中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会 (第5回)議事録
1.日時
平成19年6月26日(火)9:06~11:51
2.場所
三田共用会議所A・B会議室
3.出席委員
- 委員長:
- 森田 昌敏
- 臨時委員:
- 上路 雅子、亀若 誠、五箇 公一、白石 寛明、細見 正明、眞柄 泰基、山本 廣基、若林 明子
- 専門委員:
- 安藤 正典、井上 達、井上 隆信、中村 幸二、根岸 寛光、花井 正博
(欠席は、佐藤委員、中杉臨時委員、中野臨時委員、渡部臨時委員)
4.委員以外の出席者
- 環境省
- 水環境担当審議官、農薬環境管理室長、農薬環境管理室長補佐、農薬環境管理室長補佐、 農薬環境管理室企画・調査係長、農薬環境管理室企画・調査係
5.議題
- (1)
- 水産動植物の被害防止に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定について
- (2)
- その他
6.配布資料
資料1 | 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会委員名簿 |
資料2 | 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会委員会(第4回)議事要旨(案) |
資料3 | 中央環境審議会 土壌農薬部会農薬小委員会委員会(第4回)議事録(案) |
資料4 | 諮問書(写)及び付議書(写) |
資料5 | 水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定に関する資料 |
参考資料1 | 環境省告示第三十二号(水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準) |
参考資料2 | 魚介類への残留基準の設定法 |
参考資料3 | 住宅地等における農薬使用について |
7.議事
【農薬環境管理室長】 それでは、正式議事ではなくて、参考資料に配付していますご報告事項の方を先に進めさせていただきたいと思います。まず私、今回農薬環境管理室長になりました大友と申します。よろしくお願いします。
【農薬環境管理室長補佐】 それでは委員紹介の部分だけ、先にさせていただきます。
今回、新たに農薬小委員会にご所属いただくことになりました委員の先生方をご紹介いたします。
まず、本年3月30日に土壌農薬部会を開催され、新たに農薬小委員会にご所属いただくことになりました井上隆信専門委員です。
【井上(隆)委員】 井上隆信です。よろしくお願いいたします。
【農薬環境管理室長補佐】 同じく根岸寛光専門委員です。
【根岸委員】 根岸でございます。よろしくお願いいたします。
【農薬環境管理室長補佐】 また佐藤洋委員にも当小委員会にご所属いただくことになりましたが、本日ご欠席との連絡をいただいております。
また、須藤委員長のご退任に伴いまして、3月30日付で森田臨時委員が当委員会の委員長に指名されておりますので、ご報告させていただきます。
定足数その他はちょっと後にさせていただきまして、本日の会議ですけれども、発言の際にはマイクをご利用くださるよう、お願いをいたします。それから前泊された委員につきましては、事務局にその旨お伝えくださるよう、お願いをいたします。事務的な手続があるようでございますので、よろしくお願いいたします。
【農薬環境管理室長】 それでは、議題の「その他」の部分に当たりますところを、最初に進めさせていただきたいと思います。幾つか報告・説明事項がございますので、最初に魚介類の残留基準についての報告をお願いしたいと思います。
【農薬環境管理室長補佐】 それでは参考資料2をごらんください。「魚介類の残留基準設定法」ということでございまして、先週木曜日、22日でございますが、厚生労働省の分担研究、食品中に残留する農薬等におけるリスク管理手法の精密化に関する研究、この分担研究として、魚介類への残留基準設定法が審議されましたので、そのご報告をさせていただきます。
1枚めくっていただきまして、これが主任研究者及び研究協力者の先生の方々となります。
そして内容に入らせていただきまして、まず背景でございますが、平成15年5月に食品衛生法の改正が行われまして、ポジティブリスト制を法改正の施行後3年を超えない範囲で導入するということになっております。その結果、平成18年5月29日からポジティブリスト制度が施行されております。これまでは、食品中に残留する農薬につきましては、食品衛生法の第11条に基づきまして残留基準を設定し、それに基準を超えて農薬等が残留する食品の販売等が禁止されておりました。しかしながら、残留基準が設定されていない農薬等につきましては、基本的に規制することが困難であったという問題点がございました。このため、ポジティブリスト制、これに基づきまして、一律基準を含むものですけれども、これを設定しまして、その基準を超えて農薬等が残留する食品の販売を禁止することとされました。
さて、このポジティブリスト制度の導入過程におきまして、これまで残留基準が設定されていなかった農薬及び食品、これについては基本的に国際基準等を参考に新たな基準を設定いたしましたけれども、農薬は通常、農作物に病害虫の防除等のため使用されるものということでございまして、直接農薬が使用されることのない畜水産物は、飼料等由来のものを除いて、基本的に残留基準が設定されていなかったということがございました。ところが昨年、滋賀県、島根県、それから鳥取県産のシジミについて残留農薬検査を行いました。そうしましたところ一律基準を超えて農薬が検出されたということが報告されております。この原因については明確にされておりませんけれども、水田等に使用された農薬が何らかの理由で流出し、河口や湖沼に生息するシジミ等に残留したものと考えられております。
これについて、基本的にはまず農家の段階で、適切な農薬使用をお願いするというものがあるのですが、そうは言っても例えばドリフト、例えば降雨や畦畔浸透、このようなもので農薬が水系に流出することはあるということで、このような環境由来で非意図的に農薬が魚介類に残留する可能性も否定できないということで、この研究班で魚介類中の残留基準設定について、そのあり方、設定の方法、どのようなデータを用いて考えるかということの検討を行うということで、この報告書が提出されております。
さて、ちょっと飛びまして、結論としましてどのような方向で基準を考えているかということで、6ページをごらんください。まとめのところになります。まとめのところの第一段落の次になります。水産動植物被害予測濃度、水産PECですけれども、これに生物濃縮係数を掛けてさらに5倍の安全係数を掛けるということで、推定残留量を推定し設定することが適当であるということで報告がなされております。
まずこの最初の水産動植物被害予測濃度でございますが、これは農薬の登録保留基準の一つに、水産動植物被害防止のための登録保留基準がありますが、ここで使われております水産PEC、これの水田で言えばTier2の止水を考慮したもの、それから非水田で言えばTier1、これを使うということになっております。そして生物濃縮係数×5ですけれども、これは生物濃縮係数はかなり魚種の差というものが差が大きいということがございまして、幅を考えて5倍ということで計算をしております。
この数式によって得られたものを推定残留量としまして、暴露評価に当たっては基本的に基準値を用いた理論最大摂取量による評価を行うことが適切と、これは従来の食品衛生法の基本的な考え方ですけれども、こうなっております。ただ、今回につきましては、水中の農薬濃度、これがかなり効いてくることがあります。そうしたときに、水中の農薬濃度というのは、河川は水産PECの係数をそのまま使えばいいのですが、それ以外、例えば内湾とか遠洋沖合、こういうものについてどうするかということがございますが、こういうものについては約5倍、もしくはそれ以上の差があるという報告もあるということで、必要に応じてこのような状況も考慮した暴露試算も可能ではないかということで報告されております。
しかしながら、最後の部分ですが、この報告書では現時点での限られた資料に基づいて、環境由来で非意図的に魚介類に残留する農薬の残留基準の設定について検討を行ったものの、限られた知見に基づくと、魚介類における濃縮性や残留実態等に関する新たな知見の集積によって、必要に応じ、本手法についての見直しの検討を行うべきだとなっております。そして引き続き関係省庁が連携し、この分野の調査研究を行い、データを集積していくことが望まれるということで、まとめられております。
簡単ですけれども、以上です。
【農薬環境管理室長】 この件につきましては、今後この方向性に沿って個別農薬について、魚介類の残留基準値を作成していくというふうに、厚労省の方から聞いております。現実には島根、鳥取、滋賀で、シジミから残留基準オーバーの事例が出ておりますけれども、現在のところ鳥取の一部でまだ残留基準を超えている状況ということで、シジミの出荷ができないというような状況です。島根とか滋賀につきましては、現地での農薬の使用を減らすとか、そういういろいろな方策をとったことにより、今シジミの残留基準はオーバーはしていないというふうには聞いております。
以上、この件につきまして、何かあればご質問、ご意見等あればお願いしたいと思うのですが。
山本先生とか上路先生とか、研究班出られていた先生で何か補足説明ありましたら。よろしいでしょうか。
【眞柄委員】 よろしいですか。今のシジミの例でもありますように、実際には水域の、ある農薬がある濃度を超えると、これが超えるわけです。ということは、公共用水域の管理をしている環境サイドとしては、その濃度についてはコミットしないことになるのですか。これを読むとそういう感じになるわけですが、それはどういうことでしょうか。
【農薬環境管理室長】 今、厚労省の方で食品中の残留基準、魚介類をつくるということになっておりますけれども、今後環境省としても濃度についてコミットするかどうかは別として、登録保留基準の考え方の中に、この魚介類に対する残留基準をどう取り扱っていくかということを検討していきたいと思います。また次回でも相談させていただければと思っております。
【眞柄委員】 わかりました。
【農薬環境管理室長】 ほかに何かご意見なりご質問あれば。
それでは、一応報告事項、魚介類のところを終わりまして、元に戻りまして、定足数が13名中7名なのですが、7名になりましたので、定足数を充足しましたので、これから農薬小委員会を始めたいと思います。
それでは、座長の方にお譲りしたいと思いますので、よろしくお願いします。
【森田委員長】 おはようございます。今日は9時からの朝早くの時間からお集まりいただきまして、ありがとうございます。早速ですけれども、これから議事に入りたいと思います。お手元の議事次第、第5回土壌農薬部会の農薬小委員会でございます。本日のメインの議事内容は、水産動植物の被害防止に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についてということであります。
それでは、配付資料の確認をお願いいたしますが、その前に保留基準の改正等につきまして、管理室長さんの方からご説明をお願いします。
【農薬環境管理室長】 すみません。早目にちょっと座長にお渡ししてしまったようで、申しわけございません。
前回、小委員会でご審議いただきました6農薬、アミスルブロム、エスプロカルブ、シメトリン、ピラクロニル、メタフルミゾン、ヨードスルフロンメチルナトリウム塩につきましては、本年4月18日に基準値設定の告示を行っておりまして、参考資料1に官報を載せてございます。
それから、ちょっと配付資料についてのご確認でございます。「中央環境審議会の運営方針について」に基づきまして、環境への配慮として、会議に当たっては、会議資料として配付する紙の枚数を必要最低限とするなど、環境への負荷を削減するよう努めることが決定されております。したがいまして、本日の会議では、傍聴者の方の参考資料の配付を一部簡略化させていただいております。
それでは、配付資料の確認をお願いします。
【農薬環境管理室企画・調整係長】 それではお手元の資料のご確認をお願いいたします。まず資料1といたしまして、小委員会の委員名簿というものが1枚紙でございます。それから資料2として、前回の小委員会、第4回の議事要旨の(案)でございます。これも1枚のもの。それから資料3として前回の第4回小委員会の議事録(案)ということで、20枚弱のものになります。それから資料4として、諮問書の写しと付議書の写しというものが2枚紙でございます。それから資料5として、審議の具体的な設定に関する資料になりますけれども、30枚ほどの厚い資料がございます。
それから参考資料といたしまして、前回の小委員会でご議論いただきました結果の告示になりましたものの官報の写しですね、それが1枚紙で参考資料1としてございます。それから参考資料2が今しがたご報告させていただいたものになります。それからもう一つ参考資料3といたしまして、本年の1月31日付で農林水産省の消費・安全局長と、環境省の水・大気環境局長で、都道府県知事と政令市長あてに出した「住宅地等における農薬使用について」という通知のものになります。
それから、委員の皆様方にはこのようにファイルにとじた資料をお配りさせていただいております。中身は過去の審議会の資料とか、検討会報告等ということになっております。こちらにつきましては、また次回以降の小委員会でも使用いたしますので、会議が終わりましてもお持ち帰りいただかずに、このまま置いておいていただければと思います。
以上です。
【農薬環境管理室長】 もし足りないものがありましたら、事務局の方までお申し出ください。特にないようであれば、森田委員長の方に議事進行をお願いしたいと思います。
【森田委員長】 それでは改めましてご出席ありがとうございました。本日の農薬小委員会は、議事次第にございますように水産動植物の被害防止に係る登録保留基準の設定についてとなっておりまして、10剤の審議が予定されています。慎重かつ活発なご審議をお願いいたします。
それから、さらにこれから進めていきますが、審議の公開についてでございます。まず本日の審議の公開の扱いについてでございますが、水産動植物の被害防止に係る登録保留基準の設定の審議に関しましては、企業秘密に係る資料を用いた毒性評価にかかわる検討は、環境省水・大気環境局長委嘱の水産動植物登録保留基準設定検討会において実施されております。従いまして、今回の農薬小委員会では、農薬の毒性試験データなど、企業秘密にかかわる資料を使用しないことから、非公開の理由には当たらないため、今回の農薬小委員会については公開とさせていただきます。
それから、さらに農薬小委員会についての決議についての位置づけであります。これから議事に入りますけれども、初めに農薬小委員会の決議の取り扱いについてご説明させていただきます。中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置についての土壌農薬部会決定により、農薬小委員会の決議は部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができることになっております。したがいまして、この農薬小委員会の後には、農薬登録保留基準設定のための土壌農薬部会を招集せず、土壌農薬部会の松本部会長の了解を得て部会としての結論としていくことになります。よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは、早速ですが、議事次第に従って議事を進めていきたいと思います。諮問書の紹介ということになります。水産動植物の被害防止に係る登録保留基準の設定の件につきましては、6月22日付で、環境大臣から諮問がありまして、土壌農薬部会に付議されております。事務局の方からこの諮問書についてのご紹介をお願いいたします。
【農薬環境管理室企画・調整係長】 それでは資料4をごらんいただきますでしょうか。6月22日付で環境大臣若林正俊から中央環境審議会会長鈴木基之殿ということで、農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定について(諮問)ということでございます。標記について、環境基本法第41条第2項第2号の規定に基づき、次のとおり諮問する。
「農薬取締法第3条第1項第4号から第7号までに掲げる場合に該当するかどうかの基準を定める等の件」に基づき、別紙の農薬に関し、告示第3号の環境大臣が定める基準を設定することについて貴審議会の意見を求める。ということになっております。別紙の農薬につきましては、裏面に今回ご審議いただく10農薬の名称を掲げてあります。
それから2枚目に行きまして、中央環境審議会の会長から、土壌農薬部会、部会長松本殿ということで、農薬取締法第3条第2項の規定に基づき環境大臣が定める基準の設定についてということで、付議がなされております。
平成19年6月22日付諮問第220号、環水大土発070622001号をもって環境大臣より、当審議会に対してなされた標記諮問については、中央環境審議会議事運営規則第5条の規定に基づき、土壌農薬部会に付議するということで出されております。
以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。こういう諮問書が出ております。本日はこれに従いまして、ご議論いただくことになると思います。
それでは早速ですけれども、議題の1番目に入りたいと思います。水産動植物の被害防止に係る農薬の登録保留基準として環境大臣の定める基準の設定についての審議に入ります。この件につきましては、農薬小委員会に先立ち、水産動植物登録保留基準設定検討会におきまして、基準値設定の根拠となる農薬登録申請者から提出された試験結果や、公表文献、情報の精査を行うとともに、これらのデータに適用する不確実係数等を設定して、基準値案の作成をしていただいています。
それでは事務局の方から、これに関連するご説明をお願いいたします。
【農薬環境管理室長補佐】 よろしくお願いします。その前に、ちょっとこれまでの流れで落ちていたと思われるんですが、議事要旨と議事録の確認をしていなかったので、すみません。
【森田委員長】 申しわけありません。
【農薬環境管理室長補佐】 資料2の方に前回の議事要旨を用意してございます。非常に簡単ですけれども、公開で行われたということ、それから6農薬について基準値(案)が了承されたということ、それから前回水産動植物の被害のおそれがないと認められる農薬の取り扱いについてというものと、それからそれに基づいて燐酸第二鉄について基準値設定をしないというようなことについてご説明をさせていただき、事務局案のとおり了承されたということ。それから水質汚濁に係る農薬登録保留基準の改正への対応についてということを説明させていただいて、議論が行われたと、こんな内容になっております。
それから資料3に議事録をつけてございます。これにつきましては、事前に各先生方に、まだメンバーが代わる前の委員の先生方ですけれども、確認をさせていただいて、一応訂正の意見をいただいたものにつきましては反映させていただきましたし、それ以外の先生につきましても意見なしというご回答をいただいているものでございます。
以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。失礼いたしました。それでは議事録は確認されたということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございます。それでは早速ですけれども、議事の方に進みたいと思います。先ほどから何度も出ておりますけれども、資料の5を使ってのご説明をお願いいたします。
【農薬環境管理室長補佐】 それでは資料5をごらんいただきたいと思います。水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定に関する資料でございます。1枚おめくりいただきまして、今日はこちらにありますイミシアホス、シエノピラフェン、ダイムロン、テフルトリン、ピラゾスルフロンエチル、ペンチオピラド、メソトリオン、メタラキシル及びメタラキシルM、メフェナセット、以上10農薬ですが、基準値としては9の基準値についてご審議をいただきたいと考えております。
それでは1剤ごと、ご説明させていただきます。初めにイミシアホスでございます。評価対象農薬の概要は、こちらに書いてあります1のところにある化学名、構造式を有する農薬でございます。開発の経緯等でございますけれども、本農薬はイミダゾリジン環を有する有機リン系の殺線虫剤というものでございまして、本邦では未登録のもの、新規申請があったものでございます。製剤といたしましては粒剤がありまして、適用作物、野菜、いも類についての登録申請がなされております。各種物性につきましては、そこの下に書いたとおりでございます。水溶解度だけ紹介させていただきますが、7.763×107μg/Lというもの、割と溶けやすい農薬かと思います。
2ページに行っていただきまして、水産動植物への毒性でございます。まず魚類への毒性試験でございますけれども、コイの試験とニジマスの試験がございます。コイの試験についてですが、原体を用いまして流水式で行われております。暴露時間96時間、設定濃度10万μg/Lでの限度試験が行われております。実測濃度99,700。助剤は使われておりません。LC50値が設定濃度に基づく有効成分換算値といたしまして、89,000を超えているということでございます。異常な症状及び反応として軽度な遊泳状態の変化が見られたということです。
魚類の急性毒性試験、ニジマスを使ったものについて、ご説明させていただきます。こちらも原体を用いておりまして、流水式で行われております。96時間の暴露期間。設定濃度は10万での限度試験となっております。助剤は用いられておりません。LC50値が設定濃度に基づく有効成分換算値として、97,400超ということになっております。こちらは軽度な遊泳状態の変化が見られたということでございます。
続きまして甲殻類でございますけれども、オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験が実施されております。暴露方法は止水式で行われております。暴露期間48時間でございます。設定濃度、実測濃度はそこに挙げたとおりでございます。助剤は用いられておりません。EC50値が520μg/Lとなっております。これは実測濃度に基づく値です。異常な症状及び反応といたしましては、報告書に特に情報がなかったということでございます。
続きまして藻類でございますけれども、Pseudokirchneriella subcapitata、いわゆるSelenastrumを用いた藻類生長阻害試験が実施されておりまして、振とう培養法で72時間の暴露期間で行われております。設定濃度は10万μg/Lの限度試験でございます。実測濃度84,400。助剤は用いられておりません。面積法に基づくEC50、EbC50ですが、こちらが82,200超、速度法に基づくErC50でございますけれども、こちらも同じく82,200超、いずれも実測濃度に基づく有効成分換算値でございます。異常な症状及び反応については報告書に情報がございません。
続きまして、環境中予測濃度(PEC)でございますけれども、本農薬の製剤としては粒剤がございます。野菜、いも類に適用がありますので、非水田使用農薬として、環境中予測濃度を算出いたしております。粒剤でございますので、粒剤の場合はドリフトが考えられないということがございまして、河川ドリフトによるPECは算出せず、地表流出によるPECのみ算出されるということで、PECTier1が1.2×10-3μg/Lとなっております。
総合評価でございますけれども、各生物種のLC50、EC50を整理しますと、そこのところにあるようになります。これらからそれぞれの急性影響濃度を求めますと、魚類が8,900超、それから甲殻類が52μg/L、藻類が82,200超ということになっておりまして、最小の甲殻類の急性影響濃度より、登録保留基準値52μg/Lとすると。
リスク評価ですけれども、先ほどのPECTier1が0.0012μg/Lでありまして、登録保留基準値52を大きく下回っているという結果になっております。
参考資料といたしまして、製剤での毒性試験データをつけております。
以上でございます。
【森田委員長】 では、とりあえず1剤ずつ審議をしていきたいと思うんですが。ただいまのご説明に対しまして、ご質問あるいはご意見ございますでしょうか。
【眞柄委員】 新しい方式に変わってきて、まだ不慣れなところがありますので、お伺いします。今の農薬は、ご紹介があったように大変水溶解度が高いわけですね。その場合、施用法による農薬の流出係数が0.1になって、実際の算出結果が出されているのですが、農薬の流出係数の部分に関して、それぞれの農薬の水溶解度は考慮されないで決められているのか、考慮して決めているのか、どちらでしたか。これを見ると考慮していないような気もするのですが、いかがでしょう。
【農薬環境管理室長補佐】 この施用法による農薬の流出係数というのは、参考資料の方に書いてございますが、参考資料の最初のところにある資料の16ページをごらんいただければと思います。そこに表2というのが真ん中ら辺にあると思うのですが、ここで表の一番下のところですね、fuというパラメーターがありますが、これがまさにその施用法による農薬流出係数ということです。土壌混和・潅注という、土壌に混ぜて使うような場合には0.1というパラメーター、それ以外の場合は1ということになっております。ですので、水溶解度の違いによってどうこうということではなくて、使い方によって設定しているということでございますので、そういうものだとご理解いただければと思います。
【眞柄委員】 わかりました。その上のRuも同じですよね。
【農薬環境管理室長補佐】 Ruもそうですね。
【眞柄委員】 だからこの数値を使うということでやっていて、農薬の最初のところで出てきたいろいろな物性に関係する部分は、今の場合には考慮されないで決められていると、そういう理解ですね。
【農薬環境管理室長補佐】 はい、そうです。
【眞柄委員】 はい、ありがとうございました。
【森田委員長】 他にいかがでしょうか。どうぞ。
【中村委員】 畑地ですので、今のご質問にもあったとおり、あまり水溶解度というのは関係ないような形になっているんですけれども、この水溶解度、表記のところにあえてpH4.5というのが入っているんですけれども、これは例えばスルホニルウエアみたいにpHが変化すると溶解度が変わって、特にpH4.5というところが最大の溶解度ということで、これわざわざ入れているのでしょうか。ちょっとその辺、今後例えば溶解度を扱うときに、そういうようなところを考慮されるのでしたら、いろいろデータの用い方もあると思いますので、ちょっと教えていただきたいのですけど。
【農薬環境管理室長補佐】 すみません、この剤について言いますと、pH4.5の値だけがこの農薬抄録に書かれていたものですから、それを書いたということでございます。物によっては確かにpHの値がいろいろなものについてのその溶解度、書かれているものもあるのですが、これについてはそうなっておりました。
【森田委員長】 いかがでしょうか。この剤について総合評価を含めて、この文面でよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 では特に意見がないようです。次の剤に入りたいと思います。
【農薬環境管理室企画・調整係長】 それでは次、シエノピラフェンになります。7ページからです。
まず構造式につきましては、物質概要に書いてありますとおりの構造を有しているものとなります。開発の経緯等ですけれども、プロペンニトリル骨格を有する殺ダニ剤でありまして、本邦では未登録ということであります。製剤は水和剤として、適用作物は、果樹、野菜、茶として登録申請がなされております。各種物性ですけれども、水溶解度は300μg/L、それから加水分解性ですけれども、半減期がpH4では166日ですけれども、pH9では0.9日と、アルカリ側では短いということになっております。
次に行きまして、水産動植物への毒性ですけれども、まず魚類ですが、4種類の魚類を用いて実施されておりまして、まずコイですけれども、被験物質としては原体、流水式で行われております。結果といたしましてはLC50で115、実測濃度に基づくものでございます。それからNOECですけれども23.7、これも実測濃度に基づくものになります。それから、異常な症状及び反応といたしましては、呼吸亢進、体色暗化、呼吸数の減少、運動失調というようなことが見られております。それから備考ですけれども、23.7μg/L群の呼吸亢進は一時的なものであったため、投与関連性の影響ではないというふうに試験機関の方では考えられております。
次に行きます。ニジマスの試験ですけれども、被験物質としては原体、流水式で行われておりまして、結果といたしましてはLC50が18.3、実測濃度に基づく値でございます。NOECが2.26、同じく実測濃度に基づくものでございます。異常な症状及び反応といたしまして、体色暗化、眼色のみの暗化、昏睡状態及び容器底での直立、呼吸亢進、呼吸数の減少、横転して運動、横転して容器底での静止ということが認められております。備考ですけれども、2.26μg/L群で観察された体色暗化は1匹ですけれども、容器内の攻撃的な動物を隔離することで正常になったということですから、投与関連性の影響ではないというふうに試験機関の方は判断しております。
続きまして、ファットヘッドミノーで試験が行われております。原体で、流水式で行われております。結果といたしましてはLC50が実測濃度に基づく値で79.4、それから同じく実測濃度に基づくNOECが35.3ということになっております。異常な症状及び反応といたしましては、昏睡状態及び容器の底での直立、運動失調、瀕死状態での横臥及び横転と静止、体色暗化ということが認められております。それから備考のところですけれども、15.3μg/L及び35.3μg/L群では、重大なもしくは継続的な毒性影響は認められなかったため、投与関連性の影響は103μg/L以上群と試験機関の方では考えております。
それから最後にブルーギルで、原体を用いた試験が行われております。流水式で行われておりまして、試験結果の方は実測濃度でLC50が167、NOECが41.9ということでございます。異常な症状及び反応につきましては、背ビレの直立、体色暗化、呼吸亢進、昏睡状態、眼色のみの暗化、運動失調というようなことが認められております。備考の欄ですけれども、41.9μg/L群では、処理に対する有意な影響は見られなかったと試験機関の方では考えております。
続きまして甲殻類の方にまいります。原体、オオミジンコを用いて行われておりまして、半止水式で行われております。実測濃度に基づく結果ですけれども、EC50は2.94ということになっておりまして、NOECの方は算出されておりません。異常な症状及び反応といたしましては、水面遊泳が実測濃度0.366、1.72、6.88μg/L群で認められております。
それから次に藻類ですけれども、原体を用いましてPseudokirchneriellaで行われておりまして、振とう培養法で行われております。結果といたしましては、実測濃度でEbC50、ErC50ともに30超ということになっております。またNOECの方はbとr両方とも30以上ということになっております。異常な症状及び反応ですけれども、観察の結果、異常な症状は認められなかったということでございます。それから備考ですけれども、藻類無添加で培養した設定濃度0.3mg/L群の試験液においても、96時間後に実測濃度の減少が見られたことから、藻類細胞の有無にかかわらず被験物質濃度は維持できないと試験機関の方では判断しております。
次のページに行きまして、環境中予測濃度ですけれども、まず本農薬の製剤としては30%の水和剤、それから適用として果樹、野菜、茶ということになっておりますので、非水田使用農薬として、環境中予測濃度を算出しております。表7にありますようなパラメーターを用いて算出をいたしましたところ、まず非水田の地表流出による算出結果といたしましては4.1×10-3μg/L、それから河川ドリフトによる算出結果の方は、1.7×10-2μg/Lということになります。これらのうち、大きい値の方となりました河川ドリフトによる算出結果をもちまして、PECの方は1.7×10-2ということになります。
それから次のページに行きまして、総合評価ですけれども、各生物種のLC50、EC50は先ほど申し上げたとおりということになっております。このうち魚類につきましては4種の生物種のデータが存在しておりますので、不確実係数の方は通常用います10という数値ではなくて、3種から6種の場合に適用される4というものを採用いたします。それで、魚類の中で最小値がニジマスの急性毒性ということになっておりますので、その値を4で割りまして、結論といたしましては魚類の急性影響濃度としては4.575μg/Lということになります。
そのほか甲殻類につきましては10で割りまして0.294、それから藻類の影響濃度につきましては、そのままの値、30というものを採用いたします。これらの中で最小のものをとりますと、甲殻類の0.29というものが最小になりますので、これをもって登録保留基準案といたします。
次にリスク評価ですけれども、先ほどの環境中予測濃度はPECTier1で0.017ということでありましたので、登録保留基準値0.29を下回っているということでございます。
次のページは参考資料ということでつけてございます。以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。少し遅れて来てくださった先生方に、若干今までの経過をご説明しますと、本日10の剤について水産動植物の被害防止に係る農薬登録保留基準の設定について審議をしていただいておりまして、今一つ目がちょうど終わったところであります。一つ目がいわば例題みたいなところがあるんですけれども、審議をしておりまして、一応ここに書かれている、資料5に書かれている内容、よろしいということにはなりましたが、1件眞柄先生からご質問がありまして、この計算の仕方の中で、農薬流出率というものに水の溶解性みたいなものが反映するのかというような、ご意見をいただきました。ここについてのご説明は、農薬の流出率というのがその剤をどのように使っているかということから一義的に与えられる数値として決定されているという、そういうお話でございまして、このあたり使い方につきまして、まだ私たちも比較的経験がないところでございますけれども、とりあえずそういうことで進行しております。
それで現在2番目の剤についてのご説明をいただいたところでありまして、今のご説明に対しまして何かご質問、ご意見ございますでしょうか。
【眞柄委員】 何度も私からすみません。14ページに参考のデータが出ています。この数字と、それから前の方で出された毒性試験結果と随分差があるのはどうしてですか、教えてください。
【森田委員長】 若林さんから教えてください。
【若林委員】 いや、そういうふうに言われても、よくわからないんですが、前の一つ目の製剤についてもミジンコ、3けたぐらい違いますよね。一般的に言うと、製剤の場合には界面活性剤が入っているとか、いろんな共存物質がありますので、原体とやったときと当然違うと。ただ、違い過ぎるので、こちらのデータというのはGLPでやっているわけでもないし、どういう状態でやっているか実はわからないので、こういうデータもあるよというぐらいしか我々検討委員会では見ていません。すみません、お答えになりませんで。
【眞柄委員】 それから、じゃあそれを戻して、前の方の検討委員会で検討された中で、恐らく魚類に関して言うと、異常な症状及び反応というのはほぼ全部共通していますよね。共通していながら1種類とか2種類は、一時的だとか、あるいは攻撃的な動物というのは実験やるときにニジマス以外に入れていたかどうか知りませんが、そういうのは例外だとして外しているわけです。症状としてはみんな共通なのに、症状を示していてもこれは小数だから棄却しているように私は見えるんですが、それは正しいやり方なんですか、どうですか。それを教えてください。
【若林委員】 いや、その種特有に見られる症状だとして、棄却すべきではないと思います。そういう意味では、これがもしこれがキーになるとか、非常に毒性値が近いということになれば、この数値であるけれど、化審法なんかでも重篤な症状が出たときには考慮するということがありますけど、ある程度考慮すべきだということになると私自身は思いますけれども。
【安藤委員】 ちょっとお調べいただいているのかどうかはよくわかりませんけれども、この7ページの構造を見ますと、tert-ブチルの酸ができる。tert-ブチルの酪酸ができる。さらに例えば光だとか酸素だとかという条件になると、これはtert-ブチルのハイドロオキシパーオキサイトになるだろうと。そうするとこれは相当過酸化物として非常に強いものになる。哺乳類の動物ではtert-ブチルの過酸化物というのは毒性が非常に強いというふうに考えられるんですが、これの分解過程というのは、おわかりになっているんでしょうか。
【若林委員】 ちょっといいですか。それでは、別に直接はお答えにならないし、調べてはありません。それで、まだこの制度は走り出したばっかりなので、今後分解生成物の話とか考慮しなきゃいけない問題はたくさんありますけど、現在の考え方は基準値というのは原体で、しかも毒性試験というのはなるだけ分解しない条件で、コンティネンス・フローみたいな流水式を使ってやって、原体の濃度を保った試験が望ましいというふうにされていますので、試験そのものというのは、なるだけ分解物が生じない条件でやっております。お答えが出る前までに、ここまででいいですか。
【農薬環境管理室長補佐】 ちょっと事務局の能力ではなかなかそこは難しい。一応代謝分解のデータここにあります、安藤先生に後で、今でも結構ですけれども、ご覧いただければと思いますが。
【安藤委員】 ちょっとだけよろしいでしょうか。つまり実際に哺乳動物の毒性云々でそういうものはやるんでしょうけれども、こういう段階で今やっていらっしゃらないということでしょう、考慮していないということなんでしょうけれども、そういたしますと、結局そこの問題が出てくるかなという気がいたします。これは一つの課題としてそういうことなのかなというふうにちょっと気になりましたということでございます。
【森田委員長】 資料3の方に前回の議事録がついておりまして、既にこの水産動植物についての評価というのを少しずつ今まで進め始めてきているのですが、今二つの問題が、全体としては通して議論を少しされ始めていて、それをどういうふうに扱ったらいいかということについても、ある種のコンセンサスをとっておきたいのですが、一つは、眞柄先生からご指摘のあった点は、かなり重要なポイントですが、毒性というものが例えば同じようなスピーシーズを使っても違う数字が出てきたときに、そのときに合理的な判断としてこれを使うといったことについての、ある種のジャスティフィケーションをどのようにやっておくかということが一つ提起されました。
それからもう一つ、安藤先生から提起されてきた問題、もうちょっと違ったディメンジョンにあるんですが、急性毒性ということはもちろんあるのだけれど、もう少し作用メカニズムを含めて物事をもう少し深く考えるべきではないかというご意見が出たのだと思います。既に走っております部分につきましては、そこのところが少しあまりにも走っているような感じもしないわけではないんですが、そう言いながら一方で実態としてどの程度のことができるかということと、それからこれはヒトの健康と生態系の影響ということで、同じぐらいの精密さが要るのかという議論が若干あるかもしれません。この二つの問題について、一応剤について一つずつ判断していくわけですけれども、若干環境省の方からもしご意見がございましたら、何かございますでしょうか。特段なければ皆さんから少しこの形、こんなものだといって、最後落ち着いていくところがあると思うのですが、そういう流れの中で決めていくということでよろしいでしょうか。
それで、最初の眞柄先生のご質問について、まだちょっと正面から答えていないところがあるのですが、いかがいたしましょうか。どのデータが信頼性があり、どのデータがないのかという判断。
【若林委員】 これとの比較でされたのでしょうか。
【森田委員長】 そうですね。それでこれは今第2剤について申請者から出されている数値と、それからここで出されている数値の間に差がかなり大きなギャップがあるんだけど、そこについて一応若林先生の委員会の方ではある程度の議論はされていると思うのですが、もう少し詳しくご説明お願いします。
【若林委員】 これを出したらちょっと混乱するのかもしれないですけど、文献情報も使うことになっております。その場合には、文献を集めまして、きちんと読んで、GLPに対応しているかとか、ガイドラインに沿っているかとか、そういう審査をやりまして、それで使う場合もございます。その場合には、リストを全部作って、こういう基準に当てはまる、そういう資料はこれ入っていませんよね。例えば水温だと、ガイドラインからどのぐらいずれたときまでに許すかというような判断基準も全部作りまして、それに則って使えるデータは全部使っております。
ここに書いてありますのは、多分業者さんが出してきた関連データということで、こういうデータもあるよという判断しか委員会ではやっていません。必要があれば、次の機会にでも文献情報を使うときには、こういう判断基準で使っていますと。複数の数値があったときには、これは後からもしかしたら出てくるのかもしれませんけど、ご説明をする必要があればさせてほしいと思います。
【森田委員長】 それから、安藤先生のご意見につきましても、一応とりあえず要するに作用メカニズムみたいなことについてもある程度考えておるのかというご質問もあったような気がするのですが、それについては若林先生の方から。
【若林委員】 作用メカニズムについては、ある程度最初によく知っていらっしゃる方に粗いご説明は受けていますけど、メカニズムを考えて試験をやれるわけではございませんので、試験の結果を採用するというだけで、その説明つかないときにメカニズムとの関係で議論をする必要が出てくるかもしれないですけど、要するに考えていませんと言った方が、正確だと思います。
【森田委員長】 ただいまの評価にかかわった先生方から何かご意見等。
【五箇委員】 まず眞柄先生の方から指摘受けました農薬の方の製剤と原体で非常に活性が違うというのは、一般的にどの農薬でもよく言われることですが、活性が最も顕著にあらわれるものが剤型としては乳剤という形で普通に原体と溶媒を混ぜただけの形ですと非常によく効きます。水和剤というのは、これはクレーとか、さまざまな粘土物質を入れていますので、それに吸着させた形で製剤していますので、水に溶かしてもすぐにすべてが溶け出すわけではないということもあり、効力としては遅効的になるということもあって、そういった意味ではワンオーダー、ツーオーダーぐらい、LC50には変化が出ます。粒剤に至っては、もっとさらに遅効的になるということなので、製剤にしてしまうと活性に差が出るというのは、農薬としてはよくあることです。ここで業者さんがこのデータを出されているのは、こうした方が、この水和剤を使った方がより安全性が高いデータが出てくるということを示したかったのかもしれませんけれども、普通に原体の方が本来の毒性活性であるということには変わりがないというふうには考えています。
【眞柄委員】 だからそれは今先生言われるように、我々が見たいのは、要するに基本的には原体でどういう生理活性があるかということを見たいのであって、製品としてマーケットに出て使われるときの状態というのは、それは農水省なり何なりで、その農薬を販売するときにきちんとある種のラベリングをして出すわけです。原体でのデータが欲しいのですから、混乱しないようにしてくださるようお願いします。これは私の意見ですから、必ずしもそうしてくれというわけじゃない。
【農薬環境管理室長補佐】 事務局といたしましては、混乱をするというのがあるかもしれませんけど、やっぱり一応参考までには記載した方がいいのではないかと考えておりまして、参考資料ということで載せさせていただいております。
【森田委員長】 ありがとうございました。まだ制度的にも立ち上がったばかりで、若干試行錯誤のところがあるのかもしれません。しかしそうは言いながら、試行錯誤がそのまま既成事実化していくというところも若干ありますので、引き続き慎重な議論を続けていきたいと思いますが。差し当たりこの第2剤目ですよね。シエノピラフェンにつきまして、この内容でよろしいですか。どうぞ。
【若林委員】 ちょっとよろしいですか、もう一つ。検討会のときもちょっと質問したような気はするんですけど、これlogPowが5.6で、大体BCFが一番高い部類に属するので、これは今もう既にBCFは出ていましたっけ、出ていなかったんでしたっけ。
それと、もちろんこの登録保留基準というのは急性毒性でやるというように決まっているので、この仕組みそのものの中でも何ら問題はないんですけど、こういうBCFが高い可能性がある製剤については、何らかの注意喚起をできるようなことが必要かなというような気はしますし、それから後々BCFが高ければ、ほかの仕組みの中でなにか問題になっていくとは思いますけど、その辺が一つと。
それからあと、今ずっと議論しているいろいろな走り出した当初でいろいろな問題点が出てくるということに関しては、PNECの方、毒性については検討委員会に非常に先生方、わかる先生方が多くて、整理をしていきたいと思います。今度PECの方についても、専門家を入れていただいたので、今眞柄先生から出たような問題についても一応問題点の整理の中に入れさせていただいて、それで小委員会にある程度まとまった段階で、出させてもらうということでいかがかなというように考えているのですけど。3年、5年ぐらいはこの形で動かざるを得ないでしょうけど、そのあたりでまた見直す機会を持つ必要はあるのではないかというように私自身は思っています。
【森田委員長】 とりあえず見直しをある程度前提にしながら、議論をするというのもちょっと辛いところがあるのですが。
ここも若干の判断が必要になってくるのですが、もちろんPowは5.6ですが、生物濃縮性というか、それはまたちょっと違うかもしれないですね。
【若林委員】 違う。必ずしも高いとは限らない。
【森田委員長】 この種の分子だと、もうちょっとなんか体内で壊れていきそうな気もするので、そのあたり本当はもう少し精密なデータが要るんですけれども、そのメカニズムどうしておきますかね。
【安藤委員】 先ほど資料を見せていただいたんですけど、やはり同じようにエステルのところが切れています。エステルのいわゆるtert-ブチルのところを追いかけていないという状況になっています。
【農薬環境管理室長補佐】 すみません。濃縮性のデータですが、ブルーギルでとられております。BCFが12から77という結果になっています。意外に低いという。
【若林委員】 わかりました。
【森田委員長】 壊れるんですね。
それでは一応このシエノピラフェンについては、この内容で総合的な判断としてはとりあえずよろしいということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございます。ただ、ずっと提起されている問題は、多分もうちょっとここに上がってくる前に精密に詰めておいてほしいということであったと思いますので、引き続きよろしくお願いします。
引き続きまして第3番目、ダイムロン、ご説明お願いします。
【農薬環境管理室長補佐】 それでは15ページをごらんください。ダイムロンでございます。物質の概要はここに挙げましたとおりの化学名、構造式のものでございます。開発の経緯等でございますけれども、尿素系の除草剤ということで、本邦における初回登録は1974年でございます。製剤は粒剤、水和剤がありまして、適用作物は水稲でございます。原体の国内生産量が15年度で449トン、16年度384トン、17年度394トンとなっております。各種物性はこちらの表のとおりでございます。水溶解度だけ紹介させていただきますが、7.9×102μg/Lとなっております。
続きまして水産動植物への毒性でございますけれども、魚類につきましてはコイを用いた急性毒性試験が実施されておりまして、原体を被験物質といたしまして、暴露方法は半止水式で行われております。96時間で行われております。設定濃度を100と500ということになっております。実測濃度はそこに挙げたとおりです。助剤としてこのようなものが用いられております。それからLC50値につきましては実測濃度に基づきまして420超、NOECが420ということになっております。異常な症状及び反応でございますけれども、観察の結果異常な症状は認められなかったということです。備考でございますけれども、設定濃度100μg/L群は、平均実測濃度が検出限界以下であったため、LC50及びNOECの計算には用いていないとされております。
続きまして甲殻類でございますけれども、オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験が実施されておりまして、原体を被験物質として止水式、48時間で行われております。設定濃度、実測濃度はそこに掲げたとおりでございます。助剤としてそこに挙げたものが用いられております。EC50値は496μg/L超、NOECは496μg/L。いずれも設定濃度に基づく有効成分換算値でございます。異常な症状及び反応ですけれども、観察の結果、異常な症状は見られなかったとなっております。
続きまして藻類でございますけれども、Pseudokirchneriellaを用いた生長阻害試験が行われております。こちらにつきましては暴露方法、静置培養法で72時間で行われております。設定濃度、実測濃度はそこに挙げたとおりです。助剤もそちらに挙げたとおりのものが用いられております。面積法に基づくEC50、EbC50が496μg/L超、速度法のErC50も496μg/L超。NOECにつきましてもいずれも496となっております。いずれも設定濃度に基づく有効成分換算値でございます。異常な症状及び反応につきましては、観察の結果、異常な症状は見られなかったとなっております。それから、設定濃度100μg/L群は、実測濃度は検出限界以下であったため、LC50及びNOECの計算には用いていない。それから無処理対照区、助剤対照区で細胞増殖に差が見られております。
引き続きまして、環境中予測濃度の算出でございます。本農薬の製剤として粒剤、水和剤がございます。水稲に適用がありますので、水田使用農薬として環境中予測濃度(PEC)を算出しております。こちらは第1段階における予測濃度を求めておりまして、計算いたしますと一番下のところにありますが、23μg/Lということになります。
総合評価でございますけれども、魚類、甲殻類、藻類の毒性試験結果はそこに挙げたとおりでございます。これらから魚類の急性影響濃度、甲殻類の急性影響濃度はそれぞれLC50、EC50は10分の1にいたしまして、42、49.6超とそれぞれなります。藻類につきましてはEC50そのままで496μg/L超。よって、これらの最小のAECfより、登録保留基準値42μg/Lとすると。
リスク評価でございますけれども、先ほどの環境中予測濃度PECTier1が23でありまして、登録保留基準値42を下回っております。以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの内容につきまして、ご質問、ご意見お願いします。
【眞柄委員】 私ばかりですみません。これ実験やっていないんじゃないですか、何にも。出典これ何年の出典ですか。だからこのデータで、いやそれは毒性が弱いからこの数値でいいということは言えるんだけど、何も実験やっていないですよね、2水準しかやっていなくて、下の水準は測定できなかったからデータ化しない。結局1水準で濃度が幾らだったというだけで、これでちゃんと試験をやったというプロトコルに適合するのかどうか、検討委員会の意向はどうなんでしょうね。
【若林委員】 検討委員会でも非常に不十分な試験結果だというふうに、そういう意見が多かったです。それでこれまだ溶解限度、0.5ppmですから、これ。もっと上げられますよね。この溶解度そのものでも700幾つとなっていますし、それから農薬の場合には溶解補助剤をある程度使えますので、だから当然やれるはずなんです。だけど今の段階では、今年度比較的いいデータが出てきていますけど、初年度はもっとひどいのが多かったんですよ。それで農水さんに頼んで、業者さんをいろいろ指導していただいたりしているんですけど、要するに既に使っている農薬につきましては、なかなか新たに試験をやらせるということが難しくて、何社かがもう既に作っていると、お金をプールして出すということも可能なんでしょうけど、そういうことはちょっと検討委員会レベルではそこまでプレッシャーかけられないので、上の審議会から今後そういうふうにすべきだというようなことを言っていただければ、多分動いていただけるんじゃないかなと思いますけど、私3年ぐらいはしようがないかなと個人的にはちょっと思っているところです。
【森田委員長】 いや、多分そうは言いながら、やっぱりルールはある程度きちんとしておかないと、なんかぐちゃぐちゃになりそうな気がするんです。3年間の間になんか既得権で決めちゃいましたとか、そういう話を、そういう側面がないわけじゃないけれども、しかしある程度きちんとしていた方がいいと思うんですが。農薬の方の側からのご意見ございますか。データが余りないんだけど、えいやと、とりあえずやっちゃうということが、どの程度続けられるものかということを含めてですが。
例えば総合評価のところで、環境中の予測濃度のPECが23、この数字がちょっといいかどうかもよくわからないのですが、農薬保留登録基準42を下回っているというんだけど、かなり近い状態になってしまっていますよね。それを含めて、非常に近いものについて、もうちょっと毒性側の情報を精密化しておかなくて大丈夫だろうかという危惧があるんですけれども、それは若林さん、今おっしゃっていますけれども、どなたか。
【農薬環境管理室長補佐】 すみません。まず今のPECと近いという話ですけど、これは水田のPECTier1で、割と高目になるような計算方法でやっているものですので、実際にこの剤につきましてTier2の計算もしているんですが、事務局サイドでやってみたものがあるんですが、0.74となっておりますので、実際には2けた程度さらに低い値に、この剤についてはなっております。
【森田委員長】 いや多分そうだと思うんですが、このPECだけが他のものに対して相当高いので、多分計算方法にある種の粗さがあると、そのまま反映しているというんですが。しかしそうは言いながら、どういうふうに扱っておくかというのを、少しご判断いただいた方がいいような気がするんです。
【山本委員】 さっき言われたように、この設定濃度,やっぱり公比が2ぐらいで4段階を何回というのが通常やる試験ですよね。ここでこの毒性データをきちんと明らかにしてということが目的なのか、この検討委員会の方がです。ただ環境中で魚が半分浮かなければいいという濃度を,最低というか、最高の濃度を決めるという、それが目的なのかということによって、このデータの取り扱いが違うと思うんです。
もちろん毒性データをきちんととって、かなり蓋然性の強い数字を出していくというのは、それはもちろん重要なことですけれども、行政的な考え方でこれなら大丈夫だろうという数字が出れば、それはそれで現在動いている薬について評価していきましょうという、そっちのある意味スピード感も要るかなというように思います。若林先生の検討会でこの辺のところはいろいろ議論やるんですけれども、古くて結構使われている薬ですから、この42という数字が、これ以上に恐らくなるだろうということですよね。ですから環境生物に対する影響ということで言えば、安全側に立った数字だということで、基準値をこの辺にしたらどうかというようなことだろうと思うんです。
これPECを計算して、もっともっと高くなるようだと、恐らくそのメーカーの方は4段階、5段階のデータをとって、もっと登録保留基準値を上の方にしていくという、大きくするような話になってくるのかなという感じはいたします。ちょっと今の議論に正面から答えていないような感じはするんですけれども、答えるというか、そういうような印象で、検討会の方ではなかなか苦渋の選択という部分も若干あると、こういうことはあります。若林先生なかなか言いにくいでしょうけど。
【眞柄委員】 いや、苦渋の選択はもうわかります。少なくともエンドポイントがどこにあるのかという情報は、欲しい。エンドポイントのデータもなくて、環境で使われて実際に、もしこれが誤って水田から流れていって魚が死んだときに、それが何のエンドポイントか、エンドポイントがわかったら何かというのはある程度想像もつくわけです。エンドポイントデータを出してきてくださいというふうに伝えてください。
【農林水産消費安全技術センター】 オブザーバーですけど、一言よろしいですか。
【森田委員長】 どうぞ。
【農林水産消費安全技術センター】 私、農林水産消費安全技術センターの永吉と申します。この試験の関係で申し上げたいと思うんですけど、ダイムロンの試験におきましては、3生物種とも限度試験という形でやられております。実際にデータを見ますと、これ2濃度でやられているんですけど、当時のTGにおきましてはNOECを求めると。このデータにおいてもNOECということで出されておりますけれども、これがもし見つからない場合に、もう一つこういうのが必要だということで、一応限度の試験と、あとそれに付随したもうちょっと低いところで見ようということで、2濃度になっております。
それと実際これNOECという形の中で諮問が出ていますけれども、値がLC50と同じだと。LC50については、これ以上何とかしようということでなっておりまして、影響の出ないものをエンドポイント求めるという、これはなかなか溶解度の関係もありましてできないということになりますので、何が何でもエンドポイント、死ぬ濃度を求めるということはできないことがあると思います。その意味でこの試験については、濃度も分析しておりますし、正当なデータだと判断していただきたいと思います。以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。多分溶解度が低いために高い濃度が設定できないこともあって、こういうデータしかないんだということもあり、かつかなり以前から使われていて、特段魚が大量に死ぬとかいうことも余りなさそうだという、そういう経験を踏まえると、こういうのが総合的な判断としてはあるかなということかもしれませんね。そういうことでよろしいでしょうか。
しかし一方で、こういう新しい水産生物に影響の仕組みができたということにあわせて、引き続きそれでは農薬のメーカーにもデータをとっていただくことで、努力はお願いをしなきゃいけないかもしれませんね。
【若林委員】 今年、農水のガイドラインも4月に改定されたんです。それに伴ってよりいい実験を、試験をするシステムも確立しつつあるので、早目にこの小委員会の意向も踏まえて、その試験方法で、きちんと問題あるものにはやり直してほしいということは、委員会として申し上げられるようにはしたいと思います。
【森田委員長】 各先生方。井上先生。
【井上(隆)委員】 1点確認ですけれども、PECの算定の毒性試験期間というのは、これは2日というのはずっと全部2日でよろしかったんでしょうか。
【農薬環境管理室長補佐】 2日に限定しているものではなく、2日と3日と4日とそれぞれ計算いたしまして、一番値が高かったものを使っております。
【井上(隆)委員】 そうですか。毒性期間の魚類、甲殻類の期間と比較するんじゃなくて、一番高かったものと比較するという方法ですか。
【農薬環境管理室長補佐】 はい、そうです。
【井上(隆)委員】 わかりました。
【森田委員長】 よろしいですか。ありがとうございました。それでは、とりあえずこの総合的な評価としては受け入れるということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 続きましてもう1剤やって、ちょっと休憩に入りたいと思います。テフルトリンです。ご説明お願いします。
【農薬環境管理室企画・調査係長】 それでは20ページからになります。まず物質概要ですけれども、構造式はそこに記載されているような構造を有している化合物であります。開発の経緯等ですけれども、合成ピレスロイド系の殺虫剤でありまして、本邦における初回登録は1993年ということであります。製剤は粒剤がありまして、適用作物としては、芋、野菜、果樹、茶、豆、花き類ということになっております。原体の輸入量は15年度で9トン、16年度も9トン、17年度で14トンということになっております。各種物性ですけれども、水溶解度だけ説明させていただきますが、16μg/L(20℃)ということになっております。
次のページに行きまして、水産動植物への毒性ですけれども、まず魚類ですが、原体、コイで実施されております。流水式です。試験結果といたしましては実測濃度に基づく値としてLC50が0.102、NOECが0.020ということになっております。異常な症状及び反応といたしましては、平衡失調、旋回遊泳、水面浮上、沈底静止、暗色化、水面上飛跳というようなことが認められております。
続きまして甲殻類ですけれども、分析標準品を用いましてオオミジンコで実施されております。止水式です。試験の結果といたしましては、実測濃度に基づく値でEC50が0.064ということになっておりまして、NOECの方は算出されておりません。異常な症状及び反応につきましては、報告書に情報はありませんでした。
続きまして藻類ですけれども、原体を用いましてPseudokirchneriellaで実施されております。振とう培養法です。結果といたしましては、EbC50が実測濃度に基づく値で1,050超、ErC50も同様に1,050超ということになっております。NOECの方は算出されておりませんでした。異常な症状及び反応につきましては、報告書に情報はございませんでした。
次のページに行きまして、環境中予測濃度ですけれども、製剤といたしましては0.5%の粒剤ということになっておりまして、適用としては芋、野菜、果樹、茶、豆、花き類ということですので、非水田使用農薬として、環境中予測濃度を算出いたしております。表4にございますようなパラメーターを用いまして算出をしておりまして、ただ、本剤の場合、粒剤ですので、ドリフトが考えられないということで、河川ドリフトによるPECの方は算出しておりません。従いまして地表流出の方だけ算出しております。結果は2.0×10-4μg/Lということになります。
次のページに行きまして、総合評価ですけれども、各生物種のLC50、EC50は先ほど申し上げたとおりでございまして、これらのうち魚類と甲殻類の試験結果につきましては10で割りまして、それぞれの中から一番小さい値というのが、甲殻類の0.0064ということになります。したがいまして、これを登録保留基準値案といたします。
リスク評価ですけれども、環境中予測濃度はPECTier1で0.0020μg/Lということであり、登録保留基準値0.0064μg/Lを下回っているということでございます。
次のページは参考資料ということでつけております。以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。それでは、この剤につきましてご審議、ご意見をお願いします。
相当毒性が強そうに見えますけれども、何か委員会でご意見が出ましたでしょうか。
【若林委員】 BCFは求まっていますか。
【農薬環境管理室長補佐】 ちょっと今探したんですけれども、データはなさそうです。
【安藤委員】 またちょっと細かいことになってしまいますが、この構造を見ますと多分フッ素が三つあるところのここの二重結合が、これが切れるだろうと。そうしますとここでトリフルオロの酢酸になる可能性が非常に高い。そうするとトリフルオロ酢酸ということは、多分特定毒物か何かそっちの系統に入っちゃうかな。つまりTCAサイクルにもろに影響する話になる。それでその分解過程がどうだったかなということ、伺いたかったんです。
【五箇委員】 これは合成ピレスロイド系の殺虫剤でして、一応それなりに毒性評価の過程で分解過程ですか、いわゆる体内代謝の部分、それから植物代謝に関してはかなり細かく調べられておりまして、その意味では非常に普通に動物の代謝におきましてはP450依存性モノオキシゲナーゼで非常に速やかに代謝されるということで、人畜毒性は非常に低い物質というふうにされています。もちろん代謝物にそういったものが生成される可能性がないわけではないですが、一応人畜毒性という部分に関しては、非常に低い物質であるというふうになっています。ちなみにこのピレスロイドそのものの殺虫剤ですけれども、昆虫に対する作用機構というのは、ナトリウムイオンチャンネルに対する阻害剤という、神経系の阻害剤となっています。
【森田委員長】 他にご意見ございますか。今、健康影響としての毒性は非常に弱いとおっしゃったんですが、それはどういうふうに数値で表現されていますか。
【五箇委員】 すみません。私も健康影響の方、専門じゃないので、数値データそのものは細かく覚えているわけじゃないんですけれども、テフルトリンそのものの物質の分類からすると、たしか普通物の方に入っていたというふうに記憶しているんです。
【森田委員長】 それから多分、安藤先生の視点はもうちょっと違うところがあって、トリフルオロ酢酸というのは今、環境中でどんどん増えているんです。それは壊れにくいということがありますし、それからトリフルオロメチル基というのは、非常にたくさん農薬なんかにも毒性の調節に加わっていて、それが結構環境中へたまってきているんですが、しかしとりあえず今のこの水生生物の影響の評価のスキームの中にそこの概念全然入っていませんので、今回はちょっとその議論はパスさせていただいて、しようがないかなという感じもするんですけれども。何か、細見先生。
【細見委員】 ただフッ素系のPFOSとかPFOAは、おっしゃるとおり水中の光分解性が非常に難しくて、本当に分解しない。しかもPowも結構高い。こういった物質は、確かに毒性の観点とはちょっと別のというか、環境中の残留性という意味で、また、濃縮性が高い可能性があると思われますので、注意は必要ではないかという気がいたします。
【森田委員長】 ほかに先生方からご意見ございませんか。
基本的に今のこの評価システムは、急性毒性、水生生物に対する急性毒性だけで議論をしていて、それで少し濃縮性のあるものについてはちょっと考えましょうというぐらいのテンションなんですが、それだけでよいかどうかというご議論は本質的に残っているかもしれません。
特にこれはよろしくないということがなければ、差し当たりこの提案されているやつを受け入れるということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは10時35分になって1時間半ぐらいたったところですが、少し10分ほど休憩を取って時間的には大丈夫かな。トイレ休憩を取りたいと思います。よろしくお願いします。再開は45分に再開させていただきます。
(休憩)
【森田委員長】 それでは再開したいと思います。引き続きましてピラゾスルフロンエチルですか。ご説明お願いします。
【農薬環境管理室長補佐】 ピラゾスルフロンエチルでございます。資料5の26ページをごらんください。こちらは物質概要のところでございますけれども、このような化学名、構造式の物質でございます。開発の経緯等でございますが、スルホニルウレア系の除草剤でありまして、本邦における初回登録は1989年でございます。製剤は粒剤、水和剤があり、適用作物は水稲、芝となっております。原体の国内生産量は41.5トン、これは15年度です。16年度はなし、17年度は50.6トンであったということになっております。各種物性につきましては、そこに挙げた表のとおりでございます。水溶解度は9.76×103μg/Lとなっております。
続きまして、水産動植物への毒性でございますけれども、まず魚類ですが、コイを用いた急性毒性試験の結果でございます。被験物質原体で、暴露方法、半止水式。暴露開始48時間後に換水ということでやられております。暴露期間96時間、設定濃度が2万μg/Lの限度試験となっております。実測濃度は19,200、助剤がジメチルホルムアミド0.100mL/L使われております。LC50値が19,940超、NOECが19,940以上となっております。いずれも設定濃度に基づく有効成分換算値でございます。異常な症状及び反応といたしまして、1個体のみ体色暗化が認められたということになっております。備考といたしまして、この体色暗化が認められた1個体は極端にやせており、発生時期及び程度が過去の事例(対照区におけるやせた個体の症例)と同様であることから、この1個体に認められた症状は被験物質の影響によるものではなく、生物側の要因によるものと試験機関は判断しております。
続きまして甲殻類でございます。オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験が実施されております。原体を用いまして止水式48時間で行われております。設定濃度、実測濃度はそこに挙げたとおりの5段階、公比1.7で設定濃度が反映されております。助剤は用いられておりません。EC50値が70万μg/Lでございます。NOECが28万μg/L。いずれも実測濃度に基づいております。異常な症状及び反応といたしまして、不活発(lethargic)でございますけれども、実測濃度82万μg/L群で認められております。
続きまして藻類でございますけれども、Pseudokirchneriellaを用いた藻類生長阻害試験が実施されておりまして、振とう培養で72時間で行われております。設定濃度は5段階、公比はルート10で設定されております。実測濃度はそこに挙げたとおり。助剤はDMSO0.1mL/Lが用いられております。面積法を用いたEC50、EbC50が0.872μg/Lでございます。それからErC50値、速度法を用いた値ですが、2.05となっております。それから面積法のNOECが0.0997、それから速度法のNOECが0.315、いずれも設定濃度に基づく有効成分換算値でございます。異常な症状及び反応といたしまして、3.14μg/L以上群では、膨張した細胞がやや多く見られたということでございます。
続きまして環境中予測濃度でございますけれども、製剤といたしましては粒剤等がございます。水稲及び芝に適用がありますので、水田使用農薬及び非水田使用農薬として、環境中予測濃度(PEC)を算出いたしております。まず水田使用時の予測濃度ですけれども、これは第1段階における予測濃度が求められております。表4のパラメーターを用いて計算いたしまして、一番下にありますが、PECTier1による算出結果、0.45μg/Lとなっております。
続きまして30ページですが、非水田使用時の予測濃度でございます。PECにつきましては以下のような使用方法の場合に、表5のパラメーターを用いて算出しております。こちら粒剤でございますので、ドリフトが考えられないため、河川ドリフトによるPECは算出せず、地表流出によるPECのみ算出しております。地表流出によるPEC算出結果をもってPECTier11.6×10-3μg/Lとなります。環境中予測濃度は先ほどの水田、非水田とあわせまして、水田PECTier1の方が大きいということで、この0.45μg/Lとなります。
総合評価でございますけれども、登録保留基準案でございますが、各生物種のLC50、EC50はそこに挙げたとおりでございます。これから魚類、甲殻類につきましては、LC50、EC50を10分の1にいたしまして、急性影響濃度を求めます。魚類急性影響濃度が1,994μg/L超、甲殻類急性影響濃度が7万μg/L超、それから藻類につきましてはEC50値そのままになりますが、急性影響濃度が0.872μg/Lとなります。よってこれらの最小の、藻類の急性影響濃度から登録保留基準値0.87μg/Lといたします。
リスク評価でございますけれども、先ほどの環境中予測濃度PECTier1は0.45ということで、登録保留基準値の0.87μg/Lを下回っているという結果でございます。
次のページは参考資料ということでございます。以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤につきまして、ご質問、ご意見を。安藤先生。
【安藤委員】 最終的な結果には影響しないでしょうけれども、甲殻類の実験系が設定濃度が13万から100万μg/L。この水溶解度が9,700ですから約1万、ということはこの実験は成立していないんじゃないかなという気がするのですが。
【森田委員長】 いかがでしょうか。
【農薬環境管理室長補佐】 たしかこれも検討会で議論はしたんですね。何で助剤なしでこちらはこんなに溶けるんだろうという議論をしたのですが、結果としては余りよく理由はわからなかったのですが、ただ、実際に実測もされてこういう値なんだというふうに報告書には書いてあるので、仕方がないかなというような結論だったというふうに記憶しておるんですけれども。
【安藤委員】 多分結晶が出ているのだろうと、それを測定しているんじゃないかなという気も、あるいは壁についているんじゃないかなという気もするんですが。
【山本委員】 よろしいですか。これ議論のときに,このスルホニルウレアはpHによってものすごい溶解度が違うんですよね。それでこのミジンコのときのpHがいくつだったかというようなことをちょっと調べてもらったんだけれども、データがなかった。恐らくpHが高く、アルカリ側ですと非常によく溶けるんですね。そういうようなことじゃないかなというような話は検討会ではやりましたね。それで後は木村補佐が言われたような状況で、問題ないのではないかというようなことだったような気がしました。おっしゃるとおり大変議論になったところです。
【若林委員】 それともう一つは、水溶解度というのが比較的不正確な場合が多いということもありますよね。それでわからないですよ。でもこの構造からどうですか、何か水溶性基が結構たくさんありますよね。それで10ppmぐらいしか溶けないかなというのも。だから場合によるとこの実験系では、ここまで溶けなかったとしても、もうちょっと溶けていたのかもしれないですね、pHのことも含めて。でも結局わからないとしか言いようがないですね、検討委員会でもそんな、結局わからなかったけど、キーのデータとして使うわけではなくて、しようがないだろうということでした。
【安藤委員】 別に議論するつもりはございませんが、この構造を見ると多分相当溶けないだろうなというような私の想像で、酸性側で溶けるだろうなという気がいたしました。
【若林委員】 酸性。
【安藤委員】 むしろ。アルカリでは溶けにくい。このSO2があるから、それが効くのかどうなのか。
【中村委員】 アルカリ側で溶けます。
【安藤委員】 アルカリ側で溶けますか。それでやたら溶けるという可能性はあるのでしょうかね。
【中村委員】 pHでどんどん変わっていきます。
【安藤委員】 それが正しければこの実験は正しかったかもしれませんが、ちょっとわかりません。
【山本委員】 このときのpHがわからないので仕方がないですね、試験のときの。
【森田委員長】 結果オーライなら何でもというのも、ちょっとこう釈然としない感じはありますが…。
【若林委員】 じゃ先生、出し直させますか。
【森田委員長】 もうちょっとぴりっとしていた方が全般としてはいいかなという感じがしますけどね。
いかがでしょうか、総合評価。これも藻類の急性毒性が一番毒性が強く出てきて、そこに引きずられる形で、農薬登録保留基準が0.87になるということであります。それで、ご指摘がありましたけれど、しかし総合的な評価として相場感として悪くないのではないかというぐらいの受けとめ方かもしれません。よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 各先生方の発言は、とりあえず議事録に全部残りますので。それでは、これはよろしいということにさせていただいておきます。
続きましてペンチオピラド、ご説明お願いします。
【農薬環境管理室企画・調査係長】 それでは33ページからになります。ペンチオピラド。物質概要のところに構造式を掲げておりまして、このような構造を有する化合物ということでございます。開発の経緯等ですけれども、カルボン酸アニリド系と類似した構造を有する新規の殺菌剤でありまして、本邦では未登録ということでございます。製剤としては水和剤が、適用作物としては、野菜、果樹、花及び芝として登録申請がなされているものでございます。各種物性ですけれども、下表に掲げてあるとおりでございますけれども、水溶解度につきましては7.53×103μg/Lということになっております。
続きまして、水産動植物への毒性です。まず魚類ですが、原体コイで流水式で行われております。結論といたしましては、設定濃度、有効成分換算値に基づく値といたしまして、LC50で568、NOECが296ということになっております。異常な症状及び反応ですけれども、表層集中、完全平衡喪失、嗜眠状態、軽度平衡喪失及び活動度の低下、出血、これらの症状が見られております。
続きまして甲殻類です。原体でオオミジンコを用いまして、止水式で実施されております。結論といたしましては、設定濃度、有効成分換算値に基づく値としてEC50が2,530、NOECが839ということになっております。異常な症状及び反応ですけれども、活動度の低下、嗜眠状態ということが認められております。
続きまして藻類ですけれども、原体を用いましてPseudokirchneriellaで、振とう培養法で実施されております。結論といたしましては実測濃度に基づく値で、EbC50が2,210、ErC50で、4,020超ということになっております。NOECの方は面積法が449、速度法の算出結果が960ということになっております。異常な症状及び反応ですけれども、やや膨張している細胞が多数、もしくはやや多く認められております。
続きまして環境中予測濃度にまいります。製剤としては水和剤があり、適用として野菜、果樹、花及び芝ということですので、非水田使用農薬として、環境中予測濃度を算出いたします。表4に掲げてありますような使用方法とパラメーターでPECの方を算出いたしますと、まず地表流出の方が2.8×10-3μg/L、河川ドリフトの方が1.1×10-2μg/Lということになります。これらのうち値の大きい方が河川ドリフトになりますので、この結果をもちましてPECTier1は、1.1×10-2μg/Lということになります。
総合評価ですけれども、各生物種のLC50、EC50は先ほど申し上げたとおりでございまして、これらのうち、魚類及び甲殻類の結果につきましては、10で割りまして、それぞれ56.8、253ということになります。これらのうち最小の値をとりますけれども、最小となりますのは魚類の急性影響濃度の56ということになりますので、この56をもって登録保留基準値案といたします。
リスク評価ですけれども、環境中予測濃度はPECTier1で0.011μg/Lでありましたので、登録保留基準値案の56μg/Lを下回っているということでございます。
次のページは参考資料ということで載せてあります。以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤について、ご質問、ご意見をいただきたいと思います。
特別何もございませんか。特に何かご意見がないようですが、登録保留基準値など、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 ありがとうございます。それではその次、行きたいと思います。メソトリオン。ご説明お願いします。
【農薬環境管理室長補佐】 それでは39ページをごらんください。メソトリオンでございます。評価対象農薬の概要ですが、まず物質につきましてはそこに掲げました化学名、構造式を有する物質でございます。開発の経緯等でございますけれども、本物質はカロチノイド生合成系に関与する補酵素を阻害する除草剤であり、本邦では未登録のものでございます。製剤は水和剤及び粒剤が、適用作物は、水稲、とうもろこしとして登録申請されております。各種物性はそこに挙げた表のとおりでございます。水溶解度につきましては、蒸留水で1.6×105μg/L、緩衝液pH4.8で2.2×106、緩衝液のpH6.9で1.5×107、それから緩衝液pH9で、いずれも20℃ですが、2.2×107μg/Lという値になっております。
続きまして、水産動植物への毒性でございますけれども、魚類につきましては、コイを用いた急性毒性試験が実施されております。暴露方法、止水式で行われておりまして、暴露期間96時間。設定濃度につきましては97,100、これは有効成分換算した値となっております。実測濃度は暴露開始、終了時、そのような値になっております。助剤につきましては、用いられておりません。LC50値でございますけれども、97,100μg/L超、NOEC97,100となっております。いずれも設定濃度、これが有効成分換算で設定されておりますので、この値に基づいております。
続きまして甲殻類でございますけれども、オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験が実施されております。暴露方法、止水式48時間で行われております。設定濃度、実測濃度はそこに掲げたとおり、5濃度区で行われております。助剤は用いられておりません。EC50値ですが、90万μg/Lということになっております。これは実測濃度に基づく値でございます。異常な症状及び反応といたしまして、報告書に情報がございませんでした。
続きまして藻類でございますけれども、Pseudokirchneriellaを用いた藻類生長阻害試験が実施されておりまして、振とう培養法でございます。暴露期間は120時間ということになっております。通常より長い試験期間で行われております。設定濃度、実測濃度につきましては、こちらに挙げたとおり、これは8段階とられております。助剤は用いられておりません。面積法に基づくEC50値でございますけれども、こちらにつきましては0時間から72時間の値を記載させていただいております。4,300μg/Lということでございます。それから速度法に基づくErC50値ですが、こちらも0から72時間ということで求めておりますが、12,000μg/Lということで、いずれも設定濃度に基づく有効成分換算値でございます。NOECにつきましては速度法、面積法とも710μg/L、こちらも0から72時間の間で求めております。設定濃度に基づく有効成分換算値でございます。異常な症状及び反応につきましては、報告書に情報がございません。
続きまして環境中予測濃度PECでございますけれども、本農薬の製剤として粒剤、水和剤がございます。水稲及びとうもろこしに適用がございますので、水田使用農薬及び非水田使用農薬として、環境中予測濃度を算出いたします。まず水田使用時の予測濃度でございますけれども、第1段階における予測濃度を算出しております。使用するパラメーターはそこの表の4のとおりでございます。これらのパラメーターより水田使用時の環境中予測濃度PECTier1は0.75μg/Lとなります。
続きまして非水田使用時の予測濃度でございますけれども、表5のようなパラメーターに基づいて計算をしております。地表流出によるPECが7.2×10-4μg/L、河川ドリフトによるPECが8.4×10-5となっております。よってこれらのうち、値の大きい地表流出によるPEC算出結果をもって、PECTier1、7.2×10-4μg/Lとなります。先ほどの水田のPECとあわせますと、環境中予測濃度は水田PECTier1の方が高いということで、0.75μg/Lとなります。
総合評価でございますけれども、各生物種のLC50、EC50値は以下のとおりでございます。これらから魚類の急性影響濃度につきましては、9,710μg/L超、甲殻類急性影響濃度が9万μg/L、藻類急性影響濃度が4,300μg/Lということになりまして、最小である藻類の急性影響濃度から登録保留基準値4,300μg/Lとしております。
リスク評価でございますけれども、先ほどの水田PECTier1が0.75μg/Lでありますので、登録保留基準値4,300μg/Lを下回っているという結果になっております。
45ページは参考資料ということでございます。以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤につきましてのご意見をいただけますか。
除草剤にしては、随分と藻類に対して毒性が強く…。
【若林委員】 出ていますよね。植物を枯らすというので、物によっては全然違う作用機構の場合がありますけれども、概して草を枯らすものは…。
【森田委員長】 効くはずですが、その割に効いてないですよね。
【若林委員】 相対的には、ああ、そういう意味ですか。
【森田委員長】 ええ。余り議論になりませんでしたか。
【若林委員】 その緑藻は比較的多くのものに感度が高いというか、感受性が高いと言われていますけど、物によっては効かないわけですよね。わかりますか、五箇先生。
【五箇委員】 この剤の作用機構は、実際のところ詳しいことは不明ですが、植物の色素を抜いてしまって、要するに光合成反応ができないようにしてしまう。いわゆる白化させてしまって、最終的に植物体を枯らすという作用機構を持っています。その作用機構がどうやら藻類には効かないというだけの話だと。高等植物には効くけど、藻類ですね、いわゆる植物プランクトンには効かないという、ある意味選択性と言えば選択性というところが、こういった結果に結びついているというふうに考えられます。
【森田委員長】 と理解してよろしいですか。確認をしておいて。
【安藤委員】 カルテノイド系の阻害剤であって。
【森田委員長】 多分そう。
【安藤委員】 緑藻類とか、そういうところでもし効けば、もう即効くけど、ここには効いていないかもしれない。
【森田委員長】 いやいや、ちょっと確認だけしたかったの。
よろしいでしょうか、それでは。それと後はひょっとしたら安藤先生から質問が出るかもしれないと思ったのですが、これはもちろん生態影響のところに直接関係ないんですが、こういうニトロ基のあるものはしばしば強い変異原性があったりしますが、そのことは余り気にはなりませんでしょうか。
【安藤委員】 この段階ではちょっと何とも言えないと思います。
【森田委員長】 これは新規の登録になるわけだから、データはとっているはずですよね。大丈夫ですかね。
【眞柄委員】 そっちの方は我々の範囲以外だから。
【森田委員長】 それはそうですが。いつもは総合的判断でこれを動かしておりますから、ある程度情報はわかっていた方はいいかなと思うのですが、余り気にしなくていいと。
【安藤委員】 ニトロ基を気にし出すと、すべて気になりますので。
【森田委員長】 いや、もちろんそうです。だから非常に強い変異原性があるかどうかですね。弱いのは当然あるだろうと思いますが、それはともかくとして。
【安藤委員】 そうですね。ちょっと想像つきません。
【森田委員長】 こういう分子骨格を見て、何となく遺伝子にぺたっと張りつきそうな気もしますし。
井上先生、何かご意見、感想ありませんか。よろしいですか。
【若林委員】 全部ある程度ヘルスの方も揃ってから登録するということになるんですよね。
【農薬環境管理室長補佐】 もちろんそうでありまして、そちらの方のリスク評価は食品安全委員会で行われるということです。
【若林委員】 任せましょう。
【森田委員長】 任せる。じゃあそういうことで、これでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは引き続きましてメタラキシル及びメタラキシルM、ご説明お願いします。
【農薬環境管理室企画・調査係長】 それでは46ページからになります。表題がメタラキシル及びメタラキシルMとなっておりまして、47ページの頭のところを見ていただきたいのですが、まずメタラキシルMの説明ですが、ラセミ体であるメタラキシルのD体のみを選択的に有する殺菌剤ということになっております。また左側に戻りまして、構造式と化学名のところご覧いただけますでしょうか、まず化学名の方が、メタラキシルがDL-アラニナート、一番後ろのところです。メタラキシルMがD-アラニナートとなっております。また構造式のところ、ご覧いただきますと、Nの上のところの炭素が不斉炭素になっておりまして、メタラキシルの方はラセミ体で、Mの方は片方だけを抽出したものということになっております。そういった事情がありますので、一つの保留基準としてご提案させていただいているということになります。
開発の経緯等ですけれども、メタラキシルはアラニン基とメタキシレン基を有する殺菌剤でありまして、本邦における初回登録は1984年となっております。製剤としては水和剤、粒剤、液剤及び粉剤がありまして、適用作物は果樹、野菜、水稲、芝、花き及び豆等となっております。原体の輸入量は15年度で11.2、16年度で34トン、17年度で49トン。一方、メタラキシルMの方ですけれども、本邦では未登録となっております。製剤としては粒剤、液剤、及び水和剤。適用作物としては野菜と芝として登録申請がなされているものでございます。
各種物性ですけれども、まずメタラキシルです。ここに掲げられている表のようになっておりまして、水溶解度だけ申し上げますと、8.4×106μg/Lということでございます。同じくメタラキシルMの方ですけれども、水溶解度が2.6×107μg/Lということになっております。
次のページに行きまして、水産動植物への毒性ですけれども、まず魚類の急性毒性試験からご説明いたします。メタラキシルの方ですが、コイで原体を用いて止水式で実施されております。10万μg/Lの1濃度の限度試験で実施されておりまして、結論といたしましては、設定濃度に基づく有効成分換算値として96,700超という結果となっております。NOECの方は、96,700以上ということになっております。異常な症状及び反応ですけれども、観察の結果、異常な症状は見られなかったということです。
メタラキシルMの方ですが、こちらも原体コイ、止水式で実施されておりまして、設定濃度は同じく10万μg/Lの1濃度の限度試験ということで実施されております。結論といたしましては、設定濃度に基づく有効成分換算値で、LC50が95,200超、NOECの方が95,200以上ということになっております。異常な症状及び反応は観察の結果、異常な症状は見られなかったということになっております。
続きまして甲殻類の方にまいります。メタラキシルの方ですけれども、原体、オオミジンコ、止水式で実施されております。こちらも設定濃度は10万μg/Lの1濃度の限度試験ということになっております。こちらの結論につきましては、設定濃度に基づく有効成分換算値で96,700超ということで、EC50が求められております。異常な症状及び反応につきましては、報告書に情報はございません。
メタラキシルMの方ですけれども、こちらも原体、オオミジンコ、止水式で実施されておりまして、こちらは設定の濃度は5段階で実施されております。結論といたしましては、設定濃度に基づく有効成分換算値で97,300超というEC50が求められております。異常な症状及び反応につきましては、報告書に情報はございません。
次に藻類ですけれども、まずメタラキシルの方ですが、原体を用いましてScenedesmusで振とう培養で実施されております。設定濃度はここに書かれております6段階の濃度で実施されておりまして、結論といたしましては、設定濃度に基づく有効成分換算値でEbC50が44,000、ErC50が79,000となっております。NOECの方は面積法で5,600、それから速度法で17,000となっております。異常な症状及び反応につきましては、報告書に情報は記載されておりませんでした。
メタラキシルMの方ですけれども、こちらは二つ試験が実施されておりまして、まず一つ目の方は、原体を用いてPseudokirchneriellaで実施されておりまして、振とう培養法で行われております。設定濃度は6段階の濃度が設定されております。結論といたしましては、設定濃度に基づく有効成分換算値で、72時間のEbC50で108,000ということになっております。それから72時間のErC50が264,000ということになっております。異常な症状及び反応につきましては、観察の結果、異常な症状は見られなかったということでございます。
それからもう一つ、原体を用いてScenedesmusで振とう培養法で実施されております。設定濃度はここに記載されている5段階。結論といたしましてはEbC50が設定濃度に基づく有効成分換算値で35,000、同じくErC50が10万ということになっております。NOECの方は面積法、速度法ともに9,300ということになっております。異常な症状及び反応は、報告書に情報はございませんでした。
次に環境中予測濃度ですけれども、メタラキシルの方をまずご説明いたしますが、製剤として水和剤、粒剤、液剤、粉剤などがございます。適用としては果樹、野菜、水稲、芝、花き、豆等ということですので、水田使用農薬及び非水田使用農薬として環境中予測濃度を算出しております。
一方、メタラキシルMの方ですけれども、製剤は粒剤、液剤、水和剤がございます。適用の方は、野菜、芝ということですので、非水田使用農薬の方だけ環境中予測濃度を算出いたしております。
次に算出の結果ですけれども、まずメタラキシルの方は、水田使用時の予測濃度を求めております。表8にありますような使用方法及びパラメーターを用いまして算出いたしましたところ、水田PECTier1による算出結果といたしまして、60μg/Lということになっております。
次のページに行きまして、同じくメタラキシルの非水田使用時の方の予測濃度ですけれども、表9にあります使用方法及びパラメーターを用いまして算出いたしますと、まず地表流出による算出結果が3.7×10-3μg/L。河川ドリフトによる算出結果が1.5×10-2μg/L。これらのうち、値の大きい方が河川ドリフトになりますので、こちらの結果をもちましてPECTier1は、1.5×10-2μg/Lということになります。水田使用時と非水田使用時と、それぞれから最も大きい方が水田使用時になりますので、こちらの結果をもちましてメタラキシルの環境中予測濃度ということになりまして、こちらが60μg/Lという結果になります。
次にメタラキシルMの方の結果ですけれども、非水田使用時の予測濃度を求めます。表10に掲げてありますような使用方法及びパラメーターで算出いたします。粒剤ですので、ドリフトが考えられないために、河川ドリフトの方は今回算出しておりません。地表流出のPECのみ算出しておりまして、その結果7.9×10-3μg/Lということになっております。
総合評価の方にまいります。登録保留基準値案ですけれども、メタラキシル及びメタラキシルMについて、各生物種のLC50、EC50は、先ほど申し上げたとおりとなっております。これらのうち、魚類と甲殻類につきましては10分の1の数値といたしまして、魚類が9,520、甲殻類が9,670ということになります。藻類につきましてはそのままの値を採用いたしますので、35,000μg/Lということになります。これらのうち、最小のものをとりますと、魚類の急性影響濃度ということになりますので、登録保留基準案としては9,500ということになります。
次にリスク評価ですが、環境中予測濃度はメタラキシルの方がまず水田PECの結果で、60μg/L、メタラキシルMの方は非水田の方で、7.9×10-3ということでありましたので、いずれも登録保留基準値案の9,500を下回っているということでございます。
次のページは参考資料ということでつけさせていただいております。以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。それではこの剤につきまして、ご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
効いているのはあれですか、ラセミ体のD体の方が効いていると。
【若林委員】 殺菌剤。
【森田委員長】 殺菌剤として。そういう認識でいいんでしょうか。間違えてD体を取り込んで、細胞膜に行かないと、そんなに違いますか。よくわからないんですけれども。
【若林委員】 いや、五箇先生が知っていますよ。
【五箇委員】 生態毒性値そのものを見ると非常に全然効かないようにも見えるんですけれども、こちらの方も非常に選択性が高いという形で効いています。実は菌に対する作用機構も、実際のところはよくわかってはいません。細胞分裂をとにかく阻害して、成長を完全にとめてしまうという作用機構がありますが、従来の核酸合成阻害という機作ともちょっと違うらしいということまではわかっております。これに関しても、その意味では生態影響試験の生物には効かない。あくまでも対象とする菌にのみ効くということになっているということです。
【若林委員】 今後の課題になると思いますが、一応発言だけして議事録に残しておいてもらえればいいのですが、やっぱり殺菌剤は今の試験生物には効かない場合が多いのではないか。それで実際環境に出た場合には、分解者である微生物、細菌類を要するに殺す、影響を与えていろんな物質の分解に影響が出るということで、非常に問題ではあると思います。だから今後何年先かわからないですけど、そういうものを入れていくということ。
それから、藻類には効かないけど高等生物には効くような、やっぱり除草剤的なものも、試験生物としてそういうものについては高等植物を使っていくとか、そういう問題点だけはちょっと言わせておいていただきました。
【眞柄委員】 いや、それとこれSelenastrum使っていないでしょう。Selenastrum使っていなくて、Selenastrumと…。
【山本委員】 今の眞柄先生の話、ちょっとよろしいですか。私もこれ検討会のときに、半年前のことで言ったか、言っていないかよく覚えていないのですけど、今気がついたんですけど、このScenedesmusのこと。P.subcapitataというのはSelenastrumの学名が変わったのですが,Selenastrumは非常に感受性が高いと、いろんな藻類の中で。だからUFを1にしたんですよね。そのときに,例えばクロレラとかScenedesmusとか、そういったものはSelenastrumと比べて一般的に感受性が低いのですが,UFを1にしたのは,藻類の試験ではSelenastrumが使われることがほとんどというような話で、1になっているんだと思うんです。このScenedesmusのことは、若林先生,そのときに議論しましたか、検討会の1月に。余り覚えていないんだけど、私。
【若林委員】 いや、お話ししていないような気がします。
【山本委員】 これでUF1でいいのかどうかという問題はちょっとあるのかもしれませんね。
【若林委員】 そうですね。UF1を決めたときはもう昔のSelenastrumでやるという前提に立っていたんですね。
【山本委員】 それでこれがScenedesmusの方のデータが使われているので、これ仮に10分の1を掛けるとすると,登録保留基準は9,500じゃなくて3,500になるわけですよね。そこの基準値が変わってくるので、今ごろ言うのも全く申しわけないんだけど、ちょっとやっぱり一言何か検討課題というか。
【若林委員】 検討課題です。
【山本委員】 検討していただく必要があるのかなというふうにちょっと思っています。
【若林委員】 それで結局、ガイドラインの生物種には入っているので、ガイドライン上は試験できるということになっていますので、それで、国内問題だけだったら要するに旧Selenastrumでやってというご指導をしていただければいいんだけど、輸入製剤なんかありますとそうはいかないので、その辺は検討課題ですね。今すぐ変えるわけにはいかないと思いますが。
【眞柄委員】 今はこれでやっているんでしょう。ベースは。今のこの参考資料でいただいたこれでやっていて。ただ、こっちには、だからこれ自身のガイドラインは別でしょう。
【若林委員】 農水のガイドラインに沿ってということで、農水さんのものには入っていましたっけ、生物種として。
【農林水産消費安全技術センター】 試験方法の中には列挙していないのですけれど、今回の場合にはメタラキシルMの方でSelenastrumを使っているということで評価いただいたと思ってはいるんですけど。Scenedesmusは、メタラキシルの方はScenedesmusですが、Mの方がSelenastrumですので、評価いただいたのかと。
【若林委員】 こっちはこっちですものね。だからこの黄色いというか、このファイル上も今問題ないということになっちゃうんですよね。検討課題として、列挙はさせておいていただきます。
【森田委員長】 検討課題にしておいてよろしいでしょうか。それでは一応その検討課題を残して、総合的にはこれを受け入れるということでよろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 はい、ありがとうございました。これが今回は最後になりますが、メフェナセットです。よろしくお願いします。
【農薬環境管理室長補佐】 それでは58ページをご覧ください。メフェナセットでございます。物質概要につきましては、ここに掲げたような化学名、構造式を有する化合物でございます。開発の経緯でございますけれども、メフェナセットはベンゾチアゾリルオキシアセトアニリド系の除草剤ということでございまして、本邦における初回登録、1986年でございます。登録製剤といたしましては粒剤、水和剤がございまして、適用作物として稲がございます。原体の輸入量は平成14年度で88トン、15年度に426トン、16年度に250トンとなっております。各種物性でございますけれども、水溶解度だけご紹介させていただきます。室温での溶解度ですが、5.2mg/Lとなっております。
続きまして、水産動植物への毒性でございます。魚類でございますが、コイを用いた急性毒性試験が実施されておりまして、半止水式、24時間ごとに換水ということで96時間行われております。設定濃度につきましては、そこに掲げたとおりの6段階、公比1.3で設定されております。実測濃度はそこに掲げたとおりでございます。助剤としてN,N-ジメチルホルムアミド、HCO-40がそれぞれ0.05mL/L使われております。LC50値ですけれども、8,700μg/Lでございます。NOECが4,100μg/L。いずれも設定濃度に基づく有効成分換算値でございます。異常な症状及び反応といたしまして、遊泳がやや鈍い、あるいは遊泳が鈍いというものが5,400μg/L以上群。横転が7,000μg/L以上群で見られております。備考といたしまして、4,100μg/L群において、48時間では遊泳異常が見られたが、72時間では正常に遊泳していたことから、申請者はNOECを4,100μg/Lとしております。この症状をもし異常な症状とみなした場合に、NOECは3,200μg/Lとなるということでございます。
甲殻類でございますけれども、オオミジンコを用いた急性遊泳阻害試験が行われております。止水式48時間で行われております。設定濃度はそこに挙げたとおりで、公比1.4でございます。実測濃度もそこに掲げたとおりでございます。助剤といたしまして、ジメチルホルムアミド、HCO-40をあわせまして0.1mL/L用いられております。EC50値が12,000μg/L超。NOECが12,000μg/L以上となっております。いずれも設定濃度に基づく有効成分換算値でございます。異常な症状及び反応につきましては、報告書に情報がございませんでした。
藻類でございますけれども、Pseudokirchneriellaを用いた藻類生長阻害試験が実施されておりまして、振とう培養法72時間で行われております。設定濃度はそこに掲げたとおりの6段階でございます。実測濃度もそこに掲げたとおりでございまして、助剤といたしましてはアセトン130μL/kgが用いられております。面積法を用いたEbC50が32.3μg/L。速度法を用いたErC50値が80.1μg/Lでございます。こちらにつきましては、実験データの中で420μg/L以上群のところで、阻害率曲線がだんだん寝てしまったというような、こういう曲線がうまく最終的に100%阻害まで至らなかったというようなこともありまして、420μg/L以上の群のデータを除外して算出したものでございます。NOECにつきましては、面積法のNOECbが14μg/Lを下回るという値、それから速度法の方が14ということでございます。いずれも設定濃度に基づく有効成分換算値でございます。異常な症状及び反応につきましては、報告書に情報がございません。備考のところでございますけれども、被験物質濃度は14、44、3,100μg/Lにおいて設定濃度の±20%以上のずれを生じていたが、EC50及びNOECは設定濃度に基づいて求められております。「また」以下のところは先ほど申し上げたとおりですが、設定濃度140μg/L以上のところで、0-72時間の生長阻害率が横ばいになっているため、EC50が420μg/L以上群を除外した場合の値として算出しております。
続きまして環境中予測濃度でございますけれども、製剤として粒剤、水和剤、ジャンボ剤がございます。稲に適用がありますので、水田使用農薬として環境中予測濃度(PEC)を算出しております。水田でのPECでございますけれども、第1段階における予測濃度を求めております。表4に掲げられたパラメーターを用いまして算出結果は18μg/Lとなっております。
総合評価でございますけれども、各種生物種のLC50、EC50はそこに掲げたとおりでございます。これらから魚類急性影響濃度につきましてはLC50の10分の1で870μg/L、甲殻類につきましては、EC50の10分の1ということで、1,200μg/L超。藻類急性影響濃度につきましては、32.3μg/Lとなっております。よってこれらの最小のAECa、藻類急性影響濃度をもって登録保留基準値32μg/Lとすると。
リスク評価でございますけれども、先ほどの水田PECTier1が18μg/Lであり、登録保留基準値の32μg/Lを下回っているという結果でございます。
63ページは参考資料です。以上でございます。
【森田委員長】 ありがとうございました。この剤についてのご質問、ご意見をいただきたいと思います。
よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは、ありがとうございました。それでは10剤についての一応の審査を終わりました。とりあえずこの資料をもとに議論をいただきまして、こういう形で取りまとめてよいということと思いますので、よろしくお願いします。なお、途中で建設的な意見を多数いただきましたので、それにつきましては少しずつこのシステムを改善するのに役立てていただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題の主要な部分はこれで終わりかと思いますが、議題の(2)の方、その他の議題がございます。若干のご説明があると思いますので、まず事務局の室長さんの方からその他の議題のところ、ご説明をお願いいたします。
【農薬環境管理室長補佐】 すみません。その前に本日ご了解いただいた農薬の今後の予定について、事務局からご説明させていただきたいと思います。
本日ご了解いただきましたもの10剤についてでございますけれども、今後は行政手続法の規定に基づきまして、パブリックコメントを1カ月ほど実施いたします。その結果、何かご意見が寄せられた場合につきましては、森田委員長にご相談させていただきまして、再度農薬小委員会で審議を行うかどうか、委員長にご判断いただきたいと思っております。もし再審議の必要がないということになりました場合には、部会長の同意を得まして、部会報告をいただきまして、さらに中央環境審議会長の同意が得られれば答申をいただくと、こういう手続になります。答申が得られた後、告示ということで基準値を公布させていただくということになっておりますので、よろしくお願いいたします。
【農薬環境管理室長】 その他の報告事項でございますが、冒頭、魚介類の残留基準の設定についてということで、厚生労働省の方で検討している報告について報告させていただきました。そのほかに住宅地等における農薬使用ということで、農林水産省と環境省で共同で通達を出しましたので、それについてご説明させていただきたいと思います。
【農薬環境管理室長補佐】 それでは参考資料の3をごらんください。農薬については適切に使用しなければならないということで、従前から例えば「農薬を使用する者が遵守するべき基準を定める省令」、これは平成15年に出ておりますが、その第6条において注意事項を記載しておりますし、それから同じく平成15年ですけれども、農水省から「住宅地等における農薬使用について」という通知が出て注意喚起をしておりました。ところが、平成17年度に自治体における農薬の散布実態についてアンケート調査を行いました。そうしましたところ、例えば害虫の有無を確認せずに定期的に散布をしているとか、そのような不適正な事例があるということがわかりました。このため、改めて農水省と環境省で連名の通知を出し直しまして、通知内容の周知徹底を図って、適正な農薬の使用の推進をしていくということで、この通知を出したものであります。この通知ですけれども、発出先は各都道府県知事、それから政令市長、それ以外に全省庁に対して自分の施設を管理しているところに出しています。それから各省庁には関係団体等にも周知依頼をお願いしております。
さて、この通知の内容でございますが、基本は平成15年に農林水産省が出しました「住宅地等における農薬使用について」、これを踏襲しております。これに加えて別途農林水産省から「農薬の現地混用についての通知」というのが出ておりまして、その内容を2番ということで加えております。
具体的な内容でございますが、まず1番としまして、(1)から(6)まであります。一つは(1)としまして、まず早期発見が重要であること。それから病害虫の状況に応じた適切な防除が必要であることを書いております。そして2番としまして、そもそも病害虫に強い作物等の選定、適切な管理、それから物理防除等ですね、これを活用して農薬の使用回数及び量を削減することが必要であること。さらに特に公園等ですけれども、公園についてはせん定、捕殺等、こういうことを優先して行い、それらによる防除が困難な場合に農薬を使用するということで、極力農薬散布を避けること。やむを得ず散布する場合でも、最小限の区域における農薬散布にとどめることということを記載しております。そして3番としまして、ラベルに記載されている使用方法を必ず守ること。そして4番としまして、使用する時期です。風の弱いときなど近隣に影響が少ない天候の日、時間帯を選ぶことなどの注意事項、そして5番としまして、周辺住民に対してちゃんと周知の徹底を行うこととしております。特に農薬散布地域の近隣に学校通学路等がある場合には、学校や子どもの保護者への周知が必要なこと等、周知の関係を記載しております。そして6番目としまして、農薬使用者は、何を使ったか、どういうときに何を使ったかということについて一定期間保管をすることというのを記載しております。
そして2番としまして、これは別の農水省の通知からこれに追加することに決めたことですけれども、現地混用については、まずは(1)(2)の二つのことを注意することとしています。一つ目としましては、農薬によって物性との関係で注意事項に表示されている場合がございます。これを遵守することがまず一つ。それから2番目としまして、各種知見を十分把握した上で、現地混用による危害等が発生しないように注意をすること。特に有機リン系農薬同士の混用、これについては、混用によって相加的な作用を示唆する知見があるということでございます。したがってこれは厳に控えることというのが記載に追加しております。
そして3番以降は、以前の農水省の住宅地等通知にもあったことでございますが、この3番としまして、自治体の病害虫防除等の指導機関においては、農薬製造者に対して協力を要請するよう努めること。どのようなことといいますと、(1)として農薬使用者等や指導機関等からの情報等に基づいて、混合剤の開発、登録の推進をするよう努めることです。(2)としまして、現地混用が行われているという状況を十分認識して、混用を行った場合の安全性に関する知見収集、それから当該知見の農薬使用者等への提供に努めることというのを書いております。
そして4番としまして、この2に掲げた留意点を踏まえつつ、現地混用に関する情報等の提供や使用方法に係る指導に努めること。さらにむやみな現地混用を不要とするために、同時に施用する必要性が高い農薬の組み合わせに関する情報、こういうものを農薬製造者に伝達するよう努めること。
そして最後になりますが、5番目としまして、健康被害の相談等は、こういう場合にはちゃんと関係部局が連携して必要に応じて対応する窓口を設定することなどによって適切に対処することということが記載しております。
簡単ですけれども、以上です。
【森田委員長】 ありがとうございました。ただいまのご説明に対しまして、何かご質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(なし)
【森田委員長】 ありがとうございました。それでは一応この住宅地等の報告事項も終わりたいと思います。
最後に、資料の取り扱いについての確認をさせていただきたいと思います。本日の審議はこれで一通り終了いたしました。私の方から本日の資料の取り扱いについての説明をさせていただきたいと思います。土壌農薬部会の運営方針では、検討中の答申、非公開を前提に収集したデータなどが記載されている資料を公開することにより、公正かつ中立な審議に著しく支障を及ぼすおそれがある資料、公開することにより、特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがある資料などは、委員長の判断に基づいて非公開とするとされております。本日配付した資料は、いずれもこれに該当しないことから、公開といたしたいと思います。よろしいでしょうか。
(異議なし)
【森田委員長】 それでは、本日の審議の全体につきまして、委員の先生方から何か最後にご意見ございますでしょうか。あるいはご質問ございますでしょうか。
(なし)
【森田委員長】 それでは特段ないようでありましたら、閉会のごあいさつを室長の方にお願いしたいと思います。
【農薬環境管理室長】 本日は朝早くから10農薬の審査をお願いしたものですが、ちょっと朝早く設定してしまいまして、大変混乱を招いたこと、また不手際がございましたことについて、この場を借りてお詫びさせていただきます。
以上をもちまして、土壌農薬部会農薬小委員会第5回を終了させていただきます。皆様大変ありがとうございました。