中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第17回) 議事録

日時

平成21年8月21日(金)14:00~15:15

場所

三田共用会議所 D・E会議室

出席委員

委員長
森田 昌敏
委員
佐藤 洋
臨時委員
井上  達  五箇 公一
白石 寛明  染  英昭
中杉 修身  中野 璋代
眞柄 泰基  山本 廣基
渡部 徳子
専門委員
安藤 正典  井上 隆信
中村 幸二  根岸 寛光
花井 正博

(欠席は、上路臨時委員、花里臨時委員、細見臨時委員、吉田専門委員)

委員以外の出席者

環境省
水環境担当審議官、農薬環境管理室長、農薬環境管理室長補佐、農薬環境管理室長補佐、農薬環境管理室企画・調査係長、農薬環境管理室主査

議題

(1)
水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
(2)
水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
(3)
その他

配布資料

資料1 中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿
資料2 中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第16回)議事録(案)
資料3 諮問書(写)及び付議書(写)
資料4 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料
資料5 水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料
参考資料1 中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会(第16回)議事要旨
参考資料2 水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針(平成20年2月22日土壌農薬部会資料)
参考資料3-1 平成21年度非食用農作物専門農薬安全性評価検討会開催要領
参考資料3-2 平成21年度非食用農作物専用農薬安全性評価検討会委員名簿
参考資料4 農薬評価書ジメテナミド(食品安全委員会資料)
参考資料5 農薬評価書ピリフルキナゾン(食品安全委員会資料)
参考資料6 農薬評価書メトラクロール(食品安全委員会資料)

議事

【農薬環境管理室長】 定刻となりましたので、ただいまから土壌農薬部会農薬小委員会を開催させていただきます。
 それでは初めに、委員の出欠確認をお願いします。

【農薬環境管理室長補佐】 本日の委員の出欠でございますが、上路臨時委員、花里臨時委員、細見臨時委員、吉田専門委員より、御欠席するとの連絡をいただいております。あと渡部臨時委員におきましては、若干遅れられるという連絡をいただいております。したがいまして、本日は16名の委員に御出席いただく予定となっておりますが、現在、15名御出席という状況でございます。
 臨時委員総数14名のうち、現時点で10名の御出席をいただいておりますので、小委員会開催の要件、定足数8名でございますけども、満たしていることを報告いたします。

【農薬環境管理室長】 続きまして、本日の配付資料について御確認いただきたいと思います。

【農薬環境管理室企画・調査係長】 議事次第に記載しております配布資料一覧に従いまして、資料の確認をお願いいたします。
 まず、資料1、中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿。資料2、中央環境審議会土壌農薬部会同農薬小委員会(第16回)議事録(案)。資料3が諮問書及び付議書の写しでございます。資料4、水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定に関する資料。資料5が、水質汚濁に係る農薬登録保留基準として、環境大臣の定める基準の設定に関する資料。
 以上が資料でございまして、続いて参考資料1として、中央環境審議会土壌農薬部会農薬小委員会第16回の議事要旨。参考資料2が、これは平成20年2月22日の土壌農薬部会の資料でございますけれども、水質汚濁に係る農薬登録保留基準に関する安全性評価及び基準値設定の方針。参考資料3-1、平成21年度非食用農作物専用農薬安全性評価検討会開催要領、参考資料3-2が、平成21年度非食用農作物専用農薬安全性評価検討会委員名簿、参考資料4が、ここから食品安全委員会の資料でございますけれども、農薬評価書のジメテナミド。参考資料5が農薬評価書ピリフルキナゾン。参考資料6が、農薬評価書メトラクロール。以上が参考資料でございます。
 また、委員のお手元に、検討会や審議会の報告を取りまとめましたピンクか黄色の紙のファイルがございます。こちらは会議終了後、置いていっていただければと思います。
 以上でございます。

【農薬環境管理室長】 もし足りないものがございましたら、事務局までお申し出ください。特にないようでございましたら、議事に入らせていただきます。
 森田委員長に議事進行をお願いいたします

【森田委員長】 本日は、御多用中のところ、また大変暑い中を御出席いただきまして、ありがとうございます。
 本日の農薬小委員会は、議事次第にございますように、主に二つの議題に関する審議が予定されています。慎重かつ活発な御審議をお願いいたします。
 本日の審議の公開についてお諮りしたいと思います。土壌農薬部会の運営方針では、審議中の答申、非公開を前提に収集したデータが記載されている資料など、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれがある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益若しくは不利益をもたらすおそれある資料などは、委員長の判断に基づき非公開とするとされています。今回の農薬小委員会では、申請者から提出された農薬の毒性試験報告書など、企業秘密に当たる資料を使用しないことから、非公開の理由には当たらないため、今回の農薬小委員会につきましては、公開とさせていただきたいと思います。
 さて、議事に先立ちまして、前回7月17日に開催いたしました第16回小委員会の議事要旨の確認であります。事務局より御説明お願いいたします。

【農薬環境管理室長補佐】 中央環境審議会土壌農薬部会の運営方針では、議事要旨については、委員長に了解いただければ公開できることになっております。本日参考資料1の内容で既に環境省ホームページで公開しておりますので、御報告いたします。以上です。

【森田委員長】 よろしいでしょうか。
 続きまして、前回の議事録についてであります。こちらは事前にメールで各委員御確認済みだということでありまして、資料2で配付しております。この資料2にあります前回の議事録につきまして、特段御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。 

(異議なし)

【森田委員長】 なお、これらにつきましては、土壌農薬部会の運営方針に基づきまして、公開するということにしております。
 それでは、これから議事に入りたいと思いますが、初めに農薬小委員会の決議の取り扱いについての御説明をさせていただきます。
 中央環境審議会土壌農薬部会小委員会の設置についての土壌農薬部会決定によりまして、農薬小委員会の決議は部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができることになっております。したがいまして、この農薬小委員会後には、農薬登録保留基準の設定のための土壌農薬部会は招集せず、土壌農薬部会会長の松本部会長の御了解をいただいて、部会としての結論としていくことになります。
 それでは、議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
 農薬取締法第3条第2項の規定に基づき、環境大臣が定める基準の設定についての件につきましては、8月6日付けで環境大臣から諮問があり、土壌農薬部会に付議されてきております。この件につきまして、事務局から諮問書の御紹介をお願いいたします。

【農薬環境管理室企画・調査係長】 それでは、資料3をごらんください。平成21年8月6日付けで、環境大臣から中央環境審議会会長に対して、以下のとおり諮問されております。
 農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定について(諮問)。環境基本法第41条第2項第2号の規定に基づき、次のとおり諮問する。
 「農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件」に基づき、(1)別紙1の農薬に関し、告示第3号の環境大臣が定める基準を設定すること。(2)別紙2の農薬に関し、告示第4号の環境大臣が定める基準を設定することについて貴審議会の意見を求める。
 1ページめくっていただきますと、裏面に別紙1がございまして、こちらが水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準を設定する農薬。別紙2が、水質汚濁に係る登録保留基準でございます。別紙2の裏面に付議書が記載されておりまして、同日付で中央環境審議会会長から中央環境審議会土壌農薬部会長に対して、今御説明した内容の旨が付議されております。
 以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。
 よろしいでしょうか。それでは、この諮問に対応した形で、早速ですけども、議題(1)に入りたいと思います。
 水産動植物の被害防止に係る農薬の登録保留基準として、環境大臣の定める基準の設定についての審議であります。
 この件につきましては、農薬小委員会に先立ちまして、水産動植物登録保留基準設定検討会におきまして、基準値の設定の根拠となる農薬登録申請者からの提出された試験結果や公表文献情報の精査を行うとともに、これらのデータに適応する不確実係数等を設定して、基準値の案を策定していただいております。
 それでは、事務局より御説明をいただきたいと思います。

【農薬環境管理室企画・調査係長】 それでは、資料4の御説明をさせていただきます。
 1ページめくっていただきまして、まず、アジムスルフロンから御説明いたします。アジムスルフロンはスルホニルウレア系の除草剤でございまして、植物に特有な必須アミノ酸の生合成を阻害することによって除草活性を有する剤でございます。本邦での初回登録は1997年でございまして、製剤は粒剤が、適用作物は稲でございます。原体の輸入量に関しては17年度のみデータがございまして、0.5トンという結果でございました。
 続いて各種物性ですけれども、資料に記載のとおりでございまして、1ページめくっていただきまして、水産動植物への毒性について御説明いたします。まず1.として魚類を用いた急性毒性試験の結果からです。2種類の生物種を用いて試験が実施されておりまして、まずニジマスを用いた魚類急性毒性試験の結果ですけれども、96時間のLC50の結果が15万4,000μg/Lという結果でございました。ニジマスの下にブルーギルを用いた魚類急性毒性試験の結果を記載しておりますけれども、100万μg/L超という結果でございました。
 続きまして甲殻類の試験成績の結果でございます。オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験が実施されておりまして、48時間のEC50の結果が94万1,000μg/Lという結果でございました。3番目が藻類生長阻害試験の結果でございます。こちらはPseudokirchneriellaを用いて試験が実施されておりまして、72時間のEC50が73.9μg/Lという結果でございました。
 1ページめくっていただきまして、5ページ目が環境中予測濃度でございます。本農薬については製剤として粒剤がありまして、稲に適用がございます。したがいまして、水田使用時の予測濃度について算出いたしました。第1段階における予測濃度が最も高くなる稲に粒剤を用いる以下の表5のパラメーターを用いて算出いたしまして、水田使用時の環境中予測濃度は0.27μg/Lという結果でございました。
 1ページめくっていただきまして、総合評価でございます。(1)として登録保留基準値案、各生物種のLC50、EC50は以下のとおりでございました。こちらの生物種のLC50、EC50からそれぞれ急性影響濃度を求めまして、最も小さい藻類の急性影響濃度、73μg/Lが登録保留基準値案でございます。続いて(2)のリスク評価ですけれども、環境中予測濃度は水田PECTier1で0.27μg/Lという結果でしたので、登録保留基準値案の73を下回っているという結果になっております。
 以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。2剤ございますので、1剤ずつということで、最初にアジムスルフロンにつきまして御説明いただきました。この物質につきまして御質問、あるいは基準値案についての御意見ございませんでしょうか。

【染臨時委員】 総合評価は藻類の試験が最小になっているということで、最終結論については特に意見はないのですが、途中経過でお伺いしたい。細かいことで恐縮でありますが、魚類の急性毒性試験、ニジマスのところです。結果の実測濃度と死亡数のデータを見ておりますと、どうもこのデータからだとLC50というのは7万9,000~13万の間に来るのではないかというような感じを受けるんですよ。一方でこの結論は96時間のLC50というのは15万4,000ということなのですが、これらのデータからどんな検量線を引っ張ったらこんな数字が出てくるのか、その辺を教えていただきたいなと思うんです。

【森田委員長】 じゃあ、お願いいたします。

【農薬環境管理室長補佐】 今回このように死亡数と供試生物数を書いて、より皆さんにわかりやすくと、若しくは一般の方にわかりやすく、若しくは検証しやすくということで、お示しすることに前回からいたしておりますが、御指摘のとおりぱっと見て10分の5を超える、若しくは逆に10分の5を下回るということはままあります。これは生物試験でかつ何点もプロットを置く、かつ濃度幅は非常に広いということで、そのガイドラインで5点だったとか置いて、それぞれの点を打って出します。
 よって、これはプロットして頂けばわかると思うのですが、10分の6のところは少し浮いているわけですね、全体を見たときに。これ前後の点も見ていただけると、あ、これがこの10分の6より少し上に来ちゃうなということがわかると思います。実際はこういうソフトが流通しておりますので、それでプロットして点を出しています。この辺のところは水産動植物検討会の方でも既にチェックされて、おかしい場合には再度検証するというようになっておりまして、これはこの点で正しいというように評価していただいております。

【森田委員長】 検討会の方、何か御意見ございますか。要するにLC50の計算の式に最適プロットすると、こういう数字が出てきてしまったというような話になっているのですが、見た目、実験記録からと実感が違うのではというのが染先生の御意見ですが。

【染臨時委員】 ただCDでいただいたデータを見ると、5匹で2連ですよね。確か供試生物数、2連で5匹で試験をしていたような記憶があるのですが。

【森田委員長】 そういう試験もあります。

【染臨時委員】 それ以外の試験ですかね、これ。

【農薬環境管理室長補佐】 これはもう供試生物一群10匹で、10匹中何匹が死んだかという点で、プロットしています。

【染臨時委員】 この10分の6というのは、かなりばらつきのあるようなもとのデータになっているわけですか。

【農薬環境管理室長補佐】 これは自分で見ながら3、6、7、8、9というのをプロットするとわかるのですが、寝ているわけですね。それで計算、その1点のみを持ってするのではなくて、前後の数値も踏まえて計算式で出すというのがこの生物試験ではより正確だということになっておりますので、そういうようにされています。専門的な説明がもし必要でしたら、委員の方からしていただければと思います。

【森田委員長】 井上先生、御感想ありますか。結構こんなものがLC50の求め方と似たようなところありますか。
 とりあえず染先生、ここの数値は計算式を見直して、もし必要があればLC50の計算を修正するということで、全体としてはこれでよろしいでしょうか。

【染臨時委員】 はい、もうそれで結構です。

【森田委員長】 では、15万4,000という値は、もう一度念のためにチェックしていただくということにしたいと思いますが、全体としての判断はこれでよろしいということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございます。次の剤に移りたいと思います。御説明お願いします。

【農薬環境管理室企画・調査係長】 7ページからになります。ピリベンカルブでございます。ピリベンカルブにつきましては、ミトコンドリアの電子伝達系を阻害することによって、病原菌の胞子発芽や菌糸の伸張を抑制することによって殺菌活性を有する農薬でございます。本邦では未登録でございまして、製剤については水和剤が、適用作物については果樹、野菜、豆等で登録申請がされている農薬でございます。
 各種物性については、資料に記載のとおりでございますので、1ページめくっていただきまして、水産動植物の毒性について御説明いたします。まず1として、魚類を用いた急性毒性試験の結果ですけれども、コイを用いて試験を実施しておりまして、96時間のLC50が2,000μg/Lという結果でございました。
 続きまして甲殻類については、オオミジンコを用いて急性遊泳阻害試験を実施しておりまして、48時間の結果が600μg/Lという結果でございました。
 続いて次のページにまいりまして、藻類の生長阻害試験の結果でございます。Pseudokirchneriellaを用いて試験を実施しておりまして、72時間のEC50の結果が4,600μg/Lという結果でございました。
 1ページめくっていただきまして環境中予測濃度でございます。1.製剤の種類及び適用農作物等、本剤につきましては製剤として水和剤がございまして、果樹、野菜、豆等に適用がございます。したがいまして環境中予測濃度については、非水田の使用時の予測濃度を求めておりまして、表4を用いたパラメーターに基づいて算出を行った結果、最も高くなった値が0.022μg/Lという結果でございました。
 11ページが総合評価でございます。(1)登録保留基準値案、各生物種のLC50、EC50については以下のとおりでございました。これらから各急性影響濃度を求めまして、最も小さい甲殻類の急性影響濃度から登録保留基準値案を60μg/Lとしております。(2)リスク評価でございます。環境中予測濃度は非水田PEC第1段階が0.022μg/Lでございましたので、登録保留基準値案60μg/Lを下回っているという結果になっております。
 以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。それではこのピリベンカルブという剤につきまして、御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段御意見もございませんので、それではこれを御了承いただいたということにしたいと思います。
 以上で水産動植物の被害防止に係る登録保留基準の設定についての審議をこれで終わりたいと思いますが、先ほど言いましたように染委員の方から御指摘のあった件について、ひょっとしたら計算やり直して変更になるかもしれないということ、それを含めて御了承いただければと思います。
 引き続きまして、議題(2)水質汚濁に係る農薬登録保留基準として環境大臣が定める基準の設定についての審議に入りたいと思います。
 事務局の方から資料の御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室主査】 では資料5をごらんください。資料5は水質汚濁に係る登録保留基準値案に関する資料でございます。それでは資料5に沿って1剤ごとに御説明させていただきます。
 まずはMDBA、MDBAジミチルアミン塩及びMDBAカリウム塩(MDBA関連3剤)について御説明させていただきます。1ページをごらんください。物質の概要については、その表にお示ししたとおりでございます。
 では2ページ目に行っていただきまして、2の開発の経緯等でございますが、MDBAはオーキシン型の植物ホルモン作用を有しまして、細胞分裂を阻害することにより植物を枯死させるホルモン型除草剤でございます。MDBA[酸]及びMDBAジメチルアミン塩につきまして、既に国内で登録されております。一方、MDBAカリウム塩につきましては、現在国内では未登録でございます。
 平成20年1月に新規の登録申請が出されておりまして、樹木等に対して適用が申請されております。なお、注釈1にありますように、本資料中におきましては、酸体と塩との区別を明確にするため、酸体につきましてはMDBA[酸]と表記しております。
 各種物性に関しましては、MDBA[酸]のみのデータが提出されておりまして、こちらの表にお示ししたとおりとなっております。
 それでは3ページに行っていただきまして、II.安全性評価でございますが、本剤につきましては、非食用農作物専用農薬でございますことから、食品安全委員会による評価は行われておりません。そのため参考資料2としておつけしておりますが、平成20年2月22日に中環審の土壌農薬部会で了承いただいた方針に基づきまして、「4.食品安全委員会において安全性評価が行われない農薬に係る基準値設定」において、非食用農作物専用農薬につきましては、(1)にありますように、環境省において新たに安全性評価を実施いたしまして、暫定的なADIを設定することとしております。
 では、資料5に戻っていただきまして、34ページをごらんください。本剤の安全性評価につきましては、本年7月15日に開催されました非食用農作物専用農薬安全性評価検討会におきまして、委員名簿に記載した先生方の御協力をいただきまして、暫定ADIを設定させていただいたところでございます。この小委員会の先生からは、井上先生、上路先生及び吉田先生の御協力を賜っております。
 検討会の評価結果につきましては、8ページからの「別紙」に記載させていただいております。検討会の評価結果につきまして、まず御説明させていただきたいと思います。物質の概要につきましては、先ほど御説明したとおりでございます。続きまして9ページをごらんください。2.開発の経緯等、3.各種物性につきましても、先ほど御説明したとおりでございます。
 IIの試験結果の概要でございますが、申請者から提出された農薬登録申請資料を用いまして、各種試験の概要をまとめております。まず、1.動物体内運命試験でございます。MDBA[酸]につきまして、ラット、マウス、ウサギ、イヌ及び泌乳ヤギを用いました動物体内運命試験並びにMDBA[酸]と各アミン塩につきまして、ラットを用いた動物体内運命試験が実施されております。
 まず、(1)ラットを用いた試験でございますが、10ページの表3をごらんください。経口投与されましたMDBA[酸]は、いずれの投与群におきましても血液や腎臓及び子宮に多く分布したという結果が得られておりますが、投与168時間後には組織中放射能濃度はほとんど消失いたしまして、組織残留性また組織蓄積性は認められませんでした。また、[3]代謝物の試験が行われておりまして、11ページの表4をごらんください。尿中及び糞中におきましては、主要代謝物といたしましてMDBAのメトキシ基の脱メチル化体でありますNOA414746[B]が検出されましたが、大部分が親化合物のMDBA[酸]のまま排出されております。主要代謝経路といたしましては、まずメトキシ基の脱メチル化、そしてカルボキシル系のグルクロン酸抱合であると考えられました。
 続いて、[4]排泄につきましては、表6をごらんください。MDBA[酸]の排泄は速やかでございまして、投与24時間後で84.5から98.3%TARが尿中に排泄され、糞中では微量でございました。つまり、ほとんど尿中に排泄されたという次第でございます。
 続きまして12ページに行っていただきまして、(2)MDBA[酸]のラット、マウス、ウサギ及びイヌの動物代謝の比較試験が実施されております。MDBA[酸]の排泄及び代謝におきまして、[1]から13ページの[4]までの試験の結果から、動物による種差は認められませんでした。
 続きまして(3)は省略させていただきまして、14ページの(4)ラットを用いましたMDBA[酸]とアミン塩類の比較試験が実施されております。[1]代謝物と[2]排泄の試験の結果から、塩の違いによる毒性の差が認められませんでした。
 それでは15ページに行っていただきまして、2.環境中運命試験について御説明させていただきます。MDBA[酸]の放射性標識体を用いまして、各種の環境中運命試験が実施されました。その結果が表13に示されております。MDBA[酸]の好気的土壌中運命試験での半減期は、3.6から6日と速やかに分解いたしまして、主要代謝分解物といたしまして、メトキシ基の脱メチル化体でございますNOA414746[B]が検出されました。なお、こちらのNOA414746[B]も半減期が4から16日と速やかに分解されております。
 では続きまして16ページへ行っていただいて、土壌残留性試験でございますが、こちらは先ほど御説明させていただきましたので割愛させていただきます。続きまして4.毒性試験でございます。まず、(1)一般薬理試験でございますが、一般薬理試験のこの結果につきましては、表15に示したとおりでございまして、中枢神経系、血液系、呼吸・循環器系及び骨格筋の試験が実施されています。
 それではページをおめくりいただきまして、17ページをごらんください。(2)急性毒性試験でございます。まず、[1]急性毒性試験でございますが、MDBA[酸]の原体及び製剤並びにMDBAカリウム塩の製剤を用いた試験が実施されており、結果につきましては表16に示したとおりとなっております。
 続きまして18ページに行っていただきまして、[2]ラットを用いた急性神経毒性試験が実施されております。各投与群における毒性所見につきましては、表17にお示ししておりますが、すべての投与群におきまして刺激誘発性またはストレス誘発性の筋緊張等の神経毒性症状が認められました。なお、投与1.5時間後に見られた所見につきましては、14日までにすべて回復しております。
 ではまたページをおめくりいただきまして、19ページの(3)眼・皮膚に対する刺激性及び皮膚感作性試験が実施されております。MDBA[酸]の原体及び製剤並びにMDBAカリウム塩の製剤を用いました試験が実施されており、その結果につきましては、その表18のとおりとなっております。眼・刺激性及び皮膚刺激性は認められましたが、皮膚感作性につきましては陰性との結果が得られております。
 では、(4)亜急性毒性試験について御説明させていただきます。亜急性毒性試験につきましては、MDBA[酸]につきまして、ラット及びイヌを用いた90日間反復経口投与毒性試験が実施されました。では20ページをごらんいただきまして、まず、[1]ラットを用いました90日間反復経口投与毒性試験でございますが、10,000ppm投与群の雌雄で摂餌量の低下、ALP増加等が認められましたので、無毒性量は雌雄ともに5,000ppmであると考えられました。
 次に、[2]ラットを用いた13週間反復経口投与毒性試験でございますが、12,000ppm投与群の雌雄で体重及び摂餌量の低下、肝比重量増加等が認められましたので、無毒性量は雌雄ともに6,000ppmであると考えられました。
 ではページをおめくりいただきまして21ページをごらんください。[3]ラットを用いました90日間反復経口投与神経毒性試験でございますが、12,000ppm投与群の雌雄で、体重増加抑制、筋緊張、歩行障害等が認められましたので、無毒性量は雌雄ともに6,000ppmであると考えられました。
 最後に、[4]イヌを用いました90日間反復経口投与毒性試験でございます。300mg/kg/日投与群の雌雄で運動失調、摂餌量の低下、体重増加抑制等が認められましたので、無毒性量は雌雄ともに50mg/kg/日であると考えられました。
 続きまして、(5)慢性毒性試験及び発がん性試験でございます。まず、[1]イヌを用いました2年間反復経口投与毒性試験でございますが、こちらにつきましては雌雄ともに、いずれの投与群におきましても影響は認められなかったということでございますことから、無毒性量は雌雄ともに50ppmであると考えられました。
 続きまして、[2]イヌを用いました1年間反復経口投与毒性試験が実施されております。雌雄ともにいずれの投与群においても、影響が認められなかったため、無毒性量は雌雄ともに2,500ppmであると考えられました。
 続きまして、[3]ラットを用いました2年間反復経口投与毒性/発がん性併合試験が実施されております。雌雄ともにいずれの投与群においても影響が認められなかったため、無毒性量を雌雄ともに2,500ppmであると考えられました。なお、発がん性については認められませんでした。
 最後に、[4]マウスを用いました2年間発がん性試験が実施されております。3,000ppm投与群の雌に体重増加抑制が認められたことから、無毒性量は雄で3,000ppm、雌で1,000ppmであると考えられました。こちらにつきましても発がん性は認められませんでした。
 続きまして、(6)生殖発生毒性試験でございます。MDBA[酸]につきまして、ラットを用いた繁殖試験並びにラット及びウサギを用いました催奇形性試験が実施されております。まず、[1]ラットを用いました3世代繁殖試験でございますが、各投与群ともに各世代に影響が認められなかったため、無毒性量は親動物及び児動物の雌雄で500ppmであると考えられました。
 続きまして、[2]ラットを用いた2世代繁殖試験でございますが、結果は23ページをごらんください。表23の右半分の投与群でございますが、親動物では1,500ppm投与群のF1雌で妊娠期間中の体重増加抑制、5,000ppm投与群のF1雄で体重増加抑制及び肝臓重量の増加が認められました。また児動物につきましては、1,500ppm投与群のF2ab雌雄で体重増加抑制が認められたことから、無毒性量は親動物では雄で1,500ppm、雌で500ppm、児動物につきましては雌雄ともに500ppmであると考えられました。なお、繁殖能に対する影響は認められませんでした。また、後で御説明いたしますが、本試験が暫定ADIの根拠試験となっております。
 続きまして、[3]ラットを用いた催奇形性試験が実施されております。母動物では400mg/kg/日投与群におきまして、脂肪、体重増加抑制等が認められたことから、無毒性量は母動物で160mg/kg/日、胎児で400mg/kg/日であると考えられました。なお、催奇形性につきましては認められませんでした。[4]ウサギを用いた催奇形性試験につきましては参考データですので、説明は省略させていただきます。
 では24ページに行っていただきまして、[5]ウサギを用いました催奇形性試験でございますが、150mg/kg/日投与群の母動物で流産、失調性歩行等が認められたことから、無毒性量は母動物で30mg/kg/日、胎児で300mg/kg/日であると考えられました。また、催奇形性は認められませんでした。なお、本試験につきましては用量設定試験が別途実施されておりまして、62.5mg/kg/日投与群では母動物及び胎児に毒性所見が認められませんでした。
 (7)遺伝毒性試験でございます。MDBA[酸]につきまして、復帰変異試験、in vitro遺伝子特別変異試験、in vitro染色体異常試験、in viv小核試験等が実施されております。結果につきましては25ページの表25に示されております。生体において問題となる遺伝毒性は認められませんでした。
 では、「総合評価」でございますが、本剤の安全性評価に当たりましては、動物体内運命試験の結果から、MDBA[酸]、MDBAジメチルアミン及びMDBAカリウム塩は毒性学的に同等であると考えられるため、MDBA[酸]について暫定ADIを設定することといたしました。また、表26にまとめました各種毒性試験の結果から、MDBA[酸]の投与による影響は主に肝臓や血液に見られ、またラット及びイヌにおいて神経毒性症状が認められました。発がん性、催奇形性及び遺伝毒性につきましては、いずれの試験においても認められませんでした。
 では29ページをごらんください。表26にまとめた各試験で得られた無毒性量の最小値につきましては、ウサギを用いた催奇形性試験の30mg/kg/日でございましたが、別途実施された用量設定試験において、62.5mg/kg/日群で毒性所見が認められなかったこと、また、ウサギを用いた催奇形性試験より長期の投与による毒性を評価したラットを用いました2世代繁殖試験では無毒性量が35.1mg/kg/日であり、このウサギを用いた催奇形性試験とラットを用いた2世代繁殖試験の最小毒性量と無毒性量の差については、ラットを用いた2世代繁殖試験の方がより小さいため、ラットを用いた2世代繁殖試験を暫定ADIの根拠とすることが適当と判断いたしまして、この無毒性量を安全係数100で割って、0.35mg/kg/日という暫定ADIの評価をいただきました。
 それでは3ページに戻ってください。今までがIIの安全性評価の話でございまして、これからIIIの水質汚濁予測濃度(水濁PEC)について御説明させていただきたいと思います。MDBA[酸]、MDBAのジメチルアミン、MDBAカリウム塩のいずれも非水田のみで使用されますので、非水田における水濁PECを算出しております。
 まず[1]MDBA[酸]でございます。(1)非水田使用時の水濁PECでございますが、表に示したように2.5%粒剤を用いまして日本芝等に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。4ページに行っていただきまして、(2)水濁PECの算出結果でございますが、粒剤でございますので、河川ドリフト寄与分を0といたしまして最終的に0.00023mg/Lとなっております。
 続きまして、[2]MDBAジメチルアミン塩でございます。(1)非水田使用時の水濁PECでございますが、表に示したように50%液剤を用いまして樹木等(雑草)に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。(2)水濁PEC算出結果でございますが、結果は5ページをごらんください。地表流出寄与分、河川ドリフト寄与分をあわせまして、最終的に0.000092mg/Lとなっております。
 最後に、[3]MDBAカリウム塩でございます。(1)非水田使用時の水濁PECでございますが、表に示したように25%液剤又は1%液剤を用いて樹木等(雑草)に適用した場合の水濁PECを算出いたしました。(2)水濁PECの算出結果でございますが、地表流出寄与分、河川ドリフト寄与分をあわせまして、最終的に0.00023mg/Lとなっております。
 それでは6ページをごらんください。IVの総合評価でございます。1.水質汚濁に係る登録保留基準値案でございますが、注釈1にありますように、MDBA[酸]として基準値案を算出いたしました。その結果、表中に示した算出式から0.93mg/Lという値を提案させていただいております。
 では最後に7ページをごらんください。2.リスク評価でございますが、MDBA[酸]としての基準値案と、それぞれの塩類の水濁PECを酸体に換算した値について比較することとします。酸体に換算した値が括弧の中に示されております。MDBA[酸]につきましては0.00023mg/L、MDBAジメチルアミン塩を酸体に換算した値が0.000076mg/L、カリウム塩を酸体に換算した値が0.00020mg/Lでございまして、いずれも登録保留基準値案の0.93mg/Lを下回っているという次第でございます。
 最後でございますが、3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししております。注釈2にありますように、MDBA[酸]としての理論最大摂取量を示しております。まず食品からの摂取量に関しましては、いわゆるポジティブリスト制度の導入時に設定された暫定基準を用いまして、0.1214mgと算出いたしました。また、飲料水からの摂取量につきましては、先ほどの基準値案に基づきまして1.86mgと算出いたしました。最終的な対ADIにつきましては、合計で10.6%、うち食品経由で0.7%、水質経由で10%となっております。本剤につきましての説明は以上でございます。

【森田委員長】 御説明、ありがとうございました。MDBA及びそれの塩類につきましての御説明でございました。この剤につきまして御質問御意見ございますでしょうか。どうぞ、井上(達)先生お願いします。

【井上(達)委員】 前回の議論を反映して、今回は毒性の御説明を丁寧にいただきましてありがとうございました。お礼だけです。

【森田委員長】 それでは安藤先生。

【安藤専門委員】 確認ですが、MDBAの[酸]とジメチルアミン塩は1966年に登録になって、平成20年にはカリウム塩、今は一緒になって、ということなのでしょうか。別々ということなのでしょうか。

【農薬環境管理室長補佐】 一般的な御説明を差し上げます。農薬の開発に当たって、毒性の基本的な部分をまず世に出して、世界中で販売されます。その後、例えば合剤にするときに相性であるだとか、製剤としての安定性であるだとかによって、違った塩を開発するということがございます。この剤においては、つい最近、カリウム塩にした方がいろいろと都合がいいということで、カリウム塩という新しい剤型を開発されて、それが申請中でまだ登録されていない。今回の結果を受けて新しい剤型を登録したいという申請があるということです。先ほど説明しましたとおり、毒性の本質部分は同じであるのでまとめて評価した、という内容でございます。

【安藤専門委員】 この構造から見ると、メトキシ基が体内で外れるということになりますので、それをもう少し拡大解釈するとフェノキシ酢酸になる。つまり2,4-D、2,4,5-Tらしきものになりかねないお話しで、これを合成する際の不純物というか、それはどういうものなのかな、かなり今は純度は高いものなのでしょうか。それをお願いします。

【農薬環境管理室長補佐】 農薬の毒性評価に当たって、不純物というのは常に気にされるところであります。よって農薬の試験、公式な申請試験においては原体を用いなければならない。原体というのは、最終的に製品に反映されるプラントと同じ性質の製法をもって不純物の割合も同じであるという観点から、原体での試験を義務づけています。純品ではなくて原体で試験しろというのは、その不純物の性質も反映した毒性試験がなされているということでありまして、今回は違った原体ですから、いろいろな原体で試験をされていると、それを比較したところまあ大丈夫、一緒に評価してよろしいだろうという評価を検討会の方でいただいたということであります。

【森田委員長】 安藤先生、よろしいですか。

【安藤専門委員】 はい。

【森田委員長】 誤解がないようにしておきたいのですが、このメトキシ基が外れたときにできてくるのは2,4ジクロロ安息香酸なので、2,4-Dではないということです。

【安藤専門委員】 もちろんそうですが、これをつくった段階で原体中に変な不純物はないだろうかという、そういう話です。

【森田委員長】 それはどうでしょうか。特別心配される不純物があれば別でしょうけども、どうなのですか。どうぞ。

【農薬環境管理室長補佐】 申請資料を今確認しておりますが、有効成分としてMDBAは規格値で85%以上ということで、不純物についてはほとんど数%程度となっております。

【森田委員長】 だから、特段問題になるものは入っていないということでよろしいですか。

【農薬環境管理室長補佐】 そう考えて。

【森田委員長】 ほかに何か御意見はございますか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは、全体を通してこういう基準ですが、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 御意見もないようでございますので、御承認ということにしたいと思います。
 それでは引き続きまして次の剤ですが、ジメテナミド、ジメテナミドPというわけでございます。御説明お願いします。

【農薬環境管理室長補佐】 それでは35ページから記載しておりますジメテナミド及びジメテナミドPについて説明いたします。
 1.物質の概要につきましては、35ページのそれぞれの表に示したとおりとなっております。続きまして、2の開発の経緯等でございますけれども、ジメテナミドは超長鎖脂肪酸の生合成阻害作用により生体膜の生成を抑制し、植物を枯死させる除草剤でございます。既に登録されておりまして、適用作物はキャベツ、大豆等となっております。また、ジメテナミドPは活性成分であるS体を用いたものでありまして、現在国内では未登録でございます。平成19年9月に新規の登録申請が出されておりまして、キャベツ、枝豆、大豆等に対して適用が申請されているという状況でございます。
 36ページに行っていただきまして、各種物性等に関しましてもそれぞれ表にまとめているとおりでございます。続きまして、II.安全性評価でございますけれども、こちらにつきましては食品安全委員会における評価結果が出ておりまして、0.038mg/kg体重/日という値が設定されております。なおこの値につきましては、マウスを用いました94週間発がん性試験における無毒性量を安全係数100で除して設定をされたものということでございます。食品安全委員会の評価書につきましては、参考資料4としておつけしておりますので、こちらに関しての説明は省略させていただきますが、適宜御参照いただければと思います。
 それから37ページに行っていただきまして、III.水質汚濁予測濃度でございますけども、ジメテナミド及びジメテナミドPともに非水田のみで使用されますので、非水田における水濁PECを算出いたしております。[1]ジメテナミドでございますけども、(1)非水田使用時の水濁PECですが、表に示しましたように79.4%乳剤を用いまして大豆、トウモロコシに適用した場合の水濁PECを算出いたしております。(2)水濁PEC算出結果ですが、地表流出寄与分、河川ドリフト寄与分をあわせまして最終的に0.000026mg/Lということになっております。
 [2]ジメテナミドPでございます。38ページでございますけれども、(1)非水田使用時の水濁PECですが、表に示したように64%乳剤を用いまして枝豆等に適用した場合の水濁PECを算出いたしております。(2)水濁PEC算出結果ですが、地表流出寄与分、河川ドリフト寄与分あわせまして最終的に0.000017mg/Lという結果になっております。
 続きまして39ページにまいりまして、IV.総合評価でございます。1.登録保留基準値の案でございますけども、表中の算出式により算出いたしまして、その結果0.10mg/Lという値を提案させていただいております。続きまして、2.リスク評価でございますが、ジメテナミド及びジメテナミドPの水濁PECはそれぞれ0.000026mg/L、0.000017mg/Lでありまして、登録保留基準値案の0.10mg/Lを下回っているという結果でございます。
 最後40ページでございますけれども、3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししています。まず食品からの摂取量に関しましては、今回の登録申請に当たりまして厚生労働省の方で基準値の見直しが行われる予定ではあるのですが、本日現在薬事食品衛生審議会において案は示されていないため、いわゆるポジティブリスト制度の導入に設定されました暫定基準に基づきまして0.00132mgと算出いたしております。また飲料水からの摂取量は先ほどの基準値案に基づきまして0.20mgと算出いたしております。最終的なADI比は食品と飲料水を合わせまして10.5%、うち食品が0.7%、水質系は9.9%という結果になっております。
 本剤の説明は、以上でございます。

【森田委員長】 御説明、ありがとうございました。それではこの剤につきまして御質問、御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。食品安全委員会もADIが定まっておりますんで、通常量の計算に従ってということでございます。よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 それでは異議がないということで、御承認をしたということにしたいと思います。
 引き続きましてピリフルキナゾンですか、お願いします。

【農薬環境管理室長補佐】 では41ページからでございますけども、ピリフルキナゾンでございます。
 1.物質の概要につきましては41ページの表にお示ししているとおりでございます。続きまして、2.開発の経緯等でございますけども、本剤についての作用機序は明確にはわかってはおりませんが、害虫の摂食行動を制御する神経系または内分泌系に作用すると推定されている殺虫剤でございます。現在国内では未登録です。平成19年4月に新規の登録申請が出されておりまして、ばれいしょ、キャベツ等に対して適用が申請されております。3.各種物性等につきましても41ページの表にお示ししているとおりでございます。
 続きまして42ページにまいりまして、II.安全性評価でございます。こちらは食品安全委員会による評価結果が出ておりまして、0.005mg/kg体重/日という値が設定されております。なお、この値につきましては、イヌを用いました1年間慢性毒性試験における無毒性量を安全係数100で除して設定されたものでございます。食品安全委員会の評価書につきましては、参考資料5としておつけいたしております。こちらの説明省略させていただきますが、適宜御参照いただきたいと考えております。
 続きまして、III.水質汚濁予測濃度でございますけれども、本剤につきましては非水田のみで使用されますので、非水田における水濁PECを算出しております。(1)非水田使用時の水濁PECですが、表に示しましたように20%水和剤を用いてかんきつ、かきに適用した場合の水濁PECを算出いたしました。それから43ページへ行っていただきまして、(2)水濁PEC算出結果ですが、地表流出寄与分、河川ドリフト寄与分を合わせ最終的には0.000036mg/Lとなっております。
 続きまして、IV.総合評価でございます。1.登録保留基準値(案)ですが、表中の算出式により算出いたしました結果、0.01mg/Lという値を提案させていただいております。44ページにまいりまして、2.リスク評価でございますが、水濁PECが0.000036mg/Lであり、登録保留基準値案の0.01mg/Lを下回っているという結果でございます。
 最後に、3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししております。まず食品からの摂取量に関しましては、今回の登録申請に当たりまして、まだ厚生労働省の方で基準値が設定されておりませんので、空欄ということでさせていただきます。飲料水からの摂取量につきましては、先ほどの基準値案に基づいて0.02mgと算出いたしました。それから対ADI比のうち水質経由は7.5%ということになっております。
 本剤についての説明については、以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤につきまして御質問、御意見ございませんでしょうか。いかがでしょうか。特段御意見ございませんか。

(発言なし)

【森田委員長】 それでは原案どおりということでよろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございました。引き続きまして最後の剤だと思いますが、メトラクロール、S-メトラクロール、御説明お願いします。

【農薬環境管理室室長補佐】 それでは45ページでございます。メトラクロール及びS-メトラクロールについて説明いたします。
 1.物質の概要につきましては、45ページのそれぞれの表にお示ししているとおりでございます。2.開発の経緯等でございますけども、メトラクロールは超長鎖脂肪酸の生合成阻害作用により植物を枯死させる除草剤でございます。既に登録されておりまして、適用作物はかんしょ、大豆、日本芝等でございます。またS-メトラクロールは活性成分であるS体の純度を高めたものでありまして、現在国内では未登録でございます。平成19年6月に新規の登録申請が出されておりまして、かんしょ、大豆等に対して適用が申請されております。
 46ページへまいりまして、3.各種物性等に関しましても、そちらのそれぞれの表にまとめたとおりとなっております。
 続きまして47ページにまいりまして、II.安全性評価でございます。こちらにつきましても食品安全委員会による評価結果が出ておりまして、0.097mg/km体重/日という値が設定されております。なお、この値はイヌを用いました1年間慢性毒性試験における無毒性量を安全係数100で除して設定されたものでございます。食品安全委員会の評価書につきましては、参考資料6としておつけいたしておりますので、こちらに関しての説明は省略させていただきますが、適宜御参照いただければと考えております。
 次に、III.水質汚濁予測濃度でございますが、メトラクロール及びS-メトラクロールともに非水田のみで使用されますので、非水田における水濁PECを算出いたしております。まず、[1]メトラクロールでございます。(1)非水田使用時の水濁PECですが、表に示したように45%乳剤を用いまして、日本芝に適用した場合の水濁PECを算出いたしております。48ページにまいりまして、(2)水濁PEC算出結果でございますが、地表流出寄与分、河川ドリフト寄与分あわせまして、最終的に0.00011mg/Lということになっております。
 続きまして、[2]S-メトラクロールでございます。(1)非水田使用時の水濁PECですが、表に示しましたように83.7%乳剤を用いまして、かんしょ等に使用した場合の水濁PECを算出をいたしております。49ページにまいりまして、(2)水濁PEC算出結果でございますが、地表流出寄与分、河川ドリフト寄与分あわせまして最終的に0.000024mg/Lということになっております。
 IV.総合評価でございます。1.登録保留基準値(案)ですが、表1の算出式によりまして算出をいたしました結果、0.25mg/Lという値を提案させていただいているところでございます。50ページにまいりまして、2.リスク評価でございます。メトラクロール及びS-メトラクロールの水濁PECが、それぞれ0.00011mg/L、0.000024mg/Lでありまして、登録保留基準値案の0.25mg/Lを下回っているという結果でございます。
 最後に、3.農薬理論最大摂取量と対ADI比を参考としてお示ししております。まず食品からの摂取量に関しましては、0.1472mgと算出いたしております。今回の登録申請に当たりまして、厚生労働省の方で基準値の見直しが行われる予定なのですが、本日現在、薬事食品衛生審議会における案は示されておりませんので、いわゆるポジティブリスト制度の導入時に設定された暫定基準に基づいて算出したものでございます。また、飲料水からの摂取量は先ほどの基準値案に基づきまして0.50mgと算出いたしております。最終的な対ADI比は合計で12.5%、うち食品系は2.8%、水質系9.7%となっております。
 本剤につきまして、説明は以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対しまして御質問、御意見ございませんでしょうか。井上先生、何か御意見ございますか、よろしいですか。
 食品の安全委員会でおまとめになった数字で、特に問題はなさそうだということでございますが。
 全体を通しまして、いかがでしょうか。特に御意見ございませんでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 御意見がないようでございますので、案のとおりにしたらどうかと思いますけど、よろしいでしょうか。

(異議なし)

【森田委員長】 ありがとうございます。以上をもちまして、水質汚濁に係る登録保留基準の設定についての審議を終わりたいと思います。
 事務局の方から今後の予定についての御説明をお願いいたします。

【農薬環境管理室長補佐】 それぞれの議題において、御了解いただきました農薬の登録保留基準値、登録保留につきましては、行政手続法の規定に基づきまして、今後パブリックコメントを1カ月ほど実施いたします。その結果、もし仮に何か意見が寄せられた場合につきましては、委員長に再度農薬小委員会で審議を行うかどうか御相談して、御判断いただくことにしたいと思います。再審議の必要がない場合には、部会長の同意を得、部会報告となり、さらに中央環境審議会長の同意が得られれば答申となります。そして答申後、告示として基準値を公布させていただく予定としております。
 以上でございます。

【森田委員長】 ありがとうございました。それでは審議が一応一通り終了いたしましたので、本日の審議全体につきまして、委員の先生方から何か御意見、御質問ございますでしょうか。

(発言なし)

【森田委員長】 特段ないようですので、大友室長のところへお返しいたします。

【農薬環境管理室長】 以上をもちまして、土壌農薬部会農薬小委員会を終了いたします。いつになくスムーズな御審議、まことにありがとうございました。