中央環境審議会土壌農薬部会 農用地土壌環境基準等専門委員会(第1回)議事録

日時

平成21年12月11日(金)13:00~15:05

場所

三田共用会議所D・E会議室

出席委員

委員長 松本 聰
委員 浅野 直人
臨時委員 岡崎 正規
佐藤 福男
中杉 修身
専門委員 西尾 隆
深見 元弘

委員以外の出席者

環境省
伊藤水環境担当審議官、木村総務課長、足立土壌環境課課長補佐、寺田土壌環境課課長補佐、
久保土壌環境課係長

議題

(1)
 専門委員会における審議内容及び進め方について
(2)
 農用地土壌汚染対策に係る情勢について
(3)
 カドミウムに係る土壌環境基準(素案)について
(4)
 その他

議事概要

(足立土壌環境課課長補佐)
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第1回中央環境審議会土壌農薬部会、農用地土壌環境基準等専門委員会を開催させていただきます。
 委員の皆様方につきましては、お忙しい中、また、本日足もとの悪い中、ご出席いただきまして大変ありがとうございます。
 まず、本日の委員の出欠状況でございますが、本委員会は委員、臨時委員、専門委員の総数7名で構成されておりまして、本日は7名が出席される見込みとなっております。
 それでは、まず、議事に先立ちまして、水環境担当審議官の伊藤より一言ごあいさつを申し上げます。

(伊藤水環境担当審議官)
 環境省の水環境担当審議官の伊藤でございます。本日はご多忙の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 土壌環境問題につきましては、環境行政の中でも非常に重要な課題の一つであるということで、これまで環境省として取り組んできたわけでございますが、とりわけ昨年におきましては、市街地の土壌汚染対策の推進につきまして、松本部会長のもと、非常に部会長にはご尽力賜りまして、そして中杉先生、それから、今日遅れて来られます浅野先生等にもいろいろお知恵を拝借いたしまして、今後の土壌汚染対策法のあり方について答申を昨年の12月にいただきました。それに基づきまして、今年の通常国会におきまして土壌汚染対策法の一部を改正する法律が成立いたしました。この法律につきましては、既に政令におきまして来年の4月1日全面施行ということが決まっております。その準備に向けて、これもまた先生方のいろいろご助言を賜りながら、今、全力でその準備を行っているというところでございます。
 一方、土壌汚染の中でも農用地の土壌汚染問題につきましては、これは市街地に取り組む以前から非常に古くからあった重要な課題でございます。この問題につきましては、現在カドミウムにつきまして食品の摂取基準の見直しが別途行われていると、こういった状況でございます。それを踏まえまして、私どもの農用地の土壌の環境基準並びにその対策基準をどうしていくのかといったことは非常に重要な課題になってきたという状況でございます。このため、環境基準及び達成基準のあり方につきまして、環境大臣より中央環境審議会に諮問をさせていただいたわけでございます。その諮問の中で、まずは基本であります土壌の環境基準をどうするかといったことにつきましてご審議いただくため、この専門委員会が設置されたと、こういうことでございます。
 委員の皆様方の専門的な知見を踏まえまして、活発な討議をいただきたいというふうに思っております。どうかよろしくお願いいたします。

(足立土壌環境課課長補佐)
 それでは、議事に入ります前に、本日の配付資料についてご確認をいただきたいと思います。
 配付資料でございますが、まず、資料1、これは中央環境審議会土壌農薬部会、農用地土壌環境基準等専門委員会の委員名簿でございます。資料2、カドミウムに係る土壌環境基準(農用地)及び農用地土壌汚染対策地域の指定要件の見直しについて、資料3、中央環境審議会土壌農薬部会の専門委員会の設置について、資料4、中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針について、資料5、農用地土壌汚染対策に係る情勢について、資料6、カドミウムに係る土壌環境基準について(素案)、それとあと、参考資料としまして、参考資料の1から5まで一つにとじているものをつけております。過不足等がございましたら、事務局までお申しつけいただきたいと思います。
 それでは、続きまして、本委員会の委員構成についてでございます。資料1の委員名簿をご覧いただきたいと思います。本委員会の委員及び臨時委員につきましては、土壌農薬部会のメンバーから部会長にご指名をいただきました。また、専門委員につきましては、今回新たに2名部会長からご指名をいただきましたので、ご紹介させていただきます。
 まずは、独立行政法人農業環境技術研究所土壌環境研究領域長の西尾専門委員でございます。
 それと、国立大学法人宇都宮大学農学部教授の深見専門委員でございます。
 なお、本専門委員会の委員長につきましては、松本土壌農薬部会長にご就任いただくことになっております。
 それでは、これより、松本委員長に議事進行をお願いいたします。

(松本委員長)
 皆さん、こんにちは。師走の大変お忙しい時期にご参集いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日の専門委員会でございますが、第1回目ということもございまして、まず、専門委員会の設置についてご確認いただきたいと思います。その次に、農用地における土壌汚染対策のおさらいを兼ねまして、事務局から資料5に基づきまして農用地土壌汚染対策に係る情勢についてを簡単に説明していただきます。その後、事務局から資料6によりましてカドミウムに係る土壌環境基準について(素案)を説明いただきまして、委員の皆様から素案について種々のコメント、ご意見をちょうだいしたいと、こういうふうに考えております。
 まず、本日の審議の公開の取り扱いをご説明申し上げます。
 今回の専門委員会におきましては、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれや、特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがないことから、公開とさせていただきます。
 それでは、ただいまから議事次第に沿って議事を進めてまいります。
 議題の1でございます。議題の1は、専門委員会の開催についてでございます。資料2、3及び4をお手元にご準備ください。それでは、事務局から説明をお願いします。

(久保土壌環境課係長)
 それでは、資料2、3、4と続けて説明をさせていただきます。
 まず、資料2についてでございます。こちらは本年11月30日付で環境大臣から中央環境審議会会長に対しまして、カドミウムに係る土壌環境基準(農用地)及び農用地土壌汚染対策地域の指定要件等の見直しについてということで諮問がされた文書の写しでございます。諮問理由につきましては、後ほど経緯と一緒にご説明したいと思います。
 次、裏になりますけれども、こちらはその諮問が同日付で中央環境審議会会長から土壌農薬部会長に付議されているというものでございます。
 続きまして、資料の3になります。こちらは同じく11月30日に土壌農薬部会決定されました中央環境審議会土壌農薬部会の専門委員会の設置についてでございます。
 2.におきまして、農用地土壌環境基準等専門委員会は、環境基本法の第16条第1項の規定に基づく土壌の汚染に係る環境基準についてのうち、農用地に係る環境基準及び農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に係る専門的事項について調査するとされております。対策の基準値などに関わる問題につきましては、カドミウムに係る農用地土壌汚染防止法の指定要件等の見直しという形で別に設置されております農用地土壌小委員会において検討されることになります。
 3.におきましては、同専門委員会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は部会長が指名することとされております。
 続きまして、資料4になります。中央環境審議会関係法令等ということで、どれも特段最近改正されているものではございませんが、まず、1ページ目なんですけれども、環境基本法、それから、2ページ目になりますけれども、中央環境審議会令と続きまして、4ページ目、3.ということで中央環境審議会議事運営規則という形になっております。
 1枚まためくっていただきまして、5ページ目の第9条に専門委員会の記述がございます。部会は必要に応じ、その定めるところにより専門の事項を調査するため、専門委員会を置くことができる、また、専門委員会に委員長を置き、部会長の指名によりこれを定めるという規定を置いております。
 続きまして、また、1ページめくっていただきまして、4.になりますけれども、中央環境審議会の運営方針についてということで、こちらも特段改正はございません。
 続きまして、また、1ページめくっていただきまして、中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針ということで、こちらのIIになりますけれども、専門委員会に関する記述がございます。会議や資料の公開に関しまして、公正な審議に著しい支障を及ぼす場合に専門委員長の判断により非公開とすることができることなどがここに書かれております。
 関係法令については、簡単ではございますが、以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明について、ご質問のある方はお願いします。ご質問の際は、テーブルの上の名札を直立にしていただくということで指名させていただきます。どうぞ、ございませんか。

(な  し)

(松本委員長)
 それでは、今後これらの運営方針に則りまして、本農用地土壌環境基準等専門委員会の審議を進めてまいりたいと思います。
 次は、議題の2でございます。資料5をご用意ください。資料5の農用地土壌汚染対策に係る情勢について、再び事務局から説明をお願いいたします。

(久保土壌環境課係長)
 それでは、資料5の農用地土壌汚染対策の情勢についてをご覧いただきたいと思います。これからページ数を申し上げますが、ページ数は基本的には右下に書かれているスライド番号です。
 1ページをご覧ください。これまでの土壌環境行政に係る経緯につきまして、カドミウムをメインに記載しております。
 まず、昭和43年の3月に厚生省が富山県におけるイタイイタイ病の原因は三井金属神岡鉱業所の排出したカドミウムであるという見解を発表しました。その後、昭和45年の7月には厚生省がカドミウム濃度1.0 ppm未満の玄米は人体に有害であると判断することはできないということを発表しております。さらに、この後、農林大臣の談話といたしまして、0.4~1.0 ppm未満の産米について、米の需給状況及び消費者の不安に配慮し、配給しないこととしております。その後、10月には食品添加物等の規格基準が一部改正されまして、米のカドミウムの成分規格を玄米中に1.0 ppm未満と設定されております。11月にいわゆる公害国会が行われまして、12月には水濁法、それから、農用地土壌汚染防止法が公布されております。翌年には農用地土壌汚染防止法が施行され、大防法も公布されております。
 農用地土壌汚染防止法の関係では、さらに昭和47年に、最初はカドミウムのみの特定有害物質だったんですけれども、銅が追加され、また、昭和50年には特定有害物質に砒素が追加されております。
 さらに、平成になりますと、今回の議題でもあります土壌の汚染に係る環境基準が環境庁の告示として定められております。その後、市街地の汚染対策といたしまして、土壌汚染対策法の公布、それから、本年4月になりますけれども、土壌汚染対策法の一部を改正する法律が公布されております。
 続きまして、2ページをご覧ください。2ページでは土壌環境基準について触れております。土壌環境基準とは、土壌の汚染に係る環境上の条件につき人の健康を保護し、及び生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準とされております。現状では2点の観点から定められております。
 土壌環境機能のうち、水質浄化、地下水かん養機能を保全する観点から定められているもの、それと、今回の審議対象になります、土壌環境機能のうち食料を生産する機能を保全する観点から、農用地においては農用地土壌汚染防止法の特定有害物質について、対策地域の指定要件に準拠した形で環境上の条件とされております。
 以下の表に、農用地に係る環境基準について抜粋をしております。詳細、どういった目的でつくられたかということにつきましては、農用地土壌汚染防止法の仕組みの際に説明させていただきます。
 農用地において環境基準の適合状況の調査の結果、環境基準に適合しない土壌の存在が明らかになった場合は、農用地土壌汚染防止法等に基づき所要の措置を講ずることとされております。
 続きまして、3ページをご覧ください。先ほど申し上げました農用地土壌汚染防止法についてでございます。
 法目的といたしましては、「農用地の土壌の特定有害物質による汚染の防止及び除去並びにその汚染に係る農用地の利用の合理化を図るために必要な措置を講ずることにより、人の健康を損なうおそれのある農畜産物が生産され、又は農作物等の生育が阻害されることを防止し、もって国民の健康の保護及び生活環境の保全に資することを目的とする」とされております。
 実際の仕組みにつきましては、4ページ目のスキーム図とあわせてご覧いただければと思いますが、まず、都道府県の行う常時監視などにより汚染が発見された地域、これを都道府県知事が対策地域として指定をいたします。その上で対策計画を策定するという形になっております。都道府県は対策計画に基づきまして客土等の対策を実施することになります。この際、対策費用につきましては、公害事業費事業者負担法に基づきまして汚染原因者が負担するとともに、公害の防止に関する国の財政上の特別措置に関する法律により都道府県に対する国の補助金がかさ上げされるという仕組みになっております。
 実際の対策地域の指定要件につきましては、カドミウムについて、人の健康を保護する観点から定められております。また、銅、砒素につきましては、作物の生育阻害を防止する観点から定められております。
 特に、カドミウムに係る指定要件につきましては、食品衛生法の規格基準と整合性をとって設定されております。
 実際に指定をされまして、対策の完了した地域につきましては、調査により対策の効果を確認した上で地域指定の解除をする形となっております。
 続きまして、5ページをご覧ください。こちらは既に指定されたカドミウムによる汚染地域の63地域の土壌汚染の原因について、その内訳を表で示したものです。指定地域の数の割合から見ますと、鉱山によるもの、こちらが6割を占めております。また、製錬所に単独によるものと、鉱山と製錬所の両方によるもの、それらがそれぞれ1割ずつ。工場等によるものが2割となっております。指定面積を見ますと、若干パーセンテージが異なりますが、これは1地域当たりの面積が地域ごとに異なるためと考えられます。
 続きまして、6ページになります。食品中のカドミウムのリスク管理に係る国内外の動向についてということで、まず、2003年にJECFA――FAOとWHOの合同食品添加物専門会議――が、カドミウムの長期低濃度曝露による腎機能障害を防止する観点から、理論モデルなどを使ったリスク評価を行いまして、暫定週間耐容摂取量といたしまして、7µg/kg体重/週を維持することを決定しております。そして、国際基準値を定めるコーデックス委員会におきまして、穀物、野菜、海産物等について、合理的に達成可能な範囲でできるだけ低くとの考え方に立ちまして、各国の食生活や食品中のカドミウムの含有実態等を踏まえて基準値を検討しております。2005年から2006年にかけまして、精米0.4、小麦0.2、根菜・茎菜0.1といった基準値を決定しております。
 続きまして、7ページになります。こちらは国際的な動向を受けまして、国内がどのように動いたかという形になります。
 まず、リスク評価ということで、食品のリスク評価の機関であります食品安全委員会が国内で行われた疫学調査などの結果に基づき、カドミウムの長期低濃度曝露による腎機能障害が生じないレベルとして耐容週間摂取量を7µg/kg体重/週と設定することを決定いたしました。
 それを受けまして、2008年7月には薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会食品規格部会におきまして、コーデックス規格のある農産物・海産物などについてカドミウムの含有実態や、国民の食品摂取量等を踏まえて成分規格の検討を開始しました。
 2009年の1月の同部会で、以下の[1]及び[2]になりますけれども、部会報告案を取りまとめまして、同年の2月に米のカドミウムの成分規格を現行の1.0 ppm未満から0.4 ppm以下へ改正することについて、食品安全委員会へ諮問しております。
 食品安全委員会からの答申の後、今年の10月に、食品規格部会で審議をされ、また、今月の2日に、薬事・食品衛生審議会の食品衛生分科会において審議されております。
 これらが食品をめぐるカドミウムのリスク管理に係る国内外の動向となります。
 続きまして、8ページは既に土壌農薬部会、1つ前の部会のときに説明をしておりますが、農用地土壌汚染防止法の施行状況についてということで概要を示させていただいております。
 常時監視の結果などについては、前回説明させていただいたとおりなので省略させていただきます。
 9ページになりますが、(2)農用地土壌汚染対策地域の分布という形で、丸印がカドミウムの汚染地域となっておりまして、白丸になっているものが既に対策を終えて解除された地域、黒丸もしくは白黒の入っているものはまだ解除が行われていないという地域になっております。
 続きまして、10ページになりますけれども、(3)の農用地土壌汚染対策の進捗状況ということで、これまで指定が昭和46年ごろ数年間の間で全国で調査が行われまして、昭和60年ぐらいまでには現在の対策地域が指定されております。対策事業は基本的には客土という形になりますけれども、ほぼ一定のペースで進捗しておりまして、大半の指定地域で対策は完了しております。
 具体的な数値につきましては、その下の表につけた形となっております。
 以上が、情勢について、になります。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまから質疑応答の時間に入りたいと思います。どうぞ、ご質問よろしくお願いいたします。コメントも結構でございます。どうぞ。ございませんか。

(浅野委員)
 これまでに対策が終了した面積は、この資料でわかるわけですが、対策のレベル、どのくらいのレベルで対策が行われているのか、つまり、これまでの基準は当然クリアできるレベルでの対策が行われていることはわかるわけですが、それをどの程度上回る対策が行われているのかということについて、ある程度の情報があるのでしょうか。

(松本委員長)
 それでは、その点について。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 今までに実施されたカドミウムの例で申しますと、まず、対策地域の、客土事業をする前に計画をつくります。その設計段階で、使用する客土中のカドミウム濃度を測って、基本的には非汚染地域並みのレベルということで客土がされているところが通常です。客土の工法は、最も多いのは上乗せ客土という形で、汚染土は外に搬出せずに、その上に非汚染地域から客土を持ってくるということですけれども、その場合はほぼ非汚染地域並みの濃度が実現できます。ただし、上乗せ客土をしなければいけないということではなくて、ほかに希釈とか、天地返しといった工法も使われることがございまして、その場合は必ずしも非汚染地域並みという形にはなりません。結果としてどうなっているかといいますと、大半の地域では米のカドミウム濃度は非汚染地域並みに下げられております。若干、希釈方法をとった地域については解除する際の調査で、米のカドミウム濃度が0.2あるいは0.3程度のレベルのものが報告されておりますけれども、それほど多いわけではありません。解除時において米のカドミウム濃度が0.4 /mg/kgを超えていたという報告はないというふうに認識しております。

(浅野委員)
 わかりました。

(松本委員長)
 どうぞ、そのほか、お願いします。

(中杉臨時委員)
 5ページのところで、汚染原因のお話がありますけれども、鉱山とか製錬所というのは容易に想像つくのですが、工場等というのは、10ですからあまりないのかもしれないけれども、業種としてはどんなところ、どういう場所でそういうことが起こるのか、傾向がありましたら教えていただければと思います。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 傾向というのはあまりございません。非常に千差万別といいますか、地域ごとに違うというのが実情です。事例として申し上げますと、カドミウムを使ったメッキを行っていた工場からの排水が上流から流れてきて用水に流れ込んだ場合、それから、あとはセメント工場、こちらはちょっと何にカドミウムが含まれていたのかということはなかなか判然とはしないのですが、恐らくセメントキルンで、原料を燃やした際、その燃料の方に含まれていたカドミウムが排気ガスにまじって揮散したというものがあると思われます。その他、ブラウン管工場、昔、ブラウン管の色素にもカドミウムが使われていたということもありまして、そちらが原因なのか、ちょっとそこはわからないのですが、ブラウン管工場とか、そういった電気関係の工場から排出されたものといったものも知られております。

(松本委員長)
 よろしいですか。どうぞ、そのほか、ございませんか。
 それでは、実はこの後非常に時間を必要とする審議が控えておりますので、とりあえずここでこの資料5についての質疑は打ち切りまして、次は資料6に移らせていただきます。
 資料6のカドミウムに係る土壌基準(素案)について、若干説明が長くなりそうでございますので、ある程度これを区切って事務局から説明をお願いします。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 では、お手元の資料6、カドミウムに係る土壌環境基準について(素案)の資料について説明をさせていただきます。
 こちらの資料の構成ですけれども、全体で10ページまでございます。今回、新たに決定しなくてはいけない事項というものが6ページのIIIの4、農用地に係る土壌環境基準についてという項目になってございますので、特にその部分について集中的にご議論をいただければと思います。
 まず、そこの前に1ページ、2ページの前段の基本的な考え方に関する部分について説明をさせていただきます。
 1ページですが、「はじめに」という部分です。ここは、先ほど資料5の説明でも概略の説明はありましたけれども、土壌環境基準の背景について記述してございます。1段落目については、環境基本法に基づいて土壌環境基準が定められておりますが、農用地についてはカドミウム、銅、砒素の3項目が定められているということです。
 カドミウムにつきまして、昨年7月に食品安全委員会より、食品健康影響評価の結果ということで週間耐容摂取量7µg/kg体重/週といったものが示されました。それぞれの品目に関するカドミウム基準につきましては、引き続き薬事・食品衛生審議会――厚労省に置かれている審議会でございますが――食品衛生分科会におきまして議論がされているところです。
 具体的には、食品、添加物等の規格基準に定められている米のカドミウムの成分規格について、従来の1.0 ppm未満から0.4 ppm以下に改正するということについて、今月も2日に開かれた食品衛生分科会において審議されているというところです。
 そういった状況を踏まえまして、環境としての土壌が果たしている機能のうち、食料を生産する機能を保全する観点に立ちまして、食品からのカドミウム摂取と密接な関係を有するということを考えまして、平成21年11月30日に、先ほど説明しました環境大臣からの諮問が行われたところです。当委員会では、カドミウムに係る土壌環境基準及び農用地土壌汚染防止法に係る専門的事項について検討したということで、こちらの表現ですけれども、この土壌環境基準について(素案)という資料をある程度この専門委員会から土壌農薬部会に報告する報告の素案という位置づけで、仕上がりを想定した書きぶりにしてございます。検討したという書きぶりにしております。
 2ページ目ですけれども、土壌環境基準の基本的考え方です。
 土壌環境基準につきましては、2段落目に書かれていますように、土壌環境機能のうち、水質浄化・地下水かん養機能を保全する観点から、土壌の溶出試験を行った結果、溶出した有害物質の量が水質環境基準の値以下であるということを環境上の条件としているものが一つございます。
 また、2番で書いておりますように、土壌環境機能のうち、食料を生産する機能を保全する観点から定められた基準がございまして、こちらにつきましては農用地の土壌汚染防止法に定められた特定有害物質について、農用地土壌汚染防止法の指定要件に準拠した環境上の条件として定められているところです。こちらの基準につきましては、農用地の土壌に適用されているという形です。
 今回、食品、添加物の規格基準の改正が検討されているという中で、土壌環境機能のうち、食料を生産する機能を保全するという観点から設定された上記2の基準について見直すことについて検討を行うこととしたということです。
 まず、この前段の部分についてご議論をお願いできればと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。それでは、この項目について、ただいまから質疑応答の時間に入りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、佐藤委員どうぞ。

(佐藤臨時委員)
 2番の土壌環境機能のうち、食料を生産する云々というところで、一番下の段落ですけれども、「農用地(砒素及び銅については、田に限る)」と書いてあるわけで、そうすると、これは砒素と銅については田んぼですけど、カドミウムについては田んぼ以外のところにも適用するという読み方でよろしいのでしょうか。つまり、今回は精米ですから、水稲だけというふうに考えているのですけど、よくこれを見ますと、私の解釈だとカドミウムに関しては田んぼ以外のものに関しても適用するというふうに読めるのですが、いかがでしょうか。

(松本委員長)
 では、その点。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 おっしゃるとおり、砒素及び銅については水田、田に限るという形です。答えとしましては、カドミウムに関しては田に限らないということです。ただし、指定要件あるいは農用地の土壌環境基準のカドミウム、こちらにつきましては米という形になっておりますので、水田以外で、田以外でつくる米が対象になるのかという話になりますけれども、現時点の法律の規定及び運用上は水田以外の土地でつくられた米についても対象にはなります。

(浅野委員)
 要するにこういうことですね。環境基準というのはもともと政策の目標の数字であって、それ自体は規制の数字でも何でもないわけです。ですから、その意味ではおよそその農作物に吸収される可能性があって、その農作物を食べた人の健康に影響が生ずる可能性がある以上は、農用地すべてについて環境基準を適用しなければならないだろう。
 しかし、現実にはどうなるかというと、まず、検液1Lについて0.01 /mg以下というのがあって、これは農地でなくても全部適用があるわけですが、これは農地の場合も確実にクリアされなければなりません。それから、農用地の場合には基準が米1 kgについて1 /mg未満であることという基準でありますから、仮に米を栽培していない農用地についてカドミウムが環境基準を超えているかどうか調べようと思ったら、わざわざ米をつくらなければいけないということになります。ですから、現実にはあり得ないことだけど、仮にそういうことをやって、他の農作物をつくっている場所でも米1 kgについて1 /mg未満であることという要件を満たしていなければ、この土地は環境基準をクリアできていないということになる。しかし、法律上、農用地土壌汚染防止法の適用をして対策や作付け規制などをしなくてはならないという話になってくるのは、米を前提にしていますから、ほとんど環境基準が達成できていない土地がこのぐらいありますということが数字上出てはきますけれども、特段それで何かということにはならない、とこういう理解でいいのかなと思いましたがそういう理解でよろしいのでしょうか。
 それで、さっきお隣の西尾先生に、銅と砒素は、とお聞きいたしましたら、農作物には入るけれども枯れさせてしまうのだそうですね。だから、そうなるとこれらの物質を経口摂取することは少ないからという前提で、これはよろしいということになっていると理解したのですが、この点もそういう理解でよろしいのでしょうか。

(松本委員長)
 佐藤委員、どうですか。

(佐藤臨時委員)
 何となく、ちょっと。

(松本委員長)
 では、中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 多分、私の解釈がそれでいいのかどうかわかりませんけれども、もう一つは、農用地について我が国は米ですけれども、ほかのものについて小麦とかそのものについても一応国際的には基準はつくられているわけで、我が国はそれは特に環境基準というか、要件の対象にはしていないけれども、それに限ってしまうと小麦等についてはミスだよという話になってしまうので、それは少しおかしいのではないかということを踏まえてこういうふうになっているのかなと解釈をしています。多分銅と、砒素は食料生産の機能の話も含めて基準値は設定されているのですが、銅、砒素については稲の生育ということに限っているので、田に限ると言っているのだというふうに私は解釈しています。

(松本委員長)
 もし、佐藤委員、納得のいかないところがあったら、今お聞かせいただけますか。

(佐藤臨時委員)
 もう少し考えないと非常に難しいことなので。

(松本委員長)
 では、事務局の方で、ちょっと追加で。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 中杉先生のおっしゃることは事実でして、これから小麦とかほかの作物が対象になるかどうかは別として、考え方としては、農用地土壌汚染防止法については、この法律ができた当初から米以外の作物についても基準をいずれは検討する必要があるのではないかという形になっております。

(松本委員長)
 ひとまずこの件は、もしありましたら、佐藤委員、後でよろしくお願いします。

(佐藤臨時委員)
 これも含むということで了解しました。

(松本委員長)
 どうぞ、そのほかお願いします。ございませんか。
 岡崎委員、どうぞ。

(岡崎臨時委員)
 先ほどのご議論で言いますと、農用地の方は農用地に限るということですので、環境基準値を決めている方が上位基準というふうにみなすことができるという解釈でよろしいでしょうか、それをちょっときちんとしておいた方がよろしいかなと思いましたので。

(松本委員長)
 では、浅野先生、お願いします。

(浅野委員)
 少なくとも環境基準というものは最終的には、これを政策的には達成しなくてはいけない基準ということになりますので、それをどういう形で達成するかということについてはいろいろありますけれども、達成しなくてはいけない。だから、上位と言えば上位。ただし、基準と言っても意味合いがちょっと違っているわけです。規制の基準ではありませんので、要するに望ましい姿ということです。ですから、環境政策の本質から言うと環境基準がクリアできることがよりよい環境にあるということの表れになりますから、そういう意味ではおっしゃるとおり上位というふうに考えてもいいと思います。ただ、規制における基準と同じような意味あいでの基準と言ってしまいますと、若干誤解を生ずる可能性があります。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。

(岡崎臨時委員)
 ちょっとまだ分からない部分がありますのは、農用地の方は法で決まっているわけですね。基準値の方は告示で決まっているわけですから、その辺の意味合いがかなり重さとしては違いがあるのではないかというふうに思っているのですけれども。

(浅野委員)
 それはそうではなくて、環境基準は環境基本法という法律に根拠がありますので、その後の数字を告示の形式で決めようとなんであろうと、そもそもその基準が何であるかということから言うと、基本法に書かれている基準である。それからこれを達成するために、個別規制法に規制基準が書かれていくということになりますから、差がそこにあるという言い方ができるわけです。

(岡崎臨時委員)
 それと、もう一つあるのですが、環境基本法ができたのは基準値を決める後ですけれども、それは包括的に環境基本法ができたので、それに基づいてその下位にあるものというふうに理解するのですか。

(浅野委員)
 いや、そうではなくて、説明がたりなかったんですが、もともと公害対策基本法に環境基準の規定がありましたからそこからはじまっています。環境基本法は公害対策基本法を受けて、それを承継しているだけですから、構造的にはあとからできた法律によるということではありません。

(松本委員長)
 では、追加に審議官の方からお願いします。

(伊藤水環境担当審議官)
 構造的には、浅野先生がおっしゃられているとおり、環境基準というのは公害対策基本法なり、あるいは環境基本法に基づいて環境基準があり、それを達成するためにいろんな法律がある、こういうふうなものが全体の構造です。ただ、この農用地につきましてはたまたまと言いましょうか、環境基準ができる前に対策基準が既にできていたと、現行のですね。これは農用地土壌汚染防止法上の対策基準ができていたと。
 公害対策基本法上はつくれとは書いてありましたけれども、環境省がまだつくっていなかった。こういうふうな事情があるという過去の経緯がございますが、今回やはり基本的には環境行政としてはまず環境基準をどうするのかということを検討していただいて、その後、では、対策基準はどうなのというのが私どもの立場からすれば考える順序かなというふうに考えている次第です。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。どうぞ、そのほかお願いします。
 ありがとうございました。それでは、次にまた進ませていただきます。3ページから6ページの半ばまでの項目についての説明をお願いいたします。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 では、引き続き説明をさせていただきます。3ページのところからIIIという項目に入ります。カドミウムについてということですが、1番は物質の特性ということで、カドミウムの物理化学的な、基本的な特性について書いております。
 特徴としましては、沸点が金属としては低いということで、排出ガスの規制が講じられる以前は精錬過程で大気中に放出されるということも多かったということになります。
 2番ですが、人の健康影響と食品規格基準等ということで、人の健康影響に係る基準の考え方についてまとめてございます。
 (1)現行の食品規格基準等ということで、こちらは食品衛生法に基づく食品、添加物等の規格基準についてでございますけれども、先ほど資料5の説明でもございましたように、米のカドミウム成分規格として、米に含まれるカドミウム及びその化合物はカドミウムとして1.0 ppm未満でなければならないと定められているところです。
 また、農用地土壌汚染防止法の指定要件につきまして、人の健康をそこなうおそれのある農産物の生産を防止するという観点から、「その地域内の農用地において生産される米に含まれるカドミウムの量が米1 kgにつき1 /mg以上であると認められる地域及びそのおそれが著しい地域」というものを指定地域と指定して対策ができるという規定になっております。
 さらに、土壌環境基準につきましては、食料を生産する機能を保全するという観点から、「農用地においては、米1 kgにつき1 /mg未満であること」と定められております。こちらは農用地土壌汚染防止法の指定要件に準拠して、という決め方になっております。
 (2)ですが、カドミウムに係る食品健康影響評価と食品規格基準の一部改正ということで、近年の改正の動きについてまとめております。食品安全基本法に基づきまして、平成15年に厚生労働大臣から食品中のカドミウムに係る食品健康影響評価ということで諮問がされまして、これにつきまして、昨年の7月に食品安全委員会より結果が通知されております。先ほど説明しましたように、7µg/kg体重/週という耐容摂取量がその結論として得られております。
 これを受けまして、平成21年10月に薬事・食品衛生審議会の食品規格部会におきまして議論が行われて、今月のこの食品衛生分科会におきまして米のカドミウム基準を1.0 ppm未満から0.4 ppm以下に改正するということについて審議が行われております。
 具体的な内容について、4ページから5ページにかけて説明をしております。
 まず、食品安全委員会の食品健康影響評価の結果でございますけれども、枠の中にその結論部分を抜粋しております。アンダーラインを引いたところがポイントになりますが、日本国内におけるカドミウム摂取が腎臓の近位尿細管機能に及ぼす影響を調べた二つの疫学調査結果を主たる根拠として耐容週間摂取量を設定したということです。
 下になりますが、カドミウムの週間耐容摂取量はそうした疫学調査の結果を総合的に判断して、7µg/kg体重/週に設定したということでございます。
 [2]でございますけれども、食品中のカドミウムの規格基準の一部改正ということですけれども、こちらは先ほどの薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会の下に設けられました食品規格部会におきまして、実際の日本における食品からのカドミウム摂取量の実態等について検討が行われました。
 その結果、実際に食生活を通して摂取しているカドミウムの量は近年減少してきていて、一般的な日本人における食品からのカドミウム摂取が健康に悪影響を及ぼす可能性は低いと考えられるとされているところです。
 具体的な基準につきましては、この食品規格部会の報告の中で記述されております。下の枠の囲みの中になりますけれども、こちらも5ページのアンダーラインを引いた部分がポイントになります。最も寄与率の高い「米」について、国内の含有実態にALARAの原則を適用し、国際基準に準じて基準値を0.4 ppmに改正することとしたということでございます。このALARAというのは合理的に達成可能な範囲でできる限り低く設定するという国際的に認知されている食品基準の原則がございまして、こちらを国内の基準値の設定にも適用するということでございます。その結果、0.4 ppmという米の基準値としてはどうかという形に現在なっております。
 それから、5ページの下の部分ですけれども、農用地の土壌汚染の現状が、どうなっているかということについてまとめております。
 こちらは農用地土壌のカドミウムの実態等ということで、我が国の農用地の汚染の状況について説明をしております。
 こちらは、まず日本土壌協会の報告について紹介してございますけれども、人為的な汚染が認められないと考えられる農用地について、昭和58年度までに調査をしまして、その結果としまして、農用地の表層につきましては、全含有量で0.39 /mg/kgと、下層で0.23 /mg/kgといった数値が得られております。
 一方で、汚染が認められる地域につきましては、平成19年度までに全体で96地域・6,945 haで指定基準値以上が検出されております。そのうち、63地域・6,428 haが指定されているところです。それ以外の地域につきましては、指定をせずに都道府県独自の対策で対策が行われている地域となっております。
 指定時の調査では、土壌中のカドミウム含有量は最大で37.8 /mg/kgというものがございました。こちらは全含有量ではなくて、農用地土壌汚染防止法のカドミウムに係る検定省令で定められている0.1 mol/L塩酸抽出という方法によるものです。玄米中のカドミウム濃度につきましては、最大で5.2 /mg/kgという数字が報告されております。
 先ほど資料の5でも説明がございましたけれども、対策地域の汚染原因についてはここに記述してあるような形になってございます。水田土壌の汚染が非常に多くなっておりまして、こちらの鉱山あるいは製錬所等から排出されたカドミウムが河川を通じて水田に流入したといったケースが多いという形になっております。また、製錬所による汚染の場合は、製錬所の熔鉱炉から揮散したカドミウムを含んだばいじんが、製錬所を中心とする範囲に降下して、周辺の農地を汚染したものが多いという形になっております。
 6ページですけれども、土壌中のカドミウムの存在状況と挙動ということで、カドミウムにつきましては重金属の一種でございますが、ほかの重金属類と比べても水に溶けやすいということとか、土壌中で、ここに書いておりますように、「水溶態」という形のほかに、塩化カルシウム等の、いわゆる塩によって抽出される「交換態」ですとか、硝酸や塩酸等によって抽出される「酸化・水酸化物吸着態」「腐植物質吸着態」といったもの、それから、こういった酸にも溶解にしくい「結晶格子態」といったさまざまな存在形態で存在するということが想定されているという特徴がございます。
 こうした存在割合については一定ではございませんで、土壌の種類、特に粘土鉱物の種類とかその量、有機物の量、あるいはその土壌の置かれた状態であります土壌のpH、酸化還元電位あるいは肥料等の量とかその成分、そういったものに由来する他のイオンの濃度、そういった非常にたくさんの要因によって変化するということが知られております。
 カドミウムの稲への吸収につきましては、土壌の間隙水に溶解しているカドミウムイオンが取り込まれるということだと考えられていますけれども、土壌から直接採取した土壌溶液中のカドミウムが変動した場合に、その変動に応じて玄米中のカドミウムがある程度相関した形で変わってくるということも知られております。
 一番下ですけれども、湛水管理というものがございます。水田に水を張っておくことで水田の土壌が空気中の酸素と遮断されまして、土壌がだんだんと還元状態になってまいります。その土壌の酸化還元電位が低下した状態が続くと、稲へのカドミウム吸収が著しく抑制されるといったことが知られております。これは、酸化還元電位の低下に伴って、土壌の間隙水中に存在していた水溶態のカドミウム、こちらが溶解度の低い硫化カドミウム等の硫化物を形成し、結果として水溶態のカドミウムが減少するということが原因と考えられております。
 まず、ここまでの説明につきましてご検討いただければと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの項目について質疑応答の時間に入りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 浅野委員、どうぞ。

(浅野委員)
 全く素人なので、最後のところのご説明をうかがって、湛水管理で吸着、吸収が抑制されるということはわかったのですが、その次の説明のところの硫化物を形成すると、よって水溶態のカドミウムが減少することが原因と、これもまあ、わかるわけです。問題はその硫化物なるものが上に書いてある水溶態でないというのはわかるのですけれども、いろいろ何とか態、何とか態って書いてあるものの中のどれに該当するのかを教えてください。それから、要は単純に素人考えでは水溶態のものがこちらに移行するなら、土の中には残るわけだろうから、これがまた溶け出して悪さをするということがないのかなということを心配するわけで、その点がよくわからないのですが、これは固定されてしまうのですか。それとも、土壌中のカドミウムは、やっぱり残っていく以上はそこにあるのか、どちらなのでしょうか。

(松本委員長)
 これは専門家がごろごろしておりますから。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 まず、説明の材料ということで参考資料としてお配りしたカラーの資料を見ていただきながら、また、先生方にもご説明をお願いできればと思います。
 参考資料の1の1枚めくっていただいた3ページ目に3枚目のスライドになりますが、こちらにカドミウムの存在形態をまとめております。先ほどの硫化物態につきましては、先ほど申しましたいろんな存在形態としましては結晶格子態あるいはそれに近いものというふうに位置づけられているということかと理解しています。ただし、結晶格子態という言葉のイメージからは結晶の形が本当に見えるのかと……。

(松本委員長)
 入っているかどうかというのはまだ確認されていないということですね。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 それはあくまでも便宜的な呼び名ということで、水で溶出しない、かつ、酸でも溶出しないといったものを便宜的に結晶格子態と呼んでいて、硫化物が形成されて、結果的にそうした酸でも溶出しにくいカドミウムが増えてくるといったことが知られていることから、便宜的に結晶格子態的なものが増加するととらえていいだろうというふうにとらえています。

(松本委員長)
 ありがとうございました。専門委員の先生の中で、今の事務局からの説明にさらに補足する、強固にするご意見ございますか。
 深見委員、どうぞ。

(深見専門委員)
 硫化物の話はいいんですけれども、今、浅野先生がご質問になった後半の部分。

(松本委員長)
 そうですね、どんどん増えていくか。

(深見専門委員)
 後で悪さはしないのかという、その部分について一番――すみません、差し出がましいんですけれども――実態をご存じなのは佐藤先生かと思います。

(松本委員長)
 そうですね。現場での非常に豊富な経験を持っていらっしゃる佐藤委員、コメントをお願いします。

(佐藤臨時委員)
 硫化物でどんどん増えていくということは今まで30年近く見てきたのですけど、トータルで増えるということはまずないのですね。ですから、形態は変わることがあっても、ある特定の形態のものがどんどん増えていく、変わっていってたまに水溶態とか、酸性になって吸われやすい形になることはあっても、増えていくということは恐らくないと思います。
 それから、先生に質問したいのですけど、本当に硫化カドミウムというものを見た人がいるのだろうかということです。ppm単位ですので、きっと見た人はいないのではないかなと、私はそう思っているのですけど。硫化カドミウムになるとほとんど水に溶けないので、恐らくそういう形になっているのだろうというのが現実で、実際のほ場の場面と矛盾しないので、恐らくそうであろうということですけれども、先生、いかがでしょうか。

(松本委員長)
 岡崎委員、どうぞ。

(岡崎臨時委員)
 佐藤委員のおっしゃるとおりで、硫化カドミウムは水田の中でこれだというふうに取り出しておられる方はおられません。しかし、pHと酸化還元電位とでカドミウムの存在形態を計算し、それに基づいて、実際存在するであろうと推定しています。

(松本委員長)
 相関図を書いてみたら、そういうことですね。

(岡崎臨時委員)
 そうすると、カドミウムはきちんとそれに沿った行動をとりますので、間違いなくそういう形になっているだろうということでございます。
 佐藤委員が紹介されたような、どんどんカドミウム含有量が増えていくかどうかということについては、農業環境技術研究所で行った研究で、入ってくるカドミウムと出ていくカドミウムのトータルがどういうふうになっているかということですと、あまりカドミウムの濃度の高くない水田では集積する方向にありますけれども、これはものすごく微々たるものです。ところが、土壌の中のカドミウム濃度の高いところでは出ていく方になっております。我々の研究ですと。ですから、汚染していないところでは少し増えていく傾向にあるかと思います。

(浅野委員)
 わかりました。

(松本委員長)
 どうもありがとうございました。おそらくこの硫化カドミウムという化合物が書いてありますが、これはあくまでもいわゆる分析化学の定性分析で用いるカドミウムの定性分析のところに硫化物として沈澱する、それははっきりとわかりますが、そういうことを少し拡大してここに文章が出たのかなと私はそういうふうに思います。
 どうぞ、そのほかお願いします。
 中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 農用地のことは私もあまりよくわからないんですけれども、市街地土壌汚染のケースについては表層中といいますか、土壌中のカドミウムの濃度というのはたしか1984年と、それから、15年ぐらいたって環境省は2度調べたことがあるんですが、数分の1にカドミウムの濃度がなっているんですね。これは汚染がないところで。これは恐らくニカド電池等を焼却工場で燃やさなくなったせいではないかというふうに解釈をしているんですけれども、農用地の方はあまりそういうような、焼却工場がそんなにそばにあるとは思えないので、ないのかと思いますけれども、そういう傾向は見られないのでしょうか。

(松本委員長)
 どうですか。

(中杉臨時委員)
 汚染がないところというのは、バックグラウンド的なところですね。

(松本委員長)
 そういうことですね。では、岡崎委員、お願いします。

(岡崎臨時委員)
 農業環境技術研究所から出されている研究例をずっと追っているわけではございませんので、数値がちょっと確かでないのですけれども、1年間に1ヘクタール当たり数グラム大気経由で来ています。これは恐らく日本全国同じような数字と思っております。私どもが持っているカドミウム濃度の高い地域でも大気経由ではそのぐらいです。それから、肥料由来、大気も含めてですと、ほぼ同じぐらいの数字が入ってくるというデータになっています。リン酸質肥料にカドミウムが不純物として入っているということは皆さんよくご存じだと思いますけれども、堆肥、有機物の施用量が量的にすごく多いものですから、カドミウムの負荷量が多くなります。化学肥料の場合はごく少ない量しか肥料として使用しませんので、有機物で肥料を入れた方がカドミウムの寄与としては大きくなる場合がございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。よろしゅうございますか。
 それでは、まだあるかもしれませんが、時間の配分からいってここら辺で一区切りさせていただいて、次に入ります。
 次は6ページから7ページの半ばまでの説明をお願いします。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 では、また資料の説明をさせていただきます。6ページの4、農用地に係る土壌環境基準の(1)と(2)について説明をさせていただきます。
 現行の農用地に係る土壌環境基準についてですけれども、これは食料を生産する機能を保全する観点から定められているということで、具体的には食品衛生法におけるカドミウム成分規格を踏まえ、「米1kgにつき1/mg未満であること」とされているということです。環境基準で適合しない土壌については「汚染の程度や広がり、影響の態様等に応じて可及的速やかに達成維持に努める」ということとされております。測定対象が米となっておりますのは、当該土壌に起因して「人の健康を損なうおそれがある農産物が生産される」かどうかを見る場合に、これを土壌の性質のみから推定するのは困難であると考えられたからであります。
 (2)ですけれども、農用地の土壌に係るカドミウム基準のあり方ということで、今後の基準のあり方について議論をお願いしたいと思いますが、まず、測定対象ですけれども、農作物に吸収されるカドミウムの量は、土壌に含まれるカドミウムの量だけでなくて、土壌の種類や土性、土壌pH、酸化還元電位等によっても大きく左右されるということが知られております。
 また、土壌の状態であります土壌pHとか酸化還元電位などにつきましては、検定の時点で立毛中の稲とともに採取した土壌から測定するということをしても、米の子実が形成される時期に吸収される水に含まれるカドミウムに関する動態をつかむことができないというふうに考えられます。
 このため、種々の土壌要因を組み合わせたとしても、それによって「人の健康を損なうおそれのある農産物が生産」されるかどうかを精度よく判定するということは現時点の技術水準でも困難ではないかと考えられます。
 こちらにつきましても、ちょっと先ほどの参考資料の3ページ、それから、4ページ、5ページにかけてまとめておりますので、お手元であわせてご覧いただければと思います。
 なお、食品衛生法におきましてですけれども、こちらは流通・加工・販売段階など、人の口に入るまでのほとんどの段階を規制対象としておりますので、測定対象は「玄米及び精米」とされているところです。
 一方、農用地の土壌の汚染状況を把握するといった場合には、調査地点の土壌及び、これとの関連が明確な直上に立毛している稲から米の試料を得る必要があります。また、通常、玄米においてカドミウムの量が0.4 /mg/kgを超えることがなければ、精米において0.4 /mg/kgを超える可能性は少ないといったことが示されております。こちらは、先ほどの参考資料の6ページになりますけれども、同一試料について玄米状態と精米状態でカドミウム濃度を測定した結果がまとめられておりますけれども、玄米のカドミウム濃度に対して精米のカドミウム濃度は平均して96.8 %であったといった研究事例がございます。
 こうした土壌とその立毛状態の稲からこの試料を得る必要があるということと、玄米と精米のカドミウム濃度の関係を考えますと、測定対象とする農用地の土壌環境基準を適用する場合に、測定対象とする「米」は、引き続き、これは「玄米」を示すこととするのが適当ではないかと考えられます。
 環境上の条件でありますが、食品規格基準が今回改正という方向で動いておりますが、これによって、0.4 /mg/kgを超えるカドミウムを含む米が、公衆衛生の見地から販売等が禁止される食品という形で位置づけられます。土壌においても食料を生産する機能を保全する観点から定める環境上の条件として、食品のカドミウム成分規格の改正を受けた形で「米1 kgにつき0.4 /mg以下である」とするのが環境上の条件としては適当ではないかと考えられます。
 一旦ここで終わりといたします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 ただいまの項目は現行の農地に係る土壌環境基準と農用地の土壌に係るカドミウム基準のあり方についてという、非常に重要な項目の説明でございました。
 それでは、ただいまから質疑応答の時間に入ります。どうぞ。

(浅野委員)
 書いてあることは一々納得できることで、これでいいのではないかと思うわけですが、ただ、前の基準をつくってから10何年たっているのに、それでも、現時点の技術水準でも困難という書き方になっているのですが、ちょっとこれはどうでしょうか。では、どういう技術水準が将来的に可能性としてあるということを明確にイメージできているのかどうかですね。それがないなら、「でも」とかというような言い方によって、技術水準のせいにしてしまってそれでいいのだろうか。前回はこれで説明したのだろうけど、今回も同じ言い方でいいのかなという気がするのですが。今日は専門家がいっぱいいらっしゃるので、将来的には技術的にクリアできる可能性があるのかどうかお聞きして、それがあるのなら、私はこれで別に構わないと思うのですけど、どうもこれを見ていると、コストの問題が一つあるようにもおもわれますが。 もう一つはタイミングをはかりにくいので、それも的確に相関関係になるタイミングを見つけることは極めて難しいと書いてあるので、こういう点は将来的に技術的にクリアできるのかしらと思います。だったら、現時点の技術水準でも困難と言わないで、もっと率直に、社会的、何とか的にとかいう、こんな点はある種、サイエンスの世界ではない要素がありますから、もうちょっと今回は新たな言い方で、やっぱり難しいということを言うべきではないか、同じ難しいといっても技術のせいにしないという表現法はないのかなという気がするのですが、この点は専門家のご意見を聞いた後、事務局の意見を聞きたいのですが。別に世の中の人を表現でだませという気はないので、これでも構いませんけれどもこれでは、ちょっと芸がないなという気がいたします。

(松本委員長)
 大変重要なご指摘をいただいたところです。それでは、専門の先生方から別に率直な意見でお願いします。岡崎委員からお願いできますか。その後、佐藤委員、それから、西尾委員、深見委員と、この順序でいきたいと思います。

(岡崎臨時委員)
 書きぶりかと思いますが、技術的になかなか困難というよりも、土壌と、それから水稲との関係の基本的な属性に基づくものだというふうに考えています。田んぼに水を張って、それで、空気と遮断をしますと土の中の微生物が働いて還元状態になります。その還元状態をきちっと維持をすると、お米の中にカドミウムが吸収、移動しなくなるということがありますので、きちっとその方法をやりますと土壌の中にカドミウム含量が高くてもカドミウムの低い玄米が、米がとれるということです。田んぼの場合は特にそういう技術的な問題をきちっとやれば十分適用できるということがこの表現になったのかというふうには思っておりますので、もう少しその辺きちんと書いた方がいいのかもしれません。

(松本委員長)
 では、佐藤委員、どうぞ。

(佐藤臨時委員)
 岡崎委員のおっしゃることに補足するみたいな格好になると思います。恐らくこれは、あまりにも因子が多過ぎて土壌から見てもわからないところがあります。ただ、もう一つ一番大事なところは水の問題ですね。水をコントロールするのは人間がやることですので、出穂前後4週間ぐらい田面が空気に触れないようにするというふうなことをきっちりやれるかと。つまり、逆に言うと、そういうのを出させないようにするのは農家です。出したのも農家のせいだよみたいな話には持っていきたくない訳です。それで、予測という形でもって精度を本当は想定すればいいのですけど、今までのありとあらゆるファクターを入れると予測係数が上がってくるのです。しかし、実用に耐えられるようなものができていないという言い方で、このまま行くとみんな技術が悪いみたいな話になって、農家も悪いし、技術も悪いし、これはもう救いようがないなという、あんまりいい話にはならないので。我々の責任でもあるかもしれませんけど、非常にそういう点はあります。ですから、人為的なものも加えて、やっぱりコントロールは非常に難しいということです。

(松本委員長)
 そうですね。複雑な系を扱っていることになりますからね。中杉委員。

(中杉臨時委員)
 専門家ではないので、別な観点で行くと、お米に基準をつくるというのは、リスク管理という観点で行くと非常に望ましい状況にあります。市街地の方も土壌に基準をつくっていますけれども、実際には水道の蛇口から出てくる水について基準をつくって、それを土壌がどうだという議論をするのが一番リスク管理の点でいいと。そういう意味で行くと、米に基準をつくるのが一番望ましい。だから、これは決して悪い方法ではないと私は考えています。
 ただ、一つの問題点としては、佐藤委員が言われたように、農家での管理の仕方によって変わってくる、これが本当に環境基準と言えるかどうかということなのですが、これはもうそこで米に基準をつくったということであれば、そこで現状こういう管理をしているときに超えてしまう、それはもう環境基準を超えている。それも込みだというふうに解釈せざるを得ないだろうと。ですから、翌年、今まで湛水管理をしっかりしたら環境基準をクリアするということは当然あり得る。だから、そういう意味では対策の要件の、対策の手法の一つとしてそういうものもあり得るのだろうと。そこら辺のところは対策の費用を負担される事業者の方がおられるので、そこら辺のところの負担のあり方とどう考えるかというのは非常に難しい話がありますが、基本的な考え方はそうではないだろうかというふうに思います。

(松本委員長)
 ありがとうございます。それでは、西尾委員、お願いします。

(西尾専門委員)
 研究の進歩とか科学的な知見の進歩があまりないと言われると我々も非常に反省するところはあると思うのですが、その文章に書いてありますように、農作物に吸収されるカドミウムの量というのは、土壌の種類や土性、それから、土壌のpH、酸化還元電位等によって規定されているというのはもう大体わかっていまして、定性的にはほぼ解明されているのですね。ただ、それを定量的に予測しようと思うと、正確な数字を出すのが非常に難しいということだと思います。
 それで、あともう一つ難しいのは、作物の根の張り方ですね、根圏の土壌が、有効な土壌がどこら辺まであるかというのがよく把握しにくいのですね。その根圏の土壌の、例えばカドミウム含量と、それから、土壌の土性とかそういうのはわかりますよね。それと、pHと酸化還元電位、これを完全に把握できれば、多分かなり正確に予測ができると思うのですね。ただ、実際的にはそれを予測するのは難しいということで、やっぱりそこら辺がちょっと簡単には行かないなという感じがしているのですが。

(松本委員長)
 ありがとうございました。では、最後に深見委員、どうぞ。

(深見専門委員)
 もうほとんど何も言うことがなくなってしまったのですけれども、私は土よりは植物の方を主に見てきましたので、そちらの方から述べさせていただきます。同じ水稲でも種類によって随分吸収力が違います。今後、お話にも出てくるかと思いますけれども、ファイトレメデーションという考え方の中で、水田の場合はカドミウムの吸収力の強い稲を使って浄化をします。水田の浄化を水稲でやるということは、栽培技術的にはほぼ完成されており、十分可能性があるということです。つまり土だけではなく、一番最初に岡崎先生が言われたとおり、植物のカドミウム吸収は植物と土の関係で決まります。しかし、非常に複雑なファクターがあって、西尾委員が最後に言われましたように、土壌肥料関係の研究者の間では、今ある技術の中で何とか予測できないかという試みがずっとなされてきています。例えば、土壌のさまざまなファクターを多変量解析を使いながら分析するなど、相当な試みがなされています。そういうところがありますので、私たちの立場からすると、努力はしているけれども、なお、まだ難しいというなかで、何とかならないかという気持ちはあるということがこういう表現になって出てきたと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。そういう状況でございました。科学的な解析がストップしているというのではなくて、非常により定量的な、より詳しい、そして、予測ができる方向に進みつつあるのだということで、今後もこの努力はしなければいけないという、こういう書きっぷりに少し変更していただかないと、専門家の人はちょっとかわいそうではないかなと、こういうふうに思います。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 ちょっと今、かちっとした文章はちょっと申し上げられませんが、例えば、現時点のというのは確かにもうずっと40年近く前から使っている表現で、芸がないというのも確かにそうですし、何が問題なのかというところは浅野先生もご指摘いただいたようなこと、要するにそういうことです。コストとか、あるいは実際に測っても技術的にまだちゃんと確立したものがないといったところも原因でありますので、そうした具体的な障害要因は何なのかということに配慮した文章をちょっと考えさせていただくと。

(浅野委員)
 そうしてください。10何年の間、進歩がなかったというのではまずいでしょうから。

(松本委員長)
 ちょっとこれね、情けないという面も一方ではとられるのは非常に心外でありますので、そこら辺は書きっぷりを少し考慮していただきたいと、そういうふうに思います。
 それでは、勝手でございますが、次に進ませていただきます。7ページから最後の11ページまでご説明をお願いします。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 では、また、引き続き説明をさせていただきます。7ページの下ですが、(3)の対象項目の測定方法等というところです。[1]としまして、調査区画についてです。現行のカドミウムの測定に関しては調査の単位区画としまして土壌の汚染状況の的確な把握ということ、それから、調査測定の効率化といったことを考慮して、概ね農用地の面積の2.5ha、これは大体160m四方ぐらいになりますけれども、2.5 haに1点の割合で採取しなければならないとされているところです。
 8ページですけれども、土壌環境基準を達成するための措置を講じるということで、農用地土壌汚染対策地域を指定する仕組みになっておりますけれども、こちらの農用地土壌汚染対策地域は、数10 ha~数100 ha規模での指定が多いということが現状としてございます。こちらは参考資料の2の方をご覧いただきたいと思います。
 参考資料2の1ページと2ページですけれども、1ページの方にはこの調査の概略の考え方、進め方がまとめられております。今、説明しましたところは2ページ目でございますが、対策地域の面積としましては、10 haから100 haの規模のものが一番多いと。次に多いのは100 haから1,000 haで、1,000haを超えるものも少数ではありますが、あるといった形になっております。
 また、本文の方に戻りますけれども、こういった状況を踏まえまして、やはり引き続き基本的な調査単位区画としましては、こうした数10 ha~数100 ha規模での汚染状況を把握するという意味では2.5 haといったものが適当ではないかと思われます。ただし、参考資料2の3ページ目にございますように、事例として示しておりますけれども、水田の区画が0.5 haとか、非常に小さい、あるいは地形的に傾斜地であって、水田の分布が地形に沿って長細く分布しているとか、汚染源が非常に小規模で小水路の周辺にだけ汚染地域が限られているといった場合については、「地形が複雑かつ狭小」とか、あるいは「小規模かつ高濃度な汚染が点在」といった言葉でくくれるかと思いますけれども、状況に応じてより高い密度での調査が必要ですし、実際にこの3ページに載せた実例のように、より高密度な調査が行われているということですので、引き続き2.5 haを基本的な調査単位区画としまして、状況に応じて高密度、より高い密度で調査を行っていただくということではどうかというふうに考えております。
 試料の採取点数についてです。こちらは参考資料の3の方をご覧いただければと思います。
 まず、本文の方ですが、現行のカドミウムの測定に係る試料の採取位置については、玄米に含まれるカドミウムについて、調査ほ場内の3点を比較した場合には、中央部が一番調査ほ場の平均的な試料が採取できるというふうに考えられておりましたので、現在、農用地の区画の中央部において1点試料を採取しなければならないというふうにされているところです。
 一方、ほ場の中央1点の採取ということは、これは誰がやっても同じ点からとることになりますので、採取地点が恣意的にならないという利点がございますけれども、参考資料3の2ページ目にグラフを載せてございますが、その図の左の方に昭和39年から平成18年の水田の区画面積の推移が書かれております。これを見ますと、折れ線で示している30a以上区画の割合が昭和39年には数%しかありませんでした。それが現在では60.5 %という形で、大半の水田が30 a以上の区画になっているということで、この測定方法が決められた昭和46年という時点から比べますと、かなり大きな情勢変化として無視できないものとなってきているのではないかと考えられます。
 こうしたこと、それから、参考資料3の次のページ、3ページに表を載せてございますけれども、ちょっと細かいのですが、実際に80年代以降に幾つかの測定例がございまして、水田の区画の中で複数の採取点から玄米と土壌のサンプルをとって平均値などをまとめた数字をこうやって集めてみますと、やはりほ場中央と平均の濃度を比べると、必ずしもそのほ場中央が平均に近いということがやはり言えないと。特に大きな区画のほ場については、ほ場中央ではかった数字がほ場の平均をかなり上回っていたり、かなり下回っていたりという事例も現に認められるといった事実もございます。
 また、4ページ目にございますけれども、簡単なシミュレーションをいたしますと、当然ながら採取点数を増やして、その平均値をとった方がほ場の全体的な平均値により近づくといった結果も得られております。特に1点から5点に点数を増やした場合の――ここでは正答率という形で評価しておりますが――正答率が高まるといった結果も得られているところです。
 こうしたことを踏まえまして、本文に戻りますけれども、近年は30 a以上で整備された水田区画が増えてきていること、それから、実際のほ場における多点採取のデータによる検討で1点採取よりも複数点採取の平均をとった方がほ場全体をより適切に評価できることが示唆されているということ、それから、ほ場内変動を仮定したシミュレーションの結果といったものも参考にしますと、調査ほ場における採取点数については、例えば5点採取という形にするのが適当ではないかと考えられます。
 ただし、従来の採取方法をとりますと、5点採取の場合には1点当たりの試料採取の効率性が非常に低下しますので、5点各点について、土壌については現在はスコップ等を使ってブロック状にかなり大きい形で切り出すようなサンプルの方法ですけれども、ハンドオーガーといったような器具を使って、土壌の表層からハンドオーガーの一番下まで、すべての深さが等量にまじるような形でサンプルにするということですけれども、こうした方法によって1kg程度採ると。あるいは玄米についても、現在20株を1点で採取するということで、かなりかさばりますし、水田が大きくなればなるほど運ぶ手間も非常にかかるということもございますので、5点各点について4株程度採取して、混合して20株程度に相当する玄米を得るという形ではどうかと考えております。
 [3]ですが、調査条件に係る留意点としまして、調査・指定の客観性、公平性を確保する観点から、調査に当たっては統一的な手法によって採取された試料を用いて測定を行う必要があります。これについては従来からカドミウムに係る検定省令というものがございまして、こちらに従って調査をする方法を公定法と位置づけて適用をしていっていただいているところです。
 一方で、土壌中のカドミウムの量と玄米中のカドミウムの量の相関に大きく影響する水管理条件による変動を極力抑制する必要があるといったことも近年の調査から言えるのではないかと思っております。近年、農林水産省が「水稲のカドミウム吸収抑制のための対策技術マニュアル」といったものを策定しておりまして、カドミウムによる土壌汚染が認められる地域を中心にして、湛水管理によるカドミウムの吸収抑制対策も広く実施されるようになってまいりました。このため、例えば「当該地域で生産される米の品質管理の観点から通常行われている水管理を行ったほ場」について調査を実施するといったことを調査に当たっての方向性として明確にするとともに、調査の対象ほ場については、どの程度の湛水管理が行われたかということを明確にしておくといったことが調査の条件に係る留意点として望ましいのではないかと考えております。
 次に、分析方法になりますけれども、[4]のアとしまして、玄米中カドミウムの分析方法についてまとめさせていただいております。
 現行の玄米中カドミウムの分析方法については、玄米の試料を硝酸・硫酸によって分解して有機溶媒によって濃縮し、原子吸光光度法によってカドミウムの量を検定するといった形になっております。
 今回、食品衛生法に基づく米のカドミウムの検定方法として、従来通知で定められておりました原子吸光光度法に加えましてICP発光光度法、それから、ICP質量分析法が新たに導入される見込みとなってきております。こうしたことを踏まえますと、農地の土壌を評価する際のカドミウムの分析方法としましても、こうしたICP発光光度法あるいはICP質量分析法を導入するということが望ましいのではないかと考えられます。
 なお、原子吸光光度法については有機溶媒の問題等もございますので、こちらについても引き続き検討の課題ではないかと考えております。
 それから、土壌中のカドミウムの分析方法です。土壌の環境基準におきましては、直接土壌について評価するものではございませんけれども、その次の段階で農用地土壌汚染防止法に基づく指定を行う場合には土壌中カドミウムの分析を玄米をとった稲と同一地点で行うということになっておりますので、あわせてここで議論をいただければということで記述しているところです。
 現行の土壌中カドミウムの分析方法としましては、風乾・篩いがけした土壌に含まれるカドミウムを0.1 mol/L塩酸によって抽出して原子吸光光度法によってカドミウムの量を検定するということになっております。こちらにつきましても、近年は原子吸光光度法以外にICP発光光度法やICP質量分析法の適用事例も増えてきているということですので、公定法としましてもこうした分析手法の追加を検討するということが今後の課題ではないかと考えております。
 ただし、ウにございますように、精度管理という課題もございまして、玄米と土壌に含まれるカドミウムの検定に当たって、十分な精度管理が必要ではありますが、具体的な精度管理の項目、精度管理手法については省令の中では必ずしも明確になっていないということがございます。このため、今後の課題としまして検量線の確認とか標準試料を用いた真度・精度の確認、二重測定による信頼性の確認等を、通常他の環境媒体でも行われているような精度管理の考え方については、農地の土壌環境基準の評価の際にあっても適用するような形で指針等の作成について検討するということを考えているところです。
 ちょっと長くなりますけれども、9ページの達成のための手段及び達成期間ということで、この測定方法とはちょっと話題が変わりますが、達成のための手段等について説明させていただきます。
 9ページの下、[1]ですけれども、達成のための手段としましては、従来から農用地の土壌汚染防止法に基づいて一定以上のカドミウムを含む米が生産される農用地等を農用地土壌汚染対策地域として指定した上で、客土や地目変換等の対策が進められてきているというところです。
 10ページに移りますが、今回の食品の規格基準の改正を契機とした土壌環境基準の見直しを行うのであれば、やはり農用地土壌汚染防止法の指定要件の見直しについても検討を行う必要があると考えられます。
 次に、達成期間についてですが、土壌の汚染に係る環境基準に適合しない土壌については、「汚染の程度や広がり、影響の態様等に応じて可及的速やかに達成維持に努める」ということが従来から考え方として明記されております。これを受けまして、引き続き、農用地土壌汚染防止法に基づく常時監視等による汚染状況の把握を進め、汚染状況に応じた対策によって早期に環境基準の達成を図っていく必要があるということで、引き続き可及的速やかに達成維持に努めることとするのが適当ではないかと思っております。
 達成状況の評価についてですが、先ほども資料5の方で説明がありましたが、農用地土壌汚染防止法の施行以降の調査あるいは指定、対策の状況について、63地域が指定され、55地域で指定が解除されているということですが、こうしたことを常に把握しておく必要がございますので、把握して評価をしていく必要がございますので、引き続き、農用地土壌汚染防止法に基づく常時監視によって、汚染状況を把握するとともに、対策の実施状況等についても毎年取りまとめを行うことが重要と考えております。
 それから、資料の最後になりますが、今後の課題ということで、環境基本法に基づく農用地のカドミウムに係る土壌環境基準について検討を行い、以上のとおり取りまとめたということで、今後、農用地土壌汚染対策地域の指定要件等の見直しを行うほか、引き続き土壌中の有害物質の挙動や周辺環境への影響等に関する科学的知見の蓄積に努め、土壌汚染の実態に応じた土壌環境基準達成のための対策を円滑に推進することが重要であるというふうに締めくくっております。
 時間の関係上、測定方法の部分と、それから、今後の達成のための手段等の書きぶりの話とちょっと一緒に説明させていただきましたが、これらについてご意見をいただければと思います。よろしくお願いします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、かなりの分量の項目並びに多岐にわたる項目になりますが、それでは、ただいまから質疑応答の時間に入ります。どうぞよろしくお願いします。
 浅野委員、どうぞ。

(浅野委員)
 ここも大体書いてあることは一々もっともと思うのでこれでいいのかなと思うのですが、つまり、今までは1点でやっていたものを5点にしたいということです。理由は水田のほ場の面積が広がったからだ。この方がより合理的な数字になるだろう。採り方についてもこの方が合理的になるだろう、とこういうことですね。それから、調査条件についても、客観性、公平性を維持するために通常の水管理を行ったほ場について調査を行うという点も合理的な考え方だろうなと思います。
 ちょっと一つだけわからないのは、微妙な表現になっているのですけれども、米についての分析は「これこれ、これこれも導入するのが適当である」とある。しかしこれ、同じカドミウムをはかるのに、土壌については「追加を検討することを今後の課題とする」と。書き分けがしてある理由がひとつよくわからないので、これを教えてください。まあ、他に波及するということがあると困るからということなのかもしれないと想像はできるのですが、そうでしょうか。食品衛生法がやっているからこっちは追随します、こっちは違いますというのでは何となくよくわからないので、それは一体何なのだろうなということです。
 達成のための手段、それから、評価、これもまあこんなものだろうなと思います。ただ、あと、1点だけ、現実の自治体の現場で運用されるときに混乱を起こすことがないようにしていく必要があるだろうと思って気になりますのは、確かに調査条件に係る留意点です。通常行われている水管理方法ですから、その地域はほとんど湛水管理を徹底して行っているような場合にはそれでいいのですが、実験的に湛水管理をやる人と、ほとんどやっていない人がいる場合、そこではどうもそっちを、自治体が通常という言葉をどうとらえ、やるかによって、ある自治体はやっぱり望ましいからということで湛水管理をやっているところでやる。あるところはこれが多いからといって別のやりかたを通常ということになるというようなばらつきが出てしまうおそれがある。この辺のところを考えた場合に、この表現で果たして意が通じるかどうかです。若干きついなという感じがするのですが、ここは、このあと現場の行政の方々との意思疎通をどうするかという問題かもしれません。ばらつきが生じないようにする工夫が要るだろうという、これは意見ということにしておいて、原案を積極的に直す必要はないと思いますけれども、ちょっと危惧の念があることだけは申し上げておきます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。では、その点について、少しあいまいではないかというご指摘でございます。どうぞ。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 まず1点目の分析についてですけれども、米の分析方法については我々の方でも新たな分析手法が妥当なのかどうかということについて一定の評価をしなければいけないと思ってはおりますが、今回食品衛生法に基づく調査方法については吟味された上で採用されると、公定法として採用されるということでございますので、そこはある程度評価済みと考えていいのではないかというのが、米については導入するのが適当と書かせていただいた理由です。

(松本委員長)
 土壌についても。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 土壌についてはまた測定方法によりまして、この0.1 mol/L塩酸抽出という方法との相性ですとか、また、土壌には米と違っていろんな物質が含まれていて、それが妨害物質として測定を邪魔する場合も現に知られておりますので、その部分を考えると、現時点で本当に妥当なのかと、やはり原子吸光光度法に限定すべきじゃないかという結論も考えられないわけではない。恐らくICPの発光とICPの質量分析について、それぞれきちんと留意点を明確にすれば恐らく導入できると考えておりますけれども、ただ、それについてもいま一つやり方が現段階では明確になっていないということですので、これについては今回の取りまとめ以降の課題として少し技術的に検討した上で固めたいというのがこちらの意向でございます。

(浅野委員)
 わかりました。

(松本委員長)
 それでは、中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 土壌の分析方法については、塩酸抽出というのは市街地土壌汚染の方も1規定塩酸で抽出するという、あれは同じ塩酸で抽出するわけで、あれはICPをたしか入れていますよね。ですから、そこでの検討結果が十分使えるのだろうというふうに思いますので、常識的に言えば両方整合をとっていく話である、特段の問題がない限り、整合をとっていく方向にあるのだろうというふうに思います。
 それから、もう一つだけ。ちょっと文章的にあれなのは、有機溶媒でMIBKを使っているのですけど、MIBKの問題点として、健康上の影響が問題になる場合もあるという、非常にあいまいな表現なのですけれども、MIBKはいわゆる化学物質としてはそれほど高い有害性があるというふうには判断をされていないというふうに解釈していますので、ちょっとここのところの表現が難しいかなと。実際にどういう問題が議論されているのかというのはあるのですが、とにかくPRTRでも対象物質にはなっていなかったのではないかというふうに考えています。ちょっと確かめていただければと思います。ですから、ここのところ、そのまま書いてしまうと少し表現上問題があるのかなと。「煩雑さ等の課題もあることから」と書いておいた方が、それも「等」の中に入っているかというふうなことで問題がないかなというふうに思いますが。

(松本委員長)
 そうですね。ありがとうございました。
 どうぞ、そのほかお願いします。岡崎委員、何か、MIBKも含めて、それから、先ほどの浅野委員のご指摘に。

(岡崎臨時委員)
 MIBKの問題は有毒物質ということではないかもしれないのですけれど、やはり分析試料が多くなることを想定してみますと、人体に対する影響も考えておかなきゃいけないのではないかというふうに考えております。作業上の煩雑さというのも確かにありますけれども、分析者の健康ということも考えた上でということではいかがでしょうかというのが提案です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。どうぞ。

(中杉臨時委員)
 多分そういうふうなことは考えれば幾らでもあるのですが、代わりの有機溶媒を多分使わなければいけないと思うのですけれども、それが無害かという、より無害なものがとれるかということがもう一つ問題になります。そこら辺があるので、あえて表に出して書かない方がよろしいのではないかと。当然そういうことも十分考慮して、有害性がより低いものというものを考えていった方がいいのではないか。多分、こういうふうな表現をすると、MIBKが健康上影響があるということを書き込んでいるということになってしまって、今のところ、ほかの環境省が所管している法制度の中でバランスがとれていないのではないかという話をされてしまうと困るので。

(松本委員長)
 困りますね。わかりました。では、その点、記載よろしくお願いします。
 どうぞ、岡崎委員、続いてどうぞ。

(岡崎臨時委員)
 現場の実際にリスクの高い地域を抱えておられるところは、佐藤委員の方で多分ご発言があると思いますが、この方法は基本的には立毛中の、実際に植わっている状態での水稲と、それから、その場の土壌を採るという形なのですけれども、今、環境省の方でお考えなのは、この基本的な方向はそのままで、ですから、立毛中の状況で米も土壌も採取するのかどうかということは一番重要かなと思っております。そうでない場合には別々に5点採るときに、米と土壌を別々に取ってもいいということなのか、それは引き続き同じ考え方でやられるかどうかということでかなり現場としては違うのではないかなというふうに考えているのですが、その点、佐藤委員の方からご意見いただければありがたいなと思います。

(松本委員長)
 そうですね。では、今の指摘、佐藤委員、現場からどういうふうにお考えでしょうか。

(佐藤臨時委員)
 岡崎委員に続けて申し上げますと、我々ずっとこういうふうな形で、こちらの参考資料の3のスコップで取って、1kgずつ持って20株の稲を1haの田んぼの真ん中から運んでくるのははっきり言って不可能です。まだ雨なんかが降っていますので、結局どういうふうな採り方をしてきているか、ちょっと参考の、オーガーの最初の方が、誰がやっても、いつやっても同じ結果ということになります。場合によっては、必要なのは穂の部分だけですので、その周りの穂だけ取ってくる。それで、それを乾かしてやる。なぜかと言うと、なるべく収穫に近いところで採る。だけど、農家は後ろからコンバインですぐ刈らなければいけない。この間が非常に時間的に制約があります。数が多いと、これはどうしても能率と正確さというのは二律背反するところがあります。参考としてここに資料の3に加えてあるオーガーで採集して、周りの株を4株取ってくるという方が、現場としては非常にやりやすいということで提案していただければありがたいということでございます。

(松本委員長)
 そうですね。非常に現場に即して、かつ実効性のあるこれが採取方法ではないかというご指摘がございますので、ぜひその点を考慮されて素案をつくられるときによろしくお願いします。
 どうぞ。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 もし、なければ若干、確認なのですけれども、一つは土壌を採取して、その直上の稲を立毛状態で採取すると。実際には土壌を採取する範囲というのは15cm四方ぐらいで、その周囲の大体1m四方ぐらいから20株の稲を採取するというのが現在の方法です。5点採取といった場合に、ハンドオーガーで採取する位置は、4株採取する、その中央に想定しているんですけれども、それで直下とみなせるか、それはつまり稲の根の張り方との関係だと思っているんですけれども、そういったところを考慮しても4株の中央あたりでハンドオーガーで採取するということでよろしいかどうかというところは、いま一度ご議論をお願いしたいと思います。
 それから、あと、穂の部分をかまで切り取るということは、特に改めて確認をしなくても、恐らく現行方法と同等の精度が、違いはないだろうと、そこから得られる玄米のカドミウム濃度は違わないと思いますけれども、そういう理解でよろしいかどうかということも確認をお願いいたします。

(松本委員長)
 それでは、佐藤委員、恐縮ですが、その点。

(佐藤臨時委員)
 結論から先に申しますと、4株の中央でよろしいかと思います。理由は、例えば今の稲の植え方というのは、株間が15 cm、条間が30 cmございます。もし、条間からすると、その間に無数の根が張っていて、そこに掘るとオーガーが刺さっていかないのですよ、根のマットで。それから、データがあるかどうかわかりませんけれども、恐らく条間と株間ではデータが違ってくると思います。根の張り方が違いますので、昔、どういうふうな採り方をするのが正しいのかということで、最もばらつきが少ないのは4の真ん中で言えば、さいころの5の点ですね、4と4の間だと15 cmしか違わないですから、ルートのマットといいますか、それが極めて強く張っていて、作業上、非常に、実際問題として困難でした。

(松本委員長)
 オーガーが入っていかない。

(佐藤臨時委員)
 はい。オーガーが入っていかないときがあります。ですから、みんなシャベルで採るというか、スコップで採るときも株間は取っていないはずです。条間を取っているんです。これは作業上の問題ということで、実際問題として株間を採る人はまずいないと思います。後で乾かして風乾するときに、根っこを取り除くのが大変なのですよ。変な話ですけど。

(寺田土壌環境課課長補佐)
 条間を採ることになるということですね。

(佐藤臨時委員)
 4株の中央というのは当然条間になりますので、その条間、4株の中間といった時点で条間になります。

(松本委員長)
 条間になりますね、4株の中央というのは。

(佐藤臨時委員)
 株間だと、2株の中央と、そういうことです。

(松本委員長)
 だから、それであれば可能であろうということですね。しかも、非常にリーズナブルな面があるということですね。よろしゅうございますか。
 そのほか、それでは伺います。どうぞ。
 それでは、予定の時間も迫っておりますので、全体を通しましていかがでしょうか、この際ご意見を伺っておきたいと思います。

(浅野委員)
 今日はいろいろとコメントなり注文なりがついていますので、やっぱり専門委員会の報告として次のステップに移るときに、可能な限り余計な説明をしなくても済むようにした方がいいと思いますので、もう少し今日出た意見を反映させる形で解説的に文章をつけ加える方がいいかもしれません。この点については委員長にお任せをしますので、そのようにしていただければと思います。私はもうこれで、これ以上専門委員会としての議論の余地はないと思うので、今日はこれで専門委員会としては結論を出してもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

(松本委員長)
 大変心強いご意見をいただいたわけですが、それでは、ほかの委員の方、いかがですか。ご意見ございますか。
 それでは、先ほどの浅野委員のご指摘も踏まえまして、私から提案をさせていただきます。
 本日、たくさんの意見をちょうだいいたしまして、その意見を踏まえまして、資料には若干の修正、そうしたものが必要ではないかなと痛切に感じております。そういうことで、ただいまご指摘いただきましたように、この解説的な部分も含めて委員長預かりとさせていただきたいと考えております。
 事務局にはその作業に際してお手伝いをお願いしたいと、こういうふうに思います。
 その上で、適切な時期に土壌農薬部会へ報告という取り扱いに進ませていただきたいと考えております。
 さて、このような取り扱いでよろしゅうございますか。

(委員・臨時委員・専門委員)
 結構でございます。

(岡崎臨時委員)
 1点だけ、ちょっと、少し文言で直すところがあれば、後からでもよろしいですか。事務局に少し。

(松本委員長)
 もちろん結構です。事務局の方にお伝えください。特にそれは、必ずお願いしたいというふうに専門委員にはお願いしたいと思います。
 それでは、最後の議題のその他に入ります。事務局から今後の会議の運営などについてご説明をお願いいたします。

(足立土壌環境課課長補佐)
 それでは、今後の進め方についてご説明させていただきます。
 今、委員長の方からご説明がありましたように、本日の素案の取りまとめにつきましては若干の修正等を踏まえました上で適切な時期に土壌農薬部会の方に報告させていただきまして、次のステップでございます指定要件などの議論へ進めさせていただきたいと思っております。また、再度専門委員会を開くという必要がございましたら、改めて日程調整等についてお知らせさせていただくこととなると思います。土壌農薬部会あるいはその後の小委員会というものの開催につきましても、今後日程につきましてご相談させていただきたいと思っているところでございます。
 事務局からは以上でございます。

(松本委員長)
 それでは、最後でございますが、私から本日の資料の取り扱いについて説明をしておきたいと思います。
 土壌農薬部会の運営方針では、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより、特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれのある資料などは、専門委員長の判断に基づきまして非公開とすることとされております。
 本日配付いたしました資料は、いずれもこれに該当しないということから公開といたします。
 また、今回の議事録につきましては、事務局の方から後ほど委員の先生方に発言の要旨等について確認をお願いすることになっておりますので、その節はよろしくお願いをいたします。
 それでは、その他、本日の審議全体を通しまして、もう一度、何かございましたらよろしくお願いします。ございませんか。

(な  し)

(松本委員長)
 それでは、特にないようでございますので、進行を事務局の方にお返しいたします。

(足立土壌環境課長補佐)
 それでは、委員の皆様方におかれましては、非常にご熱心なご議論を誠にありがとうございました。
 本日の農用地土壌環境基準等専門委員会は、これにて閉会させていただきます。
 どうもありがとうございました。


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