中央環境審議会水環境部会総量規制専門委員会(第8回)議事録

日時

平成17年3月30日開催

場所

環境省水環境部

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    (1) 第6次水質総量規制の在り方について
    (2) その他
  3. 閉会

配付資料

資料1

環境基準点における実測値と実測日当日の計算値との比較
資料2 指定水域における夏季底層DOについて
資料3 大阪湾における窒素濃度及び燐濃度(平成16年度速報)
資料4 瀬戸内海における湾灘別の赤潮発生状況について
資料5 第6次水質総量規制の在り方について(総量規制専門委員会報告(案))


総量規制専門委員会委員名簿

委員長

岡田 光正

広島大学大学院工学研究科長・工学部長
専門委員 河村 清史 埼玉県環境科学国際センター研究所長
  木幡 邦男 (独)国立環境研究所流域圏環境管理研究プロジェクト海域環境管理研究チーム総合研究官
  齋藤 雅典 (独)農業環境技術研究所化学環境部長
  高橋 正宏 国土交通省国土技術政策総合研究所下水道研究部長
中村 由行 (独)港湾空港技術研究所海洋・水工部沿岸生態研究室長
  平沢 泉 早稲田大学理工学部応用化学科教授
細見 正明 東京農工大学工学部化学システム工学科教授
  松田 治 広島大学名誉教授
  宮崎 章 (独)産業技術総合研究所つくば西事業所管理監産学官連携コーディネータ

議事録

午後1時32分 開会


○坂川閉鎖性海域対策室長 それではただいまから第8回目の総量規制専門委員会を開催いたします。本日は年度末の大変お忙しい中ご出席いただきまして、ありがとうございます。
 まず最初に資料の確認をお願いいたします。まず議事次第の1枚書きがございまして、その後ろに資料1のグラフがあります。
 それから資料2が指定水域における夏季底層DOについて。その後ろに英文の資料がついていると思いますが、これは燧灘東部海域におきます貧酸素水塊の発生に関するものでございます。
 資料3が大阪湾における窒素濃度及び燐濃度。
 資料4が瀬戸内海における湾灘別の赤潮発生状況について。
 そして資料5が専門委員会報告(案)ということでございまして、本日の資料は以上でございます。
 それでは岡田委員長に議事の進行をお願いします。

○岡田委員長 それでは早速議事に入りたいと思います。まず前回の委員会では水質汚濁のメカニズムについてご議論をいただいております。それにつきまして各委員の方々からご意見、ご質問をいただいておりますので、それにつきまして事務局からご説明をお願いいたします。

○繁本室長補佐 それでは閉海室の繁本でございます。私のほうから資料1についてご説明をさせていただきます。
 資料1は、前回の専門委員会で水質予測シミュレーションの結果をお示ししたわけですが、検証に関する資料をお示しした際に委員の方々からご意見をいただきましたので、このような図をつくりました。
 前回の資料では、実際の水質の観測値と計算値とを比較する際に、観測値のほうは年12回の測定結果を用いて、一方計算値のほうは年間365日分のデータを使っておりましたので、前回の専門委員会で河村先生のほうから計算値のデータのほうも実際に水質が測定された日と合せて整理をしてみてはどうかというご提案をいただきまして、そのとおりに整理をしたのが資料1でございます。
 あと、前回の資料では計算値について平均値しか示しておらず、観測値の最大と最小の幅の中に計算値の平均値が入ってくるかどうかということで検証結果を見たわけですが、今回はいずれも実測値も計算値も最大、最小、平均を出しております。
 1ページ目にはCODについて整理した結果を、2ページ目には窒素について整理をした結果を、3ページ目には燐について整理をした結果をお示ししております。
 4ページ目には1ページから3ページまでの地点の名前が書いてあるわけですが、それぞれの地点がどこにあるかという地図を付けております。1ページ目から3ページ目まで見ますと、前回お示しした検証結果の資料よりも、むしろ計算結果が観測値によく合っているのかなと、そういったことが明確になってきたのではないかと考えております。
 あと、地点によっては前回の資料もそうだったわけですが、観測値と計算値が若干合っていない地点がCOD、窒素、燐について幾つかございますが、それらについては例えば河口域で淡水が大量に流入するポイントであったり、あるいは港湾の中にあって護岸に囲まれた閉鎖性海域の中でも極めて閉鎖度の強い水域であったりとかいうことでございまして、この点については前回ご説明させていただいた内容と変更はございません。
 資料1の説明については以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。今の説明に関しまして、何かご質問等ございますでしょうか。

○平沢委員 この前私も質問して、最大、最少を見ていただいてありがとうございます。これは合っているのかどうかと考えますと、バラツキの幅で見ると僕はあまり合っていないのではないかという気もするし、見ようによっては合っているとも思えますが、やはり合わないところが、これは大変なシミュレーションだと思いますが、どうして合わないのか。あるいは、そこをだんだん詰めていくことがより減少につながっていくし、より正確なシミュレーションにつながると思いますので、これを合っていると思って安心しないで、もう少し緻密にまたお願いしたら、また傾向は出ていると思います。

○岡田委員長 どうぞ。

○繁本室長補佐 地点ごとに見ると合っていない点が、例えば4ページ目を見ますと、左側の図で(1)のCODにつきましては例えばSt-8というのは荒川の河口の部分です。この部分は今回非定常の計算をしておりまして、河川からの流入量も毎日毎日大きく変動させて、変動させてといいますか大きく変動している河川の流量をそのまま与えているということですが、なかなか合わすのが難しい点なのかなと思います。
 あともう1つは、同じページの右側の図になるわけですが、窒素、燐については東京湾17という地点でして、これは富津岬のやや右斜め上の点です。ここは先ほどご説明しましたように護岸で囲まれておりまして、非常に狭まった水域ですので、なかなかこのような入り組んだところまでの?再現というのは難しいのかなと。ただ、平沢先生のおっしゃるとおりシミュレーションモデルの精度を上げていくという検討なり努力は非常に重要なので、その点については引き続き取り組んでいきたいと思います。

○平沢委員 どうもありがとうございました。

○岡田委員長 ありがとうございました。他にございませんでしょうか。

○宮崎委員 今のお話と関連するのですが、私は基本的にはこれだけ大変なシュミレートをやっていただいて合っているのではないかと感じますが、1つ外れているところで考えると、ちょっと疑問に思ったのは、例えば東京湾17で窒素のほうが一番かなり大きく外れていますが、CODで見るとそれほどではない。燐のほうですか。燐のほうで見るとそれほど外れていないですね。窒素はかなり外れているけれども、燐のほうはほとんどよく合っているとか、それは物質が違うから当然だと言われれば当然なのかもしれないのですが、海流とかそのあたりのことだけでやるとすれば、窒素は合うけれどもなぜ燐は合わないのか。窒素は合わないが、なぜ燐は合うんだということにもなりかねないような気もします。
 もちろん、これはなかなか難しいところですからあれですが、やはり結論的には今後もう少し詰めるべきところもあるのではないかということです。

○細見委員 これは成分要因は入っているんでしょうか。

○宮崎委員 入っていると思います。

○細見委員 だったら例えば窒素は過剰で燐が制限になっているので。

○宮崎委員 そういうことでしょうね。

○細見委員 そういうメカニズムでそうなっているのでは。

○岡田委員長 特によろしいですか。せっかくのご指摘ですので、渡辺先生にもお伝えいただいて、だんだんいいシミュレーションモデルになるように。渡辺先生もご承知だと思いますが、せっかくのご意見ですのでお伝えいただければと思います。前回のシミュレーションモデルより今回が大分よくなって、次はどうなるかわかりませんが、ご指摘のとおりモデルはだんだんよくしていかないと信頼性の問題で重要だと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
 ほかにございませんでしょうか。
 ありがとうございました。それでは議題1、第6次水質総量規制の在り方というところに移りたいと思います。
 ご承知のように本委員会は昨年の4月から、これまで7回にわたりまして水質汚濁のメカニズム、それから今ご議論いただきました水質予測のシミュレーション、さらに汚濁負荷削減対策ということでご検討をいただきました。本日はこれまでの委員会の検討結果を踏まえまして、委員会報告(案)というものについてご議論をいただきたいと思います。あとで資料の最後の5にありますように、報告案の説明を事務局からいただきますが、その前に委員会報告に関連する新しい資料につきまして事務局からご説明をお願いしたいと思います。
 では、よろしくお願いします。

○繁本室長補佐 それでは私の方から資料2についてご説明をさせていただきたいと思います。6次総量の在り方を検討するにあたって非常に重要なポイントになっています指定水域における貧酸素水塊について、環境省で行っております広域総合水質調査の結果をもとに夏場の底層DOの状況を地点ごとに整理を行ってみました。
 広域総合水質調査そのものは年に4回、春、夏、秋、冬、1回ずつ水質を測定するものであります。ここでも用いているデータはそのうち夏場で、かつ底層のDOのみを整理しております。
 2ページ以降に各指定水域ごとに、また地点ごとに昭和56年度から平成15年度までの底層DOを表にしてまとめています。
 まずこの表の見方ですが、網掛けになっている部分がございますが、ここは底層DOが3mg/Lを下回る箇所を示しております。あと地点番号が各行にあるわけですが、こちらについてもしどこなんだろうかと場所を探す際には、同じ資料の10ページ以降に東京湾、伊勢湾、瀬戸内海のそれぞれの地点番号が書いておりますので、地点番号そのものは3つの部分に分かれていますが、その最後の部分に照らしていただければ場所がわかるという図でございます。
 2ページに戻りまして、まず東京湾でございます。昭和56年度から平成15年度まで、底層DOが3mg/Lを下回る箇所というものが全般的に数多く見られています。経年的にも地点的にも、数多くあります。
 伊勢湾についても、4ページにいきますと三河湾、大阪湾と続くわけですが、これらの海域においても東京湾と同様に昭和56年度から3mg/Lを下回る地点というのがかなり数的に多いという状況になっております。
 4ページの大阪湾の下の紀伊水道以降が、これは瀬戸内海のうちの大阪湾を除く部分になるわけですが、紀伊水道以下の海域、こういったところでは3mg/Lを下回る観測データというものがほとんどない。塗りつぶしていない真っ?白な部分が非常に多いということが、4ページ、5ページ、6ページ、7ページ、8ページ、9ページ、最後の豊後水道にいたるまで言えるかと思います。
 また大阪湾を除きます瀬戸内海につきましては、平成13年度以降は3mg/Lを下回る観測データというものが全くないといった状況になっております。
 このように地点ごとにDOを整理した表から、東京湾、伊勢湾と大阪湾、3大湾とそれ以外の瀬戸内海については夏季底層DOの観点から見るとかなり現在の状況が異なっているのではないか。そういうことがこの資料2からは言えるかと思います。
 指定水域の貧酸素水塊に関連しまして、この資料2のほかに参考資料を用意しております。参考資料は資料2のあとにあると思いますが、これは大阪湾を除く瀬戸内海において本当に貧酸素水塊が発生していないのであろうかということを、その後事務局の方でもいろいろ調べてみましたところ、燧灘東部海域において貧酸素水塊が発生しているとの報告がありましたので、そういった論文を参考資料としてつけております。
 こちらの論文は、京都大学の大学院農学研究科の笠井亮秀(カサイ アキヒデ)助教授と竹田洋志(タケダ ヒロシ)さん、そして香川県の水産試験場環境資源部の山田達夫(ヤマダ タツオ)主席研究員によってとりまとめられた論文でございます。2003年の11月にタイのバンコクで開催されました世界閉鎖性海域環境保全会議で発表された論文でございます。実はこの論文を取りまとめる前に2003年の9月に海洋学会のほうでもこれに関係する論文を発表されているとのことでございます。
 この論文の中身でございますが、燧灘のまず東部の海域の場所でございますけれども、この論文の6ページをご覧になっていただきたいと思います。6ページの上の方に温度と水温とDOと2つ図が並んでいるかと思いますが、右側のDOの地図を見ていただきますと、DOがかなり低くなっている海域が海岸線に沿って帯状に形成されているということがまず事実として報告されています。
 ちなみに燧灘の場所が、地図が局所的なので広域総合水質調査のマップでご説明しますと、資料2の一番最後の裏を見ていただきますと、燧灘のところに263という岬の先に近い部分がございます。こういった水域で貧酸素水塊が起きているという報告でございます。
 またこの論文によりますと、ここで貧酸素水塊が起きている原因というのは有機物の酸素消費速度が非常に速いということではなくて、実はこの水域は非常に海底地形として水深が急に深くなるところでございますから、そもそも地形上海水が溜まりやすいという物理的特性があって、そういった原因から貧酸素水塊が起きているということが説明されている論文でございます。
 ですから東京湾、伊勢湾、大阪湾でも大規模に貧酸素水塊が発生しているわけですが、そういった非常に流入負荷の多いところで発生している貧酸素水塊とは少し性格が異なってくる貧酸素水塊ではありますが、大阪湾を除く瀬戸内海でも一部こういった報告がありますということでございます。
 資料2と参考資料については、説明は以上でございます。

○秋山室長補佐 それでは資料3と4につきまして、閉鎖性海域対策室の秋山のほうから説明させていただきたいと思います。
 資料3ですが、これは大阪湾における窒素及び燐濃度について整理しております。大阪湾については窒素、燐の類型は、II類型、III類型、IV類型、各1水域ごとにございます。平成15年度に窒素、燐の環境基準達成率が100%達成しております。ただ、値としては非常に際どいところですので本年度、平成16年度の状況も入れて整理をしております。上側が窒素の状況、下の方が燐の状況です。各基準値については裏側の2ページに整理しておりますので適宜ご覧いただきたいと思います。
 1ページに戻りますが、上側の窒素の方ですが、IV類型、これは四角でスポットしておりますけれども、基準値は1.0 mg/Lですが平成8年度以降基準を達成している状況です。
 III類型、三角でスポットしておりますが基準値は0.6です。これにつきましては平成14年度以降基準を達成しております。
 II類型、丸でスポットしておりますが、基準値は0.3です。これは平成15年度に基準を達成しておりますが、本年度若干濃度が増加しまして、基準値と全く同じ値となっております。
  下側の燐の方にまいります。IV類型、三角でスポットしておりますが、基準値は0.09です。これはずっと基準値を達成しております。
  次は三角でスポットしておりますIII類型、基準値は0.05です。14年度に基準を達成して、最近濃度が上昇気味で昨年度は0.049になっております。
  II類型ですが、基準値は0.03、丸でスポットしておりますが10年度に基準を達成して、濃度上昇気味で16年度は0.032と、基準の0.03?を超過して達成されておりません。そういう状況でございます。
  続きまして資料4にまいります。瀬戸内海における湾灘別の赤潮の発生状況について整理をしております。出典は瀬戸内海漁業調整事務所でまとめられている資料から作成しております。
  1ページ目は上側に発生件数、下側に発生延面積を整理しております。上側の件数ですと1番多いのは播磨灘、続いて大阪湾という順番になっております。これを面積で見ますと、下側ですが大阪湾が1番になりまして、続いて播磨灘、周防灘という順番になってまいります。
  各湾灘の面積が違いますので、この図をそれぞれ湾灘別の面積、それに対する比で整理したのが2ページの図3でございます。件数では播磨灘が多かったんですが、面積当たりで見れば大阪湾がやはり1番多くなるという結果になっています。
 さらにそれを発生面積で見ますと、やはり大阪湾の面積がそれほど大きくありませんので、面積当たりの延面積は大阪湾が飛び抜けているという結果になっております。
  以上です。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。それではただいまの資料2、3、4を通じましてご質問、ご意見がありましたらいただきたいと思います。

○平沢委員 まず夏季底層DOについてのデータですが、今回の委員会では貧酸素水塊というのが出てきまして、このデータは結構重要なことを意味していると思います。確かに東京湾、伊勢湾、三河湾、大阪湾についてはDOの低いところが多いねという気はするわけで、何か対策があればいいなと私も思うのですが、ですけどデータを見ますと昭和56年から急に増えているというわけでもないし、要するに低いところはわりと低いのではないか。それは総量規制の対策を何年かやって、これは23年分ですか。25年かな。CODは削減しているわけです。NPも対策している。それで特によくなっているというよりは地域の特性というか、先ほど繁本さんが言われたように陸水のCODを下げるというのが総量規制ですよね。それとリンクしているのかなという気がして、特によくなっているような悪くなっているような、むしろ周期的にある年は非常に悪くなって、わりと網かけの部分が増えている。これはその年に特にCODが増えたからということでもないのではないかと思いますので、それをもしこれからの水質改善の対策、要するにCODを削減してということで考えるのなら、必ずしもそれは妥当ではないのではないかと思います。
 それから、伊勢湾に関しては周期的に出る部分を除くと、わりとよくなっているかなという気がします。効果が出ているな。伊勢湾ですね。三河湾とか大阪湾についても、大阪湾はあまり変わらない気がしますが、三河湾は若干よくなっているような気がするので、その辺は必ずしもCOD削減対策と本当にリンクしているのかどうかをよく考える必要があるのではないかと思いました。コメントですみません。

○岡田委員長 どうぞ。

○坂川閉鎖性海域対策室長 今のご指摘の点ですが、貧酸素水塊についてはこの間のシミュレーションでもご覧いただきましたが、かなり毎日毎日変動している。場所も変わりつつ。同じ地点で見ればかなり濃度が変動しているなということと、それから東京湾とか有明海などでも連続測定をやっているケースがありますが、それを見ても毎日毎日かなり変動します。ところが、この調査は残念なことに夏場は1回しか測定していないものですから、このデータをもって昔と比べて増えているか減っているかはなかなか言いにくいのではないかと私は思っています。
 ただ、これから言えることは東京湾、伊勢湾、大阪湾ではやはり底層DOが低いことが多い。

○平沢委員 それはわかります。

○坂川閉鎖性海域対策室長 それに対して瀬戸内海は比較的少ないということは言えると思いますが、昔との比較というのはなかなか難しいのではないかと考えています。

○平沢委員 それはわかるのですが、しつこいですが、それは総量規制を何とかしていこうというところにもっていくときには、これはじゃあちょっとこうかなと思うわけです。要するに削減しているのに変わっていないわけですから、変わっている部分もありますが、少なくとも東京湾に関しては例えば3割程度削減しているにもかかわらずこういう状態ですので、そのまま削減対策……、別の対策があるのではないかと私は思ってしまうんです。

○岡田委員長 どうぞ。

○坂川閉鎖性海域対策室長 確かにこのデータから底層DOが改善しているということはなかなかわからないわけですが、1つにはこういう問題が発生しているという認識と、それからこれを改善していくための方策としては、いろいろあると思いますが、汚濁負荷も削減しながら、それ以外の干潟の再生であるとか、いろいろな対策を組み合わせてやっていくということなのではないかと思っておりまして、前回ご説明したシミュレーションの結果に?よっても対策を講じればCODの濃度が下がるということに加えて、貧酸素水塊の発生面積も縮小されるというような結果も参考としながら、また今後の対策を考えてみたいと思っております。

○平沢委員 わかりました。

○岡田委員長 ほかにございますでしょうか。
 よろしいですか。
 それでは、資料2、3、4はこれからのご説明いただく在り方に関する資料になりますので、本題に入りたいと思います。
 それでは引き続きまして、第6次水質総量規制の在り方について、すなわち総量規制専門委員会、本委員会の報告(案)というものが資料5の通り事務局の方で作成してもらってあります。この(案)につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長 それでは資料5でございますが、専門委員会報告の(案)を用意させていただきました。表紙をめくっていただきますと、まず名簿がございまして、その次のページに目次があります。この目次にありますように、この報告書の構成ですが、まず最初に総量規制の実施状況、第1次から第5次までどのように実施されてきたのかということをここで書いております。
 大きな2番として、指定水域における水環境の状況、これは水質濃度と環境基準の達成状況、それから赤潮、貧酸素水塊というような障害の状況をここで書いています。
 3番目に指定水域の資質汚濁のメカニズム。これも、この専門委員会でかなりご議論いただきましたので、要点をここでまとめています。
 最後に4番として第6次水質総量規制の在り方について考え方を整理している。構成はこのようになっております。
 それでは1枚めくっていただきまして、1ページでございます。水質総量規制の実施状況でございます。まず最初1-1といたしまして、制度の仕組みと経緯でございます。
 (1)が制度の仕組みでございますが、この部分については説明を省略させていただきます。
 (2)第5次までの経緯でございますけれども、ここに書いてありますことは1次から4次まではCODを対象にやってきました。そして5次からは窒素・燐も合わせて総量の削減を図ってきたということを(2)のところに書いているわけでございます。
 また1-2でありますが、汚濁負荷量の状況でございます。ここではCODと窒素、燐の負荷量に加えまして、今回合流式下水道において雨天時に雨水吐口から越流する越流負荷量につきましても試算、推計を行いましたので、その結果を(3)に示しております。
 まずCODの負荷量でございますけれども、54年度の負荷量と目標年度であります16年度の負荷量、そしてその結果として16年度においては54年度に比較してどの程度削減されるのかといったようなことを書いております。
 なお文章だけだとわかりにくいと思いますので、後ろに図を載せております。14ページをご覧いただきたいと思います。これは以前もご覧いただいた図でございますけれども、昭和54年度から5年ごとにどのように汚濁負荷量が削減されてきたのかという状況を示す図でございます。生活系、産業系、その他系に分けて記しております。
 また2ページに戻っていただきたいと思いますが、(1)の1番最後の2行に書いておりますけれども、平成16年度が第5次総量規制の目標となっておりまして、目標とする削減目標量の数字があるわけでございます。その削減目標量が実際に達成されるのかどうかというところが重要なわけでございます。そこで環境省におきましては、地方公共団体のご協力を得まして現在データを集計しております。それで16年度のデータはまだ途中までしか当然ないわけでございますが、その傾向を見ますとおそらくは達成されるであろうという見通しはついております。
 海域によってちょっと違いますけれども、削減目標量を下回る、つまり削減が十分にされるという結果になるというふうに、今のところは予測をしております。この辺はもう少し作業をしたうえで、いずれきちっとした数字をつくっていきたいと思っておりますので、今回はこの報告書(案)では達成される見通しとなっていると書かせていただきました。
 (2)の窒素、燐負荷量につきましても、CODと同様の書き方をしております。また窒素、燐に関しましても16年度の削減目標量は達成される見通しとなっております。それから窒素、燐に関しては第5次から総量規制の対象になりましたので、11年度と16年度の比較を2ページの下のほうでしております。それに加えまして3ページのほうにまいりますと、総量規制を実施する前から各都府県が削減指導などを行ってまいりましたので、その際に推計いたしました汚濁負荷量、その昭和54年度の数字がございますので、それと16年度の目標量を比較してどの程度削減されることになるのか。その数字についてもここで記しているところでございます。
 また(3)は合流式下水道からの越流負荷量の推計でございます。東京湾、伊勢湾、それから大阪湾、そして大阪を除く瀬戸内海、その別にCOD、窒素、燐、それぞれの越流負荷量が発生負荷量に対してどの程度あるのかということをパーセンテージで示しております。
 これに関しましては後ろに図がございまして、15ページをご覧いただきたいと思います。ここに表1といたしまして、東京湾、伊勢湾など指定水域別に越流負荷量がどの程度あるのか。そしてそれが発生負荷量に対してどのぐらいの割合になっているのかがわかるように、下にグラフでも併せてお示しをしているところでございます。このぐらいの量ではないかと推計しているところでございます。
 ただ、この越流負荷量に関しましては、まだ水質データが限られているということもございまして、精度の面でまだ課題が残されておりますので、今後実態把握に取り組んでいく必要がございます。
 また3ページに戻りますけれども、このような汚濁負荷量の削減状況にあるわけでございますけれども、対策の実施状況を1-3にまとめております。
 まず(1)が生活系でございます。指定水域におきましては非常に人口が多いということから、生活系の負荷量の割合がかなり高くなっております。ちなみに指定地域内の人口は、日本の全人口の50%を超えているという状況でございます。面積は20%に満たないわけでありますから、大変人口が集中しているということがおわかりいただけるかと思います。
 そこで生活排水対策を進めるために、下水道、浄化槽、農業集落排水等の生活排水処理施設が整備されてきておりまして、その結果生活排水処理率が向上しております。昭和54年度から11年度までに東京湾、伊勢湾、瀬戸内海でそれぞれそこに示しておりますようにかなり処理率が向上しているということでございます。
 また面的な整備だけではなく、高度処理も進んできておりまして、特に近年高度処理が進んでおります。4ページにありますように、高度処理人口の普及率は東京湾、伊勢湾、瀬戸内海でこの11年度から15年度までの間にもその程度向上してきているということでございます。
 また合流式下水道の越流負荷に関しましても、対策が進められてきておりまして、汚水吐口の構造基準、それから合流式下水道を対象とした雨天時の放流水質基準が定められておりまして、改善が進められております。そのほか住民意識の啓発等が進められてきております。
 次に(2)が産業系汚濁負荷量の削減対策でございます。今までの総量規制に加えまして、窒素、燐について排水基準が設定されたり、また都府県、政令市による削減指導、さらに自主的取り組み、こういうことにより対策が行われてきております。
 どのような処理がなされているのかということに関しまして、経団連からヒアリングを行った情報をもとに、そこに書いておりますCOD対策、窒素対策としてさまざまな処理がなされております。燐対策としては凝集処理が一般的に行われておりました。また単に排水処理をするだけではなく、処理水の再利用が行われている例もございまして、排水量の減少に伴って汚濁負荷量が削減されたという例もございます。
 総量規制基準が適用されません指定地域内事業場以外の小規模または未規制の事業場に関しましては都府県による条例の規制でありますとか、削減に関する指導が行われております。
 (3)がその他系でございます。まず耕種農業につきましては環境保全型農業が進められておりまして、施肥の適正化でありますとか施肥基準の見直し、施肥量の低減に資する技術の導入などが行われております。
 畜産農業に関しましては、平成16年11月から畜産排せつ物の管理基準が適用されておりまして、たい肥舎、汚水処理施設などの対策、施設整備が進められております。
 また、養殖漁業に関しましては持続的養殖生産確保法に基づいて計画が作成されて、都道府県知事が認定するという制度が設けられておりますが、これに従いまして対策が進められております。
 次に1-4が汚濁負荷削減以外の対策ということです。特に干潟は指定水域ではかなり減少してきております。東京湾、伊勢湾、瀬戸内海で、データの関係上年次がそれぞれ異なっておりますけれども、いずれにいたしましても高度経済成長期を中心といたしまして非常にたくさんの干潟が消失してきたという問題がございます。そこでこのような干潟を再生すべく、現在浚渫土砂等を活用した干潟再生事業が推進されているところでございます。
 次が指定水域における水環境の状況でございます。まず水質濃度の現状と変遷でございます。CODに関しましては、濃度レベルは東京湾が最も高く、大阪湾、伊勢湾、瀬戸内海の順になっている。それから経年変化を見ますと東京湾、大阪湾においては低下傾向が見られる。また以前ご説明いたしましたけれども、太平洋沿?岸における近年のCOD上昇分を差し引いて補正いたしますと三河湾を除く伊勢湾で低下傾向が見られて、瀬戸内海でも平成元年ごろからわずかに低下傾向が見られるという状況でございます。
 窒素、燐濃度に関しましても、東京湾が最も高く、大阪湾、伊勢湾、瀬戸内海の順になっているということ。
 それから56年度からの経年変化を見ますと東京湾、大阪湾では低下傾向が見られる。また瀬戸内海に関しましては平成11年度以降は低下傾向が見られると書いておりますが、ここのところは後ろに図を付けております。18ページから20ページにかけまして5年ごとの平均を示した図をいくつか載せております。これは以前もお示ししたものでございますけれども、長期的な傾向については5年ごとの平均で大体おわかりいただけるかと思いますが、瀬戸内海に関しましては近年、特に環境基準の達成状況、窒素、燐の環境基準の達成率が向上しているということもありまして、もう少し細かく示したものが22ページの図12でございます。これは瀬戸内海の窒素濃度の推移でございまして、類型別に表しております。白い丸が全体の平均でございます。これを見ますと、窒素に関しまして白い丸のところをご覧いただきますと平成11年度から15年度にかけて、わずかではございますが濃度の低下が見られるわけでございます。その次の23ページの図の13でございますが、これは燐でございます。これも同様に瀬戸内海において、平成11年度以降、燐濃度の低下がわずかではございますが見られる。このような結果になっております。
 また6ページに戻りますが、水質濃度については以上でございますが、では環境基準の達成状況ということで見るとどうかというのが2-2でございます。まずCODに関しましては環境基準達成率が何パーセントになっているのかという記述がございます。
 そして類型別に見ますと、C類型は100%達成されておりますが、A類型では低い。またB類型では瀬戸内海は比較的高いですが、その他の水域では低いという結果でございます。
 また環境基準の達成率を見ますと残念ながら改善は見られていないということでございます。
 (2)は窒素・燐でございます。環境基準達成率についてまず記述をしておりますが、この中で大阪湾に関しましては平成15年度に初めて100%となったわけでありますが、16年度の速報値によりますと先ほどご説明いたしましたように1水域において達成されない見込みということになっております。
 また達成率の推移を見ますと東京湾では横ばい、伊勢湾では若干改善、大阪湾は15年度に100%になりました。それから瀬戸内海では改善傾向にあるということでございます。
 次に障害の状況でございます。最初に赤潮でございます。まず赤潮の発生件数は東京湾においては大体横ばいである。伊勢湾に関しましては減少してまいりましたが、近年は横ばいである。瀬戸内海についても減少してまいりましたけれども、近年は横ばいということであります。また、先ほどの資料でご説明いたしましたように瀬戸内海をもう少し細かく見てみますと、水域面積当たりの延赤潮面積を見ると大阪湾が特に大きな値となっております。
 また、瀬戸内海における養殖漁業における赤潮の被害でございますが、ピーク時には年間39件ございましたけれども、近年では年間10件程度となっております。
 (2)が貧酸素水塊でございます。東京湾、伊勢湾、大阪湾におきましては夏季に底層部分において貧酸素水塊が発生しております。広域総合水質調査によりますと、夏季に3mg/Lを下回るDOが多くの測定点で観測されております。さらに関係府県の調査によって大規模な貧酸素水塊が数か月にわたって存在していることも明らかになっています。
  このような貧酸素水塊の問題として底生生物が生息しにくくなっているということがございまして、平成15年度に環境省が行った東京湾の調査によりますと、夏季の底生成物の個体数、種類数が少ないという状況が確認されております。またDOが低下しますと、底泥からの栄養塩類の溶出量が増加する原因ともなっています。
  この貧酸素水塊が沿岸域で上がってきますと、これが青潮になるわけですが、その件数は東京湾、伊勢湾におきまして60年前後と比較すると減少してきているという状況でございます。
  また大阪湾を除く瀬戸内海に関しましては、近年の広域総合水質調査では3mg/Lを下回るDOは確認されておりません。ただ先ほどに資料でもありましたように、停滞性が極めて強い一部の水域で貧酸素水塊が発生しているという報告がございます。しかし、広域総合水質調査で確認されていないということから見ますと、それは局所的な発生にとどまっているのではないかと考えられます。
 次に3番が水質汚濁のメカニズムです。水質汚濁に影響を与える要因としてさまざまなものがございます。(?1)には水質汚濁の特徴をまとめて整理しておりますが、外海と海水が交換しにくいということ。それから、特に夏季に成層構造が発達するという特徴がございますので、COD、窒素、燐の濃度が比較的高くなるということですとか、赤潮、貧酸素水塊というような問題が発生しております。
 水質汚濁に影響する要因にはさまざまなものがございまして、7ページの下から8ページの上につながるようにいろいろなことが影響しているわけです。
  これらの中から要点をまとめますと(2)以下のとおりになるわけでございます。
 まず、汚濁負荷でございます。以前ご説明しましたが、指定水域における水域面積の汚濁負荷量と水質濃度の関係を見ますと、水域面積当たりの汚濁負荷量が大きい海域において水質濃度も高くなっている。
 また、汚濁負荷量の削減幅が大きい海域ほど水質濃度の低下傾向が明確に見られます。
 また、(3)が内部生産でございます。内部生産がCODにどのぐらい寄与しているのかということに関しましては、ΔCOD法により算定いたしますと、東京湾、伊勢湾で4割程度、瀬戸内海で3割程度でございます。
 また、東京湾を対象としたシミュレーション結果によりますと、COD現存量に対する内部も生産量の比率は年間平均で48%ということでございました。
 次に(4)が底泥からの溶出でございます。底泥から窒素、燐が溶出しておりますが、その量をシミュレーション結果をもとに推計いたしますと、窒素が1日14トン、燐が4トンということになっておりまして、陸域から流入する汚濁負荷量に対する比率は5%、17%、この程度でございます。
 また、(5)は干潟における水質浄化でございます。干潟において一定の水質浄化機能を有しているわけでございますが、それに関しましてシミュレーションの結果を見ますと、二枚貝に取り込まれる有機物、窒素、燐の量については64トン、19トン、2トン、そのぐらいの量になったということでございます。
 また、漁獲による海域からの窒素、燐の回収でございますが、これに関しては陸域から流入する汚濁負荷量に対して数パーセントから15%程度でございます。
 (7)は流入河川の影響でございまして、東京湾、伊勢湾、大阪湾のように海域容量に対する淡水流入量の比率が大きい海域においては、淡水流入量が増加した時期に水域のCODが低下する傾向が見られました。
 また、(8)は外海のCODの推移でございまして、太平洋沿岸域のCODが近年、上昇傾向にございますので、このような傾向が指定水域のCODにも影響を与えていると考えられます。
 3-2はシミュレーション結果についての記述でございます。東京湾を対象にシミュレーションを行ったわけでございますが、その結果、汚濁負荷量を平成11年度実績から3割削減したと仮定した場合、水質濃度が改善される結果が得られた。これに加えて干潟を再生したと仮定した場合、さらに水質が改善される結果が得られた。また、貧酸素水塊についてもこのような対策により、その規模が縮小する結果が得られたということでございます。
 次に10ページでございます。第6次水質総量規制の在り方についてでございます。まず最初に水環境改善の必要性でございます。前回もご議論をいただきましたが、もう一度ここでまとめてみました。まず、水環境改善の必要性を検討するに当たりましては、環境基準の達成状況が重要な指標でございますが、それだけで判断するのではなくて、貧酸素水塊の発生により、底生生物が生息しにくい環境になっている、そういう問題が発生している水域にあってはそのような問題にも着目すべきであると考えられます。
 そのような目で見てみますと、東京湾、伊勢湾、大阪湾においては環境基準達成率が低く、しかも大規模な貧酸素水塊が発生しておりますので、さらに水環境改善を進める必要があると考えられます。
 なお、大阪湾に関しましては先ほど別の資料で説明いたしましたが、16年度の速報値によりますと、3水域のうち1水域で達成されない見込みになっております。
 また、窒素と燐を分けてみてみますと、燐は1水域において達成されない。しかし、窒素に関してはギリギリではございましたが、3水域とも達成されるという状況でございます。
 しかし、窒素に関してはさらに水質を改善するための取り組みが必要と考えられるとしておりまして、その理由として[1][2]の2つをここで記しております。
 まず[1]でございますが、平成16年度においては15年度よりも濃度が若干上昇しておりまして、その結果、年間平均値が環境基準値と全く同じ値、0.3となっておりますので、水質の変動を考えますと17年度以降に再び環境基準を達成しない恐れがあるということ。
 それから、[2]としまして貧酸素水塊が発生しておりますし、また瀬戸内海の他の湾灘と比較いたしまして水域面積当?たりの延赤潮面積が特に大きい。こういうことから窒素についてもさらに取り組みが必要であるというふうに記述しております。
 それに対しまして、大阪湾を除く瀬戸内海でございますが、それがこのページの下のほうの「一方」というところからでございます。
 まず、窒素、燐の環境基準達成率は96.7%まで向上いたしましたので、環境基準はほぼ達成される状況に至っております。
 CODについては環境基準達成率はA類型はまだ低いわけでありますが、B類型とC類型はかなり高いという状況です。
 またCODの濃度レベルを見ますと、他の指定水域に比較して低い状況でございます。
 貧酸素水塊に関しましては、一部の限られた水域での発生にとどまっております。
 先ほど英文の資料がございましたが、燧灘東部での貧酸素水塊の発生原因は有機物の酸素消費速度が速いためではなく、海域の物理的特性による底層水の強い停滞性によるものであるという報告もございました。
 このように瀬戸内海の水質は他の指定水域に比較して良好な状態でございまして、窒素、燐に関しては現在の水質を維持することが適当でございます。   また、CODに関しましては後ほど出てまいります有機汚濁物質の性状が長期的に変化してきた可能性があるということ。こういうことも踏まえますと、現在の水質が悪化しないように必要な対策を講じつつ、瀬戸内海において目標とすべき水質を検討することが適切であると考えられるところでございます。
 また瀬戸内海も大変広いわけですが、湾灘ごとに細かく見ますと、赤潮による養殖漁業への被害が生じている水域があります。また近年、CODが上昇傾向の水域が一部にありますので、こういった問題への対応について引き続き検討していく必要があると考えております。
 続きまして、4-2の対策の在り方です。 まず、汚濁負荷の削減対策ですが、総量規制制度における汚濁負荷削減目標量に関しましては、人口、産業の動向、汚水または廃液の処理の技術の水準、下水道の整備の見通し等を勘案し、実施可能な限度における対策を前提に定める、このように定まっておりまして、これを基本として検討していく必要があると思っております。
 まず水環境の改善が必要な東京湾、伊勢湾、大阪湾におきましては第6次総量規制の削減目標量の設定に当たりまして、これまでにとられた対策の内容と難易度、費用対効果、除去率の季節変動等も勘案し、効率的に削減が図られるよう、各発生源に係る対策を検討すべきです。
 具体的な対策をその下に記していますが、まず生活系の汚濁負荷量に関しましては、まだ負荷量に占める割合が大きいということですので、生活排水処理施設の整備を進める。
  また、窒素、燐に関しまして高度処理を図る。また、下水道に関しましては経済的手法を活用した高度処理施設の整備を推進する。浄化槽の維持管理の徹底を図るというようなことです。
 また、指定地域内事業場に関しましては、まずCODに関しては今まで5次にわたる水質総量規制を実施してまいりまして、かなりの削減が図られてきております。そのような今まで講じられてきた削減対策を踏まえつつ、最新の処理技術等を考慮し、水質総量規制基準を設定する。
 窒素・燐に関しては現在の第5次から指定項目に追加されましたので、その実績をまずよく見て、実績を踏まえて最新の処理技術動向を考慮し、総量規制基準を設定するということです。
 また、小規模事業場、未規制事業場に関しましては引き続き都府県の上乗せ排水基準などの排水規制、削減指導、下水道の整備による処理等の対策を進める。
 また、12ページに移りまして、環境保全型農業、家畜排せつ物の適正管理、養殖漁業における給餌の適正化を推進する。
 さらに、今回合流式下水道の越流負荷量も試算をいたしましたので、雨天時の越流負荷量を削減する対策も重要です。
 ここまでが東京湾、伊勢湾、大阪湾の対策です。瀬戸内海に関しましては今回、水環境改善の必要性も東京湾、伊勢湾、大阪湾と異なってまいりましたので、それに応じて対策の内容も異なってくるわけでございますが、瀬戸内海に関しましては生活排水対策は引き続き進めていく必要がある。また、従来行われてまいりました工場、事業場の排水対策など、いろいろな施策に関しまして従来から行われてきた対策を継続して実施していくということでございまして、削減の必要性に関しては東京湾、伊勢湾、大阪湾と少し程度が違ってくるのではないかと考えているところです。
 また、(2)が干潟の保全・再生、底質環境の改善等ですが、まず干潟を保全することと失われた干潟の再生を推進する必要がある。また、底泥から栄養塩類が溶出しておりますので、それを抑制するために底泥の除去、覆砂等の改善対策を推進していく。
 また、指定水域においては埋立用材を採取した跡に窪地が点在しているわけでございまして、そこで貧酸素水塊が発生しているということでありますので、この大規模な窪地を埋め戻す事業が一部で行われておりますが、そういうことによる周辺海域の水環境の改善効果につきまして調査研究を行う必要があるということです。
 また、干潟だけではなくて藻場に関しましても、多様な生物の生息や繁殖の場であるということで重要なわけでございますが、その水質浄化機能についても調査、研究を行い、保全・再生に努めていく必要があると考えられます。
 また、目総量規制を実施するに当たりまして、目標年度を設定してやっていくことが必要になるわけです。これに関する記述を今回加えさせていただきました。
 今まで総量規制は5年ごとに目標年度を設定してまいりました。それによりまして5年ごとに指定水域の状況がどう変わってきているのか。また、指定地域の人口、産業の状況はどう変わってきているか。また、施策がどの程度実施され、それに伴って汚濁負荷量がどの程度削減されてきているのかという状況の変化を踏まえることができたと考えております。
 また、処理技術に関しましてもだんだん進んでまいっておりますので、その動向も反映する必要があります。
 このようなことを勘案しつつ、また実施可能な範囲で対策を進める、こういう趣旨で総量規制を今まで実施してまいりまして、その結果段階的に実効性を確保しながら実施することができたのではないかと考えております。
 そのようなことを考えますと第6次におきましても、目標年度に関しましてはやはり5年後の21年度を目標年度とすることが適当ではないかと考えております。
 次に4-3として今後の課題でございますが、第6次総量規制を実施することに併せまして、それと併せて取り組んでいくべき課題が幾つかございます。そのうち主なものをここで書いているわけです。
 まず、目標とすべき水質の検討ですが、ここは前回もご議論いただきましたが、有機汚濁物質の性状が変化してきている可能性があるということでございまして、CODとして把握されます有機物に関しましても、酸素消費速度が遅い有機物の割合が増加してきている可能性がある。こういうことですから、酸素消費という観点では問題が少ない有機物になってきている可能性が多分にあるのではないか。こういう海域環境の変化に関する知見の充実が必要です。
 またそういった科学的知見を踏まえまして、指定水域の目標とすべて水質とその評価方法について検討を行う必要があります。
 次に(2)です。水質汚濁メカニズムに関しまして、今回、専門委員会でもかなりご議論をいただきましたけれども、まだ課題は残っているかと思います。先ほどの有機汚濁物質の性状の変化に加えまして、外海との海水交換に伴う栄養塩類の流出入がどういうふうに影響しているのか。
 また沿岸域の地形改変、例えば埋め立てが指定水域の海水の流動や外海との海水交換にどういう影響を及ぼしているのか。そういうことに関して調査研究を推進する必要があります。
 これらの知見の充実を踏まえまして、閉鎖性海域の水環境を改善するための効果的な対策の在り方について、またより効果的な対策の在り方について検討を行う必要があるということです。
 最後に(3)として情報発信、普及・啓発ですが、やはりすべての関係者がとここに書いておりますが、すべての関係者のご協力、ご理解が必要になるわけですので、情報発信、普及・啓発活動も重要であると考えているところです。
 ここまでが本文でして、14ページ以降は今までこの専門委員会で説明してまいりました資料の中から、特にこの本文と密接に関連しそうなもの、重要なものを見つくろって14ページ以降に載せております。
 ただ15ページのところは今回初めてお示しいたしましたので、先ほど説明をさせていただきました。
 以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。今まで7回にわたってご議論いただいた内容がこういう形で取りまとめられているかと思います。だんだん最後に近づいてまいりましたので、この内容でよろしいかどうか、委員の方々からご意見、ご質問がございましたらいただきたいと思います。
 それでは、今日は順番に中村先生のほうから。なければなくてもちろん結構でございます。お願いいたします。

○中村委員 幾つかありますが、まず6ページ、2-2の環境基準の達成状況というところで幾つかの項目でその状況が述べられているわけですが、(1)のCODの記述を見ますと、結論として最後のカラム、環境基準達成率の改善は見られていないということになっております。それに対して2-1の水質濃度の現状と変遷を見ますと、それなりに濃度の低下が見られるということになっております。よく見るとその理由もわかるのだろうとは思いますが、その2つの関係、多分濃度の非常に高い、高濃度の湾奥の?ところが環境基準はもともと達成していたのだろうが、なお水質の改善が見られているために、全体として環境基準の達成率という数字にすると、あまり改善していないのかな。していないように見えるのかなと思います。その辺は若干補足があったほうがわかりやすいかなと思うのですが、その辺は少しお考えいただければと思います。それが1点です。
 それから、大きなところでは12ページでございます。12ページの(2)干潟の保全・再生、底質環境の改善等と書かれておりまして、この中の2つ目の段落で窪地の埋め戻しの話が述べられておりまして、埋め戻すことによる改善効果について、調査研究をする必要がある。これはそのとおりですが、私としてはもうちょっと踏み込んで、こういう事業としてもっとどんどん推進していかれてはどうかという考えを持っております。
 実際に埋め戻しというのはいろいろな条件があって、なかなか進んでいないと聞いておりますが、私が知っている範囲では三河湾の中で干潟の近くの埋め戻しが愛知県の事業として、もうすでに始まっております。
 私の聞いた範囲では2つ大きな窪地がありまして、1つはすでに埋め戻しが進行している。もう1つは近々そういう埋め戻しの事業をもう1つの窪地についても始めるということがありまして、沿岸環境の研究者の中ではこういう大きな窪地がいろいろなことで悪さをしているというのはほぼ常識ではないかと思いますので、もちろん基礎的な調査研究はいるけれども、もう少し積極的に埋め戻しというものを事業化する必要があるのではないかと私は思います。
 大きな点は以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。今の点は事務局でご検討いただくことでよろしいですね。特にご異存があるとかそういうことではないと思いますので。  ありがとうございます。
 では、高橋先生。

○高橋委員 基本的によく書けているのではないかと思います。ただ、ちょっと気になるのは、12ページから13ページにかけて、CODが酸素消費が遅い物質に替わっているのではないかということで、その知見の充実をするとなっています。これは確かに必要ですが、現実の問題としては前のほうに書いてありましたようにCODへの内部生産の寄与率は非常に高いということですので、内部生産をいかに抑制するかということにももうちょっと重点を置くべきではないかと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。文章としてはどうしましょうか。
 これは事務局に検討してもらいましょうか。
 いいですか。
 ということで、ありがとうございます。
 では木幡先生、お願いします。

○木幡委員 細かい点では7ページ、赤潮被害が書いてありますが、これはもしデータがあったら被害の額という点でもうちょっと踏み込んだ議論ができないかという気がします。
 それからあと、13ページの今ご指摘されたところと同じですが、1番のほうで最後の段、目標とすべき水質とその評価方法というところは、もう少し踏み込んだ書き方ができないのかという、これはどういうことを具体的に意味しているのかちょっと。書ける範囲で結構ですが。

○岡田委員長 事務局から。

○坂川閉鎖性海域対策室長 まず最初に、すみません、先ほど説明を漏らしたのですが、赤潮の漁業被害ですが、24ページにグラフをお示ししておりますが、瀬戸内海の赤潮発生件数と、そのうち漁業被害がどのぐらい件数があるのか。もし必要でしたら、それぞれの年のもうちょっと詳しいデータもございますが、報告書につけるものとしてはこの程度かなと考えております。
 それから、目標とすべき水質とその評価方法についてでありますが、現段階で書ける範囲はこのぐらいだと考えました。今目標とすべき水質というのは環境基準であるわけですから、それについて検討を行う必要があるとも読めるわけですので、ここは大変大きな課題だと考えています。

○岡田委員長 よろしいですね。
 ありがとうございました。では、斎藤先生お願いします。

○斎藤委員 シミュレーションモデルのところですが、8ページにシミュレーションの結果が出ているんですが、そのシミュレーションモデルはどういうものかというのは9ページにならないと出てこないんですね。
 それから、8ページのいろいろなところでシミュレーションの結果が数字として何パーセントというのがいろいろ出てきますが、これはシミュレーションの結果なのに、ざっと読んできたときにはあたかも実測値のように読めなくもない。その辺を配慮していただきたい。
 そのためには、例えばこのシミュレーションモデルの概要をどこかに1ページぐらい、資料の方にこういうモデルであることを説明してはいかがでしょうか。このぐらいシミュレーションが実際にできるということが、読者にわかるような証拠がないといけないと思います。今はシミュレーショ?ンの結果だけしかこの資料にはないものですから。その辺検討していただきたいのが1点です。
 それから、一番最後の13ページの情報発信、普及ですね。これは誠にもっともなことですが、ただ委員会の中では特にこのことについては具体的な検討をしなかったので、その辺のところは事務局としてはどういうふうにお考えになっているのか。
 あとはスタイルとか字句については後で個別に。例えば「畜産農業」ではなくて「畜産業」だと思いますし、そういった字句の修正については後で個別にお話します。

○岡田委員長 ありがとうございます。今のご指摘で情報発信のところでしたが、どうぞ。

○坂川閉鎖性海域対策室長 確かに情報発信のところは今まであまりご議論はありませんでしたが、前回の委員会の資料5の中に同様の文章が確かございまして、それについてご意見がありましたら修正はさせていただきたいと思いますが、私どもとしてこれは大変重要なことだと考えておりますので、もし委員の先生方のご賛同が得られましたら、こういうようなことも書いていただければ大変ありがたいと思っております。

○岡田委員長 斎藤先生は別に反対というわけではないんですね。

○斎藤委員 反対ではないんです。要はこれを書くことによって具体的に今まで以上にこの総量規制に関する一般への周知を今までとどういうふうに変えて、どういうふうに進めていくのかということがあるのかどうかということです。

○坂川閉鎖性海域対策室長 そこは私どももいろいろ考えているところはございまして、実を申しますと来年度の予算要求、要求はしたのでございますが、残念ながら実を結ばなかったということで、なかなかお答えしにくいわけでありますが。
 去年から今年にかけましては、この専門委員会を開催することによりまして、我々もいろいろデータを整理して、わかりやすい形でまとめて、この資料はまた公開されてということで、ある程度こういうことも進んだように思いますが、やはり専門委員会が終わってしまいますと、その後停滞するということがあっても困るわけですから、やはりデータを更新しつつ、一般の方々にわかりやすい情報提供を引き続き進めていかなければいけませんし、また今までのやり方ですとどうもわかりにくいところが多々ございますので、もっとわかりやすい形で、しかもなるべく迅速にやっていくということが必要ではないかと思っております。

○岡田委員長 ありがとうございます。
 では、河村先生お願いします。

○河村委員 貘とした言い方で恐縮ですが、3で議論されている、あるいは3で示されていることが4-2にどういうふうに反映されているのかということで、極端な言い方をすれば干潟についてはある程度反映されているのかもしれませんが、それ以外のところがどうリンクしてくるのかなというのを感じます。
 例えばシミュレーションの結果では、底泥からの溶出で窒素、燐が陸域から入ってくる分の5%とか17%あるんだということになっていますが、それを踏まえると陸域からの削減はどうしなければいけないかとか、何かもう少しでできそうな気がするんですが、いかがなものでしょうか。
 いずれにしても3の内容が4-2にうまくリンクしていない部分があるのではないかという気がします。貘として申し訳ございませんが。

○岡田委員長 どうしましょう。これはご指摘に従って確認し直す作業を事務局でやっていただいて、よければいいのですが、今先生のご指摘のようにリンクが明確でないところはご検討いただくということにしましょうか。これも貘として申し訳ないんですが。
 事務局のほうから今何かございますか。
 いいですか。
 では、それはそういうことですのでお願いいたします。
 では、宮崎先生お願いいたします。

○宮崎委員 細かい点も含めて幾つか意見があるんですが、細かいところは後で個別でお知らせということにして、大きい点をお話ししたいと思います。先ほどのご説明で6ページでございますけれども、一番上ですが、瀬戸内海の平成11年度以降は低下傾向が見られる、こういう記述になっているんですが、前もって私どもに送っていただいた案があったんですが、そこでは東京湾、伊勢湾においては低下傾向が見られる。伊勢湾、瀬戸内海においては長期的に低下しているかどうかは定かではない。定かではないで切れているんです。定かではないが、今度のあれでは瀬戸内海の平成11年度以降では低下傾向が見られる。
 ところが、先ほどの図の説明が何ページかにあったと思うのですが、確かに11年度もからちょっと下がっているんですが、22ページの図12と23ページの図13ですが、11年度から確かに窒素でもわずかに下がっているということはわかるのですが、でも14から15、こういう細かい見方をすればちょっと上がっているようにも見えるわけです。
 それから、燐にしても11から12はちょっと下がっているけれども、13、14、15は少しずつ上がっているようにも見えるというところで、低下傾向というとずっと低下していくのだろうと思うのですが、ここは低下傾向が見られるというのは正しくないのではないかと私は思いますが、ご検討をいただければと思います。
  それから、いろいろ言って恐縮ですが、4-1ですから10ページになるのでしょうか。10ページの上から2段目の段落ぐらいで、東京湾、伊勢湾及び大阪湾においては云々というところがありますが、さらに水環境改善を進める必要があると考えられる。これは考えられるのはもちろんですが、その次の11ページの瀬戸内海においては目標とすべき水質を検討することが適切である、こういう記述になっているわけですが、先ほどご説明がありました東京湾と伊勢湾と大阪湾と瀬戸内は少し違うんだというお話で、それでこういう記述の仕方になっているのかもしれないんですが、私は東京湾、伊勢湾、大阪湾のほうも水環境改善を進める必要はあるわけですが、進めつつ、例えば11ページに書いてあるように瀬戸内においては目標とすべき水質を検討するということが書いてあるわけですから、進めつつ、いろいろな目標の見直しとか、対策の在り方ということも当然やらなければいけないのではないか、東京湾、伊勢湾、大阪湾においても。というふうに思うんです。
 ですから、そこのところはむしろ東京湾、伊勢湾、大阪湾のほうが舌足らずではないか。水環境改善を進める必要があるというだけでは、瀬戸内海のほうの記述と何となく合わない。瀬戸内海のほうを、目標とすべき水質を検討するだけでいいのか、極端に読めば。もちろんそういう趣旨ではないと思いますが、そういうふうにも誤解されてしまう懸念もあるので、ご検討いただければと思いました。
 それから、4-2の対策の在り方の(2)のところの上ですが、今の私の発言と関連しますが、ずっと(1)の汚濁負荷削減対策のほうで幾つかポツがありますが、これが大阪湾、伊勢湾、東京湾の項目がここにずっと書いてある。瀬戸内海についてはその上に2行で書いてあるということですけれども、これも先ほど私がお話ししたようなところで、この東京湾、伊勢湾、大阪湾のところでも例えば1つ目のポツの節の2行目には伊勢湾では53%、瀬戸内海では47%と書いてあるわけです。ですから、ここでも瀬戸内海に関連することは言っているわけです。
 今度、12ページのここだけ、今度は瀬戸内海を取り出して言っているというところが、瀬戸内海だけは何となく特別にしている。先ほどのご説明ではかなり貧酸素水塊の問題とかそういうことでほかの海域とは違うという、確かにそういう特徴はあるにせよ、よりよい環境をつくっていくためには瀬戸内海だけを特別視する必要はないのではないかという、そういう言い方をすればですね。そんなふうにも感じられるものですから、ここの整合性がどうかと思っておりまして、検討をいただければと思います。
 それから、4-3でございますが、これも確か前にいだいた資料とは変わって修正をしていただいて出されていると思うのですが、基本的には今まで5次にわたってCODの総量規制をやってきたんだけれども、もちろん改善された部分はたくさんありますが、水質ということになってくると、例えば環境基準の達成率ということになってくると、非常にドラスティックに変わっているわけではないし、どちらかというと全体的には横ばい、部分的には悪いとは言いませんが、少しずつ悪化傾向も見られるようなところもあるわけです。
 そうすると、CODの総量規制ということについて、もちろん今までの対策が間違っていたとは申しませんが、もう少し考えるべきところがあるのかなと思います。
 そうすると、この課題はある意味ではこの1行目に実施に合わせて取り組むべき主な課題とここに書いてございますが、かなり長い、25年間ぐらいにわたってやってきたわけですが、さらにそれをよくしていくためにはという意味で、ここは例えば実施に合わせて、これはご検討いただければいいと思いますが、例えば早期に取り組むべきとか、そういう言葉を入れていただけるとありがたいなと私は思いました。
 それから、特に先ほども高橋委員だったと思うのですが、難分解性のCODということは書かれているけれども、内部生産の割合もかなり、前の文章に書いてありますが、平均すれば半分近く内部生産があるんだという記述が書かれているわけで、内部生産というのは第5次だったと、ちょっと忘れましたが、かなり議論がされたことがあって、それは水質のいろいろな悪化ということにつながる意味では非常に重要なファクターだと思うんです。
 その意味でもその内部生産のところがまだまだ十分解明されたというわけではないと思いますので、知見の充実という意味では。もちろんかなりやられてきている?とは思いますが、さらに知見の充実も必要だと思いますので、そういう意味でいうと(1)の目標とすべき水質の検討の中に先ほど内部生産はどこに入れたらいいかということの一つの提案でございますが、このあたりに内部生産ということの解明なり、そういうことを入れていただいたらどうか。これは私の意見でございます。
 それから、13ページの(2)でございますが、これは質問ですが、沿岸域の地形の改変がというところがございますが、沿岸域の地形改変というのは埋め立てということを指しているのだろうと思うのですが、それでよろしいのでしょうか。
 例えば今度干潟の造成とか何とかということがありますが、提案されていますが、干潟の造成ならむしろプラスの方向だと思うのですが、ここで言っているのはどちらかというと沿岸域が例えば埋め立てをされて、それで海水の流動とか外海との海水交換に及ぼす影響と言っても、むしろ悪い影響を及ぼしてという意味合いではないかととるのですが、そういうことでよろしいのでしょうか。地形改変というのは具体的には何を指しているのでしょうかということです。
 それから、(3)の情報発信、普及・啓発活動にも関係することですが、17ページの表がございます。私、つらつらこれを見ていて気がついたのですが、今ごろになって気がついたのですが、東京湾の指定地域内事業場というところで見てみたとき、下水処理場のほうに下に注があって、これには生活系だけではなくて産業系、あるいはその他の系も含まれますよという注がありますが、指定地域内事業場の食料品等製造業以下のここのところは、いわゆるこの事業場から直接に公共用水域に出されているという総量、負荷量だと理解したのですが、そうだとすると東京湾の場合は下水道が非常に多くて、11年度ではトータルで106.6ということで、地域内事業場の小計の127.8のうちのかなりの部分が下水処理場から出ている。
 もう一つ伊勢湾から瀬戸内海を見てみますと、同じような見方をしてみますと、東京湾に比べて下水道のほうに事業場から流れている割合はかなり少なくてということが、私は計算もしましたが、何十パーセントという値になるわけです。
 ここで要望ですが、この下水処理場という中に生活系と産業系が入っているというわけですが、私資料を持ってきたんですが、この委員会の第5回の資料、たしか資料8だったと思うんですけども、そこにかなり詳しい資料が出ておりまして、そこにはもう少し細かい内訳が出ています。下水道という中にも産業系から下水道に入っているものと、生活系から下水道に入っているものという数値が円グラフのような形で出ていたと思うのです。あの資料は私は非常に有効な資料ではないかと思いまして、別に事業場だけには限りませんが、それぞれの排水源からどういうふうに下水道なりどこに入っているのか。非常に細かいわかりやすいグラフになっているものですから、あれをぜひ載せていただきたい。
 そういう意味では先ほどの普及・啓蒙というところに十分マッチするものだと私は考えておりますので、ぜひそれをどこかに取り入れていただければと思います。
 すみません、言い忘れました。シミュレーションのところでページは忘れてしまったのですが、シミュレーションで3割削減した場合と仮定した場合という文言に出ていると思いました。9ページのほうに3割削減したと仮定した場合。この報告書は言うまでもなく在り方についての報告書ですから、ここで数値が出てきたときに、3割削減は仮定ですからあくまでも仮定だよと言えばそうですが、数値が独り歩きして、今後の対策を考えるときに、あのとき3割という数字があったよねという話にもなるような恐れも……、そういうことになってもいけないかなと私は思うんです。
 ですから、前回か前々回か質問しましたが、「ここはあくまでも仮定だ。」ですから、結論的には例えば平成11年度実績値から例えば一例としてというようなあれを入れていただいて、これは例示ですよ。あくまでもここで3割を推奨というか、在り方として言っているわけではありません。環境省さんがそうであるのであれば、私はまだ3割というのは非常に厳しすぎるのではないかと思っているものですから、実際実現もできるかどうかというところがいろいろな様子を聞いても非常に難しいなと思うものですから、ここを独り歩きしないような形にしていただければと思います。
 もう1つ最後、長くて申し訳ございませんが、全体的に本文と図とあるわけですが、こういう報告書の書き方でそういう書き方があるのかどうかわからないのですが、できれば本文の中で図、表何々参照という、それを入れていただくと。もちろん見ればわかると言えばわかるのですが、見落としてしまうところもないとはいえないので、それをやっていただくと、例えばこれが当然オープンになるわけです。そうしたときに、私のほ?うはこの中で議論していますから何となくわかるのですが、一般の方はどこに書いてあるのだということにもなりかねないので、ちょっと作業が大変かもしれないのですが、そういうのをご検討いただければと思います。  
  以上、非常に長々と申し訳ございません。

○岡田委員長 ありがとうございます。では事務局から今お答えできるところをお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長 一番最初のご指摘で6ページの一番上の文章でありまして、宮崎委員からご指摘があったように、ある時期の案では定かではないで終わっていたんですが、どうしてこの後つなげたかというと、瀬戸内海の窒素、燐の環境基準達成率は近年、上昇してきている、向上してきている。ところが、文章中で濃度については長期的に改善しているかどうか定かではない。こうなると、そこがうまく結びつかないんです。
 瀬戸内海の場合、確かに長期的に見ると窒素、燐はあまり大きな変化はないのですが、ただ環境基準の達成率が向上してきたのも平成11年度ぐらいから後のことですから、その時期について濃度の変化を見てみると、わずかではあるが低下傾向が見られるということでしたので、それであとから付け足した、そこがわかりやすいように付け足したということです。付け足した事情はそういうことであります。
 では、低下傾向と言っていいのかどうかというその次の課題がありまして、そこはまさにご議論いただければと思いますが、11年度とこの2、3年、14年度、15年度あたりを比較するとわずかでありますが低下しておりますので、低下してきているという、また低下傾向が見られるということでいいのではないかと思って書いた次第でございます。
 次に瀬戸内海の関係でもう1点ご指摘がございまして、11ページの一番上のところで、瀬戸内海において目標とすべき水質を検討することが適切である。東京湾、伊勢湾、大阪湾でも同様ではないでしょうかというご指摘だったと思います。
 そこで実は13ページの今後の課題では、13ページの2つ目の段落でありますが、ここは瀬戸内海に限らないということがわかるように指定水域の目標とすべき水質と書いてあります。ですから、まず東京湾、伊勢湾、大阪湾についても目標とすべき水質についての検討は必要だというのはここを読んでいただければわかるかと思いますが、では先ほどのところでなぜ瀬戸内海についてだけそういうことを書いたのかということになりますが、そこは状況が違っているということでございまして、特に瀬戸内海において目標とすべき水質を検討することの重要性というものがあるのではないか。そういうことで書きぶりが東京湾、伊勢湾、大阪湾とは異なっているということでございますので、そこはご理解をいただければと思っております。
 次に内部生産の取り扱いでございますが、確かに内部生産の割合が高いので、その点は大変重要だと考えておりますが、ご指摘のように内部生産の重要性というものがこの報告書案には書かれていないように思いますので、そこは考えさせていただきたいと思います。
 ただ、今後の課題のところに書くかどうかということになりますと、12ページの下から書かれている有機物の性状の変化ですとか、外海との海水交換とか、そういうものに比較しますと内部生産に関する調査研究はかなり進んできているのではないか。まだやるべきことは残っておりますが、かなり進んできているのではないか。その結果として窒素、燐についても削減しましょう、こういうことに第5次からなったわけですから、そういう意味では調査研究の必要性はありますが、その度合いが少し違うのかなと思って、ここには書いていなかったということでありまして、どのように書くのが適切かどうか、検討させていただきたいと思っております。
 次が地形改変でございますが、この意味ですが、私どもとして念頭に置いていましたのは、埋め立てでございます。埋め立てがかなり進んできている。その埋め立によって干潟が失われてきた、こういう問題はあるわけでありまして、そういうことはすでに別なところに書いてありますが、それだけではなくて海水の流動とか、外海との海水交換に影響を及ぼしている恐れもあるということで、そこは調査研究を推進する必要があるということをここで書いたわけでありますが、宮崎委員ご指摘のように埋め立てだけでいいのか。干潟の再生、造成なども場合によってはそういうこともあるのではないかというのは、それはおっしゃるとおりだと思います。ですから、埋め立てを念頭には置いておりましたが、必ずしもそれに限らないということではないかと思っております。
 下水道の負荷の内訳がわかるように資料を付けてはどうかというご指摘は、確かにそのほうがいいと思いますので、もう少し資料を充実させたいと思っております。
 あといろいろありましたが、シミュレーションの3割削減のところですが、ここは前回の委員会でも宮崎委員から同様のご指摘がございまして、そこで表現を変えまして、今回3割削減したと仮定した場合ということで、それでおわかりいただけるのかなと思っていたところでありまして、これで十分ではないかと思っておりますけれども、もしまたご意見がありましたら。

○宮崎委員 変えていただいたのはよくわかりますが、仮定した場合というのは仮定は仮定かもしれないという意味ではわかるんですが、ここで3割という数字が出てくることによって、あとになってこれが独り歩きする危険性というか、恐れがないわけではないと思いますので、できれば実績値から一例としてとか。じゃあ2割、1割はどうなんですか。もちろんそこまでやっていただくのにシミュレートは時間がかかりますから大変だと思いますので、そうはできなかったと思いますが、そういう話にもなってくるで、1割と2割はどうなんでしょうか。あるいは、0.5割はどうなんでしょうかということにもなるわけです。
 ですから、そういう意味で一例としてとかそういうふうに入れていただいたほうがいいかなと思ったんです。

○岡田委員長 まあ、よろしいでしょう。

○坂川閉鎖性海域対策室長 例えば一例として3割削減した場合とか。

○宮崎委員 そういう意味です。一例としてという文言、字句を入れていただければということだけです。

○坂川閉鎖性海域対策室長 わかりました。その方向で考えます。
 図と文と、文章を読んでいてどの図を見ればいいかわかりにくいということでした。そこは私どももそういう問題意識は持っておりまして、ただ図の番号などはこれからどんどん変わりますので、最終的にはそういう形で整理したいと思っております。

○岡田委員長 あと12ページで早期にとか、そういう文言を多少入れていただきたいとか、11ページで瀬戸内海は47%、この辺の修文はよろしいですね。

○坂川閉鎖性海域対策室長 特に11ページの瀬戸内海というのは確かにこれは大阪湾にしたほうがいいと思いますので、そのように修正したいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。ということで、先生よろしいですね。

○宮崎委員 はい。

○岡田委員長 ありがとうございました。それでは松田先生、お願いいたします。

○松田委員 7ページの(2)の貧酸素水塊のところですが、4つパラグラフがございまして、全体としては東京湾、伊勢湾、大阪湾と大阪湾を除く瀬戸内海では大分違うということで、そのことは問題ないのですが、第4パラグラフの表現についてコメントさせていただきたい。
 先ほど燧灘の具体的なデータの説明が参考資料を用いてあったのですが、この本文だけですと広域調査でも貧酸素水塊は確認されていないし、例外的なところを除いてはあまり貧酸素水塊は起きていないから問題ないのではないかと誤解されないところがあるような表現かと思うのですが、瀬戸内海の現場サイドとしてはかなりいろいろなところで貧酸素水塊が起きていて、瀬戸内海としては、大阪湾以外の瀬戸内海ですね。貧酸素水塊の解消はかなり大きなテーマになっているわけです。
 参考資料、先ほど繁本さんから説明があったもの、もう1回見直してみますと、例えば英文の参考資料の3ページ目にFigure2がございます。これで例えば右のほう、1995年から99年度ぐらいまでには1とか2とか、かなり低いDOが観測されています。広がりにしてみますと、6ページの上の右側の図で、3以下というのはこの1点というよりは、この燧灘の東のほうのある広さを持って広がっているわけです。
 これに対する広域調査のデータがどうなっているかというのをほぼ対応する点として、今度は資料2の6ページ、7ページの一番上のカラムが備後灘、燧灘で、このずっと並んでいるデータの真ん中辺に下3桁が254とか263というステーションがありますが、これの先ほどのあたりの時代、すなわち平成7年から平成11年ぐらいを見ると、7以上とか6というようなところで実際に詳しくは調べてみると、先ほどのような1とか2とか出る。すなわち広域調査は夏に1回ですし、必ずしも全編が網羅されているわけではありませんので、そういうことでいいますと、あとほかにも例えば広島湾の中にある江田島湾とかは夏場にはほとんど全面的に貧酸素水塊が発達する。あるいは燧灘でも点レベルぐらいの報告はいろいろ出ていると思います。そういう意味でいうと、先ほどの7ページの貧酸素水塊の4つ目のパラグラフの最後の文章あたり、最後のパラグラフ、事実関係としては大阪湾を除く瀬戸内海においては総合調査でも3mg/Lを下回るDOは最近確認されていない。そのとおりですが、例えばその次の文章、例ですが、しかし停滞性の強い水域などでは貧酸素水塊の発生も報告されており、地域的、季節的には貧酸素水塊が発生しているものと考えられるとか何か?そのぐらいのニュアンスのほうは実態に合うかなと思うんです。岡田先生も詳しいところですが。
 ご検討いただければと思います。全体との整合性をとりながらで結構です。

○岡田委員長 ありがとうございました。今の先生のご指摘はよろしいですね。

○坂川閉鎖性海域対策室長 考えます。

○岡田委員長 よろしくお願いします。ありがとうございました。
 では細見先生、お願いいたします。

○細見委員 多くの先生方、いろいろご指摘されましたので、特に私がという意味では第5次までのシミュレーションと今度のシミュレーション、より精度を高めた努力をしましたよという内容、構造をぜひ説明を加えていただきたい。
 それから12ページ、3つ点があります。対策の中です。これはどれも重要だと思っているわけですが、11ページの3つはかなり丁寧に書いてある。この3つは実に誠意が足りないかなというぐらい。背景とか何か。確かに環境省としてという意味では難しい面もあるかもしれませんが、ここは多くの関係の委員の方もいらっしゃいますので、本当にやるぞというか、やらなければならないという意志が伝わらないといけないのではないか。
 それから、最終的にはこれは課題になるかもしれません。今回は入れなくてもしようがないかなと思っていますが、最終的には私も係わりました湖沼法のとき、総務省の方がやられたような報告書によるとすべては費用に換算できないのですが、費用対効果的な、今まで努力してきたからさらにオンさせる努力と、今まで努力が足りなくて、そこをさらにする努力というのは、本来は議論すべき点だろう、将来。しかし、これは非常に難しい内容もなので、その部分がこの3つに入っているのかなと個人的には思いますので少し加筆していただきたい。その一言でよろしくお願いしたい。

○岡田委員長 ありがとうございました。今のご指摘、確かにそうだと思いますので、よろしくお願いいたします。内容は事務局にお願いするということでよろしいですね。
 ありがとうございました。
 すみません、最後になりましたが平沢先生。

○平沢委員 私はこの委員会でかなりいろいろ意見を言わせていただきまして、岡田委員長の広い心と関係者の皆さんによく聞いていただきまして嫌だったかなと思うのですが、本当に勉強になりました。ありがとうございました。
 せっかくこういう報告書をまとめたので、今後の課題のところに非常に期待をしておりまして、1つ目が目標とすべき水質の検討、それから2番目は調査と対策の検討、3番はわからないのでおきますと、1番と2番に至る、最後目標とすべき水質とその評価方法について検討する必要がある。
 それから、知見の充実を踏まえて閉鎖水域の水環境を改善するためのより効果的な対策の在り方について検討を行う必要がある。そういう結論に持っていく前段の話のところですが、先ほど高橋委員、宮崎委員がお話しされましたが、私が発言したからいけなかったのかもしれないですが、要するに難分解のCODという話に中で、それが一つの要因となって、頭にそれがあって、1番の目標とすべき水質という議論が出てくるわけですが、必ずしもそれだけではなくて、それも1つはあると思うのですが、もう1つは先ほど言われたように海域のCODを決める要因、それが陸水負荷だけではなくて、結局、内部負荷、それから外洋の負荷、そういうものがどういうふうに効いてくるのか。要するに海域のCODを決める要因についてより検討する必要があるというのが1つ。
 あと、CODと海域の汚濁の関係ですね。これは昔は有機汚濁、それからその次は赤潮になって、今回は貧酸素水塊というのが出てきて、それぞれ汚濁の質というか対象が変わってきて、同じCODの評価でいいのか。そういう2つの点とCODの質の変化、その3つを背景にして目標とすべき水質評価方法について検討する必要があるとやったほうが前の報告書からスムーズにいくのではないかと思います。
 それから、2番目も同じことで、今言ったような3つの要素ですね。CODの質、それからCODと海域の汚濁の質の変遷、それから海域のCODを決める要因、内部負荷、外部負荷等々を含めて、その3つを踏まえたうえで効果的な対策の在り方を検討する必要がある。同じことを2度繰り返すかもしれませんが、そうやったほうがスムーズにいくのではないか。
 それから最後に、これは報告書に載せる必要は全くございませんので、一個人の意見としてこんなことを言った人がいたという程度でいいんですが、こういう総量規制の委員会というのは、これはCOD閉鎖水域というキーワード、いいのですが、いろいろなところで別の環境基準とか総量規制があって、ちょうど20世紀が終わって21になったときに京都議定書とかCO2の問題とか、環境の質の変化というのがかなりあって、総量規制の在り方というのは閉鎖水域だ?けではなくて、日本もっと広く言えばアジアですね。こんなことを言ってはいけないですが、そういうところの持続可能な環境の施策というのはどうあるべきかというのは、ぜひ環境省を中心にして戦略的に検討していただきたい。これは僕の希望でございます。これも覚えておいてください。以上でございます。

○岡田委員長 ありがとうございました。今の最後の希望は別として、ご指摘の点は事務局のほうでご検討いただくということでよろしいですね。
 ありがとうございました。貴重なご意見をいただきましてありがとうございました。

○宮崎委員 1つだけよろしいでしょうか。8ページで底泥からの溶出のところですが、ここでは窒素、燐というところをかなり強調して書いてあるからこういうことだと思うのですが、窒素、燐が海水中に溶出しているというのは事実だと思うんですが、有機物も懸濁物質になってしまうから溶出でないのかもしれないんですが、溶出している部分もあると思います、有機物として。だから底泥から窒素、燐が海水中に溶出していてという、窒素、燐のことは何も書いていないような感じがして、有機物ということも当然書く必要があるのではないか。事実しては。というふうに考えたんですが、そのあたりはいかがでしょうか。

○岡田委員長 事務局でデータありますか。お答えいただけますか。

○坂川閉鎖性海域対策室長 有機物の溶出というのは確かにあると思いますが、あまり窒素、燐に比べますとあまりデータが多くない。あまり調べられていない。おそらく調査が難しいのかなと思うんです。

○宮崎委員 そうでもないと思いますが。

○岡田委員長 シミュレーションで計算できていませんか。

○坂川閉鎖性海域対策室長 今回のシミュレーションでは入れていないです。それで環境庁の時代にたしか実験したケースがあります。ですから、数字が全くないわけではないのですが、窒素、燐ほどしっかりしていないのかなと思いまして、ここは書かなかったということです。

○岡田委員長 細見先生、どうぞ。

○細見委員 底泥中の有機物の濃度と水の中の濃度の差と、窒素、燐の差は窒素、燐のほうが大きいので。有機物も全くゼロではないんです。しかし、一番大事というか、負荷から考えると窒素、燐の溶出のほうがはるかに重要であろうということだと思います。
 CODは確か当初は測ったと思います。COD、負荷ということでございましたので。それは水管理課のころにやられていたと思いますが。

○宮崎委員 先ほど申し上げましたが、溶出ということになってくると、確かに溶出していないかもしれないのですが、有機物から懸濁物質として粒子状物質、これは溶出ではないかもしれない、巻き上がりになりますが、そういうことも効いてきて、もちろんそれに窒素、燐とかそういうことは効いて、貧酸素化ということにも当然効いてきているのだろうとは思うんです。だから、窒素、燐だけが貧酸素化を起こしているわけではなくてと思うものですから、溶出している有機物だけではもちろんないと思いますが、懸濁物質としての有機物ということも書いて……、ここは溶出と書いているからなかなか難しいのですが、懸濁物質も含めた有機物ということもここに書いておいたほうが私はいいのではないかと思ったものですから、ご質問したんです。

○岡田委員長 ありがとうございました。データがあるかどうかによると思うので、あまり情報がないのを書くのは難しいので、確認していただけますか。ここで皆さんの記憶が明快でないところでこれ以上しても。ですから、これは事務局として確認してください。それに応じて書けるなら書く。データが不足でしたら、今回は勘弁していただくということにしてください。

○河村委員 14ページ以降の図表の表現のところですが、今回議論してきました中で、瀬戸内海については大阪湾と大阪湾以外という仕分けをしてきています。できましたら、例えば14ページの図、あるいはそれ以降もですが、分けられるのならば分けておいたほうが後の議論がしやすいと思います。議論というか説明がしやすいと思います。できましたらお願いしたい。

○岡田委員長 そうですね。おっしゃるとおりです。ありがとうございます。では、これは可能かどうかを含めて、これもご検討ください。ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 よろしければ、この委員会、次回の専門委員会がございます。次回の専門委員会でこの委員会報告の最終取りまとめということにさせていただきたいと思います。しかしながら最終取りまとめを行う前にほかの最近の例にならいまして、国民の皆様方から広くご意見をいただきたいということでパブリックコメントを募集する。その結果を参考にして、最後この委員会でご議論をいただいて最終報告というような形にさせていただきたいと思います。
 そのパブコメを募集するに当たり、今日の?資料というわけにはいきませんので、今日の資料に各委員からいただいたご意見に基づいた修正を加えて、当然パブコメをするというふうにしたいと思いますが、時間の関係もございますので、その修正につきましては委員長に、私にご一任ということでお願いします。もし不適切な点があったらパブコメでいただければ、これは半分冗談、半分本気でございまして、委員の方々もパブリックにはなるわけですのでご遠慮なくお願いいたしたいと思います。
 そういうことで、今後パブリックコメントを募集させていただく。次回委員会ではそれを踏まえた修正というか、最終報告案をお示しして、それについてご議論をいただき、最終とりまとめということにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 せっかく今日、傍聴でたくさんいらっしゃいますので、傍聴していただいた方々、議論はほかの国民の方よりよくご存じだと思いますので、ご遠慮なくパブリックコメントという形でご意見をいただければ本当にありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 ということでよろしいでしょうか。
 それでは事務局から連絡事項をお願いいたします。

○坂川閉鎖性海域対策室長 どうもありがとうございました。それでは、今委員長からもお話がございましたが、今日の各委員からのご意見、ご指摘を踏まえまして、できるだけ対応したいと考えております。
 また委員長のご指示に従いまして修正したものをパブリックコメントに付すということになりますが、これはできるだけ早くやりたいと思っておりまして、当然、作業が終わらなければできないのですが、希望的観測では来週4月4日月曜日にはパブリックコメントを開始したいと思っておりますので、今週中に案を修正したいと考えております。
 その後、パブリックコメントでご意見が出てまいりますので、それについてどう対応するか。修正すべきところはさらに修正をし、またそのパブリックコメントに対するこちら側の考えを整理したものを用意いたしまして、次回専門委員会でもうご検討いただきます。
 次回の専門委員会は4月25日月曜日午前中を予定しておりますので、先生方にはすでにご連絡しているかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 時間、場所等の詳細については、おそらく時間は10時からになると思いますが、詳細につきましては後日ご案内させていただきたいと思います。  以上です。よろしくお願いします。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。何かご質問等はございますか。
 よろしいですか。
 それでは、今日は活発なご議論をいただきましてありがとうございました。以上をもちまして本日の専門委員会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。

午後3時34分 閉会