農業資材審議会農薬分科会農薬使用基準小委員及び 中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会第2回合同会合議事録
日時
平成15年1月22日(水)13:00~15:55
場所
経済産業省別館944会議室
出席委員
須藤 隆一 座長 | ||
安藤 正典 委員 | 池田二三高 委員 | 石井 康雄 委員 |
伊東 祐孝 委員 | 岡田 齊夫 委員 | 金森 房子 委員 |
亀若 誠 委員 | 北原 武 委員 | 近藤 俊夫 委員 |
佐々木珠美 委員 | 中杉 修身 委員 | 中村 幸二 委員 |
本山 直樹 委員 | 行本 峰子 委員 |
議題
(1) | 農薬使用基準について |
(2) | その他 |
配布資料
資料1 | 議事次第 | |
資料2 | 農薬使用基準に関する合同会合名簿 | |
資料3 | 配置図 | |
資料4 | 農薬使用基準の諮問について | |
資料5 | 農業資材審議会農薬分科会等の開催予定 | |
資料6 | 農薬使用基準の考え方(素案) |
議事
【早川農薬環境管理室長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会及び農業資材審議会農薬分科会農薬使用基準小委員会の合同会合を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、お忙しい中、ご出席いただきましてありがとうございます。本日は2回目でございまして、環境省が運営当番でございますので、私の方から議事進行をさせていただいております。
委員の出欠でございますけれども、本日、井上先生、櫻井先生、廣瀬先生、米谷先生、眞柄先生、森田先生、山本先生、若林先生からご欠席とのご連絡をいただいております。 なお、今いらっしゃっていません中杉先生、亀若先生につきましては、ちょっとおくれるというご連絡をいただいております。
引き続きまして、本日の審議に入る前に、環境省水環境部吉田部長からごあいさつを申し上げます。
【吉田水環境部長】 私、1月10日付で水環境部長を拝命いたしました吉田でございます。前任の石原同様、よろしくお願いをいたしたいと思います。
本日は先生方、お忙しい中、またお寒い中をご参集いただきましてありがとうございました。平素から農薬の安全使用につきまして、大変るるご指導を賜っておりましてありがとうございます。
本日のこの合同会合におきましては、本年3月10日に施行予定でございます改正農取法の12条の規定に基づきます、新たに環境省と農水省で定めることになっている農薬の使用者が遵守すべき基準について、昨年12月26日の会合に引き続きご審議を賜るというふうに聞いております。ご承知のとおり、農薬取締法の目的でございます国民の健康と生活環境の確保ということは非常に重要でございます。ますます重要になっているということでございますので、何とぞ慎重ご審議の上、有用な基準内容をお取りまとめいただきますようお願いを申し上げまして、簡単ではございますけれども、ごあいさつとさせていただきたいと思います。
ありがとうございました。
【早川農薬環境管理室長】 次に、具体的な審議に入ります前に、本日の配付資料についてご確認いただきたいと思います。
お手元に左に一括してホッチキスどめにしてありますけれども、農業資材審議会農薬分科会農薬使用基準小委員会及び中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会合同会合配付資料一覧とございます。資料の番号1から6までございまして、その並びでそれぞれとめてあります。裏表両面印刷になっておりますので、よろしくお願いします。資料1としまして議事次第でございます。資料2としまして合同委員会の名簿でございます。資料3としまして席の配置図でございます。資料4といたしまして、本日の審議にかかる諮問書でございます。資料5としまして、農業資材審議会農薬分科会等のスケジュールでございます。資料6としまして、農薬使用基準の考え方(案)でございまして、これが資料一覧でございます。
あと、参考資料としまして、机の上に改正農薬取締法のフルの条文を置かせていただいております。さらに、きのう実は特許農薬の関係の合同の小委員会がございましたけれども、その内容につきまして、きょうの幾つかの新聞に載ったものについて参考までに配付されております。
以上でございますけれども、もし不足しているもの等ございましたら、事務局の方にお申しつけください。
不足している資料が特にないようであれば、議事に入らせていただきたいと思います。
先ほど申し上げましたように、今回は環境省が運営当番ということでございますので、もしよろしければ、議事の1番の座長選出でございますけれども、座長につきましては、中央環境審議会土壌農薬部会農薬専門委員会の委員長でおられます須藤委員にお願いしたいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(異議なし)
【早川農薬環境管理室長】 それでは、須藤委員、議事進行の方をよろしくお願いいたします。
【須藤座長】 それでは、ご指名でございますので、本委員会の進行役を務めさせていただきます。
昨日も当委員会の委員の皆さん及び環境省、それから農水省の関係者の皆様には、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。本日もご多用のところを、ただいまお話がありましたように、土壌農薬部会の農薬専門委員会及び農業資材審議会農薬分科会農薬使用基準小委員会の皆様にお集まりいただきまして、本日、合同会合ということでございます。ありがとうございます。多少本日はいろいろ議論もしなくてはいけないこともございますので、一応5時までという時間をとってございますが、もしも円滑に議事が進めば若干早目に終わることも可能かなと、こういうふうに考えておりますが、どうぞよろしく議事進行にご協力をいただきたいと思います。
本日の議題は、改正農薬取締法第12条第1項の規定に基づく農薬使用者が遵守すべき基準について、ご審議をいただくことになっております。
早速議事を進めさせていただきたいと思います。
議題のとおり、改正農薬取締法第12条第1項の規定に基づく農薬使用者が遵守すべき基準についてということで、事務局の方から資料について説明をお願いいたします。
【早川農薬環境管理室長】 それでは、お手元の先ほどの配付資料の資料6、ページにしまして6ページでございますけれども、これにつきましてご説明させていただきます。
これにつきましては、昨年末の12月26日に第1回目の合同会合を開催いたしまして、非常にいろいろな角度からご意見をいただきまして、そういったご意見を踏まえて前回の資料をリバイスしたということでございます。それで逐次説明させていただきます。
まず、1番としまして農薬使用者の責務、この部分につきましては前回の資料にはなかったところでございますが、前回の合同会合の中でこの基準の基本的な考え方というものを示すべきであるというご意見をいただきまして、使用者の責務ということで、そもそもどういう観点でこの使用基準を遵守しなければならないのかということを載せてあります。
具体的に申し上げますと、(1)農作物等に害を及ぼさないようにすること、(2)人畜に危険を及ぼさないようにすること、(3)農作物等の汚染が生じ、その農作物等の利用が原因となって人畜に被害が生じないようにすること、(4)農地等の土壌汚染が生じその汚染により汚染された農作物等の利用が原因となって人畜に被害が生じないようにすること、(5)水産動植物の被害が発生し、その被害が著しいものとならないようにすること、(6)公共用水域の水質汚濁が生じ、その汚濁に係る水の利用が原因となって人畜に被害が生じないようにすること、ということでございまして、この理由としましては、ご案内のとおり、農薬取締法第3条第1項第2号から第7号、いわゆる登録の保留要件でございますが、こういったものと整合をとるということで、こういうものを責務としてここに追加したといことでございます。
続きまして、2番、使用基準の考え方でございます。これは前回と同じ項目でございますが、内容が若干変わっております。まず、食用作物及び飼料作物に農薬を使用しようとする場合に、農薬登録時に定められた[1]適用作物、[2]単位面積当たりの使用量の最高限度又は希釈倍数の最低限度、[3]使用時期、[4]使用総回数について、遵守を義務とし、これに違反する場合は、法第17条第1号の罰則を科す。この確認に当たっては、法第13条第1項に基づく都道府県又は国による立入検査によるほか、3の(2)のエによる記帳について、指導機関(県、農協等)が定期的にチェックを行うこととする。また、食用作物への適用がない農薬を食用作物に使用してはならない。ここにつきましては、前回の議論で個々の農薬ごとの使用基準の考え方というところを整理したものでございます。ここで、前回、非常に議論にありました使用総回数をどうするか、いろいろなご意見がありました。事務局で検討いたしました結果、これはやはりラベルにも書いたり、そういうことを前提として基準でも決まっているということもあり、使用総回数をここに入れさせていただきました。それと、あとは前回の資料は食用作物と非食用と分けて書いてあったのですけれども、内容的には共通の部分もあるということで、まとめて文章上の整理をさせていただきました。
次の7ページでございますが、3、その他の使用基準の考え方、ここで(1)罰則を科す基準、ア「倉庫、コンテナ、船倉、天幕その他密閉された施設において農薬をくん蒸に使用する者(自ら栽培する農作物等に農薬を使用する者を除く)は、農薬の使用方法及び使用する農薬の種類について、農林水産大臣の承認を受ける(変更の場合も同様)ことについて遵守を義務とする」と。これは、上記の施設で農薬を使用する者は従来は防除業者ということで、旧法では国への届け出が義務となっておりまして、国が届け出に基づいて監督を行ってきたところでございますが、これが今回廃止されたということでございますけれども、これらの使用者につきましては、農薬を大量に使用する可能性があるということから、国がこういったものについて承認を行うというふうにしたいということでございます。
同様に、イ「航空機を利用して農薬を使用する者についても以下の基準の遵守を義務とする」ということで、具体的に申し上げますと、(ア)農薬の使用方法及び使用する農薬の種類について、あらかじめ農林水産大臣の承認を受ける。変更の場合も同様。(イ)航空防除を依頼する者(委託者)は、航空機を利用した農薬の使用をあらかじめ広報、掲示等により公表しなければならない。(ウ)委託者は、農薬の使用を委託した区域(以下「対象区域」という。)の境界、住宅地等、河川、湖沼、浄水場及び障害物の位置を明示した地図を作成しなければならない。これもアと同様でございますけれども、航空機を利用して農薬を使用する者は、従来の防除業者であり、これまで国への届け出を課し、監督を行ってきたが、航空機を利用した農薬散布は一時に広範囲に農薬が散布されることから、国が承認を行うこととする。
ウ、ゴルフ場において農薬を使用する者は、農薬の使用方法及び使用する農薬の種類について、あらかじめ農林水産大臣の承認(変更の場合も同様)を受けることについて遵守を義務とする。これはゴルフ場で使用される農薬による水質汚濁が過去に社会問題となり、農薬の適正使用の確保が重要であることから、国が承認をするというふうにしたいということでございます。これが罰則を科す基準でございます。
次に、(2)遵守の努力を要請する基準。罰則ではなくて遵守の努力を要請するという基準でございます。
これはア、容器に表示された最終有効年月を超えて農薬を使用しないよう努める。理由としましては、安全性が確認された状態の農薬使用を確保する観点から、最終有効年月までに使用することが望ましいため。これも前回のご議論の中でこういうご意見が出ましたので、それを反映させたものでございます。
イ、航空機を利用して農薬を使用する者及び委託者は、対象区域において風速及び風向を観測し、対象区域外への農薬の飛散を防止するための必要な措置を講ずることを遵守することに努めるように求めるということで、理由としましては、航空機を利用して農薬を使用する場合、風が強い場合、適切な使用ができなくなるため、風速及び風向を観測することを求めるとともに、農薬の使用区域の外に農薬が飛散することを防止するために、必要措置をとるよう努めることを求めることとすると。
それと、ウ、住宅地等において農薬を使用するに当たって農薬が飛散することを防止するための必要な措置を講じるよう努める。これは理由としまして、住宅地においては、農薬の使用によって周辺住民が被害を受けることを防止する必要があるためでございます。
エ、農薬の使用者は以下の事項を帳簿に記載することに努めるよう求めるということで、(ア)使用した年月日、(イ)使用した場所、(ウ)使用した農作物名、(エ)使用した農薬の種類又は名称、(オ)使用した農薬の単位面積当たりの使用量又は希釈倍数。
オ、止水を要する農薬を水田で使用する者について、当該農薬の流出を防止するための必要な止水措置を講じることに努めるよう求める。理由としまして、水田使用農薬であって環境基準が定められているもの及び環境大臣が定める水質汚濁に係る登録保留基準値が設定(止水期間が考慮されているもの)されているものについては、それらの基準を担保するため、公共用水域へ農薬が流出し、水質の汚濁が原因となって人畜に被害が生じないよう、一定期間止水することに努めるよう求めることとする。
カ、被覆を要する農薬を使用する者について、農薬を使用した土壌から当該農薬が揮散することを防止するための必要な措置を講じることに努めるよう求める。理由としまして、クロルピクリン等の土壌消毒においては、近年使用後の被覆が十分でないことが原因となる事故が起きていることから、この事故を防止するため、一定期間土壌を被覆する措置をとるよう努めることを求めることとする、ということでございます。
4番目としまして、個々の農薬毎に使用基準を定めるに当たっての経過措置の設定についてでございます。
これは前回議論になったところでございますが、(1)マイナー作物については、適用作物のグループ化ということで、できるだけ効率的な登録を進めるという措置を講じたとしても、過半以上の作物については登録農薬に適用がないあるいは少ないため、病害虫が発生した場合に防除手段がなく、農業生産の安定に著しい支障を来し、改正法施行(平成15年3月10日)後に、直ちに1の違反行為として処罰の対象となるおそれがある、ということでございまして、このため、当面の経過措置として、以下の安全性を確保する措置を講じつつ、一定期間、1の適用を猶予する措置を講ずることとしたらどうかということでございます。
具体的にどういうような安全確保措置をとるかということでございますが、次でございまして、[1]都道府県知事が、農林水産大臣に対して経過措置(農薬とその適用作物)を申請し、農林水産大臣の承認を受ける。[2]承認に当たり、その農薬を使用できなければ農業生産の安定に著しく支障を来す場合であり、かつ、以下の条件の場合に安全性の観点を踏まえつつ使用を認める。ア、別紙の区分に基づき、申請作物が属する区分に含まれる他の作物で既に使用が認められている農薬であること(登録保留基準があること)。イ、使用が認められている作物の使用時期、使用濃度の範囲内であること。
これにつきましては、10ページ、これは別紙でございまして「経過措置に係わる農作物類について」でございます。このグループ、例えば穀類、豆類、さや付き未成熟豆類とグループがありまして、この中に入っているものであれば、適用を申請して、それで、そのグループの中で既に登録のあるものであれば、そういったものをベースにした使用方法等を定めるということで、具体的に申し上げますと、その次のページでございます。これは承認を受けた者が遵守すべき基準でございますけれども、例えば、ここで「のざわな」というものが、Aという農薬に登録がないのだけれども、現場である県でどうしても使いたいという申請が来たとします。のざわなを見ますと、のざわなは先ほどのグループではあぶらな科野菜のグループに入っておりますので、だいこんの葉、かぶ類の葉と、こういったグループにありまして、その中にその他のアブラナ科野菜として入っておるものでございます。これを登録保留基準の世界で見ますと、第二葉菜類ということでのざわなが含まれておりまして、第二葉菜類ということで、このAという農薬には既に1ppmという基準値があることが前提となりますけれども、あぶらな科野菜の中で、登録の既にあるものがだいこんの葉とこまつなであったといった場合に、こういうことからどういうふうにこののざわなについての承認を受けた者が遵守すべき基準を定めるかと申し上げますと、農作物類はあぶらな科ということでございますが、使用時期はだいこんの葉とこまつなの使用時期を見まして、だいこんの葉は14日前まで、こまつなは7日前まででございますので、より厳しい14日前までを使用時期とすると。使用量又は希釈倍数につきましては、だいこんの葉が500から1,000倍、こまつなは1,000倍から2,000倍であるので、この中でより厳しい1,000倍以上というふうにします。使用回数につきましては、だいこんの葉が4回、こまつなは3回でありますので、より厳しい回数をとって3回とするということで、のざわなの使用方法は下に少し太い枠で書いてございますけれども、収穫14日前まで、希釈倍率は1,000倍以上で、使用回数は3回以内というふうにしたらどうかということでございます。
また9ページに戻っていただきまして、[2]のイのところ、使用が認められている作物の使用時期、使用濃度及び総使用回数の範囲内であること、ちょっとこれは抜けております。回数も当然入るということでございます。それと[3]、それだけでは不十分ということで、その農薬が使用された農作物について必要に応じて農薬の残留度合い等を検査し、都道府県自治はこの確認を行うとともに出荷先も把握しておく。使用方法でもより厳しい使用方法を設定するだけではなく、残留量の確認も必要に応じて行うと。[4]万が一、人畜等への危険性が判明した場合は、農林水産大臣及び都道府県知事は農産物の出荷停止、回収等の必要な流通規制措置を実施すること。[5]なお、この経過措置の期間内に、都道府県等は、登録適用拡大に必要な残留データ等の作成の協力に努めることとし、経過措置期間後は、1の原則に沿った実施を行うこととする。この経過措置なんですけれども、前回の議論の中でも何らかのそういうグループ化なり、そういう措置が必要であるというご議論をいただきまして、整理させていただいたものでございますが、この(2)のところで当面の経過措置として、一定期間このような措置を講ずることとしたいということで書いてあるんですけれども、この経過措置の一定期間というものをどういうふうに考えていくか。あくまでも経過措置でありますので、どのような考え方でいくかということで、最後のところで、この期間内に登録適用拡大に必要な残留データ等の作成の努力を行うということでございますけれども、こういったものをどういうふうに考えていくかということをまたきょうご議論いただければと思います。
以上で資料の説明を終わらせていただきたいと思います。
【須藤座長】 要領よく説明いただきまして、どうもありがとうございました。前回はおおむねこの辺でよかろうという部分もありましたし、意見がかなり多様な部分も確かにございました。一応事務局でその辺を勘案して整理していただいたのがただいまの資料でございます。一括してご議論をいただきたいと思いますが、やはり論理の組み立て上、農薬使用者の責務というところは6項目ございますので、ここはそれほどご議論もないのかなと思いますので、これがまずよろしいかどうかでありますが、それをお認めいただいた上で、次に使用基準の考え方を特に各委員からご意見を賜りたいと、こういうふうに思います。
まず、いかがでございましょう。農薬使用者の責務というところでございますが、何かご意見なり、あるいは事務局へのご質問等ございますでしょうか。6ページの1のところに限ってまずお伺いをいたします。また逆に、これではなくてもう少し不足している部分もあるというようなものがあればご指摘をいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
かなり傍聴者が多いので、きょうは会場が広いので、マイクを使ってご発言をいただきたいと思います。
【石井委員】 ここに書いてあります(1)から(6)については、法律にその旨が書かれていることなので、このこと自体に別に反対なわけではありませんが、もうちょっと法律の一番最初の目的に書いてありますような文言を少し(1)から(6)の外に補って、こういうことをするためにこういうことを守りなさいというようなことを言わないと、今は大変環境問題への関心が深いものですから、これは環境を守ることも入っているのだよということがわかるような書き方をされた方がいいのではないかと、このように感じたわけです。
【須藤座長】 まずこの頭に、何のためにというところですね。環境保全のためにですか。そういうご意見でありますが、ほかの先生はいかがでございますか。今の石井先生と直接でなくてもよろしいのですけれども、ご関係の先生で、この言葉よりも前文にもうちょっと法律の、全体の部分の目的が入っていないといけないのではないかと、こういうことですが、よろしいですか。
【本山委員】 目的は環境保全だけではなくて農作物の保護もですよね。これも忘れずに。
【須藤座長】 両面入れないといけないわけですね、農薬登録ですから、それは当然ですよね。環境を守るためだけでは当然ないんですよね。そういうことを、どうですか、早川室長、今の言葉で。
【早川農薬環境管理室長】 当初、そういう目的規定みたいなものを考えていたのですけれども、そもそもあの法律があって、法律の目的が書いてありますよね。さらに、その下の省令ということなので、しかも使用基準についての省令ということなので、改めてまた農薬取締法の目的規定をここに書くということはダブってしまうのではないのかなと。それは趣旨として別におかしいということではなくて、法律に基づく省令として、改めて法律に書いてある目的規定を入れるというのは特に必要ないのではないかなと。それは単なる法令上の整理なのですけれども、そういうふうにご指摘を今受けたので、ここに目的を…。
【須藤座長】 省令の部分にまた改めてというのも確かにそうですよね。澤田室長の方はどうですか。
【澤田農薬対策室長】 非常に法令的なお話がありましたけれども、一応それを念頭に置いて、今、実は文書課といろいろやっているものですから、今のご指摘も踏まえて検討させていただきます。
【須藤座長】 そうですね。これは省令になるときには、我々がこういう文章でこのままで来るわけではありませんよ、すべてがね。文章としてやはり法的な文面にしなくてはいけませんから。あるいは論理の構築も法的な論理の構築をされるのでしょうから、そういう中であわせていただくということで。今のご意見があって、皆さん当然だというふうに思われると思うので、そこをどう取り扱うかは法文の問題なので、よろしゅうございますか、石井先生、そういうことで。
【石井委員】 はい。
【須藤座長】 では、ほかに何かよろしいですか、この1の農薬使用者の責務。これは当然のことが書いてございますので、ここでご異議があるというのは余りないだろうと思いますので、それでは、次に進めてよろしゅうございますか。
(異議なし)
【須藤座長】 それでは、一応、農薬使用者の責務というところはお認めをいただいたということで、2番目の使用基準の考え方。これはもう本当に前回もたくさんご意見をいただいているので、多くの先生にご発言をいただいたので、きょうは逆に行本先生から、何かあったら。いっぱいあるのかもしれませんけれども、とりあえず何回か回ってもよろしいので、きょうは十分に議論できますので、こんなのでいいというのであればこんなものでもよろしいのですけれども、先ほどの最後のところなんかも、この経過期間のとり方なんか事務局からもご質問がありましたので。全体どこでもいいです。これは分けない方が、相互にかかわりがあるので、私が議事を整理しながら、そして事務局にお尋ねしますので、どうぞおっしゃってください。
【行本委員】 では、最初の方から…。
【須藤座長】 いっぱいございますか。では、どうぞ1番はこれ、2番はこれでおっしゃってください。
【行本委員】 ちょっとどれがというのは、きょう初めてこの資料をいただいたので、答えにくいのですけれども、使用基準の考え方で、確かにここに書いてあります適用作物だとか使用量、使用時期、総使用回数を守るのは当然義務だとは思うんですが、これ、あと、都道府県または国による立入検査とか使用者が記帳することなんかもあるのですけれども、これ、守られているかどうかというのを、どのようにチェックされるのでしょうか。使用基準と多少違っていてもやむを得ないこともあると思うので例えば農薬散布をするときに、単位面積当たりにこのくらい散布しようと思っても余ってしまったり、逆に足りなくなったりということで、使用量がふえてしまったりするということはあると思います。その辺、恐らくこれをチェックする方でも、多少はその誤差範囲は見てやるんだと思いますけれど。あとチェックと記帳もすべてを含めて、実行しやすいといいますか、やり方のルール作りについてどういうふうに考えられているのかなというのが、多少ちょっと心配といいますか、難しいなというふうに思います。
あと3番目は、これは防除業者だとか航空機だとか比較的大きなところがやりますので、こちらの方は余り難しく考えなくても、規制も含めて比較的やりやすいなというふうに思います。
【須藤座長】 今の前段でおっしゃっていただいた部分は個人の場合ですね。そのチェック姿勢も。
【行本委員】 そうです。記帳のことが、この前も議論になって、今回も努力義務になっていますね。記帳をきちんとやるというのを、これから非常に重要な問題として進めていっていただく中で、この使用基準、罰則が科せられる部分もチェックしていくのかなというふうには思うんですけれども。その辺ですぐにというのは難しいので、新しく罰則規定が入った部分をチェックする体制について、事務局の方で、何か考えておられるようなことがありましたら、ちょっとお話ししていただければ。
【須藤座長】 そうですね。それはご質問なので、それでは澤田室長。
【澤田農薬対策室長】 これから新しいルールをつくって、これを農家、使用者に指導していくわけです。ルールはできましたから、これでもう罰則をかけますから、見つけたら違反ですという形ではなくて、今回ルールをまず決めて、これをどうやって普及していくかという、その指導をするときに、大事な点なのでこれを守らなければいけないですよというのをまずやらないといけないんです。これは消費者というか、食の安全につながる、要するに農薬の残留を安全な範囲で抑えるための手段として、これが非常に重要だということをまず普及して、これは守らないといけないんだよということを言っていくということですね。そのときにどうしても言うことを聞かないとか、いろいろ問題があれば、罰則があるんですと、こういう話でいかなければいけないんです。だから私どもは、このルールを決めていただければ、2月中にこういうのがルールとして決まりますよということを啓発していって、その後、体制を組んで指導をしていくということをまずやっていくと。同時に、さっきおっしゃっていた記帳も指導していって、その後、チェックもしていくという手順でいかないといけないというふうに考えています。
【須藤座長】 要するに、こういうルールが決まってもすぐ規制ということではなくて、意識啓発を図り、そして指導をしていって、その段階で本来の規制に入っていくという、そういう感じであるということでよろしいんですね。
【澤田農薬対策室長】 そうですね。指導と規制を同時にはいかないんですよね。どうしても、何で言うことを聞かないんだと、言うことを聞かないというのも妙ですけれども、いいかげんだという場合は、ちゃんと罰則もあるんですよということを常に言って指導していくということをしたいと思います。
【須藤座長】 よろしいですよね。
【行本委員】 大変難しいと思うんですけれども、よろしくお願いいたします。
【須藤座長】 こういう議論をするときには、そういう余り具体的でない部分もありますよね。よろしいですか。
では順番でいきますので、中村先生どうぞ。
【中村委員】 使用基準の考え方で、この前の会ではなかった総回数というのが入ったわけなんですけれども、これについては異論はないんですけれども、私自身、残留のあれをやっていまして、作物によってはかなり近接散布をしても影響の出ないものもありますし、影響のあるものもあるので、基本的には入れておいていいのかなというような感じがしています。
この6ページの下段でちょっと気になっているのが、今行本先生からも話が出たんですけれども、「この確認」以降の3行の部分なんですけれども、結構この使用基準を守っているかどうかというのを指導とかチェックする機関というのは、かなり県に依存する部分が多いように思うんですよね。そのときに、今の段階では結構現場の方は、一体どういう基準でどういうふうにやったら、これがチェックとかモラルとかを具体的にできるんだろうかとかなり不安に思っていまして、使う方は防除業者がやる場合もあると思うんですが、使うのは個々の業者なので、その辺を具体的にチェックしていくというところを、今後、これを生かす意味では、できれば何か具体的なマニュアル的なものでもつくっていった方がいいのではないかなというふうに思います。
あともう一つちょっとあれなのは、一番最後のマイナー作物の登録のところで、県知事が農水大臣に対して申請して承認を受けるという。それで、それについて一定の期間内に登録を拡大するようなデータの整備等に協力するというような話があるんですけれども、このマイナー作物については、この前の委員会で結構議論にはなりましたけれども、全国的には確かに0.何%みたいな、非常にはしにも棒にもかからないようなものであっても、地域的には物すごく重要な作物が多いと。当然、その中で農薬が使えなければ産地を維持できないので、多分かなり出てくるのではないかなというふうに思っているんですよね。そのときにデータの整備というところで、この経過措置の期間が、例えば1年だったら1年だとしますと、その期間で上げていったデータをどこが整えていくんだろうかと。責任上、上げていったところがとると。例えば私は埼玉県ですけれども、埼玉県が上げると言ったら埼玉県がそのデータの整備をしなくてはいけないなんていうことになったとき、かなり現実的でないような状況が出てくる可能性があるんですよね。だから、その辺の調整というものもやはり考えておく必要があるのではないかなというふうに思っています。
大体、以上です。
【須藤座長】 どうもありがとうございました。今の問題は、実際にこのチェックシステムを導入したときにどういう体制でやっていくかというような問題も含んでいまして、中村先生はそういう立場からのご発言であったんですが。これに1個1個お答えしていると時間を要するので、直接の質問はお答えいただいて、あとはまとめて。今のはお答えになりますか、何か。
【澤田農薬対策室長】 まず、現場でのチェック、体制というお話がありましたが、さっき申し上げたように、指導の体制からまずやりたいと思っていまして、私ども農薬の適正指導、適正使用アドバイザーみたいなものを地域ごとに育成していくような形、農協で言えば営農指導員とか、あとOBの方とか、そういった方たちを導入して、そういう人たちをまず研修するシステムをつくると。教材もつくらなければいけないんです。私どももそれを今手がけていますけれども、マニュアルもつくっていって、それで記帳も指導していくということをまずやって、それからチェックしていくということも次に考えていきたいというふうに思っております。
それから、マイナーの話は非常に数が多そうなので、これは各県ごとにダブっていろいろありますので、各県ごとに分担を決めましてダブらないように効率的にデータ取りをお願いするということを2月中に指示していきたいということで今検討中です。
【須藤座長】 全部埼玉県にお願いするということではないわけね。それを中村先生は心配されているから。それは冗談ですけれども。ただ、それでいいですか、中村先生。今の答えで。とりあえずはいいですか。全部分担してやっていただくということでございます。
中杉先生、どうぞお願いします。
【中杉委員】 おくれてきましたので、中身をよく理解していないで発言させていただくかもしれません。
7ページ目の3の(2)の最初に、最終有効年月を超えて農薬を使用しないように努めると。これはそのとおりで努力をしてくださいということですけれども、努力した結果のところについては、どういうふうなことを担保として考えておられるかという話が必要だと思うんです。当然、使わないでくださいと。それで残ってしまう。それをどういうふうに考えるんですかというところをもう一つ示さないと、農家の方は自分のところのあれにどんどんたまっていくという状況が出てくる。それについては、もう既にやられているのであればご説明をいただきたいし、具体的にはどういうふうに考えておられるのか。それは廃棄物として出しなさいという話なのか。その辺のところをやはり指導してあげる必要があるだろうというのが一つ目でございます。
それからもう一つ、これは質問なんですけれども、8ページのところの(2)のウでございますけれども、「住宅地等」と言ったときの「等」というのは少しあいまいな表現なのかなと思っていまして、これはどういうふうな意味合いがあるのかなと。私も筑波に住んでいまして、多分私の家は住宅地であるけれども、隣は多分住宅地等と言わない農地があると。そこら辺のところをどういうふうにこの中に読み込んでいくんだろうかというのが、これは実態的な話で、そんなものは当たり前だよということであるのかもしれませんけれども、ちょっと文言的に「等」とついているのは、どういう意味があるのかというのを。
【須藤座長】 では、それもご質問なので、二つ、最初のと使用有効期限ですね。
【澤田農薬対策室長】 有効年月の話ですけれども、これは失効農薬の話も実はありまして、失効したら使えないのかという議論もあったんですけれども、失効することによって急に危険になるわけでもないので、それはそういうことはないと。それだったら古くなったものをいつまでも使い続けてよいのかという話がありまして、どこかでやはり僕らとしては歯どめをかけたいなという気持ちなんですね。ただ、この有効期限の話も、有効期限が切れたら、即、危なくなるのかというと、要するに、禁止事項にして罰則までかけるということは根拠が要るわけです。そうなると、やはりこれをもって危なくなるということも言えないだろうと。ただ、そうはいっても指導をしていかなければならない。指導する根拠という意味ではちゃんと書いておかないとできないので、従来はそういう意味では、こういうことについては口では言っていたんですけれども、明文化してどこにも書いていなかったものですから、ここはきっちり書いて、古いものは使わないようにしていこうという指導をまずやっていこうということです。そうすると、古いものをたまたま持っていて使えなくなってしまって、もう使うなと言われてしまったと。どうするんだと。川に捨てようかみたいなことになっても困るので、そこで今私どもが考えているのは、回収システムを地域ごとに考えていただくマニュアルをつくっているんです。今、法的な整備を環境省とご相談しながらやっていますけれども、そういうのをやっていくということが必要だと思います。廃棄物の関係のことにもなるので、そういう法律などを勉強させていただいてやっていくと。この場合はもうまさに農家が自分で持っているものの処理なので、これは事業者の排出者責任といいますか、ご自身の責任で処分に持ってきていただくというのが前提なんですけれども、要するに、特に危険性があってどうのこうのではなくて一般的なもののことを申し上げているんですが、そういうものの回収システムを促進、後押ししていくためのマニュアル、それは地域ごとに既にやっていますけれども、それを後押ししていきたいという考えでございます。
【須藤座長】 期限の切れたものは回収をして、そのときの費用等は当然農家の方がお支払いになるというような考え方なんですね、基本的に。
【澤田農薬対策室長】 実際にお持ちになっていて、たまたまことしは使わなかった、必要なかったということで来年になってしまったと。いろいろやはり事情があると思うんです。そこを厳密に切れたから、即、違反という根拠もないし、ただ、指導の上ではやはり古いものは使わないということはやっていく必要があるのではないかと。
【中杉委員】 そういうのをつくっていただくのは非常に結構だと思うんですけれども、やはり農薬というものはある程度のリスクを負っているもので、これは当然のことでありますので、廃棄物として処理するときに、そのリスクが一律に個々にまた始めると、個々の農薬について基準をつくってどうのこうのなんていうばかな話になりかねないので、そこはしっかりどういうふうな処理をするべきかというふうな意味でガイドラインをつくっていただくと、個々につくってはかってという、より大変なむだをしなくて済むんだろうと思いますので、ぜひお願いをしたいというふうに思います。
【澤田農薬対策室長】 昔のDDTとか有機塩素系のやつで今処理基準をつくろうと思って、ご相談をしながらやっております。それと、水銀剤とかそういうのもやはり考えなければいけない話だと思います。
それと次の質問で「住宅地等」の「等」でございますが、一応今、文書課の法律関係の人と相談して、今、案として省令に書けるかなと思っているのは、「住宅の用に供する土地及びこれに近接する土地」というような表現でどうかなという、そんな感じでございます。それが(住宅地等)という、そんな感じなんですけれども。
【須藤座長】 よろしいですか、中杉先生。
【中杉委員】 先ほどちょっと申し上げたのは、最初の質問に対する2番目の追加の質問に対するお答えで、ちょっと取り違えておられるかなと思いましたので。個々の農薬についての基準をつくるというのではなくて、農薬というのは全般にこういうふうな扱いをした方がいいですよというふうなつくり込みの方がいいと思うんです。DDTとか、それはもう当然個々について基準をつくらなければいけないですけれども、そのほかに、農薬というのは全般にこういうふうに扱って、例えば廃棄物の方に出せば廃棄物の方に出すという、そこのところの一定のルールをつくった方が、個々にほかのいろいろな農薬について基準をつくるというようなむだをしなくて済むんだろうというふうに思いますので、そういうふうな趣旨で申し上げました。
【須藤座長】 ありがとうございました。
では、佐々木先生、どうぞお願いいたします。
【佐々木委員】 大きくは一つなんですけれども、使用基準の経過措置のところで、一定の期間というのが何年とか、どの程度を想定されているのかということと、それから、それとの関係なんですけれども、ここに書かれているマイナー作物のそれぞれ申請というか、依頼が来ている適用農薬との組み合わせで、延べでどれぐらいの試験数を想定されて、都道府県を考えているのか。これがなければ、例えば経過措置1年で試験が終わるのか、あるいは5年必要なのかというのがわからないと思うんです。それがわかって、例えば優先順位でマイナー3万トン以下としていますけれども、それをさらに2万トンまでは1年でやってしまおうとか、それ以下はこれぐらいという、何かちょっと具体的な経過期間が見えないので、ちょっとわかる範囲で教えていただければと。
【須藤座長】 これもご質問でございますので。これも室長ですね。
【澤田農薬対策室長】 私ども、ちゃんとしたルールを守ってもらうということで、ルールづくりを早く整えたいという気持ちが一つあります。それともう一つの制約といいますか、気にしているのは、例の食品衛生法のポジリスト化なんですよね。ポジリスト化されると、要はそのルール、決めた基準以外で見つかったらアウトとか、廃棄処分になってしまうとか、非常に厳しい規制がかけられてしまうので、それまでにいろいろなことを決めていかなければならない。あわせていかなければならないということで、3年後にポジリスト化というような話をちょっと言っておられたと思うので、最大でも3年ぐらい。それとあと、のんびりしていると各産地、各県で、では、しばらくほっておくかという話になると体制が整えられないというのがあるので、その間で、3年の範囲内でできるだけ早く現実的なところを考えていきたいというふうに考えています。
おっしゃっているように、どのぐらいの試験が必要かというのは大体2月に指示できるぐらいまとめようと思っていますので、そこでまた判断があると思うんですけれども。そんな感じでございまして、2年程度かなというような感じではおりますけれども、ちょっとそこら辺は、おっしゃるように、現実的に詰めてみないといけないかなと。
【須藤座長】 3年以内で2年程度が一応考えられる期間ということですね。
【澤田農薬対策室長】 そんな感じかなと。それはよく検討したいと思います。
【須藤座長】 佐々木先生、よろしいですか。
【佐々木委員】 はい。
【須藤座長】 では、近藤先生、どうぞお願いいたします。
【近藤委員】 お願いが何件かありまして、最初が使用基準の考え方についてです。前回も申し上げましが、今回の案では罰則の対象に総使用回数が入りました。実は昨日もナス農家の生産地の皆さんのお話を伺ったんですけれども、特に私がこだわりますのは果菜類などのケースです。例えばナスのように種子をまいてから収穫が終了するまでに作付期間が約1年間を要すものもあります。その間、約半年以上収穫が続きますが、残留基準の決め方については、収穫物を対象にしてその収穫物に、例えば前日、3日前、1週間前というような設定をして回数が決められていると思います。しかし、実際の場面では3カ月前、半年前に収穫をしたものに使った農薬も1回に数えられます。通常、果菜類の農薬登録を見てみますと、ほとんどが前日まで、総使用回数は2回ないし3回以内というのが多いんですけれども、前日まで使えるような薬剤が、半年前、3カ月前に使ったものも総使用回数に含まれるというのが今の仕組みですね。この仕組みの中で、回数違反に罰則を適用するというのはやはり理屈から言っても無理があるし、現場の農家に伺っても、理不尽ではないかという声が非常に強い、回数を罰則規定に入れるならば、逆に、今の基準の決め方について改善を図るなり、何らかの措置が必要ではない思います。ただし、これは収穫が連続する作物の話で、果樹ですとかお米については回数を対象にしても問題ないと考えます。
次は罰則の適用についてです。3月10日以降は罰則の対象になるわけですが、澤田室長さんの方から当面は指導を先行させるというお話を伺いましたので、それで私もいいのかなというふうに思います。なれていない中での間違いや不徹底なども想定されますので、即、罰則に結びつくというのは厳しすぎると思います。現場の農家まで法改正の内容を徹底させる期間というのが必要だと思いますので、その方法をどうするか。私どもも考えなければいけませんけれども、そのための猶予期間をお願いしたいと考えます。
それから、有効年限の問題ですけれども、これはかつて石油ショック時代にはむしろ多少有効年限をオーバーしても使いましょうという指導をした経過もあります。特に生産費のコスト低減が求められている中で重要な課題だと考えます。
通常、有効年限は3年ないし4年というふうになっていますが、、農薬の性格上、売る段階でもう有効年限が1年しか残っていないというようなものもございます。が切れたら、即、使ってはいけないとなると、有効年限の短いものは流通業者も農家も買わないということになりますので不良在庫になってしまう。この繰り返しになるおそれがございますので、ここは少し慎重を期する必要があると思います。資材の有効活用により、コスト低減をはかる意味で検討をお願いしたい課題です。ではないかなと
最後に、マイナー作物につきましては、今、鋭意ご努力をしていただいていますけれども、現場から膨大な要望数が上がっているようです。できるだけ短期間で対応策を作り上げる必要がありますが、マイナー作物だけに試験ができる機関が非常に限られていますし、それから、病害虫の発生についても変動があります。したがって、ことし試験をやったけれども、1年間の試験ではうまくデータが取れなかったというのもございますので、できれば1年以内ということでなくて、先ほどおっしゃられたような3年とか、猶予期間を設けて計画的に登録を整備していくという配慮が必要ではないかと思います。
以上です。
【須藤座長】 今の点で、澤田室長の方でございますか。
【澤田農薬対策室長】 多分今のいろいろなご意見の中で、長期どりの話が一番ポイントだと思うんですが。
【須藤座長】 回数のカウントの仕方ね。
【澤田農薬対策室長】 やはりちゃんとしたルールで守っていっていただきたいというのはあるわけですが、現在のところは普通栽培でやっているということがあって、そこだけで確かめられているというところがあるので、当面はその範囲で使える農薬を組み合わせていただいて、その間に長期どりの試験もやっていただいて、長期どりのデータもとって、それを根拠にどういう使い方をするかというのを考えていくというのが順当なやり方だと思うんですよね。
【須藤座長】 今の近藤委員のお話のその部分のところは、若干柔軟性も考えておかないと、ただカウントしてこれが1回余分だったとか、連続しているときの部分のカウントの仕方というのは、やはり考慮せざるを得ないんでしょうね。普通にやっているのとはちょっと違う。それは普通に開始して収穫するだけの話でこれをやっているわけですよね、回数というのは。それから、登録保留基準なんかをつくるとき、私もあのときにこだわったのは、登録保留基準を我々が算定するときのやり方で回数が決まるから、これは回数が必要だという主張を前回もしているわけですので、そういうことの前提が成り立たない部分は、やはりちょっとした工夫なり仕組みなり、あるいは指導なり、その辺はやらないと、今のお話を伺っていると、やはりそういう部分は必要かなという気もいたしましたので、私、かなりその回数を主張しました。結局、登録保留基準をつくるときのやり方で、そっちの基準値とこれを合わせるべきだという意味で申し上げているわけですので、それはどうぞご考慮してください。
【澤田農薬対策室長】 はい。
【須藤座長】 では、どうぞ本山先生お願いします。
【本山委員】 マイナー作物のところ、先ほどの一定期間をどうするかという議論ですけれども、現在の登録の仕組みでは、適用作物のほかに適用害虫、病気、雑草、それも組み合わせて指定しておりますよね。そうすると、害虫なんかでも通常は2年間で6カ所の例数を必要とするということでやっていますので、害虫の発生が少ないときなんかは2年間でデータが取れないということもよくあるわけですね。ですから、この一定期間を2年とか3年ということですと、かなりボリュームがあるなという気もいたします。考え方として、対象病害虫と作物の両方の組み合わせの試験ではなくて、マイナー作物の場合は、例えば、十字科の野菜でこの中に登録がある薬をマイナー作物に適用するときには、作物残留だけをしっかり試験をして、病害虫の効力の方はもう読みかえるというような手続をすれば、非常に簡略化して早い期間にデータがそろうかなという気がいたします。
それから6ページですけれども、2の使用基準の考え方の[1]の適用作物がありますけれども、ここには適用病害虫は書いてありませんので、多分病害虫は必要ないんだろうというふうに私は解釈しております。
それから7ページの倉庫、その他あるいは航空機を利用したという、この防除業者はあらかじめ使用する農薬の種類について承認を受けると、変更の場合も同様ということですね。例えばイの(ア)のところですね。これは実際には毎年その手続を更新するのか、あるいは途中で新しく登録が認可されるような薬剤も変わりますので、それがどういうふうに実際にご利用されるのかということをちょっとお聞きしたいんですが。
【須藤座長】 これは最初のところはコメントとしてお受けとめいただきたい。今の航空機の防除のことをどうぞ。
【澤田農薬対策室長】 一応、毎年を考えています。というのは、防除業者は従来届け出だったんですが、1回届けてしまえばというところがあって、あとは把握できない部分があったので、やはり毎年かなと。まくたびにというのもきついなと思いますので、毎年ぐらいで考えています。
【本山委員】 途中で新しい薬剤の登録がおりたというようなときは、これをまた追加して届けるということになるんですね。
【澤田農薬対策室長】 はい。
【須藤座長】 では、北原先生、どうぞお願いいたします。
【北原委員】 もういろいろ出てきたんですけれども、繰り返しになるかもしれません。やはり最初のこういうチェックとか、そういうところは非常に気になるところでして、先ほど室長の方からは指導を徹底するというお話がありました。ちょっとOBなんていうお話がありましたけれども、私、ふだんから、最近特に考えていることは、大学でもいろいろなところでも、小中学校、高校でもそうなんですが、昔と違って退職しても60を過ぎても元気な人は幾らでもいます。そういう人の活用の仕方が非常に下手なのではないかと思っています。ぜひそういう方を、いや、もうそれをやらなければ、これだけ少子化の時代に、まず社会が動かないのではないかと思っています、女性も含めて。それを活用すると。そういう意味で、OBとちらっとおっしゃいましたけれども、そういう方を活用して、この指導の徹底というのにぜひ力を入れていただきたいなと思っています。
それからもう一つは、私は実は有機化学の化学屋なものですから、物質の廃棄というのが今は非常にどこでも問題なわけです、どうやってやるか。我々の場合は大学にちゃんと環境安全制度というのがありまして最近は焼却しているんですけれども、特に上等な炉を持ってですね。農薬の場合もこれは有機化合物ですから、もし回収ということになったら基本的には焼却になるだろうと思います。先ほどコストの問題もありましたけれども。そこで、一つ質問は、この「最終有効年月日」というのがありますけれども、それの基準として、きちんと保存して1年、2年、3年、室温なら室温でもいいですけれども、それで、どの辺でどのぐらいになったかと、そういうデータはちゃんととれていますでしょうか。
【澤田農薬対策室長】 それは保存安定試験というのをやっているんですけれども。
【北原委員】 それとその最終有効とはどういう関係がありますか。
【澤田農薬対策室長】 この期間であれば問題ないという…。
【北原委員】 例えば9割ぐらいとか…。
【澤田農薬対策室長】 だんだん有効成分が減ってきて、それを前提に試験をやって…。
【北原委員】 それは4年ぐらいのものですかね。
【澤田農薬対策室長】 いや、多分これより長いのだと思います。
【北原委員】 もっと長いのではないかと私も思います、恐らく。
【澤田農薬対策室長】 ものによっては5年というのもあるんですけれども、その登録の更新というんですか、登録期間というのは3年なんですよね。多分それには合っているのかもしれない。
【北原委員】 だから、有効期限が登録の期間というのになっているとしたら。
【澤田農薬対策室長】 だけど、3年はとにかく大丈夫だということなんですよね。
【北原委員】 でしょうけれども。
【澤田農薬対策室長】 もっと長く、ものによってはやはり…。
【北原委員】 大体こういうユーザーにしたら、実際、有機化合物とかこういうたぐいのものというのはかなり長いと僕は思っています。だから、そうなると、その辺のこともちょっと考慮していかないと、先ほどのご意見にも沿わないような感じがいたしますけれども。こういうことについて考えるなら。その辺も含めて少しご考慮いただければと思います。
【須藤座長】 そういうデータは、きちんとはなくても何例かあって、北原先生がおっしゃるように、例えば有効期限が4年間だとか5年目、6年目、7年目、あるいは10年目ということで、多分こういう物質ですから、そんなにすぐなくなるということでもないような気がしますね。
【北原委員】 そう思います。
【須藤座長】 ですから、その辺のところのデータなり、何か情緒的にこういうのは廃棄物の量を少なくするというのも3RのまずRの1つですからね。減少させるというところがまず必要でありますので、ですから、ちょっとその辺で…。
【澤田農薬対策室長】 今ちょっと確認したんですが、やはり有効成分の確保される期間は3年なんだそうです。
【須藤座長】 3年なんですか。3年から減るのね。
【事務局】 農薬の製剤ごとでデータをとっていまして、有効成分の確保期間が長ければ有効期限が長くしてあります。
【須藤座長】 してあるのね。
【事務局】 ラベルには有効年月日も記載してあります、有効期限を3年間とするために最初に製造するときの有効成分の仕込み量を調整して有効期間内は表示されている有効成分が保証されるようにしています。
【須藤座長】 保証は間違いない、保証はそうでしょうね。
【北原委員】 例えばこういう有剤とか液剤とか、きっとかなりもちが違うと思うんです。だから、その辺のところも含めて…。
【事務局】 それはやはりその期間内というか、そんなに長くもつような形ではなく、一応、やはり有効期限があると。
【北原委員】 何%まで減少したらいいと考えているんですか、有効成分が。
【事務局】 今、有効成分の含有量というのは下限保証なんです。常に市場に出回っているものは表示しているものを担保しているというふうに聞いています。
【須藤座長】 どうもありがとうございました。これは割とこの辺を徹底してくると大事な問題になりそうですね。そうなってくると、やはり廃棄の部分のところをどうクリアするかというのは大事だと思いますので、今北原先生がおっしゃったような立場でも、どうぞご検討をする課題だろうと思います。よろしくお願いします。
それでは、亀若先生、どうぞお願いします。
【亀若委員】 おくれてまいりまして失礼しました。私の方からちょっと2点ばかり申し上げさせていただきます。
一つは6ページの使用総回数です。これは私もこの間、作物生産の実態、特に無限花序でずっと長くとるものについて、こういう罰則の対象としての回数を入れるのはどうかということを申し上げたんですが、これは作物残留のあのデータをとるときの回数ですね。つまり、収穫前日までかけてもいいですよ。だけど、そのものの剤については、1週間ぐらいのインターバルで3回かけた結果がこういう結果でございますと、いわゆる一つの設計基準に基づく回数なんですね。ところが、営農の立場からするとそうではなくて、例えばうどん粉病であれば、若苗のときにもやったりというふうな形で順次かけていくものですから、そういういわゆる作残と言っていますが、作物残留基準のときの試験回数、しかも、それはマニュアルに基づいてこういうインターバルでかけなさい、それが3回以内で結果的にはどうだったというのを見るのと、営農上の使用回数との違いというものは、やはりあってしかるべきだと思うんです。ところが、過去の登録保留基準のデータなんかを見ますと、おもしろいことに何回以内という使用回数と、それから作残でやっている回数とがほぼ合っている。全部見ておりませんのでよくわからないんですが、これからもしこの原案のように罰則対象となる使用の方法の中に、使用総回数と入れる場合、確かに作残の立場から見ると、3回でこれだけの残留があったんだと、それでオーケーしたのではないかという須藤先生のお話、それは本当によくわかる。だけど、営農の面からいくと、それとは違う次元があるんですね。ですから、そこら辺を指導上どううまく調整というのか、説明をするというのか、そこをきちんとしていただく必要があると思います。私も当然農薬に対する薬剤耐性だとか、あるいは薬剤抵抗性が出るわけですから、同じ薬剤について回数を多くしていいということを決して申し上げているわけではないのですが、そういう作物生産に対して見ている回数なのか、あるいは最後の収穫物の作物残留に対して見ている回数なのか。そこら辺の説明なり、物の考え方をよく整理をしていただきたいということが1点です。
それから、もう1点は最後のマイナー作物の方ですが、ちょっと私、おくれてきたのでこの説明を聞いていないのでピント外れかもしれませんが、10ページの分類ですね。これも作物残留の検討の面から見ますと、例えば野菜なんかについても第一果菜とか第二葉菜とかというふうに分類をして、それについてのトータルといいますか、消費量でもってADIとの比を見ているわけですね。今回、そういうもので登録されていないものについて、一つのグルーピングという形で見ていくということは大変いいことかと思います。経過措置としても、そういうことでやらざるを得ないのではないかなと思っておりますのでそれはいいんです。ただ、例えばあぶらな科というものの作物残留という立場から見ると、形状の違うものがいろいろあるんですね。パセリなんかについては、これは第二葉菜類で我々はチェックをしている。それは同じく大根の葉っぱなんかも入っているんですね。したがって、その他の野菜の中にパセリが入り、あぶらな科野菜の中にはそれは別のものとして入っている。パセリはもちろんセリ科ですから違うんですけれども、そこら辺、これから指導される場合にかなり難しいなという感じもしないでもないので、ここら辺の作物残留の場合の形状に基づいて残留しやすいものとか、そうでないものとかという物の考え方と、営農の現場での物の考え方とが、またやはりここでもずれているような気がいたしますので、そこら辺をどういうふうに整理されたのかというのをちょっとお伺いしたいんです。そういう指導上の面でよく注意をしていっていただきたいなというふうに思います。
以上です。
【須藤座長】 どうもありがとうございました。前段の先ほどの回数の問題のところは近藤先生と大体類似のご意見をいただいたと思いますので、これはまた後ほどもしまたご議論があればいたしますが、営農の立場と、それから保留基準を決めるには、実際に実験をやって基準値を出したのと、あれは相違があるんですよと、実態は違うんですよと、こういうご主張だと思うんですが、それはずっと繰り返していても多分そういうふうになるだろうと思いますから、ちょっとその辺についての議論は、もし後であれば、そこは十分にいたしますけれども、後段の今のあぶらなの例で挙げた部分のところをどうぞ。
【澤田農薬対策室長】 一応マイナーのやつというのは、要はどこに所属するかというのは非常にいろいろあるので、所属が広くとれるようにということで一応区分をつくったんですが、実際のところはどういう使用方法を当てていくかというところが非常に重要なので、それぞれの残留基準があれば、その基準を超えないようにという使用方法を指導していかなければいけないというのが基本でございます。亀若委員からのご心配もその点だと思いますので、そこはそういうことのないようにという配慮でやってまいります。
【須藤座長】 ありがとうございました。
【本山委員】 今の使用回数のことですけれども、これは多分農薬を開発したメーカーの方が大体申請してくるのではないかと思うんですけれども。この作物に対しては何回というようなことで。そして、それに応じて作物残留の試験がされると思うんですね。
【須藤座長】 そうです、それでやっているんです。
【本山委員】 ですから、もしこれをふやすということでしたら、例えばメーカーの方が3回ではなくて5回散布して、そして作物残留試験をすれば、最終的な収穫前日、何日前ということをきちんと守って3回ではなくて5回やって、それで残留基準を上回らないという確認がされれば、それでいいわけですよね。
【須藤座長】 そうです、おっしゃるとおりです。
ということで、では、金森先生、どうぞお願いいたします。
【金森委員】 今ご意見がありましたように、メーカーの方が既にそういうことを含んで申請をしてくるという前提にきちんと統一をするということで、私は使用総回数というのはやはりここに定められるべきではないかと。もし作物の種類等による、例えば先ほどおっしゃっていた無限花序などについて矛盾があるということであれば、基準のところをそういうことでメーカーの試験の段取りなどを変えていくということの方が現実に近いのではないかということで、この[4]の使用総回数というのはぜひ残していただきたいというふうに希望します。
それから、二つ目がチェック体制のことですが、先ほど使用のアドバイザー制度を立ち上げるということで、大変結構なことではないかと思います。今までも既にそういうことがかなり専門的に指導されていた上で使われていたというふうに消費者は理解していたんですけれども、今回のいろいろなことで、まだまだ情報が最終ユーザーにきちんと届いていなかったという問題点があったと思いますので、その辺を最初の指導段階からマニュアルの説明といいますか、そういったことをきちんと必要性も含めてしていただく必要があるのではないかと。この定期的というのはどれぐらいに考えておられるのか、今の段階でのお考えがあれば聞かせていただきたいと思います。
それから三つ目に、最終有効年月を超えたものというところの議論がいろいろ出ておりますけれども、前回のときにも申し上げたんですが、その失効理由というのが公表されないという現状のようですね。効き目が悪くなるということについては、経済的損失その他はあると思いますが、安全性に問題があって失効した農薬について、使用者が情報を知っていれば積極的に回収システムを利用しようということになると思うんですけれども、そうでない場合は、きちんとその成果を挙げられるかどうか難しい気もします。
それともう一つは、使用者の方が自分の自己責任ということを問われるわけですから、農薬の安全性について、その後の知見でこういう問題が起きたんだということを知る権利もあるのではないかと思うんです。使用者も安全上の情報を共有する必要がありますし、回収で済む問題ではないと思いますので、失効したものについての情報が、どういうふうにここで扱われる案になっているのかお聞きしたいと思います。
以上です。
【須藤座長】 ありがとうございました。前半の点については、一致は見ていませんけれども、もう既に議論をして一応お話しいただいているので、今の部分のところ、失効の理由。
【澤田農薬対策室長】 後半の2点、定期的とはどのぐらいかというのも。使用者の話になってきますとすごく数が多くて、あと県の指導体制、要するにチェックする側の体制があるので非常に難しい点があるので、可能な限りぐるぐるよく回るようにという、その地域の指導体制も含めてこれから構築していかなければいけないと思っていますので、なるたけたくさんやりたいということは考えていますが。
【金森委員】 なぜこれを申し上げるかというと、従来も、私は機会があるごとに使用実態はきちんと使用基準が守られているか、それが客観的に把握されているんですねとお伺いすると、いや、それはちゃんと巡回したりして把握しているというご説明ばかりでした。それがいろいろな最近の情報などによると、やはり人的にも非常に無理があったのではないか、それから実態が果たして、当時のそういう体制の中でどこまで把握されていたのか、大変不信感を強めている人たちが今回のことで多いと思うんです。ですから、地域の実態に沿って、可能な範囲で定期的にという表現になっているよりも、過渡的なことは猶予期間を置くとしても、目安として定期的というのはどれぐらいのことを指しているのか。それを示されたほうが各地で体制をつくる上でも好ましいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
【澤田農薬対策室長】 検討させていただきます。というか、今おっしゃられましたけれども、これまで不信感、いいかげんであったのではないかという話は、やはりルールとして守らなければいけないということがきちんとどこにも書いていなかったということが一番根本原因だったと思うんです。例えば登録農薬であっても使用してはいけないと。禁止だということが書いていなかったわけです。使用方法についても、守らなければいけないということが、これまでどこにも書いていなかった。遵守することが望ましい基準はありましたけれども。そういう中でこれまで一生懸命指導はしていたんでしょうけれども、そこが十分徹底できなかった部分があったので、まず、これは守らなければいけないルールですと。きのうの特定農薬の話もそうですけれども、私どものところにもいろいろな情報が入ってくるんですけれども、今、現場段階では何をどうしたらいいのか、何が守らなければいけなくて、何がやっていいことなのか、何を使ってよくて何がだめなのかというのに非常に不安であると。さっきも県のリンゴ協会の会長さんが来られて、ずっと午前中話していたんですけれども、そこら辺が非常に心配で心配で、自分も聞かれるけれども答えられないし、どうしたらいいんでしょうと。それはもう今月中にとにかくルールをつくりますから、来月はそれを啓発して、私どもも5、6回に1回とかどんどんやりますので、ちょっと待ってくださいというふうに申し上げたんですけれども、そういうルールをきちんと決めて、それで指導していくというのをやっていきたいと思っているんです。定期的というのもその中で考えてまいりますが、何か目標みたいなものを考えてやっていくということだと思います。
それとあと、失効農薬の話がございました。前回もご指摘いただいて、私どもも考えておりまして、これからその失効を受け付けるというか、失効しますということで失効の届け出が向こうから来るんですけれども、そのときに失効理由も聞いていこうというふうに思います。公表の話がありましたので、それもちょっと検討いたします。過去のやつはちょっと多いので、問題のあるものはもちろんこの前みたいに出していくんですけれども、そこもどこまでできるかなという気がします。今後のやつは、とにかくそういうふうにできるようにしていきたいと思っています。
それとあと回収の話がございまして、実は今度の通常国会で、前回、改正をやったんですけれども、積み残しというか回収の話が実はございまして、その辺も検討していきたいというふうに思っています。要は、問題のある農薬、無登録農薬とか販売禁止した農薬とか、そういうものが回収できるようにする。というか、要するに違法で販売した者に回収させるということですね。要するに、販売禁止と決めたのにそれ以降も売っていたとか、あるいは無登録なのに売っていたとか、そういうものについては回収できるように、法的なことをこれから提案というか、世の中に出すときもそういう検討をしております。
【金森委員】 ぜひそこのところは使用者に情報がきちんと行くように、使用者は回収理由を理解しないと、なかなか積極的にならないと思うので、メーカーの方の責務ということもあるのではないかと思うんです。最初はわからなかった知見が後でこういう問題が起きたということは、別に最初の登録保留基準の審査資料をいんちきしたわけでも何でもないわけですから、そういう意味で、私はメーカーもきちんとそこのところは企業としての社会的責任をとるべきだと思うんです。ですから、ぜひぜひその情報が出るような方向で前向きにご検討いただけるとありがたいと思います。
【須藤座長】 どうぞ本山先生。
【本山委員】 私、この問題、前回のときにも発言したと思うんですけれども、失効農薬を回収するかどうかということですけれども、失効したときにメーカーが、安全性上の問題で、毒性上何か見つかったから登録をもうやめますというときには、今は私たち指導者が遵守すべき基準を話していますけれども、メーカーの方にも必ずそれは報告をするということを義務化する必要があるのではないかという気がするんです。そうしないと、メーカーの方はもっと負担がかかるということで、そのまま黙ってただ失効扱いにしてしまうということになりますと、回収が余り進まないということになりますので、毒性上の問題でもう登録をやめるというときには、必ずメーカーは役所に報告をしなければいけないというシステムが必要ではないかと思います。
【須藤座長】 貴重なご意見をどうもありがとうございました。この問題は今はまだこの中に入っていないんですよね。どうですか、澤田室長、今の本山先生のご発言のようなシステムにはなっていないんですよね。
【澤田農薬対策室長】 今本山先生がおっしゃった安全性、毒性の話とか、そういう情報があったときの報告の義務は入っていません。さっきお話のありました回収は、次の20日からの国会で検討いたします。ただ、その回収の話のとき、一般的に安全上問題ない、今の古い農薬というのは、これはもう自主的な回収システムで、さっき申し上げましたようにそういう話で、問題があるやつはちゃんとした回収義務ということでやっていくということです。
【須藤座長】 本山先生、それでよろしいですね。問題がある農薬は回収するシステムをつくると。よろしいですか。もうちょっと広いですね、先生のお話は。
【本山委員】 私はやはりメーカーが毒性上の問題が確認できたときには、すぐ報告をすることを義務化するということを提案したいと思っています。
【須藤座長】 もちろんこれはご意見ですけれども、受けとめておいていただきたいと。
【澤田農薬対策室長】 今の情報の話はちょっと検討課題なので、今すぐお答えできる状態ではないのですが。
【須藤座長】 もちろん。ですから、十分にそれを受けとめていただいて、そういう方向になるように、大事なことだと思いますので、お願いをいたします。
次は岡田先生、どうぞよろしくお願いします。
【岡田委員】 大方は共通してくると思うんですけれども、この紙の上の方から順番にいきますと、やはり皆さんが心配しておられることというのはみんな同じようなことになるんですよね。私も安全使用基準の議論を随分長いことさせてもらって、回数と使用前何日まで、ここから残留の分析計算ができているというのはよくわかっているんですけれども、回数というのは非常に大事だし、具体的に困ることがある。まいてしまったけれども、雨が降ったと。次の日にまこうと思うんだけれども、ほかの薬はなかったというようなことというのは普通に起こるので、その回数というところを何人もの人が言ったというのを一応そちら側も記録しておいていただきたいと思います。これは守るべきですけれども、なかなか難しい問題があると思います。農家というのは、まきたくてまいているのではない。まかざるを得ないからまいているんだというところがあります。
次のページあたりにいって、3の(1)アのあたりで、ここで承認を受けるというのがあるんですけれども、こういうふうなものはその都度なのか、年に1回やっておけばいいのか、どういうことなのか。そういうふうなことがこのページに幾つかあると思うんです。イの(ア)とか、それからウとか、そういうところで出てくるのではないかと思います。
最終有効年月というのは私は余り考えてはいないんですが、それは毒性とか残留とかそういうものの変質ということになれば慎重にならないといけないですけれども、効果という方からすれば、私はそんなに考えなくていいかなというふうに思っています。
それから、マイナー作物、マイナー病害虫に対して、防除団体、農家あたりのご要望をいろいろな組織が聞いて、そういうふうなものをまとめて何件ぐらいあったというのを見ますとすばらしい数が出てきたと漏れ聞いて、それをまとめればどのぐらい減ったというのも聞いていますが、そういうふうなものをさっきのグループ化でカバーしていく場合に、すごい数があるわけですからカバーし切れないものもあるんだろうと思いますけれども、それの一定期間猶予するというのは初めは1年なのか2年なのかと思っていて、1年だったら数がすごいからとても大変だろうなと思っていたんですが、3年まで、2年ぐらいというふうなお考えのようですから、2年は欲しいなというふうに思っていました。適用登録拡大をするわけですから、その有効期間は常識的に3年になるだろうと思っていましたけれども、それは先ほど3年というふうなことを言っておられたので、いいと思うんですが。
そこで、そのための試験というのが必要になって、マイナー作物、マイナー病害虫に対する登録に関しては、初めての登録と違って2年6例以上なんていうきちんとしたものでなくて、単年度2例とか3例とかいうことでいいことになっていると思いますから、その試験はやはりきちんとして、効果があるというのを示した上で再登録をするようにしていただきたいと思います。これは効果の方も残留の方も両方そういうふうにお願いしたいと思います。
大体そのぐらいで、皆さん言ってきたことと重複しますけれども、申し上げたいのはこのぐらいです。
【須藤座長】 どうもありがとうございました。大体前にお答えいただいた範囲かなと思います。澤田室長、今の岡田先生のご質問はよろしいですね。それではコメントとして、あるいはご要望として受けとめていただきたいと思います。
そうしたら、伊東先生、どうぞお願いいたします。
【伊東委員】 6ページの2の使用基準のところですが、今回、はっきり食用作物及び飼料作物に使用する場合ということで、非常に具体的に限定してあらわしたので、大変理解しやすいなというふうに思いました。[1]の適用作物がありながら、下にそのところでさらに食用作物云々ということがありますので、この辺は食の安全ということを非常に強調して、この罰則を変えるというのがあらわれているのではないかなというふうに思います。
前回、ちょっと非食用作物のところで少し述べたんですが、ここに書いてございますように、この二つの食用、飼料について、遵守の義務でこれに違反した場合云々というふうに書いてございますので、逆に言うと、非食用の場面では、当面は従来どおり、特に適用のないものにいろいろ定めが多いんですが、実質使っている農薬は食用作物に登録のある農薬を使って、薬剤の方も使用者の方で責任を持って確かめながら使っているということですので、ここに書いてございますように、そちらの非食用の場面では、当面この罰則規定も含めて、チェックも含めて、そちらは当分は従来どおりのやり方でというふうに解釈してよろしいのかどうか、その辺をちょっと一つ確認をさせていただきたいなというふうに思っています。非食用ですから、従来あるいは今後も残留絡みのチェックというのはないものですから、そういうことでいいのかなと。
それから、チェックを行う指導者云々というところで、県とか農協等というふうに書いてございますが、特に従来のチェック的な機能は、農協も県と協力しながらということで、余り農協が組合員の農家へ立ち入るというのは大変お互いに、その後の業務にも影響するというようなことがあるものですから、その辺はやはり県と農協、あるいはそのほかの機関と協力というような意味合いで理解していいのかどうか、そこだけちょっとお聞きしておきたいと思います。
以上です。
【須藤座長】 それでは、ご質問ですのでどうぞ。
【澤田農薬対策室長】 非食用の方はいろいろな問題がありまして、一つは花がありまして、もちろん食用の花ではないんですけれども、物すごく種類が多いわけです。今考えているのは、花は花卉類ということでまとめて一本で登録してもらうということを考えて、メーカーと話をしております。ただ、この場合に薬害が問題なんです。残留ではございませんので、薬害が問題なんです。花も色がきれいな花とかいろいろあって、それが色が変わってしまったとか枯れてしまったとか、そこら辺の話があるものは非常に難しそうなものも出てくるので、それはメーカーといろいろ相談しながら、ある程度さっきおっしゃった使用者の責任というものもあるので、使用上の注意にそこら辺を書き込んでやれないかなということを今相談しています。できるだけ花卉類という一本で、できないかなということを今考えています。
【伊東委員】 今おっしゃられましたように、薬害の責任はあくまで使用者の方だということをはっきりうたっていただいた方が、逆に現場の方は非常にいいのではないかなというふうに思っていますので、そういう方向でぜひお願いしたいなと思います。
【須藤座長】 どうもありがとうございました。それだけでよろしいかな、チェックの部分の農協のかかわりはいいですか。あともうちょっとご質問がありましたよね。チェック体制に県とか農協も入っているわけですよね。
【伊東委員】 そのチェックの動き方というか、やり方の中身で、県、農協等を含むと。いわゆる指導機関ということでございますけれども、この辺のところの対応の仕方も、少し違うようなところも考えておられるのかどうか、そこをちょっとお聞きしたい。
【澤田農薬対策室長】 一つは県の体制なんですよね。だから、県の中でどういう体制を組んでいただけるかということだと思うので、そこは指導面も含めて各県で考えていただく部分だと思います。
【須藤座長】 ありがとうございました。
本山先生、どうぞ。
【本山委員】 今、非食用作物の話題が出ましたんですけれども、今度のこの改正案で、非常に問題点が残っているというふうに私は考えています。それは、農耕地用の農薬を非農耕地で使う分には何も罰則はないんでしょうけれども、非農耕地の除草剤というのはたくさん出回っているわけですね、ホームセンターとかに行くと。実際にそれが安いものですから、農家が買って農耕地で使うということが行われているわけで、今度は使用者責任が制度化されましたから、農家そのものは躊躇するかもしれませんけれども、河川敷なんかは建設省が担当でしょうけれども、このごろは余り除草剤を使わずに機械で除草している場合が多いですけれども、やはり我々がこうやって人畜に対する安全性と、それから環境に対する安全性を確保しようとして一生懸命やっているわけですけれども、そういう非農耕地用の農薬は何の監督官庁がないということで無制限に使われますと、せっかく農薬の方で一生懸命やっても何もならないことになりますね、河川の問題も。だから、この問題を何とかちょっと考えていただきたいという気がします。
【須藤座長】 ありがとうございます。これはもう早川室長の方の分野でしょうから、考え方でも、これから取り組むとか。ほかの部分でも議論がありましたよね、この議論ね。当方の部会で。
【早川農薬環境管理室長】 非農耕地用除草剤を農耕地に転用して使うということについては、今度これで規制されて、それによって、実態論とすれば、相当の非農耕地用除草剤が農地に使われていて問題があったのではないかとは思っておりまして、ユーザーが今後そういうものを使わなくなれば、かなりそういったものは実態的に減っていくというふうに考えられるのではないかというのはあります。
それともう1点、さはさりながら、非農耕地用除草剤を本当に非農耕地に使う場合にはどうなのかということなんですけれども、今の規制は、制度で言うと毒劇法と化学物質の審査規正法があると。化学物質の審査規正法は、そもそも新規化学物質としてつくる段階で、分解性とか蓄積性とかありますけれども、今度さらにそれに対して今度の通常国会で法律改正をして、生体毒性、魚とか甲殻類とか藻類とか、そういったものを見ていくということで、本格的にそういうことを規制していこうというふうに今進んでいます。
もう少し、さらにその次のステップとして、例えば今の農薬取締法のような法律で非農耕地のものを規制するものが必要かどうか、これは我々としてもすぐには判断がつかないんですけれども、例えば農取法の改正によって実質的に非農耕地用の除草剤がどんどん減っていって、実態上問題がなくなっていくのか、やはり問題が残るのか、そこら辺も見きわめていかなければいけないと思いますし、さらに、その化審法のところで環境への影響とか、生態系の保全という観点からも規制が厳しくなりますけれども、かつ、それによってなお問題として解決できないものが依然として残っていくのか、それをちょっと見きわめた上で考えていきたいなというふうに私どもとしては考えております。
【須藤座長】 どうもありがとうございました。環境省の農薬関連のいろいろ委員会やら部会やらの中では、今本山先生がおっしゃった点についても、ときどきそういうご発言があって、農薬がきちんとこういうふうに管理されても、農地に使わない、農薬と言っていいのかどうかわかりませんが、そういう薬剤が環境を汚染していく問題が取り残されているではないかということはよく議論されていまして、多分今の化審法と、具体的には化審法だけではどうも不十分かもしれませんよね。それなので、そういうお願いも随分しています。特に今、化学物質の問題は重要なので、そういう問題も出ておりますので、多分前向きに検討していただけるだろうと、こういうふうに考えております。
それでは、石井先生、どうぞお願いいたします。
【石井委員】 さっきから使用回数の話が何度か出ておるんですけれども、前回の話で使用回数を入れるのはどうかという議論で、私はこの使用回数というものは残留性に対する影響度としては一番低いものであるから、外しても問題なかろうという意見を言ったんですけれども、先ほどの澤田室長のご説明で、要するに、安全性を守るためにこういうことが決まっているんですよということを啓発するのに非常に重要な要素だと思うので、お入れになることについて特に反対するわけではありません。
ただ、今の使用方法、使用回数を決めるやり方なんですが、あくまでも登録の申請主義に沿ってやっていますので、最近は、残留のデータを見せてもらう機会があるんですが、申請者側は必要最低限しかやってこないんですよね。以前は農薬の残留の傾向、消長、薬剤の特性、作物との関係を見るために、例えば1回散布した場合に、どういう残留の消長をするかと。それから、通常病害虫の発生動向を見ると、3回なら3回ぐらいは必要だろう。だから、3回散布をした試験をやると。もし病害虫が異常発生したときのことも考えて、5回ぐらい散布した試験をやるというようなことは以前はやっていたんですね。金がかかるものだから、だんだん一番最低限の3回散布の試験だけやって、3回散布の登録をとるということが現状なんです。だから、その辺はだれが悪いというよりも、お互いにみんなそれで、不足しているわけではないので、別にだれが悪いわけでもないんですが、やはりメーカーに余裕がないんですね。そういうことはこれからご指導をされる中で、ひとつ行政の方にもお考えいただきたいということと、メーカーが3回だからといって、はいそうですか、3回ですかではなくて、そこにやはり検査の中での行政側の意思というものがあろうと思うんです。それをやってはいけないのかもしれない。そういうことをやると、権力を行使することになってよくないのかもしれないんですけれども、やはりそういうものが何かあるのではないかと私はかねてから思っているんです。それは単に意見でございますので、お答えいただかなくても結構ですけれども。
あとはちょっと細かい質問を、法律上の解釈のことで教えてもらいたいんですけれども、このいただいたものを見ますと、11条の4行目のところ、「その登録に係る農薬を自己の使用に供する場合」というのがあるんですけれども、この自己というのは何人もということですよね。ということは、登録されている農薬が自己の使用の範囲において使う分には構わないよということですか。わかりますか。いや、あまり深く追及はしません。そうかどうかと。
【角田課長補佐】 今の話をもう一度お願いします。
【石井委員】 今の11条、3行目の下の方に「その登録に係る農薬を自己の使用に供する場合」というのがありますね。これはこの限りでないわけですから、例えば何人も自分が買ってきた農薬を、登録されている農薬であれば、自分のところの畑の自分が使用するものに登録はないけれどもまいてしまったというのは構わないということですか、ざっくばらんに言えば。
【須藤座長】 この限りではないということですね。
【角田課長補佐】 11条の「自己の使用に供する場合」の主語は、もう少し頭の方から見ていただきますと、2行目の下のところに書いてあります「第2条第1項の登録を受けた者が」です。登録を受けた者が登録を受けた農薬を自己の使用に供する場合というのは、販売しないわけですから農薬の表示が義務づけられていません。ですから、使用の禁止の例外規定に、表示のある農薬以外のものは使用してはならないということなので、登録はとっているんだけれども表示がないということで使用禁止になるわけではないという意味です。登録をとって販売しないときには表示しなくていいんですが安全性は確保されているわけですから、表示がないということだけをとって使用禁止ということにはなりませんよということをここに書いているものでございまして、「すべての者が」というわけではなくて、「登録をとっている者が」ということでございます。
【石井委員】 わかりました。そういう解釈ですね。
もう一つ、大きな3番のその他の使用基準の考え方のところで、こういうことをおやりになることは非常に結構なんですが、とりあえず農林水産大臣の承認を受けることについて遵守義務とするというところなんですが、これの根拠法令はどこでしょうか、何条でしょうか。
【田雑課長補佐】 今おっしゃったのは、倉庫とかの「承認を受ける」というところですよね。
【石井委員】 そうです。
【田雑課長補佐】 法律の根拠条文はないです。
【石井委員】 わかりました。それで結構です。
【須藤座長】 では続いて池田委員、お願いします。
【池田委員】 ちょっといろいろとありまして、すみません、よろしくお願いいたします。
まず、6ページの使用基準の考え方で、ちょっとダブることがありますが、本山先生がお聞きしたときに明確な回答がなかったような感じがいたしますが、適用作物で病害虫の方がない。これはいいんでしょうかという話になったときに、その回答でたしか指摘がなかった思いますが、その辺をまずちょっと。
【澤田農薬対策室長】 これは要するに罰則規定なんです。使用者が、例えば一つの葉っぱの上にいろいろな種類の虫がいて、アオムシを駆除するためにまいたのが隣のカメムシにかかってしまったと、それは罰則かというお話ではないかと思います。農薬というのは表示がございますよね。表示で一応適用病害虫と書いてございまして、これは使用者のためですね。使用者がこの農薬は何に効くのかということで非常に重要な情報なわけです。それは買うときに適切に買う必要があるし、使うときにもその使用方法を守る必要があります。それは使用者のためです。ところが、ここで義務として守ってほしいと思っているのは、これは消費者のことを念頭に置いています。消費者とか環境とか、そういった点を考えています。そうなると、農薬の残留にかかわるポイントが非常に重要になってきまして、がんじがらめに書いたとおりに全部守ってくれというのは、非常によろしいとは思いますが、そこまでやる必要があるのか、根拠として何なのかということですね。使う人が間違えた虫にかけてしまって、それでどうのこうのと言いますと、使用者の責任というか、使用者の方ですよね。ここで考えているのは食の安全ということで、消費者にも影響する使用者としての責務ということで考えた罰則規定でございます。
【池田委員】 だから、それは消費者と、それから農薬の使用者、農家の方からということになりますが、では今度もう一つの立場では、指導する立場というのがありますよね。そうすると、私も往々にして経験していることなんですが、ずっと現場の指導に携わってやってきたわけでございますが。これがもし書いていないと、例えば、春にキャベツにモンシロチョウが発生した、アオムシが発生したこと、皆さん経験があると思いますが。この4月の時期には。もう一つ、秋に発生するハスモンヨトウというのがあるんですよ。これは春は発生しないんです、絶対発生しない。だけど、その登録農薬をハスモンヨトウの農薬というのを使うという、例えばそういう農薬を使うということができるではないですか、キャベツの登録をとっているわけですから。秋には使えるんだけれども、春には本当は使えないと思うんですよ。そういう例が出てくるのではないかと。
そうすると、今、私たちが便宜的にやってきたのは何かというと、作物に登録があればいいではないかと。作物に登録をとるということは、必ずその中に適用される病害虫がありますから、作物に登録があるからそれに準じて同時に防除すると。これには登録がないけれども、作物には登録があるから、それでもってやってくださいと。そういうことでもって指導して逃げているのがずっと現実ではないかと思うんです。この同時防除法というのがもうだめだということで厳しく制限されている県もあります。どうしてもしようがないというマイナーのところについては、同時防除剤なんかもかなり使っている県もあります。今回の規制の中で今防除基準をつくっていますが、見てみますと、この同時防除剤は一切、同時防除方式というんですか、それをやめようということになっていますね。ここだとそれができるではないですか。例えば、農家の方でほかの害虫と間違ったとかと言って、虚偽の記載をしながら通ってしまうということもあるのではないでしょうか。あるいは現場の方で、しようがないね、何もないけれども、一応キャベツに登録があるからそれでいいではないのという、そういう悪い方にとられないかなという気がいたします、これは指導の方の面から。使う方はそれでもってみんなウエルカムになってしまいますよね。どうでしょうか、それは。
【澤田農薬対策室長】 むしろ私の方からお聞きしたいのですが、何をやってもいいというふうに使用者が考えるのかということと、それから、ラベルに書いてある表示は、ここに書いてなければすべて守らなくていいというふうに解釈されるのかということです。私らは基本的にはラベルを守ってくれということなんです。だけど、その中で何に罰則をかけてまで守ってほしいかというのを書いているのであって、そういうことであれば全部省令に書かなければならないですね、書いてあることをすべて。個別にそのラベルというか、農薬の種類ごとに書いてある内容というのは違うので、そこまで全部記述できないので、そこは工夫してどれでも読めるようにしているんですけれども、現場で使用される方というのは省令に書いていなければ指導できないのかと。従来はなかったわけですよね、従来はなくても指導してきた世界なんです。今回、この罰則も含めた基準をつくろうとしている。でも、これが今度できればラベルは一切見なくなって、これだけで皆さんやるようになるのかどうかというところが非常に私は疑問です。やはり指導はもっとしっかりしてほしいと私はむしろ思いますが、いかがですか。
【池田委員】 指導というのは、現場でもって今の指導者というのはとにかく防除を完璧にやろうと、そういう意向が強いわけなんです。では、多発生してしまったときに何をしたらいいかと、何の薬をかけたらいいかというときに、どう解釈するかということですよね。ですから、それは今の法律でいけば、とにかく適用病害虫がなければだめだと、登録がとれていなければだめだということになってきて、また防除基準の作成については、その指導というのが非常に厳しくされてきているわけですよね。だから、各県によるというと、それを暫定的に括弧書きだとか字を小さくしたり、あるいは文章上の表現で何とかと一緒に同時防除ができるとかという表現でやってきているわけですから、言っては悪いけれども、これではますます指導する方が何でもいいんじゃないという感じにとられかねないと私は思います。現場の方ではやはり使いやすいということが大前提なんですから。だから、そうなってくると、今の登録後のやり方というのをもう一度考えていただけないかと。
再三出ておりますが、結局、使用回数の問題に入ってくるんですが、この使用回数は、先ほどメーカーさんの方の意向というふうにおっしゃっておりましたが、そうではないです。そればかりではありません。各県でやはり要望を出します。ということは、私の例で言いますと、例えば温室メロン、これの収穫はたった1回です。何回かやるメロンもありますが。そうしますと、1週間前で打ち切って回数を少なくした方がいいのか、あるいは2週間前に打ち切って散布回数をたくさんした方がいいか。現実の防除はどっちがいいんだと問われます。それは病害虫によって、とにかく畑も前日散布までやって、回数は少なくてもいいから前日散布にしてほしいとか、あるいは栽培の初期から出るものは、とにかく回数を多くするとか少なくするというのは、それぞれの作物でメーカーさんとかなり話す機会があります。ただ、それではなくて一方的にメーカーさんの方から言って、いや、そうは言っているけれども、先ほど出ましたが、経費がかかります。それで断られる場合もありますし。
もう一つは、作残をつくって資料をつくるのはどこかといいますと、試験場なんです。だから、私も全部それをつくってきたんですが、温室メロンをつくるというのはむちゃくちゃ難しい技術ですよ。市販されるようないいメロンをつくらないと実態に合わないわけですよね。それをつくるというと大変なことでして、ちょっと長くなるかもしれませんが、現実のことですので皆さんにお聞きになっていただきたいんですが、メロンの侵入害虫のミナミキイロアザミウマというのでずっとこれをやってきたんですが、それについて私は12、3種の薬剤について国の登録をとりました。それで、静岡県で分析用の資料を私が全部つくりました。品評会に出しても間違いないというふうなことを温室組合の人たちに確認してもらって、それでそれを分析していただいていたわけです。そういうことをやると物すごい大変なんです。延々とかかります。試験なんて全くできないというふうなことになりますが、そうしたことが非常に地方の研究者にとって負担になってきているんです。それで、今やはり作業を少なくしようというのは、メーカーさんばかりではなくて、担当する地方の職員にもある面でそれが反映されているのではないかというふうに思います。ですから、これはもうちょっとその登録の仕方について、この際、お考えいただければなというふうに思っております。
私はどういう根拠でもってそうなってくるかということまでは理解しておりませんが、例えば、先ほど本山さんの方からもお話が出ているように、使用回数の問題の中で長期栽培の方が非常に多くなってきていると。10カ月あるいは1年の栽培というのがざらになってきます。こういう中でやりますと、今の調子だと回数が限られていますから、例えば1月1回以内の使用で3日とか5日前の散布で終わるというふうにして、インターバルをうんとあければ、さっきの中で何回使ってもいいよと、そういうふうな解釈もできないかと。そういう指導をどこかですれば、あるいはそれを受ける方、審査をする方でいけば、これは解決できるのではないかと思うんです。これは後で、どこでやるのかわかりませんが、また後ほどこの問題について別途ということですので、そこでまた議論をお願いしたいんですが。
それからもう一つの問題は、今、非常に大きな温室ができています。1,000平米の温室なんかがいっぱいできていまして、キュウリだとかトマトというのは農家が苗をつくるのではなくて、苗業者から買っています。その苗の散布歴というのが全くわからない、そういう状態が結構あります。これがもう処理してあるのか。逆に、もうこれは処理してありますからと、やらないでもいいのに勝手にやってきているのもあります。これはおせっかいなんですがね。もうちゃんとサービスでやりましたとか言ってきています。そうすると、農家がもうその次の発生のときに使えないというようなこともあります。そうしますと、定植以降だったらいいんですが、育苗期間も含まれる場合がありますので、その辺のところが一つ問題になってくるのではないかというふうに思います。そうしますと、先ほど何回か言いましたように、1月1回以内の使用ということでやっていただければいいなと。これは、だから、登録のときの基準を変えればいいのではないかというふうに思います。
それから次に、記帳とチェックのことで先ほど来話がありますが、これは再三出ていますが、今、現場の方で私が指導するとなると、農薬の安全使用基準の指導についての担当というのは、法律の方では普及員と防除員になっているわけです。あとは知事の認める人ということになっているわけですが、これがいろいろと解釈すると、都道府県知事が指定する者の指導というのは、もう一つ病害虫防除所ということになると思うんですが、病害虫防除所ではまた別途、全般的にやらなければいけないということがありますが。新たに先ほどのお話では農協のOBとか、あるいはその他の方を指定して、このチェックをやったり指導したりというふうなお話がありましたが。この防除員は、法律の12条の3のところに入っていましたか、農薬の使用の指導というのは病害虫防除員とありますが、この病害虫防除員というのは非常に性格があやふやです。これは各県でやられておりまして、全部農家のところもあります。静岡県は農協の職員でやっています。そうではなくて、共済の職員も兼用しているところがあって、これはまちまちなんです。こういうところのまた指導というのも、各県によって防除員を指導しているという実態も非常にまちまちになってきている。国の意向としては、今回こうなりましたから多分またもとに戻すと思うんですが、病害虫防除員というのは非常に流動的になっている人もいるので、発生をしたらその業務だけに専念するようにというようなことでやっていこうという話が一応出ました。そんなことがありますが、それは一応今度は撤回ということになって、特に農薬の安全使用の指導というのは、またもとのように大きな業務になってくるのではないかと思うんです。ですから、この防除員の指導というのをどういうふうにするかというのも、やはりちょっとある程度予算化していただかないと無理ではないかというふうに思います。
それから、これは伊東委員の方からおっしゃったんですが、非食用作物ですね、花とか緑化木については、先ほど室長さんの方から一組にして花一本にしようと。当然、それは緑化木も入っていますね、庭木、街路樹等ですね。そういった部分もありますので、ぜひ花だけではなくて、緑化木であるとか庭木等も含めてお願いできればいいのではないかというふうに思います。
それから、9ページの4、マイナーのことなんですが、このマイナーの方のくくりになっているんですが、この表以外の作物というのはどういうふうになっているんでしょうか。表以外の作物もあるのではないかと思うんですが。ここの経過措置に係わる農作物というのには、当然これは全部が含まれてはいないのではないかと思うんですが。具体的に申しますと、例えばお菓子なんかに使われている植物の葉っぱですね。柏もちの葉っぱ、桜もちの葉っぱ、茨もちの葉っぱというものとか、それから、静岡県の方では特産になっておりますが、水わさび。わさびは西洋わさびと畑わさびが入っていますが、もしそれ以外で解釈するのなら、その他のあぶらな科へ入るということになるわけなんですが、これのその他のものは今後また検討するということになりますか。
ですから、これの登録を本当に簡便にしていただきたいと思いまして。これは本山先生からもお話がありましたように、残留だけやれば、全部共通した害虫なんですから、特にマイナーだけにしかつかないという害虫はまずないと思いますので、一応、効果のある、確認されている薬剤について残留だけやっていただければ、それで物すごくスムーズにいくのではないかというふうに思います。今の制度でいきますと、2年で6例というのが大体の審査基準になっていると思いますが、この2年6例のうち、例えば、静岡県で同じ年に東と西で2カ所やるということはあまり受け付けられないですね。ですから、静岡県で2回やる、私はメロンでやりましたが、メロンで同じことをことしも来年もやらなければいかんということになっています。同じ年に東と西でやればいいではないかというんですが、そうではなくて静岡県は1年1例という事例になっていますから。そういう事例もやはり心得ていただければスムーズに進んでいくのではないかというふうに思います。
そんなところがちょっと気がついたところですが。
【須藤座長】 大変現場でご苦労された立場で非常に詳細な部分で、現実との矛盾というか、うまくいかないのではないかというような懸念も含めましてご質問をいただいたんですが、その中でお答えする必要のあるものがある、あるいは何かコメントなりがあれば。それから、最後のその他も含めて、ございましたらどうぞ。
【澤田農薬対策室長】 いただいたご意見をよく踏まえて、いろいろな現場で困らないよう、できるだけいろいろな仕組みを工夫してまいりたいというふうに。
【須藤座長】 そうですね。今ここで何かということではなくて、やはり現実の問題として、今私が伺っていてもたくさんあって、なるほどという部分も結構あったなと思っています。
では、安藤先生、最後で申しわけございません、どうぞ。まだ時間がございますから、ごゆっくりどうぞお願いします。
【安藤委員】 最後ですので今さら何があるのかなというふうに思うんですが、それに加えて、私、前回もちょっと欠席いたしましたので、的を外れるかなというふうには思うんですが、私の観点からちょっと三つほど申し述べたいなというふうに思っております。
私は皆様方とちょっと違った観点と、もう一つは、私、生活環境という人に曝露するという関係の仕事をしておりますので、そういう観点からちょっとお話をさせていただきたいというふうに思います。
先ほど本山先生がちょっとおっしゃいました、いわゆる農薬以外のものという問題が実は非常に大きな話で、例えば、私はきのう欠席いたしましたが、厚生労働省では今度、農薬には入っていない、例えば医薬品の中に医薬部外品というのがございまして、それも結局は同じような農薬を使っているわけで、それも曝露としてはある程度のシェアを占めるわけで、つまり、そういうものも曝露評価という観点からも、まさに農薬と同じような観点で物事を議論していただかないといけないんだろうというふうに昔から思っていまして、それがなかなかそれぞれの法律体系の中でできないという、この問題をこれから少し考えていただきたいというのが一つでございます。
それからもう一つは、皆様方からご意見が出ましたように、この実行の可能性というのが非常に危ういなというところが、どうしても否めないということでございます。事務局からのお話の中では、指導だとか体制だとかチェックだとか、そういうことがいっぱい出ているわけですけれども、どうも県によって温度差が物すごくありそうだなというふうにうかがえるわけです。それは私どもの方の水道サイドでも同じようなことがございまして、県によってその温度差が物すごく大きいと。ここが非常に大きな問題だなというふうに思うわけでございます。ですから、そこの点を非常にきめ細かにご努力いただければありがたいなと、そんな感じがいたしております。
3番目でございますが、実は今、ちょうど水道水の水質基準改定作業をやっております。また大幅な改定をしようということでございます。これはWHOの飲料水ガイドラインが出てきておりますので、それに伴って今改定作業をやっているわけですが、その中で一番大きな問題が、いまだに最終的にどうしようかなと考えているのが農薬でございます。この農薬についてどうしたらいいだろうかと。つまり、特に水系に入ってくる農薬については、100とか200とかという対象物になってしまう。それを全部はかるのかと、こういうお話になっている。では、はからなければ安全は担保できないのかと、こういう議論が常にございます。そうしますと、はかればいいだろうというふうになりますが、実質問題、はかっていられない。一つの水道原水をはかったとしたら、100検体をはかったら、それは1件当たり何百万とかかってしまう。こういうことは不可能だということになりますので、私どもとしては、水道原水でのそういう問題に非常に興味があるということでございます。
一つ、そこでもう少し話を展開いたしますと、PRTR法というのが一応動き出しました。現在は5トン以上ということになっております。2年後でしたか、来年ぐらいですか、それが1トンになりますね。ですが、多分ここで言う農薬使用者というのは当然入ってこないと。私どもが興味があるのは、上流でどれだけ使用されて、それがいつ使用されて、だから今、取水停止をすべきなのかどうなのか、こういうことが非常に大きな問題。我々はPRTRという法律を利用して、この水源でまずい場合はストップして、そうでない場合は使うということをしたいと思っているわけですが、これができれば非常に理想なんですが、この農薬についてはどうしようもないと、フリーになってしまうと。確かにそれぞれの事業者では押さえてはいるんですが、こういう農薬を使用なさるそれぞれの農家の量は非常に少ないわけですから、当然、PRTR法には入ってこないということになる。ここの問題をどうしたらいいんだろうなと思うわけですし、それが最終的に、例えばその地域の農協だとか、そういうところで集約され、ことしはこういうものを使いますよ、このぐらいの時期ならこういうものを使いますよということがわかれば、我々はそれをチェックすることができると。しかし、それがなければ100の農薬を全部はからなければいけない。こういうことが生じてしまうということでございます。ですから、私どもとしては、まさに消費者の立場からすると、こういうものをもう少しレベルアップをして、PRTR法的なお話に持ち上げていただけるともっとありがたいなと。これは前のお話の方とはまたかなりギャップがある話かもしれませんが、私どもとしてはそういう観点で検討をいただければ非常にありがたいということでございます。
以上です。
【須藤座長】 ありがとうございました。これは早川室長にお答えいただいた方がいいですね。
【早川農薬環境管理室長】 今、安藤先生のお話でございますが、水の問題は一定そういう水道原水、公共用水域を通じて水道原水に入ったときに問題のないように、まさに農薬取締法に基づいて、水田農薬でございますけれども、登録保留基準というものをつくって、まずここで入り口規制をしていくというのが1点でございます。
それと、おっしゃったように、どういう時期にどういうものが使われているかわからないもので、不特定多数の農薬を検出するのは非常に時間とお金がかかるという問題につきましては、まさに平成5年の水道水源が問題になったときに、水道水法ができたあのときですけれども、平成5年12月に中央環境審議会の水質部会で「水道利用に配慮した公共用水利の水質保全対策のあり方」というのを出しまして、その中に農薬対策も入っております。そこで、そういうようなものについては、各県の農林部局、衛生部局、あと環境部局が連携をとるという答申がありまして、その次の年の平成6年の4月か5月か忘れましたけれども、当時の環境庁の水質保全局長を通じて、そういう連絡協議会をつくるということで、当時の厚生省と、建設省も河川をやっているということで建設省と、農水省と環境省が、連名というのも物々しいので水質保全局長が代表で通知文を出しまして、そのときに相当担当部局と相当お話し合いをさせていただいて、農水省からは発生予察とか防除基準とか、そういう情報を環境部局なり衛生部局なりに出してほしいと。環境部局なり衛生部局は、水道の取水の時期とか、あるいは環境基準点の測定時期とか、そういったものをまた農水部局に連絡して、まさにそういうような取水なり水質汚濁に問題のないように、そういった場合に測定もちゃんとできるように、また問題のないような農薬使用をしていこうということで、そういうのをその当時は相当強くやって、そういう協議会もそれぞれの県でつくったというふうに聞いているんですけれども、その後、私も離れてしまって、どうなったかそのフォローは知らないんですけれども。いずれにしても、そういう体制づくりというのはその時点で相当意識を持ってやったことは確かなので、ちょっとそれが今どうなっているかわかりませんけれども、そういうような情報提供というのはなされるようになっていると私は理解しておるんですけれども。
【須藤座長】 安藤先生、私が先にコメントしてはいけないんだけれども、確かにそうなんだけれども、機能していないですよね、今の問題ね。特に水源2法というのは機能していないですよね。
【安藤委員】 全く須藤先生がおっしゃったとおりでございまして、実は機能していないと。これは県によって温度差が物すごくあると。つまり、県の農業関係のところではそういうことがオープンなところもある。あるいは地域によっては、農協でしょうか、農業組合ですか、そこが農薬のカレンダーを見せてくれると。こちらはそれを持って、こういう農薬を使うんだな、では、これをチェックしようと、こういうところはある。ひどいところは、そういうものも見せてくれないということでございますので、物すごく温度差がある。ですから、そこいらのところを再度ご検討いただかないと困ったなというふうに思っています。
【須藤座長】 ありがとうございます。それから、今安藤先生が水道水質基準の話をされたんですが、水道水質基準が検討されているのは環境省側も十分承知していまして、そして、水道の水質基準が新たに加わると、大体同じ項目が同じ濃度に近い状況で環境基準になると。しかも、それは健康項目になるということになるので、どういう農薬がどういうふうに入るかはともかくとして、とりあえずは水道とあわせて環境基準の健康項目になるということだけは間違いないし、専門委員会はもう発足をしております。ですから、あわせてその辺について情報提供をさせていただきますので、結果としては、公共用水域の水質も、項目も含めて厳しい状況で管理されるということは間違いないということだけは申し上げておきます。
一通りご意見を伺ったので、特に最初にご意見を伺った方は、本当は私もこういうことを申し上げたかったというようなこともあるのかもしれないので、あとはもう指名いたしませんので、どうぞご随意に。それと、一番意見の違いということではないんだけれども、使用総回数の問題について若干意見に幅があるというふうに私は受け取っております。が、ここでもさらにそれぞれのお立場でもうちょっとこういうことについておっしゃりたいという方があれば、どうぞ後は任意に手を挙げていただきたい。
では、どうぞ佐々木先生から。その次に行本先生にいきます。
【佐々木委員】 使用回数のことについては、前回、ある程度おさまったのかなと思っていたんですけれども、消費者とか、あるいは農家の方も自分のところでつくっている以外のものについては消費者になるので、一概に消費者という言い方は余りしたくないんですけれども、例えば、農薬が実際の作物に使われて残留するかどうかという問題になったときには、私どもが検査の結果、数字が出たときに、農薬使用基準というのがあって、このとおりにつくれば、たとえ使っていても登録保留基準なり厚生省の基準は超えないんですというふうに説明をしてきているんです。ですから、もし使用基準が少々あいまいで、違う使い方もあるんだというようなことを公になさるのであれば、そこの基本的な、こういう使い方をするからこの基準が安全だというのが担保されなければ、恐らく消費者の方からすれば、では、全部の作物について検査しているんですかというふうになるのではないかという懸念があります。一つは、中国の農薬の問題もそうでしたし、添加物なんかも同じようなことがあるんですけれども、こういうつくり方をしているから、この基準が守られているんですというふうに対になっている場合は、そこの使用基準が守られていないというようなこと、あるいはそこに融通がきくということがあるのであれば、そこも含めた試験をしてきちんと登録保留基準なり安全基準ができているんだという担保が必要だと思うんです。ですから、これはもう本当に私どもも実際にあって悩むことはたくさんあるんですけれども、長期どりをしてこういうふうにまいても残留基準以下になるんだよということがどこかで担保されていないと、この作物は大丈夫なのか、この作物の検査結果は大丈夫なのかということで、恐らく検査の数値しか信じないような生産者と消費者の関係になるのではないかということを非常に危惧しておりまして、もしそういう実態があるのであれば、ぜひその実態に合わせた残留試験をしていただいて、こういう使い方であればここまで大丈夫ですということを、どこかで押さえておく必要があるのではないかなと。これは本当に感想で質問ではありませんので、一応、述べさせていただきました。
【須藤座長】 ありがとうございました。
行本先生、続いてどうぞ。
【行本委員】 先ほど池田さんの方から貴重なご意見がありまして、これ全体の枠組みをみんなではっきり共通の理解ができていないのかなと思ったんです。これは使用基準の考え方の資料なので、このとおりに外に出るわけではありませんよね。
【須藤座長】 省令の法文になるわけですね。これを踏まえて文書は別に。
【行本委員】 そういうことですよね。例えば、農薬使用者の責務というのが最初に出ておりますが、ここのところに当然、ラベルに従って使うというのはあると思うんです。もし必要でしたらそのことをちょっとここに、前段としてもし入れるのであればそういうのを入れて、それで、この使用基準のうちここで今議論している罰則がかかるという部分は非常に重要なところですので、それとの関係みたいなことがわかりやすいような書き方で、例えば各県にもし文書を流されるのでしたら、そういう書き方にするといいと思います。もともとラベルというのは使うときに非常に重要なのですが、その辺は当然ということで抜けているような気がしますので、書き方をちょっと工夫されたらいいかなというふうに思いました。
【須藤座長】 前文のところに入れるんですね、先ほどのところですね。石井先生も同じようなことをおっしゃったんですが、要するに、ここの責務のところですね。
【行本委員】 ええ。入れるとしたらそこがいいかなというふうに思いました。
それから使用総回数の方は、先ほど佐々木さんが言われましたけれども、非常に長く半年にわたって収穫するようなものでは、回数を超えてもいいというためには、やはり一度試験がないと。それは別にすべての農薬でなくてもいいと思うんですけれども、残留性がわかるような試験ですね。それから、1カ月というような長いインターバルで繰り返し処理する場合は、残留性が単一の回数と同じということがわかるような試験があれば、総使用回数ではなくて、何かそういう別の書き方というのがあってもいいかなというふうに思いました。
それから、最後にもう一つですけれども、マイナーの中でマイナー作物の表がここにあるんですけれども、例えばキク科野菜の中ですと、これは比較的ありふれているものとしてはレタスがあるんですが、サルシフィーだとかどういう野菜かよくわからないものがありますけども、この辺、キク科野菜に入るものが出てきた場合に、当面の経過措置として、拡大解釈する場合に困らないのかどうかということと、それから、最終的に3年ぐらいでいろいろ資料をそろえて、同じように登録されるということですが、マイナー作物の基準値が、2年か3年後にみんな何とかそろうんでしょうか。それをちょっとお聞きしたいと思います。
以上です。
【須藤座長】 ありがとうございました。今の問題は澤田室長でいいですね。
【澤田農薬対策室長】 まず、ラベルに従って使用することという文言を入れたらどうかと。ここはまさに法律的な書けるか書けないかという話になってくるので、ちょっとそういうことで相談させてもらいます。
それとあと今のお話で、ちゃんとその期間に基準ができるのか、それは最大限やっていくということなんですよね。これは各県、生産サイドの方も協力し合って、あとメーカーも含めてやっていくしかないので、もうとにかくやっていくということで努力していくということです。
【須藤座長】 ありがとうございました。
そのほか、どうぞ。
【本山委員】 先ほどの適用作物のところに適用病害虫を入れるかどうかという、県の指導する立場の方にすれば、それが入っていないと農家を指導しにくい部分があるんでしょうけれども、ここに入っていないというのは農家のことを考えて入っていないのではないかという気もしますけれども。例えば侵入害虫なんかが急遽出てきたときに、適用病害虫に入っていないと。そうすると農薬が使えない、緊急防除ができないということもあるでしょうし。ですから、消費者サイドの安全性ということからすれば、適用作物が入っていればそれは防除されるわけで、実際に病害虫を防除する農家の立場にすれば、必ずしも罰則をかけられないということの方が自由度があっていいのではないかという気もしますけれども。その辺は配慮で。
【須藤座長】 では、池田先生どうぞ。
【澤田農薬対策室長】 その前に、緊急防除の件は除外できるようにしたいと思っています。別の省令でそこら辺を用意しようと考えております。
【池田委員】 緊急防除のところを先にちょっと言いますと、これは第12条の「農林水産大臣及び環境大臣は、必要があると認められる場合には、前項の基準を変更することができる」と、それでよろしいんですか。私もちょっと先ほど侵入害虫のことでちょっと質問をし忘れてしまったんですが。
【角田課長補佐】 第12条のところを今ごらんになっていただいていると思いますけれども、3行目の終わりから「登録を受けている農薬その他の農林水産省令・環境省令で定める農薬について」という、この基準を定める農薬というのは別の省令に実はなりまして、この12条は実は省令が二つできるんですけれども、そこの省令で、要するに、登録のある農薬を適用拡大するために、試験をするときには厳密に食用である場合は12条に違反になる可能性があるので、それは当然やらないと適用拡大できないので、それを除外するとか、今お話のありましたような緊急防除的な、侵入病害虫に対応したような検疫除外動植物の防除を防ぐための措置とかいったことを別途それで除外できるように手当てしたいと考えております。
【池田委員】 ありがとうございました。先ほどの病害虫の表示の件なんですが、私たちが現場でもってずっと指導していくときには、県の防除基準なんかもつくってありますが、必ず作物と病害虫をセットでやっているわけなんですよね、何回も言いますようにね。ですから、今まで侵入害虫があったり、あるいは突発的に潜在害虫が発生したというときに、登録がないと。そのときが一番困っているわけなんです。ちゃんと作物に登録のある薬はいっぱいありながら、使えないという事例が出ているわけですよね。では防除基準に、そういうことで同時防除ということでどんどん出していったら、それはたしか何年前だったか知らないが、行政監察庁の方からはそれはだめだと、違反するということで、あれは東北の方からまず手が入って、順次ずっといって、今は全国同時防除ということはほとんど大っぴらにはできていないと、そういうふうな状態になっているのではないかと思うんです。
ですから基本は、指導していくときに、必ずラベルを見なさいよと。そのラベルのところにはちゃんとこういうことが書いてあると。使用の濃度まで、あるいは量とかというのまできちんとそういうときは指導します。いろいろな防除の指導の講習があるときには、必ずこの安全使用の回数であるとか何日前だとか、あるいは量だとか、そういうところも細々とやってきているわけです。また、農家はそれである程度なれているのではないかという気もします。もしそれがぱっと外してしまうと、いいではないのかという逆の考えになってきてしまうのではないかと。あくまでも今までやってきたことは私は尊重していくべきではないかとは思います。その方が指導もしやすいのではないかと思うんです。だから、登録をとるようなことをどんどんやっていけばいいのではないかと思います。
静岡県でも作物をたくさんいろいろつくっておりまして、特にマイナーのものがありまして皆さんのところに非常にご迷惑をかけています。消費生活センターの方なんかにも抜き打ちにやられるんですが、それが登録がとれていないということで指摘があるのがいっぱいあるんです。静岡県の何とかというマイナーをやってみたら、何とかという登録もとれていない農薬が0.1ppmとか0.2ppmとか、登録をとれていない農薬を使っているということで来ているわけなんですよね。そういうこともありますので、ちゃんとその点は、登録がとれさえすれば私は全く問題ないと。登録をとったときにちゃんと病害虫までしっかり指定すれば、非常に使いやすい、指導しやすいと。それが現場の意見です。
【須藤座長】 ありがとうございました。
【澤田農薬対策室長】 今、まさに指導の立場でのお話なので、実は指導していく上で、この使用基準というのも一つあるんですが、そのほかにも法律の施行通知というのを出していって、細々したことはそこにいろいろ書く予定なんですよね。お話は、そこにきっちりいろいろなことを書き込んでいきたいなと思うんです。ここはまさに、本来罰則を伴う部分は何なのかというのを書くところなので、それとあわせて見ていただくようにお願いできればという気がしております。
【須藤座長】 法律ですから、しかも罰則規定が入るからということで、最低のところを決めましょうと、こういうことでございます。
どうぞほかにご意見があれば。いいですか。
意見に多少差があるのは使用総回数のところでございますが、この辺は私が前回にも申し上げましたように、登録保留基準値をつく要領よく説明いただきまして、るのはそこで決まっているから、それで、そこを外されるともう1回、先ほどいろいろな現場の方、それから農薬に非常にお詳しい方から、雨が降って流れてしまったら次の日にやるんだよとか、虫がたくさん出たらやるんだよと、それは確かに私もそうだと思います。ですから、いろいろな作物によって違うでしょうから、登録をするときにそういうことも含めて最大の使用回数を出しておいていただいて、それに基づいてADIを計算すれば何ら問題がない。何回にしろと言っているのではない、何回以下という表現にすればいいのです。
先ほどの石井先生のお話もよくわかりました。会社の方もお金もないし試験もできないからと。しかし、そうだからといってそれを外してしまうというのは、私ども登録保留基準を決めさせていただく立場からすると、では、今まで何のためにこれをやってきたのよということになってしまいまして、私はこの委員長をやるときに脅かされたんですよね。農薬でもし何か障害が起きたら、その基準値を決めた委員会であなたが責任者なのだからあなたが責任を持つんだよと、こう言われてそんなことは嫌ですよと言ったんだけれども、やはりずっとやってきて、私は本当は信じていたんですね、回数ということを。この前のときに、回数があまり守られていないんだというのを初めて知ったんですよ。これは大変なことだと、こういうふうに思いまして、正直に言って。確かにおっしゃられている意味はわかります。でも、そういうことを言い出したら、環境の問題と事業の問題をいろいろ議論していくときには、これは会社の産業排水の問題だってそうだし、いろいろな問題があるんです。雨が降って排水が流れてしまったら、雨で流れたからいいんですよと、こういう話ではないんです、今は。それでも排水基準に違反したら罰せられるんですよね。
ですから、そういうことを一々考えていきますと、私はどちらかというと、登録保留基準の審査のところで今の問題は論じていただいて、私は見直すのは当然大切だと思います。だけども、ここで総使用回数を抜いてしまうのは、今まで我々がやってきて、これは何年やっているんですかね、早川室長。ずっと環境省で10年ぐらいやっているんですか。
【早川農薬環境管理室長】 環境庁ができたときからです。
【須藤座長】 できたときからやっているんですか。だから、20数年やっているんですか。やってきて、そこで使用回数を、信じてやってきたものをそこで外されてしまうと、確かに全量とか残留には多分影響ないでしょう。でも、これは多分なんですね。でも、今までのデータはこういう残留値があるから、それで計算してきているんです。それと合うか合わないか、それでずっときたからいいだろうと言ってやってきたにもかかわらず、ここでそれを外されてしまったら、専門委員会としての役割が何であったかというのを私は前回から大変疑問を持っていました。それなので、私は座長ですから強制するわけにはいかないんですが、もちろん使用総回数は入れていただいて、後の問題ですよね。今、いろいろ雨が降ったらどうだとか、虫がいっぱい出たらどうだとか、先ほど指導だの助言だの意識啓発だのいろいろおっしゃっていたので、すぐに罰則にするのではないよという段階があるし、それからもう一つは、登録保留基準を決めるときに、次回からはせめて最大の使用回数で登録保留基準になるデータを出していただきたいと。そういうふうにすれば、前向きの結果になるのではないかなと思うんですが、いかがでしょうか。今、私はそういうふうに提案をさせていただいて、最終的にはここが一番意見の幅があるところなので、座長としてはそういうふうに思いましたので、それで異議があればどうぞお話しください。
【近藤委員】 罰則を伴うルールですから、ルールは正しくなければいけないと思います。そういう意味では、現行のルールが本当に現場の使用実態に合っているか、現場の使用実態を加味した適正な決め方になっているかというと、一部ですが疑問が残るところがあります。罰則規定を適用するためには少なくともその改善が図られるべきだと考えます。
既に意見がたくさん出ている総使用回数についてですが、例えば使用してから残留がゼロになる期間、これは試験をやればわかることです。したがって、その期間以上を経ていれば、何回使っても残留基準はオーバーしないはずです。そこを加味した上でルールができていれば罰則規定の対象になっても結構かと思いますけれども現行基準の決め方はそうなっていません。3月10日以降、現行のルールのままで、即、総使用回数違反に罰則を適用するというのはやはり納得ができません。恐らく皆さん言っていることは一緒だと思いますけれども、最終的に罰則の対象にするのはやむを得ないとしても、、そのためにはルールの見直し・整備があってしかるべきだと思います。
【須藤座長】 ありがとうございました。
どうぞほかに。石井先生、どうぞ。
【石井委員】 この回数のことなんですけれども、もう一つ問題がありますのは、作物の品種というのが次から次に新しいのが出てくるんですね。それを農薬メーカーの責任でデータをつくれというのも酷な話だと思うんです。それを何とかしないと。マイナーなんて特にそうですね。次から次へと出てきて、農薬の登録がないのは行政が悪いみたいなことを言われると、それは行政の人もかわいそうだと思うし、それをどうするかという問題が一つあると思うんです。例えば品種の改良だって、品種をつくるのはいわゆる種苗会社の方が次から次につくるんですけれども、無責任ですよね。それだけつくって、例えばトマトを見てごらんなさい、大きいのから小さいのまで、あんなものを一つの基準で決めろという方が無理なんですよね。だから、私、そこらあたりを何かうまいルールがないものかなと思うんです。だから、農薬を登録しているメーカーさんとそれを使う農家のことだけを議論しても、どうも済まないように思うんです、これ。これは意見だけですが。
【須藤座長】 ありがとうございました。
そのほかにどうでございましょうか。よろしいですか。もう大体同じご意見になるのかもしれませんが、よろしゅうございましょうか。
そうしますと、罰則規定の中に入れてほしくないというご意見の方もいらっしゃるわけなんですが、この取り扱いでございますが、先ほど私が申し上げたように、押し切ってしまうわけにも当然いきませんでしょう。座長がそれを任されているわけでありますが、最終的にはこの委員会をまた再度開催するということは不可能だろうと思います。資材審議会の分科会の方の先生は本山先生が委員長で、中環審の方は私でございますので、それぞれ事務局が両方ございますので、私自身は先ほど申し上げたように入れるべきだと思いますけれども、これは行政的ないろいろな問題もあるでしょうから、最終的には事務局と私ども二人の委員長にお任せをいただいて、どうしてもいろいろご意見のある方は、これからでもよろしいし、両室長あるいはそれぞれの方も含めてご議論いただいて、例えば、これから1時間でも2時間でも、私は必要でございます、私はこれを入れてもらっては実態として困ると、こういうふうなことをお互いに申し上げていても、やはり視点の違いもございますので、繰り返しになるだろうというふうに思いますので、座長としてはとりあえずは入れさせていただきたいということをお願いはしますけれども、もしもどうしてもそれで不都合であると。それから、やはり多少の猶予期間、猶予期間って、これは別に法律ですから猶予はないんだけれども、それは承知しているんですが、登録保留のやり方の見直しやら今のような指導やら助言やら、その辺、言葉としては難しいので、実際はそうではなかろうなんて言われてしまうと困るんだけれども、そういうようなことを十分に踏まえて、使用実態も考慮しながらこれを運用していくということは、それは私としても差し支えないと思うんです。ここからあえて使用基準から総回数を抜いてしまうというのは、いささかもって今までの登録保留基準というものと矛盾するだろうと私は思いますので、一応、まとめとしてはそうさせていただきます。が、最終段階はまだ若干保留をさせていただいて、意見の食い違いがあるところを座長が仕切るのはよろしくないと思うので、とりあえずまとめとしては今のように申し上げるけれども、本山先生と両室長と最終的にご相談させていただくと。どうしても今の私のまとめでぐあいが悪いというようなところは、これは当然、理由あるいはいろいろ問題点をおっしゃっていただいて、それで最終の案にさせていただきたい。
それから、次にいろいろ仕事が進むんでしょうから、その結果をここにいらっしゃる全員にどういうふうにしたかということだけは、当然お知らせをするというまとめでよろしゅうございましょうか。
【中杉委員】 基本的には委員長の結論で結構だと思いますけれども、実際に運用上はあまり変わらないと思うんです、どちらにしても。運用ができるのはどちらが運用できるかという話で、例えば使用禁止にしておかないで、場合によって使用をやめなさいということの運用というのはなかなか難しいと思うんです。大枠として使用の制限という規制があって、それを実際の運用上で緩めるというようなやり方の方が、実効的には、行政的にやりやすいのではないかと。そういう意味では、一応この文言は残しておいて、実行のところで動かしていただくというのがよろしいのではないかという意味で、須藤委員長の取りまとめで私は結構でございます。
【須藤座長】 ほかによろしゅうございますか。よろしければ、まとめの仕方としてはそういうことで、もちろん後で本山先生とももう一度確認をいたしますが、一応この問題はこういうことで整理をさせていただいて、最終的には今のような形で処理をさせていただきますが、一応この議題については異議なしということではなくて、異議があるけれどもそうさせていただくということにいたします。
それで、その他の議題、何かほかにありましょうか。
【本山委員】 ちょっと質問させていただきたいんですが、今のことですけれども、もう少し理解をしたいので。例えば、ハウス栽培のキュウリなんかで、先ほどのお話のように、長期間にわたってキュウリでもナスでもとりますね。何か一例でもいいんですけれども、何回ぐらいになっているんですか、使用回数は。
【池田委員】 静岡県では長期栽培になるとものとしてはトマトぐらいなんです。キュウリはあまり長くないと思うんです。
【亀若委員】 ナスが長いんですね。
【本山委員】 ナスとトマトは大体何回ぐらいなんですか。
【亀若委員】 ちょっと今、私が持っている、ある農薬についての葉カビ病というのがありまして、それは4回以内と。
【本山委員】 4回ですか。
【亀若委員】 そんなものなんです。
【本山委員】 半年以上栽培するもので、登録上は4回しか使用できないと。
【亀若委員】 できないということになるんです。
【本山委員】 それはまずいですね。
【亀若委員】 一応、皆さんリストを持っているんですね。みんなそうですね、全部そう。
【近藤委員】 例えば、ナスのアブラムシ類で言いますと、2回、3回というのがほとんどです。中には一部5回だとか4回というのがありますけれども。
【本山委員】 これはもう今までのはごまかしがあったということですよね。
【近藤委員】 ごまかしというか、生産実態が変わってきているということだと思いますね。
【本山委員】 違った農薬も見直して使えということですか。半年も栽培するものを、うどん粉病にしてもアブラムシにしても継続的に発生してくるものを、2回とか4回しか使用回数がないというのは……。
【石井委員】 ローテーションというのを皆さん苦慮されている。
【本山委員】 そういうことですか。
【池田委員】 ローテーションをしながら、なおかつやはり少ないのがあるわけです。また年によりますと、多発して異常発生したりというところもございますので。そうしますと、やはりどうしても現実には登録農薬というのが少ないというのは確かなんです。
【本山委員】 しかし、安全性の方から言えば、作物残留試験はそういう2回とか4回という散布の条件下でそういうふうにしているわけでしょうから、やはり回数をふやすならば、残留基準を超えない試験は必要になりますよね。
【池田委員】 回数の中で一つちょっと考慮していただきたいのは、浸透移行性の薬剤というのがあるわけですよね。それは結構前のところまで響いてしまうのではないでしょうか。ですから、例えば静岡県ではチンゲンサイというのを栽培しております。同じハウスで大体年間7回か8回ぐらいやっておりますが、ちゃんと土壌処理剤の登録がとれております。とれているけれども、そういうふうにたくさん栽培するから、結局、年1作とか2作だったらいいんですが、連作する土壌では一切使わないでやめようと。要するに、累積してきますからね。そういう配慮は現場ではやっております。
【亀若委員】 それと、ちょっとすみません。先ほど私が申し上げたのは、作物残留のデータをとるときの回数というのは、例えば先ほどのトマトでいけば収穫前日までとなっているんです。それで4回のデータと。4回以内というか4回になっているわけです。それはメーカーさんは、一つのマニュアルがないときちんとしたデータがとれませんから、その1週間前とか、そういうかなり機械的に最後のデータをとれるようにしているわけです。そういう面では、作物残留という立場から見ると、かなりシビアなインターバルなんです。ところが、営農の実態はもっと期間が長いですから、インターバルはもっとあいているかもしれないんです。だから、そういう意味では、営農上の回数と、それと作残のデータをとるときの回数というのは、実は違う部分があるということを申し上げているんです。だから、その作物残留値をとるときの回数を営農の回数にそのままもってくる。それが本当にいいんですかということです。
ところが、おもしろいことに、メーカーから申請されている、これは何回以内というのが別途書いてあるんですが、それが作物残留のデータをとるときのマニュアルの回数と大体合っているんです。それから、この薬剤であれば、作物の期間全体を通じて4回なら4回と書いているんです。それが営農の実態と作物残留をとるときの違いを、どうやってそうしているのかよくわからないところがあるんです。だから、そこはもう一つ言えば、抵抗性が出てくるから、それはもうこの程度に抑えた方がいいだろうなということをメーカーさんとして、薬剤を開発している立場から判断をして、それでこの薬については4回だねと。だけど、かけているのは、その前日なら前日の過去にさかのぼって大体28日、1カ月以内ぐらいにそれをかけてしまっているんです。それでデータを出していますから。そういう性格を理解していただかないと。そういう意味で、私も最初はこれで営農を全部縛るのはけしからんという考えを持っていたんです。ところが、メーカーさんがそれを指導するときには、そういう全体を見渡して回数を決め、そして作残のときにはもっとコンパクト、インターバルを詰めた形で使ってデータを出しているんです。そういう面では回数は合ってきているんです。ということを申し上げたいと思います。
【澤田農薬対策室長】 私どもの立場としては、だれからもわかるというか、決められたルールというか、安全が確認されているルールをうまく組み合わせて、当分の間しのいでいくというか。つまり申し上げているのは、長い期間使うのであれば、果菜類であればいろいろな種類の農薬が登録されているわけでございまして、同じ農薬を使い続ければ病害虫に抵抗性が出て、非常にその農薬自身の寿命を短くすることにもなるわけでございまして、登録されている農薬をうまく組み合わせながら使用していくと。それも決められたルールで使用回数を書いて、その書いたそれぞれの農薬の使用回数を守って、組み合わせながらその場をしのいでいく。その間、何をするかということですが、長期どりのものにふさわしい使用方法をちゃんと試験をして、データをとっていくということでやっていただくというのが私どもが一番望んでいるというか、考えているところなんです。私どもはそういう頭でご提案したいと思っているんですけれども、皆様の方からそれでもだめだと、もっとこうせいというご意見があれば、それはそれで考えていかなければならないと、私どもはそういう感じでございます。
【本山委員】 今のは非常にまともな考え方だと思いますけれども、近藤先生、現状で登録のある薬を組み合わせて、少なくとも3月の時点でやっていくことは難しいでしょうかね。経営上、非常に困難を来すということなら、また考えなければいけないと思いますけれども。そして、今度こういうふうにルールが変わったわけですから、メーカーの方でもそれに対応して、この登録更新のときにちゃんと作残のデータをそろえて、またルールを変えていくという、それでしのげないでしょうかね。
【近藤委員】 すべでができないということにはならないと思います。現場では登録のあるものを組み合わせながら工夫して、やっているわけですよね。でも、例えば、苗を購入する場合に、使いたい薬剤が苗の段階で使われてしまうと使えなくなってしまうので困るというお話があったり、現実に対象病害虫によっては登録薬剤が余りない、例えば、先ほどちょっと話が出ましたミナミキイロアザミウマのような侵入害虫の場合登録のある薬剤が少ないので、同じ薬剤を何回か繰り返し使わざるを得ないというような事態が出たときに困ります。全部が全部困るのではなくて、困る部分がどうしても出てきてしまいますよというのが現場の声です。その声は大切にしたいと思います。ただし、現時点でパーフェクトな解決法はないと思いますので、一定期間のうちに何らかの改善策をつくるための取り組みをしていくしかないと思います。その間は罰則をつくったけれども猶予をしていくということも現実的な解決策かもしれません。
【須藤座長】 ありがとうございました。
では、本山委員、それでよろしゅうございましょうか。
【本山委員】 結構です。
【須藤座長】 早川室長、どうぞ。
【早川農薬環境管理室長】 そのほかのちょっと若干登録保留基準のつくり方の議論が出まして、特にまた営農実態と登録保留基準の根拠となるデータが、かなりかけ離れているのではないかというご指摘もあったので、ちょっとご説明させていただきますと、残留データのつくり方そのものは、農水省さんの方でガイドラインがあって、それに基づいてつくっているんですけれども、メーカーなり申請者の戦略としては、先ほど亀若委員がおっしゃったように、できるだけぎりぎりのところで残留量の多いもの、それは我々からすれば安全サイドに立ってということだと思うんですけれども、そういった設計でぎりぎり、全く使わないにもかかわらず、そういう設計をするということではなくて、可能性のある中でもかなり厳しいというか、直近のところで、例えば1週間ごとというお話も出ましたように、そういうふうにやって、それで残留量の多いデータで評価して、アローアンスを見てADIの80%におさまるということで基準値を決めるわけです。ですから、そういったことであれば、仮にそれ以下であったり、あるいは営農実態を踏まえてもう少し収穫期より遠ざかって使っても、それ以下におさまるから安全サイドに立っていると。ですけれども、これがもし営農実態ということで、本当にすべてがすべて常に同じように何週間以上のインターバルでやっているのであれば、確かにもしかしたら回数の効果というのは少なくなってくると、当然ながら残留の量はもっと減ります。ということは、基準値はもっと天井が下がります。ということになりますと、そういう意味では基準値が厳しくなる。当然、必要以上に高くする必要はないですから、基準値はそういうデータに基づき残留量が低くなりますから、基準値も低くなってしまうということになった場合に、仮に何かがあったときに3回と言っても、通常だったら3週間間隔のインターバルが、1週間のときに使った場合にはそれを超えてしまう可能性もあるということもあって、我々が基準をつくるときには申請者から出てきたデータをもとにアローアンスを見てつくっていると。こういう一つのルールで、それが現実の中では平均から見るとかなり安全サイドに立って、場合には、ある意味では、さっきおっしゃったように、使う方にとっては実態から離れるかもしれませんけれども、それが安全サイドで見て立って、そういうような決め方をしているということです。では、営農実態と全く違うデータを持ってきてつくっているというのであれば、本当にそれを見直さなければいけなくなりますし、もしそういうことであれば、今申し上げましたように、もう少し厳しくなるし、見直しというのはもう1回農水省とも協力してやっていかなければならなくなる。ただし、そのときには既に基準値そのものもずっと低くなってしまうと。回数、効果はそういうことを見ないから低くなってしまうということも当然出てくるということも、ご理解いただきたいなと思っております。
【須藤座長】 ありがとうございました。先ほどのまとめで一応ご理解をいただいて、その運用の中での、先ほどからの近藤先生からのお話もありまして、私も別に違反をつくるための案をつくっているわけではないのはとてもよく承知していますんですが、とにかくいろいろ急にやっている問題もあったり、今のような登録保留基準をつくり直すというわけにもすぐにはいかないわけでございますので、その辺のことを総合的に判断をされて両省でいろいろ今後のことを対応していただきたいと、こういうふうに思います。
それで、これから今のこの問題をどういうふうにお進めになるんでしょうかということで、一応、不十分な審議ですけれども、審議はこの程度にいたしまして、今後の取り扱いについて、事務局からどうぞご説明ください。
【早川農薬環境管理室長】 今、そういうことでお取りまとめいただいて、ちょっとまだ検討する部分は検討するんでしょうけれども、一応、これは今月30日に開催を予定しております農業資材審議会の農薬分科会に報告し、そこでもご審議いただいて答申を得た後、資料に載っていますようなスケジュールですけれども、パブリックコメントを行って、最終的に省令の制定をしていくというようなスケジュールで考えておるところでございます。
【須藤座長】 ということでご理解いただけますでしょうか。
それでは、そのほかに事務局、何かあるんでしょうか。特によろしいですか。
それでは、私の方から最後に、本日の資料の取り扱いについてでございますが、前回、本山先生にお世話いただいた合同会議で資料は公開をするということで決めております。本日の資料は公開といたします。
以上をもちまして、本日の合同会合を閉会といたします。長時間にわたりご審議いただきまして、どうもお疲れさまでございました。ありがとうございました。