中央環境審議会土壌農薬部会 土壌制度小委員会(第7回)議事録

日時

平成20年10月27日(月)10:00~12:08

場所

環境省第1会議室

出席委員

委員長松本 聰臨時委員高橋 滋
委員浅野 直人 中杉 修身
 大塚 直 細見 正明
臨時委員石原 一郎 眞柄 泰基
 稲垣 隆司専門委員市川 隆治
 佐藤 雄也 斎藤 政賢
 鈴木 英夫  

(欠席は、佐藤洋委員、藤井委員、和気委員、河内臨時委員、岸井臨時委員、佐藤泉臨時委員、中野臨時委員)

委員以外の出席者

環境省
白石水・大気環境局長、伊藤水環境担当審議官、岡部総務課長、笠井土壌環境課長、高澤土壌環境課課長補佐、今野土壌環境課課長補佐、天野土壌環境課課長補佐、唐沢地下水・地盤環境室室長補佐

議題

(1)
「今後の土壌汚染対策の在り方について(取りまとめ素案)」について
(2)
その他

議事

(笠井土壌環境課長)
 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第7回の土壌制度小委員会を開催させていただきます。
 本日の委員の出欠状況でございますが、佐藤洋先生、藤井先生、和気先生、河内先生、岸井先生、佐藤泉先生、中野先生よりご欠席との連絡をいただいております。また、細見先生は遅れて参加されるということであります。
 したがいまして、本日は委員、臨時委員総数18人中11名の出席が予定されておりまして、ちょっと、大塚先生も遅れられているようで、ただいまのところ9人が出席されておりますが、時間になっておりますので、始めさせていただきます。
 それでは、本日の配付資料についてご確認いただきたいと思います。
 一覧で資料1が名簿です。資料2が「今後の土壌汚染対策の在り方について(素案)」の(概要)、これは素案を1枚紙にまとめたものです。資料3が「今後の土壌汚染対策の在り方について(素案)」ということで、前回までお配りしていた資料2の枠の中にあった文章を抜き出して、足りないところを補ったものであります。参考資料1が、「土壌汚染の調査・対策の契機について」ということで、土壌環境センターが行っている調査の新しいデータが入りましたので、配らせていただきました。参考資料2、参考資料3は、前回、ご質問ありました低コストな土壌汚染対策に対する環境省の取り組みと国立環境研究所における土壌汚染対策に関する研究課題について配らせていただいております。参考資料4として、土壌汚染状況の調査の流れを用意してあります。それと、本日、欠席になりました河内委員の方から意見が1枚紙で提出されております。
 以上です。
 それでは、これより松本委員長に議事進行をお願いいたします。

(松本委員長)
 皆さん、おはようございます。それでは、ただいまから本日の第7回目になりますが、小委員会を開催いたします。
 本日の議題といたしましては、「今後の土壌汚染対策の在り方について(取りまとめ素案)」のご議論をお願いしたいと思います。
 それでは、まず、本日の審議の公開の取り扱いについてでございます。今回の小委員会におきましては、公開にすることにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれや、特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがございませんことから、公開とさせていただきます。
 それでは、議事次第に沿いまして議事を進めてまいります。
 議題の1は、「今後の土壌汚染の在り方について(取りまとめ素案)」についてでございます。
 前回及び前々回の会議におきましては、答申取りまとめに向けた論点について、一通りのご議論をいただいたところでございます。したがいまして、それを踏まえて引き続きのご議論を、本日、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、事務局から資料2及び資料3の説明をお願いいたします。

(笠井土壌環境課長)
 それでは、資料2を横に置いていただいて、資料3に沿って説明をしていきたいと思います。
 第1は総論で、現状と課題であります。一つ目は、土壌汚染対策法に基づかない調査・対策が増加していること。ここに書かれているのは、18年度の数字でございますが、参考資料1にありますように、19年度も大体同じような傾向となっております。法律に基づく調査の割合が低くて、自主的な調査の割合が多い。これ自体は自主的に取り組んでいただいているということで、いいことなんですが、法律は一体何をしているのか?きちんとコントロールがされているのかというような不安が生じているというぐあいに認識をしております。
 二つ目が、サイトごとの汚染状況に応じた合理的な対策ということで、法律では摂取経路の遮断が基本とされて、掘削除去のほかにいろんな対策が認められております。しかし現実には掘削除去が選択されることが多くて、掘削除去は、汚染された土壌の所在を不明にするということと、搬出に伴い汚染を拡散させるおそれがあります。単に費用がかかるというだけではなくて、環境リスクの管理・低減という点からも問題だということであります。不合理な対策を避けるためにも、汚染の状況や、周りから立ち入りがあるとか、井戸水が飲まれているとか、そういうような土地の利用状況に応じて、必要な対策の基準を明確化することが必要ではないかと思われます。
 三つ目が、掘削除去に伴う搬出汚染土壌の適正な処理というのが課題になってきておりまして、廃棄物の不法投棄のような問題が生ずるおそれがありますので、適正な処理の基準や是正措置を規定する必要があるかと考えております。
 また、いくら基準をきちんとつくっても、指定区域以外から搬出される汚染土壌については、法律の対象外ということになってしまいますので、適正な処理の対象となる汚染土壌を的確に把握するためにも、汚染土壌の存在を明らかにする指定区域の拡充が必要だというぐあいに考えられると思います。
 第2で、各論でございますが、第1点の「調査の契機について」ということで、自主的な調査についてはいろいろなご議論をいただきました。自主的な調査の結果、土壌汚染が判明した場合には、指定基準を超えていれば、行政に報告をしていただきたいというようなことが大筋の議論ではなかったかと思います。
 それで、参考までに参考資料4を見ていただきたいんですけれども、土壌汚染の調査というのはどうなっているかというのを模式的に示したものであります。
 右側の[2]のところで、工場の敷地、工場、事業所の敷地なんですけれども、赤のところに有害物質使用特定施設や、その有害物質使用特定施設とつながっている配管や関連の施設があるところです。黄色のところが事務所ですとか、倉庫ですとか、有害物質使用特定施設とつながっていないけれども、同じ建物の中にあるものです。青のところが外の駐車場であるとか、グラウンドであるとか、建物の中でも食堂というように、有害物質を使っていると考えられないところであります。
 こういうような区分であった場合、まず、土壌汚染のおそれを分類するということになりまして、三つぐらいに分けて、赤の区域は10メートル×10メートル、100平方メートルに1点採取をしてもらいます。大体真ん中を採るということなんですけれども、施設に近いところから採るというようなこともあります。黄色のところは、30メートルメッシュの中から1点、物質によっては5点とって調べます。青い色のところは、採らなくていいところです。
 そのようにして採った土壌を[4]にあるように、決められている分析法で分析することになります。
 基準値というのは、分析法とセットになっておりますので、基本的に超えたか、超えないかというのは、公定の分析法で判断することになります。
 資料3の3ページにもどっていただいて、二つ目のポツですが、自主的な調査の結果、このように、現在、法で定められている要件、公定法を満たしているときには、報告があれば、法に基づく調査とみなして、指定区域として指定して、適切に管理すべきではないかと考えております。3条、4条の調査の場合は、指定調査機関というのを絡めておりますが、指定調査機関を絡めるかどうかというところも、一つの論点かと思います。
 次のポツは、調査の結果、公定法を満たしていない場合はどうするかということで書かせていただいています。ちょっと言葉足らずでありますが、簡易測定法などを使われているとしても、基本的には分析については、公定法ということで考えております。
 要するに、サンプルの数が公定法と違うとか、少ないとか、だけど分析法は公定法でやってみたところ、指定基準を超えるものが出てきてしまった。そのような場合は、まずは周りに健康被害のおそれがあるかどうかということが第一でありますので、立ち入りがあるのか、周辺の井戸の、簡単に言えば、飲んでいる人がいるのかどうかということを調べていただいて、健康被害を生ずるおそれ、飲んでいる人がいるとか、立ち入りがあるというような場合には、今の4条の調査が発動されるということになると思います。
 しかし、健康被害を生ずるおそれがない、立ち入るようなところではなかったり、周りに井戸水を飲んでいる人がいないというような場合には、おそれはありません。ただ、周りのおそれはなくても、そこに指定基準を超える土壌があったということは、持ち出された後、どうなるかという課題がありますので、その土地の形質変更を行う際に調査を行うことを命じる、というようなことにしてはどうかということが議論がされてきたのではないかと思います。
 このような場合の情報の公表につきましては、ある意味、グレーの情報で、個人情報でもありますし、周辺井戸の状況を一々全部、だれが飲んでいてというようなことも公表はされていないようですので、健康被害を生じるおそれがない場合は、直ちに公表する必要はないのではないかということを思っております。
 それ以外にも、簡易測定法と公定法を組み合わされて調査をやられている場合には、いつ報告すべきかとか、少ないサンプルでの評価の仕方をどうするかというような、いろんな技術的な課題があると思われます。
 それらにつきましては、自主的な調査の良いところを活かしながら、環境リスクの管理・低減が進められるように、技術的な課題を詰めていくのではないかなというぐあいに思っております。
 二つ目が、一定規模以上の土地の形質変更等についてということで、3点書かせていただいておりますが、1点目は認識で、一定規模以上の土地の形質変更というのは、たくさんの土を扱うので、リスクが大きいであろう。そういうことで、これを契機に調査を行うべきではないか。ここで言っております、一定規模以上の土地の形質変更というのは、工事エリアということで、東京都や愛知県などで行われている事例では3,000平方メートル以上というのが挙げられております。おそらく何らかの届出にくっつけて、その際に調べていただくというようなことにするのが、把握の点では効率的なやり方ではないかと思っております。
 それで、一定規模以上の土地の形質変更をするときなどには、履歴を調べて、それで汚染の可能性が高いと認める場合に調査を行っていただこうと考えております。土地の所有者により汚染の可能性が極めて低いということが証明されれば、この調査は免除してもいいのではないか。
 三つ目のポツで、ここも議論いただいたところですが、3条1項のただし書きに基づいて、操業中だからということで、調査が猶予されている場合において、土地の改変や土地売買が行われる際、現在でも省令で幾つかの事項は書かれておりますけれども、十分ではないというご指摘がございますので、そこはきちんと情報が伝達できるように、それで当該土地における土壌の調査の必要性を再度判断する機会を設けて、必要に応じて土壌汚染調査が実施されるようにするべきではないかなということではなかったかと思います。
 二つ目は、サイトごとの汚染状況に応じた合理的な対策の促進方策についてということで、(1)が指定区域の分類化と必要な対策の明確化であります。現在の指定区域は、9条でいわれているような、搬出等の土地の改変の際に、届出をして注意をしなければならない区域と、7条でいわれているような、周りに健康被害を生ずるおそれがあるので、対策を講じるよう命令される区域とが一体として扱われておりまして、法的な効果は汚染の除去が行われた場合に解除されるということしかありません。
 ということで、どうも汚染の状況や立ち入りがあるとか、地下水が飲まれているといったような土地の利用の状況等に応じた対策がとられていないのではないかということで、区域を分類するとともに、必要な対策を明確化する必要があるのではないかという議論だったかと思います。
 指定区域の分類の考え方ということで、ア、イ、ウ、三つ挙げております。アは土地をいじるときに汚染が拡散したり、搬出される汚染土壌が不適正に処理をされないように管理をすることが必要な区域です。しかし、一般人が立ち入らないようになっているとか、周りで井戸水が飲まれていたりしないということで、暴露の可能性が低いということで、摂取経路を遮断する対策が不要な区域。対策不要区域と言うのかもしれませんけれども。イは一般人が立ち入ることができる場合や、周りで地下水が飲用されているなど曝露の可能性がある場合であるので、何らかの対策、盛土や封じ込め、場合によっては掘削除去が必要な区域、要対策区域というような言い方ができるかもしれませんが、そのような区域を示しております。その際に、必要な対策を併せて公示することで、過剰な対策を避けられるようにすべきではないかというぐあいに考えております。ウはイであったけれども、摂取経路を遮断する対策が講じられた区域、対策済区域というような言い方になるかもしれません。
 これらの区域は、どういう名前にするかというのは、今後の議題でありますし、法律上の指定区域というのがよくわからないので、指定区域という名前もなくした方がいいんじゃないかというようなこともあるかもしれないと思っております。
 このアやイの区域について、アは対策は要らないと言っているんですけれども、そういうところにも不合理な対策が要求されないように、汚染の状況や立ち入りがあるかとか、周りで井戸水が飲まれているかといった土地の利用状況等に応じて、どういう対策が必要かという基準を明確化する。
 それと、イの区域の公示に当たっては、必要な対策をわかりやすく示すべきではないかという議論だったかと思います。
 このようにして、公示をした後、イの区域の指定を受ければ、公示された必要な対策が講じられるわけですが、(2)になりますけれども、地方公共団体が対策の効果を確認して、汚染の除去が行われたと認める場合には、今までと同じですけれども、指定区域を解除する。盛土、封じ込めなどの摂取経路の遮断が実現されていると認める場合には、その旨を台帳に記載をして、ウの区域として公表する。
 さらに、土壌汚染に関する調査結果や対策内容に関する情報を活用するということが言われていたかと思います。
 対策が行われて解除がなされたという情報や、調査の結果、土壌汚染が発見されなかったというような情報も、地方公共団体に報告されることがあるわけですので、地方公共団体において、土壌汚染の状況を把握し、汚染原因の解明や汚染状況の履歴等の調査に有効に活用すべきではないかという議論だったかと思います。
 三つ目が、搬出汚染土壌の適正処理を担保するための制度の充実についてということで、まず、汚染土壌を搬出することは抑制すべきであるということを明確に位置づけるべきだという議論があったかと思います。
 それと、そういうことが可能になるように、原位置でのリスク低減措置(オンサイト処理)の技術開発・普及を推進すべきと言われておりまして、調査・対策技術の低コスト化につきましては、参考資料2にありますように、毎年公募をして、技術評価を専門家の指導のもとにやっておりますが、これも頑張っていきたいと思っております。

(2)で、現在の法律は土地の形質を変更する際に、届出を義務づけて、必要な場合には都道府県知事が、その届けられた計画の変更を命ずることができるとしておりますけれども、届出をしない者及び虚偽の届出をした者、または計画変更命令に違反した者に罰則を科しているということで、要するに、届出をした人に罰則を科すというだけになっております。
 そうしますと、実際に行為を行う人には何ら規制がないということや、罰則はかかっているけれども、きちんとした処理を命ぜられないとかというようなことがありますので、まずは[1]ですけれども、処理方法の規制ということで、運搬、処分、保管などの処理の各段階において、守るべき基準を法律で規定をして、汚染土壌の処理にかかわる関係者に汚染土壌の適正な処理を義務づけることが必要ではないかというご意見だったと思います。
 業規制についてもご議論はございましたが、それはまず行為についての規制を定めて、その効果を踏まえて、今後検討するということではなかったかと思います。
 搬出汚染土壌の処理の動きを管理するために、現状でも汚染土壌管理票というのがございますが、これをきちんと法律の中で規定すべきではないかということだったと思います。
 [3]その他といたしまして、1で、自主的な調査の結果を活用させていただくということや、一定規模以上の土地の形質変更時に調査を義務づけるということにすれば、現在の指定区域以外の土地から搬出される汚染土壌についても対象は広げられるんではないか。それと自然的原因であっても、指定基準を超過する土壌は健康被害を与えるおそれがありますので、持ち出しという人為が加わるわけですから、搬出して別の土地に運び入れたりする場合には、適切な管理が必要ではないかというご指摘がありました。
 三つ目に、汚染土壌が不適切に処理された場合の措置として、届けたとおりにやらなかった人には、届けた内容に沿ってやってくれと。届出をしないで、不適正な処理を行った人に対しては、処理基準の中にどういう形で処理をする、どういうところに持っていくというようなことを、きちんと書いておいて、そのとおりにやりなさいということを命じるというようなことではなかったかなと思います。
 4、その他ということで、それ以外に議論された課題を整理してありますが、調査の信頼性を確保するための方策として、指定調査機関の技術的能力を向上させる必要があるだろうということで、学科や実技の試験というようなことをしてはどうか。
 6ページにまいりますが、一度指定されたら、そのままということではなくて、指定の更新制を導入するべきではないか。

(2)で、国民の理解とリスクコミュニケーションの促進ということで、[1]は土壌汚染対策というのは暴露経路の遮断で十分であるということなど、土壌汚染のリスクと合理的な対策に関する普及啓発を促進すべきではないか。
 [2]が、そのようなリスクコミュニケーションを行う際に準拠すべきガイドラインをつくるとか、リスクコミュニケーションに係る人材を育成して、派遣活用することが必要ではないかというご指摘をいただいております。
 人材派遣事業につきましては、本年度、モデル事業として3地域ぐらいやってみようかなということを考えております。
 最後、(3)その他としまして、[1]操業中の対策の支援ということで、いろいろ問題を提起したんですけれども、とりあえず、土をいじる対策だけではなくて、設備のメンテナンスなども含めて、操業中からできることをいろいろやっていただくための事例などの普及啓発を推し進めるべきではないかなということを考えております。
 [2]で、対策の促進・支援ということで、一つ目のポツは、基金の助成の対象が、現在は措置命令が発せられて、原因者がいなくて、所有者が資力が余りない場合ということで、使われにくいんじゃないかということがございます。
 2のところで述べましたように、区域を指定するときに対策も併せて公示しますので、公示された必要とされる対策を講じる場合であって、同じような要件に当てはまるのであれば、いわば措置命令が前倒しになるような形になりますので、これも助成対象とすることを検討すべきではないか。
 一つ飛びますが、法律の8条というのがございまして、措置命令が発せられた場合に、土地の所有者等は原因者に対して費用を請求することができるという規定もございます。これも2の区域の公示に併せて、必要な対策を一緒に公示するということになれば、そのような場合にも費用を請求できることとする必要があるんじゃないか。
 戻りますが、二つ目のポツで、汚染原因者については、現在のところ、助成対象になっておりませんが、公共に危険があれば、助成をしてもいいのではないかというような議論もございましたので、今後も引き続き検討すべきではないかということで入れさせていただいております。
 最後に、土壌汚染対策を講じたくても、その費用を用意することが困難な中小事業者に配慮するために、中小企業の支援事業を参考として、中小企業の土壌汚染対策に関する支援策を検討すべきではないかというような議論ではなかったかと思います。
 以上です。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明に対しまして、これから質疑応答の時間に入りますが、資料2と資料3は対応しておりますので、順番を区切って、あわせてご意見、ご質問をちょうだいしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、まず、第1、現状と課題についてでございます。資料3で言いますと、1ページと2ページになります。これについていかがでしょうか。どうぞよろしくお願いします。
 稲垣委員、どうぞ。

(稲垣臨時委員)
 申しわけございません。この資料の確認なんですが、これは答申そのものと理解してよろしいんですか。

(松本委員長)
 いえ、素案です。これを素に、肉づけをしていくことになります。

(稲垣臨時委員)
 2の4行目「掘削除去は」というところですけれども、掘削除去があたかも、この文章だけですと、非常に問題があるように書かれてしまっているというのはちょっとどうかなと。掘削除去、管理をきちんとやれば問題がないわけですから。もし、管理が十分でなかったら、こういう問題が言えると思いますので、そこは少し実際の答申文を書かれるときは、きちっと書いていただきたいなと、これはお願いでございます。

(松本委員長)
 その点、どうぞ、コメントございましたら。

(浅野委員)
 書きぶりの問題でね。

(松本委員長)
 書きぶりです。

(浅野委員)
 要するに、後の方に書いてあることを前に書けばいいわけです。事務局案にはおっしゃったような趣旨なことを書いてあるのですが、最初に問題を並べて書いて、だから、次のような点があるので留意する必要があると、こういう書きぶりすべきだ、というご意見ですね。

(稲垣臨時委員)
 そうしてほしいわけです。

(浅野委員)
 そういうふうにすれば、誤解を避けることができるでしょう。

(笠井土壌環境課長)
 きょうはいろいろご議論いただいて、次回の11月14日にパブコメにかけられるような案をまとめていただきたいということで考えております。それで、まとめたら一月ぐらいパブコメを行って、12月の下旬にでも答申がいただければと、そういうぐあいに思っております。
 ちなみに、ここの文章は、これまで資料2にも書いてあったことを、そのまま写しただけのところでありますので、今のご指摘も踏まえて考えたいと思います。

(松本委員長)
 よろしくお願いします。
 どうぞ、そのほかお願いします。ございませんか。
 それでは、後で再度お尋ねいたしますが、ございませんので、次に進ませていただきます。
 続きまして、第2、今後の土壌汚染対策の在り方についてに入ります。
 資料3では、第3ページになります。3ページの1、調査の契機について、(1)自主的な調査について、(2)一定規模以上の土地の形質変更について、これについてご意見、ご質問をちょうだいしたいと思います。資料2とあわせてご意見をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 それでは、市川委員、どうぞ。

(市川専門委員)
 (2)の方の3点ほど質問をさせていただきたいと思います。
 1点目は、前回も申し上げたんですけれども、一定規模以上というのが土地にかかるのではなくて形質変更にかかるんだと、こういうご答弁を前回もいただいたわけですけれども、どうもこの文章だけでは、そこまできちっと読めないと思います、日本語の問題かもしれませんが。例えば、括弧書きで、そういう形質変更面積が一定規模以上のことなんだということを、括弧書き等できちんと明らかにしていただければというふうに思っております。
 それから、2点目は、その形質変更面積でございますが、先ほどのご説明でも、東京都、愛知県の例で3,000平米と、こういうご説明でございましたんですが、これを国のレベルで、どこで書き込むのか、政令なのか省令なのか、あるいは通達なのか、その辺がお伺いしたいのと。それから、その場合に、国としてもやはり3,000平米という面積を考えておられるのかどうか。中小企業といたしましては、3,000よりも、もう少し小さい数字になりますと、場合によっては対象になることもあり得るかというふうに思っておりますので、3,000をお考えになっているのかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
 それから、3点目でございますが、(2)の表題にもございますが、形質変更等と、「等」というのが書いてあるんですけれども、これはどういうことをお考えになっているのか、その辺をちょっとお伺いできればと思います。

(松本委員長)
 それでは、以上3点について、回答をよろしくお願いします。

(笠井土壌環境課長)
 一定規模以上の土地の変更は、一定規模以上の土地ということで、3,000平米ということでご説明をしたのですが、これも地方自治体の例などを見て、なおかつ、都市計画法等、ほかの立法の例などを見ながら、まあ、こんなものかなと考えているところでありまして、どこで書き込むのかというのは、少なくとも法律ではなく、政省令レベルではないかなということで思っております。
 形質変更面積でいいのではないのかなと思っているんですけれども、そこら辺、きちんと議論をしていただければと思っております。
 「等」の意味ですけれども、(2)の「等」は二つあって、一つは猶予のときの扱い、三つ目のポツのことでございます。もう一つ、二つ目のポツのところで、「一定規模以上の土地の形質変更をするときなど」ということで、同じように考えなければいけない可能性が高い場合があるのかというようなことで、迷っている事例がちょっとございます。それは地下水の汚染がはっきりして、ここがどうも原因らしいというようなことがわかったような場合、そのような場合もこの一定規模以上の土地の形質変更と同じように扱う必要があるかどうか、ちょっと迷いがあったので、「など」というような形で記述させていただいております。

(松本委員長)
 市川委員、今の回答でいかがですか。

(市川専門委員)
 3点目の「等」というところで、地下水汚染で、工場等が原因らしいということの場合に、場合によっては調査命令ということもお考えになっているということでございますが、そこの原因らしいという、その因果関係のところを、そこがはっきりしない状態で調査命令という、工場にとっては、場合によっては風評被害等も考えられますので、不利益処分というふうに言えるかと思いますので、そこが因果関係がはっきりしないときに、命令等が、不利益処分がかかるというようなことは、いかがなものかというふうに考えております。

(松本委員長)
 今の点、いかがでしょうか。

(笠井土壌環境課長)
 はっきりしない場合までを対象として検討しているということではなくて、土壌汚染対策法ではなくて、水質汚濁防止法になるんですけれども、浄化命令の制度というのがあって、地下水の汚染があって、どこかわかっていると。わかっていて、なおかつ、健康被害を生ずるおそれがあるという場合は、措置命令がかけられるということになっていまして、健康被害を生ずるおそれがあれば、土壌法でも調査命令を発動できることになるんですが、生じるおそれがない場合に、自主的な調査の結果、土がクロだとわかったのと、同じ程度に土が汚れているということが言えるのかどうかというところを、ちょっと悩んでおります。そういう意味では、土が汚れているわけではないんだけれども、同じように考えていいのかどうかと。
 それと、もう1点、悩んでいるのは、そういう地下水が汚染されていて、なおかつ、因果関係がはっきりしている場合というのを、うまく特出しで規定ができるのかというようなことも、同じようなレベルで悩んでおります。

(松本委員長)
 浅野委員、どうぞ。

(浅野委員)
 今、悩んでおられるということは、よくわかったわけですが、現行法の4条と、それから、それを受ける形での政令の要件と、それと、今、言われていることとの関係をどう考えればいいのかということでしょう。つまり、現行法は、土壌が特定有害物質で汚染されていて、人の健康に係る被害が生ずるおそれがあるというときには、政令で定める基準に該当するというかたちで、基準としているわけです。その基準の範囲で読めるものについては、別に特に議論する必要もなく現行法がカバーしているわけですから、現行の基準で読めないものがどこまであるのか。その場合に、現行法よりも負担が重くなるのか、重くならないのかというようなことが問題になるのだろうと思われます。
 それで、おそらく、市川委員がご心配になるように、風評被害をもたらすような単なる疑いだけで命令が出ては困るというご指摘は、それは、もっともだと思います。一方で、現行法は、そういう意味では、やや、慎重にも慎重をという形になっているので、これではちょっと漏れるものが多いのではないかということがはっきり指摘できるのならば、漏れるところを新たにカバーする必要があるわけです。しかし、といって、それであいまいなものまで、どんどん際限なく広げていくということが、立法的に維持できるかどうかという問題があると思います。そこで、そこの限界をどのように見きわめるか、ということだろうと思う。
 つまり、どこまで現行法の枠組みを広げるのかということです。要件化できないなら、余り無理に頑張らなくてもいいわけです。ちゃんと、きちんと要件化できて、先ほどの市川委員ご指摘のようなご懸念、これはおそらく、市川委員に限らず、およそ関係する事業者はみんなのご懸念でしょうから、それに明確に答えることができるかどうかの問題だと思うわけです。その辺は、事務局としては、どうお考えでしょうか。

(松本委員長)
 それでは、審議官、お願いします。

(伊藤水環境担当審議官)
 今の点は、まさにご議論いただければありがたいなというふうに考えているんですが。現行法の第4条でいろいろ命令をかける場合は、あくまで人の健康被害が生じるおそれがあると。そこの土壌汚染によって直接それを摂取するか、そこの水質汚濁の汚染地下水を飲むことによって、健康被害が生じるおそれがあると、こういった場合にかけるということになっているわけですけれども、我々が懸念しているのは、そういうことはないと。水は飲んでいないと。地下水は汚れているけれども、地下水を飲んでいる人はいないと。そういった場合は何もかからないというのは現行法でありますけれども、将来、もし、そこの土壌が汚れていると。地下水も汚れているけれども、地下水は飲む人がいないと。だから今、そういう場合は何もしないわけですけれども、その汚染されていた土壌を、将来、掘削して、どこかに持っていくといった場合には、そこの土壌についても、ちゃんとフォローをしておく必要があるのではないだろうかと、こういうふうなことで、そういったものについても、一定程度の新しい枠組みの中では何か手当てをしておく必要があるのではないだろうかと。その場合に、まさに、何でもかんでも、汚染された地下水の隣にあれば、必ず調査してもらうということではなくて、例えば、今の第4条で運用を想定しているような、極めて因果関係、ここの企業の土壌汚染に違いないということが、相当程度明らかな場合には、やってもらうということもあり得るのではないかなと、こういうふうに思っているわけですが、そこのところは、ぜひ、いろいろご審議いただければ、ありがたいなというふうに思っております。

(浅野委員)
 それならば、政省令レベルの話になるかもしれませんね。現にその地下水が飲用に供されている場合という限定ではなくて、多分、眞柄先生は、いつも同じことをおっしゃっていると思いますが、将来、そういう地下水というものが、飲用に供される可能性があるような場合には、やっぱり、何らかのアクションを起こさせるということはあり得るだろう。それは水濁法の地下水の浄化の命令は、これほど厳しい要件を課していなくて、運用の問題として、そこまで考えるようになっているわけです。ですから、それとの均衡から言うと、ひょっとしたら、ここを特出しで議論をしなくてもいいのかもしれないし、どうなのでしょうか。
 あるいは、土壌を動かすことが問題なのだということは、よくわかる。それを何かしなきゃいけないということも、よくわかるのだけれども、現実には、地下水汚染がわかっていて、そこから土壌汚染ということも確認できているのであれば、それはそれとして、現行の4条の運用を少し何かすることによってカバーできないか。

(伊藤水環境担当審議官)
 現行の4条はあくまで、そこの水を飲んでいる、あるいは、災害が起こったときに飲む可能性があるという場合に限って措置できるということになっていますので、そこのところを、今のような考え方、ここに書いて……。

(浅野委員)
 ここはあくまでも、まずは調査をしなさいと命令をかけるかどうかの話でしょう。調査をした後、どうするかは別の問題ですから、調査をしなさいと言える場合について、ちょっと現行の政令は厳し過ぎるから、そこをもうちょっと緩やかにしておいて、調査をしなさいということを言えるようにしておけば、特段、ここで大きく取り上げて、無用な議論を引き起こすようなことは避けられるかもしれない。そんな感じもいたします。

(松本委員長)
 それでは、石原委員、どうぞ。

(石原臨時委員)
 悩んでいることの解決になるかどうかはあるんですが、多分、議論の立て方のここのまとめ方にもよるんだろうと思っています。自主的調査から議論が始まったから、こういう立て方になっているんだと。ただ、4条の命令と3条の、まず、みずからやるというのか、一定の契機で調査義務がかかっている場合とがごっちゃになっているのかなという感じはします。
 浅野先生もおっしゃられるように、おそれがある場合は、もう4条ですから、あとはもう全部4条で泳ぐだけのことで、現在の4条の発動要件が厳しすぎて発動できないというのであれば、現在の4条の発動要件を緩めるだけの議論だと思います。
 むしろ、ここで言っている、自主的調査地で形質変更時に命ずるんじゃなくて、これは形質変更時には調査をしなければならないという3条の世界じゃないかと思います。
 そういう意味では、この全体の立て方なんですけれども、現行の3条というのは、施設の廃止時に調査義務がかかっているんですが、議論の経過からすると、これは新しく調査契機の一つとして、土地の区画形質変更を加えるということだと思います。土地の形質変更を調査契機として加えて、そのときの規模がどうだとか、1カ所だけでも見つかったところをどう扱うかとか、何かそういう議論じゃないかという気がします。
 そういう意味では、おっしゃられるように、何らかの契機で、自主的調査が発見の契機なのか、いろんなことがあろうかと思いますけれども、形質変更時には調査をしなければならない。すべての形質変更というと、義務のかかり過ぎになりますから、一定の部分の形質変更、3,000平米だったり、あるいは、その1カ所を見つけて、怪しいところ。もっと極端にいえば、所有者自身が、おれはもう自ら怪しいと手を挙げてしまえば、そこもその地域にする手もあるのかもしれません。そうすると、施設の廃止時ではなくて区画形質変更だけで調査の義務をかけるというのも、一つ検討した方が、議論をすっきりさせる気がするのかなという気がしています。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、佐藤雄也委員、どうぞ。

(佐藤雄也臨時委員)
 先ほど、面積で一定規模以上の意味で、お話では何か3,000平米みたいなのをイメージされているというお話でしたけれども、前回も申し上げているんですが、ボリュームという考えもあるんじゃないかということを申し上げました。
 今の石原委員のお話を伺っていて、私もなるほどと思うんですが、建設残土の世界では、既に一定量ごとに、自主的かどうか知りませんが、実際やられていますよね。そういうことを考えて、今までの調査というのは、施設の廃止の時だけだったから、面積でよかったんですが、形質変更というのは、別に施設を廃止することだけを前提にしておりませんので、調査の仕方自体をやっぱり変えた方が、よいのじゃないかということを、前回、申し上げているんですが、そういった意味で、ボリュームということで検討するということも、今の課題を解決する上で一つの方法かなと思っていますので、そこら辺、専門家の方の議論を伺いたいと思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 今のご指摘の点について、どなたかご意見ありませんか。
 それでは、髙橋委員。

(髙橋臨時委員)
 まだ次回に向けてご検討の最中ということで、私の個人的な意見を申し上げたいと思います。やはり、補足するときのつかまえやすさというのはあると思います。土壌をいじるときは、外見で見ないと、なかなか難しくて、実際に土地をどういじっているのかというのは、これは工事の現場に踏み込んでみないとわからないわけでありまして、そういう意味では、つかまえる場合の最初の切り口は、表面的な土地の面積を基準にせざるを得ないのかなと、思います。
 ただ、実際上の負担を考えますと、形質変更の土壌の量、要するに規模が小さい場合は、負担という点で問題になると思います。そういう場合は免除するということもあり得ましょう。つまり、一定規模の土地でつかまえて、その中でいじる規模が小さければ、届出を免除させると。こういう形で、少しつかまえやすさを考えていただければありがたいかなと思っています。くどいようですが、実際上、工事の最中には、中で何をやっているのかわかりませんので、そういった意味では、そういうつかまえやすさを考えるのが第1点だ、と思いました。
 それから、3ポツの話です。これは猶予されているということは、一定の疑いがあるから、本来やるべきところを猶予しているという点では、もともとリスクがあるという理解だと思います。ですから、それは、土地の区画の形質の変更というものとはまた別のものでありますし、さらにいえば、4条のおそれとは別の定型的な類型に属するおそれなのかなと思います。そういう意味では、素案が問題にしている点は、ある意味では妥当な問題意識ではないかと受け取りました。
 ただ、その際に、要件をどう考えるのかというのが重要でありまして、そこは定型的なリスクとして、こういうリスクがあるので、規模要件にもかかわらず当該行為をつかまえて、調査を義務づける。そのような形での明確な要件化は必要であると、私は思っております。
 以上でございます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 どうぞ、そのほか。市川委員。

(市川専門委員)
 先ほどの地下水云々のところに戻るわけでございますが、私ども、一番あり得るケースかなと思っておりますのは、中小企業の集まった工業団地の場合、その近くの地下水で汚染が発見されたという場合に、有害物質を使っている工場が何社かある場合、複数ある場合、その場合に複数ある工場全部が調査命令をかけられるのかということになりますと、場合によっては、全く因果関係のないところも、命令をかけられることによって風評被害等の不利益処分と、こういうことになるんではないかということも考えておりまして、そこはやはり因果関係がよほどはっきりしない段階での調査命令というのは、いかがなものかというふうに思っております。
 また、調査をしない段階で因果関係を明らかにすると、こういうことになってまいりますので、そこは技術的にも、法律の立て方としても、非常に難しいんではないかなというふうに考えております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 幾つかのご意見を伺っていて、いろんな論点があるんですが、今の話に関しては、この辺は難しい鶏と卵みたいな話なんですけれども、かなり厳しくやると、命令をかけられたときには、必ずそこが汚染源だよということになるんですね。今、それで幾つも問題が出てきていて、負担をするというのをどういうふうに軽減するかという話かあるんですが、逆に言うと、余りそこは厳しくしてしまうと、逆に風評被害を引き起こす可能性もある。そこら辺をどう考えるかという話になると思います。
 それから、もう一つは、形質変更時に調査をさせるということ、調査の契機として、それを一定規模以上という話がありましたけれども、例えば、自主調査の結果、これは事務局にちょっと質問なんですけれども、公定法を満たしていないというのを、ちょっと課長のご説明でよく理解できなかったんですが、簡易法の調査をどういうふうに扱うのかですけれども、それとも、ある程度、汚染があるというふうにわかっている場合は、それは規模の話じゃ全然ないんですね。その程度の話が当然入ってこなきゃいけないので、形質変更で一定にやるという話にはならないだろうというふうに思います。
 それで、もう一つは、先ほど、石原委員がちょっと言われたことに絡むんですけれども、公定法で調査を満たしていない場合で、汚染がない場合は、こういうふうに扱いましょうというのは、これは合理的だろうというふうに思うんですけれども、もう一つ、土地所有者の方が、ここはそもそも汚染のおそれがあると、それを最初から認めてしまうということはあり得るだろうと。これは何か対策を将来的には形質変更をするときには、詳細な調査をしなきゃ当然いけないんですけれども、その前に、この区域は、この場所は、汚染があるよというふうに届けてしまう。かなり蓋然的にそういう状況があった。それも同じような扱いができるんではないだろうかというふうに考えています。
 ただ、ここのところは、先ほど課長の話の中で、これは公表しないよというお話があったんですけれども、これはほかの指定区域と同じ扱いには、当然ならないんですが、一つ、これは公表しておいた方がいいんではないかというふうに私は考えています。
 と申しますのは、今は地下水を飲んでいないから健康被害のおそれがないけれども、新たに井戸を掘ることが考えられるわけですね。汚染土壌があるということがわかっていた場合には、その隣の土地で地下水汚染のおそれがかなりあって、わざわざ井戸を掘って飲むということに関しては、それはいけないよと言っているわけですけれども、それを汚染があるということがわからなければ、そういうことが起こり得るわけですね。それを防ぐためにも、ここは汚染があるよという情報は早く出す必要があると。それから、届出だけで受けるというのは、いいかげんだという批判があるかもしれませんけれども、汚染があるということを、できるだけ早く知るということは、非常に重要なことなので、いろんな措置を講じた方がいいんだろうというふうに考えていますので、ここのところを、もう少し拡大して、どういう名前にするか、どういう扱いにするか、今の一定の指定区域と同じ扱いには、多分ならないだろうと思いますけれども、この1ポツの3番目の扱いと、2番目と3番目の扱いが同じようなことを考えてもよろしいんではないかというふうに思いますけれども。

(松本委員長)
 先ほど中杉委員の1点、ご質問がありましたが、それについて、課長の方から回答をお願いします。

(笠井土壌環境課長)
 簡易法をどう扱うのかというところは、こちらも悩んでいるところなので、実態に即して考えていくしかないのかなというぐあいに思っています。簡易法だけで、そういう届出をしなければいけないということまで言えるのかなというところは、実際悩んでいるところでありますし、自主調査をやられている方は、最後は外には公定法で調べたものを届け出るというようなことをやられておりますので、結果的には公定法にならざるを得ないのかなというようなことを思っております。
 次の汚染があるということを早く知るために公表してはどうかというお話がありましたが、健康被害を生じるおそれがない場合で、それで1の(1)の三つ目のポツのところは、十分なデータがなくて、土壌採取のポイント数も公定法にも達しない、けれども、言ってみれば、何か出てきてしまったようだということなので、それだけでもって汚染があるということで公表するものなのかなということを考えたので、直ちに公表する、健康被害を生ずるおそれがない場合についてですけれども、直ちに公表する必要はないのではないかということを申し上げました。報告された情報はある意味、不確実な個人情報が報告された。それを受けて周辺の調査をしたところ、健康被害を生ずるおそれはなかったということであれば、直ちに公表する必要はないのかということで、調査を命じる契機にはなっていますけれども、確定的に外に出せる情報ではないのかなということを考えたということであります。
 もう1点、みずから指定区域とか汚染がある区域としてほしいと言って届出があった場合というのは、この自主調査の結果を受けて健康被害を生じるおそれがない場合をどう扱うかということとは別に、おそらく、区域の扱いの中で考えるべき課題ではないかなというような感じがします。
 さらに、市川委員や浅野委員が言われていたことを考えますと、どうも我々の頭の中では、地下水の汚染があった場合に汚染源の限定ができるということが、一応、水濁法で一つ条文がありますので、ああいうような条文で、健康被害のおそれがない場合とかと書けば、書けるんじゃないのかなというようなことで考えてはいるんですけれども、市川委員のご心配というのは、因果関係がはっきりした場合に限って、命令が出せるというようなことが本当に書けるのかというご心配ではないかと思います。それも何かそうかなというような気もしないではないんですが、そこら辺がちょっとよく考える必要があるかと思います。
 それと、一定規模以上をどう考えるかですけれども、工事エリアの中でも、機材を置いたりするようなところもあって、工事エリアの中にさらに土を持ち出すエリアがあって、ということで、ボリュームというのも、確かに大事な指摘だと思うんですけれども、そうすると、工事のエリアがある上に、実際に土をいじるエリアを特定させて、その土をいじるエリアで縦方向、深さとかまでも考えて、それで体積、容積がどうなんだというところで、規制をかけるのかというような話に、調査をしていただくのかという話になっていくので、何となくボリュームという、いじる土のボリュームということを言い出すと、どういう規制のかけ方をしていいのかなという感じがしないでもなくて、髙橋委員が言われたような、外見でみるというようなところがいいような感じがするんですけれども。
 愛知県の方でも、3,000平米以上を調査ということでやられているようなので、できれば稲垣委員から運用の実態とかを教えていただければありがたいんですけれども。

(松本委員長)
 ちょっと待ってください。
 では、鈴木委員からお願いします。

(鈴木臨時委員)
 法律の方向はこういうことだということだとしても、政省令でどのように規定するかがはっきりしないと、なかなか「はい、これは結構です」ということにならないんじゃないかと思います。
 たびたび申し上げていますように、やはり、一律の規制というのは、特に自主調査のところで意欲を阻害したり、あるいは、行政不況をもたらしたり、そういう可能性もあるわけですから、先ほどからお話が出ていますように、公定法の定義をどうするかとか、あるいは、公定法以外の調査について、届出の義務をかけた場合に、都道府県に大分お仕事が行くことになると思うんですけれども、どういう判断基準で、どういうアクションを起こされるのか、公表というのは、一体どの程度でやるのか、数字が一人歩きしないように、どのように担保できるのかというようなことを、政省令レベル、あるいは、その下かもしれませんけれども、どうどのように規定するかということとのセットで評価すべきではないかという気がいたします。
 それから、もう一つは、一定規模以上ですけれども、一定規模以上というのは一体何かということですが、3,000平米以上なのか、ボリュームなのか、その他ありますけれども、3,000以上でもいいと思うんですが、そのときには、この場合は除外するというような除外規定がどうしても要るんじゃないかと。例えば、工場の中で整地をして、そこを材料置き場にするとか、倉庫にする場合に、表面をちょっと整地しただけでも3,000を超えていたら、これに該当するのかどうかというような問題もありますし、土地の形質の変更というのも、その定義をはっきりしておくべきだと思います。
 それから、もう一つは、操業中の事業場について、健康被害がないようなもので、土対法の趣旨から見て問題が生じないような場合は、ある程度猶予あってもしかるべきではないか。また、埋立地、特に海岸で、全く問題がないようなところの埋立地をどうするかといった問題もあります。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、稲垣委員、どうぞ。どちらにしましょうか。関連して、稲垣委員の方がお先かと思いますが。

(稲垣臨時委員)
 一定規模要件を何にするかということですけれども、実態として、汚染土壌を動かすとか、そういうことになれば、その処理容積とか、そういうことからいって、ボリュームが本当は必要なんです。ただ、いろいろ調査する段階、あるいは、着手する場合に、ボリュームというのは、なかなかわかりにくい、実態としてですね。要件を見る場合には、その土地を動かすというのは、そこに何かつくったり、そういう計画でつくりますから、当然、大きさが出てくるわけですね。それと掘っている最中に、汚染土壌がどんどん、こんなにたくさんあったかということもあり得るわけです。ですから、なかなか法律要件としては、容量で決めることは困難です。本当はきちんと容量で決めればよいのですが無理です。ですから、愛知県では3,000平米と言っておりますけれども、まず、計画する段階では、面積しかないのかな。本当は実態のことを考えれば、容積が必要かと思いますけれども、それしかないのかなと思っております。それが1点。
 ごめんなさい。いいですか。もう1点。

(松本委員長)
 どうぞ。

(稲垣臨時委員)
 先ほど来、法律が求められている要件、公定法だとか、いろいろあるんですが、法律で認められているのは、例えば、使用履歴がある項目だけをやればいいんですね。ですけれども、今、実態としては、使用履歴のないものも全部調査しちゃうんです、普通は。そうすると、市川委員が言われたように、自分のところで使っていないのに出てきたと。特に工業団地のようなところは、そういうものがありますので、その取り扱いをこの法律上どうするかということは、きちんと整理しておいていただかないと、混乱を招くのかなという気がします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
 最初の方の話にちょっと戻してしまうのは恐縮ですが、審議官が気にされていた点について、私なりにコメントしておきますが、水について、飲んでいないだが地下水が汚染されていることが明らかになっていて、将来汚染土を掘削するということが出てきて、搬出土が問題になるというケースについてなんですけれども、特に地下水の汚染が明らかになっている場合にどうかという問題がおそらくあって、地下水の汚染というのは、どんどん広がっていくものですから、その点が、このケースについての本当は肝心な点ではないかと思います。
 汚染が地下水についてあって、広がっていくのが明らかなのに、何もしないでいいのか。将来、汚染土を持ち出しするときまで待っていていいのかどうかというのが、おそらく一つの問題で、これは先ほど、石原委員がおっしゃったように、むしろ、4条調査というよりは3条調査の方の考え方を取り入れた方がいいかと思いますけれども、あるいは3条と4条の間みたいな話ではないかと思うのですけれども。このケースについて、調査をお願いするとすれば、必ずしも4条調査にはこだわらずに、もう少し広く物を見て、調査の契機を考えるということが必要になってくるのではないかと思います。
 すみません、ちょっと発言の機会を逸しまして、申しわけありません。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 それでは、どうぞ、そのほかに。浅野委員、どうぞ。

(浅野委員)
 幾つかの点で、大体、共通した意見が出てきたような気がします。まず、先ほど、鈴木委員がおっしゃった点については、私もきちんと手当てをしておかなくてはいけないだろうという点を、かなりきちっとご指摘になったと思いますので、これは考えなくてはいけないだろうと思います。
 例えば、鈴木委員の意向とは逆になるかもしれませんけれども、除外の場合に、汚染の可能性が極めて低いことを証明した場合に除外というのが、ざくっと書くと、こういう書き方になるのでしょうが、こんな書き方じゃなくて、定型的に除外できる場合ということを、考えればきちんと書き込める可能性があるわけだから、ここでは定型的に除外できる場合を、あらかじめ決めておいた方がいいかもしれませんね。
 それから、操業中の場合、これについては、現行法の考え方から言っても、それはそれなりに除外ということを並びで書くことは可能だろうと思いますから、それもあるだろうと思います。
 さっきの「等」に関しては、大塚委員は3条と4条の間にもう一つ別枠をつくった方がいいというご意見ですけれども。さて、どうでしょうか。私はどっちかというと、4条で動かせるものは4条で動かせばいいんだから、余り複雑な構造にしない方がいいのであって、むしろ整理としては、石原委員がさっきご提案になった整理によって、3条の話に特化してきちっと議論すれば、それで済むことだろうという気もいたします。その上で、4条の話については4条の手直しをしなきゃいけない部分は手直しをすればいいんじゃないかと思います。
 それから、あるいは、水濁法での地下水の浄化命令が出た場合に、それとの関連で、では、土壌の方は何もしませんと言えるかどうかという問題がありますから、この点は、ちょっと別途考えなきゃいけない課題がありそうな気がしてきました。だから、それはそれとして、考える余地はあると思うのですが、この文脈の中で、唐突に議論をすることは、ちょっと強引かなという気がしてしようがありませんね。水濁法とのリンケージを考えるということも、もう一つ別途考えてみるべきでしょうが、それはそれで、やれるときにいじっておくことになるのでしょうね。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 もう一つだけ、ご意見。
それでは、石原委員、どうぞ。

(石原臨時委員)
 先ほどの形質変更時を調査契機としてとらえてということで、中杉委員がおっしゃったように、規模だけじゃない部分を、まさに調査契機としてとらえるようなあり方があっていいということで申し上げました。
 多分、「公定法じゃない」という議論で始めると、単に「ない」というのは、「ない」ということの外れ度合いというのを問わない外れ方になりますから。多分、物の考え方としては、対象になるような自主的調査の要件を新たに設定するのか、それができなければ、もう個人のいわばギブアップ宣言的な地域を認める方がすっきりしているのではないかという気はします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 浅野委員、追加で、どうぞ。

(浅野委員)
 私もここは悩ましいところだと、実は思っているのです。あんまりぎちぎちやってしまうと、今度は逆にせっかく自主的にやられているものの範囲が狭くなってしまう。逃れる方にいってしまうというのも困る。といって、余り広げてしまうと、収拾がつかなくなる。だから、なかなか書きづらいなという気はするのですが、現実には、合理的に行動される事業者は、最初からフル装備の調査をしないで、ちょっと簡易な方法で調査してみて、それで、危ないなと思ったら、ちゃんと調べてみるのではないか。それで「ああシロだった、よかった」とか、「やっぱりこれだけ調べてみても危ないという結論なら、しようがないな、じゃあ、対策しようか」というような判断をなさるはずで、ちょっとした簡易調査だけで、いきなりアクションを起こすなんてことは、普通はしないだろうと思います。
 ですから、そういうスクリーニング的な調査みたいなものと、それから、それに基づいて、次に出てくる本格調査みたいなものとを一緒くたにして、全部自主的調査というふうに言うべきかどうかというのは、最後の最後に、もう一度考えてみなくてはいけないかもしれない。そうしておかないと、「最初のちょっとした調査だけでやるのかね」とかと言われてしまうでしょう。
 それから、ここで書かれている、公定法ということには二つの意味合いがあって、一つは、どこから土をとるのかということについて、制度ではきちっと要件化されている。しかし、これはなかなか現実には、そのとおりにはまいりますまい。例えば、建物があって、まだ壊していないときには、こんなメッシュで切って調べるといったって、調べようがない場合がありますから、要件どおりには調べることができませんでしたという場合があるでしょう。よって、これでは公定法には合致していませんからだめですという場合と、それから、そもそも分析の仕方が小学校の実験みたいなことをやっているような場合と、ちゃんとしたやり方でやっている場合ということがあるのだろうと思われます。
 だけど、おそらく、世の中の実際は、そんな、小学校の実験というのはちょっと極端な言い方をしたんですが、そんなもので、何かばたばたと動くような事業者はいるはずがないとも思うので、そこは常識的に考えても、ある種の線は引けるんではなかろうかという気がするわけです。公定法でないものという書き方は、今の段階は、メモ書きの段階だから、これで済むんですけれども、これを本格的にきちっとした報告書にまとめ上げるときには、メモ書きじゃいけませんから、丁寧に考えなくてはいけないかもしれない。
 そのときに、繰り返しますけれども、余りやり過ぎると、それを逃れるということを引き起こす誘因となる。例えば、調査機関に頼んだときはやらなきゃいけないというと、調査機関じゃないところに頼むということが出てくる可能性があるし、何でもかんでもというと、またややこしくなる。そこのところを、どこでうまく調整ができるか、あるいは、世の中の常識に照らして、これなら、まあまあですねという信頼を得られるような線に落ち着かせるか。そこはやっぱり当小委員会の腕の見せどころじゃないかなという気がするわけです。

(松本委員長)
 ありがとうございました。

(鈴木臨時委員)
 今のに関連いたしまして、自主調査というのは何かということでありまして、規制の仕方次第では、さわらぬものにたたりなしということになる可能性も結構あると思うんですね。
 それから、もう一つは、事業者は、もし、これが危険だというか、汚染されていると思ったら、必ず自治体に、あるいは行政にご報告して、ちゃんと認知していただいて行動を起こすと。したがって、自主調査の意味から考えて、一律に報告を義務づけるというのではなくて、公定法以外の場合には、報告があった場合に一定のルールで対応すると定めるのが本来は望ましいと思っております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。

(中杉臨時委員)
 さっき私が申し上げて、石原委員も言われたことは、ここの部分じゃなくて、後ろの部分、2の区域の指定のところで整理する話じゃないかと言われたんだけれども、先ほど、浅野委員が言われたことも、この簡易調査法はどうだ、どのレベルだという話は、自主的にこの土地はもういいよと。汚染があると、とりあえず認めてくれていいよということを盛り込めば、そこの調査はどういう調査でも、極端な話、いいんですよ。非常に簡易な小学校レベルの調査でも構わないはず。それを一緒に議論しないとおかしくなってしまう。だから、それはまた別な問題だよというふうに言わないで、この中で一諸に書き込んではどうか。調査の契機にはならないんで、言い方は難しいんだけれども、それは同じような扱いとして考えていくべきではないだろうかというふうに、私は思います。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 まだおそらく、意見はおありかと思いますが、多少時間が追っておりますので、次に進めさせていただきます。
 次は、資料3の3ページから4ページにサイトごとの汚染状況に応じた合理的な対策の促進方法について、この(1)、(2)、(3)についてご意見、質問をちょうだいしたいと思います。どうぞお願いします。
 市川委員、どうぞ。

(市川専門委員)
 4ページの上の方の[2]の必要な対策の明確化、対策の基準を明確化することが必要だというところは、まさにそのとおりだと思います。掘削除去を強いられている現状から、掘削除去以外の対策というのもあると、それでいいんだと、こういうことを明確にしていただくというのは、非常に、いざ対策を命じられたときには、重要なことかと思っておりますが、ただ、ここで、基準というのがどういう基準になるのか。その辺を、ぜひ、この小委員会の場でもお示しをあらかじめしていただくとありがたいなというふうに思っております。

(松本委員長)
 基準の明確化について、この小委員会で少し議論してほしいというご要望でございます。
 どうぞ。

(浅野委員)
 同じようなことを逆に考えていたのです。これは少なくとも公示レベルの話ということであれば、これで済むのですが、次に何か対策命令みたいなものも、全部これで連動させるということになると、私は自治体の側はもたないと思います。というのは、その土地が将来どういう用途になるのかということについては、基本的には土地所有者が勝手に決めることであって、都市計画法の中で制限がかかっていれば、その範囲でしか使えませんということはわかるけれども、その範囲内でどういう使い方をするかというのは、ある意味では土地所有者の自由です。
 ところが、どこまで対策をしなきゃいけないかというのは、将来の用途を視野に入れて、対策のあり方というのは考えられるわけです。だからこそ、現実に今、最大の対策を強いられているのは、土地所有者の側からいえば、将来、何にでも使えるようにするためには、最大の対策をした方がいいという発想になるから、そうなるわけでしょう。そこはなかなか難しいと思うのです。
 幸いにもというか、この事務局の素案では、(2)、(1)のところでは、公示をするというレベルの話ですから、これならいいわけです。公示をするという場合には、こういう用途の場合はこうしなさい、こういう用途の場合はこうしなさいといって、どの用途になるかは、それは成り行きだけれども、そういう書き方しかできないだろうと思うわけです。
 だから、一律に書くというのは、まず無理じゃないかなといえます。というのは、その用途について、こっちが限定するということは、できないわけでしょう。ですから、せいぜい言えるのは都市計画法の枠の中での枠組みは使えるけれども、それ以上の枠組みは使えっこないだろうと思う。ところが、そんな都市計画法のゾーニングぐらいのところで対策のレベルを決めることは、まず無理だろうと思うわけです。
 このあたりは、だから、現実に条例で動いておられる稲垣委員の愛知県は、どんなふうな対応をしておられるのかをお聞きした方が、ヒントになるのかもしれないと思うのですけれども。
 しかし、ともかく、今、私が、さっき申しましたように、過剰な対策になってしまうのは、やっぱり所有者側の要求が強く働くためであって、そこまでをやれというふうになるということなのだろうと、理解しているわけです。
 だから、どこまでいっても、実をいうと、法律上はというか、制度上はこういうことなんですよということが言えるだけであって、それ以上の話というのは、よっぽどゾーニングがぎちぎちと決まっていて、これ以上のことは絶対できませんというような仕切りがもっと厳密にできればいいんだけれども、そうでない限りは、悪いけれども、しょせん、どこかで手を打たざるを得ない世界かなという気がいたします。

(松本委員長)
 稲垣委員、どうぞ、お願いします。

(稲垣臨時委員)
 今、浅野先生が言われたとおりだと思います。この下になりますけれども、3の(1)の一番最初のところにも書いてありますけれども、原位置でのリスク低減措置(オンサイト処理)というのが書いてありますけれども、これは確かにこのとおりだと思いますけれども、面積が広くて、工期に問題がなければ、こういうことがやれると思うんですね。ですけれども、実態として面積が小さいとか、早くやりたいということになれば、それとか将来のことを考えれば、掘削処理される場合もあるわけです。したがって、それをきちんと、こうでなければいかんという書き方は、ちょっと難しいのかなという気がします。

(松本委員長)
 中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 土地利用の話は、これを把握するのはどうするかというのは、この手当てが難しいというのは、そのとおりだろうと思うんですけれども。例えば、地下水飲用というのは、場所の自然的な条件によっても飲用が確実に不可なところがあるわけですね。そういうようなところについては、それなりの、例えば、地下水飲用の防止措置というのは要らないだろうと。これは、ただ、非常に高濃度の汚染の場合はどうするかという、また議論はありますけれども、そういうところは、少し考えていく。そういう意味で、土地利用はこうだというのは、その土地利用をある程度、どう押さえるかという情報を、押さえるかというのは、一方で担保しないとだめだというのは、そのとおりだと思いますけれども。ここら辺のところは、全くこれを全部外してしまうということではなくて、もう少し明確にできるところは幾らでもあるだろうというふうに思いますけれども。

(浅野委員)
 外せと言っているつもりではありません。ただ、画一的には書きにくいだろうと言ったわけで、書けと言われたら、多分、行政がもたないと言っただけです。ただし、言われるように、例えば、海面埋め立ての場所で、そこで井戸を掘って水を使うというと、どうせ塩水しか出てこないわけだから、そんなことをやる人はいないでしょうと、ある事件で、僕は言ったことがあるんです。大体皆さん、納得されましたけれども。だから、中杉委員が言われるように、明らかにこんなところで井戸を掘る人はいないよねとわかっている場合には、それはそれでいいんだろうと思います。

(松本委員長)
 大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
 浅野委員のおっしゃるとおりだと思いますけれども、ここで言っている土地利用の状況というのは、もうそういう余り細かい土地利用の状況のことは考えないということが、最初の方の会議で検討されて、そういう理解のもとに、恐らく、書かれていると思うので、そういう意味では、掘削除去をするかどうかというところが非常に大きなポイントで、その後、より細かく何をするかというところまでは、最初に決めるのは、ちょっと無理なのではないかなと、私も思っております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 鈴木委員、どうぞ。

(鈴木臨時委員)
 今の4のイのところですけれども、やはり、不要な掘削除去をしないためには、ここは物すごく大事なところなんですね。そのときに、稲垣委員がおられて言いにくいんですが、各地方公共団体の判断によって物すごく変わる可能性があって、これは現に今の土対法でもかなり違うんですね。そこを環境省さんのご指導なり何なりで、過剰な上乗せ基準ができないように、ある程度、やっぱり、指針を示していただかないと困るなという気がしていますので、よろしくお願いします。

(松本委員長)
 指針を示せというご要望でございますが、事務局の方から何かコメントはありますか。

(笠井土壌環境課長)
 大塚委員から説明があったように、ここでの土地利用の状況というのは、商業区域か、住宅区域かということを言っているわけではなくて、周辺で地下水が飲まれているかとか、立ち入りができるかどうかというところを言っていて、現在の省令でも、そういう商業区域か、住宅区域かということで区分けはしておりませんけれども、どういう対策が要るかというのをずっと書いていって、基本的には盛土、封じ込めでいいと言いながら、ただ、土地所有者と原因者が合意をしたときには、掘削除去でもいいと、そういうような書き方をしてありますので、そういう意味では、必要な対策というのは盛土、封じ込めでいいというのは、今でも書いてあります。そのレベルでは書けるでしょうし、やはり、過剰な対策になっているということは、リスクを拡散させているという面や、運搬等に伴う大気汚染だとか、CO2の排出だとかということを考えれば、これはきちんと抑制していかないと、環境保全の観点からよくないと思いますので、どういうことができるかというのは、お知恵もいただきながら考えていきたいと思っています。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 稲垣委員、どうぞ。

(稲垣臨時委員)
 私も含めて、多分、自治体も掘削除去がベターだとは、ベストだとは決して思っていないと思います。それぞれのやり方はあると思いますけれども。ですから、ここに書いてあるように、例えば、土地利用の状況を勘案して、いろいろな方法を提案していただくというのは、これはもう私ども自治体としても、大変ありがたいことですので、きちんと出していただきたいなと思います。
 ただ、どうしても、やはり掘削除去をしないといかんところも出てくるわけですね。今、問題になっているのは、それがうまくいかないのは、土壌汚染を処理する受け皿がなかなかない。セメント工場とかですね。浄化処理装置も、今、愛知県で知事が認定しているのは2カ所ぐらいしかないということで、非常に少ない。そうすると、おのずと、処理費が、どんどん高くなってしまっているというような実態があります。
 こういうものを、やはり、もっと、この前の議論でもありましたように、安価な処理方法というものを、どんどん提案していただくと、そういう方向も必要じゃないのかなというふうに思っていますけれども。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 どうぞ、そのほか、お願いします。ございませんか。
 それでは、佐藤雄也委員、どうぞ。

(佐藤雄也臨時委員)
 おそらく、資料3より資料2の方が一般市民の方に出ていく機会が多いと思いますので、サイトごとの汚染状況に応じた合理的な対策の促進の(3)のところですが、資料3の方はちゃんとわかりやすく書いてあるんで、この言葉を使って、土壌汚染がなかったという情報以外に、対策が行われて解除がなされたという情報だとか、4ページに書いてある文言を、ぜひ入れていただきたいと思います。

(松本委員長)
 わかりました。
 どうぞ、そのほか、お願いします。ありませんか。
 それでは、ございませんでしたら。また、もしありましたら、後でお願いするということで、次に進ませていただきます。
 次は4ページの3、搬出汚染土壌の適正処理を担保するための制度の充実について、(1)、(2)、(3)について、ご質問、ご意見をちょうだいしたいと思います。よろしくお願いします。
 市川委員、どうぞ。

(市川専門委員)
 (1)のところに、リスク低減措置の技術開発・普及ということが書いてございますが、これは私ども中小企業にとっても、非常に期待をするところでございます。それにしては、ちょっと扱いが、資料全体の中での扱いが小さいのかなというふうに思っております。
 端的に申しますと、資料2のように、1枚紙にまとめたときに、例えば、その他のところでも項目を設けて、技術開発・普及をちゃんとやっていくんだという姿勢を、はっきりわかるようにしていただければというふうに思っております。

(松本委員長)
 扱い方が少々小さ過ぎるというご指摘でございますが、何か課長の方からご意見ありますか。ご意見というか、コメントをお願いします。

(笠井土壌環境課長)
 技術開発、普及をもっときちんと位置づけるべきとのご指摘はありがたく、そのようにしたいと思いますけれども、それで、ちょっと現状、どういうことをやっているかということを参考資料2でお示しをしているわけなんですけれども、公募に基づいて、技術評価をやって、いい技術を取り出していると。それで……。

(松本委員長)
 参考資料の方。

(笠井土壌環境課長)
 参考資料2です。調査方法、対策方法両方につきまして、19年度までに35件について、一応、評価をしたというようなことになっておりますが、近年、ちょっと公募しても応募していただける例が、何というか、余りぱっとするものが出てきにくくなっている感じなので、ここはちゃんと予算もとって頑張っておりますので、こういう低コスト化技術についても、現状の処理法に安住することなく、提案をしていただきたいと思います。
その意味でも、市川委員、ご指摘のとおり、その他のところにでも出した方がいいのかなということは感じております。

(松本委員長)
 どうぞ、そのほか、お願いいたします。いかがでしょうか。
 稲垣委員、どうぞ。

(稲垣臨時委員)
 確認だけですけれど、5ページの(2)の[3]の二つ目の黒ポチ、自然的原因の考え方ですけれど、これはあくまでも搬出して移動先の管理だけでいいというふうに読めばいいのか。文章に「また」がこんなところに入っておるものですから、「与えるおそれがあり、また」と言われると、おそれがあることからなのか、この表現の考えを。

(松本委員長)
 別のことの。

(稲垣臨時委員)
 別のことなのか、ここをちょっと確認だけさせてください。

(松本委員長)
 この文章の解釈の仕方、どうぞ、お願いいたします。

(笠井土壌環境課長)
 これは3のところにもあるように、搬出をする場合ということで、そこに人為が加わりますので、その場合はきちんとやるべきじゃないかというぐあいに考えています。その前までさかのぼる必要かあるかどうかというところは、ちょっと全体を見てみて考えなければいけないんじゃないかと思っておりますが、おそらく、搬出をする場合以降でいいのではないかとは思っております。

(稲垣臨時委員)
 「健康被害を与えるおそれがあることから、搬出し、別の地域に」という理解でいいんですか。

(笠井土壌環境課長)
 はい、基本的に、そういう考え方です。

(松本委員長)
 どうぞ、そのほか、ご質問、ご意見をお願いいたします。
 眞柄委員、どうぞ。

(眞柄臨時委員)
 今のところですが、先ほど、鈴木委員も言われたことと関係するんですが、いわゆる、公共工事、道路だとか鉄道だとか、そういう場合に、自然要因で汚染されているということが明らかになって、それが地域の人たちの健康におそれがあるということがわかったときであっても、土対法の対象外だということになるわけですが、そういう理解でよろしいんですか。

(松本委員長)
 では、確認でお願いいたします。

(笠井土壌環境課長)
 それは搬出をするときには、自然的原因であるか、そうでないかにかかわらず、きちんと管理をする必要があると思っています。そういう意味で、ほかの場合と同じように、規制がかかるということになって、簡単に言いますと、一定規模以上の土地の改変であれば、公共事業でも対象になる場合があるのではないかということを思っておりまして、そこは国土交通省にも実態を、今、聞いたりしておるところです。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。
 鈴木委員、どうぞ。

(鈴木臨時委員)
 関連した話なんですが、鉱山地帯で家を改変しようとする場合に、議論のための議論をするようで申しわけないんですが、かなり超えている可能性があるんですね。それを持ち出すときは対象になるのかもしれませんけれども、そういうものにまで調査命令をかけるのか、3,000平米以上なのかという、そういうこともありますので、その辺はちょっと明確にやっぱりしておいた方が、自然汚染については特に、鉱山地帯はもうあちこちありますので、日本じゅう、ほじくり返さなきゃいけないと、こういうことになりますので、その辺もよろしくお願いします。

(松本委員長)
 わかりました。
 鉱山地帯の土地改変を含む……、それでは、中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 そこら辺は、先ほど私が申し上げた話で、もうここはそうだよというふうに言っておいていただければ、いいんでは。私が先ほど申し上げたように、入れれば、調査はもちろんすぐにやりなさいという形で対応できるんではないかなというふうに思いますけど。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。

(笠井土壌環境課長)
 そこのところは気になっているところなので、今の政令で言うと、鉱山保安法の対象になる鉱山の敷地であった土地というのは、調査の対象にならないというようなことが決められていますが、どういう整理がいいのかというのは、鉱山担当部局と相談をして考えたいと思っています。

(松本委員長)
 じゃあ、鈴木委員。

(鈴木臨時委員)
 鉱山保安法が適用除外になるというのは、その法律体系上、そうなっていいと思うんですが、そういう鉱山地帯で、新たに工場をつくるとか、住宅を建てるとか、そういう話でありまして、保安法対象以外で鉱山地帯ということを申し上げたつもりです。

(浅野委員)
 議論をちょっと別のところでやったことがあるのですが、おっしゃるように、日本じゅう、確かに調べてみると、あっちもこっちも自然由来というのはあるわけです。私が実際に実務をやらされているところでも、そういう例というのは結構あるので、悩ましいわけです。
 さっきの調査の契機というときに、土地利用の履歴等と書いてあるわけですが、この「等」というのが、うまく活用できそうな場面になると思われます。例えば、こういうところは、特に人為起源を疑わせるような施設が設置されたような経歴がないような場合には、履歴調査レベルのところで、「等」で外すというようなことは、十分できるだろうと思うから、これは考えておかないとまずいのでしょうね。ただ、信頼できるデータがどのぐらいあるのかとか、それから、かなり大ざっぱな地図は見せられたことはありますけれども、局地まで行った場合に、果たして本当にそれが正しいかどうかというと、若干、怖い面がありますが。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 斎藤委員、どうぞ。

(斎藤専門委員)
 自然由来について、不動産事業者として、ちょっと変な事例ですが、実情を報告いたします。東京の湾岸部においては自然由来の土地が非常にたくさんあります。私ども、その土地を買わせてもらおうということで、地主さんにある土地の価格を提示したと。もう1社の会社も同様に価格を提示しましたが、ほとんど同じ価格であったのですが、大手デベロッパーの場合には、大体、自然由来でも対策を講じるというのが基準であります。
ところが、中小の場合は、これを講じずに、同じ価格であっても、要するに、土壌汚染対策に対するコストは、原則地主さん負担でありますので、中小さんがその土地を結局は買って、対策を講じずに、住宅開発をしました。このように、自然由来に対しての対処の仕方が、まちまちになっているということが実情で、我々マンション事業者が扱う大型開発事業の場合、半分ぐらいが自然由来の土地に対して対処しているということでありまして、自然由来に対しての取り組みというのは、非常に大きなウエートになっております。事業者としては、コストの観点からも大きな問題であるというふうに認識しております。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 ただいまの斎藤委員からのご発言に関して、何か委員でございますか。
 浅野委員、どうぞ。

(浅野委員)
 全く別な観点から、自然由来でも汚染されていれば利用規制をかけるという発想はないとはいえないのでしょうけれども、少なくともこの法律に関する限りは、環境基本法で定めるところの負担の公平というところからスタートしますね。そうすると、人為起源のないものについて、どこまで踏み込めるかということに、おのずから制約がかかってしまう。だから、ぎりぎりのところで動かすのは、これは人為的な行為だから、それは網をかぶせてもいいだろう。しかし、それ以上に、自然由来のところをクリーンにしなきゃいけませんとか、そこは利用制限をかけるんですよというような話になると、正直言って、ちょっと土対法の土俵からいうと、きついのかな。
 現実に、実務的にはおやりになっているということは、よくわかるわけですけれども、それは「よくおやりになりましたね」という世界であって、法律上「本当によくやってくださいました、ありがとうございました」と感謝状というような世界ではないかなという気がいたします。
 とりあえず、ちょっとコメントとしては、それ以上のことは申し上げにくいです。

(斎藤専門委員)
 私ども事業者は、自然由来のところに網をかけてほしいということでは全くなくて、実情、そういうことだということを申し上げただけです。自然由来のところを厳しくすることは、大変困ることでありますので、一つの事例として申し上げた次第です。

(松本委員長)
 ありがとうございます。わかりました。
 それでは、課長、どうぞ。

(笠井土壌環境課長)
 どういう対策をとられているかはよくわからないんですが、海岸地域とかだったら、地下水を飲んでいる人っていないのではないかということが、何人かの委員からご発言がございまして、そうすると、きちんと覆土ができているかどうか。自然由来が多いものといったら、ヒ素、ホウ素、フッ素などですから、きちんと遮断ができていれば、十分な対策がとられているのではないかと思います。
 持ち出すときに、管理をしっかりしなければいけないという意味では、そういう意味で、持ち出す前に指定区域になるということはあり得ることだと思います。
 ただ、何人かの委員からお話がありましたように、海面の埋立地であれば、もともと汚れているものが入っているので、そういうところは、あらかじめ、みなしで指定区域にして、地下水は考えなくていいので飛散がないように、なるべくしようというような対応をとるというようなこともあり得るんじゃないかと思います。

(松本委員長)
 鈴木委員、どうぞ。

(鈴木臨時委員)
 自然地帯でも持ち出す場合は厳重にということなんですが、これもちょっと頭の体操みたいな話なんですが、鉱山地帯のある程度傾斜地で、あるところの土を掘削して、ほかの場所を整地して、両方相まって工場をつくるとか、そういう場合も対象になるんですかというような疑問も出てきますので、ちょっとここはいろいろ考えることが多いような気がします。

(浅野委員)
 持ち出すという、そこのところの整理をして、一定区画内の土の入れ換えを含むかどうかという、ことをはっきりさせる方法はあるんだろうと思います。

(鈴木臨時委員)
 例えば、海岸だとか、それは一定区画内ですけれども。

(浅野委員)
 事務局にちょっと考えてもらいましょう。

(松本委員長)
 そのほかございませんか。
 中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 多分、形質変更のとき、形質変更をどうやってやるかということが一つのポイントになってくるように思うんですね。自然由来の土地の汚染がある土地、自然由来というのは、ある一定の広がりを持っていますから。そうすると、そこの土壌を持っていって、同じような自然由来の汚染があるところに持っていっても、これは問題はないはずなんですね。そういう意味で考えると、一定区画ということと、履歴等調査というふうな話があったときに、計画をどういうふうにちゃんとやらせるかという、形質変更の計画をちゃんとやらせるということの担保をどうするかという話がありますけれども。そこはもう少し勘案するということは考え得るのかなというふうには思いますけれども。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 眞柄委員、どうぞ。

(眞柄臨時委員)
 今のことと関係するんですが、ある程度、区域が限定されているということですが、今のことをよしとすると、汚染された土壌を希釈混合処理するという処理方法を認めるという可能性が生まれてくるので、判断は慎重にすべきだというふうに、私は認識します。

(松本委員長)
 希釈混合するという、そういう考え方も出てくるであろうから、非常に慎重にこの点は留意すべきであるというご意見でございます。この点について、いかがでしょうか。
 その他について、どうぞ。そのほかに関して。項目のその他じゃございません。
 どうぞ。

(大塚委員)
 自然由来の話は別にして、今の希釈混合については、私もいろんな観点からまずいなというふうに思っているんですけれども、現行法では余り明確にそれに対しての対応というのは模索していないと思うので、希釈混合が汚染土の広がりを拡大していくということから考えると、問題だとしますと、きっちりと法的に対応していただいた方がいいんじゃないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

(松本委員長)
 法的な対応が必要であるというご指摘でございますが、この点は、課長、何か、あるいは。

(浅野委員)
 上の方の処理方法の規制というのを考えると、その中に入れられるかどうかという話で。

(松本委員長)
 入れるかどうか。

(浅野委員)
 考えてみて。

(笠井土壌環境課長)
 そこら辺は割りと細かいというか、技術的な議論にもなりますので、まさに基準を決めるときに、きちんと議論すべき課題じゃないかと思います。

(松本委員長)
 鈴木委員、どうぞ。

(鈴木臨時委員)
 悪気があって希釈混合するのは、問題ですが、ただ、この法律の目的からいって、人に対する被害の防止ということから考えると、結果的に希釈混合されて、基準値が下がれば、それはそれでいいのではないかと考えても良いと思います。
 現に、工場などでも、土地を調査したときには含有量基準を超えていたけれども、持ち出すときには、意識しなくても、ワントラックずつ測ると、基準は超えていないということはあり得ます。従って極めて軽微な汚染であっても、含有量基準を超えたら、すぐご報告申し上げなきゃいけないんですかねという意味には、そういう意味もあります。

(松本委員長)
 わかりました。
 どうぞ、そのほかに。中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 今の鈴木委員の質の考え方は逆もあり得るんで。

(鈴木臨時委員)
 それはそうです。

(中杉臨時委員)
 そういう意味では、この一定のルールに従ってはかってみたら、超えていたら、やはり報告をいただくということが必要で、もし、それで実際運び出すときに問題がなければ、それはもうそのまま持っていかれればいい話だと思いますけれども。

(松本委員長)
 どうぞ、そのほかのご意見、ございませんか。
 それでは、次に進めさせていただきます。
 次は資料3の5ページのその他についてお伺いいたします。いかがでしょうか。
 鈴木委員、どうぞ。

(鈴木臨時委員)
 一つここで、これはその他になるんですかね。6ページまでいってもいいんでしょうか。

(松本委員長)
 はい。結構です、どうぞ。

(鈴木臨時委員)
 この6ページの下から4、5行目のところですが、原因者に対してその費用を請求できることとするべきということですが、これはこれで結構だと思うんですが、ただ、もう既にある程度、解決済みなのに、原因者だからといって、さかのぼって請求されるということは、何とかそこは特例をもってしてほしい。
 つまり、土地を次の人にバトンタッチするときに、その分、安くお分けして、ちゃんと、もうここはこういう土地ですよと申し上げた上で安くお譲りして、それで解決している場合というのもあるわけですよね。今、にわかに土壌をきれいにできないという。それが何代か重なって、それで最終的に一番の原因者だということで上ってくると、問題があります。最近の判例というか、ちょっと似たようなケースがありましたけれども、ここはぜひご注視いただきたいと思います。

(松本委員長)
 さかのぼって何か要求されるようなことについてのご意見でございます。
 大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
 これは制定時にいろいろ議論があったところですけれども、7条の1項のただし書きの、汚染の除去等の措置を講じさせることが相当であると認められるというところが、今、鈴木委員がおっしゃったところの、売買のときに土地の価格を安くしたというケースだというふうに、環境省から出ているコメンタールなどにも出ていますけれども、ですので、今、おっしゃったような場合は、原因者が責任を負わないということは、既に明らかになっております。

(松本委員長)
 そうした場合、今の、どうですか、鈴木委員。

(鈴木臨時委員)
 それだけで読めるかどうか。例えば、裁判になったときに、そこを根拠にして、どこまで戦えるのかということもありますんで、そこは私もどうすればいいのか、よくわかりませんが、そういうこともあるということは頭に入れておきたいと思います。

(松本委員長)
 大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
 今、おっしゃった9月の東京高裁の判決は、今、おっしゃったような事例ではなくて、ただ、普通の価格で売買をしたというケースですので、7条の原因者ということにはなってしまうということだと思いますので。ただ、あれは民法の瑕疵担保責任の瑕疵というものが、後から法律が変わったときに、どういうふうになるかという、すぐれて法律的な問題でございますので、最高裁がどういうふうに判断するかはちょっとわかりませんけれども、あのケースは、瑕疵がどうなるかということによって、民法的な問題として出てくるので、ここで、原因者がそもそも責任を負うのはどうかというような、一般的な議論とは別のレベルの議論ではないかと思います。

(松本委員長)
 わかりました。
 中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 リスクコミュニケーションの話なんですけれども、リスクコミュニケーションの2番目のところで、人材を育成し、派遣活用することが必要と書いてあるんですが、派遣活用するという主語はだれなのかというのが、これは一つ重要なポイントだと思うんですね。
 リスクコミュニケーションは、基本的にはその間を取り持つ人というのは、中立の立場じゃなきゃいけないということが非常に重要なんですね。とかく、どっちかの当事者が専門家を連れてきて、リスクコミュニケーションを図ろうとする。それは必ず、一方で信頼をされないという話なので、こういうものをどういうふうにするかという派遣する制度みたいなものも、少し検討する必要があるんではないかというふうに思います。

(松本委員長)
 この文章の主語はだれであるかということで、もし、ご回答いただけるなら。

(笠井土壌環境課長)
 今、モデル事業をやっているのは環境省です。ただ、どういうやり方がいいのかというのは、22年度、どういう形でやっていくかというようなことで、引き続き検討をする必要があるかと思っています。
 ついでなんですけれども、鈴木委員が心配されていたところは、現在の8条1項のただし書きで、「ただし、その行為をした者が既に当該汚染の除去等の措置に要する費用を負担し、又は負担したものとみなされるときは、この限りでない」という条文がございます。ここで「費用を負担し」ということの中に安く割り引いて売ったということも入るんだと、そういう解釈を示しておりますので、その限りで大丈夫じゃないかということを思っております。

(松本委員長)
 どうぞ。

(浅野委員)
 もうちょっと検討はしてみてもいいかもしれない。例えば、鉱業法には、鉱害賠償をした場合に、登録制度があって、それをやると物権的効力が生じて、その後の土地所有者に対して賠償済みということを主張できるという制度があるわけです。だから、そんなことをここに書けるかどうか、ちょっとわからないけれども、そういう他の法令には今鈴木委員が言われた問題に対する答えがありますから、それを参考にしながら、ちょっと考えてみてはいかがでしょうか。

(松本委員長)
 鈴木委員、どうぞ。

(鈴木臨時委員)
 そういうことでありまして、実際の真の原因者がそういうことになるのはちっとも構わないと。ですから、お金で解決したという言葉はよくないんですけれども、そういう場合のことを言っているわけでありまして、いろいろ難しいこともあろうかと思いますが、そこはよろしくお願いします。

(松本委員長)
 そのほか、いかがでしょうか。
 市川委員、どうぞ。

(市川専門委員)
 6ページの最後のところで、中小企業者に対する配慮、あるいは支援策ということに触れていただいておりますのは、大変ありがたいことだというふうに思っております。願わくば位置づけとして、資料2のように1枚紙にまとめるときにも、これは項目としてはっきり出てくるように、そういう工夫をお願いしたいと思います。
 配慮という意味では、法制定当時の中小企業者に対する配慮、それはそのまま維持をされるというふうに理解をしておりますし、それから、一定規模以上のものの形質変更についての調査ということについても、これもある意味では中小企業者に対する配慮ということになるかと思いますので、配慮ということも項目としてきちっと出てくるような、そういう工夫をお願いしたいと思います。
 それから、支援策については、場合によっては命令を受けて調査をするような場面も出てくるかというふうに思います。調査費用も零細な中小企業にとっては、かなり負担になるという声を聞いておりますので、調査費用も何らかの支援策が出てくるように、ぜひ、ご配慮をお願いしたいというふうに思います。

(松本委員長)
 中小企業者に対するやっぱり配慮を、これを項目化してほしいというご要望、その点について、いかがですか。大丈夫ですか。

(笠井土壌環境課長)
 資料3でもうここで書かれているので、きちんと資料2に入れていないんじゃないかと言われると、そのとおりなので、そこはそのようにしたいと思います。

(松本委員長)
 支援策についても。

(笠井土壌環境課長)
 調査費用が出てくるようにというのは、中小企業の土壌汚染対策に関する支援策、この中に特に明記をした方がいいということでしょうか。

(浅野委員)
 その点は、最後の答申の書きぶりの問題もあるでしょうし、それから、結局のところ、やっぱり、この手のものは、有り体に言って、各省にもう一回、回して協議をするということがあって、そのときに財務省が何を言い出すかわかりませんので、どこまで深く書けるかということになると問題があるでしょうから、そういうご意見があったことは、明確に記録に残りますし、可能な限り書くということでいかがでしょうか。どういう支援策を講じるかという細かいことは、審議会の答申からいうと、ちょっと外れる部分もあると思うので、やっぱり、それは政府にお任せしなきゃいけないことになります。ご発言はしっかり記録されているということで、よろしいんじゃないかという気もしますし、極力、もっと深く書くということについては、我々も考えてみて、書ける限りは書きましょうということでいいのではないでしょうか。

(松本委員長)
 よろしゅうございますか。
 中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 調査費用については、私も前の委員会でも何回か申し上げています。これは調査は十分やらないと、適切な対策にならないので、やはり、これは法律上どういうふうに扱われるのか、難しいですけれども、それも何とか支援をできるような方向に持っていくべきではないかというふうに、私も思っております。

(松本委員長)
 大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
 別の点ですけれども、よろしいですか。

(松本委員長)
 ちょっと待ってください。
 鈴木委員は、今の点でしょうか。

(鈴木臨時委員)
 関連して。

(松本委員長)
 では、鈴木委員、ちょっとお先にどうぞ。

(鈴木臨時委員)
 中小企業の方をはじめとして、昔は廃棄物については、毒劇法で地下に埋めなさいと、なっていました。それで一生懸命やって、得た利益から地方公共団体と国に税金をお納めして、日本が発展をしてきた。それで今、所有者だけの責任だというのは、時と場合によって、お気の毒な場面もありますんで、もう少し基金にしても、国と地方公共団体が過去の税金分をつぎ込んでいただいて、充実して、いろんなケースに対応していただけるといいのかなと思っておりますので、その辺の予算の充実について、格段のご配慮をお願いいたします。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
 全然、別な点ですけれども、先ほど、中杉委員がリスクコミュニケーションについて言及されましたが、リスクコミュニケーションは周辺住民との関係で非常に重要だと思います。これについても結構、お金がかかるのではないかと思いますので、土壌汚染対策基金もリスクコミュニケーションに関しても使えるようにするということも考えられるということで意見として提起しておきます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 眞柄委員、どうぞ。

(眞柄臨時委員)
 ほかのことですが、5ページの一番最後の指定調査機関の指定に関しての要件ですが、現在も要件が省令に定められておりますが、このアということになりますと、現在の省令がすべて変わるというふうになるわけですが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

(松本委員長)
 どうぞ。

(笠井土壌環境課長)
 それはそういうことです。どのようにして実施するかというのは、いろいろ考えております。

(松本委員長)
 よろしいですか。

(眞柄臨時委員)
 今の省令の中で、建設業法に関係するコンサルタント業はいいことになっていたはずなんですが、それも外れるんですね。

(笠井土壌環境課長)
 具体的にどうするかというところまでは、まだ検討しておりません。

(松本委員長)
 細見委員、どうぞ。

(細見臨時委員)
 要望ですけれども、今回、調査契機だとか、いろいろ広げるに当たって、地方自治体というか、公共団体の負担というか、少しは増えると思うんですが、各公共団体でできるだけ統一した、いろんな報告が上がってきたときに、どういう対処をとるかというのは、各県によって、すごく扱いが違ったり、そういうことはできるだけ避けるように、環境省としても、ある種の研修制度だとか、そういうのを充実していただいて、取り扱い、あるいは対策の考え方等については、ぜひ、できるだけ統一というか、図っていただけるような努力を環境省の方にお願いしたいなというふうに思っております。

(松本委員長)
 今の統一して、お願いしたいというご要望でございます。その点、ぜひお願いできますか。いかがですか。

(笠井土壌環境課長)
 今でも研修制度などをやっておりますけれども、おそらく、いろいろやられていますガイドラインとか施行通知とかのレベルでも、わかりやすくするみたいなことがあると思いますので、分権化の時代の中ですが、できる限りのことはやりたいと思います。

(松本委員長)
では、佐藤雄也委員、お願いします。

(佐藤雄也臨時委員)
 資料2もリスクコミュニケーションに使われると思いますので、一番下のその他の(5)ですが、「汚染の除去等」という言葉がありますけれども、これは掘削除去のイメージとどうも結びつきやすいので「摂取経路の遮断等の措置」というふうに置き換えた方がよろしいと思います。

(松本委員長)
 むしろ、誤解を招かないように、そうした表示の仕方がいいということでございますが、その点も含めて、よろしゅうございますか。

(笠井土壌環境課長)
 資料のつくり方は、また、いろいろ相談させていただきたいと思います。

(松本委員長)
 それでは、そのほかはございませんか。

(なし)

(松本委員長)
 どうもありがとうございました。
 それでは、時間も少なくなってきましたというよりも、少しオーバーぎみでございますが、全体を通じまして、何でも結構でございますので、どうぞご意見、あるいはご質問ございましたら、この際、お願いしたいと思います。
 大塚委員、どうぞ。

(大塚委員)
 全体というほどではないんですけれども、最初に1ページの第1の2のところの4行目のところについてご意見があったと思いますが、稲垣委員から、ちょっとこれではきつ過ぎるというご意見がありました。もともとあり方懇のペーパーにも書いてある文章なので、私も責任の一端があるので恐縮ですが、「不明にするとともに」というところは、多分、最初からして結構きついと思うので、これはおそれがあると、後ろにつながっているんだと思うんですけれども、必ずしもそうは読めないのかもしれないので、「不明にするおそれがある」ということは、少なくとも入れた方がいいかなと、私も考えております。ほかの修文もしなくちゃいけないのかもしれませんけれども、意見として申し上げます。

(松本委員長)
 ありがとうございました。
 中杉委員、どうぞ。

(中杉臨時委員)
 私も、先ほどの発言を取り消したいと思います。一定規模の開発のときに形質変更の方法を考えろという話を申し上げましたけれども、これは自然由来かどうかというのは調査をしてみないとわからないので、私が申し上げたのは、鶏と卵みたいな話になってしまって、不適切だと思いますので、前言を撤回いたします。

(松本委員長)
 じゃあ、その点、記録のところをお願いいたします。
 どうぞ、そのほかはございませんか。全体を通じまして、何でも結構でございます。

(なし)

(松本委員長)
 特にないようでございますので、事務局から次回の会議の開催日程等について、ご説明をお願いいたします。

(笠井土壌環境課長)
 次回は、既にご案内をしておりますが、11月14日金曜日の15時から17時30分、場所は本日と同じこの場で、パブコメ案の取りまとめをお願いしたいと思います。追って、開催案内をお送りいたします。
 また、先ほどもちょっと触れましたけれども、お手元に河内委員からのご意見が出てきておりますので、次回の案をまとめるときには、こういうご意見もあったということも踏まえて対応したいと思います。

(松本委員長)
 ただいまお話がありましたけれども、次回の小委員会では、パブリックコメントを中心に、その案の取りまとめを行いたいと思っております。
 事務局には、本日の会議を踏まえまして、パブリックコメント(案)の作成づくりをお願いしたいと思います。
 それでは、最後に本日の資料の取り扱いについて説明をしておきたいと思います。
 土壌農薬部会の運営方針では、公開することにより、公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより、特定の者に不当な利益、もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは、小委員長の判断に基づきまして、非公開とすることとされております。本日配付いたしました資料につきましては、いずれもこれに該当しないことから公開といたします。また、今回の議事録につきましては、事務局で調整いただきました後、発言委員等への確認をお願いすることになっておりますので、その節はよろしくお願いをいたします。
 それでは、もう一度お尋ねいたしますが、本日の審議全体を通じまして、ご要望、あるいはご意見がございましたら、もう一度お願いをいたします。ありませんか。

(なし)

(松本委員長)
 それでは、特にないようでございますので、進行を事務局にお返しいたします。

(笠井土壌環境課長)
 それでは、大変熱心なご議論をいただき、ありがとうございました。
本日の小委員会は閉会とさせていただきます。

(了)