中央環境審議会水環境部会 総量規制専門委員会(第4回)議事録

日時

平成16年10月4日開催

場所

環境省水環境部

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    (1) 汚濁負荷削減対策について
    (2) その他
  3. 閉会

配付資料

総量規制調査専門委員会委員名簿
発生負荷量の算定方法について
発生源別COD発生負荷量と事業場数の推移について
国土交通省都市・地域整備局下水道部における汚濁負荷削減対策について
浄化槽整備による生活排水対策について
農業集落排水事業説明資料
産業界における主な汚濁負荷削減対策の概要
沿岸域における自然再生事業の推進

   

総量規制専門委員会委員名簿

委員長  岡田 光正  広島大学大学院工学研究科長・工学部長
専門委員  河村 清史  埼玉県環境科学国際センター研究所長
   木幡 邦男  (独)国立環境研究所流域圏環境管理研究プロジェクト
 海域環境管理研究チーム総合研究官
   齋藤 雅典  (独)農業環境技術研究所化学環境部長
   高橋 正宏  国土交通省国土技術政策総合研究所下水道研究部長
   中村 由行  (独)港湾空港技術研究所海洋・水工部沿岸生態研究室長
   平沢  泉  早稲田大学理工学部応用化学科教授
   細見 正明  東京農工大学工学部化学システム工学科教授
   松田  治  広島大学名誉教授
   宮崎  章  (独)産業技術総合研究所つくば西事業所管理監
 産学官連携コーディネータ

議事録

午後1時32分開会

○坂川閉鎖性海域対策室長 ただいまから第4回総量規制専門委員会を開催いたします。本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。
 まず最初に資料の確認をお願いします。
 「議事次第」の下の方に(配付資料一覧)とございます。資料1が委員名簿、資料2が「発生負荷量の算定方法について」、資料3が「発生源別COD発生負荷量と事業場数の推移について」、資料4が国交省下水道部の資料でございます。資料5が環境省廃棄物・リサイクル対策部の資料でございます。資料6が農林水産省農村振興局の資料でございます。資料7が産業界からの資料でございます。その後ろに、資料番号を振っておりませんが、「閉鎖性海域における水質環境保全対策についての要望」という紙がございます。資料8が国交省港湾局の資料でございます。
 本日の資料は以上でございます。
 それから、本日のヒアリングの順番につきまして、念のため最初に申し上げておきたいと思います。最初に資料2と資料3を環境省側からご説明しました後に、関係省庁及び産業界からのヒアリングをお願いしたいと思っておりますが、いろいろご都合がございまして、この資料の順番を少し変えたいと思います。
 最初に資料8、国交省港湾局、その後に、資料4、国交省下水道部、そして、資料7、産業界、資料5、環境省の廃棄物・リサイクル対策部、それから、資料6、農林水産省、このような順番でお願いしたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
 それから、本日も委員の先生方にマイクが用意されておりますので、発言される場合は「トーク」のボタンを押していただきまして、発言が終わりましたら、再度押して切っていただくようによろしくお願いします。
 それでは、岡田委員長、議事の進行をお願します。

○岡田委員長 それでは、早速開始したいと思います。
 本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございました。
 まず、前回の委員会では、汚濁負荷量の発生状況について事務局からご説明をいただきました。また、汚濁負荷の削減対策につきまして、関係者の皆様方からご説明をいただいております。
 今回の専門委員会では、引き続きまして、汚濁負荷の削減対策について関係者の皆様方からヒアリングを行いたいと考えております。
 その前に、前回の専門委員会でご質問がございました、発生負荷量の算定方法等につきまして事務局からご説明をお願いいたします。

○秋山室長補佐 それでは、説明させていただきます。資料2をごらんください。
 発生負荷量の算定方法は、大きく分けまして指定地域内事業場と指定地域内事業場以外に分けられます。指定地域内事業場は、日平均排水量が50立方メートル以上の総量規制対象の特定事業場ですが、これにつきましては汚濁負荷量の測定義務が課せられております。ですから、測定された汚濁負荷量、そして、その水質と排水量から算定しております。
 下水道につきましては、生活系、産業系、その他系の汚濁負荷量、すべて含まれておりますが、下水道に流入する各系の負荷量から按分して系統別の発生負荷量を算出しております。
 指定地域内事業場以外につきましては、大きく分けて3つの方法で算定しております。負荷量原単位とフレームを掛け合わせる方法。2番目としまして、それに除去率を考慮する方法。3番目としまして、濃度を設定して、それに設定した排水量あるいは届出排水量を掛け合わせるという方法です。水産養殖業については別な方法で算定しております。
 負荷量原単位、除去率、設定水質、設定排水量につきましては、立入検査等による水質や排水量の実測値、各種資料を用いまして地域の実態に合わせて都府県において設定しております。
 また、人口や家畜頭数、面積のフレームにつきましては、統計資料から得られる値を用いております。
 1ページの中ほど(1)の生活系負荷量の算定方法ですが、指定地域内事業場につきましては、先ほど説明しましたように、実測値、実測水質、実測排水量から計算しております。その他ですが、大きく分けまして、合併浄化槽、単独処理浄化槽、雑排水に分けられます。雑排水と言いますのは、し尿処理場、汲み取りし尿の収集・運搬をされる家庭の雑排水、それ以外に単独処理浄化槽の家庭用雑排水が含まれております。これにつきましては、1人当たりの原単位に除去率を考慮したものと処理人口を掛け合わせております。備考欄にありますが、浄化槽の除去率は、構造基準や立入調査等における水質測定結果等を参考に都府県において設定しております。雑排水の除去率は、普及啓発等の浸透状況により設定しております。
 3ページをごらんください。上の方に負荷量原単位を掲載しております。左側が生活系ですが、COD、窒素、りん、それぞれ負荷量原単位グラム/人日を設定しております。これが未処理で1人当たりから発生する負荷量原単位です。それに除去率を、大きいものですと90%ぐらい、少ないものですと10%を設定しております。単独浄化槽も同様です。雑排水につきましては、除去率が0%から10%、生活排水対策の浸透状況に応じて、多くて10%ぐらいを設定しております。全く設定していない都府県もございます。
 2ページをごらんください。(2)が産業系負荷量の算定方法です。指定地域内事業場につきましては、生活系と同様です。その他ですが、小規模特定事業場というのは、水質汚濁防止法の届出対象の事業場で、日平均排水量が50立方メートル未満のもの、総量規制基準が適用されないものです。これにつきましては、水質を設定して、これに届出排水量を掛け合わせております。設定の水質は立入調査等により都府県が業種別に設定しております。未規制事業場というのは、水汚濁防止法の届出対象外の事業場でして、これにつきましては、同様に濃度を設定して、排水量については立入検査等から業種別に設定して、これを掛け合わせて負荷量を出しております。
 (3)その他系の負荷量ですが、指定地域内事業場については今までと同様です。その他のうち小規模畜舎と未規制畜舎がございますが、小規模畜舎というのは水質汚濁防止法の届出対象で日平均排水量が50立方メートル未満のもの、未規制というのは、備考欄に書いております面積未満のものが水質汚濁防止法の届出対象外になっておりますけれども、水質汚濁防止法届出対象外のものを指しております。これにつきましては、1頭当たりの原単位に除去率を考慮し、頭数を掛け合わせるという方法で算定しております。
 3ページの上の方に畜産系の原単位を載せております。牛の場合ですと、CODで1頭当たり530グラムという原単位を設定しております。除去率は、排水処理の除去率ではなくて、糞尿の回収率も見込んだ除去率でございます。各府県によって除去率にかなり差がございます。
 2ページに戻りまして、その他のうちの面源と言われるものですが、耕種農業の農地、山林、市街地等につきましては、面積当たりの原単位に面積を掛け合わせるという方法で算定しております。水産養殖業につきましては、増肉係数を用いております。魚体重の増加に対する投餌量が増肉係数になります。ですから、「増肉係数-1」が吸収されない餌の量ということになります。生産量に「増肉係数-1」を掛け合わせたものが環境に排出される量になります。それに配合飼料と生餌それぞれの窒素、りん含有率を掛け合わせて、窒素、りんの排出量を算定しております。
 それぞれの原単位につきましては、3ページの真ん中あたりに載せておりますが、上の方が海水面漁業、下の方が内水面漁業でございます。
 以上が資料2でございます。
 続きまして、資料3の説明に入らせていただきます。
 1ページめくっていただきまして、表1は発生源別COD発生負荷量の推移(東京湾)でございますが、これは前回の委員会に提出した資料です。負荷量なり排水量が減少している理由として、事業場数がどうなのか見てはどうかというご意見をいただきましたので、表2に1事業場当たりの負荷量を載せております。負荷量については表1と同じものを再掲しております。
 表2の真ん中の事業場数を見ていきますと、下水処理場を除きまして、各業種とも減少しております。ただ、備考欄にございますように、事業場の減少には、その事業場が下水道を接続することにより公共用水域に排出する排出水の量が1日50立方メートル未満になったものを含んでおります。ですから、事業場が廃止しなくても、公共用水域に排出する水量が減少すれば、それはここの指定地域内事業場が総量規制対象から外れますので、指定地域内事業場数としては減少するということになってしまいます。
 事業場当たりの負荷量を見ていきますと、下水道を除きまして、概ね減少しているということがわかります。しかしながら、大規模な事業場が下水道に接続すれば見かけ上1事業場当たりの負荷が減少することになりますので、これだけでははっきりしたことは言えないということになります。
 3ページにまいりまして、表3は前回提出しました伊勢湾の発生源別COD発生負荷量の状況です。
 表4に、事業場数と1事業場当たりの負荷量を載せております。この中で、事業場数が増えているのが合併処理浄化槽、これは生活排水を処理する合併処理浄化槽というふうにご理解いただきたいんですが、これが増加しております。それから、食料品製造業、化学工業も若干増加しております。石油製品につきましては、概ね横ばいの状況です。それから、その他の指定地域内事業場が大きく増加しております。
 増加している業種を見てみますと、小売業、飲食店、娯楽業、旅館、医療業等、主として汚水を浄化槽で処理する事業場が増えております。昭和63年に飲食店が特定施設に追加され、平成3年に201人槽以上500人槽未満の浄化槽が指定地域特定施設に指定されておりますので、この影響が大きく出ているように思われます。
 1事業場当たりの負荷量につきましては、概ね減少しておりますが、パルプについては若干増加しております。
 表5、瀬戸内海の発生源別COD発生負荷量の推移に入りたいと思います。表6の事業場数の推移を見てみますと、伊勢湾と同様に合併処理浄化槽について事業場数が増加しております。食料品、製造業については概ね横ばいの状況です。化学工業は若干減少しており、石油製品も若干減少しているレベルです。
 伊勢湾と同様、その他の指定地域内事業場についても大きな増加が見られます。業種としては、小売業、飲食店、旅館、娯楽、医療、それから、伊勢湾にはなかった教育関係が増加しております。
 1事業場当たりの負荷量も概ね各業種とも減少しております。
 これが各水域ごとの事業場数の推移ですが、全国の状況について若干整理をしておりますので、7ページをごらんいただきたいと思います。先ほど指定地域内事業場の状況についてご説明したわけですが、ここでは水質総量規制の関係20都府県の製造業のうち従業者4人以上の事業場数の推移を指定水域別に整理しております。いずれの指定水域についても製造業の事業場数が減少する傾向にあります。
 このうち発生負荷量の多い業種、食料品、製造業から鉄鋼業まで6業種について見たものが8ページです。一番目立つのが繊維関係でどの地域も大きく減少しております。伊勢湾の化学工業、石油製品・石炭製品については、指定地域内事業場同様に増加する傾向がございます。瀬戸内海については、石油製品・石炭製品製造業の工場が若干増加しているという傾向が見られます。
 また、9ページに20都府県以外の全国の状況をお示ししております。上の方が全製造業の事業場数、下の方が先ほど表に示しました6業種の事業場数です。これは4人以上の零細企業も含んでおりますが、全国的に事業場数が減少するという傾向がございます。6業種について見てみますと、これも概ね減少しておりますが、石油製品・石炭製品については若干増加している傾向がございます。結論から言いますと、負荷量が各水域において減少している原因が、事業場の廃止によるかどうかというのは、事業場数の推移からではよく分からなかったという結論になってしまいます。
 以上です。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、さらなるご意見等がございましたら、お願いいたします。
 ございませんか。こういうものだということでよろしければ、次に進めさせていただきます。
 また、ありましたら、次回でも結構でございますので、ご質問等をいただければと思います。
 よろしいですね。
 それでは、きょうはたくさんございますので、次の議題に進めさせていただきたいと思います。
 今回は、干潟等の自然再生につきまして、国土交通省港湾局からご説明をいただいた後、下水道、産業界、浄化槽、それから、農業集落排水施設による汚濁負荷削減対策について、関係される皆様方からご説明をいただくことになっております。
 先ほど坂川室長からございましたように、ご発表いただく方のご都合によりまして、順序は資料番号のとおりになっておりませんので、ご注意ください。
 それでは、早速、国土交通省港湾局環境整備計画室の辻課長補佐から「沿岸域における自然再生事業の推進」ということでご説明をお願いしたいと思います。
 よろしくお願いします。

○辻課長補佐(国土交通省環境整備計画室) ただいまご紹介いただきました港湾局の辻と申します。きょうは時間を繰り上げていただきまして、ご紹介をさせていただきたいと思います。きょうは、港湾局が進めている自然再生事業についてご紹介するという形で説明をさせていただきたいと思います。
 私自身は、サーフィンを通じまして、夏場や冬場の環境の違い、あるいは、台風時のごみがぼっと出てくるような雰囲気を身をもって感じているわけですが、こういう機会を通して早く海がきれいになることを個人的に望んでいるところでございます。
 港湾局では、多様化する環境のニーズに対応するために、ただいまさまざまな施策を行っています。今回はこの赤丸で示してありますような自然再生の取り組みについて述べさせていただきたいと思います。
 このような環境政策を進めるために、環境と共生する港湾を「エコポート」と呼び、平成6年度にはエコポートモデル事業をつくり、重点的に取り組んでいるところでございます。
 港湾の環境政策には、常に港湾法等の改正が重要な転換期になっていますが、現在のベースは平成12年3月にできたものでございます。これは「港湾の整備にあたっては環境の保全に配慮することを目的とする」というものです。
 さらに、平成14年12月に自然再生推進法が成立し、港湾においては中期の目標として、航路の浚渫で生じた良質な土砂を活用し、失われた干潟のうち平成19年度まで1,500ヘクタールの再生を目指すこととなりました。
 では、干潟をなぜ対象としたのかを説明させていただきます。ここではまず干潟の定義について簡単にご説明いたします。干潟には厳格な定義はございませんが、一般的には潮の干満で現れたり、水没したりすることを繰り返す平坦な場所と言われています。干潟はそのでき方から大きく3つに分かれますが、川などから運ばれてきて、海に面したところにできる前浜干潟、これは盤州干潟や金沢八景などで見られるものです。また、川の砂が積もってできる河口干潟には葛西臨海公園などが挙げられます。そして、これはちょっと読みにくいんですが、「潟湖(かたこ)干潟」と言います。浅い海の部分が三角州などで切り離されてできるもので、このような場所には仙台の蒲生干潟などが挙げられます。
 では、そのような干潟がなぜ自然再生につながるのでしょうか。干潟は海は陸と大気の接する場所ですが、まずは生物の生息機能が挙げられます。干潟の生物は急激な堆積や侵食のような激しい環境変化に強い種類が多いことが特徴ですが、底生生物や魚類、プランクトンなど、また、鳥類や昆虫類など、そして、それらの場所に繁る水生植物や海浜生物などが多種多様に生息しています。
 次に生物の生産機能が挙げられます。干潟は、ここに繁る植物が光合成により有機物を生産する場として、熱帯雨林などとともに生産性が最も高い場所と言われています。これによって二枚貝類やエビ類などの水産上有用な種類が密に生息することで、大変優良な漁場ができています。
 続いて、親水機能としての干潟です。干潟は一般的に都市に近接した場所に発達することが多いので、都会人が身近に接することのできる数少ない自然であり、バードウォッチングや潮干狩り、ハゼ釣りなどで楽しまれています。
 そして、4番目は、今回の総量規制で最も関係があるかと思いますが、水質浄化機能です。潮の干満によってろ過されて、バクテリアの作用によって分解されるということです。また、多種多様な生物が住むことで、物の循環が効率よく機能する場所ともなっています。例えば瀬戸内海では干潟1ヘクタール当たりの浄化量は下水道処理の約7,000人分に匹敵するとの試算もあります。その他独特な景色を見せてくれたり、ヨシ原など海からの波のエネルギーの緩衝材となったり、急激な変化を受け止める場所ともなっています。干潟はこのように沿岸域の貴重な空間となっているわけです。
 次に、干潟の再生効果の例として水質浄化について説明いたします。干潟は砂の持つろ過能力とともに、海藻や底生生物が水質浄化に大きなかかわりを持っています。この写真はアサリの水質浄化能力を表したものですが、ここで取り上げるアサリは、角のような2本の入出水管を、一方で海水を取り入れ、一方でろ過して水を排出しています。例えば殻が3センチくらいの個体では1日に約5リットルの海水をろ過するとも言われています。また、折り重なるようにアサリが生息している場合には、1平方メートルの干潟の上を通過する数立方メートルの海水を毎日ろ過するとも言われています。この写真では、上から30分後、1時間半後となっていますが、水質が浄化されていく様子がよく分かると思います。このようにアサリが干潟などに生息することで、周辺の水環境も大きく改善されていくのです。
 次に、覆砂や干潟の再生により貝をはじめさまざまな生物が住みつくようになった例をご紹介いたします。左側の写真は覆砂前と覆砂後の環境をあらわしています。ここでは覆砂を行った後に、ここに写っているのはアサリですけれども、アサリが主として多く生息しているのが分かると思います。
 右のグラフは、ちょっと見にくいのですが、溶存酸素の量とアサリの生存率の関係を表しています。グラフは溶存酸素の値が低い、いわゆる生物にとって厳しい環境下でアサリを入れた場合の生存率を示しています。この環境下では約1カ月でほぼ生存率は0%になっています。下のグラフは、上のグラフと同時期における近郊地区の干潟ですが、溶存酸素の値が高いとアサリの生存率が高率で安定していることが示されています。
 このように干潟や覆砂された場所は、貝のような生物が生息するのに適した環境であることが分かります。しかし、実際にはアサリは場所を移動することが知られており、その生育状況に応じての適した環境づくりが必要となり、その他の生物に関しても同様なことが言えると言われています。
 次に干潟の再生の事例をご紹介いたします。ここは愛知県の三河湾ですが、この事業は青い海を取り戻すことを目的につくられました「シーブルー事業」の対象事業として、昭和63年から進められているもので、現在も工事施工中でございます。これは中山水道と言われる航路の浚渫により生じた良質な土砂を用いて干潟の再生を行うものですが、現在までに32カ所450ヘクタールの再生を行っています。
 この事業の特色としては、地元の漁協の意見を反映して事業を決定し、また、場所の選定に関しては専門家の意見により、効果が大きく、発現が早く、持続性が良いところを優先的に実施している点です。ここではまた事業当初からモニタリングを実施し、現在も継続中でございます。
 その結果がこちらの表です。表は、造成された干潟とその周辺を比較したものですが、造成された干潟には生物の種類や量が多いことが顕著に分かります。特に造成された干潟の前面では水質浄化能力が大きく、水産上に有用なアサリやバカガイなどの二枚貝が増加しており、今後もこのような干潟の機能がますます高まることが期待されています。
 さて、海域の環境の改善、特に干潟の造成には、波や潮に関する海岸工学の知識が必要で、さらに生態学の知識も必要であると言われています。港湾局では、関連機関である研究所において約20年も前から干潟、藻場等の再生に取り組み、現在もその研究を継続中です。
 写真はその一例ですが、平成6年には横須賀の研究施設に世界最大規模の干潟実験施設であるメソコスムを完成いたしました。このメソコスムは中規模の空間という意味ですが、ここでは人工的に干潟をつくることで、さまざまな生物が環境によってどのように変化するかという実験を行っています。ここで収集されたデータや各種研究、実績を活用しながら、各地で干潟をはじめとする環境と共生するエコポートづくりを推進しているのです。
 最初に述べましたように、平成19年度まで1,500ヘクタールの干潟を再生することが当面の目標になっていますが、高度経済成長の後、社会的な要請によって埋立てや浚渫、干拓などの事業が進められてきた結果、磯焼けや自然消滅などを含めると、過去15年間で約1万ヘクタールの干潟や藻場が減少したと言われています。
 そのうち、港湾局では4,000ヘクタールの干潟を再生可能な干潟と位置付け、当面の目標として干潟の3割を取り戻す事業を進めています。グラフのように平成15年度末までに再生、創出している面積は約1,280ヘクタールとなっており、現在も52カ所で実施中、24カ所では既に整備が完了しています。
 ここからは、港湾局が取り組んでいる事例を数件紹介いたします。干潟は日本全国どこにでも成立するというものではなく、それに適した場所を選定することが必要です。例えば干満の差があることや、河川等から土砂や栄養が供給されていること、川の流入によって淡水と海水が混じる場所であること、そして、波や潮によって土砂が流出しないこと、さらに、周辺に底生生物の供給源などが存在することです。
 東京湾の実例としては、左側の写真の東京港野鳥公園があります。ここはさまざまな野鳥が住めるように整備したものですが、現在では年間に6万から8万人の方が訪園しており、野鳥も大井埠頭に現れる種類とほぼ同一の193種類が観測されています。右の写真は千葉県と東京都の境に整備された葛西臨海公園です。ここは、人と自然の憩う西なぎさと、自然保護区域に指定され、野鳥の楽園となっている東なぎさがあり、年間約140万人が訪れる干潟となっています。
 次に、広島県の尾道糸崎港の干潟再生についてご紹介いたします。この事業は航路の良質な浚渫土砂を活用して干潟、藻場を造成するものですが、昭和59年度から平成8年度に実施いたしました。この事業は3地区を合計して60ヘクタールの再生をいたしましたが、この結果、平成14年度までに行われた調査では、近隣の自然干潟にいる生物の約7割の種類が出現し、貴重な種も近隣の自然干潟に匹敵する9割を確認しています。
 次に、尾道糸崎港を例にアサリとともによく話題になりますアマモについてご紹介いたします。アマモは海藻の一種で、砂の多い浅い海底に群生いたします。ここでは,クロダイやメバル、サヨリなどの水産上としても有用な魚の産卵場や隠れ場、餌場として利用されており、砂漠に潤いをもたらすオアシスに例えられます。
 こちらが干平成3年の図ですが、点在の状態であったアマモ場は平成7年では必ずしも場所に活着していませんでした。しかし、年月を経て広域に広がっていくということが図から分かると思います。アマモ場は自然の藻場と比較をしても、生育の密度や葉長、湿重量などの育成状況や根の引っ張り強度において遜色ないことが確認され、多種の魚介類の産卵場、幼・稚魚の保育場としての機能が果たされていることが確認され、現在は8ヘクタールにもなっています。なお、平成14年度には自然干潟と遜色のない干潟の再生技術が認められ、土木学会の環境賞を受賞いたしました。
 その他の環境政策の一例として環境配慮型防波堤があります。これは海水の交換による水質の改善や、生物の生息空間の確保、周辺漁場との調和などを目的としたもので、この図は北海道釧路港の事例です。数年後の完成予定に向け現在施工中のものです。海藻に良好な光環境をつくるために、既存の資料や付近の海藻類の分布状況を調査して水深を決め、表面に起伏をつけることで生物の付着に影響する点を利用して、防波堤の背後にデコボコをつけた場所をつくり出しています。港湾局ではこのような環境配慮型防波堤や護岸にも取り組み、平成14年度までに約23キロメートルを整備しています。
 このような干潟の再生事業は海外でも行われています。米国においては環境に対する関心は日本以上に高いとも言われていますが、日本同様動植物の生息や水環境の改善などのために、浚渫などで発生する砂を活用して干潟や湿地の再生を行っています。ある例では人為的な修復が自然任せと比較した場合に数十年の短縮効果があると予測されています。なお、アメリカにおいては、ここに記載してありますように陸軍の工兵隊が事業の主体となっています。
 最後に、港湾局としてソフト部門で取り組んでいる事例を紹介いたします。環境教育推進法の制定により、持続可能な社会づくりのために体験的に学ぶ機会が強く求められていますが、港湾局でも港のすばらしい自然環境を生かして、親子や子供を対象に「海辺の自然学校」を開催しています。これは国の港湾事務所が自治体や教育委員会、NPOなどと連携して行っているものですが、海辺の自然環境を理解してもらうことで、干潟の造成に対する認識も進むほか、健全な子供の育成や、高齢者の社会参加などにも効果が出てきているのではないかと思います。
 以上で、港湾局からのご紹介を終わらせていただきます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、今、辻補佐から自然再生事業を中心に広範なご説明をいただきました。今のご説明に関しまして、ご質問、ご意見等がございましたら、お願いいたします。

○平沢委員 干潟が回復してきれいな砂浜がよみがえるのは非常にうれしいことで、ぜひ進めてほしいんですけれども、この委員会で総量規制、CODという関係で、干潟をつくることによって近隣の水質の改善にどのくらい寄与するとかというデータはございましょうか。

○辻課長補佐(国土交通省環境整備計画室) 今、ご質問のありました件でございますが、私どもが指標として使っておりますのが、赤潮の発生率とか青潮の発生率というもので検討をしております。ただ、実際には、以前からもお話がありますように、海の環境が今までにつくられた負の環境が非常に大きいものですので、干潟をつくったことがすぐにこれらの発生に直結するということにはなっておりません。ただ、数字的にお示しできるならば、このような委員会で作っっていただけるとありがたいなと思っております。

○平沢委員 ありがとうございました。

○岡田委員長 ほかにございますでしょうか。

○木幡委員 今のご指摘のように大変結構なお話だと思うんですけれども、ちょっと質問させていただきたいのは、技術的なところとして、ここでご紹介になった三河湾の例は浚渫土砂が大変きれいなんだけれども、常にそれが環境上問題ないというケースばかりではないと思うんですね。その辺についてはどういうふうに考慮されているのかというのが第1点。
 2点目に、やはり技術的なところでお伺いしたいのは、干潟というのは放っておいて自然にできるところにはできるんだけれども、つくってできるものではないという認識があるんですね。物理的に形状を保つ努力はされるのか。それからもう1つ、逆の方向でつくってはみたけれども、環境があまりよくなくて、二、三年したら生物が住まなくなってしまうというようなケースもままあるかと思うんですね。この辺をどういうふうに考えられるのか。物理的な保全と環境の保全が一緒にできなくて、ある意味ではトレードオフみたいなところがあると思うんですけれども、ここをどういうふうに考えられるのか。
 それから、そういうことを含めて、中村先生がいつもおっしゃっておられるのは"アダプティブ・マネジメント"ということだと思うんですが、それが事業として考えたときに今後どんなふうな展開があるのかということを教えていただければと思います。要するに、今まで事業というとつくってつくりっ放しというところがあったんですが、今のお話を伺って大変すばらしいなと思ったのはモニタリングを続けていらっしゃるということと、環境教育などの取り組みがあると。そういった過程で分かってきた知識の蓄積をもう一度そこの場に適用することが考えられるんでしょうか。その辺ぜひ教えてください。

○辻課長補佐(国土交通省環境整備計画室) どうもありがとうございます。
 今、幾つかご質問をいただきましたので、ちょっと整理させていただきますと、1つ目は、航路の浚渫土砂が必ずしもいいものではないと思うということだと思うんですが、ご指摘のとおりでございます。浚渫土砂が干潟をつくるに値する土砂なのかどうかということは、土質試験をいたしまして、その上で良好であれば干潟に使うということを進めています。ですから、必ずしもこの砂を全部干潟に使うわけではございません。
 それから、生物が住まない可能性、ご指摘のとおりで、私ども港湾局いたしましては、今で岸壁をつくるとか、あるいは、港湾を整備するというハードの面が非常に多うございましたけれども、この事業を進めましてから、生物とのかかわりが非常に大きいということを認識しております。ものをつくれば、必ずそこに住むというものでもないということは、繰り返し繰り返しやっていることでございまして、今後も研究所の皆さん、あるいは、学識経験の方々とも意見交換をしながら、どういう基準づくりをしていったらいいのか考えていきたいと思っています。
 これに関しては、昨年度、私どもで「海の自然再生ハンドブック」というものをまとめておりまして、一般にも販売させていただいております。この中で干潟をつくるための条件とか、計画づくりの話とか、今ご指摘のありましたようなモニタリングの話、こういった形でまとめております。
 それから、最後に出ましたアダプティブマネジメントの話ですけれども、順応的管理ということで、そういった体験談をまとめまして、それをマニュアルにしていこうではないかということを港湾局として取り組んでいるところでございます。
 モニタリングに関しましては、ものをつくるという観点からしますと、予算的には非常に厳しいところもございまして、なかなかできなかったというのが実情でございますが、今後そういうところにも目を向けて、予算をつけていきたいと思っております。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかに。
 じゃ、最後に。

○河村委員 先ほどご説明ありました干潟実験施設での水質浄化の実験というか、評価をやっておられないんでしょうか。

○辻課長補佐(国土交通省環境整備計画室) すみません、もう一回お願いします。

○河村委員 干潟実験施設をつくっておられるということですけれども、ここを使って水質浄化機能のようなことは評価しておられるのかどうかということなんですが。

○辻課長補佐(国土交通省環境整備計画室) じゃ、中村先生からお答えいただけますか。すみません(笑)。

○中村委員 私どもの研究機関でやっておりますので、私からお答えいたします。
 私どもの施設でも窒素やりんを中心として、施設の中で干潟がどれぐらいの浄化力を持っているかという評価をやっております。正確な数値は覚えておりませんが、例えば東京湾に残っております自然の干潟と比べて、窒素やりんと比較するとおおよそ半分程度の能力は室内でも発揮できているかなという数値にはなっております。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 まだあるかもしれませんが、よろしいですか。
 それでは、本当にありがとうございました。
 引き続きまして、同じく国土交通省都市・地域整備局下水道部の石井課長補佐から、「下水道部における汚濁負荷削減対策」についてご説明をお願いしたいと思います。

○石井課長補佐(国土交通省下水道部流域管理官付) ただいまご紹介いただきました国土交通省下水道部の石井と申します。よろしくお願いいたします。本日は、「下水道部における汚濁負荷削減対策」ということでご報告をさせていただきたいと思っております。
 まず最初に、現在の第5次総量規制期間中における下水道整備の実績についてまとめております。2ページのグラフは、全国と東京湾、伊勢湾、瀬戸内海という総量規制の地域ごとに、下水道処理人口普及率が、11年度末から最新のデータである15年度末までどのように推移してきたかというものをあらわしております。上から東京湾、瀬戸内海、全国、一番下が伊勢湾です。この数字自体は、厳密な意味での流域界で線を引いておりませんで、その流域に含まれる市町村の普及率の平均ということで数字を出しております。
 全国平均でみますと、11年度末から4年間で+7ポイントとなっております。総体的に普及が遅れております伊勢湾の流域においては+9ポイントということで、全国の平均を若干上回る普及がなされているという状況になっております。
 その次のページは、高度処理人口普及率をあらわしたものでございます。同じく11年度末から15年度末までの推移でございます。流域のとり方は処理人口普及率と全く同じでございますが、この高度処理というのは窒素、りん以外の、砂ろ過をつけただけのものも含めて、高度処理にカウントしております。上から瀬戸内海、伊勢湾、全国、東京湾ということですが、普及率と順番が逆転しておりまして、処理人口普及率では一番高い東京湾の流域では高度処理人口普及率は一番低くて、15年度末は8.5%。それから、総体的に普及が遅れております伊勢湾あるいは瀬戸内海では、高度処理の普及率は最も高くなっております。
 それから、4ページの表は東京湾、伊勢湾、それから、瀬戸内海ではなくて大阪湾です。左側が下水道の処理人口普及率の将来目標と15年度末現在の数値で、右側が窒素、りん対応の高度処理人口普及率の将来目標と15年度末現在の数値でございます。
 東京湾については、処理人口普及率では、将来的には95%の目標、それに対して15年度末現在は87.6%で、かなり目標に近づいている一方で、高度処理人口普及率については、92.8%の目標を掲げておりますが、そのうち窒素、りん対応ができている処理人口普及率はわずか3.6%にとどまっているということで、人口普及率と高度処理の普及率の格差が非常に大きいという状況になっております。東京湾が最も顕著でございますが、3つの流域それぞれ傾向は同様でございまして、今後は量から質へということで、高度処理の推進が下水道行政の一つの大きな課題であろうと思っております。
 続きまして、5ページからは、合流式下水道を改善するための現在までに行ってきました国土交通省の取り組みを中心にご紹介したいと思っております。
 合流式下水道と分流式下水道ということで、6ページに絵を載せております。ご案内かと思いますが、左側が合流式下水道を表しております。ちょっと分かりにくい絵なのですが、ふだんは汚水が合流式下水道の管渠を通って全量、下水処理場へ送られていく。雨が降ると同じ下水管に雨水も入ってきて、量が多くなってきまして、管の能力を超える分が未処理で公共用の水系へ出ていく。施工が容易であるとか、管を二重に入れなくて済むので、結果として安価で済むということで、昭和30年代あるいは40年代までの下水道で積極的に整備されてきたものでございます。
 右側は、40年代以降、整備された分流式下水道というもので、汚水と雨水を系統を完全に分けていると。すなわち汚水は晴天時はもとより、降雨時でもすべて下水処理場へいく。雨水は、降雨があれば公共用水域へ行くということでございます。現在、整備されております下水道はすべて分流式下水道で整備しております。
 7ページの地図に落としておりますのは、日本全国の都市のうち合流式下水道を採用している都市でございます。色の違いは、凡例に書いておりますように、合流式下水道が整備された年代でございまして、緑が昭和19年代までに整備されたもの、赤が20年代、青が30年代、黒が40年代、黄色は50年代、これはわずかでございますが、こういったことになっております。左上の表は東京湾、伊勢湾、瀬戸内海それぞれの流域ごとにその中の市町村数に対する合流式下水道を採用している都市の割合で、東京湾が最も高密度でございまして、25%になっております。絵の上からも合流式下水道がかなり高密度で配置されていることがお分かりになるかと思います。
 8ページに移りまして、合流式下水道の現状と課題をまとめております。数値的なもので言いますと、現在、合流式下水道は全国で191の都市で採用されておりまして、これは下水道を実施しております2,200強の都市のうち約1割に該当いたします。それから、下水道の処理区域面積のうち2割に相当する面積が合流式下水道のエリアであると。それから、人口普及率ベースでいきますと約3割が合流式下水道のエリアに住んでいる人口の割合。1、2、3、こういう指標です。
 何が問題かと言いますと、東京都23区の地図が右下にございますが、東京の西部に流れている主な河川、上から新河岸川、石神井川、神田川の支川である妙正寺川、善福寺川、神田川、すべて河川に沿って茶色の丸がついておりますが、これは合流式下水道の雨天時の吐口、未処理下水の吐口の位置を落としたものでありまして、河川全川にわたってびっしりと吐口があるという状況でございます。吐口というのは、左に写真がございますが、雨天時に未処理の下水がそのまま川へ吐き出されているというものでございます。
 それから、緑色で表しておりますのは、自然に吐き出されるものではなくて、荒川沿いの低地の部分ではポンプで強制的に出すというものもありますが、いずれにしても全川にわたってびっしりと吐口がありまして、ここから未処理の汚水は雨天時に出ていくという状況にあると。これはお台場のデータでございますが、結果として降雨時において大腸菌群数がはね上がっているというデータもございます。公衆衛生上極めて問題であるということでございます。
 9ページに移りまして、合流式下水道の改善について国土交通省としてどういう方向でやっていくかということでございますが、昨年の10月に社会資本整備重点計画を閣議決定いたしております。その中で事業分野別の取組みとして幾つかございますが、特に重要な項目として赤で書いておりますけれども、「排出される汚濁負荷量を分流式下水道と同程度以下に削減することを当面の目標として、合流式下水道の緊急改善を推進する」ということを明確にしております。
 その数字的な目標としては、その下に事業の概要と書いておりますが、合流式下水道改善率を14年度末の15%から、この重点計画目標年度である19年度末において40%に引き上げると。ここでいう合流式下水道の改善率というのは、合流式下水道で整備されている区域のうち、雨天時に公共用水域に放流される汚濁負荷量が、分流式下水道並み以下にまで改善されている区域の面積の割合というふうに定義をしておりまして、これを40%にまで引き上げることを目標に今後5年間取り組んでいくこととしております。
 それから、10ページでございます。重点計画で掲げた目標を具体的にやっていくために、昨年9月、下水道法施行令の一部を改正する政令ということで、施行令の改正を行っております。これは合流式下水道の改善をひとつの柱にしておりまして、大きく2つほど位置付けたということでございます。1つは、構造基準の位置付けでございまして、雨水吐からの越流水量を減少させるように適切な高さの堰を設置する。それから、雨水吐からの夾雑物の流出を最小限度のものとするよう、スクリーンの設置等の措置を講ずること。2つ目には、雨天時の放流水質基準を定めております。BODで40㎎/L以下、暫定基準では70㎎/Lということでございます。
 その具体のイメージが11ページに出ております。左側の図は雨水吐の構造基準ということで、雨水吐の構造がありまして、堰の方で仕切っておりまして、晴天時は水量が少ないものですから、全量、処理場へいくと。雨が降ってきて水量が増してくると、この堰をオーバーフローしまして、吐口から公共用水域へ出ていくという構造になっております。この堰の高さが低いと越流回数が多くなるということで、公共水域の汚濁負荷量も増えるということでございますので、処理場へいく管渠の能力の増強とセットではございますが、この堰の高さを適切に設定することによって、分流式並み以下の公共水域への負荷に抑えようというのが構造基準の考え方でございます。
 一方、放流水質の基準というのは、各雨水吐の吐口と、下水処理場からの放流水について、少なくとも年1回以上、降雨時においてBODと放流水量をすべて測定することを義務付けております。測定したデータをもとに、各吐口と下水処理場からの放流量の合計を分母に、各吐口と下水処理場からの汚濁負荷量の合計を分子にして得られた数字が40㎎/L以下にすると、これを雨天時の放流水の水質基準としております。
 ただし、構造基準についてはその適用は10年後、すなわち平成26年4月からとしております。水質基準については10年経過、すなわち26年4月までの間は暫定基準である70㎎/Lが適用されるということでございます。基本的には10年間の経過措置がございますが、下の※に書いてありますように、公共下水道の処理区域面積が非常に大きい、基準では1,500ヘクタール以上、あるいは、流域下水道に接続している関連公共下水道にあっては5,000ヘクタール以上の場合は緩和措置ということで、20年後から適用することとしております。
 12ページに移りまして、施行令における合流式下水道の改善の義務付けを支援するというか、それに関連する施策ということで3つほど取り組んでおります。1つは、合流式下水道改善計画策定のためのモニタリングマニュアルを15年度に用意しました。それから、その改善対策の指針と解説を14年度に用意しております。
 それから、事業面で後押しをするということで、合流式下水道緊急改善事業を平成14年度に創設しております。今年度、平成16年度においては、一部、この事業を拡充いたしまして、雨天時の放流水量を減少させることで効果のある浸透施設を補助対象に加えるという拡充をしておりますし、17年度においても一部拡充しようということで、現在検討中でございます。
 3点目が、技術開発面での支援ということで、下水道技術開発プロジェクトSPRIT21ということで、14年度から合流式下水道の改善に資する民間の技術開発を積極的に支援するという取組みをいたしております。
 13ページは、合流式下水道の改善方策のイメージ図です。右側の図をごらんいただきたいと思いますが、合流式下水道の改善策としては大きく3つございます。1つは、雨水滞水池をつくることによって、一時、汚水も含めて雨水を貯留いたしまして、公共用水域へ出ていく雨水量を減らしてやるということ。2点目が、下水処理場へ送るための下水管の能力を増強すること。3点目は、吐口に例えばオイルフェンスを張るとか、こういったことで夾雑物、大きなものが出ていかないように捕捉してやる。こういった取組みが考えられるということで、こういった対策を費用対効果を勘案しながら適切に組み合わせてやっていくというのが、合流式下水道の改善方策ということでございます。
 以上が、合流式下水道の改善についてでございまして、14ページ以降は、今後、下水道部としてやっていきたいと考えている取組みのご紹介ということになります。先ほど、下水道整備の実態をご紹介いたしまして、今後、特に総量規制地域において高度処理を積極的に進めていく必要があるということを申し上げましたが、それを具体的にやっていく手段を考えていきたいというものでございます。
 15ページでは、流域別下水道整備総合計画、我々は「流総計画」と略して呼んでおりますが、この流総計画を紹介させていただきます。流総計画と言いますのは、公共用の水域ごとに定められる下水道の基本計画でございまして、環境基準を達成するために必要な下水道の整備の概要を定めます。その眼目は処理区域の設定と処理場の配置、処理場の構造と能力、こういったものを定めることになっております。対象となる水域が総量規制地域のような窒素、りんの環境基準が設定されている水域であれば、下水処理場において窒素、りんを除去するための高度処理がこの計画に位置付けられ、この流総計画に基づいた下水道の整備が行われることになっております。
 しかしながら、現行の流総計画には問題があるということでございます。すなわち、下水道の事業実施主体は基本的には市町村でございますが、高度処理を市町村がやっても受益はその市町村だけにとどまらずに広く流域全体に及ぶと。例えば東京湾であれば東京湾に効果があると、上流の埼玉県内の市町村には目に見える効果はあまりないということでございます。一方で、費用は整備する市町村が負担するというのが原則になっております。したがいまして、高度処理の実施についてはなかなかインセンティブが働かない。そこで、流総計画を定めるにあたってだれが高度処理をやるのかということで自治体間で利害が対立するという問題がありまして、結果としては現行では、これが一概に悪いとは言えないんですが、処理場の規模あるいは現在採用している処理方式といった個別の事情とは無関係に、一律に計画処理レベル、計画処理水質が設定されて計画が立てられている。
 これは大阪府が平成12年に策定されました「大阪湾流総計画」の例でございますが、流域内の処理場の放流水質、BODが5、CODが11、窒素6.7、りん0.49ということで、すべて一律に設定して計画を立てている。これは大阪湾に限ったことではありませんで、東京湾しかりでございます。こういったことで計画が立てられる場合が多いということでございますが、結果として、経済合理性の高い計画となりにくいということになっております。
 それでは、現在、我々を取り巻いております周辺状況について、17ページ、18ページにまとめております。1つは、平成14年に地方分権改革推進会議から「事務・事業の在り方に関する意見」ということで、公共事業の分野ごとにいろいろな指摘がございましたが、その中で、下水道については費用負担の在り方ということで、流域単位で効率的に水質環境基準等の目標を達成するため排出者責任と受益の帰着の観点から、流域全体の費用負担について検討するようにという指摘をいただいているということでございます。
 2点目は、18ページにありますけれども、平成13年12月に「都市再生プロジェクト第三次決定」という都市再生本部の決定がありまして、その中で水質汚濁が慢性化している大都市圏の「海」の再生、まさに水濁法の総量規制地域でいう三大湾が対象地域になろうかと思いますが、大都市圏の海の再生が位置付けられております。この決定を受けて、15年3月に「東京湾再生のための行動計画」が、16年3月には「大阪湾再生行動計画」が、環境省さんも含めました関係省庁と関係都府県でつくる推進会議で策定されております。
 この東京湾、大阪湾いずれの計画においても、閉鎖性水域を対象として、効率的に環境基準等の目標を達成するため、新たに経済的手法の適用を含む流域全体の費用負担の方法について検討するということが掲げられております。先ほどご紹介しましたように、一律でやっていくのもいいんだけれども、より効率的にやっていけるような方法も検討してはどうかというのが我々の周辺状況となっております。
 19ページからが、現在、我々が検討しております新たな高度処理を推進するための手法の概要でございます。これは概要図ということで、湾の流域にあるAとBという下水道管理者が下水道を整備する場合を考えております。真ん中の上のグラフは、縦軸が放流水質、濃度をあらわしておりまして、横軸は放流水量をあらわしておりますが、青の面積と赤の面積が、A市、B市それぞれの下水道からの汚濁負荷量をあらわすことになろうかと思います。真ん中の絵の上が現況の各処理場の放流水質です。
 流総計画で設定された処理水質を満足できるような施設整備をA市、B市それぞれが行っていくというのが従来の手法でございました。今回、我々が検討しておりますのは、排出枠取引のようなものでございますが、仮にA市が効率の悪い処理場としますと、こちらでは高度処理をやめる。A市の高度処理で削減すべき汚濁負荷量をB市が肩代わりをする。A市は現状の処理水質のまま、B市でこの汚濁負荷量に相当する汚濁負荷削減をやってあげる。そのかわりA市は相応の費用負担をする、こういった手法を導入したいと考えております。
 その効果でございますけれども、1つはミクロの効果ということでございます。匿名で申しわけありませんが、これは現在事業を実施中の下水道の計画に即して効果を算定したものでございまして、制度化されればこの制度を適用したいという意向が地元にあるという前提での試算でございます。上流側のAはBより規模の小さい処理場で、Aの方では現在の流総計画では窒素が6.6、りんが0.5になるような計画処理水質が設定されていると。それを達成するための処理方式としては、凝集剤及び有機物添加循環式硝化脱窒法プラス急速ろ過法を計画でやることにしていると。
 それを、この計画をやらずに凝集剤添加標準活性汚泥法にとどめる、すなわち窒素は15、りんは1にとどめると。その分をB処理場にやってもらう。Bの方は6.6、0.5でよかったものを、3.9、0.35というレベルまでレベルアップし、処理方式もそれを達成できるものに変えるということでございます。当然、Aが応分の負担をBにしてやるという前提で、建設費だけでございますが、約30%の削減が見込まれるという試算結果を得ております。
 最後ですが、こちらがマクロと言いますか、流域全体でどれだけの効果があるというイメージでございます。平成14年度、15年度に下水道事業における排出枠取引制度に関する調査検討委員会を下水道部で設置し、京都大学の植田先生に委員長を務めていただきましたが、この検討委員会の検討過程で、費用関数を用いて流域全体としてコストが最小となるようなモデルをシミュレーションをしております。
 検討対象は東京湾でございまして、左側の図に黄色の○がございますが、この○の大きさが計画上の処理水量の大きさをあらわしています。すべて黄色になっておりますが、一律の計画処理水質をあらわしています。各処理場間で排出枠取引を流域の中でやると。その結果、青のところ、赤のところ、ピンクのところが出てくる。黄色のところは流総どおりの処理をする、青のところは流総以上の高度な処理をする、赤はレベルを落とす、ピンクは高度処理をやらない、こういうのが最も経済的な負荷量の配分と言いますか、処理水質の配分になるという結果を得ました。
 その結果、下の表にありますように、流域全体としての維持管理費を含む高度処理費用は、最大3割の削減効果が見込まれる。さらに、処理場ごとの費用も、現行制度よりも、今我々が考えておりますような制度の方がバラツキが小さくなる。すなわち費用の負担も均等化されるといった結果を得ておりまして、経済合理性に基づく下水道事業、高度処理の整備が進むのではないかと考えております。
 報告は以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等ございましたら、お願いいたします。
 はい、どうぞ。

○松田委員 初めの普及率のご説明のところで、下水処理人口普及率と高度処理人口普及率の順番が逆転するという現象は、古い施設では高度処理していなくて、新しく進めるところでは高度処理の施設をつくっていると、そういうことによるものですか。

○石井課長補佐(国土交通省下水道部流域管理官付) そういう傾向があるということでございます。

○松田委員 そうすると、先ほどお話されましたように、現実には費用負担の不公平感があるんだけれども、それはそのまま進めていって、今の調整手法と言いますか、排出枠取引のような形で調整すると、そういう理解でよろしいでしょうか。

○石井課長補佐(国土交通省下水道部流域管理官付) そういう手法も使いながら、高度処理を全体として進めていきたいということでございます。

○松田委員 ありがとうございます。
 それから、少し細かいことになりますが、3ページ目の高度処理というのはNP対応以外のものも含んでいるわけですけれども、このうちNP対応部分というのは、次のページの表で見ればいいということですか。例えば伊勢湾ですと、NP以外のものも含めて22.2%ですけれども、そのうち、4ページにいって、17.3%がNPを除去していると、そういう形ですか。

○石井課長補佐(国土交通省下水道部流域管理官付) おっしゃるとおりです。瀬戸内海だけはちょっと。大阪湾ということで……。

○松田委員 ありがとうございました。

○岡田委員長 ほかにございますでしょうか。
 はい、どうぞ。

○河村委員 一番最後のお話のところで、例えば東京湾とかの閉鎖性水域に対する効果として、こういうアロケができるのかもしれませんけれども、各公共下水道からの放流先の身近な河川環境等についてはどういうことになるのかというのが1点。それから、合流式の改善のお話の中で、私の思い違いでなければ、雨天時に処理場で簡易処理をして流す分がございますよね、一次処理と言いますか、沈殿処理して消毒するというような。そういう部分についての改善のお考えというのは何かあるのかどうか。その2点をお聞きしたいんですが。

○石井課長補佐(国土交通省下水道部流域管理官付) まず1点目でございますが、詳細な制度設計はこれからでございますけれども、我々として考えておりますのは、あくまで負荷量の調整と言いますか、取引の対象を窒素、りんに限定すると。すなわちBODについては計画どおりやってもらうことをもって、身近な河川と言いますか、湾に流入する河川の水環境の確保というのは担保できるのではないかと。そういう意味では、窒素、りんはとれないけれども、砂ろ過は必要になるとか、そういうことはあるんですが、そういうことをもって河川の環境の担保はできるのではないかと考えております。

○榊原下水道技術開発官(国土交通省下水道部) 11ページをお開きいただきたいと思います。先ほど石井からご説明しましたように、右側のグラフは雨水吐口と下水処理場とをあわせた負荷量で40㎎/Lを守るようにということで考えておりますので、今、ご指摘ありました簡易処理水に対してもこういう中で必要に応じて施策を講じていくということで考えたいと思っております。

○岡田委員長 時間が押していますが、最後に、どうぞ。

○齋藤委員 越流水についての窒素の負荷については、どのぐらいの量というような試算はお持ちなんですか。

○石井課長補佐(国土交通省下水道部流域管理官付) 合流式下水道ということですか。

○齋藤委員 ええ。

○榊原下水道技術開発官(国土交通省下水道部) 試算はいろいろしておりますけれども、何分にも実測データが少のうございまして、今それを鋭意集めているところでございます。決定版と言いますか、確たるものはなかなか出ないんですが、今、それを少しずつやっておりますので、時間が間に合えば次回あるいは次々回のこの委員会の場で、環境省さんになるかもしれませんけれども、お示しさせていただければと思っております。

○岡田委員長 ありがとうございました。ぜひ可能な限りでお願いいたしたいと思います。
 ほかにございますか。
 じゃ、どうぞ。

○高橋委員 一言だけ。汚濁負荷量の調整に関してですが、今、流総指針で一律に決められているということでございましたけれども、負荷量の削減の見直しがありますと、新設の方がかなりきつくなるという問題があります。下水道の場合は新設の処理場というのは、小さい処理場で負荷削減の効率が悪いものがございますので、処理場間での負荷量の配分ができるようになると、新設処理場の負荷量の削減分を大きいところで持つこともできるのではないかと思いますので、そのことをひとつつけ加えておきます。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 それでは、ちょっと時間もオーバーしておりますので、以上にさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
 続きまして、産業系の汚濁負荷削減対策に進みたいと思います。事務局であります環境省と、経団連で調整を行っていただきました。その結果、経団連、日本製紙連合会、化学工業協会及び日本鉄鋼連盟の方々から、「産業界における主な汚濁負荷削減対策の概要」ということでご説明をいただけることになりました。ありがとうございます。
 なお、産業系の汚濁負荷削減対策に関連いたしましては、経団連より総量規制制度に対するご要望があるということでございますので、それも含めてお話を伺いたいと思います。
 それでは、早速、経団連の環境安全委員会環境リスク対策部環境管理ワーキンググループの奥村座長さんからご説明をいただきたいと思います。
 時間が15分ということで、比較的短くて。

○奥村(経団連環境管理WG座長) 15分ですか。

○岡田委員長 大変恐縮でございますけれども……。

○奥村(経団連環境管理WG座長) 本日は私どものために時間をいただきましてまことにありがとうございます。感謝申し上げます。私、日本経団連におきまして環境管理ワーキンググループの座長をやっております奥村彰と申します。ちなみに本籍地は住友化学です。

○大澤(日本製紙連合会水質対策小委員会委員長) 製紙連合会の環境関係水質小委員会の委員長をやっております大澤と申します。所属は王子製紙でございます。

○石崎(日本化学工業協会環境安全部兼化学品管理部長) 日本化学工業協会の事務局をやっております石崎でございます。

○正保(日本鉄鋼連盟土壌・水質分科会主査) 鉄鋼連盟の土壌・水質分科会の主査をやっております、住友金属の正保と申します。

○奥村(経団連環境管理WG座長) よろしくお願いいたします。
 早速でございますが、資料7の1ページに産業界の現状をまとめてあります。まず、紙・パルプでございますが、CODの排出状況、これは環境省さんのデータから引用しておりますが、昭和54年から平成11年にかけて着実に努力を積み重ねてきて、6割程度にまで減ったかなという感じがいたしております。それから、発生源対策としましては、パルプの製造中止とか、酸素漂白導入、排水のクローズド化、こういった対策をしまして、系外処理といたしましては、凝集沈殿、活性汚泥。それから、窒素、りんにつきましては、お話を聞いたところ、排水処理のための活性汚泥の栄養源として計算された量を投入していると。その中で消化されない部分が出ていくと。つらいところだなと聞いております。
 続きまして、化学ですが、さすが化学産業ということでありまして、昭和54年に比べて6割程度にまで減ったかなと思っておりますけれども、処理方法は若干複雑なようです。これは後ほど説明がありますけれども、排水クローズド化あるいは環境負荷の少ない工程への改善。それから、系外処理につきましては、活性汚泥、凝集沈殿、その他ございます。それから、窒素、りんですが、本質的に窒素、りんは元素がございますので、なくなることはありません。したがいまして、回収して再利用するか、捨てるか。窒素の場合は、窒素ガスで排出という手がございますが、そのためにここに書いてございますようないろいろな工夫をやっております。
 次に、鉄鋼さんですが、同じくトータルとしては6割程度にまで下がっているかなという感じがします。それから、発生源の対策としましては、排水のクローズド化。系外処理が凝集沈殿、活性汚泥。りんの現状はこのとおりでございまして、窒素については、廃酸の回収とか蒸気ストリッピングという処理をなさっております。
 続きまして、それぞれの方から。大澤さんからお願いいたします。

○大澤(日本製紙連合会水質対策小委員会委員長) それでは、製紙連合会の大澤から、紙・パルプ産業について若干補足説明をさせていただきます。
 次の(別紙1)をごらんいただきたいと思います。紙・パルプ産業では特にCOD発生が問題と考えております。窒素、りんは、先ほどご説明がありましたように、これ以上排出を削減するのは難しい状況にございます。
 1番のCOD、窒素、りんの排出と対策の状況。CODの削減状況については、先ほど説明がありましたように、昭和54年に比べて大体36%削減、現在ポイントで64ぐらいとなっております。主な削減対策につきましては、後ほど次のページのフローでさらに補足説明させていただきますが、全体で説明しますと、まず発生源対策と系外処理をやっております。発生源対策としましては、まず第一にパルプ製造中止。
 パルプは木材からパルプを製造して紙をつくるわけですが、パルプの製造法には伝統的にいろいろな種類がございました。ただ、パルプ製造の工程からCOD負荷が出やすい、回収しにくいプロセス、例えばサルファイトパルプとかセミケミカルパルプ、その他のパルプ化法は既になくなっておりまして、現在、クラフトパルプ、いわゆるKPと呼んでいるパルプだけが残っております。
 それから、極端な場合として、適応できない場合は工場閉鎖ということもやっております。
 製造工程で大きい負荷があったのがパルプの着色物質をとる漂白工程でございますが、漂白工程では酸素漂白を導入することによってCODの回収率向上、漂白工程のCOD発生負荷の減少をやっております。また、特に漂白工程の水回りをクローズド化して排水量を減らすことでCODの回収率向上をやっております。また、系外処理では、無機系あるいは固形分、SS系のものは凝集沈殿で除去して、溶解しているCOD成分は活性汚泥で除去する。現在の主流は酸素ばっ気の活性汚泥が普及しております。
 次のページのフローで補足説明をさせていただきます。これは紙・パルプ製造の代表的なフローを書いてございます。左上のコーナーが紙の原料であるパルプをつくる工程、右側ができ上がったパルプに対して紙の強度を増すための薬品とか印刷適性をよくするための無機成分、クレー、カオリンといったたぐいのものを入れて抄紙という工程がかいてあります。
 下にはそれぞれから出てきた排水処理工程が描いてあります。基本的にはパルプ製造工程から出てくるCOD負荷が非常に高い、COD濃度が高いということで、この排水は活性汚泥処理した後、クラリファイアーで沈殿物をとって流す。抄紙工程の排水はCOD負荷が低いということがございまして、活性汚泥を通さずに排水のクラリファイアーで沈殿物をとって放流するといった工程をとっております。
 COD負荷の大きいパルプ化工程ですが、パルプの中では化学パルプ、機械パルプ、古紙パルプというのが主流になっております。全体で言います、古紙パルプが紙の原料の60%、残りの化学パルプ、機械パルプ、これは木材からつくるんですが、40%を占めております。そのうちの8割、9割が化学パルプ、クラフトパルプになります。
 クラフトパルプの特徴といたしましては、左端にチップと書いてありますが、これが木材の原料でして、これが、右にいって蒸解釜で苛性ソーダ等と煮ることによって、木材の1/2、50%がパルプという繊維成分で紙の原料になります。残りの50%はリグニンと若干のヘミセルロースという成分でして、これは蒸解廃液として出ますが、全量回収して、バイオマスエネルギーとして利用しております。ですから、ここからはほとんどCOD負荷が出ることはありません。
 したがって、その後ろの漂白工程で排出負荷が出ます。この晒工程と言いますのは、昭和59年時代は塩素ガス、次亜塩素酸ソーダ、二酸化塩素、それから、アルカリを使って漂白するという方法がとられていましたが、これは排水負荷が大きいということで、現在はまず酸素晒という設備が導入されております。この酸素晒をやることによって、酸素晒の工程の汚濁負荷は、洗浄水として利用し、蒸解釜廃液の燃焼の方へ持っていくことで、排出量が極めて減りました。
 次の晒装置では、水回し、排水のクローズド化ということで、排水量を減らしたのが1つの効果です。それから、CODを削減するという目的とはちょっと違いますが、最近、ECFという塩素ガスを使わない漂白法が導入されて、2005年にはすべてのKP工場で採用されることになっております。これによりまして、漂白工程からの排水や大気系へのダイオキシンあるいはクロロフォルムの放出がかなり激減されたということが言えます。そういったような投資が行われています。
 機械パルプ製造では、木材の熱水抽出分と言いますか、水に溶けるような少量の成分だけが排水に回ります。
 古紙パルプ製造工程からは、回収された紙の80~90%はさらに紙になるんですが、10~20%は汚泥成分、インキ成分といった不純物として系内に出されます。
 そういったものが排水処理に回るわけですが、排水処理は、先ほど申しましたように酸素ばっ気の活性汚泥処理が中心で、普通は活性汚泥処理の前に凝集沈殿槽がひとつ入ります。活性汚泥処理が終わった後にも凝集沈殿槽、クラリファイアーが入って放流されるということになります。
 投資額のことを言うのも何ですが、25年間、閉鎖性水域に三十数事業所がございますけれども、投資額の小さい工場で一工場数十億、大きい工場では三百億超という設備投資をやっております。3海域あわせて全工場まとめますと大体一千億、それから、昭和54年以前に紙・パ産業は公害産業ということで騒がれ、ご迷惑をかけましたが、そのころの設備投資を入れるとかなりの投資をしていますし、現在も排水処理のために一工場数億単位のランニングコストで運転しているという状況でございます。
 ちょっと長くなりましたが、以上です。

○石崎(日本化学工業協会環境安全部兼化学品管理部長) それでは、化学についてご説明申し上げます。
 いろいろな工程がございますので、一概には言えませんけれども、先ほど奥村座長からお話がありましたように、化学産業というのはいろいろな負荷を出すことは否めません。基本的な対策というのは、できるだけ排水を出さないということと、20年間で同じものをつくりながら工程を変えるということをかなりの事業がやっております。この部分でまず根っこをたたかないといけないということで、この20年でかなりの産業が変わっております。
 もう1つは、系外処理の部分で、1段目、2段目と書いてありますが、各々の工程でどのぐらいの水質に対して見合うのかというのが、ものによって全部変わってまいります。水処理でいう活性汚泥とか凝集沈殿というのは2桁のオーダーでCOD処理ができる。それから、加圧浮上になりますと2桁から3桁、湿式酸化、液中燃焼になりますと3桁から4桁のような、非常に濃いものを集中的に処理するという格好になります。2段目になりますと、いろいろな形になりまして、活性炭処理になると活性汚泥のさらに高度化へいくと、オゾン酸化もそういうことでございますので、ここはちょっと性質が違う。いずれにせよ系外処理の中でもそう簡単ではないということでございます。
 化学産業は途中でいろいろ業態の変遷がございまして、日本化学工業協会としてのデータは集計しておりませんでした。石油化学工業協会は昭和52年から平成4年頃までの間化学業界として唯一集計をしてまいりました。その関係の推計から見る限り、現在までにほぼ2,000億円。これは小さいものも含めて石油化学全体の半分を占めますので、水回りだけで累計で4,000億円の設備投資をやっている。ただ、これは水の処理のためにやっているわけでありまして、工程内改善の部分は入っておりません。工程を改善しないと水側も改善できないということでございますので、これにかなりの経費がかかるというのが水処理の形態であります。それから、年間の経費が大体150倍、これも水回りだけの経費です。このぐらいの金額をかけて水処理をやっているというのがCOD対策の現状でございます。
 2番目、窒素でございますが、窒素源には2つございまして、1つはアンモニア態窒素、もう1つが硝酸態の窒素でございます。濃いものは発生源対策としてストリッピングする、回収するということができますが、これはあくまで濃いという場合の例外的な部分です。そうでなくて、薄くなってくると系外処理で脱窒、好気(硝化)活性汚泥、さらに濃くなってくる、これも3桁、4桁ですが、ここになると液中燃焼します。窒素が入ったものをそのまま燃やしてしまうということであります。当然ストリップもやります。
 ただ、ここは非常に難しゅうございまして、現在、この削減に苦慮している業種がございます。この部分はあとの表でご説明いたしますので、ここではさらっとお話いたしますが、アンモニア対策の部分で、フリーのアンモニアであればストリップしたアンモニア回収ができます。ただし、化合物の形になるとそうはいかない。どうしても化合物の形態をとっておりますから分解できない。最悪の場合はここが液中燃焼という強烈なお金をかける部分になります。
 もう1つが硝酸態であります。これは後ほど表でご説明しますが、硝酸を使う産業が非常に多うございます。1つは肥料ですが、1つは金属であります。金属の精製は、現在はほとんどの部分、少量ではありますが、電気・電子部品用の金属をつくる。半導体及びIT産業のための部分であります。これが硝酸でないと金属の精製ができませんので、この産業の関係は硝酸態の排水が出るわけです。濃くなければ溶けないわけだし、効果がない。この排水で非常に高濃度である。敷地もないので、生物処理しようとすると、50倍程度に薄めなければいけない。50倍というのは敷地を2倍にしなければいけないというようなことになって、この業種は専業業種でありますので、非常に難しい部分があります。
 りんにつきましては、基本的には肥料関係、あとは水処理薬剤とかいろいろなものがありますけれども、基本的に肥料ですから、ここは回収強化という形でやっていける部分です。
 ちょっと時間も押しておりますので、次のページの表の見方だけご説明します。この表は通常の総量規制を左から右にずうっとならっておりますが、この表の特徴は左から3番目の対象物質の区分のCOD、窒素、りんに○印がついています。この○印は特別業種としてとられた業種でございまして、窒素のところに○印がついている部分、例えば108をごらんいただきますと、中段に6つの金属関係の業種がございます。これのCnoとCniの上限、下限を見てみますと、上限は3桁から4桁に張りついているというのがごらんいただけると思います。こういうところが困っていると、こういうふうにごらんいただくために4表をつけておりますので、あとは個別にごらんいただきたいと思います。
 以上でご説明を終わります。

○正保(日本鉄鋼連盟土壌・水質分科会主査) 続きまして、鉄鋼業の取組みを説明させていただきます。最後のページの左肩に(ヒアリング資料)と書いてある資料をお開けください。
 鉄鋼業と申しますのは、高温の融体あるいは固体、あるいはガス体をハンドリングいたします関係上、冷却水も、間接冷却、直接冷却を使用いたしますし、ガスの処理水も使います。さらには、洗浄のところでも水を使用しております。特に鉄鋼業で、今回の閉鎖性水域の総量規制に関連いたしますCODと窒素に影響を及ぼす主な対応策ということで、下にまとめております。
 左側には簡単なプロセスのフローをかいてございます。コークス工場でコークスを製造するときに発生するガスを冷却して、その中に含まれている留分を安水というところにトラップいたしまして、それを精製するわけですが、安水の中にはアンモニアあるいはフェノール、シアン等が含まれておりまして、これを活性汚泥という処理設備を用いて処理しております。ただ、このような設備はコークス炉をつくると同時に建設しております関係上、昭和50年以前にほぼすべてのコークス炉を持っている製造所で導入されている設備でございます。
 そのほか、代表的な対策を右側に記載してございますが、○が窒素対策、●がCOD対策で、用水のカスケード使用あるいは安水のオゾン処理、活性炭吸着等を導入しております。それから、窒素でございますけれども、ステンレス鋼板を、表面を精製するために酸で洗浄いたします。この下の四角で囲んであるところの真ん中あたりに硝酸+弗酸と書いてございますけれども、弗硝酸というもので酸洗いたします。この弗硝酸をそのまま放流するわけにまいりませんので、廃酸回収というところで回収いたします。この処理で、右側にございますようにイオン交換樹脂あるいは膜を利用したものも導入して、排水処理を行っているところもあります。
 今申しましたのはCODあるいは窒素の対策でございますけれども、このほかに高効率な凝集剤の選定とか、最適操業条件化、あるいは、燐酸系の防食剤、分散剤の変更というようなソフト対策についても対応を実施しております。
 処理コストでございますが、先ほど申しましたように、設備投資は昭和50年前後にほぼ完了しております、直近でも対応しておりますので、大きなものはないんですけれども、直近のランニングコストとして、ある会社さんの報告値を参考にさせていただきますと、1社当たり年間100億程度という試算結果がございます。ですから、鉄鋼全体では数百億の処理コストがかかっているのではないかと考えております。
 鉄鋼関係は以上です。

○奥村(経団連環境管理WG座長) どうもありがとうございます。
 委員長、限られた時間の中で私ども産業界の今までの対策や現状をご説明するのは非常に苦労するんですけれども、ひとつご提案させていただきたいのは、私どもは喜んで協力させていただきますので、ぜひともこの専門委員会の先生方に我々の工場、施設を見学していただくということを考慮あるいはご討議願いたいと思っております。3業種とも喜んでご協力させていただきます。

○岡田委員長 ありがとうございます。

○奥村(経団連環境管理WG座長) それから、時間を15分とおっしゃいましたけれども、20分たってしまいましたので、委員長にご協力して簡潔にいたしますが、「要望」の裏の「記」というところに言いたいことが尽きているんですが、今までいろいろ対策を打ってきた、コスト的にそろそろ限界にきているということで、単純に今までの規制を続けると言いますか強化するというパターンでいっても、いつまでたっても環境基準の達成率は未達、改善されないということで、7次、8次、9次と幾らでも続くのではないかと。それはコスト的に耐えられないと。それから、第5次からの取組みである窒素、りんは、削減された実績をもとに評価して、次なる対策をすべきではなかろうかということを言っております。
 2.としましては、海域ごとに、この海域はどうあるべきかといったビジョンが必要なのではなかろうかと。その辺もこの専門委員会の先生方でご討議願えたらと希望している次第です。
 それから、4.は、先ほど限界にきていると申しましたが、例えばコストも非常に高くつくイオン交換とか膜処理とか、いろいろなことが技術的には可能なのですが、コスト的にとてもやっていけないという状況ですので、合理的な新しい方法が開発できたらいいなと考えている次第です。
 以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 最後のところは本当はもう少し時間をかけてお聞きしたかったところもあるんですが、それは質問、討議を通じてお願いしたいと思います。
 それでは、ただいまさまざまなご説明をいただきましたが、それに関しましてご質問、ご意見等がございましたら、お願いいたしたいと思います。
 どうぞ。

○平沢委員 COD成分に関して、化学産業とかパルプ、鉄、いずれにしてもそうなんだと思うんですけれども、凝沈とか活性汚泥は十分やっていてCODは取りきれない、残っていると。パルプだったらリグニンとかセルロースですね。そういうものの合理的な除去技術が、ここにありましたけれども、あるのかどうか、あると思っているかどうかということが1つ。
 もう1つは、そういう成分が富栄養化に寄与しているのかどうか、そういう疑問はお持ちなのかどうかということなんです。普通の分解性のCODはそうなんですけれども、そうじゃない分については富栄養化に関与しているのだろうか。私はいつも疑問に思っているんですけれども、その辺いかがお考えでしょうか。

○大澤(日本製紙連合会水質対策小委員会委員長) では、製紙の方から大澤が答えさせていただきます。
 最初のCODを減らす方法はないかということですが、現在、活性汚泥、凝沈という形では目いっぱいやっていると思います。これ以上の処理をする場合、活性炭吸着あるいは膜ろ過というのが考えられますが、コスト的に考えられない。と言いますのは、製紙産業は大量に水を使う産業でして、種類にもよりますが、紙1トンつくるのに50トンから100トンといった水を使います。これも徐々に減らしてはいるんですが、なかなか減りません。そういうところで、排水を全量ろ過する、あるいは、膜ろ過する、活性炭処理をするということは、コスト的には考えられません。値段の話をしてなんですが、1キロ100円とか百数十円で売っている紙に対して水処理費用が10円か100円になるか分かりませんが、そういった値段はコスト的に耐えられないということが言えます。
 それから、製紙産業でCODを減らしているのが海域汚染とどの程度関係があるのかということにつきましては、私はデータを持っていないので直感的にしか言えませんが、かなり減らしてきているけれども、瀬戸内、その他ありますが、実際のA海域でのCODは減っていないところが多い。瀬戸内の海域の境界に近いところでは、ちょっと外に出れば外海と同じようにきれいな水であるということを考えますと、我々も努力は惜しまないんですが、これ以上コストをかけてやる必要があるのかどうか。汚染のメカニズムを明らかにしていただいて、コストパフォーマンスのいい汚染対策があるのではないかということを感じております。
 以上です。

○平沢委員 もう1つ、簡単に。鉄鋼の方にお聞きします。コークスを作って高炉に持っていくわけですが、最近は樹脂とかいうような廃棄物を使って燃やすという流れがあって、そういうふうにするとこういう問題は出てこなくなるんでしょうか。

○正保(日本鉄鋼連盟土壌・水質分科会主査) 樹脂を使うというのはどこの……。

○平沢委員 燃料エネルギー源としてという意味なんです、私の言っているのは。私、勘違いしているかもしれません、すみません。

○正保(日本鉄鋼連盟土壌・水質分科会主査) いえ、コークスの生産量を減らせば当然負荷は減ってくることになると思います。

○平沢委員 ああ、そうですか。ありがとうございました。結構です。

○正保(日本鉄鋼連盟土壌・水質分科会主査) 先ほどのお話の補足をさせていただきたいと思います。化学さんでもお話がございましたけれども、鉄鋼でも硝酸系のものを使っておりますので、硝酸性の窒素を還元するためにメタノールを添加するということもございまして、それがCODにつながるということで、対応に苦慮している事業所もございます。

○石崎(日本化学工業協会環境安全部兼化学品管理部長) 化学についてはいろいろな業種がございます。ただ、化学は1つの技術がほぼ30年たちますと、次の新しい技術が出てくるというおもしろい部分があります。コスト的に耐えられなくなったときに経営者はどう考えるかというと、コスト的に耐えられる技術をつくろうかというふうに考えるんですね。それは世界的にも皆同じでございまして、この中でなくなった業種があるんです。特掲業種が次々につぶれていっています。ですから、長期的には化学は変わる産業だと。これはひとつの世界的トレンドですから、環境負荷が発生源で減っていくというふうにお考えになった方がいいと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 じゃ、細見先生から。

○細見委員 産業の血の滲むような努力があったのではないかと思いますが、私どもがいろいろ審議させていただくときに、今まで2,000億とか3,000億投資されてきたということはございますけれども、昭和54年からいろいろ規制を始めたわけで、第何次というあたりで具体的にもう少しブレイクダウンした技術というか、情報をいただければ。確かにだれが考えてもそれ以上努力のしようがないのではないかということのひとつのあらわれになるかもしれないので、特に窒素、りんは第5次でかかっていますので、それ以前と比べて第5次ではどういう具体的なプロセスの変更とか、発生源、特にアンモニアが回収された量はどのぐらいだったのかとか、各業界でもうちょっと分かるようなデータにしていただけないでしょうかというお願いでございます。
 以上です。

○奥村(経団連環境管理WG座長) どこまでお答えできるか分かりませんが、それは調査してみます。幾つかの会社のデータなら手元にございますけれども、それは単なるイグザンプルなので、少し時間をください。

○細見委員 はい。この要望書は私も賛成するところがあるんですが、海域ごとに、例えば東京湾はもう少し努力する余地があるのではないかと個人的に思っていまして、東京湾だったら具体的に今までこのぐらい努力されてきたんだというのが分かれば、後の議論でも分かりやすいのかなという気がいたします。

○岡田委員長 河村先生、どうぞ。

○河村委員 それにも少し絡むかもしれませんけれども、鉄鋼の方で東京湾と伊勢湾のCODは昭和54年からほとんど変わっていないということですね。先ほどの昭和50年以前にほぼシステムをつくったということとリンクするのかもしれませんけれども、それ以降二十数年たって、ほかにいろいろな技術開発も適用し得るのがあったのではないかと思うんですね。そういう意味でのCODの削減というのは今後考えないのでしょうか。その辺を教えていただきたいんですが。

○正保(日本鉄鋼連盟土壌・水質分科会主査) 伊勢湾と東京湾に関してのご質問だと思いますが、ご質問の中でも触れていただきましたように、設備投資が既に終わっているということがございますし、先ほどの説明でも若干触れましたけれども、COD対策としてオゾン処理とか活性炭吸着を昭和50年以降導入している事業所もございます。ですから、このあたりをどこまで拡充していくかというところになってくるのかなと思います。

○岡田委員長 よろしいですか。

○河村委員 例えば、昭和54年から平成11年までの間、東京湾エリアで言いますと、鉄鋼生産量は上がっているんですか。鉄鋼生産量が上がっていてCODが変わらないのか、鉄鋼生産量が下がっていてCODも変わらないのか、そういう生産量との関係はいうのはどういうふうになるんでしょうか。

○正保(日本鉄鋼連盟土壌・水質分科会主査) 生産量はほぼ同じだと思っていただいて結構です。若干減少しているのかもしれません。

○河村委員 はい、分かりました。

○岡田委員長 じゃ、どうぞ、最後に。

○宮崎委員 窒素の除去というのが特に化学産業さんを中心として非常に大きい問題になっていると思うんですね。鉄鋼産業さんでは廃酸でイオン交換樹脂とか膜利用ということで窒素処理をされていまして、濃度がかなり違うから難しいかと思うんですけれども、例えば化学産業さんの方でこのあたりの処理方法なども検討されている例があるんでしょうか。

○石崎(日本化学工業協会環境安全部兼化学品管理部長) 膜は検討しましたけれども、全くコストに合わないということと、膜のものは純粋なものについては手際がいいんですが、化学産業の窒素がかかわるやつは有機体でございますので、膜は全く利用できないのがほとんどです。

○奥村(経団連環境管理WG座長) ちょっと補足しますと、自分の働いている会社の宣伝みたいになっちゃうんですが、学会の専門誌でも発表しておりますけれども、現在、当社では安定的かつ効率的に硝化菌を固定化・培養する技術の実用化に向け取り組んでおり、パイロット設備を工場に作りいろんな検討を行っております。これがうまくいきますと、アンモニア性窒素などの排水の分解・除去に大幅な改善が見込まれます。 現在はまだ設備コストが割高なため、その検討もあわせ行っております。もし、当社の愛媛工場を見学に来られたら、その施設をごらんいただくことは可能です。

○石崎(日本化学工業協会環境安全部兼化学品管理部長) ちょっと補足しますと、硝化という技術は非常に難しい菌の扱いをします。流量が増える、濃度が増えるだけで、菌はすぐに終わるという、いわゆる腫れ物にさわるような菌でありまして、非常に難しい。ただし、きちんと運転すると普通の活性汚泥よりもはるかによく食ってくれるという、お姫様を扱うような菌なものですから、いいときはいいんですけれども、悪くなるとどうしようもないというものであります。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 まだあるかもしれませんが、産業系の排出につきましては、排水自身が多様であるため、ここで短時間ですべて議論するのは極めて困難であると私自身も認識しております。そういう意味で、先ほど細見委員からご指摘ございましたように、今後の議論の進展に応じて、必要に応じてまた産業界から必要な部分のデータをご提供いただくことによって、無理のない議論をさせていただきたいと考えておりますので、ぜひご協力のほどをよろしくお願いしたいと思います。同時に、委員の先生方で処理の実態を見たいというという方がございましたら、そのときも、先ほどのお申し出でのようにご協力をお願いしたいと思います。
 それから、ご要望の文書をいただいておりまして、私自身おっしゃるとおりだというところもかなりございます。しかしながら、この具体的な内容、バックグラウンドになるようなデータについて、何せこの短い文章ですから、経団連の方でもすべてを言い尽くしているとは思いませんので、今後の議論の進展に応じて具体的内容、詳細データ等を再度お伺いして、議論の参考にさせていただくということで、この要望をできる限り前向きに検討させていただくことにさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○奥村(経団連環境管理WG座長) ありがとうございます。

○岡田委員長 委員の先生方、そういうことでよろしいでしょうか。
 時間が短くて本当に申しわけございませんでした。ありがとうございました。
 それでは、引き続きまして、環境省の大臣官房廃棄物・リサイクル対策部浄化槽推進室の名倉室長補佐から、「浄化槽整備による生活排水対策について」、ご説明をお願いいたします。
 15分程度ということで、よろしくお願いします。

○名倉室長補佐(環境省浄化槽推進室) ただいまご紹介いただきました環境省浄化槽推進室の名倉と申します。お時間をいただきましてご説明させていただきます。お手元の資料5、「浄化槽整備による生活排水対策について」でございます。
 まず、全般的に汚水処理施設の普及状況からご説明いたします。汚水処理施設と言いますのは、生活排水を処理する施設として、例えば下水道と農業集落排水というものもございますけれども、浄化槽も含めまして汚水処理施設の整備について関係省庁で連携をとりながら進めております。浄化槽で言いますと2種類、合併処理浄化槽と単独処理浄化槽がございますけれども、ここで含まれているのは合併処理浄化槽のみでございます。
 その経年変化としましては、平成8年に62%程度の普及状況であったものが、平成15年には78%と、全人口の3/4ぐらいが汚水処理施設が使える状況になっているということでございます。
 一方、市町村人口規模別で見ますと、平均的には78%程度ということですが、人口規模の大きいところに比べて小さいところは普及状況が遅れております。左の方から市町村の人口規模が大きいところから、右にいくに従って小さいところとなっていますけれども、100万人以上の都市では99%になっているものが、だんだん小さくなっていきまして、5万人未満の市町村では56%、ようやく半分を超える程度の普及状況になっているということでございます。もちろん5万人未満のところだけではなくて、5万人~10万人のところの整備は平均に比べて遅れている状況になっております。こういった人口規模の小さいところは人口密度が低くて閑散としているような地域でございまして、そういったところでは浄化槽は非常に大きな役割を果たせるということになっております。
 浄化槽の全国的な整備状況を見てみますと、平成8年では5.7%であったものが、平成15年には8.1%というふうに伸びていっております。これは人口であらわした普及状況でございます。
 これを基数で見ますと、合計は単独処理と合併処理を合わせた基数でございまして、その内数として単独処理浄化槽の設置基数と合併処理浄化槽の設置基数を出しております。浄化槽全体で877万基ぐらいある中で、その8割ぐらいは単独浄化槽が使われていて、合併浄化槽は2割ぐらいというような状況になっております。
 こうした浄化槽についてどういう施策をとっているかということにつきましては、国が取り得る施策としては予算的な対応と制度的な対応が考えられますけれども、予算的な対応については補助制度を持っております。浄化槽の補助制度は2種類ございます。①の個人設置型というのは、各個人が自分の家の庭先なりに施設を設置するというのが通常なんですけれども、個人が浄化槽をつけたいと思ったときに市町村が助成する制度を持っている場合がございまして、市町村に対して国が一部を補助するという制度になっておりまして、基本的には個人が設置する浄化槽への補助ということで、個人設置型と呼んでおります。
 それから、もう1つは、市町村設置型と言いまして、市町村が自ら設置主体となる。つまり市町村が自分の持ち物としての浄化槽を各家庭の庭先に埋めていくと、その維持管理も市町村が主体となってやっていくという制度でございまして、これは市町村が設置主体となるということで、市町村設置型と呼んでおります。
 それぞれの財政措置の概要をあらわしたのがこの図でございます。浄化槽は、一番小さい単位ですと、5人槽というものが通常の家庭では設置されておりまして、設置の工事費用と浄化槽本体の価格を合わせて1基当たり90万円ぐらいと言われております。その中で、個人設置型の場合は設置者負担が6割で、残りの4割が補助対象ということになっておりまして、その4割のうちの1/3について国が補助し、残り2/3については自治体、市町村と県にみていただくということになっております。
 一方、市町村設置型につきましては、もともと市町村のものということで全体が補助対象になっておりまして、全体の1/3が国が補助し、残りの85%、全体からみますと17/30は下水道事業債の起債が認められていまして、設置者の費用は1/10ぐらいになります。市町村設置型というのは、住民の負担が低いということと、市町村が主体になるということで維持管理も適正に行われるということで、私どもとしては積極的に推進しているところでございます。
 市町村設置型の事業につきましては、対象地域がア、イとありまして、アに示す水道原水法が平成6年にできておりまして、その計画に定められた地域に市町村が整備するというところから始まりましたので、アという水道原水法の都道府県計画に定められた浄化槽の整備地域というのが始まっているんですけれども、その後、順次、対象地域を広げておりまして、水質的に重要性の高い地域ということで総量規制の対象地域も入っております。また、平成14年の補正からは、⑨の浄化槽による汚水処理が経済的・効率的である地域も入っておりまして、全般的に汚水処理施設としての整備を進めるようにしているところでございます。
 予算の概要としましては、昭和62年に個人設置型で1億円の予算で始めたわけですけれども、その後、順次伸ばしていただいておりまして、平成16年度は他省庁分も合わせて264億円を予算額として確保しております。
 以上が予算的な対応でございまして、制度的な対応としましては、規制的な法律として浄化槽法というのがございまして、その中で資格制度を設けたり、技術的な対応について書かれておりますが、平成12年に浄化槽法を改正しました。それまでし尿だけを処理しまして生活雑排水は垂れ流しをするという単独処理浄化槽も認めていたところですけれども、それの新設を禁止いたしまして、生活雑排水も含めて処理をする合併浄化槽の設置を義務づけております。そういったことで、浄化槽をつけるところでは生活雑排水も含めて処理をしないといけないというような対応をしているところでございます。
 浄化槽の放流水質につきましては、そういった補助制度を持っているということで、補助の対象とする浄化槽については、この表にあるような要件を設けて補助をしているところでございます。一般的なタイプとしましては、BOD除去率が90%以上で、BODの濃度が20㎎/L以下の浄化槽について補助をしておりますけれども、高度処理の浄化槽もございまして、窒素とかりんを除去する型として、窒素ですと20㎎/L以下、りんですと1㎎/L以下という処理性能を持つものに対しての補助を行っておりますし、BODの高度処理型ということで、除去率が97%以上で、濃度が5㎎/L以下のものについても補助対象としているところでございます。
 放流水質につきましては、10人槽以下の小さい規模の浄化槽についてサンプル的に調査した結果、ここに示したように、BODですと平均的には14.5㎎/L、窒素除去型の浄化槽ではBODが16.2、窒素が21.1で、BOD高度処理型では、BODが6.0、窒素が11.1となっております。先ほどの処理性能に比べて若干大きめの値になっている部分もあるんですけれども、浄化槽の場合、個別に設置されて個別に維持管理もされるということで、通常のものからこぼれ落ちる分については処理性能を上回る濃度の放流水が出てくるものも若干あるということで、そういったもので平均が押し上げられているということになっております。
 簡単ですが、以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しましてご質問、ご意見等がございましたら、お願いいたします。
 はい,どうぞ。

○平沢委員 浄化槽の処理で一般的なタイプの場合の窒素とりんはどのぐらいのレベルなんでしょうか。

○名倉室長補佐(環境省浄化槽推進室) 一般的なタイプの窒素とりんについて手元にデータはないんですけれども……。

○平沢委員 非常に高いんですよね。

○名倉室長補佐(環境省浄化槽推進室) 比較的高いと思います。

○平沢委員 ああ、そうですか。
 それと、窒素、りんの除去型というのはどういうタイプなんでしょうか、処理方式で。生物処理……。

○名倉室長補佐(環境省浄化槽推進室) 窒素については、浄化槽の場合、最初に嫌気処理があって、後半にばっ気して好気処理というのがございますので、その嫌気、好気を循環させて、ひっくり返すような形で硝化して脱窒するという方式です。

○平沢委員 りんの固定はしないんですか。りんを化学的に固定はしないでやるということですか。

○名倉室長補佐(環境省浄化槽推進室) 今のは窒素のご説明でございます。

○平沢委員 あ、そうですか、すみません。

○名倉室長補佐(環境省浄化槽推進室) りんにつきましては、大規模のものですと、凝集して沈めるというものもあったんですけれども、最近、小規模のもので鉄を電気分解で溶かして、鉄塩として凝集させて落とすというようなものを本年度から補助対象にしまして、整備を進めているところでございます。

○平沢委員 どうもありがとうございました。

○岡田委員長 ほかにございますか。
 はい、どうぞ。

○高橋委員 高度処理型の個別の合併浄化槽ですが、これを採用しなさいというような制度とかインセンティブは何かあるのでしょうか。

○名倉室長補佐(環境省浄化槽推進室) 補助率は変えられないんですけれども、補助対象の基準額を上げることで、若干値段が張りますので、それに対して対応できるような形はとっております。あと、採用するかどうかというのは、市町村でそういう体制をとっているかどうかということになりますので、こうしなさいということではないんですけれども、そういう体制をとったところについてはできるだけ積極的に補助をするようにしております。

○岡田委員長 どうぞ、細見委員。

○細見委員 単純な質問ですが、対象地域を、⑨で浄化槽が効率的であるという地域を加えられたということですけれども、これはだれがどのような手法で判断するんですか。

○名倉室長補佐(環境省浄化槽推進室) 浄化槽以外の汚水処理としては集合処理が考えられるんですけれども、集合処理に関係する国土交通省とか農水省ともあわせて、施設整備にあたって標準的な単価を通知で出しております。その標準的な単価又は当該地域で考えられる単価を使って、維持管理と建設費を合わせたコストが安くなれば経済的・効率的であると認められるということで対象としております。

○岡田委員長 ほかにございますか。
 よろしいですか。
 どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりましたけれども、農林水産省農村振興局農村整備課集落排水・地域資源循環質の南課長補佐から「農業集落排水事業」につきまして、ご説明をお願いしたいと思います。
 では、15分くらいということでよろしくお願いいたします。

○南課長補佐(農林水産省集落排水・地域資源循環室) ただいまご紹介にあずかりました農林水産省農村振興局で農業集落排水事業を担当しております南と申します。本日、大変準備が悪うございまして、お手元に8枚程度の「資料6」と書いた資料をお配りしておりまして、それに基づいて説明させていただきたいと思います。
 まず、1ページ目に農業集落排水事業の概要という写真付きの資料をおつけしております。農業集落排水事業と申しますのは、先ほど名倉補佐の説明にもありましたけれども、この事業は予算補助事業というものでございまして、法律上は処理施設については浄化槽法に基づいた型式認定を受けた処理場を使うということで、法律の話でいきますと、地方財政法の16条に省令補助事業という形で国がある施策を推進したいという目的を持って補助金を地方に出すという枠組みという形で農林水産省が実施しているものでございます。
 その枠組みと言いますか、目的と申しますのが、一番上の○の、農業振興上の観点から農業振興地域を対象として、水質汚濁による農業被害の解消等を図るとともに、農村の生活環境の改善、併せて公共用水域の水質保全に寄与することを目的としているということで、下水道事業とか合併浄化槽関係の予算と異なりまして、こちらは農村整備事業という予算の中で計上されているものでございます。
 絵にかいておりますように、例えば、農業用水路に生活排水が流れ込んで、それによって農作物に被害が及ぶとか、農業用の取水施設の操作上不都合が生じることのないように、それからまた、結果としてということになるのかもしれませんが、生活環境が改善される、または農村の生活環境の改善を通じて農村の定住条件を改善していくと。お嫁さんが来ないとかいろんな問題がありますが、そういうものもあわせて改善していくということ等を目的としているということでして、中身としましては、農業集落におけるし尿、生活雑排水などの汚水の処理、それから、それを通じまして、処理された水が農業用水路に放流されることで下流で反復利用できます。
 次のページは、2.農業集落排水事業の特徴ということで1枚にまとめさせていただいております。処理水を水資源ととらえまして、その循環に寄与していると我々はよく言っているんですが、集落排水事業で処理された水は、小規模な集合処理ということで95%の地区でまた用水路に放流され、その下流で農業に使われていると。
 これは石川県の川北町の事例でございますけれども、黄色く塗った部分の集落から排水されて、それが青い農業用水路に落ちていくと。農業用水路、水田地帯と申しますのは、何度も表流水が溢れて流れたり、地下水として浸出して流れたりして、下流でも使われるという形になっており、これが大規模な下水処理場等で下流まで持っていくのとは少し違うのではないかと考えております。
 処理水の水資源としての評価ということを書いておりますが、全国の農業集落排水処理施設は、15年3月末時点で約2億5,000万立方メートルの水資源を生み出しているんだという言い方をしておりまして、そのあたりが我々の特徴かなと思っております。
 次のページにまいりまして、事業制度の概要的なものをまとめさせていただきました。先ほど申しましたように、集落排水事業は農業集落におけるし尿、生活雑排水の汚水収集のための管路施設、集合処理ということで、パイプを通して、収集した汚水を処理するための汚水処理施設、それから、この工事をするときに雨水排除をしていない集落があった場合は、雨水排除施設。これは合流処理ではなくて、側溝等の施設がない場合にはそれも整備できるということ。それから最後に、処理場で発生した汚泥を処理するためのコンポスト施設等もあわせて補助対象になっているという事業でございます。
 表をざっと確認したいと思います。目的につきましては、ただいま申し上げたとおりでございます。
 次に、整備対象地域ですが、これは農業振興地域の整備に関する法律がございまして、これに基づく農業振興地域、もちろん境界を超えた部分もできるということになっておりますが農振地域内の農業集落を対象として整備すると。
 処理対象汚水は、し尿と生活雑排水を処理する。雨水については雨水排除施設を作るということでございます。ということで、工場排水や病院等の排水は対象外となっております。
 処理対象人口ですが、これは後ほどもう少し説明いたしますけれども、概ね1,000人程度の規模を単位としてやっていると。それ以上の規模につきましては、線引きをしておりまして、特定環境保全下水道でやるのが望ましいということになっております。
 それから、補助対象は、受益戸数がおおむね20戸以上ある集落。
 それから、どこまでが国庫補助の対象となるかと言いますと、右側の絵にありますように、道路界に埋設した場合、その道路界のマンホールから個々の家に最後の管がつながっていくわけですが、マンホールから先に2軒、家がないというところは対象ではないという形で、マンホールよりも先に2軒以上家が続いていれば、そこまでは国庫補助の対象とみなすという形になっております。
 事業主体は、基本的には市町村が実施する事業を、県を通じてという意味では間接補助なのですが、国が補助する事業です。
 処理方式は、先ほど言いましたように分流式で、雨水と汚水は別々に集水処理します。
 水質的には、原則として放流水質指針という計画指針の形で決めているわけですけれども、BODが20㎎/L以下、SSが50㎎/L以下という形にしております。ただ、それなりに大きな規模の処理場になりますので、地域、地域で汚水処理の網がかかってきますと、それより上乗せの排水基準に対応した部分についても補助の対象となります。
 次のページ、整備目標でございます。先ほどもご説明がありましたが、農村地域を対象としておりまして、おおむね5万人以下の市町村、特に町村部が対象地域として多うございます。このため現在の普及率は40%ぐらい、計画としては平成24年までに農村地域における汚水処理の普及率を現在の中小都市における普及率並みにするということが、農林水産省の土地改良長期計画という国の長期計画の中に位置付けられております。現在の40%ぐらいというのは、左側の四角の中にありますように、処理人口、供用人口で300万人ぐらい、地区数にして、完成した地区が5,000地区ぐらい。昭和58年度から20年間にわたって続けてまいりましたけれども、実績としてそれぐらいまで、汚水処理という意味では貢献してきたのかなと考えております。予算規模で申しますと、ちょっと資料が悪くて申しわけないんですけれども、現在600億ぐらいの国費、これは国費率50%ですので、事業費ベースで1,200億円ぐらいの事業でございます。
 次のページは、皆さん疑問に思っておられるのではないかと思いますけれども、下水道、浄化槽等との事業の関係について整理をさせていただきました。左側に目的と、対象地域・人口と書いてありますが、目的の部分で言いますと、下水道、浄化槽の方が公衆衛生の改善、生活環境保全という形に対して、こちらは農業用水の汚濁防止が一番にきているということ。もちろん農村地域の生活環境の改善もございます。
 それから、対象地域といたしましては、農振地域で、おおむね1,000人以下。それを見取り図ふうに示したのが下の図でございます。名倉補佐からお話がありましたように、3省連携の取組みという形で、どこを農業集落排水地域として市町村は設定してやられるのかということですが、基本的には2番目のポツですね、関係省の連絡会議等を設置して、事業間調整をしてきていますが、特に平成7年からそういう調整の下に下水道マップ(都道府県構想)を各市町村でつくっていただきました。それを集計して都道府県ごとの、どの地域はどういう処理方式でいくのか、経済性、その他もろもろ、主に経済性を勘案して自治体で考えていただくと。それに基づきまして、我々が要請を受けたときに審査して補助金を出すという事業でございます。
 ついでにご説明しますと、3つ目の○に、下水道、農業集落排水、合併浄化槽等の各事業を重点的に実施する連携事業。それから、4つ目の○で、下水道マップを適正に作成するために経済比較のための建設費単価や算出法の統一ということも3省でやってきているということ。それから、2省間ということでは、下水道と集落排水とを、事情が変わって、工事中につないだ方がいいのではないかというような場合は接続する。また、市町村事業の場合には、合併浄化槽と農業集落排水も同じように、同時施工して一体管理を進める。こういうようなことを進めてきております。
 6ページは、水質の話とは少し離れますけれども、事業の説明をいろいろさせていただきましたが、集落排水事業においては統合補助事業を現在推進しておりまして、平成13年度に500人以下の地域を対象としていたんですが、14年度以降はすべての事業統合補助金という形にしております。右側の絵の中に青と黄色と赤の丸がありますけれども、今までは国が県に間接補助という形で補助金を出しまして、県から市町村にお金が流れるという仕組みでして、国の方で「どこを補助するんですか、幾らですか、本当に正しい計画ですよね、今年度は幾ら使うんですか」というような審査をしていたのを、14年度からは県に任せると。都道府県で我々が示した要綱、要領に従って柔軟に、どちらに幾ら配分するかということをしていただくという事業になっております。
 次に7ページに移りたいと思います。準備が間に合いませんで、水質のデータを今回お出しできませんでしたが、計画指針としてはBOD20、SS50と申し上げました。実際の処理方式としましては、生物膜法と活性汚泥法は、地区の条件を勘案して、両方あり得るという形でやっております。その中には回分式とか連続流入の間欠ばっ気とかいろいろあります。それから、高度処理についても、詳細にご説明するほどの知識も材料もないんですけれども、地区で要求される場合には対応してきているということです。高度処理の定義にもよりますけれども、20と50という値以上の処理を求められてやっているところという意味では、供用地区4,391の中で816地区対応しているという状況にございます。
 最後に、8ページでございます。これですべてということではないんですけれども、先ほど例えば浄化槽では窒素、りんの除去はどういうふうにされているかということがありまして、集落排水事業についても浄化槽法の浄化槽を処理場に使っているわけですが、窒素については嫌気、好気を繰り返してということをやっております。また、りんについては、塩化第二鉄を入れるとか、PACを入れるとか、そういう凝集沈殿をしております。そういう中で、例えば遠隔監視を用いて、現在、浄化槽という形で常駐管理が求められていないという中でやっているものですから、監視を強めることで管理をできるだけきめ細かにして、それによって少しでも水質を高めていこうという実験、それから、生物膜法については、既存の構造物を残したまま、それを活性汚泥に変換していこうというようなこととか、細々したことですが、こちらでは考えているという状況でございます。
 簡単ですが、ご説明を終わります。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまのご説明に関しまして、ご質問、ご意見等ございましたら、お願いいたします。
 どうぞ。

○齋藤委員 水質関係のデータがまだ出ないということですけれども、2ページの一度処理した水を水田に戻すと、こういったことが行われるとすれば、水田での脱窒で流域全体としての窒素負荷はさらに減るというような評価もできるかもしれないんですが、いずれこういった水質データも含めて出していただけるということでよろしいですか。

○南課長補佐(農林水産省集落排水・地域資源循環室) きょうこちらに来るまでにきちっと整理をし損なったと申し上げたんですが、今いろいろなご議論を聞いておりまして、そういうことも検討してみないといけないなと思っておりますけれども、いつまでにという形でそういう整理を考えているわけではございません。

○岡田委員長 よろしいですか。
 ぜひよろしくお願いします。
 ほかにございませんでしょうか。
 よろしいですか。
 では、どうもありがとうございました。
 今で5件、ご説明をいただきましたが、全体を通じて何かご意見、ご要望等ございますでしょうか。
 どうぞ、細見先生。

○細見委員 先ほども下水道マップというのが出ておりましたけれども、水全体を考えて閉鎖性水域の改善をしようときに、下水道は下水道、浄化槽は浄化槽、何とかは何とかという仕切り、今までの国の組織として当然そうだったわけですが、全体を俯瞰するようなやり方というか、取組みというのは、例えば環境省の中でやっているところはないのか、あるいは、国の研究機関でないのかと。もちろん、産業界も含めて総合的な水質管理は必要なんでしょうけれども、せっかく各省庁のいろいろな情報とかデータ、あるいは、産業界も含めていただいたわけで、「関係省の連絡会議を設置し」と書いてあって、これは先ほどの農水省のご説明の中の取組みの例の一つだと思いますが、こういう事例はほかにあるのかないのか。あるいは、それを積極的に進めようとしているのかどうか、何かあったら。

○岡田委員長 これは環境省から。もしあれでしたら、次回でも結構ですけれども、生活排水対策全体に……。
 どうぞ、部長。

○甲村水環境部長 先ほどご紹介ありました下水道マップというのは、従来、公共事業は二重投資になっているのではないかと、すぐ近くで下水もやっているし、その隣で農業集落排水をやっているし、あるいは、合併浄化槽をやっていたりと、ダブル投資になっているのではないかとか、そういう公共事業批判がありまして、それに答えるために、おのおのの施設のコスト、特性にあったところをやっているということで、各県単位で具体的に地図に落として、こういうエリアは公共下水道でやる、ここのエリアは農業集落排水でやる、こういうエリアは合併浄化槽でやると、そういう役割分担の目安を決めた絵で、実際に事業化する場合はもう少し詳しく検討して事業エリアが決まっていくわけでして、大まかな目安的なエリアを決めたものだと理解しています。
 今のは生活排水の処理の全体像ですが、工場排水とかノンポイントソースも含めた流域全体の汚濁対策をどうするかということについて現状を申しますと、今、一番進んでいるのは総量規制エリアでして、おのおのの負荷量の配分を行って、削減目標を決めておのおのが対策すると。大まかに言うとそういう計画になっているわけです。総量規制エリア以外につきましては、流域、ノンポイントソースをどう処理するかとか、水質基準達成上、役割分担がまだはっきりできてない部分があるというのが実情だと思います。

○岡田委員長 ありがとうございました。
 よろしいですか。
 ほかにございませんか。
 よろしければ、本日の議論は以上にさせていただきたいと思います。
 次回の専門委員会は11月2日、火曜日に開催させていただきたいと思います。
 今回と前回は汚濁負荷削減対策ということでヒアリングをさせていただきました。ただ、きょうも出ておりましたが、水質汚濁のメカニズムについては検討すべき課題が残されておりました。したがいまして、次回は、第1回、第2回でご指摘がございました検討課題について、事務局で整理していただき、それに基づいて議論をお願いしたいと考えております。
 そういうことで、事務局からほかによろしいでしょうか。

○坂川閉鎖性海域対策室長 どうもありがとうございました。
 次回の専門委員会は、今、委員長からご説明がありましたとおり11月2日、午後1時半から開会したいと思っております。場所等の詳細につきましては、後日ご案内させていただきます。よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。

○岡田委員長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の専門委員会は以上をもちまして終了させていただきます。どうもご苦労さまでした。

午後4時24分閉会

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