中央環境審議会 土壌農薬部会 農薬小委員会(第37回)議事録

日時

平成25年11月5日(火)13:30~15:32

場所

中央合同庁舎5号館 環境省第1会議室

出席委員

(欠席は、浅見臨時委員、山本臨時委員、内田専門委員、細見専門委員)

委員以外の出席者

環境省

更田室長、渡邉室長補佐、林室長補佐、岡係長、黒岩主査

オブザーバー

  • 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室
  • (独)国立環境研究所
  • (独)農林水産消費安全技術センター

議題

  1. (1)水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
  2. (2)水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
  3. (3)その他

配付資料

議事

【更田室長】 定刻となりましたので、ただいまから第37回土壌農薬部会農薬小委員会を開催させていただきます。
 本日の委員のご出席の状況でございますけれども、本日は、浅見臨時委員、山本臨時委員、内田専門委員、細見専門委員よりご欠席という連絡をいただいております。
 委員・臨時委員総数11名のうち、現在9名のご出席となり、小委員会の開催要件、定足数6名を満たしておることを、ご報告いたします。

【林室長補佐】 それでは、続きまして本日の配付資料につきましてご確認をいただきたいと思っております。お手元に議事次第と配付資料一覧が一緒になっておりますA4のペーパーがございますので、そちらをご覧いただければと思います。
 まず、資料につきましては1~6まで、参考資料といたしましては1~7までとなっております。なお、参考資料2~4の食品安全委員会の農薬評価書につきましては、お手元のパソコンに電子媒体を入れさせていただいております。また、ご希望の委員の方には、印刷した物を配付させていただいております。何かパソコンのトラブル等がございましたら、審議の途中でも結構でございますので、事務局までお申しつけいただければと思います。
また、傍聴者及びオブザーバーの方々につきましては、資料が大部となりましたため、資料1の前回の議事録、参考資料2~4は配付してございません。お近くの席にファイルにつづった物をご用意しておりますので、そちらをご参照いただければと考えております。また、参考資料6につきましては、農林水産省よりご提供いただきました資料で、公表前の段階でございますので、委員限りの配付とさせていただいております。
何か不足はございませんでしょうか。ございましたら事務局までお申しつけください。
 また、委員の皆様方のお手元には、別途ピンク色のファイルにとじた資料が置いてございまして、こちらにつきましては、検討会の過去の審議で定めました考え方等を取りまとめたものでございます。過去の整理などを振り返る際に、ご参照いただければと考えております。
 なお、こちらの資料につきましては、適宜差しかえをしてございますので、会議が終わりましたら、机の上にそのまま残しておいていただきたいと思います。

【更田室長】 それでは、議事に入らせていただきます。
白石委員長に議事進行をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 はい。では承りました。本日は、皆様、ご多用のところご出席いただきましてありがとうございます。
 本日の小委員会は、議事次第にございますように、三つの議題に関する審議が予定されております。慎重かつ活発なご審議をお願いいたします。
 まず、本日の審議の公開の扱いについてでございます。
 土壌農薬部会の運営方針では、審議中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより特定な者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは、委員長の判断に基づき、非公開とするとされております。
 今回の農薬小委員会では、申請者から提出された農薬の毒性試験報告書等、企業秘密に当たる資料を使用しないことから、非公開の理由に当たりませんので、今回の農薬小委員会については公開とさせていただきます。
 さて、議事に先立ちまして、前回9月29日に開催した第36回小委員会の議事要旨及び議事録を確認いただきたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。

【林室長補佐】 それでは、ご説明いたします。
まず、議事要旨についてですけれども、中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針では、議事要旨につきましては、委員長にご了解をいただければ公開できることとなってございます。
 本日、お手元に参考資料1ということで配付させていただいておりますが、この内容で既に環境省ホームページで公開をさせていただいておりますので、ご報告いたします。
 続きまして、議事録についてです。こちらは、事前にメールで各委員の先生方にお送りをしましてご確認をいただきました内容で資料1として配付をいたしております。
 以上でございます。

【白石委員長】 特段のご意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 では、議事録につきましては、ご了解されたものとさせていただきます。なお、議事録につきましても、土壌農薬部会の運営方針に基づき、公開することといたしております。
それでは、議事に入ります前に、10月11日に土壌農薬部会が開催されまして、中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について改正がなされました。
まず、事務局より資料の説明をお願いいたします。

【渡邉室長補佐】 参考資料7をご覧ください。
 本年10月11日に土壌農薬部会が開催されまして、中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会についての設置が改正されたところでございます。
 改正の内容ですが、1にございますように、中央環境審議会土壌農薬部会に新たに土壌環境基準小委員会が設置されました。その調査審議内容については、3に規定があるとおりでございます。
 もう一つですが、2にございますとおり、小委員会の委員長に事故があるときは、土壌農薬部会長の同意を得て、あらかじめ委員長が指名する委員、臨時委員または専門委員がその職務を代理するという規定が追加されました。
 以上でございます。

【白石委員長】 ありがとうございました。
ただいまご説明がございましたとおり、委員長の代理を指名することができるということが規定に盛り込まれました。今回の改正では、委員長が指名ということですので、この小委員会では五箇委員に委員長代理を指名したいと思いますが、中杉部会長、よろしいでしょうか。

【中杉委員】 はい。

【白石委員長】 五箇委員、よろしいでしょうか。

【五箇臨時委員】 はい。

【白石委員長】 それでは、五箇委員に委員長代理を引き受けていただきたいと思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。初めに農薬小委員会の決議の取り扱いについてご説明させていただきます。
 中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置についての土壌農薬部会の決定により、農薬小委員会の決議は、部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができるとなっております。したがいまして、この農薬小委員会後には、農薬登録保留基準の設定のための土壌農薬部会は招集せず、土壌農薬部会の中杉部会長のご了解をいただいて部会としての結論していくことになります。
 それでは、議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
  事務局から諮問書をご紹介してください。

【岡係長】 それでは、資料2をご覧ください。こちらが諮問書、付議書となってございます。諮問書、付議書ですが、今回も2種類ございまして、まず1ページ目、平成25年9月6日付で諮問がなされております。
2ページ目ですが、別紙1となってございまして、こちらが告示の第3号の環境大臣が定める基準ということで、水産基準を定めていただく農薬でございます。こちらにつきましては、5農薬が書かれておりますが、全て前回の9月25日の農薬小委で審議いただいております。
続きまして3ページ目ですが、こちらが別紙2となっておりまして、告示第4号の環境大臣が定める基準ということで、水濁基準をご審議いただく農薬でございます。こちらの下に書かれておりますフルルプリミドールにつきましては、9月25日の農薬小委員会のほうで審議いただいておりますので、今回は、上に書かれておりますシプロジニルについてご審議いただきたいと考えてございます。
そして、4ページ目が付議書となってございまして、諮問日と同日の平成25年9月6日付で中央環境審議会会長から中央環境審議会土壌農薬部会の部会長宛てに出されているものでございます。
 そして、もう一種類が、平成25年10月23日付の諮問書でございます。こちらも1枚めくっていただきまして6ページ目ですが、別紙1となってございまして、こちら、告示第3号の環境大臣が定める基準ということで、水産基準についてご審議していただきたい農薬でございます。こちら、7農薬全て書かれておりまして、こちらの7農薬について本日ご審議いただきたいと考えてございます。
続きまして7ページ目が、別紙2となってございまして、こちらが、水濁基準についてご審議していただきたい農薬でございます。こちらにつきましても2農薬が書かれておりまして、両方ともご審議していただきたいと考えてございます。
そして、8ページ目が付議書でございまして、平成25年10月23日付で中央環境審議会会長から中央環境審議会土壌農薬部会の部会長宛てに出されております。
ですので、今回の農薬小委員会につきましては、水産基準は6ページに書かれております7農薬について、水濁基準は、3ページのシプロジニルと7ページの2農薬の合計3農薬についてご審議していただきたいと考えております。
説明は以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
それでは、1番目の議題、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入ります。
 この件につきましては、農薬小委員会に先立ち、水産動植物登録保留基準設定検討会において、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や公表文献情報について精査を行うとともに、これらデータに適用する不確実係数等を設定し、基準値案を作成していただいております。
 事務局から資料の説明をお願いいたします。

【岡係長】 それでは、資料3をご覧ください。資料3は、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料でございます。本資料は、水産動植物登録保留基準設定検討会におきまして一度ご審議いただいているものですので、本日の説明では、作用機構等と総合評価を重点的にご説明させていただきまして、その後、水産検討会でどのような指摘、審議が行われたかを簡単にご紹介させていただければと思います。
 それでは、資料3の1ページ目、アイオキシニルオクタノテート(アイオキシニル)についてご説明させていただきます。
 まず、本農薬の物質概要ですが、記載のとおりでございます。
作用機構等ですが、アイオキシニルオクタノエートは、ニトリル系の除草剤でありまして、その作用機構は光合成の電子伝達系に作用して雑草の生存に必要なATP等の生産を止め枯死させると考えられております。
本邦での初回登録は1967年でございます。製剤は水和剤及び乳剤が、適用農作物等は麦、野菜、芝、樹木等がございます。
 原体の輸入量及び各種物性につきましては、記載のとおりでございます。
 それでは、2ページ目以降の水産動植物への毒性についてでございます。
 こちらの農薬につきましては、コイ、オオミジンコ、緑藻を用いた試験が実施されておりまして、その試験条件及び試験結果につきましては、2ページ目の表1から3ページ目の表3に記載されているとおりでございます。
 それでは、4ページ目の水産動植物被害予測濃度についてでございます。こちらの農薬は、非水田使用農薬ということですので、表4に記載されております使用方法及びパラメーターを用いまして水産PECを算出いたしまして、その結果ですが、0.0047㎍/Lとなってございます。
 それでは、5ページ目、総合評価でございます。まず、各生物種のLC50、EC50ですが、魚類につきましては、コイを用いての急性毒性試験結果より96hL50が30.5㎍/L、甲殻類につきましては、オオミジンコを用いての急性遊泳阻害試験結果より、48hEC50が11㎍/L、藻類につきましては、緑藻を用いての生長阻害試験結果より、72hErC50が2,100㎍/L超であると算出されております。
 これらの結果から、急性影響濃度を算出いたしまして、最小の甲殻類急性影響濃度より登録保留基準値案としまして、1.1㎍/Lとご提案させていただきます。
 リスク評価ですが、水産PECが0.0047㎍/Lでしたので、登録保留基準値案の1.1㎍/Lを下回っていることを確認しております。
 こちらの農薬につきましては、2013年10月3日の平成25年度水産動植物登録保留基準設定検討会第3回でご審議いただきまして、評価書の修正等のご指摘をいただいたところでございます。
 説明は以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。
では、一剤ずつ審議したいと思います。
ただいまのアイオキシニルにつきまして、ご質問、基準値案についてのご意見等をお願いいたします。
五箇委員、検討会で何か特に議論になったことはございましょうか。

【五箇臨時委員】 特に毒性データそのものに関しては問題なくて、記載の方法です。文言のほうでの修正があったというぐらいです。あと特徴としては、これは除草剤なのですが、コイとミジンコによく効いているということです。

【白石委員長】 ありがとうございます。またお気づきの点がありましたらお願いいたします。

【根岸委員】 よろしいでしょうか。これは、もともとかなり水の溶解度が低いようなものなのですけれども、助剤を使うことによって、随分高濃度のところまで測定をしているというところがあります。特に藻類の生長阻害ですか、こちらの方で実測濃度にして2,200という数字が出ているということで、大分ものすごいなと感じがする、この辺は大丈夫なのかと。
それから、「-」で表記されているところ、これについては、測定値がないということなのでしょうか。

【白石委員長】 事務局でわかる範囲でお願いいたします。

【岡係長】 まず、後半のほうの「-」となっていることにつきましては、測定値としてはありませんでした。
助剤の話ですけれども、今、農薬登録ガイドライン上は、助剤を使って試験をしてもよいと整理されておりますので、こちらの農薬につきましても、それに従い試験されているところでございます。

【白石委員長】 五箇委員、ここについてはいかがですか。

【五箇臨時委員】 検討会では特に藻類の部分に関しましては、結局、最高濃度2,200㎍/Lにおいても影響がないということで、それ以下の濃度についても、実測はないのですが、試験成績には大きな影響はないものとして、これは審査を通過しております。

【白石委員長】 よろしいでしょうか。
影響のない濃度ということで、特段検討会では問題とされなかったということですかね。通過したと、このデータを認めてもよろしいだろうということで、この目的には使えるということで通過したのだと思います。
はい、どうぞ。

【中杉委員】 一つ教えてください。土壌の吸着係数のところで、土壌に著しく吸着されて測定不能と書いてあります。これは、多分、土壌に吸着して完全にトラップされてしまうのだろうと思うのですが、実際にどういう形で効くのかということと、試験自体がこの性質によって何か影響を受けていないのか。測っているので、完全に溶けているかどうかわからないけど、一応、そういう数字でやっていますよということで、結果としてはいいのだろうと思うのですが、実際、そこがどうなのかな。著しく吸着しているのなら、土壌に類似した物が試験液の中にあれば、そこにほとんどくっついてしまっているということになるので、実際測っているとき、どういうはかり方をしているのかというのがわからない。この記載がどういうことを意味しているのかわからないものですから。

【五箇臨時委員】 試験そのものには土壌はいっさい入らないので、ただ土壌吸着が非常に強いのと、水溶解度が小さいということから、恐らく試験容器などには吸着する可能性が非常に高く、実際、設定濃度に対して実測濃度は常に低く出るという形で計測はされております。この薬自体は、非常に土壌吸着も激しいのですけれども、乳剤、水和剤という形で、茎葉散布をして、植物体の葉などから吸収されているというふうに考えられます。

【白石委員長】 この毒性試験自体には、多分、影響していないと思いますけれども、土壌に著しく吸着されるというのは、何かわかりますか、特に。

【岡係長】 確認してまたご連絡させていただきます。

【白石委員長】 吸着の形態とかが関わるみたいですが、測定が不能ぐらいに吸着しているということですね。
 試験結果には影響がないようですので、後で土壌吸着に関してはご説明いただければと思いますが。

【岡係長】 こちら、土壌吸着係数のほうですけれども、農薬抄録に土壌の方に吸着が激しかったということで抄録の代謝のところですが。

【白石委員長】 こちらには入っていません。

【岡係長】 ここに書かれている旨が、そのまま抄録に記載されておったので、この形で書かせていただいたところでございます。

【白石委員長】 よろしいですか、条件等はあれですが。

【中杉委員】 結果としては問題ないと思います。

【白石委員長】 もしもわかった範囲でお伝え願えればと思います。
 他にご意見ございませんでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 ないようでしたらば、総合評価をご覧ください。甲殻類オオミジンコ急性遊泳阻害試験の値をもとに、水産PECとして0.0047㎍/Lを設定したいと思います。登録保留基準値として1.1㎍/Lを設定するということで、水産PEC、0.0047㎍/Lが下回っているということで、よろしいでしょうか。事務局案どおりとさせていただきたいと思いますが。

(異議なし)

【白石委員長】 では、事務局案どおりとさせていただきます。
では、次をお願いいたします。

【林室長補佐】 それでは、続きまして、資料3の6ページから、アシュラムでございます。
物質概要は表に記載のとおりでございます。
作用機構等ですが、アシュラムナトリウム塩は、酸アミド系の除草剤であり、その作用機構は葉酸の生成阻害による核酸合成の低下であるとされ、細胞分裂を停止させて枯死に至らせるものでございます。
本邦での初回登録は1972年でございます。
製剤は液剤が、適用農作物等は、野菜、飼料作物、芝、樹木等がございます。
輸入量と各種物性につきましては、記載のとおりでございます。
 続きまして、7ページから水産動植物への毒性でございますが、本剤はコイ、ミジンコ、緑藻を用いた試験が実施されておりまして、条件及び結果につきましては7ページの表1から9ページの表3のとおりでございます。
続きまして、10ページ、水産動植物被害予測濃度でございます。
 本剤は、非水田使用農薬でございますので、表4に書かれております使用方法及びパラメーターを用いまして算出いたしましたところ、非水田PECTire1ということで0.073㎍/Lと算出されてございます。これより、水産PECを0.073㎍/Lとさせていただきたいと思います。
 続きまして、11ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は、魚類につきましては、コイ急性毒性試験より、96hL50が100,000㎍/L超、甲殻類はオオミジンコ急性遊泳阻害試験より、48hEC50が90,000㎍/L、また藻類につきましては、緑藻生長阻害試験より72hErC50が49,000㎍/Lと算出されてございます。これらから急性影響濃度を算出いたしまして、最小の甲殻類を用いまして登録保留基準値案を9,000㎍/Lとご提案させていただきます。
 リスク評価でございます。水産PECが0.073㎍/Lでございまして、登録保留基準値案9,000㎍/Lを下回っていることを確認してございます。
 本剤も、同様に10月3日に開催されました水産検討会第3回でご審議を賜りまして、主な指摘としましては、各種物性の密度の記載が、単位が間違っているということがございまして、申請者の方に確認をしましたところ、3桁ほど間違っているということがわかりましたので、委員の先生方にもご連絡をして基準値案としてはご了承いただいているところであります。
以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
ただいまのアシュラムにつきましてご質問、基準値案についてのご意見等をお願いいたします。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 五箇委員も何か特にありませんか。

【五箇臨時委員】 物化性も試験方法についても特に問題はございませんでした。

【白石委員長】 ありがとうございます。
他にいかがでしょうか。非常に水に溶けやすいもので試験もやりやすいものだと思いますけど、毒性もそれほど高くはないものでございます。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、総合評価でご確認ください。甲殻類オオミジンコの急性遊泳阻害試験の結果をもとに登録保留基準値としまして9,000㎍/Lとするということ、これは、水産PEC、0.073㎍/Lが下回っているということでございます。いかがでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、事務局案どおりとさせていただきたいと思います。
では、次をお願いいたします。

【岡係長】 それでは、12ページ目、オキシン銅(有機銅)についてご説明させていただきます。
 まず、こちらの物質の概要ですが、記載のとおりでございます。
 作用機構等ですが、オキシン銅は、銅イオンがオキシン(8-キノリノール)とキレート結合した構造の殺菌剤でありまして、その作用機構は脱水素酵素のSH基の阻害であります。
本邦での初回登録は1964年です。
製剤としましては粒剤、水和剤、塗布剤が、適用農作物等は麦、果樹、野菜、いも、花き、樹木、芝等がございます。
原体の国内生産量及び各種物性につきましては、記載のとおりでございます。
 それでは、13ページ目以降の水産動植物への毒性についてでございます。
 こちらの農薬につきましては、コイ、オオミジンコ、緑藻を用いての試験が実施されておりまして、その試験条件及び試験結果につきましては、13ページ目の表1から14ページ目の表3に記載されているとおりでございます。
 それでは、15ページ目、水産動植物被害予測濃度でございます。
こちらの農薬は非水田使用農薬ということですので、表4に示されております使用方法及びパラメーターを用いまして水産PECを計算いたしましたところ、0.33㎍/Lと算出されております。
続きまして16ページ目、総合評価でございます。まず、各生物種のLC50、EC50ですが、魚類につきましては、コイを用いての急性毒性試験結果より96hL50が18.9㎍/L、甲殻類につきましては、オオミジンコを用いての急性遊泳阻害試験結果より48hEC50が235㎍/L、藻類につきましては、緑藻を用いての生長阻害試験結果より72hErC50が92.1㎍/Lと算出されました。
 これらの結果から、急性影響濃度を算出いたしまして、最小の魚類急性影響濃度から登録保留基準値案としまして、1.8㎍/Lとご提案させていただきます。
 リスク評価ですが、水産PECが0.33㎍/Lでしたので、登録保留基準値案の1.8㎍/Lを下回っていることを確認しております。
 こちら、リスク評価で水産PECが登録保留基準値案を下回っているということを確認しておりますが、近接しているということでしたので、各種の既存のモニタリング調査をいたしました。それらが資料4でございます。
まず、水道統計による原水調査の水質調査ということで、1枚めくっていただきまして2ページ目の半分より上に書かれているものが、その検出結果でございます。平成20年~22年度の3年間につきまして水道統計の調査をしましたところ、延べ1,154地点で測定されておりまして、そのうち10地点について検出されておりました。その10地点の地点は記載のとおりです。そのうち基準値を超えるものとしましては、下から二つ目の高知県のところで、検出量としましては3.2㎍/Lでございます。こちらは高知県の実際に測定された試験機関に確認しましたところ、調査のやり方としましては、月1回の測定で5月~9月にかけて測定しておったということで、そのうちの8月について、この3.2㎍/Lが検出されておりまして、それ以外の月に関しては定量限界以下ということでございました。その定量限界は0.4㎍/Lということでございました。
続きまして、先ほどの2ページ目の半分より下にあります公共用水域水質測定における濃度結果です。こちらは、環境省で実施しておりますモニタリングの結果でございまして、平成18年~23年度までのデータで確認したところ、記載されております3地点で検出されておりまして、全て今回の登録保留基準値案を上回っておりました。
こちらにつきましては、各地点とも年1回の測定で8~10月に測定しておりまして、検出された年以外につきましては定量限界以下となってございました。その定量限界は年度によって違うのですが、1~4㎍/Lでした。既存の水質モニタリングの調査結果としましては、このような状況でしたので、今後、オキシン銅につきましては、使用量が多い都道府県等を対象としまして、環境省のほうで実施しております農薬残留対策総合調査等の水質モニタリングを実施するかどうか検討したいと考えております。
それでは、資料3の16ページに戻っていただきまして、こちらの農薬も平成25年度水産検討会の第3回においてご審議いただきまして、その際、先ほどのモニタリングの調査の話も出まして、今後、水質モニタリングをする際には、農薬以外の使用も考えられるので、採水する場所に注意して決定したほうがいいというご指摘をいただいているところです。
説明は以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。
では、オキシン銅につきまして、ご質問、基準値案についてのご意見等をお願いいたします。いかがでしょうか。
基準値案のほうは、五箇先生、いかがでしょうか。

【五箇臨時委員】 先ほど事務局からも少し説明がありましたけど、本剤がもともと開発された経緯としまして、海外で防カビ剤としても使用されているということもあったので、国内においては、そういう農薬用途以外での使用があるとなると、先ほども資料4にありましたように、河川水中における濃度というものにも影響はしてくるのではないかという意見がありまして、この点に関しましては、特に、こういうキレート剤系の抗菌物質というのは、これまでにも抗菌シャンプーとかそういった部分にも、日常生活用品にも使われていてもおかしくはないということもあるので、一度調査が必要ではないかという意見がありました。
あともう一つは、先ほど資料4のほうで説明がありましたが、特に公共用水域水質測定の際に、定量限界が1~4㎍/Lという、もう登録保留基準値を上回っており、定量限界がこの数値だと、結局、登録保留基準値である1.8㎍/Lというのを検出ができないケースもたくさんあるのではないかという意見もありましたので、この剤に関しましては、モニタリングという部分に関して少し注意を払う必要があるのではないかという意見が出ております。
 以上です。

【白石委員長】 他に。

【中杉委員】 公共用水域の水質測定結果、これ、要監視項目ですよね。測っているので、生物生態影響ではなくて健康影響だから1~4㎍/Lという定量下限になっていると、それは問題ないということなのだと思いますけど、水生生物の影響を見るには、それでは足らないということだろうと思います。
 もう一つは、非水田農薬なので、測定時の降雨の条件が少し効いてくる可能性があると思うのですね。抗菌シャンプーだと常に平常的に出てくる可能性がありますけれども、農薬としてまいたものだと、雨が降った後などに高くなる可能性があるので、測定されるときには、そういうところの情報もとっておられると思いますけど、そういうこともあわせて見ていただければと思います。

【白石委員長】 ありがとうございます。
農薬以外の用途というのは、事務局で何か把握されていることはあるのでしょうか。ありませんか。今後調査していただくということにしたいと思いますけれども、農薬自体でも相当量使われているみたい、400tぐらいですか、使われているところでございます。
はい、どうぞ。

【築地臨時委員】 私もこの検出されている府県というか、それを見てちょっと不思議に思ったのですけれども、このオキシン銅、岩手県でもリンゴの病害の防除剤として使われていますし、これのPECのパラメーターに使われているのは、非常に特殊な使い方のときで、一番濃度が高くなる使い方ということでこういうことなのですけれども、実際には、普通の単剤で使いますと、1/4~1/3分ぐらいの投下量になるのです。
したがいまして、リンゴ、ナシ、ミカンなどといった果樹で、多く使われるということであると、なかなか県と一致しないなと感じたものですから、その辺の調査に当たって、使用の実態とあわせて把握していったほうがいいのかなというふうに思いました。

【白石委員長】 PECのほうで何かご意見ございますか。よろしいですか。
使用の実態を今後調査なさるということに対しましても、使用の実態あるいは他の用途も含めて留意しながら調査していただきたいということだと思います。
他にいかがでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 基準値案につきましては、事務局案どおりお認めいただくということにさせていただきたいと思いますが、では、総合評価をご覧ください。コイの急性毒性をもとに登録保留基準値を1.8㎍/Lとするということ。水産PECですが0.33㎍/Lは、これを下回っているということでご了解いただいたとさせていただきたいと思います。
 これに関しましては、今後、モニタリングをしていくということをご検討いただきたいと。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 はい。
 では、次の剤をお願いいたします。

【林室長補佐】 それでは、資料3の17ページからカズサホスにつきましてご説明させていただきます。
 まず、物質概要につきましては、表に記載のとおりです。
 作用機構等ですが、カズサホスは、有機リン系殺虫剤でございまして、その作用機構はアセチルコリンエステラーゼ活性を阻害するものでございます。
本邦での初回登録は2000年でございます。
製剤は、マイクロカプセル剤が、適用農作物等は、野菜、いも、豆及び花きがございます。
原体の輸入量及び各種物性につきましては、記載のとおりです。
 続きまして、18ページ、水産動植物への毒性でございます。
 本剤は、コイ、オオミジンコ、緑藻を用いた試験が実施されておりまして、試験条件及び結果は、18ページの表1から19ページの表3に記載のとおりでございます。
 続きまして、20ページから水産動植物被害予測濃度でございます。
本剤は非水田使用農薬でございますので、表4に記載されております使用方法及びパラメーターを用いまして算出いたしました結果、非水田PECTire1として0.0036㎍/Lと算出されてございます。これより、水産PECを0.0036㎍/Lといたしたいと思います。
 続きまして、21ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50ですが、魚類につきましてはコイ急性毒性試験より、96hL50が246㎍/L、甲殻類につきましては、オオミジンコ急性遊泳阻害試験より48hEC50が2.57㎍/L、藻類につきましては、緑藻生長阻害試験より72hErC50が9,700㎍/Lと算出されてございます。これらから急性影響濃度を出しまして、最小の甲殻類を用いまして登録保留基準値案として0.25㎍/Lをご提案させていただきます。
 リスク評価でございます。水産PECが0.0036㎍/Lでございまして、登録保留基準値案0.25㎍/Lを下回っていることを確認してございます。
 本剤につきましても10月3日に開催されました水産検討会第3回でご審議をいただきまして、主な指摘といたしましては、魚類の急性毒性試験におきまして220㎍/Lの区で10個体のうち9個体が生存しているのですけれど、うち2個体が重篤な毒性症状を示したが、回復不能だとすれば死亡とみなすこともあり得るのではないかというご指摘を頂戴したのですけれども、ご議論いただきまして、農薬テストガイドラインでは死亡で判断しているということで、これは今後の課題と整理をいただきまして、基準値案としては了承されたところでございます。
 以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。
では、カズサホスにつきまして、ご質問、基準値案についてのご意見等をお願いいたします。

(発言なし)

【白石委員長】 五箇委員も何か特にございますか。

【五箇臨時委員】 有機リン剤ですので、恐らく魚類と甲殻類にはよく効くであろうということで、実際、毒性値としてもかなり低い値が出ておりますけど、先ほど事務局からも説明がありましたが、神経系に効く薬ですので、魚類のほうが220㎍/L設定濃度区において、生きてはいるけど重体状態になっていると。こういったものは、本来、死亡に入れるべきではないかという議論もありまして、一応、ガイドライン上は生きているという形でしか線引きができないということもあって、ここでは、この死亡数/供試生物数という、1/10という値をもって計算がされているということですけれども、今後、生物学的にはやっぱりちょっとそれはおかしいであろうということで議論の余地があるということで検討会のほうでは話が出ました。
それ以外は特に問題ございません。

【白石委員長】 テストガイドライン上、死亡をとるということで、今のところそれでやっていきたいということでございます。
他にご意見等ございましょうか。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 特段ご意見ないようでしたら、21ページの総合評価をご覧ください。これは、神経系に影響があるということで、特に甲殻類のオオミジンコ急性遊泳阻害試験の値2.57㎍/Lをとりまして、登録保留基準値として0.25㎍/Lとするということ、水産PEC、0.0036㎍/Lは、これを下回っているということでございます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、基準値案をお認めいただいたことにさせていただきます。
 では、続きまして、スルホキサフロルをお願いいたします。

【岡係長】 それでは、資料の22ページ目、スルホキサフロルでございます。
こちらの農薬の物質概要ですが、記載のとおりとなってございます。
作用機構等ですが、スルホキサフロルは、吸汁性害虫に対して高い活性を示す殺虫剤でありまして、ニコチン性アセチルコリン受容体に作用し殺虫効果を示すものでございます。ただし、同じ作用をもつ殺虫剤とは若干異なる作用部位に結合するということでございます。
本邦では未登録でございまして、製剤としては水和剤が、適用農作物等としましては、稲、果樹及び野菜として登録申請されてございます。
 各種物性につきましては、記載のとおりとなってございます。
 それでは、23ページ目以降の水産動植物への毒性についてでございます。
 こちらはコイ、ニジマス、ブルーギル、オオミジンコ、緑藻を用いての試験が実施されております。それぞれの試験条件及び試験結果につきましては、23ページ目の表1から26ページ目の表5に記載されているとおりでございます。
 それでは、27ページ目、水産動植物被害予測濃度でございます。こちらの農薬は水田使用及び非水田使用の両場面で使われるものでございますので、それぞれにつきましてPECを計算しております。まず、水田使用時ですが、表6に記載されております使用方法及びパラメーターを用いまして算出いたしましたところ、水田PECTire1としまして1.1㎍/Lと算出されました。
続きまして、28ページ目、非水田使用時ですが、表7に記載されております使用方法及びパラメーターを用いまして算出いたしましたところ、非水田PECTire1としまして0.010㎍/Lと算出されました。これらの結果から、値の大きい水田使用時のPECの結果を用いまして、水産PECとしまして1.1㎍/Lとなってございます。
 それでは、29ページ目、総合評価でございます。
 各生物種のLC50、EC50ですが、まず、魚類につきまして、コイを用いての急性毒性試験結果より、96hL50が402,000㎍/L超、続きまして同じ魚類ですが、ニジマスを用いての急性毒性試験結果から、96hL50が387,000㎍/L超、引き続きまして同じ魚類ですが、ブルーギルを用いての急性毒性試験結果より、96hL50が360,000㎍/L超、甲殻類につきましては、オオミジンコを用いての急性遊泳阻害試験結果より48hEC50が399,000㎍/L超、藻類につきましては、緑藻を用いての生長阻害試験結果より、72hErC50が101,000㎍/L超と算出されてございます。
これらの結果から、急性影響濃度を算出いたしました。まず、魚類につきましては、最小でありますブルーギルのLC50を用いまして、不確実係数につきましては通常の10ではなくて3種の試験がされているということで小さくなりまして4を用いまして、魚類急性影響濃度を算出してございます。甲殻類、藻類につきましては、通常の算出方法で算出されております。
これらの結果から、最小となりました甲殻類急性影響濃度より登録保留基準値案としまして、39,000㎍/Lとご提案させていただきます。
 リスク評価ですが、水産PECが1.1㎍/Lでございましたので、登録保留基準値案の39,000㎍/Lを下回っていることを確認しております。
 こちらの農薬につきましても10月3日の平成25年度水産動植物登録保留基準設定検討会の第3回でご審議いただきました。その際、23ページ目のコイの試験結果につきましてご議論いただきまして、こちら、設定濃度としましては0、400,000㎍/Lの二つとなっておりますが、実際の試験につきましては、その間の200,000㎍/Lというのもございました。その結果ですが、濃度相関性が見られない死亡等、あと毒性所見等が見られたにも関わらず、400,000のほうでは死亡が見られていないということもありましたし、その他ニジマス、ブルーギルのほうでもかなり高濃度のところで試験がされておりまして、そちらのほうでも死亡がほとんど見られなかったということもございましたので、こちらの200,000につきましては除いた形でLC50が算出されておりまして、その方法で問題ないという形でご議論いただいたところでございます。
 説明は以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。
では、スルホキサフロルにつきまして、ご質問、基準値案についてのご意見等をお願いいたします。
 吸汁性害虫に対して活性があるということで、オクタノール水分配係数が1を切っているような感じでございます。毒性はほとんどあらわれていないということですけれども、五箇委員、いかがでしょうか。

【五箇臨時委員】 こちらの薬剤ですけれども、構造式から見て、多分おわかりかと思いますが、ネオニコチノイドの新しいタイプです。ネオニコチノイドの新しいタイプというとおかしいのですけれども、ニュータイプのクロロニコチニルでして、イミダゾール環が開環された状態になっていて、作用点こそ少し違うと言いますけれども、やはり同じくアセチルコリン受容体に作用するということで、ネオニコチノイド系の殺虫剤と考えられ、浸透移行性を持っておりまして、植物体内に移行して吸汁性害虫に高い活性を示すという意味でも、これまでのクロロニコチニルとほぼ同様の作用機構を持っていると考えられます。
 そういった意味で、特徴としましては、非常に水溶解度が高いということで、植物の根から吸収されて、植物体内を移行するという特性を持っていると考えられます。このような薬でこれまで問題となっているのが、概ねOECDの3点セットにおきましては、ほぼ毒性がひっかからないというのが一つ特徴でして、魚類、甲殻類、藻類ともに非常に桁違いのLC50、EC50を出しているということで、そうなってきますと、ではなぜ殺虫活性があるかということが疑問になってしまいまして、要は、特定の虫にだけ効くであろうということが考えられますので、生態影響という部分においても、この3点ではカバーできないところでの影響は少しあらかじめ鑑みておく必要があるかなというところがあります。
 あとは、先ほど事務局からも説明がありましたが、コイのほうで実は間の200,000㎍/Lという途中の濃度で実は死亡している個体が見つかっているのですが、これは、恐らく薬剤の影響ではないだろうという判断のもとで、最高濃度の400,000㎍/Lでの数値をもって毒性値として評価しております。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
また、ご質問、ご意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
植物体を移行して、それを吸うものに対して害があるということで、水生にもともといるようなものについてあまり毒性が表れないというふうな理解でよろしいですか。

【五箇臨時委員】 これまでのクロロニコチニルに関しましては、結局、根に、使用方法としては箱苗施用といいまして、稲の苗箱のときに粒剤をまいて吸わせて植えるのですが、そのとき、植えた際にわずかに根に残った粒剤そのものは、やっぱり環境中に流出しまして、非常に低い濃度で生態影響が出るということが問題になっておりまして、うちの国立環境研でも、そういった試験を、今、実施しておりますけれども、水田中ですと、水生昆虫類、トンボのヤゴとか、あるいは日本のミジンコ類に対しては、pptオーダーで効いてしまうということがありますので、非常に低い濃度しか水中には入らないのですけれども、その濃度をもってしても非常に大きな生態影響が出るということが、一つ大きな問題になっているということです。

【白石委員長】 暴露経路というよりも、生物種によっては感受性の高いものもあるということでございます。ありがとうございました。
 他にご質問等ございますか。

(発言なし)

【白石委員長】 ないようでしたら、現在のこの試験方法の範囲内で毒性は認められておりませんが、この中で一番の最低濃度ですか、オオミジンコの急性遊泳阻害試験の値をもとに、登録保留基準値としましては39,000㎍/Lとするということ、水産PEC1.1㎍/Lは、これを下回っているということでございますけれども、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしいようでしたら、基準値案を認めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
では、次のブタミホスをお願いいたします。

【林室長補佐】 それでは、資料3の30ページから、ブタミホスにつきましてご説明させていただきます。
物質概要につきましては、表に記載のとおりです。
 作用機構等は、ブタミホスは有機リン系の除草剤であり、細胞分裂の阻害が主な作用でございまして、生長点に特に強く作用して、幼芽部や幼根部の生育異常、生育停止を引き起こすことにより雑草を枯死させるものでございます。
本邦での初回登録は1980年でございます。
製剤は粒剤、乳剤が、適用農作物等は稲、野菜、いも、豆、花き、樹木、芝等がございます。
 原体の国内生産量及び各種物性は記載のとおりでございます。
 続きまして、水産動植物への毒性でございます。32ページをご覧ください。
本剤は、コイ、オオミジンコ、緑藻を用いた試験が実施されておりまして、試験条件及び結果は、32ページの表1から33ページの表3に記載のとおりでございます。
続きまして、34ページ、水産動植物被害予測濃度でございます。本剤は、水田使用、非水田使用、いずれの場面においても使用されるため、両方を算出いたしました。
まず、水田使用のケースでは、表4に記載の使用方法及びパラメーターを用いまして算出いたしました結果、水田PECTire1ということで23㎍/Lと算出されてございます。
続きまして、非水田のケースということで表5にございます使用方法及びパラメーターを用いまして算出いたしました結果、非水田PECTire1ということで0.038㎍/Lと算出されてございます。これらより、最も値の大きい水田PECTire1より水産PECを23㎍/Lとさせていただきます。
続きまして36ページ、総合評価でございます。
 各生物種のLC50、EC50は、魚類につきましては、コイ急性毒性試験より、96hL50が2,700㎍/L、甲殻類につきましては、オオミジンコ急性遊泳阻害試験より、48hEC50が1,900㎍/L、藻類につきましては、緑藻生長阻害試験より、72hErC50が62㎍/Lと算出されてございます。これらを用いまして、急性影響濃度を求めまして、最も小さい藻類の値より登録保留基準値案として62㎍/Lをご提案させていただきます。
 リスク評価でございます。水産PECが23㎍/Lでありまして、登録保留基準値案62㎍/Lを下回っていることを確認してございます。
 なお、水田使用時においての第2段階のPECを算出いたしましたところ、0.020㎍/Lでございました。本剤も10月3日に開催されました水産検討会の第3回でご審議を賜りまして、主なご指摘といたしましては、オオミジンコ急性遊泳阻害試験につきまして、48時間の止水式で実施されていて、本剤は水中光分解性が早いので、実測濃度がもう少し低くなるのではないかというご指摘をいただいたのですけれども、ミジンコの急性遊泳阻害試験は光があまり強くない条件下で実施することとなっていますという旨、委員の方から説明いただきましてご理解をいただいたところでございます。
加えて、評価書では、もともと26ページ目のリスク評価のところの括弧書きのところが書かれていなかったのですけれども、水産PECと登録保留基準値が近接している際には、事務局でTier2のPECの計算をいたしまして確認を行っているところなのですが、この旨を記載した方がいいというご指摘を賜りまして、記載をさせていただいているところでございます。最終的には、基準値案としてご了承いただいたところでございます。
以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。
では、ブタミホスにつきまして、ご質問、基準値案についてのご意見等をお願いいたします。
モニタリング結果みたいなものはなかったのでしたか。

【林室長補佐】 モニタリングデータも確認をしておりまして、まず、水道統計の方でも調べておるのですけれども、最高検出値が4.6㎍/Lということで、基準値案の超過はないということが確認されておりますとともに、また、水質汚濁に係る環境基準の要調査項目ということで、平成20年の調査のデータがあるのですけれども、そこでは検出されていないという結果となってございます。
以上です。

【白石委員長】 いずれも基準値案は超過していないと。はい。

【中杉委員】 結論としては、これでいいと思うのですが、予測が非水田使用時に第2段階PECが、0.020㎍/Lという数字が出ていて、実際に検出された例が、はるかに高いところで検出された例がご報告されたと思うのですね。なぜそういう状況になったのかというのは、これは、把握しておく必要があるのだと思うのです。つまり、PECの算定式が、正しいかどうかということの議論になりかねないので、高いときというのは、こういう状況だったので高かったのだろうと。通常は、そんなことはあり得ないのだろうという整理をしておかないと、PECの算定方法というのを見直さなきゃいけないという議論になりかねないので、少しそこを見ていただければと思います。

【白石委員長】 ありがとうございます。
今お答えできることは何かありますか。

【林室長補佐】 ご指摘ありがとうございます。なぜこうなったのかということにつきましては、追加で調べていきたいと思います。

【白石委員長】 そうですね。地点とか時期とか、詳しい点が必要だと思われます。
 PECのほうで何かありますか。特にございませんか。

(発言なし)

【白石委員長】 はい。五箇委員は検討会で何かございましたか。

【五箇臨時委員】 除草剤なのですけど、有機リン系だということもあって、ミジンコのほうでも、先ほど事務局からもありましたけれども、指摘として、少し効いているというところもあって、そういうデータをどう扱うかという議論もあったのですけれども、ここでは、全て現行のガイドラインどおりで評価をするということで検討会では結論を出しております。

【白石委員長】 ありがとうございます。
他にご質問等かご意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 では、モニタリング結果について、少し調査をしていただくということで、基準値案をお認めいただきたいと思います。特段ございませんね。

(異議なし)

【白石委員長】 ないようでしたら、事務局案どおりの基準値とさせていただきます。
基準値は、藻類の急性影響濃度から、登録保留基準値を62㎍/Lとするということです。水産PECは23㎍/Lで、これを下回っていると。ちなみにTier2では0.020㎍/Lであったということでございます。では、登録保留基準値をお認めいただいたことにさせていただきます。
では、続きまして、次のプロピコナゾールをお願いいたします。

【岡係長】 それでは、資料の37ページ目、プロピコナゾールについてご説明させていただきます。
 まず、物質概要ですが、記載のとおりとなってございます。
 作用機構等ですが、プロピコナゾールは、トリアゾール系の殺菌剤でありまして、その作用機構は、菌類の細胞膜のエルゴステロール生合成阻害であると考えられております。
本邦での初回登録は1990年でございます。
製剤は水和剤、乳剤、液剤が、適用農作物等は麦、飼料作物、花き及び芝でございます。
原体の輸入量及び各種物性につきましては、記載のとおりでございます。
それでは、38ページ目以降の水産動植物への毒性についてでございます。こちらにつきましては、コイで2試験、オオミジンコ、緑藻を用いての試験が実施されておりまして、その試験条件及び試験結果につきましては、38ページ目の表1から40ページ目の表4に記載されているとおりでございます。
それでは、41ページ目、水産動植物被害予測濃度でございます。こちらの農薬は、非水田使用農薬ということですので、表5に記載されております使用方法及びパラメーターを用いまして水産PECを算出いたしまして、その結果ですが、0.0099㎍/Lと算出されてございます。
それでは、42ページ目、総合評価でございます。
 まず、各生物種のLC50、EC50ですが、魚類につきまして、コイを用いての急性毒性試験結果から、96hL50が5,650㎍/L、もう一つコイを用いての急性毒性試験結果から96hL50が6,000㎍/L、甲殻類につきましては、オオミジンコを用いての急性遊泳阻害試験結果より48hEC50が10,200㎍/L、藻類につきましては、緑藻を用いての生長阻害試験結果より、72hErC50が9,000㎍/Lと算出されました。これらの結果から、急性影響濃度を算出いたしまして、最小の魚類急性影響濃度より、登録保留基準値案としまして560㎍/Lをご提案させていただきます。
 リスク評価ですが、水産PECが0.0099㎍/Lでしたので、登録保留基準値案の560㎍/Lを下回っていることを確認しております。
こちらの農薬につきましても10月3日の水産検討会第3回でご審議していただきました。その際、38ページ目の魚類急性毒性試験でご議論ございまして、2試験が出されておるのですが、まず表1の試験につきましては、設定濃度が4,500~7,260ということでかなり狭い範囲でされており、最低の濃度の4,500㎍/Lのところでも死亡は見られていないのですが、横転等の影響が見られているというところでございました。
また、表2につきましては、無処理区で1匹死亡していたり、その後なかなか濃度相関がとられないような死亡が見られ、それぞれの試験を単独で採用するのはどうかというところもあったのですが、5,800㎍/Lと10,000㎍/Lの間で急激に死亡しているので、その間を補完するような濃度設定ということで表1の試験がされたのではないかということで、最終的に算出されておりますLC50も表1と表2でそんなに大きくかけ離れているというわけでもなかったので、それぞれの試験を補完するというか、あわせて見ていただいて最終的に魚類としては問題ないとご議論いただいたところでございます。
説明は以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。
では、プロピコナゾールにつきまして、ご質問、基準値案についてのご意見等をお願いいたします。
いかがでしょうか。
五箇委員、何かございますか。

【五箇臨時委員】 今、事務局からも説明がありましたように、特に魚類、コイの毒性試験につきまして、結構、非常に傾きがきついというか、非常に狭い範囲内で死亡率が上がるというデータが出ているということで、なおかつ、それでいて、こちらも魚ですので、生きているか死んでいるかで毒性値が出てしまうということで、本当は、割と毒性が出る低い濃度のあたりでも横転などの症状があって、これはやはり影響ありという形で判断されるのではないかという議論もあって、先ほども同じような議論がミジンコなんかでも出ていたと思うのですけれども、そういうデータもあるのだけれども、やはりこちらもガイドラインにのっとって、ここに記されている死亡数/供試生物数の値で毒性値を計算するということで評価しております。

【白石委員長】 ありがとうございました。非常に変わった濃度設定ですね。結果としては同じような値になっていますけれども、両方とも採用するということでございます。
ご意見等ございますでしょうか。ご質問等ございませんか。

(発言なし)

【白石委員長】 特段ないようでしたらば、42ページの総合評価でご確認を願いたいと思います。魚類急性影響濃度から、登録保留基準値として560㎍/Lとするということ。水産PECは0.0099㎍/Lで、これを下回っているということでございます。
特段ご意見ないようでしたら、この基準値を認めさせていただきたいと思います。

(異議なし)

【中杉委員】 今ではなくて、前のスルホキサフロルのところなのですが、この前、土壌農薬部会のご説明を受けたネオニコチノイドのものについては、いろいろ使用上の注意を出されているという話を聞きました。先ほど五箇委員がご説明なさった試験の結果というのは、これのものではないだろうと思うのですけれども、同様なことを注意書きとして入れていただくことが必要であろうということと、新たな知見が加われば、それに応じて、例えば、そのうち日本ではトンボがいなくなってしまうという極端な話になれば、そういうことになりかねないので、もしそれが確かであれば、そういう注意書きをしていただく必要があるということが一つと、それからもう一つは、登録保留基準が非常に高いのですよね。非常に誤解をしてもらうと困るのだけど、ここまで濃度があってもいいよという使い方は構わないよという話では決してないだろうと思うのです。あくまでもこの使い方であれば水産PECが計算するとおり1.1㎍/Lであると。これは、基準値ではないですけれども、目標値であるべきであろうと。使い方の目標としては、ここら辺を目標にしないといけないのですよという意味での解釈をしていかなければいけないのだろうと。この辺を少し注意するときに出していただければと。決して39,000㎍/Lを下回ればいいという話ではないということだけは注意をしていただければと思います。

【白石委員長】 ありがとうございます。事務局から何かございますか。ネオニコチノイドに関する注意事項等を含めて。

【更田室長】 承りました。十分に注意させていただきたいと思っています。一応、念のため、申請者から出されました作用機構をご紹介しますと、先ほど、五箇委員からお話がありましたように、本剤は、ニコチン性アセチルコリン受容体に作用して殺虫効果を表すと。ただ、申請者から出てきたものでありますと、本剤はネオニコチノイドや他のニコチン性アセチルコリン受容体に作用する殺虫剤と異なる新しいグループのスルホキシミンに属するということで、ネオニコチノイド系化合物を代謝する酵素による代謝が見られないというような違いもあるということになっております。

【五箇臨時委員】 特に、やっぱり昨今、ネオニコチノイドと代名詞づけられて、この浸透移行性のタイプの殺虫剤が非常に問題視されていると。その一つの理由が、あまりにも選択性が強過ぎて、かつての従来の殺虫剤ですと、甲殻類、いわゆる節足動物がミジンコイコール昆虫類ぐらいのくくりで評価できた、あるいは、それほどまでに大きな感受性差はなかったのですね。有機リンとかピレスロイドは、やっぱり虫に効く分、魚類や甲殻類もよく効いてしまうというところも結構パラレルにあったところが、今、選択性が非常に強くなっている分、虫に効けば効くほど、魚類、甲殻類、いわゆる魚類、ミジンコ類に対しては安全性が高くなってしまうという負の相関を持つような薬も非常に増えてきている。特に、その代表格が、このネオニコチノイドといわれる薬だったわけです。
 そういった意味では、非常に議論を要するところで、そういったものも網にかけようとすると、非常に試験項目を増やすしかないのかもしれないという、そうなってきますと、いよいよもって農薬登録も非常に多額のお金がかかる作業になってきて、これは企業負担としては非常に重篤な問題にもなってきますので、あとはやっぱり知見を蓄積し、実際に野外でどういった状況が起こっているかというのをモニタリングしつつ、こういった系列の薬であるならば、こういうことを疑うべきであろうといったような、まずは科学的知見の集積が先に必要なのかなと考えております。
 特にネオニコチノイドと一つにくくってはおりますけれども、中にはやっぱりばらつきがありまして、非常にトンボに効くものもあれば、ユスリカに効くもの、そういったものにすらも効かないものといった具合にタイプもいろいろあるということもありますので、やはりこういった特に流通量が非常に多いので、浸透移行性殺虫剤というのは非常に便利な薬ということもありますから、そういった使用量の多さも鑑みて、科学的知見を蓄積、調査を進めるということが先かと思います。
 それから、新しいタイプの薬であると説明がありますけれども、作用点そのものも少しずれているとは言いますが、それを言いますと、例えばフィプロニルという、これもGABAセプターに作用する全く違う作用機構を持っていますけれども、結局、野外における生態影響が出方として同じ浸透移行性殺虫剤ということで、同じような症状が出てくるということを考えますと、名前が変わったからといって決して生態影響が変わるものではないということも忘れてはならないと思いますので、その意味では、我々、評価者自身も化合物の構造式並びに、その物理化学性状からどういったタイプで、どういう効き方をする薬であろうかということはエキスパートとしてジャッジしていくということも必要になってくるかと思います。

【白石委員長】 ありがとうございました。ネオニコチノイドにつきましては、まだ議論途中ということで、事務局、関係者としても調査検討中ということですので、今後、よろしくお願いしたいと思います。
 議事の途中で、最後の剤ですけれども、これは基準値をお認めいただいたということにさせていただきたいと思います。
 ネオニコチノイドにつきましては、今後、検討していただくということでよろしいでしょうか。
 それでは、議題1は事務局案どおりということで、ただし、PEC・PNECが近接しているものにつきましては、モニタリングの情報を少し整理していただくということと、ネオニコチノイドにつきましては、この基準値案まで使っていいものではないということをご確認いただいたとさせていただきたいと思います。
 では、よろしければ、続きまして議事3の水質汚濁に係る農薬登録保留基準としての環境大臣の定める基準値の設定についての審議に入りたいと思います。
 事務局からご説明をお願いいたします。

【黒岩主査】 それでは、資料5をご覧ください。資料5は、水質汚濁に係る農薬登録保留基準値案に関する資料でございます。
 作用機構等と総合評価を重点的にご説明させていただきます。
 まずは、資料の1ページをご覧ください。1,3ジクロロプロペン(D-D)についてご説明させていただきます。
この剤の物質概要は、1ページの表のとおりでございます。
 作用機構等でございますが、1,3-ジクロロプロペンは、殺線虫剤でございまして、その作用機構は、線虫の酵素の求核反応の中心(スルフヒドリル基、アミノ基、水酸基等のグループ)と化学結合することにより酵素活性を阻害するものと考えられております。
本邦での初回登録は1950年でございます。
製剤には油剤、くん蒸剤が、そして適用農作物等は野菜、いも、豆、花き、樹木等がございます。
原体の国内生産量、輸入量は記載のとおりでございます。
各種物性につきましては、次のページ、2ページの表のとおりでございます。
続きまして、2ページの下段の安全性評価ですけれども、食品安全委員会は、平成25年2月18日付で本剤のADIを0.02mg/kg体重/日と厚生労働省に通知いたしております。この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量2mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 この食品安全委員会の農薬評価書につきましては、参考資料2としてお手元のパソコンに添付しておりますのでご確認ください。
 続きまして3ページ、水質汚濁予測濃度です。本剤は、非水田に使用される農薬でございますので、3ページの表に示します使用方法及びパラメーターを用いまして水濁PECを算出いたしましたところ、0.00085㎎/Lと算定されております。
 続きまして4ページ、総合評価でございます。ADIが0.02mg/kg体重/日でありますので、表にございます算出式により、登録保留基準値を算出いたしまして、0.05㎎/Lを登録保留基準値として提案させていただきます。
 本剤につきまして、水質に関する既存の基準値等は、水質管理目標設定項目が0.002㎎/L、そしてWHO飲料水水質ガイドラインが0.02㎎/Lと設定されております。
 リスク評価でございますが、水濁PECは0.00085㎎/Lでございますので、登録保留基準値案0.05㎎/Lを超えないことを確認しております。
 また、参考といたしまして、食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、農薬理論最大摂取量は0.0043㎎/人/日で、対ADI比で0.4%でございまして、8割を超えないことを確認しております。
 本剤につきましては以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。
ただいまの1,3ジクロロプロペンにつきまして、ご質問、基準値案についてのご意見等をお願いいたします。
 毒性につきまして何かございましたら、お願いいたします。

【吉田臨時委員】 本剤は、主な毒性の指標といたしましては、刺激性ということで前胃の過形成等を起こします。あとは、膀胱、こちらも排せつ経路ということで尿路系に移行上皮の過形成等を起こします。
食品安全委員会の評価書で一番のキーは、遺伝毒性ということになると思うのですが、評価書の38ページを開いていただければと思うのですが、それ以降にin vivoを含めました遺伝毒性が行われまして、これが食品安全委員会の評価書の表39に記載されておりますけれども、in vivoの遺伝毒性では、全て陰性です。これは、なぜin vitroで陽性になったかと言いますと、恐らく安定化剤として遺伝毒性のある変異原性を有するエビクロロヒドリンというものを添加されておりまして、それによる遺伝毒性が出てしまったのだろう、ある意味では、in vitroが非常にセンシティブだということを証明したことにもなるのですが、そういたしますと、この親化合物そのものは、遺伝毒性が陰性ということになりますので、動物に腫瘍が出たとしても、この腫瘍の発生というのは非遺伝毒性メカニズムによるのだろうということで、食品安全委員会はADIを設定しております。ADIは2年間のラットの発がん性試験の無毒性量2mg/kg体重/日を安全係数100で除しまして0.02としております。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。変異原性試験は、不純物ですか。エピクロロヒドリンを使っていたものをここに採用していたということなのですかね。

【吉田臨時委員】 食品安全委員会で2013年2月に公表されました評価書、一つ一つ毒性試験のところをご覧いただきますと、エピクロロヒドリンが入っているか、入っていないかということについても最初に記載してありますので、そちらもあわせてご覧いただければと思います。

【白石委員長】 わかりました。発がん性併合試験から無毒性量をそれから設定したということですね。
 ご意見等ございませんでしょうか。

【中杉委員】 1,3ジクロロプロペンのみを見れば、今、吉田委員がご説明あったので理解はできたのですが、エピクロロヒドリンは製剤の中には含まれて出てくるというふうに考えてよろしいのですか、それ自体が。

【吉田臨時委員】 現在、使用されている原体には含まれていないということも評価書には、最後の健康影響評価のところでしたか、記載されていたと思います。

【中杉委員】 わかりました。それならば、現在の製剤には不純物は含まれていないので、問題はないということですね。

【白石委員長】 事務局からはいかがですか。確認できますか。では後で再確認したものを。
 他にご意見等ございますか。

【吉田臨時委員】 食品安全委員会のホームページからですと、別添2ということでパブリックコメントに対する回答の中に書かれている。

【林室長補佐】 抄録で確認いたしました原体の組成を見ますと、有効成分として、このD-D以外に混在物といたしまして、塩素化炭化水素の他、安定剤が含まれているといった組成でございます。

【白石委員長】 安定剤としてエピクロロヒドリンは使っていないようでありますね。
 よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 その他特段ご意見がないようでしたらば、事務局案を認めさせていただきたいと思いますが、総合評価のところをご覧ください。登録保留基準値として0.05㎎/Lとするということでございます。

(異議なし)

【白石委員長】 よろしければ、事務局案をお認めいただきたいと思います。
 では、次のシプロジニルをお願いいたします。

【林室長補佐】 それでは、資料5の5ページからシプロジニルにつきまして説明いたします。
 物質概要につきましては、表に記載のとおりです。
 作用機構等でございますが、シプロジニルは、アニリノピリミジン系殺菌剤でございまして、その作用機構は、メチオニンの生合成を阻害することにより、病原菌に栄養不足を生じさせ、菌糸の植物体内への侵入及び伸長を阻害するものと考えられてございます。
本邦での初回登録は1998年でございます。
製剤は水和剤が、適用農作物等は麦、果樹、野菜がございます。
原体の輸入量及び各種物性につきましては、記載のとおりでございます。
続きまして6ページ、安全性評価でございます。食品安全委員会は、平成24年9月24日付で本剤のADIを0.027mg/kg体重/日と設定する評価結果を厚生労働省に通知をいたしました。
この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量2.70mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
なお、食品安全委員会の評価書は、参考資料3としてパソコンに添付しておりますので、適宜ご参照いただきたいと思います。
続いて7ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は非水田使用農薬でございますので、表の使用方法及びパラメーターを用いて水濁PECを算出いたしましたところ、0.00022㎎/Lと算出されてございます。
続いて8ページ、総合評価でございます。0.027mg/kg体重/日がADIでございますので、この式により登録保留基準値を算出いたしましたところ、登録保留基準値案として0.071㎎/Lをご提案させていただきます。
また、水質に関する既存の基準値等を調べましたところ、水質管理目標設定項目としまして0.07㎎/Lが定められていました。
リスク評価でございます。水濁PECが0.00022㎎/Lでございまして、登録保留基準値案0.071㎎/Lを超えないことを確認してございます。
参考でございますが、食品経由の農薬推定1日摂取量は、0.26mg/人/日でございますので、対ADI比で18%でございまして、8割を超えないことを確認いたしております。
以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。
では、シプロジニルにつきまして、ご質問、ご意見等をお願いいたします。
 毒性について何かございましたらお願いいたします。

【浅野専門委員】 本剤の特徴ですけれども、毒性の出方としましては、肝臓の肝細胞の肥大ですとか、肝臓と肝細胞の変性、海綿状変性という変性が起こります。それから、腎臓では慢性炎症、甲状腺で濾胞上皮の細胞の肥大、これが認められております。
 2年間のラットの発がん性/慢性併合試験におきまして、雌の乳腺で線維腺腫、陽性腫瘍の一種ですけれども、これの発生頻度が統計学的に有意に増加が認められました。ただし、もともとこの系統では、良性腫瘍が起こりやすいということと、それから発現様式、他に遺伝毒性は全くありませんので、このことからADIを設置しております。無毒性量の最小値が、ラットの2年間の慢性毒性/発がん性併合試験の2.7mg/kg体重/日、これを根拠としまして100で除してADIの設定をしております。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。本剤も遺伝毒性はないとして、無毒性量ADIを設定されているということでございます。
 他、ご意見等ございますでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 よろしいでしょうか。特段ご意見がないようでしたらば、8ページ目をご覧ください。登録保留基準値といたしまして0.071㎎/Lとするということでございます。これは水濁PECで0.00022㎎/Lを超えていないということでございます。
特段ご意見がないようでしたらば、案のとおりとさせていただきます。
続きましてモリネートをお願いいたします。

【黒岩主査】 それでは、資料の9ページをご覧ください。モリネートについてご説明させていただきます。
 この剤の物質概要は、9ページの表のとおりでございます。
 作用機構等でございますが、モリネートは、カーバメート系除草剤でございまして、その作用機構は、雑草の幼芽部、茎葉部及び根部からの速やかな吸収後に生長点へ移行し、タンパク質生合成阻害であり、細胞分裂及び伸長を阻止し枯死させるという働きがございます。
本邦での初回登録は1971年でございます。
製剤には粒剤が、適用農作物等は稲がございます。
原体の輸入量につきましては、記載のとおりでございます。
各種物性につきましては、次のページ、10ページの表のとおりでございます。
続きまして10ページの安全性評価ですけれども、食品安全委員会は、平成25年3月4日付で本剤のADIを0.0021mg/kg体重/日と厚生労働省に通知いたしております。
この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量0.21mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
この食品安全委員会の農薬評価書につきましては、参考資料4としてパソコン上に添付しておりますのでご確認ください。
続きまして、11ページの水質汚濁予測濃度です。本剤は、水田に使用される農薬でございますので、11ページの表に示します使用方法及びパラメーターを用いまして水濁PECを算出いたしましたところ0.0016㎎/Lと算定されております。
なお、このモリネートの水質汚濁性試験の成績、11ページの中段にございます試験につきましては、水田PECTier2で算出いたしましたこのパラメーターですけれども、抄録中の水質汚濁性試験の数値と異なっておりましたので、申請者にTier2の数値の算出の方法と理由の説明を求め、その結果を一緒にクリップでとめておりました別添の用紙に載せております。別添中にあります表は、抄録中の水質汚濁性試験から抜粋したものでございまして、この農薬の最大使用料が4㎏/10aなのに対し、試験自体は3㎏/10aでされております。さらに、水田PECTier2の算出に必要な3日目の測定値、経過日数3日目の測定値が欠落しておりましたので、この2点につきまして申請者に聞き取りを行いました。
申請者からの聞き取り結果につきましては、算出方法は別添の1ページ下段の①に、理由につきましては裏面2ページの②に記載しております。
聞き取りの結果をかいつまんで説明いたしますと、この製剤は、昭和58年に3㎏/10aと4㎏/10aの施用時の土壌存在下かつ清水下におけるモリネートの水中での消長が調査されておりまして、同一試験条件下における試験でありましたら、3㎏/10aと4㎏/10aの水中での消長速度と減衰率は、それぞれの初期濃度に比例して減衰することが確認されておりまして、そのために1ページで示します表の測定値を係数として3分の4倍して、そうすることによって推計を行って4㎏の値を推計したとのことでした。
また、3日目のデータがない理由につきましては、水質汚濁性試験を行った会社が既になくて確認することができなかったということでした。ただ、2ページの中段の囲いに書いてある通知、「農薬の登録申請書等に添付する資料について」という通知にございますとおり、「水質汚濁性試験において田面水中濃度の欠測日における濃度推定は、欠測日の前後の測定値を按分して求める」とございますので、3日目につきましては、1日目の値と7日目の測定値がございましたら、算出することができるということでした。
以上により、パラメーターを推計いたしまして、水田PECTier20.0016㎎/Lを算出いたしましたということでございます。
それでは、12ページに戻りまして、総合評価に参ります。ADIが0.0021mg/kg体重/日でありますので、表にございます算出式により、登録保留基準値を算出いたしまして、0.0055㎎/Lを登録保留基準値として提案させていただきます。
本剤につきまして、水質に関する既存の基準値等は、旧水濁基準が0.05㎎/L、そして水質管理目標設定項目が0.005㎎/L、そしてWHOの飲料水水質ガイドラインが0.006㎎/Lと設定されております。
 リスク評価でございますけれども、申請者の聞き取りの方法によりますと、水濁PECは0.0016mg/Lでございますので、登録保留基準値案0.0055mg/Lを超えておりません。
また、参考といたしまして、食品経由の農薬推定1日摂取量でございますけれども、農薬推定1日摂取量は0.017㎎/人/日で、対ADI比で15%でございまして、8割を超えないことを確認しております。
 本剤につきましては以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。
では、ただいまのモリネートにつきまして、ご質問、基準値案についてのご意見等をお願いいたします。
 毒性については何か補足がございましたお願いします。

【吉田臨時委員】 本剤の毒性といたしましては、精巣、卵巣、神経及び骨格筋というところです。
本剤は、カーバメート系ですけれども、コリンエステラーゼの阻害というのはあまり強くなくて、むしろ、病理組織学的な脱水ですとか変性、あるいは骨格筋の萎縮といった変化がより低い用量まで出ているようです。
あと、本剤の特徴といたしましては、精巣の毒性が種を超えて、イヌ、ラット、マウスに認められております。げっ歯類では、精巣が萎縮しますと、ネガティブフィードバックでLHが上がって精巣肝細胞腫がライディッヒ、テストステロンを合成する細胞の腫瘍がよく出るのですが、それが長期では出ております。それにつきまして、詳細なメカニズム試験も行われておりまして、どうもラットの腫瘍代謝経路と若干ヒトとは違うようだというのが結論ですけれども、ラットではライディッヒ細胞腫が出ております。これは、プロゲステロンまでの合成に何らかのステロイド代謝系にこの剤が支障を来すのではないかという結論なのですけれども、それがございますので、繁殖試験でも若干影響が出ているようです。
食品安全委員会では、2年間の長期毒性試験の結果から、この長期毒性試験は二つ行われているのですけれども、一つ目、非常に近接しておりまして、一つ目の毒性試験では5ppmですから0.21で無毒性量がとれているのですが、二つ目の毒性試験では7ppm、0.3で無毒性量がとれなかったのですが、非常に出た変化が軽微であるということから、一つ目の毒性試験の無毒性量をとって0.21を無毒性量とし100で除して0.0021としています。これは、各国でそれぞれADIの値が違うのですけれども、そう何倍も差があるというわけではないようです。
以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
他にいかがでしょうか。これはTier2までやられて、PECのほうで何か補足ございますか。

【稲生専門委員】 水濁PECの算定のところで、いくつか確認させていただきたいのですけれども。水質汚濁性試験は、基本的には最大施用量で試験をやることが前提になっていると認識しているのですけれども、これまでに審議された中で、今回のように最大施用量ではなくて、ちょっと下の施用量での試験結果からPECを算出した事例があるかというのが1。あと、昭和58年にそれぞれ3㎏、4㎏で調査をやっているけれども、ガイドラインからの逸脱が大きいということで採用されなかったのですけれども、このときの試験での最高濃度などがわかれば教えていただきたいという、2点をお聞かせいただければと思うのですけれども。

【黒岩主査】 まず一つ目のご質問につきましては、直近のデータで水田PECTier2で計算されているものを調べたのですけれども、全て最大施用量で使われているもので試験をされておりました。
 もう一点の最大濃度につきましては、今、申請者から回答が来ておりますのが、このペーパーのみで、データにつきましては、こちらのほうでは持ち合わせておりませんので、必要であれば、申請者から聞いてみるということもあると思います。

【稲生専門委員】 今回が初めての例ということなので、今後、このルールにのっとってやることがオーソライズされるのか、それともケース・バイ・ケースで考えていくのか、事務局のお考えをお聞かせいただければと思うのですけれども。

【更田室長】 先ほど申し上げたように、前例がないということなので、一応、その状況については、理由も聞いたのですけれども、その理由に対して、すれ違い的な回答が来ているといったことで、こういった推計が許容できるかどうかといったところをご審議いただきまして、もし再試験が必要ということであれば、そういう結論が得られれば、そういったことで対応していきたいと考えております。

【白石委員長】 いかがでしょうか。施用量3㎏と4㎏の違いで、そのときの具体の数値というのはわからない、今の段階ではわからないので、このペーパーしかないということなのですね。そこは、確認する必要がございますか。あるいは、最大施用量で試験をし直すという選択肢もあると思いますけれども、いかがでしょうか。

【稲生専門委員】 私のコメントとして、3㎏でやった結果から4㎏を外挿するという考え方、本当はこれで大丈夫かというところはちゃんと確認しないといけないところもあるのですけど、とりあえず、考え方としては受け入れられるのかなと思っております。
ただ、過去に調査をやった事例があるということなので、参考までにそのときの結果がどうであったのか確認をさせていただいて、判断をしたほうがよろしいのではないかと考えております。
 ですので、今のところ最大施用量でやり直せ、ということまではどうかとは思うのですけれども、せっかくデータがあるのだったら、それも参考までに確認させていただければと思います。

【白石委員長】 委員の方のご意見はいかがでしょうか。再試験までは必要ないけれども、過去のデータを少し再確認していきたいということでございます。基本的な考え方としては、ケース・バイ・ケース、この場合には認められるだろうというご判断と伺ってよろしいですか。
 委員の方、いかがですか。よろしいですか。

(発言なし)

【白石委員長】 特に反対意見がないようでしたらば、この件に関しては、データ確認が必要ですけれども、どこの時点でやりますか。データを事務局あるいは関係される委員の方々で確認していただいて、妥当であるとすれば、これを認めるとしたいと思いますが、どうでしょうか。

【更田室長】 では、データを要求しまして、改めましてご審議を賜ればと考えております。

【白石委員長】 わかりました。では、一応ペンディングみたいな形でよろしいですか。
 では、データを新たに入手して、過去のデータですね。それをご審議いただくとさせていただきたいと思います。
 では、モリネートにつきましては、そういう対応にさせていただきます。
 これで議事2は終了ですけれども、事務局で今後の予定についてご説明をお願いいたします。

【黒岩主査】 本日ご了解いただきました農薬の登録保留基準につきましては、行政手続法の規定に基づきまして、今後、パブリックコメントを1カ月ほど実施いたします。その結果、もし何か修正等を求める意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度、農薬小委員会で審議を行うかどうかご相談して、ご判断いただくことにしたいと思います。再審議の必要がない場合には、部会長の同意を得て、中央環境審議会長に部会報告を行い、さらに会長の同意を得て、環境大臣に答申いただくことになります。そして、答申後、基準値を告示させていただきます。
 以上です。

【白石委員長】 ありがとうございました。
では、続きまして、議事のその他といたしまして一つ案件がございます。
最初に水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬について(天敵農薬)について事務局からご説明をお願いいたします。

【岡係長】 それでは、資料6をご覧ください。
 水産動植物の被害防止及び水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬について(天敵農薬)についてご説明させていただきます。
 こちら、天敵農薬としまして、ヒメカメノコテントウとヨーロッパトビチビアメバチが申請されておりまして、その2農薬につきまして登録保留基準値の設定を不要としていただきたいというものでございます。
それでは、1ページめくっていただきまして、2ページ目にそれぞれの農薬の概要を記載しております。
まず、ヒメカメノコテントウですが、こちら、昆虫のコンチュウ目で、捕食性か寄生性かにつきましては捕食性、用途としましては殺虫剤で適用作物としましては野菜類(施設栽培)で使用される予定でございます。こちら、水田適用についてはございません。
続きまして、ヨーロッパトビチビアメバチですが、こちらは昆虫のハチ目ということで、寄生性でございます。用途としましては殺虫剤で、適用作物としてはレンゲを考えております。こちらも水田適用についてはございません。
こちら両農薬とも昆虫ということで虫ということですので、生物学的性質及び生態から水中で生存できるというものではございませんので、水系に流失する可能性は極めて低いということで、水産基準、水濁基準、両基準につきましては設定不要という形で整理させていただければというふうに考えております。
説明は以上です。ご審議をよろしくお願いいたします。

【白石委員長】 ありがとうございました。
ご質問、ご意見等をお願いいたします。よろしいですか。

(発言なし)

【白石委員長】 ヒメカメノコテントウ、捕食性の昆虫とヨーロッパトビチビアメバチですか、寄生性天敵のハチでございますけれども、農薬登録保留基準の設定を不要するということで、特段ご意見がないようでしたら、事務局案のとおりとさせていただきます。
ありがとうございました。
それでは、本日の審議は一通り終了しましたので、その他、本日の審議全体につきましてご意見等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【白石委員長】 特にないようでしたらば、事務局に議事にお返しいたします。

【更田室長】 ご審議賜りましてありがとうございました。
それでは、事務局より報告事項が2件ございます。まずは、特定農薬に関する報告をさせていただきます。

【岡係長】 それでは、参考資料5をご覧ください。
こちら、特定農薬の関係する資料でございます。前回の農薬小委員会におきまして、次亜塩素酸水、エチレン、焼酎につきまして、特定農薬と指定することにつきましてご審議いただきまして、その際、次亜塩素酸水につきましては、情報提供する内容も一緒にご報告させていただきました。エチレンと焼酎につきましては、まだ報告をしておりませんでしたので、そちらの情報提供する内容の報告と、もう一つ、既に特定農薬として指定されております食酢と重曹と天敵の農薬につきまして、あわせて情報提供をしたいというものが、こちらの資料となってございます。
 そして、こちらの資料は、先週の金曜日の11月1日の特定農薬合同会合で使った資料でございますが、会議の開催が先週の金曜日でしたので、いろいろと委員の先生からご指摘いただいたところをまだ反映されておりませんので、そのときに出た意見等を反映したもので最終的な情報提供をしていこうと考えております。
 エチレンにつきましては1ページ目に書かれておる内容で情報提供を今後していきたいというふうに考えております。
 焼酎につきましては3ページ目に書かれている内容で、その他、既指定のものにつきましては5ページ目からの内容で、食酢が5ページ目、6ページ目には重曹、天敵につきましては7ページ目に書かれている内容でしていきたいと考えております。
 こちらにつきましても最終的には通知を出して、情報提供をすることとしたいと考えておりますが、それまでにパブリックコメントを実施しまして、その他使われている使用方法等とか情報がありましたら、提供いただきまして、そちらも反映できるものがあればするという形で進めたいというふうに考えております。
 説明は以上です。

【更田室長】 では、ただいまの説明に対しまして、ご質問がありましたらお願いします。特段よろしゅうございましょうか。

(発言なし)

【更田室長】 それでは、2件目、農薬登録申請に係る試験成績についての改正について説明させていただきます。

【渡邉室長補佐】 参考資料6をご覧ください。委員限りの農林水産省提供資料になってございます。
農薬の登録申請に係る試験成績についてという農林水産省の局長通知の家畜代謝試験及び家畜残留試験の導入に係る改正でして、農林水産省からの情報についてご報告いたします。
まず、改正の趣旨ですが、平成18年5月にポジティブリスト制度が導入されまして、畜産物が残留農薬基準の設定対象とされたところです。一方で、現行の農薬登録では、畜産物の試験は飼料作物及び稲わらの作物残留試験で農薬が残留した場合に乳汁への移行試験の成績の提出を求めているのみでございまして、筋肉や脂肪、臓器等の食用の部分への残留の評価というのに当たり、十分なデータは要求されていない状況でございます。
一方で、近年、飼料作物の生産振興の取組が進められていることから、国内で生産される飼料作物の増産が見込まれることも踏まえまして、今後は、国内で飼料作物等に使用することができる農薬の登録に際しまして、畜産物への残留を十分に評価できるデータを要求することとしたということでございます。
具体的な改正の内容については、2ページ目です。
 1ですが、家畜代謝及び家畜残留試験ガイドラインの導入ということで、飼料作物等に使用された農薬の畜産物への残留を評価するために、現行の乳汁への移行試験にかえまして、以下の(1)、(2)のとおり、家畜代謝試験及び家畜残留試験を導入するということでございます。
 具体的には、飼料作物の残留試験で農薬が定量限界以上残留している場合に、家畜代謝試験を実施いたします。そうしまして、家畜代謝試験の中で畜産物の中に農薬の有効成分及び主要代謝物が0.01㎎/㎏を超えて残留した場合は、家畜残留試験も実施するということでございます。家畜残留試験で食用部位における残留を定量いたしまして、畜産物中の農薬の有効成分等の残留濃度を推計し、畜産物を介した農薬のヒトへの有効成分等の摂取量を推定して、消費者に健康影響を及ぼすかどうかということを評価するといった内容でございます。
 また、2番目のところなのですけれども、飼料作物等の作物残留試験の要件の見直しということでございまして、作物残留試験の際の摂取部位を(1)のように変更するということでございます。
 また、3ページ目ですけれども、(2)のところにございますとおり、飼料作物の試験例数を生産量に応じた例数に変更するということで、他の食用作物同様に生産量に応じた例数に変更するということでございます。
 続きまして3番ですけれども、GLPの適用対象とする試験の追加ということで、家畜代謝試験及び家畜残留試験をGLPの適用対象となる試験として追加するということでございます。
 現在、この改正につきましては、農水省の省内の法令審査中でございまして、その後、パブリックコメントを実施するということでございます。
 4番のところですが、施行時期につきましては、改正通知発出の3年後以降の農薬の登録申請について適用する予定ということでございます。
 また、(4)のところですが、GLPについては、通知発出の6カ月後以降に開始する家畜代謝試験及び家畜残留試験について適用するという予定でございます。
 これに伴いまして、環境省のほうでも家畜残留に係る作物残留の登録保留基準についても必要に応じて見直しを検討することを考えてございます。
 以上でございます。

【更田室長】 ただいまの説明に何かご質問等がございましたら。

(発言なし)

【更田室長】 よろしゅうございましょうか。
それでは、報告は以上とさせていただきます。
 以上をもちまして、土壌農薬部会第37回を終了させていただきます。本日はご多用のところ、ご出席いただきまして、また熱心にご審議を賜りましてありがとうございました。
 次回の38回の農薬小委員会は、来年の1月21日、火曜日に予定しておりますので、ご出席方のほう、よろしくお願いいたします。
 本日は長時間お疲れさまでございました。