中央環境審議会水環境部会湖沼環境保全専門委員会(第4回) 議事録

日時

平成16年12月22日開催

場所

環境省環境管理局水環境部水環境管理課

議事次第

1.開会
2.議事
 (1)第2回議事録(案)について
 (2)湖沼環境保全制度の在り方について
 (3)その他
3.閉 会




配布資料一覧

資料-1  湖沼環境保全専門委員会委員名簿
資料-2  中央環境審議会水環境部会湖沼環境保全専門委員会(第2回)議事録(案)
資料-3-1  霞ヶ浦におけるコイ養殖の汚濁負荷量について
資料-3-2  中海における未規制事業場からの負荷量算定方法について
資料-4  湖沼環境保全制度の在り方について(報告(案))
参考資料-1  平成15年度公共用水域水質測定結果について
参考資料-2  平成15年度公共用水域水質測定結果

 

議事録

午前10時00分 開会

○吉岡補佐 皆さん、おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第4回湖沼環境保全専門委員会を開催させていただきます。
 まず最初に、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 まず、資料-1として委員名簿でございます。資料-2として、第2回議事録(案)、資料-3-1として、霞ヶ浦におけるコイ養殖の汚濁負荷量について。資料-3-2として、中海における未規制事業場からの負荷量算定方法について。資料-4としまして、湖沼環境保全制度の在り方について報告(案)。参考資料ですが、配布資料のページには湖沼環境保全制度の在り方について報告書関係と書いてございますが、これは事務局の手違いでございまして、今、お手元にお配りしておりますのは平成15年度公共用水域水質測定結果についてというプレス発表資料でございます。あと、冊子ということで、平成15年度公共用水域水質測定結果というものをつけてございます。
 資料の不足等ございませんでしょうか。
 無いようでしたら、議事に入らせていただきます。議事運営規則に従い、本専門委員会の委員長であります須藤先生に議事進行をお願いいたします。
 それでは、須藤先生、よろしくお願いいたします。

○須藤座長 かしこまりました。それでは、第4回湖沼環境保全専門委員会を開かせていただきます。
 本日は、大変お寒い中、またご多用の中を早朝からお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。また、傍聴の方もたくさんお出でいだたきましたことを感謝申し上げます。
 それでは、わずか2時間という時間ではございますが、前回の議論を踏まえて湖沼環境保全制度の在り方ということについて活発なご議論をお願いしたいと思います。
 前回の会議終了後も委員の先生方からはご意見をいただいた部分もございます。できる限り、私も事前に拝見いたしまして、できる限りそのようなご意見も今度の在り方の原案には盛り込むようにということをお願いしたところでございます。
 ということで、ただいまからその原案をお示しいただけると思いますが、そのような議論で本日の中心的な議論は進めたいと思います。
 まず、議題1でございますが、第2回の議事録についてです。
 資料-2に第2回議事録(案)が準備されておりますが、この資料は既に委員の先生方のところにご確認をいただいた後、事務局で修正いたしまして、再度各委員の先生方に送付されている資料でございます。この場でこれを第2回の議事録としたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。
 特にご異議はございませんでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 それでは、この議事録(案)を議事録として、事務局の方で公開の手続をとっていただきたいと思います。お願いをいたします。
 それでは、冒頭に申し上げましたように、本日のメインの議題は、湖沼環境保全制度の在り方についてということでございまして、それほど長い時間の検討はとれなかったとは思いますけれども、事務局からまずご説明をいただいて、さらに先生方からご質問なりコメントをいただきたいと思います。
 資料-3-1、3-2のご説明をいただきますが、合わせて、この資料の中に含まれている新たな資料が入っておりますので、参考資料も続けてご説明いただくということで順番に吉岡課長補佐、それから太田課長から合わせてそれを説明いただきたいと思います。それでは、お願いいたします。

○太田課長 それでは、資料-3-1から説明いたします。資料-3-1、3-2は前回の議事におきまして宿題といいますか、ご指摘いただいたことをその後調べた結果の概要をまとめた資料でございます。
 ご質問のあったことは2点、霞ヶ浦におけるコイ養殖の汚濁負荷量、これがどのくらいか。特に経年変化を見たとときに原単位が変わっているのではないかというご指摘がございましたので、それの詳細を調べたものでございます。
 それから、中海における未規制事業場の割合が高かった、それの算定方法はどういうことかということで調べてまいりました。
 まず、霞ヶ浦のコイ養殖の汚濁負荷量でございますが、そこに用いている原単位でございますが、そこに書いてありますように、3期と4期、時期がずれておりまして、その中で原単位が微妙に変わっております。その変わったことがあの数字に、単に生産量だけではない要素として効いてきているというものでございます。
 変わった要素が何かといいますと、数字自体はそこに書いてあるとおりなのですが、まず、第3期、第4期の数字が、例えばCOD値ですと133.8と、第4期の補正前が130というのがございますが、これは下の1.の相違点の中の1つ目のポツの増肉係数というものの変化がございます。これは1,000キロ当たりの生産量に対してどのくらいの給餌をするかというそういう量でございますが、3期計画では1.4倍、1,400キロ使う。ところが、4期計画ではそれが少し減りまして1.37というそういう数字になっております。これによりまして生産量当たりの給餌量は減るという格好になっております。
 ところが、もう1つ補正の要素がございまして、これは実は水温による補正というのを原単位にかけてございます。前回の資料でありましたように、給餌量というのは体重と水温で決まった給餌量という形になっておりますので、体重の方はあまり変わらないのですが、水温が高くなると給餌量も増えるという関係がございます。その関係がありますので、その係数、そこの下の方に式が書いてございますが、こういう係数でそれぞれ、前回示しました表のもとの関数がこういう関数だと思いますが、これを使いまして、これに当時の月別の平均値を入れてそれの平均をとってみると。その平均値が次のページの上の方に、3期のときの平均が8.27で4期の平均が9.14ということもありましたので、この比が1.11倍になりますけれども、これをかけると。要するに、表-1のところを見ていただきますとわかるように、水温が1度くらい上がっておりますので、この1度くらい上がったために給餌量が1割ほど増えていると、こういう結果になっております。これを生産量当たりの給餌量は少し減ったのですが、水温が上がったために多量に投与する、そういう結果になったためにああいう形になってしまったということでございます。
 なお、以下に原単位の設定の仕方それぞれ書いてございますが、今、言った増肉係数とか、あとCODと窒素、リン、少し計算の仕方は違いますけれども、CODの場合は流入負荷量というのが、損失飼料とふんと尿を足し合わせるような形で計算をしているというやり方でございます。
 これを見てわかりますように、損失飼料は1%ということで、ふんと尿としてが99%についてそれぞれ流入汚濁負荷量をかける、こういう計算で足し算をしているという形になります。
 それから、窒素、リンの方につきましては、飼料の投入量から養殖で生産されたものをさっ引くという差の手法を使って計算をしていると、こういうやり方になっております。
 以上が、コイ養殖の汚濁負荷量についてでございます。
 それから、その次に、資料-3-2でございますが、未規制事業場からの排出量でございます。排出量の計算方式は原単位方式を使っておりますが、産業中分類別の排出の原単位を使用しているところです。それに排出量原単位及びそのかける相手が未規制事業場ですので、未規制事業場の分の出荷額をもとに計算をする。そこにありますように水質原単位と量の原単位と出荷額というカテゴリーになっています。
 この時にどういう数字を使っているかということですが、まず排出の原単位はその下に書いてありますように、CODにつきましては「流域別下水道計画総合計画指針」、これは昭和58年版でございまして一番初期のころでございます。ですから、これ第1期計画の前の段階で策定するときに、そこにあります各業種別にかなり小分類でCODの原単位が書いてございますが、その原単位を使ってあります。それを、小分類になっていますので、中海における立地状況に合わせて加重平均をした数字を中分類として使っているということでございます。
 同じように、窒素、リンにつきましては、「窒素、燐指導指針策定調査」というのを53年から57年ぐらいにかけて、ちょっと最終年度がはっきりしないのですが、この頃に、窒素、リンの規制を開始する前の段階で資料を策定してございまして、ここでかなりの業種についての実態調査をしてございます。そこで得られました濃度等を原単位として用いております。これもそういう意味でかなり細かい分類になっておりますので、それを事業の実態に合わせて、そこの下にあります中分類ごとに加重平均といいますか、そういう形をとりましてそれを用いているということでございます。
 ただ、いずれも見ておわかりのように、かなり昔の資料のものでございまして、現在でもこの原単位を引き続き使用しているということでございます。
 それから、排水の原単位は出荷額当たりからの排水量として同じように原単位を設定いたしております。
 また、出荷額の方でございますが、これは年代によって変わっていますが、出荷額がございまして、それから規制対象と、あと下水道接続事業場がわかりますので、その分をさっ引いて、残りを未規制分として計上しているというものでございます。
 基本的にはこういう考え方で設定をしているというものでございます。
 以上が中海の算定方法でございます。
 それから、もう1点追加で、参考資料-1を見ていただきたいと思います。これは15年度の公共用水域の水質測定結果ですが、12月16日にまとまって公表いたしました。この中で、従来から湖沼の環境基準の達成率等が14年度で議論しておりまして、15年版が出ましたので、参考までにご説明させていただきます。
 なお、報告書の原案の中の数字は15年版の方にもう既に差し替えて、書き直してございます。
 簡単に概要だけ申しますと、公共用水域水質の結果をとりまとめて全部まとめております。そこにありますように、健康項目についてはほとんど達成という状態ですが、生活環境項目でCODまたはBODを見ますと、河川が87.4、湖沼が55.2、海域で76.2、全体で83.8ということで、全体とすると過去最高ということです。そこにありますように、ただ、湖沼は55.2ということで引き続き低いという状態になっております。ただ、昨年に比べますとかなり高くなるということで、それはちょっと後ほど。
 それで、湖沼の窒素、燐の環境基準達成率は依然としてやはり同じように低いという状態でございます。
 それから、その下にありますように、今回新しい試みとして10年間の変化というものをとって、それを後ろの方につけてございますので、これは後ほど参考に見ていただけたらと思います。
 その中で特徴的なのは、河川では揖保川下流、湖沼では手賀沼が非常に改善の進んだ湖沼というふうな結果も出ているところでございます。
 湖沼について簡単にご説明いたしますと、3ページをお開きいただきたいのですが。3ページの下のところに[2]のところに、達成率というのが書いてございますが。下に解説がございます。湖沼について言いますと、その第3段落程度ですが、改善ははかばかしくなかったが、平成15年度は初めて50%を超えて55.2になったということが書いてございます。
 ただ、ここについては2つ理由がありまして、1つはよくなった水域がかなりあるということもございますが、もう1つは、今回新規当てはめで新しく登場をしたものがかなりございまして、その新登場したものがすべて達成していたものですから、それが達成率を引き上げたという面もございます。
 その新登場したものを引きますと、達成率は51.3、前回が43.8ですので、今回51.3ですけれども、それでもかなりよくなってはいるということでございます。
 このよくなった理由ですが、まだ明確にはっきりしているわけではないのですが、気象条件が1つの要素でございまして、15年度は雨量が多くて、湖沼に流入する河川の数値の方を見ますとかなり改善が見られておりますので、そこが影響した可能性があるということ。
 もう1つは冷夏だったものですから、夏場の内部生産が抑えられたということも傾向としては見られております。
 ただ、いずれしても、達成したといってもかなりギリギリのところで、今までギリギリであったものが、たまたまよくなって達成したというくらいの濃度ですので、これは気象条件でまだ変動の余地があるというふうにそこの部分は見ております。そういう意味で単年度だけで一気によくなったというところまではいかないなと思っております。少し様子を見て、そういう意味でギリギリのところが少しよくなると改善するものも出てきたというような状態だというふうに認識いたしております。
 その次に、5ページのところにいきますと、窒素、燐がございますが、これも窒素、燐の濃度もそこに書いてございますように、同じように横ばいになっております。今回初めて窒素と燐を分けた形でも記載してございますが、全燐については少し良くなっておりますが、全窒素の方は少し横ばいというか下がって、悪くなっているというような状態になってございます。
 あと、幾つか関係資料がございますので、ご覧いただければ。
 8ページに今回の指定湖沼の新しい濃度の推移がございます。見ていただきますように、それほど大きな差はございません。ただ、全窒素でちょっと印旛沼が少し上がったというところが少し目立つ感じでございます。
 以上、簡単にご説明をさせていただきました。

○須藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、これはもう続けてやった方がよろしいね。それとも、ここで質問いただきましょうか。そうですね、これちょっと別の資料ですし、宿題だったですから。それでは、ここの部分はここの部分として宿題でございましたし、それから新たな資料でございますので、在り方論をやる前に、今の関係資料ということになりますので、ここの部分はご意見なりあるいはご質問なりございましたら、どうぞ。今の3-1、3-2、参考資料でございます。
 どうぞ。

○花木委員 コイの養殖の資料調べていただきましてありがとうございました。この資料で計算の方法はわかったのですが、お伺いしたいのは、一番基本となっているこの増肉係数についてです。この原単位が第3期と第4期の間で2%か3%ぐらいしか減っていないですね。この係数を減らすという努力が求められているわけですけれども、現実にはこの程度しか減っていない。この数字は実態を反映していて、実際に減っていないのか、実際はもっと減らす努力がされているのか、その辺はいかがでしょうか。
 対策を考えたときに、本当はこの数字を減らしたいわけです。そういう意味で削減する可能性があるかどうかという辺が問題だと思うんです。その辺は把握しておられますか。

○須藤座長 吉岡補佐、それとも太田課長、どうぞ。

○太田課長 申しわけありませんが、そこのこの原単位の設定した細かいところまではまだ調べきれておりません。これが、この努力が続いているかどうか、現実と合っているかどうかということについては。ただ、数字そのものはこういうふうに出ているということで、実態をある程度調査をした上でこういう結果だとは認識しております。
 ただ、わずかでも改善していますので、多分努力は続けられているのだろうという推測はいたしておりますが、引き続きこういうところを指導するというのはおっしゃるとおりかというふうに認識しております。

○須藤座長 それでは、これのもう少し茨城県当局が掌握しているのであればね、お聞きしておいた方がよろしいかと思いますので、まだこれから当方の審議も続きますので、可能な範囲で今の花木先生のご質問について茨城県当局に伺っておいてください。お願いいたします。
 ほかにございますか。
 それでは、どうぞ。

○齋藤委員 水温の上昇ですけれども、これは気象条件だけでは説明多分できないと思いますが、いかがでしょうか。

○太田課長 これ、なぜ上昇しているかといいますと、解析しておりませんので、正直言って、正確にお答えすることはできないと思います。ただ、やはり幾つかの要素が考えられると思っております。1つは、市街化をする。ヒートアイランドのようなといいますか、市街化してくると温度が上がってくるということもございますし、例えば下水道の流入が増えると下水道については放流水の水温が高いということもありますし、また気温そのものも若干、1度まで上がっているかわかりませんけれども、多少上がっていると思います。幾つかの要素が重なっているとは思っておりますが、そこまで解析をいたしておりません。
 現実として上がっているという実態がございますので、実際にそれやる場合にはこういうのを踏まえて給餌とかがされますので、こういう結果になってしまったと。

○須藤座長 4月から11月だから、第4期も11月の分まで入っているわけね。ちょうどそれは統計では比較ができるようになっているわけですね。

○太田課長 はい。

○須藤座長 わかりました。
 ご質問よろしいですか。

○和田委員 確認ですけれども、この1.4の意味というのは、魚肉になる餌を与えて4割は水中に残ると理解していいわけでしょうか。

○太田課長 水中に残るといいますか、肉にならない。ただ、それが有機物ですので、この場合は分解する可能性が。窒素、燐は単純に引き算になりますし、こちらの場合は分解しますので、水に残るかどうかというのはちょっとわからないので、違うふんとか尿の方から計算しているという形になります。

○須藤座長 ありがとうございました。よろしいですか。
 では、とりあえずは、浅見先生、どうぞ。

○浅見委員 申しわけありません。後の方の3-2の資料の中海における未規制事業場の方の細かく教えていただいたのですが、この方法では原単位を建設省さんのデータを使われているということなのですが、これは他のところもこの原単位をずっとデータを使って計算していらっしゃるのでしょうか。湖沼も今回負荷量の算定をしてらっしゃると思うのですが、中海だけがここの前のデータをずっと使っているのか、それとも他のところ、一般論で結構なんですけれども。

○須藤座長 原単位の問題です。どうぞ。

○太田課長 ちょっと他の湖沼まで、今、確認を全部はしておりませんが、今まで聞いたところですと、昔から使っているところもあるというふうに聞いておりますが、全部昔のままかどうかというところまではちょっと確認できてはおりません。
 ただ、一番最初は多分同じようなやり方で皆さんスタートはしているのですが、原単位をときどき直している湖沼もございますので、そこら辺がどういうものに基づいて書いたかというのはちょっと現在のところ把握しておりません。

○須藤座長 中海がどういうふうに変化してきたか私も定かに承知はしてないけれども、例えば霞ヶ浦なんかですと新たなデータが入手できたり、県でそういうデータがとれれば新しくそれを変えていくというような努力はそれぞれのところでしているだろうと思います。ずっと昔から、一番初めは多分環境省で提案された値でスタートしていると思いますけれども、それはやはりそれぞれの湖沼に合ったところと考えられるところは新たにそれを入れていると、原単位は使っていると思います。
 他よろしいですか。
 それでは、ただいまのご質問というか、前回の宿題は一応これでご理解いただいたということで、どうもありがとうございました。
 次に、それこそ今日の本題になるわけですが。湖沼環境保全制度の在り方ということで、事務局なりに整理をしていただきました。大変短時間でお気の毒な点もあったかと思いますが、先生方のお約束をすべて満足できたかどうかというのはお聞きになってご感想を伺えれば結構でございます。
 では、資料-4についてご説明ください。では、これは吉岡補佐にお願いします。

○吉岡補佐 それでは、資料4で用意しております湖沼環境保全制度の在り方について、報告(案)をご説明したいと思います。
 未定稿ということで、先週末に各先生にお送りしたところでございますが、その後先生方のご意見を踏まえまして修正したところもございます。それを踏まえて説明したいと思います。
 まず、1にはじめにということですが、ここでは湖沼の重要性ですとか、近年の開発とか人口増によって湖沼の水環境が損なわれている状況ですとか、国民のニーズの高まりとか多様化からこれまで求められていた湖沼の役割というのが変わってきているといったこと。そういったことを踏まえて湖沼の水環境を保全することが以前にも増して重要で緊急の課題であるといったことを書いてございます。
 2として、湖沼の水環境保全をめぐる現状と課題ということで整理してございますが、湖沼全体の水質の状況ということで、先ほど課長から説明がありましたように、環境基準の達成率、58年度が40.8%だったのが、平成15年度は55.2%ということで、若干上昇はしたものの引き続き低い状況、海とか河川と比べれば低い状況で顕著な改善は見られないということを書いてございます。
 指定湖沼について見ますと、環境基準を平成15年度で達成している湖沼といいますのは、琵琶湖の北湖、諏訪湖、野尻湖、これも全燐だけという状況でございます。
 湖沼の水環境の評価ということでございますが、COD、T-N、T-Pというものについて現在評価されておりますけれども、こういったものだけでは必ずしも施策効果が適切に反映されていないということですとか、地域住民にとってわかりづらいといったことが指摘されてございます。
 また、汚濁メカニズムの解明についても十分にされていないということを書いております。
 発生源ごとの汚濁負荷対策の現状でございますけれども、生活排水処理施設では、未整備人口の比率がまだ3割超えているとか、管理が徹底されていない浄化槽があるといったこと、接続率がまだまだ低い施設があるということ。窒素・燐を除去する高度処理が十分に進展していないといったことが挙げられるのではないかということで書いてございます。
 工場・事業場の排水規制の状況でございますが、負荷量規制を受けていない事業場数というのが対象となる事業場数がまだ半分ぐらい残っているといったことですとか、排水規制を受けない未規制の特定事業場数がまだ6割程度残っているといった状況が見られるかと思います。
 工場・事業場の負荷割合でございますが、未規制の特定事業場ですとか届出義務のないさらに小規模な事業場からの負荷量割合といったものが湖沼の全負荷量の1割から3割を占めていたり、事業系の中でも7割から9割と占めるものもあるといった状況があるのではないかということで書いてございます。
 市街地、農地の非特定汚染源対策でございますが、市街地や農地でいろいろ対策が行われて湖沼計画に盛り込まれているのですけれども、負荷量の実態把握が十分でないといった理由から定量的な数値目標を示した施策というのがほとんど書かれていないといった状況がございます。
 次のページにまいりまして、自然浄化機能を活用した取組でございますが、湖沼の一部分で局部的に実施されている事例はあるのですが、湖沼計画の中では位置づけが不明確といった状況がございます。
 湖沼の水環境の保全ということですが、ニーズの高まりを踏まえますと、これからは総合的な視点を踏まえた保全対策が重要であるといったことですとか、そういったことの施策の実施のためには地域住民の参加が重要であるといったことが書いてございます。
 施策の評価体制でございますが、数値目標を設定した施策の多くが目標を達成していないということですかと、面源対策の効果を適切に評価した上で目標が設定するといったことがなされていないといった問題を書いてございます。そういったことで、評価を行う体制が不十分であったり、施策評価ができる計画になっていないということで、この次に新しい湖沼計画を立てる場合に、より効果的な施策に反映されていない状況があるのではないかということを書かせていただきました。
 こうした現状を踏まえまして、3として、今後の湖沼の水環境保全の基本的考え方というものを整理させていただいております。まず最初に、3ページに湖沼の水質汚濁メカニズムと対策ということでポンチ絵をつけてございますが、汚濁メカニズムについては、特定汚染源や非特定汚染源からの外部からの流入ですとか、湖沼内部で内部生産の汚濁化ですとか、蓄積した汚濁負荷による水質汚濁といったメカニズムというものは大体定性的にはわかっているのですが、湖沼ごとには定量的には把握されていないという現状がございます。そういったことを踏まえますと、湖沼の水環境保全の施策を進めると同時に、モニタリング体制の拡充と、それに基づく汚濁メカニズムの改善を進める、その成果を踏まえてさらに効果的な施策につなげていくことが必要ではないかということを書いております。
 そして、汚濁メカニズムの改善を進めることが第一義的に重要ではございますが、そういったものを進めるとともに、外部的な汚濁要因としての特定汚染源対策ですとか、非特性汚染源対策について効果の検証をしつつ、強化拡充を図っていくことが必要であると書いております。
 さらに、湖内に蓄積した窒素、燐の除去を進めることも重要であるということから、湖岸の植生等、エコトーンのもつ自然浄化機能を、地域住民の協力を得て維持・増大させる施策を導入することも必要ではないかと。
 また、湖底に堆積した底泥対策についてもいろいろ対策なされておるところでございますが、それらの効果についても知見の集積に努め、一層効果的に実施されるように検討していくことが必要であることが、生態系が水質に与える影響も近年指摘されておるということから、植物プランクトンの増殖とか、種の変遷による影響ですとか、魚類が水質に与える影響に関する研究も進め、有効な対策を開発することが必要ではないかということを指摘しております。
 他方、汚濁負荷の削減だけではなく、湖沼環境保全に対する多様な地域住民のニーズにも対応するということで、総合的な施策を取り込むことが必要であるということも書いてございます。例えば、流域全体を視野に入れた視点ですとか、水循環の視点、生態系の保全の視点ですとか、住民参加の視点、あるいは長期的な視点での目標の提示、長期ビジョンといいますが、そういったものが必要であるという認識でございます。
 最後に、こうした施策を着実に実施し、適切に評価するためには、まず関係省庁が連携して効果的な施策を推進していくということ。住民にもわかりやすいような補助指標を設定するということ。湖沼計画の内容についても定量化して定期的に見直していくこと。計画期間や策定スパンについても柔軟化することが必要ではないかといったことを書かせていただきました。
 4ページ目にまいりまして、今の基本的考え方を踏まえて、具体的に個別の施策についてどうしていくかということで、今後推進すべき施策と制度の在り方ということで、対策ごとにさらに具体的に現状と推進方策、それを進めるためのさらに具体的な方策といったものの順に整理をさせていただいております。
 まず、1として、非特定汚染源の推進ということで。最初に、現状ということで、市街地においては雨水の地下浸透ですとか、雨水の処理、農地においては水管理ですとか適性施肥、そういったものによって流入負荷の低減を着実に進めていくことが重要であるというスンタスでございます。
 次に、その進めていくための課題ということで書かれておりますけれども、面源については、負荷状況の把握が困難で、その精度を向上する必要があるのではないか。面的な広がりがあるということから排水規制に馴染まず、そのため市街地や農地等の管理者への普及啓発を行わなければ、なかなか汚濁負荷の削減が進まないのではないか。
 対策ごとの効果を適切に把握し、削減効果を計量的に評価する必要があるのではないかといった課題を挙げております。
 また、対策を効果的に実施していくためには、関係省庁の一層緊密な連携体制を構築することも必要ではないかという課題があるのではないかと思います。
 こうした課題を踏まえた上での非特定汚染源の推進方策ということですけれども、さらなる調査、モニタリングなどを行って、汚濁負荷の実情把握を精度向上や、農地・市街地等への管理者への普及啓発、効果の定量的把握ですとか、各省連携等によってより実効性のある対策を確実に実施していくことが必要ではないかとしております。
 それをしていくためのさらに具体的な施策ということで、下に書かせていただいておりますけれども、モデル的、誘導的な効果もねらって、次の措置を講じてはどうかということで、まず地域の合意を得て、湖沼に対する汚濁負荷の寄与度が大きい、あるいは具体的な削減対策の実効性があるなど、汚濁負荷の状況が特徴的な地域をまず指定いたします。その地域において、土地の管理者の理解と合意に基づく協力の下、負荷削減を誘導する施策を重点的、集中的に実施してはどうか。施策の実施と同時に、負荷のモニタリングを行って施策効果の把握等も実施してはどうかと、そういった体系を構築してはどうかということで書いてございます。
 そのための具体的方策ということで、各省連携による推進体制をまず構築していくことが必要である。その上で、当該地域の特性を踏まえた効果的で実施可能な各種施策を盛り込んだ推進計画を策定してはどうかと書かせていただいております。
 推進計画の中身ですけれども、最後の段落に書いてございます、施策の実施にあたっての基本的な事項ですとか、効果把握とかモニタリング内容、費用対効果を把握するための評価方法に関する事項とか、土地の管理者に対して汚濁負荷削減の行動をしていただくための望まれる行動ですとか、それを普及啓発していくための方法に関する事項。あと、関係者、住民、関係省庁の協力体制に関する事項を盛り込んではどうかということで書いてございます。
 (2)として自然浄化機能の活用の推進ということですが。抽水植物ですとか、沈水植物の水生植物、これが植物プランクトンの増殖を抑える等の浄化機能を有しているということから、湖沼の水質浄化にはその機能を活用することは重要ではないかとしてございます。
 しかしながら、そういった植生というのはこれまでの市街化や開発等によってかなり衰退して失われてきておりまして、湖沼の自然浄化機能が発揮されにくいのではないかといった課題が考えられるかと思います。
 こういった状況に対して、最近ではヨシ原等の再生、修復・復元等の取組が行われておりますけれども、こういった取組に対して自然浄化機能を維持、増大させていくためには、まず水質が汚濁する以前はどのような生態系であったかといったことを検討した上で、本来その場に生育していた種を原則として定期的に刈取りを行う等、維持管理の徹底と植生の規模拡大を行うことが必要ではないかとしてございます。また、こうした取組を持続的に行っていくためには、地域住民の理解と協力を広げていくことも必要ではないかと思っております。
 そういったことを具体的にしていくための施策ということで、下に書いてございます。湖沼の水環境の保全の観点から、特に湖辺の植生を保全する必要がある地区をまず指定いたします。指定をした上で、地域住民の協力を得てヨシ原等の植生を適性に維持管理していくための実施計画の策定ですとか、ヨシ原等の無秩序な改変など、自然浄化機能を損なうおそれのある行為に対しては、一定の制限をかけるよう措置を講じてはどうかということを書いてございます。
 策定する実施計画の中身ですが、保全すべき植生等の種類ですとか、期待される浄化機能等の基本的な事項、維持管理ですとか、浄化効果の把握方法に関する事項、地域住民の普及啓発の方法ですとか、関係者の協力体制に関する事項を盛り込んではどうかと書いてございます。
 また、実施計画の策定に当たりましては、地域住民だけでなくて河川管理者等、管理者がございますので、そういったところとの連携を図っていくことも重要ではないかということを書かせていただきました。
 (3)として、次が、特定汚染源の推進ということで、生活系と工場・事業場系の推進、この2つを書いてございます。まず、生活排水対策の推進でございますが。最初の段落では、まず未処理水を処理施設に接続することが重要であるという観点で書いてございます。公共下水道等への接続率の向上ですとか、単独処理浄化槽から合併処理浄化槽への転換、浄化槽の適切な管理の徹底が重要であるといったこと。また、そういったものを進めるためには、地域住民に十分に普及啓発することが重要であるということを書いてございます。
 さらに、湖沼の富栄養化を防止するためにはそれだけでは十分ではなくて、湖沼に流入する窒素、燐の削減も強力に進めていくことが重要ではないかということで、下水道終末処理場等における窒素・燐の高度処理の推進ですとか、合併処理浄化槽についても窒素・燐除去型を重点的に面的整備を進めることですとか、そういった取組を着実に進めるためには、下水道の高度処理施設ですとか、窒素・燐除去型合併処理浄化槽の技術開発や低コスト化等を進めなければなりませんが、そのために経済的な手法の活用も視野に入れてはどうかということを書いております。
 次に、工場・事業場対策の推進ですが。先ほどの現状のところで説明しましたように、湖沼法に基づく負荷量規制を受けていない既設の特定事業場がまだ半数ぐらい残っているという状況がございます。こういった事業場に対しても負荷量削減の余地があると思いますので、そのためには、排水量を含めた負荷量の管理をしていただくとか、排水処理施設の維持管理の徹底を図ってもらうということによって汚濁負荷が削減できるかと思っております。そのために負荷量規制を行っていくことが適当ではないかということを書いております。
 事業場については、あと、排水規制が全くかかっていない小規模な未規制事業場というのもございまして、そこの負荷量についてもかなり多い湖沼があるということですから、それについての負荷量も削減していくことが重要ではないかと。
 そのために、有機系の排水であれば合併処理浄化槽の技術の応用によって処理が可能なものもあるという現状もありますから、新設の事業場に対して小規模な未規制事業場の立地状況とか負荷の状況、処理技術の適用性等を詳細に調査した上で、処理が可能な事業場排水から順に経済性等の負担を考慮に入れて汚濁負荷の削減を実施してはどうかということを書いております。
 畜産系の汚濁負荷については、現在の法律に基づいて家畜排せつ物の処理設備の整備が進められておりますので、そういったものが今後とも継続して進めていかれることが重要ではないかということを書いております。
 (4)として総合的な計画づくりということで、アとして多様な視点の導入ということを書いてございます。湖沼の水環境保全に対する多様な地域住民のニーズにも対応するため、湖沼水質と密接な関係がある以下の視点についても、湖沼計画に盛り込んで位置づければどうかということを書いてございます。
 その視点として3つ挙げておりまして、流域管理の視点、[2]として地下水涵養による水量回復等の水循環回復の視点、[3]として生態系保全、親水性向上の視点といったものを入れていけばどうかということで書かせていただきました。
 イとして、今度は住民参加の視点の位置づけということでございます。多様な視点を盛り込んでも、実際にその施策をやっていくためには住民参加による協力が不可欠だと思ってございます。これまで行政主体で湖沼計画などを策定してございましたが、これからは住民等の参加を組み込んだ計画策定ですとか、事業の実施、評価を目指すことが必要ではないかと書かせていただきました。
 具体的には湖沼計画を策定する段階において地域住民の参加を求めて、その段階から実施段階、評価までの過程に参加する仕組みを構築してはどうかということを書いてございます。
 なお書きで書いてございますが、湖沼より下流で利水している場合等には、下流住民等の意見を取りいれることも必要であるとしてございます。
 ウとして長期ビジョンの提示、計画期間、策定スパンの柔軟化ということですが、湖沼計画においても長期ビジョンの提示を行って、地域住民が、今、やっている施策が湖沼の将来のどういった目標につながるのかといったことを明らかにしてやるのが必要ではないかということで、長期ビジョンの提示が必要であるといったこと。
 また、湖沼特性や施策特性を踏まえた湖沼計画をつくるためには、計画期間ですとか、策定スパンについても現在5年ですが、そういったものを限定せずに、関係する計画等との整合性を図りつつ、柔軟化することが適当ではないかということを書いてございます。
 エとして、湖沼計画の定量化と節目での計画内容の見直しということで。湖沼計画の施策を着実に実施して、適切に評価するため、施策評価が可能な限りできるような定量的な目標を設定した計画とすることが適当ではないか。
 さらに、そういったものを踏まえて、次期湖沼計画においてよりよい施策体系にしていくためには節目ごとに計画内容の見直しと検証を行うことが必要であることとしております。
 (5)で湖沼の水環境の適切な評価ということで2つ書いております。アとしてモニタリング体制の拡充。先ほどのところ、課題と基本的考え方のところで汚濁メカニズムの解明が重要であるということを書いておりましたが、そのためにはモニタリング体制の拡充が必要であるということで、例えばTOC等の有機汚濁指標ですとか、窒素、燐等の栄養塩類の指標等のモニタリング体制の拡充を図ることが適当ではないか。
 また、行政だけのモニタリングだけではなかなか大変なところもあるかと思いますので、地域住民の協力や参加を得て、環境監視や環境把握等の体系を拡充していったらどうかということを書いております。
 また、せっかく行ったモニタリング結果については、地域住民に対してわかりやすいような解説を付けたりして情報発信をして理解を得ていくことも重要であるということを書いております。
 イとして補助指標の設定ということで、地域住民の理解を促進して、施策への参加を容易にするということから、住民にもわかりやすい補助指標を設定してはどうかということを書いてございます。例えば、透明度ですとか透視度、表層のクロロフィルaとか、溶存酸素、利水の観点からはカビ臭物質、2-MIBとかジェオスミン、生物指標といったものを湖沼の利用目的に応じて、湖沼ごとに適切に設定していってはどうかということを書いてございます。
 5としてむすびですが、これまでの書いてきたことを総括して簡単にここで書いてございます。
 説明は以上でございます。

○須藤座長 どうも短時間の間に要領よくおまとめいただきましてありがとうございました。これが一応当専門委員会の報告の案でございます。先生方のこれからご意見をいただきますが、前回の12月13日の目次を示したときにいろいろフリーでご意見をいただいたこと、それからそれ以降、事務局にお寄せいただいたご意見等を一応書き込んだと私は判断をいたしましたが、まだ不十分な点もあるかとも思いますが、とりあえず今のような報告でございますので、先生方から、どこからでも結構でございます。ちょうど1時間ぐらいはご意見いただけるだろうと思いますので、順番に一回伺いましょうか。
 先生方には事前に配っているんですね。では、浅見委員の方から、これでよろしいならよろしいでいいですし、自分でこれでは不十分だというのであればおっしゃってください。

○浅見委員 最初の1番のところです。1つは、ニーズの多様化というところがあるのですが、ニーズの多様化でその後湖沼の水環境の保全を図っていくことが重要ということになっています。ここで例えばレクリエーションの場の提供というようなところがすぐ直前にあるのですが、これは水環境の保全と直結できるのか、逆にレクリエーションの場を提供することによってまた新たな汚濁負荷になるようなケースもあると思います。そのような汚濁への対策と、それから環境の保全というところをどのようにマッチさせていくかというようなところが、後の方でもちょっと多様化を踏まえて改善ということが書いてありますが、どういう考え方でいくのかというところが明らかになるとよろしいかと思います。
 逆に、水源で使っているようなところですと、上流でジェットスキーをするなど、そういうようなことも、ニーズの多様化を踏まえるとそういうのも許してしまうというところがありますので、そのようなところもちょっと気になっているところです。
 もう1つは、3番の中段の真ん中辺の自然浄化機能のところで、かなり強い形で自然浄化を導入することが必要というふうに書いてあります。ここの前段までに自然浄化機能が本当に効果があるのかというところが不明確なように思いますので、ここのところはそれぞれの湖沼の事情を踏まえて計画をしていくことが必要だと思います。
 最後、4番目のところの項に入る前に、ここでやはり非特定汚染源対策の推進というところが一番最初にきていますが、前回からここが唐突な感じがしておりますので、ここにいくまでにもう1つ前書きがあった方がいいと思います。誤解かもしれないですけれども、特に非特定汚染源対策のところだけがモデル地域で、特にそれを推進するというところが書いてあるんですが、特定のモデル地域を設定した場合は、非特定汚染源対策と、それから特定汚染源対策もやはり両方ウォッチしていかないとモデル地域としては不十分だと思いますので、むしろこれが先にくるのかなという感じがします。

○須藤座長 特定の方。

○浅見委員 モデル地域です。1番の中段の後半のところはモデル地域の設定というふうにあるのですが、ここの部分は非特定汚染源だけではなくて、他のものも入れながらウォッチをして対策をとっていくということではないかと理解しております。
 すみません、散漫で申しわけありません。

○須藤座長 いえいえ、後でまた総合的に課長なり補佐なりからその辺のところのコメントをいただきたいと思います。
 一通り、ちょっと時間もありますので、今日は1回目だけはご意見を伺って、あとはフリーにいたしますので。
 岡田委員、いかがですか。途中でまずいですか。後にしましょうか。

○岡田委員 いえ、いいですけれども。すみません、今まで初めてなものでひょっとしたらトンチンカンなことを申し上げるかもしれませんが。

○須藤座長 いえ、一通り。読んではいただいていますよね。

○岡田委員 そこそこに。ちょっと最初に確認したいのですが、この報告は誰のための報告なのか。今後の環境省の新たな施策をつくるためのベースになる報告なのか、それとも各指定湖沼もしくはこれからの指定湖沼の計画をつくるための、計画をさらによくするための報告なのか。その辺ちょっとどっちでしょうか。両方でないのですか。それを聞いて、この先どうなるかという点をちょっと教えていただければと思うのですが。

○須藤座長 そこだけ質問なので、まず。

○太田課長 基本的にはこれは環境大臣から中央環境審議会に対する諮問ですので、環境省としてこれから湖沼保全対策を推進していくために何をすべきかということです。そうすると、当然その中には環境省として何かその考えとかそういうようなものも入りますし、その先さらに実際に詳細にそれを受けて対策を進めるときに注意すべき事項というものもその中に含まれてきているというふうに考えております。

○岡田委員 というのは、この新しい報告は、今までの各湖沼でやっている湖沼計画と何が際立って違うのかと。例えばここに書いてある現状と課題、私は1つずつの湖沼計画もちろん携わっていませんが、児島湖は一応関わりましたが、こういうことをみんな書いてあるわけですね。みんなうまくいかないわけです、もちろん。
 で、これをつくることによって、何か新規性があるかというか、何か格段の進歩がどこにあるだろうかということを考えた場合、はじめのところに汚濁ということに加えて湖沼環境という少し新しい視点がある。もしそれが新しいとすれば、湖沼環境というのが汚濁と並んで2つの重要な要素になります。とすると、湖沼環境についての現状と課題認識とか、それから今後推進すべき施策と制度の在り方ということで、湖沼環境というのは(4)の、6ページかな、何か随分ランクの低いところにちょこちょこと書いてあります。たくさん書いてあるんですけれども、普通ですねと。どこにも書いてありますねと。新規性があまりよくわからない。それが1つです。
 たくさんの中で、うまくいってないというのは、これ皆さんどこの湖沼でも認識しているわけですね。うまくいかないというのはお金がないということもあるんですが、どうやってそれを重点的に進めていくかというところがなかなか見えない。じゃあ、どういう方法論がいいかというのもわからないと思うわけです。
 それに対する方法論なり解決の糸口のようなアイデアが長期ビジョンでいいんですか、これわからないんですけれども。

○須藤座長 それの2番目の問題は、重点地域を生活排水などと同じように設けて……

○岡田委員 いや、これはあくまでも重点地域の話はノンポイントの話ですね。

○須藤座長 そうそう。

○岡田委員 ですから、ノンポイントとポイントでどちらがコストパフォーマンスもしくはエフォートに対するパフォーマンスがいいかという比較もきちっとしない限り、ノンポイントはノンポイントを一生懸命やり、ポイントはまた別々にやるということでは湖沼がきれいになるとはとても思えない。
 だから、この考えでいいかどうかわかりませんよ。例えば1万円払って負荷量がどれだけ減るかということだったら、ノンポイントよりポイントをやった方がいいのか、それともポイントよりノンポイントやった方がいいのか。これが僕はいいと言っているわけじゃないですよ。アメリカかどこかでやった例があるようですが、そういう視点を全体としてのバランスなり優先度という視点がもう少し見えた方が今後の話に。最初、経済手法という話がありましたよね。そこのところはどうなったのかよくわからないです。

○須藤座長 経済手法は……

○岡田委員 やめたんですか。

○須藤座長 いやいや、総務省からのご指摘あったんですね。

○岡田委員 ええ、ですから、ご指摘に対して、この報告の中で経済手法という話はどこかに書いてあるのか、経済手法……

○須藤座長 エコファーマーのような部分は若干……

○岡田委員 いえいえ、エコファーマーというレベルではなくて、もう少し全体的な経済手法をするのが本来の経済手法の目的であるし、総務省のご指摘だったというふうに私はうろ覚えに覚えているので。その辺のところがパッと、今まで聞かなかったので、素人としての印象で勝手なことを言わせていただきました。細かいことはまあいいですけれども。
 そういうところでございます。

○須藤座長 B/Cのようなことをきちっとやらなきゃいけないというようなことは書き込んではあるんだけれどもね。ただ、それで、今、岡田先生が言うように、優先度を設けて……

○岡田委員 どこに……

○須藤座長 そういうことは書き込んでありますよね。ですから、ただ、今のようにどれを先にやらなくちゃいけないかというようなところの具体的な手法までは確かに書いてないと思います。
 これは後で、課長からお答え願います。
 では、齋藤委員、どうぞ、お願いします。

○齋藤委員 まず、前回お願いして、非常に短時間の間に事前に資料いただきまして、本当にどうもありがとうございました。ご苦労さまでした。
 それで、まず、重点化、今、岡田先生おっしゃられましたけれども、(1)のノンポイントのところに重点化が書かれていて、これは恐らく全部の対策について重点化がかかるのではないかなと。ノンポイントの問題だけが重点化なのかどうか。ちょっとそこのところは私は今までの論議を踏まえると、それから前回の試算でもノンポイントよりもポイントの方が効くかもしれないというような試算も出ていましたし、そういうことを総合的に考えるならば、どこに重点化するということはこの施策の1から4まですべてについて引っかかるものではないかなというのがまず思いました。
 それから、やはり汚濁負荷のメカニズムの部分はよくわからないと、けれども、これこれこういうふうな施策をやりますと。つまり、モデル的、誘導的な効果をねらうのはそのとおりだと思うんですけれども、負荷削減をすることによって本当に水きれいになるんですかというところが今のところ非常に難しくてよくわからない。そうすると、やはりもう少し強く汚濁負荷メカニズム、例えばこのノンポイントのところでは汚濁負荷のモニタリング、つまり発生負荷としての汚濁負荷のモニタリングはするけれども、その汚濁負荷メカニズムをどうするかというところはイントロ部分にはありますけれども、全体としてちょっと弱いのかなと。
 そういう中で規制的な、具体的に規制ということは書いてありませんけれども、施策にはなかなか結びつかないのではないかというふうに思います。
 それから、もう1点、これは言葉の問題ですが、適当である、必要である、望まれる。これ恐らく環境省の中でいろいろな微妙な使い分けをされているのではないかと思うのですけれども、ここの部分を私が読んだ範囲でよく何をして使い分けをされているのかがよく見えない。実施をするとか、具体的に言い切っている部分はわかるんですけれども、実施することが適当である、あるいは実施することが望まれるというような表現になると、一体これは何を言いたいんですかと。もちろんうまくあいまいにしなくちゃいけない部分もあるでしょうからわかるんですけれども、その辺のところをご説明いただければ。
 とりあえず以上です。

○須藤座長 ありがとうございました。
 では、花木先生。

○花木委員 先ほど岡田先生がちょっとおっしゃられた経済的手法のことでお伺いしたいと思います。今日、第2回の議事録が配られていますけれども、第2回の委員会のときにかなり議論になったんですね。その経済的な手法の中に、例えば排出権取引のようなまさに経済的な手法もありますけれども、そこまで行かなくても、さまざまな対策の費用対効果を比べて、それで施策を決定するのが必要だろうということは何人かの委員の方からご意見が出たんです。実際にすぐにはそのような方法は適用できないにしても、さまざまな施策を横断的に見て、対費用効果を明らかにして、対策を検討していくという方向は書いておく必要があると思うんです。現在の案では個別のところで経済的方法が少しずつ書かれているだけに留まっています。そのあたりをちょっと問題提起したいと思います。というのが1点。
 第2点は、第1回の委員会のときに、省庁間の連携あるいは排出源間のさまざまな削減努力の連携ということを私も申し上げました。環境省とすると、他の省庁と連携をとるわけですけれども、いわば横並びの連携ではなくて、排出者と管理する者の役割の違いがあります。そういう意味で、排出者に対してはぜひ削減に向けてこういうことをやってくれと要請するのが環境省の役割ですね。
 だけれども、その中で、一方で環境省自身も浄化槽を所管しておられ、それは排出側になるわけです。まず浄化槽のように自らの省で所管しておられる部分を最初に手がけるなり、あるいはそこで詳しくあるいは厳しくチェックしていくなりという行動がそういった連携を動かすための必須だと思うんですね。
 そういう観点で今回のこの報告を見ると、浄化槽のところは非常にさらっとしか書かれてない。事業場の何十%は対策外であるとか、下水道未整備のところは何十%あると書いてあるのに、浄化槽については、適正な管理が行われていないものがある、と一言で終わっています。自らが所管する浄化槽についてはやや厳しめ、あるいは対策についても意欲的な対策を示さないとなかなか協力が得にくいというのが第2点目です。
 それから、第3点は、先ほど浅見委員のコメントに関係するわけですが、自然浄化機能についてです。これは岡田先生も非常にご専門なのですが、浄化を期待することと自然の生態系をそのまま保全するというのとは違うんですね。自然の生態系を保全するということが必ずしも浄化機能を最大にしない。生態系を壊さない範囲でその浄化機能を促進するためのいろいろな手法があるというのが人工生態系とかそういう考えなんですね。今、ここに書いてあるのは、住民の力を借りつつ、自然のまま保全しようという考え方ですね。これを拝見するとそういうふうに読めるんです。だけれども、もう少し人工的な、例えば河川などで行われている礫間浄化のようなものを湖辺につくるとか、あるいは植物を使うにしてもある特定の植物を意図的に植えて、やや人工的だけれども、回りの生態系と齟齬のないものをつくるとか、そういったもう少し人工的なものも許すような書きぶりの方がいいと思うんです。今は自然のまま保全することに限るというふうにちょっと読めるので、その辺がちょっと問題かなと思いました。
 それから、あとは、私は別に養殖が特に悪いというふうに申し上げる意図はないんですが、養殖からの負荷削減策が、ここだとどこに入っているのかちょっとはっきり見えない。畜産は書いてあるんですけれども、養殖は書かれていない。どこかに入れられた方がいいと思います。
 あとは、表現上ややわかりにくいところがあります。地域住民の多様なニーズに対応していないので、長期的な視点を含めて、とか書いてあるんですけれども、具体的に何を意味しているのかちょっとわかりにくいところが幾つかあるので、その辺もちょっと気になりました。
 以上でございます。

○須藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは、花里委員、お願いします。

○花里委員 私、前も話がありましたけれども、諏訪湖を目の前に抱えて、諏訪湖は最近アオコが著しく減って生態系が大分変わってきたわけです。かなり住民の方々と近い存在ですので、住民の方々がそういったことに対してどう考えているかというようなことを最近いろいろ聞いて、その辺の関わりがかなり気になっています。
 そういう点で、ここでは4の(4)の総合的な計画づくりのところ、そこでかなり住民の視点というのか、そういったものも入ってきているというようなことは大変評価できると思います。ただ、少し具体的なこととして、6ページの、まず、イですけれども、住民参加の視点の位置づけということで、住民の参加を促して一緒に浄化に取り組むという計画を立てていくということは大変結構なのですが、ただ、住民にもっと積極的にいろいろ情報を提供するということを盛り込む方がいいのではないかと思います。
 それから、例えば、結構皆さん浄化浄化というと、住民の方も、うん、そうだ、そうだと思われるかもしれないんですけれども、なぜ例えば窒素、燐が問題なのかとか、なぜCODが高いのが問題なのかとかそういうことからきちんとわかっていない部分が結構ありますので、なぜ浄化しようとするのか、何が問題なのか、どういう方向に向かっているのかというようなことのきちんとしたかなり基本的なところから情報を提供して、理解をしてもらいながら進めていくということが重要ではないかと思います。
 具体的な文言をどういうふうに書いたらいいかちょっと今すぐには申し上げられないんですけれども、少し何かそういったところを組み込んでいただければというふうに思います。
 次の長期ビジョンの提示というのがありますね、ウのところで。この場合の長期ビジョンというのは具体的にどういうことをイメージされているのかと。何となく想像するのに、例えばCODがどこまで下がるだとか、沿岸域の水草帯がどのくらい増えるだとか、ヨシ原を増やすとかそういうことになるのかもしれませんけれども。ところが、やはり住民の方々というのは自分たちの生活を密接に関わらせて湖のことを考えますから、例えば湖がきれいになっていけば、何回も言いますけれども、魚も減ったりとかいろいろなことで生態系が大きく変わってくるんですよね。単に水がきれいになって問題としているアオコが減るだけじゃなくて、それに伴っていろいろなものが全部変わっていきますから、その辺でその生態系がどう変わり、こういうふうに進んでいくと、そういったことをやはり情報を提供する必要があると思うんですよ。
 そうすると、そういう生態系に人間がいろいろな形で経済的にも依存していますから、例えば諏訪湖の場合ですと観光ということも重要ですね。そのためには水がきれいな方がいいんですけれども、漁業活動もしているとか、いろいろなことがあります。そうすると、目標の例えばCODを達成したはいいけれども、それに伴って生態系がいろいろ変わってプラスの面もあるし、マイナスの面も出てくるわけですよね。そういうようなことまで一応住民に示して、それで合意を得た上で進めていくということが必要だと思います。
 この長期ビジョンの提示の中にそういう、なかなかちょっと難しいんですけれども、湖が将来どういう形になるのか、生態系ということを含めて、そういう青写真みたいなのを示していく、そういうことが必要ではないかというふうに感じます。
 それから、あともう1つ、最後の(5)のイのところで、補助指標の設定という、これは大変結構だと思います。住民の方々はCODと言われてもなかなかピンとこなかったりとかしますから、もう少し直接感じられるものが必要です。その点、諏訪湖を見ていると、まずはやはり透明度ということ。それから、アオコがなくなったことで皆さんおっしゃるのは、最近臭くなくなったねというようなことですから、カビ臭の発生というのはかなり重要です。
 ただ、ここに植物プランクトンの指標としての表層のクロロフィルと、この表層というのは多分アオコのことを意識されていると思うんですけれども、確かにクロロフィルは有効だと思うんですが、ただ、1つ、諏訪湖の例として、アオコがいっぱい出ていたときにはクロロフィルは表層すごく多かったんです。下の方は少なかったんですけれども。アオコが減ってきて、まだCODはそんなに大きくは下がってないんですけれども、植物プランクトンの優先種がアオコをつくるラン藻から珪藻に変わったんですね。珪藻は重いですから下の方にたまるんです。今、クロロフィルは下の方が高いんです、ピークがあるんですね。そうすると、アオコが減ってくると、透明度というのは表層から見ますから、透明度は上がるんですけれども、下の方に珪藻が多いと。
 そうすると、何かよくなったように思うんですけれども、またいろいろ問題がありまして。例えば漁業関係者はエビカゴを沈めてエビを採っているんですけれども、その珪藻がエビカゴの中にベタベタにくっついちゃってそれで困っちゃうとか。魚の量が減ってきたことをやはり水質が悪くなったせいだというふうに考えてらっしゃる部分もあって、それが底の方がドロドロした汚い水がたまっていると、それは汚泥だと思っているようなんですけれどもね。多分それは、まず間違いなく下に増えた珪藻なんですよね。
 そういうことで、必ずしも表層のクロロフィルが減ればいいというわけではなくして、今、申し上げたように、植物プランクトンでも種類組成が変わるとまたいろいろと新たな問題が出てきたりとかしますので、その辺を少し考えなきゃいけないと思います。
 少なくともこの表層のクロロフィル、「表層の」というのが入るのはちょっと好ましくないなというふうに思っています。

○須藤座長 どうもありがとうございました。
 では、福岡先生、お願いします。

○福岡委員 3ページの湖沼の水質汚濁メカニズムと対策(概念図)とあります。これを見てまして、湖沼の水質をよくするためには、湖沼に入ってくるもの、それから湖沼の中での底泥との関係を考慮した内部生産、そして対策が水質改善に関わり、これが委員会での検討の重要な骨子であり、概念図は簡潔によくまとまっていると思います。
 しかしながら、湖沼法ができて、それが水質汚濁を軽減するんだということでやってきたものが、それ程効果が上がらず、今後どうするのかの議論もあいまいなまま進んできているということを私は前から申し上げていますが、今日もまた申し上げなければなりません。それは、在り方の報告(案)には、いろいろなメニューが入ったんですが、非常にわかりづらくなって、あたかも何でもやることが水質を良くするというふうに読めてしまうところに大変問題を感じます。
 私は、20年前の湖沼法の議論をされたときの経過についてまとめたものを勉強してみました。その時には、環境省は非常に大きな論理の展開をやっております。すなわち、湖沼をきれいにするためには流域の土地利用の規制を十分考えなきゃならない等、基本的、本質的に見事な論理の展開をしているんです。ところが、時が早すぎちゃって、ほかの事業官庁が、環境問題をそれほど意識していない時代の中で、湖沼水質改善のためだけの土地利用規制は早いということで残念ながら土地利用規制についてはうまくいきませんでした。
 なぜあれほど大きな論理展開をした環境省が、今では何でこんな小さな議論でまとめようとするのかということに対して私非常に残念です。水環境というのは私の研究フィールドの1つですから、そこは十分苦労されているのはわかっているんですが。
 水質をよくするにはこれから何をするのかということは、書いてあるんですが、書いてある分だけでは私は効果が小さいと思います。湖沼の水質について、また20年同じ状態が続く心配があります。具体的に農業について言えば、個人が農業をやっています。それは事業として生産という重要な仕事を持っているわけです。河川の管理者は治水・利水・環境という目的の中で湖沼を位置づけて、仕事をしています。しかし、湖沼の水が汚れるなんてだれも求めてないわけですよ。
 このような事業が行われている中で、環境省は、流域全体に対して湖沼を水環境にどうすべきかについて大きな網をかけて、国土交通省、農林水産省や県も含めて、事業を行っている官庁に対してしっかりした施策を出すべきだと思っています。
 その施策では、農業も大事だし、それから災害防御とか水利用も大事ですから、この事業が円滑に進んでいく方向で、水環境行政は事業をする個人に対して助成する仕組みをつくるとか、その助成の仕組みができさえすれば、農水省も国土交通省もそれなりに、その助成事業の中で環境浄化をやっていくための自らの仕組みをつくることは可能だと思うんです。それが20年前の環境省の言われた非常に強い意志だったと思いますが、残念ながら当時の建設省が反対してうまくいかなかったように理解しています。
 そういうすごいことをやろうとした草創期の施策に比較して、20年後の施策は、もう骨太のことがやりづらいからいろいろなものをやりますと、読めてしまいます。
 具体的には、湖沼の水環境保全の現状と課題の中で、市街地とか農地等の汚濁問題と、その次のページに自然浄化について課題が書いてあります。もちろん、流域に区域を指定して集中的に汚濁負荷の流出等を調査することを提案していますが、これは一歩も二歩も前進だと思います。これは十分認めた上で、もっとやり方あるのではないかと思います。それは農業生産が生きる中で考えるべきことで、流域全体の土地利用施策に対し、非特定汚染源対策へ配慮する等を取り入れてゆくべきと思います。
 それから、自然浄化についても、一部局部的に実施されていると書いています。琵琶湖ではやられています。しかし、それは本当に水質浄化効果があるのかどうかを十分把握して明確にした上でこういうものを制度化すべきであると私は思います。国土交通省では湖の環境施策の中で河川法の河川区域で既に行われています。ここでは、「湖辺」と言っていますけれども、湖辺と河川区域がどういう関係があるのかよくわかりません。河川区域の中であれば河川法の環境整備と保全の目的に任せればいいと思います。違うところまでやるのならば、ちゃんとそれは協議してやるべきものだろうと思います。
 今のここに書いてあるものが今後制度の在り方で水環境部会に出ていくんでしょうけれども、私としてはここのところが不明で、河川区域と湖辺というものの区別が何かわからないような形で出ていくのに対しては疑問を感じます。それから、具体的に琵琶湖がやっているものが本当に水質浄化なのか、あるいはもっと景観とか湖の個性を発揮するためにやっているのかとかいろいろあるわけですから、そういうことをちゃんと明確にしていただいた上で制度化するのがよろしいのではないのかと思います。
 もう一度申し上げますと、将来の湖沼水質問題の改善を目指すのならば、私が申し上げたような大きなビジョンを示して、この3ページの図に相当するもので、特定、非特定汚染源に対してはこういうような形で他省庁協力して環境行政をやりますということ、本当にそういうものが省庁の連携の中でちゃんとうまくいくのかどうかも認識していただきたい。私は環境省としてはそれは当然やるべきことだと思っています。
 問題点は湖沼の水質に対する土地利用についてどう今後考えていくのか。それも生産ということを意識して事業が成り立つ中で環境に対してどういうふうに上手にやっていくのか、特に農民個人が規制されるところはできないと思いますから、やはりこれは関係する事業官庁がしっかりと環境行政の方向を施策の中に取り込んでいけるように、環境省がしっかりとそれに対して助成する仕組みを考えていただきたいと思います。

○須藤座長 どうも、先生、いろいろまとめてご主張いただきまして。多分20年前のその辺やったのは課長も多分携わっているから、その当時のことを思い出して後でお答えいただきたいと思います。
 それでは、福島先生、どうぞ。

○福島委員 今回、湖沼法を改正して、実際に水質改善があまりうまくいっていない湖沼に対してそれを改善していく、そういった道具、メニューなりを今回の提示したものが提供しているかどうかという観点で考えてみました。
 満足していないものの中には3つぐらいの類型があるのかなと私は思っています。1つは、まだ基準値と非常に外れていて、ポイント対策といいますか、特定汚染源対策がまだまだ不十分なところが1つと。それから、特定汚染源対策はかなりやってきて、近づけようと努力しているのですけれども、水質基準をまだ達成していない。利水のことを考えるとやはり下げないといけないので、どうしてもノンポイント対策をやらざるを得ない、そういう湖沼の類型。
 それと、もう1つは、やはりノンポイントをやらないとだめな湖沼です。流域の中で森林が多いとかそういう理由で基準はオーバーしている。だけれども、利水という点でもそこまでやるべきなのかどうかをもう一度見直してもいいようなそういう湖沼のタイプもあるのではないか。
 ということで、まず1番目の類型のものに対してはやはりこの特定汚染源対策の推進ということでちゃんとかけてやれるのかどうか。従来の書き方と同じような書き方ではちょっと改善がおぼつかないだろう。
 2番目の非特定汚染源に重点を置くところに関しては、今回このような指定地域をつくってということが書かれているので、一歩前進かなというふうに思います。
 それから、3番目の湖沼に対しては補助指標の設定という部分が対応していると思います。そういう湖沼自身で自らの目標を地元の意志として決めていくというような考え方もあるのかなということで、それぞれの地元がその湖をどんな格好にしていきたいのかということで判断をして、それに対してちゃんとした道具とかメニューを提供できるものなのかどうかと思うのですが。特定汚染源のことなんかですと書き方がやはり不十分かなと。この中に水産養殖の話は、ちゃんと書いた方がいいと思います。
 それから、何人かの先生おっしゃられたように、B/Cの話です。私は総合的な計画づくりを4の最初にもってきて、基本的な視点、多様な視点ではなくて基本的な視点という部分を作り、そこに経済的なことを考えて対策を考えなさいというのがまずあってもいいのかなというふうに思いました。
 話がちょっとまとまらなくて申しわけありませんけれども。

○須藤座長 いえ、大変要領よく。

○福島委員 それともう1点、自然浄化のお話がここに書かれているのですが、この話はもう1つの観点として生態系保全といいますか、地域の生態系保全という考え方で書かれている部分と、あるいは水質浄化という観点で書かれている部分があり、そこがちょっとあいまいなような気がいたします。ですので、その辺をはっきり書き分けて、両方の視点があるというのをはっきり書かないとまずいのかなと思いました。
 以上、まとまらなくて申しわけありません。

○須藤座長 ありがとうございました。
 では、山室委員、何かありましたらどうぞ。

○山室委員 では、私からは個別的、語句的なことで具体的なコメントを3点と、あと考え方に関わる部分を1点コメントさせていただきたいと思います。
 まず、はじめにですけれども、1ページのところの最後の方を見ますと、汚濁負荷の実態把握が十分にされていないというのは、市街地、農地などの面源に特定されているような書き方に見えるのですが、先ほどのご説明で、私が前回質問させていただいて答えていただいた中海における未規制事業場からの負荷算定法というのが原単位は20年前と変わっていないということで、面源だけではなくて、点源の汚濁負荷の実態も実は十分把握されているかどうか、疑問であると思います。なので、この点をここで明記して、それを受けて5ページのところに発生負荷の適切な把握というのをその点源についても入れるべきではないかというふうに感じました。それが1点です。
 それから、2番目は、7ページの一番上から2行目に、透明度と透視度と2つ並べておられますが、これは何か意図があって2つつける必要があったのかどうか。というのは、私、透視度というのはそれほど日常的に使うものではないと思いますので、その意図を教えていただければと思います。
 3点目は、3ページのこの湖沼の水質汚濁メカニズムと対策という概念図なのですが、ここに出てくる語句が本文のテキストの中に全く出てこないものが幾つか見られます。例えばしゅんせつ、ばっ気という語句は1つも出てこないんですね。これはちょっと混乱を招くのではないかというふうに思いました。
 概念図は、このテキストを簡略にわかりやすくまとめたものであるべきだと思いますので、こちらに出てきてテキストに出てこないというのは逆ではないかと思いました。それが具体的なことの3点です。
 考え方に関わるものなのですが、前の方の総論的なところで、メカニズムの解明が重要であるということをうたってらっしゃいますが、では、具体的にメカニズム解明としてここで書かれているというのは、6ページのモニタリング体制の拡充のところしかないように見受けられます。ここの6ページの(5)のアのモニタリング体制の拡充のところの3行目ですね、汚濁メカニズムの解明が重要であると、ここに出てくるんですけれども、メカニズムの解明が本当にモニタリングだけでできるものかどうかというのは、私は非常に疑問に思っております。特に流入する方の汚濁についてはいろいろ抑えられると思うんですけれども、現在問題になっているのは内部負荷が非常に大きいことだと思うんですね。内部負荷を本当にモニタリング体制だけでできるのかということなんですが、できるとすれば、入ってくるのはこれだけだと、出ていくのはこれだけだと、だからこの差は内部負荷ではないですかと、そういうブラックボックス的な計算になると思うんですね。それで本当に内部負荷のメカニズムがわかるのかというと、そうじゃなくて、ただ量がこれだけだということになると思うんです。
 そうしますと、その量がわかっても、どういう施策をすれば、じゃあ、この内部負荷を抑えることができるかというのはわからないと思うんですね。
 私の意見としては、メカニズムの解明というのはモニタリングではなくて、仮説を立てて実験するという研究が必要だと思います。実は私はかつて環境省から公害特研の予算をいただいて燐の内部負荷について研究させていただきました。水温、それから流れ、流れがあると密度差が大きくなって、ばっ気をするとかえって燐がよく出てくると、そういう結果を報告させていただきました。こういう研究を重点的に行って内部負荷のメカニズムを解明する。
 また、ここにTOCというのが出てきまして、これはCODという指標の問題から入れてらっしゃると思うんですが、全有機炭素というのも要は炭素であって、それがすぐに分解する炭素なのか、難分解の炭素なのかわからない。知りたいのは、その有機物がすぐに分解してしまって酸素を消費して問題になるものなのか、それとも問題にならないものなのかということで、これもやはり従来の装置を使って全国一律にモニタリングするだけで解明できる問題ではないと思います。
 ですので、その指標をどのようにするか、それから内部負荷をどうするかの少なくとも2点については仮説、それから実験という専門家による研究というのが必要ではないかと思います。
 以上です。

○須藤座長 どうも、コメントも含めましてありがとうございました。
 では、和田先生、どうぞお願いいたします。

○和田委員 短い間に随分と精力的にやっていただきましてありがたいと思います。
 まず、先ほどから議論がありますように、3ページの図ですが、湖沼に入ってくる特定の流入する負荷ばかりを書いてありますが、湖沼から出ていくものがありますので、流出していくものも明示する必要があります。トータルとしての負荷を捉える考え方が必要です。
 次に今、先生がおっしゃっていましたように、湖沼というのはいろいろなものが流入してきていますので、関連するものを破線で入れるなど工夫していただいて、河川関係のものとかが見える形で表していただくと、この部分との協力とか、この部分が対応しないといけないなどのことが明らかになってくる。
 それから、ポイントとノンポイント負荷、それのトータルの負荷から見たときにどうなのかということを二、三行位置づけて書いていただきたいと思います。
 さらに、自然浄化メカニズムの中で、この案の特徴的なのは、検証していくという言葉が入っていることです。検証というのはモニタリングだけではデータをとるだけですから、研究しなければできません。研究ということも入ってきます。検証するためには解析しなければなりませんし、ある程度の考察も必要ですので、検証という言葉が入っているからには、それをわかるような形にしていただきたい。今、この中にも発信という言葉がありますが、みんなに知らせていって、そしてこうじゃないかという意見を集約していくんだという、その辺のことをもう少しきちんと記述していただいたらと思います。
 また、ビジョンは、目標です。だから、湖をとにかくきれいにするんだけれども、ビジョンはこうであるということを示す必要があります。今の負荷を何年かの間に半減させるんだとか、何かそういうビジョン設定のようなものがあれば皆さんの対策の推進にも力が入るのではないかと思います。
 5つ目は、具体的な方法論が少し弱いと思います。いろいろ具体的に部分は別個に書かれるかもしれませんけれども、もう少し具体的な記述があってもいいのではないか。見出し等、頭出しがあったらよりわかりやすいのではないかと思います。
 最後に推進体制の整備、本当にやるんですということです。湖をきれいにするのだとの意気込みの推進体制の整備というのを少し具体的に見える形にするべきと思います。
 

○須藤座長 ありがとうございます。委員全体の先生から本当に貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。
 ご質問の部分がありますので、今、すべて全部課長なり補佐なりがお答えできるかは私もちょっと心配ですけれども、まずは私が何か言うよりも、そちらから順番というか、総合的にと言った方がいいですね、これね。何々先生のこれこれと言ってるともう30分、40分たっちゃいますので。基本的なところを、大体先生方と共通している部分も結構ありますので、これについてはこうだ、これについてはこうだというぐらいのところで抜ける部分はまた別途やりますので、とりあえずは総合的に。もちろん、部長にご発言いただいても結構でございますので、どうぞ、お願いいたします。

○太田課長 どうもいろいろありがとうございました。かなりいろいろな意見でしたので、どういうふうにお答えしていいかわからないところがあるんですが、順番にお答えしていきたいと思います。
 まず、多様なニーズということが一番最初にあって、これは言葉としては確かに書いておりますが、ニーズばっかりでできるわけではないというご指摘もごもっともで、いろいろなニーズ間のそれぞれの違うニーズというものがあるのですが、その間での調整というのが必要なことはもっともだというふうに思っています。
 ただ、一応ニーズに統合する形で現在環境基準というものがそれぞれの設定に際してやられている。ただ、どうもそれだけをやっていると、あまり住民の方々の理解も得られづらいということで、補助指標というようなものを地元で話し合ってつくっていって、そういうものをさらに副次的につくってやっていくという形でいくのがいいのではないかという提案を今回させていただいております。
 そういう意味で、いろいろ目標に関しましていろいろな先生から出たと思いますけれども、環境基準だけに固執せずに、実際のニーズの調整を地元で話し合いながらやっていく形、これ従来あまり多分されてなくてCODだけというような形だと思いますので、そこのところを少し実際次の計画をつくるときにはそういうことも配慮してやっていただきたいということだと思っております。
 それが長期ビジョンというような形を、短期的にはどうかというのではなくて、長期ビジョンのような議論をすると、具体的に、じゃあ、この湖沼をどうしましょうかというようなものが出てくるのではないかということで。そういうものを議論していただきたいということを一応書いたつもりでおります。
 そういう意味で、まず目標的なものについては、ビジョンのところで、あと地元の調整というところでやっていただきたいという答えなのかと思います。
 2つ目は、対策として、特定、非特定、浄化とかありますけれども、非特定だけに絞っているのではなくて特定も入れなきゃいけないとかそういう議論があったかと思います。これは、当然ご指摘のとおり何も非特定だけモデル地域でやればいいとかそういうことではないと思っておりますが、ここであえてそう書かせていただいたのは、今回面源対策というものに新しいメニューをつけ加えたいというそういう意志がございます。そういう意味で特にそれを頭出したいという意味で書いたもので、それ以外を排除しているという趣旨ではございません。当然、地域として計画をつくるときにはほかの要素も入れないと計画はつくれないと思いますので、そういうところには入るかと思っております。
 例えばそういうところで、浄化槽というような他のものがあったとすれば、浄化槽に例えば高度処理型の浄化槽の面的整備を合わせてやりますとか、そういうことを付加するということは当然あり得ると思います。ただ、地元の状況、それぞれ地域の状況によって違いますので、それは一緒にやっていただくことを決して妨げるものではないのですが、そういう面源対策というものの1つの新しいメニューをつくるという意味であえてそういうふうに書かせていただいておるというふうなことでございます。
 それから、岡田先生の方から今回の特徴といいますか、従来とあまり差がないのではないかというようなことがございました。ここについては、確かに従来の計画の中というのは非常に何でもある意味では書けるということで、やろうと思えば確かに何でも書けるようにはなっています。ただ、今回の反省は、そこが単に言葉といいますか、現実に難しいというご指摘のものもあったのですが、言葉として終わっているところがあったのではないかと思いますので、そこについて先ほどニーズの調整の仕方、つくり方について少し新しいやり方をしたらどうかという提案をしているのと、具体的にそういう従来施策として必ずしも手法がなかったところに対して新しい手法を幾つか提示をしたいということだと、そういう視点でそこに差をつけたというふうに考えておるところでございます。
 その関係で少し変えたのですが、福岡先生からご指摘のように、それを足すことが逆に焦点がぼけているとか、むしろやるのであればもっと大きく全体をやるべきであるというご指摘だったと思います。そういう意味ではどうもつけ足したものがまだ中途半端というか、そういうようなご指摘だと私ども理解しております。
 ご指摘の趣旨は非常に理解しているのですが、従来そういうところはなかなかできていなかった、現実とのギャップがやはりどうしてもございますので、一気にそこまでいきたいというのはよく理解はしているのですが、まだ現実を見てそこまで一気に入るというのは難しいだろうという、ある意味では現実的なところ、第一歩、半歩かもしれませんけれども、一歩踏み出すということが現時点では必要なのではないかという視点であります。確かにご不満の点はよくわかるのですが、現状を踏まえるとこの程度しか書ききれないというか、そういうことでお願いをしていきたいというところでございます。
 それから、メカニズムの話が幾つかございました。メカニズムの話は、これも当初から何カ所かメカニズムの解明が重要であるというふうに書いてございますし、まずメカニズムの解明のやり方、一番最後のモニタリングだけではできないと、これもそのとおりでございまして、当然いろいろ測って、単に定常的なモニタリングだけではなくて、試験研究も合わせてやらなければだめだというのはもうそのとおりでございます。さらにモデルとかそういうところまで含めてやっていく必要があると思っています。
 当然、新しい計画をつくるときに将来の予測等やって、モデルは一応つくるわけですが、そういうところに新しい知見がどれだけ反映しているか。また、そのときに不足なところに対して本来であれば単なるモニタリングだけじゃなくて、不足部分の調査研究も駆使して計画をつくるのが本来の在り方だろうと思っております。
 問題は、それをやるだけの費用の確保とかそういうところがどれだけ現実的にできるかどうかということです。問題意識は同じ問題意識を持っておりますが、現実問題としてどこまでそういう作業ができるかということではないかと。私どもとしてもできる限りそういうところに対しては調査費もとっておりますので、そういうものを活用して、自治体が計画をつくる際にサポートできるような体制は講じていきたいと思っております。
 何分ちょっと費用というところで必ずしも十分でないところがありますが、うまくやっていきたいなというふうに思っておるところでございます。
 あと、メカニズムが十分解明されていないということが現在新たな施策をとめてもいけない。もう20年やってきていますが、それが原因でさらに進まないということもこれもおかしなことだと思っておりますので。やはり、今できる施策は追加的に、わかっている範囲で実施をするというのがやはり必要だと思っていますし、それに当たって、それの効果等も、先ほど和田先生から言っていただきましたように、検証しながら対策にフィードバックさせる、そういうようなシステムをつくりながら新しい施策を推進していくということが重要ではないかと思っています。
 それから、施策についてのコスト、これは前々回かなり議論されたというふうに、私前々回出られませんでしたので議事録読ませていただいたらそういうことがありました。これから施策を選択していく場合に、経済的な優先順位づけというのは極めて重要なことだと私も認識してございます。ただ、特に環境の場合は、一般的なその他のものと違いまして、若干コスト化がしづらいというところが昔からございます。また、効果が特に湖沼の場合のように、効果がかなり長期的な視点にならないと見られないというようなこともありまして、今のところ残念ながら私どもそれほど明確にコスト、直接関係づけられるほどのデータを現時点で所持していないという現実がございます。
 そういう意味で、趣旨はおっしゃるとおりでございますけれども、そこは今後つくるときに現場に当たって実際の投資効果とかそういうものを十分検討しながら、各湖沼ごとに選択していただく。その時に、今、ご指摘いただきましたようなコストのことをしっかり検討しなさいということを計画策定に際して指導していくということが必要ではないかと思っています。
 総務省の評価等においてもそういう効果把握をすべきということが指摘されておりますので、その辺は十分今後の具体的な施策に立案に当たって配慮していくことが重要だというふうに認識しております。
 バラバラお答えして申しわけございませんが、あと、自然浄化の話がございました。自然浄化のことにつきまして、まだ自然浄化の効果についてまだ明確になってないのではないかというご指摘があったかと思います。そこについては実験的な幾つかの例で効果があるということは既に資料でお示ししているところでございますが、必ずしもそれが湖沼の中でどの程度の全体的な効果を発揮するかというところについてまだ未解明な面があるということはそのとおりだというふうに思っております。
 ただ、そこについてもやはり原理的には効果があることは、単純に吸収しますので、あることは明らかなわけで、それがうまく効果が発現できるような体制、制度ができるかということが重要だというふうに思っております。そういう意味で必ずしも全く効果がわからないということではなくて、ある程度の効果があるけれども、それをより発現させるような手法をつくっていくということが必要なのではないかというそういう視点で書いております。発現させるためにはやはり放っておくと、浅見先生が言われるように、かえって悪臭のもとになるとかそういうこともあるわけなので、しっかり管理していかないとそういう効果も発現しないだろう。あと、純粋に自然のものだけでなくてもいいんじゃないかというご指摘もありますが、それはそこに合ったものを選ぶということが必要だと思っております。
 そういう意味で、今回も自然のところに何がいいかいうものは、本来は自然のものが、もともとあったものがいいと思うんですが、それをそこに植えておくのにふさわしいものであればそういうものを採用するということも含んで考えておりまして、純粋に自然保護的にやろうということで書いたわけではございません。そういうところも含めてございます。
 一方で、この自然浄化機能が水質の浄化という側面と、先ほど福島先生から言われたような生態系の保全という両面を持っているところがありまして、そこがどうもあいまいに使われているのではないかというご指摘もございました。福岡先生からも、例えば琵琶湖等の例も、必ずしも自然浄化機能だけではなくて、その他の生態系とか景観とかそういうのを含んでいるのではないかとのご指摘もありましたが、そういう要素を当然含んでございます。
 植生の保全というのは、私どもは水質を主眼としたところから記載したので、そういうところから書き起こして書いておりますけれども、当然その背景には総合的なところで生態系の保全とかそういうものも重要ということの視点が背景として含まれているということも言える。ただ、こういう仕組みとしてやるときに一番メインの目的といいますか、そこをはっきりさせた上で制度、仕組み的にはつくる。もちろんそれだけがメインではございませんけれども、そういうことを重点に仕組んで進めていく。将来的には生態系の保全にも役に立つような運用の仕方といいますか、それをしなければいけないというような認識でつくっていっているところでございます。

○須藤座長 それから、私がざっと聞いてて、住民参加の部分のところちょっと。それから、もう1つは、適当である、望まれる、必要であるというのを使い分けているかというんだけれども、その辺のところはすぐ答えられる問題なので、その2つは先にお答えになって、部長に譲ります。
 住民参加のことは、花里先生からあった、まず情報をちゃんと提供してからというようなことで。当然それはそうなんだけれども、何か。そのとおりでよろしければいいんですよ。

○太田課長 住民参加のことはおっしゃるとおりで、今回かなりそこのところは強調して書いたつもりでございます。そういう意味で、交流等で参加していただく、そのために住民の方々にそういう情報を出していくことが非常に重要なことだと思っております。これも花里先生からもおっしゃられたように、わかりやすい形でどうやって伝えていくかというのは、これは現場としての現実としての問題としてあるかと思っておりますので、そこは重視したいと思っておりますし、そういうことを一応書いてはいるつもりではありますけれども、もう少ししっかり書くということであれば、それは……

○須藤座長 今の、あともう1つ言葉のところ、適当である、望まれる、確かにそれはそれなりに使い分けているのね。

○太田課長 はい、一応使い分けてはおりますが、ある程度現実的に仕組みや何なりを考えているところについては必要であるとかそういうことを書いておりますし、まだ若干詳細が詰まっていないとかそういうようなところが当然まだございますので、そういうところでは少し緩めて書くというようなことはしております。もちろんもう少し書いてもそれほど差し障りがあるというわけではないんですけれども。ただ、必ずしも完璧に書き分けているわけではないので、ご指摘、もう一度見直してみる必要はあろうかとも思っております。

○須藤座長 推敲した方がよろしいね。

○太田課長 必ずしもそこまで明確に、ちょっと時間がなかったものですから、書き分けているというわけではございません。

○須藤座長 では、部長、総合的にどうぞ。

○甲村部長 総合的に。この3ページの図で、従来と何が変わるのかというの、後ろで文章にも書いてあるのですが、若干わかりにくい部分があるのでご説明いたします。
 1つは、まず、特定汚染源で従来と違うのは、いわゆる工場・事業場に対して負荷量規制が、従来は新設の事業場しか湖沼法ではできなかったのを既設の事業場に対しても行っていくということと、小規模な未規制事業場からの部分についても経済的負担にならない範囲で構造使用規制をやっていただくということが1つの点です。
 それから、非特定汚染源の関係は、これは従来からいろいろご努力いただいてやっていただいているわけですが、なかなか定量的な汚濁の負荷の実態自体がよくわからない部分があって定量的な目標がなかったということです。
 福岡先生が言われるように、いわゆる土地利用規制をやるべきではないかというような議論もあるわけでございますけれども、この土地利用規制というのは非常に、湖沼法だけではなくて、いろいろな法律の中で土地利用規制をやるべきではないかとか、実際都市計画法とかでは土地利用規制をやっておるわけでございますけれども、水質という目的でもって土地利用規制ができるかと。あるいはほかの項目でいいますと、洪水という名目だけでもって土地利用規制ができるかと、非常に土地利用全体との関わりでなかなか実態上難しいというので。
 本来はそういうのを目指すべきかもしれませんけれども、今回はまずは規制ではなくて、促進誘導的なことでやってみてはどうかということで、地域の合意を得て汚濁の著しいところ等をモデル的に選んで、そこでもって施肥のことだとかエコファーマーとか、市街地からの流出について、そういう観測と検証を行いながら、このプランドゥーチェックのような形で面源負荷の削減をモデル的にやっていこうということでございます。
 それから、もう1つは、ちょっとこの3ページの図と後ろの文章が合っていないというご指摘ありましたけれども。湖沼の内部負荷の問題で、従来からしゅんせつ、ばっ気、導水等も行っておるわけでございまして、植生浄化この一部を行っておるわけでございますけれども、もう少し植生浄化を、これもある意味で水質浄化という意味での植生浄化についてもう少し位置づけていこうということで。
 要は、特定汚染、それから非特定汚染、それから内部、この3つでもって湖沼水質をよくしていこうと。かつ、それはいわゆる機構解明の話もございますけれども、まだ確かに定性的にこういう絵は書けるわけでございますけれども、定量的にいうとまだわかっていない部分もあると。しかし、湖沼の水質が河川と比べてまだまだ悪いということになりますと、機構解明を待ってから対策をやるというのではなくて、機構解明をやりつつ対策の効果も見つつ、プランドゥーチェック、アクション的な考えでやっていきたいということでございます。
 そういう際に、事業者だけでは客観的なチェックになり難いし、あと面源とか生活排水も含めてでございますけれども、地域の住民の協力も必要ということで、計画の策定評価等に対して地域住民も参加していただくというのが計画づくりの中での大きな従来との違いということになるかと思います。

○須藤座長 どうも、部長、課長、ご説明要領よくしていただきましてありがとうございました。そろそろ時間がまいったわけですので、とりまとめをしたいと思いますが。
 先ほど福岡先生から、湖沼法のつくられるときの非常に高尚な議論で、土地利用を制限するなりあるいは規制するなりというようなことがそもそもあって、そういう、私自身も湖沼の保全というのはそれがない限りうまくいかないなとは思ってずっときておりますが、今、この場で湖沼の周域、周辺流域の土地利用管理なり土地規制をそのままするということはすぐにできるものではないだろうというふうに思いました。それから、これはほかの問題と非常に重要なので、継続的にいわゆる水環境保全と土地利用とか、そういうような全体として今後議論を進めていく必要があろうかと思います。最終的にはそういう問題に踏み込まなきゃいけないと思いますけれども、今のこの時点でそこまでいけないので、福岡先生の大変貴重なご意見、私も同感なんですけれども、とりあえずはそこまではなかなかいかないだろうかなと、今では。だけれども、誘導策でそうなるように仕向けられれば一番いいのかなと、こういうふうに思っております。
 ほとんどの先生方のおっしゃったことは、多分書き込めるなり、ある程度、100%とは言わないまでも、文章内に表現ができるだろうと私は思いますが、この今日の報告、これは案なんですけれども、これを実はパブリックコメントにかけなければいけません。役所の仕事でございますので、ずっとやっていればいいという問題でもございませんので、計画的にやってまいりましたし、専門委員会の数を1回余分にやることになります。そういう意味で、十分な審議ではありませんけれども、一応審議はこういう委員会としては尽くしてきていると、こういうふうに私は考えます。
 数日か、後でお話がありますが、数日か1週間後ぐらいにパブリックコメントをかけて、国民の皆さんからのご意見をいただくという手続きをとりますが、それまでにいただいた意見で、例えばやはりちょっとこれ、大体合意が得られているような問題で、この例がいいかどうかわかりませんけれども、湖沼のこれからのことは試験研究もやる必要があるとか、そんなようなことはだれも皆さん思っているわけですから、そういうようなところでほとんど合意が得られるようなところは事務局と私で直させていただいてパブリックコメントにかけさせていただきます。それは先生のご意見を踏まえてということにしますが。
 もう一度パブリックコメントのコメントをいただいて、それを踏まえて今日のご意見のまだ不十分なところをそこで修正をさせていただいて、先生方のご意見をいただくということで。もう一度先生方のこの場でお目に触れるというか、見ていただけるという期間、時間を持ちます。今度は、数日前には必ず、今回もそうだと思いますが、お約束でございますので、修正した案文はお届けをするということにします。
 このままとは言いませんが、この案をとりあえずそういうことでございますので、修正した上で、重要な部分というか、すぐにできるところは修正をした上でパブリックコメントにかけたいと思いますが、それでよろしゅうございますか。
 それでは、そういうことで。多分ご不満な点もあろうかと思いますが、一応パブリックコメントにかけさせていただきます。で、国民の意見を伺って、その上でもう一度今日の先生のご意見も踏まえて、それでご議論をいただくということでございます。
 私の役割といたしましては、そんなところで修文をさせていただくということで、パブリックコメントにかけさせていただくということにしたいと思います。
 そのほか、議題何かありますでしょうか。どうぞ。

○吉岡補佐 本日も貴重な意見多数賜りましてありがとうございました。今後の予定ということで、事務局から申し上げます。今回の専門委員会報告案につきましては、委員長からお話がありましたように、文章修正後、パブリックコメントの手続きを進めたいと考えております。
 パブリックコメントのコメントを加えて、次回、専門委員会を開催したいと考えております。次回は1月中旬ごろに開催したいということで、先生方から既に日程調整表に書き込んだものをいただいております。それに基づいて調整をした結果、来年1月19日、水曜日ですが、午前10時から12時といたしましたので、よろしくお願いいたします。
 なお、今回の討議内容につきましては、当委員会の運営方針で議事録を作成し、公開することとなっております。後日事務局から議事録(案)を作成し、各委員にお送りいたしますので、ご発言内容についてご確認いただきますようお願いいたします。

○須藤座長 それでは、課長よろしい、何かあれば。

○太田課長 どうも先生方、ご議論ありがとうございました。今日いろいろご指摘いただいたことをパブリックコメントにかける前にある程度私どもの方で、ご趣旨を踏まえてある程度の修正を当然かけさせていただきます。かけた後、須藤先生に相談いくことになるかと思いますが、ことによりますと個別にご意見いただいたところをこういう形で直しますということを個別に少しご相談させていただくことがあるかと思いますので、その辺ご協力をお願いいたします。

○須藤座長 ありがとうございます。
 それと、合わせて、私から言うのも何なんですけれども、先ほどの各省庁との連携というのがありまして、この湖沼問題というのは幾つかの省庁と極めて密接に連携しております。ですから、各省庁のご意見も当然伺うということになっております。その際、先生方のご意見と反対のご意見というのは多分ないと思いますけれども、そういうこともこういう制度というか考え方なり制度をつくっていく上では、この場の、環境省だけのご意見というわけにもいきかねる部分もございますので、その辺も先生方お含みおきいただいてご了解いただいて、次回の議論に臨んでいただければありがたいと思っております。
 それでは、また事務局にいただいた、前回と同じように先生方でご意見が特にあれば、ペーパーなりあるいはメールなりお送りくだされば、なるべく早めにお送りくださればご意見を取り入れる可能性はございますので、ぜひそれも合わせてご協力いただければと思います。
 一応私の役目はこれで終わらせていただきますが。
 どうもご熱心なご討論をいただきましてどうもありがとうございました。お疲れさまでございました。

○吉岡補佐 どうもありがとうございました。

午後0時04分 閉会