中央環境審議会自然環境部会議事要旨 (第8回)

開催日時

平成18年12月1日(金)9:30~10:40

開催場所

中央合同庁舎第5号館8階 共用第6会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

諮問事項

[1]上信越高原国立公園(草津・万座・浅間地域)について
[2]吉野熊野国立公園の公園計画の変更について
[3]霧島屋久国立公園(屋久島地域)の公園区域及び公園計画の変更について

議事経過

諮問事項すべてについて審議がなされ、それぞれ適当であるとの結論に至った。
なお、主要な発言は以下のとおりである。

[1] 国立公園の公園区域及び公園計画の変更関係

共通事項

委員:
国立公園における建築的な景観についての規制というものが、景観形成についてある意味では失敗であり、公園区域及び公園計画の変更はその結果でないかと言えなくないか。生活であるとか、観光、農業は国立公園の景観的なものと共生できると思う。国立公園のガイドラインがあることは承知しているが、より強い措置を考えていくことが必要ではないか。あるいは、より優れた建築的な景観をつくっていくような誘導策を考えていく必要があるのではないかと思うがいかがか。台湾やヨーロッパでは、公的な補助により、町並みや伝統的な建築様式を保全している例がある。また、国立公園内で設計行為をする建築家等を登録制にすることも考えてみてはどうか。
事務局:
従来の風景を守る姿勢が規制重視となり、きれいなものを造ろう、造り上げていこう、美しい風景にしていこうという働きかけの部分が自然公園行政に欠けていたとことは認識している。どうすればよいかということを検討会で検討している。今年度は景観形成マニュアルを作る予定である。
委員:
現場を守っていくのは人が大事だと思うが、上信越高原、吉野熊野、霧島屋久の各国立公園には何人の管理者がいるのか。増員は考えていないのか。
事務局:
上信越高原のうち今回計画を見直した草津・万座・浅間地域には自然保護官が1人、昨年度から非常勤の国家公務員である自然保護官補佐(アクティブレンジャー)を1人、吉野熊野の大台地区には自然保護官が1人、自然保護官補佐が2人、屋久島には自然保護官が3人、自然保護官補佐が2人。どこの地区でもこれらの職員では足りず、地元の自治体や団体、研究者の方たちの協力を得て管理しているのが実状である。
現在260人の自然保護官が現場の管理に当たっており、少ないながらも10年前に比べれば100人近く増やしてきた。また、工夫としては、アクティブレンジャーの増員や公園管理の作業のために地元の技術者を雇用するグリーンワーカーという事業の実施などがある。国家公務員の数を減らすという働きが強い中では大変難しい状況だが、公園の管理水準を高めるよう努力していきたい。
委員:
国立公園の多くは国有林となっていると思うが、林野庁にはどのように協力してもらっているのか。
事務局:例えば高山植物を守るパトロールなどを連携して行ったり、森林管理局と地方環境事務所の間では地方連絡会議という場を設けて、定期的な調整や情報交換を行っている。
委員:
パブリックコメントがゼロだったとか2通だったとかということを、事務局はどのように評価しているのか。国民の理解、国民の支援が不可欠と考えるならば、やり方を工夫して扱いきれないくらいの意見が出てくるような状態を作り上げていただきたい。
事務局:
パブリックコメントの実施方法については、環境省のホームページにその内容を掲載するという方法で行っている。今回の諮問に対する意見は少ないが、案件によっては同じ方法で実施しても何百通というご意見をいただくことがある。ただし、頂いたご意見を参考に別の方法・手段についても検討して参りたい。

吉野熊野国立公園

委員:
人の入り込みが多く、また自然の変化が激しい東大台においても利用調整地区を指定してもよいと考えるが、人の入り込みが圧倒的に少ない西大台を利用調整地区に指定する理由は何か。
事務局:
東大台における利用調整地区の指定も必要との考えは持っている。しかし、現時点では、東大台の荒れた自然を自然再生事業で回復させ、整備した歩道を利用してもらうことで、人の立入による自然の荒廃はある程度防げるものと考えている。西大台については、まだ良好な自然が残っているので、人の入り込みを抑えることにより、保全を図るものである。
委員:
利用調整地区の指定にあたっての基準はあるのか。その概要はどのようなものか。また、指定する地区はドライブウェイの近くであるが、どのように人数調整を行うのかといった規制の実効性について考えを聞きたい。
事務局:
定量的な基準はないが、人の立入によって影響を受けている原生的な自然を有する場所、利用環境が損なわれている場所で利用調整を行うという定めになっている。また、人数調整の具体的な手続きとしては、利用者が事前に申請して立入認定証を受領した上で立ち入るというもの。制限員数を越えればその時点で申請を受け付けないので実効性は確保できるものと考えている。具体的な管理については、道路からの入り込みが可能な場所については柵等を設置して物理的措置を講じるとともに利用調整地区であることを利用者に明示することで抑止効果を持たせようと考えている。併せて年度ごとに巡視計画を立て綿密な巡視を行い抑制していこうと考えている。
委員:
大台に限らず、利用調整地区になればそこへ行きたいという人間もある意味で呼び込むことになる。サービス業としてのエージェントが人を集める手段とならないように注意していただきたい。

霧島屋久国立公園(屋久島地域)

委員:
牧畜等地元産業との問題が懸念されるが、地元との話し合いはどの程度進んでいるのか。また、公園の管理のために口永良部島に駐在員を置くのか。
事務局:
口永良部島の国立公園化については、十年来調査含めて検討してきた。指定による規制に対して地元から反発があり了承を得るのに時間がかかったが、自然を利用したエコツアーのようなものを呼び込んで自然と共に生きていこうという理解が広まった結果、住民投票まで実施され、国立公園に賛成ということになった。地元産業との調整については、具体的なところまでは話し合っていないが、今後の管理については地元と相談しながら行っていくことになる。なお、自然保護官をすぐ置くという計画はなく、屋久島の事務所で管理することになる。
委員:
従来の第1種、第2種、第3種の指定というのは、口永良部島のように山頂部を第1種として同心円状に取り囲むという指定の仕方が多いが、それが持つ弊害が様々なところで出ている。沖縄等のサンゴ礁地域では、サンゴ礁の維持にとって陸域の植生や集水域からの影響が非常に重要であるということは、世界遺産のいわゆる完全性の確保というような観点からも重要であると言われている。このような指定をすることは先のことを考えていないと考えざるを得ないがいかがか。
事務局:
富士山のような典型的な等高線の山はどうしても同心円状に上の方がランクが高いという公園計画の一つのパターンはある。これは、一つは上の方が非常に風景として珍しいということが1点、麓の方は経済・産業行為によって既に開発されている、あるいは、なかなか自然状態は良くても厳しい規制にできないという調整の結果、そのような計画になっているが、やはり生態系であるとか自然性に重点を置いて保護の手だてをすべきということは我々も承知している。富士山についても、青木ヶ原のように可能なところは大変厳しい規制をかけている。口永良部島の場合は、山頂部と海岸部を厳しい規制にしていきたいという考えである。なお、今後の国立公園の指定・管理運営を話し合っている検討会の中でも、多様性の観点から公園区域とのギャップがあるのではないかという指摘を受けている。このような点を至急分析し、今後の公園の指定の仕方に反映していきたい。
委員:
普通地域に指定されている本村(ほんむら)や湯向(ゆむぎ)には絶滅危惧種となっているエラブオオコウモリ等が生息している場所がある。激減している状況であり、またここにしか生息していないにも関わらずその場所が普通地域のままでよいのか。エリア分けをする指定の仕方と並行して、特にこの絶滅に瀕している生物の保護というものを住民の方々と一緒に行っていくシステムを早急に確立していただきたい。
事務局:
生息地、場の管理に自然公園法が優れた制度であることは十分承知しているが、そのような観点からも公園の指定をどのようにしたらよいかというのは当然検討していかなければいけないと考えている。一方で環境省所管の種の保存法等、他の環境保全に関する法律もあるので、そのようなものをうまく組み合わせていきたいと考えている。
委員:
一時、新聞で屋久島を霧島屋久国立公園から分けるという報道があったと思うが、それは検討しているのか。
事務局:
屋久島については検討していないが、国立公園の一塊のあり方については、自然の一塊としてどれが良いとかという以外に、わかりやすさ、地元にアイデンティティを持ってもらう等様々な効果も期待できるので検討していきたいと考えている。

問い合わせ先

環境省自然環境局国立公園課(代表03-3581-3351)
課長
鍛治 哲郎(内線6440)
課長補佐
則久 雅司(内線6442)
課長補佐
伊藤 淳一(内線6443)
専門官
千田 純子(内線6445) <公園計画関係>

資料の公開について

中央環境審議会自然環境部会での資料は、環境省のホームページにて公開する。
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