中央環境審議会自然環境部会(第4回)議事要旨

    開催日時

    平成13年12月18日(火)13:00~14:00

    開催場所

    東条インペリアルパレス5階曙の間(東京都千代田区麹町1-12)

    議題

    諮問事項
     大山隠岐国立公園(大山蒜山地域)の公園区域及び公園計画の変更について

    議事経過

     大山隠岐国立公園(大山蒜山地域)の公園区域及び公園計画の変更についての審議がなされ、適当であるとの答申がなされた。

    なお、主要な発言は以下のとおりである。

    委員ウド山から毛無山にかけてのカタクリ群落の復元について、具体的な手法について既に検討されている事項等あれば教えてほしい。
    事務局5月から7月の登山客の多い時期に踏み込み防止柵を整備することなどを検討している。細部については地元と話し合いながら決めていきたい。
    委員カタクリにとっては、踏圧による土の固結が一番の問題。適切な対処をとれば自然に回復をすると思われるので、移植による増殖は行わないでほしい。
    委員経緯をみると公園区域の追加までには長い年月を要しているようだが、所有者の区分けや調整についてはどうなっているか。また、地方自治体との調整はどうか。
    事務局岡山県側は民有林が多く、貴重なブナ林が残っている毛無山の一部を、岡山県が自然保護のために194ha買い上げを行った。環境省の特定民有地買い上げ制度等も利用して、国立公園の指定後も引き続き公有地化をすすめていく。鳥取県側の稜線部は国有林で、林野庁と調整を行い、同意を得た上で指定。また、民有林については、所有者の同意を得た上で指定する。関係地方自治体からは同意書等を得た上で指定するという手順を踏んでいる。
    委員パブリックコメントのやり方が現状では意味を持たない。なにか事務局に意見はあるか。
    事務局情報提供のしかたを検討し、地域性公園であるので、地域・住民・利用者との情報・意見交換のやり方について検討を進めて行きたい。
    委員特別地域に隣接している日野町側はどのような状況か。
    事務局宝仏山を中心とした地域を合計343ha指定する。
    委員指定地区内の歩道の現状と、大山蒜山地域の既設歩道と計画歩道との関係についてはどうなっているか。
    事務局案の8路線はいずれも既存の歩道を計画決定するもの。案にある朝鍋鷲ヶ山白馬線縦走線が、既存計画歩道の鏡ヶ成三平山線と朝鍋鷲ヶ山頂で接続する。
    委員施設整備の事業主体はだれか。
    事務局計画時点では執行者は決定していない。公共性の高いところは国や地方自治体が事業を行う。日本の制度では民間業者も事業を執行できるので、そういうところではしっかりと連携をとり、公園事業としての統一性を図る必要がある。
    委員他の公園の事例で、施設が造られたり登山道の整備がなされたところで、雨裂が入り崩壊の原因になっていることがある。施工、設計の際には十分留意してほしい。
    事務局登山道は、利用の集中によって荒廃するということがある。技術的な検討や登山道整備のマニュアルづくり等も行っている。今後、維持管理に力をいれていきたい。
    委員施設整備に際し、自然への配慮に欠ける事例もあるので、施工者に対してしっかりと指導していただきたい。
    委員採草地跡地における園地整備については、採草地としての景観、管理の持続、復元等も考えているのか。
    事務局採草地とその周辺を利用しながら、採草地と併せ持った利用を考えていきたい。
    委員今回の案は、小笠原国立公園の半分近くにあたる3,126haが新しく区域に指定される大変な事だが、過去の例と比べてどうか。
    事務局先般、霧島屋久国立公園(屋久島地域)で新規に指定された面積が2,262ha。「1,000ha以上の新規指定」が部会にかける基準であり、今回の3,126haというのは大きな案件。
    委員バッファゾーンとして第3種特別地域に指定された地域がスギやヒノキを主体とした良好な風致の森林とされているが、今後の管理は営林署に継続してやってもらえるのか。管理が行われないことで森林の良好な風致が悪化している例もあり、管理について合意をとりつけたほうがよいのでは。
    事務局今後も適切な管理がおこなわれるよう営林署等との調整に努めていきたい。
    委員人工林は自然公園の要因としての優れた景観として考えてよいのか。棚田等はきわめて人工的な景観だが、優れた自然的景観と考えられている。人工林も同様か。
    事務局従来から、自然公園の風景・風致・景観というものをどのように評価するか議論される中で、二次的な自然の風景や生物多様性についても評価していこうということになっている。二次林でも美林であれば高い評価をしてきている、また、管理が悪く生態系の面からみてレベルの低くなった地域でも、遠景としての評価がそれほど違わないという意識もある。人工林は林業との調整を図る第2・第3種特別地域として位置づけている。第3種特別地域は林業への制限をあまり求めておらず、管理の中身までの許可としてチェックをできるわけではないが、林業をされる方と連携を考えていきたい。
    委員人工林だけでなく里山の景観も優れた景観と考えると理解してよいか。
    事務局この後のあり方検討会の中で、是非そういった議論をお願いしたい。
    委員安定した植林は斜面の崩壊防止などに役立つが、若い植林はそういった機能もなく、集中した管理を行わないと美林としても育たないし、林床もきれいにならない。安定したところは二次林であっても、ある程度環境保全林として役立っているので、第3種特別地域として人工林・里山を入れてよいと思う。管理が伴うので連携が重要。管理することで保全林としての機能が出てくる。
    事務局今回の案は毛無山や稜線部といったところを中心に、保護強化を図ることが目的。人工林を区域に入れようとしたわけでなく、朝鍋鷲ヶ山から宝仏山に続く山塊を公園区域としてとらえ、その中で地種区分を行った


    問い合わせ先

    環境省自然環境局国立公園課(大代表03-3581-3351)
      課長      田部和博(内線6440)
      公園計画専門官 阿蘇品勉(内線6438)

    資料の公開について

    *中央環境審議会自然環境部会での資料は、請求があれば公開する。