中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第23回)議事録

日時

平成22年11月19日(金)14:00~16:28

場所

環境省第1会議室

出席委員

委員長
森田 昌敏
臨時委員
井上 達
上路 雅子
五箇 公一
白石 寛明
染 英昭
中杉 修身
中野 璋代
眞柄 泰基
山本 廣基
渡部 徳子
専門委員
安藤 正典
内田 又左衞門
中村 幸二
根岸 寛光

(欠席は、佐藤委員、花里臨時委員、細見臨時委員、井上専門委員、吉田専門委員)

委員以外の出席者

環境省
農薬環境管理室長、農薬環境管理室長補佐、農薬環境管理室長補佐、農薬環境管理室農薬企画・調査係長、農薬環境管理室係員

議題

  1. (1)水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
  2. (2)水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
  3. (3)その他(報告)
    • ア.農業資材審議会特定農薬小委員会及び中央環境審議会特定農薬分科会合同会合について

配布資料

資料1 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第22回)議事録(案)
資料3 諮問書(写)及び付議書(写)
資料4 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)
資料5 水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料(案)
資料6 農業資材審議会農薬分科会特定農薬小委員会及び中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会特定農薬分科会合同会合(第11回)議事概要
参考資料1 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会(第22回)議事要旨
参考資料2-1 水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針(平成20年2月22日土壌農薬部会資料)
参考資料2-2 平成22年度非食用農作物専用農薬安全性評価検討会開催要領
参考資料2-3 平成22年度非食用農作物専用農薬安全性評価検討会委員名簿
参考資料3 農薬評価書 アゾキシストロビン(食品安全委員会資料)
参考資料4 農薬評価書 ジクロシメット(食品安全委員会資料)
参考資料5 農薬評価書 シメコナゾール(食品安全委員会資料)
参考資料6 農薬評価書 フェノキサニル(食品安全委員会資料)
参考資料7 農薬評価書 フェントラザミド(食品安全委員会資料)
参考資料8 農薬評価書 ベンフレセート(食品安全委員会資料)
参考資料9 ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針

議事

【農薬環境管理室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから土壌農薬部会の第23回農薬小委員会を開催いたします。
 初めに、委員の先生方の出欠の確認でございますが、本日は佐藤委員、花里臨時委員、細見臨時委員、井上専門員、吉田専門員より御欠席の御連絡をいただいております。
 それから、眞柄臨時委員、安藤専門員については、若干遅れておられるようでございます。
 本日15名の委員の先生方に御出席をいただく予定でございます。委員、臨時委員の総数14名のうち11名の方に御出席いただいておりまして、小委員会の開催要件を満たしておりますことを御報告いたします。
 それから、10月1日付で事務局に人事異動がございまして、佐々木係長にかわりまして平林が参りました。よろしくお願いいたします。
 それでは、配付資料を御確認ください。本日の配付資料につきましては、議事次第の下に配付資料一覧をつけております。資料1から資料6まで6点、それから、参考資料につきましては参考資料の1から9まで、参考資料2が2-1、2-2、2-3ございまして、全部で12ございます。それから、委員の先生方につきましては、水産動植物登録保留基準の設定に係る過去の審議会なり検討会の報告につきましてもあわせて配付しております。こちらにつきましては、次回以降、こちらの委員会で用いますので、会議後会場に残していただければと思っております。もし、資料に抜け等がございましたら、会議途中でも結構でございますので、事務局までお申しつけいただきますようよろしくお願いいたします。
 それでは、議事に入らせていただきます。森田委員長、議事進行よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 本日は皆様、御多用中のところ御出席いただきましてありがとうございます。
 本日の農薬小委員会は、議事次第にございますように、主に二つの議題が予定されております。慎重かつ御活発な御審議をお願いいたします。
 それでは、まず、本日の審議の公開の扱いについてでございます。
 土壌農薬部会の運営方針では、審議中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しく支障を及ぼすようなおそれがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれのある資料などは、委員長の判断に基づいて非公開とするとされています。
 今回の農薬小委員会では、申請者から提出された農薬の毒性試験報告書など、企業秘密に当たる資料を使用しないことから、非公開の理由に当たらないため、今回の農薬小委員会については公開といたします。
 さて、議事に先立ちまして、前回8月31日に開催いたしました第22回小委員会の議事要旨を御確認いただきます。事務局より御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針では、議事要旨については、委員長に了解をいただければ公開できることとなっております。
 本日、議事要旨を参考資料1としておつけしておりますが、参考資料1の内容で、既に環境省ホームページで公開しておりますので御報告いたします。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。
 続きまして、前回議事録についてであります。こちらは、事前にメールで各委員に御確認済みということになっており、資料2で配付しております。資料2につきまして、特段の御意見がございますでしょうか。よろしいでしょうか。前回、あまり大きな議論がなかったように記憶しておりますが。なお、これらにつきましては土壌農薬部会の運営方針に基づいて、公開することとしております。このまま進めてよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段の御意見もございませんが、この形で公開の方向に進むと思います。
 それでは、これから議事に入りたいと思いますが、初めに農薬小委員会の決議の取り扱いについて、御説明をさせていただきたいと思います。
 「中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置について」の土壌農薬部会決定によりまして、農薬小委員会の決議は部会長の同意を得て土壌農薬部会の決議とすることができるようになっております。
 したがいまして、この農薬小委員会の後に、農薬登録保留基準設定のための土壌農薬部会は招集せず、土壌農薬部会の松本部会長の御了解をいただいて、部会としての結論としていくこととなります。
 それでは、これから議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
 「農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定について」の件につきましては、平成22年11月8日付で環境大臣から諮問があり、同日付で土壌農薬部会に付議されております。
 事務局から諮問書の御紹介をお願いいたします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 資料3をご覧ください。まず、1ページ目でございますけれども、平成22年11月8日付で、環境大臣から中央環境審議会会長に対して、以下のとおり諮問されております。
 農薬取締法第3条第2項の規定に基づき、環境大臣が定める基準の設定について。標記のうち、農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件について、(1)別紙1の農薬に関し、告示第3号の環境大臣が定める基準を設定すること、(2)別紙2の農薬に関し、告示第4号の環境大臣が定める基準を設定することについて貴審議会の意見を求める。
 1ページめくっていただきますと、裏面が別紙1となっておりまして、告示第3号の環境大臣が定める基準であります水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準となっております。4農薬ございます。
 続きまして、3ページ目が別紙2の告示第4号の環境大臣が定める基準であります。水質汚濁に係る農薬登録保留基準となっておりまして、7農薬ございます。
 もう1枚めくっていただきまして、最後のページが付議書となっております。中央環境審議会会長から中央環境審議会土壌農薬部会部会長に対して、今、御説明した内容が付議されております。
 以上でございます。

【森田委員長】 いかがでしょうか。御質問、御意見ございますでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特になければ、これからこれらの剤につきましての審議に入っていきたいと思います。
 それでは、議題の(1)の「水産動植物の被害防止に係る農薬の登録保留基準」につきまして、環境大臣の定める基準の設定についての審議であります。
 この件につきましては、農薬小委員会に先立ちまして、「水産動植物登録保留基準設定検討会」におきまして、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や公表文献情報等についての精査を行うとともに、これらのデータに適用する不確実係数等を設定して、基準値の案を策定していただいております。この中身につきまして、事務局から資料の御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料4をご覧ください。
 資料4は水産動植物の被害防止に係る登録保留基準値案に関する資料でございます。本資料の説明に当たりましては、一度、水産動植物登録保留基準設定検討会において御審議いただいているものでございますので、当委員会では開発の経緯と総合評価を重点的に御説明させていただき、その後、検討会でどのような指摘・審議が行われたかを御紹介させていただきたいと思います。
 では、まず1剤目、オキサミルについて御説明いたします。
 めくっていただきまして、オキサミルです。開発の経緯等ですが、オキサミルはカーバメート系の殺虫・殺線虫剤であり、コリンエステラーゼ活性阻害による神経伝達阻害により殺虫活性を有します。本邦での初回登録は1981年でございます。製剤には粒剤が、適用作物には野菜、いも、豆等がございます。
 本剤につきまして、各種物性は3.の表のとおりです。
 水産動植物への毒性について、コイを用いた魚類急性毒性試験、オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験、緑藻を用いた藻類生長阻害試験が実施されております。PECに関しましては、本剤は非水田のみでの適用でございまして、野菜等へ粒剤を散布するケースが、PECが最も高くなるので、それについて計算を記載しております。
 5ページをあけていただきまして、総合評価でございます。各生物種のLC50、EC50は魚類のコイの急性毒性が96hLC50で23,800µg/L、甲殻類のオオミジンコ急性遊泳阻害が48hEC50が321µg/L、藻類の生長阻害が72hErC50で、1,890µg/Lとなっておりました。
 これらから魚類急性影響濃度、甲殻類急性影響濃度及び藻類急性影響濃度をそれぞれ算定いたしまして、最小となります甲殻類急性影響濃度より登録保留基準値を32µg/Lと提案させていただいております。
 (2)リスク評価でございますが、環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.0016µg/Lでございましたので、登録保留基準値32µg/Lを下回っておりました。
 本剤につきましては、2010年1月29日と9月28日、2回の検討が行われております。本剤被験物質の製造年と試験実施年にかい離がございまして、試験期間に妥当性を確認したところ、適切に保管管理されていたことを確認しております。また、藻類の高濃度側2区の生物量について、数値のとり方に不適切な部分があるという指摘がありました。これについて申請者に再度考察を求めまして、ErC50を再計算し、その値に基づいてこちらの評価書をまとめております。
 本剤については以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございます。それでは、これから1剤ずつやっていくわけですけれども、オキサミルにつきまして、何か御追加ございませんか。

【五箇臨時委員】 この剤は構造としてはカーバメート系の殺虫剤であり、開発の経緯等での説明のとおりです。カーバメート系ですと、本来動物等に効くものがありますけれども、これに関してはコイ、オオミジンコともに特段の影響はありませんでした。

【森田委員長】 それでは、委員の先生方、御質問あるいはコメントあるいは御意見ございますでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 総合評価のところを見ていただきまして、登録保留基準値としては甲殻類、オオミジンコから来た数字の数値から誘導される32µg/Lというのが登録保留基準値として計算をされ、そして、リスク評価としましては非水田のPECが0.0016µg/Lでありますので、相当低く下回っているという、そういう認識でありますが、これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段の異議もございませんので、では、この案でよろしいということにしたいと思います。
 それでは、引き続きまして、シラフルオフェン、御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 資料6ページをご覧ください。シラフルオフェンについて御説明いたします。
 物質概要については記載のとおりとなっております。
 開発の経緯につきましては、シラフルオフェンはピレスロイド系の殺虫剤でありまして、中枢及び末梢神経系に作用し、神経伝達を阻害することにより殺虫活性を有します。本邦での初回登録は1995年でありまして、製剤は粉剤、水和剤、乳剤が、適用作物は稲、果樹、いも、豆、芝等で登録があります。
 各種物性については、3の表に記載されているとおりでございます。
 7ページをご覧ください。水産動植物への毒性でございます。魚類はニジマスで2試験行われております。
 8ページをご覧ください。オオミジンコを用いた甲殻類の試験、急性遊泳阻害試験を行っておりまして、藻類につきましては緑藻を用いた生長阻害試験が実施されております。結果につきましては総合評価で御説明いたします。
 9ページをご覧ください。環境中予測濃度でございます。シラフルオフェンを含む製剤は水和剤、乳剤がありまして、稲、果樹等に適用があります。水田使用時のPECにつきましては、第2段階における予測濃度を表5に記載している使用方法及びパラメーターを用いて算出しておりまして、算出結果は0.061µg/Lとなっております。
 次に、10ページをご覧ください。非水田使用時のPECの算出結果でございます。第1段階における予測濃度を表6に記載しております使用方法及びパラメーターを用いて算出しました結果、非水田PECTier1は0.023µg/Lとなっております。
 以上から、シラフルオフェンの環境中予測濃度としましては、最も値の大きい水田使用時のPEC算出結果をもちまして0.061µg/Lとなります。
 次に11ページをご覧ください。総合評価になります。登録保留基準値案につきましては、各生物種のLC50、EC50についてニジマスを用いた魚類急性毒性試験について、一つ目の試験では96hLC50が710,100µg/L超、もう一つのニジマスを用いた魚類急性毒性試験については96hLC50が9,400µg/L超、オオミジンコを用いました甲殻類急性遊泳阻害試験については48hEC50が0.67µg/L、最後の藻類生長阻害試験につきましては72hErC50が17.7µg/L超となっております。
 これらからそれぞれの急性影響濃度を算出いたしまして、それらのうち最も小さい甲殻類の急性影響濃度から登録保留基準値案は0.067µg/Lを提案しております。
 次に、リスク評価になります。環境中予測濃度は水田PECTier2が0.061µg/Lであり、登録保留基準値案が0.067µg/Lを下回っております。
 続きまして、検討会での検討経緯ですが、シラフルオフェンにおいてはコイに対する魚類急性毒性試験も提出されておりましたが、溶存酸素濃度の妥当性を満たしていないということで試験成績の採用はしないということになっております。また、今回、シラフルオフェンにつきましては、第2段階PECを計算する上で土壌吸着係数を10,000として算出していますが、そのことについての御指摘がありました。シラフルオフェンは水溶解度が小さく、土壌吸着係数が大きくなると考えられ、水溶解度が小さいことから測定ができないということで、10,000という数字は恐らくもっと大きな値になると考えられますが、安全側をとって10,000という数字で計算をしております。過去に基準値の検討をしていただいた製剤についても同じように計算したものが幾つかございます。
 もう1点、最後に、シラフルオフェンにつきましてはPECと登録保留基準値案が非常に近い値になっておりますので、モニタリング結果について調査いたしましたところ、環境省で農薬残留対策総合調査という事業を行っていますが、その中で河川水中濃度が2河川で調査されておりました。その結果、いずれの河川におきましても定量下限値である0.05µg/Lを超えて検出された事例はありませんでした。
 先ほど申し上げましたとおり、シラフルオフェンは土壌吸着係数が非常に高くなると考えられますので、土壌への吸着量が多くなり、環境中への流出量が少なくなるのではないかと考えられます。
 シラフルオフェンについては以上です。御審議よろしくお願いします。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 それでは、また、再び五箇先生、お願いします。

【五箇臨時委員】 これはシリカでシランが入っている珍しいピレスロイド剤です。開発登録が1995年ということですから、その当時ですと魚類に対する毒性だけで多分水田使用というものが認可されていたと思うのですが、選択性が強いので魚類に対する毒性は低いんですけれども、甲殻類に対してはやはり高い毒性を示すということで、リスク評価としてはPECと比較してぎりぎりセーフというところで、検討会でもいろいろ議論をしましたけれども、先ほど御説明がありましたように、野外での計測値もこれを超えるものではないということですので、一応使用現場において安全面は保たれているものと判断しています。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございます。
 それでは、委員の先生方、御質問、御意見をいただけませんでしょうか。

【中杉臨時委員】 環境濃度を測定していただきたいとコメントをしようと思ったら、もう測定しておられるということで、それは結構ですけれども、ちょっと感想めいたもので申し訳ないんですが、前のオキサミルの場合とこの剤とを比べると、剤の水産動植物に対する安全性という面から見ると極端な開きがあるわけですよね。そこら辺のところが農薬の登録という観点でいくと、もう一律に超えるか超えないかだけの話になってしまう。そこら辺がどういうふうに考えたらいいのかなと。逆に言うと、できれば同じような効能であれば、水産動植物に影響の少ないものを選択していただくことが望ましいのではないかと、ここら辺の工夫が何かできないかなというのが、これはあくまでも感想です。実際にはなかなか難しいだろうと思いますけれども、そういうようなことも少し工夫として考える必要があるのではないかなということを将来的な課題としてコメントいたします。

【五箇臨時委員】 御指摘のとおり、同じ神経系に作用する剤として、先ほどのオキサミル、カーバメートと今回のピレスロイドを比較しましても、明らかにミジンコに対する毒性一つとっても水田使用を目的としているシラフルオフェンの方が非常に高い毒性を持っているというのは若干矛盾を感じるところでもあるんですけれども、一つには薬効というものも考えなくてはならないので、要するに水田害虫と畑の害虫というのはまた種類が違いますので、それに対する効能効果というものもあわせて考えた場合、やはり農薬の使用現場というものはこういう形で登録がされてくるということもあります。
 ただ、御指摘のとおり、これもシラフルオフェンなんかはそういった意味で1995年初回登録というところがあり、その当時の枠組みの中ではこれは十分水田使用に耐え得る剤として開発されていたということで、今後、新しい制度に移り変わっていますので、これから開発される剤については水生生物として甲殻類も含まれるということで、そういったものに対する毒性が低いものをこれから選択されていくというふうに、農薬業界の方も動いていくものと期待しているというところです。

【農薬環境管理室長】 中杉先生、御指摘ありがとうございました。私どもは事業で、五箇先生にお願いしているんですけれども、生物多様性を加味したような農薬の評価を検討しておりまして、そういった中で個別の剤ごとに生物への影響を評価して、農家の方やメーカーの方に評価いただくようなこともできないかというのを検討してまいりたいと思っております。長期的な課題になると思いますけれども、よろしくお願いします。

【森田委員長】 ありがとうございました。長期的な課題の御指摘もありましたけれども、とりあえずこの剤についてのある種の結論を出していくことになると思うんですが、8ページのオオミジンコ急性遊泳阻害試験結果というところで、設定濃度と実測濃度が出てきますが、実測濃度は検出下限が0.2ppbに設定されているということ、そして、設定濃度が当初0.1ppbで設定したものが実測値ではかなり低い、あるいは0.32ppbで設定されたものが実測値で0.2ppbになってしまっておると。このあたりはどんなふうに考えているんでしょうか。

【農薬環境管理室室長補佐】 申し訳ございません。今の御指摘につきましては試験成績とそれから検討会の経緯等を確認して、また、後ほど御報告させていただくのでよろしいでしょうか。

【森田委員長】 それでもいいんですが、とりあえず検討会でこの辺あまり議論をされなかったと考えてもよろしいですか。
 多分、オオミジンコの半数致死量は、その下の3.2ppbと0.32ppbの間にあるのかな、20匹のうちの。違いますね。違うかな。遊泳阻害で効いているんですか、これは。

【農薬環境管理室室長補佐】 半数影響濃度0.67ppbでございまして、0.32ppbと1.0ppbの間、この設定は実測濃度に基づいて行っておりますので、0.2ppbと0.7ppbの間で解析から決定しております。

【森田委員長】 何か意見ございますか。

【白石臨時委員】 具体的な数値は今わからないんですけれども、これが時間加重平均になっていますので、水溶解度が非常に低い化合物であるので、試験中で濃度変化があっただろうということは容易に想像がつくんですけれども、その辺がどのような変化だったかを覚えていませんが、それの変化を半止水式でやっていますので、24時間後に換水したものと、もともとのものの加重平均をとったものを実測濃度としているということで、そのときの検出下限値が0.2ppbで、0.2ppb以下になっているところが、片方が検出下限値以下になった場合にその具体的なところは今のところお答えできないんですが。そういった剤であると、そういった試験であったということです。特に試験法上問題はないです。

【森田委員長】 時間加重平均値というのは、こういう急速に消えてしまうものというのをうまく表現できているという認識でよろしいんでしょうか。この時間加重平均値。今、影響濃度というのは実測値そのものというよりも時間加重の平均値でもって計算しているんですよね。そのときに適切な数字になっていると。

【白石臨時委員】 これが試験ガイドラインで定めている方法です。それ以上のものではないです。

【森田委員長】 そうなんだけど。

【白石臨時委員】 全く設定濃度がずっと保たれているという、もちろん水溶性が高くて、あるいは分解しないものというのは保たれるんですけれども、そうでないものもありますので、そういった場合には時間加重平均をとるという。

【森田委員長】 なるほど。とりあえずある種のガイドラインに従って計算するとこんなふうになっていて、それは十分に例外的な数値のようなものではないと、そういう認識でよろしいですか。
 他にいかがでしょうか。今日、この種のこの議論をしているのは、かなりリスクアセスメントのところで予測濃度と近いものですから、一応議論だけはちゃんとしておいた方がいいかなということもあって。どうぞ。

【中野臨時委員】 すみません、一応先ほど河川の方には全然害がなかったとおっしゃいましたけれども、土壌の方に入ったようなことをおっしゃいましたけれども、土壌の中に、もうそこへ浸透していっているんでしょうか。

【五箇臨時委員】 この剤は非常に脂溶性が高くて、水溶解度も極めて低いということで、土壌吸着係数がはかれないほど大きいと出ていますので、御指摘のとおり、多分実際の水田の環境中においてはほとんどが土壌に吸着される状態になるであろうと予想されます。そうなると、必然的に水界の方にはほとんど流出はしない。ただし、土壌の方には残る、とどまるということになると思います。

【森田委員長】 多分土壌に吸着されたときに、こういう今使っている生物の種類では毒性試験をやっていないので、したがって毒性は見えないということが起こるかもしれませんね。この剤はそんなに分解が早いわけでは必ずしもない。

【安藤専門委員】 今、議論になっていることで具体的にどうこうということではないんですけれども、やはり生物濃縮性あるいは水溶解性、それから、加水分解性、それから、光分解性、いずれにしても長いですよね。ですから、今の御議論があるように、土壌吸着性は確実なものであって、しかも分解しないで土壌にずっと残っている、という可能性がある。これは今これについて議論はできないんですが、やはり非常に問題だなという気はいたします。例えば大分昔の話ではCNPというのがございました。CNPは、あれはたまたまニトロがアミンになってそれが問題だということで、この剤はもうどうやったって壊れないだろうという気がするわけですので、少し考えておかなきゃいけない話かなと、そういう気がいたします。

【五箇臨時委員】 御指摘のとおり、現時点でのリスク評価というのは水生生物を対象にしているということがありまして、こういった剤に関しては逆に水に溶けないということで影響が出にくいという形で、逆にそれで安全性が担保されてしまうというのは矛盾していて、生態系そのものに関しては、ベントスですね、底生生物というものもそこには生息していますから、ユスリカとかそのほか貝類、そういったものに対する影響も別途本来は評価すべきであろうということで、その点については多分今後そういった生態リスク評価という枠組みの中で新たにどういう形で評価していくかというのは検討していく必要があるだろうと。剤の物理化学性状においては環境中の動態が大きく変わって、場合によってはミジンコやユスリカに、要するに水中に泳ぐプランクトンや魚類に対しては影響が出にくく、逆にそういった底生生物には強く出る可能性もあるとは思います。そういったことは今後議論の対象にはなっていくかと思われます。

【森田委員長】 くどいようなんですが、こんなに早く水中から消えてしまうものに殺虫効果があるということなんでしょうか。そこが知りたいので。

【五箇臨時委員】 ある意味すごく昆虫の体内に入りやすい、ペネトレイトしやすいということで。一旦昆虫の体内に入ってしまいますと、昆虫の体の中では作用点に速やかに移行して作用を示すことになります。
 一方、それに対して他の脊椎動物なんかですと、逆に、まず一つには生物濃縮性を見ていただくとわかりますように、それほど高くもなく、入ってしまうとあっと言う間に分解酵素等で壊されてしまうという性質も、その辺がこの薬そのものを選択毒性としての一つのセールスポイントにもなっているところだと思われます。
 反面、だから、効く昆虫類と効かない節足動物類というのもいまして、これはどちらかというとうまくできていて、害虫類にはよく効くんですが、有用昆虫にはあまり効かないという利点もあるというのが特性になっています。

【森田委員長】 という御判断も含めての御意見だと思いますが、いかがでしょうか。委員の先生方。

【農薬環境管理室室長補佐】 申し訳ございません、事務局から1点よろしいですか。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 先ほどご指摘いただきましたミジンコの急性遊泳阻害試験の濃度について、検討会においては大きな議論にもなっておりませんけれども、EC50を求める際には測定濃度が定量下限値になっております設定濃度が0.032µg/Lの区と0.10µg/Lの区の数値はEC50を求める際には使用せずに求めております。

【森田委員長】 おっしゃることはよくわかるんですが、ある種安全サイドで見ているから、こういうのでいいのではないかということだと思いますが、ただ、安全サイドで見ているところの基準値そのものが不必要にきつくなっている可能性もあって、それを含めて大丈夫ですかという心配をしたという、そういう話なんですが。
 これは全体としてこの形で全部残っていきますが、よろしいでしょうか。特段いいでしょうか。農薬の先生方もよろしいですか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、特に異議がないということでございますので、それでは、ここに書いてあります総合評価のところになります。甲殻類の急性影響濃度から誘導される登録保留基準値は0.067µg/Lとするということ、それから、リスク評価は水田のPECから計算される0.061µg/Lが予想される濃度であり、農薬登録保留基準値よりは下回っているということでよろしいということであります。
 それから、先ほどから議論になっていた部分と関係しますが、ひょっとすると非常に薄い濃度が測れないといったところがあって、この0.067µg/Lにはある種のセーフティマージンが存在しているかもしれないというのは全体の感想としてあるということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、この原案どおりの総合評価でやりたいと思いますので、ありがとうございます。
 それでは、次の剤の方に移りたいと思います。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 続きまして、フルチアニルになります。12ページをご覧ください。物質概要につきましては記載のとおりでございます。開発の経緯になりますけれども、フルチアニルはチアゾリジン骨格を有し、うどんこ病に殺菌効果を有する殺菌剤であり、本邦では未登録であります。製剤は乳剤が、適用作物は野菜、花きとして登録申請されております。
 各種物性は3番の記載のとおりでございます。
 次に、13ページになります。水産動植物への影響毒性でございます。魚類につきましては、コイとニジマスを用いた二つの魚類急性毒性試験がございます。
 14ページをご覧ください。甲殻類につきましては、オオミジンコを用いました急性遊泳阻害試験が行われております。藻類につきましては緑藻を用いた生長阻害試験が行われております。結果につきましては総合評価で御説明いたします。
 15ページをご覧ください。環境中予測濃度になります。製剤の種類及び適用農作物といたしましては、先ほど申し上げたように、製剤は乳剤がありまして、野菜、花きで登録申請されております。
 非水田使用時のPECにつきまして、第1段階における予測濃度を表5に記載しております。使用方法及びパラメーターを用いて算出した結果、0.00012µg/Lとなっております。
 16ページをご覧ください。総合評価になります。登録保留基準値案についてですが、各生物種のLC50、EC50はコイを用いた魚類急性毒性試験の結果、96hLC50が870µg/L超、ニジマスを用いた魚類急性毒性試験の結果、96hLC50が900µg/L超、オオミジンコを用いた甲殻類急性遊泳阻害試験の結果、48hEC50は990µg/L超、藻類生長阻害試験の結果から72hErC50は85µg/L超となっております。これらからそれぞれの急性影響濃度を算出いたしまして、それらのうち最小となります藻類急性影響濃度から登録保留基準値を85µg/Lと提案いたします。
 リスク評価でございますが、環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.00012µg/Lであり、登録保留基準値案85µg/Lを下回っております。
 検討経緯ですが、本剤につきましては平成22年度第3回水産動植物登録保留基準設定検討会で御検討いただいておりまして、特に問題となるような御議論はありませんでした。
 以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、五箇先生、何かコメントございますか。

【五箇臨時委員】 この剤は殺菌剤ということですので、魚類、甲殻類及び藻類ともに影響は出ませんでした。チアゾリジン骨格を持っているということで、この手のタイプのものは大概アンカプラー作用があるものが多いんですけれども、これについて作用機構は不明で、特に菌に対して非常に高い選択性がある剤と考えられます。

【森田委員長】 それでは、委員の先生方、御意見、コメント、御質問、何でもお願いいたします。

(発言なし)

【森田委員長】 特段の御意見はなさそうですか。
 それでは、復唱しますが、総合評価のところを見ていただきまして、最小のAECa、それから、登録保留基準値は85µg/Lと、それから、リスク評価は非水田のPECが0.00012µg/Lであり、登録保留基準値よりも大幅に下回っていると、そういうリスク評価の結果であります。この原案のままでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特に異議がないようでございますので、それでは、これは原案のまま承認ということにしたいと思います。
 では、引き続きまして、ホラムスルフロンをお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 では、ホラムスルフロンにつきまして、17ページをご覧ください。ホラムスルフロン、物質概要につきましては1.記載のとおりです。
 開発の経緯等でございます。ホラムスルフロンは、スルホニルウレア系の除草剤であり、アセトラクテート合成酵素の活性阻害によるタンパク質の生合成阻害により除草活性を有します。本邦では未登録です。製剤には水和剤が、適用作物は芝として登録申請されております。
 各種物性は3.の表のとおりです。
 1枚めくっていただきまして、18ページ、水産動植物への毒性ですが、本剤につきましてはコイを用いた魚類急性毒性試験、それから、オオミジンコを用いたミジンコ類急性遊泳阻害試験、めくっていただいて、藻類生長阻害試験、緑藻を用いたものが実施されております。
 20ページ、環境中予測濃度でございますが、本剤は非水田のみの適用でございまして、水和剤を芝に散布するケースにつきましてPECが最も高くなるのでそれを記載しております。非水田PECTier1の算出結果は0.00022µg/Lでございました。
 21ページ、総合評価でございます。(1)登録保留基準値案、各生物種のLC50、EC50でございますが、魚類、コイ急性毒性が96hLC50が97,600µg/L超、オオミジンコ急性遊泳阻害が48hEC50で98,400µg/L超、藻類、緑藻を用いた生長阻害が72hErC50で70,600µg/Lとなっております。これらから魚類急性影響濃度、甲殻類急性影響濃度、藻類急性影響濃度を算出いたしまして、最小となります魚類急性影響濃度より登録保留基準値を9,700µg/Lとしております。
 (2)リスク評価でございます。環境中予測濃度は非水田PECTier1が0.00022µg/Lでございましたので、登録保留基準値9,700µg/Lを大きく下回っております。
 本剤につきましては、平成22年度第3回水産動植物登録保留基準設定検討会で御検討をいただきまして、特に問題になるような御指摘等はございませんでした。
 本剤については以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして五箇先生、何かございますか。

【五箇臨時委員】 ホラムスルフロンですが、こちらはいわゆるスルホニルウレア系という除草剤の中でもメジャーなタイプで、ALS合成阻害剤、ALS酵素を阻害するという、植物の必須アミノ酸ですね、これを生合成するのを阻害するということで、草によく効くという薬になりますが、従来ならこの作用点であれば藻類にも効いてもおかしくない剤なんですが、この剤自体は非常に選択性が強くて、野外でも雑草にしか効かないという特徴と持っていることが藻類に対しても安全性を示していると考えられます。

【森田委員長】 それでは、この剤につきまして御質問、御意見、コメントございませんでしょうか。

【染臨時委員】 極めて基本的なことをお伺いするので恐縮なんですが、被験物質で原体と書いてあるのは一般的にいわゆる農薬の原体という意味合いであって、乳剤とか水和剤とか、それに対比する言葉として原体であって、要は原体だからといって純度一定のもので試験をすべて統一的にやっているわけではないというふうに理解してよろしいですか。

【農薬環境管理室室長補佐】 御指摘のとおり、特に純度を一定にしたというものではなくて、原体ということで、それぞれ個別に純度がその試験ごとに確認されておりまして、それに基づいて急性毒性試験結果等も補正をされているというものでございます。

【染臨時委員】 この物性の測定はどうされているんですか。

【農薬環境管理室室長補佐】 物性の測定につきましては、原体ではなくて純品で行われております。

【染臨時委員】 一般的に工業製品だと原体もほとんど同じものが出てくるんじゃないかと思うんですが、いや、少しずつ違っているんだなというふうに理解するので、念のためお伺いしました。

【森田委員長】 染先生が少し疑問に感じられた部分というのはどういう、つまり……。

【染臨時委員】 それは、例えば魚類のコイの試験でLC50が97,600µg/Lと最終的になっているわけでありますが、これが設定濃度を有効成分換算値に基づくとなっていますので、これは10万掛ける純度ですね。それと甲殻類のオオミジンコも全く同じような表現になっておりますので、これも10万掛ける純度でやって、これが結果としては98,400µg/Lということで、微妙に純度が違うものをお使いになっているんだなというふうな理解です。

【森田委員長】 これはどうしましょうか。それぞれの薬剤メーカーから出されている試験結果をベースに議論するという、そういうルールで動いてはいるんですが、この場合純品でやるべきものであったり、あるいは実際に使われる原体でやるべきものをどこかで本当は統一をした方がいいということが起こりますか。

【染臨時委員】 一般的に言えば、純度というのも、ほんのわずか不純物が入っているとしても、それが本体のいろんな効果に影響を及ぼさないとすれば、それは全然問題なく純度何%ということで理解できるのかなとは思います。ですから、特段その辺が問題ないなら問題にするには当たらないだろうとは思います。

【森田委員長】 ということは、とりあえず純度の記載というのはどこかにあるものですか、普通は。

【農薬環境管理室室長補佐】 試験成績書には純度がそれぞれ記載されているんですが、こちら原体の製造法によって不純物等が変わってまいりまして、企業秘密に当たるという部分ですので、公開される資料からは純度に関する記載も含めて、そういう不純物についての情報を落としております。ただ、抄録の記述には原体の不純物の内容についても含めてすべて掲載されて試験されております。

【染臨時委員】 はい、わかりました。

【森田委員長】 ということで、とりあえず一応この値を使ってもよさそうだということでよろしいでしょうか。
 他に御意見ございませんか。

【内田専門委員】 製造方法だけじゃなくて、ロットでも純度は違うことがありますよね。

【森田委員長】 今、これは不純物の中で1%以上ある場合は不純物の記載をしなさいといった形で動いているんでしたっけ。
 それでは、前へ進めましょう。総合評価を再確認していただきまして、登録保留基準値は9,700µg/L、リスク評価は非水田のPECが0.00022µg/Lでありますので、登録保留基準値を十分に下回っていると、そういうことでまとめられていますが、原案どおりでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特段の異議もございませんので、御承認をいただいたことにしたいと思います。
 それでは、これで4剤、水産動植物の被害防止に関する基準の設定についての審議をこれで終了したいと思います。
 引き続きまして、議題の2です。「水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定」についての審議に入りたいと思います。事務局の方から御説明をいただきたいと思います。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、資料5、水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料をご覧ください。本資料につきましても開発の経緯と総合評価を重点的に御説明いたします。
 それでは、1枚めくっていただきまして、アゾキシストロビンから御説明いたします。
 本剤の物質概要につきましては1.のとおりです。
 開発の経緯等でございます。アゾキシストロビンはメトキシアクリレートを骨格に有するストロビルリン系殺菌剤であり、作用機序はミトコンドリアのチトクロームbc1複合体のQo部位に結合することで電子伝達系を阻害し、細菌の呼吸を阻害することと考えられております。本邦での初回登録は1998年です。製剤には粉剤、粒剤、水和剤が、適用作物は稲、麦、果樹、野菜、いも、豆、花き、芝等がございます。物性につきましては3.のとおりです。
 安全性評価についてでございます。2ページをご覧ください。本剤のADIですが、食品安全委員会で評価が行われまして、0.18mg/kg体重/日と設定されております。こちら食品安全委員会の評価書を参考資料3としておつけしておりますので、御確認ください。平成22年1月28日付で通知された数字でございまして、この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量18.2mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 <3>、水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございます。本剤は水田と非水田のいずれの場面でも使用されるため、それぞれのPECを算定し合算しております。水田につきましては表2に示す表のとおり、非水田につきましては3ページの表のとおりの条件でPECを計算いたしまして、Tier1で0.016mg/Lという結果を得ております。
 4ページに進んでいただきまして、総合評価でございます。水質汚濁に係る登録保留基準値案でございますが、ADI0.18を表のとおりの算定式で計算しまして、3けた目を切り捨てまして、0.47mg/Lを基準値案として提案しております。本剤、旧基準と水道の水質管理目標値、それから、ゴルフ場暫定指導指針値が表のとおり設定されております。
 リスク評価につきましては、PECTier1が0.016mg/Lでございますので、登録保留基準値0.47mg/Lを下回っております。本剤、食品経由の農薬理論最大摂取量は対ADI比で31%と推計されております。
 本剤につきましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 御説明ありがとうございました。それでは、この剤につきましての審議に入りたいと思いますが、御質問あるいはコメントあるいは御意見はございますでしょうか。

【井上(達)臨時委員】 本日御欠席の吉田委員が簡単におまとめいただいた内容を託していかれましたので、あわせて簡単に毒性の紹介をいたします。
 事務局が御説明になったように、これは殺虫剤で呼吸酵素阻害剤です。ターゲットが肝臓系、肝胆道系で、神経毒性や繁殖催奇形性、発がん性等は全てなしと。イヌの方でおもしろい毒性用量を示すんですけれども、それは省略いたしまして、エンドポイントはラットの慢性発がん性併用試験の無毒性量18.2mg/kg体重/日をとっております。
 あとは、ラットのターゲットのエリア設定のデータは体重増加抑制です。
 以上です。

【森田委員長】 井上先生、ありがとうございました。それでは、御意見をいただきたいと思います。

【中杉臨時委員】 井上先生に教えていただきたいんですが、参考資料の3の30、31のところで、イヌは長期の試験をとったので10はとらないで25にした。前にラットのところで亜急性の毒性試験と神経毒性試験と2年間の試験があって、NOAELは高い数字があるんですけれども、例えば亜急性神経毒性試験は38.5、ここまでは大丈夫だと言えそうなんですが、これは長い試験をやったから長い試験を採用したという解釈でよろしいですか。

【井上(達)臨時委員】 一言で言えばそういうことです。

【森田委員長】 他にいかがでしょうか。特段御意見はございませんか。特になければ、最後の総合評価のところ、4ページを見ていただきまして、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として0.47mg/Lです。これはADIから導出された数字でありますが、それがあり、そして、リスク評価としては水濁PECで求めた0.016mg/Lがありまして、登録保留基準値の0.47mg/Lを下回っているという結論であります。
 なお、食品経由の農薬理論最大摂取量とのADI比が大体31%ぐらいですので、水の方は10%配分していますが、それを含めて大丈夫そうだという認識になるのかもしれません。これでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、原案どおりということにしたいと思います。
 では、引き続きまして、ジクロシメットをお願いいたします。

【農薬環境管理室係員】 では、ジクロシメットについて説明いたします。資料の5ページをご覧ください。
 評価対象農薬の概要でございますが、物質概要につきましては表に記載のとおりでございます。
 2.開発の経緯でございますが、本剤はアミド系殺菌剤であり、作用機序は糸状菌の付着器のメラニン化を強く阻害して、付着器からの作物表皮細胞への侵入を阻害すると考えられております。本邦での初回登録2000年でございます。製剤としては粉剤、粒剤、水和剤が、適用作物は稲がございます。原体の国内生産量については記載のとおりでございます。
 各種物性等については、表に記載のとおりでございます。
 6ページ目をご覧ください。本剤の安全性評価でございますが、こちらは食品安全委員会により本剤のADIは0.005mg/kg体重/日と設定されております。なお、この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量0.5mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。評価の詳細につきましては参考資料4を御参照ください。
 <3>.水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございますが、本剤は水田使用農薬でございますので、水田PECが最も高くなる1.の表に示す使用方法について算出いたしました。その結果、7ページの2.の表にございますように、水濁PECは0.0072mg/Lと算出されました。
 8ページに移っていただきまして、総合評価でございますが、水質汚濁に係る登録保留基準値案として0.013mg/Lを提案いたします。算出方法につきましては、下の表に記載のとおりでございます。本剤の水質に関する基準値でございますが、水質汚濁に係る旧農薬登録保留基準として0.1mg/Lが設定されております。
 下にまいりまして、リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.0072mg/Lであり、登録保留基準値0.013mg/Lを下回っていることを確認いたしました。なお、水濁PECTier2を参考までに算出いたしましたところ、さらに1オーダー下がって0.00053mg/Lとなり、基準値の約4%程度の値となります。
 参考の項でございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量は0.095mg/人/日でございまして、対ADI比は36%と推計されています。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 それでは、また、井上先生お願いいたします。

【井上(達)臨時委員】 メラニン合成阻害というのでしょうか、殺菌剤でございます。ターゲットは肝臓です。肝臓の毒性はエンドポイントもそうですけれども、結果的に体重増加抑制とあと肝細胞腫大を引き起こすというような偶発性のマンマリアンに対する毒性です。神経毒性や繁殖毒性等はありません。ただ、これはマウスに発がん性がありまして、その腫瘍原性はエピジェネティック発がんと呼んでいるものです。フェノバール様のホジョウ発がんですので、容量設定が低い分には問題なかろうという考え方でもって毒性ADIは設定されております。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、御意見をお願いいたします。いかがでしょうか。発がん性のところが少し気になる方がいらっしゃるかもしれないんですが、これはもうこういう扱いでということでよろしいでしょうか。

【井上(達)臨時委員】 遺伝子に直接……。

【森田委員長】 関係しないということではないですね。マウスにだけ出て、ラットでは見えないと。

【井上(達)臨時委員】 マウスにフェノバルビタール様の発がんの不活性があることによるということです。

【森田委員長】 それでは、いかがでしょうか。今、戻りまして、総合評価のところ、8ページを御確認いただきたいんですが、ADIとして設定されているのは5µg/kg体重/日という、これに定例の計算方式を当てはめまして、そして基準値としては0.013mg/Lという登録保留基準値が算定されるということ。それから、リスク評価としましては、水濁PECTier1から0.0072mg/Lで、登録保留基準値の0.013mg/Lを下回っていると。それほど大きな余裕はあるわけではないんですが、とりあえずこれで大丈夫ではないだろうかということであります。いかがでしょうか。原案どおりということでよろしいでしょうか。特に何か御意見ございませんか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、原案どおりということで進めたいと思います。
 引き続きまして、シメコナゾールをお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 資料5の9ページをご覧ください。シメコナゾールについて説明いたします。
 シメコナゾールはトリアゾール系殺菌剤であり、作用機序は菌類の細胞膜成分であるエルゴステロール生合成の阻害であり、ラノステロールのC14位脱メチル化を阻害すると考えられております。本邦での初回登録は2001年でございます。製剤には粒剤、水和剤が、適用作物は稲、果樹、野菜、豆、樹木、芝等がございます。
 物性につきましては3.の表に示すとおりでございます。
 次の10ページ、安全性評価でございます。本剤につきましては食品安全委員会において平成21年3月12日付でシメコナゾールの許容一日摂取量を0.0085mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果が通知されております。この値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量0.85mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 <3>.水質汚濁予測濃度でございます。本剤は水田と非水田のいずれの場面でも使用されるため、それぞれのPECを算定し、合算しております。水田使用時につきましては10ページの表に示す条件で、非水田につきましては11ページの上の表に示す条件で計算をいたしまして、水濁PEC算定結果はTier1で0.016mg/Lとなっております。
 12ページ、総合評価でございます。1.水質汚濁に係る登録保留基準値案でございますが、公共用水域の水中における予測濃度に対する基準値として0.022mg/Lと提案しております。この算定はADIから以下の表にあります算定式により算出しております。本剤につきましては水質汚濁に係る旧農薬登録保留基準値が0.2mg/L、ゴルフ場暫定指導指針値が0.22mg/Lと設定されています。
 リスク評価でございますが、水濁PECTier1が0.016mg/Lで、登録保留基準値案0.022mg/Lを下回っております。なお、この剤につきまして、水田PECTier2を仮に算出いたしましたところ、0.00021mg/Lと基準値の1%弱となりました。
 参考でございますが、食品経由の農薬理論最大摂取量は0.11mg/人/日、これは対ADI比で25%となっております。
 本剤につきましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 続きまして、井上先生お願いいたします。

【井上(達)臨時委員】 これは事務局の御説明にありましたように、トリアゾール系の殺菌剤で、ターゲットは肝毒性です。これはマウスとラットと両方にエピジェネティックな発がん性があります。それは前のお薬と同じように、フェノバルビタールに類似のシトクロムP450を惹起(じゃっき)する性質がありまして、したがいまして、割合低用量から影響がありますけれども、やはりエピジェネティックであり、遺伝毒性がないということと閾(いき)値が観察されるということでADIが設定されております。繁殖毒性等はありません。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして御質問、御意見、コメント、委員の先生方からございませんでしょうか。

【染臨時委員】 これも基礎的なことをお伺いして恐縮なんですが、この水濁PECの算定方法で、水田使用時の水濁PECのところにはこの「水濁PECが最も高くなる以下の使用方法の場合について」と書いてあるんですが、これは非水田使用時も同じ観点からの算出方法なのかということと、その場合、そういう観点からこの適用作物、この場合は日本芝ですが、その芝を選んで、これが一番場合によったら農薬使用量も多いということでこれを使って算定しておるのかと。
 ちなみに一番最初に出てまいりましたアゾキシストロビン、これは水稲と非水田の場合にはてんさいをお使いになっているわけですが、そういう意味で適用作物が特に畑作の場合には数多くある中で特定の適用作物はどういう観点からお選びになっているのかということを含めて教えていただきたいんですが。

【森田委員長】 お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 すみません、記載漏れといいますか、非水田の水濁PECにつきましてもさまざまな適用作物、それから、使用方法がある中で、最もPECが高くなるものについて選んでこちらの表に記載しております。もちろん、水濁PECの算定に当たりましては、単回の農薬使用量、それから、年間の使用回数に伴う総使用量、それが一番上下としては効いてくるんですけれども、それ以外にも散布の形態ですね、例えば樹木に散布するよりは果樹の方がドリフト量が多いですとか、いろいろとパラメーターが変わってまいりますので、それぞれの使用方法に即してPECの算定を行った上で一番高いものをこちらに載せております。次回からその旨きちんと明記するようにさせていただきたいと思います。失礼いたしました。

【山本臨時委員】 書く場所を水田使用時の前に書けばいいんじゃないですか。(1)の前、「最も高くなる」云々という所に。そうすると、水田、非水田の高い方を採用したということになりますからね。

【森田委員長】 他に御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。この物質につきましても少し気持ちが悪いのは多分発がん性試験のところで、この剤につきましてはラット、マウスとも見られていると。それから、腫瘍の発生部位も特に肝臓と、それから、精巣管細胞種とありますが、これはどう考えたらよろしいでしょうか。

【井上(達)臨時委員】 ラットに特有の自然発生腫瘍を加速させている。

【森田委員長】 加速させようとしている可能性がある。ただ、あまり加速といってももう何というか、0ppmでもたくさん出ているので。したがって、物質の影響とは考えにくいんだけれども、ということですね。基本的には肝腫瘍で、遺伝子をいじってのものではなくて、エピジェネティックであるので、したがってADIはこういう形で、セーフティファクターは通常のセーフティファクターで求めている。ADIは算定されているということであります。
 さて、それでは全体としての結論になっていく部分、12ページでしょうか、総合評価になりますが、ADIが0.0085mg/kg体重/日、それから、通常の計算式に従いまして、登録保留基準値としては0.022mg/L、それから、リスク評価としては水濁PECTier1で0.016mg/Lで、少し近いと言えば近いんですが、登録保留基準値を下回っていると、そういう計算になります。なお、食品経由の最大摂取量のADI比は25%程度と。というのが計算の例でありますし、これが原案となっていますが、こういうことでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、特に御意見がございませんでしたら、原案どおりということにしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、次の剤へ行きたいと思います。フェノキサニル、御説明をお願いします。

【農薬環境管理室係員】 資料5の13ページをご覧ください。フェノキサニルでございます。
 物質概要については表に記載のとおりでございます。
 開発の経緯等でございますが、本剤はフェノキシアミド骨格を有する殺菌剤であり、作用機序は糸状菌のメラニン生合成を阻害し、付着器のメラニン化を阻害することにより、感染機能を喪失させると考えられております。本邦での初回登録は2000年でございます。製剤としては粉剤、粒剤、水和剤、マイクロカプセル剤がございます。適用作物は稲でございます。
 各種物性等につきましては記載のとおりでございます。
 14ページにまいりまして、安全性評価でございますが、食品安全委員会により本剤のADIは0.007mg/kg体重/日と設定されております。安全性評価につきましては参考資料6を御参照ください。なお、このADI値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量0.70mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 <3>.水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございますが、本剤は水田使用農薬でございますので、水濁PECが最も高くなる表に記載の使用方法について算出いたしました結果、15ページの表にございますとおり、0.0091mg/Lと算出されました。
 16ページにまいりまして、総合評価でございますが、水質汚濁に係る登録保留基準値案として0.018mg/Lと提案いたします。こちらの基準値の算定方法は、表の中の数式に示すとおりでございます。
 参考でございますが、水質に関する基準値として、水質汚濁に係る旧農薬登録保留基準として0.2mg/Lが設定されております。
 2.のリスク評価でございますが、本剤の水濁PECTier2は0.0091mg/Lであり、登録保留基準値0.018mg/Lを下回っております。PECTier2が登録保留基準値と近いため、環境中モニタリング事例について調査いたしましたところ、公共用水域水質調査、水道統計、残留農薬対策総合調査等のモニタリング調査を調べたところ、いずれも本剤の検出について該当はございませんでした。食品経由の農薬理論最大摂取量は0.20mg/人/日で、対ADI比で55%と推計されております。
 事務局からの説明は以上でございます。御審議のほどよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 それでは、また、井上先生御解説をお願いいたします。

【井上(達)臨時委員】 フェノキサニルはフェノキシアミド骨格を有する殺菌剤ということで事務局の方から説明があったとおりで、ターゲットは肝毒性なんですけれども、その肝毒性による造血障害、それから、凝固障害が高濃度ではフェノタイプの前面に出てまいります。エピジェネティックな発がん性がこの剤にもありまして、薬物代謝酵素を活性化する性質があります。サイトクロムのスピーシーズは正確にはわからないようですが、ミクロソーム分画で薬物代謝酵素が増えているということを確認しており、これに基づくエピジェネティック発がんであろうというふうに推測をしております。それに基づいてADIを求めておりますので、結果的にはADIの濃度が割合低いのが特徴です。ですから、それは守っていただかなければならないと、こういうことであります。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして御意見、御質問、コメントございませんでしょうか。お願いします。

【中村専門委員】 PECの関連で教えていただきたいんですけれども、この剤についてはTier2がとられていて、Tier2では必ず水濁試験の成績が使われるんですけれども、水濁試験というのはライシメーターを使って、異なる2土壌で試験が行われるということで、必ずデータのセットが二つあるんですよね。それで、最初に出てきた水産PECの方のシラフルオフェンについては2セットのうちの高い方の値が使われていたんですけれども、こちらについては低い方の値が使われているんですよね。これは何か意味があるのかどうか、教えていただきたいというふうに思います。

【農薬環境管理室係員】 御指摘ありがとうございます。フェノキサニルに限らず、すべての剤についてPECが高くなるような値を用いて水濁PECTier2についても計算することとしております。

【農薬環境管理室室長補佐】 今、抄録の36ページを確認しているんですけれども、田面水の試験結果、これを使って算定したと思うんですが、経過日数14日の残留濃度が灰色低地土、軽植土においては0.097であるところ、黒ボク土では0.198でございましたので、こちらの値をとってPECの算定の方を行ってきたところですけれども。

【中村専門委員】 そうすると、止水期間を考慮されたとか、そういう感じになるわけですか。

【農薬環境管理室室長補佐】 恐らく最終的なPECの算定に効いていくのはどのくらい減衰していくか、その減衰の先の部分だと考えますので、本来でしたら両方やってみた上で御提示できればよかったんですけれども、14日の濃度が高いものが一番減衰していないということで、最終的な値が高くなってくるのかなと想定して出したんですが、これはもう一度計算し直してみます。

【中村専門委員】 わかりました。一応、黒ボク土壌の最高濃度が3日後で0.532で、灰色低地土、いわゆる沖積土壌の最高濃度が1日後の0.73で、確かに7日後以降は、この後の数字はどうなるかわからないですけれども、7日後以降は確かに黒ボク土壌の方が高いという値になっていますので、その辺を考慮されたというのであれば、要するに前の方は外に出ないから影響はないよみたいな感じで使われているとすれば、確かにそれはそうかもしれないです。

【農薬環境管理室室長補佐】 再計算して、確認いたします。

【中村専門委員】 それから、もう1点、先ほど実態調査で該当なしと言われたのは、それはデータが存在しないという意味で該当がないということですか。

【農薬環境管理室室長補佐】 はい、そのとおりです。

【中村専門委員】 ありがとうございました。

【森田委員長】 では、中村委員からの指摘はとりあえず再計算をしていただければそれでよろしいでしょうか。わかりました。
 他に御意見ございませんでしょうか。

【安藤専門委員】 少し気になることがありまして、このフェノキサニルは分解性があって、どこで分解されるかと言うとエーテル結合で切れる、これが一つ。つまり、ジクロロフェノールになるということ、もう一つが、アミドのところで切れる。アミドのところで切れるということはフェノキシプロピオン酸になるわけです。つまり、2,4-Dは2,4ジクロロフェノキシ酢酸ということになる。そうすると、この剤は2,4ジクロロフェノキシプロピオン酸となり、このものの毒性というものはどうなのかなと。もちろんここではないから、何とも言えないんですが、その重要な毒性情報もないからわからないんですが、これの尿中への排泄がどのぐらいあるかと、いいというものが10ページにあるんですが、多分これでいいと思うんですが、ここで7%近く、また、別の実験、雌の実験では10%、または高容量でも9.1%、あるいはそういうふうにジクロロフェノールになるとやはり9%のもあるというふうに、結構代謝物があるということで、その2,4-ジクロロフェノキシ酢酸の毒性情報だけでも、もしあれば見ておいて、他の文献でのデータがあればいいんですが、ここの審議でということで言っているわけではありませんけれどもね。それが気になるなという。もちろんフェノキシ酢酸ではありませんから、2,4-Dじゃないから大丈夫だとは思いますが、ということです。
 先ほど、井上先生からの薬物代謝酵素活性が上がるというのは、まさにこれで上がる可能性もあるのではないかという気もいたしますので、もし、データがあればというところでございます。

【上路臨時委員】 一番もとになるのは、多分食品安全委員会での評価のことだと思いますので、そのやり方をお話しいたしますと、植物代謝で出てくるもの、これについては10%を超えているものについてはきちんと残留量も調べなくてはいけないし、急性毒性と遺伝毒性を調べなくてはいけないということは言われています。それで、ラットで先生が御指摘のように、代謝物が出てきておりますけれども、これについては、ラットについては総体として評価しているので、代謝物が出たとしてもいいじゃないかという言い方をしています。ただし、ラット以外の動物代謝の場合もありますから、それについては今後どうすべきなのかというのは、これから食品安全委員会の方でも考えなくてはいけないと思っていますけれども、ラットに関しては、OECDなんかもそういう見解をとっています。

【森田委員長】 ありがとうございました。ついでになんですが、こういう2,4-フェノキシ型の除草剤というのは以前、ダイオキシンで問題になったことがあるんですが、こういうのは剤の中にそういうものが含まれていないというのはどこか検証されているんでしたっけ。

【農薬環境管理室長】 登録の際にそこも確認をされて、ないというので登録されていると。

【森田委員長】 ということですよね。その、ないというのはどういうふうな数値で決まっているんでしたっけ。

【農薬環境管理室長】 細かいところまではわかりません。原体でダイオキシン類の濃度を調べられて、検出されていないということを多分確認されているのではないかなと思いますけれども。詳細がわかりませんので、また、次回に報告いたします。

【森田委員長】 そうですか。私の記憶も相当古いのであれなんですが、多分……。

【農薬環境管理室長】 FAMICで説明できる人いますか、それとも農水省か、すぐ答えられます。いないということですので、次回にでも説明します。

【森田委員長】 確認をしていただくということにしたいと思います。

【農薬環境管理室長】 はい。資料で出させていただきます。

【森田委員長】 それでは他に。ダイオキシンの話では、ダイオキシンの特別措置法ができてから、それまでのものとけた違いにいろんな条件がきつくなってしまっているというか、難しくなってしまっているところが少しあるので、現状の知識を確認したかったということなんですが。
 それでは、一応原案ではこうなっておりますが、こういう流れの中でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは、いろいろ確認をしていただく要素が若干ありますが、特段何もなければこの案の形でよろしいということになるかと思います。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、これも原案どおりということにしたいと思います。
 次は、フェントラザミド、お願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 では、資料5の17ページをご覧ください。フェントラザミドについて御説明いたします。
 物質概要につきましては1.に示すとおりです。
 開発の経緯等でございます。本剤は芳香族カルボン酸系除草剤であり、作用機序は明らかでないが、植物の細胞分裂組織に作用し、細胞分裂及び伸長を阻害して雑草の生育を停止させ、枯死させると考えられております。本邦での初回登録は2000年です。製剤には粒剤、水和剤が、適用作物は水稲がございます。
 各種物性に関しましては3.の表のとおりです。
 18ページ、安全性評価でございます。食品安全委員会は平成20年12月4日付でフェントラザミドのADIを0.0052mg/kg体重/日と設定する食品健康影響評価の結果を通知しております。この値はイヌを用いた1年間慢性毒性試験における無毒性量0.52mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されたものでございます。
 水質汚濁予測濃度でございます。本剤は水田にのみ適用されますので、そのPECを18ページの表の条件で算定いたしましたところ、19ページに結果を記載しておりますが、Tier1で0.0040mg/Lとの結果を得ております。
 総合評価でございます。1.水質汚濁に係る登録保留基準値案でございますが、0.013mg/Lを提案しております。この値は表に示すとおりの算定式でADIより導出したものでございます。本剤につきまして、水質汚濁に係る旧農薬登録保留基準が設定されておりましたが、こちらは0.1mg/Lとなっておりました。
 次のページ、リスク評価でございます。水濁PECTier1が0.0040mg/Lでございますので、登録保留基準値0.013mg/Lを下回っております。なお、この剤につきまして、水濁PECTier2を参考までに算定しますと、さらに3オーダー下がりまして、0.000033mg/Lとなっておりまして、基準値の1%未満の値と予測されております。
 参考の項、食品経由の農薬理論最大摂取量は0.0065mg/人/日でございまして、対ADI比で2.4%と推計されております。
 本剤につきましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、また、井上先生よろしくお願いいたします。

【井上(達)臨時委員】 これは分裂阻害作用で除草を行うものであります。いくつかの特徴があるんですけれども、赤血球と脳の両方に作用するんですけれども、コリンエステラーゼ活性の阻害作用があります。したがいまして、貧血であるとか、そういう血球障害と、それから、神経障害が高濃度、それなりの濃度で出ます。それから、あとはそれを引き起こしているのは肝毒性でして、肝毒性はさらに甲状腺の毒性も引き起こします。甲状腺の毒性は肝臓の腫大とかそういう一般毒性に基づいておりまして、その延長線上で甲状腺にも若干のプロモーション作用に基づく甲状腺腫瘍をつくります。いずれもメカニズムがわかっていることと、プロモーション作用であるということでADIの設定を行っております。ADIの設定はラットやマウスではなく、イヌの慢性毒性が採用されております。それは特に理由はありません。イヌでたまたま同じ肝毒性並びに、これはコリンエステラーゼの阻害は見ておりませんけれども、それと推定されるエンドポイントが認められているので、同じメカニズムですが、イヌでADIが一番低く無毒性量が一番低く出たので設定したということで、特にイヌに特徴があるわけではありません。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきまして御質問、御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。

【白石臨時委員】 細かいことですみません。17ページの開発の経緯のところで、「フェントラザミドは芳香族カルボン酸系除草剤であり」と書いてあるんですが、芳香族カルボン酸の、この名前のつけ方が、詳しくないのでわからないんですが、芳香族カルボン酸が見えないので、構造式からは、何か理由があるんだろうかと。もしも違ったら直していただいた方がいいと思います。

【農薬環境管理室室長補佐】 この系統につきましては農薬ハンドブックの記述を参照して書かせていただきました。

【上路臨時委員】 ハンドブックは、今改定をしている最中です。来年の2月を目処にきちんとしたものが出ていくと思います。たくさん間違いがあるということを認識しています。この剤につきましても委員の御指摘のようなことだというふうに思いますので、これは系統の名前は見直してください。お願いします。

【森田委員長】 ほかにいかがでしょうか。特段の御意見ございませんか。先ほど来、何剤かですが、旧水質汚濁に係る農薬登録保留基準値よりも、より厳しい数値が出てきておるんですが、基本的にこれはADIの変更に基づくということでよろしいんでしょうか。

【農薬環境管理室長】 旧基準はいわゆる排水の基準としてのもので、現行基準は基本的には10分の1の値になっている環境基準に当たるものですので、ADIの変更ではなくて、登録保留基準の考え方が排水基準から環境基準に変わったと御理解いただければと思います。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。それでは、最後のところ、19から20ページの確認をいただきたいんですが、ADIが5.2µg/kg体重/日、それを割り振っていきまして、水の登録保留基準値は0.013mg/Lになるということであります。それから、リスク評価としましては、この剤につきましては水濁PECTier1で0.04mg/Lということで、登録保留基準値を下回っていると、そういう計算になります。それから、なお、食品側からの理論最大摂取量というのはADI比で2.4%と、比較的低い数字があるということです。この総合評価全体としてよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特段異なる意見もなさそうでございますので、原案どおりということにしたいと思います。
 では、引き続きまして、ベンフレセート、御説明をお願いします。

【農薬環境管理室係員】 21ページをご覧ください。ベンフレセートでございます。
 物質概要は表に記載のとおりでございます。
 開発の経緯等でございますが、本剤はベンゾフラン骨格を有するベンゾフラニルアルキルスルホン酸系除草剤であり、作用機序の詳細は解明されておりませんが、炭素数18以上の長鎖の脂肪酸の合成を阻害すると考えられております。本邦での初回登録は1994年でございます。製剤は粒剤、水和剤が、適用作物は水稲、芝があります。原体の輸入量は記載のとおりでございます。
 各種物性については表に記載のとおりでございます。
 22ページにまいりまして、安全性評価でございますが、食品安全委員会により本剤のADIは0.026mg/kg体重/日と設定されております。安全性評価書につきましては参考資料8を御参照ください。なお、このADI値はラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験における無毒性量2.63mg/kg体重/日を安全係数100で除して設定されております。
 水質汚濁予測濃度(水濁PEC)でございますが、本剤は水田使用及び非水田使用のいずれの場合においても使用されるため、それぞれの使用場面について水濁PECを算出し、両者を合算いたしました。
 まず、水田使用時の水濁PECでございますが、PECが最も高くなる表に示す使用方法の場合について算出いたしましたところ、23ページの下方にございますとおり、水田使用時の水濁PECTier1は0.01597mg/Lと算出されました。
 次に、23ページの2、非水田使用時の水濁PECにつきましては、こちらも水濁PECが最も高くなる表に示す場合について算出いたしましたところ、3の表の中ほどにございますとおり、非水田使用時の水濁PECは0.00003066mg/Lと算出されました。その結果、水濁PECの値は水田使用時と非水田使用時を合算いたしまして、0.016mg/Lと算出されました。
 24ページをご覧ください。総合評価でございますが、水質汚濁に係る登録保留基準値案として0.069mg/Lを提案いたします。算出式は表の中に記載のとおりでございます。
 参考の水質に関する基準値でございますが、水質汚濁に係る旧農薬登録保留基準として0.7mg/Lが設定されております。
 リスク評価でございますが、水濁PECTier1は0.016mg/Lであり、登録保留基準値0.069mg/Lを下回っていることが確認されました。なお、参考までに水濁PECTier2を算出いたしましたところ、PECTier1より2オーダー下がりまして、0.00052mg/Lとなり、基準値の1%未満の値となっております。なお、本剤の食品経由の農薬理論最大摂取量は0.016mg/人/日でございまして、対ADI比で1.1%となっております。
 事務局からの説明は以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。

【森田委員長】 御説明ありがとうございました。それでは、この剤につきまして。

【井上(達)臨時委員】 事務局の説明にもありましたように、ベンゾフラニルアルキルスルホン酸系除草剤ということだそうですが、これは毒性のメカニズムは食品安全委員会のレポートにもメカニズムが書かれておりません。恐らく正確にはわからないんだろうと思いますけれど、腎臓の乳頭壊(え)死がラットもマウスもイヌも皆同じように出ます。遺伝毒性や発がん性はないんです。わかっていることは、代謝物が腎臓でラジオアイソトープが高い活性が検出される。ただ、蓄積性はないということで、この代謝物が乳頭壊(え)死を起こす毒性を持っているということが推測されるということ以上のことはわからないんですが、いずれにしても発がん性とこの直接毒性以外のものが検出されないので、そのままADIの設定がなされたというものであります。
 以上です。

【森田委員長】 井上先生、ありがとうございました。それでは、この剤につきまして、御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。特段の御意見ございませんか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、24ページの総合評価を見ていただきまして、登録保留基準値の案としては0.069mg/L、そして、リスクの評価としては水濁PECTier1で0.016mg/人/日で、ある程度余裕を持って下回っているという状況であります。なお、農薬の食品経由の最大摂取量が1.1%でありまして、相当低いということのようです。
 これらの全体を通してのまとめになりますが、この内容でよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 特段、では御異議もないようでございますので、原案どおりにしたいと思います。
 では、引き続きまして、メタミホップです。御説明お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 では、資料5の25ページをご覧ください。メタミホップについて説明いたします。
 物質の概要につきましては1.に記載のとおりです。
 開発の経緯等でございます。メタミホップはフェノキシプロピオン酸系除草剤であり、作用機序は雑草の葉緑体内に存在するアセチルCoAカルボキシラーゼの活動を抑制し、植物体細胞膜形成に重要な役割を果たすリン脂質合成を阻害することによって雑草を枯死させると考えられております。本邦では現在未登録でございます。製剤には乳剤が、適用作物には芝がございます。
 各種物性につきましては3.のとおりです。
 26ページ、安全性評価でございます。本剤は食用農作物への適用が申請されておらず、登録申請に伴う食品安全委員会による食品健康影響評価は行われておりません。このため、非食用農作物専用農薬安全性評価検討会においてADIを設定いただきました。このADIの呼称について、非食検討会での検討におきまして、ここでのADIは環境省でADIを設定しなければ水質汚濁に係る農薬登録保留基準を設定できないため、登録手続が進まなくなる農薬を対象とするものであり、非食検討会での知見に基づき非食用農作物専用農薬に設定されるADIであるということを明確化する観点から暫定ADIという呼称を非食用ADIと改めるということで合意されておりまして、そのように書かせていただいております。
 本剤の安全性評価についてでございますが、29ページからの別紙を御説明いたします。試験結果概要につきましては30ページから始まります。
 まず、本剤非食用での申請でございますが、データとしては慢性毒性データも含めた試験成績が提出されておりました。動物体内運命試験につきましては、本剤、比較的速やかに体外に排泄されまして、組織残留性、蓄積性は認められておりません。
 36ページから環境中運命試験の結果を記載しております。加水分解・光分解ともに速やかでございまして、土壌残留性も低いという結果が得られております。
 37ページ以降に一般薬理試験、急性毒性試験、38ページから亜急性毒性試験、42ページから慢性毒性試験について掲載しております。
 主たる毒性影響は、血液系、肝臓、腎臓及び甲状腺に認められております。また、42ページから掲載しているんですが、ラットの2年間慢性毒性/発がん性併合試験で750ppm投与群で卵巣の良性顆(か)粒膜細胞種が有意に増加し、前腫瘍性病変である顆粒膜細胞過形成も有意に増加しております。
 44ページのマウスの18カ月発がん性試験では、1,800ppm投与群の雌雄で肝細胞腺腫及び肝細胞がんが認められております。
 これらの試験については、検討会でも記述ぶり、相当御指摘多々賜りまして、修正をしております。これらの肝細胞腫瘍、メカニズム試験が多数実施されておりまして、45ページに書かせていただいておりますけれども、肝腫瘍発がん機序がげっ歯類特異的である可能性が高いということで、ヒトへの外挿性は低いものと考えられております。
 46ページから生殖発生毒性試験、催奇形性試験、遺伝毒性試験の結果を記載しております。催奇形性及び遺伝毒性は認められませんでした。この催奇形性試験については、検討会で同腹効果を考慮した再解析を行うよう要請がございまして、その結果を提出した上で審議いただいておるところでございます。
 52ページに総合評価を掲載しております。読み上げます。
 「14Cで標識したメタミホップのラットを用いた動物体内運命試験の結果、経口投与されたメタミホップは速やかに吸収され、血中濃度推移に性差は認められなかった。排せつは速やかで、F-標識体では76%TAR以上が尿中に排せつされた。一方、C-標識体では尿中排せつが39%TARであり、F-標識体に比べて尿中排せつが少なかった。体内では消化管、腎臓、脂肪及び肝臓に多く分布したが、その後速やかに減少し、試験終了時点では組織中放射能濃度はほぼ消失した。組織残留性及び組織蓄積性は認められなかった。主要代謝物は、尿中では代謝物K・M・Q及び代謝物R、ふん中では代謝物Nであり、親化合物の尿中及びふん中の存在量は少量であった。主代謝経路は、メタミホップのN-(2-フルオロフェニル)プロパナミドのアニリド結合の開裂及び6-クロロ-2-ベンゾオキサゾール環とフェノキシ環の結合部分の開裂であると考えられた」。
 「各種毒性試験結果から、メタミホップ投与による影響は、主に血液系、肝臓、腎臓及び甲状腺に認められた。催奇形性及び遺伝毒性は認められなかった。発がん性試験において、ラットの卵巣顆粒膜細胞腫及びマウスの雌雄で肝細胞腺腫及び肝細胞がんが認められたが、実施された遺伝毒性試験の結果からは、直接的な遣伝毒性メカニズムによるものと考える根拠はなく、本剤の評価にあたり閾(いき)値を設定することは可能と考えられた。また、メタミホップ投与によって認められた肝細胞腫瘍は、げっ歯類に特有なペルオキシゾームの増生に関連して発現したことが示唆されたことから、ヒトへの影響は少ないと考えられた」。
 「各種試験結果から、ばく露評価対象物質をメタミホップと設定した。各試験における無毒性量、最小毒性量及び最小毒性量で認められた所見は表33に示す」とおりでございます。
 54ページに進んでいただきまして、「ラットを用いた催奇形性試験では母動物の肝重量増加に対しては、無毒性量を設定できなかった。しかし、より長期の投与によるラットを用いた2年間慢性毒性/発がん性併合試験において無毒性量が得られていることから、ラットにおける無毒性量は2年間慢性毒性/発がん性併合試験の無毒性量0.42mg/kg体重/日とすることが妥当である」と考えられました。
 この結果よりメタミホップに対する非食用ADIは0.0042mg/kg体重/日と設定しております。
 資料の26ページに戻っていただきまして、水質汚濁予測濃度でございます。本剤は非水田のみで適用されますので、そのPECを26ページの表の条件で算定し、Tier1で0.000014mg/Lとの結果を得ております。
 総合評価でございます。1.水質汚濁に係る登録保留基準値案でございますが、先ほどの非食用ADI0.0042mg/kg体重/日から表の算出式により算出いたしました基準値案は0.011mg/Lと提案しております。
 次のページ、リスク評価でございます。水濁PECTier1が0.000014mg/Lでございますので、登録保留基準値0.011mg/Lを下回っております。
 本剤に関しましては以上です。御審議よろしくお願いいたします。

【森田委員長】 それでは、井上先生。

【井上(達)臨時委員】 毒性については事務局が御説明になったとおりであります。特に総合評価の内容全体がこの剤の毒性のメカニズムそのものであります。入り口のところだけ繰り返しますと、これは御説明にもありましたように、リン脂質合成阻害が殺虫剤のメカニズムでありまして、これに伴って動物試験をやりますと血球系であるとかいろいろな組織の細胞の細胞毒性が非常に顕著に出ます。血球がことごとく壊れて、出血性の変化を起こすというところに特徴があります。
 以上です。

【森田委員長】 ありがとうございました。それから、先ほど来、白石先生の御指摘のあった部分ですが、開発の経緯でフェノキシプロピオン酸系除草剤と書いてあるのは多分その前のフェノキサニルとひょっとしたら混同しているかなという感じで、これは後でまた少し。これでいいの。メタミホップはいいのか。フェノキシプロピオン酸系でいいの。

【白石臨時委員】 アミノじゃなくなっても、これぐらいだったら。

【森田委員長】 このぐらいだと。そうですか、失礼しました。それでは、このメタミホップにつきまして御意見お願いいたします。
 いかがでしょうか。それでは、特段御意見も出ませんので、最後の総合評価のところの御確認をいただきたいと思います。
 27ページであります。非食用のADI、これは井上先生を始めとして御努力いただいてつくっていただいたものですが、それが0.0042mg/kg体重/日、これに基づいて登録保留基準値としては0.011mg/Lということであります。なお、リスク評価といたしますと、水濁PECが0.000014mg/Lという数字でありますので、相当大きなマージンでもってリスクは小さいと、そういう認識になっております。
 この原案に対しましていかがでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 では、特に御異議もないようでございますので、承認ということにしたいと思います。
 それでは、どうもありがとうございました。今日、水生生物4剤、それから、ヒトの健康に関わってくるような水濁登録基準の方の7剤についての議論が原案どおり承認されたということでございます。若干の議論が出ましたので、必要な部分については事務局の方で修正をしていただきたいということであります。
 それでは、この一連の作業は終わりましたが、今後の予定についての御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは、それぞれの議題におきまして御了解いただきました農薬の登録保留基準については行政手続法の規定に基づき、今後必要な、修正する部分については修正した上で、パブリックコメントを1カ月ほど実施いたします。その結果、もし仮に何か意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度農薬小委員会で審議を行うかどうか御相談して御判断いただくことにいたしたいと思います。再審議の必要がない場合には部会長の同意を得て、部会報告となり、さらに中央環境審議会長の同意が得られれば答申となります。そして、答申後、告示として基準値を公布いたします。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、最後の議題になります。その他ですが、事務局から農業資材審議会特定農薬小委員会及び中央環境審議会特定農薬分科会の合同会合についての御報告をお願いいたします。

【農薬環境管理室室長補佐】 資料の6をご覧いただけますでしょうか。特定農薬につきましては従来こちらの中央環境審議会の農薬小委員会と、農水省の審議会の組織の中にある特定農薬についての組織と合同で会合を持って審議をしていただいてきておりました。ただ、今年の7月の農薬小委員会におきまして、審議の効率化を図るということ、そういう観点からこちらの農薬小委員会の一部の先生方に御参画をいただいて、特定農薬分科会というものを農薬小委員会のもとに設置をするということで御了承いただいているところでございます。
 その後、10月5日に初めてこちらの特定農薬分科会が初めて参画する形で農水省の審議会と合同の形で特定農薬についての審議をいただいたところでございます。
 10月5日の特定農薬についての合同会合でございますけれども、特定農薬の候補として掲げられているもののうち農林水産省で資料がその時点で整理できたものとして焼酎、それから、電解次亜塩素酸水、それから、木酢液、続きまして、ウェスタン・レッド・シーダーというものの蒸留して抽出したものについて審議が行われました。
 10月5日の合同会合では、このうち焼酎について、安全性が明らかで農薬登録の必要がない特定農薬として指定することが可能だという結論に至っております。
 そのほかの電解次亜塩素酸水、それから、木酢液、ウェスタン・レッド・シーダー蒸留抽出液につきましては現状の資料では安全性の程度が判断できないということで、さらに資料を求めるという形で継続の審議とされております。
 合同会合で特定農薬と指定が可能だという判断されたものにつきましては、今後こちらの農薬小委員会で改めて御審議をいただくことになっております。また、農林水産省の審議会でもそれぞれ個別に審議をすると。それから、また、手続上、食品安全委員会の意見も聞くということになっておりまして、現在その手続について整理をしているところでございます。
 先ほど申し上げましたとおり、こちらの農薬小委員会において詳細について今後準備ができ次第御審議をいただくということで、詳細な説明については省かせていただきますけれども、資料6の議事概要については環境省のウェブサイト、また、農林水産省のウェブサイトで既に公開しております。
 簡単ですが、以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。御質問、御意見ございますでしょうか。お願いします。

【山本臨時委員】 もう一回小委員会でやるんですか。今、小委員会とおっしゃったんですけど。そこで、これは具合が悪いねとなったら、もう一遍合同委員会に差し戻したりする。

【農薬環境管理室室長補佐】 それはルール上はあり得ます。

【山本臨時委員】 そういうことはあり得るんですか。そうですか、もう一遍やるのか。もうこれで終わりかと。

【農薬環境管理室長】 基本的には合同会合で御議論いただいて、農水省の資材審にまたかけていただくと。

【眞柄臨時委員】 一度資材審に。

【農薬環境管理室長】 食品安全委員会が終わった後で資材審、同時に中環審にも審議いただくというような手続を進めさせていただくと。

【山本臨時委員】 上路さん、資材審にかかった最初の三つについてはもう記憶ないですよね。

【上路臨時委員】 今回たまたま先ほど説明があったように、中環審の、本来は農薬小委員会全員で検討したのが、それが分科会になったから、もう一遍小委員会の方で承認という形なんですか。もう一遍検討するというわけじゃなかったような気がします。報告というふうに私は考えていたんですけれども。

【農薬環境管理室長】 事実関係を申し上げますけれども、特定農薬ですね、今、三つの資材がございますけれども、その三つの資材につきましては資材審に審議をいただいた結果、告示という形にしております。今回については、前回と違う食品安全委員会が間に入る形になりましたので、食品安全委員会にかけるプロセスができましたので、今回は食品安全委員会にかけて諮問して、御議論いただいて、その結果を受けるという形になりますけれども、それを受けて資材審で最終的にこういう告示でいいのかというのを諮問、答申というような手続になります。
 農薬取締法上は資材審の諮問、答申という形にしておりますけれども、環境省につきましても環境大臣が告示という形になりますので、中環審に諮問させていただくというような形をとらせていただきたいというふうに考えております。
 細かい技術的なところは、合同会合でいろいろ議論いただいていますので、いわゆる特定農薬として、本当に環境上問題ないのかというのを確認をいただくということだと思いますけれども。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、御苦労様ですが、特定農薬の方も委員の先生方よろしくお願いします。
 それでは、本日の議案が一応ここで一通り終了いたしました。事務局から何かございますでしょうか。

【農薬環境管理室農薬企画・調査係長】 事務局から1点よろしいでしょうか。参考資料9としてお配りしているんですけれども、ゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁の防止に係る暫定指導指針について、平成22年9月29日付で発出いたしましたので、御報告いたします。
 以上になります。

【森田委員長】 御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、本日の審議、一通り終了いたしました。審議全体についての御意見ございますでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段なさそうでございますので、西嶋さんにお返しします。

【農薬環境管理室長】 今日は長時間にわたりまして御審議いただきましてありがとうございました。
 以上をもちまして、農薬小委員会第23回目を終了致します。本日はありがとうございました。