中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第24回)議事録

日時

平成22年12月24日(金)14:00~16:33

場所

経済産業省別館1012会議室

出席委員

委員長 森田 昌敏
臨時委員 井上 達 上路 雅子
五箇 公一 白石 寛明
染 英昭 中杉 修身
中野 璋代 眞柄 泰基
山本 廣基 渡部 徳子
専門委員 安藤 正典 井上 隆信
内田 又左衞門 根岸 寛光
吉田 緑

(欠席は、佐藤委員、花里臨時委員、細見臨時委員、中村専門委員)

委員以外の出席者

環境省
水環境担当審議官、農薬環境管理室室長、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室室長補佐、農薬環境管理室農薬企画・調査係長、農薬環境管理室係員
農林水産省、農林水産消費安全技術センター

議題

  1. (1)水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
  2. (2)水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
  3. (3)その他
    1. ア.農薬中に含まれるダイオキシン類検査の現状について

配布資料

資料1 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第23回)議事録(案)
資料3 諮問書(写)及び付議書(写)
資料4 水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)
資料5 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)
資料6 農薬中に含まれるダイオキシン類検査の現状
参考資料1 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第23回)議事要旨
参考資料2-1 水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針(平成20年2月22日土壌農薬部会資料)
参考資料2-2 平成22年度非食用農作物専用農薬安全性評価検討会開催要領
参考資料2-3 平成22年度非食用農作物専用農薬安全性評価検討会委員名簿
参考資料3 農薬評価書 EPN(食品安全委員会資料)
参考資料4 農薬評価書 アジムスルフロン(食品安全委員会資料)
参考資料5 農薬評価書 カルプロパミド(食品安全委員会資料)
参考資料6 農薬評価書 チアジニル(食品安全委員会資料)
参考資料7 農薬評価書 ピリフタリド(食品安全委員会資料)
参考資料8 農薬評価書 ペンシクロン(食品安全委員会資料)
参考資料9 農薬評価書 メトキシフェノジド(食品安全委員会資料)

議事

【農薬環境管理室室長】 それでは、定刻となりましたので、土壌農薬部会の第24回農薬小委員会を開催させていただきます。
 まず、直前に会議室が変更になり、大変申し訳ございませんでした。大臣が急きょ、環境省内で会議の予定が入りまして、会議場所が変更となり、大変申し訳ございませんでした。お詫び申し上げます。
 それでは初めに、委員の出欠確認をさせていただきます。本日の委員の御出欠でございますけれども、佐藤委員、花里臨時委員、細見臨時委員、中村専門委員より御欠席の御連絡をいただいております。
 それから、眞柄先生は遅れられるようでございます。従いまして、本日、16名の委員に御出席いただく予定にいたしておりまして、委員、臨時委員総数の14名のうち11名に御出席いただくということで、小委員会の開催要件を満たしておりますことを御報告させていただきます。
 続きまして、配付資料の確認でございます。本日の配付資料につきまして、議事次第に配付資料一覧をつけさせていただいております。資料は資料1から資料6まで6種類ございます。それから、参考資料につきましては、参考資料の1から、参考資料の2が2-1、2-2、2-3でございますけれども、参考資料9まで、全部で11種類の参考資料を用意させていただいております。もし、資料の抜け等がございましたら、会議途中でも結構でございますので、事務局までお申しつけください。
 それでは、議事に入らせていただきます。森田委員長に議事進行をお願いいたします。

【森田委員長】 本日は皆様、御多用中のところ御出席いただきましてありがとうございました。
 本日の農薬小委員会は、議事次第にございますように、主に二つの議題、水質汚濁に係る農薬登録保留基準、それから、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の二つを審議することになっております。慎重かつ活発な御審議をお願いいたします。
 最初に、審議の公開の扱いについて触れさせていただきます。
 土壌農薬部会の運営方針では、審議中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすようなおそれがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは、委員長の判断に基づきまして非公開とするとされております。
 今回の農薬小委員会では、申請者から提出された農薬の毒性試験報告書など、企業秘密に当たる資料を使用しないことから、非公開の理由には当たらないため、今回の農薬小委員会においては公開とさせていただきます。
 さて、議事に先立ちまして、前回11月19日に開催した第23回小委員会の議事要旨を御確認いただきます。事務局より御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 参考資料1をご覧ください。中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針では、議事要旨については、委員長に了解をいただければ公開できることとなっております。
 本日の参考資料1の内容で、既に環境省ホームページで公開しておりますので御報告いたします。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、続きまして、前回の議事録についてであります。こちらは、事前にメールで各委員の先生方に御確認いただいていることとなっております。資料2で配付しておりますので、特段の御意見がございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 なお、これらにつきましては、土壌農薬部会の運営方針に基づき公開することとしております。
 それでは、議事に入りたいと思います。初めに農薬小委員会の決議の取り扱いについての説明をさせていただきます。
 「中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について」の土壌農薬部会決定によりまして、農薬小委員会の決議は部会長の同意を得て土壌農薬部会の決議とすることができることとなっております。
 従いまして、この農薬小委員会の後には、農薬登録保留基準の設定のための土壌農薬部会は招集せず、土壌農薬部会の松本部会長の了解をいただいて、部会としての結論としていただくこととなります。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、これから議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
 農薬取締法第3条第2項の規定に基づきまして、環境大臣が定める基準の設定についての件については、平成22年12月16日付で環境大臣から諮問があり、同日付で土壌農薬部会に付議されております。
 事務局から諮問書の御紹介をお願いいたします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 資料3をご覧ください。まず、1ページ目でございますけれども、平成22年12月16日付で、環境大臣から中央環境審議会会長に対して、以下のとおり諮問がされております。
 農薬取締法第3条第2項の規定に基づき、環境大臣が定める基準の設定について、標記のうち、農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件について、(1)別紙1の農薬に関し、告示第3号の環境大臣が定める基準を設定すること、(2)別紙2の農薬に関し、告示第4号の環境大臣が定める基準を設定することについて貴審議会の意見を求める。
 1ページめくっていただきますと、裏面が別紙1となっておりまして、告示第3号の環境大臣が定める基準であります水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準となっております。今回は7農薬ございます。
 続きまして、3ページ目が別紙2の告示第4号の環境大臣が定める基準であります水質汚濁に係る農薬登録保留基準となっており、8農薬ございます。
 もう1枚めくっていただきまして、最後のページが付議書となっております。中央環境審議会会長から中央環境審議会土壌農薬部会部会長に対して、今、御説明した内容が付議されております。
 以上でございます。

【森田委員長】 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、引き続きまして、議題に入っていきたいと思います。
 それでは、事務局より御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料4をご覧ください。
 資料4は水質汚濁に係る登録保留基準値案に関する資料でございます。開発の経緯と総合評価を重点的に御説明させていただきます。
 まず、1ページあけていただきまして、EPNから御説明させていただきます。
 開発の経緯等でございます。EPNは有機リン系殺虫剤であり、中枢神経系のアセチルコリンエステラーゼ(AChE)活性を阻害することにより殺虫活性を発揮するものと考えられております。本邦での初回登録は1951年でございます。製剤には粉剤、乳剤が、適用作物は稲、麦、野菜がございます。
 各種物性につきましては表のとおりでございます。
 2ページに移りまして、<2>、安全性評価でございます。食品安全委員会は平成20年11月27日付でEPNのADIを0.0014mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知いたしました。この値は、ラットを用いた2年間慢性毒性発がん性併合試験における無毒性量を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 水質汚濁予測濃度に関しましては、本剤は水田使用及び非水田使用のいずれの場面においても使用されるため、それぞれの使用場面ごとに水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメーターを用いて水濁PECを算定いたしました。水田使用時の水濁PECにつきましては、乳剤を使用したケースについて算定をいたしております。
 3ページが非水田使用時で、野菜を同じく乳剤を適用したケースについて算定しております。その算定結果につきましては、水田と非水田、合計で0.00026mg/Lと計算されております。
 4ページ、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案でございますが、0.0014mg/kg体重/日のADIから平均体重等を用いて算定いたしまして、0.0037mg/Lを基準値として提案させていただいております。本剤に関する基準値等でございますが、(旧)水質汚濁に係る農薬登録保留基準、水質要監視項目に関する基準、水質管理目標設定がなされているところでございます。
 リスク評価でございますが、水濁PECTier2が0.00026mg/Lでございまして、登録保留基準値0.0037mg/Lを下回っている状況でございます。食品経由の農薬推定一日摂取量につきましては、0.034mg/人/日と推定されておりまして、対ADI比で45%と80%を下回っている状況でございます。
 5ページ、別紙について御説明させていただきます。
 こちらの剤のPECの算定でございますが、2ページにございますとおり、PECの算定に当たりましては、土壌吸着係数として2万8,000を今回使用いたしました。水濁PEC算定における土壌吸着係数の位置づけでございますが、第2段階の水田使用でのPECは、土壌吸着係数がパラメーターの一つとなっておりまして、それは特に農薬が流出する過程における水田の畦への吸着量を決定する一要素となっております。このため、土壌吸着係数が大きくなるほど水濁PECの値は小さくなることになっております。詳しくは7ページ以降、算定式をつけさせていただいておりますので、適宜御参照ください。
 この土壌吸着係数の計算方法と問題点でございますが、このKocという値、農薬テストガイドラインに基づきまして4種類以上の異なる土壌を用いて測定し、それぞれのKoc値を提出することとされております。Kocについては、これまで土壌の種類ごとの変動が大きくなかったことから、水濁PECの算出に当たっては提出された複数のKoc値を算術平均し、これを代表値とし水濁PEC算定に使用してまいりました。しかしながら、農薬によってはKoc値に大きなばらつきがあり、算術平均では適切なKocの代表値が得られない場合が見られます。そこで、今後の対応といたしまして、水濁PEC算定におけるKocの代表値を計算するに当たっては、今後すべての農薬について算術平均ではなく、中央値を使用することといたしたいと考えております。これにより、Koc値のばらつきが大きな農薬については異常値等が排除され、より適切な代表値の導出が可能となるほか、ばらつきが小さい農薬についても算術平均値と中央値の差は小さいことから、水濁PEC算定における影響はほとんどないものと考えております。
 本剤に関する御説明は以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 御説明ありがとうございました。
 内容が二つありますが、一つは毒性から見たADIから導出される数値の問題、それから、もう一つは、水濁PECの算定方法の改良の二つです。先生方、御意見どうでしょうか、まずは毒性について、井上先生。

【井上(達)臨時委員】 この剤、EPNは事務局のお話のとおり、また、先生方も御承知のとおり、大変歴史の古いものであります。有機リン酸系の殺虫剤で、何度かにわたって再登録されています。その毒性はアセチルコリンエステラーゼ活性の阻害で、したがって、赤血球系の障害があります。あと、何度かアセチルコリンエステラーゼ活性阻害剤が出てきておりますので御承知のとおり、ものによっては中枢神経系の障害が見られることがあります。この剤でも各種の毒性試験で流涎であるとか、協調運動の失調が認められております。したがって、当然のことながら、急性毒性でもNOAELが36mg/kgといった、比較的低い用量になっております。
 当然、神経毒性試験が行われておりまして、「神経毒性が認められたが、神経組織学的所見はなく、神経への永続的な障害作用の事実は認められなかった」というような記載になっています。しかも、最後のサマリーのところでは、これは1行も触れてありません。赤血球のことしか触れてありません。
 これからPECの算定等について御議論になりますけれども、もちろん毒性試験というのは、この用量以下で使用されて、それが維持される限りは人に障害がないという、そういう値を見極めるものですから、人に影響を与える危惧は一応ないと考えるわけであります。しかしながら、今、先生方にはそれを超えた場合にはどうなるかということを知っておいていただくということが大事なので、あえて時間をとらせていただいて、コメントしているわけですけれど。神経毒性というのは、再生医療が盛んな今日ですけれど、プラクティカルには再生いたしません。したがいまして、「神経への永続的な障害作用がない」という記載は意味ありません。
 ニワトリで神経毒性の知見が行われております。(鳥類は神経毒性に対して鋭敏だという考え方で行われるわけであります。)これには軸策変性が出ておりまして、しかも、死亡も出ております。90日間亜急性でも赤血球、脳ともにアセチルコリンエステラーゼの阻害が認められますし、吸入毒性では0.8µg/L/日という、大変鋭敏なものであります。こうしたEPNの性質については御承知と思いますけれど、本来神経毒性の強いものであります。以上の結果、事務局の御説明にあったとおり出てくる値は低いですが、それが守られる限りにおいては、そういった影響は出ないということであります。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、もう一つの算定方法について、水濁PECの算定方法を少し変更しておりますけれども、これにつきまして御意見をいただきたいんですが。白石先生、こういうアプローチでよろしいでしょうか。

【白石臨時委員】 この分布がどういうふうになっていたかについてなんですけれども、要は非常にばらつきが多いとすれば、その中央値をとるというのがあっていいと思います。

【森田委員長】 こういう方法に切りかえてよろしいでしょうか。上路先生。

【上路臨時委員】 こういう形にならざるを得ないと思います。ただ、Kocが前の1ページ目のところに土壌吸着係数として数字が出ていればいいんですけれども、出ていない可能性がかなりあり得るので、そのときの扱いをどうするのかなという気がします。例えば測定ができないと、非常に水に溶けやすい等で、吸着係数が出ないこともあったのではないでしょうか、井上先生。

【山本臨時委員】 1万にしていました。

【上路臨時委員】 1万ですよね。1万にしたときに、土壌吸着係数というのは、例えば1ページ目の土壌吸着係数が1万6,000から46万ですよね。これ、中央値がどれぐらいかわかりませんけれども、それと1万と比べたときに、整合性はどうでしょうか。

【山本臨時委員】 これは非常に開き過ぎだと思うんですが、土壌吸着係数を測るのが難しい場合があって、46万がよく測れたなという感覚は一つあります。ただ、こういうふうにデータとして出てきている以上は使わざるを得ないということで、これを単純に4で割りますとすごく大きくなるわけですね。それでは、あまりに吸着し過ぎだということで、中央値を使おうと、検討会の中でそれが妥当だろうという話になって、今回の2万8,000になっているわけですね。これは、46万だけ飛び離れて大きいわけですよね。ですから先ほど御説明があったように、異常値を排除すると。
 もう一つは、今、上路先生がおっしゃった、水に溶け過ぎる部分は溶解度とかいろいろ考慮して、logPowが大き過ぎて、とにかく水の中にほとんど出てこないから測れない場合、これは安全を見て1万にしましょうということを検討会で議論して、そういう扱いになっていると思います。土壌有機物含量、使われた土壌によると思うんですよね。特殊な有機物が含まれている場合も非常に吸着量が多くなって、こういう大きな数字が出たり、あるいは逆に測れなくなったりということがあろうかと思います。まず、今、御提案いただいている考え方で、私は妥当だと思います。

【農薬環境管理室室長補佐】 補足させていただきます。今、御質問のあった水溶解度が高過ぎて測れないようなケース、これは今日の水産基準の中でもシアナミドの事例がありますけれども、これは土壌吸着係数、ケース・バイ・ケースの判断になるかと思うんですが、シアナミドの場合には考慮せず、土壌吸着係数を具体的には算定式の中にゼロを代入しているという扱いになりますけれども、考慮せずということで取り扱わせていただきました。
 EPNは水濁の設定でございますけれども、中央値を使わせていただくという状況でございます。

【森田委員長】 中央値を使うのには若干のためらいもあるんですね。つまり、異常値があったとき、それに引きずられる構造が、明らかに異常な値はむしろ落としたほうがいいような気はするんですけれども。だから、データが四つあって、異常値をはじき出すのに、とりあえず対数分布みたいなものを仮定して、それは一つのアプローチかもしれないけれども、多分本当は変な値を除いて、そして、残りの平均値で算出するほうがよさそうには思うんですけれども。それもデータがたくさんあれば、いろんな修正の仕方もあるんですけれども。

【山本臨時委員】 せいぜい四つか五つですから、データそのものは。

【森田委員長】 明らかにおかしくはありませんよね。

【山本臨時委員】 これ具体的にいうといくらなんですか。

【農薬環境管理室室長補佐】 EPNについては、高いほうから行きますと46万609、3万5,556、2万37、1万5,954でございまして、この四つのデータの真ん中二つの平均をとらせていただきました。

【森田委員長】 世の中に変なデータというのは必ず存在しているんです。それは残してはいけないような気もしないわけではないんですけれども、よろしいですか、こういう。

【染臨時委員】 素人の意見で大変恐縮なんですが、この土壌吸着係数が土壌のイオン交換容量等に関わるとすれば、多分、土壌の種類ごとに一定の傾向が出てくると思うんですよね。これは平均値をとるということがルールならそういうことになるのかと理解するんですけれども、本来この平均値をとったり、中央値をとったりするのは、そもそもおかしいのではないかと、今のお話を聞いていて感じます。
 というのは、要は土壌の種類ごとに、例えば重粘土であるのか、壌土であるのか、あるいはシルト質の多い埴土系のものであるのか、それによって吸着係数は全然違うのではないかという感じがします。それを単純平均してやるということは、そもそものこの水田PECの算出方法が、水田PECが最も高くなる使用方法について計算するとなっているにもかかわらず、ここで平均値なり中央値をとった途端に、かなり下がってしまうのではないかという気がするんですよね。ですから、これは一番リスクを踏まえて、ある意味では土壌吸着係数が一番小さいものをとるべきではないかという感じもします。やり方を変更するという、そもそも論なので、こういうことを申し上げたんですけれども。

【森田委員長】 どう使うかというのは、例えば土壌の性質を平均化されたときとか、あるいは平均化ということに意味があるかどうかわからないんだけれど、通常の土壌で大体どの辺で落ち着くかというのをある程度求めようとすればどうするかというような、今、二つの問題が混在しています。
 一つは、土壌の性質によって少し様子が違うはずであると。それはその土壌の性質はある程度平均化しないと最終的な答えにならないんだけど、その平均化のメカニズムは何が一番良いだろうかということが一つと。それから、混在していると言っているのは、多分この46万という数字は間違いである可能性が、私の判断としてはある。そういう間違いの数字が来たときにどう判断するかという、そこをどう取り扱うかということで。先ほども御紹介がありましたけれども、46万という数字だけが他の測定値に比べて1桁以上高いケースで、そういう間違いというのは実験上の偶発的な間違いか、あるいは計算上の間違いか、そこのクリティカルレビューなしに進んだのか、本当に大丈夫かと心配したという、そういう話です。

【中杉臨時委員】 異常であるかどうかという判断が、これは客観的にできるかどうかというのは非常に難しいと思うんですね。確かに46万と考えると異常かもしれない。かなり異常の可能性は高いだろう。だけど、異常だと判断するためにはそのデータをとった試験の方法が妥当かどうかというところを確認をしなければいけない。そうすると、なかなかそれはやりきれないとなると、安全サイドを見るという形で、今、染委員が言われるように一番下をとるというのは一つの考え方としてありますけれども、今、ここで中央値をとるというのは、標準的なものを考えるというので、妥当な線なのかなと私は思います。

【山本臨時委員】 染委員が言われた、一番小さい値をとって、一番流出しやすいケースをということが安全サイドで良いだろうという話ですけれども、もともとこの環境中の濃度というのがあるモデルのかなり広い面積の、こういうところから全体に出てくるということですから。私はいろんな土壌の種類が混在しているような、そういうモデル地域から環境基準点まで出てくるといったところにいろんな土壌が混在しているというようなことであれば、平均値的なところ、今回中央値ということになっていますけれども、それが妥当だと思います。
 そう言えば、使い方がどこも全部モデル地域と同じ使い方をするのかという議論になってきますけれども、土壌は非常にヘテロですから、非常に吸着性の強いあるいは吸着性の弱いような土壌ばかりがこのモデル地域全体に分布しているということは、あまりないだろうということだろうと思います。

【森田委員長】 ありがとうございました。中杉先生からの意見もありましたけれども、こういう46万という数字もあり得る数字であると農薬の動態の関係の方が考えられて、そして、それをある種、平均化するというか、よりリアリスティックなところに巻き戻す過程で、対数正規を仮定したようなそういう扱いでよろしいと、そういうことでよろしいでしょうか。

【山本臨時委員】 いや、あり得る値かどうかというのははなはだ自信がない。あまりありそうにないですけども。ただ、データを棄却する場合に、今、中杉委員が言われたように、これは異常値だと決めつけるほどの根拠もないという、そういうことです。

【森田委員長】 根拠はないという認識でよろしいでしょうか。

【山本臨時委員】 それしか、しようがないのではないですかね。

【森田委員長】 いや、こういうある種の安全係数というのは、要するに平衡定数になるのですが、平衡定数というのは時々変な値を出すケースが結構あるんですよ。特にこういう数の大きいやつは測定自体が難しくて。それでそういうのを取り扱うときは、通常はクリティカルレビューをされたものを使うというのが普通なんです。今はクリティカルレビューをして排除するのはまだ難しいという、一応の前提に立って、使うのもやむを得ない、そういうことでよろしいでしょうか。

【山本臨時委員】 もう一つは、異常と思われるので、試験をもう一遍やってくれと言うかどうかですね。これはなかなか非常に困難な、言いにくい話ではあるんですよね。

【森田委員長】 そこまでしなくても、専門家の判断として、棄却できないということであれば、それはそれでいいと思うんです。だけれども、これは特に文書を見た感じでは、どちらかというと、疎水性の分配係数はラボで決まっているので、これは疑わしい可能性は結構高いような気もしますが、そこまでしなくてもね。

【山本臨時委員】 そう思います、私も。思うけれども、思うぐらいのことで根拠がないので。

【森田委員長】 棄却できる明確な理由を持っていないので、そういう形でやりましょうと。ありがとうございました。
 それでは、後半の部分はそれで終わりたいと思いますが、前半の毒性の評価、それから、それに対応しての提起されている数値につきまして御意見いかがでしょうか。

【中野臨時委員】 すみません、教えてほしいんですけれども、5ページの1の[2]番、「農薬が流出する過程における水田の畦への吸着量」ということは、流出する場合も畦の吸着量でそれを見るのでしょうか。それを教えてほしいです。

【農薬環境管理室室長補佐】 7ページの別添の資料の一番下に水田第2段階の河川予測濃度の算定式を載せておりますが、河川予測濃度が畦からの水尻からの流出量と、畦からの流出量、河川ドリフト量と排水路ドリフト量の合算値となっておりまして、このうち畦からの農薬流出量が8ページに算定式がございます。算定式が見づらいのですが、面積かける期間中の濃度の合計値かける流量、それを土壌吸着係数で割るという構成になっております。
 この土壌吸着係数の算定の中にさらにKocという値が出てくるんですけれども、その辺の算定式は9ページ、畦吸着係数の算定式ということで5行目に載せてございますので、こちらを御参照いただければと思います。御説明になっておりますでしょうか。

【農薬環境管理室長】 水田の水尻から出る分と、それ以外に水尻から出ない分がありまして、それについては、畦から土を通して流れてくるので、土壌吸着係数は実際にそれを測定するときにそれを使うと。畦から出てくる、土経由で流れてくるものを計算しています。

【中野臨時委員】 ありがとうございました。

【森田委員長】 いかがでしょうか。井上先生からは食品安全委員会の検証があまりよろしくないという御意見ですが。結論的には、その数字そのものはこれで大丈夫ではないでしょうかとお話しくださいました。

【眞柄臨時委員】 教えてほしいんですが、環境中でこれはもちろん剤が変わらないですか。

【農薬環境管理室室長補佐】 すみません、御質問がよく聞き取れませんでした。

【眞柄臨時委員】 環境中で光分解などによって、オキソン体になることはないんですか。

【上路臨時委員】 このリン剤というのはPS体で製剤はありますけれども、昆虫に対してPOでなきゃ効かないし、当然PO体が毒性の活性体だと思っています。ですから……。

【眞柄臨時委員】 そうだとすれば、毒性評価はこの評価でいいんですが、環境中の評価をするときに、PS体だけではなくて、PO体もあわせてこの濃度にするという、そういう規制か何かのルールは適用しないんですかという質問で、お伺いしたのは。

【上路臨時委員】 今までリン剤はどうでしたかしら。

【山本臨時委員】 オキソン体に変わって活性が出るということですから、これの濃度を調べて、もう一つの毒性試験の方がオキソンに変わっているわけですから、ということでいいんだろうと思います。だから、この濃度で。これが哺乳動物の中に入ってオキソン体に変わって毒性が発現するということですから。

【眞柄臨時委員】 それはそれでいいんですけれど、環境中の濃度を測定するときに、PSは少なくてPOが多いわけですから、要は環境中のリスク評価をするときの、何を対象にしてはかるんですかという、そういう意味です、私の質問は。

【森田委員長】 水道のほうですか。

【眞柄臨時委員】 いや、水道は酸化処理しますからオキソン体になっちゃいますけど、だから、環境中の場合にどうなのかということをお伺いして。もし、環境中でもPOになるんだったら、このものは実際に吸着法で測定するときには、PSとPOの合計値というふうにしないといけないんじゃないかという、そういう趣旨の質問です。

【山本臨時委員】 両方足さないといけないんじゃないかという。

【井上(隆)専門委員】 これはTier2を使っていますので、2ページの一番下のところに水質汚濁試験成績が出ていまして、1日目から0.01以下になっています。この値を使って水濁PECを計算していますから、ここにオキソン体が入っていないので入れるというのであれば、この値はもっと高くなるはずだろうということで、値が変わってくるということです。

【五箇臨時委員】 多分、分解物の活性本体になるというものの扱いについては、一応、水産動植物でも議論はしているところなんですけれども、少なくともEPNそのものに関しては有機リンということもあって、環境中ではほとんどが加水分解が先にされてしまいますので、オキソン体がそれほど高濃度にあるという可能性は、それほど高くはないとは思います。
 ただ、御指摘のこういったケースですと分解物が活性本体であれば、酸化体とか加水分解体のほうが活性が高いという場合はどうするべきかという部分に関しては、御指摘のとおり、そこは現行のシステムでは拾い切れないというのが現実にあります。

【森田委員長】 ほかのリン系農薬はどんなふうに取り扱っているかと、このオキソン体の問題。

【農薬環境管理室室長補佐】 今のところ、少なくとも新基準でオキソン体を考慮したという形で基準設定を行ったことはございません。あと、このEPNについて、環境中運命試験等で仮に代謝物がオキソン体10%以上出ていれば、水質汚濁性試験でそれを考慮して測定を行われるのが通例なんですが、詳録を見た限り、それが行われていませんので、環境中運命試験の項まで今、詳細に確認できておりませんけれども、恐らく10%を超えての運命中試験での検出はなかったのではないかと考えております。

【森田委員長】 難しい議論になるようなので、1回戻ってしまいますが。二つの内容が多分、またここでも混在している要素が多分あるんだろうと思うんですけれども。一つはEPN自身の基準をどうするかということ。それから、もう一つは、EPNを監視する目的の調査それ自体、やはりオキソン体を組み込んだ調査が要るのではないかという、この二つが今一緒に議論されてくるんですが。
 井上先生、オキソン体はどんなふうに考えられますか、こういう毒性評価の観点で。

【井上(達)臨時委員】 生体に関する影響はもう眞柄先生がおっしゃったように、この毒性試験で構わないと思います。

【森田委員長】 構わないと。そうすると、モニタリングを行うときに、もしオキソン体がたくさん出るようであれば、それを含めて考えていきなさいという、そんなスタイルでよろしいでしょうか。

【井上(達)臨時委員】 そういうことですね。

【森田委員長】 はい。では、それを記録に残しておいていただいて、当面の目標の農薬の登録基準はこれでよろしいでしょうか。何か疑問を感じていらっしゃる方いますか。大丈夫でしょうか。

【井上(隆)専門委員】 1点だけ別のことで確認なのですが、水質汚濁性試験で、0.01以下と出ているんですが、この場合には0.01を使うことにしているんでしょうか。

【農薬環境管理室室長補佐】 はい。PECの算定には0.01以下の場合は0.01と入力して計算しております。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、このEPNに関しましては、環境濃度の評価のところは若干、難しくなっていますが、とりあえず原案どおりにしておいて、しかし一方で、このものの環境調査においては、酸化物、オキソン体の測定なども場合によっては必要であるという、それを記録に残しておいていただけますでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、次の剤に行きたいと思います。お願いします。

【農薬環境管理室係員】 11ページをご覧ください。アジムスルフロンでございます。開発の経緯でございますが、本剤はスルホニルウレア系除草剤であり、植物に特有のアセトラクテート合成酵素の働きを阻害することにより、除草活性を有すると考えられております。本邦での初回登録は1997年です。製剤は粒剤が、適用作物は稲がございます。
 物性につきましては表の記載のとおりです。
 12ページにまいりまして、<2>、安全性評価でございますが、食品安全委員会は、平成21年4月9日付でアジムスルフロンのADIを0.095mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しており、この値はラットを用いた2世代繁殖試験における無毒性量9.59mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものです。
 続きまして、<3>、水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございます。本剤は水田において使用される農薬でございます。水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメーターを用いて水濁PECを算出したところ、13ページの表にございますとおり、水濁PECTier1は0.00024mg/Lと推定されました。
 <4>、総合評価にまいりまして、水質汚濁に係る登録保留基準値案でございますが、下の計算式による0.25mg/Lを提案させていただいております。なお、本剤は水質汚濁に係る(旧)農薬登録保留基準として2mg/Lが設定されております。
 14ページにまいりまして、リスク評価でございます。水濁PECTier1が0.00024mg/Lですので、登録保留基準値0.25mg/Lを下回っております。
 参考でございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量は0.0037mg/人/日、ADI比で0.1%となっております。
 本剤についての説明は以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 御説明ありがとうございました。
 それでは、このアジムスルフロンについて御意見をお願いします。井上先生、どうでしょうか。

【井上(達)臨時委員】 簡単に申し上げます。この剤はスルホニルウレア系の除草剤で、後で御議論になるピリフタリドと同様、植物特有のアセトラクテート合成酵素の阻害ということで、それが除草機序だということのようであります。したがって、哺乳綱動物に対する毒性は一般的に低いと考えていいわけですけれど、(非常に)高用量では自発運動の減少とかが見られる、そういったこと以外は、機序はあまり書かれていませんけれど、肝細胞毒性があり、肝細胞変性を起こすと云った程度です。つまりその機序は平たく言うと細胞毒性だと思います。NOAELの算定基準になっている繁殖毒性も精子毒性に由来しております。肝、膵、造血器等もすべてそう理解されます。何種類かの動物種で観察されている毒性傷害も皆同じスペクトラムです。骨髄の造血亢進という記載が何カ所かに認められますけれども、これは要するに末血が壊れるから亢進するわけであります。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、このアジムスルフロンにつきまして、御意見をいただきたいんですが、いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、最後に確認させていただきたいんですが、ADIが0.095mg/kg体重/日、そこから導出される基準値が0.25mg/L。そして、リスク評価を行った結果では、農薬登録基準値0.25mg/Lを安全に3桁ぐらい下回っている結果になります。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特に御異議はなさそうでございますので、それでは、これは御承認ということにしたいと思います。
 引き続きまして、カルプロパミド、お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料15ページをご覧ください。開発の経緯等でございます。カルプロパミドはシクロプロパンカルボキサミド骨格を有する殺菌剤であり、メラニン生合成の阻害により殺菌活性を有します。本邦での初回登録は1997年でございます。製剤には粒剤、水和剤が、適用作物は稲がございます。
 各種物性につきましては16ページの表のとおりです。
 安全性評価でございます。食品安全委員会は平成19年12月13日付でカルプロパミドのADIを0.014mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。こちらにつきましては、参考資料5をあわせてご覧ください。なお、この値はイヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量1.43mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 17ページ、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は水田使用農薬でございますので、水濁PECが最も高くなる使用方法につきまして、1.に掲げるパラメーターを用いまして算定を行いました。その結果、水濁PECTier1が0.0093mg/Lと算定されております。
 18ページ、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案ですが、ADIより平均体重等を用いて登録保留基準値を算出いたしまして、0.037mg/Lを基準値案として提案させていただいております。本剤に関しましては、(旧)水濁登録保留基準のほか、水質管理目標値が設定されております。
 リスク評価でございます。水濁PECTier1が0.0093mg/Lでございますので、登録保留基準値0.037mg/Lを下回っております。なお、食品経由の農薬理論最大摂取量につきましては、表に掲げるとおり、0.24mg/人/日となっておりまして、対ADI比で32%と80%を下回っております。
 本剤につきましては、水濁PECTier1と基準値が比較的近いということで、水濁PECTier2の算出を試みましたが、今回PECを算定したものに相当する剤型での水質汚濁試験成績が不足していたために算出ができませんでした。
 このため、環境中モニタリング事例を探したのですが、水道統計の平成18年と19年に今回の基準値案の2%に相当いたします0.0004から0.0008mg/Lの検出が757件中、平成18年度は1件、平成19年度は2件、平成20年度は検出なしという形で事例がございました。
 本剤に関しましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、井上先生、お願いします。

【井上(達)臨時委員】 事務局の御説明にもあったように殺菌作用は、メラニン合成阻害によるということですが、哺乳綱動物ではメラニンの合成阻害に相当する毒性傷害が全く出ません。標的は肝細胞で、肝臓の細胞の分化異常と細胞障害で、その結果、ポルフィリン代謝に異常が起こります。結果的にポルフィリン血症が起こりまして、赤血球が壊れやすくなりますので、溶血がどの動物でも起こっております。しかしながら、ラットの2年間で、NOAELが、雄、雌それぞれ24.7および34.0mg/kg体重/日というように、毒性指標は非常に低いものであります。たまたまイヌの試験がもう少し低いので、そこがNOAELをとる根拠になっております。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして、御説明いただいた内容を踏まえまして、御意見はございませんでしょうか。いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 御確認をいただきたいと思います。この物質の安全性評価としての一日許容摂取量が0.014mg/kg体重/日にしてあると。それから、定例によりまして導出される基準値案というのは0.037mg/Lということ。それから、あわせて水濁PECの計算いたしますと、概ねそれの4分の1ぐらいのところに落ち着くということであります。これをあわせまして、この登録保留基準値0.037mg/Lということですが、これでよろしいでしょうか。何かございますか。

【井上(隆)専門委員】 Tier2が計算できなかったということですが、水質汚濁性試験がなくても、分解しないとして、土壌吸着係数が出ていますから、土壌吸着だけした場合のTier2というのは計算できるのかなと思ったのですが。

【農薬環境管理室室長補佐】 すみません、本剤については、事務局で、環境中モニタリング結果を当たりましたら基準値の1、2%だというのが出てまいりましたので、それ以上の難しい作業を避けてしまいました、て、申し訳ございません。

【森田委員長】 井上先生、よろしいですか。

【井上(隆)専門委員】 はい、いいです。

【森田委員長】 それでは、原案どおりということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特段異議がございませんので承認ということにしたいと思います。
 引き続きまして、チアジニル、お願いします。

【農薬環境管理室係員】 19ページをご覧ください。チアジニルの開発の経緯でございますが、本剤はチアジアゾールカルボキサミド系の浸透性殺菌剤でございまして、作用機序は植物病原菌に対する抵抗性の誘導であり、主として稲いもち病に防除効果を示すと考えられております。本邦での初回登録は2003年です。製剤は粒剤、水和剤が、適用作物は稲がございます。
 物性等につきましては表に記載のとおりでございます。
 20ページにまいりまして、安全性評価でございますが、食品安全委員会は、平成19年10月25日付でチアジニルのADIを0.04mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。こちらにつきましては、参考資料6を御参照ください。この値はイヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量4mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 続きまして、<3>、水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございます。本剤は水田において使用される農薬でございます。水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメーターを用いて水濁PECを算出したところ、21ページの表にございますとおり、水濁PECTier1は0.064mg/Lと推定されました。
 <4>の総合評価でございますが、水質汚濁に係る登録保留基準値案でございますが、表に記載の計算式により0.10mg/Lと算出いたしました。なお、本剤は水質汚濁に係る(旧)農薬登録保留基準として1mg/Lが設定されております。
 22ページにまいりまして、リスク評価でございます。水濁PECTier1が0.064mg/Lで、登録保留基準値0.10mg/Lを下回っております。水濁PECTier1が登録保留基準値に近いことから、水濁PECTier2を仮算出いたしましたところ、0.014mg/L、つまり、基準値案の14%と推定されました。また、環境中モニタリング事例を調べましたところ、本剤のデータはございませんでした。
 参考ですが、食品経由の農薬理論最大摂取量は0.19mg/人/日、ADI比で8.8%となっております。
 本剤についての説明は以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 井上先生、お願いします。

【井上(達)臨時委員】 病原菌に対する(宿主の)抵抗性を上げるという機序等はよくわからないということになっています。毒性は比較的低く、標的は肝毒性、つまり肝細胞の空胞変性という変化がありますが、これは、高濃度で出ます。あと、マウスに限ってですけれど、アデノーマ、すなわち良性の腺腫が発生します。しかし、これも高濃度域のみです。ですが、丁寧に機序を調べてあり、薬物代謝によるプロモーター作用がフェノバルビタール様であったということを結論しております。無毒性量は紹介されたように4mg/kg体重/日で、問題になるものではありません。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、この剤、全体を通して御意見いただけませんでしょうか。いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、確認に入らせていただきたいと思います。
 ADIが0.0056mg/kg体重/日という食品安全委員会の決定を受けて、そこから定例により導出される水中における基準値案としては0.014mg/Lとなると。また、リスク評価として水濁PECと比べた結果は、数分の1以下であるということであります。というのが本日の資料ですが、この形で原案どおりでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特段の御異議もないようでございますので、承認ということにしたいと思います。
 それでは、引き続きお願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 では、ピリフタリドについて御説明させていただきます。ピリフタリドはイソベンゾフラン環を持つ除草剤でございます。作用機序は分岐鎖アミノ酸の1種であるバリン、ロイシン、イソロイシンの生合成に関与し、植物に特有のアセトラクテート合成酵素の働きを阻害し、タンパク質代謝に異常を来すとされております。本邦での初回登録は2002年でございます。製剤は粒剤、水和剤が、適用作物には稲がございます。
 物性につきましては表のとおりです。
 24ページ、安全性評価でございます。食品安全委員会は、平成20年1月17日付でピリフタリドのADIを0.0056mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を通知しております。これに関しましては、参考資料7をお付けしておりますので、あわせてご覧ください。この値はラットを用いた2年間慢性毒性発がん性併合試験における無毒性量0.56mg/kg体重/日を安全係数で除して設定されたものでございます。
 水質汚濁予測濃度でございます。本剤は水田への適用でございますので、水濁PECが最も高くなる使用方法として、表に掲げるパラメーターを用いまして水濁PECを算定いたしております。具体的には、水濁PECTier1が0.0048mg/Lでございました。
 総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案でございますが、ADI0.0056を平均体重、飲料水摂取量等から基準値を導出いたしまして、0.014mg/Lを基準値として提案させていただいております。本剤については、(旧)水質汚濁に係る農薬登録保留基準が設定されておりました。
 リスク評価でございます。26ページ、水濁PECTier1は0.0048mg/Lでございましたので、登録保留基準値0.014mg/Lを下回っておりました。なお、この剤につきまして、水濁PECTier2を仮に算出いたしましたところ、0.000046mg/Lと基準値の0.33%になっております。
 参考でございます。食品経由の農薬理論最大摂取量は0.0037mg/人/日でございまして、対ADI比で1.2%になりました。
 本剤については以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、井上先生、お願いします。

【井上(達)臨時委員】 これは事務局の説明にもありましたように、植物特有のアミノ酸合成阻害ということで、哺乳綱動物に対しては肝細胞障害を比較的高い濃度で起こします。その結果、血球の脆弱化が起こりまして、血球全般ですけれど、特に赤血球系で溶血であるとか、関連所見が亢進して、Hb、ヘマトクリット等が低下いたします。各種の動物で共通であります。そのこと以外は特段の毒性傷害はありません。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、この剤につきまして、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。アセトラクテート合成酵素はいかがですか。植物の。

【上路臨時委員】 植物特有です。

【森田委員長】 だそうですね。植物しか持たない。

【上路臨時委員】 はい。

【森田委員長】 でも、最近植物も動物も差がないような話が時々出てくるけど、これは植物だけでいいんですね。
 それでは、確認をお願いします。ここで求められた許容量ADIは0.0056mg/kg体重/日という数字で、そこから計算される基準値案が0.014mg/Lということ、それから、水濁PECから算出されたのはそれより大分少ないと、そういうことですけれども、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、承認ということにしたいと思います。
 続きまして、次の剤に行きたいと思います。お願いします。

【農薬環境管理室係員】 27ページをご覧ください。ペンシクロンでございます。開発の経緯でございますが、本剤は尿素系殺菌剤であり、作用機序は十分解明されておりませんが、Rhizoctonia solani菌に対して菌糸の成長を停止させ、その結果、先端細胞から分岐枝を異常派生させることにより、菌の生育を阻害すると考えられております。本邦での初回登録は1985年です。製剤は粉剤、水和剤が、適用作物は稲、野菜、いも、花き、芝等がございます。
 物性等につきましては表に記載のとおりです。
 28ページにまいりまして、安全性評価でございますが、食品安全委員会は、平成20年10月16日付でペンシクロンのADIを0.053mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。こちらにつきましては参考資料8を御参照ください。この値はラットを用いた2世代繁殖試験における無毒性量5.3mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 続きまして、<3>、水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございます。本剤は水田及び非水田のいずれの場面においても使用されるため、それぞれの使用場面ごとに水濁PECが最も高くなる使用方法について、表1、2のパラメーターを用いて水濁PECを算出しましたところ、29ページの表3に記載のとおり、水田使用時における水濁PECTier1は0.032mg/L、非水田使用時における水濁PECTier1は0.000021mg/Lとなっております。合計しますと、水濁PECTier1は0.032mg/Lと算出されました。
 30ページにまいりまして、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案でございますが、表に記載の算出式により0.14mg/Lと算出いたしました。なお、本剤は水質汚濁に係る(旧)農薬登録保留基準として0.4mg/L、水質管理目標設定項目として0.04mg/L、また、ゴルフ場暫定指導指針値として1.4mg/Lが設定されております。
 リスク評価でございますが、水濁PECTier1が0.032mg/Lでございますので、登録保留基準値0.14mg/Lを下回っております。本剤について水濁PECTier2を仮に算出いたしましたところ、0.00054mg/Lとなり、基準値の0.39%となっております。
 参考でございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量は0.21mg/人/日、ADI比で7.6%となっております。
 本剤についての説明は以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 御説明ありがとうございました。
 それでは、井上先生、よろしくお願いいたします。

【井上(達)臨時委員】 尿素系の殺菌剤という御説明があったとおりで、異物代謝としての蓄積ではないんですけれども、肝に集積して肝において障害を起こします。肝細胞の脂肪化とか、広範な所見を起こしますが、比較的高濃度域に限定的であります。無毒性量はラットの2世代試験から5.3mg/kg体重/日を採っていますが、実はこれも肝毒性であります。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、この剤につきましても御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特に御意見がなく、原案どおりでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、原案どおり承認ということにしたいと思います。
 引き続きまして、次の剤をお願いいたします。

【農薬環境管理室係員】 31ページをご覧ください。メトキシフェノジドでございます。
 開発の経緯でございますが、本剤はベンゾイルヒドラジン系殺虫剤であり、昆虫の幼虫に脱皮ホルモン様の作用を示し、異常脱皮を促すことにより殺虫効果を現すと考えられております。本邦での初回登録は2001年です。製剤は粉剤、水和剤が、適用作物は稲、果樹、野菜、豆、花き等がございます。
 各種物性等につきましては表に記載のとおりです。
 32ページにまいりまして、安全性評価でございますが、食品安全委員会は、平成22年1月7日付でメトキシフェノジドのADIを0.098mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を厚生労働省に通知しております。こちらにつきましては参考資料9を御参照ください。この値はイヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量9.8mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 <3>の水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございます。本剤は水田及び非水田のいずれの場面においても使用されるため、それぞれの使用場面ごとに水濁PECが最も高くなる使用方法について、表1、2のパラメーターを用いて水濁PECを算出したところ、33ページの表3に記載のとおり、水田使用時における水濁PECTier1は0.00799mg/L、非水田使用時における水濁PECTier1は0.00003571mg/Lとなっております。合計しますと、水濁PECTier1は0.0080mg/Lと算出されました。
 34ページにまいりまして、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案でございますが、表中の計算式により算出いたしまして、0.26mg/Lを提案させていただいております。なお、本剤は水質汚濁に係る(旧)農薬登録保留基準として3mg/Lが設定されております。
 リスク評価でございますが、水濁PECTier1が0.0080mg/Lであり、登録保留基準値0.26mg/Lを下回っております。本剤について水濁PECTier2を仮に算出いたしましたところ、0.0015mg/L、つまり、基準値の0.58%と推定されました。
 参考でございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量は2.2mg/人/日、ADI比で42%となっております。
 本剤についての説明は以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 井上先生、よろしくお願いいたします。

【井上(達)臨時委員】 これはヒドラジン系の殺虫剤ということで、肝毒性を引き起こします。薬物代謝異常を起こして、メトヘモグロビン血症を起こして溶血を各種の動物で共通に発生しております。それ以外は特段の標的はないようです。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、このメトキシフェノジド、御意見はございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、最後に確認です。ADIが0.098mg/kg体重/日、これに基づいて計算される基準値案が0.26mg/Lですね。並行して行われております水濁PECの値はこれよりも3分の1ぐらいで、相当低いということであります。原案どおりでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、その次、ホラムスルフロン、お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 では、35ページをご覧ください。ホラムスルフロンについて御説明させていただきます。
 ホラムスルフロンは、スルホニルウレア系除草剤であり、植物に特有のアセトラクテート合成酵素の働きを阻害することにより除草活性を有します。本邦では未登録でございます。製剤には水和剤が、適用作物は芝がございます。
 物性につきましては表のとおりです。
 安全性評価でございますが、本剤は食用農作物への適用が申請されておらず、食品安全委員会による食品健康影響評価は行われておりません。このため、非食用農作物専用農薬安全性評価検討会におきまして非食用ADIを設定いたしております。非食用ADIにつきましては、ホラムスルフロンの各種試験成績の評価結果に基づき、0.50mg/kg体重/日と設定いたしました。この値はウサギを用いた催奇形性試験における無毒性量50mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 具体的には別紙に安全性評価資料をお付けしておりますのでご覧ください。
 40ページ以降、まず、動物体内運命試験でございますが、本剤、主要排泄経路は糞中でございまして、排泄は速やかでございます。吸収率は約21%と体内への吸収率は低いものでございました。代謝につきましては、回収されたものの7割以上が未変化の親化合物で、代謝物としてはアミン体とスルホニルウレア結合部の開裂した開裂体が主に検出されております。
 環境中運命試験に関しましては、加水分解のスピードがpHで大きく異なっておりました。酸性条件で分解が早くなり、アルカリ側だと半減期が多くなっております。自然水を用いた光分解は比較的速やかでございました。
 毒性試験でございます。本剤、一般薬理試験では影響が認められず、急性毒性試験についても半数致死量はいずれも最高用量以上という結果でございました。眼について軽度の刺激性が認められました。亜急性毒性試験、慢性毒性試験、発がん性試験、生殖発生毒性試験のいずれについても毒性所見は認められないか、最高用量でコレステロールの上昇あるいは赤色尿といった軽微な影響が見られる程度で、発がん性や繁殖能に対する影響、催奇形性、遺伝毒性は認められませんでした。
 本剤の評価結果につきましては、59ページに総合評価という形で記載させております。
 結果が、60ページ表23に各種試験の無毒性量、最小毒性量を掲載しておりまして、その結果を踏まえて非食用ADIはウサギを用いた催奇形性試験の結果より0.50mg/kg体重/日と設定したところです。
 本剤について、検討会では海外での評価結果との対比でウサギ催奇形性試験における母動物で見られた赤色尿等の所見を毒性所見ととらえるかどうかなどを中心に議論が行われました。妊娠中の母動物で変化が見られていること、赤色尿の由来が不明で、毒性影響の可能性を否定できないということで、現在の評価に落ち着いたところでございます。
 資料に戻りまして、水質汚濁予測濃度、36ページをご覧ください。非水田使用農薬として水濁PECが最も高くなる使用方法について、表のパラメーターを用いて計算をしております。算定結果は、水濁PECTier1は0.0000025mg/Lという結果になりました。
 総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案は、非食用ADIより平均体重等で計算いたしまして、1.3mg/Lという基準値を提案させていただいております。
 リスク評価でございます。水濁PECTier1は0.0000025mg/Lであり、登録保留基準値1.3mg/Lを下回っております。
 本剤につきましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 以上、本薬剤につきまして、井上先生から御説明お願いいたします。

【井上(達)臨時委員】 事務局の御説明のとおりです。特にございません。吉田先生、もし、あれば。

【吉田専門委員】 60ページをご覧になれば良く分かるように、こんな毒性が低いというのもないかなというぐらい低く、井上先生のコメントに追加することはございません。

【森田委員長】 毒性が相当低いという、そういう認識であるようでございますが、委員の先生方、全体を含めまして御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 よろしいでしょうか。それは相当低そうだということでございますが。従って、最後に確認になりますが、基準値案としては1.3mg/L、リスク評価はずっと低いレベルの水濁PECが予測されるということでございます。原案どおりでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。
 水濁は、これで終わりました。水濁に関しましては、一応この資料につきまして原案どおりということでございますが、一つだけ、眞柄先生の御指摘がありました点につきましては御注意をお願いしたいということであります。

【山本臨時委員】 先生、一つよろしいですか。基準値案その他はもちろん結構なんですけれども、先ほど水田に適用のある薬について、Tier2を参考までに計算したらということでいろいろ計算していただいて、大変ありがたいと。それで、極めて少ないということで安心するんですけれども。基準値案に比べて5%とか0.5%とかいう話もさることながら、Tier1に比べてどのぐらいかということもあわせて話をしていただくと、なるほどTier1はかなり安全側に見ているな、というようなことがわかっていいのかなと。このほかの水産動植物も含めてTier1で非常に接近している場合に、いつもどうだという話になるので。大体安全側に見られているのだということがわかるということで、両方比較をしていただいたらいいのかなと思いました。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。これからということでよろしいでしょうか。

【山本臨時委員】 いや、もちろん結構です。

【森田委員長】 では、これからそういうことにも気をつけてやるということにさせていただきます。

【山本臨時委員】 どのぐらいマージンがあるかということが大体イメージができるように。

【森田委員長】 さて、あと1時間ぐらいこれからまだ続くんですが、何かトイレ休憩をとりましょうか、どうしましょうか。大丈夫でしょうか。
 では、適時御退席されて、会議はこのまま続けます。

【森田委員長】 それでは、引き続きまして、水産動植物の件に移りたいと思います。それでは、事務局から御説明をお願いします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 資料5をご覧ください。資料5は水産動植物の被害防止に係る登録保留基準値案に関する資料になっております。
 本資料の説明に当たりましては、水産動植物登録保留基準の設定検討会において、一度御審議いただいているものでございますので、当委員会では、開発の経緯と総合評価を重点的に御説明させていただき、その後、検討会でどのような指摘、御審議が行われたかを簡単に御紹介させていただきます。
 続きまして、資料5に沿って、各農薬について御説明させていただきます。1ページをご覧ください。
 1ページは、カルシウムシアナミド、石灰窒素とシアナミドにつきまして対比しております。
 これらについては、二つの有効成分をまとめて、一つの評価書として記載しております。
 カルシウムシアナミドは、その性質上、水中ですぐにシアナミドに分解してしまいますので、環境中においても、シアナミドで存在するということから、二つの有効成分をまとめて、一つの評価書として記載させていただきました。
 では、御説明させていただきます。
 物質概要については記載のとおりになっております。開発の経緯等ですが、まず、カルシウムシアナミドについては、古くから窒素質肥料として使用されておりまして、農薬としては殺虫、殺菌、除草効果のほか、雑草の休眠覚醒効果を有しております。本邦での初回登録は1957年です。製剤は粉剤又は粗粒状の製剤が、適用作物は稲、麦、野菜、芋、豆等がございます。
 シアナミドにつきましては、休眠打破による発芽促進や発芽率の向上及び茎葉枯凋を目的とした植物成長調整剤でございます。本邦での初回登録は2000年です。製剤は液剤が、適用作物は果樹、いも、樹木がございます。
 各種物性につきましては、カルシウムシアナミド、シアナミド、ともに2ページに記載されているとおりでございます。
 3ページをご覧ください。水産動植物への毒性でございます。カルシウムシアナミドにつきましては、いずれの試験についても記載している実測濃度は、水中のシアナミド濃度を測定し、分子量からカルシウムシアナミドに換算した濃度を記載しております。まず魚類急性毒性試験です。カルシウムシアナミドにつきましては、コイを用いた急性毒性試験が実施されております。シアナミドにつきましても、コイを用いた魚類急性毒性試験が実施されております。結果につきましては、最後の総合評価において御説明させていただきます。
 4ページをご覧ください。カルシウムシアナミドにつきましては、オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験が1試験、シアナミドにつきましては、オオミジンコを用いた試験が2試験行われており、5ページの上に2試験目が記載されております。
 5ページの下半分には、カルシウムシアナミドの、ヌカエビを用いた急性毒性試験が実施されております。
 また、次の6ページ、カルシウムシアナミドを用いましたユスリカ幼虫急性毒性試験が行われております。
 3番、藻類になります。カルシウムシアナミドにおきましては、Pseudokirchneriellaを用いました試験が1試験、シアナミドにつきましては、藻類成長阻害試験が2試験記載されております。
 次に、8ページになります。環境中予測濃度でございます。
 カルシウムシアナミドは、製剤としては粉剤又は粗粒状の製剤があり、適用作物、稲、野菜、いも、豆等に適用があります。シアナミドについては、液剤があり、果樹、いも、樹木等に適用がございます。
 PECの算出になりますけれども、カルシウムシアナミドにつきましては、表11に記載されている使用方法及びパラメーターを用いて、水田使用時の第2段階のPECを算出した結果、760µg/Lとなっております。
 カルシウムシアナミドの非水田使用時の第1段階における予測濃度を表12に記載しております使用方法及びパラメーターを用いて算出した結果、非水田PECTier1は1.7µg/Lとなっております。
 カルシウムシアナミドの環境中予測濃度としましては、水田使用時のPECTier2と非水田使用時PECTier1より、最も値の大きい水田使用時のPEC算出結果をもって、水田PECTier2の760µg/Lとなります。
 次に10ページになります。シアナミドのPECでございますけれども、非水田使用時の予測濃度につきまして、表13に記載の使用方法及びパラメーターを用いて算出した結果、非水田PECTier1の算出結果は0.94µg/Lとなりました。
 11ページ、総合評価になります。先ほど申し上げましたように、カルシウムシアナミドは水中でシアナミドに分解してしまうため、いずれもシアナミドとして基準値を設定したいと考えております。PECにつきましても、カルシウムシアナミドでの算出結果をシアナミドに換算した値を基準値案との比較に用いております。
 各試験結果につきまして御説明いたします。カルシウムシアナミドについて、コイを用いた魚類急性毒性試験の結果、96hLC50は7万3,600µg/L、シアナミドに換算した値が括弧内に記載しておりまして、3万8,600µg/Lとなります。
 シアナミドのコイを用いた魚類急性毒性試験の結果、96hLC50は9万900µg/Lとなっております。
 カルシウムシアナミドのオオミジンコを用いました甲殻類急性遊泳阻害試験の結果、48hEC50が5,100µg/L、シアナミド換算値が2,680µg/Lとなっております。
 次に、シアナミドのオオミジンコを用いました甲殻類急性遊泳阻害試験の結果、48hEC50が3,160µg/L、もう一つのオオミジンコを用いました急性遊泳阻害試験の結果は、48hEC50が4,470µg/Lとなっております。
 ヌカエビを用いましたカルシウムシアナミドの甲殻類急性毒性試験の結果、96hLC50が1万3,000µg/L、シアナミド換算で6,820µg/Lとなっております。
 セスジユスリカ幼虫を用いましたカルシウムシアナミドの甲殻類急性毒性試験の結果、48hEC50は7万5,000µg/L、シアナミド換算値で3万9,400µg/Lとなっております。
 次に、カルシウムシアナミドを用いました藻類生長阻害試験、72hErC50は1万2,800µg/L、シアナミド換算値で6,720µg/L。
 シアナミドを用いた藻類生長阻害試験、一つ目の試験は、72hErC50で1万3,600µg/L、もう一つの試験が、同じく72hErC50が9,870µg/Lとなっております。
 これらから急性影響濃度を算出した結果は、記載してあるとおりでありますが、甲殻類につきましては、3種の生物種のデータが存在していることから、不確実係数は通常の10ではなく、4として算出しております。
 急性影響濃度を算出した結果、最小となります甲殻類急性影響濃度より、シアナミドとして登録保留基準値案を670µg/Lと提案いたします。
 12ページになりまして、リスク評価でございます。カルシウムシアナミド及びシアナミドの環境中予測濃度並びにそれらのシアナミド換算値、括弧内に記載しておりますけれども、それらは記載のとおりとなっておりまして、カルシウムシアナミドの水田PECTier2が760µg/Lで、シアナミド換算値で400µg/L、非水田PECTier1が1.7µg/Lで、シアナミド換算値0.90µg/L、シアナミドの非水田PECTier1は0.94µg/Lとなっておりまして、環境中予測濃度のシアナミド換算値は、いずれも登録保留基準値670µg/Lを下回っております。
 続きまして、これまでの検討経緯でございますけれども、本剤は2010年9月28日、平成22年度第3回水産動植物登録保留基準設定検討会と、2010年11月18日の平成22年第4回水産動植物登録保留基準設定検討会にて御検討いただいております。カルシウムシアナミドのPECの算出方法につきまして、先ほど水濁基準値のEPNで少し御説明がありましたとおり、PECTier2を算出する際の土壌吸着係数の取り扱いについて議論がありました。シアナミドは水溶解度が高いため、土壌吸着係数を考慮せず、具体的にはゼロとしてPECを算出しております。
 本剤については以上です。御審議をよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。五箇先生、何か解説を加えてくださいますか。

【五箇臨時委員】 特殊な事例でして、これはもともと肥料です、窒素肥料なんですが。それが要するに生物にも効くということで、農薬としても利用できるということで登録されております。
 まず、カルシウムシアナミドという[1]の化合物の構造式で製造されているんですが、これが環境中に出ますと、あっという間に加水分解を受けまして、シアナミドになってしまいます。これが実際は殺虫、除草、殺菌の活性本体になります。
 殺虫剤といいましても、虫に効くのではなくて、土壌中あるいは底生生物として存在する、例えば畑ですと線虫類、ネコブセンチュウという有害線虫、それから水田ですと、ユリミミズやアメリカザリガニあるいはスクミリンゴガイという甲殻類や軟体動物に効果を発揮します。
 それから、おもしろい効果としては、植物成長ホルモンの作用もありますので、ノビエという、春にならないと芽を出さないような植物を秋口で芽を出させて、冬の間に枯らしてしまうという効果があります。あとは、作物に使うことで、実を早くつくらせたり、開花させたりすることも可能になるという、非常に便利な薬でもあります。
 作用機構は生物体内中でカタラーゼという酵素を阻害することで、体内中に過酸化水素が大量に蓄積することで、呼吸阻害が起きて死に至るという作用機構を持っております。
 薬の説明は以上です。

【森田委員長】 ありがとうございます。それでは、何か御意見はございませんでしょうか。

【染臨時委員】 単純な質問なんですが、PECの算出方法の使用方法、使用量は、肥料としての施用ですか、それとも農薬としての施用ですか。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 PECの算出に用いているのは、農薬として登録のある使用方法と施用量を記載しております。

【農薬環境管理室長】 肥料としての効果も含めて、使われているので、その意味では、量が多過ぎるのではないかという意味でご指摘いただいたのではないかと考えますが、恐らくこの剤は、肥料としての効果も考えてまかれている部分があるのではないかなと思います。農薬の使用方法を見て、最高濃度のところで一応算出しております。

【森田委員長】 これは、例えばシアンの分析方法などには、シアンとして計測されたりすることはありませんか。

【五箇臨時委員】 あると使えない。

【森田委員長】 シアンの設定からいっても、少し酸性にしておいて、蒸留するんですよね。あまり気にしなくていいですか。
 どなたか経験のある方はいませんか。安藤先生。

【安藤専門委員】 これは分析したことはありませんけれども。どうでしょうね。要は、シアンとして切れるか、アミドのところで切れるか。アミドのところで切れれば、シアンとして残るんでしょうけれど。

【森田委員長】 シアンアミドだから、シアンのアミドですよね。それで、カタラーゼ阻害だから、切れたシアンがカタラーゼを使って酵素阻害を起こす可能性があるかどうかですよね。あまり気にしなくてもいいかな。
 もう一つの側面は、窒素肥料でもあるんですが、ここでのこういう数字というのは、肥料側に何かはね返る心配はあまりしなくていいと考えてよろしいでしょうか。

【農薬環境管理室長】 基本的には、農薬として評価をいただくという形になります。

【森田委員長】 むしろそうなんですから、農薬としての評価を、根拠か何か、戻りますけれど。

【農薬環境管理室長】 これは肥料としての使用量と農薬としての使用量は、大体同じぐらいで、大体4万トンから5万トン使われています。
 当然のことながら、農薬の関係で考えると、これは結構、基準値とPECが近いので、また引き続き私どもでモニタリングをしていきたいと思います。その際に、恐らくモニタリングする場合には、肥料として使われているところ、農薬として使われているところがあると思いますので、そういったところも含めて、モニタリングデータを取るような形にならざるを得ないのかなと思います。

【森田委員長】 それでは、とりあえずそういう御回答をいただきましたが、それを含めまして、全体を通していただきたいんですが、総合評価としての水生生物に影響する部分への登録保留基準値案としては、オオミジンコのデータから誘導される670µg/L、これはシアナミド換算になっています。それから、リスク評価としての計算は接近をしてくる、恐らく窒素肥料で使われる側面ではこれに接近するということがある程度予測はされますけれども、とりあえず、下回っているという結果でありますが、その原案どおりでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段、ご異議もないようですので、原案どおりの承認にしたいと思います。
 それでは、次の剤、カルプロパミドをお願いします。

【農薬環境管理室長補佐】 では、資料13ページになります。カルプロパミドについて説明させていただきます。
 カルプロパミドは、シクロプロパンカルボキサミド骨格を有する殺菌剤であり、メラニン生合成の阻害により殺菌活性を有します。本邦での初回登録は1997年でございます。製剤には粒剤、水和剤が、適用作物には稲がございます。
 物性につきましては、表に掲載のとおりです。
 水産動植物への毒性に関しましては、コイを用いた魚類急性毒性試験、オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験、Pseudokirchneriellaを用いた藻類生長阻害試験が実施されております。
 環境中予測濃度、16ページでございます。本農薬の製剤としては、粒剤、水和剤があり、稲に適用がございますので、PECが最も高くなる稲への粒剤における使用方法について、表のパラメーターを用いて算出いたしました。結果は、水田PECTier1が1.2µg/Lとなっております。
 17ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は、魚類がコイ急性毒性で、96hLC50が4,950µg/L超となっております。また、甲殻類、オオミジンコ急性遊泳阻害につきましては、48hEC50が、3,720µg/Lとなっております。藻類の生長阻害試験につきましては、72hErC50が4,360µg/L超という結果でございました。
 これらから、最小となります甲殻類急性影響濃度を用いまして、登録保留基準値を370µg/Lと提案させていただいております。
 (2)リスク評価でございますが、環境中予測濃度は、水田PECTier1が1.2µg/Lでございますので、登録保留基準値の370µg/Lを下回っております。
 本剤に関しまして、水産動植物登録保留基準設定検討会におきましては、ミジンコの試験で、若干、pHの低下が見られたということで、その原因を申請者に照会いたしましたが、原因は特定できませんでした。しかしながら、このpHの低下によって、試験結果には影響を与えていないと考えられたため、当該試験成績を受け入れるということで決定をしております。
 本剤に関しましては以上です。御審議をよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、また五箇先生、解説をお願いします。

【五箇臨時委員】 これは菌の中でも、稲のいもち病という、稲の重要病害、これに特異的に効く薬でして、菌そのものの生長を阻害させる、メラニン生合成をすることで菌の生長を阻害させるということで効果がある薬です。あとは記載事項そのままです。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この物質につきまして、御意見ございませんでしょうか。

【眞柄臨時委員】 先ほどの水濁のTier1と今の水産のTier1はどうして違うのですか。

【農薬環境管理室長補佐】 水産PECと水濁PECは、まず環境中予測濃度に使う基準点が異なっております。また、水産PECは、短期的な最大濃度を出しているのに対して、水濁PECは、年間平均を見ておりまして、Tier1では、水濁は投入したものがすべて河川にそのまま流出するとして、それを年間流量で全部割ってしまうという出し方をしております。その辺の平均値と最大値の差といったあたりで、PEC、Tier1の違いが出てくるのかと思います。

【眞柄臨時委員】 水質汚濁のほうが高いですよね、この剤に関しては。

【農薬環境管理室長】 水産と水質のPECの違いですけれども、水産は先ほども説明したとおり、公共用水域の環境基準点において、いわゆる水産動植物への影響が出ないという形で評価させていただいております。
 それから、水濁PECは、公共用水域全域に人への健康が出ないといった形になっておりますので、いわゆる直近、どちらかというと、水田の直近の排水路においても、平均値でありますけれども評価をするという形になっております。水産PECは最高値、水濁PECは平均値になっており、多分、地点の違いが出ているのではないかなと思います。

【眞柄臨時委員】 10倍ぐらい違うんですよね。水濁が9.3で、水産が1.4ということですよね。水質汚濁のほうが高めに出るのですか。

【農薬環境管理室長】 いろいろあるというのが正直なところです。当然、使用量によっても当然違うところもありますし、あとは、これはTier1なので、そう大きく変わらないけれど、Tier2になってくると、それぞれ例えば止水期間を設定するとか、そういったところがありますので、一概にどちらが高いというのは、あまりないですね。

【農薬環境管理室長補佐】 ただ、補足いたしますと、Tier1とTier2を計算してみますと、水濁PECのTier1とTier2は非常に大きなかい離が出てくることが多いのですが、水産PECのTier1とTier2は、1オーダーは確実に違ってくる計算結果になるのですけれども、水濁PECほどの例えば100分の1、1000分の1ぐらいまで下がってしまうような差は見られないというところでございます。

【眞柄臨時委員】 両方とも、これは育苗箱、箱散布ですよね。これはこんなに違うのかなとちょっと不思議だったから。まあ、理由があるのでしょうから、こういう数字になるんだろうと思いますけれども。

【農薬環境管理室長】 過去に、水産と水濁のPECを、基準値を設定されているPECの数字を見たものがあるんですけれども、やはり数字としては同じようなところでやっていますけれども、若干数字のでこぼこがありますので。

【森田委員長】 何か井上先生、ご専門からの御意見ございませんか。

【井上(隆)専門委員】 水産PECの場合には、今しっかり言えないんですけれども、面積を100km2の中に、水田の場合には500haがあるということで、そういう地点で計算をした2日間の平均濃度で、水濁PECの場合には、水田の出口で150日間の平均濃度ということで、2日か150日間かを考えると、水濁PECのほうが低くなります。一方、水濁PECの方は水田の出口の濃度であって、水産PECのほうは100km2に対して500haということで、計算する地点での濃度はそれで薄まります。その効果と両方の兼ね合いで、どちらが高くなるかが決まるということです。うまく説明できませんが。

【眞柄臨時委員】 ただ、一般論としてはそうかもしれないけれども、この場合は、箱育苗のでしょう。だったら、その話は、そんな理屈はちょっと。

【農薬環境管理室長】 基本的に、これは育苗時を見ているのではなくて、育苗したものを本田にまいて、水田として見ていますので。そういう意味ではないです。

【井上(隆)専門委員】 育苗の場合は幾らになる、同じではないですね、計算のときには。

【眞柄臨時委員】 だから、水産PECを出すパラメーターのところで、育苗箱専用のためというふうに書いてあるから、育苗箱の話で。

【井上(隆)専門委員】 育苗箱にした場合には、多分、PECの算定は散布量の0.2を掛けると。どちらも0.2を掛けて計算していると思います。

【眞柄臨時委員】 そういう意味ですね。わかりました。

【農薬環境管理室長補佐】 ちなみに、水濁PECは0.2を掛けておりません。単純に割るだけです。

【井上(隆)専門委員】 水濁は掛けていないですね。

【農薬環境管理室長補佐】 はい。

【森田委員長】 ほかにございますでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 では、総合評価のところに戻ってきまして、登録保留基準値案といたしまして、最小の、ミジンコから導出される370µg/Lが登録保留基準値案になります。
 水田PECを計算をしますと、大分下回っているという流れになっています。原案どおりでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、異議がございませんので、原案どおりにしたいと思います。
 引き続きまして、クレソキシムメチルをお願いします。

【農薬環境管理室長補佐】 資料の18ページをご覧ください。クレソキシムメチルについてご説明いたします。
 クレソキシムメチルは、ストロビルリン系の殺菌剤であり、うどんこ病、黒点病、べと病など幅広い抗菌活性を有します。本邦での初回登録は1997年でございます。製剤は水和剤が、適用作物は麦、果樹、野菜、花き、樹木等がございます。
 物性につきましては、表のとおりでございます。
 水産動植物への毒性でございますが、コイを用いた魚類急性毒性試験、ニジマスを用いた魚類急性毒性試験、オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験が止水式と流水式でそれぞれ実施されております。また、藻類に関しましては、Pseudokirchneriellaを用いた藻類生長阻害試験が実施されております。
 22ページ、環境中予測濃度でございます。本農薬は製剤として水和剤があり、非水田での適用でございますので、非水田第1段階における予測濃度を、PECが最も高くなる果樹への水和剤における使用方法として、表に示すパラメーターを用いて策定しております。
 その結果、非水田PECTier1は0.037µg/Lでございました。
 23ページ、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は、コイの急性毒性が96hLC50で、337µg/L、ニジマスの急性毒性が96hLC50で160µg/L、オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験の結果が、48hEC50で174µg/Lと320µg/L、藻類生長阻害試験の結果が、72hErC50で175.3µg/Lとなっております。
 これらから、各急性影響濃度を算出いたしまして、最小となります魚類急性影響濃度より、登録保留基準値を16µg/Lと提案しております。
 リスク評価でございますが、環境中予測濃度は、非水田PECTier1が0.037µg/Lでございますので、登録保留基準値16µg/Lを下回っております。
 本剤に関しまして、水産動植物登録保留基準設定検討会におきましては、魚類毒性試験の24時間後の溶存酸素濃度がかなり低かったということで、これが毒性値に影響を与えているか、いないかというところで審議が行われました。DO(溶存酸素)が下がれば、一般的に毒性値が高くなるが、本試験では高くなっていないということで、本剤については、このまま試験成績を受け入れるという結論になっております。
 また、魚類の試験につきまして、測定濃度と実測濃度がかなり違うという指摘がございました。こちらはニジマスを見ていただくと、助剤を使わずにこういう形になっておりますが、止水式だからなのかと考えましたが、ミジンコと藻類の試験は止水式であるにもかかわらず、ほぼ一致しているので、どうしてだろうという議論がございました。
 これに関しまして、クレソキシムメチルは物性を見ていただきますと、加水分解性がpHによって大きく変動いたします。今回、藻類の試験については、pHの変化が魚類よりも少なくて、アルカリ側に、通常アルカリ側に傾くことが多いんですけれども、今回は傾かなかったということで、他の試験と比較して、分解していないのではないかと。つまり、魚類ではpHの変化によって分解してしまったのではないかということで、実測値が下がったのではないかと考察されました。
 本剤に関しましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、五箇先生、解説をお願いします。

【五箇臨時委員】 昔、メトキシアクリレート系と呼ばれていましたストロビルリン系の殺菌剤で、主に菌の体内におけるミトコンドリア電子伝達系の阻害を行いました。シトクロムcオキシダーゼのコンプレックス<3>という部分を阻害するという薬であろうと考えられています。
 薬のことについては以上です。

【森田委員長】 先ほど、酸素濃度の話をされていましたけれども、それはどういうふうに考えていったらいいですか。

【五箇臨時委員】 検討会では、特に問題ないというような判定をしております。

【森田委員長】 それでは、どうぞ御質問、御意見をお出ししたいと思います。特段の御意見ございませんか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、総合評価のところで御確認をいただきたいと思います。
 これは魚類の急性影響濃度、LC50がニジマスで160µg/Lというところから、それの10分の1とって、これが登録保留基準値。リスクアセスメントは、それを相当下回ってくるということのようですが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、これも原案どおりということにしたいと思います。
 引き続いて、御説明をお願いします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 24ページになります。テブフロキンについて御説明いたします。
 テブフロキンは、稲のいもち病菌に対して高い活性を有します殺菌剤でございます。作用機作は呼吸阻害と考えられていますが、明確になってはおりません。本邦では未登録になりまして、製剤は粉剤及び水和剤で、適用作物が稲として登録申請されております。
 各種物性については記載のとおりでございます。
 25ページからは、水産動植物への毒性になります。コイを用いた魚類急性毒性試験、オオミジンコを用いました甲殻類急性遊泳阻害試験、26ページになりまして、Pseudokirchneriellaを用いました藻類生長阻害試験が提出されております。
 27ページから、環境中予測濃度になりまして、本農薬は製剤として粉剤及び水和剤がありまして、稲に適用がございます。水田使用時の第1段階における予測濃度を表4に記載しております使用方法及びパラメーターを用いて算出した結果、水田PECTier1が6.0µg/Lとなりました。
 28ページをごらんください。総合評価でございます。登録保留基準値案につきましては、コイを用いました魚類急性毒性試験の結果、96hLC50が2,700µg/L、オオミジンコを用いました甲殻類急性遊泳阻害試験の結果、48hEC50が760µg/L、藻類生長阻害試験の結果、72hErC50が1,800µg/Lとなっておりまして、これらから、それぞれの急性影響濃度を算出いたしまして、そのうち最小となります甲殻類急性影響濃度より、登録保留基準値を76µg/Lと提案いたします。
 次に、リスク評価でございますけれども、環境中予測濃度は水田PECTier1が6.0µg/Lであり、登録保留基準値案が76µg/Lでありますので、水田PECTier1を下回っております。
 本剤につきましては、平成22年第4回水産動植物登録保留基準設定検討会で御審議いただきましたけれども、特に問題となるような議論はありませんでした。
 本剤につきましては以上です。御審議をよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 それでは、引き続きまして、五箇先生、コメントをお願いします。

【五箇臨時委員】 この化合物は、おそらく先に出ていたストロビルリン系の構造を改善していくうちに開発されたものと思われまして、このキノリルの部分のピリジンを開環すると、ちょうどメトキシアクリレートと一致する薬です。
 だから、作用特性としては、恐らく呼吸阻害ではないかと予想されているんですが、コンプレックス<3>に対する阻害作用は直接には見当たらないということで、作用機構は不明のままとなっております。ただ、いもち病菌に高い活性を示すという、そういう意味では、メトキシアクリレートの殺菌剤として開発されて、このような剤ができたと考えられます。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、全体を通しましていかがでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特に御意見がないようです。確認をお願いしたいと思います。
 28ページ、総合評価になります。このうち甲殻類、オオミジンコの毒性が一番低いということで現れておりまして、急性遊泳阻害の半数影響濃度などが760µg/L、これを10分の1にいたしまして、76µg/Lを登録保留基準値とするというところであります。
 なお、水田PECTier1で6µg/Lですので、基準値案を下回ってくるという、そういう計算になっています。
 これを含めまして、こういう総合評価でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、原案のままということにしたいと思います。
 では、引き続きまして、ピリミジフェンをお願いいたします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 29ページをご覧ください。ピリミジフェンについて御説明いたします。
 ピリミジフェンは、フェノキシエチルアミン構造を有する殺ダニ剤でありまして、ハダニ類の成虫だけではなく、卵、幼虫に対しても高い活性を有しております。本邦での初回登録は1995年でありまして、製剤は水和剤、適用作物は果樹、野菜等があります。
 各種物性は記載しているとおりでございます。
 30ページをご覧ください。水産動植物への毒性になります。魚類急性毒性試験といたしまして、コイを用いたものが1試験、甲殻類急性遊泳阻害試験といたしましては、オオミジンコを用いたものが1試験、記載されております。
 31ページをご覧ください。Pseudokirchneriellaを用いました藻類生長阻害試験が1試験、記載しております。
 32ページ、環境中予測濃度でございます。本農薬は製剤として水和剤がありまして、果樹、野菜等に適用がございます。
 非水田使用時の第1段階における予測濃度を表4に記載されております使用方法及びパラメーターを用いて算出いたしました結果、0.0044µg/Lでございました。
 33ページをご覧ください。総合評価になります。各生物種のLC50、またはEC50につきましては、コイを用いた魚類急性毒性試験の結果、96hLC50が2.11µg/L、オオミジンコを用いました甲殻類急性遊泳阻害試験の結果、48hEC50が6.4µg/L、藻類生長阻害試験の結果、72hErC50が700µg/Lとなりました。
 これから、それぞれの急性影響濃度を算出しまして、そのうち最小の魚類急性影響濃度より登録保留基準値を0.21µg/Lと提案いたします。
 リスク評価になります。環境中予測濃度は、非水田PECTier1が、0.0044µg/Lでありまして、登録保留基準値0.21µg/Lを下回っております。
 本剤につきましては、平成22年度第4回水産動植物登録保留基準設定検討会におきまして、御審議いただきまして、その中でも、特に問題となるような議論はございませんでした。
 本剤につきましては以上です。御審議お願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、五箇委員、お願いいたします。

【五箇臨時委員】
 実は農薬抄録で作用機構については、カルシウムイオンの代謝異常と書かれているんですが、実際のところは、これはミトコンドリアの電子伝達系阻害剤で、先ほど出ましたメトキシアクリレート系と同じなんですが、シトクロムオキシダーゼのコンプレックス<1>という、若干違う部位に作用するということで、作用特性を示す薬です。
 従いまして、呼吸阻害剤ということもあって、特にコンプレックス<1>に作用するということで、かなり種間差なく、さまざまな種に作用を示すということで、魚毒性、ミジンコ毒性等に非常に強烈な値をLC50は示すという薬であります。
 以上です。

【森田委員長】 相当、魚毒性が強そうだということもございまして。御質問、御意見はございませんでしょうか。
 いかがでしょうか、上路先生。

【上路臨時委員】 ございません。

【森田委員長】 大丈夫ですか。

【上路臨時委員】 はい。

【森田委員長】 上路先生がそうおっしゃるのであれば。他に意見はございませんでしょうか。 コイの急性毒性で、2µg/Lというと、非常に強そうな感じがするんだけれど。

【五箇臨時委員】 強いですよ。殺虫剤の中では最強レベルだと思います。
 それもあって、実際のところは、ほとんど農業現場では使われておりません。輸入量を見ていただいたらわかるように、ほとんど園芸用品としてしか、多分、今は使われていないという。したがって、実際のリスクもかなり低いかなと思います。

【森田委員長】 魚がばたばた死んだりは。

【五箇臨時委員】 そう大量に使用する場面は、もうほとんどありません。大丈夫です。そういうことを言っていいのかどうか、わかりませんが。

【森田委員長】 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。特段、問題はないということです。
 それでは、33ページの総合評価を見ていただきたいんですが、コイの急性毒性、96hLC50が2.11µg/L、それから導出される0.211µg/L、これが登録保留基準値案でありであります。
 リスク評価としては、こういうことがありまして、登録保留基準値よりは値を下回ったと計算されています。
 ということで、原案どおりということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段、異議がでませんでしたので、原案どおりにしたいと思います。
 では、最後の説明をお願いします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 34ページをご覧ください。フェンピラザミンになります。フェンピラザミンは、灰色かび病に対して特異的に高い効力を示す殺菌剤でありまして、病原菌の胞子発芽管の伸長と菌糸生育の阻害により殺菌効果を有しております。本邦では未登録でありまして、製剤は水和剤、適用作物が果樹、野菜等として登録申請されております。
 各種物性については記載のとおりでございます。
 35ページをご覧ください。水産動植物への毒性になります。コイを用いた魚類急性毒性試験が1試験、36ページになりますけれども、オオミジンコを用いました甲殻類急性遊泳阻害試験が1試験、Pseudokirchneriellaを用いました藻類生長阻害試験が1試験ございます。
 37ページをご覧ください。環境中予測濃度になります。本剤は製剤として水和剤がありまして、果樹、野菜等に適用がございます。
 非水田使用時の第1段階における予測濃度を表4に記載されております使用方法及びパラメーターを用いて算出した結果、0.028µg/Lとなりました。
 38ページをご覧ください。総合評価になります。各生物種のLC50、EC50は、コイを用いました魚類急性毒性試験の結果、96hLC50が6,000µg/L、オオミジンコを用いました甲殻類急性遊泳阻害試験の結果、48hEC50が5,500µg/L、藻類生長阻害試験の結果、72hErC50が920µg/L超となっております。
 これらから、それぞれの急性影響濃度を算出した結果、最小となります甲殻類急性影響濃度より登録保留基準値を550µg/Lと提案いたします。
 リスク評価になりますけれども、環境中予測濃度は、非水田PECTier1が0.028µg/Lでありまして、登録保留基準値550µg/Lを下回っております。
 本剤につきましては、平成22年度第4回水産動植物登録保留基準設定検討会におきまして御議論いただきました。検討会では、特に問題とされる指摘はありませんでした。
 以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございます。五箇先生、お願いします。

【五箇臨時委員】 構造式としては、ピラゾール環にカルボチオアートがついている薬なんですけれども、特に灰色かび病に対して特異的に効くということで、現時点でわかっているのは、エルゴステロールという菌のタンパク合成を阻害するということで、これによって灰色かび病が植物体内に入るときにつくる付着器を形成できずに、結局、菌の侵入を阻止するということで作用する薬と考えられています。
 以上です。

【森田委員長】 それでは、この剤につきまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 では、特段の御意見が出ておりません。38ページ、最後に御確認いただきたいんですが、ここでは甲殻類、オオミジンコの毒性、遊泳阻害が5,500µg/Lで、それの10分の1の550µg/Lが基準値案ということになります。
 リスク評価としましては、非水田のPECTier1で0.028µg/Lでありますので、十分に下回っているということであります。
 では、原案どおりということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、本日行いました水濁あるいは水産動植物の登録保留基準について、原案どおりということになります。

【農薬環境管理室係員】 今後の手続について、事務局より説明をします。
 それぞれの議題において御了解いただきました農薬の登録保留基準については、行政手続法の規程に基づき、今後パブリックコメントを1カ月ほど実施いたします。その結果、これに何か意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度、農薬小委員会で審議を行うかどうか御相談し、御判断いただくことにいたしたいと思います。
 再審議の必要がない場合には、部会長の同意を得て部会報告となり、さらに中央環境審議会長の同意が得られれば答申となります。答申後、告示として基準値を公布させていただきます。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、引き続きまして、議題、その他に移りたいと思います。前回の委員会で議論となりました農薬中に含まれるダイオキシン類検査の現状について、事務局から御説明をいただきたいと思います。

【農薬環境管理室長】 それでは、説明させていただきます。資料6をご覧いただきたいと思います。
 前回の委員会において、森田委員長から、農薬に含まれるダイオキシン、どういった形で検査しているのか、その現状はどうなのかという御指摘がございまして、まとめさせていただいた資料が、資料6でございます。
 まず、検査方法のところ、一番最初に書いております。農薬について、製造過程で副生成物なり不純物としてダイオキシン類が混入することを防いで、農薬の使用に伴う環境影響に出ないような形で、農薬取締法の中で検査の方法が定められております。
 ダイオキシンについて簡単に御説明させていただきます。1枚めくっていただきまして、2ページ目に、関係省庁の共通パンフレットと書かせていただいておりますけれども、図1にいくつか化学記号を書いております。ダイオキシン類対策特別措置法の中でダイオキシン類について規定されておりまして、図1の一番左側にございますポリ塩化ジベンゾパラジオキシンと、その右側、PCDFと書いておりますけれども、ポリ塩化ジベンゾフラン、それとその下、コプラナ-PCB、この三つをダイオキシン類と呼ぶと定義がされております。ダイオキシンにつきましては、3ページ目、右側をご覧いただきますと、表1、毒性等価係数、TEFと書いてありますけれども、この表の一番上、2,3,7,8-テトラクロロジオキシンの毒性を1とした場合に、それぞれの同族体・異性体がどういった毒性があるのかという比率、TEFを出しております。現在、PCDD、PCDF、コプラナ-PCB、あわせて29の同族体等について、毒性評価がされておりまして、ダイオキシン類で分析をするとした場合は、この29の同族体等の濃度に、先ほどご説明させていただきました毒性等価係数を掛けたものを総合計したもので評価をしております。
 戻っていただきまして、検査方法の中で、農水省の告示で、ダイオキシン類の検査方法というくくりがございまして、この中で実際に検査をされ、検査基準を満たさない農薬については販売なり使用を制限という措置を講ずるとされております。
 具体的に、どういった農薬がこの検査の対象になっているか、(1)に、アからウまで書いております。要は、ベンゼン環に塩素を付加したような化学構造を有する有効成分がある、もしくは、製造工程でそういったものが発生する懸念がある、又は製剤の過程で、ダイオキシン類が生成したり、混入したりする可能性のある農薬を調べておりまして、全体に131の農薬について検査をいたしております。
 対象ダイオキシンとその検査基準、(2)に書いておりますけれども、検査対象は、先ほど申し上げました29種類のいわゆる毒性等価係数を設定されているものが対象になっています。それぞれの同族体ごとに原体で1g当たり0.1ng、TEQですけれども、0.1ng-TEQ未満が基準になされております。
 これは※に書かせていただいておりますけれども、こちらの基準については、農薬中の有害物質の検査に関する小委員会で議論されまして、森田委員長、上路委員も構成員として御議論されて、0.1ngが設定されております。
 簡単に御説明いたしますと、5ページをご覧ください。これはその検討会の資料、最終的に資材審で農水省に出された資料でございまして、諸外国での農薬中のダイオキシンの規制の状況も調べまして、ガイドラインでダイオキシンについて規制されているアメリカとドイツ、それ以外については規制されておりません。
 また6ページを見ていただきますと、同族体ごとにそれぞれ検査のレベルが違うのですけれども、諸外国の中で一番基準の厳しい0.1ngで設定しておりまして、それを実際に0.1ngになった場合に、ダイオキシン類トータルとしてどういった濃度になるのかというのを、過去、30農薬についてダイオキシンの調査をして、検出されたダイオキシンの中で、最も個別の同族体との比率で一番高いものが0.37ngとなったということで、安全面で見て、0.4ng農薬中に含まれた場合のリスク評価を7ページ以降、それぞれ作物経由の摂取、それから8ページに環境影響、それから土壌への残留、こういったものをリスク評価して、0.4ngの場合でTEQ、ダイオキシントータルで問題のないレベルであることから、この0.1ng-TEQというのが設定をされております。
 また1ページ目に戻っていただきまして、検査の現状と書いておりますけれども、農水省で、この131の農薬について、この検査基準に基づきまして検査を実施いたしております。18年にWHOで、先ほど申し上げました毒性等価係数、TEFが見直しをされておりまして、それに伴って、農薬の検査基準が改正されましたので、再度確認をいたしております。130農薬については、検査基準を満たしていることを確認いたしておりまして、残り1農薬について、現在確認をしているというところです。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。こういったこの委員会のそ上に乗ります農薬の中で、ベンゼン環を持って塩素が入っているような、あるいはフェノール骨格を持って塩素が入っているものにつきましても、現在、検査をされているということで、ダイオキシンについては心配しなくてよろしいということのようであります。
 どうもお調べいただきまして、ありがとうございました。
 それでは、今日の議題内容は、これでほぼ終了したわけでございますが、全体を通しまして御意見、御質問はございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、これで終わってよろしいでしょうか。事務局から何かございますか。よろしいですか。

【農薬環境管理室長】 はい。

【森田委員長】 早目ですが、本日の農薬小委員会をこれで終わりたいと思います。御協力ありがとうございました。

【農薬環境管理室長】 ありがとうございました。以上をもちまして、農薬小委員会第24回を終了させていただきます。
 委員の皆様、本日は長時間の御審議ありがとうございました。