中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度専門委員会(第2回)議事録

1.日時

平成26年12月18日(木)13:00~14:47

2.場所

環境省 第1会議室

3.出席委員

委員長  浅野 直人
委員  大塚  直     岡田 光正
 中杉 修身
臨時委員  浅見 真理     佐藤  泉
 白石 寛明     和気 洋子
専門委員  高橋 晴樹     丹野 紀子
 原 美由紀     細見 正明

(欠席は、小倉臨時委員、染臨時委員、田村臨時委員、碓氷専門委員、梶原専門委員)

4.委員以外の出席者

 環境省

  三好水・大気環境局長、早水大臣官房審議官、更田農薬環境管理室長、

  秦放射性物質汚染担当参事官、青竹土壌環境課課長補佐、

  市川土壌環境課係長、福地土壌環境課係員

5.議題

  1. 1,4-ジオキサン及び塩化ビニルモノマーに係る土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について
  2. その他

6.配付資料

 

  • 資料1 1,4-ジオキサン及び塩化ビニルモノマーに係る土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等の検討の背景
  • 資料2 1,4-ジオキサンに係る土壌汚染対策法に基づく特定有害物質への追加その他土壌汚染対策の運用等に関する方向性について(案)
  • 資料3 塩化ビニルモノマーに係る土壌汚染対策法に基づく特定有害物質への追加その他法の運用等に関する方向性について(案)
  • 参考資料1 土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について(諮問)
  • 参考資料2 土壌の汚染に係る環境基準の見直しについて(第2次答申)(案)
    〔1,4-ジオキサン塩化ビニルモノマー〕平成26年9月中央環境審議会

7.議事

【更田室長】 では、定刻となりましたので、ただいまから土壌制度専門委員会、第2回を開催させていただきます。

 まず、本日の委員会ですけども、小倉臨時委員、田村臨時委員、染臨時委員、碓氷専門委員、梶原専門委員からご欠席との連絡をいただいています。また、岡田委員と丹野委員が若干遅れておりますが、委員会の開催要件を満たしておりますことを、まずご報告いたします。

 次に、本年3月に開催しました前回の委員会以降に事務局に異動がありましたので、紹介をさせていただきます。

 まず、水・大気環境局の三好局長でございます。

 水・大気環境局担当の早水審議官でございます。

 それから、放射性物質汚染担当の秦参事官でございます。

 土壌環境課の青竹課長補佐でございます。

 では、議事に先立ちまして、水・大気環境局長からご挨拶申し上げます。

【三好局長】 改めまして、よろしくお願いいたします。一言ご挨拶申し上げます。

 先生方には、年末のお忙しいところ、ご参加をいただきましてありがとうございます。

 昨年の10月に、中央環境審議会で1,1-ジクロロエチレン等の6物質を対象といたしまして、土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について諮問をさせていただいたことに伴いまして、土壌農薬部会に新たに土壌環境基準小委員会とこの土壌制度専門委員会を設置して、ご検討をいただく体制を整備してきたところでございます。

 3月には、この専門委員会で1,1-ジクロロエチレンの土壌環境基準の見直しに伴う土壌汚染対策法の制度運用の対応についてということでご審議をいただきまして、第1次答申を取りまとめていただきまして、それを踏まえて、土壌汚染対策法施行規則の改正を8月1日付で行わせていただいたところでございます。

 本日は、9月の土壌環境基準小委員会で土壌環境基準につきましてご審議をいただきました1,4-ジオキサンと、それから塩化ビニルモノマーに関しまして、土壌汚染対策法の特定有害物質に追加すべきか、また追加する場合に、その制度運用に関する方向性についてどうすべきかというような点につきまして、ご意見をいただければと考えております。忌憚のないご議論をお願い申し上げたいというふうに思います。

 ご挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。

【青竹課長補佐】 それでは、まず、議事に入ります前に、本日の配付資料についてご確認いただきたいと思います。

 1枚目に議事次第でございますけれども、おめくりいただきまして、座席表をつけてございます。その次が資料1というふうになってございます。資料2としまして、1,4-ジオキサンに係る土壌汚染対策法に基づく特定有害物質への追加その他土壌汚染対策の運用等に関する方向性について(案)というものでございます。資料3につきましては、塩化ビニルモノマーに係るものでございます。参考資料としまして、土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等について(諮問)でございます。参考資料2としまして、土壌の汚染に係る環境基準の見直しについて(第2次答申)(案)となってございます。

 もし足りないものがございましたら、事務局までお申し出ください。

 また、委員の皆様方のお手元には、青い色のファイルにとじた資料を置いております。こちらにつきましては、土壌汚染対策法の概要や法の条文等を取りまとめたものでございます。会議の中で、必要に応じご参照をいただければと考えております。

 なお、これらの資料につきましては、今後も継続して使用していきたいと思いますので、会議が終わりましたら、机の上に残しておいていただければと考えております。

 それでは、これより浅野委員長に議事進行をお願いいたします。

【浅野委員長】 それでは、本日もお忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。

 今日の議題につきましては、先ほど三好局長からもご挨拶があったとおりでございますが、まず、本日の会議及び資料の公開、議事録の取り扱いについてご説明申し上げます。

 土壌農薬部会の運営方針では、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある場合や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある場合などは、委員長の判断に基づいて会議及び資料を非公開にするということになっております。本日は、いずれもこれに該当いたしませんので、公開ということにさせていただきます。また、本日の議事録につきましても、事務局で調製後、発言委員にご確認をいただいた上で、後日、公開とさせていただきます。

 それでは、議事に入りたいと思います。

 まず、議題1の1,4-ジオキサン及び塩化ビニルモノマーの土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等についてということでございますが、この二物質につきましては、土壌の汚染に係る環境基準及び土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直しについての諮問が行われております。

 9月4日に開かれました土壌環境基準小委員会においては、環境基準の見直しについて第二次答申(案)が取りまとめられておりますので、まず、この土壌環境基準小委員会委員長の中杉委員から、小委員会における環境基準の検討結果についてご説明をお願いいたします。その上で、さらに1,4-ジオキサンに係る土壌汚染対策法に基づく特定有害物質への追加その他土壌汚染対策の運用等に関する方向性についてということで、事務局から続けてご説明をいただきたいと思います。

【中杉委員】 それでは、参考資料2が、先ほど委員長からご説明がありました第二次答申(案)でございます。9月4日に開催されました土壌環境基準小委員会において、1,4-ジオキサンについては、水質環境基準に地下水環境基準が設定されたこと、それから塩化ビニルモノマーにつきましては、地下水環境基準が設定されていることを踏まえて、土壌環境基準を設定するかどうかについて審議を行いました。答申(案)では、1,4-ジオキサン及び塩化ビニルモノマーの地下水環境基準と同じ値を土壌環境基準とすることが適当であるというふうにしたところでございまして、これが参考資料に記載しているところでございます。

 なお、土壌環境基準は人の健康の保護及び生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準でございまして、汚染の有無を判断する基準でもある1,4-ジオキサンについては、後ほど事務局から詳しい説明をしてもらおうと思いますが、土壌汚染対策法で定められている土壌ガスの調査によって、汚染の把握が困難というふうなことがあるだろうということは想定されるわけでございますけども、そういうことは十分把握した上で、実際に土壌が汚染されている事例というものが見られるということから、土壌環境基準を設定することとしたものでございます。

 この第2次答申(案)については、パブリックコメントを実施して、現在、事務局において整理中でございます。詳細は事務局のほうからご説明をお願いします。

【青竹課長補佐】 そうしましたら、私のほうから、資料1と資料2を用いましてご説明をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、資料1でございますけれども、1,4-ジオキサン及び塩化ビニルモノマーに係る土壌汚染対策法に基づく特定有害物質の見直し等の検討の背景でございます。おさらいになりますけれども、後ほど議論する土壌汚染対策法への特定有害物質の追加や、土壌汚染対策の運用に関する議論の前提となりますので、ご説明させていただきたいと思います。この中で、あわせまして、環境基準のほうについても触れていきたいと思っております。

 まず、土壌汚染対策法の概要でございますけれども、汚染状態に関する基準を定めています。

 法に基づく特定有害物質は、土壌に含まれることに起因して人の健康に係る被害を生ずるおそれがあるものということで定めておりまして、この基準が二つございます。一つ目が、土壌に含まれる有害物質を地下水経由で摂取するリスクの観点から定められている「土壌溶出量基準」、二つ目が、有害物質を含む土壌を直接摂取するリスクの観点から定められている「土壌含有量基準」でございます。

 このうちの土壌溶出量基準につきましては、第一種特定有害物質(揮発性有機化合物)になります。また、第二種特定有害物質として重金属など、第三種特定有害物質(農薬等)ということで、25物質ございまして、こちらは全て土壌溶出量基準が設定されております。土壌含有量基準につきましては、重金属等である第二種特定有害物質の9物質のみについて設定されているものでございます。

 また、各種特定有害物質につきまして、土壌汚染に起因した地下水の水質汚濁に係る基準(地下水基準)や、汚染の除去等の措置を選択する際に使用する指標として、第二溶出量基準が定められているところでございます。

 (2)番の調査契機でございますけれども、四つございまして、一つ目としまして有害物質の製造、使用または処理する施設の使用が廃止した際。それから、二つ目としまして、一定規模以上の土地の形質の変更の届け出の際に、土壌汚染のおそれがあると認められるとき。三つ目としまして、土壌汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあると認められるときでございます。四つ目としまして、土地の所有者等が自主的に調査する場合というのがございます。

 (3)番の土壌汚染状況調査でございます。調査の方法としましては、第一種特定有害物質につきましては、まず表層部分において土壌中の気体を採取しまして、このガスの調査を実施するというものでございます。土壌ガスが検出された地点があるときは、ボーリング調査を行い、土壌溶出量を測定いたします。第二種特定有害物質につきましては、汚染のおそれが生じた場所の位置付近におきまして土壌試料を採取し、土壌溶出量及び土壌含有量を測定いたします。第三種特定有害物質につきましては、第二種と同様の方法で試料を採取しまして、土壌溶出量を測定するというものでございます。

 (4)番の区域の指定等でございますけれども、まず、土壌汚染状況の調査の結果、汚染状態に関する基準に適合しないという場合であって、かつ健康被害が生ずるおそれに関する基準に該当する場合につきましては、要措置区域に指定されるとともに、指示措置を講ずることになってございます。一方で、汚染状態に関する基準に適合しないと判断された場合であっても、健康被害が生ずるおそれに関する基準に該当しない場合については、形質変更時要届出区域に指定されることとなってございます。

 (5)番目の搬出・処理等でございますけれども、要措置区域等から土壌を搬出し移動することにつきましては、汚染の拡散をもたらす可能性がございますので、搬出をする場合には事前の届け出や処理施設への処理の委託をしなければならないということになっております。また、運搬に関しましては、管理票を交付しなければならないというふうになっておりますし、汚染土壌の処理施設としては、浄化等処理施設など4種類の施設が現在規定されているところでございます。

 2番目に、本検討の背景でございますけれども、先ほども少しご説明がありましたけれども、参考資料1に添付しております諮問でございますが、こちらについて、簡単にご説明をいたします。

 平成21年に、1,4-ジオキサン、塩化ビニルモノマー、1,2-ジクロロエチレン、1,1-ジクロロエチレンの4項目、さらには平成23年にはカドミウム、またトリクロロエチレンといったようなものにつきまして、水道水質基準や水質環境基準、または地下水基準の変更が行われていたというようなことを踏まえまして、平成25年10月に、この6物質に係る諮問がなされたところでございます。

 まず、1,1-ジクロロエチレンからの見直しが行われまして、こちらについては、平成26年3月には土壌環境基準が見直され、また同月に、土壌制度専門委員会においてご審議いただきまして、同年8月に施行規則が改正されたというようなことでございます。

 平成26年9月には、さらに次の物質であります1,4-ジオキサン及び塩化ビニルモノマーについて、土壌環境基準の見直しということで、土壌環境基準小委員会で審議を行っていただきまして、先ほど中杉委員にご紹介していただいたとおりでございます。

 参考資料2に、その第2次答申(案)もついておりますけれども、簡単に、こちらの資料1のほうでご説明をさせていただきますけれども、4ページ目でございます。1,4-ジオキサンにつきましては、発がんリスクがありまして、平成21年11月30日に、水質環境基準項目及び地下水環境基準項目とされており、既に測定方法があること、塩化ビニルモノマーにつきましては、発がん性物質であり、平成21年に地下水環境基準項目とされて、既に測定方法があるということから、土壌環境基準項目に追加することとして、基準値――こちら表1、表2にございますとおり、1,4-ジオキサンにつきましては、「検液1Lにつき0.05mg以下」であること、塩化ビニルモノマーにつきましては、「検液1Lにつき0.002mg以下」であることということが適当であるということで、第2次答申(案)が取りまとめられたところでございまして、こちらの答申(案)につきましては、すみません、平成25年となっていますが誤りで、26年の9月16日から10月20日までの間、パブリックコメントの手続が実施されたところでございます。こういった状況を踏まえまして、1,4-ジオキサン及び塩化ビニルモノマーに係る法に基づく特定有害物質に追加その他土壌汚染対策の制度運用について検討を行う必要があるという状況でございます。

 続きまして、資料2を用いまして、1,4-ジオキサンに係る方向性の(案)についてご説明をさせていただきます。

 まず、1,4-ジオキサンの使用実態でございますけれども、1,4-ジオキサンは揮発性物質で、水に溶けやすく、油にも溶けやすい性質から、広く溶剤として使われているものでございます。特に、過去になりますけれども、1,1,1-トリクロロエタンの安定剤として大量に使われていたということがございます。平成23年度の調査によりますと、アンケートの結果、1,4-ジオキサンの産業分類別の有害物質使用・製造特定事業場というのが表1に示したとおりでございまして、使用ありと回答した特定事業場は150事業場、製造ありとした特定事業場は7事業場ございました。

 おめくりいただきまして、1,4-ジオキサンによる土壌汚染の実態でございます。こちらも環境省が実施した調査によりますと、事業場において2地点、産業廃棄物不法投棄地4地点で、土壌溶出量が地下水環境基準の値を超過する事例が確認されております。

 次に、3ページ目でございますけれども、1,4-ジオキサンの調査の方法及び措置・運搬・処理方法についてでございます。

 まず最初に、現行の調査の方法についてご説明をさせていただきたいと思います。後ろのほうに別紙2というものがございまして、A3の横の表になっているものでございます。こちらの第一種特定有害物質の原則的な調査というところをご覧いただければと思いますけれども、まず、80~100cmまでの土壌ガス採取をいたしまして、こちらで検出された場合には右側に進みまして、相対的に土壌ガス中の特定有害物質濃度が高い地点において、ボーリング調査(原則10m)を実施するという方法になってございます。

 お戻りいただきまして、3ページでございますけれども、1,4-ジオキサンにつきましては、水に任意に溶解することから、土壌中に存在した場合、降雨等で下方に浸透しやすいと考えられます。環境省が実施した試験では、地下水に流れがある場合はほかの特定有害物質よりも流出しやすいということや、水分を含む土壌では土壌ガスとして検出されにくいという結果が出ております。1,4-ジオキサンは相対的に物性が近いと思われます第一種特定有害物質に分類することが考えられますけれども、上記のように、土壌の水相に存在すると考えられまして、揮発しにくい状態ですので、土壌ガス調査で有無を把握するのが困難であると考えられます。ただし、地下水を調査するというような場合であれば、1,4-ジオキサンの有無を把握できる可能性があるというものでございます。

 次に、(2)番でございます。1,4-ジオキサンによる汚染の除去等の措置の適用性でございますけれども、文献等から調査をしましたところ、それぞれの措置の種類に応じて、適用可能性については表3のとおりになってございます。地下水の水質を測定、原位置封じ込め、遮水工封じ込め、地下水汚染の拡大の防止、土壌汚染の除去につきましては、適用可能であると考えられます。一方で、遮断工封じ込め、不溶化につきましては、物性の特性上、適用困難であると考えられます。

 次に、4ページ目でございます。1,4-ジオキサンにより汚染された土壌に係る運搬及び処理方法の適用性についてでございますけれども、運搬に当たっては、フレキシブルコンテナやドラム缶及びこれらと同等以上の運搬容器を用いて運搬することによって、飛散や地下への浸透を防止することが可能と考えられます。処理につきましては、埋立処理施設での受け入れは可能と。また、分別等処理施設につきましても、建屋構造などの施設要件を満たしていれば、受け入れは可能だと考えられます。一方で、浄化等処理施設及びセメント製造施設については、既存の処理施設での処理技術で処理が可能かどうかについて、今後検討が必要であるものでございます。今後の対応が必要なものにつきましては、四角囲みで、(事務局注)ということで、本資料(全資料)を通じてつけさせていただいているところでございます。

 これらの状況を踏まえまして、3番でございます。土壌汚染対策法に基づく特定有害物質に1,4-ジオキサンを追加することについてでございますけれども、1,4-ジオキサンにつきましては、土壌ガス調査を適用しましても、その特性から検出が困難であるため、効率的な調査が行えず、第一種特定有害物質と同等の合理的な対策を行うことが難しいと考えられます。また、1,4-ジオキサンにつきましては、これまで基準がなかったことで、汚染実態が不明確な部分もございます。このため、当面は特定有害物質には指定せず、汚染実態の把握に努め、あわせて効率的かつ効果的な調査技術の開発を推進し、合理的な土壌汚染調査手法が構築できた段階で、改めて特定有害物質への追加について検討することが適当ではないかと考えられます。

 4番目でございます。土壌環境基準不適合土壌の当面の取り扱いについてということでございますが、1,4-ジオキサンについて当面は法規制の対象外とした場合については、土壌汚染対策法上の調査を求めることはございませんが、土壌環境基準が設定されますと、自主的な調査を実施したり、条例に基づく調査によって土壌環境基準不適合の汚染事例が見つかり、その対策を講じたいといった場合が生ずることが想定されます。このため、1,4-ジオキサンの測定方法や、周辺の人の健康被害防止の観点からの地下水の飲用指導、または土地の形質変更時の留意事項、運搬方法や汚染の除去等の措置の方法、搬出した場合の処理方法などについて、技術的助言を取りまとめまして、周知することが望ましいのではないかと考えております。また、土壌中に浸透した1,4-ジオキサンについては、地下水に浸透すると考えられますため、土壌汚染のみならず地下水汚染の両面から対策を行うことが必要であると考えられまして、地下水汚染対策につきましては、水質汚濁防止法第14条の3の水質の浄化に係る措置命令により、対応が可能であると考えてございます。

 私からの説明は以上でございます。

【浅野委員長】 それでは、ただいま二つの物質についてのこれまでの経緯のご説明、さらには環境基準の設定に関しての委員会での議論の状況、そして二つの物質のうちの1,4-ジオキサンに関して、今回どういう扱いをしたらいいかという点に関する事務局としての考え方についてご説明されました。

 以上のご説明につきまして、ご質問あるいはご意見がございましたら、どうぞお出しいただきたいんですが、いかがでございましょうか。

 それでは、中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 全体として、現状ではこういう方向でやむを得ないというふうに思いますけども、実態的に言うと、もう少し先のことまで考えておいていただく必要があるのかなと思います。議事録に残しておいていただければと思います。

 資料2の4ページの3のところで、「当面は」ということで、「特定有害物質に指定せず」ということでございますけども、「合理的な土壌汚染調査手法が構築できた」場合という記載を入れていて、少しそれを待ちましょうということなんですが、技術的に考えて、なかなかそれは難しいだろうということが想定されるということを、一つ頭の中に入れておいていただいて、ということになると、開発できなかった、構築できなかったときはどうするのかということが問題になると。それを少し、その場になってから考えるのではなくて、今から考えておく必要があるだろうと。具体的には非常に難しいんですけども。

 そういう意味では、5ページのところの一番最後のところに、「なお、地下水汚染対策については、水質汚濁防止法第14条の3の水質の浄化に係る措置命令により、対応が可能である」と。これはある意味ではぎりぎり、水際というか、最後のところで、防衛線で対応ができるということなので、今の土対法でやっているような予防的な対応は、これではできないということなわけです。そういう意味でいくと、もう少しそこら辺のところをどうしていくのかというのを今後考えていく必要があるだろうと。

 具体的には、水濁法の浄化措置命令というのも、実態的にはほとんど機能させることができない。その規定があるので、それをもとに自主的にやっていただくようなことに使うという、そういうスタイルで今運用されているということでございます。そこら辺を考えると、土壌汚染と地下水汚染というのは、単に地下空間の汚染を水の側から見ているか土壌の側から見ているかだけの違いで、基本的には同じものであるということを考えると、将来的には、土壌汚染対策と地下水汚染対策というものをあわせた制度の見直しが必要だろうと。

 これは水環境部会のほうでも、地下水汚染対策のときに私申し上げておりますけども、そういうことを検討し始める必要があるんじゃないかというようなことだけ申し上げておきたいと思います。基本的な考え方は、現状はこれで仕方がないと思いますけど、多分、将来的にはそこまで議論をしていかないと対応できないのかなと思いますので、一言申し上げておきます。

【浅野委員長】 ありがとうございました。

 佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 資料2について伺いたいんですが、1,4-ジオキサンによる土壌の汚染実態についてでございます。

 非常に限られた中での調査結果ですので、この調査結果を見て、日本でかなりの汚染地域があるのか、それとも非常に限定されているのかというのは、なかなか判断しづらいんですが、ここの事例というのは、先ほどのご説明で、トリクロロエタンの安定剤として非常に多用されていたということでございますので、こういう一緒に使われた物質が確認された地点での調査結果なのか、それとも、そうではない地点の調査結果なのか。

 それから、1,1,1-トリクロロエタンですね、この汚染地が全国でどのぐらいあるのかということについて、ちょっと情報がありましたらば教えていただきたいと思います。

【浅野委員長】 それでは、ただいまのご質問2点、この調査はどういうところを対象にしたのかということと、それからトリクロロエタンに関しては何か情報がないかということです。今の段階で答えられなければ答えなくていいという、大変優しいご配慮ある委員の質問でありますので、だめな場合はだめと正直にお答えください。

【青竹課長補佐】 まず、調査をした場所でございますけれども、こちらは電気部品・デバイス製造業であったり、一般機器・器具製造業、事務用器具製造業、プラスチックフィルム製造業、金属被覆彫刻、熱処理業を調査地点として選定したものということになってございます。それに加えまして、産業廃棄物不法投棄地点についても調査をしたものということでございます。

 すみません。今、現状で把握しているのは、これだけでございます。

【浅野委員長】 どうぞ。

【佐藤委員】 やはり調査実態をもう少し明確に把握していただいて、どういうところでこの汚染があり得るのかというところで、そういうところに汚染があるということになりますと、やはり洗浄剤として使われていたということですので、潤滑油、洗浄剤ですね、こういうところについては、この物質についても注意して、例えば搬出土壌のところだけでも対応する等のことが必要ではないかと思います。長期的な対応についてご検討いただくというのは、私も必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

【浅野委員長】 ご意見ということでしょうが、ちょっと、中杉委員、コメントをお願いできましょうか。

【中杉委員】 1,4-ジオキサンがトリクロロエタン等の安定剤として使われていたということで、昔、地下水汚染の観点から、トリクロロエタンの汚染があるところで1,4-ジオキサンの汚染があるかどうかという調査をやったケースもありますので、地下水のほうで1,4-ジオキサンのどれぐらい汚染地点があるかというのは、土壌は調べていないけど、もう少し網羅的に調べられているので、それが一つの参考になるかなというふうに思います。地下水の汚染があれば、それが流れているところの土壌の汚染が基本的にあるというふうに解釈するべきだろうと。

 それから、もう一つ、埋立処分地と不法投棄の場所というのは、私も研究所にいたころに、埋立処分地からどんな有害物質が出てくるかということを調査したことがあります。そのときに、1,4-ジオキサンというのは非常にポピュラーに出てくる。だから、埋立処分地、不法投棄場所では必ずしもないんですけど、廃棄物の埋め立てに絡んでは、1,4-ジオキサンというのは比較的よく出てくるものであるというふうなことは言えるだろうと思います。廃掃法に基づく埋立処分地であれば土対法の外になるわけですけども。

【浅野委員長】 ということでございます。

 これは、事務局の説明から理解できるところは、どちらかというと水に溶けやすいので、いつまでも土の中に残っているというよりも、水のほうに行ってしまう。だから、どっちかというと汚染の多くは水質汚濁のほうに行きそうだということですね。水に溶けてしまって、その汚染された水がもし地下を流れていくとすると、その先を追うことはなかなか難しい、その意味では、非常に始末が悪いのではないかなという気もします。

 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 先ほど中杉委員がおっしゃったことと関係しますけど、特に4ページの3のところとか4の辺りが重要なんだと思いますけども、賛成でございます。中杉先生がおっしゃったように、地下水等の土壌の汚染は密接につながっていますので、一体として考えていく必要がありますので、私のほうからも、その点は特にお願いしたいんですが。

 それで、5ページの最後の「なお」に書いてあることの、水質の浄化に係る措置命令も、まさにこれで結構なんですけども、ただ、これはもし措置命令が既に出されている人がいると、さらに命令をかけるというのはちょっと難しいとかという、いろんな問題があるんですけど、これは今までこういうものはどうせ1件もないものですから、全く問題にならないので、対応は可能だということがございますので、念のためにちょっと申し上げておきます。

【浅野委員長】 細見委員、どうぞ。

【細見委員】 今までのこの議論に関するところですが、例えば資料2の2ページの表2に、汚染実態調査結果というのがございます。今までの議論の延長線で、表の一番下段のところに地下水検出地点数というのが、これは8(3)/12と、ちょっと読むのがなかなか難しいかもしれませんが、12カ所のうち8地点で良いのでしょうか、例えば地下水で検出されていると。この場合、今の地下水の浄化命令というようなことと、どの程度関係があるものなのかと。

 例えば、実際この地点というのは、検出された後、どのように実際のところ対応されているのかということです。これから当面の間、適切な調査方法を見出すべく努力をしていくわけですが、当面の間、どうやってこういった地点を、地下水浄化命令だけで対応しようとするのか、あるいはここの表2の地下水検出地点というのは、その後、詳細な調査などをされるのか、この辺のところをちょっと教えていただければと思います。

【浅野委員長】 今までは、1,4-ジオキサンというものには基準もなかったので、恐らく汚染されているからといって特段浄化命令が出るという対象にはなっていなかったと思うんですが、今のご質問には、ちょっと答えにくいかもしれませんけども、地下水の汚染に関する浄化命令の手続の流れみたいなものが、既にちゃんとあるはずでしょうから、それをお答えいただくことによって、お答えにかえていただく以外にないだろうと思いますが、今日は土壌環境課で、水環境課がいませんが、三好局長はご存じありませんか。

【三好局長】 すみません、発動されたことがないということだけ承知をいたしておりますが。

 制度的には、恐らく汚染が把握されましたら、汚染源を求めて調査をして、それで汚染源者によって適切に浄化していただくように命令をかけるというのが仕組みにはなっていると思いますが、実際の運用上は、先ほど中杉先生だったか、ご指摘いただいていますが、そういう浄化命令があるということを背景に、行政指導の形で対応していただいているということと、あと、もし飲料に利用しているような井戸があれば、その利用については停止をするというようなことが運用の一般かというふうに承知をいたしております。

【浅野委員長】 少し不適切な表現かもしれませんけども、浄化命令という形で対応していくと、もととなる汚染物質が消えるまではエンドレスで浄化を続けなくてはいけないということになりますね。どうせ水に溶けていくからいずれなくなるのでしょうけど、完全に溶け終わって、水のほうの汚染の原因が途絶えるまでは汚れっ放しですから、多分、浄化命令を仮にかけられるとすると、かけられた方はエンドレスで浄化をやらされることになりかねない。それではたまらないだろうから、法の規定がどうであれ、川上に遡って、そこで手をつけたほうがよっぽど簡単だということになるのではないか。それは実際には法令上の措置ではないけれども、事実上、そういうことが行われる可能性は高いのではなかろうか、と私は考えたわけです。

【中杉委員】 この地下水の浄化措置命令が実態的にというのは、局長が言われるように、汚染源を調べて命令を出すわけですけれども、そのときに、当該汚染源がこの地下水汚染にどれだけ寄与しているかということを計算して、寄与分だけ地下水をきれいにしなさいというのが水濁法の命令なんです、実態的には、その寄与分を推定することはほとんど不可能といいますか、非常に難しいということで、そういう意味で実態的に出てこないと。

 それから、もう一つは、土対法みたいに事細かくですね、こういう調査をやって、こういう方法でというところの、私が不勉強なのかもしれませんけど、あまり決めてないんですね。それと、地下水についても、事業所から流れ出てしまった地下水も含めて、解釈で言えばきれいにしなきゃいけないということになるので、それこそ際限がない話になると。そこら辺が土壌汚染対策の仕組みと違うというところで、それも含めて、先ほど私が申し上げたようなことを少し整理していただくといいのではないかというようなことで申し上げたわけです。

【浅野委員長】 要するに、現行制度はかなり乱暴につくった面があるので、やったときのことはよく知っていますけど、本当に細かい手続を突き詰めて、土対法のように精緻にはつくっていないでしょうね。だから、この際、やっぱりこの点も改めてもう一度考え直さなきゃいけないのかもしれないし、そもそも土壌汚染とこれに密接につながる地下水汚染の両方を分離して考えることは、今私が申し上げたように、無理がありますね。下手をすると、それぞれがつけ回しをするみたいなことになりかねないし、やっぱり一体的に考えなきゃならないものは一体的に考えるような仕組みに、もう一遍改めなきゃいけないと中杉委員は強く主張しておられるわけで、委員長としては、そのご主張はよく理解できます。しかし理解はできるけれども、どう制度化するかは、時間をかけて議論をしなきゃいけないことだと思います。

 細見先生、よろしいですか。

【細見委員】 はい、結構です。

【浅野委員長】 ほかに何か、ご意見がございますでしょうか。よろしゅうございますか。

(なし)

【浅野委員長】 それでは、今後の調査ということに関しては、先ほど佐藤委員からのご注意もありましたので、ご発言の趣旨を受けて、適切な調査をやっていただきたいと思います。

 特にご意見がございませんようでしたら、この1,4-ジオキサンに関しては、資料のとおり、当面は特定有害物質には追加しないで、汚染実態の把握や調査技術の開発を推進することとする。そして、不適合な土壌の取り扱いについて検討する方向で、専門委員会の報告案をさらにご準備いただきたいと、このように考えますが、よろしゅうございましょうか。

(異議なし)

【浅野委員長】 ありがとうございます。それでは、ご異議がないようでございますので、この点について、事務局でさらに検討をお願いいたします。

 では、もう一つの議題でございます塩化ビニルモノマーでございます。この件につきましても、先ほど中杉委員からご説明をいただきましたとおり、9月4日に開催された土壌環境基準小委員会で環境基準について第二次答申が取りまとめられております。このことは先ほどお話がございましたが、これ踏まえて、塩化ビニルモノマーに関する土壌汚染対策法ではどのような扱いにすべきか、この点について、資料3が用意されておりますので、事務局からご説明をいただきたいと思います。

【青竹課長補佐】 そうしましたら、塩化ビニルモノマーにつきまして、土壌汚染対策法に基づく特定有害物質への追加その他法の運用等に関する方向性について(案)をご説明いたします。

 まず、塩化ビニルモノマーの使用等の実態でございますけれども、塩化ビニルモノマーは、ほぼ全量がポリ塩化ビニルもしくは塩化ビニル系の共重合樹脂の原料として使われてございます。ポリ塩化ビニルにつきましては、生産量の多いプラスチックでございまして、上・下水道配管や電線被覆などのライフラインや、雨どい、壁紙といったような、幅広い分野で利用されております。塩化ビニル系共重合樹脂としましては、例えば塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体がございまして、こちらは床材などに利用されているものでございます。

 塩化ビニルモノマーによる土壌汚染実態についてでございますけれども、環境省が実施した調査によりますと、事業場で6地点、産業廃棄物不法投棄地点で1地点、土壌溶出量が地下水環境基準を超過する事例が確認されております。

 ページをめくっていただきまして、塩化ビニルモノマーの調査方法及び措置・運搬・処理方法でございますけれども、まず塩化ビニルモノマーにつきましては、第一種特定有害物質と物性が同等であること、それから揮発特性試験で土壌から揮発するということが確認されていることから、土壌ガス調査が可能と考えられます。土壌ガスの捕集方法のうち、捕集バッグ法の減衰は大きくないことについても確認されていますので、試料採取は可能であると考えられます。また、分析方法につきましても、GC-PID、GC-MSの定量下限値は確認されておりますし、土壌溶出量調査の検液の作成方法についても、既存の方法で測定できるものと考えられております。

 四角囲みのところでございますが、土壌ガス調査に係る採取の方法につきましては、捕集バッグ法については確認されておりますけれども、その他の方法であります減圧捕集瓶法、減圧捕集瓶法を用いた食塩水置換法、捕集濃縮管法につきましては、未確認ですので、こちらについては確認をする必要がございます。また、分析方法についても、CG-ELCD、GC-FID、GC-ECDについては、定量下限値を確認していく必要がございます。

 (2)番の塩化ビニルモノマーによる汚染の除去等の措置の適用性についてでございますけれども、地下水の水質の測定、原位置封じ込め、遮水工封じ込め、地下水汚染の拡大の防止、土壌汚染の除去につきましては、適用可能であると考えられます。一方で、遮断工封じ込め、不溶化につきましては、物性の特性上、適用が困難だと思われます。

 (3)番について、土壌の運搬及び処理方法の適用性についてでございますけれども、まず運搬につきましては、フレキシブルコンテナやコンテナ、ドラム缶及びこれらと同等以上の運搬容器を用いて運搬することによって、飛散や地下への浸透を防止することが可能と考えられます。処理につきましては、埋立処理施設での受け入れは可能、また、分別等処理施設につきましても、建屋構造などの施設要件を満たしていれば受け入れは可能ということでございます。一方で、浄化等処理施設及びセメント製造施設については、既存の処理施設での処理技術で処理が可能かどうかについて検討が必要であると考えております。

 これらの状況を踏まえまして、3番でございますけれども、塩化ビニルモノマーを特定有害物質に追加することについてでございます。汚染状況調査の実施や汚染の除去等の措置が適用可能であると考えられることを踏まえますと、土壌汚染対策法に基づく特定有害物質に追加することが適当であると考えられます。その際に、塩化ビニルモノマーの物性から第一種特定有害物質に区分することが適当であり、土壌含有量基準は定めず、以下のような設定をすることが適切と考えております。

 まず、土壌溶出量基準でございますけれども、これまでの考え方で、土壌溶出量基準は地下水涵養機能を保全する観点から設定された土壌環境基準を用いることとされておりまして、これまでと同様に、土壌溶出量基準につきましては、環境基準の答申(案)に示されている値と同じ値であります「0.002mg/L以下」であることと設定すると考えております。

 (2)番の地下水の基準でございますけれども、この地下水の基準は、土壌溶出量基準と同じ値とこれまでなっておりますので、この考え方と同様に、同じ値と設定すると考えてございます。

 (3)番の第二溶出量基準でございますけれども、基準不適合土壌の汚染の除去等の措置方法を選定する場合に使用する基準でございますけれども、こちらは土壌溶出量基準の値の10倍というのがこれまでの考え方でございまして、同様に10倍の値であります「0.02mg/L以下」であると設定すると考えてございます。

 (4)番の土壌ガス調査における定量下限値でございます。塩化ビニルモノマーはその物性から、既存の第一種特定有害物質と同等の揮発性を示すと考えられますので、第一種特定有害物質のうち――すみません、土壌環境基準ではなくて、土壌溶出量基準でございますが――土壌溶出量基準の値が塩化ビニルモノマーと同値であるほかの物質についても、定量下限値を0.1vol ppmとしていますことから、土壌ガス調査の定量下限値についても、現行のものを引き続き用いることを考えております。

 4番目に、塩化ビニルモノマーを土壌汚染対策法の特定有害物質へ追加した場合の同法の制度の運用についてでございます。塩化ビニルモノマーを追加後に、法に基づく手続に新たに着手する場合は、塩化ビニルモノマーは規制の対象となります。施行時点で既に法に基づく調査に着手している場合でございますけれども、塩化ビニルモノマーが追加されたことを契機として調査のやり直しを求めることはしないということが妥当だと考えられます。ただし、塩化ビニルモノマーを追加する前に対策が講じられた土地につきまして、新たに法に基づく手続に着手する場合については、塩化ビニルモノマーも含めた規制を課すことが適当だと考えております。また、塩化ビニルモノマー追加施行前に調査等に着手されている場合について、調査のやり直しは求めませんけれども、塩化ビニルモノマーの土壌汚染が明らかだという場合について、人の健康影響へのおそれがあるような場合につきましては、法第5条に基づきまして、土地の所有者等に土壌汚染状況調査をさせるということができるものであると考えております。

 次に、(1)番の土壌汚染状況調査の場合ですけれども、どういった場合に調査をするのか、しないのかといったようなところの判断についてのご説明をしますけれども、それぞれ調査の義務が生じるかどうかというようなところで分けて考えてございます。

 法の第3条の有害物質使用特定施設廃止の場合については、届け出時点までに物質が追加をされているかどうかによりまして、調査の対象とするか否かを判断するというものでございます。

 ページをめくっていただきまして、6ページでございます。法第4条の形質変更の届出の際でございますけれども、こちらは届出の際ではなくて、それを受けて都道府県知事が調査命令を発出する時点、この調査の義務がかかる時点において物質が追加されているかどうかで判断するということでございます。

 法第5条でございますけれども、こちらは健康影響のおそれがあるということで、都道府県知事等が命令を発出する時点を判断の基準とするということでございます。

 法第14条の自主調査につきましては、調査をした結果を用いて土地所有者等が申請をする時点を判断の基準とするということでございます。

 7ページ目の区域の指定でございますけれども、既に土壌汚染状況調査の結果を報告済みであるという場合については、塩化ビニルモノマーに係る調査のやり直しは求めずに区域指定の公示を行うことが妥当だと考えられます。また、要措置区域の指定をする場合には、都道府県知事が地下水の飲用の有無があるかどうかを判断することになりますけれども、そのときの地下水汚染が到達し得る距離の目安としましては、現行の第一種特定有害物質の値である概ね1,000mとすることが適切だと考えられます。

 次に、指示措置でございますけれども、こちらについては、塩化ビニルモノマー追加時に、既に汚染の除去等の措置が指示されていて、汚染の除去等の措置を講じている途中等である場合には、塩化ビニルモノマー追加に伴います措置のやり直しは求めないということが適当であると考えられます。

 次に、搬出でございますけれども、搬出につきましては、搬出届出の提出時に塩化ビニルモノマーが特定有害物質に追加されていない場合は、その後の運搬及び処理中に追加が施行されましても、塩化ビニルモノマーへの対応は求めないことが妥当であると考えられます。追加前に区域指定がされた区域から搬出された汚染土壌を、追加後に処理をするという場合についても同様であると考えております。また、塩化ビニルモノマーの追加が施行された後に実施する認定調査につきましては、塩化ビニルモノマーについても確認をするということとしたいと考えております。

 おめくりいただきまして、8ページの運搬でございます。運搬につきましては、塩化ビニルモノマー追加が施行された後に管理票を交付する場合につきましては、管理票に塩化ビニルモノマーの項目を追加することが適当であると考えられます。

 6番の処理でございますけれども、追加施行前に区域指定された区域から搬出された汚染土壌の処理をする場合については、区域指定後に塩化ビニルモノマーの追加が施行されましても、塩化ビニルモノマーへの対応は求めないこととすると考えております。

 ただし、浄化等処理施設におきましては、全ての特定有害物質について浄化確認調査を行い基準適合となったことを確認する必要がございますので、塩化ビニルモノマーについても調査対象とすることは必要であると考えております。

 また、追加施行された後に、塩化ビニルモノマーの基準不適合ということで区域指定された区域から汚染土壌を運び出して処理施設でする場合については、その施設が塩化ビニルモノマーの処理業の許可を持っていなければならないということになりますので、施行前から事前に許可申請を受け付けるよう対応することが適当であるというふうに考えてございます。

 5番目の分解生成物としての塩化ビニルモノマーの取扱いでございますけれども、11ページのところをちょっとご覧いただきたいんですけれども、11ページに、塩化ビニルモノマーの主な分解経路ということで図をつけてございます。こちらの図からわかりますように、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレンなどから分解をして、トランスまたはシス-ジクロロエチレンなどを経まして、塩化ビニルモノマーへ分解をしていくという、そういう性質があるものでございます。

 資料をお戻りいただきまして、8ページでございますけれども、第一種特定有害物質については、土壌ガス調査で検出された特定有害物質についてのみ土壌溶出量の調査を行い、基準不適合であった場合は区域指定をするというようなことになっております。

 一方で、その塩化ビニルモノマーの性質としまして、水に浸かっていない土壌中では土壌ガス調査で検出はされますけれども、分解して生成する場合については、水に浸かっている土壌中で第一種特定有害物質のテトラクロロエチレン等から、微生物分解等により生成されるおそれがあるわけでございますけれども、その場合については、その存在の形態から土壌ガス調査では検出されにくいということを示唆する知見がございます。こういった分解して生成される塩化ビニルモノマーにつきましても、なるべく見逃すことなく調査・措置が行われるようにしていくことが望ましいと考えられます。

 その際には、塩化ビニルモノマー以外の分解生成物が特定有害物質である場合についても同様の対応をしていくということ、また、調査のあり方だけではなく、区域の指定、それから指示措置も含めまして、土壌汚染対策全般について、分解生成物を考慮したものになるようにしていくことが望ましいのではないかと考えております。このためには、以下のような知見を収集しまして、より的確な方法を整理して、適切な措置を講じることができるように、分解生成物も考慮した合理的な対策スキームの確立を目指して、今後、検討を進めるべきだと考えております。

 具体的には、①番の分解生成物に関する調査でございます。分解生成物の土壌ガス調査や溶出量調査における検出状況に関するデータの集積・解析が必要であると考えておりまして、特に塩化ビニルモノマー以外の分解生成物につきまして、土壌ガスが検出されていないのに、実際は分解生成物についての溶出量基準不適合となっている事例があるのか、ないのか、どのぐらいあるのかといったこと。

 また、塩化ビニルモノマーにつきましては、これまで特定有害物質となっていなかったことから、事例の知見が少ないので、特定有害物質追加後にデータを蓄積した上で、実態を把握していく必要があると考えております。

 Ⅱ番目でございますけれども、それぞれの親物質につきまして、分解生成物が存在する形態、ガスで存在するのか、もしくは帯水層中に存在しているのかといったようなことに応じて溶出量調査の対象とすべきものを特定するために、分解のメカニズムについても整理が必要であろうと考えております。

 また、ガス調査で親物質が検出されて、分解生成物が溶出量基準不適合の場合につきまして、どの範囲について分解生成物の汚染があると考えるのかといった、その汚染の範囲の考え方についても整理が必要であると考えております。

 今のが調査でございましたけれども、②番としまして合理的な対策スキームの検討についてでございます。

 親物質が基準不適合となった場合ですけれども、分解生成物も基準不適合というような場合については、その物質によって区域が指定されて、措置が講じられるわけでございますけれども、分解生成物の基準が不適合となっていない場合についても、原位置浄化等の措置を行うことによって、帯水層中で分解・生成があるというようなことも考えられますので、その場合、その分解生成物を措置の対象とすべきかどうかといったことについても課題となると考えております。

 法律上は、その基準不適合となった物質についてのみ区域の指定の物質とし、措置の対象となるというようなことなどを踏まえつつ、制度全体を検証して、合理的でより的確な土壌汚染対策の仕組みを検討していく必要があるというふうに考えております。

 以上でございます。

【浅野委員長】 それでは、ただいま、塩化ビニルモノマーについてどう取り扱ったらいいのかという方向性に関して事務局からご説明いただきましたが、内容が多岐にわたりますし、あまりにも話が拡散してしまうと混乱を起こしそうですので、まず、1ページ、2ページ、3ページと4ページの後ろのほうのちょっと手前、1、2、3、使用実態や土壌汚染状況、それから次の調査方法及び措置・運搬・処理方法、そして、追加することについてどうかという、この部分までを中心に、まず、ご質問、ご意見を賜りたいと思います。どうしても発言の都合上、関連するということであれば構いませんが、極力この三つの部分についてのお話を先にしたいと思いますが、今、佐藤委員から札が上がりました。ほかにございますでしょうか。中杉委員ですね。

 では、佐藤委員から、どうぞ。

【佐藤委員】 まず、1ページでございますが、塩ビモノマーの使用実態についてなんですが、先ほどご説明のあった1,4-ジオキサンの使用実態のご説明では、どういう事業場で使われていたかということが明記されておりまして、それから、どういう事業場でこの汚染があるかということが比較的わかりやすかったんですけれども、塩ビモノマーについては、どういう業態で使われていたかということが明記されていませんで、かわりにポリ塩化ビニルのことは書いてあるんですね。雨どいとかですね。そうすると、何となく雨どいがあったところはみんな土壌汚染があるかというような、非常に誤解を招くような記載だというふうに思います。したがって、この塩ビモノマーの使用実態というのは、土壌汚染への関連性というんですか、こういう場所で土壌汚染が想定されるとか、可能性があるということを念頭に置いたご説明をいただかないと、ちょっと誤解があるんではないかと思います。

 特にその点について、先ほどのお話で、分解して生成物としてテトラクロロエチレンからの汚染も考えられるということでございますので、そこも使用実態というか、土壌汚染の可能性があるという実態では、そういうもとの物質の使用実態から汚染が考えられるというようなことも記載していただくと、多分この物質がどこでどういうふうに問題になり得るかということがわかりやすいので、ご検討いただければと思います。

 それから、その次の(2)の土壌汚染実態調査についても、どういう事業場でどういう汚染があったのかというようなことのご説明があると、この調査のサイトの母数のとり方というんですか、抽象的なものでも結構ですので記載していただくと、その可能性がある場所というのがわかりやすいというふうに思います。

 それで、4ページから5ページのところでございますが、追加に伴う制度運用については、これから……。

【浅野委員長】 そこは後からやりたいと思っているので、その3までのところにしてください。

 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 ちょっと気になったのが、細かいところなんですけど、3ページの一番上の表のところで、遮断工封じ込め、不溶化は「×」にしているんですけども、これはどういう理由だったかなというのは、私の記憶では、VOCの原液の場合は、コンクリートで固めても、そのすき間を通って抜けてしまう可能性があるんで、遮断工封じ込めはだめで、遮水工封じ込めは水も止めてしまうのでいいというふうな整理だったように記憶しているんですが、多分その並びでこう書いているんだと思うんですけども、実は塩化ビニルはガスなので、原液というのはちょっと存在し得ないので、そこをちょっと見落としていたなと思います。ちょっとそこら辺、そういう意味で本当に「×」でいいのかどうかというのは、少し論理矛盾を起こさないかどうかというのはチェックをしていただければというふうに思います。

【浅野委員長】 白石委員、どうぞ。

【白石委員】 4ページ目の(4)のところの土壌ガス調査における定量下限値の考え方なんですけども、塩化ビニルは揮発性が高いので、この案でよいと思うんですけども、その理由が、四塩化炭素、1,3-ジクロロプロペンと同等であるということを理由にしているんですけども、実際のもともと設定したのはどういった理由だったのかを確認したいんですが、例えばベンゼンは0.05になっていますね。その辺は、もともと汚染の実態を把握するための調査ですので、その検出限界ということで定められたと思いますので、毒性とは多分関係なしにではないかなという気がするんですけど、その辺を確認したいなと思いまして。

【浅野委員長】 それでは、ほかにございますか。

 浅見委員、どうぞ。

【浅見委員】 今回の塩化ビニルモノマーに関しましては、生産品としてあるということもさることながら、特に嫌気性の分解物としても存在するということで、非常に難しいものなのではないかなという感じがしております。

 ちょっと拝見した資料等で、海外の水の基準とかというのは記載があるんですけれども、海外でこういった分解物としての寄与が大きいようなものに対して、どういう規制ですとか、特に土壌汚染に対してどういうふうなことをされているのかというのも含めて、ちょっと状況を見ていただいて、すごく厳しい値になってしまうと、どうしようもなくなってしまうのではないかなという懸念もありまして、そういった外の状況というのも今後、今すぐではないんですけれども、ちょっと教えていただければと思います。

【浅野委員長】 ありがとうございました。

 それでは、ここまでのご質問について、事務局でお答えがいただけるようでしたらお願いいたします。

【更田室長】 今、浅見先生から言われたことにつきましては、どのような知見が得られるか、調べさせていただきたいと思います。

 白石先生のご指摘につきましては、確認して、また改めてご説明したいと思います。

 佐藤先生のご意見につきましては、本日の資料は、まだ専門委員会報告案になる前のものでございますので、また次回の制度専門委員会で、専門委員会報告書の案として作成する際に、ご指摘を踏まえて、さらに精査させていただければと思っています。

【浅野委員長】 努力はしてください。290万トンもありますから、全部網羅的に書いたら、もうそれだけで本論と関係なしに分厚くなってしまうので、そんなことは求められていないのであって、要は素人が見てわかるように書けというだけのことですから、あまり真面目に考えて、290万トンの用途を詳細に書き上げても意味ないと思います。ですから、そこはくれぐれも誤解なきよう。

 中杉委員、どうぞ。

【中杉委員】 白石委員のご質問に対してですけども、これは、なぜVOCというか、塩化ビニルは0.1ppmで、ベンゼンが0.05ppmかという話なんですが、これは土壌ガスの基準をつくるときに、比較的ケースの多いものを対象に議論をしたと。塩素の入っているものについては、テトラクロロエチレン、トリクロロエチレンについて、実態的に土壌ガスの調査と地下水汚染の調査の結果を踏まえてプロットしていって、大体0.1vol ppm以下のところでは、地下水の基準を超えるものはほぼなかったということで、そういうふうに設定したと。ベンゼンの場合はそれが当てはまらなくて、実際には0.05ppmよりも下にしなければいけないかなということがあったんですが、検出下限としてはそこまでしか下がらなかったということなので、0.05ppmにしたと。

 今回は、塩化ビニルについても、改めてそれだけの知見がないので、同じ塩素のあるものについて倣って、これにしたらいいんじゃないかということだったろうというふうに解釈していますけども。この前も、1,1-ジクロロエチレンの見直しのときも基準値を緩くしたんだけれども、土壌ガスについては基準値に合わせてという考え方をしていないんで、土壌ガスの基準は変えていないという整理をしていると。これは、あくまでも割り切りの世界でそういうふうにしているということです。

【浅野委員長】 ありがとうございました。

 ほかにございますか。今のところ、ご質問、ご意見ございましたが、3のところでこの物質を対象に追加するという、この部分については誰からも異論が出ておりませんが、ご異論がないでしょうか。この点について、もしご異論をお持ちの方がいらっしゃいましたらご発言をいただいて、それが多数を占めれば、もうここで議論を店じまいできるのですが、よろしいでしょうか。ご異論はございませんか。

 浅見委員、どうぞ。

【浅見委員】 すみません、それをひっくり返すほどのことかは、今の段階ではちょっとわからないんですけれども、このまま、もし追加してしまって、全部分解物のもとに遡っていろいろ整合性をとっていこうとすると、結構厳しいことになってしまうんではないかなという気がしてきまして。

【浅野委員長】 その点については5で扱うことになっていて、そこでもう一遍議論します。

【中杉委員】 これは、塩化ビニルで初めてではないので、シス-1,2-ジクロロエチレンと1,1-ジクロロエチレン、トランスは現基準がないですけど、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,1-ジクロロエチレン、今度はまだシスだけでしたよね。両方まぜましたっけ。1,2にしましたっけ。いや、1,2をまとめてしまったんだけど、ちょっとど忘れしました。

【更田室長】 それはこれからです。

【中杉委員】 いや、基準として、ああ、そうか、こっちはまだ決めていないのか。

【更田室長】 まだ決めていません。評価のあり方についてはまた今後の課題と考えております。

【浅野委員長】 基本的には、前、シス-1,2-ジクロロエチレンと1,1-ジクロロエチレンについても同じような扱いで、分解生成物で淡々とやっていて、今回の塩ビについても同じような整理でやる。海外のではなくて、日本のルールとして、こういう方法でやりましょうというふうに決めたんで、今回もそれに沿ってやりましょうという提案だと私は理解しています。

【浅野委員長】 よろしいですか。後で、また5のところで、今後どうするかということについて、事務局の考え方が示されますので、またそこで議論しましょう。

 対象物質に入れることについて、積極的な反対はないと理解してよろしいようでしたら、次へ進みますが、よろしいですか。

(異議なし)

【浅野委員長】 それでは、次は、入れるとした場合、制度の運用面はどうなるかということが4に出てまいりますので、次はこの4について、ご意見があれば伺います。その後、最後に5の部分を取扱います。

 それでは、佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 入れるということでの制度運用について、非常に効率性と、それから、あまり過度な負担をかけないというところのバランスをとった案だというふうに理解いたしました。その意味ではとてもいいと思います。ただ、今まで4条調査で解除されているとかで、実は解除されている土地が結構ございまして、解除された土地については、いつ解除されたのかによって、この適用範囲が変わってくるわけですよね。ですから、今後、指定される、解除される、いろいろなことが起きてきて、そのたびに物質が追加されたりしてきますので、土地の情報として、物質が追加される前に解除されたのかというようなことが比較的わかるようにしていきませんと、土地を購入した人は、一回調査があって、解除された土地だと思って、追加調査がないだろうというふうに通常は考えている方が多いと思いますので、そういう情報公開の仕方については注意をしていただければというふうに思います。

 一方、使用中の工場については、3条のただし書きの猶予を受けているということが通常でございますので、その場合には、猶予が終わったときに、追加的にその時点での物質が全部適用されるということであるので、使用中の工場については比較的明確で、しかも、あまり追加負担もないし、対応もできるという制度だというふうに思います。

 以上です。

【浅野委員長】 解除に関しては、確かにご指摘のような問題が残りそうですね。もっとも、原理的にはどの物質で指定されたかということについてしか、言ってみれば、公定力は働かないというふうに考えるべきなのでしょうけれども、一般的には、やはりそのときに調べて、これが危ないというので指定されて、それが全部クリーンになって解除されたと考えるでしょうから、おっしゃるような問題はあるかもしれません。しかし、これはちょっとなかなか運用でできるかどうか、もう少し検討の必要がありそうですが、確かに前回の話もあるわけで、今後のこともありますから、ちょっとこれは知恵を絞ってみる必要がありそうですね。

 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 今、佐藤委員がおっしゃったように、バランスをとっている案を出しているんですけども、一応法的な整理として、どういう考え方で整理しているかということは、議事録に残しておいたほうがいいと思いますので申し上げておきますが、基本的には、今回、基準を強化したので、それを適用するということになるわけですけれども、比例原則とか、もうちょっと明確に言うと、その行政の信義則というところがありますので、一旦行政処分をしたものに関しては、ちょっとそれを撤回することまではしないというのが基本的な発想で、あとは比例原則的な発想で整理したということを申し上げておきたいと思います。

 以上です。

【浅野委員長】 ありがとうございました。

 少々素人にわかりにくいご説明ではあったわけですが、要するに、本来はもう今までにやったことについて、また後でぐちゃぐちゃ言うなと。だけど、本当に危ないなら、それはしようがないかなということを、専門用語で言われたと、こういうことです。

 丹野委員、どうぞ。

【丹野委員】 法を執行しております自治体側の意見としましては、今、大塚先生がおっしゃったとおり、当然今回、基準が強化になりますので、過去のものについては一切遡及しないという方向で整理していただいたというふうに理解しております。それでよろしいですよね。

 1,1-ジクロロエチレンのときには緩和でしたので、逆に遡及適用するということで対応いたしました。ただ、これが強化になった場合で遡及適用となりますと、恐らく行政側のほうはもうかなり混乱して、実際の規制指導というものがうまく回るかどうかというところは、それぞれ、自治体さんによって持っている件数も違うと思いますけども、東京都において申し上げますと、はっきり言ってちょっと難しい、不可能かなというふうに考えられます。

 今、調査のところで、どの時点で対象となるかというところのお話があったんですけども、恐らく環境省さんのほうでも把握されていると思うんですけども、特に4条につきましては、ほぼ4条の1項が出てきて、汚染のおそれがあった場合は、通常、そのまま14条のほうに流れていって、自主申請していただくという流れが通常になっておりますので、その辺りも踏まえて、4条の2項で調査命令を発出するということはほぼほぼないというふうに、そういう流れで行くということで、それを踏まえていただいた上での整理をしていただければと思います。

【浅野委員長】 わかりました。結果的にはそれで、あまりこの書き方で齟齬がないと、今、聞いていて思ったのですが、いいですね。つまり、4条で調査命令を出さないで、自主的におやりになるとすると、この書き方では、自主調査の結果の申請の段階で含まれていれば、もうこれは当然調べてもらわなきゃいけなくなりますので、実際にはほとんど場合、やらなきゃいけなくなるということですね、ボーダーラインでひっかかってきた場合は。

 そうすると、調査命令を発出する時期が、まだこれは、改正が決まったけど施行されていない時にということになると、むしろ当事者にしてみれば、じゃあ命令を出しておいてくださいということですね。この書き方で言うと、やらなくてよくなって、自主的にやると、申請のときにもう決まっているのだから、基準に従っておやりなさいということになるわけです。だから、それはしようがないというふうに割れ切る以外にないと思うのですけど、いかがですか。

【丹野委員】 4条の2項のほうですと、調査を開始する前に対象になっていなければ、入れなくてもいいわけですよね。

【浅野委員長】 もう既に調査を始めていれば、それは改めて追加調査は求めないということですから。

【丹野委員】 14条の場合はもう申請の段階ですから、そうすると、もう一回やり直しですよね。

【浅野委員長】 ええ、そうなります。そうすると、14条は、この際は損をするということに。

【丹野委員】 ただ、実態的には、もう4条1項、14条の流れになっていますので、ちょっとその辺りもご配慮いただければ。

【浅野委員長】 しかし、それはしようがないかなという感じですね。

 それから、もう一つは、全く今までにやったところは手をつけないというわけじゃなくて、新たな確認の機会が生じたら、それはまた全く新しい話だというわけです。ただ、従来の使い方でやっている限りは、それはもうチャラですよと、そういう話です。

 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 遡及しないというふうに一般的に言われてしまったので、ちょっとそれは、一般的にはそういう言い方をすることもあるかもしれませんが、きっちり説明しておく必要があるかなということで、後で事務局からお答えになるんだろうと思いますけど、土壌汚染対策法は、そもそも遡及はすることを前提にした法律ですので、それまで規制をしていなかったものを、科学的知見が充実したので新しく規制することは基本的には可能ということで、ドイツ法で言うと、不真正遡及という整理をしてきたということがあります。

 ただ、今回はやっぱり一回命令とかをしているようなケースとか、調査を始めておられるようなことに関しては、負担を二重にさせるわけにはいかないのでということで、比例原則とか、行政の信義則という形で二重負担をさせないようにするという、そういう配慮ですので、物すごく、ちょっと素人的というと申し訳ないですけど、そういう言い方をすると、遡及しないと言っていただいても構いませんが、厳密に法的にはそういう理解になりますので、ちょっと申し上げておきたいと思います。

【中杉委員】 先ほどの丹野委員のご意見を私なりに解釈すると、4条で調査命令を出すときに、その前に調査命令を出さないで、かわりに指導して、14条で行きなさいよと言われる。そうすると、指導したときに、塩化ビニルが入っているか、入っていないかという話になってくると。そのままでいくと、行政が指導するときに、その時点のことで考えてやると、14条ではだめですよという話に当然なると。そこを配慮してほしいというのが丹野委員のご意見だったと思うんですけども、基本的には、指導というのは明確に時点が決まっている話じゃないので、それは実際は無理だろうと。そうすると、都道府県が指導されるときに、将来もうこれは入りそうだということを見込んで指導をされるか、あるいは、4条の命令を出してしまうほうが事業者にとっては得をするという話が起こってくる可能性があると。でも、やはりそこを配慮して時点を下げてという話は、ちょっといつの時点かというのを明確に決められないので、実際には無理だろうというふうに思いますけども。

【浅野委員長】 原委員、どうぞ。

【原委員】 川崎市の原です。私のほうも丹野委員と同じように、行政側としてお願いが一つあります。この書いてある文言について異論はないんですけれども、やはり法律で新しく物質が入った場合に、そこから周知期間をある程度置いていただかないと難しいと。特に土対法に関しては、長いもので1年以上というスパンをかけて、実は14条まで持っていくケースがかなりあるというようなことで、可能な限り周知期間をとって、きちんと業界に説明した上で、ここの部分を広げていっていただかないと、実際にこの施行時のところでかなりの混乱があるということをご理解いただきたいということを申し添えたいと思います。

【浅野委員長】 ありがとうございました。

 今日の方向性というのは、大きな考え方を示しているので、施行後をどうするかということについては、多分次の報告書の段階ではきちっと整理したものが出されると思いますし、おっしゃるとおり、今回は前と違って負担を課すということですから、相当の周知期間を置かないと、混乱が起こるというのはご指摘のとおりだと思います。この点は事務局もよくわかっていると思いますけど、ご意見として承っておきたいと思います。

 ここまでのご発言について、事務局から何かコメントはありますか。よろしいですか。

【更田室長】 ご指摘を踏まえまして、周知期間もしっかりとれるようにしていきたいと考えております。

【浅野委員長】 ほかに何か、ここまでの分でございますでしょうか。よろしいですか。

 どうぞ、細見委員。

【細見委員】 もう一度、丹野さんの確認でもあるんですが、14条のおそれがあるという時点と、14条の行政指導的なところは、実態として非常に多いということであれば、そのストーリーも、もう一度、これで実施可能かどうかという検討はやっぱりぜひしていただきたいなと考えます。

【浅野委員長】 検討はしてもらいますが、時点を特定できなくなってしまうので、そもそも指導というのは法的な処分でも何でもないから、いつを起点にするのかというのがわからなくなってしまうわけですね。ですから、やっぱり現実には非常に難しいということになります。

【丹野委員】 すみません、例えば14条の自主調査を事業者が着手した段階でとか、そういったことの……。

【浅野委員長】 どこで着手したかということについての客観的な証拠も、何もないわけでしょう。つまり、行政がそこについては判断の材料を持ちようがないですよね。

【丹野委員】 ただ、最終日に……。

【浅野委員長】 だから、やっぱり申請をするとき。もともと自主的にやっていただいて、わかったから出しますというのが、もうこの法文の持っている制定の意図ですから、だから、運用上どうなっているかということは、ある意味では法律は関知せずみたいなところがあって、なかなかその起算日を前のほうにずらしていって、調査を猶予するというような芸当は難しかろうと思います。しかし、事務局には考えていただきましょう。

【丹野委員】 ただ、ちょっと実態がそういうことでありますので。

【浅野委員長】 はい。それはよくわかりましたが、なかなか法的な整理は難しかろうと思いますね。

 佐藤委員、どうぞ。

【佐藤委員】 環境省は14条をかなり勧めていらっしゃいまして、推薦されているというんですか、そういう通知も出ていると思うんですよね。

【浅野委員長】 ではなくて、自治体の議論等がそうだと言っている。

【佐藤委員】 いや、そうじゃなくて、環境省自体も、14条はこういうふうに利用可能だというような啓発活動をされていると私は理解しておりまして、ホームページにも、14条はこういう場合に使えますよみたいなことを掲載していまして、そういう意味では、環境省としても、14条はこういうふうに使えるので、広く活用してほしいというような啓蒙活動をしていると思いますので、その中でも、こういう追加の物質があったときには、14条の考え方の注意点というのは周知されると、多分14条を使う人は結構環境省のホームページを見ていると思いますので、そういうところでも活用されたらいかがかなというふうに思います。

【浅野委員長】 いや、そんなホームページがあるとはつゆ知らず失礼しました。全く立法当時、そんなことを考えてもいなかったので。

もともと14条を考えたのは、一般的に、まずは自主的な調査が非常に多いと。そうすると、それでわかったからといって、もう一回、また法制度にのっけて、お金をかけて調べてもらうような無駄なことは必要ないだろうから、調べ方がちゃんと公定の調べ方である以上は、もうそれで認めましょうと。だから、再度命令を出さなくてもいいようにしましょうと。それがもともとの出発点で、立法当時は、これはギブアップ条項というふうに言っていたはずですね。ですから、そういう形で使えるという、それはわかるのですけども、そんなつもりじゃなかったということが、少なくともこの法律をつくるときに関わりを持った者からは言えるんですが。

 大塚委員、どうぞ。

【大塚委員】 その14条の普及に私も若干関係しているのですが、佐藤委員のおっしゃることはわかりますけど、そこは周知期間を設定していただくことで対処できるようにしていただくのと、多分ホームページにはちょっと何か追加して書いていただくというようなことなのかなと思っております。

【浅野委員長】 それでは、よろしければ、細見委員、よろしいですか。

【細見委員】 はい。検討していただくということで了解いたしました。

【浅野委員長】 それでは、次に、最後の分解生成物についての扱い、これは塩ビモノマーに関しても問題なのですが、それ以外のものもあるので、これについて今回、一挙に全部を扱うことはなかなか難しかろうと。したがって、将来の課題として早急に検討する必要があって、法改正などの段階でしかるべき措置をしなきゃいけないと。そのためには、こういう点についての検討をして、改正に備えなければならないと、こういうことでございますが、この点、まず中杉委員から解説をお願いしたいと思います。

【中杉委員】 解説というほどではないんですが、塩化ビニルは特に基準が厳しいので、これについてやらなきゃいけないということなんですけども、ただ、塩化ビニルの基準が厳しいからといって、ほかは全部基準が緩いのでやる必要がないじゃないかという議論にはしたくないということで、全体として、やはり問題がありそうだと。この場での土対法の抜け落ちの部分だという認識ですので、そういう意味では、土対法の見直しをするときに、全般的に見直したほうがいいだろうと。塩ビだけ特出ししてやるのは適切ではないだろうという判断をしたんだろうというふうに私は理解をしています。

【浅野委員長】 浅見委員、何かご意見がありましたらどうぞ。ここに書かれていることに関して。

【浅見委員】 検討が必要というご趣旨だと思うので、本当にそうだなと思うんですけれども、海外等で、どれかとどれかを足した値で評価するとか、そういう考え方をとられているところがあったかと思うんですけれども、もしそういうことを適用していくとすると、一個厳しい値が入ってしまいますと、非常に全体的に厳しくなってしまうというようなことも全くなくはないかもしれないなということを思ったりいたしまして、それからいきますと、いろんな選択肢とか情報を集めて、現実的で、かつ有効な方法をとっていく必要があるのではないかというふうに思います。

【浅野委員長】 そこまで来ると、完全にこれは法的な手当てをしなければどうにもならない問題だと思うのですが、一つの考え方としてあるかもしれません。ただ、永久に固定というわけにいきません。徐々に変わっていきますね。科学的な知見として、このサイトではどのぐらいの時間経過で、どんなふうに変わるのかということがはっきりわかれば、それで上手に切っていって、考え方を変えていくというのはできるかもしれませんけど、何しろその対策を立ててください、この基準でやってください、これを超えているからやってくださいというのが土対法の発想ですから、順繰りにといっても、なかなかうまくいかないのではないだろうかと思われます。

 つまり、多分二つの物質がだんだん変わっていきますと。だから、最初の段階はこういう比率だからこれで行きますが、やがてこういう比率に変わっていくでしょうと、それを追っかけていくと。だから、どの道、一網打尽に全部を取ってもらわなきゃどうにもなりませんみたいな話になりそうな気もするし、もちろん完全に取ってくれという話ばっかりが対策じゃないので、どうするかというのがあるのでしょうが、やっぱりやるかやらないかの話ということになると、なかなか難しいかもしれません。

 ただ、要届出とかいうような、その段階で処理できるものに関しては、それは時点で変えるということがあるかもしれませんけども、行政事務的には、ちょっと科学的な知見がはっきりしていて、絶対にこの期限で、これで間違いありませんということならいいのですが、そうでもないときはきついかもしれません。

 しかし、変わるということが前提ではっきりしているなら、申請主義のような形で、そのときにもう一遍調べて変えるというような方法はあるかもしれませんから、全く採用の余地なしとは言えないような気がするのですが、頭より途中の取り扱いですね、そこでどうするかということでしょうか。例えばもうここで、ここまで来たんだったら、これで何もしなくても解除できるような場合があるかもしれないとか、いろんな話にはつながるかもしれません。いずれにせよ、検討の余地があることだと思いますので、今後、考える必要があることだと思います。

 細見委員、何かこの点に関してございますか。この5は、ここに書いてあるようなことを調べろで、これで十分でしょうかということですが、9ページに、こんなことを調査したらいいだろうと。技術的なことが①なんですね。②は大塚委員の領域ですが、①のほうはいかがでしょう。これで大体、このぐらいのことを見ておけば問題ないですかね。

【細見委員】 9ページの①に挙がっている調査は、今後やるべきことだという理解でいけば、私はこれでいいのかなと思います。

【中杉委員】 先ほどの浅見委員の発言を伺っていて、一つ、こういうことかなと思って理解をしたんですけども、これは解釈が間違っているかもしれません。

 親物質があって、分解をしていくと。分解をしていくことによって、親物質の規制もしなきゃいけないんじゃないかと。分解を想定した上で親物質の規制をやるというのは、実はこの塩化ビニルもそうですけども、1,1-ジクロロエチレンと1,1-トリクロロエタンの関係でいくと、今回は1,1,1-トリクロロエタンと塩化ビニルの基準を比較してみると、はるかに塩化ビニルのほうが厳しいんですね。ですから、塩化ビニルに全部なってしまうということになると、1,1,1-トリクロロエタンの基準を物すごく厳しくしなきゃいけないと。そういうことを多分懸念された発言だったのかと、ようやく気づいたんですが、今はそういうふうな形で、1,1-ジクロロエチレンとの関連でも1,1,1-トリクロロエタンについて、そういうふうなことを少し懸念することがあったんですが、1,1,1-トリクロロエタンは、もうオゾン層保護法で使用が停止されているものなので、あえて今さらそういうことまでやらなくてもいいのかなという感じがしています。

 ほかのものについても、どうするかという議論はあるんですが、実際に土壌中での分解というのは、進行中というよりは、ある程度、平衡状態に達している状況であるというふうに考えられるので、その状況で、徐々に分解するからというところまで考えられるかどうか、場所、場所によって違うので、100%分解するということになると非常に厳しくなるけど、やっぱり淡々とその状況で、その物質ごとに見ていって、塩化ビニルが超えているものについてはやると。だけど、塩化ビニルがこうだから、それに基づいてトリクロロエチレンという話には、今のところはしないんだろうなというふうに思いますが、そこまでやると、確かに物すごく厳しい話になるだろうと思います。

【浅野委員長】 ほかに何かご意見ございますか。

 白石委員、いかがですか。何かお気づきの点はございますか。

【白石委員】 この分解生成物も、どの地点でも同じような分解をするというわけではないので、多分知見も少ないでしょうから、こういった分解経路があるということは確かだと思いますけども、地点、地点で変わるし、速度も異なるだろうということで、今、中杉委員のおっしゃったとおり、塩ビモノマーを超えていればやる、トリクロロエチレンはこのまま、非常に高いですけど、これをクリアしたとしても、長い目で見ると塩ビができてくるかもしれないということがありますけれども、それは今の案で仕方がないのかなというふうに思います。

【浅野委員長】 ほかに何かございますか。

【中杉委員】 11ページのこの塩化ビニルモノマーの主たる分解経路なんですけども、実はもう一つ抜けているのがあって。何かというと、1,1,2-トリクロロエタンから脱塩化水素すると、1,1とシス-トランス-1,2ができて、そこから塩ビへ行くという経路が考えられます。調査をするときに、1,1,2-トリクロロエタンの汚染事例というのはほとんどないんで、あえて調査をしなくてもいいと思いますけど、そういうものもあるということは頭の中に入れておいたほうがいいかなと。少し見落としていました。

【浅野委員長】 これは出典が何か、水環境部会の専門委員会ですが、誰に責任が。

【更田室長】 そのままではなくて、それをもとに作成しましたので、またそこは確認させていただきます。

【浅野委員長】 それでは、ほかにご発言がございませんか。よろしゅうございますか。

(なし)

【浅野委員長】 そうしますと、塩化ビニルモノマーに関して、これを特定有害物質に追加することについてはご異論なしということでした。それから、取り扱いについても、概ねこういうような取り扱いでよかろうということがございました。幾つかご注文がございましたので、むしろ今後の分解生成物についての扱いについても、こんなことを検討すればいいのですが、しっかり制度につなぐための検討を早急に始めなければならないということです。

 それから、14条の問題に関しては、いろいろご意見がありましたので、事務局で少し整理をしていただくということにしたいと思います。

【佐藤委員】 最後に、遅くなって申し訳ないんですけれども、今の分解生成物の話を聞いておりますと、塩ビを追加することについては、私は賛成なんですけれども、この数値が自動的に、土壌汚染対策法の場合には水濁法から決まってきてはいるんですけれども、分解して一時的に高くなって、また下がってくるというような物質の場合に、ピンポイントで上がってしまったときに規制して、非常に産業界に過大な影響を与えるというような、もしそういう状況が見られたときには、数値については考えるということも必要ではないかというふうに思います。すみません。

【浅野委員長】 でも、一応塩化ビニルモノマーのエンドポイントとしての数字で考えてということですから、ご意見として記録にとどめておくということになるでしょうね。わかりました。

 それで、大体考え方の方向性ということに関しては、大筋で皆さんご了解いただけたというふうに判断いたしましたので、必要な点についてさらに情報を追加する。あるいは施行に関して、周知期間を十分に置かなきゃいけないといったようなことについても、制度の運用の問題としては追加する必要があるだろうというご指摘がございましたので、それらの修正をすること、補正をすること、これらについて事務局にお願いをした上で、次回、専門委員会としての報告案を提示していただくと、こういうことにしたいと思います。よろしゅうございますか。

【細見委員】 コメントです。先ほどの佐藤先生が言われた件なんですけど、例えばPCBとかを処理していく、脱塩素化していくプロセスだと、途中で毒性が高くなったりするんですけども、やっぱり最終的なところで規制を満足しないと卒業基準を達成できないので、やはりそこは一番高くなったピークというよりは現時点の、今、浅野先生が言われた考えのほうがいいのかなと思います。

 それから、ちょっと1点だけ質問なんですけど、この8ページの5番の運搬のところで、私の誤解なのかもしれませんが、この運搬の文章は、搬出のことは書かれていなくて、運搬のところだけが抜き書きされて、施行された後、搬出する土壌は追加される前でいろいろ書かれているわけですけれども、この運搬のところだけ見ると、追加された時点で、それ以降は管理票として塩ビモノマーを追加するようにというふうに読めるような気がするんですけど。

 要は、追加される前に搬出しますよと。でも、途中でこの管理票はつけないといけないということに、そういうことにはならないんですか。

【浅野委員長】 要するに、マニフェストを作成する段階で、基本的に施行されているか、施行されていないかで分かれるという制度ですね。

【細見委員】 例えばあるサイトから搬出しようとすると、例えば1カ月ぐらいかかりますという場合、その途中で追加されてしまうと、それ以降、搬出して運搬する土壌に対してマニフェストをつくるということでしょうか。

【浅野委員長】 さっきと同じ議論になってしまって、その時点の特定が、何らかの書面作成、届け出行為というようなものでないと、特定のしようがないですね。契約時のような考え方をとってもいいかもしれないけど、自分が運ぶというような場合があると、契約時という形にもなりませんね。あと、社内決済をした日なんていうのも、全然行政は手の出しようもないわけですから、結局、やっぱり機械的にマニフェストの日付ということで行かざるを得ないというのがこの整理です。ですから、要するに手続として、マニフェストにちゃんと塩化ビニルモノマーを書いてくださいと、こういうことですが、しかし、行政指導ベースでわかっていたら、施行日前でも書いておいてくださいねということでしょうか。でも、義務的に書かないから違法だということは、ちょっと言いづらいなというのがこの話だと思います。

 ですから、搬出という行為が長きにわたるにしても、その都度、その都度、運び出すごとにマニフェストをつくってということになりますから、マニフェストに書いてあるものがあったりなかったりというようなことになることはもう避けがたい。恐らく任意に書いておいてくださいというぐらいの話をとりあえずはしておく以外になかろうかなと思いますが、これも一応事務局として考えてみてください。ご指摘としては、ごもっともなご指摘ではあると思います。

 それでは、よろしければ、先ほど申し上げましたようなことで進めさせていただきたいと思います。ほかにご意見がございますか。

 はい、丹野委員どうぞ。

【丹野委員】 すみません。同じく、ちょっと8ページのところの処理のところなんですけども、一番下のところに、「施行前から事前に許可申請を受け付けるよう対応することが適当と考えられる」というところなんですけども、これ、第一種で申請をしている汚染土壌処理業の許可申請に対して、また塩ビモノマーを追加するということで、変更の申請を受け付けなければいけないということなんでしょうか。

【青竹課長補佐】 はい。

【丹野委員】 そういうことなんですね。

【浅野委員長】 ですから、この施行前というのは、要するに、施行については2段階でやらざるを得ないということを言っているわけで。

【丹野委員】 第一種で一くくりというわけにはいかないわけなんですね、中に塩ビモノマーも入ったとしても。大体申請のときにはそういったくくりで、皆さん、申請されるんじゃないですか。それはちょっと、じゃあ、臨機応変に対応するということなのか、それとも、変更の申請を……。

【浅野委員長】 というより、むしろこれをやるときに、この手続だけは先行してスタートさせると。届け出がちゃんとできるようにしておいて、そういう体制が整ったところで本編のほうを施行すると、こういうことを考えて、このようなことが書いてあるんです。

【丹野委員】 処理業を営んでいる業者にとっては、変更の許可の申請というのは結構大変なんですけども、お金もかかりますので。その辺りはわかりました。ちょっと事務的にどういう対応をしなければいけないのかというのを私のほうでもちょっと検討して、後ほど……。

【浅野委員長】 ちょっとここは書き方がやや不親切だという気が私もしていますので、最終のペーパーでは、もっとちゃんとわかりやすく書いてもらうということは必要だと思います。

 高橋委員、どうぞ。

【高橋委員】 中小企業団体を組織しているところの者でございますので、先ほど皆さんからお話がありましたように、まずポリ塩化ビニルをつくる原材料だというけど、これをどこで使っているのかというのが、さっき、雨どいになっているというけども、その雨どいは誰がつくっているんだとか、どういうような業種で使われて、汚染されているのは大体こんなところだろうということを、またこの後でも結構なんですが、明らかにしていただいて、それをもとにして、法規制をしたときに、私どもも法規制を守るように業界のほうに話をしなくてはいけませんので、先ほどお話があったような有効な周知期間と、それから、できれば、私どもも協力いたしますので、業界を集めて検討するような場を設けていただくように、先走って恐縮でございますけれども、お願いいたしたいと思います。

【浅野委員長】 わかりました。ご要望として承っておきます。

 ほかにご発言ご希望の方はいらっしゃいませんか。

(なし)

【浅野委員長】 では、事務局、どうぞお願いします。

【更田室長】 本日ご審議いただきました1,4-ジオキサンと塩化ビニルモノマーにつきましては、本日いただいたご意見を踏まえまして、引き続き必要な検討を続けるとともに、塩ビの土壌ガスの分析機器の確認試験などについても行いまして、改めて制度の専門委員会を開催しまして、専門委員会報告を取りまとめていただきたいと考えております。その後、土壌農薬部会で審議いただくというスケジュールを考えております。また、1,4-ジオキサンの簡易なスクリーニング調査方法につきましても、その開発を推進していきたいと考えております。

【浅野委員長】 それでは、次に、その他という議題が上がっておりますが、このその他について、事務局からございましたら、どうぞ。

【更田室長】 特にございません。

【浅野委員長】 それでは、全体にわたって、何かご質問、ご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(なし)

【浅野委員長】 それでは、本日の議事については、以上で終わりたいと思います。どうもありがとうございました。

【更田室長】 皆さんにおかれましては、ご多忙の中ご出席いただきまして、また、熱心にご審議賜りまして、ありがとうございました。

 本日の議事録につきましては、委員の皆様にご確認いただいた後、次回の会議を待たずに公開させていただきたいと思っています。

 次回の土壌制度専門委員会は、来年度に入ってから開催したいと考えています。改めて日程調整をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いします。

 以上をもちまして、本日の第2回土壌制度専門委員会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。