中央環境審議会土壌農薬部会 土壌汚染技術基準等専門委員会(第5回)

日時

平成14年12月12日(木)14:30~17:00

場所

環境省第1会議室(22F)

議題

(1) 搬出土壌の取扱いについて
(2) その他

出席委員

委員長
委 員
臨時委員
 村岡 浩爾
 浅野 直人
 大塚 直
 櫻井 治彦
 中杉 修身
 福島 徹二
 森田 昌敏
専門委員  佐藤 洋
 鈴木 規之
 冨永 衞
 平田 健正
 細見 正明
 三木 博史

委員以外の出席者

環境省: 環境管理局長、水環境部長、水環境部企画課長、土壌環境課長、地下水・地盤環境室長、事務局
オブザーバー:関係省庁等
その他:一般傍聴者(公募による)

配布資料

資料5-1 中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会委員名簿
資料5-2 土壌汚染対策法に係る技術的事項について(平成14年9月20日中央環境審議会答申)(抄)
資料5-3 「今後の廃棄物・リサイクル制度の在り方について」(平成14年11月22日中央環境審議会答申)(抄)
資料5-4 汚染土壌の適正な処分方法(骨子案)
資料5-5 汚染土壌の適正処分に係る確認方法(骨子案)
資料5-6 指定区域以外の土地から搬出される汚染土壌の取扱いの考え方の方向について(案)
参考資料5-1 中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会(第4回)議事要旨
参考資料5-2 土壌汚染対策法の施行期日を定める政令、土壌汚染対策法施行令
参考資料5-3 土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令
参考資料5-4 土壌汚染対策法に対する附帯決議(抄)

議事

(事務局)
 定刻も少し過ぎたので、ただいまから中央環境審議会土壌農薬部会土壌汚染技術基準等専門委員会の第5回を開催する。
 本日は、眞柄委員の方から御欠席との連絡をいただいており、三木委員からは15分程度遅れるとの連絡をいただいている。
 それでは、まず本日の配付資料について確認させていただく。
(配付資料の確認)
 以上が本日の資料である。もし足りないもの等があれば、事務局の方にお申しつけいただきたい。
  それでは、村岡委員長議事進行をよろしくお願いする。

(村岡委員長)
 それでは、議事次第に従い議事を進めていきたいと思う。
 本日は、搬出土壌の取扱いについて、御議論いただきたいと思っている。
 この課題について、本日、何か本委員会の報告といったもので取りまとめるということは考えていない。今後環境省において、本日の御議論の結果を踏まえて、環境省告示等の作成を進めるものと聞いているので、御協力のほどよろしくお願いする。
 まず、御議論をいただく前に、前回9月11日の本委員会の開催から今日まで、事務局の方で政省令化等の作業をやってきたと思うので、その進捗状況や今後の予定等について簡単に報告されたい。

(事務局) 
 前回9月11日の委員会開催以降の動きについて簡単に御紹介させていただきたいと思う。
 御案内のとおり、9月11日にこの委員会で土壌汚染対策法に係る技術的事項についておまとめいただいた報告が、そのまま9月20日付けで中央環境審議会より答申いただいたところである。それを踏まえて、事務局の方で政省令等々の作業をこれまで進めてきている。
 お手元にある参考資料であるが、参考資料の5-2ということで、土壌汚染対策法の施行期日を定める政令、それからその下に土壌汚染対策法施行令と書いてある参考資料があるかと思うが、いずれも本年11月13日付で公布されたところである。そして、この土壌汚染対策法が2月15日から施行されることとなった。
 それからもう一つ、参考資料の5-3であるが、土壌汚染対策法に基づく指定調査機関及び指定支援法人に関する省令、これが11月15日に公布をされた。これについては、御案内のとおり指定調査機関の申請の受付、それから指定と、さまざまな事務があるので、これについてはとにかくできるだけ早くということで、この時期に公布し、同日11月15日付で申請の受付を開始したところであり、明日13日まで申請を受けつけているところである。今朝までの数字を申し上げると、数百ぐらいのところから申請があり、恐らく本日、明日、特に明日は最終日であるので、相当な数が見込まれる。1,000に近いものになるのかなというように考えているところである。また、あわせて指定支援法人につきましても申請の受付をし、終了したところである。省令については一部であるが、このような形で準備ができたところである。残りの省令については、先ほど申し上げた9月20日におまとめをいただいた中央環境審議会の答申の中身にほぼ沿って、現在条文にすべく作業を進めている。できれば年内にも公布をしたいということで、手続、最終的な詰めを今させていただいている状況である。
 また、本日の議論にも関係あるが、環境省の告示についても今並行して作業を進めている。この辺については、来年になってしまうのかなというふうに思っており、告示などは来年1月早々、それからそれらを踏まえた都道府県及び政令市あての施行通知についても、同時期を目指して今整理をさせていただいている、こんな状況である。
 全体としては今申し上げた状況であり、残念ながら本日の時点ですべてがまだ整っていない。何とか1月の早い時期にはすべてが出そろうような形で進められればということで、努力しているところである。
 以上である。

(村岡委員長) 
 ありがとうございました。
 何か質問等あるか。よろしいか。
 それでは本題に入る。
 搬出土壌の取扱いについて議論を始めたいと思う。
 まず、事務局から資料について説明されたい。

(事務局)
(資料5-3、5-4、5-5、5-6に基づき説明)

(村岡委員長)
 ありがとうございました。
 今説明があったのは、資料5-3、4、5、6であるが、資料5-3は既に別の部会でとりまとめられた意見具申であるので、資料5-4、5、6について、これから議論いただきたいと思う。
 なお、そのうち最初の二つ、資料5-4及び5-5は指定区域から搬出される汚染土壌について、それから資料5-6は、指定区域外から搬出される汚染土壌についてである。
 ということで、これらを二つを分けて、初めに資料5-4と5-5の2つについて、御議論いただき、大体意見が出たところで資料5-6に移りたいというふうに考えている。
 それでは、何か御質問でもよろしいが、御意見等あればよろしくお願いする。

(浅野委員) 
 細かいことからいきなり入ってしまって申しわけないのだが、御説明を伺っていてちょっと心配になる点がある。処分場へ持っていく場合はまあいいだろうが、汚染土壌処理施設で処理する場合である。この場合、不溶化処理などのような中間処理の場合を含まないということは、理屈としてはわかるのだが、しかし実際には中間処理という名目で不適正な取扱いが行われる危険性がないとは言えないから、果たして含まずと言い切ってしまって、国民から信頼を得られるかどうかという点が心配である。
 このようなものの取扱いについて、余り細かくあれやこれやと縛りをかけることがいいとは決して思っていないし、現在の廃掃法の仕組みで複雑に規制が加えられている割には余り実効性がないから、規定に細かく書きこむことがいいと思ってはいないけれども、しかし恐らく大方の御質問、不安が出てきそうなのは、運搬をするときどうなるのかというようなことである。少なくとも廃掃法では許可業者運搬するわけであるが、この件に関しては許可業者であることを要求されないはずだから、そうすると、そこにまたさらに別に新たな許可制度を設けるということは、決して賛成はしないけれども、やはり運搬中についてのマニュアルなり、何らかの基準のようなものを示しておかないと、なかなか不安を解消してもらえないのではないかという心配がある。それから多分この(2)の処理施設での処理という場合に一時保管が必然的に伴うわけで、セメント工場のようにしっかりした処理施設で、その一時保管についても全く問題ないような場所については構わないのだが、都道府県知事の認めるというときの要件として、一時保管についても問題がないということをしっかりチェックすることが要件であることをどこかに入れていないと、信頼性が乏しくなるんではないかという心配がある。
 次に、そもそも法の構造上は、汚染土壌の搬出禁止ということが前提であって、それで禁止の例外許可として環境大臣の定める方法で処分をする場合には、例外的に許可によって禁止がとけるという構造になっているわけだから、その構造の中で、果たして都道府県知事、市長が認めたものという認め方は、いわゆる一般的な意味での施設の許可ということと比べると、かなり離れたところで認めることになるわけである。だから、これをどういうような形で認めるのか、認めたということについての公定力みたいなものをどう制度的に担保するのかという問題がちょっと気になる。ここはまあずっと流れにそってくるわけだからしかるべく認めるということにしておいて、認めないのに搬出したら振り出しに戻って、搬出禁止の規定に戻って処罰が働くんだというしくみならそれは、それでいいのかもしれないけれども、どうも何となくちょっと認めたものという書きぶりだけで全部整理できるのかが気になる。ここを事務局はどうお考えなのかなということである。
 また、マニフェストに関しては、廃掃法との並びで考えると、それより厳しくするという根拠がないということになりそうなので、バランス論から言って廃掃法のマニフェストと同じようなことになるざるを得ないんだろうと思うが、かねてからマニフェストについての信頼性がないと、電子化がいいとかというような議論があるわけだから、全く同じことをトレースしておいて、これで大丈夫だと言って言い切れるかという気がする。
 とりわけ確認方法の中の2ページの(10)で、最終的にまずい場合にはこれで対応しようということになってはいるのだけれども、虚偽の記載のある管理票の写しの送付を受けたと言ったって、虚偽であるかどうか書類審査でわかるはずがないではないかという疑問がどうも出そうな感じがするのである。廃掃法との横並びでやらざるを得ないので、それ以上厳しくできないということはよくわかるんだけれども、まあやはり基本的にこの種の問題というのは、搬出を依頼した人間が最後まで現場に行って見届けて、どうやってやっているんだっていうのをちゃんと見てくれよという話にまで行きつくわけである。これは個々のケースについて、そこまで全部やれっていうことはともかくも、昔産業構造審議会でマニュアルを考えたが、そのときは、優良業者であるかどうか見極めるためには、契約前にまずその現場に行って、どういう処理をしているかを見届けてから契約すべきであるということを、マニュアルでは推薦事項として書いている。それと同じような考え方というのは、こういう機会に何とか入れることができれば、もうちょっとこのあたりが担保できるようになるのではないかなという気がするが、余りややこしくして手足を縛るようなことをやってもしようがないことも事実だ。現在のマニフェスト、どうもまずいから電子化だ、電子化だと言われている時代に、前のものをそのまま持ってきて、これでよろしいと言えるんだろうかという、その辺に若干疑問がある。
 以上、このような点は何か事務局で当然お考えになっていることと思うから、お答え願いたい。

(事務局) 
 まず、処分の方法で、処分施設での処分に中間処理は入らないと申し上げたけれども、我々としても中間処理を否定するということは全然なくて、それはもちろんやることはあるだろうと認識している。また、中間処理をした後に処分場に入れるといったこともあるんだろうと思うが、この告示では、汚染土壌が最終的にここに行くんだというようなところを書くということにしているので、そういった意味では不溶化をしたものというのは、それで当然その作業は終わりよということにはならないので、ここに並べて書くのはちょっとできないと考えている。不溶化については、答申いただいた中にも、不溶化してから封じ込めとか、色々あって、それ自体の不溶化のほかに、この告示の中ではなくて、違うところの技術的基準なりの考え方として、しっかりやっていくように考えていく中身なんではないかと思う。
 あと運搬中の話だけれども、確かに御指摘のとおり、ここでは運搬業者というのは、特にここで新たな許可制度のようなものをつくるつもりは全くないが、もちろん運搬中に飛散しないようにシートをかぶせるだとか、ちゃんと容器に入れるだとか、そういったことというのは当然必要だというふうには考えていて、この辺は告示の中にそういったことを書き込むというわけにはなかなかいかないんだけれども、ここで処分法の中でも、大きな括弧でくくってあるところが何カ所かあって、さっき説明を飛ばしてしまったところもあったのだけれども、こういった中に書いてあるような中身は、これは基本的には通知なりでしっかりと徹底していくようなことで考えているので、運搬なりということについても、そういったところでしっかりと書き込んでいくというようなこととなると思う。
 保管という話もいわれたけれども、マニフェストのところで、運搬者と処分者というのが出てきていないのだけれども、中間処理だとか、その保管だとか、そういったことも当然想定はされるので、ここのところはちゃんと書いてないというところは私どもとしても気にはしている。実際に保管というのがどういうふうにして行われているのかとか、その辺のところをもうちょっと業界なりに伺ってみないと、なかなかびっちり書き込む段階ではないかなと思うが、御指摘も踏まえて、そこのところはしっかりとヒアリングなりをして固めていきたいと思う。
 セメントの工場についても同じように認めるということでしか書いていないけれども、その考え方を、告示なので、新たに許認可制度をつくるというわけじゃないから、ここでぎっちりとその要件を書き込むということはできないけれども、考え方はしっかりと整理をさせていただいて、通知なりで書いていきたいと思う。
 そもそも告示でこんな書き方ができるのかとおっしゃる方もいるかもしれないけれども、ほかにも何々大臣が認めるとか、別途定めるとか、そういうものを告示で書いてあるものもある。単にここでは、申し上げているとおり、新たに許認可制度をつくるというわけではないので、そういった意味では告示に書けるんだろうと。そこはそのように思っている。
 最後、マニフェストの話だけれども、虚偽の記載というのはなかなかわかりにくいというのは確かにそうで、こちらとしても廃掃法の制度を単純に引き写したということなのだけれども、ここのところも実際に廃棄物のマニフェストでどういう問題が起きているのかとか、そういったことをしっかりと取材をして勉強し、まずは制度として世に出さなければならないと考えている。最初のうちはなかなか混乱するということもあるかもしれないけれども、そこのところはそういうことがないように御指摘を踏まえてしっかりと勉強していきたいと思う。

(村岡委員長) 
 浅野委員、いかがか。何か課長、発言があるか。

(土壌環境課長) 
 少し補足すると、マニフェストの制度、なかなかうまくいってないじゃないかということがありながら、またこういうことでよいのかと、ここの根本的なことが一つあったのだが、実は産業廃棄物の分野でマニフェストが導入をされたのは、欧米で導入されたことが先行しており、それを踏まえて産業廃棄物の分野で、まずは特別管理産業廃棄物ということで導入をされ、建設系の廃棄物でガイドラインのようなもので導入されたというのが始まりである。委員おっしゃるとおり、当初長い間マニフェストの信頼性をめぐって、随分意味がないではないかというような議論が出されたことはあった。近年になって、数次の廃棄物処理法の改正を経て、現在かなりの定着をしているというふうに私どもも見ていて、特にいわゆる不適正な処理で、今回典型例として青森と岩手の境界の道路に大変大規模な不法投棄事件があったわけであるが、いわゆるそこの廃棄物の搬出事業者がだれであるかというようなことをやはり調べるのに対しても、このマニフェストというものが根拠になって何千という搬出事業者が、今現在明らかになってきている。そういう意味で、確かにマニフェストに関して、いろんな虚偽のマニフェストが出ているのではないかとか、いろんな指摘がかつてあったわけであるが、徐々に定着をしてきており、今は相当の大きな役割を果たしていると思う。ただこれは数が多いということで、かえって電子の方がいいではないかということで、今現在廃棄物の分野では電子の方向を向いて、何とかいこうではないかという努力が行われていることは知っているが、マニフェストそのものに関しては、一定の効果があるというふうに考えている。
 それから、土壌の取扱いに関しては、廃棄物処理法の全体的な規制をかけるほどの段階ではないのではないかという、汚染土壌に関してそのような立場もあり、処分の方法に関して、省令に基づく告示ということで、ただいま説明したように書くことにさせていただきたいと思っているわけであるが、いわゆる最終的な確認方法としては、やはりそのマニフェストのようなものを使ってきちんと確認をしておくということが、後になってトラブルを防止するためにも必要ではないかと、このように考えている。
 細かい点に関しては担当の方から答えたとおりである。

(村岡委員長) 
 中杉委員。

(中杉委員) 
 浅野先生の御質疑に少し追加で、後ろの方からいくと、マニフェストでやったときに虚偽の報告があって、実際に汚染が起こったというときは、そこで新たな土壌汚染が発生するということになるわけである。それに対してどういうふうに政府としてはしていくのか。ここで土地所有者、汚染原因者という話が出てくるのだが、どういうふうな制度になるのかというのが、一つ整理をしておいた方がいいんではないかと思う。また、新たな土壌汚染として始めるのか、その前のところで始めるのかというのは、一つポイントになるような気もする。
 それから、だんだん後ろにさかのぼっていくけれども、一時保管の部分で、これは私が解釈違いをしているのかもしれないけれども、重金属系のものは余り問題ないと思うのだけれども、揮発性のものは極端なものは、保管している間に全部大気の中に飛んでいってしまう。実際にはそんなことをすると、PRTR法で大気への排出量、一生懸命事業者は報告しているのだけれども、それよりもはるかに多い量が保管している間に出てしまうなんていうことになりかねない。そういうこともあるので、そこら辺のところも少し注意をする必要があるんだろうと思った。
 それからもう一つ、これは質問なのだけれど、産廃施設その他の施設といったとき、その他の施設に対しては排ガスとか、排水の規制というのは、どういうふうになるのか。

(事務局) 
 まず、マニフェストの話なのだけれども、確かにその処分をちゃんと委託したにもかかわらず、ここで処分業者がちゃんと処分をせずに不法に投棄してしまったというようなことが仮にあるとして、不法投棄が行われた場所を新たにまた指定区域にしてこの制度に乗せていくということだと、きりがなくなってしまうので、そこはまず処分をちゃんとやらなかった人にしっかり知事が指導していくということになるんだと思う。ほかについては、御指摘のようなことがあるのかもしれないので、そこは注意したいと思う。
 それから、その他の施設の要件について排水の処理施設とかという、そういった部分というのは、基本的には念頭にはなかったのだけれども、ここで見るのはあくまでその処理能力ということなのだが、当然処理能力には、周辺に汚染をまき散らさないようにちゃんと汚染土壌を処理できるかというところも含むので、おっしゃっていたところは当然に概念としては含むということでよい。

(中杉委員) 
 施設を都道府県知事が確認するときはそれでいいんだろうと思うのだけれども、実際に運転をし始めたときに、その排水とか、排ガス、多分汚染土壌の処理、物によるけれど、熱を使うやつと、それから水を使ってやるやつと両方当然あるわけである。そうなると、そこら辺のところで定量的にどういうふうに管理していくかという話になったときに、そういうものを排ガスとか、排水の処理施設で規制をかけていくのかどうかというのは、一つの問題になるんではないかという指摘である。これは検討いただければと思う。
 それからもう一つ別な件で、セメント原料のところなのだけれども、これも質問なのだが、一つはこのセメントの製造のときに、いわゆる有害物質が1,250度ぐらいまで焼成の温度を上げられるという話だけれども、どういうふうにどうするかということを十分把握できているか。

(事務局)
 まだ実態として、その後の状態がどうなるのかというのは、私どもの方でそこまで詳細には把握しきれていない。ただ、少なくとも重金属だけが入っているものが多分ほとんどだろうと思っているが、それ自体を何か分解するとか、そういう話ではなくて、そもそもセメントのその原材料としての使い方は、最終的にどのくらいの含有量になるのかということもあって、例えば鉛そのものがあったとすれば、それは量をとにかくある程度減らしてある一定量になるようにという使い方をしながら、全体としてはセメントをつくるという世界でしかとらえてないので、その有害物質をどうかするというような目的ではないというふうな理解をしているのである。

(中杉委員) 
 ただ、もう一つの話としては、よくあるのはセメントでコンクリートの構造物をつくった後に、それが廃コンになった。その廃コンクリートから、具体的にいうと六価クロムあたりが飛び出してくるというのは、これは汚染土壌でなくて自然の土壌でそういうのが起こってくるというのが、よくある話である。そういう意味でいくと、そこら辺をどうするのかという話が一つ。そういう話で行くと、今土壌、そういう溶出試験の方でも含有量でもクロムは六価クロムしか見ていないけれども、トータルクロムが結局セメントで焼成をしたことによって、全部六価クロム変わってしまう。溶け出しやすくなるということが起こり得るのである。そんなものをどういうふうに考えるのかというところを少し細かく見ていく必要があるんではないだろうかというふうに思う。
 そういう意味と、もう一つは、先ほどの少しずつまぜていく、そうすると溶け出さなくなる、含有量も少なくなるという話、確かにいい方策ではあるなと思うけれども、ある意味で批判を受けそうな感じがする。何てことはない、薄めているだけじゃないかと。だったら、どこかに少しずつまいておけばいいじゃないかと。それと同じではないかという批判に対して、どう答えていくかというのは、これはかなり難しい話のように思う。そこら辺のところをもう少し御検討いただいて、例えばデータを金属が入ったり、金属でも当然沸点が違うから、こういうものについてはこのぐらいの動きをする、こういうものについてはこういう動きをする、場合によっては、対応措置を講ずる。ひょっとすると排ガスの方にそういうものは動きやすい。動けるとすればである。そうすると、当然上でとった煤塵等は適切に処理するとか、そういうことを少し細かく見ていく必要があるんだろうというふうに思う。

(事務局) 
 了解した。私どももセメントの関係のところと御相談をしながら、今は情報収集させてもらっている。セメント自体を作っているところは、大方はきちっと許可を取りながらやられているとは聞いているけれども、その辺の実態も彼ら自身が、六価クロムなどの問題があって非常に気にしながらやられているというふうにも聞いているので、引き続き情報収集をさせていただきたいと思う。

(村岡委員長) 
 そのほかに何か御意見ある方ないか。どうぞ、冨永委員。

(冨永委員) 
 今の関連について、資料の5-4だけれども、結局セメント以外は全部廃棄物処分場で処分をするということになっているのだけれど、将来的なことを考えたときに、低濃度の汚染土壌をどうするかというのは、やはりある程度有効利用せざるを得ないところがあるだろうと思うのである。今のセメントとも関係するのだけれども。このセメントを見たときに、非常にこれは甘い記述になっていて、実際にはかなり問題がありそうだと思う。もしそうであれば、先ほども説明があったのだけれども、一部は水面の埋め立ても行われているわけだから、そういうものを含めてある程度有効利用するところをここに列挙して、セメントも含めた格好で有効利用するような記述をというか、そういう対象をつくっておく方がいいんじゃないかなというように思っている。
 それからもう一つは、マニフェストの関係だけれども、これ実際に土壌の形質を変えるとか、あるいは土壌を掘削して運び出すといったときに、必ず運搬業者じゃなくて施工業者がいるはずなのである。これももちろん廃掃法と同じなのだけれども。つまり施工業者がやることで、土地の所有者あるいは原因者がやることではないと思うのである、現実は。だから、全く施工業者というものが、この文面の確認方法では抜けていて、土壌汚染対策法、法律の方ではあるのだけれども、ここでは抜けているというのがちょっと気になるところで、それを土壌にかかわる人として入れるべきじゃないかと。そして、場合によってはその人もマニフェストを発行してもいいよということにすればいいんではないか。それの方がより現実的な対応ができるんじゃないかと。土地の所有者とか原因者がマニフェストをつくって出して、ずっと監視していく、見るということは、恐らく無理だろうとちっょと感じるんで、もっと現実的な対応から考えれば施工業者、要するに建設残土と同じだけれども、そこは請負業者が全部見ていくと。最後まで責任を持つというようなところがあってしかるべきじゃないかなと思っている。
 もう1点よろしいか。最後に、指定区域外の土地から搬出されるというのは、これは突然出てきて、土壌汚染対策法の議論の中で全く出なかったところで、これからもっと議論が必要だろうと、まず思ったのだが、それと一番最後にその他のところで、資料の5-6の一番最後だけれども、自然的原因によって特定有害物質の指定基準を超過している土壌を当該地域の外に搬出する場合ということ、これは一般の土砂を運ぶときにすべてこうならないかと。山を崩していったときに全部それが対象ならないかというのが一つあって、なおかつ高い濃度で存在している一連の地域、一連の地域をだれが決めるかというのとかって、これはもっと国土を全部調査しないといけなくなるじゃないかというような感じさえするんで、ちょっとここはもっと議論して、安易にここは打ち出さない方がいいんじゃないかと。土壌汚染対策法あるいは廃掃法から外れるものには、どういう土壌があって、どういうものがあるかという事例を全部色々な情報を集めた上で議論した方がいいんじゃないかなと私は思っているのだけれども。

(村岡委員長) 
 最後の指定区域外からの搬出の問題、ちょっとこれは置いておいて、後でまた色々意見が出るだろうと思うが、初めの二つについて、事務局はどういうふうにお考えか。
 まず、低濃度汚染土壌の扱い方、将来の考え方。

(事務局) 
 まず、低濃度の汚染土壌という話だけれども、指定区域だけでなくて、色々なところで低濃度の汚染土壌というのがあるかもしれない。ここでの告示の中身としては、有効利用ということは余り概念としてはなじまないのではないかと思っている。確かにセメントも原材料として入れるということは利用なんだということなのかもしれないけれども、積極的にそれを利用していくということでとらえているわけではないというのが考え方としてはある。水面埋立地に埋めるということも、別にそこの利用というよりはそこに搬入して処分をすると、そこで終わりなんだととらえているつもりではある。
 ただ、いずれにしてもセメント以外にも、もし同じようなことで使える部分というのがあるのであれば、並びで考えられるようなものがあれば、そこは決してこの3つで終わるということでもないのかもしれない。
 マニフェストに関しては、施工業者、確かに廃棄物の場合は建設工事について施工業者が搬出事業者だということなんで、それはマニフェストの出発点も施工業者ということになるのだけれども、土壌法では施工業者という概念自体は全然登場せず、汚染原因者と土地所有者ということでしかなくて、要はその二者に義務がかかるというわけなので、実態としてそのマニフェストを発行するときに、施工業者と土地所有者がどういう話し合いをするかということはあるのかもしれないけれども、少なくとも法律上の話としてはあくまで出発点は土地所有者ないしその汚染原因者、すなわち命令がかかる人ということで整理をせざるを得ないんだというふうに考えている。

(村岡委員長) 
 初めの低濃度汚染土壌の考え方について、何かほかに関連した御意見あるか。三木さん、どうぞ。

(三木委員) 
 低濃度の汚染土壌に限らないのだが、リサイクルの方策も考えないと、やはり発生する土量の大きさを考えると、実効性が上がらないんじゃないかと危惧している。
 それで、その方法として先ほど冨永さんから言われた、水面埋立地がまず一つある。先ほど城南島の例を挙げられたけれども、その受入れ基準というのをやはりきっちりとここで議論すべきである。ある程度その受入れ基準が管理型ぐらいのレベルでいいよということになれば、大分受入れ容量も広がる。それが一つ。
 それからもう一つは、先ほど不溶化の話が浅野委員から出たけれども、かなり高濃度のものを遮断型に持っていくというとなると、遮断型の受入れ容量は極めて少ないんで、現実的に難しい面が出てくる。したがって、中間処理というか、不溶化をして管理型に持っていけないかと。それで大分楽になると考える。
 それと、三つ目は、これは汚染土壌ではないけれども、建設汚泥が管理型処分場の多分4割ぐらい占めていると思うのである。そのリサイクルを徹底して、空き容量をその建設汚泥のリサイクルでつくらないといけない。これはちょっとここの委員会の議論とは外れるけれども、平成10年に旧厚生省と旧建設省との間で建設汚泥のリサイクルについて、ある一定の品質に改質すればリサイクルでき、廃棄物から外れるという合意がなされたにもかかわらず、各地方自治体では、まだ6割ぐらいしか徹底してない。それを徹底することで空き容量をつくる。
 それと、もう一つあるのが、第4回のこの委員会のときに事務局の方からほう素、フッ素の関連で、鉄鋼スラグとかは、土壌と明らかに区別できるような形で構造体として使う場合は、土壌環境基準の適用外だというようなお話があったので、どういう方法が考えられるかわからないけれども、土壌でなくしてしまって、何らかの構造体に使っていくようなリサイクルの方法もやはり考えないと、苦しい。
 さらに、もう一つは、建設汚泥で言う自ら利用がある。自ら利用というのは、その用地の中で自ら有用物として使うということで、そこが何らかのリスクが生じないような形にして使うということである。そういう形で、以上のような一連のメニューを処分方法としてふやさないと、現実の発生量に対応できないのではないかというのが、一つ目の意見である。
 もう一つ大きいのは、現実の遮断型あるいは管理型の処分場の受入れ可能量がどれぐらいあって、受入れコストがどれぐらいで、それがどこに点在していて、想定される現場からの運搬距離がどのぐらいで、つまり汚染土壌の処理にどれぐらい処分費が必要なのか。発生量を想定し、ある程度のフィージビリティ的なスタディーをやっておかないと、ご提案のメニューだけでは対応不能ということにもなりかねないので、そうした施設の受入れ可能量とか、発生量予測みたいものをある程度出していただいて、ご提案の処分方法が量的にさばける処分方法になっているかどうかを、フィージビリティスタディとしてきっちり議論しないと、大変なことになりかねないと思う。

(村岡委員長) 
 ありがとうございます。
 処分方法をリサイクルも含めて適切に量的に確保しないと、この制度そのものの運用がうまくいかないのではないかというふうな御意見だったと思うが、その辺について、事務局、何か御意見あるか。考え方として。

(事務局) 
 ちょっとデータ的な話もあったので、処分場の残余容量というのは毎年環境省の方で出しているけれども、平成12年4月の数字だと、3類型の合計で1億8,000万‰となっている。この数値、残余年数は産廃だと何年とか、毎年あるのだが、これは毎年同じ、全然減ってない、石油の埋蔵量が減ってないみたいな話もあるけれども、一応今のところその残余容量の数字としてはそういうものがある。
 建設発生土というのが国土交通省の出している統計であるが、それも一番最近の数字だと、建設発生土の搬出量としては2億8,400万‰あって、その統計によると、建設工事でそのうち8,500万‰が再利用されている。本当に単純に計算をすると、約2億‰というのが再利用されていない建設発生土の搬出量だということになるのだが、仮にそのすべてが汚染土壌であったとすると、処分場の残余容量と見合うぐらいの形になってしまうのだけれども、当然まずここで、この処分方法というのは、土壌法のスキームに乗って調査がされて、汚染が見つかって、そして指定区域になって、なおかつその措置が必要で、その措置のうちでも掘削除去ないし指定区域外入れ換えが必要な場合に限定されるものだから、当然全部その建設発生土が入ってしまうということはないし、本当に告示の部分というのはごくごく一部だと考えていただいていいのではないかと、量的な話でいうと思う。

(三木委員) 
 そうではなくて、やはり2億‰というのは毎年出てくる話なのである。でも1億‰というのはこれから何十年間で1億‰の残りがあるという話である。指定区域外からの土壌についてもこの処分方法に準拠しなさいと言っているわけだから、その対象は広がるわけである。だから、ちょっと今のお答えでは納得できないので、フィージビリティ的な数字を出していただきたい。

(土壌環境課長)
 今の三木委員の最終処分場がどのぐらいあるかというようなお話であるのだが、実は今回ここでお願いしている議論というのは、実は汚染土壌というものを、基本的には先ほどからお話があったように、まず実際の土地の所有者等が措置をするときに、その土地というか、サイトというか、そこの中できれいにしていくと、こういうものが基本になるわけであるが、ただ中にはやはり外へ搬出せざるを得ないと、こういうふうな場合があるわけである。このときに従来の議論ですると、これが汚染されているわけであるから、いわゆる廃掃法上の規制をかけるべきであるかどうか、このような議論があったわけである。この議論に対して、どの程度の規制的な対応をすればよいのかということに対して、廃掃法の規制をかけるまでもなく、土壌汚染対策法の枠組みの中でかけられるものは、特に指定区域のものはその枠の中でかければよいではないかと、こういうことである。
 どこまで規制をすべきかという、ここではそういう話ではないと実は思っていて、ただ一方で最終処分場の逼迫という問題は、三木委員がおっしゃっているように、別途廃棄物・リサイクル部会の方でもこれらを踏まえた議論というものが行われているわけである。いわゆる全体の最終処分場の確保策ということも、これまでも当部会というよりも、むしろ廃棄物・リサイクル部会の方での御議論があるのではなかろうかと、このように思っている。
 ただ、私どもの立場としても、当然汚染土壌というものが、いわゆる土壌汚染対策法に基づいて土壌環境対策が進むにつれ、今申し上げたように汚染土壌の搬出ということがあるわけだから、どの程度の、緩やかではあるかもしれないが、先ほど廃棄物・リサイクル部会の方からの意見具申にもあったように、このような取扱いをすべきということで、土壌汚染対策法の枠組みでやるとすると、どの程度の規制的な取扱いができるかと、このあたりの検討ではないかと思っていて、処分場のことに関しては、参考までに資料の方にたしか、当時の厚生省の資料ということで、平成10年度の実績で11年度利用ということで、少し古いわけであるが、当時の廃棄物・リサイクル部の方で調べた数字が出ている。これらに関しては恐らく廃棄物・リサイクル対策部の方でもこのような対応について、何らかの認識をされているのではないかというふうに思っている。

(三木委員) 
 くどいけれども、今まで汚染土壌がないときに、これでも逼迫している容量でしかないと思う。今度新たに汚染土壌が一挙に新しく増えてくるということだから、私が言っているのは、今ある残容量ではなくて、残容量のうちほかの一般廃棄物とか、色々なプラスチックごみとかを除いて個々の廃棄物処分場で、汚染土壌を受け入れられる余地がどれぐらいあるのかということを調べてほしいということである。
 なおかつ、恐らくそれでは多分足りない。これから何年間にもわたって毎年毎年何億の土を動かす中で、汚染土壌もやはりかなりあると思う。構造的な問題なのである、これは。だから、その構造のところをきちっと解決してやらないと、実効性が上がらないと。
 それと、もう一つ先程言ったのは、そういう構造になっているんで、この廃棄物処分場だけに頼るのは問題があると。だから、先ほどの有効利用の中で色々なリサイクルだとか、水面埋め立てだとか、あるいは不溶化だとか、あるいは自ら利用だとか、そういったものを多面的に組み合わせていかないと、多分もたないだろうと個人的には予想する。だから、まず構造的な問題の認識をしてから、処分方法のメニューをふやしていくというふうにしないと、現実離れしたことになりかねないということである。

(中杉委員)
 実際問題として、全体量としてはどうなのかというのはあると思うけれども、三木委員が言われたような話は、少し私としては奇異に感じる部分がある。今発生しているきれいな残土、これがフルにリサイクルされていて、それでなおかつ容量がないと言われているのかどうか。ある程度汚れているものがあって、一方である程度きれいなものが何らかの形で有効利用されないで流れていると。その一方でその汚染土が出てきたからそれをリサイクルしよう、足らないからリサイクルしようというのは筋がおかしい話で、きれいなものも精一杯リサイクルして、それでなおかつ足らないという議論があれば、それはまた考えなきゃいけない。
 それともう一つ、セメントとしての利用というものも含めて、私が前に委員会で申し上げたけれども、汚染しているものをリサイクルするとか有効利用するというのはやめてほしい。セメントの原料としての利用というものを、例えばこの産業廃棄物処理施設その他の施設で読めないのか。やはり有効利用とかリサイクル、汚いものを有効利用とかリサイクルという、そういうので通るとは私は思えないのである。そこら辺のところは、セメントの原料として利用するというものをちゃんと確かめれば、それはいいんだろうと思うのだけれども、先ほど言ったような話も担保するという意味では、産業廃棄物処理施設その他の施設の中の一つとして、セメントの製造施設が入ってくるという解釈の方がいいのではないかというふうに私は思う。

(浅野委員) 
 この話は今のお話を聞くとイメージをどういうふうに描いていくのかということによって、かなり議論が分かれてしまうのかなという印象をうける。
 それからもう一つ、そもそももとからくすぶっていた土壌とは、建設残土そのものをどう扱うのかという問題も絡んでいて、少し食い違いが出てきているような気がするのである。
 私の理解が間違っているかもしれないのだが、土壌法は、建前はあくまでも指定区域内処理を原則としている。それから完璧にクリーンアップをするということが常に100%原則でなくて、シートを張って済むものならそれでもいいじゃないかと、こういう考え方をとっているわけである。だから、その意味では極端に金をかけて外へ出して全部入れ換えていくというようなことにしなければならない場合は、そんなに頻繁には生じないという想定をしている。とすると、一体どのぐらいのものが出てくるのかという質問に対しても非常に答えにくいものがあろう。推計も多分相当幅のある話になってしまうだろう。それから、基準に達しない、基準を達成してないから、危険性が高いので何とかしなければならないという観点から、基準を決めているわけだが、恐らくかなり広い面積が全部べたっと汚染されてしまっているというようなケースは、さほど想定してない。どっちかというと、スポットでどこかが危ないというような場合が多いんではないかと想定していて、しかも揮発性のものであれば現場処理が比較的容易だから、最終処分場へ持っていって埋めるというケースはそんなにないという想定をしていくと、この話は確かに事務局が言うように、最終処分場の容量から逆算して方法を考えろという議論がいいかどうかということになりそうな気がするのである。
 ただ、私は中杉委員が言われるほど極端に言う気は毛頭ないんで、有効利用はもちろんいいと思うのであるけれども、今の冨永委員とそれから三木委員のお話を聞いていて、逆に私がちょっと不安に思ってきたのは、確かに指定区域内で処理をするコストよりも安直に運び出して行って、管理型のところに持って行ってドサンと放り込んだら、それがきわめて安いということになると、あっという間にみんな外へ持ち出して、どさっと埋めるという方式が蔓延してしまうことになる。それは本当に困ると思う、そんなことをやられたらたちまち処分場は不足してしまう。ちゃんと現場で処理できるものまでとにかく掘って持って行けばいいということにならないようにする必要があるであろう。そこのところの歯止めが果たしてあるかどうか、価格の点も別に特に決めるわけにいかんわけだから、それはどうなるのかなという点は少しまじめに考えた方がいいだろう。
 それから、それとの並びで、低濃度の汚染土壌については、もともと基準を超えた場合だけ対策をせよという話をしているわけだから、その中で低濃度と高濃度という議論をうまく識別ができるかどうか、ちょっとよくわからないけれどもね。その中でも、ものによっては低濃度という場合があるのかもしれないので、そこはもうちょっとやってみて、まずければまた考えればいいというぐらいの安直でもまずいなと思うが、2月15日に何しろスタートするわけだから、今の段階で完璧に2,3年時間をかけて調べろと言われても困るのだろうと思う。そこのところのバランスをとらなければいけないのだが、まだあと少なくとも1カ月はないかもしれないけれど、2週間程度あるわけだから、今のような不安については十分な勉強をしておくべきだろうし、それからメニューをふやせという話も、私はそれはあり得るだろうと思う。そのときに何が大事なのかというと、土壌汚染対策法の観点からは、出てきたものをどうやってうまく始末をつけるかということよりも、汚染土壌による国民の健康リスクを如何に最小化するかということが法の目的で、そこからスタートして、その範囲内で議論しておかないといけないということである。廃掃法の世界が本来背負わなければいけなかったことを、こっち側の方につけ回しをしている面があるようにも思われる。廃掃法で扱う広範な土壌問題まで全部ここで考えていくというのは、ちょっと大変なことだと思うのだけれども、しかし少なくともメニューをふやして、それで新しいメニューが国民の健康を守るという点から見ても遺漏がないものであるならば、何もそれを否定することはないわけだから、入れていけばいいわけである。将来の拡大の可能性は大いにあるということは、こういうところできっちりみんなで確認しておいて、現状で使えそうなものはどんなものかということを議論するべきだ。
 それから、繰り返すけれども、確かに聞いていて心配なのは、最終処分場でいいよというと、例えば安定型のところにみんな持って行って、どっさり捨ててしまうということが起こらないような手だては何かあるのかなということである。そこは考えておかなければいけないので、どうするか。もともとどういう処理をするかということについて、命令をかけるときは、一義的にこういうふうにしなさいとやるわけだから、そこである程度のコントロールはきく。ところが、自発的にやられる場合はちょっと困る。しかも、より高度な処理方法を選ばれれば余りノーと言えない面があるから、だから削りとって処理しますという、かなり高度の処理方法を選び取ってやられる場合に、そのときに後の始末をどうするのかということまでしっかり追っかけていって、安直に処理しないようにというようなところがうまく担保できるかどうかである。ちょっと勉強していただいたらどうか。そんなに対立するような話じゃないと思うのだけれども、イメージの置き方と運用の今後のことをよく考えてみると、三木委員の言われることにももっともな指摘な面があると今思ったのである。

(村岡委員長)
 ありがとうございます。それでは、鈴木委員どうぞ。

(鈴木委員)
 今、中杉委員が言われたので、私もその3番のセメントの原材料としての使用が2と別になっているというのは、ちょっと多少どうかなというのがあって、2は汚染土壌が汚染土壌でなくなる判断基準というのがどこかにないとマネージメントできないだろうと思う。2については特定有害物質を除去すると書いてあるので、除去の定義があればそこはできるのだが、3については、そこが非常に不明確なので、どちらかというと3もある意味では2の枠組みの中で、言葉は多少違うにせよ、何らかの特定有害物質除去あるいはマネージメントの範囲から除くという約束をやはり明確にしないと、3みたいなルートというものがきちっと管理できなくて、逆に三木委員が言われたような、出口を塞ぐようなことになってしまうんじゃないかというふうに、私はちょっと思った。
 それと同じように、もし3の原材料としての使用というものが処分ではないが、処分的な役割を担うんであれば、例えば(2)の下に括弧書きで周辺住民に対して情報提供に努めろとか、適正に処理するとか書いてあるけれども、この種の注意は多分その過程でも言葉は多少運用は違うにせよ、本質的には適用されるべき、同じように2と3は共通に適用されるべき事柄のような気が私はするので、その部分は余り2と3を切り離して考える必要はないのではないかというふうに、私は思っている。

(村岡委員長) 
 今の考え方、御意見について、事務局はどういうふうにお考えか。

(事務局) 
 今、色々と委員の方々から御意見をいただいたのだが、まずちょっと一つ明確にしておきたいのは、ここで出させていただいているこの告示自体なのだけれども、要はこの処分方法を別に推薦をしているわけではないということからスタートしていただかないと、少し誤解が出るのは。この方法にしなさいということではなくて、これは色々なメニューを前回までのところで御議論いただいて、非常に色々な形でやられる。覆土もあれば舗装もあればと。いろんな形の中で、どうしてもその措置の中には掘削除去という措置もあって、それはもちろん浄化をしてもらって当然それができるならそれに越したことはないんだけれども、出してしまうという場面が幾つかあると。こういう御説明をその答申の抜粋でさせていただいた。そのときにそのまま放っておいていいというわけにはいかんだろう。きちっと確認をするという必要があるんじゃないかということを担保するためのことを御議論いただいているつもりでいて、この方法をぜひ取りなさいという思想ではなくて、色々なメニューの中で汚染土壌を出さざるを得ないときに、もう出したからそれでいいよではなくて、最後まできちっと追って行って確認をしようと。
 だから、今回これは二つの場面で出てくると思うのだが、汚染の除去等の措置の中で、実は最後まで確認をしないと完了というふうに認めないつもりでいるので、これは最後までいかなきゃいけない。だから、ここで言うところは、終点についてどこまでを見れば完了とみなすかということで、先ほどの三つのことを一応分けてみたと。一つは、処分場に行ったらそこは終点でもいいかなと。つまり完了したと。つまり措置が完了したとみていいかなと。あとは浄化ということができる事業場があるんであれば、そこで浄化を確認をし、一番いいのはそこの浄化された土を元に戻すということを考えているけれども、そういう形で戻されたら、そこで一応完了と。だから、終点だというふうに理解をしている。
 そうすると、色々先生方が御議論いただいた中間処理というのはあくまでも中間で、それは完了とみていないので、最後までマニフェストで追うというスキームになっている。だから、この土壌汚染対策法の世界では、不溶化というのは、これは浄化ではないから、当然そこでは指定区域が引き続くような形で不溶化という措置も入っているので、そういう思想でまず御議論をいただければと考えている。今までだとここはあいまいにしていたのを、最後まで追う方法を明確にさせていただいた上で、措置の完了まで行こうじゃないかというふうに御議論いただいているつもりである。
 だから、思想として当然浄化をやるべきだという先生方もおられれば、当然サイトの中できちっとやっていく必要があるんじゃないかという御議論もあると思う。私の方も前回までにも何回か御紹介をしたけれども、低コストでできるだけ浄化できるような、特に重金属というのはどうしても掘削除去して処分場というのが割とあるケース、VOCと違ってあるケースなので、そこを何か浄化、分離・分解できるような方法はないだろうかということで、今年度から低コストで低負荷型のそういう技術をできるだけ普及しようじゃないかということで始めているという意味で、ある意味ではできるだけ行かないで済む、使える、元に戻してというような思想で、今全体としての技術の方も進めようということでやらせていただいている。こんな形で今考えている。そこだけまず誤解のないような形で御議論をいただけると、非常にありがたい。
 だから、逆に言うと、どのくらい汚染土壌が外に出されるのかという推定は、今のところおそらく難しいと思っている。先ほど浅野委員が言われたように、事業者が一体何の措置を選ぶのかと。当然覆土や舗装がばんばん始まれば、ほとんど外に持ち出されないかもしれない。あるいはマーケットの中でやはり浄化だと。これは法とは違う世界で出てくれば、当然浄化のために原位置浄化もあれば、掘削除去もあるかもしれない。その辺は見込みがとても立つような状況じゃない。
 また、じゃあ実際に汚染土壌が全体の土砂の中でどのくらいあるのかというのも、これも実態はない。マーケットの中でどのくらい汚染土壌があるんだろうかという話をよく聞くが、ある程度の推定しか出てこない。非常に少ない数字しかある意味では出てこない。何億に対して100万とか、そんな数字しか多分出てこないだろうと思っている。そうすると、その辺はなかなか情報としてお出しするのは難しいかなと思っているのであるが、ここはとにかく措置なりで最後まで追うときに、できるだけきちっと追えるようなマニフェストなりをつくれないだろうかということと、きちっと処分の終点についてはどうしようかという議論をしてもらおうと思っている。
 なので、浄化という事業ができるところと、先ほど鈴木委員が言われたように、セメントというのは一応分けておきたいのは、そこは浄化ということができるという意味で終点にして、できるだけそこで浄化していただいたのは元に戻すと、こういう思想で、セメントの方は実は浄化では決してなくて、重金属の場合ではそこに含まれたまま、コンクリートなりに使われていくような形になるので、ちょっとそこは分けておきたい。ただ、ちゃんと担保しなさいという御指摘もいただいたので、そこはこれから情報をさらに詰めて、セメント原材料として使われるときに、最後どうなるのかと、コンクリートに使われてその後それが廃棄物となったときに、廃コンクリートになったときにどうなるのかというところまで追いながら、実際にそれが安全に使われるかどうかというのは、できるだけ私どももどういう形でやれるか、関係のところと相談をしながら整理をしたいと思っている。そんな感じで全体を整理させていただいているので、そういう点で御議論を続けていただけると非常にありがたい。だから、これを勧めているわけではないということだけは誤解のないようにお願いする。

(三木委員) 
 今の説明は言わずもがなで、もう皆さんそれは了解済みなのである。今日問題にしているのは、指定区域外からの案件が出てきて、指定区域外からの土もこの2の方法に即してやるということが出てきているから、大きな問題になっている。先ほど浅野委員の方から、あるいは中杉委員からも言われたように、指定区域内から出てくるものというのは、本当に限定的だから、それは何ら心配するところはないと思うけれども、指定区域外もこれに即するということになっているので、問題が大きくなっているわけである。
 そういう中で、さっきの量の問題については、やはりきっちりと各処分場ごとに汚染土壌をどれぐらい受け入れられるかを積み上げていただいて、それから各事業者、各省庁あるいは各民間の事業者が大体どれぐらいの想定をしているかを、ある程度アバウトでもいいから、押さえていただいて、本当に実現の可能性、実効性の担保はとっておかないといけない。それとあわせてプラスアルファの、ご提案の方法以外のメニューを用意しないと、とても指定区域外にこの方法を適用するというのは難しいと思う。

(村岡委員長) 
 わかった。確かに指定区域外の問題もまた議論をしないといけないので、そこに進んで、それも含めた議論をしたいと思う。
 既に初めの段階で、冨永委員から、一連の土地が一山全部汚染されていたらどうなるんだとかいう話もあったが、これは事務局の方の説明でも、まだこれから詰めていかないといけない問題ということで、意見をいただきたいというふうな御説明ではあった。ただいまの三木委員の御意見では、指定区域外のことも含めて考えないと、なかなか実効あるものとして扱えないんじゃないかというふうなことだったので、その辺の議論を踏まえて、ほかに何か関連するような意見でもあったらお願いする。大塚委員、どうぞ。

(大塚委員) 
 大変難しい問題だと思うのだけれども、今三木委員が言われたように、指定区域外の問題は考えざるを得なくて、しかも国会でも参考人で呼ばれたときに、かなり言われた点だけれども、この汚染された土壌があちこちにばらまかれるということの危険性というのを、できるだけ回避することを考えないといけない。多分それが一番まずい問題なので、それを回避するためには、基本的にはこの資料の5-6に書いてあるような何らかの対応をしないと、指定区域内のものだけ対応して、指定区域外のものは放っておくというのはちょっとできないんじゃないかという感じはしている。
 特に、市場の方はやはり、完全浄化を求めるような動きというのが、不動産業界の方では出てきている。だんだんそういうことまでは到底コスト的に無理だということが社会的に広がっていけば、不溶化とか、封じ込めされた土地がどんどん売買されるのが普通になっていけば、ある意味では、よくなると思うけれども、現在の不動産業者の人の話なんか聞いていると、もう完全浄化が当たり前だみたいな議論も出ているので、しばらく市場が鎮静化するまでは、この手の問題はかなり重要な点になってくるんじゃないかと思う。そのことを考えると、指定区域外の土地から搬出される汚染土壌についても、同じようなことを考えないといけないんじゃないかという感じがしている。
 それだけではなくて、さらにもう少し考えておかなければいけないのは、結局一番悪いのは搬出土壌が途中で捨てられてしまうことである。あるいは夜陰に紛れてどこかに捨てられてしまうとかいうのが、一番多分まずい問題だと思う。先ほど浅野委員も言われたことなのだけれども、アメリカでもそういうことが言われているけれども、オンサイトの措置がむしろ原則なんだというようなことが、どこかに入れられないかということを考えてはいる。外に出せばいいよということではなくて、オンサイト措置が原則なんだということを、これは資料5-4と関係する問題になるけれども、どこかに入れられないかということを、もし御議論いただければ大変ありがたいと思う。
 資料の5-2に出ている技術的基準の中には搬出してはならないというのが原則になってはいるのだけれども、ただこれだけでは多分オンサイトが原則ということには実際にはならないような気もするので、オンサイトの方を原則にするというような方向性を打ち出すことはできないかということを、提案というか、御議論いただければ大変ありがたいと思う。

(村岡委員長) 
 ありがとうございます。浅野委員、どうぞ。

(浅野委員) 
 さっきも言ったように、措置命令に係る場合は措置命令の出し方により工夫の余地はあるのではないか。ただ、前から議論があったように、当事者が合意をした上で、それを後で確認的に措置命令に移すというような場合が、ちょっとなかなかきついのかなということで、そこはやはり行政の運用の問題として、しっかりと施行通知や何かのところで書くというようなことなのかもしれない。
 それから、指定区域外の問題に関して、5のその他は、これはどうするかということだから、これは私も同じように扱えということになるかどうかに関しては、かなり疑問があるけれども、それはそれとしてその前の段階の話について、資料5-6の2ページ目のIIの2の(1)というのが、実は一番おかしいと思うのである。IIの2の(2)は、これは言ってみれば、法律の成立をぎくしゃくさせないためにということもあったし、それからリスクマネージメントという面から見て、そんなにぎちぎち言わなくてもいいということで、現に操業中の場合には調査義務を課さないということにしていたわけだが、しかしそこからその物が外へ出てしまうということになれば、調査義務を課さないといった法律の考え方の枠から外へ出ていくことになるわけだから、本来はこれは立法的にも中に入れていてよかったくらいの話なのである。仮に汚染されていることがはっきりわかっている場合であれば、リスク管理という点から見れば、操業中であっても外へ出すことについては当然チェックを受けて当たり前ではないかということになりそうだが、実はあんまりそこまで考えなかったものだから、これはある意味では法律をつくるときにちょっと油断したなという部分を言われている面もあると思う。
 ただし、(2)の[2]の跡地とは、全体としての敷地はまだ操業中だが、そのうちのある区画が実は跡地化していて、その部分について特に用途変更というわけでも何でもないという場合には、確かに法律の適用を受けないから、どうにもならない。しかしそこから物が外へ出ていくというときには、何とか追っかけていかなければいけないのではないかということだろう。社会的責任を十分に自覚しておられる事業者であれば、これは自主的取り組みの範囲内で当然きちんとやっていただけると思う。だから、ガイドラインで十分にカバーできる話であろうという気もするから、ガイドラインの中身に書いておけばそれでいいんだろうという気がする。ここでも現実には、そこで出てくるもの全部が危ないと言っているわけではないのであって、危ないか、危なくないかを調べた上で、危ないものについてはしかるべく処置をしなさいという限りにおいては、これはある意味では法の欠缺状態の部分を補う行政措置ということになるわけで、廃掃法の方で言っているというか、廃リ部会で準ずる扱いを云々と言っているところの話とは、ちょっと違うような気がするのである。
 問題は、やはり2の(1)の現に土壌汚染が判明している土地からという場合については、もうちょっと要件をきちっと書いておかないと、仮にこれがガイドラインにすぎない、行政指導要綱にすぎないとしても、よくわからないだろう。一たんこういうものが表に出れば、すべきであるという圧力が一方では必ずかかるわけである。だから、やらなくていいと、法的義務ではないという話はもちろんあるにしても、しかし義務であってと書いてあるんだからやるべきだということは当然出てきくるから、どういう場合がどうなんだということをはっきりさせなければいけないし、それに現に土壌汚染が判明しているのであれば、それは知事が命令をして、ちゃんとしかるべく措置を講じるべきじゃないかという筋論がでてくることも想定される。そうすると、その筋論を無視してこういうようなことがここに出てくるというのは、ちょっと何かつじつまが合わないという批判を受けるかもしれないので、知事が調査命令をかけるいとまがないとか、そういうことをやっていて時間をかけたのではとてもだめだというような、緊急事態の場合にはしようがないという言い方をしておいて、むしろこれから対応できるような場合には、ちゃんと本来の筋道をしくのが原則であるということを、一言断っておかないと、いけないかもしれないという気がする。
 一番悩ましいのは、担保措置の部分だと正直思うわけである。一般法的な言い方をすれば、およそ何人も他人に迷惑をかけてはいけないという原則があるわけだから、危険な行為をやる場合には、その危険でないかどうかについては予見義務がある。それに反して物は事後的には少なくとも民法709条で損害賠償責任を追及されるとか、場合によっては裁判所の差止命令がかかるかもしれないということがあるわけだけれども、そこまで民事訴訟のようなところに頼らなきゃいけないというのも愚かな話だから、それ以前のところで何か考えなきゃいけないということになるんだけれども、残念ながらこれは法的措置の対象外であるから、一般法を引っ張りだして、やはり当然そういう調査義務があるんだし、やらなかったら後で事後的には責任追及される可能性があるんだということしかないんであろう。
 最大の問題は、この場合にどうしていいか答えがないんだけれども、大塚委員がさっき言われたとおりで、夜陰に乗じてぽんとすてられてしまったら、損害賠償の責任追及すらできないことになってしまうから、そこをどうやってカバーできるかということだし、事後的な報告義務ということになっているのだが、事後的な報告義務で本当にいいのか。むしろこのところは、どうせ法的義務でないんだったら、せめて書きぶりとしても2の(2)ぐらいのところで、まだ調査義務が課せられてないようなところでも、土壌を搬出したいというときには前もって一言お断りを申し上げていただくぐらいことまで言っておかないといけないのかもしれないという気もする。これをどこまでやれるかはわからないが、強制力がないんだったら書いてもいいわけだろうと思うし、書いておけば事実上の社会的なサンクションが働くから、ある程度域内処理という方向に誘導できることになるということになるんではないかなと思う。ちょっとここはもう少し工夫が要るんではないかという気はするのだが、どうであろうか。少なくとも議論をされたと思うから、これは事務局のこれまでの議論の経過を御紹介いただければと思う。

(事務局) 
 今の御指摘の2の(1)の現に土壌汚染が判明している土地というのは御指摘のとおりで、意識としては調査命令の対象となる土地の要件に該当しないという前提である。当然その前提でなければ法の調査命令の要件に該当するから、当然法のスキームに乗っていくことになる。要するに、ここは例えば典型的な例が周辺で飲用利用等がないような土地で、いわゆる溶出の方の観点で基準超えた土壌がみつかった場合である。また、現に操業中の工場で汚染がみつかった場合である。地下水等の摂取によるリスクの観点ではまだ地下水汚染は生じていない場合。または、直接摂取によるリスクの観点から含有量が超過した場合である。ここはもう法に基づく調査命令は出せないのでちゃんと処理をしてくださいねと。ここの思想は、搬出されるということを強調しているのは、あくまでも搬出してほしいという、またこれも誤解があるなら工夫しなきゃいけないのだが、搬出してくれということではなくて、どうしても搬出しなければならない場合には、告示に準じてと、こういう思想になっているつもりでいる。
 先ほど大塚委員の方から言われたように、ここは搬出しなければならない場面ではちゃんとやってねということである。もちろんオンサイトでやれるものなら、搬出しないでいいなら、それは当然そうしていただいた方がいいと思うのだけれども、そこは搬出しなければならない場合を前提にしてしまっているので、何となく搬出される土壌についてはという、1回出たようなところをとらえていての記載である。

(村岡委員長) 
  ほかに何かあるか。

(中杉委員) 
 浅野先生はこの部分について、気づいておられなかったと。前の制度をつくるときの議事録を見ていただくと、私はちゃんと最後に一言いっている。これはもう法律をつくる上で仕方がないと思って一言申し上げたのだが、こういうのは是非どうしても必要だろうというのが、この土壌汚染対策法の成立後に最初に考えねばならないことだと思うのだが。
 ちょっとそういう意味では幾つかあるのだけれど、まず一つ質問なのだけれども、いつも出てくるのだが、2の適用対象の[2]の特定工場等区域の跡地といったときに、埋め立て処分地の跡地というのはどうなるのかなと。多分これを読んでいくと、特定工場等区域にならないのかなと。なるのかならないのか、難しいところかな、それはどうなんだろうと。あそこはいつも何となくあいまいのままになっているんで、そういうところの土壌を搬出するという話はどうなんだろうというのが、一つ問題提起として教えてほしい。どう考えたのか。
 それからもう一つ、5番目の、これはちょっと別だと浅野先生は言われたのだけれども、自然的原因の話は多分法の対象外ではあろうと思う。ただ、ここは何かやはり担保しておかなければいけない。自然的原因であれ、人為的原因であれ、その工事によって人の健康に対するリスクが同じように起こるわけだから、何か考えなければいけない。これはすぐに制度としてつくるわけではないのだけれども、例えば一つの例として、案として考えられるのは、都道府県知事がある区域を指定すると。これは土壌汚染対策法の調査のためにもしなきゃならない。指定区域については土地の形質の変更の届けを、それこそ浅野先生が先ほど言われた話を取っているわけだけれども、届けさせる。それでどうするかというのを届けさせて、そういう指導をするという方法も一つあるのではないかと。何かここやはり、ほかのものと並びで同じようにという話には当然ならないと思うけれども、何かここについてしておかないといけないのではないかなと思う。
 現実問題として今もうそういう事業場で汚染が見つかって、これはどうも自然由来だなと思っていても、事業者は既に対応している場合が結構多い。私が色々聞いている話では。これは事業者の方は、たまたまそんなに量が多くない場合だけれども、やってしまおうというような場合がある。それはそれでいいんだろうと思うのだけれども、全体としてやはり何か、これはそういう意味ではそういう地域だと指定することによって、例えば土地の形質変更の計画みたいなものを色々考える上でも事前にできることはある。計画を作ってしまってから掘り出そうとして見て問題があったという話になると、これはまたえらい問題だけれども、そもそもそういう土地であると。そうしたらそこの土地の利用はどうしたらいいかということを計画していただくという意味でも、何かそういう制度というか、びしっとした制度というのではなく、そういう枠組みみたいなものをつくっていくということが必要ではないかと思う。これは多分行政の仕事で、国なのか地方なのかちょっとわからないけれども、そういうことを少し整理をしていく必要があるんだろうと思う。

(村岡委員長) 
 冨永委員、どうぞ。

(冨永委員) 
 山を想定したときにはそういうことが考えられるけれども、地面がそうなったときに、地質がそうなってきたときに、その上に住んでいるというようなことになったときに、とんでもない問題になるんじゃないか。つまり地質構造がそうなっていると、地質そのものが例えば沖積だの堆積だのが幾つもあって、その上に住宅が建っているよと。そこそのものが汚染しているような状況、まさに自然汚染なのだけれども、砒素にしても窒素にしてもあるのだけれども、そういうものをどうするか。そこにまさに来るんじゃないかなと思って、そこをこの中でやるのか、それとももうちょっと違う考え方でやるのか。

(中杉委員) 
 いや、この中でやれというふうに私は申し上げているわけではなくて、それこそどのレベルか、市町村長か都道府県知事かわからないけれど、自分の管轄するところの住民の健康を守るという意味では、そういうところであるということをやはり認識してもらうことが必要だと思うのである。例えば直接摂取が問題であれば、その状況に応じて、例えばそれを覆土してもらうとか、そういうことが必要になるでしょうし、地下水がそれで汚染するようなことがあれば、やはりそこでは地下水の利用は制限をしてもらうというような、何も知らないでという話が一番住民にとってはつらいわけである。もちろん汚染している土地だということは、つらいけれども、それ以上につらいのは、何も知らないで土を口に入れたり、地下水を飲んでいたりということであるので、そこら辺のところはこの制度の中の並びにということではないのだけれど、別途そういう工夫、今申し上げたのは私の一つの案だけれども、工夫を考える必要があるのではないかと申し上げた。

(冨永委員)
 あくまでも人為汚染というのを考えて、それはまた別の、そういう土地の取扱いについては、別の考え、やはり何か哲学みたいなものが必要になるんだろうと思うのである、国全体として。だから、うかつにそういうことを文書で出すことがいいのかなと。私は、かえって混乱するのではないか、情報が少なくて。ちゃんと情報を出して、別途考える方がいいのではないかというふうに思うのだけれども。その状況というのはなかなか想像できないと思うのである。皆さんはあまり状況がわかっていないのではないか。

(村岡委員長) 
 三木委員、どうぞ。

(三木委員)
 それに関してというか、もうちょっと広くなるかもしれないけれど、先ほど大塚委員が言われたし、あるいは浅野委員も言われた、やはりオンサイト処理に誘導することが、この自然的なものについても大事だと思う。そのときにやはりオンサイト処理のメニューを、ある程度この三つ以外に広げないと、苦しいと思う。だから、自然由来にせよ、そうでないものにせよ、メニューをある程度フレキシブルに、オンサイトでコントロールしながらできるような、リスクは生じないようにコントロールしながらやれる方法というのをやはり議論しないと、自然的なものもそうでないものも含めてやはり大変だと思う。
 だから、大塚委員が先ほどオンサイト処理を原則とするという点については全くそれに賛成である。ただしプラスアルファ、そのメニューを広げる方向を検討するべきではないかということである。

(中杉委員) 
 私自身はオンサイト処理のメニューというのは幾らでも入っているんだと思うのである。掘削したのをそこへ戻すという、その区域の中でやれば埋め戻すという方法もあるし、上と下を入れ換えるという方法もあるし、色々上の方にずらっと並んでいるのである。オンサイト処理のメニューというのは物すごくたくさんある。掘削除去して、それを持ち出すときにどうするかというメニューを、今ここで議論しているのだと思う。だから、オンサイト処理というメニューは非常にたくさんある。外へ持ち出したときのメニューはこれだけでいいかどうかというのは、またそれは私ももう少し色々工夫して考えればいいのではないかなと思う。

(三木委員) 
 今の議論で、オンサイト処理で認める方法と、区域外に搬出したものを認める方法とが別であっていいと中杉委員は言われたのだけれども、外に搬出したものの有効利用を認めると汚染の拡散につながると、この前の4回のときに言われた点はどうなのか。オンサイトでは認めるけれども、ちょっと動かしたらだめと。

(中杉委員)
 いや、オンサイトでやれば、今問題がない状態を確認できたのである。それで、別なところに持って行ってどうなのかという話と、それからそこでそのままで問題ない状態で管理できるんであれば、よっぽどの理由がない限り、そこでそれで管理するような方法を考えればいいのではないか。

(三木委員)
 いや、それが万が一難しい場合に……。

(中杉委員)
 だから、そういう場合はどのぐらいあるかという、さっきの話の議論になってきて、そんなにべら棒にたくさんあるかなというのが、事務局のさっきのお答えではないかなというふうに私は思うけれど。

(三木委員)
 自然由来だと多いのではないか。

(中杉委員)
 自然由来のところは、また別な話として考えなければいけないと思うのである、本当に。ただ、自然由来のところを区別するのかというのは、先ほど区別できないと申し上げたけれども、でもそれはある程度許容せざるを得ないのかもしれない。ただ、よっぽどの場合でないと、それはやはり難しいのだろう。

(村岡委員長)
 大塚委員、何か。

(大塚委員)
 今の話を伺っていると、多分オンサイトが一番基本的にはよくて、その次に資料の5-4に出ている、汚染土壌処理施設とかセメント原材料がよくて、最終処分場に持って行くのが多分一番よくないのかなと思うのだが、そういうことが一般的に言えるのかどうかとか、あるいはもしオンサイト原則ということであれば、何らかの形でそういうことを打ち出していただけるといいかなと。このままだと、先ほど事務局はそういうつもりではない、つまり搬出しなければならない場合だけのことを今言っているだけで、搬出がむしろ原則ではないというお話をしてくださったが、それが明らかになるように是非していただきたいと思う。残念ながら担保措置はとれないんで残念だけれども、しかし措置命令のときとか、それ以外でも書いてあるだけで多少の効果はあるかと思う。
 それから、さっき中杉委員が言われていた自然由来の問題については、私は中杉委員の意見に賛成で、私も区域の指定が必要だというふうに思っていたのだけれども、結局これ自然的原因ではあるのだが、ただ搬出するということになると、ここに人為的な行動が加わることになるので、ここでまさにある意味での汚染行為をする可能性というのが出てくるという位置づけが、法的にはなされることになるのではないか。ただ、どの区域かということがはっきりしていないのに、その土を持ち出して搬出しようとしたら、何か文句言われるというのはおかしいから、まさにどの区域が問題なのかということを、その土壌を搬出する人にわかっていただく必要があるということであるので、都道府県なり何なりがそういう区域を指定するというのが、非常に重要ではないかというふうに考えている。
 以上である。

(村岡委員長)
 事務局、何かお答えになるか。

(土壌環境課長)
 いわゆるオンサイト処理が原則であって、いたずらに搬出していくということではないという趣旨を、きちんとどこかの場面で書いていくということは可能だろうと思っている。恐らく今委員の皆さん方がおっしゃられている共通点というのは、まずそこにあるんではないかという気がしている。

(村岡委員長)
 細見委員、失礼した。何か。

(細見委員)
 自然由来については、中杉あるいは大塚委員に私も賛成で、やはり最終的には汚染の拡大をいかに防いで、人の健康リスクを下げていくかということだと思う。ただ、やり方は少し考えないといけないということである。
 それと、オンサイトかどうかということに関しても、確かに原則はオンサイトにしておいて、私はその誘導というのは、さっき大塚委員が最終処分場が一番最後の最後の手段で、その前の手段が、例えば処理だろうか、その前段が有効利用だとかという、リサイクルの点でも幾つかの誘導的な書き方というのも、大いにある得るのではないかと思う。
 それと、私はセメントだけではなくて、例えば焼成にしてもかなり重金属を取る技術もかなりできつつあるんではないかと思うので、そういう意味では同じような並びでそういう技術もあると思う。
 それから、この最後の5-6の資料でちょっと具体的に考え方の方向というところで、事務局の方で示されているが、搬出される時点で測るのか、あるいはその前に測ったらどうかという二つの案だと思うのだが、もしこの二つ目の案を取ってしまうと、そこで調査をしてアウトだったら、これは指定区域にしてしまうということになってしまうのか。ここはちょっと、そうなってしまうのならば本当に法律の建前というか、そこがちょっと崩れるかなという気もするので、実際に本当にどれだけ実現性があるかどうかわからないが、1番のような方向の方がいいのではないかと。実際に搬出される、そういうとき実際に測ってみるという方法がいいのではないかと思う。

(村岡委員長)
 事務局、どうか。

(事務局)
 今、細見委員の方から言われた件であるが、そこで汚染が見つかってもとにかく調査命令の要件にならない場合はあると思う。先ほど申し上げたように、操業中の工場の中で見つかって、それが直接摂取のリスクの観点で例えば汚染がみつかった場合である。また、事業者が見つけてそれを報告する。先ほどの報告のところが実はポイントになっていて、望ましいと書かさせていただいたのは、心配で、出したくないという方がいるかもしれないなということもあって、少しここは議論になるんだろうと。持ち出そうと思って調査をしたら見つけてしまったということもある。それがたまたま調査の命令の要件に該当し得る可能性ももちろんあるので、そこは少し議論はあるんだろうと思っている。その意味でこの1は、持ち出す土についてのみ調査をし、その後ろはむしろできるというふうに書いたのは、そこの人がやってもいいと判断されれば、そちらの方が仮に合理的でお金が安くできるということであれば、そちらでもいいのではないかという思想で、実は1、2という順番は書いた。その辺の懸念があってこういう書き方にさせてもらった。
 それから、先ほど中杉委員から質問をいただいていて、お答えするタイミングがなく飛んでしまった部分があるのだが、先ほどの埋立地、例えば処分場なんかは恐らく(1)の方の場面になるのかもしれないなと。先ほど言った調査命令の要件に該当しない土地であって、そこは汚染土壌はあるとわかっている。そういう状態なのではないかなと思っている。ただ、その場合どうするかというと、なかなかそれがごみになのか、土になのかはあるのだが。

(村岡委員長)
 そろそろ時間がきているので、議論を終わりに近づけたいと思うが、なお御意見のある方。中杉委員、どうぞ。

(中杉委員)
 先ほどからオンサイトが原則と言われているが、原則というものの意味合いが色々ある。一つだけ申し上げておくけれども、これは経済的なことも含めて考えた場合の原則である。最も望ましいのは、オンサイトで処理するのが望ましいのではなくて、浄化措置として汚染土壌を掘削除去して適切に処理するのが望ましいと。リスクの面では望ましいというのは、それはそのとおりだろうと思うのである。そこら辺がちょっと誤解をされると困るので、オンサイトというのは色々な意味で考えると、今回も都道府県知事が命令をして、原則としてはこれにしなさいと言ったのは、一番リスクが少なくなるからそれにしなさいと言っているわけじゃなくて、調査の費用も含めて考えたときに、これが原則とするという話なので、そこら辺はちょっと誤解をしていただくと困るので申し上げておく。

(村岡委員長)
 色々貴重な御意見をいただいたが、三木さん、それでは最後ということで。

(三木委員)
 ちょっと話が戻るけれども、既に浅野先生から色々な処理施設のチェック機能がどうなっているんだと。新たな認定制度をつくるわけではないということなんで、御質問があった点で、私も確認しておきたい点は、新たな処理施設を都道府県知事が認めるときの判断基準である。みずからプラントを設置してやってもいいと、先ほどおっしゃられたけれども、どういったものであればいいのかという判断基準を、やっぱりきっちり示してほしいということを再確認したいのである。

(浅野委員)
 私もそれはそうだと思う。これははっきりさせないと、都道府県知事は怖くてなかなか認めようがないということになってしまう。それは決して本意ではないわけだから、その点は三木委員がおっしゃるとおりだと思う。

(村岡委員長)
 どうも色々ありがとうございました。
 今日は、皆さんから色々御議論いただくということで、意見をまとめるということをしないということを最初に言ったが、これは決して言いっ放し、聞きっ放しということで終わるわけではなく、事務局の方で現在鋭意進めておられるような告示等の整備に対して、今日いただいた御意見をぜひ参考にしていただきたいと思う。
 それから、今日の資料を欠席された委員にも送っていただいて、ぜひ後日そういった委員から御意見をいただくようにしてほしいと思う。
 なお、今後の事務局の作業であるけれども、色々事務局としても各委員に御相談したいことも出てくると思うので、そういったことがあったら、ひとつよろしくお願いしたいということと、もう一つ、必要があれば、来年年明けにもう一度このような委員会を開くということも考えられると思うので、その点も皆さんに御理解いただきたいと思う。
 それでは、本日の資料の公開についてだが、すべての資料を公開にしたいと思うが、それでよろしいか。

「異議なし」

(村岡委員長)
 それでは、最後に事務局の方から何かあったら、よろしくお願いする。

(土壌環境課長)
 大変活発な議論をありがとうございました。
 土壌汚染対策法も施行を来年2月15日ということで控えている。もう年末も押し迫って、土壌法の施行までも余り時間がないという状況であって、最後に残された課題、本当に今日大変いろんな観点からの御意見感謝申し上げる。
 本日の御議論を踏まえてさらに勉強などをいたして、これらの土壌汚染対策法の施行に万全を期してまいりたいと思っているが、ただいま座長の方からもお話があったように、また本件について先生方に色々御相談するようなこともあるかもしれないし、場合によれば、またお集まり願うようなこともあるかもしれないが、今後とも御指導、御協力のほどよろしくお願いをする。
 繰り返すが、本日の御意見も踏まえて今後検討してまいりたいと思っているので、よろしくお願いする。

(村岡委員長)
 それでは、これをもって第5回土壌汚染技術基準等専門委員会を終了とさせていただく。
 どうもありがとうございました。