中央環境審議会水環境部会湖沼環境保全専門委員会(第2回) 議事録

日時

平成16年11月19日開催

場所

環境省環境管理局水環境部水環境管理課

議事次第

1.開会
2.議事
 (1)湖沼環境保全施策について
 (2)その他
3.閉 会



配布資料一覧

資料- 1  湖沼環境保全専門委員会委員名簿
資料- 2  河川局における湖沼関連施策
資料- 3  指定湖沼における下水道事業の取り組みについて
資料- 4  環境保全型農業の推進について
資料- 5   家畜排せつ物の管理の現状と対策について
資料- 6  指定湖沼における生活系排水対策の推進方策について
資料- 7  指定湖沼における工場・事業場対策の推進方策について
資料- 8  指定湖沼における非特定汚染源対策の推進方策について
資料- 9  指定湖沼における自然浄化機能の活用の推進方策について
資料-10  総合的な施策体系等の推進方策について

   

議事録

午後 1時00分 開会

○吉岡補佐 皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから第2回湖沼環境保全専門委員会を開催させていただきます。
 まず最初に、資料の確認をさせていただきたいと思います。
 資料ですが、まず資料1として、専門委員会の名簿でございます。資料2が、河川局における湖沼環境保全施策について。資料3が、指定湖沼における下水道事業の取り組みについて。資料4が、環境保全型農業の推進について。資料5、家畜排せつ物の管理の現状と対策について。資料6、指定湖沼における生活系排水対策の推進方策について。資料7が、指定湖沼における工場・事業場対策の推進方策について。資料8が、指定湖沼における非特定汚染源対策の推進方策について。資料9、指定湖沼における自然浄化機能の活用の推進方策について。資料10、総合的な施策体系等の推進方策についてということで、資料1から資料10までを配付してございます。資料の不足等ございますでしょうか。
 ないようでしたら、議事に入らせていただきます。議事運営規則に従い、本専門委員会の委員長であります須藤先生に議事進行をお願いいたします。
 それでは、須藤先生、よろしくお願いします。

○須藤座長 かしこまりました。皆さん、こんにちは。今お話がございましたように、ただいまから第2回の湖沼環境保全専門委員会を開かせていただきます。
 委員の先生方、また環境省の皆様、関係省庁の皆様にはご多用の中を、また足元の悪い中をお集まりいただきましたことを、まずはお礼を申し上げます。
 さらに、本日はヒアリングを行うということで、ご説明いただく国土交通省、農林水産省の皆さんには、ご多用の中を資料をつくっていただき、さらに本日はプレゼンテーションしていただけるということを事務局から承っております。まず、これについてもお礼を申し上げます。
 それでは、最初に資料の確認をしていただきましたので、これから議事に入ります。
 議題1は、湖沼環境保全施策についてとなっております。湖沼環境保全施策の現状や実施状況について検討を行いたいと考えております。
 今回は、先ほど申し上げましたように、関係省庁における取り組みとして、国土交通省と農林水産省のご説明をお願いしているところでございます。
 まず、国土交通省河川局河川環境課から、河川局における湖沼関連施策についてご説明をお願いいたします。
 なお、国土交通省からは、この後に下水道部からもご説明をお願いいたします。ご質問、ご意見については、下水道部からのご説明が終わった後、一括して国土交通省分として承りたいと思います。
 では、国土交通省河川局河川環境課からご説明を願います。どうぞお願いいたします。

○宮藤補佐 それでは、ご説明させていただきます。国土交通省河川局河川環境課の補佐をしております宮藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元にあります資料をパワーポイントにいたしておりますので、こちらでも写しながらご説明をさせていただきます。河川局における湖沼関連施策についてということで、河川局と湖沼とのかかわりと、河川管理者と湖沼とのかかわりということでご説明させていただきます。
 まず、河川局が所管している法律といいますか、河川法というものがございます。これは一般的に湖沼法というものと河川法というものと2つあるものですから、この2つの違いも含めてご説明──違いといいますか、河川法というのはどういうものかということを含めてご説明させていただきたいと思います。
 湖沼というのは、河川法でいきますと、この図にありますとおり、湖沼というのは、基本的に河川区域がありまして、河川区域の一部であると、河川の一部であるというふうに河川法上の方ではとらえております。このような湖沼も含めて、流入河川、流出河川を含めて河川区域となって、河川法の規制なり管理なりがなされているというところが、なかなか一般の方にはわかりにくい部分でございますが、このように河川管理者として湖沼を管理しているということです。湖岸に堤防がございましたら堤防の端っこぐらいまで、また普通の河川でありましたら、その堤防の両端ぐらいまでを河川区域として、その中を管理しているというのが状況でございます。
 それで、その河川法でございますが、河川法につきましては、湖沼を含めて、河川も含めて、治水・利水・環境の観点から総合的に管理を行っているというのが現状でございます。平成9年に、治水・利水・環境の整備と保全というものも目的に加わったところでございます。
 河川管理者が、それではどのような管理を行っているかというところですが、これは湖沼に限らず、河川区域内すべてですけれども、河川区域内において以下の行為を規制するようなことを行っております。竹木を植えたり切ったり、あるいは土地を勝手に占用するようなこと、あるいは土石を採取したりするようなこと、工作物をつくるようなこと、土地を掘るようなこと。このようなことについては河川法で行為制限を行っている。これは河川管理者の行っている管理の1つでございます。
 また、この前の平成9年の河川法の改正におきまして、動植物の生息地・生育地として特に保全の必要がある区域については、自動車その他の乗り入れ、そういった行為も制限できるように改正をいたしております。このような管理を河川管理者として行っているところであります。
 管理と、もう一つ整備と。これは河川管理者がやっている行為として非常にわかりやすいものではないかと思いますが、治水・利水・環境、それぞれの観点から、例えば湖につきましては、湖があふれては困るということで湖岸堤の整備。また利水といいますか、その湖の水をいろいろな水道用水とかに使っていくというような観点から、河口部に堰の建設、そういったことも行っております。また環境という観点では、これは詳しく後で述べさせていただきますが、湖の中の、河川区域の中の泥を取るしゅんせつといったようなことも河川管理者として行っております。
 このようなことを行うに当たりまして、この前の平成9年の河川法の改正におきまして、従来は特段住民の意見を聞くとか、そういったシステムがなかったわけですが、河川整備計画というものを策定して、先ほど言ったような治水・利水・環境の工事なり管理を行うと。その際には学識経験者の意見を聞くですとか、公聴会等を開催して住民意見を反映するというようなシステムが法律上も位置づけられております。そのようなことを踏まえた上で河川管理を行っているということであります。
 具体的な指定湖沼におけるしゅんせつ事業ですけれども、その中では、指定湖沼におきましては、今この4つの湖沼においてしゅんせつ事業を行っているというところがあります。しゅんせつというのはご存じのとおり、湖の中の泥を取って栄養塩の溶出を防ぐというものであります。
 植生浄化、これも指定湖沼の中でも行っているところがございます。水生植物による汚濁物質除去あるいは沈降と、そういった効果をねらって湖沼の直接浄化を行うというものも、この写真は霞ケ浦ですけれども、そういったところで行っております。
 また、湖岸植生の再生というか、保全というか、そういったことにつきましては、これは宍道湖の例でございますが、地域住民の力をかりましてヨシ原を整備するといったことも、この写真のとおり行っております。
 また、今度はしゅんせつとはちょっと逆のことになるんですけれども、溶出しやすい汚泥を砂をかぶせてふたをするというような形で、覆砂というような事業も行っております。
 また、導水事業といたしまして、これは手賀沼、唯一指定湖沼の中でCODで非常に効果があった湖沼でございますが、導水事業として利根川から水を引いて、水を湖に入れて、また利根川に落とすというようなことを行っております。ただ、こういったことを行う場合には、下流の利水者ですとか漁業関係者、そういった者との調整も非常にございますので、モニタリング委員会というものを設置いたしまして、各種調査を行いながらこういった事業を実施しているというところであります。
 このような河川管理者が行っている事業があるわけですが、こういった事業については、現行の湖沼計画の中でも、湖沼水質保全計画の中でも位置づけられております。霞ケ浦の例を抜き書きしておりますけれども、流入河川に対する浄化対策、ヨシ原浄化等も含めた浄化対策、それから湖沼の中の浄化対策。この中でもしゅんせつとか導水あるいは植生体の保全整備、こういったものが位置づけられておりますので、それに基づきまして、河川管理者としても事業を行っているという状況であります。
 また、特段資料は用意していないところなんですけれども、こういった湖沼の水質等の変化につきまして、いろいろ検討会をつくって、河川管理者としても湖沼水質のあり方について実施しているところでありまして、その中では、今日お越しいただいている福岡先生ですとか福島先生にご議論いただきながら、河川管理者としても、そういった水質対策について検討を行っているというところであります。
 以上、駆け足でしたが、ご説明をさせていただきました。

○須藤座長 どうもありがとうございました。
 それでは続きまして、国土交通省都市地域整備局下水道部から、指定湖沼における下水道事業の取り組みについてということでご説明をお願いいたします。

○石井補佐 私、国土交通省下水道部で補佐をしております石井と申します。よろしくお願いいたします。
 ただいまから、指定湖沼における下水道事業の取り組みについてということで、プレゼンの方をさせていただきます。
 まず最初に、指定湖沼における下水道整備の実績ということでご説明いたします。
 まず、お手元の資料3にもあります通り、指定湖沼ごとに下水道の普及率と、それから高度処理の普及率というものを整理しております。例えば、印旛沼で一部高度処理しておりますが、全量系外放流をしておるんですが、この一部高度処理をしております部分、これは流域の中で東京湾へ放流する部分がありますので、その部分の高度処理の分ということ。それから手賀沼につきましても、これは全量系外放流しているんですが、放流先である利根川のBODのために高度処理をしております。
 それから、諏訪湖については、数年前から高度処理を鋭意やっております。たしか諏訪湖については系外放流というふうに言われているんですが、実際には湖尻の方に、湖内に放流をしておりまして、その関係もあって、窒素、リン除去の対応をしておる高度処理というものをやっています。
 それから、宍道湖につきましては、これは全量系外放流なんですが、半分ほど、そのさらに下流側の中海の方へ行っている部分がありますので、そこについては高度処理をやっています。
 水質保全効果の実例ということで、諏訪湖における下水道整備と水質の経年変化というものを用意してまいりました。この縦の棒グラフが下水道の普及率でございます。最近ではほぼ100%に達しておりますけれども。この折れ線グラフの青いものがリンです。赤が窒素で、この直線はその5年の平均、窒素、リンそれぞれの5カ年間の平均値でございます。傾向としては、下水道普及率の向上に伴いまして、窒素、リン濃度改善傾向にあるということが言えるかと思います。
 こちらは、今年の大学入試センター試験の地理の問題でございますが、下水道整備などによって諏訪湖の水質が改善されつつあるということで、大学入試センターの方にも我々の取り組みが認知されておるということでございます。
 それから、滋賀県の取り組みということでございます。滋賀県においては、今年度から超高度処理ということで実証実験を開始しております。その目標値というのが、COD、窒素、リン、それぞれ3、3、0.02という非常に高いハードルでございますが、下にありますように、凝集剤添加多段硝化脱窒法、これは既に琵琶湖の湖南中部処理場というところで実用化している高度処理の方式でございますが。その後段に、この写真にありますような実証施設をつくりまして、これはオゾン、それから生物活性炭といったようなものをつけまして、この目標の水質をねらって今実験をしているということで、現時点の実験値ということで表の中で整理しておりますが、4月から9月の平均値ということで、CODが2、窒素については1.1、リンについては0.03というものを今達成しております。
 それから同じくもう一つ、滋賀県の取り組みということで、ノンポイント汚濁負荷対策の取り組みということでご紹介したいと思います。山寺川市街地排水浄化対策事業ということで、実験的に取り組んでおります。草津市の下水道の浸水対策用につくられた雨水幹線がありまして、これは通常ですと、降雨時にその雨水を草津川へ流すための幹線でございます。その幹線を経由して流れてくる雨水の初期の部分、特に汚いと言われておる初期汚濁の部分について、初期汚濁の部分を浄化施設の方へ取り込んでやると。この伯母川というところを経由して琵琶湖へ放流するということでございます。この浄化施設については、沈殿と、それから植生浄化の組み合わせということでございます。こういう取り組みをやっておるということでございます。
 それから2点目として、今後、我々下水道部としてやろうとしている取り組み。これは指定湖沼に限った話ではなくて、閉鎖性水域全般、海域も含めて、閉鎖性水域全般でやりたいと思っております取り組みでございますが、下水道法の改正も視野に入れまして、汚濁負荷量調整手法というものを導入したいということで、そのご紹介をしたいと思います。
 既にご案内の方もおられるかと思いますが、下水道の高度処理については、下水道法の法定計画であります流域別下水道整備総合計画、略して流総計画と呼んでございますが、この計画に基づいてやっております。この流総計画というのは、主として、下水道によって水質環境基準を達成すべき公共用水域を対象にしまして、その下水道の整備を最も効率的に実施するために立てられる計画でございまして、現在のところ、126水域で策定済みということでございます。
 その流総計画の問題点ということで、我々としては、囲みの中で書いていますように、高度処理の受益というのは、高度処理を実施する自治体だけではなくて、その受益は広く水域全体に及ぶ一方で、費用は整備する自治体が負担すると、こういう仕組みになっておりまして、結局、高度処理を実施することについてインセンティブが働かないということで、計画策定段階ではだれが高度処理を行うべきかということについて利害が対立しがちになる。とはいえ、流総計画は水質環境基準を達成するためにつくられなければならないということで、結果として、処理場の規模とか処理方式という、実態とは無関係に一律に計画処理レベルを設定するということでございまして、実例、これ琵琶湖の流総計画の例を載せておりますが、一部、信楽町の浄化センター、これは大戸川を経由して瀬田川へ放流するということで、湖内に放流されない処理場が1つほどございますが、それを除いてあとはすべて、先ほどの超高度処理の目標値であります3、3、0.2と一律で設定をしているということでございます。
 同じく、これは湖沼ではございませんが、大阪府がつくった大阪湾流総計画というものにつきましても、BOD、COD、窒素、リン、それぞれ5、11、6.7、0.49ということで一律に設定をされているということでございます。
 あと、周辺状況ということで、平成14年10月の地方分権推進会議の中で、公共事業に関する見直し方針ということで、下水道についてですけれども、流域単位で効率的に水質環境基準の目標を達成するため、排出者責任と受益の帰着の観点から、流域全体の費用負担について検討するようにという提言・意見をいただいていると。
 それから、ご案内のとおり、今年の8月には総務省の政策評価の中でも同様の評価をいただいたということ。
 それから、これは海ですけれども、都市再生プロジェクトとして立てられた東京湾の行動計画、それから大阪湾の行動計画においても、同様の記述がうたわれておるということを受けまして、現在、我々がこの汚濁負荷量調整手法というものを検討しておるということでございます。
 これについてはイメージでございますけれども、例えばB市、A市と2つ下水道管理者がいて、B市の方は相対的に規模が大きくて単価が安い、高度処理をやる際の単価が安い。A市は相対的に高いと。従来ですと、流総で決められた目標値に向かってそれぞれがやると。これをより安く実施できるB市がA市の分を肩代わりしてやってあげる。簡単に言うと、こういう仕組みを導入したいということでございます。その結果として、トータルの費用を安く済ませると、こういった手法が導入できないかということでございます。
 これは、あるところの実際の下水処理場の計画でもってシミュレーションをしてみた結果、建設費については30%削減の効果が期待できるという例でございます。
 もう一つ、これは湖沼でなくて恐縮ですけれども、東京湾を対象にしまして、昨年度まで、下水道における排出枠取引制度に関する調査検討委員会というものを、設置して勉強しておりました。京大の植田先生を委員長にしまして勉強しておりまして、その中で東京湾の処理場を対象に、こういう先ほどまでの汚濁負荷量調査というものをやった結果のシミュレーションということで、お配りしている資料は白黒でつぶれておりまして申しわけありませんが、維持管理費も含めた高度処理費用を31%の費用削減効果があるという結果も出ております。これは最大3割程度のコスト削減効果が期待できるという結果を得ているということでございます。
 下水道部からは以上でございます。

○須藤座長 どうも簡潔に要領よくご説明いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、ただいま国土交通省から、河川局と、それから下水道部からお話を承りました。これにつきまして、委員の先生方からご質問なり、ご意見というか、お願いなどを含めましてお伺いしたいと思います。どうぞお願いいたします。

○山室委員 お願いというより、ちょっと基本的に私、下水道についてよく知らなかったので教えていただきたいんですけれども、放流水質の目標というのはどのような基準でつくられているんでしょうか。例えば、今日いただいた資料の3ページで放流水質、滋賀県の琵琶湖に放流する水質が、CODが3となっているんですけれども。現状のCODが、同じ資料の試験問題に出てきたところでは、現状が2.9ですよね。そうすると、これから減らしたいとしている濃度よりも高い濃度の放流水質になっているというのがちょっとよくわからなくて。
 あとそれから、一律でもないように見受けられますので、各下水道に対してどういう基準の水質があって、例えば全然処理していないものは出したらいけないとか、そういう濃度に対する規制が、どういうふうな法律でどうなっているかということと、それからこういう処理したときの放流水質の基準というのはどうやって決めていて、それに対してどういう規制とか、法的な罰則とかがあるのかという基本的なことで申しわけないんですが、教えていただけたらと思います。

○須藤座長 石井補佐、どうぞお願いいたします。

○石井補佐 すみません、説明不足でございましたが。
 まず、6ページのセンター試験の問題の琵琶湖2.9。これは湖の水質の値でございまして、下水道の放流水の水質ではなくて、下水道の放流水が出た後の琵琶湖の水の水質ということなので、下水道の放流水質というわけではない。

○山室委員 それはわかっています。ですから、その濃度よりも高い濃度を入れてしまうことが……

○石井補佐 それは、希釈という効果がありまして、ですから下水道が例えば3で出しても、他から入ってくる水とか、雨水とか、もともと琵琶湖の中にある水があります。それで薄まって、結果として環境基準を達成できると、こういうことでございます。

○須藤座長 山室委員がおっしゃっているのは、それぞれの下水道から出る放流水質のところがあるじゃない。どういう根拠でその水質を決められていますかということです。

○石井補佐 それは、先ほどご紹介いたしました流総計画というものの中で、琵琶湖とかにはそれぞれ環境基準というものが定められておりまして、その環境基準を達成できるようにするためには、下水道の放流水質はどうあるべきかということを計算して、目標値を決めているということでございます。

○須藤座長 ということで、山室委員、理解しました……

○熊谷補佐 すみません、補足させていただいてもよろしいですか。
 規制的にやられているものと、各事業法の中で、どのような形を目標にしてやっていくかというのが二重構造になっています。先ほど山室委員からいただいたように、罰則だとか何とかというもので担保するというものは、水質汚濁防止法のような規制法で行われている手法でして、それは下水処理場に対して一律排水基準を決める、これは必ず守らなければならない基準ということですね。一律排水基準というのを国の方で決めまして、あと地方公共団体において、必要に応じて罰則適用をするような排水基準を強化する。それがよく言う地方公共団体において行われています上乗せ排水規制というものです。
 これの他に、石井補佐の方がお詳しいと思いますけれども、下水道法の中で下水の終末処理場において、どのような技術を使った場合にどのくらいの処理水質が見込めるかというような、その罰則適用のようなもので担保するものではありませんけれども、技術基準というようなものが定められていて、下水道の事業をやっていらっしゃる下水道事業者においては、そのような技術基準を守るように努力をするようなスキームになっています。
 それに加えて、流総計画のような具体的な地域計画において、さらに一般的な技術じゃなくて、先ほどご紹介あったような特別な高度処理を入れる。そういった場合に、どのくらいの放流水質を目指してやるのか。そのめどを計画の中で明らかにするということで、先ほどのCODの3のような排水基準ではなかなかできないような非常に厳しい数字を、事業者なり、全体計画の目標として掲げて下水道事業が行われているというような構造で、計画でこういう水質を求めましょうというようなもの、それから技術的にこのくらいのことはできるので、こういうような水質を求めて維持管理をしましょうというようなもの、それから水質汚濁防止法のような排水規制で、これを守らなければ、それは法律違反として罰則を適用しますよといったような、主に3段階ぐらいのいろいろな基準がおのおのの法律の中で決められているということになります。

○須藤座長 よろしゅうございましょうか。
 では、福島委員、どうぞ。

○福島委員 河川局さんと下水道部さん両方なのですが、どのぐらいの効果をねらって、対策を打った場合に、どのぐらいのコストがかかるかという、何かその両者の関係についてご検討されているかどうか、お教えいただければと思うのですが。

○須藤座長 それでは、河川の方からいきましょうか。どうぞ、河川、それから続いて。

○宮藤補佐 全体の効果という意味では、まさにこの湖沼法に基づく水質保全計画において目標を定めて、その中で国土交通省なり河川局の持ち分というもので事業を実施するということになります。
 コストの問題につきましては、私どもとして、公共事業として事業評価制度というものがありまして、そのようなものの中で、例えばしゅんせつであれば、しゅんせつのコストはどれぐらいかかって、あるいはそれに対する効果はどのように見込めるか。これはいろいろな算定方法があるんですけれども、そういったものを勘案しながら事業の再評価ということを行って、B/Cが成立しているということを、各事業においてそれぞれ確認するというような方法で、我々事業を実施しているということです。

○須藤座長 ということは、Bの中にあれが入っているんですね、その改善効果みたいなのが入っているんですね。

○宮藤補佐 はい。ちょっと今手元に資料がないんで、どのように積算したかはちょっと……

○須藤座長 それが入った上でのコストになるわけですね、当然。
 いいですか、それで。ではどうぞ、続いて石井補佐の方から。

○石井補佐 下水道においても、基本的な構造は一緒ですけれども。まず、先ほど紹介いたしました流総計画を策定する段階で、流域全体としての費用対効果というものを勘案して計画を立てているということ。
 それから、個々の事業実施段階におきましても、先ほど宮藤補佐の方からありましたように、国土交通省の事業評価制度にのっとりまして、新規着手するときには新規採択時評価というものを実施して、個々の事業ごとのB/Cというものを確認してやっていると。
 それから、再評価ということで、5年おきに再評価というものを実施してやっているということでございます。

○福島委員 実は、霞ケ浦等の水質保全計画の策定とか、そういう段階の資料を見させていただきますと、いろいろな事業が並んでいて、コストは書いてありますが、実質、その効果との関係があまり明白でありません。この事業がどの程度全体の改善に役立つのかということが、私どもからは評価できないような場合が多くて、ぜひどこか1つの湖沼の例でも構わないのですが、そういうものをぜひ公表していただいて、相互に比較できるような、なんかそんなやり方ができないかなと思っております。

○須藤座長 そうすると、比較は悪いかもしれないけれども、下水道で効果を上げるべきなのか、しゅんせつで効果を上げるべきなのかということが歴然としてくるよね。

○福島委員 はい。そういう比較をぜひ自分としてはやってみたいなと思ったのですが、あまりそういう資料が利用できるものがなかったものですから。ぜひ、公表していただけないかというのが、ここの席でのお願いです。

○須藤座長 公表はされているんですよね。今のご質問で、公表していただきたいというんですけれども、されているんですよね、B/Cは。

○石井補佐 個々の事業評価をやった段階で、それはすべて公表していますけれども、それが一覧性がないというご指摘だと思っていますけれども。

○須藤座長 そうですか、わかりました。
 他いかがでしょうか。

○花里委員 下水道のことなんですけれども、これを見ると、かなり下水道の普及率が上がっているという感じなんですけれども。ただ現実に、いろいろな湖沼に当たってみると、下水道が普及していても接続率が決して高くないというような問題があって。接続率に関しては、地方自治体の責任ということになるのかもしれませんけれども、下水道を普及したからそれでいいんだということになるとやはり問題なので。国土交通省としても、やはりその辺のことについては何らか押さえていて、普及率をきちんと上げると。それが、やはり下水道普及にお金をかけた効果が出るということになると思いますので、その辺についてどのようにお考えか、ちょっとお聞かせいただければ。

○須藤座長 石井補佐、お願いします。

○石井補佐 ご指摘のとおりでございまして、一応法律上は、3年以内に下水道へ水洗便所を改造する義務というのが下水道法の中でかけられております。そういう義務がかかっているんですけれども、なかなかやはり経済的に苦しい世帯ですとか、あるいは一番悩ましいのは、やはり老人だけの世帯で、下水道が来たからつないでくださいというのは、なかなか法律上の義務としてとはいえ、自治体の現場の方では罰則がありますよというようなことでもってなかなか指導ができかねる場面というのもあって、なかなか法律の規定どおりの接続率に至っていないというご指摘はごもっともであります。そういったことについて、各自治体でも助成制度ですとか、そういった取り組みをやって努力しておるところでございますけれども。
 我々としても、そこについては接続率の向上をいかに実効性を持ってやっていくかというのは課題だと思っていまして、今後より強力にそれを推進するための方策というのは考えていきたいと思っていますが。今の段階では、ちょっとこれといって申し上げられるようなことはないということです。

○須藤座長 努力をしているということですね、現場でね。

○石井補佐 はい。実際においても努力をしていますけれども、なかなか──いろいろ現実を見て、それは明らかにサボっている人に対しては言えるんですけれども、そういったどうしてもやむを得ない事情を抱えておられる世帯というのもあるわけでございまして、どうしていくかということだと思っています。

○花里委員 そういうことでわかるんですけれども、例えばこういう一覧を出していただくと、湖の間の比較はよくわかっていいんですけれども。やはりこういったところに、その接続率のデータも入れておいていただけると、いろいろ今後考える面でも有効ではないかと思いますので、お願いいたします。

○須藤座長 ありがとうございました。
 では、福岡先生、和田先生といきます。

○福岡委員 福島委員のお話との関連なんですが。河川局も下水道部も、今まで事業として行っていることが、どんな汚濁負荷が出てきて、どんなことを考えると効率的なのかとか、どんな対策が一番効果的であったのか、それも福島先生が言われたことだと思うんですが、これらを明確にしていくことが望まれます。
 同じような対策をやっていても、うまくいかない湖もあろうし、それが効率的に働いた湖もあるでしょう。そのようなことをしっかりと整理していただきたい。総務省等の報告にありますように環境基準を満足する指定湖沼が40%でスタートしたのが20年後にも44%程度でとどまっている事実をどう考えるかです。湖の対策だけではこういうことになる、これくらいであるとか、個々の湖の水質をよくするには今後どうすればいいのかというところについて、これまでの成果と、あまりうまくいっていない場合とか、そういったことを明らかにする必要があります。コストはかけているんでしょうけれども、本当にベネフィットは、どの程度なのか。着実にその成果が上がっている場合と、横ばい状態でやらないよりはやった方がいい程度であるというのかとか、いろいろあると思うんですよね。
 そういったこれまでの実状を、コスト、ベネフィットの話だけじゃなくて、わかりやすい形で各湖沼で出していただかないと、今回の議論だって上滑りになるのではないかと私は感じています。

○須藤座長 ありがとうございました。それはコメントとして受けとめさせていただいて、今後、今そんなようなものを環境省と相談しながら、今のようなコメントを生かせるかどうかということを考える。非常にこれ重要なことなので、個性があるわけですから、おしなべてということにもちょっといきかねると思いますので。
 では、和田先生、どうぞお願いします。

○和田委員 指定湖沼に流入する負荷量の減少は、下水道は非常によく処理されていて評価できる。例えば、今日説明ありました滋賀県で、高度処理以上の超浄化処理をやろうということでいろいろ実験をやっていただいて実施していただくのは結構なことです。
 湖沼に入っている下水道負荷は、いろいろな排水を集めてきて処理をする集中処理方式ですので、この地域から出るという点源負荷を減らそうということです。それ以外に面的に広がっているいわゆるノンポイント負荷が琵琶湖だと4割から半分あると言われています。
 そのときに、点源からの負荷を減らすのも必要ですが、山手川の市街地で今実験されていますが、ノンポイント負荷を減らさずそのままですと、ノンポイント負荷の比率が上がってきます。ですから、実験的にやられている場所をもう少し増やすなり、山手川というのはどんな市街地か、小さな市街地と大きな市街地から出てくる負荷の量も、面積的にたまっている量も違いますので、その辺を解析してゆく必要があります。
 次に、沈殿と植物浄化でどの程度の浄化を目標にされているのか。その辺についてどうなっているのかをお聞かせいただきたい。湖をきれいにする、浄化するというところに寄与するなど、どの負荷をカットし減らしていくと水質維持に一番効果的なのかというのがわかりますので、今ある現状データがあれば、出していただきたい。

○須藤座長 わかりました。それでは、その最後の方の部分、いろいろコメントをおっしゃっていたので、それは当然これから生かしていただくとして、今の沈殿なのか、植物浄化のその比較ぐらいのところで、そちらで今お答えできることがあれば、宮藤補佐の方ですか、どっちになりますか。石井補佐の方ですね。では、お願いします。

○石井補佐 お手元の資料で、山寺川のところで、説明は飛ばしてしまったんですが、資料3の8ページ、ページ番号はちょっと飛んでいますけれども、8ページ目で伯母川ビオパークということで。この右の方に表がありまして、今日ご説明いたしました浄化施設の浄化対象流入水質と。COD、窒素、リンそれぞれ12、4、1.2という流入水質を見込んでいて、これに対して計画上の除去率で、それぞれ70%、70%、80%でねらっていると。
 実際のデータが今手元にないので、どのくらいの質で出しているのかというのは、今ご説明はできかねますけれども、目標はこういうことでやっているということでございます。これは山寺川の話なんですか。別途、今ちょうど我々の調査費を、来年度の要求で予算要求をしているんですけれども。この実証実験のデータも使いながら、いろいろな方策が考えられると思います。下水道のノンポイントについては、例えば貯留をして、沈殿させて、その濃いものだけ処理場に持っていって上澄みだけ捨てるとか、そういった別に植生浄化だけじゃないと思っていますので、いろいろな方策が考えられますので、今までどういう方策が考えられて、それぞれどうすればどうぐらいの効果が期待できるかとか、そういったことを、来年から一、二年かけて勉強してみたいなというふうには思っております。
 以上です。

○須藤座長 どうもありがとうございました。
 まだ国土交通省からお伺いしたことたくさんあるんだろうと思いますけれども、その後も、今度、農林水産省からのお話も承らなくちゃいけませんので、一応ここで区切らせていただいて、いろいろ委員の皆さんからコメントやらご質問いただきましたので、国土交通省におかれましても、この辺を十分に参考にしていただきまして、また新たな事業なり、新たな考え方なり出た場合に我々の方にも教えていただくということで。
 本日は、本当に忙しい中をご出席いただきまして、お礼申し上げます。ありがとうございました。
 それでは続いて、農林水産省生産局環境保全型農業対策室から、環境保全型農業の推進についてということでご説明をお願いします。ご質問につきましては、先ほどと同じように、次の畜産環境対策室からのご説明の後に一括してお願いしたいと存じます。
 それでは、環境保全型農業対策室の方からご説明をお願いいたします。どうぞよろしくお願いします。

○郡補佐 農林水産省生産局環境保全型農業対策室の郡と申します。よろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。
 資料4でございますが、環境保全型農業の推進についてと書いてございます。環境保全型農業ということは、農業全体が入るような形のワーディリングになってございますが、我々が担当しておりますのは、主に耕種農業、植物を育てる方でございますので、その点の内容を中心に私の方から説明させていただきたいと思っております。
 最初のページでございますが、農業生産に伴う環境影響ということで、ごく簡単に概念的でございますが、まとめております。
 農業生産活動といいますのは、自然環境の中の農地において行われておりまして、適切な農業生産活動を行いますと、自然の保全、自然環境の保全、良好な景観形成といったような面に効果を及ぼす面、二次的な自然環境の形成というふうな形で呼ばれておりますけれども、そういったところに効果を発揮する面があるということでございます。
 一方で、効率を過度に追求いたしますとか、農薬等の資材の不適切な使用などがあった場合、環境への負荷、二次的自然環境を形成するはずが、逆に劣化させるというようなことも起こるおそれがあるということでございます。
 右の方に、かなり丸めた表現になった絵がついてございますが、やはり農業生産においてはいろいろな活動をするわけでございますが、そういったものが具体的にどういう影響を及ぼし得るかということに着眼いたしまして対処の在り方を考えていく必要があるかと思ってございます。
 例えば、真ん中の方にございますが、作物を育てるためには、一定の栄養素の補給が必要で、具体的には肥料を施すわけでございます。そうしますと、施肥の成分、肥料の成分が水質の方に流れ出まして、水質汚濁あるいは富栄養化といった方向に関与してしまう部分があると。
 その他、施肥に窒素成分を土壌に施し込ますことによる一酸化二窒素の発生、肥料といいましょうか、有機性のものなども含めて、肥料の中に重金属等が混じっておって、途上を若干汚してしまうようなおそれもないわけではない。
 それから、防除という点につきまして、右の方にございますけれども、農薬を使用いたします。もし万一、不適切な使用をいたしますと、水質はもちろんのこと、周辺生態系にも影響が及ぶと。
 それから、オゾン層の問題でございますが、例えば臭化メチル剤を使いますと、オゾン層にも影響があるというような観点。その他、例えば農業機械とか、加温施設。施設園芸では、そこで加温をしまして作期をずらしながら、周年供給といったようなこともやるわけなのでございますけれども、そういったときには化石燃料をたきます。もちろん二酸化炭素が発生するわけでございますし、諸々の資材を利用する中では製造過程での間接的な環境負荷などもあろうかと思います。
 それから、プラスチック資材といいますが、ここに書いてありますのは、これは例えば土壌表面をマルチ資材というもので覆いまして、それで保温効果もあったり、それから水分を保持する効果などもありますが、一方で土壌からのはね返りによります病原を防除したりというようなことで、いろいろな機能を持たせた形でそういうものを使うわけなんですが、そういったものが廃棄物として発生してまいります。これを不適切な処理をいたしますと、有害なガスが出たりとか、もちろん生活環境に悪影響を及ぼすなど、いろいろな環境負荷の発生リスクがあるというようなことになろうかと思います。
 ここで、テーマでございます湖沼に関しましては、やはり施肥に伴う肥料成分の流亡でありますとか、あるいは水田で代かきをいたしまして、土壌粒子がたくさん浮いた泥水が出てまいりますが、そういったようなものが流れ出るといったようなことの中から、環境負荷ということで関連してまいります。
 次のページでございます。
 申し上げましたような環境負荷発生リスクがございますけれども、農業生産活動に伴う環境影響というのは、その程度というものをなかなか定量的に評価しにくいものが多いという状況がございます。それぞれがどの程度環境負荷を及ぼしておるのか、あるいは環境にいい取り組みというような、後ほど紹介するようなことをやったときに、どの程度の効果が生じるのかという点については、まだまだわからない部分が多いということがございます。
 しかしながら、一部に地下水の汚染と関係が深いと考えられる例があるとか、そういったことも顕在化するようになりましたので、農林水産省といたしましては、生産性との調和に留意しつつと書いてございますが、もちろんその農業生産としてはしっかりやりながらではございますけれども、環境負荷のリスクというものを幅広にとらえまして、なるべく環境に影響を与えないような形での農業生産を進めるというのも重要な観点と考えまして、平成4年から環境保全型農業という名前のもとに、全国的な運動を展開してきたということでございます。
 右の下の表、字が小さくて大変恐縮でございますが、環境保全型農業ということで推進施策をいろいろな形でうたわせていただいております。
 1つには、推進体制の整備ということで、環境対策ということになりますと、国だけが言っておっても仕方がないわけでございまして、自治体でありますとか、農業者団体といったような現場の関係者を含めた各主体の取り組みというのが非常に大事になってまいりますので、そういった方々で推進方策を協議するような場をつくっていただきたいというようなこととか、それぞれでの推進方針の明確化といったようなことを促してまいりましたし、具体的に進んできておるという状況でございます。
 その部分だけがちょっと広がって書いてありますのが、左の下の表でございますけれども、国・県・市町村といったところで、いろいろな形で話し合いの場がつくられ、推進方針というものが明確にされてというようなことが広がっておるわけでございます。
 それに加えまして、右の2つ目の箱以下いろいろございますが、法的な規制がなじむ、例えば農薬の農薬取締法のような規制的手法が入っておる一方で、経済的手法、要は補助事業などによりまして、地域の農業者の皆さんがどういった農法に取り組もうかというお話し合いをしたりとか、技術実証、実際に肥料・農薬を低減するような取り組みをしてみたら、どの程度の生産性への影響があるかとかいったようなことの実証。必要な機械施設の整備とか、そういったことも取り組ませていただいておるし、技術の開発でございますとか、その他消費者などからの支援を得ていくためにも、もちろん消費者の利益の保護という観点もございますが、表示認証制度なども整備いたしまして、こういった取り組みを消費者からも応援いただけるような形での各種の施策を展開しておるというような状況でございます。
 次のページでございますけれども、その中で、近年、特出すべきということでございますが、平成11年に、堆肥による土づくりと化学肥料・化学合成農薬の使用低減の一体的に取り組む農業者に対しまして、金融・税制上の特性措置を講じる「持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律」、通称、持続農業法と呼んでおりますが、これが制定されまして、以降はこの法律を中心に、環境保全型農業の推進を図ってきておるところでございます。
 この法律の中身は下に書いておりますが、環境と調和のとれた農業生産を進めるという上では、都道府県と言いましょうか、各地方自治体のそれぞれの気象条件・労働条件などを含めた、その場に合った推進のあり方というのが重要でございますので、都道府県が具体的にどういう生産の技術を入れればいいかといったような指針をつくります。
 その具体的な技術を入れればいいかという、その技術の構成は右の方の表に書いてあるんですが、そこの先ほど申しました土づくりと化学肥料、化学農薬の低減といった3つの要素について、少なくとも1つずつ技術を取り入れた精算方式でございます。これを地域においてどのように導入していけばいいかというようなことを、都道府県の段階で指針として明確化していただくと。それに沿って、農業者の方々が導入計画と略称しております計画を立て、都道府県知事の認定を受けると。そうしますと、その認定に基づく機械の整備ですとか、資材の購入といったところに、金融税制上の特例措置が適用されるというような仕組みになってございます。
 実際のイメージというのは、その下の方に書いてございますが、慣行的な生産の場では土づくりに堆肥を入れる。それから施肥としましては、どさっと土壌の表面全体にまいてそれを耕す。防除としては普段どおりのやり方をするというようなところから、右のように土壌診断をしっかりやって、どういう土にしていくべきかという判断のもとに堆肥を施用していく。あるいは、その施肥につきまして全層にどっと入れるのではなくて、作物の根が吸収しやすい部分のみに肥料を置くというような局所施用とかというような技術で施肥量を減らす。防除につきましても、その農薬だけではなくて、先ほど申しましたマルチ資材によってその発生そもそもを抑える。それからフェロモン剤、昆虫のオス、メスの交信を攪乱するような方法でございますとか、それで繁殖を防ぐとか、そういったような方法いろいろございますけれども、こういった方法をいろいろ組み合わせまして、農薬の使用回数を減らす。こういったような取り組みを広げていこうというような形でやっております。
 実際の取り組み状況の目安となります数字を4ページの方に書かせていただいております。これは2000年の農林業センサスをベースに、その取り組み内容を平成13年度にフォローアップして出されたデータでございますが、土づくり、化学肥料・化学農薬の低減いずれかに取り組んでいるとする農家というのは、販売農家の約22%というような形になってございます。これは、数字はこれだけかという見方もあろうかと思いますが、一方では、例えば省力化というような流れで、水稲策において施肥を田植えと一緒にやるというような中で、先ほど申しました根のすぐ横に施肥、肥料を落としていくような技術ですとか、いろいろ省力化とか品質向上といったような流れとセットで、環境保全的な技術というのも導入されたりしておりまして、実態面では意識のほど以上にも広がっておるのではないかというような考え方もございます。
 それと、エコファーマーの数でございますが、その制度の周知が進んでまいりました平成13年度以降でございますけれども、急速な伸びを示すようになりまして、今現在5万5,000軒というような形で着実に増加しております。年間2万から3万といった農業者の方々が認定を受けるというような流れが生じてございます。
 次のページでございますが、特に水質との関係が深い施肥というところに着目して、状況をご説明しております。
 施肥につきましては、しっかりとした作物生産を確保するというのが大前提ではございますけれども、環境にも不要な負荷を与えないということが重要でございます。この施肥をどういうふうに適正に決めていくかという点におきましては、資料中、個々は書いてございませんけれども、気象条件、降水量でありますとか温度、土壌条件、透水性でありますとか、有機物がどれだけ入っているか。前作にどういう作物をつくっておったかとか、それから肥料の種類であるとか、施用時期、それから土壌自体の有機物の分解特性とか、施用時期と降雨時期の関係であるとか、非常に配慮すべき事項が多岐にわたっておりまして、こういうものであるからこそ、今まで都道府県におきまして、施肥基準と呼ばれるような指導マニュアルのようなものがつくられまして、これをもとにどういった場合にどういう増減をさせるんですよとか、有機物を入れた場合にどういうふうな調整をするんですよとかというような、実際の指導に当たる方々がきめ細かい指導をしていくというような体制でもって行われておるのが現実でございます。
 平成3年以降でございますが、その施肥基準というものも、以前は品質・収量を最大化するという視点に重きが置かれていたわけでございます。重きといいましょうか、それでつくられていたわけでございますが。平成3年以降は、度あるごとに、施肥基準の中にも環境といった視点を入れながら、むだなといいましょうか、不必要な施肥を行わないというような視点で見直していただいて、それをもとにまたきめ細かい指導をしてくださいというようなことをお願いしてきておる次第でございます。
 それから、施肥の低減に資する技術、先ほど1つ申しました局所施用と申しましたが、水稲策では側条施肥というようなことで呼んでおりますけれども。そういった田植え機などの普及状況なども左の下に書かれてございます。緩やかという見方もあるかと思いますが、順次増加してきておるというようなことでございます。結果といたしまして、単位面積あたりの化学肥料の施用量というのは、右の図でございますけれども、徐々に漸減してきているというような傾向がございます。
 こういう状況でございますが、今、農林水産省の方におきましても、食料・農業・農村基本計画の見直しということで、政府審議会におきまして検討が進められておりますが、その中では、やはり我が国農業、持続的な発展を図るとともに、その国民の信頼を得ていくということが非常に重要であるということで、我が国農業全体を環境を重視したものに転換していくことが必要だというようなご指摘もいただいております。具体的には、環境と調和のとれた農業生産を確保するための農業者が最低限取り組むべき規範といったもの、要はルールといいましょうか、みんなで守ろうというようなルールみたいなものを明確にして、そういったことと施策を絡めていってはどうかというような指摘もいただいておりまして、こういったものの具体化を図ろうとしております。
 農業生産からの環境負荷、冒頭も申し上げましたように、なかなか実施の負荷の程度、低減効果とかがわかりにくい面もございますから、それぞれの取り組みにつきましてここまでやりなさいというようなことはなかなか申し上げにくいわけでございますけれども、なるべく多くの方の取り組みを得ていくというようなことが非常に重要かと考えております。
 先ほど、政府審議会の方で指摘があったと申しました、規範とかルールというようなことで申し上げましたことも最低限というふうに言っておりますので、原則としてすべての農業者の皆さんで取り組んでいただくようなルールを明確にしてはという視点でございます。
 こういった手法をいろいろ含めまして、あるいはエコファーマー、先ほど申しました持続農業法の仕組みなど、奨励的な手法なども絡めまして、なるべく多くの取り組みを得ていくという方向で努力を続けていきたいというような考えでおります。
 以上でございます。

○須藤座長 どうもご説明ありがとうございました。
 それでは続きまして、同じ生産局畜産部の畜産環境対策室の方から、家畜排せつ物の管理の現状と対策についてご説明をお願いいたします。どうぞおかけになってお願いいたします。

○小林補佐 畜産環境対策室の小林と申します。よろしくお願いいたします。座って説明させていただきます。
 お手元の資料5、1枚表紙をおめくりいただきますと、(1)として資料が出てまいります。これの左側の方のグラフについて若干ご説明申し上げます。これは畜産経営に起因した発生した苦情の状況をグラフにしております。外観しただけで、苦情の件数は減ってきていると。ただ、そのグラフの下にちょっと小さい字で申しわけないんですけれども、表がついていまして、苦情発生率というのが書いてあります。これは、全畜産農家の戸数の中で苦情を受けた戸数が何戸かということを示しておりますが、この苦情発生率という点からは若干、過去増加してきた経緯があって、近年は大体落ち着いていると。増えてはいないけれども、一方で減ってはいないというような状況になっております。
 これは、畜産の経営の分野は、農林水産業の中でも、特に全体の農家数が減少する一方で、1戸当たりの経営規模は大きくなるという意味で、いわゆる経営的な側面からは構造改革が進んでいる分野でもあります。一方で、環境的な面から見ますと、1点からの集中が増大するというような側面もあるわけでございます。当然ながら、苦情の内容は悪臭と水質汚濁がほとんどでございます。
 それで、畜産につきましては、家畜は牛乳ですとか、お肉ですとか、そういったものの重さよりもたくさんのふん尿が出てまいります、動物ですので。ということで、効率悪いなというふうにたまにお伺いすることもあるんですけれども、豚で言えば、たった6カ月で100キロぐらいに大きくなったりとか、牛であれば、人間が食べることができない草、消化することのできない草というものを、人間が食べることができる動物性たんぱくに変えるという意味で、我々としては非常に効率的で有用な経済動物であるというふうに考えております。とはいえ、それを人間が重要だと思っている限りは、家畜排せつ物が出続けるわけですね。
 では、家畜排せつ物の発生量というのが、まず環境負荷のポテンシャルというんでしょうか、大もとになると思いますが、その量でございます。棒グラフが右側の下の方に書いてございますが、量自身は決して増えているわけではありません。家畜排せつ物の量は、微妙にですけれども、減りつつあります。
 それで、その上の方に緑の図がありまして、仕向量の内訳ということが書いてございますが、これは平成11年時点で年間大体9,000万トン家畜ふん尿が出ていますが、そのうちの約1割が野積み・素掘りという形で、後ほどご説明いたしますが、不適切な管理がなされていたと。そういったことで、各地でいろいろな環境問題を引き起こしていた経緯があるということでございます。
 2ページ目にまいりますが、それで先ほど郡補佐の方からもありましたが、家畜排せつ物もさまざまな環境問題とのかかわりがございます。ここではたまたま家畜排せつ物を中心にして4つの問題を掲げておりますが、これ以外にもかかわりはあります。
 それで、当然ながら、悪臭であれば悪臭、水質汚濁であれば水質汚濁、それぞれの環境質ごとにそれぞれの適切な法規制が存在しているんだと思いますが、それ以外に、家畜排せつ物という共通項についてある種規制的な法律をつくる必要があるだろうということで、上のボックスの2行目に書いてございますが、平成11年に家畜排せつ物法というものが制定されまして施行されております。それで、5年間猶予期間があって、その間に必要な措置をとりましょうということになっておりましたが、この11月1日から完全施行されたところであります。
 その法律では、具体的に何を規定しているかというと、2ページの左下にございますが、管理基準というのがございまして、その管理基準を守る。これは管理基準の中の一部だけ書いてございます。これ以外に記帳の規定ですとか、維持管理ですとか、そういったものがありますが。
 基本的にはどういうことかというと、2ページの右上の方に写真がついてございますが、従来、不適切な管理、環境中への露出度の高い不適切な管理があったわけですが、それを基本的には、環境と隔離というのは変かもしれませんが、きちんとした施設で管理して、肥料として、堆肥として有効に利用できるものに変換して、有効に利用できるものは有効に利用しましょう。一方で、それが難しいものについては、汚水浄化ですとか、メタン発酵ですとか、そういったものでできる限り、環境への影響が小さい形で処理しつつ有効に利用しましょうという形の施策を進めてまいりました。
 その下の図に、ちょっとわかりにくいんですけれども、四角い色分けしてあるものがありまして、畜産農家は大体14万戸強ございますが、そのうち緑の2万6,000戸と、オレンジ色の約4万戸を足した6万強の農家が、この家畜排せつ物法の規制対象になります。これは罰則を伴う規定です。そう見ますと、なんか半分くらいが家畜排せつ物法の対象外だというふうに見えてしまうんですけれども、これは実は特殊事情がありまして、畜産農家の中でも、和牛、牛の繁殖、要は子供をつくる農家さんというのは、よく一般的には水田とか、農業をやっていて牛が1頭とか2頭だけいるような方が相当数ございます。これは主に九州で多いんですけれども。そういった方が、この8万個の中に含まれています。端的に言って、9,000万トンの家畜排せつ物のうちの95%強は、この家畜排せつ物法の規制の中に入ります。ですから95%、ほぼすべての家畜排せつ物は、今年の11月から適正な管理が義務づけられているということになります。
 3ページ目でございます。3ページ目は、そういった意味で、その家畜排せつ物法へ対応するための施設整備の状況ですとか、それを支援するための支援施策について、ここではお示ししております。特に湖沼にかかわりの深いものとしましては、汚水処理施設というものが整備されております。3ページの左側にあるような形で、個々の畜産農家で設置される場合が多いものですから、少し小型のものが多くなっております。こういったものを含めまして、現状ではほぼ進捗率は、15年末時点で72%と書いてございますが、結構いい感じで推移しておりまして、近々きちんとした最終的な整備率を出せるような状況になっております。
 支援施策としましては、黄色で書いてありますのが、いわゆる予算措置です、補助事業ですね。あと緑で書いてありますものが融資制度、これは法律に基づいてつくられた特別な資金でございます。あと青でございますが、税制の特例措置、そういったものをフルに活用して、この5年間で急速に施設整備を進めてきたということがございます。
 4ページ、最後のページでございますが、4ページの一番上のボックスに書いてございますが、とはいえ、家畜排せつ物法はあくまでも家畜排せつ物の適正な管理という視点からの法律でございまして、それぞれの環境質の保全に関しましては、それぞれの環境法令がございます。そういった意味で、ここでは水質汚濁防止という観点からの畜産農家のこれまでの対応を簡単に図にしております。
 例えば、この4ページの左上のリンでございますが、リンであれば、一律排水基準が設定されておりましたが、畜産農業に対しましては暫定的な基準値というものがこれまで設けられておりました。それでステップ・バイ・ステップで一律基準へほぼ移行できるような状況になってきた。これはある意味、当たり前じゃないかということもありますが、畜産農家もこういったものに対応できるような浄化を整えるようになってきたというふうに我々は考えております。
 また、特に右側の方にございますが、窒素関係につきましては、これまで全窒素関係に関して規制があったわけですが、平成13年には、硝酸性窒素の規制が入っております。そういった意味で、この硝酸性窒素につきましては、水質汚濁防止法上の特定施設の中の1日当たりの排水量に限らず、畜産農家では3万個くらいの農家が一応規制対象になるということで、水質汚濁防止上もほぼ、非常に多くの畜産農家が規制対象になっているということがございます。
 あと、簡単な紹介でございますが、4ページの左下にございますが、我々としても、なかなか浄化というのはお金がかかって難しいところもございます。畜産の場合は、出てくる排水が一定量ではなくて、ある日は全然出てこなくて、ある日は出てくるというような変動があります。それに柔軟性のあるシステムにして、なおかつ専任者を置いてできないということで、なかなかできないと。家族で経営して畜産もやりながらということですから、管理ができる限り容易な形のシステムにする必要があるということで、一般の汚水浄化処理施設の中でも、畜産農家向けの技術というのがあるんだということで、そういう技術評価もやっておりまして、そういったガイドブックも作成して広く配っているところでございます。
 あと、右側の方に指定湖沼における畜産系負荷割合というのを、環境省さんの資料をもとに作成しておりますが、畜産の場合、どうしても出てきた水を汚水処理しても若干色がついていたりとかするわけです。そういったことで、一般の方からも生のものをそのまま出しているというふうに誤解される場合も相当ありまして、いつもおしかりを受けるのでございますが。基本的にはそれほど、これは感覚によるんでしょうけれども、我々としては、指定湖沼の中でも、特定の湖沼については畜産からの負荷割合は大きいと思います。ですから、そういうところでは、この湖沼の法的な対応等々を含め、我々も積極的にそれに協力していかなくてはならないと思っていますが、湖沼全般的に畜産が非常に汚染源となっているということではないので、そこだけ蛇足ですが申しました。
 今、食料の需給率向上とか、海外農畜産物の競合という関係で、強い農畜産物をつくるということでコストダウンというのが叫ばれております。一方で先ほど言いましたように、畜産に関しましては排出規制への対応、あと家畜排せつ物法への対応ということで、我々、農家の方から規制ばかりどんどん強化してどうなっているんだという声もあります。一定のラインで、こういったことを続けていくことは、環境にやさしい畜産ということで畜産業の発展にとってもいいことであるとの考えで私たちとしても施策を進めて折るところですが、規制措置に関しましてはこれまでも一生懸命やってきたということでございます。
 以上でございます。

○須藤座長 どうもご説明ありがとうございました。
 先ほどは環境保全型農業、ただいま畜産環境対策のお話を承りました。どうぞ、ご質問お願いいたします。
 では、浅見委員、それから花木委員といきます。

○浅見委員 今ご説明いただきまして、特に野積み・素掘りに関しては、非常に有効な対策になることを願っております。例えば、数値目標的に、これでどのくらい効果が出るとかというところを、数年たちながら、また10年という単位でフォローしていただければというのが要望です。
 もう一つ、農地草地還元へというところが、結構量が1けたほど多いような量がございますので、そちらについて今後の対策とか、今後の方向性というのもあれば、教えていただきたいというのと、あと水源になっている農地に関して、特に推進をしていただけるような方策がないかというところを教えていただければと思います。水道の水源になっているような流域の農地に関して、特に補助の対象に優先的にしていただくとかというようなことができないかというようなところも教えていただければと思うんですが。

○須藤座長 どうぞ、それではご願います。

○小林補佐 家畜排せつ物法の効果につきましては、これは野積みがどれだけなくなりましたというような効果がやりやすいんですけれども、環境への負荷がどれだけ減りましたよということを定量的にお答えするのがなかなか難しい状況にありますが、私たちとしても、これまで鋭意大きな予算も伴っていろいろやってきた経緯がございますので、そういった側面からの検討もできるように努力はしてまいりたいと思ってはおります。
 あと、水源といいますか、農地の利用が多いということに関しましては、基本的にはなんですけれども、家畜排せつ物を、従来は結構生のふん尿として農地に入れていたのが多かったわけですけれども、それを基本的には堆肥化、コンポストにするということを基本として、農地に施用しようということにしておりまして、基本的なコンセプトは、農地に、先ほどの郡補佐の方からもありましたが、適切な施肥の範囲で行って、なおかつコンポスト化することによって、易分解性のものは空気中に戻していただいて、難分解性のものを土壌中の有機質、土づくりに役立てて、なおかつ植物に使ってもらおうと。できるかぎり地下水等へ負荷されていく窒素等々を少なくしようというコンセプトではやっております。
 そういった意味で、環境保全型農業の取り組みとあわせて、トータルとして環境にやさしいような形にしていければと思っております。

○須藤座長 今、浅見委員の中に、多分委員のお立場からして、水道水源になっているようなところは特別に進める、推進する、あるいは経済的に援助するというようなことをおっしゃっているんですよね。そういうことを特別になさっていただきたいんですか、そういうことですよね。やられているんですかですよね、質問ですよね。水道水源というような視点で、そこだけは特に強く推進してくださっているんでしょうかというご質問だと思います。

○小林補佐 特に、その水道水源については云々というような数値的な目標を立ててやっているわけではありませんが、限られた予算、限られた期間の中で、我々、鋭意施設整備を進めていく中で、当然ながら、地域でのそういう重要性というものを踏まえながらやっております。
 ですから、今データがないので何とも言えませんが、傾向としては明らかにそういう重要性のある場所を、優先順位を高くしてこれまでやってきたということは確かです。

○須藤座長 ありがとうございました。
 では、花木委員、どうぞお願いいたします。

○花木委員 前半の肥料の件についてお伺いしたいと思うんですが。
 先ほど、国土交通省のプレゼンテーションの後で、さまざまな対策技術の効果を比較して、いわば戦略としてどれから進めていくのが大事だという議論が出ました。私も全くそれに賛成しています。そういう観点からお伺いしたいと思っています。
 先ほど、肥料による流出を削減する1つの方法としてエコファーマーの話をいただきました。エコファーマーは、確かにこれを導入することによって、農家の方も肥料のコストも節約になるので、いわば両方得する、いわゆるウィンウィンの対策だと思うんですね。ウィンウィンの対策で、それは非常によろしいんですが、ここに例として出ているのを見ると、キャベツの場合に1反当たり25キロが20キロぐらいになる程度で、削減量としてはそんなに大きくない。先ほど申し上げた戦略的に考えるときには、相当量削減できる幾つかの対策メニューをそれぞれの発生源の側から出していただきたいという要望があると思うんです。
 例えば、下水道で言うと、先ほど超高度処理というのがありました。超高度処理というのは非常にコストが高い。高いけれども、処理水は非常にきれいになる。それの前に普通の下水処理があり、高度処理があるというように、幾つかメニューがあると思うんですね。そういう意味で、肥料からの窒素、リンの流出に関して、まずそのエコファーマーから入って、次に、それよりもコストがかかるけれども、更に削減できるような対策があるのか。そこは、あくまでも農作物をつくるという観点からすると、どうしても削減し難いのか、そのあたりをお伺いしたいというのが1つ。
 もう一つは、そういうような肥料からの流出削減を実際は農家の方がされる。一人一人別々なので、なかなか十分な知識を伝達するのが難しいだろうと思うんですね。そのときに、農協なり農業試験場が現実に果たしておられる、あるいは果たし得る役割としてはどういうのがあるのか、それをお伺いしたいと思います。

○須藤座長 郡補佐、よろしいですか。お願いします。

○郡補佐 先ほども説明の中で申し上げさせていただきましたように、環境への影響をどの程度減らせば、どれぐらいに効果が出るというようなことが、定量的になかなか評価しがたいというのがございます。もちろん事例的な調査というようなことで、例えばこの堆肥を入れる、それから化学肥料を入れる。それをどの程度減らしてみたら、このような流出量の削減があったというような事例的なものを示しながらマニュアルをつくったりというようなことも、一部ではやらせていただいております。じゃ、この20キロを15キロにしたらもっと効果が出るぞというようなことは、なかなかそれを特定することはできない。作物によって吸収量が多いもの、それから余剰が少ないものとかもございますし。そういったいろいろな条件、土壌なり作物なりといったような条件のかけ合わせでございますので、我々としては、その作物の生産というものをにらみながら、それが経済的にやり得ている状況の中で、よりよき技術を導入してください。これも、効果があるとする技術をあくまで導入すると。
 その結果、2割程度の削減ができていなければ、この農法として成立しないということではなくて、あくまでそういう方向の努力というのを盛り込んで取り組んでいくんだというようなことが、我々の施策のメルクマールになっておるということでございます。
 それから、JAとか試験場の役割ということでございますが、これは先ほど言いました施肥の関係の中で申しますと、都道府県が施肥基準というような、先ほど指導マニュアルのようなものをつくると。これを実際に農家さんに浸透させるときには、都道府県が全部言って回るわけにはまいりません。農業者団体であるJAさんとかと一緒に栽培暦であるとか、そういういついつにどの施肥量をやるとかというようなことを、さらにわかりやすく1枚の紙におさまるような形でまとめるものをつくられたりします。
 そのときに、JAさんが取れればいいやとか、品質がよければいいやというようなことではなくて、都道府県さんと一緒に相談されて、普及センターという出先機関がございまして、そういったところと相談されて、品質も取れるし、むだな肥料がないというのはこの辺だと思っているという話と、その地域の事情をうまくかみ合わせて、もっと現場対応的なものをおつくりになる。これをJAさんなどがまだ農家さんにお配りになるというような構造がございます。
 試験場は、直接的にその現場に出向くというよりは、そういう事例をいろいろ集めて、個々に問題があるかないかというのを調査・研究しておるというような立場になろうかと思います。

○須藤座長 ありがとうございました。
 他もう1つ、2つあれば。福島先生、どうぞ。

○福島委員 今回、農業と畜産の話をしていただいたのですが、霞ケ浦等では、水産養殖業の負荷割合がかなり高く、ぜひそういうお話を聞かせていただきたいという希望があるんですが。そうした産業を支援するという立場を理解しているつもりなのですが、特に養殖業なんかですと、負荷が直接湖内に入ってくるということで、今回の議論の輪に入っていただいて、一緒に解を考えていくというのに乗っかってきていただけないかという希望があります。普段からそういうふうに感じていましたので、この場をおかりしましてお願いしたい。

○須藤座長 ありがとうございます。
 今日のご担当の皆さんでは、今の回答をお願いするのは申しわけないので、これは事務局の方にお願いしておいて、いずれそういうことが可能であれば、水産部局の方のお話を、特に養殖負荷というのは、多分霞ケ浦なんかは非常に大きいと思うわけですので、それは琵琶湖もあると思いますけれども。その辺はちょっとまた別途あれを使うということにして、今の業の中の一つとしてお願いしておこうということ、これは事務局の方へお願いしておきます。
 他いいですか。よろしければ、それではどうも、農林水産省さんの方から畜産部局と、それから環境保全型農業対策室の小林補佐、郡補佐にいらしていただきまして、どうもありがとうございました。いろいろコメントもございましたが、どうぞまたそれを生かしていただいて、今後またいろいろお教えいただかなくてはいけないこともあるだろうと思いますので、またそういう機会がありましたら、どうぞよろしくお願いしたい。本当に今日はお疲れさまでございました。ありがとうございました。
 それでは、一応これで両省庁のヒアリングを終わらせていただいて、今、水産部局というお話もあったので、これが今後可能になるかどうかはちょっと事務局と相談の上やっていきたいと思います。
 続きまして、生活系・事業系の特定汚染源対策や非特定汚染源対策、自然浄化機能の活用の推進方策等について、これは事務局で整理していただいておりますので、その資料に基づいてご説明をお願いしたいと思います。資料6~10について、吉岡補佐の方から一括でご説明ください。

○吉岡補佐 では、事務局の方から資料の説明をしたいと思います。
 前回は、湖沼環境保全全般についてフリーディスカッションということをしていただきました。今回は、各種保全施策の推進方策、特に湖沼の水環境保全の柱となります汚濁負荷の削減を中心にテーマを絞り込みまして、各発生源ごとですとか、対策ごとに今後重点とすべき施策について、制度面からどのように進めるかについてご議論いただきたいと考えております。
 そのための素材として、湖沼環境保全施策の推進方策についてということで、須藤委員長と相談の上、現時点で考えられる施策について事務局で整理させていただいております。用意しました資料は、資料6から10の5つでございます。
 最初に、特定汚染源対策の推進方策ということで、資料6として生活排水対策の推進方策について、資料7として工場・事業場対策の推進方策について用意しております。資料8は非特定汚染源対策の推進方策ということで、面源対策について整理しております。資料9は、自然浄化機能の活用の推進方策について整理しております。資料10ですが、総合的な施策体系等の推進方策について整理しております。
 資料の構成ですが、どの資料についても、まずローマ数字でページをつけた本文に相当するものを、頭に1枚ないし3枚程度つけております。それ以降のページは参考資料ということでつけております。
 本文の内容は3部構成になってございまして、1.で総務省政策評価及び湖沼対策検討会における提言を記述しております。ここでの記述内容ですが、総務省の政策評価にあった指摘については、湖沼対策検討会における提言でほぼカバーできると考えておりますので、ここに記述している提言につきましては、湖沼対策検討会での提言をそのまま載せてございます。
 2.の現状については、参考資料に基づいた現状ということで記載しております。
 3.は、上記の提言や現状を踏まえた制度的な課題等について、現行の湖沼環境保全の制度を踏まえた場合、制度的にどのような課題があるかについて整理しております。
 資料の説明ですけれども、時間の関係もございますので、本文だけご説明いたしますが、1.の提言については、前回の委員会で検討会の報告書の説明が終わっていることや、3.の制度的な課題等の内容にも重複している部分も多いですので、説明は省略いたします。2.の現状と3.の制度的な課題等についてご説明したいと思います。
 最初は、資料6の生活排水対策の推進方策についてでございます。
 2.の現状として5点ほど挙げております。
 1点目が、汚水処理施設の未整備人口の割合が30%を超えている湖沼もあるということで、整備率は進んでいますけれども、湖沼によってはまだまだ3割も未整備の生活排水を垂れ流しているという状況の湖沼もあるということ。
 2点目として、下水とか集配に対する接続率について書いておりますけれども、施設によっては、50%台とか70%台であるという、接続率が低いという施設もあるということを書いております。
 次に、高度処理について書いておりますけれども、下水道等で高度処理が導入されておりますけれども、N,Pを除去するという観点について見ますと、高度処理がまだ十分に進展していない。湖沼によってはそういった湖沼もあるということ。
 4点目が浄化槽のことですが、N,P除去型の高度処理合併浄化槽に対する補助制度ができたばかりであり、その設置が十分に進んでいないと。
 5点目が負荷量について書いておりますけれども、各湖沼とも負荷量の削減、全般に進んでおりますけれども、生活系について見ますと、T-N、T-Pがほとんど削減されていないか、反対に増加しておる湖沼も見られること、そういったものが見られます。その理由としましては、人口増ですとか、くみ取りから下水なり、集落排水に変えたということが原因であると言っている自治体もございます。
 こういった現状を踏まえて、3.の制度的な課題等ですが、さらなる汚濁負荷削減の観点からは、やはり接続率の向上ですとか、N,Pを除去する高度処理の推進が今後一層重要な課題と考えられ、そのための具体的方策として、ここでは3点挙げてございます。
 1点目は、生活排水処理施設の整備が湖沼環境に与える意義について、地域住民等の関係者に対して十分啓発することによる接続率の一層の向上ということを挙げております。
 2点は、N,P除去型合併処理浄化槽の重点的な設置方策の検討ということで挙げてございます。ここで書いています重点的という言葉の意味ですが、指定湖沼流域について重点的という意味もございますが、実は資料8に、これは非特定汚染源対策の資料なのですが、それのIIIページ目に、これは後で説明いたしますが、イメージ図というのを書いてございます。流入負荷の大きい地域の指定イメージということで、これは後で詳細にご説明いたしますが、湖沼の指定地域の中でも、流入負荷の大きい流域を特に指定して、その中で施策を重点的にやっていこうというのを考えておりますが、そういった中で生活排水対策についても特に重点的に──N,P除去型の合併処理浄化槽についても重点的にやっていこうということを念頭に置いているという意味でございます。
 3点目は、N,P除去型高度処理の低コスト化の検討ということで書いてございます。国土交通省のご発表でもありましたように、下水道では経済的手法の導入による低コスト化等の検討もされておりますが、そういったことの検討も必要ではないかということを考えてございます。
 次に資料7、工場・事業場対策の推進方策についてまいりたいと思います。
 2.の現状として4点ほど挙げてございます。
 1点目ですが、湖沼法では、特定事業場が新設もしくは増設を行った場合、それによって排水量が増えた部分については、濃度規制ではなくて、負荷量規制を受けることになっております。この適用状況について事業場の数を調査しましたところ、推計値というのも入っておりますけれども、現時点でも、湖沼法が制定されてから20年たった今でも、負荷量規制を受けていない既設の事業場が、全指定湖沼平均で60%程度まだ残っているという現実がございます。
 2点目として、条例によって規制対象施設の裾下げが行われておりますけれども、排水量が裾下げ規模よりも少ないため、何ら規制のかからない未規制の特定事業場というのがございますが、その数についても、全指定湖沼平均ですべての特定事業場数の60%程度残存しているということがございました。
 今度は負荷量ベースで見ますと、未規制の特定事業場ですとか、特定施設を持たない事業場一般からの負荷量割合が、湖沼によっては全負荷量の10%から30%を占める。事業系全体の負荷で見ても、50%程度から90%近くを占める湖沼もあるという現実がございます。
 畜産系についても、先ほど畜産部からの説明がございましたが、湖沼によっては負荷量割合が10%から20%を占める湖沼もあるということの4点を挙げてございます。
 次のページにまいりまして、このような現状を踏まえた制度的な課題等ですが、3点ばかり挙げてございます。
 1点目が、新増設の関係なく、既設事業場も含め、負荷量規制の適用を検討することとしております。
 2点目として、現行の湖沼法では、小規模な畜産施設ですとか、コイの養殖施設に対して、施設の構造・使用規制というのを行ってございますが、排水量が小さい未規制の特定施設においても、処理方式が標準化している有機汚濁系排水等に対しては、排水処理に対する構造・使用規制の適用を検討することとしております。
 3点目として、特定事業場に該当しない、例えば商店街の飲食店など、小規模な事業場一般については数が相当存在すると考えられます。数は相当あるのですが、その規模要件から特定事業場に該当しないため、施設設置の届出義務がございません。このため、事業場数ですとか、負荷量の実態が正確に把握できていないのが現状でございます。このため、湖沼ごとにその立地状況ですとか、汚濁負荷量の実態を把握する方法を検討することといった3点を具体的な方策として挙げさせていただきました。
 また、下に書いていますけれども、家畜系の負荷については、家畜排せつ物法に基づく家畜排せつ物の適正な管理の着実な実施とともに、湖沼地域における重点的な推進方策の検討が課題であると考えております。ここでも重点的という言葉を使ってございますが、やはり先ほどの生活系の場合と同じように、指定地域の中に特に負荷の大きい流域を指定した場合、そこに畜産負荷が大きい場合、そこは重点的にやっていくという意味を込めて、重点的という言葉を使っております。
 続きまして、資料8ですが、非特定汚染源対策の推進方策についてでございます。
 非特定汚染源対策の現状として、指定湖沼における事例をここに列挙してございます。湖沼計画に計上されている農業地域対策として、施肥量の適正化ですとか、水田からの濁水対策等が計上されております。都市地域対策としては、雨水浸透枡の設置ですとか、透水性舗装の整備。自然地域対策としましては、森林の適正管理や植林の推進等が計上されておりますが、定量的な数値目標を示した施策というのが、一部の湖沼計画を除きほとんど見られない状況でございます。
 県の事例を見ますと、特に水田からの濁水対策に力を入れている滋賀県の例を書いてございますが、濁水対策に資する営農用機械の導入支援ですとか、用排水の反復利用施設の整備や、普及センターによる農業者への普及・啓発活動に取り組んでいる他、関係条例の制定ですとか、直接支払交付金制度の導入等を通じて、環境保全型農業の推進を図っているという状況がございます。
 また、まだ少数派のようですけれども、湖沼等の水質保全に取り組んでいるエコ・ファーマーの事例も見られる状況でございます。
 次のページにまいりまして、制度的な課題等ということになりますけれども、隣のページにイメージ図をつけてございます。このイメージ図ですけれども、非特定汚染源対策を、指定湖沼の指定地域全域で実施するというのはなかなか大変です。やることはできるんですけれども、その効果を把握するとかというのがなかなかできません。湖沼の指定地域の中に流入負荷の特に大きな流域というものが必ずどこかにあると思うのですが、そういったものを指定して、その流域に対して、負荷削減のための基本方針の策定ですとか、流入負荷量把握のためのモニタリング計画を立てるとか、流入負荷削減に資する肥料の使用方法ですとか、市街地の雨水排水対策、森林の管理方法とか生活排水処理の整備計画とか、地域住民への普及啓発計画といった面源対策の実施計画を盛り込んだ流入負荷削減計画を策定し、湖沼計画に位置づける。そうすることによって、汚濁負荷のモニタリングと負荷削減施策の実施と効果の把握等、重点的・集中的に設置する体系を検討するということを書いてございます。
 続いて、資料9にまいりたいと思います。自然浄化機能の推進方策ということでございますが、自然浄化機能を活用している現状として6点ほど挙げてございます。
 1点目が、水質改善の一環として、自然浄化能力を活用した取り組みを湖沼計画に位置づけている湖沼もあるということ。
 諏訪湖では、ヨシ原の実験浄化場ですとか、いかだによる水上栽培による浄化実験等を行ってデータをとったり、湖岸を幾つかのゾーンに分けて水辺環境整備を行うマスタープランが策定されているといったこと。
 滋賀県では、ヨシ群落を保全する条例を定め、琵琶湖のヨシ群落の保全を進めていたり、関係省庁、これは農水省と国土交通省になりますけれども、所管する各種対策を連携して集中的に水質保全対策を現在実施してございます。その中で植生浄化ですとか、循環かんがい、内湖などによる自然浄化機能を活用した取り組みも計画されております。
 霞ケ浦の例では、既にウエットランドですとかビオパーク、浮きヨシ原、植生浄化施設等が整備されております。
 自然浄化機能の活用には直接つながりませんけれども、児島湖では、しゅんせつ事業で発生した底泥の脱水ケーキを埋め立てて干潟を造成し、水辺環境の創造を行っているという事例もございます。
 次のページにまいりまして、制度的な課題等ですが、これも面源対策同様、隣のページにイメージ図をつけてございます。湖沼の水環境保全の観点から、先ほどの面源対策の重点地区の指定と同じように、湖辺の植生を再生・保全すべき地区を指定します。指定した上で基本方針ですとか、自然護岸化の事業、植生回復、保全対策の実施ですとか定量評価の実施、地域住民への普及・啓発などを盛り込んだ湖辺植生の再生・保全計画を作成し、湖沼計画へ位置づけることにより、湖沼の自然浄化機能の確保・拡充を図ることとしております。
 さらに[3]で、自然浄化機能確保のための植物の伐採禁止等の水環境保全措置も必要ではないかということで、ここに挙げてございます。
 また、ここで指定する範囲でございますけれども、湖辺ということで、湖岸線といった細いベルト的なゾーンだけではなくて、例えば内湖というのがございましたら、湖岸線よりも陸地側にある内湖を含めたゾーンとか、流入河川の河口など、湖岸と一体的に保全すべきゾーンなども指定対象とするということを考えております。
 最後に、資料10ということで、総合的な施策体系等の推進方策についてでございます。現行の湖沼対策や湖沼計画における現状として、5点ほど挙げております。
 1点目として、環境基準項目以外での水質目標の設定がなされていない湖沼も見られ、住民理解の観点からわかりづらいといったこと。
 2点目として、負荷削減に重点が置かれ、湖沼に対する多様なニーズに対応していない。
 3点目として、湖沼計画が5年ごとの5カ年計画であり、長期ビジョンの提示が十分でないといったこと。
 流域全体を視野に入れた取り組み、水循環の回復、生態系の保全からの取り組みができていないこと。
 地域住民、NPOと自治体が協働した取り組みの湖沼計画上の位置づけが明確でないことの5点でございます。
 このような状況を踏まえた制度的な課題等として考えられる具体的方策として6点ほど挙げてございますが、1点目として、透明度、生物指標等の補助指標の設定。2点目として、長期ビジョンの提示、計画期間、策定スパンの柔軟化。3点目として、節目ごとの計画内容の見直し規定の設定。4点目として、流域管理、水循環、生態系の視点等多様な視点の導入。5点目として、住民参加の湖沼計画の位置づけ。最後に、湖沼計画の指定手続の簡素化ではないかと考えられております。
 各施策の推進方策については、このような内容で整理させていただきました。
 以上、時間の関係で駆け足で説明させていただきました。
 以上でございます。

○須藤座長 どうも簡潔に、要領よくご説明いただきまして、ありがとうございました。
 先ほどのヒアリングの内容ももちろん含んでいるわけでございますが、6から10について、特に総務省や湖沼環境対策の検討会の提言を踏まえて、現状を認識した上で、そして制度的な課題等について一応整理をしていただいておりまして、これはすべてが委員の先生からお伺いしたわけではございません。これは一つの案でございまして、私どもあと2回ないし3回議論をすることになるんだろうと思いますが、その原案として、特に最終的なアウトプットというのは、こういう専門委員会でございますので、中環審から答申をしなければならないということでも当然ございますので、制度に対しての提言というのは当然重要な項目になるだろうということで、当初からこういう整理をしていただいたわけでございます。
 ここについては、いろいろご意見があろうと思います。今日はまずはとりあえず、こんなことを事務局としては考えていますよというところをお示しいただいているわけで、これが最初のアウトプットというわけではございません。これを基本に議論をした上、あるいは先生方にさらにペーパー等でご意見伺った上で、最終的な提言というところに持っていきたいと思います。
 どうぞご意見を伺いたいと思いますが。この辺はやはり浅見委員から順番に伺いましょうか。ここら辺のところは伺った方がいいですよね。どうぞ順番にいきましょう。それでは、こちらから順番にまいります。

○浅見委員 資料7のところで詳しくはご説明いただかなかったんですが、1ページと表示のあります湖沼法指定地域中の事業場数の内訳ということで、負荷量規制を受けていない事業場数が、釜房ダムでは100%、霞ケ浦では80%、印旛沼では95%という、非常に高率になっていて、負荷量もそれなりに高いというふうに考えられますので、これを負荷量規制をしていくような方策を考えていくということのご提案になるんでしょうか。
 その際に、罰則とのセットになるのか、それとも誘導策とのセットになるのかというところもあるんですが、ぜひ推進していただきたいということと、あと、今ご提案いただきました資料10のところで、補助指標の設定と多様な視点、住民参加の視点というようなご提案をいただいているんですが。補助指標としてぜひお願いしたいところは、利水の観点から申し上げますと、一番苦労しております異臭味の問題でカビ臭のことがございます。毎年毎年カビ臭に悩まされているというところもありますので、その辺の補助指標の中でカビ臭、利水の観点のものを入れていただければというのと、その目標を定めていただくことができると、計画もさらに立てやすくなるのではないかというふうに考えております。
 あと、住民参加とかその多様な視点のところでいろいろ、いけすをやっていらっしゃる方ですとか、それからレクリエーションをやりたい方とかいろいろいらっしゃるとは思うんですけれども、湖沼の水質だけではなくて、やはりそこよりも下流の水質、下流で利水をしている場合というのも、意見として取り入れていただけるような仕組みをお願いしたい。
 というのは、今日国交省さんからもご説明ありましたけれども、手賀沼の水質、非常に改善をしてはいるんですけれども、例えばその手賀沼で水質改善をすると、その下流で利水をしているところで、毎年非常に障害が起こっているというようなこともありますので、そのような計画を立てるときに、ぜひ下流の利水のところも取り入れていただけるような仕組みをお願いしたいというところがございます。よろしくお願いします。

○須藤座長 一番後者のやつはあれですね、湖沼から出た後の流出河川の方の水質ということになるわけですね。そういうことも考慮してくださいということですね、中ではなくて。

○浅見委員 はい。湖沼といいますと、どうしても湖沼の指標からいくとよくなるんだけれども、その下とか。
 あと、国交省さんの中でも入っていたんですけれども、排出権取引をしますと、上流の側と下流の側と取り引きをすると、どうしても上流の方が過疎地が多いので割を食って、そこが売ってしまうというようなことがあるんですけれども。そうすると、湖沼の質としてはいいんですけれども、そこよりも上でとっているところとか、そういう点から考えますと、非常にまずいことになるのではないかという危惧をしております。

○須藤座長 それから、カビ臭の方は、例えば2MIBとかジオスミンとか、そういうような水質の項目あたりをということですね。

○浅見委員 そうですね。水質基準にも入りましたので……

○須藤座長 水道水の水質基準に入っていますね。そういうような項目もあわせてということですね。

○浅見委員 が望ましいと思います。カビ臭というような形になるかもしれませんけれども、やはり物質としてその2つが今のところ候補になると思います。

○須藤座長 どうもありがとうございました。
 では、齋藤委員、どうぞお願いいたします。

○齋藤委員 前回欠席して大変失礼いたしました。農業環境技術研究所の齋藤でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、資料8の非特定汚染源の話なんですけれども、多分前回の論議にもあったんだと思うんですけれども、発生負荷は減っていても、なかなか水質はきれいにならないと。どうもその水質のメカニズムが、汚濁のメカニズムがわからないという部分が少なからずあって、やはりそのためにはちゃんとしたモニタリングをしなくちゃいけないということで、このモニタリングの部分をどういうふうに政策的にやっていただくか。いろいろ難しい問題はあろうかと思うんですけれども、やはりこの部分が非常に、今回だけではなくて、さらに次に進むためには非常に重要ではないかなということで、ぜひ積極的なご検討をお願いしたいと思います。
 それに関連して、これは後で皆さんからもご意見があろうかと思うんですけれども、いろいろな負荷の多い地域の指定とか流域の指定とか、その指定の部分を現段階でどういうふうに考えられているのか。後でまとめてお答えになっていただいてもいいと思うんですけれども、ぜひお願いしたい。

○須藤座長 わかりました。前者のことは、要するにメカニズムだったらモニタリングを鋭意進めていくというのは、これは当然その中に入ると思いますが、指定の考え方は、多分これからの議論になると思いますけれども、もし後であればお願いいたします。
 それでは、大塚委員、たくさんあるかと思いますが、お願いします。

○大塚委員 3点ほど申し上げますが。全般的に、この短期間にすごくよくご検討なさっているというふうに思いました。
 第1点は、資料8の非特定汚染源対策についてのことですけれども、モニタリングがこの地域についてなされるということが義務づけられることになると思いますので、これは現在の補助金等がどうなろうと、やってもらえるということになれば大変結構なことだというふうに思っております。
 こちらの資料8の方の地域指定に関してお伺いしたいところですけれども、それからもう一つ、資料9の方の地域指定に関しても関連しておりますが。実際にこういうものを指定する制度をつくっても、その指定がなされないとうまくいかないということがございまして、特に自然系の他の制度なんかについても、地域指定の制度はあるんだけれども、実際には指定されないということがかなり多いので、その辺についてどういうご感触を持っておられるかとか、あるいは地域指定がしにくくならないようにするための対応というのは、どういうふうにお考えになっているかということを1点お伺いしておきたいということがございます。
 それからもう1点ですけれども、ちょっと細かいですが、資料8については、先ほどのご質問とかもありましたように──どっちかというと、資料9の方について、水産養殖とかについて、この指定地域に入る可能性があるのか。入れないといけないと思っているんですけれども、についてちょっとお伺いしておきたいということがございます。
 とりあえず以上です。

○須藤座長 どうもありがとうございました。これは後で一わたりしてから、両補佐あるいは部長にお伺いいたします。
 それでは、花木委員、どうぞお願いします。

○花木委員 2つあります。1つは資料10ですけれども、総合的な施策体系の中で、今日何回か話題が出ていましたけれども、いろいろな施設の費用と効果の関係はどうなっているかという点です。それが実際の戦略を立てるときに必要だろうというご指摘がありました。それについて、これから立てる計画の中には、さまざまな施策の費用効果の分析と、それから一方では導入の容易性、可能性、それも大事です。導入可能性と費用効果分析を定量的に比べるということが必要だと思うんです。
 総務省の政策評価の中で経済合理性という指摘がありましたけれども、経済合理性というのは、排出権取引のようなまさに経済的手法のものだけではなくて、このように施策を比べるところでもあらわれると思うんです。どちらかというと、施策を比べる方が、制度として手をつけやすいと思うので、ぜひそのような内容がこれからの湖沼の計画の中に反映できるような形にすればいいんじゃないかというのが1点でございます。
 それからもう1点は、先ほどから何回か話題が出ている非特定汚染源のところであります。モニタリングをこれから重視していくということで、それはそれで必要なんですけれども、一方では、モニタリングはいくらやっても切りがないというような可能性もありますので、ぜひそのモニタリングと、それから実際の施策の導入というのを同時並行的にやっていただいて、まさにプラン・ドゥ・シーという形で施策と同時並行で進めるというようなことをぜひお考えいただきたい。
 その2点でございます。

○須藤座長 わかりました。これも後でちょっとコメントを事務局からいただきます。
 それでは、花里委員にまいります。

○花里委員 私は生態学をやっていますので、そういう視点からの意見を求められていると思いますので、特にそれに関しては、この資料の9、それから10に関係するんですが。
 9のところで、この自然浄化機能の活用ということで、特に水草を利用した浄化ということで、いろいろビオトープとかというようなことが出ています。結構最近こういうのがはやりなんですけれども、ただ基本的なものとして、こういう自然の浄化能力を使うということは大変結構なことなのですが、エネルギーをあまり使わなくて。ただし、自然の浄化機能を使おうとすると、ちょっとやそっとやっただけじゃほとんど効果ないんですね。かなりの広い面積をやらなきゃならないというようなことが経験でもわかっています。
 例えば、白樺湖でコカナダモという水草が急に増えたんですけれども、ちょうど調査をしているときに。かなりコカナダモが目立ってきて、湖の10%ぐらいを覆ったころは、まだ全然湖全体の水質が変わらなかったんですが、30%ぐらいになったら突然湖がきれいになったんですよね。そういう点では、水草で水質を浄化させるには大体その30%ぐらいというのが一つの境目かなと。ただし、そこまで増えると、もうかなり水草が増えたという認識になります。そういう点では、もし水草をふやして、水草で浄化ができるようになったとなると、今度は水草による問題が出てくるんですよね。例えば船の航行の障害だとか、そういったこともきちんと考えておかなくてはならないんじゃないかと思います。
 そういう点では、狭い場所しかなかったならば、やはりきれいにするにはエネルギーをかけなきゃいけない。その典型が下水処理場であって、広い面積を使えるんだったらば、こういう自然の浄化機能の活用ができるんだろうということをまず考えておかなきゃいけないんじゃないかと。そういう点では、ちょこちょこやっていても、費用対効果という点ではあまりよろしくないんじゃないかと。
 ただし、諏訪湖では今湖岸の再自然化をやっていまして、湖岸を100%再自然化することを目指してやっています。これは、実は私は大変評価しています。それは湖全体の浄化というよりは、湖岸に水草が増えたりすることによって、いろいろな生き物が、鳥だとか来ることによって多様な生態系ができてくるということで、その景観的にもとてもよくなりますし、それからそういうことによって、人々が湖岸を利用することが多くなるんですよね。それから諏訪湖の場合は、それ以外に親水性護岸といって、もともとなかったんですけれども玉砂利を敷くということをしています。それで人々が水辺で遊ぶことが増え、みんなが湖のことを考えるチャンスをふやすということになり、大変意義があると思います。そういう点では、こういう湖岸をコンクリート護岸ではなくて、再自然化していくというようなことは意味があると思います。
 これは、資料10にもかかわるんですけれども、今市民が求めているのは、湖でも単に水質汚濁の削減ということだけではなくて、今申し上げたような多様な生態系、それから景観的なものですね。そういったことも総合的な観点からの湖利用ということを求めていますので、そういう総合的な見方をして湖の管理をしていく必要があるんじゃないかと思います。そのためには、水草帯の回復ということは意義があるというふうに思います。
 それからあと一つ、前回ちょっとお話しいたしましたけれども、私が気になっているのはやはり漁業のことなんですけれども。先ほど福島委員の方から水産養殖の話も出ました。ただ、それだけではなくて、漁業をすることによって放流をしますから、あれがかなり生態系を攪乱していて、それが水質にも影響を及ぼしているということが最近よくわかっていますので。
 ですから、例えば漁業に関しても、前回も申し上げたかもしれませんけれども、単に漁業資源を、最大の漁業資源が得られるような放流の仕方ではなくて、水質ともある程度バランスをとれるような放流の仕方というのか、魚の管理を考えていかなきゃいけないと思います。ただ、これについては、今後まだ研究レベルの仕事が必要だとは思います。そういった視点をやはりちょっと盛り込んでおく必要があるんじゃないかと。今まで、あまりにも魚の影響を無視し過ぎていたんじゃないかというのが私の考えです。
 以上です。

○須藤座長 ありがとうございました。バイオマニピュレーションについては、もしかしたからだれかに伺った方がいいかもしれません。水産庁にちょっとお聞きになってください。
 それから、今の花里先生の中の白樺湖の例というのは今簡単におっしゃったけれども、報告書か何かになっているんですね。

○花里委員 ええ、一応。

○須藤座長 それをぜひいただいてください。やはり定量的に、このぐらいだったらこうなったというのは大切だと思いますので、ぜひ環境省に。
 では、福岡委員、お願いいたします。

○福岡委員 それでは、私は3点を申し上げたいと思います。
 先ほど来から話題があります資料8をお願いします。私は流域から汚濁物質がどう出てくるかというのを調べているんですが、環境省のやられているフレームが、川を経由して汚濁物質が到達することをあまり意識しない形でフレームを決めているところに問題を感じています。行政サイドの計画に対応させ、効果を算定するために行政単位でフレームを決めているために、汚濁物質の流達するメカニズムにはあまり関係ないことになっているように思います。ぜひ今回は、そういったことを、原単位の検討と合せて検討を加えていただきたいのが第1点です。
 これと関連して地域指定に関してです。汚濁物質が都市域から出てくるものと、それから農地又は林地のようなところから出てくるものと違いますから、やはり指定となると、そういった対照的なものをちゃんと入れた形の地域を含めてやることが大切です。
 現在は、雨がどれだけ降って、相当降ったから汚濁物質が出たとか、流量が増えたから出たとかという話にならないで、原単位と、フレームで決めて算定していますから、問題もあるということを意識して、流出、到達メカニズムを考慮した考え方をするとどうなるのかということも合せて考えていく必要があると思います。この汚濁物質流出量については、他の省庁でもやっていますので、ぜひ連携をとって情報交換しながら、この指定地域の問題に生かしていただきたい。
 2点目は資料9であります。資料9の3ページの図です。内湖と湖辺に関することです。先ほど国土交通省の話の中で、湖辺には河川区域というものがあり、これは指定湖沼だけじゃなく、どの湖にも河川区域があり、その管理は国がやるか、県がやるかは別にして、河川区域が指定されているということでした。そういった指定されたところで重なる形態で水質対策をやる意味を考える必要があります。水辺で植物を育て自然浄化を行うというようなことは、国土交通省でもやっていることをどう考えるのかということです。それをさらにやるほど意味があるかも含めて、十分に検討される必要があると思います。先ほどの説明の中で、行政が行う施策の中で二重構造になるというお話がありましたけれども、国民から見ても地元の人間から見ても、二重構造にすることが本当にどの程度の意義を持つのかを明確にする必要があると思います。税金を使って仕事をするわけですから。
 湖の水質をよくするというのは、これはもうだれも疑っていないんですけれども、行政的に既にある法制度をうまく使いながら一緒にやる仕組は何なのかというのを、十分に考えていただきたいなというのが2点目です。
 3点目は、資料10の制度的な課題等のところです。具体的方策とありますが、ここの中で湖沼法のキーである水質汚濁削減という一番大きな課題が見えなくなってきています。具体的な方策については、これからさら書き込むのでしょうが、現在の資料では、制度的な課題等というところで、総合体系になったらこの最も重要な点が非常に見づらくなってきています。面的負荷削減をやるのは大事ですと各委員が言っている点をもっと強力に出していただきたい。湖沼の水質改善について環境省が進める骨太の方針は、やはり汚濁物質の削減であるということを具体的方策の中で明確に位置づけていただきたい。
 以上です。

○須藤座長 ありがとうございました。どちらかというと、今の先生のはご意見としてそうあってほしいということでございますので、もし後で環境省の方でご意見があれば、それは承ります。
 それでは、福島委員、どうぞお願いします。

○福島委員 3点ほどございます。
 第1点は、先ほど来申し上げているように、皆様からも意見が出てまいりました対策効果並びにコストですね。定期的に見直していくといいますか、そういうことをすることを義務づけていったらと考えています。

○須藤座長 義務づけるんですね。

○福島委員 はい。そういうことを湖沼計画の中でやっていくということにより、機運を高めていくということが重要だと思っております。
 それに関連があるのかどうかということで質問があるのですが、規制改革民間開放推進3カ年計画という中で、規制をする場合にはRIAという規制影響分析ですか、というのをやって、どういう規制をかけたらどのぐらいの費用分析があって、便益があるかということをはっきりさせないといけないと。これは特区をつくって何かをするということがメインだと思うのですけれども、それが本年度から3カ年計画でやられていると。そういう並びでもぜひ、いろいろな規制をかけたり、いろいろなことをやったときに、それがどういう効果を持って、どの程度お金がかかるかを検討していかないといけない時代なのかなというふうに思っています。
 第2点は、資料10のところに、具体的方策ということで、補助指標とか多様な視点というのがここに加えられております。今までCODをメインの指標として、すべてやってまいったのではないかと思うのですが、こういうものを入れることを各湖沼がそれぞれ決めていって、その湖独自で目標を立てるというようなことを、私はした方がいいと思っているのですが、この委員会で議論がなされていないような、気がいたします。

○須藤座長 今の先生のお話はあれですね、一律でなくて、それぞれの湖沼でと、そうおっしゃっているんですね、COD以外は。

○福島委員 はい。大前提として、CODの削減というのがあると思うのですが、それ以外にこういう指標を設定するということになりますと、それぞれの湖沼によってはこちらを重要視して、対策体系を立てたいというところも出てくるのじゃないかと思うのですね。その辺のことをこの検討会でどのように考えておくかと。私は、将来的には湖沼ごとに目標が決められるようにした方がいいというふうに個人的には思っているのですが、委員会で合意がとれるのかどうか。

○須藤座長 いや、それは皆さんが賛成していただけて、そういう方向はそうだというふうに言ってくだされば、それでいいんだと思いますけれども。

○福島委員 それから、生活環境項目として、COD以外にもSSとかDOとか、大腸菌郡数があります。実際に測って、1個1個の測定ではそれらの数値は出ているのですが、湖沼の管理には生かされていないと思います。従来から問題があったのじゃないかなと思うのですが。湖の中では、今SSだとかDOの話が非常に重要になってきているところもあると。そういうものをなぜ活用しないのかなというのが、昔から思っていたことですので、ぜひそういった目標に関する議論をもう一度していただけないかというのが2点です。
 それから3点目は、資料8の非特定汚染源の話で、指定地域を設けていくということは非常におもしろい制度だなと思ったのですが。この中に流入負荷の大きな地域を指定しという記述がされておりまして、私は逆に流入負荷が大きくなくても、非常に特徴的で、その効果等がはっきりわかるようなところをまず選んで、モニタリング等をやっていった方が効率的かなというふうに思いまして。

○須藤座長 大きいだけじゃなくてね。

○福島委員 大きいだけではなくて、何か別の視点であって指定地域に選ぶようなこともあってもいいのではないかというふうに思います。

○須藤座長 どうもありがとうございました。今の点のところは、また後でちょっとお答えなり、考え方を伺います。
 では、山室委員、どうぞお願いします。

○山室委員 私は2点ほど、質問も兼ねてコメントです。
 まず、先ほども下水道のことがよくわからなかったんですけれども、資料7で、この2ページのところを見て、こういうややこしい構造だというのはおぼろげにわかりました。
 先ほども二重という話がありましたけれども、流入する水に関する規制が多種あって、湖沼法では窒素やリンに関しても規制項目として入っているんですけれども、これで見る限り、例えば4ページを見ると、水質汚濁防止法に基づいてというのはCOD規制で、河川はBOD規制。なんか規制の基準が統一されていないように素人には見えます。どうしてBODとCODが混在するのかという問題もありますけれども、窒素とリンが入っていないというのがちょっと驚きでした。
 同じように流入する水について施策をしている上で、互いに違うように見えるというか、基準の統一がどうなっているのかということについて、省庁間で話し合いなんかを進めているのか、それとも独自にやっていらっしゃるのか、今後はどうされるのかということを、質問も兼ねて伺いたいというのが1点。
 それから、資料10について皆様も先ほどからCODの問題、それから個々の基準でいいのかという話がありました。私もこれは統一基準というよりは個々にした方がいいというのに非常に賛成です。例えば指定湖沼の中でも汽水域とか、海域に近いところが少しありますが、こういうところですと、有機汚濁によって何が問題になるかというと、貧酸素が1つ問題になると思います。でも、たとえCODを1930年代の水質に戻しても、中海は貧酸素していたんですね。つまり汽水域というのは塩分成層をしますから、どれだけ水をきれいにしても貧酸素するときはしてしまうんです。
 じゃ、一方でCODをどこまで減らすかという話なんですけれども、先ほども花里先生が漁業の話もされていましたけれども、今の宍道湖のCODというのを有機物と考えますと、シジミ漁が非常に盛んで、その有機物を食べているからシジミがあれだけとれるということもあるんですね。これ半減してしまうと、もしかしたら漁獲生産が半分になってしまう可能性もあるわけです。
 そういうことを考えますと、それぞれの湖沼に望ましい姿が、これからこういうふうにしたいというのも含めてあると思うんですね。それに合わせて、個々の基準というのを科学的に決めてやるという方向もあるのではないかというふうに私は思います。これはコメントです。

○須藤座長 ありがとうございます。それでは、それも後でまた総括的に。
 では、和田先生、どうぞお願いします。

○和田委員 4点ばかり。1つは、湖沼の水質、湖沼水質をよくするためにモニタリングをするという、そのモニタリングの中身を、具体化しておく必要があると思います。特に水質だけをモニタリングしながら負荷量とか、簡単な解析をして、その結果を発信をするというシステムをやはり取り入れていくことがいいんじゃないか。特に水質は結果としてわかりますけれども、簡単な解析があると、こういう部分がこうなっていますからとか、原因といろいろな調査データの発信を、我々が見えるようにするというのが必要だと思います。
 2つ目は、今、先生方がおっしゃっているように、実態を映すというか、そういうものの検証というのをぜひとも取り入れていってほしい。
 3つ目は、具体的な指定地域の決め方です。負荷量が大きいからそうだと決めつけるのではなく、地域によっては違いますので、具体的な指定地域の決め方も、やはり具体化して書くべきだと思います。
 4つ目は、流域管理の中身、水循環の中身です。水循環は非常に大きな視点でとらえていこうという中身をもう少し具体化していっていただくと、非常に議論がしやすい。

○須藤座長 どうもありがとうございました。
 一わたり、委員の先生方からコメント、ご質問をいただきました。コメントの方は今後の議論に生かしていただくということで、この原案についての書き込み等でまた次にご説明いただく部分でもいいのかもしれませんが、特に指定地域のところは比較的皆さんおっしゃっていただいた部分になって、今何を考えているのかというようなご質問があったので、お答えできる範囲で今のところはよろしいんですが。要するに指定地域だけじゃなくてよろしいんですが、特にご質問、例えば水質の項目なんかもそうなんですけれども、今ご質問だとおっしゃった部分について、順番にどうぞお答えください。

○熊谷補佐 たくさんいただきましたので、今の時点で全部答えられるかどうかわかりませんけれども、幾つかいただいた中で、それでは質問を幾つかいただきました地域指定関係、まず一つですね。こちらで今までの議論なり、今既に湖沼法なり現行の計画の中で行われている現状から、水質をよくするために何を一歩ずつ進めていくかという観点で、各対策ごとという意味で7から9までの資料でまとめました。
 それから、福岡先生からいただいたんですが、こういう具体的な水質改善のものでこぼれる計画のあり方とか、そういった部分を資料10でまとめたつもりですので、こういうものをパーツにして、まさに委員長から言っていただいたように、全体を取りまとめの議論をさせていただければと思っています。
 地域指定ものに関しては、本来的であれば、その湖沼を決め、湖沼の流域水域を決め、それが現行の湖沼法の指定地域ということで、その全域で当然やるべきものだと思います。しかしながら、湖沼によっては相当の地域の広がりを持ちますし、なかなか広いものを対象にすることによって、逆にその着実な実施とか、政策評価でも指摘されている部分がうまく動いていない部分があるかなということで、私どもとして、地域限定的にでも、特に対応の難しい非特定汚染源対策みたいなものをきちんとやるべきではないかと。
 その地域指定の考え方は、まさに今いろいろご指摘とかいただいたとおりだと思います。汚濁流入負荷という意味で重要だという部分ももちろんそうでしょうし、今なかなかその全域では動かないという意味からいくと、モデル的な意味合いを持って、具体的な施策がきちんととれる場所をきちんと取り上げるべきと。今何人かの委員からいただいたような、そういう観点も含めて今後検討していくべきかなというふうに思っております。
 地域指定関係は、その限定するという基本的な考え方に今後いろいろご意見いただいた上で、まず当初としてやっていくときに、どういう観点からそういう当面限定した対応をやっていくかという議論をいただければと……

○須藤座長 ということで、大きいだけがいいということではないということですね。何となくさっきの説明ですと、なんか大きいところをやりましょうというふうに聞こえたんですよね。多分、福島委員もそれで言ったんですね。

○福島委員 はい。

○須藤座長 かかるというんだね。だからそうじゃないんですよね。特徴的なというぐらいの、そういうことですね。わかりました。

○熊谷補佐 ということも、配慮してやるべきだというふうに思っております。

○須藤座長 その辺は皆さんちょっと疑問があったところだと思います。どうぞ。

○熊谷補佐 それから、福岡先生からいただいた汚濁負荷の関係のいろいろな情報整理とか、情報発信いただいた、まさにご指摘いただいたとおりだと思います。いろいろな湖沼計画は、具体的には一つ一つの湖沼を見ながら計画をつくっていくときに、それの前提となるいろいろな情報整理だとかという部分は、まさに国としてやるべき仕事の一部かと思います。
 そういう意味では、確かに流域ごとの問題とか、今実際の湖沼計画を見ても、流達率の考え方とか、湖沼に流入する各流域ごとにどういうふうに把握していくかという部分は、まさにご指摘いただいたとおり非常に弱い部分だと思っております。ですので、いただいたとおり、そういう各湖沼で計画を立てるときに、その計画がつくりやすい、またこういうふうに地域限定でやっていくときに、基本となる情報を得やすいような情報整備というようなこと、これはまさに国の業務として今後力を入れていきたいというふうに思います。
 それから、山室委員にいただいた項目関係とか、規制の関係をちょっと補足で幾つかお話をさせて──BOD、COD関係は、ひょっとしたら須藤委員からご説明いただいた方がいいかもしれませんけれども。
 1つは、一般的な水質汚濁防止法の場合は、その排出する先ごとに規制の項目を考えようということで、同じ有機汚濁指標で類似の性格を持ちますけれども、直接的に湖沼に流入する、海域に入る場合にはある程度の長期間の酸素消費という意味で、CODを基準にしてやっているということで、特別対策を打たないところ、水質汚濁防止法だけで水質汚濁問題を対応しようというところについては、下流域の問題はある意味考えずに、放流する先が河川であるか、湖沼であるか、海域であるかということで、BOD、CODは選択していると。
 それから、窒素、リンの規制に関しては、これは植物プランクトンの増殖によって富栄養化現象が出るようなもの、そういう湖沼であるとか海域を個別に決めていって、そこに流入するような河川も含めて窒素、リンの規制をやっているという状況です。
 湖沼法の一つの特別対策の特色として負荷量規制と言いましたけれども、排水濃度と水量全体を管理していこう、それから流入負荷量の抑制をしようという意味で、この負荷量規制に関しては湖沼の上流域に向かって、河川もさかのぼってCODで適用するということで、一般的な水質汚濁防止法の整理と、例えば総量規制であるとか、湖沼法による特別規制とか、そういう水域の特色によって項目の選択をしているというところで、多分言葉だけでなかなか難しいところがございますので、この関係は一度整理をして、またご説明させていただければというふうに思います。
 指標関係に関して幾つかご意見をいただきました。私どもも、全国の対応として環境基準を基本にして、ああいうものをきちんと達成していこうというものの他に、個々の湖沼ごとに関係者合意で考えていく、その改善目標というものを決めていくと。私どものイメージも、これに関しては、指定湖沼であれば必ずこの項目をというものではなくて、それは計画策定の中で、その水域のまさに利水状況であるとか、その環境だとか、その周辺住民の求めるもの、そういったもので独自の環境目標的なものを計画の中に入れて対応していく。まさに湖沼ごとでそれを判断していくということがいいのではないかということで、ちょっと言葉足りませんでしたけれども、そういうイメージで今回の資料の方を調整したつもりでおります。

○須藤座長 大体いいかな。あといろいろたくさんコメントいただいていますけれども、これはちょっとまた事務局で全部議事録とってあるでしょうから、お考えいただいて。
 私の方から最後にというか、まとめとして、今、山室委員もおっしゃっていたし、何人かの方が水質指標のことで、今補佐にお答えいただいたのでよろしいんだけれども。こういう議論をし始めると、常にBODがいいのか、CODがいいのか、あるいはT-NもT-Pも河川に流しちゃいけないんじゃないかとか、T-N、T-Pじゃなくて、全部溶存体か、粒子体か分けなくちゃいけない。もういつもこの議論がつきまとって、排水基準、環境基準、そういうもののあり方というようなことになっていて、山室委員おっしゃるとおり、すごく矛盾があるんです。おっしゃるとおり矛盾なんですね。
 だけれども、矛盾なんだけれども、これは法的にもうそうなっているので、これをどこかで一度ちゃんと点検しなくちゃいけないということは常に申し上げている点なので、その辺のことについて、いつもこういう議論になりますから、水環境部長なり、企画課長なり、今後の取り組みの見通しなり、展望なり、ちょっとお聞かせいただければと思います。そうしないと、このままでいいということではないんですよね。それは多分そういう認識をお持ちだと思いますので、その辺のところをお聞かせいただければ。

○甲村部長 通常、水のきれいさをあらわす場合、日本の場合、いわゆる流れているところ、川はBOD、20度5日間で消費されるであろう酸素の量で評価します。流れていないところ、いわゆる湖沼とか海についてはCOD、それは日本の場合は過マンガン酸カリで分解できる有機物の量、これで評価しています。
 実際、今ここにある水がきれいであるか、きれいでないかというのは、それはちょっといろいろ考えがあるんですけれども、私は多分溶存酸素があるかないかで、今ここにある水がきれいか、きれいでないかは決まっているのであって、決してBOD、CODはこれからその水がどうなるかというのを想定しているだけだと思います。
 じゃなぜ、そのBOD、CODでやっているかというと、それはいわゆる特定事業上からの汚濁水を規制するときに、じゃその規制を何でやるのかと。汚濁水をDOで規制したって、悪い工場はそこで空気を吹き込んで流せばDOはクリアできるけれども、いわゆる将来酸素を消費するであろう有機物は流れてきて、流れてきたところで酸素を消費して水質を悪くするわけですから、排水規制をかけようと思うと、BODなりCODでかけるしかないと、そういうような関係で、BOD、CODの関係が多分決まってきていると思うんですが。
 細かく言うと、じゃBOD5日というけれども、日本の短い川なんか1日でもう海まで行っちゃって、5日たったらもう海の中じゃないかという話もありますし、利根川なんかは長くて、干潮にいくと水が行ったり来たりしますから、5日どころじゃなくて、1週間ぐらいあるかな。そこまではないかと思いますが、5日以上滞留しているじゃないかと、そういう議論はありますが、かなり割り切ったような形でやっているのが現状だと思います。
 これを今後どうするかということについては、まだ方向性は決まっておりませんけれども、問題点は認識して、いろいろ検討していかなければならないと思っております。

○須藤座長 ということで、企画課長もよろしいですか、それで。問題点は担当の課長としても認識されているということなので。山室委員、ですから今このことについて、最後のお答えの中で、今のBOD、CODはこうしなくちゃいかんというコメントをすることはできても、それを法的に、それこそ法律で決まっていることなので、すぐ変えるわけにはいかないので。問題点は認識されているというのはおっしゃっておられるので、ちょうど時間にもなりましたので、この辺で次の議題のその他に移らせていただきます。部長、どうもありがとうございました。
 それではどうぞ、その他の議題。

○吉岡補佐 本日も前回に引き続き、貴重なご意見多数承り、ありがとうございました。
 事務局からは、次回の専門委員会の日程の件についてだけ申し上げます。次回は12月中旬ごろに開催したいということで、先生方には既に日程調整のメールあるいはファクスを送らせていただきました。既にご返送いただいたスケジュール調整表に基づいて調整をしました結果、次回は12月13日月曜日、午後13時から17時といたしましたので、よろしくお願いいたします。

○須藤座長 15時でしょう。

○吉岡補佐 15時から17時です。失礼いたしました。
 なお、今回の討議内容でございますけれども、当委員会の運営方針で議事録を作成し公表することとなっております。後日、事務局から議事録案を作成し、各委員の方にお送りいたしますので、ご発言内容についてご確認いただきますようお願いいたします。
 以上でございます。

○須藤座長 まだご議論あると思いますが、まだ何回か、ちょっと私も最後はいつになるか十分理解しておりませんが、あと2回か3回かだと思いますが、最終的には先ほどのような方針でまとめていきたいと考えております。
 今、吉岡補佐おっしゃっていただいたように、12月13日月曜日、3時から5時ということで、次回を開催させていただきます。先生方にはお忙しいところ恐れ入りますが、お繰り合わせご出席いただければ大変幸いでございますし、今言い残された点は事務局の方へいろいろご教示、ご指導いただければ幸いでございます。
 これをもって私の座長の任はおろさせていただきます。皆様のご協力を感謝して、お礼を申し上げます。ありがとうございました。

○熊谷補佐 今日いただいたご意見、また含めまして、次回の議論の基本にしたいと思います。また議事録の関係もございますし、また個別にいろいろお問い合わせさせていただける場面、次回までの間にあると思いますので、ご指導よろしくお願いいたします。

○須藤座長 どうも本当にお疲れさまでございました。ありがとうございました。

午後 3時35分 閉会