制は法律上明記されている一方、観光利用については曖昧であるため、指定を観光関係者が懸念する例が見受けられる。むしろ指定されることで適正な観光振興が図られることを理解してもらうだけでなく、保全利用協定などを軸に参画を促すなどの働きかけが必要である。
事務局:
地元説明会で理解を求めてきた。今後、指定を機に関係者、関係機関も含めた検討の場を作るなど、実現に向けて努力していきたい。
委員:
経済的な要因で農業生産物が全く変わってしまう可能性がある。農地から海域への土壌流出などのリスクが非常に高い中、現状維持のため地域と密着した施策が必要である。観光振興についても地域と連携し今後の計画を策定していく必要がある。
委員:
世界中でサンゴの劣化が見られる中で石垣周辺は健全だと考えている。そのサンゴの保全に万全を期して欲しい。指定植物および指定動物の見直しはするのか。
事務局:
指定植物は見直しに向けた作業に着手したところ。
委員:
石垣周辺のサンゴ礁はオニヒトデの食害や白化などから回復してきたところである。二十数年間沖縄で研究・教育に携わってきた者として、今回の指定により、地元住民と連携を保ちながら自然との共存を確実なものにし、さらに、西表・石垣島の自然のすばらしさを後世に伝えていきたい。
事務局:
区域拡張の目玉の一つである海域については、引き続き自然再生事業等を推進し、モニタリングと共にその再生についても力を入れていきたい。
委員:
環境省が働きかけて県や市と共に、拡張された公園の有効な活用法や観光も含めた島全体の地域振興計画を策定して欲しい。
委員:
サンゴの保全のためモニタリング調査をしっかり行い、積極的な環境改善施策を進めて欲しい。

[2] 丹後天橋立大江山国定公園の指定及び公園計画の決定について

委員:
新規指定される地域で数年前にナラ類の害虫被害が発生したことがあるが、現状は把握しているのか。また、経済的に価値の低い品種が植樹されているなど問題を抱えた人工林が公園区域内に多くあるように見受けられる。京都府はこれら人工林の管理計画を立てているのか。
事務局:
他の国立及び国定公園も含めて、被害が起きていることは承知しているが、その規模等現状把握は十分にできていない。今回の指定を機に対策がとられることを期待している。また、管理計画については、国定公園指定を一つの契機として、地域と協力して環境保全対策をしていくと聞いている。
委員:
観光利用の分析が重要であり、特に本地域で多い車での利用を念頭に置いて、公園のあり方や利用計画の策定を進めて欲しい。また、本公園は複数自治体にまたがることから、協議会等の役割は大きい。協議会等にて公園全体の利用構想や計画、目標を作っておくことが必要である。
京都府:
指定後、大江山記念登山といったイベントを計画している。その際に最寄り駅と大江山を結ぶシャトルバスの運行を考えている。こういったサービスの恒常的な提供は難しいが、地元NPO等と連携して使いやすい公園となるよう検討していきたい。
委員:
天橋立が若狭湾国定公園に含まれていることをイメージすることは難しかったが、新規指定される公園名からは、和歌にも詠まれているような日本の古典文化の景観イメージが連想され、非常に良いという印象を受けた。今回の指定地域は二次林的な自然が多く残っている。近畿圏にありながらこれほど海岸線や植生が守られてきた理由を考える際には、その背景にある歴史・文化について言及しなければならない。日本における風景を守るということはどういうことかという原点的な説明を今後折に触れてしていただきたい。
事務局:
指定区域には人と自然が共生している場所、人の生業がつくる風景が重要な要素として入っている。こういった地域の保全を図っていくことで、風景の重要性やそれを支える人の活動のあり方が考えられるような地域にしていければと考えている。
委員:
世屋高原地区や大江山連峰地区には二次林や人工林を中心に、棚田や集落などの懐かしい里地里山の風景が維持されている。これらを風景の構成要素として、さらに棚田等の保全活動を公園利用としてとらえようという新しいタイプの国定公園が誕生すると感じている。そういった観点から今後の管理運営についても新しい試みが必要である。
委員:
公園区域の中に限界集落に近い集落もかなりあると考えられ、里地里山的な現在の環境を維持していくのは非常に大変であると思われる。里地里山の管理等を経済的な活動に結びつけるような仕組みが必要であり、京都府として対策等はどう考えているか。
京都府:
限界集落的側面を有していることは事実である。しかし、棚田で生産された米を食用酢にするなどのNPO活動がなされており、そういった活動を広げるなどし、持続可能な生活を維持していきたいと考えている。
委員:
里地里山的景観を保つために、従来型の施設計画にとどまらず、積極的な景観維持のための利用施設計画や、行為規制による保全ではなくより積極的な考えに立ち、今後管理運営を行って欲しい。
委員:
過去に既存公園の一部を分離させ、他区域と合わせて新規指定する事例はあったのか。また、分離・独立に何らかの基準はあるのか。3月に出された「国立・国定公園の指定及び管理運営に関する提言」を受けて、今回の事例はその先例になるのか。
事務局:
事例はない。提言では方向性が示されたのは事実だが、基準を策定したわけではない。国立公園の指定に面積基準はあるが分離・独立の基準はない。今回の新規指定は、提言にて示された国民に理解しやすい、また、管理しやすい国立・国定公園という方向性と、規模の要件、景観の一体性、利用の一体性という視点から判断した。
委員:
利用のない林道や徒歩利用の需要が多い車道などがある。国立・国定公園内に車道をつくるにあたってはシビアな許認可を含めた評価をすべきと考えているが、現在建設中の丹後縦貫林道は見直しの可能性はあるのか。自然歩道も造った後のメンテナンスが不十分で道が途絶えてしまっているケースもある。地元住民が中心となってメンテナンスを行う仕組みが重要であると考えるが、自然歩道の建設計画はどのように考えているのか。また、利用及びメンテナンスについて地域の取組はあるのか。
京都府:
丹後半島の主要道路の整備状況は海岸線沿いに国道が一本あるのみで、公園利用や農林業のためにも内陸部を通る縦貫林道は必要と考えている。府が設置する事業評価委員会においても農林業、観光、災害時の代替道路という観点から必要という見解が示された。事業段階、設計段階で自然環境に十分留意のうえ、今後も進めていくことになる。
委員:
建築物が美しい自然環境を汚していることがある。建築デザイン等を含めた景観管理について規制や奨励(設計費の補助等)等の考えはあるか。
京都府:
京都府では景観条例を策定したところであり、天橋立地区では景観計画を策定中である。また、景観アドバイザーとして委任した方に地域に出向いてもらい、景観に対する意識を高めてもらおうという施策を行う予定である。
委員:
今回の指定区域は里地里山的風景が多く含まれている。これらが保全されてきたのは開発の対象になりにくかった地域だからともいえる。生活を改善もしくは維持しつつ景観を保存するという二つの要請に答えるという事態になりかねないが、何か考えはあるか。
事務局:
現在里地里山保全等のモデル事業支援などを行っている。生活と景観の両立が図れるような施策について検討を進めていきたい。
京都府:
指定により規制が掛かることは事前説明会で理解をいただいている。また、府が作成した景観条例では住民が地域の魅力に気づき、それを特徴づける景観なりを自分たちで守っていく動きを重要視している。公園管理についてもNPOや地元と一緒になってすすめていきたいと考えている。
委員:
林道は公園に対する配慮が設計段階でなされないまま造られることが多いが、のり面緑化に在来種を使うなどの計画は立てているのか。
京都府:
「和の公共事業」と銘打ち、在来種の採用等のチェック項目を設けて事業を進めている。
委員:
指定は、縄文以来人間が関わってきた自然が多く含まれており、大きな意義があり、自然から人間が関わってきた歴史を一体的なものとして捉えて欲しい。また、そういった観点からも学術的に重要な湿地が多くあるので配慮して欲しい。

[3] 若狭湾国定公園の公園区域及び公園計画の変更について

委員:
沓島及び冠島が第1種特別地域から特別保護地区に変更になったが、これらの地域はほとんどが私有地であり、この様な地域の保護活動についてどう考えているか。
京都府:
両島は私有地ではあるが、もともと無人島である。
事務局:
特別保護地区になると動物の捕獲に対する法的な規制が掛かる。特別保護地区への変更により、保全活動ができなくなることにはならない。

問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-3581-3351)
課長
神田 修二(内線6440)
課長補佐
則久 雅司(内線6442)
課長補佐
伊藤 淳一(内線6443)
専門官
千田 純子(内線6445) <公園計画関係>
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