中央環境審議会自然環境部(第2回)議事要旨
開催日時
平成13年10月17日(水)14:40~16:40
開催場所
東條インペリアルパレス3階扇の間(東京都千代田区麹町1-4)
議題
(1)諮問事項
霧島屋久国立公園(屋久島地域)の公園区域及び公園計画の変更について
議事経過
霧島屋久国立公園(屋久島地域)の公園区域及び公園計画の変更についての審議がなされ、適当であるとの答申がなされた。
なお、主要な発言は以下のとおりである。
委員 | : | 公園区域の指定によって地権者の受けるメリットとデメリットはなんですか。 |
事務局 | : | メリットとしては、各種税の減免があり、デメリットとしては、地権者でも公園区域内で木竹の伐採や建物の建設等の各種行為を行う場合は、内容によっては自然公園法の許可申請の手続きが必要となり、また規制を受けることもあります。 |
委員 | : | 白谷雲水峡は国有林ですか。 |
事務局 | : | 国有林で自然休養林に指定されています。 |
委員 | : | 公園区域の編入に伴う国有林との主な調整点を教えてください。 |
事務局 | : | 自然環境が保全されている箇所や歩道沿線について区域拡張をお願いして理解を得ました。保護規制計画については、世界遺産登録地域周辺は第2種特別地域として、それ以外は第3種特別地域として調整を行いました。 |
委員 | : | 屋久島が世界遺産に登録されたことによる利用者数などへの影響と、世界遺産と国立公園の管理の連携について教えてください。 |
事務局 | : | 利用者数の増加は、高速船の就航以降顕著に増加していますが、世界遺産登録がどのように影響があったかは、データからは読めません。 管理の連携については、関係機関からなる連絡会議を年2回開催し、調整を行っています。 |
委員 | : | 利用施設について確認したいので、具体的な整備内容を提示してください。 また、公園道路の整備には、自然林地域ではマント群落の創出など細かい部分にもっと目を向けていただきたい。 |
事務局 | : | 利用施設等の具体的な整備内容については、次に行う公園事業の決定に関する審議会(自然環境部会自然公園小委員会)で議論いただくことになります。 |
委員 | : | 現在、屋久島で拡幅工事が行われている道路がありますが、その道路に係る審議はなされたのでしょうか。 |
事務局 | : | 拡幅工事が行われている道路は、現公園計画に位置づけられた道路ではなく、今回公園計画に位置づけようとするものです。現在の工事は、自然公園法の許可を受けて行っています。 |
委員 | : | 今回の削除部分は、市街化により公園とは相容れなくなった部分とのことですが、公園の境界などで市街化が必然として起こるにしても、自然環境と共生できるような市街化への誘導をしないと削除ばかりになるのではないですか。 |
事務局 | : | 今回の削除地域は、公園利用の拠点とするために区域に編入し集団施設地区を設定していたのですが、役場等が建ち市街化が進んでしまったので、集団施設地区を縮小し、同時に区域から削除するものです。 自然環境と共生できるような市街化への誘導は、現行の自然公園制度の枠組だけでは難しいので、地域の方々で国立公園と調和する街並み整備のあり方を検討していただけるよう働きかけていきたいと思っております。 |
委員 | : | この50年間の建築技術の進歩で、自然環境と調和するような街づくりは十分可能になってきていると思います。 |
委員 | : | 今回の計画で利用施設が多く見受けられますが、整備にあたっては自然保護の視点に立って、きめ細かく行っていただけたらと思います。 |
委員 | : | 利用施設の削除追加の結果、総量としてはどう変化したのですか。 |
事務局 | : | 今回の公園計画の見直しは、保護規制の強化と、縄文杉への利用の集中を分散するという視点にたっています。施設による利用の分散を行っても対応しきれない点については、ソフト的な対応を検討していこうと思います。 |
委員 | : | 今回の計画は、保護するところは強化する、利用者が集中するところは分散利用を図る、という2点が明確であり、私は適当であると思います。 |
委員 | : | 環境省案を審議会に諮り、告示するというフローになっていますが、審議会ででた意見の扱いについて教えてください。 |
事務局 | : | 委員の先生方からいただいた各ご意見は、次の変更案作成の機会や、事業決定の審議会のなか等で反映させていきたいと考えます。 |
委員 | : | 原生自然環境保全地域と特別保護地区の関係はどうなっているのですか。 |
事務局 | : | 原生自然環境保全地域は、自然を保護する趣旨の地域で、保護と利用を両立させようとする国立公園区域とは趣旨が違います。区域も重複しません。 |
委員 | : | 利用施設の再配置が分散利用を促すことへの知見はあるのでしょうか。 |
事務局 | : | 登山道利用人数のカウントは始めていますが、地域的分散について定量的に調査し、分析したデータはありません。 |
委員 | : | 屋久島地域での他の取組と合わせて、自然保護と利用の将来像を、定量化を含めた検討から構想した上で、今回の計画変更の位置づけを説明して頂きたい。また、予測の追跡や評価のフィードバックをお願いします。 |
委員 | : | 今回の変更案には全体として賛成です。それと、分散利用を促進させるために、ガイドマップ等への記載のされ方などについて環境省として関与できる部分について検討してみてください。 |
委員 | : | 世界遺産地域の中に民間の方が所有している土地があるので、できるだけ早く国有地化を行って責任ある管理を行ってください。 |
委員 | : | 屋久島は無人島ではないので、是非、島内に生活する方々への配慮をお願いします。 |
問い合わせ先
環境省自然環境局国立公園課(大代表03-3581-3351)
課長 田部和博(内線6440)
公園計画専門官 阿蘇品勉(内線6438)
資料の公開について
*中央環境審議会自然環境部会での資料は、請求があれば公開する。