中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第28回)議事録
日時
平成23年12月20日(火)14:00~16:39
場所
環境省第1会議室
出席委員
- 委員長
-
- 森田 昌敏
- 委員
-
- 中杉 修身
- 臨時委員
- 井上 達
- 上路 雅子
- 白石 寛明
- 染 英昭
- 平松 サナエ
- 細見 正明
- 眞柄 泰基
- 山本 廣基
- 渡部 徳子
- 専門委員
- 内田 又左衞門
- 築地 邦晃
- 吉田 緑
(欠席は、五箇臨時委員、井上(隆)専門委員、根岸専門委員)
委員以外の出席者
- 環境省
- 水環境担当審議官、農薬環境管理室室長、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室係長、農薬環境管理室主査
議題
- (1)
- 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
- (2)
- 水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
- (3)
- その他
配付資料
資料1 | 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第27回)議事録(案) |
資料2 | 諮問書(写)及び付議書(写) |
資料3 | 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案) |
資料4 | 水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案) |
資料5 | 水質汚濁に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬について(d‐リモネン)(案) |
資料6 | 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする農薬について(d‐リモネン)(案) |
資料7 | 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値(案)に対する意見募集の実施結果について |
参考資料1 | 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第27回)議事要旨 |
参考資料2 | 農薬評価書 アミスルブロム(食品安全委員会資料) |
参考資料3 | 農薬評価書 インドキサカルブ(食品安全委員会資料) |
参考資料4 | 農薬評価書 スピノサド(食品安全委員会資料) |
参考資料5 | 農薬評価書 トリフロキシストロビン(食品安全委員会資料) |
参考資料6 | 農薬評価書 ハロスルフロンメチル(食品安全委員会資料) |
参考資料7 | 農薬評価書 ピラクロストロビン(食品安全委員会資料) |
参考資料8 | 農薬評価書 ペントキサゾン(食品安全委員会資料) |
参考資料9 | 農薬評価書 ミクロブタニル(食品安全委員会資料) |
参考資料10 | 農薬評価書 メタラキシル及びメフェノキサム(食品安全委員会資料) |
議事
【農薬環境管理室室長】 定刻になりましたので、ただいまから土壌農薬部会農薬小委員会、第28回を開催させていただきます。
初めに、委員の先生方の御出席の状況でございますが、五箇先生、それから井上隆信先生から御欠席の連絡をいただいております。それから、細見先生から30分ほど遅れられるという御連絡をいただいております。根岸先生、それから渡部先生も若干遅れられているようでございます。
従いまして、本日15名の委員の先生方に御出席をいただく予定になっております。委員、臨時委員総数の12名のうち11名御出席予定ですので、小委員会の開催要件を満たしておりますことを御報告いたします。
議事に入ります前に、配付資料を確認させていただきます。議事次第に配付資料一覧をつけさせていただいております。資料1から資料7まで7種類の資料がございます。それから、参考資料といたしまして、参考資料1から、食品安全委員会等の資料で10種類の資料を用意させていただいております。それから、委員の先生方の袋の中に、委員会限りということで、本日、リモネンについて御議論いただきますが、参考として写真を1枚つけさせていただいております。
また、水産動植物登録保留基準の設定に係る過去の審議会・検討会の報告等をファイルで配付しております。この資料につきましては、次回以降の小委員会でも使いますので、会議後、会場に残していただきますよう、お願いいたします。
それから、傍聴者の方、オブザーバーの方には前回の農薬小委員会の議事録、参考資料2から参考資料10までの食品安全委員会の資料につきましては、大部にわたるため、資源節減のため配付いたしておりません。ファイルに綴じたものを机の上に置いておりますので、適宜御覧ください。
もし足りない資料がございましたら会議の途中でも結構でございますので、事務局までお申しつけください。よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入らせていただきます。森田先生、よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 本日は皆様、御多用中のところ本当に、御出席をいただきましてありがとうございます。
本日の農薬小委員会は議事次第にございますように、主に二つの議題に関する審議が予定されています。活発な御審議をお願いいたします。
それでは、始める前にいつものように本日の審議の公開の扱いについてお話をさせていただきたいと思います。土壌農薬部会の運営方針では審議中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しく支障を及ぼす恐れのある資料や、公開することにより特定のものに不当な利益、もしくは不利益をもたらす恐れがある資料などは、委員長の判断に基づき、非公開とするとさせております。今回の農薬小委員会では、申請者から提出された農薬の毒性試験報告書など、企業秘密に当たる資料を使用しないことから、非公開の理由に当たらないため、今回の農薬小委員会については公開とさせていただきます。
さて、議事に先立ちまして、前回10月11日に開催した第27回小委員会の議事要旨を御確認いただきたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。
【農薬環境管理室室長補佐】 中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針では、議事要旨につきましては、委員長に了解をいただければ公開できることとなっております。
本日、参考資料1の内容で既に環境省ホームページで公開しておりますので御報告いたします。
【森田委員長】 よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは、引き続きまして、前回議事録についてであります。こちらは、事前にメールで各委員に確認済とのことですが、資料1で配付しております。
特段の御意見ございますか。よろしいでしょうか。
(なし)
【森田委員長】 なお、これらにつきましては、土壌農薬部会の運営方針に基づき公開するということとしております。
それでは、議事に入りたいと思いますが、初めに農薬小委員会の決議の取り扱いについて御説明をいただきます。
「中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について」の土壌農薬部会決定によりまして、農薬小委員会の決議は部会長の同意を得て土壌農薬部会の決議とすることができることとなっております。
従いまして、この農薬小委員会の後に、農薬登録保留基準設定のための土壌農薬部会は招集せず、土壌農薬部会の中杉部会長の了解をいただいて、部会としての結論としていくことになります。
それでは、議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
諮問書の紹介ということになりますが、農薬取締法第3条第2項の規定に基づき、環境大臣が定める基準の設定についての件については、平成23年12月1日付で環境大臣から諮問があり、同日付で土壌農薬部会に付議されております。
事務局から諮問書を紹介してください。
【農薬環境管理室係長】 資料2を御覧ください。まず、1ページ目でございます。平成23年12月1日付で、環境大臣から中央環境審議会会長に対しまして、以下のとおり諮問がされております。
農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定について。
標記のうち、農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件について、(1)別紙1の農薬に関し、告示第3号の環境大臣が定める基準を設定すること、(2)別紙2の農薬に関し、告示第4号の環境大臣が定める基準を設定することについて貴審議会の意見を求める。
1ページめくっていただきますと、裏面が別紙1、告示第3号の環境大臣が定める基準であります、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の案でございまして、今回は5農薬ございます。
続きまして、3ページ目と4ページ目が別紙2、告示第4号の環境大臣が定める基準であります、水質汚濁に係る農薬登録保留基準の案でございまして、今回は12農薬ございます。
もう1枚めくっていただきまして、最後のページが付議書でございます。中央環境審議会会長から中央環境審議会土壌農薬部会長に対しまして、今御説明した内容が付議されております。
以上でございます。
【森田委員長】 それでは議事の1番目、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入りたいと思います。
この件につきましては、農薬小委員会に先立ち、水産動植物登録保留基準設定検討会におきまして、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出されました試験結果や公表文献情報等について精査を行うとともに、これらのデータに適応する不確実係数を設定して基準値案を作成していただいております。
それでは、事務局から資料の御説明をお願いいたします。
【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料3を御覧ください。
資料3は、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準、基準値案に関する資料でございます。本資料の説明に当たっては、既に水産検討会において、一度御審議いただいているものでございますので、当委員会では作用機構等と総合評価を重点的に御説明させていただき、その後、検討会でどのような指摘・審議が行われたかを簡単に御紹介させていただきます。
それでは、イプフェンカルバゾンについて、まず御説明させていただきます。
イプフェンカルバゾンは、非ホルモン系吸収移行型の除草剤でございまして、その作用機構は植物体内で超長鎖脂肪酸の生合成を阻害することであると考えられております。本邦では未登録です。
製剤は粒剤及び水和剤が、適用作物は稲として、登録申請されております。
物性につきましては、1ページの表のとおりです。
本剤につきましては、2ページ、3ページにございますとおり、魚類についてコイを用いた魚類急性毒性試験、甲殻類について、オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験、藻類につきまして、緑藻を用いた藻類生長阻害試験が実施されております。
4ページに移りまして、環境中予測濃度でございますが、本農薬は製剤として粒剤及び水和剤があり、稲に適用がございますので、4ページの表に示す条件で水産PECを算定しております。
5ページ目、総合評価の欄、御確認ください。各生物種のLC50、EC50は、魚類が848µg/L超、オオミジンコ急性遊泳阻害の48hEC50が989µg/L超、藻類が72hErC50で21.7µg/Lでございました。これらから、最少となります藻類急性影響濃度より、登録保留基準値を21µg/Lと提案させていただきます。
リスク評価でございますが、環境中予測濃度は水田PECTier1が3.8µg/Lでございました。登録保留基準値21µg/Lを下回っていることを確認しております。
本剤につきましては、本年11月11日の平成23年度第4回水産動植物登録保留基準設定検討会において御検討をいただきました。検討会において特段の御指摘はございませんでした。
本剤については以上です。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 ありがとうございました。
それでは本剤について、御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
【白石臨時委員】 特に指摘はございませんので、細かい実験上の手法、そういったところにいくつかコメントがございましたけれども、試験成績に関しては問題ないということとなりました。藻類の試験で若干のカーブが、剤の特性かもしれませんけれども、キリングといいますか、高濃度側でカーブが寝てくるというところがありました。ただ、これは試験の方法で計算した値で用いてよろしいだろうということで、若干毒性が、これ以上のものがあるかもしれないというコメントではありました。以上です。
【森田委員長】 いかがでしょうか。特段御意見ございませんか。
(発言なし)
【森田委員長】 それでは最後の確認ですが、総合評価でございまして、登録保留基準値案は、藻類に対する毒性をもとに21µg/Lとするということでございます。
リスク評価といたしましては、水田のPECTier1で3.8µg/Lですので、登録保留基準値を下回っているという、そういう評価になります。よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 特に御意見がないようでございますので、案のとおりにしたいと思います。
それでは引き続きまして、イプロジオンをお願いします。
【農薬環境管理室係長】 6ページを御覧ください。イプロジオンについて御説明いたします。
イプロジオンは、ジカルボキシイミド系の殺菌剤であり、その作用機構は病原菌の胞子発芽抑制、菌糸の伸長抑制によるものと考えられております。本邦での初回登録は1979年でありまして、製剤は水和剤、くん煙剤が、適用作物は野菜、果樹、いも、豆、芝等でございます。
原体の輸入量は記載のとおりでございます。
各種物性につきましては、表に記載のとおりでございます。
7ページ、水産動植物への毒性でございます。コイを用いました魚類急性毒性試験が実施されておりまして、96hLC50が11,900µg/Lでございました。
8ページを御覧ください。オオミジンコを用いましたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されておりまして、48hEC50が1,820µg/Lでございました。
次に、緑藻を用いました藻類生長阻害試験の結果ですが、72hErC50が10,900µg/L超でございました。
9ページ、環境中予測濃度でございます。製剤の種類及び適用農作物等は記載のとおりで、非水田使用時の第一段階水産PECを表4に記載しております使用方法及びパラメーターを用いて算出いたしました結果、0.11µg/Lでございました。
10ページ、総合評価でございます。各種生物種のLC50、EC50につきましては、記載のとおりでございます。これらから、それぞれの急性影響濃度を算出いたしまして、そのうちの最小となります甲殻類急性影響濃度より、登録保留基準値を180µg/Lと提案いたします。
リスク評価でございます。環境中予測濃度は、非水田PECTier1の0.11µg/Lでございまして、登録保留基準値180µg/Lを下回っております。
本剤の検討経緯でございますけれども、初回の検討は2009年6月19日に、平成21年度第2回水産動植物保留基準設定検討会において御審議いただきまして、そこから2回の検討を経ております。これは甲殻類と藻類の試験におきまして、試験液の被験物濃度の測定に、被験物質の加水分解物も含めて測定している可能性がありまして、その点について状況の確認を行いました結果、両試験をやり直すということになったために時間が経過したものでございます。
本剤につきましては以上でございます。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 ありがとうございます。
白石先生、補足ありましたらお願いします。
【白石臨時委員】 これに関しましては、6ページを見ていただきますとわかりますように、加水分解性がありまして、アルカリ性側で非常に分解が速いということがございました。藻類の試験は大体アルカリ性になるので、アルカリ性による分解生成物まで被験物質濃度に含めて測定しているのではないかという懸念があり、照会したところ、その懸念があるということで、メーカー側で適切に対応していただけたということであります。
以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。
それでは先生方、御意見、コメントございましたらお願いします。
(発言なし)
【森田委員長】 特段ないようでございましたら、最後に総合評価のところの御確認をいただきたいと思います。登録保留基準値案といたしましては、オオミジンコの急性遊泳阻害48hEC50が1,820µg/Lであり、それに対して10分の1を掛けまして、180µg/Lを登録保留基準とするというものでございます。
なお、環境中予測濃度は、非水田PECで0.11でありますので、登録保留基準値180を相当下回っているという結論であります。
いかがでしょうか。原案どおりでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございました。これも原案どおりの評価にするということにしたいと思います。
引き続きまして、インダジフラム、御説明お願いします。
【農薬環境管理室係長】 11ページ、インダジフラムについて御説明いたします。
インダジフラムは、アルキルアジン系化合物の除草剤でありまして、その作用機構は植物の細胞壁を構成するセルロースの生合成の阻害と考えられております。本邦では未登録でありまして、製剤は水和剤が、適用作物は芝として、登録申請されております。
物性につきましては、表に記載のとおりでございます。
12ページ、水産動植物への毒性でございます。コイを用いました魚類急性毒性試験が実施されておりまして、96hLC50が714µg/Lでございました。オオミジンコを用いましたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されておりまして、48hEC50が9,880µg/L超でございました。
13ページ、藻類生長阻害試験でございます。緑藻を用いました藻類生長阻害試験が実施されておりまして、72hErC50が113µg/Lでございました。
14ページ、環境中予測濃度でございます。製剤の種類及び適用農作物は記載のとおりでございまして、非水田使用時の第1段階水産PECを表4に記載しております使用方法及びパラメータを用いて算出した結果、0.0002µg/Lでございました。
15ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は記載のとおりでございまして、それぞれの急性影響濃度を算出いたしますと、そのうち最少となります魚類急性影響濃度より、登録保留基準値を71µg/Lと提案いたします。
リスク評価でございます。環境中予測濃度は非水田PECTier1の0.0002µg/Lであり、登録保留基準値、71µg/Lを下回っております。
本剤の検討経緯でございますけれども、2011年11月11日の平成23年度第4回水産動植物登録保留基準設定検討会におきまして御検討いただきまして、特に問題とされる御指摘はございませんでした。
以上になります。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 白石先生、何か補足することはありますでしょうか。
【白石臨時委員】 これは11ページを見ていただくと、水溶解度が4ppmぐらいです。その中で甲殻類、オオミジンコの試験が水溶解度以上で行われているというところがございまして、この試験成績を採用するかどうかについて議論があったということです。
結果としましては、実測濃度を見ていただくといいのですが、特段、沈殿や析出があったという状態でなく、分散しているということでした。アセトンが0.5ml/Lと、助剤濃度に関するテストガイドラインの基準を超えていたため、ケース・バイ・ケースの判断を求められるところなのですが、この試験は採用してよろしいのであろうということになりました。
以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。それでは委員の先生方、御質問、御意見、コメント。
眞柄先生、お願いします。
【眞柄臨時委員】 後ほどテーマに挙がっています、水質汚濁に係る農薬登録保留基準で、この農薬の基準が50µg/Lとなっていまして、今の水産動植物の基準は71なのですが、行政的に環境省としては、どういうふうな取り扱いになるでしょうか。
【農薬環境管理室室長】 先生御指摘の部分、水質汚濁基準の資料4の8ページでインダジフラムが出されており、基準値は50µgということで、水産とよく似た数字になっております。
当然のことながら、必要に応じて、モニタリングなりの対応という形になっていくと思いますけれども、両方の基準を見ながら調査していくべきと思っています。水産基準の71は、これは最高濃度のデータで、急性影響毒性で見ていますので、ピークでも71µgを超えないよう、また、水濁基準50µgは、これは年間平均値なので、平均で50µgを超えないように、それぞれチェックをしていく形になると思います。
以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。
それではこの剤について、引き続き御質問、コメントがございましたらお願いいたします。
(発言なし)
【森田委員長】 特段、追加の御質問がないようですので、総合評価のところをもう一度見ていただきまして、確認をしたいと思います。
藻類に対する72hErC50が113µg/Lで、コイの急性毒性は714µg/Lで、コイには10分の1掛けますので、71.4が最小の数字となります。それを丸めまして、最終的には登録保留基準として71µg/Lとするというものでございます。
なお、非水田のPECは0.0002µg/Lでありますので、登録保留基準値を大幅に下回っているという、そういう計算になるということでございます。
以上をもちまして、いかがでしょうか、総合評価含めまして、登録保留基準値71µg/Lということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 特段のご異議もございませんので、原案どおりということにしたいと思います。
それでは引き続きまして、チフルザミド、お願いいたします。
【農薬環境管理室室長補佐】 それでは資料16ページを御覧ください。
チフルザミドは、アニリド骨格を有する酸アミド系殺菌剤であり、その作用機構はミトコンドリア内のコハク酸脱水素酵素の働きを阻害することによる菌糸の伸長停止であると考えられております。本邦での初回登録は1997年でございます。
製剤には粒剤及び水和剤が、適用作物には稲及び芝がございます。
物性につきましては、16ページの表のとおりです。
17ページ、水産動植物への毒性でございます。魚類につきましては、コイを用いた魚類毒性試験が行われておりまして、96hLC50が2,230µg/Lでございました。
18ページ、甲殻類に関する試験でございます。オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されておりまして、48hEC50が1,400µg/Lでございました。また、藻類につきましては、緑藻を用いた藻類生長阻害試験が実施されておりまして、72hErC50が1,800µg/L超となっております。
19ページ、環境中予測濃度でございます。本農薬は製剤として粒剤及び水和剤があり、稲及び芝に適用がございますので、水田と非水田、いずれの場面についても、それぞれに水産PECが最も高くなる使用方法について算定をしております。
まず水田につきましては、表4に示すパラメーターより水田PECTier1が9.0µg/Lと算定されております。
また非水田につきましては、20ページの表5を用いまして、非水田PECTier1が0.0046µg/Lと算定されております。
21ページ、総合評価でございます。登録保留基準値(案)は、各生物種のLC50、EC50より最小となります甲殻類急性影響濃度より、登録保留基準値を140µg/Lと提案させていただいております。
リスク評価でございますが、環境中予測濃度は水田PECTier1が9.0µg/Lでございますので、登録保留基準値140µg/Lを下回っております。
本剤につきましては、平成23年度第4回水産検討会で御審議をいただきました。審議において特段の御指摘はございませんでした。
本剤については以上です。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 ありがとうございました。
白石先生、補足することはありますでしょうか。
【白石臨時委員】 特段意見がございませんでした。このままでよろしいかと思います。
1点だけ。このシートをつくる段階で、その化学名というのが少し古い化学名を使っていたので、その化学名を直してくださいという御指摘をさせていただきました。今後、この点に関しては、農水省できちんとしてくるというふうな御回答を得ております。
以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。
それではこの剤につきまして、先生方から御意見、御質問ございましたらお願いいたします。
いかがでしょうか。特段ございませんか。
(発言なし)
【森田委員長】 それでは、21ページを御確認いただきたいと思います。総合評価で、オオミジンコの急性遊泳阻害が48hEC50で1,400µg/L、これが一番低い値で、ここに10分の1を掛けまして、140µg/Lという数字が導出されます。登録保留基準値としては、140µg/Lとするというものであります。
なお、環境中の予測濃度は水田PECTier1で9µg/Lですので、登録保留基準値を1桁以上下回っております。
いかがでしょうか。この総合評価でよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 では、あわせて登録保留基準値は140µg/Lということでございます。原案どおりになるかと思いますので、よろしくお願いします。
では引き続きまして、フルアクリピリムですね。御説明お願いします。
【農薬環境管理室係長】 22ページのフルアクリピリムでございます。
フルアクリピリムは殺ダニ剤でありまして、その作用機構は、ミトコンドリアにおける電子伝達系酵素複合体Ⅲの阻害による呼吸阻害作用であると考えられております。本邦での初回登録は2001年でございまして、製剤は水和剤が、適用作物は果樹がございます。
申請者からの聞き取りによりますと、平成20年度から22年度までに原体の製造及び輸入はされておりません。
物性につきましては、表に記載のとおりでございます。
23ページの水産動植物への毒性でございます。コイを用いました魚類急性毒性試験が実施されておりまして、96hLC50が186µg/Lでございました。
24ページで、オオミジンコを用いましたミジンコ類急性遊泳阻害試験が実施されまして、48hEC50が170µg/Lでございました。
次に、藻類生長阻害試験でございますが、緑藻を用いまして試験を実施した結果、72hErC50が89µg/Lでございました。
25ページ、環境中予測濃度でございます。製剤の種類及び適用農作物は記載のとおりでございまして、非水田使用時の第1段階水産PECを表4に記載しております使用方法及びパラメーターを用いて算出した結果、0.017µg/Lでございました。
26ページの総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は記載のとおりでございまして、それらから、それぞれの急性影響濃度を求めまして、そのうちの最小となります甲殻類急性影響濃度より、登録保留基準値を17µg/Lと提案いたします。
リスク評価でございまして、環境中予測濃度は非水田PECTier1、0.017µg/Lでございまして、登録保留基準値17µg/Lを下回っております。
本剤につきましては、平成23年度第4回水産検討会において御審議いただきまして、その際にミジンコを用いました急性遊泳阻害試験のEC50の算出方法につきまして、試験結果が、設定濃度160µg/Lの阻害率が半数を超えているけれども、EC50が170µg/Lであることについて、計算方法等について御審議いただきましたけれども、計算上は問題ないということで、試験成績、そのまま採用していただいております。
以上になります。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 ありがとうございます。
それでは白石先生、補足ありますでしょうか。
【白石臨時委員】 特に追加することはございません。
【森田委員長】 はい、ありがとうございます。
それでは委員の先生方、御意見、御質問ございましたらお願いいたします。
【染臨時委員】 これ、EC50なりLC50を出すときの数値ですけど、設定濃度を使うものと実測濃度を使うものがある。魚類、甲殻類、藻類、これを見ると非常に入り乱れていますよね。1番目から3番目の剤も同じように、その時々によって設定濃度を使うか、実測濃度を使うかで非常に違っています。これは一定のルールがあるのか。あるいは、一定の考え方でおやりになっているのかどうなのか。この辺を教えていただきたいと思うのですが。
と申しますのは、これは最終的にリスク評価のところは全然関係ないのですが、この登録保留基準値17を出すときに、実測濃度でやったらもっと低くなるのではないかという感じがするので御質問します。
【農薬環境管理室係長】 基準値の設定の際のEC50、またLC50の算出に使う数字は、実測濃度が設定濃度に対しまして±20%以上変動していない場合には、設定濃度を用いてLC50又はEC50を算出してもよいということになっております。それは、どちらで計算したかは、そのルールに従っておれば、どちらでもよいということになっています。ただ、その数字が妥当であるかということを検討会なり、小委員会で御検討いただいて、その数字をお認めいただくかどうかということになっております。
【染臨時委員】 それは、剤ごとに統一はしてないのですか。
【農薬環境管理室係長】 統一はしておりません。試験成績ごとに、同じ農薬でございましても、設定濃度に対して実測濃度が変動、大きい場合と小さい場合とありまして。
【染臨時委員】 実態的にこの数字を見て、今おっしゃった2割を超えているか、超えていないかという判断で見ても、2割以内におさまっているにもかかわらず、設定濃度と実測濃度の使い方がばらばらですよね。
【農業環境管理室室長】 いわゆる、実測濃度を使うときの法則としては、先ほど申し上げましたとおり、設定濃度の20%を超えた場合は実測濃度を使いなさいという形にしています。
要は、20%以内におさまった場合は、設定濃度を使おうが、実測濃度を使おうが、それは申請者で御判断いただくことになりますので、20%以内におさまった場合は設定濃度の場合もあれば、実測濃度の場合もあるという形です。それはそれぞれ申請者が判断いただくということで整理をさせていただいています。
【染臨時委員】 理屈はわかるのですけど、ただ、少なくとも剤によって統一的にやっておくべきではないかという気がするのです。それは剤によって、2割を超えている、超えていない。その辺を統一すべきではないか。
【白石臨時委員】 一概に剤によっては統一することはできなくて、流水で試験をやる場合もあるし、止水してやる場合もあります。そのため、同じ剤でもいろんな試験方法がありますので、剤によって統一するということは多分できないと思います。
その試験の成績を見ながら決めていくことになると思うのですが、同じ止水式で吸着しやすいものもあるし、しにくいものもある。
【染臨時委員】 ただ、このフルアクリピリムを見て、魚類と甲殻類と藻類、これをそれぞれ変えている理由というのはよくわからないのです。それはたまたまやっている試験研究機関が違うぐらいの話でしょうね。他の1番目、2番目、3番目の剤も同じようにそういうのが見られますのでね。
まあ、その辺はおおらかなのですね。
【白石臨時委員】 実測のデータが正しいかと言われると、必ずしも正しくない場合もあってですね。その剤の性質から、これが安定しているものだということが明らかであれば、設定濃度が確からしい場合もあるということです。
【染臨時委員】 まあ、そういうこともありますよね。
【白石臨時委員】 そういったことで、少しばらばらしているかもしれませんが。
【染臨時委員】 原則はわかりましたので。原則だけ。
【森田委員長】 いいですか。しかし何か、原則は申請者の数字をベースに議論をするということになっておるのですが、でも、やり方を統一しておいたほうがいいのではないかという意見は、当然あり得るだろうと思われますが。
一応、上路先生、こういうふうにおおらかにやるということで、よろしいでしょうか。
【上路臨時委員】 そう言われると。
【山本臨時委員】 おおらかじゃない。
【森田委員長】 おおらかじゃないですか。
【山本臨時委員】 おおらかじゃないので。たまたまこのデータは、今の実測濃度が設定濃度の2割外れているというデータが、藻類のところでは7.78というデータが1個あるから、これはもう実測でやらないといけないという話ですよね。
実際に今見ているデータで言うと、そろえたほうがいいのではないかという話になりますけれども、実測濃度がもっともっと低い場合があるわけです。3割低い場合、4割低い場合。そういうケースのときでも、設定濃度を使うのかという話になって、それはおそらく無理だろうという話ですよね。ですから、基準はどこかでやっぱり定めておかないといけなくって。
このオオミジンコと魚のところは2割超えてないので、設定濃度を使ってやりましょうと。ただ、藻類のところは、1カ所2割超えているところがあるので実測濃度を使いましょうと。これは超えたといったって、22%ぐらいではないかと。これを言い出すと、それでは、どこまでやるのだという話になりますから。これはその基準というか、決めたやり方でやらなくては、しょうがないのではないかなと。決して、おおらかでやっているわけではないということです。
【森田委員長】 おおらかということの意味なのですが。
【染臨時委員】 そういうふうにおおらかじゃないとおっしゃるなら、例えばもとに戻ってインダジフラムですか。これも魚類と甲殻類、違うのですよ、設定濃度と実測濃度が。これは実測濃度を使っているのは、2割超えているのはないですよ、これは。
【山本臨時委員】 何ページですか。
【染臨時委員】 12ページですね。
【山本臨時委員】 魚ですか。
【染臨時委員】 甲殻類です。甲殻類は実測濃度を使っていて、魚類は設定濃度を使っている。
【白石臨時委員】 これは懸濁しているので、設定濃度が維持されているかどうかわからないところがあって、それで実測濃度を用いている。
【上路臨時委員】 確かに指摘されれば、その次の13ページの藻類は実測濃度、これだったら溶解度、大丈夫だと思うんですよね。不揃いになっているようだったら、御指摘のとおりでございます。
【染臨時委員】 原則はわかりましたので、結構です。基本的に結論にそれほど変わりがあるわけではありませんので。
【森田委員長】 ありがとうございました。
とりあえず現状のルールで求められた数字であればよろしいということで、よろしいでしょうか。
それでは、他にございませんか。
(発言なし)
【森田委員長】 ただ、大きな数字、ギャップが出てきそうなときは、少し気を付けていただくということにしたいと思います。
それでは最終の確認になりますが、24ページの総合評価といたしましては、オオミジンコの急性遊泳阻害170µg/LというEC50に基づきまして、その10分の1の17µg/Lというのが登録保留基準として導出される数字になります。
なお、リスク評価としては、環境中予測濃度として、非水田PECが0.017で、これはずっと下の数字になるということであります。
原案どおりの評価、それから登録保留基準値の設定ということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 特にご異議もないようでございますので、原案どおりということにしたいと思います。
それでは、5剤の水産動植物被害防止に係る登録保留基準の設定についての審議をこれで終わりたいと思います。
それでは引き続きまして、議事の2番目になります、水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入りたいと思います。
それでは、事務局からの御説明をいただきたいと思います。
【農薬環境管理室主査】 それでは資料4を御覧ください。資料4は、水質汚濁に係る農薬登録保留基準値(案)に関する資料でございます。作用機構等と総合評価を重点的に説明させていただきます。それでは、資料4に沿って1剤ごとに説明させていただきます。
まず1ページを御覧ください。アミスルブロムでございます。
本剤の物質の概要は記載のとおりでございます。
作用機構でございますが、アミスルブロムは、スルファモイルトリアゾール骨格を有する殺菌剤であり、その作用機構は、卵菌類のミトコンドリア内電子伝達系複合体ⅢのQiサイトの阻害です。本邦での初回登録は2008年です。
製剤は粉剤及び水和剤が、適用作物は果樹、野菜、いも、豆、花き、芝等がございます。
原体の生産量については記載のとおりでございます。
次のページにまいりまして、各種物性については表に記載のとおりです。
安全性評価につきまして、食品安全委員会は平成21年9月10日付けでアミスルブロムのADIを0.1mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。この値は、イヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量10mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。こちらの評価資料(案)については、参考資料2として配布しておりますので、適宜御参照ください。
3ページにまいりまして、水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございますが、本剤は非水田農薬として使われており、水濁PECが最も高くなる使用方法について表のパラメーターを用いて水濁PECを算出いたしました。その水濁PECの算出結果は3ページの下の表にございますとおり、0.000070mg/Lと算出しております。
4ページにまいりまして、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値(案)としまして、表の中の算出式により、ADIに基づき算出しました結果、公共用水域中の水中における予測濃度に対する基準値として0.2mg/Lを提案させていただきます。
参考でございますが、水質に関する既存の基準値はございません。
2のリスク評価でございますが、本剤の水濁PECTier1は0.000070mg/Lであり、登録保留基準値0.2mg/Lを超えないことを確認いたしました。
参考でございますが、本剤の食品経由の農薬理論最大摂取量は、1.3mg/人/日で、対ADI比で25%となり、ADI比8割未満となっております。
以上で事務局からの説明を終わります。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 ありがとうございました。
それでは、このアミスルブロムの薬剤につきまして、御意見をいただきたいと思います。
【細見臨時委員】 単純な質問ですが、卵菌類って一体何でしたかね。
【森田委員長】 卵菌類の御説明を。
【上路臨時委員】 私も卵菌類が何か分からなかったので少々調べてみたのですけれど、そういう分類らしいのです。結局、べと病菌や卵菌類、そういう菌のグループらしいです。この菌からどういう病気が出るのかというほうがむしろ問題で。野菜のべと病やばれいしょの疫病、根こぶ病、そういうところに関係するということがいわれています。
だから、先生がおっしゃるような卵菌類は一体何ぞやというのは、菌の分類上の名前だと。私も専門じゃないものですから。むしろ山本先生が分類については詳しいのではないでしょうか。
【山本臨時委員】 藻菌類、担子菌類、子嚢菌類といったカビの分類では、藻菌類に非常に近いところのグループです。だから、担子菌類や子嚢菌類と比べて下等生物と言えば下等生物なのでしょうかね。今言われた、べと病菌や、Phytophthoraなど、ああいうグループのものです。
【上路臨時委員】 そういう菌です。どんな生理機構なのでしょうか。
【山本臨時委員】 それでは、生理機構がどうだと言われても、そこまで私もわかりません。形態的な分類ですから、基本的には。
【森田委員長】 いかがでしょうか。御質問ございませんか。
(発言なし)
【森田委員長】 それでは、特段ないようでしたらとりあえず復習をして、まとめをしたいと思います。
食品安全委員会から通知されている1日許容摂取量ADIは、体重1kg当たり0.1mgであるということ。それを平均体重、それから10%配分、水の量2Lという通例に従いまして、計算すると、0.266mg/Lという数字になり、それを少し丸めまして0.2mg/Lが計算される登録保留基準値ということになります。
なお、関連いたしまして、水濁PECを評価いたしますと、0.000070mg/Lということで、登録保留基準値を大幅に下回っているということでございます。
食品経由の農薬理論最大摂取量とADIの比率というのを計算しますと、25%というのが参考として出されています。
以上、総合評価ですが、とりあえずというか、最終的に登録保留基準値としては0.2mg/Lという数字でよろしいでしょうかということですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございます。それでは原案どおり承認ということにしたいと思います。
それでは、次の剤に行きます。インダジフラム、お願いします。
【農薬環境管理室主査】 資料の5ページを御覧ください。インダジフラムでございます。
物質概要については、表に記載のとおりでございます。
作用機構につきましては、インダジフラムは、アルキルアジン系化合物の除草剤であり、その作用機構は植物の細胞壁を構成する不溶性セルロースの生合成の阻害と考えられています。本邦では未登録です。
製剤は水和剤が、適用作物は芝として登録申請がなされております。
各種物性等については、表に記載のとおりでございます。
6ページにまいりまして、安全性評価でございますが、本剤は食用農作物への適用が申請されておらず、食品安全委員会による食品健康影響評価は行われておりません。このため、非食用農作物専用農薬安全性評価検討会におきまして、非食用ADIを設定しております。非食用ADIにつきましては、インダジフラムの各種試験成績の評価結果に基づき、0.02mg/kg体重/日と設定いたしました。この値はイヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量2mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
非食用農作物専用農薬安全性評価検討会での評価につきましては別紙、こちらの資料の9ページ以降の安全性評価資料を御覧ください。この別紙のまとめは総合評価として32ページにまとめており、各試験における無毒性量及び最小毒性量の表が33ページの表30に記載しております。
簡単に概要を申し上げますと、動物体内運命試験の結果、本剤は投与後速やかに吸収され、排泄されております。主要排泄経路は低用量では尿中及び胆汁中、高用量では糞中です。組織への分布については、肝臓及び皮膚に多く分布しているものの、速やかに消失し、組織残留性及び組織蓄積性は認められておりません。
毒性試験の結果では、イヌを用いた90日間亜急性毒性試験で、痙攣発作等が、ラットを用いた90日間亜急性神経毒性試験で振戦等が認められるなど、神経に影響が認められております。また、マウスを用いた2年間発がん性試験において、小葉中心性肝細胞空胞化の増加などが認められるなど、肝臓に影響が認められております。発がん性繁殖能への影響、催奇形性及び遺伝毒性は認められておりません。
では、6ページに戻っていただきまして、水質汚濁予測濃度でございますが、本剤は非水田農薬として水濁PECが最も高くなる使用方法について、表に示すパラメーターを用いて水濁PECを算出いたしました。水濁PECの算出結果については7ページの表中にございますとおり、0.0000020mg/Lになります。
次のページにまいりまして、総合評価でございますが、表中の算出式を用いまして、非食用ADIから登録保留基準値(案)を算出しまして、0.05mg/Lと提案させていただきます。
参考ですが、本剤に関する水質に関する既存の基準値はございませんでした。
2のリスク評価でございますが、本剤の水濁PECTier1は0.0000020mg/Lであり、登録保留基準値0.05mg/Lを超えないことを確認いたしました。
以上で説明を終わります。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 ありがとうございました。
この剤につきましては、ADIが付与されておりませんので、別途評価をいただいたということであります。
これは井上先生、何かございますか。
【井上(達)臨時委員】 特に。
【森田委員長】 特段なければ。
【井上(達)臨時委員】 そうですね。これ、いかがでしたか。
【森田委員長】 吉田先生。
【吉田専門委員】 では、申し上げます。特段、私も問題がないと思いますが、げっ歯類はむしろ毒性が弱く、イヌで若干神経毒性のような症状が出るということで、イヌの慢性毒性からADIが設定されております。しかし、発がん性、催奇形性等は見られないという剤でございます。もちろん、遺伝毒性もございません。
以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。他にございませんか。
それでは、専門委員の先生からどうぞ。
【内田専門委員】 すみません、1点ですけれども構造式を少し確認して下さい。多分、このトリアゾールの6位のフルオロエチルは「1RS」と書いていますね。だから平面でないといけないと思う。破線になっているところが、実線がいいのではないかと。確認してもらって、正しいほうに修正をしてもらったら有難い。
【農薬環境管理室主査】 確認いたします。ありがとうございます。
【森田委員長】 少々フォローし切れなかったのですが。「F」というのは、平面から上に行っている。
【内田専門委員】 これは下に向いているように書いていますけれど、本当は両方を含み、立体表示が不要になりますよね。だから特にこういうように立体的に書く必要はないと思うのです。
【上路臨時委員】 RSだからね。
【内田専門委員】 全般にこれは間違っているような気がするので。
【農薬環境管理室室長】 申請者に間違いなかったか再度確認させていただいて、修正が必要なら修正させていただきます。
【森田委員長】 それはだから、どちらか一方だけ確実に書いてあると。だから、まざりものだという認識ですね。
【内田専門委員】 そうですね、こっちはまざりもので、片一方だけが書いてあります。
【森田委員長】 ありがとうございました。他にいかがでしょうか。 (発言なし)
【森田委員長】 それでは復習いたしますと、非食用を許容一日摂取量といたしまして、0.02mg/kg体重/日。これを定例に従いまして計算いたしますと、0.0533mg/Lという導出が出されまして、それを丸めて0.05mg/Lというのが基準値(案)ということになります。
なお、リスク評価としますと、水濁PECの計算は0.0000020mg/Lでありますので、極めて低いところにあるということでございます。
こういう保留基準値(案)ということですが、これでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それではご異議はございませんので、承認ということにしたいと思います。
それでは引き続きまして、次の剤、お願いいたします。
【農薬環境管理室主査】 38ページを御覧ください。インドキサカルブMP及びインドキサカルブでございます。
それぞれの剤について、物質概要については表に記載のとおりでございます。
39ページ、作用機構でございますが、まずインドキサカルブMPについては、オキサジアジン骨格を有する殺虫剤であり、その作用機構は、昆虫の神経軸索に作用し、神経膜のナトリウムチャネルの機能を阻害して神経系を麻痺させ、昆虫を死に至らしめるものと考えられています。
インドキサカルブMPは、光学異性体のS体とR体を等量有するラセミ体でございますが、殺虫活性を有するのはS体のみであります。本邦での初回登録は2001年です。
製剤は、粉剤及び水和剤が、適用作物は果樹、野菜、豆、花き、樹木、芝等がございます。
申請者からの聞き取りによる国内生産量、輸入量については記載とおりでございます。
次に、インドキサカルブにまいりまして、インドキサカルブの作用機構については、インドキサカルブMPと同様でございます。ISO一般名における「インドキサカルブ」とは光学異性体のうち殺菌活性を有するS体のみを示しますが、本評価書における「インドキサカルブ」とは、インドキサカルブMPの光学異性体のうち、殺虫活性を有するS体の割合を高め、S体とR体の比率を約75:25としたものです。本邦での初回登録は2010年です。
製剤は水和剤が、適用作物は果樹、野菜、いも、豆、花き等がございます。
申請者からの聞き取りによりますと、平成22年9月現在、国内では流通していないとのことです。
次のページにまいりまして、各種物性でございますが、インドキサカルブMP、インドキサカルブの物性については、表に記載のとおりでございます。
41ページの下にまいりまして、安全性評価でございますが、食品安全委員会は平成20年4月3日付で、インドキサカルブのADIを0.0052mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量1.04mg/kg体重/日を安全係数200で除して設定されております。こちらの安全性評価書につきましては、参考資料の3として配付しておりますので、適宜御参照ください。
42ページにまいりまして、水質汚濁予測濃度でございますが、こちらの水濁PECを計算する際に、非水田農薬としてインドキサカルブのMP単用、インドキサカルブ単用、並びにインドキサカルブのMP及びインドキサカルブを併用した場合における使用方法の中で水濁PECが最も高くなる使用方法について表のパラメーターを用いて水濁PECを算出いたしました。
その結果でございますが、42ページの2の表に記載しておりますとおり、水濁PECは0.000022mg/Lと算出されました。
43ページにまいりまして、総合評価でございますが、水質汚濁に係る登録保留基準値(案)として表中に記載の算出式を用いて算出しましたところ、0.013mg/Lとなりました。
参考でございますが、水質に関する基準値につきましては、インドキサカルブ、インドキサカルブMPともに既存の基準はございませんでした。
リスク評価にまいりまして、水濁PECTier1は0.000022mg/Lであり、登録保留基準値0.013mg/Lを超えないことを確認いたしました。
参考の食品経由の農薬推定一日摂取量でございますが、0.11mg/人/日と対ADI比で41%と算出されています。80%を超えないことを確認いたしました。ただし、厚生労働省で基準を定めております残留農薬基準については、インドキサカルブの光学異性体のS体とR体の和として設定されております。
以上で事務局からの説明を終わります。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 ありがとうございました。
それではこの剤につきましての御質問、御意見をお願いしたいと思いますが。
私から一つだけ、少々確認をしたいのですが。農薬評価書の中にも、インドキサカルブについて、これがラセミ体、あるいはS体、幾つかの記述があるのですが、そこで記載されている内容を含めまして少しお伺いしたかったのは、この毒性の評価に使った物質と、それから今議論している物質とは、不純物というか、その濃度が微妙に違っているような気がするのですが。微妙に違うというか、そこの同一性をどういうふうに明示しておくかという、何か要るのかなという感じが少々したので。そのあたりどういうふうにお考えになっていますか、事務局で。
【農薬環境管理室補佐】 食品安全委員会の農薬評価書、参考資料3でございますが、こちらの資料はあくまでもインドキサカルブ、S体対R体が75対25のものについてということで作成されております。ただ、こちらで使用している試験成績は、多くのものがインドキサカルブMPによる試験成績で代替されておりまして、長期の試験については特にほとんどがインドキサカルブMPによる試験成績でもって代替し、このインドキサカルブのADIをつくるという構成になっております。
これは、この評価書に関する厚労省から食安委への諮問自体がインドキサカルブに対するADI評価を依頼するという形で出されているので、このようにインドキサカルブについての評価書という形で厚労省へ回答されているのですけれども、試験成績自体はほとんど、多くがインドキサカルブMPを使ったものとしてつくられたということです。
厚労省の残留基準値も、インドキサカルブとインドキサカルブMPの双方を想定した、つまりS体とR体の合計として見たときの残留基準という形で設定しておりますので、当方の水濁基準の評価書においてもインドキサカルブとインドキサカルブMPを両方ともこちらのインドキサカルブについての評価書で導出されたADIをもって設定してよいものと考えました。
以上です。
【中杉委員】 確認ですけれども、今はS体75%、R体25%のものをインドキサカルブと呼んでいますね。今回もその評価をしている。ということで、インドキサカルブ、S体が100%というものが出てきたときは、これは新規登録になると。そうしないと毒性が当然違うわけだから、評価が変わってくる。そこら辺は確認をしておいてもいいかと思いますが、どうなのでしょうか。
【森田委員長】 お願いします。
【上路臨時委員】 非常にわかりづらいかと思います。それで、参考資料の3の食安委から出した35ページを見ていただきますと、インドキサカルブMPというのがラセミで1対1で入っていて、それでインドキサカルブというのがSとRが、効くほうが75で、あまり活性のないほうが25だと思いますけれども。35ページの3行目から、今、事務局から説明がありましたけれども、多くの毒性試験がインドキサカルブMPとして試験をやってきたということが出ていました。それで、インドキサカルブとインドキサカルブMPの同等性、これが完全には証明されていないと判断し、安全係数200ということで、そこでADIを少々厳しくしたというふうに記憶しております。
【吉田専門委員】 補足いたします。このときは34ページの表28を見ていただくと一番わかるのですけれども。同じ試験をインドキサカルブMPとインドキサカルブそのものの両方ではやっていないものですから、厳密な比較ができなかったということだと思います。しかし、これを見る限りはそう大きくは変わっていないだろうということで、安全係数をさらに2ということを追加して、200で判断したというように私も記憶しています。補足です。
【農薬環境管理室補佐】中杉先生の御指摘にございました、原体のS体とR体の比率が変わる場合、つまり製造方法が大きく変わって、S体100%というような原体が開発された場合でございますけれども、その場合は新規の原体に関する申請ということで、毒性試験成績もケース・バイ・ケースで代替を認める場合というのも出てくるとは思いますけれども、原則としては必ず毒性試験を、その原体について行ってやるということが求められておりますので、それでまたADIを変える必要があるということになれば、食安委に再評価という形になると承知しております。
【眞柄臨時委員】 試験法はどうなっているのですか。要するに、公共用水域の水中の農薬を、この農薬を測定するときに、S体とR体と両方測れる試験法を適用して0.013という基準値に照らして、いかがかということを判断するのですか。
【農薬環境管理室室長】 恐らく先生御指摘は、その濃度ではR体とS体と分けて測れるわけないではないかという話だと思いますので。実際に例えば分析するという話になれば、R体もS体も両方合わせたものを分析して、0.013という判断基準と比較して評価するという形にせざるを得ないのではないかなと思いますけれども。
【眞柄臨時委員】 ですから、たしか今までもあったと思うのですけれど、これに類するやつは。それについてはやはりこの0.013を判断する際には、S体とR体と両方測定できる試験法を適用するとか何とかというのを入れないと。
ただ、先ほど御紹介がありましたように、不確定係数2を足しているので、ですから2を足しているから1対1のときにはどっちか測れば、他でそれ以下だからという理屈はないわけでもないでしょうが。しかし、実際にこの評価書を見ても、環境中に流出してからどれだけの間にそれが変化するかどうかという試験が、この評価書の中には出されていませんので。
そういう意味ではやはり、あくまでもこれは水質汚濁に係る登録保留基準値であって、この基準値に適合しているかどうかというのが、都道府県を中心にした試験研究機関に測定をされるわけですから。測定した結果を評価する際に、水濁基準のもととなったADIを導出するときに、要するに食安委は両方考慮していますよということですから、やはり、試験法には両方測れるようなものと書いておいたほうがいいのではないかという印象を持ちました。それは、御判断はお任せしますけれども、そういう気配りも必要かなと思います。
【中杉委員】 それで仕方がない、それ以上のことはできないだろうと思いますが、光学異性体は環境中へ入ったときに、基本的には振る舞いがかわってくるわけですね。例えば、生物の体内に入るとその中心に集まったりしていて。異性体比が違うものが出てきたときに、明らかに環境中では異性体によって生物で濃縮される割合が違ってくる。そうすると蓄積性の高いものだけが生物に濃縮される、あるいは魚に残留するという形になったりすると問題が出てくる。だからどうするのだという話は、非常に難しいと思います。だから、それは安全係数2という中に入れて、やるしかないのだろうと思います。そういうことはあり得るということを少し頭に入れておいたほうがいいかなというふうに考えます。
【内田専門委員】 少々いいですか。この評価書の18ページ、19ページ見てもらえば分かると思いますが、作物残留試験にしても同様、残留試験にしても、S体とR体をそれぞれ分けて測定していますよね。ですから、測れるのです。
【眞柄臨時委員】 測れるのですよ。
【内田専門委員】 だから、先ほどの御指摘の懸念は多分ないのではないかと私は思いますが。
【眞柄臨時委員】 それは分けて測った合計値がこの数値だというふうに脚注でもつけていたたければ。
【内田専門委員】 多分そうですし、そのとおりだと思います。
【森田委員長】 まだでも少し、根本的に大丈夫かなと思うのは、要するにR体とS体の毒性は全然別個のものだという観察も、考え方もありますよね。したがって、この評価書そのものが、似たようなものだという前提に立っているのだけれど、その前提を証明する情報というのがほとんど出されていないように見えますが、いいですかね。
【内田専門委員】 ミックスチャーとして毒性を見ているという考え方という話でしょう。
【森田委員長】 ミックスチャーは見えていますが、しかし……。
【内田専門委員】 両方とも見えているというふうな理解のされ方ですよね。
【森田委員長】 それはでも、何が支配的な要素のことや、そういうことを全然今、考慮していませんよ。
【内田専門委員】 しかし、いずれにしても、すべてをこういう具合にして評価するでしょうと。R体もS体も入っているのだから。
【森田委員長】 そうなのだけれど、少々何か、ある剤は75%の剤といい、ある剤は50、50でやっていて、それが双方の結果が、RあるいはSに換算してほぼ同等の毒性だという結果であれば、それが近いかもしれません。そのあたり、少々整理を吉田さん、お願いします。
【吉田専門委員】 私もきちんと記憶してないのかもしれないのですが、毒性試験に関しましては、同じ試験を別々にやっているものはないのですが、薬物動態につきましては比較しているものがあったと思います。体内分布、代謝物の測定につきましては、両方でやっているのがあります。
全く違うものというようにはとらえて判断はしていないと思います。私どもが2を掛けたのは、同じものを比較できれば、「これはほぼ同じような毒性だね」とわかったのですけれど、その毒性試験でかぶっているのが一つもないので、それであえて全く同じというようにするにはあまりにそれはデータが不足しているのではないかというのを、データの不足の2としたというように記憶しているのですが、上路先生、いかがでしょうか。
【上路臨時委員】 そのとおりだと思います。いろんな試験、この食安委のデータを見ますと、中杉先生が御指摘のように、動物体内でどちらかが非常に代謝されやすいことや、そういう差が、やっぱりあるのです、R体とS体で。だからそうなってくると全く同一であるというふうには思えないという気がします。ただし、それがどれだけの差があるのかというところが、データがないというところで、追加係数をかけたということになっているのだと思います。
だから、本来は別々にやらなくてはいけないのかもしれません。
【内田専門委員】 同一とは言ってないと思う。ただ両方一緒に入れて毒性を見ているから、両方の影響が出るだろうという理解でいいのですか。
【上路臨時委員】 そういうことです、先生。
【山本臨時委員】 それはわからない。それは食安委が考えること。
【上路臨時委員】 でも1対1が同じかというと、違うのです。
【内田専門委員】 それは違うのですけど、しかし両方包含しているというような意味で、非常に強い物があれば、それは全部わかるだろうという理解でやっているのですよね。
【上路臨時委員】 そうですね。
【森田委員長】 少々しつこくて申し訳ないのですが、とりあえず、例えばこれは頭の体操になってしまいますが、この物質は実はR体だけが効くのか、そうですね。S体だっけ。
【吉田専門委員】 S体です。
【森田委員長】 S体だけが効くのです。それでR体は効かないと。だから、S体だけが毒性を持ち、S体は全く毒性を持たないという、そういうケースも考えられますね。
もしそういうふうに考えたときに、この動物実験というのは、そもそもこの数字を出すのにふさわしい、一致性を持っているだろうかという、そういう話なのですが。
【内田専門委員】 でも、マックス2だということですね。
【眞柄臨時委員】 それをだから、2でいいのかどうかというのは、それは食安委の判断でしょう。2なのでしょうけれども、我々がコメントできない。それはもう、食安委の御判断だから。
【森田委員長】 それはそうなのです。それはそうですが……。
【眞柄臨時委員】 だから、50だったものが100で出るかもしれないから最大50、50で2にしました。それはそれで理屈はあるとは思うのです。それをね、もう少し足して3にしたら。それはもう我々はコメントできない。プロがそれでいいじゃないのと言われたら、もうしようがないですよ。
ただ、環境サイドとしては環境に出たときの濃度は両方あるから、それは両方測ってくださいと。それで基準値と照らして環境中の濃度がいかがかという評価のときには、違いますよということだけは、僕は明記しておけば、少なくともこの剤に関してはそれでいいのではないか。
ただ、S体だ、R体だというのがまた出てくれば、それはもう環境省が言われるように、それぞれもう一遍毒性評価やってくださいということではないかと。そう思わざるを得ないと私は思いますが。
【森田委員長】 はい。
【中杉委員】 この農取法のやり方の上では、文献上ではこれでしようがないだろうと。2を見ることで安全を見ているというふうに解釈せざるを得ないと思う。ただ、先ほど私が申し上げたような話がありますので、環境省が調査をやるときには、例えば環境中のR体、S体を分けて測って、その比率が実際に今使っている75対25と違わないのか、あまり違わないのかということは確認をしていただいたほうがいいかというふうに思います。
【森田委員長】 でも、何ていうか、ある定数を分けないで1本のピークとして数えちゃうというのもありますよね。だめですか。
【眞柄臨時委員】 それは少々危険ですね。だから、そうでない試験方法をやっぱり準備してもらわないと。
【森田委員長】 そうですか。
それでは、少々議論がありましたけれど、とりあえず最後にもう一度御確認をいただきたいのですが。
ADIが0.0052mg/kgという、この中には濃度の不安定さに関するセーフティー・ファクターが入っているということのようであります。それに基づきまして、計算される濃度といたしまして、0.013mg/Lという数字になります。
それからなお、水濁PECから計算される数字というのは0.000022ということで、登録保留基準値の(案)に対しまして超えないということでございます。
43ページにあります、この総合評価でよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは、これは承認ということで。
どうぞ。
【内田専門委員】 一つだけ、ケアレスミスですけど。39ページのさっき読まれたところ、「殺菌活性」と読まれていたところです。
【森田委員長】 「殺虫活性」ですね。10行目ぐらいですね。下は「殺虫」になっていますが。
それでは、総合評価はこれでよろしいということにしたいと思います。
【農薬環境管理室補佐】 確認させてください。先ほど基準値について「S体とR体の和として」という形で明示するようにというお話ございましたが、この総合評価の1の基準値(案)の注釈として、この基準値はS体とR体の和として設定されたものであるということを書かせていただくということでよろしいでしょうか。
【森田委員長】 はい。よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは、そのようにお願いいたします。
それでは、引き続きましてスピノサド、御説明をお願いします。
【農薬環境管理室主査】 44ページを御覧ください。スピノサドです。
スピノサドは、スピノシンA及びスピノシンDの混合物です。スピノシンA及びスピノシンDの物質概要については、表に記載のとおりでございます。
次のページにまいりまして、作用機構等でございますが、スピノサドは、土壌放線菌由来のマクロライド系殺虫剤であり、その作用機構は明らかでございませんが、ニコチン性アセチルコリン受容体の活性やGABA受容体の機能に影響し、昆虫の神経伝達系に関与し、不随意筋の収縮を引き起こすものと考えられています。スピノサドは、スピノシンA及びスピノシンDの混合物で、原体中にはそれぞれ72%及び4%以上(2成分の合計で82%以上)含まれております。本邦での初回登録は1999年です。
製剤は粒剤及び水和剤が、適用作物は稲、果樹、野菜、花き、芝等がございます。原体の輸入量については記載のとおりです。
各種物性等についてもスピノシンA、スピノシンDで分けて表に記載しております。
46ページにまいりまして、安全性評価でございますが、食品安全委員会は、平成22年4月8日付けで、スビノサドのADIを0.024mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。なお、この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量2.4mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。こちらの農薬評価書については、参考資料4として配付しておりますので御参照ください。
次のページにまいりまして、水質汚濁予測濃度でございますが、本剤は、水田及び非水田いずれの場面においても使用されるため、それぞれの場面ごとに水濁PECが最も高くなる使用方法について表のパラメーターを用いて水濁PECを算出いたしました。
その算出結果でございますが、48ページの表に記載のとおり、水田使用時に0.001331mg/L、非水田使用時に0.000035mg/L、合計0.0014mg/Lと算出しております。
総合評価でございますが、水質汚濁に係る登録保留基準値(案)として表中の計算式を用い算出しまして、0.063mg/Lと提案させていただきます。
参考ですが、本剤の水質に関する既存の基準値についてですが、(旧)水質汚濁に係る登録保留基準として、0.6mg/Lが設定されております。
次のページにまいりまして、リスク評価ですが、本剤の水濁PECTier1は0.0014mg/Lであり、登録保留基準値0.063mg/Lを超えないことを確認いたしました。
参考の食品経由の農薬推定一日摂取量でございますが、0.43mg/人/日と対ADI比で34%となっており、80%を超えていないことを確認いたしました。
事務局より説明は以上です。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 御説明ありがとうございました。
それでは、この剤につきましての御質問、御意見をお願いいたします。ございませんか。
(発言なし)
【森田委員長】 それでは、総合評価を見ていただきまして、ADI0.024mg/kg体重/日から情報により算出されてきた基準値案が0.063mg/Lであります。なお、関連して行いましたリスク評価で水濁PECは0.0024でありまして、従いまして登録保留基準値の50分の1ぐらいの数字でありますので、リスクは低いというふうに推定されるということのようであります。
いかがでしょうか、総合評価、原案どおりでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、これは原案どおりということで、次へいきたいと思います。
トリフロキシストロビン、お願いいたします。
【農薬環境管理室主査】 50ページを御覧ください。トリフロキシストロビンです。
物質概要については、表に記載のとおりでございます。
作用機構でございますが、トリフロキシストロビンは、ストロビルリン系の殺菌剤であり、作用機構はミトコンドリアのチトクロームb及びc1間の電子の伝達阻害であると考えられています。本邦での初回登録は2001年です。
製剤は水和剤が、適用作物は果樹、野菜、芝等がございます。
原体の輸入量は、記載のとおりでございます。
次のページにまいりまして、各種物性については表に記載のとおりです。
Ⅱの安全性評価ですが、食品安全委員会は、平成23年6月16日付けで、トリフロキシストロビンのADIを0.05mg/kg体重/日と設定しております。この値は、イヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量5mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。この評価書については、参考資料5として配付しておりますので御参照ください。
次のページにまいりまして、水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございますが、本剤は非水田のみの適用がございまして、水濁PECが最も高くなる使用方法について、表中のパラメーターを用いて水濁PECを算出しました結果、表中にございますとおり、水濁PECは0.000073mg/Lと算出されました。
53ページにまいりまして総合評価でございますが、水濁汚濁に係る登録保留基準値(案)をADIの値をもとに表中の算出式に従い算出した結果、0.1mg/Lとなり、この値を提案させていただきます。
本剤に関する既存の水質に関する基準値はございません。
リスク評価でございますが、本剤の水濁PECTier1は0.000073mg/Lであり、登録保留基準0.1mg/Lを超えないことを確認いたしました。
参考の食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、0.78mg/人/日と対ADI比で29%となり、8割を超えていないことを確認いたしました。
事務局よりの説明は以上です。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 御説明ありがとうございました。
それでは、この剤につきまして、御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。特段ございませんか。
(発言なし)
【森田委員長】 それでは、総合評価で御確認をお願いしたいと思います。53ページです。ADIが0.05mg/kg体重/日と設定されておりまして、それに従って情報により計算すると、0.133mg/Lという数字が導出され、そして、丸めて0.1mg/Lという数字が基準値案として提出されております。なお、リスク評価は水濁PECTier1で計算いたしますと、0.000073mg/Lでずっと低い値ということになります。ということでございます。こういう登録保留基準値でよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 特段ご異議もないようでございますので、それでは、これで承認ということにしたいと思います。
それから、次、ハロスルフロンメチル、お願いいたします。
【農薬環境管理室主査】 54ページを御覧ください。ハロスルフロンメチルです。物質概要については、表に記載のとおりでございます。
作用機構でございますが、ハロスルフロンメチルは、ピラゾール環を有するスルホニルウレア系除草剤であり、その作用機構はアセトラクテー卜合成酵素の阻害であります。本邦での初回登録は1995年です。
製剤は粒剤及び水和剤が、適用作物は稲、飼料作物、芝等がございます。
原体の国内生産量は、記載のとおりでございます。
各種物性については、次のページの表に記載のとおりでございます。
56ページにまいりまして、安全性評価でございますが、本剤について食品安全委員会は平成20年5月15日付けで、ハロスルフロンメチルのADIを0.1mg/kg体重/日と設定し、厚生労働省に通知しております。この値は、イヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量10.0mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。本剤の農薬評価書については、参考資料6として配付しておりますので、御参照ください。
次に、水質汚濁予測濃度(水濁PEC)についてですが、本剤は、水田使用及び非水田使用のいずれの場面においても使用されるため、それぞれの使用場面ごとに水濁PECが最も高くなる使用方法について表のパラメーターを用いて水濁PECを算出しました。その結果ですが、57ページの下の表に記載のとおり、水田使用時の水濁PECが0.002396、非水田使用時の水濁PECが0.000020となり、合計しまして本剤の水濁PECは0.0024mg/Lと算出されました。
次のページにまいりまして総合評価でございますが、本剤の水質汚濁に係る登録保留基準値案としまして、ADIの値をもとに表中の算出式に基づき算出しまして0.26mg/Lと提案させていただきます。
参考の水質に関する既存の基準値でございますが、(旧)水質汚濁に係る農薬登録保留基準として0.3mg/Lが、水質管理目標設定項目として0.3mg/Lが、ゴルフ場暫定指導指針値として2.6mg/Lが設定されております。
リスク評価でございますが、本剤の水濁PECTier1は0.0024mg/Lであり、登録保留基準値0.26mg/Lを超えないことを確認いたしました。
参考の食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、0.032mg/人/日と対ADI比で0.6%となっており、80%を超えないことを確認いたしました。
事務局よりの説明は以上です。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 御説明ありがとうございました。
それでは、この剤につきましての御質問、どうぞお願いします。
【眞柄臨時委員】 ADIが0.1mg/kg体重/日なので、この水濁の保留基準値は0.22にならない。有効数字はどうなっていますか。
【農薬環境管理室主査】 有効数字についてでございますが、下に少々小さい字なのですが、注釈として記載しておりますとおり、確かにADIの有効数字は一桁なのですが、ADIの根拠となる試験の無毒性量の有効数字の桁数が3桁であるので、登録保留基準は3桁目を切り捨てて有効数字2桁としております。
【農薬環境管理室室長】 ADIが1桁の場合、それのもとになる毒性試験のデータを確認して、その有効数字と合わせるということをこれまでもしておりまして、これも同じような形で、3桁なので2桁を有効数字として、3桁目を切り捨てているという形にさせていただいています。
【眞柄臨時委員】 それぞれADIの試験方法の根拠が、1桁か2桁か3桁か一応確認した上で記載されている。ただ、途中の書き方がどうも、何というのかな、最後の総合評価のところはちゃんと書いてあるように思えるのですが。例えば56ページのところだったら0.1というふうに書いてあるので、ここのところにもそういう注釈が入っていると、どうなのですか。
【農薬環境管理室室長補佐】 一応56ページのADIの説明の部分にも無毒性量を引用しておりまして、そちらは10.0という形で有効数字3桁であることがわかるように記載をさせていただいているのですけれども。
【眞柄臨時委員】 なるほど、10.0だから。
【農薬環境管理室室長補佐】 はい。
【眞柄臨時委員】 わかりました。他のところも大丈夫ですか。
【森田委員長】 他にいかがでしょうか。お願いします、山本委員。
【山本委員】 参考の旧の登録保留基準0.3でよかったですか。
【農薬環境管理室室長補佐】 はい。こちらは、食安委で評価される前の旧ADIが0.01mg/kg体重/日だったのですね。食安委での評価の結果、これが0.1に変更になりましたので、新しいADIを使って、水濁基準値に設定いたしました。
【山本委員】 大体これの10倍ぐらいにならないとおかしいかなと思っていたのですけど、一緒の桁だから疑問に思いました。わかりました。
【森田委員長】 よろしいでしょうか。
(発言なし)
【森田委員長】 それでは、総合評価のところを御確認いただきたいと思います。ADI0.1mg/kg体重/日から、情報により計算すると0.266で、丸めて0.26mg/Lが登録保留基準値案ということになります。なお、水濁PECで計算されるのは0.0024mg/Lですので、登録保留基準値を超えないということを確認しているということです。それでは、こういう登録保留基準値案でよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 では、特にご異議ないようでございます。それでは、案というのをとらせていただくことにしたいと思います。
さて、どういたしましょうか。あと40分ぐらいで終わりそうですけれども、続ければ。休憩を少々とって、5分ぐらい休憩したほうがよろしいでしょうか。
では、少し休憩を入れまして、5分ほど休憩した後、再開したいと思います。トイレ休憩ということでよろしくお願いします。
(休憩)
【森田委員長】 それでは、再開いたします。
ピラクロストロビン、御説明をお願いいたします。
【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料4の59ページを御確認ください。ピラクロストロビンについて御説明させていただきます。
物質概要につきましては、59ページの表のとおりでございます。
作用機構等ですが、ピラクロストロビンは、ストロビルリン系殺菌剤であり、その作用機構は、ミトコンドリア内のチトクローム電子伝達系阻害による呼吸阻害でございます。本邦での初回登録は2006年でございます。
製剤には水和剤が、適用作物には果樹及び野菜がございます。
輸入量につきましては、記載のとおりです。
各種物性につきましては60ページの表を御確認ください。
安全性評価でございます。食品安全委員会は、平成21年3月19日付けで、ピラクロストロビンのADIを0.034mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。これにつきましては、参考資料7として食品安全委員会の農薬評価書をおつけしておりますので、御確認ください。この値はラットを用いた2年間慢性毒性試験及び2年間発がん性試験における無毒性量3.4mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
61ページ、水濁PECでございます。本剤は、非水田農薬でございますので、非水田の使用について水濁PECが最も高くなる使用方法で算定を行いました。結果は、61ページの一番下になりますが、0.000024mg/Lとなっております。
62ページ、総合評価でございます。表にございます算出式より、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として水質汚濁に係る登録保留基準値(案)を0.090mg/Lと提案させていただきます。本剤について、水質に関する既存の基準値等はございませんでした。
リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.000024mg/Lでございましたので、登録保留基準値(案)0.090mg/Lを超えないことを確認しております。
食品経由の農薬推定一日摂取量でございますが、0.74mg/人/日と、対ADI比で41%となっておりまして8割を超えないことを確認しております。
本剤につきましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 御説明ありがとうございました。
それでは、この剤につきまして御質問、コメント、ございませんでしょうか。
(発言なし)
【森田委員長】 それでは、最後の総合評価のところを御確認いただきたいと思います。公共用水域水中における予測濃度に対する基準値ということであります。ADI0.034mg/kg体重/日に基づいて計算された値は、0.0906mg/Lということで、数字を丸めまして0.090mg/Lになるということです。そして、リスク評価といたしましては、水濁PECで0.000024mg/Lでありますので、登録保留基準値を超えないということを確認されるということでございます。
このような事務局から出されました案で、これでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 特段ご異議がございませんので、それでは、案を取るということにしたいと思います。
引き続きまして、ペントキサゾン、お願いします。
【農薬環境管理室室長補佐】 では、資料の63ページを御確認ください。ペントキサゾンの物質概要につきましては、61ページの表のとおりでございます。
ペントキサゾンはオキサゾリジンジオン骨格を有する除草剤であり、その作用機構は、光存在下で活性酸素を発生させることによる細胞構造の破壊であると考えられております。本邦での初回登録は1997年でございます。
製剤には粒剤、水和剤及び乳剤が、適用作物には稲、雑穀等がございます。原体の国内生産量及び輸入量につきましては記載のとおりです。
64ページ、各種物性につきましては、このページの表のとおりでございます。
安全性評価につきまして、食品安全委員会は、平成21年10月22日付で、ペントキサゾンのADIを0.23mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。この農薬評価書につきましては、参考資料8としておつけしておりますので、御確認ください。この値は、イヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量23.1mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
65ページ、水質汚濁予測濃度についてでございます。本剤は、水田使用農薬でございますので、水田PECについて計算をいたしました。表の使用方法及びパラメーターを用いまして、水濁PECが、Tier1で0.012mg/Lと算定されております。
66ページを御覧ください。総合評価でございます。こちらの表に記載されている算出式によりまして、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値といたしまして、水質汚濁に係る登録保留基準値を0.61mg/Lと提案させていただいております。
水質に関する基準値としては、(旧)水質汚濁に係る農薬登録保留基準がございまして、2mg/Lでございました。
リスク評価でございます。水濁PECTier1は0.012mg/Lでございましたので、登録保留基準値0.61mg/Lを超えないことを確認しております。
また、食品経由の農薬理論最大摂取量につきましては、0.017mg/人/日、対ADI比で0.1%となっておりまして、8割を超えないことを確認しております。
本剤に関しましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 御説明ありがとうございました。
この剤につきまして、御質問、御意見ございましたらお願いいたします。いかがでしょうか。
(発言なし)
【森田委員長】 特段御意見がございませんので、総合評価のところの確認をやりたいと思います。66ページです。ADIが0.23mg/kg体重/日というものに対応いたしまして、計算されてくるのが、0.6129mg/Lであります。これに対応いたしまして、基準値案として0.61mg/Lが提案されております。リスク評価に係る水濁PECが0.012mg/Lでありまして、若干今までの剤に比べまして、登録保留基準値に少し近づいておりますが、それでも相当マージンがあるということのようであります。というようなまとめになっておりますが、総合評価、あるいは、この登録保留基準値案0.61mg/Lでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 特にご異議がございませんので、これを承認するということにしたいと思います。
では、引き続きまして、ミクロブタニル、お願いいたします。
【農薬環境管理室室長補佐】 では、資料の67ページを御確認ください。ミクロブタニルの物質概要につきましては、67ページの表のとおりでございます。
作用機構等ですが、ミクロブタニルはトリアゾール系の殺菌剤であり、その作用機構は、エルゴステロール生合成の過程において2,4-メチレンジヒドロラノステロールの脱メチル化を阻害することによる、菌類の正常な生育の阻害でございます。本邦での初回登録は1990年でございます。
製剤には水和剤、乳剤、液剤及びエアゾル剤が、適用作物には果樹、野菜、豆、花き、樹木芝等がございます。
原体の国内生産量及び輸入量につきましては、記載のとおりです。
68ページ、各種物性等につきましては、上段の欄のとおりです。
安全性評価でございますが、食品安全委員会は、平成23年8月11日付けで、ミクロブタニルのADIを0.024mg/kg体重/日と設定する結果を厚生労働省に通知しております。こちらにつきましては、参考資料9といたしまして農薬評価書をおつけしておりますので御確認ください。なお、この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量2.49mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
69ページ、水濁汚濁予測濃度でございます。本剤は、非水田農薬でございますので、表の使用方法及び各パラメーターを用いまして非水田使用時の水濁PECTier1を下表のとおり算定しております。結果は、0.000052mg/Lでございました。
70ページ、総合評価でございます。表の中にございます算出式によりまして、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として、水質汚濁に係る登録保留基準値(案)を0.063mg/Lと提案させていただきます。
本剤について、水質に関する既存の基準値等はございませんでした。
リスク評価でございます。水濁PECTier1は0.000052mg/Lでございますので、登録保留基準値0.063mg/Lを超えないことを確認しております。
また、食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、0.49mg/人/日、対ADI比で39%となっておりまして、8割を超えないことを確認いたしました。
本剤については以上です。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 御説明ありがとうございました。
それでは、この剤につきまして、御質問、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか、特段の御意見はございませんか。
(発言なし)
【森田委員長】 それでは、総合評価、70ページの確認に入りたいと思います。ADI0.024mg/kg体重/日から計算されてくる数字が0.0639mg/Lで、そのうちの最後のけたを落としまして、基準値案として0.063mg/Lが提出されております。なお、水濁PECは0.00005mg/Lで、これは随分低い数字ということになります。という総合評価になっておりますが、この基準値案でよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 では、特にご異議もないようでございますので、承認ということにしたいと思います。
それでは、次が最後の剤だと思います。メタラキシル及びメタラキシルMについての御説明をお願いいたします。
【農薬環境管理室室長補佐】 では、資料の71ページを御確認ください。メタラキシル及びメタラキシルMの物質概要につきましては71ページの表のとおりでございます。
72ページ、作用機構等でございます。まず、メタラキシルでございますが、メタラキシルは、フェニルアミド骨格を有する殺菌剤であり、その作用機構は、病原菌の菌糸伸長及び胞子形成の阻害でございます。本邦での初回登録は1984年となっております。
メタラキシルは、光学異性体のD体とL体を等量有するラセミ体でございまして、D体のみが殺菌活性を有しております。
製剤は粉剤、粒剤、水和剤及び液剤が、適用作物には稲、果樹、野菜、豆、花き、樹木、芝等がございます。
原体の輸入量につきましては、記載のとおりです。
また、メタラキシルMでございますが、これは、メタラキシルの光学異性体のうち、殺菌活性を有するD体の割合を91%以上に高めた殺菌剤でございます。本邦での初回登録は2007年でございます。製剤には粉剤、粒剤、水和剤及び液剤が、適用作物は稲、果樹、野菜、いも、豆、芝等がございます。輸入量につきましては、記載のとおりでございます。
各種物性につきましては、73ページ、74ページに表の形でまとめさせていただきました。
75ページ、安全性評価でございます。食品安全委員会は、平成23年7月7日付けで、メタラキシル及びメタラキシルMのADIを0.022mg/kg体重/日と設定する結果を厚生労働省に通知しております。この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量2.2mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものとなっております。これの農薬評価書については、参考資料10としておつけしております。タイトルが「メタラキシル及びメフェノキサム」となっておりますが、このメフェノキサムは、メタラキシルMと同一のものでございます。この評価書、それから私どもの評価書では、メタラキシルMについて、ISO名に従ってメタラキシルMという形で表記をしているものでございます。
76ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は、水田使用及び非水田使用のいずれの場面において使用されております。それぞれの使用場面ごとに、メタラキシル単用、メタラキシルM単用、それからメタラキシルとメタラキシルMを併用した場合と、それぞれの使用方法の中で水濁PECが最も高くなる使用方法について水濁PECの算定結果を76ページ以降に掲載しております。
まず、水田使用時の水濁PECですが、こちらは表に記載の条件により、水濁PECTier1を算定しております。また、非水田使用時の水濁PECについては77ページに記載の使用方法とパラメーターにおいて計算をいたしました。両方を合算した水濁PECTier1は0.032mg/Lとなっております。
78ページ、総合評価でございます。表にあります算出式により、登録保留基準値といたしまして、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として0.058mg/Lを提案させていただいております。水質に関する旧基準値等は、メタラキシルとして水質汚濁係る旧農薬登録保留基準が0.5mg/L、水質管理目標設定項目が0.06mg/L、ゴルフ場暫定指導指針が0.58mg/Lと設定されております。
リスク評価でございますが、水濁PECTier1が0.032mg/Lであり、登録保留基準値0.058mg/Lを超えないことを確認しております。なお、これにつきまして、水田PECTier2を仮に算出いたしましたところ、0.0025mg/Lと基準値の約4.3%になっております。
また、食品経由の農薬理論最大摂取量でございますが、0.37mg/人/日と、対ADI比で32%となりまして、8割を超えないことを確認しております。
本剤につきましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 ありがとうございました。
それでは、この剤につきましての御質問、あるいはコメントをお願いいたします。
【中杉委員】 吉田委員に教えていただきたいのですけれども。これは、安全係数を100にしているけど、メタラキシルとメタラキシルMの比較ができるということで、あまり変わりがないという判断をされたということでしょうか。
【吉田専門委員】 こちらにつきましては、最初にメタラキシルだけが日本で最初に登録していて、ポジティブリストということでメタラキシルMが入ってきたというように記憶しております。そして、この剤につきましては、ADMEも含めすべてメタラキシルMとメタラキシルを比較しておりまして。若干設定量で毒性が違うものもありますが、ほぼ毒性のプロファイルは同じということなので、こちらのこの二つの中で一番低いほうをとったということになっております。また、こちらは、海外でも随分JMPRも含め評価をされておりますので、それもポジティブリストのときは評価の参考にいたしました。
【森田委員長】 いかがでしょうか。
(発言なし)
【森田委員長】 特に御意見がないようであれば、最後の確認だけを。総合評価、最終ページ、78ページです。確認いただきたいと思います。
ADI0.0022mg/kg体重/日から導出されてくる計算値は0.05863でありまして、数字を丸めまして0.058mg/L、これが登録保留基準値としての提案値になります。なお、リスク評価としては、水濁PECが0.032mg/Lで非常に近接はしておりますが、Tier1のレベルでそれを下回っているということでございます。ということです。これを踏まえまして、この登録保留基準値ということは、これでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 特段ご異議も出ませんので、それでは、原案どおり案をとるということにしたいと思います。
それでは、どうもありがとうございました。10剤の水質汚濁に係る農薬登録保留基準については、全部原案どおり承認をいただきましたので、この後の手続はよろしくお願いいたします。
それでは、この一連の作業につきまして。
【農薬環境管理室長】 今後のスケジュールについて。
【森田委員長】 そうですね。お願いします。
【農薬環境管理室主査】 本日御了解いただきました農薬の登録保留基準については、行政手続法の規定に基づき、今後、パブリックコメントを1カ月ほど実施いたします。その結果、もし仮に何か意見が寄せられた場合については、委員長に再度農薬小委員会で審議を行うかどうか御相談し、御判断いただくことにしたいと思います。再審議の必要がない場合には、部会長の同意を得て部会報告となり、さらに中央環境審議会長の同意が得られれば答申となります。そして、答申後、告示として基準値を公布させていただきます。
以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。
それでは、議題3、その他であります。その他といたしまして2件の案件があります。
最初に、d-リモネンの水質汚濁に関する農薬登録保留基準及び水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定を不要とする件につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【農薬環境管理室室長補佐】 では、資料5と資料6について、続けて御説明をさせていただきたいと思います。
d-リモネンという剤ですけれども、こちら、オレンジのエッセンシャルオイルとして広く使われているもので、水質汚濁につきましては、食品添加物としても使用されているものですので安全性が公知であるものとしての基準値設定不要という形で整理をして、資料に沿って説明させていただきます。
また、水産動植物の被害防止につきましては、これはばく露の観点から、非常にばく露量が微量であると認められるので基準値設定不要ということで説明させていただきたいと考えております。
まず、資料5を御確認ください。d-リモネンですが、除草剤でございまして、その作用機構は細胞膜や細胞壁の破壊と考えられております。本邦では未登録でございます。
製剤は乳剤が、適用作物は樹木等として登録申請されております。
本剤の物質概要、物性につきましては、3ページに別紙2としておつけしておりますので、そちらを御確認ください。
本剤について、水質汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれの有無でございますが、申請者は、本剤の有効成分であるd-リモネンは、食品衛生法施行規則第12条により、「人の健康を損なうおそれのない添加物」として指定されておりますので、人畜に対して安全であることが明らかであるとしております。これにつきましては、まず、食品衛生法施行規則第12条を別紙1として抜粋しておりますので御確認ください。
これにつきましては、安全であることが公知であると認められるので、「『農薬の登録申請に係る試験成績について』の運用について」という通知の中で、「当該農薬の有効成分の種類等からみて、その毒性が極めて弱いこと等の理由により安全と認められる場合」に該当するものとして、一部の試験を除いて各種の毒性試験の提出が免除されております。
製剤を用いた試験については実施されておりまして、そちらについては別紙2の裏、4ページに記載させていただいておりますので、御確認ください。
これを受けた水質汚濁に係る農薬登録保留基準設定の必要性でございますが、これにつきましては、別紙3として「水質汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害を生ずるおそれがないと認められる農薬の取扱いについて」ということで、平成20年8月の第10回農薬小委で了承いただいた取扱いについて添付しております。こちらの中で運用の考え方として、「人畜への毒性が極めて弱いと認められる場合又は暴露のおそれがないと認められる場合」に該当するものとして申請がなされた農薬については、中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会において人畜への毒性や使用方法等を考慮して水質汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害を生じるおそれがないと認められるとの結論が得られたものについては、水質汚濁に関する農薬登録保留基準値の設定を行う必要がない農薬として整理するという運用を御了承いただいているところでございまして、これに該当するものとして、人畜への毒性が極めて弱いと認められる場合に具体的には該当するものとして、水質汚濁に係る登録保留基準値の設定を行う必要がない農薬として御提案させていただきたいと思います。
続きまして、水産動植物の登録保留基準値に関してでございますが、こちらは、使用の観点、ばく露の観点から被害のおそれがないものとして整理をさせていただきました。具体的には、資料6のⅡ.1、河川等の水系に流失するおそれについての部分でございますが、本剤は、d-リモネンを10%含有する乳剤でございまして、用量が250mLから3Lの製品でハス口と言いまして、小さな穴のたくさん開いたキャップ状の注ぎ口がついた容器に封入されております。具体的には、委員限りとしてカラーの資料をお配りしております、こういう形のケースで、穴の開いたキャップがついて生産される予定でございます。
適用場所は「宅地・公園等」、使用量は原液散布で「150~200ml/m2」ということで雑草に直接振りかけるような形で直接散布して使用するものとして申請されております。3Lのボトルで散布可能な面積は、最大でも20m2と予想されます。
このため「農薬の登録申請に係る試験成績の運用について」の、当該農薬の剤型、使用方法等からみて、「当該農薬の成分物質等が、その使用に係る農地に混入し、又は河川等の水系に流失するおそれがないと認められる場合」の「エアゾル剤等一度に広範囲かつ多量に使用されることがない場合」という条件に合致すると思われますので、環境中予測濃度に関する試験成績の提出は免除されているところでございます。
この取り扱いに沿いまして、d-リモネンにつきましては、別紙2としておつけしております、これは平成18年12月の第4回農薬小委員会で了承をいただいた「水産動植物の被害のおそれがないと認められる農薬の取扱いについて」の整理ペーパーですが、こちらの運用の考え方を見ていただきますと、水産動植物への毒性が極めて弱いと認められる場合、又は暴露のおそれがないと認められる場合に該当するものとして申請がなされた農薬については、農薬小委員会において、水産動植物への毒性や使用方法等を考慮して、水産動植物の被害のおそれがないと認められると結論が得られれば、基準値の設定を行う必要がない農薬として整理するという運用を了承いただいておりますので、それに沿って、今回の剤、「暴露のおそれがないと認められる場合」に該当するものとして、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値の設定を行う必要がない農薬として整理したいと考えております。
これにつきましては、今後、本申請とは異なる使用方法、例えばボトルのサイズを3Lからもっと大きくして大きなドラム缶等で販売するというような形で登録申請がなされた場合には、改めて水産動植物の被害防止に係る登録保留基準の設定の必要性について検討するということにいたしたいと思います。
資料5、6については以上です。御検討よろしくお願いいたします。
【森田委員長】 御説明ありがとうございました。d-リモネンにつきまして、人の健康を守る、あるいは生物への悪影響を心配する必要がないものとして扱ってはどうかという、そういうことでございますが。委員の先生方、御意見、御質問がございましたらお願いいたします。
【中杉委員】 二つあります。特定農薬の扱いというのができないのか、どうしてこっちに出てきたのかということが少し理解できないので御説明いただければというのが一つです。
それからもう一つ、食添ですので人の健康に影響がないというのは、これはいいのだろうと思うのですが、水産動植物の場合はばく露の可能性ですよね。普通の公園ということで言えば、ばく露の可能性が少ない。公園がどこにあるかということが非常に重要になってくるのだろうと。そういうふうなところは少し注意をする必要があるのではないかと思うのですよね。この適用場所というのが、単に宅地、こういうふうに書いてしまうと。
だから、一応認めるにしても、そこら辺は何か注意書きを入れておいたほうがよろしいのではないでしょうか。水辺に近いところは十分注意をするというようなことが必要なのではないだろうかという感じがするのですけれども。こういう理由で押さえるのであれば。
【森田委員長】 どうしましょうか。
【農薬環境管理室室長】 1点目の特定農薬の件ですけれども、特定農薬は食品等を中心に議論していただいております。ただ、従前も食用油について農薬として申請されたということがございますので、それぞれ開発者から、これは登録農薬として申請したいという形であれば、それについては個別に御審議いただいて今日のような御議論をいただくというようにさせていただきたいと思っております。
2点目でございます。雑草防除ということなので、非常に小規模にまかれるということで、こちらは、少量を散布するため水産動植物への水を介したばく露が極めて少ないだろうということで、登録保留基準の設定は不要とさせていただいております。
委員御指摘のところは、実際に農薬を使用される方が水に振りかけはしないと思いますけれども、振りかけないようなことを注意事項に記載するなり、その点を使用者がわかるようにしてくださいという話がございますので、これから審査されて具体的に登録となる際は、農水省とも個別にどういった形で指導していくかということについて、またよく話をさせていただきたいと思っております。
【山本臨時委員】 食添に指定されているので大丈夫だという話ですけど、この部分というのは、古くから天然物として使ってきた経験があるからということで指定されているものですよね。そうすると、数年前に、例えばアカネ色素は発がん性があるといって指定が解除されましたでしょう。そういうふうなことになったときには、この登録保留基準の設定を不要としないものとして取り扱うようなことに改めてなるのかという、その辺はどうなのですか。新しい知見が出てきたときには。登録3年だから、そのときに。これは再登録するのですよね。安全性の試験が要らないというだけで。
【農薬環境管理室室長】 農薬としての登録ですか。
【山本臨時委員】 だから、そういう新しい知見が出たときには、3年目のところでということになるわけですか。
【農薬環境管理室室長】 御質問ありがとうございます。現状で、人の健康を損なうおそれのない添加物、いわゆる基準がつくられていない添加物という形で、人への影響がないだろうということで扱っていますので、新たな知見が見つかって、食品添加物の基準をつくるという話になると、また食品安全委員会への諮問や答申が必要になった場合には、当然のことながら基準設定という形で動いていくことになると思います。
【吉田専門委員】 よろしいでしょうか。文献的にはd-リモネンは長期のラットを用いた試験が既に知られていまして、ラットの腎臓についてはα-2U-グロブリン腎症、ラットに腎臓の腫瘍をつくりますけれども、これはラットの雄しか来ないのですね、α-2U-グロブリン。というので、恐らく人への外挿性はないというように書かれています。
ただ、その他の毒性について、私はそこまでは存じ上げません。
【森田委員長】 他にいかがでしょうか。d-リモネンは結構、価格が高い物質ですので、やたらばらまくということも多分ないし、それからミカンの香りなどの入浴剤にこれが入っていますので、それで大量に入れているという実績もあるかもしれません。それから、もちろん昔からミカンの皮を乾かしてお風呂に入れることもあって、その主要成分がリモネンだということでございます。全体としては安全な物質だという認識で、そんなに悪い判断でもないような気がしますが、いかがでしょうか。
事務局で提案していただいた、この案でよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは、特段ご異議があるわけではありません。中杉委員からご発言いただいた分については、実際の運用面でそういう意見があったということをどこかにお伝えください。よろしくお願いします。
次に資料7の御説明をお願いします。
【農薬環境管理室係長】 資料7についてご説明いたします。前回の農薬小委員会で御審議いただいた農薬についてパブリックコメントが1件ございまして、それについての御報告をさせていただきます。
水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値(案)に対しまして、1件の御意見が来ておりまして、それについて資料7に記載しております。
御意見の概要及び御意見に対する考え方につきましては、資料7の裏面に別紙として記載しておりますので、そちらを御覧ください。
御意見の概要につきましては、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準値案については妥当だと考えるが、難溶性の農薬について、有機溶媒で水溶解度以上の濃度まで溶かして試験を行うのではなく、化学的性状から想定される環境中の通常の状態で試験を行うべきであり、むしろ微生物による分解の影響を考慮すべきではないかとの御意見をいただいておりまして、御意見に対しまして、考え方といたしまして、最終製品としての農薬は、均一に散布し農作物にむらなく付着させるために、また、効果を十分に発揮させるため、有機溶媒等を添加して製剤化されております。
そのため、河川等では水溶解度以上の濃度で溶解している可能性も考えられますので、水産動植物試験においても供試生物に対して毒性が弱く、また、被験物質の性質を変えないものであれば、有機溶媒等の助剤を使用することが認められております。また、この点につきましては、OECDガイドラインでも同様に認められております。
なお、微生物による分解の影響につきましては、今後の検討の参考とさせていただくとともに、引き続き科学的知見の集積に努めてまいりますと回答することといたしておりまして、森田委員長にも事前に御相談をさせていただいております。また、いただいた御意見は、基準値案に対する御意見ではないことから、基準値の設定の手続は進めつつ、今回の委員会では報告させていただくことといたしました。
【森田委員長】 ありがとうございました。
この件につきまして、何か御意見、御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(発言なし)
【森田委員長】 それでは、本日はこれで一連の審議が終了いたしましたので、本日、審議全体につきまして、委員の先生方から御意見、御質問ございませんでしょうか。
(発言なし)
【森田委員長】 特にありませんでしたら、後の進行を事務局にお願いいたしたいと思います。
【農薬環境管理室室長】 どうもありがとうございました。以上をもちまして、第28回農薬小委員会を終了させていただきます。
次回、第29回の委員会につきましては、2月24日に予定いたしておりますので、出席方、よろしくお願いいたします。
本日は、委員の皆様、長時間にわたる御審議ありがとうございました。
(以上)