中央環境審議会土壌農薬部会(第23回)議事録

1.日時

平成20年5月14日(水)10:00~11:40

2.場所

環境省 第1会議室

3.出席委員

部会長 松本 聰 臨時委員 白石 寛明
委員 浅野 直人 鈴木 英夫
委員 大塚 直 関澤 秀哲
臨時委員 石原 一郎 高橋 滋
  上路 雅子 中杉 修身
  亀若 誠 中野 璋代
  岸井 隆幸 細見 正明
黒川 雄二 眞柄 泰基
佐藤 泉 元杉 昭男
佐藤 雄也 山本 廣基
佐藤 福男  
   

(欠席は、佐藤洋委員、藤井委員、和気委員、稲垣臨時委員、岡崎臨時委員、河内臨時委員、五箇臨時委員、森田臨時委員、若林臨時委員、渡部臨時委員)

4.委員以外の出席者

環境省

白石水環境担当審議官、岡部総務課長、坂川土壌環境課長、大友農薬環境管理室長、藤塚地下水・地盤環境室長、高澤土壌環境課課長補佐

5.議題

(1)
今後の土壌汚染対策の在り方について
(2)
小委員会の設置について
(3)
その他

6.配付資料

資料1 中央環境審議会土壌農薬部会委員名簿
資料2 今後の土壌汚染対策の在り方について(諮問書及び付議書(写))
資料3 土壌環境施策に関するあり方懇談会報告(1~3の概要)
資料4 土壌環境施策に関するあり方懇談会報告(平成20年3月31日)
資料5 土壌制度小委員会の設置について(案)
参考資料1 中央環境審議会土壌農薬部会(第22回)議事録

7.議事

(坂川土壌環境課長)
 定刻となりましたので、ただいまから第23回中央環境審議会土壌農薬部会を開催させていただきます。
 まず本日の委員の出欠の状況を御報告いたします。本日御欠席との連絡をいただいておりますのは佐藤洋委員、藤井委員、和気委員、稲垣臨時委員、岡崎臨時委員、河内臨時委員、五箇臨時委員、森田臨時委員、若林臨時委員、また渡部臨時委員でございます。したがいまして、本日は、委員総数31名中21名が出席される予定でございます。大塚先生が少し遅れるという御連絡がございましたので、現在20名御出席でございますので、既に部会開催の要件を満たしております。
 まず議事に先立ちまして、環境省水環境担当審議官の白石よりごあいさつ申し上げます。

(白石水環境担当審議官)
 おはようございます。水環境担当審議官の白石でございます。
 本日は、委員の皆様方におかれましては、御多忙のところお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。23回の土壌環境部会の開催ということでございますけれども、本日の主な議題は今後の土壌汚染対策の在り方についての諮問に関するものでございます。環境省におきましては、昨年の6月、土壌環境施策に関するあり方懇談会というものを立ち上げまして、土壌汚染対策法の施行、今年の2月で5年になったわけでございますけれども、これを通じまして浮かび上がってきた課題、あるいは法制定時に指摘をされて、その後推移を見て、またいずれの機会にという指摘を受けておりました諸課題の検討に取り組んでまいりました。そして、去る3月31日に報告を取りまとめていただいたところでございます。
 この報告の内容、説明を、後ほど課長の方からさせていただきますけれども、指摘された課題のうち、何点か重要な点ございますが、まず一つは現行の土壌汚染対策法、5年間運用してきたわけでございますけれども、その法律の対象範囲外で土壌汚染が判明することが多いということでございます。あるいは二つ目でございますけれども、土壌汚染対策法では、人の健康を守るための摂取経路の遮断、例えば盛り土、あるいは封じ込め等々ございますけれども、これが対策の基本ということでございますけれども、実際にはこれよりコストのかかる掘削除去が選択されているケースが多いということ。これに伴いまして現場から搬出される汚染土壌が不適正に処理されるという懸念が出てきていると。それからいわゆるブラウンフィールド問題、塩漬けになる土地の問題が深刻化するおそれというのも指摘されておりまして、この報告ではこれらの課題に対するいろいろな指摘・対応案といったものが取りまとめられたわけでございます。この報告を受けまして、環境省におきましては、土壌汚染対策全般にわたり見直しを行うべき時に来ているというふうに考えておりまして、大臣の方から中央環境審議会会長に対しまして諮問をさせていただいたわけでございます。
 本日の土壌農薬部会を皮切りといたしまして、今後の土壌汚染対策の在り方につきまして、具体的な検討をお願いする次第でございます。環境省といたしましては、御検討をいただきました結果を踏まえまして、必要な制度改正ということにも取り組んでまいりたいというふうに考えております。今後とも委員の皆様方の御指導をちょうだいいたしまして頑張っていきたいと思いますので、何とぞよろしくお願いをいたします。

(坂川土壌環境課長)
 続きまして、本日の配付資料を御確認いただきたいと思います。本日の土壌農薬部会の議事次第の紙が1枚ありますが、その下の方に本日の配付資料の一覧がございます。ここにありますように資料1が委員名簿でございます。また、資料2が今後の土壌汚染対策の在り方について(諮問書(写))でございます。それから資料3が土壌環境施策に関するあり方懇談会報告の1~3の概要を整理したものでございます。また資料4がその懇談会報告そのものでございます。また資料5は、土壌制度小委員会の設置について(案)ということでございます。また参考資料の1といたしまして、前回の土壌農薬部会の議事録を用意しております。この議事録につきましては、委員の皆様に既に御確認をいただいたものでございますので、参考配付とさせていただいております。もし足りないものがございましたらお申しつけいただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 それでは、ここからは松本部会長に議事進行をお願いいたします。

(松本部会長)
 皆さん、おはようございます。本日は足元の悪い中、また早朝より御参集いただきまして、まことにありがとうございます。本日の部会は、議事次第にございますように、今後の土壌汚染対策の在り方についてが主な議題となっております。どうぞよろしく御審議のほどお願いいたします。
 まず、本日の審議の公開の取り扱いについて報告いたします。今回の部会におきましては、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれや、特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれがないことから、公開といたします。
 それでは、議事次第に沿って議事を進めてまいりたいと思います。早速でございますが、議題1についてでございます。本件につきましては、5月2日付で環境大臣より中央環境審議会会長に対して、今後の土壌汚染対策の在り方についてという諮問がなされ、土壌農薬部会に付議されております。これについて、事務局から説明をお願いいたします。

(高澤土壌環境課課長補佐)
 それでは、お手元の資料2をごらんいただければと思います。両面になっておりまして、表が諮問書でございまして、裏が付議書となっております。まず諮問の方についてでございますが、5月2日付にて環境大臣より中央環境審議会会長に対して、環境基本法第41条第2項第2号の規定に基づきまして、今後の土壌汚染対策の在り方について意見を求めているところでございます。諮問理由につきましては、そこに書かれておりますが、土壌汚染対策法の施行から5年が経過し、法の施行を通して浮かび上がってきた課題や、法制定時に指摘された課題を整理検討することが必要な時期を迎えている。このような状況を踏まえ、今後の土壌汚染対策の在り方について、審議会の意見を求めるものであるというものでございます。なお、諮問に至りました背景等につきましては、後ほど土壌環境施策に関するあり方懇談会の報告について御説明させていただく中で触れさせていただきます。
 続きまして、裏でございます。本件の諮問につきまして、5月9日付で中央環境審議会会長より、土壌農薬部会部会長に対しまして付議がなされております。これにつきましては中央環境審議会議事運営規則第5条の規定に基づきなされているものでございます。これによりまして本件諮問につきまして本部会での御審議をお願いするものでございます。
 簡単でございますが、以上でございます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明につきまして、質問がありましたらお願いをいたします。どうぞ。ございませんか。

(なし)

(松本部会長)
 それでは特段に御質問がないようでございますので、今後の土壌汚染の在り方について、土壌農薬部会において審議することといたします。当部会におきましては、この諮問内容について審議する小委員会を設置することを考えておりますが、その話に入る前に、環境省では昨年度土壌環境施策に関するあり方懇談会を開催いたしまして、議論されたと聞いております。本日は、ちょうど御出席いただいております髙橋滋委員がその懇談会の座長を務められましたので、懇談会の概要について御報告いただきたいと思います。それに続けて、事務局からより詳細な説明をお願いしたい、こういう順序で進めてまいります。
 それではまず髙橋委員より、よろしくお願いいたします。

(髙橋臨時委員)
 おはようございます。一橋の髙橋でございます。今、部会長からお話しがございましたが、本年3月まで土壌環境施策に関するあり方懇談会の座長を務めさせていただきました。この関係上、私からまず懇談会報告の概要につきまして、冒頭の白石審議官の御説明と多少重なる部分がございますが、説明させていただきたいと思います。
 まず、本懇談会でございますが、土壌汚染に関する現状の把握と、それを踏まえました土壌汚染対策の新たな対策のあり方の検討、この二つを目的といたしまして、昨年6月に設置されたものでございます。設置以降8回にわたり議論を行いまして、本年の3月に、御紹介がありましたが、資料4という形で土壌環境施策に関するあり方懇談会報告というものが取りまとめられております。
 それでは、冊子になっております資料の、まず表紙を開いていただきまして、さらに1枚おめくりいただきまして、目次をごらんいただきたいと思います。まず目次の2でございます。土壌汚染の特徴と土壌汚染対策法の考え方についてというところでございますが、この部分におきましては、現在の土壌汚染対策法の制度がどのような考え方に基づくものであるかなどについて整理をいたしております。概要を申し上げますと、現行法では土壌汚染の把握のために汚染の可能性の高い有害物質使用特定施設の廃止時に着目して、土壌汚染の調査を義務づけているわけでございます。また対策につきましては、土壌汚染の場合には人が有害物質を摂取する経路を適切に遮断することにより、健康被害を防止することが可能であると、こういう観点から、必ずしも土壌汚染の除去を求めておらず、盛り土や封じ込めなどの摂取経路を遮断する対策を基本としているわけでございます。このような現行法の考え方に基づきまして、現在では土壌汚染とその対策をめぐる現状はどうなっているのかと、そしてその主な課題はどういうものがあるのかについて整理したものが3、現状と主な課題のところでございます。
 まず、土壌汚染対策法の対象についてでございますが、現状では、土地の売買の際などに自主的に土壌汚染の調査が広く行われているわけでございます。しかしながら、冒頭に審議官御紹介いただきましたが、土壌汚染対策法の対象外で汚染が判明するという事例が非常に多いのが実態でございます。また、土壌汚染対策の傾向についてでございます。盛土または封じ込めで十分な場合であっても、実際には掘削除去という比較的対策コストが高い対策が実施されることが多くなっております。このような状況が続きますと、今後掘削除去が行われた場合に搬出される汚染土壌によって処分場が逼迫したり、対策費用の高額化によってブラウンフィールド問題の深刻化を招くおそれがあるというふうに考えられるわけでございます。その他、現行法の制定時から指摘されている問題としまして、現場から搬出される汚染土壌が不適切に処理されるという懸念がございます。
 以上、このような課題を踏まえまして、今後の土壌環境政策のあり方を議論し、さまざまな施策を提言したのが4の土壌環境施策のあり方、7ページ以降のところでございます。主なポイントを2点申し上げたいと思います。まず第1点は、リスクに応じた合理的な土壌汚染対策を推進するということでございます。現場の汚染状況に応じた合理的かつ適切な対策を進めていくため、土壌汚染のリスクの特徴や法律の考え方について国民の理解を図ることや、より理解が得られやすくするための制度的な手直しの検討が必要だというふうに考えます。
 第2番目でございますが、土壌汚染地が的確に把握され、情報が適切に開示され、対策が確実に講じられるように、法律の対象範囲の見直しを含めた検討が必要だと考えるわけでございます。ただ法律の対象範囲の見直しにつきましては、一部の委員からは国民の過重な負担とならないようさらに慎重に検討すべきという御意見が提出されましたし、自主的な調査を促進すべきであるという御意見も頂戴しました。このほかにもさまざまな課題につきまして議論がありまして、今後さらに検討を深め、実施に移していく必要があると考えられます。ただその際には、経済的な影響に配慮する必要もございますし、幅広く関係者との連携を図るということも重要であると考えます。
 以上、まことに簡単ではございますが、懇談会の座長としての報告をさせていただきまして、詳細についてはさらに事務局より御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

(松本部会長)
 ありがとうございました。
 それでは、続いて事務局からの説明をお願いしたいと思います。

(坂川土壌環境課長)
 それでは、ただいまごらんいただきました懇談会報告につきまして御説明をいたしますけれども、この目次の1~3までの部分に関しましては、もう一つ資料3というものを別に用意しておりますので、まずこちらでこの報告書の1~3の部分を御説明させていただきたいと思っております。
 資料3をごらんください。まず1ページの下のはじめにのところですが、これは今、髙橋先生からも御説明があったとおりでございまして、この懇談会の設置の趣旨などをまとめたものです。今年3月31日に懇談会報告を取りまとめていただいたところでございます。そしてその次の2ページですが、2として土壌汚染の特徴と土壌汚染対策法の考え方について整理されております。まず2ページの下の部分、(1)土壌汚染対策法の制定当時の背景です。その中に、少し黄色い部分ですが、平成14年当時の背景といたしまして、汚染の判明事例が増加し、土壌汚染に対する社会的関心が高まり、調査対策のルール化の必要性が広く認識されるようになっていたということ。また、土壌汚染は放置すれば人の健康に影響が及ぶことが懸念されますので、その環境リスクを適切に管理し、人の健康への影響を防止する必要があると考えられたと、このようなことから、土壌汚染による健康被害が顕在化して大きな社会問題となったからではなく、あらかじめ土壌汚染による潜在的な健康リスクに対応するための社会的なルールを構築し、将来にわたって安全で安心して生活できる環境を確保していくことを主眼として法律が制定されたと、そのような状況になったわけでございます。
 そして、次に3ページですが、この法律では、この土壌汚染の把握というものをどのようにやることになっているのかということです。環境リスクの管理の前提として、土壌汚染が存在する土地を的確に把握することが必要です。当時の中央環境審議会の答申では、この部分についてどのように書かれていたのかと、それからまた黄色い部分ですけれども、汚染の可能性のある土地について、一定の機会をとらえて土壌汚染の調査を行うことが必要であると。具体的には土壌汚染の可能性が高いと考えられる有害物質を取り扱ったことのある工場・事業場について、工場・事業場としての管理がなされなくなる工場・事業場の廃止時や用途の変更時に調査を行うことが適当と。また、「土地の改変時に、土壌汚染の可能性の有無にかかわらず、すべての場合に調査を行うことを義務づけることは、国民に過重な負担を求めることとなり適切ではない」と、このようにも考えられたということでございます。
 また、このような答申を踏まえまして、法律の第3条では、汚染の可能性の高い土地として、有害物質使用特定施設が設置されている場所、これを対象としてその「廃止」時点をとらえて調査の実施を義務づけたわけです。またこれに加えまして、現に土壌汚染による健康被害のおそれがあると認められる場合には、緊急に対応する必要がありますので、都道府県知事が調査を命ずることができると、このような規定も設けたところでございます。
 そしてこの調査によりまして、土壌汚染があると判断された場合には、(3)の土壌汚染の対策の方に移るわけです。まず土壌汚染が判明した場合に、都道府県知事が土壌汚染を指定区域として指定・公示するということになっております。そして指定区域の台帳を調製し、閲覧に供するということでございます。これにより土壌汚染地であることが公に周知され、将来に伝えられる仕組みとなっております。また、そのような指定区域での土地の形質変更に際して、事前に都道府県知事に届け出なければならないという規定もあります。これは土地の形質変更によって汚染が拡散したり、搬出汚染土壌が不適正に処理されないように管理するためです。
 また、指定区域において、人が立ち入ることができる場合や地下水が飲用されている場合など、健康被害の生ずるおそれがある場合に必要な対策を都道府県知事が命ずることができるという規定もあります。その場合の考え方としては、土壌汚染の除去ではなく、盛り土や封じ込め等の摂取経路の遮断を基本としているところです。これは土壌の場合、水や大気の汚染と比較して有害物質が移動しにくく、有害物質の摂取経路を遮断することで健康被害の防止が可能だと考えられたからです。このようにリスク管理が担保されているわけです。今申し上げたことを図にしましたのがその次のページ、4ページの上の図です。このように調査から始まって、指定区域の指定、そして指定区域における管理と、このようにこの土壌汚染対策法が構成されているわけでございます。
 続きまして現状と主な課題です。5ページをごらんいただきたいと思います。土壌汚染対策法が施行されたのが平成15年2月15日で、それから5年間の間にこの法律に基づいて調査が行われた件数が左側の898件となっております。そのうち汚染がありまして指定区域に指定されたものが259件となっております。この259件につきましては、それぞれ対策が実施され、また検討中のものもございますけれども、このような分類になっております。なお、ここで汚染除去等の対策を要する63件とありますが、これは一般の人が立ち入ったり、または周辺で飲用井戸があるというような場合です。それ以外の場合は、下の汚染除去等の対策を要しないというところに分類されております。それぞれ対策が実施されつつありまして、汚染が完全に除去されますと指定区域が全部解除されるということになります。これが128件となっております。それからその下の図、グラフでございますけれども、これは法の対象以外を含んでおりますが、都道府県等が把握した土壌汚染調査事例の件数の推移でして、ごらんのように、近年土壌汚染の調査の事例、またその中の調査事例の基準の超過事例の件数、これがともに増加傾向にあるということでございます。
 続きまして、6ページにまいります。土壌汚染の調査と土壌汚染対策法の対象についてです。まず汚染の可能性が高い土地として、法律では有害物質使用特定施設に係る土地について施設の廃止時に調査を義務づけましたけれども、法の対象以外の場合でも土壌汚染が判明することが多いという状況が明らかになっております。このため、法律の対象の入り口となる調査契機について見直しを含め検討が必要ということが書かれております。6ページの下の図にありますように、これは環境省が指定調査機関1,661機関を対象とした調査の結果をグラフにしたものでございます。平成18年度の実績では、調査の件数が約1万4,000件ありますけれども、そのうち法律に基づくものは3%であったと。また都道府県等の地方公共団体の条例または要綱に基づくものが11%、それ以外が86%となっております。
 また7ページの上の図ですが、これは社団法人土壌環境センターの会員企業に対するアンケート調査の結果でございまして、こちらは調査の件数だけではなくて、そのうち基準を超えて汚染があったものの件数、また土壌汚染の対策を実施した件数についても調べられておりますので、ここでこのように整理しているわけですけれども、汚染があったものの件数、また対策の件数につきましても、法律に基づくものは3%、条例要綱が12%、実質的なものが85%となっています。このように、法律の対象範囲が余り広くないというような状況になっております。
 また7ページの下は、東京都の条例を参考として示しておりますが、幾つかの地方公共団体では条例を持っておりまして、法律の対象としない部分について調査を義務づけている例があります。これは東京都の場合でございます。このように右側と左側がありますが、左側の方は有害物質取扱事業者というものを条例で指定をしておりまして、工場・指定作業場を廃止・除却するときに調査を行うということです。また右側の方は、3,000平米以上の土地を改変するときに、土地の改変者が地歴等調査というものを行います。それはそこの土地で過去にどのような活動が行われていたか、または有害物質などを使用していたかということを調査をいたしまして、そこで汚染のおそれがあると判断された場合に土壌汚染の調査を行うと、こういう仕組みになっているわけでございます。
 そして8ページにまいりますが、この東京都の条例の施行状況です。まず工場の廃止時の汚染状況です。これは平成13年からのデータでございますけれども、全部で1,441件の調査のうち、「汚染あり」が505件となっているということです。また、その下は土地の改変時の汚染状況でして、合計で3,108件ありますけれども、このうち地歴等調査でおそれなしと判断されたものが2,243あるということです。約4分の3に近いわけであります。残りの部分について調査が行われまして、「汚染あり」となったものが378件ということでございます。
 続きまして、9ページは、土壌汚染対策の傾向についてです。どのような対策が実際に行われているかということです。法律では、摂取経路の遮断ということで、盛土でありますとか封じ込めを基本としているわけでありますが、現状では掘削除去が選択されることが多いという傾向がございます。これは一つには土壌汚染に関する不安を取り除いておきたいという土地所有者の考え方があります。また、経済的側面として不動産取引の際に土壌汚染が存在したままでは取引成立の成否や取引価格に影響するという事情があります。またさらには、法律の基本的考え方や土壌汚染の対応として、通常は摂取経路を遮断する対策で十分であるということが国民に十分に浸透していないということもあるというふうにまとめられております。その9ページの下にありますように、これは平成17年度に都道府県等が把握した土壌汚染事例についての情報を環境省でまとめたものですけれども、このように一番右側の掘削除去が最も多くなっております。また、真ん中あたりの盛土・舗装・土壌入替え、ここの土壌入替えというのは掘削除去ではなくて、土壌の上と下を入替えると、下の方の汚染されていないものを上に持ってくるという、そういう意味の土壌入替えですが、こういうものでありますとか、封じ込めというものは余り多くはないということでございます。
 それからその次のページ、10ページですけれども、今のところを少し詳しく御説明をいたしますと、土壌汚染対策法の考え方として、どういう場合に対策が必要かということでございまして、二つあります。一つは、土壌の直接摂取の観点というものでして、これは含有量基準を超過いたしまして、かつその土地が一般の人が立ち入ることができる状態となっている場合に対策が必要である。その場合の対策としては盛土が原則であるということです。またもう一つの場合として、地下水の飲用等の観点です。これは土壌が溶出量基準を超過しておりまして、かつ、周辺の地下水が飲用に利用されている等の状況にある場合、このような場合に対策が必要であると判断されまして、その場合の対策としては、まず地下水が汚染されているか、いないかで対策の内容が変わります。地下水が汚染されていない場合は引き続きモニタリングを行うということになっております。また地下水が汚染されている場合は封じ込め、または土壌汚染の除去、これらの場合によって汚染の状況によって変わるわけですが、封じ込めまたは土壌汚染の除去が原則となっているわけでございます。このように土壌汚染対策法では整理されていますが、実際には掘削除去が多いということは、先ほど申し上げたとおりでございます。
 このような状況は、必ずしも望ましいものではないと報告書ではまとめられております。その理由といたしましては、まず土壌汚染地は我が国全体として相当の広さに達していると見られておりまして、面積は日本全国で約11.3万ヘクタールとも推定されております。そのような状況の中で掘削除去中心の傾向が続けば、搬出される汚染土壌の処理能力が不足し、処分場が対応できなくなるおそれがある。また掘削除去は良質な埋め戻し材を必要とする。汚染土壌が不適切に処理または投棄されれば、搬出先の環境に負荷を与える要因となり得る。軽度な汚染で掘削除去が選択される場合、経済的合理性から問題である。対策費用を高額化させ、結果的に(3)に記すようなブラウンフィールド問題を深刻化させるおそれがあるということです。
 そのブラウンフィールド問題とは何かというのが11ページでございまして、これはもともとアメリカの方で生まれた言葉ですけれども、米国のブラウンフィールド法の定義では、「危険物や有害物質の存在、あるいは存在の可能性があるために拡張、再開発または再利用することが難しくなっている不動産」ということです。それからもう一つ「土壌汚染をめぐるブラウンフィールド対策手法検討調査検討会」、これは環境省の調査の中で設置した検討会ですが、その中間取りまとめでは、このブラウンフィールドを、土壌汚染の存在、あるいはその懸念から本来その土地が有する潜在的な価値よりも著しく低い用途、あるいは未利用となった土地、こういう定義をつくっておりますが、いずれにしましても、土壌汚染があることによって、またはかなりその可能性が高いということによって、その土地が有効に利用されない、いわば塩漬けになってしまっていると、そういうようなことをブラウンフィールドというふうに呼んでいます。
 続きまして11ページの下の方でありますが、このように土壌汚染は不動産の資産価値に関わりまして、経済的側面が大きい。また諸外国では、土壌汚染問題が社会経済上も深刻化しております。我が国においてはブラウンフィールドはそれほどまだ顕在化していないと考えられますが、今後問題となる可能性があります。そこで土地の利活用が図られるように、幅広い関係者が連携して取り組んでいくことが必要であると書かれております。
 そしてその次の12ページは、我が国のブラウンフィールド問題の大きさを試算した例でございます。これはさまざまな仮定のもとに試算したものであるわけでありますが、土壌汚染が存在する土地の面積として、日本全国足し合わせますと約11.3万ヘクタールほどあるのではないか。またその中で汚染対策費が多額のため、売却が困難な土地として潜在的なブラウンフィールドと書いておりますが、その面積が2.8万ヘクタールほどある可能性があるということでございます。そのようなことから、この問題についても今後取り組んでいく必要があるというふうに判断されます。
 これに関連しまして、12ページの下でありますが、不動産の鑑定評価では土壌汚染が考慮されるようになっておりまして、一番下に式が書いておりますけれども、土壌汚染地のその土地の価値は、土壌汚染がないものとした価値から対策費用とスティグマが引かれる。ここで言うスティグマとは、土壌汚染の存在または過去に存在したことに起因する心理的嫌悪感から生ずる減価要因というものでございまして、土壌汚染がない場合に比べまして価値が下がるということでございます。
 またその次13ページでありますが、金融機関の担保評価の場合も、新BIS規制にあわせまして、金融庁が平成19年2月に金融検査マニュアルを改訂しております。ここでは銀行の不動産担保評価において「土壌汚染、アスベストなどの環境条件等に留意する」ことを求めております。このため、金融機関が担保権行使の際に、土壌汚染のため資金回収が困難となるおそれがあり、融資業務で既に取得した不動産、あるいは、これから取得する不動産担保に関し、土壌汚染を評価するようになってきていると、このような状況にあります。そのほかの諸課題として、搬出汚染土壌の適正な処理、また土壌汚染に関する情報の集積・引き継ぎ、またこの土壌汚染対策法は、人の健康の保護を目的としておりますが、生活環境の保全をどう考えるのかという問題、また調査・対策の信頼性の確保、土壌汚染の未然防止をいかにして促進していくかというような課題が指摘されております。
 この中で、搬出される汚染土壌に関しまして、もう少し御説明させていただきますが、14ページの上にありますように、今、我が国で土壌汚染対策により搬出される汚染土壌が大体どのぐらいあって、それがどこでどのように処理されているのかというものを推定したものでございまして、年間300万トンほどあるだろうと。これらについては、セメント工場でありますとか認定浄化施設、それ以外の中間処理施設または残土処分場、最終処分場などに運搬されているというふうに考えられております。その中で、不適正処理の事例も幾つかあるわけでして、14ページの下にまとめておりますが、例えば一番左側のところは、東京都の残土置き場の残土から環境基準を超える六価クロムが検出されたというものでありますとか、真ん中のところは埼玉県の体温計製造工場の敷地から水銀による汚染土壌が搬出されていたんですが、これが行政側が計画上把握していたところと違うところで発見されたというようなもの。また一番右側は砒素汚染残土が堆積されていたと、こういう事例が見つかっております。また、15ページにも幾つかそれ以外のものが見つかっておりますが、これについては説明を省略させていただきます。
 ここまでが懇談会報告の1~3の部分のまとめです。この後4として、施策のあり方というものがこの報告書にまとめられておりますけれども、少し長くなりますので、ここで一たん説明を切らせていただきます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。それでは、ただいま御説明いただきました内容につきまして、ただいまから質疑応答の時間に入りたいと思います。どうぞよろしくお願いします。どうぞ。

(浅野委員)
 現行法の制定に当たってかかわりを持っておりましたので、質問というよりむしろ少しコメントをしたいと思います。
 まず確かにもれる部分があるということをどこまで予測して最初に制度を構築したかというと、若干自信はないわけですが、たとえば廃棄物の不法投棄跡地がその後現実にはかなり問題になってきているわけです。余りそのことを当時はきちっと議論をしていなかったことは事実。多少廃掃法との関係を意識し過ぎた面があって、それは廃掃法の世界でうまくおやりになるだろうからいいだろうみたいな感じで過ぎてしまったことはある。ですから、恐らくその部分などが欠落しているということは事実だろうと思いますし、恐らく条例などで補充的にやっておられるのは、やはり廃棄物の不法投棄ではないかと。これが実際にわかっている場合とわからない場合がある。土地管理が悪いために知らない間に投棄されてしまっている、こういう場合が結構係争事例として多いと思いますから、これらを今後どう発見し、どう取り扱うかという問題があると思われます。
 それから、この制度をつくったときには、確かに御説明のあったとおり、リスク管理を第1とすることを考えました。きちっとリスクを管理しなければならない、そのために汚染された土地については若干の用途に制限がかかることはしようがない。しかし、汚染地であることが明らかになれば土地の価格に影響が生じるこのなどについてこれをどのように配慮すべきか、といった議論を始めたら、こんな制度はとても実現しそうもないから、この際はこの点は不問に付するということとし、国民の健康を守るために制度をつくりましょうといって押し切ったわけです。そのこと自体は間違っていたとは思わないのですが、しかし今改めて考えてみると、確かにそのときにそう言いながら一つ問題の種をまいてしまっていたのは、最初から指定解除要件を定めていて、その要件として汚染土壌が環境基準にまで浄化が終わらなければ指定は消えませんということにしていたわけです。これはリスク管理の観点から言えば、ここまで盛土などをやって対策を講じるならば、少なくともリスクはコントロールできる。しかし、その後、用途変更などで汚染地をいじくり回されたら危険が顕在化することになって困るので、浄化が済まないかぎり指定解除はできない、それまでの間は指定をはずさないことによって用途制限を事実上かけることはやむを得ないという発想で、指定解除の要件についてかなり厳しく考えてきたわけです。
 結果的にはこれは当初からもある意味じゃあそうなるだろうということを、内々予測をしていなかったわけでもないわけで、やっぱり指定解除をしてもらわなければ、うまく売れないだろうという心理が土地所有者に働きますから、どうしても指定解除要件を満たすところまでやらないといけないというプレッシャーがかかりそうな気もする。しかし知事が浄化の命令を出すときには、そんなことまで考えて命令出しませんので、原因者に除去をさせるというような場合には、所有者と原因者との間のトラブルが起こってしまうので、それを防ぐために、事実上の合意がある場合に限って原因者に除去をさせるという取り扱いにしよう。これで何とか調整ができる。所有者がみずからやる場合にはちゃんと考えておやりになるんだから、それはそれでいいでしょうということにしたわけですが、ここも必ずしも制度をつくったときの意図どおりには動いていない、現実にはずれが生まれてきているということは、確かに報告書で指摘されるとおりだろうと思います。
 それから、命令はとにかく1回しか出さないということ、これも行政制度としてはどうしても守らなきゃいけない点で、何遍も命令をして除去してくれということはできないわけですから、これが何回でも除去の命令ができるというようなことであれば、それはもっと緩やかでもよかったでしょうが、そうはいきませんので、1回限りということで、一たん除去の命令に従って除去すれば、もうそれ以上はよろしいという仕組みを一方に置いたわけですが、この点も先ほど申し上げた運用上、どうも世の中の動きが厳しく浄化を求める方に走ってしまうという傾向を助長したということは言えそうです。しかしこれは行政制度としてはしょうがないんじゃないかなという気が今でもしているわけです。
 それから、御説明がなかったのですが、かなり議論をしたのですが、従来からこの種の問題は原因者主義で、原因者に責任を負わせ、原因者に行為の除去などもさせるということが原則であると考えられていたところに、所有者主義を持ち込んだということです。どうして所有者主義を持ち込んだかといいますと、原因者主義といっていますと、原因者不明の場合には全く手のつけようがなくて、それこそ汚染地がそのままになってしまったり、あるいは原因者主義で、しかし対策はやらなければいけないということになりますと、原因者不明あるいは無資力の場合に、そこに過剰に公費投入を要求されるというおそれがある。それよりもやはり、所有者は自己の財産であるわけですから、自己の財産をどうするかは所有者の責任者なのであって、所有者主義でいいのではないかと。そのかわり原因者を発見して求償ができるように、原因者に対する求償については容易化を図ろうと、本来の民法の求償権行使の時効よりも長くしましょう。少なくとも命令が出されてから20年間は原因者に求償ができるということで、何とかそれをカバーできるだろうと考えたわけです。このように原因者主義ではなくて所有者主義という選択をしたことがよかったかどうかということは、いまだに議論があるわけですけれども、しかし恐らく立法当時の議論から言うと、私は今でもこれは正しかったと言わざるを得ないんですね。一たん原因者の責任というふうに持っていってしまいますと、どうしても原因者がわからないというのが圧倒的に多い場合、穴あきになってしまう。ですから、ここは余りいじりたくない部分です。しかしさっきからいろいろ言いましたように、仕掛けの中でどうもちょっと横道にそれてしまうような余地を残す仕掛けをつくったことは率直に認めざるを得ませんので、ここをどう今後改善するかという問題が残るのではないかなという気がいたします。ここまでが当時の事情を、思い出しながらコメントを申し上げました。

(松本部会長)
 どうもありがとうございました。大変わかりやすいコメントをいただきました。どうぞ。

(中杉臨時委員)
 浅野先生も御指摘の大部分は納得することなんですが、一番最初に言われたところで、不法投棄が大部分であろうというのは、これは恐らく違うだろうというふうに私は考えます。といいますのは、この特定施設を廃止する時期というのは法が施行した後に言えることですから、その前にそういうことが行われていると、この調査の対象になりません。そういうところがかなり大きな部分としてはあるんだろうということが一つと、それから水の方だけの話ですので、排ガスで出てくる問題についてはそういう対応がなされていないというような、そういう幾つかの問題がありますので、ごみの不法投棄、不法投棄というのはどういうふうに考えるかですが、それが大部分という認識は私は少なくとも持っておりません。

(浅野委員)
 わかりました。じゃあその点は訂正をされたので、そういうことにしたいと思います。多分、結構きつかったのが、そもそも過去には何にも規制がかかっていなかったのに、何でこれをやらなきゃいかんのかという、かなり強い意見があったわけですね。それで所有者主義というのも多分それも考えて、原因者主義でやっていくと規制がかかったところに何で原因者に責任を負わせるのだという議論を突破しなきゃいけないものですから、それで現実に危険な土地を持っている者は明白な現在の危険に対して国民の健康を守る義務があるんだから、それはとりあえず所有者で行けと。あとは原因者のところは求償の問題だというふうにしたんですけど、本当のところ、じゃあ原因者にどこまで求償できるかということはよくわからなくて、それは訴訟で決着つけろといって逃げてしまった面もある。それは事実です。だから確かに水濁法改正でこういう土壌汚染の原因行為についての、かなり厳しい規制が行われなかった時代をどうするのかという問題が残ってしまいます。これも検討の中では、どうしても今度は逃げて通ることができない問題として残るだろうと思います。

(眞柄臨時委員)
 今、浅野先生がおっしゃられたことと同じことでありますが、5ページに調査事例がありました。土対法自体は15年ですが、それ以前にいわゆる土壌の環境基準がどんどん変わってきているわけですね。今後とも土壌の環境基準は変わる可能性があるわけです。そうすると、環境基準が変わるたびに、じゃあ前調査されなかったの、これ調査したらどうかという問題が当然起きてくるわけですので、どの時点で何を調査しなければならないかということは、今度もしこの法律を改正するとすれば、そこはちゃんと明確にしておかないと、社会的混乱が起きると思います。

(松本部会長)
 ありがとうございました。どうぞ、そのほか。

(佐藤(泉)臨時委員)
 質問なんですけれども、土壌汚染地は日本全国で11.3万ヘクタール推定されるというふうに記載されております。この数字はどういう推定根拠に基づくのかということと、それから分類として、人が住むような土地なのか、あるいは工業専用地域なのかということは大体把握されているのかということ、それから自然由来と言われるものは含んでいないのかどうかということについて、ご質問したいと思います。

(松本部会長)
 それではよろしくお願いします。

(坂川土壌環境課長)
 今の御質問ですが、懇談会報告の報告書の後半部分に、参考資料が載っているページがありまして、そこのページの6ページをごらんいただきたいと思います。参考資料の11番に、ブラウンフィールドの潜在的規模試算の手順という図がありますので、ちょっとこれで御説明させていただきたいと思います。このときには、東京都が条例を持っているということもありまして、かなり汚染の状況についての情報があるということから、東京都の情報をもとに、用途地域別に汚染発生の確率を計算しております。その結果、下にありますように、例えば工場とか倉庫がある場所は汚染発生確率が35%である。工場・倉庫以外の建物用敷地は5%、法人所有の建物以外が5%、空き地が5%、世帯所有の現住居の敷地等が0%と、こういう仮定を置きまして、これで日本全国を推計してみたということでありますので、いろいろな仮定を置いた中での試算であるということでございます。それから、自然汚濁については、ここでは特に分けておりませんので、それが含まれている可能性はあると思います。

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。どうぞそのほか。

(なし)

(松本部会長)
 それでは、またありましたら、後ほどで結構でございますので、説明を続けていただきたいと思います。

(坂川土壌環境課長)
 それでは、懇談会報告の4以降を御説明いたしますが、それは懇談会報告の冊子を用いますので、この冊子の7ページをごらんいただきたいと思います。7ページからが4、土壌環境施策のあり方でございます。まず基本的な考え方を7ページの上の方に書いておりまして、今後それぞれの土壌汚染地について状況に応じた合理的かつ適切な対策が選択されるようにするため、土壌汚染のリスクの特徴や法律の考え方の国民への浸透を図るとともに、より理解が得られやすくするための制度的な手直しを検討することが必要であるというのが1点。また土壌汚染地が的確に把握され、汚染の状況に関する情報が適切に開示され、汚染状況に応じた対策が確実に講じられるよう、法律の対象範囲の見直しを含めて検討するとともに、法律の対象範囲とならない部分について、実質的な調査対策を推進することが適当であると。さらに3に示したように、多くの課題がございますので、これらを含めて幅広く総合的に施策を検討し、実施に移していく必要がある。その際、経済的な影響に配慮することが必要であり、幅広く関係者との連携を図ることも重要と考えられるということです。そして(1)以下が個別のあり方、方策についての提案ということになるわけでございます。
 まず(1)が、サイトごとの汚染状況に応じた合理的かつ適切な対策の促進方策でございます。(ア)にありますように、まず普及啓発活動を一層推進していくべきということが書かれております。それから(イ)については、現在の指定区域の制度についての見直しの提案でございます。先ほど、浅野委員からも指定区域を解除するという方向にどうしても向かうということも指摘があったわけでございますけれども、この指定区域について、若干の見直しが必要ではないかということでございます。まず最初に、指定区域について、人の健康被害に生ずるおそれの観点から分類して指定をするということでございまして、都道府県知事が指定する際にiとiiに分けて指定をすると。まずiとしては、一般の人が立ち入ることができる場合や、地下水が飲用される等の可能性がある場合であるため、摂取経路を遮断する対策が必要な区域、できるだけ早く対策を講じなければいけない区域。iiとしては、それ以外に管理が必要な区域と、これは土地の形質の変更の場合に、汚染が拡散したり搬出される汚染土壌が不適正に処理されないようにする、そういう意味での管理が必要な区域ということで、この二つに分けてまず指定するということにしてはどうかと。それによってその土地が健康被害のおそれが今直ちにあるのかどうかということの違いがわかるということでございます。
 そして、8ページの方にまいりますが、これらの区域において摂取経路を遮断する対策、例えば覆土、盛土でありますとか、封じ込めといったような対策が実施された場合には、そこが対策が実施済みである区域であるということで分類をすると、そういうことが明らかであるというふうにするということにしてはどうかと。これによって対策の必要があるかどうか、また対策が実施済みであるかどうかということが明確になるということでございまして、仮にそこに汚染が残っていたとしても、対策が実施済みであれば、その上を通常の使用方法で使うことができると、その場合に特に問題はないということになるわけでございますので、このように指定区域を分類するというのが(イ)です。
 また(ウ)でありますが、この指定区域について、今申し上げたように対策が必要な区域と管理が必要な区域に分類して指定する仕組みが考えられますが、その際の対策が必要かどうかを判断するための基準、ここでは対策発動基準というふうに呼んでおりますけれども、これを指定基準とは別途定めることを検討する。その際に土地の利用用途ごとに定めることを検討すると。例えばそこに人が住んでいる、24時間そこに人が住んでいるような場所なのか、それともそうではない昼間だけいるような場所であるのかとか、または子供がそこで遊ぶのか遊ばないのかというような、その土地の利用用途ごとにこの対策発動基準というのを違える可能性もあるのではないか、そういうことを検討すべきということでございます。
 それから(エ)でありますが、欧米ではサイトリスクアセスメントと申しまして、個別の土壌汚染の現場ごとにリスクを評価いたしまして対策を考えると、個別に考えていくというようなやり方をとっている場合もあるわけなんですが、これに関しましても知見を深めて、我が国で導入するとした場合の手法や技術的事項について検討を行っていくべきということでございます。
 また(オ)でありますが、土地所有者が実施する土壌汚染対策の計画につきまして、地方公共団体が関与、チェックする仕組みを検討すべきとしております。これは土壌汚染対策について対策の適切さを確保するということ、また行政の確認を受けたいという土地所有者等のニーズもあるということでございまして、これにこたえるという意味もあるわけでございます。また(カ)でありますが、汚染状況や土地利用に応じた適切な土壌汚染対策の方法について、わかりやすいガイドラインを策定することを検討してはどうかということでございます。また次に9ページの(キ)でありますが、対策現場において周辺住民とのリスクコミュニケーション、これが大変重要でございますので、円滑に進めるためにガイドラインを策定したり、またリスクコミュニケーションに関わる人材を育成し、派遣活用する仕組みを検討すべきということでございます。
 次が(2)法制度と自主的な調査・対策の関係のあり方でございます。先ほども申し上げましたように、法律の対象範囲とならない部分で汚染が見つかる場合が多いということでございますが、これに関してはこの9ページの下の方にありますが、「こうしたことから」のところでありますけれども、「土壌汚染地を的確に把握し、情報を開示し、適切かつ確実に管理・対策を進めるため、法律の対象範囲について見直しを含めて検討すべきである。」なお、見直しの検討に当たっては土地所有者等の過重な負担とならないよう配慮が必要である。また現時点で見直す必要があるかどうかについて、さらに慎重に検討すべきであるという意見もあったということでございます。
 そして10ページには、それでは法律の対象範囲を見直すとした場合にどういう方法が考えられるのかということが書かれているわけでございますが、その結論としては、10ページの(イ)の少し上のところでありますが、「以上のようなことから」という部分でありますけれども、「一定規模以上の土地改変あるいは土地売買等の際に履歴等調査を行う」これはその土地で過去にどういう活動が行われていたのかというようなことを調査するものでありますが、そういった調査を行いまして、その結果を踏まえて土壌汚染調査の必要性を判断する仕組み、こういうものが考えられるということでございます。
 次に(イ)は、現在の法律では法律の施行前に有害物質使用特定施設が廃止された工場・事業場については法律の対象としていない。つまり、その場合には調査の必要がないとなっているわけでございます。これに関しまして、11ページの「このような」の段落でございますけれども、「このような法律の施行前に有害物質使用特定施設が廃止された工場・事業場に関しましては、」先ほどの(ア)とも関連するわけですけれども、「一定規模以上の土地改変あるいは土地売買等の際に履歴等調査を行い、その結果を踏まえ、土壌汚染の必要性を判断する仕組みを導入する場合には、こうした機会」つまり一定規模以上の土地改変あるいは土地売買という場合ですが、「こうした機会に調査が行われることとなる。」ということでございます。
 また(ウ)ですが、法律第3条ただし書きというのがございまして、有害物質使用特定施設が廃止された場合でも、引き続きそこが工場などとして使用されて一般の人が立ち入らないというような状況である場合には、都道府県の確認の上で調査義務が猶予されるという仕組みになっております。このような調査が猶予されている土地におきまして、土地改変や土地売買等が行われる際には、都道府県知事に届け出ることとして、当該土地における調査の必要性を再度判断する機会を設けると、このようなことも検討すべきとされております。
 また[2]でありますが、自主的な調査の促進です。自主的な土壌汚染の調査の実施、これも大変重要でありますので、推進すべきであると。その場合に、汚染が判明した場合に必要に応じて地方公共団体と連携をとりつつ、みずから進んで情報開示していく姿勢が重要である。また(イ)にありますように、自主的調査でありましても、一定要件のもとに法律に基づく調査とみなせる仕組み、これも検討すべきとされております。
 また[3]が法律の第4条調査についてです。法律第4条と申しますのは、有害物質使用特定施設の使用の廃止時ではなくとも、現に人の健康被害のおそれがあるというような場合に都道府県知事が調査を命ずることができると、こういう規定があるわけです。この調査命令の発動に当たりまして、その前段階として必要に応じ土地所有者等が履歴等調査を実施し、その結果を都道府県知事に提出し、調査命令の判断に活用する仕組み、このようなことも検討すべきということでございます。
 続きまして12ページでありますが、土壌汚染に関する情報の集積・公開、土地売買における情報の引継ぎと、こういったことも重要であるということです。(ア)にありますように、土壌汚染に関する基本的な情報について、国民が簡単に情報を入手できる仕組みを検討すべきと。また(イ)でありますが、土壌汚染に関する詳細な情報について保存・管理する仕組みを検討すべき。(ウ)にありますように、不動産取引の際に情報の引き継ぎを行わせるような制度を検討すべき、このようなことがまとめられております。
 次に(4)が搬出汚染土壌の適正処理を確保するための制度の充実であります。13ページの(ア)でありますが、搬出される汚染土壌について適正処理を確保するための法規制の充実化を検討すべき。発生から最終的な処理に至るまで関係者が責任を持って処理する仕組みを確立して行くべきということでして、具体的には(イ)にありますように、まず関係者に適正な処理の義務づけをする。次に搬出汚染土壌管理票、汚染土壌マニフェストとも呼ばれておりますが、これを用いた汚染土壌の発生から最終処分に至るまでの管理システム、また汚染土壌が不適正に処理された場合の是正措置というようなことを検討すべきということでございます。そのほか業者や施設に関する規制、また土壌を搬出する段階もしくは受け入れる段階でチェックする仕組み等についても議論を深めていくべき。さらには汚染土壌の適正な処理や再生利用を促進すべき、また大量の汚染土壌を安価に処理できる施設の普及を図るべきということでございます。
 次の(5)が調査対策の信頼性の確保、調査対策手法の充実に関してであります。まず[1]は調査・対策手法の充実、低コスト化ということです。特に対策に関しましては、非常にコストがかかるという場合が多いわけでありますので、低コスト、低負荷型の対策技術の実用化普及を促進すべき。その際搬出される汚染土壌量が抑制されるように、現場で浄化する、オンサイト処理とも呼んでおりますが、その技術開発普及を推進すべきということであります。また調査手法に関しましても簡易な調査手法の導入を検討し、普及を図るべきということであります。
 また[2]でありますが、調査に関しましては、環境大臣が指定する調査機関、指定調査機関が調査をすると、法律上はそうなっているわけでございます。この指定調査機関の技術的能力についても向上・維持する方策が必要であるということで、1番にありますように、まず指定の際の資格要件の見直し、また指定の更新制を導入するというようなこと、さらには14ページにありますように、技術管理者の講習、指定調査機関内部でのチェック体制の強化、これについても推進すべきということでございます。
 また[3]でありますが、履歴等調査に関しましても、その方法や内容について検討が必要であると。また履歴等調査の担い手につきましても、調査の公平中立性を保ち、専門的知見や能力を備えた者が調査を実施することについて検討すべきということであります。またこの履歴等調査については、フェーズ1調査という言葉もよく用いられるんですが、法律の対象とならない部分でありましても、現に今実施されている実態がございます。そこでこの土地取引や不動産鑑定、担保評価等を目的として行われる履歴等調査については、その標準化や民間における専門的資格の導入を検討すべきということでございます。
 (6)が対策を推進するための各方面における経済的な方策についてでありますけれども、ブラウンフィールド問題に関する施策であります。先ほどの(1)に掲げた施策に関しましても、ブラウンフィールド問題の緩和に対して効果があると期待されるわけですが、それ以外に期待される施策として(ア)から書かれております。まず(ア)が、放置され、塩漬けとなりがちな土壌汚染地について、適切に土壌汚染対策を講じ、魅力や活気あふれる良好な街づくりを推進していくことが重要であると、そのような土壌汚染地の再生を推進していくような施策が期待されるということであります。
 また(イ)でありますが、金融機関が土壌汚染地を必要以上に敬遠せずに融資対象とするように、土壌汚染地をストックとしてみた評価を前提とせずに、再開発の枠組みや対策実施後の利用計画全体スキームで見たプロジェクトファイナンスを推進するということ。またさらに(ウ)は不動産鑑定についてでありますけれども、土壌汚染地についても、掘削除去のみならず、状況に応じて盛土、封じ込め等の対策が講じられるようになれば、それらを的確に反映した評価を行う必要がありますので、その際評価実務の見直しと普及を推進ということでございます。
 また(エ)は、企業会計の関係です。企業会計基準委員会では、「資産除去債務に関する会計基準」を今年の3月末に公表したところです。これに関しては、その少し下のこの(エ)の中の後半部分でありますが、「この場合」のところに書かれておりますけれども、「資産の除去時(具体的には有形固定資産の売却、廃棄時等)に法令又は契約で要求される土壌汚染の対策に要する費用を、有形固定資産の除去に関する将来負担として財務諸表に計上することが必要となる可能性がある。」ということでございます。土壌汚染対策の計画的な実施のために、このような新たな企業会計の仕組みを活用するということを検討してはどうかということでございます。次に、(オ)が保険普及の推進ということです。また、(カ)が資力が乏しい中小事業者への配慮ということでして、支援策の検討ということでございます。
 また、16ページにまいりますが、土壌汚染地をめぐる法的責任についてであります。米国では、日本に比べまして、法律上土壌汚染に対して責任を負う主体が非常に広いということでして、さらにそれらの者は連帯責任を負うということになっております。一方で善意の土地購入予定者、善意の土地取得者、隣接地等の所有者の責任については抗弁を認めているというような状況でございます。そこで、各国における土壌汚染や民事関係等に関する法体系を踏まえつつ、土壌汚染地をめぐる法的責任関係について、参考とすべき点があるかどうか検討すべきということでございます。
 次が[3]が土壌汚染対策基金の活用についてであります。これに関しては、ちょっと後ろの方の参考資料の方をごらんいただきたいと思うのでありますが、後ろの方の10ページの17番、土壌汚染対策基金による助成という図があります。これは現在の土壌汚染対策法に基づく制度です。土壌汚染対策法上は土地所有者または原因者が対策を講ずるということになっているわけですが、この基金が対象とするケースは、原因者がいない、しかし土地所有者が対策を講じざるを得ない、講じなければいけないと、こういう場合を想定しておりまして、そのような場合の土地所有者に、対策に要する費用を支援すると、こういう仕組みでございます。そこで基金を設けておりまして、政府からの補助と、それから政府以外の方からの出捐で基金を積み上げてきております。これに都道府県の助成を加えまして、土地所有者に対策に要する費用を支援すると、こういう仕組みがあるわけでございます。
 そこで16ページに戻っていただきたいと思いますけれども、先ほどの[3]の(ア)にありますように、この現在の基金は法律第7条に基づく措置命令が発せられているというのが必要条件なのですが、この措置命令が発せられなくても、土地所有者等が法律上必要とされる土壌汚染対策を講じる場合であれば助成対象とすることを検討すべきということでございます。またこの基金を活用するためには、地方公共団体にも助成制度をつくってもらわなければなりませんので、この整備が望まれる。また(ウ)にありますように、現在のところ、汚染原因者については助成対象となっていないわけでありますが、汚染原因者についても一定の条件のもとで助成が必要かどうか、その是非も含めて検討すべきということであります。
 次に(7)は、土壌汚染の未然防止、操業中からの対応の促進です。未然に防止するということも重要でございますので、16ページの下にありますように、そういった未然防止の観点で参考となる事例等の普及啓発を推進すべきということであります。また17ページにまいりまして、操業中からの対応の促進ということで、これに関しましても参考となる事例等の普及啓発を推進すべきと。また操業中からの対応を促すために、土壌汚染の調査対策を自主的に実施した場合、一定の条件のもとで法律上の調査・対策の義務の義務を果たしたこととなると、そういうような制度的検討を行うべきということであります。
 次に(8)でありますが、規制対象する項目に関しましては、規制対象物質に関しては、欧米の動向も注視しつつ見直しを検討すべきということ、また摂取経路については今現在土壌汚染対策法は土壌を直接摂取すると、口から土壌が入ってくるというような経路、それから地下水の飲用を通じた摂取、そういうものを考えているわけですが、これに加えて揮発経由、揮発性物質が土壌中から揮発して、それを吸入するというそういうリスクについても科学的知見を深め、必要に応じ対象としていくべきということであります。また次に、生活環境保全でありますとか、生態系の観点でありますが、油汚染対策ガイドラインを2年前に作成しましたので、その普及を推進すべき。また生活環境保全さらには生態系に関しましても、科学的知見を深めていくべきということであります。
 また17ページの一番下、[3]でありますが、自然的原因により基準を超過する土壌という場合もあるわけですが、これに関しては現在、法律の対象とはしておりません。しかし、そういったものを搬出し、別の地域に運び入れ使用する場合には、適切な管理が必要となりますので、その対応の仕方を明確にするガイドラインも策定について検討すべき。(イ)は自然的原因であるか否かの判断に資する自然汚濁レベルの目安、地質データ等を整備・提供していくべきということ。
 さらに最後(9)でありますが、その他として地下水保全施策との連携であります。地下水保全との連携を強化しつつ土壌汚染対策を推進すべき。また土壌の汚染状況を考慮した地下水の適切なモニタリングの実施を推進すべきということでございまして、このようなことが4番のあり方の中で取りまとめられました。
 以上です。

(松本部会長)
 ありがとうございました。それでは、ただいまから後半部分について質疑応答の時間に入りますが、もちろん前半の部分についても、もしございましたらよろしくお願いします。それではどうぞ。

(鈴木臨時委員)
 事実関係について質問させていただきます。法律の対象にならないで汚染が判明したケースが増えているというご説明がありましたが、具体的にはどういうケースがあるのか、2、3教えていただければありがたいんですけれども。特にその土地の履歴との関係で何かつかんでおられることがあるかどうか、お伺いしたいと思います。

(坂川土壌環境課長)
 法の対象とならない部分でどういう土壌汚染の事例があるのかということは、今現在環境省でも事例を集めつつあるところでございまして、またいずれこの審議の中できちんと整理をした形で御説明したいと思っております。今までのところの情報をごく簡単に御説明すると、いろんなケースがありますけれども、例えば過去にそこに有害物質を使用するような工場があったけれども、その調査の時点ではそこはもう既に工場ではなくて全く別の用途であったというようなケース、つまりその調査の時点では工場はないんだけれども、大分過去にあったというようなケースがございます。また、その調査時点においてそこに工場があったという場合であっても、土壌汚染対策法の施行前に有害物質使用特定施設が廃止されていたと、そういう場合もあります。これがつまり過去にあったというケースがあるということで。
 それからこれに加えまして、有害物質を使用しているわけなんですが、有害物質使用特定施設に該当する施設は存在していないと。つまり、有害物質使用特定施設はないんだけれども、別な形で有害物質を使用等していたというようなケースがあるようでございまして、例えば重金属などを含有する原材料製品を用いているけれども、有害物質使用特定施設には該当していなかったかとか、または有害物質を含む原材料や製品を保管していた施設があるということでございまして、その保管していた施設から何らかの形で漏れて汚染につながったのではないかということが想定されるというようなケースとか、それからあと、調査時点において有害物質使用特定施設は存在しているんだけれども、ただその特定施設は廃止されていない。つまり廃止されていないので法対象にはならないけれども、そこに有害物質使用特定施設はあったと、こういうケースもあるということで、さまざまなケースがあります。またこれは改めてよく整理をした上で御説明したいと思っております。

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。そのほか。石原委員どうぞ。

(石原臨時委員)
 2点ほどお伺いしたいんですが、資料でいいますと報告書の6ページですか。土壌汚染対策法のときにも関与したんですけれども、少しこの汚染土壌の全体的な流れで、実を言うと内陸の受入地の残土処分量が一番多くなるぐらいのイメージでいたんですけど、セメント工場が一番多いということになっていますんで、ちょっとその辺の状況といいますか、セメント工場というのは、あとどれほどこういう形でできるものなのか、少し教えていただければと思うのが1点です。それと2点目は、先ほどの10ページですか、土壌汚染対策基金のお話がございました。現在の基金の残高というんですか、状況なり、それから支出の具体的な数字について少し教えていただければと思います。

(松本部会長)
 それではお願いします。

(坂川土壌環境課長)
 まず汚染土壌の流れについては、ここにありますように、セメント工場が実態としてはかなり多いということでございまして、これが今後どうなっていくのかというところはなかなか予測するのは難しいんですけれども、これはセメント工場がもともとセメントを製造するために粘土を使っていたと。それに代わるものとして汚染土壌も、これも濃度にもよると思いますけれども、使える場合があるということで、それに代替するものとして汚染土壌の処理も兼ねて原材料の一部として使っているということでありまして、その粘土を使っていた部分についてはもうかなりの部分が、もうそういうものに代替されてきているということでありますので、今後大幅に増加する余裕というのは、余りないのではないかとも考えております。セメント工場については以上でございます。
 それから次に基金でありますが、この基金に関しましては、今現在10億を超える程度の基金が積み上がっております。そして、その使用の実績でございますけれども、昨年1件支援することが決定されたものがございまして、現在まで支援をした実績は1件です。これについてはある土地所有者が、ある業者にその土地を貸していたと。そこで業を営んでいたわけでありますが、ところがその業者の方がいなくなってしまったというような事例でございまして、結局土地所有者だけが残されたと。そこで対策を講じざるを得なくなったという、そういうケースです。この場合は対策費用が約1億円ということでしたので、この基金からの支援額は5,000万円ということになっております。以上です。

(石原臨時委員)
 先ほどの汚染土壌の処理のことなんですけど、多分コスト的にそうするとセメント工場が一番安く処理できていると、こういう構造なんですね。ここが目いっぱいになるとあとは多分コスト的に言うと内陸の受入地にならざるを得ないと思うんですけれども、これはコスト的に言うとどういう感じになりますか。逆に言うとセメント工場のトン当たりの処理コストと内陸の処分地のトン当たりのコストというんですか、そういうものがもしわかりましたら教えていただければと思いますけれども。

(坂川土壌環境課長)
 私どもも、実はセメント工場における受け入れの費用というか、料金といいましょうか、そういうものも断片的に幾つか聞いておりますけれども、確かに一般的な浄化施設に比べると安いような傾向はございます。ただこれは地域によって少し違っているようでありますので、そこはもう少し調べた上でまた御説明させていただきたいと思っております。傾向としては確かにセメント工場が比較的安いということは間違いないと思っております。

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。どうぞ。

(関澤臨時委員)
 御質問と申しますか、さらに踏み込んでいただきたいという要望を1、2申し上げたい。7ページの(1)の(ア)のところですが、ここにありますように、やはり合理的で適切な対策の促進ということについては、国民、マスコミを初め、社会一般に対して土壌汚染リスクに対する理解活動が非常に大事なことだと思います。そのための普及啓発活動を一層推進していくべきだと思いますが、具体的にどういう普及啓発活動をやっていくかというと、非常に難しいし、議論のあるところだと思いますので、よく御議論いただいた上で十分検討をしていただきたい。非常に効率的でかつ本当に行き渡ることをぜひ御検討いただきたいとの要望です。
 もう1点は9ページ目のところで、[1](ア)のところで、ここで自主的な調査対策の課題として(i)から(iv)までの4点挙げられております。ただこれが本当に自主的対応の課題として適切かどうかということにつきましては、例えば(ii)ですが、民民の取引であっても結構こういった取引のときはこういうのは開示されている、当たり前だと、こう思っています。そういった意味でここにあるのが本当にすべてが適切なものかどうか、ちょっと気になるところです。土地所有者等の過重な負担とならないように配慮するという観点から、これも十分ご検討いただければと、思います。
 以上です。

(松本部会長)
 要望でございます。眞柄委員。

(眞柄臨時委員)
 先ほどの資料の説明の折に、指定調査機関1,661機関あるということだそうですが、指定の要件は決まっているんでしょうが、指定をする事務は環境省、本省でおやりになっていらっしゃるのか、あるいは地方事務所でおやりになっているのか、どちらでしょうか。そして指定の申請があって、要件に達していなくて、拒絶をしたことがあるかないか、その二つどうでしょうか。

(坂川土壌環境課長)
 まず事務は原則として地方環境事務所の方で行っておりますけれども、ただ営業の範囲が広くて二つ以上の事務所の管轄の範囲にまたがるという場合には本省でやると、こういうことで分担してやっております。それから申請があってそれを指定しなかった場合もあります。例えば技術管理者として適切な人がきちんとそこに配備されていないというような場合は指定しないといったようなケースもあります。

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。はい、どうぞ亀若委員。

(亀若臨時委員)
 先ほどの普及啓発に関係するんですけれども、この資料の8ページの(オ)です。まさにこれが検討の一つのきっかけにもなっているように思われるのは、そもそもこの汚染の土壌を掘削して排除してしまうというビヘイビアが非常に多いということで、もともと考えていた覆土をしたり、あるいは遮断するということよりもずっとそっちの方が多いということになっている。この大きな要因は、覆土だとか、遮断だということになると、汚染しているものが厳然としてそこに存在するわけですね。心理的に見れば、そこからどこかへ持っていくというビヘイビアが働くのが当然なんですね。そうするとやっぱりそこにある汚染物質をいかに完璧に封じ込める、あるいは後の13ページにありましたけど、オンサイト処理みたいなそういう技術開発などの処置をしたことが本当に、安全であるということのあかしをきちんとしていくことが、その対策のやり方ですね。それについてしっかりとしていかないと、なかなかこれはうまく物事がねらった方向に行かないんじゃないかなという気がするんです。今こういうことでの技術開発などについては、環境省としては、あるいは企業を含めまして、どういうような方向で進んでいるのか、事例的なものでもあればお教えいただきたいと思います。

(松本部会長)
 じゃあよろしくお願いします。

(坂川土壌環境課長)
 今御指摘がありましたように、そこの技術開発が大変重要でございますので、環境省としてもこの法律ができたころから技術開発を支援する制度をつくっております。これは民間で研究開発が進んで実証段階にある技術、これを専門の先生方にも評価していただくと。またその実証のために必要な費用についても、一部環境省から支援をすると、こういう仕組みをつくっております。それで今年度もやっておりまして、現在そういう技術の募集を、応募を受け付けている状況でございます。引き続きそういった形で支援をしていきたいと思っております。
 またそれらの中で原位置浄化、つまりオンサイト処理についても、毎年何件か挙がってきてきておりまして、そういった技術開発もだんだんと進んできているのではないかと考えております。ただやはり土壌の場合、水と違ってうまくまざらないといいましょうか、まざりにくいといいましょうか、そういう難しい部分がありますので、まだ技術開発を進める余地があるんじゃないかなというふうに思っております。

(松本部会長)
 よろしゅうございますか。どうぞ。

(中野臨時委員)
 私、土壌汚染というものに大変関心があるんですけれども、この16ページの土壌汚染の未然防止ということで、いろいろな対策をこうしてしていただいているんですけれども、今後いろいろな農機具とか、そしてまたいろいろな機器が野ざらしにされている、大変広い面積で野ざらしにされている場合をよく見かけます。そうした面で土壌汚染をするまでの未然防止の行政的に何かそういう施策を講じられたらうれしいなと思うんですけれども、その方もよろしくお願いいたします。

(松本部会長)
 じゃあよろしくどうぞ。そのほかどうぞ。浅野委員。

(浅野委員)
 懇談会でまとめられた今後の検討の方向というのは、おおむね必要なポイントを押さえておられると思います。これから検討することになるわけですから、逐一議論をしていかなきゃいけないわけですが、多分一番問題になりそうなのは土地売買との関連でどうするのかということだろうと思います。これやっぱり基本的には当事者間の民事の問題ということになりますし、それから瑕疵担保責任というような民法上の制度がもともとあるわけですが、それと公法上の制度とどううまく組み合わせるのかということがありそうです。ですから、ここは少し丁寧に議論しなきゃいけないのではないかということだと思います。そのほかさっき私申し上げた現行法の制定時からの課題になっている部分というのはあるわけですが、それは御指摘のとおり検討していくことが必要だろうと思いますし、それから特に生活環境保全という観点からの問題をどこまで対策法の中に入れられるかということも含めて、最初から考えなきゃいけないというのも御指摘のとおりだろうと思います。
 なお、極めてマイナーな問題ではあるわけですが、これまでの経験の中で実は法令間の調整が不十分だったという事実がございまして、以前そのことを申し上げて、ちょっと議論をしなきゃいかんということを言ったことがあるのですが、実は海洋汚染防止法で海洋投入の土砂についての基準と、それからこちらの土対法基準の間に齟齬があるものですから、海洋投入ではオーケーだが、埋めてしまった後、今度は土対法にひっかかって浄化だというばかな話が起こってしまうことがあったわけです。これは大変現場としては混乱を起こしますし、困るわけで、こういうことがないように、このあたりもちょっとあわせて今回は見直しをしておかないといけないのではないかと思います。この目的が違うことは事実で、海洋の方は要するに溶出することを考えてそれしか基準として考えていないのですが、竣工後は土地になるということを、こちらの方との関連で余り考えていないものですから、基準がずれてしまうという問題があります。

(松本部会長)
 それでは佐藤委員。

(佐藤(泉)臨時委員)
 非常に網羅的な今後の対策を考えていらして、私はとっても評価いたしたいと思います。1点、今回の対策の中で非常に大きな問題となるのが、土壌汚染対策法の対象範囲を広げるということでございます。このことによってどういう効果が発生するかということなんですが、現在の自治体が対象としているよりも、かなりの多い件数が自治体の中での事務になってくるということが予想されています。自治体では一応都道府県というふうになっておりますが、地方事務所に多くのところで移管されている例があるというふうに理解しております。そうしますと人的な問題、あるいは技術的な問題で、十分な知識がなかなかないという例があるように思われます。特に掘削除去であれば、自治体としてはそうですかというふうに、技術的な余り知識がなくとも対応できるんですが、原位置浄化となりますと、それが正しいのかどういう影響を与えるのかということについて自信がないという自治体があるように思われます。そうしますと、非常に厳しい基準を求めたり、あるいは掘削除去した方がいいんじゃないんですかというアドバイスをしたりという例が私はあるように思いまして、対象範囲を広げると、それによって自治体の負担が増える。それに対するどういう技術的支援、あるいは啓蒙を行っていくかということが重要でありまして、つまり事業者に対する啓蒙、それから地域の住民に対する啓蒙、それから自治体の知識の向上、こういうものを同時に行わないと混乱が生じるんではないかというふうに懸念しております。
 以上でございます。

(松本部会長)
 ありがとうございました。どうぞ、そのほか。ございませんか。

(なし)

(松本部会長)
 それでは、大体御意見が出尽くしたと思われますので、次に進みたいと思います。
 次の議題2でございます。小委員会の設置についてということで、事務局から説明をお願いいたします。

(坂川土壌環境課長)
 それでは資料5をごらんください。この諮問に関しましては、土壌農薬部会の中に土壌制度小委員会を設置してはいかがでしょうかという、そういう提案でございまして、現在の中央環境審議会土壌農薬部会の小委員会の設置についてという土壌農薬部会決定があるんですが、その一部を改正するというものでございます。この資料の裏の方がわかりやすいと思いますので、裏の方をごらんいただきたいと思います。これは改正案を反映した改正後の条文でございまして、アンダーラインが引いてあるところが今回追加をする部分です。現在土壌農薬部会には農薬小委員会が設置されておりますが、これに加えまして、土壌制度小委員会を設置するというものです。2.にありますように、土壌制度小委員会は今後の土壌汚染対策の在り方について調査審議するということです。また4番にありますように、土壌制度小委員会及び農薬小委員会の決議は、部会長の同意を得て、土壌農薬部会の決議とすることができる。また5.にありますように、部会長は土壌制度小委員会及び農薬小委員会に出席し、意見を述べることができると、このように改正することを提案させていただきたいと思います。
 なお、この小委員会に所属する委員につきましては、中央環境審議会議事運営規則によりまして、小委員会に属すべき委員、臨時委員、または専門委員は、部会長が指名すると、このようになっております。また小委員会に委員長を置き、部会長の指名によりこれを定めると、こうなっておりますので、小委員会に属するべき委員、臨時委員、それから委員長に関しましては、部会長からの御指名をいただくということになるわけでございます。以上で御説明を終わります。

(松本部会長)
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に対しまして、質問あるいは御意見がございましたらどうぞお願いします。ありませんか。

(なし)

(松本部会長)
 ないようでございますので、それでは、土壌農薬部会に土壌制度小委員会を設置することを決定させていただきます。また土壌制度小委員会の委員につきましては、事務局から説明がありましたように、中央環境審議会議事運営規則第8条第2項に基づきまして、私の方から土壌農薬部会の委員及び臨時委員の中から指名させていただきたいと思います。なお、必要に応じて、専門委員として若干名を追加する可能性のあることもお伝えしたいと思います。小委員会の委員として指名される委員の皆様方におかれましては、どうぞよろしく御審議のほどお願いを申し上げます。
 次の議題はその他になります。事務局から次回の会議の開催スケジュールなどについて御説明をお願いいたします。

(坂川土壌環境課長)
 次回はただいま設置を決めていただきました土壌制度小委員会の第1回目を開催させていただきます。小委員会に属する委員の先生につきましては、部会長よりできるだけ早く、来週にも御指名をいただきまして、各委員に事務局から御連絡をするということにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。なお、その小委員会の第1回目の開催日時でございますが、6月11日水曜日の午前中に開催をさせていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。なお場所と時間に関しましては、正式に決定次第、委員の皆様方に御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

(松本部会長)
 それでは、最後に私の方から、本日の資料の取り扱いについて、説明させていただきます。
 土壌農薬部会の運営方針では、公開することにより公正かつ中立な審議に著しい支障を及ぼすおそれのある資料や、公開することにより特定の者に不当な利益もしくは不利益をもたらすおそれのある資料などは、部会長の判断に基づきまして非公開とすることとされております。本日配付いたしました資料につきましては、いずれもこれに該当しないということから、公開とさせていただきます。また、今回の議事録につきましては、事務局で調製後、発言委員等への確認をお願いすることになっております。その節はどうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、そのほか、本日の審議につきまして、全体を通じまして、もう一度何かございましたらよろしくお願いします。ありませんか。大塚委員どうぞ。

(大塚委員)
 懇談会の方にも属させていただきましたので、特に発言はしませんでしたが、先ほどの浅野先生がおっしゃった所有者責任と原因者責任の関係については、今回はほとんど関連しないことが多いと思いますので、かなり強調されましたけれども、ちょっとそれは申し上げておきます。それから7条については、さっき汚染者と所有者の合意とおっしゃったんですけど、これは所有者等に異議がないときということになっているので、汚染者が合意することはあり得ませんので、ちょっとそれは一応申し上げておきます。以上です。

(松本部会長)
 ただいまの御指摘よろしくお願いいたします。そのほかどうぞ、ございませんか。

(なし)

(松本部会長)
 ほかにないようでしたら、進行を再度事務局の方に返したいと思います。

(坂川土壌環境課長)
 それでは委員の皆様方におかれましては、本日御多忙の中、御出席いただきまして大変ありがとうございました。これで土壌農薬部会を閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

(了)

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